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2011年5月31日 第4回がん研究専門委員会議事録

健康局総務課がん対策推進室

○日時

平成23年5月31日(火)14:00~17:00


○場所

厚生労働省 17階 専用18・19・20会議室 (東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)


○議題

1 疫学分野、政策分野の研究体制のあり方について
2 今後の進め方について
3 その他


○議事

出席委員:野田委員長、大津委員、祖父江委員、直江委員、中西委員、平岡委員、松原委員

○鈴木がん対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4回がん対策推進協議会がん研究専門委員会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局の健康局がん対策推進室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 本日の委員の出欠状況でございますが、間野委員からの御欠席の返答をいただいておりまして、がん研究専門委員会の委員定数8名に対しまして、本日は7名の委員の方々に御出席いただいているところです。議事運営に必要な定足数に達していることを御報告申し上げます。
 それでは、初めに、外山健康局長からごあいさつさせていただきます。
○外山健康局長 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。健康局長の外山でございます。第4回がん対策推進協議会がん研究専門委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、本日は大変お忙しい中、御出席を賜り、誠にありがとうございます。また、平素よりがん研究の推進に御尽力賜り、この場をおかりして御礼申し上げます。
 初めに、去る3月に発生いたしました東日本大震災で多くの被災された皆様、更に、原発事故関係で避難された多くの方々に対しましてお悔やみ申し上げるとともに、一日も早い復興に向け、厚労省として今後も最大限努力してまいる所存でございます。
 一方、来年に控える次期がん対策推進基本計画策定に関しましても、大変重要な時期に当たります。先般5月25日に開催いたしました、がん対策推進協議会におきまして、野田委員が本専門委員会の委員長に再指名され、また、専門委員の方々もそれぞれ委員として再指名されたわけでございますけれども、これまで同様の体制で今後も活発な御議論ができるよう、本専門委員会での運営も支援してまいりたいと考えております。
 本日は、医療行政にとっても重要な分野であります、がんの疫学分野、政策分野の研究体制の在り方に関しまして御議論いただく予定としております。疫学研究や政策研究が、その成果を医療現場や医療行政に反映させる意味で非常に重要な議題であると考えており、本日の議論に期待しているところでございます。
 今後ともがん対策の更なる充実を図ってまいりたいと考えておりますので、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○鈴木がん対策推進室長 それでは、以後の進行につきましては、野田委員長にお願いいたします。委員長、よろしくお願いいたします。
○野田委員長 座ったまま失礼いたします。外山局長、ごあいさつありがとうございました。
 まず初めに、東日本大震災において多くの犠牲者が生じましたことについて、本専門委員会を代表してお悔やみを申し上げます。また、被災された方々や被災地域が一刻も早く復興されるよう願っております。我々専門委員会としては、がん医療やがん医療行政の基盤となるがん研究分野における協議会への提言を行う使命を担っており、今後も継続してしっかりとした議論を行っていくことが、今回の地震の被災者の方々のためにもなると信じております。よろしくお願い申し上げます。
 本日は、委員の先生方、お忙しい中御出席をいただきまして、ありがとうございます。特に、祖父江先生につきましては、今回の疫学分野あるいは政策分野の研究体制の在り方について貴重な資料を提供していただきまして、議論をリードしていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 今、申し上げましたように、これまで基礎研究の在り方や橋渡し研究という流れで議論してまいりましたが、今回、間野委員の欠席ということもあり、普通の流れであれば臨床研究の方に行くところですが、今回は、疫学分野や政策分野の研究体制の在り方について重点的に議論するということでいきたいと思います。
 それでは、まず、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○鈴木がん対策推進室長 それでは、資料の確認をさせていただきます。なお、以上をもちまして撮影を終了し、カメラを収めていただきますよう御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 資料でございますが、議事次第の下にも書いてありますが、資料1「公衆衛生・政策研究について」、祖父江委員提出資料。
 資料2「公衆衛生・政策研究に関する論点整理」、祖父江委員提出資料。
 参考資料として「がん対策推進協議会がん研究専門委員会中間報告」。
 なお、先ほどカラー刷りで「がん対策推進協議会がん研究専門委員会 別紙2」を1枚配らせていただきました。
 以上でございます。
○野田委員長 ここでまず、今回の議題に入ります前に、前回の第3回委員会より時間が開いておりますので、前回の委員会までのこと、それから、前回の委員会から今回までの経過の簡単な御報告をしてから、今回の議題に移りたいと思います。
 まず、各がん対策協議会の本委員は任期が2年ということで、3月31日でがん対策推進協議会委員の任期が切れました。ということで、前期の垣添会長のもとの話し合いは、そこで一旦区切りを迎えたということになりまして、その段階で前期の最後のがん対策推進協議会において報告をするように垣添会長から求められまして提出したのが、この参考資料です。なので、これは皆様にお渡ししておきます。これは、実際にはウェブサイトからもダウンロードできますが、ここで議論した内容をこのように簡単にまとめて、協議会委員には一度報告しているということです。
 1ページ目にありますように、3回の委員会で行った簡単な内容と、一番大事なのが30ページに挟まっているもので、実際にプリントアウトして出したのが、今日手元にお渡しした色刷りの資料になります。これで、がん対策協議会においては、進行の方針とスケジュールを承認していただきました。ということですので、今までの委員会で重要と思われるがん研究領域の抽出を行ったと。そして、これからは現状の課題を再検討して、今後5年間の研究推進において重要となる施策と目標を明確にすることが目標であると。その領域というのは、創薬に向けたがん研究、そこには基礎研究、TR研究、臨床研究が含まれるであろうと。2番目として、これはまだ先にありますが、診断法及び医療機器開発に向けたがん研究。平岡先生御専門の放射線治療なども、ここに含まれるということです。3番目として、がん予防法の確立に向けたがん研究。4番目として、がん医療・がん対策の有効性評価のためのがん研究。5番目が、がん研究推進のための体制に関してというように5つの領域を明示しました。そういうことで前回のがん対策推進協議会は終わりました。
 今年度から、また2年の任期でがん対策推進協議会委員が選ばれたわけですけれども、震災のせいもありまして、第1回協議会がなかなか開かれないということで、専門委員会もスタートが切れないということで、皆様にはせっかく資料をつくっていただいたのですが、スタートがここまで遅れたということですので、そこは御了承ください。
 ということで先週、がん対策推進協議会の第1回が開かれまして、決まりに従いまして会長を互選で選び、現在、阪大副学長の門田先生が会長になられましたので、門田先生の議事のもと進行されて、その結果、さっき鈴木室長から御報告がありましたように、今までの流れと、これからも専門委員会がこの体制で進めていくことに関して、よろしくお願いしますということが行われたので、今回のものがまたスタートするということになっています。それが今回までの流れです。
 何か御質問ありますか。なければ、3~5回の委員会の大事な領域の中で、3番目のがん予防法の確立に向けたがん研究、がん疫学などもここに含まれますが、更に、がん医療・がん対策の有効性評価のための研究、ここには実際には政策的な研究手法があると思いますが、そういうところをまとめて祖父江先生に今回、資料をつくっていただきました。ということで、今回の議題の疫学分野、政策分野の研究体制の在り方についてという議論を行いたいと思います。
 もう皆さんよく御存じだと思いますが、祖父江先生は、国立がん研究センターにおいて、がん登録を初め、さまざまな疫学の分野で国の中心として取り組んでこられましたので、祖父江先生に資料をまとめていただきました。ということで、この資料をお使いいただいて、まず、当該分野における世界の流れ、日本の流れ、あるいは研究の仕組みについて委員で理解を深める作業をやりたいということで、大体40分程度を予定しています。その間、大事なポイントは随時とめていただいても結構ですし、ただ、それが終わったところで質問にしたいと思います。ただ、いつもの話ですけれども、祖父江先生におまとめいただいた、もう一つの資料に論点をあらかじめ整理していますので、ここでいろいろな疑問や問題点が出てきても、それが問題である、この先重要であると思ったときには、この論点整理に従ってディスカッションを進めますので、そのときに必ず発言して指摘していただきたいと思います。祖父江先生に質問したのに、重要だと言ったのに、何で最後の基本計画に載らないんだと言われても困りますので、基本計画の基礎となる話し合いのまとめ、そこから更に抽出された基本計画の原案については、この論点整理に基づいて事項を整理していきたいと思いますので、その点は是非、御留意ください。
 では、祖父江先生、お願いできますしょうか。
○祖父江委員 今までとちょっと毛色の違う領域ですけれども、こういう機会を与えていただいて、どうもありがとうございます。資料1に従って説明してまいります。
 まず、名前が公衆衛生となっていますけれども、その意図は、患者さんじゃなくて正常の人を対象とするという意味、パブリックスヘルスです。疫学と言うと、学問体系で言うと方法論に当たるので、疫学研究と言うと臨床疫学研究もあれば、普通の人に対する疫学研究という意味合いがあるので、こういうふうに使っていますが、いろいろな言い方があるかとは思います。
 中身としては、予防・検診の研究、研究成果をまとめる仕組み、政策研究という3つに分けて説明します。また、11ページ以降は、コスト、研究インフラということで、公衆衛生や政策研究に限らない体制とか、もっと大きな話かとは思いますけれども、公衆衛生や政策研究、特に、予防と検診の研究に関してのコストや研究インフラということを例示しました。
 まず、1ページ目の下に大枠の考え方を示しています。がん対策を進めるに当たって、科学的根拠に基づくということがキーワードになるわけですが、その目的は罹患・死亡の減少、患者・家族のQOL向上の2つです。実際に、がん対策を進めるというのが黄色の部分で、予防、早期発見、診断、治療、終末期ケアという一連の流れを進めるわけですけれども、これを進める前段階として、がんの実態はどうなのかに関してきちんとデータに基づいて優先順位をつけ、それに対して目的となる罹患・死亡の減少あるいはQOLの向上を達成するために何が有効な方法かをまずは研究して開発し、それをまとめて対策として反映するという過程があります。
 一方、対策を行った後も、それが正しく実施されているかをモニタリングする、あるいは質を評価するといったことを研究として支えるということもありますし、最終的に目的が達成されたかを罹患・死亡、QOLを測定することで評価するという流れになります。
 まず、予防・検診というのが赤枠で囲ったところですけれども、どういったことがリスク要因になるのか、低減対策はどのようなものが有効であるのか、検診、有効なものは何かを研究する分野です。これは、いわゆる診断に対する研究ですとか、あるいは治療、臨床試験、治験というレベルと割と似ているところです。
 ただ、特徴としては、予防の中を観察研究、介入研究、リスクを同定するための研究とリスク低減をするための研究と分けていますが、エンドポイントとしては、がんの罹患・死亡がリスク同定になりますが、一旦この因子がリスク要因であることが確定すれば、リスク低減の目的として、例えば、たばこがリスクであれば喫煙率をエンドポイントとして評価ができるということになります。検診に関しては、がん死亡がエンドポイントと。
 観察的な研究というのは余りフェーズがないですけれども、介入に関しては治験や臨床試験と同じような実施可能性を検討し、小規模集団で有効性を推定し、それを大規模集団で検証するというところはフェーズ1、2、3とよく似ています。ただ、非常に規模が大きくなると。最終的な研究の規模は、数万から数十万といったことになりますから、その辺りはちょっと規模が異なるということはあります。
 リスク同定の具体例としては、たばこ、栄養、運動、感染、大気汚染、受動喫煙、放射線といったものがあります。それに対応してリスクを低減する方法としても、生活習慣を改善する、禁煙を支援するといったものから、介入としても薬のような感じで投与するサプリメントもありますし、感染防止に至ってもワクチンのような割と医療行為に近いことも予防の中には含まれます。あるいはピロリ菌の除菌などは予防に関しての介入ですけれども、かなり医療に近いところもあります。それから、環境整備。
 検診になるともっと医療的で、PSA、胃内視鏡、胸部CTなどが今のトピックだと思いますけれども、こういったものの有効性を図ることが目的になります。
 このような大枠ですが、更に、予防や検診の研究の特徴としては、特に、予防の観察研究に関しては、悉皆性、代表性ということ、悉皆性というのはリプリゼンタティブとかコンプリートネスという言葉なんですけれども、とにかく全部を対象としますということです。これが確保できるかどうかということが、予防観察研究の科学的妥当性を決めるところですので、これを確保するのに、また、どのレベルまで求めるのかということと密接にかかわってきます。
 疫学倫理指針がほかの指針とちょっと異なるのは、必ずしも御本人の文書による同意を求めることを原則としてはいません。それは、厳密な同意取得により観察研究の科学的妥当性が損なわれる場合があるからです。そのことが3ページに書いてあります。
 疫学倫理指針において必要とされるインフォームド・コンセントの内容は、これだけ場合分けがされています。まずは介入研究、観察研究、人体試料を使用する・使用しない、特性として侵襲性があるとか、個人単位の介入であるかというようなことが書かれています。同意の要否というところが、介入研究でも集団の介入では同意は必ずしも必要ではない。観察研究ですと、人体試料不使用の場合は必要ではないということが書かれています。ですので、この辺が臨床試験とはかなり違う、本人の同意に基づいて行うというわけでもないというところがあります。
 その背景は、下の図を見ていただくと、同意を取得することによって、先ほどの科学性の担保がされにくいということともに、観察研究の場合は被験者に生じる危険性は非常に低いということがあります。なので、ここの兼ね合いで、厳密な同意をとらなくても被験者保護が可能であるということがあって、このような対応になっていると。
