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2011年7月8日 第一回化学物質による疾病に関する分科会 議事録

労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室

○日時

平成23年7月8日(金)13:00~15:00



○場所

専用第12会議室(中央合同庁舎第5号館12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)



○出席者

(参集者:五十音順、敬称略)

圓藤吟史、高田礼子、松岡雅人、宮川宗之、柳澤裕之

(厚生労働省:事務局)

尾澤英夫、河合智則、神保裕臣、渡辺輝生、倉持清子、大根秀明、斉藤将

○議題

(1)労働基準法施行規則第35条別表第1の2第4号の1の物質等の検討について
(2)その他

○議事

○斉藤職業病認定業務第二係長 大変お待たせしております。 それでは、定刻ですので、労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会を開催いたします。分科会を開催する前に、傍聴されている方にお願いがございます。皆さんの携帯電話などの電源は必ず切るかマナーモードに設定していただくようお願いいたします。そのほか、別途配付しております留意事項をよくお読みの上、会議の間はこれらの事項を守って傍聴していただくようお願い申し上げます。万一、留意事項に反するような行為があった場合には、当会議から退出をお願いすることがございますので予めご了承ください。
 これより、第1回労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中お集りいただき誠にありがとうございます。
 最初に、本分科会にご参集を賜りました先生方を五十音順にご紹介させていただきます。まず、圓藤吟史先生です。高田礼子先生です。松岡雅人先生です。宮川宗之先生です。柳澤裕之先生です。
 続きまして、事務局を紹介いたします。労災補償部長の尾澤です。補償課長の河合です。職業病認定対策室長の渡辺です。補償課長補佐の神保です。職業病認定対策室長補佐の倉持です。中央労災医療監察官の児屋野です。中央職業病認定調査官の大根です。安全衛生部化学物質対策課の寺島化学物質情報管理官です。私は職業病認定対策室の斉藤です。よろしくお願いいたします。
 それでは、労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会の開催に当たりまして、尾澤労災補償部長から挨拶をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○尾澤労災補償部長 本日ご参集の先生方におかれましては、大変お忙しい中、また、大変に暑い中、お集りいただきまして誠にありがとうございます。
この分科会でございますけれども、業務上疾病の範囲につきましては、ご案内のとおり、労働基準法施行規則第35条に基づく別表第1の2に掲げる疾病とされているところでございます。当該症例に具体的に列挙された場合には、因果関係が推定されるという重要な役割を果してきているところでございます。
こうした中で労働基準法施行規則第35条専門検討会は、前回平成21年度に開催されまして、このときまとめられた報告書におきましては、残された課題として、1つは理美容等における接触皮膚炎、インジウムの健康への影響等についての分科会を設置し検討するということと、それから、新たな化学物質による疾病については幅広く検討することということが、この報告書の中で要請されていたところでございます。
また、ILOの勧告におきまして、職業病一覧表が2010年3月に改訂されております。この中では、新たな化学物質による疾病、7疾病が追加されている状況でございます。
こうした中で、今回、化学物質による疾病に関しまして、最近の発生状況等を踏まえた検討を行うために、新たにこの分科会、即ち労働基準法施行規則第35条専門検討会の化学物質による疾病に関する分科会を設置し、検討を行うこととしたところでございます。
先生方には、別表第1の2の第4号に化学物質が列挙されておりますけれども、ここにおける、単体たる化学物質及び化合物による疾病のほかに、化学物質による疾病に関しまして、専門的見地から省令又は告示に具体的にどのようなものを列挙すべきかどうかということについてご検討いただきたいと思っているところでございます。
ご検討いただくに当たりましては、化学物質取扱いの実態はもとより、化学物質の有害性、それから、症例の詳細にわたる検討が必要であると考えております。先生方には、これから大変暑い日が続く中でございますけれども、大変なご苦労をおかけすることになります。是非、忌憚のないご意見をいただきつつ、被災労働者の方々の適切な保護という観点から設けられているものでございますので、より効果的な別表の見直しになりますことをお願い申し上げまして、簡単ではございますが、検討会の冒頭に当たりましてご挨拶をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○斉藤職業病認定業務第二係長 ありがとうございました。続きまして、本分科会の座長を選出していただきたいと思います。どなたかご推薦をお願いできませんでしょうか。
○柳澤委員 圓藤先生、もし可能であれば、是非ともお願いしたいと思います。
○斉藤職業病認定業務第二係長 圓藤先生に座長をというご意見がございましたが、いかがでございますか。
(異議なし)
○斉藤職業病認定業務第二係長 それでは、圓藤先生、座長をよろしくお願い申し上げます。大変申し訳ございませんが、圓藤座長には正面の座長席にご移動していただきますようお願いいたします。
○圓藤座長 ご指名でございますので、座長を務めさせていただきます。35条の専門検討会というのは非常に重要な案件でございますので、職業病を認定する基本となるものでございますので、真摯に議論していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 議事に入る前に、事務局から本日の資料につきましてご説明いただきたいと思います。
○斉藤職業病認定業務第二係長 座長からもございましたように、本日の資料の確認をさせていただきたいと思います。資料の確認の前に、傍聴されている方にお願いがございます。写真撮影等される場合につきましてはこれまでとさせていただきますので、以後の写真撮影等はご遠慮いただきますようお願いいたします。
 それでは、資料のご確認をお願いいたします。本日の資料は資料1から資料9までございます。
 資料1としまして、「労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会開催要綱」です。
 資料2は、「労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書」、これは前回の検討会の報告書です。平成21年12月21日付けのものです。
