ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 補装具評価検討会> 第14回補装具評価検討会議事録




2011年7月28日 第14回補装具評価検討会議事録

障害保健福祉部企画課自立支援振興室

○日時

平成23年7月28日(木) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省12階専用第14会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)


○出席者

伊藤 利之 (横浜市総合リハビリテーションセンター 顧問)
樫本 修 (宮城県立リハビリテーションセンター 所長)
黒田 大治郎 (神戸学院大学総合リハビリテーション学部 教授)
諏訪 基 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所 顧問)
田内 光 (国立障害者リハビリテーションセンター病院 副院長)
仲泊 聡 (国立障害者リハビリテーションセンター病院 第二診療部長)
中邑 賢龍 (東京大学先端科学技術研究センター 教授)
野田 徹 (独立行政法人国立病院機構東京医療センター 眼科医長)
山内 繁 (早稲田大学研究推進部 参与)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室

○議題

告示改正に向けた補装具の基準額のワーキンググループの設置について

○議事

○池田室長補佐 それでは定刻より若干早いようですが、ただいまより第14回補装具評価検討会を開催させていただきます。今年度は2回目の開催となります。よろしくお願い申し上げます。
 皆様にはご多忙のところを本検討会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。それでは検討会の開催に先立ちまして、障害保健福祉部企画課自立支援振興室長の矢田より、ご挨拶を申し上げます。

○矢田自立支援振興室長 皆さんおはようございます。自立支援振興室長の矢田と申します。本日はお忙しい中ご出席をいただきまして誠にありがとうございます。4月に開催をいたしました検討会では、完成用部品の改定や来年度の改正に向けた今後の進め方などついて貴重なご意見をいただきまして、本当にありがとうございました。
 6月には完成用部品の改定の告示を無事に発出することができました。ご報告と御礼を申し上げたいと思います。
 本日ですが、参議院の内閣委員会で障害者基本法の改正案が審議をされています。衆議院はもう既に通っておりますので、この参議院を通れば、改正の障害者基本法案が成立するというような時期にきております。障害者施策にとりまして大変に重要な基本法ですが、部長答弁もたくさん出ておりまして、今日は部長はそちらのほうに参っております。前回に引き続き、今回も欠席ということで大変気にしておりました。皆さんにはくれぐれもよろしくお伝えくださいということでございました。
 本日の検討会ですが、来年度の告示の改正に向けたワーキンググループの設置、検討内容、スケジュール等についてご審議をいただく予定にしておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

○池田室長補佐 それでは本日ご出席いただいています本検討会メンバーの皆様について、お手元の名簿に沿ってご紹介させていただきます。横浜市総合リハビリテーションセンター顧問の伊藤様、宮城県リハビリテーション支援センター所長の樫本様、神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科教授の黒田様、国立障害者リハビリテーションセンター研究所顧問の諏訪様。同じく国立障害者リハビリテーションセンター病院副院長の田内様。同じく国立障害者リハビリテーションセンター病院第二診療部部長の仲泊様。東京大学先端科学技術研究センター教授の中邑様、早稲田大学研究推進部参与の山内様。独立行政法人国立病院機構東京医療センター眼科医長の野田様です。
 なお、本日は心身障害児総合医療療育センター所長の君塚様、和洋女子大学生活科学系社会福祉学研究室教授の坂本様、国立障害者リハビリテーションセンター病院第一診療部健康増進センターセンター長の飛松様、帝京科学大学医療科学部教授の三上様、全国児童発達支援協議会副会長の宮田様、大阪電気通信大学医療福祉工学部医療福祉工学科教授の森本様については、本日ご都合によりご欠席となっております。
 引き続きまして事務局の紹介をさせていただきます。先ほどご挨拶を申し上げました自立支援振興室長の矢田です。福祉用具専門官の加藤です。国立障害者リハビリテーションセンター研究所の相川室長です。なお、この7月より福祉工学専門官として、森が小野の後任として着任いたしました。さまざまな形でかかわっていくことになろうかと思いますので、ご紹介いたします。

○森福祉工学専門官 7月より参りました森と申します。前任の小野さんに引き続きまして、工学のほうからお役に立てるように仕事を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○池田室長補佐 それでは本検討会の座長であります伊藤先生に、以後の議事運営をお願いしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

○伊藤座長 それでは議事に入りたいと思います。今日の議事は2つですが、主要なことは1つで「補装具の基準額に関する告示改正に向けたワーキンググループの設置について【協議事項】」ということです。今日の検討会の公開・非公開について、事務局から説明してください。

○加藤福祉用具専門官 説明させていただきます。検討会の公開・非公開については、政府の閣議決定において、原則として会議、議事録を公開するとされております。ただし、前回4月の検討会でご審議いただきました完成用部品等の個々の審査というような場合、その当事者や第三者の権利もしくは公共の利益を害する恐れのあるというところで、非公開としておりましたが、今回についてはワーキンググループの設置という案件ですので、非公開の場合に当たらないため、公開という扱いで行いたいと思っております。

○伊藤座長 それでは今回は公開ということでお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますね。

                 (了承)

○伊藤室長 続いて資料の確認をしたいと思いますが、事務局からよろしくお願いします。

○加藤福祉用具専門官 資料を確認させていただきます。まず、1枚目が議事次第でございます。1枚めくっていただきますと、検討会の先生方の委員名簿です。その後、資料、ワーキンググループの設置等について【協議事項】というものでございます。参考資料1、自立支援振興室で受けた要望・質問等(概要)というものです。参考資料2-1、障がい者制度改革推進会議等における議論についてです。参考資料2-2、障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案という少し厚めの資料です。参考資料3、第13回補装具評価検討会(第?・?類合同)議事要旨ということで、これは前回4月に開催した検討会の議事要旨を付けさせていただいています。参考資料4は平成22年度における補装具の価格改定等についてという資料です。これは前回の改定時にこの検討会でまとめていただきました報告書を資料として付けさせていただきました。
 そのほか、席上配付資料としてクリップ止めをしている前回の平成22年度告示改正時に行った調査の調査票についてということで、その当時の調査票を参考資料という形で付けさせていただいています。この調査票については平成20年度、21年度に厚生労働科学研究費で国リハ研究所の井上部長の下で行っていただいた研究の一部ですが、調査票の配付をさせていただいています。また、これ以外にもワーキンググループごとに追加調査等を実施しているものもありますが、その点についてはここには含まれておりません。資料については以上です。過不足等がございましたら事務局までよろしくお願いいたします。

