ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療部会)> 第18回社会保障審議会医療部会議事録




2011年6月8日 第18回社会保障審議会医療部会議事録

医政局総務課

○日時

平成23年6月8日(水)10:00~12:30



○場所

厚生労働省専用第18~20会議室(中央合同庁舎第5号館17階)



○議題

1.医療提供体制のあり方について
2.東日本大震災の被害状況及び対応について
3.その他

○議事

○医療政策企画官 ただいまから、第18回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。委員の先生の皆様方におかれましては、お忙しい中、また本日、若干お足下が悪い中ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。最初に、本日の出欠について、ご報告を申し上げたいと思います。本日代理の方にご出席を賜っておりますが、光山由一委員、日野頌三委員、邉見公雄委員からご欠席との連絡を頂戴しております。また、こちらは代理の方がいらっしゃらないということですが、上田清司委員、大西秀人委員、尾形裕也委員、小野精一委員、田中滋委員、辻本好子委員からご欠席との連絡を頂戴しております。
 議事に入ります前に、お手元に配付しております資料の確認をいたします。議事次第、座席表、部会委員名簿ほか、資料1から資料5まで、それから委員提出資料として、西澤委員、横倉委員からご提出いただいた資料を席上に配付しております。万が一、お手元の資料の不足等ありましたら、事務局にお知らせをいただければと思います。事務局からは以上です。カメラ撮り等しておられる方がいらっしゃいましたら、カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。部会長、よろしくお願いします。
○部会長 議事を続けます。委員欠席の際に、代わりに出席される方の扱いについてです。事前に事務局を通じて部会長の了解を得ること、および当日の部会において承認を得ることにより、参考人として参加し、発言いただくことを認めることとしております。本日の会議については、光山由一委員の代理として、日本経済団体連合会経済政策本部長の藤原清明参考人。日野頌三委員の代理として、日本医療法人協会副会長の加納繁照参考人。邉見公雄委員の代理として、全国自治体病院協議会副会長の中島豊爾参考人のご出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○部会長 ありがとうございました。議題に移りたいと思いますが、もともと本日の第18回は3月30日に予定しておりましたが、未曾有の東日本大震災の影響で、2カ月間隔を置いての開催であります。本日は、東日本大震災の被害状況および対応、医療提供体制のあり方について、意見交換をしたいと思います。なお、意見交換は、東日本大震災、社会保障改革に関する集中検討会議、その他の3つに区切って行うことを予定しております。途中退席を予定されている委員の方におかれましては、この区切りにかかわらず発言していただいて構いませんが、その場合については、どの件に関する発言かをはっきりさせてからお願いしたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いします。
○医療政策企画官 それでは、ご説明申し上げます。なお、政府はただいまスーパークールビズであります。暑いといったような場合などは、ご遠慮なく上着をおとりいただければと思います。資料1から資料5について、ポイントだけかいつまんでご紹介申し上げます。資料1「東日本大震災等に係る状況」です。通し頁の2頁です。東日本大震災について、5月17日時点で警察のほうで確認されておりますのが、死者1万5,091名、行方不明の方が9,093名、負傷者の方が5,301名という形で、かなり被害の大きな震災となっております。こういった津波ないし揺れによる被害を受けた場所の中にあった医療機関も被害を受けているということで、全圏域が災害救助法の対象となっている3県について、時系列で数字をとれておりますので、ご紹介申し上げているのが2頁です。1県1県のつぶさな状況をご紹介申し上げるのは、時間の都合上、差し控えさせていただきますが、5月中旬に至るも、なお外来、あるいは入院の受入に制限ないしは不可能といった状態に陥っている機関がかなり存在する、という状況を見て取っていただけるかと思います。
 3頁からが、震災発生後どういう対応をしてきたのかということの要旨をまとめたものです。発災直後から医療チームの派遣、あるいは医薬品の供給確保等々を行いました。さらには、その後、普及に向けての1次補正、さらには地域の医療提供が継続できるように、医療チームの派遣、関係団体にご協力・ご尽力いただきながら、続けているという状態です。
 4頁からあとは、発生直後以来、どういった分野について、どういうことをやってきたのかという主なものです。例えばですが、被災地域での医療の確保のために、関係団体の方々にご協力をお願いしてスタッフを派遣していただく、あるいは今回、計画停電もありましたので、注意喚起、あるいは相談窓口の設置等々をさせていただいたり、そういった主な対応について掲示をしているものです。
 7頁、8頁が現地へのチームの派遣ということで、こちらはまた医療関係団体、あるいは関係職種団体からかなりご尽力いただいて、現地に人の派遣がされているという状況です。国のほうでも、どうしても届かない地域などがあった場合には調整をしましたが、基本的にかなりご協力いただいて、医療チームの数としては現地に入っているという状態です。数の紹介は控えさせていただきます。
 9頁、10頁が都道府県域を越えての患者の受入調整の仕組み、医薬品の供給状況ということで、医療用医薬品、あるいは一般用医薬品、それぞれ現地に、これまた関係の方々のご協力をいただきながら、ガソリン不足という状態ではありましたが、届けるべく努力を積み重ねていたということです。
 11頁、12頁ですが、11頁は計画停電の実施に伴い、在宅療養されている方々のための緊急相談窓口の設置をいたしました。現在、計画停電は行われておりませんので、こちらの相談は現状落ち着いている状態です。
 12頁は福島第一原子力発電所の関係ですが、この避難区域、避難準備区域の中にも医療機関・病院があります。こちらの入院受入体制、あるいは診療体制に影響が出ているということ。それと避難圏域内の病院、あるいは老健施設等々の入院患者さん、あるいは入所しておられる方々、こういった方々については圏域外へ搬送したりという取組みなどを行ったところです。さらには、放射線に関する健康相談なども実施をしているところです。
 13頁からあとが、こうした現地におられる関係の方々、あるいは他の地域から派遣で行っていただいた方々、どういった活動をしておられるのか、ポイントだけをまとめたものです。医療チームとして被災地に入っていただいた方々には、現地での避難所等での医療活動に当たっていただく、あるいは医療機関での医療活動へのサポートに入るといった活動をやっていただいております。薬剤師の方々は、被災地の薬局・医療機関における調薬、あるいは避難所での薬の提供・相談をしていただいています。
 15頁の保健師です。避難所での暮らしが長くなると、どうしても健康被害が出てきかねませんので、そういった面での健康管理、あるいは衛生面での指導管理といったものに、現地の保健師だけでなくて、県外の保健師さんも派遣をしていただいて活動しているという状態です。栄養士さんによる栄養改善活動、あるいは医薬品の調達等々、そういったところの活動を行っているところです。
 18頁からあとが1次補正ということで、先般成立した平成23年度1次補正予算の中で、仮設診療所、あるいは歯科巡回診療所、それから医療施設の災害復旧ということで、救命救急センター等の拠点医療機関の復旧事業といったものについての予算を計上して、今後県と協力しながら執行していく予定です。
 昨年度の補正予算の中で、地域医療再生基金があります。最大で120億円の交付をするということで、各県で計画を作っていただいております。こちらについても、東日本大震災の影響で計画の提出期限を延長するなどの措置を講じているところです。さらに、全県が災害救助法の対象地域となった岩手、宮城、福島の3県については、提出期限を大幅に延長し、さらには計画の内容に応じてということにはなりますが、交付額の上限である120億円の範囲内で交付できるように、金額を確保してあるという状態です。
 21頁は訪問看護の状況です。これも岩手、宮城、福島のそれぞれの県内での状況ということで、震災前、震災後、どのような活動状況か等の概要をまとめておりますので、ご参照いただければと思います。
 22頁から医療保険制度における対応ということで、本来、医療部会ですのであれですが、医療保険のほうでも患者負担の免除、あるいは概算による診療報酬の請求といったことを講じたり、あるいは保険料の免除・猶予といったものの措置を講じたところです。
 24頁、25頁は、震災前後で見て、どのぐらい診療の状況といいますか、影響が出ているのか1つ物語るデータかと思いましたので、お付けしました。24頁の右側というか、縦に置いたときに下になるものですが、一部負担金免除の対象となった被災者の方々に関するレセプト、診療報酬請求書がどのぐらい、どういう地域で出ているのかといった辺りの分布を見たものです。23頁、24頁は支払金分ですが、25頁は国保連合会分ということですので、ご参照いただければと思います。
 27頁、28頁ですが、雇用の関係です。最初のほうでご覧いただいたいろいろな事務連絡の中に1つあります。被災地の中で被災をされた医療従事者の方々が、なるべく地元でほかの医療機関、あるいは薬局等々で働き続けられるようにということの一環で、雇用の関係の基金も活用して、同じ県の中でなるべく働き続けていただけるように活用いただけるのではないかということで、こういった雇用政策の活用も県のほうにはご紹介申し上げているところです。
 29頁からあとは、もともとの災害医療の体制ということです。32頁に書いてありますように、災害時における医療というのは4疾病5事業、医療計画の中で、医療機能に応じた機能分担といいますか、役割分担ということで記載していく中の1つの事業として、災害時における医療が書いてありますし、災害医療センター機能であるとか、DMATをはじめとする応援・派遣機能であるといった形の取組みを記載していくことになっております。
 今回の震災を踏まえてどうするのかということで、34頁です。今回の東日本大震災を医療の面で振り返ってみれば、阪神・淡路のときと比較をして、外傷を受けられた方よりも死亡者の方々の比率のほうが高いという特徴があります。また、慢性疾患患者の方々の医療ニーズへの対応が、重い課題として出てきたということなどなどがありました。さらに言えば、震災による直接的な影響といいますか、診療体制として置かれた状況としてみれば、ガソリン不足であるとか、あるいは情報網の途絶ということで、固定回線、携帯回線等も通じにくいというか、断絶してなかなか復旧しないという状態であったと。そういう状態がある中で、今後どういった対応を講じていけばいいのかということで、今後の災害医療のあり方について検討を行うための場を、新たに設けることを予定しております。今年中に検討結果を取りまとめ、必要なものは次期医療計画の中に反映していくことを考えております。
 続きまして、資料2、資料3、資料4の集中検討会議関係です。社会保障と税の一体改革ということで、前回、前々回にも関連の資料をお配りしてご報告を申し上げたところではありますが、震災のあとは有識者の方々からのヒアリング等々で非公式開催という形で開催されておりました。4月下旬から、再度この集中検討会議が官邸で開催されるに至りまして、連休明けに厚生労働省としての考え方、あるいは方向性について報告をするようにという求めがありました。資料2が5月12日に報告をした、全体の方向性というものです。資料3が5月19日に、そのうち医療・介護、あるいは医療イノベーションといった部分について報告を求められた際の資料です。資料4は、6月2日に内閣官房社会保障改革室のほうから取りまとめて出されたもので、与謝野大臣のほうでまとめた社会保障改革案であるとか、そのバックボーンとなった費用推計、あるいは医療・介護の費用推計シミュレーションといったものについて、まとめたものです。これも大部になりますので、かいつまんでご紹介します。
 資料2ですが、通し頁2頁にありますように、厚生労働省としての社会保障分野での取組みといいますか、方向性になりますので、中身としては医療・介護だけではなく、子ども・子育て支援、あるいは就労であるとか、あるいは年金、貧困・格差、低所得者対策等々、ほぼ厚生労働省の全分野に跨がるものについて、方向性を記載しております。医療・介護部分については、役割分担、機能・強化といったこと、あるいはチーム医療的なこと、さらには在宅体制の強化といったものになります。医療イノベーションの関係では、臨床研究の質・量ともの向上、あるいはPMDAの機能強化といったものなどを打ち出しているところです。
