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2011年2月17日 第16回社会保障審議会医療部会議事録

医政局総務課

○日時

平成23年2月17日(木)10:00~12:30



○場所

厚生労働省議室(中央合同庁舎第5号館9階)



○議題

1.医療提供体制のあり方について
2.その他

○議事

○企画官 時間になりましたので、ただいまから「第16回社会保障審議会医療部会」を開会させていただきたいと思います。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。本日、医政局長は予算委員会対応のために遅れて参ります。
 最初に、新しい委員をご紹介します。東京大学大学院教授の永井良三委員です。
 続きまして、本日の委員のご出欠についてご報告します。代理の方にご出席いただいておりますが、日野頌三委員がご欠席です。また、上田清司委員、光山由一委員からご欠席との連絡をいただいております。
 それでは、配付している資料をご確認いただきたいと思います。表紙に議事次第、座席表、委員名簿、配付資料1-1、1-2、2、3、4とあります。また、参考資料集ということで関連資料があります。さらに、今回は委員提出資料ということで、山本委員からの提出資料というセットです。万が一不足等がありましたらお知らせをいただければと思います。出欠状況のご報告並びに資料の確認は以上です。もしカメラ撮りしている方がいらっしゃいましたら、カメラ撮り等はここまでということでお願いします。
 続きまして、親審議会といいますか、本審議会である社会保障審議会の委員の任期の関係です。社会保障審議会の委員の任期が1月末で満了し、新たな任期期間として任命されることとなりました。新任期の始まりに伴い、本医療部会の部会長についても確認が必要になります。各部会における部会長については、社会保障審議会令第6条第3項において「部会に属する委員の互選により選任する」、つまり親審議会に所属する委員の方々の互選によって選任することとされております。そこで、親審議会の委員でいらっしゃる加藤委員、齋藤委員、横倉委員にご相談申し上げたところ、互選により齋藤委員にお願いするということでご了承いただいておりますので、引き続き齋藤委員に医療部会長のお役をお願いしたいと思っております。
 それでは、部会長、以降の議事進行をお願いします。
○齋藤部会長 おはようございます。引き続いて部会長を務めさせていただきます。どうぞよろしくご協力をお願いします。
 多くの委員の方は長年この部会に関与されているので、ご存じのとおり、本部会は医療提供体制にさまざまな立場から関わる委員の方々から構成されており、いまの我が国の非常に多くの医療提供体制の課題について、少しでも医療提供体制を良くするにはどうしたらいいかについて、それぞれの立場からのご意見を伺ってきました。本日、過去4回のいろいろなご意見を整理したものが出ると思います。そこでお願いですが、各委員の方々がそれぞれの立場から厚生労働省に対してああしてほしい、こうしてほしいという要望は、もちろんいままで言われてきたわけです。それだけで終わってしまうと言いっ放しというか、この部会としての考え方が先に進みません。すべてのご意見や課題を一気に、同時に解決することはできないので、委員同士の間の議論を通じて、まずはどういう部分から直していけばいいのかも含めて、それぞれの立場を離れた広い立場からも議論していただければ、非常に助かると思います。よろしくお願いします。
 それでは、社会保障審議会令第6条第5項の規定により、私が不在の場合に議事の進行をお願いする部会長代理を、部会長である私が指名することになっております。これについては、田中委員にお願いしておりますので、よろしくお願いします。また、これまで委員欠席の際に代わりに出席される方の扱いについては、事前に事務局を通じて部会長の了解を得ること、及び当日の部会において承認を得ることによって参考人として参加し、かつ発言をいただくことを認めることとしておりました。本日の会議については、日野頌三委員の代理として、社団法人日本医療法人協会副会長の加納繁照参考人のご出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○齋藤部会長 ありがとうございました。なお、本部会は運営細則により、議事録も含めて原則公開となりますので、ご承知おきください。
 それでは、議題に移ります。本日は、前回に引き続き医療提供体制のあり方について意見交換をします。最初に、事務局から資料の説明をお願いします。意見の交換に時間をかけたいと思いますので、説明は簡潔にお願いします。
○企画官 資料1-1をご覧ください。これは、昨年10月15日の第12回以降の4回分について、別途速記録の議事録もホームページ等で開示しておりますが、それを基に事務局でいくつかご発言やご意見を要旨の形にまとめて、項目ごとにまとめたものです。1つのご発言、ご意見の中にいくつかの切り口が入っているものがありますので、そういう意味では必ずしも項目の中に1対1対応ではなく、複数の項目にまたがるものもありますが、そこはどこかに分類する形にしていることをご承知おきいただければと思います。
 1頁です。開催回数の順序も考えながら書きましたが、「医師等の人材確保」ということで、最初の点で囲っている所は、その関係の議論をお願いする際の部会資料で、論点等として提出資料の最後に書いたものをもう一度おさらいしたものです。医師等の人材確保については、医師確保の現状ということで、引き続き厳しいことや開業医の診療時間の問題、あるいは中堅の先生が疲れているという問題などのご指摘がありました。
 次に処遇改善ですが、数だけではなく、処遇の改善を平行して進めていくと。なかんずく、女性の多い職場であることも踏まえた上での対応も必要ではないかといったご意見がありました。
 医師の養成、配置の問題についても、医師養成数は増やしていくのだけれど、それは医学部の新設という方法ではないのではないかというご意見、県民枠、地域枠といったものについてどう考えるかといった問題提起をいただいております。
 地域間の偏在対策ということで、一定の制約を持った地域で医師を育てる仕組や需給調整のシステム、緩やかな定数配置などが必要ではないかといった問題提起をいただいております。さらに、実際の開業にあたっては、地域での経験を積んだ方とか、そういったことも踏まえたキャリアパスをどう考えるべきなのかといった問題提起がありました。あるいは、今回は医師の確保中心になりましたが、看護師の数もしっかり確保していくべきではないかという観点も提起をいただいております。地域医療支援センターの来年度予算について、のちほどご報告しますが、その中で事業化されるものも全国一斉にというよりは、各地域の実情に応じて事業展開できるようにしていったらどうかというご指摘がありました。
 次にチーム医療ですが、チーム医療は医療の質を高くすることで進めていくべきではないかという切り口や、歯科、薬剤のチーム医療への参加などが提起されていたかと思います。
 2点目の大きな塊として、「医療提供施設の機能」、医療機能について、こちらも同じように論点が書いてあります。病院・病床の機能ということで、少子高齢化、疾病構造の変化といったものについて、患者の状態も大きく変わっていることを認識しながら議論すべきではないかといった切り口や、地域の中での機能の棲み分けをしっかりすべきではないか。あるいは病床数が非常に多い中で、広く薄くマンパワーが配置されている中でどのように役割分担を進めていくのか。一般病床はいろいろな機能を持ったものが一緒になっているが、同じような基準でいいのかどうかという問題提起。さらに、有床診療所や中小病院の病床の機能についても、しっかり位置づけを議論すべきではないかといったご指摘がありました。
 次に、特定機能病院、地域医療支援病院です。こうした病院が地域の有床診療所や中小病院とどのように役割分担していくのか、そういった機能も踏まえて見直しをすべきではないかという議論、あるいは、それぞれ制度導入から一定時間経っておりますので、その後の時間の変遷も踏まえて見直しをすべきではないか、また、平成19年の検討会の整理も踏まえて、見直し案を深めていくべきではないかといったことをご指摘いただいております。
 次に診療所ですが、特に有床診療所について、地域住民の身近な医療支援ということで、その機能の維持といった切り口でものを考えるべきではないか、お年寄りだけではなく、子どものための支援の受け皿ということも考えてはどうかといったご意見がありました。
 次に人員配置基準ですが、外来配置の基準をどう考えるのか、あるいは、今日の医療のあり方から考えて、いまの配置基準の中で医師・看護師が中心になっていますが、そういった配置についてどう考えるかといった問題提起がありました。
 医療機器の配置状況ですが、これは国際的に見て非常に多くなっていると。一方、それによるメリットもあるのではないかといったご意見がありました。
 次に在宅医療・連携ですが、こちらも在宅医療をどう進めていくのかということでいろいろなご意見をいただいております。例えば、NICUの患者の後方病床、あるいは中間施設も進めていかなければいけないのではないかということや、医療計画の中でもっとしっかりした位置づけが要るのではないか、あるいは多職種参画型のチーム医療、在宅でのチーム医療が必要ではないかといった問題提起をいただいております。
 地域における医療機関間、あるいは医療と介護の間の連携ですが、核家族化等によって、家に帰ってもなかなか介護、看病する人がいない中で、慢性期あるいは高齢者の方の医療、福祉、介護のつながりをどうしていくのか、医療体制だけではなくて、介護・福祉との連携も視野に入れて、併せて議論しなければいけないのではないかといったご議論がありました。また、精神障害者の問題について、半分が高齢者になっている中でどのような体制を整備していくのかといった問題提起をいただいております。
 4つ目の塊として、「医療計画」です。こちらも論点は省略しますが、二次医療圏は、各県ごとの設定になりますが、その県が自分で設定することについてどの程度意識があるのかということ、さらには二次医療圏、医療計画導入以来変わっていないところは、そろそろ見直す時期が来ているのではないかといったご指摘をいただいております。前回の医療計画の見直し後の策定指針の中で、いろいろ機能分化などが示されていますが、もう少し踏込みが必要ではないかとか、都道府県が動く医療計画を作ることを考えるときに、もう少し踏込みが要るのではないかというご指摘をいただいております。
 次に、4疾病5事業ということで、疾病ごとの連携体制の関係では、精神疾患を追加すべきではないかというご意見をいただいております。また、基準病床制度についてもご指摘をいただいております。
 5点目は、「救急・周産期医療体制」です。これは、医療計画の中で4疾病5事業の中に、救急・周産期医療体制が入っておりますが、救急は引き続き医師確保が大変で、救急体制を組んでいくためにはそういったことを絡めてやっていかなければいけないのではないかというご指摘や、ドクターヘリの問題等についても問題提起をいただいております。
 6点目は、「患者との関係、広告など」です。患者中心の医療と住民意識の啓発ということで、住民(患者)との関係をどうするのかということです。これは受療行動調査だったと思いますが、患者の満足度は上昇傾向にあるということですが、患者に対するアプローチの仕方が良くなってきていることを表すのではないかということです。一方で、地域の医療の話をする際には、住民の方が参画していくということも考えるべきではないかとのご指摘もいただいております。さらには、救急関係でいわゆるコンビニ受診や、救急車を利用するにあたってコストの意識といったところについてもご発言をいただいております。
 次に広告ですが、広告と広報とは違った考え方をすべきではないか、あるいはインターネット上の広報の取扱いについてご指摘をいただいております。また、医療機能情報提供制度についても、いまは情報の羅列になっていますが、ある程度住民の方にそれぞれどういう機能を持っているのかがわかるような情報の出し方が必要ではないかというご意見をいただいています。
 医療の質の評価・公表ということで、基本的に外国ではプロセス指標、アウトプット指標が中心になっているのではないかといったご意見がありました。また、関連する動きということで、臨床試験の重要性や、医療ツーリズムは地域医療の崩壊につながりかねないのではないかといったご指摘、医療提供全体について中長期的ビジョンを考えるべきだといったご指摘をいただいております。
 資料1-2ですが、こうしたご意見の中で現状認識、細則にわたる部分は割愛しましたが、医師等の処遇改善や病床機能のあり方、チーム医療、医療計画等について、左に要旨を並べ、右にここ2、3年の間の社会保障改革のあり方全体、あるいは新成長戦略というか、経済全体について言及されている各種報告書の中で、どういった事柄が言われているのかを機械的に、こういったこともある程度関連するのかなということを対照形式でまとめましたので、ご覧いただければと思います。社会保障国民会議や党の調査会といったところで提起されている問題意識と、委員の皆様方のご議論の中で出てきている課題の広がりには、ある程度共通性もあるのかなと思っております。
