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2011年2月21日 第6回疾病・障害認定審査会 議事録

○日時

平成23年2月21日(月)11:00~12:30


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

(委員:五十音順)

赤川委員、石橋委員、稲松委員、岩谷委員、大澤委員、奥野委員、日下部委員、葛原委員、古賀委員、坂谷委員、佐々木委員、佐多委員、角委員、谷口委員、濁川委員、西埜委員、原委員、泉二委員、吉田委員、米倉委員

○議事

○和田原子爆弾被爆者援護対策室長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回疾病・障害認定審査会を開催いたします。
 先生方には、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。私は、健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室長の和田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、先生方に委員へのご就任をお願いしての最初の総会となりますので、会長の選出をするまでの間、私が議事進行させていただきます。少し長くなりますので、座って失礼いたします。
 まず、委員の皆様のお手元に、厚生労働大臣から2月19日付の辞令をお配りさせていただいております。ご確認の上、お受け取りいただきますようお願い申し上げます。
 続きまして、資料等の確認をさせていただきます。
上から、本日の座席表、議事次第。
 資料1 「疾病・障害認定審査会委員名簿」。
 資料2 「厚生労働省組織令、疾病・障害認定審査会令」。
 資料3 「疾病・障害認定審査会運営規程」。
 資料4 「疾病・障害認定審査会について」。
 資料5 「感染症・予防接種審査分科会について」。
 資料6 「原子爆弾被爆者医療分科会について」。
 資料7 「身体障害認定分科会について」です。
 以上でございますが、もし資料に不備等ございましたら、お知らせ願います。
 本日のこの審査会ですが、委員26名中20名の方から出席のご報告を受けております。佐々木委員が少し遅れておりますが、過半数を超えておりますので、会議が成立しておりますことをご報告申し上げます。
 続きまして、委員のご紹介をさせていただきます。お手元の資料1をご覧ください。当審査会では、あらかじめ先生方に所属していただく分科会を決めさせていただいております。まず、資料1にございます順に、本日ご出席の先生方をご紹介申し上げます。
 初めに、感染症・予防接種審査分科会に所属しておられる先生方でございます。
 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター臨床検査科部長の稲松孝思先生でございます。
 東京女子医科大学小児科主任教授の大澤真木子先生でございます。
 横浜市西区福祉保健センター長の古賀伸子先生でございます。
 国立感染症研究所感染病理部長の佐多徹太郎先生でございます。
 東京都医療公社豊島病院感染症内科医長の濁川博子先生でございます。
 明治大学法科大学院教授の西埜章先生でございます。
 続きまして、原子爆弾被爆者医療分科会に所属の先生方をご紹介させていただきます。
 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター長の石橋大海先生でございます。
 東京女子医科大学名誉教授の日下部きよ子先生でございます。
 財団法人広島原爆障害対策協議会健康管理・増進センター所長の佐々木英夫先生でございます。
 独立行政法人国立がん研究センター中央病院放射線治療科医長の角美奈子先生でございます。
 日本赤十字社長崎原爆病院第1外科部長の谷口英樹先生でございます。
 東京女子医科大学血液内科主任教授の泉二登志子先生でございます。
 岐阜大学大学院腫瘍外科学教授の吉田和弘先生でございます。
 独立行政法人放射線医学総合研究所理事長の米倉義晴先生でございます。
 続きまして、身体障害認定分科会に所属の先生方を御紹介させていただきます。
 広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授の赤川安正先生でございます。
 国立障害者リハビリテーションセンター総長の岩谷力先生でございます。
 三井記念病院耳鼻咽喉科部長の奥野妙子先生でございます。
 鈴鹿医療科学大学保健衛生学部医療福祉学科教授の葛原茂樹先生でございます。
 独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター名誉院長の坂谷光則先生でございます。
 虎ノ門病院腎センター・健康管理センター前部長の原茂子先生でございます。
 なお、本日ご出席いただいております先生方以外で、感染症・予防接種審査分科会の岡部委員、永井委員、保坂委員。身体障害認定分科会の久徳委員、湯澤委員。両分科会に所属の加藤委員に対しまして、委員のご就任をお願いしております。
 続きまして、当審査会の事務局出席者をご紹介いたします。
 健康局長の外山でございます。
 大臣官房審議官の篠田でございます。
 感染症・予防接種審査分科会の事務局である健康局結核感染症課の課長の亀井でございます。
 身体障害認定分科会の事務局である障害保健福祉部企画課の課長の中島でございます。
 最後に、疾病・障害認定審査会及び原子爆弾被爆者医療分科会の事務局は、私どもが担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、健康局長の外山よりご挨拶を申し上げます。
○外山健康局長
 第6回疾病・障害認定審査会の開催にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。さらに、常日頃より、厚生労働行政の推進に格別なご尽力を賜りまして、この場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げます。また、この度、当審査会の委員を快くお引き受けいただきまして、誠にありがとうございました。重ねて御礼申し上げます。
 この疾病・障害認定審査会は、それぞれの法令に基づきまして、予防接種による健康被害の認定、原爆放射線に起因する負傷や疾病の認定、身体障害認定に係る都道府県等からの疑義照会に対する判定を行うものでありまして、その審議内容は極めて専門的かつ個別的なものとなっております。このため、審査会の下に「感染症・予防接種審査分科会」、「原子爆弾被爆者医療分科会」、「身体障害認定分科会」という3つの分科会を設け、それぞれの分野を代表する皆様にご参加いただいた次第でございまして、今後開かれます各分科会におきまして、その専門的見地から、忌憚のないご意見を頂戴できれば大変ありがたいと考えております。
 私どもといたしましても、事務局として会議の円滑な運営に努力してまいりますので、先生方におかれましても、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長
 次に、疾病・障害認定審査会令第4条にありますとおり、「審査会に会長を置き、委員の互選により選任する」とありますので、会長の選出をお願いしたいと存じます。選出方法につきましては、委員の互選となっておりますのでお諮りいたしますが、いかがでしょうか。
○原委員
