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2011年6月1日 第2回国立病院・労災病院の在り方を考える検討会議事録

労働基準局労災補償部労災管理課

○日時

平成23年6月1日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第18・19・20会議室


○議題

1 国立病院の在り方について
2 その他

○議事

○相川座長 おはようございます。ただいまから「第2回国立病院・労災病院等の在り方を考える検討会」を開催いたします。委員の皆様には大変お忙しい中をご参集いただきまして、ありがとうございます。本日は工藤委員が欠席でございます。本日の議題はお手元の議事次第にあるとおりですが、議題1として国立病院の在り方について、議題2としてその他となっております。この点についてご審議をいただきたいと思います。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○秋月課長補佐 それでは、資料「国立病院機構の病院ネットワークを活用した医療の提供等と経営の効率化に向けた取組」について説明いたします。1頁をご覧ください。前半は国立病院機構の病院ネットワークを活用した医療の提供等ということですが、1つ目として「医療のセーフティネット機能」、2つ目として「豊富な症例数を活かした臨床研究」、3つ目として「医療の質向上への取組」、4つ目として「人材育成による医療への貢献」となっており、以上4つに焦点を当てて説明したいと思います。
 2頁ですが、最初は医療のセーフティネット機能のうち、政策医療の提供についてです。(1)ですが、国立病院機構においては、重症心身障害や筋ジストロフィーなど、民間の医療機関では必ずしも提供されないおそれのある医療を提供しております。表では赤い丸で囲っておりますが、重心、筋ジス、結核、心神喪失者等医療観察法に基づく入院それぞれについて、全国の患者数、病床数に対する国立病院機構の占める割合は大体4割から9割と大きいものとなっております。
 3頁の参考1は、超重症児等の割合と多剤耐性結核患者の割合を示しております。緑の表のとおり、他の病院と比較して、国立病院機構においては重症心身障害児のうち、超重症児等を多く受け入れております。また、青の表のとおり、国立病院機構の結核病床1床当たりの多剤耐性結核患者数についても全国より多く、他の病院に比べて、治療の難しい患者さんを多く受け入れていることがわかります。
 4頁の参考2は、青森病院における結核病床の医業利益額等を示しております。(1)にあるとおり、表の赤い列ですが、青森病院の結核病床の医業損益は、病床利用率が低いなどの理由で平成16年度の独法化以後は毎年赤字となっております。他方、一般病床で利益を出すことによって、表の青い列が示すとおり、平成20年度以降、病院全体としては黒字を達成しております。このように結核病床の赤字を一般病床でカバーしていることがおわかりいただけると思います。
 5頁は医療のセーフティネット機能のうち、災害時の対応です。国立病院機構においては国立病院機構本部の指令により、発災後速やかに医療班を派遣しております。図に示すとおり、本部に情報を集約することによって、医療班の活動を調整しております。こうした機構本部を中心としたシステムを活用することによって、今回の東日本大震災のみならず、過去においては岩手・宮城の内陸地震や新潟県中越地震においてもDMATや医療班を派遣いたしました。
 6頁は、東日本大震災における災害医療活動状況を示しております。DMAT、医療班、放射線スクリーニング班、心のケアチーム、看護師等の派遣や現地対策本部への派遣、被災患者の受入、人工呼吸器を使用する在宅医療患者の緊急一時入院の受入、緊急相談窓口の設置といった活動を通じて被災地への支援を行ってきました。また、今回の震災では、国立病院機構のブロック事務所である北海道東北ブロック事務所が、被災直後から通信手段や交通手段の限られる中、現地へ赴いて情報収集、安否の確認、物資の確保等に貢献いたしました。
 7頁ですが、災害医療については日ごろからDMATなどの人材育成も行っております。?DMATの隊員育成と災害発生時の調整業務については、厚生労働省の委託を受け、国立病院機構災害医療センターにおいてDMATの研修を実施しております。また、災害医療センターにはDMATの事務局が設置されており、厚生労働省との連携の下、被災県との連絡調整や全国のDMAT隊員への情報提供などを行っているところです。このほか、?国立病院機構の医療従事者に対する研修の実施、さらに指導者を育成するという観点から、?全国の基幹災害拠点病院等災害医療従事者研修も実施しております。
 8頁ですが、医療のセーフティネット機能のうち、?感染症への対応は、平成21年の新型インフルエンザに対応するため、厚生労働省の要請に基づき、全国の検疫所や停留施設に対して55病院から医師237名、看護師282名を派遣いたしました。
 9頁は医療のセーフティネット機能のうち、地域医療への貢献についてです。現在、44病院が地域医療支援病院として認定されており、その1つである岡山医療センターにおいては、地域の医療機関も使用することができる開放病床を設置している他、大型医療機器の共同利用や研修会の開催などの取組を行っております。また、(2)医療計画の策定等への貢献については、都道府県の医療計画の策定の際に、国立病院機構の関係者が委員会へ参加するなどして貢献しております。また、地域との連携を示す指標の1つである(3)の紹介率・逆紹介率は、グラフに示すとおり、徐々にではありますが、両方とも向上しております。
 10頁の(4)地域における診療拠点としての役割は、全国には救命救急センターあるいは災害拠点病院等さまざまな拠点となる病院がありますが、それに占める国立病院の割合を示しております。すべての分野において必ずしも非常に高いわけではありませんが、地域の医療提供体制の確保にバランスよく貢献していることがおわかりいただけると思います。
 11頁の(5)高額医療機器の地域の医療機関との共同利用の推進についても、表のとおり、平成19年度から徐々に増加しております。その取組の一例として、埼玉病院においては地域医療連携システムを導入し、地域医療機関とのネットワークを結び、MRIやCTなどの検査予約、各科診療予約、読影結果の配信等を実施しております。(6)医師・看護師の地域偏在の改善への貢献については、政府の緊急臨時的医師派遣システムを通じて、医師不足の病院や国立ハンセン病療養所、国立病院機構の病院に対して医師や看護師を派遣しております。
 12頁は豊富な症例数を活かした臨床研究ということです。国立病院機構の臨床研究については、特徴?にあるように機構本部に総合研究センターを設置し、治験の依頼を一括して引き受け、複数の医療機関における治験を調整しております。特徴?として、それぞれの研究課題ごとにグループリーダーとなる病院を設定し、グループリーダーを中心として臨床研究を進めております。特徴?は治験に必要な人材の確保ということで、例えば臨床研究コーディネーター(CRC)については全国68施設に177名を配置し、円滑な治験を推進しております。
 13頁に入りまして、このようなネットワークを活かした治験を進めた結果、青枠で示すとおり、平成19~21年度に製造販売または適応追加が承認された268品目のうち154品目について、国立病院機構病院が承認申請の前提となる治験に貢献しております。また、下の青枠に示すとおり、新型インフルエンザワクチンの治験など迅速な対応が求められる治験についても、厚生労働省の要請を受けて実施し、有効性・安全性等を検証いたしました。
 14頁のスライドは、医療の質向上への取組としての臨床評価指標を通じた取組です。国立病院機構では全国共通の臨床評価指標を用い、144病院を定期的に評価し、公表しております。こうした取組を通じて、医療の質を病院横断的に可視化することで、より質の高い医療の提供に向けたインセンティブを確保しております。また、これとは別に厚生労働省の単年度事業として、「医療の質の評価・公表等推進事業」にも参加し、結果及び臨床評価指標の計測マニュアルを公表しております。下の緑の枠では、臨床評価指標による改善事例をいくつか示しております。
 15頁は医療安全対策についてですが、国立病院機構では医療安全情報システムを構築し、各病院がシステムに入力することによって、医療事故を機構本部に報告することになっております。(2)ですが、各病院から報告された医療事故を分析し、重点的に取り組むべき事案についてはプロジェクトの設置や手順書の策定を行っております。(3)医療安全白書の公表については、平成18年度より開始し、特に注意を促すべき事案については事故の原因、対応方法等も含め、警鐘的事例として公表しております。
 16頁は参考ですが、長期療養患者が使用する人工呼吸器の標準化の取組を紹介しております。人工呼吸器使用の中でも、特に筋ジストロフィー、重症心身障害、ALSなどの長期療養患者が使用する人工呼吸器の機種は、以前は74機種と非常に多く、リスクが大きかったのですが、現在6機種まで絞り込むよう標準化を推進しております。
 17頁は人材育成による医療への貢献で、(1)として初期・後期臨床研修において国立病院機構ネットワークを活用した複数施設での研修プログラムの実施、(2)として重心、筋ジス、結核等の政策医療を担う看護師の育成、(3)として国立病院機構において培ったノウハウを地域へ還元するという観点から、地域の医療従事者または地域の住民を対象とした研修会・市民公開講座の開催、(4)としては新制度を見据えた戦略的な人材育成の推進ということで、東京医療保健大学大学院と連携して国立病院機構キャンパスを開設し、厚生労働省の「特定看護師養成調査試行事業」にも参加しております。前半は以上です。
○相川座長 続けてお願いいたします。