 資料3「化学物質による疾病に関する分科会の検討事項」、1枚ものです。
 資料4「業務上疾病の関係法令等」です。
 資料5これは通達ですが、「平成8年3月29日付け基労補発第181号『労働基準法施行規則の規定に基づき厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める告示の全部改正について』」です。
 資料6「労働基準法施行規則別表第1の2第4号に基づく大臣告示に示された列挙疾病の選定に関する基本的な考え方」です。
 資料7は、報告書、冊子になっております。「化学物質等による健康影響・疾病に関する調査研究報告書(平成23年3月)」です。
 資料8「化学物質に関する基本情報&評価シート【01~50】」です。
 最後ですが、資料9「国際労働機関(ILO)の『職業病一覧表並びに職業上の事故及び疾病の記録及び届け出に関する勧告』に附属する『職業病一覧表』の改訂(2010年3月)により新たに追加された化学物質による疾病及び平成15年3月に取りまとめられた労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書において追加する必要がないとされた化学物質による疾病」となっています。
 資料の不足等はございませんでしょうか。資料の確認は以上です。
○圓藤座長 それでは最初に、事務局より資料のご説明をいただきたいと思います。そして、議事を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○大根中央職業病認定調査官 私のほうからご説明申し上げたいと思います。大変恐縮でございますけれども、座ったままご説明させていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、資料1です。労働基準法施行規則第35条専門検討会化学物質による疾病に関する分科会、本検討会の開催要綱です。業務上疾病の範囲につきましては、先ほど部長からもお話がありましたけれども、労働基準法施行規則第35条及びこれに基づく告示に定められております。新しい疾病の発生等に対処する、それからまた、業務上疾病の範囲に係る法令の見直し・追加、こういったものを迅速に行いますために、労働基準法施行規則第35条専門検討会を定期的に開催しているところです。平成21年に開催いたしました専門検討会におきまして、先ほどもお話がありましたが、「理美容の業務による接触皮膚炎」及び「インジウムによる間質性肺炎」につきまして、分科会を開催して検討を行うとともに、同分科会において新たな化学物質による疾病について幅広く検討することを望むということとされました。また、ILOの職業病の一覧表が2010年3月に改訂されまして、新たな化学物質による疾病が示されております。こうした状況を踏まえまして、今般、厚生労働省労働基準局労災補償部長が、化学物質による疾病に精通した学識経験者にお集りいただきまして最新の医学的知見に基づいて必要な検討を行っていただくことにしたものです。本分科会の検討事項につきましては、別途ご説明をさせていただきます。分科会の構成その他事項につきましては、先ほど委員の先生をご紹介させていただいております。また、記載のとおりです。資料1は以上です。
 続いて、資料2です。先ほどの、平成21年に開催されました労働基準法施行規則第35条専門検討会の報告書です。このときの専門検討会における検討疾病ですが、こちらの2頁の3「検討疾病について」に記載されております。その中に、申し上げました、理美容の業務による接触皮膚炎及びインジウムによる間質性肺炎が含まれております。これらにつきましては、それぞれ、化学物質に係る分科会を設置してさらに検討を行うことが適当と判断するとの記述が、8頁の、(10)理美容の関係、(11)インジウムの関係、こちらに記載されております。また、9頁、最後のほうですが、製造業等における新物質の利用が急速に広まりつつある状況を踏まえ、化学物質に関する分科会においては、新たな化学物質による疾病について幅広く検討することを望むものであるとされております。資料2につきましては以上です。
 次に資料3です。本分科会で検討していただく事項を事務局で整理してまとめたものです。まず、左上の、「新たな化学物質による疾病の検討」ということで、3つあります。
 そのうちの1「症例報告のある物質50物質」についてです。これは先ほどの労働基準法施行規則第35条専門検討会におきまして、新たな化学物質による疾病について幅広く検討することを望むものであるとされたことを踏まえまして、MSDSの交付義務のある640物質のうち、既に厚生労働大臣告示に規定されております151物質を除いた489物質につきまして、症例報告が3つ以上ある物質を選定したものです。これらにつきまして、矢印の右のほうですが、労働基準法施行規則第35条別表第1の2第4号1に基づく厚生労働大臣告示に追加すべきか否かにつきましてご検討をいただくものです。
 2「過去に検討された物質について、現在までに症例報告がなされた物質の有無」についてです。これにつきましては、併せまして、いちばん最後ですが、資料9をご覧いただきたいと思います。資料9の下のほうの○印です。平成15年4月21日の労働基準法施行規則第35条専門検討会報告書におきまして、現時点では追加する必要がないとされた疾病として、こちらに記載されております、タリウム又はその化合物による疾病、オスミウム又はその化合物による疾病、刺激性物質(ベンゾキノン及びその他の角膜刺激物)による疾病、の3物質類があります。これらにつきまして、その後現在までに症例報告がなされたものの有無を把握いたしました上で、1と同様に、資料3の矢印の右のほうですが、告示に追加すべきか否かについてご検討をいただくものです。なお、資料9の下のほうに、「参考」といたしまして、オゾンによる疾病、スズ又はその化合物による疾病、銅又はその化合物による疾病とありますけれども、これらにつきましても、平成15年4月21日の専門検討会報告書におきまして、現時点では追加する必要がないとされておりますけれども、資料3の1の50物質に含まれているものです。検討をしていただくことになっております。
 資料3に戻りまして、3「ILOリストに追加された9物質のうち、上記1の物質を除いた7物質に係る症例報告の有無」です。これにつきましても、資料9を併せてご覧いただきたいと思います。順番が前後しますけれども、資料9の上のほうの○印をご覧ください。ILOの職業病一覧表の改訂、2010年3月ですけれども、これにより新たに追加された化学物質による疾病として、こちらにあります、イソシアン酸塩による疾病、硫黄酸化物(三酸化硫黄及び亜硫酸)による疾病、ラテックス又はラテックス含有製品による疾病という化学的因子による疾病3つ。それから、下のほうですけれども、ベリリウム及びその化合物によるがん、カドミウム及びその化合物によるがん、エリオン沸石によるがん、酸化エチレンによるがんという、職業がんの関係の4つがあります。これらにつきましても、症例報告がなされたものの有無を把握いたしました上で、同様に、矢印の右のほうですけれども、化学的因子による疾病、上の3つにつきましては告示に追加すべきか否か、それから、がんにつきましては、別表1の2第7号ですけれども、こちらに追加すべきか否かについて、本検討会でご検討をいただきたいということです。
