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2011年3月10日 第6回ワクチン産業ビジョン推進委員会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成23年3月10日(木)
10:30~12:30


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○議題

1.混合ワクチン検討ワーキンググループについて
(1) 混合ワクチン検討ワーキンググループの活動について
(2) 混合ワクチン検討ワーキンググループ報告書について

2.今後のワクチン産業ビジョン推進委員会の活動について

3.その他

○議事

○大坪血液対策課長補佐 では、お時間が過ぎましたので、まだ岩本先生が御到着されていないのですが、先に始めさせていただきたいと思います。
 本日は先生方、御多用のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本会議は公開の場での議論となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、本委員会の顧問をお務めいただきまして、これまで多くの御助言や御指導をいただいてまいりました、国立三重病院名誉院長の神谷先生におかれましては、先月22日に御存じのように急逝をされております。本日の議事にございます混合ワクチンの検討ワーキングの報告書を宮崎座長とともに取りまとめていただきまして、本日の委員会も御出席でお返事をちょうだいしておりましたところでした。この場をかりまして、これまでの御尽力に感謝を申し上げまして、心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 また、本日は、相楽委員と大石委員から御欠席の連絡をいただいております。
 本委員会は、前回第5回の開催が平成20年12月でございまして、2年以上経過しております。この間、委員の交代がございましたので、まず御紹介させていただきます。
 まず、日本医師会常任理事といたしましては、飯沼委員から保坂委員へ交代されております。
 日本小児科医会からは竹本委員から及川委員へ変更されております。
 また、保健所長会からは荒川区の保健所長、高橋委員から、渋谷区保健所長の笹井委員に本日は御参加いただいております。
  また、参考人といたしまして、元国立感染症研究所細菌二部第五室長の堀内先生に本日は御参加いただいておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 はじめに、間杉医薬食品局長よりごあいさつをさせていただきます。
○間杉医薬食品局長 おはようございます。医薬食品局長の間杉でございます。
 委員の皆様方におかれましては、大変御多用の中、第6回ワクチン産業ビジョン推進委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。今、事務局からもございましたが、先月22日に平成19年のワクチン産業ビジョンの策定からかかわっていただき、当委員会におきましても顧問として精力的に御活動いただきました、国立病院機構三重病院名誉院長の神谷顧問の突然の訃報に接しまして、強い悲しみを感じてございます。神谷顧問からは豊富な御経験あるいは知識から、数々の御助言・御指導を賜っておりまして、私どもといたしましても改めて貴重な方を失ったことを認識しているところでございます。先生の御遺志をむだにしないよう、この分野の進展につきましてより一層の努力をしてまいりたいと感じている次第でございます。神谷顧問の御冥福を心よりお祈り申し上げたいと思います。
 改めて申し上げるまでもなく、我が国におきましてワクチン産業の進行は国民の健康維持及び感染症の脅威に対する克服のため、必要不可欠なものと考えております。このため、平成19年3月にワクチン産業の育成を目的としてワクチン産業ビジョンが策定され、この中に掲げられた事項の着実な推進に資するため、情報交換あるいは討議を行うことを目的といたしまして、このビジョン推進委員会は設置され、御議論を賜ってきたところでございます。それを踏まえまして、近年我が国のワクチン製造企業が積極的に大手企業との研究開発協力等の提携を行い、基盤強化が図られてきておりますことは誠に喜ばしいことと考えてございます。
 本日の会議の目的は、この委員会の下部に設置されました混合ワクチンに関するワーキンググループにおいて取りまとめいただきました、混合ワクチンに関する報告書に関する議題でございます。世界的には混合ワクチンの開発が進められており、我が国におきましても開発の方向を整理しておくことが必要とされております。一方で、健康局におきましては、平成21年12月に厚生科学審議会予防接種部会が設置され、予防接種法の改正の議論が進められております。私どもといたしましては、そうした改正論議も踏まえつつ、本委員会の成果の提供を行っていくとともに、引き続きワクチン事業の強化、ワクチンの安定供給に向けた対策を講じてまいりたいと考えてございます。
 本日は、委員の皆様の御忌憚のない御意見をどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○大坪血液対策課長補佐 局長は公務がございますので、途中退席いたしますことを御了承くださいませ。
 では、議事に入ってまいりたいと思います。以後の進行は倉田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○倉田座長 おはようございます。本日は、年度末のお忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございました。こういう会議はもっと早くやってもらうといいんですが、大体どの会議もみんな3月に一日3つも4つもあるような状況になって、余りいいことではないですね。だから、まともな論議ができなくて、パッパッパッとやると。これは結果としてはちっともいいことはないんです。私はあらゆるところで言っていますが、是非今後は3月でなくても必要なときにやって、できるだけ3月は空けてほしいということをお願いしておきます。
 本日は、まず、事務局から配付資料の確認をお願いします。
○大坪血液対策課長補佐 資料をごらんください。まず、資料Aはワクチン産業ビジョン推進委員会の運営要綱になっております。
 資料B、推進委員会の委員名簿。
 資料C、ワクチン産業ビジョン推進委員会のこれまでの活動経緯について。
 資料D、ワクチン産業ビジョン推進委員会混合ワクチン検討ワーキンググループの運営要綱及び名簿でございます。
 資料E、ワクチン産業ビジョン推進委員会混合ワクチン検討ワーキンググループのこれまでの活動経緯。
 資料F、同混合ワクチン検討ワーキンググループの報告書でございます。
 資料G、混合ワクチン検討ワーキンググループ報告書の主な論点に関する参考資料でございます。失礼しました、「(案)」を落としてくださいませ。
 資料H、混合ワクチンの状況及び課題に関する参考資料でございます。
 資料I、ワクチン産業ビジョン推進委員会の活動経緯と成果について。
 資料J、予防接種部会との役割について。
 資料K、第15回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部部会の資料、部会において委員からいただいた御意見の整理となっております。
 また、机上配付といたしましては、平成19年3月に策定されましたワクチン産業ビジョンの本体及び平成20年4月、第4回会議の際に報告されましたワクチン産業ビジョン推進委員会ワーキンググループ検討取りまとめも参考にまでに置かせていただいております。
 以上です。
○倉田座長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります。前回から2年以上経っていますので、この間の検討事項について整理したものを事務局からお話しいただいて、それから質問としたいと思います。よろしくお願いします。
○大坪血液対策課長補佐 では、資料Cをごらんください。こちらは、ワクチン産業ビジョン推進委員会の活動経緯について1枚にまとめてございます。
 まず、目的といたしまして、平成19年3月に策定されましたワクチン産業ビジョンに掲げられております事項の着実な推進に資するための情報交換・討議の場として、この会議が設置されております。
 これまでの活動経緯といたしましては、過去5回開催しておりまして、ここに記載してありますように第1回目が平成19年3月、第2回目が19年7月、この際にこちらにいらっしゃいます山西委員が中心になられまして、ワクチン開発研究協議会を設置しております。
 第3回目の平成19年11月には、その進捗状況などについて御報告をいただいております。
 第4回、平成20年4月では、机上に配付させていただいておりますワクチン産業ビジョン推進委員会検討ワーキンググループ検討取りまとめについて御報告しております。
 前回第5回、平成20年12月におきましては、本日の議論の元となります混合ワクチンの今後の推進についてということで、ワーキンググループ設置なが設置されたところでございます。
 以上です。
○倉田座長 ありがとうございました。
 次に、混合ワクチン検討ワーキンググループの設置及びそれらの活動経緯につきまして、事務局から説明をお願いします。資料DとEですね。
○大坪血液対策課長補佐 では、資料DとEをお手元に御用意ください。資料Dは、ワクチン産業ビジョン推進委員会混合ワクチン検討ワーキンググループの運営要綱となっております。2枚目が構成員の名簿でございます。この部分にも神谷先生には顧問として御意見をいただいてまいりました。
 資料Eは、これまでの混合ワクチンワーキングの活動経緯について1枚にまとめてございます。
 目的といたしましては、産業ビジョンに掲げられた事項の推進に資するため、第4回ワクチン産業ビジョン推進委員会にて取りまとめられました同ワーキンググループの検討取りまとめにおける内容を踏まえまして、特に混合ワクチンに係るさまざまな事項について検討整理を行うものということでございます。
 過去の経緯といたしまして、4回開催されております。いずれも非公開で開催されております。第1回目、平成21年2月には、報告書の骨子案を出させていただきまして、また混合ワクチンの定義などについて検討をしていただきました。また、この際は主にDPTベースの混合ワクチンの開発状況について企業から御説明をいただいております。
 第2回目は平成21年3月16日に開催されまして、この際にはDPTのみならずMMRベースの混合ワクチンについても企業から御紹介いただいております。
 第3回目は平成22年12月13日、この際には本日お示ししております報告書の案をお示ししながら、具体的な議論をしていただいております。
 前回、平成23年1月17日、このときには本日御提出いたしております報告書についての最終的な取りまとめを行ったところです。
 以上です。
