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2011年5月18日 第8回チーム医療推進方策検討ワーキンググループ 議事録

医政局医事課

○日時

平成23年5月18日(水)16:00~18:30


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○議題

○チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集(案)について
○その他

○議事

○石井補佐 それでは、定刻にお越しいただく予定の委員の先生方はすべてお揃いになりましたので、ただいまより第8回「チーム医療推進方策検討ワーキンググループ」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、非常にご多忙なところ、当ワーキンググループにご出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、本年度につきましては、東日本大震災を受けた節電の必要性等を踏まえまして、クールビズの期間を厚労省におきましては5月1日から10月31日としており、館内の冷房運転が必要最少限となっております。本日も多くの方々にお集まりいただいておりますので、室内は非常に暑くなろうかと思いますので、委員の皆様方におかれましても上着を取っていただくなど、ご協力いただければ幸いです。
 最初に配付資料の確認をさせていただきます。お手元の配付資料ですけれども、議事次第、座席表、資料1「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集(案)」。資料2「チーム医療実証事業について(案)」。参考資料1、各委員からご提出いただいた「チーム医療の具体的実践事例」。参考資料2、徳田委員からの提出資料。参考資料3、森田委員からの提出資料。参考資料4、近森委員からの提出資料。参考資料5、小沼委員からの提出資料となっております。資料の不足等ございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
 それでは、以後の進行について、山口座長、どうぞよろしくお願いいたします。
○山口座長 本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。これまでの議論を踏まえまして、このワーキンググループのまとめとして資料1に「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集(案)」を事務局で整備いただきましたので、これについてご議論いただきたいと思います。それから、資料2にもご議論をいただきたいと思っております。事務局から資料のご説明をいただきたいと思いますけれども、各委員から提出いただきました資料につきましては、意見交換の場所で適宜ご発言いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、事務局からご説明をお願いします。
○石井補佐 それではまず、お手元の資料1をご覧ください。資料1「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集(案)」です。これは前回の会のときにお示ししたものと基本的な構造は同じですけれども、少し時間も空きましたし、それから、本日は取りまとめに向けてのご議論をいただきたいということもありますので、簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず、目次をご覧ください。基本的な構成は前回お示ししたとおりですけれども、初めに巻頭言から始まりまして、1から7までの構成については、これは従前からご議論いただいたものと同じです。最後の「終わりに」という部分と、参考の添付として「チーム医療の評価方法について」というものをはさみまして、そのあとは委員の皆様方から提出いただいた「実践的事例集」ということで、さまざまな事例集を提出いただきましたので、事例集部分だけでも60頁に及ぶというような内容となっています。事例集の配置については、前回いろいろとご議論いただきましたけれども、基本的には本文の構成に揃える順序で整理をさせていただいておりまして、できるだけ多くのものを盛り込みつつ、あまり過多にならないようにということで、このような配置となっております。
 1頁目、まず「はじめに」の部分については、このワーキンググループが立ち上がるまでの経緯を書いてあります。下から2番目のパラグラフには、「以来○回にわたり」と書いてありますけれども、これは今回で取りまとめられれば8回ということになろうかと思いますけれども、この回については後で提示させていただきます。この報告書の位置づけについては、「今般、チーム医療を推進するための方策について取りまとめを行ったので、医療関係者がチーム医療を推進していく上で参考とすることを期待したい」ということで、こういったもののやり方もあるというので、是非参考にしてくださいというような位置づけであるということを書いてあります。
 1「チーム医療を推進するための基本的な考え方」ということで、これは第1回からさまざまにいただいたご意見で、チーム医療を推進するための基本的となる考え方についてまとめたものです。
 1つ目の○は、前回少し議論がありましたけれども、「我が国の医療は非常に厳しい状況に直面しており、医学の進歩、高齢化の進行等に加えて患者の社会的・心理的な観点及び生活への十分な配慮も求められており、医師や看護師等の許容量を超えた医療が求められる中、チーム医療の推進は必須である」ということで、少し言葉の順序等を修正したというものです。
 2つ目、チーム医療を推進する目的として、医療の質を高めるとともに、効率的な医療サービスを提供するといったような目的があることが書いてあります。
 3つ目、チームアプローチの質を向上するためには、互いに他職種を尊重することが重要であることが書いてあります。
 4つ目、チームアプローチを実践するためには、さまざまな業務について、関係する複数の職種が共有する業務も存在するということで、臨機応変に対応することが重要であるということが書かれています。
 5つ目、情報の共有のための手段として、電子カルテを活用した情報の一元管理が有効であるとあり、その下に診療記録管理における情報共有の取組が、新たな例示として追加してあります。
 2頁の1つ目の○。これは前々回の会のときに議論がありましたけれども、電子カルテによる情報共有においては、職種ごとの記載内容、あるいはどこまでの記載権限を与えるか、あるいはほかの医療機関等との共有方法等について、関係者間でルールを決めておく必要があるといったことが書いてあります。
 2つ目、前回、患者の位置づけについてさまざまな議論がありましたけれども、基本的な内容については皆様が言っていることに大きく違いがないということがあったと思いますので、事務局のほうで改めて文言を整理させていただきました。「チーム医療を推進するためには、患者に対して最高の医療を提供するために患者の生活面や心理面のサポートを含めて各職種がどのように協力するかという視点を持つことが重要である」という書き振りにしてあります。
 その2つ下ですけれども、チーム医療を展開する中で、医師、歯科医師が個別的な指示のみならず、包括的指示も積極的かつ柔軟に活用することが重要な手段であるとか、次にチーム医療の質を向上させるためには、卒前・卒後の教育が重要であることについて書いています。その下に例2として、新たに卒後の研修の内容について事例を加えたというものです。
 最後の○ですが、チーム医療の基本的な考え方は、さまざまな医療現場で共通するものであるが、具体的な取組内容についてはそれぞれの場面において異なるものがありますので、各々のチームが連鎖するような仕組みの構築が必要であるということが基本的な考え方に書いてあります。
 3頁は、前回のこの会議において近森委員からご発言があった内容ですけれども、現在医療現場において取り組まれているチーム医療については、職種間の情報共有の方法と、配置方法によって分類することができ、それぞれの医療現場の特性に応じ、それらが組み合わされているということで、下の表を事務局で作っています。左側の縦の(A)、(B)が情報共有の方法で、(A)が多職種がカンファレンス等においてすりあわせを行って情報共有するもので、(B)が電子カルテやクリニカルパス等の活用により業務と情報の標準化を行うというものです。横の(1)、(2)が配置の方法で、(1)が必要に応じて専門性の高い各職種がチームを形成。(2)が必要な職種を病棟に配置。例えば、多職種がカンファレンスですりあわせを行っていて、必要に応じて専門性の高い各職種がチームを形成するパターンは、急性期医療の中核部分などで行われているというような例事をこの中に加えています。
 最後の○ですけれども、チーム医療の取組を進めるに当たって、医療機関によってさまざまな状況が異なるということから、それぞれ求められている医療のニーズに沿ったチーム医療を展開する必要がある。
 2「急性期・救急医療の場面におけるチーム医療」についてです。1つ目ですが、急性期・救急医療においても、病院内にとどまらず、地域においてチームを構築することが必要である。2つ目ですが、先ほど出てきた表のお話が少し入ってきます。急性期病院におけるチーム医療について、専門職種が課題に応じてチームを編成し、カンファレンス等ですりあわせして、情報共有するタイプのチーム医療が主に行われている。このタイプのチーム医療については、手術室やICUなどにおけるチーム医療に適しているといった内容です。
 次の○は、専門職種を病棟に配置して、多くの患者に直接サポートを行うタイプのチーム医療について記載され、その下の○で、特に高齢者に対しては、リハビリや栄養管理などの対策が重要であることから、高齢者の多い病棟においては、急性期の段階から病棟配属型チームと、専門部隊型のチームが協働して補完しあうことが重要であると書かれています。
 4頁目には、急性期・救急の場面におけるチーム医療の例が6個並んでおりますけれども、栄養サポートのお話ですとか、あるいは薬剤師さんの配置のお話ですとか、リハビリテーションにおけるチーム医療、それから救命救急センターにおける社会福祉士の取組といったものを例示として付けてあります。
 5頁、3「回復期・慢性期医療の場面におけるチーム医療(医療・介護の連携)」についてです。1つ目、回復期のチーム医療においては、褥瘡対策や栄養管理、感染対策といった課題に対応することが必要で、そのためには病棟へのさまざまな専門職の手厚い配置が求められているといった内容です。
 2つ目、リハビリテーションにおいては、全人的なアプローチが行われていて、リハビリスタッフだけではなく、さまざまな職種とカンファレンスを軸にした情報共有と連携が必要であると。
 3つ目として、回復期の医療においては、どこまで障害が改善するか、あるいはどのような障害を抱えて生活を再建するか、ということを解決する必要があるため、経済状態・家族・家庭環境を十分に把握して、患者・家族からの相談に対応することが重要だと。例として、その下に回復期リハビリ病院における取組、医療療養病床におけるチーム医療の取組を例示として書いています。
 6頁、4「在宅医療の場面におけるチーム医療」です。1つ目、在宅医療において質の高い医療を効率よく提供するためには、チームの統合性、スピード性、効率性の3つの要素が必要である。2つ目、やはり患者対応のスピードが求められるという観点から、在宅医療を担う医療機関と訪問看護を担う機関が提供する、医療に関する哲学や実際のやり方を共有することが重要であること。3つ目、入院から在宅への移行支援については、在宅チームが主導して在宅の移行準備、試験外泊などを実施する仕組みを構築することが必要であること。4つ目として、在宅医療においては、訪問診療ですとか、歯科診療、服薬指導、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問介護といったようなチームアプローチが必要になってきますので、医療だけではなくて、介護との連携も含めたものが必要となってくることが書いてあります。
