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2011年7月13日 生活保護制度に関する国と地方の協議(事務会合)第3回議事要旨

社会・援護局

○日時

平成23年7月13日(水)


○議事

○ 検討項目のうち、第2のセーフティネット施策との関係、医療扶助の適正化について意見交換(住宅扶助の適正化、生活保護費の適正支給の確保等については、次回に持ち越し)

○ 厚生労働省及び地方自治体からの主な発言は以下のとおり。

【第2回事務会合検討の続き】

5.第2のセーフティネット施策との関係

(1)求職者支援制度と生活保護制度との関係について
 
<地方自治体発言>
○ 求職者支援制度の給付金10万円は、どのような根拠で設定したのか。

○ 基金訓練の効果について、アンケート回答のあった訓練修了者について、その就職率は約7割とあるが、この就職率の算定にはアンケート回答のない者が含まれているか。無回答者はどの程度か。

○ 求職者支援制度は第2のセーフティネットとして、失業した人が受けられるように、対象を幅広にすることが望ましいが、「福祉から就労」支援の中で、ハローワークが対象者を選定するのであれば、福祉サイドからみた場合、対象者が厳しく選定されてしまわないか。求職者支援制度の対象とすべき者をどのように考えているのか。

○ 中山間地域では就労の場がない。中山間地域における雇用の確保を図る必要がある。

○ 求職者支援制度は第2のセーフティネットとして法制度化しているので、生活保護に優先する制度とできないか。稼働能力がある方については働くべきであり、そのような方が求職者支援制度を活用するのは当然である。稼働能力のある方については、求職者支援制度の活用を生活保護の受給要件とすることが、国民にとって、シンプルで分かりやすい仕組みと考える。

○ 求職者支援制度の給付金10万円については、生活保護基準も踏まえて、総合判断の結果というが、生活保護基準に満たないことは明らかであり、第2のセーフティネットになっていない。

○ 求職者支援制度の給付金は、生活を保障する目的ではないというのは理解できない。失業者にとって、給付金は明らかに生活費であり、その金額の性質は関係ない。実態をみて金額を設定すべき。

○ 求職者支援制度の対象となることができない方が生活保護の対象であることは、最後のセーフティネットとして当然である。現状、雇用保険から外れた方が生活保護申請をした場合、生活保護の要件に該当すれば要保護と判断されることとなる。今回の求職者支援制度が第2のセーフティネットというならば、なぜ制度設計の段階で給付金額を生活保護基準を上回るよう設定しなかったのか。いったん生活保護に至ると、労働市場への復帰が困難であり、ケースワーカーの負担も大きいというのが現状。生活保護に至る手前で受け止めるのが第2のセーフティネットではないか。

○ 10月から実施される求職者支援制度を前提とすれば、生活保護受給者が求職者支援制度を利用するためには、「福祉から就労支援」事業の枠組みを活用するのは理解できる。しかし、求職者制度の設計が生活保護受給を前提としていること自体が問題。給付金額を引き上げれば、失業等して直ちに生活保護の受給に至る方の数は減らすことができる。

○ 求職者支援制度の給付金額については生活保護への落層防止を考えるならば、再考をお願いする。稼働能力も就労意欲のある方ならば、生活保護を利用しなくても、その手前で支援すれば、労働市場に復帰できる。

○ 第1のセーフティネットである雇用保険についても、その待機期間中に生活保護を受ける者がいる。待機期間を短縮すべき。

○ 求職者支援制度の給付金額については、雇用保険に加入している人に対する失業手当よりも高額になる場合がある等、第1のセーフティネットと第2のセーフティネットとの関係が見えない。

○ 前回からの続きになるが、就労支援に当たり、ハローワークと福祉事務所との間の個人情報の共有をお願いしたい。

○ 住宅手当の支給期間が終了した方の生活保護申請が増えている。現行の住宅手当は、家賃と支給額上限の差額があれば、それは自己負担すればよいので、住宅手当受給者が生活保護に至った場合、住宅扶助基準額が引き上がってしまう方がいる。住宅手当の検証も必要。10月からの求職者支援制度のみでは生活できないので、ただちに生活保護に至らないように住宅手当との併給をお願いしたい。

