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2011年5月23日 第4回 医療計画の見直し等に関する検討会

医政局指導課

○日時

平成23年5月23日(月)14:00〜16:00


○場所

全国都市会館第2会議室


○出席者

委員

武藤座長
伊藤委員 尾形委員 神野委員 齋藤委員 佐藤委員 末永委員
鈴木委員 中沢委員 長瀬委員 伏見委員 布施委員 山本委員
吉田委員 小井土参考人 高橋参考人 田城参考人




○議題

1.災害医療について
2.医療連携のための実際的手法等について

○配布資料

資料1 「災害医療について」(厚生労働省医政局指導課救急・周産期医療等対策室 宮本室長)
資料2 「東日本大震災におけるDMAT(災害派遣医療チーム)の活動について」(小井土DMAT事務局長(国立病院機構災害医療センター臨床研究部長))
資料3 「二次医療圏データベースを用いてわかること」(国際医療福祉大学大学院 高橋教授)
資料4−1 「循環器疾患の地域医療連携の取り組み」(順天堂大学医学部 田城准教授)
資料4−2 「地域医療計画と医療・介護連携」(順天堂大学医学部 田城准教授)

○議事

○武藤座長 定刻になりましたので、ただいまから「第4回医療計画の見直し等に関する検討会」を始めたいと思います。委員の皆様方には大変お忙しい中、遠方よりご出席を賜り、誠にありがとうございます。
 今回、3月11日の東日本大震災後の初めての検討会ということですので、まず今回の震災でお亡くなりになった方々、ご遺族の方々に心よりお悔やみを申し上げたいと思います。また、すべての被災者の皆様方にも心からお見舞を申し上げたいと思います。
 今回の震災を契機に、今日のテーマでもある災害医療計画も含めて、医療計画の重要性というのはますます大きなものになってきたと考えています。委員の皆様方には是非、今後とも引続きご協力のほどお願いしたいと思います。
 まず出欠についてなのですが、本日は全員が出席予定です。ただ、日看協の齋藤委員と、伏見委員がまだご到着になっておりませんが、いずれお見えになると思います。
 なお、今回、日本歯科医師会の池主委員がご退任され、後任として、本日の検討会より佐藤委員がご就任されました。

○佐藤委員 日本歯科医師会の佐藤と申します。

○武藤座長 よろしくお願いしたいと思います。それから、今日の参考人として、本日は厚生労働省のDMATの事務局長であり、国立病院機構災害医療センター臨床研究部の小井土雄一部長、国際医療福祉大学大学院の高橋泰教授、順天堂大学医学部の田城孝雄准教授にご出席いただいています。後ほど、専門的な立場からいろいろご意見を賜れればと思っています。
 議事に入ります前に、事務局から資料の確認等をよろしくお願いいたします。

○猿田室長 事務局から資料の確認をさせていただきたいと思います。まず、1枚紙で、議事次第、座席表、構成員名簿があります。資料は5点になります。資料1「災害医療について」、資料2「東日本大震災におけるDMATの活動について」、資料3「二次医療圏データベースを用いてわかること」です。資料4-1が「循環器疾患の地域医療連携の取り組み」、資料4-2が「地域医療計画と医療・介護連携」です。
 それから、本日、高橋参考人の持込み資料が1枚紙であります。これは円卓のみの配付となっています。それから田城参考人からの持込み資料ということで「私の健康管理手帳」、「健康管理ノート」です。これらにつきましても円卓のみの配付となっております。資料の不足等ありましたら事務局員までご連絡ください。資料の確認は以上です。

○武藤座長 それでは、これから議題に入りたいと思います。これから先、写真等の撮影はご遠慮願います。
 まず、議題1の災害医療について審議したいと思います。最初に、救急・周産期医療等対策室の宮本室長に、「災害医療について」と題してご発表をお願いしたいと思います。

○宮本室長 よろしくお願いいたします。救急・周産期医療等対策室の宮本です。「災害医療について」の資料をお開きください。こちらの資料に基づきまして順次、説明してまいります。
 まず、「災害の区分」ということで種類がございます。大きく分けて「自然災害」と「人為的災害」に分かれます。自然災害としては、地震、風水害、火山噴火、その他となります。人為的災害としては、事故災害、テロ・犯罪、火災・ガス爆発、その他ということです。基本的には同等の対応を行うわけですけれども、特に人為的な災害につきましては発災現場での対応について、その災害に応じた特別な対応を行うということです。これは医療だけに限らず、救助の方々も同様に災害に応じた対応を行っているということです。
 これに対する「災害時における厚生労働省の役割」、この中で特に救急医療という点ですが、災害後の急性期における対応としては、私どもとしては以下の4つの取組みに重点的に取り組んでいます。1つは、全国的な情報ネットワーク、EMIS(Emergency Medical Information System)と言っています。こちらにより、医療機関の情報等を集約させて調整するという取組みです。後ほど、また説明させていただきます。2番目としては、患者の受入れ医療機関を確保するという点から災害拠点病院の整備を進めています。3つ目としては、被災地における医療活動の展開として、災害派遣医療チームの要請と派遣、DMAT(Disaster Medical Assistance Team)と言っておりますが、こちらの取組みを進めております。これについては、後ほど小井土先生より詳しくご説明いただける予定です。4番目は、地域又は全国規模の支援として、広域医療搬送があります。こちらも後ほどご説明させていただきますが、被災後に遠隔地での治療が必要な患者を搬送していくオペレーションに取り組むこととしています。
 その下はこれを時系列で見ていったものです。いまの4つの取組みというのは主に急性期の取組み、いわゆる緊急医療に該当するものです。また、今回の経験も踏まえますと、ほぼ同時期に医療機関における医療活動を支援していく機能も重要になってまいります。これはDMATも取り組んでいるところですし、そのほかの医療従事者においても取り組んでいただいている課題です。徐々に時間が経過しますと、医療機関における取組み、救護所等における健康管理、こういったところに課題が移ってきます。これらを含め、日本医師会をはじめとする多くの医療団体、薬剤師会、その他の病院団体、多くの皆様にご協力をいただいて、現在でも1,000名以上の方にご活躍いただいている状況です。
 次頁の「我が国の災害医療体制」、これは特に発災直後の体制を示しています。いまの4つの要素を地域として見ますと、被災地域における災害拠点病院やDMATにおける取組みと、それから被災地域外における災害拠点病院などからの支援、こういったものを組み合わせて全体として災害医療を確保していこうという全体像となっています。
 それぞれの要素を一つひとつ、次のところから示しています。「広域災害救急医療情報システム」というのは、先ほど"EMIS"とご紹介しましたけれども、災害拠点病院を中心とする救急医療機関に緊急時の入力情報を行っていただきます。この中ではライフラインの可否、患者の収容の可否、建物・施設被害の有無、その他、こういった情報を収集してまいります。もう少し余裕が出てきた段階で、さらに詳細な情報を入力していただくことにしております。手術の受入れの可否、人工透析の受入れの可否、こういった細かい点を入力していただくようになっています。併せて、転送が必要な患者がいるのかどうか、その数、ライフラインの状況についてもより詳しい状況を入力していただいて、全国のシステムに乗せていくということになります。入力いただいた情報は全国で閲覧できるようにしていきますが、バックアップの体制として東西に2つの拠点が設けられており、どちらか1つが機能しないような場合でも全体としては機能するような形で取り組んでいるところです。
 次頁は「災害拠点病院」の取組みです。災害時の対応として、24時間対応可能な緊急体制を確保する。救命救急として、多発外傷や挫滅症候群、広範囲熱傷等の災害時に多発する救急患者の治療を行うための診療機能を持つ。それから、多数の患者の受入れや搬出といった広域の搬送の対応を行う。自己完結型の医療救護チームの派遣を行う。それから、地域のほかの医療機関への支援ということで応急用の資器材の貸出しを行う。また、応急用医療資器材や応急用医薬品、テント、発電機、飲料水等の備蓄を行う機能を持ち、体制を整備するというものであります。
 設置方針としては、基幹災害拠点病院を原則として各都道府県に1カ所ずつ、地域災害拠点病院を原則として2次医療圏に1カ所ずつ整備する。ただ、現在の状況はそれを上回る整備状況になっており、平成23年1月1日現在の指定状況は609病院となっています。
 続いて「災害派遣医療チーム」についての説明です。「災害派遣医療チーム(DMAT:Disaster Medical Assistance Team)」というのは災害急性期、主に発災後48時時間以内に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チームです。平成17年3月から災害派遣医療チーム研修事業により、災害医療センターなどにおいて養成事業を行っているところです。平成23年4月1日現在までに846チームが研修を修了しており、平成23年度までに1,000チームを養成する計画で取り組んでいます。
 1チームのDMATは5名からなっています。その中に1名から2名のドクター、それから看護師、事務的な作業を行うメンバー、そういった方々によって構成されています。
 その中で、特に意識していた点として、「広域医療搬送」という取組みを行っています。これは阪神大震災の状況、反省を踏まえて考えられてきたものです。被災地における医療機関では十分な傷病者の対応ができないという状況の際に、地域外の医療機関に対し、自衛隊などとの連携により患者を搬送して遠隔地での治療を行うということで、日本全体として、患者の救命率の向上を行うという取組みです。今回の東日本大震災でもこの取組みを行ったところです。
 次頁からは、「今回の震災への対応」につきまして、私どもに関連する部分を簡単に紹介させていただきます。DMATについては後ほど詳しい説明をいただけるものと思います。
 まず、「DMATの活動概要」です。活動場所としては岩手県、宮城県、福島県、茨城県の4県でした。活動チームとしては約340チーム、約1,500名の方に出動いただきました。派遣元の都道府県としては、被災県を含む47全都道府県より出動をいただいています。活動期間としては3月11日の発災当日より3月22日までの12日間でした。活動内容としては、被災地内における病院の支援、被災地内の医療機関の間での患者の搬送、先ほど申しました被災地外への患者の搬送ということも行っています。それから、今回の災害の特徴として原子力発電所に関連する部分もありました。また、津波によって孤立した医療機関の救出もありました。入院患者を避難させるための搬送にも従事しています。
 次頁は、そのほかの取組みです。私どもとしては、DMATは急性期における治療でありますけれども、その後の対応というのも引続き行ってきているところであります。被災地への医師等の医療従事者の派遣調整ということを進めてきました。これは当然、実際に医師等を派遣いただくのはそれぞれの医療機関、それぞれの団体ですので、私どもとしては日本医師会等の関係団体に対し、医師等の医療従事者の派遣への協力をお願いし、それぞれ取り組んでいただいたところです。こちらについては、皆様に本当に大きなご尽力をいただいており、大変ありがたく思っております。
 その後の対応として、医療機関等を支援する6月以降の医療チームの派遣については、被災県の意向を踏まえつつ、関係団体の協力を得て調整を進めていきたいと思っています。まだまだ長く続くものと思っています一方、地域によりましては通常の診療体制になるべく早く切り替えていきたいといった状況もあり、全体としては医療チームの派遣数というのは徐々に低下傾向にございます。これで十分かどうかということは被災地の自治体ともよく相談し、併せて、派遣していただく団体の皆さんともご相談して進めていきたいと思っています。
 次にあります図は、具体的に医師等の派遣調整をどのように行うかということで私どもで作った仕組みです。自治体の要望を調整いたしまして、場合によっては医療機関からのご要望にかなり近い形で承り、調整をしていこうということで仕組みを作ったものです。皆様方、各団体の取組みにより、そこまでには至っておりませんが、いつでも対応できる準備を進めているところです。
 最後ですが、「東日本大震災における医療分野の特徴及び検討課題について」ということでまとめています。私どもとしては、今回の災害は未曾有のものであり、医療機関の皆様、関係者の皆様には本当に大きなご尽力をいただいたものと思っております。ただ、何分にも、これまでなかった部分もありますので、今回の経験を踏まえて取り組んでいかなければいけないと思っています。
 現状の認識ですけれども、「医療需給」としては、地震より津波の影響が大きく、阪神・淡路大震災と比較して死亡者の割合が多く、負傷者の割合が低かったというのが状況でした。避難所生活の長期化に伴い、慢性疾患患者への医療ニーズが多数発生しているものと認識しています。また、元来、医師不足である地域が被災したことにより、医療需給の一層の逼迫が見られたと認識しています。まとめますと、医療需給のギャップについては、今回はDMAT・医療関係団体等からの医師派遣により対応してきたところですが、今後の医師等の確保や医療機関間の連携が課題であると認識しています。
 「医療機関の置かれた状況」でありますが、今回の災害では地震や津波による道路網の損傷とガソリン不足のため、職員の出勤、患者搬送、医薬品等の物資の搬送が大変困難となりました。また、固定電話・携帯電話とも接続が非常に困難となり、通常の通信手段が途絶しました。広範囲にわたりインフラが機能停止し、停電・断水等が発生したということでした。今回の災害で災害拠点病院にも被害が生じましたが、今後、拠点となる医療機関等が有すべき機能がどのようなものであるのか、その点を明らかにすることが課題であろうと考えています。
 これらの状況を踏まえ、私どもとしては、災害医療体制の一層の充実を図る観点から、災害医療のあり方について検討を行うための場を別途設け、その中で検討を進めていきたいと思っています。平成23年度中を目途に検討結果を取りまとめて、こちらの医療計画のほうにもその内容を反映させていきたいと考えているところです。具体的な取組み時期や内容については現在調整しているところですので、調整ができ次第、なるべく早く取り組んでいきたいと考えています。私からは以上です。