 5つ目として、使用される医療機器の種類も増加しておりまして、またその高度なものも使われるようになってきていますので、臨床工学技士等から患者や家族等に関する適正使用の方法、教育や運転状況の確認、保守点検などを行うことが必要であること。6つ目として、24時間の対応は、在宅医療において非常に重要であると。
 その下の例示については、次頁まで続きますけれども、在宅医療におけるチーム医療の例、退院支援の部分からの例、地域で緩和ケアを支える病院薬剤部と保険薬局等の連携、入院から在宅までの切れ目のない栄養管理の話、地域関係機関との連携といったような例示が書いてあります。
 7頁、5「医科・歯科の連携」というテーマで、盛りだくさんの内容が書かれています。8頁の1つ目として、口腔ケアは歯科的口腔管理の基本であり、誤嚥性肺炎等の予防に寄与し、医療・介護の現場で歯科医師・歯科衛生士をチームの一員として、医科と歯科の専門的な視点を合わせることにより、高齢患者において特に重要な合併症の予防が期待される。その下の○にさらに詳しく書いてありますけれども、口腔内管理の徹底を図ることで、誤嚥性肺炎や窒息事故等の発生を防止すること、あるいは摂食・嚥下障害、低栄養状態、口臭等に対する専門的な医療対応を行うことが可能となって、入院患者のQOLの向上や早期回復に寄与することができる。さらに医科・歯科連携を行うことで、入院患者のQOL向上や早期回復等に寄与するだけでなく、退院後も地域連携パスに繋ぐなど、口腔の医療面から地域医療に貢献することが可能になるようなことが書いてあります。
 いちばん下の○ですが、病院における口腔ケア、NST、摂食・嚥下、感染制御等のチーム医療において医科・歯科連携を強化・推進することにより、それぞれの専門性を最大限に活用できるので、患者中心の質の高い医療を提供することが可能になる。その下には医科・歯科連携に関する例が2つ書いてあり、リハビリテーション病院の例、昭和大学病院の例が加えてあります。
 9頁、6「特定の診療領域等におけるチーム医療」についてです。特定の診療領域や課題に応じ、さまざまな職種による治療チームを施設内外で構成し、チーム医療を実践している例をここでは9つまとめて紹介しています。褥瘡専門、子どもの入院支援等の例示を次頁にかけて9つ例を挙げています。
 10頁、下のほうにリハビリテーションについて記載があります。リハビリテーションは急性期、回復期、生活期のどの時期においても隔たりなく行われ、従来から患者を中心に職種間を超えたメンバーでチームが構成されている。それぞれの病期によってその目的も変化する中で、患者を中心とした多様なメンバーで構成するチーム医療は、リハビリテーションの理解が必須であるということで、ここにもリハビリチームの例を挙げています。
 10頁の最後から11頁にかけて精神の話です。精神科領域における課題である長期入院患者の地域移行、地域定着から促進を実現するためには、医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士といったさまざまな職種のチームによる取組の推進が重要であるとして、その下に、精神の関係で認知症、自殺未遂者に関する例が挙げられています。
 次に周産期医療の話です。周産期医療においては、妊婦のリスクと選択する医療機関とのミスマッチを防ぐことが重要で、対象者のリスクに応じて施設間や施設内でチームを構成する必要があります。例として、下に助産所のような診療所と高次医療チームの連携の例、あるいは周産期における虐待予防チームの例を加えています。
 12頁、7「医療スタッフの業務の効率化・業務負担の軽減」についてです。1つ目として、先ほども出てきたことですけれども、病棟配属型チーム医療のことについて改めて記載し、下に病棟配置における例として、3つ加えています。2つ目として、依然として看護師が機器の点検や物品管理等を行っていることから、臨床工学技士とか、事務職員などの他職種との業務分担等による業務の見直しが必要ではないかと。3つ目として、これは前回の議論にも出てきましたけれども、医療機関における事務部門については、院内や地域の関係者が参加する委員会等のコーディネートの役割、病棟や手術部門などにおける管理業務、他部門との連携業務など、さまざまな役割が期待されているという記載を追加し、その例として、病棟・外来等のクラーク配置の例を挙げています。
 13頁、これは従前から例としていただいていたものですけれども、医療クラーク、医師事務作業補助者の効果について記載し、その下に医師事務作業補助者の導入による医師の勤務環境改善について例示を加えています。
 14頁、「終わりに」です。書いている趣旨として、あくまでも今回お示ししているのは、現時点で考えられるチーム医療の一例を示しているものです。2つ目として、医学や医療技術の進歩や教育環境の変化に伴い、医療関係職種に求められる能力や専門性が当然変化しているものですので、業務独占範囲の見直しを含めて今後も検討する必要性があると。
 次に、医療現場でチーム医療を実践するためには、医療関係職種を十分に配置できるだけの医療機関等の経営的な基盤が必要になってきますので、各医療機関においてはその状況に応じた取組を行うとともに、診療報酬等における評価を行うことも重要であること。最後に、本報告書の提言内容を医療現場で具体的に検証し、その成果を評価し、チーム医療のさらなる推進方策に繋がることを期待したいということで、後ほど資料2でチーム医療の実証事業について、簡単に説明させていただきます。
 15頁、これは前々回の会議の際に評価方法の話を議論いただきまして、それと若干の誤字等は修正しておりますけれども、別添として「チーム医療の評価方法について」。これは1「基本的な考え方」の最後の行にも書いてありますけれども、あくまでもこの方法で評価しなければいけないという話ではなく、評価項目の設定等を行う際の参考として活用していただくための一例を示すというような位置づけで別添を載せています。2「評価の視点」として、医療の質、患者の視点、医療スタッフの視点、経済的視点の4つと、3「評価方法」にあるような3つの評価方法、アウトカム評価、プロセス評価、ストラクチャー評価を、例えばNSTの場合で組み合わせたらこうなるのではないかという一例という形で15、16頁に記載しているものです。
 17頁以降は「実践的事例集」で、基本的に委員の先生方からいただいたものについて載せています。事務局でもいろいろ整理させていただきましたけれども、もし何か誤植等ありましたら、この会議が終わったあとで結構ですので、また事務局に言っていただければと思います。先ほども申し上げましたように、できるだけ本文の内容と合致する並べ方、構成とさせていただいていますけれども、載せ切れていない部分等もありますので、その辺りについてもご意見をいただければと考えています。
 最後の頁の裏側、80頁の部分ですけれども、委員名簿を載せています。4月から所属を変わられたということで、何人かの委員からご連絡をいただいていますけれども、まだそちらについては反映ができていません。また、すでにご連絡をいただいている委員以外の方でも所属等の変更がありましたら、報告書を取りまとめた時点の所属で名簿を更新させていただきたいと考えていますので、そちらについても後ほどで結構ですので、事務局に連絡をいただければと思います。
 資料1についてはこれまでとして、資料2について続けて説明をさせていただきます。資料2「チーム医療実証事業について(案)」をご覧ください。こちらは、最後の報告書の「終わりに」の最後の部分にありましたけれども、1「事業の目的」としては、チーム医療推進会議、またその下に設けられたチーム医療推進方策検討ワーキンググループにおいて、チーム医療の取組の指針として、「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集」を取りまとめていただけるべく、議論を重ねていただいているところです。この事業については、実践的事例集を踏まえた取組を全国に普及させることを目指して、医療現場の関係者等のご協力をいただいて、これらの取組によって提供可能となる医療サービスの安全性とか、効果等を実証していくことを考えています。
 2「事業の内容」としては、今般取りまとめいただく実践的事例集を踏まえた取組を実施する施設を「チーム医療実証事業実施施設」、以下「指定施設」とさせていただきますが、に指定して、指定施設から取組によって提供可能となる医療サービスの安全性・効果等に関する情報の報告を受けるというものです。
 3「実施方法」についてです。まず期間と方法ですが、申請期間については、今年の6月1日から6月30日までとする。また、事業の実施状況、応募状況等によっては、平成23年7月1日以降も追加の申請を受け付けることとしたいと考えています。事業の実施期間については、予算事業ですので平成24年3月までとし、窓口は医政局医事課ということで考えています。
 指定申請書類ですけれども、指定申請に当たっては、以下の書類を提出していただくことを考えています。申請書、実施施設概要ですけれども、申請書については、実施する取組、その評価方法を明示することをお求めしたいと考えています。評価方法については、実践的事例集の中に評価方法の例がありますので、こちらも参考にしていただければと考えています。
 裏面をご覧ください。指定施設の申請・選定に当たっての留意事項です。1つの指定施設において複数の取組を実施する場合においても、それはかまわないという取扱いにしたいと考えています。
 指定施設の選定に関しては、ワーキングでもいろいろな議論をいただいたこともありますけれども、さまざまな規模の施設、規模の大小といったようなものですとか、あるいはさまざまな場面、急性期からその回復期・慢性期、在宅に至るまでにおけるチーム医療等を、いろいろな取組を実証するということを基本方針としますので、また以下の基準、これは目安と考えていただければと思いますけれども、に沿って選定を行うこととしたいと考えています。
 「施設の規模」については、400床以上、200~399床、20~199床、診療所というところで、4段階に分けることを考えています。「場面」については、急性期、回復期、在宅と主に3つのステージで分けて、それぞれこのような配分で募集することにしてはどうかということで考えています。選定については、事例集における「医科・歯科の連携」とか、「特定の診療領域等におけるチーム医療」、または「医療スタッフの業務の効率化」等を踏まえた取組を実施する施設も含めて、選定を行いたいと考えています。
 補助対象の経費としては、ここに書いてあるような報償費、賃金等ということで、複数の取組を実施する指定施設については、その取組の数に応じて補助額を加算するとしたいと思います。
 報告書類については、指定した施設は実施した取組に関する効果・安全性等について、来年2月中を目途に報告書を提出することで考えています。
 実際の応募、申請等については、医政局医事課で事務局をすることで、この実践的な事例集を踏まえ、あるいは、場合によっては関係する委員の先生方にご相談をしながら、施設の選定を進めてまいりたいと考えています。こちらについても、本日ご意見いただければと考えています。
 事務局からは少し長くなりましたけれども、以上です。
○山口座長 ありがとうございました。これまで皆様にご議論いただいたところを最終的な報告書のまとめとして、全体を7項目でおまとめいただきましたし、最後にチーム医療の評価の方法についても、添付資料としておまとめいただきました。この資料1のところが最終的なこのワーキンググループの報告書となるわけですので、今日はそれについて十分なご議論をいただきたいと思っております。各委員から資料等もご提出いただいておりますので、適宜ご発言をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは資料1の「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集(案)」の資料について、ご意見等はありますでしょうか。
