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2011年8月9日 第1回ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会議事概要

○日時

平成23年8月9日(火)15:30~


○場所

厚生労働省 9F 省議室


○出席者

(委員)大山座長、菊池委員、竹詰委員、中嶋委員、西端委員、矢野委員
(日本年金機構)薄井副理事長、矢崎理事、喜入理事、伊原記録問題対策部長
(厚生労働省)榮畑年金局長、石井年金管理審議官、塚本事業企画課長、尾崎年金記録回復室長

○議事

—冒頭挨拶—
(大山座長)
 年金記録の問題が二度と起きないようにするためには、本人による随時の記録確認が重要であり、今回の検討会で議論する本人への情報提供手段である、ねんきん定期便、ねんきんネット、そして更には年金通帳等といったところにつながっている。これら三つの方法、あるいは他にも良い方法があるかと思うが、限られた予算の中で最も効果的な手法を作り上げることが、我々年金の加入者にとっても大事なことであり、また年金という我々の社会生活を支える基礎となる年金制度の信頼を回復する上でも大切なことだと考えている。その意味で国民自身がいつでも気軽に年金記録を確認できる効率的な仕掛けをどう作っていけば良いか、ということを今後この検討会で検討させていただきたいと思っている。

—資料1(開催要綱)について尾崎年金記録回復室長より説明—

—資料2(記録の情報提供の現状)について伊原記録問題対策部長より説明—

(中嶋委員)
 「ねんきん定期便」を電子化するという話で、形態はPDFということだが、もう一つの方向として、PDFで配布するのではなく、「ねんきんネット」に誘導する方法もあると思う。なぜPDFという形を検討されたのか。
 電子版の定期便の場合、メールを送付して本人が選択するということだが、メールを送付しても全くアクションを起こさない方はどうなるのか。

(伊原記録問題対策部長)
 国民年金法や厚生年金保険法で「通知するものとする」と法律上の義務として書かれている。この「通知する」ことについては、政府全体の共通見解があり、単にご本人がアクセスしただけでは通知したことにならず、通知情報をダウンロード可能な状態にしたことをもって電子的に「通知」したことになると整理されている。単に「ねんきんネット」をご覧いただけますか、と勧めただけでは国民年金法や厚生年金保険法の「通知するものとする」ことにはならないとの指摘を受けたため、こうした対応とした。
 送付したメールに対するアクションを義務付けることは難しいと考えており、こちらからメールで選択を求めることとするが、アクションがない方についてはインターネット通知を選択した取扱いにしたいと考えている。

(中嶋委員)
 その方は、確認画面を見たことがない状態だが、電子に切り替えてしまうということか。

(伊原記録問題対策部長)
 この辺りはご議論いただき、ご意見をいただきたいところ。例えば、最初の設定を郵送にしておけば、そうした問題は解決されるが、他方、電子化を進める観点からは正直悩ましい。

(中嶋委員)
 例えば、ユーザIDを発行する際に電子的に通知することをはっきりと記載しておけばある程度のご理解をいただけるのではないか。
 年金記録の情報提供は、平成16年以前は本人が事務所に行かなければ分からなかったが、以降は国が能動的に通知することになっており、大変良いことだと思っている。「ねんきんネット」が存在しても、受動的に待ち構えているだけだと恐らく長期間記録を確認しない方がでてくると考えられることから、先程の通知の仕組みは非常に良いものだと思う。
 ただ、その方が通知を読まれたかどうかが分からない点が問題ではないか思う。行政側としては通知を送ったということで義務を果たしたことになるかと思うが、実質的には、それを読んでいただくということまでフォローする必要があるのではないか。郵送の場合は確認が難しいが、電子版でPDFが送付される場合は、技術的に可能であればPDFを開いたかどうかが分かるような仕組みになれば、より良いのでないかと感じている。