○倉田座長 ありがとうございました。
 それでは、4回にわたる議論があったということで、資料Fに報告書としてまとめられているわけです。このFと関連したGとHについて簡単に話をいただいて、その後、報告書の作成にかかわった宮崎委員からお話を聞こうと思います。
○大坪血液対策課長補佐 資料F、G、Hを御用意ください。資料Fは、本日御議論いただきますワクチン産業ビジョン推進委員会混合ワクチン検討ワーキンググループの報告書でございます。
 中をお開きいただきますと目次、構成が記載されておりますが、まず、総論から入っておりまして、総論の中には混合ワクチンの定義をどうするか、次に開発に当たってのメリットとデメリットについて整理しております。それを踏まえまして、各国が混合ワクチンに対してどういう考え方で、どういう施策をとっているかをわかる範囲で収集しております。
 4番目に、混合ワクチンの開発に関する基本的な考え方、また、それを開発していく上で何が課題であるかについて記載させていただいております。
 引き続いて各論でございまして、まず、1番目に、開発が必要とされる混合ワクチンは何であるか。その中で承認されている混合ワクチンは何であるか。また、今、我が国で開発が望まれている混合ワクチンの現状についてどのようになっているか。これはいずれも不活化ワクチンとしてはDPT系統の混合ワクチン、生ワクチンとしてはMR系統の混合ワクチン、この2つに分けて考え方を整理しております。
 あとは結語といたしまして、まとめの考え方をお示ししております。
 この議論に資する資料といたしまして、過去4回のワーキングで使った資料の中から一部を持ってきておりますが、まず、資料Gは、論点に関する参考資料となっておりまして、議論が煮詰まってまいりまして最終的に幾つか議論の論点となった部分がございます。
 2ページ目をお開きいただきますと、まず、論点?@の中で一番サイエンティフィックに問題になった部分が、アジュバントや添加物といったものが混合することでどのような影響が出るかといった、有害事象との相関性について調べられる範囲で資料を集めて、議論に資するように御用意したものでございます。
 論点?Aは、医療費などの経済効果について。混合ワクチンにすることで医療費の経済効果はあるのかどうか。これは、なかなか論文が見つからなくて数が少ないんですけれども、ここにあるようなものの中から抜粋して提供させていただいております。
 論点?Bといたしまして、昨今コンジュゲートワクチンの開発が進んでいることを踏まえまして、キャリアたんぱくの過剰投与による影響は考えなくてよいのかといった御意見もいただきましたので、2ページにわたりまして、それに資するような資料を集めて御議論いただいたところでございます。
 論点?Cは、既罹患または既接種者への過剰投与の問題点について、混合ワクチンに含まれている幾つかの疾患に関して既に罹患していたり、単抗原でワクチン接種をされている場合に、このような混合ワクチンが開発されたときに過剰に投与した場合、何か問題はあるのかどうか、各国はどのような対策をとっているかを先生方に御議論をいただいております。
 これが資料Gの概略でございます。
 次に、資料H、混合ワクチンの状況及び課題に関する参考資料といたしまして、2ページに資料内容に含まれているものがこの中にございます。
 まず、3ページ、主なワクチンの承認時期の日米比較。これは平成19年3月のワクチン産業ビジョンの際にもこのような表をお示ししているのですが、それをリバイスしたものでございます。
 また、4ページは米国における混合ワクチンの価格、2010年と2000年を比較した一覧表でございます。これは細菌製剤協会を通じて御提供いただいておりますが、実際にはCDCのホームページにもこのようなものが記載されておりまして、ACIPで言うところのVFC(Vaccine For Children)で提供しているようなワクチンをCDCプライスとして価格を記載されております。
 その右隣のプライベートセクターのコストが一般のワクチン価格になります。2010年と2000年と両方について併記してございます。
 この見方としましては、例えば、上から「DPTベース(4種)」の下に「DTaP-IPV」というワクチンがございますが、CDCプライスで32.75ドル、プライベートセクターですと48ドルと記載がされておりますけれども、その下「参考」に「DPTベース(1種)」と書いてあるところがございまして、こちらは単味のIPVの価格がCDCプライスで11.74、プライベートセクターで25.43と記載されております。その下「DPTベース(3種)」というところにDTaPの価格が記載されておりますが、こういうものを参考にしていきますと、混合化することでワクチンの価格が必ずしも安くなるわけではないという状況についてお示ししてございます。
 次のページは、ワクチンのスケジュールを考える上で必ず必要になるものと思いましてつけてございますが、日本の定期・任意接種のスケジュール、20歳未満のものについて感染症研究所感染症情報センターに提示してあります資料です。
 次のページからは、米国における予防接種スケジュール、これはCDCのホームページ上に出ておりますが、6歳未満と7~18歳、19歳以上、成人のワクチンと3つのスケジュールについて議論の参考になればと思い、御用意してございます。
 9ページは、報告書の中にも引用されておりますし、議論の中でも使いました各国の施策や要望などで、どのようなものがあるかといった資料になっております。
 まず、9~10ページは主に米国、諸外国のものでございまして、一番上から1997年にHHSなどから出ております産業向けのコンビネーションワクチンに関するガイドラインでございます。その次は1999年のもの、3番目は1999年のACIPなど3学会から出ております子どもに対するコンビネーションワクチンに対する考え方が示されております。
 その次、2009年6月にはACIPからリバイスされたリコメンデーションが出ております。
 10ページ、5番目に1998年、EMEAから出ておりますコンバインドワクチンに関するガイダンス。
 その下は2008年、MMWR、これはACIPの議論を受けまして、MMRVワクチンの副反応について注意喚起がなされたこともありまして、このリコメンデーションが出されております。
 2年後の2010年、同じくMMWRの方から三種、MMRVのワクチンに関するリバイスバージョンが出ております。
 あとは2006年、2009年のRed Bookからコンビネーションワクチンに対する項について引用しました。
 11ページは、日本に関するこれまでの施策や要望でございます。2003年12月、日本ワクチン学会からワクチンの審査に関する要望書ですけれど、開発に関して迅速にといったようなことをいただいております。
 次に、2007年8月、日本小児科学会からDPT、MRなどの混合ワクチンの推進に関する要望ということで、このころはまだMRワクチンの話でございますけれども、いずれかについて罹患されている方は使えないといった事情がありましたので、それに関する要望書で、既にこれに関しましては改正がなされておりますが、こういった御議論の中でRed Book2006の情報などが引用されてございます。それは本文中で御紹介しています。
 また、2010年5月は医薬食品局の審査管理課から、感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン及び臨床試験ガイドラインが先生方の御尽力によって作成されまして、通知として出されております。
 この中で混合ワクチンとはどういうものを指すといった定義も明確にされたところでございます。
 資料の説明は以上でございます。
○倉田座長 ありがとうございました。
 それでは、混合ワクチンのワーキンググループの宮崎委員から、報告に関する説明をいただきます。お願いします。
○宮崎委員 それでは、混合ワクチンのワーキンググループのまとめを説明させていただきます。資料Fをお手元にお開きください。表紙と目次は、先ほど大坪課長補佐から御説明がありましたので、本文の方に入りたいと思います。
 3ページの「?T.はじめに」ですが、ここではワクチン産業ビジョン推進委員会の立ち上げの経緯と、平成20年4月に16品目のワクチンについて、かなり詳細な分析を行ったということが書かれております。この時期には、まだ海外で使われていて日本で使われていないワクチンが非常にたくさんありまして、なぜ導入が遅れたのかという問題点を提起しております。
 その後、いろいろ海外ワクチンの日本への導入も進みまして、現在、承認申請に出されているものが相当上がってきておりますので、単抗原ワクチンとしてのギャップは急速にこの数年埋まりつつあると思います。ただ、その中で、一番下のパラグラフになりますが、現在導入または開発されている多くのワクチンが単抗原であり、必ずしも混合ワクチンの開発については進んでいないという現状があります。そこで、混合ワクチン検討ワーキンググループでは、海外及び日本の混合ワクチンの開発状況を検討し、今後どういうことが必要であるかを検討したということでございます。
 4ページ目をお開きください。混合ワクチンの定義をさせていただきました。いわゆる多価ワクチン、マルチバレントワクチンはとりあえず置いておいて、コンビネーションワクチン、すなわち異なる複数の感染症に対する抗原を含むワクチンをここでは混合ワクチンと定義させていただきまして、これは感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドラインに沿った考え方でつくらせていただいております。
 次に「2.混合ワクチンの利点と開発にあたっての問題点」ですが、(1)混合ワクチン開発の利点です。まず、?@接種による負担の軽減としては、ワクチンを混合することによって接種回数が減らせますので、被接種者、特に乳幼児の痛みの軽減あるいは家族が連れていく時間・労力の削減、あるいは小児科医、クリニックでの負担軽減が期待されるということになります。
 また、保管スペースの問題とか事務の簡素化、あるいは接種回数を減らすことによって医療経済的にも節約につながる可能性があるということです。
 ?A接種率の向上です。混合ワクチンを用いることによって接種漏れが少なくなり、ワクチン全体の接種率の向上を期待されるということです。米国で混合ワクチンが推奨される一番の理由は、ここにあるだろうと思っております。接種率が上がれば疾患も減らせることにつながるということです。
 ?B予防接種スケジュールの充実化ということで、現在たくさんのワクチンが開発途上にあり、現実に、子ども中心ですけれども、日本でも接種をするワクチンが増えてきましたが、そうなりますと非常に接種スケジュールがタイトになってまいります。そこで、今後やっていくワクチンが増える中で、諸外国では混合ワクチンの導入によって接種スケジュールを簡素化して、新しいワクチンをスケジュールに組み込むことが容易になるということで、対象疾患を広げやすくなるという利点があります。現在、日本では定期予防接種の数はそれほど多くありませんが、今後、諸外国並みにギャップを埋めていくには必要とされるワクチン数は増加することが見込まれますので、そういうスケジュールの点からも混合ワクチンの開発が求められると書いております。