○松阪委員 1の「チーム医療を推進するための基本的考え方」の最後の○で、医療機関によって、さまざまな置かれている立場があって、ケースは違うということを謳っていただいていますので、最後の14頁の「終わりに」というところがあるのですが、この「終わりに」のところにも、同じ文言を少し追記する形でしていただくことは可能なのでしょうかということです。例えば「終わりに」の1つ目の○ですが、そのいちばん最後は「現時点で考えられるチーム医療の一例を示したものである」。その後に、しかし、チーム医療の構成メンバーと役割を定型化するものではなく、個々の病院・施設の環境に合わせた取組も必要であるというような一言の文言を入れていただければ、より展開するのではないかと考えます。
○山口座長 ありがとうございました。全体の広がりを増やすという意味でも、よろしいかと思いましたが、ありがとうございました。ほかに何かご意見はございますでしょうか。
○徳田委員 いまのご意見に賛成なのですが、私どもの全日病で緊急にアンケートを取りましたので、それを見ていただきながら、いまのお話に繋げたいのですが、参考資料をご覧いただきたいと思います。前回の会のご議論のあとに、至急全日病の会員が、どのようにチーム医療に取り組んでいるかということをザッと見ました。メールでの対応でしたので、2,300ある病院のうちの1,960ほどの病院にしか出せなかった。回答が非常に少なくて78。期間が非常に短かったことと、ちょうど7日で11日に大問題が起きましたので、たぶんそういうことも関係しているのではないかと想像されます。概略は見ていただきたいのですが、中身としてご説明したいところは、参考資料2の3-1で78病院の中で約8割がチーム医療を実践している。いつからやっているかというと、長い所は16年前からというのもあるのです。細かいところは省きますが、結構頑張っていらっしゃる所も回答の中ではあるということです。
 次頁ですが、やっていない施設がありましたが、その14のうち今後どうするのかというと、半分は予定はないと。やる側については、どうしても診療報酬との絡みで褥瘡や栄養サポートチームであったということです。3-3で診療報酬で評価を受けている所はいくつかあるわけですが、肺塞栓症の対策はゼロでしたが、そのほかは上に書いてあるような格好で、栄養サポートと褥瘡が多かったということです。
 4-1からは事例集ですので、今回この会でいろいろまとめたものと、そう変わりはない。4の項目については診療報酬で関係があるところをほとんど載せています。4-7の糖尿病以外はそういう格好で、5についてはそれぞれ治療、病期別、入退院のときのお話、5-5では情報等と、こんなことがいろいろ行われたということです。
 お示しをしたかったのは、最後の頁を見ていただきますと、現在診療報酬で評価されているものがこれだけあるわけです。7を見ていただきますと、これは全国の厚生局にお問合せをしまして、どういう取組がされているかを、診療報酬の取り具合いということで見せていただきましたところ、栄養サポートが7%、褥瘡が5.7%、感染が約7%ということで、何を言いたいかというと非常に少ないということです。ですから、いまお話にありましたように、それぞれの施設の状況に合わせてという言葉は非常に大事だろうと思うのです。今回の取組は、底辺を広げるということがすごく大事なのだろうということを思わせます。逆に言うと、お金を付けてもこれしか取れていないという資料だったのではないかと思った次第です。ですから、いまのところは、是非そのようにしていただきたいということです。
 今後の状況ですが、今回の報告書はいろいろチーム医療を推進するために参考資料であるという言葉があるので、このことを取ってしまうと、とやかく言うことは全くなくなってしまうのですが、細かなまとめ方のところで少し気になることがありました。ここまでの議論が進んできているのに、あえてこんなことを言うのは何ですが、実はこういうものができたものですから、我々の全日病でも、また私の病院でもできたものを何人かのドクターや関連の業種の者に見せたところ、まとめ方で、いわゆる病期別にまとめてあるのですが、例えばリハビリテーションをとってみると、リハビリテーションでまとめたほうがわかりやすい。リハビリで急性期はこう、回復期はこう、在宅に向かって連携パスも含めたそういうほうがわかりやすいのではないかという議論がありましたので、これをどうするかだけ、少し皆様方で考えていただければいいかと思いました。
 これまでの議論をずっと振り返ってみますと、スタート時点ではやはりチーム医療で非常に頑張っていらっしゃる職種があって、いままでなかなか認められていなかったというお話がたくさんあって、オブザーバーの方々も含めてそれぞれ頑張っている職種の方々から、こうやってたくさんの事例が出たわけです。そうは言うものの、やはり大事なところは、たくさんの職種がやはりそういうことだったということですので、全体のまとめ方の中で、私が少し気になったのは歯科の部分が厚みが多すぎるのではないか。駄目だという意味ではないのです。そういう意味ではなくて、もう少しまとめていただいたほうが、そしてそのほかの職種も、実は周知されていない部分があるので大事だというような文言を入れていただくほうが、全体としては非常に見やすくなるのではないかと思った次第です。
 細かなことを言わせていただきますが、医療安全のチームのお話が事例集で出てきます。その辺りでいくつか、本当にチーム医療として出すべきなのか、ここまで出さなければいけないのかというところが実はあるのです。医療安全のところだけを見せていただくと、いわゆる医療安全のところでいろいろやらなければならない取組というのはほとんどの施設でやられているわけですから、あえてそこまでかなというところがありましたので、この辺り、集まったものを全部出すのか、もう少し整理されたほうが見やすくなるのかなというイメージがあるので、その辺りも少しご議論いただければと思いました。
○山口座長 ありがとうございました。徳田委員から貴重なアンケートの結果をいただきましたが、最後の診療報酬のところに実際この項目で申請されているのが非常に少ないというのは、ちょっとびっくりした数字をいただいたように思います。これはもう1つ、ではなぜなのでしょうか。
○徳田委員 おそらく基準がありますね。これが結構きつくて、それぞれ頑張っていらっしゃる所でもそういう職種がいなかったりとか、基準に合うだけの人員が揃っていない所がかなり効いているのだろうと思います。個々には頑張っていらっしゃる所があるのですが、聞いてみると、意外に「えっ、取っていないの」ということが実際にはあります。私どもの今回のアンケートは、いちばん最初に見ていただきますように国公立から、数は少ないのですが結構頑張っていらっしゃる所からいただいているにもかかわらず、これしかなかったということも含めて、実際にアンケートを取ってみて、あるいはこういう厚生局から情報をいただいてびっくり仰天をしたところがありますので、底上げのためにどうするかという、何かそういう書き方がどうしても必要で、場合によってはこういう職種がいないのだけれども、代替えが利くとか。いちばん最初のイントロダクションのところで業務の見直しとか、そういうキーワードがあったと思うのですが、むしろ協調してできるところは、専門職以外でもこんなことができるとか、そういう書き方もあっていいのかと感じた次第です。
○山口座長 ありがとうございました。おそらくいろいろなチーム医療があるということをこの事例集でお示しすることはできますが、では、それがなぜ実施にいかないかというところも、実証事業の大きなポイントなのだろうと思います。この数字を頭に入れて実証事業に取り組んでいただければという感じがしました。
 いくつかご提案いただきましたが、この報告書(案)が疾患別、あるいはチーム医療の業務別に分けたほうが読みやすいのか、あるいは病期というか、急性期、回復期、在宅というように分けたほうがいいのか、これについて何かご意見がありましたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。両方とも2つの分け方があると思いますので、一長一短だろうと思うのですが、いまは実際病院の分類も大きく急性期、回復期、在宅というような大きな分かれになっていますので、いちばん最初のとりかかりとしては、そういう分けかたの方がいいのかなとは思いますが。リハビリの急性期から在宅に至るまでの縦の繋がりはどうかという話が当然問題にはなるのだろうとは思いますが、いずれにしても縦横両方で考えていかなければいけないことは、そのとおりなのだろうと思います。表現方法としてどちらのほうがわかりやすいか、なかなか難しいところかと思いますが、事務局、何かありますか。
○石井補佐 事務局でございます。私も取りまとめをしておりまして、特にリハビリがおそらく目につくところかと思います。実はリハビリに関しては、お手元の資料1の3頁からいろいろな部分に顔を出しています。3頁の「急性期・救急医療の場面におけるチーム医療」のいちばん下の部分に、特に高齢者についてはリハビリや栄養管理の対策が重要であるという部分が出てきまして、4頁に急性期のリハビリテーションの例示が出てきて、5頁に「回復期・慢性期医療の場面におけるチーム医療」で、ここは当然リハビリの話がメインになってきます。それだけならまだよかったのかもしれませんが、私がいろいろ悩みまして、10頁の「特定の診療領域等におけるチーム医療」のところにも、実は下から2つ目の○にリハビリテーションの話が、ここはあえて急性期、回復期、生活期のどの時期においてもというような文案でいただきましたので、それに従って分けるとこのようになっております。
 そこは分散しているので、かえってわかりづらいというご指摘であれば、どこか1カ所は厳しいかもしれませんが、せめてここだけはずらすといったようなことも検討したいと思いますので、そこら辺も含めて、あるいはこのままがいいということも含めて、特に関係する先生方のご意見をいただければと思います。
○森田委員 ご意見をいただきましたように、リハビリの関係者として読むと大変わかりにくいと思います。リハビリだけで急性期、回復期、生活期というふうに並んでいるほうが、患者の流れとしてもわかりやすいとずっと感じているのですが、ただ、そういうまとめ方にしてしまうと、では、リハビリだけ浮いてくるというか、その都度、他職種と連携していくことが重要だと考えると、これでいいのかなと思いながら、ずっと参加してきたのです。
 小さいことですが、その前に、リハビリ、リハ、リハビリテーションという用語が混じっているのをどうにかしたほうがいいのではないかということと、リハスタッフの定義を回復期のところで入れてもらっているのですが、その前にもうすでにリハビリが出てくるので、最初のどこかでリハスタッフの定義を、1回目のところでしてもらって、PTが先に出てきて、その後で理学療法士PTというような用語について統一していただければと思います。
○山口座長 リハビリテーションは、用語としてはリハビリテーションとフル用語でずっと通したほうがよろしいのでしょうか。
○森田委員 それは決めようです。
○小川委員 理学療法士の立場からですが、患者さんの視点から見ますと、流れが急性期から回復期、生活期という流れになりますので、これはリハビリだけの問題ではなくて、全体の医療の流れがそういう形になりますので、そういうような括りを、要するに横軸を病期にして、縦軸を領域ごとに分けていくというスタイルのほうがわかりやすいかという気がしています。
