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2011年2月22日 平成23年2月22日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年2月22日(火)16:00~


○場所

厚生労働省 共用第6会議室


○出席者

出席委員(10名):五十音順 敬省略

 石郷岡   純、 桐 井 義 則、○鈴 木   勉、 関 野 祐 子、

 妹 尾 栄 一、 曽 良 一 郎、 成 瀬 暢 也、 花 尻 瑠 理、

◎望 月 正 隆、 和 田   清

(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(2名):五十音順 敬省略

 鍋 島 俊 隆、 藤 岡 淳 子

行政機関出席者

 國 枝    卓   (監視指導・麻薬対策課長)

 宿 里 明 弘 (監視指導室長・麻薬対策企画官)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催させていただきます。 
 本日はお忙しい中、委員の先生方には御出席いただき、誠にありがとうございます。
 予定では、妹尾委員がお見えになられるのですが、少し遅れているようです。本日は、当部会の委員数12名のうち9名、妹尾委員がお見えになられると10名の委員の出席をいただくことになりますので、定足数に達していることを報告いたします。
 開会にあたりまして、本来であれば、平山審議官より御挨拶申し上げるところでしたが、急遽国会要務がございまして、本日は御挨拶できませんことをお許しください。
 今回の指定薬物部会につきましては、去る1月24日に薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われてから、初めての開催となりますので、まず始めに、新たに委員に御就任いただいた委員を含め、委員全員の皆様方を紹介させていただきます。今日お配りしている資料の座席表の裏が委員名簿となっておりますので、そちらを御覧いただきながら、50音順に石郷岡委員からお願いいたします。
○石郷岡委員 石郷岡と申します。東京女子医科大学精神科に勤務しています。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○桐井委員 桐井と申します。ライオンズクラブからまいりました。薬物乱用防止のためにボランティア活動を行っている団体ですので、皆様のように学識があるわけではございませんが、是非ともよろしくお願いいたします。
○鈴木委員 鈴木と申します。星薬科大学に勤務しています。よろしくお願いいたします。
○関野委員 関野と申します。国立医薬品食品衛生研究所の薬理部に勤務しています。これまで30年間、大学で基礎研究を行ってまいりました。中枢神経の薬理、電気生理を主としております。これから、こちらもしっかりと勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○曽良委員 曽良と申します。東北大学医学部に勤務しています。よろしくお願いいたします。
○成瀬委員 成瀬と申します。埼玉県精神医療センターに勤務しています。アルコールと薬物の依存症の診療に携わっています。よろしくお願いいたします。
○花尻委員 花尻と申します。国立医薬品食品衛生研究所に勤務しています。よろしくお願いいたします。
○望月委員 望月と申します。東京理科大学薬学部に勤務しています。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○和田委員 和田と申します。国立精神・神経医療研究センターに勤務しています。よろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 また、本日は御欠席ですが、鍋島俊隆委員、藤岡淳子委員に部会委員をお願いしています。
 続きまして事務局の紹介をさせていただきます。
 私、監視指導・麻薬対策課長の國枝です。どうぞよろしくお願いいたします。
 すぐ左から、監視指導室長(麻薬対策企画官)の宿里です。担当課長補佐の江野です。担当の武内です。
 本部会の公開・非公開の取扱いにつきましては、総会での議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから、非公開とされています。
 また、非公開で開催された会議の議事録の公開に際しては、暫定的に発言者氏名を除いた議事録を公開し、さらに会議の開催日から起算して2年経過後に発言者氏名を含む議事録を公開することとなっておりますが、本部会については、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、2年経過後においても発言者氏名を除いた議事録の公開とすることで合意されていますので、よろしく御承知おきください。
 本指定薬物部会の部会長は、前回に引き続き、望月委員にお願いいたします。さらに、部会長代理につきましては、規定により部会長から指名していただくこととなっております。それでは望月委員、以後の議事をよろしくお願いいたします。
○望月部会長 議事に入る前に、部会長代理の指名をとのことですが、引き続き鈴木委員にお引き受け願いたいと思います。鈴木委員よろしくお願いいたします。
 それでは議事の進行を務めさせていただきます。
 最初に、事務局より、資料の確認をお願いします。
○事務局 お手元の資料の確認をお願いいたします。本日配付させていただいております資料ですが、資料1と資料2、参考資料が1~5と参考文献を配付させていただいております。順に、資料1「指定検討物質一覧」、資料2「各物質の中枢神経系等の作用について」、参考資料1「薬事法抜粋(指定薬物関係部分)」、参考資料2「指定薬物の規制」、参考資料3「指定薬物一覧」、参考資料4「指定検討物質検出情報一覧」、参考資料5「医療等の用途(案)」、参考文献が事前配付のものが8件、本日配付のものが2件となっております。以上です。
○望月部会長 資料がお手元に無い場合には、お知らせ願います。
 よろしいでしょうか。それでは議事に移ります。
 本日の議題は、指定薬物の指定についてです。
