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2011年2月2日 職業能力開発分科会若年労働者部会(旧勤労青少年部会)

職業能力開発局キャリア形成支援室

○日時

平成23年2月2日 16:00~


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第12会議室


○議題

・ 第9次勤労青少年福祉対策基本方針の原案について
・ その他

○議事

○清家部会長 
定刻となりましたので、第8回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は所用により市川委員がご欠席です。また、宮本委員におかれましては所用のため若干遅れて到着というご連絡がございます。
 早速、議題に移らせていただきます。議事次第にございますように、本日の議題は「第9次勤労青少年福祉対策基本方針の原案について」です。最初に、事務局から資料2「第9次勤労青少年福祉対策基本方針原案」について説明をいただいた後、原案をおよそ3つのパートに分けて、それぞれご意見を伺いたいと思います。まず、事務局より説明をお願いいたします。

○伊藤室長 
キャリア形成支援室の伊藤です。最初に、私どもから資料のご説明を申し上げます。前回のこの部会において骨子案ということで、できるだけこの原案につながるように具体化をした上で骨子案のご提示をしましたところ、前回の部会を通じて、勤労青少年福祉対策の基本的な在り方、方針の位置づけ、活用の方向性、あるいはその記述ぶりまで大変多様な、また具体的なご意見、ご提言を多数いただいたところです。本日の資料の中でも、前回頂戴しました主要なご意見に関しては参考3の形で添付しております。この内容については後ほど原案の説明の中で、前回いただいた趣旨のご意見と今回の原案の加筆修正がどう結びついているのかという観点で説明をしたいと思いますので、ここでの個別の説明は割愛したいと思います。
 最初に、お手元の資料1というA3のカラーの資料をお開きください。前回の部会においても、これに相当する骨子、コンセプト案をご提示したところです。今回、改めてこのあと説明をいたします福祉対策基本方針原案の全体像、基本コンセプトの要点について、こうした形で事務局でとりまとめをさせていただいたところです。原案そのものに入ります前に、最初にここで構成案だけご確認いただければと思います。
 「第9次基本方針の全体像(案)」として、そのすぐ下に副題案「~青少年のキャリア形成と自立を支える社会的ネットワークの構築を目指して~」を提示しております。前回、骨子段階ではこれに大変よく似てはいるのですが、「~青少年の主体的なキャリア形成と社会参加を支える社会的ネットワークの構築を目指して~」の副題を叩き台としてご審議いただいたところです。方針案の副題は性格上、よりシンプルなものを目指すべきである、あるいは社会参加と社会的ネットワークということが言葉として少し重なるのではないか、また主体的という言葉使いについては、原案そのものでも、別途小杉委員等々からご指摘いただいたところです。そうしたご意見を踏まえた形で、よりシンプルな副題案として「~青少年のキャリア形成と自立を支える社会的ネットワークの構築を目指して~」ということで整理したものです。以下、このあとの原案でも出てまいります青少年の雇用・労働をめぐる現状認識、青少年人口の減少、雇用環境の悪化の中で生じております若者の継続的なキャリア形成が困難な状況、その背景にある社会・家庭環境の変化などに伴う孤立・孤独の顕在化といったことを特にポイントとして掲げた上で、今後の本方針案に基づく施策の重点として、学校在学中、職業生活移行時、また就業中など各段階フェーズにおける若者の計画的、継続的なキャリア形成、職業能力開発の促進、これが以下の基本的な展開では、左側1の「勤労青少年の長期的な視点からのキャリア形成の促進」という部分に概ね対応するところです。
 同じく今後の方向性、ここからドロップアウトしたニートなど、自立に困難を抱える若者の職業的自立の促進。こちらに関しては、いま申しました1の(4)の部分と、また右側の「青少年の交流、多様な活動の促進」とも一部かかわっているところです。
 方向性の3点目、社会活動の参加促進、「居場所」づくり等、青少年を支える社会的ネットワーク、支援人材育成等の基盤を整備をする。こちらについては、「基本的施策の展開」の右側、「勤労青少年の交流、多様な活動の促進」、また、3の「勤労青少年福祉行政推進のための基盤整備」、いわばこの勤労青少年福祉法に基づく独自の施策背景の基本的な考え方とも言える内容です。以上が、非常に大まかな構成です。
 具体的な内容に関してはすぐあとの資料2、今回初めてこの部会にご提示しました基本方針原案に沿ってポイントを説明させていただきます。この中で一部赤字でお示しをしている部分があります。この赤字の部分は、前回提示いたしました骨子案に対して頂戴した意見、またその後、別途いろいろなコメントを頂戴しておりますが、そうしたご意見、コメントに関連して修正なり、加筆をいたしました主なポイントとご理解いただければと思います。
 原案のあとの副題は、先ほど資料1で説明しましたとおりです。以下、目次ということで全体構成を示しております。「第1 勤労青少年の職業生活の動向」、「第2 勤労青少年の福祉の増進に関する基本的施策」という構成に関しては、勤労青少年福祉法に基づき、この基本方針の構成としてあらかじめ法定されている内容です。以下の1、2の具体的な内容に関しては、その都度の方針の中でご審議をいただき、とりまとめをしている内容です。
 2頁、「はじめに」です。この方針、原案策定の背景なり、基本的な考え方のポイントを述べている部分です。昭和45年の勤労青少年福祉法の施行以来の若者をめぐる環境変化、ドロップアウトのリスクの動向といったことについて触れた上で、前回の骨子案段階では、「青少年人口減少等の中で、若者の社会の担い手としての希少性が一層高まっている」というくだりでご審議いただいたところです。
 これに対して、意味するところは理解できるけれども、若者を少し物理的に捉え過ぎているという印象を与えるのではないかというご指摘もいただいたところです。そうしたことも踏まえ、この赤字の部分ですが、「青少年人口減少等の環境変化の下、若者一人ひとりが、社会、地域の担い手という観点からも、それぞれの機会を活かし、より充実した職業生涯を実現することが一層期待される時代にあって、就職とこれを通じた能力開発機会にも恵まれないため、無業状態から抜け出せない、言い換えれば、『勤労青少年』となることが困難な層の存在を示すもの」といった形で、若者視点という観点で全体として整理したという意図です。
 そのあとの部分ですが、もともと勤労青少年福祉法が目指しております勤労青少年福祉増進の意味合いの今日的解釈ということで、現下の要請に鑑みるならば、福祉向上の基盤となるキャリア形成支援がとりわけ重要な課題という点を触れた上で、今次の第9次基本方針の最もポイントとなる考え方として、先ほど申しました副題案を書き下ろした内容ですが、「勤労青少年が、仕事と人、社会との関わりを通じ、自信と意欲を備え、継続的なキャリア形成を図り、社会の構成員として自立し、健全に成長することを促すため、また、これを支える、関係機関の連携による社会的ネットワーク整備を図るため、施策の基本となるべき事項を示す」と述べているところです。
 「なおがき」は、前回、前々回もご審議いただきました、本方針による勤労青少年の対象年齢の考え方を引き続き「35歳未満」としています。ただ、関連する個々の施策事業の運用上は、それ以上の年齢層の方についても利用を妨げないという考え方をしております。
 また「おって」の部分では、本方針の運営期間、現8次方針が本年度までですので、次年度23年度からの5年間の方針期間を示しているところです。
 3頁以下、「第1 勤労青少年の職業生活の動向」に関してです。この部分についてはお手元の資料の参考2に相当します、ここで分析をしている勤労青少年を取り巻く社会・経済・雇用環境にかかる代表的なデータに基づき、人口・雇用情勢・就業構造、意識といった主要な観点ごとの現状分析をしている部分です。さらに、3頁の1番の部分が、これら環境変化の全体像、概観した記述ということでご理解いただければと思います。
 近年の経済労働市場をめぐる環境変化のもとで、とりわけ若者、新規学卒者等の就職環境は非常に厳しいものになっていること、いわゆる「大学教育ユニバーサル時代」の到来等々の中で、それぞれの段階でのドロップアウトといった者が大変高い頻度で発生しているということに触れているところです。
 2以下がより具体的な現状です。さまざまなデータに関しては、例えばつい先日、歴年平成22年の労働力調査の速報値が出るなど、ここにお示しをしておるデータについてもやはり時々刻々新しいデータが出てきているところです。本日のペーパー上は数日前に発表されたものについて、必ずしもすべて反映し切れていない部分もありますが、適宜口頭で補いながら、当然最終的にはそれぞれアップ・トゥ・デイト化を図っていきたいと考えております。
 (1)の青少年人口に関しては、34歳以下の青少年人口が減少傾向にあり、3,000万人を切り、また総人口に占める割合も25%を初めて下回ったという現状にあり、その中での社会・経済システム維持のための青少年1人当たりの負担もより大きなものとなるという点です。
 (2)の雇用情勢では、年齢別の失業率について触れております。ちなみに、この部分については、つい先日、平成22年の完全失業率データが公表されたところです。口頭で補いますと、平成22年の歴年通じての完全失業率5.1%、これは変わらずです。15~24歳では9.4%、+0.3ポイントです。25~35歳では6.2%、0.2ポイントの減で、前年との比較では、いわば高止まりです。ただ、若年層型の年齢層に比べて失業率が高いという状況に変わりはないことになるのではないかと思います。
