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2010年12月24日 薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録

医薬食品局

○日時

平成22年12月24日(金)15時~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(13名):五十音順 敬省略

 赤 堀 文 昭、 井 部 俊 子、 笠 貫   宏、 神 山 美智子、

 木 津 純 子、 高 橋 孝 喜、 土 屋 文 人、 永 井 良 三、

 中 川 俊 男、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 本 田 佳 子、

 松 井   陽、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子、◎望 月 正 隆

○山 口   徹、 吉 田 茂 昭

(注)◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理

 他参考人1名

欠席委員(5名):五十音順 敬省略

 飯 島 正 文、  大 野 泰 雄、 黒 木 由美子、 宗 林 さおり

 藤 田 利 治

行政機関出席者

 間 杉   純 (医薬食品局長)

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 國 枝   卓 (監視指導・麻薬対策課長)

 関 野 秀 人 (医療機器審査管理室長)

 長谷部 和久 (化学物質安全対策室長)

 奥 村 英 輝 ( 医薬情報室長)

○議事

○審査管理課長 定刻となりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」
を開催させていただきます。当分科会委員数23名のうち、現在16名の委員に御出席いた
だいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。本日、飯島委員、
大野委員、黒木委員、宗林委員、藤田委員におかれましては欠席の御連絡をいただいてお
ります。なお、永井委員、山口委員におかれましては、一時間ほど遅参の御予定です。
 カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。
 それでは、望月分科会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○望月分科会長 本日の薬事分科会を始めます。最初に、事務局から配付資料の確認をお
願いします。
○事務局 資料の確認をお願いいたします。審議事項につきましては資料1~5、報告事
項につきましては資料6~21、その他の事項につきましては資料22となっております。
なお、本日その他事項で2議題が追加となっております。資料23、24として本日配付し
ております。
 当日配付資料ですが、資料25「競合品目・競合企業リスト」、議事次第、座席表、委
員名簿をお配りしております。また、文書報告の資料はすでに先生方に送付しております
が、お手元には参考までに「文書報告一覧」を配付しております。
 続きまして、審議参加に関する報告をいたします。申請資料作成に関与した委員ですが、
議題2「医薬品プラザキサカプセル」について、笠貫委員が関与委員となっており、退席
となりますので、審議の間は別室にて待機をお願いします。
 また、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について、資料25として配付して
おりますが、その選定理由等を説明いたします。いずれも関係部会で報告した内容となっ
ております。
 当日配付資料25について説明いたします。
1ページ、「メマリー錠5mg、同錠10mg及び同錠20mg」です。本品目の申請企業は第一
三共株式会社です。本品目は、「中等度から高度アルツハイマー型認知症における認知症
症状の進行抑制」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として承認さ
れている品目及び開発中の品目として、資料に掲げる3品目を競合品目として選定してお
ります。
 2ページ、「プラザキサカプセル75mg及び同カプセル110mg」です。本品目の申請企
業は日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社です。本品目は「心房細動患者における脳
卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する
薬剤として承認されている品目及び開発中の品目として、資料に掲げる3品目を競合品目
として選定しております。
 3ページ、「ノルレボ錠0.75mg」です。本品目の申請企業は株式会社そーせいです。
本品目は「性交後の避妊(緊急避妊)」を効能・効果としており、本剤と同様の「性交後
の避妊」を効能・効果とする承認品目及び開発中の品目はないことから、競合品目はなし
としています。
 4ページ、「ロミプレート皮下注250μg調製用」です。本品目の申請企業は協和発酵
キリン株式会社です。本品目は「慢性型特発性血小板減少性紫斑病」を効能・効果として
おり、同様の効能・効果を有する薬剤として承認されている品目及び開発中の品目として、
資料に掲げる3品目を競合品目として選定しております。
 5ページ、「ステラーラ皮下注45mgシリンジ」です。本品目の申請企業はヤンセンフ
ァーマ株式会社です。本品目は、既存治療で効果不十分な「中等症から重症の尋常性乾癬
及び中等症から重症の局面型皮疹を有する関節症性乾癬」を効能・効果としており、同様
の効能・効果を有する薬剤として承認されている品目及び開発中の品目として資料に掲げ
る2品目を競合品目として選定しております。競合品目に係る説明は以上です。
○望月分科会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの説明について、特段の御
意見はございますか。よろしいですか。それでは、本分科会における審議の際の申合せ事
項については、競合品目・競合企業の妥当性も含め、了解を得たものとします。
 続いて、委員からの申出状況について報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況について報告します。
 議題1「医薬品メマリー錠」につきましては、退室委員は永井委員、議決に参加しない
委員はいらっしゃいません。
 議題2「医薬品プラザキサカプセル」については、退室委員は永井委員、議決に参加し
ない委員はいらっしゃいません。
 議題3「医薬品ノルレボ錠」については、退室委員、議決に参加しない委員はともにい
らっしゃいません。
 議題4「医薬品ロミプレート皮下注」については、退室委員はいらっしゃいません。議
決に参加しない委員は、木津委員、高橋委員、永井委員です。
 議題5「医薬品ステラーラ皮下注」については、退室委員はいらっしゃいません。議決
に参加しない委員は、高橋委員、土屋委員です。以上です。
○望月分科会長 ありがとうございました。本日の審議につきましては、議事進行を円滑
に行うため、議題1、2、4、3、5の順に審議を行います。
 それでは、議題1に入ります。
 議題1、資料1「医薬品メマリー錠5mg、同錠10mg及び同錠20mgの生物由来製品及び
特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は
劇薬の指定の要否について」です。本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有す
る医薬品に係る事項ですので、「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品
第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。初め
に部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をしたいと思います。医薬
品第一部会長の松井委員から御説明をお願いします。
○松井委員 議題1、資料1「メマリー錠5mg、同錠10mg、同錠20mg」(メマンチン塩酸
塩)について概要を説明します。本剤は、グルタミン酸神経系のNMDA受容体チャネル
拮抗薬であり、過剰なグルタミン酸による神経細胞毒性や記憶・学習に深く関与する長期
増強の形成障害を抑制し、アルツハイマー型認知症の症状を抑制する新規作用機序の薬剤
です。本剤は、「中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」
を予定効能・効果としております。
 アルツハイマー型認知症(以下、「AD」)の病理学的な特徴は、アミロイドβタンパク
の凝集・沈着による老人斑の形成、異常タウタンパクからなる神経線維変化、神経細胞の
変性・脱落による大脳萎縮ですが、ADの発症原因についてはいまだ解明されておりませ
ん。
 ADの症状としては、記憶障害、見当識障害、失語、判断力低下などの認知機能障害と、
認知機能障害による見当識障害、判断力低下などが原因で二次的に出現する暴力、暴言、
興奮、徘徊等の行動障害や、幻覚、妄想、抑うつ、睡眠障害等の精神症状が挙げられます。
 海外においては、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジル塩酸塩、ガラン
タミン臭化水素酸塩、リバスチグミン酒石酸塩の3剤及びNMDA受容体チャネル拮抗薬
である本薬が、認知症症状の進行抑制を目的とした標準治療薬として使用されております
が、本邦においてはドネペジル塩酸塩(販売名アリセプト)の1剤しか市販されておりませ
ん。本薬は、中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制が示
され、許容可能な安全性が示されたことから、すでに中等度以上にADが進行している未
治療の患者に対してはドネペジルと同様、第一選択薬として使用することは可能であり、
さらにドネペジル等のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬で有効性又は安全性に問題が
ある場合の切り替えや、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬との併用でも使用されると考
えられます。
 海外においては、2002年5月に欧州で承認されて以降、2010年9月現在、米国を含む
70か国で承認されております。本剤については、去る11月24日に開催された医薬品第
一部会において審議した結果、承認して差し支えないとの判断に至りました。
 以上、本剤の概要を説明しましたが、事務局からさらに詳しい説明をお願いしたいと思
います。
○望月分科会長 ありがとうございました。事務局から補足等の御説明をお願いします。
○事務局 議題1、資料1「メマリー錠5mg、同錠10mg、同錠20mg」の審査の概略につ
いて、国内臨床試験成績を中心に説明いたします。
 審査報告書48ページ、「後期第II相試験」の項を御覧ください。AD治療薬の有効性
の臨床評価においては、認知機能に加え、全般的臨床症状評価又は日常生活動作のいずれ
かで有効性を示すことが国内外で求められています。後期第II相試験は、海外第III相
試験を対象としたブリッジング試験と位置付けられ、日常生活動作の指標であるADCS
ADL-Jと認知機能の指標であるSIB-Jの二つが主要評価項目として設定されました。審査
報告書49ページ図1にお示ししますように、ADCS ADL-Jでは、投与24週後においてプ
ラセボに対する本薬の優越性が示せませんでした。一方、審査報告書50ページ図2にお
示ししますように、SIB-Jでは、本薬20mg群においてプラセボに対する優越性が認めら
れました。以上の結果、ブリッジングは成立しなかったことから、国内第III相試験が実
施されました。
 審査報告書52ページ「高度AD患者を対象とした第III相試験」の項を御覧ください。
第III相試験では、後期第II相試験の成績からADCS ADL-Jでは薬効評価が困難と申請者
が判断したため、主要評価項目としてSIB-Jに加え、全般臨床症状評価の指標である
Modified CIBIC plus-Jが設定されました。審査報告書53ページ図4にお示ししますよ
うに、SIB-Jでは、投与後24週において、本薬20mgでプラセボに対し優越性が認められ
ましたが、審査報告書54ページ図5に示す、Modified CIBIC plus-Jでは、プラセボに
対する優越性は示せませんでした。
 国内で実施した主要2試験において、ADCS ADL-J及びCIBIC plus-Jの有効性が確認さ
れてはいませんが、本邦の臨床現場におけるAD治療薬の選択肢はドネペジルの1剤のみ
と極めて限られている現状も考慮し、認知機能障害に対する本薬20mgの有効性は両試験
において示されていること、国内外の試験間でブリッジングは成立しなかったものの、本
薬20mgの有効性は海外臨床試験で認められ、海外では本薬は標準的治療薬として位置づ
けられていることを踏まえ、本邦においても有効性は期待できると判断しました。
 安全性について御説明します。審査報告書54ページ表2を御覧ください。第III相試
験において、いずれかの群で3%以上に認められた有害事象を示しております。浮動性め
まい等がプラセボ群より本薬群で多く認められていますが、添付文書(案)に記載されてい
る注意等に従い適正に使用されれば、承認の可否に影響するような安全性に関する重大な
懸念は認められないと判断しました。
 以上の成績より、効能・効果は既承認のドネペジルの記載も踏まえ「中等度及び高度ア
ルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」とし、本薬の効果について臨床現
場に誤った印象を与えないよう、効能・効果に関する使用上の注意にADの病態そのもの
の進行を抑制する成績は得られていないことなどを記載することが妥当と判断しました。
 用法・用量について、審査報告書85ページ「用法・用量について」の項を御覧くださ
い。国内主要2試験において、SIB-Jで本薬20mgの有効性が示されていることから、維
持用量を20mgとすることが妥当であり、また、投与開始初期の用法・用量を、1日1回
5mgから開始し、1週間に5mgずつ増量することについては、国内主要2試験において、
漸増期の有害事象発現割合に本薬群とプラセボ群で差は認められなかったこと、及び浮動
性めまい等の副作用が投与初期に発現していることを踏まえると、妥当であると判断しま
した。
 製造販売後調査については、審査報告書86ページ「製造販売後の調査等について」の
項を御覧ください。製造販売後調査として、肝機能障害及び腎機能障害患者等における安
全性に加え、本薬の長期投与時の安全性及び有効性、並びにドネペジルと併用したとき、
あるいはドネペジルから本薬に切り替えたときの安全性及び有効性の情報収集をするこ
とを目的に、2500例を対象とした使用成績調査を組み込んだ、観察期間を1年間とした
長期特定使用成績調査を実施する予定です。さらに、医療現場ではドネペジルとの併用が
行われる可能性が高いこと、及び国内臨床試験で本薬の有効性が検証されたとは言い難い
ことから、ドネペジルを服用中の患者に本薬を投与したときの有効性及び安全性を検討す
る試験を、製造販売後臨床試験として実施する予定であり、デザインの詳細は今後検討を
行っていく予定です。
 また、医薬品第一部会においていくつかの御意見がありましたので、その対応について
御説明します。まず、添付文書において、有効性が示されていない評価等について、きち
んと示すべきであるとの御意見がありましたが、添付文書の臨床成績の項において、日常
生活動作を評価するADCS ADL-Jを主要評価項目の一つとした試験も追加記載し、本剤が
ADCS ADL-Jでプラセボと有意差が認められなかったことなどを記載し、有意差があるも
のもないものも同様に表を用いて記載しました。
 次に、漫然と投与されないよう、しっかりと注意喚起すべきとの御意見がありましたが、
添付文書の「重要な基本的注意」において注意喚起することに加え、総合製品情報概要や
使用上の注意の解説において、さらなる情報提供を実施することとしております。
