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2011年7月13日 第5回医療計画の見直し等に関する検討会

医政局指導課

○日時

平成23年7月13日(水)14:00〜16:00


○場所

航空会館 501+502会議室


○出席者

委員

武藤座長
伊藤委員 神野委員 齋藤委員 佐藤委員 高橋参考人(末永委員代理出席)
鈴木委員 中沢委員 長瀬委員 椎名参考人(布施委員代理出席)
安部参考人(山本委員代理出席)吉田委員 武林参考人 鳥羽参考人

○議題

在宅医療について

○配布資料

資料1在宅医療の現状と課題について(厚生労働省)
資料2訪問看護の伸び悩みに関するデータ(日本看護協会)
資料3開局薬剤師が関わる在宅医療の現状と今後の医療計画について(日本薬剤師会)
資料4在宅療養支援の実態把握と機能分化に関する研究(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学 武林教授)
資料5在宅医療体制構築に係る指針(国立長寿医療研究センター 鳥羽院長)
齋藤委員提出資料−1
齋藤委員提出資料−2
佐藤委員提出資料

○議事

○武藤座長 ただいまから第5回医療計画の見直し等に関する検討会を始めさせていただきます。委員の皆様方には、この暑い中、大変お忙しい中ご出席を賜りまして、ありがとうございます。
 今回のテーマは在宅医療ということで、医療計画の作成指針を検討する本委員会にとっては、極めて重要なテーマと考えております。是非とも皆様方のご熱心なご討議をよろしくお願いしたいと思います。
 最初に出席についてですが、末永委員の代理として高橋参考人、布施委員の代理として椎名参考人、山本委員の代理として安部参考人がご出席されております。
 次に参考人として、本日は慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学の武林亨教授、国立長寿医療研究センターの鳥羽研二院長にご参加していただいております。後ほど武林先生と鳥羽先生にはご発表をお願いいたします。また、齋藤委員と安部参考人からも、在宅医療に関するお話を伺う予定ですので、よろしくお願いいたします。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○猿田室長 議事次第、座席表、構成員の名簿です。資料は資料1から資料5までございます。委員提出の資料が3セット、「取扱い注意」とある資料が円卓のみに配付されております。資料については以上です。

○武藤座長 議事に入ります。これ以降のカメラ撮りはご遠慮願います。
 まず、本日の議題である在宅医療に関して審議したいと思います。最初に、在宅医療推進室長から、「在宅医療の現状と課題」と題したご発表をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○福原室長 在宅医療の現状と課題についてお話いたします。資料1をご覧ください。1頁は「人口ピラミッドの変化」です。2005年現在、高齢者1名を3名で支える社会構造になっていますが、2030年には1.7人で1名、2055年には1.2名で1人を支える社会構造になると想定されます。
 2頁は、「都道府県別の65歳以上人口の増加率」です。高いほうから低いほうへ、左から順に都道府県を並べております。ピンク色の折れ線グラフが増加率で、赤が2008年、青が2025年の65歳以上人口です。
 1位は沖縄ですが、埼玉、千葉、神奈川と、都市において増加が著しいという結果が出ております。死亡数については、今後右肩上がりで増加しまして、2040年には166万人でピークを迎えます。
 4頁です。死亡場所については、1950年には82%が自宅で亡くなられていました。それが1970年台に逆転し、現在では78.4%が病院で亡くなられています。
 6頁です。「在宅療養支援診療所」ですが、平成22年7月1日現在で1万2,487件です。要件は、保健医療機関たる診療所であること、また24時間で連絡を受ける体制、当該診療所と他の医療機関との連携で、24時間往診、訪問、看護並びに緊急入院を受け入れられる体制を確保していること等々です。
 7頁です。その数については右肩上がりで増加しておりますが、右側のグラフで赤の点線で囲っていますとおり、看取りを行っているのは半数程度となっております。
 8頁です。「65歳以上人口1,000人あたりの在宅療養支援診療所の都道府県別分布」です。都道府県のばらつきがございます。
 9頁は「在宅療養支援診療所医師の24時間体制への負担」です。青が「負担である」、赤が「やや負担である」です。両方を合わせますと、7割以上の医師が、24時間体制の負担を感じております。施設規模別で見ますと、3名以上で体制を構築していますと、比較的その負担感が少ないというデータになっております。
 10頁は病院です。平成22年7月1日現在で、331件です。11頁ですが、平成21年に11件であったのが、平成22年には331件に伸びております。この理由としては、その要件として、当初は許可病床が200床未満、「かつ」、半径4km以内に診療所が存在しないというものでしたが、そこを「又は」と要件を緩和したことが伸びた要因の1つであると考えております。こちらも同様に、赤の点線で囲っていますとおり、看取りの数が半分程度となっております。
 12頁です。居宅サービス全体の利用者数は伸びているけれども、訪問看護サービス利用者数は横ばいです。右側のグラフですが、訪問看護ステーションの数も横ばいとなっております。これについては、後ほど齋藤委員から補足をいただけると思います。
 13頁は「訪問看護事業所の規模別状況」です。左側の円グラフですが、青と赤を合わせて、5人未満の小規模な訪問看護事業所が全体の6割で、小規模なところほど、職員1人の月当たりの訪問看護件数が少ないというデータが出ております。
 14頁です。こちらも、規模が小さいところほど、月のオンコール担当者数が少なく、また月平均の休日・夜間待機日数が多いです。右側のグラフですが、小さいところほど赤字の割合が高くなっております。
 15頁は在宅歯科診療です。80歳以上の233名の高齢者のアンケートの結果ですが、「生きがいを感じるとき」とは、主なところで「孫など家族との団らんのとき」「友人や知人と食事、雑談しているとき」「おいしいものを食べているとき」といった、高齢者のQOLと口腔との関係は深いということです。また、20歯以上の歯を有する高齢者が増加してきており、高齢者の歯が残るようになってきているというデータも出ております。
 16頁です。在宅医療の主治医が連携を必要とした診療科は歯科がいちばん多いということと、その治療内容のほとんどは入れ歯、歯周病、むし歯となっています。
 17頁は薬局・薬剤師の役割と現状です。薬局数の推移のところで、平成20年は168、平成21年は212と、無菌製剤処理料届出薬局数が少ないというのが、1つの課題です。また、右の円グラフですが、こちらも小規模のところが多くなっています。
 18頁は緩和ケアの取組み状況です。まず、麻薬の取り扱いの免許を有している施設は76.7%、在庫を有している施設が61.5%ですが、麻薬製剤について経口の調剤をしているところが53.6%、注射は0.6%です。その配達については、経口が15.1%、注射が0.7%です。円グラフですが、月平均麻薬処方の処方せん枚数が1枚未満のところが、半分以上となっています。また、全体の仕入れ量に対するデッドストックの割合が多いというのも課題です。下の右側の、「がん患者への対応について、困っていること」として、「死を前にした患者への対応方法」といったところに困っているところがあるということです。
 NICUです。長期人工換気患者の6割が、在宅医療の適応ありです。また、退院できない理由として、「家族の受け入れ不良」「家族の希望なし」「家庭環境」等が挙げられます。
 20頁は「重症心身障害児の親のサービスニーズ」です。「日中一時預かり」「親同士の交流」「外出支援」といったところにニーズがございます。ショートステイについては、特養等のショートステイについては、平成13年から2.5倍ほど増えておりますが、老健・病院等については、1.5倍程度に留まっております。
 22頁は「医療計画における在宅医療の位置付け」です。まず、医療法第30条の4に6号として、居宅等における医療の確保、いわゆる在宅がしっかりと位置付けられています。また、4号、5号で、それぞれ4疾病5事業が位置付けられていますので、在宅については、そういったものと同格、別の言い方をすると特出しで位置付けられているという現状です。その下の局長通知においても、在宅医療については、しっかりと計画を立てるよう示されているところです。
 23頁です。また一方で、いま言った局長通知というのが、この中ほどにあります「医療計画作成指針【局長通知】」です。その下の「疾病又は事業ごとの医療体制について」です。こちらは課長通知ですが、4疾病5事業それぞれについて、具体的な、求められる医療機能構築の手順等が懇切丁寧に示されていまして、この部分は在宅医療については、ないという現状です。然は然りながら、24頁ですが、現状でも数値目標を掲げている都道府県がございます。北海道、山形、福島、特に熊本などは、これだけ数値目標を掲げています。
 25頁です。定量的に申し上げますと、縦軸が都道府県で、白のところが計画を立てているところで、その中の青い帯が数値目標まで踏み込んで書いているところです。中程にありますが、地域連携パスの導入、地域医療支援病院の整備については、半分程度の都道府県が書いているという実情です。26、27頁は、「医療・介護の提供体制の将来像の例」ということで、よく使われる資料だと思います。
 28頁は「在宅医療に関する論点」として、1つ目は医療圏の設定です。これについては、在宅医療というのは身近な地域でのサービスということですので、市町村が策定するような介護保険事業計画といったものを踏まえて策定すべきではないか。2点目は、医療機関・訪問看護ステーション・歯科診療所・薬局といった、他職種協働のケア支援体制の確保というのが目指すべき方向ではないか。3点目が、目標、評価はどのようにあるべきか。こういう点が論点ではないかと考えております。

○武藤座長 質疑は最後に総括質疑としてまとめさせていただきますので、発表を続けていきます。次に福原室長のご発表にも関連して、齋藤委員、安部参考人からご意見をいただきます。まず齋藤委員から、訪問看護の伸び悩みに関するデータについてのご発表をお願いいたします。