○宇口国立病院機構管理室長 引き続き経営の効率化に向けた取組について、18頁の目次に沿って説明いたします。1つ目は財務状況の中で利益と運営費交付金と借入金の関係、それから再編成計画自体の説明、労災病院との医療連携の取組をお話いたします。19頁は国立病院機構の経営状況ですが、初年度である平成16年度の総収支-16億円を除き、平成17年度以降は5期連続で黒字経営という状況です。平成16年度の黒字病院、赤字病院の比率は71病院が黒字、83病院が赤字でしたが、平成21年度は黒字が112、赤字が32という状況で、おおむね8割が黒字病院というところまで推移しております。
 20頁は運営費交付金です。運営費交付金については平成16年度520億円の高さで出発し、平成23年度は362億円の高さまで右肩下がりで減らしてきております。中身ですが、いちばん下の薄いブルーが国期間の退職金引当相当で、こちらを運営費交付金として頂戴しております。当然、国期間は毎年減っていきますので、240億円から145億円まで、7年間で95億円ほど既に減ってきているという状況です。真ん中の濃いブルーは、国家公務員共済をそのまま使わせていただいている公務員型独法ですので、先輩方の積立金不足の、役所用語ですが整理資源を国家公務員共済組合連合会に払う必要があります。それを一般会計交付金で措置していただき、そのまま連合会に払っているということです。すなわち、赤で示している部分が病院の現場に投下でき得る運営費交付金で、初年度77億円が平成23年度には43億円と半分ぐらいまで減ってきているという状況です。
 21頁は、平成22年度と23年度の先ほど述べた赤の部分の状況ですが、下の表の?診療事業においては、上の文章編にあるように、平成22年度は約49億円が結核医療や救命救急センター、小児、周産期等々の内訳に沿って予算措置されてきたところです。平成23年度は昨年4月の10年ぶりの診療報酬プラス改定ということもありまして、診療報酬のベースが上がることが見込まれますので、国費の運営費交付金による措置を一旦リセットするということでした。2億円については、東の災害医療センターと西の大阪医療センターが災害拠点となっており、備蓄医薬品や食料の入替の経費については、診療報酬は関係なしということで措置されたところです。?教育研修、?臨床研究、?事業所内保育である院内保育の経費については、対前年度と同額を認めていただきまして、結論としては平成22年度90億円ほどあった運営費交付金が、おおむね43億円まで減っているという状況です。平成23年度からは、政策医療に対しても国費の投入はゼロという状況です。
 22頁ですが、先ほど少し触れた国家公務員共済制度を使わせていただいておりますので、その負担に対しての状況をお話したいと思います。注1と注2にある公経済負担と整理資源ですが、公経済負担というのは基礎年金2分の1が国庫負担分ということで、民間の場合の厚生年金、国民年金であっても国が措置している部分です。これが平成16年度は60億円で、現在126億円まで倍増しておりますが、制度の変更があって、当初は3分の1の負担でよかったものが、現在は2分の1になっております。平成20年度、21年度の額の変移を見ていただくと、この辺で大きくシフトしていることがわかります。先輩方の積立金不足に相当する整理資源は毎年右肩下がりで減っていく経費ですが、202億円からスタートし、現在は171億円まで減ってきているという状況です。
 23頁に入りまして、このような状況で国立病院機構の中でこうした経費負担をしているということがあります。現在世の中には公務員型8、非公務員型96、トータル104という独法があり、公務員型8独法の中でも、両方の経費を負担しろということになっている独法は国立印刷局、造幣局、国立病院機構だけです。他の公務員型独法においては、本省庁のほうで措置されているので、法人自らが払っているということではありません。また、非公務員型は96ありますが、真ん中の欄にあるように、49法人が共済制度をまだ使っております。この49法人の中においても、郵便貯金・簡易生命保険管理機構のみが公経済負担を払っているという状況です。いちばん右の47法人は、非公務員型の中でも国家公務員共済制度は使わず、厚生年金等で対応しており、もともとが特殊法人等のグループであるということです。
 24頁に入りまして、国立病院機構の平成16年度立ち上げ時点での財投の借金、長期負債は7,500億円ほどありましたが、そのときの建物・器機の資産価値は4,060億円ぐらいで、減価償却が発生する財産と長期負債の乖離は3,400億円を超えていたということになります。もちろん、これには土地は入っておりませんので、土地を入れると債務超過には至っておりませんが、純粋な減価償却と長期負債の関係はこのような状況にあったということです。平成22年度は財投の借金自体がおおむね2,000億円ほど減り、逆に投資は休むことなく続けておりますから、資産価値が300億円ほど増えた関係で、1,140億円まで乖離が少なくなってきたという状況にあります。しかしながら、ここまで頑張ってはみても、現状においてはまだ1,140億円の乖離があるということです。
 25頁は、平成16年度からの全体のPL、BSです。左側のPLですが、先ほどお話したとおり、下から4行目の経常利益については初年度から2億円の黒字ですが、初年度は臨時損失が上回り、トータル総収支では-16億円です。経常利益については7年間すべて黒字、総収支は6年間黒字を続けております。また、右側のBSですが、先ほどお話したとおり、平成16年度の財投借金7,400億円を平成21年度にはおおむね5,500億円を下回る水準に持っていったことと、いちばん下の行の純資産については、平成16年度2,380億円を平成21年度4,128億円まで高めてきているという状況にあります。
 26頁は独法評価委員会国病部会における、平成16~20年までの評価の点数表です。現在、独法評価委員会のジャッジが、国立病院機構がオフィシャルでいただいている採点ということになりますので、参考のためにこちらに掲示いたしました。
 27頁は第1回目の際にも話があったように、平成16年の独法化以前の国直営の時代から、国立病院・療養所においては再編成ということで自ら整理、合理化を進めてきたところです。最初の再編成計画というのは、この絵に描いてあるとおり、昭和61年に再編成計画を策定し、この内訳どおり236施設から78施設を順次減らしていくというものでした。平成11年に見直しをして、さらに13施設を減らしたということです。すなわち、-78と-13ですから、トータル236から91病院を減じたという状況でして、これは現在もまだ続いているところですが、国立病院機構の予定としては、平成25年4月1日の香川県の善通寺病院と香川小児病院の統廃合によって、最終再編成が終了するということです。
 28頁に入りまして、先般、第1回目のときにお話したとおり、国立病院と労災病院が6?以内に近接しているというのは7ケースあります。以前からご指摘がありましたが、地域内での医療連携を推進することによって患者さんの利便性を向上させたり、地域の医療提供体制の確保ということで、国立病院・労災病院がお互いにできることとして、この表に示したとおり、現場では既に協力し合ってやっているという状況です。
 30頁は本日6月1日に2回目の国病の在り方をお話いただきまして、次は6月10日に3回目として労災病院の在り方等ということで、参考までに今後の日程等をお示ししておりますが、後ほどまた相川先生に仕切っていただくことになるかと思います。資料の説明は以上です。
○相川座長 ありがとうございました。いちばん最後に示されておりますが、大体このようなスケジュールをいま考えているところですが、途中で変更があるかもしれません。本日は国立病院の在り方ということで検討をしていきたいと思っております。ただいまの事務局の説明、資料を踏まえつつ、委員の皆様からご意見をいただきたいと思います。どうぞ、積極的なご発言をお願いいたします。
○渡辺委員 宇口室長のご説明の中で基本的な質問です。20頁と22頁なのですが、まず、20頁のこの表で、淡いブルーのほうが退職手当でしょう。それから濃いブルーが整理資源・恩給負担となっています。まず、言葉の細かいことなのですが、整理資源というのは恩給の年金部分ですよね。年金部分の積立債務ということですね。それで、22頁のほうは、1番の(1)の中で、注1はあとで伺いますが、注2のほうで恩給期間に係る退職給付債務積立不足を整理資源と呼んでいますね。本来、整理資源というのは退職ではなくて、旧恩給ですよね、つまり年金の部分ではない。つまり、そうすると20頁の表の数字と、こちらの数字が一致しないところがあるわけです。つまり20頁の表でいうと、例えば濃いブルーが174、22頁のほうだと171になっています。細かいことではこの辺の違いをご説明いただけますか。
○宇口国立病院機構管理室長 実際、20頁については整理資源と恩給、公務員共済制度が昭和34年にできましたので、採用も離職も昭和34年以前の方は100%恩給の人。採用は昭和34年以前だけれども退職が昭和34年を超えた人については、その昭和34年までの期間が積立金不足で、そこを埋めるのが整理資源です。濃いブルーのほうは、両方とも恩給だけでも、現在まだ数億円、1億円、2億円ぐらいの数字が立っておりまして、細かいことですみませんが、濃いほうの数字は整理資源の積立金不足と恩給の部分を合算したほうの数字です。
 22頁の表は純粋に整理資源だけを抜き出していますので、若干1億円、2億円ぐらいの差がちょっと出ているということで、分かりにくい表で説明してしまって申し訳ありません。22頁は完全に整理資源だけの数字を拾って載せてしまいました。
○渡辺委員 もう1点だけいいですか。そこでいわゆる公経済負担という、いかにも役所用語なのだけれども、なんで国立病院機構及びここに書いてある3法人だけが、運営費交付金でやることになったのか。例えば国立大学だったら、運営費交付金をもらっているけれども、基礎年金の2分の1については共済年金で負担でしょう。なんで、この3法人だけこうなったのですか。