 この資料の13頁以降に、関係部分の抜粋をつけております。社会保障審議会では中間報告をさらに深く書いているというか、深掘りして書いているシミュレーションの参考資料等をご参考までにつけております。
 資料2です。「在宅医療と連携について」ということで、前回12月22日の会では議題が多かったこともあり、在宅医療についてはまとまった時間を取ることができなかったので、前回の資料からいくつかエッセンスを抜粋して、レイアウトを変えながら再度お出ししております。連携についても、医療計画の4疾病5事業絡みで入っていたのですが、連携の関係は医療法の中にも努力規定等々が入っております。そういったところを改めて再編してまとめましたので、軽くご説明します。
 2頁は、往診等々の状況ですが、データですので、後ほどご覧いただければと思います。
 3頁をご覧ください。在宅療養支援診療所、あるいは在宅療養支援病院の仕組について、3頁と5頁にそれぞれ仕組の概要をつけております。4頁と6頁に、それぞれ診療報酬上の仕組ですので、厚生局への届出の数と、実際にどれぐらい看取りに立ち会ったことがあるのかといった実績の情報、また、在宅支援病院も今年の改定で要件が見直されたこともあって数が増えていること、実績がどうなっているかについてデータをつけておりますので、ご覧いただければと思います。
 7頁ですが、そうしたことと在宅での看取りの数にどういう相関があるかということです。看取りの実績がある在宅療養支援診療所の数、右側の緑色のグラフですが、こちらはある程度相関が見られると言ってもいいのかなと思います。
 8頁からが、訪問看護ステーションです。こちらも前回の説明と重複するところがありますので、具体的な説明は割愛しますが、11頁にありますように、人口当たりの訪問看護サービスの利用者の実人数と、総死亡者の中で自宅で亡くなる方の割合を見ると、先ほどの看取り実績のある在宅療養支援診療所のグラフと似たような感じになりますが、利用実績のある所と自宅で亡くなられる方との間には一定の相関が見られます。
 12~13頁が、在宅医療関係の来年度の予算に盛り込んでいる重要な主なものです。いろいろな職種、地域の資源と連携しながら、在宅医療を進めていくための事業ということでいくつか事業を盛り込んでおりますので、それのポイント、在宅医療の連携拠点事業、地域の中で在宅医療の関係者をつないでいく、あるいは病院と在宅医療との間をつないでいく、さらに介護サービスのつなぎをしていくといったことで、連携のための拠点を作る事業、訪問看護を進めていくための事業等を予算に盛り込んでおります。
 14頁は、これも前回ご提起した資料と同じですが、在宅歯科診療についてです。在宅でやっていく際に、主治医の方々がいちばん連携が必要だと考えられる分野はどこかとお聞きすると、歯科とお答えになる方が多いということです。あるいは、要介護者の方の中で希望される治療内容ということで、入れ歯の問題や歯周病の問題を抱えておられるというデータをお付けしました。
 15頁からは薬局関係です。薬局数の推移等々を付けております。また、緩和ケアの取組み状況ということで、これも前回お配りした資料をそのまま持ってきております。
 17~18頁が、終末期医療に関する調査の要点を抜いたものです。最後は医療機関だとしても、その前はできる限り自宅で療養したいと回答される方が6割なのですが、一方で家では介護される家族や急変時の対応などに不安があるということで、そういったところを解決しなければ難しいとお答えになっているというのがアンケート結果です。
 20頁からが連携ということで、現在、医療法には、過去数次の改正において連携関係の規定がいくつか明記されるようになっております。福祉サービスとの連携、医療施設や医療提供施設相互の間での連携、さらには連携するために具体的に照会する、あるいは連携する際に必要な患者の情報を適切に提供するように努めなければならない。つまり、医療施設・医療提供施設間、あるいは福祉サービス、介護サービス等ほかのサービスとの間での連携、さらにはそのために必要な情報の共有などが明記されているということです。こちらも1条1条についてのご説明は割愛します。
 22~24頁は、こういった連携をイメージ図にしたものです。22頁は中医協の資料で、医・医間の連携について議論されたときの資料だったと思います。23~24頁は、前回の医療計画からそのままになりますが、急性期的な救急絡みの代表例として、4疾病5事業の中から脳卒中と、慢性、進行性疾患の代表例としてがんの連携体制を付けておりますので、ご参照いただければと思います。
 25頁ですが、この部分の論点ということで、上3つは12月22日の会の資料も同様の文章だったかと思いますが、在宅医療の進め方ということで、特に次期医療計画を見据えてどのようにすべきか、終末期医療にどのような取組が必要か、これらの取組、人材の育成・確保をどうするかということです。下の3点は、今回連携という切り口で資料をお出ししておりますので、そことの関係で追加しておりますが、入院前・後の連携・担当といったことをどう考えていくか、在宅療養支援機能について医療提供体制を考えたときにどのように位置づけるか、あるいは機能強化等に取り組むのか、さらにはいろいろなサービスをつないでいくとか、いろいろな関係機関が関わっていくことになりますので、連携強化策、地域包括ケア等も課題として掲げられておりますので、その中でどのように連携を強化していくのかということを掲げております。
 続きまして、資料3です。こちらは予算案で、昨年10月に概算要求ということで地域医療支援センターを初めとしてご議論いただきましたが、平成23年度予算については医政局分1,700億弱ということです。事業の適正化等も通じて全体として減にはなっておりますが、その一方で「元気な日本復活」特別枠ということで、地域医療確保のための支援センターの経費や臨床研修時の確保事業、チーム医療の実施事業について予算を確保しました。さらに、ライフ・イノベーションということで、臨床試験関係の予算、先端医療技術開発等について予算を確保しております。
 先ほど、資料1-1でもご覧いただきましたが、地域医療支援センターについては1頁のいちばん上に書いてありますように、47都道府県全部ということではなく、先行地域、モデル地域のようなものからやってはどうかというご意見も部会の中でありましたが、予算の中でも15都道府県から実施してみるという形で、予算の事業化がされております。こちらも具体的な説明は割愛します。
 資料4です。12月22日の会で閣議決定の文書をご紹介しましたが、社会保障と税の一体改革ということで議論が行われております。これは先週木曜日の社会保障審議会で配付された資料からの抜粋ですが、世のあり様に合わせて社会保障全体の見直しが必要だと、さらにはそれを支える税財政の改革も必要だということで、改革の検討が秋以降集中的、精力的に行われてきております。官邸に置かれている政府与党の改革検討本部、あるいは有識者検討会で議論が進められてきておりますが、こうした中で年末の12月22日にご報告したように、12月14日の閣議決定で今年の半ばまでに社会保障の機能強化の方向性と、税制改革についてまとめるという指示があり、各省検討せよということでした。
 5頁にありますように、社会保障検討本部を厚生労働省の中でも政務三役のもとに設置しました。その中で、医療・介護、年金、就労促進等々いくつかチーム分けをして、医療・介護チーム関係では、6頁にありますように機能分化や在宅医療の充実、マンパワーの充実確保等について課題提起をされて、いまその作業を進めているところです。
 資料については以上ですが、関連資料からも1点ご報告します。上のほうは国民会議中間報告の全文や党の調査会の全文、関係部分の抜粋だけを1-2の後ろに付けております。新成長戦略だけは抜粋です。
 35頁ですが、前回ご議論いただいた外国人医師臨床修練制度の弾力化の検討の中で、制度見直しではなく運用の見直しということでご紹介したと思います。例えば、添付書類について若干の簡素化を図るとか、標準審査期間の短縮を図るといったことの省令、通知といったものを改正・制定しましたので、ご報告申し上げます。以上です。
○齋藤部会長 ありがとうございました。以上の説明、資料を踏まえつつ、医療提供体制のあり方について、委員の皆様からご意見を伺いたいと思います。そこで先ほどと同じお願いなのですが、あまりあちこち議論が飛ぶと混乱しますので、1つずつ順番に議論を進めたいと思います。資料1-1、最初から順番にいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。また、今日、資料を提供いただいている委員もいらっしゃいますが、ご指名は特にしませんので、説明の必要があれば併せてご発言いただければと思います。皆様の活発な意見交換をお願いできればと思いますので、お一人当たりのご発言はなるべく簡潔にお願いします。
 それでは、資料1-1のこれまでの論点整理のようなものについてです。5つか6つありますが、最初は医師等の人材確保ということで、いままでの議論で何か言い足らないことや補足しておきたいこと、さらに強調したいことがありましたらお願いします。
○西澤委員 その前に、この医療部会の役割を明らかにしていただきたいのですが、資料4にありますとおり、社会保障改革の動向についてということで、いま政府でいろいろ動いております。2頁ですが、これも政府・与党でも検討本部をあつらえており、そこに「社会保障改革に関する有識者検討会」というものもありますし、最後の7頁にありますように、同じ社会保障改革に関するものですが、集中検討会議というものもあります。こういうものと医療部会との関係というか、ここで議論したことがどのようにどこで反映されていくのか、それをはっきりさせていただきたいと思います。
○齋藤部会長 いまのご意見は、ほとんど毎回ありますね。
○中川委員 前回も申し上げたと思いますが、資料4の7頁に「社会保障改革に関する集中検討会議」とありますが、ここで幹事委員に加えて新たに委員を追加しています。こういうメンバーを追加して、議論を改めてすることの意味はどうなのかということと、省内チームということで6頁に医療イノベーションサブチームとありますが、こういうものをどんどん作って、医療部会で検討する項目と同じ項目をさらに議論して、結論を得ていく、それがそのまま閣議決定に持ち込まれると。特に行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会などは、ライフ・イノベーションWGで中間取りまとめを出して、頭越しに閣議決定に持っていかれているのです。これは本医療部会としても大変な問題だと認識すべきだと思います。
 はっきり申し上げて、厚生労働省、特に医政局の影がだんだん薄くなってきていて、こういうメンバーでしっかりと議論しているのは一体どういうことかという意見も、きっとあるのだろうと思うのです。ここで医療部会として何らかの声明なり見解を政府に出すべきではないかと、そういう時期に来ているのではないかと思いますが、委員の皆様にご意見を伺いたいと思います。
○横倉委員 先週、社会保障審議会の本部会が開かれました。その場でも、私はいま西澤、中川両委員から指摘された事項を質問しました。そのときに、最終に社会保障審議会の座長から、いわゆる他のイノベーション会議等々で、医療提供も含めて医療に関する事柄については我々にもちゃんと報告してほしいという発言がありました。それを含めて、いま両名が質問した内容についての厚労省としての見解を聞いておきたい。また、それについては、必要であれば中川委員がご発言されたように、この部会としても何らかの意思表示をすべきではないかと思っております。
○海辺委員 いまのお話に関連するというか、この資料を受け取って資料1-1の題名、「医療提供体制の改革の検討の方向性に関する」という見出しを見たときに、私は意味がわからないなと。これまで何回も申し上げたかと思いますが、同じようなことを毎回繰り返していて、進歩がないというか、第14回のときに配られた関連資料の中に、平成19年に出した「これまでの議論を踏まえた整理の医療施設体系のあり方に関する検討会」というものがあって、そこで医療施設体系のあり方に関してもう検討がなされていて、その報告書も踏まえた上でこの会議があるはずなのに、まだ改革の検討をする、要するに改革をするかどうかを検討する方向性を決めようかどうしようかみたいな会議だと言うのなら、そんなのは待っていられないと。そういう国民のニーズがあるから、頭を飛び越し始めたのだということを、もう少し真剣に反省しなければいけないのではないかと思うのです。先生方のご意見がきちんとまとまって、1つになっていかないからこそ、いつまで経っても改革の検討をしたり、検討会ばかり立ち上がっている現状があって、そのように国民の目に映ってしまっているということを考えた上でご議論いただくことを考えないと、こんなわけのわからないテーマの紙を出されるようなことが繰り返されていたら、ここの部会は意味がないのだろうと思われてしまうと思います。その辺りに関しては、どういったことを国民に対して見せていくのかを意識した会議の運営をしていかないと、この会議自体無駄なのではないかと思われつつあるのではないかと感じます。