○野田委員長 1つだけいいですか。上の介入研究での集団単位の介入で必要でない。これは例を挙げて、どういうのが集団単位なのか。
○祖父江委員 集団に対する教育プログラムみたいなものですね。同意をとってしまうと、そのこと自体が介入になってしまったりすると。なので、後でちゃんと説明しろということはあるんですけれども、事前の同意をとることは必ずしも必要でないといったことがあり得ます。
○野田委員長 わかりました。
○祖父江委員 2ページ目の下の表ですけれども、ほかの倫理指針とこういう区別はあるんですが、それでも臨床研究倫理指針ですとか、ゲノムの指針とかきちんと共通の部分は共通の部分として指針をつくり、2階の部分を別にしてというような形での共通指針の設定が必要ですし、あるいは倫理審査委員会の中でもどうしても同意をとらないということに関してコンサバティブな方に偏る、同意をとれという方に偏るので、このことをきちんと理解して、余り偏った判断にならない方向への標準化が必要ではないかと思います。そのためには、後の議論で出てきますけれども、倫理審査の結果をきちんと共有するということが必要ではないかということが考えられます。
○野田委員長 2ページの下から更に3ページの上の部分は、非常にコンセンサスが得られていて、何か学会で出しているものをフォローすれば、大体どこからも攻撃されることがないような、あるいはどんな問題も出ないような統一した見解なり、フォーマットもできていてという形は整備されているんですか。
○祖父江委員 これは、もともとは疫学研究の中で、どのような同意が必要かということを研究班で議論した、そのまとめを基に疫学倫理指針ができているということです。世界的に見ても、こういう形での同意をバランスをとって段階を持って要求するということは、それほど珍しいことではない、標準化されていると思います。
 では、2ページ目の下の2番目の点ですが、大規模は予防、検診研究、それぞれ適用されることなんですけれども、大規模であるということで特に必要なのが、既存の資料というのは住民票や人口動態統計といったものですが、あるいは検診の受診者名簿といったものを個人情報つきで利用するということで、膨大な研究費をかけことなく質の高いデータを確保することはできる可能性があります。ただ、ここのところは個人情報保護とバランスを考えて、法的にも基盤を整備していくことが必要になります。
 特に、今、電子化されたデータが大規模な形で存在します。例えば、ナショナルレセプト・データベースというものがありますし、そういったものとメタボ検診の結果とを照合することで、余り大きな費用をかけることなく、きちんとした質の高い評価研究を行うことができると。こういうことをもっと研究として進めていくべきであるということをまとめたところです。
 コストと研究インフラは後で説明します。
 これが予防観察、予防介入、検診評価研究の特徴ということで第1の点をまとめたものです。
 第2の点が、研究と呼べるかどうかわかりませんが、研究成果をまとめる仕組みとしてガイドラインを作成するというものがあります。これは基本計画の中では診療ガイドラインは別の項目として取り上げられていますけれども、同じようなものとして予防ガイドライン、検診の有効性ガイドラインといったものがあります。各研究というのは論文やジャーナルに出てきますが、そういったものがバラバラに存在しても、それを対策として活用するには、対策の立案者にとってはハードルが高いものなので、論文をきちんとまとめて対策に応用できるような形でサマライズしたものが必要になります。それが、エビデンスレポートとか、あるいは更にリコメンデーションをつけたガイドラインというものです。
 4ページの下で、がん検診を例として見ますと、ガイドラインといっても二通りありまして、がん検診の有効性に関するガイドライン、それはその検診が死亡率減少効果を持つのか持たないのかというところで判断するものですが、更に、有効ながん検診の受診率向上方法の効果に関するガイドライン。こういうことをやると受診数が上がりますということに関する、それが有効であるかどうかというガイドラインもあります。検診有効性ガイドラインというのが上で、受診率向上方法の効果に関するガイドラインというのは、どちらかというと政策研究をまとめたものというような立場だと思います。
 その中身は、まずはシステマティックレビューをする、これは非常に手間がかかりますけれども、それをした上でまとめて、メイクリコメンデーションズというのがポイントで、これを対策として行うべきか、行わない方がいいのかという推奨を出す部分です。更に、リサーチニーズというか、エビデンスの欠けている部分はどこどこであると。なので、この分野に関しての更なる研究が必要であるということを同定する過程でもあります。こういうものがファンディングエージェンシーと一体となってリサーチニーズが更に研究員の配分に反映されるというところが、みそになるかと思います。
 5ページですが、U.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEというのがアメリカの組織として存在します。それはAHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)の中に事務局を置くものなんですが、予防的な医療行為に関する有効性を評価してガイドライン、リコメンデーションをつくるという組織です。外部委員が中心となってタスクフォースを形成して、そういう判断をしているわけなんですけれども、このU.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEのアクティビティを支える組織として、EPC(Evidence Practice Center)というものが全米、カナダも含めて14か所存在しています。このEPCというところは何をするかというと、要はシステマティックレビューをしてエビデンスレポートをつくるという作業をしています。なので、U.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEのメンバーは、システマティックレビューという非常に手間のかかる作業は自分たちではせずに、エビデンスレポートを見て判断だけをすることに専念できるようになっています。リコメンデーションを決定するという作業に専念できると。このEPCというのが主には大学に存在していまして、AHRQのほかのアクティビティがあるので、それをサポートするためにEPCが14か所あるわけですけれども、オレゴン大学にあるところがU.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEのEPCとして機能しています。こういうところが、日本のガイドライン作成に関しても、学会が手弁当でシステマティックレビューをして、若手のお医者さんが非常に汗をかいて何の見返りもないというような、非常に脆弱な組織で行っていると言っていいのかよくわかりませんけれども、あるいは、検診の分野でいくと研究班がやっていたりするんですが、そういうものではなく、常設のこういう仕組みをつくった上でガイドラインを作成することが必要ではないかと。これがやはり研究と対策を結びつけるタルの必要な仕組みとして、もうちょっと認識されてもいいんじゃないかと思いました。
 6ページは、U.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEが守るべきポリシーとして、透明性や説明責任、一貫性、独立性といったものをきちんと確保するためには、研究班というよりは常設組織がいいのではないかと思います。これは研究の成果をまとめる仕組みというところです。
○野田委員長 これ、ファンディングはどういう形で行われているんですか。
○祖父江委員 AHRQがサポートしています。エビデンスレポートをつくるという1本当たり幾らかというような出来高払いのようになっていて、大体1本1,000万円ぐらいのものが出ているようです。
○野田委員長 AHRQのファンディングというのは、実際にはNIHなどからですか。
○祖父江委員 DHHSからです。
○野田委員長 そうすると、これは普通のがん登録で2つの仕組みがあるような民間やそういうもののサポートとは別に、これは公的な仕組みとして完全に動いているということですね。
○祖父江委員 なので、結構微妙なのが、これはプリベンティブサービスしかやっていません。医療そのもののガイドラインはつくっていません。過去にそれをやろうとして、AHRQの組織全体が危機に瀕したことがあって、国がそういうガイドラインなどをつくっていいものかと医療界から批判があって、アクティビティとしては予防医学的な行為のみをカバーすることになっています。
○野田委員長 ありがとうございました。
○中西委員 そうすると、これは常設の組織とはいえ、そこに国が全体の運営費を出しているというのではなくて、既存の組織に国がこのプロジェクトについての各業務に対してのコストを払っているということですか。
○祖父江委員 コスト自体は100%フェデラルガバメントだと思います。
○中西委員 では、もう施設箱から人から全部国の予算で賄われているのですか。
○祖父江委員 ただ、働いている人というか、タスクフォースのメンバーはみんな外部委員で、大学の先生だったり、要はガバメントの雇用者ではないです。
○直江委員 今の質問と一緒ですけれども、医師というのはバーチャルな組織なんですか。
○野田委員長 大学の中に完全に置かれていると。
○直江委員 それぞれに別のタスクフォース専用のセンターがあるということですか。
○祖父江委員 AHRQには、ほかにもいろいろなアクティビティがあるので、U.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEのサポートをしているのが1つのEPCだということです。AHRQでほかにやっているのは、自分が持っているデータベースを解析するとか、ガイドラインのウェアハウスみたいなものもやっていますし、全容は今はっきり言えませんけれども、U.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEだけではないので、EPCが幾つもあると。
○野田委員長 そうすると、今、直江先生がおっしゃったように、ほかがカバーしているのがどういう種類のものか、ブルークロス、ブルーシートなどというものがあるから、保険とかそういうところも。そうすると、だんだん医療のクオリティの方にちょっと踏み込んでいるような感じがしますよね。
○祖父江委員 だから、シーアメディケアのデータとか、あるいはメディケアで出てくるデータベースの解析というようなこともAHRQの中ではやっています。
○野田委員長 このAHRQのディレクターだとかメンバーというのは、どうやって決まって、どのくらい流動性があって、研究者と官僚との、余り議事録に残らない方がいいけれども、日本でそういうものをしようとしたときと比べて、どう思いますか。
○祖父江委員 AHRQ全体のことは余りよくわからないんです。U.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEの事務局の人たちは、4~5年で代わってしまいます。一応パブリックスヘルスとか、いわゆるEvidence based medicineの指揮を持っている人たちが変わりばんこで来ますけれども、事務局がそれほどリードするわけではなくて、やはりタスクフォースのメンバーがきちんとした人が選ばれていて、ただ、U.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEのメンバーは、疫学やパブリックスヘルスの専門家かというとそうでもなくて、基本的にはお医者さんなんですよ。プリベンティブメディシンを担う代表の人たちが来ているということなので、ほとんどMDを持っている人がメンバーになっています。
○野田委員長 実際には、一番ここで大事だと思うのは、EPCというのはきちんとあると。つまり、あるノーレッジや、ある人的資源も持っているところはちゃんと用意されていて、そこから上がっているものをどのように判断していくかという人たちはタスクフォースとやりとりをしていて、その人たちがある程度硬直化せずに、やる側と評価する側とがうまくターンオーバーしながら進むというのが、やはりベストなんだと思うんですね。下のEPCも一緒にやってしまうと、どうしてもこれをやり続ける人が固定化するじゃないですか。これが切り分けられているというのは、やはりすごいですよね。
○祖父江委員 EPCも、こういうエビデンスをまとめる専門家というのがコアの人たちとしているんですけれども、エビデンスレポート、1本仕事が回ってくるとそれに対して特別のスタッフメンバーを集める。だから、例えば、マンモグラフィの検診の有効性に関しての評価がエビデンスをまとめなさいというタスクが来た場合には、オレゴンの中の臨床の専門家をまとめてチームも形成し、8人ぐらいのチームでエビデンスレポートをつくっていくというようなことを言っています。
 なので、U.S. PREVENTIVE SERVICES TASK FORCEメンバーが、その判断をする専門家かというと全然違うんですよ。なので、検診の有効性に関して判断する人たちが、その検診の専門家ではないというところがみそなんですよ。それを批判のネタにする人もいますけれども、むしろ専門家が入るといろいろあって難しいところを、公平に使う側からの判断ができるという仕組みをつくっているということなんだと思います。
○野田委員長 ただ、いずれにしても、そういうブリッジの置き方をしないと、研究と対策というトランスレーションがスムーズにいかないということですよね。
○祖父江委員 そうですね。日本の場合は、がん検診の評価をするのが、がん検診の評価研究をした人そのものなんですね。それは我が身も反省すべきところがあるんですけれども、そうでないと人材が得られないというところが何とも言いがたいところなんですが、やはり公平性とか説明責任とか客観性、透明性を確保するのは、それなりの人を選ばないとだめかなというところはありますよね。
 では、3番目の政策研究ですが、政策研究というのは、がん対策を実施した後にきちんとやるべきことが普及できているのかというところを検証する、それをプロモートするような研究の枠組みです。具体的には、生活習慣モニタリング、受診率精度管理、医療の分野でいくと、診療の質の評価といったものがこれに相当するものと思います。
 7ページですが、いわゆるトランスレーショナルリサーチというのは、ベーシックリサーチとクリニカルリサーチを結ぶものというような言い方がされていますけれども、もっと研究から対策へというようなレンジで考えると、ずっとトランスレーショナルなんですよね。縦軸はAmount of Funding,Interest,and Activitiesと書いてありますが、研究者の興味あるいは予算といったものは初期の段階の方が多いんですね。だんだん興味が薄れていって、プラクスティスになるとLost in translationと書いてあります。こういうことを言っている人がアメリカでもいたりして、なるほどなと。
 それを下にまとめてありますけれども、基礎研究、臨床研究、疫学予防研究というのは、研究者が興味を持っていろいろ新しい試みを行うということで、研究者からの自発的な発想で物事が進んでいきますし、その中でよりよいものを選ぶという競争の選択ということが成り立ち得るんですけれども、政策研究というのはこういうことがなかなか成り立ちにくい分野です。行政で一回展開した上で、そこに生じてくる問題点、ニーズからこういう課題が出てくる。困っているので、これに関しての研究をしてくださいと課題設定が先行する。しかも、単一の分野ではなくて、多くの分野の研究者が関与しないと解決しないような問題が多いです。そうすると、ファンディングエージェンシー、研究費を払う側がかなりお膳立てをしないと、こういう政策研究というのは進まない。研究者にやってくださいと放り投げても、恐らくいいかげんなことしか行わない。