 個別の物質の審議に入る前に、新しく加わった委員もおりますので、指定薬物に関する規制について、事務局より簡単に御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは参考資料1、2を御覧ください。
 参考資料1は薬事法のうち、特に指定薬物の指定関連の部分を抜粋させていただいたものです。また、参考資料2は指定薬物制度の概要図でございます。
 指定薬物は、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生する恐れがあるものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものとして薬事法に規定されています。
 また、指定薬物は、医療等の一定の用途に供する場合を除き、製造、輸入、販売が禁止されることになっており、その結果、必要な規制ができるというものです。一定の用途とありますものは「医療等の用途(案)」として、参考資料5として配付させていただいております。
 なお、本部会において指定薬物の指定の要否を御審議いただいた後に、物質名称と共にパブリックコメントを求め、その結果に基づき定める予定になっています。
 なお、これまでに当部会において指定につき御審議いただいた結果、現在、50物質を指定薬物として指定しており、その一覧は、参考資料3として配付しています。
○望月部会長 事務局からの説明にあったように、指定薬物の指定の際には薬事・食品衛生審議会の意見を聴くこととされており、今回、9つの物質について、諮問がされております。
 本日は、御審議いただく指定薬物の候補物質が若干多いので、一つ一つの物質の審議を効率よく行いたいと思います。
 それでは、本日審議の物質につき、事務局より説明をお願いします。
○事務局 説明をする前に、指定薬物、違法ドラッグも含め、どのような製品が世の中に存在しているのかを御理解いただくために、先月東京都で発表された指定薬物を含有する違法ドラッグの発見についてという資料を回覧しますので、御覧になってください。後ろに付いている写真にありますように、商品がヘッドショップやインターネット等で販売されているものになります。
 今回御審議いただきたい物質につきましては、国や都道府県における試買調査した製品等から検出され、国内で流通実態が認められたものです。
 資料1に本日御審議いただく物質の名称・別名・構造式を、1~9まで記載しております。
 続いて資料2につきましては、各物質について行われました国内外の各種動物実験や基礎研究等のうち、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。
 なお、参考資料5に示している医療等の用途(案)については、本部会の審議事項ではございませんが、参考までに配付させていただきました。
 これらの物質について、指定薬物として指定し、規制の対象とする必要があるかどうかにつき、御審議いただければと思います。
 それでは、本日審議する9つの物質につきまして、主として資料2に基づき、説明させていただきます。
 審議品目が多いので、いくつかにまとめて御審議をいただければと思います。
 資料2を御覧ください。資料2-1~2-5までの5つの物質について、まとめて説明させていただきます。
 物質1、資料2-1を御覧ください。本物質については、別名JWH-015と呼ばれており、この後説明させていただく資料2-2~2-5までの4物質と同様に、大麻の成分であるTHCと類似したもので、これまでにも指定薬物として指定をされているJWHシリーズと構造的に非常に似ているものになります。
 物質の1~4の構造式は、中心にメタノンがあり、両手にそれぞれナフタレンの1番とインドール環の3番が繋がっています。それぞれのナフタレン骨格とインドール骨格に、さらに様々な修飾がなされるものです。物質1のナフタレンについては、特に修飾はされておりませんが、インドール環の2番の炭素にはメチル基が一つ付いていて、さらに窒素に付くアルキル基がプロパンというものです。
 同様に、構造的なものだけを最初に御説明しますが、物質2、資料2-2を御覧ください。構造的に非常に似ていることがお分かりいただけるかと思いますが、このナフタレン環の4番にメトキシが付いております。インドール環の1番には、先ほどのものより炭素鎖が若干伸びており、ペンタンが付いているものです。
 物質3、資料2-3を御覧ください。こちらも若干の違いはありますが、4番がメチルとなっております。
 物質4、資料2-4を御覧ください。こちらについても、若干異なるのですが、モルフォリノエチルがインドール環のN位に付いております。この後の説明にもありますが、WIN55212-2という物質と似た構造式をもっているものです。
 物質5、資料2-5を御覧ください。こちらはナフタレン環の一つが、メタンではなく、エタンとなっております。構造的には、非常に類似しているということが、見た目にも分かりやすいと思います。
 これらの物質について、大麻成分の類次物質で既に指定薬物として指定されているJWH-018との対比ができるように、それぞれの資料の下に「構造類似物質(例示)」としてJWH-018の構造式をお示ししています。JWH-018、JWH-073、JWH-250といった物質との相互と非常に似ていることが一目で分かる資料となっております。
 これらの物質に関する中枢神経系等への影響についてですが、中枢性のカンナビノイド受容体であるCB1レセプターへの親和性を見た実験系が、沢山報告されております。それぞれの物質ごとに、中枢神経系への作用等ということで、各文献を引いた上で、それぞれの概要を記載させていただいております。例えば、資料2-1のJWH-015に関しては、文献1のデータから、大麻の成分であるΔ9-THCの親和性が4nMに対して、JWH-015は164nMとなっており、およそ4分の1程度の親和性を有しているといった実験結果となっております。
 同じように、文献2に基づくデータは336nMということで、単純計算でおよそ8分の1程度、文献3についてもおよそほぼ同じ9分の1程度というようなデータとなっており、物質4については、若干大きめな数字が出ています。マウスにおける自発運動量の抑制作用等を見た薬物弁別試験等に関する報告が、文献1と同じものになると考えております。それぞれCP-55940との薬物弁別試験を行っており、およそ半分の動物に作用が出る数値を計算しています。大麻物質であるΔ9-THCと比べて20~40分の1程度という弱い効果ですが、大麻の主成分と同じような自発運動の抑制や抗侵害受容、さらにラットの薬物の弁別試験の結果が報告されています。
