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2011年7月8日 第17回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 

健康局結核感染症課

○日時

平成23年7月8日
10:00~12:00


○場所

厚生労働省 講堂


○出席者

飯沼委員 池田委員 坂元委員代理 岩本委員 岡部委員
加藤部会長 北澤委員 倉田委員 坂谷委員 澁谷委員
廣田委員 保坂委員 宮崎委員

○議題

1 これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について
2 子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業における「ガーダシル」の取り扱いについて
3 不活化ポリオワクチンの円滑な導入に向けた対応について
4 報告事項
 (1)プレパンデミックワクチンの臨床研究について
 (2)ワクチン産業ビジョン推進委員会 混合ワクチン検討ワーキンググループ 報告書について
 (3)2011/12シーズンのインフルエンザワクチン株について
 (4)B型肝炎集団訴訟における基本合意書の締結について

○議事

○予防接種制度改革推進室次長 時間になりましたので、ただいまから第17回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会を開催いたします。本日の委員の出欠状況について、初めにご報告申し上げます。本日は宇賀委員、木田委員、黒岩委員、櫻井委員、古木委員、山川委員から欠席のご連絡をいただいております。また、本日、今村委員の代理といたしまして前回と同様に、川崎市の健康福祉局坂元医務監がご出席されております。よろしくお願い申し上げます。開会に先立ちまして、現時点で定足数以上の委員にご出席いただいておりますので、会議が成立いたしますことをご報告申し上げます。ここからは加藤座長に議事をよろしくお願い申し上げます。
○加藤部会長 おはようございます。では、ただいまより議事に入りますが、議事に入る前に先立ちまして、事務局より1点ご報告がございます。そして、その次に、資料等の確認をお願いいたします。では、事務局からお願いいたします。
○予防接種制度改革推進室次長 では、まず報告をということですが、当部会でご審議いただき、昨年3月国会に提出いたしました「予防接種法及び新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」については、長らく継続審議の扱いとされていました。先月の15日に衆議院での審議が始まったところです。まさに今、衆議院の厚生労働委員会で法案の審議が行われているという状況であることを、まずご報告申し上げます。
 それに伴いまして、本日、対応者の健康局長、医薬食品局長をはじめといたしまして、国会に出向いておりますので、当部会を欠席とさせていただいておりますことをご了承ください。
 続きまして配付資料の確認をお願いいたします。ダブルクリップで留めていますが、まず1枚目が議事次第です。2枚目が配付資料の一覧です。3枚目が委員名簿です。それ以降、番号を付した資料となっています。資料1-1「これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について(案)」概要版です。資料1-2「これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について(案)」です。資料2、「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業における「ガーダシル」の取り扱いについて」。資料3、「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に向けた対応について」。資料4、「平成22年度 プレパンデミックワクチンに係る研究」。資料5-1、「ワクチン産業ビジョン推進委員会 混合ワクチン検討ワーキンググループ報告書」(概要版)。資料5-2がその本体です。資料6、「2011/12シーズンのインフルエンザワクチンについて」。資料7は枝番が7まで付いています。資料7-1、「B型肝炎訴訟の経緯について」。資料7-2、「B型肝炎訴訟の基本合意書の概要について」。資料7-3、「当面必要な費用と将来分の費用について」。資料7-4、「B型肝炎訴訟への対応の基本方針」。資料7-5、「基本合意書」。資料7-6、7-7はそれぞれ1枚もので、7-6が「内閣総理大臣の談話」。7-7が「厚生労働大臣の談話」です。それとは別に、お手元には座席図を用意させていただいています。資料は以上です。何か不足しているものがございましたら、事務局にお申し付けいただきたいと思います。
 撮影についてですが、冒頭のカメラ撮りについては、申し訳ございませんが、ここまでとさせていただきますので、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 引き続き、審議参加に関しての報告です。製造販売企業からの寄附金等について、審議に参加できない委員はいらっしゃいません。申請資料の作成への関与については、宮崎委員が、おたふくかぜ、B型肝炎、ポリオの各ワクチンについて関与していらっしゃいますので、ご報告申し上げます。以上です。
○加藤部会長 ただいま事務局から審議参加について話がございましたが、本日は個別ワクチンの取扱いも含めて審議いたします。宮崎委員が申請資料に関与しているとのことですが、部会が必要と認めた場合には意見を述べることができることになっていますので、臨床家のお立場からご意見をいただきたいと思いますが、委員の皆さんはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
                  (了承)
○加藤部会長 それでは部会として承認いただいたことといたしまして、議事を進めさせていただきます。早速議事に入りますが、その前に、本日の議題の確認をさせていただきます。まず、これまでの主な議論の中間的な状況の整理について、前回の部会における意見、及びその後に委員から事務局に寄せられた意見を反映させたものを事務局に準備させておりますので、これについて意見をいただきます。これを議題の(1)とさせていただきます。次に、子宮頸がん予防ワクチンである「ガーダシル」が薬事申請されたことを踏まえまして、「ガーダシル」を子宮頸がんとワクチン接種緊急促進事業の対象ワクチンとして、追加することについてご意見をいただきます。これを議題の(2)とします。3つ目は前回の部会で議論いただきました不活化ポリオワクチンの円滑な導入に向けまして、公衆衛生上の課題や円滑に移行を進めるための具体的な方法について、検討を行うための会議を設置することについて、ご意見をいただきたいと思います。これを議題の(3)とします。このほか、4つ報告事項があります。何分、時間が限られていますので、審議が円滑に十分行われるように、各委員のご協力をお願いいたすところです。
 それでは早速、議題の(1)に入ります。これまで当部会では、昨年の4月以降、第一次提言における「今後議論が必要と考えられる主な事項」を中心に議論を行ってきまして、いままでのご意見を踏まえ、前回の部会において、事務局から「これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について」を提示していただいたところです。
 前回の部会でのご意見、及び部会終了後に事務局宛にファックス等でお送りいただいた意見の内容を踏まえまして、修正、追加するように事務局に指示しておりましたが、それが資料1-2です。本日はこれを基に、修正した点を中心に、事務局から説明をしてもらいます。それでは事務局からご説明をお願いいたします。
○予防接種制度改革推進室次長 いま座長からございましたとおり、資料1-2に基づいて進めさせていただきます。関連資料としては1-1で、1-2の内容を反映させています。先日の5月26日の会議以降いただいた意見を修正したところを赤字で示していますので、そちらについて説明申し上げます。
 まず、1頁の? 主な議論の状況のうちの2頁目、大きな枠組みの「予防接種法の対象との疾病・ワクチンのあり方」について3頁になりますが、区分が(疾病・ワクチンの区分)について、3つ目の○、区分の内容の議論の内容として、「努力義務の有無や大きさで健康被害救済の給付水準に差をつけることが妥当かどうかを整理した上で、疾病・ワクチンの区分について議論すべき」というふうに追加したほうがいいという意見をいただきまして、そのとおり加えております。
 4頁のいちばん下の行、区分の従来、先日の会議までは疾病判断の柔軟性・機動性の確保と小見出しを付けていた部分ですが、言葉がわかりにくいというご指摘を受けまして、内容に合致した表記で、表題を(対象疾病の指定の迅速化等)と変えています。
 5頁の2、「予防接種事業の適正な実施の確保」のうち、6頁、それぞれの関係者の役割関係というところの[参考]の表です。国の役割に、「ワクチンの承認審査」を付け加えています。
 6頁、中ほど以降は、(副反応報告・健康被害への対応)というところです。最後の行、3つ目の○ですが、副反応報告の内容ということで加えていますが、「通常報告されるのは稀に生じる重篤な副反応に限られるが、軽中等度の副反応をも把握する必要がある。また、副反応のモニタリングやワクチンの品質改善等に役立てるため、一般からも報告を受けるようにすべきとの意見があった」というご指摘が複数の委員からありましたので、このように加えさせていただいています。
 7頁、次の(接種方法など)という項目のうち、次の8頁にわたりますが、1つ目の○、中身ということで混合ワクチンの導入に加えまして、「その臨床的・疫学的評価を加えています。
 3つ目の大項目の「予防接種に関する情報提供のあり方」のうち、同じ8頁の最下段、2つ目の○の最後のところ、学校の健康教育にワクチンを含む感染症予防を位置づけるという指摘を受けての具体的な学校関係者という言葉を、関係機関という言葉を頭として付けています。
 9頁、「接種費用の負担のあり方」の枠組みの中の10頁ですが、大変赤々と見えていますが、これはいわゆるご指摘が部会においての委員から出た意見と、事務局が部会の中で言った意見が混在しているという意見がありまして、それを分けるべく、1行目の表題と、最後の○の上にある(今後の負担のあり方)という表題を2つに分けており、内容を整理したものです。それに伴いまして、従来あった文章を入れ換えたものです。加えて3つ目の○ですが、本年6月30日に「社会保障・税一体改革成案」を得たということを受け、この成案についてはこの資料の続き、13頁以降に付けていますが、新たな頁、成案の5頁になりますが「医療・介護等」の中の予防対策の強化という位置付けになったものを受け、いまの頁に戻りますと、資料1-2の10頁ですが、「上記のような財政上の原則、さらに本年6月30日に成案を得た『社会保障・税一体改革成案』に盛り込まれた『?医療・介護等』の『予防対策の強化』の取組等も踏まえつつ」と加えました。
