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2011年1月25日 第22回高度医療評価会議 議事録

医政局

○日時

平成23年1月25日(火)10:30~12:30


○場所

厚生労働省  共用第8会議室(9階)


○出席者

猿田座長、山口座長代理、伊藤構成員、金子構成員
佐藤構成員、柴田構成員、関原構成員、竹内構成員
田島構成員、葉梨構成員、堀田構成員、山中構成員
山本構成員、高嶋技術委員、寺本技術委員、本田技術委員
(事務局)
医政局研究開発振興課長、医政局研究開発振興課治験推進室長
医政局研究開発振興課高度医療専門官・治験推進室長補佐
医政局研究開発振興課高度医療係長
保険局医療課企画官、保険局医療課課長補佐
医薬食品局審査管理課 医療機器審査管理室長補佐

○議題

1.第21回会議にて継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2.申請技術の評価結果等について
3.協力医療機関の追加について
4.第3項先進医療に係る取り下げについて
5.その他

○議事

○猿田座長
 おはようございます。それでは、時間がまいりましたので、第22回高度医療評価会議を始めさせていただきます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ、また、寒い中をご出席いただきまして、どうもありがとうございました。
 本日の構成員の出欠状況でございますが、川上構成員、永井構成員、藤原構成員、村上構成員、林構成員からはご欠席との連絡をいただいています。そして、技術委員といたしまして本田技術委員、後ほど一言お言葉をいただきますが四国がんセンターの名誉院長である高嶋成光委員、日本医科大学大学院医学研究科長・脳神経外科主任教授である寺本明技術委員にご出席していただいております。
 それでは、新しく来られました四国がんセンター名誉院長の高嶋先生、一言お願いいたします。
○高嶋技術委員
 高嶋でございます。今回初めてこういう場に出席させていただきましたが、今後ともよろしくお願いいたします。
○猿田座長
 よろしくお願いいたします。続きまして、日本医科大学大学院医学研究科長の寺本先生、よろしくお願いいたします。
○寺本技術委員
 日本医大脳神経外科の寺本でございます。専門は脳腫瘍でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○猿田座長
 どうぞよろしくお願いいたします。それでは、早速ですが。今日は事務局のほうからいろいろ資料がありますが、資料の確認、その他、お願いいたします。
○事務局
 それでは、配付資料について確認いたします。まず、議事次第から始まって、座席表とありますが、今回は別刷りとして付けさせていただいています。その次に、開催要綱、構成員、技術委員名簿と続きます。次に、第21回会議にて継続審議の評価を受けた技術の再評価結果として資料1-1から1-4と続きます。その次ですが、新規申請技術の評価結果として資料2-1から2-8まであります。その次に、協力医療機関の追加について資料3があります。その次に、第3項先進医療に係る取り下げについて資料4があります。次に、世界に先駆けた革新的新薬・医療機器創出のための臨床試験拠点の整備事業について資料5があります。最後に、参考資料として1~4まで付けてあります。本日の資料は以上です。過不足等がありましたら、事務局までお知らせいただくようお願いいたします。
 利益相反について確認します。対象となる医薬品及び医療機器の企業等について、資料1-1及び2-1に記載している医薬品・医療機器情報をご覧ください。資料1-1は5頁となりまして、資料2-1が26頁となります。対象となる企業又は競合企業に関して、事前に確認をしております。事前の届け出以外に、特別に関与するような事例はありませんか。
                (確認)
○事務局
 該当なしということでよろしいでしょうか。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。お手元の資料はよろしいでしょうか。今日は資料が多いですが、もしよろしければ、早速この議事次第に従いまして、第1番目、第21回の会議で継続審議の評価を受けた技術の再評価結果ということで、事務局のほうからご説明をお願いいたします。
○事務局
 事務局より説明いたします。なお、撮影されている傍聴者の方はここまでとさせていただきますので、お願いいたします。
 では、5頁の資料1-1をご覧ください。「第21回会議にて継続審議の評価を受けた技術の再評価結果」としまして、整理番号030番、高度医療名は脳放射線壊死に対する核医学的診断とベバシズマブなどの静脈内投与による治療です。適応症は、原発性および転移性脳腫瘍もしくは隣接臓器に対する脳放射線治療後に生じた脳放射線壊死が対象となっています。申請医療機関は大阪医科大学附属病院です。協力医療機関として京都大学医学部附属病院、社会医療法人厚生会木沢記念病院の2機関に変更されて申請しています。核医学的診断とありますが、申請する医療機関は合成装置を使用いたします。こちらの機器については薬事法上未承認となっています。審査担当構成員としまして、主担当に柴田構成員、副担当として、村上構成員、田島構成員、技術委員として、本田技術委員、寺本技術委員が審議に加わっています。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。早速ですが、整理番号030の再評価ということで、柴田構成員に主担当していただきました。柴田先生のほうからよろしくお願いいたします。
○柴田構成員
 国立がん研究センターの柴田です。こちらを担当いたしましたのでご説明いたします。これは先ほど事務局のほうからも説明があったように、前回継続審議となったものですが、その後、申請者の先生方と照会事項をやりとりして、その結果をとりまとめました。お手元の資料1-2の6頁からご覧ください。再評価表、番号030となります。高度医療の名称等については省略しますが、実施体制の評価は村上先生にお願いいたしました。こちらはいずれも「適」とのご判断をいただいています。コメント欄には、3施設で実施することは適切であると考える旨を記していただいていて、なお書きとして、プロトコールには記載されていますが、第21回会議照会事項3への回答にある、「ベバシズマブの投予経験の豊富な医師の参加も義務づけるものとする」との旨を高度医療申請様式第9号にも記載していただくことを求める、と、これは念のための確認だと思いますが、記していただいています。
 実施体制の評価については、本田先生、寺本先生にもご確認いただいていますが、いずれも「適」とのご判断をいただいています。