 同様に、資料2-2ですが、こちらのJWH-081に関しては、親和性がΔ9-TCHに比べて30倍ほど高いという試験結果が出ています。
 また、資料2-3ですが、JWH-122に関してもΔ9-TCHに比べて60倍強い親和性を有しているという結果となっております。
 同様に、資料2-4ですが、JWH-200についてもΔ9-TCHとほぼ同程度の親和性となっております。薬物弁別試験についても、先ほど申し上げたΔ9-TCHとの比較の弁別試験を行っているのですが、カタレプシーのみが逆転しています。Δ9-TCHに比べても強いという結果が出ています。
 さらに、資料2-5ですが、こちらもΔ9-TCHとほぼ同じ1.4倍程度の親和性を有すると報告されております。以上です。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○望月部会長 ただいま事務局より説明のありました5つの物質について、委員の先生方からコメントはございますでしょうか。
○□□委員 この5つの物質は、買取調査で見つかったものですか。
○事務局 はい。参考資料4に、試買調査等で見つけた製品の物質の形状例を載せています。こちらは、大麻に似せたものということで、植物片のような製品として販売されています。
○□□委員 なかなか流通実態が分からない世界という前提でお伺いしますが、そちらの情報は何かありますか。
○□□委員 本日は、結果を持ってきておりませんが、各都道府県や国立医薬品食品衛生研究所でも買上調査を実施しており、論文発表等を行っています。今回、指定薬物となる物質について、簡単に報告させていただきます。JWH-251に関しては、今まで124製品、合成カンナビノイドの乾燥植物片のような製品を買い集めて分析したところ、10製品、JWH-081に関しては57製品、JWH-015については8製品、JWH-200については8製品、JWH-122については19製品から検出されております。この製品は、それぞれ名前が全部異なっている製品となっております。
○望月部会長 ありがとうございました。ほかに、御意見はございますか。
○□□委員 類似の質問ですが、こちらはどのような形で使われるのでしょうか。さらに、この製品はどのようなもので、中に物質がどの程度含まれているのかといった詳細が分かる資料はありますか。
○□□委員 こちらの製品のほとんどは、乾燥植物片の混合物として販売されております。大体1パック1.0~3.0g程度の乾燥植物片の中に合成の化合物が混在しているような形になっております。その化合物の含有量は非常に様々ですが、多いもので1.0g中300mg以上入っているものもあります。
 1製品の中に1化合物だけではなく、2~3化合物といったように複数混在している場合も多く見られます。
○□□委員 摂取の経路を教えてください。
○□□委員 インターネット等で記載されている摂取方法は、乾燥植物片をお香のように燃やして、その煙を吸う、若しくは、紙巻きたばこの形で売っているようなものもあります。また、ほとんどは乾燥植物片の中に混在しているのですが、ごくまれに純品の白い粉末として売られている場合もあります。
○望月部会長 ほかに、御意見はございますか。
○□□委員 これらの物質は、吸引を目的に買う人がほとんどなのでしょうか。それとも、痩せ薬として一般の人が騙されて買ってしまうのでしょうか。
○望月部会長 □□委員、情報がありましたらお願いします。
○□□委員 インターネット等の販売を見ると、合法ドラッグ屋さん、脱法ドラッグ屋さんといった形のショップで売られていることが多くあります。ほとんどは、爽快感やまったりとした気分になる等、乱用目的で売られているサイトがほとんどだと思います。
○□□委員 痩せるというより、むしろ食欲は増進するということですね。
○望月部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、この5物質については、指定相当ということでよろしいでしょうか。
○□□委員 なかなか判断が難しいと思いますが、資料を見ると、JWH-081や122等の実験データはありません。確かに、親和性は非常に高いとは思いますが、それだけで良いのですか。その辺りは、どのように考えるべきなのでしょうか。皆さんの御意見をお伺いできればと思います。
○望月部会長 ただいまの□□委員の御指摘については、いかがでしょうか。□□委員、御意見がありましたらお願いします。
○□□委員 乱用目的で使われているのならば、そのような作用があることを購買者が理解しているものと判断されるのではないでしょうか。流通しているということだけでは、決められないのですか。
○□□委員 乱用者を見てきた経験から、分かっていて使用するというよりは、うたい文句があれば何でも使ってしまうといった感じでした。むしろ、その方が多いと思います。
○□□委員 こちら自体は、公式的なデータではありませんが、今までにも、病院から製品の問い合わせが何件かきたことがあります。例えば、錯乱して病院に運ばれてきた人が製品を持っていて、中に何が入っているのか分かりますかといった問い合わせを何件かいただいております。その中には、合成カンナビノイド系の製品など分析したことのある製品等が入っていました。実際に使用した時、どのようになるのかについては、インターネットの記述だけが頼りなので、何とも言いようがありませんが、そのような例も今までにありました。
○望月部会長 ありがとうございます。
○事務局 元々、指定薬物制度ができる前から、合法ドラック等と称されて販売されていた製品に対して、法律上、指定薬物は、中枢神経系の興奮云々の蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合の保健衛生上の危害の恐れについて幅広く認識をし、それに対する対策を取るということで始まった制度です。□□委員が御指摘された「本当のところ、どのぐらいの効果があるのか」については、若干グレーながらも指定薬物に指定することにより、これまでの買上調査等からもはっきりしていますが、指定した途端にその製品の流通は突然止まります。また、新しくなるということで、そちらも問題だと思いますが、製品の流通が止まるということから、乱用とそれによって生ずる健康被害も考え、この指定については幅広に行わせていただいている経緯があります。