 資料3の矢印の先の右の枠内の「検討の視点」です。検討の視点としまして、物質が日本国内で取り扱われているか、通常労働の場において発症しうるか、そして、告示に追加する場合にありましては、物質による「症状又は障害」の特定。また、がんにつきましては、どういう種類のがんなのかを特定していただくこととなります。これにつきましてはまた後ほど申し上げたいと思います。
 次に、資料3の左下、「具体的検討が要請された事項」についてです。これにつきましても、先ほど申し上げましたように、平成21年に開催されました労働基準法施行規則第35条専門検討会の報告書において検討することを求められた事項です。インジウムによる間質性肺炎及び理美容の業務による接触性皮膚炎の2点です。このうち、インジウムによる間質性肺炎につきましては、上のほうの、1の50物質に含まれています。また、理美容の業務による接触性皮膚炎については、当該皮膚炎等を起こす物質を特定することができるか否か。特定できない場合にありましては、どのように規定ができるのかという点を含めまして、告示あるいは別表1の2に追加すべきか否かにつきまして、検討会でご検討いただきたいものです。以上がご検討いただく物質の関係ですけれども、このほかに、先生方から検討すべき物質につきまして何かご提案がございましたら、いま見ていただきましたものと同様にご検討をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。資料3につきましては以上です。
 続きまして資料4です。業務上疾病の関係法令です。法令の大元は、こちらの最初にあります労働基準法第75条です。「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者はその費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定める」という規定がなされておりまして、業務上の疾病の範囲は厚生労働省令で定めるとされています。これを受けまして、申し訳ございません、こちらには掲出されておりませんけれども、労働基準法施行規則第35条におきまして、法第75条第2項の規定による業務上の疾病は別表1の2に掲げる疾病とするとされています。
 そこで、資料4の2番目の○です。先ほど来出てまいりました別表1の2です。別表1の2の第1号が業務上の負傷に起因する疾病、2号が物理的因子による疾病、3号が身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する疾病ということです。そして、2頁目の第4号です。化学物質等による疾病で、1から9まであります。1が厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)にさらされる業務による疾病であって、厚生労働大臣が定めるものとされています。この関係が5頁からになります。別表第1の2第4号の規定に基づく告示で、資料3にありましたように、151物質が規定されております。また、こちらの告示をご覧いただきますと、左の欄の化学物質に対しまして、右の欄ですが、「症状又は障害」が、それぞれ物質に対応する形で特定をされています。
 2頁に戻ります。4号の2が、弗素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂の熱分解生成物にさらされる業務による眼粘膜の炎症又は気道粘膜の炎症等の呼吸器疾患。4号の3です。すす、鉱物油、うるし、タール、セメント、アミン系の樹脂硬化剤等にさらされる業務による皮膚疾患とされています。4号の4は蛋白分解酵素にさらされる業務による皮膚炎、結膜炎又は鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患。以下はご覧のとおりとなっています。さらに下のほうにまいりまして、7号です。がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による疾病で、化学物質等による各種のがんについて、こちらで規定がなされております。こちらにありますように、それぞれどういうがんなのか特定がなされています。
 3頁です。下のほうに、10号としまして、前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病と規定されています。この第10号の規定に基づき、4頁の告示になりますが、この告示において、特定の物質による疾病ということで3つ規定がなされています。超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患等です。資料4につきましては以上です。
 続きまして資料5です。これは先ほどご覧いただきました別表第1の2第4号の規定に基づく告示、こちらが平成8年に公布されましたが、その際に発出された通達です。この通達の1頁のいちばん下のほうにありますけれども、このときには新たに22の単体たる化学物質及び化合物ですが、従前の告示に追加されました。併せまして、「症状又は障害」の表現についても改めるということで、従前の告示を全部改正した旨が示されています。
 2頁です。中ほどに列挙疾病の選定についての解説があります。「告示に掲げられている化学物質による疾病の選定、表記等に関する基本的な考えは、以下に掲げるとおりである」としておりまして、列挙疾病の選定につきましては原則として、次の(イ)わが国において症例があったもの、及び(ロ)わが国において症例がなくとも諸外国において症例が報告されているもののうち、通常労働の場において発生しうると医学経験則上評価できるものを列挙疾病として規定した。したがって、症例の報告があるものでも、それが事故的な原因による疾病や総取扱量が極めて少ない化学物質による疾病のように、一般的には業務上疾病として発生することが極めて少ないものは除かれているとされております。
 ここで、資料6を併せてご覧いただきたいと思います。いま申し上げました、通達に示されておりました、別表1の2第4号の1に基づく告示に列挙する疾病の選定に関する基本的な考え方を抜き書きしたものです。今般の各化学物質の検討におきましても、この基本的な考え方に基づき選定を行っていただくことになるわけです。繰り返し申し上げますと、列挙疾病の選定についてですけれども、原則として次の(イ)わが国において症例があったもの及び(ロ)わが国において症例がなくとも諸外国において症例が報告されているもののうち、通常労働の場において発生しうると医学経験則上評価できるものを列挙疾病として規定した。したがって、症例の報告があるものでも、それが事故的な原因による疾病や総取扱量が極めて少ない化学物質による疾病のように、一般的には業務上疾病として発生することが極めて少ないものは除かれている、という内容の基本的な考え方に基づきご検討をお願いしたいということです。
