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2011年4月19日 第3回社会保障審議会第3号被保険者不整合記録問題対策特別部会議事録

年金局

○日時

平成23年4月19日(火)9:30~11:20


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○出席者

本田 勝彦 (部会長)
山崎 泰彦 (部会長代理)
岩村 正彦 (委員)
海辺 陽子 (委員)
大山 永昭 (委員)
見城 美枝子 (委員)

○議題

(1)検討すべき論点について
(2)その他




○議事

○本田部会長 おはようございます。それでは、ただいまから第3回「社会保障審議会 第3号被保険者不整合記録問題対策特別部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、大変御多忙なところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、まず、本日の委員の出席状況につきまして、事務局からお願いいたします。
○古都総務課長 本日は、委員の皆様、全員御出席という御連絡をいただいておりまして、若干交通機関の都合でちょっと遅れておられますが、後ほどお見えになると思います。したがいまして、委員会成立の要件を満たしておりますので、御報告申し上げます。
 なお、今日は、説明の関係で補佐も説明者に加えていただければ幸甚に存じます。
○本田部会長 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料につきまして確認をさせていただきたいと思います。
 では、事務局、よろしくお願いします。
○古都総務課長 本日の配付資料は、議事次第、座席表に加えまして、資料といたしまして「第3号被保険者不整合記録問題対策に関する主な論点(未定稿)」です。これは、委員の皆様方の御意見を事務局が暫定的にとりまとめたものでございます。これが、資料でございます。
 以上でございます。
○本田部会長 それでは、議事に移らせていただきたいと思います。
 前回の特別部会で論点ごとに意見をまとめていただくよう、委員の皆様にお願いいたしまして、いただいた御意見につきまして、事務局において論点表として整理していただきました。
 本日は、この論点表に基づきまして、それぞれの論点ごとに議論を進めていきたいと考えております。
 それでは、論点表の最初の論点でございます、総論として全体に関する事項及び不整合期間についての評価、考え方につきまして、まず、事務局から簡単に資料の説明をお願いいたします。
○小岩補佐 それでは、事務局から資料について簡単に御説明させていただきます。年金課課長補佐の小岩と申します。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料「第3号被保険者不整合記録問題対策に関する主な論点(未定稿)」と題しております資料でございます。
 1ページ目、まず、全体に関する論点、それから不整合記録問題、不整合期間についての評価、考え方に関する委員各位の御意見をここに記載しております。
 まず、全体に関する事項でございますが、保険料を支払って給付が出るというのは原則である。そして、その中で、かつどうやって今の問題を片付けていくのかを考えなければいけないという意見をちょうだいしております。
 それから、公的年金制度に対する国民の信頼確保が図られるような対応とする必要がある。
 被保険者、受給者の間の公平性を確保する必要がある。
 無年金者、低年金者が生じないような対策を講じる必要がある。
 国民的合意や年金確保支援法案との整合性を図りながら迅速な対応が求められる。
 将来に向けて再発防止とシステムの改善を図る必要がある。
 第3号被保険者制度の在り方についても、今後検討が必要ではないか。
 こういったような意見をちょうだいしているところでございます。
 次に、不整合期間についての評価、考え方としていただいている意見でございます。
 まず、医療保険と年金が連動することや、これまでねんきん定期便によって、記録が誤っていることをお知らせする機会もあったことを考えると、本人の責任が非常に重いのではないかという意見をちょうだいしております。
 それから、95%はきちんと手続を行ってきたものであり、残りの5%が届出を怠ってきたものである。ルールを守らなかった結果、これをやむを得ないというものとして受け入れている方がほかにも大勢いらっしゃるという中で、なぜこうしたものだけ特別扱いをしなければならないのかといったような意見もございます。
 夫が厚生年金をやめれば、妻も第3号被保険者をやめるという仕組みがなかったことが問題である。不整合の話は、対象となる人をしっかり把握してピックアップするシステムをつくっていなかったから起きたといったような意見もございます。
 それから、行政も保険料を徴収する責務を課せられているというわけであり、本人の届出義務だけを問題にすることができるか。不整合記録のある方が、およそすべて届出をすべきと知っていたのに、それを怠ってきた者であると、そういう確証もない。きちんと届出をして保険料を納めてきた人と、納めていない人とを同じように取り扱ってよいかという公平論の指摘はあるんだけれども、確信的な未納者と今回の不整合期間がある人とは異なる面があり、納めていないということでパラレルに考えていいのかということについて疑問である。
 手続をすべきであることを知っていたのに、これを行わずに、保険料も納めずにきた人と、手続をすべきであることを知らずにきた人とは異なり、これを同等に扱うのは公平ではないのではないか。
 一方、届出の勧奨状を行っていたということと、本人が知っていたかどうかは別の問題である。相手方が知っているという証明のすべが行政の側にはないといったような意見も寄せられているところでございます。
 まず、1ページ目の総論に関しては、以上でございます。
○本田部会長 ありがとうございました。委員の皆様から補足や、またさらなる御意見、今の点についての御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
 総論につきましては、これから具体的な各論をやっていく中で、また、後ほどもいろいろと出てくると思いますので、具体論の方にもう入っていきたいと思いますが、よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○本田部会長 それでは、次に具体的な措置の内容について御議論をいただきたいと思います。
 措置の対象を大きく分けますと、被保険者・受給者に分かれますが、被保険者・受給者共通の事項として、不整合記録期間について「カラ期間」とするかどうか、特例的に追納を認めるかどうかがございます。
 事務局から、簡単に資料の説明をお願いいたします。
○小岩補佐 では、続きまして、資料の2ページ目でございます。
 「2.具体的措置の内容」ということで、被保険者・受給者共通の事項として「カラ期間」と特例追納という形にするかという論点に関してでございます。
 この点につきましては、右側の欄でございますが、記録訂正により受給権を失わせるということは、高齢者が生活保護に頼らずに、自立した生活ができるようにする年金制度の趣旨を否定するに等しい。高齢者の多大な不利益を避けるためにも「カラ期間」とすることは望ましい。
 被保険者・受給者ともに「カラ期間」として特例追納を認めることは必要である。
 3号不整合期間がある者のみを特別扱いするべきではないのではないか。実際に不整合期間があったことにより、無年金になるといったような方はごく少数なので、それらの方については、個別の事情を踏まえた上で対応を検討すればよいのではないかといったような意見がございました。
 また、3号不整合期間のみの特例を設けるということが適当かという意見もございます。特例追納は追納できる人とそうでない人との不公平がある。それから、追納できない人が低年金となる問題も生じる。
 そういった観点から、仮に第3号不整合期間のみを対象とするのではなく、一般的な無年金、低年金対策の中で検討するとすれば、以下のような対案もある。
 ?恒久措置として受給資格期間を10年に短縮する。これにより、年金確保支援法案、後納制度による10年の納付と合わせて受給権の確保が可能である。
 ?として、それでも無年金者に対しては3号特別給付金、これは全額国庫負担と所得制限ということでございますが、これを支給してはどうかといったような御提案もなされているところです。
 それから、不整合記録は、制度的な要因で記録が3号のままになっていた者もいるので、元から1号であった者で未加入・未納の者とは必ずしも同じ状況とは言えないといったようなところがあり、それも考え合わせると、過去全期間について追納が可能とする扱いとすることも許容できるのではないか。
 通常の未納者と比べて特別に扱う必要はないので、年金確保支援法案における後納制度と同様、過去10年分までを認めればよいのではないか。他の未納者とのバランスから、過去10年前までの期間としつつ、受給者についてのみ、例えば60歳当時から10年前まで、といったような特例を設けるべきではないか。こういったような意見をいただいているところです。
 以上でございます。
○本田部会長 ありがとうございました。今の点につきまして、いわゆる被保険者・受給者共通の問題でございますけれども、これに対しまして、皆様から補足なりさらなる御意見、また御質疑等がございましたら、お願いしたいと思います。
 山崎委員、どうぞ。
○山崎部会長代理 この中で、資格期間を10年に短縮する等の提案をしているのは私でございますので、少し説明をさせていただきたいと思います。
