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2010年9月15日 平成22年度第5回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成22年9月15日(水)18時~


○場所

厚生労働省 6階共用第8会議室


○議題

1.サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)について
2.その他

○議事

○事務局 それでは定刻になりましたので、平成22年度第5回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催いたします。本審議会は公開で行いますが、カメラによる撮影は議事に入るまでといたします。報道関係者の方々におかれましては、ご理解とご協力をお願いいたします。傍聴者の方は傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし喧噪にわたる行為をしないこと」「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの厳守をお願いいたします。
 本日ご出席の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。まず初めに、安全対策調査会の委員及び参考人の先生方をご紹介させていただきます。
 安全対策調査会の委員といたしまして、本日ご欠席ですが、国立大学法人東京大学医学部小児科講座教授の五十嵐先生。国立医薬品食品衛生研究所副所長の大野先生。本日遅刻をするというご連絡をいただいている、東京医科歯科大学歯学部付属病院薬剤部長の土屋先生。独教医科大学特任教授の松本先生。
 参考人の先生として、日本病院薬剤師会理事の遠藤先生。本日ご欠席ですが、日本薬剤師会副会長の生出先生。東京大学大学院医学系研究科助教・財団法人いしずえ理事長の佐藤先生。日本骨髄腫患者の会副代表の上甲先生。本日欠席ですが、日本医師会常任理事の高杉先生。大阪大学大学院薬学研究科教授の那須先生。本日ご欠席の、群馬大学医学部保健学科長の村上先生です。
 委員の先生及び参考人の先生合計11名のうち、7名の出席の予定です。また、本日は参考人としてサリドマイド製剤の製造販売会社である藤本製薬から、長谷さん、北小路さん、森田さんにもご同席をいただいています。
 事務局に異動がありましたのでご報告いたします。大臣官房審議官(医薬担当)として、岸田の後任に平山が、安全対策課長として森の後任に俵木が、医薬品医療機器総合機構安全管理監として松田の後任に森がそれぞれ着任しております。
 それではこれ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。以後の進行は松本先生にお願いいたします。
○松本座長 よろしくお願いします。それではまず事務局から、審議参加に関する遵守事項について報告してください。
○事務局 それでは事務局より、薬事分科会審議参加規程についてご報告申し上げます。本日出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄付金・契約金等の受取状況を報告いたします。本日の議題については、サリドマイド製剤に係るものです。したがって、関連企業として多発性骨髄腫の治療薬を製造販売をしている製造販売業者である藤本製薬株式会社、ヤンセンファーマ株式会社、セルジーン株式会社の3社からの過去3年度における寄付金等の受取りについて申告をいただきました。なお、関係品目・関係企業については、事前に各委員に資料をお送りして確認をいただいています。
 各委員の先生からの申し出の状況ですが、土屋先生がセルジーン株式会社から50万円未満の受取りとの申告がありました。参考人の先生においては、遠藤先生がセルジーン株式会社から50万円未満の受取りとの申告がありました。また、那須先生が藤本製薬株式会社から500万円以上の受取りとの申告がありました。しかしながら、那須先生は今回審議するサリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)の第三者評価のための受託研究で受領していること等から、今回の審議への参加に問題はないと考えられます。
○松本座長 ただいま事務局から説明がありました、審議の際の申合せ事項についてはよろしいでしょうか。
                  (了承)
○松本座長 特にないようですので、関係品目・関係企業の妥当性を含めて、了解いただいたものといたします。ありがとうございました。それでは続きまして、本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 それでは事務局より、本日の配付資料の確認をさせていただきます。いちばん上が座席表、続いて議事次第、委員等名簿、配付資料一覧があります。その下に資料1「平成22年度第1回安全対策調査会指示事項に対する回答」。上のほうに四角い枠があり、指示事項が記載されている資料です。資料2として「サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)改訂案」、A4横置きの左右に新旧対照表が記載してあるやや厚い資料です。資料3として「サレドカプセル50、100の添付文書の改訂案」があります。
 参考資料として、参考資料1「医薬品等の安全管理方策に関する審議について」というA4で1枚の資料。参考資料2として、平成22年度第1回安全対策調査会における「指示事項」。参考資料3として、独立行政法人医薬品医療機器総合機構からの「サリドマイドに関する調査結果」があります。
 また、当日配付資料1として、村上先生から提出のあった「意見書」。当日配付資料2として「藤本製薬より提案された改訂案に係る論点について」、A4の左上をステップラーでとじた資料があります。各委員の先生方には事前に資料を送付させていただいていますが、若干の変更等がありますので、お手元の資料で確認をお願いします。配付資料の不足・乱丁等がありましたら事務局までお知らせください。
○松本座長 よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、議題1について審議をお願いしたいと思います。議題1は「サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)について」、先生方にご検討をお願いします。それでは、まず事務局より資料の説明をお願いします。
○事務局 それでは事務局より資料のご説明をさせていただきます。まず、本調査会でサリドマイドに関する安全管理手順等を審議する根拠となっている参考資料の1について、ご説明します。
 参考資料1は1枚紙ですが、この資料については平成22年3月19日の医薬品等安全対策部会の資料です。真ん中辺りにある2.の規定「TERMS及びそれに類する医薬品の安全管理方策の新規の作成及び変更は、医薬品等安全対策部会に報告することとするが、その際、医薬品等安全対策部会長の了解を得て、安全対策調査会において事前整理及び調査審議等を行うこととする」という記載があります。この規定に基づき、本調査会でご審議をお願いしているものです。
 続いて参考資料2です。平成22年5月31日、前回のサリドマイド関係の審議・調査をお願いした調査会ですが、その際に藤本製薬に対して、本調査会から提出された指示事項です。前回の調査会においては、指示事項について3ヶ月を目処に検討を行い、案を調査会に示すこととされていました。指示事項の内容の確認のために簡単に読み上げさせていただきます。
 指示事項。1.本日の調査会で調査・審議された以下の事項については、藤本製薬において3ヶ月を目途に検討を行い、安全対策調査会に案を示すこと。
 (1)患者からの診察前調査票の廃止が可能であるか検討すること。ただし、処方ごとの調査を廃止する場合に、患者グループごとのリスクに応じ、定期的に患者の避妊に関する状況と家庭における薬の保管の状況について、患者から直接情報を得て確認する方法を導入すること。
 (2)同一医療機関において、医師、薬剤師が別々に、TERMSセンターとFAXによるやり取りを行うこととされていることについて、一元化を行うことによる合理化が可能であるか検討すること。
 (3)処方可能な医療機関及び処方可能な医師に係る要件について、施設や医師にとって理解しやすい要件に整理しなおすこと。その際に、研修施設であることや個人輸入の経験の有無による要件の区別によらず、TERMSへの遵守や専門性等による要件とすること。
 (4)薬剤管理者について、?選定が困難な患者にも対応できる方策をTERMS手順に導入すること。?患者の登録要件に、薬剤管理者への事前の教育が必要とされていることについて、患者への速やかな処方の開始を妨げることがなくなるような見直しを行うこと。
 (5)服用禁止期間が服用中止8週間後までとされていることについて、米国STEPSやその他の規定等を参考にして、見直しを行うこと。
 (6)処方前の手順に関する同意書、遵守状況等確認票等に設けられた患者署名欄について、廃止を含めた見直しを行うこと。
 (7)残薬の回収についても、現実的に実行可能な方法を検討すること。以上となっています。