○齋藤委員 資料2に基づいて、私どもと訪問看護に関連する団体がいくつかありますので、そちらで行っている調査等々から分析したものです。なぜ訪問看護が伸び悩むのか、これについては、1頁に書いてありますように、1つは人の確保の問題、定着の問題、それから訪問看護は介護保険と医療保険の両方からのサービスになりますので、事業運営が非常に難しくなります。3つ目は、ケアマネジメントの課題があるのではないかというのが、いろいろなデータから見えてきたことです。
 次の頁に資料1として、ステーションでの人の確保のことを述べております。いま病院で働く看護職員は離職率が徐々に下がってきておりますが、平成19年度のデータでは12.6%ですので、約10万人程度がほかの病院に転職したり、潜在化したりということですが、これを訪問看護ステーションに限って見ていきますと、平成19年度のデータでは15%と、病院看護職員の離職を上回っているというデータが出てきました。ステーションが求人広告等々を出しているのですが、7割で求人を出しておりますが、結局採用できたのは、そのうち7割ですので、2割のところでなかなか採用が難しいというデータが出ております。
 なぜ高い離職率なのか、その背景にある1つは給与水準だと考えられます。資料2にあるのは、病院に働くナースたちの給与の表で、ほかの職種と比較をしておりますが、そもそも看護職員の給与水準というのは伸び悩んでおりまして、「寝たきり給与」と言われております。然りながら、これが訪問看護ステーションと病院の看護職員とで比較をしてみますと、税込給与総額で月4万円の違いがあるというのが実態です。ですので、必然的に、給与というのは職場を選択するときに非常に大事な要素になりますので、選んでいかないという実態が表れてきました。  もう1つは働く環境のことで、先ほど厚生労働省の資料にもありましたが、資料3にありますように、非常に零細な企業が多い中で24時間体制を組むとなると、5人未満のステーションになりますと、月の半分程度はオンコールを担当するということで、いわゆる患者とのダイレクトなオンラインをPHSあるいは携帯電話等を持ってつなげていくことになるのですが、それが月半分程度を担当するという状態になります。したがって、夜間あるいは寝るとき、休日でも、トイレやお風呂に入っていても、常に電話を持っているという、そういうことが非常に負担になっているという声が上がってきました。それが離職率が高い背景にあろうかと思います。
 人の確保の問題でもう1つは、病院だと新人の研修体制が整っておりますが、ステーションですと、特に同行訪問を数回やってすぐに独り立ちという形になっています。その間、1人の方の訪問件数はどうしても抑えられていきますので、経営上も影響が出てくることになります。ですので、On the job trainingの仕組みが現場にはありません。さらに小規模になりますと、新人職員を新人の講習等に派遣する機会も確保するのが難しいという実態が出てきました。
 2点目の事業経営のことです。資料5に掲載していますのは、これはほんの一部ですが、医療保険と介護保険で制度的な齟齬があります。例えば訪問看護の基本の報酬にわたることでも、介護保険であれば4種類、これは分単位です。ところが医療保険になりますと、おおむね30分から90分まで、それも場によって報酬の仕組みが分かれていまして、例えば精神障害者施設についてはまた違う料金となっているなど、非常に複雑です。
 それから、訪問看護に行く回数も、介護保険だと制限はないが、医療保険だと週3回までです。ところが厚生労働大臣の定める疾病等の利用者、あるいは特別訪問看護指示書が出ている場合には、週4回以上行けるといったように、非常に複雑になっています。
 それから、同日に使える回数の制限など、このほかにも多々医療保険と介護保険の齟齬がありますので、患者にもわかりにくい、そして事業を運営するナースも、非常に困惑するという状況がございます。
 それから、訪問看護サービスにかかる効率性です。実は1回の訪問に対して、利用宅には大体65分間の滞在になりますが、そのほかに移動、記録、準備、カンファレンス、その他レセプト請求等々が入りますと、大体事務作業等々に58分かかるということで、非常に非効率だということが、これでわかってきます。
 その次です。これを例えば事務職員の採用ができるということでありますと、当然訪問看護師当たりの訪問件数が多くなり、かつ訪問看護に専念できるということがあります。ですので、効率性を図っていくことの1つの手段としては、事務作業を担っていく事務員を雇用できる環境にあるとよいということが出てきます。
 最後にケアマネジメントの課題がありますが、これは実際にケアプランを立てるケアマネジャーに調査をかけておりますが、訪問看護の必要性の判断がなかなかできない、あるいは支給限度額の関係で、介護保険の中で十分に訪問看護を入れられないといった課題がありまして、これはケアマネジャーの団体等からも、特に医療的な視点の教育が課題だということは話が出ています。介護保険で訪問看護が伸びたとはいえ、これから医療ニーズと介護ニーズを合わせ持つような方々が在宅に移行してくるということであれば、ここの機能強化というのは、非常に大きな課題になってくると考えております。

○武藤座長 引き続いて安部参考人から、「開局薬剤師が関わる在宅医療の現状と今後の医療計画について」ということで、ご発表をお願いいたします。

○山本委員(安部参考人) 薬局薬剤師の立場から意見を申し上げさせていただきます。最初にいくつか資料を提示させていただきましてから、具体的な意見を申し上げます。資料の番号をスライドの番号で申し上げます。最初に2、3頁をご覧ください。これは在宅にいらっしゃる患者の状況を表したものですが、2頁を見ていただくと、非常に幅広い状況の患者がいらっしゃることがご理解いただけると思います。3番を見ていただきますと、医療区分で見ても、在宅にいる患者は医療区分が比較的高い人が多いことがおわかりいただけると思います。
 次に4番です。これは介護施設における服薬状況です。95%近くの方が、何らかのお薬を服用されています。そして下の表を見ていただきますと、複数の薬剤を服用されている方が多数いらっしゃることがおわかりいただけると思います。
 5番は、在宅や施設にいらっしゃる利用者の日常生活の観点から、どのような関与が必要かということを、ケアマネジャーの方々にアンケートを取りました。いちばん上に「薬の管理が必要」とあります。これがかなり高率で示されていることが、この資料からおわかりいただけると思います。
 6番は、高齢者向けの住宅や施設の入所者の方に対する薬剤の問題です。施設の職員の方が評価されたのだと思うのですが、施設側から見て、薬学上の問題があるという割合は21.2%、内容はこちらの右のほうに記載されています。これは、誰が見てもわかるような薬の重複というものが多く見られております。
 7番目をご覧ください。これは在宅における薬剤管理の問題点です。左側のグラフは、いちばん初めに薬剤師が訪問したときに患家でどのような薬学的な問題があったかということを調査したものです。その問題に対して、薬剤師が関与することによって、右側のグラフに丸が付いていますが、おおむねさまざまな問題については解決が可能であるということを示しております。
 参考までに、下のほうに「参考」と書きましたが、粗々な推計ですが、こういった潜在的な飲み忘れや薬の無駄を計算すると、年間500億円ぐらいあるのではないか。これは我々の粗推計ですが、それを薬剤師が関与することによって、こういった飲み忘れ等を改善することによって、おおむね8割ぐらいの無駄は省けるのではないかという推計をしております。
 8番目は、薬剤師が在宅医療に参加してどのようなことをするかです。左側に、薬剤師が重点的に取り組む事項を示しております。こういった取組みを在宅でするわけですが、連携の状況はどうかというと、薬剤師は訪問すると必ず処方医に報告書を提出しますので、主治医との連携は当然取れているわけです。処方医の先生以外との連携先ということで、ケアマネジャーの方、訪問看護ステーションの方ともきちんと連携が取れているということが、右の資料です。
 その下に■がありますが、入院中の患者に対する共同指導の実施状況です。350施設中5施設と非常に少なくなっています。これは入院から在宅に移行する際に、薬が非常に大切な要素でもありますので、そのときには薬剤師が退院時カンファレンスに行けないのは非常に問題でありますが、一方でその原因としては、入院中にはまだ薬剤師、どこの薬局が対応するかは決まっていません。基本的には、退院時に数週間分の薬が提供され、それを使っている間に薬局が決まるという状況ですので、そういった意味で、入院中のカンファレンスに行ける数が少ないということです。
 下を見ていただきますと、実際に在宅に戻ってこられてからは、350施設中112施設のカンファレンスに行けているという状況です。
 9番目を見ていただきますと、薬局の在宅というのは、なかなか皆さんにご理解いただいていないところがありますので、非常に一般的な事例を持ってきました。これは在宅訪問の主治医であるA診療所の先生と、支援病院のB病院、こちらから2つの処方が出ます。これは日数も違えば診療日も違います。そうなると、その薬が別々に患者のお宅に行って、ばらばらに管理されます。これは非常に複雑になって管理ができません。したがいまして、薬剤師の関与としては、分割調剤などを使いまして、A診療所、B病院の薬を、一括して管理をし、一包化するとか、お薬が飲めない状況の方のために粉砕する、味を付ける、もしくはご自宅に残っている薬などがあれば、それを有効に利用する、こういったことは日常の薬局の在宅の関与として行われています。
 10番目は、「薬局の在宅訪問に関する届出状況」です。全薬局のうち在宅訪問の届出をしているところは64%程度です。64%のうち、医師の指示をいただいて在宅訪問に行っている薬局の割合は22.5%です。先ほど厚生労働省から、薬局の数のご説明がありましたが、薬局は5万2,000件ですので、届出は約3万6,000件、実施しているところは8,000件程度になろうかと思います。
 11番は在宅薬剤管理指導の実施体制で、療養施設あたりの従業員数です。下が実施体制です。薬剤師1人で経営している薬局の場合と、複数の場合を示しています。薬剤師1人の場合、ときには薬局を閉めて在宅に行っているという厳しい状況にあります。ただ、地域に密着した薬局として、一人薬局のところでも、数は少ないながらも在宅訪問に対応しているという資料です。
 12番です。昨年にチーム医療の推進という議論がなされまして、その中では、チーム医療において、医療安全の観点から薬剤師が薬物治療に積極的、主体的に参加するということが示されました。しかしながら、在宅医療では薬剤師が十分活用されておらず、訪問看護師等の方々にご迷惑をかけている、担っていただいているということが指摘されております。また、4月の医政局長通知では、薬剤師に関する相談体制の整備ということで、医療スタッフの方々が薬剤に関する業務を行う場合には、薬剤師が相談に応じる体制を整えることが望まれる、というような整理になっております。
 13番をご覧ください。先ほど私、薬局は届出はしているものの、訪問できている割合は少ないと申し上げましたが、その要因としては、私どもの反省の点でもあるわけですが、薬局の訪問体制について、十分な情報提供を地域、他職種にできていなかったのではないかということがあります。その反省に基づいて、14番ですが、平成22年度からは在宅療養アクションプランということで、日本薬剤師会で在宅訪問に必要なさまざまな情報を調査し、それを一覧表にしてリスト化する仕組みを考えております。そして、715支部、これは市町村単位と考えて結構だと思うのですが、各地区で、それぞれの薬局の、在宅に必要な要素について、すべて調査をし、それを一覧表にして、右側にある医療職、介護職、行政、地域住民の方に提供しようという試みを実施しております。
 15番を見ていただきますと、この表が項目として挙げられるというものです。お手持ちの「取扱い注意」というのは、東京都板橋区で作った、在宅医療に関する連携リストです。これは医師会で編集していただいているものですが、薬局だけではなく、病院、診療所、訪問看護ステーション、薬局の詳細な応需体制について一覧となっているものです。先ほど話をしましたアクションプランについては、715支部、市町村で、こういった薬局のリストについては整備しようと考えているところです。
 16番です。居宅における医療について、現行の医療制度の位置付けというところでは、これまでも都道府県が、連携体制による在宅医療の機能など、わかりやすく理解するように記載することが重要であると記載されておりますが、これは本当に重要なことで、新しい医療計画でも継続していただきたいと思うわけです。
 こう書いてありましても、現状の問題としては、地域での在宅医療の提供体制に関する情報は、必ずしも十分ではないと。そのために多職種の連携を実現する上では、なかなか難しい状況になっていると。そのため、薬局の訪問回数なども、手挙げをしている薬局はたくさんありながらも、なかなか進まないという状況にあるということです。
 別件ですが、医療用麻薬については、終末期医療について不可欠なものですが、現在配送時間、週末の供給体制など、医療機関に設備面、管理面で大変な負担となっているところも、現場の問題として挙げさせていただきたいと思います。
 そういった意味で、次期医療計画では、医療職、介護職並び行政がより適切な連携と相互理解を深めるよう、地域包括ケアシステムとの整合性を図って、具体的な施策に盛り込んでいただきたいと考えています。
 特に医療計画と、市町村が主体となっている介護の連携、これはどんどん地域に落ちてくると、なかなか関連が見えづらいということで、是非そういう観点から医療計画を検討していただきたいと思います。
 具体的な薬剤師会からの提案としては、8点挙げさせていただきます。1つ目は、施設入所者も含めた在宅患者の薬学的な管理を担う地域薬局・薬剤師の役割を明確に位置付けていただきたい。2番目として、地域包括ケアシステムの想定する地域で、少なくとも1施設の訪問可能な薬局が存在できるような環境整備を行うこと。3番目として、在宅訪問に対応可能な薬局リストを整備し、これらを情報提供できるよう環境整備を行う。また、このリストに掲載される薬局数を、現在の実際の応需薬局の2倍程度になるよう環境整備を行うこと。5番目として、地域の在宅医療をより充実させるため、小規模な薬局であっても積極的に在宅医療に参加できるよう、これは小規模な薬局しかない地域もございますので、地域の状況に応じた薬局間の連携・相互支援体制の構築のための方策を講じると。6番目として、入院と在宅のシームレスな医療提供及び薬学的管理の充実のため、病棟の薬剤師、それから地域の薬剤師が、入院、退院等のカンファレンスに参加できるような方策を講じる。7番目として、介護施設等における薬学的な管理をより充実させるために、地域の薬剤師が「医療・介護スタッフの相談に応じる体制整備」のあり方について、方策を講じる。8番目として、在宅でも終末期医療推進のために、医療用麻薬の提供体制について、関係者間の調整を図りつつ、必要な方策を講じる。このようなことを、薬剤師会からの意見として申し上げたいと思います。

