ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会労働力需給制度部会)> 2011年3月30日第160回労働力需給制度部会議事録




2011年3月30日 2011年3月30日 第160回 労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成23年3月30日(水)13:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

委員

鎌田委員、柴田委員、清家委員 (公益代表)
石黒委員、新谷委員、古市委員 (労働者代表)
秋山委員、小林委員、高橋委員 (使用者代表)

事務局

鈴木需給調整事業課長、浅野主任中央需給調整事業指導官、大塚需給調整事業課長補佐、    小野寺需給調整事業課長補佐、高西需給調整事業課長補佐、大谷需給調整事業課長補佐

○議題

1)一般労働者派遣事業等の許可に係る資産要件の審査方法の見直しについて(公開)
(2)一般労働者派遣事業の許可について(非公開)
(3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)


○議事

○清家部会長
 それでは、ただ今から第160回労働力需給制度部会を開催いたします。
 本日は、最初に公開で、「一般労働者派遣事業及び職業紹介事業の許可に係る資産要件の審査方法の見直しについて」ご審議いただき、その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問に係る審議を行います。
 なお、許可の審査につきましては、資産の状況等の個別の事業主に係る事項を取り扱いますことから、これについては、公開することにより特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合に該当いたしますため、非公開とさせていただきますので、傍聴されている方には、始まる前にご退席いただくこととなりますことを予めご了解いただきたいと思います。
 それでは、早速議事に入ります。
 最初の議題は、「一般労働者派遣事業及び職業紹介事業の許可に係る資産要件の審査方法の見直しについて」でございます。
 それでは、事務局より配布資料についてご説明をお願いいたします。

○大塚課長補佐 
 お手元の資料1に従いましてご説明申し上げます。
 1枚おめくりいただきますと、1枚目が「一般労働者派遣事業の許可に係る資産要件の審査方法の見直しについて」、2枚目が「職業紹介事業の許可に係る資産要件の審査方法の見直しについて」とあります。これはいずれも共通でございますけれども、法人の場合の現行の取り扱いの仕方ですが、直近の年度決算書で資産要件を確認することとなっておりまして、1つ目は基準資産額、こちらは資産から負債を引いたものでありますけれども、これが派遣の場合には2,000万円以上、紹介の場合には基準資産額が500万円以上という要件を満たしているかどうか。また現金預金額が派遣の場合は1,500万円以上、紹介の場合には150万円以上を満たしているかどうか、これらを見て判断することになります。
 ただ、これらが申請時に満たされていない場合であっても、それぞれの右側に書いてありますように、事後的に増加する旨の申し立てを認めているところでございまして、例えば増資ですとか中間決算書の提出、それと残高証明書の提出など、こういったものを見て判断することも実際には行われているところでございます。
 こうした場合の現行の問題点が現行の枠の下のところに緑色で書いてありますけれども、こういった資産要件を満たさない場合に、直近の年度決算書の額をベースに資本、現・預貯金の増加額により基準資産額を算定しているところでありますけれども、問題となりますのは負債の変動を考慮してないという点でございます。この点についても、これまでの部会で何度かご指摘がございました。
特に、負債の変動に関しましては、現金・預金額が不足しているときに、借金として負債を負った上で一時的に額を増やすといったような取り扱いも理論上できることになっておりまして、そうした場合の負債というのは、これは決算時と時点が違うために基準資産額に反映されていないということになって、不適当ではないかというようなご指摘もこれまで受けていたところでございます。
 そこで、今回の改正案、その下の枠に書いてございますけれども、左側の資産の要件を満たさないときに、今まで右側の要件を付加的に見ていたわけでございますが、直近の年度決算書の額を基本に増額のみを確認するという取り扱いをやめまして、中間・月次決算書によりまして、いわばバランスシートで資産と負債の状況を確認して判断するという取り扱いにしてはどうかというのがこちらの案でございます。
 決算書につきましては、右側、赤字で書いてございますように公認会計士の証明が必要ということにしております。これは公認会計士法第2条で、財務書類の監査・証明業務につきましては、公認会計士の独占業務というふうになっておりますので、税理士など、公認会計士以外の方の証明では認められないということにしております。
 なお、今回の改正は法人に関するものに限ったものでございまして、下にありますように個人の場合には、青色申告と白色申告で分かれるわけでございますけれども、いずれも個人の場合には今回の改正案にあるような中間・月次決算というような制度はないわけですから、こちらは現行のままという取り扱いにすることといたしております。
 紹介事業につきましても、派遣事業とは、現行の資産要件の基準資産額と現金預貯金の額が異なるだけで、今後の方針ですとか個人についての取り扱いは、今申し述べた派遣についての取り扱いと同様でございます。
 以上でございます。