 (3)就業構造の変化等に関しては、若年層の産業別・職業別の就業分野について触れた上で、有効求人倍率からひもとく職業別のミスマッチの点について触れているところです。次の雇用形態の部分では、全年齢階級で非正規雇用割合が増えている中で、とりわけ20~24歳層での非正規雇用の割合が増加をし、また、そのこととも呼応しまして、特に若年層において年収分布について、上と下の層が増えている。収入格差の拡大が見てとれるという点があります。また、フリーター、ニート数が高止まりにあって、ニート数については同様に、先日平成22年を通じてのニート数が公表されたばかりです。平成21年は、こちらにありますように63万人ですが、平成22年については60万人といった数字になっております。
 (4)働くことの意識に関しては、やりがい、楽しさといった精神的豊かさを重視する傾向、ワーク・ライフ・バランスを重視する傾向、主体的な職業生活設計、自己啓発を重視しているといった傾向について触れた上で、離職をした35歳未満の若者についての、前々回ご紹介したデータですが、決め手となった離職理由、「仕事上のストレス」「給与への不満」「労働時間」、さらに次頁にわたり、「会社の将来性・安定性に期待が持てない」、こうした回答率が高いことも踏まえまして、離職者の9割近く、大変多くの若者が「離職をしてよかった」とか、あるいは「どちらかというとよかった」という肯定的な評価を下しているところです。前回とエレメントとしては変わりありませんが、こうした離職を、どちらかというと肯定的に評価をしていることを、必ずしもこの方針の中では肯定的に評価をしているわけではない、もちろん一概に否定ということにもならないと思います。そうした点をできるだけバランスよく読み取っていただく観点で、少し構成を見直しております。
 「第2 基本的施策」です。そのうち1の「勤労青少年福祉行政の方向性」は、これら基本的施策全体を通じての考え方をお示ししている部分です。前回の骨子案の段階では、「成長・発達が社会的な期待どおりにはなされていない若者」といったくだりがありましたが、この点についても別途いろいろご指摘をいただく中で、若者の成長について、いわばヒナ型、プロトタイプをあらかじめ想定しているという誤解を与える恐れもあるのではないかという趣旨のご指摘もいただいたところです。種々の部分にありますように、第1で概観した若年失業者・フリーター・ニート等の存在は、若者をめぐる社会、雇用・労働の環境変化の下で、こうした成長・発達-「こうした成長・発達」というのは、その上段にあります、これまでのこの方針の中でも触れてまいりましたような、勤労青少年福祉行政において、ある種非常に観念的ですが、目指す勤労青少年の姿とのかかわりという趣旨です。こうした成長・発達の実現が阻まれている若者が相当数生まれていることを意味するといった、よりニュートラルな記述ぶりとしたという意図です。
 さらに、そのあと、今後の勤労青少年行政展開の基本的な視点としまして、現在の第8次方針で初めて本方針上の位置づけがなされたニート等の若者に関し、青少年のキャリアにかかわる象徴的、端的な課題として、その自立支援の意義を改めて明らかにする必要があるのではないかという考え方、また、雇用・労働にかかる具体的な課題の背景にあります孤独・孤立の問題というものを捉え直した上で、後段にも出てまいります、勤労青少年ホーム等の拠点を活用した上での若者の「居場所」、「交流」という観点からのこれら施設、事業の役割、位置づけの再整備、明確化の必要性、昨年閣議決定をされました「新成長戦略」とのかかわりでの若者に対する就職、あるいはキャリア形成にかかる総合的な支援や、これらにかかる積極的な情報発信の意義といった点について、基本的な考え方、重点として触れているところです。
 次の2以下が、各論に対応する部分です。2の「長期的な視点からのキャリア形成の促進」に関しては、関連するさまざまな施策を、学校在学段階、職業生活への移行、企業内、失業した場合等々、勤労青少年の発達課題を追った形で体系化、整理をしているものです。
 (1)の表題に関しては、前回の骨子段階では「計画的なキャリア形成支援の推進」となっていたところですが、先ほども触れましたように、「計画的な」というワーディングは少し誤解を与える恐れがあるのではないかというご指摘も踏まえて、この部分については「体系的な」という記述に直しております。
 (1)の前段では、学校在学段階におけるキャリア教育の意義・重要性について触れております。つい先日1月31日に、小杉委員、宮本委員もその部会に参加されておられました、中教審における「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」の答申がちょうどまとめられました。ここで述べることの基盤的事項ということで、中教審答申での私ども労働行政の推進に関わる主要な部分について少し引用し、また労働行政の立場で言いますと、こうしたキャリア教育に参画をすることがこれまで早期離職者・フリーター・ニートといった労働市場に移ってから顕在化した問題の事後的対応に留まることなく、「川上対策」と申しますか、あるいは未然防止対策という観点で、このキャリア教育の意義が十分認められるのではないかという点について述べているところです。そのあとの?初期キャリア形成支援の中では、初等中等教育から高等教育に至るまでの学校種ごとのキャリア教育における課題等に応じた体験的なプログラム等々の展開の必要性、また?の関係機関の連携によるキャリア教育推進の基盤整備にあたっては、学校を中心とした取組みの基盤として各地域の自治体、事業主団体、企業、労働行政等関係機関の連携・協力が不可欠である点について触れているところです。
 (2)学校から職業生活への円滑な移行、的確な職業選択・職場適応の支援です。まさに現下の雇用・労働施策の最重点課題である新規学卒者等の就職支援に対応する内容ということです。?の学校から職業生活への移行支援が、個々の学校卒業者あるいは未内定者等に対するきめ細かな支援に対応する部分です。前回の部会の中で、適性・能力を踏まえたということだけでは少し就職支援の前提として狭い捉え方ではないかというご指摘もありまして、若者の興味、関心や適性・能力、それらを踏まえた職業生活設計に即した主体的な職業選択が可能となるようというように、この部分については整理しております。
 現在、最重点として取り組んでおります新規学校卒業者に対する企業求人情報提供、求人情報マッチング促進等々の取組みについて、職業安定機関、学校等との連携の下で重点的に行っていく必要があるという点、また、中小企業の人材ニーズにしっかり応えていくべきという点、さらには学生の就職活動の実態に鑑み、就職活動の中途で、いわばディスカレッジする層が相当数いるのではないかという点が指摘をされているところです。こうした層がディスカレッジする前にきちんと進路選択に向けた道を歩むことができるような学校・職業安定機関等を含めた公的支援機関による能動的アプローチの体制整備の必要性といった点について、?では触れております。
 ?は、新規学卒者の募集、採用慣行にかかわる課題です。ご案内のように、昨年11月に雇用対策法に基づく青少年の雇用機会確保指針の改正が図られたところです。前回の部会審議の中でも、折角のこの指針がきちんと生かされるように、この方針案の中でも書き込むべきではないかというご指摘もいただき、9頁の赤字の部分ですが、若者の募集、採用に当たり、卒業時期にとらわれることなく人物本位による正当な評価が行われるよう、この指針が平成22年に改正され、事業主は学卒者採用枠について、学校卒業後、少なくても3年間は応募できるように努めること等とされたところである、ということで、本指針を活用し、事業主への周知・啓発、指導を着実に実施をすべきであるという点に触れております。
 ?のフリーター等の正規雇用化に向けた支援です。前回のご審議の中で、若者の就職支援にかかわりハローワークは大変幅広い役割を果たしているところであり、そうした点についてもこの方針の中でしっかり書き込むべきというご指摘をいただき、こうした内容に関しては、このフリーター等の学卒以外の若年求職者の正規雇用化に向けた支援がハローワークにおける現下の取組みのとりわけ重点ということで、?でそうした点について位置づけをしたところです。技能・知識・経験不足等を抱えたフリーター等の若者について、ハローワークを中心に就職活動の方法に関する助言・指導、相談指導と、また現在取り組んでおりますジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティング・能力形成機会の提供、トライアル雇用等々を通じ、正規雇用の移行促進をしていく。また、この分野ではジョブカフェも大きな役割を果たしているということで、ジョブカフェの果たしている役割、その重要性についても併せて触れております。
 (3)はどちらかといいますと、職業生活に移行して以降の基礎的・実践的職業能力の開発の推進に関してです。これらの内容については、現在、職業能力開発分科会、あるいは後で出てまいります求職者支援制度については、雇用保険部会などでもご審議いただいている内容とも一部重なってくるわけですが、1つには公的職業訓練の推進による若者の能力開発向上ということで、雇用ミスマッチの拡大の現状、また新規成長分野における人材ニーズなども踏まえて、10頁にわたりますが、フリーター等不安定な就業を繰り返す若者、また学卒未就職者等を重点にジョブ・カード制度による実践的な職業訓練機会の提供、訓練受講前・訓練開始後の綿密なキャリア・コンサルティング等々を通じ、能力開発を最終的には就職に結びつけていくことの意義、さらには現在、ここでは「創設準備」という表現を使っております、本件にかかる今後の進捗により、またこの表現ぶりは工夫をしたいと思いますが、雇用保険の受給者以外の求職者を対象とした第二のセーフティネットとしての無料の訓練、生活支援給付のための仕組みである求職者支援制度などにより適切な支援が図られることの重要性といった点も触れております。