○伊藤座長 ありがとうございました。それでは早速議事に入りたいと思いますので、事務局からご説明願います。

○加藤福祉用具専門官 資料を説明させていただきます。ワーキンググループの設置等について【協議事項】というものです。まず1点目、補装具告示改正に向けた調査についてというところです。今回の調査については、次のとおり、従来の調査方法を踏襲して実施をすることとしたいと思います。その1点目、義肢・装具・座位保持装置については、補装具製作業者に対して素材費・人件費等の状況に関する調査を実施したい。2つ目は、その他の補装具については、補装具販売業者に対し実勢価格に関する調査を実施したいと思っております。これらの調査結果を踏まえて、告示の改正の必要性等について検討を行っていきたいと思っています。今年度行いたいと思っている調査につきましては、先ほど席上配付させていただきました平成22年度に告示改正を行った際の調査票を基本として、前回告示改正した内容を踏まえて、若干の見直し等を行った上で、実施をしたいと思っています。
 2点目です。ワーキンググループ(WG)の設置についてです。この設置については前回4月の補装具評価検討会でご同意をいただいたところですが、今年度については前回平成22年度の告示改正を検討した際のWGを踏襲し、補装具の種目ごとに5つのグループを設置したいと思っています。また、今年度については完成用部品について新規申請及び価格変更申請時における価格の構成要素等に関する検討を行いたいと思っていますので、それに関するWGを新たに設置したいと思っています。
 2頁です。各WGにおける調査方針等についてです。まず、グループについては全体で6つ設置したいと思っています。まず、WG1です。義肢・装具・座位保持装置を対象として、平成22年度の告示改正を踏まえ、現状について調査を実施したいと思っています。WG2です。車椅子・電動車椅子を対象として、平成22年度告示改正を踏まえ、現状について調査を実施したい。ここについては修理基準が前回の改正で大きく見直された部分ですので、この辺について留意が必要かと思っています。WG3の補聴器です。平成22年度の告示改正を踏まえ、現状について調査を実施したい。前回の改正に反映されなかったデジタル化への対応について留意することが必要だろうと思っています。
 WG4です。盲人安全つえ、義眼、眼鏡です。平成22年度の告示改正を踏まえて現状について調査を実施したい。ここについては前回の改正に反映しなかった義眼に関することが留意点として挙げられるかと思っています。WG5です。重度障害者用意思伝達装置です。平成22年度の告示改正を踏まえて現状について調査を実施したいと思っています。
 WG0と表現していますが、完成用部品の新規申請及び価格変更申請時における価格の構成要素等に関する検討を行っていただきたいと思っています。全体的な調査のポイントについては私どもの室のほうにもいろいろなご意見をいただいておりますので、スケジュール等ご説明の後に紹介をさせていただければと思っています。
 3頁です。大きく平成24年4月までのスケジュールを表にしています。見方としては、全体のWGと並行して完成用部品の審査等も含めて1つの表としてお示しさせていただいています。
 今日の検討会が7月末で、ここで補装具評価検討会を開催する。その後、8月からWGの開始をしていただき、9月中、末ぐらいまでには調査票の確定・発送辺りまでできればよろしいかと思っています。またこの様子については、必要に応じて補装具評価検討会などで報告をしていただきながら進めていきたいと思っています。
 同時並行で、完成用部品のところですが、WGにおいて価格構成要素等の検討を行い、10月ぐらいには原案等作成のうち検討会で検討する。ご同意が得られるということであれば、その後、完成用部品の新規申請等の募集・受付け等を開始していきたいと考えています。
 その後、全体のWGですが、12月には改定の原案を評価検討会で審議ができるような形で進めていければと思っていますし、来年の平成24年1月には、ある程度の改定案の決定をすることが必要になってこようかと思っています。
 その後、告示に関することについてはパブリックコメント等を経て、3月告示や関係の通知改正を行います。ほぼ同時期に完成部品については最終案の審議をしていただき決定をしていく、併せて通知の改正を行う。両方合わせて平成24年4月に施行(適用)という形で進めていければと思っています。
 4頁です。資料のいちばん最後の頁です。WGのメンバー(案)です。大まかに紹介いたしますと、評価検討会の先生方にメンバーという形で就任のご依頼をし、ご同意をいただいているところです。また、そのメンバーの中には、随時必要なスタッフということで、追加の委員以外の方にもご参加をいただくという形を考えています。WG1ですが、本日は欠席ですが、森本先生にリーダーという形でご協力をいただくということをご同意いただいています。また、国リハの相川室長、山崎主任にもご協力をいただく。このグループの助言者としては日本義肢協会、日本車いすシーティング協会、国リハ学院の義肢装具学科の教官にも助言者として協力をいただくということでお願いをしています。
 WG2ですが、車いす・歩行器・杖・座位保持椅子です。樫本先生にリーダーをお願いしており、横浜リハセンターの飯島先生にもメンバーとしてご協力をいただくということでご同意をいただいています。また、助言者としては当事者という形で脊損連の方、また日本義肢協会、日本車いすシーティング協会、調整中ですが電動車いす安全普及協会にもご協力をいただくということで予定をしています。
 WG3の補聴器です。国リハの田内先生にリーダーということでご協力をいただきます。また、さいたま市の更生相談所の言語聴覚士の土井先生にご協力をいただくということでお願いをしています。ここの助言者としては全難聴から、また補聴器販売店協会、補聴器工業会からご協力をいただくことで調整をしています。
WG4です。義眼・眼鏡・杖ですが、本日欠席ですが坂本洋一先生にお願いをしています。また、仲泊先生にもメンバーとしてご協力をいただくという形で、助言者としては日本盲人会連合さんにもご協力をいただくということでお願いをしています。また、調整中ですが、眼鏡業界に関してどういう調査や実態があるかということについて助言いただく、業界の関係者についても現在人選をしているところです。
 WG5、意思伝達の装置ですが、中邑先生にリーダーをお願いしており、中部学院大学の井村先生にもメンバーとしてご協力をいただくことでお願いをしています。ここについてはALS協会から、販売店という立場でもありますが、そちらから助言者という形でご協力をいただくという形でお願いをしています。
 最後、WG0、完成用部品のところですが、山内先生にリーダーということでお願いをしています。また、メンバーとしては座長の伊藤先生にも入っていただくことを思っていますし、国リハから井上部長と我澤さんにもご協力をいただくことを考えています。助言者としては日本義肢協会、日本福祉用具・生活支援用具協会、輸入部品の取扱い業者、国内での製作業者、あとは有識者については省内で医政局にも調整をさせていただいている状況です。全体WGとしてはこの6つで、検討会メンバーを含めて実施をしていきたいと考えているところです。
