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2011年6月21日 第6回がん研究専門委員会議事録

健康局総務課がん対策推進室

○日時

平成23年6月21日(火)14:00~17:00


○場所

厚生労働省 12階 専用第14会議室 (東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)


○議題

1 医療機器(診断機器、治療機器等)開発のあり方について
2 その他

○議事

出席委員:野田委員長、大津委員、祖父江委員、直江委員、中西委員、平岡委員、松原委員、間野委員

○がん対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回「がん対策推進協議会 がん研究専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましてはお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局の健康局がん対策推進室長の鈴木でございます、よろしくお願いいたします。
 本日の委員の出欠状況でございますが、がん研究専門委員会委員定数8名に対しまして、本日は8名全員御出席の予定となっております。なお、直江先生につきましては御連絡がございまして15分ほど遅れるということです。議事運営に必要な定数に達していることを御報告申し上げます。
 それでは、初めに外山健康局長の方からごあいさつさせていただきます。
○健康局長 局長の外山です。よろしくお願いします。
 前回の第5回では、がん領域におけます創薬に向けました臨床研究の在り方について活発な御議論をいただきました。本日は医療機器開発、特に診断機器や治療機器における実用化を目指す上で大変重要な位置づけにある臨床研究について議論いただくこととしておりまして、本日の議論に大変期待をしているところでございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○がん対策推進室長 それでは、以後の進行につきまして、野田委員長にお願いしたいと思います。
 委員長、よろしくお願いいたします。
○野田委員長 御出席、どうもありがとうございます。今、外山局長からもございましたが、まず順を追ってお話しますと、我々は第3回までに基礎研究や橋渡し研究の在り方について、第4回、祖父江先生のリードで疫学研究あるいは政策研究の在り方、そして第5回が基礎研究、橋渡し研究に続くものとして、がん領域のおける臨床研究の在り方、特に創薬に向けた臨床研究の在り方について議論をしてまいりました。
 今回は、前回創薬分野を中心とした臨床研究の在り方について議論いたしましたが、がん治療の柱となるべきもう一つの治療機器、がん治療でありますので医療ですね、診断治療の機器の開発について現状の問題点を洗い出して、そして対応策について議論をして、そして、これからがん対策基本法でいかにこういうものを有効に患者さんに届けるかという点について議論していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、初めに事務局より資料の確認等、お願いいたします。
○がん対策推進室長 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、以上をもちまして撮影を終了し、カメラを収めていただきますよう御協力のほどをよろしくお願いします。
 資料につきましては議事次第、それから資料番号1番が名簿となっておりまして、以下資料番号5番まであると思います。また、追加資料といたしまして、平岡委員より当日配付資料が1部つけさせていただいております。
 資料につきましては以上です。過不足等ございましたら事務局の方にお申し出いただきたいと思います。
○野田委員長 ありがとうございます。
繰り返しになりますが、前回は創薬という点での臨床研究の在り方について議論いたしました。ただ、それは更に前々回の基礎研究、橋渡し研究から一連の流れでの創薬の研究をいかに有効に行うかということの話の延長線上でありました。
その流れの中で診断機器、あるいは治療機器いった機器開発については問題が提起されましたけれども、一応ここでまとめてやるということで置いておきましたので、ここで医療機器開発全般についての論点整理をしていくということにしたいと思います。
そのために今までの議論を受けた部分もあるかと思いますので、平岡先生と松原先生に資料作成をお願いいたしました。
まずは平岡先生から「がん対策における医療機器の役割と課題・対応策」という資料2を基に御説明いただきたいと思います。
それでは、平岡先生よろしくお願いいたします。
○平岡委員 どうも、貴重な機会を与えていただいて、ありがとうございます。
 初めに、この資料は松原先生と相談しながら進めていったということで、名前が抜けておりますことをまずお詫び申し上げたいと思います。
 先ほど、野田委員長の方から創薬に関しましては基礎研究、橋渡し研究、更に臨床研究について濃厚な研究、議論がされましたので、それと対比しながらなるべく時間を使わなくて説明させていただきたいと思います。
 お話でございますが、3つの大きな項目からなっております。まず第一は医療機器を取り巻く環境ということであります。2番目ががん対策と医療機器、3番目が医療機器開発の課題と対策ということになっています。
 まず、医療機器と取り巻く環境ということで、これは読めばそのとおりなんですが、少し理解していただくために読ませていただきます。
 世界市場が26兆円ということで、そのうちアメリカ、欧州、それに次いで日本が10%のシェアがあるということです。全体的には開発途上国に支えられて、市場規模がだいたい維持されているということです。
 日本市場は約2.6兆円、医薬品の40%であると。市場としては横ばいなんだけれども、貿易赤字は年々増大しているということであります。
 そして、医療機器の特徴として種類が多いということが言えます。医薬品が1万7000品目に対して、医療機器というのは用具を含めると約30万品目あって、しかもその中身は多種多様でございます。
 そして、これは1つの特色と言われておりますのは、アメリカの医療機器においては90%が治療機器、あるいは治療に関連した機器であるのに対して日本では45%であると。日本での医療器開発というのは中心が診断機器であるということであります。
 そして、この医療機器に関しましては日本が非常に劣勢になっている上に、更にそれが著しく、先端的な治療機器はほぼ海外製品が独占状態に近い。更には低リスクというんですか、ローテクの医療機器に関しても中国、韓国等がどんどん入ってきているという状況にございます。
 2ページ目、医療機器の産業構造ですけれども、先ほど申し上げたように多品種少量生産が多いということで、売上高3億円以下の企業が74%ということであります。そして、書いてありますようにそこそこの営業利益率があると。
 企業の研究開発費でありますが、医薬品では11%と言われていますけれども医療機器は日本では5%。一方、欧米では非常に高い研究開発費を投資しているということがあります。
 そして、この医療機器をいかに市場に出すかという仕組みがアメリカでは大学発ベンチャーが先発して、ジョイントベンチャーが中継ぎして、大手企業が最後のとどめをさすという必勝プレーの流れができているのに、日本は先発完投型ということで。1つの企業が最初から最後までやるということで、技術力、成長潜在力はあるんだけれども、後の問題もお話しますが十分の経営資源が投入できず、新しい生まれにくい環境があるということであります。
 その1つの理由としては、医薬品もそうですが医療機器においては規制の問題が非常に大きいということがございます。
 3ページ目、医療機器の多様性ということで、がんに関係ないものもございますけれども、血圧計とかちょっとした手術用具からこういう大きな装置まで、低リスクから高リスクまで、小型から大型まで非常に多種多様であるということが1つの特徴かと思います。
 医療機器と医薬品とを比較したのが、その下の表でございます。医療機器の場合はいろいろな材料、技術が駆使するということでありますし、学問、技術を推進するのも機械工学、電気工学、材料工学という、非常にマルチディシプリナリーな人材とか技術が必要になっているということがございます。
 あと、操作方法の習得というのが大事でありますし、使用者の習熟度ということが非常に機器にとっては大事であると。それから保守あるいは管理、更には廃棄といった周辺部分が非常に大事であると。実際、それも大きなビジネスになっているというか、むしろそういうところで企業が設けているという部分もございます。
 イノベーションに関しましては、医薬品が実験室からと書いておりますが、それが正しいのかわかりませんが、医療機器に関してはむしろ主に医療現場のニーズから生まれてくると。ニーズオリエンテッドな産業だと言われているかと思います。
 また、製品のライフサイクルですが3~15年ということです。ただ、医療機器の場合は、出てくるとすぐ次のバージョンアップを考えなければいけないと。どんどんバージョンアップしていって、うまくバージョンアップできるかどうかに商品の成功の可否が入っているということがあります。
 医薬品というのはできたものをそのままですので、パテントが切れるまで使い切るということですが医療機器は全く違いまして、最初のときに成功してもバージョンアップができなければいつか駆逐されてしまうというところが違います。
 がん対策と医療機器ということですけれども、これは祖父江先生が話しするようなお話なんですが、がん治療費の増加要因は高齢化に伴う患者さんの増加ということと新規の医療法が入ってきて、それに伴う医療費の支出ということがあるかと思います。
 そういうことを考えますと医療機器がこういうことに対抗できるためには、1つは新しい医療技術の機器の開発を通して、より効率的な、効果的な医療機器を開発すると。要するに今までより多くの人に、より安全で有効な新しい医療機器を開発するということが非常に重要になってくると思います。
 もう一つは、やはり国内だけではなくて開発した医療機器そのものが海外に展開していって、そして、それが逆に日本のがん対策に活用できるという、2つの面が必要ではないかと思います。
 そういう意味で、まず最初に前者の方ですね。より効率的・効果的な医療技術の提供というところから話を進めたいと思います。
 そういう中で、これは是非皆様方から御意見をお伺いしたいんですが、どういう医療機器を今後のがん対策の中核に据えるかということなんですけれども、早期診断と低侵襲治療ということが大きな視点になるかと思います。
 できれば、早期診断ではなくて発症前診断というんですかね。病気になる前に診断をすると。例えば大腸がんでポリープになる前の遺伝子の構造とか過程がわかっていますね。そういうのはできたら何らかの画像技術によって検出して、病気になる前に発見するというのが多分将来の姿だと思いますが、今回そこまで書くのはちょっとしんどいかなということで早期診断あるいは超早期診断という形にしてはどうかと思います。
 そういう中に具体的には、今あるCTとかMRをより高解像度にすることによって、より見えないものを見えるようにするということも大事なんですが、やはり大きなイノベーションというのは、その機能。元来持っている生物情報そのものを画像化するという、分子イメージング、バイオイメージングというのがやはり研究の中心になるんではないかと思います。
 治療の方は低侵襲、究極的には非侵襲の治療というのが望まれるわけであります。そういう具体的なものとしては内視鏡手術ですね。放射線治療、ロボット手術等が非常に大きな役割を担うんではないかと考えております。
 したがいまして、それらの治療技術の次世代化ということですね。まだまだ、とても完成品とは言い難くて、それを次世代化するということが大事であります。
 もう一つの大きな考え方として、診断と治療機器を統合する。治療機器の中に画像の技術を取り入れて、そして、画像を見ることによって的確な手術をする、的確な内視鏡治療をする、的確な放射線治療をするというのが1つの大きな流れになっていると思います。
 それと、もう一つは予防と個別化医療ということでありますけれども、先ほどの分子イメージングが関連しますと、やはりバイオマーカの開発というのが非常に大事になってくるということで、それも大きな分野だと考えております。
 続きまして、先ほどのいかに医療機器産業を成長牽引産業へ変革するかということからのお話でございます。
 この中には、やはり早期に市場投入のできる環境整備ということが非常に大事ではないかと思います。後からもお話いたしますが抜本的な制度開発。日本はどうしても医療機器が弱いということもありまして、医薬品に準じた形なんですが、医療機器独自の問題があるの、その辺りを見据えたような形の制度改革が必要ではないかと思います。
 具体的な例としては、医療機器の特性に見合ったような審査承認体制ということがあります。あと、臨床研究も医薬品とはかなり違った状況がございます。そういう産学による効率的な臨床研究の推進体制の構築ということも大事だと思います。
 その次でございますが、医療機器開発の課題ということでございます。
 医療機器開発は、革新的な医療機器の開発というのは非常に大事なんですが、それとともにその次に書いております、改良改善ということも非常に大事であります。先ほど申し上げたように、最初に素晴らしいものをつくっても、すぐにほかのところがキャッチアップしますので、それをいかにうまくクリアして改善改良するかという仕組みが非常に大事であると。それが多分医薬品と非常に大きく異なるところであります。
 医薬品場合は、そういう次のものというのはジェネリックということで、どちらかといえば先発のものよりも劣るという感じなんですけれども、医療機器は決してそうではなくて、先発していてもその次にもっといいものができれば、そちらの方がむしろ中心になってしまうという特徴がございます。
 まず、革新的な医療機器ということでございます。その場合は先ほど申し上げたように、大学発ベンチャーですね。そしてあとはジョイントベンチャー、そして大手企業の参入という連携プレーが非常にできておりまして、技術展開にスピード感があるということがございます。
 一方、国内では大手企業が中心となっておりまして、しかも、大手企業の場合にはどうしてもリスクヘッジのことを考慮してなかなか、特に治療機械とか少しリスクのあるものについては非常に慎重になりがちであるということがあります。
 その一方で、そういうのを補完する役割を担っているベンチャーというのが、医療機器についても数としては不足している、受け皿がないということがございます。
 ただ、そういう現状を考えますと、すぐにアメリカのモデルを導入するというのは難しいので、日本に合った仕組みづくりを考える必要があるのではないかということでございます。研究開発から事業化まで連係プレーではないので、一貫した支援を行うことが必要なのではないかと思います。
 あと、医療機器産業というのは余り新規参入がないという状況がございます。そういう点から言いますと、日本には非常に技術に秀でた企業がたくさんありますので、そういう得意技術を持った企業が医療機器に参入するような参入モデルを支援する仕組みも大事かと思います。
 また、医療機器に関する知財の管理・活用というのが日本では必ずしも十分ではないということで、その辺りのことも対応すべきではないかと思います。
 もう一つは改良改善の医療機器であります。要するにキャッチアップ型の医療機器なんですが、これの方がむしろ産業への波及効果は大きいと。要するに新しい医療機器を創出するというのは非常に大変なことでございまして、既にあるものをキャッチアップして、そのシェアを奪うという方が即効性も高くて、実は規模も大きい可能性があるということがございます。
