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2011年2月18日 第34回社会保障審議会児童部会議事録

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成23年2月18日(金)
15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

委員

大日向部会長 松原部会長代理 小杉委員 才村委員 榊原委員
佐藤委員 土堤内委員 前田委員 吉田委員

事務局

高井雇用均等・児童家庭局長 石井大臣官房審議官 田河総務課長
黒田少子化対策企画室長 杉上虐待防止対策室長 今里保育課長
高橋家庭福祉課長 泉母子保健課長 真野育成環境課長
鹿沼子ども手当管理室長 竹林母子家庭等自立支援室長

○議題

1. 児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会の報告について
2. 最近の児童行政の動向について
3. その他

○配布資料

資料1社会保障審議会児童部会委員名簿
資料2-1社会保障審議会児童部会児童虐待防止のための親権の在り方に関する
資料2-2社会保障審議会児童部会児童虐待防止のための親権の在り方に関する
資料2-3社会保障審議会児童部会児童虐待防止のための親権の在り方に関する
資料2-4民法等の一部を改正する法律案の概要
資料2-5児童虐待防止のための親権に係る制度の見直しに関する要綱
資料3最近の児童行政の動向について
資料4社会的養護の充実の検討について
資料5-1社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直し案の概要
資料5-2社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直し案(改正案のイメージ)
資料5-3最低基準と措置費における職員配置基準との比較
資料5-4居室面積・定員の分布
資料5-5職員配置及び居室面積基準の改正経緯等
資料5-6住生活基本計画における居住面積水準
資料6社会的養護の充実のために早急に実施する事項について
資料7社会的養護の課題と将来像についての論点
資料8社会的養護の現状について

○議事

議事:
○大日向部会長
 定刻となりましたので、ただ今から「第34回社会保障審議会児童部会」を開催いたします。委員の皆さま方におかれましては大変お忙しい中をお集まりくださりましてありがとうございます。
 会議が始まります前に、皆さまに申し上げたいことがございます。既にご承知のことと存じますが、先般、庄司委員が逝去されました。この部会にも大変ご尽力くださった委員でいらっしゃいます。感謝とともに謹んでお知らせ申し上げます。
 それでは、会議に先立ちまして、事務局より本児童部会における委員の交代について、報告をお願いいたします。

○田河総務課長
 総務課長の田河でございます。本部会の臨時委員のうち、阿藤委員が任期満了でご退任になっております。そして、この度、新たに明治学院大学副学長の松原委員に就任をお願いしましたところ、ご快諾いただきました。
 本日の出席状況でございますが、秋田委員、石津委員、大澤委員、山縣委員、渡辺委員から、ご都合により欠席との連絡をいただいております。ご出席いただいております委員の皆さま方は定足数を超えておりますので、会議は成立しております。

○大日向部会長
 ありがとうございました。ただ今、事務局からご報告がありましたとおり、部会長代理の阿藤委員がご退任になられましたことに伴いまして、新たな部会長代理の選出が必要ですが、社会保障審議会令第6条第5項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」という規定がございます。つきましては、私から部会長代理を指名させていただきたいと思います。
 部会長代理は松原委員にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、松原委員に席をこちらにお移りいただきたいと思います。
 会議に先立ちまして、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○田河総務課長
 それでは、お手元に配布させていただいております資料の確認をさせていただきます。最初に議事次第がございます。それから資料1が「社会保障審議会児童部会委員名簿」、資料2-1が「社会保障審議会児童部会児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会の設置について」、資料2-2が「社会保障審議会児童部会児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会報告書の要点」、資料2-3は「社会保障審議会児童部会児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会報告書」、資料2-4は「民法等の一部を改正する法律の概要」、資料2-5は、法制審議会の答申でございます。資料3は「最近の児童行政の動向について」、資料4は「社会的養護の充実の検討について」、資料5-1は「社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直し案の概要」、資料5-2は「社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直し案」、資料5-3は「最低基準と措置費における職員配置基準との比較」、資料5-4は「居室面積・定員の分布」資料5-5は「職員配置及び居室面積基準の改正経緯等」、資料5-6は「住生活基本計画における居住面積水準」、資料6は「社会的養護の充実のために早急に実施する事項について」、資料7は「社会的養護の課題と将来像についての論点」、資料8は「社会的養護の現状について」をお手元に配布させていただいております。もし不足等がございましたら、事務局へ申し出ていただければと思います。

○大日向部会長
 ありがとうございました。資料のご確認はよろしいでしょうか。
 それでは議事に入りたいと思います。本日は「児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会」において、報告書が取りまとめられているということですので、そのご報告を受けたいと思います。児童虐待の防止のための親権制度に係る見直しにつきましては、平成19年の児童虐待防止法の改正法附則において「政府は、この法律の施行後3年以内に、児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から親権に係る制度の見直しについて検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」とされていたところです。
 また、法務省では「法制審議会児童虐待防止関連親権制度部会」において、議論がなされた上、2月15日の法制審議会総会において、民法改正の要綱が取りまとめられました。また、法制審議会の動きに合わせて児童福祉法等の改正につきましては、昨年2月に当部会に設置をお諮りした「児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会」において検討されてきたところです。
 先月28日に報告書がまとまっておりますので、本日は、専門委員会で委員長をお務めくださいました才村委員から、報告書の内容についてご説明いただきたいと思います。また、事務局から法制審議会における議論の状況や今後の予定等についてご説明をお願いいたします。
 それでは才村委員、よろしくお願いいたします。事務局からの説明は、その後に続いてよろしくお願いいたします。

○才村委員
 それでは、検討結果の概要につきまして報告させていただきます。資料2-2「社会保障審議会児童部会児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会報告書の要点」をご覧いただきたいと思います。報告書本体は資料2-3となっておりますが、今日は資料2-2に基づいて報告させていただきたいと思います。
 平成22年3月から本年1月までの間、施設や里親関係者へのヒアリング等も含めまして計8回にわたって会合を開き検討を行ってまいりました。検討に際しましては、後ほど事務局からご説明いただく予定になっております法制審議会の部会における議論とも連動させながら、検討を行ってまいりました。そして、先ほど部会長からお話がございましたように、本年1月28日に「児童の権利利益を擁護するための方策」と題する報告書を作成させていただいた次第でございます。
 まず、1番の「施設入所等の措置がとられている場合の施設長等の権限と親権の関係について」でございます。施設入所中または里親委託中の子どもについて、現行の児童福祉法は、施設長や里親に対し親権の一部である監護、教育及び懲戒に関する権限を付与しております。しかし、親権者の親権との関係が明確でないということから、親権者が反対すれば施設長や里親はなかなか必要な措置をとりにくいといった現状がございます。例えば、親権者が日常的な投薬や予防接種、手術といった医療について反対する場合や、また高校受験を認めない、無断で学校に退学届を出してしまうなどの場合、また、親権を有しない親や祖父母との面会を認めないといった事例がございます。これら親が不当な主張をする結果、子どもの利益が守れないという問題がございました。
 そこで1ですが、施設長等が入所中の児童等の福祉のために監護、教育及び懲戒に関する措置について、親権者等が不当な主張をしてはならないことを明確にすることにいたしました。併せまして2ですが、親権喪失の審判に加え、今回、法制審議会で新たな制度として制限されています親権停止の審判及び管理権喪失の審判につきましても、児童相談所長が家庭裁判所に請求することができるようにいたしまして、親権者の不当な親権行使により子どもの福祉が害されるような場合には、必要に応じて適切にこれら民法上の親権制限の制度を活用することとさせていただきました。
 なお、報告書にはこれら法的な枠組みと併せまして施設長や児童相談所長の判断をバックアップする仕組みや、また制度運用のためのガイドライン等の策定の必要性などについても提言させていただいております。
 続きまして、2番の「一時保護中の児童相談所長の権限と親権の関係について」でございます。一時保護は親権者等の同意がなくても児童相談所長の判断で行われるわけですが、一時保護は施設入所や里親委託とは違いまして監護、教育及び懲戒に関する権限が児童相談所長には付与されておりません。しかし、一時保護は短期間であるとはいえ、現行制度では原則として2か月を超えることは出来ないということになっているのですが、短期間であるとはいえ、監護や教育などに関して不当な主張を繰り返す親権者がいることは施設入所などの場合と何ら変わらないわけでございます。
 そこで1の一時保護中の児童相談所長の監護、教育及び懲戒に関して、児童の福祉のために必要な措置をとる権限を明確にするとともに、先ほどの1と同様とさせていただきました。
 続きまして、3番の「里親等委託中及び一時保護中の親権者等がいない児童等の取扱いについて」でございます。現行法では施設入所措置がとられている子どもで親権者等がいない場合は施設長が親権を行うこととされているわけですが、里親等委託中の子どもや一時保護中の子どもで親権者等がいない場合は、未成年後見人の選任で対応することになっております。しかし、未成年後見人の確保が極めて困難な現状があることから、子どもの利益を確保するために1の里親等委託中及び一時保護中についても、親権者等のいない児童について、親権者等があるに至るまでの間、児童相談所長が親権を行う仕組みを設けることとしております。
 次に、4番の「一時保護の見直しについて」でございます。1です。2か月を超える親権者等の同意のない一時保護については、その延長の是非について第三者機関である児童福祉審議会の意見を聞くことといたしました。先ほども申し上げましたように、一時保護は親権者の意に反しても司法審査を経ることなく行政機関である児童相談所長の職権で可能であるということが1点です。
 もう一つは、現実的には2か月を超える長期保護の事例も少なくないということがございます。そういったことから、いたずらに一時保護が長期化するのを防ぐとともに、不当な親権制限を排除するためにこういった制度を提言させていただきました。
 続きまして5番の「保護者指導に対する家庭裁判所の関与の在り方について」でございます。重篤な虐待があるために、やむを得ず施設入所等の措置をとることがあっても、これが援助の最終目標ではなくて子どもが一日も早く安心して家族の元に帰れる状況をつくり出すことが援助の最終目標であるべきだと考えられます。そのためには、虐待を繰り返してしまう保護者等への指導が不可欠でございます。このために、児童虐待防止法は特に28条ケース、つまり施設入所等の措置に親権者等が反対する場合は、家庭裁判所の承認が必要ということになっております。親権者が施設入所等の措置に反対して家庭裁判所の承認でもって施設入所措置がとられるケースを「28条ケース」と呼んでおります。この「28条ケース」の承認審判において、家庭裁判所は必要に応じて保護者への指導を児童相談所に勧告できることとなっております。しかし、特にこの「28条ケース」の事例における保護者指導の実効性を確保することに、多くの児童相談所は苦慮しているという現状がございます。
 そういったことから、1の児童福祉法第28条の審判において家庭裁判所から都道府県知事に保護者指導の勧告を行う際に、必要に応じて児童相談所から家庭裁判所に対して、勧告の内容を保護者に伝達するよう、上申するなどの運用面での対応を図ることについて検討することを提言させていただいております。
 続きまして、6番の「施設入所等の措置及び一時保護が行われていない親権者等がいない児童等の取扱いについて」でございます。例えば、施設から自立した後の未成年者につきまして、親権者等がいないために住居の確保や就職等に支障をきたす例がございます。
 このため、平成19年の児童福祉法改正によりまして児童相談所長が未成年後見人の選任を請求した未成年者に対しては当該児童相談所長が親権者または未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行うものとされております。その運用の徹底を図ることとしたものが1でございます。さらに2ですが、民法改正により複数の未成年後見人の選任が許容される場合には、未成年後見人の追加選任についても児童相談所長が請求できることとさせていただきました。
 最後に、7番の「接近禁止命令の在り方について」でございます。施設入所等の措置がとられている場合で、例えば保護者が登下校時に子どもに接触したり、子どもを強引に連れて帰るといった事例があります。さらには、施設の外からハンドマイクなどで子どもに呼びかける事例もございます。子どもの安全や精神面に与える影響が懸念されることから、平成19年の児童虐待防止法の改正によりまして、この28条措置がとられている場合で面会や通信の制限が行われている場合は、都道府県知事は保護者に対して子どもへの接近を禁止する命令を発することができることとされています。このような制度につきましては、接近禁止の対象を28条措置の場合に限らず、同意入所等の措置や一時保護、さらには施設入所等の措置や一時保護が行われていない場合にまで拡大すべきではないかという意見がございまして、これらについて検討、整理を行いました。
 その結果、1一時保護や施設入所の措置がとられていない場合において、親の不当な介入により未成年者の福祉が害される場合には、適切に親権制限の請求や一時保護等を行うことの徹底を図ることとさせていただきました。さらに2ですが、事実上自立した未成年者への親等の不当な介入に対しては、現行の法制度においても子の人格権に基づく妨害排除請求権または妨害予防請求権としての面談強要等禁止を求める訴え及びその仮処分等が可能であり、その適切な利用が可能となるよう周知徹底を図ることとさせていただきました。
 以上でございます。よろしくお願いします。