○望月部会長 ありがとうございます。そのような形で、直接の証明は難しいですが、いろいろな状況や親和性から、指定するのが適当ではないかと思いますがいかがでしょうか。
○事務局 今、委員から御指摘をいただいたとおり、動物実験についても可能な限り収集していきたいと思っております。必要なものについては、特に薬物弁別試験や明らかな他の薬物との親和性、単なるデータだけではなく実際に動物の挙動も含めたものも見ていきたいと思っています。
○□□委員 指定の基準として「乱用実態」がありますが、□□委員から124検体のいくつかが出ているという話がありました。それから、CB1受容体への結合性ということで、依存性そのものは分かっておりませんが、蓋然性となっているので、ある程度予測ができると思います。
 さらに、精神毒性についてですが、先ほどの124のサンプルのうち、いくつかが発見されていますが、実際に精神毒性が見られている例はありますか。
○望月部会長 □□委員、お答えできますか。
○□□委員 本日は資料を持ってきておりませんが、こちらの類似化合物であるJWH-018に関しては、乱用している患者さんに関するお医者さんの論文が出ております。そのような精神毒性は認められております。本日は持っていないので詳細は述べられませんが、JWH-018の乱用者の診療に関する論文は出ています。
○□□委員 直接の精神毒性の臨床報告は少ないと思いますが、重複的に見た場合の統合失調症の罹患リスクは報告されております。一部では、確かCOMTの遺伝子多型というモノアミンの代謝酵素の遺伝子多型が、ある多型ではリスクが高まるという報告もあります。リスクが高まるという報告は、かなり昔からありました。直接、臨床の現場の報告に加えて、そのようなリスクも勘案して対処、検討する必要があると思います。
○□□委員 1点、質問があります。この親和性の数字を見ていると、どんどん強いものが出ているような印象を受けます。イタチごっこのようになっていくと、合成していけばいくほど、さらに親和性の強いものが出てきてしまうのではないでしょうか。
○望月部会長 いかがでしょうか。そのような情報は、何かありますか。
○□□委員 たまたま今回の5つの物質がとても高いのでしょうか。
○□□委員 脱法の世界では、そのようなことは余り聞いたことがありません。しかし、大麻自体は世界的に高いと思います。カンナビス・カップというものが毎年行われておりまして、THCの含有量をいかに高めるかという国際大会まであります。
○□□委員 JWHシリーズに関しては、J.W.ホフマンという人物が、メディシナルケミストリーで一気にCB1、CB2に対する親和性の高い化合物を作ったことは既に報告されています。その中から、どちらかというと活性の高いものが市場に出回って乱用されるようになったという方が正解だと思います。JWHシリーズだけではなく、ほかのシリーズもあります。それも活性の高いものは、また市場に登場し始めていますので、今後もそのような事態が続く可能性があると考えています。
○□□委員 参考資料がありますので、こちらを事務局から説明いただければ良いと思います。
○事務局 参考資料は、今回付けさせていただいた文献ですが、□□委員からの御指摘のとおり、アルキルの長さがどの程度伸びていくと親和性が高まり、又、弱まるのか、そういった視点での動物実験等がかなり幅広になされています。例えば、ACMDレポートを参考までに付けていますが、例えばHをメチルにする、メチルをエチルにするといった順番で、単純にナンバリングしたようなJWHの番号が既に付いています。それぞれについての親和性のデータは、ある程度明らかになっています。したがって、この資料は、今後もこちらの部会で何度も提出させていただくことになると思います。親和性の高いもので、新たに国内流通がみられるようなものも、この段階である程度は予想できるわけですが、今の段階で全部に網をかけるというのは難しいです。まずは、見つけたものから、対応させていただきたいと思っています。
○□□委員 分かりました。ありがとうございました。
○望月部会長 ほかに、御意見はございますか。
○□□委員 私は個人的には、今回提出されたJWHの5つについては、指定薬物への指定ということで特に異論はありません。しかし、以前から出ていた議論だと思いますが、可能であれば、このような時にあらかじめ弁別試験ができるのであれば、そのデータも出していただいた方が良いと思います。
○望月部会長 事務局は、この点についてはいかがですか。
○事務局 先ほど、□□委員から御指摘いただいたとおり、我々もなるべくソリッドなデータに基づいて先生方に御議論いただきたいと思っております。薬物弁別試験も含めてタイミング等の問題もありますのが、可能な限りスケジューリングを上手く行い、見つけ次第、その実験データ、海外データも含めて調べさせていただきたいと思います。さらに、足りない分についても、実際に実験を行ってデータを出していくという方針としたいと考えております。
○望月部会長 そのような方向でお願いいたします。
 この5物質については、指定相当ということでよろしいでしょうか。
 それでは、指定相当として報告とさせていただきます。
○事務局 ありがとうございました。
 引き続きまして、資料2-6、2-7の2物質について説明させていただきます。
 物質6、資料2-6を御覧ください。4-メトキシメトカチノンです。左下にありますメトカチノンという物質は、ヨーロッパでも特にイギリスで乱用されているカチノン系の物質ですが、こちらは既に日本においても麻薬の指定がされている物質です。
 このメトカチノンのベンゼン環の4番に、メトキシが付いているという物質です。もう1点、メトカチノンの横に指定薬物の指定前例を載せていますが、4番がメチルになった場合、日本においては指定薬物として既に指定をしている物質です。この4-メトキシメトカチノンについては、動物実験のデータが本日ございません。そのため、11ページの「文献8」になるのですが、ヨーロッパにおけるこの4-メトキシメトカチノン摂取者の死亡例の報告ということで、説明をさせていただきます。