 私自身は、基本的に抜本改善策として提案されているものは、やむを得ないものと思っておりますが、あえてちょっと気になるところがありまして、対案をここで提案させていただいているわけでございます。抜本改善策を否定しているものではございませんが、こういう考え方もあるので、一応検討していただきたいと、こういうことでございます。
 年金制度が非常に複雑になってきておりまして、法改正をやる都度、経過措置が入り、特例が入ってくるわけでございます。もっとシンプルにできないかということは、いつも言われるわけですが、いろんな方の御要望を応えていく中で、ますます複雑になってくるんですと、私は答えてきましたが、今回もそうなろうとしているのかなと思います。
 まさに3号の特例期間を新たに設けるというのもそうでございます。実態から、数字があるわけではございませんが、考えてみますと、医療保険と連動するということだとか、あるいは夫婦の医療保険、年金の加入がほとんど連動するということから考えますと、夫が退職して1号被保険者になり、国保は加入するけれども、年金はとりあえず、差し当たっては不安がないと、あるいは将来不安が語られている中で、加入しないのがいいのかなという判断もあるかもわかりませんが、ともかく夫は1号被保険者であるんだけれども、未納と、あるいは加入手続もしないと。
 そうしたときに、妻は、サラリーマンの妻として従来どおり3号と、したがって保険料を納めなくていいんだと考えたいうことはどうも不自然でございます。ですから、1つの例として、夫が1号で国民年金未納と、妻は今回の提案ですと「カラ期間」、従来の課長通知ですと、見なし3号ということになります。
 そうすると、今、国会に提案されている法案によりますと、夫は高齢期を迎えて追納しようかなと、また、追納しないと無年金になってしまうということになるわけですね。
 それに対して、妻の場合は、このままでも「カラ期間」になると。その前後に加入した年金も通算で生きてくると、つまり追納するかどうかは任意であって、また、追納しなくても無年金にはならないと。夫婦の実態は何も変わらないのに、夫は追納しないと無年金、妻は「カラ期間」でそのまま生きるというのは、どうも不自然でございまして、したがって、これは、今の例で言いますと、夫婦同じような扱いをするということになると、1号に置き換えて「カラ期間」扱いもしないと、それで夫と同じように追納していただいて、年金の権利を手にするということでございます。
 そういう基本的な考え方でございまして、?というのは、実は、今、年金の将来に向けての改革の議論があります。そこで有力な案として民主党案とは別に、当面の改善策として受給資格期間の短縮ということが言われているわけでございます。25年というのは、国際的に見ても非常に長いと、10年程度に短縮してはどうかというのは、野党の自民党、公明党、そして読売新聞、日本商工会議所から提案されているわけでございます。
 それで、間もなく6月にも税と社会保障一体改革の中で、こういったことも含めて一定の方向性が出ると思いますが、そうすると、この提案を今回の改正の中で取り入れるとすると、かなり問題が先取りして解決できるんではないかということでございます。
 つまり、受給資格期間を10年に短縮する、追納も10年ということで、無年金者は大幅に解消されると。また、最低10年の加入の年金が最低年金ということになります。
 それで、先ほど提案されているものによりますと、最高25年の「カラ期間」が認められるわけでございますから、一月加入して、あと25年の「カラ期間」で一月分の年金が出るという、非常に低年金も出る可能性があるんですが、10年の最低資格期間を設けることによって、普通であれば、少なくとも10年分の年金は出ると。つまり、細切れの年金を限りなく多く多発させることだけは避けられるという気がいたします。それが1点でございます。
 それから、?の方に書いてあるのは、にもかかわらず無年金者が少数ですが、出てくる可能性があります。これは、個別のケースに当たっていくとどうしても出てくると思うわけでございます。
 ここで、「3号」特別給付金と言っているのは、実は障害無年金者問題というのがありまして、国民年金にサボっていたわけではない、任意とされていた。したがって加入はしなかった。かつての学生でございます。あるいはサラリーマンの妻でございます。その間に障害が発生して無年金ということでございまして、行政としては、加入する機会を与えたわけでございますが、本人にしてみると、加入は求められていなかったということで、裁判になっていたわけでございます。これは、岩村委員からも解説していただいた方がいいかもわかりませんが、結局、そういうものに対して国としては国民年金の発展過程で生じた特殊な問題であると。拠出を原則とする年金制度の中では対応できないけれども、福祉的な観点から国庫負担で一定の所得制限を設けて障害特別給付金を支給するというのが、今、あるわけでございます。
 同じような考え方がこの場合も取れるのかなという気がいたします。これは後で言います、まさに一番技術的に困難なのは、障害、遺族の、特に障害だろうと思うんですが、無年金者が発生するおそれがある層に対して、どうするかということでございますが、その問題にも同時に、こういうやり方で解決できるのかなという気がします。
 つまり、一般的な言い方をしますと、社会保険では十分に対応できない部分がどうしてもありまして、それはまさに福祉の役割でございまして、社会保障全体としては、社会保険を補う形で福祉的な仕組みを、きめ細かい配慮が行き届くわけでございまして、入れることによって、全体としての整合性は確保できるのかなという感じがいたしております。
 ちょっと長くなりましたが、補足説明をさせていただきました。抜本改善策を否定するわけではございませんが、そういうことでございます。
○本田部会長 岩村委員、どうぞ。
○岩村委員 私自身は、この抜本改善策の方向性ということでよいのではないかというふうに思っています。
 この前も申し上げたように、3号の記録不整合というのは、勿論、御本人の責任という場合もあるでしょうが、やはり制度的なところで生じた部分もあるので、そうなると、やはりそれをすべて御本人の責任だというふうに整理してしまって問題を処理するというのは、適切ではないのではないか。
 そういう意味では、もともと第1号であった人たちとの処理も必ずしも同じである必要はないだろうというように思っております。
 今、山崎委員がおっしゃった対案についてですが、私も個人的には受給資格期間というのは、25年から短くする方がいいと思っております。
 ただ、それは、年金制度全体の制度設計に関わるので、ちょっとこの問題の救済策としてやるというのには話が大き過ぎるのではないかと思います。財政的な影響も含めて考えなければいけないということになるので、今回の問題の処理の中で行うのはなかなか困難ではないかという気が直感的にはいたします。
 それから、私も常にこの問題を考えているときに、障害者の無年金の問題というのが常に念頭にあって、それとのバランスというのも考えてはいるんです。
 したがって、この問題に対する対応策として、特別支給金という障害者の無年金の場合に取られたような案というのもあるということも考えていたんですが、障害者の無年金の場合は、みんなが無年金なんです。
 ところが、このケースについて厄介なのは、無年金の方だけではなく、いろんな額の低年金の方も入ってしまうというところがありまして、そうすると、特別支給金というようなものをもし仕組むとすると、ちょっと制度の仕組み方が複雑になる可能性があり、やや難しいのかなという気がしております。
 特別支給金についてのもう一つの論点は、それほど財政規模が大きくならないでしょうが、やはり財源を探さなければいけないという問題が出てくることです。今の抜本改善策であると、実は年金財政の枠の中で全部考えてしまえば済むというところがあるんですが、特別支給金という考え方になると、必ずしもそうはいかない可能性があるかなとは思っています。これは、事務局の方でお考えになることなんですが、財源をどうするかという問題が別途出てきてしまうという気がいたしております。
 もう一つは、今、山崎委員もおっしゃいましたけれども、この後の論点とも関わりますが、結局、実際に年金機構の窓口でやれるような方策にしないと、非常に混乱が生じる、またそこでミスが起きて、また問題になるということになってしまうので、そういう意味では、私はどうするにしてもできるだけ、要するに窓口できちんと対応できる程度のというと怒られてしまうかもしれませんが、そういう方策にすべきだとは思っております。
 済みません、以上でございます。
○本田部会長 ありがとうございました。では、海辺委員、どうぞ。
○海辺委員 私も10年とか、そういうお話ですと、この短い期間に、この6人の委員で出すような内容よりは、ちょっと手に余ると申しますか、大き過ぎるお話だと思うので、今回は違うのではないかと思います。
 それで「カラ期間」ですとか、そういうことに対する考え方としまして、私は、要するに私自身が、自分が2号であった期間が実はごっそり抜けていまして、自分が働いた期間の記録がねんきん定期便が来たら、全く抜けていたということが実際に、私自身起こっておりまして、要するにそういうものに対する責任は、例えば今、私が手続を取れば回復できるかもしれませんけれども、まあいいやということで、受けるとき、65歳まで20年間放置していたら記録が回復できない可能性ですとか、回復するためのコストがかかるとか、いろんなことがあって、すべて制度上のいろいろないびつさですとか、そういうところを幾ら一生懸命手当しても、本人が何とか自分のために動かない限り回復できない部分なんかも出てくると思いますので、要するに、今、何を申し上げたいかといいますと、世代間によっても不公平があるということはいかがなものなのかと。要するに、今、考えられることは、ちゃんとねんきん定期便を自分でチェックして対応しておかなかったら、20年後も似たような問題は絶対に起こってきて引きずると、そういった問題が起こったときに、どこまで国が税金なり何なりを使って責任を取っていかなければいけないのかという、今後の問題にも物すごく関わってくるんではないかと、私は感じております。