○武藤座長 宮本室長ありがとうございました。引き続いて、小井土参考人の発表のあとに、まとめて質疑応答を行います。それでは小井土参考人、お願いします。

○小井土参考人 災害医療センターの小井土です。よろしくお願いします。私のほうからは、今回の震災に対するDMATの活動の概要を説明します。
 資料2です。最初に、「地震の概要」です。地震の概要に関しては皆さん知るところですので、今回の震災を医療の面から見るとどのような特徴があったかです。一つは今回の震災は被災地が非常に甚大広域だったことです。東日本の沿岸部にわたる400kmということで、被災地が広域であることが医療の展開を困難にしました。二つ目は、人的被害は地震災害より津波災害により起こったことです。ここには津波の大きさが各地域で10m以下に書いてありますが、これはもう、計測不能であったということで、場所によっては30m以上の津波が来たというのは、皆さんの知るところです。宮本室長のほうからもご案内がありましたが、今回の被害状況、人的被害の特徴は、'All or Nothing'と言いますか、無傷か死かということです。これは津波災害の1つの特徴であるわけですが、それが非常に顕著に出ました。阪神・淡路のときには6.8人のけが人に対して1人死亡でしたが、今回の震災に関しては2万5千人以上の方が亡くなったのに対して負傷者が5千人ぐらいで、けが人の5倍以上の死者が出たということで、世界の災害でも非常に稀な災害のタイプでした。
 次頁は「DMAT活動概要」です。今回、DMATは340チーム、約1500名が岩手・宮城・福島・茨城の4県に対して入っております。活動期間は3月11日から3月22日までの12日間です。活動内容は、病院支援、域内搬送、広域医療搬送、そして病院入院患者の避難搬送です。今回、DMAT事務局がとった初動の対応ですが、14時46分に発災があり、4分後にはDMAT本部を設置しています。15時10分には全国のDMAT約5,000人の隊員に対して待機要請を出しています。16時過ぎには各県から派遣要請をいただきましたので、岩手県は岩手県立医大、宮城県は仙台医療センター、福島県は福島県立医大、茨城県は筑波メディカルを参集拠点として、隊員に出動要請を出しています。
 次頁です。約1500人のDMATが参集したわけですが、そのうちの82チーム・384名が空路で入っています。新千歳から1便、伊丹から4便、福岡から3便、計82チーム・384名の人たちが空路で入っています。基本的にこの82チームはSCU(Staging Care Unit)を立ち上げるために空港に入っています。SCUというのは、空港の中に設置する広域搬送拠点臨時医療施設です。そこに重症患者を集めて、そこで状態を安定化して広域搬送をするわけです。
 次に各被災県での活動状況ですが、岩手県に関しては9日間活動しています。SCUを花巻空港と岩手県消防学校に設置しています。また、調整本部と書いてありますが、岩手県だけでなく宮城、福島、茨城の各県で統括DMAT、これは平時に県が指名しているDMATのリーダー的な存在で、地元の人ですが、その人たちが非常に早い段階で県の災害対策本部に入り、DMATの調整をしましたが、それが調整本部です。これも計画どおり非常に迅速に配置がされました。岩手県は病院支援が非常に長期に必要であったので、9日間の活動となりました。
 次に宮城県の活動としては3月11日から16日までの6日間です。SCUは自衛隊霞目基地に設置して、患者を受け入れています。もう1つ石巻総合運動公園と書かれていますが、これは3月14日に石巻市立病院が孤立して約170人の患者が取り残されたのに対し、これに対してもDMATが172人の搬送、主にヘリで行われましたが、その搬送支援に関わっています。その際に中継地点として石巻総合運動公園にSCUを設置しました。
 次に福島県です。活動期間が5日間と6日間となっていますが、最初の5日間は地震・津波災害に対する活動期間で、17日からの6日間というのは、福島県内20km〜30km圏内の入院患者の移送のために改めての福島県からのDMAT要請です。SCUは福島空港に立ち上げました。いわき光洋高校、サテライト鹿島というのは、30km圏内の患者の移送をするときに、この二カ所にチェックポイントを立て、被ばく量のサーベイを行って、医療チェックも合わせて行い、患者が移送に耐えうるかどうかをDMATが判断をして、場合によっては高次の医療施設に搬送しました。
 次に茨城県です。活動は3月11日から18日の8日間です。調整本部に統括DMATが入り、病院支援を中心に行っています。
 災害調査ヘリの活用についてです。これの目的は、発災後に統括DMAT、あるいはアドバイザーのDMATを各被災県の県庁に搬送して、そこで災害医療のアドバイスをさせるということで、ヘリを使っての投入ですが、今回の震災では4度、調査ヘリを使わせていただいて人員を搬送しています。いちばん最初の人員搬送に関しては、16時20分に東京ヘリポート発ですので、発災後1時間半後には飛び立てたので、調査ヘリをスムーズに確保でき、飛ばすことができたと言えます。
 今回、非常に活躍した中で、DMATが乗っているドクターヘリの活躍がありました。これは発災日の夕方から夜にかけて、DMAT事務局で全国のドクターヘリに電話を掛けて、被災地に入ってくれるように要請をして了承いただけた県のドクターヘリに被災地に入っていただきました。計16機が被災地に入り、140名の患者搬送をしています。ドクターヘリだけで140名、これに防災ヘリ、あるいは自衛隊のヘリを入れると220名ぐらいのヘリ搬送を行いましたが、広域医療搬送ではないですが、域内搬送あるいは域外搬送として必要に応じてコンパクトに行われ、非常に効果的でありました。200名以上ヘリ搬送しているわけですが、患者の集計を取っていますが、半数以上は重症な患者であり、もともとの広域医療搬送の適応になる患者ですので、非常に効果的にドクターヘリが使われたと言えます。ドクターヘリの活動(2)です。ドクターヘリを運用調整する基地を2つ作りました。福島医大に拠点を1つ、もう1つは花巻空港に拠点を置いて、それぞれ8機、7機のドクヘリの運用を行いました。
 次頁です。「広域医療搬送」ですが、広域医療搬送計画は、もともと東海・東南海・南海地震あるいは首都直下型に対しては作成済みでしたが、宮城沖地震に関しては広域医療搬送計画を作成中でした。そのような状況の中で、実際に震災が起きてしまったのですが、毎年行なっている9月1日の政府総合防災訓練広域搬送実働訓練が奏功し、今回、広域医療搬送を実施することができました。それぞれの拠点空港、花巻から新千歳、あるいは福島から羽田、花巻から羽田、花巻から秋田、花巻から秋田の計19名の広域医療搬送を行うことができました。これは初めての自衛隊機を使った広域医療搬送です。この実施のためには内閣府、内閣官房、防衛省、厚労省等の連携で行なわなければ行なえないので、官邸を含めて円滑に機能したと思います。
 「入院患者避難」についてですが、今回は、いわゆる急性期の救命医療の仕事だけではなくて、DMATが患者移送に関しても支援しました。これはやはり、こういう新たな医療ニーズが出たときに、迅速に組織的に的確に活動できるのはDMATしかいないということで、患者移送にもDMATが医療支援を行いました。1つは石巻市立病院が孤立した結果約170人の入院患者が取り残されたわけですが、そのevacuation、避難に関してDMATが医療支援を行いました。また福島県の原発事故に起因する入院患者においては、当初、双葉町で入院患者の移送をするときに医療が継続困難になって、およそ20名の方が亡くなられたという事案もあり、それ以上の被害が出ることが懸念されていましたが、DMATが20km〜30km圏内の入院患者移送の医療支援に当たることによって被害が最低限に抑えられました。計300名以上の患者の移送に関してDMATが関与しました。
 次頁は「域外拠点」です。被災地外に患者が空路運ばれてきたときに、空港で患者を受け入れるために、新千歳・羽田・伊丹・入間・福岡空港に域外のSCUを設置しました。臨時医療施設ということですが、実際に患者が飛んで来たのは新千歳と羽田でしたが、それ以外にもSCUを設置して万全を尽しました。秋田空港などの近隣の域外拠点もドクターヘリなどの搬送に関する受け手側としてSCUを立ち上げました。
 東日本大震災におけるDMAT活動のまとめです。今回、1500名を超える人員が24時間以内に出動し、DMATの初動に関しては、基本的にはほぼ計画どおり行うことができました。それには、EMIS(広域災害救急医療情報システム)をはじめとする情報システムも機能したと言えます。ただ、今回、急性期の医療ニーズに関しましては、本来のDMATが対応する救命医療を必要とする患者は、それほど多くなかった。ただ、それ以外に、少し時間を置いてから、病院に取り残された人、あるいは移送を必要とするような新たな医療ニーズが3〜7日目ぐらいに出ました。DMATはそのような新しく出てきた医療ニーズにも対応しました。今回は超急性期の救命医療だけではなくて、そういうような新たに出た医療ニーズに対してもDMATが貢献したと言えると思います。
 最後に、「今後の課題」です。指揮調整機能の更なる強化として、統括DMATが各県の調整本部に入って活動しましたが、これだけ甚大な災害になると、情報を集めるのには、マンパワーを初めとするソフトの部分、そして情報のハードの部分を含めて更なる強化が必要だと考えています。また、被災地内でインターネットを含む通信体制の確保として、これは残念ながら宮城県がちょうどその当時EMIS(広域災害救急医療情報システム)から抜けていたので、宮城県の被災地の病院の情報が入らなかったということが少し残念でありました。また岩手県でも約3割ぐらいしかEMISの情報が得られなかったのです。その原因として、1つは通信インフラが全くやられてしまった。今後は、やはり衛星電話を含めた通信体制が必要になるだろうと思います。また、DMATの医療チームが活動するにはロジスティックがしっかりしていなければいけない。今後、DMATが48時間、72時間に限らず、もう少し長期間に行動していくのであれば、やはりロジスティックをもうちょっと強化しなければいけないだろうということになります。今回の医療ニーズは超急性期には思ったほどではなかったのですが、そのあとに医療ニーズが出てきて、その中で超急性期から移行するところに医療の空白ができて、そこの医療の空白の部分で新たなpreventable death、防ぎえた災害死が発生していますので、今後はDMATから一般医療救護班に引き継ぐところをもう少し十分に戦略を立てなければいけない。場合によっては、DMATもいままでは72時間までと言ってきましたが、今後は、こういう災害においてはもう少し活動期間を延ばす可能性も考慮して、もう一度構築する必要があると思います。最後に亜急性期への移行戦略の確立ですが、医療の空白を作らない、継続的なシームレスな医療を展開するために、DMATと日赤、JMAT(日本医師会)等の医療救護班との連携も、もう一度作戦を練り直す必要もあります。以上です。