 私、葛原茂樹先生を是非と思って、ご推薦させていただきたいと思います。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長
 ただいま、原委員から葛原委員に会長をお願いしたらどうか、とのご発言がございましたけれども、いかがでしょうか。
( 「異議なし」と声あり )
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長
 ありがとうございます。それでは、ご異議もないようですので、葛原委員に当審査会の会長をお引き受け願いたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、葛原会長におかれましては会長席にご移動いただきまして、以降の議事運営について、どうぞよろしくお願いいたします。
( 葛原委員 会長席へ )
○葛原会長
 ただいま、会長という大役を仰せつかりました葛原でございます。前期に引き続いてでございますが、これは非常に大切な会だと思います。幸いなことに、ここまで上がってくる議題は比較的少なくて、各分科会でうまく処理されているとは思いますけれども、いろいろな形での障害問題について、皆さんと一緒にうまく処理していきたいと考えております。ご協力よろしくお願いいたします。
 それでは、ここからは私が議事を進めさせていただきます。まず、審査会令第4条第3項、そこには「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。」とございます。それに則って、国立障害者リハビリテーションセンター総長の岩谷先生に会長代理をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○葛原会長
 どうもありがとうございます。それでは、岩谷先生よろしくお願いいたします。
 それでは、議事次第に従いまして議事を進めてまいりたいと思います。今日の予定の中で議事の4までが終了したことになりますので、続きまして議事の5、疾病・障害認定審査会の運営につきまして、事務局から説明があるということですので、よろしくお願いいたします。
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長
 ご説明の前に誠に恐縮ですけれども、健康局長は所用のため、これにて退席させていただきます。
○外山健康局長
 よろしくお願いいたします。
( 外山健康局長 退室 )
○和田原子爆弾被爆者援護対策室長
 それでは、事務局から分科会の議決等についてお諮りいたします。
審査会令第5条第6項には、「審査会は、その定めるところにより、分科会の議決をもって審査会の議決とすることができる。」とございます。これを受けて定められております運営規程では、第4条で「分科会及び部会の議決は、会長の同意を得て、審査会の議決とすることができる。」ことになっております。当審査会におきましては、これまでも、各分科会及び部会のそれぞれの分野で鋭意ご審査いただいておりまして、大変円滑に、かつ、滞りなく議事を進行していただいております。分科会及び部会の議決をもって審査会の議決とさせていただくことにつきまして、会長から包括的にご承認をいただけましたら、引き続きそのような取扱いをさせていただきたいと存じます。
 また、運営規程の第2条には、「会長は、厚生労働大臣の諮問を受けたときは、当該諮問を分科会に付議することができる。」とありますが、諮問の内容が例えば、予防接種に関する健康被害の認定に関することであれば、感染症・予防接種審査分科会に付議する、といったように、これまでと同様に、諮問のそれぞれの内容に応じまして、会長にその都度お諮りせず、包括的に適宜適切な分科会に付議するということで処理させていただきたいと存じます。
そのようなことでよろしいでしょうか。
○葛原会長
 ただいま事務局からご提案がありましたけれども、本日の会は全体の親審査会ですけれども、この中の委員の所属が3つの分科会に分かれております。感染の関係、原爆の関係、身体障害の関係の各分科会ですが、それぞれの分科会で決定したことがすなわちこの審査会の決定になるという内容です。但し、その場合には会長である私と一応相談した上で、そういう処理をするということです。また、各分科会の下にまた幾つかの専門部会が設けられることがございますけれども、その場合でも個々の部会の親会の決定と見なすということで、やはり会長と相談の上でそういう処理をするというご提案ですが、よろしゅうございますか。
( 「異議なし」と声あり )
○葛原会長
 どうもありがとうございます。ということで、皆様のご了承が得られましたので、そういう形で処理していきたいと思います。
 ご質問がないようですから次に進めたいと思います。議事の6、各分科会の事務局から、それぞれの分科会の概要等につきましてご説明いただきたいと思います。3つございますので、順番に、感染症・予防接種審査分科会からお願いいたします。
○健康局結核感染症課
 事務局から、感染症・予防接種審査分科会の内容につきましてご説明させていただきます。座って説明させていただきます。資料5をご覧いただきたいと思います。
 2ページを先にご覧いただきたいと思いますが、疾病・障害認定審査会の下にございます感染症・予防接種審査分科会でございますが、主な内容として2つございます。1つ目は、感染症法、検疫法に基づく入院や隔離の措置をした患者からの審査請求に対する審議。2つ目は、予防接種法等に基づく認定の審査でございます。1につきましては、案件がほとんどない状況でして、専ら2についての審査を行っていただいております。主な内容として2つ書いておりますが、予防接種と疾病・障害・死亡との因果関係に関する審議。それから、予防接種による健康被害状態についての等級に関する審議ということで、これまでは予防接種法に基づきます定期接種による健康被害の審査のみを行っておりましたけれども、平成21年に新型インフルエンザ(A/H1N1)が発生いたしまして、緊急措置ということで国が自ら直接新型インフルエンザのワクチン接種事業を実施することになりました。それに基づきます健康被害につきましては、そこにございます新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法、平成21年12月に公布されたものでございますが、この法律に基づきまして健康被害の救済をすることになっており、新たにこちらの審査も加わっている状況でございます。
 3ページ目は、予防接種法の対象疾病ということで、それぞれ一類疾病8種類、二類疾病についてはインフルエンザ、これらの予防接種による健康被害についてご審議をいただいているということでございます。
 4~5ページ目は予防接種法、新型インフルエンザの特別措置法に基づきます各種給付の種類につきまして掲げております。また後でご覧いただければと思います。
 9ページ目でございますが、平成21年度、平成22年度におきます予防接種法に基づく定期接種についての認定と否認の状況について、一覧にしております。平成21年度につきましては全部で49件ございましたが、認定件数が40件、否認件数が9件、平成22年度につきましては、31件中認定件数が28件、否認件数が3件という結果になっております。
 1ページ目にお戻りいただきまして、先ほど少し申し上げました、新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済等に関する特別措置法の概要が上にございます。先ほど申し上げました、厚生労働大臣が行う新型インフルエンザの予防接種による健康被害の救済措置を講ずるという内容でございまして、平成21年12月からこの法律が適用になっているということでございます。この新型インフルエンザの予防接種につきましては、平成21年10月から厚生労働大臣が実施しておりまして、今年度3月末まで実施しているということで、このワクチン接種事業による救済については今後、特別措置法により救済が行われていくということになります。
