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2011年5月20日 第15回ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会 議事概要

医政局研究開発振興課

○日時

平成23年5月20日(水)16:00〜19:00


○場所

経済産業省 別館10階 1036号会議室


○出席者

(委員)

永井委員長 青木委員 位田委員 木下委員 島崎委員
高橋委員 戸口田委員 中畑委員 前川委員 松山委員
山口委員

(事務局)

厚生労働省医政局研究開発振興課

○議事

議事概要

 すでに厚生科学審議会科学技術部会に付議されたヒト幹細胞臨床研究実施計画のうち、継続審議となっていた国立大学法人高知大学医学部、大阪大学大学院歯学研究科および大阪大学医学部附属病院(2件)からの申請に加え、平成23年3月11日付で、新たに付議された鳥取大学医学部附属病院、東海大学医学部からの申請、平成23年5月20日付で新たに付議された先端医療振興財団先端医療センターからの申請をあわせた、計7件の申請について審議された。
 その結果、継続審議であった大阪大学大学院歯学研究科および大阪大学医学部附属病院(2件)の申請は持ち回り審議となった。継続審議の国立大学法人高知大学医学部からの申請、新規申請の鳥取大学医学部附属病院、東海大学医学部および先端医療振興財団先端医療センターからの申請、計4つについては、次回審査委員会以降も継続して審議していくこととされた。
(審議された臨床研究実施計画の概要は別紙1〜7参照。)


(別紙1)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年5月20日審議分

研究課題名 小児脳性麻痺に対する自己臍帯血幹細胞輸血による治療研究
申請年月日 平成22年2月26日
実施施設及び 総括責任者 実施施設:国立大学法人高知大学医学部
研究責任者:杉浦 哲朗
対象疾患 小児脳性麻痺
ヒト幹細胞の種類 ヒトさい帯血幹細胞(自己)
実施期間及び 対象症例数 登録期間は2011年2月1日より2017年1月31日
目標症例数は10症例
治療研究の概要  脳性麻痺のハイリスク群を対象として出産時に採取された自己さい帯血を治療に用いる。さい帯血から比重遠心法にて分離された単核球を、高知大学細胞調製施設にて凍結保存する。臍帯血を保存した小児が脳性麻痺を発症した場合に、保存された自己さい帯血幹細胞を静脈内投与する。安全性を評価するとともに、身体的機能障害及び発達障害の回復をはかる臨床研究。
その他(外国での状況等)  現在、自己さい帯血幹細胞を用いての小児脳性麻痺への治療は、米Duke大学のDr.Kurtzberg研究室でOpen Studyが実施されている。200症例以上実施(2010年2月)の経験があり、現在、米国FDAの承認を得て二重盲検試験が開始されている。
新規性について  自己さい帯血幹細胞を脳性麻痺患者の治療に応用するという新規の臨床研究であり、米国の研究機関以外からの報告はない。

(別紙2)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年5月20日審議分

研究課題名 自己脂肪組織由来幹細胞を用いた次世代型歯周組織再生療法開発
申請年月日 平成22年10月28日
実施施設及び 総括責任者 実施施設:大阪大学大学院歯学研究科
村上 伸也
対象疾患 従来の治療法では十分な歯周組織欠損の回復が見込めない辺縁性歯周炎
ヒト幹細胞の種類 培養自己脂肪組織由来幹細胞
実施期間及び 対象症例数 登録期間(試験開始から2年間)、12症例
治療研究の概要  自己の腹部または大腿から皮下脂肪組織を採取し、大阪大学歯学部附属病院のCell Processing Centerの閉鎖系細胞調製培養装置(セルプロセッシング・アイソレーター)内で脂肪組織の中にある幹細胞を取り出し、1〜2週間の培養後、フィブリン糊(ボンヒールⓇ)と混合し、フラップ手術の際に患者さんの歯周組織に填め込み移植する。
その他(外国での状況等)  研究責任者らは、ビーグル犬の歯周病モデルを作製し、脂肪組織由来未分化間葉系幹細胞の歯周組織再生効果を確認している。
 2004年に独のLendeckelらにより、「7歳女児の頭蓋骨広範囲欠損に対する自己脂肪組織由来幹細胞及びフィブリン糊の使用報告」として症例報告があるのみ。
新規性について  自己脂肪組織由来幹細胞を用いた歯周組織再生療法の報告はなく、用いる幹細胞に新規性が高い。