○清家部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただ今ご説明いただきました改正案につきまして何かご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。
 なお、ここの議論は公開となっておりますので、ご発言の際にはちょっと挙手をいただいて、そうしましたらマイクを事務局のほうでお渡しいたします。では、よろしくお願いします。

○大塚課長補佐
 申しわけございません、1点補足させていただきたいのですが、施行期日を申し上げるのを失念しました。
 今ご説明申し上げた内容につきまして、もしこの場でご了承いただければ、10月1日付けの施行を目指しまして業務取扱要領を改正させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。失礼しました。

○清家部会長
 では、10月1日付けで要領改定ということでご質問、ご意見をお願いいたします。秋山委員どうぞ。

○秋山委員 
 ただ今ご説明ありましたように、改正案において、中間決算書又は月次決算書が公認会計士さんの証明が必要ということで、公認会計士法第2条の独占的ということが許可されているようですけれども、中小企業の場合は顧問税理士さんと親しくお付き合いしている場合が多いわけですので、その範囲を税理士さんまで広げていただくことはできませんでしょうか。

○清家部会長 
 では事務局からお願いいたします。

○大塚課長補佐
 公認会計士法によりまして、この監査業務などにつきましては独占業務というふうにされておりますので、申しわけございませんけれども、このような仕組みにする以上は公認会計士の証明が必要という取り扱いになります。

○清家部会長
 これは要するに公認会計士の業務独占ということなので、こちらではどうしようもなくこの証明を求める以上は公認会計士さんにお願いしなければいけないということだろうと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。新谷委員どうぞ。

○新谷委員
 まず、今回提案されております資産要件の審査方法の見直しにつきましては、許可申請を求めてきた会社の資産状況について、より明確な基準を示されたと思っておりまして、この内容については賛成申し上げたいと思っております。
 その上で、この部会の開催時期が今回の震災の直後ということもございまして、震災に関連する話をさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○清家部会長
 それはこの後、少し事務局のほうから震災に関するご説明もいただきますので、そのときにお願いしたいと思います。

○新谷委員
 はい。

○清家部会長
 それでは、この件についてはいかがでございますか。よろしいでしょうか。

(了承)
○清家部会長
 それでは、ただ今の労働者派遣事業及び職業紹介事業の許可に係る資産要件の審査方法の見直しにつきましては、よろしければ今ご説明いただいた厚生労働省案のとおり、業務取扱要領の改正を行い、関係者へ十分な周知を行っていただいた上で施行するというようにお願いをしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、引き続きまして、今新谷委員のほうからもご提起ございましたが、3月11日に発生いたしました東北地方太平洋沖地震に係る対応につきまして、事務局より報告事項がございますので、よろしくお願いいたします。