 また、ドネペジルとの併用について、海外の添付文書やデータをまとめて情報提供すべ
きとの御意見がありましたが、申請者が確認したところ、ドネペジルとの併用の懸念に関
しては、欧米の添付文書において、有効性及び安全性とも注意喚起されている事項はなく、
非臨床試験結果、臨床成績等からも、ドネペジル併用時に注意喚起を図るべき具体的情報
はなかったとのことでした。しかしながら、現状としては、日本人での安全性及び有効性
についての情報は乏しいことも事実であることから、申請者は今後予定症例数を2,500例
とした使用成績調査の実施、さらにドネペジルとの併用に関する製造販売後臨床試験の実
施等を通じて、臨床現場での適正使用情報の収集、問題把握及び適切な措置、注意喚起等
を図っていくことにしております。
 以上、機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤を承認して差し支えないと
判断し、薬事分科会で審議されることが適当と判断しました。なお、再審査期間は8年、
原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断
しております。
 なお、事前に神山委員から「メマリー錠、及び同じく認知症治療薬である報告品目のレ
ミニール錠について、24週若しくは28週以降の有効性を示す資料はあるか。SIB-J、
ADAS-Jcog、CIBIC-plusは具体的にどのような状態を示す指標か」との御質問をいただき
ました。
 24週若しくは28週以降の有効性を示す資料はあるかとの御質問については、メマリー
錠の審査報告書76ページ、レミニール錠の審査報告書65ページに記載しておりますが、
メマリー錠の国内長期試験で52週間、レミニール錠の国内長期試験で70週間が確認され
ております。なお、メマリー錠及びレミニール錠のいずれに関しても、長期投与試験は非
盲検非対照での評価であるため、本薬を長期投与したときの有効性評価には限界がありま
すが、どちらの長期投与試験成績もアルツハイマー型認知症の症状に対する抑制効果を示
唆する結果であると判断しております。
 SIB-Jは、中等度及び高度アルツハイマー型認知症の認知機能を検査するもので、例え
ば「名前を書いてください」「今は何月ですか」「お茶を飲むときに使うものを何と呼ぶ
か」など40の質問に対し、患者の応答を見て、社会的相互行為、記憶、見当識、注意、
実行などについて評価し、認知能力の障害の程度を検査するもので、医師が点数化し、得
点が低いほど認知能力の障害の程度が高度であることを示します。ADAS-Jcogは、SIB-J
と同様に認知機能を検査するものですが、軽度及び中等度アルツハイマー型認知症の認知
機能を検査するものとなっております。CIBIC-plusは、抗認知症薬の全般評価を行うた
めの評価尺度で、自分のいる場所、季節や月日を認識しているか、最近の出来事を覚えて
いるかなどの中核症状と、例えば入浴できるか、着替えができるか、排泄できるかなどの
日常生活動作や、妄想、幻覚、徘徊などの精神症状について、改善、変化なし、悪化など
を介護者などが評価するものとなっております。
 説明は以上になります。御審議よろしくお願いいたします。
○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明について、御意見、御質問等が
ありましたらお願いします。
○西島委員 今、御説明いただいたのですが、49ページの図1と50ページの図2の縦軸
の評価で、この二つの評価の違いが今ひとつ分からなかったので、もう一度説明していた
だけますか。
○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。49ページの図1ですが、ADCS
ADL-Jという日常生活動作の指標です。左の縦軸に書いてありますように、上の方が改善、
下のマイナスに行くほど悪化となっており、アルツハイマー病に関しては進行性のもので
すので、通常日数が経つことによってどんどん悪化していくという成績です。本剤の結果
では、プラセボ群が投与開始0週から比べて、24週後にいくほど悪化していきますが、
それに対して本剤20mg群が●ですが、そこもどんどん悪化していくのですが、ほとんど
差がなく、この結果では有意差はなかったという結果です。
 次のページの図2ですが、これは認知機能を示すもので、SIB-Jスコアを使っておりま
す。これも下のマイナスにいくほど悪化、上にいくほど改善という結果ですが、投与0週
からいくと、プラセボ群は日数が経つことによってどんどん悪化していくという結果で
す。一方、本剤20mg群を示す●ですが、一度改善の方向に動き、そのまま改善が維持さ
れて24週を迎えるという結果です。
○西島委員 図2の方は認知能力ですね。
○機構 そうです。
○西島委員 図1は何の能力ですか。
○機構 日常生活動作といいまして、先ほどお話した、お風呂に入ることができるのかと
か、服を着ることができるのかとか、そういう日常生活に関しての指標です。
○西島委員 そうすると、能力的にはどちらが高度なものになるのですか。
○機構 これはどちらが高度というものではありません。要するに認知機能とは、物事を
きちんと把握できるのか、名前を覚えているのかどうかという指標です。それとは別に、
日常生活動作とは、普段の生活に関してその動作がきちんとできるのか、お風呂に入れる
のか、お手洗いに行けるのか、ということですので、どちらがというわけではなく、両方
ともが重度の指標ということになっております。
○西島委員 ありがとうございました。
○望月分科会長 ほかにはどなたか御意見、御質問はございますか。一応多くの国で認め
られておりますし、日本では今まで、ほかの選択薬がなかったところに入れたということ
です。多少の問題はあるかもしれませんが、認めていいように思いますけれどもいかがで
しょうか。神山委員お願いします。
○神山委員 その他の副作用のところにめまいとあります。割合はそれほど多いとは思い
ませんが、死亡例で頭部の外傷というのは、めまいとも因果関係はなかったということで
よろしいのでしょうか。
○機構 申請者の説明によりますと、死亡された方に関しての因果関係は否定されており
ます。ただ、本剤に関してめまい等が起こりますので、その点はきちんと注意喚起しない
といけないと考えております。また、それを防止するためにも、本剤の投与方法を5mg
から順次上げていくことによって慣れさせていって、起こらないようにしていきたいと考
えております。
○望月分科会長 よろしいですか。ほかにございますか。それでは、特段の御異議はない
ようですので、議決に入ります。
 部会の報告を踏まえて、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、再審査
期間は8年、原体、製剤ともに劇薬に指定、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は
不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程
第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣
に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いについては私に御一任いただ
いてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 次の議題に入ります。笠貫委員におかれましては、本議題の審議の間、別室で御待機い
ただくこととします。
── 笠貫委員退室 ──
○望月分科会長 議題2、資料2「医薬品プラザキサカプセル75mg及び同カプセル110mg
の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の
指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。
 本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、
「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえ
て薬事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに部会での審議結果等を御報告
いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。医薬品第一部会長の松井委員か
ら御説明をお願いします。
○松井委員 議題2、資料2「プラザキサカプセル75mg、同カプセル110mg」(ダビガト
ランエテキシラートメタンスルホン酸塩)について概要を説明します。
 本剤の予定効能・効果は「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞
栓症の発症抑制」です。心房細動患者では、心房内に血液の凝固塊が生じやすく、生じた
血液の凝固塊が血流に運ばれて、体内の各所で塞栓症を起こすことがあります。例えば、
血液の凝固塊が脳内に達した場合には、脳卒中を引き起こす可能性があります。本剤は、
非ペプチド性の直接トロンビン阻害剤であるダビガトランの経口投与可能なプロドラッ
グであり、消化管から吸収され、エステラーゼによって活性本体であるダビガトランに変
換されます。ダビガトランは、活性型血液凝固因子の一つであるトロンビンを選択的かつ
可逆的に阻害することにより、血液凝固を抑制し、塞栓症の発症を抑制します。
 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症を抑制するた
めの抗凝固療法としては、PT-INRで用量調整を行うワルファリン療法が国内外のガイド
ラインで推奨されておりますが、ワルファリンによる抗凝固療法では、定期的な血液凝固
能のモニタリングによる用量調節が必要であり、多くの薬剤やビタミンKを含む食品との
相互作用に留意する必要もあります。日本も参加した国際共同の第III相試験において、
固定用量の本剤により、PT-INRで用量調節を行ったワルファリンに劣らない脳卒中及び
全身性塞栓症の発症抑制効果が示され、出血等の安全性も臨床的に許容可能と考えられた
ことから、ワルファリンに並ぶ治療選択肢の一つになると考えられます。
 なお、日本も参加した国際共同の第III相試験の成績をもとに、本剤は米国、欧州等に
おいても承認申請され、米国、カナダにおいては、2010年10月に承認されました。欧州
では、2010年12月現在審査中です。
 本剤については、去る11月24日に開催された医薬品第一部会において審議した結果、
承認して差し支えないとの判断に至りました。
以上、本剤の概要を説明しましたが、事務局からさらに詳しい説明をお願いしたいと思い
ます
○望月分科会長 ありがとうございます。事務局から補足等の御説明をお願いします。
○事務局 議題2、資料2「プラザキサカプセル75mg、同カプセル110mgの審査の概略」
について、日本人も参加した国際共同第III相試験である1160.26試験の成績を中心に説
明します。
 審査報告書58ページを御覧ください。本試験は、非弁膜症性心房細動患者を対象に、
本薬110mgと150mgを1日2回経口投与したときの脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制効
果について、ワルファリンに対する非劣性を検証することを目的とした非盲検並行群間比
較試験です。対象薬としたワルファリンは、PT-INRが2.0~3.0となるよう投与量を調節
されましたが、70歳以上の日本人患者では国内の臨床実態を踏まえPT-INR2.0~2.6が目
標とされました。
 試験全体では、無作為化された計1万8113例における有効性の主要評価項目の成績は、
審査報告書60ページの下に記載してあります。脳卒中及び全身性塞栓症の発症率につい
て、本薬110mg群のワルファリンに対するハザード比は0.91、本薬150mg群は0.66であ
り、いずれの本薬群でもワルファリンに対する非劣性が検証されました。
 一方、本剤の安全性に関して、大出血の発現状況が審査報告書63ページの上、表8に
記載してあります。本薬110mg群、本薬150mg群及びワルファリン群の大出血の年間イベ
ント率は2.67%、3.11%及び3.36%であり、本薬110mg群の大出血の発現率はワルファ
リン群に比べ有意に低く、本薬150mg群とワルファリン群との間に有意差は認められませ
んでした。しかしながら、本薬の安全性が必ずしもワルファリンより高いというわけでな
く、ここにはお示ししておりませんが、消化管出血の発現率はワルファリン群に比べ本薬
群で高く、また、審査報告書62ページの表7のように胃腸障害の発現率がワルファリン
群より高いといった成績も得られており、添付文書で注意喚起することとしております。
 次に、日本人での有効性及び安全性を説明します。本試験では、326例の日本人患者が
無作為化されました。日本人部分集団における有効性の主要評価項目の成績が審査報告書
64ページの上、表9に記載してあります。本試験に組み入れられた日本人症例数は非常
に限られており、試験全体の成績との類似性を判断することに限界はありますが、主要評
価項目以外の成績も含めて総合的に検討し、全体集団にて認められた試験成績と同程度の
本薬の有効性は、日本人においても期待できるものと判断しました。また、出血の発現頻
度は審査報告書66ページの中ほど、表11に記載してあります。こちらも限られた症例数
での検討ですので、大出血以外のデータも加味して検討し、本薬の安全性が全集団に比べ
て日本人部分集団で特別劣るようなことはないと判断しました。
 なお、本剤は固定用量での投与が可能ですが、1日150mg1日2回投与を標準的な用法
・用量とした上で、本薬の血中濃度が上昇すると考えられる中等度腎機能障害患者及びP
-糖タンパク阻害剤との併用時、並びに高齢者、消化管出血の既往を有する患者等の出血
の危険性が高いと考えられる患者では、1回110mg1日2回への減量を考慮することが妥
当と判断しており、その旨添付文書(案)に記載しております。
 製造販売後調査については、審査報告書94ページ後半から95ページを御覧ください。
国際共同試験である1160.26試験で組み入れられた日本人症例数が非常に少数であった
こと、本薬は長期間投与される薬剤であることから、本薬の安全性及び有効性に関して十
分な情報収集を行う必要があると判断しており、特に抗血小板薬併用患者、高齢患者、腎
機能障害患者における本薬の出血リスクを含めた安全性についての検討、胃腸障害等消化
管出血についての安全性の検討、併用薬の影響の検討、用法と安全性の関係の検討が可能
なように、十分な症例数で長期間にわたる情報収集を行う必要があると考えております。
申請者は、5000例規模の調査を実施し、観察期間を2年間とする製造販売後調査を計画
しており、申請者の方針はおおむね妥当なものと判断しております。
 以上、医薬品医療機器総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤を承認
して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが適当と判断しました。なお、
再審査期間は8年、また、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特
定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
 説明は以上になります。御審議よろしくお願いいたします。
○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明について御意見、御質問等あり
ましたらお願いします。
○木津委員 包装についてです。添付文書の、適用上の注意の「薬剤交付時」のところで、
「アルミピロー包装のまま調剤を行うことが望ましい」という記載があるのですが、包装
のところでは、このアルミピローが14カプセル×2が四つ入って112カプセルとは記載
されていません。その記載を入れていただいた方が、実際の調剤上は非常に分かりやすい
と思ったのですが、その点はいかがでしょうか。
○機構 1点確認したいのですが、14カプセル×2というのを添付文書にも書いた方が
分かりやすいのではないかということですか。