○宇口国立病院機構管理室長 国立病院を独法化する準備の中で、これは霞ヶ関の中というか、制度を持っている財務省と厚生労働省との役所対役所の決め事だと思うのですが、当時、国立大学については4割ぐらいの一般会計繰入れをしている経営状況と。後追いで出たナショナルセンター、がんセンターとか循環器病センターというのは、それだけで見ると研究所を抱えていますから、3割ぐらいの繰入れの状況でした。当時の国立病院・療養所の水準というのは、再編成とかも結構進めている状況でしたので、繰入率が1割ぐらいに改善されてきている。当時の財務省との折衝においては、大学はまだ4割の繰入れがあるから、そういう公経済負担とか整理資源を稼ぎから出せということをやると、当然、赤字運営なので無理でしょうということで、本省で、当時の文部省、文科省で措置するようにしたと財務担当から聞いております。
 ナショナルセンターについては国立病院と同じにはならないでしょうと。3割と1割というのは大きく違うでしょうということで、ナショナルセンターについても大学と同じような取扱いにするということでした。国立病院は1割が繰入れで、国の時代では赤字繰入れ補填をしていただいているのですが、そこは独法になれば自収・自弁で自立できるように経営改善をしていくのを目指すのでしょう、そうするべきだということにおいて、公経済負担、整理資源を稼ぎから出しなさいと。ただ、事実だけ言うと、両方とも国立病院機構が支払えということに共済法上なっていますが、結果において平成16年から現在まで整理資源のほうは運営費交付金で一般会計で面倒を見ていただいていますが、問題となっている公経済負担の部分は診療報酬から払っていますので、そういう意味では国立大学とかナショナルセンターとか、共済連合会の病院とはちょっと違っている要素、他の団体では負担していない部分という、公経済負担の部分があるというのが1つです。
 もう1つは、先ほど言った国期間の退職ということで、毎年減っていくのですが、ここも国立大学やナショナルセンターとは違っている部分で、大学はメンバーが入れ換わろうが、立ち上げ期首の人員については、運営費交付金で満額面倒を見るということですから、PL上の退職給付の引当てが、そこの部分は期首の人間まではかかっていないはずなのですが、国立病院機構の場合は、そこは自収・自弁で頑張っていくのでしょうということですから、初年度から退職給付のPL上の費用計上もし、そこについてはキャッシュ的にも毎年どんどん入れ変わっていっている。国期間が減って法人期間が増えていっている。要するに診療報酬から持ち出す金が、見ていただいたとおりどんどん増えていっているという状況です。だから、そこの辺りが同じく国から発生した大学法人とかナショナルセンターとの違いで、一気にスタートダッシュを切らなければ、国立病院機構は本当に2、3年のうちに経営改善の目処が立たなければ破綻してしまうという状況での船出であったということです。
○相川座長 よろしいですか。国立大学に関しては一応厚生労働省の1つの解釈ということで、いまのご意見でよろしいですね。
○宇口国立病院機構管理室長 いまの説明は当時の財務省の共済担当官から聞いた説明を、そのままお話をさせていただきました。
○相川座長 ということですが、そのようなことだと私も考えております。そのほかにいかがでしょうか。
○新谷委員 前回、石巻に連合のボランティアで行っておりまして欠席させていただきまして、申し訳ございません。今日は会議に参加するにあたって、1回目の資料等々をよく見させていただいたのですが、この中にこの検討会の設置の経緯と主な検討内容が書かれてあります。もともとこの検討会というのは、昨年の12月27日に報告が出された独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会の報告書に基づいて、この国立病院機構と労働者健康福祉機構が、傘下の病院のネットワークの統合、個別病院の再編・整理のためにこの検討委員会を設置する。検討の内容については全病院について、1つは政策医療を提供する病院としての存在理由、2つ目は公的病院としての存在理由といった観点から、一体的・総合的に見直すというのが検討項目になっていると確認させていただきました。
 今日はご説明をいただいたこの資料から、これまで国立病院機構が担ってきた、政策医療に果たしてきた役割や地域医療に果たしてきた役割、あるいは設立の経緯、現状の財政の運用がよく理解でき、非常に評価をするところであります。
 一方で、もともとこの検討会設置の目的でありました全病院について、親委員会であるこの報告書の中に書かれてある2つの存在理由について、これはやはり精査する必要があるのではないかと思います。それがこの委員会の与えられた役割ではないかと思っております。
 今日、その観点から見ますと、参考資料でいちばん最後に今後のスケジュールが書かれてありますが、今日は国立病院についての在り方の論議、次回が労災病院、その次に業務の在り方、論点・課題、ヒアリング事項の整理とあって、国立病院・労災病院のヒアリングを実施し、最後7、8回に、「個別の国立病院、労災病院の診療連携等」と書いてあるのです。その診療連携というのは、参考になるというようにたぶん出されているもので、その前の頁に国立病院と労災病院の近接地域での医療連携の例が書れてあって、これをさっとこういう中で見ると、最後の7、8回の論点が、どうもいま出されている近接の病院だけの話に収斂してしまうのではないかと危惧をしています。やはり、これは親委員会である年末の報告書にありましたように、全病院について精査をしていかないと、いま国立病院にある144のネットワークがそれぞれ個別にどういう役割を果たしているのかという評価を、どのタイミングでこのスケジュールの中で検討していくのか、教えていただきたいと思います。
○相川座長 ということですが、事務局からまずご意見はありますか。
○宇口国立病院機構管理室長 いまおっしゃったとおりの流れにはなるのですが、1回目の議論の中で、国立病院機構が受け持っているネットワークの話と、労災病院が持っているネットワークの話ということで、病院個々の統合とか廃止という議論と、もう1つはネットワークのレーゾンデートルというか、意義とそれを統合できるのかというようなお話もあったかと理解しています。ですから、まずはタイムテーブル上については、委員の先生にお話いただいて、これでは適切でないということであれば、いま提示している案を変えていただければ結構だと思うのですが、まず、国立病院がいまやっているところを説明させていただき、労災病院がやっていることを説明していただき、その後、ネットワークの話の詰めをするのか、いまおっしゃられたとおり個々病院にいくのかというご議論になるのではないかと思います。
○相川座長 よろしいですか。
○新谷委員 この1回目の委員会の設置の目的と検討の内容からすれば、全病院について、144ある国立病院について、政策医療に果たしている役割、地域医療に果たしている役割について、精査するのがこの検討委員会の検討内容ではないかと考えています。いずれかの段階で資料が出てくるとは思いますが、この観点を検討項目の中に入れておくことが必要だと考えますので、是非、スケジュールの中に織り込んでいただきたいと思っています。
○岩村委員 いまの新谷委員のご意見ですが、第1回目の資料1にはいわばこの委員会の設置についてという、この委員会の検討会のミッションが書かれているわけですが、ここでの主な検討内容というのは、全病院について?と?という観点から一体的・総合的に見直すということであるので、かつ、この検討会そのもののメンバーの人数がこれしかいない中で、個別の病院について一つひとつということでは必ずしもなくて、全体として見るということであって、ここはどうする、ここはああするという、個々の病院についてやるということではないだろうと私は思っているのです。そういう意味では、ある程度大きな方針といったようなものがこの検討会の結果として示せれば、それで我々のミッションというのは果たされるのではと理解はしているのですが、どうですか。
○相川座長 いかがですか。
○新谷委員 いま岩村先生のお話と同じようなことを実は申し上げております。全国に144国立病院があって、それぞれが重要な役割を担っていただいており、例えば過疎地における医療であるとか、政策医療であるとか高度医療であるとか、それぞれ役割を果たしていると思います。その中でどういう基準でこの国立病院のネットワークをどうしていくのか、親委員会から提起された内容について、大きな枠組みを検討するにあたって、144の病院についての何らかの資料がないと、いまお示しをいただいたような全体的な話の中での論議を考えたときに難しいと思いますので、その辺もスケジュール、あるいは資料の中に組み込んでいただきたいという提起です。
○相川座長 ちょっと確認していただきたいのですが、新谷委員の最初の発言は、全病院の中で、個々の病院について資料を出すということではなくて、個々の病院についてこの検討会がそれぞれ見直していくというような趣旨の発言と私は受け取ったのですが、岩村委員の発言のあとでは、個々の病院を1つひとつどうするのか、こうやれとか、廃止するとか、続けるとかということではなくて、前回の検討会の資料1-2にありますような観点で、議事を進めていくにあたって、それに必要な資料については個々の病院についての資料を出していただいて、個々の病院についての機能を全体的な観点から検討するというように、いまのご意見はなったということでよろしいでしょうか。
○新谷委員 全病院についてこの場で1つずつ議論するのは、このメンバーで1つずつ現地を見るわけでもありませんから、この委員会では無理だと思います。ただ、今日いただいた資料だと、今後のスケジュールを見たときに、近隣地域の医療連携の部分しか出ていないというのもあって、それは先ほどの7つか8つぐらいの部分に収斂されてしまうということが懸念としてあったものですから、一覧でリストをいただいて、その上で病院の役割をどうするかということについて、個別のデータの中から大きな方針を決めていくべきであり、まさしく一体的に決めていくべきではないかと考えています。