 そういうことも実は非常に日本は遅れておりまして、その最も大きな理由というのが環境整備が整っていないということと思います。そこに書いておりますが、どうすればそういうことができるかということなんですけれども、臨床研究の推進ということがあります。
 医療機器というのは、そういうものが本当に臨床に役に立つかどうかとか、あるいはそれをどう改良改善したらいいかということは、やはり臨床の現場でもってきて評価するという仕組みです。
 それはその行為そのものがすぐに臨床試験に通じなくて、まず、いけそうかどうかという感触をつかむという作業が非常に大事なんですが、今の薬事ではなかなかそれが対応できていないと。そういうのがかなり改善されつつあるのですけれども、まだまだ欧米に比べると十分ではないというところがございます。
更にはそういう試作機とかを評価するような場所が実はないんです。欧米ではそういうところが、大きな大学では幾つかあるんですが、それがないと。これについては経産省の産学連携拠点が今、全国に幾つか動き出しまして、京大にもそれができたんですけれども、そこはそういう新しい機器を持ってきて、そこで臨床報告などを病院の中で行うと。あるいはそこで臨床医と企業の人が一緒に作業をして、新しい医療機器のコンセプトをつくるというところとして機能しているんではないかと考えております。
あと、審査承認体制の最適化、体制整備というのが医薬品に比べるとやはり大きく遅れているんではないかということであります。そういう意味では何かのモデル事業という支援も重要かと思います。
 その次に、審査・承認体制とありますが医薬品と明確な区分が必要ではないかと。これがいいかどうかわかりません。ただ実際、現実な問題としてアメリカ、韓国等では医薬品とは明確に区別された審査体制というのがございます。そして、そこで多種多様な医療機器に対する対応、そして、早期承認を行うと。これ、松原先生が言われたんですが特許取得に対応した審査体制の確立と。
 もう一つは、リスクとベネフィットに対する社会の合意ですね。何となく日本は国民もマスコミもすぐ何かあったら企業に対して批判するということで、どうしてもそうなると国の方も企業の方も、そういうリスクのある医療機器に対してなかなか取り組まないと。そういう社会に対する合意とか発信というのが大事ではないかと思います。
 その次、審査・承認体制でございますけれども、日本、米国、欧州という順にゆるくなって結果的に審査の時間も短くなっております。欧州においてはFDAとかPMDAのような公的機関ではなくて第三者機関が薬事審査に対応しているということになっております。
 あと大きなところは、文化的な違いと書いておりますが、すべての過ちは国にいってしまう、厚労省にいってしまうというのは日本独自の仕組みであって、これではなかなか審査も厳しくなってしまうんではないかと思ってしまいます。
 あと、機器の改善ですね。さっき言った改良改善医療機器というのが非常に医療機器では大事だというお話をしましたけれども、そういう改善改良というのは非常に日本では難しいということがあります。昔はねじ1本変えるだけで、もう一回薬事を取り直さなければいけないということがあったんですが、そこまではいかないんですけどね。そういうところでなかなか、最初に立派なものをつくっても、それを継続して最先端の医療機器として維持発展させていくのが非常に日本では難しい環境がございます。
 次は臨床研究の推進体制ということですけれども、前回、創薬に関する臨床研究の体制が不十分だという話がありましたが、実は医療機器はもっと遅れているんではないかと思います。こういう医療機器の倫理委員会というのがほとんど、まともに機能していないと思いますし、そういう医療機器を支援するような組織とか人材というのは、ほぼ欠落状態に近いのではないかと思います。
その次に臨床研究の推進体制ということで、先ほど少しお話しましたけれども、やはり医療機器の臨床研究を推進する上ではオープンイノベーションというべきだと思うんですけれども、大学医療機関と連携企業のものづくり技術が同時に同じ場所で行うようなプラットホームが非常に大事ではないかと思います。そういう中から、JCOGのような大きな臨床試験もスタートできますし、医師主導の治験もできますし、あるいはいろいろな新しい機器のアイデアも出てくると。そういうのが革新的な医療機器の事業化普及につながっていくのではないかと思います。
あと、その下は先ほど言ったように承認機器になるとなかなか手がつけられないということを示しております。承認機器になっても、特に大型機の場合はその場で少しずつ改良改善していくというのが欧米では普通なんですけれども、例えば昼間は診療機に使って晩に少し改良改善することが普通に行われるんですが、それが日本ではできない。その辺りをクリアしなければいけないということを書いております。
最後、人材育成と啓蒙活動というところにいきますが、人材育成ですね。医療機器開発を推進するためには三つの職種が必要ではないかと思っています。1つは医学と工学の融合領域の研究者でございます。2つ目が橋渡し研究、臨床研究を行える医療機器の研究者ですね。3番目がレギュラトリーサイエンスの専門家ということなんですけれども、いずれも非常に日本では弱い領域であります。
これがそろわないとなかなか医療機器の開発、臨床研究というのは進まないのではないかと思いますので、そういう意味では大学まで含めたような対応策とか共同作業のプラットホーム、あるいはそういう医工学に関連する研究所を整備することも必要になってくるのではないか。何よりも国民に、こういう先端医療の中での医療機器の役割、重要性ということをアピールすることが重要になってくるかと思います。
最後に、研究開発の重点分野ということを示しております。これは先ほどの話と同じですけれども、治療に関しましては低侵襲の医療技術ということで、今、臨床にどんどん導入されていって、今後大きく展開できそうなものとしてロボット技術、放射線治療、内視鏡があるかと思いますので、それの1つは次世代かを進めるということでうまく診断と統合していくというのが大事かと思います。
そして、早期診断のための、特に形態と機能の統合、機能のイメージングというのが大事になってくる。そして、バイオマーカの話もさせていただきました。
以上でございます。
○野田委員長 ありがとうございました。御質問、質疑応答ありましたら。前のように戻っていいと思うんですけれども。
 よろしいですか。今のでやはり基軸になっているのが創薬に流れとの違いであり共通な部分でありというのがあると思いますが、違いのところで幾つかポイントが違う部分であったと思うんですが、1つは今、患者さんにベストな治療が行われている医療機器というのは、結局多くは改善改良で成り立っているもの。
 そうすると、先ほどの日本初のものをというためには日本の中に改善改良というか、もう一つのページにもありましたが、現場のそういうニーズがすぐにリバースティアルではないけれども戻るような環境が必要なんだけれども。外国では、そこにベンチャーがはまっているんですか。
○平岡委員 両方あります。大型機器の場合はやはり大手企業ですね。例えばわかりやすいのだったらCTとかMRですね。画像診断というのは、この10年間で新しいモデルは出ていないんです。だから、CT、MR、PETをいかに維持する、発展されるかということにかかっているわけです。
 それはまさに革新的というのはむしろ改良改善のところですね。それを関係しているのは完成されたものに近いものはシーメンスであり、フィリップスであり、東芝であり、日立であり、そういう企業になります。
○野田委員長 それが例えば日本において、医療現場のものをくみ取って次世代のバージョンに生かすという環境が、大企業に関してはもう参入止めてしまった治療機器はともかく、診断機器なんかの16列だ64列だという辺りのことを考えると、そこは日本はあるんですか。
○平岡委員 それについても改良を加えても結局、また新しく薬事番号を取らなければいけないわけですね。それを考えると、例えば東芝なんかのCTの開発拠点はアメリカに移っているわけなんです。アメリカの方が、1つは臨床研究がしやすいしFDAの審査も早いと。アメリカで評価を受けると日本の方が受け入れやすいということがあって、実は医薬品と同じような空洞化が医療機器の方でも起こっていますね。
○野田委員長 その関係で最後の質問ですが、それはPMDA一本化の審査というのを医療機器にある程度特化というか、医療機器に対応できるような部門なりシステムができれば日本でもずっとよくなるとお考えですか。
○平岡委員 それはもう明らかによくなりますね。今のPMDAの中の医療機器の対応をしている担当官は驚くほど少ないですから。だから、今のままでは当人たちがすごく頑張っていても対応できない、スピード感が全然ないということがありますね。
 ただ、前回もありましたがFDAなんかはむしろそういう新しいものができたときに、それをともに開発しましょうというスタンスですね。医療機器というのは、やはり新しい参入企業というのは必要なんですが、そういうところにとってある意味、日本のPMDAは非常に冷たいと、形態的に冷たくならざるを得ないと思うんですけれども、そういうことを考えるとやはり海外の方が魅力的だと思います。そして、そうおっしゃる企業が多いですね。
○野田委員長 ほかにありませんか。
 創薬の場合のもう一つのポイントとして、日本人の手による、日本人のための、日本人の薬という言い方があるときに、ゲノムの問題や何かありますね。そういう点に関しては、つまり国として自国のものということに関しては診断にしても治療にしても、医療機器はそっちに比べると割と簡単に国境を超えますか。
○平岡委員 それは、結構むしろ医療機器は自分の国のものがほしいという思いが強いですよ。やはりひとつサイズとか体系の問題もありますし、医療機器の場合は現場の改良に対する要望がすごく強いんですね。そのときにやはり国産企業であれば、いろいろ相談に行ってやってくれるけれども、海外企業はやはりグローバルにいてますから、日本の一病院のいったことなんか聞かないということがあって。医療機器の方がむしろ、そういう国内産業がもつメリットは非常に大きいと思いますね。
 だから、例えば韓国なんかは大きいな医療機器ではないんだけどサムソンが参入したいと思うし、それを国を挙げてサポートしようというところがありますね。
○野田委員長 今、サムソンは入ってきているんでしょう。
○平岡委員 そうですね。
○野田委員長 中西先生、どうぞ。
○中西委員 審査のところが非常に難渋しているという話をお伺いしたんですけれども、やはりここ5年、10年ぐらいで医療機器の審査のありようというのが、特に日本が悪くなったとか、あるいは欧米よりも見比べて改善がよくなかったとか。その辺の具体的にどこがどうなのかが話を聞いていて私、余りイメージがわかないんですが、具体的にどこがどう悪いのかを教えていただければと思いまして。
○平岡委員 一番大きいのは、やはり薬事という名前が示すように薬を中心な審査機構なんですね。だから、実際におられる方もほとんど薬学出身の方です。医療機器の審査室の方もほとんど薬学出身の方です。
1つは、当然そういう方は勉強されて工学的なことにも造詣はあるんですけれども、もともとやはり工学系の人ではないですから。そういう人に医療機器の原理原則的なことから資料を提出しなければいけませんし、そういう審査をする方も、そういうことがすぐにとっつきしにくいということがあります。
それと、あとはやはり薬と同じ基準でやると医療機器はしんどいわけですね。医薬品のように1つが当たれば数百億ということではなくて、ほとんどがせいぜい1億円規模のものですから。だから、そういうものに対して医薬品と同じ条件を要求するとほとんど引いてしまうわけです。
そういう2つの面があります。要するに人の問題と、そして、そういう審査内容が必ずしも医療機器に向いていない部分があるんではないかという面があるかと思います。
○中西委員 うちでも大型の機器が改良したために使えなくなって非常に困ったことがあったんですけれども、それはヨーロッパやアメリカでは小さな改善改良というのが日本みたいに厳しい薬事の審査なしにできる現状、つまりルールが違うところがあるということでそうなってくるんでしょうか。
○平岡委員 おっしゃるとおりです。そこの現場でいろいろ改良改善して、それがそのまま承認につながるという仕組みがあるんですね。
○中西委員 すると、要するに規制に関しては専門家と、もう一つは運用が日本には十分ないと。
○平岡委員 そうですね。
○中西委員 わかりました。
○野田委員長 一番最後のところで質問なんですが、運用がないの。今の中西先生が聞かれたのは薬事の壁のところで薬よりも壁が大きいんではないかと言われた。それは、システムが特化していないこともあるけれども、ルールの方にもないかと聞かれましたね。
 そして、その次のまとめのところも運用のところにも問題があるんではないかと、最後のところ。
○中西委員 システムというか、それが法規上の問題なのか、それとも法規を侵すところの問題かわからなかったんです。つまり、小さな変更とか現場で見なければならないものについて全部分化して云々と書いてありましたが、そういうことをやられているのはルールが全然根本的に欧米、日本と違うのか、それとも解釈の仕方が違うためにこのような現実離れしたことが起こっているのか。そこのところが私は運用かなと思ったのですけれども、ルールも違うのかな。
○平岡委員 そうですね、ルールですね。
 逆に、そういういろいろ改良改善して、何か起こった場合には企業が責任を持つと。日本は国が責任を持つと。そこでも少し違ってまして、それが結構影響していると思うんですね。
○野田委員長 よろしいですか。どうしても薬を届けるときの問題点と対比してしまうので、今のは割とその点でわかりやすい問題点が出てきたのでいいと思うんですけれども、今度はそれと並べていたのでは見えてこない部分もなるべく忘れないようにしないと、ちょっといけないと思うんですね。
 例えば、現場の声といったときに、先ほど言ったように改善改良といえば要するに基本的に治療の患者さんの声ですね。それはお薬なんかに比べると、よりこっちは間に必ず技師さんがいて、医療の現場からすると例えばお薬を看護婦さんは渡すけれども、看護婦さんがフォローするのと違って、エコーだろうがCTだろうが何だろうが技師さんがいますね。パラメディカルの人たちが医療に密接に関連してきますね。そこの違いもちょっとあるかなと思うんですが。
○平岡委員 改良改善といった場合に患者さんからのニーズもありますけれども、多くはやはり臨床現場の医師ですね。外科医とか放射線科医のニーズがすごく大きいですね。やはり、実際使ってみるとこうしたらいいんではないかというアイデアは山のように出てくるわけですね。
 そういう中で、更に欧米でそういうのがうまくいっている理由というのは、欧米では工学の中に医工学という領域があるんです。これ、工学の中では一番人気なんですね。そういう仕組みがあって、そういう人がしかも病院の中にホストを持っていて、そこで医師と同じようにレジデント制があって。
 要するに医工学の修士と博士課程を出て病院に来て、そこで医療のことを本格的に始めるときに医師のレジデントと同じように3年とか4年お金を出して教育して、そういう人が教授になっていくという1つの独立したものがあるんですね。
 そういう人が企業と医師との折衝役というんですかね、コーディネーションすると。だから、そういう人が新しい医療機器の評価もできますし、そういう人のアイデアで新しい医療機器ができるという仕組みができているということですね。それはすごく日本と違うところなんです。
○野田委員長 よろしいですか。中西先生、どうぞ。