○野田委員長 いいかげんというか、おいしそうなところだけですよね。
○祖父江委員 そうなんですよね。だから、必要なところというより、面白そうなところだけに手がつくというようなことが成り立ってしまうという部分です。
 8ページですが、アメリカがいいとは言いませんけれども、アメリカでどんなことをしているかというと、先生方も御存じだと思いますが、NCIの中でディビジョンというのがありまして、ExtramuralとIntramuralに分かれています。Extramuralのディビジョンというのは何をやっているかというと、ディビジョン全体が巨大なファンディングエージェンシーの役割を果たしているという認識です。その中に、基礎研究とかCancer Treatment and Diagnosisとか、あるいは予防疫学というところはCancer Preventionなんですけれども、それとともにDivision of Cancer Control and Population Sciencesというのがあります。これは一番新しいディビジョンで、1990年代にできたものなんですが、ここのキャッチフレーズがNCI’s Bridge to Public health research,practice and policyということになっています。
 下がその組織図なんですが、Behavioral Research Programとか検診とか、情報提供、たばこ対策、モニタリング。我々も割と密接に関係のあるサーベイランス、がん登録あるいは統計のところと。こういったところ研究者がいっぱい張りついているんですが、彼らは一体何をしているかというと、自分たちで研究しているわけではないんですね。サーベイランスの人たちは多少は解析していますけれども、たばこ対策とか情報提供とか検診という人は何をしているかというと、NCI以外の全米あるいは全世界に散らばっている研究者とコミュニケーションをとって、どんなリサーチニーズがあるのかを常にアップデートし、ワークショップを開き、次のグランドアプリケーションに関してどんなことがいいということをまた情報共有して、人を育ててネットワークをつくるということ。それから、適切な課題設定をするということを研究者の立場でやっていると。自分たちの研究でなくするということで、彼らのキャリアパスが確保できているからこそ、こういうことができるんですけれども、ファンディングエージェンシー的なアクティビティが日本でも確保できると非常にいいかなというところです。逆に言うと、こういう組織がないと、本当の意味でのポリシーリサーチというのは育っていかないのではないかということです。
 9ページは韓国の話です。韓国は、最初は日本のまねだったと思うんですけれども、がん対策の10か年計画が今2期目になっています。2006年から。こんな図が出てきて、よく似てるなという感じですけれども、リサーチのところにBasic/translational/Clinicalと並んでPolicyと書いてあります。結構ポリシーに関してきちんと考えているのかなというところなんですが、下の図はNational Cancer Centerが韓国にもあるわけですけれども、その組織が研究所、病院と並んでNational Cancer Control Research Instituteというものがあります。
 そこの組織図が10ページですけれども、Division of Cancer Registration&Surveillanceというのがありますが、そういうものと並んでCancer Policy Branchと、Cancer Early Detection Branchもありますし、ホスピスもありますが、こういったところでキャンサーポリシーに関してのリサーチのアクティビティを担保しているということなので、韓国もかなりがん登録とか、がん検診に関して系統的な取り組みを行っているということで、我が国でもこういうものが必要ではないかというところです。
 下の図は、ポリシーリサーチとしてカバーすべき範囲としては、こんなことを考えられて、科学的な根拠に基づいて対策を行っていく。特に、やるべきことをいかに普及するかに関しての研究と対策を結びつけるものとして、ポリシーリサーチがあるのではないかというところです。
○野田委員長 ちょっといいですか。余り具体的なことになるとちょっとあれですけれども、私も韓国のこれが明らかにあると。それも、要するに、単なるセンターだとか何とか対策室という置き方ではなくて、一つのインスティテュートとしてこれを置いてあるというのが、できた時期が遅いので、日本に比べるともう少し対応しているのかと思うんですけれども、今でも、例えばこれから先を見たときに、いわゆるポリシーというのが最も身近にあるのは予防のところだと考えていいんですか。つまり、ディテクション、サーベイ、検診、どうしても予防と言ったらおかしいけれども、検診とかそういうものとくっついてのところに、よくポリシーのあれがあるじゃないですか。
○祖父江委員 いえいえ、そんなことはないです。医療の質を評価するとか、均てん化といったところは、予防とか検診ではなくて医療そのものです。
○野田委員長 そうですよね。そうすると、これはたまたまカバーしている分野が今はこれが多くなっているけれども、例えば、韓国のコントロールインスティテュートで、今言ったような韓国そのもののがん対策、本当に医療の質とかそういうものもやっているんですか。それともそれとは別に。
○祖父江委員 韓国は手をつけられる状況にあると思います。というのは、レセプトのデータが国レベルで電子化されています。やりたい放題だと思います。
○野田委員長 そうすると、ミッションなのか、ニーズなのかというのがあって、ニーズの面から中でやっているけれども、ポリシーの方はミッションさえきちんと打ち立てられれば、ここでやれるだろうということですよね。
○祖父江委員 ただ、いろいろな領域の人たちが必要なので、全部自前でできるというわけではなくて、ヘッドクオーターとしての機能を果たせるということだと思います。
 では、後の時間でコストと研究インフラの話をします。ちょっと時間がなくて、余りアップツーデートなインフォメーションではないのですけれども、まず、予防観察研究のコストの一覧を11ページの下に表として出しています。これは観察研究が主ですが、日本における研究として代表的なもので、10万人を超えるものが被爆者コホートですとか、JACC study、JPHC、J-MICCとかエコチルというものがあります。割と最近のものは10万人規模で年間の予算規模が1億円近いものが出るものもありますので、それなりに観察研究に関しては日本でも規模が大きく研究費を確保されているのではないかと思います。
 対応するEPICですとか、UK Biobankも更に50万人とか非常に大きいものですけれども、中にはKarolinska Inst.Biobankなどは900万ユーロですから、9億円ぐらいで50万円とか結構効率的にやっていたりするわけです。EPICだともうちょっと高いですけれども。なので、観察的研究に関しては、割と今でもかなり先人の先生方の努力に負っているところが大きいですが、それなりの規模が保てているところかと思います。
 12ページを見ていただくと、これは愚痴みたいになりますが、約10年前にヘリカルCTを用いた肺がん検診のRCTのデザインを行って研究計画を立てたと。両群合わせて2万7,000人。8年ぐらい観察するという形の研究ですけれども、総額で24億円要ると。年間当たり3億円ぐらいということで計画しましたけれども、結局このときはこういう研究に対してこれだけの金額を出す前例がないということで、実現には至りませんでした。
 下が、NLSTというものですが、計画していた辺りで実は開始になった。上のは1999年で、NLSTが開始されたのは2002年です。喫煙者5万人を対象としてヘリカルCTと胸部X線と似たようなデザインで8年ぐらい追跡してやるというもので、この研究費の総額が200億円。年間当たり大体20億円ぐらいですかね。これを実際にアメリカはやったわけです。
 13ページですけれども、つい最近2010年11月に有効であると。20%死亡率を減少させたということで有効中止になりました。現段階でまだきちんとしたペーパーは出ていませんが、世界的にはかなりインパクトがあったもので、ヘリカルCTに関してこれでかなり世界は変わるでしょうけれども、恐らくこれを日本でやっていたら同じようなことが言えていたのではないかと、非常にじくじたる思いであるというところです。
○野田委員長 また、後の論点のところで出てきますが、お薬と違って検診は輸入でもいいじゃないかという、つまり、ここの有効性をそのまま日本に輸入するのには、日本人のスタディはどの程度必要なのかという全く同じ話になって、1番じゃなきゃだめなんですかという話そのままになるわけですよ。
○祖父江委員 そのとおりだと思います。なので、必ずしも日本でやらなくてもいいと、アメリカで得られた結果を使わせていただくということでも成り立ち得るのかなということはありますが、このヘリカルCTに関して言うと、日本で展開するのにちょっと問題になるのは、アメリカのデータは喫煙者の男性だけなので、日本では非喫煙の女性に対してやられていると。非喫煙の女性でも日本の肺がんの罹患率・死亡率は、ほかのがんに比べるとそんなに低くはないです。やはりかなり社会的な問題の大きさがあるので、それに対して何もしなくていいのかと。今のところ多くの非喫煙者に関してのヘリカルCTのデータが出ているのは日本だけなんです。なので、日本から非喫煙者に対するヘリカルCTを用いた検診の有効性評価に関するデータを出すべきではないかということもあり、下にそれが書いてあるんです。
 日本のRCTは、個人レベルで同意をとってランダムに割り付けて検診の評価をするなどということは不可能だというような意見もありましたが、乳がんでマンモUS併用とマンモ単独という2群間で、個人割り付けでRCTを行うということが実は進んでいます。これは戦略研究の中で進めていただいていて、両群10万人を目標としているところを7万6,000人が既に登録されています。この70~80%は個人レベルでのランダム割り付けです。研究費の制約から5年間ということで、死亡率減少に関する評価はできていませんけれども、これだけのリクルートができたということは、日本でもRCTが可能であるということですし、これぐらいの予算規模があれば、こうした規模の研究も可能であるということが実証できたのだと思います。
 低線量のヘリカルCT検診の個人単位のランダム化比較試験というのを今、計画だけをして、なぜか非常に小さい3,000万円ぐらい研究費で3次がんの中で佐川班というのが承認されたので始めましたが、とても数万人という規模にはいきません。先ほど言った理由で、非喫煙者に対してのRCTというのが日本初でできたらいいと、そういうことが理解していただけるのでしたら、この研究をもっと進めるということが必要ではないかと思います。ただ、通常の研究費の枠組みだと1年間に数億円ということは、なかなか確保しづらいので、やはり戦略研究のような特別な枠組みが必要ではないかとは思います。
○野田委員長 そのときに常に問題になるのは、今度、政策研究になり、更にこういう戦略的なものになるときに、戦略だから研究費をやると、このがんも大事だ、あのがんも大事だになるわけですよね。当然こういうものになると、対象者の死亡率の高さ掛ける改善されるかもしれない有効率の予想というのを掛けたもので、限られた予算だから高いものでまずやっていこうとなりますけれども、それは日本になじむんですかね。今までのイメージからしてどうですか。
○祖父江委員 大規模な検診評価のための研究というのが、なかなか続かないですね。乳がん検診のマンモグラフィでUSの評価で1本立ち上がりましたけれども、あとは、研究者の努力で細々とやっているというのが主であって、研究全体をカバーする形の研究費が出ているとは到底思えないです。
○野田委員長 それはファンディングの仕方に問題があると。
○祖父江委員 はい。プライオリティセッティングをどうするかということとは別に、やはり枠がない。
○野田委員長 そもそも枠がないと。この政略研究はまだ続いているでしょう。
○祖父江委員 これは大内先生のものですが、今年から戦略研究ではないです。
○鈴木がん対策推進室長 指定になっています。
○野田委員長 わかりました。そうすると、やはりここで必要なのは、とにかくプライオリティセッティングのところはいろいろあるかもしれないけれども、とにかくある程度、やったからにはきちんと政策に戻るところまでやり切れるような枠をちゃんと確保して。
○祖父江委員 そうですね、5年が最長というようなことを言わずに、きちんと死亡率減少効果が評価できる年限をカバーするような研究費の枠組みが必要だなと思いますけれども。
 研究費の話はアップするのが遅れましてそれだけですけれども、これは古い話なんですが、研究体制の話です。14ページですけれども、PLCOというアメリカで4つのがん検診を同時に評価するというのが1993年ぐらいから、既に20年ぐらい前から始まっています。この10のサイトでやっていまして、2015年にファイナルアナリシスという気の長い話です。PLCOの参加施設は全米でこのようになっています。
 15ページですが、研究組織としてはNCIのプロジェクトオフィサーが中心になって進めるという組織なのですが、下を見ていただくと、10か所のPLCOサイトがある、そのサイトの中にまたプライマリーインベスティゲーターがいて、プロジェクトコーディネーターがいて、データマネージャーがいてというような、PLCO各サイトの構造としてはCRCをまとめる形で動いているのと大体一緒だと思うんですけれども、PLCOの一番ヘッドのNCIのEarly Detection Research GroupとPLCOサイトを結ぶ中に、Coordinating Centerというのがありまして、これがWestatという民間の会社がやっています、CROです。
 16ページですが、その中の構造ですけれども、Coordinating Centerのプロジェクトディレクターが1人いて、その下にいろいろなことをカバーするスタディマネジャーということが7人いたり、Data Preparation Supervisorというのが2人いたり、こういう人たちが大体はマスターレベルの人です。これがまた、ほとんど女性なんです。こういう研究を支える仕組みに携わる専門性を持った人、ドクターでなくていい、マスターレベルの人たちをきちんと確保して、スタディの運営を任せられるクオリティを持った組織をつくるところがみそなんだと思います。
○野田委員長 研究者と言っていいんですか、研究支援者と言っていいんですか。
○祖父江委員 研究支援者なんですけれども、単なる大卒ではないんです。かなりの専門性を持った人たちで研究を支える人。だから、全部自動的に動いていくんですよね、この人たちがマネージすることで。研究者というのは本当に何もしないですから。レポートを聞いているだけですから。