○相川座長 ありがとうございました。座長といたしまして、いちばん最初に申し上げましたが、今後のスケジュールについてはおいおい検討の段階において、ある程度変えていくことがあるというふうに既に考えておりますので、いまの委員のお考えに沿って、さらに詳しい検討等もできるようにしたいと思っております。また、個々の場合に必要に応じて、今日は代表的な例などをもって全体のオーバービューのようなものをお示しいただいたわけですが、個々の検討においては、また必要に応じて個々の病院、これは国立病院も労災病院もそうですが、個々の病院についてある機能を検討する、「例えばですね」という場合には、それぞれのデータを出していただくということでよろしいでしょうか。
                 (委員了承)
○相川座長 では、そのような形で進めさせていただきたいと思います。そのほかにいかがでございますか。
○岩村委員 先ほど渡辺委員が質問されたところと同じなのですが、公経済負担が国立病院機構その他、造幣局等も3つあるのですが、公経済負担を国立病院機構が負担しているというのが、先ほどのご説明でもよくわからないのです。普通の民間企業であれば、国庫負担の2分の1の分というのは、厚生年金の特別会計の一般会計から繰り入れられるということになるので、普通の民間企業の場合はその部分についてはそもそも負担していないということになるわけです。
 ところが、先ほどのご説明だと、国立病院機構はとにかく独り立ちで、診療報酬で稼いで、それでやっていくのだから、したがって、国庫負担分の2分の1もお前たちが負担しろということになると、普通の民間病院以上に、実は実質的には使用者分の保険料を負担しているという理屈になってしまうのです。つまり、民間病院以上に、非常に高い年金保険料率を負担しているということになってしまうのですが、その理屈がどうしてそうなるのかがよくわからないので、これはまた機構さんのほうに聞いてもたぶんわからないのかもしれませんが、もう少しわかるようなことがあれば、ご説明いただければと思います。
○相川座長 室長お願いします。
○宇口国立病院機構管理室長 役所と役所の決め事の話なので、事実としては先ほどお話したのに尽きるのですが、岩村先生がおっしゃったとおりです。1つの事実として言うと、国鉄の話はもう夏目先生がおられるところで釈迦に説法ですので私が言うのもちょっと何ですので、例えば、郵政の29万人の公務員が平成19年10月に民営化したと思うのですが、郵政も郵政事業をやった稼ぎの中から、先輩たちの積立金不足の整理資源、それからいまお話になっている基礎年金の今は2分の1相当の部分、両方ともを出していたわけなのです。それはある意味、財務省の担当に聞けば違っていると言われるかもしれませんが、私はその団体が国にどれだけ近いかによって、得た益で税に匹敵する部分を代弁していいのかなということではないかと思っています。
 ですから、いくら郵政事業庁が29万人の税の部分、公経済負担の部分を一般会計でと言っても、たぶんそれは財務省的に、制度を持っているほうからすると無理だったというのは、ほとんど国益企業というふうにみなされているから、国立印刷局、造幣局と同じで、得られた利益から出すのも国民から集めた税金から出すのも、同じでしょうという感覚ではないかと思います。
 結果においては、平成19年10月に民営化して、公経済負担はさすがに郵政事業庁も払わなくなって、ただ、先輩たちの積立金不足というのは、自分たちのグループの先輩たちの話ですから、そこの部分の整理資源は払っているのです。そういう観点からすると、ご指摘いただいたように国立病院機構が公経済負担を払うのは理に適っていないのではないかということになるのですが、一方において整理資源は、実は財務省のほうも声高らかに言っていますが、平成16年から面倒をみているではないかと。だから、ほかの団体で整理資源まで支弁しているところはあるのかということなのです。ですから、こちらからすると、例えば整理資源と公経済負担の内訳を入れ換えてみる、いま整理資源のほうが170億円で公経済負担は120億円なので、高さは見合っていませんが。他の国営に近い状態からどんどん民営化にシフトしていった状態の差というのは、先輩たちの部分というのはどのグループも払っているということからすると、ちょっとおかしくはなっているのですが、ここの内訳を変えたら世の中的にはそういう例はあるというふうになるのかなと。ただ1点、渡辺先生がご指摘のような、同じ診療報酬を使っている公的病院グループの中で、国病だけ何故という意味であれば、そこはちょっと奇異であることは事実です。
○相川座長 よろしいでしょうか。
○渡辺委員 岩村先生がおっしゃってくださったので、むしろ発想は逆で、逆といってここで宇口さんを責めてもしようがないのですが、郵政は民営化したことによって整理資源、旧恩給、つまりOBの年金の負担をするということは、年金の官民格差是正という観点からは、私はそういった理屈は成り立つと思うのですね。むしろ国病だって、整理資源は診療報酬から払いますよ。それから基礎年金2分の1は交付金、つまり税金で払うのは筋論からいって筋ですよね。もう1点だけ言うと、整理資源は旧恩給だからこれはずっと減っていって、失礼ながら昭和34年以前の方がいなくなったらゼロになるわけで、そうすると、公経済負担のほうは増える一方です。ましてや、もう1点だけ言うと、仮に基礎年金をいまの政権が言っているように全額税金でやるとするならば、そういう話は仮定だからやめるけれども、そこはむしろ逆なのだと思うのですが。
○宇口国立病院機構管理室長 次の予算要求でも財務省には言っていこうと思っているのですが、ここは内訳を入れ換えて、公経済負担というのを運営費交付金で措置していただき、一遍に170億円の整理資源を払えるかというと高さが50億円ほど違いますから、そこのところは五月雨式でも、まあまあ他の団体のように整理資源を払っていくのかなと。これはまだ独立行政法人という、極めて国に匹敵する公的法人であるというのと、国立病院機構は国家公務員型をまだやっていますので、いずれにしても非公務員化をするという予定で世の中にも言っていますし、国立病院機構自体も非公務員化すべきだということでありますので、そういう非公務員化の仕事の進め方と合わせて、そこのところは詰めていきたいなと思っています。
○相川座長 よろしいですか。そのほかにいかがでしょうか。主に財務のところのご議論、経営のところのご議論がありましたが、先ほどの説明では病院の機能、特に国立病院の場合には政策医療を負担しているということ、災害その他もありますが、その辺のところのご説明もありましたが、いかがでしょうか。
○高橋委員 ただいま座長がおっしゃったように、国立病院機構の機能全般についてご説明を伺いました。確かに災害拠点であったり、研究、人材育成、地域の核ということで、多くの機能を担っていると思います。この中で、病院機構でなければ対応できないといいますか、大きな期待感があるという部分を端的にいうと、どういうことなのかということを教えていただきたいと思います。
 あともう1点は、27頁のご説明でありましたグラフがそこにありますが、病院の数は、昭和61年に236あったのを、その後、91施設を統廃合でなくしてきたという経過ですね。こういうときは大変な努力があったと思います。換言すると一言でいうと合理化ですが、この過程で地域的に著しい不都合があったとか、あるいはスタッフの再配置で大変困ったことやトラブルになった点がありましたらご紹介いただきたいと思います。
○相川座長 いま、2つのお話がありましたので、まず、1つ目の国立病院機構でなくてはできないものということで、いかがでしょうか。
○秋月課長補佐 資料の2頁にもお示ししておりますが、特に国立病院機構で重心であるとか筋ジスの分野というのは、必ずしも民間だけでは担いきれないというか、不採算というか、そういう部門もあるので、こういったところはひとつ国立病院機構として担っていかなければいけない責務なのだろうと考えております。また、今回の東日本大震災にありますように、もちろん災害医療についてはほかのグループでも、例えば医師会なども医療班を派遣をしているわけですが、やはり国立病院機構は144病院というネットワークがありますし、日ごろから防災計画などを作って準備をしておりますので、そういうときには迅速な対応が可能ということで、そういった健康危機管理というか、危機管理のときにも重要な役割を果たせるのではないかと思っております。
○相川座長 という事務局のご説明ですが、委員の方から、例えば災害医療で山田先生、日赤の関与などと国立病院機構の関与などで、いかがでしょうか。
○山田委員 すみません、ちょっと質問の理由が。
○相川座長 失礼しました。いま国立病院機構でなければできにくいという話で事務局の説明がありまして、了解できる説明だと思います。災害医療についてはもちろん国立病院機構でもいろいろ今回も活躍をしましたが、日赤もそれなりの組織的な活動をしていると思いますが、その辺のところはいかがですか。
○山田委員 日赤の場合には日本赤十字社法という法律で定められていまして、まず、第一義的に災害医療をやらなければいけないということがありますので、今回の地震に際しましても、全国のいろいろなネットワークから比べると抜きん出たいろいろな派遣や救護活動をやっております。ただ、国立病院機構のほうはDMATという非常に大きな急性期の役割を担っている1つの機構を作っていただき、そこの講習や編成に非常に大きな役割を果たされていますので、そういう意味では、災害医療の上ではかなり大きな役割をお持ちになっていらっしゃると思っております。
○相川座長 ありがとうございました。私は座長であまり自分の意見を言うのもなんですが、私も救急災害医療を専門にしておりましたので、1人の委員として意見を申し上げます。今回、いま山田委員がお話になったように、日赤も極めて迅速に組織的に対応しましたし、また、特に国立病院のほうでもDMATは災害医療センターに事務局があるということで、DMATの活躍も国民の間から広く評価されているところです。私の個人的考えでは、どちらがいいかという問題ではなくて、このようなときには、いくつかのシステムが存在していないといけないということも、私個人としては考えています。日赤にするか、DMATにするかという議論ではなくて、それらが総合的に連携して機能するというのがよろしいかと思います。どうもありがとうございました。