○武藤座長 ありがとうございます。それでは、先ほどの宮本室長、それから、いまの小井土部長のお話を含めて、これから質疑応答を行いたいと思います。それでは、まず鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 今回の東日本大震災においてはDMATが非常に活躍されたと思いますが、阪神・淡路大震災のような形ではなくて、非常に広範囲であったこと、それから、津波による死亡が多かった。亡くなった方の9割以上が溺死で、先ほどもおっしゃったように、本当に何でもないか、亡くなっているかということで、中間のDMATの対象のような方が少なかったこと。
 それと、史上最悪の原子力災害ですね。原発事故による災害があって、20km、30km圏から避難しなければならない方々をどうするか、これまでDMATとして想定してこなかったことがいろいろ起きているのではないかと思います。そういう意味では、DMATも貢献されたのですが、我々日本医師会のJMATがまだ準備段階だったのですが、もう見切り発車していまして、現在までに延べ1,000チーム以上が現在も派遣中で、亜急性期から慢性期にかけて非常に効果があったのではないのかなと思います。そういったものと、DMATが何もかも、これからおやりになるのかもわかりませんが、DMATからいきなり通常の診療に戻るまでにはなかなか難しいこともわかりましたし、JMATのようなものも含めてその間をどうするのか。今回、原発事故による災害の支援をどうするか、現在も進行中です。これは災害拠点病院という話が出ました。私は茨城ですが、もし茨城の東海第二原発があのようなことになると、30km圏内というと、主な拠点病院が全部そこに含まれてしまう状況ですので、水戸市、日立市、ひたちなか市、県央、県北の拠点都市は、全部その中に含まれてしまいます。福島でいえば、福島市やいわき市、郡山市が全部入ってしまう状況ですから。いままでは、そういう事故に対する対応は、起きないということで、考えないということできたわけですが、今回それが否定されたわけですので、やはり原子力災害に対しての取組みも考えて。要するに、急性期だけではなくて、亜急性期、慢性期、それから、長期にわたる支援、そういった災害に対する取組みも必要になるので、これはDMATだけの話だけではないと思います。現在進行中の原発事故の災害への対応も含めて、万全な災害医療に対する体制、システムを是非確立していただきたいと思います。

○武藤座長 ありがとうございます。

○末永委員 いまお話がありましたように、DMAT以降をどうするかという問題、実はポストDMATみたいな形の医療が必要ではないかと感じています。今回、DMATについては、小井土先生が言われましたように、とにかくEMISを使って参集したということでは大成功でした。ただ、対象が少なかったということで、DMATチームが9日ぐらいまで、ポストDMAT的なことまでフォローされたということでは非常に意味があったと思います。
 ただ、いま言いましたように、その後の問題について、確かにJMATは出てきましたが。例えば、愛知県でいいますと、実はいちばん最初に宮城県のほうから愛知県のほうに支援要請がありまして、私は、県が中心となってイニシアチブをとってやってくださいと言っていたのですが、病院団体のほうで派遣をし始めました。そこへまたJMATがいわき市の支援に出てきて、JMATのほうも医師会の先生方ではフォローできませんので、病院団体のほうに依頼があったわけです。結局、病院団体としては、宮城県の南三陸地域といわき市の両方に派遣することになったわけです。そういうときにいちばん問題となったのは、やはり指令系統がはっきりしていないものですから、行くには行くのですが、向こうの期待に十分応えられたかどうかについてはなかなか。感謝はされましたが、もう少しほかのやり方もあったのではないかと感じています。
 先ほどのJMATについて言いますと、やはりあまりにもJMATというのが表に出てしまいまして、我々病院団体が行っているのがみんなJMATに乗ったという形になって、病院団体は非常に憤慨していました。別に全然けんかすることではなくて、JMATも含めた病院団体との共同作業をこれからポストDMATとしてどうやっていくか、そういうシステムづくり、その中で司令塔をどうするかという問題も絶対考えていかなければいけないと思います。

○神野委員 いま医療計画の話をしているわけなので、震災そのものの総括とか、今回の震災に関する総括とかは、これはおそらくここではなくて、また別な所できちんとやるべきだと思います。その中で、これから医療計画の中の災害医療を考えるときに、どう入れ込むかという話だと思いました。
 宮本室長からの、災害医療についての資料の中で、厚生労働省の役割がいろいろと示されたわけですが、実際にどれだけか、資料3頁に書いてあるとおりにEMISが機能したならば、おそらく今回の混乱はもう少し少なかったような気がします。これにどこに壁があるかをもう少し洗い直していただいて、医療計画の災害医療の中心に持っていくべきかなと思いました。
 また、これから医療計画の中に在宅や介護分野をどう入れるかという話も前回までのこの会議であったわけですが、災害に関しても、先ほど来お話がありましたように、慢性期の患者の入院とか、あるいは、施設、介護、あるいは、福祉系の方々が広域搬送を含めて大変混乱したので、やはりこの辺のところが利用計画のこれからの肝になるのかと思いました。
 最後に。いま、いろいろな企業がこの災害をテコにして、BCP(Business Continuity Plan)を見直すという話があります。我々病院のほうもBCPを入れ込むような計画を作るべきなのかと思いました。特に患者情報を中心に医療情報が分断されていて、現地で大変混乱したようですが、いまがチャンスだと思いますので、例えば、『どこでもマイ病院』でもよろしいですし、その中で何らかの形でいろいろな情報の共有化と連携を入れ込むことが、これからの災害医療あるいは医療計画そのものに必要なことかと思います。

○武藤座長 まさに、今回の災害の教訓を医療計画にどう生かすかが課題です。是非ともこの点のご理解していただいた上で、ご議論いただければと思います。

○尾形委員 まず、行政及びDMATの大変なご努力に対して敬意を表したいと思います。その上で、資料1に関して、質問を1点、意見を1点述べたいと思います。
 質問です。4頁で先ほど災害拠点病院のご説明がありまして、平成23年1月1日現在で609病院が指定されているとのことで、計画を上回って指定されているということでした。それは大変結構だと思いますが、これはすべての2次医療圏で指定されているのか、それとも、まだない所と、複数の所もあってこういう状況なのか、その辺について教えていただければという質問です。
 それから、意見は、いま神野委員がおっしゃったこととも重なるのですが、やはりこの検討会は医療計画を検討するところです。もちろん最後の7頁にあるように、災害医療体制全体についての検討をするのは必要なことだと思いますが、その中で、やはりここの場では、医療計画の4疾病5事業の1つである災害のところをどう考えていくかだろうと思います。そういう意味からすると、特に今回の東北各県においても、医療計画の災害でいろいろなことが記述されていたわけですが、いったいそれが、何が機能して何が機能しなかったのか、あるいは、何が必要なのかについての検証、整理がまず必要なのではないかと思います。以上です。

○武藤座長 では、ご質問に対して。

○宮本室長 すべての医療圏において災害拠点病院が指定されています。その役割につきましては、先ほどからお話しているように、別の場で検討を進めていきたいと考えています。

