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2011年6月29日 生活保護制度に関する国と地方の協議(事務会合)第2回議事要旨

社会・援護局

○日時

平成23年6月29日(水)


○議事

○ 検討項目のうち、生活保護受給者に対する就労、自立支援について、意見交換(第2のセーフティネットと生活保護との関係整理については、次回に持ち越し)

○ 厚生労働省及び地方自治体からの主な発言は以下のとおり。

1.受給直後からの集中的かつ効果的な自立、就労支援

(1)期間を設定した集中的かつ強力な就労、自立支援・稼働能力の判定について
 
<地方自治体発言>
○ 生活保護の基本理念は補足性、他法優先である。生活保護制度が我が国における最後のセーフティネットである以上、その後には施策がないため、現状では失業者も含め受け止めている。今後も真に保護が必要な方には適切に保護を実施していくことは大前提である。しかし、失業者対策、特に就労阻害要因のない者に対しては、まずは雇用施策で対応すべきものである。リーマンショック後の「その他の世帯」が急増する現状に対して、福祉事務所は厳しい状況になっており、これ以上生活保護で支えることが難しくなってきている。

○ 新たに求職者支援制度ができても生活保護受給者の減少に繋がらないと考える。10万円の求職者支援制度の給付金では、住宅費も含めると生活保護費を下回り、結果として生活保護受給が前提の制度となっている。早急に雇用施策において、生活保護にならないような、失業者のための支援制度をつくる必要がある。

○ 働く能力のある人に対しては厳しく就労指導する必要がある。ただし、期間が来たら機械的に保護を打ち切る制度にしてほしいという趣旨ではない。現状モラルハザードが生じており、市民の生活保護制度に対する信頼を確保する必要がある。市民に対する信頼の担保として、期限を区切った就労指導をすることができるということを法律で明文化すべき。通知では訴訟になったときに対応しきれない。象徴的なものが必要。

○ 稼働能力の判定は、「年齢や医学的な面からの評価だけではなく、その者の有している資格、生活歴・職歴等を把握・分析し、それらを客観的かつ総合的に勘案して行うこと。」となっているが、職業相談、職業斡旋及び職業能力判定等の専門機関ではない福祉事務所がこれを行うことは、実務上不可能である。産業医でない医師が、どこまで稼働能力についての医学的所見を述べることが出来るのかについても限界がある。書類のみでの判定は専門家でも困難である。そのため稼働能力判定会議において、医師の診断の結果「軽作業可」という判定を受けたケースについて、どういう適職が考えられるか、またどのような点に注意しなければならないか等専門家から貴重な助言をいただいている。
 また稼働能力の判定においては、「就労の場を得ることができるか否かの評価については、本人の稼働能力を前提にして、地域における有効求人倍率や求人内容等の客観的な情報」などを踏まえて行うことになっているが、福祉事務所では労働市場の状況等がわからない。稼働能力の判定は労働市場の状況等に明るいハローワークが行うべき。

○ 稼働能力の判定について、現行の「総合的に勘案して判断する」という考え方は妥当。一方、現状の稼働能力の判定は、主治医判断に偏る傾向がある。また、医師に対して、個別具体的に肉体的・精神的負荷をかけた場合に、どのような仕事ならば就労可能かを確認しても、一般的な回答となる場合がほとんどである。基準を定め、主治医が稼働能力の有無を峻別することは困難。主治医意見を参考に受給者本人とケースワーカーとの話合いを基本として、福祉事務所が総合的に稼働能力を判定することが必要。

○ 医師によって稼働能力の判断が異なる。一方、産業医については、なり手がいない。統一的基準をもって判断できる指導医等を国が自治体に派遣する制度のような仕組みが必要。

○ 20~40代の失業者を生活保護で支援することに違和感がある。就労支援については、20~40代と50・60代とでは同じレベルでの支援は無理であり、支援の方法自体を分けて考えるべきである。

○ 就労指導の期限の明示については、現行の自立支援プログラムにおいて期限を区切る等の取組を実施しており、この対応で足りている。
 稼働能力の有無に関する医師の判断に対して、実施機関ではどの程度の就労が可能か判断できない。稼働能力の判定を行うのは、福祉事務所か、それとも医師か。