本田先生からのコメント欄では、問題であった転移性脳腫瘍での出血発症率がベバシズマブに左右されないことが論文として報告されていること、脳への放射線治療患者は原発腫瘍よりも転移性腫瘍の患者のほうが多く、定位照射により長期予防が期待される患者さんが多いこと、放射線壊死そのものが易出血性であるので注意を要するものの、転移性脳腫瘍が原因疾患である症候性脳放射線壊死も含めてよろしいのではないか、とのご指摘をいただいています。添付文書での「原則禁忌」に関しては、患者への説明等、規定は必要であること、また、限定された施設から開始することは適切と判定することをご指摘いただいて、実施体制は満足するべき体制が整っているとのご判断をいただいております。
 寺本先生からは、同じくすべて「適」をいただいておりますが、申請者からの回答とともに、本治療法は転移性脳腫瘍に対して脳出血の発症を助長しないとの結果の論文が最近報告されたこと、ただし、ベバシズマブの現行の添付文書の中に、原則禁忌と明記されている事実が懸念されることについてご指摘をいただいています。医学的あるいは統計的には、確かに脳出血を有意に惹起はしないかもしれないが、そもそも脳出血発症が想定される病態であるので、試験症例中に重篤な脳腫瘍が偶発した場合の対応だけは考えておかねばならない旨のご指摘をいただいております。転移性脳腫瘍の患者と家族に対しては、特に脳出血のリスク、添付文書の記載内容とその今日的解釈を十分に理解してもらう必要があるとのご指摘でした。
田島先生からは、倫理的観点からの評価ですが、いずれについても「適」をいただいています。
 プロトコールの評価に関しては私が担当しましたが、やりとりの結果、すべて「適」としてよいと判断いたしました。コメント欄についてかいつまんでご説明しますと、CRFの内容とか回収方法・回収時期等を具体的に定義していただくように求めましたが、複数ある施設で同時並行的に被験者への治療が行われうる多施設臨床試験を実施する上で丁寧に詰めておいていただかないと、有効性の評価のみならず、患者さんに対する安全性の管理という面でも問題が生じうると思うので、ここの所は重要な論点であると考えています。
 解析方法等については、もう少し丁寧に記載する余地が残っているとは考えますが、主要評価項目の解析方法は明確にされていること、また、主要評価項目で統計学的に有意な結果が得られたとしても、それは臨床的にどう意義づけられるのか、当然、解釈が必要で、そういうことについてもきちんと検討する旨を臨床試験実施計画書に記されていることから、内容としては許容しうるものと考えました。臨床試験の対象となる被験者の範囲、あるいは、施設をどこまで広げるかは前回の大きな論点だったと思いますが、現在選択可能な治療法の下でのunmet medical needsが明らかにされて、試験治療によって期待されるベネフィットであるとかリスクを改めて考察された上で、再検討した上での結果として現在の書類が出されていますので、これら及びその他の事項も含めて、修正を要する箇所について適切にお答えをいただいたと判断して、いずれの項目も「適」といたしました。
 総評ですが、すべての評価担当の先生方のご判断も総合して、今回は「適」としてよいのではないかと判断いたしました。以上です。
○猿田座長
 柴田先生、どうもありがとうございました。いまご説明していただきましたが、各先生方に見ていただいて、それから、この前のときに修正をお願いした箇所が適切に対応されていて、総括的にはこれでよろしいのではないかということですが、各員の先生方のご意見を伺いたいと思います。田島先生、ご意見はありますか。
○田島構成員
 前回、必要な補正をしていただきましたので、私はこれで結構です。
○猿田座長
 ありがとうございました。村上先生は今日ご欠席で、紙に書いてあるとおりでいいと思います。
 すみませんが、技術委員の本田先生のほうからお願いいたします。
○本田技術委員
 私もご紹介いただいたように、コメント欄に記載しているとおり、「適」と判断しております。
○猿田座長
 他に、コメントはありますか。
○本田技術委員
 特にありません。
○猿田座長
 寺本先生、よろしくお願いいたします。
○寺本技術委員
 前回のコメントで、私は、できれば原発性脳腫瘍から始めたほうがいいのではないかと申し上げたのですが、こういうエビデンスも出てきていますし、一つ懸念されるのは、添付文書の中の原則禁忌という文言が非常に重いと思います。やはり患者さんないしご家族がご覧になるわけで、その点に関して、最初、スタートするときにしっかりと説明しておかないと、いろいろ問題が起きるのではないかと、その点だけです。
基本的には私どもの分野では転移性腫瘍にも是非使わせていただきたいと考えております。
○猿田座長
 特に脳出血の問題ですね。そこをいちばん注意してということですね。
○寺本技術委員
 はい。
○猿田座長
 ありがとうございました。そういったことで、審査にあたっている先生方、それぞれ各立場から、これでよろしいのではないかということですが、委員の先生方、どなたかご意見はありますか。
○堀田構成員
 名古屋医療センターの堀田です。前回は参加できなかったので、確認させていただきます。このものは新技術として、ベバシズマブを適応外でもちいた放射線治療後の脳壊死に対しての保護作用なのでしょうが、診断でPETを使って、浮腫が活動性の腫瘍によるものなのか、あるいは壊死によるものなのかを見分けることになっています。通常のFDGではなくて、メチオニンとかフェニールアラニンなどの、アミノ酸をトレーサーとするということです。これもまだ保険でやれない技術なのですが、これを含めての新技術と理解していいかどうかを確認したいと思います。
○猿田座長
 ありがとうございました。その点は。
○事務局
 診断も含めての新技術ということでよろしいかと思います。
○猿田座長
 ありがとうございました。本田先生、あるいは寺本先生、いまの、特に鑑別が難しいというところで、何かご意見はありますか。
○寺本技術委員
 PETで診断しておりますが、私どもはPETセンターを持っているからできるのですが、必ずしも、どの施設でも診断ができるわけではないと思います。
○本田技術委員
 FDG-PET、あるいはFDG-PETとMRIを加えた報告がないわけではありませんが、申請者からも記載があるように、現状ではC-MetまたはF-BPAをトレーサーとして使PET検査がもっとも妥当だろうと判断しました。
○猿田座長
 ありがとうございました。というご意見でよろしいですか。厚生労働省側としてはいまの形でいいということで、技術的にも、いまの段階ではこの方法でということです。他にご意見はありませんか。もしないようでしたら、この形で修正していただいたということでお認めしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                  (承認)