○大塚課長補佐
 お手元にお配りいたしました資料2「東北地方太平洋沖地震に係る対応について」、資料に従いましてご説明申し上げます。
 1枚おめくりいただきますと、まずA4横の紙がありまして、こちらに記載してあります6点が今回の地震を踏まえて行っている対策の概要でございます。その後ろにそれぞれの項目に関するリーフレット等をつけているところでございます。リーフレットとこの1枚紙を照らし合わせながらご説明申し上げたいと思います。
 まず1点目と2点目に関してですが、この1点目と2点目は根拠法が一緒のものでございます。根拠法はこちらに書いてないのですけれども、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律という平成8年にできた法律でございます。
これは阪神淡路の大震災のときに、権利利益の保全等のための特例法、時限立法が講じられたのですけれども、それをその後恒久法化したものというふうにご理解いただければと思います。
 その特定非常災害の特例法につきましては、政令でまず特定非常災害の指定を行う。さらにその指定を受けた災害に関しまして受けられる特例措置、これは法律上第3条以降にメニューが示されているわけなんですが、そのうちのいずれのメニューを適用するかというような指定も政令で行うことになっております。
 今回の東北地方太平洋沖地震に関しましては、この政令で早速、この特例法の特定非常災害の指定がされまして、さらに具体的な措置として、第3条、第4条、第5条の措置という指定が政令でなされました。そのうち派遣事業に関するものといたしましては、第3条と第4条に関するもので、それがそれぞれこちらの横表の1番目と2番目に対応しているものでございます。
 第3条は何かと申しますと、行政上の権利利益に係る満了日の延長に関する措置ということで、いわば派遣や紹介事業の許可に関するものとお考えいただければと思います。法律のスキームでは、法令に基づく権利利益の存続期間が特定非常災害発生日、今回の場合だと3月11日ですが、3月11日以後に満了するものなどにつきまして、政令で定める期間まで延長することが規定されております。具体的に政令では、平成23年の8月31日まで権利利益を保全というか、延長しますよというような大枠が定められています。それで、関係各省はそれぞれの所管している許可等につきまして、具体的に大臣告示で指定していく、そういうようなスキームになっておりまして、大臣告示で指定したのが、この一番目に書いてあります職業紹介事業、労働者派遣事業の許可の有効期間でございます。
 延長されるのは8月31日までと政令で一律に定められておりますので、具体的な内容をリーフレットで申し上げますと、対象となる事業主は、まず特定被災区域に主たる事務所を有する事業主ということになっております。この特定被災区域というのは、今申し上げた特例法とは別に災害救助法という法律がございまして、そこで具体的に災害救助法が適用される市町村が指定されますので、それを基本的に援用する形になります。具体的には、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県で、東京都も実は災害救助法の適用地域にはなっているのですが、東京都については全体のスキームの中で特例の対象からは除かれております。
 そういった区域的な要件がまず1つあるのと、あと、実際には派遣や紹介の許可は、許可更新の時期より前に、一定期間置いて申請しなければいけないことになっております。それが職業紹介事業の場合には30日前、派遣事業の場合には3カ月前というような仕組みになっておりまして、実際に地震の日以降に申請期限が訪れるものをこの特例の対象にするという位置付けになっています。具体的には、無料職業紹介事業、有料職業紹介事業につきましては平成23年の4月10日から8月30日までの間に有効期間が満了するもの、これは8月31日までは今の許可証のまま事業ができるというスキームです。派遣の場合には6月11日から8月30日までの間に有効期間が満了するもの、これは今の許可証のまま8月31日まで事業ができるというものです。
 その事業継続に当たっては特段手続きは不要で、さらに9月1日以降も事業を継続したいということでありましたら、9月1日付けの更新をしていただく必要がございます。1枚めくっていただきまして、次の裏面に書いてありますように、有料又は無料職業紹介事業の許可の更新を希望する場合には8月1日までに、一般労働者派遣事業の許可の更新を希望する場合には5月31日までに書類を提出していただくという取り扱いになっております。
 次に、横表に戻っていただきまして2点目の措置でございますけれども、こちらが冒頭申し上げました特定非常災害の特例法の第4条に基づくものでございます。第4条は何かと申しますと、期限内に履行されなかった義務に係る免責に関する措置の規定でございます。
 特定非常災害発生日以後、すなわち3月11日以後に法令に規定されている履行期限が到来する義務でありまして、特定非常災害により履行期限が到来するものについて不履行せざるを得ないものについては、不履行についての行政上、刑事上の免責期限を政令で定めるということになっていまして、いわば全体のスキームで、一律に、平成23年6月30日までは行政上、刑事上の責任を問わないという取り扱いになっています。
 この2つ目に書いた労働者派遣事業の報告、職業紹介事業の報告などに関しましては、これは解釈で示しているものでございまして、これらにつきましては、6月30日までは免責されます。例えば派遣関係ならば、2月決算でありましたら3月末までに事業報告を提出しなければいけませんけれども、これは6月末までは猶予される、そういったような取り扱いになってございます。
 3点目は派遣労働者雇用安定化特別奨励金という、派遣先で直接雇用した場合に最大100万円の奨励金を支給するという事業をについて、その申請期限の猶予をするものでございます。
 これもやはり震災の影響によりまして必要な書類が準備できないといったような事情もございますので、支給申請を期限までに提出できなかった場合でも、支給申請などが可能になった後7日間以内に理由を記した書面を添えて提出すれば、期限までに支給申請があったものとして取り扱うというものでございまして、こちらも通知で措置しております。
 具体的には、リーフレットの2枚目に「各種助成金の支給申請をお考えの事業主の方へ」ということで、当方の奨励金のほかにも各種職業安定関係の助成金等がいろいろ載っておりますけれども、当方の奨励金は7日以内のところに書いてございます。右側の欄の下から3つ目でございます。事由が終了してから7日以内に書類を申請すればオーケーというような仕組みになってございます。
 次が4点目でございますけれども、「激甚災害時における特例措置に係る事業所の取り扱いについて」ということで、こちらは雇用保険課の所掌ですが、派遣労働に関する部分もありますのでここでご紹介させていただくものでございます。