○中西委員 そういった役割があるということですが、恐らく当然そこにはその人たちが役割を果たしながら同時に仕事ができる場所が要るという気がするんです。やはり、それはある種の職種として成り立っているのか、それともうまくそれが運用できるような形にルール、あるいはいろいろな企業との連携ができる場所がつくってあると。実際、どちらの方でできる。
○平岡委員 両方ですね。1つは大学の中に、医学部の中にあることもあるんですけれども、そういう教育の組織がありますね。そこで企業との接点があります。更には病院の中にそういうディパートメントがあるんですよ。そこには、本当に最初に入ってトップになるまでの1つのファカルといいますか、キャリアディベルメントの仕組みがあります。
 更に言えば、私たちの放射線治療の分野では医学物理士という職種があるんですけれども、そういう人たちは実は保険でもサポートされているんですよ。その人たちが仕事をすると保険の診療が出るんです。だから、病院がそういう人を雇うとプラスなんですね。その人を雇うと高度な医療が提供できるという。そういう仕組みがうまく組み込まれているというのが大きいと思いますね。
○野田委員長 今のそこですが、そうだと思うんです。キャリアも何も、お金がないと何もつくれないので。大学で教育として研究としてそういう部門を置ける、あるいは置いているという話と、医療を日々よくしていくために医療にカップルしてそういうシステムがあるというのが随分違う。それは、もともとそのお金はどこからくるのかということだと。
 今の医学物理士に関しては、今度は診療報酬のあれが。ありがたいことに放射線医療の高度化と患者さんの多様化に合わせて前に進むように。患者さん自身と言ったら言い方が悪いけれども、医療の使用者、受益者が次世代に向けてもこうしている、非常にいい制度だと思うんですが、そういうのは今の医療機械でほかにありますか。
 人工心肺回している技師さんいますね。あれはペイされているわけですけれども、それ以外に、例えば外国だったら日本と違ってあるんですか。それでそこの職種やそういうところがきちんとサポートされるんですか。
○平岡委員 ただ先生、ハーバードなんかMRIの研究所があって200人規模でそういう工学系の人いるんですね。それで臨床部門も持っていますからね。だから、そういう何らの支援ですね、研究費だけではないと思います。そういう診療の中で彼らがやっていくような仕組みがあるんではないかと思いますが、その辺りはどうなんでしょう。僕は放射線のこと以外は割と知らないので。
○経済産業省医療・福祉機器産業室 私もそういう意味では特に放射線技師の方々の数がまだまだ少ないということをよく聞いておりますが、それ以外のところでは特にないかと思います。
 他方で私が自分で参加しましたが、大阪ではそういった技師さんの集まりみたいなものがあって、その中で新しい医療機器の勉強会をやっているんですね。実際にお医者さんの指示のもと作業するのは技師さんなわけですから、技師さんが新しい機器を熟知していないといけないので、そういった技師さんの勉強会みたいなものを開かれています。
 国循の先生が中心になって勉強会をやってくれるのを聞いたことがございますね。
○平岡委員 ちょっと臨床とは離れるんですけれども、研究で例えば分子イメージングセンターとかあるではないですか。ああいうところに動物用のPETとかMRとかあるんですよ。そこには必ずそういう医工学のプロがいて。研究者がそういう人を多分雇用していると思うんです。そういうことは聞いています。
○野田委員長 わかりました。
 では、次に進みますが、もう一回しつこいようですが、医療用の機器というもの全体を考えて患者さんにどう届けるかという広いところからもう少し狭いところに入っていきますので、また後でそういう広いところで何かあれば言ってください。ここからは専門的なところに入ります。
 専門的なところで、あらかじめ患者さんの現在の受けている治療というのを考えると、大きくやはり機器が影響するのは2つだろうと。がんの患者さんの多くの人が受けている手術と、それから平岡先生の御専門である放射線治療。これからも発展を考えると放射線治療と手術がやはり大きい柱になるので、そこにおける機器について、あるいは臨床研究医についてということで、平岡先生の方から続けて申し訳ありませんが放射線治療の方について御説明いただければと思います。
○平岡委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 2ページ目をごらんいただけていると思いますけれども、放射線治療を受ける患者さんは急増しております。2005年で25%、新規でがんと診断を受けた方の4人に1人が放射線治療を受けるということです。ちなみにその10年前、1995年には15%でした。厚労省のがん助成金の推定では、2015年には40%近くなるんではないかと言われています。
 ただ、欧米の現状を見ますとアメリカでは66%、ドイツでは60%ということで、欧米はだいたい6割の方が初回治療としては放射線治療を受けているという現実がございます。
 日本で増えている原因として一番大きいのは高齢者社会の急速な到来ということがありますし、放射線治療の技術的な進歩ということもあるかと思います。
 放射線治療は皆さん御存じのように、福島で非常にマイナスの印象を持たれてしまいましたが、正常組織にも有害事象があるということで、放射線治療が目指すものというのはいかにがんに対して選択的な損傷を与えるかということかと思います。
 そういう中に生物学的なアプローチ、要するに同じ線量が当たってもがんだけは選択的に損傷されるという方法と、もう一つは、がんに放射線を集中させるという物理工学的なアプローチという2つのアプローチがございます。
 それとともに、これからは放射線治療の効果や有害事象を予測する方法も大事になってくるんではないかと思います。ファーマコゲノミクスということが言われますけれども、ラディオゲノミクスということも大事ですし、その方法として多分分子イメージング等も重要になってくるんではないかと思います。
 生物的なアプローチですが、たくさんありますけれども当面はこの3つぐらいかなということです。分子標的薬剤ですね。今、化学放射線治療というのが急速に臨床に普及していますが、その薬物療法の中で分子標的薬剤というのが多分これの役割が大きくなってくると。
 放射線治療においても、多くはDNA損傷と修復なんですけれども、どういう遺伝子がたんぱくが関係しているかということがわかってまいりまして、それの阻害剤が非常にわかってまいりましたので、そういうのがこれから出てくると思います。
 あとは、分子標的に加えて環境標的という考え方も大事ではないかと。特に放射線の場合には低酸素環境が非常に放射線抵抗性になるということで、分子標的に並んで環境標的治療ということも大事だと思います。
 あと、重粒子線治療。これはちょっと、余り資料の中に入っていないんですが、生物的なアプローチとして有力な方法だと思います。
 その次は局所進行頭頚部扁平上皮がんと書いておりますが、これは2006年のニューイングランドジャーナルオブメディスンに載った、非常に有名な国際共同研究です。
C225というEGFRの抗体ですけれども、放射線にそれのあるなしで比較、フェーズ3トライアルを等頚部がんの扁平除去に行いまして、局所制御率、全生存率が非常に大きなハザードレーション、大きな治療セイシエンの向上があったということであります。そういうことがこれからどんどん臨床の中に来るんではないかと思います。
物理工学的なアプローチでございますが、これは非常に多くのアプローチがございます。そういう中で、定位放射線治療、強度変調放射線治療、四次元放射線治療、粒子線治療。粒子線治療の中には陽子線治療、重粒子線治療がありますし、最近は中性子捕捉療法という治療ですね。がんにホウ素化合物を取り込ませて。
○野田委員長 中性子。
○平岡委員 そうです、サーマルに、熱の中性子を当てて。
○野田委員長 そして、α線を。
○平岡委員 そうです。そして、そうすると細胞レベルの放射線が出てくる。ありがとうございます。ということが出てまいっております。
 定位放射線治療、強度変調放射線治療というのをシェーマ的に書いているんですが、定位放射線治療というのが均一な細いビームを狙い撃ちにすると。いわゆるピンポイント照射というやつですね。ただ、これは対象が小さいというのがよくて、脳腫瘍でスタートしましたけれども今は肺がんとか肝がんとかの早期なものに対して狙い撃ちに照射しようという感覚です。
 右の強度変調放射線治療というのは、むしろ少し大きくて、周辺に放射線に弱い臓器があるという場合に非常に有効な治療法です。
 その次が肺がんの定位放射線治療、この辺り中西先生には釈迦に説法ですが、こういうふうに寄ってたかって小さなビームで狙い撃ちにしようということでございます。これは日本では非常にこの分野ではリードしました。そういう意味で、少しここに書いております。
 次が強度変調放射線治療。英語でIMRTですね。Intensity Modulated Radiotherapyといいます。
最も使われているのは全粒子線です。この白いのが前立腺で、後ろにある青紫が直腸、そしてその上に乗っかっている草色のものが膀胱です。要するに前立腺を直腸、膀胱割けながらいかに放射線を集中させるかということに尽きているわけですが、7方向からビームを打っているわけですが照射というのがまず最適化されています。いろいろな方向から最適化された照射で放射線を撃つというのを3次元治療といいます。それによって、非常に放射線治療の成績が向上しましたし有害事象も減ったんですけれども、強度変調放射線治療では最適視された照射の中の線量強度までマニュピレーションしていると。
例えば、下にある絵は要するに前立腺のあるところだけは目いっぱい打って黒くなっていると。少し色が薄いところは直腸とか膀胱があるから少し線量を少なくするということで、こうしますと直腸の線量や膀胱の線量は余り心配しなくて、前立腺に必要な線量を打てるというところになって、多くの臨床試験で手術と放射線治療とは差がないということで、患者さんにとっては2つの大きな選択肢があるという展開をしているわけであります。
更にこの技術というのはIT技術が最も医療としてうまくいったと言われておりまして、Dose Paintingと書いておりますが、これは線量抜きでというのか、そういうことができます。
この患者さんは前立腺がんなんですけれども骨盤外リンパ腺に転移がございました。だからそういうこともありまして前立腺に78Gy、骨盤内リンパ節に66Gy、当然リンパ節転移があるとその周辺のリンパ節にもミクロスコピックのがんがあるかもしれないというので、骨盤内リンパ節に予防照射を58Gy行っております。
一方でこの骨盤内の中で放射線に最も弱い臓器というのは小腸です。小腸の線量はむしろ下げてということで、この技術をすべてではないですがうまく適用できれば、必要なところに必要な線量が投与できるということが可能になったわけです。
その次に悪性中皮腫と書いていますけれども、これは今度、急速に増えると言われているんですが、悪性中皮腫はこういう進展というのですか胸膜全体に広がっていて、それが更にお腹の中まで進んできているということなんですが、これを多分手術で全部取るのもなかなか難しいと聞いていますし、抗がん剤もいいのができていますが抗がん剤は難しいと。あと、放射線治療の役割というのも結構あるかと思うんですけれども、そういう進展に合わせて放射線治療を許容できるのは多分この技術だけだと思います。
だから、胸膜、お腹のところまで放射線を当てて、しかも腎臓とか肝臓とか心臓というのを線量少なくするという。これは多分粒子線出もできないのではないかと思います。
こういうのを粒子線も含めてなんですが、高精度放射線治療という言い方をします。非常に大きな放射線治療についてはパラダイムシフトが起こりました。要するに今までの放射線治療というのはがんに必要な線量を投与するのではなくて、がんの近くにある放射線に弱い正常組織をそれ以上傷めないというところで線量が決まってしまうと。本当はもうちょっと線量があったらいいんだけれども当てられないということだったんですが、こういう新しい技術によって正常組織の耐容線量を余り気にしなくて治療ができるようになってきたというところがすごく大きいということです。
やっと初めてがんを完治するために、どの場所にどのぐらい線量を当てられるという戦略がとれるのだと。すべてではありませんが、そういうのが大きなブレイクスルーかと思います。それは粒子線治療についても同じかと思います。
放射線治療のこれからということですけれども、どういうところを重点化させていくかということでリストアップさせていただきました。
1つは、まだまだ改良改善の余地がありますので機器の次世代化ということが大事かと思います。それはすべての先ほど言った機器について言えることです。
あとは診断と治療の統合です。特に画像を使うということが大事です。
もう一つは、2次元から3次元治療にうまく一旦ですけれども4次元治療ですね。多くのがんというのは動いておりまして、そういう高精度治療というのは非常に動きに弱いです。粒子線治療も全くそうなんですが。だから、粒子線治療、X線治療、すべてに問わず、いかに動くものに対して的確にビームを当てるかというのがすごく大きなテーマだし、世界的にもここに大きな研究費が動いていると思います。
もう一つは、こういう形でそれできてどんどんと新しい医療技術が入ってくると医療費の高騰に結び付くという意味で、やはりそういうのをきっちり評価することが大事ではないかと思います。
それと併せて、やはりそういう高度なものをどういう形で選択化していくかというのがすごく大事ですね。適正配置ということと、そういうところで治療を受ける必要な患者さんをそこに的確に持っていくということが大事です。
これは、こういうX線治療もそうですけれども特に粒子線治療ですね。それが非常に大事ではないかと思います。必ずしも粒子線治療のすべてが適切に使われているのではないかと。本来、粒子線で治療すべき人が治療されていないというところもあるので、この辺りの仕組み自身も非常に大事ではないかと思います。
1つは、診断と治療の融合ということなんですが、この分子イメージングの1つなんですが低酸素というのは放射線に非常に抵抗性が高いということで、低酸素のイメージングというのが大きなトピックスになっています。
そういう中で、これは日本人が発見したんですがCu-ATSMというプローブがあります。ただ、これ日本では臨床研究ができなくてアメリカでやったんですけれども、こういうもので扁桃がんの中の低酸素類がどこであるかということが画像化できます。
そうしますと、低酸素のところに先ほど申し上げたIMRTの技術で高線量を投与するということができます。
そういうことが発展していきますと放射線治療においても個別化医療ということに向かっていくことになります。上に書いていますような、やっと複雑な形状のがんに対して的確に放射線治療が与えるということになったんですが、これからは形だけではなくてがんのなかで起こっている、例えば増殖の能力とか、低酸素領域とか、あるいは腫瘍の量が多いところというのを画像化して、その生体情報に合わせて放射線を割り当てると。
あるいは、当然放射線だけではなくて、いろいろな分子標的薬剤とか、そういう使うアプローチもあるかと思いますけれども、そういうトータルでがんの患者さんに合わせた方法が出てくるのではないかと思います。
その次は強度変調放射線治療のことなんですが、静止している腫瘍と書いていますが、動かないものに対してはこういうきれいな絵が書けます。非常にこの辺りは技術というのは素晴らしいものがありますけれども、一旦腫瘍が動くと呼吸性移動を伴う腫瘍と書いていますがこういう絵になって。