○杉上虐待防止対策室長
 引き続きまして、事務局から法制審議会での議論及び今後の進め方等につきまして、ご説明申し上げたいと思います。虐待防止対策室長の杉上と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、資料としまして2-5がございます。平成22年3月から法制審議会の方で「児童虐待防止親権制度部会」を設けて議論が続けられてまいりました。また、これにつきまして先ほど部会長からご説明いただきましたとおり、今週2月15日の総会において正式に決定されたものを付けさせていただいております。
 また、説明は資料2-4「民法等の一部を改正する法律案の概要」を使ってご説明申し上げたいと思います。ただ今、当専門委員会の才村委員長から、当専門委員会の議論の要点ということでご説明いただきました。この中には法律改正事項あるいは運用ですべき事項等いろいろとございますが、これらについて今後、法律案として持っていくというような形で「民法等の一部を改正する法律案」という形で整理させていただいております。
 「法案の要旨」につきましては、まさしく平成19年改正法の附則を受けて、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度等を設けることとしております。また「法案の要点」は二つの大きな柱からなっております。「親権の喪失の制度等の見直し」ということで、2年以内の期間に限って親権を行うことができないようにする親権の停止制度の新設ということでございます。現行法におきましては、親権喪失の制度しかございません。あるかないかということで非常に使い勝手が悪いのではないかといった議論の中で、期間を定めて停止する制度を今回は設けるということになったわけでございます。
 二つ目の丸でございますが、「家庭裁判所への請求権者の見直し」ということで、子の意見表明権を図る観点などから、子も請求権者として追加されることになっております。また、児童福祉法につきましては、先ほど才村委員長からご説明いただいたとおり、新たにできる親権停止の喪失の申立権者あるいは管理権喪失の申立権者といったものについて児童福祉法で対応して、請求権者に追加するということになっております。
 三つ目の丸は、先ほど才村委員長から申し上げたとおりの施設長等の権限と親権との関係の明確化ということでございます。
 それから次の大きな論点は「未成年後見人制度等の見直し」ということでございます。親権の喪失制度に加えて停止等をやりますと、現状でもなかなか未成年後見人のなり手がない。さらに今回は停止制度ができるとなりますと、これらをどうやって確保していくかということも論点になるわけでございます。現行は未成年後見人には個人で、かつ、1人しかなれないということになっております。これに対しまして、成年後見人制度につきましては法人も可となっておりまして、今般、法人または複数の未成年後見人を民法上の措置として許容することになっております。
 その次の丸につきましては、里親委託中あるいは一時保護中は現在、親権代行規定がございませんので、児童福祉法で対応するということでございます。
 それから「その他」のところでございますが、子の監護および教育が子の利益のためにされるべきことを明確化ということでございます。民法上はこの監護及び教育は親の権利・義務となっているわけですが、これにつきまして子の利益のためにするのだということで民法の改正をということでございます。
 二つ目の丸は、懲戒に関する規定の見直しということでございます。ここの部分につきましては、懲戒権自体を残すのか残さないのかという議論もありましたが、最終的には、今申し上げました子の監護及び教育が子の利益のためにされるべきことを明確化した上で、その範囲内で懲戒することができるという規定を設けることになったわけでございます。
 説明は以上でございますが、今後は法案提出に向けて作業した上で、来月早々にも閣議決定して、今回の通常国会に提出したいと考えているところでございます。

○大日向部会長
 ありがとうございました。ただ今の才村委員そして事務局からのご報告・ご説明につきまして、委員の皆さまからご意見・ご質問がございましたらお願いいたします。
 榊原委員、お願いいたします。

○榊原委員
 遅れてきて失礼いたしました。この民法改正の検討の件は、親権という大変古い制度にようやく時代に合った見直しをしようという議論が始まったということは歓迎したいと思いますし、今回は児童虐待の観点から、こうした改正の報告がまとまったということをありがたくというか支持して聞かせていただいております。この法律をできるだけ速やかに改正で整えていただきたいと思っているのですが、現実に今の子どもたちが置かれている状況を見ると、これは恐らく親権ということに限って見ても必要最低限の見直しではないかという気がしております。ここにとどまらず必要な検討ということは児童福祉の方でもしていく必要があるのではないかと実は思っています。
 それから、今回の親権制度の改正について直接かかわる話ではないのですが、実は少し気になっているのが、今回の法改正の内容自体には賛成ですけれども、児童相談所長や施設長の方たちに、その肩代わりの権限を持っていただこうという、ある意味当然のというか流れが出てきてはいるのですが、では例えば児童相談所長の方たちの今の状況はどうなのかということが、恐らくこの場には私よりもよほど詳しい方たちがいらっしゃると思いますが、私のように取材で幾つかのケースに接した者でも「大丈夫なのか」と思われるケースに当たることがあります。児童相談所というところの児童福祉という今、大変いろいろな課題を抱えている現場で権限を持ってケースに当たっていらっしゃる方たちの仕事の質の担保ということができているのかどうかということを考えることも付随して必要になっているのではないかという気がします。
 例えばこれは、ある現場で長く保育園の園長をされている方から伺った話ですけれど、保育園の中で「親子の関係が危ない、この子を早く家庭から救出しなければ危ない」というケースがあって、児童相談所との連携で何人かの子どもを措置したことがあるという園長の話でしたけれども、児童相談所にいろいろな形で具体的なSOS・アラームを出しても、例えばやってくる児童相談所の方たちが子どものことに対して詳しくない方、児童福祉に対して判断を持っていない方がいらして、措置することを判断できずに、ずっと数か月も躊躇してしまって、本当に危なくなるところをぎりぎりで、ひやひやしながら見守ったという話を伺ったことがあります。園長が児童相談所の方に「あなたは、これまで一体どんな仕事をしてきたのですか」と聞いたら、「この間まで水道の仕事でした」「この間まで道路を造っていました」という方たちだった。水道を担当していたり、道路を造っていたことが悪いわけではないのですけれども、これだけいろいろな深刻度の高いケースが児童相談所に集中的にきているときに、児童相談所の方たちの専門性をきちんと担保していくことが問われているのではないかと思います。
 さらに、その長である方がどういったキャリアを持った方なのかということで児童相談所内のチームワークが大分違うということも、都道府県によって相当な違いがあることも見てきております。児童相談所長の方たちにこれだけの権利を持っていただくのでしたら、やはりそれなりの専門性を担保していくということも、ぜひやっていただきたいと思っています。

○大日向部会長
 貴重なご意見を、ありがとうございます。これについて、何かお答えがありますか。

○杉上虐待防止対策室長
 大変ありがたいご意見をいただきました。もちろん我々も児童相談所長、あるいは児童相談所の職員の数や質の問題は非常に重要だと考えております。ただ、現状としましては地方との関係の中でどこまで国としてやっていけるのかという非常に難しい問題もあるかと思っています。我々としましては各種会議を通じて質の高い職員、あるいは経験や意欲のある職員の登用について考えてほしいと常々言っているところであります。またどういった対応が取れるかを真剣に考えてまいりたいと思っています。

