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2011年5月13日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会議事録

○日時

平成23年5月13日(金)10:00〜12:00


○場所

経済産業省別館  1014号会議室


○出席者

委員

山本委員(部会長)、明石委員、阿南委員、角委員、高橋委員、山口委員

事務局

梅田食品安全部長、篠田大臣官房審議官、木村大臣官房参事官、森口基準審査課長、加地監視安全課長、横田補佐

参考人

栗原参考人

○議事

○横田補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会」を開催させていただきます。
 本日は御多忙のところ御参集いただき、厚く御礼申し上げます。会合に先立ちまして、食品安全部長の梅田よりごあいさつ申し上げます。
○梅田食品安全部長 食品安全部長の梅田でございます。今日はお忙しいところ、委員の先生方、栗原参考人にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 この放射性物質と食品との関わりでございますが、事故の発生以来2か月で様相が刻々と変わってきております。最初のころはホウレンソウとか葉物でございましたが、これは皆様の方が御専門でございますが、ヨウ素からセシウムへということで、出てくるものもキノコからタケノコ、今は新芽の季節でございますので、植物の成長も著しいということもありまして、そのような状況に変わってきております。恐らくこの放射性物質の食品に対する影響も刻々と変わってくるのではないかと考えております。
これは前回、大塚副大臣の方からごあいさついたしましたように、世界でも初めての経験でございます。この経験に対して、国民の健康をきちんと守ると同時に、きちんとした知見を備え、対策を打つためにも、情報収集と委員の皆様方のきちんとした解析、皆様方にお示しいただく今後の方向、姿勢というものが非常に大切になるのではないかと思います。これからも審議の回数等が結構頻繁になるかとは思いますが、そういうふうに時々刻々変わっていくのを追跡しなければならないということも含めまして、よろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○横田補佐 本日は阿南先生が少し遅れておられるようでございますけれども、現時点で部会委員6人中5人でございます。出席委員が過半数に達しておりますので、部会が成立していますことを御報告申し上げます。
 また、本日は参考人といたしまして、独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所放射線管理部線量計測課研究副主幹の栗原治先生に御参加いただいておりますので、御紹介申し上げます。
○栗原参考人 よろしくお願いします。
○横田補佐 それでは、これから議事に入りますので、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○横田補佐 それでは、山本部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議につきまして、よろしくお願いいたします。
○山本部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。初めに事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○横田補佐 では、資料の確認をさせていただきます。まず議事次第がございまして、裏に委員の名簿がございます。
 2枚目が座席表。その後に資料1と続きます。
 資料1「放射性物質対策部会での今後の検討課題(案)」。
 資料2「食品中の放射性物質に関する検査結果について」。
その後、参考資料1〜10ございます。御確認をお願いいたします。
参考資料1の後に、高橋委員の配付資料といたしまして、「線量評価手法の概念図」というカラーのものがございます。
もう一つ、栗原参考人の配付資料といたしまして、「国際放射線防護委員会(ICRP)の放射性核種の体内摂取に伴う線量評価モデルについて」がございます。
以上でございます。資料の不足や落丁等がございましたら、事務局までお申し付けいただきますようお願い申し上げます。
○山本部会長 皆さん、ございますでしょうか。
本日の議題でございますけれども、「(1)食品衛生法における放射性物質を含む食品の規制について」ということで、今日の内容につきまして、少し事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○渡補佐 それでは、資料1をごらんください。「放射性物質対策部会での今後の検討課題(案)」というものでございます。
 1ページの「1.経緯等」につきましては、前回も御説明をしておりますので、省略をいたしますが、本部会は前回4月8日に行いまして、魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値の取扱いについて、当面の所見をとりまとめていただきました。
 2ページの「2.今後の検討課題」ですが、第1回薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会において示された所見を踏まえ、今後の放射性物質対策部会において、短期的、中長期的な各課題について議論を行うというものです。前回の部会では、魚介類を中心に御議論をいただいて、具体的に本部会でどう検討していくかという議題ではございませんでしたので、今回、課題の案の大枠を事務局でまとめておりますので、これについて御議論をいただきたいと思っております。
 真ん中の図で、短期から長期とお示ししております矢印がございます。現在は5月ではございますが、この図としては第1回部会の4月を起点としておりまして、半年後、1年後と矢印が伸びております。その中で、7月ごろに食安委の食品健康影響評価が出される見込みであり、東京電力の工程表によりますと福島原発の収束が10月〜1月ごろと出ております。この中で今後の検討課題として、短期的課題を食品健康影響評価いかんにかかわらない課題、中長期的課題を食品健康影響評価後を見越した課題、長期的課題を1年以上の長期的課題と考えております。これにつきましては、今から検討することを整理できればと思っております。
 「1.短期的課題」の案ですが、1つ目として、追加的リスク管理の必要性の有無とし、例としては、規制項目、注意を要する集団というものを挙げております。2つ目としては、今後の検討のための体制等としております。例としては、収集すべき情報の種類とその収集方法、検討体制を挙げております。
 「2.中長期的課題」の案としましては、1つ目に、食品安全委員会による食品健康影響評価を踏まえた規制値の設定の在り方、2つ目に、長期的視点に立った規制値の設定の在り方、3つ目に、放射性物質の長期的影響を検討するために実施すべき研究課題についてというものを挙げております。
 資料1については以上でございまして、資料2につきましては検査の結果ということで、厚生労働省の公表資料を添付しております。こちらは5月8日時点のものをお示ししております。大部の資料になりますけれども、18都道府県について、この段階で2,746件の検査がされて、237件の超過があったというものでございますので、御参考に見ていただければと思います。以上でございます。
○山本部会長 どうもありがとうございました。これは資料として、放射性物質の検査をしていただいているのですけれども、今後もし提出していただくときに、違反のところを網かけか何かしてあると見やすいかと思います。そういうふうになっていましたか。
○渡補佐 アンダーラインをしておりますが、わかりやすいように工夫をいたします。
○山本部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、議論に入る前に、参考人の先生、委員の先生からの御説明を受けて、その内容を踏まえた上で、短期、中長期的な課題について検討をしたいと思います。まず高橋先生から御説明をお聞かせいただきたいと思います。先生、よろしくお願いいたします。
○高橋委員 それでは、配付資料に従いまして、説明をさせていただきます。パワーポイントのものが4枚ございます。これで線量評価の考え方につきまして、最初にざっと説明をさせていただきます。その後に公開資料となっております幾つかの資料がございますので、それに基づきまして、現在の状況について、私の方で説明をさせていただきたいと思います。
(PP)
 まず1枚目から「線量評価手法の概念図」。非常にシンプルな図ですが、これを出しております。直接的方法、間接的方法という2つの方法が書かれておりますが、1つは直接的方法。すなわち、現在されております環境放射線、環境放射能の測定を行いまして、これは具体的には食品という意味では、食品の放射性物質濃度を測定するというモニタリングを行いまして、その濃度を測定から直接的に把握する。その次に線量評価モデル、この場合でしたら、年間摂取量あるいは線量を、BqをSvに換算する線量換算係数を用いまして、被ばく線量を出す。逆には、被ばく線量が基準値として決まっておりましたら、この流れが逆流しまして、ある被ばく線量に相当する環境放射能濃度は幾らであるかということを計算して、基準値になっているという流れになります。
これは直接的に環境放射能測定から被ばく線量を求めるのですが、その測定だけではなく、これを推定する。この図では放出源情報という形になっておりますが、例えば原子力施設からどのような放射性物質がどの程度出てくるという放出源情報も推定であったり、あるいは実測であったりしますけれども、これに基づきまして、放射性物質の移行モデルを用いまして、今、申しましたような、例えば食品中の放射性物質濃度を推定する。その推定値をやはり使うという間接的な方法もございます。これも逆流させますと、放出量がどの程度まで認められるかという形での誘導ができるわけでございます。放出源情報と書かれておりますけれども、それに限らず、例えばこれが農耕地の土壌中濃度だとすれば、それに例えば評価モデルがありましたら、移行係数をかけるということで食品中の放射性物質濃度を求めるということも可能になり、それを逆流させることによりまして、例えば現在でしたら500Bq/kgという食品中の濃度になる可能性がある土壌中濃度として、5,000Bq/kgというものが農水省さんの方で推定されて、これ以上の農耕地につきましては耕作制限をかけましょうという流れになっていると考えます。