 ですから、絶対に私の世代なんかが、今度年金を受けるときになったら、そういったちょうどシステムの切り替えのときに生じていた不整合の記録に対して、いろいろな問題が起こってくるということは、今でも容易に予測がつくので、今、その対応について、きちんと自分でやっておかなければいけないということをどこかで線引きしておかないと、この問題はずっと、何年経っても終わらずついてくる部分もあろうかなと感じております。
 それで、今回の対策として、例えば今、受給されている方が前回の4月11日の資料3のときに出てきた、これは粗い推計ということでしたけれども、現在、受給されている方の不整合係数が最も長い方が128月で、今、まだ被保険者でいらっしゃる方が224月というデータから見れば、今日の資料の2ページの一番下の行の「他の未納者とのバランスから、過去10年前までの期間としつつ、受給者についてのみ、60歳当時から10年前まで」といって、さかのぼってもし納められるんなら、120月納められるので、無年金になる方というのが、多分いないんではないかということが考えられるので、まず「カラ期間」をつくるかどうかというのは、将来のことも考えた上で、本当にやるべきかどうかというのは、1点考えるべきではないかと、私は感じております。
 その特例、あと、現在、60歳の、要するに自分たちが一生懸命保険者として払う期間を終了しても70歳までは追加で払える制度が既にあるわけですから、10年さかのぼれて、60歳以後も10年払えるのであれば、20年払えるわけですから、なぜそこでまた新しく救済策をつくって複雑にする必要があるのかなということを感じますので、安易に「カラ期間」を今つくれば、将来また、そういうことをしていかなければいけなくなるんではないかということを、私は感じますので、そこについては、もう一度よく御議論いただきたいなと感じております。
 以上です。
○本田部会長 どうぞ。
○梶尾年金課長 制度の関係で、少し補足をさせていただければと思いますけれども、今の御発言ですが、60歳以降、期間が足りない場合に任意加入をして、60歳の時点で足りないので任意加入して期間を増やすというのは、65歳まで5年間は、これは40年に達するまで増やすことができます。
 それで、65歳に達しても、まだ、25年を満たしていない、受給資格を持っていない場合については、70歳までの間について、25年に達することができるようにするために任意加入ができるということでございます。
 したがって、例えば67までとか68までではあるかもしれませんが、最大でも70歳までということでございます。
 ということなので、70歳を過ぎると任意加入をして期間を増やすというのもできないものですから、今、既に受給されている70歳以上の人が、今から任意加入をして期間を増やすというのは、今はできなということがあるのと、70歳の人からすれば、10年前というのは60歳なものですから、今の受給者が10年前まで納められるようにしても、実は60歳よりも前の期間を納められるわけではないということを補足させていただきます。
○海辺委員 なので、2ページの最後の行に、過去10年前までの期間としつつ、受給者についてのみ、60歳当時から10年前までという案があるので、例えばこういう案と組み合わせれば可能ではないかと申し上げました。
○本田部会長 見城委員、今、2ページのところの議論になっています。
 先ほど山崎委員の御意見は、岩村委員からも御指摘があったように、私も抜本的な制度改革の中で行うべきかと感じています。また、「カラ期間」の問題、これは今、海辺委員から「カラ期間」を安易に置くこと自体がよくないという話がありましたけれども、ほかの委員の方々の意見を見ますと、「カラ期間」については無年金を避けるためにやむを得ないかなという意見が多かった。これは勿論、これから議論すればいいことです。
 もう一つは、追納問題、これについては2つに分かれていて、「カラ期間」分全体で認めてもいいけれども、支援法とのバランスの問題で、10年という形でいくべきか、これはまだ意見が分かれているかなという感じがいたします。
 時間もありますので次の議題に移ります。今日決めるというわけではありませんから。それでは、次に、受給者に対します具体的な措置の内容について御議論いただきたいと思います。
 過去に支払った年金の返還を求めることや、将来の年金額を減額することにつきまして、事務局からまた簡単に御説明をお願いいたします。
○小岩補佐 それでは、続きまして、資料の3ページをお開きください。
 資料の3ページ以降、受給者に関する論点でございます。
 まず?、過去に支払われた過払いとなった年金について返還を求めるかという論点についてですが、まず、行政実務の慣例に従い、過去の支払われた年金の返還を求め、将来の年金額も減額する。ただし、信義衡平の原則から、一定の配慮はあり得るではないかという意見。
 それから、保険料を払っていない期間なのだから、過払いは返還を求めるべきであるが、一気に返還させるのではなくて、今後の受給分から少しずつ返還してもらう方向もあるのではないかといったような意見がありました。
 過払い分については、本来は返還を求めた方がよい。ただし、そのためのマンパワーであるとか、コストに見合ったような結果となるのか、費用対効果に留意するべきではないか。
 保険料を納めてきた者との公平性は重要だが、一方で、既に受給者、年金の返還を求めることも現実的には難しい。このため、受給者に対しては、以下の幾つかの選択肢を提示し、本人が選ぶこととしてはどうか。
 ?保険料を一括して納める方法。
 ?保険料を今後の支給年金から天引きしていく方法。
 ?過去の過払い相当額を返還対象とする方法といったような御提案。
 それから、本来は過払い分の返還を求めるべきであるが、今回のようにまとまった数の事例が同時に発生するという事情を勘案すると、実務上その実施は難しく、仮に返還を求めるとしても、内払調整で対応できる範囲にとどめるのが現実的ではないか。
 不整合を見つけられない者が一定数発生するということはやむを得ないのではないかといったような意見がありました。
 続きまして、4ページでございます。
 4ページでは、今後、受給される将来の年金額について追納がなかったような場合に減額するのかどうかといったような点でございます。
 まず、保険料を払っていない期間について、誤った年金の給付を続けるということは、若い世代の年金制度への信頼を損ねることになる。今からでも保険料を支払って、堂々と年金をもらえるようにすべきではないかという意見。
 行政実務の慣例に従い、過去に支払われた年金の返還を求め、追納がなければ、将来の年金額も減額する。ただし、信義衡平の原則から、一定の配慮はあり得るんではないかという意見。
 不整合期間の平均が6.8月程度ですので、追納がなければ、将来の年金額を減額してもよいのではないか。ただし、減額が大き過ぎるような者については、個別に対応を検討するべきではないか。
 追納がなければ、将来の減額をするのが本来であるが、大量の減額の事例が発生するため、それらについて多くの受給者の訴訟に持ち込むと、個々の事例ごとに不整合が生じたのはだれの責任かといったような問題を当局側が争わなければならない。こうしてコストがかなりかかるため、減額は行わない方がよいのではないかといったような意見がございました。
 以上でございます。
○本田部会長 今の2点につきまして、皆さんの方から補足なり、また御意見、御質問があったら、よろしくお願いいたします。
○岩村委員 若干コメントと御説明をさせていただきたいと思います。もともと不整合があって、そして、正しい納付記録に基づいて計算をし直すと、過去の年金額に過払いが生じているということであれば、この3ページの備考にあるように、従来の行政実務では、その返還を求めるということをやっていて、よくあるのは、これから払う年金と、いわゆる内払調整といって、年金の額を少し減らして分割で返させると、それでも更に返せない部分については、不当利得だということで、請求をするということになります。
 不当利得も従来だと時効が5年なので、その限りで要するに請求をするが、相手方が請求に応じないと、これは訴訟に行くしかないということになるんです。
 そうしますと、要するに減額しますと、過去の分を返してくださいということを受給者にお知らせしたときに、冗談ではないと、そもそもシステムが間違っているので、我々は犠牲者だという方が多数出てこられると、内払調整で調整できない部分については、場合によっては全部訴訟を起こしていかなければいけないということになります。
 そのコストを考えると、これは要するにせいぜい分割、内払調整でできる限度くらいまででとどめておくというのが、実務的には妥当なところなのではないかと思います。
 どうも法律家というのは、ぎちぎち詰めるように思われがちですが、他方でどこかでいろんなコストを考えて、この辺で手を打ちましょうということも逆に考えるので、そういう意味で、手の打ちどころはどの辺ですかと考えたときに、このくらいのことかという気がいたします。