 激甚災害に関しましては、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律という昭和37年に制定された法律がございまして、恒久法でございます。こちらの法律の第25条に雇用保険法による求職者給付の支給に関する特例の規定がございます。これはどんなものかといいますと、ご案内のとおり、失業給付を受給するときは、当然その求職者が失業状態であって就労の意思等を有することが求められるわけでございますけれども、激甚災害の場合には必ずしも失業かどうかがよくわからない状態になっているというのも非常に多く見受けられると思います。そこで、この激甚災害法の25条の特例では、その事業の事業所が災害を受けたためにやむを得ず事業を休廃止して、それによって失業ではないのですけれども、休業するに至っている。その場合に、求職者側に労働意思と能力があるのだけれども就労することができないということが認定されれば、失業しているものとみなして失業給付の対象にするといったような特例がございます。
 そういった特例の対象にするかどうかに当たって、1つの要件としては、激甚災害法の政令で定める地域にあるかどうかというのが見られるわけですけれども、それは雇用保険の取り扱いにおきましては、通知を発出しまして、今般の平成23年東北地方太平洋沖地震に関しましては、その災害によって直接の被害を受けた事業所に雇用される労働者を対象とするという取り扱いになっています。
 そうなりますと、派遣の場合には、派遣元事業主と派遣先の事業所が場所的に違う場合が当然あり得るわけで、例えば大阪の派遣会社から宮城のほうに派遣されているとか、いろいろなケースがございます。そういうふうに場所的に離れている労働者派遣について、どういう事業所が対象になるのかを通知で示しております。
 労働者派遣事業の場合には、派遣元の事業所が激甚災害の対象地域にあった場合には、これはこの特例の対象になるということで問題ないのですけれども、問題は、派遣元の事業所、派遣会社が激甚災害の指定地域より外にある、例えば大阪とか福岡にあって、派遣先が激甚災害の対象区域、宮城とかにある場合にどうなるかでございます。
 それにつきましては、派遣先の事業所が、派遣労働者と派遣元との関係においては就業の場所に当たるということと整理いたしまして、派遣先が直接の被害を受けて労働者派遣事業として休廃止するような場合にも、その派遣元にとっても直接の被害を受けたものとしてこの特例の対象とするという取り扱いにしたところでございます。つまり、派遣会社がその激甚災害の対象区域にあったような場合も、派遣先だけが激甚災害の対象区域にあった場合も、等しくこの雇用保険の特例の対象として、休業せざるを得ない方を救済する、そういう通知でございます。
 5点目が、「労働者供給事業の許可手続の一部を省略する特例」ということでございます。労働者供給事業に関しましては、職業安定法第44条で原則禁止されております。そして、第45条で労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けたときには、無料で労働者供給事業を行うことができることとされておりますが、実際にその許可をするに当たってはいろいろな申請書類を出していただく必要がございます。
 ちょっとこちらのリーフレットで説明したほうがよろしいかと思いますけれども、ページ数にすると6ページにございます。こちらのリーフレットにございますように、労働組合等がいわば被災した方々に緊急に仕事の場を提供するために無料で労働者供給事業をやりたいといった場合に対応するための緊急的な措置でございます。
 実際にその許可申請をした場合に、いろいろな申請書を出していただくわけなんですが、その手続に時間がかかる申請書が1つございまして、それが赤字になっております労働組合の資格証明に関する書類です。これはその許可申請を出してきたところが適正な労働組合法上の労働組合なのかどうかをチェックするための仕組みで、都道府県労働委員会で資格証明を発行してもらうことになっていて、それを添付してもらうのが原則の手続きなんですが、どうしてもその手続きに2~3週間かかるということで、即座に被災者に仕事の場を提供したいという労働組合のニーズに十分にこたえ切れない可能性があると考えられます。
 そこで、こちらの労働組合の資格証明に関する書類につきましては、免除するわけではございませんが、それはそれで都道府県労働委員会のほうに申請を出していただいて、それと同時並行的にまず許可をする。それで、事後的にその資格証明が取れたらそれを提出していただいて、それで改めて事後的にチェックする、そういうような仕組みで迅速に被災者の方の仕事の場の提供に参画したいという労働組合を支援していくという内容でございます。本年8月30日までに行われる許可申請につきましては、この特例の対象となります。
 最後6点目が、「派遣労働者への配慮について各団体に要請」というものでございます。7ページ以降にプレスリリースをつけてございます。
 こちらは今回の地震を踏まえまして、いわゆるリーマンショックのときに問題になったような派遣切りですとか雇い止めですとか、そういったような問題が今後発生することも予想されましたので、派遣元に関する団体、それと派遣先に関する団体にご配慮をお願いするための文書、これを厚生労働大臣名で発出させていただきました。公表の日時は3月28日でございます。
 具体的には、ここのプレス資料の一番上に書いてございますように、人材派遣関係の団体など派遣元事業主の団体に対しまして2点でございます。
 1点は、派遣契約の解除等があった場合でも、派遣労働者の新たな就業機会の確保に努めていただくという、派遣元指針に書いてある内容でございます。もう1点が、やむを得ず休業する場合であっても、雇用調整助成金を活用するなどして、休業についての手当ての支払いに努めていただきたいといったことを要請いたしました。
 また、2つ目が、日本経団連をはじめとする主要の経済団体などの派遣先の団体に関する要請でございまして、こちらも2点ございます。
 1つが、現在締結されております労働者派遣契約をできる限り継続していただきたいこと。もう1つが、やむを得ず契約を継続しない場合には、休業等による派遣元事業主の損害の適切な賠償ですとか、あるいは派遣先関連会社への就職のあっせんなど、派遣労働者の雇用機会の確保に努めていただきたいこと、この2点を要請したところでございまして、
プレス資料の一番最後、13ページのところに要請をさせていただきました関係団体を記載しておりますので、併せてご参照いただければと思います。
 震災関係の説明は以上でございます。
 それと、これは震災関係以外でございますが、お手元に各種リーフレットを配布しております。これは労働者派遣事業等に関します労働者向けあるいは事業主向けのリーフレットでございまして、今後ハローワークに設置するなどいたしまして、周知を図って行きたいというふうに思っているものでございます。
 以上でございます。