(PP)
 次の図では、環境媒体中での放射性物質の流れというもので、概念図を書いております。これは比較的均質な、例えば大気、河川、地下水、海水など、こういう部分に放射性物質がぽんと与えられたときに、これは環境媒体の流れによりまして、例えば大気でしたら風、河川でしたら河川流、海水でしたら海流によって流れていって、その間に徐々に、そのままピストンのように流れていくわけではなくて、分子拡散あるいはその流れに伴う分散などによりまして、少しずつ広がっていき、ピークとしては低くなっていくという流れがございます。
 ものによりましては、流れよりも若干遅くなって、遅延ということが起きる。その流れている間に放射性崩壊によって少しずつ減っていく。あるいは沈着によりまして、例えば空気中でしたら空気から地表面に移っていくというような移行がございます。このような移行を伴いながら、人の生活圏のところに流れてくるということになります。
その際に非常にシンプルな流れでしたらば、ガウス曲線のような分布で流れていくのですけれども、実際には空気の流れが非常に途中で変わるとか、あるいは特に海水などですと、必ずしもシンプルな流れにはならずに、非常に複雑な流れを取っていくということも考えられるわけです。
(PP)
 その次のスライドで、具体的に大気放射の線量評価の概念図を説明しております。まず放出源。今回でしたら原子力発電所から大気中に放出された放射性物質がそのような形で流れてまいりまして、初期の放射性物質が直接流れてきている場合には、そのまま放射性物質が大気中に存在する。具体的には、それによる外部被ばくと、その大気を呼吸することによって内部被ばくが起きる。これが初期の被ばく経路になります。
 それに対しまして、現在、放射性物質の放出が初期に比べて、非常に少なくなっている状態ですと、大気拡散から下に沈着しました放射性物質。これが主な被ばく源となっております。これが沈着した場合、その上が土壌であれば土壌に沈着する。植物であれば植物の上に沈着して、植物に沈着しなかったものが土壌に沈着する。あるいは湖や川など水系に沈着するということがございます。土壌に沈着した物質は、現在は空間線量率の数字が出ておりますけれども、この空間線量率の主な構成要素は、この土壌に沈着した放射性物質による外部被ばくになろうかと思います。
食品という観点では、この植物に直接沈着したもの。あるいは一部土壌に沈着して、これが経根吸収で移行したものというものが考えられます。あとはこれが動物に移行するということで、この植物や動物を摂取することによる内部被ばくというのが、この部会におけます食品としての経路なのかと思います。
(PP)
そこの部分をより具体的に、若干細かく書きましたのが次のスライドになっております。経根吸収による主な内部被ばくと線量評価式ということで書いております。今回は大気中放射性物質ということで、大気から放射性物質が農作物あるいは耕作地土壌に沈着するということで、これが直接沈着したものと、プラス一度耕作地土壌に沈着したものが経根吸収によって農作物に吸収されるという2つの経路がございます。また、畜産物につきましては、農作物と書いておりますけれども、実際にこの場合には飼料作物になりますが、この飼料作物を畜産物が摂取しますと、放射性物質が畜産物に蓄積するというような流れになります。
事故直後から先ほどの資料2にありましたように、特に放射性ヨウ素につきまして、非常に高い数字が特に葉菜関係で出ておりますけれども、これは基本的には、大気中放射性物質の直接沈着による経路が主だったと考えられます。この直接沈着は当然、放射性物質が大量に出たときに、その場に農作物があった場合に沈着して汚染されるという経路ですので、その場になかったものにつきましては、直接沈着はございませんで、その後の経根吸収が主になっている。ですから、今回は3月に事故がありましたので、水稲はまだ田植えが始まる前でしたので、そこの水田には何もなかった。そうしますと、水稲を今後そこで生育をさせて食品として出てくるときには、それは基本的に耕作地からの経根吸収による放射性物質の移行によるということが考えられるわけです。
それで先ほどの話に戻りますが、500Bq/kgという濃度になる可能性のある耕作地土壌として5,000Bq/kg。この経根吸収に関しまして、移行係数モデルを使って移行係数を0.1と仮定して、その耕作地土壌の規制値を決めた。そのような形になっております。また、畜産物につきましては、この飼料作物について濃度の制限が現在かかっているかと思いますが、それは農作物と書いていますけれども、飼料作物から畜産物への摂取における部分に関しまして、パラメータを用いた計算して、その畜産物濃度に達する飼料作物濃度というものを誘導いたしまして、それに規制値をかけていくということなろうかと思います。
人に対する計算は、ここにシンプルな試験を書いておりますけれども、食品の放射性物質濃度に摂取量をかけて、それに線量計数をかけることによって年間の被ばく線量。あとはそこに必要であれば補正係数をかけるという形で線量を評価するのが基本的な形になっております。これを踏まえまして、現在幾つか出ております測定結果で検討をさせていただきたいと思います。
1枚目が原子力安全委員会としての資料ですが、放出総量の推定的試算値というものが4月12日に出ております。
ページをめくっていただきまして、放出総量のグラフが出ております。このグラフにありますように、ヨウ素131とセシウム137の測定値が出ていますが、3月15日、16日で非常に大量の放出量があった。ヨウ素は3月23日ごろまで上がり続けている。セシウムにつきましては、29日から30日にかけて若干上がっている。その後は大体プラトーといいますか、余り上がっていないということが出ております。現在のところ、特に全く出ていないということではないと思われますけれども、初期の放出に比べると、放出量は非常に少なくなっていると考えられます。
そうしますと、このヨウ素131の部分ですが、御承知のように半減期が8日間ということで、最初に3月15日や3月22日ごろに大量のヨウ素131が放出されまして、一度放出されたものが崩壊によって減っていくということになります。確かにこれからも若干の放出は続いているかと思いますが、それはこの減り方に比べると、後から供給されている量はそんなに大きくないのではないかと、この図から考えられます。そうしますと、最初の放出量から8日間の半減期でずっと減っているとみなしても、問題ではないのではないかと思われます。
原子炉の中でも再臨界が起きていない限りは、ヨウ素131で最初に一度できたものはどんどん減っておりますので、もし同じように放出が続いているのであれば、その出てくる量もどんどん減っていっているとなるわけです。
ただし、セシウムにつきましては30年ですので、一度出てきたものはまだ残っていますし、もしこれから同じように原子炉から出てくるとすれば、やはり同じような量が出てきている。勿論、量も出ることによって少しずつ減るということは考えられますけれども、そんなに大量に出ていないということを考えますと、もし同じような事象が続いているのであれば、同じような放出量がセシウム137の場合は続いているのかなと思います。ただし、それにつきましても、3月の放出量と比べますと、現在はかなり低い量なのではないかと思われます。
めくっていただきますと、これは土壌及び植物試料の分析結果ということで出ておるのですが、特にストロンチウムです。ストロンチウム89、90のデータがこのときに出ております。これを見ていただきますと、セシウム134、137に比べますと、非常に低い数字になっております。
参考資料4「飲食物摂取制限に関する指標について」が今日配られておりますけれども、21ページにこの基準値の考え方が書いてあります。真ん中の放射性セシウムの備考のところで、この前も申しましたけれども、スチロンチウム90、セシウム137比が0.1を超える場合にはという形で書かれております。ということは現在の実測値から見ますと、特にストロンチウム90は約二けた下ということですので、この仮定よりは十分安全側になっているのではないかと考えられます。これは浪江とか飯舘とか比較的原発に近い方のものでして、セシウムとストロンチウムの飛び方を考えますと、これより離れているところで、これよりストロンチウム濃度が比率として高くなっているということは想定できないのではないか。そうしますと、この陸上につきましては、セシウムとストロンチウムと比0.1を用いた計算されている暫定規制値につきましては、レシオとしては妥当ではないかと考えられます。
めくっていただいて別紙1ということで、これはプルトニウムの測定結果、あるいは別紙2、別紙3ということで、その他の核種につきまして測定された結果がありますけれども、これは原子力発電所の敷地内あるいは敷地に近いところが測定点になっています。この値を見ますと、αにつきましてもかなり低い値が出ておりますので、これらの寄与は特に考慮する必要はないのではないかと考えられます。ただし、これにつきましても、このデータをしっかりと吟味いたしまして、十分現在の考え方として、大気放出につきましては大丈夫であれば大丈夫ということをしっかり吟味して評価する必要があろうかと思います。
一番後に海水のデータを付けていただいております。福島第一に近いところのデータ、左上と左下の図を見ていただきますと、最初に放出のあったときには当然濃度も高いのですが、それが少しずつ減っていっているというグラフが出ております。ただし、新聞報道にもありましたように、放射性物質がまた出ていたというようなこともございますので、一度出たものにつきましては拡散していく。すなわち先ほどのパワーポイントの2枚目で見ていただきましたように、放出源にずっととどまるということではなくて、海流によって流れていきますので、放出源そのものの場所からは当然減っていくわけですけれども、それが遠くの方に流れていって、その際に当然拡散しながら流れていくとは思うのですが、そこにつきましてはしっかりとモニタリングをしないと、どういうふうに動いているかはわからないということがございます。