 この関係で1ページの下ですが、これまでは感染症・予防接種審査分科会におきまして予防接種法に基づく定期接種の審査を行っていただいていたわけですが、予防接種法に基づく定期接種は市町村が実施しておりまして、健康被害があったときにも市町村を通じて国に案件が上がってくる、一度市町村の調査委員会でご審議いただいたものが上がってくるという形で、ワンステップそこでいろいろな調査、資料の収集等をやっていただいておりましたが、新型インフルエンザの予防接種につきましては国が直接実施しているということで、健康被害に遭われた方の申請についても直接国に上がってくるということになっております。そうした関係で、さまざまな資料の収集や調査を国で直接実施する必要があるということで、まだ案の段階でございますが、分科会の下に「新型インフルエンザ(A/H1N1)予防接種健康被害調査部会」を設けまして、一度ここで調査していただいたものを分科会で審査いただくことにしたいということで、現在、検討中でございます。
 もう一つ、その下に「予防接種健康被害再審査部会」がございます。この新型インフルエンザの予防接種については国が直接実施するものでございますので、分科会で仮に否認された方で不服があるという場合には、国に異議申立てという形で不服申立てが上がってくることになります。その審査をしていただく部会を新たに設けるというものが再審査部会でございます。
 新型インフルエンザ予防接種による不支給決定処分を受けた者が厚生労働大臣に対して異議申立てを行った場合、またこの他にも、定期の予防接種につきましても都道府県に審査請求ができることになっておりまして、都道府県に対する審査請求、都道府県の裁決により市町村が行った不支給決定処分が取り消された場合につきましても、再審査部会で審査をしていただくことを予定しております。ちょうど今週の23日に感染症・予防接種審査分科会が予定されておりますが、その分科会の場でこの2つの部会を設置することについてお諮りしたいということで、現在検討しているものでございます。
 報告については、以上でございます。
○葛原会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまのご説明に関しまして、ご質問やご意見がございましたら、どうぞご遠慮なく。
 結局、今度の感染症・予防接種審査分科会で2つ新たな部会をつくるということで、一つは新型インフルエンザの被害が出たときの調査をする会で、もう一つは再審部会です。新型インフルエンザも従来のものも審査はこの再審部会でやるということですか。
○健康局結核感染症課
 再審査部会は、基本的には新型インフルエンザの健康被害救済について否認された方について異議申立てが国に対してあった場合の再審査ということですが、それ以外にも、定期の予防接種については都道府県に審査請求できるわけですけれども、その都道府県が国と異なる裁決の内容を示したという事案が実際にございまして、それについては勿論分科会で審議することもできるのですが、やはり違う観点から違う委員で構成して議論した方がいいのではないかということを分科会でご審議いただきましたので、その結果を受けて、そういったものについても再審査部会でご審議いただくことを予定しております。
○葛原会長
 それは、従来分科会でやった都道府県からの決定の不服に関する審査をこちらへ移すということなのですね。
○健康局結核感染症課
 そういうことでございます。
○葛原会長
 いかがでしょうか。
 稲松委員どうぞ。
○稲松委員
 素朴な質問ですけれども、今年新型インフルエンザワクチンと以前の季節型と合剤の形になっていて、実際の症例で切り分けが非常に難しくなっているのを事務的にはどのように処理していますか。
○健康局結核感染症課
 今回のワクチン接種については、基本的には新型インフルのワクチン接種なのですが、高齢者については市町村が定期接種を実施しておりますので、非常にわかりにくいのですが、高齢者については市町村が行う定期接種でもあり、国が行う新型インフルエンザのワクチン接種事業でもあるという位置づけでございます。ただ、救済につきましては新型インフルエンザの特別措置法で救済するということで整理させていただいております。
○葛原会長
 混合のワクチンの場合は新型の方を優先して、そっちとして扱うという理解でよろしいですか。
○健康局結核感染症課
 平成21年から今年度末まで行っております新型インフルエンザのワクチン接種事業につきましては、こちらの特別措置法で救済するということでございます。
○葛原会長
 稲松先生、それでよろしいですか。では、どっちが主かということは検討しなくていいということですね。混合ワクチンで何か出たときは。
○健康局結核感染症課
 厳密に言うと、今シーズンにつきましては3価ワクチンということで3つの株が入っているわけでございますが、それについては、救済はすべて特別措置法でするということでございます。どの株がということは見ていただかなくても大丈夫ということでございます。
○稲松委員
 新型は時限立法でしたか。いつまでというのはありましたか。
○健康局結核感染症課
 この特別措置法は時限立法ではなく、今回、厚生労働大臣が行った予防接種についての救済を行うということでございますので、今回のワクチン接種で被害に遭われた方については、今後ずっと特別措置法に基づきまして救済を行うということになります。
○葛原会長
 法律ができる前にやられたものについては特別な扱いをするということですか。
○健康局結核感染症課
 法律の公布が12月なのですが、ワクチン接種事業は10月からやっておりまして、さかのぼって適用することにしております。
○葛原会長
 あとはいかがでしょうか。なかなか皆さん集まる機会がないですから、もしご質問があればせっかくの機会ですし、遠方から来ていただいている先生もおられますから。
 岩谷委員どうぞ。
○岩谷委員
 障害認定についてお聞きしたいのです。予防接種法でも4~5ページに障害児養育年金とか障害年金が給付されることになっていますが、これは、国は年金を出すのですよね。制度としては予算化して、ずっと国が出し続けるわけですね。
○健康局結核感染症課
 今の制度もそうですが、予防接種法に基づきます健康被害の救済につきましては、国と都道府県と市町村と分担して費用を出しております。
○岩谷委員
 この障害の等級の認定というのはどうなっているのですか。誰がどのように行うということは決まっているのですか。
○健康局結核感染症課
 障害の等級につきましては、分科会におきまして、どの項目に該当するかを審査していただいて認定していただいております。
○葛原会長
 今度は分科会に新しくできる審査部会でそれをやるということですか。
○事務局
 新型インフルエンザの方でしょうか。
○葛原会長
 不服があればそこですからね。新型インフルエンザに関しては直接ここでということなのですね。
 あと何かございますか。
 私も素朴な質問をしたいのですが、3ページにある予防接種法でたくさんございますが、これは法律で定めている定期に行ったものに関してということですか。というのは、私は医薬品副作用不服審査会の委員をやっているのですが、この辺にあるいろいろなワクチン、インフルエンザのワクチンなどでADEMを起こしたという事例が結構いっぱい出てくるのです。それは向こうでやっているので、定期でない任意で受けたワクチンの副作用は向こうで扱うということですか。
