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2011年3月25日 薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年3月25日


○場所

厚生労働省専用第18~20会議室


○出席者

出席委員(20名):五十音順 敬省略

 五十嵐   隆、 井 部 俊 子、  大 野 泰 雄、 小 幡 純 子、

 笠 貫   宏、  木 津 純 子、  倉 根 一 郎、 黒 木 由美子、

 宗 林 さおり、 竹 内 正 弘、  土 屋 文 人、○永 井 良 三、

 長 野 哲 雄、 西 島 正 弘、  橋 田   充、 本 田 佳 子、

 松 井   陽、◎望 月 正 隆、  望 月 眞 弓、 吉 田 茂 昭

(注)◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理

欠席委員(4名):五十音順 敬省略

明 石 博 臣、  飯 島 正 文、  高 橋 孝 喜、 中 川 俊 男

行政機関出席者

 平 山 佳 伸  (大臣官房審議官)

 中 垣 英 明 (総務課長)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 國 枝   卓 (監視指導・麻薬対策課長)

 三 宅   智 (血液対策課長)

 安 田 尚 之 (血液対策企画官)

○議事

○総務課長 それでは定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会薬事分科会を開催いたします。
 開会に先立ちまして、東北・関東大震災の被災者の方々に謹んで哀悼の意を表し、黙祷を捧げたいと思いますので、御起立ください。黙祷。
 ありがとうございました。御着席ください。
 では、改めまして薬事分科会を開会いたします。当分科会委員数24名のうち20名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。明石委員、飯島委員、高橋委員、中川委員から御欠席の御連絡をうけております。
○事務局 では、改選後の初めての薬事分科会になりますので、出席委員の方を順に御紹介申し上げます。
 五十嵐隆委員、井部俊子委員、大野泰雄委員、小幡純子委員、笠貫宏委員、木津純子委員、倉根一郎委員、黒木由美子委員、宗林さおり委員、竹内正弘委員、土屋文人委員、永井良三委員、長野哲雄委員、西島正弘委員、橋田充委員、本田佳子委員、松井陽委員、望月正隆委員、望月眞弓委員、吉田茂昭委員です。
 それでは、望月分科会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○望月分科会長 それでは始めます。最初に事務局から配付資料の確認をお願いします。
○事務局 資料の確認をお願いいたします。審議事項につきましては、資料1、報告事項につきましては、資料2~17、その他事項につきましては資料18となっております。 なお、本日その他事項で1議題が追加となっております。資料20としまして本日配付しております。また、資料13の差し替え版を配付させていただいております。
 その他の当日配付資料ですが、資料19「競合品目・競合企業リスト」、議事次第、座席表、委員名簿をお配りしております。また、文書報告の資料は既に先生方に送付しておりますが、お手元には参考までに「文書報告一覧」を配付しております。
 続きまして、審議参加に関する御報告をいたします。申請資料作成に関与した委員ですが、該当委員はいらっしゃいません。
 また、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について、資料19として配付させていただいておりますが、その選定理由等を説明させていただきます。こちらは関係部会で報告した内容となっております。資料19に沿って説明させていただきます。
 リクシアナ錠15mg及び同錠30mgですが、本品目の申請会社は第一三共株式会社です。本品目は、膝関節全置換術等の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる3品目を競合品目として選定しております。競合品目に係る説明は以上です。
○望月分科会長 今の事務局からの説明について、特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本分科会における審議の際の申合せ事項については、競合品目・競合企業の妥当性も含め、了解を得たものとします。
 続いて、委員からの申出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況について報告させていただきます。
 審議事項議題1「医薬品リクシアナ錠」については、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、五十嵐委員、木津委員、竹内委員、永井委員、橋田委員、望月眞弓委員です。 以上です。
○望月分科会長 それでは、議題1に入りたいと思います。
 審議事項議題1「医薬品リクシアナ錠15mg及び同錠30mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。
 本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。始めに部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。
 それでは、医薬品第一部会長の松井委員から御説明をいただきたいと思います。
○松井委員 審議事項議題1、資料1「医薬品リクシアナ錠15mg及び同錠30mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、概要を説明します。
 本薬は、活性型血液凝固第X因子を選択的かつ可逆的に直接阻害することにより、血栓形成を阻害し、静脈血栓塞栓症(VTE)の発症を抑制する抗凝固薬です。本剤の予定効能・効果は「下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制 膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術」です。一般的に、外科手術を受けた患者では、手術の手技自体や手術後の臥床により血栓形成のリスクが高まりますが、下肢整形外科手術患者では、手術による凝固能亢進に加え、術後の臥床期間に長時間下肢の運動が制限されることにより、下肢静脈の血流うっ滞を生じやすいため、VTEを発症するリスクが高いと考えられています。下肢整形外科手術のうち、本剤の予定効能・効果にある三つの術式、膝関節全置換術、股関節全置換術及び股関節骨折手術は、国内のVTE予防のガイドラインで、VTEの発症リスクが「高リスク」とされ、術後の抗凝固薬の投与が推奨されております。
 下肢整形外科手術施行患者におけるVTEの発症を抑制するための抗凝固薬として、本邦では、ヘパリン、フォンダパリヌクス、エノキサパリンが使用可能ですが、これらの薬剤の投与経路が静脈内又は皮下注射であるのに対し、本剤は経口薬です。
 今回、VTEの発症リスクが「高リスク」とされているそれぞれの下肢整形外科手術施行後の患者を対象とした三つの第III相試験において、本薬の有効性が示され、出血等の安全性も臨床的に許容範囲と考えられたことから、本剤は、これら三つの術式での下肢整形外科手術施行患者におけるVTEの発症抑制における新たな治療選択肢の一つになると考えられます。
 なお、本剤は、抗血液凝固作用に基づく他の効能・効果の取得も目指して国内外で開発中ですが、現時点で日本を含むいずれの国及び地域でも承認されておりません。
 本剤については、去る2月21日に開催された医薬品第一部会において審議した結果、承認して差し支えないとの判断に至りました。
以上、本剤の概要を説明しましたが、事務局から、もう少し詳しい説明をお願いしたいと思います。以上です。
○望月分科会長 ありがとうございました。では、事務局の方から補足等の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料1「医薬品リクシアナ錠15mg及び同錠30mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」の審査の概略について、国内のVTE予防のガイドラインで、術後のVTE発症リスクが「高リスク」とされ、術後の抗凝固薬の投与が推奨されている下肢整形外科手術である、膝関節全置換術、股関節全置換術及び股関節骨折手術の三つの術式の手術施行後の患者を対象としてそれぞれ実施された、三つの第III相試験の成績を中心に御説明いたします。
 まず、審査報告書51ページ下を御覧ください。人工膝関節全置換術(TKR)施行患者を対象とした第III相試験は、術後のVTEの発現抑制効果について、エノキサパリンに対する本薬の非劣性を検証するデザインで、日本と台湾で、国際共同治験として実施されました。本薬の用法・用量は、日本人TKR施行患者を対象とした本薬の用量設定試験の成績を基に、30mg1日1回投与と設定されました。審査報告書52ページの中ほどにありますように、主要評価項目であるVTEの発現率は「無症候性DVT」、「症候性のPE」又は「規定の静脈造影前に確認された症候性のDVT」が一つ以上認められた被験者の割合とされ、本薬群で7.4%、エノキサパリン群で13.9%であり、本薬のエノキサパリンに対する非劣性が検証されました。一方、大出血の発現割合は、同じく52ページの下から4行目にありますように、本薬群1.1%、エノキサパリン群0.3%でした。