 もう一つは、幾つかの選択肢を提示して、本人に選んでいただくのはどうかというのは、いいアイデアだとは思うんですが、問題は、御本人が選んでくれなかったときにどうするかという問題がございます。そうすると、どれかを初期値として設定しておいて、御本人が選ばなければそれでやるということにしなければいけないという問題があり、それはそれでまた多分紛争のネタをつくるかなという気がいたします。
 4ページの方に行きますと、これも結局、先ほどお話ししたのと同じなんですが、要するに本来であれば、勿論減額、将来については減らすということになるんですけれども、やはりそれは不満であると、要するにシステムの構築、制度の構築の方が悪いので私の責任ではないというふうに受給者個人の方が争われるということになると、将来の分を減額するところでは、仮に訴訟になっても、そこのところは勝てるかもしれないんですが、実は、その後、今度は国家賠償訴訟が来る可能性があって、そうすると、では、こういうことが起きたのは一体、法的にぎりぎり詰めていったときにだれの責任でしょうかということを、これはまた、個々の訴訟で、要するに行政の側で全部相手をしてやっていかなければいけないと、そういう話になります。
 そうすると、また、さっきと同じなんですが、では落としどころをどこにしますかということになったときに、1つの考え方としては、将来の部分については、減額のところは目をつぶってしまいましょうというのが1つの考え方であり、もう一つの考え方としてあり得るのは、一定の限度までの減額でやめてしまおうというのが、もう一つあろうと思います。
 以上でございます。
○本田部会長 見城委員、どうぞ。
○見城委員 私は、いつもこの問題に関しては、年金のシステムとしての問題点があることと、それから年金は、自分で保険料を納めたら発生して自分に戻ると、この基本を揺るがしてはならないと思います。
 本当に今の若い世代がそうでなくても大変な不信感を抱いていて、特にこの問題に関しても、どうせ自分たちが納めていてももらえないんではないかということを本当に多く耳にいたします。その点からも、ここは見逃さずにしっかりと対応しなければいけないというのを常に考えておりました。
 それで、私は年金のシステムとして問題があったと、つまり何度も通知を出してもそれに応じなかった、それ以上の策をすることができないと、年金の方は、それがシステムだとうことがありますので、それに対する救済策として「カラ期間」はしっかり設けて、もう一つの重要なポイントである、年金は保険料を自分で納めなければ受給されないという、この基本に沿って減額するということが重要だと思います。
 岩村先生がいろいろ法律的なことをおっしゃいましたが、いろいろコストもかかり、権利、責任の問題が生じるとは思うんですが、大体調べたデータが今まで出ています。どういう方がどのくらいの「カラ期間」があるとか、保険料が未納であるということが出ておりますので、私は、今、受給をされている方も、ここの時点をもって減額していくということを基本に据えて、あとは専門家の方々によるコストの計算とかもあるでしょうか。基本は、やはり払わなかったものは来ないと、そこを揺るがせずに対応すべきだと思います。
○本田部会長 海辺委員、どうぞ。
○海辺委員 私も見城先生の御意見に賛成でして、きっちり、やはりコストの問題とかはあると思うんですけれども、本当にそのようにきっちりやっていただけたらと思います。
 要するに大量訴訟の問題というようなお話が、今、岩村先生からありましたけれども、私のような本当に普通の生活をしている人間からしますと、どこの世界に生きていても、声が大きいばかりでわがままな方というのが、要するにモンスターペアレンツのような方ですとか、いろんな方が、世の中普通の生活をしている人がいらっしゃいまして、それで、要するに声が大きい人ばかりが結局得をするような世の中であるということ自体は、私は疑問を感じるところがございますので、ここはやはりちゃんと国としてきっちり対応していただけたらなと思います。
 以上です。
○本田部会長 どうぞ。
○大山委員 過去に払われた分の話なので、既に年金をもらっている方が対象であると思いますが、不整合があって年金をもらっている人の状況を考えれば、「カラ期間」の話を除いて、まず、不整合があるということは、本来の1号になっていなかったという意味で考えると、本来、そこに1号の被保険者としての額を納めるものがあったはずです。
 これらの額を全て納めたとすると、今、もらっている額が過払いなのか、不足になっているのかは、3号と1号の違いがあるので、本当は、そこはしっかり計算をしなければならないと思います。
 基本的にそれを計算し、次は、年金額を、もし追納を認めて、全部1号として払い切ったとき、すなわち全部払った状態を考えると、今、もらっているあるいは過去にもらってきた年金額が多かったのか、少なかったのか、人によって少し違いがあるのかなと思うので、まず、ここを確認させてください。
○本田部会長 事務局、どうぞ。
○梶尾年金課長 1号被保険者として保険料を納めたという期間と、3号被保険者として正しく配偶者が2号被保険者である方の扶養で3号であって、届出もされているという形で年金額を計算する場合。
○大山委員 過払いになっている人は、3号として置いてあったのを、そのまま認めているので、その年金額が出ていますよね。
○梶尾年金課長 3号として計算する基礎年金の額と1号被保険者として保険料を納めたとして基礎年金とする場合では年金額は同じでございます。
○大山委員 とすると、選択肢を書いたのは私ですが、過払いになっている方から見ると、過去の分、すなわち1号としての未納部分に対する追納の費用をもし全て払えば、過払いではなくなると見なせませんか。過去をもらったものも含めて、そういう考え方ができないのかなと思っています。
 要は、現在、年金をもらっている人から見ると、年金額を同じにしていたいと思うのであれば、どこに対して、どういう手を打てばその額が維持できるかを明らかにすることが必要です。この案が認められるのかを考えるのが基本ではないか思っています。そして、過去の未納分を納めれば、その時点で年金額は同じになりますが、例えば天引きになりますので、しばらくの間は手にする額が減るということになると思います。これが考え方の基本で、そこから後は、一気に納めたい人がいるかどうか、あるいは最初から過払いの分を返還してしまって、その分下がってしまうのを認めるかは、その方の判断があるのかなと思ったので、このようにしたということです。
○本田部会長 受給者の1番目と2番目の問題は、ほぼ委員の皆さんもちゃんと払うべきであると、ただ、岩村先生の場合は、そうやったとしてもいろんな問題があるので、内払調整程度でとどめると、基本的には、やはりちゃんと納めるべきだというのが皆さんの御意見だと思います。
 ただ、まだ時間もありますので、来週くらいまでにまた皆さんいろんな御意見なり、いいアイデアがありましたら、また、事務局の方にお願いしたいと思います。
 そういうことで、次の議題に入らせていただきます。
 どうぞ。
○岩村委員 1点だけ付け加えさせていただきたいんですけれども、1回払ってしまったものを返せというのは、これは大変なんです。かつ、まとまった数が出ます。個別ケースでというのは従来からもあって、それは個別に対応すればいいことなんですが、まとまったケースでどんと1回払ってしまったものを返せというのは、これは別に公的な組織に限らず民間においてもものすごいコストがかかる話なんです。ですので、やはりそのことは考えておいた方がいいかなと思います。そういうコストをかけてまで徹底的に追求するのかどうか、その問題もやはり考える必要があると思います。
○本田部会長 どうぞ。
○見城委員 例えば60歳過ぎて仕事をしていて、65歳過ぎても仕事があってとなっていた場合、一般の場合ですが、受け取る年金額が減りますね、あなたはまだ仕事をしていますから、年金受給者ではなくて、一方的にそういう通知とともに年金額というのは減って、働いている間はこうですよと、しかし、本当に70歳過ぎてリタイアしたら、こうなりますと、例えばそういうシステムが既にあるんですから、減額するということは当然できることだと思います。追納か減額と、この2点は重要で、それ以上先の細かいコストのこととかは、また専門の方による試算なり、モデルケースなりが出てくるとは思うんですが、私はそれはやれるだろうと思うんですが、いかがでしょうか。
○岩村委員 それは、全然違う話で、要するに、今、おっしゃったのは、在職老齢年金で、これは基本的に適用事業所で標準報酬があれば、もうそこで把握してしまうので、要するに自動的にそもそも年金の額を減額してしまうという話なんです。
 今議論している話は、違う話で、もう払ってしまったものを返せという話なんです。根本的にそこが違うんです。
○本田部会長 払ってしまったものだけれども、その払ったのは過払いなので、それについて何らかの形で追納し、それを大山さんの意見で言えば、支給される年金額から引く手もありますとか、いろいろある。しかし、そうすると、コストがかかりますよと。せっかく年金機構がお見えになっているので、今のこういう問題の具体的コストというのは、そんなにかかるものなんですか。
○石塚日本年金機構理事 制度の仕組み自体がまだ議論されている最中ですので、具体的な数字は持ち合わせていませんが、内払調整で調整し切れればいいですけれども、仮に途中でお亡くなりになりますと、それは遺族の方から返還を求めるということになりますので、そういうコストですとか、あと、自ら応じてくださればですが、現実に、訴訟をどのくらいやっているか、私は直接の担当ではないので、数字を把握していませんが、そういう訴訟コストまで考えると、それなりのコストはかかってくるのかなと思います。具体的な数字までは持ち合わせていません。