○健康局結核感染症課
 3ページに掲げておりますのは、まさに今、会長がおっしゃられましたように、予防接種法に基づく定期の予防接種ということで、法律に基づく予防接種によるものということでございます。これ以外に医薬品副作用被害救済制度において法律に基づく接種でないものであっても医薬品に基づく被害を受けた場合はこちらで救済を受けられることがあります。。予防接種法による接種については、法律に基づいて行っているものですので、法律に基づく健康被害の給付を行っているということでございます。
○葛原会長
 ワクチンそのものは同じなのですが、どういう名目で接種したかによって救済の場所が違ってくるということですね。
○岩谷委員
 しつこくてすみません。障害等級の等級認定は、この審査会の部会で等級状態の認定もするということでよろしいですね。
○健康局結核感染症課
 そうでございます。
○葛原会長
 それは新型インフルエンザについてで、それ以外は市町村の審査会でやってくるわけですね。
○健康局結核感染症課
 説明が不十分で申し訳ありません。等級認定につきましては、予防接種法に基づく定期接種も、新型インフルエンザのワクチン接種についても分科会でやっていただくことになります。ただ、定期の場合には一応、事前審査を市町村で現在やっていただいているところで、最終的に等級認定していただいているのは分科会ということでございます。
○葛原会長
 ということで、ここの分科会の皆さんは多分ご了解済みのことなのだろうと思うのですが。特にその辺の先生方が関係するのではないかと思いますが、よろしゅうございますか。
○岩谷委員
 しつこくてすみません。この障害等級の認定と別に身体障害者手帳の申請をされる方がいらっしゃると思います。その場合に、その間の整合性が問題になることはあるのでしょうか。実際にこの等級表と身体障害者の認定基準の等級表は、すぐに横並びになるというわけにはいかないと思うのですが、その辺でいろいろな問題が起こったことはあるのでしょうか。実は、障害をお持ちの方々は今そういう問題について、かなりナーバスになっていていると聞いておりますので、お聞きしたいのです。今までにあったのでしょうか。
○障害保健福祉部企画課
 障害保健福祉部企画課から少し申し上げたいと思います。
 例えば、ポリオの予防接種がございますけれども、それで何か健康被害が生じたというような場合に関しましては、それがポリオによるものであると認定されれば、予防接種法から支給されるということでございます。
 一方で、そういった方に関しましては、身体障害者福祉法に基づきます福祉サービスが必要になる場合がございます。そういった場合には、身体障害者福祉法に基づきます手帳の交付を申請していただきまして、手帳の交付を受けていただいた後で福祉サービスを受けていただくということになると考えております。
○葛原会長
 岩谷委員の質問は、それを両方申請したらどうなるのかとか、どっちが優先なのか、あるいは整合性がない場合はどうなるのかというご質問なのですが。要するに、資料7の4ページに、同じような視力障害とかいろいろ出ていますよね。ですから、岩谷委員がおっしゃったのは、4ページにあるような表と整合性がない場合に一体どういうことで判定されて、その人たちは何の法律に基づいた手帳を持つのかというご質問ですよね。
○坂谷委員
 資料5の6~7ページに障害児の養育年金の等級と、新型インフルエンザ予防接種による等級とがございますが、その1級を見ますと「両眼の視力の和が0.02以下のもの」が予防接種法に基づく等級1でございます。ところが、7ページの新型インフルエンザ予防接種による等級表を見ますと「両眼の視力の和が0.04以下のもの」となっております。では、0.03のものはどうなるかということになりますと、予防接種法では1級には当たらない。しかし、新型インフルエンザ予防接種によるもののみ1級に相当するということになりますね。ですけれども、新型インフルエンザの予防接種によらないインフルエンザの予防接種によるものは7ページには該当しなくて、予防接種法そのものしか適用されないということで、患者から言いますと、もしかすると不当であるということが言われる可能性があるということでしょう。
○葛原会長
 こちらから説明がありましたが、そういうことでよろしいですか。
○健康局結核感染症課
 今ご質問がございました、6ページと7ページで多少基準がずれているということでございますけれども、基本的には新型インフルエンザの予防接種の特別措置法に基づく救済につきましては、年金の基準に合わせているということで若干ずれがあるということでございます。
 それから、先ほどのご質問の、身体障害者の手帳と予防接種法に基づく定期接種による救済の等級の整合性でございますが、これは現在独立の基準に基づいて審査をしているということでございますので、予防接種法につきましてはこちらの等級に基づいて分科会でご審議いただいて決定していただいているということでございます。
○葛原会長
 現実にうまく動いているのかどうかは別として、説明はそういうことのようです。ポリオの後の麻痺も、ポリオの麻痺なのか、ポリオの予防接種による脳脊髄炎の麻痺なのかも、きっと法律が変わってくるのでしょうけれども、大澤先生、そういうことで何か問題になるようなことはございますか。予防接種を実施する時期は子どものときが多いと思うのですが。
○大澤委員
 今までは特にそういうことはなかったと思います。
○葛原会長
 うまく流れているのですかね。
 よろしいでしょうか。この辺で次に移らせていただきます。では、原爆の方ですね、よろしくお願いします。
○健康局総務課
 健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室の室長補佐をしております名越と申します。私から、原子爆弾被爆者医療分科会につきまして説明させていただきます。資料6でございます。
 原子爆弾被爆者医療分科会でございますけれども、事務局は健康局総務課が担当しております。
 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律第11条第2項の規定によりまして、原爆症の審査を行っております。現在、委員は臨時委員と本委員合わせて33名です。医師を含む専門家及び裁判官の経験者という構成になっております。
 第1審査部会から第6審査部会という個別の部会を設けまして、現在審査を行っております。
 3ページをご覧いただけますでしょうか。現行の被爆者援護施策の中で、原爆症認定制度に特化した形で資料をつくっております。一番下の被爆者健康手帳保持者というのが、被爆者援護法に基づく被爆者ということでございます。昨年度末の数字でございますが、大体23万人弱の方が手帳を取得されておられます。これは広島・長崎に原爆が落とされたときに一定の地域におられた方々、あるいは原爆投下後2週間以内に爆心地付近に入市された方々、それから、被爆者の救護を行った方々、そして、その胎児であった方々が含まれております。
 手帳を受け取りますと被爆者であることが証明されまして、毎年の無料の健康診断あるいは医療費の自己負担分の無料化という制度のほか、さまざまな援護施策の対象となります。その中で放射線との関わりが明らかではありませんが、一定の疾病にかかれた方々、造血機能障害、肝機能障害等で病院にかかっておられる方々に、健康管理手当が支給されることになります。これは昨年末の数字ですが、約19万6,000人が対象となっております。その上で、原爆症に認定されますと、一番上の医療特別手当が支給されることになります。