○ 生活保護制度は、法制定の経過で最後のセーフティネットとしての位置づけであり、本来的には、他法優先を前提として生活保護のウエイトが高くなれば、他の社会保障制度を充実させて対応するのが筋ではないか。現行で失業者や高齢者の増加がみられているので、第2のセーフティネットの構築や年金見直しなど、他の社会保障制度を充実させないと、仮に景気回復したとしても、被保護者の増加に歯止めがかからない。国の責務として早急に生活保護の適用を前提としない第2のセーフティネットの構築などを図るべき。

<厚生労働省発言>
○ 求職者支援制度については、雇用保険で支えることができない方が直ちに生活保護に至らないための第2のセーフティネットとして創設した制度であり、生活保護の受給を前提に制度設計したものではない。求職者支援制度の創設によって生活保護に至る者が全くいなくなるわけではないが、生活保護に至った方についても、求職者支援制度が労働市場に戻ってきてもらう役割を担うこともできる。ハローワークと福祉事務所との連携の中で活用してもらいたい。

○ 求職者支援制度の対象者については、失業手当の支給が終わった方や雇用保険の対象とならなかった方が対象であり、予算上も25万人分を確保している。

○ 求職者支援制度の給付金額の水準は、これまでの基金訓練事業の給付金の水準を踏襲し、労働政策審議会において議論した結果、このような形となった。基金訓練事業の給付金の水準については、雇用保険の支給額、最低賃金水準、生活保護基準等を参考に、総合判断した結果である。

○ 求職者支援制度の給付金10万円では、完全に生活保護の廃止に至らないことは理解している。しかし、労使双方が負担する雇用保険の附帯事業として、労使の合意の中で制度設計したものであり、訓練受講中の生活を保障するものではなく、生活を支援することを目的としたものである。アルバイトや手持ちの資金等を活用しながら、訓練受講を通じてステップアップしてもらうことを想定しており、生活保護との重複受給を前提としたものではない。

○ 雇用保険の給付額の方が求職者支援制度の給付金額よりも少ないという指摘は国会でも審議会でも議論されている。一方、雇用保険制度は保険制度であり、失業前の賃金に見合った金額を支給することになっている。求職者支援制度の給付金とは性質が違うので慎重な検討が必要。

○ 求職者支援制度の対象者は、訓練中も訓練終了後もハローワークが就職支援を行う。生活保護受給者の支援については福祉事務所と相談しながら支援することになる。

○ 基金訓練事業における就職率については、アンケート回答を回収できた人を基に算定している。回収率は85%。アンケート開始当初は回収率が低かったが、回収率が伸びる一方、就職率も伸びているため、無回答者も含む全体の就職率について、直ちに低い就職率とならないのではないか。

○ 住宅手当については、全国的に決定件数は下降傾向にある。就職率も徐々に上がっているがそれでも3割程度であり、各自治体の実績に差が大きい。
本年度から、住宅手当受給者も対象とする形で「福祉から就労」支援事業が開始され、ハローワークにおける就労支援ナビゲーターによる支援を受けられる。現行は平成23年度末までの予算措置となっているが、今後の住宅手当の在り方については、財政当局と調整してまいりたい。

(2)求職者支援制度の適用を受ける生活保護受給者の取扱い

<地方自治体発言>
○ 求職者支援制度を活用するスキームについて、「福祉から就労」支援事業等の支援プログラムの対象となる生活保護受給者が同制度を利用することになるが、同支援プログラムは本人の同意に基づく事業である。同支援プログラムは任意による参加とする一方、求職者支援制度の申込書を与えられた方が同制度の職業訓練等に参加しない場合、保護の停廃止に至るというのは、厳しいのではないか。