 次に、審査報告書53ページ下を御覧ください。人工股関節全置換術(THR)施行患者を対象とした第III相試験は、術後のVTEの発現抑制効果について、エノキサパリンに対する本薬の非劣性を検証するデザインで、国内で実施されました。本薬の用法・用量は、日本人及び台湾人のTHR施行患者を対象とした本薬の国際共同用量設定試験の成績を基に30mg1日1回投与と設定されました。審査報告書54ページの中ほどにありますように、主要評価項目とされたVTE発現率は、本薬群2.4%、エノキサパリン群6.9%であり、本薬のエノキサパリンに対する非劣性が検証されました。一方、大出血の発現割合は、同じく54ページの下から13行目にありますように、本薬群0.7%、エノキサパリン群2.0%でした。
 次に、審査報告書55ページを御覧ください。股関節骨折手術(HFS)施行患者を対象とした第III相試験は、TKR及びTHR施行後と同じ本薬30mg1日1回を投与した時の出血リスクを検討する無作為化非盲検試験として、国内で実施されました。審査報告書55ページの下から4行目にありますように、主要評価項目である、治験薬投与開始後から事後検査実施日までに認められた「大出血又は臨床的に重要な出血」の発現割合は本薬群では6.8%、統計学的な比較対照群ではないものの、参照群として設定されたエノキサパリン群では10.3%でした。なお、VTE発現率は、審査報告書56ページの上から9行目にありますように、本薬群6.5%、エノキサパリン群3.7%でした。
 以上の試験成績より、本薬30mgの1日1回投与は、TKR、THR及びHFS施行後のVTE発症抑制に用いる抗凝固療法の選択肢の一つとなり得るものと判断いたしました。また、本剤による出血のリスクを勘案し、臨床試験で設定された投与方法の規定や類薬での注意喚起を踏まえ、審査報告書76~77ページにありますように、用法・用量に関連する使用上の注意等において、本剤の投与開始時期、投与期間、腎機能障害患者に対する用量等も注意喚起する必要があると判断いたしました。
 さらに、本剤は経口薬であり、皮下注射される既承認薬と比較して投与時の患者負担の軽減等の有用性も考えられますが、血栓塞栓症の発症リスクが低下している退院後の患者では本剤投与による出血リスクを負わせ続けることは適切ではないと考え、審査報告書75ページにありますように、原則として、術後の入院中に限って使用することを注意喚起することが妥当と判断いたしました。
 本剤の効能・効果については、審査報告書75ページを御覧ください。VTEの発現リスクと出血リスクがそれぞれ異なるTKR、THR及びHFSのいずれの術式でも本剤の有効性及び安全性が示されたと判断できることから、効能・効果は「下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制 膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨節手術」とすることが妥当と判断いたしました。
 製造販売後調査等の計画については、審査報告書72ページを御覧ください。申請者は、調査予定例数2,000例、1症例の標準的な観察期間を本薬投与開始後2か月とした使用成績調査において、重点調査項目として出血性イベントに関する情報を収集することとし、性別、年齢別、術式、用量別に安全性及び有効性について検討すること等を予定しており、申請者の方針はおおむね妥当なものと判断しております。
 以上、機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤を承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが適当と判断いたしました。
 なお、再審査期間は8年、また、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
 なお、事前に木津委員より、添付文書の冒頭、販売名の上にございます「経口FXa阻害剤」との記載につきまして、「添付文書中に『FXa』という記載が無く分かりにくいため、分かりやすい表記にしていただきたい。」との御意見をいただきました。
 本剤の添付文書4ページ右上の【薬効薬理】「1.作用機序」の項を御覧ください。こちらに、「ヒトの活性化血液凝固第X因子(Xa)」と記載されており、Xaに関する説明がございます。Xaを阻害する既承認のアリクストラにおきましても冒頭とこの項にXaの記載がありますが、冒頭の「FXa」と記載を整合させること等により、分かりやすくするよう工夫したいと思います。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、御質問はございませんか。
○土屋委員 2規格の使い分けについてお伺いします。通常30mgに割線が無い場合は、15mgを使用します。今回、用量が15mg若しくは30mgということから、15mgで30mg服用する場合は2錠飲むことになります。添付文書(案)には、1錠、2錠といった記載がありません。薬価が付いた時は、どのようにするのでしょうか。規格が複数ありますが、どちらか一つでできるのであれば、1規格にした方が良いと思います。30mgだけでも、15mgだけでも良いといったように、今回2規格が存在していることに意味はあるのでしょうか。今後、どのような使い分けになるのかを教えてください。
○機構 土屋委員がおっしゃるように、2規格あることについて、用法・用量に、1回1錠とは記載されておりません。御指摘のとおり、どちらでもできるのですが、15mgへの用量調節が必要な方について、きちんとパックされたものを使用するということであれば、意味があると思います。いかがでしょうか。
○土屋委員 すると、割線を入れる意味が無く、整合性も取れていないと思います。使い分けができるので、複数規格があった方が便利です。しかし、逆に言えば、取り違え等を考えた時、割線が無ければそもそも問題が起こりづらいのではないかと思います。
○機構 この薬剤に関して、審査の過程で割線を入れてはいけないという議論は行っておりません。これまでに、割線を入れてはいけないという議論をしたものがございましたが、配合剤がその一つです。せっかく配合しているのだから、割線なんか入れる必要が無いという議論でした。こちらについては、いかがでしょうか。病院の事情によっては、1規格しか入れられないところもあり、新薬の審査の中で30mgの割線を入れてはいけないといった指導がどこまでできるのか、我々にも経験がありません。こちらで委員の方々の御意見を伺えればと思います。
○土屋委員 医療機関からすると、実際に15mgを使って患者さんに費用を請求した際、非経済的だと言われてしまうこともあります。通常では、割線が無いので15mgを使用したと答えます。あくまでも保険適用上の話ということは十分に理解した上ですが、せっかく割線が入っていても、これでは過去に言われてきた話と合わないと思いました。
○笠貫委員 御指摘の件ですが、代謝系のCYPの影響を考えると、ジゴキシン、ケイジンベラアミノラーゼといったもので、本剤の血中濃度が上がるということは分かっています。そのことから、本剤の用量を減らすことも十分あり得ると思います。腎機能についても同様ですが、臨床の現場として、割線が入っている方がリーズナブルだと思います。実際問題、臨床の現場ではこのように用量を調節しています。そのことから、今おっしゃられたような肝臓での代謝に影響される場合や腎臓の機能の場合は、割線があっても良いのではないかと思います。そのような目的であれば、よろしいと思います。
○土屋委員 医療機関が15mgを採用すると、30mgの場合は2錠飲むことになります。割らずに飲めるのですが、過去の例から、2錠使うことは保険上注意されたりします。今度は、逆に30mgに割線が付いていた時の15mgの存在意義は、どうなるのでしょうか。2規格あることが悪いというのではなく、今までと例が違うのかもしれないと思いました。せっかく2規格持ったので、保険上の取扱いをどのようにするのか考える必要があります。
○望月分科会長 こちらについて、事務局からコメントはございますか。
○審査管理課長 本日に関しましては、15mg、30mgと有効性、安全性、品質という観点から問題は無いと思いますが、土屋委員からお話をいただいた規格につきましては、保険上の取扱いが、かなり大きなウエイトになると思いますので、保険の方に連絡させていただきたいと思います。
○望月分科会長 ほかの点については、いかがでしょうか。先ほどの名称については、FXaということで、再確認していただくことになりました。そちらについては、よろしいですか。ほかに、御意見はございませんか。
○木津委員 包装を今日初めて拝見しましたが、未だにPTPから出さないで飲んでしまうという事故が相次いでいます。注意喚起された時点で話があると思いますが、今回珍しくその表示が削除されています。「他院、他科を受診するときは」という注意事項は非常に良いと思います。そのような表示は、通常では上の方にあります。こちらの一番下の「押し出す」という記載ですが、最近では「必ず押し出して飲む」等、かなり強い表示が多くなっています。今回のこのような表示の理由を教えてください。
○機構 「押し出す」の絵のことだと思いますが、これがすべての錠剤に書いていない理由は、特にございません。この点をメーカーに伝えて、事故の無いような記載にということで検討させていただきたいと思います。