 原爆症であるかないかということですけれども、疾病が原爆放射線に起因すること、その病気によって現に医療を要する状態にあることの2つの要件をもって認定審査を行っている状況でございます。
 原爆症であるかどうかにつきましては、厚生労働大臣から審査会に意見、この場合は原子爆弾被爆者医療分科会でございますけれども、答申をいただいております。
 4ページに、現在の原爆症の認定のための要件を示しております。一定の被爆があったこと、被爆地点が爆心地より3.5km以内あるいは原爆投下より100時間以内に2km以内に入市した、あるいは原爆投下より100時間経過後から約2週間以内の期間に爆心地から2km以内の地点に1週間程度滞在したという被爆要件が確認できる者で、1)~7)に示す疾病にかかっていることが確認され、さらに、現在医療が必要であるかどうかを判断いたしまして判定をしているということでございます。
 1ページをご覧いただけますでしょうか。原爆症認定の審査につきましては、平成20年4月以降、審査の方針の見直しに伴う申請数の増加、先ほど4ページで見ていただきましたのは現在使っております審査方針でございまして、過去の経緯から申しますと、平成20年4月の審査方針は大幅な基準の緩和がございました。これに伴いまして申請数が増加いたしまして、平成20~21年度で約1万2,500件という大変大量の申請をいただきまして、これを処理するために現在、分科会の下に6つの審査部会を設置して審査機会を充実して、審査のスピードアップを図っているところでございます。
 審査件数につきまして、平成19年度は260件であったのですが、平成20年度には3,000件、平成21年度には5,000件と飛躍的に増加しておりまして、平成22年度はトータルで6,000件以上の審査を行うという計画のもと、全力を挙げていただいているところでございます。
 これらの開催状況につきましては、2ページ目に示しております。平成20年の総数、平成21年の総数のほか、これは認定分だけでございますけれども、平成22年の各月の審査状況を示しております。平成22年度は、認定・却下合わせまして6,000件以上の審査を行うというスケジュールで審査をしていただいているところでございます。
 5ページ目をご覧いただければと思いますが、このように毎月分科会・部会を開催することによりまして、認定された方の数も平成20年度以降大変多くなっておりまして、平成20年度以降で7,000件を超える方々が認定となっております。
 また一方で、原爆症認定制度につきましては、以前から却下処分を不服とした裁判が相次ぎまして、集団訴訟が提起されておりました。平成21年8月に当時の総理大臣と訴訟の原告弁護団、被爆者団体との間で集団訴訟を今後集結に向けていくというための確認書が取り交わされました。またその後、その確認書に基づきまして集団訴訟の原告に対して基金を設けるという法律の附則、あるいは大臣と被爆者団体、原告弁護団との協議等を通じまして、原爆症の制度そのものを見直す検討を行うことが決められまして、実は昨年12月から「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」が開催されております。現在第2回目が終了したところです。検討会においては、今後、本分科会からも意見を述べる機会があると考えておりまして、現在の審査の状況につきましてご説明することになっておりますが、いずれにせよ原爆症認定の制度そのものが見直されることになりますと、本分科会に託される役割も変わってくると思われますので、そうした状況につきましては適宜この審査会にもご報告させていただきたいと考えております。
 以上、簡単ではございますが、原子爆弾被爆者医療分科会の概要についてご説明申し上げました。
○葛原会長
 どうもありがとうございました。
 このグラフを見ただけでも、この分科会の先生方は大変お忙しかったのではないかと思いますし、まだ当分はそれが続きそうですけれども、何かご質問はございますか。
 坂谷委員どうぞ。
○坂谷委員
 確認でございますが、5ページの赤の棒グラフのように増えましたのは、前4ページの黄色で囲った下半分、6)甲状腺機能低下症が(※)で追加、7)慢性肝炎・肝硬変が(※)で追加、これが加わったためにこれだけ増えたと単純に考えてよろしいですか。
○健康局総務課
 ご質問ありがとうございます。平成20年3月以前の審査方針と、平成20年4月から導入された新しい審査方針では中身が大分異なっておりまして、そもそも被爆の要件あるいはどの病気を原爆症の対象の病気とするのかという考え方が根本的に違うものでございます。平成20年4月の新しい審査方針を導入して、これらの疾患を原爆症とすることを公式に決めたことによりまして、認定の件数が増えているというものでございます。
○坂谷委員
 その心は、疑わしきは積極的に認定の方向で作業するとなったと理解してよろしゅうございますか。
○健康局総務課
 確認できるものに関しては、積極的に認定するという姿勢を示しているものでございます。
○葛原会長
 稲松委員どうぞ。
○稲松委員
 極めて素朴な疑問ですけれども、この予算規模はどのくらいのものになりますか。増えたことによる規模というのは。
○健康局総務課
 被爆者援護施策全体にしますと、実は1,500億円規模の中で手当が幾ら分積み上げられているかということをお答えしなければいけないのですが、数字を出すまでにしばらくお時間をいただいてよろしいでしょうか。
○稲松委員
 はい。では、極めて素朴な疑問ですけれども、一般の都市爆撃の補償が全くなされていなくて、片一方で因果関係の非常に乏しいものまで含めて原爆を救済していくことで、かなりいろいろな論議があったと思うのですが、その辺は何となく納得できないものがありますので、総括していただければありがたいと思うのですが。いわゆる国民に対する国家補償の公平性をどう保っていくかというポリシーが多分あると思うのです。
○健康局総務課
 被爆者援護施策に関しましては、一般戦災との違いについて明確にする必要がありまして、その説明の中身といたしまして、原爆の放射線を浴びたかどうかというところが、まず一つ重要なポイントとなっております。まず被爆者手帳が交付されることになるわけですが、その後、原爆症に関しましては、原爆放射線との関係が認められるかどうかということ、なおかつ医療が必要であるかということ、この2つで手当がつくかどうかを見極めているところです。現状、手当がかなりの多額になるわけで、そうなりますと多くの方が申請されることは間違いないと。そういう中で審査に当たっては、原爆の放射線によるものなのかどうかというところを厳しく判定するということを従来続けております。それが過去の原爆症に認定された方が非常に少ないという現実と関係しているかと思います。現在改定はされましたけれども、却下される人からは不満が上がっており、裁判は続いています。そういう状況の中、国民に納得し得る原爆症制度とは何なのかを現在検討会で議論を始めていただいたところです。話を最初に戻しますと、原爆放射線による疾病で起こった事象に対して手当が出ているという状況、それは、以前は納得し得るものであったのだと思いますけれども、現状、行政の判断、裁判の判断、国民がどういうことを考えておられるのかも併せて検討する時期に来ているということです。
○稲松委員
 こういう共通の会は年に一度しか開かれませんので、ただ一度はそういう論議をきちんとしておくべきだと私は思いました。
○健康局総務課
 先ほどの原爆症に関する手当でございますけれども、当初予算化されておりますのは約80億円弱でございます。その後額が上がりまして、現在は、175億円の予算を計上しているところでございます。