 また、用語についてですがPT、OT、MSWという表記もありますが、正式名称ではないので、略称ではなくて正しい用語を使っていただきたいと思っています。これはお願いです。
○山口座長 正しい用語とはどういうことですか。
○小川委員 PTは正式名称ではなく、理学療法士が正式な職名です。慣例的に使われるので、正式な職名を使っていただきたい、特に行政が発する文書については、ご留意いただければありがたいと思っています
○山口座長 そうすると、リハビリテーションもリハビリテーション、理学療法士という言葉で。
○小川委員 はい。
○山口座長 では、それはそれでよろしいでしょうか。
○栗原委員 おそらく9頁の「特定の診療領域等におけるチーム医療」という大きな枠組みの中の1つに、リハビリテーションがまた入ってしまっているというのは、何か違和感があります。つまり、急性期、回復期、生活期という流れの中に、要するに医療のあり様としてそれぞれの病期にリハビリテーションがチームの医療の中に表現されるというのがいちばん最初の流れだったと思うのです。これが特定になってしまうと、全く別個の領域かという話になるので、何か注釈的にはリハビリテーションというのはそういうような急性期、回復期、生活期の流れの中の1つの基本をつくっているということは紹介したとしても、何か突拍子もなくここに入ってきているような気がしてならないのです。それが多少チュグハグを来たしている現象ではないかという気がしないでもないのですが。
○山口座長 どこかでこれは縦の流れも非常に重要だということを言いたくて、一文が入ったような感じで受け止めていたのですが。それぞれが横の中でのチーム医療が論じられているので、しかしリハは縦もというので一言があったのかという感じで、仕方がないのかという感じで受けとったのです。リハの専門の先生方が見られる分には、まとまっていようがばらばらになっていようが、あまり大して大きな問題ではなかろうか思いますので、それ以外の職種の人から見たときのリハのチーム医療としての役割という話が、皆さんにいろいろ広く知ってもらうにはどちらがいいかなと考えると、やはり病期によって分けたほうが、より多職種との協働作業がよくわかるのかと思いました。確かに特定領域とわざわざ縦の線を強調する一文がなくてもよろしいのかという感じですが、ないほうがむしろ栗原委員としてはすっきりするということでよろしいでしょうか。
○栗原委員 特別の世界にすべきでないというのが私個人の意見ですので、当たり前の構造だということです。
○小川委員 リハビリテーションというのは基本的には理念であり、それぞれの専門領域、診療領域と同列で話すものではないと思っています。医療も介護もそうですが、すべてリハビリテーションという大きな理念の下で動いていくというのが基本的な考え方であろうと思いますし、その大きな概念で使われるリハビリテーションという用語と、いわゆるリハビリテーション専門職種というように狭い領域で使われることが混在しているような気がします。ですから、それを少し分けると、もっと整理がしやすいのかと思います。
○山口座長 概念的にはよくわかるのですが。現実的な言葉として、また事務局で考えていただくということでよろしいかと思います。あと医療安全について徳田委員からご指摘がありましたが、確かに医療安全をチーム医療の一環として捉えるというのはいかがかというご意見だったかと思いますが、それについて何かご意見はございますでしょうか。
○?本委員 もともと病院の中で全員が関与すべきことですよね。その中の代表者を選んで、医療安全管理委員会とかを作るわけですから、もともとチーム医療なのです。医療そのものはチーム医療として成り立っているわけです。その中の弱い部分を今回これを少し強調して、皆で元気をつけようということなのでしょう。ですから、もともとそうあるものはわざわざここに挙げる必要はないのだろうと。
○山口座長 私も何かそういう気がします。それはそれでまた大きなテーマですので、別途論ずる機会はいくらでもあるだろうと思いますので、是非皆さんに知ってもらいたいチーム医療のその中の1つという位置づけではちょっと軽すぎるような気がします。他に何かありますでしょうか。
○向井委員 語句とか、いまの名称のことでいまさらということで申し訳ないのですが、口腔ケアという語句なのですが、これは2001年4月に登録商標として出願されていまして、2002年に商標とし認められた言葉になっているのです。今回のチーム医療の実践的事例を含めて多く記載されていますが、この語句をどのようにするか。診療報酬の語句では専門的口腔衛生処置という言葉で書かれていますが、いまさらのことではありますが、事務局と早急に相談させていただければと思います。
○?本委員 質問ですが、どうして商標登録までしたのですか。それはどこがしたのですか。
○向井委員 これはある歯科医院です。
○?本委員 それこそチーム医療に反することです、そういうことこそ。しかも歯科の学会でそれを糾弾しないといけないのではないですか。
○向井委員 はい、いま糾弾している最中ですが、それで死語にしようとか、いろいろなことが提案されています。また違う言葉にするか、「の」をつけて口腔のケアにしたら提喩しないのではないかとか、いろいろなことがにわかにここ数カ月で上がってきたところです。
○山口座長 それは何としても商標登録できたということが、やはりおかしいのではないかということだと思いますが。
○向井委員 認めてしまったということ。
○山口座長 口腔ケアがこれだけ頻回に出てくるのは非常に具合いが悪い話にはなるのでしょうが、法律的な話もあるのでしょうから、事務局と少し対応を考えていただいて、適当な言葉に置き換えるのかですね。もとの話がちょっとおかしいような気がしますが、現実的にそうならしようがない話ですね。三上委員、何かありますでしょうか。
○三上委員 いまの件でなくてよろしいですか。基本的な考え方で2頁の上から4つ目の○です。ここには、チーム医療を展開する中で医師・歯科医師の具体的指示のみならず、従事者の能力を勘案して、包括的指示を積極的かつ柔軟に活用する。指示の要件を定型化しすぎると混乱をするのだということが書かれているのですが、一昨日開かれましたもう1つのワーキング、チーム医療推進のための看護業務検討ワーキングですが、この中で特定看護師(仮称)のところで、厚生労働大臣の評価で認証をするのだということと、それを医師の関与の程度などで特定看護師(仮称)を現場で弾力的に差をつける。なおかつ保助看法で規定を設けて、業務について言えば能力の差に応じて包括的指示などで差を設けると書いてあるのです。
 これについては業務独占のことはどうなのでしょうか。業務独占に対する懸念があるということで言われていたのですが、この書き方で、あまり定型化しすぎるということは、業務独占にならないよう、皆ができるようにしようということで書かれているのだと思うのですが、看護業務検討ワーキングの中では、特定看護師(仮称)をつくり保助看法の中で書き込むのだと、差をつけるのだと言っているのです。この辺のところの考え方はどうなっているのかということと、もし、できたらそのときの資料をこの会にでも出していただいて、このワーキングにも検討させていただきたいと思います。
○山口座長 それは何ですか。もう1つの委員会でやっている内容。
○三上委員 この委員会で出している包括的指示について、指示を定型化しないと言っているのですが、もう1つのほうのワーキングの中では定型化するような。保助看法の中で書いて、できる処置の範囲を拡大するということですから、その部分は一般の看護師と違うことができるという、業務独占に当たるのではないかと思うのです。それは定型化ということにはならないのかということで、そこはどうなのかということです。
○村田医事課長 また、具体的な議論はまさに看護ワーキングでご議論いただいたところですので、もう一度この場でご議論ということではあれだと思います。話としては、1つは特定看護師(仮称)のご議論をいただく中で、確かにご議論として業務独占という形になってしまうと、そういう特定看護師(仮称)に該当しない方ができなくなってしまうのではないかというご議論があって、それではないようなやり方がないかというお話があったということ。もう1つはその議論の中で、これは昨年のチーム医療のこの会の前進であるチーム医療の検討会の中で、包括的指示の活用ということ自体は、そもそもこの前進である会議のご提言の中にも出てきたことですので、その解決策の1つとして、看護業務ワーキングのご議論の中で、そうした包括的指示のあり方ということを活用すれば、少しそういう業務独占ではない形で構想ができるのではないかというお話があった。そこで、昨日、先生がご指摘いただいたような方向が1つの案として考えられるのではないかということが議論されたということです。
 今回の事例集の中での「あまり定型化しすぎると」という部分については、包括的指示というのはありますが、具体的にそれぞれ個々の現場の状況によって違うわけですので、あまりに定型化すると逆に現場の自由度が狭まれるのではないかということなので、看護ワーキングでのご議論とは少し違う話かと思っています。
○三上委員 よくわかるのですが、基本的には現場で能力を勘案するというのは、以前に川越委員が言われたように、現場で看護師なりスタッフの能力を勘案して、包括的指示の範囲も個人個人に応じてするのだと言っているのですが、今回の話は法律で作るという話なので、できる範囲が変わるということも書かれているのです。これを村田課長自身がお答えになっているので、厚労省としてそういうお考えなのかどうかをここで聞いておきたいと思っただけなのです。
○村田医事課長 法律でどうするかは、これからさらに看護業務ワーキングでご議論するところですので、昨日のご議論はいままでのご議論を踏まえて、仮に法的なということであるとすればどういう枠組みが考えられるのかというご質問があったので、そのようにお答えしたということです。
 また、仮にいまお話があったように、法律でそういう規定を設けたにしても、具体的にどういう場合が包括的指示かというのは、最終的には現場の中での個別の問題ですので、そこはこの問題と矛盾しているのではないかと。あまりに定型化しすぎるということは、現実には難しいだろうと思います。
○山口座長 肝心なところは、もう1つの委員会でご議論いただくということで、この文書としてそのままスムーズに読めば、そんなに大きな違和感はなかろうかと思いますので、この報告書としては大きな問題はないかと思います。ほかに何かご発言はありませんか。資料をご提出いただいた委員の方々から、何かご発言はございますか。
○近森委員 先ほどの特定看護師のことにも関係するかもしれませんので、私どものハートセンターが発表した資料についてご説明します。参考資料4をご覧ください。心臓血管外科の周術期の管理について、エキスパートナースを中心にした周術期管理ということでやっております。
 3頁の右上のスライドをご覧ください。心臓血管外科のエキスパート看護師は、こういう到達目標や行動目標をクリアして任命されるのですが、かなりベテランの方がエキスパートナースになっております。
 4頁です。手術後の術後管理を、医師の包括指示の下でエキスパートナースがやっているというところです。院内認定ですが、こういう自由な発想で対応すればかなり医師の負担も減らせますし、手術成績もよくなるということで、そういう結果が出ております。
 最後の頁ですが、例えばCABGの待機手術で、手術室抜管、歩行率、食事率などは、手術の翌日から立ったり歩いたり食事ができたりということで、非常に早期に立位や歩行ができておりますので、医師中心の術後管理でなくても、エキスパートナースで心臓手術みたいな大きな手術でも周術期管理ができるということです。
 私は看護師やコメディカル中心の、もっと主体性を持たせてやるチーム医療のほうがもっと医療の質も上げられるし、効率化も図れるのではないかと思いますので、このような事例を挙げさせていただきました。