○木津委員 はい。実際に、アルミピロー包装がそれほど一般的になっていない中で、ア
ルミピロー包装の中に何錠入っているという記載がないと、購入を決めたりするときにも
実際にイメージが湧かないと思ったので、「28で1パックになっている」と書いてあれ
ばわかりやすいと思います。その点が添付文書には全く反映されていないので、添付文書
上にも記載していただきたい、と思ったのです。
○機構 分かりました。どうもありがとうございます。メーカーに伝えたいと思います。
○土屋委員 2点お聞きしたいのですが、一つは審査報告書5ページの、75mgカプセル
と110mgとの関係で、最初に75mgの小さいものを2カプセル飲むのが通常であって、そ
こから減量したときに110mgの大きい方を飲むことになるということは世の中の基本と
は違うので、PTPシートの包装形態を明確に区別するようにするとともに、そういうこ
とをやる、と書いてあるのですが、これを見て何も工夫がされていないと思うのです。シ
ートの色を変えることが包装形態を明確に変えるとでもお思いなのでしょうか。
○機構 包装形態を明確にということについては、どこまでできるかをメーカーとも詰め
たのですが、最初に考えたのは、色も似ていて大きさも似ているので、ここから少し変え
られないかということについて検討しました。その際、これは外国で作って持ってくるも
のなので、急には色を変えることができないということで、これについては検討できない
だろうということになりました。
 次に、PTPの印刷を区別できるようにしたらどうかということで、今、色の違うもの
が考えられています。それプラス、お手元にはお配りしていませんが、「75mgカプセル
を服用される患者様へ」ということと、「110mgカプセルを服用される患者様へ」という
ことと、両方併せて書いてある3種類の患者様への説明要旨をメーカーも考えていて、我
々もその意見を聞いているところです。そういった工夫の中で、取り間違えのないように
できないかと考えております。
○土屋委員 規格が変わればシートの色が変わるのは当たり前の話であって、全く対策に
はなっていないと思うのです。患者さんが間違えて1カプセル飲むものを2カプセル飲ん
だ過去の事例を調べると、ネオーラルがそうだったのですが、ネオーラルの10mgを出し
たとき、正に今回出しているようなピッチ印刷で、もともと1カプセルに1個ずつの名前
を付けていたのですが、25mgと50mgとデザイン統一をするために、真ん中に一つの名前
を書いた途端に、これは2カプセル分なのだ、ということで、1カプセルが10mgではな
く、2カプセルが10mgだと思って、2カプセルを投与する事故が起きたのです。という
ことは、例えばピッチ印刷で真ん中に印刷をすることによって、1回2カプセル飲むのだ
ということを明記するとか、そういう事故が起きたということを考えれば、逆にそれを利
用するとか、そのような工夫をするでしょう。
 ところが、今、後発品で2カプセルに1個ずつ入れているものがあるのですが、きれい
にピッチ印刷されているのです。私はよく言うのですが、急にこれに切り替えたら効くよ
うになるかもしれないけれど、毎回薬の量が足りなくなるかもしれないと思います。アメ
リカでも、タイレノールで2カプセルに1個印刷することによって、2カプセルがペアだ
と認識するという事故が起きているのです。人は表示によっていろいろなエラーを起こす
わけです。少なくともこのまま行ったときに、これを2カプセル飲むとは思わないと思う
のです。そこについて相当工夫をしないといけないのではないかと思います。そもそも色
も全く一緒だし、ヒューマンエラーを起こさせるようなもので、注意書きを出したから済
むものではないと思います。是非そこの工夫を考えないといけないのではないかという気
がします。
○望月部会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○機構 ありがとうございます。貴重な御意見をいただきましたので、その形も含めてメ
ーカーと相談したいと思います。
○望月分科会長 相談ではなく、厳しくメーカーを指導していただきたいと思います。
○土屋委員 もう1点、110mg投与の件です。用法・用量の注意として110mg投与という
ことが書かれているのは、それでいいと思いますが、これは、このような条件のときには
110mg投与から始めてもいいということですね。安全性を考えて、スタートを絶対150mg
から始めなくても、110mgで始めてもいいと解釈してよろしいのでしょうか。
○機構 最初の判断ですが、一般的に心配だから低用量から始めることが可能というわけ
ではなくて、この薬は心房細動の患者さんに血栓が起きては困りますので、十分な有効性
をメインに考えなければいけないため、そもそも今回書いたような明確な過量になるよう
な心配な事項がない限りは、150mgでいくものと思っています。
○土屋委員 したがって、70歳以上の患者さんや消化管出血の既往を持つような、そう
いう患者さんでは110mgからスタートしてもいいと読んでもいいのですか。
○機構 そういうことです。今、用法・用量には、150mgで投与して必要に応じて減量し
なさいとありますが、それは150mgから開始して、中で減量していきなさいという意味で
はなくて、この用法・用量に関連する使用上の注意に書いてあるような注意が必要な患者
では、最初から110mgでもいいので、110mgへ減量することを考慮してくださいという内
容になっております。
○土屋委員 そうだとすると、70歳以上の患者さんのところで、減量を考慮することと
いうのは、どうしても150から110への減量がメインのところに書いてあるものですから、
投与量を検討するときにそこからスタートしてもいいというイメージがしにくいと思い
ます。この減量が上の減量とは意味が違う減量だと、110からスタートすることをOKし
ているという意味には取りにくいのではないかという気がするので、その辺を少し工夫し
たらいいのではないかと思います。
○機構 ありがとうございます。途中からの減量ではないイメージをここに入れた方がい
いということですね。これも検討したいと思います。
○望月分科会長 その点についても、メーカーに指導するということでよろしいですね。
ほかには、どなたか御意見はございますか。
○早川委員 9ページの審査の概要で、原薬における「類縁物質の規格値について」とあ
ります。ここで、機構からの指摘によって類縁物質の規格値が、例えば□□%から□□%
になったと、あるいはその合計量の規格値が□□%から□□%に変更されたとあります。
これは有効性とか安全性という問題と何か関係があるのでしょうか。つまり、それに対し
て問題になるから変更するのかどうかということです。
○機構 これにつきましては、有効性・安全性に何らかの影響があるとは我々は認識して
おりません。そもそもこれを実際に作ったときの実測値が何ロットかありまして、これよ
り下回ることでどんな影響があるかも分かりませんので、今ある実測値をもとに今の試験
等で用いられた有効性・安全性が維持できるというか、実測値を守ってくださいといった
意味です。これを厳しくしたことが、有効性・安全性に影響を与えているとは考えており
ません。
○早川委員 投与量が110mg、150mgという話をしている、また、ワルファリンよりも安
全であるという話の中で、国際共同検定もやっています。例えば、外国においてこの規格
値が下がったのか、という点についてはいかがですか。わが国特有のことなのかというこ
とです。
○機構 この規格値につきましては、特に海外の審査を参考にしておりません。これまで
のこういった規格の審査と同じように扱って考えているということです。
○早川委員 これは規格の審査も似たような話があるかと思いますが、いつも有効性・安
全性との関係において、品質の値は、有効性・安全性がいささかログスケールの、例えば
安全性の安全域があるし、有効性も100mgとか150mgというスケールでやっている中で、
整数値の細かいところについてどう考えるのか、少し考えていただいた方がいいのではな
いかと思います。
○機構 御意見ありがとうございます。この辺りについては、機構全体でというような話
でもありますので、持ち帰って規格チーム等に情報提供させていただきます。
○松本委員 事務局に一つ伺います。効能・効果では、「非弁膜症性心房細動患者におけ
る虚血性脳卒中」と、記載があります。「虚血性脳卒中」という言葉が使われていますが、
少しなじみが薄いのですけれども、どうして「脳梗塞」とか「脳塞栓症」というような、
なじみのある診断名にされなかったかを教えていただければと思います。私どもの年代に
なりますと、脳卒中というと以前は脳出血、脳溢血とも言いましたが、それがほとんどだ
ったので、脳卒中と言われると出血というイメージが強くて、虚血性脳卒中というと何と
なく違和感を感じるのです。脳卒中のときには、確かにapoplexyだったので、今回のこ
れはstrokeか何かからの意訳だからこういうことになったのでしょうか。
○機構 おっしゃるとおりstrokeからきておりまして、「脳卒中」という日本語に訳さ
れて申請されてきていたところから検討が始まったということです。少し審査報告にも書
きましたが、そのときに、出血性脳卒中については、この薬の作用機序から考えて、抜か
なければいけないだろうということになりました。残るのは虚血性脳卒中ということで、
ここに落ち着いたという経緯です。文言の一般性については、専門協議等で話し合って、
これでもいけるのではないかということです。
○松本委員 そういうことであれば結構です。
○望月分科会長 ほかに御意見はございますか。よろしいですか。それでは、ただ今いろ
いろ意見が出ましたが、包装と表示をきちんとすることと、用法・用量の書き方をもう一
度改めることを含んで、メーカーに指導していただきたいと思います。ほかに御異議がな
ければ議決に入りたいと思います。
 部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について製造販売承認を可、再審査期間
は8年、原体、製剤ともに毒薬・劇薬に該当しない、生物由来製品及び特定生物由来製品
の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいで
しょうか。
 ありがとうございます。御異議なしと認めます。
 それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決を
もって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。答申書の文案その
他の取扱いについては、私に御一任いただいてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 それでは笠貫委員にお入りいただいてください。
── 山口分科会長代理、笠貫委員、永井委員入室 ──
○望月分科会長 次の議題に移ります。議題4、資料4「医薬品ロミプレート皮下注250
μg調製用の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再
審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。
 本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、
「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえ
て薬事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに部会での審議結果等を御報告
いただいた後、当分科会で審議したいと思います。医薬品第一部会長の松井委員から御説
明をお願いします。
○松井委員 議題4、資料4「ロミプレート皮下注250μg調製用(ロミプロスチム(遺伝
子組換え))」について説明します。
 本剤の予定効能・効果「慢性特発性血小板減少性紫斑病(以下、「ITP」)は、血小板
及び巨核球表面の膜糖タンパク質に対する自己抗体により引き起こされる血小板減少症
で、本剤は、週1回の皮下投与で、トロンボポエチン受容体を活性することにより骨髄前
駆細胞から巨核球に至る過程における細胞の増殖及び分化を促進し、その結果として血小
板数を増加させる薬剤です。本剤の作用機序は、既承認のレボレード錠と類似しています
が、本剤は、タンパク製剤であり、トロンボポエチン受容体との結合配列2か所を含むペ
プチド鎖と、ヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域が結合した一本鎖構造二つがジスル
フィド結合した構造を有します。
 日本の慢性ITP患者に対する治療ガイドライン案では、ITPの診断確定後、ヘリコ
バクター・ピロリの感染が陽性の患者に対しては、除菌療法を実施することとされ、除菌
しても血小板増加効果のない患者とヘリコバクター・ピロリ陰性の患者で、First line
である副腎皮質ステロイドを投与することとされています。また、副腎皮質ステロイドの
副作用により治療の継続が困難、又は副腎皮質ステロイドの投与が禁忌の患者に、脾臓の
摘出(脾摘)が考慮されます。本剤は、これらFirst lineとされている治療の実施後に、
さらなる治療が必要な患者に選択される薬剤の一つと考えられます。また、海外臨床試験
において、脾臓未摘出患者における有効性及び安全性が示されていることから、脾臓摘出
と並ぶ治療選択肢の一つとすることが可能と考えます。
 なお、国内の本剤による治療が適応とされる患者は、2006年(平成18年)度の特定疾患
医療給付受給者証の交付申請時に提出された臨床調査個人票を解析した結果から、本剤の
投与対象患者数は約800~3000例と推察され、2006年8月に本剤は希少疾病用医薬品に
指定されております。
 海外においては、2008年7月にオーストラリアで承認されて以降、2010年7月現在、
米国、EU主要国を含む27か国で承認されております。
 本剤については、去る11月24日に開催された医薬品第一部会において審議した結果、
承認して差し支えないとの判断に至りました。
以上、本剤の概要を説明しましたが、事務局からさらに詳しい説明をお願いしたいと思い
ます
○望月分科会長 事務局から補足の説明をお願いいたします。
○事務局 議題4、資料4「ロミプレート皮下注250μg調製用」の審査の概略について、
国内臨床試験成績を中心に説明いたします。
 審査報告書の50ページを御覧ください。成人慢性ITP患者を対象とした国内第III
相試験では、本薬は3.0μg/kgの週1回皮下投与から開始され、50ページの表7に示し
た用量調節ルールに従い、血小板数が5万~20万/μLに維持されるように12週間投与さ
れました。最高用量は10.0μg/kgとされていました。審査報告書の50ページの下半分を
御覧ください。有効性の主要評価項目は、血小板数が5万/μL以上となった週数とされ、
その中央値は、本薬群で11週、プラセボ群で0週であり、有意差が認められました。本
試験での安全性について、審査報告書の52ページの表8を御覧ください。有害事象の発
現率は、本薬群は91%、プラセボ群は92%であり、試験薬との関係が否定されない重篤
な有害事象はありませんでした。
 また、長期継続投与試験が本薬承認までの予定で継続されており、□□年□月□日でカ
ットオフした有効性について、血小板数の推移を審査報告書の61ページの図9にお示し
しております。血小板数がベースライン時の2倍以上かつ血小板数が5万/μL以上とな
った被験者は44例中42例でした。
 用法・用量については審査報告書の89ページの中央を御覧ください。国内第III相試
験での開始用量は3.0μg/kgでしたが、海外には1.0μg/kgを開始用量とした第III相試
験の成績があり、国内外の臨床試験成績より、開始用量3.0μg/kgには1.0μg/kgより早
期に血小板数が増加する利点が見られましたが、目標を超える血小板数の増加が見られた
被験者もいたことから、より安全性を重視した1.0μg/kgを開始用量とすることは妥当と
判断いたしました。
 また、本薬は、基本的に血小板数を見ながら用法・用量を調節する薬剤ですが、ITP
の治療に十分な知識と経験を有する医師の管理下で、個々の患者の背景を踏まえて必要最
小限の投与量に抑えることが適切であると判断し、臨床試験で用いた用量調節法をそのま
ま臨床現場に適用するのではなく、臨床試験の規定より早い段階で、減量や中止を考慮で
