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2011年5月26日 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会

健康局結核感染症課

○日時

平成23年5月26日
15:00~17:00


○場所

厚生労働省 講堂


○出席者

飯沼委員 坂元委員代理 宇賀委員 岡部委員 加藤部会長
北澤委員 倉田委員 坂谷委員 澁谷委員 廣田委員
古木委員 保坂委員 宮崎委員 山川委員

参考人

宮村参考人

○議題

1 ワクチン評価に関する小委員会報告書について
2 これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について
3 不活化ポリオワクチンの導入に向けた対応について
4 その他
 (1)予防接種法施行令等の改正について
 (2)小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの接種の一時的見合わせと再開等について
 (3)結核に関する特定感染症予防指針の改正について

○議事

○予防接種制度改革推進室次長 まだお見えになっていない委員がいらっしゃいますが、お時間になりますので、ただいまから、第16回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会を開催いたします。3月11日の開催の際には地震が発生いたしまして、開催途中で中止いたしました。本日は、3月11日の予防接種部会で扱う予定でございました内容のほか、新たな議題を加えましてご審議いただくこととしております。よろしくお願い申し上げます。なお、私は、4月の人事異動で健康局予防接種制度改革推進室の次長を拝命いたしました中野でございます。よろしくお願い申し上げます。
 初めに、本日の委員の出欠状況について報告申し上げます。本日ご欠席の連絡をいただいておりますのは、池田委員、岩本委員、木田委員、黒岩委員、櫻井委員でございます。保坂委員は遅れてご出席されるとの連絡を受けております。また、今村委員の代理といたしまして、本日は、全国衛生部長会より坂元会長代行にご出席いただいております。それから、参考人といたしまして、宮村元国立感染症研究所長がご出席されております。よろしくお願い申し上げます。現時点で定足数以上の委員にご出席いただいておりますので、会議が成立いたしますことをご報告申し上げます。ここからは、加藤座長に議事をお願い申し上げます。
○加藤部会長 それでは、ただいまより会議を始めます。ただいま中野次長がお話になったとおり、3月11日のこの会におきまして大地震が起きました。その瞬間にかなりの方々がお亡くなりになりましたので、ここに哀悼の意を表し黙祷を捧げたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。黙祷始め。
(黙祷)
ありがとうございました。
 それでは、会議に入ります。先立ちまして、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○予防接種制度改革推進室次長 では、お手元の資料について確認をいたします。議事次第、配付資料の一覧、委員名簿。資料1が、「ワクチン評価に関する小委員会報告書について」、資料2-1、「これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について(案)(概要)」でございます。資料2-2、「これまでの主な議論の中間的な状況の整理等について(案)」、資料3、「不活化ポリオワクチンの導入に向けた対応について」、資料4-1、「麻しん対策推進会議での審議結果について」、資料4-2、「日本脳炎に関する小委員会第4次中間報告について」、資料4-3、「予防接種に関する東日本大震災への対応について」、資料4-4、「予防接種法施行令の一部を改正する政令及び省令の概要について」、資料4-5、「日本脳炎の予防接種のご案内」、資料5、「小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンの接種の一時的見合わせと再開等について」、資料6-1、「『結核に関する特定感染症予防指針』改正の主なポイントについて」、資料6-2、「結核部会からの報告<BCG接種についての結核部会での主な議論>について」です。資料は以上でございますが、机上にはそのほか、座席表とファックス送信票を準備させていただいています。以上でございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。不足している資料がありましたならば、事務局までお申し付けください。では、事務局続けてください。  
○予防接種制度改革推進室次長 撮影はここまででお願いします。引き続き、審議参加に関する報告を申し上げます。製造販売企業からの寄附金等につきまして、審議に参加できない委員はいらっしゃいません。また、申請資料作成への関与につきましては、宮崎委員がおたふくかぜ、B型肝炎、ポリオの各ワクチンについて関与しています。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま、事務局から審議参加に関しましてお話がありました。本日は、個別ワクチンの取扱いも含めまして審議します。宮崎委員が申請資料に関与しているとのことですが、部会が必要と認めた場合には意見を述べることができることとなっていますので、臨床家の立場からご意見をいただきたいと考えていますが、いかがでしょうか、よろしいですか。
                 (委員了承)
○加藤部会長 異議なしと認めます。それでは、部会として了承いただいたということで進めます。議事に入ります。本日の議題の確認をまず最初にします。まず、予防接種制度の見直しについての検討課題の1つである「予防接種法の対象となる疾病・ワクチンのあり方」につきましては、医学的・科学的観点からの検討を「ワクチン評価小委員会」においてお願いしています。3月11日に小委員会報告書がとりまとめられていますので、その報告をお願いしますことが議題の(1)。
 続きまして、前回、これまでの議論について整理し、委員から不足している内容について事務局に提出していただくようお願いするとともに、事務局には文章の形でまとめるよう指示していましたところ、今回、部会長の指示の下、事務局で文章を作成していますので、その内容につきましてご意見をいただきます。それを議題の(2)とします。
 3番目は、現在、生ワクチンが使用されていますポリオの定期予防接種についてですが、不活化ポリオワクチンを導入するに当たっての課題につきまして、事務局から説明を求め、その内容について意見をいただきます。これを議題(3)とします。
 その後、予防接種に関連して5つ、報告事項があります。これを議題(4)とします。時間が非常に限られていますので、これらの審議が円滑に十分に行えますように各説明者の方々は手短にまとめてお願いを申し上げます。
 それでは、議題の(1)に入ります。ワクチン評価に関する小委員会の岡部委員長より小委員会報告についてのご説明をお願いします。
○岡部委員 それでは、資料1のほうに「ワクチン評価に関する小委員会報告書」というのがあります。おもてのほうに3月11日付となっていますが、3月11日に小委員会をまず開催して、そこでこれが認められたということでありますが、その後に行われた部会では、報告の途中で大地震のため中断したということであります。大体のところは3.11の部会でお伝えをしてあると思いますので、本日は手短にお話をしたいと思います。17頁のところに小委員会の名簿が出ています。小委員会の中にはワーキンググループが作られていまして、それが18頁の次の次の頁あたりに、それぞれの各ワクチンについての作業チームの名簿があります。これらの研究者によってディスカッションされたものが小委員会に上がる、小委員会で最終的にこれをまとめたという経緯になります。
 それでは、まとめの主なところについてお話をします。1頁目のところに「はじめに」と書いてある下の○ですが、この本委員会では6回にわたって検討を行って、ヒブワクチン、肺炎球菌の小児用ないし成人用、ヒトパピローマワクチン、水痘、おたふくかぜワクチン、B型肝炎ワクチン、ポリオ、百日せきワクチンについて、既に資料として提出されましたファクトシートを踏まえて、さらに医学的・科学的な観点から報告をまとめたということになります。
 「各疾病・ワクチンについて」というのが3頁から各論という形になっています。この中の「総合的な評価」というところだけ、ピックアップしてお伝えをします。
 4頁の(5)のところの、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンに関する「総合的な評価」であります。「ヒブワクチンについては、疾病の影響、ワクチンの効果等を踏まえ、接種を促進していくことが望ましいワクチンであると考えられる。現在、『子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金』事業として、市町村において接種が進められており、当該事業の実施状況等も踏まえ、実施方法や課題について検討を行った上で、継続的な接種が図られるよう、必要な対応を検討していくことが求められる」とあります。
 次が、小児用の肺炎球菌コンジュゲートワクチン、7価のワクチンであります。5頁の下のほうの(5)に「総合的な評価」としてまとめてあります。これはヒブワクチンと類似した総合的な評価になります。この小児用のワクチンについても、「疾病の影響、ワクチンの効果、医療経済的な評価等を踏まえ、接種を促進していくことが望ましいワクチンと考えられる」としてあります。事業については、ヒブワクチンと同様でありまして、「当該事業の実施状況等も踏まえ、実施方法や課題について検討を行った上で、継続的な接種が図られるよう、必要な対応を検討していくことが求められる」としてあります。なお、「諸外国では、ワクチンの接種により、このワクチンに含まれない血清型の肺炎球菌による侵襲性感染症の罹患率が増大しており、我が国でも同様の事態が懸念されるため、13価の小児用肺炎球菌ワクチンの早期開発も含め、中長期的視点に立った取り組みが求められる」としてあります。