 ?の実践的な能力評価の中では、ジョブ・カードが能力評価ツールとしての側面もあるわけで、そうした点と、現在、新成長戦略に基づき内閣府におけるタスクフォースなどで精力的な審議がなされております実践キャリア・アップ制度、キャリア段位といった新たな仕組みの構築、効果的な推進の意義に触れております。
 ?は企業内におけるキャリア形成支援の環境整備です。若者が職業経験を通じ、継続的な能力開発向上を図る上での必要な企業の取組みへの支援の視点について触れております。
 11頁の(4)は、ニート等の若者、いわばドロップアウトをした、あるいはドロップアウトリスクを抱えている若者に対する取組みについて整理をしております。?にありますような地域若者サポートステーションを中心拠点とした、困難な課題を抱えた若者に対する専門的相談・コミュニケーション訓練、労働体験といったきめ細かい支援、また未然防止の観点で、本年度から高校中退者等へのアウトリーチ(訪問支援)事業にも本格的に取り組んでおります。
 また?の学習、生活面を含むきめ細かい支援。前回の骨子でも前段にありますような高校中退者等の学び直し支援とか、あるいは訓練移行後も必要に応じ生活習慣改善等の観点からのきめ細かい継続支援を行う意義について触れておりましたが、前回の審議で、特に宮本委員から若者のホームレスの実態なども踏まえて、こうした層に対し行き届く支援の重要性についてもしっかり書くべきではないかというご意見もいただき、他方でほかの委員から、方針全体のバランスとか、あるいはそうした点に触れる場合に若者の住居の問題が進学、就職などに伴い、居住地を移動する場合が多いという観点で、若者のキャリアにかかる重要な課題であるという点についてもきちんと触れるべきである等々の関連するご指摘をいただいたことも踏まえ、11頁の下の赤字の部分ですが、キャリア形成の前提となる生活基盤について、特に若者にあっては、進学や就職に伴い居住地を移動する場合も重要な課題である。しかしながら経済環境悪化の下で住居を喪失し、居住・宿泊施設以外の場所での暮らしを余儀なくされるなど、阻害要因を抱える若者が存在することから、現在、地方公共団体とも連携して進めている住居を含む福祉・生活面の総合ワンストップ型のきめ細かい支援体制の整備といった点について、ここでは整理しました。
 12頁のキャリア・コンサルティング等の体制整備に関しては、いま申し上げました一連の取組みにかかわる人的な基盤となるキャリア・コンサルタントの計画的な養成、若者自立支援等の観点からのスキル等の向上、本分野に特定しての専門性の向上の必要性について触れております。
 ?では、繰り返し出てきておりますジョブ・カードといった若者のキャリア支援にかかわるツールの重要性、これらについて有効活用を図り、これを踏まえて生まれた好事例についての普及を図る必要性・意義を中心に整理しております。
 (6)は、労働条件等の職場環境の整備充実に関してです。若者をめぐる労働条件と職場環境の課題は非常に多岐にわたるわけですが、特に勤労青少年のキャリア形成や福祉にかかわる重点事項ということで、12頁から13頁にかけて、労働基準、労働契約などにかかわる知識の不足を補うためのさまざまなサポート、ワーク・ライフ・バランス、世帯形成期でもあることに着目をした環境整備、さらにはメンタルヘルス対策の充実の必要性について、この課題にかかる、とりわけ重要な課題として指摘しております。
 13頁以下、3番です。少しここから趣向が変わりまして、勤労青少年の交流、多様な活動の促進にかかわる内容です。(1)(2)を通じて、勤労青少年にとってのボランティア活動、あるいは伝統行事等々への積極的参加が、社会性の涵養、あるいは青年期の発達課題達成に資するものであるという意義について触れた上で、これらにかかわる指導者の育成、こうした分野での就業を目指す若者へのサポート、そのため地域の関係機関が協力をしての環境整備の重要性の点について、(1)で触れております。
 また(2)の世代間の交流の促進に関しては、後ほども出てまいります勤労青少年ホームなど、「居場所」「交流」の拠点として活用した上での世代相互の交流の視点でのさまざまな事業展開。前回ご指摘いただいたように、さまざまな活動機会について、若者がいわば受け身、サービス提供を受ける立場だけではなくて、そこに能動的に参加をすることがプログラムをより有効なものとし、また参加をする若者の社会性の涵養に資するという観点から、勤労青少年自身がこうした活動の企画・運営に能動的に参加することの意味づけといった点。また、以前使用者側委員の皆様からもご指摘いただいた、従業員福祉の観点からこれまで取り組まれてきたさまざまな活動に関して世代相互交流、コミュニケーションといった視点で捉え直した上で、それぞれの企業が若者ニーズなどにも応え、創意に富んだ対応を行うことの期待といった点について触れております。国際交流の促進に関しては、ワーキングホリデーあるいは留学前後の、これらを生涯にわたるキャリアに生かすという観点からのサポート体制の重要性といった点について触れております。
 最後の4、5の部分です。4番、基盤整備についてです。1つには(1)地域ネットワークの構築については、これまでの方針の中でも謳われているところですが、特に今回は昨年4月に「子ども・若者育成支援推進法」が施行された目的、関係機関は、この勤労青少年福祉の課題と重なり合う部分が大変多いということで、この育成支援推進法に位置づけられている地域協議会、いわゆる地域ネットワークとこの勤労青少年福祉施策にかかわるネットワークは、いわば重ね合わせ、こうした新たな枠組みを活用しながら、より幅広い勤労青少年福祉にかかわるネットワーク基盤を構築し、「顔の見える」連携関係、情報共有化を図ることによって、より実効性のあるサポート、あるいは活動機会の提供を進めていくことの意義について触れております。
 (2)の勤労青少年ホームの活用促進。前々回勤労青少年ホームの活動実態についてはいくつかの事例も交じえて紹介したところです。前半では、全体としては数が減り、あるいは利用者も減っているという状況に触れながら、同時に、いくつかの勤労青少年ホームにおいては、本来期待をされている勤労青少年の余暇活動、あるいは交流活動といった観点で、大変活性化をされた、工夫された事業展開がなされている、あるいは勤労青少年のキャリア形成の観点からの専門的な相談支援プログラムの拠点として活動されている、そういう好事例が認められる点についても15頁上段のほうで触れた上で、こうした事例を踏まえ、勤労青少年ホーム、設置主体は地方公共団体ですが、こうした地方公共団体が中心となりつつ、関係者の協力も得、地域の若者にかかる課題を踏まえた上で、事業運営の目標設定、創意工夫を図りながら、先ほどの繰り返しですが、利用者である青少年自身の提案も積極的に取り入れた形でホームの活性化方策を確立する意義があるといった点、また、前半でも少し触れておりますが、青少年をはじめとする若者のキャリア形成、社会参加に関するさまざまな情報をわかりやすく提供する、いわば情報発信基地としての役割が期待される点、また、そうした役割を発揮をする上で勤労青少年ホームという名称自体は法に基づく名称ですので、これ自体は手続上変えがたいわけですが、現実の事業コンセプトに合わせた愛称などを活用している事例もありますので、そうしたことも踏まえてホームの特徴・役割を反映した愛称などを住民、利用者などの公募などにより定め、広報に活用することも一考という点について、前回頂戴したご意見も踏まえ、加筆しております。
 (3)人材育成の体制整備に関しては、勤労青少年ホームや企業における指導者・推進者等の役割の重要性、また今回の方針の課題、方向性に鑑み、余暇活動はもとより教育、福祉、メンタルヘルス、キャリア形成支援、こうした観点からの経験あるいは専門性がより重要ではないかといった点について触れております。
 最後の5番、方針を活かした啓発活動等、地域における取組みの積極的推進です。啓発活動と、この方針案全体の結語、結び的な位置づけ、役割で整理しております。法に基づく「勤労青少年の日」、7月の第3土曜日ですが、こうしたタイミングを活かしての、また本方針の趣旨を活かしての地域の実情に応じたさまざまな創意工夫の下での勤労青少年が抱える課題などを共有化できる諸事業、活動、啓発活動の意義という点です。
 また、いちばん最後の部分ですが、前回、前々回もご審議いただきましたように、勤労青少年福祉対策基本方針、全体としては勤労青少年の福祉、キャリア形成という観点から、若者自身に対するメッセージでもあり、また、それにかかわる自治体、労使団体の皆様方、また、さまざまな関係機関、専門人材の方々に対し、その勤労青少年福祉という観点から目指す方向性をお示しをする、こうした位置づけにあるものと私どもは思います。勤労青少年福祉法第7条に基づいて、都道府県知事は国の基本方針を参酌をして、都道府県の事業計画を策定するように努めなければならないとされている立場です。そうした点も改めて確認をした上で、本方針、地域における勤労青少年福祉に関するさまざまな取組みの道標、また若者自身やその自立に関わる方々へのメッセージとしての性格を備えるものであるという点。
 また、いちばん最後の部分に関しては、前回の骨子段階では、少し前の4の(1)ネットワークに位置づけをしていた記述を、少し見直しをしまして、こちらのほうに記述を移し変えている部分があります。    
本方針に示された今日の要請を踏まえた勤労青少年福祉の概念、重点的に取り組むべき基本的施策を踏まえ、各地方公共団体はもとより関係行政機関、労使団体などが共通の目標・事業方針を設定の上、成果評価、仕組みや運用の見直し提案など、施策のPDCA推進の役割も併せ担うことが期待されるものであって、ここからより多くの好事例が生まれ、勤労青少年福祉推進の一層の気運醸成が図られることが期待されるという形で、この方針原案について結びとしております。
予定した時間を若干オーバーしましたが、この間頂戴いたしましたご意見との対応関係も含めて、全体のポイントと見直し、加筆をした部分を一通りご説明させていただきました。ご審議どうぞよろしくお願いいたします。