○武藤座長 これからお二方から在宅医療に関する指針に関して、お話をいただきたいと思います。まず最初に、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学の武林亨教授に、「在宅療養支援の実態把握と機能分化に関する研究」と題した発表をお願いいたします。本研究は、在宅医療に関して正しく指針を立てることに資することを目的に研究されたということですので、よろしくお願いいたします。

○武林参考人 資料4です。昨年度、平成22年度の厚生労働科学研究費特別研究事業として実施したものについて、報告させていただきます。「目的」に書いてありますように、大きく分けて3つの調査を行っておりまして、1つは既存の保健医療統計を用いることにより、地域の在宅医療提供状況をきちんと記述しようということです。調査2、調査3のところにありますが、いくつかの地域を選ばせていただき、調査の協力をお願いいたしまして、できるだけ地域全体で参加していただいて、現状の在宅医療の数値あるいは課題について把握をしようということでして、主には医療機関側から見た在宅医療の現状、3については訪問看護師からですが、そういう形で研究調査を行っていますので、それについて報告させていただきます。
 3頁に、最初の調査1についての概要が書いてあります。これについては、医療施設静態調査、これは3年に1度全医療機関を対象に行われるものですが、この平成20年度のものに、右側に絵が描いてありますが、「在宅医療サービスの実施状況」という項目がありまして、この年の9月中の件数、医療保険等による在宅サービスと限定していますが、ここにあるような質問が載っていますので、基本的にはこのデータを活用する形で、在宅医療はいろいろな見方があると思いますが、ここでは在宅看取りということを1つの評価の指標として、これを市町村レベルあるいは2次医療圏レベル、都道府県レベルで見た場合に、どういうことが記述できるかということを検討しております。
 在宅看取り率を出すためには、市町村別の月間の死亡数が重要ですが、これについては時間の関係で十分なデータ、生のデータにはアクセスできておりませんので、ここに書いてあるように、市町村別の死亡数と年間の死亡数から死亡率を掛けまして、推計という形で出しておりますが、これを用いて、平成20年9月の推定在宅看取り率を出しまして、調査を行っております。この静態調査に限らず、いくつかのデータソースから情報を集めていますので、4頁にそのデータソースを記載しております。
 結果ですが、まず5頁をご覧ください。大きな数字が全国、それを都道府県単位でまとめたもの、2次医療圏単位でまとめたものがあります。いちばん下の2つのところに、この調査によって求めた在宅の看取り数、在宅の看取り率がございます。市町村単位、2次医療圏単位の推計ですが、全国のものについては、これは推定ではなくて実際の死亡数がわかっておりますので、推計ではありませんが、4,999、5.9%ということで、これは実際には人口動態統計による看取りの数では、自宅は12.7%ですので、この調査の場合には、先ほどご覧いただいたような医療保険のサービスとしてという限定がありますので、数値としては約6%、4,999という数字になっております。
 6頁をご覧いただきますと、看取りを行った施設の数は全国で3,310、うち診療所が3,074ということです。この年度においては、診療所の数は9万9,083、在宅療養支援診療所の数は1万1,260でした。この中でのこういう割合で、サービスが提供されているということです。
 また、訪問看護ステーションとの連携という1つの見方ができるかと思いますが、訪問看護ステーション指示書の交付を行っている施設の数というのは、全部で1万5,110、診療所は1万2,522であったということです。これが全体的に見た在宅医療サービスの記述でして、それぞれ都道府県単位、2次医療圏単位の幅というものが、そこに記載されております。この情報を用いまして、いくつかの項目との関連を見ようとしましたのが、7頁以降のグラフです。
 7頁のグラフをご覧ください。縦軸に、いま申し上げました推定の在宅看取り率を都道府県別にプロットしたグラフになっております。この縦軸だけをご覧いただきましても、全体としては5.9%でしたが、かなり幅をもって看取り率があることがご覧いただけるかと思います。このグラフでは、横軸に人口10万単位に調整をしておりますが、看取りを行っていると答えた実施施設数がプロットしてありまして、非常にきれいな右肩上がりの線上にあるということで、当たり前のことかもしれませんが、看取り実施の施設の数が多いということと、在宅の看取り率が高いということには、かなり強い正の相関の関係があるということが、ここからご覧いただけるかと思います。
 これを2次医療圏別にプロットの数を増やして見たものが8頁です。ポイントの色や形によって、その2次医療圏の人口規模が変えてあります。全体としては、同じ右肩上がりですが、人口調整の影響かと思いますが、人口規模が小さいところのほうが、より寝た形になっておりまして、人口規模の大きい医療圏においては、立った形の相関関係がご覧いただけるかと思います。
 さらに試みとして、都道府県を取り出しまして、その都道府県の中での2次医療圏あるいは市区町村というものを取り上げたら、どういう絵になるかを、試みに山形県、愛知県を取り出して書いたものが、9頁の図です。
 山形については医療圏は4つですので、このような形になりますが、しかしそれをさらに市区町村の単位に分けますと、下のようなグラフの形になりまして、2次医療圏の中でもかなり点がばらつくということが、現状としてご覧いただけるかと思います。
 10頁については、見取り実施施設という軸の代わりに、在宅支援診療所の数を人口10万単位に表しまして、都道府県単位でプロットしたものです。右下に順位相関の係数が書いてありますが、この結果から見るに、必ずしも在宅支援診数だけでは、看取りの割合の説明は付かないというのが、現状としてご覧いただけると思います。
 11頁には、医療圏別に同じグラフをドットしたものです。これについては、少し右肩上がりで、相関係数も順位相関で0.22ということで、弱い右肩上がりかと思いますが、これは特に人口規模の小さいところは人口10万単位の支援診数が大きく出るということがありますので、それが引っ張った形になって、正の相関が弱く出ているということではないかと思っております。
 12頁が、これを先ほどと同じく、2次医療圏あるいは市区町村別に見た、山形県と愛知県の例です。
 一方で、先ほど申し上げました訪問看護ステーションとのやり取りということで、訪問看護ステーションをご自分で持っている場合には、これは出ないということになるかと思いますが、地域の中で他の訪問看護ステーションとのやり取り、指示書の交付を行っている施設をカウントしますと、13頁のようなグラフになっております。人口10万単位で調整していますが、順位相関係数は0.38となっていますが、形としてやや右肩上がりで、指示書の交付が活発な施設があればあるほど、というような形が見て取れるかと思います。同じく2次医療圏別にご覧いただいたのが14頁で、これも人口規模によらず、同じような傾向がご覧いただけるかと思います。2次医療圏別、市区町村別にした場合に、どうしても点のばらつきが大きくはなってきますが、全体としては似たような傾向が再現されているのではないかと考えております。
 16、17頁のグラフは、その地域の病床数との関係をプロットしたものですが、ご覧いただけますように、病床数が多いほうが看取り率は低いということで、相関としては負の相関がご覧いただけるかと思います。これは都道府県別、それから2次医療圏別でも、同様な傾向がご覧いただけるかと思います。これが調査1でして、日本全体という規模で、都道府県別あるいは医療圏別、市区町村別に見た、在宅医療の現状に関する記述です。
 続いて調査2についてのご報告です。調査2は、もう少し具体的な医療の提供に関して、どういう現状であるか、あるいはそれぞれの在宅医療を担っている医療機関が、どのような問題を課題として認識しているかを調査しようという意図を持って行われたものです。
 18頁にありますが、全国7都府県、これは実際には当初10都府県を予定しておりましたが、その調査は3月を予定しておりまして、震災がありました関係で、そこに関わる可能性が高かった、あるいは被災地の宮城県も含んでいましたから、3地区は残念ながら調査が実施できないということで、7地区での調査になっております。
 この中の一部医療圏、19頁に具体的に調査にご協力いただけました医師会、結局は医師会ベースで具体的にお願いをすることになったわけですが、県レベルあるいは医師会レベルでお願いをいたしまして、この19頁にあるような地区の皆さんに、大変な調査でしたがご協力をいただき、実施しております。
 その内容ですが、18頁にあるように、1つは現状機能ということで、施設属性、提供サービス、実績、体制、看取り数等の機能について調査をしております。2つ目の大きな項目としては、現在感じている障害ということで、24時間対応の上での障害、在宅医療を効率的に行う上での障害、医療介護連携推進の上での障害と分けまして、調査を行っております。医師会を通じてかなり先生方にお願いをいたしまして、内科、外科、整形外科と、かなり幅広く在宅医療を担う可能性のある診療所あるいは病院を拾おうということで、診療所については、この標榜科、支援病院については東北を除いた全支援病院、診療所については、ここに上がっているような2,990にお願いをしまして、40.2%の返信をいただいて、そのうちの61%、730が訪問診療あるいは往診を提供しておりましたので、これについて、これ以降のデータを解析しております。
 まず20頁をご覧ください。調査対象となった診療所の概要ですが、在宅支援診は34%、その他の非在宅支援診が58%ということで、その他一部の算定はなしというところも含まれておりますが、このような割合で調査を行っております。
 右側にありますが、この中でそれぞれの属性に応じた看取りの数別ということでご覧いただけますように、在宅支援診が7件以上のところが20%を占めています。一方で、在宅支援診を取っていない一般診療所でも、年間の看取り数が7件以上の診療所が5%、1から6件が49.6%あることがご覧いただけるかと思います。
 この在宅看取りのデータにつきましては、もう少し詳しく評価を行いまして、それが21、22頁のグラフです。まず診療所についてですが、全体の看取りの中で、オレンジ色で示していますが、年間7件以上の看取りを行っているというのが、これが全体の看取り数の上位10%ですが、これで全体の62%の看取り数を占めているということで、かなり看取りの数を多くこなしている10%程度の診療所で、全体の看取りの62%をカバーしているということが、このデータから明らかになっております。