 更に、一番最後ですけれども、これは脇に寄った話ですが、PLCOというのは本来は検診の有効性評価という目的のためにやっていますけれども、検診を受けるたびに採血量のところを見ていただくと、T0、T1というのが1年に1回の検診の機会なんですけれども、それごとに43ccとか34ccとかべらぼうな採血をしていると。これは何のためにやっているかというと、バイオバンクを設定するためです。要は、介入研究の場を通じてバイオバンクをつくっていくということが、日本でも考えるべきことではないかと思います。介入研究をやることで必ずフォローアップのデータ集まるんです。それを蓄えておいた検体と結びつけて解析するということが、単に観察的にこういう検体を集めるよりは非常に効率がいいと思います。そういうことをアメリカではやっているという例としてお示ししました。
○野田委員長 このPLCOのところで、前も同じですけれども、これにレジスターした人たちは、お金はかからないんですか。つまり、行くと検診をしてもらえると。検診すべてはカバーされていると。
○祖父江委員 勿論そうです。
○野田委員長 トータルとしては、サイトへのお金も全部NCIからいっていて、NCIの予算が最初にこれだけをやると、こういうのが通ったと、この規模でやらなければいかんと。
○祖父江委員 ただ、異常が見つかった後の精密検査と医療に関しては、その人の医療保険でカバーされます。
○野田委員長 そのときに、どこかの総理大臣がこれをやろうと言うと、こういうものはすぐ立つんだけれども、3年か5年すると、まあいいやってどんどん削られてなくなるのがいろいろな国で多いですよね、うちの国を初めとして。これは、いろいろな目的があるから、バンクとしてもいいとかいろいろあるとは思うけれども、基本としてはこれそれぞれが本当に死亡率検証に有効性があるのかないのか白黒つけるという非常にワンエンドポイントでしょう。それが見えるまでは、最初に言ったお金を出し続けるんだというのは、誰がやっているわけですか。
○祖父江委員 NCIがやっています。
○野田委員長 だって、NCIだって代わって、バーマスなんかこんなものに興味があるとは思えないし、そういうときでも毎年の予算の中で確保されるというのは、例えば、日本で言えば厚労省がずっと頑張ってくれるのか、儀連が頑張ってくれるのか、民主党が頑張ってくれるのか、どこが頑張ってくれたらこんな何十年の予算がつくのか。だって、エグザミのしようがないでしょう、途中で本当に有効なものか。それはなしで、とにかくやり続けるんですか。これはトータルで幾らぐらいのお金がかかるんですか。
○祖父江委員 200億円以上だと思います。大体こういう大規模な検診研究をやると、1本100億円。
○中西委員 この介入研究をやらなければというのは、全くそのとおりだと思うんです。ただ、ここで採取したサンプルというのはユーザーだとか、それを使うための権利とか、フィーというのは、どんな仕組みになっていますか。
○祖父江委員 それは、パブリックドメイン化しているというか、一部の研究者で固めてしまうのではなくて、きちんとアプライをしてもらって、評価をして正当だと思えるものに関して利用していただくという仕組みと連動していると思います。
○野田委員長 基本的には、いわゆるバイオバンクのようにある程度狙ってやるよりは、トータルとしてはヘルシードナーのリソースとして非常に貴重なものとなるけれども、でも、一応この人たちのその後のフォローアップとリンクできる形で提供されるんですか。
○祖父江委員 勿論そうです。それだからこそ介入研究とリンクするということですね。
○野田委員長 大方ヘルシードナーのソースになるわけですよね。
○祖父江委員 そうですね。
○野田委員長 わかりました。
 では、御質問を。松原先生、ガイドラインの辺りも気になるのがあれば。
○松原委員 祖父江先生のおっしゃるとおりだと思います。一応、方法論は決めても、やはり個人の努力によって多少差ができてしまうので、そこをきちんとすることによって、均てん化というか同じようなレベルを維持できるというところで大事ではないかと思いますけれども。
○野田委員長 この大きいものは本当に必要か、必要でないかという、さっきの何年間も続けられるかどうかというのは別として、基本的には予防をどう考えるかというポリシーが確立していて、国のがん対策予算というのは、例えばこれだけあるときに、やはりそのうちの幾らかは予防に使うべきだよと。その予防をするのだったら、今何が必要なのかといったときのプライオリティセッティングをすれば、これをやらなければいけないというのは出てくると思うんだけれども、今言ったポイント、アメリカ国内でのがん対策予算の中のこれだけを予防に使うべきだとか、その辺というのはどういう感じで決められていると思いますか。
○祖父江委員 アメリカにおける意志決定ですか。
○野田委員長 つまり、NCIのこれだけのお金が出続ける。
○祖父江委員 NCIにかなりの決定権があるので、こういう長期の研究費の確保ができるんだと思いますけれども。要するに、ガバメント側にはなくて、NCI側に全部それが担保されているというところがみそだと思います。
○野田委員長 実際にはNational Cancer Act以降、コングレスとの話し合いはあるけれども、いわゆるNIHのがんでないものの予算との綱引きはないわけですよね、基本的に。がん対策予算は、直接コングレスの承認を得て決まっていくということですよね。
○祖父江委員 がん対策で言えば、がん研究予算だと思います。
○野田委員長 でも、NCIの今の五千何百億円に当たる、6,000億円ぐらいのホールがそういう形になっていると思うんだけれども。そして、議会で認められていると。
○祖父江委員 勿論そうですけれども、がん研究の予算がNCIに行って。
○野田委員長 でも、これは明らかに研究でしょう。
○祖父江委員 研究です。
○直江委員 今の議論と同じなんですけれども、実際がんの患者さんがいると、メーカーとか患者さんの会とか医療側とか、すごい圧力というかドライブフォースになりますよね。ただ、こういう結果が10年後か20年後にしかわからない研究を国としてどういう意志決定で、この辺を予防や政策決定の研究のために使おうかというのがよくわからないのが1つです。
 2つ目は、例えば、1本200億円でやってコストとベネフィット、つまり、この研究の評価を誰がどういうふうにしているのか。それはちょっとむだではないかという意見と、例えば、このぐらい予防できるとコスト・ベネフィットとしては成り立つから検診した方がいいんだというような議論というのは、多分、米国では非常に盛んだと思うんですが、そこは一体どこがやっているんですか。
○祖父江委員 200億円というのはべらぼうな数字ですけれども、日本の研究費とは違って向こうは人件費もこれでカバーしていますから、日本の研究費のカウントの仕方でいくともうちょっと減るのだとは思います。それでも数十億円という規模のお金がかかる研究に対して、これだけの研究費を確保することはメリットがあるのかということでしょうけれども、それも10年という長い期間をかけてやることにメリットがあるのかということですが、ある検診を事業として展開してしまうと、日本全体で数百億円規模のお金がかかるわけです。それをきちんとした証拠があってするのと、なくてするということを考えると、研究に対して数十億円投資するということは、それほど高過ぎる投資ではないと思います。
○野田委員長 そこを区別しなければいけないのは、かつてのように今やられてそれだけお金が出ていて、老健法があって、ちゃんと保障されていて、それが本当に意味があるかどうかはやらなければいかんという、それはそうですよね。だけれども、それとは別に、今度は新たにそういう検診を立てるというのが有効性を見なくてはいけないというのに対して、やられていない。ヘリカルCTのときのように。そういうものをどう評価するのかということだと思います。
○祖父江委員 予防、検診、医療、終末期ケアというものに関してどういう配分をするかについては、もっと広い議論が必要かと思います。いざ検診の中でと言ったら、やはり死亡率の減少の大きさとか、もともとの死亡率の大きさというようなことでプライオリティセッティングはできると思います。個人的に言うと、今後は予防はいいんですけれども、検診というのはかなり適用範囲は狭められるんじゃないかと思います。死亡率減少という目標に対しての介入ですから、年齢的にはそんなに年寄りの方には適用できないですし、むしろ今後、問題が大きくなっていくのは高齢者の方なので、広い意味でのプライオリティセッティングでいくと、検診研究というのはやや下がっていくのかなと個人的には思います。
○野田委員長 50%に上げなければと言っているときに、そのエビデンスを固めていく方がなかなか進まないと説得力も弱いと。
○祖父江委員 今やっている検診の中で、もうちょっと有効性に関して整理した方がいいのかもしれません。ですから、確実に検診の死亡率減少効果があるものと、どうもそうでないものもありますし、それから、年齢に関してもきちんと年齢枠を限ってやっていくことも必要でしょうし、すぶずぶでやるというよりはターゲットを絞ってやった方がいいわけですから。
○野田委員長 その代わり、そこに絞ったら必要な年数、必要な人数はきちんと計算できて、そこはちゃんとカバーできるようなセッティングをすべきであるということですよね。
○祖父江委員 そこの研究というのが政策研究です。今やっている政策に関して、いかに効率よく普及するかというところが政策研究であって、新しいものを導入しようというところが、いわゆるクラシカルな研究だと。
○野田委員長 介入試験も必要になるということですね。
 これは単なる興味で、後の論点には入らないのですけれども、いろいろな人から質問されるときにちょっと戸惑うのが、最近のPSAの話ですよね。あのPSAの論争とか今のエビデンスというのは、こういう整理でいくとどう整理されていくんですか。
○祖父江委員 今は有効性に関しての議論をしているので、対策のまだ上流側です。
○野田委員長 有効性に対する議論のときに、祖父江先生の今日の話はエンドポイントは死亡率の減少であると。ちゃんとしたRCTで人を集めてそれをやるべきで、そして、その結論は出ているではないかと。
○祖父江委員 PSAに関しては出ていません。
○野田委員長 出ていないんですか。疫学系あるいは、いわゆる統計学系の人たちは、有効性が明らかにならないと。
○祖父江委員 なっていないということです。
○野田委員長 有効でないという結論が出たわけではないですね。
○祖父江委員 はい。
○野田委員長 ただ、それを日々の診療に使っている、がんの検出マーカーなのか、フォローアップマーカーなのか、いろいろな形でどうしてもPSAに親しんでいる泌尿器科のお医者さんたちは、これは意味がないなどというのはとんでもない話だと言っているわけですよね。
○祖父江委員 ただ、診療の中で使えるPSAに関しては一言も我々は言っていません。何も症状のない健康な人に対して検診を目的として行うPSA検査に関しては、有効性についてまだ証拠としては不十分であるということです。
○野田委員長 そうしたら、白黒をつけるためには、もっと大きな、もっとお金がかかるということですか。
○祖父江委員 そうですね。今、第3のRCTが幾つか行われていますので、その研究結果を持つということだと思いますけれども。
○野田委員長 最初にきちんとしたセッティングをして枠組みをしても、白黒がつかないものはつかないと。
○祖父江委員 そうですね。幸か不幸かヨーロッパとアメリカで研究結果が違いましたので、ここで対策として大手を振って適用するという国はまだ今のところないです。
○平岡委員 別の質問ですけれども、いいですか。先生のまとめ、議論の中身にも今の政策研究のことが入っているんですけれども、祖父江先生の図の中で下の方、正しく実施されているかに関しての検診の話、予防の話はあったんですが、診療実態の把握とか診療の質の評価、例えば、がん拠点病院にしても形、例えば、緩和医療ができているかとか、そこで常勤がいるかどうかという形はできているんですけれども、それが本当に実態として機能しているかどうか、その質がどうかということが多分これから大事になってくると思うんですけれども、その辺りは海外、アメリカなどはどうなんですか。そういう評価はどういう形で行われて、例えば実際は、患者さんがそこに行って本当に正しい医療が受けられるのかどうかをすごく気にしていると思うんですよね。その辺りは何らかの形で保障するというか、そういう仕組みも必要なんじゃないかと思うんですけれども、その辺りの仕組みはどうなっていますか。
○祖父江委員 質を評価する一つの取り組みとして、クオリティを図る指標、クオリティインディケーターというものを開発して測定していくという取り組みがあります。これはガイドラインに示されているような標準治療、標準診療、基本的な診療がどの程度できているのかを客観的にはかれるものをガイドラインから抽出して、あるものに関して指標化して、これが適用される患者さんの中で何パーセント考慮されているのかで質をはかるという取り組みなんですけれども、アメリカでもがんのみならず、クオリティインディケーターをはかることで質を評価しようという取り組みはされつつあります。
 がんの中では、がん登録の仕組みの中でも地域がん登録ですと、余りクオリティインディケーターをはかるだけの情報量がないんですね。なので、院内がん登録の集合体であるNational Cancer DatabaseというのがアメリカのCollege of Surgeons、COCが集めていて、そこである程度QIをはかるということがされています。お医者さん別にではなくて、施設別にはかって、QIの点数がばらついているということを確認し、それをできるだけ引き上げると。ですから、悪いところをランキングするというわけではなくて、質の改善につながるような行為として位置づけるということです。
 そういう作業が医療の質をはかるというところではされていて、我々も研究班としてQIを策定して、拠点病院で少なくとも5大がんに関してはそれをはかるという仕組みをできるだけつくろうということをしていますけれども、これははかる側だけではなくて、臨床の先生方側の受入れや担う人、これはお医者さんではなくて、今だと院内がん登録の実務担当者がはかれるような仕組みを設定していく必要があるし、そのために指標も工夫して実務者がはかれるようなものを設定していく必要があるし、そういう試みを今、研究として行っています。なので、これをできるだけ確立して拠点病院に展開するという方向にまで持っていきたいと思います。
○平岡委員 そういうことで、政策研究の項目に入れてもいいんじゃないかと思います。
○野田委員長 もう一回繰り返しますけれども、今日の祖父江先生の研究の中心である予防研究などの部分も非常にきちんと出ていてあれなんですが、大事なのは予防研究あるいは政策研究で、がん対策向上に資するもの、あるいは足りないものに関しては何が何でもここで入れていかないと必ず抜けてしまいますから、後のディスカッションの資料2を使うときには、その部分が入ってくると思います。
 むしろ今のお話は、予防研究あるいは予防研究の成果をトランスレートしていくやり方、そして、政策研究に関して非常に理解が進んだという形で、ただし、逆に言うと、予防研究が中心になったので、予防研究にそれだけお金を使うというのはどうやって決めるんだという、鶏と卵ですけれども、政策とあれとでなってしまったというところはあると思うんですが、ここで5分ぐらい休んで、次にもう一回資料2に沿って、今のを並べながらやっていくと。おまけに、先ほども申し上げましたけれども、今度はわかりやすく政策ですから、基本的にはここにあるように、ミッションとして足りないというのだったら、それはそもそもミッションを打ち出してもいいわけですし、逆に、むしろニーズですよね。今のニーズとして足りないところを拾い上げて、これから5年間のがん対策基本計画に絶対入れるべきであるという部分になってくると思います。できれば、今までのを見ていても、これからは例えば予防の時代だから、予防研究を積極的に進めるべきだというようなことを書いても余り意味がないので、まず、プライオリティセッティングをしていくことになると思いますが、そういう話で進めていきたいと思います。それは、祖父江先生がつくった流れで話をしていくということでいいと思うんですが、そういうステップでよろしいですか。