 なお、資料5の通達ですけれども、このほかに疾病の分類、あるいは疾病内容の記載の関係、告示中の用語の解説や意義等が記載されておりますけれども、時間の関係もありますので後ほどご覧いただくこととさせていただきまして、ここでは省略させていただきます。
 資料6は、いまご覧いただいたところです。
 資料7にまいりたいと思います。冊子です。化学物質等による健康影響・疾病に関する調査研究報告書です。平成21年度に開催されました労働基準法施行規則第35条専門検討会の報告書におきまして新たな化学物質による疾病について幅広く検討することを望むとされたことを受けまして、検討の基礎資料とすべく文献に基づく症例収集という形で、昨年度の委託研究として実施させていただきました。その委託研究の報告書です。1頁目、「はじめに」の中ほどにあります?から?の手順でまとめていただいています。即ち、先ほど見ていただきました資料3の50物質につきまして、この報告書に症例が1物質につき3つずつピックアップされています。50物質につきましては、こちらの報告書に基づき、先生方にご検討を行っていただくことになります。なお、50物質以外の他の検討対象物質ですけれども、こちらの委託研究と同様の委託研究を今年度実施させていただいています。そちらのほうは順次報告書が提出される予定となっています。50物質についての検討終了後に、報告書に基づきまして、50物質以外の物質につきましても検討をお願いすることにしておりますので、ご了解をいただきたいと思います。
 次に資料8です。これは、まず検討をお願いする50物質につきまして基本情報を取りまとめたものです。この情報は中央労働災害防止協会が作成していますモデルMSDSの情報を基に整理した形になっています。いちばん初めの、アジ化ナトリウムを例に申し上げますと、基本情報がある後に、いちばん下のほうですが、症例とあります。先ほどの資料7で、調査研究報告書のアジ化ナトリウムにつきましては1頁から5頁を症例としては参照していただく形になっております。資料7の症例です。裏面にまいりますと、「評価」及び「評価の理由」というものがいちばん上のほうにあります。この評価欄ですが、欄外にありますように、◎必ず追加すべき、○追加すべき、×追加すべきでない、△評価保留、この4区分で、各先生方とも50物質のすべてにつきまして一通り評価をしていただくことを考えています。また、右の、評価の理由欄ですけれども、それぞれご評価をいただきました評価の理由を簡潔に記載していただきたいと考えております。先生方に行っていただきました評価につきましては、事務局で集約・整理をさせていただきます。当該結果を基に次回の検討会におきまして、まずは告示に追加する対象物質の選定に関しますご検討をお願いしたいと考えております。さらには、次々回、第3回ですけれども、告示に追加する対象物質として選定していただいたものにつきまして「症状又は障害」を特定するための検討をお願いしたいと考えております。なお、この基本情報&評価シートにつきましては、先生方のご意見を踏まえ、必要な修正を加えることを考えております。資料8については以上です。
 資料9です。先ほど資料3で併せて見ていただきましたので、資料9の説明につきましては省略をさせていただきます。以上で資料の説明を終わらせていただきます。
 引き続きまして、もう1点ご説明をさせていただきたいと思います。今般の委託研究によりまして症例を収集した50物質ですけれども、このうち、コールタールとタングステン及びその水溶性化合物についてです。
 まず、コールタールについてです。先ほどご覧いただきました、法令関係の資料4の2頁です。別表1の2第4号の3で、タールにさらされる業務による皮膚疾患が掲げられております。また、同じ資料の3頁、第7号17に、がんの関係で、タールにさらされる業務による皮膚がんが既に掲げられております。ここで、このタールですが、タールとは、コールタール、モクタール、石油タール用物質、コールタールピッチ、石油ピッチ、アスファルトが含まれるとされています。従いまして、コールタールはタールに含まれていることになるわけです。このため、別表1の2、第4号3の皮膚疾患、それから第7号17の皮膚がん、これら以外の症例がない場合につきましては、コールタールについては既に別表1の2に例示されているとの結論になろうかと考えられます。なお、調査研究、委託研究のコールタールの参照例につきましては、1つは皮膚疾患、ほかの2つは皮膚がんの症例と思われます。
 それから、もう1つのタングステンについてです。別表1の2第10号の規定による、厚生労働大臣の指定する疾病ということで、告示におきまして、超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患が規定されています。この超硬合金とは、炭化タングステン等とコバルトを混合し焼結して得られる合金をいい、切削工具の歯先・ダイス等に使用されるとされているものです。このため、コールタールと同様ですが、告示に定められている気管支肺疾患以外の症例がない場合には、タングステン及びその水溶性化合物については既に例示されているとの結論になろうかと考えられます。なお、タングステンの関係の調査研究、委託研究の参照例ですけれども、いずれも超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患の症例と思われます。以上の状況ですので、報告をさせていただいた次第です。私のほうから説明は以上です。よろしくお願いを申し上げます。
○圓藤座長 いまの説明について、何かご質問があればお願いいたします。具体的な検討を進めるに当たって、いくつか確認しておきたいと思います。まず、事務局の案としては、昨年度の調査研究から報告があった50物質、並びに以前検討し、再検討が必要なもののうち、50物質に入っていないものとして3物質、それからILOが新たに追加した7物質の合計60物質、並びに理美容の皮膚疾患を一応の検討対象にしておきたいと思いますが、そのほかに各先生方から告示物質として入れるべきだろうという提案があれば検討するということでよろしいでしょうか。また、調査研究の報告にあった50物質のうち、コールタール並びにタングステンについては、先ほど説明があったように、既に例示されておりますので、今回の検討対象から外してはどうかと思いますが、よろしいですか。
                  (了承)