もう一つ、先ほど申しましたように、大気放出につきましてはストロンチウムのこういうデータが出まして、現在の防災指針にある規制値です。摂取制限の指標に関する仮定とそんなに大きなそごはないかなと思われますけれども、海水につきましては、まだそういうしっかりしたデータがわからないということもございますので、これにつきましては、しっかりと検討をする必要があるのではないかと考えます。
以上でございます。
○山本部会長 どうもありがとうございました。時間の関係もございまして、質問があると思うのですけれども、もう一方、栗原参考人からの御説明を伺った後で、まとめて御質問をお受けしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、栗原参考人の方から御説明をお願いします。
○栗原参考人 原子力機構の栗原です。よろしくお願いします。
 私の方からは、国際放射線防護委員会がつくっております、内部被ばくの放射性核種が体内に取り込まれたときにどのように線量評価をすればいいのかというモデルについて、御紹介いたします。
 初めに概要を御説明した後に、セシウムとかヨウ素とかストロンチウムとか、そういったものの体内動態モデル、放射性核種が取り込まれたときにどのように体内に挙動していくのかといったようなモデルです。最後に胎児の放射線防護ということで、僭越ではありますけれども、御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ。外部被ばくと内部被ばくの概念を示したものでございます。言うまでもなく、内部被ばくというのは、放射性物質が吸入、経口あるいは経皮を介して、体の中に取り込まれるような被ばくでございます。被ばくを受けた場合には、勿論、線量評価をしなくてはいけないのですが、外部被ばく線量であれば、例えば個人線量計を付けるとか、あるいは毎日報道されております空間線量率のデータとか、そういったことで試算ができるわけです。
 内部被ばくに関しては、先ほど高橋先生のお話もあったのですけれども、放射性核種がどれだけ取り込まれたかという摂取量をまず評価するということ。そして、これには実際に人をはかってみるとか、あるいは食品中の放射性物質の濃度とかでおおよその摂取量は推定できるというものでございます。
内部被ばくの特徴ですけれども、預託線量というものを使って評価をいたします。これは内部被ばくというものが放射性物質として一回取り込まれてしまいますと継続するということから、作業者あるいは成人であれば50年間、公衆であれば70歳までの被ばく総線量を積算いたしまして、評価をするというようなことをICRPが提案するところでございます。
3ページ。内部被ばく線量評価のための個人モニタリングということで、放射性物質が体の中に取り込まれたら、どうやってその量をはかればいいのかということで御紹介いたします。対外計測法とかバイオアッセイ法とかあるのですけれども、基本的には放射性核種から出てくる放射性の種類とか核種の体内動態等によって、最適な方法を選択するといった方法があります。この方法は原子力発電所とか、私どもの原子力機構での放射線作業者の内部被ばくの管理に使われているものでございます。こういった手法があって評価もできるということです。
勿論その食品中とかそういったものがわかっていれば、およそですけれども、今後の摂取量とか、今どのくらい取り込んでどういう線量になっているのかということが試算できるということでございます。
4ページ。職業被ばくと公衆被ばくということで、内部被ばくの場合について御紹介いたします。職業被ばくの場合には、我々原子力で働く者は、勿論その内部被ばくを想定して作業をしていませんので、放射性物質の取り込みが想定されるような場所では、防護をして起きないようにしている。ですので、内部被ばくが起きたということは、これはまさにトラブルによるものだと言えます。
公衆被ばくの場合には、今まさに漏えいが継続されているのですけれども、放射性プルームの吸入あるいは飲食物の経口といったようなことで、今まさに議論になっているところでございます。
5ページ。では、ICRP国際放射線防護委員会がどのような線量評価、放射線によるリスクを評価するためのモデルをつくってきているかを、これまでの経過を含めて示したものが5ページのものになっています。ICRPは1950年代ころから勧告を出し始めていますけれども、Publication2、23、60とかあります。我が国の現行の法令ベースになっていますのがICRP Publication60だったり、その後のICRPの60以降、例えば56、67、69といったところに線量係数が掲載されていますので、こういったところの値をベースにして、空気中濃度限度とか、そういう値が導出されているということでございます。
これから専門的な話になるので恐縮ですけれども、6ページ以降を御説明したいと思います。線量評価モデルはまさに線量評価をするためのモデルそのものですが、その中にも幾つかありまして、例えば体内動態モデル、あるいは呼吸気道モデルとか、いろいろなモデルがあるのですけれども、全体を含めたのが線量評価モデルで、これから申しますのは、一つひとつのモデルがどうなっているかというものを示したものでございます。
6ページに示しますのは呼吸気道モデルというもので、これはICRPのPublication2に初めに出されまして、その後30。最新ものが66ですけれども、このように最新の科学的知見に基づいて、レファレンスする論文等に基づいて、どんどん精緻化が進められているというものでございます。吸入摂取の場合には、このモデルを使って放射性核種の体内挙動をまず評価をするということになっています。
7ページ。例えば呼吸気道モデルでいうと、どういうところがモデル化されているかといったものを示したのが7ページに示す図でございます。例えば放射性物質が呼吸気道に沈着しますと、そこから粘膜の輸送によって胃腸管の方に嚥下されたりとか、肺胞内でマクロファージによる吸収によって血中に移行したりとかいったものがモデル化されている。それがICRPのヒト呼吸気道モデルといったものでございます。
従前のモデルPublication 30では作業者のみだったのですけれども、今、使われていますPublication 66は公衆にまで適用できるモデルになっています。
8ページは胃腸管のモデルです。こちらの方も従前は作業者のみだったのですけれども、一般公衆に適用できるようになっておりまして、更には、近年出されたPublication 100を見ますと、食物の違い、性差、標的細胞のエネルギー付与に関する計算方法の見直し等が行われて、更にリアリスティックな線量評価ができるようになっているということでございます。
こうした放射性物質の体内挙動が示すモデルが9ページにありますコンパートメントモデルという、いわゆる薬物動態学で使われているようなモデルでございます。何でこういうモデル化をするかというと、先ほど申しましたように、内部被ばくは預託線量で評価をいたします。預託線量は摂取してから50年間あるいは70歳になるまでの線量評価ですけれども、そのためには摂取してから将来、放射性物質をどのように体内に挙動していくのかといったものを評価しなくてはいけないということと、実効線量という全身の放射線リスクを評価するという意味で、全身の各部位にどのように放射性物質が移行していくのかということを考えるために、こういったモデルをつくっているわけでございます。このモデルによって、その数学的に難しい計算をするのですけれども、放射性物がどのように挙動していくのかというのがある程度予測できるということでございます。
10ページはその線量評価の手順を表したものです。これも細かくて恐縮ですが、1つは線量評価をする際には、まず放射性物質がどのような放射線を出すのか。α線なのか、β線なのか、γ線なのか。そういった放射線の特性をまず知るということ。
それから、フローの右側の部分にありますけれども、述べてきましたいろいろな体内動態モデルによって放射性核種がどのように移行していくのかといったような話。
それから、線量計算。実際に放射性物質がいろいろな臓器に移行するのですけれども、被ばく線量、吸収線量をどういうふうに考えればいいのか。標的的な放射線感受性の高い細胞に、今どのくらいの放射線のエネルギーが付与されるのかといったようなモデルを計算しまして、それらを勘案しまして、各臓器での吸収線量を出して、最終的に実効線量を出す。最終的なプロダクトとして、線量係数が出されているということでございます。まさに線量係数が今、先生方に御議論をいただいている暫定基準値とかいったような基のデータになるものでございます。
11ページが今の話を簡単に述べた概念的に示したものでございます。線量評価モデル、体内動態モデル、線量係数モデル、数学ファントムに代表される線量計算モデルですけれども、こちらのモデルにインプットとして、摂取量1Bqを投入したときに出てくるアウトプットがまさに実効線量係数であるということでございます。
もう一つのアウトプットとしては、残留率/排泄率とかありますけれども、これらのデータも非常に重要でして、例えば個人モニタリングにおいて、今、体の中にどのくらい入っているかという測定をいたします。その測定をするのですけれども、いつ摂取したかという情報を基に、放射性物質が測定するまでにどれだけ減少したのかということを知るために、こういった残留率/排泄率といったデータも勿論重要になってくるということでございます。
細かいデータが出てしまって恐縮です。12ページは線量係数に関するICRPの刊行物ということで、今までこれだけのものが出されています。公衆に関しては、乳幼児から1歳児、5歳児、10歳児、15歳児、成人といった区分で線量係数がそれぞれ与えられています。
13ページにありますように、近年、胎児の線量係数についてもICRPは勧告しています。Publication 88は母親が妊娠期間中に放射性核種を取り込んだ場合に、その胎児にどれだけ線量を与えるのか。そのための線量係数を与えているものでございます。Publication 95は母親が放射性核種を摂取して母乳を与えるのですけれども、それによって幼児がどれだけの線量を受けるかといったようなところまでデータを与えています。
14ページはPublication 95に付属していますCD-ROMのスクリーンです。左にありますように、いろいろな核種を選択いたしまして、作業者なのか一般の方なのか。妊娠期間中あるいは出産後なのか。どのタイミングで放射性核種を摂取したのかといったようなことを選択いたしますと、右の切れた画面にありますような線量係数が出てくるということでございます。非常に膨大なデータでございます。