 続きまして、資料3ですが、これは医療・介護の会議です。3頁ですが、医療・介護の関係で言うと、まず医療の提供体制、介護の提供体制、それぞれについて医師確保策、あるいは病院・病床の機能分化・機能強化といったこと、在宅医療の強化等々取り組んでいくということです。介護のほうでも、24時間の介護サービス、介護・重度化予防の重点化といったこと。両者をつなぐものとしてのケアマネジメントの機能強化、あるいは連携の強化、さらに両分野に跨がる問題として認知症対策の強化など、そういった医療・介護のそれぞれの提供体制の課題について取り組んでいこうということです。そういったサービスを支える保険制度、医療保険制度、介護保険制度、それぞれについての課題にも取り組んでいこうということを掲げているところです。
 さらに、医療・介護、両方を通じて、制度の運営の効率化というところで、生活習慣病の予防等々について記載をしているところです。こうしたものを診療報酬、介護報酬等の改定、あるいは必要なものについては法改正を含めた法令の整備といったものをやっていくという形の全体の見取図になっております。そのうち、医療提供体制部分については、6頁にありますように、医師確保対策、あるいは機能分化、連携強化、さらには在宅体制の強化、チーム医療の体制、精神保健医療の改革などの検討課題の方向性について示しているところです。
 10頁は提供体制面ということで介護です。こちらの介護の中でも、医療と介護の連携の強化ということで、多制度に跨がる、あるいは多職種参加型でのチームケアの推進などといった、在宅医療体制の計画と整備などを打ち出しているところです。
 イノベーション関係が15頁からあとになりますが、17頁に書いてありますように、日本というのはシーズはわりと見つかるのですが、その後の研究試験、開発といったところがどうしても海外に出てしまうということがあります。臨床研究の向上を図っていこうということで、臨床研究中核病院(仮称)といったものを作って、研究費を集中投入していくなどといった取組みを各班でやっていったらどうだろうか、という提案をしているところです。
 26頁にありますように、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグということで、審査に当たるPMDAは審査体制の強化に努めてきているところですが、今後ともドラッグ・ラグ、デバイス・ラグをなくしていくために、こういった体制の強化についても取り組んでいってはどうだろうかなどなどの提案をしているところです。
 資料4です。これ以外に、ほかの役所からのプレゼンテーションなどもあったようですが、6月2日に集中検討会議としてこういう方向で考えていこうということでまとめられたのが資料4に書いてあるレポートといいますか、「社会保障改革案」という文書です。これも文書になりますので、細々したご紹介は飛ばさせていただきます。2頁の医療・介護の部分、社会保障改革について、通し頁1頁の改革の優先順位ということで、未来への投資、参加保障、多元的なサービス提供体制等々を踏まえながら、子ども、医療・介護、年金改革、貧困・格差問題などについて、優先的に取り組んでいこうではないかということを掲げた上で、医療・介護については2枚目の頁の左下、「医療・介護等」ということで、提供体制の効率化・重点化と機能強化を図る。そのために必要な報酬上の対応、あるいは法令上の対応を行っていくことを掲げた上で、機能分化と強化、連携の強化、在宅の体制強化、地域包括ケアシステムの構築等々を掲げているところです。
 これと裏腹の効率化要素として、平均在院日数の減少、あるいは外来受診の適正化等々について掲げているところです。保険関係ということで、セーフティネット機能の強化等々に努めていくということで、いくつかの項目が掲げられているということです。イノベーションの関係などは、3頁の左側に「医療イノベーションの推進」ということで、項目として挙げられているということです。
 右側にありますように、それぞれ分野ごとに2015年において、このぐらいの所要額がありそうだという推計を基に、4頁にありますように、消費税率の段階的引上げというものが提言をされているというレポートです。
 改革の策と行程と費用試算をまとめたものが7頁、8頁にあります。医療・介護等?、?といって、青とかオレンジで書いてある所です。医療・介護等の?で申しますと、提供体制面で機能分化・連携、在宅の充実をやっていくということで、機能強化と併せて、効率化要素として在院日数の減少等々をやっていくのですが、これは機能強化分での一定所要額が必要になるということなどの相関関係を示しているものです。
 さらに、半分から下のほうでは、地域包括ケアといった介護の関係の充実要素、それに伴うマンパワーの増強といった評価要素が書いてあります。Bの欄ですが、重点化・効率化としては、先ほど申し上げた在院日数の関係以外に外来受診の関係、あるいは介護予防の関係を書いております。それぞれについて、所要額、試算上どうなるのかを書いているものです。
 医療・介護等?は保険制度の機能強化の関係で、適用拡大の問題、給付の重点化などといったものについて、いくつか項目を掲げてあります。こういった推計の基となったものとして、医療・介護の費用推計も今回行っております。そちらのポイントだけ、ご紹介申し上げたいと思います。費用推計自体は21頁からあとが参考資料1-2、6月2日の集中検討会議の参考資料ですが、こちらのほうで配られたものです。
 通し頁の30頁ですが、医療提供体制については、かねてより医療計画等々で、例えば救命救急センター、がんの拠点病院などについては、県の中である程度、広域を見て、どこの病院にそういう機能を担っていただくのかということを考えながら、医療計画、4疾病5事業をはじめとして策定している。さらに、もうちょっと小分けにした圏域、二次圏域対応ですが、人口20万~30万の規模で、ある程度救急、リハビリといった一通りのメニューを揃えていく形のものを考えていく。さらに、身近な地域で受けられる医療ということで、階層的に考えていく体制が既にあるところです。そういったものをさらに進めていくことになろうかと思います。
 それに対して、一方で地域包括ケアということで、地域の中で介護系のサービスと医療系のサービス、それぞれが連携をとりながら、利用者、住民の方々にサービスを提供していくということです。グループホーム、24時間型の訪問介護系のサービスと併せて、訪問看護、あるいはかかりつけ医の方を中心とする医療の活動、さらには在宅療養支援診療所、有床診療所、薬局等で、在宅している方の医療ニーズを支えていく。こういったものをマネジメントがうまくとれてやっていくことが大事ではないかということで、絵を描いております。
 上のスライドですが、現在、3月9日、あるいは旧年中の12月などにもご議論いただきましたが、一般病床、療養病床に介護系のサービスということで機能を担っていただいておりますが、これをニーズに応じて資源投入の度合といいますか、濃度に応じて、2025年に向けては高度急性期ニーズに対応する機能、一般急性期のニーズに対応する機能、亜急性期等に対応する機能といったものに機能分化を考えていったらどうか。そして、そういった役割をお互いにつなげていくための連携を深めていくということと、地域特性等々に応じて、かちっと機能・役割分担をはっきりとしづらいという場合には、地域に密着した病床での対応と、青い帯を入れていますが、ミックスタイプといったもので取り組んでいくことも、場合によっては考えられるのではないかという形の基本的なイメージ図をお示ししております。
 28頁ですが、発想としては社会保障国民会議のシナリオB3といった辺りが頭にあるのですが、そういったものを下敷にしながら、今回どういった仮定を置いて試算をしていったのかをまとめたものです。機能強化部分として、急性期部分について、現在の一般病床平均の推測値に対して、100床当たりのスタッフを2倍であるとか、6割増ということをしていく。さらには、亜急性期等々についても、3割程度の増を仮定するといった仮定を、今回置いております。さらには、在宅医療を利用される方の数の増加なども仮定に盛り込んでおります。
 その一方で、そうした人的資源の投入に伴い、在院日数の短縮を達成するということで、下の黄色い重点化・効率化ですが、在院日数についても、高度急性期であれば現状の推測値の25%程度の短縮、一般急性期については3割程度の短縮等々といった効果を見込んだ上で試算をしております。
 そういった大胆な仮定を置いて、大胆に推計をしてみたということにはなるのですが、その結果のあらましは40頁です。ニーズがどう動くのかということですが、平成23年度の所ですが、いまの一般病床部分での1日当たりの患者数といいますか、ニーズは80万人程度と見積っているわけです。これが人口構造の変化等に伴い、平成37年度、2025年には現状投影シナリオであれば1日当たり97万人程度と伸びていくと見ております。これを改革シナリオ、つまりニーズに応じて、それぞれ段階に応じて、医療資源の投入強化を図った上で、在院日数の短縮を図ることによって、1日当たりのニーズを圧縮することによって、それぞれ高度急性期に相当する部分は16万人、一般急性期に相当する部分は33万人、亜急性期等に相当する部分は31万人ということで、ニーズの帯を圧縮することができるのではないかと仮定をしております。
 これに基づいて42頁ですが、病床の利用率から割戻しをして、このニーズをカバーするための病床数はいくらぐらいになるのだろうかというのを、仮定を置いて試算をした場合です。入院小計ですが、現状、ニーズから病床利用率などの割戻しをすると、166万床程度が必要な病床といいますか、応答する病床数になるのですが、これが現状のままでいくと最大200万床ちょっとという形になるということです。資源の投入強化と平均在院日数の短縮という効果が相俟って、おおむね患者発生動向から見れば現状水準程度、160万床弱の範囲内で、機能強化と効率化によって対応できるのではないかという推計になっております。
 その際に、ニーズを高度急性期、一般急性期、亜急性期等々ということで仮定を置いて分けておりますが、そういった各ニーズごとに応じて病床に置き換えてみたというバリエーションと、もう1つ先ほど申し上げたように地域特性等に応じて、横断的なニーズに対応する体制をとる場合もあるだろうということの想定として、仮の名称ではありますが、地域一般病床タイプということで、ケアミックスといいますか、ミックスで対応するといったものを一定程度置いた場合には、どのようなシェアになるのかというのも、自治体の人口規模に応じての機械的な置換えではありますが、そういったバリエーションでもお示しをしてみたところです。こうした推計をした結果として、マンパワーの見込みなども45頁にお示ししているとおりです。
 この結果、コストはどうなるかという話ですが、48頁です。額でいうと、経済成長などの結果に応じて動きますので、パーセンテージで話をします。中ほどの「医療」という所ですが、平成23年度、現状では医療の規模は対GDP比ですが、8.1%程度となっているのが、2025年度には現状投影シナリオであったら9.9%ないしは10%ということです。改革シナリオに基づいて、資源投入の強化ということで、その分、人件費等々を反映して1日当たりのコストをアップしていくということの影響があって、その場合は対GDP比で10.1%と推計しております。そのうち、保険料、公費、自己負担、それぞれどういうシェアになるのかというのはご覧のとおりです。
 ちなみに、いま消費税は1%が大体2.5兆円に相当すると言われています。対する我が国のGDPは500兆弱、480兆前後ですので、大雑把に申し上げれば500分の2.5、約対GDP比0.5%が消費税の1%分に相当するという因果関係になると、ご紹介を申し上げておきます。
 資料5です。「その他」ということで、これは11月の部会でもご紹介申し上げたと思うのですが、平成22年度医療の質の評価・公表等推進事業を、予算事業として取り組んでおり、国立病院機構と全日本病院協会と日本病院委員会という、3団体に取り組んでいただいたところです。その事業に取り組んだ結果の報告が上がってまいりまして、その要旨についてまとめましたので、ご覧いただければと思います。3頁にありますように、こういった事業に取り組むことによって、協力病院というか、参加された病院の中で、質の評価、指標に沿って評価をしてみて、その結果をフィードバックするといった動きが起こってきたり、あるいは4頁にあるように、実際評価していくに当たって、やはり労力、時間はそれなりにかかるなどといった課題などが提起されているところです。
