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2011年3月4日 第43回労災保険部会議事録
労働基準局労災補償部労災管理課
○日時
平成23年3月4日(火)15:00~
○場所
厚生労働省専用第23会議室
(中央合同庁舎第5号館19階)
○出席者
委員
岩村 正彦 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授) |
野寺 康幸 (社団法人全国中小企業勤労者福祉サービスセンター 会長) |
小畑 史子 (京都大学大学院地球環境学堂 准教授) |
中窪 裕也 (一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授) |
齊藤 惠子 (UIゼンセン同盟政策局) |
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会 総合労働局長) |
立川 博行 (全日本海員組合 中央執行委員国際・国内政策局長) |
明石 祐二 (輪島 忍委員代理) (社団法人日本経済団体連合会 労働法制本部主幹) |
伊丹 一成 (新日本製鐵株式会社人事・労政部 部長) |
桐明 公男 (社団法人日本造船工業会 常務理事) |
佐々木 真己 (川崎汽船株式会社 常務執行役員) |
田中 恭代 (旭化成株式会社 人財・労務部EO推進室部長) |
萩尾 計二 (日本通運株式会社 取締役常務執行役員) |
事務局
尾澤 英夫 (労災補償部長) |
木暮 康二 (労災管理課長) |
瀧原 章夫 (調査官) |
野地 祐二 (労災保険財政数理室長) |
須永 敏良 (主任中央労災補償監察官) |
河合 智則 (補償課長) |
渡辺 輝生 (職業病認定対策室長) |
若生 正之 (労災保険審理室長) |
植松 弘 (労災保険業務課長) |
美濃 芳郎 (労働保険徴収課長) |
宮下 雅之 (労災管理課長補佐) |
○議題
(1)「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱(介護補償給付及び介護給付の見直し関係)」について(諮問)
(2)労災保険財政検討会中間報告について
(3)メリット制の見直しについて
(4)社会復帰促進等事業に係る目標管理に関する基本方針(案)について
○議事
第43回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会
日時 平成23年3月4日(金)
15:00~
場所 厚生労働省専用第23会議室(19階)
○岩村部会長 それでは定刻でございますのでただいまから「第43回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」を開催いたします。
本日は稲葉委員、那須委員、黒田委員、小島委員、林委員がご欠席ということです。また、桐明委員、田中委員は間もなく到着されるとのことです。
そして、社団法人日本経済団体連合会輪島委員の代理といたしまして、同連合会の労働法制本部主幹でいらっしゃいます、明石祐二様にご出席をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
早速本日の議事に入ります。お手元の議事次第に従って進めさせていただきます。まず第1に「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱(介護補償給付及び介護給付の見直し関係)について」です。本件は厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛の諮問案件です。まず最初に事務局のほうから本件についてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 省令案要綱について読み上げた上で内容をご説明いたします。
○労災管理課長補佐(企画) お手元の資料1をご覧ください。厚生労働省発基労0304第1号。労働政策審議会会長 諏訪康雄殿。
別紙「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、貴会の意見を求める。平成23年3月4日、厚生労働大臣 細川律夫。
「労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱」第1 労働者災害補償保険法施行規則の一部改正。1 常時介護に係る介護補償給付及び介護給付について、介護に要する費用として支出した費用がその額を超えるときに支給する限度額を、月額10万4,530円(現行10万4,730円)に、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額5万6,720円(現行5万6,790円)に改めること。
2 随時介護に係る介護補償給付及び介護給付について、介護に要する費用として支出した費用がその額を超えるときに支給する限度額を、月額5万2,270円(現行5万2,370円)に、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額2万8,360円(現行2万8,400円)に改めること。
第2 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部改正。炭鉱災害による一酸化炭素中毒症について労災保険の療養補償給付を受けている者であって常時介護を必要とするものに支給する介護料の額を、介護の程度に応じて月額5万6,720円、4万2,540円又は2万8,360円(現行5万6,790円、4万2,590円又は2万8,400円)に、介護に要する費用として、支出した費用がこれを超えるときに支給する限度額を、介護の程度に応じて、月額10万4,530円、7万8,400円又は5万2,270円(現行10万4,730円、7万8,550円又は5万2,370円)に改めること。