 先ほど途中でお話をさせていただきました検討内容について、私どもの室でいろいろな更生相談所、自治体等々からいろいろなご意見、ご要望等をいただいていますので、その辺りについて参考までにご紹介をさせていただければと思います。参考資料1です。かなり細かなものが多々ありますが、主に今回の検討に合致するものがないかといったところについて私どもでピックアップさせていただいたということで、ご承知いただければと思っています。昨年の告示改正後から今年の6月30日までの間に受けたものの中からピックアップしています。
 まず種目ごとの主な内容です。(1)義肢・装具、座位保持装置ですが、高額な部品を自由に選択できるようにしてほしいというご意見とかご要望。また、高額な部品などについて使えるのかどうかというようなことの問い合わせ、または支給していいかというような問い合わせ等があります。また、靴型装具のところですが、既製品の靴について、装具のうちの靴型装具の支給対象になるのかどうかとの問い合わせもいただくことがあります。
 (2)は盲人安全つえです。電子白杖について、新規の種目として補装具費の対象とすることを考えているか、今後対象となるのかどうかとの問い合わせをいただいています。また、安全つえについては、全体的に現行の基準額が安すぎるのではないかというようなご意見もいただいています。
 (3)の眼鏡・義眼のところです。遮光眼鏡ですが、遮光眼鏡に矯正機能を付加する場合の基準額がレンズの度数にかかわらず一律3万円となっているところについてのご質問等をいただいています。また、矯正眼鏡で遠近両用の機能を有するものというものは、現在特例扱いということで判断をいただいていることになっています。
 (4)の補聴器ですが、耳あな型については高度難聴用に準ずることとしていますので、重度難聴用の耳あな型の取扱いが明確ではないのではないかというようなご意見をいただいています。
 (5)の車椅子です。修理基準の各項目の範囲(構成要素)が明確ではない。例としては「キャスター」と「キャスター取り付け部品」、キャスターを交換する場合にどこまでがその交換というものに含まれるのかや、「キャスター(大)」と「キャスター(小)」の区分が不明確ではないかというようなご意見をいただいています。これは代表例ですが、ほかにも似たようなところで問い合わせを受けているところがあります。
 左右2つの部品がセットとなっている修理項目の範囲が明確ではない。つまり、セットとなっている例としては、車軸の位置調整の部品が左右両側の対で1台分ということで判断をするところが、範囲が明確ではないのではないかというご意見もあります。
 現在では流通していない部品があるのではないか。問い合わせの中で確認がし切れていない例としては、「ハブ用スプリング交換」のハブ用スプリングというのはどういうものを指すのかといったようなものが、現行でわからなくなってきているということがあろうかと思っています。
 裏頁の(6)電動車椅子です。「電動車いすに係る補装具費の支給について」という通知がありますが、その中に支給対象を「呼吸器機能障害、心臓機能障害によって歩行に著しい制限を受ける者であって」という形での規定がされていますが、他の内部障害の方に対する取扱いが明確ではない。かなりこの2つに限定されているのかどうかというところについて問い合わせをいただくことがあります。
 車椅子に規定されている付属品の基準について、電動車椅子への適用が可能かどうかというところで、両方を並べてみますと、車椅子にはあって電動車椅子にはないというような修理項目もありますので、その辺をどう考えたらいいのかというような問い合わせをいただいています。
 同一の修理を実施した際の車椅子と電動車椅子における基準額の取扱いの違いが明確ではない。車椅子の場合についてはタイヤ交換とチューブ交換という形で考えられるけれども、電動車椅子はタイヤ交換でチューブ交換を含むといった形の規定がされているというところが、明確ではないのではないかというようなご意見もいただいています。
 手押し型の車椅子で、簡易型の電動ですが、それについて支給は可能か。これは基準内でやるのか、それとも特例でやるのかということでの問い合わせ等をいただいているということです。
  (7)として座位保持椅子です。平成22年度の告示改正で、新たな加算事項として車載用のものについては4万700円増しとすることが追加されていますが、市販のカーシートやチャイルドシートに必要な調整を加えれば加算対象になるのか。具体的にはどういったものがこれに該当するのかというような問い合わせをいただいています。また、座位保持椅子については修理基準がないということで、破損等により壊れた場合の基準がない、これは起立保持具も同様というところで問い合わせをいただいたということです。
 (8)重度障害者用の意思伝達装置です。商品の改廃に伴い、最も安価な基準に該当する商品がないのではないかというようなご意見、ご質問があります。PPSスイッチは、圧電素子と空圧の2種類のセンサーがセットになって販売されている。圧電素子は「圧電素子式入力装置」の基準に該当するが、空圧のみの使用を希望する場合の基準が存在していないというようなご意見があります。
 (9)その他としては、車椅子のバッテリーや補聴器のイヤーモールド等代替品の2個支給というものは認められないのかというようなご意見をいただいている状況です。
 また、1点だけ前回の改正時にどういった点が課題となって残されたかというところで、参考資料4を確認させていただきたいと思います。参考資料4の10頁、補聴器についてです。下のほうの価格改定案の(1)デジタル対応についてですが、販売事業者に対する調査において、重度難聴用耳かけ型の1台当たりの利益率がマイナスであるとの結果が得られた。これは重度難聴者に対するデジタル式補聴器の販売に当たり、調整作業等に時間を要すことがその要因となっている可能性がある。このため、利用者の聴こえに応じた周波数特性、感度、最大出力等の調整に時間を要する「PC調整式」のデジタル式補聴器については、今後支給対象者の明確化を図るとともに、調整に要する時間や人件費単価等を踏まえた加算を設けることを検討する必要がある、というようなことで、前回の改定に盛り込むことが困難であることから、引き続き検討という形で、前回は反映されなかったということです。
 もう1つの義眼のところですが、12頁です。価格改定案のところですが、主材料のプラスチック化や、精密な加工が可能となったことを踏まえ、修理項目も含めて基準価格等の設定を行うことが妥当であるが、価格改定に必要なデータを得るに至っていない。このために、今回の改定を見送るとともに、今後、製作工程の分析等を行うための調査研究を行うことについて検討する必要があるというようなところで、前回改定に反映がされなかったというところがあるということです。
 今後の検討の内容というところも含めてお話をさせていただきました。長くなりましたが以上です。