○大日向部会長
 ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは特段ないようですので、次の議題に移りたいと思います。「最近の児童行政の動向について」といたしまして、本日は3点ございます。第1が「平成22年度雇用均等・児童家庭局の補正予算」及び「平成23年度雇用均等・児童家庭局の予算案」です。第2が「平成23年度における子ども手当の支給等に関する法律案」第3が子ども・子育て新システムについて、以上の3点です。それでは順次、事務局からご報告をお願いいたします。

○田河総務課長
 事務局でございます。資料3をお開きください。1枚めくりますと目次が付いております。平成22年度補正予算、平成23年度の予算案、子ども手当法案、そして子ども・子育て新システム検討を順次、説明させていただきたいと思っております。
 まず平成22年度の補正予算案でございます。一番大きいものは1ページに書いております「保育サービス等の基盤の整備と児童虐待の防止」で968億円です。これは文部科学省の負担を含めますと1,000億円の安心こども基金の積み増しでございます。中身はポツ三つで書いております。保育サービス等の充実、地域の創意工夫による子育て支援。そして三つ目めの丸は児童虐待防止対策の強化で大体100億円程度を見込んでおります。子どもの安全確認の強化や児童相談所の市町村の補助職員の雇い上げ、あるいは広報啓発、職員の資質向上、先ほどもご質問いただきましたが、そうしたもののためにこれは定額補助金として行うものでございます。
 そしてもう一つが「妊婦健診に対する公費助成の継続等」で、112億円でございます。これは妊婦が必要な回数の健診が受けられるために基金を積み増すという内容でございます。
 そして1枚おめくりいただけますでしょうか。これは先ほどの「安心こども基金の積み増し・延長」の中身でございます。保育サービスに600億円。地域子育て支援の充実に300億円。そして児童虐待防止対策に100億円と、大体のイメージをここに示しております。3ページは妊婦健康審査支援基金の概念図でございます。
 次に、4ページをご覧ください。平成23年度の雇用均等・児童家庭局関係の予算案の部分でございます。主要事項の柱はここにお示ししたとおりでございますが、計数的には5ページに予算額の状況をお示ししております。局の合計で平成22年度予算2兆2,861億円が、平成23年度予算案では2兆7,738億円になっております。
 そしてもう1枚おめくりいただきますでしょうか。「子ども手当の充実」が6ページでございます。1兆4,722億円が2兆77億円になっております。その下に括弧書きでその内訳が付いておりますが、もともと子ども手当は平成22年度では10か月分でございました。それが12か月分満年度化になる部分と、3歳未満児に対する1万3,000円の手当を2万円に引き上げる7,000円の分がございます。その7,000円分につきましては、点線で囲んだところをご覧いただきますと、給付費総額が2兆9,356億円。そして米印の2番目、平成23年度上積み分給付費が2,085億円となっております。
 次に、7ページでございます。現金給付とともに保育所の待機児童をどうするのかというのは大きな課題として我々も受け止め、その充実に努めているところでございますが、そこのところは平成22年度予算4,155億円が平成23年度予算案では4,400億円に増えております。(1)が保育関係でございます。そして(2)が放課後児童対策でございます。中身に関しまして(1)の1は保育所等の受入児童数の拡大。今ビジョンに基づきまして毎年5万人増を目指して取組を進めております。そして2は、平成22年11月29日に取りまとめました「待機児童ゼロ特命チーム」の先取りプロジェクトを推進するため、現物サービスを拡大するための新たな交付金のうち100億円程度を充てるとともに、補正予算の「安心こども基金」から100億円程度を施設整備に充てることにより、200億円程度を先取りプロジェクトに充てる。具体的に言いますと、最低基準を満たしている例えば民間の保育所にしましてもいろいろなものがございます。基金等が最低基準を満たしているものも支援していけないかということを考えております
 8ページでございます。小児慢性特定疾患の充実等があります。4番「ひとり親家庭の総合的な自立支援の推進」の平成22年度予算1,764億3,200万円が平成23年度予算案では1,855億円となっております。その内訳は下に示したとおりでございます。大きな部分が(2)「自立を促進するための経済的支援」、これは児童扶養手当の関係でございます。父子家庭にも出すようになった。そうしたものの満年度化に伴うものでございます。
 5番「児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実」でございます。(1)虐待を受けた子ども等への支援にさまざまな取組がございます。9ページに、1地域における体制整備、2児童相談所の機能強化、雇い上げの経費の補助等もございます。3児童家庭支援センターの拡充、4要保護児童等に対する社会的養護の充実、これにつきましては虐待を受けた児童など要保護児童が入所する児童養護施設、あるいは里親等について受入れ児童数の拡大を図るとともに、施設におけるケア単位の小規模化や退所児童等の自立に向けた支援等を推進することでございます。また、その下に「配偶者からの暴力の防止」がございます。婦人相談所等の体制等についてです。
 大きな6番「育児休業、短時間勤務等を利用しやすい職場環境の整備(「仕事と家庭の両立実現化プログラム」の実施)、こうしたことに関しましても(1)両立支援に関する雇用管理の改善に93億円。あるいは(2)改正育児・介護休業法の円滑な施行等に取り組んでおります。次の10ページでございます。(3)企業における次世代育成支援対策の推進。
 そして11ページ「安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くことのできる環境整備」、そうした面でも1の「女性の職業キャリア継続が可能となる環境づくりの推進」。あるいは2番、これは再掲でございます。3番「パートタイム労働者等の均衡待遇の確保と正社員転換の推進」、さらには4番「多様な働き方に対する支援の充実」の中には短時間正社員制度の導入・定着の促進、あるいは在宅就業環境の整備等が含まれております。
 13ページに、子ども手当に関する法案の概要が付いております。まず法律案の名称でございますが「平成23年度における子ども手当の支給等に関する法律案の概要」でございます。「23年度」と付いていることから、単年度の法律という形になっていることがわかると思います。また「支給等」は、現金給付のみならず、新たな子育て支援の交付金もこの法制度の中に盛り込まれていますので「等」という形になっております。
 「趣旨」のところでございます。趣旨自体は平成22年度の子ども手当法と変更はございません。「次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するために、中学校修了前までの子どもについて、平成23年度分の子ども手当を支給する等の所要の措置を講ずる」ものでございます。
 そして「概要」でございます。(1)の「子ども手当の支給」のところでございます。最初のポツは「3歳未満の子ども一人につき月額2万円」と書いています。平成22年の場合は1万3,000円でございましたが、3歳未満の子どもについては2万円という形になっております。そして次のポツでございます。支給等の事務は市区町村。支払月に関しては平成23年6月、10月、平成24年2月、6月という形になっております。(2)子ども手当については、児童手当分を児童手当法の規定に基づき、国、地方、事業主が費用を負担し、それ以外の費用については、全額を国庫負担するという形にみんなしております。そして(3)子どもに対して国内居住要件を設ける。平成22年度の子ども手当法に関しまして、海外にいらっしゃる子どもの扱い。そうしたものを国会でいろいろご議論が出ました。そうしたことを踏まえ、国内居住要件を設けることとしています。ただし、留学中等の場合は除くことを考えております。そして(4)児童養護施設に入所している子ども等についても、施設の設置者等に支給する形で子ども手当を支給する。平成22年度の子ども手当法につきましては、直接法律に基づく給付は行われていませんでした。しかし、安心こども基金を活用するという形と同様の措置を行うこととしておりましたが、平成23年度の子ども手当法については法律の規定に基づいて児童養護施設に入所、あるいは里親に委託されている子どもについても、施設の設置者等に支給する形で子ども手当を支給することとしております。そして(5)親がいない子どもの場合は未成年後見人という形が考えられわけでございます。あるいは両親ともに海外に行っている場合、子どもだけが日本国内に残っている場合、そのような場合に対応するために1でございます。未成年後見人や父母の指定する者(父母等が国外にいる場合に限る)に対しても、父母と同様の要件で子ども手当を支給する。その趣旨は、父母等が国外に居住している場合でも支給可能にするとともに、2監護・生計同一要件を満たす者が複数いる場合には、子どもと同居している者に支給する。具体的には括弧書きのところに、例えば離婚協議中の場合、父母が別居するということが考えられるわけですが、その場合は子どもと同居している親に対して支給するという形にすることとしております。そして(6)保育料を子ども手当から直接徴収できるようにする。これは地方自治体から平成22年法のときにも強くご要望をいただいたところでございます。学校給食費等について、本人の同意により子ども手当から納付することができる仕組みとする。これは保育料と学校給食費で債権の性格が違うために、このような形になっております。もともと保育料の公債権として滞納分が子どもにあるのに対しまして、学校給食費は私的債権である。そのような違いが出ております。(7)地域の実情に応じた子育て支援サービスを拡充するための交付金を設ける。これは具体的に規模としまして500億円を予定しております。
 これが平成23年度の子ども手当法でございますが、実はこの法案提出に当たりまして、前の12ページでございます。5大臣合意というものが関係大臣で結ばれております。ここに非常にいろいろなことが書いてあります。そこで平成24年度以降の制度はどうするのか。そういうこともよく聞かれるわけでございますが6番をご覧いただきたいと思います。「平成24年度以降の子ども手当の制度設計に当たっては、厚生労働省をはじめとする関係府省と地方公共団体の代表者による会議の場において、子ども手当及びそれに関連する現物サービスに係る国と地方の役割分担及び経費負担のあり方を含め、子ども・子育て新システムの検討との整合性を図りつつ、幅広く検討する。その際、国と地方の信頼関係を損なうことのないよう、地方の意見を真摯に受け止め、国と地方が十分な協議を行い、結論を得る」今後はこのような方向性で取り組むこととしております。
 そして資料でいいますと14ページでございます。これは大体どのような財源構成になっているのかという形でございます。平成23年度における子ども手当は給付総額としまして2兆9,356億円。内訳として国負担分が2兆2,077億円、地方負担が5,549億円、事業主負担分が1,731億円という形になっております。そして次の15ページからは実際の法案要綱でございますが、これは大部にわたりますので説明を省略させていただこうと思っております。
 そして資料でいいますと33ページでございます、「子ども・子育て新システムについて」という資料が付けられております。「子ども・子育て新システム」は平成21年12月8日の閣議決定「明日の安心と成長のための緊急経済対策」の中でも触れられておりますが、新しいシステムをつくっていこうといったことに関しまして議論が深められております。平成22年1月29日に少子化社会対策会議としまして「子ども・子育て新システム検討会議」を立ち上げています。そうしたことが決まりまして昨年の6月25日、子ども・子育て新システムの基本制度案要綱がとりまとめられ、6月29日に全閣僚が入った少子化社会対策会議決定も行われております。それを踏まえまして、その後も検討が続けられております。その概要をここに取りまとめたものでございます。本当に粗粗のものでございます。基本的な考え方でございます。
 最初の四角いところでございますが「すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子ども・子育てを社会全体で支援」していく。その中にはすべての子ども・子育て家庭への支援、子ども手当も一時預かりも入ります。また2番目の丸にございます幼稚園・保育所の一体化(こども園)ということも新聞等で出たりもしますが、そうしたことでございます。また、そうしたことを社会全体で費用負担していこう。さらには関係者、これは地方公共団体、労使団体、子育て当事者、あるいはNPO等の方々に参画していただこう。そのために、子ども・子育て会議を設けていこうということでございます。また「切れ目ないサービス・給付を保障」していく。そうした観点から、妊娠~出産~保育~放課後対策まで切れ目なく細やかなサービスを提供していく。あるいは三つ目の四角でございます「地域の多様なニーズに応じた対応」を取る。そして基本的には基礎自治体(市町村)を中心に考えていく。そして次の四角でございます「政府の推進体制・財源を一元化」していこう。それとともに、最後に四角でございます「ワーク・ライフ・バランスの実現」も重要である。そうした考え方に基づきまして制度設計の議論を進めております。
 次の34ページでございます。「基本設計」のところでございます。まず、国と都道府県の役割、実施主体の市町村を重層的に支える仕組み。国におきましては、新システムの制度設計を担う。あるいは市町村への子ども・子育て包括交付金の交付等で必要な支援を行う。都道府県におきましても、広域自治体として、市町村を支援して情報提供などがあると思います。また、都道府県が主体となって行う事業を実施する、社会的養護の関係があると思われます。
 そして「市町村の権限と責務」と書いた枠囲みでございます。自由度を持って、地域の実情に応じた給付設計をしていく。住民にサービス・給付を提供・確保していく。具体的には右側に書いたような内容が考えられるわけでございます。1~5に書いた内容でございます。
 そして次の丸は「社会全体(国・地方・事業主・個人)による費用負担」。社会全体(国・地方・事業主・個人)により必要な費用を負担していく。国及び地方の恒久財源の確保を前提とした実施。子ども・子育て勘定から、市町村が自由度を持って必要な給付を行うことができるよう、子ども・子育て包括交付金として必要な費用を包括的に交付していく。市町村は必要な費用を確保し、地域の実情に応じた給付を実施していく。
 そして先ほど申し上げた「子ども・子育て会議」の設置を検討。これは地方公共団体、労使代表、子育て当事者、NPO等の関係者が、子育て支援の政策プロセス等に参画・関与することができる仕組みとして、国に子ども・子育て会議を設置することを検討。また、地方においても関係者が関与できる仕組みを検討していくというものでございます。
 次の35ページは「子ども・子育て新システム」の全体のイメージ図でございます。上の方に中央子ども・子育て会議、そのようなところが事業方針を審議したりする。国で負担金・補助金を充て、労使・事業主・本人から拠出金をいただき、子ども・子育て勘定に財源を一元化し、子ども・子育て包括交付金を出して実施主体に渡していく。そして市町村・基礎自治体におきまして、一番下の矢印でございます。子ども・子育て支援の給付・サービスを包括的・一元的に実施していく。
 そして36ページが「給付設計」でございます。どのような給付をイメージしているのか。左側のところでございます。すべての子どもに子ども手当。あるいは子育て支援、妊婦健診、あるいはその他の子育て支援として、乳幼児家庭全戸訪問事業等をやっていくことが考えられております。また右側のところでございます。出産・育児に係る休業に伴う給付、あるいは幼保一体給付(仮称)。この中でこども園としております。こども園(仮称)の囲みでございますが、給付の一体化では、今はばらばらに財源制度がございます。そこを幼保一体給付として一体にしていこう。そして幼稚園・保育所をこども園(仮称)として一体化していこう。あるいはこども指針(仮称)を創設する。さらには、多様な保育サービスとして小規模保育などさまざまな保育サービスの検討を進めております。また小学校に上がっていく子どもの放課後児童給付(仮称)を検討しているところでございます。そしてここの下のところですが、利用者の選択に基づく給付をしっかり保障していこうというような考えを示しております。また、多様な事業者の参入によるサービス基盤を整備していこうということをここにお示ししているところでございます。長くなりましたが、資料の説明を終わらせていただきます。