 では、休憩の前に、もう2つぐらいジェネラルな質問があるんですが、1つは、先ほどの指針などのところからもぶつかってくるように、最近のいわゆるゲノムコホートの話ですよね。このゲノムコホートの総合科学技術会議が押しているようなコホートスタディなるものと、彼らが必要だと言っているセッティングなり、いわゆるライフイノベーションのときに出てきたようなものと、今ここで必要されている、がんに絞っているわけでは決してないけれども、がんの予防のためのコホートとがどういう関係にあり、どうやっていけばいいのかと。
 特に、私として疑問なのは、祖父江先生もいみじくも言われたように、それぞれセッティングをしてやっていって、でも、そのときにすべて新たにとり直すという必要がないものも少なくなく、今まである材料であったり、情報であったりというものを有効に利用しながら、少ないセッティングでなるべく有効な答えを出そうとするのが疫学研究であるというときに、コホートにゲノムというのがつくと、今までない情報だから、それを新たにこれだけとれば、もっと広がるというイメージが強いんですよね。いわゆるコホート研究に関して。そういうところも含めて、今の論議がどうなっているのかというのを教えていただきたいと。
○祖父江委員 ゲノムで何を解明するのかというところで、恐らく今想定されているのは感受性とかサステイナビリティとか非罹患性というところを環境要因と交互作用を検出して、より細かな個人ごとのリスクを把握するということを想定しているのだと思いますが、どちらかというと私は観察研究だけにそういうお金を使うよりは、先ほど言ったように、介入研究の中でそうした生体試料も含めて測定して、介入研究でプライマリーの目的を達した後にでも、二次的に試料を使うことで十分に今のバイオバンク的な目的が達成できるような気がしますので、やや効率は悪いような気がします。
○直江委員 いいですか。11ページに、日本での大規模な観察研究の一覧が載っていまして、結構あるんだなという感じですが、この中で今のゲノムコホートとリンクしているものはあるんですか。
○祖父江委員 それは、まだリストアップしていないです。ゲノムに関しての同意を得て集めているのがJ-MICC studyです。JPHCはDNAは集めているんですけれども、同意のレベルが十分ではないということで、その解析にはまだ至っていません。
○野田委員長 最後に祖父江先生が言われた部分が、読んでみると疫学研究のときは細かいことを聞けば聞くほどサンプリングに偏りが出るからよくないと言ったら変だけれども、それに対して反対する研究者がいることからすると、今のゲノムコホートのプロトタイプのやり方なんていうのは、まさにそうですよね。
○祖父江委員 ですから、内部比較といいますか、コホートの中で比較するということであれば、選ばれたサンプルでも別に構わないです。悉皆性とか代表性を問題にするのは、比較する対象が外にあるときなんですよ。なので、サンプリングでえらく偏った人だけしか選ばれなかった場合には、比較する対象に対して非常にバイアスがかかっているので正しい答えが出ない。内部で比較するのであれば、偏っていたって別に構わないです。
○野田委員長 でも、それは同じように偏っているだろうと予想するということではないですか。
○祖父江委員 そういうことです。ある程度細かい情報を集めることで、内部で調整ができるといいますか、比較のバランスをとることができる。
○野田委員長 もう一つは、いわゆるそういうときのいろいろな聞き取りで、もう一つの遺伝要因でない方の環境要因というものは、十分と言うと何が十分なのかわからないけれども、有用な情報がきちんと取り切れるとお考えですか。
○祖父江委員 それは、はかる対象によって違いますけれども、ゲノムに比べると生活習慣とかあるいは環境要因の測定精度というのは余り高くはないんですね。特に、食事とか運動は御本人の記憶に基づいて判断するということは、かなり切れ味の悪い情報なので、それと遺伝子を組み合わせることで、ある程度は切れ味がよくなるでしょうけれども、けたが違うほど精度が上がるというわけではないと思います。ただ、そういうものをきちんと今の標準化されたような形で集めるということが、ゲノムの検体を集めることと同じかそれ以上に難しいというか、きちんとやらないといけないということですね。
○野田委員長 ただ、差し当たっての5年間のがん対策を見据えたときに、プライオリティセッティングとしてはそれほど高くはないと。むしろ順番としては。ちょっと言い方は悪いけれども、向こうに余りそんなものをネガティブにぶつけるつもりはないけれども、基本的に介入試験からも得られるものはあるしと。
○祖父江委員 どうせやるなら介入試験の中でやった方が効率がいいんじゃないかと思います。
○中西委員 よろしいですか。久山町研究に関与しているんですけれども、あれも一応ゲノム解析研究をやっているんです。久山町研究の場合は健常人コホートで地域ぐるみでやっているんですが、多くの取り扱う疾患というのが、いずれ何かのイベントが生じるだろうというもの、たとえば脳血管障害とか。それを対象にやっているということがありますので、がんを念頭に置くとコホートの数としてはパワーがないです。そういうことで、このコホートスタディは外の疾患コホートとの比較という意味でゲノム研究として非常によく機能しているように思っています。そういう意味で、ゲノム研究がどうかということについては、疾患のいわゆる普遍性といいますか、非常にコモンな疾患なのか、あるいは個別の疾患を見ていくと、かなり特異性が高いのかによっても取り組みが違ってくるという気がしますし、そういう意味では多くのゲノムコホートがあるといっても、やはりそれぞれ目的も違えば内容も変わってくるのではないかと。がんに関して言えば、例えば検診、腫瘍マーカーにしても、あるいは画像にしても、ゲノムで言われているものとは大分違うような気がするんです。ですから、がん研究に関してはどのくらいのパーツがゲノムにかかわるものであって、その大きさがどのくらいあるのか。それでわかるもの、わからないものをはっきりしておかないと、非常に誤った扱いになるような気がいたします。
○野田委員長 でも、逆に、とにかくアクションプランで出てきたものは、これからフィージビリティスタディというか、どういうストラテジーがいいかというのを何年間か、2億円か5億円か出して一応進めながら、いわゆるトータルとして30万人のこういうコホートの集合体を最初はイメージしていたけれども、それをやっていこうという流れで、まだディスカッションは続いているんですよね。
○祖父江委員 どこの話ですか。
○野田委員長 総合科学技術会議。
○祖父江委員 本庶先生の話ですか。余り正確には把握していないです。
○野田委員長 話は何も決まっていないけれども、続いていると理解しているので、今、中西先生が言われたように、それとがんに行われていることが有効にリンクしないと、そっちでゲノムのものは全部やるから、例えば、この人たちが一番なりやすいのはがんですよと言われてしまうと確かにあれですから、それこそ長浜もその一つですけれども、そういうものをトータルして、でも、どこの人たちもなりやすい病気は一緒だから、それを併せてフォローアップしようというのが基本線で、それと、今の介入試験だったり、今まで疫学がやってきたものからもとれるじゃないかというものがうまくミックスする形でいかないと、ちょっと心配だなという感じがするんですよ。両方にとって有用になるようにしないと、あるいはそれができるのだったら、それをする方がいいということだと思うんですけれども。
 それから、もう一つですが、Lost in translationのところにありましたが、確かにこうなんですよね。つまり、今までベーシックから橋渡しのことを最初に出してきたときは、ずっとここを議論していて、でも、考えてみれば、これは検診も治療もですが、すべて患者さんの手に渡った段階で標準化して、未来永劫有効性に動きはないということはないわけで、これはずっと追われていくというこのシステムをどこにつくっていくのかというのは非常に重要なポイントで、だから、がん研究というよりはがん対策における研究の在り方みたいなものは一つここにあると。
 そうすると、もう一ついきますが、今までは研究者が自分のやりたい研究をするために研究費をもらうということでずっと来ていて、そうすると、基本的には研究費がないとできないし、あるいはポピュレーションがみんなそういう人たちだから、さっきの研究支援者がちゃんとプールされているということもないわけですから、そうすると、常に体制を続けるためには、今度は研究費をもらうために研究をやるというようなわけのわからない部分が今、日本では出てきていますよね。そのときに、こういう研究をするためには、変な話だけれども、やはり国立の組織が必要なんだということに逆になりかねない言い方になるので、それはどうやって解決しますか。つまり、研究者の方は例えば、いわゆる昔の文部省の流れが、科学研究費補助金をこれだけ増額すれば、日本の科学研究は十分にサポートされているという言い方で言っているわけですよ。でも、何度も言うように、それがここには染みてこないんです。さっき言った、特にタスクフォースの下で働くとか、そういう組織づくりにはいかないです。
 逆にもう一つは、今の研究独法も含めた独法化やいろいろなものに対するディスカッションは、トータル枠としての予算縮減が来ているときに、がん対策のためにもう一つ研究所をつくりましょう、そこで人を雇いましょうと聞こえてしまうと、これが例えば、薬の開発だったら、ベンチャーを育てれば、そういうところがお金を生んで、こういう人たちをリクルートしてというベンチャーにおけるトランスレーションはそういうお金の生み出し方ができるじゃないですか。だけれども、予防研究とか政策研究というのは、アメリカでもNCIの予算で来ているわけですから、日本のがん対策予算がこれから飛躍的に伸びるというのは、なかなか考えにくいじゃないですか。それは伸ばせとは書きたいけれども。でも、そういうときに内部構造の変化でこういうものを充実させていく手段というのは、何かないですかね。
 ましてや、さっき直江先生もおっしゃったように、リサーチアドボケイトも含めて患者さんなどは目の前にあるお薬などを入れたい、それに対する研究だったらサポートするとは言うけれども、例えば、50年後にあたなのようながんはもっと早く見つかるようになりますよという予防研究に対して、お金を山のように積んでくれるということは非常に考えにくいじゃないですか。ACSが随分レジストリーやそういうものにお金を出しているというのはまた別だと思うんだけれども、そこのところのアイデアというか、そのために向けてこれから5年間こういうクオリティが高いものを、ある程度サステーナビリティを持って日本でやれるようにするための何かアイデアはないですか。
○祖父江委員 1つは、今ある情報をきちんと有効活用するということです。どうしても個人情報が壁になるんですけれども、そこをきちんと整理することで既存の情報を有効活用することで、かなり大規模な質の高い研究が可能になる。それは何も研究費は必要ないんですよ。個人情報に関してきちんと整理して利用ができるということになれば、今の電子化されたデータを使えばそんな手間暇かかることではなく、効率よくエビデンスを生み出すことができるので、そこはきちんと論議して、使えるような環境つくるということがまず重要だと思います。
○野田委員長 そこに、がん対策そのものはともかく、こちらのがん研究医療政策の方で医療情報のIT化のところに触れますか。
○祖父江委員 医療情報も含めてですけれども、住民基本台帳、住基ネットから人口動態統計、レセプトのデータといったものが個人情報を活用する形で利用できるようになれば、割と研究費は押さえた上で、質の高いデータを生み出すことができる。
○野田委員長 研究側からそういうことを言うとまたトラブルになるけれども、研究側からレセプトデータの電子化を早く進めろという話までいきますか。
○祖父江委員 だけれども、電子化はできていますね。
○野田委員長 できている部分はあるけれども、相変わらずそうではないところは残っているわけでしょう。
○祖父江委員 ですから、すぐにはいかないかもしれませんが、活用するという経験を幾つか蓄積して、個人情報をこうやったら守れるというノウハウをある程度確立した上で利用を進めていくということが必要かと思います。
○野田委員長 今のは予防研究を中心にイメージがあったと思いますが、もう一つ踏み込んで、先ほど平岡先生が気にされていた、医療のクオリティの評価を考えると、例えば、もう少し情報のIT化が進まないと、がんの患者さんが今いる場所は別に大病院だけではないしということはないですか。
○祖父江委員 ただ、がん登録がきちんと精度よく進み、レセプトのデータが電子化されて得られれば、それで医療の質の評価というのはかなりできると思います。
○野田委員長 現在のがん登録の内容と進め方と、更に進捗状況という3つに関して問題点はないですか。
○祖父江委員 それは裏腹なんですけれども、がん登録の精度を上げるために今やっているのは、拠点病院を中心とした院内がん登録を進めることで、大きな病院はかなりできているんです。ところが、小さな病院のデータを悉皆性を持って把握するためには、逆に行政的なというか、既存のレセプトのデータを使って把握して、それに関しての臨床情報を集めることで悉皆性を更に向上すると。それができれば、がん登録のデータは非常に質が高くなる。
○野田委員長 そこで、裏からサポートされればということですね。では、それは資料2のところで。
 では、ここで5分間お休みということでよろしいでしょうか。

(休 憩)

○野田委員長 それでは、資料2に従って祖父江先生に1つずつ対応する形で左側と右側という感じで言っていただいて、それについてディスカスをして、片括弧が終わった段階で、片括弧の中で今まで話してきた中でまだここに載っていないじゃないかというものを、またみんなで話をするという形にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、祖父江先生お願いします。
○祖父江委員 大きく公衆衛生・疫学研究、政策研究とに分けていますが、ある程度共通する部分もあるんですけれども、まずは公衆衛生からいきます。
 中を1)法制度・ガイドラインに関する課題・問題点と、2)施設・基盤整備に関する課題・問題点と分けています。各項目は先生方にあらかじめ出していただいた問題点を並べ替えたものです。
 まずは、1)法制度に関しての問題点ですけれども、?個人情報保護を理由として、研究において公的統計や行政資料が円滑に活用できていないという点については、生死について研究者が容易に利用できる全国規模のデータベースの構築。National Death Indexというのはアメリカの仕組みですけれども、その日本版を制度面も含めて整備する。また、National Death Indexだけではなくて、人口動態統計がNational Death Indexですけれども、先ほど言いましたような住基ネットやレセプトのデータというような行政的な資料が、個人情報つきで電子化された形で活用できるよう整備することが対応案であるということです。ですから、もうちょっと対応のところをNDIだけではなくて、ほかのものも含めて記述する。
○野田委員長 ほかのものも含めてというよりは、今言った住基ネットの問題にしても何にしても、整備対象となるべきものとどうすべきかをちょっと明示した方がいいと思うんです。例えば、これだと出口、全国規模のデータベース構築、これは米国のNational Death Indexのようなものをつくったらどうだという言い方を先に言うのか、それとも、例えば、レセプトデータベースみたいなものを整備して、何かに注意した上で研究への使用を促進すべきであるとか、住基ネットの部分も住基ネットという形で、レセプトデータベース、住基ネットというものは、やはり明示してもいいような気がするんですけれども。