(別紙3)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年5月20日審議分

研究課題名 消化器外科手術に伴う難治性皮膚瘻に対する自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞を用いた組織再生医療の臨床応用
申請年月日 平成22年11月18日
実施施設及び 総括責任者 実施施設:大阪大学医学部附属病院
森 正樹
対象疾患 消化器外科手術に伴う難治性皮膚瘻
ヒト幹細胞の種類 自己脂肪組織由来間葉系前駆細胞(ADRC)
実施期間及び 対象症例数 登録期間(試験開始から2年間)
7症例
治療研究の概要  6ヶ月間の観察期間で治療の安全性を評価することを目的。全身麻酔下に、腹部、臀部又は大腿より脂肪組織を吸引、脂肪組織から間葉系前駆細胞を分離する装置(Celution CT-800 cell processing system、 Cytori Therapeutics社製)で処理し、幹細胞を多く含んだ濃縮細胞液を抽出する。取り出した濃縮細胞液とフィブリン糊を混和し治療部位に注入する。
その他(外国での状況等)  研究責任者らは、本研究で使用するCelution®800/CRS自動細胞処理装置を用いて調製した間葉系細胞濃縮液を、乳癌術後の患者に移植し乳房再建を行った。移植後6カ月のfollow upで移植部位の組織厚の有意な増加を認め、約80%の症例でほぼ満足しているとの結果を得た。
 スペインのGarcía-Olmoらはクローン病患者の瘻孔(Phase 1)、難治性会陰部痔瘻(Phase 2)を対象として臨床試験を実施し、高い治癒率を示している。
新規性について  本研究は、消化器外科手術に伴う難治性皮膚瘻で従来治療では1ヶ月間以上治癒が得られない症例を対象とし、ADRCを移植し安全性を評価する。

(別紙4)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年5月20日審議分

研究課題名 表皮水疱症患者を対象とした骨髄間葉系幹細胞移植臨床研究
申請年月日 平成22年12月22日
実施施設及び 総括責任者 実施施設:大阪大学医学部附属病院
玉井 克人
対象疾患 表皮水疱症(接合部型および栄養障害型)
ヒト幹細胞の種類 非自己骨髄由来間葉系幹細胞
実施期間及び 対象症例数 登録期間(試験開始から2年間)、6症例
治療研究の概要  重篤な遺伝性皮膚難病である表皮水疱症(接合部型および栄養障害型)の患者に対して、家族ドナー由来骨髄間葉系幹細胞局所移植術を施行する。家族内ドナーから骨髄血を採取し細胞培養センターで骨髄間葉系幹細胞を培養し、皮膚潰瘍の周囲皮膚に2cm間隔で250μlづつ皮下に移植する。潰瘍面積縮小程度を測定して潰瘍縮小効果を判定する。
その他(外国での状況等)  研究責任者らは、表皮水疱症モデルマウスに皮下移植した骨髄間葉系幹細胞が皮膚に生着し、皮膚基底膜領域に欠損している接着分子を補充して病態を改善することを報告した。
 チリの共同研究グループが、栄養障害型表皮水疱症の成人患者(2症例)に骨髄間葉系幹細胞移植術を行い、移植7日後には欠損していたVII型コラーゲンが皮膚基底膜部にみられ、難治性潰瘍部の上皮化の促進・治癒が認められた。治療効果は移植4カ月後まで持続した。
新規性について  表皮水疱症はこれまで対症療法のみが行われている。本研究は、他家の間葉系幹細胞を用いて、潰瘍の上皮化促進に加えて、欠損蛋白を補う治療法である。さらに間葉系幹細胞の抗炎症効果、瘢痕抑制効果を評価する。

(別紙5)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年5月20日審議分

研究課題名 自己皮下脂肪組織由来細胞移植による乳癌手術後の乳房再建法の検討
申請年月日 平成23年2月28日
実施施設及び 総括責任者 実施施設:鳥取大学医学部附属病院
中山 敏
対象疾患 乳癌に対する乳房温存術後(術後1年以上経過した症例)の乳房変形
ヒト幹細胞の種類 ヒト皮下脂肪組織由来間質細胞(ADRCs)
実施期間及び 対象症例数 実施期間(平成25年3月31日まで)、5症例
治療研究の概要  この臨床研究では、乳房温存術後の陥凹変形に対し、自己皮下脂肪組織由来細胞移植による乳房再建術を行い、治療の安全性、乳房形態への効果、生活の質への効果を検討、評価する。
 局所又は全身麻酔下に脂肪採取を行い、脂肪組織分離装置を用いてADRCsを得る。採取された細胞溶液と脂肪組織を混合し、注入用機器を用いて移植する。
その他(外国での状況等)  本治療法は、国内において九州中央病院・九州大学において実施されており、判断した理由19例の安全性・有効性が報告されている(RESTORE研究)。ヨーロッパにおいて本研究と同じADRCを用いた乳癌術後の70症例に対し、施行された乳房再建の試験であるRESTORE2のうち、半年を経過した32症例についてthe San Antonio Breast Cancer Symposium(2009)において有効性・安全性が発表された。
新規性について  本研究は、ADRCsを用いた本疾患に対する臨床研究として「ヒト幹細胞臨床研究実施計画」として初めての申請。本治療手技に関して申請機関に新規性がある。