○伊藤座長 今の件について、委員の皆さんからご質問なりご意見なりありましたら、いただきたいと思います。よろしくお願いします。いかがでしょうか。

○樫本委員 前回もWG2で、車椅子・電動車椅子にかかわらせていただいたのですが、前回の調査のときは修理項目とか各機能の、価格の調査を厚生労働省の担当者の皆様にやっていただいて、それをWGとしてはこれでよろしいかと、意見を述べるような立場でのかかわりだったのです。
 今回、参考資料1に示されているような各種目の問題点に関しては、価格に関係するものもあるでしょうけれども、例えば対象者の要件であるとか、更生相談所に厚生労働省が示している取扱い要領の解釈、基準の解釈とか、そういうものにかかわる部分が多いと思うのです。この辺は、具体的に各WGでどのように対応したらいいのかを教えていただきたい。

○伊藤座長 事務局としての考えはありますか。

○加藤福祉用具専門官 先ほど参考資料1でお話をさせていただいたものの中には、当然ながらこちらで示している要領であったり、Q&Aであったりというところで、対応ができるものもあります。ただ、現状としてどういう支給実態かというところについては、踏まえた上で書かなければいけないようなものもあるのではないかと承知しております。実際にWGの中で、この物についてストレートに検討してくださいということではなく、こういったことも念頭に置いていただければありがたいということで説明させていただいております。実際には、やはり価格や、実際の給付の状況、販売の状況というものについて考えていただければと思います。

○樫本委員 支給実態を踏まえて、どういう対象者に出すべきか、あるいはこういうものは補装具の範疇には認められないということが見えてくると思います。更生相談所の現場からの意見ですが、いわゆる支給基準の解釈というものが非常にばらつきがありまして、来年度の告示改正に向けて、そういうところもわかりやすいように、ちょっと突っ込んだような、いままでの告示改正にないといいますか、折角のチャンスですから発展したようなものを作っていただければなと思います。厚生労働省のほうで文言は整理して、WGはそれには立ち入らないということでしたが、その辺を是非お願いしたいと思います。

○加藤福祉用具専門官 調査等の結果を踏まえて、改善点が明確になれば、考えていきたいと思います。

○伊藤座長 これはWGの中で、前回はほとんどデータが出てからの話だったと思うのですが、今回は少なくともこういういろいろな意見が出ておりますので、その点を踏まえて検討するということですから、それに必要な調査はどのようにすべきか、というディスカッションをして、調査票にも反映していただいたほうがいいと思います。それを基にして、どういう基準を作っていくかというのは、その次の過程だと思います。これは平成25年の法改正の問題もありますので、その辺は事務局のほうでご検討いただいて、いつやるか、それはお任せいただきたいと思いますが、少なくとも、この価格に関しては、資料1に書いてあるような内容を踏まえて、必要な調査を検討していただくというところから始める。これはそういうことでいいですよね。ですので、結論だけの分析ではありませんよということです。ほかにありますでしょうか。

○田内委員 前回、価格の調査をしたわけですね。今回は、それを基にして議論していくのか、また新しく価格調査をし直すのか、その辺のところはどうなのでしょうか。

○加藤福祉用具専門官 価格に関しては、前回、補聴器に関しても価格を変更したというところがありますので、基本的に価格の改正の調査というのは、現状と告示の乖離がどうなっているのかをチェックするのが1つの観点だと思っておりますので、前回と同様にやはり現状の価格に関しても調査をしていただくと。その調査票に関しては、前回反映させた告示内容に基づいて行うことになりますので、その辺の見直し作業は若干必要にはなってくるのではないかと思っております。