 在宅支援診に着目しますと、施設数は215、31%で、看取り数は1,099、52%を看ていることになっておりまして、非支援診数は474、残りの69%で、48%に相当する1,021の看取りを行っているということになっております。
 7件以上の看取りを行っているという観点に立ちますと、その62%は支援診ということですし、反対に6件以下の看取りということでは、非支援診が65%を担っているということで、先ほどのグラフのところでもございましたが、看取りの実情というところから見ますと、支援診だけが担っているということではなく、かなりの数を非支援診の診療所が担われていることが明らかかと思います。
 22頁につきましては、在宅療養支援病院のデータです。ここにあるような数値となっております。ここに書き漏らしてしまいましたが、診療所については、この全体の看取りのうち、大まかに言いますと、居宅、自宅での看取りが70%、施設系での看取りが30%というデータです。支援病院については、自宅、居宅での看取りが79%、施設系でが21%という割合になっています。
 これ以降にはかなり細かいデータをたくさん付けていますので、必要に応じてご覧いただきたいと思います。かい摘んで説明をさせていただきます。
 具体的な現状ですが、23頁のスライドは医師の診療時間です。特徴としては、一般診療所の場合は、39%が在宅に当てる時間は1時間未満ということです。これに対して支援診の58%、支援病院の61%は、3時間以上の時間を当てているということです。一般の診療所でも、28%以上は3時間以上の時間を非支援診でも当てているということです。
 24頁は訪問診療の時間帯です。支援診、非支援診ともに、診療所については50%、55.4%、半数以上が昼休み等の休憩時間を利用して、訪問診療をされているという現状です。一方で支援診の34%、支援病院の81%は、訪問診療用の時間枠を設定して、そこで診療をされているという現状です。
 25頁です。在宅支援診の1つの要件である24時間待機ですが、24時間待機日数についてデータをまとめたものです。これは2月ですが、26〜28日というところに、在宅療養支援病院、支援診療所の割合が高くなっております。これは制度に沿った形で、この2つが24時間の待機の日数が非常に高いという現状が把握されております。
 26頁のグラフは、夜間・深夜の急病対応です。その次が、夜間・深夜の看取りへの対応です。両方を併せてご覧いただきたいと思います。急病対応については、支援診は67%が、直ちに医師自らが対応となっております。夜間の看取りについても、81%が自ら対応されているということです。一方、非支援診については、33%が急病対応に対して病院受診を勧奨されておりまして、支援病院については21%が、まず看護師が訪問し、必要に応じて医師が対応するというシステマチックな対応になっております。
 夜間・深夜の看取りへの対応ですが、このデータはいろいろな見方があろうかと思いますが、右側の看取り数別にご覧いただきますと、「病院での対応を依頼」は、支援診のところは、実際には緑色、オレンジ色のグラフは0になっていまして、実際に看取りをされている支援診の場合には、病院への対応ということはされずに、ほぼすべてが、医師自らがかなりの割合で対応されているということで、その他訪問看護ステーションとの連携で対応されているという実情、あるいは自院の看護師の対応という形で対応されているということが、深夜の看取りに対しては明らかかと思います。
 28頁のグラフですが、どうしても地域に不在になるときがありますが、その1日以上の不在の対応についても調査をしております。これは診療所についてですが、60から70%の診療所、自ら外出先から対応していると。一方で、「他診療所に依頼する仕組み」という項目がありますが、支援診の診療所においては、20.9%が他の診療所に依頼する、つまり診・診連携の仕組みを構築され、活用されていることが、このデータからわかります。
 続いて少し項目が変わりまして、29頁以降については、医療衛生材料についての設問です。医療衛生材料については、さまざまな問題の指摘がすでになされているわけですが、ここでは自院での購入管理、自院から供与すると。これは持ち出しということだと思いますが、持ち出しでの供与、「病院から供与」「患者に購入させている」という形で、設問しまして伺ったところ、半数以上の項目のところで、自院での購入管理という回答が得られております。一方で、「自院からある程度供与」というところも、診療所では30%、病院でも20%を超えていて、そういうことが現実としては行われていることがご覧いただけます。
 30頁は、先ほどの診・診連携にも関わるところです。「地域診療協力体制への関与」です。赤いところ、在宅支援診が54.2%になっていることがわかりますように、支援診の地域診療体制への関与度は非常に高いということがあります。右側をご覧いただきますと、看取り数別になっておりますが、看取りの多い支援診は58.3%、61.8%ということで、関与ありの割合がさらに高くなっているという数字です。これが地域診療体制への関与の現状です。
 それから、連携が非常に重要な1つの論点かと思いますが、介護・看護に関わる他施設とのカンファレンスの実施状況をお聴きしたのが、31頁のグラフです。支援病院は緑色、支援診は赤色ですが、ともにカンファレンスありが69%、58.8%と高くなっておりまして、介護や看護とのカンファレンスにつきましては、一定の割合で現在すでに実施されているという現状です。右側は、看取りのありなしによって、それを分けてみたものです。
 32、33頁は、連携に関わることを含めて職員の配置について伺ったものです。32頁は地域医療連携に関わる職員の配置で、これはもともとの病院の機能の一部でもあろうかと思うのですが、69%で「配置あり」という回答でした。支援診については、23.9%が配置をされているということで、右側をご覧いただきますと、上から2つ目に「配置あり(支援診)」というところで、緑色の看取りを上位10%行っている施設では、54.2%が配置されているということで、かなり地域医療連携を意識した人員配置が支援診でもされていることがわかります。
 その配置している職員についてですが、33頁をご覧いただきますと、医療ソーシャルワーカー(MSW)については、病院は61.2%配置していることがわかりますが、診療所については過半数は看護師ということで、赤い2番目の在宅支援診が54.4%、その他の非支援診が68.4%となっております。一方で、在宅療養支援診療所については、8.7%はMSWを配置しているということで、これは今後連携を考える上で、どのようなスキルを持った方を配置することで、スムーズに進むかという議論と相俟って考えるべき点ではないかと思っております。
 34頁以降は、こうしたことを前提にして、どういうことを障害として把握されているかを聴き直したものです。かなり厚くなっておりますが、大きく分けて、24時間対応ということで34頁から39頁までは、いくつかの角度でまとめております。34頁をご覧いただければ全体像を把握できるかと思いますが、それぞれの項目について、赤いところが「現時点で問題になっている」と回答された割合です。それぞれここに挙がっているものは、すでにさまざまな論点で提示をされているものですが、定量的な調査として見た場合にも、かなりの割合でまだ問題があることが挙げられていることがあろうかと思います。特に3番目の地域の診・診連携の整備という点については、支援病院は半数がそのように感じているという点が大きな数字となっております。
 その内訳については、35頁です。支援病院だけを取り上げてまとめたものです。36頁は同じ障害について、在宅支援診だけを取り上げて、さらに看取り数別に分けてみたものです。36頁をご覧いただければ、地域の診・診連携の未整備については、看取りを多く行っている上位10%では、未整備が問題だという指摘は56%で、看取りを積極的に行っている診療所の先生方のほうが、まだ地域の診・診連携の未整備については問題意識を持っておられるという数字です。全体として、具体的に看取りを行っている施設ほど、むしろ課題を感じていることがご覧いただけるかと思います。
 40頁が、続いての大きな設問のまとまりです。効率的な在宅医療への障害について、ここにあるような6つの設問について、同じように支援病院、支援診、一般診療所で、課題として把握されている割合を定量的に示したものです。いちばん上の、医薬品の包装単位が大きいことによってデッドストックが生じること、いちばん下の使用頻度の低い衛生材料がデッドストックになるということが、特に診療所では大きな課題として、40%以上、50%以上の割合で挙げられております。
 先ほどお話のありました薬局については、休日夜間対応の薬局の問題が、ここでも挙げられております。特に緩和ケアなどでは、在宅での医療機器が必要になってくるわけですが、ここではPCAポンプなどの在宅医療機器の確保やコスト負担ということを伺っておりますが、4分の1ぐらいの割合で、それぞれの施設で、現状として、問題として把握されていることがご覧いただけるかと思います。同じように、41頁から45頁については、それを少し角度を変えて、細かいデータとして見たものです。
 最後に46頁から52頁までが、3つ目の大きな設問で、医療・介護連携推進の障害について聴いたものです。地域医療の中では、「顔の見える関係」ということを非常に強く言われますが、そうした顔を合わせる、ケアマネとの顔を合わせる機会ですとか、医師の介護の制度に関する知識不足、関心不足、反対にケアマネの医療に対する関心、知識について、地域包括支援センター、地域内の在宅医療・介護資源の情報不足を聴いておりますが、それぞれ一定の割合で挙げられておりますが、いちばん下にありますように、その地域内のリソースの情報の不足が連携の上での障害になっているという回答が、それぞれのところで多く見られたということです。
 53、54頁については、それとは別の角度から、その在宅サービス提供の移動手段と、移動時間について伺っております。これはどのようなサービス圏を設定できるかということ、現状の把握ということです。移動手段はそこに挙がっているような問題で、都市部では特に駐車スペースの問題が大きな課題ではないかと思いますが、かなりの割合で乗用車が利用されているところです。
 「平均的な移動時間」というところをご覧いただきますと、左側に大きなグラフがございますが、診療所では、支援診は56%、非支援診は61.5%とありますが、15分以下ということで、半数以上が15分以下の移動時間でのサービスの提供となっています。30分以内ということをトータルしますと、全体の90から95%は、30分以内の移動時間で在宅医療が提供されていることが、この調査からも明らかになっております。
 最後の調査3については、訪問看護ステーション側に在宅看取りの位置付けに係る連携のあり方について伺ったものです。ここに上がっている項目は、すでにいま触れたような項目は、同じようなことがわかっておりますので、ここでは報告は割愛させていただきます。以上です。