 4-メトキシメトカチノンの乱用者の2名の死亡例があり、救急で担ぎ込まれ、4-メトキシメトカチノンの血中濃度のレベルを測定したものがあります。事例1については、23歳の男性ですが、死亡前の血液サンプルで13.2μg/gの4-メトキシメトカチノンが検出されたということです。
 事例2は、19歳の男性の死亡例ですが、こちらも検死資料の血液で、9.6μg/gの4-メトキシメトカチノンが検出されております。
 11ページを御覧ください。同じ研究報ですが、この4-メトキシメトカチノンを乱用している11名の血液の濃度レベルを測ったところ、0.2~4.8μg/gの4-メトキシメトカチノンが検出されておりまして、報告の中ではセーフティ・ギャップが極わずかであったという報告になっています。通常どんな薬物でもいえるのですが、効果を出す濃度と副作用が出てくる濃度は、なるべく離しておかないと安全に使えないということです。乱用ですので、その定義と合うのかどうかは分かりませんが、効果の出る濃度と、一気に死亡に至ってしまう可能性のある濃度が、相当近いということを示唆しているデータです。
 諸外国の規制ですが、スウェーデン政府は2009年の12月から、こちらの物質を麻薬として指定しています。さらに、イギリスでは2010年に法律の改正を行っておりまして、本4-メトキシメトカチノンを含むカチノン等について、全面的に麻薬相当というクラスBドラッグとして規制をかけている物質です。
 資料2-7を御覧ください。こちらの通称が3-フルオロメトカチノンということで、先ほどのメトカチノンと構造は同じです。メトカチノンについては、既に麻薬として指定されており、今回はベンゼン環の3番に、フッ素が付いているというものです。類似物質ですが、メトカチノンではありませんが、4番にフッ素が付いたN-メチル4-FMPという物質です。こちらは、覚せい剤の構造式になります。カチノンではなく、覚せい剤というものですが、N-メチル4-FMPについては、既に規制をされている物質と相当の構造類似性をもっているものです。3-フルオロメトカチノンについては、東京都健康安全研究センターによる試験が相当幅広く行われており、マウス、ラットを使った中枢・自律神経症状観察試験やその他モノアミン神経伝達系への影響等の試験が行われています。
 概括して申し上げますと、覚せい剤を対照物質とした比較試験を行っております。3-フルオロメトカチノンについては、覚せい剤と比較して作用は若干弱いものの、ほぼ同様の中枢・自律神経症状を示していたという実験結果となっております。
 (2)になりますが、モノアミン神経伝達系への影響ということで、各種モノアミンについて、ドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリンの量について、再取込阻害作用、更には遊離促進作用について、それぞれ比較検討するということで、そこに試験データを簡単な表にしたものを載せています。それぞれ3-FMCというものと覚せい剤であるところのMAPというものについて、再取込阻害作用について、この1.6×10の-6乗、それから3.8×10の-7乗というような結果が出ています。覚せい剤に比べて若干弱いデータと見ていただければと思いますが、それぞれドーパミンやセロトニン、ノルエピネフリンにつきまして、ほぼ同様の挙動が数字的に御覧いただけるのではないかと思っております。
 先ほどの報告と同じになりますが、イギリスにおけるカチノン誘導体の規制に関しまして、カチノン誘導体については既に2010年よりクラスBドラッグ、麻薬相当というもので規制されている物質です。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。 
○望月部会長 ただいま事務局より説明のありました2つの物質について、委員の先生方からコメントはございますでしょうか。
○□□委員 最初の化合物、4-メトキシメトカチノンについて説明いたします。この4-メトキシメトカチノンですが、こちらはメフェドロンとして欧州で多くの死亡例を出した化合物の構造類似体です。メフェドロンが指定薬物に規制された後、その代替品のような形で日本の市場でも多く流通している化合物です。
 先ほどの混合乾燥植物124製品とは別に、科学系の違法ドラック製品として、液体や粉末状の製品34製品につきまして、過去1年間に分析をしたところ、34製品中12製品から4-メトキシメトカチノンが検出されました。こちらは、粉末若しくは液体の製品になります。以上です。
○望月部会長 ありがとうございました。ほかに、御意見はございますか。
○□□委員 データが不足していることは承知ですが、最初の化合物は危険性が高いため、規制をかけておくべきだと思います。資料2-7に関しては、東京都の健康安全研究センターで覚せい剤ライクの作用が出ております。そのことから、規制をかけても良いと思います。
○望月部会長 ありがとうございます。ほかに、御意見はございますか。□□委員、お願いします。
○□□委員 今後、このような危険性の高いものについて、指定薬物から麻薬に指定を変えていくには、どのようなステップになるでしょうか。
○望月部会長 事務局より説明をお願いします。
○事務局 参考資料2を御覧ください。指定薬物として指定したものについても、先ほど流通が止まるという説明をしましたが、実際に止まらないケースもいくつかございます。そういった乱用が実際にあるケースで、更に麻薬相当となりますと、記載されている薬理作用の依存性の有無と乱用状況が確認されます。こういった条件に合致してくるものであれば、更に、規制を強化するということで、麻薬に指定することになります。これまで指定薬物に指定されたものの中から、麻薬に指定をしたものが3物質ございます。
○□□委員 すると、乱用状況は流通が止まってしまえば、問題無いということになってしまうのですか。
○事務局 はい。確かに、一時的に国内的には、それで問題無い状態になります。しかし、例えば麻薬の海外規制について、国際条約上、これを麻薬にするというようなことで決定が下されたケースであれば、国内で乱用が無い状態であっても、自動的に麻薬になるケースもあります。これまでも、薬物自体の危険性がほかのものと同程度にあれば、指定薬物としての乱用実態が認められておりますので、麻薬としての指定の際は考慮されることになると思います。