○本田部会長 今みたいのも知恵が要りますね。場合によって、もし、非常に難しいということであれば、例えば亡くなった方については云々というやり方もあるんだろうと思うんです。いろいろ難しいと思いますが、コストよりも大事な問題もあるんではないかと思います。
○岩村委員 ただ、債権管理そのものが、それ自体が結構コストがかかってしまうので、転居したときとか、何とかというのも、それをまた追跡していくとか、そういう問題もあります。ただ、他方で、私はこういう案もあるかなと思っているのは、後でお話をしようと思ったんですが、返還してもらうのを、これもまたイレギュラーで、また、これも怒られるかもしれないですが、返還してもらうのを、そのまま今度は保険料の追納に充当するという手もあるんですね。
○見城委員 提案したのは、追納するか、そうではなくて、次からもらうものから全部減額していただいて、要するにプラスマイナスゼロにしてと。
○本田部会長 もらう額は同じなんだけれども、そこから天引きしてもらうと。
○岩村委員 済みません。それは、理論的には、実は当然にそうならないんです。というのは、本来、こちらは返せという話なので、しかし、追納というのは新たに寄越せという話であるので、どちらももともと受給者なりの側が払わなければいけないものなんです。
 そうすると、本来の論理で行くと、要するに払い過ぎたものを返すというのは、実はどこか別のお金の金庫に入る話であり、そして、保険料として取ったものは、実は保険料の収入として入るという話なので、当然にその両者の間で、返還したものを保険料の支払いに充当するというふうには当然にはならない。だから、もし、そこを認めるというのであれば、そういう会計処理をしていいということを、やはりこの中で定めないと出てこないんです。
○見城委員 お金の流れが違うということはわかりました。ただ、もうこの問題が国民の間で、こういう問題があったと、ちょっと悪い言葉なんですけれども、逃げ切れるんだろうかと、それがわかったのにもかかわらず、ずっと年金を受給されていく人がいるのかということは、やはり禍根を残すということです。お金の流れが違うとか、いろいろわかりますが、もうこうして問題が表面化したんですから、何らかの形で、納めていない方、保険料を払っていない方は保険料を充当するという基本を揺るがさないことが重要と思います。
○岩村委員 私は、むしろそれをやった方がいいと思うんです。
○本田部会長 今のは、私もちょっと不勉強だったんだけれども、返還の場合と、その後の保険料の追納の場合、これは財布が違うという話。これはやはり基本的には皆さんほとんどの御意見が、岩村さんも含めてですけれども、やはりちゃんとやるべきだと。
 しかし、それをやろうとしたとき、今、おっしゃったような技術的な問題があるとしたとき、例えば法律でもいいんですけれども、どういうふうにすればいいか、事務局の方で勉強していますかね。私はちょっとわからなかったものですから。
○見城委員 流れですね。
○梶尾年金課長 若干ついていけていないところもあるんですけれども、不整合期間があって、そこで正しい額にしたら下がりますと。
○本田部会長 例えば、具体的に言うと、大山さんの意見の中で、いろんな方法がありますと。これから払う分で調整すればいいじゃないかという案と、それはちょっと難しいですよという話もありましたね。
○梶尾年金課長 つまり、これから払う額というのを、今、もらっている額と同じだと仮に仮定をすると、そうすると、なぜ返還というのがあるのだろうかと思うんです。返還があるということは、これからもらう額も下がっているのではないかと思うんです。
○本田部会長 その返還をなくすために、これから支払う分で調整できないか、という点についてはどうですか。
○梶尾年金課長 ただ、それは返還を求めるということは、今、もらっている額は過払いであって、正しい額は少し少ないはずだから返還を求めるというのが前提にあるので、そうすると、これからもらう額も少なくなっていると、その少なくなった中から更に減らして昔の分の保険料を払うという話だったら、まだそうかなと思うんですけれども、下げないままで、そこから昔の分を追納するというと、何でそれはというのが、ちょっと。
○大山委員 それで、さっき額の問題ですかと聞いたんだけれども、3号のままでいって、今、額が決まっているんですね。それが払われてきたわけですね。
○梶尾年金課長 はい。
○大山委員 それで、毎年の額はちょっとスライドでずれたりしますけれども、要は払っている大元の考え方の額は同じですね。年金制度が変わっていない限りは、減額とかいろいろ別のことがない限りは、普通の物価でスライドしているだけだったら同じ考えでいいと思うんです。
 それで、3号であったのが、実は1号だったので、1号の期間をちゃんと後納で納めるとすると、それが3号のところで同じに戻っているのかという質問をさっきしたんです。同じ額だとすれば、ということは、この分を払ってしまえば、過去の過払いという概念はなくなってもいいんではないですかと、払ってあったという順番がひっくり返るけれどもね。そこは違うんですか。
○石塚日本年金機構理事 ちょっと1点だけ、これは制度の議論なんでしょうけれども、一般的に追納とかをした場合、将来に向かって年金額を回復する、増やすということですので、過去の分は、過去にさかのぼって納めても、過去の分も掘り起こして増やすというのは、制度論に関わりますけれども、一般的ではありませんので、これが、今の議論がちょっとかみ合っていないということなのかと。
○本田部会長 事務局の方でも検討してもらいたいのは、基本的に、おおよそ皆さんの意見がちゃんと過去に払っていない分、過払い分は返還してもらうべきだと、もう一つは追納をしてもらいたい。そういうことを実現するために、どうやったらいいか、事務局も考えてほしい。勿論、難しい問題、岩村委員がおっしゃっているような問題、コストの問題、いろんな問題がありますけれども、基本的には、私は委員の皆さんの意見というのは、過払いはちゃんと返還してもらわなければいかぬと、納め足りないのは追納しなければいけないと、こういうときに、できないですと言われたら、ここの皆さんの方の論点とか議論というのは何なのということですね。
○梶尾年金課長 今、機構の理事の方からありましたように、従来行われている追納の場合は、将来の分しか増えないけれども、今回の場合については、保険料の追納があれば、過去の期間のものも減らさないようにするような新しい考え方をすべきではないかというお話は、そういうことが可能になるようなやり方で制度を、そんなことはできませんと言わないような形の研究をしないといけないと思っています。
 多分、私の受取り違いだと思うんですけれども、払っている年金の中から追納する保険料を天引きして当ててみたいな話をしているように受け取ったものですから、そういう私の誤解がちょっと混乱させてしまいました。誤解ではないですか。
○見城委員 誤解ではなくて、1つの方法として、これは受給される額から本来は払うべきであった額をどんどん天引きして、追納に変えることができるかということだったんですね。それができるか、できないか。
○梶尾年金課長 それは恐らく、ちょっと研究してみますけれども、追納の額という保険料の額と減額になる毎月の年金額、一月分足りないと、前回の計算で無年金月額で138円、年額で1,600円というような御説明をしました。それで、月々の保険料というのは、大体1万5,000円とかになりますので、ちょっとそこの計算がうまく合うのかどうかということもあるんではないかと思います。
○本田部会長 ここの基本的な問題は、やはり基本は誤ってもらった分は返せと、これは原則ですよと、ただし、今度は返す人の立場に立ってみたときに、過去の分を一遍に払えと言われても、払わなければいけないけれども払えないと、こちらの方でもいろんな方法がありますよというのは、1つの例に過ぎない。過去も特例措置がありましたね。返せと、ただし5年の時効だとか、こういうのがあるんだけれども、払う人は善意の人もいるし、ある意味では悪意があった人もいるかもしれませんけれども、払いやすくする方法として、いろんなアイデアが出たので、それができるのか、どうしたらいいかというのは、ちょっと事務局でも勉強しておいてください。
 時間の問題がありますので、できれば、今日、一度全部洗ってみたいと思いますので、それでは、次に過去に訂正された不整合記録期間の取扱いにつきまして、公平性の観点から未訂正の記録と同様に特別措置の対象とすべきかどうかについて、まず、事務局から簡単に資料説明をお願いいたします。
○小岩補佐 では、お手元の資料の5ページでございます。
 5ページの上の方でございますが、「3.過去訂正による機関の取扱い」という論点がございます。既に不整合記録であることが判明して、1号という形で訂正されて未納となっている期間についても、今回、同じように特例措置の対象とするかどうかという論点につきまして、委員の皆様からは、真面目に記録を訂正したものが救われないのは不公平だという議論になりますので、これについては、同様の措置を講じるべきではないかという考え方。
 それから、既に訂正がなされた期間についても、今後、不整合期間が判明した場合と、同様の取扱いとすべきという考え方。
 それから、3号不整合期間があるもののみを特別扱いするべきではないということですので、これに伴って、既に訂正されている期間について、何らか特段の対応をしなくてもよいのではないかといったような意見があったところでございます。
 以上でございます。
○本田部会長 では、この点につきまして、補足意見なり、御質問なり等ありましたら、お願いいたします。
 何かございますか、次に行ってよろしいですか。
 それでは、次の、いわゆる運用3号の取扱いを受けたものつきましては、その取扱いができなかったものとして、同じように特別措置を適用すべきかどうかについて、まず、事務局の方から簡単に御説明をお願いします。
