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2011年6月13日 生活保護制度に関する国と地方の協議(事務会合)第1回議事要旨

社会・援護局

○日時

平成23年6月13日(月)


○議事

○ 平成23年5月30日開催のハイレベル会合において決定された検討項目や今後の進め方、地方自治体出席者から出された意見等を紹介。
本年8月目処の取りまとめに向けて、次回以降各論を議論することとし、今回は全体を通じて検討すべき事項の整理について意見交換。

○ 厚生労働省及び地方自治体からの主な発言

1.生活保護受給者に対する自立、就労支援及び第2のセーフティネットと生活保護との関係整理について
 
<地方自治体発言>
○ 稼働能力の判定については、誰がどういう基準に基づいて判断するのか等、判定の在り方全体について議論すべき。

○ 実施機関単位で自立支援計画を策定することについて、福祉事務所の現状では限界がある。ハローワークとの関係等も視野に入れた、基本的なところから議論する必要がある。

○ 現行基金訓練の受講後にどの程度就労に結び就いているのか等、評価を確認したい。

○ 国が考える雇用・労働施策と生活保護制度との関係、特に、雇用・労働施策は生活保護に優先する施策であり、国は失業者対策として第2のセーフティネットなどを整備していく(本来、生活保護は失業者対策ではない)という、スタンスについて確認したい。

○ 期間を設定した強力な支援は重要だと考えており、更新制は難しいにせよ、更新制に代替できるものはないか検討していただきたい。

○ 過去の自治体側からの提案は「期間を区切った集中的な就労支援」であり、この協議の場においても更新制を議論するものではないことを確認したい。

○ 現在でも一定期間内の就労を目標に就労支援・指導をしているが、明確に期間を定めて受給者に就労の指導や通知をするための根拠となる規定が必要。

○ 就労へのインセンティブについては、受給者サイドだけでなく、雇用主である企業に対する仕組みも考えて欲しい。また、住宅手当は今年度で終了する。住宅手当の評価と求職者支援制度との関係について確認したい。

○ 子どもの貧困連鎖防止に向けた実施計画の策定についても、都市部と地方とでは状況が異なる。実施計画の策定は慎重に検討すべきではないか。

<厚生労働省発言>
○ 稼働能力の有無の判定プロセスについては、現在国において手引き等を策定している。さらに、国において統一的な対応が必要という話であれば、現行の手引き等を充実させたい。また、医師による判定に限るつもりはない。

○ 労働施策との関係について、基本的には、雇用施策でカバーできるところはしっかり対応するという考え。非正規労働者対策も重要であり、ハローワークにおけるマッチング機能強化や有期労働契約の見直しの検討等も行っている。

○ 現在、基金訓練受講者の就職率は約7割、一定の成果と評価。求職者支援制度においては、訓練受講後3ヶ月間はハローワークへの来所を求める等就労支援も強化。求職者支援制度の給付は、訓練期間中の生活支援との位置付けであり、生活保護とは性格が異なる。

○ 事業主に対する経済的インセンティブとしては、トライアル雇用奨励金がある。生活保護受給者に限るものではなく、規模も十分ではない。各自治体においても同様の問題意識であれば、今後の検討事項としては考えられる。

○ 住宅手当については、一定の成果が見られるものの、就労率が3割と低い状況。今後の事業については、現在財務当局と調整中である。

○ 自立支援計画の策定については、今後の各論において議論したい。

○ 期間を設定した集中的かつ強力な就労支援については、捉え方によって様々に考えられる。生活保護の基本理念や原則との関係を踏まえ検討すべきと考える。

○ 社会奉仕活動等への参加の義務付けについては、憲法との関係等について慎重な検討が必要。

2.医療扶助や住宅扶助の適正化その他不正受給対策等について

(住宅扶助関係)
<地方自治体発言>
○ 貧困ビジネスに対して条例による規制を講じても、その規制の目をくぐるように手法が多様化しているのが現状。当事者間の民事契約を理由に行政が介入することが困難な場面もある。こうした実態を踏まえた規制の在り方についても検討していただきたい。

○ 生活保護受給者に対しては、あえて住宅扶助の上限額で契約する業者がいる。受給者に対して、近隣相場よりも高額な家賃を徴収されている実態を説明しても、自分の収入が増える訳ではなく問題意識を持たないため、転居指導にならない。現物給付の在り方など、住宅扶助の在り方について検討したい。