○監視指導・麻薬対策課長 追加です。今の件については、エビデンスを高めた上で麻薬にするといったことが既に行われています。もう1点は、□□委員にお話しいただいた方が良いかもしれませんが、WHOで専門委員会があり、そこで薬物を麻薬に指定するにはどのような評価をし、それをWHOではなく、国連の麻薬委員会で条約上どのようにするのかの検討が行われます。科学的な評価としては、WHOに専門委員会が設けられております。そちらの委員として、日本からは□□委員が選ばれております。その評価を受けて、条約上の麻薬としての検討がなされます。残念なことに、最近は3年ぐらい開かれておりません。そこの委員会からのアウトプットがない状況です。
 さらに、合成カンナビノイドやメトカチノンなどでは、私たちは「アナログ」と言っているのですが、類似のものが次から次へと出てきております。麻薬に指定するには様々なエビデンスを高めなければいけないのですが、それを行うために評価をする所が、財政不足のために現在は動いておりません。このため、規制の対応が遅れ様々なものが流通しており、各国で非常に困っています。
 ヨーロッパでは、乱用薬物についてのモニタリングセンターが設けられております。乱用薬物は、このようなお香やビデオクリーナーのような液剤や粉末の形態でも出回っており、ごく自然な形で売られていますので、試買して定期的に情報等が報告されます。日本では、花尻委員のおられる国立医薬品食品衛生研究所の生薬部が中心となり、また、東京都やいくつかの自治体もかなり精力的に取り組んでいます。その際には、ヨーロッパの情報等も取得しながら行われています。
 さらにアメリカも、ヨーロッパや日本に比べるとやや後手に回ったのですが、最近、合成カンナビノイド等がかなり問題になっているということです。暫定的ですが、厳しい規制も始めており、そのような面からすると条約の方がやや遅れています。乱用薬物の製造者、販売者は、様々な方法を考えており、その関係でいろいろな対応が必要になってきています。規制側での乱用薬物についてのエビデンスの集積がついていっていない現状もあります。このあたりは、□□委員から御説明を追加していただいた方が、良いかもしれません。
○□□委員 WHOのECDDの方は、予算不足ということが原因で2006年以来ずっと開かれていないのですね。
○望月部会長 審議すべきものはあっても、財政面から審議できないということですね。
○監視指導・麻薬対策課長 例えば、ケタミン等も日本は麻薬になっております。中国などでも相当問題になっております。しかし、条約での麻薬とすることにはアフリカ諸国等で反対もあると聞いています。重要なものがまだ麻薬になっていないのが現状です。
○□□委員 ここに出ている死亡例は薬物中毒ですね。高度毒性や依存性のデータは、まだ報告されていない物質なのでしょうか。
○望月部会長 データは、ありますか。
○□□委員 4-メトキシメトカチノンに関しましては、文献的に実際に依存を示すような動物実験や人のデータも、特に報告されていないと思います。
○□□委員 この11名の中に、そのような臨床的な記載はありません。
○□□委員 検死による血液中の薬物濃度の分析結果ということで、論文が報告されているだけと認識しております。
○望月部会長 ほかに、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 この2物質については、指定相当ということでよろしいでしょうか。
 それでは、指定相当として報告とさせていただきます
○事務局 ありがとうございました。
 引き続きまして、資料2-8、2-9の2物質について説明させていただきます。
 物質8、資料2-8を御覧ください。こちらは、ALEPH-4という通称名が付いており、2、5番にメトキシが付いている2,5-ジメトキシのプロパンジアミンという形式になりますが、こちらの物質は、既に麻薬として指定されている2C-T-4です。これについては、右側のメチルが一つ無い状態のものです。さらには、5位のチオの先のイソプロピルですが、これがエチルになったものがALEPH-2というもので、既に指定薬物として指定されたもので、こういった構造類似物質、麻薬等の前例があります。
 こちらの物質については、国立医薬品食品衛生研究所において、中枢神経系への作用等についての実験を行っており、セロトニンレセプターアゴニスト活性評価ということで、情動から精神活動に影響を与えるセロトニンレセプターに関する親和性というようなものを確認していただいております。
 活性評価につきましては、対照物質としてセロトニンと指定薬物のALEPH-2等を対象として、各化合物のEC50を計測していただいています。その結果につきましては、文献10に詳しく記載しており、その測定数値についてはこちらに抜き書きをしています。EC50値ですが、セロトニンに比べてALEPH-4は、強い活性を有しております。ALEPH-2に比べますと若干弱いのですが、ほぼ同程度という結果が出ております。
 物質9、資料2-9を御覧ください。5-MeO-EPTという通称名が付いています。先ほど□□委員から御発言のあった5-MeOという物質のシリーズになります。このインドール環のメトキシが5の位置に付いています。更に、その右側に延びているアミンの先の長さに少し違いがあります。下にある指定薬物が、それぞれ5-MeO-EIPTと5-MeO-DETですが、今回御審議いただきたい物質はNに付いているものがエチルとプロピルです。EIPTについては、エチルとイソプロピル、DETについてはエチルとジエチルです。エチルとエチルという物質も、ほぼ同じではないかと思います。5-MeO-EPTについても、国立医薬品食品衛生研究所におきまして、先ほどと同様にセロトニンレセプターのアゴニスト活性の評価をしていただいております。
 結果についても下に記載しており、こちらも先ほどとほぼ同じ結果ですが、セロトニンよりも強く、今回はその対象物質である5-MeO-EIPTよりも更に強いというものであり、それぞれ2つの物質につきましては、ほかの指定薬物との比較から考えても、同等の効果を持っているのではないかと考えられるものです。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○望月部会長 ただいま事務局より説明のありました2つの物質について、委員の先生方からコメントはございますでしょうか。