○圓藤座長 ありがとうございます。それでは2物質に関しては対象から外したいと思います。次に、告示に列挙する物質と「症状又は障害」についての基本的考え方ですが、資料6にある「大臣告示に列挙する化学物質による疾病(がんを除く。)の選定に関する基本的な考え方は以下のとおり。原則として、次の1及び2に該当する疾病のうち、通常労働の場において発生しうると医学経験則上評価できるものを列挙疾病として規定する。したがって、症例の報告があるものでも、それが事故的な原因による疾病や総取扱量が極めて少ない化学物質による疾病のように、一般的には業務上疾病として発生することが極めて少ないものは除く」、基本として「わが国において症例があったもの」、「わが国において症例がなくとも、諸外国において症例が報告されているもの」、という考え方を踏襲してよろしいでしょうか。「がんを除く」とあるので、がんについては考え方を少し検討したいと思います。がんについては因果関係が明確にあるというわけではなく、疫学的なデータ等に基づいての証拠になろうかと思いますので少し考え方を変えたいと思いますが、この基本的な考え方でよろしいでしょうか。
                  (了承)
○圓藤座長 ありがとうございます。告示物質に追加するか否かについて検討対象とするのは、昨年度厚生労働省が調査研究の報告で得た50物質から、2物質を引いた48物質とし、次回までに各委員に告示物質の候補を判定していただきたいと思っております。先ほどの資料8のアジ化ナトリウムならば、裏の所に評価として「必ず追加すべき」「追加すべき」「追加すべきでない」「評価保留」というのを、資料6の基本的考え方に基づいて◎、○、×、△としていただきたいと思います。基本的考え方に馴染まないというものがあれば、その理由を明記していただければと思いますが、そのような例外的なものがあるかどうかも検討していただきたいと思います。
 できるだけ早い段階で全委員に評価していただき、事務局に提出していただきましたら、事務局が整理しまして、○ないし◎が多いものについてはそのような検討をしたいと思いますし、×が多いものについては外す理由を明確にしていきたいと思っております。それを次回の委員会に行いたいと思います。また、△の多いものや○×が混在しているようなものについては、次回議論し、その理由について明確にしていく作業を行うという手順で考えております。前回保留となり、今回になっているものについてはそれなりの理由があると思いますので、また検討していきたいと思います。それらを3回目の検討会で議論することでよろしいかと思います。また、ILOのリストアップされたものについては調査をしていただいているようですので、後日検討していきたいと思います。
 かなり時間がありますので、以前、中災防が調査研究したものについて、先生方に少し議論していただいたほうがいいのではないかと思いますが、時間的に余裕はありますか。先生方が担当されたものを簡単に思い出していただければありがたいですが、よろしいですか。
○渡辺職業病認定対策室長 前回、先生方が担当された部分を全部申し上げましょうか。
○圓藤座長 順番にいきましょうか。例えばアジ化ナトリウムは竹下先生ですが、本日はいらっしゃらないので飛ばしまして、2番目のアセトニトリルは松岡先生の担当でした。アセトニトリルについて少しポイント、感想的なもので結構ですのでご発言ください。
○松岡委員 担当したアセトニトリルは、6頁から9頁まで3症例挙げております。最初の症例は、3名の100%アセトニトリル溶液の皮膚ばく露です。アセトニトリルの場合、シアン中毒に至ることがあるのですが、経皮的なばく露では中毒に至らなかったというケースレポートです。8頁の2番目の症例は、自殺企図でアセトニトリルを経口摂取したというものです。項目6にあるような症状が出現しましたが、退院しております。9頁の3番目の症例は、日本における重要な症例報告です。化学工場に勤務する35歳の男性労働者がアセトニトリルにばく露し、6に示すような重篤な症状が出ております。この症例で特記すべきことは、横紋筋融解症による急性腎不全に至ったということだと思います。このようにアセトニトリルばく露後、シアンによる中毒症状が遅発性に出現し、横紋筋融解症が生じたというケースレポートで、重要な論文と評価しています。
○圓藤座長 このように少し紹介していただき、評価の参考にしていただければと思います。次は私が担当したエタノールですが、25頁をご覧ください。1つ目は職業ばく露ではなく、採血時に酒精綿で消毒用エタノールを塗布し、痒み、発赤が出たという事例です。文献2は、同じく採決時に酒精綿で消毒用エタノールを塗布し、痒み、発赤が出たということです。3例目は医師を対象としてアレルギーの調査を行ったところ、895名中、15名がエタノールによって何らかのアレルギー症状を自覚したという事例です。次のメチルエチルケトンパーオキサイドについては、松岡先生からお願いいたします。
○松岡委員 29頁から症例を3つ挙げておりますが、いずれも職業性ばく露ではなく、自殺目的あるいはアクシデンタルなものです。1つ目の例は、自殺目的でメチルエチルケトンパーオキサイドを服用し、腐蝕性食道炎や胃潰瘍が生じたというケースです。30頁の2つ目のケースも自殺目的で服用し、これは致死となっております。31頁の3つ目の症例は、この化学物質を誤って経口摂取したというものですが、消化器症状が出現し、その後軽快したというケースレポートです。
○圓藤座長 引き続き、酸化カルシウムについて柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 81頁から83頁までです。文献1は、サーフィン中に体を温める目的で、アルミニウム発熱剤とアルミニウム混合物の粉末を胸部からウェットスーツに入れた部分に熱傷を引き起こしたというもので、職業性ばく露ではなく、熱傷が中心です。文献2は、長靴を保管する際、乾燥剤として酸化カルシウムを入れたときに、乾燥剤の袋が破損し、履いたときに熱傷を起こしたという症例です。文献3は、サッカーの試合中、右の足背に熱傷を起こしたわけですが、グラウンドのライン材に水酸化カルシウムを使っており、それが付着して化学損傷を起こしたという症例です。いずれも職業性ばく露ではありません。
○圓藤座長 次は高田先生から、93頁の2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(農薬2,4-D)についてお願いいたします。
○高田委員 2,4-Dの文献1は農薬の散布作業時等に経皮ばく露した事例です。いずれも末梢神経障害を起こしており、農薬散布作業の完了時あるいは潜伏期間が数日間で発症しております。95頁の文献2は米国の芝生手入れ会社のコホート研究のうち、2,4-Dを含む農薬散布の作業者で膀胱がんが1名、非ホジキンリンパ腫が3名発生していたということです。こちらはがんですので、取扱いが異なってくるのではないかと思います。97頁の文献3は、2,4-Dの製造作業者に筋萎縮性側索硬化症が3名認められたという米国のコホート研究の報告になります。
○圓藤座長 かなり難しい症例ですので、評価が結構難しいですね。
○高田委員 そうですね。
○圓藤座長 引き続き、高田先生から2,4-ジニトロトルエンについてお願いいたします。