○ 求職者支援制度に参加しないことをもって、能力不活用を理由に機械的に保護の停廃止を行うことは困難ではないか。それが可能となるためには、求職者支援制度の適用期間中は、生活保護の必要がない制度として、いわゆる生活保護に至ることのない生活費の保障に加え、その中で、本人にあった求職支援を行うといった制度設計を行う必要がある。リバースモゲージのように、生活保護に優先する施策として実施要領に明記できるような制度設計が必要である。現行の求職者支援制度は、他の就労支援施策と同様の施策であり、保護の停廃止を行うためには、現行の実施要領に基づいた手順が必要であると思われる。

○ 求職者支援制度の支援メニューを合理的理由なく拒否する者に対する指導について、保護の停廃止まで求めるのは厳しいのではないか。
能力の不活用という点で指導指示することは可能だが、求職者支援制度を利用しないことを理由として、直ちに法27条違反として保護の停廃止とするのは厳しい。前段階での様々な支援、指導があり、その上で法27条に基づく指導ならば、理解できる。

○ 稼働能力があっても、本人が自分で仕事を探すといえば、支援プログラムの対象にならないし、求職者支援制度の対象からも外れる。一方、稼働能力も就労意欲もある方が、求職者支援制度を利用して、その後、指導指示の対象となった場合、保護の停廃止となるというのでは、バランス面として危ういのではないか。現場での実際の運用に当たっての細かな取扱いについては、別途実務担当者レベルで詰めさせてもらいたい。

○ 法第27条に基づく指導指示は、福祉から就労支援事業に参加した段階で示すことになるのか。求職者支援制度の職業訓練に参加しないことをもって、機械的に保護の停廃止処分とするのは、短絡的な事務対応になるおそれがある。職業訓練の不参加という事実だけで能力不活用として保護の停廃止を行うことには疑問がある。

○ 「福祉から就労」支援事業に参加しなければ、求職者支援制度の職業訓練を利用しないことを理由とする保護の停廃止の対象とならない。それならば、最初から「福祉から就労」支援事業に参加しないことを選択する受給者が増えることにならないか。

○ 求職者支援制度の支援を受ける方に対しては、福祉事務所のケースワーカーのような担当者をハローワークの方でも必ず用意するという理解でよいか。求職者支援制度の支援のプロセスで、訓練終了後の就職支援に「必要に応じて担当者制の導入」とあるので、生活保護受給者には必ず担当者制となるように検討してほしい。短期的かつ集中的に就労支援をするならば、担当者制にしてケースワーカーと情報共有しないと効果がない。

<厚生労働省発言>
○ 「福祉から就労」支援事業に参加している方の中で、ハローワークにおける就労支援ナビゲーターによって選ばれた方が、求職者支援制度の申込書を受けとる対象になる。申込書を受け取って、給付金や職業訓練を受けることが可能であるにもかかわらず、正当な理由なくそれらを拒否するのであれば、能力不活用であることが明確になると考える。

○ 現行の求職者支援制度は、就労意欲のない者は対象外。「福祉から就労」支援事業は本人同意に基づく事業であるが、そもそも同事業の参加に同意しない者は就労意欲が期待できず、求職者支援制度の枠組みにのらないと考える。

○ これまでの基金訓練事業は予算事業であったが、今回求職者支援制度が法制化されたことにより、生活保護法4条に規定する他法優先の対象になることが明らかになった。したがって、同法27条に基づく指導指示違反の対象にもなり得る。
文書による指導・指示は重たい処分だと思う。法27条に基づく指導指示ができることを念頭において、具体的手続を実施要領等に明記することになる。

○ 担当者制について、生活保護受給者については担当者が付く可能性は高いと考えるが、生活保護受給者であれば必ず担当者制とすることは、ハローワークの体制を踏まえると難しい。一方、丁寧に支援するという思いはある。

○ 「福祉から就労」支援事業の対象となる生活保護受給者については、事実上の担当者制となる。一方、「福祉から就労」支援事業の対象とならず、自分で求職者支援制度を申し込む生活保護受給者も想定される。そのような方は、現行のハローワークの体制の中で可能な限り手厚く支援することになる。