○清家部会長 
いま原案について、通してご説明いただいたわけですが、少しこれから各パートに分けてご議論をいただきたいと思います。最初は、いま室長から説明いただいた最初のこの副題の部分も含むこの全体のコンセプトの部分、それから「はじめに」と「第1 勤労青少年の職業生活の動向」、6頁の上の辺りぐらいまでご議論をいただきたいと思います。どなたからでもご自由にご意見、ご質問いただければと思います。
○永田委員 
全国ガスの永田でございます。1点ですが、3頁の第1の1、いちばん下から2つ目の段落のところに、「大学教育ユニバーサル時代」という記載があるのですが、50%を超えてこういった時代を迎えているという記載かと思います。いろいろな事情があって、例えば経済的事情などそういったものも含めて、大学に行きたいんだけれどもなかなか行けないという実態もあるのではないかなと思います。そうしたときに、この大学教育ユニバーサル時代といった表現、文言が適切なのかどうかというところがちょっと気にかかるところですので、そこについて少しこの趣旨等があればお聞かせいただければということです。

○伊藤室長 
まず、いまの点ですが、先ほども少し説明の中で触れさせていただきましたように、この間文科行政においても宮本委員、小杉委員などもご参画をされて、キャリア教育、職業教育にかかわっての集中的な審議がなされ、その中で私ども厚生労働行政、能力開発行政とのかかわりについても何点かの提言がなされているわけです。その1つのポイントとしては、この方針原案の中でも再三触れておりますドロップアウト問題と、いまの学校教育の有りようというものがかなり密接に結びついてきていると。さらに、その1つの重要な要素としてそれぞれの学校種への進学率等の変化の中で、それぞれの学校の性格、有りようが変わっていることが、いまの中退発生の1つの大きな要因になり、かつ、そのことが労働市場におけるフリーター、ニートといった労働市場で顕在化をしている諸問題の1つのきっかけ、トリガーになっているのではないか。表現はもしかしたら若干不正確かもしれませんが、そうした考え方が文科行政の中からも示されております。
 そういうことも踏まえて、今回この方針原案全体の中で、勤労青少年になれないような若者が発生する、それをそれぞれの段階でどのようにサポートして、最終的に自立に結びつけていくのかということを、いくつかの章の中でお示しをしているわけです。その重要な背景の1つとして、そうした学校教育の有りよう、実態の変化ということに触れることが、全体のバランス上適切ではないかということで、ここでこのような記述を入れております。
 ただ、ただいまの永田委員ご指摘にもございましたように、もちろんこの中退に関していま申し上げました観点から専ら発生しているわけでもなく、現下の経済環境、家庭における環境などにより中退を余儀なくされる方が一定数存在することも事実です。専門家である小杉委員、宮本委員も含めまして、全体の記述のバランスとして、こうした記述ぶりが正確なものなのかどうか、いろいろご指摘もいただき、不十分な部分があるとすれば、こうした記述ぶりについてもまた見直し、検討させていただきたいと思います。

○清家部会長 
いま永田委員が言われたのは、進学率が高くなったということと、中退との間の相関は特に異論があるわけではなくて、むしろこの表現ぶりとして、50%を超えたという程度で、大学教育ユニバーサル時代という表現の部分はいかがなものかと、そういうことだと思うのですけれども。


○永田委員 
おそらく行きたい方が、もちろん多くの方が行けるということだと思うのですが、一方で、さっきも申し上げましたが、いろいろな事情があって行きたいけれども行けない、そういう方がいらっしゃるというのも事実でありますので、そういう方々のことを考えたときに、こういった表現が適切なのかどうかというところが気になったもので、発言をさせていただきました。

○清家部会長 
その点はいかがですか、小杉委員どうぞ。

○小杉委員 
ユニバーサルという表現が、いつでも誰でもアクセスできるという意味だとすると、ちょっと問題ではないかというようなことで、一応カギ括弧には入っていますが、何もここでこういう言い方をしなくともいい所なので、おっしゃるようなことのためには誤解を招かない上でもいいかなと思います。
 改めて、ここで各学校段階の中退という話が出ているのですが、資料のほうには大学の中退の話がほとんど入っていない。文科省の資料が去年出ていて、高校全体と同じくらいかそれ以上か、4年制大学だけの話なので、あと専門学校とかそれ以外の高等教育機関を加えるとかなりになるのです。ここで各段階で触れているのはいいのですが、ほかのところで高等教育の中途退学についての視点があまりはっきり出ていない。大学の調査などをすると、かなり、ひょっとしたら発達障害を抱えているような学生さんがいる場合があって、サポートステーションと連携をとっている大学もあるのですよね。そういう事態もあるので、サポステの話の一環か何かのところで、大学との連携、支援機関の連携という話まで含めていくといいのではないか。つまり、高等教育における中途退学の実態というのに少し触れる必要があって、かつ、それに触れた上で、支援施策の中に高校中退ばかりの話ではなくて、若干高等教育についても支援が必要だということが必要ではないかという印象です。

○清家部会長 
では宮本委員、関連して。

○宮本委員 
結構です。

○伊藤室長 
高等教育段階の中退の実態ですが、文科省から公表され、一部推計というデータですが、高校段階での年間中退者数約5万7,000人に対しまして、高等教育段階では約6万7,000人ということになっております。年限については高校3年に対して、大学中退4年ということで、単純に比較していいのかどうかという辺りは少し分析が必要かもしれません。単純に数字を並べた場合には、高等教育段階の中退者数が高校中退者数より若干上回っているという実態もございます。


○小杉委員 
単純に比較して大丈夫です。つまり1人の学生にしてみれば、4年間いれば4回それがあるわけなのです、そういう中退のチャンスがね。1つの年齢層に注目して考えれば、高校では2%というのが実はその機会が3回あるのですね。そういう意味で、足してもいいような数字なのです。そういう考え方、ある年齢コーホートのうちどれだけが中退したのかを考えると、各学校段階での中退の合計は10数万人になり、同年齢の約120万人のうち10%が中退しているというのが実は実態だと言えると思います。

○清家部会長 
そうしますと、その辺少しまた書きぶりですが、先ほど永田委員がご指摘になった3頁の書きぶりのところは、例えば、平成19年には50%を超えるような水準となっているが、というような形にして、その客観的な数字はそのまま残して。このユニバーサル時代というところを取るような形で接続する。そんなようなことでよろしいですか。

○永田委員 
はい。

○清家部会長 
その辺の書きぶりはよろしいですか。では、そのように直していただければと思います。ほかにいかがでしょうか。

○三浦委員 
いまのところのすぐあとのところですが、各学校段階で中退のあとに、わざわざ括弧して、ドロップアウトという言葉を入れているのですが、中退という意味はもちろんあるとは思うのですが、ここでは括弧して入れる必要もないのかなという感じがします。

○清家部会長 
これも、特に必要なければ。

○伊藤室長 
強いて申し上げますと、後ほどのニート支援等とのかかわりで、その高校中退層が有意に高い確率、比率で無業化しているという、そういうある種の因果関係を少し強調したいという意図で書かせていただいておりますが、それはまた別な部分で書かせていただいております。そういう意味では、ここであえて中退に、もちろん中退イコールドロップアウトとは限らないという意味からすると、少し誤解を招く表現であることは事実です。

○清家部会長 
では、そのような書きぶりでお願いします。

○伊藤室長 
そこは整理をさせていただきたいと思います。

○清家部会長 
宮本委員、お待たせをしました。

○宮本委員 
先ほどの中退の表記の点なのですが、高校中退5万7,000人、大学中退6万7,000人というのは、これは1年間でという意味ですね。

○伊藤室長 
はい、さようでございます。

○宮本委員 
例えば3頁の下の3行等を見ますと、労働人口に関する表記というのは15~34歳の人口に対して2万9,000人が何々という表現なのですね。そうすると、その実態を把握するときにこの中退のこの数と、それから労働人口の中のこのくらいの割合がいろいろリスクがあるというのとが、表現が違うのですね。中退の問題をより実態的に把握するのだったらどういうふうにすればいいのですか。文科省は、年間2%の高校中退率だと、2%くらいだという印象を与えますね。ところが、これは3年間になると、つまり入学した人が卒業した時点でどれだけ欠けるかという数になると、それの3倍ですか、というような具合なのですね。そうすると、この青少年福祉対策からすると、2%の人ではなく、高校を終わった時点での中退者全部ということになるので、むしろ3倍したほうが対象としては実態に近いのですよね。でも、文科省は常にこういうカウントをして、年間いくらとやってきているのです。

○清家部会長 
その辺は統計の平仄をすこし合わせるという必要もあるかもしれませんので、確かに宮本委員が言われる理論的な正しい値と、文科省等が通常出している統計と、あるいはいま宮本委員が言われたような注記のようなものを付けていただくという形、この統計だけ3倍するというのも、また難しいかと思いますので。

○宮本委員 
ただ、文科省の中退の表記というのは、実態が把握しにくいなというのは日頃から感じていて、つまり3年間の中で、高校1年でかなりがまず落ち、2年目でさらに落ち、3年目になるとそんなに落ちないというような流れで3年間というのがあるのですね。その人たちすべてがやはり卒業した時点で問題を抱えていると。この辺りがわかるように、注でも結構ですけれど、何か工夫する必要があるのではないかと。


○清家部会長 
その辺の書きぶりを考えていただけますか。

○伊藤室長 
アドバイスいただいた方向で工夫をし、最終的には出典が文科省のデータにもなりますので、文科省とも少し相談をした上で詰めさせていただければと思います。

○清家部会長 
ほかにご意見、ご質問ございますか。よろしいですか。それでは、また後でここに戻ることも当然ございますが、時間の関係もありますので、次に「第2 勤労青少年の福祉の増進に関する基本的施策」のうち「1 勤労青少年福祉行政の方向性」と「2 勤労青少年の長期的な視点からのキャリア形成の促進」の2つの項目についてご議論をいただきたいと思います。この原案で言えば、13頁の上辺りのところまでということになるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤委員 
いくつかお尋ねとご提案といった形で発言させていただければと思います。7頁の2の(1)の?の2つ目のパラグラフに「インターンシップ」という言葉がございます。インターンシップというのは皆さんご存じのように、多様な形で取組みが行われているのですが、ここで「就職業体験やインターンシップ」と並べて、この就職業体験の場を提供するインターンシップ以外のものを、ここでインターンシップという形で置いているのだとすれば、ここで言うインターンシップというのはどういう効果を持っているのかをお尋ねしたいというのが、1点目です。
 9頁の上から4行目です。「さらに、一旦フリーター等の不安定な就業形態に就くと、正社員に移行することがより一層困難な状況が生じている」ということなのですが、一度でもフリーターというポジションになってしまうと、正社員に移行することがより一層困難だになると読むこともできるので、むしろこれは、フリーターとして不安定な状態に置かれることが相当期間あるのであればという意味合いだとすると、この書きぶりには工夫が必要なのかなと思います。
 10頁で、公的職業訓練に関連して、求職者支援制度の記述についてです。これはまさに清家先生の部会のもとでおまとめいただいた内容にかかわることなのですが、求職者支援制度は確かに福祉政策的な側面と、雇用対策的な側面の双方持つわけです。しかし、ここで経済状況を理由にという形で捉えること自体が、この制度を正しくメッセージとして伝えることができるのか、正直疑問に思います。というのは、この求職者支援制度の目的の1つが、公共職業訓練の中ではまかない切れないような基礎的な訓練を別枠で設けることで、そこの中で習得してもらった知識を基に早期に労働市場に戻ってもらうということであり、大きな目的となっています。
 したがって、この「なおがき」で、福祉政策的な側面を書くというより、上段の公共職業訓練におけるジョブ・カードのあとに、「加えて」という形で、求職者支援制度についての記述を書かれたらいかがでしょうか、これは提案です。そのあとに書かれているキャリア・コンサルティングの重要性というのは、まさに求職者支援制度の中でも受講前、受講途上、それから受講終了後という形でかませる仕組みになっていますので、その後の記述ぶりとも合致すると思います。以上です。
○清家部会長 
ありがとうございました。3点、いまご提案がありました。では、伊藤室長、お願いします。