 その次が、6頁目から、肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(成人用)で、従来23価として既に流通しているものでありますが、7頁の(5)に「総合的な評価」としてまとめてあります。「肺炎球菌ポリサッカライドワクチン(成人用)については、疾病の影響、医療経済的な評価等を踏まえると、高齢者に対して接種を促進していくことが望ましいワクチンであると考えられる。一方、免疫の効果の持続や再接種時の抗体価の上昇効果については引き続き並行して検討を行い、接種対象年齢や再接種の効果等について再評価することが必要である」としました。
 その下、4として、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについてであります。8頁の下のほうに(5)「総合的な評価」があります。「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについては、疾病の影響、ワクチンの効果、医療経済的な評価等を踏まえ、接種を促進していくことが望ましいワクチンと考えられる」。事業についても、HibPCV7と同様でありまして、「継続的な接種が図られるよう、必要な対応を検討していくことが求められる」とまとめてあります。なお、「検討にあたっては、特に、HPVワクチンについては、ワクチンのHPV感染予防効果は100%ではないこと、子宮頸がんを発生させる全ての型がカバーされていないこと、子宮頸がんの発生を減少する効果が期待されるものの販売開始からこれまでの期間は短く、実際に達成されたという証拠は未だないことから、今後、細胞診による子宮頸がん検診の適正な実施及び期待される効果の検証も含め、長期的視点に立った取り組みが求められる」としました。
 9頁、5の水痘ワクチンでありますが、このまとめは、10頁の真ん中ぐらいに「総合的な評価」としてあります。「水痘ワクチンについては、疾病の影響、ワクチンの効果、医療経済的な評価等を踏まえ、接種を促進していくことが望ましいワクチンと考えられる。今後は、帯状疱疹の発症、重症化防止の効果も期待されること、水痘は、天然痘の鑑別診断の一つであり、水痘ワクチンの事前接種は、バイオテロ対策の観点からも重要であることといった観点からも検討を行うことが求められる」であります。
 6番目がおたふくかぜワクチンでありまして、11頁の下のほうに(5)「総合的な評価」があります。「おたふくかぜワクチンについては、疾病の影響、ワクチンの有効性、医療経済的な評価等を踏まえ、接種を促進していくことが望ましいワクチンと考えられる。ただし、自然感染の合併症として発生する頻度よりも低く、ワクチン接種により無菌性髄膜炎が一定の頻度で発生することの理解は必要である。今後の検討にあたっては、まず、予防接種に使用するワクチン(単抗原ワクチン、混合ワクチンの種類)の選定、そしてワクチン接種による感染予防と重症化防止の有効性と無菌性髄膜炎の発生の可能性のバランスに関し国民の正しい理解と合意を得ることが求められる」であります。
 7番目、B型肝炎ワクチンであります。13頁の真ん中よりちょっと下に「総合的な評価」があります。「B型肝炎ワクチンについては、疾病の影響、ワクチンの効果等を踏まえ、接種を促進していくことが望ましいワクチンと考えられるが、今後の検討を行うにあたっては、我が国の肝炎対策全体の中での位置づけを明確にしつつ、乳幼児あるいは思春期を対象とするのか、またはその両方を対象とするのかといった接種対象年齢等も含め、効果的かつ効率的な実施方法等について更に検討を行うことが求められる」としてあります。
 それから、現在、予防接種法の対象と既になっているものであります。使い方、剤形の違いのものとして、一番目、ポリオワクチン。これについては、14頁の真ん中に「総合的な評価」としてあります。OPV(経口生ワクチン)を使用していることによって生じるワクチン関連麻痺、VAPPの発生を防ぐために、DPT3種混合プラスIPV不活化ポリオの4種混合ワクチンを速やかに導入していく必要がある。また、OPVからIPVへ切り替えを行う際の具体的な運用について検討する必要がある。IPVの導入に際し、一時的な混乱によって接種率が低下することなどがないよう、接種スケジュールの設定、その広報等について十分な準備をすることが必要である」としてあります。
 百日せきワクチンについては、15頁(4)に「総合的な評価」としてまとめてあります。「国内における百日せきの発生動向調査は小児科定点医療機関からの報告で、青少年層以降については十分ではないが、その中でも青少年層以降の百日せきの割合が増加している傾向が認められる。そのため、青少年層以降の百日せき対策の検討を行うことが必要であり、今後、現行のDTの2期接種において、百日せきの抗原を含むワクチンの安全性、有効性を確認した上で、追加接種の必要性について検討が必要である。2期接種をDPTワクチンに変更するとした場合、医療経済性も含め、検査診断体制の充実やサーベイランスの強化等により、正確なデータを整備するなど、青少年層以降の百日せき対策の総合的な検討を行うことも必要である。また、未接種の乳幼児への感染防御、医療関連感染予防のために、両親、医療従事者などの成人への追加接種についても研究を推進し、今後、その成果に基づいた検討を行うことが必要である」としてあります。
 結論については15頁からまとめてあります。これらのワクチンについて、その必要性というのは同様の文章で書いてあるわけですが、したがって、16頁の上のところから「いずれも、医学的・科学的な観点から人々の健康を守るうえで広く接種を促進していくことが望ましいワクチンであると考えられる」としてあります。医学的な観点から言えば、これらはすべて必要なワクチンであるという意味になります。2番目の○で、「ただし、今後の検討にあたっては、こうした医学的・科学的な議論のほかに、必要な財源とそれをどのように国民全体で支えるかなどの課題や国民のコンセンサスのほか、円滑な導入と安全かつ安定的な実施体制を確保することが前提となるものであり、その点も含め、疾病予防の重要性を鑑みた公衆衛生施策としての実施について、部会において引き続き検討を行うことが求められる」としてあります。このまとめの中には、「引き続き検討等云々」という文章がありますが、これは、「医学的・科学的な検討を継続することは常に必要であり、重要である。この点は既に行われている定期接種対象ワクチンも同様である」としてあります。そして、「現在、予防接種における定期接種の対象となっている百日せきワクチン、ポリオワクチンについても、それぞれの課題について検討を行った上で、実施方法の見直しが求められる」。そして「終わりに」としてですが、「本小委員会においては、医学的・科学的な観点から、各疾病・ワクチンの考え方についてとりまとめたが、今後、予防接種施策における対応を検討をするにあたっては、医学的・科学的な観点のみならず、予防接種のメリットとリスク、制度を支える上で必要となる財源のあり方などを含めた国民の理解や合意とともに、その円滑な導入と安定的な実施体制の整備が前提となる。今回、検討を行った疾病・ワクチンについて、接種の目的や期待される効果等から、その分類・位置づけ等についても検討を行ったが、集団予防・個人予防双方の側面を複合的に有するものであり、現行の予防接種法における一類疾病、二類疾病のどちらに位置づけるべきか、また接種に対する公的関与として努力義務等の対象とすべきかどうかについての評価については結論を出さず、今後、引き続き検討すべき課題とした」。これは部会でお願いするという意味になります。「今後、予防接種部会においては、以上の点も踏まえ、部会を構成する多分野にわたる専門家による総合的な視点で引き続き検討いただきたい」。以上が小委員会のまとめと結論、そして終わりの言葉です。以上です。ありがとうございました。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま、岡部委員より7つの任意接種、2つの定期接種につきましての総合的な評価とまとめについてご発表をいただきました。この部会におきまして、この報告書を修正するための議論にはなりませんが、何かご意見がございましたらいただきたいと存じますがいかがでしょうか。特に、小委員会のメンバーの方はいかがでしょうか。よろしいですか。
                 (委員了承)
○加藤部会長 それでは、意見なしということで先に進めさせていただきます。ただいま、小委員会からは、医学的・科学的観点からとりまとめた本報告書の趣旨を踏まえ、各ワクチンへの公的関与としての評価や、その制度を支えるための方策、制度全体の前提となる部分につきましては、部会を構成する多分野にわたる専門家による総合的な視点で引き続き検討していただきたいとされております。部会におきましては、この報告書の内容を踏まえつつ、これまで行ってきました議論の整理を行うこととします。
 それでは、続きまして、次の議題(2)に入ります。この(2)でありますが、これまで当部会では、昨年の4月以降、第一次提言におけます「今後議論が必要と考えられる主な事項」を中心として議論を行いまして、前回の部会では、事務局作成の「部会において委員等よりいただいたご意見」の資料に基づき議論をいたし、部会後でも補足や追加の意見があるときには事務局に提出するようお願いしたところです。
 今回は、これらのご意見を踏まえ、事務局に文章として整理し提出するよう指示してきました。その資料がお手元の資料2-2です。この文章に当たりまして、私も事務局と相談しつつ進めてきましたが、ここではさらに留意すべきこと等がありましたならば、皆様からのご意見を幅広にいただきたいと考えています。しかし、さまざまなご意見や課題がありますので、部会としてとりまとめる段階にはまだ至っていません。これまでの部会での意見を中間的に整理することで、「関係者」と表現していますが、この「関係者」とは具体的には、政府、地方自治体、予防接種の関係団体等において、より具体的な議論や検討を進めていただくことを期待したいということが書かれています。それらのことを念頭に置きまして、今後議論をいただきたいと存じますが、時間が限られていますので、文章を読み上げるだけでも多くの時間を費やしますので、今回は全体像をご理解していただきますように事務局が「概要版」を作成していますので、本日はこれを基に事務局からご説明をいただきます。よろしくお願いします。