○ 生活保護の適用において稼働能力の最終的な判断をするのは当然福祉事務所であるが、一方、ハローワークは就労支援の専門機関として、稼働能力に応じた就労支援や仕事があるのかどうかなどの判断などは行ってもらいたい。過去に公共職業安定所長が適職があるかどうかなどについての証明を出していた経過もあるようだ。

○ ハローワークと福祉事務所との連携において、実際にハローワークが就労支援に繋げてくれる人は技能がある人や資格のある人。福祉事務所がハローワークに担ってほしい支援の役割にずれがある。20代~40代のこれまで非正規労働を続けてきた受給者は、就労に結びつきにくいので、この層への支援をしてほしい。特に就労活動をしたことがない20代~30代に対して、就労に結び就くスキルを身につけさせる必要がある。これからも雇用施策として積極的に行ってほしい。

<厚生労働省発言>
○ 失業者に対しては、ハローワークでのマッチング機能の強化や雇用保険の失業給付を進めることが第一と考える。それでもなお生活に困窮する方に対して、生活保護が最後のセーフティネットとして機能する。

○ 地方側からの、生活保護に至る手前でのセーフティネット施策の制度化という要望を受け、今般求職者支援制度を制度化したことは評価して欲しい。同制度を生活保護制度に優先して適用するための運用上の課題等については、この協議の場で議論したい。

○ 稼働能力の判定の最終判断は福祉事務所長が行うものであり、医学的判断は所長が判断する際の一要素である。この場で議論する稼働能力の判定は、生活保護の停廃止の判断基準となるものであり、ハローワークを含め生活保護制度以外の機関で判断を行うことは困難ではないか。

○ ハローワークにおいては、きめ細かな支援を行うナビゲーターの増員や求人開拓推進員による求人開拓を行っている。さらに通達において、これまでの考え方を改め、対象者選定上、就労意欲について過度に厳格に判断しない、柔軟な取扱としている。

○ 生活保護は最後のセーフティネットであり、期限ありきの制度とすることについては、慎重に検討すべきではないか。

(2)被災者の自立、就労支援策について

○ 国は東日本大震災の被災者の生活支援について、生活保護での支援を前提に考えているのか。被災者支援は本来国の責任において実施すべきであり、最初から生活保護の適用を前提にするのはいかがなものか。また、被災者の方にどのようなサポートが必要かは、被災県と議論すべきであり、この協議の場とは別に検討すべき。

○ 被災者が避難先で生活保護を申請した際の費用負担の取扱い等について、国の見解を明らかにしてほしい。

○ 生活保護制度上の義援金等の取扱いについては、1.自立更生費に充てられる費目・費用について大まかな目安を示していただきたい、2.避難所を出て自立した生活を行うときに、中長期的な自立更生に向けて、どのように認定すればよいか指針が欲しい、3.被災者の就職活動では自動車の保有が必要になる。弾力的対応をお願いしたい。4.東京電力の補償金は義援金とは性格が異なると思われるので、取扱について示してほしい。

○ 三宅島噴火の避難者に対する特別保護事業について、被災者が全て都民の方で、かつ全島避難という状況や、被災者の方は最終的に島に戻ることが前提であったことなどを踏まえ、また、当時は国も支援をできないとのことだったので、東京都が単独で行った事業である。被災者の方が、東日本の複数の県の広域エリアの方で避難先も広範囲に渡り、震災被災者と原発事故の避難者では状況が異なるなど三宅島噴火とは異なる。

<厚生労働省発言>
○ この協議の場では、特に被災地から遠方に避難され、将来帰郷を希望されている方々にどのような自立・就労支援が有効なのか議論いただきたい。東京都の三宅島避難民への対応経験も参考になるのではないか。

○ 義援金等の生活保護制度上の取扱いについては、自立更生経費の費目例を含めて、既に通知において明確化している。今後、さらに基準を明確にすべきものがあれば必要に応じて対応したい

2.就労、自立支援プログラムの充実・全国展開

(1)自治体による自立支援計画の策定について

<地方自治体発言>
○ 自立支援計画の法定化については困難。ケースワーカーが様々な支援事業に兼務している状況であり、現在の業務量をかんがみると、対応できない。ケースワーカーの本来業務について考えないといけない。
 一方、優秀なケースワーカーを育てることが喫緊の課題。独自に査察指導員の勉強会を開催しているが、国・県からの支援が必要。