しかも問題はこの絵が時間ごとに変わる、再現性が全くないということで、いかにこういうハイテク治療というのが動きに弱いかということを示しております。精度を求めるために逆に動きに弱いということです。
そいう中で、これは国産技術でつくった装置なんですが、追尾照射ですね。腫瘍を追いかけて照射するという装置がやっと国産品として完成しました。
これで追尾しながら定位照射を行うということですね。追尾しながらIMRTを行うということが今、開発されておりますので、これも一種の4次元治療が大事ではないかと思います。
○野田委員長 これは日本から出ている。
○平岡委員 日本です。次のところに出ていますが、左の上のやつは国産ですね。右上がドイツ性です。下の2つはアメリカ性ということですね。放射線治療というのはなんとなく古い感じなんですが、今まさに放射線治療というのは粒子線も含めて黎明期に入っているということなので、この辺りの競争も大事ではないかと思います。
 ちょっと最後にいいですか。
○野田委員長 どうぞ。
○平岡委員 追加資料の方なんですけれども、少しマンパワー的なことをお話させていただきたいと思います。
これは日本放射線腫瘍学会が調査した年間の患者数の表です。左が都道府県の拠点病院51あります。右が地域拠点病院320あります。やはり都道府県の拠点病院では500人以上のところが多いということです。こういう治療患者数です。
 その中でIMRTがどのぐらいで実施されているかという。これは去年のデータだと思います。実はアメリカでは99%です。民間病院も含めて99%でIMRTを行っていると。日本ではがんの拠点病院においてすら15%。都道府県の拠点病院でも半数以下であるという現状がございます。
 その次をごらんいただきたいんですけれども、治療装置がないかといえばそうでもないんです。もうほとんどリニアックは整備されていると。一番右にIMRT機能をもっているリニアックの割合を書いているんですが毎年増えていまして、今、35%のところはそういう機能を持っているということなんで、当然、これは補強しなければいけないんだけれども、むしろ機器があってもできていないという現状があるということです。
 それは何に起因するかということなんですが、最後のページをごらんいただきたいと思います。これは日本とアメリカの構造比較ということです。
 これは実は、私ちょっと祖父江先生に質問させていただいたんですが、医療の質の評価ですね。これ実は放射線腫瘍学会でずっとがん研究助成金をいただきまして、もう15年ぐらいPCS、パターンズオブケアスタディという研究を出していただいて、そういう中でこういうデータが出てきているわけなんですが、これでアメリカとも比較研究しているわけです。
 それを見ますとがん患者の適用率にも差がありますが、放射線腫瘍医の数が826対4000ということになりますが、その下に書いてある医学物理士が64対4000ということで。やはり、こういう高度な医療を行うときに技師さん自身も今、少ないということもありますので、そういう人がやはり日本の中に同時につくらないとなかなかこういう高度な医療はできないと。
重粒子線治療では、医学物理士が常識になっているんですけれども、そういう高度なX線治療についてもこういう人を少なくともがんの拠点病院に必ずいるような仕組みをつくらないと、日本でこれは普及しないのではないかと思います。
 以上でございます。
○野田委員長 どうぞ御質問、間野先生、どうぞ。
○間野委員 機器に関してちょっとお聞きしたいんですけれども、例えば追尾ヘッドを持った照射装置ですとか、あるいは銅イオンでの低酸素領域を可視化する装置ですとか、ああいう物理的、あるいは機器的な改良というのもちゃんと特許で保護されるんでしょうか。
○平岡委員 そうです。特許そのものですね。
○間野委員 そうすると、その特許をつくれば、例えば日本がそれで先行すれば、そこである程度経済的にも特許を取った会社が潤う形にはなれるわけですね。
○平岡委員 そうですね、そこは大きいですね。松原先生、知財との関係ですね。
○松原委員 そこが非常に重要で。逆に自分のやっているというか、開発しようとしているものがどこで特許取られているかという情報もきちんと把握しておかないと。やってみたけどもう特許は取られているということにもなるので、その辺の特許情報もきちんと。
 ただ、一人の研究者が特許情報をどれだけ調べられるかというとそれは非常に難しいので。やはり知財の管理するところときちんとやり取りしながらやっていくということが非常に重要だと思います。
○平岡委員 少し追加させていただくと、医療機器の場合は1つの特許だけではできないんですよ。複合特許なんですね。
 だから、幾つかの重要なキーパテントが合わせてできますから。ただ、日本で何か持っていると強いんですね。全く何もなければ、先生がおっしゃるようにもう。
○直江委員 こういう医療機器の介入とか改善がまさにがんに特異的に効いてくれるだろうという、どんどん今でも進歩しているというのがよくわかったんですけれども、実際問題、いい機器があっても実際動かすのは技師さんですね。そうするとやはりクオリティとか、せっかくいい装置があっても使いこなしているのかどうかとか、まずそれが1つ。
 二つ目は、そうすることによってアウトカムがどうなるのかというところが。例えば、薬剤の場合のランダム化という。僕らは開発の場合ではそっちの方がいいに決まっていると言って皆さんやるんですが、実際問題RCTやってみると、余りネガティブデルということになって随分あったんですが、その辺ですね。
 要するにものすごく高価なものをどんどん開発するというのはわかるんですが、どこまでがメリットが出てくる。どこまでは例えばそれほどでもないという。そういう研究というのはこれからと考えていいんでしょうか、それとも。
○平岡委員 まず後者の方ですが、それはすごく大きい問題ですね。実はこういうハイテクチショウはほとんど評価されていないんですよ。しっかりした比較試験はありません。余り言うと保険が下げられそうですが。
 ただ、物理というのは非常にわかりやすいではないですか。ここにこんなに線量が少なく当たったら当然いいに決まっているだろうというところこがあるんですけれども、ただそれだけではなかなか国民の了解を得られなくなってきているんではないかと私は思っていますので、そういうのをやはり開発とともに評価する仕組みが必要ではないかと思っています。
○野田委員長 そのときに松原先生の分野の手術というのはなかなかそれをしにくい。結局、手術している人の腕が違うんだということで随分難しい面がありますね。例えば、ある機器を使った場合と使わない場合を数集めようと思うとなかなかランダマイズをしにくいとなります。その点は放射線治療はどうなんですか。
○平岡委員 何となく放射線というのはすごく高度なパソコンみたいもので、だれでも同じ操作をしたら同じ光景が出ると思うけどそんなことはないんです。やはり外科医と同じようにセンスのある放射線治療医とそうでない人おりますね。
 ただ、手術よりかは多分標準化はしやすいんではないかと思いますし、そういう意味ではまだまだ臨床薬ができるのではないかと思っていますが。
○野田委員長 そういうスタディというか、余り思い出したくもないことでしょうけれども、私すぐ思い出すのは日本全国のリニアックの線量の補正がなかなかまずかったときがあるではないですか。ああいうことがないように、つまりこういうある程度独特な工学系の機器が入っている治療の、直江先生も言われたアウトカムを最初の導入のときもそうですが、その後もきちんと見ていけるシステムというのは研究的に確立されないといけないような気がしますが、その辺の試みというのは厚労科研費で行われているのか、学会ベースで行われているのか、どうなんでしょう。
○平岡委員 そういう教育とか研修に関してはすごく我々熱心にやっておりますし、先ほどの話とも関係するんですけれども技師さん資格ですね。治療専門技師機構というのができて、そこで認定する仕組みとか、医学物理士の認定機構もありますし、それはしっかりはできているんですね。
 ただ、その一方で放射線治療を受ける患者さんが増えていまして、先生のところはその典型なんですけれども、多分11時ごろまで治療していると思うんですね。疲れきって帰ってきて、どこも多分放射線の中で治療部門がビジーだと思います。
 ああいう中で、多分それ以上やれといっても無理だと思います。だからもう少し仕組み的に、医学物理士の話をしたのも治療の高度化だけではなくて医療の安全を担保する仕組みとして、そういう高度な医療の提供するんだけれども、全体に放射線治療の品質管理を行うというポストが絶対必要だと思いますね。
○中西委員 おっしゃるとおりだと思います。実はJCOGでもWJOGでも放射線治療の先生方を対象にクオリティアシュアランスをしあったんですね。JCOGは割と精鋭が集まったところなんですんなりいったようですが、内輪な話をしますとWJOGは最初のとき非常にクオリティに問題があって、すごくばらばらだったんです。
 ところが2年ぐらいで一気に質が上がるんですね。これはやはりそういうチャンスがなかっただけでポテンシャルは間違いなくあるということを非常に実感いたしました。
 今、私たちがそこにもう少し放射線治療の先生方が入っていただいて、一緒にクリニカルトライアルできればいいなと思っているんですが、平岡先生がおっしゃったように皆さんお忙しくて、いろいろなアクティビティにお入りいただこうと思っても申し訳ないような状況が続いております。
 だから、その状況をやはりどうにかならないとポテンシャルあるけれどなかなか余力がないという状況がありそうな気がしています。
 1つ、いいですか。配付資料の資料3の2ページ目のところに日本と欧米で放射線治療を受ける患者さんのパーセンテージが圧倒的に違うというデータがありましたが、これは例えば緩和照射の比率が違うのか、それとももともと治療適応基準や設備が違うのか教えてください。
○野田委員長 最初の患者です。緩和照射ではないです。
○中西委員 そういうことですね。ということは、やはりどうしてこれが起こっているかの理由が、もう少し具体的に見えればと思ったんですけれども、どうしてこんなに違うんですか。
○平岡委員 それは我々が情けないんですけれどね。外科の先生が頑張って、今、日本のがん医療というのは外科の先生が診断から治療から看取りまで全部やってきたわけですよ。そういう歴史的な背景もありますからね、我々は敬服しています。
 ただ、例えば子宮頸がんというがんを取り上げると欧米ではほとんど手術しないんですよ。手術するのは1期だけなんですよ。2期になると全部放射線治療なんですけれども、日本では3期でも放射線治療する先生もおられるようなことで。
 だから別に放射線というのは高度化ということではなくて標準治療として軟化ということがあって。更に言えばランセットにそういう早期なものがあっても、手術しても放射線にしても差がないという、全く重なるんですよ。データが出ても日本ではなかなかそうならない。それは、1つは医療体制として日本では放射線治療が整備されていない。その一方で不認可の体制はしっかりしているというところもあるかと思いますが、多分そういうのも関係していると思います。
○野田委員長 差がないんだから別に、私が婦人科を守っても仕方ありません。差がないんだから手術してもいいんです。それは放射線の。
 ただ、フランスが特に放射線が非常に早いので、子宮頸がんに関しては圧倒的にフランスオリジンの放射線治療が広まっていて日本は手術があれだったと。あと、外科医がうまいし、あと全身管理が非常にいいと。
○松原委員 1つだけ、大事なことは日本の手術成績がいいということです。欧米の手術成績と日本の手術成績が違うので、そこの対象が違ってくるので、日本の場合は手術の方が上にいってしまうことが。まだランダム化試験そんなにはできていないので。
 特にモダリティの違うランダム化試験、非常に難しくて。今、私が参加しているJCOGで食堂がんステージ1に関して放射線抗がん剤治療と手術のランダム化比較試験やっていますけれども、ほとんどランダム化の部分には、よほどの人でない限り患者さんが入らないですね。
 そういうことが予想されたので、患者さんがどちらか選んだ場合も、そういうプロステクティブスタディとして比較するという試験、今まだ続いていますが、なかなかモダリティの違う試験というのは難しい。
○野田委員長 特に手術の場合は、患者さんどこかに来るとき、その人に手術してもらいたくて来るという人がすごく多いときにランダム化試験に入ってというのは全く難しいし、そこ非常に難しいですね。
 だから、ケモラジのあれだってやれているのはまだ食道はいい方で、ほかのところはアジュバントセッティング、本当は有効なのかもしれないけれども本当に組めないでいるということが多いわけですね。
 もう一回戻りますが、平岡先生両方やられているから、ここでがん対策基本計画における放射線治療のこれからの在るべき姿と、そこに研究をどう貢献すべきかというのは、ちょっとわけて考えないといけない。やはりまとめるときにはそちらは関係ありませんと言うつもりはないんだけれども、やはり分けないといけなくて。
 放射線治療の問題点は、せっかくこれだけの専門家がいて話しているので、ここで出てきたものは協議会にお渡しするなりしますが、研究としてやらなければいけないことというのは1つやらなければいけなくて。
今の話、それを過ぎてしまうので2つ。1つは祖父江先生に、こういういろいろな形の治療が出てきているものの、有効性を本当に取り組んでいって評価をきちんとしようというような政策的研究、あるいはいわゆる評価の検視に近いような。治療の有効性なり、治療の、本当にそれだけきちんと均てん化、患者さんに均てん化して届いたでしょうというのに加えて、本当にそのクオリティのものが届いているのという研究は、今、日本でどのようにやられているんですか。
○祖父江委員 だからまずは、新しい治療法の開発というところの研究は。
○野田委員長 いまはそれではない。
○祖父江委員 それではなくて。均てん化がどのように進んでいるかに関しては、何を行うべき標準の治療と定めるかというのがまず基本にあり、それがどれだけ普及しているかということをどうやってはかるかというところですね。
 標準治療をきちんと定めるというところは、きちんとした証拠に基づいてガイドラインを決めるという作業であり、その標準治療がいかに普及しているかというところをどうやってはかるかに関しては、どの程度の情報を細かさをもって集めるかにもよりますが、今のところがん登録ではそれは十分な臨床情報として集まらないので、ある程度ポイントを定めてはかるという仕組みでクオリティインディケーターというのも考えていって。拠点病院を中心としてこれをはかれば標準的な治療がというか質の高い医療が行われているだろうと考えるものをポイントを定めてはかると。
○野田委員長 そうしたときに、ちょっと皮肉な言い方ですが、平岡先生はIMRTが外国は99%だと。IMRTをやっているかどうかという調査は、せっかく平岡先生調べていただいたわけだけど、調査は簡単ですよ。だけど、これで均てん化していると言っていいのかという、僕はそこですよ。
 だから、IMRTをやっているんだったら、そのIMRTに関してはどういうものをQIにして本当にあるレベルのある幅であって、一定のレベルのIMRTが行われているということを見るということはなされているのか、あるいはそういう研究はどうされているのか。
○祖父江委員 だから、こういう対象の患者さんにIMRTを行うことが最適な医療であるということをまず何かきちんと定めないと。
○野田委員長 それはわかる。だから、僕が言いたいのはそれが最適だというのがマルチモダリティのときにものすごく難しいんだと松原先生が言っている。その中でそれを選んだ。マルチモダリティがいっぱいある中でこれだと決めるステップがあって、次に選んだものを均てん化したときに、あるセッティングではちゃんと動いていたけど、本当に均てん化になってそのクオリティで、高い機械買っているんではなくて、本当にいいクオリティの治療をされているかというのはどこがフォローアップしているのか、そういう研究は/されているのかという。