 5頁のいちばん下にありますように、こういった評価に取り組んでみた結果どうなったのかということは、一年度の予算事業の中でスッと簡単にわかるものではありませんので、そういう意味では昨年お取り組みいただいた3団体にも、事実上、引き続きご協力いただきながら、その後どうなっているのかといった辺りも踏まえながら、今年度の事業でもまた予算を確保して選考もやっているところですので、今年の事業にも活かしていきたいと思っております。
 16頁からあとが外国医師の臨床修練制度です。これは規制改革等で指摘されているということで、昨年12月の部会の場でもご報告申し上げたところですが、その状況です。見直しの内容として、年限の弾力化、手続の簡素化といったことと併せて、17頁にありますように、外国のトップクラスの先生とかベテランの先生が日本に来て、日本人に技術指導も含めた活動をされる場合への対応ということで、教授目的、臨床研究を目的として来日される外国人医師について、その外国人の医師自体がそれなりの経験を積んでおられる、なおかつ受入病院がこういう場所であると、一定の要件を満たす場合には、日本の免許を取得せずとも一定の期間内、診療に従事することを認めることにしてはどうかということです。当然、その外国の免許でもってそのまま日本の免許ではなくて、ある目的の下に、ある場所で医療に従事してもらうというか、教授目的で来てもらうという形での制度にはなりますが、そういった形で検討を進めていくということです。以上、資料1から資料5の説明をしました。
 最後、振り返りになりますが、東日本大震災への対応に当たりましては、被災者生活支援の関係、あるいは医療チームの派遣等々で、ここにお集まりの委員の方々の団体からも絶大なご協力をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。引き続き、また連絡協議会も設置をされており、今日、横倉委員からご提出いただいた資料にありますが、こういった所でもお力添えをいただいているところですので、引き続きよろしくお願いしたいと思っております。長くなりましたが、以上です。
○部会長 ただいまの説明、それから資料に関して、委員の皆様からご意見を伺いたいと思います。最初に、東日本大震災関連についてお願いします。
○横倉委員 お手元に資料を出させていただきました。これは官邸に設置された被災者生活支援特別対策本部から依頼を受けて、こういう組織を作ったということです。4月22日に防災大臣をはじめ、官房長官等々から正式の依頼を受けました。それ以前に前政務官からいろいろなアドバイスの下で、いくつかの団体でこういう考えを進めておりました。組織の位置づけが明確でないということからいろいろありましたが、正式にそのような形づけになったということです。
 この被災者健康支援連絡協議会は、看護協会を含む日本医師会および病院団体、全国医学部長病院長会議、そういうメンバーでスタートしました。裏にありますが、現在多くの団体が参加を希望されて、リハビリテーション支援関連10団体やチーム医療推進協議会、それぞれ内部の団体を合わせると全部で32の医療関係団体および一部介護関係の団体を含めた形で、いまいろいろな動きをしております。
 基本的には被災地への医療支援、そして今後、復興へ向けての政策提言ということを依頼されましたので、いろいろな協議の下でいくつかの要望をまとめ、近日中に政府にお願いをする、要望を上げることにしております。この被災者健康支援連絡協議会は、代表を原中日本医師会長に、副代表に連絡協議会の真ん中にある各団体の長にお願いをして、いま動いているところです。そのようなことで、幾分かの被災者の健康支援に資するところがあろうかということです。
 先ほど厚生労働省から、東日本大震災等に係る状況についてご説明を受けましたが、その中で、その時点その時点でさまざまな動きがありましたが、いくつかの問題点があったことを指摘させていただきたいと思います。1つには、資料1の5頁の計画停電の所です。計画停電をすることによって、在宅で人工呼吸を行っている方、もしくは在宅酸素療法を行っている方等の生命に直結する問題があるということで、この計画停電の話が出たときに、厚生労働省の担当の方といろいろとやり取りがありました。厚生労働省の皆さん方にもご尽力をいただいて、政府に対して、突発的な停電を起こさないようにという働きかけをしていただいたのですが、休日の午後8時に総理大臣の記者会見で、翌日の午前6時20分をもって計画停電を始めるという発表をされました。これで私どもは在宅患者さんの危機を感じまして、厚生労働省の皆さん方に是非NHKを通じてテロップ等で計画停電のことを早く周知してほしい。そして、それぞれの管理してある医療機関と早急な連絡をとってほしいというお願いをして、これも厚生労働省の皆さん方、よくNHK等々に働きかけをしていただいて、実施をしていただいたということ。
 もう1つは、私どももいろいろなチャンネルを通じて、翌日の朝6時20分という時間にやられると大変でしたので、何とかこれを遅らせてほしいという働きかけをいたしました。もう1つは、休日でしたので、現場の医療機関に連絡をする方法が非常に難しかったのです。しかしながら、それぞれの医師会、もしくは医師会長の自宅に連絡をして、該当の医療機関にご連絡をいただいたということでした。結果的にはいろいろな働きの下で、計画停電のスタートが翌日の5時からということになりましたので、この計画停電によっての私どもが心配した在宅患者さんの死亡ということは発生しませんでしたが、仙台でこのあと余震が起きて、急遽停電をしたという時点では、在宅で不幸な出来事が実際あったわけですので、計画停電のときの時間的な余裕といいますか、そういうものをよく考えて、日ごろから対応をお願いしたいというのが1点です。
 もう1つは、12頁の原発事故への対応ということで、避難区域にありましたある病院の入院患者さんが全部避難をさせられたわけですが、院長先生が避難の第2陣ぐらいで一緒に、一遍、区域外に患者さんを移送するのに付いていかれた。そして、また病院に戻ろうとしたら、「避難地区だから戻ることは相ならん」と、警察に止められたわけです。そういうことで、患者さんはまだ残っておられたという状況がありまして、「患者さんを医師が見捨てた」という報道がなされました。正しくは院長先生は何とか戻る努力をしたわけですが、警察に止められてしまったということが、「患者を見捨てた」という表現につながったわけです。医師の職務を一生懸命全うしようと努力をしたけれども、できなかったという状況については、やはり正しい報道をしていただきたいとお願いをするところです。そのほか、さまざまな地域医療再生基金の問題などありますが、ほかの先生方もご意見があろうかと思いますから、それだけお話をさせていただきます。
○小島委員 震災への対応の話ですが、いま横倉委員からもお話がありましたように、今回の震災の被災地域における医療関係者の皆さんの支援活動については、高く評価をして敬意を表したいと思います。我々労働組合連合としても、災害が起こりました直後3月末からは、3県のほうには連日100名、3県で300名体制で生活支援、被災者支援のためにボランティア活動を展開しているところですし、私自身も震災直後から福島に何度か支援に入っております。極めて過酷な状況に置かれているという状況は、いまだに改善されておりませんので、引き続き医療機関の皆さんの支援、協力体制は是非お願いをしたいと、私からもお願いしたいと思います。
 まさに被災地域での医療・介護・福祉を含めた再建をどう図るかということが、これからの大きな課題だと思っております。そのために、先ほど社会保障改革の中で触れられました、これからの地域への医療提供体制のあり方、地域包括ケア体制というものを将来像として掲げておりますように、そういうものをまさに今回の被災地におけるモデル地域として、きちんと確立していくことが必要ではないかと思っております。そのために、厚生労働省については、指導的なところの役割を果たしていただきたいと思います。なお、いま被災地の医療関係者、医師をはじめ、働く場がないということで、全国に移動されているという話も伺っております。病院、施設等が再建されたとしても、その人たちが本当に戻ってくれるかどうかということは極めて深刻な問題だと思います。そのためには、診療報酬、介護報酬だけでは対応できないと思いますので、そこは国の公費、財源、財政措置が必要ではないかと。現在でも、地域の医師確保等のための予算措置もありますので、これをさらに充実させるという形で、特に被災3県については、そこの適用を図るといったような予算措置。そのためには、次の第2次補正、あるいは来年度予算の中も、きちんとした予算措置が必要ではないかと思いますので、是非ここは検討いただきたいと思っております。
 もう1つ、診療報酬、介護報酬のほうでも、今回の被災地域に支援することができるかどうか。その辺の可能性についても、是非検討をしていただきたい。そのためには、この医療部会でも次の診療報酬改定に向けた基本方針の検討が今後行われると思いますが、その際には是非そういう視点からも検討いただければと思っております。これが1点です。
 もう1つあります。特に福島の原発事故に伴う放射能の放出に対する被害といいますか、それを長期的にモニタリング、あるいは疫学的に検討していく必要があるのではないかと思います。その意味では、現在、国立病院と労災病院の統合問題の検討をされておりますが、公立病院の役割としては放射能被曝の被害、これを長期的に検証していくようなことも、併せて位置づけていく。政策医療といいますか、そういうところにも位置づける必要があるのではないか。そういう観点からも、今後の公立病院のあり方も含めて、今回の福島での原発事故、放射能被害の問題、その辺も含めた検討が是非なされることを望んでいきたいと思います。以上です。
○樋口委員 いまの小島さんの意見とオーバーラップする部分もあるのですが、私も2点、震災対応の点で申し上げたいことがあって、やってまいりました。その前に、先ほど医師会の副会長さんからの話もありましたが、医師会だけではなくて、看護協会であれ、いろいろな医療従事者の方がこの震災後の対応として、本当に全力を尽くしていろいろなことをやられているというのは、私も側聞することがあります。例えば、私の知っている人工透析のクリニックなどでも、7名、福島県その他から患者さんを受け入れて、急遽、ということをやっておられて、本当にありがたいことだと思っております。その上で、今日、資料1の説明を伺っていて感じたことが2点です。2点目のほうが小島さんと関係があるのです。
 1点目は、資料1の3頁に、まず目次みたいなことがあって、5頁、6頁にもっとはっきり書いてあるのですが、現行法の弾力的な運用を相当やりましたよという話がありますね。やれるのではないかということですよね。5頁から6頁に、当然やるべきことばかり並んでいるわけです。別に法改正したわけでもなくて、厚生労働省の当然の判断で、この弾力的な運用が悪いと言っているわけでは絶対ないのです。当然あって然るべきことで、外国の医師の資格を持っている人をどうのこうのというのも、もちろんこの中に入っているというわけです。
 その上で考えてもらいたいのは、こういうときだからというので特別にこういう弾力的対応が可能でもあったし、やるべきであったというのですが、本当は平時だって、この程度のことはあったらいいのではないかということが、いくつもこの中にあるのではないのだろうかということを、これを機会に考えたらいいようなことがあるのではないかと。そのうちの1つが規制改革で、もう既に上がっているからというので、外国の医師資格を有する者、ということなのだと思いますが、本当はそれ以外だってあるのではなかろうかということなのです。
 一例は、これも私は新聞記事だけで知っているだけなので、もしかしたら不正確かもしれませんが、通信事情等の問題から救急救命士等の救急救命措置について、特例を認めますと。ところが、静岡県で救命措置をやった救急士が抵触6カ月になっていると。あれが岩手県でやっていたら大丈夫だったのだろうか。岩手県で大丈夫なものが静岡県で救命措置をやると抵触措置になる。あれは消防庁の管轄なので、厚生労働省が処分しているわけでもないのだとは思いますが、しかしやはり救急救命の場面では厚生労働省と本当に隣接していて、協力してやるべきところです。こういう弾力的運用みたいなものが本当は平時においても、もう少しやられるべきなのではないだろうかということも、今回を機会にもっと考えていただきたいというのが第1点です。
 2つ目は、小島さんの意見と完全にオーバーラップするので言わずもがなかもしれないのですが、例えば福島県で、「福島県が」という新聞記事ですが、県民全部に対して今後30年間、ずっと健康診断をやっていく。それが原発対応のいわば後ろ向きの話だけではなくて、申し訳ないけれども、あるいはむしろ喜んでいただきたいと言ってくださると本当はいいと思うのですが、私は自分自身が福島県民ではないから、他人事だということで言われると困るのですが、福島県だけではないかもしれません。本当は宮城も岩手もかもしれませんが、あれだけの医療情報を30年間ずっと継続して取っていくというのは、単に後ろ向きの話だけではなくて、今後の日本の医療のあり方、このあとで出てきている話の医療・介護の連携とか、実際に医療提供体制が十分であるかとか、そういうところに十分活用できる。