 ?Cその他としては、個々のワクチンに含まれるいろいろな安定剤や添加物がありますが、A、B、Cというようなワクチンを混合することによって、総量としての添加物が減らせる可能性があるということで、資料Gの論点?@に外国でのいろいろな実例があります。これは製剤上のいろいろな難しさがありますので、そう単純ではありませんけれども、例えば、アジュバントの投与総量を減らすことができる可能性があるということです。
 (2)混合ワクチン開発にあたっての問題点で、以上述べましたような混合ワクチンにはいろいろな利点がある一方で、これまでの開発の経験から問題点も指摘されているところです。
 ?@相互作用・干渉の問題で、単抗原ワクチンというのは単独で接種することを前提に開発されておりますので、それを単純に混ぜてうまくいくというわけではございません。6ページが資料Gの論点?Bのところにかかっているんですが、ワクチンを混ぜることにより相互作用によって免疫原性が下がることもあり得る。これはワクチンの科学物理的な作用もあるでしょう。ということで、臨床試験においては別々に打った場合と、混ぜて製品をつくってやった場合をきちんと評価していく必要があるということです。
 なお、混合化によって多少、単抗原を個々別々にやったときに比べて免疫原性が落ちても、規定回数やれば最終的には免疫原性が回復されるということで、混合ワクチンが承認されたという例も欧米ではあります。
 ?Aキャリアたんぱくの過剰免疫または免疫干渉という問題で、最近開発されております結合型ワクチンと言われるワクチンでは、抗原だけでは特に小さい子に免疫が惹起できにくい場合に、抗原にキャリアたんぱくをつけて免疫原性が上がるというワクチンが幾つか出てきておりますけれども、そこに用いられるキャリアたんぱくも1つの抗原になり得るということです。今後そういう結合型ワクチンを含んだ混合ワクチンの開発の場合には、キャリアたんぱくによる一時的な過剰免疫や、キャリアたんぱくに対する抗体を介した免疫抑制が起こる可能性がありますので、開発の段階ではそこをきちんと押さえていく必要があるということです。
 ?B安全性への配慮ということで、単抗原ワクチンの開発でも基本的には同じなんですけれども、過去に免疫を得ている方への追加免疫による過剰免疫が局所反応等を増強する可能性も指摘されていますので、この点に関しては基本的には、過去にある程度免疫がある人に追加免疫しても大きなマイナスはないとされてはいますけれども、製造後の調査等々が必要であろうということです。
 また、副反応が発生した場合に、混合ワクチンの場合1つのワクチンにたくさんいろいろなものが入っておりますので、その調査分析が単抗原よりは難しくなることが予想されますので、こういうところでの救済等々の整理も必要であろうということです。
 ?C供給体制の問題で、混合ワクチンはいろいろな構成成分が多くなりますので、製造段階からサプライに至るいろいろな管理がより一層求められるということです。混合ワクチンで品質の不備が出ますと、一挙に何種類もの疾患に対するワクチンが不足するという状況も出てまいりますので、需要の見込みもしていかなければいけませんし、きちんとした管理が必要であるということです。不足を起こさないようにしないといけないということです。
 ?D予防接種スケジュール等の整合性ということで、単抗原で接種を行っているワクチンに混合ワクチンを導入する場合、切り替え時期というのがございまして、単抗原で例えばトータル4回のうち2回終わっている子の残りを混合でやっていく場合など、一部の単抗原については既に接種したけれども、ほかの単抗原については免疫を獲得していないというような状況もあり得ます。既接種と既罹患の人とでは状況が異なりますけれども、過剰免疫の付与については禁忌でない限り許容されるという考え方も欧米では出されておりますが、今後これらの方への対応については、やはり個々に検討していく必要があるだろうと思います。
 なお、複雑化する予防接種スケジュールとの整合性については、審査・流通部門あるいは予防接種行政と密接に関連してくる事項ですので、より一層の情報共有、連携が求められるということでございます。
 次に「3.混合ワクチンに関する各国の施策や要望」ですけれども、これは資料Hの9ページ辺りから各国の状況が表にまとめてありますが、例えば、米国のACIPあるいは米国小児科学会では、混合ワクチンというのは接種回数を減らすことのみならず、接種漏れの回避や一度に多くの抗原に対するワクチンを接種可能にすることにより、接種率の向上を目的として混合ワクチンの使用を基本的には勧めているということです。
 以下、各国の審査当局、FDAを初めとして混合ワクチンの評価については、ガイドラインを設けて製品としてクリアしているということが書いてございます。
 では、?A日本における混合ワクチンについての政策ですが、審査当局としては先ほども話が出ておりましたが、感染症予防ワクチンの非臨床・臨床ガイドラインが2010年5月付で通知が出ております。また、関連学会から混合ワクチンの利点を基に混合ワクチンの開発を進めてほしいという要望も出ているところです。
 日本ワクチン学会は、要望の中で、世界で使用されていて、我が国も必要なワクチンがなるべく早く入るようにしてほしいとか、ワクチンに製造管理については技術的評価が重要なので、審査メンバーに感染研の人材登用を願いたいということが書いてあります。
 日本小児科学会も、上の段は既にある疾患に罹患している場合に、混合ワクチンをどう使うかということで、具体的に言いますと、はしかにかかってしまった子がMRワクチンを受けられるかどうかという問題がありまして、従来の国の決まりでは除外されるということだったんですが、諸外国の経験あるいは我々の経験からも、それはマイナスではないということで、既に罹患している人でも接種の除外にはならないということにしていただきました。
 「4.混合ワクチンの開発に関する基本的な考え方及び今後の課題」ですが、基本的な考え方としては、混合ワクチンは接種率の向上、被接種者の負担軽減などによる利便性の向上などいろいろ利点を有しており、我が国においても必要な混合ワクチンの開発を早期に進めるべきである。その安全性等に関しては、開発が先行している諸外国の経験を生かして適切な臨床試験を実施する必要がある。混合ワクチンを導入する意義、社会的なニーズ、現実的なスケジュールを勘案した効率的な開発、使われない混合ワクチンをつくってもしようがありませんので、そういう施策とのすり合わせをしながらワクチン開発が必要で、安定供給とより安全で有効なワクチンが世界に向けて発信できれば、よりいいということがございます。
 今後の課題としては以下の5点が挙げられました。1つは、行政における審査・流通部局と予防接種行政のより一層の情報共有・連携により、疫学、ニーズを踏まえた混合ワクチンの開発が必要であると。行政のみならず関連の企業、学会等々関係者の理解や協力が必要であるということ。それから、国が必要と考える混合ワクチンがあれば、そこに対しての支援も必要であろうということ。海外から導入されるワクチンの審査に当たっては、そのスケジュール、用量・用法、接種経路を踏まえてデータをどのように現場で活用していくかという考えを整理していく必要があるということです。最後に、海外との国際競争力を有するワクチンの開発を念頭に置いた場合、新しいアジュバントの開発など、我が国が持っている技術を使って、産学協同で研究開発を進めていく必要があるであろうということを書かせていただいております。
 10ページからは各論です。世界的にはさまざまな混合ワクチンがございます。主には一覧表にありますように、生ワクチンとしてはしかワクチン、あるいははしかワクチンプラスアルファをベースとした混合ワクチン系統です。不活化ワクチンに関しては、その多くがDPTワクチンをベースにしております。DPTワクチン、DTaPなど細かい書き分けがありますけれども、日本で今使用しているDPTワクチンは世界的に言うとDTaPワクチンと同一です。つまり、無細胞型百日咳ワクチンを含んだDPTワクチンです。これは実は日本でいち早く世界に先駆けて開発したワクチンで、やっと日本型のDPTワクチンが世界標準になったということです。
 これ以外に肝炎ワクチン同士のA型、B型の混合ワクチンがあります。あるいは髄膜炎の原因になる菌種を混ぜたものなどが海外ではあります。
 11ページを開いていただきたいと思います。やはり現実的にはまず、DPT系統のワクチンとMR系統のワクチンが目の前にあるわけです。まずDPT系統のワクチンの混合ワクチンとしてDPT-IPVがあります。これはDPTと不活化ポリオワクチンを混合した4種混合ワクチンになります。これは、いろいろな要望も既に出ておりますが、IPV(不活化ポリオワクチン)を早く世に出していくということが一つ、もう一つは、OPV(生ワクチン)から不活化ワクチン、混合ワクチンへの切り替えについては、導入に対して接種率が下がらないようにしなければいけないことと、DPT-IPVが導入された後、OPVの必要性と供給体制についても検討しておく必要があるということを書いております。
 DPT-IPV以外のものとしては、海外で開発されていますようにHibワクチンやB型肝炎ワクチンとの混合ワクチンが可能性としてあります。まだ具体的な動きとしては聞いておりませんけれども、今後必要とされる定期接種かあるいはそれに近い形の接種が推奨されるワクチンが増えていくと思われますので、ワクチンの定期接種化への検討状況を勘案しながら、安定的に供給できる体制の確保と、日本で開発されたワクチンが外にも出ていけるぐらいの基盤をつくることも必要であると考えております。
 次に、?AMR系統の混合ワクチンです。日本ではMMRワクチンが一時期使われて、その後いろいろな問題で頓挫して、現在ははしかと風しんのMR混合ワクチンが使用されて、現在、この2つの疾患の排除に向けて努力がなされているところです。現在、2社からMRワクチンが供給されておりますけれども、1社も薬事承認が得られたところですので、3社体制になっていくだろうということです。
 MRワクチンはあるんですが、残念ながらそれ以上の混合がないわけで、国内企業によって輸入のMMRワクチンの申請がなされていますが、現在のところ審査が止まっております。海外では既にMMRVワクチン(4種混合生ワクチン)も開発されていますが、日本ではいろいろな状況の中から現状のMRワクチンにV(水疱瘡)を加えたMRVワクチンの開発が進められているところです。この辺のところも、いろいろ部会との関連の中で今後本当に必要な生ワクチン混合化のことが議論されていく必要があると思います。
 その他、今まで述べませんでした混合ワクチンについても開発の必要性が高いワクチンがありますので、早急に開発の必要性があるんですけれども、ここでは当面の必要性の高いものから取り上げさせていただいたということでございます。