(喜入理事)
 PDFをダウンロードしたかどうかは分かるようになっている。

(大山座長)
 先程から費用の話が出ているが、定期便の郵送等に係る経費について分かる範囲で教えて欲しい。

(伊原記録問題対策部長)
 例えば、平成23年度は6,528万件を送付する予定だが、予算額が90億円であり1件あたり約140円程度。これは郵送費・印刷費込みであり、大小の封筒で単価も異なるが押しなべた平均である。

(菊池委員)
 予算額90億円ということだが、財源は保険料か。

(伊原記録問題対策部長)
 保険料財源である。

(竹詰委員)
 資料3の論点にも関わる話になるが、この検討会に参画するお話をいただいてから、2箇所の日本年金機構の現場と意見交換をした。色々な経緯があり社会保険庁から日本年金機構になったわけだが、厳しい声やバッシングを受け、職員としては非常につらい思いをした。そうした思いがあるからこそ、二度と同じような繰り返しはしたくない。したがって、今できることは、お客様から「もういいですよ」「もう十分分かりました」そういうふうに言われる位までやりたいという話が二回ともあった。
 ネットで利便性が増すであるとか、効率性が高まるということは良いと思うし、こうしたシステムを私も使っている。だけれども、そのことによって「ねんきん定期便」を無くすというのは時期尚早ではないか。国民側が「もう結構です」というレベルには達していないと思う。
 また、記録問題のときに数は少なかったかもしれないが、事業主側に意図的なミスがあった、もしくは不備があったところであり、私は「ねんきん定期便」が全国民、加入者に送られることは非常に意味があると思っており、事業主からみても、いつも加入者からチェックをされているという意識が必要だと思う。さらに、定期便が「自宅に来る」というのも非常に意味があると考えており、自宅に来れば配偶者や家族から「お父さんきたよ」「お母さんきたよ」と確認ができる。そのため、ネットで送るからという趣旨で、今すぐに定期便を廃止するという方向には私は反対である。

(尾崎年金記録回復室長)
 今後、「ねんきん定期便」の在り方、あるいはネットの在り方を議論する中で深めていく事項であると考えている。

(竹詰委員)
 例えば今年はインターネットで郵送は結構ですといった人が、来年は必ずしも見るとは限らない。確率的にはやはり郵送のほうが見る可能性は高いと思う。毎年メールを開封してこの方はずっとダウンロードしているのが確認できた、というのであれば送付を止めてもよいと思うが。

(矢野委員)
 私は、広報を含むコミュニケーションの視点や国民目線の観点から検討会に臨んでいきたいと思っている。実際に「ねんきんネット」も使ってみたが、比較的早くサービスを利用できた。しかし、IDの発行はなぜネット上ではなく郵送で送付するのか。

(伊原記録問題対策部長)
 個人情報保護が重要な点であり、なりすましを防止するために日本年金機構で把握している住所に送付している。金融機関などでキャッシュカードを発行する際も同じように郵送している。

(菊池委員)
 できるだけネットへ誘導するという方向性を踏まえると、定期便は一旦電子版を選択したら、もう紙媒体には戻れないのか。

(伊原記録問題対策部長)
 いつでも切替は可能。ただし、両方のサービスを同時に行うことは考えていない。理由としては、昨年事業仕分けにおいて、定期便に関して予算を3割削減することとされ、できるだけネットへ移行するようにとの指示があったためであるが、当然検討会でのご意見は参考にさせていただきたい。

—資料3(ご検討いただきたい事項)について尾崎年金記録回復室長より説明—

(大山座長)
 ただいまの説明で議論いただく内容がはっきりしてきたように思う。11月中の取りまとめに向け議論していきたい。
 また、あくまでも記録提供事業は年金記録問題再発防止が大きな目的で、記録に間違いが見つかった時に迅速な処理がされるような仕組みとセットになっていることが大事。