 11頁です。○の2つ目「これを前提として考えることが必要でないか」というご意見がありましたので、ここに加えております。さらに、これまで部会で議論があって、この本文に盛り込まれていませんでしたが、3つ目の○、「このほか、予防接種に公的医療保険を適用することを検討してはどうかという意見もあった」ということを加えています。
 次の項目の5.「予防接種に関する評価・検討組織のあり方」の中の12頁、上から3つ目の○、この組織をサポートする体制とした具体的な例示として、ワーキンググループの設置という案があるので、「ワーキンググループを設置すること」などということで加えています。
 次の項目の「ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保のあり方」。最下段の3つ目の○、「ワクチン産業ビジョン推進委員会との関係」ということを明示しています。それを説明するということで、「より安全かつ有効で効率的なワクチンの開発を進める観点から」ということも加えています。
 13頁、「その他」の項目、(サーベイランス体制の整備)ということですが、2つ目の○、現実のサーベイランス体制ということで、感染症法に基づくいわゆるサーベイランスに加えて、局長通知に基づき実施されている流行予測調査について、実施体制に地方衛生研究所を位置づけることについて、2つ目の○を修文させていただいています。さらにサポート体制の充実については、こちらも具体的な機関名として、「国立感染症研究所」の名称を挙げています。
 修正した部所については以上です。同じ内容を1-1の概要版にも反映させていただいています。
○加藤部会長 ありがとうございました。これまでの主な議論の中の中間的な状況の整理について、いま次長からご説明がありました。ほとんどの委員の中からいただきました意見を網羅していると考えていますが、ただいまのご説明に対して、または文章についてご意見がある委員の方は挙手を願います。
○保坂委員 10頁の下、あり方を考える上での前提のところで、社会保障・税一体改革成案に盛り込まれた云々というところが、後ろの5頁の何行目を指すのかよくわからないのです。
○予防接種制度改革推進室次長 もう一度申し上げますと、5頁「?医療・介護等」のところの、1つ目の○、1つ目の・の一行目の最後の一文字から2行目にかけた「予防対策の強化」。
○保坂委員 上から何行目ですか。
○加藤部会長 頁のいくつと指定してください。
○予防接種制度改革推進室次長 5頁の?.医療・介護等の1つ目の大きな○がありますね。
○保坂委員 はい。
○予防接種制度改革推進室次長 それの4行目のいちばん最後の文字が予防対策の強化の「予」から始まっています。
○保坂委員 ここに予防接種等についてが含まれているとお読み取りになられているわけですか。
○予防接種制度改革推進室次長 はい。
○保坂委員 ちょっとそれはまず疑問だということが1点と、社会保障と税の一体改革成案というのは、本部としてはまとめられたと、本部決定はされたと政府与党の本部会議では決定されたと認識しておりますが、閣議決定もされていませんし、このものが全体の予防接種のことにどのくらい関与するかわかりませんが、この税と社会保障の一体改革成案というのが、どのくらい法的意味をもつかわからないので、あえてここに引く必要はなかったのではないかと私は考えています。というのは、その文章から読み取れにくいということ、及び成案の性格上、閣議決定までいっていれば、当然、非常に後々まで絶対に影響があるということですが、というふうに思いましたので、一応感想です。
○加藤部会長 あえてこれを書き込んだ隠れた理由があるということは保坂委員にもわかると思いますので、事務局としてはあえてここに書き込んだと考えていただければいいと思いますが、事務局はよろしいですか。
○保坂委員 書き込んだほうが、たぶんいろいろやりやすいのだろうと思われたということですね。というのは、この部分はいいけれども、ほかの部分は困るという部分がこの一体改革案にあるものですから、ちょっと一言だけ申し上げました。
○加藤部会長 ありがとうございました。
○予防接種制度改革推進室次長 今後のことを考慮してです。
○加藤部会長 事務局はそれでよろしいですか。
○予防接種制度改革推進室次長 はい。
○加藤部会長 ほかの委員の方で、ただいまご質問。
○北澤委員 細かいところで申し訳ないのですが、2頁の(予防接種に対する基本的な考え方)の1つ目の○の2行目ですが、「重症化や死亡リスクの」と書いてあるのですが、死亡のリスクの「の」が抜けているのではないかというのが1つ。12頁の真ん中辺の○で、ワーキンググループを設置するということが今回加わっているのですが、これは確認ですが、予防接種部会の中にというか、下にというか、ワーキンググループを設置するという意味なのか、確認したいです。
○予防接種制度改革推進室次長 「死亡のリスク」と「の」を入れさせていただきたいと思います。
○加藤部会長 ワーキンググループのほうはどうですか。
○澁谷委員 これは私が出した意見ですね。
○加藤部会長 そうです。澁谷委員から出た意見がそのまま入っているのです。
○澁谷委員 言葉はワーキンググループという言葉を使わずに、事務局に送ったのは、今回ワクチンの評価に関する小委員会がとても重要な働きをこの部会でもしたのではないかということで、それを評価したいという内容で、全体の組織を考えるなら、やはりそういう作業をするような組織が必要ではないかと、小委員会を評価するという内容の意見を事務局に送りました。
○加藤部会長 ということで、ワーキンググループは入っております。
○予防接種制度改革推進室次長 ワーキンググループと書きました。確かに委員のご指摘の内容は、下部的な組織で進めたほうが、より専門的な話が進められるのではないかという内容であると承っております。
○加藤部会長 よろしゅうございますか。ほかにご意見はございますか。
○岡部委員 13頁の7.「その他」なのですが、この中で(サーベイランス体制の整備)を入れていただいたことは大変ありがたいとことだと思います。2つ目の○のところなのですが、感染症法に基づくサーベイランスというのも明記していただいているのですが、その次の免疫の保有状況はいわゆる血清疫学ですが、この委員会、あるいはほかの委員会・審議会等にも膨大な資料がこの中から提出できています。実際には感染症流行予測調査事業というところでやっていますが、これはここに書いてあるように、局長通知に基づいているので、なかなか法体制がしっかりしていないというところで、実際の現場では実施にあたりいろいろな面で非常に苦労されているというのがあります。ここに書いていないところですが、感染症法の中では地方衛生研究所の位置付けというのは明確に書いてあるのですが、この部会ではおそらく予防接種法の改正のことが念頭にあるのだと思いますが、予防接種法の中でも地方衛生研究所のあり方というようなことを明記するというようなことが、この書きぶりの中にあるのだなということを確認したいのですが。
○加藤部会長 事務局いかがでしょうか。
○予防接種制度改革推進室次長 先生のご指摘のとおりでして、いまは予算事業で行っております流行予測事業ですが、実際は私どもの感染症対策を考える上で、大変貴重な情報になっております。まさにここに書いてあるとおり、サーベイランスの根幹をなすものとなっておりますので、今後制度設計をする上で、このいま通知でやっている部分も取り入れるような方策で何か考えられないかというようなことも、ここで示させていただいているというものです。
○岡部委員 ありがとうございます。
○加藤部会長 よろしいですか。原文でよろしいですね。ほかに委員からご意見はございますか。ないようです。それでは細かな指摘はありましたが、これまでの主な議論の中の中間的な状況の整理については、資料1-2の内容で、部会として取りまとめたいと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。
                 (異議なし)
○加藤部会長 ありがとうございました。それではそのようにさせていただきますので、事務局、よろしくお願いいたします。
○予防接種制度改革推進室次長 了解しました。
○加藤部会長 さて、今回、このような形で一定の中間整理を行いますが、現時点ではさまざまな意見や課題が今日もありましたとおりございまして、部会として提言という段階には至っておりません。しかしながら、先進国とのワクチンギャップの解消を目指すとともに、現在の予防接種制度が抱える課題を解決して、予防接種政策を一歩でも前に進めていくことは急務であることは言うまでもありません。
 特に子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンについてはご承知のとおり、昨年10月の当部会の意見書を踏まえて、国の事業が実施されており、その事業の期限が来年の3月に到来することになっております。こうした現状を踏まえますと、具体的な制度設計を急ぐ必要があると私は考えます。
 そこで、部会長としての提案ですが、今後の具体的な制度設計の検討に資するように、これまでの部会の議論を十分に踏まえまして、事務局、厚生労働省として、制度改革の方向性について検討案を作成していただきたいと考えます。もちろん現段階では、種々な意見がありまして、1つにまとめることは難しいと考えておりますが、厚生労働省に作成していただいた検討案を基に、この部会のみならず、広く関係者の意見も聞きながら議論を進めていくことが効率的ではないかと部会長としては考えております。
 したがって、この制度設計の検討案を作成していただくということに関して、事務局としてのご意見を伺います。
○予防接種制度改革推進室次長 いま部会長から制度改革の方向性について検討案を作成してはどうかというご提案がございました。今後の制度設計を含めた検討案を示していけたらと思っております。
○加藤部会長 はい。内容についてはかなり幅広で、奥が深い中身になると思いますが、ただいまの意見も踏まえまして、事務局で制度改革の方向に向けての検討案の作成をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 それでは次に議題の(2)に移ります。まず、昨年から実施しております子宮頸がん等ワクチン接種研究促進事業ですが、現在、子宮頸がん予防ワクチンとして、この事業の対象になっているのはサーバリックスですが、つい先日の7月1日に「ガーダシル」が承認されましたので、この事業における「ガーダシル」の取扱いについてご審議いただきます。では、事務局より説明をお願いいたします。
○結核感染症課長 お手元の資料2をご覧ください。「ガーダシル」ですが、いま部会長からご紹介がありましたとおり、本年7月1日に薬事承認がなされました。ヒトパピローマウイルス6、11、16、18型の感染に起因する子宮頸がん、あるいは外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍、尖圭コンジローマに対して効能・効果があることが認められています。また、[用法・用量]ですが、9歳以上の女性に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する。通常、2回目は初回接種の2カ月後、3回目は6カ月後に同じ用法で接種すると添付文書にも明記されています。このガーダシルですが、承認されたことによりまして、既に2Dワクチン接種ができる状況です。