○小岩補佐 では、続きまして、同じ5ページの下の方でございます。「4.いわゆる『運用3号』取扱いを受けた者」についてでございますが、本年1月にさかのぼって、運用3号の下で、不整合期間が判明しても、そこを3号として年金額が出ていった人について、いわゆる運用3号の取扱いがなかったものとして、同じようにこの特別措置を適用することとするかどうかという論点でございますが、まず、通知を発出して対応した以上、その扱いをさかのぼって変更するべきではないという御意見。
 それから、いわゆる運用3号の取扱いというものについて、公平性の面からさまざまな指摘があったことを受けて通知を廃止して、これに代わる対応策が議論されているということを踏まえれば、国民の納得を得るためには、通知の下でなされた裁定であっても、正しく改める必要があるのではないのか。
 いわゆる運用3号取扱いについて、公平性の面から指摘を受けて対応策が議論されていることと、それから公平性が仮に損なわれてしまうと、若者の世代の年金制度に対する不信感につながってしまうということを踏まえれば、通知の下でなされた裁定であっても、その他の不整合期間を有する者と取扱いは同一にする必要があるのではないかといったような御意見をいただいているところでございます。
 以上でございます。
○本田部会長 この点につきまして、御意見なり、また、御質問等ございましたら、また、追加意見も結構でございますので、お願いします。
 どうぞ。
○岩村委員 私ばかりしゃべって申し訳ありませんが、法律的な問題なので、ちょっと御説明した方がよろしいと思います。
 この場合、運用3号ということで、厚生労働省が通達を出して、一定の期間内ではありますけれども、それに沿って行政の運営が行われ、かつ、それに基づいて、実は年金の裁定が出てしまった人がいる。
 そうしますと、これはやってみなければわからないというところはあるんですが、仮にこの通知に基づいて年金の裁定を受けた方が、いや、あの通知は間違っていました。したがって、あなたの年金はもう一回再計算して減額にしますということを行政の側で通知をして、もう一回再裁定をするということをやったときに、相手方の年金受給者が、いや、それはおかしいということで裁判に訴えた場合、多分、従来の裁判所の大きな傾向からすると、行政の側が負ける可能性はかなりある。
 これは、第2回の資料で幾つか裁判例が紹介されているんですが、本来、ルールどおりやらなければいけないんですけれども、行政が何らかの理由で、そのルールとは違うルールを正面切って適用してしまって、私人に利益を与えた場合には、それを後でひっくり返すということは、制限されるというのが裁判所の立場です。
 勿論、これはやってみなければわかりませんが、本件の場合は、正面から通知が出てしまっていますので、そうすると、裁判になると、行政の側が勝てない可能性は結構あると思います。
 そうすると、話が非常に厄介でして、今度は、法律でさかのぼって、やはり通知はなかったことにして、本来やるべきとおりの方法で計算して額を計算しましょうと、したがって額を減らしましょうということになると、1回確定した年金の受給権を法律で下げるという話になって、これは憲法問題になってしまう。
 憲法29条の財産権の保障に正面からひっかかる可能性があり、これも勿論、やってみなければわからないんですが、できれば、そういう争いはない方がいいと、私は思います。
 従来からも法律で既に決まった年金の額を下げるということについては、かなり慎重な対応をしているのが現実で、これも第2回目の幾つかの裁判例、あるいは立法実例の御紹介があるところなんですが、そういったものを見ていただけるとおわかりいただけると思います。
 そういう意味で、私は、最終的には憲法訴訟まで行ってしまい得るということまで考えると、これは運用3号で厚生労働省が通知を出してしまった以上、その期間についてはもうようがないんではないかと思います。
○本田部会長 大変難しい問題ですけれども、どうぞ。
○海辺委員 私の意見は、先ほどと同様になってしまうんですけれども、こちらの不公平感等々からこういった会議自体が運営されていることを考えれば、正しく改める必要があるのではないかということを感じるばかりです。
 やはり、声が大きくて争うのが好きなばかり翻弄される世の中であってほしくないなと思うばかりです。
○本田部会長 大山委員、どうぞ。
○大山委員 この問題も、先程の裁定で年金額が決まったということであれば、似たような話かなと思いますが、その運用3号の部分について廃止をすると、金額については財産の話であると岩村先生が言われたことは、良く理解できます。であれば金額を変えない可能性として、余り良い言葉ではありませんが、もらえる額を同じにするために、前のところを払ってもらうことは考えられないでしょうか。逃げるという言い方は適切ではないかもしれませんが、少なくとも裁定額を同じにする観点からは検討する価値があるのではないでしょうか。少なくとも追納の日にちは違いますが、他の人との対応の仕方も合うのではないでしょうか。
 なぜこのような特例を行うのかといえば、国あるいは日本年金機構さんなのかは明確ではありませんが、少なくとも年金をもらう側ではなく、制度を持っている側に何らかの不備あるいは落ち度があったという意味で、制度そのものの問題という意味ではないと考えるからです。こういう措置をしたいというときに、それを皆さん方が納得できる説明ができるかが極めて重要と思うからです。
 前の3のところにも関係するので、一言だけ申し上げたいのですが、このことも本音であると思います。すなわち、3号の不整合期間が出てきているという話は、本来であれば、年金の裁定の時点で、今までの説明ですと、職員の人が適切に対応し、その人の過去の状態を追いかけるので不整合はわかるはずという前提に立っていたのではないかと思います。違うのなら違うと言っていただきたいのですが、もし不整合が残っていることが後でわかったということであれば、やはりその時点でのやり方に不備があったということになると思います。そしてやり方の不備であれば、年金をかけている人、すなわち被保険者というよりは、国ないしは日本年金機構さん側に何らかの落ち度があるという判断になるのではないでしょうか。
 裁定時に見つかる、訂正できるという考え方は、他の記録問題と根は同じではないかと思うので、今のような考え方ができないでしょうかというのが私の意見です。
○本田部会長 今の発言で、何か事務局の方からありますか。
○梶尾年金課長 最後の大山先生の話の中の運用3号のところですけれども、この問題は、追納をしなくても今の額でということにするかどうかと。
○本田部会長 だから、追納の概念が、そこはもう一回整理してお話をしなければいけないと思っているんですけれども、額が決まっているのであれば、その額に行くために、前の部分を正しい姿に戻すと1号なわけですね。運用3号をやめるとしてですよ、元に戻すという意味では1号なので、1号のところは未払いになっているわけですね。保険料未納になっていますから、そこのところを払う分を渡す額は同じだけれども、そこから源泉で取って戻していくという考え方ですね。
○梶尾年金課長 そうなんですけれども、ここの論点は、それをわかった上でもう3号だとして、年金を出した方について、ほかの方々と同じでいいか、この人たちは特別にするかという、ちょっと独自の論点ですね。
○岩村委員 今、どちらをお話になっていますか、3の問題を話しているのか、4の問題を話しているのか。
○梶尾年金課長 4の話については、1月から2月24日までの間だけ特別な方々がおられて、その人たちは、運用3号通知というのに従って、不整合だとわかっていながらそのまま高い年金にしているという方々について、それ以外の1番、2番のところで議論してきたのと同じでいいかという話なので、同じやり方でいいんだということだと、ちょっと違ってくるという話でございます。それはまた1つなんですけれども、もう一点、先ほど岩村先生の方から法律的な話がありましたので、法律上、それしかないと言われると、ちょっと議論があれなんですけれども、今のところ、頭の整理としては、運用3号の通達、昨年の12月にして1月と、これは現在の法律の中でいろんなやり方を統一していくに当たって、こういうやり方でということで、現在の法律で法律改正はせずにやった話でございます。
 ただ、その通達は、留保し、廃止をして、今後、立法措置を講じて、それで1月からの分をどうするかという場面で、そうすると、その立法措置というのは、どういう内容かと、今、まさに御議論をいただいて「カラ期間」にするか、追納を認めるかといったら、現行法の法律の本来の形に従って適用したら、減額になったり、場合によっては無年金になるようなケースもある、そういうケースが出るかもしれないことに対して、どういう補足の措置を講じるかというような法律をつくる、それをどういう内容にするかということであって、既に受給している年金をさかのぼって下げにいく改正ということではないと、というような整理の仕方というのは可能なのではないだろうかとは思っているところであります。
○本田部会長 岩村先生がおっしゃったような、最終的に通達であれ、まさにある意味で法律ですね、それを発出した以上はそれで権利ができているんだから、それを奪うということは困難という御意見だと思いますけれども、ただ、私も今回の国会審議の議事録なんかを読みましたら、まず、運用を凍結するという大臣発言がありましたね。その後、廃止となった。この問題については、国民は意識をしていますし、勿論、公平にしろとか、公正にしろとか、そっちの方の問題以外に、その経緯から見ましても、これを不問にするというのは違和感があるんではないかという感じが率直しています。いわゆる監視委員会の違法論をどう捉えるか、という問題もありますが、私は、論点表でいろんな方がおっしゃっているように、1月からの運用が適用された方、非常に短い期間ですけれども、その人もさかのぼっていくべきだと思うんですが、そのときの理屈を公平性だけでいけるのかどうか。法律論の問題もあるでしょうが、要するに先ほどおっしゃった、最終的には憲法論にまで発展するというのは、その法律がおかしいということですね。