○伊藤座長 改めて行うということでよろしいですね。前回のものを基準にすると。

○加藤福祉用具専門官 調査票を前回ベース、それを現在の平成22年に改正した告示に合わせた内容に見直しをして実施をしたいということです。

○伊藤座長 ほかにいかがですか。

○中邑委員 重度障害者意思伝達装置なのですが、この2年間でも随分状況は変わってきていまして、前回のコミュニケーション方法の分類ということ自体も、もう何だか時代に合わなくなっているような気が実はするのです。既存の機器をベースに価格を見直すとか検討するということをやっていきますと、既存の機器というのはもう既にかなり古くさくて、それがなぜ残っているかというと、実はこの制度があるから生き延びているというものであって、そこに合わせて今回検討することが果たして意味があるのかというところを感じております。今回のWGの中で、どこまで突っ込んだ原案作りをしていいものか、突っ込み方というか、突っ込み具合というか、その辺りはどのようにお考えなのでしょうか。ここを抜本的に少し見直してもいいのか、あるいはこれをあと1、2年は。すみません、何か変な質問なのですけれども。

○伊藤座長 事務局として何かありますか。

○加藤福祉用具専門官 今回私どものほうにいただいた意見の中にも、基準がもう合わなくなっているという内容が実際にありますし、逆にその他関連した制度で私どもが担当しております消費税の非課税物品の指定のところで、いろいろな商品、製品などのチェックをしていきますと、既になくなっている物などが見受けられ、本当に商品の入れ替わりは激しいのだろうと思っております。特に重度障害者の意思伝達装置のところは、最新の技術等を反映させていくというところもあろうかと思っていますので、かなり出入りが激しいところかなとは思っております。ですので、実際に現行基準で見られない、認めることが難しいというものや、逆にそぐわないものがあれば、現状に沿うように見直しをすることは必要だろうと思っていますので、そういった観点からWGのほうでも見直しといいますか、調査票等の検討をしていただければありがたいなとは思っております。

○伊藤座長 確かに自立支援法の改定の問題はありますが、それとは別に、この調査の狙いはあくまでも実態に合わせてほしいと。その乖離をいかに小さくするかというところに改定をしていく狙いがあるわけですから、全く乖離していますよという話だとすると問題なので、是非WGでご検討いただいて、これならばいまの実態に合うだろうという調査をしていただくことは基本だと思います。これは大きな法改正には関係なく、現行の中でもやらなくてはいけないことですので、そのように進めていただくということで、よろしいと思います。

○加藤福祉用具専門官 ご提案をいただければ、私たちとしてもありがたいと思います。

○伊藤座長 中邑先生のお考えのように進めていただければと思います。

○山内委員 関連事項ですが、ここで去年やったのは、決められているものがいくらぐらいの価格かというのを調べたわけですね。そうではなくて、私がとても大事だと思うのは、対象になっていない物を、どのぐらいの人がどのぐらいの値段で買っているのかという現状、そこの把握があれば随分違うと思うのですね。やはりその部分まで把握できるような調査にしないと、おそらく難しいというのが1つあると思います。
 もう1つは、新しいのはいいのですが、早い話基準がない、スペシフィケーション(仕様書の意味)が決まっていないのが結構あるわけです。ここで見ていて、電子白杖と言われたって、JISもなければ何もない。「これがそうです」と言われたら、「ああ、そうですか」と言うより仕方がない。こんなものはやはり困るので、これは技術の発展も見ながら、JASPAにお願いしてJISを作ってもらうとか、そういったことも合わせてやっていかないと、かえって混乱してしまうような気が私はしています。
 だから、定義するときに、そこまで技術的なスペシフィケーションが要らないかもしれない。必要なものはちゃんとしたスペックを決めるという、そういう考え方が必要だと思います。

○伊藤座長 特に既製品については、総合的に考えないといけないということだと思いますけれども。ほかにありますか。

○諏訪委員 先ほどの補聴器の所にも出ていましたが、デジタル補聴器のマイナスになっているのをどうするかなどという話で、補聴器だけに限らず、フィッティングなどのコストというものが、この業界はあまりアテンションが払われていなかったということが、よく言われているわけです。ですから、それぞれのWGの中で、機種によると思いますが、私の言葉で言うとハードウェアとソフトウェアのアンバウンドリング(ハードウェア価格とソフトウェア価格を分離して課すこと)ということをよく言っているのですが、その必要性、可能性、そういったものも何か情報を集めてみたらどうかと思うのです。最終的に規定でオペレーショナルに来年度から動かせる話というのは、また限定的かもしれないですが、そうやって次の議論につなげていくために、ちょっとアンバウンドリングに向けて、ソフトウェアの面、つまりフィッティングのコストなどを対象に、そういったものの育て方に関する手掛かりを1つ意識して、調査をしていただけるとうれしいなと思いますが。

○伊藤座長 かなり短い期間にやらなくてはいけない話ですから、そうあっちもこっちも盛りだくさんにはならないかもしれませんが、いまの視点は是非考えていただきたいと思いますね。いつもこういうことになってきますので、そうするといつも短期間ですよという話になりますから、やはり長期戦で調査しなくてはいけないという、そういう調査はそういう調査として考えていただきたいと思います。それはそれで、継続して取っていけるようにしたいと思いますので。私も特に人件費の問題、技術だとか技術料を加えていきたいと、そこを明確にしてほしいというのは前の検討会でも出されていたことなのですが、実際上、業者が成り立っているわけですね。そういうことを考えると、どこで成り立っているのかという問題があるわけで、明確に卸値がいくらなのかということも、本当は追求したいところなのです。これが正確に出てくると、そこまで明確になればの話ですが、人件費をきちんと加えてもよろしいかと思いますが、その辺が不明確ですと、ちょっとこちらのほうだけがプラスされてしまって、適当ではないのかなと思うのです。いずれにしても、そういう長期的な意味での調査も、少し計画をしていただければありがたいと思います。ほかにありますでしょうか。