第3 施行期日等。1 この省令は、平成23年4月1日から施行すること。2 この省令の施行に関し、必要な経過措置を定めること。
○労災管理課長 それでは資料1の次の、参考1-1をご覧ください。これに基づきまして、内容のご説明を申し上げます。
この2つの規則ですが、業務上の事由又は通勤災害などにより介護を要する状態となった労働者につきまして、介護に要した費用を支給しているところです。この介護の費用について、給付額の最高限度額というものと、最低保障額というものを定めております。原則としては、介護に実際にかかった額について支給するということですけれども、最高限度額は、実際にかかった額がある程度多くても最高限度額までしか支給されないということですし、実際には親族の方が介護をされて、外に、目に見えて払ったお金がないという場合であっても最低保障額を支給するということです。この最高限度額及び最低保障額について、被爆者援護法などほかの制度の介護手当の額との均衡を考慮して定めているところです。これらについては従来から人事院勧告にあわせて改定を行っているところで、平成23年度につきましても例年と同様、この人事院勧告にあわせて改定を行いたいということです。0.19%のマイナス改定という勧告が出ましたので、それを基に計算して、2に掲げたような額ということに提案をさせていただいているということです。併せまして、このCO法に基づく介護料についても同様の見直しを行うということです。施行日は平成23年4月1日を予定しております。よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 ありがとうございました。ただいまご説明いただきましたこの件に関しまして、ご意見、あるいはご質問などがあればお願いをしたいと思います。
○立川委員 人事院勧告を受けての改正ということでのお話ですけれども、今回の改正に伴って影響を受けるというか、対象となる労災保険の介護給付を受けている方の件数とか、人数を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○岩村部会長 では事務局のほうでお願いいたします。
○労災管理課長 まず労災保険法施行規則の関係です。常時介護を要する者という形で、給付をしているのが、平成21年度で40,494件、随時介護を要する者で15,156件、あわせて55,650件です。また、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法に基づく介護料の支給人数は、平成21年度で30人です。
○岩村部会長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは本件につきましては、当部会として、妥当と認める旨を労働条件分科会に報告したいと考えますが、いかがでございますか。
(異議なし)
○岩村部会長 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。報告文につきまして、私にご一任いただくということでよろしいでしょうか。
(承認)
○岩村部会長 はい、ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。
では議事次第2番目の「労災保険財政検討会中間報告について」、これについても資料を事務局のほうで用意していただいておりますので、まず資料の説明を事務局からいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労災保険財政数理室長 資料2について、労災保険財政検討会は、社会保障や、保険数理の専門家の方々に委員になっていただき、昨年10月に第1回を開催して以来、これまで4回開催しまして、積立金やメリット制度について検討をしてきました。本日はその検討会の中間報告について、意見や提言を中心にご紹介いたします。
まずは積立金について、7頁をご覧ください。ここの?に、検討会としての意見や提言がまとめてあります。1は労災年金の財政方式についてです。労災保険では年金給付の財政方式として、積立方式を採用しています。労働災害に伴う補償責任は、事故が発生した時点における事業主集団が負うべきであるという考え方から、年金給付に要する費用は、事故が発生した時点に全額積み立てております。このように積立方式を採用することに関して、検討会として世代間の労災保険料負担の公平や、産業間の労災保険料負担の公平を実現することに繋がるのであれば、今後とも労災年金の財政方式として、妥当であるとしています。
2は積立金の算定方式についてです。積立金の必要額を算定する方式について検討会は、中でも重要なパラメーターであります運用利回りなどの設定値について、早急な見直しの必要性は認められないとしています。これにはただし書がありまして、長期にわたり、現在の設定値から乖離するようであれば、労災保険料率の改定時に合わせて見直すことが必要であるとしています。
3は積立金の開示の在り方について、労災保険における必要な積立金の計算方法はこれまでも公表されていましたが、内容が専門的でありまして、情報が1つにまとまっていなかったため、一般の国民にはわかりにくいものでありました。今回、国民向けにわかりやすく説明した資料を作成し、検討会でご検討をいただきました。この資料は、国民への情報提供の一部として厚生労働省のホームページに掲載しています。検討会からは、今後も国民に向けて十分な説明をするよう努力すべき、というご提言がありました。なお、この積立金の算定方法に関する資料は中間報告の後ろに添付してあります。