○大日向部会長
 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に対しまして、委員の皆さまからご質問等がありましたら、お願いします。大変大部な資料のご説明で、量が多かったのでいろいろご質問もあろうかと思いますが、30分ほど質疑応答の時間を予定しています。
 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員
 質問というより、要望に近い話でございますが、都市部において喫緊の課題である待機児童の解消ということで、今、予算は保育所整備ということで組まれているわけですが、予算や施策にとどまらずに運用上の工夫改善を含めた実効性のある対策が必要ではないかと思います。例えば、具体的に申し上げますと、東京都23区の中には少なからずあると思いますが、年令別の定員を組んでいる保育所がございまして、それはよいのですが、年齢別定員がかなり運用上硬直的な対応をしています。具体例で申し上げますと、例えば120人定員の保育所があって、年度当初であと30人、250人まで埋められる。しかし、年齢別の定員ということでやっているので、3歳未満児は定員超過状態で入っている。ところが特に4、5歳児では定員にも達しないケースがある。しかし、そこであと30人受け入れられる。施設の余裕は十分ある。職員も確保できる。しかし、3歳未満児は定員超過でリミット。そうすると4、5歳児部分が空いていても、そこは活用できない。ある園では、そうしないと待機児童が解消できないという話をしても、駄目です。そこだけでは駄目で区内全部が横並びで、それは認められません。不思議なのは、では空いた部分は自由契約にして契約上とってよいのかというと、それは構いませんという、極めて不思議なケースがございまして、そのブルーな所が全国的にどれぐらいあるのかないのかわかりませんけれども、そのような意味で、それが実情であるということを踏まえていただいて、実態をある程度把握していただいて、その辺の運用改善でも、かなり広角的な待機児童解消が可能な部分が実はあるのではないかという気がいたします。施設を増やせば単純に待機児童が解消できるかというと、施設が増えて定員もまだ入れられる余裕があるけれども、年齢別定員でブレーキになっているというケースが現実にございますので、そこを細かい目配りをしていただいて待機児童解消を考えていただければと思います。以上です。

○大日向部会長
 ありがとうございます。ご質問というより、ご要望でよろしいですか。
 他にいかがでしょうか。どうぞ。

○松原部会長代理
 13ページの子ども手当の(4)児童養護施設等に入所している子どもへの支給について伺いたいのですが、この場合の設置者が受け取った後の使い途です。これについて今回は何か枠組みを設定されているのかどうかを伺いたい。それから、枠組みがあるにせよないにせよ、使ったことへの何らかのチェックというのでしょうか。それが想定されているのかどうか。この2点を教えていただきたいと思います。

○大日向部会長
 それでは、よろしくお願いいたします。

○鹿沼子ども手当管理室長
 子ども手当管理室長でございます。児童養護施設の子どもたちの関係でございますが、まず設置者の方にお金がいき、そのお金については施設の長を管理者にしながら、基本的には子どものために使っていただくということですので、例えば習い事やその子どものために使うこと、また、余ったお金についてはそれぞれの子どもごとに管理していただいて預貯金していただくようなことを考えております。
 さらに、管理をどのようにしていくのか。預貯金ということになれば当然その後も管理が必要になってまいりますので、その辺につきましては施設の監査といったものも含めて考えていきたいと思っている次第です。

○大日向部会長
 よろしいですか。他に、いかがでしょうか。

○松原部会長代理
 もう一つ、細かいことで。時々現場で聞くのは、そういう場合に数は最近少なくなっているのですが、保護者のいない児童が施設に暮らしています。そうすると、一定の金額が使える子どもと、それを受け取っていないというか、使えない子どもがいて、例えば子どものために旅行に行く、親である保護者がいない子どもについては、その施設側が自力で工面するかということで悩むというような話も聞いておりますので、その辺は何かお考えがあれば。細かいことですが、お聞きしたいと思います。

○鹿沼子ども手当管理室長
 施設の子どもの子ども手当につきましては、やはり、きちんとその子どもたちのことをいろいろと考えて、細かく対応していかなければいけないと思っております。そういった意味で、子どもの中にあまり差を設けてはいけない。今までは、親のいない子ども、また虐待を受けて強制入所の子ども等につきましては、手当は出ていなかった。また平成22年度につきましては、そういった子どもたちには出ていなかったのですが、一方で安心こども基金の方で同じような形で措置をしていたということです。また、親がいて監護・生計要件を満たしている方については、親に支給していた形を取っておりました。これを平成23年度の制度では、どの子どもについても一律施設を通じて出していこうということです。親のいない子どもといる子どもで出方が違って差別が出てくると非常に良くない、不公平感があるのは非常に良くないと思っております。基本的にはすべて同じような扱いにしていこうと考えております。

○大日向部会長
 ありがとうございます。大切な点かと思いますが、松原部会長代理、よろしいですか。
 他にいかがでしょうか。土堤内委員。

○土堤内委員
 資料36ページ右側の「幼保一体給付」のところでお尋ねしたいのですが、幼保一体給付の「給付の一体化」というのは理解しやすいのですが、その後の「幼稚園・保育所の一体化」というところで、これは幼稚園と保育所を足して2で割る話ではないでしょうから、一体どのような子どもの成育環境を基本として考えていくのか。それが次に出てくる「こども指針(仮称)の創設」ということなのか。そこについて教えてください。