○土屋委員 業界では、2錠に1個記載するとのことです。アイカメラで見ると、押し出しマーク等に目がいってしまい、逆に本当の注意に目が向かないことがあります。そのため、この製剤だけではなく、PTPを押し出すというのは、全体的な一般論で、先日通知があったように薬剤師が患者の状況を見ながら指導するという形で良いと思います。こちらに、2錠に1個記載をしていくと、ほかの表示が目立たなくなってしまいます。こちらについては、このままむしろすっきりしていた方が良いと思います。
○宗林委員 1点だけ、質問があります。添付文書(案)を見ますと、「術後の入院中に限って使用すること」となっております。錠剤の後ろのシートに、「他科に受診する場合は、医師等に自分で申し伝えてください」といったような文章があります。退院の時に、一定量出すという想定があるのでしょうか。通常、入院中であれば、病院の中で管理されているイメージがありますが。
○望月分科会長 ただ今の点、いかがでしょうか。
○機構 基本的に、こちらの効能・効果であれば、入院の管理下で使っていただくということで間違いありません。今後とも、この薬は様々な開発がされていきますので、企業がこちらを記載しておきたいということから、今記載されている状況です。さらに、まれなケースを申し上げますと、途中の説明にもありましたように、患者さんが動けず、足が動かない状況で退院するということがあれば、医師の判断の中で数日分の薬が処方されるということがあるかもしれません。よって、このようなことが記載されているということは、一定の意義があると考えています。
○望月分科会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。転院するような場合ということでしょうか。ほかには、御意見ございますか。どうぞ。
○倉根委員 添付文書(案)に、「外国人データ」というのが沢山あります。この外国人データというのは、様々なとらえ方があると思います。日本においての日本人以外のデータなのか、それとも海外におけるデータなのか、どちらが記載されているのでしょうか。また、外国人という言葉は適切なのでしょうか。私は、このような添付文書等を始終見ているわけではございませんが、外国人データという言葉に違和感があると思いました。さらに、どのようなデータであるのかが分からないと思いますがどうでしょうか。
○機構 通常、添付文書の外国人データは、海外の臨床試験成績になります。あくまで海外で行われた成績であるということを区別して、表示しています。慣例的に、「外国人データ」という言葉になっていますが、実質的には海外で実施された外国人を対象とした臨床試験の成績を示しています。
○倉根委員 では、慣習的にこの言葉は使用されているということですね。
○事務局 はい。
○倉根委員 それならば、結構です。
○望月分科会長 ほかに、御意見はございますか。井部委員、どうぞお願いします。
○井部委員 先ほど説明された57ページの術式の後ですが、どのくらい体動を制限するのかということは、術者によって違うと思います。その点から、57ページの下から2~3行目辺りを御覧ください。台湾では入院期間が5~7日間と非常に短く、日本では、およそ倍の14~28日間であると記載されております。こちらに続いて、「手術からリハビリ開始までの日数に関しては、日本と台湾で大きな差違はなかった」とあります。ベッド上安静期間は、日本の病院の方が長いと思いますが、こちらはどの程度コントロールして臨床試験が行われたのでしょうか。
○機構 プロトコールの投与期間の規定に関しまして、審査報告書に記載はございません。こちらに書いてあるのは、臨床試験を行った後の結果です。プロトコールにつきましては、先生方の資料の中には入っておりません。本薬の投与期間が、11~14日間と規定されておりまして、入院期間に関する規定はございません。必ず14日間投与するわけではなく、例えばリハビリが始まると、それだけで血栓症のリスクが低くなります。その場合、入院していてもお薬を途中で中止することになります。そのため、投与期間と入院後のリハビリや立ち上がり等によって、治験の担当医師が投与期間を決めるということです。投与期間に関しては、プロトコールに定められた11~14日間で収めていただくこととなっております。
 御質問の入院期間のコントロールについては、コントロールをしていたわけではなく、入院期間については、実際の患者さんごとに医師が判断して決めていたということです。
○井部委員 私が質問したかったことは、入院期間ではなく、入院中のベッド上の安静期間についてです。こちらは、何か調整されたのでしょうか。
○機構 そちらは、実際の患者さんごとに医師が、この患者さんについては、起き上がっても良い、リハビリを始めても良いといったように判断していただき、何かでコントロールしていたというわけではございません。それに連動し、お薬の投与期間も決められたということです。
○吉田委員 今の点ですが、プロトコールで、日本と台湾を予め層別してあれば、そのような問題は出てきません。前層別をしたという記載があれば、疑念はなくなりますが、もし、その記載が無く、日本も台湾も同じように解析したのであれば、ばらつきの危険性は出てくると思います。竹内委員、いかがですか。
○竹内委員 私も、そう思います。質問がありますが、よろしいでしょうか。PPK解析から、民族差があるという結果が出ております。第II相試験では、15mg、30mg、すべて有効性もあり、15mgでは大出血の発現率が非常に少なかったという結果が出てきている中、なぜ30mgを選んだのかと疑問に思いました。そちらをお聞かせいただけますでしょうか。
○望月分科会長 その点について、機構はいかがですか。
○機構 すみません。少し御質問を整理させていただきたいのですが、当初ありました、「入院期間が違うことをきちんとプロトコールに規定すべきであったのではないか」というようなことですか。
○吉田委員 違います。そうではなくて、ランダマイズする際、日本と台湾の被験者とを、前もってそれぞれ別々にランダマイズして振り分けてあれば、日本も台湾も同じ確率で各群に入ります。このような違いに、質量関係の違いというのは反映しません。日本と台湾を混ぜてランダマイズしたのか、前もって両者を分けておいて、それぞれをランダマイズしたのかを聞きたかったのです。
○機構 分かりました。その点につきましては、当然その実施地域というものを無作為化していますので、ランダマイズはできております。
○吉田委員 実際施設で層別したのであれば、日本と台湾の入る確率は両群とも一緒です。その医療環境の違いというのは、結果に反映しないということで良いと思います。
○竹内委員 それならば、日本と台湾の各施設で最小化法でランダマイゼーションを行っているという理解でよろしいですか。
○機構 施設ごとに行っていたのかといったようなランダマイズの仕方の詳細は、ここで明確にお答えできないのですが、恐らくランダマイズするということに関して、施設ごと各群に偏りが無いようにしているはずです。仮に、入院期間が明確に施設ごとに変わっている場合においても、その入院期間の違いが有効性・安全性の評価に影響を及ぼさないというようなデザインになっていることは、確認しているところです。実態としては、台湾と日本の施設ではこのような違いがありましたが、その違いが本薬の有効性・安全性の評価には影響を及ぼしていないという記載が、先ほど御指摘のあった審査報告書の下から3行目の辺りの記載になっているということです。
 2番目に御指摘のありましたPPK解析の結果ですが、あくまで血中濃度の解析ということですので、単に用量を設定する時の根拠となったわけではないのですが、恐らく30mgを選んだ理由というのは、いろいろな開発計画の中で申請者がどこに主眼を置くかということだと思いますが、今回はエノキサパリンという割としっかり効くようなお薬に対して、その有効性が劣らないことをしっかり検証していくということで、確実に有効性が示される用量を申請者の方で選択したのではないかと思います。
○笠貫委員 土屋委員が御指摘された箇所は、基本的で大事なポリシーだと思います。この薬のようなものは、CYPで非常に複雑な影響を与えます。例えば、アスピリンだけでも1.3~1.6倍になります。高齢者の場合、特にPCI等をしていて、アスピリン+クロピドグレルを飲んでいて、血小板抑制も2剤以上使っているというケースは沢山あります。そして、高齢者で腎機能低下もあるという話になると、15mg錠も半分に割れるようにしておかなければいけません。基本的には、微量調節をどのように行うのかということです。大出血という問題があり、様々な生体側やほかの薬との影響を受ける場合には、このような割線を入れていくということが一つのポリシーだと思います。そのような意味から、15mgと30mgで余り差が無いということであれば、15mgをさらに半分にしなければ、先ほどのようなハイリスクの人には使えなくなるのではないでしょうか。このような矛盾があるということから、15mgと30mgを先ほどの会社のポリシーとして選んだと言うのならば、なおさらきちんと押さえていただかなければ、ハイリスクの患者さんには危険だと思います。
○望月分科会長 ありがとうございます。ほかに、御意見はございますか。どうぞ、黒木委員。
○黒木委員 教えていただきたいことがあります。臨床に関する概括評価が58ページに死亡その他重篤な有害事象の記載がありますが、欧米で、因果関係があるかもしれない死亡例が1例あるようです。11日目の肺塞栓症ですが、その間の経過で、ほかの重篤な症状が出ていたかどうかについて御存知でしたら教えていただきたいと思います。さらに、重篤な有害事象として、この薬でもう少し考えるべきものについてをまとめて、再度説明していただければと思います。