○岩村委員 もしさかのぼって適用して、要するに最初の裁定のときから額を下げてしまいますというふうにする、1月1日からさかのぼって下げるんだということをすると、それは多分正面から憲法29条の問題を提起されると、行政としては対応に非常に困るだろうと思います。
 あとは、今、課長がおっしゃったように、再調整ということで下げるけれども、しかし、そこは通達を出してしまった以上、行政の側としても何か手当をしなければいけないので、そこは何か調整しましょうという発想の仕方は別途あるとは思います。
○本田部会長 どうぞ。
○見城委員 例えば税金の場合、税額が決定しますね。それで、過納税だったとか、足りなかったのか、不足だったのか、例えばそういうことは5年でしたか。
○岩村委員 5年なり7年です。
○見城委員 5年なり7年経って請求されたり、そういうことはございますね。そういうものと、やはり税務処理の問題とこういった年金という問題の法的な域というのか、違うんですか。つまり、間違った額を、それは税務署の管轄なら間違ったからもっと払えということが可能だけれども、国の年金の場合は、あなたには間違った数字が出ましたと、裁定が出ましたと、だから返してくださいというのは、全く違う問題でしょうか。
○岩村委員 先ほど申し上げたように、本来は同じです。ただし、税務の場合も、これは部会長の方が御存じかもしれませんが、税務の場合も、行政が通達を出していて、その通達にのっとって税務申告をしたと、ところが、後で行政が通達を変えて、もともとの申告が間違っていたのでやり直せと、税金をもっと払えというふうになった場合には、場合によっては、税務当局の方が負けることはあるんです。たとえ、それが法解釈上正しいものであったとしても、1回そういう通達を出して、言わば信頼状態をつくってしまった以上、あとでそれをやり直して、もう一回もっと払えということはできませんとなる場合がある。それは状況によるんですが、要するにどういう形でそういう指示をしたとか、いずれにしても、これもかなりそれに似ていて、要するに運用3号で1号の期間があったものも全部含めて3号でやってしまいますと通達を出して、それで窓口でやってしまって、後になってやめたというケースなので、そうすると、なかなか後になってやめたと、最初からもう一回全部計算し直して過払い分を返せというのは、これは多分難しいと思います。
○本田部会長 そこは、非常に難しいということですけれども、3月8日の厚生労働大臣の意見書にも、立法措置で1月1日にさかのぼってやるというのは、まさに法律で行けば、それは可能ではないかどうかという考え方でもあるわけですね。そういうことが政府から出されているわけですから、そこら辺については、更によく、いろいろ岩村先生がおっしゃったようなこともありますので、短い期間ですけれども、事務局の方でもよく勉強していただきたいと思います。
○岩村委員 先ほど申し上げたことですが、法律で仮にやるとすると、それは正面から憲法29条の話になってしまう。なぜかといえば要するにもともと取り返せないものを法律で返せというわけですから、そういうことになってしまうので、憲法29条の問題がもろに発生するものですから、そこは非常に難しいと私は思います。
○本田部会長 時間もありませんので、申し訳ありませんが、できるだけ、どうぞ。
○榮畑年金局長 今の運用3号通知で実際に裁定された方につきまして、まさに今、本田部会長からも御紹介いただきましたとおり、横長の紙の5ページの右から2段目の厚生労働大臣が3月8日にお示しした方向性と論点という欄の4の(イ)のただし書きのところで、本件の抜本改善策は1月1日に遡及して実施されることとなる場合には、再裁定額、すなわち低い額と既裁定額、高い額との差額を調整することを検討するということが書かれておりますが、まさに、この特別部会等々で御議論していただいて、私どもの方でよく考えていかなければいけないところだろうと思っています。
○本田部会長 それでは、今日は、できれば各項目少しずつ議論したいと思いますので、次に特例追納の内容について議論を進めたいと思います。
 特例追納で行う場合の保険料額の水準や特例追納を認める期間を3年間にすることについて、事務局から簡単に御説明をお願いします。
○小岩補佐 資料の6ページでございます。「5.特例追納の内容」というところで、まず「? 保険料額の水準をどうするか」といった観点から御意見をいただいております。
 保険料水準は、年金確保支援法案における後納制度と同じ水準にすべきという御意見。
 それから、分割納付に関してですが、特例追納期間、仮に3年間を超えて分割納付を認めた場合、納付が滞った場合にどうするのかといったような問題が生ずる。3年間の間に払うこととしないと、対応が難しいケースが生じるのではないかといった御意見があります。
 それから、下の方、?でございますが、特例追納は、3年間の措置とすることでよいかといった点については、年金確保支援法案の後納制度により、3年の時限で対応すればよいのではないか。それから、特例追納期間内に不整合は見つからないというケースが仮に生じたとしても、それは仕方がないと、完全な仕組みをつくるということは無理であるといったような御意見をいただいたところでございます。
 以上でございます。
○本田部会長 この点につきまして、何か御意見、御質問等ございますか。
 では、この点については、およそこういう方向で、また、何か御意見がありましたらいただくということで進めさせていただきたいと思います。
 では、次に障害・遺族年金の受給権への影響をどのように考えるべきか、という点でございます。先ほどいろいろと御意見がありましたけれども、ここにつきまして、まず、事務局から簡単に資料説明をお願いします。
○小岩補佐 では、続きまして、資料の7ページの上の6.のところでございますが、障害・遺族年金の扱いということで、障害・遺族年金の受給権への影響をどう考えるかという論点でございます。
 これにつきましては、まず、この問題の対象者には、さまざまな人がいると。対象となる年金についても老齢年金だけではなくて、障害年金や遺族年金もあり、これらの受給にどう影響するかということもある。
 健常者が「カラ期間」により受給権を保護されるのであれば、障害者の方についても同様に受給権を保護すべきである。
 それから、不整合が訂正されることにより、受給権が失われるといったような障害者については、むしろ福祉的な観点からの特別給付金、これは全額国庫負担で所得制限が付いたものですが、これにより対応するという案もあるのではないかといったような御提案がなされているところでございます。
 以上でございます。
○本田部会長 では、この点につきまして、御意見をお願いします。
○岩村委員 下手をすると、また無年金障害者をつくり出してしまうので、やはりこれは慎重な対応が必要だと、私は思っています。
○本田部会長 どうぞ。
○見城委員 私も、障害者は本当に障害を持ってしまった状況ですので、とにかく年金をきちんと保障されるか、またはいろいろ所得制限とかがあると思うんですけれども、福祉の方の面でカバーされるか、その辺の数字の、専門家による考え方というのはあると思うんですが、いずれにしも、これはきちんと保障されるべきだと考えます。
 それで「カラ期間」を設けてでもきちんと年金が、もし年金ということで行くならば「カラ期間」を設けて、きちんと年金が支給されるという方向を、私は支持しております。
○本田部会長 先ほど、山崎委員、障害云々のお話がありましたね。何か追加はありますか。
○山崎部会長代理 恐らく難しいのは「カラ期間」とした場合には、「カラ期間」の間に発生したものについては給付に結び付かないですね。ですから、保険料を納めたことにしなければいけない。ですから、まさに運用3号はこの問題に対してきれいな回答をしたんだろうと思いますね。そういう気がしますが、何か事務局の方からありますか。
○梶尾年金課長 おっしゃるとおり、普通に、今、使っている「カラ期間」ということですと、保険料を納めたことになりませんので、単純に「カラ期間」という言葉でやっておりますけれども、障害者に対して、障害年金なりをちゃんと保障できるような結論にすべきということであれば、それに応じて「カラ期間」でも障害年金の計算にできる「カラ期間」みたいなものにするとか、そういう目的が達せられるような仕組み方ということをやっていくということではないかと思っております。
○山崎部会長代理 今の制度では、過去にさかのぼって納付猶予期間を設けるということですかね。「カラ期間」とは違う、学生の場合、まさにそうなっているわけですが。
○梶尾年金課長 学生の納付猶予期間というのがありまして、これは、厳密に言うと、免除期間になってしまうんですけれども、そういう似たような仕組みがございますで、そういったものを参考にしながら保障される形を考えていくということかと思います。
○山崎部会長代理 特別給付金というのは、いろんな細工ができるんではないかと思いまして、幅のある、相当裁量の余地がある対応ができるんではないかと、私は思っております。
○本田部会長 それでは、一応、各項目一通りの議論を行いましたが、これまでの論点等も含めまして、更に皆さんの方から全体につきまして御意見があれば、なお、7番目の項目は、一応今日はごらんいただいて、また、これについても御意見があったら、また後ほどいただきたいと思います。