○予防接種制度改革推進室次長 いま座長からお話がありましたが、資料2は2部構成になっていますが、資料2-1のほうで説明したいと思います。部会は平成21年12月に設置されていますが、現在に至るまで精力的にご審議いただきました。昨年2月の「第一次提言」を受けまして、議論を必要とされる事項について精力的にご議論いただいたわけですが、このうち緊急に講ずべき措置として提言いただいた内容につきましては、改正の第一ステップといたしまして、現在国会において審議中の予防接種法等の一部改正法案として、とりまとめております。
 本日の資料2につきましては、「第一次提言」において、引き続き抜本的な見直しの議論が必要と整理された事項につきまして、昨年の4月以降に議論していただいたものを、中間的な整理ということで行っているものです。
 では、資料1に入らせていただきます。「はじめに」に続き、2項目の「現状など」についてですが、日本の予防接種制度につきましては、諸外国に比べてワクチンの種類が限られている。それから総合的に、また恒常的に、予防接種の施策を評価・検討する仕組みが導入されていないという課題が挙げられています。
 提言の議論のポイントの1、となります「予防接種法の対象となる疾病・ワクチンのあり方」ですが、予防接種は常に有効性と安全性の両面から検討するわけですが、リスクとベネフィットについて、理解に基づき、国民的合意を得ていくことが必要であるということです。
 国の安全保障と同様の観点で位置づけるべきであると。特に子供の予防接種につきましては、次世代の国民の健康確保という意味合いがあること。それから、いわゆるVPDと言われますワクチンにより防ぐことができる疾病は、可能な限り対象とするようにというご意見がありました。副反応などのリスクが避けられない以上、予防接種の推進については、冷静な視点からの検討も必要など様々な意見がございました。
 2頁目です。疾病・ワクチンの区分についてですが、疾病区分については現行の、区分について一定の合理性があるという意見がありました一方、国民に対してわかりやすく、もう少し体系的となるよう疾病区分をなくし、いずれかに一本化すべきであるという意見もありました。体系図としては下に示したとおりです。
 3頁ですが、個別の疾病・ワクチンの評価についてです。先ほどワクチン評価に関する小委員会の報告がございましたが、小委員会のほうで医学的、また科学的観点のほうから見ると、Hibをはじめとします7疾患、検討しています7疾患のワクチンにつきましては、接種を促進していくことが望ましいと整理されていますが、同時に先ほどのまとめにありましたとおり、持続的な実施を行うに当たっては、必要な費用など、どのように国民全体で支えるかといった問題、また円滑な導入、安全性について、やはり部会で引き続き検討を行うことが必要という報告がありました。今後、費用のあり方などこの前提となる制度のあり方、円滑な導入の体制については、合わせて検討を要すると考えています。
 それから疾病判断の柔軟性、また機動性の確保という観点から、いわゆる二類疾病につきましては、予防接種の対象となる疾患ということですが、見直す場合は法律改正が必要な仕組みであるということ。一方、迅速に、また機動的に対応できなくなるおそれがあるということから、ご指摘がありました。今後、法制的な面から見て、これから検討を進めていきます評価・検討組織の位置づけということも合わせて、検討していく内容であるという整理をしています。
 4頁目です。議論すべき内容の2つ目、予防接種事業の適正な実施の確保についてです。「関係者」すなわち行政、医療関係者、ワクチン製造者等々ございますが、関係者が連携し、予防接種施策について中長期的なビジョンを共有して、これに基づく役割分担、連携・協力を求める必要があるという意見がありました。さらに、国民に正しい知識を伝えるという観点から、報道関係者の役割も重要であるというご意見があったものです。
 現在の役割としては、国民から国、自治体、それぞれについて整理してありますが、特に地方自治体におきましては、地域における予防接種事業の実施者であります。
 副反応報告と健康被害への対応については、5頁です。副反応の報告については現在、予防接種制度と薬事制度に基づく報告により、実施されております。統一的な報告が行われるような運用改善を検討することが必要という意見がありました。
 さらに副反応や健康被害の防止には、ワクチンの品質確保が重要であること。それから情報に関して、ワクチンの品質改善等に役立てるようにする必要があるという意見がありました。
 それから、健康被害に関する情報として、やはり報道関係者を含め、情報の受け手に冷静かつ正しい理解をいただくための情報の開示ということが必要というご意見がありました。現在のところは疾病・障害認定審査会において、救済の認定については行われているわけですが、こちらのほうの迅速な審査対応についてもご意見があったところです。
 今後、いま行われている子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金事業等での課題を整理しつつ、サーベイランスのあり方、総合的な評価体制のあり方、また情報提供の方法について、引き続き検討するものです。
 6頁目です。接種方法については、接種方法自体は現在のところ個別接種を基本としつつというところですが、必要に応じて集団接種の実施について課題を検討すべきという意見がありました。評価・検討組織において、議論の1つとなり得るものでありまして、今後とも議論を要するものです。
 合わせて記録の取り扱いについてですが、現在、市町村において接種記録を整備することとされていますが、今後、未接種者の把握、接種記録の履歴の記録管理を適切に実施することが必要というご意見を賜っています。
 それから3つ目のポイントとして、予防接種に関する情報提供のあり方ですが、こちらはやはり有効性・安全性とリスクという、その双方について、国民一人一人が正しい知識を持つこと。その理解の上で、判断を自ら適切に行っていただくことが必要という観点から、国においては必要なデータを積極的に収集し、発信を行っていくことが必要という意見をいただいております。
 併せて関係者との協力を得つつ、育児雑誌や教育現場等を通じて、広く情報提供されることが必要というご意見もいただいております。ここでも報道関係者の協力を、というご意見をいただいております。
 4項目目として7頁目ですが、接種費用の負担のあり方についてです。定期接種の費用の負担につきましては、強制的に義務づけていないと。また、個人の受益者的な要素もあるという観点から、個人からの実費徴収を可能としています。この辺りを含めて、今後、個人からの実費徴収の位置づけをどう考えるか。それから、国と地方の役割関係をどうするかということ、合意が得られるように考えていく必要があると整理しています。
 8頁目ですが、海外とのワクチン価格との関係につきましては、諸外国よりもやや高値であるという指摘もあり、この辺りも中長期的な課題として考えていく必要があると整理しています。
 検討課題の5項目目で、予防接種に関する評価・検討組織のあり方についてでございます。現在、国におきましては、恒常的に予防接種施策全般につきまして議論を行う仕組みがないという状況です。諸外国におきましては、総合的・恒常的に評価・検討を行う組織が設けられ、また、政府に対して必要な助言・勧告を行う仕組みがある国がございます。これらを参考にしつつ、予防接種制度の適正な運用を確保していく上で、極めて重要な機能という整理をした上で、その機能としては、具体的には中長期的なビジョンの検討、それから国際的な動向も含めたワクチン、接種対象者の範囲の評価とか、副反応の状況、予防接種施策の実施状況の評価等々を整理した上で、今後どういう組織になるかということを、引き続き検討を深めることが必要と整理しています。
 議論の6つ目の項目、9頁ですが、ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保のあり方についてです。ワクチン産業ビジョン推進委員会において検討が行われているところですが、今後、総合的に継続して検討を行って、その結果を施策に繋げることが重要であるという意見をいただいております。今後の中長期的な課題として、議論していくことが必要という整理をしています。
 その他につきましては、サーベイランス体制の整備、それからサポート体制の充実がございますが、いずれにおきましても、評価・検討組織等の役割と合わせて、検討を要すると整理いたしました。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま中野次長より、概要の案としてご説明をいただきましたが、資料2-2を最終的には文章版の形にします。この現在の説明、または文章版につきまして、ご意見がありましたらご発言をいただきたいと存じます。特に本日はご多忙のところ、宇賀委員にご出席をいただいておりますので、何かご意見がありましたらお伺いしたいと思います。宇賀委員、何かございますか。
○宇賀委員 特にここの部分は訂正してほしいといった所はありません。この7頁にありますように、予防接種の費用のあり方の部分については、ここの青い所の?で書いてありますように、特に国と地方との役割関係ですね。特に自治事務であるという性格も踏まえて、今後は検討されていく必要があるだろうと思います。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。
○古木委員 いまの4点目の、接種費用の負担のあり方です。例の7頁、いま宇賀さんがおっしゃったところですが、私は地域格差が生じないようにと、全て国の費用で云々ということを一貫してこれまでも意見を述べてきたと思いますが、やはり予防接種がしっかり行われるというのは、その辺がいちばん大事ではないかと思うので、改めてそこは強く意見を述べさせていただきます。お願いします。
○加藤部会長 ありがとうございました。宮崎委員、どうぞ。