○清家部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただ今の事務局からのご説明につきまして何かご質問、ご意見等がございましたらお願いします。では新谷委員お願いいたします。

○新谷委員
 ありがとうございました。
 まず、今回の大震災で被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げたいと思っております。
 その上で、今回の震災に伴いまして多くの労働者に多方面の影響が及んでおりまして、中でも雇用がもともと不安定な派遣労働者が、リーマンショックのときのような派遣切りが再燃しかねないという懸念を持っております。そういった意味で、今ご説明をいただました様々な対策を既に手を打っていただいていることに対しては、迅速な対応に対しては感謝申し上げたいと思っております。
 その上で申し上げたいのですけれども、3月28日に関係団体に対して要請を厚生労働大臣名で行っていただいたということは非常に心強く思っております。要請の内容に書かれていることと重なる部分はございますけれども、この派遣切り、いわゆる派遣契約の中途での契約の解除が、震災ということだけで起こらないように、ぜひ厚生労働省としても指導監督をお願いしたいと思っております。それに関連して4点申し上げたいと思っております。
 1つは、この要請文書にも書いてありますように、まず派遣元と派遣先の労働者の派遣契約については、これは派遣先も十分留意していただいて、中途解除というのは極力避けていただくということでお願いをしたいと思います。それに伴って、もともと派遣元と派遣先の派遣契約と派遣元と派遣労働者の労働契約の期間というのは違っているはずなのに、派遣元、派遣先の契約が切られたから直ちに派遣元の労働者の労働契約を切ってしまうということが起こらないように注意をしていただくように指導をお願いしたいと思っております。
 それと、この要請文にも書いてありますが、もともと派遣先が講ずべき指針の中にもありますけれども、万が一そういった形で派遣契約を解除するということについては、派遣先についても就業先のあっせんをきちっと行っていただく、それで新たな就業機会を確保していただくということとともに、労働者個人に支払われるような、少なくとも休業手当相当分の損害賠償をきちっと払っていただきたいと思っております。
 それと、今度は派遣元のほうですけれども、これも派遣元の指針にありますように、派遣先と派遣元ともに新たな就業機会の確保を図っていただくとともに、それができない場合でもまず休業という形で雇用を継続する形で休業手当を払っていただいて、雇用は継続するということでお願いしたいと思います。そのために今回、雇用調整助成金についても特例措置が講じられておりますので、そういった行政の施策をうまく活用して、休業という形でぜひ乗り切るようなことでお願いしたいと思っております。
 最後でございますけれども、派遣元で、派遣元、派遣先の派遣契約が切られた場合に、休業で対応していただくということとともに、やむを得ず途中で解雇を行うということでありましたら、これはまさしく有期労働契約の契約の解除ということになりますので、労働契約法の17条に非常に厳しい要件が課されておりますので、万が一派遣元の会社が使用者として契約を解除するということであれば、満了時までの賃金相当額をきちっと払っていただくということで対応していただきたいと思います。
 それと、先ほど言いました派遣元、派遣先との関係で損害賠償の金額について、派遣先から派遣元に払われるのですけれども、実はリーマンショックのときにもあったのですが、派遣先から派遣元に払われた損害賠償金が労働者個人の手元に行かないケースが実はございました。それは企業間の契約であり、企業間の損害賠償だから労働者個人に払わなくてもいいという、賠償額をそのままポケットに入れてしまう派遣元経営者もいたという事例もございますので、その辺のところもきちっと休業を含めての手当が派遣労働者に行くような指導をぜひ厚労省として行っていただきたいと思います。
 以上であります。