○佐藤委員 私は岩手の出身なものですから、3月は岩手の災害対策本部の中で、JMAT、DMAT、皆さんの活躍、自衛隊の活躍をまさに現地で見ていました。4月以降に日本歯科医師会の対策本部に入って、いろいろな支援の対策をとる中で、歯科は、当然のことながら、救急救命というよりは、災害関連死をいかに防ぐか、もしくは、実際に現場でいろいろな支援があっても、入れ歯が壊れた、ない、食べられないという方たちをどう支援するかが主な仕事でした。そういう中で、やはりこの医療計画において、現場の意見……も含めて2つほど感じています。
 1つは、先ほど来議論のある、亜急性期への移行戦略という部分、これほど長期になっていくことを考えると、災害関連死のリスクはまだまだ残っていますので、今後はやはりそういう視野が必要かなと思います。
 もう1点は、多くの都道府県のこの計画の5事業の中の災害医療に関しては、歯科医療の役割があまり記載されていないという現状があります。したがいまして、災害関連死に関する避難所対策や、県のロードマップにも、やはり関係者のご理解がないと入ってこないという部分があるので、これは今回を機に見直していただければと感じます。

○山本委員 鈴木委員から医師の被災地への派遣についてお話がありましたが、薬剤師も薬剤師班として、6,000人を超える人数が被災地支援に参加しています。派遣の形態は様々で、いろいろなケースがあります。JMATからも派遣要請がありましたし、行政からもありましたし、また、個人で独自に行ったケースもあり、薬剤師会が派遣したケースもあります。
 2つの資料の中で、例えば、医療需給というところで、医薬品等の供給が十分でなかったという指摘があります。今回、JMATと一緒に行動したケースでもそうですが、All or Nothingという状況下で、お元気であるけれど医療供給が不十分な地域があって、しかも慢性期の薬が必要なわけですが、そうしたケースの場合にいったいどう対応するのか。甚だ生意気な言い方なのですが、医師の方々はそれぞれ、ご自分のお使いになっている薬は十分にご承知されているのだと思いますが、薬価基準に収載されている医薬品だけでも1万数千もある中から、同種同効薬等を含めてみれば、その範囲がなかなかカバーしきれない。とりわけ、座長の武藤先生のご専門の後発品についてはほとんど知識がないのではないかと思います。その場合に、あるものをどう使っていくかという視点も必要で、まさに本来的なDMATであれば、薬剤師の出番はなかなかないのでしょうが、今回のようなケースを考えてみると、医薬品の供給をどんな形で作っていくかということが必要ですが、残念ながら、いったい誰が担当するのかが見えてこない気がします。この先、地域医療計画の中で、災害に対する準備をしておいて損はない、万が一発災しても心配はないわけですので、発災後、さらに、ある程度時間が過ぎた時点での医薬品供給体制、あるいは医薬品備蓄体制に加えて、どういう形で災害地に派遣するスタッフまで含めて、これまでは、医師、看護師という形でいままで終わっていますが、医薬品のことも当然必要になると思いますので、今後の議論の中では忘れないように入れていただきたい。とりわけ行政にお願いしたいのは、資料1の中で、今後、「災害医療体制の一層の充実を図る観点から、災害医療のあり方について検討を行う」際には、是非、薬剤師を忘れずに検討事項に加えていただきたい。
 もう1点は、実は今回、DMATの資料を拝見して思ったのですが、それぞれ各県に拠点となる病院があって、そこに、例えば宮城であれば仙台医療センターを活動拠点にされていたと承知していますが、実際には地域の医療をコントロールをしているのは東北大であったというケースがあって、病院薬剤師を派遣する際に、どういう形で派遣していいのかとても錯綜しました。開局の薬剤師が担うべき役割と病院の薬剤師が行う業務とでは多少違っていますので、そうした観点からも、病院と薬局を分けた形で薬剤師のあり方が必要です。この先の議論の中では、できれば開局・病院といった分野別に薬剤師を参加させていただけるよう是非ご検討いただきたいと思います。いかがでしょうか。

○武藤座長 そうですね。今回の震災で薬剤師さんが大変活躍しましたし、是非それを医療計画の中に反映するということでしょうか。

○吉田委員 今回の震災に限らず、DMATの現場の人々が帰って来ると、必ず問題になるのが自衛隊との指揮命令関連についてです。ここは厚生労働省の検討会なので、防衛省とは一線を画さなければいけないとは思いますが、何回やっても必ずといっていい程、自衛隊とはうまくいきません。ここのところをどうやってうまく盛り込めるのか、盛り込めないのかをお聞きしたい、というより、検討会としては是非触れていただきたい。どういう形でもいいから是非ともすり合わせをしてほしいのですが。

○宮本室長 自衛隊との連携につきましては、先ほどより紹介している、広域医療搬送の実施などにおいてかなり実績を積み重ねてきているものと思っていますが、他の組織との関係については引続きと思っています。

○吉田委員 実際に、花巻空港に自衛隊のヘリがいっぱいいても、現場との連絡がなかなかうまくいかないとか、優先順位が違っていたりだとか、現場ではイライラすることがかなりあったようです。前回の岩手内陸地震のときもそうなのですね。自衛隊の人たちは自衛隊の指揮系統でしか動きませんので、我々医師側が何を言っても聞いてくれません。その辺のすり合わせをどうしたらいいかが1つの問題点だと思います。

○中沢委員 神奈川県です。今回の大震災につきましては、とにかく地震より津波の影響が大きかったので、神奈川県としても基本的に防災計画の見直しに入っています。そういう意味では、多分、各都道府県ごとに、今回の震災を踏まえて防災計画の見直しに入っていると思います。津波が神奈川県に押し寄せてきたら沿岸の災害拠点病院がどうなるかとか、そういったことを含めて計画の見直しが必要かというところがあります。今回の災害を教訓として、多分、災害全体の枠組みが各都道府県ごとに行われ、その中で医療計画の見直しも同時に行われるという形で考えています。
 また、DMAT等で現場に行かれた方たちのお話を聞きますと、1つは、やはり指揮命令系統が今一つはっきりしていないことと、あと、やはり自衛隊との連携です。阪神・淡路のときに自衛隊の医務官として行かれた方が、今回はたまたま県から行かれた人の中にいまして、もう少し自衛隊がもっといろいろな物を持っていて、いろいろなことができるというところで。ただ、現場ではそこら辺の連携がなかなかとれていないというご意見もいただいていますので、今後引続き、他部局との連携について検討していただきたいと思います。以上です。

○長瀬委員 先ほどどなたかが言いましたが、「災害医療体制の一層の充実を図る観点から、災害医療のあり方について検討を行うための場を設ける」ということで、どうしても精神科医療を入れていただきたいということです。急性期の話は結構多いのですが、これから慢性になってくると、PTSDの問題がかなり出てきていますし、現在、自殺なさっている方もおられるし、これは大変な問題だと思います。最初から心のケアチームを立ち上げて、厚生労働省の依頼で我々精神科関係が一緒になって、まだ活動中ですし、これは長く続けなければいけないと思います。こういったものの整備をきちんとした災害医療計画の中に取り入れていただいて、やっていくべきだと思います。この点は是非ともお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○武藤座長 他に。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 私どもも、ナースを派遣してほしいという要請をいろいろな所から受けました。1つは各都道府県で、日本医師会など他団体と一緒に行った所もあります。日本看護協会独自の派遣としては、災害のときの状況をいろいろ学び研修を受けたナースを避難所等に派遣して、大体1,000人近くに上っています。そういう限られた人材をどこに派遣していくかといったときに、調整機能というか、コーディネーター的な役割を持つ者が非常に重要になってきています。私どもの事例で言うと、県の対策本部、JMAT、いろいろなところと調整をするコーディネーターを現場に1人置いて、今日はそこに誰々を派遣する、今日はあそこに誰々が行くといったことを日々調整する人たちが活動して、非常にうまく回ったという状況があります。計画等にそういった記述が入っていけば、具体的に少し動けるのではないかと感じています。
 もう1点気になりましたのは、病院等で、入院をされている方が被災を受けてどうなるとか、誰を受け入れるということはそうなのですが、在宅で長期的に療養をしている方々の環境が、地震なり津波なりで非常に混乱をきたしたということです。特に在宅で医療機器などを使っている方々が療養の中断を余儀なくされて、環境の違う所に行って、そのまま悪い結果に至ってしまうことがあります。それから、どこにそういった生命維持装置が備蓄されているか、現場の訪問看護をしているナースたちがすべて把握しきれていない場合もあり、在宅で療養されている方々も今回は非常に過酷な状況にあったということを聞いています。災害の計画を立てるときに、領域がかなり広くなることを前提に検討していかなければいけないと思います。
 それから、先ほど長瀬委員がおっしゃいましたが、やはり時期がいろいろあると思いますので、患者の搬送で、とりあえずトリアージをしていく時期から徐々に日常に復旧していく過程で、空白を生まないようにすることが非常に大事だと感じています。「災害医療のあり方について検討を行うための場」で、長期的な時間の経過によってどういうあり方があるのかを検討していただきたいと思います。

○鈴木委員 地域医療計画という視点で追加させていただきます。いままでは災害医療というとDMATだけで、災害拠点病院を作ってDMATを派遣すればオーケーみたいな感じだったのですが、今回、そうではないことがはっきりしてきましたので、亜急性期から慢性期、ずうっと続くものをどう支援していくかという観点もその計画に落とし込む必要があるかと思います。やはり医療は急性期の、大病院だけを作ればいいということではないと、災害医療でもまったく同じだと証明されたと思います。
 それと、今回も指揮命令系統が混乱して、JMATとDMATが鉢合わせになったりとか、いろいろあったのですね。それで、後半になってから被災者健康支援連絡協議会ができて、日本歯科医師会を含めていろいろな団体が入られてきているのですが、それがどのような位置づけになっているのか、そういったものも活用されればよろしいかと思います。
 あとはやはり、原子力災害はまったく別な意味があると思うので、そこへの対応を。私はJCOを10年前に、それも身近で経験したのですが、結局、教訓が全然生かされていなくて、今回もあたふたしている感じですね。その辺が私は非常に、国民にとっても不安ですし、今回の問題の対応がきちっとできなければ、日本の原子力に関する国民の考え方も変わっていく可能性が高いと思いますので、この対応をきちっとしていただきたいです。