 3頁をご覧いただきますと、ガーダシルを扱っているMSD社に事務局からヒアリングしたところ、市場流通を前提として今後国家検定等を踏まえての上で、年度内に約210万本の予定ですが、供給できるのではないかというお話を伺っています。片や、いま補正予算の事業の対象となっているグラクソ・スミスクライン社のサーバリックスのほうについては、今年度で約640万本を供給できるのではないかということをヒアリングしています。いずれにしても、これらは市場流通前提の本数ですので、事業の対象ということになると、このうちどれぐらいがその対象になるのか、いろいろ細かい調整等必要になってくると思いますが、いま市場流通を前提とした供給量として、合計で子宮頸がん予防ワクチンは今年度約850万本を供給できる見込みということで伺っています。ちなみに海外での使用状況ですが、ガーダシルはアメリカで2006年6月に承認されて以来、現在123の国・地域で承認されているということです。
 4頁は、いま行っている接種緊急促進事業の対象として、このガーダシルはサーバリックスと同じように子宮頸がん16型、18型に対して予防効果が認められることや、海外においても既に広く使用されている実績があることを踏まえまして、この事業の対象としてはどうかということについてご意見を賜りたいと思います。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいまの説明に対して、何かご質問、ご意見がありましたら伺います。保坂委員どうぞ。
○保坂委員 まず確認ですが、補正予算の接種事業の本年度の対象となっている人数と、それに必要な本数はどのぐらいかということを教えていただきたいと思います。
○結核感染症課ワクチン専門官 対象となっている方の大まかな人数は、約250万人と考えています。必要なワクチン量は接種率にもよりますが、約85%の接種率を賄える量と考えています。
○保坂委員 回数を掛けて、何本必要ですということをきちんと言っていただいたほうがいいのではないかと。
○加藤部会長 250万人×0.85×3回という意味ですか。
○保坂委員 そういうことになると思いますが、聞かれたときに数字としていま何万本を用意できますと言っているわけですから、それをパッと出していただけたらと思います。
○加藤部会長 いまのお答えだけでよろしいですか。
○結核感染症課ワクチン専門官 計算をしてお答えします。
○加藤部会長 暗算でできると思います。
○保坂委員 暗算でパッと私が言ってもいいのですが、せっかくやっていただいているのでやってください。
 いちばん問題なのは、サーバリックスがいまあって、ガーダシルを入れるということは私たちは全然反対ではありませんが、ガーダシルがいつ頃から、どのぐらい市場に出てくるかということをきちんと確認した上でないと、また始めますよといってサーバリックスのときにかなり混乱があったものですから、新たにこれを入れることについては、需要がある程度あればどこでも使える状況になってからのほうがよろしいと思っています。実際には、いま検定されていると思いますが、それが具体的に何月までには何本ぐらいということをきちんと提示していただいてからのほうがよろしいかなと思います。あと、地方においては、事業についての文書に「子宮頸がんワクチン」ということではなくて、「サーバリックス」と書かれているところもあると聞いています。それを変えるということ等もありますので、ガーダシルをこの事業に入れるとすれば、時間的な余裕を持ってやったほうが、現場は混乱しないのではないかということがあります。
 もう1つは、同じことに対するワクチンですが、全く違うワクチンなので、価格の問題をどうするかということも非常に気にしています。補正予算では国の補助基準は決まっていますが、まずガーダシルとサーバリックスのワクチンの価格がどうなのかということを確認してお国として言っていただきたいことと、ワクチンについては3カ月ごとの価格調査をすることになっていて、それに合わせて補助基準額を変える仕組みになっていると思いますが、そのときにどういう価格調査をするのか。AとBというワクチンがあって、Aのワクチンは100円でBのワクチンは200円だとしたら、平均的に出ている本数で掛けて100何十円にするということだとすると、200円のワクチンを使っている所はものすごく損することになるわけで、その辺の価格についての決定の仕方と、それに対応するメーカー側の対応を厚生労働省のほうで確認していただいてから、補正予算の中に入れていっていただきたいと希望します。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま保坂委員から、1点目は供給について確実にできるかどうか、担保が取れるかどうか。2点目はサーバリックスという名称で出ているので、事務的な手続が間に合うか。3点目は価格の問題。価格が同一かどうか、違うかどうかで、だいぶ異なってくるという質問が出ましたが、これに対して事務局でお答えください。
○結核感染症課長 最初の、全体でどれぐらいかという本数ですが、大体630万本ぐらいになりますが、そのあとで先生がご指摘いただいたことは、大変重要なことと思っています。実を申しますと、先ほど触れませんでしたが、サーバリックスの供給について、私どもが当初予定していた数と違って、サービスを受けられる皆様にご心配をかけた経緯があります。27頁をお開きください。「子宮頸がん予防ワクチンの接種差し控えについて」という1枚紙に簡単にまとめていますが、これをご紹介します。当初、グラクソ・スミスクライン社からはこの事業を始めるに当たって、十分な供給量があるということを伺っていたのと併せまして、私どものほうもいままでのワクチンの大体の接種率、実績を踏まえてこの事業を組んだわけですが、誠に残念ながら本年3月に供給不足が明らかになりまして、出荷制限等を実施することになったという経緯があります。厚生労働省としては、この供給不足を解消するためにメーカーともよくご相談をし、そして要請をしながら、この間この事業の円滑化に務めてきました。そして供給状況を踏まえて、順次接種を再開しています。
 青字で書いた「厚生労働省の対応の経緯」を紹介しますと、平成23年3月7日付けで品薄になってしまったため、初回の接種者への接種を差し控えるように要請しました。その後、供給量等も勘案しまして、また自治体からのご意見等も踏まえまして、接種差し控えによって接種できなかった高校2年生が事業対象として接種できるように、平成23年3月31日付けの通知で要領の改定を行いました。その後、一定の供給量が確保できるという確認ができた上で、平成23年6月10日より高校2年生に対する接種の再開をしています。また最近ですが、この6月30日付けの事務連絡でこの7月10日より、高校2年生に加えて、高校1年生に対する接種の再開ができるという通知を発出しました。この需要と供給は、当初見込んでいた数値と違う結果になることがありまして、私どもとしては十分に注意していたつもりではありましたが、既に子宮頸がん予防ワクチンの接種についてはこのような経緯もありますので、いま保坂委員からご指摘のあったことについては、私どもとしては大変注意していかなければいけないことと思っています。よく確認をして対応してまいりたいと思います。
 また、ガーダシルはここでご意見を頂戴したので、いきなり事業の対象になるというものではありません。ご意見を尊重した上で、私どもとしては政務とも相談をして、厚生労働省としてどう対応するか決めていくことになります。さらに実施要領の改定等もしなければいけませんので、その間手続、調整にある程度時間を要することは、お含みおきいただきたいと思います。
 3点目の価格の件ですが、当面この基準単価は変更する予定はありません。ただ、保坂委員のご指摘のあった点も踏まえまして、この辺も注意深く対応してまいりたいと考えています。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。保坂委員、よろしいですか。
○保坂委員 現場や患者さんが混乱しないように、せっかく新しく承認されたワクチンが使えるように、是非よろしくお願いします。
○加藤部会長 ほかにこの件に関して、ご意見はありますか。飯沼委員どうぞ。
○飯沼委員 ちょっとサイエンティフィックなことをお聞きしますが、6頁と19頁をご覧いただきますと、6頁は4つの型の蛋白量が出ていまして、16型が40マイクロで、18型が20マイクロですよね。19頁を見るとサーバリックスは、それぞれで20マイクロずつになっています。ということは、片方は倍入っているということですよね。効果としては、比べたブロムが何かありますか。両方がイーブンで、有効だということはわかりますが、たぶん違う蛋白量を打っているわけで、結果として副作用も含めていいですが、有効性の問題ということで、2つのワクチンに差があるのかどうかの説明をしていただきたいと思います。
○加藤部会長 どなたか、お答えになれますか。欧米その他で幅広く使われているワクチンですから、差があるということはあり得ないと思います。蛋白量の違いがありますので、効果に差があるかどうかというご質問だと思います。どうぞ。
○血液対策企画官 医薬食品局のほうからお答えします。この2製品とも薬事法上の承認を受けていまして、有効性、安全性を確認した上で承認しています。先生のご指摘も、量によって差はあるのかというところですが、いまそちらのデータは持っていませんが、一定の効果はそれぞれ有していると理解しています。
○飯沼委員 蛋白量を倍入れて効果が同じというのは解せないのですが、予防接種というのは少ない蛋白で高い効果を得るという基本的な考え方が大事だと思いますので、40と20の倍の違いで結果が同じというのは、どうしてもよくわかりません。
○加藤部会長 飯沼委員、この部会での議論とちょっとずれています。これは既に承認されていますので、そういうことは議論された上で承認されたとお伺いいただかないとこの議論は進まないと思いますので、議論を変えてください。ほかにご意見をどうぞ。
○坂元委員代理 サーバリックスとガーダシルでは若干ガーダシルの方が適応症が広いということで、おそらく一般市民の方が適応症の広いほうを希望する可能性が出てきた場合に、供給と需要のアンバランスが生じるのではないかという懸念がありますが、その辺はいかがでしょうか。
○結核感染症課長 ここのところは、先ほど保坂委員からもご指摘いただいた内容とかぶると思っていまして、私どもとしてはよく注意していかなければいけないと思っています。ただ、この事業自体を実施、判断する主体は市町村ですので、そこは市町村の判断もあろうかと思います。いずれにしても、いま先生がご指摘になられたことも大変私どもとしては重要な点だと思っていますので、今後もご議論されるような課題であれば、しっかり考えていかなければいけない点だと思っています。