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは、この030に関してはお認めいただいたということで、「適」としたいと思います。委員の先生方、ありがとうございました。
 次でございます。やはりこれも、最初に事務局のほうからご説明していただきましょうか。よろしくお願いします。
○事務局
 26頁の資料2-1をご覧ください。「新規申請技術の評価結果」としまして、整理番号031、高度医療名はエストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するティーエスワン(TS-1)術後療法です。適応症は乳がんが対象となっています。申請医療機関は京都大学医学部附属病院です。審査担当構成員としまして、主担当に山中構成員、副担当として、堀田構成員、佐藤構成員、技術委員として高嶋技術委員に審議に加わっていただきました。
 続きまして、整理番号032、高度医療名は心筋梗塞の急性期患者に対するエポエチンベータ投与による心機能改善効果です。適応症は、急性心筋梗塞の急性期の再灌流障害が対象となっています。申請医療機関は大阪大学医学部附属病院です。協力医療機関として、新潟大学医歯学総合病院、昭和大学藤が丘病院となっています。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。本日は新しい案件が2つ、031、032があります。まず最初に、エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するティーエスワン(TS-1)術後療法に関しまして、総括的に山中構成員に見ていただきました。山中構成員から発言をお願いします。
○山中構成員
 九州がんセンターの山中です。主担当を務めさせていただいています。お手元の資料2-2をご覧ください。先ほど言われましたように番号は031、エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するティーエスワン(TS-1)術後療法です。概略について簡単にご説明します。
 本申請は、ホルモン陽性かつHER2陰性の早期乳がんに対して外科切除を行うわけですが、その切除を行った後の補助療法に関する臨床試験です。外科切除の後、再発リスクが中程度ないし高いと予測される患者さんを対象として、通常、この集団に対して標準的な補助療法は内分泌療法単独、あるいは化学療法を一旦やってその後に内分泌療法をやるというものです。それが標準的な補助療法ですが、この内分泌療法を実施するときに、TS-1という化学療法剤を上乗せすることの意義を検討するという内容です。内分泌療法部分がベースにあって、そこにTS-1の上乗せの有り無しを比較しようという、ランダム化比較試験です。予定登録数は、2群全体で1,400例となっています。
 TS-1の現在の承認状況について、簡単にご説明します。まず日本では、乳がんは進行再発性のものに適応があります。その他、胃がん、大腸がん、肺がんなど、複数のがん種に対して適応があります。一方、米国や欧州ですが、現時点ではあらゆるがん種に対してTS-1の適応はありません。あと、調べてみたのですが、アジアの一部の地域、韓国や中国、シンガポールとかでは、胃がんなどに対し使用されているようです。まとめますと、乳がんにおいては、本邦で進行再発性に対する適応があるのみです。乳がんアジュバントに対するこの試験から、術後乳がんへの適応拡大の公知申請につながることを期待しての申請です。
 審査結果です。実施体制については堀田先生と高嶋先生に、倫理面は佐藤先生にご審査をいただきました。お三方の先生からは後ほどコメントを賜りたいと思いますが、いずれも「適」との評価をいただいています。
 プロトコールの評価については私のほうで審査をしました。6番から16番まで、いずれも「適」と判断しています。臨床試験の実施計画書はよく検討されていると思います。あと、データセンターによる中央モニタリングや統計解析の実施、さらに、監査の実施もきちんと担保されているようなので、質の高い試験の実施を期待します。以上により、本審査に対する総合評価は「適」と判断しました。
○猿田座長
 ありがとうございました。いまお話のように、山中先生からは、全体的には「適」ということです。
 それでは、それぞれの担当の各先生からコメントをいただきます。まず堀田先生、お願いします。
○堀田構成員
 それでは、実施体制の評価についての評価をいたしましたので、ご報告申し上げます。まず、1番目の実施責任医師等の体制については、申請機関あるいは協力機関を含めて、いずれも日本の乳がん領域における代表的な施設でもあり、また、研究者でもあることから、医師等の体制については問題ないとの評価をしました。また、実施医療機関についても、申請医療機関あるいは協力機関が、特定機能病院もしくはがん診療連携拠点病院で、がんの臨床並びに研究について十分な体制がとれていると評価しました。また、当該技術の有用性については、いま山中先生からご紹介がありましたように、ER陽性・HER2陰性の乳がんは、HER2が陰性だけに少し取り残された状況にある中で、再発のリスクが非常に高いものについては術後化学療法として、UFTが期待されるデータが出ております。これに対して、TS-1は我が国で開発されたもので、ある意味で国際的にはまだ十分に浸透していない薬剤ですが、UFTよりもさらに高い再発抑制効果が期待されている状況からいいますと、大規模なランダム化試験で有用性が検証できれば、新しいエビデンスになると考えています。そういう意味で、有用性は十分にあると評価いたしました。
○猿田座長
 ありがとうございました。堀田先生から説明していただきましたが、後ほどまた委員の先生方から質問を受けることとして、高嶋先生、すみません。
○高嶋技術委員
 四国がんセンターの高嶋です。乳がんを専門にしています。堀田先生から言われましたように、実施責任医師あるいは医療機関についてはまったく問題ありません。ただ、この試験が3年間で1,400例という大規模な比較試験です。この施設はたくさんの症例を持っていますが、それとともに、多くの治験あるいは臨床研究を抱えており、症例数に見合った登録がこの試験にされるかどうかという危惧が少しあります。その意味で、協力施設を100施設ほど増やすと書いてありますが、やはりその際にも施設の選定には十分に注意をしていただきたいと思います。