○中川委員 論点がずれたような気がしますので、あえて申し上げると、いま海辺委員がおっしゃった、この医療部会の議論が歯がゆいというか、もの足りないから、政府でいろいろな会議を作って一気にやってしまうのだと、国民の目にもそう映るからそのようになってしまうのだというのは、少し違うのではないかと思います。これは政治的な判断でこういう進め方をしているということに対して、医療部会で何らかの声明を出してはどうですか、と皆さんにお聞きしているわけで、その辺のご意見を伺いたいと思います。
○邉見委員 海辺委員のご意見も心情的にはよくわかるのですが、私も中川委員と同じように、我々中央社会保険医療協議会でも、前々回ライフ・イノベーションが中医協まで踏み込んできて、昨日はリハビリテーションの期限打切りとか、調剤の点数は24点に一律化すると。点数まで大きな会議が決めてくると。こちらは下部組織になります。中医協はここの下部組織なのですが、ここでも何も決まっていないことを、一足越しに政務三役とか集中委員会で決めてしまえば、小さい委員会は存在価値がなくなるというか、意味がなくなってしまうわけです。
 そういうことであれば、ロシアや北朝鮮と同じようになってしまう感じがしますし、下からボトムアップでいく、現場の意見が、ここに来ている人はみんな現場の人ですから。そういうことをすると、昨日も申し上げたように、平成18年改定は患者団体、リハビリの打切りをした脳血管障害の方々の中では、打ち切ったあとも10%以上良くなるとか、途中で平成19年に再改定しているのです。平成20年はたくさんの建議やいろいろなものを出しました。また、現場に混乱を招くようなことを現場から離れた人が決めるとそういうことを起こしますので、是非こちらの会から積み上げていって、上部の会で決めていただくようにしないといけないのではないかと思います。
○渡辺委員 私が聞いた話ですから、エビデンスはあまりありませんが、内閣がやっている、あるいは新たに発足させた改革会議は、医療担当者、あるいはユース・ステークホルダー、医師会、病院団体、支払側、患者といった方々を入れないといった発想で作られたと聞いております。つまり、利害団体が対立すると議論が進まないから。ただ、いま邉見先生もおっしゃったように、医療は現場がなければ絶対成り立たないわけです。そういった意味では、この医療部会はすべてのステークホルダーが入っていると思いますので、この会で具体的かつ前向きな、先ほど海辺委員がおっしゃったように、逆に現場を知っているからこそ説得力ある意見を出さないと、現場の声やステークホルダは要らないという方向に持っていかれているのかなと、私は想像しています。そういう意味で良いチャンスなので、現場を知っている皆さんの前向きな意見を出し合って反映させると。そうすべきだと私は考えます。
○加藤委員 渡辺委員の意見に賛成です。中川先生その他の先生方のご意見もよくわかりますが、この場では地道な議論をして、政府が決めたとしても、それと齟齬がないかもしれないし、ここはこことして有識者が集まっているわけですので、地道ではあるけれど、まとめた意見をしっかりと方向性を持ってまとめていくことが、私たちに課せられた職務ではないかと思います。是非、部会長または部会長代理の先生方にきちんとまとめていただいて、先ほど中川先生もおっしゃいましたが、発信するか発信しないかは別として、どこからどう使っても地道に議論して答えられるようなものを持っていくことが必要なのではないかと思います。
○齋藤部会長 事務局に確認です。いままで随分同じような議論をされたのですが、医政局としては、社会保障審議会医療部会の議論をどのように将来の政策に反映させていくといった考えなのか再度伺いたいと思います。
○医政局総務課長 社会保障審議会医療部会は、社会保障審議会のもとに医療提供体制にかかる重要事項を調査・審議する目的で設置されたものです。今回、昨年10月から一連の審議をお願いしているわけですが、以前からお話しているように、今年の6、7月ぐらいを目処に今後の医療提供体制のあり方について、医療部会としての考え方をまとめていただきたいと考えております。それを受けて、平成24年度の同時改定に向けた基本方針の議論が始まると思いますので、そういったところに反映させていくとか、法律やその他制度の改正が必要なものについては、そういったものに反映させていくというスケジュールで考えております。そういうことで、昨年10月にスタートしたわけです。
 いま議論していただいていた社会保障改革に関する現在の一連の検討体制ですが、資料4の3頁に最近の検討経過が出ております。ちょうど医療部会の議論を始めた少し後ぐらいから、「政府・与党社会保障改革検討本部」が設置されて、そこでの議論が始まって、ご覧いただいたような経過で検討が進み、これもかなりペースが速いということです。12月14日に閣議決定をなされ、これを受けて2月5日には「社会保障改革に関する集中検討会議」が設置されたということです。この「社会保障改革に関する集中検討会議」の今後のスケジュールについては、私どもも詳細には承知しておりませんが、いずれにしても12月14日の閣議決定では、平成23年半ばまでにこの改革の成案を得るというスケジュールが設定されておりますので、おそらくかなり速いペースで審議が進んでいくのではないかと思っております。
 部会との関係ですが、私どもとしては最初に申し上げたようなスケジュールで初期の目的を達成することを考えておりますが、並行して新たにこのような検討の体制が進んでいるわけですので、この医療部会でこういった動向についてご報告するとともに、ご議論いただいて、そのご議論の状況も、私どもとして政府内でなるべく反映させる形で取り組んでいきたいと考えております。
○中川委員 その上でお聞きしますが、厚労省医政局として政府内のいろいろな会議で意見を申し述べる機会は、具体的にはどういう場面ですか。
○医政局総務課長 具体的にどういう形になるかは、私どももわかりませんが、おそらく各省からヒアリングみたいなものが設けられれば、そういった場でお話することもあります。また、資料4の7頁にありますように、3の構成のところで、幹事委員として政府側で、議長は内閣総理大臣ですが、厚生労働大臣が幹事委員として入っていますので、当然そういった形での関与はあるということです。
○齋藤部会長 とにかくきちんとした議論をして、政府にあれもやってほしい、これもやってほしいというものばかりではどうしようもないので、ある程度絞って意見がまとまれば、それを厚生労働大臣に強く押していただく道しかないと思いますが、いかがでしょうか。
○西澤委員 大体関係はわかったのですが、筋から言えば、各ステークホルダーが集まっている本部会できちんと議論したものを、政府の検討会に上げるのが筋だと思います。同じような検討事項をそちらのほうが先に結論を出されてしまうと、ここでの議論が、何回も忙しい方が集まった議論が全部無駄になります。そういうことが無駄にならないように、私たちがここでやっている議論を踏まえた上で、政府で議論していただきたいということを是非申し上げたいと思います。
○審議官 少し補足させていただきます。官邸の会議の人選については、どのように選んでいるかは私たちから申し上げることはできないのですが、この資料にありますように、私どもは厚生労働省の社会保障検討本部を中に設けて検討しております。もちろん官邸でも検討しますが、大臣が厚生労働省として案を作ると言っておりますので、作業の中核は私どもになると思っております。向こうがやらないということではなくて、具体的な細かい検討は厚生労働省で行うと考えておりますので、そうすると、当然医療部会の議論を踏まえて私どもも検討すると考えております。
○西澤委員 そのようにしていただければと思いますが、いまの説明を聞いたところではスピードが違って、こちらの結論を出すというか、それよりも早く政府が結論を出してしまうようなタイムスケジュールになっているということで、果たして私たちの意見が本当に反映されるのかという危惧を持ったものですから、質問させていただきました。その辺りは、必ずこちらで議論したことを基にした形でお願いしたいと思います。
○中川委員 私は医政局を責めているわけではなくて、もっと頑張ってほしいと言っているのです。審議官がおっしゃっていることは十分承知の上で申し上げているのです。加藤委員がおっしゃったことは当然で、地道なしっかりした議論をやるのは我々の責務です。しかし、そういう議論が軽んじられているという危惧を申し上げて意見を求めているわけで、それとは全然齟齬はありません。
○齋藤部会長 では、資料に戻って、議論をしていただきたいと思います。資料1-1ですが、例えば医師等の人材確保についてもかなり論点について、処遇改善とか養成、配置について出ておりますが、これについて何か追加のご議論はございますか。
○水田委員 医師の確保の問題ですが、確保については数の問題等で、新設大学の問題などはあまり出なかったと思いますが、よそではやられているような気もしますが、そういうことの前に、いま現実として、私は医師の国家試験の問題をもう少し見直したほうがいいのではないかと思っております。もちろん、国家試験は毎年見直されてはいますが、難しすぎることが本当に必要なのかということです。というのは、毎年1割ぐらい落ちています。その人たちはちゃんと教育を受けているのですから、そういう人たちを落として何年も無駄にするのではなくて、もちろん教育は大事ですが、医師になった後も勉強することが大事なのですから、そこを考えていけば、毎年人数を増やして10年間お金を使って、その人たちがどうなるかわからないような状態に持っていくよりはいいのではないかと思うのです。そういう面でも、国家試験でもほかの委員会があると思いますが、検討していただけたらと思います。
○齋藤部会長 関連して、いかがですか。
○横倉委員 私どもは、先日、医師の教育の問題について1つの提言をしました。いま、4年生が終わる前後でCBT等々を行いますが、そこで医学知識、いわゆる知識を問う試験ではかなり詳しい知識を問われております。そして、5年、6年と臨床実習に入っていくわけですが、水田先生がおっしゃったように、国家試験が非常に微細な点、特に不適切な回答をすると、その回答だけで国家試験がクリアできないという問題がいくつかあるということで、6年目の学生がそういう座学に取られてしまっているのです。そういうことで、実習時間がかなり少なくなっているという点があります。そういうことで、いま水田先生がおっしゃったように、国家試験のあり方をもう一遍よくご検討いただいて、臨床実習を重点とした教育ができるような形に作り直すこともご検討いただければと思っております。
○医事課長 医師国家試験については、4年に1度のサイクルで見直しを行っており、いまちょうど新しい見直しのサイクルに入り、医道審議会の医師分科会に改善の検討委員会を作っていただいて、審議をいただいています。ご指摘いただいたような点も検討の課題として挙がっており、特に卒前教育の問題、国家試験でどこまで到達度を試すのか、さらに2年間の初期臨床研修の段階でどういう到達目標を描くのかということで、一貫した流れの中で国家試験の問題についてもどう改善を図っていったらいいのかということもご検討いただいております。また、この医療部会でのご議論もご紹介しながらご議論いただければと思っております。
○中川委員 横倉委員のお話に追加しますが、日本医師会の提案は、水田委員も指摘されましたが、6年間のうち最後の1、2年は国家試験の勉強に追われるという、非常にまずいことになっているのです。医学部に入ったときからの医学教育のあり方を見直さなければいけないのではないかということを提案しています。大学に入ったとたんに受験勉強のやり直しみたいな一般教養などが残っている所もあるわけですから、そういうことも臨床研修も含めて、一体的な見直しが必要だと思っています。
○相澤委員 現場で大学から卒業してきた人を、私たちは新臨床研修医として教育しているのですが、年々人間としての力が落ちています。患者と患者の家族と、しっかりとしたコミュニケーションが取れない。取れないから、情報が取れない。情報が取れないから何をやるかというと、彼らは考えていくことが一本道なのです。多数のものを考えて、その中から何が重要で何が優先かという選択ができないのです。ですから、昔は、私たちは2カ月、3カ月で勝手にやれと言われていましたが、いまは全くできません。1年かかって、ようやくできるかできないか。それも、人による差がものすごく大きいのです。これはいまさら言ってもしょうがないのですが、これは日本の幼少時からの教育の問題なのです。果たして先生たちのおっしゃるようなやり方で、これが変えられるかどうかということです。基本的な日本の医学教育が、残念ながら臨床医を育てるための医学教育ではなかったのです。研究者を育てるための医学教育で、ずっと来てしまったのです。この基本的な問題の発想を変えないといけないのだろうと思っています。
 もう1つは、どういう医師を育てるかということで、本来いちばん最初に新臨床研修医制度ができたときは、少なくとも2年間で、一般的にはどんな患者が来ても一応診察ができる、判断ができる医師を育てようということで発走したはずです。少なくとも医療の現場では、2年間では足りないのではないかという意見があります。その中で何をやったかというと、そういうことは1年でいいと、あとの1年は専門のことをやりなさいという形に変わってしまったわけです。