個別の体内動態モデルについて紹介してほしいということだったので、セシウム、ヨウ素、ストロンチウムのモデルについて、簡単に御紹介いたします。
セシウムのモデルは、15ページにありますようなモデルになっています。経口摂取を考えますと、最初に投入されていくコンパートメントは胃になります。その後、胃、小腸、大腸上部、大腸下部、排泄をされるわけです。途中、小腸から血中の方に、Transfer Compartmentと書いていますけれども、そちらの方に吸収されることが知られています。その後、Total Body A、Total Body B、全身に対して2つのコンパートメントがありますが、こちらの方に移行していって、また排泄されていくといったようなモデルをICRPは提案しています。
f1というのがあるのですけれども、これは小腸から血液中にどれだけアップテイクされるかという割合を示していまして、これは吸収割合と属に呼んでいますが、そういったデータがどうなっているのか。それから、各コンパートメントがどのように放射性物質が割り振られるのかといったパラメータを年齢別に代謝の違いを考慮して、データが与えられています。それが15ページに示しますICRPのTable C-8.1でございます。
成人で言いますとTotal Body A、Total Body Bに10%、90%配分されまして、それがそれぞれ2日と110日の半減期で減っていくということで、2つの時間フェーズを考慮したモデルになっている。一方、3か月とか乳幼児とか1歳児を見ますと、1つのコンパートメントしかなくて、代謝もそれなりに成人に比べると早いというようなことであります。ういったようなモデルを使っています。
実際に公衆の場合は、例えば乳幼児であれば70歳まで69年と9か月あるわけですけれども、それだけの将来を見越した線量をまず計算する。1歳児であれば69年間を見越した線量を計算する。例えば3か月であれば、1歳児であれば、どんどん成長していく過程で代謝が変わることも考慮しながら、線量も出していくといったものでございます。
16ページにデータを示してございます。セシウムの年齢別線量係数ということで、経口摂取のものでございます。これは70歳に到達するまでの線量ということで、表が小さくて見にくくて恐縮ですが、一番下にEffective dose、実効線量という内部被ばくで一番注意しなくてはいけないところのデータが与えられています。3か月、乳児に関しては2.1の10−8、成人であれば1.3の10−8といったデータが当たられます。この持つ意味は1Bq摂取すると1.3の10−8Svというような線量になるということです。
わかりにくいのですが、大ざっぱに言ってしまいますと、成人の場合は109Bq摂取すると1Svくらいになると、ざくっと計算できるわけですので、例えばmSvオーダーの場合はギガから3けた落としてMBqということになります。ですので、MBqオーダーの摂取をしたときにやっと1mSvになるというようなものでございます。
17ページは線量係数を年齢別に、データを単にグラフで示したものですけれども、線量係数が一番厳しいもの、1Bq摂取して一番インパクトのあるものが乳幼児、3か月児と書かれているものです。成人に行くほど徐々に下がっていくのかなと思いつつ、そうではなくて、5歳とか10歳児で線量係数が一番低いということで、インパクトが小さいということを意味しています。これは恐らく成長期間における代謝が早いとか、15ページにありました代謝等を反映した結果だと見えます。
下の図は、摂取してから例えば70歳までの間に、線量係数がどのように上昇していくのかというものでございます。おおよそ1年間でプラトーになっていくということでございます。ですから、50年間の総線量を考えなくても1年間考えればいいということになる訳ですが、これはセシウムの半減期がおよそ成人であれば100日くらいであるので、1年間を見れば大体排泄もされ尽くしている感じになる。そういった結果を考慮した結果と言えます。
18ページ、19ページに関しては、ICRPに書かれている記載を私なりに意訳をしたものですけれども、後でお時間があるときにでも見ていただければと思います。18ページの一番下にありますように、おおむねクリアランスの成分としては50日から150日ということで、いろいろな方が研究をされた結果で、いろいろな不確かさ、あるいは変動幅を持っているのですけれども、その中で一番平均的なところを取ってきているということでございます。
19ページにありますように、女性、子ども、乳児に対しての知見も取り入れられております。女性に関しては代謝が早いので、成人男性の100日という半減期を使って線量評価をたしますと、結構出てきてしまうということを考慮して、過大になると書かれています。子どもや乳幼児に関しても、カリウム量と関連しているといった知見があって、それらも含まれて、線量係数がされているということでございます。
20ページからはヨウ素のモデルです。血中にヨウ素が取り込まれると、そのうちの3割が甲状腺に移行する。残りの臓器に入って徐々に排泄されていくのですけれども、通過コンパートメントに戻る再循環をするということが言われています。こういったモデルが提案されています。それに対する年齢別の線量係数。移行係数パラメータとか生物学的半減期はTable7.1に示すとおりでございまして、若年ほど半減期が短いということが言えると思います。
21ページが線量係数です。着目していただきたいところは、網かけをかけたThyroidですけれども、セシウムは全身に分布するので、その組織間の線量係数の差がなかったのですけれども、ヨウ素に関しては実効線量の20倍ほどの線量になるということで、ヨウ素に関しては実効線量のみならず、甲状腺についても注視していかなくてはいけないという一つの根拠を与えるところのデータでございます。
22ページはセシウムと同様のグラフです。セシウムに比べると半減期は8日ということなので、1か月くらいでプラトーに達するということが、図を見ていただければ御理解いただけると思います。
23ページ、24ページに関しては、ICRPの56に書かれている本文を訳したみものでございます。ここに書かれていような知見が取り入れられているのだということを御理解いただければと思います。
25ページ、26ページはストロンチウムのモデルでございます。ストロンチウムと言いますと、カルシウム同様、体内必須元素で、骨に沈着することが懸念されているわけですけれども、ICRPは十分に知見を得ていますで、それに基づいて線量評価をつくっています。
25ページがストロンチウムの体内動態モデルでございます。やはりこれまで骨に沈着することがモデルに十分考慮されていて、スケルトンという骨格の中に皮質骨、梁骨という2種類の骨の層があって、そこで更に非交換性、永続的に沈着するものとか、交換して血中の方にターンオーバーされていくものがあるとか、そういうところまで詳しく書かれております。
26ページはそのモデルに使うtransfer ratesと呼ばれているものですけれども、これはコンパートメント間のストロンチウムのスピードのパラメータでございます。これを見まして、数値が大きいほどスピードが速い、移行が早いということを示しています。ストロンチウムの場合ですとプラズマ、要するに血漿中から骨に移行する割合のところを見ていただくと、3か月児。例えばプラズマからtrabecular bone surfaceを見ますと、値は3か月児で2.25、1歳児で1.35とかありまして、産まれたばかりのころはカルシウムと同様、ストロンチウムの吸収も早くなるといったところまで細かく考慮されているというものでございます。
27ページが線量係数を示すデータです。スチロンチウムはβ線を放射する核種ですが、やはり骨に沈着するということを踏まえまして、セシウムに比べると若干ではありますけれども、線量係数が高くなっているということがわかると思います。
28ページはほかの2核種の同様のグラフでございます。
29ページ、30ページがICRPの67に書かれている、このモデルの根拠となった知見でございます。こちらの方も後で読んでいただければと思います。
31ページは胎児の放射線防護ということで、余り詳しくはないのですけれども、かいつまんで御説明します。胎児の放射線防護ということでICRP Publication 88という刊行物に、妊娠期間中あるいは妊娠前に母親が放射性核種を取り込むことによって胎児の受ける線量係数が出されています。胎児における線源といたしましては、胎盤を通じて胎児に移行する放射性核種。胎児が内部被ばくを受けてしまうという状況と母体の組織に沈着しました核種ですね。これは外部被ばくになりますけれども、この2つを考えて計算をしている。
胎児のモデルといたしましては、EmbryoとFetusという2つのフェーズを考えています。Embryoというのは8週目までのまだ組織ができる上がる熟成する前の状態でございまして、ICRPではこのEmbryoの状態は子宮壁と同じ線量として仮定をして線量評価をしている。Fetusは胎児の臓器がどんどんでてきて、母親から栄養を取り込んでいくといったようなフェーズでございます。これに関しては、例えばヨウ素とかカルシウム、ストロンチウムといったような十分な知見が得られている核種に関しては、体内動態モデルは個別につくられていまして、そうでない核種に関しては、胎児と母体中の体内濃度比みたいのを専門家の判断で決めて、それで線量評価をしています。
線量係数といたしましては、母体が核種1Bq摂取、吸入あるいは経口したときに胎児が受ける線量係数として、Sv/Bqというような値が出されています。線量係数は母体内で受ける線量と子どもが生まれて生後70歳。産まれた後も体内で取り込まれたもので、産まれた後にどれだけ被ばくを受けるかといったような2つの線量を計算しております。
32ページはICRPの88のデータを示しています。小さくて申し訳ないのですが、そこに書かれているデータがCF:CM、母体と胎児の濃度比を表すデータでございます。やはり多くの核種において、胎児の方が濃度が高くなっているということがおわかりいただけるかと。2とかなっていますので、母親よりも濃くなっている。これは1つには胎児の重量が勿論小さいので、そういった意味で濃度が濃くなっていくということを意味していると考えられます。