 医療技術については、これも堀田先生から説明がありましたが、HER2陰性、ER陽性の乳がんというのは乳がんの大部分、かなり多くのポピュレーションを占めています。これの予後が改善すれば、乳がん全体の予後を大きく改善することが期待できると思います。
 それから、これも山中先生が説明されましたように、現在の標準治療は内分泌療法、あるいは内分泌療法に化学療法を加えることになっています。我が国では一般的に内分泌療法が主体で、ハイリスクグループに対して化学療法を加えるわけですが、現在の化学療法の標準薬であるアンスラサイクリン、タキサン系がこの群に対して抵抗性であることが、これまでの臨床試験で示されています。したがって、この群に化学療法を加えるとしても、現在の標準的な化学療法を加えても再発予防効果にはそれほど大きな期待はできないわけで、新たな治療戦略が求められている状況です。UFTについてはこれまで我が国で臨床試験が行われてきましたが、これでER陽性乳がんに感受性があることがわかっていますし、さらに内分泌療法と同時併用で再発防止効果が認められています。このTS-1はUFTの抗腫瘍効果をさらに高めたものですので、ある程度期待ができるかと思います。
 この試験が大規模なランダム化第?V相試験ですので、この試験の結果がTS-1の乳がん術後補助療法の適応拡大への根拠になる可能性はあると思うので、この試験は評価したいと思います。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。副作用面とか、そういうことで何かコメントはありますか。
○高嶋技術委員
 副作用面には、よく考えて、投与期間等も1年と短くしていますし、実は胃がんでTS-1を使った治験があったので、それを参考にして十分に考えられたプロトコールだと思います。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは佐藤先生、倫理的な面からよろしくお願いします。
○佐藤構成員
 神戸学院大学の佐藤です。倫理的な観点から評価をいたしました。28頁の4と5でまとめてあるとおり、両方とも「適」と判断いたしました。参考資料の説明文書・同意書の17頁ですが、相談窓口の欄があります。これは空欄になっているバージョンで、私も当初はこちらを審査の資料としました。そこで、この欄については記入していただくように事務局を通してお願いしたのが、総評の次の頁の30頁の所です。回答がありまして、乳腺外科のCRCの名前が相談窓口として入ったというのと、協力参加施設についても、主治医以外の相談体制を設けるとの回答をいただいていますので、この相談窓口も含めて「適」と判断いたしました。以上でございます。
○猿田座長
 ありがとうございました。倫理的なほうもよろしいとのことです。それでは、また総括的に。山中先生、どうぞ。
○山中構成員
 総合評価に関しましては、あと、この会議の場で、異論がなければ「適」と判断したいと思います。ただ、高嶋先生がご指摘されたように、1,400例という、大規模な試験なので、しっかりと完遂していただきたいと思います。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。委員の先生方から、どなたかご質問はありますか。堀田先生、どうぞ。
○堀田構成員
 先ほどの、評価の所で、申し上げませんでしたが、ロードマップの問題として、最終的に公知申請という形に持っていっているわけですね。実は公知申請の条件として、「海外で十分なエビデンスがある」「国内で一定の使用実績がある」「学会からの要請がある」、いまのところこの3つが提示されています。このTS-1に関しては、実は日本で先発し、いわば日本でローカルにスタートしたという経緯があって、海外での十分なエビデンスがない状況です。そういう意味で、これだけのしっかりしたデータがもし国内から出て、きちんと検証された場合、海外データが十分でなくても公知に持っていけるものかどうかは、おそらくこのケースでは問われるだろうと思います。その辺について、当局の見解なり、そういったものが必要かと思います。
○猿田座長
 ありがとうございました。おっしゃるとおり、これは特に日本・アジア地区のということです。事務局のほうから、どなたかご意見はありますか。この形で持っていけるかどうかと。
○事務局
 今日は医薬食品局の審査管理課のほうが来ていませんが、事前に話はしておりまして、基本的には確かに堀田先生がおっしゃるように、外国でエビデンスがなくて、やはりこういった状況があって、さらに、また大規模な試験を治験でやり直すというのは、現実上かなり厳しいと思います。その中で、このような高度医療で、かなり大規模で期間も長いものですから、実際にどの程度まで質が担保できるのかという課題はあろうかと思いますが、質が担保されている前提でもって、規制当局側でどうにか活用できないものかというのは、審査管理課と相談していきたいと考えております。
○猿田座長
 ありがとうございました。実際、堀田先生がおっしゃるように、国外でやっていない場合が、これからは出てくると思います。そういったときに、これだけの症例でデータをしっかり作っていただくと前例にもなるし、こういった形で、しっかりと施設でやっていただければと。私とすれば、できるだけ早く国民のほうに届けられればという希望がありまして、しっかりとした形でやっていただければと考えています。これがまた前例になると思いますが。
○山口座長代理
 国際的には手術自体にかなり格差があって、それに薬を被せた場合、外国のデータがどれ程参考になるかは通常の薬だけの場合と違うと思います。特に胃がんなどもそうなのですが、日本のほうが圧倒的に手術単独の成績がいいので、外国でこういうデータが出たからといって、それをそのまま日本で受け入れるのはなかなか難しい状況があると思います。我が国できちっとしたデータがあれば、私は個人的にはいいのではないかと思います。
○猿田座長
 ありがとうございました。他にご意見はありませんか。
○堀田構成員
 こういうケースはこれからも出てくる可能性がありますので、国内できちんとしたデータが臨床試験というレベルで出てきた場合には、公知につながる可能性は否定しないということでお願いしたいと思います。
○猿田座長
 ありがとうございました。そうすると、あと、1,400例をこなすということで、各施設とも協力ということで、そのときの条件を厳重にするということでお認めいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
                 (承認)
○猿田座長
 それでは、この案件に関しても、新しく出たものですが、お認めいただくことにしたいと思います。どうもご協力ありがとうございました。続きまして、整理番号032です。これは山本先生に見ていただいたものです。山本先生からご説明いただけますか。