○祖父江委員 だから、こうあるべきものがきちんとやられているか、医療行為がきちんとされているかということをまずはかる、そのプロセス評価というのがありますね。それは詳細な臨床情報を集めないといけないので、その仕組みをなんとかつくるべしなんですが、すべての診療情報を集めるわけにもいかないのでピンポイントで何か集めると。
 その結果、どうだったのかというアウトカムの評価というのもあるわけで。一番固いのは生存率とか死亡率の減少ですが、一方でクオリティとか、クオリティオブライフというようなものもあって。患者さんの側に立った患者さんの満足度とか、そういうものも併せてはかる仕組みを考えると。
 これは別に放射線治療とか診断機器に限った話ではないですけれども、そういう枠組みを考えていく。それは研究というよりは、研究はこういうやり方で評価をするとよいですよという雰囲気はあり得ますが、実際にそういうモニタリングとかするのはまた別の仕組みとして考えるということで医療そのものになっていくかもしれません。
○野田委員長 あともう一つ、せっかく平岡先生言われたり、松原先生言われたように、別にこの放射線治療を受けている人のパーセンテージというのは医療のクオリティとかを表さないわけですが、でも、例えば学会によってもあるがん症に関しては、やはり例えばこれだけの人が放射線を受けるべきであるというのは出せますね。
○祖父江委員 どうですか、それは。
○野田委員長 つまりそういうのが、がん症やステージによってはっきりしてくれば何で日本は外国のように何%にこれは近づかないんだといって初めて、そこが近づかない問題点を探ることはできると思いますね。
 そうでなく、全体の%だけを見ていると本当にそれが問題点なのか、単に日本のいいところが反映しているのか、その区別がつかないではないですか。
○祖父江委員 ですから、放射線治療をやる、やらないだけではなくて、どんな対象の人にというところで適用範囲を定めていって、やっているかやっていないかのパーセンテージを出せば、ある程度診療の質に迫れるかもしれないというところではないですか。
○野田委員長 各がん症のそういうパーセントというのは、僕なんかうちで頼んでも学会の方のデータで。どこか、いわゆる公だったりがん拠点の何とかにあるんですか。
○平岡委員 それはどうなんですかね。
○野田委員長 放射線に関しては、みんな学会の方からのデータをもらって使うしかないんですけれども。それはどうしてないんですかね。
○平岡委員 今はがん登録が少しずつ進んでいますから、それが何個ありますかね。
○野田委員長 がん登録でいくのかな。
○祖父江委員 やはり、放射線の中身については、やったやらないぐらいの情報しかなくて、放射線治療の方でやっているのはパターン・オブ・ケア・スタディに当たるような細かい情報を集める仕組みがあってしかるべしだと思います。今のところ、院内がん登録という仕組みであればできません。
○野田委員長 できないの。
○祖父江委員 できません。ですから、放射線治療ということに限って言えば、そういう治療内容をきちんとパラメータ化したものを情報を集めるような仕組みを、ちょっと研究的な形で取り組むということがまず第一かもしれません。
 まあ、パターンオブケアスタディというのは外国ではかなりやられていて、それが診療の質をはかる仕組みとして。要は院内がん登録では集められないようなものをきちんと採録なり何なりして情報を集めて、それで放射線治療をやっているかどうかということで判断をして質を評価すると。あれもきちんと仕組みとして組み込んでいく必要があると思います。
○平岡委員 放射線腫瘍学会の若手がだいたい毎月50人ぐらいなんですが病院をアトランダムに選びまして、そこに直接カルテを見に行くんですよ。それぞれ50項目ぐらいを全部見て、だからカルテ見るから全部正直ベースなんですよ。それで全部やっていたんですね。そういうのを15年間やって、それを今、アメリカと韓国と比較して。そういうのがベースになっているんです。
 それは確かに私も非常に意味があるんではないかという気がするんですけれどね。
○野田委員長 気をつけないと、非常にありがたくて診療報酬もこれだけいろいろケアしていただいているんだけれども、今、25%が将来50%になるだろうと言われている、その25%がどう増えていくのかというのは、やはりものすごくきちんとケアしないと、本当に医療の質をよくする意味で放射線が広がっていくのか、そうでないのかというのがものすごく大事なポイントのような気がして。そこには開発研究とはまた別な研究的な考え方のはまるべきところがあるようにちょっと思うんですが。
○大津委員 今、野田先生が言われたことがポイントになるんだろうと思いますけれども、やはり研究の話と実際の現場の医療のマンパワーとかいろいろなシステムの体制整備の問題というのはまたちょっと別だと思うで。やはりそこは診療報酬なりそっちの経済的なものが入ってこないと、研究でこれをどうこうという話はなかなか結び付かないんだろうと思います。
それはやはり、かなり診療報酬のところにいきつくのかなと。放射線の医療技術に関して、かなり評価が現時点で低すぎるんではないかという、だから、そこを上げなければならないというのは非常に思います。
 あと、もう1点。研究点に関して、機器の問題はすごく大事だと思うんですが、もう一つ平岡先生が挙げられている生物学的なアプローチに関しての研究等に関しては、どのようなことが今、日本で問題点なんでしょうか。
○平岡委員 1つは、やはりイメージング技術ですね。なかなかそれがコマーシャルできないのですよ。1つはプローブそのものの問題もありますが、マーケットが余り大きくないんですね。そうなるとなかなか企業がそれを商品化しないという問題があります。
 要するに、例えば今のCTの造影です。ヨード系造影剤というのはもうかるんですよ。ただ、特異性は何もない、ただ単に血管を染めているだけなんですけれども、そういうのはよろこんで参入するのですが。
 例えば、低酸素はまだ関心があるんですけれども、何かのたんぱくだけを見るようなものというのは。研究とか診療ということで意味があるんですが、それが対象となる疾患というのはそんなに多くないんですね。その一方で、結構いろいろな薬事とか認証試験とかやってくるとやはりお金がかかるので、なかなかその中にうまく参入してくれないという問題がありますね。
○大津委員 我々のところもちょっと分野が違い、内視鏡関係の機器開発やっているんですが、非常にわかりにくい。これはいわゆる治験としてやるのか普通の臨床研究、高度医療、あそこの枠組みというのはなかなか難しい。多分手術とか放射線も似たような部分があるんだと思うんですが、そこを。
 先ほど中西先生が質問されていたレギュレーションというのは、うちの場合はほとんど今、ICH GCPで、結局ほぼ世界基準が標準化されつつあるんですけれども、その辺の医療機器に関しても同じような流れというのはないんでしょうかね。
○平岡委員 だから、医薬品でも問題になりましたね。治験と臨床研究が一体化された仕組みというのは結構欧米ではあるんですね。日本はそういう。
○大津委員 内視鏡のところもそうなんですが、改良型のはできるんですけれども本質的な一番新技術というものに関しては、本当にいいところというのは同じように欧米に逃げているんですね。
内視鏡なんてほとんど日本の企業がリードしているんですが、実は内視鏡もまずくなってきていて、日本が後押ししていた部分というのが結局本当にいいところが向こうに逃げてしまって、改良的な話はたくさん出てきているんですが。
 だからそれは多分、やはり臨床研究とか臨床試験のシステムとか、ちゃんと申請の枠を目指したシステムができているところとできていないところで、そのような機運をしっかり見て向こうに逃げてしまっているのかなと。
 先ほど、向こうで東芝が開発拠点にしているというのはそういうことなんですか。
○野田委員長 もうちょっと問題を明確にしないとそこはわからないと思う。本当にそうなのか、何か。
 内視鏡はそれでもまだ少し侵襲性が低いので、体の中にものを入れようというイメージングに比べたら、まだいいんだと思う。それでもそうだとすれば、ちょっともう少しデータがないとまだそこのところは本当にどうなのかというのはわからない。
 ただ、例の平岡先生も言っている、いわゆるイメージングですね。診断まで含めたイメージングのいわゆる開発における薬事や何かの問題点というのはどうなんですかね。
例えば、抗体を使うのはいいですけれど、いろいろな光る物質を体の中に入れるのは大変ですね。ICGか何か使っていればそれはいいだろうけれども、ICGの残基1つ変えたらものすごく大変ですね。その辺はイメージングでどうですか。
○平岡委員 まさにそれはDDSが医薬品化医療評価というのは微妙なんですが、DDSも1つ構造を変えたら新規になるんですね。あれでは僕も大変だと思います。同じですよ、構造は変わると思う、別のものになるんですよ。そこが厳しいですね。
○大津委員 薬の場合とちょっと機器の場合は違うと思うんですが、DDSの場合も一般の抗がん剤よりはちょっとゆるいというか、ところはあります。ただ、そんなに大きくは。
○野田委員長 それはなんで。なんで同じ、ある濃度で体の中に入るのに一般の抗がん剤より。
○大津委員 安全性の部分というのは前の先発品がありますから、それでそこの部分というのはかなり楽になるんだろうと思います。
 ただ、そうなると結局先ほどのちょっとした改良だけで医療費がどんどん上がって、直江先生が指摘されたのと同じような問題と。だから、臨床的には若干いいけれどもどれほどという話の、多分そこの問題点にいきついてきてしまうと思うんですね。
○野田委員長 おまけに特許がいろいろ重なってきたり、いろいろ組み合わせの治療になってくるけれども、基本的にはうちなんかでもやっている治療を考えれば、例えばリニアック買うのが一番金が取られるわけだから。あのリニアック、日本で何台ぐらいあるんですか。
○平岡委員 1000台ぐらいですね。
○野田委員長 日本製というのは三菱重工の数台。
○平岡委員 7、8台ですね。
○野田委員長 7、8台しかないわけですね。残り九百九十何台が全部外国から輸入されてというあれですね。それを日本がもう一回戻すのにはどうすれば。大きなイノベーションの医療機器への展開。
○平岡委員 ただ、まだできて2年目ですから、それを1つ推進するのがあれですし、今、ネドプロでも新しい装置も開発しているんですけれども、それはベンチャーがやっているんですが。だから、1つそういうモデルというのですか。
○野田委員長 マイクロビームの話ですか。
○平岡委員 マイクロビームですね。ただ、そういうサクセスストーリーがあるとそれに続いてくると思うんですね。三菱重工という会社がやっているんですが新規参入なんですね。そういうのを少し大事にしていって、そこのどういうところに問題があったかというのを整理して、その辺りが大事だと思うんです。
○野田委員長 よろしいですか。そうしたら次、松原先生の方に。
○松原委員 よろしくお願いします。基本的な部分は平岡先生の作成した資料2にすべて網羅されているというところで。手術という独特な分野があるので、外科におけるがん研究について簡単にまとめてみました。
 平岡先生におっしゃっていただきましたように日本では外科医ががんを一生懸命やってきたという背景があって、特に固形がんの標準的な治療は手術が基本になっています。
 要するに外科治療イコールがん治療の研究ということになっていまして、その主要目的はそこに書いてあります生存率の向上と手術死亡率を含めた合併症をいかに減らすかという、この二つが基本的な大きな目標であったわけです。
 それをするのにどうしてきたかというと、まず、手術手技、手術方法をいかに変えていくかという研究が進むわけですね。これもドラスティックにぱっと変わるということは余りなくて、いわゆる改良・改善が少しずつ進んでいったということで。それに伴ってやった手術の生存率がどのぐらい上がったかということで、だんだんその方法が標準的な手術ということで固まってくる。
その結果、世界でも特筆すべき、先ほども申しましたが欧米に比較して非常に良好な手術成績が出てきたというところです。
ただし、その結果、改良・改善を加えてきてできあがった治療法なので、今、はやりのEBMにすると、いわゆるエビデンスレベルの高い治療法ではないですね。今やっている標準的な治療というのはどういうエビデンスがあるかというと、エビデンスレベルとしては非常に低いと。
ということで、このEBMということが叫ばれるようになってからやはり外科でもそういうエビデンスをつくらないといけないということで多施設臨床研究を推進するようになってきて、いろいろな治療、例えば手術で胃と腸をつなぐのに機械でやった方がいいか、手で縫った方がいいかという基本的なところから臨床研究を。これは小規模なトライアルですが、これはうちの前の教授が研究でやっていたんですけれども、そういう基本的な単純なところから臨床研究をやっていくというところが少しずつ進んできています。
手技もそういうことで、更に機械に関してもちょっとずつ悪いところを直していくわけですね。直したら、どう評価するかというのは非常に難しくて、改善した部分でどのぐらいクリニカルベネフィックがあるかという評価は非常に難しくて、単に外科医が手術がやりやすくなったというところで、それだとやはりエビデンスとしては非常に乏しいんですけれども、そうやってやはり使いやすい機械をどんどん改良して使ってきたという背景があります。
これについても、もっと進んでいまして最近では鏡視下手術、内視鏡を使ってお腹を大きく切らないでやる手術と普通の開腹による手術どっちがいいかということ。内視鏡の手術と回復の手術を比較する多施設臨床研究の大規模なものがようやく進むようになってきたというところで外科医の考え方もだいぶ変わってきて、そういうエビデンスを創出するという観点で器具、手技の改良が最近ようやく進むようになってきた。
ただ、それですべて解決するかどうか、なかなかそこも難しいところで、先ほども言ったクリニカルベネフィットが余り出てこない部分の改良というのもあるので、そこをどうやっていくかというところが非常に難しいところだと思います。
それから、当然外科は限界がありまして、外科ですべてがんが治れば万々歳なのですが、まだまだそこまでいっていないというところで、集学的治療ということで基本的に術前治療、術後治療、化学療法でやるのか放射線療法でやるのか、そういう組み合わせの臨床研究ですね。こういうことが非常に多く行われ、こういう集学的治療の研究に関しては非常に臨床試験はやりやすい、比較試験はやりやすいということで、こういう臨床試験は多く進められて、いろいろな情報が最近発信できるようになってきたというところだと思います。
今日のテーマの大きなところでありますが、侵襲の少ない手術の開発ということで治療機器の開発なんですが、今回ここに書いてあるのは治療機器だけなんですけれども、先ほど平岡先生が言った診断機器も非常に外科にとっては重要で、要するにがんのないところはとらないという基本的な、余計なものを取る必要はないというところで、でも、どこにがんがあるかわからないから広めにとってくるというところが体の負担になるところなので、最近乳がんでは非常によくやられているセンチネルリンパ節とか、最初に色素とかRIといったリンパ節が転移があるかないか、転移がなければリンパ節は余りとってこないという診断ですね。その診断の機器の開発というのも非常に外科にとっては重要なものです。