○加藤部会長 倉田委員。
○倉田委員 前にも確か発言したと思いますが、日本の子宮頸がんの遺伝子型は随分違いますよね。そこで有効だという書き方が随分ありますが、有効というのは子宮頸がんにならないという意味で初めて有効と言えるので、これは書きすぎではないか。というのはメーカーの人が入ったシンポジウムのときに、初めて集団でやってみてからまだ7年だというのです。イギリスが12歳で始めて、まだ19歳なわけです。そうすると、子宮頸がんが大量に発生する世代ではないのです。それから10年、20年が経ったときに出るか、出ないか。それをいま「有効である」という書き方をすることは、私はちょっと。「期待できる」ぐらいのはまだいいとして、ウイルスの感染症で抗体があれば有効かというのは。随分違った感染症がたくさんありますから、そこのところはそれでいいかどうかというのが1つ。日本のものについて、一言ぐらい、日本でドミナントのタイプのものに関して開発を推進すべきであるというようなことが、一言ぐらいあってもいいのではないか。みなさん無邪気に万歳しているようだけれども、これはあと20~30年ぐらいしないと、有効かどうかは全くわからないですよ。メーカーの人も、何十年経って有効だということは、どなたも全く保証していませんよ。そこのところの書き方を気をつけたほうがいいと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。それはサーバリックスでも結局同じということですよね。
○倉田委員 全部同じです。
○加藤部会長 ほかにガーダシルを参入させる件について、廣田委員どうぞ。
○廣田委員 サーバリックスが0、1、6カ月の三度で、ガーダシルが0、2、6カ月の三度で、例えば市町村等で0、1、6カ月と0、2、6カ月の混乱とか、同じ子宮頸がんワクチンというので、2回目、3回目が混合して使われるといった懸念はないのでしょうか。
○結核感染症課長 それも先生ご指摘のとおりで、薬事承認はそれぞれで承認されていますので、基本的に混合ということはあり得ないと思っていますが、現場においてはきちんとそういう情報も提供していかないと、たぶん混乱が生じるだろうと思っていますので、もしこれが対象と位置づけられれば、今後Q&A等、しっかり対応していかなければいけないと思っています。
○加藤部会長 十分、情報提供していくということでまとめたいということです。
○岩本委員 今回の子宮頸がん等の接種緊急促進事業ということでわかりますが、片方は4つにパピローマウイルスを含んでいて、2つは良性腫瘍ですよね。それが市場で両方出回ったときに、尖圭コンジローマになった患者が将来、「私はワクチンを打った」という証明はたぶん残らないですよね。その辺の混乱というのを予め考えておかなくてよろしいのですか。考えておかなくてというか、この部会で議論することではないかもしれませんが。
○加藤部会長 この部会で議論することではありません。ほかにどうぞ。
○池田委員 この2つのワクチンは2価と4価で、基本的に受ける側の方にとってもわかりやすい違いがあるわけです。これをどこまで同一の目的のものだと説明するかは注意しないといけないと思っています。例えばイギリスのJCVAという評価機関では、この2つのワクチンは違うものであって、どちらを国として推奨するかに関しては、もしも価格が同じであれば4価のほうを推奨するという書き方、これは費用対効果の点から当然ですが、そういうことが明確に書かれています。この部会あるいは小委員会でまとめた報告の中では、まだ4価のワクチンについては十分な検討なりデータが含まれていませんで、費用対効果の分析も2価のワクチンのみ結果が示されています。先ほど市町村でどちらをと決めていくという話がありましたが、この両ワクチンの違いに関する臨床的、経済的、両方のエビデンスが示されない限り、市町村としても選びようがないのではないかと思いましたので、その分についてはさらに小委員会等で議論あるいは検討をしていく、データを提供していくことが必要ではないかと考えています。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。北澤委員どうぞ。
○北澤委員 先ほどの倉田先生のご意見、コメントに私も同感で、実際に今日見せていただいた実施要綱にも、「ヒトパピローマウイルスワクチン」と書いて、「以下、子宮頸がん予防ワクチン」と書かれています。一般の人がパッと見たときに、子宮頸がんがこれで予防できるのだと思いますが、それは期待されているとはいえ、まだ実証はされていないので、そのあたりの言葉の使い方についてどうかなと個人的には考えています。ヒブワクチンは微生物の名前+ワクチンという名前なので、HPVワクチンとかヒトパピローマウイルスワクチンで良いのではないかと思います。
○加藤部会長 ご意見ありがとうございます。岡部委員どうぞ。
○岡部委員 2価、4価の区別ではないですが、分科会およびワーキンググループのほうではHPVワクチンのときにアナウンスとして注意すべき点として、このワクチンはがん予防に100%の効果があるものではないということと、臨床的な効果、倉田先生のおっしゃった子宮頸がんそのものの効果については接種からの年数から見てデータとして不十分であるということを明記してあるので、Q&Aを作成されるときに、そういったようなことをおそらく考慮されると思いますがよろしくお願いしたい。加えて子宮頸がんに対する検診の重要性についても改めて強調していただきたいと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。ほかにご意見はありますか。
○坂谷委員 本来の目的以外に良いことがありまして、たぶん名前のとおりヒトパピローマウイルスですが、赤ん坊が生まれるときに産道を通るときに感染を受けて、幼少時に呼吸器系の気道の多発性のパピローマができる病気があります。そういうものも減るのではなかろうかと予想しますが、この部会で言うべきことではないかもしれませんが、サーベイランスのときにその種の小児科領域の疾患も減るかどうかを見ると、効果の現れ方の1つの指標として有益でなかろうかと、いま思いました。いかがでしょうか。
○加藤部会長 貴重なご意見をありがとうございました。ほかにご意見はありますか。よろしいですか。効果等のご意見はいろいろありましたが、事務局においてはガーダシルを作っているMSD社に対して、さらなる供給量の確保を要請することが1点。それとともに、円滑な事業の実施のために、国としても十分に策を講じることが必要ですので、それを前提としてガーダシルを子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の対象疾病に追加することとして、この部会として了承していただきたいと考えています。これについて大体議論が出たと思いますので、ご了承いただきたいと思いますがよろしいですか。ご意見はありますか。
○保坂委員 いまの皆さんの言ったことが確保されるという確認がないと、と思います。
○加藤部会長 その確認ができるかどうかということは、いま私が話した中に入っていますが、事務局としてはお答えになれますか。
○大臣官房審議官 今いろいろご意見をいただいて、実行が着実に行われないと駄目ですよと。現場が混乱することのないようにということだと思いますので、その点については私どもも十分に注意した上で、実施をしたいと思います。
○加藤部会長 よろしいですか。なかなか不信感があるとは思いますが、この辺のところは国として十分策を講じることが前提にという前提が入っていますので、それを前提として、このガーダシルを子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の対象疾病に追加することについてご異議がないというふうに部会長としては認めますので、そのようにさせていただきたいと考えますが。
○宮崎委員 細かいですが、「対象疾病」ではなくて「対象ワクチン」ですか。まとめの文章の最後に緊急事業の対象疾病に追加すると言われましたが、疾病は子宮頸がんということで変わらないと思います。
○加藤部会長 事業というのは、子宮頸がん予防ワクチンです。
○宮崎委員 ですね。ですから、対象疾病に加えるという言い方を今されたのですが。
○加藤部会長 対象ワクチンです。よろしいですか。そのように訂正します。ありがとうございました。
 続きまして、議題(3)に移ります。前回の部会で議論いただいた不活化ポリオワクチンの円滑な導入に向けました対応についてです。事務局よりご説明願います。
○結核感染症課長 お手元の資料3「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に向けた対応について」ですが、既に先日の5月26日に開催された予防接種部会で方針が承認されています。そのときの承認の内容は、DPT-IPVの導入時に、DPTの接種を開始したものにもIPVを接種できるようにするなど、DPT-IPVの円滑な導入のため、単抗原のIPVの導入も併せて進めること。2点目は、このために、DPT-IPVの導入から近い時期を目指して、単抗原IPVが国内で使用できるよう、開発を進めるというような内容だったと思います。
 考えてみれば、この円滑な導入に向けて、いくつか課題があることもそのときにご指摘を受けたと思いますので、この導入に関する検討会を設置することで今日はお諮りしたいと思っています。目的は、早ければ平成24年度中にもジフテリア・百日ぜき・破傷風・不活化ポリオの4種混合ワクチン、DPT-IPVが国内で導入されることになるということですし、これと近い時期を目指して単抗原不活化ポリオワクチン、いわゆる単抗原IPVの開発も進められているということです。今後、DPT-IPV、単抗原IPVの開発状況や承認後の供給体制等を見越しまして、いま現在予防接種、法定接種の対象となっている生ポリオワクチンOPVから不活化ポリオワクチンへの迅速で円滑な移行、あるいはいつこれを導入したらいいかということに関する公衆衛生上の課題等に対応するために、専門家や現場の関係者の方々などと具体的な検討を行って、対応策を示してまいりたいと思うところです。
 検討内容は、不活化ポリオワクチンへの迅速かつ円滑な移行に向けた対応、さらには不活化ポリオワクチンの導入時における公衆衛生上の課題が大きな2つの柱になるかと考えています。メンバーは、ポリオ予防接種に関する専門家、現場の医療機関の方、事業等を実際に対応される市町村行政担当者、患者の立場の方、メディアの関係者、その他関係する方々に入っていただきまして、実質的な議論をさせていただければと思っています。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま課長より、不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会の設置についての案が示されましたが、これに関係して各委員からご意見があったらお伺いします。よろしいですか。
                 (異議なし)