続きまして、「メリット制」に関する検討会の意見や提言を紹介いたします。19頁の?に検討会としての意見や提言をまとめてあります。1はメリット制の方向性の基本方針についてです。まず、メリット制の適用範囲について、昭和61年に見直しをして以来、据え置いていることから、検討会はその間の情勢変化を踏まえて、適用要件の見直しを検討することが必要としています。また、小規模事業場にメリット制を適用拡大する場合、メリット制の保険率の増減幅を工夫することの必要性を指摘しています。さらに検討会では、適用範囲の拡大を検討する際の留意点として、小規模事業場では、労災が発生してもそれが偶然性によるものか、事業主の災害防止努力の不足によるものかわからないこと、また、労災かくしは労災事故による公共工事の指名停止を恐れることをはじめとした、複合的な要因により発生するものであることを挙げています。検討会はさらに、メリット制の労災防止効果を定量的に分析するための有用なデータが得られるよう、方策を検討する必要があることを指摘しています。
2は継続事業についてです。検討会は、継続事業のメリット制適用事業場数や適用割合は、前回の適用範囲見直し時と概ね同水準であることを踏まえた上で、前述のメリット制の方向性の基本方針により、次期保険率改定の影響を分析して、メリット制の適用拡大等について、さらなる検討が必要であるとしています。
3は有期事業についてです。現状認識として検討会は3つの項目を挙げています。1つ目は、建設業の単独有期事業のメリット制の適用要件は、確定保険料100万円と請負金額1億2千万円の2つありますが、この2つは、前回見直し時には、概ね同等でありましたが、最近では確定保険料の要件が相対的に厳しくなっていることです。2つ目は、「一括有期事業」では適用割合が、前回見直し時に6.6%であったのに、平成21年度には2.2%と、3分の1になっていることです。3つ目は「単独有期事業」の適用割合は、前回見直し時に60.7%であったところが、一時期70%になっていたものの、最近では50%余りに低下していることです。
こうした現状認識の下で、検討会は見直しの方向性として、以下の2つを提示しています。1つは、「一括有期事業」について、メリット制適用割合が著しく低下していることから、適用要件を見直し、前回見直し後の適用水準に近づけることを検討することが必要であること。もう1つは、「単独有期事業」について、メリット制適用要件である確定保険料と請負金額の不均衡を是正することの必要性です。以上でございます。
○岩村部会長 ありがとうございました。ただいまご説明いただきました、この労災保険財政検討会中間報告について、ご意見あるいはご質問がありましたらお願いいたします。
○齊藤委員 積立金の情報開示についてですけれど、積立金については額が巨額なこともあり、埋蔵金探しや事業仕分けの対象とならないよう、適切な運営と情報開示をしてほしいということを、当部会において以前から要望しておりますので、今回積極的な情報開示ということで、方向性が示されたことについては評価をしたいと思います。
今後は積立金があたかも余剰金であるかのように、事業の本質を踏まえない議論が回避されるよう、現行の労災保険制度の積立金は、多くの労災被災者の将来にわたる補償、つまり責任準備金として積み立てられたものであり、使用目的が明確であるということをしっかりアピールしていただきたいと思います。
○岩村部会長 ありがとうございました。その他いかがでしょうか。
○新谷委員 中間報告をまとめていただきまして、この労災保険財政に係わる課題の現状がよく理解できたと思います。その上で何点か確認させていただきたい点がございます。1つは5頁以降から書かれています、積立方式の算定方式について、いくつかの課題を記載いただいております。積立方式によるメリットはよく理解するところですが、巨額な資産、資金の運営ということになりますので、算定方式として、利回りであるとか、賃金の上昇率といったパラメーターの取り方によって、大きな変動が出る可能性があると思っております。
そういった意味ではこの6頁に書かれております賃金上昇率については1%ということについて、いくつかの意見の紹介をいただいているのですが、この中の上から2つ目の○に「過去10年位の賃金変動率の変動が大きいので、賃金変動率を現在の1%から変更することは慎重にするべきである。」とあります。これは1%なのか、2%なのか、あるいは0なのかによって、その現価と言いますか、積み立てる資産がかなり変わってくると思うのです。この検討会の中で出された資料を拝見しますと、過去10年の賃金の変動率は、いまのデフレでなかなか名目賃金が上がらないという中で、過去10年間を見てみますと、平成10年の-0.5%から始まりまして、11年間のうちにマイナスが8年間あって、プラスになった年が3年間という状況になっています。1%から変更するには慎重にやるべきだとあるのですが、本当にその1%と見ていることについて、これはどういうように判断すればいいのか、どうご論議されたのかということを1点、聞かせていただきたいと思っています。