 今般、サレドカプセルを製造販売している藤本製薬より、この指示事項についての回答及びそれに伴うTERMSの改訂案が提出されていますので、本日、これらの回答及びTERMSの改訂案について調査・審議をお願いするものです。
 資料1です。いちばん上に四角い枠で囲んだ指示事項が書いてある資料です。指示事項(1)です。診察前調査票の方法の変更についてです。現在のTERMSの規定においては、患者さんがサリドマイドの処方を受ける際には、病院に行く前日または直前に、毎回、診察前調査票をTERMS管理センター宛にFAXを送付することになっています。このことについて前回の調査会における議論において、患者さんに大きな困難が生じているという指摘がありましたので、より適切な方法に変更できないかという指示事項でした。
 藤本製薬からの回答ですが、診察前調査票は患者さん自ら直接TERMSの遵守状況や自由な意見を聞くことを目的としていたものであるが、?TERMS遵守状況については、遵守状況確認票A及びBで、医師・薬剤師と患者さんの間で相互に確認がされることから不要であると考えたこと。?診察前調査票の自由記入欄の記入率は4.4%のみであったことから、廃止をするということとされています。
 毎回の処方ごとのFAXによる調査票の送信を廃止する一方で、患者グループごとのリスクに応じて、定期的に患者の避妊に関する状況と家庭におけるサリドマイドの保管状況について、直接的に確認をする方法として「定期確認調査票」を使用することとして、責任薬剤師のほうから患者さんにお渡しいただき、患者さんが記載したものを封筒に入れて責任薬剤師に渡すか、直接郵送することをお願いするものとされています。定期的な確認の間隔については、男性患者が8週ごと、女性患者Bが24週ごと、女性患者Cが4週ごととされています。この定期確認調査票については、別紙1から別紙3、様式でいうと39から41になりますが、ここに添付されています。今回、新たに作成されております様式でもありますので、内容についてご確認、ご検討いただきまして、お気付きの点等がありましたら、後ほど議論の際にご意見を頂戴できれば幸いです。
 次に現在のTERMSの規定では、先ほどの指示事項1にありました診察前調査票のFAXの送信、診療、処方される同一の医療機関内で医師、薬剤師それぞれがFAXを送受信すると1回の処方に対して合計5回にわたるFAX送受信が行われているところです。これについて合理化が可能であるか検討すること、というのが指示事項の2番目でした。
 この指示事項に対して、今回提案されている回答案では、同一医療機関内における医師、薬剤師が行っているFAX送受信を合理化し、薬剤師がまとめて送る、4回を2回に変更する等の回答となっています。この合理化により、診療や処方に要する時間が短縮され、通院される患者さん及び診療、処方に携わる医療関係者への負担が軽減されることが考えられます。
 具体的な遵守状況確認の流れについては、この資料の?から?に記載がされている流れとなっています。この遵守状況等の確認手続きの変更による様式の変更については、次の頁に添付がありますが、右肩に別紙の4から別紙の7と記載のある資料に改訂案が示されています。処方医師と責任薬剤師が患者さんと相互に確認する事項という2枚だったものが1枚に集約されている様式の形になっています。この様式についても今回改訂がなされているものですので、ご意見等がありましたら後ほどご議論いただければ幸いです。
 指示事項の3点目、処方可能な医療機関及び処方可能な医師に関する要件の簡素化についてです。現在のTERMSの規定における処方可能な医療機関及び処方可能な医師に関する要件は、個人輸入の有無等により条件が分けられているとしているため、大変複雑なものとなっており、施設や医師がTERMSに記載されている要件を読んでも、処方が可能かどうかすぐにはわかりづらい状況となっています。そのため、要件についてわかりやすく整理するというのが指示事項の概要です。
 今回提案されている回答については、ここの資料に記載がされているように、簡素化をするということです。施設の要件として2つ要件がありますが、?緊急時の対応が可能なこと。?院内調剤が可能なこと。処方が可能な医師の要件としては、?から?をすべて満たすものという形に簡素化が図られています。
 続いて指示事項の4点目は、薬剤管理者に関する指示事項です。薬剤管理者の選定が困難な患者さんがいらっしゃったり、薬剤管理者と患者さんの都合が合わずに、または遠隔地に住んでいるなどの場合で、事前の教育の際に薬剤管理者の同席ができなかったりすることなどによって、患者さんの速やかな治療、処方の開始を困難にしている状況が生じているというアンケートの結果などが、この指示事項の背景としてありました。
 この指示事項に対して提案された改訂案では、2つの改善案が示されています。1つ目の改善案については、薬剤管理者の選定が困難な患者にも対応できる方策として、薬剤管理者の定義に「医療関係者」を付け加えてTERMS手順上に明示的に示して、「患者の薬剤管理を行い、患者以外の者の誤飲防止や不要になった薬剤の返却を徹底するため等に選定される患者の身近な者又は医療関係者」というような記載に変更することとされています。このことにより、天涯孤独な患者さんの場合でも、医療関係者の方を薬剤管理者として登録することが可能となり、処方を開始することができるようになると見込まれます。
 2つ目の改善案として、事前の教育に薬剤管理者の同席がないと処方が開始できないことについての見直しとして、現在のTERMSの規定に記載がある患者の登録要件についての「薬剤管理者にTERMSの遵守に同意が得られている」という記載に但書を加えて、「原則として、薬剤管理者より本手順の遵守に同意が得られている。ただし、薬剤管理者の都合により患者登録前の教育ができず、薬剤管理者から本手順の遵守に同意が得られない場合は、患者登録後4週を目途に薬剤管理者への教育を実施し、選定する」と変更するとされています。この改善案により、事前に都合が合わない等の理由により、薬剤管理者への教育が行われない場合でも、事後の教育を条件として、患者さんの処方を開始することができるようになるということが見込まれます。
 5つ目の指示事項、服用中止後の禁止事項の禁止期間についての見直しについてです。米国のSTEPSやその他の規定等を参考にして、服用中止後8週間後までの禁止項目について、服用中止後4週間後までに変更するものです。この改訂案に伴って、避妊回避の期間、妊娠検査や禁止項目の遵守状況確認についての手順の変更案が併せて示されています。
 続いて6点目の指示事項ですが、患者さんの署名欄について、廃止を含めた見直しを行うことについてです。多発性骨髄腫患者さんの中には、署名を行うのに大変な困難を伴う患者さんもいらっしゃることから、必要以上の署名について見直しを行うという趣旨です。
 回答としては現在5つある署名が必要な様式のうち、「サリドマイド製剤安全管理手順に関する同意書」、?1と書いてあるところですが、これと2番目の「理解度確認票」以外の3つの様式について、患者署名欄を廃止するというものです。
 「サリドマイド製剤安全管理手順に関する同意書」については、患者本人が手順に同意したという署名が必要なため廃止にはせず、例外的に患者さん本人が署名又は同意を行うことが困難な場合のために、代筆者又は代諾者の欄を新設することとされています。また「理解度確認票」については、患者さんの病状により、患者さんご本人が署名を行うことが困難な場合には、薬剤管理者による署名も可能とするという内容となっています。変更が提案されている様式については、別紙の8から別紙の10、様式でいうと4から6になりますが、添付されているのでご確認いただいて、ご意見等がありましたら後ほどご議論の際にいただければ幸いです。
 指示事項の7番目、残薬の回収についての指示事項です。この指示事項に対する回答については、現在の方法で問題なく回収がなされており、現実的にも実行が可能だと考えられること、残薬を医療機関において廃棄する場合に、医療機関での作業の負担などが増えてしまうことになることから、変更する必要はないと考えているとのことでした。
 以上が指示事項に対する藤本製薬の回答案です。
 続いて、指示事項の改訂に伴いTERMSの変更が生じますので、資料2、新旧対照表が示されています。メインテーブルの先生方にはカラー刷りで資料を配付させていただいていますので、この資料中に赤い文字で記載されているところが変更されているところです。資料の中で吹出しに注釈が書かれているところがありますが、オレンジ色の吹出しがあるところが今回の指示事項による改訂事項、黄色い吹出しが記載整備を行う事項、水色の吹出しはこれまでの調査会等において、既に了承されている変更です。
 今回は、指示事項に伴う改訂について中心に説明をさせていただきたいと考えています。資料の頁が振ってあるところ、2頁の真ん中辺り、「薬剤管理者」と記載がされているところがあります。今回、4つ目の指示事項への回答にありますように、「患者の身近な者」の後ろに、「又は医療関係者」が追記されています。
 続いて3頁です。処方可能な医療機関の要件の簡素化がこのようになされています。続いて5頁、情報提供に関する一覧表が記載されていますが、その下に登録申請前の教育に関する規定があります。5-?に指示事項(4)に対応して、「薬剤管理者の都合により患者登録前の教育ができず、薬剤管理者から本手順の遵守の同意が得られない場合は、患者登録後4週を目処に薬剤管理者への教育を実施し選定する」という文章が追加されています。