33ページにありますのが、十分知見が得られたアルカリ土類金属の胎児のための体内動態モデルでございまして、母親の血中を介して赤ちゃんの方に移行していく。赤ちゃんの方も中で骨とか、そういったところに主に行くのだということが与えられていて、そのパラメータも幾つか与えられています。
34ページですけれども、こちらはヨウ素のモデルになります。詳細は割愛させていただきます。
35ページにありますのがPublication 88に示しております線量係数の一部のデータでございます。ストロンチウムのデータでございます。点線で囲ったところは母親が経口摂取したときの胎児の線量係数ということで、妊娠期のいろいろなフェーズについて与えられています。
一番左のカラムを見ていただいて、Cというところがコンセプションというまさに受胎をしたときということを意味していまして、その後の5、10、15、35、データが−130とありますけれども、これは受胎したときから5週目なのか、10週目なのか、35週目なのか。あるいは受胎する前なのかといったときに、母親が1Bqのストロンチウムを経口摂取したときに、これからできる胎児あるいは今できている胎児はどういった線量になるのかを示したものがデータになっていきます。
一番右のデータが線量係数になっています。35週目で母親がストロンチウムを1Bq摂取したときの線量係数は7.0の10−8ということがお読みいただけると思いますけれども、こちらは先ほどのスチロンチウムの乳幼児の線量係数(2.3の10−7)に比べると、やはり母体に守られているというだけあって、それに比べると小さい値になっているということが理解いただけると思います。
駆け足になりましたけれども、胎児についても十分考えられておりますし、更には乳幼児、お母さんから母乳をもらって受ける被ばくについてもICRPは刊行物を与えています。
さて、最後になりましたけれども、線量係数の適用範囲でございます。ICRPのPublicationの中には、線量係数の適用範囲について幾つか記述があって、それを抜粋して書いています。
平均的な人の代謝を取って線量係数が決められているので、ある人にとっては、それがそぐわない場合もあるのだということが述べられています。あるいはPublication 78に書かれていることとしては、医療投与されたような方では、線量係数をそのまま使ってはいけないのではないかというお触れ書きが一応あるのですが、線量係数は確率的な影響ですね。数十mSvの範囲で抑えられていて、そこでちゃんと放射線を防護するのだという目的の下では、この線量係数は十分使うことが妥当でありますし、事前の防護対策に対して、ICRPはこれだけのことをしてきたので、非常に有用ではないかと思っております。
37ページに2種類の線量評価ということで、Prospective dosimetryとRetrospective dosimetryがあります。Prospective dosimetryはまさにこれから起きるであろう被ばくを評価するということでございます。まさに今、食品からの経口摂取によって、これからどういうふうに被ばくを受けるのか。我々はそれを客観的に評価することができるということでございます。これに対して線量係数を用いることは勿論OKでございます。
一方でRetrospective dosimetryということで、事故が起きてしまった後に例えば作業者が取り込んでしまった後にどうするのか。勿論それはその人をモニタリングしていかなくてはいけないとか、あるいは汚染地域住民の健康調査ということで、例えば発現しているような状況では、そのまま線量係数を用いることはできないのですけれども、ここに関してはさらなる検討が必要になってくるわけですが、こういった2種類の線量評価がありますので、御紹介いたします。
38ページの特殊な線量評価ということで、先ほど医療投与した方に線量係数を用いることはできないということを述べたのですけれども、ここにありますのはプルトニウムを摂取したときにDTPAという薬剤が投与されたときの線量評価の手法の一例です。やはりこういったところでもほかに手法がないので、やはりICRPのモデルがベースになってやっているということが言えます。こうなってしまうと研究のレベルになってしまうのですけれども、ICRPのモデルは依然として放射線の防護を考える上で有用な手法だと思います。
以上、駆け足になりましたけれども、よろしくお願いします。
○山本部会長 どうもありがとうございました。基本的なモデルの考え方から、それぞれの主な核種のついての実効線量の計算式の出し方ということについて、細かい計算式は我々はちょっと理解できないのですけれども、モデルの基本的な考え方については、非常に詳しくわかりやすく説明していただけたと思います。
 では、お二人方の先生について御質問をお受けしたいと思いますけれども、御質問、コメント等がありましたらお願いいたします。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 質問の内容は新生児の被ばくです。母親の線量を制御すれば胎児は守られる。母親の線量を制御すれば新生児は守られるに違いない。たしかICRPの95では、おおむねはOKであるけれども、すべてはカバーしないと言われてしまっていて、優先度は低いと思いますし、今のところは母乳で測定をしていて安全確保はされているのですけれども、摂取制限の考え方の中で、胎児や新生児のことを考えて制限値を誘導することも考えて、そういった考え方を示す定義なのでしょうか。
○山本部会長 栗原参考人。
○栗原参考人 女性に関しては、例えば放射性作業者に関しては妊娠をした場合、1mSvとか決められていますので、それなりに一定の安全係数を見込んだ線量基準を決めて、暫定基準値みたいなものを定める必要があるのかもしれませんけれども、今のところは母乳でウォッチしているとか、食品を細かくモニタリングをしていますので、特段は必要ないかと思います。緊急性はないと思いますけれども、将来的にそういうところも考えなくてはいけないかと思っています。
○山本部会長 ほかにございますか。どうぞ。
○山口委員 37ページです。摂取制限というのは人の内部被ばくを制限した移行。その健全性の検証ということでRetrospectiveに線量評価を上げると思うのですけれども、それに対して対外計測法やバイオアッセイなどがある。でも、代謝が早いという問題が上がってしまうのですけれども、そもそもそういった健全性評価のためにRetrospectiveに線量評価をする必要があるのかどうかということと、する場合に体外計測法かバイオアッセイでよいのか。あるいはもっと別のDNA損傷を見つけたりするようなことまですべきかどうかに関してはいかがでしょうか。
○栗原参考人 私の答えられる範囲でお答えします。Retrospectiveの線量評価はまさに個人の影響を詳細に評価するというものでございまして、暫定基準値で誘導されるような線量、たかだか数十mSvオーダーであれば、血液に異常が出ることは勿論ありませんし、そのRetrospectiveな個人を追究する評価は必要ないかと思いますけれども、やはりICRPが言っていることとの一つとして、集団に対しての代表な人が可能な範囲でモニタリングをした方がいいのかなと思います。ただ、今のレベルでは問題はないと思います。
○山本部会長 今の集団の代表というのは、どういうふうに考えたらよろしいですか。
○栗原参考人 集団の代表というのはなかなか難しいのですけれども、代表的な行動をする人とか、その中で多分いろいろな挙動をしていると思います。例えば年齢とか、そういったところで、その集団はある程度個人を見れば、そのばらつきはあるのだろうけれども、線量が真ん中にあるような行動をされている方とか、食事をしている人とか、そういった平均的なその中での集団の線量を代表するという方を見つけるということです。
○山本部会長 その地域ごとの代表を決めるというのは難しいと思うので、通常は例えば集団健診的なやり方でその地域の方を健診するとか、そういうことで定期的にウォッチしていくのはあると思います。それが代表の代わりに使っていけるということにはなるかと思いますけれども、それでよろしいですか。
○栗原参考人 はい。
○山本部会長 阿南委員、どうぞ。
○阿南委員 栗原さんにお聞きしたいです。栗原さんが出してくださったものによりますと、11ページの内部被ばくの場合、どういうふうに摂取してコンパーメントのところを通過するかとなっているのですけれども、その後のセシウムの体内動態モデルは、15ページでは経口摂取のところだけになっています。勿論セシウムだって呼吸を通して入ってくるし、気管を通り肺にも行き、そこから影響を及ぼしていくということはあるのではないかと思いますけれども、それは考慮されているのでしょうか。
○栗原参考人 今回は経口摂取ということで、単純化したモデルをお示ししましたけれども、吸入摂取に関しても線量係数を与えられております。線量係数のモデルは吸入摂取の場合には、呼吸気道モデルを紹介と思いますけれども、そのモデルがこのモデルに合体をして計算されるというものでございまして、それに関してもICRPは線量係数を与えられています。おおむね経口摂取と同じくらいのレベルの係数になっております。
○阿南委員 同じくらいなのですか。
○栗原参考人 はい。というのは、セシウムはすごく吸収されやすいので、呼吸器から吸収してもほとんど血中に行きますし、取り込んだとしても小腸から血中の方に行きますので、結局的に似たようなインパクトになっています。
○阿南委員 例えば肺に残るとか、そういうことはないのですか。
○栗原参考人 肺からも非常に早くクリアランスされるということがセシウムでは言われています。
○阿南委員 ありがとうございます。
○山本部会長 明石委員、どうぞ。
○明石委員 高橋委員に4ページについてお伺いしたいです。最後のところに補正係数と出てきて、市場希釈係数と書かれています。いろいろと考え方はあると思いますが、例えば農作物だと経口摂取までに余り物が変化することはないと思うのですが、現在の放射性核種の食品の評価だと、牛丼だと原乳で評価をされていますね。ところが実際に例えば乳製品ということになると、チーズとかバターとかいうのは随分加工されているというか、原乳の放射性物質の量が物にどの程度入ってくるかというのは、みんなそこが結構心配になって、しかもヨウ素131の場合は半減期が8日だとすると、原乳が取れてからチーズになるまでに多分もっと時間がかかる。そういうことを与える係数みたいなものは、市場希釈係数に考えているのでしょうか。