○加藤部会長 ありがとうございます。不活化ポリオワクチンの円滑な導入に向けて、厚生労働省に「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会」を設置しまして、検討を進めることをこの部会として了承したいと存じます。
 議題(4)に入ります。報告事例です。まずプレパンデミックワクチンの臨床研究について、事務局よりご報告願います。
○新型インフルエンザ対策推進室室長 「プレパンデミックワクチンに係る研究」についてです。資料4をご覧ください。こちらの研究は、三重病院院長の庵原先生を主任研究者とする研究班です。
 研究の背景です。プレパンデミックワクチンはご案内のとおり、パンデミック発生時に迅速に医療従事者や社会機能維持者に接種することを目的として、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)を基にして、未発生期に製造・備蓄されるものです。現行の行動計画では、「ワクチンの有効性・安全性に関する臨床研究等を実施」することが記載されていまして、これまでのところ右の囲みにあるような研究成果が上げられています。安全性については6,000人規模の接種を行いまして、1,000人に1人以上の確率で出現する副反応としては、重篤なものは認められないことを確認しています。有効性については、ベトナム株、インドネシア株、アンフィ株の初回接種、「2回」と書いてあるのは3週間置きまして2回接種しています。この初回接種によりまして、十分な抗体価の上昇を確認しています。これによりまして、この3つの株については基礎免疫誘導効果が確認されました。
 ?です。ベトナム株既接種者に対するインドネシア株、アンフィ株の追加接種によりまして、以下の2点を確認しています。1点目は、追加接種による十分な抗体価の上昇によって、インドネシア株、アンフィ株の追加免疫効果が確認されています。2点目は、追加接種した株とは異なる株に対する十分な抗体価の上昇ということで、ベトナム株既接種者における幅広い交叉免疫性が確認されたということです。
 これまでの成果を踏まえまして、2頁です。平成22年度の研究の目的としては3点挙げています。1点目は、インドネシア株、アンフィ株の既接種者における交叉免疫性の確認ということで、これまでベトナム株のみについて確認されていたものをインドネシア株、アンフィ株についても確認をするということです。2点目は、チンハイ株の基礎免疫誘導効果、追加免疫効果の確認。3点目は、初回接種(2回)と追加接種に同じチンハイ株を用いたときの交叉免疫性の獲得の有無の3つを確認することを目的に、研究が行われています。
 研究の概要です。A)は、2年前の平成20年度に、インドネシア株又はアンフィ株を2回接種した被験者それぞれ100名を対象にチンハイ株を1回追加接種し、有効性と安全性を確認しています。こちらは図で示していますように、それぞれの既接種者に対してチンハイ株の追加接種を行っていまして、それに合わせて接種前と接種7日後、21日後の採血を行いまして、抗体価を測定しています。B)は、プレパンデミックワクチン未接種者120名を対象にチンハイ株を3回接種して、有効性と安全性を確認しています。チンハイ株は2回目を21日後、3回目を半年後に接種をしています。採血は、接種前と1回目の接種の42日後、半年後、3回目の接種が終わったあとの7日後、21日後に採血を行いまして抗体価を測定しています。
 3頁です。被験者の背景はこちらの表のとおりです。
 4頁以降に結果をまとめています。かなり細かな表になっていますが、欄に2つの数字を記載しています。左側の数字が中和抗体変化率、右側の数字が中和抗体保有率で、その判定の仕方を下の囲みに記載しています。抗体変化率は2.5倍を超える場合、このワクチン接種が有効だったと判定できるということです。また、抗体保有率は70%を超える場合に有効と判定できるということで、有効と判定された数字は赤字でお示しをしています。
 A)のインドネシア株既接種者への追加接種によりまして、ご覧のとおりベトナム株、インドネシア株、チンハイ株、アンフィ株について有効性が認められたということで、これによってインドネシア株既接種者における交叉免疫性が確認をされています。同様に下の表のとおり、アンフィ株の既接種者についても程度は差がありますが、交叉免疫性が認められたということです。
 5頁は、チンハイ株を3回接種した結果です。当初、同じ株を3回打っても交叉免疫性は認められないだろうという予想であったということですが、3回接種3週間後のデータを見ますと、4つの株すべてについて有効性が確認されたということで、同じ株を3回接種しても交叉免疫性が確認できたということです。
 6頁は、安全性に関する結果です。表でお示ししているとおり、後遺症が残るような重篤な副反応は認められなかったということです。
 7頁は、今後のプレパンデミックワクチン研究についてです。まず平成22年度も含めて、これまでの研究で得られた知見をまとめています。繰り返しになりますが、副反応については1,000人に1人以上の確率で、出現するものとしては重篤なものはないこと。基礎免疫誘導効果は、こちらの4つの株について確認をされています。追加免疫効果は、この3つの株について確認。また、ベトナム株、インドネシア株、アンフィ株既接種者は、交叉免疫性が確認されています。チンハイ株を3回打った場合に、交叉免疫性が確認されたというような知見が得られているということです。
 今後の考えられる課題として以下のものを挙げています。1点目は、1回目接種と2回目接種で違う株を接種した場合の効果の発現ということで、これまで3週間空けて同じ株を2回接種して、それを初回接種としていましたが、株を変えた場合にどういう反応が得られるかということです。2点目は、1回接種のみによる基礎免疫誘導効果獲得の可能性ということで、1回接種後半年ぐらい経った後に違う株を接種した場合に、どういう反応が認められるかといったことも確認してみたいということです。また、さらなる安全性の検証ということで、こういった研究課題に対応するために平成23年度においても、研究を引き続き実施したいと考えています。報告は以上です。
○加藤部会長 どうもありがとうございました。ただいまのご報告に対して、何かご意見がありましたらば伺います。廣田委員。
○廣田委員 倉田先生にもお伺いしたいのですが、普通の季節性ワクチンだったら、野生株がほぼイコール、ワクチン株ということになりますが、このH5ワクチンの場合はワクチン株はリバースジェネティクスということで、野生株とは相当違うワクチン株になっています。ワクチン株で測った交叉抗体が野生株にどれだけ効くかというと、また別だろうと思うので、この野生株に対する交叉抗体がどうかというのを情報としては知りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○倉田委員 いま廣田さんに突かれたところは非常に大事な点で、いま一般的にやっているシングルのほうでも、同じH1N1でも場所が違ってきたものは効果がなかったという結論が、もう出ていますよね。H5N1がこれだけの株で相互に行っても3回もやったという話で出ていますが、1つは、これは起きてみないとわからないです。次のプレパンデミック、H5N1でもわからないし、いわゆるテストしてみましょうということだったら結構ですが、この間のカリフォルニアのH1N1だって、インフルエンザの優秀な研究者の方々、日本にも世界にもたくさんいる方々は誰も予想しなかったですよね。ですから、こういう予測は当たるかどうかというのは、まずわからないです。過去、予測があたったことは全くない。どうしてH5N1になるともよくわからないですが、どうしてかということをこちらがお聞きしたいのです。いま廣田さんが言ったように、いままでのシングルワクチンH1N1、HAはいま香港のあれですが、取れた場所と、そのときワクチンに使ったものとが違っていたら効果がなかったよという結論が大体出てきています。そこはどういう根拠でやっているかをお聞きしたいのです。H1N1が次のパンデミックかという考え方でこれをやるのか、ただテストしましょうということだったら文句を言う気はないですが、どういう根拠ですか。
○加藤部会長 いかがですか。答えられますか。
○新型インフルエンザ対策推進室室長 これを実際、私自身が研究したわけではないのであれですが、政策的には幅広い交叉免疫性が得られれば、それだけカバーできる範囲は広いのではないかということは予測できます。もともとプレパンデミックワクチンは限界があるだろうという前提で備蓄をしています。鳥インフルエンザウイルスを基にして作っていますし、実際に発生した新型インフルエンザに効果があるかというのは確認のしようもないですが、幅広い株をカバーできるような形で抗体が上がっていれば、効果がより期待できるのではないかということで研究自体は、しっかりと進めていく必要があると考えています。
○倉田委員 これは非常に大事なところで、皮下接種で呼吸器系の上皮を侵すウイルスをアタックすることは難しいことです。ですから、こういう皮下接種を前提にしたやり方というのはそろそろ頭を切り替えないと、別な方法で粘膜防御をするという考え方でやらないと、いままでの繰り返しだったら、これはあまり意味がないと思います。どのぐらいのお金を使うかは知りませんが、そこは考えたほうがいいと思います。要するにワクチンの接種方法とか、皮下にやたら打って抗体があったというのは防御に役に立つという根拠はどこにもないです。
○加藤部会長 それは粘膜ワクチンとか、そういうことですか。
○倉田委員 そういうことです。そういうものを含めての発想なり。
○加藤部会長 そういうご意見があったということで。飯沼委員。
○飯沼委員 これは中和で測られていますが、HIだとどうですか。HIがないと比較が難しいと思う。
○加藤部会長 HIのデータがあるかどうかのご質問ですが、データはいまのところない。
○新型インフルエンザ対策推進室室長 4頁の下の囲みにある基準自体、HI抗体価で本来は判定すべきものなので、なぜ中和抗体なのだろうということは私も疑問に思いまして確認したのですが、どうもいろいろ問題があってHIでは測定できないということで、中和抗体で判定したと聞いています。
○飯沼委員 おっしゃられるのは、HIで引っかからないくらいの低い抗体価ということですね。それで中和が出るかしら。
○新型インフルエンザ対策推進室室長 そこまでは確認していません。
○岡部委員 私は、この研究に直接携わってはいませんが、H5N1のときのHI抗体はスタンダードなものがなくて、全く比較が取れない。また血球によっても左右するので、一応中和でやろうとなったと聞いています。
○加藤部会長 高さの問題ではない。標準がなかったということのようですね。岩本委員どうぞ。
○岩本委員 技術的な質問ですが、おそらく中和にしろHIにしろ、倍々希釈法だと思いますが、そうだと普通の感覚だと2カン上昇して、つまり見た倍率で4倍ですよね。この基準が2.5倍になっているのは、何か特殊な意味があるのかどうかということです。専門家がやっているので、おそらく意義があるのだと思います。
○加藤部会長 答えられますか。