 なぜそれが始まったかというと、第一線の現場で必要なのは専門家ではないのです。総合的に診られて、総合的に判断できる医師が第一線にいないと、あとにつながらないのです。これを育てたくて新臨床研修医制度が始まったにもかかわらず、どこかから趣旨変えをしてしまったのです。これは、ある意味においては、さらに地域の医師不足と地域の医療崩壊を生むだろうと、ものすごく危惧をしています。
 これをどうするかということが、医師の供給体制をどうするかということと、教育をどうするかということと、地域の医療をどう構成していくかということに大きく関連するので、とても重要な問題だと思っています。その点を、単に医師を増やすだけではなくて、先ほど言ったように、とりあえず総合的に診られる医師を育てるのだという意思を強烈に持つべきではないかと思います。
○海辺委員 医学部のお話が出たので、国民の立場から言わせていただきますと、そもそも医者に向いている方が入口の段階でスクリーニングできているのかという問題があると思います。もっと言うと、国立大学の医学部はまだ一般人にも入れるかもしれませんが、費用負担の面で、私立大学の医学は普通のサラリーマンの子弟だったら行かれないと思うのです。卒業するまでに2,000万だ3,000万だなどと言われているような世界だと、みんな怖じ気づいて、それなりに優秀で医学をやってみたいと思う方でも、広く入れるようなシステムになっていないと思うのです。そういうところも見直す気があるのだったらあれですが、そうでなかったら根本的に広く向いている人を救うことは、非常に難しいのではないかと感じます。
 もう1点は、医療が高度になっていろいろな命が救えるようになった反面、最終的には亡くなる方の看取りというところで、死に寄り沿うことが医学の中で、すごく重要なポストになってきていると思うのです。しかし治すことばかり専門に学んできた若い医師だと、以前に相澤先生が会議の最中におっしゃっていたかと思うのですが、看取りばかりやっていると疲弊して、辞めて行ってしまうというお話もあったのです。やはり亡くなる方に寄り沿うということも、教育の中で盛り込まないと、治せないときにがっかりしてしまうのではないかと思いました。
○山崎委員 先ほどお話のあった国家試験は、いまは年1回しかやっていません。私が40数年前に受験したときは、年2回やっていました。これだけ地域が疲弊しているわけですから、国家試験の回数を年2回に。医師だけではなくて看護師やOT、PTも含めて、全部年1回になってしまっています。今はOTもPTもすべての職種が足りませんので、春と秋の2回に戻すということも、検討していただきたい。それが1点です。
 それから、地域の医療崩壊というのは、地域の民間病院を中心とした現場だけが崩壊しているのではなくて、実は大学病院自体も、臨床医師研修制度で崩壊を始めているわけです。教官数も減っていますし、学生の地域枠などもあります。学生数は増えているわけですから、教育や診療や研究を大学病院に任せるのならば、大学の教官数を3倍とか4倍に増やさないと、教官が足りない所に押し付けても、教育のレベルは上がらないと思います。その辺もきちんと検討してほしいと思います。
○山本委員 先ほど水田先生のほうから言われた、国家試験が10%落ちる、この落ち方はどうなのかということを考えますと、薬剤師国家試験の合格率はもうちょっと悪いのです。そういった意味で言うと、試験のあり方の問題なのか。そもそも私どもも6年制にして、同じように実務実習をして、結局、最後の6年生の部分は試験対策に追われてしまうという教育のあり方が問題であれば、ここでは医師等を含めた人材の供給の問題ですので、やはり医療関係に行く者の教育をどこがどうコントロールするのか、厚労省なのか文科省なのか、そこの鬩ぎ合いにきたと思うのです。是非その辺も考えて、医師だけではなく、国家試験を必要とする医療職の教育のあり方がどうあるべきか、試験はどうあるべきかということを議論しませんと、単に学校を増やしてもおそらく薬剤師と同じように。来年、私どもも試験があります。6年制になって初めての卒業生が出てくるときに、医師と同じことが起きるのかどうかということも大変疑問ですので、その辺りも検討するのであれば、ご議論願いたいと思います。
○水田委員 国家試験の1割をどうかという意見に関しては、司法試験に比べれば随分いいではないかという意見もありました。1割ぐらい落ちてもいいというお考えの方も、世の中にはいらっしゃるわけです。しかし私は、国家試験そのもののために、いまの医学部は実質5年半勉強していればいいうちで、あとは試験のための特訓などをいろいろやっているけれども、そういうことをする必要があるかどうかなのです。私が言いたいのは、医師というのは一生勉強ですから、それならば仮免制度のようにして、2年間の臨床実習の後にもう一度試験をするとか何かして、妙な試験でないやり方をしたほうがいいのではないかということで、もう少し見直してほしいと言ったわけです。
○齋藤部会長 この会議は、医師育成のための会議ではないので話題を戻したいと思います。何か簡単にお願いします。
○邉見委員 実は私も水田委員の意見に賛成です。地方の自治体病院は、医師が足りなくて困っております。政府・与党とのワーキングチームで、こういうお話をしましたら、やはり新設医大をつくるより先に、国家試験を少し安くしたほうがいいのではないかということでした。地雷問題と言うのですか。踏んだら絶対に駄目というあれを踏んでしまう人が、本当の臨床の場で患者さんを殺してしまうのではないかという。全然大学も行かずにサボッてクラブ活動ばかりしている人が通ったらいけませんが、2回というのにも賛成です。私も9月卒業、10月国家試験組でした。別に3月に落ちたわけではなくて、卒業試験をボイコットしたわけです。やはり実際に困っている所の人のためにもっと国家試験の回数を増やしたり、内容を変えたりして、医学生の負担を減らし、医師を増やす方向がよいと思います。
 コアカリキュラムだけでも、我々のときの全体のカリキュラムの1.5倍以上あると思います。コアだけでものすごい量の勉強です。ですから是非少しぐらい易しくして、心根のいいお医者さんを。もう少し知識はなくてもいいのではないですか。相澤先生もおっしゃったように、人の話が聞けて、病気を治してあげようという心意気のある人を医者にしたらいいのではないでしょうか。
○近藤委員 この1-1の資料についてです。12回目に医師不足の話が出たときに、歯科の現状を簡単にお話いたしました。部会長から、立場を離れた発言というご示唆もありましたが、医療提供の中で、主として歯科の分野で発言するのは私だけですので話します。歯科の受験者数の減少の問題、国家試験の状況というのはご承知のとおり、非常に厳しい状況にあります。そういう観点から医師不足の問題も、長期的には考えていく必要があるのではないかというお話を申し上げたわけです。今回は医師等の養成ということで、「医師等」の中には歯科医師も入っているということで、少し話します。
 食べることの重要性というのは皆さんもご理解いただいており、口腔ケアの重要性は病院の中でも、在宅医療の中でも十分浸透してきているところです。高齢者や要介護者の摂食・咀嚼・嚥下機能、すなわち消化器としての入口の部分を担う、医師もそうだと思いますが、歯科医師も不足しているという状況です。ですから医師養成の中で、あるいは歯科医師養成の中で、そういうものを十分活用するような方策をとることは、医師が生きる道、歯科医師が進むべき道を一つ表す方向になるのではないかと我々は考えております。これには国家試験の問題もありますが、臨床研修や卒後研修、生涯研修も含めてずっと検討していく必要がある問題だと思っています。
 在宅介護の問題では、病院、在宅医療の連携の中で、歯科には歯科衛生士という専門職種もありますので、こういう職種の資質の向上も是非、医療部会の医師等の養成、配置の中でご議論いただきたいと思っております。
○齋藤部会長 それでは医師等の養成はそのぐらいにして、次の地域医療支援センター、あるいは医療従事者間の役割分担の辺りで、何か追加のご意見はありますか。地域医療支援センターをモデル的にやってはどうかというご意見もあったと思うのですが、その辺りはいま、医政局としてはどういうプランですか。
○指導課長 昨年の医療部会でそのようなご意見がありました。また、予算の政務も含めたいろいろなレベルの折衝の中で、財政当局からのご意見とか、いろいろな政策コンテストの中でのご意見などもあり、一挙に47都道府県ではなくて、先行的に15県でやることになりました。その15県の選び方ですけれども、今回は国がある程度関与して、どういう事情の所、状況の所に先行的にやってもらうかを選んでいきたいと考えております。資料にも多少あったかと思いますけれども、医師の偏在の大きい所とか、過疎地域・へき地を抱えている所とか、いくつかのカテゴリーで対象となり得るような県を数県ずつ選んで、そういった中で、かつ、その県としていろいろな関係団体と相談しながら、きちんと取組みができる所を選んでいきたいと考えております。来年度についてはそういう方向で考えています。ただ、その後については当然、ほかの県でもやりたい所が多くありますので、全国的に広めていきたいとは思っております。
○加藤委員 適切な発言かどうかはわかりませんが、チーム医療についてです。現場で見ますと、どうしてもドクターがやる仕事、ナースがやる仕事、コメディカルがやる仕事というように分かれてまいります。また、ドクターの中でも多種のドクターが入り込んでチーム医療をやっているわけです。ここでドクターがやる必要もなく、ナースがやる必要もなくというものがあります。特に電子化が進んできておりますので、メディカルに対する事務員、メディカルクラークの方々の評価を、もう少し高くしていただけますと、ナースもコメディカルもドクターも、各々が担当できる職種に専従できる時間が増えますので、是非そのようなことで方向性を持たせていただきたいと思います。それと私は是非、看護側のご意見もお聞きしたいと思います。
○齋藤(訓)委員 ペーパーに載っておりますので、この会議でも何回も発言しておりますけれども、とにかく少ない人数で患者のニーズにきっちり対応していくという観点で言えば、当然役割分担は進めていくべきです。また、ナースの仕事やドクターの仕事を下で支えていただいている事務職員との連携のあり方も、評価が必要だと思っています。看護のほうもいろいろな書類のやり取りが非常に多くなってきておりますので、そういった意味では医療クラークの活用を、もっともっと広げていってもよろしいのではないかと考えています。
 それから、ドクターでなければいけない仕事に専念していただくには、もっともっと看護でやれることはやっていこうというようになっております。そうなってくると、先ほどの教育の話にも少し出ておりましたように、いまの看護教育でより侵襲性の高いことをやっていくときの基礎教育はどうなのかというのは、当然考えていかなければいけないだろうと思っています。また、山崎委員等からも出ておりましたけれども、命に向き合う職種の基礎教育はどうあるべきかということについては、やはり大きな議論としていかなければいけないのではないかと私は思っています。
○辻本委員 チーム医療ということが、医療現場から盛んに言われるようになって久しいのですけれども、医療を利用・活用する患者は、チームたるものが何なのかがよくわかっていないのも現実です。例えば私どもの電話相談に届く声には、何もかもお医者さんに期待をして、当然ながらその期待を裏切られたという不平不満が、いまだに届いてくるわけです。医療現場ではそれぞれの役割分担が十分におわかりになっているとは思うのですけれども、その力を利用・活用する側の患者に対して、どういう人にはどういうことを期待できるというような啓発・広報も、チーム医療の推進の中に是非加えていただきたいということをお願いしたいと思います。
○相澤委員 チーム医療にとって必要なものは何かといったときに、まず1つは、チームに参加する一人ひとりがプロであることです。しかし日本の医療で本当のプロというのは、どれくらいいるのかというのがまず問題です。2つ目に、プロが集まったときに何が必要かというと、情報の共有化です。そこに情報の共有化システムがあるかどうかです。3つ目に、その中でみんなで話し合って、患者さんに対する目的と目標をちゃんと明確にするカンファレンスが行われているかというと、残念ながら日本のチーム医療の発達がないのはそこなのです。みんなで話し合って目標と目的をちゃんとするということが行われていない。4つ目に、チームとして機能するためには、チームリーダーが必ず必要です。医療が中心のときは医師がチームリーダーになるべきです。ところが急性期の医療をやっていると、そのうちに医療が中心ではなくて、今度は生活にどう移っていくかが中心になるのです。そのときも、そのまま医師がチームリーダーでいるのです。そこでいろいろな問題が起こってくる。
 この4つをいかにうまくやっていくかというのが、チーム医療には絶対に必要なのに、これが残念ながらいずれも解決できないままです。いまの辻本さんのご意見も、家に帰ったら生活はどうするのか、どうやっていくのかというところで、はっきり言って医師は全く能力がありません。そのとき、チームリーダーは看護師に代わるべきです。これがうまくできていない。これがいまの日本のチーム医療がうまくいっていない現状で、これをどうするかをみんなで真剣に考える。私はそういう時期ではないかと思います。「チーム医療」と言うのは易しいけれども、何が足りなくて何をすべきかを明確にすべきだと思っております。