○祖父江委員 あと、仕組みとして、研究者自体が個人情報を扱うことを避けるために、第三者機関を設けてリンケージをするための機関をつくり、そこだけが個人情報を扱って、研究者自身は個人情報を扱わないという仕組みが、実はオーストラリアのニューサウスウェールズ州はそういうものを持っています。割とアカデミアが共同出資して第三者機関をつくって、そこに行政資料を送ると、リンケージした形で個人情報を外して研究者側に提供するといような仕組みがあるので、個人情報保護の観点を重視して、研究者側と行政サイドと両方のメリットになるような第三者機関を設けるというのも一つの提言かと思います。
○中西委員 それは今、例えば、CROでもそういうサービスをしているところがありますよね。実は私が今管理しているグループで、患者さんのゲノム情報を多施設共同研究でどうするかで非常に今難儀しているんです。そこを包括的に匿名化するようなシステムをつくらないと、各インベスティゲーター、各施設に任せるとどうしても漏れがあるだろうということで、今委託予定のCROであるとディスカッションしていますけれども、一応大枠はCROの方が全部連結可能匿名化のための連結表をつくって、その管理を全部すると。そして、事務局はデータセンター側は一切個人情報がないという形でやりましょうということで。ただ、どうしてもコストがかかりますので、それが公的にできればいいなという気はしますね。
○祖父江委員 今、私が申し上げたのは、データソースの部分が公的な行政資料であるというところがみそなので。
○野田委員長 もう一回、サイズも今、中西先生が言われたのとはけた外れに大きいサイズの中の抽出なので、むしろデータベースにくっつく形で第三者機関、これが今、中西先生が言われたように、別にCROでもできるのだったらそれで構わないし、今、祖父江先生が言われた中で非常によかったのは、研究資金の中にこういう割合を設定して、それを全部集めればこういうものが動くんじゃないかと。つまり、国として出口関係なくこういう機関をまたつくるとか、そういうものではない、つまり研究資金の分配という発想は、財務省も喜ぶんじゃないかと思いますけれども。全く新しいあれというのではなくて、データを使うことに関しては、そういう研究費の中からそのデータを使うときには、例えば、幾らはそこの機関に払われると。そうすると、実働でのあれになるでしょう。初めからデータベースをつくるための天下りの人たちのための機関をつくるのではなくて、研究をするために使われた分は研究費としてサポートすればいいじゃないですかと。つまり、研究としてこれが一貫ですよという機関をつくるというのは、公的なものを今言ったそこにレジストレートされている人たちの権利を守り、なおかつ、研究を進展させるためのものをつくって、それは研究費で支えるんだということは非常にいい話だなと思いましたけれども。
○中西委員 よろしいですか。たしか今、大学病院等を幾つかピックアップして、電子カルテ情報を取り込んで、まず匿名化してからと言っていますが、全部リンケージするような形で有効で廉価な医療情報収集をやろうというのは厚労省と総務省と一緒のプロジェクトが立ち上がっているようです。とりあえず5つぐらいの病院でやろうということで、九州大学も入っていますけれども。
○野田委員長 会社はどこですか。だって、当然、電子カルテは富士通かIBMのどちらかになるでしょう。
○中西委員 電子カルテを扱うのではなくて、電子カルテの情報を。
○野田委員長 でも、会社が統一されていない今の状態でそれをするのは、10倍以上お金がかかりますよ。そこにIBMと富士通が1つずつ入っていたら、今の状態だと至難のわざですよ。
○中西委員 そうですね。ただ、新しい世代の電子カルテは、その辺りを匿名化する機能がついているらしいです。
○直江委員 ソフトでCDWという抽出ソフトがまた売られているらしいです。
○野田委員長 電子カルテでも何でも、最初の仕様の中に研究に使うために何とかかんとかというと、それが更についてくるんです。
○中西委員 それをほとんどの施設が知らないままに塩漬けにしているけれども、それも活用しようかということで、資源の有効活用みたいな感じですね。とにかく、今の時点ではそれを使えばメーカー関係なしにできそうだと聞いています。勿論きちんとできるための方策を今、研究している段階のようです。
○野田委員長 メーカー関係なしにできるんですか。経産省が喜びそうな話ですね。わかりました。
 もう一回戻ると、こういう研究で言うような医療だけではない、すべての情報が安全かつ有効に使えるような仕組みを考えるべきだと。具体的に言えばというので少し。
○祖父江委員 では、そういうデータの活用に関しては1項目目ということです。
○直江委員 ちょっといいですか。例えば、こういうものは研究者には勿論オープンであるべきだと思うんですけれども、例えば、民間会社が使いたい、保険会社が使いたいとかいろいろな活用の方法があると思うんですが、これは二次利用ということですよね。その辺は議論しておかなくていいんでしょうか。
○野田委員長 議論の対象になると思いますが、それは要するに、リソースの活用が研究資金をまた生むという意味で一面ではあると思います。ただ逆に、いわゆるそれが生む格差や何かまで含めて、どういう安全性をというディスカッションになったときに、その利用のあれがある程度決まっていないと、どこまでも難しくなってくるので。
○祖父江委員 利用範囲を考える場合に、研究者の資格とか研究者を登録するというような考え方も出てくると思うんですけれども、それは研究費を申請する段階からそのような感覚があるかもしれませんが、それと同じようにデータの利用に関しても登録とか資格とか。
○野田委員長 当然そういう問題になると思います。ですから、今のいろいろな指針にしても、そういう委員会があって、こういうところの研究者でないとそれは出せないと。でも逆に、研究費の方はなるべく広く出せるような形になっているので、逆の方向性にいっているので、使える人をもう一回絞るという話は出てくる可能性はあります。ただ、そういうところはここで明示しない方がいいとは思います。ただ逆に、二次利用まであれすると、そういう懸念をむしろ広げてしまうのではないかという気がします。
 どうぞ。
○祖父江委員 ?と?は大体同じもので、倫理指針にかかわるものです。疫学の倫理指針の同意のレベルを?で記述しており、?ではゲノム・疫学・臨床の指針がバラバラに存在するという点を言っています。?は倫理審査委員会の判断事例をデータベース化して、他の組織で参照できるように公開する。?は倫理指針を統合して、共通部分と個別部分に分けて記述するということです。ゲノム指針に関しては、過度に厳密な扱いを避けるという提案をしています。
○野田委員長 御意見どうでしょうか。先生方、御自分の大学でも参加していると思いますので。
○大津委員 過度に厳密な扱いを避けるというのは非常にいいんですが、具体的にどういう。
○祖父江委員 閲覧性の低いサスセプタビリティ、SNP(スニップ)などに関しては特にゲノムでということではなくて、あれは一つのリスクファクターだという扱いもあり得ると思うんです。
○野田委員長 だけれども、変な話SNPは、がんの3省庁のあれではそのままオーケーでしょう。
○祖父江委員 それはゲノム指針です。
○野田委員長 ゲノム指針だけど、あなたのゲノムのそういうものを全部というのがSNPを見るときに必要とされる。ジャームラインのSNPです。だから、これは絶対必要で、判断事例のデータベース化と、できればその判断を下した根本的な考え方もそこに示されているということがあると非常によくて、今のSNPも一緒ですけれども、SNPが低い、低くないといっても、低いSNPも高いSNPも逆にこれから出てくるわけだし、生命保険会社が知りたいというSNPだってあるだろうし、逆に、これから技術的にフルゲノムシークエンスまでいくところを見据えた上で、やはり何となくのモデルケースが下されていないとという感じがするじゃないですか。ところが、まだそういうアンノウンなファクターがあるところでのディスカッションを、すべての施設がすべての専門家を集めてみんなやらなければいけないというのが今の要求になっているわけで、それは避けなければいけないですよね。そのために、例えば、上と下を一緒にしたような記述で何か出せないかという感じがしますけれども。
○大津委員 実際、多施設共同で研究する場合のゲノム指針の取扱いというのは、余り多施設にマッチした指針の出し方ではないので、いつも非常に悩むところです。
○祖父江委員 厳密過ぎるという意味ですか。
○大津委員 引用の仕方が、例えば、個人情報管理者を各施設ごとでつくったりしていると、多施設でやる場合だと非常に煩雑になりますよね。
○祖父江委員 施設ごとに個人情報管理者を置いて、その人が匿名化しないとだめだとか。
○大津委員 多施設の場合、多施設として1つの施設みたいな形で、WJOGやJCOGとかの1か所で個人情報を管理という形。
○野田委員長 でも、逆に言うと、それでは例えば、ジェイコムやWJに入った施設であれば、みんなそれでオーケーかと。だから、何かで承認しないと。承認されていれば、基本的にこういうものに関してはどういう多施設共同であっても、そのセントラルの管理に参加していればいいというような、そういう感じでしょう。
○直江委員 疫学だけではなくて、今おっしゃっているのは臨床研究のところでも同じような話があるので、そこでもまた、この話が出てくるのかなと思いますけれども。
○中西委員 ただ、一般にも迅速審査でオーケーということが大体広がりつつあると思うんです。一方で、ゲノムに関して言えば、結局倫理審査の現場がどういうことを言っているかというと、指針を字面だけ読んで、これはこう解釈できないこともないという言い方で非常に保守的に、つまり、何かがあったときには委員会が責任をとらないで済むという、何のための委員かわからないようなディスカッションが進むんですね。文言を一つずつ変えるのは非常に難しいと思いますが、祖父江先生がおっしゃるとおりに3つの指針の整合性をとるのは非常に重要だと思います。
 もう一つは、恐らく文言だけでは難しいとしても、少なくとも公的な、省庁からQ&Aの形のものが出てくれば、字面だけで判断しなくて済むところはあると思うんです。ですから、それくらいのところはそんなに難しくなくやれるのではないかと思いますけれども。
○直江委員 だから、いわゆる中央審査の在り方をもう少し円滑にできないかと。というのは、かなり負担になっているんですね。それから、いわゆる医学、生物学以外の方々が必ず参加していますけれども、こう言っては失礼ですが、ソマティックとジャームセルの違いをなかなか理解されていない人も多くて、非常に混乱がある施設があることは事実です。
 2つ目は、二次利用なんですね。つまり包括同意、例えば、この研究ではこの遺伝子を調べるけれども、その検定を残しておいて、将来出てきたものに使っていいかというところについては、各施設で相当開きがあることは事実ですので、貴重なサンプルですから、その辺はもう少しフレキシブルにならないものかなというのが、いろいろな施設からの話としては聞いています。
○大津委員 そこの部分は臨床研究の方でまた。
○野田委員長 そうですね。特に、中央審査の部分というのは臨床研究の方できちんとしていくというのが大事なポイントだと思います。ただ、そこに関して、判例事例のデータベース化のようなことは絶対に必要で、そこは非常に重要な部分です。ただ、データベース化しても、がんセンターでこれでいいと言っていますと言っても、例えば、がん研で全く同じものに呼ばれてきている法律関係の人や倫理関係の人は、それで納得はしないですからね、実際には。がんセンターの権威に屈しないということとは別に、それはやはり説明してもらわないと自分の役目が果たせないということなので。
○直江委員 全部の責任は施設長でしょう、今の倫理。だから、そこの構造が施設長としてはかなり一般的にはコンサバティブになるという構造があるので、そこはまたそれで考えていただきたいなと思います。
○野田委員長 ちょっと祖父江先生に?と?の部分の、特に疫学だったり、コホートだったりを考えたときに問題となる点をもう少し明瞭に書いていただいて、それをこのまま置いておいて、後で臨床試験で問題となる点が出てきたときに、それを一括で記述するのか、それともここはそういう疫学研究や何かのためのものとして記述するのかというふうに分けたらいいと思います。
○祖父江委員 この3つの指針を共通化するという視点でいくと、余り分けずに指針ということで提言した方が私はいいと思いますけれども。
○野田委員長 では、ここはそのように書いておいて、臨床研究が終わったところで考えると。
○祖父江委員 というか、研究の下支えの制度のところで共通の部分として記述した方がいいのかもしれません。
○野田委員長 そうですね。研究環境、研究支援というところですね。ありがとうございます。
 では、次にいきましょうか。
○祖父江委員 次は、2)施設・基盤整備に関するところで、?が大規模な疫学研究を支援するコーディネートセンターが不足していて、修士レベルの人材を確保した調査請負機関(CRO)の育成を行うことが必要だという点です。これは、規模はかなり大きいですけれども、同じ性格のことは臨床試験でもほとんど言えることだと思います。だから、これも共通の研究基盤や支援を入れたところで記述すべきものかもしれません。規模がちょっと違うと。
○野田委員長 規模が違うけれども、ある程度専門性が高い、しかし、支援者の育成と、そういう人材を確保できるシステムということですよね。さっき私が言ったように、そういうものを国でつくるという形よりは、ある研究資金なりがこういうものを支える体制にならないといけないと。こういうものにその部分は投資できればそれでいいわけですね。
 では、ここはいいと思います。次は、また似ているところです。
○祖父江委員 ?は先ほど出てきたことです。レセプト・がん登録などの電子化された既存資料を、個人単位で照合する仕組み、この専門機関を設立するということです。
○野田委員長 だから、これは上の方に一緒にしておいていいですね。先ほどのNational Death Indexのところと一緒に。
○祖父江委員 ?は特定分野で質の高い研究者が不足している。これをFAがワークショップを開くなり、ネットワークを構築するなりでサポートとする。FA機能の強化ということですね。
○野田委員長 これは研究者ですね。そうすると、さっき人材とは分けて書くべきなんですか。
○祖父江委員 そうですね、研究支援ではなくて研究者そのもの。これは公衆衛生研究で書いていますけれども、もっとひどいのは政策研究の方が研究者がいない。
○野田委員長 もう一回元に戻りますけれども、ここのところで日本とアメリカを比べたときに、どういうシステムの欠如などが研究者の人材不足を招いているんですか。
○祖父江委員 アメリカでも、もともと政策研究をやるような人がいたわけではなくて、研究費の方から誘導する形でそういう研究者を育てていったということがあるのだと思います。適当な人に目星をつけて常に声をかけて、ワークショップを開いて人を呼んで、こういうような課題があるけれども、手を挙げて研究に参加してみませんかというような形で下地をつくっていって、大きな研究に関して費用をつけて研究者を募るとか、そういう順序立てた育成のプロセスがあるのだと思います。
○野田委員長 そうすると、?の解決策は、誰がするんだと言ったらファンディングエージェンシーがするということですか。