○伊藤委員 私どものところはDMATもJMATもそうですし、JMATができる前に、病院団体としても支援をさせていただいたわけです。今回、DMATが活躍する場が少なかったという評価はずい分聞いていますが、実はそうではないと私は評価しています。是非ここのところも評価を考え直していただきたいと思っています。重傷、クラッシュシンドローム等の、まさに緊急で命を救うようなトリアージを含めた緊急の医療という意味でのDMATは活躍の場が少なかったわけですが、その活躍以外に、要するに、医療機関、医療拠点での待ち受けをしながら重傷をどうトリアージしていくか、あるいは、それをどう搬送していくかが、むしろ今回は少なかったがために、DMATチームはいろいろな所へ出て行った。出て行ったことによって、次のJMATという形で医師会が出していますが、そういう所へ情報がつながって、大変多くの命が救われている事実があります。まさにDMATというチームを編成して、多くのDMATチームが被災地に入って、その中で活動をして、しかも、その活動の幅を自主的に広げていったことによって大変多くの命が救われていること、是非これをご評価いただきたいと考えています。
 それから、もう1点。私ども病院団体として、災害が起こった際のプランは、基本的には近隣の地域がこれをケアしていくという考え方で、実はこれは阪神・淡路大震災の前例を教訓として、近い所は支援をしていくという形で考えていたわけです。今回はそれがまったくできなかったという意味では、医療計画の中に、大災害の場合、近隣地からの医療支援と同時に、遠隔地との連携をどう持つかが非常に明確になったと思います。このことを医療計画の中にきちっと盛り込んでいただければ今後の災害対応ができるかと思います。以上です。

○武藤座長 他にご発言はございますか。

○唐澤大臣官房審議官 今回の災害は、2カ月以上経っても地元の医療機関が十分に回復してこないという災害なのです。阪神・淡路のときは2カ月経つと、もう回復していたので、そこが非常に違っています。そういう意味で、先ほど鈴木先生からお話がありましたように、被災者健康支援連絡協議会ということで、三師会、看護協会、4病協、大学病院関係などいろいろな皆さんにご参加していただいて、特に医療チームの長期派遣を念頭において、関係団体間の自主的な協力機関を作っていく。政府の被災者生活再建支援本部から正式な要請をしていただいて、活動していただいています。これは日医の原中会長に代表をお願いしています。このように、2カ月以上経過した慢性期の一般医療になった段階での医療の確保をどうしていくかという視点も、大災害を念頭においた医療計画ということで是非ご検討いただきたいと思います。
 それから、もう1つ。吉田先生から、搬送の問題がありました。実は私も福島の20kmから30km圏内における患者と要介護者の搬送に携わっていました。搬送手段をどう確保するかは実はかなり大変なことです。私どものほうでは、厚生労働省の職員のドクター3人を福島県庁に派遣して、事実上、県庁に入っていただきました。吉田先生のお話にありましたように、自衛隊に直接搬送の指示はできませんので、官邸の広域輸送班がありますので、福島県と連絡をとりながら、厚生労働省のほうから官邸の広域輸送班に要請をする。何月何日、どこどこ病院の患者何名を何々県の、例えば栃木県のどこどこに運んでくれと、そういうミッションで要請をして、官邸は現地に指示を出す。最終的には福島の県庁の本部で、どの輸送手段で行くかを決めていただく。輸送手段を決めるときには、DMATの先生方にもずい分搬送の手伝いをしていただきました。大変お世話になりました。自衛隊の皆さんにも搬送にはかなり大きく協力していただいたので、この機会にご紹介したいと思います。

○武藤座長 ありがとうございます。その他、ご発言のなかった布施委員、伏見委員から何かございますか。

○布施委員 特に健康保険組合としてはないのですが、やはり原子力災害のことはこれから大きな問題になってくると思います。先ほどBCPの話が出ましたが、同じ都道府県の中でも、原子力発電所が設置されている地域のBCP対策を病院だけではなくて、いろいろな意味で考えることが極めて重要かと感じました。

○武藤座長 伏見委員、いかがですか。いいですか。
 先ほど、亜急性期への移行戦略とか、あと、やはり防災計画の中での医療計画の位置づけとか、そのほかDMAT、JMATとの連携とか、様々なご意見をいただきました。この災害に関しては、時間の関係で一旦ここで打ち切らせていただいて、次のテーマに移りたいと思います。
 次は、話題が変わりますが、医療連携のための実際的な手法ということです。まず最初に、国際医療福祉大学大学院の高橋教授からご発表をお願いします。

○高橋参考人 国際医療福祉大学の高橋です。同僚の武藤先生から、この会で話すようにというご指名を受けましたので、20分ほどお話をさせていただきます。私からは2つの話をさせていただきます。1つ目のデータベースですが、これからの医療計画の見直しの変革にも役に立ち、また、今回作った2次医療圏データベースは災害にも大変役に立つことがわかりましたので、データベースに関わる話を前半10分間、残りの10分間はこの結果から出てきて、いま日本における医療計画はどのような感じになっていて、どちらの方向に進むべきかという話をしたいと思います。
 まず、データベースの話から始めます。ご存じの方も多いと思いますが、東京都の病院医会の青年医会は1,110回程度早朝勉強会というのをやっておりまして、年1回は泊まり込みの勉強会をやっております。去年、先代の世話人をやっていた安藤高夫先生に、東京でB3シナリオを実行した場合に各市区町村などは医療圏でどうなるかシミュレーションをやってほしいという依頼を受けたことが、このデータベースを作ることのきっかけとなりました。各市区町村にはどのようなベッドがあるのかを調べようとしましたら、データがなかったのです。どうしたかと言いますと、東京都に各病院1個ずつのデータをくれと申し入れて、資料1頁にあるとおり、病院を青と黄色で南渡島と書いてありますが、このようなものは当然データベース化されていて、エクセルであるだろうと思っていましたら、PDFで1,200頁の紙をボンともらったわけです。そのファイルももらったというところから話が始まります。
 仕方がないので、国際医療福祉大学の学生にバイト代を渡して、病院を1個ずつ引っぱり出して区ごとに整理し、各区にどのような病床がいくつあるか、どのような区分の病院が何個あるかという形のものを作りまして、東京の全体像をやっと去年の春に把握したというわけです。それでわかったことは、1個1個の病院のデータがあれば、2次医療圏の状態というのは集計が作れるということです。私はB3シナリオの基になるDPC2階建てなど、今までいくつか提言したことがあって、医療制度の見直しというのは1つのライフワークかなと思っておりますが、全国がどうなっているかを把握したいと急激に思うようになってきました。そこで、昨年4月に内閣府と厚生労働省に出掛けていきまして、こういうことをやりたいが、データはないかと話しましたら、バラバラにはあるけれども、まとまったものはないということがはっきりしました。
 どうしようかと思って探しておりましたら、日精協の平川先生が開いた「ウェルネス」という全国の医療機関情報を集めている会社があって、トヨタのカーナビや検索エンジンの地図の部分の病院情報などは、このウェルネスから提供されているのですが、そこに全病院の病床数、どういう加算を取っているかといったデータがあることがわかったので、平川先生に「ください」とお願いしたら、これは世の役に立つから、先生の好きなようにしていいと言われ、データの提供を受けました。そこで、1頁に書いてあるような病院の基本データを作りました。
 白い所には病院が8,800ぐらいあると思ってください。このデータはWeb上で公開しておりますので、是非使っていただければと思いますが、2次医療圏ごとに寄せて、例えば地域医療支援病院であれば、「1」と立てておくと、2次医療圏ごとに集計したときに、黄色の行に出ているように、例えば函館周辺の南渡島であれば、DPC病院6個、大学病院0個、救命救急センター1個といった基礎データが作れますし、病床数がいくつあって、一般病床はどれだけあってという、このようなものを作ることができるわけです。
 2頁をご覧ください。これにはDPCデータが入っていなかったので、DPCデータを突き合わせ、DPCも入れた後に、人口推計とか医師数など市町村別に出ているデータを2次医療圏ごとに組み直しました。それによって人口推計が2次医療圏ごとにどう動くか、面積はどれぐらいかといったことのデータを付けて、今年1月11日、「2次医療圏データベース」というものをエクセルにしてネット上に公開いたしました。今日の段階で病院の一覧表は1万400ダウンロード、2次医療圏を集計したものは8,400ダウンロードぐらいありまして、厚生労働省でも使われている方がかなりいらっしゃるようですが、このようなものを作ったということです。これで何を見るかということについては、5分後ぐらいにお話いたします。
 次に、防災関係の話に移ります。これを作って2カ月後に、今回の震災が発生したわけです。厚生労働省では病院データ自体がいちばん手近に使えるということで、被災地にどれだけ病院があるかを調べるために、このデータがすぐ使われました。我々のグループは98%ほどの診療所の情報、95%以上の薬局と歯科の情報を持っておりましたので、ちょっと不正確ではありますが、全体像がないというのでその地域だけ切りまして、ウェルネスにこれをやると役に立つからと頼み、被災地の医療機関、病院、診療所、歯科、薬局関係のデータのリストを作りました。これはWeb上でいろいろなところに配信し、どれだけ回ったか分かりませんが、かなり出回ったと思われます。
 そういったことをやりましたら、私の所に今そこがやっているかどうかわからないだろうかという問合せが20通ぐらい届きました。そこで、じっと考えまして、全体のリストがあるわけですから、Googleの仕組みを使うと、簡単に地図上にプロットができるわけです。それで実際に1個1個の医療機関に、やっている・やっていないを入れてもらえたら、簡単に被災地の状況把握システムが作れることがわかりました。そこで、偶然にも隣にお座りの鈴木先生に、「先生、被災地のリアルタイムの把握システムを作るから、やりませんか」と持ちかけまして、作るほうはこちらのほうで担当するので、医師会を中心に情報を入力する仕組みのほうをやりましょうと相談し、被災地状況の把握システムというのを作りました。本日お配りした紙は医師会から各団体へお願いしたもので、日本医師会と歯科医師会と薬剤師会と卸連の4つにパスワードを渡して、パスワードを持った人が責任を持って各病院、診療所、薬局の状況を入力するという形で、今やっと動き出したところです。
 この経験を通していろいろなことを学びました。1つ目として、名簿というのは平時はあまり要らないもので、全体の名簿が役に立つのは変革時と救急時だということです。やはり、日本は平和だから、こういうものがなかなか進まなかったということがよく分かりました。2つ目に、医師会を含めた既存の団体とインターネットというのは、極めて相性が悪いということです。情報の正確性を求めても、誤った情報を入れたらどうするのだという議論が巻き起こるという感じになって、承認がなかなか得られなかったのです。Googleがやったように、誰でも入れていいという形にすると、おそらくすぐに状況把握ができたのではないかと思うのですが、そのようなスピード感に欠けるということがよく分かりました。逆に、このシステムがいま動き始めると、あまり起きては困るのですが、次に震災が起きたときに、全国に同じものを作っておいて、責任ある人にパスワードを渡しておくと、次回は被災地からリアルタイムで、当日から情報の入力が始まって、全体像の把握は極めて急速にできるのです。その成功事例として、いま何とか育て上げたいということで、鈴木先生を中心に医師会が動いておりますので、このシステムがどうなるか、いま我々は一生懸命見ているところです。鈴木先生、途中ですが一言いただけますでしょうか。