○機構 今、手元に個々の症例のデータが無く、細かい説明ができませんが、我々が審査をする時に、死亡例について、どのようなことが起こっていたのかというのは確認しております。例えば、このお薬につきましては、効果に相反する背中合せの有害事象として出血というものが考えられます。あるいは、その効果が足りない時、PEが起きるとか、血栓が起きてしまうといったようなことも効果の不足なのですが、臨床試験上では因果関係のある有害事象として捉えられる場合もございます。例えば、死亡例ですと、肺塞栓症、PEにつきましては、用法・用量が今回の日本で承認されているものとは全く違い、こちらの用法・用量は60mgを1日2回となっております。逆に、よく効くけれど、PEが起きているというところで、よく分からないところでございます。それが故に、関連があるかもしれないというところで、死亡が重要な有害事象であるがために、今ここに取り上げております。この薬の効果によって、このようなことが起きているわけではないかもしれないと判断させていただいたところでございます。
 そのほかにつきましても、手元に資料が無いので細かいところは分からないのですが、本薬の15mg1日1回というところで、海外の事例ですが、塞栓症が起きてしまっている患者さんは、関連無いと言われています。効果の無いところで起きているかもしれないということです。あるいは、30mg1日1回というところで、3名ほど死亡が起きています。これは、その現場の医師によって、関連なしと判断されております。その辺の関連があるかもしれないというところが、1例だけこちらに出ております。そちらについても、用法・用量外であるということと、その事象と症例の細かい経過等を見させていただき、こちらに記載するということで、とどめておいたという経緯です。
○望月分科会長 黒木委員、よろしいですか。
○黒木委員 分かりました。海外では、60mgのスタディだったということと、国内、台湾で実施したものでは死亡に至るものは無かったということですね。この肺塞栓症による有害事象、関連があるかもしれないといった記載について、日本国内では、添付文書には載っていないわけですが、そちらが1例あったということは事実であり、こちらにとどめてあるという理解でよろしいでしょうか。
○機構 はい。こちらにとどめておいたというところについては、黒木委員のおっしゃるとおりでございます。死亡例について、どの程度、添付文書に載せるかということについては、やはり因果関係がどのくらい確実に判断されているかということと、用法・用量が同じ等、行われた臨床試験の患者背景が今回の対象とどのくらい近いかといったところも含めて、総合的に判断させていただいております。今回は添付文書でなく、資料に記載してとどめるということにしております。
○望月分科会長 では、ほかに御意見はございますか。どうぞ望月眞弓委員、お願いします。
○望月眞弓委員 審査報告書の72ページに、「製造販売後調査等について」の記載があります。先ほどから議論に出ている用量では、腎機能が悪い方や併用薬剤で出血が増加する方、さらに、体重によっても影響があったような書きぶりになっていました。そのような方が、どのようになるのかを調査するにあたり、2,000例の市販後使用成績調査を行う計画をしていますが、こうした問題が2,000例の中に、どの程度入ってくるのかという結果を見込んでいるということですが、むしろ特定使用成績調査のような、ある程度対象を絞った形で目標を集めていく形の計画は、考えていらっしゃらないのでしょうか。
○機構 通常行われております使用成績調査の目標症例数の中で、検討できることであれば、そういった層別を行う等により検討を行うことについて、現時点では受け入れております。ただ、その使用成績調査の実施の仕方によって、特別な背景を有する患者さんの安全性への情報収集が不足するかもしれないということがあれば、必要に応じて計画を見直し、製造販売後の中で、さらに特定使用成績調査の計画を立て、開始していくというようなことは当然あり得ると思います。そういったことは、定期的に報告されてくるような定期報告などを機構の方で確認し、適切に指導し、調査を新たに実施することはあり得ます。現時点では、この調査の計画の中で、層別した特別な背景を有する患者さんの安全性の情報が、一定程度収集できそうだということであれば、まずはその計画の中で進めていただくということで、よろしいのではないかと思います。いかがでしょうか。
○望月眞弓委員 今の御説明である程度理解したつもりですが、例えば腎機能の悪い患者さんの場合、30mLで切るか、50mLで切るかということを議論した上で、30mL以下はやめるということを決めていらっしゃるわけだと思います。市販後調査というのはお金もかかり、やみくもに集めるという形ではないことを考えていく必要があります。今後の課題ということで、PMDAで考えていっていただけたらと思います。
○望月分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。コメントはございますか。
○機構 ありがとうございます。先生からいただいた御意見は、今後の審査で活かしていきたいと思います。
 それから、先ほど議論が途中になったものがございますので、確認させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○望月分科会長 はい。
○機構 先ほど笠貫委員からお話のありました、「15mgに割線を入れる」というお話ですが、実際に7.5mgをどの程度の患者さんに使って良いのかを考える時に、臨床試験で7.5mgの有効性というのは、なかなか見えてきていないところです。それを投与推奨するというところにまでには、至っておりません。例えば、用法・用量で様々なリスクがある患者さんの用量をさらに低用量と検討することについては、なかなか書くことがございません。今、低用量側については、割線の無い形で良いのではないかという判断をさせていただいたところです。
 もう1点ございます。先ほど土屋委員と木津委員から御指摘がありました、「押し出す」についてですが、この場で分科会としての御意見をいただかなければ、メーカーにも伝えにくいところですが、この辺はどうしたらよろしいでしょうか。先生方の御意見をお伺いしたいところですが、いかがでしょうか。
○望月分科会長 先ほどの錠剤の裏の押し出しについて、すべて記載するべきかということです。笠貫委員、お願いします。
○笠貫委員 割線にこだわるのですが、例えばアスピリンで1.6倍、そちられにクロピドグレルで2剤飲んでいれば、間違えると3~4倍になります。高齢者の腎機能の手術となれば、このような組み合わせは十分にあり得ます。それらを踏まえると、7.5mgで効くというのではなく、実際こういった方の場合には7.5mgが4倍になれば、30mg以上を使ったことになります。そのようなファーマコダイナミクスから、30mgに割線を入れるのであれば、15mgにも割線を入れるべきだと思います。
○機構 笠貫委員のおっしゃる論点、曝露又は血中濃度を介した検討について、我々もどこまでいけるのかということをこの薬に限らず考えさせていただいているところです。先ほど申しました7.5mgの有効性がなかなか保証できないというところは、この薬の特徴として血中濃度とイベントの抑制や出血がなかなかリンクしていないところがございます。先生のおっしゃるところ、まさしくこれとこれが重なれば4分の1でも良いのではないかというのをどこまで認めるかについて、チームとしても議論させていただき、メーカーとも議論し、今回は7.5mgの選択肢を用意しなかったということでございます。
○審査管理課長 割線についてですが、今は15mgについては割線は無しとして、30mgについては割線ありということで、品質的なデータも踏まえて申請されておりますので、これは認めていただきたいと思います。15mgの7.5mgの割線の扱い方も含め、今後また効能追加等もございますので、それを踏まえて検討させていただきたいと思っております。
 押し出しの部分については、この薬剤だけという話でもないと思います。これで、特段問題があるということであれば、再度検討させていただきますが、取りあえずこのようにさせていただき、改めて、再度全体的な話になりますので、御意見等でお伺し、考えさせていただきたいと思います。
○望月分科会長 そのように収めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○笠貫委員 先ほどから、ポリシーをどのようにするのかという問題と絡むということで、最終的に今の検討で結構だと思います。いずれにしても、30mgには割線を入れるが15mgには割線を入れないということの矛盾点の問題、さらに、今回はPPKだけでは説明できず、血中濃度だけでは必ずしもPEの反映はしません。一方で、アスピリンで出血する時間が延びているというPEもはっきりしています。PPK、PEについて、この薬は複雑に関与しており、そちらを是非次回に御検討いただきたいと思います。そのような微量調節ができる割線だというポリシーだけは、きちんと確認しておいていただきたいと思います。
○望月分科会長 分かりました。宗林委員、お願いします。
○宗林委員 蛇足になりますが、入院患者さんにこの薬が出される時は恐らく、入院患者さんの机の上にシート状ではなく1錠置かれるのではないかと思います。もし、誤飲の注意の必要性があるのならば、患者さんはシートで見る機会が余りなく、誤飲の可能性は低いと思います。