【第3回事務会合検討項目】

1.医療扶助の適正化

(1)医療扶助の適正化に関する実施計画の策定その他医療扶助の適正化策について

<地方自治体発言>
○ 医療扶助の適正化に当たっては、具体的な適正化策を明らかにし、適正化策を実施するための具体的な体制を構築した上で議論すべき。ケースワーカーや査察指導員の業務が増加する一方、経験年数の少ないケースワーカーが増えており、体制整備が不十分な状況である。ケースワーカーの業務や福祉事務所の役割を明確にする必要がある。

○ 国民健康保険では医療費適正化計画が実施されていたが、特定市町村の計画策定状況は全市町村の数%程度であり、22年度で終了した。計画を策定することで効果があったのかは疑問。実施計画について、小規模福祉事務所が対応できるか、疑問がある。現在、毎年度策定する実施方針において、長期入院患者の退院促進や頻回受診の適正化、レセプト点検の強化等の適正化策を明示し、取り組んでいる。できる範囲から実施方針に盛り込むということは考えられるのではないか。

○ 中小規模の福祉事務所は、計画を策定するスタッフがいないというのが現状。高度な分析ができたとしても、その分析に対処することができる職員がいないため、計画導入は、かなりハードルが高い。

○ 小規模福祉事務所が実施計画を策定することは意味がない。ある程度の規模を有する事務所でないと実施できない。

○ 計画策定の必要性はあまり感じない。過剰診療や不必要な診療ではないかと思われる医療行為でも、国の基準に照らすと基準の範囲内ということになってしまう。過剰診療や不必要な診療に対する判断基準を国が定めることが必要。その基準が無い中での計画策定は事務負担増に繋がるだけではないか。

○ 医療扶助の適正化については、受給者に対する指導と医療機関に対する指導が重要である。受給者に対する指導は、実施方針の作り込みで対応できる。医療機関に対する指導については、国保・社保を横断した連携体制を構築する必要がある。

○ 計画策定の導入による必要性や効果はあると思うが、生活保護受給者が急増し、現場の事務量が増加している現状での導入は厳しい。現状の運営体制を踏まえると、時期尚早であり、将来の課題とすべき。

○ 国民健康保険と生活保護を比較した場合、ジェネリック医薬品の活用について、国保は患者負担があるため周知しやすいが、生活保護は自己負担がないため、普及が難しい。

○ ジェネリックの利用促進には医師会の協力が必須だが、医師会はジェネリックの利用促進に理解を示してくれない。他の保健医療事務との関係から、医師会との関係を悪化させることは難しい。国が積極的に働きかけ、各地域の医師会に浸透させてもらいたい。

○ ジェネリックの利用促進が進まないのは、現状では、患者側から申し出が必要な制度になっているからではないか。

○ ジェネリックの利用促進について、国が日本医師会と調整し、通知を発出しているのは承知しているが、それでも各地域の医師会はジェネリックの効果について理解しない。ジェネリックの利用促進による効果について検証をお願いしたい。

○ 頻回受診の要因については、受給者サイドの問題だけでなく、医療機関サイドの問題もある。医療保険の枠組みは、診療しただけ報酬が得られる仕組みである以上、一定の疾病名に対しては、一定額しか出さないという仕組みにする等の医療保険制度全体の中での工夫が必要。

○ 医療証方式自体は反対しないが、なりすましの問題があり、その対策も必要。顔写真の添付を盛り込むことについても検討してほしい。

<厚生労働省発言>
○ 医療扶助については、今までの紙レセプトでは中身が見えず、他の実施機関との比較や医療機関ベースでの分析等ができなかった。電子レセプトの導入により、効果的な分析が期待できる。各自治体が実施計画において適正化策を策定し、その効果の検証を通じて、医療扶助の適正化を進める仕組みを構築する必要があるのではないか。