 8頁の上の部分、「なお」から記載されている部分で、患者署名等に関する記載の追加がされています。同じ頁の下のほうで、処方医師の要件がありますが左側が変更前で右が変更後ですが、こちらが簡素化されています。
 9頁です。真ん中辺りに患者の登録要件の変更に関する記載があります。続いて10頁のいちばん上に、患者さんの登録に関する規定がなされています。指示事項(6)により患者さんの署名に関する見直しに関して、代筆又は代諾に関する記載の追加がここになされています。
 続いて12頁です。左側の変更前の部分ですが、赤い文字で「リアルタイムに」という記載がありますが、今回、処方の前にやり取りするFAXが廃止されていますので、リアルタイムがなくなったというものです。続いて13頁及び14頁の部分です。ここには処方、調剤等のスキームに関する部分が記載されています。左側の7.2「処方」という辺り、6行目辺りから書いてありますが、遵守状況等確認票(A)というものが廃止されています。これは薬剤師が行う遵守状況等確認票に一本化されているものです。14頁のフローチャートですが、FAX回数の合理化、診察前調査票の廃止及びFAX回数の合理化などが変更された案が示されています。
 17頁は禁止事項の期間の変更に伴う変更が、ここに記載されています。8週間から4週間になったことが17頁、18頁、19頁辺りに記載があります。19頁、変更案のところに8.6「遵守状況等の定期確認」というものが新規に追加されています。これは診察前のFAXのやり取りに代わり、定期確認調査票を導入することに伴って新規に追加されているものです。患者の区分ごとのリスクに応じた頻度については、20頁のいちばん上に記載がありますが、男性患者が8週ごと、女性患者Bが24週ごと、女性患者Cが4週ごととなっています。25頁です。今回のTERMSの変更に伴って生じる様式の廃止、新規の作成、変更について記載がされています。
 続いてTERMSの様式の変更です。様式の資料については同じ資料、様式の4、患者の署名欄について変更がなされているものです。下のところに左側の変更前には「患者記入欄」とあり、本剤使用目的の疾患名、氏名とありますが、右側では変更後のものになっています。様式6についても同様の記載がされています。
 続いて様式の9番については理解度確認票について、主に質問の明瞭化の観点から記載の整備がされています。様式の10番については処方医師の登録申請書ですが、施設の要件、処方可能な医師の要件が簡素化されています。
 様式の21は診察前調査票です。指示事項(1)の見直しで、定期的な確認に変更されたことから廃止をされることになっています。
 様式の24から様式の29です。同一医療機関内におけるFAX送受信の合理化を伴う様式の廃止、様式の変更です。様式の39から様式の41は、廃止される診察前調査票に代わって、新たに導入されることに伴って、追加された「定期確認調査票」の様式です。
 最後の頁に、別表として手順6.4「登録情報」の変更点をまとめた変更対比表が添付されています。資料2の説明については以上です。
 続いて資料3「サレドカプセル50、100の添付文書の改訂について」です。TERMSの改訂に伴い、添付文書に記載されている事項の変更がありますので、それをまとめた資料です。併せて、サレドカプセルの製造販売後調査の結果を踏まえた添付文書の記載事項の変更についても示されています。
 今回のTERMS改訂に伴う添付文書記載事項の改訂指示としては、投与終了後の禁止事項の期間が「投与終了後8週間」となっているものを、「投与終了後4週間」と変更するものです。このTERMS改訂に伴う添付文書の改訂指示に併せて、製造販売後調査に伴って副作用として症例が集積してきたことに伴い、医薬品医療機器総合機構で調査を行いました結果を踏まえて、4「副作用」の(1)重大な副作用の項の中に、「感染症:肺炎等の重篤な感染症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと」についても、併せて添付文書の改訂を指示するものです。
 この改訂については参考資料3に、背景資料として医薬品医療機器総合機構によるサリドマイドに関する副作用の調査結果を添付しているので、適宜ご参照いただくようお願いいたします。
 当日配付資料1です。本日欠席ですが、村上参考人から意見書が提出されていますので、読み上げさせていただきます。
 第5回安全対策調査会へ出席できませんので、私見を述べさせていただきます。
 1.TERMS改訂案について。1)平成22年度第1回安全対策調査会の指示事項に添って、適切かつ合理的に改定されていると思います。RevMateとの相違点が少なくなり、現場の混乱が減少すると考えます。2)として、細かい点で訂正が望まれる部分があります。藤本案「資料1」の指示事項への回答(1)の様式39と41に「性交渉をされましたか」の問いがあります。この質問は旧診察前調査票にはなかったと思います。TERMSにおいては、性交渉の有無は問題ではなく適切な避妊が重要ですので、削除すべきと考えます。藤本案「資料1」の指示事項(2)の様式25で、女性患者Bに「妊娠回避の必要性を説明した」とあります。妊娠の可能性の全くない患者さんですので、これも必要ないと思います。
 2.今後の対応について記載があります。今後もTERMSおよびRevMateの「遵守状況」や「現場における患者さんや医療従事者が感じる問題点」などの検討を継続し、更なる改良を行える環境(当調査会における討議の継続など)を作っていただきたい、というご意見をいただいています。
 続いて当日配付資料2です。事前に事務局より調査会の先生方に資料を送付させていただいていますが、これらについていただいたご意見や、事務局で気になった事項について、論点となりそうな点についてまとめさせていただいたものがこの資料です。この論点整理の資料について、事前に藤本製薬に検討をお願いし、その回答案を1枚目の後に添付しています。
 論点の1番目の定期確認調査票についての(1)です。このご意見については佐藤先生からいただいたご指摘です。「診察前調査票」については、送付の頻度と送付方法を変えただけであるため、廃止ではなく「定期確認調査票」への変更であるという点。また、遵守状況等確認票のように、医師、薬剤師等が確認・管理している手順と一体となって記述されるべきであるというご指摘です。これに対して回答案です。次頁で赤い丸で囲んだところが今回提出されている資料1及び資料2からの改訂されている点となっており、佐藤先生のご指摘を踏まえた形で、廃止ではなく変更にするという形で回答をいただいています。
 続いて資料1枚目の定期確認調査票についての(2)に記載のあるご指摘です。定期確認調査票の送付を知らせる方法や患者からの送付が滞った場合の対応等について、様式のみでなく手順やフローチャートにも明示して、システムとして明確に位置づけるべきであるというご指摘です。
 このご指摘については佐藤参考人及び上甲参考人からいただいたものですが、次の頁、13頁及び14頁と記載があります。もともとの改訂案の資料2において8.6と7.4に分かれて記載されていたものが、ご指摘を踏まえた上で7.4と7.5の部分にまとめて記載がなされております。また、責任薬剤師から患者に対して定期確認調査票が渡されて、患者に対して郵送を促していただくという手順が記載されています。併せて提出が滞ったときの記載として、「責任薬剤師等又は藤本製薬株式会社による連絡にもかかわらず、提出が長期間にわたり滞る場合、患者は本剤による治療が継続できないことがある」という明記がされたところです。併せて15頁のフローチャートについても、手順と手続きが明記されています。
 また1枚目に戻り、定期確認調査票の(3)です。サリドマイド製剤の長期処方に対する対応については、藤本製薬からは先ほどの(1)及び(2)に記載されている手順及びTERMSの運用により対応が可能であると回答をいただいています。
 次に論点2、様式25についてです。女性患者B向けの様式に「妊娠回避の必要性を説明した」かどうかを確認する設問が含まれている点について、この設問は不適切ではないかというご意見でした。この点については村上参考人の意見書、上甲参考人からご指摘をいただいているものですが、ご指摘に対し回答として、様式25から妊娠回避の必要性に関する記述が削除された形となっています。様式25と記載のある赤い丸で囲まれている部分ですが、「催奇形成のリスクについて説明した」という記載になっています。
 続いて論点3、様式39及び様式41についてです。先ほどの定期確認調査票について廃止ではなく変更だというご指摘を踏まえて、それぞれ様式の番号が39から21、41から23へと変更されているので、この資料の右肩の部分の様式21、様式の23と記載のある部分をご覧いただければと思います。この資料の赤い丸で囲まれている部分をご確認いただきますと、男性患者の様式21ですが、ご指摘を踏まえた形で、「性交渉を控えるか、または規定された避妊方法を行いましたか」という表現に変更されています。様式23の女性患者Cの設問の?についても、「性交渉を控えるか、または規定された避妊方法を男性パートナーとともに行いましたか」という設問に変更されています。併せて同じような設問があった様式の30、様式の32については、中止後確認調査票ですが、この様式についても併せて設問が修正されているのでご確認ください。