特にこれに関してはやはりアメリカ等はすごく研究が進んでいて、先日もある学会にいくといろいろな、それこそベンチャーがセンチネルのディテクター、検出機器、あるいは使う薬剤等の開発をすごく積極的に、これは日本とは全然レベルが、熱意が違いました。そういうところが日本の多分がん研究で遅れている大事な部分だろうと思います。そういうのが診断機器の開発の重要性です。
もう一方で治療の方ですが、先ほど言った内視鏡の治療が非常に進んできたと。ただ、これもほとんどの機器が外国製なんですね。実に日本での機器開発が非常の遅れているというところで、これも日本での機器をいかに開発していくかというところが非常に重要で。
更にそれがもう一歩進んだ手術ロボットの開発もまた日本が遅れているというところで。こういう新規機器開発を行うには、やはり先ほども平岡先生が言ったように医工連携ですね。それから、とてもやはりそういう開発は研究者だけではできてこない。やはり、産業企業が絡んでこないと駄目だと。
先ほどのセンチネルの話もしましたが、まず小規模なものであればベンチャーを通して開発していく。大型機器、先ほどの照射の機械なんかになるとベンチャーではとても太刀打ちできないと思うので大企業が入ってこないといけないと。
それはどういう規模のものを開発していくか、小額の規模でいいものであればベンチャーでいいでしょうし、高額な機械であればやはり大規模な企業が参入してこない限り、なかなかその開発は難しい。
先ほども申しましたが、その開発には特許が複雑に絡んでくるので、その特許がどういうふうにどう絡んでいるのかをきちんと理解する。相談して、すぐレスポンスして答えてくれるというところが必要だと。
当然、スピードが大事なわけで、それを開発していく際に、やはりその審査が遅いと実際の臨床現場で使えないわけですね。そうすると競争に負けるということになる。
これが外科におけるがん研究の大まかなところだと思います。
具体的に次のページに細かいこと書いてありますが、これはうちの教室の第二代目の中山恒明という日本で最も世界的に有名な外科医で、この人は手術がうまいということで有名だったんですけれども、こういう機器開発が非常に優れていて、優れていたというか医局員にどんどんやらしたわけですが、こういう、上の段は血管の吻合の機械ですね。下の段は胃と腸をつなぐ機械です。下の機械なんかは私が医者になってしばらくはまだこの機械を使っているぐらい使われた、世界でも結構使われた機械です。
この手の機械だと先ほどいったベンチャーというか、これはMERAという会社なんですが家内制手工業というか町工場的なレベルで対応できるわけですけれども。
それはどういう時代だったかというと、次のページに行って、食道がんの手術は昔惨憺たる成績で1950年代の中山先生が始めたころは世界の死亡率が50%、3~5割と。今の医療事情ではこういう手術は絶対に許されない状況のような手術をやっている。その時代にもう中山先生は9.1%ということで世界的に有名になった。
このぐらいのレベルのときの手術機器の開発が先ほどの機器開発で、それがどんどん上がってきて、70年代以降になると世界的に余り手術死亡の成績が変わらない。最近どうなってきているかというと次のページになって、ベッセルシーリングシステム、これは電気メスの高級なものと考えていただければ。要するに血管を固めながら、固めた後に中央に金色の部分がありますが、それで切るという。これもすべてディスポーザブルの器械で、こういうものになってくるととてもではないけれども、これはとても高価で先ほどの家内性手工業的な日本の企業だとなかなか開発しにくい。
下が環状自動吻合器で、これも食道と腸とか、胃と腸をつなぐときにこういうのでガッチャンと、そこにあるホチキスみたいなもので腸と腸をつなげるわけですれども、こういうものの材質の開発、いろいろなシステムの開発はグローバル、グローバルといっても既に欧米でほとんど開発されて、こういう機械はほとんど、特に下の吻合器関係はきちんとしたシェアを調べられなかったのですが、特に消化器関係においては100%に近いぐらい欧米のものが使われて日本のものはほとんどない。
上のベッセルシーリングシステムについては日本の会社、多少まだ入っているのですけれども、ということで惨憺たる状況になると。
そういう惨憺たる状況になると何が悪いかというと日本人が手術したときに、先ほど平岡先生がこういうところを改善したいという意見がとおらない、欧米のところに届いていかない。日本人が希望する治療機器の改良、開発がそこでなかなかうまくいかないというところが問題になります。
更に、典型的な話は手術ロボット。そちらに九州大学の前原教授が来ていらっしゃいますが2000年に九州大学が初めて日本では入りまして2009年、9年間国内承認にかかったんですね。その間、やはり承認が9年間かかった間に入れられた機関は5機関でした。2009年以降、これが承認されてから日本にようやく入るようになって、現在日本中で17台入っているそうです。ようやく千葉大学にも入れていただけるということで。まだ入っていないですけれども、それは余談ですが。
実はこの機械、1台幾らするかというとだいたい3億円ぐらいすると。1台3億円するだけではなくて、年間保守・管理料が2,500万。更に先ほどの消耗品ですね、吻合に使う機械とかそういうのを使うと年間20例ある手術が1,000万近くかかってしまうと。これがすべて外国へ流れていくわけですね、結局の話。これはもう非常に由々しきことだと思います。
こういう大型機器は先ほども言いましたが、なかなか開発は研究者だけでは非常に難しいということで、きちんと産学官が一緒になって開発していく必要があるし、話によるとこれの関係する特許がだいぶ、もうすぐ切れるらしいんですね。なので、いろいろな開発ができるんですけれども、そのできる開発がこういう状況で日本に入っていないのでなかなかうまくいっていなくて、多分それは韓国に抜かれるのではないかといううわさがあります。
そういうところで承認の遅れがそういうところにも関係してくるというところだと思います。
その後はもう基本的な資料なんですが、これは2010年の日本外科学会、2011年は大震災で中止になってしまったので、2010年の日本外科学会学術集会の協賛企業の中で私がピックアップした手術に関係する器具をつくっているメーカー、余りないんですけれども抜粋しました。
先ほどの中山恒明が一生懸命つくらせていた泉工医科というのは、この中でAになります。資本金3,000万という中小企業。Bの会社は有名な会社です。先ほど大津先生が言った内視鏡を一生懸命つくっている会社で、この会社が先ほどのベッセルシーリングシステムをつくっていたりして、唯一グローバルに対抗できる会社が1社のみで残りはC、D、Eとこういう資本金の会社で、産と組むといってもなかなか難しいかなと。
先ほど、平岡先生がリニアックの三菱では新規参入だという話がありましたが、そういう新しい企業が参入してこないとロボットみたいな大型のお金がかかる機械の開発はなかなか難しいと感じます。
最後のページが、医療機器センターが出している平成21年度薬事工業生産動態で、右下が医薬品の輸入と輸出の比べですが、ついに中村先生と一緒にネイチャーに出てしまいまして、日本の輸入超過が世界中に知れ渡ったということだと思います。
医薬品ほどは差はないですが、医療機器に関してもここに見せましたように赤字の輸入金額はどんどん増加しているというところで。やはり、治療機器に関してもどんどんイノベーションを日本から発信して日本発のものをつくっていかないと、ますます医療費が破綻する1つの大きな原因になっていくだろうと感じます。
外科に関しては以上です。
○野田委員長 ありがとうございました。それでは外科に関する部分でどうでしょうか。
○大津委員 「ダビンチ」の承認まで9年かかった原因というのはどういうことなんでしょうか。
○松原委員 そこは私にはよくわからないんですが、なぜ9年かかったかというのはよくわかりませんが、結果的に9年かかったということで。
○直江委員 医療費は欧米に比べて日本は一般的に安いと言うんですが医薬品に関してはほとんど一緒ですね。手術に対する報酬というのは、日本はどうなんですか。
○松原委員 むちゃくちゃ安いです。去年、中医協から改定があって、ようやく外科手術、特に高難度の外科手術に関して診療報酬改定があって、ようやく少し上がりましたが、まだまだ。
 特に、欧の方はよくわからないですけれども、一番資本主義の発達している米ではやはりサジカルフィーというのはありますけれども、そこは全く研究とは別の話ですけれども。
○野田委員長 それは別の国の話になるので、ちょっとまた別にしてください。外科の医療費そのものは。
○松原委員 とにかく医療費、外科の手術費用というのは非常に安く抑えられているというのが現状ですし、医療機器に関して言うと保険ですごく厳密に制限されているんですね。この手術にはこの機械が何個までという。それを超えると自分たちの技術料を減らして、その機械に払って、その機械をつくっている会社にお金が入っていくということになっているわけで。
○野田委員長 だから、難易度の高い手術をやればやるほど医療機器を消耗して、赤字だという話をよく外科の先生から聞くんですが、そこは評価の方がおかしいんではないかと思いますね。
○松原委員 ちょっと難しいところですが、厚労省の考え方に傾くわけではないですけれども、今度は逆に先ほどの手術におけるエビデンスの取り方というのが薬におけるエビデンスの取り方に比べるとやはり難しいというところがあって。そうすると、やはり外科の先生たちはいいもの、新しいものをどんどん使うという方向にどんどんいってしまうので、そこはやはりある程度制限が、何でも認めてということではないんだと思うのですが。
 ただ、こういうものはやたら高いんですね。それが全部、病院からお金出して買うことになるので、本当に外科は、値段は7倍ぐらいではないですかね。5~7分の1ぐらい欧米で同じ手術を受けたときにかかる。ただ、差額ベッドの話とかいろいろなところまでなりますからまたかわりますが、そのぐらいではないですかね。
○直江委員 多勢に無勢ですが、例えば大腸がんの術後アジュバンドで年間300万円、600万円というのもありますが、それだと500人にすると3億円ですね。そうすると「ダビンチ」は安いんではないかという気もするんですが。
だから、そこの仕組みが放射線治療もそうなんです。アメリカは手術ほどひどくはないですが欧米の方が点数が高いんですね。医薬品といろいろなカテーテルとかそういうものはむしろ日本が高いんです。
 だから何となくそこが、必ずしもフェアではないというんですか、明確になっていないんではないかという気がしますね。最終的には患者さんにいかにフィードバックできるかというのがエンドポイントですが、そういう観点からいくとやはり正直、本当に日本の保険制度は変だなと思います。
○野田委員長 ただ、医療費のところでも出てきたように研究との関連のところですが、基本的にある程度限られた医療資源の中で、とにかく基本的に日本初のものを生み出す努力をしないと日本の医療にも影響が来るし。日本の医療のクオリティが落ちると同時に結局研究の資金もなくなってしまう、研究開発の意欲もなくなると。これはやはり逆転してまわしていかないと、という共通した部分ですね。
 薬事法の問題があるにせよ、基本的にそちら側にものをまわしていかないといけないと。そこにも研究というのは大きく貢献できるはずだというのは薬であろうが機器であろうが共通であるというところはいいと思うんですが。
○大津委員 それは非常に大事だと思うんですが、1つは我々、患者を診ている立場からいくと1つの考えとして日本発のものであっても、欧米のものであっても、患者にいいのではあればそれを早くやるというのが1つのポイントとして考えられるでしょうし。
 それから、例えば今回の「ダビンチ」にしても、日本で今から企業を興すといっても余りにもないですね。これと似たものをどこかでと言われてもできない。だけど、例えば韓国とかシンガポールは物すごい勢いでやっていますね。実験で内視鏡治療にまでこれを応用したというのは僕らもびっくりしたんですけれども、これはとてもかなわんと。だけど、韓国とかあそこがつくっているわけではない。だからその辺をどう。
○野田委員長 でも、つくろうとしていると思うけど。一応追いかけは。
○松原委員 韓国は多分国がバックについて企業をバックアップしているんだと思います。そこは不確かですけれども、完全に自前で。さっき言った特許切れが目の前にあるので、もう完全に。最初は模倣でいいわけですよ。プラスα、改良点をのっけて、そうすると勝てるわけですね。
○経済産業省医療・福祉機器産業室 そういう意味では経済産業省の方で、内視鏡に強い会社と組んで、日本型「ダビンチ」というとちょっと語弊がありますが小型で使い勝手のいいロボット手術機器の開発を進めているところでございます。
○野田委員長 そのときに触感センサーの問題だったり、やはり日本で強いもの優れているものをきちんと評価して、それを組ませるということをやはり一生懸命やるというのがすごく大事だと思うのです。
 往々にして日本は一つ強い要素があると、そこにべたべたとみんなが、そんなに強くないものがくっついていくというのがあるから。やはり本当に日本として強いもので本当にリードできるものをつくるというのであれば、それを選ぶという。
○経済産業省医療・福祉機器産業室 そうですね、日本が競争力のある診断系を伸ばしていくのは勿論ですけれども、治療系機器の日本発のものをいくつか中小企業の力でもって、先ほど先生がおっしゃったようになるべく国内でつくれるものはつくっていく形にしないといけないですよね。それもやはり先生方が現場でお使いになるのは数が出ていかないと、手になじんだものは外国製であるとやはりどこにいても外国製のものをつくっても、勿論当然だと思うので。
日本製のものをつくって、日本の先生方に国内や海外でお使いになっていただいて、日本に戻って来たときに、あるいは外国に行ったときに、やはり日本製はいいね、あれを使いたいねと御指名いただくような形にサイクルを回していくべきだと思います。そういった形になるよう今、経済産業省で進めております。
○平岡委員 ロボットはすごくいい例だと思うんですね。というのは、産業ロボットというのは日本が圧倒的シェアを持っているわけですね。放射線治療機器も「サイバーナイフ」というアメリカが入れた最初のロボットはファナックのロボットなんです。それなのに何で医療の手術ロボットというのが、多分技術的にはそこのエンジニアの人はこんなん簡単にできますよとみんな思っていると思うんだけれどもそこが何が一番ハードルなんですかね。
 企業そのものの問題なのか、医療に対する何となく、特に治療用ということで、あるいは規制の問題なのか、その辺りはどうなんですか。
○経済産業省医療・福祉機器産業室 よく言われているように薬事法関係のところでやはり時間がかかると。9年というのは、初めてだということもあって時間がかかったんでしょうけれども、薬事承認のところで時間がかかるのとお金がかかるというところと、まだよくわからない分野にどう参入していくかというリスクを日本はとりにくいというところかと思います。
 ロボットは先生がおっしゃったとおり、いろいろな工作機械ですとか、あるいは車とか半導体の組み立てのところとか非常に細かいところを組み立てるところについては、日本は非常に強みをもっていますし、半導体製造装置なんかでも相当程度日本のロボット技術が使われているわけです。
 同じものを医療に使えばいいわけなんですけれども、なかなかそこのところを医療の先生方の声、あるいは考え方を反映して、では、おれのところでつくってやろうという形になかなかならないという。ビジネスモデルを組みにくいといいますか。幾ら投資をして、いつ回収できるかというところが見えにくいので、結局、ほかの分野での投資に先に手を出していくという形になってしまうのだと思いますで。