○武藤座長 武林先生、ありがとうございました。引き続きまして、国立長寿医療研究センターの鳥羽研二院長から、「在宅医療体制構築に係る指針」と題するご発表をお願いいたします。聞きますところ、これは国立長寿医療研究センターが主催されて、在宅医療に係る各種の団体の代表の方によって構成されています在宅医療推進の会での議論を基に、鳥羽先生が取りまとめられたということです。この鳥羽先生がおまとめになりました指針案を基盤に、今日皆様方のご意見、いまの武林先生のご発表等を含めて指針案を策定していくことになりますので、まず鳥羽先生のご発表をお聴きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鳥羽参考人 国立長寿医療研究センターの鳥羽でございます。いまご案内がありましたように、最後のポンチ絵と在宅医療推進会議の組織図を見ていただきたいのですが、この指針の取りまとめに当たりましては、在宅医療推進会議の諸団体のご意見をいただきました。このメンバーは在宅医療に関わる実地にやっている診療所、あるいは在宅医療に関係する学会、そして成功事例の尾道市医師会、リハビリテーション、訪問看護、それから医師会、薬剤師会、看護協会、がんセンター、終末期にかかわるホスピス、そしてもう1つの特徴としましては、在宅医療は後ほど触れますが、9割が高齢者ということで、老年医学の代表も出ております。
 このような指針をいただくに当たりまして、多くの情報あるいはご意見をいただきましたことをお礼を申し上げるとともに、今回、特に看護協会と薬剤師会などには、よりこの詳細なものがありまして、この一部、私の内容の中に十分盛り込まれていないとしたならば、お詫びをしたいと思います。
 資料上のポンチ絵はいままでの議論を整理するところですが、高齢社会がくると、中でも特に75歳以上の、医療だけではなくて介護を必要として、病気を複数もちます。75歳以上ですと入院症例では平均5つ持つわけですが、そういう者が増えてきます。そして、多死の時代がくる。在宅の死のことが問題になってくる。
 その右側には在宅看護の症状や所見の頻度を、75歳から85歳まで年齢別に示したものですが、このような形に、まず赤で急性疾患、それからピンクの慢性疾患、黄色は介護に関係するようなもの。このような三層構造を高齢者はもっていますが、これが高齢者の人口に掛け算をされたものが医療の総需要といった形で出てくるわけです。したがいまして、当然、救急の需要も増えるために、平成18年の調査で高齢者において中等度、重症の救急患者は倍増しておりまして、軽度の者も著増しているために一般の、特に大学病院などの医療機関が非常に救急が疲弊しているということがあります。そして、このような多死の時代で、先ほど出ましたが、医療機関での死亡が限定されるとするならば、死に場所をどこで看取るかといった問題があります。
いままで示しましたように、このように高齢者を中心とした医療の需要の変化といったものは、単に1診療科の問題だけではなくて、整形や眼科といったほかの診療科も必要ですし、同時に栄養問題としての歯科、そして薬剤の飲み忘れなどの薬剤の問題。そして、多くの疾患を同時にケアするといった看護の問題まで、必然的に多職種の共同体制が必要とされるような構造であるということは、いままでの資料でわかっていると思います。
 したがってそこが足りないとするならば、その需給ギャップといったものがなぜ足りないのか。それは1つには一つひとつの、先ほど看護の場合、あるいは薬剤の場合の事例がありましたが、その個別の問題と連携の問題と教育の問題があるわけですが、やはりそのギャップがあるとするときに、全て限られた医療費の中で全部増やしていくということはできないとすると、私たちは成功事例に学ぶことも非常に大切なのですが、これは在宅医療推進会議でやっておられましたが、逆の視点すなわち、うまくいかない所から何を学ぶかということを基本に、この需給ギャップのことを考えてみました。
 先ほどの訪問医療のことを見ましても、在宅医療支援診療所はたくさん訪問していますが、一般の歯科医、医師の方は1時間から3時間くらいしか訪問診療ができない。でも、そういう方達が在宅に力を入れない限りは、非常に苦しいだろう。訪問看護にしても現状の中でどうすればいちばん看護の力を生かせるかといった場合には、これは教育も欠かせないだろう。このような視点で、もちろん薬剤の場合もそうです。したがいまして、ここにまとめとしてそこに書いてありますが、特にそのギャップを埋めるための方策についての提言を示したところです。
 皆様のディスカッションの時間がありますので、本文にしたがってごく簡単に概要を説明したいと思います。1頁は個別性や地域生活の視点を重視した方法。やはりエイジング・イン・プレイスと言いまして、住み慣れた所で、いかに穏やかに死ぬかということが、もちろん基本です。そのためには効率的な医療提供や円滑な医療連携が重要で、需給ギャップについては、現在の中での一般の医科の先生の力も、十分利用するような形を図らなければいけないと考えています。そして、いくつかのところで資料説明がありましたように、地域ですごく実情が違います。都会での在宅死が多い、あるいはさまざまな圏域を設定するにしても過疎地と都会では違いますので、地域の実情に応じて圏域を設定することをまず基本にしています。
 2頁目以降は現状ですので、もう1回私の頭でだけの重要点だけを復習したいと思います。疾病構造の変化では生活機能に影響を与える脳血管障害、認知症、骨粗鬆症などが増えてくることが特徴です。そして要介護高齢者でありながら病気をもっている、介護と医療の両方が必要な構造が増えてきます。同時に多くの病気や介護をもつ場合に、これらの医療や看護が熟練を要することは論を待たないことですが、ここに教育の問題が出てきます。
 そして、訪問歯科のところでは、やはりこの地域差が訪問看護ではあるということと、もう少し医師も協働して、訪問看護の利用をできるような、教育をお互いに助けるようなことも必要ではないかというのが私の認識です。在宅歯科については、一般歯科からの診療の紹介が少ないといったところが問題点とされていまして、ここも連携の問題というふうに捉えています。
 保険調剤薬局、先ほどのがんの緩和ケアの問題がありますが、日本はただでさえ麻薬の使用率が非常に少なくて、痛みが不当に放置されている問題があります。在宅でのがん緩和ケアを充実させるために、保険調剤薬局のそのような形の充実が重要なこと考えています。
 そして、在宅においての看取りですが、都会に多くて田舎に少ないということと、やはり支援診療所の数が多い所は多いということですが、この看取りだけを在宅医療のアウトカムとするということに関しては、若干議論を皆さんでしていただきたいところでして、最後の看取りができなくても、その少し前まで在宅で長く看ておかれて、どうしてもご家族が看られないときにお預けするといったような形も、在宅での看取りとしてカウントできないかというふうに実は考えています。
 次に患者の傷病別のニーズに関しては、特に認知症に関して現在でも200万人いるというものが、最近の調査でもう少し多いということも出ていますし、重要だと思います。認知症疾患センターの整備と、地域包括の連携といったことは、最も重要な視点ですが、認知症疾患医療センターについては、特に整備状況だけではなくて、活動内容をしっかりとモニタリングをする必要があると思います。これは以前、痴呆性老人のセンターの場合に、各地域で十分なこのようなモニタリングができていたかという反省を私は持っておりますし、皆さんがもしそれらを共有するのであれば、地域別にしっかりとこのようなものを見ていただきたいと思います。
 5頁、看取りに関しては調査がありまして、がんの看取りと、がんではない看取りでは期間が違い、非がんのほうが長いということ、非がんの看取りの場合には、症状の揺らぎがあって、悪くなって急に入院しますが、また在宅に戻れる期間がある形で、在宅の医療と病院での一時的なお預かりのような連携が必要ということが、ここに示されています。
 病・病連携ではさまざまな取組みが最近出ていまして、在宅療養の支援病院といったものは今後期待されるところですが、それで十分であろうかといったところが全日病あるいは日本慢性期医療協会が、さらに肺炎などを中心とした高齢者の一過性の疾患の悪化について、受け入れについても提案をいただいたところです。在宅医療を支えるこの団体が病院と連携することがより重要と認識しております。病・診連携、診・診連携については、このようなグループを形成しやすい都会と形成しにくい過疎地において、やはり地域差を考慮していただきたいと思います。
 6頁、急変時の受け入れ体制など。それからレスパイトケアですが、実はこのレスパイトケアといったものは、キーワードになると思っています。レスパイトケアは患者さんのレスパイトケアといったもので、受け入れの病院の整備も重要ですが、国立長寿医療センターでは、レスパイトケアをかかりつけ医師が診断して、病院に入れたほうがいいという形で入院の適否を決めるような試みを行っていまして、愛知県の3倍の看取り率を達成しています。さらに在宅復帰率95%ですが、即ち一般の午後から在宅診療を行えるような医者が、なるべく在宅に参加するために、このような地域医療の支援病棟という制度をやっていますが、これも是非、検討の俎上に載せていただければと思います。キーポイントは、診療所のお医者さんが、入院決定機能を持つ病床を地域に実情に応じて何床か整備するといった提案です。
 地域包括医療センターは、最も私は重要視していますが、そこに書いてありますように医療のみではなく栄養、運動、認知症予防など、さまざまなことが求められています。でも、求められてはいますが、人材の数と質について十分かどうか。ここの充実を求めるのであれば、そこの議論をいただきたいと思います。
 7頁からは方向性ですが、いま大体お話ししましたのでここはスキップさせていただきます。
 12頁、構築の具体的な手順、これが皆様方に議論をしていただきたいところです。もちろん原則は各地域、医療圏によって違いますので、論点を任せること委ねることは多いと思いますが、やはり均一な均霑化を図って良質な在宅医療を推進するために、最低限このような中期目標としての指標を示して、そして、その中で各地域の実情に応じて1年あるいは5年といった形の目標を持って作っていただけるような形として、項目を挙げております。1番は居宅等における医療に係る患者動向に関する情報の収集。これは先ほど武林先生が詳しく述べられましたので、この調査のものに関して、特に在宅医療の着実な進展に資するような指標をこの中から、あるいは武林先生の示唆を得て選んでいただきたいと思います。
 2番目のストラクチャー指標ですが、これは比較的各都道府県で平時的に集め、そして、公表していくことによって、簡単に集められる指標です。
 3番目のプロセス指標ですが、看取り数、連携医療機関数、担当医情報提供数、訪問看護ステーションへの患者情報提供数、訪問看護ステーションへの連携数、退院時共同指導数、緩和ケア実施保健所、地域包括支援センターとの調整数などですが、これが確かに連携というものが、いままでは連携という漢字2文字で済ませてきたものを、もう少し指標化して、本当に連携が有効である、あるいはやられているかを見てほしいと同時に、このようなプロセス指標といったものが、何らかの将来、保険的なカバーをされることを私は希望しています。
 アウトカム指標ですが、ここに在宅の看取り以外のものを入れています。6カ月以上居宅等で療養していた者の入院後の在宅復帰率、そして再入院率、在宅死亡数、在宅療養支援診療所・病院における看取り数、訪問診療数、認知症患者の入院期間、これは特に日本では認知症患者が1年以上あるいは半年以上長期に入院している。認知症の方であっても在宅で穏やかに暮らしてほしい、そのための認知症疾患医療センターや、訪問看護ステーションであろうと思いますので、ここを特に重視して入れさせていただきました。
 最後に医療機能の明確化及び圏域の設定ですが、特にここで1点だけ強調したいことは、14頁を見ていただきたいのです。円滑な連携、人材育成などにおける検討及び計画への記載です。最初のポンチ絵でお示ししましたように、全国レベルの在宅のご意見を集約することは、もちろん結構大変なことでしたが、それだけに他職種やいろいろな団体の方のご意見というのは大変貴重でして、あれは私の知らない盲点をいろいろ教えていただいたところです。それはおそらく地域や圏域でこのような地域の医療計画を立てるに当たっても、同じことではないでしょうか。したがいまして、地域あるいは圏域で地域医療計画を立てるに当たって、在宅医療推進会議のような、在宅あるいは老年医学、3師会他様々な団体、そのような方の代表を入れて、在宅医療の円滑な、あるいは活発な、形だけではない連携といったものが図れるような地域医療計画を、是非作成していただきたいと思います。以上です。