○宮崎委員 いま費用負担の話が出ましたが、接種する側、受ける側としては、とにかく地域によって差が出てはいけないということと、自治体や保護者の経済的な基盤によって健康の確保の状況が変わってはいけないので、ここはどういうお金の確保の仕方をするにしても、やはり国民が平等に健康を確保できる仕組みというものを、国、自治体できっちり作っていただきたいと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。この件等については今後、またさらなる委員会で討議をしていくということでよろしいかと思いますので、先に進めます。議題の3番目、不活化ポリオワクチンの導入に向けた対応についてです。まず事務局よりご説明をいただきまして、本日は宮村元国立感染症研究所長に参考人としてご出席いただいておりますので、その後に宮村参考人からコメントをいただきます。では、事務局からご説明をお願いします。
○結核感染症課長 資料3をご覧ください。「ポリオについて」という資料です。ポリオについてはご存じのとおりですが、経口的にヒトの体内に入りまして、咽頭や小腸の粘膜で増殖して、その後に脊髄を中心とする中枢神経系に達して、これらを破壊することによって、ポリオとしての症状を生じるということです。感染者の0.1~2%程度が発症します。ポリオウイルス感染によりまして、運動神経細胞の不可逆的障害によりまして、弛緩性麻痺を呈することになります。多くの場合、麻痺は完全に回復するわけですが、一部では永続的な後遺症を残す可能性が高いということです。死亡率は小児では2~5%くらいですが、成人では15~30%と高くなることが知られています。
 我が国における流行状況ですが、昭和35年頃に大流行しまして、年に最大で5,600人程度の患者が発生したときがございます。ワクチンを導入して以来、この数は激減していまして、昭和56年以降は野生株のポリオウイルスによるポリオ症例の報告はありません。しかしながらポリオ生ワクチンに由来して、極めてまれではありますが、ワクチンを接種された方や二次感染によって、周囲の方に、ワクチン関連のポリオ麻痺が発生しているというものです。
 2頁をご覧になってください。これまでの不活化ポリオワクチンの早期開発・導入に向けた取り組みを簡単に図にしたものですが、そもそも単抗原のワクチン開発はポリオ研究所によって行われていました。平成10年に第1相の臨床試験を実施しまして、平成13年には製造承認申請をしたところでしたが、残念ながら平成17年にGCP上の問題がありまして、この承認申請を取り下げています。しかし並行して、DPT-IPVの4種混合ワクチンの開発が、平成14年頃から国内4社によって開発の検討が開始されています。
 ご存じのとおり、昨年の4月には、当時の厚生労働大臣政務官から、この開発をしている国内4社に向けて、一層の開発の促進の努力をお願いする旨の文書を発出しているところです。開発は順調に進んでいるとは伺っていますが、今年の末頃には国内各社から順次、薬事承認が申請される予定であると聞いています。できる限り迅速に薬事審査を実施してまいりたいと、考えているところです。
 3頁の「不活化ポリオワクチンへの円滑な移行に向けて」ですが、早ければ平成24年度中にも、この4種混合ワクチンが国内で導入されることを踏まえまして、今後、この4種混合ワクチン及び単抗原IPVの開発状況や、承認後の供給体制等を見越しつつ、OPVから4種混合ワクチンに円滑に移行を進めるための具体的な方法について、検討を進める必要があると考えています。
 先ほど岡部先生からも紹介がありましたが、ワクチン評価に関する小委員会の報告の中でも、ポリオワクチンについては、OPVを使用していることによって生じるVAPPの発生を防ぐために、4種混合ワクチンを速やかに導入していく必要があるとのことでした。ただ、その生ワクチンからIPVへ切り替える際の具体的な運用については、検討する必要があるというご指摘も受けたところです。
 4頁をお開きください。今後の単抗原のポリオワクチンの開発についてです。4種混合への移行期における単抗原ポリオワクチン開発、これについては必要であると考えられるところです。2010年の2歳児の5,000人を対象としたデータによりますと、いまのDPTの初回接種のいちばんよく接種される時期が生後4カ月です。それに比べて生ワクチンは生後6カ月となっていまして、DPTの接種が約2カ月ほど先行しているということになっています。このため4種混合のワクチンが導入される時期にもよるわけですが、この導入の時点において、DPTの接種開始後で、かつ生ワクチン未接種の方の数が約20万人と推計されるということです。
 したがいまして、このようなDPTの接種開始後の方にポリオワクチンの接種を行う場合、3つほど選択が考えられるということです。1つとしては、改めて4種混合のワクチンを接種する。この場合はDPTの接種回数が過剰になるという課題はあります。2つ目として、生ワクチンを接種する。この生ワクチンですと、先ほども申し上げたとおり、まれではありますが麻痺のリスクがあるということです。3番目として、単抗原のIPVを接種する。これにつきましては、国内でまだ開発が行われておりませんので、現時点では国内で供給される予定がありません。しかしながら可能であれば、この3番の単抗原のIPVの接種が、接種を受ける方にとって、最も望ましいのではないかと考えるわけです。
 事務局としては、対応方針の案として、そこにお示ししていますが、この4種混合ワクチンの導入時におきまして、DPTの接種を開始した方にも、IPVを接種できるようにするなど、4種混合の円滑な導入に向けて、単抗原IPVの導入も併せて進めていく必要があるのではないかと考えています。このためには4種混合の導入から近い時期を目指して、単抗原IPVが国内で使用できるように開発を進めるべきではないかと、このように考えているところです。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま亀井課長からご説明がありましたけれども、引き続きまして宮村参考人からご意見を伺いたいと思います。
○宮村参考人 それでは意見を言わせていただきます。まず、いちばん根本にあるのは、ポリオという病気は本当に深刻なウイルス感染症でして、いまワクチンが存在するわけですから、それを適切に使用することによって、何としてでもこれをコントロールしなければならないということを、皆で共通認識として持つことだと思います。
 ポリオに関しては幸いなことに、OPV,IPVという2つの、それぞれ強力なワクチンが存在します。全ての国々でポリオのコントロールの現状に即し、あるいは世界のポリオ根絶計画の状況を見て、適切なワクチンが使われてきました。
 いま事務局からご説明がありましたけれども、参考2の資料に「ポリオの定期予防接種による健康被害認定状況」という、生ワクチンを飲んだことによって、麻痺が生じてしまったという、いわゆるVAPPケースが記載されています。本来あってはならないこのようなケースが、1年に1~2例というように、ずっと推移しているわけです。このペーパーにはとても重大な意味があります。
 そこで、いま事務局から提示されました、前からの厚生省のワクチン検討小委員会、それから今回この部会の小委員会でのワークシートに提言されました、不活化ワクチンの導入に向けての具体的な現状と課題を提示されました。これは私からすると、是非これを速やかに、今日を境として、国の総力を挙げて一刻も早くIPVを導入していただきたいというのが、私の第1のコメントです。
○加藤部会長 この件に関して、委員の方々からご意見を伺います。
○坂元委員代理 全国衛生部長会の坂元と申します。いくつかの自治体から、最近の経口のポリオワクチンの接種者が減ってきている傾向があるのではとの話を聞かされております。実態は、IPVの個人輸入による接種が現実には相当行われてきていて、医療機関の中には、ホームページで輸入IPV接種を勧めているという現状もあります。実はうちの川崎市でも経口の集団接種をやっているのですが、その接種者数があきらかに落ちてきている傾向がみられるとの報告を受けております。おそらく個人的にIPV接種を受けている可能性もあるかと思います。時々IPVに対する安全性に関しての問合せ等が役所の窓口に来るのですが、承認されているものでもなく、自治体でやっているものでもないので、答えようがないのですが、現実にはかなりIPV接種が行われているのではないかと考えられます。もし個人輸入のIPVに関しての何か問題等がありましたら、お教えいただければと思います。
○宮村参考人 個人輸入が実際に行われているということは伺っております。しかも、いまの場合は川崎市のケースですが、日本全体からしますと、個人輸入が非常に多く行われている自治体と、そうでない所というようにあると伺っています。問題は国で認めたワクチンではありませんから、何かのケースについての保険ということについて、大きな不安があると思います。
○岡部委員 問合わせは私たちの所にも来るのですが、DPT-IPVをなるべく早く入れていただきたいという背景には、やはりIPVが必要であるというところが前提にはなるのですが、宮村参考人もおっしゃったように、承認されていないワクチンを「どうぞ、どうぞ」というわけにはなかなかいかない状態なので、個人レベルでのきちんとした投与される方と投与を受ける方との話があれば、そこを妨げるものではないという説明を私たちはしています。ただし、いちばん良くない選択は、どっちもやらないで様子を見るというのは最悪の選択なので、それだけは避けてくださいということは申し上げております。
○倉田委員 これはワクチンのもともとの材料が違うので、できれば日本のものをきちんとしていくことが努力されればいいと思うのです。宮村さんにお聞きしたいのですが、その辺の見通しはどうなのですかね。
○宮村参考人 私が理解しているところでは、参考資料の2頁、DPT-IPV、四種混合ワクチンということで、国内のメーカーからIPVの実際の申請に向けて、いまデータ作りがなされているというところです。速やかにこれが申請され、確実なデータの下に認可されて、一刻も早く日本の赤ちゃんたちにこれが使用されることが期待されます。日本で開発されているIPVが、諸外国で既に使用されているIPVと決定的に違うのは、生ワクチンに使うウイルスを増殖させ、精製、不活化すると、そういうステップになっています。諸外国でのIPVというのは、強毒野生株を大量に増殖させて、それを精製、不活化するというステップになります。2000年に日本を含む西太平洋地域でポリオフリーの宣言が出てから、いちばんの問題となるのはバイオセーフティとバイオセキュリティのことです。そのとき危惧されたのは、野生株を大量に増やすこと。それは不活化ワクチンを作るためですが、途中の段階のバイオセキュリティに問題があるということです。SabinIPVといういま日本で開発されているものは、これは世界的に見ても、長期的に見てポリオの根絶計画の最終段階の決め手になる、根拠のあるワクチンであります。