○?本委員 心臓外科は、いろいろなプロシージャー(procedure)というか、術後管理に非常に手間がかかるものですから、もっとも医師だけではできないわけです。ナースの力が非常に大きいので、特にこういうことに習熟した人たちが必要だと思います。これはそれなりに、相当勉強しなければいけないと思いますが、そういう人をどんどんつくるべきだし、特定看護師もそういうことでできるのだと思います。2人や3人で手術をやって、しかも結構たくさんやっておられるのですが、それだけ能率が良くて成績が良いというのは、ナースの力によって得られたのだろうと思います。
○三上委員 エキスパートナースというのは、いま近森先生がおっしゃったのは専門看護師と非常に近いイメージで、特殊な分野のいわゆる専門的な知識と技術を持っている方と考えられます。?本先生がおっしゃった特定看護師(仮称)のほうは、広い分野において医師に近いレベルまである程度の知識を持った、あるいは技術を持った人という形で、国家認定をするという話で、国家資格になりますから全く違うと思います。近森先生がおっしゃるように、現場で心臓血管外科の専門の看護師を養成していくと。ある一定の技術が達成された場合には、その方にお任せすると。包括的指示の中でやっていただくことは非常に良いと思いますが、特定看護師(仮称)の場合は少し違うのではないかと思うので、その辺りの言葉の使い方というか、混乱しないようにお願いしたいと思います。
○?本委員 特定看護師も、一般的な勉強をするだろうと思います。医師だって、卒業したばかりのときは専門がないわけですから、それと同じです。それなりに医師もトレーニングを受けて専門家となるわけですから、特定看護師もいろいろな領域で特定看護師ができると思うのです。慢性期の糖尿のケアとか、心臓外科の術後管理とか、それをすべてやるわけではなくて、ある特定の領域に入ってやるのだろうと思います。ですから、別にどの特定看護師が何でもできるからと言って。
○三上委員 全然違います。医師免許を取れば、医療のすべてのことについて違法性は阻却されているわけですが、専門診療科を持つ場合は、当然専門医というものもありますが、それは業務独占にかかりません。特別にそれをやっておられるだけの話で、ほかの方でもできるわけです。当然しませんが、専門でない者はなかなか手を出さないわけですが、特定看護師(仮称)と看護師の間に業務独占があるかないかを問題にしているだけで、当然、専門看護師と看護師の免許は同じ形だという話をしているのです。
○山口座長 近森先生がおっしゃるエキスパートというのは、実務の面でエキスパートだということですね。特定看護師は、何を特定看護師というかという議論になるのでしょうけれど、少なくとも近森先生の所でされているエキスパートナースがこのようにして貢献されていることが、特別な資格がなければいけないということではないということではいいわけですね。
○村田医事課長 その辺りは、まさにいまご議論いただいているところですが、基本的には三上委員からお話があったような業務独占でないやり方がないかということが、看護業務ワーキングでご議論いただいているところです。
 もう1つは、いまお話があったように、いろいろな形でトレーニングがなされていると。さらに、そういったものを一定の要件で、一定の水準が確保されている方を法的に認証するような仕組みがあれば、より幅が広がるのではないかというのがいまの看護ワーキングのご議論です。
○近森委員 私がいちばん心配するのは、特定看護師という制度ができて、例えばうちでやっているようなエキスパートナースが、現実的に……ドレーンを抜いたり心嚢ドレーンを抜いたりしているわけです。かなりコメディカルと協働しながら周術期の管理をしているわけです。そういうことが、特定看護師の制度ができると、法的にあなたはこれをしたら駄目ですよということになってしまうと、日本のチーム医療がかなり制限されてくるということで、その辺りを考えていただきたいと思います。
○村田医事課長 まさにそこが看護業務ワーキングでもご指摘いただいていることで、実際にいま近森先生からお話があったように、現場でそういう取組の中で安全に、しかも効果的に行われている取組を阻害することがあってはいけないと。そういう取組をきちんと受け止めた上で、さらに工夫がないかというのが大前提ですので、そこは当然含みながらご議論いただいている状況です。
○山口座長 少なくとも、近森委員からご説明いただいた成果は、現状でも可能なチーム医療の成果と考えていいということですね。
○徳田委員 一言追加させていただきます。いまの議論のレベルの高い看護師をつくることについては、私どもは全く賛成であるというのは最初の会でも申し上げましたが、冒頭に底上げの話をしました。私がこういう会に出てずっと思っているのは、議論がほとんど都市型医療についての話なのです。要するに、頑張って人員を集めようとすれば、お金の問題は置いておいて、人がいるのです。でも、地域格差は厚労省も認められたように、医師も看護師も、そのほかのいくつかの重要な医療従事者についても非常に地域格差があって、それは大変だと、直さなければいけないと言っているわけです。そうすると、郡部の集めようとしてもいない所の医療をどうするのかという議論をしなければいけないわけで、まさしくそこでもチーム医療が行われるわけです。そこをどうするのだという話が全く欠落しているように思うわけです。
 それをもう少し具体的に、こういう議論になったのであえて言いますが、まとめの最後の辺りに、人員についての地域格差があるということをきっちり書き、これについても是正を国としても努力をするのだぐらいのことを書いていただかないと、憲法で保証される基本的な人権、社会保障、その中の医療というキーワードに合わない話になってしまうのです。そこは非常に危惧されるのです。
 いちばん最初のときに、私は北海道の実情をお話しました。努力しないわけではなくて、努力しようとしても人員を集められないという現状をどう考えるのかということも、皆様方にわかっていただかないとならないと思うのです。特殊な疾患のためには優秀な看護師がいなければいけないというのは、当然のことなのです。それを否定することは全くないのですが、そうではない所でも医療は行われていて、そこも非常に大事なのだと、そこにも医療を受ける人はいるのだと、こういうことを頭に置いて進めていただきたいということです。
○村田医事課長 ありがとうございます。看護業務ワーキングでも、必ずしも大病院の医療だけではなくて、地域で医療を担っていらっしゃる委員の先生方もいらっしゃるので、その先生方から、いま徳田先生からお話があったのと全く同じようなご指摘をいただいています。議論としては、いわゆる特定看護師か、どういう名称かはわかりませんが、当然そういうレベルアップがある。一方で、それ以外の一般看護師という言い方をしていいのかどうかわかりませんが、一般の看護師のレベルをどうやって上げていくのか、あるいは地域の中でどうやって研修をしてレベルアップしていくのか、そこの観点も大事であるというのは看護業務ワーキングの中でもご指摘をいただいておりますので、そこは忘れずに議論をお願いしていきたいと思っております。
○山口座長 確かに、この「終わりに」のところに、経営的なことに対しては診療報酬について述べられていますが、いま徳田委員からあった人的な要因についても、一言ぐらい、1つの明らかな阻害要因であることは間違いないでしょうから、加えていただくのもよろしいかと思います。
○森田委員 私も資料を提出しましたので、少し説明させていただきます。前回の議論で、院内研修についても触れるべきではないかということで、当院で取り組んでいる院内研修システムについて報告をさせていただきました。
 「教育研修局の設置」のところをご覧ください。当法人は、2つの回復期リハビリテーション病院と2つの在宅ケアセンターから成っているのですが、Dr、Ns、CW、PT、OT、ST、SW、CNが教育研修局のチーフという立場で、要するに生産性に携わらない、臨床に携わらなくて教育研修だけを担当するスタッフとして、いまはドクター兼務になってしまっていますが、それ以外は教育研修の専属のスタッフを置いているような体制をとっております。これは経営的には厳しいことで、経営者の強い意思の下で、いま医療の経営は大変厳しいわけですが、一方、経験の浅い専門職が非常に多い中で効率よく教育するためには、そうした体制をとる必要があるだろうということで、そうした体制をとっております。
 教育目標ですが、そこに掲げたような社会人、専門職、連携という3つの教育目標を掲げて、7枚目のスライドにありますように、共通でのチームアプローチを目的とした共通研修と各専門職の部門研修との二本立てでの研修システムを取り行っており、それぞれ共通の部分と部門の部分について、自分たちで行う自己評価と上司が行う上司評価とで教育システムを作っている形です。共通研修については、「目的」に書きましたように、障害だけではなく、生活、地域、家族まで見られるような専門職の育成を目指すことを目的に研修しております。
 9枚目の「共通研修の成り立ち」というスライドですが、実際には何をやっているかというと、部門研修以外には入職時の新採用者研修。ここでチームアプローチを徹底的に、マインドを理解してもらうことを7日間にわたり行うということと、2年次、3年次にそれぞれ生活を理解する、専門性を理解するといった目的で研修を行うことと、リーダーができるプリセプター研修やリーダー研修を行うことと、年に4回研究発表会を行う研究発表大会等を行うといった形で取り組んでおります。
 最後に「課題と展望」ですが、当法人は新人スタッフの数が大変多く、今年も何十名という新人スタッフを迎えて、この人たちを効率的に教育していくためには、どうしても工夫が必要ということです。教育研修局を置くということは、経営的には大変デメリットがあって、事務サイドとは非常に厳しい関係にあって、これがなくなったほうが経営的にはメリットがあるという中で、どう効率よく存続するかを考えながら動いています。いま、現場は超過勤務が大変多いので、この改善に繋がるような研修が必要だということ、専門職の年齢構成から考えて必須かなということと、効率的に成果の上がる研修システムの構築を、日々取り組んで考えているということです。
 今日のお話にもありましたが、人的な問題や人を集めてもなかなか来ないような病院も多い中で、私たちの病院の役割としては、効率のいい研修を考え、世に発表できるぐらいのものを作って、院内研修をこのようにやっていくといいですよと言えるようになりたいと思ってやっております。どこの病院でもできることではないと思っていますが、こうした取組をしているということについてご報告させていただきました。
○山口座長 ありがとうございました。小沼委員からも資料をいただいておりますので、ご説明をお願いします。
○小沼委員 私は、まさに今日、これから先に討議されると思われるチーム医療の評価方法については、前回いただいた資料の中に私どもが出した事例を流し込んだだけですので、参考までに見ていただければ幸いです。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、ご発言をお願いします。
○柏木委員 精神科領域で、せっかく地域移行のことを書いていただいていて、精神科領域にとってはいちばん重要な課題なのですが、事例集の中で抜けているのは、お考えがあって外されたのかよくわからないのですが、是非、事例集の中に入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○山口座長 一通り入っていませんか。
○柏木委員 11頁の「精神科領域における課題である長期入院患者の地域移行、地域定着の促進を」と書いてある所なのですが、例示が認知症と自殺未遂者ケアしかないので、地域移行についてを。お出しした記憶はあるのですが。
○石井補佐 もしかしたら入れ違っているかもしれませんので、改めて確認して、相談をさせていただきます。
○柏木委員 よろしくお願いします。