○山崎委員 いま「チーム医療」という言葉が使われているわけですが、診療報酬上の評価というのは、医師と看護師だけで評価されています。「チーム医療」と言うならば、チーム医療のコメディカルを含めた配置で、診療報酬を評価するような方向に変えていかないといけません。看護師さんが患者さん何人に1人だからいくら払うというような、看護基準でやっていること自体が変です。これを人員配置基準に変えて、やはりチーム医療をきちんと評価すべきだと思います。
○齋藤部会長 院内で努力して自分たちでできることと、経済的なインセンティブがないとシステムとして動かないことと両方ありますよね。
○近藤委員 歯科の立場から言いますと、「専門的口腔ケア」の果たす役割という意味でチーム医療のことを、いままで何回かこの場で発言したわけですが、13回の部会で私から、いま「病院でのチーム医療における歯科のかかわりに関する調査」を実施している、という話をいたしました。結果が出ればまたご報告したいと思いますが、いま概要が出ておりますので、簡単にお話いたします。
 平成22年10月時点の8,000余の病院に、病院協会等にもご了解をいただいて調査票を配付し、約30%の病院から回答をいただいております。その結果、全体の約9割の病院において、何らかのチーム医療を実施しているということでした。病院にあるチーム医療でいちばん多いのが褥瘡、次いで感染制御、NST、摂食嚥下であり、我々の口腔ケアが約20%弱でしたが、口腔ケアのチーム医療が現実に行われているということです。チーム医療の重要性というのは、患者さん中心の医療という意味では非常に重要です。多職種の医療や専門職が連携してチーム医療を行うことで、患者さんのQOLの向上に必ずつながっていくというのが基本的な考え方です。各病院からの調査結果の中身を見ても、非常に有効に活用されている病院があります。非常に重要なチーム医療をさらに推進していかなければならないと思っておりますので、よろしくお願いします。
○横倉委員 いま先生方がおっしゃるとおり、チーム医療は医療現場において非常に重要です。これをカチカチにして、我々はこれをする、あなたはこれをしなさいということでは、チーム医療はできませんよね。先ほど水田先生がおっしゃったけれども、これには教育も絡むわけです。お互いにそれぞれの専門性を発揮しながら、患者さんのために何がやれるかというソフトな連携をどうつくり上げていくか、そのためにどういう教育をしていくべきかという観点が非常に重要だと思っております。それだけは一言申し上げます。
○齋藤部会長 それでは「医療提供施設の機能」のほうにいきます。いかがでしょうか。4、5、6頁です。
○横倉委員 提供施設の件です。いわゆる介護療養病床の廃止を6年間延長するという方針が決まったわけですが、これが将来の問題も含めてどうあるべきかということと、2007年の医療法改正の際に介護療養病床の廃止に併せて、療養病床の看護配置基準が6対1から4対1に引き上げられております。そして経過措置として、まだ6対1でもいいということになっているのです。この経過措置が、介護療養病床の廃止の予定日である2012年3月31日をもって終了すると書かれているわけです。そうなりますと、介護療養病床の廃止を延期することになった場合、経過措置も同様の取扱いをしていただかないと、また混乱が起きるのではないかと思います。もちろんそれだけの介護職員が集められればいいのですが、なかなか集められない所もあろうかと思いますので、その点について事務局には、よろしくご検討をお願いしておきたいと思います。
○辻本委員 医療提供体制のところでお話すべきかどうか迷っているのです。今回のまとめの中に触れられていないのが、検診率のアップについてです。私自身ががんになってしまって、いまさらという気もするのですけれども、企業の方たちは、勤務時間や有給で健診をするという優遇措置が受けられるのです。しかし一般的な事業者たちや中小企業で働く人は平日には健診が受けられないのです。やはり日曜とか、土曜の午後とか、祭日に健診が受けられたら、がんの早期発見の問題にもつながっていきます。国民の啓発の項に入れていただくべきか、提供体制の課題に入れていただくべきか。やはり土・日・祝日の診療体制をご提供いただきたく、思い切ってここで発言させていただきました。韓国などでは、市中の広告なども含めて国民に非常にアピールしているのです。やはり日本はまだまだ努力が足りないと思いますし、受け皿ができていないということが、大きなマイナス要因になっていると思います。その辺りも是非触れていただきたいということをお願いしたいと思います。
○山崎委員 病院病床機能の所です。平均在院日数の計算方式を書いてほしいという提案をしたのですが、あの話はどうなっているのでしょうか。外国の場合は平均在院日数を計算するときに、急性期の病床の平均在院日数しか計算しません。要するに長期入院というのは、外国の病院ではあり得ないわけです。急性期の1週間、10日、30日という入院の制限内で、平均在院日数が何日という計算をしています。
 いま日本の場合、統合失調症の長期入院の患者さんのピークが、大体60歳ぐらいにあります。こういう患者さんが30年という長期で入院しています。そうすると、その30年分が全部平均在院日数の計算に入ってしまいます。したがって、長期入院の患者さんがあと20年ぐらい経って亡くならなければ、精神科の病床の平均在院日数は、どんなことをやっても減りません。精神科の平均在院日数を計算するのだったら、急性期のスーパー救急とか急性期治療病棟という、本当に急性期に特化した平均在院日数を精神科の平均在院日数というようにしないと、一般国民に誤解を与えてしまうと思います。その辺をよろしくお願いしたいと思います。
○高智委員 資料1-1の5頁から6頁にかけて、診療所の問題が出ております。有床診療所については、だいぶ色濃い議論があったかと思います。複数の方から意見が出ているわけで、これについては全面的に賛成です。一方、大勢を占める一般診療所の無床診療所について申し上げたいと思います。
 資料1-1の6頁に示されているように、これまでの議論では有床診療所に限定された見解や意見が集中いたしました。重ねて申し上げますが、有床診療所の存在意義、果たす役割、機能について理解を深めておくことは、委員の複数の方から意見が出ました。大切なことであって、また必要なことであると思っております。国民、なかんずく地域の住民、あるいは患者の視点から見渡して、日常最も密接な関係にあるのが無床診療所ではないかと改めて思っております。一般診療所が10万弱の現状において、有床診療所が減少する一方、無床診療所は増加を続けており、約8万8,000施設と、全体の9割近くを占めております。そういう意味でもこの際、改めて地域の高齢化あるいは安心して子育てができる環境等に対応できる無床診療所のあり方をきちんと策定しておかなければならないのではないかと考えます。その際、古くて新しい政策課題である病診の機能分化あるいは病診連携、さらには介護保険制度に関連する事象との連携・調整に係る課題についても、念頭に置いた上での対応が不可欠だと思っております。
 私どもとしてはこれまで被用者、サラリーマンだった方々が退職後の居住地において、誰もがいつでも安心・安全で必要な医療サービスが受けられるように、周囲の環境を早急に整えることが肝要と考えております。加えて限りある医療資源の有効活用が、従前以上に厳しく求められてくるとも思っております。
 これまでも大学病院の外来診療のあり方の見直し、総合診療医の育成、適正配置、医学部における国民皆保険の要素を加味した教育の展開等について意見を申し上げてきましたが、有床・無床診療所全体のあり方を模索する中で、特に無床診療所のあり方を広範・多岐に渡り、かつ地域住民と患者の満足度を上げる方向で検討を急ぐべきであると考えております。そのような考え方について、是非ともご考慮いただきたいと思います。
○小島委員 私も高智委員が指摘された、地域における診療所の役割ということは、医療提供体制の中でももう一度、きちんと位置づけを再確認する必要があると思っております。今日配られた資料2にも、いくつか論点が出されております。これからの地域医療を担うには、当然介護との連携ということがあります。これも事務局から指摘されましたように、地域包括ケアという観点から言いますと、診療所の担う役割というのも、極めて重要だと思っております。そういう意味では医学部の医師教育の問題もあり、総合医といった医師もきちんと位置づけしていく。そういう医師がまさに地域の医療や診療所等で、医療と介護をつないでいく役割を果たすのではないかと思います。そこを改めて医療提供体制の中で、きちんと位置づける必要があるだろうと思っております。いま高智委員が指摘されたような観点が、極めて重要な視点だと私も感じております。
○横倉委員 いま高智委員と小島委員からあった診療所のあり方について、しっかり検討すべきということについては、私どもも賛成です。特に大都市の診療所のあり方、それと、最近、いわゆる山間部の診療所が激減し出しましたので、介護を含めて、地域の医療をどう支えていくかということについては、やはりしっかり議論をしておかなければいけない。特に眼科、耳鼻科等々の特殊な診療科、専門性の高い診療所のあり方と、いわゆる内科系と言われるような、わりと幅の広い診療分野を持つ診療所のあり方について、本来どういう機能であるべきかということを、特に大病院に外来が集中して、病院勤務医の疲弊の1つの原因にもなっているわけですので、それを含めた検討が必要かと思っております。是非、ここでご議論していただければと思っております。
○相澤委員 診療所も含めての意見を申し上げます。いま外来の問題が挙がりました。西澤先生や邉見先生の所はどうか知りませんが、私の長野県をはじめ、数県の急性期病院がいま悲鳴を挙げています。なぜかというと、高齢者の入院がものすごく多いのです。ほぼ6、7割ぐらいが高齢者です。そういう方々はいろいろな疾病を持っていて、その疾病には治らないものがあります。その後、どうしても治療の継続が必要になると、どこかに移っていただかなければならないのですが、残念ながら、いまは糞詰まり状況というか、行く先がないのです。急性期から行く亜急性期病棟や回復期病棟がなくて、その先の療養病床もいっぱいで、その先の自宅も目一杯というのがいまの現状です。ですから、それがどんどん急性期病院のほうに押し寄せてきています。
 急性期病院は、救急の患者さんを受けて治療はするのですが、その後は行く先がなくて困ってしまっているというのが現状です。そうなったときに今の話にあったように、診療所の先生方が在宅でどれだけ診るかということになります。在宅というのはご自分の家も含めてですけれども、一人暮らしや老々介護のご家庭が増えてきて、本当に家には帰れないといったときに、住む場所の提供と在宅の診療所の医療というのが合体しないと。ある程度は患者さんに帰ってもらわないと、療養型の病院もパンクしてしまいますし、亜急性期の病院もパンク、回復期のリハもパンク、急性期の病院もパンクしてしまいます。高齢者が増えると、今後、いま以上に地方の医療崩壊が加速的に起こってくるのではないでしょうか。この問題を解決しないと今後、私は社会保障以前の問題が起こってくるのではないかということで、私はものすごい危機感を持っています。ですから、それを議論していただきたいと思います。
○齋藤部会長 いまのような問題を解決するには、何か方法はあるのですか。厚労省の施策などによらないと、解決できないのではないですか。
○相澤委員 1つは医療資源、要するにお金が限られている中で、たぶん国交省が中心にやっていると思うのですが、お年寄りが住む住宅をたくさん造っていこうと。そして訪問看護や訪問リハビリ、在宅支援診療所の先生方の往診でそこを支えていくというのが、私はいちばん効率的というか、あまりお金がかからないやり方ができるだろうと思います。例えば特別養護老人ホームに入りますと、大体1カ月10万円のお金が必要になります。ご自分で出さなければいけません。今なぜ退院しないかというと、高額療養費で上が切られますから、入院していたほうが安いのです。そうすると、今のこの経済情勢で誰も帰る人などいません。1カ月2万円払うか払わないかは、ものすごく大きな話なのです。
 ですから、それを何とか解決しつつ、在宅に行って、在宅を診療所の先生と訪問看護と訪問介護で支えていき、最期に行き着く先、生活の現場の中で安らかに天寿を全うするということを日本の医療の基本的概念にしていけば、もっともっとスムーズな流れがつくれて、たぶん今のベッド数でも余るぐらいのことができるのではないかと私は思っています。そういう数字的な検討も含めてやっていただくと、たぶんもっと違った姿の社会保障のあり方が見えてくるのではないかと思います。
○西澤委員 いまの相澤先生の意見とほとんど全く同じです。いままでは医療の議論をしたときに、やはり救急・急性期が大事だということで、どうしてもそこの議論ばかりしてしまいました。しかしその先がしっかりしていないと駄目なのです。その議論がされていなかったし、そこを重要視していなかった。例えば診療報酬でも、救急・急性期をいじれば、勤務医の負担は軽減すると思ったのですが、実は逆で、その先の所を整備しなければ、うまくいかないということだったのです。そのバランスをどうするかです。