○宇口国立病院機構管理室長 高橋先生の国立病院機構ならではということですが、1つは8頁にも出ておりました新型インフルみたいな想定外の事態が日本国内に発生するときに、水際で止めるということで、検疫業務については厚生労働省の仕事ですが、各検疫所に常時ドクターやナースが職員としているわけではありません。独立行政法人ということで一線を引かないといけない関係にはなっていますが、本省が有事だといったときに、成田と関空に何人のドクターとナースを出してくれといった話になったときには、本省から国立病院機構本部なりブロック事務所を通じて現場に連絡し、旅費や経費の話はさておき、直ちに初動で動いていただくという、国内最大手のセーフティネットという感覚では、国立病院機構の職員ということになるのではないかと。
 同様に、このときに新型インフルが1回打ち、2回打ち、どちらにしますかという治験も、国病の医療職に2万人の治験をすぐに実施していただき、厚生労働省が1回打ちで大丈夫という判断ができたというのも、そういうところがあるのではないかということです。何が言いたいかというと、やはり国立時代からも含めて、厚生労働省の医療行政を実践するときに、国立病院機構が果たす役割というのは、両輪の関係にあるのではないか。ですから、他の公的団体は世の中にたくさんありますが、どこが違うのだといったときには、やはりその辺のところが少し違うのかなという気はいたします。
○相川座長 高橋先生、最初の第1のご質問に関してはよろしいですか。
○高橋委員 1つ確認させてください。そういう国の初動などを行うときというのは、指揮命令系というのは、いまの法律というか、制度体系の中できちんと整理されていると思ってよろしいのでしょうか。決してボランタリーではないということですね。了解しました。
○相川座長 それでは第2のほうをお願いします。
○宇口国立病院機構管理室長 1回目のときにもお話したように、国の再編成のときの経営移譲とかの場合、例えば職員が2分の1以上お引き取りいただく場合は、無償譲渡になったり、要するに9割引きで1割で結構ですよとかになるということです。1つは、職員の引き取りが前提の経営移譲ということで再編成を進めた結果、労務が全く現場に発生しなかったかと言われれば、全くないとは言いませんが、現在働いている職員の方を経営移譲の場合も限りなく相手先に就職斡旋をさせていただいて、労務については極力問題になることを防ぎました。ただ、全くなかったかというとそうでもないのですが、そういうことがまず1つではないかということです。
 もう1つは、10年間の病院の用途ですという縛りをかけて経営移譲なりしたのですが、概ね10年間全うしていただいていて、特にいまの段階では相手先で問題があって医療の継続ができなくなったというような事例は聞いていません。そういった意味では、高橋先生のご指摘で何か問題があったのでしょうかというのは、1回目の資料でご説明した補助金やそういうことをやることによって、スムーズに合理化が進んだのではないか。ただ、職員側からするとこれは大変な問題だったので、そこについては相当の苦労はありました。
○相川座長 ということでよろしいですか。それでは岩村先生、そのあと山田先生でよろしいですか。では岩村先生お願いいたします。
○岩村委員 ありがとうございます。いまご説明のあった、例えば国立病院機構でやっている重要な仕事として医療のセーフティネットあるいは災害時の派遣であるとかという、資料の5頁、6頁、7頁、8頁というようなところですが、これの経費はどこから出ているのでしょうか。また先ほどの財務の問題に戻って21頁を見ると、運営費交付金のところは、診療事業のところは先ほどご説明があったように大幅にカットされてしまって、あと、残っているものとして教育研修と臨床研究があると。臨床研究のほうは今日もご紹介がありましたが、これがある程度この運営費交付金で見ているのだろうと思うのですが、その他、いまご紹介のあったような活動についての財政的な裏付けはどこから来るのでしょうか。例えばそういう災害活動であれば、厚労省なりの補助金とか、そういったところが別途あるのか、それとも国立病院機構のほうで費用を捻出しているのかという、そこのところをお伺いできればと思います。
○宇口国立病院機構管理室長 端的に言えば、機構の独自の判断で出動した場合は、被災地の現地において使った材料等々、人件費も含めて、燃料費も含めて、国からの補填はございません。国立病院機構の持出しになります。現在、社会・援護局の方と調整させていただいているのは、国立病院機構の出動ではあるのですが、地元の都道府県の要請に基づいて地元の国立病院が参加した場合、これは一応当該地元の県からの出動要請を受けたという形になるので、その場合は国費のほうから県を通じていただける形でいいのではないかと。
 要するに、岩村先生がご心配していただいたように、これだけの未曾有の大災害ですので、どれだけの国病の持出しになるのか現時点ではまだわからないというところはあるのですが、はっきり言って、国立病院機構の立場からすると、活動すれば活動するだけ持出しになりますから、今後はやはりそういうところも整備していただかないと、今は独自の判断で出れば補填してもらえない。要するに、国とか県のそういう仕組みをちょっと構築する必要が出てくるのかなと、これは今後の宿題という形になると思うのですが。
○相川座長 そうすると、具体的には民間病院と同じということで考えてよろしいのですね、災害に関しては。
○宇口国立病院機構管理室長 はい。
○岩村委員 いま都道府県からの要請というのがありましたが、本省からの要請のときの費用はやはり、結局、最終的には国立病院機構のほうで判断したことになって国立病院機構が持ち出すということになるのですか。
○宇口国立病院機構管理室長 ああいう有事のときに、役所も泊り込みで作業したのですが、どうしても経費のところは、民間の方に出動していただく場合に何がしかの手当を出さないと駄目ではないかとかということをやるのですが、公的な機関の職員を使うときにはやはりそういうところまで考えてやっていられないのです。有り体に言うと、その辺の経費負担については決めずに出動だけを国立病院機構にお願いしているというのが本省の実情ですので、いまからお金を出すとか出さないとかというのを仮に国病機構と議論するということになると、財政的な裏打ちをせずにお願いしてしまっているというところがありますから、なかなか難しいのではないかということになります。
○相川座長 よろしいですか。
○岩村委員 財政的な裏打ちなしだということになると、その費用は全部診療報酬で稼いだもので負担せよということになるから、それはえらいことだという気がちょっとするものですから。
○相川座長 政策医療についても一応、先ほど結核について説明がありましたが、基本的には診療報酬でカバーしていると、筋ジスなどについてもそうだということでよろしいのでしょうか。わかりました。平成23年度の43億円というのが一部それに当たるのですか、考え方としては。
○宇口国立病院機構管理室長 今の相川先生のご発言で言ったら、不採算に当たるかということですか。
○相川座長 43億円、来ていますよね。
○宇口国立病院機構管理室長 はい。
○相川座長 ですから、その43億円の一部はそのようなものの補填などにも使われていると。
○宇口国立病院機構管理室長 たぶん、教育研修、臨床研究、事業所内保育の部分はその事項で平成22年度と同額になりますから事項としては成り立っていて、それで。
○相川座長 わかりました。ありがとうございます。
○山田委員 再編計画のところに話を戻していただきますが。91病院を再編されたということですが、そのうち統合が48ということで、その統合は同じ国立病院機構の間の病院だけでやられたのか、あるいはほかのネットワークと一緒になって統合したケースがあるのか。統合計画、再編計画というのはやはり地域医療の中の必要性を検討した上で病院の機能をいろいろと分担するという形でやらなければいけないと思うのですが、その辺のいままでの過去の経緯はいかがだったのでしょうか。
○宇口国立病院機構管理室長 再編成計画自体が国立病院・療養所に係ったものですので、山田先生のお尋ねは、うちの中同士でして、おもてとの統廃合ということはありません。
○相川座長 よろしいですか。
○相澤委員 国立病院の機能が主に政策医療であるということは皆さん納得すると思うのですが、そのために一般病院としての収入源としてやるということ、それも地域の医療を支えるという観点から見れば進めるべきことだと思うのですが、そのわりには、9頁とか10頁辺りにありますが、紹介率あるいは救命救急センターの数の割合がちょっと物足りないのではないかと思うのです。その辺の、国立病院としてこれから地域医療をどのように支えていくかというような今後の方針というようなことも1つお伺いしたいのと、もう1つ。
 先ほど臨床研究に、30何億円でしたっけ、使われておりますが、臨床研究ですと治験の?相の場合は依頼主からいわゆる収入があるはずだと思うのです。民間のところはその収入と支出で十分バランスをとっているわけですが、ここの臨床研究事業の費用をこのままずっと使っていくのか、あるいは自前できちんとやっていくのかというようなところを、2点お伺いできればと思います。
○相川座長 よろしいでしょうか。
○秋月課長補佐 最初にご質問いただいた地域医療に対する貢献ということで、確かに紹介率とか逆紹介率は、数字だけを見ますと決して高いというわけではありません。どちらかと言うと、今後、まだまだ改善していかなければならないのだろうと思います。それで、すべての病院を見ますと、やはり病院ごとにばらつきもあります。そこは今後の課題として、地域との連携をより深めていくと言いますか。いくつかの病院では先ほどの埼玉病院のように取組がなされているわけですが、そういった取組を今後どうやって広げていくかというのは1つ課題になるのだろうと思います。
 臨床研究についてですが、個別の研究課題、どのような課題に対してどれほどの予算規模でやっているかというのは見てみないとわからないのですが、今後、そういった、臨床研究について運営費交付金から手当をするのか、あるいは自前でなるべく自立した形でやっていくかというのも今後の検討課題だと思います。