○堀内委員 同じように、私も周産期に関連したところで、チーム医療の実践例として9頁にあります「性殖補助医療支援チーム」ということで、不妊治療に関連した職種のチーム医療で医師や助産師、看護師、あるいは臨床心理士、胚培養士、遺伝カウンセラー等のチーム医療の事例をお出ししましたので、これを是非、周産期医療の近くか特定の診療科チームの医療の事例集の中に含めていただけるとありがたいと思っております。
 もう1点、私は10頁の「暴力被害者支援チーム」も提案しているのですが、これは事例集の10頁に加えていただいております。この暴力被害者支援チームは、特定の診療科というより、むしろ跨っていろいろな所で見つかることが特徴かなと思っております。もちろん、婦人科や産科、ER、整形、内科、小児科など、いろいろな所でこれらの対象者がかかってくるので、そこで見つけた方がチームを編成して支援していくという点で特殊かなと思っております。これも「特定の診療科におけるチーム医療」の中ではあるのですが、特定のある所というよりは、いろいろな所にそういう対象者が現れるという理解があるので、一言そのことを付け加えていただけるとありがたいと思います。
○土屋委員 参考資料1の6頁ですが、2回前のところで、いまの情報システムがチーム医療で実際こういうことをやっていこうとすると、現実としてはなかなかうまく動かないというお話をしました。そういったところで、私がこれを出すのがいいのかどうかということはあるのですが、話をした関係で、医療情報技師という資格を一方でそれぞれの専門職種が自分で持ちながら、ベンダーと相対して、自分たちが思うような情報共有ができるシステムを作っていくという事例を出しました。この辺りは、むしろこの報告書の1頁の最後、あるいは2頁の頭で、情報を共有化するための具体的な仕組みのところでこれを取り上げていただけばいいのかなということで、これを実践例として入れていただくことは、今後情報システムのあり方論がこのことを実践しようとしたときに必ず阻害要素になりかねないので、そういったことを入れていただければと思います。
○山口座長 医療情報技師というのは、これも国家資格ですか。
○土屋委員 ではないです。
○中村委員 事務局にお伺いしたいのですが、義肢装具士というのが徳田先生の資料の中に入っているのですが、この事例集の中には全然入っていないのです。そういう事例もあったほうがいいなと思って見てきたのですが、いまからでも、資料を提出したら取り入れていただけると思っていいのですか。装具などは、社会復帰を推進するためにできるだけ早期に作って。
○山口座長 それは医療職ですか。
○中村委員 医療職です。国家資格です。私もこれをざっと見て、そういえば義肢装具士が全然入っていないなと思って、これはいけないと思っていたのです。徳田先生の事例の中で、後ろのほうに装具チームというのが入っていましたし、もしよかったら、事例という形で出したらいいということです。
○山口委員 よくわからないのですが、他チームとの連合があるのですか。
○中村委員 それは当然です。
○山口座長 どういう状況なのですか。
○徳田委員 私の出した資料の5-4をご覧ください。「装具診察チーム」、我々が取ったアンケートの中にはこういう言い方で出ているのですが、ドクター、リハビリのスタッフ、装具士、看護師ないしは患者・家族の方々が適当な装具を、お家に帰ってからのいろいろな生活の状況がありますので、そういうことも踏まえてチームで十分話合いをして、良いものを作るという格好で動いているという事例です。
○中村委員 リハビリテーションの中では普通にやられているブレースクリニックとか、そういう形でチームでやっている現状があります。
○山口座長 事例を出していただけますか。
○石井補佐 事務局としては特にかまいませんが、いますでに1つ削れというお話がありましたが、2つ加えるというご希望があって、さらに1つということで、当然それに伴って厚くなってきますので、読みやすさの観点からどうかという点も含めて、今日ご意見をいただければと思います。
○栗原委員 怒られてしまうかもしれませんが、そういう意味では、回復リハビリテーションで対策・対応というのは要らないのではないかという気がするのです。回復期ではチーム全体でいろいろな課題をやっていますので、それを取り上げていくと摂食・嚥下チームなどが回復期に出てきますので、それは本質ではないだろうと思っているのですが、どうでしょうか。場合によっては、回復期を紹介するところに、こういう課題として対応しているということで、1行で済むような気もします。
○中村委員 どちらでもいいと思いますが。
○森田委員 いま栗原先生がおっしゃったのは、私の書いたところのものなので、基本的には同意します。
○山口座長 それでは、そこを少しまとめて、事例を出していただきたいと思います。
○中村委員 わかりました。
○?本委員 いま、これを少し見せていただきましたが、例えば救急お断り軽減チームとか、こういうものはチームとしてやるのがいいのでしょうか。私はシステムとして病院は断るなと。院長命令です。そのための対策を立てるというだけの話で、これをチームとしてやらなくてはならない理由はどこにもないし、先ほども言いましたとおり、もともと医療はチームでできているわけです。だけど、本当はチームが必要だけど、それが弱い所をここでエンドースしようということですから、「暴力被害者支援チーム」も、ひどければ警察を呼ぶという話になりますし、ここをチーム医療として載せるというのも、病院自身の方針ということで。
○山口座長 院内の暴力対応マニュアルみたいなものが整備されればという話で、チームを作って、そのチームが出てきてという対応がいいというのであればそうなのでしょうけれど、どうでしょうか。
○近森委員 この事例集を見ても、結局、多職種が集まってやる仕事を全部出しているのです。自分たちのやっていることや好きなことを出しているわけです。もう少し、医師だけではなしに、看護師とかコメディカルが主体的に仕事をしている、自主的にやっているというような、それによって医療の質も上がるし、効率性も向上すると思うのです。そういうチームをやって、いままで以上に質が上がるとか効率性がよくなるとか、そういう事例を優先的に入れるべきであって、やってみました、やっておりますという、先生のおっしゃった「なんちゃってチーム医療」というか、そういうものは控えたらどうかなという感じがしたのです。
○山口座長 基本的なチーム医療のメリットは、1+1が2ではなくて、2以上になるところにメリットがあって、当然1+1+1は3というのは、それはそれで集まったほうがいいけれど、それが3.5になり、3.6にならないと、チーム医療とわざわざ言うことはないというご趣旨だろうと思うのです。そういう見方で見たときに、これは省いていいというものがあれば、省けばいいのかなという感じがします。
○市川委員 先ほどの院内研修システム構築の取組というのは、それぞれの規模の病院の中でいろいろな人材育成をしていると思いますので、救急お断りもそうですが、病院としての業務改善や構築ですので、こういうものは載せなくてもいいのかなと思います。ただ、院内研修は非常に重要なので、「終わりに」のところで、さまざまな職種の教育に関しては施設で努力をすることと、規模によっては制約もありますので、研修体制等はこれからなるべく公開制にして、病院間のネットワーク等の課題みたいなところも出していただくといいのかなと思います。
○山口座長 ただ、研修というのは、何もチーム医療に限ったことではないですね。
○取出委員 先ほど発言した森田と同じ所で働いているのですが、ただの研修とか育成ではなくて、チームアプローチの研修をしているというところのプレゼンが弱かったかなと思うのです。卒前教育で多職種協働の教育が有効であるということを、随分ここで議論されていましたが、それは病院に勤めてから私たちが努力できることではなくて、病院に勤めてからの職員をチームアプローチの教育をしている所がすごく少ないのではないかと思います。各職種ごとに、私どもが部門研修と呼んでいるものをやっていらっしゃる所がほとんどで、当院ではチームアプローチの研修をすることに取り組んでいるので、卒前をそこまで強調するのであれば、卒後の就職してからの教育研修体制ということで、是非注目していただきたいと思います。
 ついでに、これは事務局にお伝えすればいいだけのことなのですが、ご迷惑がかかると申し訳ないので、資料の訂正だけお願いしたいと思います。7頁の例6に狭山クリニックの例が書いてあるのですが、これは狭山クリニックの例ではなく、49頁に書いてあるのは在宅総合ケアセンター元浅草等なので、資料の狭山クリニックを消していただいて、狭山クリニックにご迷惑がかからないようにお願いします。
○山口座長 49頁と一致させるということですね。いま出ましたが、チーム医療とわざわざ言わなくてもというような事例を、いくつかは省略するという話でもよろしいかと思うのですが、それについてはどれがどうだというのはこの場では難しいので、事務局でご判断いただいて決めるしかしょうがないと思います。ただ、皆さん集まったほうがいいということは、もちろんすべての職種にあるのだろうと思いますが、集まったことによってプラスアルファ効果が出てくる領域をできるだけピックアップして広めていきたいというのが、おそらくチーム医療の推進に繋がっているのだろうと思います。その辺りは事務局で、私も参加しますが、そういう形で2、3整理させていただくということでよろしいでしょうか。
○鈴木委員 これに載せろとか、そういう考え方ではなくて、せっかく森田委員のご発言だったので、こういう教育研修などに力を入れることが、先ほど徳田委員のお話にもあったように、人を集める根本的な解決の1つの方策になると思うのです。森田委員のお話の中で、まだ今の医療機関は事務との軋轢があるというお話がありました。ここに「経営的デメリット」と書いてしまう、森田委員がということではなくて、風土というか、我々の医療機関経営の発想が貧困なのだなと、改めて今日自覚をしました。
 私がいま非常に心配しているのは、事例集の「はじめに」にある、こういう取りまとめを行ったので、医療関係者はチーム医療を推進していく上で参考とすることを期待したいという我々のメッセージを、頑迷な事務がこんなことをやると経営的にリスクになるということと、先ほど徳田委員がおっしゃったように、人がいないではないかと。せっかくこれだけのアイディアがあるのだけれど、それを実践するためのスキルが我々に備わっていないのかなと。それはきちんと向き合っていかなければいけない。
 これは事務局にお願いなのですが、これから実証されたとき、チーム医療をやることは、各医療機関のロケーションや、それぞれのいろいろなスタイルがあるのですが、経営的にも絶対報われるという確信があるのです。ただ、経営的な成功に結びつけるスキルの開発が遅れているということがあるので、実証事例の中でただ質が上がるだけではなくて、それが人的な充実や経営的な成果に結びつく道筋を、是非見せていただければと思います。地方では、特に雇用を創出する力が医療機関は圧倒的に多いのです。ですから、多くの町で基幹産業的な役割を果たしている部分もあるのです。ただ、人をたくさん雇いたいのだけれど、いまの経済的な評価では原資が確保できないという悪いスパイラルになっているところもあるので、これを良いほうに回すと、いろいろな意味で雇用の創出と質の高い医療が経営的に報われるという実証になるのかなと。これはお願い的なことですが、是非そういったことも取り上げていただければと思いました。
○森田委員 ありがとうございます。私のプレゼンが下手だったのだなということがよくわかりました。上手に補っていただいたのですが、チームアプローチは、教えないと自然発生的にということは期待しにくい状況がある中で教えていくということと、生産性に全く携わらない職員を20人も置いている医療法人は見たことがなくて、就職したときびっくりしたのですが、事務サイドは少しでも減らしたいということもあるけれど、最低限この質を保つためにやらなくてはいけないのはどこまでなのかというせめぎ合いなので、私たちも平然と教育していられるわけではなくて、最大の効率を考えて、経営にマイナスでなく、でも効率よくチームアプローチを教えることを自分たちの仕事と思っていると。そのメッセージとして、ここについては是非残していただきたい。先ほど栗原先生にご指摘いただいた部分は、確かに回復期の中に取り込んでいただいて結構だと思いますが、残していただければとお願いしたいと思います。