○大日向部会長
 今里保育課長、どうでしょうか。お願いいたします。

○今里保育課長
 幼稚園と保育所の一体化で「こども園」という施設の一体化がありますけれども、この理念がそこにありますように、「すべての子どもに質の高い幼児教育・保育を提供する」ということです。つまり親が働いているか、働いていないかによらず、保育も教育も質の高いものをやっていこうということです。そうするとどうなるかといいますと、こども園としてイメージしておりますのは、まずこども園という所は今の言葉でいいますと、保育に欠けるような子どもも、保育に欠けないような子どもも、これは3歳以上のことですけれども、すべてを受け入れていって、当然、短時間、長時間と子どもが過ごす時間に違いは出ますけれども、その中で、幼児教育と保育の提供を一体的に行うということです。その中で、こども指針のお話を今言っていただきましたけれども、今の幼稚園教育要領それから保育所保育指針は、かなりの部分で3歳以上の教育については共通のものとなっておりますけれども、それをもう一度、今の家庭の養育機能という現状も踏まえまして、そこのところで家庭で使われる場合にも役に立つよう、そしてこども園でも役に立つようなものとして、一つのものとしてやっていくということです。
 また、そこで働く職員につきましても、一体的にサービスを提供するような資格を持つ形のものにしていきたい。資格を一つにするかどうかはまた別の話ですけれども、バラバラにならない中で、すべての機能が幼児教育や保育が一体的に提供されるような体制でその辺のこともやっていきたいと考えているところです。これでお答えになりましたでしょうか。

○土堤内委員
 これから子どもの成育環境がどのようなイメージのものになるか私はとても関心があります。幼保が統合されて同じようなサービスというか、子どもの成育環境がある意味でユニバーサルなものとなるのか、あるいはいろいろなメニューがあって、それが保護者によって自由に選択されるような環境ができてくるのか、いずれの方向になるのかということを質問したかったのです。

○今里保育課長
 子ども・子育て新システムの全体で見ますと、いろいろな多様なサービスを提供していくようにしたい。例えば家庭的保育のような子どもの状況、親の状況によっては小さいときには保育ママなどの家庭的なサービス、家庭的な雰囲気の中で行われるサービスのようなものが当然良い場合もあるでしょうし、あるいは大都会と地方では当然、親の働き方も変わってきますし、子どもを取り巻く環境も変わってきますので、提供されるサービスの種類としては、可能な限り多様なものを用意して、そして多様なサービスによって、それぞれ必要な部分のニーズを埋めるようなサービスをしていきたい。これは子ども・子育て新システム全体でいきますと、このような考えになるわけですが、幼保一体化のところだけを見ますと、幼稚園と保育所がもともと制度としては違うものとして出発してきているけれども、今の親の働き方や子どもを取り巻く環境は、むしろ幼稚園で提供されるサービスと保育所で提供されるサービスが似通ったものになってきているのではないかという指摘もあるところです。ですから、そのところは一つにして一体化して、同じ形のサービスを一つの施設で行えるようにしようと。幼保一体だけを見ますと、どちらかというとそこは一つにまとめていくということですけれども、子ども・子育て新システム全体を見ますと、多様な形でそれぞれのニーズに応じてやっていこうという考えです。

○大日向部会長
 1点、私も今里保育課長に確認させていただきたいのですが、今のご説明の中で、「すべての子どもに」とおっしゃったところで、年齢はどのように考えているのでしょうか。ご説明の中で「3歳以上」という言葉が一度か二度出たと思いますが、一方で幼保一体化の理念そのものは就学前の子ども、0~5歳までのすべての子どもの発達保障ということは理念目的に掲げられていたと思いますが、この場合にそことの関連はどのように考えたらよろしいですか。

○今里保育課長
 先ほど「3歳以上」と申しましたのは、学校教育という意味では3歳以上ということを考えたわけです。当然、今の保育所で行われている0~5歳の保育も教育と養護が一体となって行われる営みでありますので、広い意味の教育は当然0歳から始まっていると考えております。そういう意味で0~5歳を通じて保育所における教育と家庭教育によって良質な成育環境をすべての子どもに保障していくことになりますが、学校教育ということでいいますと、これは3歳以上の子どもを対象として施設でやっていくということに。法制度上の話と実際の教育と営みがどこにあるかということで、若干のズレが生じて難しいところですけれども。このように理解しております。

○大日向部会長
 ただ今の今里保育課長のご説明と土堤内委員のご質問と私が伺ったことで、一つ申し上げておかなくてはいけないのは、これはまだ議論の過程だということですよね。いずれも決定したわけではなく。ただ、今里保育課長がおっしゃったように、すべての子どもに地域の実態あるいは親のニーズに応じて多様な限りなく良質な養護と教育を一体で保障するということで、その具体像やその辺りは今それぞれのワーキングで詰められていると理解してよろしいですね。ですから、3歳以上を学校教育法でという議論も過程だと私も考えておりますので、そこだけ補足させていただきます。

○松原部会長代理
 私も「すべての子どもに」というのはとても素晴らしいことだと思いますが、現実的に一方で吉田委員が話されていたように、今、待機児童がいて、新たなシステムをつくり上げていくプロセスの中では、一定の施設や地域の中で、希望する子どもの数と提供できる子どものケアの量が逆転することがあり得ると思います。そのときに、今の考え方の中では、保護者と施設の契約ということで進んでいるようですが、定員をオーバーしたときに、例えばそれで利用できないと親が仕事を辞めなければいけないような状況も想定できると思いますが、そこのポジティブ・ディスクリミネーションといいますか、あるいはそこも公正な何らかの基準をつくるのかというその辺は今、どのような議論がされているのでしょうか。

○今里保育課長
 今の仕組みの中でも保育所の待機児童の問題は非常に大きな問題で、保育に欠けるにもかかわらず入れずにいらっしゃる方が表面に出ているだけで2万8,000人。この子ども・子育て新システムというのは、幼保の一体化のところが表に出てまいりますけれども、量の拡大が非常に大きなポイントになっておりまして、そのために指定制を導入する、認可から指定にということで供給量を増やしていこうということが一つあります。
 松原部会長代理がおっしゃったように、それは制度がスタートした時点ですぐに全部需要が満足させられるような供給ができるかというと、正直申しまして、それには多少の時間は当然かかるだろう。そのかかるプロセスにおいて、基本的にはこの仕組みは直接保護者が施設と契約をする形ではありますけれども、市町村の関与が常にあります。その市町村の関与のあり方について、特に移行期といいますか、供給が十分でない時期においては、市町村の関与を今やっているような実質的な行き先を決めてというようなことに近づけるような形で必要ではないかという議論はなされているところです。

○大日向部会長
 佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤委員
 この資料の最後の方ですが、「すべての子どもへの良質な成育環境を保障し」うんぬんというくだりで、これは以前にも申し上げたことがあるのですが、この「すべての子ども」というのが、今のいろいろなやり取りを聞いていましても、例えば親が働いているか働いていないか。そこを分け隔てしないというようなニュアンスであったり、年齢について少なくとも就学前の子どもの発達を保障するというような意味で「すべての子ども」ということですが、障害のある子どもの件につきまして確認したいというか、お聞きしたいことがあるのです。私は今は休止中ですけれども障害者部会にも出ておりまして、恐らくその立場でこちらの部会にも参加してほしいと要請を受けたと思っておりますので、ここはもう一度確認したいと思います。つまり、障害者施策について、障害のある子どもについての問題は、基本的に児童福祉の問題として施策を展開していく方向感であるということがかつて確認されていたと思います。私の理解に間違いがなければ、自立支援法成立以前のときに、そのような方向感であると厚生労働省も考えていたと理解しております。しかし、あのような状況で混乱し、なお政権交代以降はなおさら混乱を極めていて、障害問題は制度改革本部あるいはその下の推進委員会の議論も待たなければ何もしない、できないというような状況になっているように見えます。私は推進委員会やその中の部会などにも出ておりませんので、議論の中身は詳細にはわかりませんけれども、委員の一部、あるいは議事録等から漏れてくる情報で見ると、50人で構成しているにもかかわらず、まさに百家争鳴でありまして、大要求大会のような話で、その議論を待っていても何も結論が出ないのではないかと危惧しています。そこで役所としてはいろいろと難しい判断もあるのでしょうけれども、もし私の理解が間違いでなければ、障害のある子どもについてのいろいろな施策や対応について、児童福祉の文脈でやっていこうという方向感であるとすれば、例えばここにある言葉だけを拾い出しても、「子育て家庭への支援(子ども手当、一時預かりなど)」と。今、一時預かりなどの制度も保育園の多様化で現実にはもう進んでいますけれども、障害のある子どもは必ずしもそのようなサービスに包含されているとは言い切れないところもあるように聞いています。これも議論がいろいろとあり、将来どう進んでいくのかわかりませんが、こども園に展開していくときに、まさしく「すべての子どもへの良質な成育環境」という意味で、障害のある子どもへの対応についてもきちんと織り込んでいくべきではないかと思っております。
 少し話が広がりすぎるかもしれませんが、発達障害者支援法という法律ができて以降、多くの子どもが保育園や幼稚園、あるいは学校で扱いが難しいとされると発達障害児というレッテルを専門家の了解もなく現場で貼り付けてしまっている状況が頻々と起きています。そういう意味からすると、そのようにして医療機関を受診した子どもの半分はそのように言う必要はないと言う専門医が多いわけですけれども、それにもかかわらず、その子どもたちはいったん保育園や幼稚園でそのようにラベリングされてしまうと、なかなか戻れない現実があるのです。戻っても他の子どもたちと同じようにはなかなか扱ってもらえないで難しい子どもとして。そうなると、親がますます育てるのに混迷するわけです。すべての子どもに良質な成育環境を保障し、子育てを支援しようということが、障害のある子ども、あるいはそのような障害とまでいえなくてもいろいろと適応に問題がある子どもなどについても、きちんと視野に入れて、いろいろな議論を進めていかないといけないのではないかと思っております。長くなりましたが、児童福祉の文脈でやっていこうという方向感について、その後、どのようになっているのかだけ教えていただきたいと思います。