○ 小規模自治体も含めた全ての実施機関に計画の策定を義務づけることは想定していない。小規模福祉事務所は、都道府県など広域による対応等を検討したい。

○ 医療券方式の変更については実務上の問題も含めて様々な課題がある。前回の協議においても中長期の課題と整理されており、今回の協議において早急に結論を出すことは難しい。引き続きの検討課題としたい。

(2)電子レセプトを活用した医療扶助の適正化対策について

<地方自治体発言>
○ データシステムの導入や電子レセプト管理システムが導入されたが、今のところ、事務の軽減につながったという認識はない。電子レセプトも稼働したばかりでマニュアルも示されていない状況。医療扶助の適正化対策については、まずは、電子レセプトを活用していく中で何ができるのかを検討すべき。

○ 電子レセプトの活用について、事務所単位での取組では効果が期待できない。データが蓄積されれば、支払基金の審査において活用することができる。事務所単位ではなく国レベルでの分析ルールを作れば、医療機関ごとにデータ分析が可能になり、医療扶助の適正化に資するのではないか。

○ 電子レセプトについては、まず軌道に乗せることが重要である。軌道に乗せることができれば、かなりの効果が見込まれると期待している。

○ 電子レセプトを軌道に載せるためには、自治体のユーザーレベルと業者とが議論できる場を設ける必要がある。

○ 電子レセプトの分析結果を活用し、医療機関を指導することになるが、医療機関への指導に入る根拠の説明を求められるので、国で基準を定めてもらいたい。

○ 支払基金における医療扶助の審査を厳格にしてほしい。

<厚生労働省発言>
○ 電子レセプトの活用が十分至っていない原因を整理し、業者がプログラムを改修したものを7月中には配付する予定。運用マニュアルについても速やかに配付することとしている。

○ 電子レセプトについて、既に軌道にのせて、評価の声を上げている自治体もある。ある自治体では、レセプトを名寄せして通院回数を割り出し、指導に繋げる等、具体的な適正化に繋いでいる。

○ 昨秋、支払基金から生活保護受給者の医療扶助に関するデータを提供してもらい、社会保険と比較したデータを自治体に配付した。今後とも自治体からの意見や要望を聞きながら国として必要なデータ収集等を進めたい。

○ ジェネリックの使用促進や指定医療機関への指導等について、今春に日本医師会とも協議した上で通知を発出している。現場で医師会との問題があれば具体的に教えてほしい。必要があれば日本医師会に善処方をお願いする。

(3)指定医療機関に対する指導監査体制の充実、指定医療機関の許認可の在り方について

<地方自治体発言>
○ 指定医療機関に対する指導監査体制について、指導できる医師がいない。国において、指導監査体制を構築してもらいたい。

○ 指導監査体制について、検査を行う必要がある場合には、地方厚生局との連携が重要になる。そのためには、連絡調整や情報共有の在り方について検討が必要。

○ 指定医療機関の許認可の在り方について、保険医療機関の指定と指定医療機関の指定を連動させることは従前からの地方側の要望であり、連動させることは非常に合理的。一方で、他の保険制度にはない、生活保護特有の問題として、指定医療機関の責務としての「医療担当規程」の周知の問題や要否意見書の負担等の問題がある。その点を整理する必要がある。

○ 保険医療機関の指定を生活保護の指定医療機関の指定とみなすことについて、異論はない。この協議の場としてできることから実施していくべき。

○ 指定医療機関に対する指導監査体制について、医療保険の目から見て医療費の支出が認められるかどうかという地方厚生局の解釈は、医療機関に対する強力な指導に繋がる。厚生労働省内で、生活保護部局と保険部局とが連携して、指導監査体制の連携イメージを示してもらいたい。

○ 生活保護の指定医療機関の責務が抽象的であり、指定取消が難しい。責務を具体的にしてほしい。

<厚生労働省発言>
○ 法律上、地方厚生局は医療扶助のレセプト、カルテ等を調査する権限を有していない。指定医療機関に対する指導監査体制の連携や許認可の在り方について、保険局とも具体的に協議・検討してまいりたい。