きるような用量調節法の目安を記載することが適切と判断いたしました。
 製造販売後については、審査報告書の97ページの下を御覧ください。承認申請前に得
られていた本薬の有効性及び安全性の情報が極めて限られていたことを踏まえ、本薬が投
与された全例を対象とした製造販売後調査を実施し、本剤投与中止後の血小板減少症及び
出血関連事象の悪化や血液及びリンパ系障害の副作用を重点的に情報収集することを承
認条件としています。また、現時点では、最長2年の調査期間が設定されておりますが、
さらなる長期使用に係る問題点等が見出された場合には、必要に応じて調査期間の延長を
検討する計画となっております。その他、骨髄レチクリン増生又は骨髄線維化あるいは骨
髄異形成症候群の発生等についても情報収集することが重要と考えております。
 以上、医薬品医療機器総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、全症例を対
象とした使用成績調査の実施を承認条件として付した上で、本剤を承認して差し支えない
と判断し、薬事分科会で審議されることが適当と判断いたしました。
 なお、本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、また、原体及
び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当
しないと判断しております。
 説明は以上になります。御審議よろしくお願いいたします。
○望月分科会長 ただ今の説明について御意見、御質問等がありましたらお願いいたしま
す。
○早川委員 また規格の話で恐縮なのですが、14ページの審査の概要のところで、微細
な構造変化を検出するためにペプチドマップをやるようにということです。その中で、答
えとしてはとりあえず製剤の製造工程における工程内管理試験としてペプチドマップを
実施すると答えています。
 これに対して、やはり最終製品でペプチドマップを規定するようにということです。こ
の製剤の製造過程において製剤に至るまで、ペプチドマップが変わるような可能性はある
のでしょうか。もしなければ、別に製造工程管理としてやっても、そのままでいいのでは
ないかと思いますが。
○機構 そもそも、これまでペプチドマップはされておりませんで、どのタイミングです
るかというところです。もともとペプチドマップが途中で変わるようなことは、まずない
と思っています。恒常性を担保するために、本当はやってあればよかったのかと思ってい
ます。まだそれができていなかったので、暫定的な処置としてこのような社内規定と申し
ましょうか、管理値としてもらって、いずれはきちんと申請書や承認書に載るような形に
なればいいのかと考えて、このような審査をさせていただきました。
○早川委員 ペプチドマップをやるということは、タンパク質の一次構造にかかわること
です。実際にタンパク質の一次構造を測るときに、製剤になった段階でやるのは結構難し
いというか、製剤中のいろいろなものもありますので、例えば、そういういろいろな添加
物等が入らない前の段階で、比較的分析しやすい状況で分析するというのが、今までの一
般的な合理的な考え方だと思うのです。
 ここで、あえてどうしても最終製品でやれということは、製剤中に一次構造が変わる可
能性があるということなのかと疑問に思ったのです。もしそうでなければ、このままの状
態で私はいいような気がします。つまり、そうしないとまた一部変更ということで、今こ
こで認可しても、さらに承認変更しないといけないわけです。それだけの必要があるのか
どうかということです。
○機構 1点目の、製剤でやらなくてはいけないと我々は考えていたわけではなくて、□
□は□□□□なので、今、□□□□□がペプチドマップをやろうと思ったときには、こう
いう形にならざるを得ないのかというところがあります。我々が製剤でやれと言ったわけ
ではないということをまず御説明させていただきます。
 先ほどおっしゃったように、このものについてはペプチド鎖がそんなに長いわけでもな
くて、どこまで必要なのかということについても、そのレベルを我々は特に検討したわけ
ではないのですけれども、一次構造を含めて恒常性を担保する上では、もちろん原薬でも
構わないのですけれども、ペプチドマップを作っていただくというのが安心なのかという
ところで、このような審査をさせていただいたということです。
 先生がおっしゃるとおり一変事項ですので、今後の話としてメーカーとしては大変な部
分がありますけれども、逆に言うと、本来であれば、我々としては、もともと原薬でやっ
てあればよかったということでここに至っているところを重ねて御説明させていただき
ます。
 今後、こういうものが恒常的に必要か、あるいはどの程度の長さのものまで必要かとい
うことについては、また別の議論になるのかと思っており、その辺は規格等のチームで検
討させていただくものかと思います。お答えになっていませんけれども、そのようなこと
です。
○早川委員 14ページでは、工程内管理試験としてやると言っています。しかし、機構
としてそれは次善の策であって、さらにその後でやってくださいということになっていま
す。一部変更してくださいと言っているわけで、工程内管理試験でやるということであれ
ば、それで十分目的を果たしているのではないかということです。
○機構 御意見ありがとうございます。
○土屋委員 表記の問題で申し訳ありません。これは0.72mlで溶いて0.5mlを使うとい
うことですが、実際には0.5ml以上吸えてしまうのでしょうか。今までのものは、それだ
けの用量を溶いても粘性が強くて、吸いたくても吸えないというのが多かったのですが、
これは取ろうと思えば0.72ml取れてしまうということなのでしょうか、それとも取れな
いのでしょうか。
○機構 どこまで取れるかについては、申し訳ないのですけれども、我々は実際にやって
みたわけではありません。入れた分だけ取れないので一応割り増しで入れて、きっちりと
取れるようになっているという説明を受けております。もちろん0.72ml入れるとその分
原薬の部分が増えるので、0.72ml取れてしまう可能性は分からないのですけれども、そ
のときの量というのは保証できないということで、0.5ml取る形になっていると理解して
います。
 これについては、もともと□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□おりますの
で、海外でもそのような使い方をされていると理解しております。これが、普通の操作で
確実に取れる範囲かと理解しております。
○土屋委員 心配しますのは、今までの過去の事故事例などを見ますと、溶いてしまった
らそれを大体全部吸ってしまうというのが多いということです。そうだとするならば、こ
のバイアルには0.7ccで溶きなさい、ということだけが書いてあって、そこから0.5mLを
使うのですよ、ということは書いてないのです。もちろん添付文書には、使えるのは1バ
イアルで0.5mLであると書いてありますけれども、このバイアルを直接溶くときにはこれ
を見ているわけですから、それだとしたら、ここに0.5mLでということを何らかの格好で
書いておかないと、そもそも0.72mlなどと緑のバッグに赤で書くというのは、わざわざ
見にくいようにしているのかと思います。こういう注意喚起は、きちんと分かるように注
意喚起すべきであります。
 それから、ボトルに1.5倍入っていることはいいのですけれども、この表示は375μg
というのを一番強調しているのです。少なくとも、これはわざわざ250μgの調整用です
よというふうにしている名前に工夫したのは、中身が375μgで1.5倍入っているけれど
も、実際は250μgを使うためだということからいったときに、そういう話とこの表記が
余りにかけ離れているのではないかという気がしますので、その辺はもう少し注意喚起を
した方がいいと思います。もちろん病院の薬剤部でこういうものを出すときには、ほかの
文書か何か付けて出すことにはなるとは思いますけれども、やはりそのものの表示として
も、もう少しきちんと工夫をされることが必要ではないかと思います。
○機構 ありがとうございます。ただ今、先生に御指摘いただいた375μgの点について
は、部会のときのバイアルでして、紙で置かせていただいている方が部会後に若干変わっ
ています。申し訳ありません。今は0.72mlを溶かすことが一番目立っています。先生が
おっしゃるように、確かに0.5ml取らなければいけないというところが、箱には赤く書い
てあるのですけれども、バイアルの方には書いてありませんので、この辺についてはメー
カーと調整させていただきたいと思います。
○望月分科会長 ほかにないようでしたら、ただ今御指摘いただきました表示については
注意することを前提として、特段の御異議がなければ議決に入ります。
 木津委員、高橋委員、永井委員におかれましては、寄付金等に関する申出に基づき、議
決への参加を御遠慮いただくことといたします。後ろに用意してあります席にお移りいた
だけますでしょうか。
── 木津委員、高橋委員、永井委員席を移動 ──
○望月分科会長 それでは、部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製
造販売承認を可、再審査期間は10年、原体、製剤ともに毒薬・劇薬に該当しない、生物
由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決し
たいと思いますがよろしいでしょうか。
 御異議なしと認めます。それでは薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づ
き、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたしま
す。答申書の文案その他の取扱いについては私に御一任いただいてよろしいでしょうか。
 そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
── 寺川参考人入室、松井委員退室 ──
 次の議題に入ります。議第3、資料3「医薬品ノルレボ錠0.75mgの生物由来製品及び
特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は
劇薬の指定の要否について」です。
 本品目は、適用等から見て慎重に審議する必要がある医薬品に係る事項ですので、「薬
事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて薬
事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに部会での審議結果等を御報告いた
だいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。
 なお、本日は財団法人日本生命済生会付属日生病院病院長の寺川直樹先生に参考人とし
て御出席いただいております。それでは、医薬品第一部会長代理の永井委員から御説明を
お願いいたします。
○永井委員 議題3、資料3「ノルレボ錠0.75mg」(レボノルゲストレル)について概要
を御説明いたします。また参考人として、ただ今御紹介のありました寺川先生においでい
ただいておりますので、事務局の説明の後にお話をお伺いする点を申し添えておきます。
 本剤は、有効成分として合成黄体ホルモンでありますレボノルゲストレル(以下、「L
NG」)0.75mgを含有する薬剤であり、緊急避妊を効能・効果といたします。
 緊急避妊についてですが、WHOによると「緊急避妊とは、1.避妊なしの性行為後か
ら数日以内、又は2.望まない妊娠を回避するための避妊方法の失敗時に、女性が実施可
能な緊急的な避妊方法である。なお、実施される緊急避妊法は、日常的な避妊方法として
は適していない」と定義されております。
 なお、本剤は、我が国において「緊急避妊」という新しい効能・効果の避妊薬でありま
すので、分科会の審議の参考とするためにパブリック・コメントの募集を実施しており、
部会においても中間報告されております。本日、最終報告を審査の詳細と併せて事務局よ
り説明をいたします。
 海外では1960年代より、ホルモン剤による緊急避妊法が利用されており、当初はエチ
ニルエストラジオール(以下、「EE」)の「単独投与が用いられておりましたが、その後、
EE及びdl-ノルゲストレル配合錠を用いた方法(Yuzpe法)の有効性が確認され、緊急
避妊法として用いられるようになりました。1998年に報告されたWHOによる臨床試験
において、Yuzpe法とLNG単独投与(0.75mgを12時間毎に2回投与)、その方法が比較
され、LNG単独投与の有用性が示されております。さらに2002年に報告されたWHO
による臨床試験においてLNG0.75mgの2回投与と、LNG1.5mg単回投与との有効性及
び安全性が同様であったということで、服薬コンプライアンスを考えると、WHOは緊急
避妊法としてLNG1.5mgの単回投与を推奨していて、2010年4月時点で欧州、アジア、
アフリカ等の海外48か国で承認され、一般用医薬品又は医療用医薬品として使用されて
おります。
 我が国においても、妊娠を望まない場合には事前に十分な避妊措置が講じられることが
前提ではありますが、やむを得ず十分な避妊措置が行えなかった際の緊急避妊を目的とし
て、本剤が投与されることは有用な選択肢の一つになると考えられます。また、海外にお
いて本剤等のLNG錠が、緊急避妊を効能・効果としてWHOが実施した臨床試験成績に
基づいて承認されているということで、国内にはYuzpe法が適応外使用とされていること
を考慮しますと、緊急避妊薬である本剤を国内の臨床現場に供する意義はあると考えま
す。
 本剤については、去る11月26日の医薬品第一部会において審議した結果、承認して差
し支えないという判断に至っております。
 以上、概要を御説明いたしましたが、事務局からもう少し詳しい説明をお願いいたしま
す。
○望月分科会長 それでは、事務局から補足等の説明をお願いいたします。
○事務局 議題3、資料3「ノルレボ錠0.75mg」の審査の概略について、臨床試験成績
を中心に説明させていただきます。
 有効性に関しては、審査報告書の22ページを御覧ください。海外各国における承認の
根拠となった、2002年に報告されたWHOによる臨床試験、「WHO2002試験」につい
て説明させていただきます。本試験は薬剤投与前120時間以内に十分に避妊措置を講じな
い性交を1回経験した女性4136例を対象とした、無作為化二重盲検並行群間比較試験と
して実施されました。22ページの表を御覧ください。妊娠例数及び妊娠率は、LNG1.5mg
単回投与で1356例中20例で1.47%、LNG0.75mg2回投与で1356例中24例で1.77%。
妊娠阻止率は、LNG1.5mg単回投与で82%、LNG0.75mg2回投与で77%でありLN
G1.5mg単回投与の有効性が示されました。
 次に審査報告書の24ページを御覧ください。国内第III相試験では、性交後72時間以
内に緊急避妊を必要として来院した日本人女性を対象として、性交後72時間以内に、本
剤0.75mg錠2錠を1回経口投与された結果、妊娠は63例中1例で認められ、妊娠阻止率
は81%でした。国内第III試験は少数例の試験ですが、WHO2002試験と矛盾するよう
な結果は得られていないことも考慮し、緊急避妊に対するLNG1.5mg単回投与の有効性
は、日本人女性においても期待できるものと判断いたしました。
 安全性について、審査報告書の27ページを御覧ください。「1)臨床試験で認められた
有害事象について」の2段落目です。国内第III相試験で頻度の高かった有害事象は、消
退出血46.2%、鼻咽頭炎20%、不正子宮出血16.9%、頭痛16.9%、悪心13.8%、倦怠
感9.2%、傾眠7.7%及び下腹部痛6.2%であり、重篤な有害事象は認められませんでし
た。日本人女性に対する本剤の投与経験は限られているものの、国内第III相試験での有
害事象は、プロゲスチン投与時の副作用として知られているものが多く、発現の傾向もW
HO2002試験と大きく異なるものではないことから、日本人女性においても、LNG1.5mg
単回投与の安全性は許容可能であり、適正に使用されれば大きな問題はないと判断いたし
ました。
 用法・用量について、審査報告書の29ページの(5)用法・用量についての項を御覧く
ださい。用量については、LNG1.5mgの有効性及び安全性が示されたことから本剤の用