それともう1点聞かせていただきたいのは、19頁のメリット制のところで、これも論議の中で、こういう表現になっているのかもしれませんが、?の1の基本方針の2つ目のパラグラフのただし書きのところの読み方がよくわからなくて、「メリット制の適用範囲を拡大すると、小規模な事業上では納付すべき労災保険料の額が少額であるため」と書いてあって、保険率が急激に上昇すると「少額である」、と書いてあるにもかかわらず、「事業経営の安定性に影響を及ぼす」と。少額だけれど労災保険料が上がって、経営の安定に影響を及ぼすほどの巨額になるのであれば、前段のところは少額ではないのではないかという感じもいたしまして、この辺をロジカルに、どう読めばいいのかということを教えていただきたいと思います。
それと同じく、「また」から始まる最後のパラグラフのところに、「また、小規模な事業場だと発生した事故が、事業主の努力にかかわらず偶発的に発生したものか、事業主の事故防止努力の不足によるものかわからないことがある」と。これは労災事故が起こったときに、発生原因がわからないという、こういう分析になるものかどうかというのもちょっと教えていただきたいと思います。
その次の「労災隠し」のところに「複合的な要因がある」と書いてあるのですが、その複合要因がいくつかある中で、例示として、「労災事故による公共工事の指名停止をおそれることを始めとした」と書いてありますけれど、「労災隠し」の原因がこれが一番大きな原因だったのかということを、メリット制のところで書かれているので、そのメリット制によるプラスの影響ではなくて、公共工事の指名停止というところが一番大きな原因だというように分析されているのか、といったところを私もよく理解できていませんので教えていただきたいと思っています。
○岩村部会長 ありがとうございます。それでは3点ございますので、事務局の方からお願いいたします。
○労災保険財政数理室長 それでは1点目ですが、現在設定しています賃金上昇率1%という設定につきまして、過去、確かにこの10年間で見るとマイナスの年が多かったという状況です。それは検討会の中では賃金上昇率と、こういったパラメーターの予測は非常に技術的に難しいという議論が出ていたところでして、これはなかなか難しいところですが、ただ実態としまして、その1%から仮にある年、設定とずれていたということがありましても、毎年必要額を見直しておりますので、その都度きちんと調整して、必要な額を算定して、それに向かって積立金を維持管理しているところですので、ご心配のところはわかりますが、その辺は大丈夫だと考えております。
2点目は、大変わかりにくいところで申し訳ないのですが、納付すべき労災保険料額が少額であるということですが、この少額というのは何と比べたかということだと思うのです。メリット制というのは個々の事業場が支払った保険料と、給付した額を比べまして、給付した額が大きいということになると割増ですし、給付した額が小さいと割引になります。その観点からいうと、給付額というのは怪我をして、骨折したりしてかかる額は大企業でも小企業でも同じなのですが、小さい企業の場合は、保険料がかかる額と比べて少額であるということで、例えば、2週間ぐらい入院した場合、大企業ですと保険料がかなりの額なので保険料と比べると1件の労災でかかった額というのはそんなに大きくないのです。ですが小さい規模ですと保険料の額が例えば100万円のところ、2週間ぐらい入院して、医療費とか休業手当などを合わせると結構な額になってしまい、保険料が少額なのにそれに比べるべき給付額が大きくなってしまうと、メリット制によって保険料の割増になってしまいます。そういったことをここの文章で書いているところです。
○岩村部会長 端的に申し上げますと、いままで-40%のメリット率を享受していた事業場で労災事故が起きて、軽度だったらいいのですが、いま事務局より説明されたような入院を伴うとか、ある程度入院期間が長いものということになると、小規模事業場などでは場合によっては-40%が一気に+40%までいってしまう。そうしますと、保険料額があるとき急激に跳ね上がるということがあるので、それによってはかなりの負担増ということが起こり得て、経営そのものの基盤を揺るがしかねないようなケースもありますねという、そういうことです。あと最後の点をお願いします。
○労災保険財政数理室長 最後の点ですが、小規模事業場で発生した事故が、事業主の努力にかかわらず、偶発的なものかどうかということです。これにつきましては個々のケースについて、きっちりと調べていけば確かにある程度、事業主の責任等は出てくるものもあると思います。ここで我々として見ているものは、メリット制としては労災保険の給付額と保険料の額を見ておりまして、この給付額に現れてくるもの、要するに給付の実績が、大企業ですと例えば年に何十件と起こっているという所ですと、同じような規模と比べれば努力している所は少ない。大きい所だと統計的にある程度規模に比べた件数とかを見れば、だいたい努力している所かどうかは判断がついて、それはメリット制の指標にしています保険料と給付額を比べることで、ある程度判断できるのです。ところが小さい所ですと、どんなに努力していてもたまたま事故が起こってしまうと、何年かに1件しか起こらない所ですと、その辺がメリット制で給付額と保険料を見ているだけでは単純にはわからない。偶然に事故が起こってしまった所に対して、割増をしていいものか。あるいは全然努力をしていない所であったけれど、たまたま人数が少なくて事故が起こらなかったと、そういう所の割引をしていいものかどうかと、そういうところが給付の実績だけでは判断し難いという問題が、規模が小さい所では出てきます。そういうことをここの文章では書いております。
○岩村部会長 あと「労災かくし」についてもお願いします。