—資料4(公聴会・アンケート等今後の予定)について尾崎年金記録回復室長より説明—

(菊池委員)
 定期便はもう3年目ということであれば、しっかりと満足度調査といった「お客様がどう満足しているか」ということについて、せっかくの機会なのだからアンケートに盛り込んだほうが良いのではないか。つまり、大半の方が満足ということであれば中身を変える必要は少ないが、逆に、定期便の内容に対し「こういうものがあったらいい」といった意見や不満があるのであれば、それを抽出する良い機会なので、定期便自体の満足度が測れるようなものを少し入れていただいた方が良いのかな、というのが率直な感想。
 どこまで国が管理するかという点について、果たして最後の一人までしっかりとダウンロードしたかなどを管理する必要があるか。確認をする媒体(手段)は複数あった方がよいと思うが、複数が同時にある必要があるのか。現在2つの確認手段があり、さらに加えて年金通帳もつくっていくことが良いのかどうか、コストの関係の話もあり、今後議論したいと思っている。

(竹詰委員)
 日本年金機構は発足したばかりであり、平時であれば「効率化」とか「手軽に」というのは良いと思うが、まだ、有事だと思っている。
 年金通帳の話に関しては、すぐにもこういうシステムが必要とは考えていない。いつでも預金通帳と同じように確認できればそれはよいが、コストの関係を考えれば、個人的には、「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」があり、それと比較すれば年金通帳は必ずしもいまやらなくともよいのではないか。そこは世間も今の政権がマニフェストで言ったじゃないかということにはならないのではないか。
 また、加入者の代表が機構の運営に参加できる仕組みになっていない。参加していれば、自分たちも記録確認について努力するというようになる。

(薄井副理事長)
 運営評議会という形で、四半期に1回ほど開いており、竹詰委員の上司の方も入っていただいているところ。そこでいただいているご意見については、機構の運営に活かしているところであり、今後もそのようにしていきたいと考えている。

(中嶋委員)
 記録の効率的な確認方法を検討するためには、インフラのコストとランニングコストがそれぞれ分かった方がよいのではないか。
 また、年金通帳については、通帳という限りは自ら記帳しなければならない仕組みと思うが、金融機関のATMなどを活用できるのかなどを金融機関関係者にヒアリングしてみたらどうか。

(矢野委員)
 通帳について、おそらく20代、30代の人たちは記帳などしないのではないか。上の世代には受け入れやすいイメージかもしれないが、じっくりと考えて費用対効果の点もよく検討する必要がある。実際にねんきんネットを使ってみて、いつでも最新の情報を得られるネットの特性を活かしているように思うので、これをより充実させていくのが望ましいのではないか。ねんきん定期便をどうするかという議論の中で、必要な方はその選択をされた方には送るとして、厚生年金に加入している人は、ほとんど記録が変わらないわけで、例えば5年に一度でよいという人もいれば、一人一人の意見が違うと思うので、多くの声を聴けばよいのではないか。定期便とねんきんネットで公平性を保ちつつ「ねんきんネット」に移行していけばよいと思うが、一番の課題は23万人の利用しかないこと。投資に見合った活用をしないともったいない。

(大山座長)
 ねんきんネットの普及については検討会での議題にも掲げられているが、折りしも7/24に地上デジタルに変わったこともあり、ネット経由であれば双方向になっているので、もし疑義があればそのまま送り返せる仕組みもでてくるのではないか。

(西端委員)
 去年まで社会人だったが、あまり定期便をじっくり見ていなかった。定期便は全員に送るのではなく、不要という方には送らない方がコストもかからないし、本人にとってもよいと思う。
 ただ、メールアドレスを変えてしまったら届かなくなってしまうのではないか。
 また、年金通帳については、高齢者が利用することを考えると預金通帳と二つ持つのではなく、機能を一緒にできればよいのではないか。

(伊原記録問題対策部長)
 プロバイダーを変えてしまい、電子メールが届かなくなったときには、郵送に切り替えようと考えており、あくまでも電子メールが届く方に限って電子版をお送りしたいと考えている。
 金融機関の通帳というのは、銀行ごとに形態も様式も違っており、これを年金通帳と一体化し、今の通帳の中に記録を入れ込むということは膨大なコストが掛かると見込まれ、現実的には難しいと考えている。