○□□委員 1点、よろしいでしょうか。セロトニン受容体は、ブロッカーで検査されないのでしょうか。セロトニンの受容体をブロックしなければ、受容体の関係性が分からないと思います。結果的には動いていると思いますが、途中でどのようなことが介在したのかが分からないため、最終的にセロトニン受容体のブロッカーでブロッキングができれば良いと思います。いかがでしょうか。
○□□委員 特異的な反応等、すべて検討しております。
○望月部会長 ほかに、御意見はございますか。
○□□委員 買取調査の結果を教えてください。
○□□委員 現在の流行は圧倒的に、先ほどの合成カンナビノイドとカチノン系の化合物ですが、ALEPH-4と5-メトキシのEPTに関しては、それぞれ7製品から検出されております。
○□□委員 □□委員の御質問についてですが、Vivoの実験であれば、付く場所があるので、アンタゴニストでしっかりと切れるのかを確認することは、薬理学の正しい形だと思います。クローンした遺伝子を培養細胞に発現させ、アンタゴニストで切れることを確認するのが一番良いと思いますが、あえて行う必要もないと思います。
○望月部会長 ありがとうございます。ほかに、御意見はございますか。□□委員お願いします。
○□□委員 セロトニン-2A受容体が人体に及ぼす影響の実態は、スペシフィックであれば、それほど強いものは出ず、ドパミン系であれば、エモーショナルに影響が出ると思います。どのような影響が出るのか教えてください。
○□□委員 薬理は余り詳しくありませんが、2,5-ジメトキシ-4-置換体のフェネチルアミン系の化合物と5-メトキシのトリプタミン系の化合物は、セロトニン受容体に作用します。このシリーズは、幻覚性の化合物として知られていると認識しております。
○□□委員 統合失調症になると、様々なものが動きます。私はセロトニンの取り込みも阻害し、セロトニン系が全体で動くと統合失調症のようになると思っていました。実際、人体でどのような依存性が報告されているのかをお伺いしたいと思いました。
○望月部会長 事務局からコメントはありますか。
○事務局 先ほど□□委員からコメントがありましたように、5-MeOシリーズは幻覚作用等を期待して乱用されている物質と見られております。先ほどお示ししたとおり、参考資料3に5-MeOシリーズが記載されており、13番の5-MeO-EIPT、19番の5-MeO-DALT、21番の5-MeO-DET、43~45番もすべて5-MeOとなっております。5-メトキシのトリプタミンに関しては、構造式の若干の変化でも同様の乱用実態があり、精神作用を求めている方たちが愛用している実態がございます。
○□□委員 補足させてください。ALEPH-4、5-MeO-EPTについては、ほかにそのような実際の薬理作用に関する論文はございません。けれども、2Cシリーズという2,5-ジメトキシ-4-置換体のフェネチルアミン系の化合物やトリプタミン系の化合物の幻覚性に関するVitnoやVivoの実験結果も既に報告されていると考えております。
○望月部会長 ほかに、御意見はございますか。
○□□委員 この系統の薬は、催幻覚作用等の乱用はあると思いますが、基本的に依存性は余り無いと推定してよろしいでしょうか。
○望月部会長 依存性について、どなたかございますか。
○□□委員 私も、その辺が気になります。要するに、依存性が無ければ、本部会の対象物ではなくなります。
○□□委員 曖昧な記憶で申し訳ないですが、フォクシー5-MeO-DIPTや2Cシリーズの2C-I等、既に麻薬になった化合物があると思いますが、その時の弁別試験結果では、きちんと弁別されていたと記憶しています。
○□□委員 我々の部でも、5-MeO-DIPTについて研究しましたが、神経毒性は覚せい剤よりも強いという結果でした。そのため、依存性が無いとは言えませんが、神経毒性が強烈で非常に危険という印象でした。
○望月部会長 ほかに、御意見はございますか。
○□□委員 方向性の違う質問ですが、例えばエビデンスを積み重ねる中に、神経細胞死に誘導する試験が入ると考えてもよろしいですか。
○望月部会長 □□委員、いかがでしょうか。
○□□委員 試験を入れることに関しては、特に問題ありません。今回のように指定薬物に指定するというレベルで審議する場合と麻薬の指定を判断する審議では、それぞれどのようなデータを揃えるべきなのでしょうか。
○□□委員 先ほど3つファクターがありましたが、このような指定薬物の場合、常に3系統のスタンダードな薬物で弁別を獲得し、さらに般化試験を行う必要があると思います。
○□□委員 そのデータがあることにより、審議もスムーズになると思います。
○□□委員 さらに、今おっしゃられていた精神毒性という面では、一定の評価系で評価することが今後必要になると思います。
○望月部会長 事務局も、そのような方向で原案作りをしていただけると有り難いと思います。
○事務局 審議がスムーズに進むように事前に御相談させていただき、必要な実験を可能な限り準備していきたい思います。ありがとうございます。
○監視指導・麻薬対策課長 今回の審議は9品目ですが、前回は5品目でした。品目が少ない時は、予算的に可能ですが、品目が多い場合、国立医薬品食品衛生研究所で行っているような構造活性相関等などを利用した研究でのエビデンスがあるものについて、個々の物質としてのエビデンスがそれほどないものであっても指定ができる形式をとっておく必要があるのではないかと思います。バランスの問題だと思います。
○□□委員 個人的な意見ですが、麻薬指定にするための審議と指定薬物にするための審議は、異なるものと考えております。指定薬物に関しては、様々な化合物が次から次へと出てくる中、弁別試験一つに関しても、薬理試験を行うのであれば、それに対する標準品が必要になってきます。非常に純度の高い標準品を用意し、なおかつ弁別試験等にもっていくとなれば、麻薬に指定するのと同じぐらい様々なデータが必要になってくると思います。指定薬物とは、出てきたものの流通を止めるための制度と考えております。そのことから、一つ一つに対して非常に詳しいデータを出していると、なかなか追いつけなくなってしまう可能性があると考えています。
○望月部会長 そうですね。□□委員、お願いします。