 最後に論点4、代諾、及び代筆についての確認について、事務局から気になった点としてご指摘させていただいたものです。この代諾及び代筆については、当日配付資料2の横書きの頁、この資料のいちばん最後の10頁と記載のある部分です。赤い丸の部分に回答が示されています。代諾については「薬剤管理者を前提として代諾を認める」という記載がされており、代筆については「第三者として処方医師、看護師、責任薬剤師等の立会いのもと、代筆者が署名を行う」というような改訂案となっています。
 前回の本調査会の指示事項による改訂については、資料1及び資料2で回答がなされているところですが、その改訂案についての論点に対して、当日配付資料2において、資料1、資料2の一部について、当日配付資料2にあるような修正が提案されているので、この点も併せてご検討をいただきまして、TERMSの改訂についてご議論いただけますと幸いです。
 資料の説明については以上です。ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○松本座長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に対して、ご質問、ご意見等はありますか。患者さんの立場から、骨髄腫の患者さんの治療開始が困難な例とか、サリドマイド処方を受ける手続きとか、処方前調査票、通院等の負担状況や処方状況等に関する意見がいろいろありましたが、今回の改訂において、そういうことがかなり改善される見込みがあるかどうか。上甲参考人、コメントしていただけますか。
○上甲参考人 前回の調査会の議論を受けて、指示事項をかなり前向きにご検討いただきまして、大変ありがとうございます。今日ご欠席の群馬大学の村上先生が意見書を出されていらっしゃいまして、ここに書かれていることが、私も同様のことを考えております。村上先生も改訂案について、2点目で「細かい点で訂正が望まれる部分がある」と書かれているとおり、ここに村上先生が書かれていること以外にも、いくつか各論にはなりますが、もう少しご検討いただきたい点がありますので、それはまた議論の中でお話します。
 村上先生も2番目の「今後の対応について」で書かれているとおり、今回の指示事項は、患者さんが治療を受ける機会を逃す可能性があることとか、手順が著しく煩雑であって、TERMSを導入して、サレドカプセルを採用することができない施設があるという、極めて患者さんが治療を受けられないと縛っているルールに限って、とにかく喫緊の課題であるということで、指示事項を7点挙げていただいているので、TERMS導入後、1年半の間に出てきた問題の中で、喫緊の課題がこれらであったということです。
 レブラミドの安全管理システムのRevMateを検討する段階で、この問題は出てきていましたから、RevMateも同じことを検討して、RevMateが出来上がって、TERMSも同じことを検討していただいて、いま大変しっかり検討していただいてありがたいと思うのですが、村上先生も書かれているとおり、まだいくつかの問題が潜在的にあって、そういうことについては今日の課題の議論が終わった後に、委員の先生方、参考人の先生方のご意見を伺った後に、今後の改訂については意見を申し述べる機会を頂戴したいと思っています。
○松本座長 今後新たな問題が起こった場合、それに対処するのは当然必要だとは思うのですが、今回の案で、ある程度は問題の解決ができたと考えてよろしいですか、患者さんの立場から言って。いまの時点でまだ細かい点でいくらかありますか、具体的には。
○上甲参考人 具体的には、今回の指示事項の中でも細かい点はあります。
○松本座長 先ほど事務局のほうで少し論点を整理して、それに関して回答をいただいたわけですが、それ以外にもいくつか、また改善してもらいたい点があるわけですね。
○上甲参考人 はい。
○松本座長 では、それはどういう問題点があるかを言っていただければと思いますが、いかがですか。
○上甲参考人 指示事項の1つ目、定期確認調査票の上の部分の説明文の中に、「ご協力いただけない場合は、サレドカプセルによる治療が継続できない場合もあります」という一文が入っています。これのリマインドの方法は、いまご説明がありましたけれども、責任薬剤師と、または藤本製薬株式会社による連絡となっていますが、製薬メーカーから患者の所に電話がかかってくるということでしょうか。
○松本座長 それはいかがですか。藤本製薬さん、答えられますか。
○藤本製薬(株) できるだけ医療機関のほうから患者さんに連絡をいただいて、何回もそれをこちらから催促させていただくのですが、どうしてもという場合に、我々としては一応お手紙を差し上げるということをまず考えております。我々のセンターのほうから、患者さんに対してお手紙で催促させていただくという形を、いまのところ考えております。
○上甲参考人 藤本製薬さんはよくご存じだと思いますが、第三者評価機関からのお手紙すら受け取るのは差し控えたい、という患者さんがいらっしゃることはご存じだと思います。だから、主治医から受け取ることを選択される方がいらっしゃいますので、その辺りの配慮をどうかよろしくお願いします。
 この書類を出さなければ治療が止められるということは、実はRevMateで、患者さんの間でちょっとした話題になっています。TERMSにはなかったもの、本当はあったのですが、診察前調査票を出さなければ処方できなかったから一緒なのですが、それがRevMateにはしっかり書かれていることによって、薬を止められるのかということが、いまちょっとした話題になっていて。「いや、そうではないですよ」という説明をしているのですが、こういう言葉というのは、患者さんはこれを飲まなければ死んでしまうので、非常に重く受け止めていますから、出されると思うのですが、またそのリマインドがメーカーから来ることになったら、大きな負担を感じる方は、家でこの病気でサリドマイドを飲んでいるということを言っていない患者さんもいらっしゃいますので、そこのご配慮はどうかよろしくお願いします。
○松本座長 そうですね。その辺は当然、そういう配慮が必要だと思います。
○佐藤参考人 いまのことに関連するのですが、これは非常に重要な問題で、このシステムの根幹にかかわることだと思います。1つ確認ですが、患者さんが書かれる定期確認票を配付するのは、医師でよろしいのでしょうか。医師が患者さんに渡すということ。
○松本座長 誰が確認票を渡すかということは、いかがでしょうか。
○藤本製薬(株) 我々は処方のときに、処方して結構ですよという形で薬剤師の先生にFAXで送るのですが、それと同時に定期確認調査票というものを、いつ書いてくださいという形で、同じようにFAXさせていただく形になります。
○佐藤参考人 薬剤師さんが患者さんに渡されるということですね。
○藤本製薬(株) そういうことになります。
○佐藤参考人 わかりました。それで、実は避妊の有無について確認をするのは、この患者さんからの確認票以外になくなってしまうわけです。今回、大幅に改訂がされまして、いままでTERMSでは、医師自身も患者さんに質問をして、避妊をしていたかということを質問していたのですが、その質問項目は今回の改訂で削除されています。ですので、避妊の有無について確認するのは、患者さんに書いていただく定期確認票以外にないのです。
 ですので、この確認がなされないまま薬が処方されるというのは非常に問題でして、そこの頻度は、確かに診察ごとではないにせよ、妊娠可能な女性患者Cが1ヶ月に1遍、男性患者は2ヶ月に1遍、これが送られていない、あるいは直近の確認票に非常に重大な問題があった場合には、やはりそこの医療機関の医師ないし薬剤師と、患者さんとの間でその問題を解決しないと、場合によっては薬を止めるということも、本当に重大な妊娠に直結するような問題があるというのがわかった場合には、そういうことも必要になるわけです。
 その4週ごとが、例えば1週間くらい遅れたというのは、そこまで厳密に言う必要はないのかもしれないのですが、その4週ごとが、例えば2ヶ月経っても来ていなければ、やはりそれは、この場合ですと薬剤師の先生から患者さんに、例えばその場で書いていただくということでもいいのかもしれないのですが、それを出していただくということをmustにしないと、このシステムの根幹が崩れると思うのです。
○松本座長 一応、この何週ごとということに関してはよろしいわけですか。
○佐藤参考人 だから1日遅れたら止めるということは、もちろんそんなことはすべきではないのですが。
○松本座長 一応、この大まかな目安として8週ごと。
○佐藤参考人 そうです。だから、その4週を超えても来ていない場合には、やはり藤本製薬さんのほうから薬剤師の先生に連絡をしていただいて、もしその場で患者さんに書いていただけるなら、その場で書いていただくなり、そういうことをしていただくのがいちばんよろしいのではないでしょうか。そうすれば、藤本製薬さんから患者さんに直接連絡をするということをしないで済むとも思います。
○松本座長 いまのそういう方法の確認で、上甲参考人はよろしいですか。一応、何らかの確認は必要だろうと思うのですが、製薬会社からご本人に直接電話がいくのは、先ほどのご意見があったわけです。
○上甲参考人 はい。よろしいというか、いまどうして「薬を止められる」ということが患者さんの間で話題になっているかというと、患者さんの中で、RevMateの場合も家から医療者を介さずに書類を出すという手順があって、それの意義がよく理解できないから、意義が理解できないのに薬を止められることがあるのか、というところで話題になっているのです。