○祖父江委員 アメリカの場合だと、NCIのディビジョンにいる研究者たちがそういう活動をしているということですが、一方で、日本で国立がんセンターの人間がそういう活動に専念するかといったら、どうなのかなというところがありますけれども。
○野田委員長 でも、こういう政策研究をやっていると、いわゆるアカデミアという言葉の研究者なのか、いわゆるデロクラット的な研究者なのかという色分けがあったときに、私のイメージではがんセンターと、あとはJSTぐらいに限られていますよね、日本の場合。
○祖父江委員 がんセンターがファンディングエージェンシーとしては機能していないと思います。皆さん、やはり独立した研究者だと思っていると思います。
○平岡委員 ちょっといいですか。今回はどちらかといえば、そういう疫学とか公衆衛生並びに政策研究ということで、ちょっとここで異質な感じはするんですけれども、ただ、祖父江先生の議論の中で政策研究というのはニーズドリブンで、そのほかの研究というのはキュリオシティドリブンというような話をしましたが、そういう単純明快な分け方でいいのかどうかということですね。ミッションオリエンテッドな研究は当然あるわけでその支援は政策的に必要と思います。がん研究の推進には若い研究者をエンカレッジする仕組みが必要であり、その時には、研究費とリンクさせることが必要かなという気はするんですが、その辺りはこの中で議論をするんですか。
○野田委員長 これは全部ダブって話す必要がなくなってしまうかもしれませんけれども、最後のテーマの中に人材育成は1つ項目として挙げているつもりで、今までの人材育成をピックアップするつもりです。そのときに、今、平岡先生が言われたのはすごく大事なところで、キュリオシティドリブンとそうでない部分とに分かれるから、そういう流れでと言うけれども、それとは別に本当にミッションとして大事な研究分野を維持するためには、それをうまく混ぜたようなプロモーションが必要になるということはありますよね。なので、人材育成はまた後でまとめますが、こういうところで言っていただければとは思います。特に、政策研究の担い手ということですよね。
○祖父江委員 では、次のページにいきますと、3)として研究費・研究費配分に関する問題として、特に大規模な疫学研究の場合は、研究期間が長期にわたるということで、今の研究費の配分が5年後というようなことで、それに対応できていない。最初から大きなお金がついてもまた困るところがあって、計画期、実施期、追跡期、評価期というようなフェーズに合った研究費の配分と適切な評価の仕組みが求められています。
○野田委員長 これも先ほどの人材育成と全く同じで、最後のところでいわゆる研究費の配分や評価のシステムは今のでいいのかというのも出てきます。ただ、実際のアイテムになっていけば、例えば、ほかと長さ的にも違う必要なものに対しての決定はどこがして、どうやってそれを支えていくのかということになるので、疫学に関しては対象をどれにするかは今から話をしますが、それとは別に、プライオリティセッティングが決まったら、それを実現するための形でサポートをしなければいけないというのは間違いがないですよね。
○祖父江委員 括弧で論点と書いてあるのは、先ほども話題になりましたが、こういう長い研究期間、多額の研究費を必要とするものについて、どれだけプライオリティを置くのか、自国の研究成果に基づいて自国の政策を決定していくのか、ほかの国のエビデンスで政策決定していくのか。
○野田委員長 これは、実は前半と後半は大分話が違うんですよ。つまり、前半部分はさっき言ったように、ほかとの比較のプライオリティセッティングになるから、上のレベルでのいわゆる研究費の決定機構や何かまで入りますよね。後半部分は、疫学研究には疫学研究特有のものが本当はあり得るのか、あり得ないのかというところを疫学研究者が主張しなければいけないし、疫学研究者でなければわからないです。これからゲノムコホートも入り込んでこようというときに。
○祖父江委員 これは政策研究との比較でいきますと、疫学研究や公衆衛生研究で、例えば、検診の研究などをアメリカでヘリカルCTが有効ですと。これを日本に適用するのに対象者の違いはちょっとありますけれども、それほど抵抗なく有効であるという評価をそのまま導入することはできるでしょうけれども、政策とか日本固有の状況が非常に強いものについて、他国の状況をそのまま自国には適用しづらい。例えば、検診の受診率を上げる方策として、向こうはお医者さんが勧めればそれで上がりますということを言いますけれども、日本でそんなことが本当にうまくいくのかどうかというと、医療サービスの提供体制が全く違うところでは、なかなかうまくいかない。なので、固有のデータがどうしても必要な領域と、そうでもない領域がある程度あると思うんです。
○野田委員長 それは逆に、それをやっている人たちがトリアージをすべきで、上に持っていって決めることとはちょっと違う。それはむしろ、内容のエビデンスの方にディペンドすべきで、ただし、プライオリティセッティングになって違う領域との比較になってきて疫学にどれだけお金を使うべきかというのは、またちょっと違うだろうと。
○平岡委員 例えば、乳がんの検診プロジェクトにしても、日本人の乳がんは皮下脂肪が少なくて繊維成分が多いとかスモールブレストが多いというので、あの研究の意義は日本人で非常に有用だと思います。
○祖父江委員 あれは日本人で40歳代の乳がんに関して特に感度の問題があるので、上乗せの効果を狙ったと。たしかアメリカではそんなに問題ではないと思います。
○野田委員長 そうすると、こういう種類の研究に関しては、やはり国特有のデータセッティングが必要なのか、そうでないのかというところを明確にして選択されるべきであるということを出すということですね。
○祖父江委員 特に、日本はアジア諸国でのエビデンスが非常に少ないということが多いので、そこのリーダーシップをいかにとっていけるかというところが割と大きいんですが。
○野田委員長 それは難しい。薬の場合はリーダーシップをとると売れるからいいんだけれども、予防研究のときはリーダーシップをとって向こうが同じ検診をやってくれても、余り日本の金にならないから。
○祖父江委員 お金だけに価値を置くのか、国としてのやるべきことをやるべきなのかですけれども。
○野田委員長 基本的には、お金で豪遊するわけではなくて、そういうお金を生み出す仕組みが内包されているところが、次世代の研究を生み出すことができるというセッティングですね。だから、そこのポイントを意識しないと。つまり、これから全体の医療費も縛られて、先へ向けての研究資金投下はどんどん伸びるということは少なくともないわけです。それでいて細分化はうんとする、いろいろな研究は増えてくるんです。今のは、その中でプライオリティセッティングしていくときの話ですね。
 政策研究に行く前に、ここで1回とめて、疫学研究でもう一回。がんの疫学研究、ここに出ているような観察研究、一番わかりやすく言えば、観察研究、介入研究。こういう種類を持っていったときに、これから5年間力を入れるべきところはどこですか。つまり、言い方は悪いんだけれども、ここまでのことで疫学研究を書いてくると、確かに祖父江先生たちあるいはほかの先生たちもみんないろいろなスタディが走っているから、それはすごい長いことだから今急に言われてもということで、これを見ると何をするかはともかくも、これだけだと、どうするかはこんなふうに改善した方がいいねと聞こえるんです。でも、できたら何をするかについても。
○祖父江委員 個別のトピックという意味ですか。ヘリコの除菌ぐらいが。
○野田委員長 そうなるとちょっと品位が落ちるから、ヘリコが品位が落ちるというのではなくて、わかるけれども、そこで急に研究申請書を見てしまうような感じになってしまうから、そうするといつも自分が書いている文章になってしまうけれども、例えば、5大がんを中心に、日本のこれからの働く世代に死亡率減少のために影響を与える介入疫学などの研究を優先的に推し進めるべきでというような言い方をすると、何がというのが見えるじゃないですか。それを進めるためには、情報はこう整理され、やり方のときはこうでと言うと整理できるので、ヘリコだけが頭に載っていると。
○祖父江委員 働き盛りの年齢層でのがんの発生・死亡を抑制する効果的な予防対策・検診。
○野田委員長 つまり、患者さんや一般の人にまで明確に目標と効果の期待されることがわかる形で提示して、それを今のような形で進めるということだと思うんです。つまり、見えやすいフィージビリティというか、あるいはフィージビリティとは別の目標というか。
○祖父江委員 今はやりの言い方をすると、個別化した予防対策とか、あんなことになりませんか。
○野田委員長 それとは違います。私が言っているのは、そういう個別化ではない、そこまでいかないけれども、やるものの重要性が明確なためには、例えば、今日本ではこういうがんで、こういう人たちが苦しんでいてこうだけれども、それに対してこういう介入の試験をすれば、例えば、こういう検診が効くかどうかが明らかになって、その死亡率が20%減少できるところまでいくのではないかとか、そういう話ですよね。そこに例えば、例としてピロリが入っているというのはいいですけれども。例えば、ピロリだったら、このまま放っておいて60年もすれば胃がんはこれだけ減るけれども、その60年の間に何歳から何歳の人が何人胃がんで死ぬと。ピロリの除菌がどれだけ有効かが明確になれば、この人たちを半分あるいは3分の1にできるんだということです。
○祖父江委員 きちんと将来的な罹患の動向を踏まえた上での予防効果とか対策の効果を判断した上で、プライオリティセッティングするということですね。
○野田委員長 では、後ろの政策研究の方を。
○祖父江委員 政策研究もかなり公衆衛生、疫学研究とダブるところがあるので、1)法制度・ガイドラインに関する課題としては同様でした。
 2)施設・基盤整備で、がん検診に関しては質が低下していると。これは、政策研究のうちの一つかなとは思いますが、ちょっと具体的かもしれませんが、がん検診認定制度に対する公的補助によって検診施設の質の向上を図る、がん検診の精度管理方法について標準的な方法を確立するというような提案になっています。これになると、研究というより、施策そのものに近いような形の記述かもしれませんので、がん検診というか早期発見というチャプターがほかにあるので、そちらで書くのがいいのかなとも思いますが、こういう形の研究を進めるということなのかもしれません。
○野田委員長 やはり、ここではないですか。つまり、早期発見と一緒にすると、政策研究の色合いが非常に不明瞭になってしまうから、ここで書いて、ただし、質の低下だけではなくて、受診率の向上に向けたというようなところも入ってきて、つまり、今がん検診に必要とされる政策研究を明示してもらうと。その方がインパクトしてはいいんじゃないかと思います。政策研究がどこに必要かといったときに、がん検診が逆に入ってくるのは間違いない事実ですよね。
○祖父江委員 そうすると、生活習慣のモニタリングとか、あるいは診療の質の評価というような検診に対応するほかの分野のモニタリング等もここに記述しますか。
○野田委員長 微妙ですね。さっき平岡先生からも出た、医療の質のモニタリングと一緒に並べるかどうかというのは、ちょっとペンディングにしておいた方が。つまり、インパクトとしては、政策研究の中でもがん検診にまつわる質的・量的なあれを上げるというのが大事だよというのはインパクトとしてすごくあって、手法的に似ていても医療の質になると出口が随分違ってきてしまうという感じはします。
○祖父江委員 あと、予防としては対策として中心になるのはたばこなので、そこの研究的な切り口を書くというようなことはあるかもしもれません。
○野田委員長 直江先生がおっしゃったように、もう研究的な切り口というより政策そのものではないかと。もうそこまで出尽くしているものに近いんじゃないかという感じがします。だから、たばこを出すのは非常に大賛成ですが。逆に、受診率の向上とたばこをどれだけやめさせるかというのは、非常に似た政策研究の対象なのではないかと。
○祖父江委員 日本人の特徴として、アメリカに比べると、たばこをやめようとする人が少ないというようなことも分析的に解析して、クイッターテンプ等を向上させるためには何が必要か。
○野田委員長 余り近いのであれですが、私の関連のところで随分そういう委員会もあり、そのたびごとにこのアンケートをとりたいとか、いろいろなことをやらされて、いいんじゃないですか、喫煙・禁煙は大事だからとやっているんですけれども、出てきたものを解析すると、ここが悪いんだと言うでしょう。次にどうしましょうかと言うと、禁煙の本を出して1年後にもう一回フォローアップしたいと。フォローアップはどうしますかと言うと、同じ形のアンケートじゃないと信頼が置けないと、全然変わらないんです。そういう感じしませんか。つまり、アテンプトが少ないということが出てもアテンプトは上がらないので、だったら、アテンプトを上げる方策にダイレクトに、そこまでを出口にしないとという感じがします。
○祖父江委員 そういうことも研究的な試みとして取り組めるのではないかということですけれども。
○野田委員長 でも、政策研究にたばこのことを入れるというのはよろしいですよね。
 では、最後3)。
○祖父江委員 ?として、診療ガイドライン作成に関して公的資金が十分投入されていないと。これに関しては、作成している学会・研究会への経費の補助などを行うということです。先ほどの議論でいくと、学会・研究会だけではなくて、公的な機関としてガイドラインをまとめる仕組みをつくるとか、あるいはエビデンスレポートをつくるための仕組みをつくるということを付け加えた方がいいのかなと思いますけれども。
○野田委員長 とりあえず、これはよろしいでしょうか。
○松原委員 補助はいいと思うんですけれども、学会とか研究会にダイレクトにこれをするのではなくて、ガイドライン作成に直接補助するということにしないと、こういう文面としては余りよくないんじゃないかと。
○野田委員長 特に、私からするとまた同じになってしまうけれども、その評価が問題だと思うんです。つまりガイドライン、その学会のガイドラインの意味づけ。だから、さっきの医療の質のモニタリングのときに、例えば、肺がんだったら肺がんの診断治療に関しては、どういうものを基準に判断をし、患者さんへの説明は何を基にされていますかというものが上がってくると、何とか肺がん学会のガイドラインが使われているとすれば、それをリニューするのに関しては、例えば、きちんとお金を出すとか、そこがカップルしているといいなという。
○松原委員 評価ですか。ガイドラインの。
○野田委員長 評価とそれに対する支援。
○松原委員 多分、ガイドラインの評価は、各学会で作成委員と評価委員をつくってやっていると思います。そうではなくて、やはり中央からお金を出すとしたら、中央の目で見た、さっき専門家でない人がやるということがありましたけれども、その専門家ではない人が見たガイドラインとしての評価でお金を配分するとか、こういうものはよくないから修正するとか。
○野田委員長 よくわからないけれども、単純に大きな学会だったら学会員が多いから、そのガイドラインが使われているということなのか、そうでもなくでこぼこがあって、実際には学会員でもそのガイドラインでないものを使っているということなのか。
○祖父江委員 ガイドラインがいかに守られているかをはかる仕組みとしても、クオリティインディケーターというのがあり得るんですけれども、ガイドラインに基づいてクオリティインディケーターを定めていけば、その遵守率は結局ガイドラインがどれだけ普及しているか、守られているかがわかります。