○山口座長 何を残すのですか。
○森田委員 事例として残していただきたいと思っています。
○山口座長 教育をですか。
○森田委員 もう削る話で進んでいるのですか。
○山口座長 事例集は様式が決まっているので。
○森田委員 いま20頁に取り込んでいただいて。
○栗原委員 本文の中に、すでに縦と横の、要するに技術教育とチームのあり様の教育が大事であると書いてあるのです。だから、あとはそれぞれの病院の立場で工夫しましょうということさえ置いておけばいいのではないかと。この事例集は、ニュアンスが少し違うような気がするのです。ここで出していただいているチーム医療の教育というのは教育であって、事例集というのは、求められているのはチーム医療のやり方の事例集ではないのですか。
○森田委員 あとはそれぞれの病院の工夫となったら、本当に少なくなるような気がするのですが。
○山口座長 というのは、教育というのは基本的な命題なのです。ただ、いままでは技術教育ということをずっと言われてきた中で、初めて本文の中にチームでアプローチすることの教育が必要であるということが取り上げられたのですが、おそらくいろいろな病院が形としては試行していると思うのです。だから、あえてそういう部分が要るでしょうか。基本は、事例というよりは考え方の話のように思いますが。
 特に卒前の教育としてやられている昭和大学が強調されて出されていますから、ただそれだけにとどまらず、就職後の院内における教育の取組も重要だというところを本文中に追加するという話はあるかと思います。ただ事例としてそういうスタッフを20人抱えて何とかというのを出して、それを実際にやって効果と成果を評価できますかというと、それは病院に応じた話なので難しいのかなと思うのです。基本的にそういう教育が必要だということと、事例としてそれに専属スタッフを置くということは、事例としてわざわざ挙げる話になりますかね。その病院の事情によるのかなという感じがしますが。
○取出委員 私も、20人の専属スタッフを置くというところを事例として載せる必要はないと思うのですが、例えばどういう教育をすればチームアプローチの教育になるのかといったところの例は、非常にほかの病院の参考になるのではないかと思います。ここでは、新採用研修で何をもってチームアプローチが養われているかが見えづらかったかもしれませんが、こういう研修のこういう部分がチームアプローチの育成に繋がる、こういうやり方が非常に効果的であるという例は、卒前研修の昭和大学の低学年から連携型で行うのが非常にいいのだというのと同じように、卒業して就職してからも、多職種を超えてこういうプログラムを行うと、医者とケアワーカーが研修のあと一緒に飲みに行くような職場が生まれるというようなことが伝えられたらいいかなと、卒前教育のディスカッションを聞いていたときには思っていたのですが、皆さんはそのようには思われないでしょうか。
○栗原委員 事例集の中に出すと、うちはこんな教育研修をやっていますというのが応募で出てくるということです。
○取出委員 でも、それを言ったらほかの事例集もすべて一例なわけで、ほかの病院でもいろいろな。
○栗原委員 範疇の中に教育まで含めて、教育研修までという視野ではないと思うのです。言いたいことはわかるのですが、本文の中の話で、事例集に持ってくると違うようになってしまうと言っているのです。
○取出委員 でも、事例集で見て具体的なものを見ないと、それを取り入れて、うちはチーム医療の教育をしたいからこれを取り入れてみたいと思ったときには、本文にしか入っていないと取り入れにくいのではないでしょうか。実証事業の話ですが。
○栗原委員 何か違うような気がしますね。
○市川委員 たぶん、院内研修のこのようなやり方は、その組織の1つの人材育成の方法ですが、ここでしていくのは、具体的な実践を通してもチームアプローチのいろいろな取組をしたり、たぶんそれぞれの、例えば栄養サポートチームでもかまいませんが、多職種でワークショップをしたり、いろいろな取組がされていると思います。その辺りとも全く違うと思いますから、この事例集とは全く性質が違うと考えてよろしいのではないでしょうか。
○森田委員 わかりました。前回までの議論の中で、実践していくことの大事さとともに、教育の重要性ということが議論になったので、新人がとても多い職場では研修システムとしてこういう例があるということで紹介したいということで、このことの意味は全然薄らぐと思っていないのですが、いまの議論の中でそれぞれ事例の1つにすぎないという評価であれば、削除していただきたいと思います。
○栗原委員 逆です。事例の1つにしてしまうのではない次元ではないかと言っているのです。
○山口座長 総論に、卒前だけではなくて、もう少し卒後教育の重要性を強調して書き込むということで、入れてはどうかということだと思いますが。
○森田委員 いま書かれている以上に。
○栗原委員 以上にです。本文の話です。
○徳田委員 事務局に伺いたいのですが、今後、このワーキンググループはどのように進行させようとしているかということです。教育のお話は、先ほど触れようかと思っていたところなのです。今後、もっと実践的にというか、これは実践集ではあるのですが、もう少しベーシックな、いま言った総論的なところの問題も取り上げていくのであれば、教育はものすごく大事なわけです。いま、たまたま昭和大学の話しか出ていませんが、札幌医大でも地域医療のためのアプローチの仕組みはありますから、医育大学側でもいろいろな取組があると思うのです。そうであるとすれば、そういうことをきちんと書くことによって、まだ実践されていない医育大学へ啓発するというか、そういう意味もあるように思いますし、いま1つ例が挙げられましたが、教育のやり方を議論する場があるのであれば、それはそれとして意味があるのかなと思っていたのですが、いかがでしょうか。
○村田医事課長 事務局でお願いしている立場としては、これだけの先生方にお集まりいただくことですので、もちろん教育研修の重要性というのはご指摘いただいたとおりですが、そこを具体的にどう展開するかは、それぞれの医療機関や施設の事情に応じて展開していただくということですので、そこまでのご議論をここで引き続きお願いすることは、事務局としては考えておりません。
○山口座長 広がろうと思えばいくらでも広がる余地があるテーマなので、なかなか難しいところかとは思います。
○遠藤委員 教育と研修に関することなのですが、先ほど近森先生のエキスパートナースの取組のお話で、すごいことをやっているのだなと、実際こういう場でかなり突っ込んだところをやっているということを紹介していただきましたが、大事なのは、認定制度とか院内認定とか、ちゃんとやっているわけです。そういうことが大事であって、こういうことを持ち出すと特定看護師が必要だとか、個人の認定になってしまうのですが、その人が認定をもらっても、ほかの病院でやったら同じことはやれないと思うのです。そういう土壌があるから、チームとしてのチーム力があるから、エキスパートナースでもやれると。だから、こういう話が出ると個人の認定に持っていってしまうのですが、ちゃんとそういう施設に卒後の研修、あるいは院内認定システムがあれば、そこの病院でやっていることだったら、このぐらい入り込んだ灰色の部分は認めるとか、何か申請すれば認められるような。
 個人のものばかりで、特定看護師とかそういうものを認めればできるという話に持っていくよりは、地域性やいろいろなことを考えて、施設でできるような。そこには教育とそういうシステムがあるということが大前提だと思うので、事例ということではなくて、そういうことがチーム医療を形成するためには大切なのだということを強調したほうがいいのではないかと感じました。
○山口座長 その辺りは川越委員のところでも同じようなことを示されていましたので、むしろ総論でもう少し強調してもいいような部分かなと思います。よろしいでしょうか。
 いろいろご議論いただきましてありがとうございました。これだけのものを、事務局でこういう格好でまとめていただいたわけですが、大きな作業だっただろうと思います。本日いただいたご議論も踏まえて、もう少し見直すところを見直して、最終案を取りまとめたいと思います。日時が迫っていることもありますので、できればあとの作業を座長と事務局でさらに詰めて、今日のご議論を活かすような形にしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○山口座長 それでは、そのようにさせていただきます。
 続いて、先ほど資料2で示されたチーム医療の実証事業について、一応の素案がここに示されておりますし、本来ならば4月1日からこういう取組をすべきだったところが、諸般の事情で遅れておりますので、ここにありますように6月1日から受付をして、6月中に受け付けてスタートしても、実際に実証にかかれる期間はかなり限られたものになることはやむを得ないかと思います。実証事業の内容、方法等について資料2に示されておりますが、これについて何かご意見はございますか。これだけたくさん事例をいただいて、40ないし50の実証事業をお願いしようと思っておりますが、是非、各委員の先生方にも、それぞれ関連の領域でしかるべき病院をご推薦いただいて、これをやってみてはどうかということで、この実証事業に参加していただく施設をご紹介いただきたいと思います。
○川島委員 1つ質問したいのですが、裏の頁に施設の規模があります。そこでは各病床数に対して10施設程度と書かれています。400床以上で急性期の病院のどのように考えたらいいですか。
○石井補佐 おおよその目安ということで、厳密な基準ではありませんので、大体こういう目安ということと、足し算をすると40と45で違うではないかというのは、2つの取組を1つの施設でやってもらう場合もあるので、おおむねこれぐらいの事例が収集できればいいのではないかということで、必ずしもこの数にきっちり合わせたいということではありませんが、おおよその目安として満遍なくやってはどうかということで書いております。
○川島委員 施設の規模や病床数がこの範囲だったらいいということでよろしいですか。○石井補佐 趣旨がうまく汲み取れているかどうかわかりませんが、書いている順番に、400床以上だったら急性期でなければいけないというものでもありませんし、大体どの病床数がどこということでもないので、別に組合せというつもりではありません。
○山口座長 大まかな目安として、急性期というフェーズでそれなりに分かれていて、病院の規模でも分かれているという話で、最終的にこの中の急性期だけドッと集まってもいけないという趣旨で、15という数字が出ているのだと思います。
○小川委員 もう1点、いまの話に絡むかもしれませんが、施設の規模で400以上から、いちばん小さい所で診療所というのがあります。また、場面の中に「在宅医療の場面において」というのがありますが、例えば訪問看護ステーションとか、そういった生活維持を目的とするような領域も、この中に含むと考えていいのですか。それとも、あくまでも医療機関という枠の中でやるのでしょうか。
○石井補佐 もちろん、そういったものも含めてと考えております。
○松阪委員 実施期間ですが、年度の予算組みということで、来年3月31日までと認識するのですが、平成24年度もこういう検証事業をやる計画はあるのでしょうか。
○村田医事課長 なかなか申し上げにくい部分で、基本的に予算は単年度ですので、平成24年度予算をどうするかは、いま検討しているところです。一方で、ご案内のとおり、予算の状況は厳しくなりそうな感じがありますので、今年度の状況を見ながら、予算の時期までに検討したいと思っております。