 だから、モデル地域として設定して、そこにほかの地域よりも一層手厚い配慮をするのですという話を作り、その手厚い配慮は福島県民のためだけではなくて、結局そこでのデータがほかの所の地域にも役立つような話というのを、政策の作り方とか、医療体制の作り方とか、あるいはどういう所の医療に重点を置くかというところのデータを収集する。もちろん個人情報には気を付けてということだと思いますが、そういう形で積極的に福島県民と一緒にやりましょうという形のものを、福島県がではなくて、福島県と協力してだと思いますが、厚生労働省も、あるいは国全体で応援していくような話を作っていかれたらいいのではないだろうかと感じました。
○山本委員 資料の1に関連して、薬剤師ですので医療品関連について少し、意見を述べたいと思います。資料1の10頁、13頁等には、医薬品に関連する部分がかなりたくさん記載をされていますが、これはそれだけの評価があったことはありがたく感じております。まさにその場所で薬剤師が必要であったということと併せて、医薬品の安全な供給のためにも、当然薬剤師の存在がいることが明記されています。具体的には各地から送られてくる救援の医薬品の仕分けであったり、あるいは医療現場でどの後発品を選ぶかにつきましては、他の医療職の方々に比べると、まだ私どものほうが長けていますので、類似した薬効の医薬品を使うときの選択に薬剤師の存在が極めて効果があったと理解しています。
 先ほど横倉先生から医師が逃げたというお話がありましたが、一方で各地から薬がないというお話を聞くわけですが、実は薬がないのではなしに、備蓄されていた医薬品が効率的に使えていなかったり、あるいは配送手段がないための医薬品不足も見られたのではないかと考えています。医師、看護師の方々については、移動については十分に配慮されているわけですが、医薬品に関してはそうした部分の考慮が十分にされていなかったのではないか。したがってガソリンがないということだけで、物があっても運べないことが発生したので、是非、今回の震災を機会に新たな考え方をするとすれば、医薬品の供給のための輸送の手段の確保と同時に、先ほど在宅、停電に関してもご指摘がありましたが、具体的に停電の有り無しに関わらず在宅の患者さんは、医薬品の供給が十分でなく、適切な服薬指導も受けられないことで、極めて危険な状態になりますので、そうした在宅患者への検討も必要なことだと思います。
 18頁に、この先の医療体制を整備するということで、再生資金の中で改めて仮設診療所をつくるということが記載されていますが、1次補正の中では、仮設診療所に括弧して、おまけで薬局もつくっていいよという記載ぶりになっています。勿論、診療所が必要ということは十分に理解していますが、10頁や13頁の議論を見ますと、そこに薬剤師がきちんといないと、十分な体制がとれないというこも事実で、今後、仮設住宅をつくり、その付近に仮設診療所をつくるのであれば、その診療所の付属機関でない形で薬局も不可欠な医療提供施設だと思います。これは医療用医薬品だけではなしに、OTC医薬品の供給もセルフメディケーションの観点から、医師の方々の負担を軽減しますので、そうした部分の配慮もご検討いただきたいと思います。
 併せて27頁、これは小島委員、樋口委員の意見とダブるのですが、人員の流出を防ぐための施策が講じられています。そこはとりわけ東北3県については薬剤師もそうですが、医療が過疎の地域なので、そうした地域にいなくなってしまった専門家、医療職を改めて再雇用し、しかもそこに定着させることにつきましては、まさに診療報酬だけではない、財源的な手当てもしていただかないと定着ができないわけですから、そうしたことも是非、これを機会にと言うと変ですが、今後の医療施策、あるいは4疾病5事業の中で言えば、災害対策があるわけですから、そこにきちんと踏み込んだ議論をお願いしたいと思います。
 なお、いつものように愚痴を申し上げれば、これだけの被災があってもなお、省内の縦割りという感じがどうしても抜けません。結果として、資料1の34頁にあります今後の課題を解決する上で、医薬品が見えてきません。医薬品関連の部局も出席するなどして、課題の解決に当たっては、縦割りではなしに全省を挙げて、医療あるいは介護の部分についての検討をしていただきたいということを、あえてお願いをしておきますので、よろしくお願いいたします。
○中川委員 まず、医療部会で東日本大震災に関して取り上げていただいたことに関して評価したいと思います。資料1の23頁、24頁は支払基金のデータですが、23頁の上の部分が3月診療分、下の部分が4月診療分の社会保険のレセプトの提出件数なのです。「被災3県」ということが言われますが、災害救助法適用地域の保険においては、このように3月、4月分は大幅に減少しています。4月もこのように宮城、福島では10%以上マイナスになっています。
 特に注目していただきたいのは、24頁の上の部分ですが、被災に係るレセプトの提出状況、「災1」のところは一部負担金の支払いが猶予されているレセプトです。阪神・淡路大震災の記憶も新しいのですが、このときは3カ月で12万5,000件。ところが今回の東日本大震災、2カ月目で13万4,000件となっています。これを考えますと、人口密度を考えますと、この広さと被害の甚大さが桁外れだということをご理解いただけると思います。
 私が強調したいのは24頁の下のところですが、一部負担金支払猶予レセプトが、47都道府県すべてから上がってきているのですよ。これは3月診療分なので、4月診療分はもっと多くなっていると思います。さらに国民健康保険のほうがこの地域は多いと思いますので、もっとこれは多いのだろうと思います。何を言いたいかというと、患者さん、住民の方が全国的に移動したことに加えて、先ほどどなたかおっしゃられましたが、医療従事者、医師とか看護師を含めたかなりの数の方が、移動しているのだと。医療提供体制がもうズタズタになってきているのだろうと。これは被災地域だけではないと考えるべきだと思います。診療報酬・介護報酬の同時改定ということがありましたが、まず我々がやるべきこと、厚生労働省がやるべきことは、省を挙げて医療提供体制の早急な回復に努めることだと思います。以上です。
○近藤委員 今回の大震災で医療提供体制が崩壊しているというお話ですが、資料1の2頁をご覧ください。被災地の診療所の現状というのがございます。私は歯科の立場でお話をさせていただくのですが、ここに歯科医療機関の全壊、一部損壊というのがあります。大規模半壊、半壊等も全壊の中に含まれているかと思います。実数として我々の調査と少し違うと思いますが、集計時点がそれぞれ違いますので、それについては特に申し上げません。いま中川委員からも大震災の影響が全国的に波及しているというお話がありました。特に災害救助法の適用地域のうち、ここでは3県だけについて記載されています。実際は関東を含めた近県にかなり大きな影響を与えている。なぜそういう話をするかといいますと、歯科診療所も非常に大きな影響を受けており、歯科の医療提供体制がかなり崩壊している。我々の調査では、茨城県は一部損壊が岩手県、宮城県、福島県よりも多いという状況になっています。千葉県も液状化の問題がございます。先ほどの事務局から集計の前提条件のご説明がありましたが、もう少し広い範囲に拡大した形の現状報告があったらよかったのではないかと思いました。
 もう1点ですが、資料1の8頁、これは6月3日時点の厚生労働省が関与した医療関係者の派遣実績ということです。医療提供をした内容ということなので、これはやむを得ないところもあるのですが、下のほうに「歯科医師等」とございます。「歯科医師等」が220人。我々が把握している今回の大震災関連で実際に現地に赴いた歯科医師は、これの10倍以上の数になります。先ほど事務局からもお話がありましたが、今回の大震災は死亡者が1万5,000人を超えています。負傷者が割合少ない。トリアージという形ではなくて、生か死かという状況でしたので、歯科では震災の翌日から身元確認班が出動し、現在まで2,300人を超える歯科医師が現地で活動しています。ご承知のように、歯科の身元確認はご遺体の口腔内の所見をとって、その方の名前あるいは身元を判明させ、ご遺体をご家族の元にお返しするということで、これに歯科は努力をしてきたということです。身元確認の歯科医師派遣については、警察庁関連で、厚生労働省の管轄ではございませんので、ここにはその数が出てございませんが、歯科関連ではそのぐらいの人員が派遣されています。
 また、身元確認のための口腔内所見のとり方が、団体ごとに差異があるということもありまして、これについては、この大震災を契機に然るべきところでこれから検討されると思います。是非、厚生労働省からもその点についてもご提案いただければありがたいと思っております。
 それから仮設診療所等の整備のところに歯科仮設診療所がありました。いま避難所の中で感染症の問題等がいろいろ起きてきています。資料1の最終頁に「災害医療体制の一層の充実を図る観点から、災害医療のあり方について検討を行うための場を設ける」という記載があります。是非この中で、避難所生活が長期化している被災者の方々の健康管理について、特に口腔内の問題についてはきちんと、いろいろなステージに、いろいろなフェーズに合った対応をしていく必要があると考えます。そのときに歯科の専門的な口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防に非常に重要であります。一部には避難所において誤嚥性肺炎で亡くなった方もいらっしゃるという情報を聞き及んでおりますので、是非その対策についてご検討をお願い申し上げます。
いずれにいたしましても、今回の大震災に関連いたしまして、日本歯科医師会それから日本歯科衛生士会、日本歯科技工士会も含めて、日本歯科医学会、歯科大学あるいは日本歯科商工協会等、歯科関連業界で最大の力を発揮してきたと思っています。今後とも引き続き、被災した方、あるいは今、全国の避難所に入っている方々のために行動していかなければいけないと考えております。是非、厚生労働省でも対応をよろしくお願い申し上げます。以上です。
○齋藤(訓)委員 災害の支援につきましては、8頁に書いてありますように、私どもも阪神・淡路の震災が起こった後に、災害医療あるいは救急医療などの現場の医療のことをきちんとわかるように研修を積んだ方々が、災害時にすぐ派遣ができる形で各都道府県に登録していただく仕組みを作りまして、現在4,800名余りの方々が登録していただいております。今回、派遣を急遽お願いをいたしましたら、すぐにご協力をいただきました。実際にはこの資料の人数以上の者が行っていまして、かなりの人数を出したという状況です。
 これから復旧・復興に向かっていくわけなのですが、1次補正の中で、急遽診療所をつくる、病院を整備する。これは当然、是非やっていただきたいところですが、資料の21頁にありますように、訪問看護ステーションは、被災した所は若干少ないのだというようなイメージですが、この補助率が診療所等は2/3に上がっているのに、なぜ訪問看護ステーションだけは1/2なのかが、私は解せない状況です。これから長期的に慢性疾患等を抱える方々を支援していく状況になりますと、やはり訪問看護ステーションが体力を持っていないといけないと考えますので、是非、復旧をしていく訪問看護ステーションの補助率については、額を上げていただけないかなというのが1点です。
 もう1点、計画停電のところで、先ほど横倉委員から在宅で人工呼吸器、あるいは酸素を使う方々につきまして、注意喚起等、NHK等に働き掛けていただいたという報告がありましたが、これからどういう状況が起こるかは、かなりのことを想定していかなくてはいけないと思います。現在ご自宅で人工呼吸器を使っている方々には、古い型の物でバッテリーの時間がそれほど長くない物を、お使いの方々もいらっしゃるかと思います。これを機にと言いますか、災害の対策をこれからきっちりやっていく観点に立てば、なるべく新しい機種で、そして長時間のバッテリーが続く物に振り替えていくことが、最善の予防策になるのではないかなと思いますので、是非そういったことをどうするのかという観点で、ご検討をお願いできないのかなと思っております。
 3点目が失職の状況ですが、非常に医療従事者が流動的になっているという状況でして、私どもも会員を対象ではありますが、緊急調査を現在やっていますが、圧倒的に福島県の退職の方、休職中の方が多いのです。これは被災3県に特化した調査でしたが、退職をしても休職をしても地元に戻りたい、という声が非常に高いのですね。ですから、こういった就業支援と、それからマッチングといったものは、早急に対応しなければいけないのではないかと考えております。以上でございます。