○相川座長 確認ですが、臨床研究の中の相澤先生のおっしゃったのは治験ですね、第?相治験などにおいては治験の依頼者からそれなりのお金が入るのではないかということですね。今の課長補佐のお答えは治験を含めたのですが、むしろ治験でない部分の臨床研究ということでよろしいですか。
○宇口国立病院機構管理室長 例えば資料の10頁のところでお話した救命救急センターなどの数の部分ですが、いちばん下の所に参考で記述しているとおり、いま、全国に8,739という数の病院が世の中にあります。その中で国立病院機構の病院数ということであれば、いま144病院ということですから、1.6%ということですが、144ということでいけば、旧国立療養所の看板の病院も入っております。平成16年、独法立上げのときの病院数は154病院で、私も記憶が定かではありませんが、旧国立病院の看板の病院は54病院だったと記憶しているのです、そこは1つ、2つ数字が間違っているかもわかりませんが。そういう、ここの10頁に出ているメニューであれば、最低でも旧国立病院の看板を背負っているような病院でないと受け持てないような中身ですから、救命救急センターということで全国に18ということであれば、54を母数で言った場合はほとんど3分の1は参加しているという形になりますし、そのような見方で見ていただいたらどうかなというのがまず1つのお話です。
 もう1つ、治験については競争的な研究費の獲得、コンペと同じく、治験室をつくってでも一生懸命に推進しております。他のアジアの中でも日本の治験が遅れをとっているというご指摘があったので。先ほどの医療の中での説明でも治験の貢献度という、ここ3年間での貢献度をやっているみたいに、国立病院機構本部は理事長以下、非常に問題意識を持っていて、治験のほうについては進めているのですが、問題のその研究費につきましては、国立時代からお医者さんにお給料がなかなかたくさん出せない、国立直営のときも現在でも独法という冠で制約がかかりますし、あまりお金を出せない中、優秀なドクターにお集まりいただくためには、国立病院機構が縷々ご説明しているようなネットワークですね、各病院ごとにやっている、疾患ごととか対策ごとのネットワークで、研究費が潤沢かどうかはわかりませんが、別途、今だったら30億円ぐらいあるのですが、こういう研究費がありますということでご参加いただいていると認識しております。ここは公的最大手ならではの、大学とはまた違う、ほかの民間とは違うところの1つの特徴的なポイントなのかなと。ですから、財政的な問題がありますが、可能な限り継続したいというつもりではあります、本省として、NHOに対して可能な限り付けていきたいという気持であります。
○相川座長 相澤先生、よろしいですか。救命救急センターのことですが、先ほどの室長のご説明は非常に妥当なところだと思います。それは、旧療養所を除いた現在の国立病院を分母にした情報で、機構からの視点では非常によくやっていると思いますが、国民の視点から、救命救急センターがいろいろなところにあって、その中で国立病院がどれだけそれに参画しているかという視点に関しては、まだもう少し努力が必要かなというのが私個人の意見です。
 一方、治験に関しましては、これはこの数年すごくよくなったと私個人では思っております。いくつかの治験の取りまとめ役をさせていただいたときにも、一般の病院、大学病院あるいは国立病院に治験のプロトコールなどをお示しして参加を募った場合でも、国立病院に関しましては機構にお願いすれば機構が施設を選んでくれるということで、個々の病院を訪問してお願いする手間も省けますし、また、機構が傘下の病院の内容をよく知っているわけです。ですから、その辺のところは素晴らしく進歩したかなという印象を持っております。座長が喋りすぎましたが、ほかにいかがでしょうか。
○夏目委員 今いろいろとご説明があって私自身も、国立病院機構がこの5年間、6年間、どういう取組をしてきたか、いろいろな形で勉強させていただいております。資料の26頁にこの間の評価委員会の評価結果もありますように、経営改善という項目は最初からずっとSランクということで、先ほどもご説明があったように、最初は若干の赤字が出ていたのですが、今はほとんど黒字経営という形で経営改善も非常に進んでいると。そして、また政策医療も、今日のご説明もお聞きすると、ほとんど国からの運営費交付金を入れずに自前でいろいろな政策医療の取組も行っていて、実績も上がっているということであるわけです。
 ここでちょっと変な質問というか、私はいつも考えているのですが、国立病院グループはもう独法であるところからも離脱して、もう少し自由な民間病院の方向をそろそろ目指してもいいのではないかと。現在は独立行政法人であるがゆえのいろいろな一律的な制約がかかってきていますが、実際は独立行政法人になって、理事長のリーダーシップの下で自主自立的かつ弾力的な運営をしていくということで実績が上がっているのですが、しかし、独法であるが故の一律的な制約もかかってくるというジレンマを非常に私は、国立病院機構を含め、国立病院で働く皆様方は感じておられるのではないかと思っています。となれば、そろそろ今後の方向として、今日の議論にはならないのかもしれませんが、今日は在り方ということがテーマでもありますので、これからの5年、10年のスパンでいいのですが、中長期的な国立病院の在り方としてもう少し、具体的には独法からの離脱というか、脱却というか卒業というか、言い方はいろいろあると思いますが、そういう方向性をお考えになっているのかどうか、その辺について、ちょっと大きい質問をしすぎるかもしれませんが、今後の5年、10年のスパンを見通して長期的な在り方について本省ないし国立病院機構で何か検討、議論をされているのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○相川座長 では、まず本省のほうに、国立病院機構へのお尋ねですので、いかがでしょうか。国立病院課長さん、どうぞ。
○池永国立病院課長 今のお尋ねですが、ご案内のとおり、今の国立病院機構は公務員型の独立行政法人になっています。公務員型の独立行政法人になっている関係について、しばらく前から省内の事業仕分けとか、いくつかの観点から公務員型についてどう考えるかという検討は進めてきているというところです。いま、まだ引き続き検討中ということで、非公務員型の姿が今の段階で明確になっているわけではありませんが、こういう観点では引き続き検討を進めてきているということかと思っています。そういう意味では、今の夏目委員のご指摘のそれを超えた、さらにその独法からの卒業というのは何を意味するのかというところもあると思います。それが純粋に民間病院と同じところまでを描いておられるのか、その場合に、果たしてその144というネットワークの民間病院がそのままあり得るのかというところまでを含めたご指摘なのか、それも含めたご議論なのだろうと思うのですが、そういうところまではまだ、正直申しまして、私どもとして議論をしているものではありません。
 仮になりますが、そういうご議論、今回の議論とも少し関連すると思っておりますが、仮にそういう議論をするなりあるいは頭に描くときに議論になり得るのは、今回まさにお示しした、いま機構が果たしている政策医療、先ほどの私どもの主張から国の医療政策の両輪の1つを担うものとしての国立病院機構というご説明をしたかと思うのですが、私どもの見方からすると、まさに医療政策を進めていくにおいて1つの重要な役割を果たしている機構だと思っているのです。そういうことを仮に民営化、民間化と言うのですか、独法から卒業したときに、その在り方にもよると思うのですが、果たして引き続き担えるものとして描けるのかというところも含めて考えなければいけないのかなとは思っています。
 例えば政策医療の中でいくつかお示しした、セーフティネットの議論の中で、2頁目で資料をお示ししたところにいくつかありますが、こういったところは、実は今の時点で見て、もちろん機構が相当部分を担っておりますが、一部は民間で担っています。これは、今の目で見ると実は民間でもできるのではないかと、できる面もあるのではないかと。これ自身はまさにそのとおりだと思うのです。他方、もう少し時間を長い目で見ると、こういったところ、例えば心神喪失者の医療であるとか、あるいは重心の医療であるとか、結核の医療であるとか。これがいちばん最初に国民的課題になったときに、医療政策の中でいちばん重要な局面のときに、果たして民間だけでできたのかと。国立あるいは国の医療行政に非常に近い存在であるからこそ、こういう医療政策上重要な時に担えたのではないのかと。
 もちろんこれがだんだん歴史的に時間が経っていくと、今の時点では民間でも担えるというところはたくさんあると思うのです。そういう課題は、実はこれからも場合によっては出てくる可能性は高いと思うのです。災害でもそうかもしれない。あるいは、感染症で非常に重要な問題が出てくる可能性もあるかもしれない。そのときに果たしてそういう危機、ある種の健康危機と言うのでしょうか、危機管理上のことも含めて、民間あるいは独法を卒業した存在でできるのかということも含めて考えていかなければいけないのではないかと思っています。そういう意味で、最後に申し上げたのは、あくまでも仮にそういう議論をするとしたならば、そういうことも含めて考えなければいけないだろうということで、若干この委員会の今の機構の役割をどう考えるかということにも絡むのだと思うのですが、私どもとしては、結論的にはまだそこまで考えているものではありません。
○相川座長 夏目委員、よろしいですか。夏目委員から大変重要な1つのお考えをお示しいただいたのですが、このことに関しましては、さらにいろいろな情報を共有し、また検討した上で、いつかの段階でこのような意見をどうするかということで、その段階でもう1回検討するということもあるかなと思いますが、これは非常に重要な意見だと思いますので、これはまたその段階が来ましたら…。
○夏目委員 若干の問題提起ということで。