○新型インフルエンザ対策推進室室長 私も専門家ではないのであれですが、これは接種前後の抗体価について、それぞれ平均的な数値の比較で見ていると理解しています。何人かに接種して、その抗体価について平均的な数値を接種前後で比較して、何倍になったかという性格の数字ではないかと理解しています。
○加藤部会長 いままでのいろいろなご意見を参考にして、平成23年度の研究をしていただくということでよろしいですか。
                 (異議なし)
○加藤部会長 先に進めます。順番を変えまして、資料5は後にします。資料6「2011/12シーズンのインフルエンザワクチンについて」、事務局よりご説明願います。
○結核感染症課長 資料6をご覧ください。今シーズン、これからのシーズンですが、2011/12シーズンのインフルエンザワクチンについてです。このインフルエンザワクチンの製造株につきましては、そこの選定プロセスに沿っていつも会議を開きまして、ワクチン株を決定することとしております。もう既にこの株につきましては、4月-5月頃までにワクチンの株の選定会議を3回ほど開きまして、それを踏まえましてその会議から選定の回答をいただいて、それを踏まえまして厚労省で内々で検討をさせていただいたものを、例年6月ワクチン株決定通知ということで、各関係機関にお送りしているものでございます。これに基づきまして、ワクチンの製造を始めていただき次のシーズンに備えているところでございます。
 今回、WHOが推薦するワクチン株の構成ですが、WHOはA/カリフォルニア/7/2009類似株、A/パース16/2009類似株、B/ブリスベン/60/2008類似株と、このようなものをワクチン株として推奨されておりました。これも踏まえまして、国立感染症研究所で3回開きました会議で検討をしていただいた結果、これからのシーズンのインフルエンザのワクチン株ですが、そこにお示した株に決定したというものでございます。  (1)がA/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm高増殖株X-179A、(2)がA/ビクトリア/210/2009(H3N2)高増殖株X-187、(3)がB/ブリスベン/60/2008で、WHOから推奨いただいた株を踏まえたもので、我が国といたしましても、混合ワクチンの製造をすることになったご報告でございます。簡単ですが、以上でございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま、今シーズンにおけますインフルエンザワクチンの株についてのご説明がございましたが、この件に関してご質問ご意見がございましたら伺います。宮崎委員どうぞ。
○宮崎委員 株はこういうことで決まったようですが、接種用量に関していまの時点で何か情報がありましたら教えてください。
○加藤部会長 接種用量についての情報をお願いいたします。特に何かいままでと違いがとか、こういうご質問です。
○宮崎委員 もう少し具体的には、小児接種用量の変更の申請が出ていると思いますが、今シーズンはどうかということです。
○加藤部会長 これは予防接種法の話でしょう。シーズン性のワクチンですから予防接種法に基づいている話だとすると、その用量の話にいきませんね。先生が言っているのは0.1とか0.3の話でしょう。
○宮崎委員 そうです。
○加藤部会長 予防接種法に基づくと、今回はその話は出てこないのですね。
○宮崎委員 そうです。
○加藤部会長 それを踏まえたうえでのご質問ですね、どうぞ。
○血液対策企画官 医薬食品局です。1つ直接的なお答えになっているかどうかは自信はございませんが、今シーズンからこのワクチンについては、小児用の量も設定することになっていまして、それがいま承認申請され、審査をしているところですので、そちらのほうがそれと併せて、今シーズンから小児用用量がきちんと確定された形で出ることになっております。
○加藤部会長 よろしいですか。ほかにご質問がございますか。よろしいでしょうか、それではこの件についてのご報告は以上でございます。元に戻りまして、「ワクチン産業ビジョン推進委員会混合ワクチンワーキンググループ報告書」について、事務局よりご報告をお願いいたします。
○血液対策企画官 資料5-1に基づいて全体をご説明させていただきたいと思います。まずこの経緯ですが、我が国のワクチン産業の育成を目的としまして、平成19年3月にワクチン産業ビジョンが策定されました。この実現に向けた検討を実施するための委員会としまして、ワクチン産業ビジョン推進委員会が設置されたところです。
 この検討はいちばん上の四角にありますとおり、当初は開発の必要性の高いワクチンについて、平成19年10月から平成20年3月まで、個別に検討をして、その後、混合ワクチンについての検討を、平成21年2月から平成23年1月まで実施しまして、そして今般、このワーキンググループの中で、宮崎先生を中心にご検討いただいた混合ワクチンについての議論をとりまとめ、平成23年3月にワクチン産業ビジョン推進委員会の中でまとめを行ったという経緯です。
 この報告書の中身ですが、大きく分けまして総論と各論に分けられています。総論には混合ワクチンの利点、それから混合ワクチンの開発に当たっての問題点、そして混合ワクチンのこういう問題に対して、将来的にどういう課題があるかということをまとめました。そして各論として、我が国で今後開発が望まれる混合ワクチンについて記載をしております。
 少し中身についてご説明させていただきますと、まず総論の混合ワクチンの利点ですが、混合ワクチン自身はここに記載していますとおり、接種による負担率の軽減が大きな利点としてあります。また、それと合わせまして接種率の向上、それから予防接種のスケジュールの充実化に寄与するものであるということで、利点として整理されています。
 しかしながら問題としては、混合ワクチンの開発に当たって、いくつか問題点があります。1つは例えばワクチン当初の相互作用・干渉の問題と言われているところをどうするかということ。一部のワクチンにつきましては、結合型ワクチンの混合化による過剰免疫と言われているものが発生すること。あとは使用するときの安全性への配慮。それから供給体制における適切な管理。そして、実際に予防接種スケジュールをどういうふうに整合させていくかというところの問題がございます。
 そうは言いつつも、この報告書の中では、こういう問題も解決していくための、今後の課題としましては、疫学・予防接種のニーズを踏まえた新しい混合ワクチンの開発を、まず進めていくことが重要であるということで1つ整理しています。それから関係者を含めた国民の理解・協力を求める仕組みも重要であることが1つ。あとは混合ワクチンの開発への支援のあり方。海外から導入されるワクチンの審査に必要なデータ等の考え方についても整理が必要である。あるいは、我が国の技術特性に合わせた特徴のある製品の開発、研究開発体制の推進等を、まず全体としてやるべきことがあるということもありまして、そういうことを整理させていただいています。
 総論は下のほうにそういう共通の課題についてまとめたのですが、各論としましては我が国で開発が望まれる混合ワクチンとして、どういう形で整理したかです。まず各国で開発が進められている混合ワクチンを、まずそういうことを踏まえることが重要であろうという観点から、DPT系列の混合ワクチンとMR系列の混合ワクチンの2種類の混合ワクチンを中心に、この検討会の中では開発に当たっての問題が検討されるところです。そしてその中に、それぞれ必要と思われるところについての整理をさせていただきました。
 この報告書の結論としましては、結語に記載していますとおり、混合ワクチンについてはやはり多くの利点がありますので、社会的なニーズに合わせた混合ワクチンを、速やかに開発することが必要であろうと考えているところです。将来的には、我が国のワクチンを海外へ提供できるよう、ワクチンの開発基盤の強化等も重要であるということで、結論づけられています。この報告書にご指摘いただいた議論は、今後さらに深まるようにさせていただきたいと考えています。以上でございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいまワクチン産業ビジョン推進委員会から、混合ワクチン検討ワーキンググループの報告書について報告をいただきましたが、このご報告に関して、何かご質疑がございましたらいただきたいと存じます。いかがでしょうか。
○倉田委員 利点に関しては、もうおっしゃるとおり皆さん日ごろから言っているとおりで、何も文句はありませんが、混ぜたときの問題、承認は全て1個1個なのですが、ところが足したというのは、そういう格好で承認をするしないというのは、また別の次元の話なのですね。ところがほとんどそれをやらずに、この間の10月の小児科学会にあるように足して打つと。その利点ばかり強調されていて、起きることに関しては基本的にWHOのガイドにも、そのほか企業向けのガイドにもありますが、考え得る動物試験と、それからヒトのトライアルをちゃんとやるべきだろうということが書かれているが、日本では、もともとDPTとかMRとか承認の段階で出来上がっているものは別として、新たに医師の都合で利点を強調するあまりいろいろ加えたときに、きちんとそれの評価というのは、安全性の問題とかはあるけれども、有効性はたぶん抗体ありという疾患の場合はそれで結構ですが、そういうことをきちんとやる必要があります。そこがやられていないのではないかということを非常に私は疑問に思って、何度も言ってきています。ですから、一つひとつ安全なもの、承認されたものが2つ、3つ、4つ、5つと足したときに、安全ではないよと。特にバクテリアのワクチンの場合はそういう傾向がありますので、そこをきちんと押えないといけないのではないか。
 もう1つ、外国の品物に関する審査、これは日本が必要なことを徹底的にやるべきです。FDAはそのやり方をしていますが、そういう審査のやり方を勉強すべきだと思います。どこかで使っていれば安全だということにはならない。特に日本の子どもさん達は、そんなに強くないですから、ワイルドではないですから、やはりちゃんとしたデータを取った上でその利点を活かすような方向にいかないとまずいでしょうと。トラブルが重なれば重なるほど、これは皆さん静かに黙っているとも思えないし、既に私、去年、一昨年辺りから何度も指摘していることで、それがいまごろこういう格好で利点ばかりが強調されたというところに、私は非常に疑問というか、ちょっとまずいのではないかと思っています。
○加藤部会長 ありがとうございました。ほかにご意見ございますか。
○宮崎委員 ワーキンググループとしてのまとめを親委員会に前回上げさせていただきました。混合ワクチンの開発というのは技術的にも結構難しくて、臨床試験をやる上でも先生が言われたように、現在使っているもの、あるいは混ぜたものの比較試験等とか、今までもやられてきましたし、今からもやっていかなければいけないということを書かせていただいています。