○松本座長 何らかの形で安全性を確保・確認するというのは必要である、ということはお認めいただいていますか。
○上甲参考人 それは認めています。
○松本座長 ということは、その方法をどうするかということになるわけですね。
○上甲参考人 はい。
○松本座長 ということになると、先ほど先生がおっしゃったように、ほかの形で確認する、何らかの形で確認をさせていただくということに関しては、異論はないですか。ただ、止める止めないというのはかなり最終的なことになるわけでしょう。そんなに簡単に1日遅れているから止めるということではないので、そういうことをあまり強調されるのも。
○上甲参考人 システムの一環ですから、アンケート調査ではありませんので、任意というわけにはいかないということはわかります。その結果止まるということはいた仕方ないというのは、それは理解していますし、それは患者さんにも理解していただかないといけないのですが、患者さんにとると、性交渉するような方でない人もたくさんいらっしゃる中で。
○松本座長 そうですね。運用の仕方に関して、やはり女性患者さんCの場合は、かなり注意をする必要があるとは思うのです。ただ、Bの患者さんに関してはそれなりの判断が、また少し幅が広くなるのではないかとは思うのですが、それくらいの運用は当然やっていただけると思うのですが。やはり佐藤参考人が心配されているのは、特にCの患者さんと、場合によってはAの方ですか。男性患者さんのほうも。
○上甲参考人 Aの男性患者さんの中にも、90歳の人もいれば、40歳代の人もいますから、それをいまここでどうしますかということを議論するのは無理だとは思っていますので、男性患者と、特に女性患者Cの方は、そういうことも聞かれざるを得ない。決められた書式を出さなければ、場合によっては薬が止まることもあります、ということは承知しているのですが、現状をお伝えしますと、患者さんたちはなかなかそれを、自分の身に起こることと、実際に自分の身体と感じられないから、いまどうしてという現状があることを知っていただいて、今後の継続した議論の中に入れていただければと思います。
○松本座長 いかなる形でも、確認の取れない患者さんがおられるということですか。先生から確認を取るとか、そのような方法でも無理な患者さんが中にはおられるのですか。
○上甲参考人 そうではありません。患者さんは必ず病院に来ますから、そのときに先生が状況を聞くことはできますが、新しい改訂案では先生が聞かないことになっているので、患者さんは必ずそれに答えなければいけない。
○松本座長 それは運用の問題で、聞かないということではないですよね。
○安全使用推進室長 上甲参考人からご指摘をいただきましたが、基本的に佐藤参考人がご指摘のように、性交渉の部分は今回は定期確認調査票に委ねられる形になります。それは上甲参考人のご指摘のように、できるだけ患者さんに対してこういった質問を聞く回数、その手間、不快な思いをしなければならない部分を減らそうというところから、今回このような形の定期確認票の中に集約したということだと思っています。
 この定期確認票の中でも、最初に回答で書きましたが、「性交渉されましたか」というような直接的なことは聞かないようにするということで、「控えるか、規定された避妊方法を行いましたか」という軟らかい言い方にするというご提案を本日させていただいています。
 あと、いまの上甲参考人のお話を伺っていますと、この調査票をもらったときに、非常に脅迫感を覚えるのではないか。これに協力いただけない場合は継続できない場合もあるということについて、お読みになった患者さんが強い脅迫感を抱く可能性があるのかと感じました。この調査票を記入後、お渡しいただくか、速やかに郵送してくださいのところまではいいのですが、「協力いただけない場合に治療を継続できないこともあります」という文言は削除して、少なくとも患者さんにご覧いただいたときに、この調査票を見たことによって恐怖感を覚える、また治療の継続において支障が出るようなことがないようにするというのが、1つのやり方なのかなと思います。
 ただ、佐藤参考人がご指摘のように、これが回収されないこと自体が、安全確保において問題があるということだとすれば、調査票の送付が滞った場合には藤本製薬から責任薬剤師に確認をして、できるだけ責任薬剤師から患者に対する確認を行う、またはその主治医からそういったものを伝達するなど、適切に回収されるような努力を行う、そういう手順を盛り込む形でそこを補っていく形にして、できるだけ患者に対して心理的な負担がないような方法を、現場の先生方には負担になる部分もありますが、そういう形の対応として、いま出ている調査票の様式を直していただくような形での対応はいかがでしょうか。
○上甲参考人 ありがとうございます。それで結構です。
○松本座長 被害者の立場から、佐藤参考人はいまのような確認の方法でよろしいですか。
○佐藤参考人 基本的にはそれでよろしいのですが、上甲参考人が前回から心配されているのは、いちばん最新の当日配付資料2の、例えば8頁で「性交渉を控えるか、または規定された避妊方法を男性パートナーとともに行いましたか」とあります。男性の患者のAの場合もそうですが、そもそも性交渉を基本的にはなさらないという患者さんにとっては、この質問自体が無意味だと感じられるということなのだと思うのです。そこの「控える」という表現を変えれば、もう少し当てはまる質問になるのかなとも思うのです。わかりませんが、例えば「性交渉をしなかったか」というような。自信はないのですが、そこは何か当てはまるような質問に変える工夫の余地はあるのかもしれないと思います。
 もう1つです。いまのことで重要なのですが、当日配付資料2の5頁です。ここのフローチャートに、「処方医師」と「責任薬剤師等」があるのですが、その右側に患者さんを入れて、患者さんからの定期的な確認票という矢印があって、その直近の定期確認票に問題がないことを藤本製薬が確認すると。それで、もしそこに重要な問題があった場合には、薬剤師から薬を渡すときに、藤本製薬から薬剤師に連絡がいくという矢印が必要ではないかと思います。それは問題の重大性によりますが、直ちに薬を止めるということにはもちろんしなくていいわけで。ただし何かそこに問題があるのならば、早いうちに医師、薬剤師、患者さんとで話をして、その問題を早めに解決しておくことが大事かと思います。
○松本座長 そのように変えていくことは、藤本製薬さんのほうは可能ですか。
○藤本製薬(株) フローチャートを変えるということですか。
○松本座長 これは検討してみないと。
○藤本製薬(株) 薬剤師にバックするという形でと。
○松本座長 その辺に関して事務局から何かありますか。
○安全使用推進室長 特段ございませんが、15頁のフローチャートについては、「処方医師」「責任薬剤師」と2つの縦のカラムがあるのですが、その右側に「患者」というカラムを追加するというご指摘だと思います。そこの確認を入れる形で、藤本製薬にもお願いしたいと思います。
 それと、15頁の真ん中辺りで、全体に丸が2つあるように見えるのですが、左の丸の部分に「責任薬剤師又は藤本製薬株式会社による連絡にもかかわらず」とありまして、「滞る場合、患者は本剤による治療が継続ではないことがある」とわざわざ書いている部分があるのですが、ここは削除したほうがいいと思います。佐藤参考人がご指摘のように、右側に患者のカラムを作って、そこの手続きを明確にすることにして、左側の丸は取るということでいかがでしょうか。
○松本座長 上甲参考人は、これでいいですか。
○上甲参考人 そこはいいです。当日配付資料2のと7頁の?の「精子・精液を提供しましたか」というところも、どうにかなりませんか。これはTERMSで規定されている禁止事項の中から、禁止事項を守っているかということで、その中から選ばれたうちの1つだと思うのですが。
○松本座長 どうですか。カットする理由は、その年代にないということですか。ないとは思うのですが、男性患者なので。佐藤参考人、?をカットするというのはいかがですか。
○佐藤参考人 患者さんの実状から考えて、滅多にあり得ないということであれば、なくてもいいのかなとは思いますが。
○上甲参考人 村上先生がいらっしゃらないのでご意見を伺うことができないのですが、村上先生は、常に女性患者Bの授乳と、男性患者の精子・精液の提供はあり得ないと言われていました。私もあり得ないと思うのですが。
○松本座長 普通はあり得ないと思うのですが、書いて、ある程度不都合であれば、カットしても構わないのですが。佐藤参考人としては、カットしてもよろしいですか。
○佐藤参考人 現状から滅多にないということであれば、いいのではないかと思います。重要なことは、性交渉をしないか、または避妊をしたかということの確認が重要で、それに比べると、精子・精液の提供という滅多にないことについて、毎回聞くほどのことではないと思います。
○松本座長 土屋委員はどうですか。
○土屋委員 全体のこの票の中で、?、?、?、?は薬剤の管理に関する話です。?、?が禁止事項を遵守しているかということなので、最後のところに、禁止事項を遵守しているかについてまとめて聞いて、本来いちばん大事である管理を適正にしたかとか、ここでいうところの?、?、?、?の遵守状況を主とした調査票という形にするといいのではないかという気がいたします。