○高田委員 2,4-ジニトロトルエンは98頁からです。文献1は、ジニトロトルエン爆薬製造工場作業者の事例で、膀胱がんが3名発生しております。尿路系の腫瘍ですので、取扱いが異なってくると思います。100頁の文献2は、銅採鉱業の坑内採鉱作業者がジニトロトルエンの爆薬を使用したという事例です。腎細胞がん14名、尿路上皮がん6名の発生が認められ、こちらも悪性腫瘍ですので取扱いが異なってくると思われます。101頁の文献3は、中国のトリニトロトルエン工場でジニトロトルエンにばく露した作業者の自覚症状の調査です。ばく露者において、有症率が高かったものとしては無力症、吐き気、不眠、傾眠、動揺性目眩といった自覚症状があり、有意に高く認められたという報告です。報告書では、ジニトロトルエンにばく露した作業者98名と対照労働者を対象として、ヘモグロビン付加体のレベルと健康影響との関連について調査した報告の中から、症状について取り出してまとめてあります。
○圓藤座長 次はスズ及びその化合物について、松岡先生からお願いいたします。
○松岡委員 107頁からはスズ及びその化合物となっております。最初の症例は、スズの経口摂取による皮膚炎の発症を確認する目的で、入院中に塩化第2スズの内服試験を行ったところ、皮膚炎の悪化が見られたという、検査に伴うケースレポートです。108頁は職業性のばく露です。トルコではスズ加工が盛んに行われておりますが、この論文は『Journal of Occupational Health』誌に掲載されたものです。HRCT(肺高分解能CT)を使うことによって、びまん性実質性肺疾患を分類した論文です。110頁は以上の無機スズとは異なり、有機スズによる健康影響です。トリメチルスズですが、ジメチルスズを貯蔵するタンクの清掃作業者に、急性中毒性白質脳症が生じ、詳細な画像診断と、神経学的異常を報告した論文です。有機スズによる神経毒性について注目すべき論文だと思います。
○圓藤座長 次は、私が見ましたタングステン及びその水溶性化合物ですが、112頁です。これは超硬合金の研磨作業で呼吸器疾患。2例目もタングステンを含む金属粉じんのある部屋に入り、呼吸困難が認められた。3例目は硬質ドリルの研磨作業を行っている人で、乾性の咳嗽が見られたというものです。いずれも呼吸器疾患ですので、労働基準法施行規則別表第1の2、第10号に基づく労働大臣の指定する疾病として「超硬合金の粉じんを飛散する場所における業務による気管支肺疾患」の枠の中に入るので、除外したいということです。引き続き、高田先生から116頁のクロルピリホスについてお願いいたします。
○高田委員 116頁の文献1はクロルピリホス含有シロアリ駆除剤の散布作業に過去、現在従事している作業者191名と、非ばく露対照群189名についてクロルピリホスによる神経系への慢性影響を調査した横断研究の一部を記載したものです。そのうちクロルピリホスばく露群について、過去にクロルピリホスによる中毒歴があり、有機リン中毒による神経系への慢性影響が生じていた者が8名おりました。その神経機能検査結果および神経症状については6に記載しております。118頁の文献2は大工の事例でして、保護具を装着せずにクロルピリホスを含有する殺虫剤を15分間噴霧したことによって起きた末梢神経障害による神経の麻痺です。
 120頁の文献3は文献1と同様のクロルピリホス含有のシロアリ駆除剤の散布作業者、非ばく露対照に対する調査です。クロルピリホスばく露による神経系の慢性影響を調査した対象者の中から、現在もクロルピリホスばく露のある作業者において、クロルピリホスの神経系への急性影響を調査した横断研究の中から情報をまとめております。調査対象者158名のうち、106名が現在シロアリ駆除剤の散布作業に従事しており、52名が非ばく露対照となっております。神経機能検査等の調査を行い、尿中の代謝物の濃度をクロルピリホスばく露指標として統計学的に解析しております。その結果、姿勢の安定性検査、動揺の長さ、面積において統計学的に有意な影響が見られたことと、色覚試験、コントラスト感度検査の1つにおいて影響が認められたという結果が出ております。
○圓藤座長 次は銅及びその化合物について、柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 132頁の銅及びその化合物について、まず文献1は、歯科の金属として口腔内に装着し、銅の含有量は不明でしたが、一応パッチテストでマンガン、ニッケル、銅で陽性だったという症例です。133頁の文献2は、先天性の内反足の治療のため左下腿に装着した創外固定器(銅含有量0.5%以下)によって、顔・四肢に掻痒を伴う紅斑・腫脹・湿潤が出てきたのでパッチテストを行った結果、銅・マンガン・クロムに陽性が出たという症例です。134頁の文献3は、うつ病の既往があり、自殺目的で硫酸銅を大量に服用し、症状としては意識障害と嘔吐という症例です。
○圓藤座長 次は銅及びその化合物について、柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 132頁の銅及びその化合物について、まず文献1は、歯科の金属として口腔内に装着し、銅の含有量は不明でしたが、パッチテストでマンガン、ニッケル、銅で陽性だったという症例です。133頁の文献2は、先天性の内反足の治療のため左下腿に装着した創外固定器(銅含有量0.5%以下)によって、顔・四肢に掻痒を伴う紅斑・腫脹・湿潤が出てきたのでパッチテストを行った結果、銅・マンガン・クロムに陽性が出たという症例です。134頁の文献3は、うつ病の既往があり、自殺目的で硫酸銅を大量に服用し、症状としては意識障害と嘔吐が出現した症例です。
○圓藤座長 次はキャプタンですが、高田先生からお願いいたします。
○高田委員 キャプタンは135頁からです。文献1はカナダ居住の19歳以上の男性住民を対象とした症例対照研究で、キャプタンばく露歴のある非ホジキンリンパ腫20名のうち11名については、1年当たりの平均ばく露日数が2日以下、9名については1年当たりの平均ばく露日数は2日を超えていたということです。悪性腫瘍の発生リスクに関しては、キャプタンばく露による非ホジキンばく露発症のオッズ比は2.48と有意に増加していたという報告になります。こちらも悪性腫瘍ですので、取扱いが異なってくると思います。137頁の文献2はインドの農業従事者の調査で、5名にアレルギー性接触皮膚炎の発症が認められたという報告です。138頁の文献3もアレルギー性接触皮膚炎の症例で、デンマークの庭師と温室作業者で、職業性の皮膚症状を有する者について調査しております。キャプタンによると考えられるアレルギー性接触皮膚炎が3名いたという報告です。
○圓藤座長 次は私でして、二亜硫酸ナトリウムです。1つ目はレントゲン技師がラテックス手袋の粉じんと消毒剤、固定剤の混合ばく露で、その1つとして二亜硫酸ナトリウムにばく露したというもので、症状は喘息です。2例目はファーストフードのレストランでジャガイモをスライスしてフライドポテトを製造する作業に従事し、保存液として二亜硫化ナトリウムが含まれており、それで接触皮膚炎を起こしたというものです。3例目はエビの防腐剤として使用されている二亜硫化ナトリウムにばく露し、喘息等の症状が出たというものです。次は二酸化塩素ですが、柳澤先生からお願いいたします。