○山本構成員
 資料2-5です。39頁をご覧ください。番号032、名称は心筋梗塞の急性期患者に対するエポエチンベータ投与による心機能改善効果。申請医療機関は大阪大学医学部附属病院となっております。
 これは私と永井先生、田島先生で評価いたしました。実施体制の評価については、永井先生よりすべて「適」といただいております。本日はご欠席ですが、44頁に永井先生からの意見書があります。実施体制の評価に係るところについては「適」。エポエチンベータは少なくとも動物実験から有用性が認められている。しかし、個体差が大きく、病態も動物とは異なる臨床例での有用性は現時点では判断できないが、臨床試験を高度医療制度を用いて実施する意義はあると考える。なお、どの程度の施設で本試験を実施するのか不明確なので、研究体制の整備を行うべきと考える。全部「適」ですが、一部少し留保するところが付いているという形になっております。田島先生からは、一旦「不適」が出たのですが、その後のやり取りの中で、確認後に修正がなされたので、「適」といただいております。これに関しては、あとで田島先生にコメントをいただきたいと思います。
 私のプロトコール評価については、一部「不適」を出しております。ここで訂正させていただきたいのは、いまのところは6番の期待される適応症、効能及び効果と、8番の被験者の適格基準及び選定方法を「不適」としておりますが、それに加えて、9番の治療計画の内容も「不適」に変えさせていただきたいと思います。これは、付いている文献等を詳細に評価しましたが、1つのパイロット試験のサブグループ解析の結果のみに基づいており、適応症と被験者の選択基準ですが、LAD、左前下行枝の一枝だけの病変の患者さんだけに使うことになっております。それではなぜ左前下行枝ではない病変の方に効かないのかとか、そういう辺りの考察がありません。パイロット試験自体が、1群が20例前後の試験で、そのサブグループ解析ですので、全体で10例ぐらいの比較をされておりまして、たまたま出ている結果の可能性もあります。ほかの参考文献に付いているものにつきましては、大体同じぐらいの数で、同じぐらいの患者構成のもので、全体として結果がエポエチングループで、有意差を持ってEFは改善しているというものもあります。現時点でLAD一枝病変に絞る理由がまだはっきりとしていないと思います。というようなことを1番のほうでは書いております。ですから、適応症と言いますか、対象集団の適格性についての検討が必要と思います。
 もう1つ、治療計画につきましても、文献で付いているサブグループ解析をなされたパイロット試験は、すでにエリスロポエチンの高用量投与については、海外の試験でも全部ネガティブということになっており、今回は低用量といいますか、通常の腎性貧血に使われる程度の量で行うということで、すでに用量は変わっています。今回のパイロット試験、出されているものにつきましては、1万2,000単位の1回投与となっております。別の文献で全体として有意性が見られたものは、そうではなくて6,000単位を3回に分けて打つ形になっております。逆に、そちらでは有意差が見られているということになっております。その用量設定、あるいは投与方法も、どれがいいのかということがわかっていない状況で、検証的なデザインの試験をするには時期尚早であろうと考えておりますので、治療計画についても見直しが必要ではないかと思います。
 ロードマップについては、先ほど堀田先生からご指摘がありましたが、現時点で海外承認はありませんし、低用量におけるエビデンスもありません。現時点でこれを公知の事実にする条件は合致しません。もう1つは、前回のHER2陰性のほうは検証的な試験で、人数も多いですし、出れば大きなエビデンスになると思います。この試験は、つまり、用量設定の根拠等々がまだはっきりしていない状況で、検証的試験を1本やっても、それで高いエビデンスが得られるとは思いませんので、現状のロードマップでも、この試験1本で公知の事実に持っていくのは難しいだろうと考えます。全体として、もう少し用量設定から見直していただく。まずは探索的試験をやっていただいてから、検証的な試験に進んでいただく段階ではないかと考えて、今回は継続審議とさせていただきました。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。永井先生は今日はご欠席で、先ほどコメントを読んでいただきましたが、その辺りの議論はあれとして、田島先生からご意見をお願いします。
○田島構成員
 倫理的観点からの評価につきましては、当初、種々問題点がありましたので、別紙コメントに記載して、事務局を通じて確認を行ったところ、その後、今日まで適切に修正がなされましたので、最終的には「適」とさせていただいております。
 問題点の1つ目は、全体的に内容が簡略過ぎて、説明不足であった点です。本臨床試験の趣旨と目的、専門用語の内容、臨床試験の対象者についての選定基準について補足をしていただきました。2つ目は、説明内容の誤り、趣旨の取り違え、あるいは足らざる点がありましたので、他の治療法に関する説明、費用についての説明、個人情報の保護に関する点、利益相反の内容、参加施設の数が未記入であった点について補正をしていただきました。補償の点につきましては、当初、補償がどのような場合になされるのかについての説明が不十分、不明確でしたので、その点について補足をしていただきました。以上です。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。今日は永井委員がいらっしゃっていないのですが、私も詳細に読ませていただきまして、感じたことは、1つは山本先生からお話がありましたように、一枝病変の場合には非常に効果的ですが、多枝病変に対しての効果がはっきりしないということです。
 もう1つ、これはエリスロポエチンですから、私どもは透析患者さんに非常によく使っていて、量的に問題があるというか、それをたくさん使ったときの副作用はどうだろうかということもあって、この場合も、先ほど山本先生からご指摘をいただいたように、ある程度の用量のところでは非常にいいのですが、高用量のところでの問題はどうだろうかと。これは特に堀田先生が専門ですから、堀田先生からその辺りのご意見をお願いします。
○堀田構成員
 循環器に関してはコメントはできませんが、エリスロポエチンを使用するということで言えば、1万2,000単位の1回投与というのは、言ってみれば、それで本当に効くのというぐらいの量です。例えば、腎性貧血にしろ、ほかの貧血にしろ、使う場合には1万2,000単位を週1回とか、あるいは場合にとっては3回ぐらいで使わないと効きません。血中濃度を測ってみますと、内因性のエリスロポリチンが数10国際単位ぐらいは生理的にはあるものですから、これを打ったことによって、どのくらい血中濃度が上がって、それがどのぐらい維持されるのかが問題です。動物実験レベルでのデータはすでにありますが、人の場合も単回投与で、血中濃度がどのくらい維持するのかということがあります。