○武藤座長 鳥羽先生ありがとうございます。在宅医療構築の具体的な手順や指標案を示していただきました。ここから残り時間、4時までの時間を使いまして総括討議に移りたいと思います。是非とも活発なご議論をお願いいたします。神野委員どうぞ。

○神野委員 非常にたくさんの資料で、なかなか消化できないのですが、いまの鳥羽先生のお話も含めて、これから在宅が非常に重要だということは明らかでありますし、それから、昨日、厚生労働省で国民生活基礎調査が発表になったと思うのですが、これを見ますと要介護、要支援の単独世帯がもう26.1%ですし、あるいは核家族世帯が31.4%ということです。そうなりますと、もうまさに皆さんお話になったように、医療と介護を連携して、そしてこれをきちんと把握しなければいけない。その中で社保審の医療部会で精神が5疾病になった。これは医政局長通知、あるいは政省令でOKだということですが、在宅はきちんと医療法上、今度は5疾病5事業ではなくて、5疾病6事業の事業として、各県でいま鳥羽先生がお示しになったような評価目標を作って早くやらないと、喫緊の課題ではないかなと思うわけです。
 先ほど厚生労働省の資料では、たしか11都道県が医療計画上、指標を出しているということですが、これはきちんと事業として、全都道府県がやらないと、もう日本は大変なことになってしまうという印象を持ったわけです。その中で先ほど看護協会あるいは薬剤師会から効率性のお話が出てきました。いままでの議論になかった話として、例えば先ほどありましたような、一人ひとりの単独世帯とか、核家族世帯で、バラバラな所に在宅をやるのは、効率性という意味では大変問題があるとするならば、集約ということを考えるべきと思います。そうすると、今度は高齢者住宅のあり方みたいな話にまでつながっていくのかなというような気もいたしますし、あるいはチーム医療という観点からいたしますと、訪問リハビリテーションとか、訪問栄養指導とか、まだほかのチームもございます。あるいは、GP、家庭医、総合医のあり方といった問題も出てくるかなと思うわけです。特に武林参考人の話の中で、内科、外科、整形外科ということでしたが、おそらく整形外科を抜くともう少し率が高くなるのかなというふうにも思いますし、今後、在宅をみていくうちでは家庭医、総合医の育成といった問題も挙げていかなければならない。
 もう1点だけ、最後の鳥羽参考人のお話の中で、在宅看取りの定義づけで、できるだけ在宅で長くもっていって、最後の最後だけ病院あるいは診療所で看取るという、これは大賛成ですし、その担い手としては私ども全日病で地域一般病床というのを提唱しておりますが、これはまさに当直医がしっかりいる民間中小病院こそ、駆け込み寺的な最後の砦、最後に駆け込んでいただく所としての役割があるのかなと思いました。以上でございます。

○鈴木委員 非常に私も興味深く聞かせていただきました。我が国の高齢化はいまやもう世界一で、ますますダントツに少子化が著しいので進んでまいります。我が国の問題は高齢化の進行というより、私は少子化が止まらないことだと思いますが、当面高齢化を何とか乗り切らないといけないということだと思います。高齢率が上がってきますと、神野先生と私も同じように地方なので、問題意識が同じなのですが、独居、老々世帯がどんどん増えていくということなので、私は1つは、いまの話を聞いてもオンコールで、訪問診療もそうですし、訪問看護もそうなのですが、例えば北欧とかですと、訪問看護とか介護が3交替で看ているわけです。ですから、それを我々はオンコールでしなければいけないというか、そういうシステムでやるのだと言っているわけですから、同じようにはできないと思いますので、これを無理にそういう体制のまま、北欧と同じにやるのだと、いわゆる在宅中心主義というか在宅至上主義、そういうことでやりますと、非常にこれは在宅のスタッフに負担がかかって疲弊が起こり、いまでも希望者の少ない訪問看護ステーションなど、ますます伸びないことが心配されます。あるいは本当に在宅でやる場合、薬局でも24時対応の所が地域に出来なければ困るし、そして、地方では少なくとも病院の薬局などが対応しないと、たぶん看きれないだろうと思いますが、そういう日本型の仕組みを作っていかないといけないだろう、看きれないだろうと思っています。要するにそういう意味では、在宅か施設かではなくて、在宅も施設も入院も含めてですが、必要であるということで 既存資源を総動員するという意味で中小病院、有床診療所のベッドの活用、レスパイトも含めて、これは非常に重要になってくると思います。できるだけ在宅の負担を少なくして、できるだけ多くの方を、重度の方も含めて看ることをしていかないと、看きれないだろうと思います。
 かかりつけ医に関しては、私は日本型の専門医がかかりつけ医になるという仕組みを、医学部の教育の段階から見直して、医学部の教育の期間と初期臨床研修も含めて一般医としての教育を十分した上で、専門医になる人はなって、やがて多くの人はかかりつけ医になるわけですが、そのときに日本医師会の生涯教育を使って、かかりつけ医になっていけばいいと考えています。専門医としての家庭医もいてもいいと思いますが、その方々がメインになるということは非常に時間がかかって間に合わないと思いますので、かかりつけ医を、既存の専門医を教育の段階から、かかりつけ医に対応できるようにしていくのがいいと思います。
 あとは在宅も地方型と都市型には少なくとも分かれるだろうと考えています。都市型というのは在宅中心で、ある意味ではやりやすいのかもしれませんが、先ほども見ましたように、都市と地方では在宅での看取りに差が出ており全国一律というのは難しいと思います。地域に合わせて圏域の設定などをされるのでしたら、この辺も現実的にしないと、実際と違って介護保険の圏域が地方では実態と合わなくなっていまして、境界部分とかですね、そういうことがないように、是非しなければいけないだろうと考えています。

○福原室長 神野委員に対する回答をしたいと思います。先ほど神野委員から医療計画上、在宅医療を5事業に追加すべきではないかというご意見があったかと思うのですが、それは資料1で私どもが説明しましたとおり、すでに医療法上しっかり位置付けがあるということと、在宅医療の特殊性というのがございまして、これは幅広く各疾病に横断的に関与していて、現状4疾病も指針の中で急性期、慢性期、在宅療養、切れ目なくその体制をしっかり書くようにとなっていまして、この4疾病の中にも在宅医療はかなり入り込んでいますので、そういう意味で具体的にどのようにしていくべきかというのは考えるべきかと思いますが、その点は慎重に検討する必要があると思います。