○土屋委員 表示をどの位置に、どのようにするのかについては、基本的なフィロソフィーが必要だと思います。そもそも、記載できるので、何でも書いてしまうことでは注意にならない可能性もあります。そのため、消費者センターからの御依頼で、最近は必要がある時以外は切らないようにと言われています。それは、一般教養としてPTP包装に対しての注意であり、製剤1錠ずつに記載することにより、それが守られるというエビデンスはないと思います。この印刷を入れることによって、誤飲を防止できるということでは、逆にエビデンスが無いのではないかと思います。業界では、2錠に一つ記載を入れると決めていますが、それに違反すると安全性上何かが起こるわけではありません。
 私からすると、押し出される方に「押し出す」というマークを付ける方が、おかしいと思います。普通、押し出す方に「押し出す」というマークを付けるのが一般的だと思います。10年間で86人の方がPTPを誤飲したという事実を含め、その後通知が出たことを含めて言えば、一般的に薬剤を飲む時の注意点として、きちんと指導していく必要があると思います。
○望月分科会長 ありがとうございます。この薬だけではなく、すべてにかかわることですので、事務局で検討をお願いいたします。ほかに、この薬に関してはいかがでしょうか。安全性、有効性も従来のものには劣らないということですので、特段問題ないと思います。よろしいですか。
 特段の御異議がなければ、議決に入りたいと思います。
 五十嵐委員、木津委員、竹内委員、永井委員、橋田委員、望月眞弓委員におかれましては、寄附金等に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。後ろに用意してある席にお移りいただけますでしょうか。
 部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、再審査期間は8年、原体、製剤ともに毒薬、劇薬に該当しない、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますがよろしいでしょうか。
 御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いについては私に御一任いただいてよろしいでしょうか。
 それではそのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 これより報告事項に入らせていただきます。御担当の部会ごとに区切って報告をいただくこととしますので、まずは、副作用・感染等被害判定第一部会及び副作用・感染等被害判定第二部会の関係の議題2から、簡単に説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題2、資料2「副作用・感染等被害判定結果について」、御報告いたします。平成22年12月~平成23年2月までに開催されました副作用・感染等被害判定第一部会及び副作用・感染等被害判定第二部会の結果についてです。資料は、最初に3回分をまとめたものをお示しし、その後ろに各部会の判定結果をお示ししております。
 1ページの「判定結果(まとめ)」に沿って御報告いたします。副作用被害判定につきましては、新規250件、継続19件、現況56件の計325件について御審議いただきました。結果は、支給決定することが適当と考えられるものが281件あり、その内訳は、請求どおり支給決定するものが163件等でございます。また、不支給決定することが適当と考えられるものは35件あり、その内訳は、「疾病、障害又は死亡が医薬品の副作用により発現したと認められないため、不支給とすることが適当である」が9件等でございます。
 次に、感染被害判定につきましては、4件御審議いただきました。結果は、支給決定することが適当と考えられるものが4件あり、その内訳は、請求期間の一部について支給決定するものが3件等でございます。以上です。
 副作用・感染等被害判定第一及び副作用・感染等被害判定第二部会の結果の御報告でございます。
○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御質問はございませんか。
○望月眞弓委員 この被害救済の検討された日と、実際に副作用の起こった日というのはズレがあると思っていますが、ネオフィリンによる急性脳症による精神発達遅滞というのが、とても気になります。確か、3~4年前にネオフィリンによる小児の脳症で、精神発達遅滞が起こるということが話題になり、医薬品・医療機器等安全性情報に載ったか、添付文書の改訂だけであったのかは覚えておりませんが、そのような整理がされた記憶があります。その後、発熱時に使うとリスクが高まるということですが、まだ本当にこの薬が原因かどうかは議論のあるところと聞いております。添付文書(案)にも、喘息様気管支炎は発熱を伴うことが多く、他の治療薬による治療の優先を考慮すること、ネオフィリン投与中に発現した痙攣の報告は、発熱した乳幼児に多い、という書き方になっております。それ以降も、こうしたことが救済の対象になるような申請で出てきていることについて、どの程度の割合で出てきているのか、そちらの時期を教えてください。
○望月分科会長 ただ今の質問に対して、お答えください。
○事務局 御指摘いただいた事例というのは、どの事例でしょうか。
○望月眞弓委員 例えば、24ページの93番、98番、101番です。ネオフィリンとテオフルマートドライシロップになります。喘息、気管支炎、上気道炎で使っているものがあります。ほかにも、6ページの36番と10ページの113番があり、こちらは喘息で使われているようです。
○事務局 先生の御指摘の中の比較的番号が遅いものについては、障害の請求の継続というか現況といいまして、過去に起こったものを定期的に、障害の状態が続いているのかどうか確認するものでございますので、この表には、いつ起こったかということまでは、載せていません。結構前に起こったものも含まれております。ただ、御指摘いただいた6ページの36番は、そのようなものでは新たに判定されたものですが、こちらも障害を請求されておりますので、今ここの手元の資料では分かりませんが、だいぶ過去に起こったものについて請求されている可能性もあります。いずれにせよ、判定部会にて、適正使用の箇所も見ておりますので、不適正な使われ方で支給されているという事例ではございません。
○安全対策課長 恐らく、随分前の症例だとは思いますが、念のため確認し、望月先生に個別に御報告させていただきたいと思います。
○望月分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○望月眞弓委員 ネオフィリンが、一般用医薬品に配合されているかどうかは今は承知していないところですが、以前の記憶ですと一般用医薬品にも配合されています。適応症が喘息などではなく、別の形で呼吸が苦しいといった時に、親御さんがお子様に飲ませてしまうというリスクも全く無いわけではございません。ネオフィリンそのものの因果関係が、まだ明確ではないので、はっきりとした対応は難しいと思います。対応するためのエビデンスを集め、作成していく際には、安全対策課の方で御尽力いただけたら良いと思います。
○望月分科会長 ありがとうございます。事務局の方で、その点をへの対応をお願いします。
○安全対策課長 一般用医薬品の配合の状況についても、望月先生と御相談させていただきたいと思います。
○望月分科会長 お願いします。ほかに、御意見ございますか。
○小幡委員 参考までにお伺いしたいのですが、副作用被害判定結果は「取扱注意」、「委員限り」となっていますが、情報の公開や提供についてはどのように行っていますか。
○事務局 この情報については、それぞれの部会が終わった後、厚生労働省のホームページにて結果を公表しています。
○小幡委員 このままの形で、公表されるのですか。
○事務局 そうです。基本的には、同じ形になっています。
○小幡委員 分かりました。ありがとうございました。
○望月分科会長 ほかに、ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、医薬品第一部会、医薬品第二部会、生物由来技術部会の関係の議題3~11について、説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題3、資料3「医薬品スープレン吸入麻酔液の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本剤は、ハロゲン化吸入麻酔液であり、「全身麻酔の維持」の効能・効果となっております。本剤については本年1月31日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいたものです。
 報告事項議題4、資料4「医薬品リパクレオン顆粒300mg分包及び同カプセル150mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本剤は膵消化酵素製剤であり、「膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充」の効能・効果となっております。本剤については本年1月31日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいたものです。
 報告事項議題5、資料5「医薬品ミルセラ注シリンジ25μg、同注シリンジ50μg、同注シリンジ75μg、同注シリンジ100μg、同注シリンジ150μg、同注シリンジ200μg及び同注シリンジ250μgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本剤は持続型赤血球造血刺激因子製剤であり、「腎性貧血」の効能・効果となっております。本剤については本年2月21日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいたものです。