○加藤委員 すべての委員の皆様方のご意見に賛成です。最初の横倉先生のご意見に対してですが、非常に高く評価させていただきます。ただし、このほかにも例えば小児科学会なら小児科学会、そして、成育医療センターであれば成育医療センターなりにチームを作っています。例えば成育医療センターですと、小児科医、産科医、看護師、薬剤師、事務員というものを作って、岩手県知事との間に取り決めを作って、まだ実行していませんが待期中です。したがって、これらの支援をする場合には、縦割りにしないで、横の連絡を密にとっていただいて、より有効に長期的な支援をする作戦をとっていただきたいということを、切にお願いいたします。以上でございます。
○横倉委員 小児科学会のお仕事については、私ども保坂常任理事が小児科学会との連絡役をいま務めていますので、十分に承知しております。私ども、こういう組織というのはいろいろな所からお声掛けをいただき、ご加入をいただければと思っていますので、一緒にまたよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○山崎委員 こういう災害があった時に、精神科の医療が非常に大事になると思います。災害の発生時は急性期の対応、パニックに対する障害に対してどのように対処していくかということですから、中期・長期にわたった精神科の心のケアが、非常に大事になってくると思います。
 最近の例では、中越地震の後遺症が、いま新潟県を中心にまだ多く残っています。普段、先生方ご承知のように、自殺者はここ10数年、3万人を超えていて、大まかに言うと、男性が2万人、女性が1万人というような数ですが、実は中越地震の後の自殺者は女性のほうが男性よりもずっと多く、中高年の女性の自殺者が多いという実態があります。どうしてそうなるかというと、災害復旧のときには、必ず数年経って災害の状態に適応したグループと、適応できなかったグループが出てきます。適応できなかったグループの人の中から初老の女性の自殺が増えるというデータがあります。
 生活保護になってしまうと、自殺が少なくなります。なぜ生活保護の認定を受けられないで、非常に厳しい状態の自殺が増えるのはどうしてかというと、生活保護の認定に不動産を持っていると、不動産を処分しないと生活保護にはなりません。例えば、新潟の田舎の不動産を実際に換金しろと言っても、現実的には換金できないわけですから、生活費がショートして、どうにもならなくなって自殺をしてしまうケースがあります。
 今回の東日本大震災の場合も、不動産を背負ったままで、生活保護の認定が受けられないという方が相当出てくると思うので、認定基準の変更も含めて、法的な整備をきちんとやっていただきたいと思います。
○西澤委員 いまの各委員の方々の意見は、すべてもっともですが、病院団体としても、今回は全国から本当に頭が下がるぐらい、多くの救援隊が行かれたことに関しては嬉しく思っているところです。この資料の4頁にも書いてありますが、厚生労働省もいろいろな団体に派遣依頼をしておりますが、それぞれの団体が非常に頑張ったと思います。私たちが現地に行って思いましたのは、医師だけでは何もできない、看護師だけでは何もできない。いくつかの職種で、チームですることによって初めてできるというのがよくわかりました。また、その地域あるいは時期によっては、必要な職種も変わっているということで、そこをどのようにうまくやるかということです。
 実は私たちも医師会のJMATの中に入ってしたのですが、例えば最初に行ったチームが医師、看護師と事務だけであれば、OT、PTがいなければ駄目だとか、薬剤師が必要だとかいう情報がすぐにきまして、次の部隊はそのような職種を入れた部隊を組んだということがあります。
 そういうことでは、各団体が個々に行ってもなかなかうまくいかない。それをどこか一括でニーズをまとめて、それに合ったチームを組んでいくことが必要です。今後はそういうことを考えていただきたい。そういうことでは横倉先生が発表になりました、現在できました被災者健康支援連絡協議会は、まさしくそういうことも目的としていますので、この中できちんと議論をして行っていただきたいと思っております。
 実はこれで支援が終わったわけではなくて、これからも必要だと。ただ、いままでのような支援とは違う、急性期の支援ではない。これからは慢性期あるいは介護、それから山崎先生が言われた「心のケア」ですね。地域の方々がこれから本当に精神的にまいってくる時期だと思います。それともう1つは医療従事者です。支援に多くの方が全国から行っていますが、かなり頑張って行っていますが、そういう方々の中にもほっとしたというか緊張が解けて、医療者の中にも少し精神的に不安定な例がもう出ています。そういうことでは、被災者だけではなくて、医療従事者の心のケアというか、そういうことも今後考えていただければと思っております。
 いずれにいたしましても、今回、被災の支援が終わったわけではないということで、最後の頁に、いろいろと「災害医療のあり方について検討」ということで、まとめになっていますが、いままでのまとめはいいのですが、これからも継続するので、片方では支援を行いながら検討もしていただければなと思っております。以上です。
○中島参考人(邉見委員代理) 若干、精神科のことも出ましたので、いまは東日本大震災のことだけですよね。この8頁の実績表を見ますと、「心のケアチーム」というのが結構たくさん出ているのですが、その内訳等が出てない。医療チームは国立病院機構と日本医師会のJMATしかないかのような書きぶりになっていることを、ちょっとご反省をいただきたいと思います。
 横倉先生がおっしゃった、被災者健康支援連絡協議会にも自治体関係者が入っていない。被災地の応援には、被災した自治体病院を除けば、半数以上が応援に駆けつけているのです。いまもやり続けています。そういうことをきっちり頭において書いていただきたいと思いました。
 いちばん言いたかったのは、終わりから2枚目の裏、4疾病5事業のところです。やはり「精神」というのは今回は、震災と津波ということで、生死が非常に分かれてしまって、DMAT以上に「精神」が早くから必要だったのですね。うちの病院では3月16日に車2台で、精神科の医療チーム8人を現地に投入いたしました。以後、ずっとうちの病院は引き続いて10日間ずつ行かせたのです。そこへ精神病院協会さんとか、大学病院も一緒になって行ってくれたということで、やはり県単位、自治体の使い方を、どううまくやっていくかということが1つポイントになるのではないかと思うので、今後の体制を考えるに当たって、是非よろしくお願いしたいと思います。
 この4疾病の中に精神病が入っていないというのがもう、そもそも山崎先生がさんざん言われていることですが、この落ち度は一時も早く直していただきたいと思います。5事業に精神科医療が入っていないのも本来はおかしいのです。ただ、いろいろ手続上問題があるだろうということで少し控えめに、4疾病のほうへ、5疾病にしてもらいたいということです。
 この災害時における医療ですね。災害拠点病院に精神科の病院が入っていないのです。これは全くおかしい話なのですよ。災害のための準備だけはしろと。うちは全部準備はしています。ところが県からは災害の準備が足りないとか言われるけれども、うちは出ようと思えば、即その日に出られます。そういうことを考えていただいて、精神科と災害とを関連づけて、きっちり位置づけていただきながら、一般医療と一緒に働けるようにしていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
○加納参考人(日野委員代理) この資料でいきますと、資料1の30、31頁辺りをご覧いただきたいと思います。いまお話がありました災害拠点病院のあり方ですが、阪神大震災では、直下型の大地震で、結果的にはどういう形が起こったかと言いますと、救急車も走れない、アクセス、道路が寸断される形で、被災地の中での拠点病院というのは、あまり役割りをしないのですが、結果的に立派な建物が残って、そこが集配所的な役割りはすると思うのですが、実際、大災害の時にライフラインが止まった時点で、いくら拠点病院であろうが、高度急性期の医療ができるかとなると、できなくなって、それ以外のライフラインが確保されている所へ、ヘリなりそういった形で転送していかなければいけないのが基本だと思うのです。
 ただ、阪神大震災後どういうわけか、この「拠点化」という言葉が一人歩きしだして、拠点病院をつくろう、都道府県に1つずつつくろうとか、それであたかも災害対策ができているような感じの話になってきていると思うのです。今回もこの3県の所は、わりと公立病院が緊急でも頑張っていたところであるのは確かなのですが、民間病院もたくさんあります。我々が支援したある病院の話です。これは日精協でも一緒に頑張って支援させていただいた病院なのですが、震災後6日間、全く何の支援もなくて、300人の入院患者さんを頑張って支えていた病院があったのです。もう最後の2日間は職員は飲まず食わずでという形で見つかったのです。その目と鼻の先の、災害拠点病院である気仙沼市民病院にはDMATが何隊もあり、薬から物資から何でも揃っていた状態があったにもかかわらず、目と鼻の先の民間病院は放ったらかしであったとか、そういった状態のことが何カ所かで起こっているわけなのです。これは起こってはいけないことです。
 いま精神科の先生のお話にもありましたが、実際に病院機関は入院患者さんを抱えながら、被災された後も頑張っていかなければいけない状態なので、ある程度集約どうのこうのも、結果的にそこから配送センター的な役割も大事だと思うのですが、被災した直後は分散型で、それぞれの医療体制をある程度受けられるような、例えば二次救急病院に2、3日は対応できるような形での災害対策をするとか、そういった考え方に変わらないかなと思っいるのですが、またご検討をよろしくお願いしたいと思います。
○水田委員 私が言いたいことは学校のことなのです。学校のことといいますと、皆さん文部科学省の管轄だから、いらないことを言わないでいいと言われるかもしれないのですが、今回、学校もかなりやられているのですが、こういう場合、学校が避難場所になるのです。そうしますと、授業とかがまた問題になってきまして、なかなか普通の学校の授業とか講義とかできない。そして、子どもたちはどんなことがあっても学ぶことは大事ですし、学校に行くということで心の病が、ケアも受けられることもありますし、そうやっても、まだまだ非常に強い心のケアが必要な人たちもいます。先ほど精神科の先生もおっしゃいましたが、子どもに対する心のケアと学校を一体になって考えてあげる。今度は原発のこともありますので、放射線の影響も長く見ていかなければいけないのですが、心のケアも、まだまだ日本は遅れていると思うので、こういうことをやっていただきたいとお願いいたします。
○部会長 次に「社会保障改革に関する集中検討会議」関連についてのご意見を伺いたいと思います。たくさんのご意見があると思いますが、なるべく1人当たりは簡潔にお願いいたします。
○山崎委員 何回か前の医療部会で、中川委員から医療部会というのは何のためにあるのかというお話があったかと思います。今回も私はそう感じるのは、資料4を見ますと、本来こういうことは、医療部会できちんと検討をして、そして中間報告案を作って、中間報告案を基にして、長期の医療提供体制を考えるのが本筋だと思うのですが、今回の形は何か財務省主導で最初から財源論があって、財源論から始まってどういう医療提供体制を作るのかといった最初に財源ありきのような話から、この話がスタートしてしまっているように感じます。
 したがって、医療部会のあり方について、もう1回ここで医政局長に確認をしたいのです。
○中川委員 私も議論の前に確認したいのですが、この集中検討会議の社会保障改革案の取扱いなのですが、これ一応、6月末に成案が出ることになっていますが、これいま政府が出した案を与党に持ち帰って、その了承を得る作業をするのだという話を聞いているのですが、そういう理解でよろしいですか。
○医政局総務課長 すみません。その取扱いは私どもでは、現段階ではよくわかりません。
○中川委員 それはある程度わからないと、課長、この医療部会でこれに対してディスカッションする意味が、明確にならないではないですか。局長いかがですか。
○医政局長 いまのお話がありましたみたいに、平素、粛々と進めている議論、それから政府なり与党が緊急的に1つの期限を切って作業をするということの噛み合わせというのは、なかなか難しいところがありまして、私どもも既に何回か提案した中身も踏まえながら、その議論に政府の部門として参画したということになりますが、トータルのコーディネーションは、今回も官邸なり、与党のプロセスの中で動いていますので、いわゆるそのエレメントとして、なかなか申し上げにくいことがあるということは、ご了解いただきたいと思います。
○渡辺委員 いまのにも少し関連するのですが、私が聞いているところでは、この2日の案というものを、いまから6月20日に向けて党及び政府税長及び集中検討会議の国会議員メンバー及び別にまた民間メンバーと、4つの会議でこれを叩いて揉んで、6月20日に成案を得るというように私は聞いておりますが、問題はその成案が出た後、どうなるのかというのが、私も同じような疑問というか感じを持っています。ただ、この6月20日にこれがガラッと変わるとはあまり思えないのだけれども、これを全体として見ると、まだまだ相当煮詰めなければならない点は多いと思うのです。そういった意味では、私は2月の医療部会で申し上げましたが、専門家で現場を知っている人の集まりなのだから、そこでの意見を反映させることは可能ですし、また反映させなければならないと思っております。
 そこで1点だけ具体的に申し上げたいのは、資料4の7頁の「医療・介護等」の左のいちばん上です。私に言わせると、これが今回の、まだまだ具体案が煮詰まっていないけれども、1つの大きな柱だと思っています。つまり2つの点です。「病院・病床機能の分化・強化と連携」と、中はここに書いてあるとおりで、これについては資料にも相当詳しく、いわゆる急性期をさらに分ける等とあります。
 もう1つの柱が「在宅医療の充実等(診療所等における総合的な診療や在宅療養支援機能の強化・評価、訪問看護等の計画的整備等)」で、公費だけで2015年までに8,700億円程度追加支出ということが、ほかの文章も含めて書いてあるわけです。金額的にも相当具体的で、もちろん節約する部分、それは平均在院日数の短縮等々で4,300億円という、これが私が言う、ここの部分が相当具体的な柱なのだけれども、例えば、下の診療所等における総合的な診療や云々といったことについて、中ではほとんど具体的なメンションはないわけです。これが柱であるにもかかわらず、そして金額まで書いてあるにもかかわらず、つまり、一言で言うと、診療所部分というのは、非常にここ議論が薄い、あるいは記述が薄いと言わざるを得ない。