○ 福祉事務所は、職業相談、職業斡旋及び職業能力判定等に関する専門機関ではない。ハローワークとの連携のみでは生活保護受給者の就労自立が図られず、やむなく直接就労支援を実施している。また、地域の雇用情勢も様々であり、生活保護受給者や福祉事務所の努力の範囲を超えた状況である。そのため数値等具体的な目標を設定し、支援策の効果等を評価するような就労自立支援計画を策定することはできない。就職目標等の客観的指標を設けることは努力目標としても、それが対外的に示される以上、達成できない場合自治体としては説明を求められる。生活保護受給者の多くは疾患を抱えている方であり、働くことはできても採用されることが困難である者が多い。有効求人倍率などの求人状況といってもハローワーク単位であり、地方では自分の市町村の求人状況が分からない中で、生活保護受給者の客観的な就職目標を設けることはできない。
 計画を法定化し義務づけるという手法は、費用対効果の検証が十分でない。計画化の発想自体を見直してほしい。

○ 現状において、保護受給者の急増により、数少ない職員の増員を得てもケースワーカーに回すしか選択肢がなく、自立支援計画の策定に、これ以上の人的・時間的な体制を割くこと自体が厳しいというのが現状。既存の支援事業が一定の効果があることを示しているのに全国展開に進みにくい原因は、人的・時間的体制の整備ができないことによるところが大きな要因と考える。

○ 現行の自立支援プログラムについても、地方では策定はしたが実行することができないというのが現状である。自立支援計画を法定化し、PDCAサイクルを導入すると言うが、福祉事務所とハローワークとの役割分担について大きく変えることができないのであれば、自立支援計画の法定化のみをもって、この協議の成果とされてしまうのは厳しい。

○ 自立支援計画を小規模な福祉事務所で導入することは難しい。計画を法定化するならば、県の計画に小規模事務所を位置づけるという仕組みが必要。

<厚生労働省発言>
○ 自立支援計画については、本年度から導入した福祉から就労支援事業の協定例(ハローワークと福祉事務所が文書で締結)が計画策定のベースになるものと考えており、ハローワークと福祉事務所との役割分担や目標値も盛り込んではどうか。また、ハローワークも協力するという形で計画に対してPDCAサイクルを働かせることで、有効な自立・就労支援を全国レベルで行えるのではないか。
 自治体が自立支援計画を策定する前例としては母子家庭及び寡婦自立支援促進計画がある。同計画の策定は自治事務であるが、都道府県別では95.7%、指定都市別では100%と高い実施率を実現している。こうした計画を参考にしながら、生活保護受給者のための自立支援計画についても法的枠組みも含めて議論いただきたい。
 自立支援計画の策定については、大人に対する自立・就労支援の面だけではなく、子どもの貧困連鎖解消に向けた取組もあわせて検討いただきたい。
 自立支援計画については、ケースワーカーが全てをやることを前提としていない。就労支援、子どもの学習支援等、それぞれの分野における専門家やNPO等を活用して支援する枠組みを検討したい。

(2)福祉事務所と関係機関との連携強化・就業体験等の全国展開等について

<地方自治体発言>
○ 就労支援等の全ての業務を福祉事務所で行うのは困難。高齢者への生活支援は年金制度の拡充や新たな制度で対応すべきであり、失業者への生活支援は雇用施策の中で行うべきである。福祉事務所とハローワークの役割分担を明確にする必要がある。

○ ハローワークにおける就労支援を中心に進めることは重要。ただし、就労意欲の低い受給者が多いのが現状。こうした意欲の低い方にも支援対象を拡げるとともに、ハローワークにおけるナビゲーターの数も増員してもらいたい。また、就労経験のない受給者も多い。就労経験を積むための取組として、トライアル雇用等の支援強化を進めてもらいたい。

○ 小規模な福祉事務所では、国の各種補助制度を利用することが困難な場合が多い。福祉事務所の規模に応じたきめ細かな補助基準を設けた補助事業とすることや、例えば、就労支援員を設置できない小規模福祉事務所には、ハローワークから定期的に職員を巡回指導させる等の対策を講じていただききたい。

○ ハローワーク側から優秀な人材を送って欲しいと言われることがある。ハローワークが福祉事務所のレベルに合わせてもらわないと、協定を締結する意味がない。

○ ハローワークの立場は就労の場を提供することであり、雇用する側を意識せざるを得ないことは理解できるが、福祉部局の側からすれば、もう少し対象者を広く捉えてもらいたいという思いがある。ハローワークと福祉事務所が相互に歩みよらないといけない。