○松阪委員 年度ですと12カ月という検証期間があると思うのですが、今回、早くても6月末から始まるとすると9カ月ぐらいまでしかない中で、どれだけの評価が適切にできるかというところの正確性を疑うのですが、いかがでしょうか。
○村田医事課長 確かにおっしゃるとおりで、本来であれば年度当初からしたかったのですが、ご案内のとおり、今年は特別な事情があって当初からお願いできなかったということで、期間がかなり限定されることは事実です。これはしょうがないことですので、何とかこの範囲で、できる限りでお願いしたいと、そこまでしか申し上げられない状況です。
○山口座長 9カ月でどういう評価ができて、どういう成果が出せるかというところで、ピックアップする事例、取り組む課題も決めていただくということになるのではないでしょうか。
○三上委員 予算の件ですが、近森先生の所のようにすでにチーム医療をされている所で、補助金の問題ですが、ここに報償費とか賃金、旅費とかいろいろ書いてありますが、どのような形で、どれぐらいの枠で請求できるのかということ。もう1つは、評価方法を明示すると書いてあるのですが、評価についても資料1の15~16頁に書かれているように、独自の評価方法で、独自の評価でいいのかという、何か評価基準のようなものがあるのでしょうか。
○村田医事課長 予算の目安ですが、これは前回もご指摘があって、基本的にトータルの予算ではなくて、1つの施設当たりこのぐらいになるという目安でお答えします。先ほど申し上げた1つで1つのチーム医療をやる場合と、場合によっては複数ありということで積算すると、1施設1つだけの場合ですと300数10万ぐらい、複数やる場合ですと500万ちょっと欠ける480~490万ぐらいという積算になります。これは、対象事業としては2頁の(4)にありますように、必要な報償費、賃金、旅費、直接的に必要な経費ということで、その範囲で予算が措置されている状況です。
 2番目のお尋ねの評価項目ですが、これもそういう意味ではいろいろなチーム医療の中でそれぞれの評価項目があるので、決め打ちでこちらからお示しするのは難しいということがご議論としてあったかと思います。そうすると、1つの参考として、先ほどの事例集本体の中でも、こんなことが考えられるのではないかということも参考としてお示ししておりますので、そういったことを参考に応募していただくほうで、自分の所はこういう項目で評価したらどうかと思っているということを、申請の段階でお示しいただくということで想定しております。
○三上委員 わかりました。16頁で、従事者の視点のアウトカムで1人当たりの担当患者数があるのですが、労働生産性の向上ということで考えれば、チーム医療でやれば1人当たりたくさん診られると。1人当たりの担当をたくさん診られるのか、あるいは負担軽減ということで、少なくなるということで負担軽減されたほうを評価するのかということも、これを見るとどちらなのかなと、戸惑うのではないかと思うのです。
○村田医事課長 これもそのとおりで、今回お願いするのは、患者にとって質の高い医療を提供するということが一義的なことですが、先ほどもお話がありましたように、一方ではより効率的で効果が上がる医療という観点もありますので、そこはこちらで決め打ちしてどの視点ということは、一義的にはお示しできないので、どのように自分の医療機関では考えるかということをお出しいただくしかないのかなと。
○山口座長 その辺りは、むしろ取り組まれる病院が、うちとしては医療従事者にどういう効果があるかというところで主に取り組みたいというところもおありでしょうから、それはそれでもよしということですね。
○村田医事課長 おっしゃるとおりで、その医療機関でこのチーム医療と、その視点の置き方がそれぞれにあると思いますので、その辺りは医療機関のお考えで出していただければと思います。
○鈴木委員 確認ですが、この実証事業は1医療機関1申請という考え方ですか。具体的に言うと、在宅医療などは、地域医療支援病院と開業医の先生とが1つのコラボになってやることが、ある意味の広義のチーム医療になるというイメージが我々にはあるのですが、そうすると、2つの法人、2つの医療機関が1つの実証事業にエントリー、いわゆるコンソーシアムみたいなものを組んでエントリーをできるのか、医療機関単位で考えなくてはいけないのか、その辺りはいかがでしょうか。
○村田医事課長 そういう複数の協働ということもありではないかと思っております。
○鈴木委員 少しチーム医療の定義を広げすぎてしまうのかなという心配があるのですが。
○村田医事課長 いまのご指摘のところは、そういう意味ではチーム医療の概念の中で考えて、それほど無理はないのではないかと思っております。
○山口座長 それは縦のチームと横のチームと考えれば、縦のチームで、ここでチームを組みましたということでよろしいのではないかと思います。
○近森委員 チーム医療は人がやるものですから、チーム医療をするときはまず人を雇って、教育して、チーム医療を実践して、結果が出るわけです。どういうチーム医療であっても数年を要します。ということで、ある程度施行していたチーム医療について、継続的な施行という意味でもよろしいのでしょうか。
○村田医事課長 これも、たしか前回もご議論があったかと思いますが、ある程度下地ができているところで、さらにこれを機にということも、内容としては当然想定しております。
○山口座長 むしろ、そういう事例も入っていただかないと、とてもアウトカムまで話がいかないと思います。すべての施設にちゃんとしたアウトカムまでという話になると、それはそれで非常に難しいと思いますので、それは全体のバランスの中で、現在行われている所も含めて、今後の試行事業に入っていくという考え方でよろしいでしょうか。
○三上委員 先ほど鈴木委員がおっしゃったチーム医療の件ですが、私はチーム医療は連携ではなくて協働であるという、栗原先生と同じ意見なのです。ですから、連携の場合はそれぞれ独立していて、さまざまな組合せが当然起こるわけですが、チーム医療の場合はチームリーダーがいて、その中でさまざまな職種が協働するということなので、医療機関の連携としてチームのような連携もあると思うのですが、それも基本的には連携ではないと思います。協働なのだという考え方で、一緒に診られている場合もそういう事例に限っていただいたほうがいいかなと思います。そうでないと、いわゆる地域連携パスのような形で、クリニカルパスがかなりありますから、それも全部チーム医療だと言ったら本当に混乱すると思いますので、チームリーダーがいて、協働しているという形をチーム医療と定義していただくほうがわかりやすいと思います。
○村田医事課長 先ほどの私のお答えが不十分だったかもしれませんが、趣旨としてはお話のとおり、あくまで1つのチーム医療に対する実証事業ですので、そこは何でもありということではなくて、あくまで1つのチームとして医療のチームとして機能していると。それが大前提だというのはおっしゃるとおりです。
○鈴木委員 いまのご説明で得心がいきました。イメージしていることがそういうことだというのが具体的に見えたので、ありがとうございます。
○栗原委員 確認ですが、この事例集を出した病院ないしはここにいらっしゃる委員は、基本的に応募された所に対する某かのコメンテーターであるという位置づけですか。募集に関しては、そういうスタンスですね。
○山口座長 基本的にはそうだと思います。
○栗原委員 推薦者という立場ですね。より身近に言えば。
○村田医事課長 これも全く資格がゼロかというと、もともとチーム医療にかなり取り組んでおられる所ですので、手が挙がれば対象として排除するものではないと考えております。そういう意味でも、選び方は最終的には事務局の責任、もちろん関係の先生方にご示唆いただいたり、アドバイスをいただくことはありますが、基本的には事務局の責任で、この委員会でご審査いただくのではなくて、事務局の責任というのはそういう趣旨も含んでおります。
○山口座長 実際に応募いただける施設がどれだけあるかということにもかかっているわけですね。
○村田医事課長 そこは先ほどお話があったように、かなり期間も限定されていますし、いろいろな要件がかかりますし、その割には予算的に限られているということですので、気持ちとしてはとにかく多くの医療機関に応募していただきたいという趣旨です。
○山口座長 ということで、実証事業について資料2で示されましたが、実際のところは応募の資料が出たところで皆さんにいろいろお願いすることがあるかと思いますが、是非よろしくお願いします。
○川越委員 これは、事業名としては「チーム医療実証事業」ということになるのでしょうか。また、これは概要だと思いますが、応募要項みたいなものを近々示されるのでしょうか。
○村田医事課長 事業名は「チーム医療の実証事業」ということでお願いしたいと思っております。また、お話のとおり、これはあくまで概要ですので、具体的に対象となる項目や予算の関係を含めた要項については、いま作業をしておりますので、今日のご指摘も踏まえた上で最終的に早々にお示ししたいと思っております。
○川越委員 要望ですが、チーム医療というのは、ここに集まっている方々はそれぞれの分野で先駆的に取り組んでいるところもあって、医政局でも選ばれたのだと思うのですが、それとてまだ100%力を出すところまで行っておりませんので、むしろ実際やっている所を本当に評価して選考していただきたいというのが希望です。ともすれば、厚労省の研究は、科学技術部会でも問題になることがあるのですが、作文のうまい方が出てしまって、全然やっていない方がアメリカの何かを持ってきてやるということがありますので、そういうことがないようにお願いしたいと思います。
○村田医事課長 これも先ほどのお答えとかぶる部分があるのですが、期間がかなり限られているということ、その中である程度の実証をしていただくということになると、現実的には一定の下地がある医療機関ということが中核的に想定されますので、そういう意味では一定のベースがある機関からも積極的な応募を期待しております。
○山口座長 よろしいでしょうか。それなりに実績がなければ、急にそれなりの成果を短期間で出すのは難しい話だと思いますが、その辺りも含めて事務局でご判断されると思います。
 それでは、いろいろご議論いただきましたが、資料1及び資料2に関する議論はここまでとさせていただきます。今日ご議論いただいたところも含めて事務局と相談して、最終的な報告書とさせていただこうと思いますので、よろしくお願いします。
 また、これまで放射線技師の方から「グレーゾーン」に関する議論が出たと思いますが、それについて事務局からご報告をお願いします。
○石井補佐 いま座長よりお話のありましたように、診療放射線技師のグレーゾーンに関する話題がこのワーキンググループで出ておりましたが、これについては、関係する分野の先生方やこのワーキンググループでも関係する先生方によくご相談させていただいて、論点等を整理した上で、改めてこのワーキンググループにご相談するという形で作業をしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○山口座長 それでは、それは新しく研究会ができて、その結果をワーキングループグにご報告いただくということです。
 それでは、非常に十分なご議論をいただきましたので、今日のワーキンググループはここでおしまいにさせていただきます。長いこと、どうもありがとうございました。次回のご案内をお願いします。
○石井補佐 次回につきましては、こちらの整理等も踏まえて、あるいは事業の実施状況等も踏まえて、改めて日程調整をさせていただきたいと思います。また、本日の資料1に関するご意見につきましては、毎回期限が短くて恐縮ですが、5月23日(月)までに事務局宛にお寄せいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○山口座長 どうもありがとうございました。


(了)
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