○飯沼委員 ポリオは、たしか3つ型がありますよね。それはどれを、3つとも全部入れるのですか。
○宮村参考人 いま考えられているのは、1型、2型、3型、全部です。
○飯沼委員 そうすると、多価ワクチンがすごくボリュームが多くなりますね。ポリオが3つ入ってDPTだと。
○宮村参考人 蛋白量としては増えますが、ボリュームとしては変わらないように調整します。このSabinIPVは、先生がおっしゃるように3種類のワクチンをほかのワクチンと一緒に同時に打つわけですから、それぞれの蛋白がアジュバント効果を持つことが考えられます。それはポジティブに働くわけですが、逆にインターフェアをするようなことが無いことを示す実験が必要だったわけです。
○岡部委員 事務局側に質問をしたいのですが、私自身はいろいろな所で説明を聞いているので、一応その理由を承知しており、理解しているわけではないのですが、一応確認させていただきたい。日本脳炎ワクチンが導入されたときは、最初の基礎免疫をやった時点で薬事法の承認が取れて、そこの部分だけ定期接種を勧めるということで日本脳炎ベロワクチンがスタートしたわけです。その時点で、追加接種のデータは実は不足であるという指摘を受けて、追加接種についての研究を行い、最終的にすべてが定期接種としてのスタートをしたというのがつい最近のことです。DPT-IPVについては、DPT3回接種をして、約1年後、あるいは1年半後にその追加接種をやるわけですが、私が聞いているのでは、その前段階の3回接種についてのデータはほぼ出揃っている。しかし、どうしてそれが承認できないのかというのは1年後の追加接種についての治験のデータが出揃っていないので、それを見てから全体の承認をするというストラテジーであると聞いています。したがって、いま3回終わって、このデータが出ているのですが、1年後のデータを待ってということでは、やはり最終的な承認まで時間がかかるわけです。これをベロワクチンを承認したときのような、いまIPVの導入というのは、いわば緊急的な事態だと私は思っているのですが、それを早期に、最初の基礎免疫の段階だけはとにかく導入しておくと。しかし、追加接種においては、現在もう既に進行している治験がありますので、それをもって効果と安全性を確認するという方法がとれないかどうか、再度確認しておきたいと思います。○審査管理課長 DPT-IPVに関して、岡部委員のお話のとおり、3回目の接種のあとの4回目の接種についての治験を行っていただいているところだと聞いております。基本的に新しいワクチンは四種混合ということですが、IPVに関しては、先ほどお話がありましたように、新しいワクチンが追加されるということがありますので、その安全性・有効性の確認のためにブラインドをかけた試験をさせていただいております。その適切な評価のために、いまブラインドをかけた形でやっておりまして、その結果が出るのは今年の秋頃というように聞いております。ですので、評価としては4回目までの評価は必要と考えております。その前に申請に必要なデータのパーツ・パーツについてはまとまったものがありますので、審査を出来るだけ速く実施するため、事前評価ということで、既にその部分についての評価を進めております。また、できるだけ早く供給できるようにということで、まだ申請されておりませんが、承認申請があった場合については、承認審査と並行して関係の所、感染研にもお願いしますが、事前の品質の検査、それから検定等についてもできるだけ承認後直ちに接種開始できるよう検討はさせていただこうと考えております。
○岡部委員 ということは、仮にDPT-IPV、3回の申請ができたとした場合に、先にそれの審査をしておいて、追加するようにして1年後の追加接種の申請を再度出して、それについて承認するというプロセスもあるという意味でしょうか。
○審査管理課長 例えばワクチンの承認申請に当たっては、品質から始まって非臨床、臨床のデータが必要になってまいります。ということで、例えば品質に関するデータはほぼできていますので、既に事前の相談、審査の事前評価を実質的にさせていただいております。また、フェーズ1、フェーズ2については、もう既に終わっているところです。先ほど今年末ぐらいには申請となっておりますが、その申請の前に事前に品質に関する評価を始めるということでさせていただいて、最終的なデータを確認して問題なければ承認するということで考えております。また、通常ですと承認されてから検定に相当程度時間がかかりますので、品質のものを先に審査しておけば、同時並行的に承認と同時に使えるような形に持っていけるのではないかということも考えておりまして、その辺は感染研も含めて、関係部局とご相談をさせていただこうと思っているところです。
○加藤部会長 岡部委員の質問と食い違っていますね。
○岡部委員 という説明は、もう既に3回分の評価をしているので、4回目が出てきさえすれば、総合的な評価は早くできるという意味でしょうか。
○審査管理課長 3回目のデータまでやったかは確認させていただかないといけませんが、品質についてはもう既に開始しております。
○宮崎委員 今も治験中であり承認申請にも至っていないので、どこまで言っていいかわかりませんが、キーオープンがまだされていないので、第3相試験の結果がきちんと整備される段階ではありません。いま事務方から触れられたように、前臨床試験や第1相、第2相臨床試験など、審査できる部分は少し先行して申請していただいて、承認申請後の審査期間を短くしようということは考えられているようには聞いています。ただ、先ほど2頁でIPVの開発の経緯を話されましたが、その途中でいろいろやり方があっただろうと思っておりまして、やっとIPVの問題が初めてここでテーブルに正式に乗ったと理解しています。我々は何度も公式・非公式にこの問題が大きいことを訴え続けてきたのですが、厚生労働省と審査機構の共同的な動きが私は少なかったように思っています。臨床試験は各社、一生懸命やっていますが、臨床試験のプロトコールについてもいろいろ、長い時間をかけて議論がありました。ただ、もうここに来てしまいましたので、本当に我々としてはなるべく早くDPT-IPVを、とにかく世に出していくことが重要です。
 もう1つ、生ワクチンから不活化ワクチンへの移行期はどうしても接種の仕方に難しさがありますので、例えば単抗原IPVは確かにあったほうが、現場としてはやりやすいわけですが、どういう方法が可能なのか。厚生労働省は、IPVの新たな開発は時間的に間に合わないので難しいということを以前は言われていたわけで、ここに至って今回のような提案を逆に事務局のほうがされてきたのですから、どういう方法でIPVを入れていくのかということも、もうおっしゃったらいかがかと思います。
○加藤部会長 血液対策課、IPV単独だそうです。
○血液対策課長 血液対策課課長でございます。先ほど審査課長から答えていただきましたが、今日この部会で単抗原IPVについても、そのような形での開発の必要性が出てくるだろうということでお聞きしましたので、そういった開発の力がある所、企業の方々にこれからまたお声をかけさせていただいて、できるだけ早くに、ここにご意見をいただいておりますように、取り組みたいと思います。四種混合ワクチンがやっとここまで、この年末には申請に漕ぎ着けるという状況まで来ていますので、いま審査課長が申しましたように、そこからかなり早いスピードで、承認に向けて取り組まれることになろうかと思います。それに向けて、それの近い時期できるだけ早くに、単抗原についても取り組める方法がないかということで、取り組みたいと思っております。よろしくお願いします。
○岡部委員 小委員会のまとめも、申し上げましたように移行期に当たって、どうしても量が足りないとか、あるいは周知されていないということで、トラブルが起きがちなので、いまの承認については現状でということでは理解できますが、例えば感染研のほうの立場で言えば、検定の問題、それからメーカーのほうでいえば生産の問題、自治体にとっては実際に導入するときのいろいろな周知徹底について、問題が出ると思うのです。通常はいつごろ認可できると、なかなかオープンにはならないのですが、少なくとも関係機関には早めにきちんと行きわたるようにして、混乱を少しでも避けるようにしていただきたいということがあります。いちばん最悪のケースは、先ほども申し上げましたように接種率がどっちに転んでも下がるということで、これは他の国でもポリオの接種率が下がったところで、死亡者を含む自然ポリオの麻痺ということが出ていますので、スムーズな移行が絶対に必要だと思います。どうぞよろしくお願いします。
○北澤委員 質問ですが、4頁に「単抗原IPVの導入も併せて進めていく必要がある」と書かれていますが、これは全く初めから開発をやるという意味でよろしいのですか。2頁を読むと、平成13年には単抗原ワクチンが承認申請まで行っているけれども、平成17年にGCP上の問題で取り下げられたとあるのです。なので、これから導入する場合に、また新たに一からやるという、そういう意味でよろしいのですか。
○血液対策課長 そこのところは全く最初からといいますと、また何年もかかってしまいますので、その辺をうまくできる方法がないかということであります。ここの中でDPT-IPVが導入できる時期を、目指してと書いてあり、できるだけ早くにできる方法はないかというところで探っていきたいと思っております。