 報告事項議題6、資料6「医薬品イクセロンパッチ4.5mg、同パッチ9mg、同パッチ13.5mg及び同パッチ18mg並びにリバスタッチパッチ4.5mg、同パッチ9mg、同パッチ13.5mg及び同パッチ18mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本剤はアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」の効能・効果となっております。本剤については本年2月21日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいたものです。
 報告事項議題7、資料7-1、7-2「医薬品レクサプロ錠10mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本剤は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であり、「うつ病・うつ状態」の効能・効果となっております。本剤については本年2月21日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいたものです。
 報告事項議題8、資料8「医薬品セイブル錠25mg、同錠50mg及び同錠75mgの再審査期間延長の可否について」です。本剤につきましては、小児の用法・用量の設定及び小児集団における有効性や安全性を検討する治験の実施が予定されているため、再審査期間の延長が申請されたものです。本件につきましては本年2月21日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、再審査期間を2年間延長して差し支えない旨の結論をいただいたものです。
 報告事項議題9、資料9「医薬品ハラヴェン静注1mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本剤は「手術不能又は再発乳癌」の効能・効果となっております。本剤については本年1月20日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいたものです。
 報告事項議題10、資料10「希少疾病用医薬品の指定について(crizotinib、KW-6500、スチリペントール、Genz-112638及びミグルスタット)」です。ページをめくると一覧があります。医薬品の名称は「crizotinib(クリゾチニブ)」、「アポモルヒネ塩酸塩水和物」、「スチリペントール」、「Genz-112638」及び「ミグルスタット」です。予定される効能又は効果は、それぞれこちらの表に記載したとおりとなっております。これらの品目については、本年1月又は2月に開催された医薬品第一部会又は医薬品第二部会で御審議をいただき、希少疾病用医薬品として指定することで差し支えないとの答申をいただきまして、それぞれ一覧に記載した日付にて指定したところです。
 報告事項議題11、資料11「細胞・組織を利用した医薬品の品質及び安全性の確認について」です。ヒト由来の細胞・組織を加工した医薬品又は医療機器については、指針を参考として、治験前に品質及び安全性の確認を、厚生労働大臣に求めなければならないとされています。今回確認の申請があったのは、「骨格筋芽細胞シート」です。品目の概要としては、患者自身の骨格筋組織から採取した骨格筋芽細胞により製造される細胞シートです。予定される適応としては、虚血性心疾患又は拡張型心筋症に起因する重症心不全です。
 本件につきましては、本年1月19日に開催された生物由来技術部会において御審議いただき、品質及び安全性の確認をいただいたところです。この品目は今後治験が行われるというもので、今回の確認をもって直ちに製造販売というものではありません。
 なお、文書報告品目につきまして、宗林委員より御意見をいただきましたので、御報告いたします。お手元の文書報告一覧を御覧ください。資料107「医薬品エルペインコーワ、リフィットコーワの製造販売承認の可否について」、一般用医薬品部会の際に宗林委員より「添付文書の『相談すること』に緑内障とあるが、相談しても使用できないのであれば、医療用と同様に禁忌とすべきではないか」との御指摘をいただいておりました。これについては、添付文書中の「次の人には服用しないこと」の中で「次の診断を受けた人。緑内障」と記載するよう申請者が対応するとのことです。以上です。
○望月分科会長 医薬品第一部会長の松井委員から追加の御発言等ございますか。
○松井委員 ありません。
○望月分科会長 医薬品第二部会長の吉田委員から追加の御発言等ございますか。
○吉田委員 特にありません。
○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御質問はございませんか。
○望月眞弓委員 資料102-1のトラマドールとアセトアミノフェンの合剤ですが、薬として効果等に問題があるわけではありません。ただ麻薬ではないですが、オピオイドに該当する成分ということで依存性があります。今までの経験から、日本人であればアセトアミノフェン製剤は1,500mgでしたが、恐らく今回量が増えると思います。そのことから、今回のデータだけでは、アルコールの常用者や多飲の患者さんたちに対して、アセトアミノフェンの毒性がどの程度になるのか、資料から余り把握ができませんでした。添付文書(案)の書き方も、アルコールの多飲とアセトアミノフェンの肝障害の発現のリスクの上昇などに関する記述が、はっきり分かるような記述になっておりません。アルコールのことと、アセトアミノフェンの肝障害のところが分散して書かれていることから、明確ではないと思いました。
 それから、添付文書(案)の2ページの重要な基本的注意の2)には、「連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。」という記述があります。しかし、トラマドール単剤の成分の添付文書では、こちらに「(副作用の項を参照)」と記載されております。大切なことは、薬物依存を生じてしまう可能性があるので、急ではなく徐々にやめる必要があることを伝えることです。「慎重に観察する」という表現だけでは、それが理解できません。リスク回避の行動にはつながらないというところを考え、もう少し明確に記述をしていただければと思います。きちんと副作用の項を見れば、依存性の箇所にそのような記述がされておりますので、そちらを見てもらうような記載はできると思います。
 今回のものを拝見すると、そちらの2点の情報が相手に伝わる形になっていない気がしました。その辺りをもう一度、御検討いただけると良いと思います。
○望月分科会長 ありがとうございます。お答えできますか。
○新薬第三部長 御質問、御意見ありがとうございました。アルコールとアセトアミノフェンの記載の件ですが、望月眞弓委員がおっしゃられるように、多少いろいろな所に記載があります。基本的には、禁忌の項の1に、アルコールによる急性中毒が記載されています。トラマドール等の併用による急性中毒が起こる患者さんがみられたということから、こちらの方で記載をしています。また、使用上の注意の2あるいは14で、アルコールとの併用について記載しています。引用については、再度申請者と検討しまして、適当な時期に添付文書の変更が必要であれば、その旨対応していきたいと考えています。
○望月分科会長 よろしいですか。適当な時期ということですと、余りはっきりしないのですが。
○望月眞弓委員 ほかのツールも使ってきちんと情報提供していただき、特に患者さんに対して情報提供していただくツールを工夫していただくのが一つだと思います。先ほど、依存性についての御回答がありませんでした。急にやめないとのことですが、長期にわたって慢性疼痛に使われますので、歯痛の時には良いと思うのですが、慢性疼痛の患者さんにきちんと伝わるようにしていただく必要があると思います。
○望月分科会長 そのようなことで、機構の方から申請者に添付文書を修正するように伝えていただくのが適切かと思いますが。
○新薬第三部長 適正使用関連資材としては、医療従事者向けと患者さん向けにそれぞれ別個のガイドブック等を用意しています。医療従事者向けには、適正使用ガイドブックということで、非がん性慢性疼痛、抜歯後疼痛にかかるもの、それから患者向けにはトラムセット配合錠を服用される患者さんへということで、処方時ごとに配付可能なリーフレット、それから痛みの治療日誌というものを配付して、適正使用の推進に向けて資材を提供する形で考えております。
 さらに、添付文書(案)の重要な基本的注意の項の6に、重篤な障害が発生するおそれがあるので注意することとあります。アセトアミノフェンの総量が1,500mgを超す高用量で、長期の場合に定期的に観察をしていただくということも記載されています。さらに、高用量で投与する場合なども、特に患者の状態を十分に注意して、異常がみられた場合には減量、休薬等の措置を講じることというような記載もしております。薬物依存については、重要な基本的注意の2の「連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い慎重に投与していただきたい」という点になります。副作用の項を引用できるよう適切な記載にする旨申請者に伝えたいと考えております。