(竹詰委員)
 「ねんきんネット」に反対ということではないが、ただ、業務委託やネットの利用を促進して主要な業務が現場の職員の手を離れてしまっている。本当にこれが職員のためになっているのか。窓口に来るお客様が少なくなりますという話しもあったが、本当にそれでいいのか、むしろ、窓口に来るお客さんを増やすとか、接点を増やすとか、そういう苦労をしてもらった方がよいのではないか、そういう時期ではないかと思っている。そのため、拙速にネットに全て切り替わるという判断は今のタイミングではないと思っている。

(大山座長)
 アドレスが変わったらどうなるかという指摘があったが、現在、社会保障と税の共通番号の議論の中でマイポータルの話がある。ネット上で情報を確認できるという点に於いてねんきんネットと共通点がある。その中の1つの議論として、メールアドレスを固定すると多くの人が使えば使う程、そのアドレス自体が識別子になってしまって、それによって個人の情報を集めてくる可能性がある。これに対して、別のリンクコードを貼ることが一つの技術的な解決策として提示されていて、アドレスをマッチングキーとして使わない議論もしているので、その仕組みが整ってきた段階で「ねんきんネット」とどのように融合していくのかということも重要な点と考えている。
 
(中嶋委員)
 アンケートについて2つ質問がある。1つ目はインターネットによるアンケートは、「ねんきんネット」利用者を対象とするのか。2つ目は質問事項の中に、定期便の電子化の話を入れてはどうか。

(尾崎年金記録回復室長)
 1点目については、「ねんきんネット」利用者を対象者としている。もう一点については、アンケートは限られた時間で回答していただくという趣旨で事務局案を作成したものでもあり、座長と相談したい。

(西端委員)
 自分の周りの人たちの状況として、年金の知識がほとんど無い人が多いので、年金の仕組みなどについて分かりやすく多くの方に伝える方法があれば良いと思う。

(矢崎理事・伊原記録問題対策部長)
 年金委員との連携やホームページの充実などを通じて、機構としても年金制度の制度周知に努めたい。また、ネットというのは新しいものを分かりやすく説明するのには良い方法であり、ネットの拡張性を活用して改善していきたい。

(矢野委員)
 ネットの情報量が多いのは理解できるが、興味のない人は、そもそもねんきんネットを利用しない可能性がある。費用との関連で難しいかもしれないが、例えば池上彰さんのような方に2時間テレビで説明していただくことや、成人式の活用など広報やコミュニケーションの方法を変えていかないと難しいのではないか。

(矢崎理事)
 中々そこまで手が回っていない状況があるが、年金月間では、極力、年金事務所が地域や学校へ出向いてPRを行ったり、学校での年金に関するエッセイの募集などについて年金局とともに文科省へ働きかけを行っている。

(竹詰委員)
 運営評議会での議論も伺っていると、日本年金機構は相当努力しており、ホームページも相当見やすくなったと思う。もし、本当に国民がこれ以上を求めるのであれば、今の人数では無理で、もっと人やお金を増やさないと困難ではないか。

(中嶋委員)
 35歳通知の開始前である2004年度から2005年度に厚生労働省の科学研究費で通知の実験を行い、制度の主旨等を通知することによって納付意識や参画意識があがる効果があるという結果を得た。制度改正等の際にも、マスコミ等を活用するだけではなく、定期便等を活用して国から国民へ直接伝えることが重要だと考える。

—次回日程—
(尾崎年金記録回復室長)
 次回は関係者ヒアリングを、次々回は公聴会を予定している。


(以上)


<照会先>

年金局事業企画課

担当・内線: 今野(3619)
鶴岡(3606)
電話代表: 03(5253)1111
直通: 03(3595)2806

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