○倉田委員 日本のDPT-sIPVというのは世界で最も優れたものであるということは、既に我々も研究としてDTaPについてきちっとした英文誌に論文を3つほど出してあります。もちろん。先ほど宮村さんから説明があったように、IPVも十数年前からSabinIPVでいくと。これも非常に素晴らしいアイディアで、世界のどこにもないアイディアで来たもので、その免疫原生についても十数年前に研究班で宮村さんのグループの人がやっておられて、非常に良い結果が出ているのです。ですから、何か滞っているから、その滞るのを突破するような格好に審査関係も、これは日本のものだということを真剣に考えてもらわないと、何かこれも問題だと言った途端にオタオタしているようではまずいと思うのです。だから、積極的に進めるように。ほかのことで膨大なお金をばらまいてやっているのはわかっているのですが、それに比べたらもっともっと大事なことなので、取り組み方をメーカーの責任だと言っていないで、片方でインフルエンザに膨大なお金を出すようなことをやっているらしいけれども、それはちょっととんちんかんなのではないかと。インフルエンザは膨大な良い薬があって、きちっと早期対応したら死ぬことはまずなかろうという時代に、このいちばん大事なものをすっぽらかしておくというのは非常に怠慢だと思うのです。私は十数年間見ていて、宮村さんも大変な苦労をしてきたわけですが、これではまずい。日本の免疫原生というのは素晴らしいDTaP。これは副作用が少ないというのは論文に書いてありますが、海外品と比較して世界でスーパーにいいですね。そういうことも含めて、スーパーにいいsIPVをきちんとものにすべきということを、行政側でもきちんと対応してくれませんか。強い要望です。
○加藤部会長 はい、わかりました。
○坂元委員代理 現実をお話しますと、OPV生ワクチンのほうは、例えば副作用等々がいろいろマスコミ報道されております。OPVを怖いと思われるお母さん方からの相談内容を聞くと、テレビ報道等でOPVの副作用やIPVの優れた点が報道されて、結局お母さん方がOPVにしようかIPVにしようか非常に迷ってしまっているという現状が実際に起きていると思います。ところが、個人輸入の接種は高額であるということで、経済的にIPV接種をためらい、しかも生ワクチンも怖いのでためらうということがおきるのではないかと思います。岡部先生がちょうどおっしゃった、どっちつかずの状態になってしまうということが、自治体側として非常に困ったことですが、かといって生ワクチンが怖ければIPVを受けてくださいということは、自治体側からは言えません。最近の相談の中にそういう問題が起きているということで、自治体側としても適切な対処をお願いしたいところです。以上です。
○加藤部会長 結核感染症課の事務局、ポリオの接種率は下がっていますか。
○結核感染症課長 ポリオの接種率自体が、特に下がっているという数字は、把握しておりませんが、いまの先生方のご意見を伺いまして、私どもとしては接種率は維持できるように頑張ってまいりたいと、このように思っております。
○加藤部会長 岡部先生は、接種率についてデータは何か。
○岡部委員 直近のというのは、いますぐの状況がリアルタイムで測定されているのではないので、我々の所ではむしろわからない状況です。自治体のほうが、感触としてはわかるのかもしれませんが、フォーマルなデータとしては、例えばここ1、2カ月のものを出しなさいという状況にはなっていないので、私のところでは不明と言わざるを得ないです。
○宮崎委員 今日の参考資料3で、高山先生らが抽出調査による接種率累計接種率を出しておられますが、まだ接種率は目立っては落ちていないのではないかと思います。やはり個人輸入はお金もかかりますし、先ほど言われたように保険の問題等々がありますから。不活化ワクチンに関する保護者からの問合わせはどんな先生でも受けていると思うのですが、全体としてはまだ生ワクチンを受けておられる方が圧倒的に多くて、接種率そのものはまだあまり落ちてはいないのだろうと思います。この1、2年、不活化への最後の段階ですので、接種率は慎重に見ていかないといけないと思います。
○加藤部会長 接種率以外で何かありますか。だいぶご意見が出ました。特に単抗原ポリオワクチンの開発については、いろいろご質問がありました。いろいろな方針も出ました。このことについて然るべく進めるということで、了承したいと思いますが、いかがでしょうか。了承いただけますか。反対の方はお手をお挙げください。
(委員了承)
○加藤部会長 了承されたと認めさせていただきます。続きまして、その他の議題に入ります。予防接種等施行令等の改正について。また本日は結核部会長であります坂谷先生が途中退席されるということですので、報告事項ではありますが、最初に議題(4)?「結核に関する特定感染症予防指針の改正」について、事務局よりご説明ください。
○結核感染症課長 資料6-1です。これは既に5月16日に告示をされておりますが、「結核に関する特定感染症予防指針」を改正しましたので、その報告です。資料6-1には、今回の改正の主なポイントをお示ししております。結核部会は、昨年の3月から今年の3月にかけて、9回議論を行ってまいりました。その中で、結核の現状を踏まえて、今後5年間、さらに結核予防に努めるためにどのような方策がよろしいかということについて、真摯に議論したものです。
 そこに3つポイントをお示しております。その1つとしては、医療の確保です。必要な結核病床の確保と患者中心の医療提供体制を再構築する必要があると、このような結論に至りました。具体的には、都道府県域において、結核医療の中核的な病院を確保すること。また、地域ごとに合併症治療を担う基幹病院を確保すること。個別の患者病態に応じた治療環境を整備すること。さらには、中核的な病院を中心として、地域の実情に応じた地域医療連携体制の整備が必要であるということ。国内においては、地域医療連携体制を支援する高度専門施設の確保が必要であること。そして、院内感染予防を徹底すると、このようなことを盛り込んでおります。
 2つ目としては、DOTS(直接服薬確認療法)の推進です。我が国においては、既に保健所でも熱心にこのことについて推進されているわけですが、今後さらに地域連携体制を強化し、外来DOTSを推進していくということ。そして、患者教育等も含めた院内DOTSのほうも強化してまいりたいと考えております。
 3つ目としては、具体的な目標についてです。これまでの指針においても、この具体的な目標については掲げておりましたが、新たな目標として、成果目標として平成27年までに人口10万人対り患率を15以下にするなど、2項目を設定しております。また、事業目標として、全結核患者に対するDOTSの実施率を95%以上にするなど、3項目を設定しました。以上です。
○加藤部会長 坂谷委員、何か追加意見がありますか。
○坂谷委員 予防指針の概要については、いま亀井課長より説明がありましたので、私からは改正に関する検討の中で、部会でBCG接種の存廃についての考え方について議論しました。それについて、簡単に紹介をさせていただきます。資料6-2です。BCGの現在における有効性と副反応の現状を踏まえて、その便益とリスクの検討を数回にわたって行いました。
 まず、有効性についてですが、新生児を対象としたメタアナリシス、モデル計算、日米の疫学状況の比較、これによりBCGの接種は結核全般、特に小児結核の予防に有効であるという結果が出ているという結論でした。資料6-2に書きましたように、日本では現在のところ罹患率が20をやっと切りまして、10万対19ぐらいですが、米国では全結核で1桁にまで至っている。ところが、こと14歳以下の小児結核に関しては、日本の罹患率は米国の半分以下です。これにはBCGだけとは思いませんが、BCGが非常に有効な手段になっている、予防措置になっていると考えられております。
 ただ、このごろ副反応のBCG骨炎が増えているというデータがありますが、これに関しては接種対象が6カ月以下、そして一斉接種にされたことと重要な関係があると考えられるということでした。この副反応に関しても、死亡者であるとか、重篤な後遺症などが残った例は報告されておりません。結果、もしBCGをやめたとすると、現在のところ日本全体で小児結核が200人足らずですが、600人程度になる、400人ほど増えるということになろうかと思われます。もちろんそのうち10人程度が髄膜炎とか粟粒結核等死亡者であるとか、重篤な後遺症を残す子供さんが出てくると考えられます。
 そういうことで、結論的には小児結核の削減にBCG接種が大きく寄与しているということを考えれば、今後も引き続き実施する必要があります。近年の副反応の増加については、接種時期に現行よりゆとりを持たせて、6カ月以内に是非ともやってしまうということでなくて、1歳まで延長することで、多少、副反応の率を下げることができると考えております。以上です。
○加藤部会長 本指針は、5月16日に改正されたという報告ですが、ご質問等ありますか。
○宮崎委員 まだ結核予防法の時代ですが、BCGのやり方が大きく変わって、最終的には6カ月未満ということを厚生労働省が出してきました。これに対して、日本小児科学会は、当時かなり反対をさせていただいた。特に小さい子、3カ月未満は先天性免疫不全症児の問題など、いろいろなことが起こり得るということでした。結局その問題点は6ヶ月から1歳までは運用上の規定で定期接種とみなせる案で解決されたと思います。BCG骨炎の増加ということが早期接種に関連しているかはわかりませんが、もしもそういうことがあるのであれば、是非もう少し接種の余裕をもたせるということをやっていただきたいし、6カ月以降にBCG接種を送らせても、小児結核が増えないという逆のシミュレーションといいますか、そういうのも出てくるとよりいいかなと思います。
 課題がもう1つ。近年、乳児期、特に乳児期前半に新しい子供のワクチン接種が集中してきております。またBCGは生ワクチンです。また、集団接種で行われている所も少なくないので、6カ月未満にBCG接種が限定されていますと、他のワクチンの接種スケジュールと調整していくのが非常に難しいのです。同時接種しようにも、BCGが集団接種だと同時接種もなかなか難しいということになります。ですから、先ほど結論として出された接種対象月例の延長ということは、是非真剣に検討していただいて、できれば早期に結論づけていただければと思います。
○坂谷委員 ありがとうございました。ご主旨は十分お伝えをして、作業をしていきたいと思います。
○加藤部会長 ほかにありますか。先に進みます。議題(4)の?に移りますが、資料4-1~資料4-5および資料5まではいずれも報告事項ですので、一括して事務局のご説明をお願いいたします。
○結核感染症課長 報告事項を説明させていただきます。資料4-1です。「麻しん対策推進会議での審議結果について」ですが、昨年の11月1日の麻しん対策推進会議において、麻しん排除に係る国際的取組の状況を踏まえて、学校教育の一環として、海外へ修学旅行または研修等に行く高校2年生を、第4期の定期接種の対象者とすることについて、議論を行ったところです。これにより、平成23年度に限って、これらの者についても第4期の定期接種として接種できることとすると、結論をいただいたところです。