 それを受けまして結語ですが、以上により、混合ワクチンは負担軽減、利便性の向上、接種率向上などの観点から、多くの利点を有しており、社会のニーズに合わせた混合ワクチンを速やかに開発することが求められております。また、将来的には海外での開発に関する知見を踏まえて、日本のワクチンを海外へ提供できるような開発基盤も強化していくことが必要でしょう。本ワーキンググループでは、混合ワクチンの開発に当たって懸念される技術的または接種スケジュールとの整合性など、行政的な問題等についても整理を行ったものであり、本報告書が産業界を初めとする関係者にとって有益なものとなり、国内における混合ワクチンの開発の適切な促進によって、我が国の予防接種施策の向上につながることを期待するものであると結ばさせていただいております。
 以上です。
○倉田座長 ありがとうございました。
 それでは、今の御発表に関して、今後、日本の混合ワクチン開発に向けた御意見等をいただくということで、これをほじくってどうこうということではないよとくぎを刺されていますので、これを基盤にこういう点はもっと注意してやった方がいいというような建設的な御意見をもらえということですので、いろいろ現在の問題に関してぎゃあぎゃあ言うことはここでは控えてほしいということですので、その議論はしません。しかし、この中に多くのヒントがあると思いますから、御意見をいただきたいと思います。どうぞ。
 せっかくですから、この問題を深くやってこられた堀内さん、参考人として今日来ていただきましたので、御意見をどうぞ。
○堀内参考人 ワクチンの場合、特に臨床試験等で安全性を確認してしまうということは余り現実的ではないように思います。ただ、実際にはアメリカ等ではまれにですけれども、数万人規模の臨床使用を基に安全性は証明されたと、信じるというような扱いが一般的です。ただ、サイエンティフィックに言うと、実際に接種全対象集団からランダムに抜き取った人に接種して評価しているわけでも何でもないので、たまたまある病院に来た人にお願いして参加していただいているということなので、どういうバイアスが入っているかは誰にもわからないわけです。そういったこともあるので、臨床だけではなくて、ワクチンは必要なのは、感染防御活性だけで本当はいいんですが、そうもいかなくて、感染防御活性以外の生物活性が残っていることがままあります。これに関しては、最終的に人間で確認する必要はありますけれども、何らかのモデルをつくって詳細に定量的に検討した後に臨床試験を計画するといったことで、これは日本だけの問題ではありませんが、サイエンティフィックに安全性評価のシステムを考え直してもいいのではなかろうかと。また、それをやらないと混合ワクチンの場合、全部臨床ですべてを評価していくというのは現実的ではないので、どうしてもそういったモデルの開発がかなり大きな要素になってくるのではなかろうかという気がします。
○倉田座長 ありがとうございました。
 ほかに何か今、宮崎先生がお話しされたことについて幾つか大事な御報告が入っていますが、それについて何か建設的な意見をいただければと思います。
○杉本委員 今の堀内さんの御発言にも少し関連しますが、先ほど宮崎先生がおっしゃられたように、混合ワクチンのギャップがまだ大きいということで、海外で長期間大々的に実際に使用されているワクチンの日本への導入が短期的な措置としてあると思います。そのときに国内での臨床データのみならず、実際の海外のデータを効率的に活用して、短期的なギャップを埋めるということは考えた方がいいのではないかと思います。
 そういう意味では、報告書8ページ一番下の行に示された「基本的な考え方」は、まさにこのとおりで、適切な臨床試験を実施して導入していくということなんでしょうけれども、その前に「開発が先行している諸外国の経験などから得られた留意点を踏まえると」ということは、もう少しはっきりとした言葉にされた方がいいのかなと思います。例えば、海外でのデータを効率的に活用するというようなことだととったんですが、そういう考え方でよろしいでしょうか
○宮崎委員 両方の意味があるでしょうね。ワクチンをつくることの難しさもメーカーの方はよく御存じだと思うんです。そこも考えて、ただ混ぜればいいというわけではないという部分が一つと、もう一つ、今言われたように世界で広く既に使われているワクチンがなかなか日本に入ってきていないという現状もありますので、海外ワクチンのデータをどう取り扱うか、これは山西先生のところでもいろいろされているお仕事だと思いますので、混合ワクチンのワーキンググループから少し超える部分もあるかと思いますが、両方の面があるかと思います。
○倉田座長 ほかにいかがでしょう。どなたか御意見ないですか。
○伊藤委員 臨床試験ガイドラインの策定にかかわらせていただいた者として、規制当局の方と相談させていただくと、国内の臨床試験成績を強く要望されるというところがあって、調整が相当難航したということがあります。海外で使われているワクチンが日本に入ってこないということの理由には、そういった審査のハードルがいまだにあるのではないかという思いがあります。同時に、今、経済的な話もされましたけれども、通常混合ワクチンになればトータルのコストが下がるということを期待するわけですけれども、多剤ワクチンの開発、特に臨床試験等にかかる費用について、何らかの形で補てんしてあげないと企業の方に開発をしろと言うのも大変なのではないかと思いますので、そういった意味での行政からの経済的支援を考えることを提案したいと思います。
○倉田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。
○岩本委員 宮崎先生への質問ではないんですけれども、最初の事務局説明の後に質問時間がなかったので。今出た御意見とちょっと関連があるんですが、質問よろしいですか。資料Hの中で、4ページ目の先ほど米国の2000年と2010年のワクチン価格が出ています。プライベートセクターとCDCコストというのが書いてあります。1つ目の質問は、これは日本の任意接種と定期接種と同じように考えていいんでしょうかということです。非常にナイーブな質問ですが。
 もう一点は、先ほどおっしゃったように、例えば、単味のIPVとHepatitis B、それぞれ11ドル、10ドルぐらいですけれども、これをDPT-IPVにした場合には多分50ドルぐらいになっているということですね。単味を足したよりはプラスアルファの金額が足されているというのはわかるんですけれども、ただ、単味が10ドルですよね。その辺、日本の価格を横に並べないでアメリカも足されているから日本も足されるんだというのは、ちょっとワクチン価格自体でそれで適性なのかというのは疑問に思います。その辺はいいかがでしょうか。
○大坪血液対策課長補佐 1点目の御質問ですけれども、日本の定期・任意のワクチンの価格というものは、先生御存じのように定期の価格というものは市町村が実施主体ですので、国の方でとやかく価格について統制しているものではないんですね。ですので、その価格についてこちらで把握しているものではございません。
 2つ目の混合ワクチンの価格、日本の価格は並べないのかということですけれども、混合ワクチンの価格というものでDPT-IPVなどは今後開発されるときに幾らになるかと。日本に今現在ないわけですから、海外であるワクチンを参考にさせていただいたということでございます。
○宮崎委員 今の御質問への回答に追加でよろしいですか。アメリカは、ACIPがすべての子どもに接種をリコメンドした場合に、保険に入っている人は保険で見るんですが、保険に入っていない人がいるので、そこは政府が無料で面倒を見ることになっているんですね。それで政府が買い上げる時のワクチンの値段がこのCDCで、一般のクリニックが保険を使ってやるときが右側の価格でちょっと違っていると。定期は全部定期なんです。
○岩本委員 私の質問に関しては、国が価格を把握していないというのはよくわかりません。自治体がわかっているのだったら価格は把握できるはずだと思いますが。、アメリカの場合、公的な機関が買い上げているとして、それが例えば、B型肝炎ワクチンだったら10ドルぐらいなんですかというところが、びっくりするほど安い値段ですよね。
○保坂委員 今の事務局の回答は、ちょっと誤解を招くのではないかと思うので補足させていただきますが、定期接種につきましても、ここに書いてあるのはワクチンの値段のことでございます。ワクチン液の値段が書いてございます。日本が定期接種として自治体が決めている価格は、ワクチン液の値段を限定して決めているものではない場合が多いので、今の事務局の回答はちょっと話がずれているということを御了解ください。
 ワクチンの価格自体はここに製薬メーカーの方や問屋さんの方もいらっしゃるんじゃないかと思いますが、自由経済ですから国が決めているものではなくて、メーカーがこの値段で売りますと言って、それに流通価格を足したものが末端価格になっているということでございますので、このアメリカのデータと比べるにはなかなか難しい点があると思います。
○倉田座長 ほかにいかがですか。
 宮崎委員の報告書は、ユーザー側の報告書としては非常にすばらしいものになっているんですが、つくる側の問題からはちょっと違った観点が出てくると。国としては勿論そうで、もう一つは国によって医療へのアクセスが全然違いますから、ワクチンがあれば安くすべて済むという国と、日本のようにすべてパッと対応する医療機関の対応と随分懸け離れていますよね。この間のインフルを見てわかるように、米英の話は日本とまるっきり違いますよね。そういうことを考えたときに、ワクチンは何でもあればいいという話なのか、今の医療対応を考えたときに、これはワクチンが全部来たら書類はほとんど要らなくなりますよね。そういうことも含めて、本当にそうかということもよく見たときに、そういうこともお考えになった方がいいかと思います。
 もう一つは、さっき外国の話が遅いというのだけれども、どんどん申請されればいい話だと私は思っていますが、そういうところは私が知る限りこの何十年間日本は遅れていると言うけれども、そんなことは全然なくて、アプライされてきていないことが基本的にあると。正規にアプライされればいいと。
 もう一つは、世界のスタンダードなんてどこにもなくて、EMEAに属している二十何カ国プラスオブザーバーの国は、そのルールの中でやっているわけで、FDAはFDAの中でやっているわけで、日本はそこに両方とも入っていないし、どちらにでも入るなら入って、そうしたら日本のコントロールはなくてもいい話になるかもしれない。ですから、そういうところもよく踏まえて考えないと、欧米で通っているものが日本にスタンダードであるという理由は全くありません。これは調べてみてもらえばわかるんですが、EUの連合体でやっているルールが、もし日本がそれがスタンダードだと思うなら、日本の薬事関係の専門家も事務方もどんどん送り込んで、その中でやれば日本はそのメンバーであるという話になって、日本のエデュケーションは外れてくるということになるかもしれない。そういうこともあるので、ワールドスタンダードという言葉が最近はやっていますが、これは全然トンチンカンな話で、世界の国がやっていることが日本のやっているものと同一でなければならないという理由は今のところないと。そういうことを踏まえた上でこの報告書も読んでいかないと、日本が止めているという話ではなくて、日本にアプライされていないものを止めているという話は全然違うということです。そういう問題もよく考える必要があります。