○葛原会長
 こういうのは政治決着案件ということですよね。政治決着というのは、恐らく厚生労働省の事務方とか専門家の方たちと患者団体との間で、主張がうまく折り合わなかった部分の妥協点を探った結果というのが多分政治決着になっているので、こちらの事務方にちゃんと説明しろと言われても、難しいことも多々あるのではないかと思います。現実的には社会状況や被害者救済を考慮してこういう基準になっているということで、多分、因果関係がすべて科学的に説明できる形で処理されているということでは必ずしもないだろうと推察します。
 何か他にございますか。原子爆弾被爆者医療分科会の先生方から現実に何か起こっている問題などでご意見ございますか。
 谷口委員どうぞ。
○谷口委員
 前期まで分科会長を仰せつかっておりました谷口です。今、事務方からかなり苦しい説明がありましたように、確かに、裁判との乖離が非常に大きくて、現実問題として私どもが審査している内容というのは、先ほど会長がおっしゃいましたように政治決着、現在用いている新しい審査方針そのものが政治決着で決められたものでございます。必ずしも私ども医学者といいますか、科学を基盤に置いている者の考え方と合致するものではないのですが、一応そういう基準がもう決まってしまっているという中で、なるべく申請者に有利になるように積極的に認定するという姿勢で現在やっているところです。先ほど会長から委員はかなり忙しいのではないかとねぎらいの言葉をいただきましたけれども、忙しいだけではなくて、かなり精神的なストレスも抱えながらやっているのが現状でございます。
○葛原会長
 そういうことで、いわゆる首相とか厚生労働大臣が出ていって政治決着したり、議員立法というのは、大体そういう内容をはらんでいるように見えますね。因果関係が十分詰められていないところで解決して、患者救済をどうするかが優先されている部分があるということで納得してやらざるを得ないような局面が多いということになりましょうか。
 ただし、これは私のところにも、何名かの委員の方から、果たして障害認定というのがこういう内容で本当に専門家から見て妥当なものかどうかということについては、ご意見は寄せられているのです。そういうことに関してまた機会があれば、また、そういうことが要求されれば、一度きちんと皆さんのご意見をまとめる必要もあるのではないかとは思っております。ただ、そういう形の法律なりあるいは指示ということで、患者救済が図られているのが現状だということで理解していただくしかないと思います。
 あとはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、最後の身体障害認定分科会について、お願いします。
○障害保健福祉部企画課
 それでは、お手元の資料7をご覧ください。身体障害認定分科会の概要についてです。
 身体障害認定分科会に関しましては、疾病・障害認定審査会令におきまして身体障害者福祉法施行令の規定により、審査会の権限に属せられた事項を処理することとされております。
 身体障害者福祉法施行令の規定を見てみますと、下に参考で条文そのものを載せておりますが、「都道府県、指定都市並びに中核市が身体障害者手帳の交付事務を行うにあたり、申請者の障害が身体障害者福祉法別表に掲げる障害に該当しないと認めるには、地方社会福祉審議会に諮問しなければならない」という規定がございます。この地方社会福祉審議会が調査・審議を行いまして、なお、その状態が身体障害者福祉法別表に掲げる障害に該当するか否かについて疑いがある場合に、身体障害者福祉法施行令第5条第2項の規定に基づきまして、各都道府県知事から厚生労働大臣あてに認定を求めることができるとされております。
 この求めがありました場合には、この規定に基づきまして、厚生労働大臣は疾病・障害認定審査会に諮問を行うこととされております。
 また、この身体障害認定分科会におきましては、自治体が手帳交付事務を行う際のガイドラインでございます身体障害認定基準の改正などに関しましても、必要に応じまして医学的・専門的見地から審議を行っていただいているということでございます。
 1枚めくっていただきまして、図は今ご説明申し上げました身体障害者福祉法施行令の規定に基づきます流れがどうなっているかを上半分で示してございます。下には、これまでの審議状況ということでございまして、前回の総会から今回の総会までの間には、第4回ということで認定基準改正に係る検討ということで会議を開催させていただいております。この際には、肝臓の機能障害に関します認定基準につきましてご検討いただいたということでございます。
 3ページですが、身体障害者手帳制度の概要ということで、身体障害者福祉法に定めます身体上の障害がある方に対して、都道府県知事、指定都市市長または中核市市長が交付するというものでございます。対象者といたしましては、法律の別表に定めます障害の種類ということで、ここに掲げております視覚障害、聴覚障害、平衡機能障害、その他のここで列挙されている障害に関しまして交付されるというものでございます。
 また、障害の程度に関しましては、身体障害者福祉法施行規則別表第5に、等級ごとに障害の程度が示されております。資料の4~6ページには、今ご説明しました身体障害者福祉法施行規則に定めます等級表を掲載させていただいております。
 また、7ページにはご参考といたしまして、前回の分科会でご議論いただきまして制度化されました肝臓機能障害に関します身体障害者の手帳の交付に関します情報を添付させていただいております。後でご覧いただければと思います。
 以上でございます。
○葛原会長
 どうもありがとうございました。
 このご説明に対しまして、何かご質問あるいはご意見はございますか。
 稲松委員どうぞ。
○稲松委員
 1つ教えてほしいのですが、こういう肝障害の身体障害者とC型肝炎、B型肝炎、薬剤性の肝炎とその辺のお互いの関係はどうなっているのですか。
○障害保健福祉部企画課
 この肝臓機能の障害に関しましては、資料の7ページに認定基準ということで簡単に書かせていただいておりますけれども、主として肝臓機能障害の重症度分類でありますChild-Pugh分類によって判定するということでして、3か月以上グレードCに該当する方が、おおむね身体障害者手帳の交付対象となるということでございます。この身体障害者福祉法に基づきます手帳の交付に関しましては、この基準に該当していれば手帳の交付対象になるということでございまして、肝臓機能障害に関しましては原因が一体何によるのかについては特に問わないということになってございます。
○葛原会長
 結局、原因が何であろうとも病気でこういう状況があれば手帳の申請はできると。ただし、予防接種とか健康被害という形でなら肝炎訴訟なり何なりの対象になれば手帳だけではなくて、保障として数千万円までの別の給付が支払われることになるのですね。
○稲松委員
 こっちの方の制度がしっかりすれば、ウイルス性肝炎の原因を問うて、また差をつけるということをしなくてよくなるのか、その辺のところが非常に同じ病気なのに片一方は大きな補償があって、片一方はほとんど補償がないような状態が実際上生じていますので、一応公式見解を整理していただきたいということだったのです。
○葛原会長
 これは今答えられますか。要するに、私も感じますけれども、同じ病気と障害があるのに、原爆だ、あるいは肝炎の予防接種だと言えば、一般的な支援以外に別の給付まで出るようなものは、社会的公平性からみて差別じゃないかというご意見だろうと思うのです。
○松岡健康局総務課長