 いま大事なのは国民、特に高齢者が安心して生活できる基盤だと思います。これは医療と介護だけではありません。ほかのことも含めて、そういう基盤がしっかりあることが必要だと思います。その中で社会保障としての医療・介護・福祉がどうあるべきかを議論して、そこを整備するということです。それで安心できれば、やはり高齢者は家にいようという気になります。自宅でなくてもいいのです。居住系施設でもいいのです。そこに私たちがどのようなサービスを提供していくかです。今日の後のテーマになりますが、在宅医療、介護をどうするかという議論をするべきだと思います。そこがしっかりして、初めて急性期あるいは病院の機能分担、医療機関の機能分担の話になります。
 入院についても、相澤先生の病院のような高度な医療をやっている病院は、それが必要な人だけしか行かないようなシステムで、それ以外の方の為にもっとふさわしい施設をつくると。その先に外来があって、在宅医療がある。そういう総合的な議論が必要だと思います。ここは医政局ということで、どちらかというと医療提供だけの議論ですが、診療報酬も関係してくれば保険局も関係します。また、そこには当然健康診断なども絡むので健康局も関係します。そして介護は老健局です。そういう辺りの横断的な議論をしないと、うまくいかないと思っています。そういうこともここで発信していただきたいし、ここで何かの議論をするときには救急・急性期から在宅までのことを、私も含めて各委員が全体図を描きながら、議論していくべきだと思っています。
○山崎委員 人員配置標準については10年来、いろいろな検討会や審議会で、3回か4回やりました。そのたびに繰越案件になっております。3年前に当時の医政局の二川総務課長が、「二川原案」というのを作って、見直しについてこういう方程式でどうかという提案がありました。病院団体はこれを了解したのですが、当時の日本医師会の執行部の了解が頂戴できず、そのままになったわけです。今回、医療部会で新しい方式について検討したらどうかという提案をさせていただいたので、新しい計算方式を検討する検討部会というものを、新たにつくっていただきたいと思います。
○齋藤部会長 いまの山崎委員の発言が6頁にあるのですが、40対1をもっと厳しくして、30対1とか20対1にするのですか。
○山崎委員 いや、40対1というのは、現在は外来患者40人に対して1人の外来医師を配置させるという患者数で考えているのですが、二川原案というのは、1人のドクターが外来に勤務する時間と、入院する患者を担当する時間数で勤務時間を割り振ろうというものです。患者数ではなくて、勤務時間で計算したらどうかという案を出してきたのです。個人で出してきたのではないと思うので、当時の医政局の執行部の話として、こういうものでいいのではないかという原案があったはずです。
○齋藤部会長 それは医師不足を解決するための案ですか。医師の労働過重を楽にする、解決するための案ですか。どちらですか。
○山崎委員 医師の労働過重を減らすことにもなりますし、ここにも書きましたように、昭和23年から60数年間、計算方式が変わっていないということ自体がおかしいと思います。当時はまだGHQ統治下で作られたルールですから、そのままの計算方式で今もやっているというのがおかしいと思います。現状に合った計算方式はどうしたらいいかというのを検討していただきたい。
○齋藤部会長 事務局、何か答えられますか。
○総務課長 いま山崎委員がおっしゃったような議論の経過があったとは聞いています。ただ、医政局としてこの改正案をまとめたという経過はありません。先般、横倉委員から日本医師会と4病協のお名前だったと記憶しておりますが、配置標準について検討すべしというご提案をいただきました。それはここにも反映されていると思います。これから病院病床の機能分化、あるいは連携の議論を深めていただく段階だと思っております。そういう中でこの議論をどういう形で審議するかというのは、部会長ともよくご相談したいと思います。そういう課題だと認識しております。
○山本委員 その際、医師ももちろんそうですけれども、できれば他の医療職についても。先ほどのチーム医療の話にもありましたように、それぞれの専門職が専門的な知識を発揮してチームを組んでいくということが、齋藤委員からのご意見にありましたし、あるいは辻本委員からは、患者からは誰が専門家かなかなか分からないというご意見がありました。それには人が足りないという部分もありましょうし、出て行けない部分もあります。私ども薬剤師で言えば70人に1人ですから、看護師の7対1の10分の1しかいないわけです。そういうことを考えますと、一般病床がそうですので、さらに精神病棟はもっと数が多くなりますから、もしそうした議論をするのであれば、医療職全体として一体どういうスタッフが要るかという論点で議論をしませんと、たぶん医師や看護師にだけ負担がかかってしまうようなことになりかねません。ですから、それも含めて議論を進めていただきたいと思います。
○齋藤部会長 それでは7頁の「在宅医療・連携」に行きたいと思います。
○小野委員 訪問看護を推進している立場で、若干申し上げたいと思います。在宅医療では医療と介護の垣根がほとんどない形で、一体的に提供する場合が非常に多いわけです。そのため、在宅医療に関する事項については、医療も介護もあまり区別がつかない状況ですので、包括的な体系が取れないでしょうか。そのほうがより効果的なサービスが可能になるのではないかと思っております。ご検討をお願い申し上げたいと思います。
○小島委員 先ほど診療所のところで発言をしましたが、在宅医療のところで、今日の資料2でも論点がいくつか出されております。
○齋藤部会長 ちょっと待ってください。いま小野委員が言われたことについて何かありますか。
○渡辺委員 小野委員のおっしゃることに賛成です。後の資料2にもありますが、訪問看護ステーションは平成12年の介護保険からぐんと伸びたけれども、それ以降は横ばいで、利用者も減っていて横ばいです。昨日、たまたま訪問看護に関するシンポジウムがあって、医療に関してしか要らないのではないかという意見が随分出ました。訪問看護をやっている方ご自身からも、介護のほうは要らないのではないかという意見が出ました。つまり、その境い目がはっきりしないのだったら、医療のほうに特化すべきではないかということです。厚労省の資料にはあるけれども、果たして利用者はどちらを利用しているかということを、もうちょっと精密にしないと、訪問看護ステーションあるいは訪問看護のあり方がはっきりしません。つまり私は、包括的にやるべきということには賛成です。
○相澤委員 訪問介護と訪問看護では、お金が圧倒的に全然違います。訪問介護は安いのです。そうすると、私たちは訪問看護が必要だと思っていても、患者さんが「先生、高いから訪問介護にしてください」と言う。これは事実です。1カ月に数万円違うのですよ。いまの経済情勢で数万円払ってどちらに行くかといったら、私は患者さんの選択が正しいと思うのです。訪問看護が必要な人はいます。例えば呼吸器が付いているとか、ものすごい褥瘡があるとか、そういう方は絶対に必要です。ですから、うまくそれを使い分けていくことが、少ない医療資源の中でサービスをどう高くするか、非常に重要なことであると思っています。
 ただ、地域でプロがみんなで力を合わせて、1人の患者さんに最高のサービスをするとき、私は地域のチーム医療だと思うのです。地域のチーム医療をするときに必要なのは、リーダーです。いまリーダーがいないのです。みんなが勝手に集まって勝手なことをやる。語弊を恐れずに言うならば、烏合の衆の集まりです。これは非常に効率が悪い。めちゃくちゃ効率が悪い。誰がリーダーになってやるかということを、やはり明確にすべきです。それによってそれぞれの持っている機能を活かして、地域チーム医療をいかに構築していくかというのが、いかにある程度の値段でしっかりしたサービスを提供するかというところにいくのだろうと、私は思っています。それをどう構築するかを、本当はみんなで議論していっていただきたいと思います。
○樋口委員 私も小野町長がおっしゃったように、生活者と言いますか、例えば私が在宅で療養しているとしたら、ここでは医療の提供という話になっていますけれども、医療と介護が一緒になって支えてもらいたい。相澤さんがおっしゃったように、一種のチーム医療というか、結局のところはチームケアなのです。そういう体制を取ってもらえないだろうかという話になります。医政局の方から発言してもらえればいいと思いますが、法律的な壁があります。やはり介護の専門職は医療者ではないので、医療的ケアはやってはいけないという建て前でずっとやってきたわけです。そういうものだと、総合的な何とかという話が非常にしにくくなります。それについては見直しの動きもあるという話なので、そういうことも真正面から取り上げざるを得ないと私は考えております。とにかく、そういう方向で物事を進めていってくださったらありがたいと思っております。
○日野委員(加納参考人) 訪問看護もそうですが、在宅をバックアップするのに先ほどから救急の問題で、一つ発言したいと思ったのです。今日の予算の所を見ても、救命センター等の予算しか出ていないのです。実際に救急車が年間500万件ある中で、救命センターに行っているのは1割弱です。残りの9割は二次救急という所へ行っています。先ほど相澤先生からお話があったように、高齢者の救急もしっかり診ているのは二次救急の所です。そこの所をもうちょっと元気にするような施策がないと、在宅の24時間のバックアップもできないし、いざというとき、高齢者の面倒を見るのはどこかということをもうちょっと観点を変えて見ていただきたいと思います。
 「救急」という言葉で言ってしまいますと、すぐに救命センターです。私は、救急と救命は分けるべきかと思います。高次の救急が救命であって、救急というのはやはり一般的に我々が24時間、いろいろな形で受けている二次救急をもっと認識していただいて、そこに予算を付けていただきたい。そこには地域一般病棟とか、いろいろな意味で言われている民間病院を中心とする中小病院も含まれているわけです。そこを元気にすることが在宅も含めて、日本の今後の高齢者の社会をしっかりと守っていく体制づくりではないかと思っています。
○齋藤(訓)委員 いろいろな委員からもご指摘のように、訪問看護は伸び悩み、経営基盤が弱い、人の確保が非常に難しい、介護保険と医療保険の両方に跨るサービスなので、訪問看護事業所の管理者がかなりしっかりしたマネージメントをしていかないと、いろいろな制度間に齟齬があって、非常に使いにくいのです。今度、同時改定がありますから、是非、制度間の齟齬は少しずつなくして使っていただけるようにしたい。
 介護保険のほうは、どうしてもケアプランの状況に非常に左右されていくことがあって、ケアプランを見ていても、本来だったら訪問看護が必要なのに入れられていない、あるいは支給限度額の問題で、家事サービスにかなりのことを要求して、限度額を超えていくので使用が難しいといった、いろいろな問題があります。やはり訪問看護をもっともっと広げていく、あるいは必要な人に必要なだけ入られるようにするには、今後どうしていったらいいかということは、私は是非議論が必要だと考えています。
 もっと深刻なのは、これからどんどん医療依存度の高い方々、あるいは高齢の方が地域にいくわけです。相澤先生がご指摘のように、療養もリハもどこもかしこもいっぱいと言ったときに、いまはまだ家族の介護力を前提としながらのサービス設計になっています。これからは独居も老々も増えていきますので、家族の介護はないということを前提にしたサービス設計をしていかない限り、いつまで経ってもいまの地域医療の疲弊は解決されていかないだろうと思います。とりわけ大事なのは、地域で働く訪問看護師の確保がなかなか難しい状態だということです。閉じたりしていますので、離職も15%にのぼっています。まだ3万人弱しかいないところで15%も辞めていくという話は、とんでもない話です。処遇改善も含めてどうあるべきかということは、是非議論すべきだと思います。
 それから、資料2で触れられるかと思うのですが、急性期の医療が終わって生活に移っていくときに、退院調整の機能がうまく発揮できるかどうかによって、かなり違ってくるだろうと思います。今日の資料からは全く抜けておりますけれども、平成20年度に病院の機能に退院調整部門というのをつくって、地域とちゃんと連携をしなさいということを診療報酬に付けています。しかし実際に退院調整部門を付けている所は、大きな病院でもまだ5割程という状況です。
 病棟のナースが代わりにそれを担っているとか、ほかの部門がやっているというようなこともあるかと思いますが、退院調整が、退院へ向かっての支援が必要かどうか、調整が必要かどうかのアセスメントを入院から大体2日までの間に行って、そして、治療が終わったら家でこういう生活になりますよ、体の状況は治療前と治療後とこういうふうに変わりますよということを家族や患者にきちんとイメージさせて、そして。
○齋藤部会長 なるべく簡潔にお願いします。
○齋藤(訓)委員 はい。移っていくという調整の機能を強化していかないとなかなか。おそらくコーディネーターがそこになるのだろうと思いますので、そこの議論も是非評価も必要だと思っています。
○小島委員 簡潔に2点ほど。1点目はまさにこれから地域包括ケアを進めるに当たっての医療と介護の連携。小野委員が指摘されたような在宅看護に対する、そこをどっちで、報酬として、診療報酬でみるか介護報酬でみるか、そこは一緒のことを検討しているということを指摘されました。まさに、介護保険がスタートして10年経ちましたので、改めてそこのところを検討する必要があるのだろうというのが1点と。