○武藤座長 やはり全都道府県に実施すべきと、そうした方針も必要だと思います。

○猿田室長 すいません。事務局からいまの説明に補足させていただきたいと思います。こちらの過去資料の第1回目、資料5-1、51頁です。最近いろいろな団体から、6事業目に在宅医療をというお話がちょくちょく聞こえてきているので、法律のところだけ皆さんにお知らせしようと思います。資料5-1の51頁、医療法というところがあります。そこの左の下に30条の4がありまして、これのいちばん左の下、2項の4に、生活習慣病その他、国民の健康の保持を図るために、特に広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病として、厚生労働省令で定めるもの、と書いてありますが、これがいわゆる「疾病」で、4疾病のところに今度は精神が入るところです。
 右の頁にいきまして、5に、次に掲げる医療の確保に必要な事業がありまして、イ、ロ、ハ、ニ、ホのところで、イが救急医療、ロが災害医療、ハが僻地医療、ニが周産期医療、ホが小児医療となっています。その下に6がありまして、ここに居宅等における医療の確保に関する事項、これが在宅医療です。法律を改正しないと在宅医療は事業にならないのですが、法的にいうと降格処分ということで、6事業目にするということは降格にするということになります。いまはそれより一格高い4疾病5事業並びになっているということでご認識いただきたいと思います。いま福原が言ったように、今後とも大事な事項として別途総合的に記載する形にしておくほうが、大事なものだということであれば、6事業目として、あえて低くする必要はないことになります。

○武藤座長 まず神野先生から。

○神野委員 先ほどの説明もいまのご説明も、十分了解しているわけですが、ただ、私どもの県とか、医療関係者も4疾病5事業という単語なのですよね。そこに「在宅」という言葉が入っていないとするならば、新たに4疾病5事業1なんとかという、1在宅という括りを作って国民に知らせないと、在宅に対して厚労省に力が入っていることが全然見えてこないのではないかなと思いますので、新たな単語を作っていただきたいと思います。

○猿田室長 震災前の勉強会でお話しさせていただいたのですが、第1回資料の65頁に資料5-3がございまして、局長通知の後ろのほうに「在宅医療」というのが書いてあるのですが、5-4の課長通知には在宅医療が入っていないのです。今度年末までに見直す方向性として、5-4の課長通知にもこれから在宅医療も入れるのか入れないのか、12月までに新しい通知を出さないと都道府県の作業が間に合いませんので、それについてどのように位置付けるかは、ここで、中間とりまとめを出したりする中で、ご検討をしていただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。

○武藤座長 この件について鈴木委員が最後の質問になります。 

○鈴木委員 私も6事業にすべきだろうと思うのです。宮崎県が何かもうそういうふうにしているということです。県のレベルでですね。別格だと言うけれども、それは何ていうか、棚上げにする口実みたいなもので、それでしたら6事業+1特別事業とか、もっとはっきり位置付けてほしいと思います。それは5事業に入るかどうかが、公益性があるかどうかの評価にもつながるので、これは次に別枠で入っていますからと言われても、そうはいかないので、本当に重要だと言うのでしたら、そのぐらいはするというところを是非、実現していただきたいと思います。

○武藤座長 それでは先に進みます。齋藤委員いかがでしょうか。

○齋藤委員 在宅医療に関する論点の最後の頁、厚生労働省の資料で出ているのですが、この3つの論点につきましては、1点目、介護保険事業計画を踏まえて策定すべき、当然そのとおり。2点目もそのとおりという意見です。私どもも是非、この在宅医療につきましては課長通知などで、計画の立て方みたいなものをきっちり出していただきたいと考えております。そこで本日資料を1、2という2つを出していまして、その2つ目の資料が、国立長寿医療センターにも出した意見と重なっているようなところです。
 かい摘んで少し説明させていただきますと、資料1、ステーションの従事者、それから数もそれほど増えていないという指摘です。かつ、小規模が多いというのも厚生労働省で出してくださった資料と同じです。次の頁が従事者数です。ずっと2万7,000人で歩留まりということで、これも先ほどなぜこうなっているかということについては、背景的には給与の問題、教育の問題などがあるということをご説明しました。
 3番目の資料、これは中医協でも出されている資料ですが、このままだと約50万人が看取りの場がないという状況でございますので、やはり自宅での看取りを伸ばしていくか、あるいは介護施設でも当然看取っていく、いろいろな所で看取っていくということは、当然なされなければいけないだろうとは考えています。
 こういう時代になっていったときに、訪問看護ステーションの就業者、一体どのぐらい必要なのかということにつきましては、数々データが出ていまして、本日、4頁目のスライドに挙げておりますのは、例えば医療経済研究機構で研究されましたデータで、2020年度までには2.3倍を目指さなければいけないという結果が出ています。しかしながら、先ほど言ったように、そんなに簡単に確保ができるのかとなれば、やはり辞めない体制をどうつくるかということにかかってくるのだろうと思っています。
 こういう観点に立って、在宅医療提供体制に求められる機能として、是非、課長通知などに挙げていただきたいということにつきましては、2の資料にも詳しく載せていますが、1点目は24時間365日、まずは緊急対応が行える、呼び出しがあればすぐ伺えるという機能を持ったステーションの整備が必要になってくるだろうと思います。これにつきましては、ステーションを新しく作ることも1つ方法としてはございますが、いまあるステーションの規模の拡大、それから派出所みたいなサテライトを整備して、訪問看護にサービスがなかなか行き届かないエリアを特定して訪問看護を提供していくということのほうが効果的ではないかと思っております。
 いまいろいろなデータに出ていますように、やはり最後は自宅で死にたいと願っている方々が増えていますが、家族がいることを前提としたサービス設計になっていますので、長期的な在宅療養を支えていくためには、家族がお休みできる機会を設けていくことが重要になります。特にレスパイト等こういったサービスをきちんと整備していくことが、必要になるかと思っています。
 それから地域における医療関係や他職種の連携については、もうまさしく長寿医療センターのところで出たようなことだと考えております。問題は高齢者だけではない、子どもの在宅での長期療養等も増えていますので、疾病や年齢を問わない在宅医療、療養を可能にする体制をとる機能を持たせないといけないということで、ここに書いてありますように小児に向けたレスパイト等の整備も必要になってくる。あるいは障害者自立支援法等、複数の制度にまたがるサービスの調整機能、こういったものが必要になってくるだろうと思います。
 5点目がマンパワーの確保にありますが、新卒あるいは再就業者でも、訪問看護で働けるような教育、養成体制、こういったものを整備していかないといけないだろうなと思います。それから、ステーションでも規模が大きければ、新人から雇用し、一定期間病院に派遣して、そして戻ってきていただくといったことで新人教育を機能強化している所もありますので、そういった受け入れ体制を整備していくことが必要になってくるだろうと思います。
 最後に2の資料で5頁目にいろいろ指標を付けています。これも長寿医療センターにも出していますが、私どももこういうストラクチャー指標、プロセス指標、アウトプット指標に分けて都道府県で数値目標を出して、そして整備をしていただきたいと考えております。以上でございます。 

○武藤座長 ありがとうございました。佐藤委員にも資料をご用意していただいたので、ご説明をお願いします。

○佐藤委員 今日提出資料がございまして、一応5枚のスライドを出させていただきました。先ほど鳥羽先生からいくつかお話が、また資料1にもお話がございましたので、そことの関連について特にお話をさせていただきたいと思います。
 1枚目、図1ですが、要介護者の約9割が何らかの歯科医療が必要だと、これは先ほど鳥羽先生がお示しのとおりです。実際そこから歯科受診をした方は27%に留まっている。必要性があるにもかかわらず受診する方が少ないというのが、まず要介護者の歯科の実態でございます。この27%という方たちの、実際に在宅療養支援歯科診療所につながっているところ、これもすでにお話がございましたが、歯科診療所の、普通の通院をなさっている方の、在宅で診ている方は1.9%という話が先ほどありました。確かに在宅療養支援歯科診療所は5.5%と少ない実態ではありますが、平成20年、平成21年、平成22年と、その数は増しています。また、一方でこの支援診療所の届出を出していなくても、在宅の診療をなさっておられる方々はいらっしゃいますので、1.9%に対する歯科診療所の割合は確かに多くはないとはいえ、決して少なくはないというのが現状です。
 では、なぜ少ないのかということについて3枚目です。実際に在宅療養支援歯科診療所の届出を出していても、2割は要請がないのが現状です。図4には在宅歯科医療の依頼元にはどこがいちばん多いのか。介護施設それから患者の家族等という順番になっていまして、少ないところでは一般診療所、訪問看護ステーションとなっています。実際に今日の資料1で出された結果を見ますと、施設での訪問歯科診療は増えているという図が示されていますが、在宅では増えていない。結局これは何かといいますと、在宅につながる場所からの依頼がなかった。ですから、受皿は平成20年、平成21年、平成22年と増えている。歯科の診療所は実際に訪問歯科診療を行う体制をつくっているにもかかわらず、ここが増えていないのが大きな課題です。
 最後の図です。これは2006年少し古い資料になっていますが、実際に口腔ケアを知っているかお話を聴いたものです。訪問歯科診療を知らない方が6割いらっしゃる。しかも口腔ケアということを全く知らない方が8割いらっしゃって、しかもケアマネからその提案があったかというと、なかった方が82%、これが2006年のデータです。その後2009年、2010年には、ケアマネ協会等々と実際に連携しながら、医療的ケアの実践をすでに進めています。そういうものが有効にまた機能するように進めてまいりたいと思いますし、今後もその目標、表掲について進めてまいりたいと思っています。以上資料の説明です。

○武藤座長 ありがとうございます。残り時間もわずかですが、いままで発言のなかった椎名参考人どうぞ。 

○布施委員(椎名参考人) 私どもとしましては、在宅医療の重要性を否定するわけではないのですが、これを医療計画に位置付けるとしたら、従来ある4疾病5事業とは性格の違った難しさがあるのではないかと思っております。いろいろ参考人のお話を聞いている中で、その感を強くしたわけですが、つまり、医療に特化できる領域ではなくて、当然介護、さらには福祉にまでわたる広範囲な領域をカバーする問題です。当然そうすると、介護関係の都道府県計画との整合性を考えていかなくてはいけないし、また、個々の問題を見ましても、全国に普遍化できるような事柄と、やはり地域性を考えて具体的な形で考えなくてはいけない事柄と、その辺を分けて考えないといけない。また、前提条件として在宅医療の範囲を明確にした上で、地域性の事柄とか、あるいは全国の普遍的な事柄をきっちり都道府県に明示しないと、なかなか具体的な計画を策定するのは難しいのではないかと思うのです。
 さらに、長寿医療センターの鳥羽参考人から最後のほうにお話がありましたが、やはりその地域の医療関係者、さらに住民あるいは患者、そういった人たちの参画を得ながら、十分そこでこなれた議論をして、その都道府県の医療計画に位置付けるという手続もきっちりやってもらわないといけないのだろうと、そう思います。 