○望月分科会長 ありがとうございます。ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、医療機器・体外診断薬部会の関係の報告事項議題12、13について、説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題12、資料12「医療機器『ノボリ』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」です。こちらは、テルモ株式会社から申請されていましたノボリ冠動脈ステントです。こちらは、経皮的にステントを血管内に挿入しまして、冠動脈の狭窄部を拡大、維持するために使用する薬剤溶出ステントです。再狭窄を抑制するために、バイオリムスA9という薬剤が用いられております。こちらについては、対象血管径が2.5~3.5mmの範囲にあり、新規の冠動脈病変を有する症候性虚血性心疾患の患者の治療を効能・効果としています。部会の審議結果ですが、部会の審議結果報告書を御覧いただければと思います。この品目は、承認条件が三つ付いています。こちらは、遅発性のステント血栓症ということで、30日以後に起こる血栓症が特に薬剤溶出ステントについて問題になっているということもあり、本品で行った臨床試験の対象患者の予後をフォローすること、またその使用成績調査によって長期予後についての経年解析を行うこと、それから再審査期間中に起こったステント血栓症について報告を速やかにすると共に、適切な措置を講じること、という三つの条件を付した上で、再審査期間を3年として承認することが適当であり、また、生物由来製品、特定生物由来製品には該当しないという審議結果をいただきました。
 報告事項議題13、資料13「医療機器『ヒト自家移植組織』の希少疾病用医療機器としての指定の可否について」です。こちらは、当日配付資料も配付させていただいております。希少疾病用医療機器の指定です。今回対象となったものは、ヒト自家移植組織、販売名ジェイス、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングのものでございます。希少疾病用医療機器として予定される使用目的ですが、表皮水疱症患者に発生する難治性のびらん・潰瘍部位に適用し、速やかに上皮化させるというものです。この表皮水疱症に対する本品の適応について、対象者数、医療上の必要性、開発の可能性を御審議いただきまして、希少疾病用医療機器として指定することが適当との審議の結果をいただいたところです。以上です。
○望月分科会長 医療機器・体外診断薬部会長の笠貫委員から追加の御発言等ございますか。
○笠貫委員 特にありません。
○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御質問はございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、指定薬物部会の関係の報告事項議題14について、説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題14、資料14「指定薬物の指定について」です。麻薬に類似した違法ドラッグ、いわゆる脱法ドラッグと称していますが、この乱用が社会問題化しまして、こちらに対応するため、平成18年の薬事法改正により、指定薬物の制度といったものが設けられております。指定薬物については、薬事法第2条第14項において、中枢神経系の興奮、抑制、あるいは幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、ヒトの身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生する恐れがある物として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定するものとされております。法律上は、このような乱用の恐れのある物質について、指定薬物に指定をすることにより、製造、輸入、販売、授与、それから販売の用に供するための貯蔵、陳列といったことが禁止されることになります。
 2月22日に、本年度第2回目の指定薬物部会が開催されまして、資料14に記載の9つの物質について、指定薬物に指定することの可否について御審議をいただいたところです。審議の結果、中枢神経系への作用を有する蓋然性が高く、また新たに国内において流通が認められ、乱用された場合の保健衛生上の危害が発生する恐れがある物としまして、指定薬物として指定することが適当であるとの御意見をいただいております。また、本件9物質の指定薬物への指定については、パブリック・コメント、WTO通報等必要な手続きを経て、4月中にも省令改正を行う予定としております。以上です。
○望月分科会長 部会長である私からは、補足する点はございません。
 委員の方々から、御意見、御質問等はございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、血液事業部会の関係の議題15~17について、説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題15、資料15「平成23年度の血液の推進に関する計画について」です。この献血推進に関する計画は、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」であり、通常血液法と略していますが、こちらの第10条第1項に基づき、厚生労働大臣が毎年度定めるものとされております。内容としては、平成23年度に献血によって確保すべき血液の目標量、及びこれを達成するために必要な事項を定めています。
 平成23年度に必要と見込まれる輸血用血液製剤の量を確保するために必要となる原料血漿の目標量としては、全血採血145万L、成分採血62万Lの合計207万Lを確保することとしております。この目標量を確保するために必要な事項として、効果的な普及啓発や献血者募集等の推進として、例えば幼少期を含めた若年層、企業、団体、複数回献血者に対しての普及啓発など、また献血者が安心して献血できる環境整備等の活動を実施することとしています。そのほかに、献血の推進に関する重要な事項として、血液検査による健康管理サービスの充実、献血者の利便性の向上、災害時などにおける献血の確保等の対策を推進することとしております。本計画については、本年3月8日に開催されました血液事業部会において了承されております。こちらに基づきまして、3月23日告示、4月1日から実施する予定です。
 報告事項議題16、資料16「平成23年度の献血の受入れに関する計画の認可について」です。こちらは、採血事業者であります日本赤十字社による献血の受入れに関する計画で、血液法第11条に基づき毎年度作成すると共に、事前に厚生労働大臣の認可を受けることが必要となっているものです。内容としては、献血により受け入れる血液の目標量、先ほどの資料15ですが、こちらの血液の目標量を確保するために、日本赤十字社が国、地方自治体と連携しつつ実施する措置や取組等が記載されているものです。3月23日に認可済みでして、4月1日より実施予定となっております。
 報告事項議題17、資料17「平成23年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)について」です。こちらは、平成23年度に必要と見込まれる血液製剤の種類、量、国内で製造又は輸入されるべき血液製剤の種類、量の目標、またそのために確保されるべき原料血漿量の目標等を定めるものです。平成23年度に目標とする原料血漿の量は、95万Lとしているところです。本計画においても、3月8日に開催した血液事業部会において了承済みです。こちらに基づいて、3月23日に告示、そして4月1日から実施予定となっています。以上です。
○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御意見はございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、その他事項議題18、薬事分科会における確認事項の改定につきまして説明をお願いします。
○事務局 その他事項議題18、資料18「薬事分科会における確認事項の改定について」です。まず、改正の趣旨です。前回の昨年の12月の薬事分科会で、薬事分科会・部会の審議の対象の範囲の見直しの検討を行うことについて御報告をいたしました。こちらの点については、別添1として裏側にありますが、前回の資料を付けております。簡単に御紹介しますと、「1.背景」ですが、昨年度6月と9月に「規制・制度改革に係る対処方針」、また「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」といった閣議決定において、承認審査にかかる手続きの見直しについて指示を受けております。また、「3.今後の対応」になりますが、昨年4月に最終提言の取りまとめをいただいた「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」においても、厚生労働省での審議会等の手続きに要する期間の短縮についても考慮すべきといった御指摘をいただいたところです。
 1ページに戻っていただきまして、「1.改正の趣旨」の2点目ですが、今回見直しの対象とさせていただくのは、医薬品、医療機器、それから動物用医薬品の承認に関する部分です。この分科会・部会の取扱いについて、安全性の適切な評価に配慮しつつ、審議会の効率的な運用が求められている状況ですので、部会審議の充実を図った上で、この取扱範囲を見直したいということです。