○平岡委員 参入しにくいということは、逆に言えば一旦確立すれば、そこでそんなに努力しなくてもそこが維持できるという意味もありますね。そういう視点は余りないんですかね。日本の企業は早くもうけないと気が進まないんですかね。
○野田委員長 先生、それではなくてもたないんですよ。企業自体がもたないからつぶれちゃう。デスバレーというレベルではないということだから。
○経済産業省医療・福祉機器産業室 医薬品でも同じ世界だと思うんですけれどもね。
○直江委員 聞いた話ですが、やはり体内機器についてはPL法なのか責任あれなのかわかりませんけれども、多くの製造メーカーは非常にコンサーバティブですね。
 だから、そこがどういう道筋でやっていければいいのかというのは、先ほど言われたように医薬の場合は非常にわかりやすいんですが、こういう場合、どうフェーズ1的なものを最初にやるのかということが、多分なかなか医学の先生もわかっていないし、製造メーカーのものづくりの人たちもよくわからない。
 だから、そういうところのレギュレーションというものをもう少し突き詰めて育てていくというところが、私はいまいちはっきりしていないのかなという気がします。
○大津委員 いつも思うんだけれども、薬のフェーズ1というのはある程度方法論が確立していますが、こういった外科的な手術もうそうですし内視鏡治療とかもそうですが、そこの本当のいわゆるファーストインヒューマンはどうやるか、非常に方法論はないんですね。
 結局、要は一例一例ちゃんと見てちゃんとやると。何かあればそれを報告すると、医療の原点的なものをある程度積み重ねてから本当の臨床試験という形になっていくというのが現実。多分、海外でも同じような形だと思うんですね。
○直江委員 そうですね。お腹だけ開けて、そのまま閉じるなんてことはできないですもんね。ちゃんと手術をやらないと。
○中西委員 医療機器の場合と手術機器もそうだと思うんですが、アメリカとかでベンチャー企業とかはそこの開発に関与しているんですか。それはどんな状況になっているのかなと。何かわかれば。
○松原委員 やはり最初はベンチャーとか大学の研究者とで、先ほども言いましたように規模によるんですが、そういうレベルでやるものはセンチネルのディテクターなんてものはそんな大きい機械ではないので、そういうのはもう大学の中の研究者とベンチャーみたいな企業でやっていますね。それが良いとM&Aですぐ大きい会社が買いますね。そういうふうにしてどんどん出てきてくるところだと思うので。だから、とにかく規模に応じで機器開発をやっていかないといけない。
 やはり先ほどから言っているように、それを、つくったものをどう人に使うかというところがいかにシステム化してそれをきちんと評価をするか。多分、つくったものを最初から最後まで全部それでやるということはまずなくて、一部分ちょっと使ってみるというところから多分いくわけですね。動物実験は当然やった後にですね。そういうところの臨床試験の支援体制、それからそれを使った許認可体制をきちんとつくっていくことが非常に重要なんだろうということだと思います。
○中西委員 この前、アメリカのある大学と恒常的な連携をしているベンチャーがやって来まして、アイデアが日本から欲しいと。日本は技術がありそうだけど、今はアイデアしかないから、日本のアイデアをもとに開発の方は米国で是非やりたいと提案してきました。
 どうやりたいかというと、ローテクでもハイテクでもいいけれども、彼らは工場を持っていて、インベスティゲーターが大学とやり取りをしていて、そしてやはり外科医と一緒にやって改良化されていって、成熟段階になったらライセンスアウトする。あるいは高度なもののアイデアがあればそれをコーディネートするんですね。そのときに知財も一緒にマネージメントする。そういう仕組みがちゃんと確立しているなと。
 彼らはとにかく余力ができすぎてしまって、日本に頭だけ取りに来たみたいなところを感じまして。やはり、もちろん医学もそうですが医療機器もそういうシステムの構築が大きいかなという気がいたしました。
○野田委員長 日本ではそこがやはり時間がかかり過ぎて、そういう形が取りにくいのと同時に時間がかかり過ぎて、そこだけのインベストメントするあれがない。
 言い方を変えると昔の外科の教室というのは割と余裕があって、器具でも何でも自分たちで一生懸命改良してつくったり何なんりして。ですから、何もない時期だったから、そういうのを使ってもあれだったわけですね。
 だから、やはりそれなりのシステムをつくるということと、加えてそこにあるのは中西先生が言われたPL法の関係が体の中に入るのにはあって、お薬とは全く違った世界になってしまうからそこはあるんだと思うんですが。
 ただ、研究ということからするのでちょっとまとめるところが必要だと思うんですけれども、やはり医薬品の研究開発にとって必要なものということで一つ。その中に今言った、アイデアまではよくても、それを実現するところにある制度的な問題やシステム的な問題が解決できないと研究の成果も流れないという意味で触れるというのはいいと思うんですが、その詳細にまで入るというのは、こちら側ではちょっと違うのかなという感じがします。
○松原委員 あと、先ほど少し話が出た、医学研究者と工学研究者の交流が大事で、先ほど昔は要するに医者が先ほどの泉工医科器械の技術者が手術室に入っていって、こうしろよ、ああしろよとあこぎなことを言ってやらせていたわけですが、今はそういう時代ではないので、工学の研究者が手術室なり、そういう治療のところに入り込むと。
 うちの大学のことを言うとあれですが、千葉大学工学部はメディカルシステム工学科というのがあって、そこの卒業生の大学院の修士が今度うちの医学の博士に進んでくれて、彼はすごくそういうのを一生懸命やって、今はオペ室に入って、それはバイオイメージングの仕事を一緒にやっているんですけれども。
そういうことをどんどん進めていく、そういう研究が大事なんですが、では彼が卒業したとき、今、大学院生でうちの研究室にいるからいいんですけれども、卒業した後にどこにどう進んでいくかというと、病院の中にそういう人が使えるところがまだできていない。だからそういうのは病院としてそういうシステム、医工学のセンターを病院の中にきちんと立ち上げていくということも1つのがん研究として大事なことではないかなと考えます。
○野田委員長 そこは前回のTRのところにも関連してくるんだと思うんですね。つまり、TR拠点を整備するというのに関して、どういう整備があるべきかということだと1つは思いますね。
 特に改善改良が積み重ねだという機器に関しては、やはりその拠点で医工学とか、メディカルでない人たちが臨床の場の研究を一緒にできるような環境をつくるというのが大事だということです。
○経済産業省医療・福祉機器産業室 今、先生がおっしゃっていただいたこと、松原先生がおっしゃったこと、まさにそのとおりだと思います。
いろいろな大学でもこれから医工学研究科とか東北なんかもつくっていますが、やはりそこにピカピカの医学とピカピカの工学の人たちが一緒に集うような場所でないと医学と工学の中途半端な人材が来てもあれですし、先生がおっしゃったように出口が見えないとなかなか選びにくいということもありますし。
 もともと内視鏡分野でなぜ日本が強いかというと、東大の医学部とその会社が組んだところから育っていったということなんで、そうした背景からすれば同じことは必ずできるわけですよね。そういう意味では医学部、工学部の第一線の先生方が接する場というのは医工学研究科であるべきだと思います。いろいろな大学でも医工学研究科のようなものを作っているところです。
○直江委員 是非、そこに企業が加わらないとなかなか難しいというのは。工学部の最先端の先生は結構素材とか理論に走っていて、本当のピカピカの研究者はむしろなかなか組んでも言語が違うんですね。やはり、実際問題試作品が出てこないと。早く、先生これ使ってくださいという、例えばキットにせよ器具にせよ、戻ってこないと。どちらかというと医学部は待っているだけなんですね。
 だから、そういう意味で医工連携で大事なのはやはり企業。ベンチャーにせよ、試作機をつくれる力のある人がやはり入るということが僕は非常に重要だということと、今、松原先生がおっしゃったように、医学系、工学系両方のことについて精通した人がやはり要るのだろうということをちょっとお願いしたいと思います。
○野田委員長 ここで5分間休んで、最後の論点整理へいきたいと思います。今までのを見ながら論点のところをちょっと見ていただいて。だいたい、かなりピックアップされていると思うんですが、まだちょっと数が多いので、この中で本当に重要であるというものを選ぶぐらいの気持ちで少しいた方がいいかと思います。
 ここでまたディスカッションして、1つについてまた倍々ゲームになると、ちょっと多いかという感じがします。
 では、5分間お休みをして。

(休 憩)

○野田委員長 それでは始めましょうか。では、平岡先生、よろしくお願いします。
○平岡委員 よろしくお願いします。この医療機器の論点整理というのは、先ほど御説明させていただきました資料に基づいてまとめたものです。だから若干、課題問題点と対応策が1対1対応できていないところもございます。
 野田先生の御意見では、この半分ぐらいの項目がいいのではないかということなので、是非、皆さんの忌憚のない御意見をいただければありがたいと思います。
 それでは、これに従って進めたいと思います。まず、大きな項目がありますが、がん対策と医療機器ということで、がん医療の課題ということです。がん治療費の増加というのが、増加要因は高齢化と新しい治療法と。こんなん要らないかもしれませんけれども、その中でより効果的な医療技師の提供ということと国内医療機器産業を成長牽引産業に変革することが必要ではないかということが2つ、あったかと思います。
 その中で、治療技術並びに治療に有効な診断技術の開発ということがございます。医療器の役割という意味ですが、その対応策として早期診断と低侵襲治療と、予防と個別化医療というのを出したらどうかと。そして、具体的には治療のための効果的な診断技術。そして、診断と治療機器の統合。
早期診断・治療に関しては分子イメージング技術の活用、低侵襲治療についてはロボット手術、放射線治療装置、内視鏡治療・手術等の次世代かと画像誘導治療の活用と。
 予防、早期発見のための技術開発、そしてバイオイメージング技術とバイオマーカ開発と。重なっているところもありますけれども、新しい医療技術の提供と。開発ですかね、というところでそういう対応策と。開発目標ですか、具体的な機器の、どういう機器が開発すべきかという目標を挙げてございます。
 いかがでしょうか。
○野田委員長 ちょっと課題が少し大きいのに対して、対応策がオーバーラップしたりしているので、ここをもう少し絞りこんで。
 例えば、これはちょっと研究と離れているところですが、要するにがん対策と医療機器といったときに、やはり2番目よりはより効果的な医療技術の提供、機器開発によるということですね。
○平岡委員 そうですね。医療機器による革新的な医療技術の開発ですかね。
○野田委員長 そうなったときに、右側にいったときに出てきているものというのは、基本的にはやはり治療早期診断のあれですが、この辺だと広がってしまって、どうなんですかね。
○平岡委員 もうちょっと絞った方がいいということでしょうか。
○野田委員長 そういう感じがしますが、どうですかね。
○平岡委員 早期診断と治療ということで、早期診断については分子イメージング。バイオイメージングもオーバーラップしているので、バイオイメージング(分子イメージング)のがいいと思うんですが、それは残します。
○野田委員長 結局、先ほど出てくる日本の強みになりますけれども、結局、診断治療のときの早期診断となれば、もうイメージング技術の応用ということは中心になりますね。
○平岡委員 それなら、早期診断ということにして、バイオイメージングの方が分子イメージングよりもちょっと広いですね。バイオイメージング(分子イメージング)としましょうか。それは残すと。
 低侵襲治療はよろしいですかね。ちょうどこの辺りが今、すごく旬のところなんで。
 内視鏡ですね。治療・手術という言葉でいいんですか。内視鏡、鏡視下手術ですね。大津先生がされているのは内視鏡治療でいいんですか。それなら、これでいいんですね。
 その手術の先端ということでロボット手術ということで、放射線治療としたんですけれども。それについては次世代化と画像誘導治療の活用と柱があるかなと思います。
 もう一つは、バイオマーカ開発ということをここに入れるかどうかですね。多分、いろいろなところで議論になっているところではありますが。
○野田委員長 これは、やはり言葉として出口の方を見据えるのか、それともこれを強力に推進するために基礎研究的なところからTRまではずっと一括して進めるのかというところが見えていないので。
 バイオイメージングを考えると盛んに言われている放射線生物学も含めて、いわゆる基礎的なところからのあれなんだと。
○平岡委員 おっしゃるとおりですね。バイオイメージング、分子イメージングはそういうものが早期診断技術でありながら、いろいろな新しい医療技術の基盤技術という面もありますね。そういうところも入れますかね。
 例えば、ロボットにしても出口だけではなくて、もう少し基盤的なところも推進すべしという話もあったかと思いますが。
○野田委員長 2番目の産業の問題あるいはマーケットの問題、市場投入や研究体制はちょっと置いておいて、?の左と右を見比べたときに、これから5年間のがん対策で、日本がやるべきだというのはどれですか。また、これ全部広く。この中で日本の強みもあって。
○平岡委員 なるほど、そういうことですか。
○野田委員長 それは勝手なことですよ。
○平岡委員 いや、目玉があった方がいいですね。
○野田委員長 それがなければそれでいいんだけど、でも5年ですから。変な話が先ほど言った死の谷の長さは5年よりひょっとすると長いから。だから、産業を変えたり何なりというのは5年の間では完遂はできませんで。今度の5年間でやるべきものというか。
 例えば、変な話ですが僕なんかだったら前の例の基礎からTRへ、TRから創薬へといったときに、1つ抜けていた日本の基礎研究の強みで、やはりここに生かされて切れていないのは生体イメージングなんだと思いますけれども。
だから、生体イメージング、例えば変な話が振り返ってみるとCTだMRIだ、ものすごく使われるようになったけれども、結局かなりの部分ががんの診断のために今、使われているわけではないですか。
そうすると、やはり生体イメージングの日本の強さを、ここでは治療にまで出すというのがここに書き込まれているといいのかなという感じはします。
○平岡委員 そうですね、これは基盤技術ですからいろいろなところに、それこそ基礎研究まで展開できますね。
○野田委員長 文科省のイメージングを助けるわけではないですけれども、そこを。
○平岡委員 ただ、逆にアメリカなんかでは分子イメージングに研究費を使ってけれども、出口がなかなか見えないというところなんですね。だから、基盤だけではちょっと弱いんではないかという気もするんですね。そういう意味では少し治療技術と結び付けるという話ですね。
 だから、当然分子イメージングしてTRを推進するというのもありますが、実際患者さんの直接役に立つ手術とか放射線治療に展開すると。内視鏡はそのものずばり、分子イメージングそのものが治療に使える可能性があるので。
 それなら、そういう書き方をしましょうか。それをキーワードに。
 ただ、治療も内視鏡とか放射線治療も何というか4次元治療に関しては結構今、日本がリードしているんですね。国際標準化の方も日本から今、申請しようとしているんで、粒子線と併せてですけれどね。それも日本の強みではありますね。
 手術がどこまで変えるかですね。ちょっと、なかなかしんどいかなという気がせんでもないんですけれども。