○労災管理課長 「労災かくし」の関係です。まず、若干実態のほうからご説明を申し上げますと、現在、厚生労働省のホームページに公表している「労災かくし」の件数は、恐縮ですが、最新で平成19年のものまでしか送検事例としては公表しておりませんけれども、平成19年時点で140件、年間だいたい100件を超えているというのが平成15年以降の数字です。これもあくまでも送検した事例ということに限っているわけです。いま現在公表している送検事例6つの事例をホームページに載せておりますけれども4つが建設業ですが、実はその建設業以外のものをご紹介しますと、例えば貨物運送業につきまして、「労災かくし」をしているということで、どうしてしたかというと、社長は荷主に知られたくなかったと。これはやはり取引が打ち切られるのを恐れたということかと思います。それから製鉄所の中で起こった件数で、一次下請の鉄鋼加工会社が「労災かくし」をしたというようなものもあります。これにつきましても、必ずしもメリット制が関係しているわけではないというような事業場です。定量的に一体何が労災かくしに一番効いているのかわからないですけれども、私どもはそのような事例を見ると、やはり下請関係とか、取引関係であるとか、そういうのがあるということが、建設業に限らずメリット制が働くかどうかに限らず、影響している部分がある程度大きいのではないのかという一定の推測を持つことはできます。
ではそれを建設業に限った場合に、例えば指名停止とか、あるいは指名停止とは別に取引きの停止、あるいは具体的にメリット制におきます、まさに金銭的に迷惑をかけるという部分、これらの一体どの部分がどのように効いているのかというのは、実際にはなかなかわからないということです。ただ、何らかの取引関係なり、下請関係なりがある所で起きやすいのではないのかなということだけは、若干推測をもっているという状況です。
○岩村部会長 新谷委員、いかがですか。
○新谷委員 ありがとうございます。先程申しました19頁の、「労災保険料の額が少額である」、「事業経営の安定性」、「偶発的に発生したものかよくわからない」という表現は、説明を聞けば確かにそういう論議をされているというのがわかるのですが、これが単独で出ていったときに、誤解を与える可能性があるのではないか、あるいは不明確ではないかと思いますので、ご指摘を申し上げたいと思います。
○岩村部会長 貴重なご指摘だと思いますので、そこのところは気をつけて、説明なり何なりをする必要があるかもしれません。そこは事務局の方でご検討いただければと思います。ほかはいかがでしょうか。
それではこの中間報告については、以上ということでよろしゅうございますか。
(異議なし)
○岩村部会長 ありがとうございます。
それでは次の議題の、議事次第の3番目「メリット制の見直しについて」です。これについても、事務局の方で資料をご用意いただいていますので、まず、この説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労災保険財政数理室長 労災保険財政検討会の中間報告を受けて、事務局で今後のメリット制の見直しの方向性について、考え方をまとめた資料をご用意いたしましたので説明いたします。資料3をご覧ください。1の「継続事業」の見直しの考え方としては、メリット制の見直しについては引き続き検討することとしております。その理由として、4点挙げております。
1つ目は、メリット制の適用割合が、前回改正時と概ね同水準であること。2つ目は、小規模事業に適したメリット制のあり方についてさらなる検討が必要であること。3つ目は、メリット制の災害防止効果を定量的に示すデータがないこと。4つ目はメリット制が適用される規模を定める新たな基準として、説得力のある値が見出せないことです。
2の「有期事業」の考え方については、3項目挙げております。1つ目は適用拡大を考えるに当たって、前回見直し後にその効果が現れた年度の水準を基本とすることです。その際、併せて単独有期事業の適用要件である「確定保険料」と「請負金額」の不均衡を改善することも目指すべきである、ということです。2つ目は、メリット制の適用拡大をする場合、新たに適用対象となる事業場については、保険率の増減幅を現行と同じ±40%とするか、現行より小さい±30%などとするかということです。3つ目は、一括有期事業及び単独有期事業は共に「確定保険料」をメリット制の適用要件としておりますが、制度のわかりやすさという観点から、確定保険料を現行のように同じ額とすることが望ましいということです。
資料の最後に参考を載せておりますが、こちらは「一括有期事業」と「単独有期事業」について、メリット制の適用要件の見直しの例をいくつか挙げております。一括有期事業では、3つの例を挙げております。〈案A〉は、確定保険料の要件を100万円から60万円に下げて、適用範囲の拡大によって新たに対象となる事業場のメリット制による料率の増減幅を、現行と同じ±40%とした場合です。この場合、試算によると、適用事業場が2万6,000増加して、保険料収入が58億円減ることになります。したがって、これをカバーするために料率を0.50/1000引き上げることになる見込みです。この場合の適用割合は、7.1%となります。
〈案B〉は、確定保険料の要件は〈案A〉と同じ60万円ですが、新規に適用される事業場のメリット制による料率を、増減幅±30%にするというものです。この場合の保険料収入の減少は44億円となりますので、料率は0.38/1000引き上げるだけで済みます。
〈案C〉は確定保険料を40万円まで下げて、新規に適用される事業場のメリット制による料率の増減幅を±30%とするというものです。この場合の保険料収入は68億円減少して、その分、料率を0.58/1000引き上げることになります。