 これを受けて、高校2年生が定期の予防接種として接種が受けられるよう、予防接種法施行令の一部を改正しました。なお、実施主体であります市町村のこれまでの接種計画等も踏まえて、第4期の積極的勧奨は、従来どおり高校3年生と考えております。
 続きまして、資料4-2です。これは日本脳炎に関する小委員会第4次中間報告についてです。平成17年から平成21年度にかけて、積極的勧奨を差し控えたことによる接種の機会を逃した方への対応については、これまでも報告したとおり小委員会で検討を重ねてまいりました。その検討結果に基づいて、第1期の未接種の方に対しては、接種の機会を提供して、積極的な勧奨を行うなどの対応をしてきたところです。しかしながら、第2期の接種の機会を逃した方については、議論したときの予防接種法施行令の対象年齢が12歳以下とされていることから、定期接種として接種が受けられない状況となっておりました。この課題について、先般、日本脳炎に関する小委員会を開催し、検討いただき、13歳以上20歳未満の方についても、第2期の接種の希望があった場合には定期接種の機会を提供すべきとの第4次中間報告をいただいたところです。これを受けて、13歳以上20歳未満を定期接種として接種が受けられるように、また7歳半から9歳未満の方が定期接種として接種を受けられるように、予防接種法の施行令の一部改正を行ったところです。
 資料4-3-1、資料4-3-2を続けて説明いたします。これは東日本大震災に対する予防接種に関する対応です。3月11日の東日本大震災以降ですが、3月16日付で、被災された方が避難先の市町村において予防接種を実施する場合、予防接種を受けやすいように特段の配慮を市町村に依頼したものです。また、4月14日付の通知ですが、これについては被災された方が母子健康手帳等を紛失された場合の取扱いについても、予防接種を受けられるよう自治体にお示ししたところです。
 資料4-4-1です。これについては、麻しんおよび風しんの予防接種について、日本脳炎の予防接種について、東日本大震災の特例について、それぞれ予防接種法施行令の一部を改正する政令の概要です。まず、麻しんおよび風しんの予防接種についてです。これについては先ほど説明したとおりですが、高校2年生相当の方においても予防接種が受けられるように、定期の予防接種の対象とするようにしたものです。日本脳炎の予防接種についてですが、これも先ほど説明したとおりです。接種勧奨の差し控えにより接種する機会を逃した方については、それぞれ定期の予防接種の対象とするとしたものです。東日本大震災の特例ですが、今回の大震災の発生に伴い、やむを得ない事情により定期の予防接種の対象年齢を過ぎてしまった方については、今年の8月31日までの間、定期の予防接種の対象とするというようにしたもので、いずれもこの5月20日に公布・施行をしております。東日本大震災の発生に伴う特例措置については、3月11日に遡って適用できるようにしているところです。
 資料4-4-2、予防接種実施規則の一部を改正する省令の概要です。これについては、政令を改正したことにより、対象者として特例措置が設けられた方における日本脳炎の予防接種についての接種の実施方法を定めたところです。また、ジフテリア・百日せき、破傷風並びに日本脳炎の予防接種において、実施規則で定める複数回接種のそれぞれの間におくべき間隔においても、東日本大震災の発生により、やむを得ない事情によりその間隔を維持できなくなった方に対しても、定期予防接種とみなすことができるようにしたものです。
 資料4-5です。これは先ほど説明しました政令改正を受けて、日本脳炎の予防接種が円滑に行われますよう、医療機関や保護者向けのリーフレットを作成して、自治体に対して周知したものです。
 資料5については、小児用肺炎球菌ワクチンおよびヒブワクチンの接種について、一時見合わせと再開等についてです。既にご存じのことと存じますが、3月2日から4日までに、2ワクチンを含むワクチン同時接種後の死亡例が4例、厚生労働省に報告されたところです。3月4日、因果関係の評価を実施するまでの間、念のために接種を一時的に見合わせておりました。3月8日に、接種見合わせ以降に報告された例を含む死亡報告5例について、第一回の専門家による検討会を開催して、その時点の情報において、いずれもワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないと考えられるが、さらに入手可能な情報を次回までに収集する、と結論が出されました。3月24日に第一回検討会以降に報告された例を含む死亡報告7例について、専門家による検討会を開催して、諸外国での状況やワクチンの同時接種に関する安全性等について、評価を行いました。接種と一連の死亡例との間に直接的な明確な因果関係は認められないとの評価をいただいたものです。これを踏まえて、小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンについて、それぞれ単独接種が可能であることを示した上で、同時接種を行う場合には、その必要性を医師が判断して、保護者の同意を得て実施することなどを明示して、リーフレットやQ&Aも情報提供して、この4月1日より接種を再開したものです。以上です。
○加藤部会長 ただいま亀井課長から?についてご説明いただきましたが、この件に関して何かご意見・ご質問がある方はどうぞ。
○倉田委員 資料5のヒブワクチン、プレベナー等のトラブルのお話ですが、8人も死んでいる以上、これは明確な因果関係が認められなかったという一言では、ちょっと済まないのではないかと。質問がいくつかありますので、一つひとつ聞きますが、まず私はこれは具体的に知りませんが、前にいただいた資料とテレビ情報、新聞情報等で、突然死という言葉が出てきていますが、突然死というのは当然のことながら医者が関与していないもので、司法解剖の対象です。私はかつて、すべての突然死を法医の人と一緒に10年ぐらいにわたって調べたのですが、関係しないものが突然死になるわけで、ワクチンに関係した突然死というのは普通はないのです。ですから、それについて剖検をきちんと行われていたかどうか。
○加藤部会長 事務局、突然死に関して剖検が行われていたかどうか。
○岡部委員 私はこの会議の座長代理をやっていたものですから、ご説明申し上げます。資料5の3枚目の裏側から「症例一覧表」があります。1、2、4、6、7の例については、剖検が許可されて行われております。そこの所見はここに書いてありますが、例えば乳幼児突然死症候群というものも、この中からは得られています。ただ、司法解剖の場合もあるし、行政解剖の場合もあるし、任意解剖の場合もあるので、その辺がすべてのデータがこの委員会でオープンになったわけではないですが、これらを勘案して、ほかの外因が見つかったものもありますし、全体的に見て関連性を強く疑うものではないという結論には至っています。
○倉田委員 通常いままで予防接種に関連した死亡例等の副反応委員会ですか、かつてそれを認定する部会に私も10年以上いました。そういう場合に、大抵わからないのは因果関係否定できずと。これはわからないのか、わかったのか、因果関係は明確に関係ないという言い方をしていますが、これはいままでの報告とまるっきり違った報告の結論の出し方に異様さを感じています。これについては、どなたか答えがある方。
○加藤部会長 健康局長。
○健康局長 これは事務局が答える話でなくて、先生の御意見は1つのご意見として承っておきます。この2つの合同検討会の結論は、それはそれでいただいたということですから、それに対して異様だと言われても、事務局のほうとして直ちに答えることはできません。
○加藤部会長 これは座長が裁きます。これはもう既に解決したことと考えて、報告事項とみなしますが、よろしいですか。報告事項、ここでは議論なしです。
○倉田委員 科学的なことを聞いていいですか。死亡された方の使われたロットがあるのですが、その前後に使われていたロット、両方とも肺炎球菌ワクチンも含めて、これに関していろいろな問題。つまり、かつてヒブも肺炎球菌ワクチンも、相当ロット差があり、エンドトキシンの混入があったのです。これは市販される前に世界中の市場から市販ワクチンを購入し集めたときには。
○加藤部会長 そういうことはもう議論されているはずなので。
○倉田委員 誰が議論しているのですか。
○加藤部会長 私は知らないところです。
○岡部委員 私からお答えします。ロットについての質問だと思うのですが、委員会では当該ワクチンについて、少なくとも検定について逸脱はなかったということ。それから、各社の自主検査においても、これは全部求めたわけですが、逸脱がないと。したがって、ワクチンそのものは製造について、きちんと行われたものであるということは認めました。
○倉田委員 そういうことなら最後の質問をしますが、いままで予防接種部会でも、私は昨年3回ぐらい発言していますが、1個1個は安全なものでも、マルチに対したときには安全でなくなる。それについては、WHO、あるいはFDAも、また企業向けのガイドにも、それに対して出来る限り動物とヒトでの検証をきちんとしなさいということなのですが、これに対して日本では少なくとも人にバッと適用されたところはわかりますが、その前の適用するに当たってマルチでやったときにどういうことが起きるか、あるいは組合せがどういうときにどういうことが起きるか、そういうことの検証というのはやっているのか、やっていないのか。これはどこにも報告がないと思うのですが。
○岡部委員 すべての組合せをやるのは不可能でありますけれども、同時接種ということについては、各研究班のデータであるとか、あるいは個々のデータをこの委員会としては集めて、国外だけではなくて、国内は確かに国外に比べれば少数例ではありますが、同時接種によって問題が増加したということはないという結論を出しています。
○廣田委員 手短にコメントさせていただきます。ここには、おそらく疫学者は私一人だろうと思いますので、義務感を持って発言させていただきます。今回の死亡発生確率と予防接種の有益性を勘案して接種を再開されたという判断は、これは私は正しいと思います。ただし、この接種後に立て続けにこれだけ起こった死亡ということに関しては、やはりもっと検討を深める必要があるのではないかと考えます。これは医薬食品局の安全対策課の所管になるのですね。今回7例の死亡を精査されて、直接的な明確な因果関係は認められなかったと結論されているわけですが、これは疫学の考え方とかなり違うのです。これは批判しているわけではありません。違うということを申し上げたいのです。