 そういったことも含めて、これが6月20日に緻密なものができるとは今のところ私は個人的には思えない。ですから、是非、医療部会が中心となって、そういった病院のほう、病床のほうもそうですが、診療所の役割・機能といったことについても、具体的な提案・提言をしていくべきだと考えています。以上です。
○部会長 貴重なご意見ありがとうございました。いかがでしょうか。
○加藤委員 資料3の26頁、いわゆる新薬、ドラッグ・アンド・デバイスラグに関してですが、「PMDAの審査体制等の強化」とありまして、人数の増員が書かれていますが、この人数の増員の見通し、現行計画の751名という数は、なぜ出てきたかということと、欧米に比較して、これ単位が2つぐらい違うと思うのですが、この辺のところの見解をお聞きしたいと思います。
○部会長 これは事務局の誰が答えますか。
○医療政策企画官 縦割り的で申し訳ありません。医薬・食品局のほうになるので正確には。アメリカの体制というのは、もっとFDAの方が体制は厚いということを聞いています。一気にFDAとまでいくかどうかはともかくとして、この計画を立てた時点での体制の2倍か3倍かは忘れましたが、体制を厚くしていこうということでやったので。特にどこかの国が明確にベンチマークになっていたような議論ではなかったと記憶しています。
○加藤委員 いつも審査体制の強化という言葉とレギュラトリーサイエンスという言葉は出てくるのですが、これ言葉の遊びでして、一向に進展していかないということは、非常に歯痒いのです。これは医政局で出したデータですから、医政局がもう少しきちんと把握して答えていただきたい。この数でいいのか、質はどうなのか、量と質の問題。米国に比べてどうなのか比較してください。
○部会長 ほかにいかがでしょうか。
○小島委員 先ほど何人か質問がありましたけれども、今後の取扱いにつていて。私が聞いている範囲では、まさに先ほど渡辺委員が指摘されたように、6月20日を目処に、政府与党としての最終案を取りまとめると伺っています。政府与党です。
 その点まさに中川委員が指摘されたように、与党、民主党、国民新党を含めて調整をするということだと思います。その後の取扱いは、どうなるかはわかりませんが、大きな制度改正、財源措置等を含めてありますので、いまの政権だけでは実現するのは難しいとなれば、当然それは与野党の協議という話になっていくのだと思いますので、最終的にそこの与野党協議も含めて、最終的にはどういうところに成案になるかはこれからの話だと思います。その意味では渡辺委員が指摘されたように、まだ医療提供体制についてきちんとした議論が煮詰まっていないということであります。
 お配りしてある参考資料として、民主党の抜本改革調査会が出している考え方を見ても、医療提供体制のあり方について、それほど突っ込んで整理されていませんので、まさにこの場でですね、医療部会でその中身、医療提供体制のあり方については、きちんと議論をして成案していく、というものを反映させていくことが必要だと思っております。以上です。
○横倉委員 そこの確認を部会でしてほしかったのですが、いま小島さんが言われたように、そういう方向でここでみんな議論をしようという意思決定を、一遍されてはいかがかと思うのですが。
○部会長 当然、具体的な内容とかについては、この部会で検討していくのですが、確かにそれをやっていかなければいけないのですが、ただ、各委員がそれぞれの立場で、それぞれのことを主張されると、これ結局はまとまらないと思うのですね。まとまらないとこういうのが出てきてしまうと思うので、そこのところは十分考慮して、是非議論をいただきたいと思います。
○山崎委員 次回の医療部会が7月6日なのですが、政府原案が6月20日につくられるとすると、この部会の意見は、どのように反映されるのでしょうか。
○部会長 ただ、先ほど説明あったように、私の理解はこの原案というのは、非常に総論的な大雑把な、先ほど渡辺委員が指摘されたような点で、実際、細かいところはこの部会で議論することになると思いますが、そういう理解でいいですか。
○医政局総務課長 それで結構です。
○山本委員 そうであればお願いをしておきたいのですが、総論的には今後、社会保障をどうするかという、大きな方向性が書いてありますので、しかも税、財源まで踏まえて一定の方向が示されたという意味では、何方が書いたのかは別にして、かなり立派なものだと思っているのです。その中で負担と適用の拡大とか、特に医薬品の部分で言うと、イノベーションを片方で進めていくと言いながら、8頁辺りでしょうか、「その他」のところで、医薬品の見直しをしているのですが、この辺りがイノベーションを進めるという経済的なインセンティブと、具体的に給付の在り方を見直すという部分でのディス・インセンティブと言うのでしょうか、こうしたちぐはぐさがメーカーにとってみたら、リーディング産業としての立ち位置が見えにくくなりますので、是非、ここに書いてあるような、つまり本文には出てこない言葉が、突然行程表になると現れてくるというのは、薬を扱う者としては、いささか騙されたのかなという感じがいたします。
 しかも先ほど、皆様方がFDAはどうなっているのかというお話が出てくると、「いや、実は担当が違います」という話になってしまう。
 先ほどの震災もそうですが、国を挙げて社会保障を直そうという中で、なぜそこまで局間の区分けをするのか。以前からお願いしていますように、この場の議論では医薬品も関係しますので、医薬局から然るべき人を席に付けてくれとお願いを再三しているのですが、一顧だにされないのは、医薬品はどうでもいいということなのでしょうか。それとも何か別の思いがおありなのでしょうか。是非お伺いをしたいのです。
○医政局総務課長 確かに、特に今回のテーマは非常に広汎にわたるということで、ご覧いただいてもわかりますように、今日は保険局総務課長も来ておりますし、通常にも増して、広い範囲をカバーできるように、少し努力をしたのですが、何分、事務方をどこまで呼ぶかは、いろいろな制約もございますので、テーマの設定に即して適切な体制で対応できるようによく考えたいと思います。
○山本委員 是非よろしくお願いいたします。
○相澤委員 具体的な話をしろと、ここで検討をするということなのですが、それ以外に私は基本的な視点として、今後の社会のあり様がどう変わっていって、医療がその中で非常に大変な目に遭っているのだということを、いちばん最初に書いてほしいのですが、どこにも書いてないですね。
 私は今後の問題でいちばん大きなのは、2015年までは65歳以上の高齢者が、ものすごいスピードで増えてくることなのですよ。爆発的な勢いで増えてくるのです。もう1つは、2020年までは75歳以上の後期高齢者という言い方がいいのかどうかは知りませんが、その人たちが爆発的に増えてくるのです。これに対してどうするかを真剣に考えなければいけなくて、そのときに重要なのは、私はお年をとられた方の自立と、自分で自分のことをするという自助と言うか、その精神が入っていないと、手厚く支援をすればするほど、寝たきりの方がどんどん増えていって、そして、最終的には誤嚥性の肺炎で急性期の病院に入って来ては、すぐ経管とか胃瘻になって、また医療費がどんどんそこでかかっていくという、悪循環を繰り返すのですね。それが医療と生活の仕組みでどうそれをカバーしていくかという、重大な問題だと思うのです。その視点がどこにもなくて飛んでいるのです。私はこれは日本の医療をいちばん危うくするところだと思っています。そういう概念でおそらく介護予防とかいうところが、少し書いてあるのですが、本当はそこのところを含めて生活をどうするかという出口を作ってもらわないと、我々、急性期病院は経管の方と胃瘻の方でいっぱいで、なかなか退院できなくて、もうお手上げに近い状態になっているのです。これを是非、国民の皆さんには知ってほしいし、それをどうしていくかという医療を作っていくべきだろうと私は思います。
 ちなみに、フランスとかヨーロッパでは、もうそういう患者さんには経管の栄養はしない、胃瘻はやらないという、全体的なコンセンサスが作られているのですが、日本の場合は残念ながらそういう医療風土にない。では、それをどうしていくのかということを、私は真剣に検討しないと、そういう方が施設だとか在宅にいって、今度、大変な介護の費用がどんどんかかっていくことが、本当に国民にとって幸せなのか、老人にとって幸せなのか、我々、医療は人生を支援する、サポートする医療でありたいと思うし、逆に言えば生き様をサポートする医療でなければいけないと思うのですが、その視点がないというのは非常に悲しいですね。
○加藤委員 ただいまのご意見と同調しますが、先ほど来の事務局の発言では、在院日数を短縮するという方向ですべて物語っていますので、在院日数を短縮すればするほど、ベッドに関する役割は重要になってくるし、それは必要になってくるわけです。例えば胃瘻であれば、胃瘻を置いただけで在院日数、入院日数を短縮して退院させてしまえば、それを処置しなければならない病院が増えてくるわけです。そこのジレンマが解決されていないと私は思っております。
○中島参考人(邉見委員代理) 相澤先生のお話で思い出したのですが、私は去年から1年間ずっと暴論をはき続けることを自分に課しています。要するに年をとったときに、どのように本人自身が死にたいかということについての、意思表示を全く受けないまま、いまある医療を医療側の立場で適当にそれを提供していることが、根本的な間違いだと思うのです。このことについては65歳になれば、もっと早くてもいいのですが、少なくとも自分が食べられなくなったとき、回復する見込みもないというときには、胃瘻は作らなくてもいいとか、そういう意思表示をする形を、いまここで作り始めてほしいと思うのです。
 各地域では取組みが徐々に始まっているようですが、国として動かないとこういうものは動かない。国が決めれば日本人は真面目ですから、ちゃんと作るのですよ。できれば65歳になってそれを完成できないような人には、年金も支給しないというぐらい、少し強めに言ってもいいのではないかなと、ここは書かないでほしいのですが、よろしくお願いしたい。
 具体的に申し上げたいのは、例えば資料4の29頁です。各病床について、今後の医療・介護機能再編の方向性のイメージというのは、精神科は一体これどこに入っているのですか、どこにもないではないですか。精神科なしのイメージ図というのはナンセンスです。そういうことで、ちらちらと見ますと、前の頁に重点化・効率化ということで、長期療養・精神医療の改革に対して、長期療養、在院日数1割程度減少。いま何日だと思っているのですか、300日ですよ。270日にしてそれが国際的に胸が張れると思うのですか。最低半分にしないと駄目ですよ。在院日数1割程度減少。入院2割程度減少。これ厚生労働省で、今後の精神科医療のあり方検討委員会で検討していることと、果たして一致しているのかどうか。そこを少し考えていただきたいなと思っております。終わりです。
○横倉委員 いまのいわゆる死に方の問題とか、死の定義をどうするかというようなこと、これは、私も平成3年にある学会を主宰したことがありますが、そのときのメインテーマがそうだったのです。人間の死に様を誰が決めるか。そういう意味では、この20年間なかなか解決がつかなかった問題で、その間、医療技術はだんだん進歩してきた。特に胃瘻というのは、初めは誤嚥性肺炎の予防ということでスタートしたのが、延命のための処置になってきた。やはりこれは医療人が決めるのか。本来は国民のコンセンサスをどう得ていくか。そのためにオピニオンリーダーたちがどういう表現をしていくのか。少なくとも政府が「あなた、こういう状況になったら死になさい」と、これは言えませんよね。やはり政府には任せられない。そうしたら政治が決めるか。これもまた無理だということになると、やはり国民の皆さん方と医療人が繰り返し話すことによってしか解決ができないのかな、という思いがございます。そういう意味で、今回こういう新しい1つの改革案が出てまいりました。
 この中でいくつか問題を指摘しておきたいのですが、こういう部門は人材を非常に増やすということで、特に急性期に対しては相当増やすような記載がある。しかし、現実には、医師の問題にしても、特に看護師さんの問題は不足感が非常に強い中で、これは本当にしっかりとした推計をされてこういう数字が出てきているのかな、という疑問があります。それと、今度はいわゆる介護との連携ということで、在宅のモデルと医療モデルということで、資料4の30頁に絵が描いてあるわけですが、ここに、医療提供体制の充実と重点化・効率化、それと地域包括ケアの実現ということで、市町村レベルや小・中学校区レベルではこういう介護のあり方を提案してあるわけですが、これも都会、いわゆる人口集中地域と、人口がわりとまばらな地域では、随分あり様が違うのです。たぶん相澤先生のところも、長野市や松本市であればこのモデルがピシッと当てはまるでしょうが、周辺の町村に行くと無理なのです。そうなってくると、国全体を1つの枠組みとしてはなかなか議論ができにくいということで、地方モデルというものも頭の隅に入れながら作っていただきたいという思いがしています。
○近藤委員 先ほど相澤委員から経管・胃瘻の話がありました。胃瘻の是非というのは我々は論じる立場にはないのですが、口から食べることの重要性。これが高齢者の方々の生きがいになる。明るい表情で、自分でしゃべって、自分で口で食べる、こういう重要性をずっと歯科医師会では発言をし続けてまいりました。「昨日食べたものがおいしかった」と言って死ねるような、そういう歯科医療でありたいということを、いままで訴え続けてきていまして、この医療部会の中でも、誤嚥性肺炎を予防できるのではないかという口腔ケアの重要性についても、お話をし続けてきたわけです。先ほどの相澤先生のお話ですと、医療や経管栄養の方で病院が溢れてしまうと。そんなふうにならない、自分の口で食べられるという体制を、歯科医師会ではやっていきたい。いま歯科の中では、そういう方々の検診も含めて対応できるような体制が整いつつありますので、是非そういう形をとっていただきたいと思うわけです。
 今日の資料4の20頁、30頁のところですが、在宅医療の計画的整備という話が出ています。在宅医療、在宅歯科医療がさらに進められていかなければならない、というのは一致した考え方になっているわけですが、例の4疾病5事業の中でも、在宅医療の問題を4疾病に追加すべきではないかというような話も、いままでこの医療部会の中で議論がされてきましたので、是非そういう形のものを将来像に向けて検討会議の中でさらに深めていただいて、そういう形での方向性が表に出るように期待をしたいと思います。