○鈴木委員 被災がある程度終了ということであればちょっと遅かったのですが、今回は幸か不幸か、ずっと続いておりますから、未だに復興できない医療機関がたくさんありますので、そのような意味では有効なシステムだと思います。今回きちっとしたものを作り上げて、万が一、次に震災があった場合には早急に活躍してもらいたいと思っております。

○高橋参考人 いま2次医療圏データベースで病院の病床数云々、あと特養と老健を入れたのですが、これから先の計画を立てるときには、高齢者の住宅関係の情報がないと、これからどうするかという全体的な計画を作ることができないと思われましたので、先週、タムラプランニングに行き、田村社長に市町村のデータをタダでくれとお願いしたところ、いいよということになりまして、いま2次医療圏ごとに集計し直しているところです。今回この作業をやって分かったことの1つに、データは世の中に存在するということがあります。それを役に立つ形で組み直すことによって、将来予測とか現状把握に非常に有用なデータベースができることがわかりました。自分で言うのも何ですが、公開はしていますがメンテナンスも結構大変ですので、是非、国が引き取ってナショナルデータベースとして作ってほしいというのが私の強い強い要請です。
 2つ目として、この被災システムは、いままでの常識ではかなり大規模に見えるのですが、非常に簡単に作ることができました。私のポケットマネーの30万円を出しただけで、リアルタイムシステムを作り上げることができたのです。インターネットというのは個人と直接つなぐことができて、いままでは中間のところが集計して上げてという大変なことだったのですが、多少の不正確さに目をつぶっても速さを優先するというコンセンサスがとれると、個人のレベルでは非常に安く、速く情報伝達ができる仕組みがありますので、インターネットをこのようなものに活用する形で社会が変わっていってほしいというのが、これを通して経験したことの2つ目の要望です。
 3つ目、今から日本の現状とこれから先のことを大ざっぱにお話しますが、このシステムはエクセルで作ってありまして、例えば6頁の地図上には色が付いております。これは2次医療圏で計算して、2次医療圏データベースで医療圏ごとに色の指定が簡単にできるのですが、ポンと押して3秒ほど待つと、このように地図に色が付いた形のものが出てきます。私はこれを作って1日これで遊び、遊ぶと言うとおかしいですが、いろいろなことをガシャガシャとやりましたら、日本の医療観が随分変わりました。「あー、日本って、こうなっているんだな。将来はこうなるんだな」と1日お付き合いいただきますとイメージがガラッと変わります。今日お越しの方々には、「2次医療圏データベース」と検索しますと、ウェルネスのホームページに出合いますから、そこからダウンロードして、是非1日遊んでいただきたいと思います。
 今日いちばん言いたいことは医療計画の見直しですので、県の担当者にこれを触っていただく機会を是非持っていただきたいと思います。必要があれば駆けつけまして、いくらでも講習をいたします。みんなが同じような土台で、将来はこうだ、今はこうだといったことをベースに、医療圏の見直しの話をしていただければと思います。今日は32頁にわたるレポートを持ってきましたが、全部やると2時間かかるので、細かい話は基本的に読んでいただきたい。ただし、これを読めば分かるように書いてあります。いまの日本の医療の提供体制と将来体制の大ざっぱなものはここに書いてあります。これと同じ内容を、『Japan Medicine』に10回連載で書いているところです。既に5回ほど連載は終わっていますが、これと同じようなものが載っておりますし、もっと詳しいものは、いま『社会保険旬報』に連載しております。これは『社会保険旬報』始まって以来の大連載でして、14回ぐらい続くのではないかと思いますが、150頁ぐらいになりそうです。詳しい内容はそちらのほうを読んでいただければと思います。
 残り時間が6分ほどなので、いまの日本の現状をどう捉えるべきかについてお話したいと思います。大切なポイントですが、11頁をご覧ください。白っぽい地図が出ておりますが、何を表しているかと言いますと、各2次医療圏ごとの特養と老健のベッド数を、2010年の各2次医療圏の75歳以上人口で割って、1,000を掛けたものです。要は、75歳以上人口1,000人に対して、特養と老健のベッドがどれぐらいあるかを計算し、40〜60が白、60以上と書いてありますが、青梅を除いて85.6が最高ですので、大体80ぐらいが青色で書いてあります。
 これで明らかになったことは、左上に具体的な数字が書いてあるのですが、東京だけはちょっと特別なのです。区西部、区南部とか区西北部とありますが、赤色と黒の所は1,000人に対して30ないのです。東京は23区内に造れなかったので、青梅というか山の中の日の出町辺りを中心に、特養をガーっと造ったということです。それによって183.3という突出した部分があるわけですが、東京を除くと、日本の2次医療圏というのは、75歳以上人口1,000人に対して85.6と32.3の間に全部収まる、ほとんどが白い所で、40〜60に収まるわけです。何を意味するかと言うと、施設に関しては地域格差がほとんどないということです。
 なぜかと言うと、介護保険で参酌標準を設けて、きっちり管理したということなのです。経済原理だけで言いますと、都市部には造ることができないのですが、補助金を付けたりして、自治体が全国水準に合わせようと極めて努力をしてきたということで、現在は格差が非常に少ない良い状態にあります。これは世界に誇るべき介護保険の素晴らしい成果ではないかと思っております。ちょっと後ろのほうの22頁を見ていただきたいのですが、今後は都市部を中心に75歳以上人口が増えます。つまり、赤い所と黒い所は現在の病床数であって、今後1つも造られずに、2030年の75歳以上人口でやるとどうなるかというのが22頁の表です。そうすると、赤い所と黒い所が足りなくなるわけです。これから高齢者が急増するところ、現在はほぼ均一で、そこから増えるところが足りなくなるというのが明らかになりますので、介護に関しては赤い所と黒い所に施設を造っていけばいいという基本線が見えてきて、どこが足りないのかもわかってくるということです。
 介護保険というのは大変素晴らしいシステムでして、1995年からこれまでは人口増以上に施設を造ってきて、国レベルで非常に適切な対応を行ってきたのではないかと思うのです。今後の15年間も同じような対応ができれば、高齢化社会はほとんど問題ないぐらいのしっかりした対応をしてきたのですが、これから先の15年間で違うことが2つあります。1つは国に金がないこと、2つ目は、今まで75歳以上高齢者は全国ほぼ一律に増えてきたのですが、これから増えるのは大都市部だけだということです。大都市部に同じように集中的に造っていくというのは、ほぼ不可能だなということが見えてきますから、対策はどうすればいいかが見えてくると思います。
 もう1つ、12頁をご覧ください。それに比較して医療は、大変な格差があります。いちばん右には1,000km2当たりの医師数が出ていますが、医師の密度がいちばん高いのは区中央部、この辺りです。いちばん少ないのが南会津と言われる医療圏で、格差が1万5,000倍あります。医療にはさらに高度急性期病院というのがありますが、介護のほうは高機能特養とか高機能老健というのはないわけで、医療は数だけではなく機能にも大変な差があるということです。さらに、今から人口が動いていくということで、医療のほうが基本的に難しいと言えます。
 次に、29頁をご覧ください。今後75歳以上の高齢者が増えていき、かなり荒っぽい話ですが、75歳以上に対応するというのは非DPC一般病床と療養病床であろうといった仮説を立てて、非DPC病床と療養病床の数を75歳以上人口で割った図が、21-1です。黒がベッドの少ない所です。今後、非DPC病床と療養病床が増えずに、人口だけが増えた場合にどうなるかを示したのが右の図です。いま西日本はそのような病床が多く、75歳以上人口が増えるのは、どちらかと言うと名古屋から東北にかけてが激しいので、名古屋以東の地域が黒くなって、基本的に西のほうはあまり黒くなっていないことがお分かりいただけると思います。医療圏はどこが個別に問題なのかというのは、こういうことをやっていくと全部わかってきますし、このようなものを見ながら地域に応じた対策を考えていくことができるのではないかということです。
 最後に見ていただきたいのが、8頁です。2次医療圏ごとで人口10万人当たりの医師数が縦軸、今後75歳以上の高齢者が何パーセント以上増えるかを横軸としてメッシュで切り、大都市圏、地方都市、過疎地と分けてあります。左下の医者が少なく、高齢者が爆発的に増える所が大変な地域になるわけです。このような形でやっていくと、平たく言うと、どこが危ないか、大変かがはっきりしてきますから、このような所に重点的に手当てをしていかないといけないということです。B3シナリオ等は国全体のグロスのイメージですが、このような形で個別の2次医療圏の問題地を1個ずつ見ていくことによって、どこが問題かがはっきりする。また、計算をすることによって、自分たちの住んでいる医療圏の全国的な位置づけや今後の大変さを実感できるようになるというのが2次医療圏データベースですので、是非ご活用いただければと思います。

○武藤座長 ありがとうございました。ただいまの説明について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。

○伏見委員 大変素晴らしいデータベースを整備していただきまして、ありがとうございます。震災を機に、このようなデータベースの重要性が認識されるのは非常にいいことだと思います。また、非常に役に立つデータだと思いますし、このようなものが医療計画の基礎として、逆に今までなかったのがおかしいという印象を持っております。1つ少し気になる点は、高橋先生も途中でおっしゃられたのですが、このようなデータベースのメインテナンスが非常に大変だということです。例えば厚生科学研究では、患者調査データとして2次医療圏別の患者数などを作ったりしたことがあるのですが、研究ベースとしてワンポイントで作るのは、エイヤーとやれば何とかできるのですが、それをメインテナンスして信用を持たせるというか、ある程度信頼性を持ってもらわなければ、行政には使ってもらえないという観点があります。厚生労働省なり、場合によっては政府なりがデータベースをきちんと維持して、それを用いて科学的根拠に基づく医療計画というのが作られるような体制を、是非考えていただきたいと思います。