 2つ目には、相澤委員が指摘された、最後は、在宅医療と言っていますが、そこにこれから高齢単身者が増えるということ。そういう住宅というような居場所の問題まで含めないとまさに地域医療、在宅医療というのは支えられないという話になりますので、この医療部会が住宅、居住の問題を直接的には検討するわけではないと思いますが、やはりそこまで視野に入れないと地域医療、在宅医療というのはこれから担えないと思います。改めて住宅問題というのは医療なり社会保障の視点からきちんと位置づけし直す。直近では国交省と厚労省が連携を図って進めておりますが、そういう視点も進めていくということが必要ではないかと改めて強調したいと思います。
○海辺委員 2点ほど申し上げたいのです。まず資料2の4頁の図を見ていたときには、在宅療養支援診療所の実績というようなものがあったときに、平成18年で9,434件から平成22年までで1万2,487件まで増えていますが、やっている所が、1万661人が患者さんである、そして5,833人が亡くなった方であるという理解でよろしいのですよね。違うのですか。
○企画官 診療所の数です。
○海辺委員 では、この亡くなった数ではなくて1人以上を看ている数ということなのですね。
○企画官 はい。1カ所で数人の方を看ている診療所もあれば、1人という所もあります。
○海辺委員 この半数は看取りまではやっていないという理解でよろしいのでしょうか。
○企画官 ええ、看取りの実績はなかったということになります。
○海辺委員 何か、平成18年からこういうのがあるのに機能していないというようなことだとしたらこれを、要するに、この制度上のどういうところに問題があって機能しないのかというようなことも考えないと、みんなが「在宅の看取り、大事だよね」というような合意には達していても、機能するようにはならないのではないかと感じました。
 あと、訪問看護などの場合には、要するに、私どもの住んでいるような都市部だと、対象患者さんがたくさんいるという点ではペイするかもしれませんが、住居が非常に狭かったりするので療養のベッドを入れるのが大変だというような問題があったり。かと思うと、今度は過疎地域だと、おうちは何とか広いかもしれなくても、そこの訪問看護ステーションや診療所がペイするためにはこのエリアに対象患者さんが何人以上いないとペイしないというような問題もあるように聞いておりますので、そういうところも細かく見直していただかないと駄目なのではないかと思いました。何か問題がわかっているところに関しては誰がいつまでにどのようにやるのかというような話もセットでやらないと、いつまで経ってもまた同じお話なのかなという気がいたしました。
○尾形委員 前回休んだので在宅医療について1点だけ申し上げたいと思います。論点のいちばん最初の所で医療計画での位置づけが問題提起されていますが、在宅というのはたぶん4疾病5事業と並ぶ非常に重要な位置づけになっているはずなのですが、ある意味では4疾病5事業が非常に強調された反動で、やや、医療計画の中では印象が薄くなっているように思います。そういう意味ではやはり今回の見直しの中で、ここに書いてあるように、数値目標を含めて医療計画の中での位置づけを拡充すべきだと思います。その際の数値目標として在宅のアウトカムの指標というのはなかなか難しいのではないかと思いますが、ストラクチャーやプロセス、あるいは、齋藤委員のご発言の中に在宅の看取り数というのがありますが、アウトプットに相当するような指標であればある程度設定が可能なのではないかと思います。
○大西委員 在宅医療について、資料2の11頁で、本市の属しております香川県が本当に断トツで訪問看護利用実人数が最下位で、長野県さんの4分の1というような状況です。これは近似相関線からも全く離れているので、この特殊要因がたぶんあるのだろうと思うのですが、それは調べたいと思います。いずれにしても、香川県におきましてはそこの在宅看護のサービスが十分に提供されていないということかと思っております。そういう意味で、在宅医療を志している診療医の方はおられるのですが、いざ在宅療養支援診療所ということになろうとしますと、24時間の往診体制みたいなのをとらなければいけないわけです。そうなりますと、医師1人とか2人ではほとんど提供不可能ということになるのだと思います。そういう意味でも、在宅医療の分野でも、やはりチーム医療あるいは病診連携をきちんととった上で、その地域としてそういうサービス供給体制をきちんと整えるということがいちばん大事なのではないかと思っております。
 また、先ほど小野町長さんから言われましたように、やはり在宅介護のほうと看護のほうも、これは、地域に行きましたら対象者はほとんど同じですので、それの総合的なシステムですね、密接な連携を今以上にとれるような誘導策というのを是非とも考えていただきたい。平成23年度の厚生労働省の新規事業で在宅医療の推進が1億ぐらい付けられておりますので、こういう中でそういう地域でのケアをきちんと総合的にできるような体制の構築についての誘導策を是非推進していただきたいと思っております。
○相澤委員 すみません、現場の悲鳴を聞いていただけますか。
○齋藤部会長 はい。どうぞ。
○相澤委員 形をつくってもなかなかうまくいきません。理由は、アンケートをとりますと大体、80%くらいの方でしたっけ、ご自宅で亡くなりたいとおっしゃいますし、ご家族の方もそうしたいとおっしゃるのです。そして、病院から退院したときは「ああ、いいですよ、最期まで家で看取ります」とおっしゃるのです。ところが、だんだん具合が悪くなってきてぜいぜい言いはじめたり顔色が悪くなると、いくら往診して「まあ、大丈夫だからここで静かに看取りましょう」と言っても病院に連れてきてしまうのです。しかも、救急車で来てしまうのです。これが地方の病院の悲鳴です。何を言いたいかと言うと、ご家族の方が家で死ぬ人を見たことがないのです。
 昔そうだったのですが、病院でお亡くなりになるという状況になってくるとご家族の方に病室の外に出てもらって、病室の中で医者が一生懸命にやっていたわけです、こうやって。それで「お亡くなりになりました」と、こうやっていたわけです。だから、死んでいくのがどういう過程なのかわからないからちょっとしたことでも不安なのです。不安になると、すぐ病院に電話を掛けるのです。先ほどの先生の話ではないですが、どこに駆け込むかと言うと、いちばん都合がいいのは二次病院なのです。二次病院に救急車で駆け込む。これが今の日本の医療に非常に問題点を起こしている。何を言いたいかと言うと、やはり在宅をやっていくには国民を巻き込まなければいけないのです。巻き込むために何をやるかと言うと、行政の方々もいらっしゃいますが、行政も含めて、我々医療関係者も含めて、やはりその巻き込む努力というのをどう構築していくかが、おそらく先ほど言った在宅の医療をどううまくやっていくかということのものすごいキーであるのにもかかわらず、それに関しての議論や方向性はどこにもない、というのが地方の病院の悲鳴です。
○横倉委員 相澤先生が言われた地方の現状はそのとおりなのです。これを解決するには、やはり連携体制をいかに上手にソフトにつくり上げるかということです。いくら仕組みだけを提示しても、これは無理な、やはり人間・人間ですから。そこのところでどうつくり上げていくか、これはまた我々地域の医師会の役割であろうと思っています。
○山本委員 在宅に関して資料を出しておりますので、簡単にご説明だけさせていただきます。地域の中の薬剤師、薬局のマンパワーにつきましては事務局資料2の15、16頁で十分にご説明がありますが、実は、実態として事がなかなか進んでいないというのがむしろ訪問看護以上に大変な問題です。15頁の資料をご覧になりましても、訪問ができる薬局はかなり数があります。そうした意味では対応が可能なのですが、資料の最初の頁を開いていただきますと、まずその薬の管理が必要ですよという地域、これは居住向けの調査ですが、社会保障審議会のほうに出た資料ですが、やはり薬の管理が必要だという方がかなり多い。
 先ほど相澤先生がその地域で誰がリーダーになるんだとお話になったときに、私どもは全体の医療のリーダーにはなりきれませんが、少なくとも薬に関してはリーダーになりきれるはずです。そうした意味からすると、次の2頁目にあるように、かなりの数のスタッフが在宅へ仕事をしに行っています。例えば2人以上、あるいは3人、4人、5人、6人、10人と、訪問をしている薬局にはスタッフがたぶんたくさん必要なのだろう、しかし、実態はなかなかそうなっていないというのが15頁の資料に載っております。
 その上で、例えば退院時の共同指導料、これは診療報酬上でも評価されていますが、あまり行われていないというのは、先ほどからありますように、これは医療事務が、皆さん一斉に集まらないと仕事ができない。では、それだけの時間なり人の余裕があるかと言うと、これも、相澤先生がおっしゃっていたようになかなかそうはいかないところがあります。そういった部分を考えてみて、実際、薬局への訪問依頼は医師から来ることが最も多いわけですが、実は薬剤師が見つけるものもやはり1割、2割程度ありますので、そうしたところをどう評価するかというのは、最後の資料ですが、現在、訪問薬剤管理ができますのは、Aのパターン以外には診療報酬上の評価が全くありません。B、C、D、どのルートを通っても必ずAに戻って訪問が始まります。
 したがって、先ほど来、介護支援専門員あるいは他の職種の方々が患者さんのお宅を訪問されて薬の問題がある、もちろん薬剤師も届けますが、そうしたときに、薬に関して言えば、その薬剤師が薬剤に関する問題をとりまとめて、医師に伝える。そういった連携体制を組むような仕組みをきちんと組んでいかないと、相変わらず訪問の部分で薬がいつも忘れられてしまって極めて危険な状態のままで、相変わらず、私の提出資料のいちばん最初の頁のように、薬の管理が必要だというところだけが残ってしまうとなります。是非これから、医療計画もそうですが、やはり計画を立てていく、あるいは方針を示す中に薬剤師なり薬局の位置づけが明確に書かれていないと参加がしにくいということがありますので、是非その辺りも念頭に置きながら議論を進めていただきたいと存じます。
○日野委員(加納参考人) 先ほどの相澤先生の追加なのですが。先ほども申しましたように、在宅医療はいま、実は二次救急が一生懸命に支えているのです。二次救急に関しては、先ほども申しましたように、救急医療に関する診療報酬というのは救命センター、いわゆる三次救急、高度の救急にしか付かなくて。前回の診療報酬では全く付かなくて、今回の診療報酬でやっと入院患者さんに対して救急管理加算2,000円、1週間だけが付いただけなのです。いま都会ではどんどん、もう二次救急を止めたと。それはなぜかと言いますと、経営的にやっていけなくなってきているのです。診療報酬では点数がどんどん下がってくるし。いま、そういう限界にきているというところなので、先ほどの議論ですが、そういう意味での二次救急の評価もして頂きやはり在宅のことをしっかりと考えていかなければいけないということを言いたいということです。よろしくお願いします。
○西澤委員 いま資料2に基づいていろいろな話がありました。例えば4頁の在宅医療支援診療所の数も、いま1万2,000あるのが多いのか少ないのかという問題、それから、そのうちで看取りをしているのが5,800、半数に満たない。これをどう評価するかだと思うのです。これで、もっとしっかりしてほしいというのは当然なのですが、それよりも、どうしてできないのかということを考えなければならない。診療所で1人で24時間常に対応、これは無理です。だとしたら、もっとシステムが必要なのです。システムをきちんとすればもっと診療所の先生方が、在宅医療支援診療所になり看取りもできると、そういうことを考えなければならないと思います。
 資料で面白いのは、面白いと言ったら怒られますが、7頁で在宅医療支援診療所がある所は看取りが多いというのが出ています。片方で訪問看護、11頁、訪問看護の利用がある方は自宅死亡が多いと。これをばらばらに考えて、診療所を増やそう、あるいは訪問看護を増やそうでなくて、このように地域にいろいろなサービスがあって、それが連携されて初めて在宅での死亡が多いというように考えるべきなのです。だから総合的な、厚労省のほうにもお願いいたしまして、すべて、どういうサービスが、例えば、一つひとつのサービスのデータも必要ですが、いくつかの、複数のサービスがあった場合のデータも必要だと思います。そういうものを出していただいて、地域でどういうメニューが必要かという資料を出していただいて、あとはその連携システムをどうするかということを考えると。それで初めて地域連携になっていくと。そのように今後議論をしていければと思います。
○辻本委員 非常に情緒的なことを申し上げて申し訳ないのですが、先ほど相澤委員が、市民、国民、地域住民をどう巻き込んでいくかというようなご意見をおっしゃったその中で、是非患者の立場ということで申し上げたいと思います。
 医療者の方たちのまなざしとか言葉の中で、先ほどいみじくも「家にお帰りになってからの生活のイメージをいかに理解させるか、諦めさせるか」というようなご発言がありました。そういう医療者側の上からの視点が患者、家族を非常に不安に駆り立てているという現実があります。やはり在宅ということは患者が主役になるという、その自立支援という形を根本的に置いて議論していただかないと無意識・無自覚ながら医療者のわずかな言動で“見放された感”を感じて最後はしがみついてしまうという感情が残りますので、その辺りも是非議論に加えていただきたいということをお願いしたいと思います。