○齋藤(訓)委員 胃瘻の問題につきましては、私ども現場のナースや、あるいは介護施設におけるナースの話を聞きますと、介護施設でもチームケアという形がとられているところは、管外しのためにリハビリを使ったり、歯科衛生士さんや口腔の先生たちと一緒に食べる訓練をしたりということをやっています。ですので、リハビリの結果機能が戻ったという場合の成功報酬のあり方というのは1つこれから検討課題になるのかなと思います。それから、胃瘻を入れる、入れないといったときに、国のほうからどうしろと言うことはできないということだったのですが、やはり、このあとどうしようというときに、患者さんご自身の、あるいは家族の、自己決定をしっかり支えていく仕組みをとっていかないと、結局は、ご自身は医師の言うままだったり、あるいは家族の言うままだったりということで、なかなか幸せな看取りというところまでいかないというような状況があります。私は、今後、自己決定をしっかり支える仕組みというものを何かのところに入れていただいて、本当に胃瘻を入れていいのか、食べられなくなってもこのままでいいのかということを、きちんと自己決定していける仕組みを入れられればいいのではないかと思っています。
 社会保障改革に関する集中検討会議の提案については、29頁、30頁を見ると、私は方向性としては間違ってはいないと思っています。29頁の2025年の姿を見ると、在宅サービスというものが幅広くなっているので、ご自宅で過ごせるようなサービスをしっかり設計していくことが必要になるのだなと推測したわけなのですが、7頁、8頁のところで、先ほどの渡辺委員のご指摘のように、在宅医療の充実については、具体的な方策等についてはまだまだ議論が途中なのかなということを臭わせているような状況であるかと思います。在宅医療については、これから非常に大事だと言われつつも、なかなか進まないというのはどういったことなのかということについては、少し原因分析をしつつ、対策を考えていかなければいけないのではないかと考えています。
○海辺委員 会議に参加して、いろいろ伺っていまして、先生方がそれぞれのお立場からおっしゃるということを、私は非常に強く感じています。ですから、書き上がったものが総花的になるのは致し方ないことだと思います。この会議がきちんとトリアージできる会議であるということが示せなければ、総花的になって中身は適当に決まっていくであろうと思いますので、もう少しあり方を考えなければいけないのかなと思いました。
 私が見ていて、おやっと思ったのは、資料4の7頁、8頁です。「2025年頃までに医療・介護サービスのあるべき姿を実現」とあって、これで具体的にあるべき姿は何なのだろうかと、先ほどから資料を引っ繰り返して見ていたのですが、何となく、あるべき姿の具体例のようなものが、ここに呼応しているような。こちらの頁の絵とこちらに書いてある細かい字の、参考資料のここに「あるべき」と呼応しているので、こちらに書いてある文章なのかなというと、具体的にどうなったのが完成形なのかはわからないので、2025年になったときに、あるべき姿になりましたよと言われても、達成しているのか、していないのかということを、どうやって検証するのかということは感じましたので、きっとここでまた具体的なことを詰めていくのだろうなと思いました。
 瑣末なことなのですが、資料4の33頁の「経済前提」は、12年後にきちんと緩やかに成長しているような感じですが、この前の12年を見ていると、こういう図ではなかったかもしれないので、結局また、お金が入らないからできない、できないということになるのかな、ということも心配です。いろいろなところが具体的に国民にわかりづらいので、負担増の話になったときに国民に負担増を納得してもらえるようなものを、もっときちんと作らないと、またいろいろぶれてしまって話が進まなくなるということもあろうかなと感じました。
 先生方のお話の中に出てきたところと呼応するかなと思ったのですが、日本の場合は医療政策と言いますが、普通、先進国だとヘルスポリシーなどと言うかなと思うのです。日本の場合は、医療は語るけれども、健康を維持するという部分は抜け落ちてしまっていて、予防するための予算が、機能しているところと、していないところがあるので、そういう全体像に対してどうなるのかということを、もっと示せないと駄目ではないかと思いました。
 私は、自分自身のお葬式の式次第を去年しっかり書いていまして、娘たちにも、私が万が一交通事故に遭ったり、脳出血したりして意識不明になったら、延命措置はしてくれるなと言い置いていまして、お墓はこうしてくれとか、いろいろなことを言っているのです。自分自身が元気なときに、食べられなくなったときに胃瘻を形成するかというような知識がないままに療養生活になったら、目の前にいる患者を何もしないで死なせましょうというのは、なかなか家族が判断しづらいと思いますので、先ほど中島先生がおっしゃったように、そういうものをきちんと書き置くようなことが常識になっていくように先導しないといけない部分も、本当にあるのではないかと思いました。療養病床の看護師さんなどに伺うと、家族の大反対でチューブを外すことができないということをよく伺いますので、家族にどう説明するかというのはすごく大事ではないかと思いました。
 あと、申し上げたかったのは災害のところです。是非きちんと検証していただいて、情報共有のあり方などにもきちんとお金をかけて、専門的な人にたくさん検証していただいて、こういうものが非常に機能していた、こういうものが全く無駄であったということをきちんと検証していただきたいと思いました。それから、受け手の側の意見についてもきちんとヒアリングしていただきたいと思いました。今回、災害のところで、高齢の方や高齢の方の医療事情についてはテレビなどでも報道をよく見たのですが、慢性疾患で見た目は非常に元気なお若い方でも、お薬や医療によって現在の健康な状態を維持しているような方は、見た目は非常にお元気なので、後回しにされがちだったりすることがあるようでした。そういう方々に対する対応なども是非ヒアリングしていただきたいと思いました。散漫な意見で、すみません。
○加納参考人(日野委員代理) いまも出てきたのですが、これは消費税の問題が絡んできている大事なところだと思うのです。医療機関における消費税の問題の再検討を、是非ともお願いしたいと思います。
○中川委員 この医療部会のマターではないかもしれませんが、重大な政策転換だと思うので、委員の皆さんと共通認識を持ちたいと思います。資料4の4頁の消費税のところなのですが、日本の医療は公費と保険料と患者負担との3つの程よいバランスの上に成り立っていると思います。このバランスの上に将来的なことを考えていかなければならないと思うのですが、日本医師会は、現在の消費税は予算総則で決められていますので、高齢者三経費に使われることになっています。これは消費税の社会保障目的化と呼んでいるのですが、7頁に「消費税収の使途は、現在国分が予算総則上高齢者三経費に充てられているが」とあります。今回は少子化を含めて社会保障四経費にするのだということが書いてあります。その次の(2)なのですが、予算総則で決められているのに、あえて目的税化すると書いてあるのです。「将来的には、社会保障給付にかかる公費全体について、消費税収を主たる財源として安定財源を確保することによって、社会保障制度の一層の安定・強化につなげていく」と。この意味は、将来的に公費部分、特に国庫負担部分は消費税で賄いなさい、これにはみ出たものは、給付を制限するか、さらに消費税を上げるのですよ、という強烈なアナウンスなのです。このことは国の将来にとってとても重大な方向転換なので、これは、成案ができるまでに、いろいろな医療界の先生方、委員の先生方も声を上げていかなければならないだろうと思っています。
 この提案全体ですが、1頁に、「具体的には、社会保障国民会議、安心社会実現会議以来の様々な議論の積み重ねを尊重し」とあります。私どもは、この社会保障国民会議の提案のときも、急性期病院の大病院に資源を集中しすぎだ、偏重しすぎだと申し上げました。今回も、これは急性期医療と在宅に偏重しすぎです。まず、これを1点申し上げたいと思います。
 それから、8頁に、これも皆さんよくご存じの、最近話題の「受診時定額負担等」とあります。これは、初診・再診のときに100円取るというのです。これは、いまの医療保険制度から見ると全く理解できません。これを取って1,300億円の財源を浮かせて高額療養費の見直しに充てるというのですが、この100円取るというのは、例えば医療機関で患者さんにどう説明するのですか。全く説明の仕様がないですよ。これは100円だからいいでしょう、定額ではなく低額という報道も一時ありましたが、例えば高齢者の標準的な外来の医療費は7,860円ということを考えますと、月4回受診すると一部負担は1.13倍になります。基礎年金だけで生活している高齢者などは、これは大変な負担です。これは将来的に100円ではなくて200円、300円ということも十分考えられますし、この筋の悪すぎる受診時定額負担を是非撤回していただきたい。先生方も是非ご協力いただきたいと思います。できれば、この受診時定額負担を少し解説していただけませんか。
○保険局総務課長 受診時定額負担については、この社会保障集中検討会議の中で議論をされまして、また民主党の中でも議論されたと承知をしています。最終的に行程表の中でご指摘のように、今日の資料にも入っていますが、「例えば初診・再診時100円の場合、▲1,300億」と書いてあります。これは、考え方としまして、私どもが理解しているところでは、初診時・再診時に定率3割負担または2割負担、1割負担という医療保険制度で定められた定率負担に加えて、例えば100円程度の定額負担を導入する、その際にいくらぐらいの財政効果が出るかというと、ここに書いてあるように、公費で1,300億円程度ということです。これは公費のところだけ書いてありますので、医療給付費全体としてはもっと大きな額の影響が予想されています。
 これは、長期高額医療の高額医療費の見直しということで、高額医療制度について、一部負担金の高い方が長期にわたって医療が必要な方の負担が大変大きくなるので、そういったところを軽減すると同じ程度の財源が必要になるということで、ここでこのように行程表の中で書かれているわけですが、いま中川先生からご指摘があった、医療保険制度として、どういう負担で、どのように患者に説明するのかという点については、今後、医療保険の関係では医療保険部会もありますので、こういったところで十分議論をしていただきたいと思っています。日本の医療保険制度の歴史においては、患者の自己負担については、定額自己負担の場合もありましたし、定率負担の場合もありましたし、定率負担に加え定額負担を定めていた場合もありますので、こういった点について、全体としての給付の重点化という観点から、どのように国民各位にご理解いただけるか、それはまさにこれからの議論にかかってくるのではないかと思っています。
○中川委員 となれば、私の理解はちょっと違って、医療費の外枠で100円徴収と最初は聞いていました。そうではなくて、例えば3割の方が3割の定率負担プラス100円の定額だということになると、給付率が7割を切るということになります。そういう理解でいいですか。
○保険局総務課長 これも今後十分ご議論していただければと思います。外か中かという議論がありますが、ここで1,300億という数字が出ていますが、この試算の前提になっている考え方としては、先ほど申し上げましたように、定率に加えて一律の定額負担を求めた場合の数字という形になっています。これについては、現在、例えば定率3割負担というようなことが本則で定められていますが、別途高額療養費が定められていますので、自己負担が一定になると、むしろ3割を切る形の負担になるような仕組みとなっています。したがって、定率3割負担を前提としながら医療費に応じて自己負担に調整をしていくということは、医療保険制度の中においてどう考えるのかということを、議論していただきたいと思っています。
○中川委員 高額療養費制度があるので、全体としては3割ではなくてもっと低いというのは、承知しています。でも、一人ひとりの患者さんから見ると、これはやはり7割給付が切れるということになりますよね。それと、定額負担の100円だと、1,300億円という計算はちょっとおかしいですよね。そういう議論はまた別として、是非、厚労省としても検討し直していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○部会長 それでは、時間の関係で、最後に資料5についてご意見を伺いたいと思います。医療の質の評価・公表等推進事業についてと「規制・制度改革に係する対応方針」です。いかがでしょうか。外国医師の臨床修練制度の見直しなのですが、いままで20年ぐらいやっていると思うのですが、いままでに何人ぐらい修練を受けたかなどというデータはありますか。
○医事課長 これは20年以上の歴史があります。今年度末までの制度の累計ですと、医師の方が1,100人程度、歯科医師の方が180人程度で、合計すると1,360人の方が修練をされています。国の数でいうと約70カ国から来られているという状況です。
○小島委員 いまの関連で言いますと、今回示されているのは、日本に外国の医師が来て日本の医療技術を学ぶ場合の修練制度の見直しで、逆に、日本に外国の医師の方が来て指導をするというようなところについても認めたらどうかということなのですが、実際にニーズとしてはどのぐらいあるのか。1件や2件の話ではなくて、それなりのボリュームがあるから、そういう見直しの必要が出ていると思うのですが、その実情はどんな感じなのでしょうか。
○医事課長 これも数的にお示しするのはなかなか難しいのですが、日本の医学の水準から見て、分野としてはかなり特定の分野に限定されるのかなというご意見もあるわけです。1つのご参考としては、外国に行って臨床修練、研修をする場合に日本政府の証明書が求められる国もありますので、証明書を発行している実感からいうと、やはりアメリカやヨーロッパに日本から臨床の技術を学びに行かれる方の数が多いですので、一定程度のニーズはあるとは考えています。
○加藤委員 海外から医師が日本に研修に来る場合に、定めとして医政局に届ける仕組みはできていますか。
○医事課長 法律に基づいて許可を得て臨床修練を行っていただくことになっています。それは厚生労働大臣が許可をするという制度になっています。