○武藤座長 なぜ、これが今までなかったのか、私も不思議です。例えば地方厚生局などの診療報酬の施設基準などのデータはあるはずですから、それを全体統合したようなデータベースがあれば、いまのような話はできるのではないかと思いました。

○高橋参考人 これはウェルネスという会社がそのようなデータを独自に集めて作っているので、あることはあるのです。私は47都道府県に電話を掛けて集めたことがあるのですが、非常に大変でした。いま各都道府県のホームページを開くと、医療機関のデータはあってもフォーマットが違うので、これをまた統合するのも非常に大変ですから、最低限DPCのように各都道府県からミニマムで出せといった形で、法令か何かで決めていただき、国のほうがある程度のデータベースを作ってというのが、伏見先生が言われるとおり、災害時や変革時の基礎となりますから、是非作っていただきたいと思います。

○武藤座長 そのほか何かあればお願いいたします。

○吉田委員 おっしゃるとおりで、例えば日本の中では東京と北海道という違いもありますが、同じ県の中での2次医療圏同士も相当違うということがあります。そのような意味では、県が県内の情報を把握しておくということが非常に大事だと思います。1つ質問で、前回もあったのですが、東京はどんどん高齢化する、名古屋も高齢化するとあります。高齢化すると東京は住みにくいからどこかへ行こうといったことを考える人もいると思うのですが、そのような意向調査のようなものはないのでしょうか。例えば60歳を過ぎた、70歳を過ぎたけれども、皆さんが死ぬまで東京にいるぞと思っているのか、そうではないのか。私は若干の動きがあるのではないかと思っているのですが、いかがですか。

○高橋参考人 データはないですが、私もここの中でIターン、Jターンというのを勧めておりますし、論文指導をしている1人の学生は、フィリピンに移住ができるかどうか、フィリピンに行って真剣に調査しているという論文を出しましたから、これからはあるのではないでしょうか。特にこういう危なそうな所に行ったときは、逃げ出すのがいちばん確実な方法だと講演などで話しておりますし、やはりその流れが出てくるのが自然ではないかなと思っております。

○鈴木委員 高橋先生のご指摘は先を見据えたものなので、いつも参考になります。これを拝見すると、関西から東北にかけて、今後都市部の地域密着病床の基盤整備が課題だということで、高機能病院や過疎地域の整備よりも緊急性が高いと書かれてあります。B3シナリオを見ると、高度急性期病床といったものをやるのだとか、一方で僻地医療ということはまた別の意味で充実させようという動きがある中、中間のところが手薄というか、計画としてあまり重点的に整備されていないのではないかという気がするのです。その辺は在宅でやればいいと言う人もいるかもしれませんが、私はそれでは看切れないだろうと思うのです。いわゆる亜急性期や慢性期病床と先生の言われる地域密着型病床と在宅に関して、先生はどのように思われますか。

○高橋参考人 大都市はできるものは何でも入れていかないと間に合わないので、私は何でもありの形です。例えば、日慢協の武久先生が言われているように、療養病床も老人救急をやるような所に関しては地域密着型に入れて、面積が狭い所、極論すると4.3平米で残っている所を何とか有効活用するなど、都市部ではそれぐらいのことをやっていかないと、とても間に合わないと思います。特に、大都市部に関しては何でもありではないかと思っております。今後、我が国の7%の面積の大都市部には52%の人口が住み、75歳以上人口増の8割ぐらいはそこの地域にありますので、医療計画を見直す方々にはその大変さを認識していただき、それに合うような形でやらないと本当に大変なことになるのではないかと思います。

○武藤座長 時間の関係で次に進みたいと思います。それでは順天堂の田城先生にお願いいたします。

○田城参考人 順天堂大学の田城と申します。私は現在、公衆衛生に籍がありますが、もともとは消化器内科医で、学生時代には内視鏡を吉田先生に教わったりいたしました。現在は公衆衛生に籍がありますので、医療提供体制、医療連携、在宅医療、保険医療、介護、福祉の連携というものを専門にしております。東京都の地域医療計画の改定部会の専門委員も務めましたので、平成19年度には、いま東京都でやっている東京都地域医療計画の立案に直接関わりました。最近は板橋区医師会や横須賀市医師会のアドバイザー、世田谷区は人口70何万人と、島根県よりも人口が多い区ですが、こちらの保健福祉審議会、それから文京区、豊島区、新宿区の在宅医療推進会議の会長として、実際に医師会と病院、コメディカルの方々の間、また行政の間に立って汗をかいております。
 また、国立大学と私立大学、竹田綜合病院といった民間の地域医療支援病院のそれぞれの立場で退院支援をやっておりますので、いろいろな立場がわかり、最近は郡市区、特に市区町村の行政と医師会の先生方と一緒にやっております。先ほど高橋先生が東京都の区中央部が医療資源が厚く、南会津が最も薄いと言われましたが、文京区で在宅医療の会と医療連携の会の委員をやっておりますし、この資料にも出てくるのですが、南会津を医療圏とする竹田綜合病院では医療連携のネットをやっております。特に、南会津の人たちと竹田綜合病院との連携を深めております。
 資料は2つ用意しましたが、資料4-2は医学会総会のシンポジウムの資料ですので、医学会総会のDVDで配られると思います。資料4-1に関して、特に循環器の地域医療連携、地域医療連携パスについて、当初は15分でしたが、時間がないので10分強でお話したいと思います。福岡市循環器研究会は福岡市医師会と福岡市医師会立病院が中心となっている循環器の連携の会ですが、福岡市が循環器連携パスを取り入れたいということで、3月の震災のあとに資料4-1を用いて総説的に説明いたしました。
 まず5頁ですが、この会は地域医療計画の会ですので、地域医療計画に沿って説明いたします。5頁の下の段は、厚生労働省の前回の地域医療計画の際に、都道府県の担当者に配られた資料です。ここには発症予防から始まって、発症して救急搬送し、急性期医療を行う所は30分以内に心カテを始めるというのがあるのですが、その後心臓リハビリテーションと再発予防となっております。私自身は東大病院で退院支援、社会福祉部という現在医療連携をやっている部署を立ち上げたのですが、そこでの経験では心筋梗塞も脳卒中も、実は同じ患者さんが数年の経過の間、例えば脳卒中ですと10年の経過ですが、右・左・右と3回ぐらい繰り返し、再入院するということがあります。
 私は地域医療再生計画の委員もしているのですが、地域医療再生計画では、特に救急医療の充実ということが言われていて、そこでも課題となっていることとして、人手が足りない救急医療というところに、人をどんどん入れて強化していっても、その分患者さんがどんどん来るのでは、これは負のスパイラルに入ってしまい、切りがなくなるということがあります。極端な話ですが、1人が脳卒中で3回担ぎ込まれるのであれば、それが1回で済み、再発予防さえきちんとできていれば、救急患者が3分の1に減り、見かけ上は患者と救急医療のスタッフの比率は3倍に増える。要するに、いまの救急のスタッフの量でも、患者さんが減れば、見かけ上は救急を3倍充実させることにつながるわけです。
 この地域医療計画は、どうしても救急医療に重点が当たりがちですが、どちらかと言うと2次予防、これは地区医師会の先生方が中心となって頑張っていただく領域だとは思うのですが、そこを急性期医療を行っている病院と連携してやっていくのがいちばんではないかと思います。たぶん質問が出ると思うので先に言いますが、これは一朝一夕ではできないことで、だからこそ5年計画である地域医療計画に盛り込んで、初年度よりは計画の完成年度に少し進歩があり、そこで無理ならば、さらに次の5年計画としてやっていくために適しているのではないかと思っています。
 6頁は先生方が既にご存じのことで、厚生労働省の資料です。7頁の上の段は、いま言いましたように、急性心筋梗塞も脳卒中もほとんど同じで、回復期・維持期では再発予防、基礎疾患・危険因子の管理ということがあるのですが、実はここが必ずしもできていない。聖路加国際病院の福井次矢病院長が書かれたものを読むと、例えば脳卒中や虚血性心疾患、動脈硬化の防止ガイドラインといったさまざまなガイドラインがあるが、聖路加国際病院レベルでも達成できている患者さんは70%もいないというのです。循環器等の専門医に聞いても、やはり6、7割ではないかということですから、仮にこれを今の倍と言いますか、その7割、8割に近付けると、再発患者が減るのではないか。そのために連携パスがあるのです。
 連携パスの特徴は7頁の下にありますが、そもそもは抗血小板薬の副作用管理等で、再発予防と必須検査の確実な実施、これには後でも触れますが、必須検査の確実な実施を怠っているために、数年経ってから突然救急車で担ぎ込まれるということになるわけです。
 8頁の上の段は、2008年に医療連携の特集号を作ったときに、循環器連携パスで取り上げた先進事例ですが、病院名等が書いてあります。循環器連携パスは連携重視型と、院内のクリティカルパスをより発展させたものに分けられます。9頁の下の段に、いま言った循環器連携パスには2種類あることが書かれてあります。そのあと数頁にわたり、具体的な連携パスについて書いてあります。例えば、12頁の上の段は済生会和歌山県病院のものですし、下の段は横須賀市医師会と4病院が共同で作ったものです。
 17頁の下段には地域連携クリティカルパス、特に全県統一型の連携パスについて書いてあります。いちばん有名なのは千葉県ですが、癌の連携パスについては東京都が都で統一しております。ただ往々にして、連携パスというのは統一パス表を作ることで満足していることが多いのではないかと思います。千葉県は地域医療計画に統一連携パス表を作ることになっていますが、地域医療再生計画のときに千葉県の方をお呼びしてその点を指摘したところ、千葉県もそれはよく分かっていて、統一パス表を作ることと、その下に顔の見える範囲、2次医療圏か、それより下のレベルで連携ネットワークを構築することを別のものとして切り離してやっているということでした。
 このスライドで私が言いたいことは、連携パスというのは運用システム全体をもって連携パスと言うのであって、連携パス表という目に見えるものではなく、コーディネーターも含めたシステム全体が連携パスだということです。また、カンファレンスにはいろいろな種類があって、ネットワークを構築するための会議もありますし、症例検討会といったものもあります。そして、忘れていけないのはコーディネーターが絶対的に必要だということです。医師会の先生方と病院長の間で同じ日本語を話してはいても、言葉は通じないというところを通訳する役目としてコーディネーターが絶対必要です。また、一人ひとりの患者さんについてコーディネートするソーシャルワーカーや退院調整ナースなど、2種類のコーディネーターが必要だと思います。最後に強調したいことは、連携パスは各病院単位でデータを集めている限り進歩はないので、エビデンスを求めるためには、地域全体でデータの一元的な集計や解析をすることが必要ではないかということです。
 時間がないので、あとはスライド数枚の説明をしたいと思います。24頁をご覧ください。上の段は、月2回開かれている連携パスに乗った患者さんの家庭カンファレンスです。このような形で診療所の先生をお呼びし、実際の症例について病院でやっていることをオープンにすることが必要です。その結果は24頁の下にあるとおり、榊原記念病院は2次予防用の健康管理ノートを作成していますし、コホート登録も始めております。さらにインターベンション、ステントだけではなく、榊原記念病院は手術で有名な病院ですが、外科の先生は外来は負担になるので、退院後の2週間後、3カ月後は内科医が診察し、その後はかかりつけ医に適宜お願いをするといった連携の調整外来というのを特別に入れております。榊原記念病院の連携パスの実物は机上配付するほどありませんので、武藤先生の所とあと2冊用意がありますから、後ほど回覧いたします。
 次に、30頁をご覧ください。ちょっと飛ばしてしまいましたが、30頁の下は、連携パスの評価について触れている部分です。これは国民の安全と安心を守る審議会だったと思いますが、その際に提出した資料です。青でマークされている所が会津若松医師会が担当する地域で、黄色は先ほど高橋先生が言われた最も医師が少ない南会津医師会です。竹田綜合病院の場合の連携パスは、1年に1回の専門外来でのフォローアップとして、必要な高度機能の検査をして、残りの11カ月は地区の医師会の先生から診察や薬を出してもらい、不測の事態があれば、送ってもらうという連携関係を取っております。スライドの右上、マル1の会津若松医師会も4年以上経過を観察できている患者の数が多いことがわかりますが、マル4の南会津医師会でもかなりの人数、脱落率の低い形で長期継続ができていますから、都市部よりは医療資源の薄い地方都市で、ダブル受持ち制度をきちんと維持することができるという意味では、連携パスの効果も大きいのではないかと思います。
 31頁の上の段は循環器連携パスの効果ですが、マネジメントツールとしての効果は抜群です。また、連携パスを導入することによって、患者さんに対する治療効果があったかどうかについては、脳卒中の連携パスも含めていろいろな課題になっています。連携パスは医療マネジメント学会や医療病院管理学会等のマネジメント系の学会では演題としてよく発表されますが、日本循環器病学会など医療の本丸である学会等ではなかなか発表されておりません。そのような意味では、治療効果に関しては有意差があるというところまではまだ出ていませんが、3にあるように、やってみて分かったことは脱落例について、脱落していることがはっきりわかるということです。いままでは「あの患者さん来ないね」といった程度の感覚的なものでしたが、誰が来ないかがわかる。逆に言えば、誰が来ないかがわかることによって対策を立てることができるわけです。そういえば、榊原記念病院でもある患者さんが来ないことがわかり、実は引きこもりのある方だったのですが、ソーシャルワーカーを入れて、福祉のほうも含めて対策を立てることができたということです。
 31頁のいちばん下は私が最も言いたいところですが、データの一元管理が大事だということです。いろいろな病院単位で学会発表等がされていますが、公益性が高いということでは、複数の病院にまたがるようなデータのデータベースを作らなければいけないわけで、例えば医師会が医師会立病院を持っていれば、そこの疫学センターとかデータセンターを作る。また、兵庫県のある所では、保健所がデータベースセンターを担っているようです。
 残りの2、3分で、大学病院を含む複数の病院とでネットワークを作っている横須賀市、新宿区、板橋区の試み、これはまだ途中ではありますが、それについて触れたいと思います。33頁の上にある横須賀市医師会地域医療連携体制協議会は、もともと厚生労働省と神奈川の補助金によるモデル事業ですが、3年間のモデル事業が終わって、金の切れ目が縁の切れ目になりかけたのですが、モデル事業時代よりはアクティビティは落ちてはいるものの、市につないでいただいております。医師会の役員とがん診療連携拠点病院、地域医療支援病院である横須賀共済病院、市立病院は2つですが、途中で地域医療振興協会の病院に変わり、あとはホスピスのある民間病院としてキリスト教を母体とする衣笠病院、行政として保健所、横須賀市は政令市なので市の保健所と県の保健所等で組んでおります。33頁の下から34頁にかけて、4疾病のワーキングとそこが作った連携パスの例があります。ただ、どうしても連携パスを作ったワーキングのグループ長を出している病院が、その疾患について熱心になるという傾向があります。34頁の下段にあるように、癌に関しては横須賀共済病院が33で突出しておりますし、心筋梗塞に関しては、横須賀市立うわまち病院が突出するという傾向がどうしても否めません。
 35頁の下のスライドは新宿区循環器地域連携パスで、新宿区医師会の循環器医会の先生が主導的に行いました。なぜかと言いますと、新宿区には大学病院が3つ、国立国際医療研究センターをはじめとした国公立病院が4つ、合わせて7つの大きな病院がありまして、それぞれから別々の連携パスが出されると非常に混乱するので、医師会が主導権を持ってやろうと。かなり前からその構想はあったものの、なかなかまとまらず、途中で頓挫したりしましたが、昨年度うまくと言いますか、とにかく始めようということで、榊原記念病院が使っている連携パスに準拠したものをベースに、下にある国立国際医療研究センター新宿病院と医療公社大久保病院、東京厚生年金病院、東京医科大学附属病院は医師会の先生方の所にアルバイトで来ている先生がいたからですが、こういった大きな病院4つと専門性の高い診療所で取りあえず始めております。
 36頁の板橋区医師会は医師会長のリーダーシップ、脇を固める副会長、理事の方々が非常に熱心で、36頁にあるように、いろいろな領域にわたって連携の会をしっかりやっています。37頁の上ですが、板橋区も帝京大学医学部附属病院、日本大学医学部附属板橋病院と2つの大学病院がありまして、地理的には少し分かれていますし、鉄道の沿線の関係もあるので非常に仲良く共存しておりますが、こちらも循環器の連携パスを始めました。日大板橋病院の救命救急科で心カテを担当している先生が以前から使っていたものがあったので、非常にざっくりしたものですが、それをベースに開始しました。最後に、37頁の下段のいちばん下のポイントですが、顔の見える連携ネットワークができていれば、どんなツールでも動きやすいというのが、いろいろな場所での過去数年間の経験に基づいた結論です。