 造血刺激作用に関して言えば、エリスロポエチンが前駆細胞に作用して、最終的に網状赤血球から赤血球になるまでにタイムラグがどうしても1週間以上あります。心筋の保護作用というのがその辺はどうなっているのか、実はあまり私もよく勉強していないのですが、1回投与で6カ月間効果が持続する根拠がどこにあるのかがわからないところが、私は引っかかっていますので説明していただきたいと思います。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。貴重なご意見をいただきましたが、ほかに委員の先生方からご意見はありませんか。
○関原構成員
 先ほど田島先生が修正されたものをよく見たのですが、かなり完璧に書いてあります。ところが、この治療は、実は発症して治療を受けて6時間以内に使わないといけないわけです。急性心筋梗塞で、いままで心筋梗塞を患っていない患者にしか適応がないということは、患者は心筋梗塞についてほとんど知識がないわけです。そういう患者が救急車で運ばれて、死ぬか生きるかという緊急の治療を受けて6時間以内に、こんな詳しいものは読めないというのが率直なところです。そもそも緊急治療を受ける前にも同意書を書かされる。治療の同意と言うのですが、治してほしいから、救急車で来たのに、「この治療に同意しますか、これいいですか」なんて言われても駄目ですと言えるはずがないのと極めて似ています。当然、緊急治療はそけい部からカテーテル入れるわけですから、治療後絶対に動かないというのが、6時間以内です。そんな状態で、こんな詳しいものを見て、例えば、初めての心筋梗塞患者が前下行枝の何とかと言われても、これはほとんどわからない。ただ、医療のサイドから見ると、このくらいのことはちゃんと理解して同意してもらわなければいけないということです。先ほどのがんのTS-1の治療は、手術が終わったあとで患者はゆっくり読んで、ああでもない、こうでもないと考えて同意できるわけです。急性心筋梗塞で丁寧な同意書はいいのですが、本当に患者がこれで同意できるかどうかというのはクエスションです。仮に将来何か起こったときに、「あなた、これサインした」なんていうことは、何のエビデンスにもならないというのが、この病気だと思ったのです。
 私は前下行枝にバイパス手術を受け、そのときは前下行枝がおかしくなったら致命的と言われたものですから、この治療が前下行枝の保護にプラスになるのであれば、素人患者としてこれを読んでいてあまり違和感はなかったのです。というのが私の話です。
○猿田座長
 どうも貴重なご意見をありがとうございました。それでは山本先生、よろしいですか。
○山本構成員
 ご指摘のとおりで、循環器系の急性期の臨床試験は非常に難しいです。私たち自身も、脳卒中の急性期の数時間以内での治療の治験とか臨床試験を経験しておりますが、非常に大変です。ある程度落ち着いていらっしゃるご家族の方にもいていただいて、やはりご本人だけで決めていただくことは無理だと思います。患者さんとドクターだけでやるのではなくて、CRCさんに入っていただくということも含めて、体制としてきっちりやらないと、おっしゃっているように、同意はしたけれども何のことかわからなかったということになる可能性は十分あると思います。そこのところは体制を強化した上でやっていかないと、この領域の急性期、特に数時間以内の治療というのは一向に進まないということになってしまうので、やっていかないといけないところではあると思います。
 これは、要は急性期の心筋梗塞の治療が目的ではなくて、慢性の心不全を予防するのが目的になっております。確かに左前下行枝はいちばん領域として広いので、そこ1本が傷むことによって心不全が起こりやすいということではあると思うのですが。ただ、すでに文献2種類、文献1連の2つ目の『Circulation Journal』に出ている日本からの小澤拓也先生が第1筆者になっているパイロット試験では、全体としてはEF、Ejection Fractionの変化がコントロール群とEPO群で変わらなかったけれども、大体起こるのは、これは全部一枝病変の方をやっているのですが、これを見ていますと、ほかのもそうですが、前下行枝が大体6割ぐらい、それ以外が4割ぐらい。4割ぐらいのほとんどは右の冠動脈のほうで起こっていて、大体6対4ぐらいで起こっています。ただ、こちらのパイロット試験を見ますと、大体半々で入っているのですが、左前下行枝群では、最初のEFが低いところから始まっているのです。前下行枝でない群の人数は少ないですが、こちらを見ると、最初からEFがわりと高いのです。そういう方に打っていても、あまり変化がなかったということになっている。
 よく見ると、特にほかのところで何も言っていらっしゃらないのですが、Table5のPlasma BNP Levelを見ると、所詮EFにしてもBNPにしても、これはサロゲート・エンドポイントですので、どちらがどちらということも言えないと思いますが、BNPを見ると、逆に左前下行枝群ではControl、EPOも6カ月後にはわりと回復がいいのですが、Non-LAD のほうが逆にEPOを打っている人たちで、BNPの回復はよろしいというものが出ていたり、サロゲートのエンドポイントを何にするかで、すでにパイロット試験でも何とも言えない状況になっております。さらにこれに付いている真ん中辺ですが、2010年に出ている『Circulation Journal』に谷口先生という方が第1筆者になっておりますが、こちらは先ほど言いました6,000単位をPCIの途中と、24時間後、48時間後に打つと。さらに低用量にして、その代わり3回打って全体としては1万8,000にしております。こちらは大体人数もControlとEPOで同じぐらいで、そのLADとNon-LAD の人数の割合も大体同じぐらいですが、全体としてEFの戻りがよろしいということになっております。
 ただ、これを見ますと、Ejection Fractionの下がりが、最初がわりと低い所からいっているようにも見えると。そうであれば、ひょっとしたら、前下行枝が良いとか悪いとかではなくて、EFが非常に下がっている人に打つと効いたのかもしれないとか、結局、その辺がわからないのです。ですから、打ち方も含めて、今回の試験も検証的試験とは言え、結局サロゲートでEFで見ることになっておりますので、それだとちょっと検証的試験とは言えないのではないかと思います。まずは打ち方で1万2,000を1回がいいのか、6,000を3回がいいのか、どちらにしても、堀田先生がおっしゃるように、ヘマトクリットとか、その辺には全然効いていない量ですので、造血作用はほとんど示していないという非常に低用量だと思いますが、その低用量の中でどういう打ち方がいいのか。