 もう1つ、少し前に戻って、不活化ポリオワクチン、これはまさにDPT-IPV混合ワクチンになるのですが、今回IPVだけのワクチンの導入のところに、国は 単抗原IPVという言い方をされているのですが、IPVはポリオウイルス1型、2型、3型が入っている3価ワクチンなので、どうも違和感があります。単抗原ではないのではないかと。単独IPVのほうがいいのかなと思ったりもするので、これは新しく作られる委員会で整理していただければと思っています。混合ワクチンあるいは多価ワクチン、あるいは先ほど出た同時接種、それぞれ違いますので、あまり議論がごちゃごちゃにならないようにと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。このご報告に関してほかにご意見がございますか。よろしいですか。では、どうもご報告ありがとうございました。
 最後のご報告でございます。いままでこの部会では取り上げておりませんでした件に関するご報告となります。「B型肝炎集団訴訟における『基本合意書』の締結について」事務局よりご報告をお願いします。
○大臣官房企画官 大臣官房企画官の宮本と申します。先週の火曜日、6月28日にB型肝炎訴訟の「基本合意書」の締結が行われました。厚労大臣が締結をいたしまして、そのあと原告の皆さんが官邸に行かれて、総理が謝罪をするということが行われました。新聞報道等でご覧になられた先生方もおられると思いますが、本日は集団予防接種の最大の感染被害とも言えると思います「B型肝炎訴訟」の基本合意につきまして、その経緯を含めご説明をさせていただきたいと思います。
 B型肝炎訴訟につきましては、今回の集団訴訟の先行訴訟がございまして、平成元年に札幌地裁で、5人の原告が集団予防接種における注射器の連続使用によってB、型肝炎ウイルスに感染したと言って、国を提訴したということです。平成12年に1審判決が札幌地裁でありまして、その場合は国が勝訴いたしましたが、平成16年札幌高裁判決で国が一部敗訴いたしまして、平成18年の6月最高裁判決により、5人の原告全てについて国が敗訴をし、一人当たり550万円の損害賠償を支払うということになりました。
 その後、その5人の原告の方々と同じ状況にあるといたしまして、平成20年3月に、全国10地裁で最終的には727人の方が国を提訴したということです。平成22年3月に札幌地裁から、これはいわゆる判決ではなくて、和解協議によって解決できないかということで打診がございまして、5月にその和解のテーブルに国が着くことになりました。それから1年余り和解協議を続けまして、昨年の1月と4月に、これまでの協議の結果を踏まえた裁判所の所見、裁判所の判断が示されまして、原告、被告とも、その所見を受諾することになりました。そういった経緯を踏まえまして、平成23年6月28日、先週の火曜日に「基本合意書」が締結されたということでございます。この「基本合意書」と申しますのは、これからの個別和解の要件を定めたものでして、要するにこの問題の一般的な解決方法を、双方で定めたというものです。これは今後の紛争の解決の基準になっていくものです。
 資料7-2をご覧ください。資料7-2がその基本合意の内容です。基本合意におきましては、1つはどういう場合が集団予防接種の注射器の連続使用によって、B型肝炎に感染したかという因果関係の認定の方法を決めております。それと省庁ごとに和解金をいくらお支払いするのかという金額について定めております。和解の金額は、いわゆる除斥期間と、法律上除斥期間というのがございまして、請求権が20年で法律上消滅いたしますので、その20年経っている方と経っていない方で、そこには区分がございます。いわゆる訴訟とは関係なく、国が行うべき恒久対策、真相究明というようなものについて定められております。
 まず因果関係につきましては、これはいわゆる医学的な因果関係とは異なりまして、医学的に本当に予防接種で感染したかどうかは、非常に証明がしにくいことですので、裁判所は「高度の蓋然性」という考え方をとっております。即ち一定の要件に該当する場合には、集団予防接種で感染したものと認めるという考え方です。その認定方法の1つは、まずご本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していることです。2番目は満7歳になるまでに集団予防接種等を受けたことです。3番目が集団予防接種における注射器の連続使用があったこと。4番目が母子感染ではないか。5番目はその他集団予防接種以外の感染原因ではないか、即ちいわゆる消去法で消去していきまして、ほかに原因がないと認める場合は集団予防接種によって感染したというふうな形の認定となっております。
 今回の和解協議では、この最高裁で示されているこの要件を、どのような証拠で認めていったのか。具体的にどういう証拠で認めていくかということは争われました。また、和解金額につきましては、最高裁で500万円と出ておりましたが、その後、C型肝炎訴訟がありまして、金額が大きく引き上がっておりますので、今回、C型肝炎訴訟の内容も見まして、和解金額をどのように決めていくかが議論になっていました。
 資料7-3です。現在この基本合意によって直接解決をされる方は700人超ということですが、実はその原告と同じ状況にある方が、まだたくさん後ろに控えておられます。今回の解決は、いま提訴されていない方、既に提訴している方以外の方々も救済をするという観点に立って、これまで議論を行ってきたものです。B型肝炎に感染している方は、いわゆる無症候性キャリアという症状が出ていない方を含めて、全国で110万人~140万人いるというように推計されています。このうち本件訴訟の救済対象になる方は、45万人に上るということで推計をしております。そのうち発症者は4.5万人と推計をしていまして、今後こういった方々に最大限賠償していく必要があるということです。これらのことに対する給付に要する費用としては、症状が進展した場合の追加の給付を含めまして、総額で最大3.2兆円程度かかると考えております。また、現在の症状を基本として5年間程度で支払う額としては、最大1.1兆円の財源が必要になると考えております。要するにその3.2兆円は今後30年かかって症状がどんどん進展していったときに、その差額の給付を行う形で3.2兆円かかるわけですが、現在の症状で考えた場合で、そういう方が全員提訴してきたと考えた場合でも、当面5年間で1.1兆円ぐらいのお金がかかるのではないかと推計をしているところです。
 次頁、資料7-4です。今回の基本合意をしたときに、この問題の全体解決をしていくことが大切である。いわゆる今回、訴訟を提起された方だけではなくて、訴訟を提起された方以外の救済も考えていくことが必要であるということから、基本方針をまとめております。それにつきましては読み上げさせていただきます。
 「B型肝炎訴訟については、一方で、その原因である集団予防接種が、感染症から国民の生命・身体を守り、国民全体に広く利益をもたらしたものであるが、他方で、それにより、少なからず被害を被った方がおられることも事実である。この問題は、かつて例のない大変な大きな広がりを持つものであり、長期にわたって責任のある対応をとることが必要である。こうした認識の下、既提訴原告のみならず、今後訴訟を提起する者への対応も視野に入れ、財源確保策も含めた全体の枠組みを固めていくことが不可決である。また、本件の原因が集団予防接種であることを踏まえ、こうした枠組みを国民全体で支えていただくことについて、国民の理解を得ることが必要である」。
 このような考え方の下、政府としては以下のように対応するといたしまして、1つは基本合意を締結するということ。もう1つは本件の全体解決に向けて、財源確保策も含めた全体の枠組みを、別添を含めた詳細な制度設計を行った上で、所要の法案の成立を目指すということです。
 別添のほうは目的、対象者の認定、給付金の支給というようにありますが、給付金の支給は基本合意の内容です。4番目に財源確保策がございまして、当面の和解金の支給に必要な費用を踏まえ、期間を限って国民全体で広く分かち合う観点から、特別な財源措置を講じるというようにしております。これは先ほども申し上げましたとおり、集団予防接種が公衆衛生の改善ということで、国民全体に大きな利益を与えている。その一方で、同じその予防接種からそういった被害を生じさせたということで、そういった本件の性質に照らしてその救済の費用については、国民全体で広く分かち合う観点から、財源措置を講じられないかということです。
 具体的な財源措置については、今後検討をしていくことになりますが、先日、厚労大臣から「税も1つの選択肢として検討をしてまいりたい」という発言がございました。我々も全体解決の枠組みづくりのための所要の法案を準備する過程の中で、国民全体で広く分かち合うという観点から、税負担を念頭に置いて今後検討してまいりたいと考えております。そういった法案については、可及的速やかに所用の法案の提出ができるよう、努力をしてまいりたいと考えています。私からの説明は以上でございます。 
○加部会長 ただいまB型肝炎集団訴訟における基本合意の締結についてのご報告がございました。当部会に馴染む案件とは考えられませんが、せっかくのご報告ですので、何かご意見のある方はご意見をいただきます。
○廣田委員 本来的な予防接種に絡んでくる問題とは、かなり異質の問題ではございますが、この途方もない財源も要するということについて、きちんと財源を確保して確実にやっていただきたい。そうでないと、予防接種全体の問題として、予防接種全体が金食い虫みたいに思われて、いまから対象疾病も増やそうとかいう、前向きに予防接種に取り組もうというときに、水を差されて全体を押さえ付けられるようなことになると、本当に困りますので、B型肝炎の問題自体にきちんと財源を確保して、この問題として対応していただきたいと、きちんとやっていただきたいと思います。
○加部会長 ありがとうございます。ほかにご意見がありますか。
○岡部委員 もう既にこういった合意書が出ているので、それについてのコメントは差し控えるべきと思うのですが、ただ、現実としてこういう合意があって、さらに将来に向けて解決していかなければいけないことがあるのです。1つは既に過去のことですが、B型肝炎は予防接種によってのみ発生するということではないということは、1つ強調しておく必要があると思います。当時のこととはいえ、科学的な論争の部分と行政的な解決策と、おそらくは乖離があったのではないかと思いますが、そういったような検証を本来きちんとやっていく必要があるだろうと思います。
 廣田委員もおっしゃったように、これは科学的に解決をしていかなければいけない部分なのですが、一方でほかの救済の場合でも予防接種の安全性を確保するために疑わしいあるいは不明なものに対してすべて救済をするという考え方はあるので、それは行うべきで、この場合もそれに対してきちんと財源の確保をされて、解決に向けていかなくてはいけないだろうと思うのです。お願いしたいところは、仮にこの財源確保をされないとすると、現在の予防接種そのものの財源がそれに充当されてしまって、今後予防すべき疾患についての財源が不足し、「予防」ということが、進まなくなってしまうのではないかというのが、非常に危惧するところであり、そうあってほしくないところです。したがって、この肝炎の問題については、肝炎の救済対策としての財源を別に確保した上で、予防接種事業をしっかりやっていただきたいと思います。