○中川委員 資料5の17頁についてなのですが、右側が臨床修練、これは勉強に来るほうですね。それから、教授・臨床研究、これは教えに来るほうですね。教えに来るほうで、受入病院の基準というところで「大学病院、特定機能病院、国立高度専門医療研究センター等」とあるのですが、「等」というのは何ですか。怪しいのですが。
○医事課長 具体的に固有名詞を想定しているわけではありませんが、考え方としては、これは高度の医療の診療能力、あるいは臨床の水準を持った外国人医師の方が、その高度な技術を日本で教授されるということからすると、教授の場となる実際の医療機関も、相当高度な教育研究機能があるということが前提になります。そうすると、基本的には大学病院、特定機能病院、ナショナルセンターといったものが想定される。ただ、今後の検討によって、それに匹敵するようなところがあるのか、ないのか、その辺りは、またこれからご議論をいただきながら詰めていきたいと考えています。
○中川委員 私が危惧しているのは、外国の有名医師を連れてきて宣伝に使うといった医療機関が万が一あれば、それは趣旨に反するということです。その辺は是非厳しく監視してほしいと思います。それから、最後の行に「外国の医師免許を日本の医師免許として認めるものではなく」と書いていただきました。クロスライセンスを認めないのだということを明確にしていただいたのは、評価したいと思います。ありがとうございます。
○横倉委員 病院機能のことですが、医療の質の評価・公表等推進事業について、これは、いま日本には財団法人の病院医療機能評価機構があって、日本の病院の約3割のいろいろな評価をされているわけですが、それとこの事業との関連性はどうなのですか。たしか、あの財団も、当初は厚生省が肝いりでお作りになったはずなのですが。
○医政局総務課長 そうですね。この事業は、第三者による評価ということではなくて、その病院グループ自らが指標を設定して公表するという取組みです。そういった取組み方の違いが、まずあります。
○横倉委員 それは、基本的には同じでしょう。機能評価も、自己評価をして、それを第三者が確認する事業ですから。これは、同じような事業が2つ3つ重なっているのではないですか。
○医政局総務課長 これは、指標の設定のあり方、公表の仕方、それが実際にどういう効果があるかというようなことを、さまざまな角度から各病院団体に検証していただくという試行的な事業です。こういった事業を通じて、評価・公表の問題点、解決すべき事項などを検討しまして、今後の事業の展開を続けていきたいということでやっているものです。
○部会長 これは、おそらく個々の病院が対象ではなくて、グループとして自主的にやってほしいということの補助だと思うのです。したがって、やや違うのではないでしょうか。
○西澤委員 この事業ですが、機構のほうでは第三者で、これは各病院が努力して、いろいろな指標をもとにしてということですので、違うものだと理解しています。この事業についてですが、今回3つの団体が、それなりのいいデータを出してきていると思います。こういうことは継続することが大事で、先ほどの医療政策企画官の説明で、これを行った3団体に今後もいろいろ協力をお願いして、という話がありました。こういう事業は、少し補助金をいただいて行ったのですが、継続するにはやはりそれなりにかかるので、次年度も補助金を要望したのですが、実は、もう単年度で駄目ですと言われました。その辺りと、先ほどの医療政策企画官の、今後も協力を受けたいということとは、どのようになっているのでしょうか。
○医政局総務課長 平成22年度は3,000万円の予算がありまして、平成23年度は減りまして、2,000万円の予算になっています。それで、平成23年度の実施に当たっては、大変申し訳ないのですが、平成22年度に対象になった団体ではなくて、別の団体、別の分野でもう一度検証していただくということに、この予算を使いたいと思っています。平成22年度に実施していただいた団体については、補助という形ではお願いすることができないのですが、引き続き事業の実施にいろいろな形で協力をお願いしたいと思っています。そういう趣旨で申し上げたわけです。
○西澤委員 わかりました。補助をいただけないということでも、これはしなければならないと思っています。私たちも貧乏な団体で、苦しい中でのやり繰りがきついということで、今回の補助事業では無理にしましても、是非これは協力して一緒にやっていきたいので、何らかの形で支援いただければありがたいと思います。
○部会長 それでは、予定の時間になりましたので、本日はこれまでとさせていただきます。最後に事務局から連絡をお願いします。
○医療政策企画官 本日は、どうもありがとうございました。次回の医療部会は、7月6日(水)午前10時から12時半までです。場所は9階の省議室の予定です。正式には、またご通知申し上げたいと思います。
○西澤委員 今日、「病院のあり方に関する報告書2011年版」を配らせていただきました。これは、私がこの委員会に、2025年の医療提供体制のあり方、病院のあり方の検討を諮問して、出た報告書です。今回厚労省が出したものと同じような時期を設定していますので、是非読んでいただいて、ご批判いただければと思います。
○相澤委員 前回、歯科医師の配置基準の問題で、たしか山崎先生からご提案があって、厚労省のほうで調べてくるというご回答をいただいたと思っているのですが、私の思い違いなのでしょうか。この次というのはこの回なので、どういう結果なのかを教えていただければありがたいと思います。
○部会長 それでは、本日は長時間ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局総務課

企画法令係: 2519

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療部会)> 第18回社会保障審議会医療部会議事録

ページの先頭へ戻る