○中西委員 例えば、がん関係ですごく使っているのはNCCNのガイドラインで、あれは公的資金ではなくて製薬企業や保険会社が資金を出していますよね。何故かというと、保険会社がペイヤーとしての立場から、ガイドラインが適正に使用されるべきだということでお金を出している。
 それから、ASCOのガイドラインも結構インパクトがあると思いますけれども、あれも学会が出しているガイドラインで、私の知る範囲では国がガイドラインを出しているというのは知らないです。例えば、肺がん学会のガイドラインというのは今でもそうですが、COIですごく批判を浴びたりして非常に辛い思いでつくっていますが、それでも非常に士気も高くつくっている。その中で、率直な印象としては、公的資金をいただけるのはありがたいけれども、半端な資金をいただいて介入されるのは嫌だなという気がする。
 それから、評価が非常に大事だと思うんです。実はMindsというのが、いろいろなガイドラインで横断的な評価をしていますよね。むしろ、つくることに対するサポートよりもフェアに評価する、それをどんな基準で評価するんだということが重要ではないかと思います。
○野田委員長 Mindsというのは何ですか。
○祖父江委員 Mindsというのは、医療機能評価機構がやっています。あそこは別にガイドラインそのものをつくっているわけではなくて、公開をする入れ物をつくっているところです。一応審査があって、エビデンスに基づくようなつくり方をしているかということは見ますけれども、原則受け入れていろいろなものを乗せる、その場を設定しているということです。
 あと、できるだけガイドライン作成を支援するために、構造化抄録等をつくって、それを公開するということもしていますが、余り学会側からは役に立ったという話がなくて、どうなのというところもあります。
○中西委員 所属学会のガイドラインが褒められてうれしいんですが、うれしいだけでそれ以上は何もないです。そのために、自分たちのやり方を変えようというほどのインパクトはない。ただ、ある程度きちんとした評価を受けるということがあれば、自分たちのやり方を考えるというのはあり得ると思います。
 もう一つは、ガイドラインの遵守率という見方もあります。今私たちが苦心しているのは、プラクティスの中ではガイドラインを見てほしいけれども、個別の患者さんに対してガイドラインを遵守しないことが訴訟の対象になっても困るということは、むしろ逆に強調しているようなことがあるんですね。ガイドラインが今、社会的にも非常に微妙な立ち位置にあるという気はしています。
○野田委員長 そうしたら、評価と同時に、むしろ個別につくっているガイドラインをつくることを応援するよりも、ガイドラインの在り方としてもう少し広く衆知を集めて、在り方に対するコンセンサスをつくっていくような政策研究をすると。
○中西委員 そのとおりですね。実は今、多くの学会が持っているガイドラインは、その領域の専門家用のガイドラインなんです。しかしながら、実際にはガイドラインというのは一般医科向けだとか、コメディカル向けだとか、患者さん向けのガイドラインもあってしかるべき。それは同じものではないんですよね。ですから、むしろそういった方向についての一つの方向づけを持っていったらどうか、あるいはそれができた結果として、患者さんの最終的なQOLあるいは診療に対する対応に何か変化が出たかというような、そこがこれからのガイドラインの在り方としては重要ではないかと思います。
○平岡委員 私自身は、ガイドラインは結構、日本のがん医療を変えようとしていると思います。特に、我々のように会員数が少なくてなかなか影響力を発揮できないという場合には、肺がん学会とか食道学会などは放射線治療医が正式なメンバーに入っているんですけれども、必ずしもそうではないガイドラインもあります。そのあたりも改善の余地があると思います。
ガイドラインが第三者から見て適切につくられているかどうか、どこかでオーソライズするようなところ、それを更に先生がおっしゃったように、一般向けに普及させるような仕組みというのはすごく大事ではないかと思います。予算的には、大体そういう大きな学会というのは十分な予算規模を持っているので、その部分についてあえて経費を計上しなくてもいいような気もするんですけれども、いかがでしょうか。
○松原委員 それは違うと思います。大きい学会、例えば、肺がん学会は多分相当人数がいらっしゃるでしょうけれども、小さい学会もありますし、国が直接ガイドラインをつくれと言ってお金を出すということではなくて、サポートをするということなので、国から規制が入るから自分たちの自由につくれないと思うのであれば、それはもらわなければいいということで、もらいたい人はもらう。ただ、システムとして、ガイドラインが各学会で先生がおっしゃったように独自でつくっていてバラバラなわけですよね。それをきちんとシステマティックにというか、ただ、がん種が違えば違ってくるのは当然なんですけれども、あるレベルにそれぞれのガイドラインを近づけるという視点、今はMindsはそれをやっていると思うんですけれども、それをもう少しきちんとシステム化して、更にサポートをもらいたいところは、そういうところから支援を得るというところがあれば。というのは多分、医者向け、コメディカル向け、患者さん向けと全部出しているところは乳がんぐらいで、ほかの学会は多分出せていない。なぜ出せていないかというと、それだけの労力が使えないというのが、まず事実だと思います。その辺の労力を使うには、人を使うということでお金がかかるということだと思いますので、そういうサポートがあればそういうものもつくりやすくなると思うので、その辺しっかりつくっていくサポートがあれば、よりよいものができていくだろうと。それが必要なくつくれれば、それはそれで全然いいと思います。
○平岡委員 確かに、乳がんも最初は厚労科研か何かでスタートしたんですよね。そこで高嶋班で結構立派なものをつくって、それを乳がん学会が継承して、毎年2年か3年に1回、各分野ごとにリニューアルしていると。だから、その最初のスタート資金として国がオーソライズすることには意味があるかもしれません。ただ、今は乳がん学会は自分の資金でやっていると。その仕組みをつくるときに、それが大きなモチベーションになったのは、先生のおっしゃるとおりだと思います。
○直江委員 個別がんでいろいろな状況はあると思うんです。既にメジャーでかなりできている。できているものに関しては、エビデンスがどのように実際にプラクティスで使われているとか、逆に言うと使われないのか。例えば、高齢者が多い、合併症がある、なかなかエビデンスには乗らない患者さんが実は臨床では多いんじゃないかということを研究するのも一つテーマだと思います。
 それから、なかなかエビデンスがない領域は結構、我々血液の領域ではあるんです。この辺をどうしていくのかについても、国のレベルできちんと研究班をつくってやっても私はいいと思うんです。なので、国で個別がんについて全部ガイドラインをつくるのかどうかに関しては、ちょっとどうなのかなというのは思います。
 あとは、保険診療にも抵触しますので、国としてつくれるのかどうかも若干あるんですね。例えば、国がガイドラインをつくっているのに、それは保険で認められませんというのは随分大きな問題になると思いますので、ここは考えておくべきだなという気はします。
○野田委員長 今の3本の柱を中心に、評価の場合には有効化の評価と実際使われているかも含めて評価すること。それから、ガイドラインの在り方に関する政策的な研究も進めるべきだし、そこには今、直江先生が言われたように、保険との関係なども明確にすべきだというのは入ってくると思います。3番目として、どういう形でどういう部分でかは学会による作成の支援を行うことも悪くはないという松原先生の意見が入るというので、ガイドラインのことを1つ入れるということでよろしいでしょうか。
○祖父江委員 それは、政策研究として含めるのか、それとも臨床研究なのか、どっちですか。
○大津委員 臨床研究ではないと思いますよ。政策の方でいいんじゃないですか。
○野田委員長 少なくとも臨床研究ではないですけれども、ただし、この研究ではないほかの部分の、例えば、クオリティインディケーターの話とかそっちにカップルしてというと、ほかでのディスカッションには関係してくるかもしれませんが、うちの中では政策研究でいいんじゃないですか。
○祖父江委員 あと、基本計画の中には診療ガイドラインというチャプターがあるんです。
○鈴木がん対策推進室長 1番のがん医療のたしか4番目だったと思いますが、診療ガイドラインの作成というものがあります。診療ガイドラインを作成することを増やすというのが目的になっています。
○野田委員長 では、そこを読んで、それに与えることのできる研究のインパクトに絞って、ここにその3本の種類から抽出して書くということにしませんか。
 では、よろしいでしょうか。
○祖父江委員 次の?はMission orientedの課題設定の仕組み、FAの機能が脆弱であるというところを専任の研究者を置くということなんですが、FA機能の強化ということです。
○野田委員長 ここは、さっきのジェネラルなファンディングの仕組み、クオリティを上げるためにはどうするかという話のときに、そうすると、ファンディングをするところにもまた研究者が要るということになると。これはディスカッションがなかなか。つまり、できたらその研究者の在り方まで含めて書いてほしい。つまり、私はファンディング専門の研究を生まれてからずっとやってきたけれども、実際ファンディングされている研究はまだ何もしたことがないということでいいのかという話も出てくるし、そこが人のローテーションも含めてのことだと思うので、そこに研究者が必要だということは間違いないんだけれども、その研究者に求められるものも含めて書き込みたいと。
○祖父江委員 だから、これに適切な人材が日本にいるかというと、いないんですよね。
○野田委員長 最後のいわゆる研究費配分あるいは研究費の仕方というところで、こういうものの在り方は出てくると思います。結局気をつけないといけないのは、そもそも日本にピアレビューのシステムが根づいていないというところにだんだん戻っていってしまう。ピアレビューのシステムが根づいていると、結局その領域を高めるためには、どんなオケージョンでもレビューされる側とレビューする側は、そのポピュレーションの中にいると。だから、こういう場合もファンディングがどこかに行くことが必要で、それを研究する人がある時期必要なのは間違いない。ただ、その定められたミッションということだと、ピアレビューではなくなってしまうから、ピアレビューの精神が残った形で、こういうものをつくっていくことが大事だと思うんです。ファンディングエージェンシーの在り方のところで、またディスカッションしますけれども。ここに研究者が必要なことは間違いないですよね。
○祖父江委員 特に、政策研究のところはコンペティションだけでは課題が定まらない。課題設定のために領域をよく知った研究者がどうしても必要になるということだと思います。
○野田委員長 ちょっと踏み込んでしまうけれども、がんセンターはFAではないとしたら、いわゆる厚労科研費のFAはどこに存在するんですか。
○祖父江委員 今は制度上は、がん室です。
○鈴木がん対策推進室長 制度上はうちです。
○野田委員長 そこに専任の研究者を置くということに今はなっているということですね。
○松原委員 私は昔、文科省の学術調査官で、何で調査官になったかというと、要するに競争的研究資金を増やすということで、PO、PDの制度をしっかりさせないといけないというところで、まさにプログラムディレクターですよね。厚労科研のプログラムディレクター、ここで言えばどういう人を配置して、それをどう使っていくか、どう育てていくかをどうするかということになるわけですよね。やはり、先ほど野田先生がおっしゃったように、自分で研究費をとった人がそれをやっていて、本当にいいのか悪いのかというと、実際に研究した人がなるというところで、それはパーマネントのなり手がなかなかいない。だから、そこは変わらないといけないという、そのシステムづくりをしなければいけないということだと思います。
○野田委員長 あと2回、3回で時間がないのであれですが、例えば、文科省のファンディングエージェンシー、JSTでもあるいは学術振興会でも、そういうものに対する考え方を聞いてみますか。基本的に学術振興会の方は、別にがんに対してという政策研究はないわけですから、科学技術振興のためのジェネラルなものはどうやってやればいいかですから、人材育成などはしていますけれども。こちらは今がん室だというから、別にがん室に聞くと。
○平岡委員 やはり、これを研究するためにはお金が要りますよね。厚労省にお金がないのだったら、そういうところと連携しないと。
○野田委員長 厚労省はお金はあるんですよ。ただ、ファンディングエージェンシーと言ったときに非常に難しいけれども、どこに行くかを決めるかというのと、そのお金を取ってくるかというのもありますよね。非常に微妙ですけれども。だけれども、ファンディングエージェンシーがとってくる段階でもう既にがんに使うからとるんだということでとってくる。そうだとすると、がん研究はこう進むべきだというのは、どこに訴えるべきで、訴えを受けてやった人たちはどのように有効に分配するか、そういう形になりますね。
 端的に言うと、今のように他省庁でそういうふうに行われているものが有効に動いているというアスペクトはあるけれども、実際にはもっと有効に動かすためには、その全体を見渡せる仕組み、連携が必要なのではないかというところに落ち着いていくでしょうし、そうなったときにファンディングエージェンシーの果たしている、例えば、政策研究でインパクトが打ち出せるか、そして、分配における公平性が担保されているかという部分は、少なくとも連携をするからには、それぞれがある同じ基準で担保されなければいけないんじゃないかという感じはします。だから、政策研究のMission orientedは残るけれども、ひょっとすると、さっき言ったもっと上のところに引き上げて話として入れる。その中では当然、研究者がそこに必要だということは書いておくと。
 だんだん時間もあれですが、よろしいでしょうか。それでは、今のを基にまたやりとりしながらまとめていくことにしたいと思います。
 次回については。
○鈴木がん対策推進室長 次回の第5回につきましては6月14日、第6回に関しましては6月21日で今調整をかけさせていただいておりますので、それ以降の日程につきましては、また委員長と相談させていただいて、再度調整させていただきたいと思います。
○野田委員長 具体的には、6月14日に関しては、1つは、大津先生と創薬を基軸とした、別に創薬だけでなくていいですけれども、いわゆる橋渡しの後から臨床研究部分のディスカッションが中心になると思います。
 それから、次の21日は、これは平岡先生とも御相談しますが、機器開発と診断のところでどのくらいの時間を使って、どうやるかと。余り大きな体系と言わないでも、欠かしてはいけない部分をピックアップしていくということでいいのではないかと思います。
 祖父江先生と今日の話をまとめていくというのが、ある程度粗々でもできてきたら1回、6月14日に15分でも20分でも使って読んでおきたいと思います。今日のディスカッションは時間が経つとだんだん忘れていってしまうので、21日よりは14日に1回読めるといいかなと思います。
○祖父江委員 論点整理を今の議論を踏まえて整理するということですね。
○野田委員長 そういうことでよろしいでしょうか。
 今日は祖父江先生にすっきりとまとめていただいたので、少し早めに終わるかなと思ったんですけれども終わらなかったので、ちょっと臨床研究が心配ですけれども、次回またよろしくお願いいたします。
 本日は、どうもありがとうございました。


(了)
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