量を1.5mgとすることは妥当と判断いたしました。用法については審査報告書の30ペー
ジの表に記載しております。海外ではWHO2002試験において、性交後4~5日後と比
較して、性交後1~3日後で妊娠率が低く、妊娠阻止率は高い成績が得られたことから、
性交後72時間以内に単回投与するよう用法が設定されており、国内第III相試験におい
ても、性交後72時間以内の女性に本剤が投与されたことから、本剤の用法・用量を「性
交後72時間以内に、レボノルゲストレルとして1.5mgを1回経口投与する」とすること
は妥当と判断いたしました。
 効能・効果について、審査報告書の29ページの(4)効能・効果についての項を御覧く
ださい。申請時効能・効果は「性交後の避妊」とされていましたが、本剤は適切な避妊が
講じられなかった性交の後に、避妊の目的で緊急的に用いられる薬剤であること、及び性
交後の記載は性交後に避妊が可能であるとの安易な理解を与えるとの懸念があることを
踏まえ、効能・効果は「緊急避妊」とすることが適切であると判断いたしました。さらに、
適正使用の観点から、本剤の使用上の注意として、本剤は完全に妊娠を阻止するものでは
ないこと、本剤は避妊措置に失敗した又は避妊措置を講じなかった性交後に緊急的に用い
るものであり、計画的に妊娠を回避するものではないことを注意喚起する必要があると判
断いたしました。
 なお、審査報告書の36ページの(6)製造販売後調査についての項に記載されておりま
すように、300症例を対象として、本剤処方時に服用者の背景(年齢、基礎疾患、既往歴、
最終月経等)、それから性交日時、緊急避妊薬又は低用量経口避妊薬の服用歴、服用前の
月経状況等の安全性に関する情報を収集するとともに、本剤服用後に服用日時、服用状況
(服用錠数等)、避妊の有無と避妊方法、服用後の出血状況、有害事象の発現状況、妊娠検
査結果等を調査する予定です。
 以上、機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤を「緊急避妊」の効能・効
果で承認して差し支えないと判断し、薬事分科会において御審議いただくことが適当であ
ると判断いたしました。
 なお、本剤は原体、製剤ともに劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品に
は該当しないと判断しております。再審査期間は4年とすることが適当であると判断して
おります。
 引き続き、パブリック・コメント募集の結果について御説明させていただきます。資料
3-2を御覧ください。本剤の承認に関しては社会的関心が高いと考えられたことから、医
薬品第一部会で了承をいただき、11月10日~12月9日までの間パブリック・コメントを
実施いたしましたので、提出された意見を取りまとめてお配りしております。また、当日
配付資料26として、パブリック・コメントに対する対応案についてお配りしております。
 まず、パブリック・コメントの募集については資料3-2の別添1でお付けしております、
意見募集の要項、別添2の品目概要、一部はマスキングしておりますが、分科会資料にあ
ります審査報告書及び添付文書案、別添3の臨床試験の参考となる文献リスト、以上の資
料を公表し、電子政府の総合窓口e-Govにおいて募集いたしました。寄せられた意見は
578件で、医療関係者が160件で約28%、医療関係者以外が175件で約30%、職業の記
載がなかったのは243件で42%でした。
 次のページを御覧ください。寄せられた意見において、「承認をするべき」との意見が
463件で80%、「承認するべきでない」との意見が114件で約20%でした。「その他」
の意見として「子宮筋腫の治療薬として必要」との意見が1件ありました。
 「承認すべきとの意見の主な理由」として、「性的被害を受けた女性を助けるために必
要」「避妊に失敗した場合など、望まない妊娠を回避するために必要」「副作用が少ない
とされる薬剤である。緊急避妊として承認された薬剤が必要」「人工妊娠中絶を回避する
ために必要」「既に世界各国で用いられており、日本においても必要」などの意見があり
ました。なお、理由の横の件数は、一つの意見に複数の理由が記載されている場合は、そ
れぞれの理由について計上しております。
 一方「承認すべきでないとの意見の主な理由」としては、「女性にだけ性の責任を負わ
せ、女性の健康を害するおそれがある」「着床直後の受精卵を流す極早期の妊娠中絶作用
がある」「環境ホルモンであり、次世代に影響が及ぶ」「子どもたちの安易な性を助長す
る」「緊急避妊薬は妊娠中絶の減少につながらない」「生命軽視に拍車がかかる」「道徳
上認められない」などの意見がありました。
 「承認すべきでないとの意見の主な理由」について、対応案を当日配付資料26として
お配りしておりますので御覧ください。提出された御意見のうち、多かったものについて
御説明させていただきます。
 「女性にだけ性の責任を負わせ、女性の健康を害するおそれがある」との御意見につい
ては、血栓症や乳がんのリスクは、ホルモン製剤において認められるものですが、投与期
間が長期になるほど、用量が高くなるほどそのリスクが高まることが知られております。
本剤については、単回投与であり、臨床試験においても血栓症や乳がんについての報告は
ないことから、現時点で血栓症や乳がんのリスクについて、特段の注意喚起は不要だと考
えております。なお、承認後の安全性情報の収集を通して、当該リスクが懸念される場合
は、必要な対応をしていきたいと考えております。
 「着床直後の受精卵を流す極早期の妊娠中絶作用がある」との御意見については、本剤
の非臨床試験の結果から排卵抑制作用が認められており、緊急避妊の主な作用機序として
排卵抑制作用が考えられる。受精卵の着床阻害作用については、既に承認されている低用
量経口避妊薬においても、着床阻害作用があるものとして承認されておりますが、本剤に
ついては、その可能性を完全には否定できないものの、当該作用を示す明確なデータはあ
りません。
 「環境ホルモンであり、次世代に影響が及ぶ」との御意見については、LNGを含有す
る経口避妊薬の年間の生産数量が約7100万錠(レボノルゲストレルとして6.5kg)である
のに対し、申請者が予定している本剤の生産数量は約□□錠で□kgとのことです。既に
承認されているホルモン製剤の生産数量に比べ、本剤の使用量は少なく、環境への影響は
大きくないと考えております。
 また、欧米など世界の多くの国で、当該レボノルゲストレルの緊急避妊薬が承認されて
おり、現時点では、米国及び欧州で環境への影響を理由に、本剤の使用を禁止した事例は
ありません。世界の状況も注視し、今後新たな対応が必要となった場合には速やかに対応
していきたいと考えております。
 「子どもたちの安易な性を助長する」との御意見については、本剤を適正使用した場合
でも妊娠阻止率は約80%であり、避妊の効果は完全ではなく、コンドームの使用等の計
画的な避妊法に代わるものではありません。本剤の適正な使用については、処方に当たり、
医師から服用者に対して指導・助言が行われるとともに、製造販売業者が服用者向け情報
提供資料を作成、配布し、注意喚起する予定としており、適正な使用が守られるよう情報
提供に努めたいと考えております。
 「緊急避妊薬は妊娠中絶の減少にはつながらない。生命軽視に拍車がかかる。道徳上認
められない」との御意見については、本剤が承認されたことにより、妊娠中絶の件数にど
の程度の影響があるか不明ですけれども、現状においても、エストロゲンとプロゲスチン
の配合剤が適応外で緊急避妊の目的で使用されている状況があります。今後、承認された
ものが使用されることで、適正使用のための情報提供や安全性等の情報収集がより適切に
行われるものと考えております。以上がパブリック・コメント募集の結果です。
 なお、事前に神山委員から、「性交後72時間であるかどうか、医師はどうやって判断
するのか。虚偽の説明をして、常備薬のように集められるおそれを払拭できないのではな
いか。先日の子宮頸がんワクチンの説明において、15歳では既に性交経験があるので、
接種開始を10歳にしたと説明された。未成年や若い女性が安易に短期間に何度も利用し
た場合の副作用は確認されているのか。承認に反対するパブリック・コメントにも一理あ
ると思われる」との御意見をいただいております。
 性交後72時間であるかどうかは、医師は患者の申出により判断することになります。
また、同一周期内で複数回投与を一律的に制限するべきとの情報もございませんが、本剤
は通常の避妊に用いられる医薬品ではなく、あくまで緊急避妊の効能に対して用いられる
医薬品であることから、本剤の適正な使用について処方に当たり、医師から服用者に対し
て指導・助言が行われるとともに、服用者向け情報提供資料を作成・配布して注意喚起す
るなど、適正使用のための情報提供が行われるよう対応を考えております。
 また、木津委員からは、「本製剤の病院あるいは薬局での管理について、きちんと規定
を定めた方がよいと思うがいかがか」との御意見をいただいております。
 本剤は既に承認されている経口避妊薬と同様に、処方せん薬として管理することとして
おり、医療機関や薬局等で適切に管理していただきたいと考えております。
 説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○望月分科会長 それでは、参考人の寺川先生から補足等がありましたらお願いいたしま
す。
○寺川参考人 御紹介いただきました、大阪市の日本生命済生会付属日生病院長をしてお
ります寺川です。どうぞよろしくお願いいたします。医薬品第一部会の永井先生から適切
な御紹介と、事務局から非常に詳細な御報告がありましたので私からはそう多くはありま
せん。私は、必ずしも避妊薬なり避妊法の専門ではありませんが、2年前まで医学部の産
科・婦人科教授をしておりましたので、産婦人科専門医として少し付け加えさせていただ
きます。
 1960年に米国FDAで避妊薬ピル、これはbirth control pillですがこれが認可され
て以後、米国では性犯罪被害者に対して、そのbirth control pillとは違う、性交後避
妊、Postcoital Pillが開発できないかということで、1960年代から性ホルモン剤による
試行が始まりました。最初は、極めて大量の高用量の女性ホルモンのうちの卵胞ホルモン、
エストロゲンだけを5日間にわたって服用する方法がとられたようです。その1錠中のホ
ルモン含有量は、今現在使われております低用量ピルからすると何十倍の量で、非常に効
果はあったそうですが、当初定められた5日間を続けて服用することは、多くの方が非常
に難しかったようです。
 先ほど御紹介がありましたように、1970年代に、カナダのアルバート・ヤッペという
方が、今度は黄体ホルモン剤、プロゲスチンを併用することでその大量のエストロゲン、
卵胞ホルモン剤の含有量を減らすことができるということで、その有効性を報告しまし
た。現在日本では当然ながら緊急避妊薬で認められたものはありませんが、それ以来、日
本ではプラノバールという薬、これは認可された実際の適応症は、女性の機能性出血であ
るとか、月経異常の治療薬ですが、いわゆる中用量ピルが実際には処方できておりますの
で、それを緊急避妊薬として使われているのが現状です。
 ちなみに、性犯罪被害者に対する医療支援というのが、警察庁によって2006年から行
われております。これは、各都道府県が協力しているのですが、不幸にして性犯罪被害に
遭われた方が、各都道府県に訴えると、今申しましたプラノバールという中用量ピルを無
料で提供することになっております。薬価は5000円程度のものです。
 先ほど事務局からも御報告がありました、ノルレボ錠という黄体ホルモン剤は、主たる
作用機序は排卵の抑制ですが、もちろんこれは排卵の後にも服用されるケースがありま
す。排卵抑制と同時に、排卵を一時的に大量の黄体ホルモン剤を2錠服用することで遅ら
せる、遅延をする作用も、いわゆる緊急避妊に関与している可能性があります。
 それから、女性の月経周期、排卵周期では、排卵した後に黄体ホルモンが卵胞から分泌
産生されて、子宮内膜では受精卵が下りてきて着床できる状況をつくるのですが、その着
床を高濃度のノルレボ錠が阻害する可能性もあります。
 先ほど御紹介のあったパブリック・コメントの中で、「極めて早期の妊娠中絶薬」とい
うような意見が出ておりました。医学的に生命の誕生をいつからにするかということに関
しては、非常に難しいのですけれども、着床が起こって、それから受精卵の分割、胚の発
生で、医学的には着床をもって生命の誕生としておりますので、パブリック・コメントで
おっしゃっておられる、妊娠中絶薬には当たらないということが言えると思います。
 もしこれが認可された場合ですが、birth control pillは、女性が月経開始と同時に、
毎日、連日ある一定量の低用量のホルモン剤を服用し、排卵を抑えることでほぼ100%の
避妊効果を持っています。これは先ほどありましたように、WHOの成績ではかなり良い
のですけれども、同時期に行われている英国の成績では、妊娠阻止率はそれほど高くあり
ませんので、私どもから見ると、妊娠を阻止する「妊娠阻止率」は75~80%ぐらいの範
囲ではないかと考えます。
 妊娠阻止率がどのように出るかということですが、生殖医学では、健康な男性と女性で
ある御夫婦が通常の性生活を営みますと、女性の1月経排卵周期当たりの妊娠の成立が8
%~10%と言われています。それに対して今回の1998年、2002年のWHOの成績等、あ
るいは少し成績が悪いですが、英国での成績を見てみますと、その妊娠率が今申しました
正常周期の8~10%に対して2~2.5%に抑えられておりますので、そこから妊娠阻止率
が75~80%と推定されるということです。
 大事なことは、あくまでも妊娠阻止率は100%ではありませんので、ユーザーがそれを
勘違いし、これで妊娠が回避できると思うことが一番危険なことです。2割あるいは2割
と少しの確率で妊娠継続は起こりますので、その後をいかに産婦人科の医療機関できちん
とフォローするかということが大事だろうと思います。以上です。
○望月分科会長 ありがとうございました。これまでの説明について御意見、御質問があ
りましたらお願いいたします。
○神山委員 今の寺川先生の御説明に出ていましたように、性犯罪の被害者に対しては、
現在無料で投与されている、その薬剤に代わるものとして認可するという点については大
変結構だと思います。しかし、これはいろいろなところにも書かれておりますが、適正に
使用されればという、その「適正使用が確保される見込み」がないのではないかと思って
います。
 例えば、睡眠導入剤なども、眠れないと言えば貰えることから、たくさん貰って、それ
を犯罪に使用している例があるように、今のように性が乱れている時代に、これが性犯罪
被害者だけではなくそのほかの人にも投与され得ることになった場合、300例を調査する
といっても、これから販売されるのが何十万錠だとすると、大半のものは何も調査されな
いことになります。それは、お医者さんを騙して薬を貰おうという人に対して、医師が適
切に指導するから大丈夫という話は全く成り立たないのではないかということです。濫用
されないような、きちんとした手当てがなされない限り、大変恐ろしいという気がいたし
ます。
 単回投与とは言っても、単回投与が全く保障されないような売り方になるのではないか
ということを大変危惧しておりますので、少なくとも先ほど御説明がありましたような、
性犯罪被害者に対して投与されるようなものの代わりという形で、最初は認可されるべき
ではないかと思います。
○望月分科会長 ただ今の件に関して、事務局から答えをいただけますか。
○事務局 この製剤の使われる状況としては、性犯罪の被害者、それからコンドーム等の
計画的な避妊であっても、コンドームの破れ等で失敗してしまうような状況も考えられま
す。そういう方に今回の薬剤を使っていただくのが本来の目的です。
 先生が御懸念の、それ以外の使われ方がされる可能性が非常にあるということなのです
が、本剤を適正使用した場合でも妊娠阻止率は80%であるということもありますので、
その辺は十分伝えて、過剰な避妊効果があると誤解されないようにしていきたいと思って
おります。
 1994年にカイロで開催された国際人口開発会議において、母体への危険性を伴う人工
妊娠中絶は、家族計画の方法として奨励されるべきではないとの提言が採択されておりま
す。また、1995年に開催された国際家族計画専門家会議においても、望まない妊娠を回