○□□委員 指定薬物にするデメリットを考えてみましたが、広めの網に掛けるという形をとらなければ、実際の広がりに追いついていけないという懸念があると私は思います。そのため、指定薬物とした時に生じるデメリットをイメージすることができません。データが揃わなくても、怪しいと判断したところで、指定薬物の指定をする方向で良いと思います。本日、初めて指定薬物部会に参加しましたが、これまで指定検討された薬物の中で、指定薬物とされなかったケースはあったのでしょうか。
○望月部会長 事務局、お答えできますか。
○事務局 今まで御審議いただいた中で、指定相当されなかったものはございません。
○□□委員 デメリットについて教えてください。
○事務局 デメリットは、学術研究等、今回御審議いただいた物質の中に、いくつか元々開発された医薬品の物質も含まれていることです。また、それに類似したものも含まれており、例えば今後製薬企業等が開発を行うインセンティブは、若干抑えられると考えられます。我々としても、医療の必要性があれば、その部分について、新たに研究する枠を作ることを検討します。その点のデメリットが生じないようにと考えております。
○望月部会長 ありがとうございました。ほかに、御意見はございますか。合成の面からみると、いくらでも合成できると思います。それらを指定薬物の指定ができない際には、再度対応策を考えなければいけません。
○監視指導・麻薬対策課長 □□委員と同じことを考えております。海外ではアナログアクトということで、一部そのような形で指定されています。現在、我が国では個々の化学物質を指定して規制を行っていますが、それではきりがないので、類似構造も含めた包括的な指定ができるような規制も情報収集しながら考えております。
 □□委員からの話もありましたが、例えば参考資料1の薬事法の76条の4では「製造し、輸入し、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。」ということで流通の規定があります。そのため、供給サイドの部分を遮断するということで、麻薬等については、使う側も法律で禁止されています。そのことから、基本的に麻薬は意図的ではなくても、持っているだけで逮捕され、場合によっては拘束する条件もありますが、非常に限定的な形になっています。
 そのような意味では、薬事法の指定薬物は、そこまでに至っていませんので、指定の際の化学物質についても、現状のようなイタチごっこの中、もう少し包括的に指定できるのではないかと考えております。
 先ほど申し上げたように、法律上の要件を厳密に守った際に、親和性だけを見て判断するのは、科学からするとやや強引な部分があります。一定の蓋然性が高い物質があり、それの延長線上であれば、今回のように情報量は若干少なくても指定には問題ないものと思います。そうでない場合は、もう少し考えていくべきかと思います。
 例えば、お香などには、様々なものが含まれています。次々に指定をした時、意図していないけれど入っている場合もあり得ます。指定薬物制度は、意図しているか意図していないかとは関係なく、物質が指定されていることによっての流通規制になります。
○望月部会長 ほかに、御意見はございますか。□□委員、どうぞ。
○□□委員 「JWHシリーズ、5-Meoシリーズは、全部指定する」といったようなことは、今後も考えにくいということですか。
○監視指導・麻薬対策課長 できれば良いと思います。
○□□委員 その議論が以前から時々出るので、イギリスはそれに近い規制をかけているという話もあります。そうしなければ、本当にエンドレスです。
○望月部会長 そのような面も、今後事務局で検討してください。ほかに、御意見はございますか。
 それでは、この2物質については、指定相当ということでよろしいでしょうか。
 本日の審議をまとめますと、今回御審議いただきました物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であるとして、決議してよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、事務局から、本件に係る今後の手続き、スケジュール等について説明してください。
○事務局 今後のスケジュール等を御説明させていただきます。
 本件の結果については、3月25日に開催予定の薬事分科会で報告をする予定です。
 また、本日の結果を受け、パブリックコメント、WHO通報等必要な手続を行い、指定薬物を指定するための省令改正の手続を行います。
 なお、正規用途(医療等の用途)については、これまでの調査により参考資料5に記載しておりますが、パブリックコメントの結果等を踏まえ、可能な限り適性使用に支障を来さないように対応する予定です。
○望月部会長 次に、その他の事項に移ります。事務局より何かありますか。
○事務局 次回の指定薬物部会の開催についてですが、今のところ未定です。また、開催の場合には、日程調整をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 先ほど、これからの手続の話をしていたので、御参考までにお話します。これから、パブリックコメント等を始めますが、私どもが様々な情報を探知しているとインターネットの掲示板等で、厚生労働省の方で指定薬物にする動きがあるという情報が、駆け巡ってしまう現状があります。パブリックコメント後、最終的に省令改正がされ、公布されて1か月後からの施行になります。このため、自治体等にはその前の駆け込み等、変な動きが無いように、事前に情報提供を行うという形を進めています。指定がなされるという動きがわかると、それを見た駆け込みの需要が出てくる可能性もあります。私どもも、非常に目を光らせているところです。以上です。
○望月部会長 委員の先生方、本日は、御審議ありがとうございました。
 以上をもちまして、平成22年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会を閉会いたします。
 ありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 江野(内線2779)

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