○ 生活保護受給者の求職活動の状況についてハローワークに問い合わせると、個人情報保護を理由に回答してもらえない。個人情報保護の問題は理解できるが、情報交換ができる体制整備をお願いしたい。

○ ハローワークの役割は労働の機会の提供であり、そのため労働市場に見合う就労意欲と能力を求めがちになるのではないかと考える。しかし、福祉事務所は結果を求めることから、行き違いが生じやすい。ハローワークと福祉事務所のコミュニケーションが非常に重要。しかし、現在のナビゲーターは配置先のハローワークに張り付けで、管内の福祉事務所を巡回するようなことも出来ない。福祉事務所も管外・遠方にあるハローワークとの連携は講じにくく状況にある。県によっては数人しかナビゲーターが配置されていないところもあると聞く。
 ハローワークと福祉事務所が一体となった体制を構築しないと、議論が進展しない。ハローワークと福祉事務所が一体的に就労支援していくことが重要。全国で126室(平成22年4月1日現在)整備されているふるさとハローワーク(地域職業相談室)は好評である。さらに埼玉県志木市の取組のように、福祉事務所にハローワークの支所などを併設することを全国的に展開すべき。

○ ハローワークと福祉事務所との連携事業においては、ハローワークの数値目標の達成のため、どうしてもハローワーク側から稼働能力の高い人を要求される傾向にある。ハローワークの現場にそうした数字ばかりを追い求めるのではなく、「就労支援が必要な方に支援をする」という根本の考え方を合わせるべき。

○ ハローワークと福祉事務所との連携事業の参加に当たっては、現行では受給者の同意が必要。ハローワーク事業の参加が保護の受給要件にできないか。

<厚生労働省発言>

○ 個々のハローワークにおいて、対応に問題があるところがあれば改善していきたい。また、就職率を目標にするとしても、対象者数の量的拡大を図る意味から従来の実績に比して低めに設定することも考えられる。協定締結等に向けた議論を通じ、目標や役割分担等の考え方について、ハローワークと福祉事務所とが共有することが重要と考える。

○ 一体実施型を含む、ハローワークと福祉事務所との連携については、予算・体制の制約はあるが、拡充したいという方向性をもっている。

○ ハローワークから福祉事務所への求職活動状況の提供については、趣旨は理解できるが、個人情報保護法との関係において、具体的にどういう情報の提供に当たり、どういう対応が可能か、別に整理したい。

○ 労働市場の状況については、ハローワークから福祉事務所に対して情報提供する等、連携を強化する必要性を感じている。ハローワークの側としても、福祉事務所から生活保護受給者の支援の状況等の情報をいただきたい。

(3)社会奉仕・貢献活動への参加の義務付けについて

<地方自治体発言>
○ 社会奉仕活動の義務付けは、生活保護制度は楽な制度と思わせない仕組みが必要ではないかという意味である。義務づけるのは労働なのかボランティアなのかを整理することは必要。稼働能力のある方には、当然就労活動をさせることが必要だが、就労までの空いた時間にボランティア等の何かしらの作業をさせるべきではないか。憲法との関係では、理念的な義務付けが限界ではないかと考える。

○ 社会奉仕活動等の義務付けについて、市民の目からすれば、「生活保護受給者がボランティアをさせられている」と見られる。一方、受給者の側からも、ボランティア程度の作業さえやれば生活保護を受けることができると受け取られるおそれがある。さらに、福祉事務所も、受給者をボランティア活動に結びつけるということが最終目標になり、本格的な自立に結びつかないおそれがある。制度としてボランティア活動を義務付けることは、慎重に考えるべき。