 「2.改正(案)の内容」です。具体的な内容ですが、従来の分科会審議のうち、医薬品については新規性の高い新有効成分含有医薬品、医療機器については新構造医療機器、それから動物用医薬品については、新有効成分含有動物用医薬品が従来審議品目でしたが、今後は部会審議品目とし、分科会は報告とさせていただければと思います。分科会審議品目としては、適用・毒性・副作用などの観点から、慎重な審議が必要なものとさせていただければと考えています。
 2点目の○ですが、今回の見直しに伴いまして、新たに、分科会における委員と同様の分野の委員を部会委員として委嘱し、追加でお願いをすることで、部会における審議を充実させていきたいと考えています。また、審議会の透明性を図る観点から、今後分科会審議の対象となる医薬品、医療機器については、社会的関心が極めて高いものについて原則としてパブリック・コメントとして、一般からの御意見を集めまして、この結果も踏まえて御審議いただきたいと考えております。具体的な改正案については、3ページの別添2の薬事分科会における確認事項となっております。まず、新旧対照表がありますが、11.に分科会審議についての意見、パブリック・コメントをいただく点についての文言の整備をしております。4ページ以降に表がありますが、まず医療用の医薬品、医療機器、それから動物用医薬品となっておりますが、それぞれ一番上の分科会審議の部分について、先ほど申し上げたような変更、そしてこれに伴いまして部会審議の部分についても、多少の変更をしているものです。
 なお、「3.施行時期について(予定)」ですが、本日この確認事項についてお諮りしますが、仮に御了解をいただけた場合、4月以降、改正後の確認事項に基づき、承認に関する部会、分科会を開催させていただきたいと考えています。よろしくお願いいたします。
○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御質問はございませんか。
○小幡委員 透明性を図るという観点から、パブリック・コメントは大変よろしいかと思います。こちらの期間は、どのぐらい取る予定ですか。
○事務局 原則として、30日間御意見をいただくことになっております。
○小幡委員 パブリック・コメント自体は大変良いことだと思います。しかし、パブリック・コメントに対しての回答を載せたりすることへの対応で日数がかかり、そのために遅くなってしまうことがないよう、速やかに運営していただければと思います。よろしくお願いします。
○望月分科会長 パブリック・コメントをした後に、薬事分科会にかけるということですね。
○事務局 はい。
○望月分科会長 ほかに、御意見はございますか。医薬品第一部会と医薬品第二部会が、これから結構大変になると思います。ほかには、ございますか。この分科会についてですが、今まで行っていたことは、ほとんど部会で議論していただき、なるべく全体の審議の期間を短くするということが一つの目的です。その結果、ほとんどが報告になりますが、先ほど望月眞弓委員から御指摘がありましたが、報告事項においても問題があるような場合には、きちんとそれに従って答えていただくということでよろしいですか。
○事務局 対応させていただきます。
○望月分科会長 そのようなことだそうです。ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件について薬事・食品衛生審議会規程第5条に基づき御了承いただいたものとします。続いて、追加のその他事項につきまして説明をお願いします。
○事務局 当日配付資料議題20「東北地方太平洋沖地震の影響により製造・出荷等に支障が生じた場合の医薬品、医療機器の変更等の取扱いについて」です。今般の東北地方太平洋沖地震の影響に関する点について、一つ御報告をさせていただきます。まず、経緯ですが、今般の地震の影響により、例えば医薬品、医療機器の製造所が被災をする、あるいは停電等の事情がございまして、医薬品、医療機器の製造、出荷に支障が生じるケースが想定されます。想定されるとなっていますが、一部そういった具体的な事例も出てきているところです。こういった場合、例えば製造所を変更するなどという手当が必要ですが、こういった変更にあたっては、承認事項一部変更承認申請を行っていただいた上で実施をすることになります。こういったものの申請、承認については、一定の時間がかかるということで、実際の製造、出荷には時間が無いというようなケースもございまして、医療上必要な医薬品、医療機器の供給ができなくなる恐れが生じております。医療上の混乱を招かないように、医療現場に必要な医薬品、医療機器を継続して提供するという観点から、この地震に対して緊急的な措置を講じてまいりたいという趣旨です。
 「2.緊急的な措置の対応と安全の確保について」に、具体的な内容が記載されております。昨日付けですが、事務連絡を各自治体、関係団体宛に発出させていただいておりまして、その内容を御紹介させていただきたいと思います。趣旨については、先ほど申し上げましたように、安全性を確保しつつ、迅速な製造、出荷が確保されるように、変更の取扱いについて具体的な周知徹底を図ったということです。まず、この緊急的な措置の対応の事例ですが、1.にあるような新たに医薬品や医療機器を製造する製造所を追加するケースについては、承認事項一部変更承認事項ということになりますが、申請をいただいたものについて迅速に審査をすることで対応するというものです。
 2点目は、特例的に軽微変更届出で対応とあります。軽微変更届出ですが、これについては製造方法などで変更の内容が軽微であるものについては、事後的な届出で対応が可能ということです。こちらは、従来の薬事法の中でも一定の範囲で運用してきたものですが、今回特例的にその範囲について安全性を留意しつつ広げるということで、緊急的に対応させていただくものです。事例として、生物製剤の保管、それから包装/表示場所の追加、添加剤・原材料の異なる海外承認製品を一時的に輸入するようなケースについては、有効成分と含有量は変わりませんが、一部添加剤や原材料が異なるようなケースが出てくるということです。さらに、原薬の製造場所の一時的な追加が、こういったもので対応できるようなケースと考えています。
 一方で、こういった措置を取ることに関しては、安全確保も重要ですので、3点ほど今回指示をしております。1点目ですが、今のような軽微な一部変更を行った場合については、自社で当該製品の一定の品質、有効性、安全性を担保するための措置を講じていただくということで、自社でよく御確認をいただいたものを出荷することになります。2点目は、こういった形で変更した製品を出荷するにあたって、副作用報告、不具合報告について十分配慮がなされるよう、納入先の医療機関などに情報提供を十分に行っていただくということで、安全対策に万全を期していただくことになります。
 3点目は、こういった届出については、あくまで緊急的な措置でありますので、変更前の対応が可能となった段階で速やかに変更前の承認内容に戻していただくようにお願いをするという内容になっております。2ページをお開きいただきますと、別添で、昨日発出させていただきました事務連絡があります。今、申し上げたような点について説明をしています。また、個別の相談が必要になることがありますので、各担当連絡先などの紹介をいたしました。
 6ページを御覧ください。参考資料になります。平成19年4月の薬事・食品衛生審議会薬事分科会の資料ですが、今回と少し似たようなケースということで、医薬品の添加剤であるメチルセルロースを独占的に作っている信越化学工業株式会社が、爆発火災事故を起こしまして、このメチルセルロースなどが一時供給ができないというようなことがありました。この際に、医療上必要な医薬品の安定的な供給に危機がありましたので、今回と同様に軽微変更届出などを活用した対応を取らせていただきました。今回の措置については、この信越化学の時の事例などを参考に、措置を取らせていただいたものです。以上です。
○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御質問はございませんか。
○土屋委員 こちらは極めて重要で、私は今栃木の病院に行くことがありますが、1日に二度計画停電が起きることがあります。医療機関も大変ですが、恐らく製造業者にしてみれば、薬を作るというGMPの様々なルールの中、それができなくなっていると思います。さらに、停電を実行するのか、しないのかは直前に判断され、2回目は中止されることもあります。そんな中、今工場が潰れたり、被害に遭ったことからの供給不安もあります。計画停電が今後続くことを考えると、製造として様々な対策を取っていかなければいけません。内容の担保は確実に行うことが必要ですが、緊急の場合とはいえ、現実としてかなり長期的な視野に立ち、是非そこは柔軟に対応していただけたらと思います。
○望月分科会長 重要な御指摘ですので、よろしくお願いします。ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは本日の議題はすべて終了いたしました。その他に何かございますか。よろしいでしょうか。
 次回の薬事分科会は6月を予定しておりますが、今後日程調整の御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、これで薬事分科会を閉会させていただきます。本日は長い時間どうもありがとうございました。


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 総務課薬事審議会係 彦坂(内線2785)

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