○大日向部会長
 これは、今里保育課長でしょうか。

○今里保育課長
 子ども・子育て新システムのことについて申し上げますと、当然この「すべての子どもへの」ということは障害のある子どもも含めて、すべての子どもということですので、その文脈の中で考えていこうということは間違いありません。ただ、子ども・子育て新システムについての検討事項が、割と今おっしゃったようなことよりは、制度としてどこをどうしていくのか。例えば、設置のあり方をどうするか、園のあり方はどうするか、お金はどのような形でやるのか。そのようなことに今は議論があり、そちらが先行しておりますので、その中では当然利用する際に障害を持った子どもを優先的にしなければいけないのだろうかというような議論は行われていますけれども、まだ実際に障害を持った子どもを現場でどのようにというようなところは、恐らく、こども指針の関係のところでその話は出てくると思いますが、こども指針の議論は若干時間をかけてやっておりますので、まだそこに到達しておりません。ただ、申し上げたいことは、すべての子どもの良質な成育環境というシステムの中では当然、障害者の方も当たり前の話ですけれども入ってくるということですので、今、おっしゃったことも受け止めて、今後の検討に生かしていきたいと思います。ありがとうございます。

○佐藤委員
 一言だけ。ぜひ、そういうことを積極的に外に出して議論していただきたい。児童デイサービスというかつての障害児の通園施設ですけれども、実際にこれが急増しています。それは先ほど申し上げたようなことで、インクルーシブな状況から排除された子どもたちの受け皿として、あるいは親自身が孤立して、むしろそういう所を望んでしまうようなことが起きていますので、今、おっしゃったようなことが実際に議論されているということをわかるように発信していただくことも大事なことだと思います。

○大日向部会長
 今里保育課長がおっしゃったことに少しだけ付け加えさせていただきますと、私もそのワーキングに入っているのですが、柏女委員が入っておりまして、1%の子どもでも、いわゆるそのように社会的養護が必要な子どもを見落とすことがないように、その子どもたちを大事にした改革をということは毎回、懇切丁寧に発言しておられまして、議事録にも残っております。ただ、今里保育課長がおっしゃったように、具体的にどうするかという議論はこれからの課題となっておりますので、そこは少し補足させていただきます。
 それではお待たせいたしました。前田委員、どうぞ。

○前田委員
 子ども・子育て新システムについて質問が三つあります。一つは先ほど大日向部会長と今里保育課長のお話で3歳以上のということ。子どもに関していろいろな子育て支援の議論がこれまでされてきたと思いますけれども、すべての子ども、子育て家庭の支援ということで、私の記憶ではフランスのように2歳になったらみんなが幼稚園に行く、スウェーデンのように1歳半から親が希望すれば保育を一定の時間保障するという議論があったと思いますが、ここに「子ども手当、一時預かり」と書かれていますけれども、すべての子どもの支援の中に、短時間であれ恒常的な保育が求められているのか。これは佐藤委員からもありましたけれども、私が自治体にいた時代に、週2回、週3回の定期預かりをしましたが、やはりほとんど育てにくいと言われている子どもたちの行き場がなくて、母親が連れてくることが多かったのです。そういう意味では、今は保育に欠ける子どもが待機児童ですけれども、親の就労上、保育に欠けない子どもでも恒常的な一定時間の保育を保障するという考え方の議論が残っているのかということ。
 2番目は、先ほどは障害児の話が出ましたが、この部分に社会的養護が必要な子どもたちへの支援や、この子ども・子育て新システムを導入するということは、子ども関係の予算が抜本的に増えるということを希望しているわけです。そうしますと、この社会的養護の子どもたちの費用もここに含まれるのかということです。
 3番目は、この「子ども」は幾つまでなのかということです。私も自治体時代に、こども青少年局をつくったのですけれども、そのときに非常に議論になりまして、子ども関係は、親になるということも含めて、思い切ってこれまでカバーできなかった施策もこども青少年局でカバーしようということで、小杉委員がお詳しいのですけれども、ニートやフリーターの人も入れようと34歳まで支援するということで、青少年の心理指導や心の健康相談室なども全部子ども関係に入れたのですけれども、この子どもというターゲットは何歳なのかということが3番目の質問です。

○大日向部会長
 では黒田少子化対策企画室長、お願いいたします。

○黒田少子化対策企画室長
 少子化対策企画室長の黒田です。遅れてまいりまして恐縮です。三つのお尋ねのうちの一つ目です。すべての子ども子育て支援の中に、短時間の恒常的な保育が入っているかというお話です。この新システムの中では、今パートで働いている方々のように短時間の方が必ずしも保育所を使えていないという実態があります。就労があってその裏打ちの下、短時間でも保育を使う必要があるという方々については、この資料の中でいう「幼保一体給付」という、こども園を中心とした施設体系の中で、今はなかなか結び付かない方々も含めて、保育所やこども園を使っていただく仕組みを考えているところです。こちらの方で主に受けていくことを考えております。そうしますと、左側にあります「一時預かり」は何をやるのかという話になるわけですが、こちらはもちろん就労されている方々もお使いいただけますが、基本は働いている方、専業主婦の方のどちらにも門戸を開いた利用がベースで、例えばスポット的に何か用事があるから、通院があるからなどという事情があるときにお使いいただくものです。両方の組み合わせでニーズに応えていくことを考えているところです。
 それから、社会的養護のお話です。社会的養護については新システムの検討会議の中でも重要なテーマとして議論されています。お金をどうするかという話は、これからの議論に委ねられていますが、この議論の中では少なくとも社会的養護の分野も視野に入れた上で議論していこうという考えになっております。年末に一度議論をしましたけれども、その際にも市町村が全児童対策としてやっている事業の中にも、虐待なりの対処に資する事業があるので、そのような事業はむしろ市町村がやっていく。それから都道府県が果たしていく役割や専門機関、児童相談所の役割がある。これらが連携してやっていく必要がある、という議論がありましたので、今後も両者の連携をベースにして、機能面からの議論をまずはやっていきたいと思っております。
 次に、何歳までかという話です。この新システムの議論の中で一番スポットが当たっているのは就学前の子どもたちをどうしていくのかという話が非常にインテンシブというか、濃度が濃く議論されていますが、子ども手当はご案内のように中学生も入ります。ですから、年齢としては「児童」となろうかと思います。ただ、その中でもこのスキームの中に入ってくるものに濃淡がありますので、最終的にはこのシステムの外延の確定はもう少し時間がかかるということです。就学前にウエートを置きながらも、児童ということを念頭に置いた議論であるということです。以上です。

○大日向部会長
 才村委員、どうぞ。

○才村委員
 子ども・子育て新システムに話が重点化しているのですけれども、全然別のご質問でもよろしいでしょうか。先ほども榊原委員から児童相談所の体制の問題についていろいろとご指摘があったわけですが、これは市町村の相談体制についても全く同じことがいえると思います。平成16年の制度改正で市町村が子ども家庭に関する相談の一義的窓口として位置付けられ、かつ、虐待通告先として位置付けられています。さらに、大半の要保護児童対策地域協議会の事務局は市町村の相談窓口が務めているわけですが、要保護児童対策地域協議会につきましても当初は要保護児童だけだったのが、その後、要支援児童や特定妊婦まで広がってきています。つまり、市町村の業務がどんどん膨れ上がっている。そのようなことを児童相談所については確か平成17年だったと思いますが、施行令が改正されて、児童福祉司の配置基準も改正され、その後、児童相談所については、いろいろな補助事業を通じて自主的な増員が図られていることは事実だと思います。それに比べて、市町村については、国として限界があるとは思いますが、どのようにバックアップされているのかが見えづらいし、今後のビジョンについても見えてこないので、何か考えておられればお伺いしたいと思います。

○大日向部会長
 杉上虐待防止対策室長、お願いします。

○杉上虐待防止対策室長
 市町村も児童相談等をやっていただいている中で、市町村に対してどういった支援ができるかというのは非常に難しい問題でございます。一つは、まず今回の補正予算の100億円は市町村にも使える。基金としては都道府県に設置しておりますけれども、市町村でも使えるような仕組みを入れております。かつ、定額と先ほどご説明申し上げました。そういったものを当面はやっていくのか。それから既存の補助金の中でも、人の資質の向上のための経費は、これまでも織り込んでいるところでございます。ただ、才村委員のご指摘は市町村での相談体制の、例えば配置基準のような話になるかと思いますが、そこについては自治体との関係の中でなかなか難しい問題でありますが、工夫ができるかできないかを考えていきたいと考えております。

○大日向部会長
 他に、いかがでしょうか。小杉委員、お願いします。

○小杉委員
 先ほど年齢は幾つまでなのかという話が、マイクの関係があってよくわからなかったのですが、義務教育年齢までのようなイメージと聞き取ったのですが、そうですか。

○黒田少子化対策企画室長
 児童の年齢と同じということですが、議論の中心が就学前になっておりますので、就学前の議論が一番インテンシブになっているということです。ただ、子ども手当の議論もあり、子ども手当は中学生までです。ですから、それぞれここの資料の中にありますような施策について議論をする中で、仕組みの中でかかわりにも濃淡がございますので、その中で最終的に確定をしていくということでございます。

○小杉委員
 ですからそれぞれによって違う。もっと幅が広いこともあり得ると考えてよろしいのですか。

○黒田少子化対策企画室長
 最終的にはそれぞれの制度の集合体としてかかわりが決まってくるということでございます。

○小杉委員
 わかりました。その集合体という話に関係して質問したかったのは、子ども・若者育成支援推進法という法律で、社会全体として引きこもりや不登校や途中でつまずく若者たちを救っていかなければならない精神を謳った法律だと思いますが、その法律とこの子ども・子育て新システムは重なるところがあるのでしょうか。