 それから、いろいろなものを読んでもらえばわかるように、許容する基準は日本は随分違う。日本は1人死亡者が出たら、世界も日本のワクチンに対する評価もガラッと変わる、そういう問題を含めて考えていかないと、ちょっと違うんじゃないかなということがあります。そういうことで、いろいろな観点からユーザー側の先生方、あるいは先生方がもし患者になったらという子どもさんのことを思って書かれる場合の話と、安全なものを提供するかという話の間にどれだけギャップがあるかを考えていかないと、この問題は何でも入れましょうという話にはならない。そういうことをきちんとやるべきだと私は思っていますが、今後これに関しまして御意見があった場合は、事務局に文書でいただければと思います。
 ほかになければ次にいきたいんですが。

○山西委員 よろしいですか。宮崎先生の今の御説明は、非常によくまとめられてすばらしいと私は評価しますけれども、1つだけ、安全性の配慮にもうちょっと、このワクチンで数例亡くなった方に関してはリンクしているかどうか知りませんけれども、安全性の配慮というところで人のことばかり書かれていますが、やはり動物実験も含めて、もっと安全性の配慮はきちんと評価系を開発するという部分が重要ではないかと、そういうことはやはり入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○宮崎委員 先ほど堀内先生が言われた御意見と基本的には一緒ということですね。これは、開発の難しい部分になってくるだろうと思いますので、逆に言うと、そういう検定するモデルをつくらないといけないという難しい問題もあるかと思います。
○堀内参考人 臨床でやって問題が見つからなかったんだから、お墨付きを得たんだという考え方はもう通用しなくなっていくだろうと思うんです。やはり多種混合しますと、臨床で全部評価することは現実的ではないので考えなければいけない、今、山西先生がおっしゃったとおりだと思います。
○庵原委員 よろしいですか。モデルの作成というのはある意味ではわかるんですけれども、不活化ワクチンのモデルというのはイメージがわくんですが、生ワクチンのモデルが物すごく難しいです。ですから、将来を見越して生ワクチンのモデルをつくりましょうというのはいいんですが、それが目の前に現実に見えてくるかというと大分先の話です。ですから、生ワクチンはやはり最終的には人に用いてやらないと評価できないし、安全性も評価できないと思います。そこの限界も踏まえてモデルをつくりましょうという、その考え方は納得できるんですが、何でもかんでもモデルがないと先へ進めないという考え方をされますと生ワクチンが進んでいきませんので、その辺の限界を踏まえたような書きぶりでお願いしたいと思います。
○倉田座長 生ワクについては、考えられるものは幾つもない話だと思うんですが、今、堀内先生が指摘した問題というのは、不活化の安全性の問題が相当大きいということだと思いますが、堀内先生、違いますか。
○堀内参考人 とにかく多種混合をやっていこうとする場合に、すべて臨床で人間を使って実験をやってということが現実的ではないと思います。したがって、特に混合化していく場合に、何らかの生物活性が全くなくて免疫原性しかないたんぱく抗原みたいなものは、副反応についてはどうしようもない。ところが、たんぱく抗原の免疫原性はあるんだけれども、それ以外に見てもいないようないろいろな生物活性を持っているようなワクチンは、何かを起こしても全然おかしくないわけです。そういったことも含めて、動物モデルできちんと評価した後に臨床で確認するというスタンスでいきませんと、サイエンティフィックなアプローチがどんどん難しくなっていくだろうという気がします。
 ただし、そういったデータがないから止めるかとなると、それも比較衡量の問題が発生します。したがって、外国の実例を勘案しながら大丈夫かどうかを、誰が責任を持つかは難しいんですが、サイエンティフィックな確認が困難にどんどんなっていくと思います。ただ、やはりそういうラボラトリーでの研究をエンカレッジしていくという仕組みをとっていかないと、今みたいにすべて臨床でやるんだということで突き進んでいくと、ラボラトリーでの安全性に関する研究というのはほとんど研究費も出ないし、世界じゅうでできなくなってきているという現状があります。これを何とか変えていく必要があるんじゃなかろうかという危惧を持っています。
○橋本委員 似た話かもしれないんですけれども、細胞培養の日本脳炎ワクチンが出てきたときに、マウス由来で第1回を受けていた人が第2回を細胞培養で受けたときに、しっかり免疫反応が得られるかどうかを承認後になってある程度臨床でデータを集められて評価されたと思うんですが、今回またOPVからIPVへ切り替わるというときに、同じような感じでやっていると普及していくのにまた時間がかかってしまうということなので、そういう辺りももうちょっと前倒しで何か評価する方法があればしていく必要があるんじゃないかと思います。
○倉田座長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
 先ほど堀内さんが言われたことは、堀内さんは15年前から指摘していたので今更いろいろな問題が出てくるのは少し時代遅れなんですがね。対応するのが時代遅れで、堀内さん自身は15年前から指摘されていて、必ずこの問題は起きると。実際に起きてきましたから、これはモデルができないのではなくて、やればできます。そういう発想が基本的に欠けているんです。そういうところは今後、是非検討される必要があるんじゃないかと私は思っていますけれども。
 それでは、次へいきたいと思います。次の議題は、今後のワクチン産業ビジョン推進委員会の活動についてということで、事務局から説明をお願いします。
○大坪血液対策課長補佐 資料I、資料J、資料Kを御用意ください。資料Iから御説明いたします。
 こちらは平成22年、昨年10月6日、第14回の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会の資料として、血液対策課から提供したものでございますので、御記憶の先生もいらっしゃると思いますが、少しゆっくり内容について御説明したいと思います。
 おめくりいただきまして、ワクチン産業ビジョンの概要などについては既に御承知置きのことと思いますので、3ページに移ります。これも、これまでの経緯ということで冒頭御説明申し上げましたので、省略させていただきます。
 次に4ページでございまして、部会の中では余り丁寧に御説明しておりませんので、ここでさせていただきますと、平成19年3月にワクチン産業ビジョンの策定がされました際に、具体的にアクションプランとしまして、どういうことをやっていくべきであるといった大項目を立てております。それが、机上の資料だけカラーなんですが、アクションプランの赤字で書いてございます、1番目、基礎研究から実用化(臨床開発)への橋渡し。2番目、関係機関の戦略的連携による臨床開発力の強化を図り、国際競争力のあるワクチン生産基盤確保を行っていくこと。3番目、新型インフルエンザ等の危機管理上必要ではあるが、民間の採算ベースに乗らないワクチンに対する国の税制、研究開発助成等の支援を行うこと。4番目、新型インフルエンザ等の基本的管理的なワクチン生産体制の確保のための国の支援。5番目、ワクチンの薬事承認・実用化に向けた制度基盤の整備。6番目、ワクチンの需給安定化のため調整機能の整備といった項目が挙げられておりまして、先ほどいただいております課題、例えば、国の支援の在り方や審査の整備といったことも、そもそものアクションプランの中には盛り込まれていたところでございます。これまでの間にどういう進捗があって、どのような成果がなされたかを一部例として御披露したいと思います。
 まずはじめの基礎研究から実用化への橋渡しですが、研究開発段階で官民の連携と研究機関間の連携の促進と。これは山西先生が中心になってまとめていらっしゃいますワクチン開発研究機関協議会が平成19年11月に設立されております。これは基礎研究の効率的な実施を可能とするために共同研究のネットワークを形成して、ワクチンの研究開発を促進することを目的としておりまして、国立感染症研究所や東京大学医科学研究所、大阪大学微生物研究所、医薬基盤研究所などから構成をされているネットワークでございます。
 日本医師会「大規模治験ネットワーク」の活用など医療実践者が参画した対応の促進。こちらも日本医師会に協力していただきまして、日本医師会治験促進センターなど1,600以上の登録医療機関をいただいておりまして、ネットワークを構築しております。
 また、2番目、開発機関の戦略的連携の中の1つ目、研究開発企業との連携によるニーズに即した新しいワクチンの臨床開発力強化と開発効率。それは右側にございますように、これまでの間に大手製薬企業とワクチンメーカーとの連携関係の強化が1例記載してございますが、幾つか近年見られておりまして、これは大変喜ばしいことだと思っております。
 次、新ワクチンによる競争力の強化、収益構造の転換による事業安定化と国内製造体制の確保の例示といたしまして、平成21年度の基金で設立いたしました当課の新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業の創設を挙げさせていただいております。こちらにつきましては御存じのように、第1次公募の事業が現在進んでおりまして、平成23年1月に1次公募の事業に関する中間評価を行ったところでございます。また、平成23年3月8日付で実生産プラント整備に関する第2次公募事業の公表も行っております。
 また、外国企業との協力の促進、シーズの導入や外国市場への転換という中におきましても、企業の方の御努力で、例えば、インフルエンザワクチンに関しましてはGSKのアジュバントと化血研との連携や、ここに書いてございますように、武田薬品工業とBaxterによるインフルエンザワクチン開発の連携といった動きが見られているところでございます。
 3番目、民間の採算ベースに乗らないワクチンに対して国がどのように支援をしていけるかといった中の税制措置といたしましては、オーファン制度の対象として位置付けること、これは平成18年度から開始しておりますが、オーファンドラックの研究開発に係る試験研究費につきましては、通常の試験研究費に係る控除率よりも上乗せした控除率と優遇措置をとっております。このような形で支援をしているところです。
 次は、新型インフルエンザワクチンなどの基本的管理的なワクチン生産体制、先ほど御紹介いたしました新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業もそうですし、例えば、平成17年度、平成20年度、新型インフルエンザワクチン生産のための必要な鶏卵に関する補助などを行って支援をしております。