避するため、すべての女性が緊急避妊法を利用できる保障体制を推進するとの合同声明文
も採択されております。そういう世界的な状況も踏まえて本剤についての承認をする意義
があるのではないかと考えております。
○神山委員 それは見解の相違としか言いようがないです。もう1点は、このパブリック
・コメントに対する対応案の1に「女性にだけ性の責任を負わせ、女性の健康を害するお
それがある」というコメントの対応案が、「女性の健康を害するおそれがある」というこ
とに対する答えにはなっているのですけれども、「女性にだけ性の責任を負わせる」とい
う主張に対する回答にはなっていないと思います。ピルについても、女性にだけ性の責任
を負わせているという反対意見も非常に根強いのです。少なくとも女性にだけ性の責任を
負わせることは間違いないので、そういう点については「確かにそうではあるけれど」だ
けでもいいですから、「女性にだけ性の責任を負わせる」ということは少なくとも認める
べきではないかと思います。
○事務局 今回の本剤の使用の目的としては、どうしても性犯罪被害とか、通常の計画的
な避妊については、そういう御意見も考えられると思うのですが、あくまで緊急避妊のと
ころでいうと、やはり緊急回避的なところの意味合いとして、「女性に責任を負わせる」
というところがそのとおりかどうかという判断は少々難しいものと考えております。
○望月分科会長 いかがでしょうか。ほかに御意見はありますか。
○吉田委員 資料を拝見すると、動物実験では余り大きな問題はなさそうなのですけれど
も、もし妊娠が継続した場合、児への影響はあるものなのでしょうか、それとも何か想定
しておかなければいけないということはないのでしょうか。量的には余り多くないので問
題はないとは思うのですけれども。
○機構 妊娠初期の影響については、審査報告書の29ページに書かせていただいており
ます。本剤を投与しても妊娠が回避できなかった場合に関してですが、本剤投与前に妊娠
していないことを確認した上で投与されたとの前提であれば、本剤が投与される時期とい
うのは、妊娠4週以前のごく初期であること。それと先ほど御指摘がありましたように、
用法が単回投与であり、量的にもそれほど影響のない量であろうということを考慮する
と、その後妊娠が継続されたとしても、本剤の胎児に及ぼす影響は大きいものではないの
ではないかと考えております。
○吉田委員 それはそのとおりなのですけれども、めったにないことなので何とも言いよ
うがないのかもしれませんが、内分泌的環境への影響など、妊娠と女性ホルモンの関係等
々から、懸念材料が全くないということなのかどうかということを、参考人の先生にお伺
いしたいのですが。
○機構 申し訳ありません。PMDAから追加でお答えさせていただきます。単回投与だ
から安心であるというだけではなく、既に着床が成立していて、妊娠が成立した場合に、
黄体ホルモンであれLNGを投与すると、排卵が起こった後は、人体から内因性のプロゲ
ステロンが出ますので、逆に妊娠を保つ方向、妊娠をサポートする方向に働きます。妊娠
サポーティブの方向に働くことはあっても、催奇形性などの児への影響は考えにくいと審
査の段階では議論しております。
○望月分科会長 寺川先生から追加することはありますか。
○寺川参考人 今回のノルレボ錠、レボノルゲストレル1.5mgというのは、もちろん1回
量としてはかなり高用量になります。少し医学的な歴史をお話いたしますと、例えば私が
医師になったときには、妊娠に対して黄体ホルモン剤をもって、流産・早産予防に使って
おりました。しかし、これは結果的にその根拠があったかどうかは分からないのですが、
アメリカの方から、妊娠の流産・早産を起こす方に、長期間の黄体ホルモン剤を使用した
ところ、結果として生まれた児に大きな循環器系の奇形の発生が数例報告されました。そ
のときには黄体ホルモン療法は世界的にスタンダードな治療だったのですが、それが非常
にインパクトのあるジャーナルに出まして、結局その検証はできませんでしたが、そのこ
とで、世界的に妊娠の維持をするための黄体ホルモン療法は中止になり、日本でもそれを
もって使わなくなりました。ただ幸いなことに、その代わりに現在使われているような、
そういうホルモン剤ではない、子宮筋の収縮を抑制することで妊娠を維持するものがちょ
うどそのころから出てまいりましたので、薬剤としてはスイッチすることができました。
 私は専門医ではありませんが、非常に大きな報告でしたのでずっと見ておりましたがそ
の後、そのレポートを認めているものは出ておりません。むしろ循環器の先生にお尋ねし
たいのですが、多分それは一時的にそのとおりのそういう結果が出たのではないかと考え
ております。ご質問がありました件も、レボノルゲストレル1.5mgを服用し、2割の率で
継続が起こっても問題はないであろうと考えます。実際には1999年に米国やヨーロッパ
で認可されていて、かなりの歴史使われていますが、そこから妊娠した場合の胎児、新生
児への悪影響は今のところ報告されておりませんので、そう強く思わなくてもいいのかと
私自身は思っております。以上です。
○望月分科会長 先ほどの神山委員の御指摘に対する答えというのは、緊急避妊剤という
ことを明確にして、それ以外の使用がないような形は工夫できないかということだったの
ですけれども、それについて機構の御意見はいかがでしょうか。
○機構 実際に適正な使用について、どのように情報提供していくか、一般の方に伝えて
いくかについては、申請者、それから関係者とも話をして、協議をして、検討していきた
いと考えております。
○木津委員 事前に質問させていただいたのですが、今、病院の中で薬がなくなったり、
いろいろな事故が起こっている現状の中で、やはり管理簿の対象にしてもいいのではない
かと思ったので、そのような提案をさせていただきました。もちろん処方せんでなければ
駄目だということは分かった上での質問になっています。御配慮いただければと思いま
す。
○事務局 実際の状況等を調査して、もしそういう問題が出るようであれば、こういった
対応も検討していきたいと考えております。
○望月分科会長 そうではなくて、問題が出ないように対応していただきたいということ
です。出たら対応では困るのです。
○事務局 はい、検討させていただきます。
○井部委員 これは医師ならどなたでも処方できるわけですね。そうすると、近くの開業
医に行ってもらうことも、当然ながらできるということになるのでしょうか。
○事務局 本剤については72時間という時間的な制約がある中で、医療機関の制限とい
うのは現状のところ考えておりません。
○望月分科会長 難しいけれども、やむを得ないということでしょうか。ほかにどなたか
ありますか。
○神山委員 私は何度も申し上げるように、適正管理、適正使用が非常に難しい薬だと思
っています。その適正管理・適正使用を、医師や薬剤師だけに押し付けている薬剤ではな
いかと思うのです。例えば、72時間という制限があると言われても、嘘か本当かは御本
人の言うことを信じるかどうかしかないわけです。そうではなくて、やはり制度的なもの
として適正使用できるようなことをもっと考えないと、私は絶対に濫用される薬剤だと思
います。
○望月分科会長 いかがでしょうか。お答えはありますか。
○寺川参考人 委員の方々の御心配はよく分かるのですが、世界の現状を申しますと、実
際に多くの国では、一般用医薬品として薬局で販売されております。例えば、アメリカで
あれば、17歳以上の方は薬局でそのまま医師の処方せんなしに販売してます。しかし、
そういったことがいいとは言っておりません。我が国で承認される場合には、当然医師の
処方の下でなされるわけです。米国のみならず多くの外国で、いわゆる一般用医薬品とし
て薬局で処方されても、それほど大きな問題となっているということは伝わってきており
ません。日本では多分ほとんどのケースが産婦人科医になると思いますが、きちんと問診
をした結果適正に処方されれば、薬局で手軽に手に入るものではありませんので、そこま
での御心配は必要ないのではないかと感じております。
○望月分科会長 いかがでしょうか。日本でいきなりそういう形では無理だと思うのです
が、最初の段階で適正に管理し、適正に使用できる体制をつくるか、添付文書に書けばい
いというわけではありませんが、少なくとも何らかの形で分かるようにしていただけない
と、皆さん一致して承認というのはなかなか難しいのではないかという気がするのです。
方向性について、事務局あるいは機構の方から、どなたか御発言はありますか。
○事務局 事務局です。ほかのプレグランディンの腟坐剤などで、納入医療機関等へ情報
提供をした事例等がありますのでその辺も踏まえて、適正な管理についてしっかり検討し
ていきたいと考えております。
○望月分科会長 いかがでしょうか。適正な管理をメーカーと一緒にきちんと考えて、そ
の結果これを出すというお答えです。そのような前提で承認するという方向でよろしいで
しょうか。ありがとうございます。いろいろと厳しい条件があって、実現するのは大変だ
とは思うのですけれども、本日の委員の先生の御意見というのは、現在の日本では妥当な
意見だと思いますので、是非それに沿ってまとめていただきたいと思います。ほかには御
意見がないようですので議決に入りたいと思います。
 部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、再審査期
間は4年、製剤は毒薬・劇薬に該当しない、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は
不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 御異議なしと認めます。それでは薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づ
き、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたしま
す。答申書の文案その他の取扱いについては、私に御一任いただいてよろしいでしょうか。
 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございます。
 参考人の寺川先生、本日はお忙しいところ大変貴重な御意見をありがとうございまし
た。
── 寺川参考人退室 ──
○望月分科会長 次の議題に入ります。議題5、資料5「医薬品ステラーラ皮下注45mg
シリンジの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審
査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。
 本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、
「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第二部会での審議結果を踏まえ
て、薬事分科会にて審議を行うこととなっております。初めに部会での審議結果等を御報
告いただいた後、当分科会で審議をしたいと思います。それでは、医薬品第二部会長の吉
田委員から御説明をお願いいたします。
○吉田委員 議題5、資料5「ステラーラ皮下注45mgシリンジ」(ウステキヌマブ(遺
伝子組み換え))について、概要を説明します。
 本剤の有効成分であるウステキヌマブは、ヒト型抗ヒトインターロイキン(I
L)-12/23p40モノクローナル抗体で、ヒトIL-12及びIL-23の共通の構成タンパクであ
るp40サブユニットに結合し、IL-12及びIL-23の活性を中和する作用を有しております。
本剤は、新規の生物製剤であり、今般、「尋常性乾癬及び関節症性乾癬」に係る効能・効
果によって承認申請がなされております。
 乾癬は局面型皮疹を特徴としており、寛解と再燃を繰り返す免疫介在性の炎症性角化症
です。その最も一般的な病型が尋常性乾癬で、尋常性乾癬と同様の皮疹に関節炎を合併し
ている病型が関節性乾癬です。本疾患の発症や病態の進展において、IL-12及びIL-23が
重要な役割を担うことが示唆されているため、本剤は乾癬の治療薬として開発が進められ
たものです。
 本邦において、乾癬に対する効能・効果を有する生物製剤としては、炎症性サイトカイ
ンであるTNF-α(腫瘍壊死因子)を標的としたインフリキシマブ及びアダリムマブがあ
りますけれども、本剤はこれらと異なる作用機序を有しております。
 海外において、本剤は、2008年12月にカナダで承認されて以来、2010年9月現在、乾
癬に係る適応において52か国で承認されております。
 本剤については、去る11月29日に開催された医薬品第二部会において審議した結果、
承認して差し支えないとの判断に至りました。なお、審査結果報告書にありますように、
承認条件の2については、「大規模な製造販売後調査を実施し、本剤の安全性について十
分に検討するとともに、感染症等の発現を含めた長期投与時の安全性及び有効性について
検討すること」と変更することが適切と判断しております。
 以上、本剤の概要を御説明申し上げましたが、事務局からさらに詳しい説明をお願いい
たします。
○事務局 議題5、資料5「医薬品ステラーラ皮下注45mgシリンジ」の審査の概略につ
いて、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
 審査報告書の37ページの下段、2)第II/III相試験の項を御覧ください。国内での主
要試験として、日本人乾癬患者158例を対象に、本剤45mg、90mg又はプラセボを0、4
週、以降12週間隔で皮下投与した際の有効性及び安全性を比較する無作為化二重盲検並
行群間比較試験が実施されております。その結果、38ページの中段の表13に示している
ように、主要評価項目にある投与12週目のPASI75反応率は、プラセボ群6.5%に対し、
本剤45mg群では59.4%、本剤90mg群では67.7%です。本剤群において有意な改善がこ
こより認められております。なお、PASIスコアというのは、局面型皮疹の状態をその
重症度と面積からスコア化した指標です。PASI75反応率とはベースラインに対してPA
SIスコアが75%以上減少した症例の割合を表しております。
 一方、関節症性乾癬については日本では患者数が少なく、個別の検証試験は実施されて
いませんが、表13の下の方に示しているように、本試験には関節症状を有する患者が22
例含まれており、当該患者のPASI75反応率についても全体集団と類似した結果が認めら
れております。また、皮膚症状と同様に重要な症状である関節症状に対しては、国内試験
では、Visual Analog Scale評価により関節疼痛に対する改善効果が示唆されていること、
また、海外試験においては、関節症状の評価に頻繁に使われているACR反応率について、
プラセボに対する本剤の優越性が示されていることなども勘案し、本剤による一定の有効
性は期待できると判断しております。これらの成績により、尋常性乾癬及び関節症性乾癬
に対する本剤の有効性は示されたものと判断しております。
 本剤の用量については、38ページの表13に戻ってください。国内II/III相試験の主
要評価項目である投与12週目のPASI75反応率は、90mg群の方が45mg群に比べて高い傾
向が見られていますが、PASI50反応率は45mg群では82.8%、90mg群では83.9%であり、
いずれの用量でも臨床的に意義のある皮膚病変の改善がほとんどの患者で得られている
可能性が示唆されたことなどから、通常用量は45mgとし、45mgでは十分な効果が得られ
ない場合の増量用量として90mgを規定することが適切であると判断しております。
 次に、57ページの中段、(4)の安全性についての項を御覧ください。国内外の臨床試
験における有害事象の発現状況を、表30及び58ページの表31にまとめておりますが、
プラセボ対照期間の評価において、死亡、重篤な有害事象、すべての有害事象について、
本剤群とプラセボ群で大きな違いは認められておりません。しかしながら、本剤もTNF
阻害薬などの既存の生物製剤と同様に免疫機能に影響を及ぼす薬剤であること、海外にお
ける長期投与試験及び市販後データでは、比較的少数ではありますが、本剤投与後に結核、
肺炎、敗血症などの発現が認められていることを踏まえると、既存の生物製剤と同様に、
重篤な感染症の発現には厳重な注意を払う必要があると考えられます。また、本剤と既存
の生物製剤では、免疫機能に影響を及ぼすこと、抗体製剤であることなどの類似性を有す