○相川座長 そうですね、またそのステージになりましたら、また再度ご発言いただいてもよろしいかと思います。今の夏目委員のことに関しまして現時点で我々が持っている情報あるいは理解の時点で、委員の方から何かご発言があれば、今は厚労省のお考えが示されましたが。よろしいですか、どなたか。
○岩村委員 1点だけ、コメントですが。独立行政法人に留めるのかそれとも民間にするのかというのは、やはり今の国立病院機構というものに担わせているミッションをどのように考えるのかということなのだろうと思います。先ほど災害時のときのご説明がありましたように、公務員型と結びつくかどうかはともかくとして、独立行政法人ということである意味では厚生労働省の本省との間で、ツーカーと言うと変ですが、そういう意味で非常に機動的に動けるということになるのです。これがもし純粋に民間ということになると、何らかの形で法律で何かいろいろ仕組みを作ったり何かした上でないと、実際には動かないということになるので、そういったものも全部含めて今の機構のミッションというものをどのようにこれから将来考えていくかということを、まずそこは考える必要があるのかなとは思っております。
○相川座長 ありがとうございました。夏目委員のお考えに関して、現時点で委員の中からこういうお考えを持っているというのは、ほかにございませんでしょうか。
○渡辺委員 まず、夏目委員のおっしゃったことは大変大きいテーマで、あるいは機構本部のほうでも意見が出ていることも知っていますが、今はそれは大変将来的な話ですから、どういった格好にするのか、民間にするのか公法人にするのかという議論もあるようですが。それと関連して、いいですか。
○相川座長 どうぞ。
○渡辺委員 つまり、結局は政策医療、先ほど池永課長もちょっとおっしゃっていましたが、政策医療を提供するのだと、では政策医療というのは何だと改めて言うと、いわゆる不採算、一般で言う不採算です。不採算だから民間が手を出さない、あるいは出さないから国あるいは自治体病院が担わなければいけないという解釈だと私は思うのです。そうすると、自ずから国立病院の在り方というものは決まってくると思うのです。
 そこで、逆に言えば、政策医療というものをもうちょっと考えたいと思うと、2頁で、先ほどご説明もありましたが、国病機構のやっている政策医療、セーフティネットとしての政策医療として○4つを挙げておられるわけです。もちろん災害というのはあるのですが、災害はちょっと突発的なことで恒常的なものでないという意味では別かなと思うのです。例えば民間医療機関で不採算と言うと、小児、救急が不採算と言いますよね。これはちょっと政策医療とは馴染みにくいのですが。だから、政策医療そのものは果たしてこの○4つだけなのかという気もしないではないという。だから、逆に言えば、つまり、国立病院の抱えている政策医療とは何ぞやと言うとそもそも大上段になってしまいますが、何かその辺の話をすると曖昧、はっきりしない点があるかなと、私はそのように感じています。
○相川座長 ありがとうございます。そのような意見ですが。それでは、夏目委員のお考えに関してはあとでまたいつかそのステージが来たら検討するということで、今のように政策医療についての渡辺委員のお考えが示されましたが、これに関係していかがでしょうか。現時点で政策医療として4つが示されていますが、これでいいのかとか、そういうことも含めてですが。
○岩村委員 ちょっと質問ですが。先ほど治験をめぐる相川座長のご発言の中で、国立病院機構の場合は個々の病院と交渉しなくてよくて、機構と話をつければあとは機構のほうでやってくれるというのは、ある意味で個別的に契約をするというコストを非常に大きく削減しているという意味を国立病院機構が持っているということではあるのです。そういう意味で、144病院というか、そういう医療機関がその下で集結しているというのが1つの国立病院機構の強みであり、それからもう1つは、11頁で地域医療への貢献の例として(6)で医師・看護師の地域偏在の改善への貢献というところも、実はある意味では国立病院機構が、傘下に144も抱えておりその中で人事異動で人を回せる、医師・看護師の配置ができるというのがもう1つやはり強みなのだと思うのです。そうでないと、個別病院ベースでそれぞれ医師の引き抜きとか何だとか、採用を全部やらなければいけないという話になるのですが、それをしなくていいというのは非常に強みなのです。
 それとの関係で1つお尋ねなのですが、これは国と地方公共団体との関係が入るので非常に面倒だということは重々承知の上でお尋ねするのですが。この中で(6)の例を見ると、?を除くと、全部、国立病院機構内での人員の動かしの話なのですが、例えば地方公共団体の比較的医療過疎地のところの公立病院などは、医師がそもそも募集をかけても集まらないというような問題を結構抱えているところがあると思うのですが、そういうところへの医師の派遣なりということはやっていらっしゃるのでしょうか。?は緊急的・臨時的な派遣という形なので、そうではないような形での地域の公立病院などとの連携があるのかというのをちょっとお聞かせいただければと思います。
○宇口国立病院機構管理室長 ?は、当時社会問題になった本当のレアケースです。当時、自民党が与党のときでしたが、政府のほうから働きかけがあって行かなければならないということで、緊急的に本省が頼むところがなくて国立病院機構のほうに「直ちに行ってくれ」というように当時の課長が判断したケースだと思います。
 それから?が、「国立ハンセン病療養所」と書いてしまっていますが、国立ハンセン病療養所は13施設ありまして、これはまだ国立直営のままで置いていますから、独法という意味でいけば、ここが旧一族であるのは事実ですが、お国の直営店にも貢献させていただいているのかなというところです。
 最後の、岩村先生のご質問ですが、国立直営店の時代から、独法になったことによって個々病院の院長の判断で地域の病病連携、病診連携を図れることになりました。即ち、何が言いたいかと言うと、院長が大丈夫だと思えば、勤務時間内であっても隣の民間病院とか先ほどご指摘のあった自治体病院とかにオペに行くとか診察に行くとかということは、いま、現場においては融通し合いながらやっているという現状があります。逆の意味で、うちが弱い種、ドクターがいない診療科とか、そういうのは地域で公的病院同士が連携するというような例もありますから、一方的に国立病院だけが輩出しているとは言いませんが、現場においては結構、ガチガチ国の時代よりも、今はお互いに溶け込んで融通し合いながらうまく回せているのかなという気はします。実態的に資料をどこまで作れるかわかりませんが、もしよろしければ、また時間をいただければ、そういったところも資料で提出したいと思います。
○岩村委員 もし可能であれば、そうしていただけるとありがたいです。
○相川座長 では資料については、この会のあと岩村先生から細かいところを伺って準備してください。ほかにいかがでしょうか。
 いま、ちょっと資料のお話が出ましたので。先ほど新谷委員が言われたように、物によってはやはり今回のオーバービューのデータではなくて、個々の病院、144についてですが、どのような機能をしているかというような資料も、かなり大きな資料になるとは思いますが、あれば出していただいて、全体の平均値、平均の数とそれから乖離しているような病院がどうなのかというようなことも含めて、あるものは出していただきたいと思っております。いかがでしょうか。
○渡辺委員 17頁で細かいことなのですが、いちばん下、いわゆる駒沢のキャンパスの中で、この大学院がやっていることは知っていますが、厚労省が「特定看護師(仮称)養成」と書いているのですが、これは誰に伺えばいいのかわからないのですが、世間では特定看護師とNPという言葉が混在し、かつ、解釈は同じだと言う人もいれば、違うと言う。厚労省が目指している特定看護師というのは何なのですかということを素朴に伺いたいと思います。
○相川座長 どなたか、答えられますか。
○渡辺委員 駒沢で目指しているこの大学院との提携というのは、何を目指しているのですかね。
○相川座長 特定看護師の定義というか。ここにおける特定看護師の定義ということですか。どなたか。
○渡辺委員 ついでに言っておきます。世間では民間の大学でも、ご存じのとおり大分とか、東京でもありますが、特定看護師を養成とか、一方でNP養成とか。Nurse Practitionerと特定看護師は違うというのは、例えば日本医師会でもそういう見解を持っていますが、厚労省自身が特定看護師を目指すわけですよね、仮称とはいえ。
○相川座長 どなたか、お答えできますか。では課長補佐。
○秋月課長補佐 私の知る限りですが、国立病院機構で目指している特定看護師は、臨床実践能力が高い看護師の育成ということで、今回やる試行的な事業においては、特に救急と言いますか、トリアージとか、そういったことも含めて看護師さんができないかということで事業をやっております。厚労省においては、これは看護課の話になるのですが、特定看護師、仮称ですが、もともとはチーム医療の推進ということで平成22年3月に報告書は取りまとめられまして、その中で看護師の業務の範囲であるとか医行為の範囲であるとか、その要件というようなものを検討しなければいけないということで、チーム医療の推進のための看護業務のワーキンググループというものがまず作られていて、そこでの議論の土台を作るために、よりデータが必要だろうということで調査事業のほうをやっているということです。看護課に聞かないとわからないのですが、現在はまだ何か特定の方向性を示しているというわけではなくて、それは今後、そういったデータも踏まえて検討を進めていくのだろうと理解をしております。
○渡辺委員 もし次回までに資料があれば。
○秋月課長補佐 はい。
○相川座長 では、次回にでも資料を提出してください。ほかにいかがでしょうか。