○伊藤室長 
まず1点目、7頁の下段の職業体験、インターンシップ等の記述にかかわる基本的な考え方です。インターンシップに関しましては、長期にわたりまして、日本経団連様には私ども様々な事業でお助けいただいて、実態をよくご理解された上でのご指摘と受け止めています。職場体験、インターンシップといった関連する用語概念については、いずれも「カギカギ」的な部分がありまして、私自身の理解としましては、インターンシップについて、随分前に、当時の労働省、文部省、通産省による3省合意などといったものはありますけれども、政府の完全に確立した見解があるわけではない。その中で、一般的には、インターンシップと職場体験について。インターンシップについては、高等教育の学生を対象に使われることが多く、職場体験については、初等・中等教育段階、特に典型的に申し上げますと、文科省中心に現在進めております中学生の1週間の職場体験とかですね、こういった事業に使われる局面が多い。なおかつ、インターンシップについては、いみじくも遠藤委員からお話がありました、位置づけも大変多様であり、大学教育の一環として展開されるものもあれば、それぞれの学生が大学教育の枠組みから離れて自発的に応募し実施をするものもある。また、大学教育の中で実施されるものに関しましても、大学教育課程の中で、いわば単位認定として実施されるものもあれば、そうでないものもあるということで、非常に位置づけが多様であって、そういったことをこの文脈で端的に、どのように表現するのか、なかなか悩ましい部分もあったわけですが、職場体験だけですと、大学教育における、いま申し上げましたような多様な、その大学生を対象とした職場体験であり、いわゆるインターンシップが読み取りにくいし、インターンシップだけですと、初等・中等教育段階の職場体験が読み取りにくいということで、厳密な定義はさて置き、それぞれの学校種における職場の協力を得ての体験的なプログラムを幅広く読み込めるような表現として、取りあえず、職場体験、インターンシップを並記することが妥当な表現ではないかという判断の下で、このような原案とさせていただいていますが、そういった意図をご理解いただいた上で、さらにふさわしい表現ぶりなどありましたら、ご意見いただければありがたいと思っています。
 9頁の「一旦フリーター等の不安定就業形態」という部分に関しましては、これまでの企業における学卒者の募集・採用慣行などを前提とした場合には、学校卒業時に正社員雇用に就かなかった場合に、正社員就職のチャンスが相当程度狭まるという事実を踏まえて、このような記述にさせていただいています。ただ、いま申し上げましたような、募集・採用慣行そのものに問題があって、そのあとにもお示ししていますような、青少年雇用機会確保指針などを活用しながら、そういった募集・採用慣行自体を広げていこうという取組みをまさに進めようとしていること。
 それから、原案ですと、確かにその一旦ということで、極端な話をすれば、一瞬でもフリーターとして就職をすると途端に正社員移行が困難となるということを、過剰に強調するような表現と、もし取られるのであれば、そこはやはり留意すべき点ではないのかなと思います。先ほどの遠藤委員のご指摘からしますと、「一旦就くと」というよりは、「就いてそれが長期化した場合」という表現のほうが、より正確でモデラートではないかという趣旨ではないかと思いますので、もしほかの委員の皆様方もそういう表現がよりふさわしいということで同じお考えであるとするならば、そこはそういう方向性で記述の見直しをさせていただきたいと思います。
 それから、10頁の「求職者支援制度」等にかかわる記述です。先ほども触れましたように、まさに別の分科会で、部会長にも大変力添えいただいて審議会としておまとめいただいた内容ということで、そういう意味ではこのあと、また部会長からも是非ご指摘いただければと思っていますが、1つは、「経済状況を理由に」という部分に関して、この制度のねらいの1つとしてこういう側面があるということは、どうしてもそういう認識を持った上でこのような記述をさせていただいていますけれども、ここの、大変多岐にわたる制度を、たかだか4、5行で表現するに当たって、この「経済状況を理由に」ということを強調することが、場合によってはこの制度のねらいとするところについて誤解を与える恐れがあるという意味で、いま遠藤委員がおっしゃったご指摘については、私どもも十分理解できるところです。
 その上で、この記述と、上段にありますようなキャリア・コンサルティング等の機能のかかわり、おっしゃるように求職者支援制度の設計に関しましても、狭義の訓練そのものだけではなくて、訓練とキャリア・コンサルティングとの就職支援を有機的に組み合わせ、あるいは、訓練実施機関にもそのような役割を、一定担ってもらい、さらに公共職業安定機関もそれにコミットすることによって、目的が達成されるという意味では、遠藤委員がおっしゃった意味するところは大変よく理解できるところです。この点についても、清家部会長はじめ、ほかの委員の皆様方のご意見を伺いました上で記述の見直しの方向性をこの場で少し定めていただければありがたいと思っています。

○清家部会長 
遠藤委員、いかがでしょうか。

○遠藤委員 
10頁目から入らせていただきますと、なるべくこの記述を生かすために、「なお、経済状況を理由に」という文言を落とさせていただいて、もう単純に「加えて」という形で続け、「不安定な就業状態から抜け出せない若者については」以下云々とすれば、求職者支援制度そのものの中身を示している部分になると思います。それで、十分な就業経験のない若者について、この「ジョブ・カード制度等を推進すること等により」以下、「促進する必要がある」の後に加えていっても十分に読めると思ってはいるのですけれども。

○清家部会長 
一応、制度の趣旨としては、むろん財政のあり方はどうするかはこれから検討しますけれども、制度そのものは恒久的制度としてこれを設けるということですので、経済状況が改善すればこの制度がなくなるというわけではない趣旨のものだと思います。ですから、いま遠藤委員が言われたように、この「経済状況を理由に」というのを取ったほうがより正確にこの制度の趣旨には合致するのではないかという感じはいたしますので、もしそれでよろしければ、そうさせていただきます。あと、2カ所、フリーターのところとインターンシップのところはいかがですか。インターンシップのところは、遠藤委員のご指摘は、そもそも職業体験というものを幅広く捉えると、その中にいわゆるインターンシップも含まれるのではないかということでしょうか。例えば、「インターンシップ等も含む職業体験」であるとか、そういう趣旨のものかということではないかと思います。並列的に並ぶと、確かにすこし何か違うインターンシップというものがあるかというような感じももたれるかもしれませんが。

○遠藤委員 
もう少し言えば、インターンシップという名の下に、いろいろと広報活動と覚しきものもが行われているのも事実でありますし、ここで、職業体験に重きを置くのだとすれば、いま部会長がおっしゃったように、そこで留めるという対応もあるのかなとは思っております。ただ、これはインターンシップとして積極的な対応をするためにとられたのであれば、その言葉も生かしたいという状況も十分理解はしています。
○伊藤室長 
いまも部会長から少しご整理いただきましたように、インターンシップ、あるいはインターンシップ等を含む職場体験といった表現であれば、先ほど申し上げましたように、私どもの意図とも反するものではありませんので、その辺りを、修正案として職業安定局等関係部局とも少し相談をした上で、表現ぶりを変えさせていただければありがたいと思っています。

○清家部会長 
遠藤委員、そのような整理でよろしいですか。

○遠藤委員 
はい、お願いいたします。

○清家部会長 
フリーターの部分はいかがでしょうか。先ほど、伊藤室長から、「不安定な状況が長引くと」というような書きぶりにしてはどうかということでしたが。

○遠藤委員 
そのような書きぶりで皆様のご賛同を得られるようであれば、お願いします。ただ、そこが長期間でいいのかどうかというのはあるのかと思いますが。

○小杉委員 
フリーター、パート、アルバイトに就いた若者たちが正社員になろうとするときに壁があるのは確かで、なかなかなれない人もかなりいるというのは事実です。一方、パート、アルバイトで仕事をする期間が長ければ長いほど移行しにくいかどうかというのは、実は2つ議論がありまして、私の調査では長いほど移行しにくいのですが、玄田さんの分析はそれと逆の傾向を示していまして、長期に1つの所で定着してアルバイトをすると正社員になりやすいというような議論も一方ではあるのです。だから、長くなればというよりは、たぶん、「一層困難」とか、この「一層困難」という意味が誰と比べて一層で、そんな事実があるのかという、そこはよくわからないので、もう少しニュートラルに、「フリーター等の状態から正社員に移行するときには困難な状況があることが指摘されている」とか、もうちょっとニュートラルな表現にすればいいのではないでしょうか。一層というのが、誰と誰が比べて一層なのかとか、その辺がちょっとわからないところがあるので。