○圓藤座長 次は私でして、二亜硫酸ナトリウムです。1つ目はレントゲン技師がラテックス手袋の粉じんと消毒剤、固定剤の混合ばく露で、その1つとして二亜硫酸ナトリウムにばく露したというもので、症状は喘息です。2例目はファーストフードのレストランでジャガイモをスライスしてフライドポテトを製造する作業に従事し、保存液として二亜硫化ナトリウムが含まれており、それで接触皮膚炎を起こしたというものです。3例目はエビの防腐剤として使用されている二亜硫化ナトリウムにばく露し、喘息等の症状が出たというものです。次は二酸化塩素ですが、柳澤先生からお願いいたします。
○柳澤委員 143頁の二酸化塩素です。文献1は温泉消毒用の二酸化塩素液を移すときに、吸入曝露したというものですが、曝露濃度は不明です。症状としては強い咳が出現しましたが、ステロイドを積極的に投与し、治ゆしたというものです。144頁の文献2は、プールの消毒に次亜塩素酸ナトリウムと安定化二酸化塩素を使用。5日後、プールの使用前に中和剤としてチオ硫酸ナトリウムを追加。塩素ガス中毒が疑われたが、原因物質は特定できなかった。症状としては咽頭痛、咳、呼吸困難が出現。145頁の文献3は、漂白、カビ取り、アク洗いの各作業で次亜塩素酸ナトリウムを含有する洗剤・漂白剤と酸性系薬剤を混合して使用した際、二酸化塩素が発生し、その吸入曝露による中毒です。症状としては息苦しさ程度ですから、曝露濃度はそれほど高くなかったと思われます。
○圓藤座長 引き続き、柳澤先生からニッケル及びその化合物についてお願いいたします。
○柳澤委員 146頁に文献1、2があります。この女性の職業は不明で、ネックレスの中に含有量不明のニッケルが含まれておりました。ネックレスをすることによって両頬から顎に毛のう性紅色丘疹、前頸部に線状紅斑が出現したという皮膚症状です。文献2は歯科金属の中にニッケル、インジウム、イリジウムが合剤として含まれていたのですが、含有量、含有比率は不明です。その結果、外陰部や口腔に水疱、糜爛が出ております。パッチテストではニッケルに対して陽性所見が出ております。148頁の文献3も、ニッケルクロム合金を歯科用の金属として使用した症例ですが、こちらも含有量は不明です。両側頬粘膜から歯肉にかけて違和感と疼痛があり、パッチテストやリンパ球幼若化試験の結果から陽性が強く疑われた症例です。
○圓藤座長 次は私が担当したニトロメタンですが、149頁です。速乾性の接着剤を用いたあとに、ニトロメタンを噴霧して接着剤を拭き取る作業をしている人ですが、末梢神経障害が見られたということです。混合ばく露がありますので、ニトロメタンと言えるかどうか、文献をもう一度読みたいと思います。2例目は、自動車部品を製造するラインで皮膚炎が起こっているという事例です。3例目はニトロメタンではなく、ニトロプロパンになっておりますので、文献を差し換える必要があると思います。次はバリウム及びその水溶性化合物ですが、松岡先生からお願いいたします。
○松岡委員 161頁からですが、いずれも職業性のばく露ではありません。最初のケースは、バリウムが含まれている花火をチューインガムと誤認して経口摂取したというものです。消化器症状のほかに、いずれの症例においても低カリウム血症に伴う不整脈が出現しております。163頁の症例は、脱毛剤に含まれたバリウムによって起きたものですが、2例とも囚人で、背景には精神的な疾患があります。ここでも低カリウム血症による症状が出現しています。165頁は硝酸バリウムですが、自殺企図による燻蒸剤の内服で、燻蒸剤に含まれるバリウムによって低カリウム血症及び心室性期外収縮が出現したというものです。3つの論文のいずれも、職業性ばく露ではないことから、今回の目的から考えると、重要性の高くない化学物質ではないかと考えます。
○圓藤座長 引き続き、松岡先生からプロピルアルコールについてお願いいたします。
○松岡委員 178頁からがプロピルアルコールですが、いずれも職業性ばく露ではなく、背景にはアルコール中毒があります。178頁の文献の1番目は囚人ですが、イソプロピルアルコールを含む洗浄剤を内服し、意識障害が出現しています。179頁の文献の2番目も自殺企図で、消毒用のアルコールを服用しております。このケースでは、神経学的に脳底動脈血栓症が疑われました。181頁の3番目の文献は、アルコール中毒のある男性がエタノールの替わりに摂取し、意識障害が出現したというものです。こちらも職業性ばく露ではないので、今回の目的から考えると重要性の低い化学物質と考えます。
○圓藤座長 次は過硫酸カリウムですが、高田先生からお願いいたします。
○高田委員 過硫酸カリウムは197頁からですが、いずれも職業性ばく露の文献です。文献1はジャガイモ粉工場の検査技師で、製紙工場で使用されるジャガイモ粉のバッジへの過硫酸カリウムの添加と皮膚炎の出現が一致していたというものです。過硫酸カリウムの水溶液に対してのパッチテストでも陽性が見られたということで、それによるアレルギー性接触皮膚炎ではないかという症例です。文献2は、河川等の水質試験室の実験助手でして、過硫酸カリウムに毎日ばく露する作業をしておりました。その際、作業の邪魔になるために、保護手袋を一部使用せずに作業していたという状況で、アレルギー性接触皮膚炎を起こしたという報告です。文献3は、職業性ぜんそくの報告です。全員女性ですが、3名は化粧品製造工場の作業者、5名は美容院の作業者になります。化粧品製造工場の作業者で、髪の脱色剤の製造のために過硫酸塩を使用しております。美容院の作業者についても、過硫酸塩を含有する脱色剤の粉末を、過酸化水素と混合してペーストにしたものを髪に塗布していました。