○黒田委員 価格そのものではないのですが、地域によっては、品物のデリバリーにどうしても負担価格がかかる。兵庫県ですと、昔は圏域を13抱えていましたので、そこへポイと送り付けておけば、それぞれ配っていただけるということで、輸送費のコストそのものがかからなかった時代を背負っている業者さんにしてみると、個別にいちいち回る所の費用は補装具の費用の中には全く入っていないと。そうすると、単価の安い物は扱いたくないと。例えば白杖がほしいと言われても、単価数千円で、持っていくだけで1万円もかかればやらないと。義眼などでも、来るならやるけれども、出かけていってまで適合しないという。いわゆる補装具の中には、そういう供給上の背景の違いによって、どんどんどんどん過疎化していく、補装具の過疎化地域みたいなこと。義肢装具とシーティングですとあるとか、電動車椅子はするけれども、安い物とか利益に合わない物は、初めからやらない。法的にも制度的にも、それを享受するというか、引き受ける障害の方がおられれば、やはり参入する人たちの責任として全うできるような、価格体系に付随したデリバリーも、将来的には是非考えていただく。これは私は前からずっと申し上げています。
 何人か集めてみますと、町の真ん中の大きな業者さんでも同じことで、お客さんから頼まれればどこでも行くのですが、その分どこかに見返りがないと意欲が湧きませんと、こういうことがあります。これもいま座長がおっしゃったように、長期的なこういうものをどうするのかと。まして震災地域などで配るのが大変な所はどうされるのだろうかという、その辺の懸念も持ちながら、比較的供給量の多い所でも、やはりそういう問題がずっと潜在的につながっておりますので、どこかに検討するポイントを置いていただければと思っております。

○伊藤座長 これは離島問題も含めて、毎回問題になるところなので、いつもそれに目を瞑ってきたというのが実態だと思うのですね。ですので、ここはきちんと、いずれこの検討会で本格的な議論をしなくてはいけないと思います。そのための調査は調査として考えていかなくてはいけないのですが、今回の中にどの程度入れられるかをそれぞれ議論していただきますが、場合によっては、これはこれで別項目、別調査ということも考えなくてはいけないかもしれないですね。それはまた検討して、場合によっては別調査で、長い目で見ていきたいと思います。ほかにありますか。よろしいでしょうか。
 今回は、基本的な考え方のところからWGで検討していただいて、場合によっては長期戦のベースになるような調査も入れ込んでいただくと。それで、もしWGの中でそれは無理だという話になれば、別個に考えるということで、いずれにしても離島問題等、今回の震災の問題もありますし、検討しなくてはいけないことは間違いありませんので、そうさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。短時間でしたが、大体委員の先生方のご意見が出尽くしましたので、今日の議題の1番は終わりたいと思います。
 その他ですが、何か事務局からありますか。