○野田委員長 低侵襲治療とイメージングでは、ねじれになってしまうから。
 まあ、それでは書くときにまたあれしていただくとして。
○平岡委員 項目としては、やはりこれがんを早期に見つけるという、予防ということもありますが、やはりがんの人を治療するという意味ではやはり治療機器を入れないと少し弱いかなという気がするんですね。だから、その切り口として分子イメージングということを少し強く出すということでよろしいでしょうか。
○野田委員長 はい、ただその切り口だと思いますよ。イメージングも別に診断だけのイメージングではなくて。それから、低侵襲治療の開発ですね。
○平岡委員 よろしいでしょうか。2番のところ、産業戦略というところなんですけれども、これはどうしますかね。
○野田委員長 これは研究のエリアで余りあれしてもという感じはしますがどうですか。むしろ後ろの方と一緒ですね。
○平岡委員 そうですね、環境整備とオーバーラップしていますね。とりあえずこれはなくすということで、どこかにもっていくと。
 次が医療機器の研究開発体制ですね。そして、その中で革新的な医療機器をいかに開発するかというところと改良改善の医療機器をどうやって継続させるかという2つの視点があるということなんですが、?については最初は日本に合った仕組み、支援が必要ということで、ベンチャー育成とともに大企業・中堅企業の有望事業部門・子会社の切り出し。
○野田委員長 物すごく広がっているんですよ。
○平岡委員 そうですね、これちょっと大きな話になっていますね。どうしましょうか。
○野田委員長 左側の問題の切り分けはいいんだと思うんですね。イノベーティングなものと同時に改善改良がやれる環境という2つはシンプルでいいと思うんですけれども、それに真っ先に答える何かを右側へもっと絞りこんだ方がいいとは思いますね。
○平岡委員 革新的な医療機器をどうすれば創出できるかということですね。
 兼ねた国の支援というか、実際はなかなかですね。
○野田委員長 ただ、今日は余り、改良改善のパターンがすごく多くて革新的なものの方の話は余り出なかったように思いますが、違います。僕は、ここに載せた方がいいかなと思う最たる中では革新的なものというのはちょっと。医工連携やいろいろな話も、どちらかというと改善改良がスムーズにいくような。あるいは患者さんになるべく早く戻せるようなというふうに多くて。
○平岡委員 そうですね。実は私、大学でモダイルXというて、今までにない画像技術というのを全学に応募してもないんですね。京大の中にも、実をいうと。なかなかMR以降の新しい技術はないですよ、本当にね。センサーのはありますが、どう見ても20年ぐらい勝てそうな技術なんですけどね。
○野田委員長 基本的には第二の放射線ではないですけれどね、結局モダニティですが、革新的なのというのは、いかに理解を深めれば革新的なものが見えるかというのと同時に、全然違うエリアから生まれてきたのを取り入れるかという2つだと思うんですね。
 そういうものを取り入れる努力あるいはシステム、人材というのだから、ここはそうなると後で最後に人材やりますけれども機器に限らない。例えば、間野先生がやってくれた、いわゆる創薬に向けた基礎研究というところも同じなのではないかと。
 あるいは機器開発はもっと違うんだというと、いわゆる技術基盤ですね。イメージングがそれに近いけれど、例えば中性子を使うとかいう。革新的技術という意味では機器に生かされやすいけれども、どうなんですかね。
○平岡委員 そうですね。だから仕組みのことはありますね。やはり医学系の中だけではできないものですね。だから、異分野をいかにもってくるかという。そのときにプラットホームづくりと、もう一つは人材がそこに結集できるということですね。それが欠けているのは事実ですね。それは必要な部分だと思うんですけれども。
○野田委員長 ちょっと、いや、いいんですけれども、言い方は悪いけれども革新的なのといったときに、機器開発と薬剤の連携とか、大学発ベンチャーがどうだとか、これでそんなに革新的になるのかなという。
○平岡委員 そうですね。どうでしょうか、どうすれば革新的に。
○野田委員長 ベンチャーの数と質というのは常に影響はするのでしょうが、そんなに歩留まりのいいものではないし。ベンチャーの数と質というのは機器に限らずシステムのところに必ず出てきますね。
 日本が今、弱くなってしまったのは、どっちが弱いんですか、どっちも弱いんですか。革新的機器開発に向けた動きも弱いし人材もいないし、改良改善に向けた環境もないんですか。
○平岡委員 両方ですね。ただ、海外のフィリップスなんかも一時つぶれかけたんですけれども、ベンチャーをうまく買収して、また復活してというところがありますね。
○野田委員長 企業を呼び込むというのはいいんだけれども、企業がどうあるべきか、マーケットと企業というちょっとここの範囲は外れますね。
○平岡委員 ここのテーマとはちょっとあれですね。だから、人材のことはどこかに入れるにしても、ちょっとここは消すか、改良するかということでいいかと思います。ちょっと考えてみますけれど。
○野田委員長 ちょっとここは整理が必要かもしれません。問題点のところからの整理が必要かもしれません。?も?も正しいんだけど、という感じはします。
○平岡委員 対応策ですね。
○野田委員長 はい。
○平岡委員 改良改善、医療機器ですね。これはだから臨床研究の推進ということですね。先ほど言った、プラットホームとか薬事申請の最適化とか。
○野田委員長 ただ、そうするとまた、これみんなオーバーラップしてくるんだけど、次の項目とまた似てくるんですね。つまり、申請だ何とかだという話になってくる。
 だから、ここでは申請だとか何とかというのは、もし分けるならもう触れない方がいいと思うんですが。
○平岡委員 そうですね、臨床研究の推進体制で1つありますから、そこにそれは書けますね。上に審査体制の話で。
○野田委員長 2番目の医療機器の研究開発体制の目的のところをもう少しシンプルにしたら、臨床研究の推進体制と一緒になりませんか。
○平岡委員 ここですね。
○野田委員長 革新的というところを強くうたうんだとなかなか一緒にならないけれども、改良改善、医療機器というところだと、いわゆる薬事だ審査だというのさえ切り離せば、臨床研究の推進体制とタイトルは変わるにしても一緒にできるんではないかと思うんですが。1ページ目の下のあれと2ページ目真ん中のところに書いてあることが割と似ているんですね。
 それで、2ページ目の上のところの審査体制あるいは薬事、先ほどから言われているルールの問題なのか、それとも制度、システムの問題なのかという辺りは、ここで明確に書いておいた方がいいとは思いますがけれども。
○大津委員 薬の場合はほぼもう世界基準一緒になってきているんですが、ここの部分というのは、そういう動きはないんですかね。
多分、企業にとっても日本だけで売るとかいう感じではないんではないかと思うので。それを考えると統一基準を満たすというラインをつくらないと承認に持っていけないんではないかなという。
○平岡委員 この辺りは、少しまだ厚労省の中で議論があるところだとは聞いているんですね。
○大津委員 薬の方は結局、昔は日本だけがゆるくてしていたが、結局、競争力が落ちたというのは、やはりそこのラインを合わせないと、そこに入っていかないともう競争にならないですね。
○平岡委員 ちょっと違うのは、医療機器はむしろ日本が最も厳しくて、むしろヨーロッパのなんかはフレキシブルなんですよ。だから、むしろ規制緩和の方が必要なんではないかという感じなんですね。
○大津委員 薬も昔はそう言われていたんですが、実際人が入ってやっていくと。勿論、日本が一部厳しいところがありますけれども、ほとんどの場合は要するに我々の基盤整備が遅れていたというのが主な理由ですね。
○平岡委員 若干、その辺りは少し違うんではないかという気はするんですけれどもね。
 むしろ、ここで訴えたいのは医薬品とは違うんだというところを明示して、それに向けた体制をつくろうと。これは、PLの中でもそういう医療機器の人材育成とか、それとは違うルールづくりということで動いていますので、これはそれほど今の流れとは違っていないと思うんですね。
○大津委員 医薬品と医療機器は審査、承認体制は違っているのは当然だと思うんですが、要は多分世界の統一ルールに。
○平岡委員 グローバルハーモナイゼーションですね。
○大津委員 多分、別に医療に限らずどんな産業でも、もう国際基準を満たさないと何でも製品化できないというのは恐らく一緒だと思うんですね。
○平岡委員 IDE制度というのは結構欧米で主流なんですが、これについてはなかなかその辺りまだコンセンサスはないんですよ。だから、なかなか明確に書くのは実は難しいところなんですね。
○野田委員長 ではもう一回、当たり前だろうという審査のあれを医薬品とは区別した、そして独自の世界的ハーモナイゼーションを強く意識した審査制度をより早く確立すべきであるという言い方はまずいの。
○大津委員 もう機器に関しても申請のだいたいの枠組みは決まっていますから、医療機器の分類が3~4つぐらいに分かれていて、それは本当に普通のアカデミアの臨床研究レベルで承認がとれてしまって、後でデータを出せば保険がついてくるみたいな話もありますし。最初から、いわゆる治験的なものが要求されるものもあります。
 それは多分機器によって分類があって、それのところは全然ないわけではなくて、ある程度そこも規制はできているはずですが。
○野田委員長 それがむしろ実際に機能するかどうかの問題だ。ベンチャーやそういういうものが参入できない、新たな。
○大津委員 ちょっと内視鏡しかわからないので。内視鏡的には当局の方と話をして、どのラインで承認にもっていくかというのは事前にある程度話をした上でいっているんです。ちょっと内視鏡関係のしか僕らは経験がないので、普通のロボットとか、放射線については私はわからない。
○平岡委員 幾つかの動きがあります。例えば、ガイドラインがあって、それに従えば薬事がとれるようなものというのは、再生医療とかも含めて幾つか動き出しているんです。そういうのもありますし、スーパー特区絡みで幾つかの新しいワーキングができて、それで迅速化とかに合わした仕組みとかできていると思うんですが。
ただ、まさに言われた話のでいいかと思います。実際、世界的な動向を見据えた形で早期承認するということですね。それで前半の部分はいいと思うんですけれども、下の対応策、国の役割といったときにリスクとベネフィットを考慮した抜本的な制度改革と書いていますが、どこまで書くかどうかですね。
要するに、こういうのがあったらなかなか審査が慎重になるということなんですがね。
○野田委員長 今日の話は、大津君から言わせれば、そんな制度は立派とは言わないけれどもちゃんとあると言っているわけだし。
 ちょっとそこはやはり今回時間がなかったのは、機器でも種類によって随分大きく違うんだなということなんですよ。だから今回、診断と治療に分けた治療の方でさえ手術の機器と放射線の機器と、僕がちょっと足りなかったんだけど、日本が力を入れるべき内視鏡の部分がそれぞれ機器の侵襲性とか治療への関与の仕方というのがだいぶ違うわけですね。
 そこでちょっと今の話が少しずつずれているんだと思うんです。放射線治療機器に関しては確かにそうだと思いますね。承認とかいろいろなところは非常に難しい部分はあると思うんです。
 ただ、内視鏡とかそれは割と今、確かに臨床研究やりやすい形になっていますから。だから、抜本的な制度改革とかいうのはちょっとここにはなじまないと思いますが。
 ですから、平岡先生なので放射線の部分は放射線の部分と明記して載せていただくことは非常にいいと思います。
 だって、しつこいようですがこれから5割の人が受けるようになるんですから、放射線の医療の低侵襲そして高効率、効果をあげるというために必要なあれというだけでもそこはいいと思いますが。どういう審査が必要と、日本発のものがというのはあってもいいと思いますが。
○平岡委員 わかりました。だから、クラス分類の高いものについてはこういうことも必要だというのをさらっと入れるというのでよろしいですか。
○野田委員長 だから、もうちょっと審査承認のところはシンプルにしていただいてと思いますが。
 そして、臨床研究の推進体制に関しては先ほどの医療機器の研究開発体制とちょっと一緒に考えて。特にそうなると、革新的というのはちょっと目立たなくなりますが、それも改良改善というのは結局そこですから。
○平岡委員 わかりました、それを合体させて。
○野田委員長 臨床研究は先ほど言っているように環境と人材が1つやれることではないかということだったわけですから。そっちの方で、また人材は別にされているのであれですがという感じがしましたので。
○平岡委員 書き方として、対応策のところで上において一般的にやるべきことと、その中で特に国がやるべきことというのを分けているんですが、それは別に必要ないですか。余りそういうのを意識して書かなかった。
○野田委員長 国の役割を明記するという、今までのときはそれ別にしていませんね。
○平岡委員 していないですね。あえて入れる必要もないような気もと見ているので。
○野田委員長 という感じはします。
○平岡委員 わかりました。それでは一応、上と下とをうまく組み合わせて、むしろコンパクトにするということでよろしいですか。
○野田委員長 はい、そういう形で。今日の議論をもう一回踏まえていただいて。
○平岡委員 はい。人材のところはどういくんですかね。一番最初が何を重点化すべきかということですね。その次が研究開発体制、特に改良改善機器に関しては臨床研究を推進せよということ。そして、その次が医薬品と違うところを出して、それにどう対応するかという話ですね。あと、人材というのがありますが、人材は結構わりといろいろなところに関係はするんですね。
○野田委員長 ちょっと考えていただきたいのは、最後のところでもう一回研究人材という話をします。そのときに医療機器開発にとって特異的な部分があればという。ジェネラルなところはまずいいと思うんです。
○平岡委員 わかりました。今日、ちょっと議論になった医工学の人の教育とキャリアですね。その辺りは入れてもいいですかね。
○野田委員長 それは入れていただいて。特に先ほども出ましたが医工学連携始まったばかりで、これから更に押さないといけないと思うのでそこはいいと思うんですが。
○平岡委員 わかりました。松原先生のお力を借りて、よろしくお願いします。
○野田委員長 松原先生も手術の方で力を入れるべきところがあれば、そこにという感じでやっていただいて、またちょっと見てということで。シンプルにしていただいてということでよろしいでしょうか。
 ということで次回、これをもうちょっとシンプルにしてまとまるのを、やり取りしてからにしましょう。それで話をして。
 次回は、もう一つはこれまでのところをもう一回おさらいすると同時に、最後の問題点のところの制度的なもの、研究に対する研究支援体制、あるいは人材育成というところを話し合ってまとめにかかると。更にそれを次々回に承認するという形でよろしいでしょうか。
 では、そういうことで今日は終わりにしたいと思います。室長、もういらっしゃいませんが。では事務局、あれば。
○事務局 本日はありがとうございました。次回の第7回専門委員会は6月30日。そして、第8回は7月11日を予定にしております。第8回に最終のとりまとめを予定しておりますので御協力のほどをよろしくお願いいたします。
 あと、毎週開催という短い期間の中での作業ですので非常に御負担をおかけする次第でございますが、この点に関しましても御協力、御理解のほどをよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
○野田委員長 では、ありがとうございました。


(了)
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