次に、単独有期事業の例です。〈案甲〉は確定保険料要件を「60万円以上」として、請負金額の要件は現行どおり「1億2,000万円」のまま、新規に適用される事業場のメリット制による料率の増減幅を現行と同じ「±40%」とするというものです。この場合の料率は0.1/1000引き上げることになります。
〈案乙〉は、確定保険料要件を「40万円」として、請負金額の要件は現行どおりで、新規に適用される事業場のメリット制による料率の増減幅を、現行と同じ±40%とするというものです。この場合の料率は、0.1/1000引き上げることになります。
〈案丙〉は確定保険料要件を「40万円」として、請負金額の要件を「8,000万円」とします。新規に適用される事業場のメリット制による料率の増減幅は±30%とするというものです。この場合の料率は、0.1/1000引き上げることになります。
説明は以上ですが、参考3-1に、ただいま説明した試算も合わせた資料を付けております。参考3-2には、これまでのメリット制の改正の経緯、経過をまとめた資料を付けております。
○岩村部会長 ただいま説明のあったメリット制見直しの方向性について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。
○立川委員 メリット制の適用要件の拡大については、適用事業場が単に増えるということで、労災の発生件数の低減効果が期待できると考えております。その反面、先ほどから話題になっている「労災かくし」というのが、また増えていくという懸念があるのではないかというのが1点あります。また、厚生労働省のホームページにも記載がありますが、「労災かくし」による送検件数というのが平成10年は79件、平成19年が140件と増加傾向にあると言えます。このようなことはメリット制の増減幅の拡大、適用要件の拡大と何か因果関係があるのではないかという気がしておりますので、何かコメント等いただければと思っておりますし、過去に何度か通達も出されているというお話ですが、その効果についてどのような評価をされているというか、考えられているのかをちょっとお伺いしたいと思います。
○岩村部会長 事務局からお願いいたします。
○労災管理課長 「労災かくし」についてですが、むしろ対策を随時強化してきたという側面がありますので、送検の数が増えたという一事をもって、実態が増えたのかどうかというのはなかなか言いがたいところがあるかなと思っております。現在、監督署としては、「労災かくし」は原則としてどんなものであっても送検するという気持で取り組んでいる、それが徹底されているということですので、私どもとしては、この数字をもって「労災かくし」自体が増えていると単純に分析しているわけではありません。
その上で「労災かくし」について、特に労災補償サイドでどのようなことをやっているかということですが、前回のメリット制の増減率拡大のときのさまざまな議論を受けて、健康保険との連携というものを、かなり本格的にやっております。これも健康保険サイドから、これは労災ではないかという形で不支給にするというものについて、紙ベースで書類を回してもらう形を取っておりますが、最近の数字を申し上げますと、平成22年度上期の半年間だけでも、2,891件という情報を健康保険サイドから受領しております。平成21年度ですと、年間で5,598件です。ただ、これらを調べてみて、すべてが「労災かくし」かと言うと、必ずしもそういうわけではないのですが、不支給決定者についての情報をこのような形でいただいているということです。例えば、平成21年度5,598件の情報のうち、私どもで調べて、労災保険給付の請求を勧奨した対象者の数は、2,626件となっております。いずれにしても、労災保険と健康保険の連携というものを中心にして、毎年かなりの数を一つひとつ調べる努力をしております。
○岩村部会長 その他何かあればお願いいたします。
○明石委員代理 まず、1つ質問させていただきます。資料3の参考の「一括有期事業」のところで、案A、B、Cのうち、案A、Bで確定保険料を変えたり、増減幅を変えたりしたときに、適用割合が7.1%という数字になるとあります。これは前回の改正のときには6.6%ぐらいの適用割合になっていたと思いますが、この6%とか7%という適用割合が最適だと思われる理由は何かあるのですか。
○岩村部会長 事務局からお願いいたします。
○労災保険財政数理室長 最適と申しますか、前回適用要件の改正をした昭和61年度の結果が現れてきたのは昭和62、63年度ぐらいなのですが、このぐらいの水準を1つの基本として、そこに近付けていくのが、1つの考え方としていいのではないかと。中間報告でもそのような指摘がありましたし、我々としても、そこを1つの目安と考えていきたいと思っております。
○明石委員代理 もう1つは意見です。ご留意いただきたいのは、環境が変わっているので、メリット制の見直しが行われることについては賛同いたしますが、メリット制を優先し過ぎると、本来の保険料率、せっかく労災減少のために努力したのに、メリット制を優先したがために料率だけが上がってしまうというようなことが起こる可能性があるのではないか、ということが参考のところからは読めるのです。たぶん、一括有期事業をやっている所は小規模事業者が多いと思いますので、慎重にやっていただければと思います。
○岩村部会長 ご意見ということで、ありがとうございます。その他、いかがでしょうか。