○加藤福祉用具専門官 参考資料で配らせていただいていますが、若干、長期的な課題になってくるかとは思っておりますが、実際に障害者総合福祉法の検討を、いま総合福祉部会等で開催をしておりますので、その経過について、情報提供などをさせていただければと思います。参考資料2-1と参考資料2-2で説明をさせていただきます。参考資料2-1については、昨年来、障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会において、さまざまな検討がされて、議論がされているという状況です。その中で、補装具・日常生活用具についての議論について、どういったご意見があるかという主なところをご紹介させていただこうというのが1点目です。
 次に、一昨日、総合福祉部会が開かれて、新しい法案の骨格提言のさらに素案という形で、ご報告と議論がされておりますので、その辺について情報提供させていただこうかと思っております。そもそも障がい者制度改革推進会議において、補装具・日常生活用具について、資料上、「議論はされていない」と書いてありますが、「本格的な議論には至っていない」というのが正確な表現かと思っております。また、総合福祉部会においても、昨年の論点に関する委員の意見が主なものということで、そこについてご紹介をさせていただきます。「総合福祉法の論点に対する意見」という所で、昨年の8月31日、第6回目で総合福祉法のさまざまな論点が挙げられておりますが、その中での補装具・日常生活用具に関するご意見というところで、主立ったものを紹介させていただきます。
 まず、荒井委員からは「補装具の種目、基準価格などを実情に合うように見直すべき」というご意見。これはまさに、いま我々のほうで実際の制度でやっている、今回お願いをしようとしているところです。また、石橋委員からは「補装具の内容の見直しと年齢と体格でサイズを変更する際の補助制度が必要。また、補装具・日常生活用具は日進月歩で開発されている。開発品を臨機に使用できるシステムが必要」ということです。氏田委員からは「身体障害のある人のみならず、知的障害、発達障害、精神障害などの障害特性に応じた教育用具なども、日常生活用具の給付対象とすべき」ということです。大久保委員からは「パーソナルコンピュータにおけるコミュニケーションツールや、例えばコミュニケーションボードやトーキングエイドなどは、知的障害のある人たちにとっても活用できる日常生活用具として考えられる」というご意見です。
 私どもの検討会の委員でもありますが、君塚委員から「日常生活給付事業の支給基準について、市町村で定めるのではなく、国あるいは県で定めるほうがよい。障害児における年齢制限は撤廃すべき」というご意見です。さらに4点ご意見をいただいていますが、「レンタル制の導入などを、可能なものから進める」。2つ目ですが、「座位保持装置や車椅子、電動車椅子などの交付や複数交付などを、生活実態に応じて柔軟な対応ができるようにする」。3番ですが、「車載用座位保持装置など生活様式の時代的な変化に応じて、交付内容をスムーズにできる国のシステムが求められる」。4つ目ですが、「適応や適合の判断が適切に可能な人材の養成が必要である。また、18歳未満の場合、福祉が担うべき経費が作成現場に肩代わりさせているという現状がある」というご指摘があります。
 倉田委員ですが、「自立支援法により、補装具・日常生活用具の品目の組み替えが行われたが、ストマ装具、人工喉頭については、位置づけを補装具に戻すべきである」というご意見です。齋藤委員からは「補装具と日常生活用具の事業の一体化を図るとともに、より最新の先進的な機器を認めていけるように、必要な機器の対象を広げていけるようなシステムを作る」ということです。佐野委員からは「現行制度の谷間にある軽度・中等度難聴者に対しての国際基準に基づく補装具(補聴器)の購入補助給付を実施すべきである。特に児童・生徒に対する支援は、将来の人材育成の観点からも重要なことであるから実施すべきである」ということです。田中委員からは「支給対象用具の認定については、少なくとも年1回程度の改定作業を行うべきである」ということです。
 中西委員からは「補装具や日常生活用具は、障害者の日常生活に不可欠なものであり、障害者に自己負担を求めることは根本的に間違えている。全額制度で保障すべきである」ということです。西滝委員からは「補装具は障害を補てんするものであり、本人負担はなじまない。自己負担は全廃すべきである」ということです。野原委員からは「内部障害、慢性疾患の場合にも、電動車椅子などを利用することで体力の消耗を防ぎ、障害の進行・重症化を防ぐことは必要であり、そういう場合にも、補装具・日常生活用具が給付できるようにすべき」ということです。東川委員からは「高次脳機能障害者に必要なメモリーアシスト、トーキングエイドなども、障害を補う必要な道具として認められるべきである」ということです。
 福井委員からは「障害当事者も入れた検討会議を設置すべき」ということです。藤岡委員からは「日常生活用具支援も補装具と同じく個別給付とされるべき」ということです。三浦委員からは、「必要な補装具・日常生活用具が活用できるように、費用負担のあり方、支給のあり方、また給付対象となる補装具等の種類の柔軟な追加等の方法について検討されるべきである」ということです。光増委員からは「介護保険制度優先の見直しが必要」ということです。最後に森委員ですが、「早急に現行の補装具・日常生活用具に区分するあり方を抜本的に見直す必要がある」というご意見をいただきました。ほかにもかなりの数をいただいておりますが、主なものについてここに抜粋させていただきました。個別、具体的な制度に関する意見が表明されているのは、実はここの資料だけです。
 4頁目ですが、それらの中で総合福祉部会の各作業チームの報告書が告示されていますが、今年の1月に部会作業チーム(施策体系~地域生活支援事業の見直しと自治体の役割)という報告書の中では、補装具・日常生活用具のあり方については、「日常生活用具給付等事業は補装具と同様に、個別給付自立支援給付とすべきである」という結論にされております。
 また、先月、6月23日の「利用者負担」部会作業チームの報告書では、結論として「基本的に障害に伴う必要な支援は無料とすべき」という中に、日常生活を送るための支援や補装具の支給といったものも含まれると。その説明についてですが、「日常生活を送るための支援では、食事の再調理のためのとろみ剤や栄養ゼリー、特殊ミキサー等加工設備、再調理の人件費、特別な食器・器具など、また紙おむつ・尿パットなどの排泄介助に必要な消耗品等は、日常生活用具に含め、無料とすべきである。また、身体機能の障害を軽減するための義肢・補装具や、障害に配慮した住宅改修工事等についても公的な支援とし、無料とすべきである」という報告書がまとめられているという状況です。
 これらの議論を踏まえて、参考資料2-2ですが、一昨日、「骨格提言素案」が示されました。表紙の中の○と●で表記が変わっているかと思いますが、●の点について、一昨日、7月26日に素案が示されたところです。資料の21頁ですが、「支援体系 素案」ということで、今後のサービスの体系について提言をしているところです。障害者の支援体系については、大きく3つの地点で体系を作っていくというところで、提言がされています。Aが「全国共通の仕組みで提供される支援」、Bが「地域の実情に応じて提供される支援」、Cが「支援体系を機能させるために必要な事項」という形で、大きく3つに分ける。その中のA「全国共通の仕組みで提供される支援」の中に、6番として補装具・日常生活用具を入れるということで提言がされております。
 22頁ですが、下に大枠のイメージ図が示されております。現行の自立支援法のサービス体系が左にあります。真ん中で新しい障害者総合福祉法(仮称)では、こういう支援体系にというところで提言がされ、「全国共通の仕組みで提供される支援」の中に補装具・日常生活用具が位置づけられているというところです。ここの表現の中には、当然ながら全国統一の考え方、基準で実施をしていただきたいというところが、共通という所で表れているかと思っております。
 この点に関しては、29頁に解説で載ってはいます。6.「補装具・日常生活用具サービスについて」ですが、これまでの作業チームでまとめられていたとおり、日常生活用具については、補装具と同様に個別給付とすべきというところで結論が至っている。説明としては「日常生活用具の給付等事業は、自立支援給付である補装具との明確な定義上の違いも不明瞭であり、障害者の地域生活には不可欠である」とされているところです。
 また、先ほど利用者負担で説明したところについては、35頁、36頁に記載されているところです。「利用者負担 素案」の中の結論で、「他の者との平等の観点から、食材費や光熱水費など誰もが支払う費用は負担をすべきであるが、障害に伴う必要な支援は無料とすべきである。その際、障害に伴う必要な支援とは、主に以下の6つの分野に整理することができる」といった中に、?「日常生活を送るための支援や補装具の支給」が書いてあります。この解説については、36頁の中段の、(3)「障害に伴う必要な支援」の中の?「日常生活を送るための支援や補装具の支給」です。「食事や排泄、身体機能の障害を軽減するための義肢・補装具や、障害に配慮した住宅改修工事等についても公的な支援とし、無料とすべきである」ということで、大まかにはこれまでの作業チームで議論がされた内容がほぼそのまま素案という中に掲げられている、まとめられているという状況です。ただ、この検討ですが、作業チームの中でも意見の統一がされていないグループも多かったというところで、まだまだ今後も変化してくるところがあるのではないかとは思っております。
 また、総合福祉法に向けての骨格提言そのものが8月を目途というところで、今後部会としては8月9日と8月30日、あと2回議論されるというところですので、それらの中で最終的には骨格がまとめられていくのではないかと思っております。現状の新しい制度に向けた議論の中で、この評価検討会に関連する補装具、関連の制度である日常生活用具について、現状このような議論がされているということをご紹介させていただきました。以上です。