ることを踏まえると、悪性腫瘍、重篤なアレルギー反応等、既存の生物製剤で知られてい
る有害事象の発現には本剤においても留意していく必要があると考えられます。さらに、
本剤の使用経験は海外を含めてもまだ少なく、今後十分に情報を集積した上で安全性プロ
ファイルをより明確にする必要があることなどを踏まえると、製造販売後には、既存の生
物製剤と同様の安全対策として、一定数の症例が集積されるまでは、全例での使用成績調
査、さらに長期投与時の安全性・有効性を検討するための長期特定使用成績調査を実施し、
適正使用の徹底、副作用情報の把握等を図ることが適切であると判断しております。
 次に、54ページの中段、1)の効能・効果についての項を御覧ください。当初、申請者
は、本剤を、乾癬における既存療法であるシクロスポリンやエトレチナート、紫外線療法
と同列の位置付けとすることを想定して開発を行いましたが、乾癬は一般に致死的な疾患
ではないのに対し、本剤では致死的な経過をたどる可能性がある重篤な感染症等の発現リ
スクがあることなどを考慮いたしますと、本剤を既存療法と同列に位置付けることは適切
ではなく、既承認のインフリキシマブ及びアダリムマブと同様に、本剤の適応は、既存療
法で効果不十分な場合に限定すべきであると判断しております。
 以上、機構の審査及び医薬品第二部会での審議の結果、承認条件として、製造販売後に
全投与症例を対象とした使用成績調査及び長期特定使用成績調査を実施することを付し
た上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが適当と判
断いたしました。
 なお、再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品に該当するとさ
れました。
 説明は以上です。御審議をよろしくお願いいたします。
○望月分科会長 ただ今の説明について御意見、御質問等がありましたらお願いいたしま
す。よろしいですか。
 特段の御異議がないようですので、議決に入ります。
 高橋委員、土屋委員におかれましては、寄附金等に関する申出に基づき、議決への参加
を御遠慮いただくことといたします。後ろに用意してある席にお移りいただきます。
── 高橋委員、土屋委員席を移動 ──
○望月分科会長 部会の報告を踏まえ、分科会としても本品目について、製造販売承認を
可、再審査期間は8年、原体、製剤ともに劇薬に指定し、生物由来製品に指定することが
適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基
づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたし
ます。答申書の文案その他の取扱いについては私に御一任いただいてよろしいでしょう
か。
 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、これより報告事項に入ります。担当の部会ごとに区切って報告いただくこと
とします。まず、副作用・感染等被害判定第一部会及び判定第二部会の関係の議題6から、
説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題6、資料6「副作用・感染等被害判定結果について」御説明しま
す。資料6を御覧ください。平成22年9月~平成22年11月までに開催された、判定第
一部会及び判定第二部会の結果について御報告いたします。資料は3回分をまとめたもの
をお示しし、その後ろに各部会の判定結果をお示ししております。資料の1ページ、「判
定結果(まとめ)」に沿って御報告いたします。
 副作用被害判定については、新規233件、継続22件、現況35件の計290件について御
審議いただきました。その結果、支給決定することが適当と考えられるものが257件あり
ました。その内訳は、請求どおり支給決定するものが139件等です。不支給決定すること
が適当と考えられるものが23件ありました。その内訳は、疾病・障害又は死亡が医薬品
の副作用により発現したと認められないため、不支給とすることが適当であるというのが
7件等です。感染被害判定については、4件の御審議をいただきました。結果は、支給決
定することが適当と考えられるものが2件で、いずれも請求期間の一部について支給決定
するものです。また、不支給決定することが適当と考えられるものが1件あり、疾病が生
物由来製品による感染により発現したと認められないため、不支給とすることが適当であ
るとされました。
 次に、神山委員より事前に御質問をいただいておりますので御紹介いたします。御質問
は、「医薬品判定不能というのは、申請書に医薬品名の記載がないということか。医師の
不適正使用による支給については、患者を救済するための制度が必要と思うが、現在はど
のような取扱いになっているか」です。
 まず、判定不能については、申請書に医薬品名の記載がないということではなく、医薬
品の副作用なのか、それ以外のものなのか判断できない場合に判定不能としております。
医師の不適正使用による健康被害については、救済制度で言う医薬品の副作用に該当しな
いという取扱いになっております。事前にいただいた御質問は以上です。以上、副作用感
染等被害判定第一及び第二部会の結果の御報告です。
○望月分科会長 それでは委員の先生方から御意見、御質問等はありますか。
○神山委員 不適正使用がこの対象になっていないことは分かっているのですが、医師の
不適正使用で被害を受けている場合に、それがどこかに自動的に、例えば医師会に行くと
いった制度的な保障が必要ではないか、ということを申し上げているのです。
○望月分科会長 これについて、何か御意見はありますか。
○事務局 今のところ、そういう制度はありません。個々の事例においては、個別に請求
者と医療機関で訴訟になるケースがあります。
○望月分科会長 ほかにどなたかありませんか。
 それでは、本件については御確認いただいたものとします。
 続いて医薬品第一部会、医薬品第二部会の関係の議題7~17について説明をお願いい
たします。
○事務局 報告事項議題7~17、資料7~17について事務局より御説明いたします。
 議題7、資料7「ナーブロック筋注2500単位」です。本品目は、痙性斜頸への効能・
効果となっております。本剤については、本年10月29日に開催された医薬品第一部会に
おいて御審議いただき、全症例を対象とした使用成績調査、十分な知識・経験のある医師
の下での使用、廃棄等の適正な薬剤管理を承認条件として付すことにより、承認して差し
支えない旨の結論をいただいたものです。
 議題8、資料8「シュアポスト錠0.25mg及び同錠0.5mg」です。本品目は速効型イン
スリン分泌促進薬であり、2型糖尿病における食後血糖推移の改善の効能・効果となって
おります。本剤については、本年10月29日に開催された医薬品第一部会において御審議
いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいたものです。
 議題9、資料9「フェブリク錠10mg、同錠20mg及び同錠40mg」です。本品目はキサン
チン酸化還元酵素阻害剤で、痛風、高尿酸血症の効能・効果となっております。本剤につ
いては、本年11月24日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して
差し支えない旨の結論をいただいております。なお、本議題については事前に神山委員よ
り「添付文書の効能・効果に関連する『使用上の注意』において、対象患者を制限してい
るのに、なぜ処方せん薬に指定しないのか」という旨の御質問をいただいております。本
剤は処方せん医薬品に指定する予定としております。本日お配りした添付文書案にはその
記載がありませんが、販売時には適切に記載されるよう、申請者に伝えることとしており
ます。
 議題10、資料10「レミニール錠4mg、同錠8mg、同錠12mg、同OD錠4mg、同OD錠
8mg、同OD錠12mg及び同内用液4mg/mL」です。本品目はアセチルコリンエステラーゼ
阻害薬で、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制の効
能・効果となっております。本剤について、本年11月24日に開催された医薬品第一部会
において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいているものです。
 議題11、資料11「ノルスパンテープ5mg、同テープ10mg及び同テープ20mg」です。
本品目はオピオイドμ受容体部分作動薬であり、非オピオイド鎮痛剤で治療困難な変形性
関節症及び腰痛症に伴う慢性疼痛における鎮痛の効能・効果となっております。本剤につ
いて、本年11月26日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、変形性関節
症及び腰痛症に伴う慢性疼痛の診断治療に精通した医師によってのみ使用する旨の承認
条件を付すことにより、承認して差し支えない旨の結論をいただいております。
 議題12、資料12「エディロールカプセル0.2μg及び同カプセル0.75μg」です。本品
目は活性型ビタミンD3誘導体であり、骨粗鬆症の効能・効果となっております。本剤に
ついては、本年11月26日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認し
て差し支えない旨の結論をいただいております。
 なお、本議題については、事前に神山委員より「血中カルシウム増加=骨密度増加と言
えるのか」という旨の御質問をいただいております。血中カルシウムの増加は、主に腸管
からの吸収増加というビタミンDの薬理作用の一部であって、骨密度の増加のすべてを説
明するものではありません。エディロールについては、臨床試験において骨密度の変化率
を指標として評価し、骨密度の増加が確認されており、また、骨密度の増加等の結果とし
て、骨折の抑制も検証されており、本剤の有効性は確認されているものと考えております。
 議題13、資料13「はしか風疹混合生ワクチン「北研」」です。本品目は、麻疹及び風
疹の予防の効能・効果となっております。本剤について、本年10月25日に開催された医
薬品第二部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をいただいており
ます。
 議題14、資料14「ビダーザ注射用100mg」です。本品目は核酸合成を阻害する代謝拮
抗剤であり、骨髄異形成症候群の効能・効果となっております。本剤については、本年
10月25日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、全症例を対象とした使
用成績調査を承認条件として付すことにより、承認して差し支えない旨の結論をいただい
ております。
 議題15、資料15「エンセバック皮下注用」です。本品目は日本脳炎の予防の効能・効
果となっております。本剤については、本年11月29日に開催された医薬品第二部会にお
いて御審議いただき、重篤な副反応に関するデータの収集とその評価を承認条件として付
すことにより、承認して差し支えない旨の結論をいただいております。
 なお、本議題及び議題13については、事前に神山委員より「重大な副反応についての
適切な処置の内容が不明瞭ではないか」という旨の御質問をいただいております。それぞ
れの副反応に応じて、適切な対応は異なってくるものですが、今後、より適切な対応につ
いて詳細な内容を記載する必要がある場合には、御指摘を踏まえて医師に対する周知が図
られるよう、添付文書の記載の変更等について検討してまいりたいと考えております。
 議題16、資料16「ジクロルボス樹脂蒸散剤の劇薬指定からの除外について」です。次
のページにその概要を掲載しております。本製剤は経口及び経皮に加え、今般、吸入にお
ける急性毒性試験の結果が提出されたことから、劇薬の指定の解除について検討を行った
ものです。最も強い毒性を示した経口及び経皮投与でのLD50値は、ともに劇薬指定基準
以上の値を示し、本剤の主な曝露経路である吸入における毒性試験の結果からも、毒性が
特異的に強いものではないと考えられることから、本年11月24日開催の医薬品第一部会
において御審議いただき、本剤を劇薬の指定から除外することが妥当である旨の結論をい
ただいたものです。
 なお、本議題については、事前に神山委員より「以前、東京都が販売を自粛させた製品
とはどこが異なるのか。『使用上の注意』を別紙にするだけでなく、包装の『こんな場所
でお使いください』の欄に、『人が常時いる場所では使わないでください』と書かせるべ
き」という旨の御質問をいただいております。
 平成16年10月8日付で東京都から、本剤を含むジクロルボスを含有する殺虫剤の使用
方法の見直しを求める提案書が出されました。これに対して平成16年11月2日付の通知
において、「ジクロルボス状散剤の安全対策及びその取扱いについて」に基づき、居室(客
室、事務室、教室、病室を含む)では使用しないこと等の使用上の注意の改訂を行ったと
ころです。また「使用上の注意」にある「人が常時いる場所では使わないでください」と
いう記載を、パッケージ上のより目立つ箇所に記載するべきであるとの御指摘について
は、そのように申請者に伝えたいと考えております。
 議題17、資料17「希少疾病用医薬品の指定について」です。次のページに一覧を掲載
しております。医薬品の名称は「ボルテゾミブ」、「コリスチンメタンスルホン酸ナトリ
ウム」、「GSK2402968」です。予定する効能・効果は「ボルテゾミブ」は初発の多発性骨
髄腫、マントル細胞リンパ腫です。「コリスチンメタンスルホン酸」は適応菌種としては、
本剤に感染の多剤耐性緑膿菌、多剤耐性アシネトバクター属、その他の多剤耐性グラム陰
性菌、その適応症として各種感染症です。「GSK2402968」については、Duchenne型筋ジ
ストロフィーとしております。これらの品目については、本年10月に開催された医薬品
第一部会又は医薬品第二部会で御審議いただき、それぞれ希少疾病用医薬品として指定す
ることで差し支えないとの答申をいただき、ここに掲載するとおりの指定日で、希少疾病
用医薬品として指定したところです。
 なお、文書報告の品目について、神山委員より2点御質問をいただいておりますので御
紹介いたします。お手元の「文書報告一覧」を御覧ください。
 1点目は資料102「アルタットカプセル37.5及び同カプセル75」についてです。
 「なぜ小児にH2ブロッカーが必要なのか」という旨の御質問をいただいております。
審査報告書の5ページに記載しているとおり、胃酸分泌は3~4歳までに成人とほぼ同様
のレベルに達することが報告されています。また、審査報告書の8ページから、各効能・
効果に対する小児の疫学情報を記載しております。小児に対してH2ブロッカーが使用さ
れている現状があります。また今般、日本小児栄養消化器肝臓学会より、H2ブロッカー
の要望が出されていたことなどを背景として、小児適応に対する開発が行われているもの
です。
 2点目は資料106「アンチスタックス」についてです。
 「健康食品として販売されている赤ブドウ葉エキスの含有量は、医薬品を超えていない
か確認されたい」という旨の御質問をいただいております。企業が確認できた健康食品5
製品において、赤ブドウ葉エキスの含有量として本品よりも多く含有する製品はないとの
ことです。食品部局としても健康食品について、医薬品として用いられる量を超えないよ
う求めているところです。以上です。
○望月分科会長 医薬品第一部会長代理の永井委員から、追加の御発言等はありますか。
○永井委員 特にありません。
○望月分科会長 医薬品第二部会長の吉田委員から、追加の御発言はありますか。
○吉田委員 特にありません。
○望月分科会長 委員の方々から御意見、御質問はありますか。よろしいですか。
 それでは本件について御確認いただいたものといたします。
 続いて、医療機器・体外診断薬部会の関係の議題18、19についての説明をお願いいた
します。
○事務局 医療機器審査管理室から御説明申し上げます。
 報告事項議題18、資料18「植込み型補助人工心臓EVAHEART」、報告事項議題19、資料
19「Dura Heart左心補助人工心臓システム」ということで、2品目とも植込み型補助人
工心臓に関してです。
 まず資料18「植込み型補助人工心臓EVAHEART」です。申請者は株式会社サンメディカ