○齋藤部会長 それでは、時間の関係で「医療計画」に。いかがでしょうか、各地域で。
○海辺委員 ちょっと1つ。在宅のほうにいくときにがんのほうなどでもよく言われていたのが、担当者がすごく積極的な治療をしていたときにはこの先生だったのにもう駄目だとなったら緩和ケアになるというようなのがどうも感情的についていけないということが何年か前に議論されたことがあったように、いま辻本さんがおっしゃったように、先ほど病院の中では。すみません。
 私がいつも思うのは、いろいろな相談をいろいろな所に行かないとなかなかしてもらえないということが非常にいろいろなことを、ここでもうこれ以上できないというように患者の状態も陥らせてしまって。例えば相談窓口という所が1つに絞られていれば、いろいろ聞きたいことがたくさんあったときにそこで聞いていただけて、これは医療上の問題だし、これは制度上の問題だし、これは退院後の支援についてというようなものも、本当はそこのワンストップの方が全部担当してくだされば移行もスムーズかと思うのです。
 病院で積極的な治療をしていたときには先生がお話し、先生にすべて聞かなければいけなかったのが、そろそろおうちにお帰りよというときには看護師さんになって、その看護師さんも、病院から離れたら別の看護師さんになってというようになってしまうと、何かそういうたらい回し感みたいなのも確かに存在するかなという気がするので、そういう相談支援の窓口みたいな機能は、患者さんに対してこの人たち10人はこの人が担当するみたいな形にしないとなかなかスムーズにいかないのではないかと思いました。
○齋藤部会長 医療計画についてご意見はいかがでしょうか。各地域それぞれ、全国一律ではないのでその地域でいろいろ工夫して、いろいろな連携の問題をはじめ病床数のこと、あるいは4疾病5事業のこともやっているわけですが、いかがでしょうか。
○近藤委員 医療計画の中でお話すべきか今の在宅のところでお話すべきかちょっと迷ったのですが、医療計画の中でお話させていただきます。国の施策の中でも、あるいは地域における医療提供側、あるいは患者さんの家族も含めて在宅医療というのは、いま非常に重要な課題になっています。高齢者、要介護者が増えている中で大きな課題になっています。具体的な内容は「医療計画の見直し等に関する検討会」においてご議論いただくことになるとは思いますが、在宅歯科医療の推進も含めて、在宅医療の推進を医療計画の4疾病5事業の中でやるのではなく、項目を別立てにしていただきたいと思います。
○齋藤部会長 確かにそうですね。
○横倉委員 二次医療圏がほぼ策定されて、やがてもう25、26年経つわけですね。適宜、少しずつ見直しをされておりました。それで、医療計画を作っていく場合にやはりどうしても二次医療圏というものの中である程度解決していこうという基本的な考えがあるわけですが、最近政令都市が増えてきたものですから、どうしても政令都市とその政令都市を持った医療圏の中での計画にいろいろな齟齬が出たりという話がときどき聞こえてきます。ですから、基本的に二次医療圏の在り方ということについて、昭和60年前後に考えられたあの考えそのものでいいのかどうかということについて一遍ご議論いただければと思っています。
○邉見委員 今の横倉委員の意見に大賛成です。いま行政的な二次医療圏と生活的な二次医療圏にかなりのディスクレパンシィーというか、ギャップが出ております。例えば私どもは7分か8分走りますともう岡山県になりますから、岡山県の患者さんが多い。それから、尼崎など兵庫県の東の端であると半分ぐらいは大阪へ出ているというようなこともありますし、いろいろなことがあります。それから、関西広域連合というのが、我々の井戸知事が中心になってやりまして、この中には徳島県が入りまして、徳島県の医療計画にも我々関西広域連合はタッチするということで医療部会が出来、私も医療分野の委員に加わり、二次医療圏でもいろいろ見直すべき時期ではないだろうかと思っております。
○齋藤部会長 ほかにいかがでしょうか。先日のここのメモにはあるのですが、かなり自治体で決めてもいいところもあるようですが、自治体によりやはり温度差があるでしょうし、熱心さも違うと思うのですが、その辺りは、医政局として何かもっと積極的にやってほしいとか、そういう指導はされていくわけですか、次回の改定については。
○指導課長 既に前回もご案内しましたが、医療計画の見直しについての検討会をスタートしております。昨年12月下旬に第1回を行いましたし、実は明日もあります。そういう中で医療計画のいろいろな側面があります。医療連携、4疾病5事業の問題もあり、あるいはこの医療圏の問題もあり、いろいろな側面がありますが、現状についていくつかの県からヒアリングをしたり、あるいは研究者の方に発表をいただいたり、あるいは現場の方々からご意見を聞いたりして議論を深めていこうと思っております。そういう中で医療部会でいただいた先ほどの医療圏に関するご意見などを、これは適宜紹介していきますし、医療計画に関する検討会の中でも十分議論していただこうと思っています。
 そういうところで、そもそも医療計画は県が作るものですから、そして、二次医療圏の設定も県ができることですので、最近のいろいろな交通事情や住民の移動、あるいは医療が高度化するとどんな医療もすべて二次医療圏で完結するというのはなかなか難しい状況にもなっていると思います。そういう状況を踏まえて二次医療圏の在り方をどうするかということも、県、自治体、政令市も含めてその在り方は考える必要があるでしょう。そういうことも念頭に置きながら、今後検討会でも議論を深めて、何らかの指針なり国としての考え方も示していきたいと考えております。
○渡辺委員 次回、今回のというか、医療計画は2013年度から改定されるわけですが、2008年度からのいわば第一次医療計画というものは、はっきり言って、相当に緻密なものではなかったと思わざるを得ない。私自身が現実に知っているのは、県がとても作る能力がなくてコンサルタント会社に丸投げしたケースも現実にあります。そういったことでは困るわけで、いま課長もおっしゃいましたが、例えば1点だけ言うと、各二次医療圏の見直しも必要ですが、県の中にはその中にどんな医療機関があるかあるいは、先ほど邉見委員もおっしゃいましたが、患者の流れがどうしているかというデータさえ持っていない。だからまずそういうところからきちんと、指導と言うのか、各都道府県に対してそういったところから、時間はある意味ではまだ2年ぐらいあるわけなので、それを是非やっていただきたいと思います。
○相澤委員 この医療計画は昭和60年ですよね。そのときに何が書いてあるかと言うと、二次医療圏ごとに医療計画を作るということと、その中で「医療の機能分化と連携を図る」と書いてありますよね。そこからずっと、これまでに何年経っているのでしょうか。1つも実施されていません。なぜなら、形だけ作って魂が入っていないからです。非難をするようでごめんなさい。それが延々と続いてきてしまったのです。この間、ある記事を見ていたらこんなことが書いてありました、「今さら二次医療圏というものを壊したら、これまで計画してきたものがあるから大混乱が生ずる。だから、それはあまり壊さないようにしよう」という議論が報道に書いてありました。これは全くおかしなことで、国民の医療をよくするためには大混乱を起こしてもやるんだという心意気と覚悟とそれがなかったらこんな大事業はやれません。いま日本の医療は危機に瀕しています。危機に瀕しているからこそ、大混乱を起こしても何があっても不退転の決意でやるんだということがない限り、私は解決できないのではないかと。形だけ整えても駄目だということだけを是非お願い申し上げて、そして、そういうつもりでやらないとこの日本の医療崩壊は私は止まらないと思っているということだけを申し上げたいと思います。
○齋藤(訓)委員 医療計画につきましては、前回も在宅医療のところは是非4疾病5事業と同じような扱いをしてほしいということは申し上げておりまして、いま近藤委員が言われたことには大賛成です。その際に訪問看護あるいは在宅医療支援診療所、それから病院ですね、同じ医療圏の中でも非常にたくさんある所とまばらに点在している所があって、やはりサービスが行き届かない空白地域のエリアというのが必ずあるのです。だから、県で策定するときにはそういう空白地域を特定して、そこに誘導的に在宅医療支援診療所なり訪問看護が、あるいはセッタライトでもいいです、そういうものが設置できるようなそういうことを計画の指針の中には是非入れていただきたいと思います。
○田中部会長代理 私も、医療計画の中では在宅医療を是非これから重視すべきだと思います。先ほど来皆さんがおっしゃっているように、急性期病院を守るために在宅医療は絶対に必要です。ただし在宅医療、特に入院の代替物としての在宅医療は生活支援や介護や住宅とセットで考えなくてはいけません。お医者さんだけ、在宅医療支援診療所があれば在宅医療ができるわけではなくて、住宅や生活支援がセットで必要です。高齢単身の話は出ましたが、当然ながら全員が高齢単身ではなくて、在宅医療を必要としている子どもたちまで考えれば、支援が必要な家族はたくさんいます。高齢者に比べると、そういう家族に対する支援の仕組みがないことは大きな問題だと考えます。高齢者のほうは介護保険施行以来ショートステイやデイサービスもありますが、それ以外の在宅医療になると、家族はショートステイもデイサービスもなしにずっと引き受けなくてはいけない。やはり在宅医療を可能とするためには家族支援の仕組みも作っておく必要がある。もう1つは先ほどから出ている訪問看護です。地域の中で訪問看護を使いやすくするために医療保険と介護保険でそれぞれの給付がどうあるかを一体的に議論しないと、どっちが安いかというような話で決められてはとてもよくないと考えます。
 もう1つが訪問看護の経営の話です。訪問看護事業所が伸びるかどうかを看護師さんたちの経営の意思決定、経営の意欲に頼っている現状は、やはりちょっと弱いのです。訪問看護はしたいけれども経営責任まで負いたくない方はいっぱいいると思うのです。もう少し経営体としての訪問看護を、バックオフィスをするでも何でもいいですが、看護師さんが看護業務に専念できるような社会体制が必要だと思います。これを含めて、医療計画の中で是非重視していくべきだと考えます。
○中川委員 先ほどのことと関連するのですが、ライフイノベーションWGの検討項目に、国が基準病床数の算定式だとか国との協議義務を廃止することを検討してはどうかと、「平成23年度、検討、結論を得る」となっているのです。この全国的な医療の質の確保と水準の向上という意味からは、国が一定の基準を設けて一定のコントロール下にあるということは私は合理的だと思います。何でも都道府県に任せて病床基準も算定式もなくして独自に考えなさいというのは、一見よさそうですが、非常に混乱を招く可能性があると思います。
 それともう1つ。病床過剰地域の場合の病床の新設に関しても、厚生労働大臣の許可を得る、同意が必要だということも廃止しようではないかとまで踏み込んでいるのです。このことについても、やはりこれは地域に大混乱を起こすと思います。国際医療交流にも、こういう病床過剰地域で新たに病床を作ることで利用可能というような筋で書いてあるのです。医療部会としてもこれは決して許してはならないと思いますし、是非委員の先生方のご意見もいただきたいと思います。
○齋藤部会長 そろそろ時間がなくなってきました。今日、まだ救急の問題とか広告の問題を積み残しておりますので、次回を含めて、さらに今日議論が十分にできなかった点、それから今の点なども含めてまた、次回以降になると思いますが。最後に事務局から事務連絡をお願いします。
○企画官 次回ですが、いま日程をいただいておりますのは、3月9日(水)15時30分からです。場所は、本日と同じこの場所の予定です。正式には、またご連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
○齋藤部会長 事務局、予算のことで質問をしたいと言われるので。
○水田委員 予算の資料3の4頁の「後発医薬品の使用促進」というところの予算が付いているのですが、この後発、いわゆるジェネリックが、皆さん、日本国中が進みだしてかなりの年月、5年ぐらい経っているのではないかと思うのですが、何かその医療費を削減した成果などは出たのでしょうか。この目的は日本の医療費を少なくするということでしたよね。何かそういうデータがあれば教えていただきたいと思うのですが。
○総務課長 すみません、今日は担当者がおりませんのでデータを持ち合わせていないのですが。例えば保険者の側で、これは広島県の事例だと記憶していますが、協会健保で後発医薬品を選択するとご自身の負担と、それから、もちろん保険者の負担もこのぐらい下がりますよということを通知するという実験をやっていて、その効果を研究したものがあったと記憶しています。また調べましてご報告したいと思います。
○齋藤部会長 それでは、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局総務課

企画法令係: 2519

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