○高橋委員 私の知っている範囲ですが、今おっしゃられた例えばチーズをつくるときの濃縮ですとか、そういうものにつきましては、はっきりとはわかりませんけれども、余り入れていないのではないかと思います。ここに書かれている市場希釈は御承知のように、例えばそこだけでなくて、ほかのところから取れてということで、摂取量としてはマーケットで少なくなる。ただし、安全側で考えますと、これは1を使って希釈は考えないということになろうかと思います。今おっしゃられた加工時間によるディケイにつきましては、当然考えなければ安全側ということになりますので、正確にしようとすれば、ヨウ素の場合は当然それを考えた上でということになろうかと思いますが、安全側の場合は考えないという形で、安全側で考えるか、あるいはできるだけ正確に考えるかということで扱いが変わってこようかと思います。
 もう一つ、暫定規制値に関してセシウムを評価する際に、これに2分の1を使っています。ピークの値に対して全部がこのピークの値ではなかろうということで、現在の飲食物摂取制限の指標値につきましては、2分の1を使っている。ただし、ヨウ素に対しては、これは与えていないとなっております。
○山本部会長 ありがとうございました。ほかにございますか。
○山口委員 確認ですけれども、数mSvという暴露があって、そのアウトカムを何らかの性別で変化した場合には情報が得られないものですけれども、数mSvの摂取量はMBqオーダーですね。そうするとバイオアッセイで割と日にちが経っていても検出し得るんですね。そういった測定の情報は何か貢献するものでしょうか。
○栗原参考人 今の状態はある程度収束した状態において、そういった実際のインパクトというものを評価しなくてはいけない。そのための基礎資料になると思います。
○山本部会長 ほかに御質問はございませんか。基本的なことで申し訳ないのですけれども、現在この暫定基準値が設けられているのですが、これはすべて一番危ない人というか、それを考えた上での基準値と考えて、運用してよろしいかということ。
セシウムはセシウムとかそういうものを全部、いろいろな核種がありますね。こういったものの合計を合わせたときに、そういう代表的な人に対しても現在の基準値で大丈夫と考えられる値だということは当然あると思います。それをどの程度まで順番に考えていかなければいけないのかというのは、これから先はセシウムが中心になってくると思うのですけれども、単純にそういうことを代表核種として考えていいのか。この2点をお願いしたいと思います。
○栗原参考人 今、ヨウ素の影響がだんだん減ってきていまして、ほとんどセシウムだけだと思うのですけれども、管理の考え方としては存在する核種で有意に出てくるものに関して、それぞれの暫定基準値とも比を取って、その合計値が1にならないような管理をする。これは放射線管理的な考え方ですけれども、まずそういうのが1つのアプローチかと思っております。
○山本部会長 ですから、トータルの中からその比で計算をして、1を超えないようにということですね。当然それはあるのですけれども、現在ヨウ素に関しては保留分が3分の1取ってあって、その中からこの間、魚について使っている。まだそこに余裕があるのですけれども、何か出てきたときにはその分をどんどん消費していくという形になるわけですね。現時点で先ほどの高橋先生の図を見ると、プラトーに近づくような形の図が示されていましたので、さらなる放出が今、起こっていないだろうという予測の下に考えるのか。それとも、これはもう積分値としてずっとセシウムなどは考えておかなければいけなくて、どんどん増えていったものとして考えていかなければいけないのか。
その辺は、高橋先生、栗原先生、いかがでしょうか。
○高橋委員 積分値という意味ですと、セシウムにつきましては一度土壌に沈着しているわけですね。今のところは放出量としては初期沈着に比べますと少ない。すなわち今でも上昇している状態ではないと思います。ただし、今後これがソースタームとなりまして、農作物に経根吸収で移行する。あるいは飼料作物を通して畜産物に移行するということが考えられますので、ここにつきましては、きちんと評価をしておく必要があるかと思います。当然、海洋の方もです。
ヨウ素につきましては、もし今後どうなるかわかりませんけれども、新たな大量放出がもしあるということを想定しますと、ただし、既に炉の中の臨界が続いておりませんので、炉の中で既にもう7半減期くらい過ぎておりますので、初期の量の100分の1以下になっていると思われます。そうしますと、セシウムはその分は減っておりませんので、今もし同じような形で炉から出てきますと、どちらかというと、直接沈着という意味ではセシウムの方がクリティカルになるのではないかと。これは想定ですけれども、そのようになるのではないかと思います。
○山本部会長 栗原先生、どうぞ。
○栗原参考人 内部被ばくを評価するためには摂取量の評価が必要になりますので、引き続き継続的なセシウムのモニタリングですとか、そういったものをしていけば十分ではないかと思います。
○山本部会長 ありがとうございました。
○阿南委員 栗原先生の29ページの体外動態モデルの血中への取り組みのところで、ストロンチウムについて、これはカルシウムをしっかり摂っていればストロンチウムは取り込みにくいということで理解していいのですね。
○栗原参考人 ここにありますのは、ICRPに書かれていることをかいつまんで書いてあるので、カルシウムの取り込みに影響があるということですけれども、個別には個人差がありますから、わからないところもありますが、代表的にはそういうことが言えると思います。
○阿南委員 効果があると思っていいですか。
○角委員 そうですね。実際に医療の方で、ストロンチウムは骨にがんができたときに治療として使っているのですけれども、その治療をする際にストロンチウムが骨の病巣に十分取り込まれるためには、カルシウムをある意味制限するのです。例えばカルシウムを実際に飲んでいただいている、例えば骨粗鬆症対策とか、いろいろなことで飲んでいただいている患者さんに対しては、摂取していただかないように、カルシウムのいわゆるお薬としての投与を止め、それでストロンチウムが入りやすい状態のところで、お薬としてのストロンチウムを投与する。そういう使い方をしています。
○山本部会長 逆に言えば、カルシウムを十分摂取することによって、ストロンチウムは入ってこないということですね。
明石先生、どうぞ。
○明石委員 直接は関係ないのですけれども、放射性核種が体の中に入ってしまったときに、どう治療をするか。放射性のストロンチウムが体に入ったときは、一つの考え方として、安定型のストロンチウムを投与することで薄めたり、要するに骨が取り込む確率が減りますね。放射性のストロンチウムに更に安定型のストロンチウムを入れていくと、骨が取り込む確率が薄まってしまうので、そういう投与をしたりすることもあります。
○阿南委員 安定型というのは、どういうものですか。
○明石委員 安定型というのは放射線を出さないストロンチウムです。それを投与すると、血液の中に入っているストロンチウムの中でも放射性のものと安定型のものが増えると、要するに分母が増えてくるので、放射性のストロンチウムの確率はパーセントが減りますね。そうやって骨に取り込ませないようにしたり、治療ではそう考えています。
○山本部会長 いかがでしょう。両先生に関するコメント、御質問等はこのぐらいにしてよろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、当部会が今後どのように進めていくかということで、検討課題について短期的、中期的な観点から議論していきたいと思います。前回については魚介類に絞った議論ということでしたので、実質今回、今後の課題全体を議論する初回ということになりますが、短期的な課題として追加的なリスク管理が必要と考えられる事項があるかということで、逆に言うと、今、暫定基準ができているので当面はこれで必要ないとかそういう御意見等もあるかと思いますけれども、皆さん方から何か御意見ございましたらよろしくお願いしたいと思います。
 事務局の方から提案としては、当面7月ぐらいまでの食品安全委員会の健康影響評価が出てくるまでの間に何かこちらとして追加対策が必要なのかという御議論。もう少し先と言いますか、一応、現在の時点では東電の対策がずっと進んできてはいますけれども、放出が完全に止まっているとは言えないわけですね。ですから、出続けている状態がまだ続いていて、その間、これは暫定基準で運用していていいのかどうか。ひょっとすると地域の住民の方にとっては食品以外からの被ばくというものが全体の許容量を超えることが起きるのか起きないのかということも考えておかないと、食べるものがなくなってしまうという状況になってしまうのではないかということが懸念されるのです。
 とにかくまずは短期的な部分について何か追加的な措置が必要かどうか、御意見ございましたらお願いしたいです。
 どうぞ。
○山口委員 今の回避線量は最適化の産物ですけれども、それが今の状況でも言えるかどうかというのはもう少し長い目で見てもよいのではないかと思います。
 リスク管理機関として国民の信頼を得るという観点では、基準が妥当かどうかも重要なのですけれども、それをちゃんと守っているかどうかに関心があるようですので、レビューできるようにきちんとマニュアルが整備されているのですけれども、そのマニュアルどおりやっているということが対外的にアピールできるような仕組みづくりをされればと思いました。
○山本部会長 そのスキームとしては、1つはモニタリングをしっかりやっていくということもあると思うのですけれども、ほかに何かございますか。
○山口委員 余り必要ないかもしれませんけれども、QAに対して示せるようなものがあればよいかなと思いました。
○山本部会長 QAをつくるという。
○山口委員 品質管理です。外部でレビューにたえられるようなものがあった方が国民の方は信頼されるのかなと思います。
○角委員 つまるところ、いわゆる測定と測定結果のシステム化と言うとどうなのでしょうか。要するにちゃんとレビューができるように見直しができるような体制できちっとデータを重ねていくということですね。
○山口委員 現状そうだと思うのです。それがアピールできる。
○角委員 そのアピールですね。