 健康局の総務課長でございますが、B型肝炎の問題ですので少しお話しさせていただきます。B型肝炎訴訟については現在、裁判所仲介の下で和解協議をやっておりますが、その中で裁判所から所見が示され、政府の方としてもそれを受け入れるという方向で、今、基本合意に向けて調整しているところでございます。B型肝炎訴訟の問題につきましては、ある意味で予防接種が他の原因を排除して、結局、幼小児に向けた7歳未満の段階で予防接種を受けたことが原因で肝炎になったり、肝硬変で被害をこうむったということで、和解金を出すべしと裁判所から判断が示されているところです。結局、ある意味で損害金といったようなものでございますので、国の方が予防接種について感染を防ぐいろいろな手当を講じなかったと、国に責任があるということで、それに基づいて損害金という形でお金を出すということで、例えば、死亡の方ですと3,600万円といったような和解金の提示になっているわけでございます。
 したがって、同じような病気であっても、片方でこういうお金をもらえて、片方でもらえない人がいるというご指摘かと思いますけれども、その原因については国に責任があるということで裁判所の判断が下され、それに基づいて損害に当たるようなものとしてお支払いするということです。予防接種を原因としないB型肝炎の方々は性質が異なっているという意味で、そういった方々には損害金というものがございませんので、そのお金を出すことにはならないということです。ただ、一般施策として医療費の助成や医療体制の整備といった形はやらせていただいておりまして、肝炎につきましては、肝炎基本法に基づきまして肝炎対策協議会というのがございます。そこで肝炎の対策指針をつくるということで今、作業を進めているところでございますので、裁判にかかわらない方におかれましても、一般対策としての施策は充実していくことを進めさせていただいております。
○葛原会長
 よろしいですか。これも菅首相と当時の厚生労働大臣が下した政治決着ですから、政治決着だと思えば何となく納得できるのではないですかね。
○稲松委員
 大変辛い判断だとは思いますけれども、国民の公平性ということを考えて、今後も行政に当たっていただきたいということでございます。
○葛原会長
 役所の中にもそういうご意見は多いのではないですか。
 あとはいかがでしょうか。何かございますか。
○岩谷委員
 制度がどうなっているのか知らないので教えてほしいのですが、身体障害認定はここに入っているのですが、知的障害と精神障害のこういうような問題というのは、ほかのところで取り上げられているのでしょうか。
○葛原会長
 それは国民年金の知的障害とか精神障害というまた別の、B4で裏表のものすごく大きな書類があるのですが、多分そちらで取り上げられています。
○岩谷委員
 そちらに審査の不服を検討するような、これと同じような組織があるのですね。
○葛原会長
 知的障害とか、てんかんとか、認知症は、国民年金じゃないけれども、その障害審査がございますよね。
○岩谷委員
 とりあえず年金のあれですよね。
○葛原会長
 あれは手帳ではなくて年金ですよね。手帳があるかどうかについてはどうですか。
○岩谷委員
 手帳はあるのですが、その扱いはどのようになっているのでしょうか。
○中島障害保健福祉部企画課長
 障害保健福祉部の企画課長でございます。障害については身体、知的、精神とございまして、やはり制度沿革、その他がございますので、必ずしも一見整合的にはなっていない部分もあるわけです。身体障害につきましては、手帳制度が障害者としての認定制度でございまして、これについては基本的に都道府県に認定をお願いするわけですが、法律上明確にそれに対する不服申立て等の規定がこういう形で整備されていて、今、先生方にいろいろご苦労をおかけしているということでございます。知的、精神についても、それぞれ都道府県で療育手帳なり、精神障害者保健福祉手帳という形で出していただくことになるわけですけれども、必ずしもその手帳交付の不服については、身体障害と同じ、こういう審査会までかます形での処理の規定はないということでございまして、その限りにおいては、沿革的な差というものが現行制度につながっているという理解でございます。
○葛原会長
 あと岩谷委員、ここで扱う障害手帳の診断書は、多分、医師免許を持った人は誰でも診断できると思うのですが、今おっしゃった知的障害とか認知症とかてんかんは、去年までは精神科の医師でないと書けないとなっていたのが、今は小児科とか神経内科とか老年科などに多少広がったと、大澤先生そうですよね。
○大澤委員
 小児神経です。
○岩谷委員
 知的障害は別に医者じゃなくてもいいのです。
○葛原会長
 あれはそうでしたかね。ということで、かなりこうやって見るといろいろな制度が複雑に入り組んではいるのですよね。
 坂谷委員どうぞ。
○坂谷委員
 そのことに関しまして、私はじん肺にもかかわっているのですが、等級表を見ますと4ページの右、心機能障害の隣にじん肺機能障害があります。勿論、身体障害者手帳がもらえるわけですが、労災の方でもじん肺の扱いがありまして労災手帳がもらえます。患者さんの方としては、障害者手帳は余り欲しくないというか、余り人気がなくて、じん肺手帳の方が欲しいわけです。というのは、障害者手帳を持ってもおなかは膨れません。じん肺手帳の方で等級が管理4になりますと生活保障がされます。ですけれども、労働者制がありましても、実はじん肺の医療補償や生活保障はじん肺法に載っておりまして、労災保険金から支払われるわけです。ところが、労災保険をかけておらない労働者がありますと、それにも引っかからない。ですけれども、石綿の被害に関しましては何がしかの公の責任があるということで、以前から石綿の粉じん被害者の救済措置というのがありまして、環境省主体で審査されるわけで、最初ワクチンのときに申しましたけれども、同じく石綿の被害者で労働者制がありましても、労災への申請と環境省への申請と両方することができるわけです。でも、環境省で認められても、労災で認められないという乖離があったり、両方で認められましても結局は労災の方が手当が厚くて、そちらをもらう方が損得というのはおかしいですが、額が高いということがございます。ですけれども、環境被害、労働者制がなくて、例えば、工場の周辺の地域住民に何がしかの被害がありましたときには、勿論労災ではなくて被害者救済法でいくわけですが、そのときには今のことですから、ほぼ同等にしましょうということで、労働者制のある人たちと約同等のお金がもらえますけれども労災には及ばないという少し段差をつけてあったりします。
 ただ、この分野は専門家が少ないのですので、両方とも同じような人たちが審査しているので整合性には気をつけてやっているつもりなのですけれども、そういうことをご報告させていただきました。
○葛原会長
 ありがとうございました。全体としていかがでしょうか。
 私、実はこの4月から医療福祉関係の大学に勤めるようになって、医療倫理とか医療福祉のことについて、今までよりも広い範囲のことを勉強したり教えたりするようになりました。その中で、WHOがこの数年間で随分考え方を変えて、障害やハンディキャップというマイナス面から見る考え方をやめて、残っている機能をどう高く評価して社会参加していくかというプラス面からの評価に視点を変えています。ですから、そういう点で言いますと障害認定は非常に古い昭和20年代、30年代の考えのような気がします。障害とかハンディキャップとかの悪いところに目をつけるよりは、今どのくらい回復してうまく動いているかという積極面の評価を加えるように、こういうものは見直す時期に来ているのではないかと感じます。本部会も、本来ならそういうことを少し考える時期に来ているのではないかという気もいたします。