○清家部会長 
短かければ一層なのか、長ければ一層なのか、論争があるということなのですか。

○小杉委員 
若干ありますので、「長いと」というところは避けたほうがいいかもしれないと思います。

○清家部会長 
すると、例えば、「さらに、一旦フリーター等の不安定な就業状態に就くと、正社員に移行することが困難になるという指摘もある」、そんな感じですか。

○小杉委員 
そのぐらいで。ちょっと弱くなってしまいますから。

○清家部会長 
メッセージ的に弱くなるかもしれませんね。

○小杉委員 
ちょっと弱過ぎる気がしないでもないですが、はっきりしているのはそこなのですけれども。

○清家部会長 
これは、そもそも不本意ながら非正規就業に就いている人の話ですね。

○伊藤室長 
左様です。

○清家部会長 
非正規就業がよくないとか、正社員がいいとか、そういうふうに言っているわけではない。

○伊藤室長 
そういう意図は含めていないものです。

○清家部会長 
不本意に非正規、つまり、本意は正規になりたい人が、不本意に非正規とかフリーターをやっている場合の話、そういう理解でよろしいですね。


○遠藤委員 
ただいまおっしゃっていただいた「指摘がある」ということであればいいかと思います。と言いますのは、なかなか自分のチャンスが巡ってこないときに、それが不安定と言うかどうかは別として、正社員以外の形で働いている人たちもたくさんいるわけでありまして、私は、別にその人たちがそれで困難な状況に陥っているとも思ってはいないのです。チャンスがくるまで待つという対応だってあるとは思っていますので、無就業でいるほうがいいとは全然思ってはいません。そういうことでちょっと申し上げた次第です。


○清家部会長 
では、いま小杉委員が言われたような書きぶりで、ちょっとインパクトは弱くなるかもしれませんけれど、修正ということでよろしいでしょうか。

○伊藤室長 
いま、部会長からもおまとめいただきましたが、その前段の部分からの繋がりから言いますと、例えば、「困難な若者が相当程度発生しているが」、「一旦」というのも先ほどの遠藤委員のご指摘からすると一瞬でもという誤解を仮に与えるとするならば、この「一旦」も必ずしもこだわるものではございません、「しているが、フリーター等の不安定な就業形態については、若者について、正社員に移行することが困難な状況が生じているとの指摘もある」とかですね、「てにをは」を少し精査してみたいと思うのですけれども、概ねいまのようなイメージで委員の皆様方からご理解いただけるのであれば、その方向性で少し文面を調整してみたいと考えています。

○清家部会長 
事実として、それが本意か不本意かは別として、フリーター等の不安定な就業状態に就くと正社員に移行することが困難な状況が生じている、それは間違っていない。

○小杉委員 
それは、間違いなく。だからこそ、後ろにある支援政策が出てくるので、そこまでは。

○清家部会長 
報告書ですから、あまり、「と言われている」とか、逃げを打たない形のほうが文章的にはいい感じがします。

○伊藤室長 
承知いたしました。

○清家部会長 
では、そのような形でよろしくお願いします。よろしいですか。ほかに、ご質問、ご意見をどうぞ。
○宮本委員 
これは確認というか質問でもあるのですけれど、10頁の?のところに「ジョブ・カード」「キャリア段位」という2つが出てきているのですが、ちょっと私、ジョブ・カードが事業仕分けにあった後どうなったのかという正確な知識がないので、それを確認させていただきたいということ。それから、この部分は、学校教育段階が終わった後のキャリア・アップに結び付けるためのジョブ・カードやキャリア段位という話で書かれているのですが、この話というのは、7頁の、例えば2の(1)、これは学校段階のキャリア教育なのですけれど、この辺りのところは、ジョブ・カードとかキャリア段位というのはかかわっていかないのか。中教審の議論のときには、高等教育段階のキャリア教育、職業教育に関していろいろと議論があって、職業資格制度の曖昧な中でのキャリア教育というのは効果が上がらないという、これはかなり私などが言ったことなのですけれど、最終的にどういうふうになったのでしょうか。

○伊藤室長 
いずれも大きい話ですが、まず1点目のジョブ・カードに関してです。ここに委員としていらっしゃる皆様方にもジョブ・カードにかかわる取組みに大変ご支援いただいてきたところですが、宮本委員からご指摘も頂戴しましたように、昨年の行政刷新会議、事業仕分けの対象として、ジョブ・カード制度そのものということではなく、ジョブ・カードの、特に企業を対象とした普及促進を図るためのジョブ・カード普及促進事業という事業に関して事業仕分けの対象となりまして、これそのものに関しましては見直しを余儀なくされた。
 もう1つは、ジョブ・カードを活用した訓練等を実施する企業に対する助成措置、いまのキャリア形成促進助成金というフレームの中で、こうした取組みを実施する企業に対する経済的な支援メニューがあるわけですけれども、このキャリア形成促進助成金のジョブ・カードに関わる部分についても、やはり事業仕分けの中で大変厳しい評価をいただいたところです。ただ、事業仕分けの議論を踏まえた上で、関係機関ともさらに議論を重ね、また、小杉委員等にもメンバーとして入っていただいております、ジョブ・カード推進協議会等々でも、今後のジョブ・カード制度のあり方について議論させていただく中で、政府全体として、今後とも人材育成・雇用対策として、ジョブ・カードという仕組みは必要不可欠なものであって、必要な見直しを図りながらも充実を図っていく必要があるということで、先ほど申し上げました助成金制度などについてはスリム化の方向で見直しを図り、また、今後とも商工会議所様はじめ経済界にはジョブ・カードにかかわる取組推進、そのお力添えをいただかないといけない部分ですけれども、普及促進に関しましては、求職者等を対象とした事業という側面も強いということで、労働局、ハローワークなどがより大きな役割を果たすということで、役割分担、あるいはそれに付帯した予算の仕組みについても、今回の平成23年度予算案の中でも必要な見直しを行った上で、引き続き新成長戦略に掲げられています、人材政策分野の大変重要な柱を担う、ジョブ・カード制度にかかわる取組みを推進していこうということが、まず基本の考え方としてあります。
 その上で、この記述におけるジョブ・カードの位置づけ、特に学校教育とのかかわりに関してです。いま現在のジョブ・カードの取組みに関しましては、当初は学校在学者あるいは学校卒業者ではない求職者のうち、さらに能力形成プログラムといった、ジョブ・カードに直結する職業訓練受講者を対象に、主にジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングを行ってきたわけですけれども、このジョブ・カードの活用実績を踏まえ、そして能力形成プログラムといったものに限定せず、一般的な公共職業訓練であったりとか、あるいは基金訓練、求職者支援訓練、こういった訓練受講希望者、あるいは、受講修了者についても、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングを行うことが、訓練成果を上げ、就職支援効果も高めていくのではないかということで、その部分については、もう既に広げつつあります。
 今後さらに学校教育段階、ただ、大学、高校といった分野に関しましては、それぞれその学校教育課程の中でのキャリア教育推進に当たりましてのさまざまな固有のツールがあったりとか、あるいは応募用紙という観点で、ご案内の方も多いかと思うのですけれども、統一応募様式が定められているといったことで、いろいろと乗り越えるべき課題があるわけですけれども、専修学校などに関しましては、既に公的職業訓練の役割を担っていただく中でもジョブ・カードを活用した取組みを実施していただいたりということで、まだ少数ではありますけれども、専修学校の専門課程の中でジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングの取組みに前向きに対応いただいているような事例が、いま少しずつ出てきている。そういう意味では、学校教育とジョブ・カードのかかわりについては、そうした部分で、いまようやく緒に就きつつあるというのが、まず現状です。
 さらにその上で、宮本先生もご参画されました中教審の議論の中でも、ジョブ・カードのかかわりはもとより、さらにいま、新成長戦略を踏まえて議論が始まっております実践キャリア・アップ制度についても、この中教審の答申の中にも触れられているところですけれども、この実践キャリア・アップのタスクフォースには、当省はもとより文科省生涯学習政策局も参画をしていますけれども、私どもの理解としましては、この中教審答申も踏まえて、キャリア教育というよりは、どちらかというと、職業教育の文脈で、特に高等教育機関において、より実践的な職業教育を展開し、産業界の人材ニーズに即した教育を展開していく上で、あらかじめ産業界の人材ニーズを明らかにし、それとのかかわりでの職業教育の具体的な目標を設定することが、より有効な職業教育を展開していく上で大変重要であるという観点で、この中教審の答申の中でも、実践キャリア・アップ制度、キャリア段位制度の意義付けというものが一定、触れられ、それに対応するために、例えば、高等教育機関において、社会人を対象とした高度な教育を展開する、いわゆるモジュール制の教育を展開する必要性といったことについて研究がなされ、私ども厚労省の立場としては、文科省がそうした着眼点において今後の、特に社会人等々を対象とした高等教育の展開に当たって、このキャリア段位制度を活用すべく、これから設計するキャリア段位の仕組みについても、内閣府、文科省、私ども厚労省と参加をしながら、一緒に組み立てていこうという考え方を持っていらっしゃるというふうに、私どもなりに理解しているところです。
 逆に言いますと、いま申し上げたことは、まさにこれから制度設計、キャリア段位の制度設計も、いま申し上げました、内閣府に置かれていますタスクフォースという場で、今年度中に基本方針のまとめというところまで持って行って、そこから数年かけていくつかの重点分野についての実践検証を行って、それに並行する形で、学校教育サイドの、それに合わせた形での制度設計、制度変更も進められ、そこが噛み合うような形で展開していくことを目指しているという理解です。そういう、文科省との取組みのかかわりで言いますと、最後のほうでご指摘いただいた7頁から8頁のくだりに関しまして、ジョブ・カードに関しましては、いま申し上げましたように、いまの学校教育における活用の幅という点で、先ほど触れた専修学校などを除き、まだかなり限定的ということで、こういった政府方針の中で明記をするにはまだちょっと厳しいのかなと。それから、実践キャリア・アップについては、いま申し上げましたように、今回の中教審答申を踏まえ、まさにこれから制度設計という、これまた、こちらのほうへの位置づけというところまでは少し難しいのではないかと思っているのですけれども、今回、キャリア教育そのものの部分ではありませんけれども、10頁の「能力評価制度の構築・活用」という中で、ジョブ・カード、実践キャリア・アップ制度の位置づけというものがなされれば、それが、先ほど申し上げましたような方向性の下で徐々に広がりを持っていくという形で展開がなされていくということが、現時点における現実的な考え方ではないかと、私どもとしては考えています。多少、説明が長くなって恐縮です。