○圓藤座長 あとは他の先生方が担当されましたので、本日の議論からは外したいと思います。作業は先ほど申しましたように、50から2を引いた48物質すべてについて、資料6の基本的考え方に従って◎、○、△、×で評価していただきたいと思います。また、その根拠となる理由を1行程度で簡単に書いていただければ助かります。できれば早いほうがいいのではないかと思いますので、8月末と書いてありますが、7月中ぐらいに出していただきましたら、事務局で集計していただきます。次に、集計したものを返していただきまして、5名で分担してはどうか。それぞれ担当の物質を分担し、第2回、第3回でその物質の「症状又は障害」として列挙していいか、悪いかを議論していく。ということで、次回と次々回の2回に分ける形でどうかと思いますが、いかがでしょうか。事務局から何かあればお願いいたします。
○渡辺職業病認定対策室長 早くいただけるのに越したことはないですし、ありがたいお話です。いまの予定ですと、次回は9月下旬ごろを考えていたものですから、8月末ぐらいにお送りいただければと思っていたのですが、いまのお話ですと、事務局で1回集計して、それを。
○圓藤座長 事務局のほうで全体像を見ていただきまして、作業のしやすい物質もあれば、しにくい物質もあろうかと思いますので、しやすい物質を第2回に議論しよう、しにくい物質は第2回に少し議論して、第3回にきっちり議論しよう、そして48物質を終えてはどうかと思っております。次回、次々回で終わるとは限らないと思います。議論が煮詰まらないものもあろうかと思いますし、新たな問題が発生して宿題の作業をしなければならないものもあるように思います。
○渡辺職業病認定対策室長 この50物質については、症状と障害の話も2回目と3回目で一応決めてしまいたいと思っておりますが、それでよろしいですか。
○圓藤座長 結構です。4回目辺りから50以外の物質と、いちばん難しい理美容師の接触皮膚炎については、少し文献を探しながらどのようなことができるかを考えていかなければならないので、後回しにしたい。2回、3回の作業をする中で方向性を見出していきたいと思います。
○渡辺職業病認定対策室長 1枚紙にも少し書いてありますが、皮膚炎を起こす物質が特定できるかどうか。特定できれば、4号の1の「単体あるいは化合物」の物質として新たに掲げる。いろいろな物が入っていて、中には既に掲げられている物質もあると思うのですが、掲げられていない有害物質が特定できるかどうかが非常に難しいと思っております。仮に、特定がなかなかできないということになると、別な表示の仕方も考えていかなければいけないだろうと思いますので、その辺をどのようにやればうまく整理できるか、私どもにもいい案がないので、お知恵があればお聞かせいただければありがたいと思っております。
○圓藤座長 そのような意味で、この問題は締切りを決めない宿題にしておきたいと思います。それに対して48物質のほうは締切りを決めた宿題にして、早めに作業ができるのではないかと。理美容師については、知見があり次第、方向性が決まり次第、少しずつ固めていくという方向でいいのではないかと思います。私も接触皮膚炎の辺りでどのような問題が起こっているのかを調べていきたいと思います。その他ご意見があればお願いいたします。
○宮川委員 一般的なことを少し。がんについては個別の症例ではなくて、疫学のほうが中心になるということなので、今回はがんの例についてはそこから抜き出さないということですか。
○圓藤座長 がんの物質について審議しなければならないのは、ILOでベリリウム及びその化合物によるがん、カドミウム及びその化合物によるがん、エチレン沸石によるがん、酸化エチレンによるがんといったのが挙がっておりますので、これについては少し議論しなければいけないと思います。
○宮川委員 それとは別に、こちらに載っているような物で個別にリンパ腫等々がいくつかあったような気がします。
○圓藤座長 それも議論の対象として残っていきます。
○渡辺職業病認定対策室長 がんは別になっていて、別表の中で7号規定になっているのです。取りあえず、いま目指しているのは4号の1の規定の中に入れるかどうかですが、7号に入るものであるとすると、それはそれでそのようにこの分科会で報告していただければ、親会議である35条専のほうに出したいと思っております。いずれにしても、この50物質をやって、症状や障害がナントカがんというものであれば、ここでまとめて報告書の中に記載したいと思っております。
○渡辺職業病認定対策室長 先ほどの確認ですが、7月末までに先生方から50物質の○×評と簡単なコメントがいただけると理解してよろしいでしょうか。
○宮川委員 7月末は少しきついです。日程等を見ていると、作業に当てられる時間が2、3日しかないような気がいたします。
○渡辺職業病認定対策室長 今回のものは非常に要約している形ですが、原文もありますし、外国文献は翻訳したものもありますので、先生方にはこれらをすべてお送りしたいと思っております。かなりの分量になりますが、一通り目を通していただいたほうがいいかなと思っております。それを見ていただいた上で、50物質について○×評と1行コメントを書いていただくことになりますので、結構大変な作業かなと思っております。
○圓藤座長 8月の初めにしましょうか。
○宮川委員 そうしていただけるとありがたいです。
○圓藤座長 8月の上旬辺りで。
○渡辺職業病認定対策室長 それでは、10日を目処にというぐらいでよろしいですか。
○柳澤委員 私は中旬ぐらいから8月初めまでいないのです。
○圓藤座長 お盆明けまでにということで結構です。と言いますのは、そこで集計したものを基に、分担を決めてほしいと思います。そして、次回のときに各先生方から分担の部分をご説明いただき、議論したいと思います。比較的皆さんの意見が一致しているものは第2回にして、意見が一致していないものに関しては、第3回に回したいと思っております。
○渡辺職業病認定対策室長 いまの評価表の中には、「症状又は障害」をどのようなものにするかということを記載していないのですが、これも3回目で全部やってしまうというスケジュール感でよろしいでしょうか。
○圓藤座長 2回、3回で外すものは外してしまう、載せるとしたら、どのような形で載せるのが妥当か、それが一致しそうな物に関しては第2回で行い、少し議論を必要とする物は第3回に回す。ですから、半分ずつで。
○渡辺職業病認定対策室長 それでは、8月半ば過ぎぐらいに事務局にお送りいただいたものを整理して、それを先生に一度。
○圓藤座長 皆さんで割りまして。
○渡辺職業病認定対策室長 皆さんに○×評の一覧表のようなものをお返しして、それを分担すると。どのように分担いたしましょうか。
○圓藤座長 先生方の希望を少しと、事務局のご意向とを調整していただきまして。
○渡辺職業病認定対策室長 まず、各先生の分担のご希望などを募り、全体を調整してから分担決めをして、分担が決まった旨を先生方にお返しすると。
○圓藤座長 かなりの部分は職業性ばく露でないことがはっきりしているので、これは簡単に除外することができると思いますから、48物質はかなり減るのではないかと思います。それもそれなりの評価をして、外す理由と言いますか、載せない理由を明確にしていく必要があろうかと思います。そのような流れでいかがでしょうか。やはり、発がんの問題やアレルギー性の問題というのは、結構議論しないといけないのではないかと思いますが、それは3回目以降でいいのではないかと思っております。それでは8月中旬ぐらいに事務局のほうへ評価したものを送っていただき、集計したものを8月末を目処に事務局から各先生に返していただければと思います。それから作業して、次回の委員会は9月下旬ぐらいになりますでしょうか。
○渡辺職業病認定対策室長 今のところ、それぐらいを予定しております。日程については、また調整させていただきます。
○圓藤座長 そのようなことで議論していきたいと思っております。全体を通じて、何かご意見があればお願いいたします。その他ここに挙がっている物質以外で気付かれたことがありましたら提案、あるいは挙がっている物質や既に列挙されている物質であっても、「症状又は障害」の部位が違うようなものがあれば議論の対象にしていきたいと思っておりますので、次回にでもご意見をいただければと思います。
○渡辺職業病認定対策室長 特にご意見がなければ終了したいと思います。
○圓藤座長 今日は1回目ですし、宿題もたくさんありますから、少し早いですが終了したいと思います。次回の日程等については、事務局で調整していただきたいと思います。
○大根中央職業病認定調査官 先ほどからお話が出ておりますが、次回は9月下旬を目処に、別途日程調整をさせていただきたいと思います。それから基本情報評価シートの電子媒体によるものや文献等については、別途、先生方へお送りいたします。本日は大変お忙しい中をお集まりいただき、ご協議をいただきまして、ありがとうございました。
○圓藤座長 ありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局労災補償部補償課
職業病認定対策室

電話: 03-5253-1111(内線5571)

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