○ 住宅扶助の現物給付を拡大することは、自治体が提供できる住居を用意しておかなければならないことであり、現実的には難しいのではないか。

<厚生労働省発言>
○ 住宅扶助の基準設定は自治体への権限移譲を想定したものではない。例えば、敷金に関する基準が自治体間でかなり差がある。このような地域差についても各論で検討したい。

(医療扶助関係等)
<地方自治体発言>
○ 医療扶助については、受給者本人に負担がなく、結果として医療費の増大に繋がっている。自己負担の導入について検討していただきたい。

○ 医療扶助の電子レセプトを先行導入しているが、システムがうまく機能していないのが現状。現場がうまく機能するための方策について検討していただきたい。

○ 医療扶助の電子レセプトがまだ機能していないので、医療扶助の実施計画の策定についての検討は時期尚早ではないか。

○ 現行の医療券方式は、現代の社会システムに対応できていないのではないか。医療扶助の実施方式についても検討すべき。

○ 全実施機関で医療扶助の実施計画を導入することは現実的ではないのではないか。

○ 介護扶助について、上限額まで請求する事業者が非常に多いという実感がある。介護扶助の適正化も議論すべきではないか。

<厚生労働省発言>
○ 医療扶助の電子レセプトについては、運用マニュアルを作成しており、今後実施機関にお示ししたい。
  国民健康保険は、既に医療費適正化計画を各自治体が導入し検証していただいている。それらも参考にしながら、医療扶助の実施計画の策定については、各論において議論したい。
  介護扶助の適正化については、論点として追加したい。

(その他)
<地方自治体発言>
○ 課税調査をきっかけとした不正受給、不正就労の発見は有効。しかし24時間体制の就労先も多く、不正就労の事実を把握しきれないのが実情。

○ アウトリーチ型の高齢者世帯の見守り強化事業を行っている。地デジ関連のサポーターがきっかけになったケースもある。アウトリーチは効果を上げている。

○ 要保護者の把握という意味では、水道料金の滞納等の困窮情報は福祉事務所に提供されることになっており、ライフライン事業者との連携は有効である。

○ モデル事業として実施しているパーソナルサポートの効果を示して欲しい。

<厚生労働省発言>
○ 実施機関からの照会等に関する回答義務を民間事業者に課することについては、他制度においても例がなく、慎重に検討すべきではないか。

3.全体を通じた議論等

<地方自治体発言>
○ 生活保護費負担金の全額国庫負担について、中長期課題としては検討項目に加えるよう強くお願いしたい。

○ 昨年、大量の中国人が入国直後に生活保護を申請した事案があった。外国人への生活保護の在り方についても検討項目としたい。

○ 新しい取組を始めると事務量が増加する。スクラップ・アンド・ビルドの考え方で、事務の簡素化を図ることも同時に行う必要があるのではないか。特に調査事務の簡素化を検討すべき。

○ 中長期的にはケースワーカーの在り方についても議論する必要がある。

○ 福祉事務所、実施体制の問題、分析が必要。小さい福祉事務所では、就労や教育支援全てを行うことは困難。生活保護の実施機関は何を専門としてやるべきところか、どこまで関係機関と連携するのかという線引きを整理しないといけない。

○ 地域によって福祉事務所の規模が異なる。小規模な福祉事務所では、なかなか新しいことに手がまわらない。有効な実施計画を策定できるか疑問。

○ 小規模な福祉事務所からの意見としては、国が就労支援メニューを策定しても、支援の対象となる受給者が少ない等、要件を満たすことができないため、活用できないことが多い。小規模な福祉事務所の在り方も踏まえて検討していただきたい。

○ 今回の議論に関して、国は現時点で法改正について社会保障審議会にかける予定はないという話であったが、生活保護法改正の経過をみると、これまでは一連の手続きを取られているので、再度検討いただきたい。

<厚生労働省発言>
○ 今回の協議の取りまとめの結果、法律改正が必要な事項が整理された場合、法律改正に向けた具体的手続については、ハイレベル会合においても申し上げたとおり、政府・与党における必要な手続を踏むこととしたい。


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