○宮本委員 
詳細なご説明、わかりました。

○清家部会長 
よろしゅうございますか。

○宮本委員 
それで結構です。時間的に、そうでしたね、1年間これからやるというところだったと思いました。

○清家部会長 
ほかに何かご意見ありますか。

○坂委員 
坂でございます。資料の11頁のところです。(4)の?のところを中心に発言したいと思います。ここの項目は(4)に書いてありますように、「支援」と書いてありますので、体制については書いていないということを1つ指摘したいと言うか、加筆をしていただければという思いです。というのは、いよいよ、(4)は、就業に向けた支援をしていくのだと、しかし、体制も要るのだというのが私の思いでありまして、?のアウトリーチについてですけれど、支援ということで打ち出すのはいいけれど、それでは現場は誰がするのだということまで目線を下げていきますと、現場はその仕事に就く人がいるのかいないのか。せっかくいいことを提案していても、できるのかどうかというところまで見ていきますと、やはり「支援」と「体制」という言葉が要るのではないか。その場合、私の意見としては、?のところで、「重要である。」ということで括っているけれど、例えばここに、経験者、例えば、退職者の方の協力をいただいて、こういった活動に入っていただくとか。例えば、駐車違反の取扱いを警察がいままでやってきたことを、退職者の方々がやったり、あるいは関係の協会がいま駐車違反の取締りをしています。これは、実質的に人材がいない、人がいないというところで、アウトソーシングしたわけですけれど、現場としてはうまく機能しているという事例でありまして、ここの(4)は、繰返しで恐縮ですが、いよいよ就職のために支援していくのだということに加えて、体制ということも少しイメージを出していただければと。そのことがいちばん最初に、1頁の上の赤のところにありますように、いろいろなネットワークの構築を目指してやっていくのだという方向性に合うのではないかというような思いでありまして、発言させていただきました。

○清家部会長 
ありがとうございました。これは、事務局から何かありますか。

○伊藤室長 
いまの点について説明させていただきたいと思います。こうしたアウトリーチといった、より踏み込んだ展開をしていく上で、具体的に取り組んでいる団体から話を聞きましても、本当に手間のかかる、通常のサポートステーションの窓口の事業が終了してから夜なべをしてそれぞれの家庭訪問をしているというようなことで、時間的にも内容的にも大変負荷の大きな取組みであります。したがいまして、ここで書かせていただいていますような早期の自立支援のための能動的な支援が重要である、それを裏打ちする上で、体制、具体的なこうした取組みに従事するスタッフ、経験を備えたスタッフをしっかり確保していくことが重要であることは、全くそのとおりです。ちなみに、いま現在はどのような形でそういった部分に対応しているかということですが、このサポートステーション事業にしては、国と自治体の協働事業という位置づけで、私ども国のほうからも委託費という形で必要最低限の経費については支弁しているところですが、現在、アウトリーチに取り組んでいる団体は、全国のサポートステーション100カ所のうち50カ所ありまして、その50カ所に関しましては、アウトリーチに対応する要員のための人件費に相当する部分を上積みして、そういった予算を活用しながら、もともとその団体で高校中退者、不登校児、ニート、引きこもり等の若者の自立支援の経験を持ったスタッフであるとか、あるいは、そういう団体が、先ほど、退職者というお話がありましたけれども、学校教員OB等々の関連する分野での相当の経験をお持ちの方をスタッフとして新たに雇われているようなケースもあります。
 若者の自立支援の全般的な知識・経験だけではなくて、自宅の訪問支援にかかわりましては、これまでのさまざまな調査・研究からも、また独自の専門性・経験が重要ということで、いま現在、内閣府でも特にこういう観点に着目をして、自治体やNPOのスタッフを対象とした研修も行っておりまして、私どもはそういう研修に、いまサポートステーションでこのような事業に取り組んでいる団体スタッフを送り込んだりとか、あるいは、こういったアウトリーチのOJTの受け皿として、サポートステーション運営団体にも協力するようにと、私どもも指示をしていまして、そういった中で少しずつ人材養成の取組みも進んでいるのかなと思っています。せっかくそういう観点のご指摘を頂戴しましたので、もしほかの委員の皆様方もご賛同いただけるのであれば、ただいまの坂委員のご指摘を踏まえまして、こうした能動的支援に対応し得る、ふさわしい経験・能力を持った専門スタッフの配置の必要性といったことについても、?の中の適切な箇所に加筆をさせていただければと考えているところです。

○清家部会長 
坂委員のご指摘は、いま室長が言われたような内容のことを、「とりわけ重要である。」に続いて、少し書ける範囲で。あまり具体的なことを書くわけにはいかないかもしれませんけれど、抽象的な形でもよいので、制度の整備等について書く。それは少し工夫していただいて、また坂委員にもご相談に乗っていただいて、書きぶりを変えていただきます。それでよろしいですか。皆さん、そのような形でご了承いただけますか。


○小杉委員 
それに関連して、そうしたアウトリーチなど、やはり非常に専門性が必要な仕事ですよね。いま、内閣府のユース・アドバイザーとか、そういう訓練をしようというところが出てきているのですが、実際に、NPOが、いま大体受けて、サポステの運営団体をやっているのですが、そこで課題なのが、そういう専門性の必要な人材なのだけれど、やはり予算が足りないのでずっと確保し続けられないというので、専門性がきちんと蓄積できない。そのために、準備期間を持って勉強しているような時間がない、そういうジレンマがあるのですよね。体制というところでは、専門性のある人材をきちんと確保できるようなところまで、ちょっと踏み込んで、単年度契約はするなとは言えないですけれど、専門性がきちんと構築できるような配慮をしなければならない、その程度のことは是非書いていただきたいと思います。

○清家部会長 
では、その辺の書きぶりを工夫していただいて、また委員の先生に個別にご相談に乗っていただくという形でよろしくお願いいたします。

○遠藤委員 
これは私から申し上げるべき内容なのかどうか、一応、ご参考までにということです。7頁目の「関係機関の連携によるキャリア教育推進の基盤整備」ということで、次の頁にわたりまして、「その基盤として、各地域の自治体、事業主団体・企業、労働行政等関係機関の連携・協力が不可欠である」と整理されています。もちろんこのとおりだと思っています。何で私が手を挙げたかと申しますと、連合さんとの間では、いろいろなテーマについて取組みをしておりまして、たしか去年のこの時期だったか、もう1年前だったか、そこは定かではないのですが、とりわけ若年者雇用が厳しい中で、共同の取りまとめをしています。その中で、事業主団体・企業にできることがありますね、労働団体・労働組合としてもやれることがありますね、といくつも書き並べて宣言をしたことがあります。ここのところに、労働組合なり労働団体のお名前がないというのはどうなのかなということがありまして、ご参考までです。

○清家部会長 
それはいかがでしょうか。

○坂委員 
記載しておいてください。私たちも一定の、もちろん、そういった機関で論議をしているわけですから、私たちは労働組合の立場で、雇用とか就労の支援というものもバックアップに入っているわけですから、結構です。

○清家部会長 
では、そのように書き加えていただくということで。

○伊藤室長 
労使団体、企業といった形で、ここの部分を書き替えさせていただくという方向で。
○清家部会長 
ほかにはよろしゅうございますか。そうしましたら、またここに戻ることもありますが、時間の関係もありますので、最後に、第2の「勤労青少年の福祉の増進に関する基本的施策」のうち、3「勤労青少年の交流、多様な活動」というところから、4、そして5の「勤労青少年福祉に関する啓発活動等の推進」まで、一括して最後のところまでお願いしたいと思います。頁で申しますと16頁のところまでです。どうぞ、お願いいたします。

○遠藤委員 
最後の16頁で、赤字で書かれている部分で、についてです。「関係行政機関、労使団体等が」の後なのですけれども、「共通の目標や事業方針を設定の上、定性・定量両面からの成果評価、さらには仕組み」以下云々と書かれています。この具体的な中身について、例えば、過去に行われたものがあるのかないのか、あるいは、こういったことへの取組みについて、それぞれ連携を取り合っていきましょうということであり、これからまとめようとしているもの以外のところで言及されたことがあるのかどうかを教えていただきたい。