○武藤座長 ありがとうございました。時間の関係で、お一人だけご意見をいただきたいと思います。

○神野委員 最後にお話があったように、リーダーシップと言いますか、誰が音頭をとるかというのは非常に大事だと思います。今回の榊原記念病院の例や竹田綜合病院の例というのは、1病院対多医療機関のパスなのでやりやすいと思うのです。最後の3つの事例はすべて医師会がリーダーシップを取っているのですが、医師会のリーダーだけでなく、いわゆる事務局機能、誰が汗を流すかというところですが、これもまた重要になってくると思うのです。地域で考えるときは、やはり複数病院が全体の医療計画の中で参加するような体制を整えるのがいちばんいいと思います。たまたま私の所は能登半島で脳卒中の地域連携パスに関わっていますが、当初の事務局は保健所にやっていただきました。保健所が来いと言ったら、嫌でも人が集まりまして、それでうまく機能したのかなと思いました。リーダーシップと事務局機能について、先生はどう思われますか。

○田城参考人 先生のおっしゃるとおりで、資料4-2は在宅医療で疾患が違うのですが、ここも文京区と豊島区と板橋区と新宿区の例がありまして、やはり公には行政が声を掛けてということになりますので、事務局機能は保健所になるのだろうとは思います。連携とか在宅医療はすべて行政がやるのですが、基本的には地区の医師会に丸投げになることが多いので、事務局機能にはいろいろな候補があって、どれがベストかは決められないと思います。その土地と言いますか、それぞれの中で誰が最も苦労を平気とするかということで、医師会の場合があったり、あるいは地域中核病院の医療連携室の場合もあるし、保健所の場合もありますから、何がベストかは決められないと思います。
 また、医師会が主導的にやりたいと言ってもなかなかうまくはいきませんので、やはり数年間かけて徐々にということです。先ほども言いましたが、医師会の先生方と病院の先生方、ただ、病院長や部長と実際にいちばん忙しく働いている人たちの意思というのは必ずしも統一されていませんから、医師会の先生が言われている意味はこういうことだと病院の先生に言い、病院の先生方が言われることをこういう意味だと、双方にメリットがあるということをきちんと説明できる、これは私自身がやっていることですが、そういったことをあちこちでやっていくことも1、2年かけてということになります。そのような役割は絶対に必要だと思いますし、それをやっている間に、いちばん熱心な人が事務局を引き受けてくれると思います。
 中長期的なことで言えば、個人的には公衆衛生に籍があることもあって、保健所に頑張ってもらえればとは思います。ただ、保健所はいま非常に大変なので、保健所にやってもらうためには人員をちょっと増やすと。保健所が今までやってきたことの中に、地域医療計画、医療施設情報提供制度でしたでしょうか、病院の手術件数等は保健所を通じて報告する義務がありますので、その制度を逆に活用すれば、保健所がヘッドクォーターになり得るので、そのための人員を1、2名は付けてあげないと大変です。そのようなことがきちんとうまくいけば、保健所と、よくできた医師会立の施設があれば、医師会だと思います。

○神野委員 おそらく立ち上げ時期に行政が絡まないと、なかなかできないのかなと思いました。

○武藤座長 そろそろ終了時刻ですので閉会したいと思いますが、前半は小井土先生をはじめ、DMATという災害医療の話、後半は高橋先生から2次医療圏データベースの話、田城先生から連携パスのお話がありました。厚生労働省から何かありますでしょうか。

○事務局 特にございません。

○武藤座長 たくさんのご意見を頂戴いたしました。次回の検討会では、引き続き、医療計画を策定する立場の都道府県からのご意見として、岡山県保健福祉部の佐々木部長、神奈川県保健福祉局保健医療部の中沢部長に発表していただく予定です。在宅医療の現状と課題については、在宅医療推進室より発表を依頼していただく予定です。次回の開催については、日程調整の上、後日事務局からご連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。今日は大変お忙しい中をご参集いただきまして、ありがとうございました。


(了)
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