○伊藤座長 これについて議論するといってもできませんので、こんなことはどうなのかという質問がありましたらどうぞ。

○黒田委員 29頁の所は、我々は少しばかり異論があるのです。日常生活用具と補装具というのは、明確に区別した定義が作ってありますので、「されていない」というのは、いささか我々としては心外です。長い歴史で検討してきて、伊藤先生、山内先生、ここにおられる人が一生懸命考えて、障害者自立支援につながる身障法の中でもしっかりと踏まえてきておりますので、これははっきり申し上げて勉強不足ではないかと思いますね。一応いまの制度というか、国の制度の中では、補装具・日常生活用具をきちんと分けて支給を行っているわけですので、不明確であるというのは、これは勘違いとしておきたいと。

○伊藤座長 そう言いたいところですが、一生懸命作ってきたわけですから。我々は明確なのですが、こういう意見をお持ちの方がいらっしゃったのですね。ほかにありますか。
 無料にするというのは、私は基本的に問題ないと思います。ただ、障害がゆえに日常生活に支障があると。それを補うものは全部無料だと。この考え方が絶対的だということにはならないと思うのです。一般の人だって、日常生活をする上で皆さんいろいろな物を買うわけですから、その辺のところでいえば、義足みたいなものはわかるのですが、装具のようなもの、なかでも靴型装具などをどうするかですよね。そうなってくると、差額を払うべきだとか、いろいろあると思っています。いずれにしても、公費負担をどこまでの範囲にするかというのは、我々の範疇の議論ではないかもしれませんが、考え方としての議論は我々としてもしたいところだろうと思います。お金さえあれば全部無料と、それでいいのかという問題も、一方では不公平感が出ますので、考え方ぐらいは議論したいなという意識もあります。ほかにありますか。

○樫本委員 いままで補装具は更生相談所が判定をして、支給対象かどうかと、あるいはどういうものが適切であるかという処方も含めて、行っています。日常生活用具と補装具が個別給付になった場合、実際に今後どういう機関がそういう役割を担うのがふさわしいのか。いま各県に1つの更生相談所でやっているという点では利用者にとっては後手後手といいますか、申請が上がってから判定があって、それから製作して、届くのに非常に時間がかかっています。ですから、良い物を作る、開発するというのは、いまかなり進んできているわけですが、利用者のニーズに対して、いかに早く手元に届けるか。それから、しっかり適合を見極めて、フォローをしていくということが重要です。
 そういうことで、この議論の中にはそこまで具体的なことは出てこないと思いますが、方向性として更生相談所がどうあるべきかとかそういうことではなくて、いかに利用者に必要なものが支給されるか。そして、その支給されたものをきちんと使用して本当に生活の改善が図られたのかと。そういう適合・フォローアップも含めてやっていけるような、そういうシステム作りがこれからの本当の課題かなと思っています。

○伊藤座長 たぶん日常生活用具を更生相談所で扱うとなると、かえってサービスの面ではマイナスになると思うのです。ものすごく遅れてしまうと思いますよ。そういう実態がありますということは、何かの機会があったら、現実の仕組みについてもご説明願いたいと思います。それではこのぐらいにして、最後に今後の日程についてお願いします。

○加藤福祉用具専門官 今後のことです。WGについては、また各リーダーと相談して、現実的にはメールなどのやり取り、必要に応じてご参集いただくという形での実施になろうかと思っておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 今後のスケジュール観についてですが、次回については調査票等の確定、発送等について報告、また完成用部品の価格、構成要素等の検討結果などについて協議を行いたいと思っております。できれば9月末から10月上旬までの間に開催をしたいと考えております。近日中に今年中のスケジュールを広めに確認をさせていただこうかと思っておりますので、本日、明日ぐらいにはメール等でご連絡させていただこうと思っております。最後に、今日の資料ですが、席上配付させていただいた資料については、そのまま置いておいていただけますと、私どものほうで回収しますので、よろしくお願いします。以上です。

○伊藤座長 ちょっとお聞きしたいのですが、平成24年4月までのスケジュールで、WGと完成用部品で2つに分けて、補装具評価検討会報告等が9月にありますよね。10月に補装具評価検討会原案の検討とあります。これは検討対象が違うのでしょうけれども。

○加藤福祉用具専門官 合わせられれば一緒にということも考えたいと思います。

○伊藤座長 9月にやって10月にやるというのも何ですから、これは一本にしていただくと。12月の補装具評価検討会は改定原案の審議ですよね。

○加藤福祉用具専門官 はい。

○伊藤座長 そのあとは、改定案の決定ですよね。

○加藤福祉用具専門官 はい。

○伊藤座長 この辺も、原案の審議をきちんとして、決定のところはメールでやるなどということができないのかということも考えたいし、あるいは原案をメールで示しておいて、意見も出しておいて、最終的に審議してまとめるという手順で。

○加藤福祉用具専門官 スケジュール感と先生方のご都合等も踏まえながら、座長ともご相談をして対応を考えていきたいと思っています。

○伊藤座長 12月、1月、2月と毎月やるというのもですね。ここの12月と1月は一本にしていただけるといいなと。最終的には、またパブリックコメントのあとにやらなくてはならないでしょうから、その辺はちょっとご検討いただきたいと思います。

○加藤福祉用具専門官 わかりました。またご相談させていただきたいと思います。

○伊藤座長 お忙しい先生方にわざわざ来ていただくのにふさわしい内容の会議にしたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。

○加藤福祉用具専門官 はい。

○伊藤座長 他にありますか。なければ、これで終わりにします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室
社会参加支援係 加藤、服部、滝澤

電話番号: 03-5253-1111 (内線 3089,3073)
代表番号: 03-3595-2097

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 補装具評価検討会> 第14回補装具評価検討会議事録

ページの先頭へ戻る