○田河総務課長
 子ども・若者育成支援推進法はかなり年齢層が上の方まで、確か三十九歳までイメージした法律だと思います。ただ、逆に言うと、下の方に関しては、場合によっては中学生で虐待を受けるなどいろいろなケースもあるわけです。子ども・若者育成支援推進法に基づきまして、いろいろな施策を講じていくわけですが、そのような面においては、まだ小さな子どもが排除されているわけではありませんので、若干重なる面も出てくるかもしれませんが、先ほどご説明したように、子ども・子育て新システムは、まさに子ども手当は中学生までが対象でございますが、幼保一体給付は就学前、むしろここはいろいろ報道もされているところでございます。インテンシブに議論を進めている状況でございます。

○小杉委員
 先ほど社会的養護もここに含まれるという感じで捉えたのですが、例えば実際に今、引きこもり支援をしている団体は、一方で社会的養護のホームを運営するとか、実態のトラブルを抱えた子どもたちは、かなり連続した存在なのです。ですから、支援をしているような組織が、社会的養護の中に入るような自立援助ホーム。日本の15歳18歳くらいになってから外に出て行ったときに受け入れるホームがありますよね。そのようなホームも実際に受けて運営しているという現実の支援をしている人たちが、かなり連続的な支援をしているという実態があって、それぞれの国の中での違うシステムと位置付けられるものが、現場に行くとかなり同じところで支援しているところにかかってくるという、その影響を受けている存在は一つだというところがあると思います。そこのところは運用上の問題となると思いますが、別々のシステムとしないで、あるところで共通で実際にこのお金はこちらからきているのだからこうでなければ駄目だということをうまく整理できる仕組みがあってほしいと思います。以上です。

○大日向部会長
 わかりました。ありがとうございます。では榊原委員、お願いします。

○榊原委員
 まず一つ教えていただきたいのが、予算案の説明のところで、子ども・子育てビジョンに従って、毎年5万人ずつの保育の定員枠の増を図っていく、その予算ですというご説明があったのですが、これは新年度で5万人の定員増を図れる目途がどれくらいあるのかを教えていただきたいというのが質問です。
 それから新システムの関係ですが、これまで少子化対策というくくり方の中で、子育て支援をやってきた政策の進め方を、全く新しい概念の中で新システムという形で進めて転換されようとしていることを私は非常に支持していますし、先進福祉国家の皆さまがやっているような普遍的な家族政策に近づく大きな転換点にあるだろうと期待しているところです。ただ議論はとても大きな政策を全般的に網羅しながら転換を図る。しかも、財源を取り付ける大変難しいお仕事をされているから、完成したものをいきなり求めるのは大変難しいと思いますが、それでも取りこぼしてきている議論の中で幾つか気になっていることがあります。
 その一つが、こども指針との関係になるのですけれども、今、すべての子どもに幼児教育が必要である。保育が必要であるというときの、今の日本の子どもたちに必要な教育、特に就学前に必要な教育とは何なのか。なぜ今、全員にどのような教育を提供する必要があるのか。だから公費の投入が必要なのだというところが、少なくとも当事者である国民には伝わっていないし見えていないし、私が取材していても見えてこないことがあります。保育の方もそうです。保育の方はどちらかといえば待機児童とかいろいろなところで、しかも先立って2年間議論されてきたので相当議論がきちんと積み重ねられているという印象を持っているのですが、幼児教育の方は例えばOECDなどは大分前から、今の特に高度に発達した科学技術、産業体系を持つ国々では、子どもたちの教育は、義務教育からのこれまでの体系では不十分である。それを前倒しでやる必要があるのではないかという議論の中で、例えばフランスにしてもイギリスにしても就学前の教育ということを国家として考えた上で、このように提供しようと取り組んでいるという流れがあったと私は理解しているのです。一方で、同じOECDの議論の中に入っていながら、北欧のフィンランドだったと思いますけれども、小児精神科医など子どもの発達の専門家の方々が国の中でさんざん議論した揚げ句、教育は6歳からだと決めて、それまで充実した保育を提供していくことを国家として選択している国もあります。
 自分たちの子どもに、教育をどの段階からどのように提供していく必要があるのかをきちんと詰めた上で、だからこのようなシステムにしていくというステップがないまま、どうも走り出そうとされているのではないかという印象を持っていまして、こども指針の議論がまだ追いついていないことも関係していると思うのですけれども、枠組みの議論と別に、幼児教育が今なぜ必要なのか。どういったものが必要なのかという議論を早急にもっと詰めてもらいたいという希望を持っています。それがきちんと発信できるようになったら、税負担しなければいけない人たちも、今までは自分は保育園で満足していた、幼稚園だけで満足していた人たちにも、なぜこのようなシステムの転換が必要なのかがようやく理解できるようになると思うので、そういったきちんとした専門家の方たちとの検討と情報発信も、このシステムに追いかける形になるのかもしれないのですが、ぜひやってほしいと希望しています。
 それから、保育の方も、まず現象として出ている待機児童の解消という待ったなしの課題に応えるために、こういった自立の転換が必要であるというのは私も賛成だし、やっていただきたいと思っているのですが、何人かの委員のお話にも出ているように、保育に欠ける子どもたちに保育を提供するという60年前にできた児童福祉の発想の保育の提供の仕方をまだ続けるのかどうかという疑問が若干あります。今の日本の子どもたちに必要な保育は、恐らく親が就労していて家庭内で養育してくれる人がいないから保育という部分だけでは足りなくなっていて、集団で育ち合う機会、育ち合う場が必要であって、その機会保障としての保育という面も恐らく必要になってきているだろう。それは同じような長時間保育が必要かどうかは全然別だと思いますが、そういった面からの保育の議論も、今回この制度ができた後になるのかもしれないのですが、ぜひ併せてやっていただきたいと思っています。
 それから、社会的養護についてのご指摘が他の委員からも出ていたのですけれども、せっかく子ども・子育て新システムの中で、いろいろな施策、子どもへのサービス、物質の向上も財源をもってきてしようという議論の中で、確実に引き上げてもらいたいのが社会的養護の世界です。そうでないと本当にすべての子どもにはならないと思っていて、今の児童福祉の書きぶりを見ていても本当に古いです。今の児童養護施設の子どもたちの措置の基準が、1週間に入浴は2日以上にしましょうとか、子どもの面積基準にしても、老人の方と比べてもとても低いということを、私も調べて教えていただけばいただくほどびっくりするくらい古い。それをせめて福祉先進国の方たちの社会的養護の水準を目指して引き上げていくことがとても必要で、その中で恐らく引き上がってくるのは、施設依存になっている社会的養護の子どもたちの措置のあり方を厚生労働省も方針転換で出していらっしゃるけれども、家庭的な養育に急速に舵を切ることが併せて必要だと思うので、それも進めていただきたいというのが一つです。
 長くなって申し訳ないのですがもう1点だけ。新システムが稼動していく中で本当に大事になってくると思っているのが、子ども・子育て会議の機能をどのように持たせるかというところだと思っています。議論の時間が足りないこともあって、新システムの法案が出て成立したにしても、恐らく100%議論を尽くした上でのスタートにはならないだろうというときに、メンテナンスを機動的にして改善をきちんとしていけるようなシステムが中にビルトインされることがとても大事で、フランスの家族政策がなぜあれだけ良いのかというと、子ども・子育て会議が参考にされているフランスの全国家族会議の仕組みがあると思います。何かというと、あれは政府内にできている会議ではないと私は理解していまして、あれは政府と議会にまたがったところにつくってあるのです。そこに社会の中の子どものステークホルダーの施設が相当入っているということがあります。政府の首相や関係閣僚だけではなくて、議会側の主要な与野党のトップの人たちと、議会の日本でいう厚生労働委員長や文部科学委員長、国会対策委員長のような議会のそれぞれのフィールドの法案の取りまとめをする責任者の人が入っているのです。ですから、ここの会議で決まったことは議会もスルーして行く。ここで決まったことは政府も議会もみんなのんだ話としてすぐに実行に移せるという仕組みになっている。日本の政府でも社会保障改革が進まないところを突破していくために、国会の人たちにも入ってもらった形で、社会保障会議をつくっていこうという議論があるのですが、全く同じことを要請されていると思っていまして、政権交代があったから子ども・子育て新システムの色合いをこちらからこちらに変えましょうということが起きないように、普遍的に国民全員が支持できるようなものを、きちんと普遍的に、与野党がどんなに政権交代があってもやれるような仕組みにしていくためにも、政府内だけで抱え込むのではなくて、議会も巻き込むような仕組みに本当ならしていってもらいたい。ただ、ここは新システムの議論をする場ではないので、ここでこのようなことを言ってもどうなるのかわからないのですが、今後どのような仕組みにしていくのかというときにぜひ考えていただきたいと希望しています。

○大日向部会長
 時間の関係もございますが、新システムの方も議論の過程ですので、お答えできることの限界があるかと思いますが、お答えできる範囲で、よろしくお願いします。

○今里保育課長
 まず保育所の整備の観点でございます。子ども・子育てビジョンでは、毎年約5万人の保育サービスの定員を増やす。それは当然運営費として確保しているわけですが、それは入れ物の方というと言い方は変ですが、つくらなければいけないわけです。それは先ほど予算のところでも説明させていただきましたように「待機児童ゼロ特命チーム」のプロジェクトで、今までにない形の新しい保育のサービスの提供の仕方を考えておりますし、地方の方で使い勝手が良いといっていろいろ整備に使っていただいている安心こども基金も、当初は平成22年度末までということでございましたが、これを延長すると同時に上乗せもするということで、地方でさらに取り組んでいただけると私どもは考えております。
 それから、非常に広範なお尋ねでありましたけれども、幼児教育の重要性ということは制度的にいえば、例えば教育基本法の改正などのときに、そういった論点が過去にあったかと思います。それを受けて、例えば幼児教育を無償化してはどうかという議論も一部にあったところで、その流れの中で今回すべての子どもに幼児教育と保育を保障していこうという考え方の枠組みはそのように進んでいるところでございます。
 では、中身をどうするのかということでございますが、これはまさにこども指針の検討に負うところが多いわけです。ただ、考え方として必ず出てまいりますのは、子どもの一生の育ちを考えて、そのときに幼児期にどのようなことを身に付けておくか。知識だけではなくて心情や意欲・態度、そのようなことを含めてどのようなことを身に付けておくのが大切かをきちんと議論して、それをこども指針に具現化していきましょうという方向性でやっておりますので、今おっしゃいました事柄については踏まえながら、頭に置いて進めていくことになると思います。