 それから、本来ならこういう障害を持った人全員を救うべき法律が、逆に、同じ障害を持った人の間に格差を生み出しているということは皆さん物すごく感じていることだと思いますので、今後、機会があればそういう本質的なことも検討するべきかなという気もしております。
○中島障害保健福祉部企画課長
 これまでのこういう制度が沿革によって、かつ原因を分類して、その所在みたいな観点から制度をつくってきたというところで、それが結果として格差と評価すべきなのかどうかということも含めてですが、あることについては、改めて認識を新たにして考えていかなければいけないということですが、私どもが今携わらせていただいています障害認定については、実は現在、障害の定義の在り方そのものを検討いただいている段階でございます。政権交代によりまして、制度の谷間のない形で障害者福祉を見直すべきではないかということで、主に念頭に置かれているのは難病の方々に対する福祉サービスをどうしていくのか。それを障害者制度の枠の中でやっていけないのかということが、いわゆる民主党のマニフェストにあったことでして、現在、障害当事者の方々を中心とする検討組織の中で、障害の定義について制度の谷間をなくす方向でやっていこうということでございます。
 その際には、いわゆる制度の狭間にある方々に対して適切に福祉サービスを提供していくということがスタートなのですが、その中で実は障害の定義も従来の機能障害、欠損に着目した、障害当事者の方々の言葉では医学モデルと呼んでおられますけれども、そういうものから社会の側にも一定の障害をうみだす環境要因があるということ、更には、障害福祉サービスというものも会長がおっしゃられましたように、機能を埋めるということよりも、より広く社会参加のためにどのような支援が要るのかという観点から福祉サービスの中身も見直していかないといけないのではないかということで、いわゆる医学モデルから社会モデルへということも大きな流れとしてご検討いただいているということでございます。今年の夏には、この障害の定義も含めて障害者自立支援法に代わる新たな総合福祉法というものの骨格をご提言いただき、その中で障害の定義もご提言いただけるのかなと思っておりますので、適宜この審査会にもご報告申し上げたいと思っております。
○葛原会長
 どうもありがとうございました。厚労省もそういうことには前向きのようです。実際できるかどうかは別として。
 岩谷委員どうぞ。
○岩谷委員
 私どもはこういう問題をいろいろなところで議論をしているのですが、去年12月に、イギリスの統計局に当たるところが、ライフ・オポチュニティーズ・サーベイ(Life Opportunities Survey)という調査の報告書を出しております。それは、社会モデルに従って障害を持っている人たちがどのくらいいるかということを調べたのです。そうしますと、インペアメントを持っていると言われる人は29%、ディスアビリティがある人は26%いるという結果が出ています。インペアメントとかディスアビリティがあるということと、社会がどの範囲の人を補償とか福祉サービスの対象にするかということは全く別次元の考え方をしなければいけないということを示していると考えられます。
 一番に保障の対象にすべき障害は何かというプライオリティをどこかで決めなければならないことになるわけです。それがこれから大きな問題になると思っております。そのことも含めてみんなで考えていかなければいけない問題だろうと思います。
○葛原会長
 国立障害者リハビリテーションセンターの総長としてのご意見で、やはり個人の病気から社会参加でその人の能力をどう発揮させるかということが非常に大事な時代になっているだろうと思います。
 もうそろそろ時間ですけれども、たしか今朝の朝日新聞を読んでいましたら、「五体不満足」の著者の乙武さんが、今まで学校の先生をやっていたのが、今度は保育園を自分でつくって園長さんをやると書いてあったのです。私も重心の施設にこの間ずっと携わっていて気付いたのですが、生まれつき何かが出来ない場合には、全然不自由と思わずに伸び伸びやっているのです。乙武さんがいい例です。我々の部会はどちらかというと、悪いところをどう審査して、その不服をどう収めていくかということが目的なのでしょうけれども、障害審査会も将来的には、その人が幸せに社会参加できる能力面から評価するような形の審査会になればいいのではないかと思っています。どうもいろいろとありがとうございました。
 あと5分ぐらいですが、恐らく全員で顔を合わせるのは年1回か2回ぐらいだと思いますので、是非ともということがございましたらどうぞご発言ください。
 原委員どうぞ。
○原委員
 一言よろしいでしょうか。先日、腎機能障害者認定のために医師の講習会が東京都の主催で行われました。そのときに質問が出まして、外国人の方が、透析を受けて認定をとりたいと。お住まいは神奈川だけれども、東京の認定医に書類を書いてほしいと受診されたそうです。日本に入ってくる外国の人たちの身体障害認定に関して、日本国民として認定されていれば、可能なのかなど、考えなければいけなと思います。さらに岩谷先生と分科会でご一緒させていただいておりますが、インターナショナルな評価法で何ができて、何ができないのかというようなものを個人個人で出していけるような資料や客観的な判断が今後必要になってくるのではないかと思うのです。医療の進歩によって身体障害者の評価を見直して、変えていくことで、今手厚くしなければいけない人たちにその分を配分して持っていくとか、障害の程度をオールラウンドに見ていくということが必要なんじゃないかと。外国人の問題も含めて対応についてなど感じましたので、発言させていただきました。
○葛原会長
 今は外国の方がすごく増えているし、国際結婚も増えて、国籍は残したままとかいろいろな方がいるので、これはまだ十分煮詰まっていない問題ですよね。原爆症で韓国籍の人に補償するかしないかという裁判が今あるぐらいですから、そんなにインターナショナルな法律になっているとは思いません。逆に、外国に住んでいても子ども手当を支給しているとかいろいろな問題があるわけで、厚労省の事務方でそういう問題は是非、見直していただきたいと思います。我々は分科会で狭い視野ですけれども、霞が関からは全部を見渡しているわけでしょうから。北海道では身体障害手帳所持者が札幌まで通うのに、市町村で年間タクシー代を2億円か3億円支給しているという法外な事例もありました。そういうことが現にこれらの法律に基づいてやられているとしたら、本来の趣旨からは外れているので、よく検証していただきたいと思います。
 ということで、今日はこれでよろしいですね。言いたいことも言っていただいたような気もしますから。
 それから、私自身ちょっと聞きたいのは、今年中にこういう会がまたあるのかどうか、もし分かれば今後の予定について教えていただきたいと思います。それがなければ終わりにしたいと思います。
○健康局総務課
 現在のところ、平成23年度の会の予定はございませんけれども、会長と相談しながら、また次の開催を考えていきたいと思います。
○葛原会長
 ということで定期のものはなさそうですが、何かの諮問があったとか緊急の要件があるときには、皆さんにご足労いただくことになろうかと思います。
 それでは、これで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局総務課総務係

(電話): 03-5253-1111(内線2312)

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