 あるいはその打ち方はあまり関係なくて、これは非常に少ない人数ですので、たまたま切り出したところの患者さんの層で、EFの高い人がたまたま片群に偏ってしまって、うまく出なかったのかということも含めて、もう1度探索的試験をサロゲート・エンドポイントでやっていただいて、その上で検証的試験についてはサロゲートではなくて、もう少し急性心不全が比較的軽くて済むとか、慢性心不全にならないというところは、もう少しハードな心機能を全体として評価するやり方。いまのメインの心機能の見方というのは、6分間歩行とか、その辺りになっていると思いますので、検証的試験をされるときもエンドポイントを何にするかをよく考えていただきたいと思います。ともかく探索的にある程度これでいったほうがいいというラショナーレがある試験を1度やっていただかないと、その次に進むのは難しいのではないかと思います。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。関原委員、どうぞ。
○関原構成員
 私は山本先生のおっしゃるとおりで、大いにやったらいいと。やったらいいという意味は、急性心筋梗塞とかいう、こういう病気ではしようがないわけです。むしろ、丁寧な説明は現実的にはワークしにくいから、紙は紙としていいのですが、本当は1枚ぐらいでやらないと、本当のところ患者にはわからないということなので、これがあるからこの試験がどうとかというつもりは全くないので、それだけ申し添えます。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。山本先生からご指摘をいただきましたように、やはり患者さんの選択ということで1つの問題があります。第2番目は、エリスロポエチンの量の問題で、確かに低用量でいいのですが、果たして6,000がいいのか、あるいは1万2,000がいいのか、これも非常に重要な問題です。もちろん、多くなった場合の副作用のこともあります。もう1つは、山本先生がおっしゃったように、いまのところは探索的なことだからもう少し先をしっかり見据えた形でのプロトコールをやってもらえないだろうか、というところかと思うのです。委員の方々からご意見をいただけませんでしょうか。エリスロポエチンがこういった形で効いている。この頃はビタミンDも心臓に対して非常にいいという新たな報告も出ていますが、そういった形で確かに効果はこういったものがあるのですが、もう少し詰めていただくということかと思います。
○堀田構成員
 先ほど少し申し上げましたが、生理的にもエリスロポエチンというのは血中にあります。貧血になると、自然にそれが多量に出てきて、造血を刺激する形になっております。そうすると、こういう患者さんで少し貧血気味にしたら持続的に血中のエリスロポエチンは上がります。それで有効ではないのですかという、そのぐらいのレベルの投与量です。その考察をしてあるのかどうかというのもわかりませんでした。わざわざエリスロポエチンを打たなければいけないのかということも含めて、その辺はしっかり理論的な構築をしていただきたいと思います。
○猿田座長
 その辺りは、もう1回申請施設のほうにお聞きするということと、いま山本先生に挙げていただいた条件を出させていただく。永井先生が今日はいらっしゃっていないものですから、そういったことも含めて今日はこれを継続審議の形でやらせていただいて、次までにその辺りのところをはっきりさせていただく。できれば次は永井先生にも出ていただくという形でよろしいでしょうか。
(承認)
○猿田座長
 それではこの案件に関しては継続審議にさせていただきます。どうもご協力をありがとうございました。一応、今日審議していただくところはここまでですが、事務局から資料3の説明をお願いします。
○事務局
 事務局です。資料3をご覧ください。協力医療機関の追加として、17番、経胎盤的抗不整脈薬投与療法です。申請医療機関は国立循環器病研究センターです。今回追加を予定している医療機関は、国立成育医療研究センターです。続きまして、20番、高度医療名はパクリタキセル静脈内投与、カルボプラチン静脈内投与及びベバシズマブ静脈内投与の併用療法並びにベバシズマブ静脈内投与による維持療法です。申請医療機関は埼玉医科大学国際医療センターです。今回追加を予定している医療機関は、東京慈恵医科大学附属病院、近畿大学医学部附属病院、広島大学病院の3件です。
 21番、高度医療名はパクリタキセル静脈内投与及びカルボプラチン腹腔内投与の併用療法です。こちらについても、申請医療機関は埼玉医科大学国際医療センターです。今回追加を予定している医療機関は、埼玉社会保険病院、栃木県立がんセンター、群馬大学医学部附属病院、市立三次中央病院、広島県厚生農業協同組合連合会廣島総合病院の5施設となっております。
 22番、高度医療名は蛍光膀胱鏡を用いた5-アミノレブリン酸溶解液の経口投与又は経尿道投与による膀胱がんの光力学的診断です。申請医療機関は、高知大学医学部附属病院です。今回追加を予定しているのは、山口大学医学部附属病院です。
 最後に24番、高度医療名はパクリタキセル腹腔内反復投与療法です。申請医療機関は、名古屋大学医学部附属病院です。追加を予定している機関は九州大学病院、近畿大学医学部附属病院、神奈川県立がんセンター、市立伊丹病院、千葉県がんセンター、東京慈恵医科大学附属柏病院の6件です。事務局にて倫理審査委員会の構成、医療機関の実施体制等を事前に確認しております。特にご意見がなければ、追加の手続を進めたいと思います。以上です。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。こういったところの高度医療に関しては、症例数の関係もあって、できるだけしっかりした施設が一緒にやってくださると早く進むということです。いまお話がありましたように、例えば、経胎盤的抗不整脈薬の投与療法は、国立成育医療研究センターのほうでもやってくださるという形です。そのほか、いままで出てきたパクリタキセル静脈内投与とか、あるいは腹腔内投与もいろいろな施設が一緒に参加してくだるということです。こういったことに関して、どなたかご意見はありますか。いちばん重要なのは、もちろんやっていただく施設の倫理的な問題とか、実施体制です。これはしっかりさせていただいて、確認した上でということで、いま厚生労働省のほうとしては、それを確認したということのご意見をいただきましたが、どなたかご意見はありますか。そんな形で進めていきたいと思います。
(承認)
○猿田座長
 それではこの形でお認めいただいたということで、よろしくお願いします。続きまして、第3項の先進医療に係る取り下げです。これも事務局からよろしくお願いします。