○宮崎委員 対象者は昭和23年から昭和63年までの40年間ですかね。接種における感染ということですが、先ほど感染推計で45万人ということをおっしゃいましたが、簡単にこの推計の根拠を教えていただけますでしょうか。
○大臣官房企画官 先ほど無症候性キャリアの方を含めまして、B型肝炎に感染している方は110万人~140万人と推計いたしました。まずこれを基に置きまして、本件の訴訟の対象となっている方の年齢を区分しております。それは今おっしゃったとおり、昭和23年から昭和63年まで。そのとき7歳未満で予防接種を打った方ということになりますので、基本合意書の中にもあるのですが、昭和16年7月2日生れから、昭和63年1月27日、これが数値を出した日付けです。そこまでの誕生の方がどれだけおられるのかを推計しています。
 その後いろいろな医学論文、これは訴訟の中でも取り上げられているのですが、そういった医学論文によって、その年代ごとの母子感染の割合を推計いたしまして、年代ごとに母子感染の割合を推計して、母子感染以外の人を括りだしています。そのあとに各要件についての証拠の提出の可能性、いわゆる母子健康手帳がどれだけ出せるか。
 母子健康手帳は予防接種を打ったことの証拠として用いるのですが、その母子健康手帳をどれぐらいの方が持っておられるか。母子健康手帳だけではなくて、実は接種痕といいまして、接種の跡があるかどうかということも証拠になりますので、その接種跟がある人がどれぐらいあるのか。これをインターネットを使って1万人ぐらいの母数でそういった調査を行いまして、証拠提出の可能性を考慮しています。そういうことをやりまして推計したのが45万人ということです。
 患者についても基本的に同様ですが、患者については患者調査の内容から同様の調査をして、4.5万人を割り出しています。中には二次感染者といった者も考慮していたり、人口動態統計で死亡者数を推計いたしまして、そういった死亡者についても推計をいたしております。これはかなり専門家の先生などにも見ていただきまして、我々のできる限りの最大の知恵を使って、推計をしたというものです。
○倉田委員 ちょっとお聞きしますが、昭和45、46年を機に、ガラスで煮たのを繰り返し使うという予防接種のやり方が、完全にプラスチックに変わりましたよね。これを打った方は7歳以下というと、小児科の先生方が関与していたと思うのですが、大量を一気にやるなんていうこともやっていたのですかね。今度の700何人の中で、こういう集団が汚染されたというデータはあるのですか。つまりその中に1人感染者がいないと、針を使っても。私がもし感染をしていてこの辺打ったら、みんないるのはわかるのですが、特定した人がなくて、予防接種で移ったということはとても言えないですね。そういう集団でキーになる人がいて広がったというようなことまで分かっている例はあるのですか。
○大臣官房企画官 専らそれは先行訴訟のときに議論されました。国側としては、かなり医学的な証明を初めは求めていまして、もし予防接種で感染したと言えるのであるならば、自分の前に感染者がいて、それで連続使用がされていたという事実が確認されることが必要であると。そうしなければ医学的には、予防接種を原因とした感染とは言えないのであるという主張をずっとしてきたわけです。実際、過去の何十年も前のことですので、そういった立証をするのはかなり不可能を強いる形になります。そこで、そこが最高裁の最終的な判断なわけですが、それはいわゆる高度な蓋然性という理論で、自然科学的証明ではなくて、いわゆる法的な因果関係の証明と言いましょうか、いわゆる「高度な蓋然性」という理論を使って証明する。そうなりますと、そういう医学的な証明ではなくて、結局この方が予防接種を受けているかどうか。そして集団予防接種、回し打ちをやめていなかった期間の予防接種を7歳未満で受けているかどうかという事実と、母子感染であるかどうか。例えばお母さんの血液を調べて母子感染であるかどうか。それから手術歴だとか輸血歴、そういったものがカルテ等で認められるかどうか。
 それから最近で言いますと、ジェノタイプAeというタイプにつきましては、成人後も感染すると言われています。専ら性感染で感染すると言われていますので、ジェノタイプAeであるかどうか。ではないということを証明していただくことになります。また、お父さんからも感染する可能性があるので、お父さんがご存命であれば父子感染であるかどうかも、遺伝子配列を調べて検査をすることになります。そういったほかの可能性を全部消去していって、それが全部消去されれば、それは集団予防接種の感染であるとみなす。そういう考え方に基づいて、今回の和解協議はできています。
○倉田委員 私は不幸な事態に陥った人を国が、肝炎だけではなくていろいろな疾患について救う、それはいいのですよ。それを大前提に福祉国家ならやってみろと、厚生労働省はその責任がある、音頭をとる。それはいいのですよ。しかし、医学的に分かるということと、蓋然性ということは、意味が全く違う次元なので、今後そういう問題に関して、きちんとトレースということをやらないと、いつまで経っても小児学会なり日本医師会できちんと。その問題は注射針の話ですから、ボトルも含めて。そういうところをきちんとオンにしていかないと、肝炎がこれで終わったという話にはならないと思うのです。ですから、そういうことを是非、政策をきちんと末端までやるということをしておかないと、今後みんなB型は予防接種、日本はなんてひどい国だということになると思うのです。メディアがそう書いたら世界はそれを見直すと思うのです。そうしたら何ていう国だということになりますよね。ですからそこをはっきり、医学的に証明されたのはこのくらいだ、しかし、そうでない人も蓋然性という言葉の使い方をきちんとしてオープンにしないと、非常にまずい結果を世界に広めることになりますよね。それは非常にまずいと思いますので、注意をしたほうがいいと思います。
○大臣官房企画官 それはこの基本合意の中にも記述がございまして、今回のこと岡部先生から先ほどお話しいただきましたが、要するに検証委員会を設けて、これについてはさまざまな観点から検証することにしております。その中で過去の厚労行政の責任もございますし、いろいろなことがあると思いますので、そういったことを含めて、それはきちんと検証をやってまいりたいと考えております。 
○加藤部会長 ありがとうございました。B型肝炎訴訟における基本合意の締結についてのご報告はこれで終了いたします。いろいろとご発言はあると思いますが、この会で定義されたのは初めてですので、ご報告までということに止めさせていただきます。
 以上で本日当方で用意いたしました議題は終了いたしますが、何かほかにご意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
○坂谷委員 戻りますが、混合ワクチン検討ワーキンググループの報告書の12頁、結論のところを見ておりますと、日本のワクチンを海外へ提供できるよう「に」のほうがいいのではないかと思います。ワクチンの開発基盤を強化していく。これはもうご異論のないところですが、具体的にどういうようなことをお考えになってこの文章を作られたのか。この中身として具体的にどういうことを考えておられるかということを、ご披露いただけませんでしょうか。
○加藤部会長 産業ビジョンのところですか。時間がございませんので簡略にこ質疑をお願いします。
○血液対策企画官 この混合ワクチンのみならず、現在新型インフルエンザワクチンの開発におきまして、国からお金を支出いたしまして、基金事業として、細胞培養法を使ったインフルエンザの開発を行っております。現在事業者の選定作業を行っていますが、この一環で将来的ワクチン産業の能力の強化にもつながっていくのではないかと思っております。
○加藤部会長 ありがとうございました。時間がございません。あとお1人ぐらい何かございますか。
○岡部委員 手短に、提案なのですが、現在、東日本大震災被災地の状況について、落ち着いてきている所もあればまだまだ落ち着いていない所もあるのですが、感染症の立場で言えば、今後、冬に向け、例えば高齢者の肺炎等々問題になることが出てくると思います。現在は非常に問題になるような感染症の流行というのは、幸いに被災地や避難場所においても抑えられていますが、やはりシーズンというものも考えて、予防接種で防げる病気については、もっと強化をしていただきたいと思います。確かに手間もかかりますし、費用もかかりますが、結果的に見れば、病気をあらかじめ予防することは、費用面でもおそらくは有効でしょうし、それから病気にならずにすむということは健康の上で非常に大切ですので、これからの予防接種について被災地における状況も考慮していただければと思います。
 確かに小児の予防接種については、この部会でも報告がありましたが、例えば接種期限を延ばすとか、あるいは場所が変わっても接種ができるようにといったようなことが、ずいぶん通知としても発せられており、よいリードをしていただいていますが、しかし、それは現場には必ずしも届いていない。例えば、住所地は変わっていないけれども住んでいる所が違っている人に対しては、行政からの連絡が行かないということがあります。これから受けようとする方がご自分で行かなければその状況が分からないということがあります。是非一般の方、被災地の方が中心になりますが、こういうことをすればきちんとした予防接種が受けられるのだというアナウンスも含めて周知・啓発をやっていただければと思います。
 繰り返しますが、現在は幸い感染症の発生は起きていませんが、きちんと予防していけばこれが更に防げるということですので、是非よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○加藤部会長 どうもありがとうございました。ただいまのご指摘は大変重要な課題だと思いますので、事務局で十分な対策をしていただきたいと思います。以上をもちまして本日の会は閉会とさせていただきますが、事務局から何かございましたらお願いいたします。
○予防接種制度改革推進室次長 長時間にわたりご議論をいただきましてありがとうございました。最初の議題でございます、これまでの主な議論の中間的な状況の整理につきましては、今日ほぼ固まったと認識いたしました。1カ所「の」を入れますが、議論が済んだということで整理させていただきます。おまとめいただきましてどうもありがとうございました。先ほど加藤先生からご提言がありました「今後の制度改正の方向性」について、厚労省案を示すようにということでございましたので、こちらで準備をしたいと思います。次回何らかの形でお示ししてはと考えております。よろしくお願いいたします。
 次回の日程ですが、改めまして先生方に日程調整をさせていただきまして、またご連絡をいたしたいと思いますので、その点もよろしくお願いいたします。以上でございます。
○加藤部会長 では、閉会させていただきます。どうもご協力をありがとうございました。


(了)

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