○阿南委員 2か月経っているのですが、まだまだ原発からの放射性物質の排出は今後も全く見通しが立たない状況でして、要するに大気の汚染や土壌の汚染や海域の汚染などは全く収束のめどが立たない状況です。食品の摂取のときのことだけではなくて、生活全般にわたってどのくらいの影響があるのだろうかというところをもう少しきちんと情報収集して、提供する必要があると思います。線量は蓄積されるというお話でしたね。
 ですので、今、この地域で暮らしていると、外部被ばくはどの程度で、呼吸することによっては、どのくらいの被ばくになるのかというところをまとめて情報が提供されないと、消費者がどのような行動をとったらいいのか考えて判断するのはなかなか難しいのではないかと思うのですけれども、どうなのでしょうね。
○山本部会長 どなたに聞けばいいですか。
 栗原参考人か明石委員、何か御意見ございますか。
○栗原参考人 今まで受けた被ばくということですか。今後ですか。
○山本部会長 今後。
○栗原参考人 吸入とかの被ばくもあると思うのですけれども、空気中の放射性物質の濃度に関するデータがほとんど出されていないので、そうした情報を収集する必要もあるかと思うのですけれども、SPEEDIのデータとか余り未だ利用できないので、初期でどういうようなインパクトがあったのかというのが評価できていないので、その辺は今後情報収集していかなければいけない。そして、今どういうことになっているのかということを知る必要はあるかと思います。
○阿南委員 それは空気中のこと。またそこは十分にモニターされていないということですか。
○栗原参考人 試算結果のデータは公開しています。
○阿南委員 なるほど。それがないと。
○栗原参考人 はい。放出されたのはほとんど初期ですので。
○阿南委員 それがわからないと線量もわからないということですか。どのくらい被ばくしているのかわからないということですね。
○栗原参考人 はい。
○山本部会長 事務局からそういうデータに関しても情報はございますか。食品以外。
 どうぞ。
○基準審査課長 今、各機関が発表しているような資料は集めておりますけれども、あと水道については厚生労働省の健康局の方で集めていますので、そういったデータは公表されているものは集めることはできますが、先生おっしゃられましたように公表されていないものまではなかなか手に入らない状況でございます。
 阿南先生がおっしゃられましたような、ここは食品衛生法に基づくことを審議していただいておりますので食品だけでございますけれども、水道法の対象の水、トータル曝露量、住民の健康も厚生労働省の職分になりますので、それについて全体をどう考えるかというのは、本来、副大臣が今日もしいれば発言されたと思いますけれども、厚生労働省の課題で、全体を見て検討するという場がまだできていないものですから、それは考えていかなければいけないと副大臣なども言っておりますので、今日、そういう意見もあったということは他の関係部局にも伝えながら政務にも伝えていきたいと思っております。
○山本部会長 是非そういう総合的な判断をする場所がないと、一部だけで規制値を決めていっても、ほかでもう既にオーバーしていたというようなことになりますと大変なことになると思いますので、よろしくお願いいたします。
 そうすると、短期的には特に今、追加の措置を加えるということについては今の暫定基準を守っていただくということと、モニタリングをきっちりしてそれを公開していくというような2点を当面続けるということしかないですか。
 お二人、順番にお願いします。
○山口委員 高橋先生の発言に関係するのですけれども、加工食品の問題で乾燥食品などがあった場合に、セシウムは少ないので濃度が高くても安全上問題がないと思われるのですけれども、線量のアロケーションの問題に帰着すると思いますが、そういった濃度が高くなってしまう食品でセシウムが小さいものの扱いに関して御議論が必要かどうかがもしかしたら1つの課題かなと思いました。
○山本部会長 具体的にはどんなものが考えられるのでしょうか。
○山口委員 乾燥食品でセシウムがあるものです。
○山本部会長 乾燥食品。海産物とか。
○山口委員 そうですね。山菜で言ったら乾物。
○山本部会長 あとは水産物でも干物、のりとかもありますね。そのようなものということですか。
○山口委員 はい。
○山本部会長 あとキノコですか。山口先生、これについては今後モニタリングをきちっとしていくということで対応していくのでしょうか。それとも何か予測モデルをつくっておいて、ある量が見つかったときにはすぐどうするかというのをやるとか。
○山口委員 安全面では今のルールで全く問題はないのですけれども、最適化の観点では国際的にもドライフードに同じ基準に当てはまらないというのがあるでしょうから、産業面とバランスになると思いますので、そういった面で今は問題ないと思います。
○阿南委員 先日、神奈川でお茶でしたね。だから、今後もっと拡散していく状態というのはあるのではないかと思うのです。だから、モニタリングスポットをもう少し広範囲にしていくとか、日本全国にわたって調べられれば一番いいと思うのですけれども、早急にそういう体制をちゃんとつくっていくということが必要なのではないでしょうか。
○監視安全課長 御紹介しますと、これまでずっとモニタリングをしていて、暫定基準値を超えた自治体がありますと、それの隣接県を新たに強化するということで通知、モニタリング計画を策定するように自治体に要請を出しています。
 ですから、今般、神奈川県が出るとその隣の県。隣接県の山梨とか静岡についてもお茶の検査をするようにということで昨日発出しております。
○山本部会長 そのような形で短期的には当面おさまるまではということでしょうか。暫定基準値を使い続ける形でいくしかやりようがないと。それでモニタリングを強化する。
 どうぞ。
○高橋委員 先ほどの私の説明で申し上げましたとおり、今の暫定基準値の前提であります、ストロンチウム、セシウムの0.1ですとか、複合汚染といった、特にそのくくりで大丈夫なのではないかと思いますが、そこに関しても専門家としての判断というのが1つと、液体放出につきましてこの仮定が妥当であるかどうかということの判断は早急にすべきではないかと思います。
○山本部会長 やはりこれは作業部会的なものを設けないと、ここで特段急に議論しても、モデルの判断とかそういうことはできないので、少し後でまたその点についてはお任せいただいて考えるということになると思います。
 そうしましたら、現段階では、暫定基準を使った規制、モニタリングということで動いていくということと、早急にこのモデルでいいのかどうかの評価を行っていかなければいけないということで、当面7月といいますか、6月中くらいにはもうそういうことを進ませて、このまま放出が続いているような状況の中での規制ということを考えていきたいと思いますが、更に中長期的に今後考えておかなければいけないような課題ということがございましたら、先生方の間から御提案いただければと思うのですが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○明石委員 先ほど阿南委員の方から御指摘があったのですが、例えばお茶の葉っぱに放射性核種がどれくらいあったかということと、それを飲む、先ほど山口先生が言われたように加工のお茶はどんなふうに考えるかという、どう考えていいのかということについてまだ基準がないので幾つかきっとあるような気がする。
 例えばお茶の葉っぱをばりばり食べる人というのは多分そんなに食べてもせいぜい5gとか10gだと思いますが、私もいろいろ聞かれたときにどういう考えるのかと、お茶の葉っぱの汚染という何Bq/kgと。それをお湯に入れてどれくらい出てくるのか。こんなものは特殊な飲み方というか食べ方なので、多分こういうものをよく見ていくと、少しあるのかなと。お茶は日常飲むものですし、日常そんなに食べないものはそんなに大きな問題ではなくて、もしかしたらそんなものも少し探さなければいけないのかなという気がします。私、お茶ぐらいしか浮かばなかったです。
○山本部会長 高橋先生、何か。
○高橋委員 今、お茶の話がありました。先ほど山口委員の方からも乾物というお話があったかと思うのですが、放射性セシウムにつきましてはすべてその他という意味で500Bq/kgというものを適用しているということでよろしいですね。
 そうしますと、その500というのは言ってみれば摂取量、かなり大きな摂取量に当たって500というものを使っておりますが、おっしゃられたようにお茶は実際全部摂取するわけではないということであれば、500というのがもしかしたらお茶とか乾物に関しては厳しいのではないかという議論はあるのだと思います。
 中長期的に規制値の設定としまして食品としての設定の方に合わせて考えていくということが必要になるのではないかと思います。
○山本部会長 今の規制が厳しいという意味は、暫定基準値だとどちらになるのですか。
○高橋委員 例えば乾物とかでしたらば、もともと生でしたらもう少し濃度として薄かった。グラム数として乾物にしてしまったがために重量として少なくなって、濃度としてはこれを超えてしまうという可能性があるわけです。実際に食べるときにはこれを水で戻したりすると当然500よりグラム数としては増えますので、濃度としては少ないということもあるのかと思います。
 ですから、その辺これは暫定基準値というか、飲食の摂取制限指標ですので、とりあえずこれを止めるかどうか考えなさいという指標ですので、長期的にこれを規制値に使うべきかどうかというのは、考え方も踏まえて議論して適用していくということになろうかと思います。
○山本部会長 何かありますか。重量当たりの話で規制が決まっているということになりますと、それによって濃度が変わるというのは非常に考え得ると思いますし、加工工程の問題で濃縮が起こるかどうかということ、そういう食品について少し考えておかなければいけないだろうということだと思います。
 今後は恐らくセシウムを中心に、あとストロンチウム等を考えていかなければいけないだろうと思っています。
 どうぞ。
○山口委員 今の方向で安全側が担保されているのです。それが本当によいかどうかという話で、放射線リスク低減は勿論重要なのですけれども、そうでなくても重要ですので、そもそも回避線量の最適化もそうですし、今、食品群別に線量を割り振っていますけれども、それに関してもっと最適化の余地があるのかどうか。更に線量の低減をどういうふうにすべきかということに関して、いろいろ医学関係があると承知いたしますので、社会全体で見るような視点での議論があってよいかなと思います。