(別紙6)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年5月20日審議分

研究課題名 細胞シートによる関節治療を目指した臨床研究
申請年月日 平成23年3月3日
実施施設及び 総括責任者 実施施設:東海大学医学部
佐藤 正人
対象疾患 外傷または変性により生じた膝関節軟骨損傷
ヒト幹細胞の種類 軟骨細胞および滑膜細胞
実施期間及び 対象症例数 実施期間(試験開始から3年間)、10症例
治療研究の概要  膝関節軟骨損傷患者を対象として、関節内組織より単離した細胞を、温度応答性培養皿を用いて培養し、細胞シートを作製し、軟骨損傷が生じている部位へ移植する臨床研究。術前の関節鏡検査時に、上記診断を確定すると共に、滑膜と軟骨を少量採取し、セルプロセッシング室で細胞を単離後、温度応答性培養皿へ播種して細胞シートを作製する。安全性の評価を行うとともに、画像検査、病理検査にて軟骨再生の状態も評価する。
その他(外国での状況等)  自己細胞を使用した軟骨再生医療に関して、国外では既に20年近く前から研究が開始され、Genzyme社のAutologous Chondrocyte Implantation(ACI)は既に2万例近く世界で実施されている。国内では、広島大学で考案したアテロコラーゲンゲル包埋培養軟骨細胞移植法をJ-TEC社が治験をほぼ終了した段階にある。
 しかし、いずれも小さな軟骨欠損にのみ適用される問題点がある 。
新規性について  細胞シートによる関節軟骨再生医療で、 骨膜を使用しない新規性がある。変形性関節症で常に混在する全層欠損と部分損傷の両方での有効性を動物実験で確認している。

(別紙7)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成23年5月20日審議分

研究課題名 急性期心原性脳塞栓症患者に対する自己骨髄単核球静脈内投与の臨床研究
申請年月日 平成23年4月22日
実施施設及び 総括責任者 実施施設:先端医療センター
坂井 信幸
対象疾患 心原性脳塞栓症
ヒト幹細胞の種類 ヒト自己骨髄単核球
実施期間及び 対象症例数 承認日から3年間、12症例
治療研究の概要  心原性脳塞栓症は重篤な後遺症を残すが、現在のところ有効な治療法は発症3時間以内の血栓溶解療法のみである。本臨床試験は脳梗塞発症7-10日後の患者に対し、自己骨髄細胞を採取し、骨髄単核球分画を経静脈的に投与し神経機能回復効果と安全性を評価する。
その他(外国での状況等)  韓国において慢性期脳梗塞患者に対して骨髄間質細胞移植が行われている。日本では札幌医科大学で骨髄間質細胞を投与する同様な臨床試験が12例行われており、特に副作用は報告されていない。また共同研究を行う国立循環器病研究センターにおいて、自己骨髄単核球移植が8例行われ、有害事象はまだ報告無し。
新規性について  慢性期脳梗塞患者に対して骨髄間質細胞の投与は行われているが、亜急性期に骨髄単核球移植による再生療法の検討は新規性がある。

厚生科学審議会科学技術部会 ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿

氏 名        所 属 ・ 役 職

青木  清   上智大学名誉教授
位田 隆一   京都大学大学院法学研究科教授
春日井 昇平  東京医科歯科大学インプラント・口腔再生医学教授
貴志 和生   慶應義塾大学医学部形成外科教授
木下  茂   京都府立医科大学眼科学教室教授
小島  至   群馬大学生体調節研究所所長
島崎 修次   国士館大学大学院救急システム研究科研究科長
高橋 政代   理化学研究所神戸研究所網膜再生医療研究チームチームリーダー
戸口田 淳也  京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野教授
○ 永井 良三   東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
中畑 龍俊   京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門疾患再現研究分野教授
中村 耕三   東京大学大学院医学系研究科整形外科学教授
前川  平   京都大学医学部付属病院輸血部教授
松山 晃文   先端医療振興財団先端医療センター研究所膵島肝臓再生研究グループグループリーダー
水澤 英洋   東京医科歯科大学大学院脳神経病態学教授
湊口 信也   岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学・呼吸病学教授
山口 照英   国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部   

(敬称略)
○:委員長


<照会先>

医政局研究開発振興課
電話:03-5253-1111(内線)2587

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