(4)医療扶助の患者負担の在り方について

<地方自治体発言>
○ 患者負担について、医療費を生活保護費から支出させるのは、現行の最低生活を保障するという生活保護制度の理念と食い違う。最低生活費の概念を変えない限り、導入は難しいのではないか。

○ 医療費の自己負担については、生活保護基準の在り方を議論する中で検討する必要がある。

○ 自己負担を求めたとしても、結果的に償還払いとすることになると思うが、この結果、確実に現場の事務が増える。生活保護基準部会では現物給付の在り方は検討の対象外と聞いているが、医療費の償還払いということであれば、現金給付であり、基準にも影響する。生活保護基準部会においても医療扶助について検討するよう意見していただきたい。

<厚生労働省発言>
○ 生活保護基準部会は、生活扶助基準等を中心に議論としており、現時点では医療扶助等の現物給付は、議論の対象としていない。

(5)医療費通知の在り方について

<地方自治体発言>
○ 生活保護は、本来、障害・傷病等を原因として生活困窮に至った方が利用する制度。このような障害・傷病世帯に対して、医療費を通知する行為自体に疑問がある。通知することに意味があるとは思わない。

○ 費用対効果はある程度あるかもしれないが、通知を受け取った人が通知を見て、どう評価するかによる。あまり意味がないのではないか。

○ 啓発効果はあると思うが、通知にかかる通信費や人件費を考慮すると、大きな費用対効果は望めないのではないか。

○ 新たな事務となるので、現場の状況を考えると導入は困難。将来的な課題とすべき。

○ 医療費通知は、患者の自己負担とあわせて検討する必要がある。

<厚生労働省発言>
○ 各自治体の御意見を踏まえると、医療費通知の全国展開については、慎重な御意見が多かったと考える。


【その他】

<地方自治体発言>
○ 全国知事会議において、税と社会保障の一体改革が議題となり、今回の国と地方との協議についても報告された。
また、ハローワークの地方移管についても議題となり、アクションプランが進まない現状において、生活保護分野での移管のメリットも主張しながら、知事会として引き続き移管を求めていくこととなった。

○ 求職者支援制度など様々な制度はあるが、中山間地域ではそもそも就労の場が少なく、人口が流出しているのが現状である。中山間地域における雇用を創出する必要がある。

○ セーフティネット支援対策等事業費補助金の活用により、ほとんどの福祉事務所で就労支援員の配置ができたが、自立・就労支援に関する実施計画の策定事務についても、外部専門家などの地域資源を活用すればよいと言われるが、10/10の補助があるからといって、地方においては、専門家の確保が困難である。
また、今後、一括交付金化の対象となるのではないか。
 
 ○ ケースワーカーの人件費について、国は交付税で措置しているというが、不交付団体には交付税措置はない。保護人員の増加に伴う保護費の増やケースワーカーの増員経費については、すべて不交付自治体の負担となり、財政圧迫の要因となっている。自治体が最後のセーフティネットとしての役割を課されているのに、交付税制度による措置というロジックは、大都市にふさわしいものになっていないので、交付税対応という考え方や基準算定方法については課題がある。現行でも自治体の現場は非常に厳しい状況の中で生活保護制度を支えているが、被保護者が急増している状況が続き、先の見通しが立たない中、この制度の枠組みのままいつまで対応しろというのか。

<厚生労働省発言>
○ ハローワークの地方移管については、アクションプランにおいて、一体型施設の運営を図りながら、実施状況を見て検討することとなっており、この協議の場で議論すべき課題ではない。

○ ケースワーカー等の人員配置については、国としても財政が厳しいが、近年毎年増員を図りつつ、地方交付税の中で財政措置を講じている。また、ケースワーク以外の業務、例えば就労支援については、支援員の雇い上げや外部専門機関への委託等について、国の10/10の補助をしているところであり、活用していただきたい。


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