 次に、ワクチンの薬事承認・実用化に向けた制度基盤の整備といたしましては、先ほどから御紹介しておりますように、審査管理課で通知が出されております平成22年5月27日付で感染症予防ワクチンの非臨床・臨床ガイドラインをお示ししているところでございます。
 また、次のPMDAの審査員増員など治験相談、審査に係る体制の質・量の両面にわたる充実という中では、右に書いてございますように、平成19年度からPMDAの審査員の増員などの審査体制の充実を図っているところと聞いております。
 また、6番目、ワクチンの需給安定化のための調整機能の整備、これは基本的には市場流通ということで市場の原理にお任せしている中で、例えば、感染症疫学的データに基づく需要予測と需給調整機能の確保に関しましては、季節性インフルエンザワクチンに関しましては、平成12年6月に医薬食品局の中に需要検討会を置いておりまして、次年度のワクチン製造量をどのくらいにするかといった議論を公開で行っております。
 また、危機管理に強い地域ブロック単位の在庫管理・配送ネットワーク体制の準備などにつきましては、地域ブロック単位によるワクチンの偏在などがないように、安定供給を確保するという観点から、このインフルエンザのシーズンにおきましては、定期的に都道府県ごとの卸在庫数量の報告を受けまして集計した後、週単位で都道府県を初め関係者に情報提供を行っております。
 最後ですが、需給安定化のための必要量を一定程度予備的に生産・確保することにつき、受益関係者によって幅広く社会的に支援することへの合意形成。こちらもインフルエンザワクチンに特化しているものでございますが、在庫不足が生じた場合に備えて、一定量を市場に出荷せず、これはメーカーの方にお願いして対応していただいて本当にありがたいのですけれども、毎年シーズンの初めに一定程度の融通分として持っていただいております。偏在が起きた場合には対応するといったような処置をとっております。
 このようなことがこれまでの間、平成19年3月策定以降、我々の方で努力し、企業の方の御協力をいただいて対応してきた成果ということになろうかと思います。
 次に資料Jでございますけれども、こちらは冒頭局長からもお話がありましたように、平成21年12月25日付で厚生科学審議会感染症分科会の中に予防接種部会が設置されております。左側に、当ワクチン産業ビジョン推進委員会のタスクを記載させていただきまして、右側に予防接種部会で検討すべき事項を並べてございます。これをごらんいただきますとおわかりのように、予防接種部会でもワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保の在り方というタスクが記載されているということでございます。ただ、ワクチン産業ビジョンで本来やるべき話というのは、もう少し大きな、近未来的な予防接種に資するワクチンの開発ということのみならず、もう少し産業育成といった観点から中長期的な展望に立ったマーケットの改革ですとか、審査の基盤といった大きな話であろうかと思いますので、すべてこの予防接種部会の中の6番目のタスクで読めるものではないと思ってはいるのですけれども、これまでの間ワーキングが2つ立ちまして、今、机上に配付させていただいております個々ワクチンのワーキングの報告書、それから、本日御提示させていただきました混合ワクチンの報告書、これはいずれにおきましても近い未来といいますか、こういうワクチンが今後日本に感染症対策の上から必要なのではないかといった観点に立った報告書となってございます。そういう議事につきましては今後は予防接種部会の中で御議論いただいてもよろしいのではないかと事務局としては考えております。
 それ資する資料といたしまして資料Kを御紹介します。こちらは平成22年10月29日の第15回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会の資料1の中から一部抜粋したものでございます。ごらんいただきますように、まず「予防接種に関する評価・検討組織のあり方」という項の中で、組織の在り方、評価に対する考え方ということで御意見をいただいております。この中の4番目、感染症分科会予防接種部会を発展的に充実していくと。これは、今後の予防接種部会の在り方について記載されているものではございますけれども、もう少し充実すべきではないと。
 それから、部会の中で議論をしていくものという中の下から2番目にワクチンの研究開発、基盤整備も含まれているということになっております。
 また、6番目の「ワクチンの研究開発・生産基盤の確保」という項目の中でも、同じように国内外のワクチンに関する検討について今後、包括的・総合的に継続して検討を行い、その結果を施策につなげることが必要ではないかという御意見、また、下にも同じように研究開発については研究開発の進捗状況などを今後、評価・検討組織において情報提供・議論を行うとともに、包括的・総合的に継続して検討を行い、国としての研究開発に対するプライオリティを示すことにより、研究者やワクチン製造業者における研究開発及び生産基盤の確保を推進することが必要ではないかといった御意見もいただいているところでございます。
 このようなことを昨今の先生方からの御意見や流れを受けまして、先ほど私から申し上げましたように、近未来的な感染症対策としてのこういうワクチンが欲しいですとか、そういった議論に関しましては予防接種部会にお任せしてもよろしいのではないかと考えておりますが、いかがでございましょうか。
○倉田座長 今のは提案ですか、何かここでイエス・ノーを言えということですか。
○大坪血液対策課長補佐 それについて先生方から御意見をいただけたらと思っております。
○倉田座長 その1点だけでなくてもいいわけですね。それでは、いろいろな問題もあると思いますから、どうぞ。注文事項でもいいし、こういうことはこうだと思うという一般的な意見でもいいし、個別の意見でも何でもいいですが、今説明された資料I、資料J、資料Kにつきまして、何かありましたらどうぞ。
○堀内参考人 先ほどの議論と少しつながりますが、ここ数年ヨーロッパを中心にいろいろなすぐれたアジュバントの開発が進んでいます。既存のワクチンに対しても全くこれまで使ったことのないようなアジュバントを組み合わせたワクチンとか、いろいろな開発が進んでいますが、問題は既存のワクチンを一気に廃止して、これに切り替えるというわけではないわけです。既存のワクチンと並列するような形での導入を全く気にかけないでやられているわけですが、これをプライマリーとブースターで混合的に使った場合の影響とか評価のデータがほとんどないと思うんです。そういう意味で、本当にそういう新しいアジュバントが必要ならば、それがなければ困るというのであれば導入が必要ですが、抗原量も含めて国の方でこの疾病に関してはこういう仕様のワクチンで日本は対応するんだという何かがないと、製造所もしくは開発者任せにする、そして、いろいろなワクチンが審査に提案されて、審査を受けてそういう混合した仕様に関しては十分評価することなく、どんどん今の仕組みの中で、日本だけではないですけれども、アメリカでもヨーロッパでも承認されていくわけですね。
 1999年時点で1例見ますと、アメリカではDPT関係のワクチン製剤が13種類使われていたわけです。その抗原量には物すごく違いがあります。そういうものも今の仕組みの中では臨床試験をやって承認される。しかし、それをごちゃ混ぜに使った場合に何が起きるかの評価は全くしていないので、できるだけ同じものを使ってくださいというACIPからのリコメンデーションが出て、被接種者が自分で責任を持つという形をとられている、これも国がやらなくて素人ができるわけがないわけです。その辺について対応をどうするか、今後特に新しいアジュバントの開発と絡んで大きな問題になってくるのではなかろうかと考えています。
○倉田座長 今言われたのは互換性の問題で、これが幾つもあったら、多分ここにおられる臨床の先生はわかるかもしれないけれども、ほかの先生は全くわからないですね。私も随分いろいろなところで聞かれていますが、私は幸い知っている立場にあるから答えられるけれども、ほかの一般の臨床の先生は瓶を見て、この中の成分はこれとこれがこうで、B社、C社、D社のものはなんてことは考えてもいないと思うんですよね。そうすると、今言われたことが一定の基準でない、さまざまな基準でつくられたものが入ってくると。国からの便りでは何もなかったですよという話で来たときに、1回目、2回目、3回目を接種するときに堀内さんの言われた互換性というのは、これもやはり堀内さんは10年以上も前から指摘されていて、それが今問題になってきたということなんですが、そういうことは非常に大事ですが、今の堀内さんが言われたことに関して臨床の先生方から何か御意見いただけますか。
○伊藤委員 アジュバントに関しては大変難しくて、というのは、企業の守秘義務とか特許の問題があって、いろいろなワクチンの開発をやっている者でさえもよくわからない。ですから、同時接種したときにどんな相互作用を起こすのかがわかっていないのが現状だと思います。それで同時接種とか混合の問題とか大変歯切れが悪いのだろうと思います。
 先ほどから出ている動物のモデルの話ですけれども、動物モデルというのは基本的にはホモなので、ピュアなんですけれども、人はヘテロで雑種なので、動物モデルで大丈夫だから人で何か起きないという話ができないところに問題があって、動物モデルの開発を否定するわけではないんですが、動物モデルで大丈夫だから人は大丈夫というロジックにはならないのではないかと思います。これは臨床サイドから言っておかなければいけないと思うので発言させていただきました。
○保坂委員 質問をいいですか。今、混合ワクチンも日本で幾つかありますけれども、普通に臨床で。そういったもので何社から発売されているものがありますが、それぞれのワクチンは全く差がないんでしょうか。既に使われている各社で発売しているワクチンは。というのは、どこの社のワクチンを使ったから4回とも同じものでやるようにと私どもは思っていませんし、既に使っているんですが、もし今使っているワクチンも差があるとすれば、どうしたらいいんでしょうかということでございます。
○倉田座長 それは、製造関係から、行政の方から一言言ってもらう方がいいですね。ユーザーはユーザーで宮崎さんに聞きますけれども。私や堀内さんは、そのものに関して知っている立場にありますから言えませんけれども。どなたか、製造の基準というのはありますよね。一言言ってもらう方がいいですね。
○大坪血液対策課長補佐 血液対策課から申し上げるのもあれなんですけれども、私の知る限りでは先生方御存じのように、ワクチンでも医薬品でも生物基準に則っていますので、その中の幅で了解されたというものにすぎないということですので、その基準の幅に関しましては、それこそ製造方法も違いますし、例えば、アジュバントでしたらそれもそれぞれ違うこともあろうかと思います。ただ、その内容については、一応、添付文書に記載されております。それを毎回毎回、先生方がごらんになって、これとこれはどうなんだといったことをお考えいただくものかどうかというのはまた話は別として、その基準の中で幅がありながらも許容された範囲と理解しております。