 疫学の立場からいうと、この死亡は予防接種、このワクチンを接種したことで説明できないと解釈なさった。これは決して因果関係を検証したものではないというのが疫学の考え方です。ただ、これは決して批判するものではありませんが、もっと違う方法や考え方もある。このような場合に、やはり違った分野の違った考え方、違った方法でもって同じ方向性の意見が導かれると、この判断はより科学的に堅固なものになると考えるわけです。
 例えば喫煙者が肺がんになったときに、その個々の肺がん患者が喫煙を原因として肺がんになったということは、これは疫学の場合は特定できないわけです。その代わりに、喫煙と肺がんに因果関係があるというのは、疫学研究で堅固に確立されているわけです。そういった意味から、国民の理解を得て健全に接種を推進するためにも、こういった場合は疫学調査をしっかりとしていただきたかった。また、いまからでもできるならしていただきたい。具体的にはケースコントロールスタディであるとか、ケースクロスオーバースタディ、そういった研究をデザインしてすることになると思うのですが、是非とも日本疫学会に相談していただいて、そして疫学の専門家による調査もしていただきたい、このように強く要望したいと思います。以上です。
○岡部委員 委員会でも同様の意見がありました。それで、廣田先生のおっしゃられるのは誠にそのとおりで、これだけにはしないということも必要だろうと思います。それから、私は事務局ではないので委員会としての説明をしていますが、副反応のモニタリングに関しても、できればいまの既存のものではなく、新たなものを設けるような形の工夫を是非やっていただきたいということを、委員会としても申し上げています。もう1つは、この副反応のモニタリングは従来の定期接種のモニタリングと違って、ワクチン接種後のすべての異常反応について報告を求めたというところで、ソースが違うので、従来のとはなかなか比較が難しいということが前提で議論が行われています。したがって、こういうシステムについても、是非、今回の経験を活かしていただきたいというのが委員会の意見です。
 もう1つは、確かにデザインを作って、ケースコントロールスタディその他をやっていくのは重要なことではあるのですが、このとき委員会が中心になって考えたのは、2ないし4週間の間に判断を行わないと、仮にそのままペンディングが続くと日本脳炎、あるいはポリオの例があるわけですが、そういった事態になると、先ほど廣田先生に最初におっしゃっていただいた、リスクのほうが上回る可能性があるという判断で、全体からいうと再開が妥当であるというのが委員会の判断で、このすべての例で全く白だという言い方をしているわけではありません。
○廣田委員 その直ちに4週間の間に何らかの一時の結論を出すという点ですが、もしそのときに疫学者がいたら、直ちにケースコントロールスタディをすれば、4週間のうちに一次的な結論は得られると考えております。
○山川委員 いまのことに関連してですが、7例の方が死亡であったということですが、母数といいますか、この2つのワクチンを接種した総数は何人だったのでしょうか。
○結核感染症課長 母数は、すぐにはわからない状況です。
○岡部委員 大体のところですが、10万当たりの接種でどのぐらいの事故があったかということですが、おそらくこれは出荷ドースから接種されたであろうという考え方をしたわけですが、両ワクチンとも10万接種当たり0.1から0.2であるという数字を委員会として受けています。母数は結局出荷数ということで言っているわけですが、それを10万接種当たりにするとそういう数字になって、それは諸外国のこのワクチンの事故、いろいろな意味での事故を超えるものではないという結論になりました。
○結核感染症課長補佐 補足をさせていただきます。資料の後ろから3枚目に、小児用肺炎球菌ワクチンおよびヒブワクチン接種の再開についてのQ&Aをお示ししております。その中の問3ですが、「我が国でも発売以来それぞれ100万人から150万人程度の子供に接種されたと推定されています」という記述になっています。接種回数のデータをいま手元に持ち合わせていないのですが、出荷数から推定して、おおむねこの2倍程度の接種回数があるということから逆算して、このデータの人数の方に接種されたという推定で出させていただいているものです。
○北澤委員 確認です。4月からまた再開されたということなのですが、それ以後いままでの間に、死亡例などは報告されていないのでしょうか。
○結核感染症課長 いまのところ死亡例は報告されておりません。
○北澤委員 本当に素人で恐縮なのですが、短期間のうちに厚生労働省に死亡の方が7例報告され、4月1日から2カ月程度で死亡の方がゼロだというのは、素人的に考えて、どうしてこんなに違うのかなと素朴に思うのです。死亡の報告がないのはなぜなのかということについては、どう考えればいいのでしょうか。
○結核感染症課長 後ろの症例一覧表です。そこに自治体からの報告の日にちと接種日があります。一言で7例と申し上げますが、報告された日は近いのですが、接種日については、3例目は書いていませんが1例目、2例目、4例目については似たような日にちになっておりますが、5例目は2月4日、6例目は2月15日、7例目に至っては昨年の7月26日となっております。必ずしも、まず接種日と報告日が同じではないというところです。これは1例目が宝塚市、2例目が西宮市でした。宝塚と西宮は同じ兵庫県ですが、宝塚市での報告があったことにより、周辺地域ではこのことについて、新聞でもそれなりに報道があったと聞いております。
 往々にしてあることではありますが、こういう報告がありますと、もしかするとこれは予防接種に関係するかもしれないということで、報告が続くというのは間々あることとは聞いております。ただ、そうはいうものの、私どもとしてはこれらのケースについて慎重に検討しなければいけないということで、先ほど岡部先生からもご紹介がありましたように、医薬食品局の審議会の下にあります安全対策調査会と、健康局にあります副反応の検討会との合同の検討会で、いろいろな資料、単にこの個別のこれらの症例の情報だけではなくて、関係する文献、研究も含めて、短期間ではありますが、同時接種の状況などの調査もした上で、専門家の先生方によって慎重に検討をしていただいた結果、直接的な明確な死亡との因果関係を認められないという結論が出されたものと考えております。そのあと死亡症例が全く出ていないかということについては、いまのところ報告は受けておりません。以上です。
○倉田委員 これは死亡した以外の人は、重症になってもみんな普通に回復しているという意味ですか。あるいは、そのまま何か問題が起きたままの方もいると、そこはどういうことなのでしょうか。オール・オア・ナッシングでということですか。
○結核感染症課長 小児用肺炎球菌とヒブワクチン、子宮頸がん予防の3ワクチンの接種事業については、副反応報告について独自のスキームを作っております。私どもとしては報告されるものについて淡々と受け止めるということです。
○宮崎委員 倉田先生のご質問は死亡以外の副反応例もあるのかということです。   
○結核感染症課長 死亡以外も、それは報告としては上がってはきております。
○倉田委員 全然答えになっていない。要するに聞いていることは、例えば日本脳炎ワクチン打ったと、死んでしまった、あるいはそのあと障害が残っているとか、私は亡くなった方以外に障害がある人はいないのですかと聞いたのです。
○結核感染症課長 私どもはまだそこまで精査しているわけではありません。ここは死亡症例が立て続けに出たというところで、検討をしていただいたということです。
○加藤部会長 この件はよろしいですね。
○坂谷委員 岡部先生、出ておられる調査評価委員会の議事録は残っているのですか。それから、関係するこの部会の委員、倉田先生とか廣田先生が、その議事録を読むことができませんか。
○加藤部会長 議事録は公開でしょうか。
○結核感染症課課長補佐 この検討会は、すべて公開で行いました。3月8日、3月24日、3月31日、公開で実施をいたしました。議事録については、若干お時間をいただいているものもあると思いますが、公開している、もしくは今後公開を必ずさせていただく予定です。
 先ほど申し上げた接種回数のところで、1点正確でなかったので補足をいたします。私が申し上げたのは、我が国での発売開始以後の接種の総回数です。それに対する死亡症例の分子の数は、この7例ではなくて、症例一覧表にありますが、既に公表が済んでいる、もう1例アクトヒブの死亡事例がありましたので、3月の時点で8例の死亡事例があった。それに対する分母になる接種回数がヒブワクチン、小児用肺炎球菌、それぞれについて200万回から300万回程度あったということです。
○加藤部会長 了解しました。この辺りで討論を終わります。本日討論された中身をまとめますと、DPTとIPVの件です。了承された件は、DPT-IPVの円滑な導入のため、DPT-IPVの導入から近い時期を目指して、単抗原ポリオワクチンの開発を急ぐ方針を部会として承認されました。いよいよ不活化ポリオワクチンの導入が近付いております。円滑な導入のためには、さまざまなケースを考慮する必要がありますので、事務局においても万全の体制を講じられるように準備をお願いしたいということです。
 もう1点、次回の部会についてですが、議題の(2)これまでの議論の中間的な状況の整備等については、さらに議論を重ねたいと存じます。事務局におかれましては、次回の部会において本日の部会でのご意見および紙で出していただくご意見の内容を踏まえ、資料2-2の修正・追加をされて用意してください。お手元にその用紙があります。以上で本日の議題は終了ですが、事務局から何かありましたらどうぞ。
○予防接種制度改革推進室次長 いま座長からありましたが、資料2-2に対するご意見は、お手元のファックス送信票等をご利用いただいて、6月2日までにお送りいただければと思っております。よろしくお願いします。次回以降の日程については、また改めて調整させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
○加藤部会長 会議終了です。ありがとうございました。


(了)

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