○新谷委員 災害医療について1点お願いしたいと思っております。国立病院の医療チームがこの災害医療に献身的な活動をしていただいているということには非常に感謝いたしております。その上で、実は福島の原発事故に関連して、今も収束に向けて懸命にあの地で頑張っている労働者がいるものですから、傘下の構成組織にどういう問題が起こっているのかというヒアリングをやりましたところ、緊急医療体制なり患者が出た場合の搬送体制にかなり困難があるという話がありました。その後、心筋梗塞で亡くなられた方もお一人おられましたが、現地での医療体制について、産業医科大学から医師を派遣していただいてやっていたのですが、夜間、医師がいなくなるという課題があります。今回、全国の労災病院から医師を派遣していただくという体制を作っていただいたのですが、工程表によりますと、やはりかなり長期にわたって収束に向けての活動に取り組むことになります。医療体制については産業医科大学と労災病院を中心にやっていただくと思うのですが、是非国立病院についても連携をとっていただいて体制を組んでいただければありがたいと思っております。これはお願いです。
○相川座長 これは今回の事例に関する委員としてのお願いということですね。
○新谷委員 そういうことです。
○相川座長 在り方についても多少参考になる意見だとは思いますが、個々のことでのお願いということで意見を伺いました。そのほかにいかがでしょうか。
○相澤委員 次回までに資料をお願いできればと思うのです。17頁だと思いますが、人材育成については予算も使われておりまして、医師の、特に臨床研修の実態が国立病院機構でどのように行われて、何人ぐらいの研修医をどのように教育しているかということを是非詳しく資料を提起していただければありがたいと思うのです。
○相川座長 これはいわゆる初期の2年の臨床研修でよろしいですね。
○相澤委員 2年、できましたら後期もありましたら、助かりますね。
○相川座長 後期。そうですか、後期についても。後期の定義もいろいろありますが、初期と後期を含めて個々の病院の資料ということでよろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○山田委員 先ほどの政策医療のところで、4頁に青森病院の例が出て、結核がいかに採算性が合わないかというデータが出ているわけです。この病院を見させていただきますと、トータルが320床で、結核が60、一般病床が260と書いてありますが、そのうち重心が80、筋ジストロフィーが80ということで、純粋な意味での一般病床は100床しかないわけですね。そういった中で、結核は確かに赤字が出ていると。ほかの政策医療の中で重心、筋ジストロフィーがどれぐらいの赤字が出ていて、それを一般病床がカバーしているのだというデータをいただけると大変ありがたいと思うのです。と言いますのは、100床の一般病床でそんなに大きな黒字が出るとは思いにくいので、そうすると、重心、筋ジストロフィーの赤字の部分はそんなに大きくないのかなと、ちょっと変な勘ぐり方で申し訳ないのですが。その辺のデータ、この病院のデータだけではなくて、他病院からも何か政策医療に関する診療の状況がわかったら教えていただければと思います。
○相川座長 よろしいですか。
○宇口国立病院機構管理室長 1回目のときにもお話したように、国立病院機構は部門別の原価計算にまでまだ至っておりませんので、今の山田先生の宿題がどこまで全うできるかわかりませんが、ちょっとトライして、そこは資料として作れるかどうかも含めてお預りして勉強してみたいと思います。
○相川座長 山田先生、それでよろしいですか。そのほかにいかがでしょうか。
○高橋委員 ここで1点教えてください。ここにバランスシートが示されておりますが、独法のこういう予算管理、会計管理についてこの会計基準というのは一般の病院と同じと考えてよろしいのでしょうか、それとも独法特有の何か。例えば建物、土地代、そういうものの取扱いとか減価償却の考え方において一般とは違う制度が適用されているとか、特異なルールがあったら教えていただきたいと思います。
○宇口国立病院機構管理室長 一般の病院会計準則ではなくて、独法会計準則というのが別途あります。国直営の勘定会計からの独法化ですので、そういった意味では高橋先生がいつも見ていただいている企業的なところに合っている部分もあれば、ちょっと独法ならではの部分もあると思いますが、独法会計準則に基づいて機構の中で会計基準を決めています。そういう意味では、きっちり民間病院と合っているかと言うと、合っていない部分はあると思います。
○相川座長 高橋委員、よろしいですか。
○高橋委員 はい。
○相川座長 大きく違うところはあるのでしょうか。25頁の数字に大きく影響するような会計基準の違いは何かありますか。それから、次回は労災病院についての議論になりますが、管理課長がいらっしゃるので、労災病院の会計基準と独法の会計基準とは大きな違いがあるのでしょうか。
○木暮労災管理課長 それは併せて数字とともに、次回、ご報告したいと思います。
○相川座長 では次回、よろしくお願いいたします。そのほかにいかがでしょうか。機能のこと、特に政策医療のこと、それから、経営のことについてもいろいろな質問あるいはご意見が出てきまして、国立病院の実態がかなりわかってきたかと思います。いかがでしょうか。
 それでは、もしなければ私からよろしいですか、確認です。20頁ですが、棒グラフの赤のところです。並びに、それが比率になっている黄色の折れ線グラフですが、平成20年度、平成21年度ではいわゆる診療事業と政策的経費が一時的に増えておりますよね。したがって、この割合も増えているわけです。この辺のところの具体的な理由は何なのでしょうか。
○宇口国立病院機構管理室長 その頁の2つあとの22頁に整理資源の平成16年度からの推移のところがあります。実は整理資源というのは、先ほど申したとおり先輩たちの積立金不足ですから、毎年、なだらかな右肩下がりを続けていって額が減っていくのですが、平成19年から平成20年にかけては一気に30億円ほど落ちました。ここは、実は恩給をもらっている公務員OB、先輩たちの給付率が恩給時代は非常に高いので、それを改正するという法案が当時国会には出ていたのですが、結論はこれは廃案になりました。その平成20年、21年の整理資源というのは、国家公務員共済組合連合会(KKR)のほうは法案が通るという前提で30億円ほど下げてセットしたのですが、結局、提出した法案が廃案になって通りませんでしたので、また平成22年度に一気に170億円まで戻して。要するに、2カ年にわたり引当額を下回る額しか引き当てていませんから、また慌てて回収したと。説明が長くなって申し訳ありません。そういう経緯がありまして、平成20年度においては全体の枠自体が、調整する部分というのが多少あったということです。国期間の退手、それから全体としては、479億円と460億円ですから全体としては落ちているのですが、青の部分の高さが異なっていますので、若干赤の部分を伸ばす余地が財政的にまだ、財政当局との折衝上あり得たということです。
○相川座長 ということだそうです。かなり苦しい財政でやってきているので、そのときに多少余裕が出たからそこに注入してそれなりに診療をやったということで理解したいと思います。ほかにいかがですか。
○高橋委員 細かいことですが、144ある病院のうち、例えば予約システムですとかオーダリングシステムですとか、会計システムでもよろしいのですが、そういうシステム化を推進している病院はどのくらいあるのかということ。もう1つは、144病院のネットワークという言葉がよく出てくるのですが、病院間のシステム上のネットワークですね。例えば今日出ていた事故防止ですとか、あるいは研究の推進、そのためのデータベースの構築などを含めまして、全体的な、何かネットワーク内のシステム整備をされているということがありましたらご紹介いただきたいと思います。
○相川座長 よろしいですか。
○宇口国立病院機構管理室長 各病院が例えば電子カルテとかオーダリングとかをどう整備しているかというのは、144も病院がありますので、ちょっとお時間をいただいて資料で整理して提出したほうがいいのかなと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○相川座長 高橋委員、それでよろしいですか。
○高橋委員 はい。
○相川座長 では、後日の委員会で資料としていただくということにいたします。そのほか、いかがでしょうか。かなりご意見もいただきましたし、また、夏目委員のような方向性のご意見もありましたが、よろしいですか。
 それで先ほどの新谷委員のお話でも、個々の国立病院を個々にどうするかということでなくても、資料として今のような資料も一覧表のような形で、さらに先ほどいくつかお願いのありました資料も何か、「あり」とか「ない」とか○とか△とか×とか、そのような形でもよろしいので、一覧表として全体的にどのようになっているかということで資料を見ていきたいと思っております。よろしいですか。事務局、何かございますか。
○木暮労災管理課長 次回の開催につきましては、6月10日の13時からということで日程調整してご連絡を申し上げていると思います。お忙しいところ、申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
○相川座長 よろしいでしょうか、今日、まだ少し時間が残っておりますが。次回に関しては労災病院の資料が出てくるということですが、今日の意見も踏まえて、資料をさらにいくつか準備していただきたいと思います。それでは事務局、次回の開催は、6月10日(金)13時からということでよろしいでしょうか。ということですが、木暮課長さん、何かございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日、大変活発なご意見をいただきました。またこの資料を持ち帰り、また新たな資料を提出いただいて、さらに検討を加えていきたいと思います。次回は主に労災病院について検討したいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局国立病院課国立病院機構管理室
 運営管理係 竹内・荒井(内線2635)
労働基準局労災補償部労災管理課
 企画調整係 宮下・谷(内線5437)
(代表)03(5253)1111

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