○松本座長 事務局からどうぞ。
○安全使用推進室長 この定期確認調査票の中で、「精子・精液を提供しましたか」という部分のご指摘をいただきました。もともとの資料2の様式の4です。これは男性患者の治療開始に当たっての同意書の様式です。この真ん中の辺りですが、「定められた期間中は、精子・精液を提供しません」と事前の同意の中で宣言をしている形になっています。これはわざわざ署名までされて、それをちゃんと守るのだと宣言されています。滅多に精子・精液の提供は発生しないということであれば、事前に宣言をいただいて、署名されるということで、あえて定期確認は要しないことにしてもいいのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○松本座長 いかがでしょうか。ここで誓約しているわけですから、よろしいでしょうか。佐藤参考人、いかがですか。
○佐藤参考人 いま土屋先生が言われましたが、いちばん最後のところに、その他の禁止事項を守りましたかという質問にして、その他の禁止事項のところに、献血をしないとか、精子・精液を提供しないとか、小さな文字で書いておいて、「その他の遵守事項を守りましたか」という質問であれば、全体を含む形で、かつ直接的な聞き方でない形で、だいぶ和らげられるのではないかという気がいたしますが。
○松本座長 いかがですか。上甲参考人から何か意見はありますか。
○上甲参考人 いま事務局が言われたように、最初に同意してサインまでしていますので、本当に直接的に胎児ばく露にかかわることでないなら、できれば書かないでほしいというのが患者の本心です。
○安全使用推進室長 いま両先生方からもいろいろなご指摘をいただいたところですが、この様式というものの目で捉えたときに、「その他」という項目を作って、かつ「その他」というと一体何だということも、非常に具体的に思い出さなければいけない状況になってしまうことも想定されます。そこに小さな字でいろいろなことを書くこともあるのかもしれませんが、それがまた一方で、ここの「精子・精液を提供しましたか」と同じような効果になってしまわないかというのが、いまのお話を伺っていて我々もやや懸念する部分があります。
 そうだとすれば、?の項目だけということであれば、先ほど佐藤参考人もおっしゃられましたように、ほとんど機会がないということであれば、同意の中でも確認していることでもありますし、?だけを切る形で、シンプルにご対応いただいてもいいのかなという感じがするのですが、いかがでしょうか。
○松本座長 いかがですか、土屋先生、よろしいですか。
○土屋委員 もちろん同意をするときに各項目は書いているわけですが、その同意をしたことを忘れていないことのリマインダーをどう図るかという意味なのです。だから、同意書にある禁止事項を守っているかを確認することができればいいので、個別の細かなことを言うというよりは、そういうことなのかなという気はします。
○上甲参考人 診察室でも、精子・精液のこと、妊娠回避の必要性は主治医から確認されるのです。だから、患者は自分でも申告して、診察室でも同じことを言われるということがあります。だから、最初に同意したから、そこから先は、定期確認調査票に質問がなかったら誰にも何も言われないという状況ではないのです。ダブルで確認しなければいけないというのは、診察室で医師からいちばん確認されなければいけない大事な点は、女性患者Cが妊娠検査反応が陰性であることで、そこは医師しか確認できません。極端なことを言えばそこだけなのですが、男性患者は精子・精液のことを医師から確認されていますので、まだ自分でも申告するかというところが、患者さんは腑に落ちないのです。
 腑に落ちないのだけれども、すごく重要な書類だというところで、患者さんの間で話題になっているということですので、最初に同意したら、あとはもうないというのはよろしくないということならば、医師から確認するだけか、患者さんが自分で書くだけか、どちらかにできないでしょうか。
○松本座長 上甲参考人は、?は完全にカットするということですね。それに相当する項目を入れることも反対であると。
○上甲参考人 反対です。遵守状況を診察室で医師から確認されるので、それで十分ではなかろうかと思います。ただ、避妊は患者さんしか知らないでしょということだったら、どんなお年寄りの男性患者さんでも、言葉をうまく使ってもらって自己申告するのは結構ですが、そこまででお願いしたいです。
○安全使用推進室長 いまの上甲参考人のご指摘のような形で、この遵守状況の確認票の様式の24がありますが、この中でも精子・精液の提供の禁止について説明をした、受けたことを確認する欄があります。また、それを改めて、ほとんど機会がないものに対して、定期のほうで聞かれると。「その他」としたとしても、思い出してまたここに個別具体的に小さな字でも書かないと、聞かれてしまうということだとすると、「その他」で書いたとしても、同じようなことになってしまうのではないかというところもありますので、同意の部分があって、遵守確認票の部分があって、その中でご確認をいただいて、定期確認票からは?を落として、特段「その他」を付けずに、今回はご了解をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○松本座長 そうですね。遵守確認票もあるので、医師が確認していますので。佐藤参考人はいかがですか、この?をカットするのは。
○佐藤参考人 医師が説明して、チェックすることになっていますので、よろしいかと思います。
○松本座長 そのような形にすれば、定期確認票を導入すること自体には、上甲参考人も佐藤参考人も異論はありませんね、このようなシステムを導入することには。
○上甲参考人 結構です。
○佐藤参考人 再確認ですが、女性患者Cの確認票の「授乳をしましたか」も、取るということでよろしいのでしょうか。削除していいと私も思いますが。
○上甲参考人 是非そうしてください。
○松本座長 よろしいですか。
○安全使用推進室長 最後の1点ですが、先ほど佐藤参考人からご指摘があったところで、女性Cと男性の方の両方に共通するのですが、「性交渉を控えるか」という文言については、「性交渉がなかったか」「性交渉の機会がなかったか」というのを頭に付け加えるような対応かと受け取っていたのですが、いかがでしょうか。
○松本座長 上甲参考人、いかがですか。
○上甲参考人 それで結構です。
○安全使用推進室長 患者さんの立場から見たときに、「性交渉がなかったか」という聞かれ方をするのと、「性交渉の機会がなかったか」という聞かれ方をするのと、どちらが心理的な負担が少ないかなというところで、我々も逡巡するところがあるのですが、いかがでしょうか。
○上甲参考人 直感的には「性交渉はなかったか」ではないかと思います。
○松本座長 この度FAXの回数が減らされましたが、その1つとして診察前調査票が廃止されました。このことに対して、上甲参考人から特にコメントはありますか。
○上甲参考人 大変結構な改訂で、ありがとうございます。
○松本座長 これは病院のほうから考えますと、同じ医療機関内で、医師と薬剤師のそれぞれからFAXを送付していたものが改善されたわけですが、これに関してはいかがですか。
○遠藤参考人 現実的には、医師のほうでFAXのチェック漏れなどいろいろあって、そこで結構時間がかかっていますので、今回RevMateも薬剤師のほうで一本化になったので、同じようにするのは院内のシステムとしてはこのほうがいいと思います。
○松本座長 TERMSの第三者評価委員会で実施しているアンケート等の結果を踏まえて、今回の改訂案でこのような状況が改善されるかどうかについて、那須先生からコメントをいただけますか。
○那須参考人 私は改善されると思っています。1つだけ意見を出そうと思ったのは、「なかったか」というときに、答えが「はい」「いいえ」で、我々はなかった場合に「はい」と言うのですが、英語では「NO」というように、アンケートをすると、電話アンケートの場合に患者さんは常に冷静に対応されるのですが、緊張された場合、なかったかというときには、ふと違うことをおっしゃる場合が、それに近い表現のときにありましたので、そこはご考慮いただければありがたいと思います。
 基本的には、これで患者さんの負担は減っていますし、我々もバックアップとして、年に1回はそういうことをやっていますし、患者さんに対して医師も言っているので、ダブルチェックはできていると思っています。
○松本座長 ほかにございますか。これまでのことをまとめてみますと、前回5月に開催された本調査会において、サリドマイド製剤の安全管理方策を実施していく中で、患者、医療機関に大変ご負担を強いている現状が明らかになりまして、改善のために指示事項を藤本製薬さんにお願いし、今日提出していただきました。今回の指示事項を受けて、藤本製薬さんから提出された、指示事項等の回答及び改訂案の内容について、この調査会でいろいろとご意見を伺ってきました。最後にいくつかの点で確認をさせていただきますが、事務局からお願いします。
○安全使用推進室長 本日事務局から、藤本製薬の指示事項に対する回答と、論点で修正した部分について、ご紹介をさせていただきました。それに基づいて、本日いろいろなご審議をいただきまして、それに対する確認ということで申し上げます。