○新谷委員 今回、メリット制の見直しの方向性についてご提起いただいたわけですが、メリット制については中間報告でもよくまとめていただき、よくわかりました。保険事故に対して、使用者集団が保険料を積み立てて、リスクを分散する、きちんとした補償を担保するということと、その中で保険料の負担の公平性を図っていくこと、それから労災発生の防止効果を経済的なメリットで高めていくということがあるとまとめてあって、そのとおりだと思っております。私ども労働者側としては、何よりも労災が発生しない仕組みがメリット制によってどう確保できるかということが重要なポイントだと思っておりますので、事業主の皆さんはどうやって負担の公平性を担保するかをお考えになると思いますが、私どもとしては、やはり労災防止に向けてどれぐらい努力していただけるか、それはどんな効果を持つのかという視点で検討していきたいと思っております。
その上でよくわからないのが、資料3の1頁の見直しの考え方として?の「メリット制の災害防止効果を定量的に示すデータがないこと」という書きぶりです。事務局として正直なところかもしれませんが、表現を少し工夫した方がいいのではないか、先ほどの中間報告との整合性が取れていないのではないかという感じもいたします。また、ここで書いてある「効果」と同じ「効果」が、次頁の下の見直しの考え方に出ています。そこには「昭和61年度に適用要件の見直しを行ったが、その効果が現れた年度ということでまた「効果」が出てくるのです。
ここの「効果」が先ほどの「効果」と違うのか、同じなのかよくわからないのですが、たぶん、これは適用要件を拡大したから、適用の範囲が広がったという意味での「効果」と言われているのかもしれません。その辺の整理が、これも見るだけでは誤解を与えるのではないかという感じがしております。いずれにしても、今回提起された中の継続事業については、「引き続き検討する」ということですので、これは適用事業場数も非常に多い内容ですし、労働者側にとっても、先ほど述べた労災防止の効果をどう見るかということからいっても大きな影響があると思いますので、少し時間をいただいて議論したいと思っております。
○岩村部会長 意見の部分は意見として承りまして、先ほど質問のあった資料3の1頁のちょうど真ん中、見直しの考え方の?について、事務局の考えを説明していただければと思います。
○労災保険財政数理室長 メリット制には既に長い歴史がありまして、昭和26年からずっと適用されているところです。適用要件を最後に変更したのが昭和61年で、それ以降は大きな変更はしておりません。こういった制度の効果というのは「ある」、「なし」で比較するのが基本だと思いますが、既にあるものなので、今どれぐらい効果を発揮しているか、エビデンスなどと言われていますが、それを統計的にきちんと分析して、このぐらいメリット制があるから労災が1000分のいくつ減ったとか、そのようなきちっとした数値としてのデータがなかなか取れないという状況にあることをここで述べているわけで、決して効果がないと言いたいわけではありません。ただ、しっかりとした統計的なデータとしては、取りづらい状況にあると。今後はこういったものについても取れるように考えていきたいと思っております。
○岩村部会長 端的に申し上げますと、データで比較しようとすると、同じ業種でメリット制が適用されている事業場とそうでない事業場を比べて、実際の事故発生率などといったものがどう違うかということを比較することによって、初めてメリット制が事故防止にどのぐらい、いわばデータ的に効果を持っているかがわかるのですが、残念ながら、今のところそのようなデータの取り方というか整理の仕方をしていないので、それを定量的に示すことができませんという、それ以上の意味ではないということです。
○労災保険財政数理室長 現在メリット制は規模で分けているのですが、労災の発生率というのは規模によって若干異なっておりまして、そのような意味で言うと、規模が大きい所にメリット制が適用されており、規模が小さい所はメリット制が適用されていません。両者を比べると、規模が大きいから労災が少ないのか、メリット制があるから労災が少ないのか、どこまでがメリット制の効果なのかというのははっきり分けられないのです。こうしたところに何らかの工夫ができないかということを考えておりますが、現在のところ、技術的にはなかなか難しいと思っております。
○新谷委員 たぶん、そういうことだろうと思ったのですが、ただ公式の資料として出たときに、例えば前段にメリット制が果たす労災防止効果は、一定の効果があるもののということが書いてあればわかるのですが、これだけ読むと、何だということになりかねないので、表現を少し工夫してはどうかなと思ったのです。
○岩村部会長 その他、いかがでしょうか。メリット制見直しの方向性については、今日はこの辺でということでよろしいですか。ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
次の議題ですが、お手元の議事次第の(4)です。これは「社会復帰促進等事業に係る目標管理に関する基本方針(案)について」です。この案件は、前回の部会において事務方から説明していただいたものですが、その続きとなります。まず、事務局より資料が提出されておりますので、説明していただきたいと思います。
○労災管理課長 前回、横長の紙で説明したものを、資料4の基本方針の文章に入れ込むとともに、前回の議論を受けて、修正すべきところは修正しているというものです。まず、基本方針の策定の趣旨ですが、今回改定があるその趣旨で、「ガバナンスの抜本的な強化や、より一層の無駄をなくす仕組み、また、より重点的に監視する体制を構築するため」という観点を新たに書き込んでおります。2番目の「目標管理の基本的な考え方」は最も重要なことですが、「目標管理の対象は、社復事業として実施するすべての事業とする」とはっきり記述しております。また、アウトカム指標に加えて「アウトプット指標(事業執行率)」も見るということです。次は「アウトカム指標で測定することが困難な事業については、事業執行に関する効率性などの別の評価基準を設定することで代える」ということです。