ル技術研究所です。5「使用目的、効能又は効果」ですが、心臓移植適応の重症の心不全
患者で、薬物療法又は体外式補助人工心臓などのほかの治療法によっても、継続した代償
不全に陥っており、心臓移植以外に救命が困難と考えられる症例について、心臓移植まで
のつなぎの循環改善という形での治療目的、効能・効果となっております。
 こちらの製品の特徴は、6「操作方法」にありますように、血液ポンプ内に注射用水を
流す、これは冷却水とお考えいただければと思いますが、ポンプを冷却させることによっ
て、血栓の発生を抑制するところが特徴的なシステムです。
 本品については7「備考」に書いてあるとおり、承認条件を三つ付すこととなっており
ます。
 一つ目は、再審査期間においては、関係学会と連携の上、継続治験後の症例も含む全例
を対象とした使用成績調査を行います。
 二つ目は、実施施設基準、実施医基準の方も学会と連携して定めた上で、補助人工心臓
を植え込むということで、どなたでもできる手術ではありませんので、その基準をきちん
と作った上で、適切に用いることという条件です。
 三つ目は、このシステムの特徴です。現在、体外式の人工心臓においては、待機期間中、
ずっと病院で生活しなければいけないという状況になっておりますが、こちらは植込み型
ですので、予後がよければ在宅での治療ができるというのが、患者さんにとって一つの大
きなメリットになっております。ただ在宅治療に行きますと、当然医療従事者が普段周り
にいないこともありますので、在宅に向けての医療従事者のサポートのあり方、患者や介
護者もこの機器の特徴について十分に理解していただくことが、安全な使用のために必要
となっており、そのようなサポート体制をきちんと図ることとしております。
 以上、三つの承認条件を付した上で、再審査期間7年、生物由来製品、特定生物由来製
品には該当しないという御判断を11月19日の医療機器・体外診断薬部会でいただき、12
月8日に本品目を承認をしたところです。
 議題19「Dura Heart左心補助人工心臓システム」です。申請者はテルモ株式会社です。
こちらの人工心臓も植込み型です。先ほどは冷却水を回すということでしたが、こちらは
磁気浮上のプロペラでポンプを駆動することによって、軸がないため血栓の発生を予防し
ているという点が特徴です。主要目的、効能又は効果、承認条件等についても、先ほど御
説明したEva Heartと同じ条件です。有効性・安全性のデータもほぼ同じということで御
審議いただいたものです。
 こちらについては、再審査期間7年です。なお、こちらはヘパリンをコーティングして
いるため、生物由来製品に該当するということで、この条件の下で、先ほど「Eva Heart」
の方で申し上げました三つの承認条件を付した上で、12月8日付で承認をいたしました。
御報告は以上です。
○望月分科会長 それでは医療機器・体外診断薬部会長の笠貫委員から、追加の御説明は
ありますか。
○笠貫委員 我が国では心臓移植の患者さんの待機が大変多いということで、人工心臓に
よる期待が非常に大きかったと思います。2001年にはノバコアという海外のものが、既
に承認されているのですが、非常にサイズが大きくて、日本人の適応には限界があり、そ
の開発が待たれておりました。今回提出された二つの人工心臓が日本で開発されたという
点、さらにその一つは世界に先がけてわが国で申請されたという意味では、大変意味のあ
ることだろうと思います。それから今、御説明のあった非常に特徴のある機種であるため、
フォローアップについてもPMDAで「J-MACS」という特殊な評価体制を組み、安全を期
しています。そういうことで心臓移植の適応患者さんにとっては、大変福音になるのでは
ないかと考えております。以上です。
○望月分科会長 委員の方々からの御意見、御質問はありますか。
 特にないようですので、本件について御確認いただいたものとします。
 続いて医薬品安全対策部会の関係の議題20についての説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題20、資料20「一般用医薬品のリスク区分の見直し」について説
明いたします。一般用医薬品については、リスクに応じて第一類、第二類、第三類の三つ
のリスク区分に分類し、販売規制が行われており、製造販売後調査の終了時等に見直しを
行っております。平成22年11月29日開催の医薬品等安全対策部会において、以下の表
の成分について見直しが行われ、表の右端のとおり答申をいただきましたので御報告いた
します。なお、現在告示の変更等必要な手続を行っているところです。以上です。
○望月分科会長 医薬品安全対策部会長の松本委員から、追加の御発言等はありますか。
○松本委員 特にありません。
○望月分科会長 委員の方々からの御意見、御質問はありますか。
○溝口委員 この表にある、アゼラスチンとケトチフェンという第二世代の抗ヒスタミン
剤について伺います。御承知のように、第一世代の抗ヒスタミン薬に比べますと、眠気も
少ないし、効果も優れています。残念ながら妊婦の安全性に関しては、第一世代の抗ヒス
タミン剤のほとんどのものが、妊婦及び小児投与可能ですけれども、第二世代は禁忌のも
のもあります。アゼラスチンとケトチフェンは禁忌ではないのですけれども、「投与可」
とはなっていないと思います。これからアレルギー性鼻炎が増えて、薬局で簡単に買う人
が多いかと思いますので、できればこれは薬剤師さんがきちんと説明して売る薬品のリス
ク区分の第一類の中に残していただきたいと思います。
○望月分科会長 ただ今の御意見に対していかがでしょうか。事務局から御意見はありま
すか。
○安全対策課長 今、手元に書類がないのですけれども、妊婦の投与に対しては、禁忌に
はなっていないのではないかと思います。御確認してお答えしたいと思います。
○溝口委員 オキサトミドは禁忌ですけれども、この二つは禁忌ではありません。ただ「投
与可」とは書いてないのです。皮膚科医は妊婦の掻痒性の皮疹を大勢診ますので、非常に
気を付けて投与していますが、第二世代の抗ヒスタミン剤を投与することはいたしませ
ん。第一世代はやむを得ず使うことがあります。製造販売後調査で妊婦への安全性が確認
されたのなら結構ですけれども、そうでないのでしたら、リスク区分第二類の一般用医薬
品の説明は義務ではなかったと思うので、リスク区分のところをお考えいただきたいので
す。
○安全対策課長 妊婦への投与についての情報を確認して、先生に御報告させていただき
たいと思います。
○望月分科会長 それでは溝口委員の方に御連絡いただきます。ほかに御意見はあります
か。
 それでは、本件についても御確認いただいたものといたします。
 続いて、動物用医薬品等部会の関係の議題21について説明をお願いいたします。
○事務局 農林水産省より、動物用医薬品等部会関連の議題について御報告いたします。
 報告事項議題21、資料21「動物用医薬品アジタ1%粒及びアジタ10%溶解用の製造販
売承認の可否、再審査期間の指定及び毒劇薬の指定の要否について」です。
 本品目は、ネオニコチドイド系の殺虫剤であるチアメトキサムです。これを有効成分と
して、畜・鶏舎内及びその周辺のイエバエの成虫の駆除を効能・効果としているものです。
平成22年9月30日に開催された動物用医薬品等部会で、本申請については、主に記載の
整備をすることを条件に承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支えない。なお、本製
剤は毒劇薬に指定しないこととする、また、本製剤は畜体への直接適用のない殺虫剤なの
で再審査を要しないものとするとされたものです。以上です。
○望月分科会長 動物用医薬品等部会長の赤堀委員から追加の御発言等はありますか。
○赤堀委員 特にありません。
○望月分科会長 委員の方々から御意見、御質問はありますか。
 特にないようですので、本件について御確認いただいたものとします。
 続いて、その他事項議題22、資料22「薬事分科会における確認事項の改訂について」
の説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項議題22、資料22「薬事分科会における確認事項の改正について」
御説明いたします。
 こちらは化学物質関連の内容となっております。化学物質の審査及び製造等の規制に関
する法律(以下、「化審法」)に基づき届出のあった新規化学物質等については、「薬事分
科会における確認事項」の別添の表に示す例により、取り扱うこととされております。具
体的には裏面を御覧いただきますと記載があります。例えば、「第1種特定化学物質の指
定の可否」であれば、その部会で御審議いただき、分科会に報告するといった取扱いが定
められております。今般、化審法が改正になり、それに伴って別添の表を見直すことにし
ております。
 改訂の内容としては「第一種監視化学物質」を「監視化学物質」とするという点で、表
の判定3、指示1にございます。もう一つが「第二種監視化学物質」を、「優先評価化学
物質」とするものです。こちらの文言の変更の背景については、※2、※3に書いている
内容となっております。
 「改正日及び経過措置」ですが、改正については平成23年4月1日より実施すること
としたいと考えております。ただし、平成23年4月1日以前にあっても、優先評価化学
物質については改正後の「薬事分科会における確認事項」に基づき取り扱うことができる
ものとするとしております。こちらは4月1日より優先評価化学物質が指定される必要が
あり、4月1日以前にどれを優先評価化学物質に指定するかという御審議をいただくこと
が必要なために、こういった経過措置を設けているものです。以上です。
○望月分科会長 委員の方々から御質問、御意見等はありますか。
 それでは、本件について、薬事・食品衛生審議会規程第5条に基づき、御了承いただい
たものとします。
 続いて、その他事項の議題23についての説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項議題23、当日配付資料23「オベスケアカプセルの承認申請の取り
下げについて」御報告いたします。
 本剤はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬で、1.に記載してある効能・
効果で承認申請がされておりました。
 本剤は、昨年7月に医薬品第一部会で審議され、9月の本分科会への報告が行われまし
た。その報告時に、海外での死亡例の詳細や、高血圧患者についての定義に関して御意見
をいただきました。そして、その詳細などを確認した上で、対応を検討することとされて
おりました。その後、11月に海外で実施中だった心血管系リスクの高い患者を対象とし
たSCOUT試験において、本剤群ではプラセボ群と比較して致死的ではないものの、心血管
系のリスクが上昇したという結果が得られました。その結果を受けて、欧州ではEMAが
2010年1月に本剤の販売承認の差止めを決定いたしました。また、米国では心血管系リ
スクを有する患者への注意喚起を2010年1月に行い、販売自体は継続されておりました
が、9月に開催されたAdvisory Committeeでの議論を経て、10月にFDAは米国での製
造販売業者であるアボット社に本剤の自主回収を要請し、アボット社はこれを了承したと
ころです。
 これらの経緯を踏まえて、国内の申請者であるエーザイ株式会社は、本邦での承認取得
は困難と判断し、2010年10月28日付で承認申請の取下げとともに、本剤の開発を中止
いたしました。以上、御報告いたします。
○望月分科会長 委員の方々から御意見、御質問はありますか。
 続いて、その他事項議題24の説明をお願いいたします。
○審査管理課長 その他事項議題24、当日配付資料24「薬事分科会・部会手続の見直し
の検討について」です。「1.背景」にありますように、「規制・制度改革に係る対処方
針等」において、薬事の承認審査の手続の見直しを検討することとされています。この背
景としてはドラッグ・ラグ等があり、審査の迅速化が求められているところです。
 「2.現状」です。薬事・食品衛生審議会における審議については、新医薬品の作用機
序が新しいものや、構造・原理が新しいものについては部会審議に加え、分科会審議を行
っていただいておりますが、これら以外のものは部会審議の後、分科会に事後報告という
ことになっております。分科会審議品目あるいは部会審議品目の対象範囲の取扱いについ
ては、2枚目以降の区分によっております。この区分の審議品目等については、例えば部
会の委員の追加など審議体制を充実するということも考慮し、薬事分科会審議品目、ある
いは部会審議品目についての見直しを検討したいと思っております。
 2ページを御覧いただくと、具体的な新医薬品の区分等があります。例えば分科会審議
品目について、本日は5品目審議いただきました。緊急避妊薬ノルレボについては2に該
当いたしますけれども、その他のものは1に該当するかと思われます。海外で承認されて
いる医薬品等の未承認薬・適応外薬等の検討会においても、できるだけ早く審議をしてい
ただくという御意見をいただいておりますので、ここら辺の品目の見直し等を検討したい
と思っております。これらの検討案については、3月の薬事分科会を目途に御説明したい
と思っております。
 参考までに、最後のページに、審査体制の充実強化ということで、今までの取組みの概
略を付けております。これは特に医薬品医療機器総合機構における審査体制の充実の内容
です。申請される前の体制の強化、申請されてからの取組みということで、ドラッグ・ラ
グの対処に取り組んでいるところです。下の方にあるのが審査期間の状況です。平成22
年10月末ですと、例えば通常品目の総審査期間が17.2月となっております。本年度末ま
での審査期間の目標は16月ですので、かなり近づいてくるものと思っております。その
ような状況です。以上です。
○望月分科会長 委員の方々から御意見、御質問はありますか。よろしいですか。
 それでは、本日の議題はすべて終了いたしました。ほかに何かありますか。
○事務局 来年の1月に、薬事・食品衛生審議会の改選があります。委員の皆様方におか
れましては、多くは平成21年1月から御就任いただいて、当分科会を開催してまいりま
したが、このメンバーでの分科会は本日が最後になります。最後に間杉医薬食品局長から
一言、お礼の御挨拶を申し上げます。
○医薬食品局長 医薬食品局長の間杉でございます。今ございましたように、本年最後の
薬事分科会です。また、このメンバーで開催するのも本日が最後ということですので、私
から一言、御礼の御挨拶を申し上げたいと思っております。
 本日、皆様方におかれましては年末で御多用、御多忙のところ御出席いただき、大変長
時間にわたり真摯な御審議を賜りまして、改めて御礼申し上げたいと思います。
 御案内のように、委員の皆様方の現在の任期は来年1月までとなっております。一部の
先生方におかれましては、この任期の規定等により退任されることとなります。
 本日は一つの区切りということで、この2年を振り返ってみますと、新有効成分を含有
する新医薬品、あるいは新医療機器などに加え、新たに審議参加に関する規定など、多岐
にわたり御審議いただいてまいりました。本分科会につきましては、医薬行政が国民の期
待に応えるものとなるよう、今後とも委員の皆様方の高い御識見に基づきまして、審議を
進めてまいりたいと考えております。これからも忌憚のない御意見を賜りますよう御指導
方、よろしくお願い申し上げます。
 最後になりますが、委員の皆様方の御健康とますますの御活躍、また、新しい年が良い
年となりますようお祈り申し上げまして、私の御礼の御挨拶といたします。誠にありがと
うございました。
○望月分科会長 これで薬事分科会を閉会いたします。本日は、司会の不手際で1時間近
くも延びてしまい、申し訳ありませんでした。この2年間、委員の先生方には非常に熱心
に議論していただきました。今日もそうですけれども、特に薬の適正使用や安全に関して
は、多くの注文を出していただきました。事務局や機構を通してメーカーに話が届いて、
その結果、薬が出されたという形になっておりますので、非常に感謝申し上げております。
これも来年に続いていくかと思うのですが、そのときはまたよろしくお願いします。本日
はどうもありがとうございました。


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 総務課 彦坂(内線2785)

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