○清家部会長 
では、伊藤室長お願いします。

○伊藤室長 
国の、あるいは自治体も同様かと思いますが、さまざまな施策あるいは事業について、その政策評価が問われる、全体的な局面であることは、まず申し上げるまでもないところです。その中で、勤労青少年福祉政策そのものに関しまして、私ども国としまして、具体的な政策評価の枠組み等について、関係する自治体等について何か指示を行ったり、あるいは私ども厚生労働省の立場で、狭い意味での勤労青少年福祉施策について政策評価のための枠組みを提示したり、あるいはその中で行った評価について発信をしたりというところには、まだ至っていません。まず、それが1点です。
 ただ、個別に自治体の取組みなどを見た場合、勤労青少年福祉ホームの運営にかかわりまして、運営委員会といった設置主体側と地元の事業主団体、利用者代表などからなる、毎年度の事業計画を策定するような場を設けているというのは通例ですけれども、加えて、一部の地域におきましては、勤労青少年ホームの運営に限らず、勤労青少年福祉施策の運営全般に関しまして、国でいうところの、こうした審議会に相当するような場、労使の代表者、学識者、あるいは、自治体によっては地元の議員等にも参画をいただき、勤労青少年福祉施策そのもののあり方や、それを踏まえた目標設定、長期的なビジョンについて策定をし、検証するといった取組みまで深掘りをして、そういう場を設けているところもあります。
 今回、私ども、いくつかの自治体からのヒアリングを行う中で、例えば兵庫県西宮市などはそういう場を設定して、ここに書かせていただいているような役割を現実に担っている。したがいまして、先に申し上げましたように、国としても、また、多くの自治体としても、勤労青少年福祉施策という観点で、こうした取組みをあまねく行うところまではいま到達していないわけですが、いくつかの先進的な自治体についてはそういった取組みがなされ、また、前々々回と記憶していますけれども、勤労青少年福祉施策の推進に当たりましても、こうしたPDCAという観点を持っての取組みが、今後間違いなく求められ、方針の中でも何らか位置づけてはという趣旨のご意見をいただいたことも踏まえまして、ここにこのようなことを書かせていただいたところです。したがって、イメージするところとしましては、それぞれの地域における主体となる地方公共団体はもとよりですけれども、先ほどの話ではありませんが、労使団体、国の関係行政機関、利用者、こういった関係各層が、この方針で示しているような基本的な考え方を踏まえ、勤青ホームの運営ということは、少なくとも入ってくるかと思うのですけれども、それも含めた地域の勤労青少年福祉、キャリア形成について、誰を重点に、何を重点事業とするのかといった点、それを先ほどの議論とも少し重なってくるのでしょうけれども、具体的にどのような指標を以て評価するのか、その評価した結果をまた次の局面の事業計画等にどのように反映していくのかということについて、せっかくのこの5年に1度の方針の中でも、そういう考え方について触れさせていただいた上で、先ほど例として触れた西宮のような取組みが少しでも広がっていく、そういう端緒となればという意図で、このような記述をさせていただきました。

○遠藤委員 
ただいまのご説明を聞いてこれを読めば、そういうものとして読めるのですが、これだけを見てしまうと、あたかも労使の団体が福祉の施策について、何か成果を評価するということになり、なかなか、そういう場があって参画している枠組であればまだしも、何か団体として自ら発信していくような印象をどうしても持ちかねないものですから、それでお尋ねさせていただきました。もちろん、団体、企業が地域社会の一員として応分の責任を負っていて、その連携の中で必要な役割を担うことについては、何ら否定するものではないのです。そことの繋りと、ここに書かれていることが、具体的に何をこれからしていくのかというところがちょっと見えなかったものですので。

○清家部会長 
それでは使用者側委員のご指摘は労働側も同じような形で修正ということで。

○坂委員 
はい。私も地域で役員をしているからこそ、この記述がわかると理解していたのですが、いまご指摘のように、委員以外の人がこれを見ると、少し読みづらいかもわかりませんので。

○遠藤委員 
突出してやっているのではないかと思います。

○坂委員 
少しだけここに、「連携をして」とか、何か加えることによって、わかりやすい文章になればそのほうがいいのではないかと私も感じました。

○清家部会長 
それではそのように。確かに伊藤室長が言われたことを理解すると、私もストンとくるので、その繋がりがわかるような書きぶりにしていただくとよろしいのではないかと思います。そのところは、使用者側、労働者側、両方の委員と少しご相談いただいて、書きぶりをお願いいたします。

○伊藤室長 
その辺の調整の方向性ですが、先ほど、キャリア教育にかかわりました、いま現実に、労使ともに積極的に取り組んでいるということで、きちんと労使団体として書いたほうがいい。逆に言いますと、ここの部分については、いま私どもからも申し上げましたように、ここまでできている事例はごく少数、ある種、目指すべき方向性。そういう意味では、地方公共団体あるいは関係機関ということは、連携という文脈で書く必要があるかと思うのですけれども、ここに関しては、あまり労使団体とまでく書くのは、むしろ踏み込み過ぎというニュアンスも含めてのご指摘と理解させていただいてよろしいのでしょうか。

○遠藤委員 
福祉の対策等について、労使の団体、もちろん企業も含めてなのですけれども、どうかかわっていけばいいのかということについては、あくまで企業の立場に立てば、企業自らのご判断によって対応されている部分であり、それをどう支援するのかという位置づけしかなくて、何か団体として旗振りをするところまでまだ至っていないというのが実情かと思っています。

○坂委員 
労働組合側からすれば、職場の中を見ていると、非正規雇用者や、アルバイトで働く方とかがいらっしゃるから、企業との労使交渉の中でこの方針に基づいて、少しでも安定した就労ができるように協議をしています。したがいまして、労働組合側としては、労使団体等で、現場の意向で「やろうよ」という思いがここに加わっていると、こう理解しているのですけれども。

○清家部会長 
むしろ残していただいたほうがいい。

○坂委員 
「労使団体等が連携により」に変えていただければ、わかりやすいと思います。

○清家部会長 
遠藤委員、そのような形でよろしいですか。

○遠藤委員 
それでお願いします。


○宮本委員 
いまのところで、もう1点なのですけれども。勤労青少年福祉法は都道府県知事によってと、こういうことなのですよね、この赤字の1行目のところが。それで、いま、西宮市は県ではなくて市ですので、市レベルでも連携をしてという動きが徐々に出てきてはいるのですけれども、昨日も、内閣府の子ども・若者育成支援のモデル自治体がオリンピック青少年センターで3日間研修をやっていて、昨日、私、かかわっているので出席してみると、市のレベルではこういうことが非常に難しいというものがどんどん出てきて、つまり、困難な若者に対して、訓練から出先のところの仕事に就けるまでのそこになると、市には全くそういうものがないと、ほとんどそれは国がやってきたことで、ようやく県まで下りてきているけれど、自分の市にはそういうものが、資源も何もないという声がどんどん出てくるという状態で。この書き方を見ると、これは県レベルの印象ですよね。ですけれど、いまもう躓いている若者の問題からすると県では広過ぎて、市レベルでないと動かないのですけれども、その辺りを今回のこれにどういうふうに盛り込むかという問題があると思うのです。

○清家部会長 
ここのところは事業計画の策定が都道府県知事に求められているということで、このような書きぶりになっているかと思うのですけれども。

○宮本委員 
都道府県の策定の中に、その下にある市レベルまでも含めた、大枠みたいなものが入っていかないと、たぶん、現場は動いていない。だから、学校教育段階までは、子どもから高校生、大学生ぐらいまでの仕組みは、いま作ろうとしていますけれど、その先はもうお手上げですよという、そういうことになってしまっていますので。

○伊藤室長 
よろしいですか。部会長からもご指摘いただきましたように、この赤字の部分の最初の2行に関しましては、現行の勤労青少年福祉法第7条そのままな、制度としてはなぞっているということですが、勤労青少年ホームも法律上の設置・運営主体は地方公共団体ですが、以前にご説明いたしましたように、圧倒的多数は市町村であり、また、現在の若者が抱える課題にきめ細かく対応していく上では、県域というよりは市域レベルで対応しなければいけない課題も多く、なおかつ、都道府県事業計画に関しましては、地方公共団体である都道府県が主体となっての計画という性格ももちろんありますが、都道府県域における勤労青少年福祉にかかわる取組みについての計画という性格も併わせ持ったものであり、後者の観点で言いますと、国の方針があり、それも参酌した都道府県の事業計画もあり、そういったものも参考にしながら、より具体的なプランを市町村が立て、先ほどいろいろとご指摘もいただきましたような目標、事業方針の設定がある。
 後半の、各地方公共団体は、言うまでもなく、都道府県だけではなく市町村も大いに念頭に置いた表現ですので、そういった意味では、この「各地方公共団体」、あるいはほかの「地方公共団体」という記述が専ら都道府県を意味していると取られますと、私どもとしては、むしろ意図から外れることになってまいりますので、制度の話と、期待をされる領域ということで、書き分けを少し工夫をしなければいけないと思うのですが、この「都道府県知事は云々」の後に、市町村の位置づけについても正確な書き方を少し付加をさせていただきまして、県・市町村レベルそれぞれの取組みが求められるのだということをきちんと受け止めていただけるような文面を工夫してはと、いま思っているところです。

○清家部会長 
私もそうしていただいたほうがいいかと思います。よろしいですか、少し市町村レベルの話を付加していただくということで。またそれで、委員の皆さんに確認していただいてはどうですか。

○伊藤室長 
そのようにさせていただきます。

○清家部会長 
ほかに何かございます。よろしゅうございますか。それでは、本日いただいたご意見等を踏まえまして、必要な修正を行っていただき、いまもう既にいろいろ出ていますけれども、必要に応じて、個別に委員の先生方と事務局とでご相談をしていただきながらまとめていただきたいと思います。
 今後の進め方、スケジュールについて、事務局からお願いいたします。

○田中補佐 
今後のスケジュールについてですが、本日いただきましたご意見を踏まえまして、いま一度原案を精査した上で、都道府県関係省庁に意見照会を行った上で、次回の部会にお諮りする手順になります。ですので、次回開催までの間に、部会長をはじめ各委員の皆様に個別にいろいろご相談をさせていただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。次回の日程ですが、3月28日15時から17時とご案内させていただいていますが、できれば16時から18時に時間を変更させていただきたいと考えています。お手元にご都合の確認のペーパーを配付させていただいていますので、ご記入をお願いいたします。その上で改めてご連絡をさせていただきます。

○清家部会長 
ありがとうございました。本日の議事録の署名委員ですが、部会長の私と、労使から各1名ということで、恐縮ですけれども私から指名させていただきたいと思います。労働側委員は永田委員、使用者側委員は阿部委員にお願いいたします。
 本日はお忙しいところをありがとうございました。


(了)
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