 どうぞ。
○大山委員 先程来、岩村先生からいろいろ教えていただいて、本当に勉強になっていると思っていますが、もう一回確認をさせてください。もし、間違っていたらごめんなさい。運用3号の抜本改善策の方に書いてある4の(イ)のところに関連するお話で、一回裁定が出て、さかのぼって云々というお話について、財産云々のところまでいってしまう可能性があるということでした。先生は専門家ですが、私は法律の専門ではないので、ついそのままの文章を読んでしまいます。すなわち、過払いになっていた人たちには、もう既に裁定が出ているから変えられないと思ってしまうのですが、その辺のところを、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
○岩村委員 そこは違いまして、原則は、前にも申し上げたとおり、要するに払っていなかった期間があったということですと、もともとそれに対応する額がそもそも発生していないということになりますから、そうしますと、一回裁定をしても、後でわかったというときには、それを仮に減額する形で修正したとしても、本来もらえるものの形に戻っただけですので、そういう意味では財産権の侵害という問題は起きないということになります。それは、過去にさかのぼってということも含めて同じです。
 ですから、本来であれば、そういう意味では、この運用3号の通知の期間についても同じことが言えるはずなんですが、通達を出してしまって、こういう扱いをしますというふうに言ってしまっているので、そうすると、そこで原則がひっくり返る可能性がありますという、本来とは違う方向へ議論が行ってしまう可能性がありますと、そういうお話だとお考えいただければよろしいと思います。
○山崎部会長代理 仮に財産権だとしても、ここに出ております過去の判例からすると制約がかかる、公共の福祉という観点から一定の制約をかけることができるというのが判例にあって、年金で言えば、1割程度という過去の例がありますし、最近では国会に出した、内閣法制局を当然通っているんでしょうが、かつての恩給期間分について、公務員の年金を3割近く減額すると、ですから、我々の間では標準1割、最大3割というのが私の頭の中にあるんですが。
○梶尾年金課長 今の後半の方だけ事実関係を御報告しますと、被保険者年金一元化法というのは、平成19年に提出しました法律で、公務員について、昔、恩給期間を引き継いで公務員共済に入って、公務員年金をもらっている方は、恩給期間の部分を含めて年金をもらっていらっしゃるんですけれども、そこについて一定の減額をするということになって、その恩給の期間、昭和34年よりも前の期間、恩給の期間の分については、27%の減額をしようと、しかし、それを含めて公務員共済の期間も含めて合計額で見て10%の上限を打っていますので、実際にもらう方が下がるのは10%が上限ということで、恩給期間分を、約3割27%ということですので、最大3割というのはなくて、実際に受給される方については1割ということでございます。
○岩村委員 更に今のを補足しますと、前回の資料の中で紹介されている農業者年金の場合というのは、結局、公務員もそれに似たところがありますが、要するに財政難で年金給付の切り下げをしないと、制度そのものがアウトであると、そういう状況の下で、年金を切り下げるというのは、それは財産権との関係でいっても、そういう侵害をするのもやむを得ませんねと、そういう発想だと思います。
 そうすると、この運用3号の場合に、その議論が当てはまるかというと、そうはならないんです。
○本田部会長 どうぞ。
○見城委員 非常に素人の疑問なんですが、逆の立場で国の通達があり、そのことを不当だと思った国民が国に対して、この通達は不当であると、逆の立場で訴えた場合、どうなるんですか。
○岩村委員 現行法上、そういう訴えをする手段がありません。
○見城委員 ないんですか。通達は一方的な通達。
○岩村委員 通達というもの自体を、勿論何らかの形で、それによって利害がある人については、訴えを起こせる可能性というのはありますけれども、およそ一般的に国民という資格でその通達がおかしいということを訴えるという手段は、現行法上はありません。
○本田部会長 海辺委員、どうぞ。
○海辺委員 済みません、話が戻るというか、先ほどの、要するに今までのお話の点で、私は、法律は大学の一般教養の法学の授業しか知識がないんですけれども、私が受けた授業だと、民事の場合の判例をいっぱいやっていたんですけれども、民事だと、しょっちゅう出てきていた、私がそのとき記憶していた言葉は、公序良俗に反しない限りという言葉がすごく出てきていたんですけれども、行政と国民というような場合には、1月に出た通達をさかのぼってやめましょうということが、そんなに公序良俗に反しているというふうには思えないんですが、それでも国の場合は無理なんですかね。
○岩村委員 余り法律の話をしてもしようがないんですが、公序良俗というのが出てくるのは、一般的には私人の間、つまり皆さん同士の間での民事の話です。
 ここで言っているのは、行政が一回こういう扱いでやりますという外観をつくり出してしまって、それを皆さんに知らせてしまったというところがそもそもの問題で、これは民事の場合でも、本来とは違う外観をつくってしまえば、その外観をつくった以上は責任があるというのは、やはり民事でも同じなんです。
 ですから、むしろ、その外観をつくってしまった以上は、その外観どおりにやってちょうだいねというのが、どちらかというと、民事の考えで、それがむしろ行政のここに入ってきていると考えていただいた方がよろしいと思います。
○本田部会長 どうぞ。
○梶尾年金課長 まさに1回目のときには、ばっと御説明した中の一部ですけれども、信義誠実ないし信義衡平の原則というのは、勿論、行政の場面でもあって、1回行政処分だけをしたけれども、それを取り消したりするのが信義誠実なり信義衡平の原則にのっとってどうかと、それで、今回の事案をどうとらえるかというのが問題全体としてあるということはあるかと思います。
 あと、先ほど申しましたように、今回、立法措置によって1月まで同じようにするというようなことというのを財産権のさかのぼっての訂正というふうに見るのか、そういうことではなくて、本来の法律に従ってやる場合に、余りに不利益にならないようにどう補足をするのかどう見るというところが勿論あるので、必ずしも憲法問題でどうかということで考えなければならないとは決め付けているわけではございませんけれども、憲法問題の場合でも、先ほどの農業者年金などでは、法律に基づく財産権の性質とか、内容を変更する程度とか、それの変更によって保護される公益の性質など、総合的に勘案してということがあって、それの中で過去の例では、財政状態が非常に厳しくて下げないといけないというのが、公共の福祉に合っているということでの財産権の制限ができるという、そういう判断なわけですけれども、その場合に限られるかどうかというと、今回、財産権の制限と考えたとしても、そこについて制限することが公共の福祉に合致するのかどうかという物の見方というのもあるんだろうとは思います。
○本田部会長 どうぞ。
○山崎部会長代理 私は、公共の福祉という話以前に、この問題に適切に対応しなければ、年金制度に対する国民の信頼を著しく損なうというふうに思います。
 それから、恐らく大臣の決断というのは、政治的に非常に大きなコストを払うことになると、要するに政治が信頼を失うということだったんだろうと思います。
○本田部会長 今、山崎委員からお話しましたけれども、確かに憲法論なり、いろいろ法律論もあるんでしょうけれども、3号問題について、昨年の3月29日からの経緯を見、なおかつ国会審議、監視委員会、また、二度目の回復委員会、と同時に世論の問題、いろんな問題を考えれば、勿論、法律的な岩村先生の御示唆も御教示もありましたけれども、それを乗り越えた、私も政治責任なりいろんな問題も含めて考えなければならない、判断しなければならない問題で、それをするときの原点はやはり年金制度というものをどう考えていくかということではないかと思います。
 この問題は、大変難しい問題なので、時間をかけて議論すべきですけれども、申し訳ありませんが、予定の時間になりましたので、本日の審議は、一応、終了ということにさせていただきます。
 事務局の方で、本日の委員の御発言を踏まえまして、引き続き論点の整理をよろしくお願いいたします。
 また、委員の皆さんにおかれましても、本日、発言し切れていない部分もあろうと思いますので、できれば、4月21日の木曜日までに事務局にメール等で御送付いただければ、誠に幸いでございます。
 事務局は、追加意見等も含めて整理して次回資料として出していただきたいと思います。
 それでは、最後に、次回の日程について、事務局の方から御説明をお願いします。
○古都総務課長 どうもありがとうございました。部会長から、今、ご指示がございましたように、発言されていない部分につきまして、更に追加がございましたら、21日までに私ども事務局にメールなり、電話なりでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、次回の日程でございますけれども、今、いただいたいろいろな宿題等もございますので、それらもまた準備しつつ、次回の日程につきましては、部会長と御相談の上、御連絡を改めて差し上げたいと思っております。
 以上でございます。
○本田部会長 ありがとうございました。それでは、本日は、これにて閉会といたします。
 どうもありがとうございました。


(了)

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