○事務局
 資料4をご覧ください。「第3項先進医療に係る取り下げについて」です。2番、高度医療名は経皮的骨形成術です。取り下げの理由として、平成21年12月4日付にて、対象となる医療機器が薬事承認を取得し、平成22年10月1日付にて保険収載されたためです。11番、高度医療名は下肢静脈瘤血管内レーザー治療法です。こちらについては、平成23年1月1日付にて保険収載された同様の効果を持つ医療機器を使用するため、となっております。以上です。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。いまお話がありましたように、経皮的骨形成術のほうは、1つのほうのやり方が保険に通ったということで、取り下げということです。レーザー治療に関しても方法の問題で、いままでのものは取り下げになるそうですが、どなたかご質問はありますか。
○山本構成員
 確認ですが、11番のほうは別の機器が通ったので、こちらはもう使わないということですか。
○事務局
 そのとおりです。
○山本構成員
 2番のほうは、対象となっていた医療機器がそのまま保険に収載されたということですか。
○事務局
 2番のほうは、ジンマー社のものと日本ストライカー社のものと2種類ありますが、日本ストライカー社のものが薬事承認を取りましたので、こちらのほうを使うという内容になっております。
○山本構成員
 これは高度医療の出口の問題ですので、ある程度高度医療の出口として、どういうふうに行われて、どういうデータが出て、それがどのように保険収載につながったかというのが、ある程度あらすじがわかるようなものが出ていくべきではないかと思うのですが。
○猿田座長
 ありがとうございます。それは非常に重要な点ですので、そこまでのところのまとめをしていただくことでどうでしょうか。そういうことですよね。事務局からご意見はありますか。
○事務局
 その経緯については、一応調べてきておりまして、この場を借りて経緯を説明させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。2番、経皮的骨形成術については、平成15年に高度先進医療で承認されまして、その後、第3項先進医療の設立前に臨床的な使用確認試験というものがありましたが、その中でプロトコールを立てていただきまして、臨床研究として実施していただいたと。その前に、実は医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会というのがありまして、そこで選定されているといった事情もありました。その中で平成20年に薬事申請がありまして、平成22年10月に保険適用となったということです。それについては、もちろん欧米等の文献も参考にしながら、今回の高度医療のデータについても、参考的にはなりますが活用されているということです。
 もう1件の11番の下肢静脈瘤血管内レーザー治療法については、高知大学のほうで臨床研究が実施されて、これはもともと公的研究費で実施されたものですが、これも取りまとめがされまして、これをどうにか薬事承認のほうに活用できないかという相談もあったのですが、その前にちょうど競合する企業が治験で実施しておりまして、そちらのほうは比較試験を治験で実施されてエビデンスが出たということで、そちらのほうが先に薬事承認を得たという経緯です。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。よろしいですか。たしか最初のほうは平成15年というと、山口先生と一緒に高度先進医療をやっていたときに通したものかと思うのです。確かに効果的で非常に良い治療だということで進んでいましたから、これは良いことだと思います。2番目のほうは、いまお話がありましたように、山本先生がこれに関係している。よろしいですか。そういった形で、この2つはお認めいただけますか。
(承認)
○猿田座長
 どうもありがとうございました。これもお認めいただいたということにさせていただきます。議題5に関しては、事務局のほうから説明をお願いします。
○事務局
 事務局です。資料5をご覧ください。「世界に先駆けた革新的新薬・医療機器創出のための臨床試験拠点の整備事業」につきましては、前回、前々回の会議で、わが国から日本発の革新的な医薬品医療機器を創出するということで、いわゆる製作コンテスト等でいろいろな支援をいただいてきたところです。これにつきましては予算案がまとまりましたので、それについてご報告を申し上げたいということです。
 まず整備事業につきましては26億円の予算案が付いております。こちらのほうは基本的には日本で5カ所といったところで、重点分野としては、例えばがん、神経・精神疾患領域、脳心血管領域(医療機器)等を重点分野として挙げております。さらに研究費のほうも、整備費、いわゆるクルマ的なところですが、そこにガソリンという形で研究費を連動させるといったところです。いわゆる大学、研究所等からアカデミアのシーズがファースト・イン・ヒューマン試験、POC試験に乗せていけるように、医師主導治験の研究費を別途連動させるものです。こちらにつきましては、予算案として総額7億円となっております。ですから、1課題で1.5億円程度ということですので、先ほどの1カ所5億円と併せて、6.5億円程度、日本で5カ所とさせていただいております。以上です。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。財政は厳しいのですが、新しいことということで、こういう形のものがいま厚生労働省のほうとしては発しているとのことです。これは日本のいまの予算のこととは関係なく決定と言えるのでしょうか。
○事務局
 基本的には国会も始まっておりますので、その中で決まれば4月以降で公募が始まるものと考えております。
○猿田座長
 ありがとうございました。この点に関して、どなたかご質問はありますか。できるだけ日本でのものは少しでも早く出ていけばということもあり、こういう形で支援してくださっていると。
 特にご意見がないようでしたら、これはこういった形で動いているということを知っていただきたいと思います。議事次第では以上ですが、全体として構成員の先生方からご意見は何かございますか。特になければ、少し時間が早いのですが、これで会議を終わらせていただきたいと思います。ご協力ありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課
TEL 03-5253-1111
高度医療係 松本 内線2589

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