○倉田座長 宮崎先生どうぞ。
○宮崎委員 我が国で使われている混合ワクチン、DPTワクチンに関しては、各社成分が違います。それは皆さん知っていることで、これは既に開発されて30年近くなりますかね、日本では経験的にエクスチェンジャビリティが確保されたということだろうと思います。アメリカなどではそういうことが時々問題になりまして、実際に違うワクチンをやってどうだというデータを出したりしてエクスチェンジャビリティが確保されたというデータを出していくんですが、日本の現在のDPTに関しては歴史的にOKであったということだと思います。組み合わせをいろいろやっても副反応も増えないし、きちんと抗体がついたということが歴史的に証明されたと言った方がいいかもしれません。
○保坂委員 混合されていないワクチンも何回かやるものがありますが、日本脳炎ですけれども、それも各社によって多少違うのだと思いますが、違うものを使っても特別なことはないかどうかということが証明されているかどうかということと、それから、MR等のワクチンのときに、追加をやるのと最初にやったのと違っても問題はないのかどうかということを、臨床の立場からすると非常にそれが大切なことだと思うので、この際お聞きしておきたいと思います。
○倉田座長 何か答えはありますか。堀内さん、どうぞ。
○堀内参考人 基本的には、今の日米欧いずれにおいても製造方法だとか抗原量といったものについては、同じワクチンであればどこのメーカーのものも同じようにしなさいというガイドラインは全くない。だから、個々に申請者が勝手に選んだ用量で有効で安全かだけが審査されてくるので、承認されたものというのはユニークで別であっても構わないという立場でやられています。しかし、ワクチンというのは同じ病気に対して効かなければいけないですね。日本脳炎だとA社の日本脳炎ワクチンはA社の持っている製造株による日本脳炎にしか効かないというのはワクチンではないわけです。したがって、製造方法は各社バラバラですけれども、すべて同じ製剤は同じ病気に対して効きます。効かなければいけないです。そういう意味では、同じように効くんですが、できれば国民の免疫状態をモニターする、そして、必要な施策を瞬時に判断してとるという国のもう一つの責任があります。ということは、国民の免疫状態の管理という問題がありますから、これをバラバラにしてしまうと悉皆調査しか対応できなくなって、2年、3年という調査が必要になってきかねない。幸いなことに、DPTに関しては2003年の流行予測調査のデータからわかったことは、いろいろな会社のものを使っているにもかかわらず、国民の免疫状態はいずれの年齢層においても対数正規分布しているということがわかったので、非常に簡単なわけですね。調査の必要もない、すぐに判断できるという状態に今あると。それを例えば、海外からいろいろなものを入れたりしてぐちゃぐちゃにしてしまった場合、誰がどういう調査で何か起きた場合の対応をしていくのか。
 もう一つ、最近ちょっと問題になっているのは、そういう使い方をした場合に何が起きるかという安全性の評価を臨床的に完璧にやっていくことは不可能ですから、そこでデータなしで思い切ってやってみるというのではなくて、何かサイエンティフィックなデータをラボラトリーでつくれるような仕組みを考えていかないと難しいことになっていくだろうという気がします。
○倉田座長 ありがとうございました。
 では、庵原さん、どうぞ。
○庵原委員 先ほどのMRの話と日脳の話なんですけれども、MRに関しましては1期のMRを接種して、また2期のMRを同じMRで打った症例はまだないですから、それはお答えできないと思うんですが、ただ、はしかとか風しんのワクチンを1期で接種して、2期にMRをした場合、そのときの抗体反応をメーカーごとに見ていますが、結局は2期を打ったときの抗体価が低い人が高く上がって、高い人は余り上がらなかったという結果です。ですから、元のメーカーのせいではなくて、その人の持っている抗体価がMR2期の抗体反応に影響を及ぼしているということです。ですから、1期のメーカーにおいて抗体反応が違うと言われてしまえば、それまでの話なんですけれども、少なくとも2期に関しましては、メーカーごとの差よりもその人が持っている抗体価がどのくらいのときにどれだけ反応するかという方が重要なファクターであるという結果です。
 日脳に関しましては、多分、多屋先生が今メーカーごとのデータを整理されていると思いますけれども、うちの経験では日脳に関しましても接種前の抗体価が低い人ほどブースターがきれいにかかって、高い人は上がりが悪いということです。ですから、1期のマウスブレーンワクチンのメーカーに関係なく、2期接種する前にある抗体レベル、要するに発症予防レベルの抗体価があって、2期を組織培養で打てば上がる人はきれいに上がるという結果です。ですから、メーカー間の差よりも、その人が持っている抗体価の方が重要なファクターであるという答えです。
○保坂委員 いわゆるアジュバントが違う、中身が違うとすると、それによって有害な事象が起きるかもしれないことが、こっちのワクチンを使って次にこっちのワクチンを使ったらリスクが高くなるというようなことはないかということは、どうなんでしょうと。日本で売っているDPTワクチンは全部一緒ですよということであれば、メーカーごとの差は何もありませんということであれば私たちは安心して使えるわけですけれども、このメーカーを使って次にこのメーカーを使ったら、何か悪いことが起きるんじゃないかということがないかどうかを今日ちょっとお聞きしておきたいんです。
○倉田座長 では、岡部さん。
○岡部委員 メーカー別のワクチンでどういう有害事象が起きたかということは、副反応のモニターとして行われています。それは結核感染症課からの公表データにもなっています。またそれによってメーカー間で著しい差はないということは示されています。ただ、先生のおっしゃているのは恐らくいろいろなメーカーによるワクチンの組み合わせだと思うんですが、それはすべてについてデータを求めるのは無理だろうと思うんですね。また、そのデータがなければ実用化できないということになると、例えばDPTを1期でやった人が、10年経った後にDTでやったときにどういうメーカーの組み合わせでやるかという、10年間分ぐらい臨床治験をやらないとできないというと非常に難しい問題になるのと、更に、国内だけではなくて海外に行った人はどうだとか、いろいろな問題が出てくるので、そこはある程度それぞれのものでの安全性でやっていかなければいけないと思います。ただ、それはモニターをしなくていいということではなくて、そういうものに対するモニターをやって新しい治験を得ていくという姿勢が必要だろうと思います。すべてのものについて答えは出てきていないと思います。
 その次のこともいいですか。私は臨床からは離れてしまっているので、臨床医の意見はどうですかという質問にお対してはちょっとおかしくなると思いますけれども、ワクチンの開発あるいは導入というのは、一つはフリーな研究で行われていろいろな病気に対するものが出てきて、その中でいいものを選ぶというのも一つでしょうし、もう一つは、やはりある方向性を持って、これはどういうために必要か。例えば世界規模で行われているポリオ・エラディケーションとか麻疹のエリミネーションとかあるいは国としてどういう病気が今コントロールが必要か、結核などもそうだと思いますが、そういう大きい方向性に関する議論がなせていないんじゃないかとも思います。どちらかだけに偏ってしまうとたとえば国の方向性だけしか出てこないということがありますから、フリーな開発が必要だと思うんですけれども、ある病気に対してどうしていくかということの方向性を決めていくところが必要だろうと思います。そういう意味でも、予防接種部会がハンドリングするのかどうかというのは一つの宿題だと思いますが、現在そういうところがないのだとすれば、部会のようなところがとりあえずはできるんじゃないかと思います。ただ、今、一緒にこの部会の中にこの会議でアジェンダとなっているものを組み込もうとする前提には、もう少し横断的なものになる、つまり、これは行政の問題だと思いますが、今の医薬局あるいは健康局がもう少し統一的なもので予防接種のことを話すところになるのだという前提が恐らく必要だろうと思います。
 それから、私は部会に属して、加藤先生が座長で私は代理という形での発言ですけれども、あの部会のメンバーの中でそっくりそのまま開発その他のことが理解できるかというと、そうではないと思います。したがって確かに予防接種部会の場で議論されることはいいと思うんですが、ワーキンググループなりメンバーなり、そこへの議論が専門性の高いメンバーによってきちんとなされることが前提だと思います。今後一緒にして話すということは総論としては賛成です。
○倉田座長 竹中さん、どうぞ。
○竹中委員 先ほどの血液対策課の御発表への意見です。当ワクチン産業ビジョン推進委員会は、本日の議題の混合ワクチンなど、中長期的なことについて検討する私ども産業界としてはありがたい場です。しかしながら、この2年間に起こりましたことは、新型インフルエンザで、大変皆さんいろいろな事があったので、この会も開く時間がなかったかと思います。そこで、製造、輸入、販売会社の情報を提供、それから、卸の流通など多くの事を学びました。流通では収めましたけれども余って、またそれを買い戻すことが起こりました。お願い申し上げたいのは、ここで学んだことを次のビジョン委員会の中で流通を含めてどう生かしていったらいいか御検討いただきたい。これがどこの委員会でするかは役所の中にいろいろな部門があると思いますが、産業界としては3つの団体で十分できますので、御指名いただければ一緒にやらせていただきたいと、これはお願いしたいと思います。
○倉田座長 山西さん、どうぞ。
○山西委員 今のお二人の話とリンクするんですけれども、質問されましたことで私は理解できなかったんですが、さっきの御質問は、ワクチン研究開発の促進というのは、ここではやらないという意味なんでしょうか。
○大坪血液対策課長補佐 説明がうまくいっておりませんで申し訳ございません。ワクチン産業ビジョン推進委員会の設置のとき幾つかタスクフォースがあったと思うんです。これまでの間にこれだけの進捗がございましたという御報告をさせていただいたのですけれども、ワーキンググループで幾つか報告書をまとめていただいたものが、割合に今の予防接種部会の中でもどういう疾病に関してどういう予防接種が必要かといった議論と重複する部分が多くなってきている傾向があるように思いまして、冒頭に宮崎先生がおっしゃいましたように、ワクチンという単体で考えたときのギャップは埋まりつつあると。だけれども、今後、産業育成の観点からもっと大きな意味で基盤を整えるとか、官民連携をどうするとか、そういったことは本来ここでやるべき話だと思っているものですから、その短期的な感染症対策、公衆衛生と直結したようなワクチンの話は部会でハンドリングしていただきながら、その下でやっていくべきではないかと思って御提案させていただいております。