1頁から2頁にかけてですが、「社復事業に関する検討会における検証結果については、労働政策審議会の労働条件分科会労災保険部会においても議論を行い、それをPDCAサイクルの一環として位置づける」ということです。また、「検討会については、その開催や議事概要等を厚生労働省ホームページで公表し、PDCAサイクルをより透明性あるものにする」ということです。2頁の(1)(Plan)のところは基本的に修正はありませんが、(2)(Do)について、「事業を実施するに当たっては、評価の際の要因分析を踏まえるとともに、事業の実施主体に対し目標を明示させた上で実施する」ということとしております。また、「事業の性質に応じ、途中段階でのモニタリングを行う」ことにしておりますが、「例えば」として、今回は具体的に書き込んでおりまして、「政策的に重要な位置づけを持つ事業などについて、事業実績等をきめ細かくフォローアップする必要のある事業を対象とする」という書き方をしております。
(3)(check)は評価のA、B、Cの区分について書き込みました。また、3番目の新規事業の評価は、新規事業の必要性の確認をきちんと行うということです。(4)(Action)は、「見直し状況についても部会において確認を行う」と書き込んでおります。
4頁のスケジュールには若干の工夫を加えております。今まではスケジュールの中に文字だけが浮かび上がっていた形でしたが、「PDCA」をより見やすくすることと、どの年度のものをやるのか、前年度のものをやるとか、翌年度のものをやるなどといったことが非常に錯綜していたので、その辺をわかりやすく書き込みました。4月上旬には当該年度の目標の設定と事業の実施を行うということです。6月下旬には当部会において、検証結果を見ていただくということですが、これは前年度の目標達成度などについてということです。7月上旬に翌年度の概算要求の作業に入り、さまざまな議論を踏まえて、概算要求を行うということです。秋から年末にかけては、さらに検証結果について報告し、ご議論いただくということです。以上、基本方針の形で文章化したものをご報告いたしました。
○岩村部会長 ただいま社会復帰促進等事業に係る目標管理に関する基本方針(案)について説明していただきましたが、ご意見、ご質問等があればお願いいたします。
○萩尾委員 基本的にこの中身について反対ということではありませんが、前も申しましたように、私ども交通運輸業の場合、労災と交通事故はかなり重複した中身になっております。例えば、交通事故の場合は自賠責の復帰事業がありますし、どの部分がどうとは言いませんが、防止対策もかなり似通った部分もなしとはしない。防止対策あるいは復帰事業に関しての、仕組みを超えた横断的な取組みというのを是非進めていただきたい。それぞれがやっていることはもちろん有用であり、無用ということを申し上げているわけではないのですが、より効率的な運用が図られる。つまり、下世話に言えば、役所間の枠を越えたような取組み、今もかなりの部分はやっていただいているとは思いますが、是非それを進めていただきたい。と言いますのは、いま自賠責委員をしているものですから、そのような観点から意見を申し上げたいと思ったのです。
○岩村部会長 その他何かあればお願いいたします。
○新谷委員 前回も申し上げたところですが、今回PDCAサイクルを作っていただき、進め方はわかりやすくなったのですが、その中での社会復帰促進等事業に関する検討会の位置づけについて申し上げます。最後の別紙に、これが目標達成度や評価等々の検証を行うことになっておりますが、ご承知のとおり、社会復帰促進等事業は被災労働者に関わる事業内容ですので、保険料を出し合っている使用者団体の皆さんだけで議論していただくというのもいいのですが、やはり労働者の意見をきちんと反映する場があるべきだと思っております。ここは前回申し上げた内容について検討していただいたかもしれませんが、私ども労働者側の意見をどのように反映させていただけるのかについて、検討した結果があればお伺いしたいと思っております。
○労災管理課長 三者構成のこの部会を、PDCAサイクルの中にきちんと位置づけているということですので、この審議会の直前ということではなくて、当然、目標を事務的に考えて、資料が整い次第、内容的には労使の皆様方に早い段階から相談させていただき、正式には労災保険部会でのご議論ということになるかもしれませんが、そこは前広にご意見を伺いながら進めていきたいと考えております。
○新谷委員 労働者側も使用者側も同じ情報を持って進めていくということをしていただきたいと思いますが、PDCAサイクルの中にこの検討会が位置づけられていて、今回は参集者名簿は付いておりませんが、参集者が全員使用者側だけということについては、やはり違和感が残ります。今後の労政審の分科会、部会での位置づけをどうしていくのか、これは労災保険だけではなく、実は雇用保険も同じことになっておりまして、この辺のあり方については今後議論をさせていただきたいと思っております。
○岩村部会長 そのようなご意見ということで承ります。その他、いかがでしょうか。特段なければ、以上でよろしいですか。ご意見がないようですので、当部会としてはこの報告を受けたということで、本日は終了したいと思います。ほかに議題はありませんので、以上をもちまして、今日の部会は終了いたします。今日の議事録の署名委員は、労働者代表は齊藤委員、使用者代表は桐明委員にそれぞれお願いいたします。本日はお忙しい中をありがとうございました。
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