 1つ目は、TERMSの遵守状況の確認の方法です。患者からの確認方法ですが、これまで患者が診察日の前日までに毎回、診察前調査票をFAXする手続きを行っていたわけですが、これに変えて、患者ごとのリスクに応じた期間ごとに、定期的に「定期確認調査票」を用いて行う方法を導入するということでよろしいかと思います。また、その手順、フローチャートについては、ご指摘をいただいたように、医師、薬剤師等が確認・管理している手順を示していますが、その手順の中に一体として記載する。また、フローチャートについては、いちばん右側に「患者」という欄を作って、その患者さんにおいて確認調査票を出して、その中身を確認するところをフローチャート上も明確にするということで、よろしいかと思います。
 あと先ほどご議論がありましたように、患者からの定期確認票の送付が滞った場合については、藤本製薬から責任薬剤師に確認をし、できるだけその責任薬剤師から患者に確認を行うか、またはその主治医から伝達をするなど、患者の状況に応じて適切に回収がなされるような手順を導入する、ということでよろしかったかと思います。
 この2つ目の点に関連をして、様式の21から23の中で、「ご協力いただけなかった場合に治療が継続できない場合もある」という文言が書かれていますが、この部分は削除させていただきます。また、様式21の男性患者の場合と、様式23の女性患者Cの?で、精子の提供と授乳の関係の質問については、併せて削除させていただきます。同様に様式の21と23ですが、?の冒頭に「性交渉を控えるか」という質問の部分については、「性交渉がなかったか」という聞き方に修正する形でご理解をいただいていると思いますが、その部分の確認をいたします。
 同一医療機関内におけるFAXのやり取りを合理化する、医師が処方数量等を記載し、記入した上で、薬剤部に提出いただいて、責任薬剤師が内容を確認したあと、FAXを送受信するということで、FAXの回数を減らすことについて、ご確認をいただきました。
 本日特段ご議論をいただいていませんが、藤本製薬の改訂案をご了承いただいたということで、処方可能な医療機関及び処方可能な医師に係る要件については、日本血液学会の研修施設であること、個人輸入の経験の有無による要件の区別によらずに、TERMSへの遵守や専門性等による要件へと変更させていただくこと。
 これも同様ですが、薬剤管理者の選定が困難な場合においても対応が可能となるように、「患者の身近な者」に加えて、「医療関係者」も薬剤管理者になれるような形を明記させていただき、またその薬剤管理者への事前の教育が困難な場合は、患者登録後4週を目処に教育を実施することを可能とするといったところも、確認をさせていただきます。
 服用中止8週間後までの禁止事項及びその遵守状況の確認について、服用中止4週間後までに変更させていただくところも確認させていただきます。
 TERMSに関する同意書、確認票等の患者署名の見直しを行いまして、必要最小限の署名欄とすることということで、今回ご提案をいただいていまして、それについても、原則ご了承いただいたということかと思っています。
 また、代諾と代筆の部分については、これは事務局から訂正を申し上げなくてはいけないかと思っています。代筆については、第三者の方の立会いの下に行うということでご紹介しましたが、代諾については、当日配付資料2の通しの11頁の右側の部分で、登録申請のところに赤い丸が打ってあるところです。「患者本人の署名が認知症等により困難な場合は、薬剤管理者を前提として」と書いてあります。薬剤管理者ということですと、前回もご議論いただいたように、遠方の方々になってしまったり、代諾を認める場合の人を選ぶときに、いろいろな不都合が生じるおそれがないか。
 一般的に我々が調べたところですと、さまざまな臨床研究の倫理指針とか、GCP等の代諾の中では、むしろ薬剤管理者という縛りというよりは、患者の配偶者とか、親族または親族に準ずると考えられる方という形で広く書いてありますので、むしろ薬剤管理者に絞ることによって、代諾をされる方の選択を狭めるようなことがあると不都合かなということもありますので、ここは親族またはそれらに準ずると考えられる者という形にして、あまり薬剤管理者に絞ることで不都合が生じないような形、他の臨床的な指針等との整合性を取ったものに、ここは少し直させていただいたほうがいいかと思いましたので、そこは最後に事務局から、修正等のご確認をお願いしたいと思います。
 本日の回答事項の(7)ですが、残薬の回収については、これまでどおり、藤本製薬が責任をもって回収を行うということの回答を、ご了解いただいたものとして確認させていただきます。
 途中、上甲参考人からもご指摘いただきましたが、事務局はTERMSの実施状況を引き続きよく監視をし、当然第三者委員会でのご議論も、安全対策部会で定期的にご報告いただくような形としていますが、改善を要する点について情報収集に努め、また必要に応じて、引き続き安全対策部会、安全対策調査会において議論していくことを改めて確認させていただければと思います。
○松本座長 ただいま事務局が読み上げた確認事項を確認していただけますでしょうか。
○土屋委員 先ほど那須参考人がご指摘になったことはすごく大事で、「なかったか」と聞いたときに、「はい」の下に(なかった)というぐらをい付記しておいてあげれば、いわゆる答える上での否定型を使ってしまったときの答えのエラーはあり得るので、そこは付記をして、「はい」と「いいえ」が逆にならないようにすることは必要だと思います。
○那須参考人 この分厚いものの56頁をご覧ください。前回、確認事項のところは、例えば妊娠は「なかった」「あった」、精子提供は「行っていない」「行った」。そのほうが、特に慌てた場合などは間違いが少ないというので、こうされたと思うので、「はい」「いいえ」がいい場合もあるし、いろいろとケースがあると考えられますので、ご配慮をお願いします。
○松本座長 それはそのほうがいいと思います。
○遠藤参考人 どこで言おうかと迷っていたのですが、最後の(7)の「回収」のところです。ここがRevMateと違ってくるところで、確かに回収してくれるというのは、いいようなものなのですが、薬剤部では2つのシステムが動くようになってしまいます。
 私もここはすごく迷ったのですが、来る前に、両方が入っているところを2施設の薬剤部に確認をしたら、2施設とも、わざわざ回収してくださいと電話をして待っているよりは、前にもお話しましたように、薬剤部では自分のところで立会いの下で責任をもって、麻薬の調剤済み廃棄というのを普段からかなりやっているので、2つのシステムが動くより、自分のところで廃棄したほうがいいと、2施設からそのような返事をもらいました。RevMateとTERMSは使うものは違いますが、今回かなり似てきているので、薬剤部主体でシステムが動くことになるので、できれば同じような形にしたほうがいいと思います。
○松本座長 その辺に関して、ほかにご意見はございますか。
○土屋委員 基本的に薬剤師は、最後の処理の話とか、もともとこういうものはきちんとしなければいけないことはわかっているわけですし、そこは信用していただいてもいいのではないかという気はします。むしろ似て非なるものがいろいろあると、逆に間違うことがあってもいけないので、きちんとやることについて、これをやらないものはいないと思います。サリドマイドを個人輸入しているときでも、かなり厳格にやっていましたので、そういったことを含めて、できれば両者は一緒でも構わないのではないかと思います。当然麻薬に準じた管理の仕方はすると思いますので、薬剤部での処理を考えてもいいのではないかと思います。
○松本座長 この点に関して藤本製薬さんから何かありますか。
○藤本製薬(株) サリドマイドの場合は個人輸入がされていて、それがまだ薬局なりに残ったままにあって、たまたま私どもがこれを回収するといったときに、個人輸入のものも一緒に持って帰ってくださいということがありましたので、サリドマイドをどう処理していいのか迷っている施設もあるのかなということで、我々がお引受けしたほうがはっきりするのではないかと考えて、今回提案させていただいています。
○松本座長 2つの役目によって違うというのは、確かに面倒なところもあるのでしょうけれども、いろいろな病院があるので、どうなのでしょうか。
○遠藤参考人 TERMSは回収するとなっているので、それを見て、個人輸入のサリドマイドを持っていると、自分で処理をしてはいけないのかなと医療機関側は思ってしまったので、持っていたのではないかと思うのです。ですから、ここを医療機関の責任できちんと処理をするという手順にしていただければ、そこはきちんとやりますので、ご安心いただけるのではないかと思います。
 現在も藤本製薬さんが回収していくのですが、後日になって受け取りましたという書類が来るので、その間の対応も、薬剤部としては、回収されて最終的に決着が付くまでに何日もかかることもあって、自分のところでやるのであれば即日最終的な処理ができることになるので、そのほうが医療機関としてはいいのだという考えだと思います。
○松本座長 当事者のお二人がそうおっしゃっているのですが、どうしますか。
○安全使用推進室長 両者のご指摘はそのとおりだという部分がございます。こういうことができるかどうかというところもあるのですが、従来個人輸入のときから、自施設で処分されているところについては、自施設で処分をいただく。一方、回収を依頼したい場合については、藤本製薬が回収をするという形で、その医療機関の薬剤師の管理における希望に応じて、どちらかを選べるような仕組みにしていただいて。その代わり、自施設でやる場合については、先ほどお二人の先生方がおっしゃいましたように、調剤済み廃棄を徹底していただくという書きぶりにすることはいかがでしょうか。