○山西委員 私がコミットしたのは、最初に言われたように、官民共同も含めてどういうふうに新しいワクチンを開発していこうかと報告させていただいたんですよ。実は同じ報告を部会でもしたんですけれども、部会の方ははっきり言ってノーレスポンスでした。さっき岡部さんが言われたように余り専門家はおられませんよね。産業界の人も入っておられないんじゃないかと思うんですけど、入っておられますか。
○岡部委員 産業界というより、メーカーの方が。
○山西委員 そうですか。レスポンスがなかったんですよ。だから、むしろこういうところの方が将来の新しいワクチンを含めて開発というのは、産業界の方と一緒やらないといけないので部会で本当に可能なんでしょうか。そこのところが非常に疑問だと思うんですけれども。
○庵原委員 先に保坂先生への答えから言いますけれども、中山先生や岡田先生のグループがDTの2期をDPTに変えて0.2cc、0.5cc打った成績だと、1期のメーカー関係なくどのメーカーも皆同じように抗体反応が上がったというデータがあります。ですから、その点は心配されなくていいんじゃないかというのが、現在までの答えです。
 先ほどの予防接種部会とワクチン産業ビジョンとどうジョイントする、ないしはどう組み込むかということに関しましては、今の予防接種部会は、位置付けが健康局の結核感染症課の中に入っていること自体が問題と思います。部局を超えて広い立場に立っているならば将来のことを考えられるんですけれども、今の部会は目先のことしか考えていないと思えます。要するに、目先のことを考えるのに手いっぱいの状態であって、長期的なビジョンまで考えるようなゆとりはないという状態ではないかと思います。しかも、あの構成だと、産学協同は受け入れられにくいような形ですし、ある意味では民間人を登用しているところもあって、本当にあの立場であの位置で日本のワクチンを将来どうしようかというのが見えているのかと疑問です。アメリカのACIPみたいな課を超えて部局をこえたものをつくるならば、大坪さんがそういう構想ならばそれはそれでいいんでしょうけれども、そうではなくて、あくまでも現状の部会の中ではワクチンの将来は見えないと思います。
 ですから、先ほど山西先生もおっしゃいましたように、ワクチン産業をどうしようかとか、日本の長期的な感染症対策をどうするかというならば、やはりこういうものは残しておく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○倉田座長 ほかにどうぞ。
○杉本委員 竹中さんのお話に少し関連するのですが、やはり新型インフルエンザのワクチンの供給関連で、非常に大きなヒントがいっぱいあったと思います。問題点を整理して、産業ビジョンとうたっているこの会で議論を続けていくべきだと思いますし、それは中長期のみならず短期の視点も必要なのではないかと思います。
○倉田座長 インフルエンザのときはみんな騒ぐんだけれども、日本は桁違いに死亡者も重症者少なかった。前に1回どこかで話したかと思いますが、病理学的にも本当のウイルス肺炎死者が4例しかないとか桁違いに違うんですね。欧米はまるっきり次元が違う死者も出ていたし、病理学的にも日本とはまるで次元が違います。人口比で言っても100倍ぐらい問題の起きている例が違いますから。ですから、インフルエンザワクチンの位置付けが何でもワクチンがあればいいんだという話とまるっきり変わってきます。ですから、今後のインフルエンザワクチンは今までのをそのまま使うというのでは話にならない、もっと違った格好でいいものが出てこないと役に立たないということです、はっきり言うと。
 個別に今起きているいろいろなことをワクチンでやっているけれども、H1N1は去年もやった、今年もやったけれども、また感染が起きているとか、調べてみるとやはり違いがあるとかそういうことから考えると、本当に今のインフルエンザワクチンの位置付けが今迄のままでいいのかどうかということまで考えないと、ワクチンさえあればいいというのは基本的に間違っていると思います。日本の医療は先進諸国の中で一番よかったから非常に犠牲が少なかった。死んだ方は、やはり全然違った次元の人だけが亡くなったということもあるわけだし、そういう意味で日本のインフルエンザワクチンの位置付けは、今までと同じものだったら要らないということになります。もっと違うところを考えないといけない。
 医療対応は非常によかった、24時間対応をしたと。世界のどこにもそんな病院はないです。でも、日本は全国でやったと。そういう意味で、日本はその体制はいい教訓として今もやっているわけですから、インフルエンザワクチンは今までのようにあればいいというのではなくて、もっと違ったものでなければ今までのものだったら要らないと考えていくようなことを考えるのだったら、この会議は開発の意味があるかもしれないけれども、今までのように数はどれだけあればいいという議論の余地はなくて、ナンセンスな話だと思うんです。そういう考え方でやるならいいんですよ、既存のことをやるのだったら、この会議は要らないです。さっき山西さんが言ったように。そういうふうに考えていかないと意味がない。
 それから、もう一つ、予防接種部会は専らユーザー側で必死になってまとめたものが精いっぱいで、ちょっとこういう議論は出てこないですよね。非常に失礼ですが、あそこのメンバーではそういうことを議論するような、地方行政の方もおられるし、メディアの方もおられるし、こういう議論にならないと思います。ですから、そこは厚生労働省としてはどういうふうに開発ビジョンをやるかということとは別の次元でやらないと。つまり、ユーザー側はオブザーバーでというような考え方。今ここに感染症課の対応の人はちゃんとしたメンバーの中にいないでしょう。それでは、ずれが起きるのは当たり前なので、さっき大勢の方が言ったように、厚生労働省としての対応の仕方、国としてやること、個々の研究者がやること、メーカーがやること、いろいろ次元が違っているので、そういうことをやらないと、個別にいろいろと議論があふれてきても、本当にどうなんだろうということではないかと。
 結論みたいなことで申し訳ありませんが、時間もそろそろ来ていますが、何かありましたら。課長どうぞ。
○三宅血液対策課長 非常に先生方から貴重な御意見をいただきました。このワクチン産業ビジョン推進委員会には私もかつては結核感染症課長として何回か出させていただきました。予防接種部会でも御存じのとおり今、非常に積極的にいろいろなワクチンについて議論が進んできているところです。そして、ワクチンギャップとかこれまでの日本の予防接種の課題について議論がされているところです。その議論の中でもやはり実際の感染症対策とそれを支えるワクチンの開発の方向が、うまくリンクしていくことが非常に大事であるということは双方の共通した課題だと思います。そして、うまくリンクできるところをまた今日いただいたいろいろな議論を踏まえて、両局でよく話し合っていきながら、よりよいものにしていければと思っております。
 やはり産業ビジョンとして皆様方にこれまでいろいろやっていただいたことで、いろいろ大きく進んできていると思いますし、継続すべきことはしっかり継続していかなければいけないと考えておりますので、また、御支援のほどよろしくお願いしたいと思います。
○倉田座長 時間が来ましたが、最後にどなたか大きな観点で言っておくぞということがあったら、審議官も課長もおられますから、どうぞ。
○保坂委員 結局、国の仕組みそのものを変えない限りは、幾らみんながこういう会議を一生懸命やってもしようがないということが、先ほどからの皆様の、特につくられている方たちのお気持ちではないかと思いますので、それをみんなの力で何とか厚労省の幹部の方が一生懸命やられても、国全体の問題でございますので、それを何とかするためにみんなが協力していかなければならないと私どもも思っておりますし、是非皆さんで協力してやっていきましょう。
○倉田座長 ありがとうございました。
 もうちょっと命に金をかけろというのが保坂さんが言っていることだと思いますが、審議官何か最後に一言ございますか。
 では、先に岩本さん、どうぞ。
○岩本委員 日本はお金がなくなっているので、今日も予算的な話は全く出てこないのが心配です。どのくらいのコストの話を我々はしているのかということがわからないと、国の財政的には無責任きわまりない話しだと思います。
○倉田座長 ありがとうございました。
 では、最後に審議官どうぞ。
○平山大臣官房審議官 私の立場からいくと専ら医薬サイドの人間ですので、これまでのワクチンの状況を政治の方から見てきたという立場からいきますと、やはり我々としては大きな感染症対策の方向性があって、その方向が定まってというか、方向が固まる中でどういうワクチンを供給すべきか、要するに開発すべきか、あるいは製造すべきかという話とちゃんとリンクしない限りは、一生懸命開発してもそれが余り使われないとなると、産業側から見れば産業側の努力に全部依存しているというか、そういうところが見えるものですから、是非とも我々としては厚労省全体の話として、感染症というのは一時期になくなるような雰囲気があったんですけれども、やはり感染症というのは未来永劫人類とお付き合いする関係があるということを前提に、それに対してどう対応するかということを考えて、その中でワクチンがどういう役割をするのか。新しいワクチンを開発すれば、カバーする範囲はどのくらい広がるのか、その辺も考えて生産サイドからの提案をしていくようにしていきたいと思いますし、その意味でも、予防接種部会も全く対立する立場ではなくて、お互いに補完する立場でやっていくように心がけていきたいと思っております。
○倉田座長 それでは、終わりにしたんいですが、その前にどうしても発言しておきたいという方がありましたらどうぞ。
○荒井オブザーバー 先ほどの倉田座長からの現在のインフルエンザワクチンは必要ないという発言は、倉田先生個人であれば拝聴いたしますけれども、メーカーとしては、それを座長から言われると「ああ、そうですか」というわけにはいかないので、それは取り消していただきたいと思います。
○倉田座長 今のワクチンという意味で、新しい開発ということを付け足したと思うんですが、もっと違った格好にいけば別ですが、効いている、効いていないという面でいくと随分違った次元があるという一般的な考え方があります。そういうことを私は申し上げただけです。だから、新しい開発をちゃんとすべきだということです。
○荒井オブザーバー それなら同じ考えでございますので、よろしくお願いします。
○倉田座長 それでは、事務局どうぞ。
○大坪血液対策課長補佐 本日は長時間にわたりまして、ありがとうございます。たくさん議事以外のことでも御指摘いただきまして、本当にありがとうございました。もう少し組織の話とか大きな話になるかもしれませんけれども、今後とも引き続き御指導いただければと思います。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局血液対策課
03(5253)1111(内2908)

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