○武藤座長 まさに在宅医療推進会議が、そうしたことを担うということですね。

○鳥羽参考人 参考になるかはわかりませんが、在宅医療推進会議には、4つのワーキンググループがございます。1つは教育や研修、あるいはテキストを作るといった部分、それから医療技術の問題、グランドデザイン。ですから、いま委員の先生方がいろいろとご指摘なのはもっともなことだと思います。地域に投げても荷が重いことに関しては、できるだけこの推進会議の先生方の意見を集約したり、ワーキンググループでできるだけ、できるものは作ってまいりますので、是非そのようなものもあるという条件でご議論を進めていただければ幸いです。

○吉田委員 在宅の問題で我々医療者とか行政の方々の視点と、国民の視点は全く違うということを、私達はもっと意識すべきだと思うのです。実は、昨年、私の父親が亡くなりましたが、そのときに在宅で看取るというと、もう家族は大反対でした。何でそんな大変なことをするのだと言われてしまい、理解を得るのに非常に苦労しました。結局は在宅で看取りましたけれども。そういった意味で我々がもっている常識とは違った国民の戸惑い、病院で看取ってくれるのに何でわざわざ私達がやらなければいけないのだみたいな話に対してきちっとしたフォローが必要だと思います。嫌がる理由の中でいちばん大きいのが、怖いという感覚なのですよ、死体を扱ったことも、死ぬところを見たこともないから。だからそういった意味で、ものすごく避けて通ろうとするのですね。我々がここで一生懸命に議論することと同時に、在宅に関する国民的な合意をどうやって取り付けていくかという作業も考えていかないと、我々だけが上滑りして終わってしまうことにもなりかねないと思うのです。
 もう1つ、在宅についてなのですが、何でもかんでも在宅かというと、椎名委員の言われたように、ある程度手順が必要で、いきなり認知症の在宅をやれというのも、なかなか難しい問題がありますので、ある程度のモデルケースを設定しておいて、そういったものを中心にやっていくというような手順が必要かなと思います。
 最後に齋藤委員に質問ですが、訪問看護ステーションは零細型が非常に多い。あれは、開設時にはある程度の規模だったのが結果として零細型になってしまったのか、それとも零細型で始めてそのまま大きくなれずにいるという話なのでしょうか。その辺が、私にはよくわからないのですが、いずれにしても訪問看護ステーションを作るにしても、ある程度、病院開設と同じような要件整備が必要なのではないかと思うのですが、その辺はいかがですか。

○齋藤委員 いま訪問看護ステーションの開設は、看護師等の常勤換算で2.5人必要になります。

○吉田委員 すると、零細型でも良いというか仕方がないという話になっているのですね。私自身、零細型で頑張っておられる方をたくさん知っていますし、もうボランティアのようにやっていて、いつ寝るのだろうというような感じですが、それってやはりまずいのではないかと思うのです。ある程度働いていて休みが取れるとか、そういう条件でないと開設させないということも必要かも知れないと思うのですが、そうすると、また在宅が捗らなくなるというジレンマになりますね。看護協会としては少しでも在宅の訪問ステーションを増やそうとしておられるのですか。

○齋藤委員 看護協会としてはもう大規模化の方向にシフトしていくということを言っておりますので、やはり事業の運営の方法とか管理者教育、そういったところに支援しているところです。

○吉田委員 そうすると、訪問看護ステーションのクオリティーを上げていくということも、1つの目標にすべき課題ということですね。

○齋藤委員 はい、もちろんです。ご指摘のとおりです。

○長瀬委員 先日の医療部会で精神が5大疾病になったことは非常に有難いことです。先ほどから看取りの話ばかりなのですが、精神は看取りではありません。いままで日が当たらないのは、日本だけではなく、世界でも精神には偏見がありました。しかし、いま精神も入院から在宅へということで、「アウトリーチ」というキャッチフレーズが厚生労働省から出ています。これからは精神に日が当たるなと思っております。これはお礼であります、ありがとうございました。

○武藤座長 ありがとうございました。中沢委員どうぞ。

○中沢委員 保健医療計画を策定する側の形でお話をさせていただきたいのですが、確かに在宅医療の推進につきましては、重要性は誰でもたぶん思うところかなと思っております。現行の保健医療計画の中にも在宅医療についての記述はあるわけですが、やはり今回の医療計画については、4疾病5事業をどのような形で組み立てるかというところが、中心にある意味なったところもありまして、在宅に関してはその次の課題みたいな形になっていたのかなと思います。ただ、次期の保健医療計画につきましては、在宅医療の推進というのはかなり大きなものではないかなということで、衛生部長会のほうでもいま少し議論をさせていただいているのですが、在宅医療の推進について、例えば具体的な指針とか指標とかを出していただけないものかどうか。例えば先ほどのアウトカム指標なりプロセス指標なりをいただきましたが、例えば看取り率の定義ですとか。
 また、在宅医療を担う医療専門職につきましても、例えば在宅療養支援診療所で日夜頑張られている先生たちは多いと思うのですが、例えば患者さんを全人的に診るといいますか、総合医みたいな視点が絶対に必要かなと思います。そういった人たちをどのような形で今後、教育と言うと、ちょっとおこがましいですが、育成していくのか。また、訪問看護師にしてもたぶんそうだと思うのですが、やはり在宅で患者さん、家族と一対一という形になると、かなりの判断力を求められるのが、たぶん訪問看護師だと思いますので、新人の方たちが何回か行ってできるものではない。かなり能力的に高いものを求められるところだと思いますので、そういった意味では医療専門職の確保とか育成、この辺のところは、今後在宅医療を進めていくためには、かなり重要だと思います。
 最後に後方支援病院という所がたぶんあると思うのですが、先ほどの看取りの話ではないですが、最後、例えばどこに相談をすればいいのか、いつでも入れてもらえるのか、そのような所があって、ようやく安心して在宅医療が進められるというところもあろうかと思います。

○武藤座長 ありがとうございます。福原室長、いまの看取りについて、何かご意見がございますか。

○福原室長 いまのご指摘、全くそのとおりだと思います。今後その指標でありますとかその目指すべき目標、そういったところについては、先生方のお知恵をお借りしまして、それはしっかり考えていきたいと考えています。 

○末永委員(高橋参考人) 茨城西南医療センター病院の高橋です。在宅支援センターのあり方について意見を述べたいと思います。私が勤務している病院は救命救急センター、小児救急センター、周産期母子医療センターをもつ急性期の総合病院ですが、地域の町や医師会との要請で訪問看護ステーションも併設している、公的病院の一つである厚生連病院です。厚生連病院で規模の大きい病院では、訪問看護ステーションを併設している病院は少なくありません。今回、訪問看護師の希望が少なく離職が多いとの情報をいただき、当院では全く逆で、訪問看護師はやりたい職種で、経験も多く、能力が高く、積極的な看護師が争って希望するのが現状です。他の厚生連病院の看護部長に聞きましたが、答えは同じです。病院内と違って、看護師の判断で多くの仕事ができることに魅力を感じていると思います。したがって、看護協会からの、訪問看護をやりたがらないとのご意見には、私には理解できません。やはり組織のあり方が違うのかなと思います。臨床経験の少ない看護師には訪問看護の仕事は無理で危険です。ですから、在宅支援センターの一部は総合病院に委託することは必要でしょう。

○伊藤委員 先ほど吉田委員が言われたような、医療者、国家の視点と、医療介護を受ける側の国民の視点が全然違うという点が重要であると思います。QOLの視点で、国民は何を求めているか。要するに死に際して単に自宅の中で死にたいということを求めているか、それとも可能な限り長い期間、家で生活をしたいと求めているか。これによって「看取りの在宅」のあり方は全然違うと思われます。こういうところをもっときちんと究明し、国民が本当に望む姿を明確にしないと、6割の人が家で死にたいと言っているのだけれども、国民の本当の要望は全然わかっていないし、それによって作られる医療の体制は全く異なってくるのだということ、これが1点です。
 もう1点は在宅の医療はものすごくコストがかかる。大変に費用がかかります。効率性のみを考えると決して良い方法とは言えない。ここのところを勘違いをしてはいけないということが2点目です。
 3点目は、医療の資源の戦略的な活用という意味で、医療側も在宅というフィールドが決まらないと、実はどういう施設をつくろうか、どういう病院をこれからつくっていくのだということが、さっぱり計画できません。シナリオB3に載っている在宅の部分が決まれば、おのずと今後、医療施設としてどういうものを整備していくかがはっきりするわけですから、ここをきちっとしていただくことが必要ではないかということです。

○武藤座長 ありがとうございました。そろそろ時間になりましたので、猿田室長一言お願いいたします。 

○猿田室長 今日の資料の1の23頁です。「医療計画の基本方針等について」ということで、このように載っているわけですが、いま「医療計画作成指針(局長通知)」と、それから「疾病又は事業ごとの医療体制について(課長通知)」というふうに構成されています。基本的にはこの医療計画の検討会については、この局長通知と課長通知を見直すに当たってどうしますかという検討会なわけですが、今日の椎名参考人と鈴木委員、そのほかの皆さんのお話を聞いていて、課長通知については「疾病又は事業ごとの医療体制について」の中に在宅医療を入れるよりも、別途、「在宅医療の医療体制について(課長通知)」といったような、別の大きな課長通知として出すというほうが、在宅医療を大きく捉えていて良いというようなイメージでお話をされているのか、それともいまある「疾病又は事業ごとの医療体制について」の中に入れ込んでしまったほうが良いというイメージなのか、その点が先生方の意見としてどのような感じなのか、この場ではないとお聞きできないので、お聞かせ頂きたいと思います。

○武藤座長 まず椎名参考人どうぞ。 

○布施委員(椎名参考人) 位置付けは行政にお任せしていいと思うのです。結局ある程度無理がある話で、この検討会が局長通知と課長通知、そのレベルの議論しかできない。そういう形でスタートしていますから、行政の顔を立てるようなやり方でもかまわないと。実質的な形で在宅医療がきちんと位置付けられればいいと思います。私は行政にお任せします。

○武藤座長 はい、それでは厚労省側から特に何かありますか。よろしいですか。それでは今日の会議を終わりたいと思います。今日は特に鳥羽先生から在宅医療の構築に関する具体的な手順とか、また指標案とか出していただきました。そのほか各委員の方からは、医療計画への在宅の位置付け、こうしたさまざまな意見をいただきました。
 次回の開催については、後日事務局から連絡をさせていただきたいと思います。本日、検討会にご出席いただきまして、大変ありがとうございました。これで終わりたいと思います。


(了)
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