○山本部会長 今、暫定基準として決めていますけれども、これはICRPなどのものを見てみましても、当面何か事故が起こって1年を限度とするような、1年でも長いのかもしれませんけれども、比較的短期にわたって規制を暫定的にやっているという話です。これはだんだん追加の放射性物質の放出というのがなくなった状況においては、ある程度規制値というのは厳しくというか、下がっていくべきものと考えていいのか。それともしばらくはこれを続けていって、それでも70年経って大丈夫というような値と考えていいのか。その辺、高橋委員、山口委員、いかがでしょう。
○山口委員 回避線量は最適化で決まっていますので、そこを汚染リスクの低減のメリットと、そういう制限をかけることによる社会全体のメリットを比較していますのでそれは社会情勢によって変わってくるお話であって、より簡単にできるのであればより低い濃度にするという方がいいと思います。
○山本部会長 よろしいですか。
 どうぞ。
○高橋委員 必ずしも高くなるか、低くなるかというのは検討してみないとわからないということになると思います。答えになるかわかりませんけれども、丁寧に検討する。つまり、今回の飲食摂取制限指標というのはざっくりとここでやっておいて事故直後に備えるという考え方ですので、ある意味個別について丁寧に検討してよりきちんと検討した値を出していく。そういう作業をする。それで上がるかもしれないし、下がるかもしれないということになろうかと思います。
○山本部会長 ほかに御意見はございますか。とりあえずはそういう検討も含めたことをやれるグループが必要になってくるということは考えられるのですけれども、阿南委員、消費者として何を聞けば安心ができるというようなところはございますか。
○阿南委員 先ほど言いましたけれども、一体自分は今どれくらい被ばくしているのかがわからないということなのです。生活していてあちこちに出かけ、空気を吸い、食べ物を食べ、今一体どのくらい自分は被ばくしるのか、それが自分にわかることがすごく大事だと思うのです。生活全体としての曝露量のデータがちゃんと提供されるようになれば、自分で何に気をつけたらいいのかということも自分で考えることができるわけです。一人ひとりが線量計を持てば一番いいのでしょうけれども、そういうわけにもいかないでしょうから、早くそういうことができるようになればいいなと思います。
○山本部会長 その辺については公表されていないデータもまだたくさんあるということで、その辺が一番の不安材料なのかなという気がしますが、今後、事務局の方でも逐次そういうデータの収集ということに関してはよろしくお願いしたいと思います。
 どうぞ。
○阿南委員 それに関連してですけれども、文科省や厚生労働省、農水省、各自治体が主にモニタリングしていますね。そういうモニタリングの仕方、検査方法などに差があるようですし、何を調査しているのかというところもばらつきがあるようにも思います。
 文科省の調査もなかなかわかりにくくて、トータルでそういうデータがちゃんとわかるといいのです。不十分なところにはちゃんと指摘ができるような体制が何とかできないものかと。このために、厚労省、文科省、農水省、地方自治体のところがもっと連携してやることができないかと思う。これは強いお願いです。
○山本部会長 取り急ぎ厚生労働省の中だけでも水と食品とは別になっているということですので、空気も含めて、そういうものを総合的に検討できるような仕組みを食品だけではないものを考えておいていただかないといけないのかなと。そうしないと、全体的なデータの把握というのが難しくなってくると思いますので、その辺、事務局の方も検討をよろしくお願いいたしたいと思います。
 山口委員、どうぞ。
○山口委員 データの公開に関して、今回の資料にもございますように、データとして公開されているのです。それにもかかわらず国民から不信があるとすると最悪な問題になりますので、単にデータを公開するだけではないような工夫が必要なのだろうと思いました。
○山本部会長 ただ、阿南委員のおっしゃっているのは、食品の汚染のデータだけではないものも必要だということと、このデータそのものが本当に科学的に正しく認識できるデータとなっているのか、なっていないのかというのはまだ不安だというところをおっしゃっているのだと思います。
 ですから、はかり方にしても、食品のはかり方、一応暫定的なものをつくってあってそれでやっていますけれども、もう少し検討は必要なのかもしれませんし、その辺ですね。
 どうぞ。
○山口委員 測定法はきちんと質が担保されています。ただ、見た目で文部科学省の放射能水準調査では長い時間をかけて測定していますので、見た目で検査結果が変わってしまっていて、そういうところで不信を招いていたりすると説明が必要なのだろうと思います。
○山本部会長 それでは、そろそろ。いろいろと御意見出ておりますけれども、これまでの御意見を踏まえて本部会としては今後の検討を行っていきたいのですが、これまでに出た課題について事務局の方で整理していただいて、項目として挙げていただけると助かりますので、そういうことを整理していただけますか。
○横田補佐 本日の御議論を踏まえますと、短期的な課題としましては山口先生からお話がありました基準が守れているかどうかの検証、品質管理、QAにたえられるデータをとってやっているというアピールといったところのやり方です。
 そのほかありましたのは、加工食品の取り扱いをどうしていくかみたいなところもあったかと思います。
 セシウム、ストロンチウム比に対する専門家的な検証とか、液体放出に対する検証とか、そういったところが短期的な課題の中でお話があったかと思います。
 長期的な課題としましては、明石委員からお茶にどのような核種が含まれているのかとか、加工によってどのように溶出してくるのかといったお話だったと思います。
 あとそれに関連しまして、お茶や乾物に対しては今の基準が厳しいかもしれないという意見の中で長期的な基準としてお茶や乾物、それだけではないかもしれませんけれども、食品分類といった形でどうとらえていくかといったところが検証が必要なのかなと考えております。そのほか同様な話ですが、加工の工程において濃縮されるような食品なども同じような検討が必要かもしれないと思います。
 高橋委員から長期的な基準というのはもう少し詳細な検討を加えていくべきではないかという御意見があったと思います。
 検査体制の整備はどちらかというと我々に対する御提言だったかと思いますけれども、管理がばらばらということで、できる範囲から直せるように努力していきたいと思っております。
 あとは中長期的と言うより今からやらなければいけないのかもしれませんが、データの公開方法などについてもう少し効率的というかわかりやすいというか、そういったデータの公開方法があるべきではないかという御意見があったかと思います。
 本日いただいた御意見はそんな感じかと思いますけれども、我々が出しています資料1の2ページ目の「1.短期的課題」のところにありますけれども、追加的リスク管理の必要性の有無というところでございます。先ほど例として挙げております規制項目としまして、放射性ヨウ素に関し、追加的な規制値の必要性があるかどうかとか、注意を要する集団があるかどうかというところでございますけれども、この辺は特に考慮する必要はないということでよろしいでしょうか。
○山本部会長 いかがでしょうか。
○阿南委員 注意を要する集団というのはあって、その人たちへのコミュニケーション、情報がちゃんと伝わっていないところに問題があると思うのです。特に妊産婦の人たちなどは非常に不安を抱えて暮らしていますので、その人たちにどうやって正確な情報を伝えられるのかというのが課題だと思うのです。特別に注意しなければいけないところはあるのではないでしょうか。
○横田補佐 注意を要する集団としまして、妊婦、介護の話があったかと思いますし、授乳中の母子の話、そういった方々への安心材料としての情報の提供のところに工夫が必要という御意見でよろしいですか。
 どちらかというとそういう話であって、今、我々が一番気にしております規制値に関しては特に必要はないということでよろしいですか。
○山本部会長 ヨウ素に関してまだ設定されていない項目はあるのです。
○高橋委員 放射性ヨウ素に関しては、現状では暫定規制という形で限定する必要は現状ではないのではないかなと。すなわち、例えば肉でしたらば飼料を食べることによってどんどんある程度の濃度が上がっていくということになりますが、そういうこともありますし、既に現状で放射性ヨウ素の濃度はかなり低くなっておりますので、ヨウ素について今、暫定という形で規制値をかける必要はないと思います。
 その代わりに中長期的な課題という部分でそういう部分をどうするかということを検討するという形で検討すればいいのではないかなと思います。
○山本部会長 ありがとうございます。そうしましたら、今、事務局の方でまとめていただいた項目について、検討なり追加事項についてはやっていかなければいけないことはあると思うのですけれども、特に情報の提供といったところについては今後力を入れていただくということは強調しておきたいと思います。
 今後の進め方としてそういう課題が出てきましたので、この部会だけでこれを検討していくというのはなかなか難しいところがありますので、専門家部会と言いますか、その下で専門グループというようなものを立ち上げて詳細な検討をしていきたいと思っております。
 当然、部会の先生の中でも専門の方がいらっしゃいますので、そのグループに入っていただくことになるかとも思いますが、そういったグループの人選等につきましても、今後、私、部会長に一任していただいて進めさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山本部会長 それでは、そういうことで本日の議事についてはこれで終了したいと思いますが、ほかにございますか。事務局からその他、何かございますか。
○横田補佐 事務局からは特にございません。次回会合につきましては、改めて御連絡させていただきます。
○山本部会長 それでは、本日はどうも活発な御意見、ありがとうございました。これで終了したいと思います。
○横田補佐 御議論どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課規格基準係
(03-5253-1111 内線4280)

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