○清家部会長
 それでは事務局から。

○鈴木需給調整事業課長
 ご意見大変ありがとうございます。
 まず、リーマンショックと今回と何が違うかといいますと、リーマンショックの後に派遣切りの兆候がございまして、この部会でご議論いただきまして派遣元、派遣先の指針の改正を行っております。今回関係団体に要請しておりますのは、この指針に基づきまして適切に措置を講じてくださいということでございます。特に派遣契約の解除、それから休業等については、この指針にかなり詳しく書いてございますので、今ご説明したルールに従いましてやっていただくということは大臣名でも要請させていただいているところでございます。
 また、今回いろいろと被災者も多数にわたりますし、被災事業所もいろいろありますので、ハローワークなんかに災害支援のための相談窓口などもつくっておりますので、そういったところにおきましても派遣労働者、それから派遣会社、派遣先からの問い合わせ等に応じますとともに、もし派遣法違反、それから指針違反等々ございましたら、それについては適切な対応を図るべく、私ども労働行政団結しまして取り組んでまいりたいと思っておりますので、皆さんもぜひともご協力いただきたいと思っております。

○清家部会長
 新谷委員よろしいですか。

○新谷委員
 はい。

○清家部会長
 それではほかに何かご意見、ご質問ございますでしょうか。鎌田委員。

○鎌田委員
 ちょっと細かいことをお聞きしたいのですが、雇用保険の失業給付の特例措置について、雇用保険の失業給付の特例措置、本来は事業主ということで派遣元事業主がその対象となるということでありますけれども、先ほどのご説明ですと、派遣先が激甚法の適用範囲に入っていて、派遣元が外である場合であっても、派遣先が休業を余儀なくされた場合については一定の、離職した者と同様な扱いをする、こういったようなご説明でしたね。
 方向としては私もよく理解できますし、これでいいのではないかと思うのですが、ただ、そういった場合を前提にいたしますと、派遣先についての仕事はなくなるのですけれども、派遣元、例えば大阪だとか東京にあるところでは、一応、派遣先の仕事はなくても、別の会社の仕事を確保する、それはそれでいいと思うのですが、その労働者が休業扱いになった場合、休業手当の請求をするということもあり得るのですね。そうすると、休業手当の請求をし、かつ今の特例措置に基づく基本給付、基本手当の請求ということは当然同時にはできないですよね。というところをちょっとお聞きしたいのです。