○黒田少子化対策企画室長
 続きまして、子ども・子育て会議と新システムと社会的養護の関係についてお尋ねがありました。子ども・子育て会議は新しい仕組みができた後に、国・地方自治体の中に、自治体の関係者それから幼稚園・保育園などの実際にそれにかかわる事業をやっている方々、子育ての当事者などが参加された場をつくって、そこが国及び自治体の子ども・子育て政策の立案の段階から、実際にそれが立案された後こうした制度のチェック、費用対効果の確認、検証、それを次のステップに生かしていく。全般にかかわるものとしてつくっていきたいということで、今、議論されているものでございます。行政でプランをつくる場合には、大抵議論の場はできるわけですが、プランをつくったら一区切り、その次に稼動するのは、その次のプランをつくるとき、というスタイルが比較的多かったように思います。この仕組みの検討の中では、つくったらおしまいではなくて、つくる過程からつくった後まで、定点観測するというイメージの機関としてやっていく。当事者が最初からかかわった形をビルトインした形でつくっていきたいということで、先月も議論がございましたし、その機関の肉付け、具体的な機能、法令上与える権能について議論を進めていくということでございます。
 社会的養護の関係のお尋ねがございました。社会的養護につきましては、この新しい仕組み、幼保一体化などを含めた子育て支援をしていく上でも、そこに漏れなく子どもたちを支えることができるような仕組みが必要だということで、幼保一体化を含めた仕組みと保育・社会的養護の仕組みは十分連携をとってやっていくことが必要だという大前提の中で、県の役割、市町村の役割が議論されているということでございます。
 質の話につきましては、トータルとしては財源との関連が出てまいりますので、量の拡充、質の拡充、両方の社会的要請が非常に強いと思いますので、子どもという大きなくくりでくくったところで、新しい社会保障の機能拡充という中で位置付けられるように、これから議論を進めていくというところです。

○大日向部会長
 まだ、ご質問がおありかもしれませんが、ただ今の社会的養護に関しては、次にもう一つ、事務局よりご説明をお願いすることになっています。社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会及び児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会でのご議論に関しまして、事務局よりご説明いただく方に移ってもよろしいでしょうか。よろしくお願いします。

○高橋家庭福祉課長
 家庭福祉課長の高橋でございます。資料4以降に社会的養護の関係の今の検討状況の資料をお配りしてございます。資料4でございますが、社会的養護の充実の検討についてですが、これまで社会保障審議会の社会的養護専門委員会で検討を進めているわけですが、直近では12月7日に開催いたしまして、さまざまな課題についての議論の詰めのスタートをしたところでございます。その後、もう少し開催頻度を上げて集中的に検討しようということで、社会的養護専門委員会と連動して検討する小委員会的なものを新規に1月につくりまして、「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」をつくりまして、1月28日、2月15日と集中的に検討を始めたところでございます。この中で、幾つかの検討事項として、当面すぐにやること、中長期的な課題として成立するものに取り組んでおりますが、まずは最低基準の、先ほど榊原委員からもありましたけれども、戦後すぐの規定がそのまま残っているということがありますので、最低基準の省令の見直しをすぐにできるものをすぐやるということで、まずは今の予算措置費や整備費の水準の範囲内でできる見直しはすぐやろうということで、第1回・第2回と議論を進めてきました。3月の社会的養護専門委員会で改正案を取りまとめた上で、早急に省令改正をしたいと思っています。
 次の3ですけれども、さらに今年・来年の予算の中で、実施要綱などを見直すことによって、さまざまな事業の改善ができる点、運用改善ができる点についても今、総ざらいの作業をやりまして、小規模グループケアの実施要件の緩和や里親ガイドラインの策定、また、来年には施設ごとの運営指針の策定、そういう新しい予算がなくてもできることがたくさんありますので、そこのところをやっているところでございます。
 4の「課題と将来像」につきましては、まさに人員配置が足りないとか予算が大きく要るような部分もございます。また施設間の連携のあり方や市町村と都道府県の連携など、さまざまな課題がありますので、そこのところを集中的に議論していくところでございます。
 次に、資料5-1で最低基準につきまして、どのような議論をしているかをご紹介させていただきます。資料5-1当面の見直し案の概要でございます。現在の措置費で、職員の配置をさまざま加算しております。施設の最低基準をいろいろの措置費で加算しております。加算という仕組みでございますので、実際に置かない施設もあるわけです。そのような意味で措置費で予算上は置けるのにということにつきましても最低基準化しまして、例えばファミリーソーシャルワーカー、家庭支援専門相談員、あるいは一定の要件の下での心理療法担当職員、このようなものを最低基準化していく。
 次のページでございますけれども、施設の基準につきましても、例えば居室の面積基準、児童養護施設ですと、1人3.3平方メートル以上というものがございます。3.3平方メートル、畳2畳分の範囲ですけれども、これは実際の分布、これは1人部屋ですと非常に狭いですが、3人部屋4人部屋がありますので、このような面積になっていますが、それでもこの基準ではいかにもということがありますので、いろいろ文献などを見まして畳3畳分、4.95平方メートル。2人部屋ですと6畳ということになるのですが、このようなものへの引き上げを行う。
 次のページでは居室定員です。これも15人以下という規定のままになっておりまして、昔の孤児院の時代の名残りでもないわけでございますが、現在、中学・高校生は基本は個室化を図っていくということであります。小さい幼児ですと4人部屋6人部屋がまだありますので、4人以下という原則に直していくという改正をしていきたいと思っています。
 次のページでございますが、施設の理念的な規定が最低基準の中にはございます。そういうところも非常に規定が古かったりします。例えば乳児院のところですと、養育の内容につきましては、幼児の健全な発育とありますが、おむつ交換について比較的物理的なことが書いてあったりするわけでございますが、もう少し心身・社会性の健全な発達とか、そのようなもう少し深い言葉に変えたいと思っていますし、母子生活支援施設においても親子関係の再構築を図るとか、児童養護施設につきましても、職業訓練的な言葉が多かったものを、児童に対して安定した生活環境の保障、生活指導・学習、職業に関する指導、家庭環境の調整というような最低基準の言葉も施設運営の理念の中心になりますので、そこのところの規定を変える。また最低基準の中には入浴の回数が週2回以上という古めかしい言葉もあったりします。そのようなところもこの際に見直していきたいと思っています。
 時間の関係上、関係の資料の細かいものは抜いていますが、ここは若干省略させていただきまして、資料6です。資料6は「社会的養護の充実のために早急に実施する事項について」です。若干細かくなりますので詳細は省略しますが、小規模グループケアの推進でございますとか、自立援助ホームの経営の安定化、そのために今の予算の執行の仕方で改善できるものはいろいろやっていこうという意気込みです。
 次の資料7でございます。課題と将来像として、さまざまな論点を挙げておりますが、大きいポイントだけをかいつまんで申し上げます。1枚おめくりいただきまして、3ページに図が付いておりますけれども、社会的養護は、まず家庭で虐待が起きますと、その手前の部分は市町村の虐待防止ネットワークや市町村の子育て支援事業、まさに子ども・子育て新システムの中の市町村事業のようなものでございます。このようなところと連携を図りまして、下の家庭から離した施設養護のところへ。施設養護もできるだけこれから里親や家庭的養護に移していくわけでございまして、そこのところを大きく三つの柱を連携しながらという視野の下で構築を図っていくということです。
 次のページでございますが、今までは施設養護を非常に大規模な単位でやっておりますので、施設はできるだけ小さくして高機能化していく。ファミリーホームや里親などの地域支援を変えていく。そのような図柄を考えています。その後は若干施設類型ごとの細かい論点などを掲載しておりますので、説明は省略させていただきます。
 12ページには里親委託の推進ということで、日本ではまだ里親の水準が、施設が9割に対して里親は1割です。欧米ですと里親が3~6割くらい。あるいは9割がたが家庭的養護の取組でございます。そのような意味で、このところをさまざまな支援をしながら伸ばしていくような体制づくり。そのようなことでございます。
 次の14ページは施設運営の質の向上です。あるいは専門職員の専門性の向上、自立支援策の向上、そのようなさまざまな論点をいろいろ詰めて、春先にはまとめていきたいというようなことで進めております。以上でございます。

○大日向部会長
 ありがとうございました。ただ今の事務局のご説明に対して、ご質問等がありますか。
 では、吉田委員。

○吉田委員
 素朴な確認だけの質問でございます。保育に関する最低基準が、地方条例委任という方向になっています。社会的養護に関しては、どのようになっているのでしょうか。

○高橋家庭福祉課長
 同じく社会的養護の最低基準につきましても、今の国会に地域主権の法律が出ておりますので、地域主権改革の法律が通りますと条例委任になります。従いまして、その前に今の最低基準を新しいものに書き換えておく作業があります。そのような意味で、急いでできるものは早く直したいということでやっています。

○吉田委員
 社会的養護はあまり詳しくないのですが、保育に関する部分は基本的には従うべき基準で実質的にはしっかり担保できるのですが、待機児童等の関係もあるのでしょう。条件付き、かなり限定的に施設面積等については、それを外せる部分があって、社会的養護は極めて福祉的に捉えなければいけないという意味で、その辺はどのようになっているのでしょうか。

○高橋家庭福祉課長
 そこにつきましては、人員配置や面積基準は従うべき基準でございます。そこは条例化してもしっかり担保できるようにやっていきたいと思っています。

○大日向部会長
 他は、よろしいですか。
 それでは定刻となりました。本日の議題はすべて終了いたしましたので、本日はこれで閉会したいと思います。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

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03-5253-1111(内線7826)

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