○ 生活保護の受給要件に自立支援プログラムの参加を追加すべき。

○ 自立支援プログラムがなくても、自ら就労に向けて取り組む人はいる。特に自立支援プログラムの参加を保護の受給要件とする必要はあるか。

3.自立、就労に向けたインセンティブの強化

<地方自治体発言>
○ 勤労控除の一定額を積み立て、保護廃止時に還付することや、控除額を段階的に拡大することはインセンティブ強化として有効と考える。

○ 受給者には、働いて収入を得ると、保護費が減らされるという意識がある。新規就労控除の見直し等、若年者の就労意欲喚起、インセンティブ強化が必要。

○ 年金や最低賃金との整合性が図られた生活保護水準とする必要がある。

○ 事業主による生活保護受給者の雇用を促すようにトライアル雇用の額や期間の拡充が必要。

○ 廃止時に還付するという方法は有効。しかし原資を積み立てていけば、それは預金と同じ性格になり、資産としての性格が生まれることになる。福祉事務所で預金口座の管理はできない。一方で、勤労控除の基準額を保護廃止時まで繰り延べして、廃止時に一時扶助という形で還付することは考えられるのではないか。ただし、就業期間により還付額が多額になるので、工夫が必要だと思う。

<厚生労働省発言>
○ 勤労控除については、7月12日の生活保護基準部会において議論することとしている。一方、就労収入の一定額積立について、実施機関としては、資金管理等の運用面で対応できるのかどうか確認したい。

4.子どもの貧困連鎖解消に向けた取組

<地方自治体発言>
○ 東京都では塾代を支援する取組を実施しているが、子どもにとって塾が居場所となって、子どものモチベーションの向上にもつながっている。子どもの貧困連鎖解消は、最重要課題であると考えている。しかしその取組に割く時間がケースワーカーにはない。

○ ある地域の先進的取組を単純に全国的に拡げるだけという手法には疑問を感じる。それぞれに地域性があり、NPO等の地域資源もある地域と無い地域がある。各自治体が、それぞれの地域にあったプログラムを策定することが大切だと考える。小規模事務所もあり、全国一律に計画を策定し促進していくような手法は困難。
 進学率も先進的な取組をしているからといって必ずしも高くなく、定時制など低学力の子どもの進学先がその地域にどれだけあるかに左右される。まず、進学率の差の要因分析が先では。
 先進的な取組を紹介することは大切だが、それだけでなく、地域に応じたプログラムが策定できるよう基礎的な条件整備(費用等)をしてほしい。メニューの拡充として、塾代等を学習支援費に上乗せ支給(原則代理納付)や大学進学費の検討もある。また、不登校、高校中退防止対策や中卒者を対象とした職能訓練コースを作ってもらいたい。

○ 生活保護受給世帯の子どもだけを集めて支援するということには、プライバシーや個人情報の問題があるのではないか。

○ 子どもの貧困解消に向けて、子どもの頃から国民には勤労の義務があるという意識を持たせることが必要。全ての福祉事務所で実施するのは厳しい。教育部門との役割分担を検討すべき。

○ 未来の子ども達への支援は重要であるが、ケースワーカーの本来業務はどこまでなのか整理の時期に来ている。就労支援や次世代育成など全てを福祉事務所で実施するのは厳しい。
 また、子どもの貧困解消のための計画を作ることになれば、それに縛られることにならないか。現実としてこれ以上いろいろな計画を策定するようにしても、今の福祉事務所の厳しい業務の状況では負担になるだけで実効性に疑問がある。

○ 生活保護受給世帯の子どもの進学率が下がるのは、学習能力の問題ではなく、親と子の関係が影響している。学習支援だけではなく、親への対応等世帯全体のケアが必要。

○ 学習支援費等の金銭給付も必要ではあるが、より効果的に「人づくり」をするためには、塾代等の現物給付を検討すべきである。また、児童相談所、保護現場、学校等ともに人材不足であり、もっと、マンツーマンに向き合える体制強化が必要である。就労支援や教育支援を進める上でも、セーフティネット支援対策等事業費補助金の対象範囲を自治体の公用車の購入費用等まで拡充をお願いしたい。

<厚生労働省発言>
○ 生活保護受給世帯の子どもと一般世帯の子どもの高校進学率を比較した場合の差が依然として大きいし、自治体ごとにも差がある。このため、子どもの貧困解消のための計画を自治体が策定し、全国レベルで学習支援や養育相談等を位置付けてはどうか。

○ 子どもの学習支援等について、ケースワーカーが全ての業務を担うのではなく、必要に応じてNPO等の専門家の力を借りて、全体としてケースワーカーが総括する体制を考えている。

○ 平成21年度の学習支援費の創設や母子加算復活等により、子どもの貧困対策のための現金給付は一定程度充実されてきたと考えている。より効果的な支援を考えた場合、今後は現金給付よりも現物給付が重要になるのではないか。


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