○清家部会長
 はい、どうぞ。

○大塚課長補佐
 こちらの雇用保険の対象となる休業というのは、無給の休業でございます。休業手当が支払われるような場合ですとこちらの特例措置の対象の休業ではありません。労働基準法などで保護されるほうの休業手当は、お仕事はお休みですが、事業主のほうから休業手当が支払われる、そういうような状態ですので、あくまでもこの雇用保険法の特例になりますのは、派遣先の事業所が休廃止してしまって、派遣元も何らかの事情で休業手当の支払いができなくて、結果として労働者が無給の休業状態に陥ってしまっているような場合でありまして、それはもう失業とみなして救済する必要があるという考え方によるものでございます。

○鎌田委員
 くどくなるので簡単に。
 ご説明はよくわかるのですけれども、その場合、休業手当が支給されるかどうかというのは派遣元の判断ということになりますので、それは休業届ですか、休業票ですか、休業票にそういうような派遣元事業主による記載があるということになるのですか、無給の休業であるとかないとかというのは。

○清家部会長
 では事務局お願いします。

○大塚課長補佐 
 雇用保険の給付の実務につきましてはちょっと詳細にこちらのほうから申し上げることはできないのですけれども、恐らくそういうような個別の事情を聴取して、実際に被災した労働者の方がどういう状態になっているのかを確認した上でこの特例が適用されるかどうかを個別に判断していくものだと思います。

○清家部会長
 よろしいですか。

○鎌田委員
 結構です。

○清家部会長
 ほかにはいかがでございましょうか。秋山委員どうぞ。

○秋山委員
 このたびの震災に遭われた方にはお見舞いを申し上げます。
 ニュースで見ていますと、工場とか会社が全部流されてしまって、でも社員に給料を払わなきゃいけないからというのでこういう助成金の申請をするのに対して、何か書類がすごくたくさんあって、何もないのにこれだけのものをそろえるのはすごく大変だとかって言っている方もいましたけれども、その辺、ある程度の理由を書けばそれで支給とかいうのは迅速にしていただけるものなんでしょうか。

○清家部会長
 では、事務局からお願いします。

○大谷課長補佐
 先日NHKで、宮城だったかと思いますけれども、雇用調整助成金だったと思いますが、申請書類の用意ができないということがございました。担当課のほうからは、そういった書類がそろえられない場合の特例といったものを通知しておりまして、したがってあのNHKの場合というのは、指示がきちんと伝わっていなかった可能性があるといったことです。実際にそういった説明をしてしまいますと、相手方に対してもう一度きちんと説明をするとともに、また全国へどのように今の特例についての通知をするかといったことをもう一度よく洗って、それを行うようにすると、そのように伺っております。

○清家部会長
 よろしいですか。
 それでは、ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、またいろいろと情報の提供が新たにございましたらお願いいたしたいと思います。
 それでは、ここから一般労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思います。恐縮ですが、冒頭に申し上げましたように、傍聴されている方におかれましてはここでご退席をお願いいたします。

(傍聴者退席)

○清家部会長
 では、事務局から連絡事項等ございますでしょうか。

○大塚補佐
 次回の部会のご案内でございます。次回の部会につきましては、日時は4月26日火曜日、17時半から、場所は元へ戻りまして12階の職業安定局第1会議室でお願いしたいと思います。この部会の後、審議会の委員の皆様の改選が行われますので、次回の部会が現行の委員の皆様方での最後の部会となります。どうぞよろしくお願いいたします。

○清家部会長
 ありがとうございます。
 それでは、以上をもちまして第160回労働力需給制度部会を終了いたします。
 なお、本日は公開で行いましたので、議事録ができます。本日の署名委員は、使用者代表は小林委員にお願いいたします。労働者代表は石黒委員にお願いいたします。
 では、委員の皆様どうもありがとうございました。
(了)


(了)

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