○松本座長 そういうシステムは可能でしょうか。確かにそれは理想は理想なのですが、病院もちゃんとしたマニュアルを作ってチェックしていかないといけないと思います。そういう形でよろしいですか。その点をそのように改めることによって、先ほどの事務局から申し上げたことを確認していただけますか。上甲参考人、何かありますか。
○上甲参考人 資料1の11頁の指示事項の(4)の薬剤管理者のところです。これもこの規定によって、治療を受けられない患者さんが生まれていましたので、随分よくしていただいて大変ありがたいのですが、この?の下の段の変更後を読んでいたら、患者の登録、教育のときに必ずしも薬剤管理者は同席しなくてもいいけれども、4週を目処に、必ず一度は薬剤管理者は病院に来て教育を受けて、薬剤管理者用の同意書にサインをしなさいということでしょうか。
○藤本製薬(株) そのとおりです。
○上甲参考人 そうしましたら、?に「薬剤管理者の住居が遠方などの理由により事前の教育が困難な場合があり」と書かれているのですが、PMDAでやっていただいた調査で、登録のために患者と一緒に通院することが困難であるということは出てきています。そのうち70%の人は、薬剤管理者になる人が仕事等で忙しいので、平日に病院に行けないという理由なのです。10%が、薬剤管理者になる人が遠方に住んでいることと上がっています。実態としては、4週間という猶予をもらったとしても、ほとんどの病院は土曜日はやっていませんので、平日に薬剤管理者が行くことになると、70%の人がそれなりに困難だということになり得ます。
 薬剤管理者は、胎児ばく露防止のためにどう設定すればいいのかを思い返すと、本当に自分で管理できない患者さんは1人で病院に来ることもありませんから、必然的にその人が薬剤管理者になって、一緒に教育も受けて、その場で署名もして、それで完結します。
 一方、1人で病院へ来られる患者さんは管理も自分でできますので、そういう方に設置する薬剤管理者をどうしてもmustで病院に来てもらって、医者から教育を受けて、サインをもらうことが薬剤管理者として必要なのか、という議論をRevMateのときもしています。そのときはかなりの議論をして、来られない場合は家族用の資料を渡して、必ずしも薬剤管理者本人が教育を受ける必要はないということになっているのです。
 薬剤管理者の人が来るのが困難な理由がいろいろありまして、薬剤管理者が病気である、高齢で歩行ができなくて病院に行けないという理由が、PMDAの調査で実際に上がってきているので、4週の猶予をもらったからといって、困る人は出てきます。そういう人は自分で管理できるから、薬剤管理者を必ずしも置く必要はないという実態がありますので、ここはご検討を願えませんでしょうか。
○松本座長 安全管理をするわけですから、薬剤管理者は理解能力はあると考えれば、書類上で処理するという手もありますので、その辺はいかがでしょうか。必ずしも面接でなくても、書類を送って、それによってサインをしてもらうという方法を取ってもいいのではないかと思うのですが、それは運用上の問題で処理できないですかね。
○安全使用推進室長 いまのご指摘は、薬剤管理者の方はウィークデーにはなかなか移動できないという事情とか、薬剤管理者であればきちんと読んで理解できる能力もあるわけですし、改めて病院に行って教育を受けなければならないということではないのではないかと。そういうことを考えると、いま座長がご指摘のように、この資料2の様式の7ですが、「サリドマイド製剤安全管理手順に関する同意書」ということで、これは薬剤管理者の方がご記入される様式です。この様式のチェックボックスにチェックをしていただいて、最後に薬剤管理者の方の署名をいただくことになっています。これを郵送でできる形にすると。郵送でやったものを、きちんとTERMS管理センターでも確認をいただくというような手続きに変更することかなと思いますが、それでよろしゅうございますか。
○松本座長 上甲参考人はそれでよろしいですか。それならば何とかなるということでよろしいですね。藤本製薬さん、そのように改訂してもよろしいですか。
○上甲参考人 薬剤管理者はいていいし、来られるならば教育にも来ていただいたほうが、それに越したことはないので、そのような書きぶりにはなりませんか。RevMateはそのような書きぶりにしてもらった記憶があります。
○安全使用推進室長 例えば資料2で申し上げますと、5頁になります。右側の変更案の但書の部分が赤で書かれていまして、「ただし、薬剤管理者の都合により患者登録前の教育ができず、薬剤管理者から本手順の遵守に同意が得られない場合は、患者登録後4週を目処に薬剤管理者への教育を実施し選定する」と書いています。
 原則はこういうことで、原則はこのように選定をすると、原則を付けさせていただいて、「ただし薬剤管理者が教育に参加できない特段の事情がある場合においては、様式7を郵送することも可とする」というような改訂を行うというのが、いまのご指摘の趣旨かなと思いますが、いかがでしょうか。
○松本座長 よろしいですか。
○上甲参考人 はい。
○松本座長 佐藤参考人もよろしいですか。ということで、先ほどの事務局の、そのような点を改めた上で確認していただけますか。
○大野委員 先ほどの代諾者のことで気になったのですが、臨床試験のときの代諾者と、この場合の代諾者の責任の範囲が違ってくると思うのです。代諾者は、患者に代わってこの同意書に載った事項を遵守する責任が出てくるのではないかと思うのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○安全使用推進室長 確かにご指摘のように、臨床試験を実際に行う場合と、責任関係は、代諾者の負う部分のところはあろうかと思います。ただ現状、ほかによって立つような、参考となるような指針が見当たらないところがありまして、同じ薬事の中で対応するものということであれば、できれば既存の指針という範囲の中で当面やっていただく形なのかなということで、先ほども申し上げましたように、親族またはそれらに準ずると考えられる者という形をご提案させていただきました。
○大野委員 同じように、この同意書を守る責任があるということを、代諾者が理解できればいいのですが、それだけです。同意書を守ることも患者さんはできないので。
○松本座長 よろしいですか。ご異論はございませんか。特になければお認めいただいたものとさせていただきますが、よろしゅうございますか。
(異議なし)
○松本座長 どうもありがとうございました。事務局はTERMSの実施状況を引き続き注視して、改善を要する点等について、情報収集に努めていただきたいと思います。よろしくお願いします。その他に何かございますか。
○事務局 引き続きTERMSの実施状況や遵守状況については、よく注視して、適切な取扱いがなされていることを確認するとともに、今後とも、第三者評価委員会等を通じて、更なる改善等を要する点等についての検討を継続し、必要な場合等については本調査会でご審議をいただくことにしたいと考えています。
 本日はTERMS及びその添付文書の改訂についても、併せて一部修正を加えた上でご了承いただいたところですので、藤本製薬には、医療機関等における情報提供等を速やかに行うように指示をすることといたします。また、行政側においても、本調査会の配付資料等を厚生労働省のホームページ等に掲載するとともに、都道府県等自治体や関係学会宛にも通知を行って、広く周知を図っていきたいと考えているところです。
○安全対策課長 最後に一言ご挨拶させていただければと思います。本日は大変有意義な議論ができたと思いまして、先生方のご協力に感謝申し上げたいと思います。
 このTERMSの中身につきましては、サリドマイドの発売以来、安全管理を確実にするということで、患者様に遵守をしていただきながらやってきたわけですけれども、先ほど上甲参考人からご指摘ありましたように、かなりのご負担をおかけして、または治療の機会を制限するような場面もあったかに聞いております。そういったサリドマイドの経験をもとに、RevMateについては、すでに対応が一部反映されているところでありますし、そういったことも踏まえて、今日TERMSについて突っ込んだご議論をいただけたものと思います。
 これでまたTERMSについては、より患者さんの負担を軽減、または治療の機会を奪うことがないように改善を図っていきたいと思いますけれども、さらにまだ負担となっている部分、また改善できる部分について、いろいろ今後もご指摘、ご検討いただければと思います。事務局としては安全確保を図りながら、患者さんの負担を軽減、または治療の機会を奪うことがないように対応を進めていきたいと思いますので、是非引き続き先生方には、ご協力をいただきたいと思います。
 本日は大変長い時間になってしまいまして、こんな遅い時間になりまして大変申し訳ございませんが、本当にありがとうございました。
○松本座長 本日の会議をこれで終了いたします。長い時間、活発なご議論をありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課
(代表電話)03-5253-1111

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