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2011年2月1日 第37回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録

健康局臓器移植対策室

○日時

平成23年2月1日(火)
15:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室(6階)


○議題

1.開 会

2.議 事
(1) 改正法施行後の状況について
(2) 移植希望者(レシピエント)選択基準について
(3) 脳死下臓器提供事例の検証方法の見直しについて
(4) 今後の検討課題について 
(5) その他

3.閉 会

○議事

○長岡補佐 それでは、ただいまより第37回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会を開催いたします。本日は佐野委員、白倉委員、高杉委員、貫井委員、山本委員から欠席とのご連絡をいただいております。また、相川厚先生、木下先生からは遅れてご参加されるとの連絡をいただいております。本日は現時点で、定足数を満たす10名のご出席を賜っておりますので報告させていただきます。
また、本日は会議のオブザーバーとしまして、脳死下における臓器提供事例に係る検証会議の藤原研司座長、肝臓移植の基準等に関する作業班の有井滋樹班長、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部教授で、日本脳神経外科学会脳死検討委員会委員長の永廣信治先生の3名の先生方にご参加いただいております。よろしくお願い申し上げます。
 次に資料の確認をさせていただきます。議事次第の配付資料のところを御覧ください。資料1ですが、資料1-1から1-6でワンセットになっており、合計8頁の資料です。資料2ですが、2-1として2頁の資料、それから2-2と2-3を1つにまとめて4頁の資料となっております。次が資料3ですが、資料3-1、3-2、3-3、これを1つにまとめて合計が4枚です。その後ろ、参考資料がいくつか付いておりますが省略します。資料4ですが、「日本脳神経外科学会の専門医訓練施設について」と題した資料ですが、これが合計で3頁まであります。次が資料5ですが、これは「今後の検討課題について(案)」の1枚の資料です。最後が資料6ですが、資料6-1、6-2、それから参考資料の1、2、これを全てひとまとめにして、合計で5頁の資料となっています。
 以上が資料で、その他に資料2の関係の参考資料が1から9まで付いております。今後、議事の途中でも構いませんので、乱丁や落丁などがございましたら事務局にお声掛けいただければと思います。
 また、机の上に、いつものように紙ファイルを置いております。これは現行の法令、ガイドラインをまとめたものですので、議論の際に参考にしていただければと思います。なお、この紙ファイルにつきましては次回以降も使用しますので、会議終了後、持ち帰らずに机の上に置いたままとしていただければと思います。事務局からは以上です。それでは議事進行を永井委員長にお願いいたします。報道の方がいらっしゃいましたら、ここでカメラはご退室をお願いいたします。
○永井委員長 それでは、本年最初の委員会です。今年もよろしくお願いいたします。今日は、臓器移植の現状について確認した後、レシピエント選択基準、脳死下臓器提供事例に係る検証などについて議論いただきたいと思います。早速議事に入りますが、はじめの議題は、臓器移植の現状についての報告です。事務局から報告をお願いいたします。
○長岡補佐 引き続き、私から臓器提供の状況について、資料1-1以下を用いて説明します。まず資料1-1をご覧ください。2つグラフが付けてありますが、上のグラフが臓器提供者、これは脳死下での提供、心停止下での提供、両方足し合わせたものとなっております。下が、そのうち脳死での提供というものを取り出した表となっています。ご覧のとおり、脳死につきましては改正後大きく増加しているという状況にありますが、上のグラフのとおり、心停止と合わせますと、必ずしも増加しているとまではまだ言えない状況です。ただ脳死につきましては、一番上の表の枠囲みのように提供可能となる臓器が多いことから、移植を受けられた方という観点でみますと、かなり増えているといった状況になっています。以上が1枚目の資料1-1です。
 次に資料1-2です。これは、昨年7月17日の改正法施行以降の脳死下での提供32例についてまとめたものです。ちょっと小さくて申し訳ないのですが、4例目と直近の32例目が本人の書面による意思表示がある事例で、その他の30例が本人の書面による意思表示がなく、ご家族の書面による承諾によって提供された、改正法によって可能となった事例となっています。合計32例です。
 次に、いまの資料1-1と資料1-2について表にしたものが資料1-3です。この表を見ていただくと、脳死からの提供が増加していることから、平成22年の欄を御覧いただきたいのですが、脳死からの提供が可能である心臓、肺、肝臓、膵腎同時といったところについては、平成22年に大きく増加している状況です。一方で、腎臓など、旧来から心停止でも可能だった臓器については横ばいという状況になっています。また、移植希望者の数は、引き続き多くおられますので、いまも多くの方が移植希望登録者として待っておられる状況にあるということです。
 最後に資料1-4は、臓器提供施設、これは脳死下で脳死判定と臓器提供を行うことが可能な施設の状況です。昨年の8月から9月にかけて、厚生労働省において臓器移植法のガイドラインに規定された、いわゆる5類型の施設、合計で492ですが、ここを対象にして臓器提供施設としての体制整備状況について任意でのアンケートを行った結果です。体制整備の状況ということで下にまとめてあります。一番下の表がその状況で、18歳以上の方に臓器提供が可能と答えられた施設が合計で344、全体の7割ぐらいです。そのうち18歳未満からの提供も可能であるという形でお答えいただいた施設が65となっています。その他にも、今後整える予定といった設問などを設けており、そういった施設も踏まえると今後も少し増えてくるのかなといった状況になっています。以上が臓器提供施設の状況です。
○秋本補佐 続きまして資料1-5、次の頁の横表になります。「臓器移植に関する普及啓発の取り組み」についてということで、主に、昨年以降取り組んだ広報媒体と、その時期について政府広報とそれ以外とに分けて整理させていただいたものです。
 7月、8月には、主に法改正の内容や制度が改正されたことについて新聞広告(突出し)、厚生労働省や臓器移植ネットワークのホームページから関連情報を発信することなど、広く国民向けに周知広報を行いました。また、医療従事者向けに関係学会に協力いただき、学会ホームページに掲載いただくなどの関係者向けへの周知も実施しております。
 10月は、臓器移植普及推進月間であることから、臓器移植に対する国民の一層の理解を得る、併せて改正法の新しい制度の普及啓発について、各種イベントを通じた啓発普及、マスコミ等を通じての周知を実施しています。政府広報の欄の、インターネット関係ではインターネットテレビ、徳光和夫さん、木佐彩子さんといったフリーのアナウンサーを通じての法改正の取り組み状況をわかりやすく説明し、内閣府のホームページの政府広報内に掲載しています。その他ラジオ番組等を利用して、タレントの中山秀征さんのトークにより、わかりやすく説明を行ったりしています。
 10月以降につきましては、臓器移植に関する理解を深め、正しく意思表示を行っていただく方法について主として取り組んでいますが、特に年末年始にかけては政府広報の、新聞広告記事下7段、『JAF Mate』1、2月の特別号への広告掲載を行っています。また、今年度は法改正の施行年でもあったことから、2月に全中学生に対して啓発普及用のパンフレットを配布する準備を進めているところです。
 次の6頁、7頁の2枚ものにつきましては、こういった取り組んだ個々の広報媒体について簡単に内容の説明を行っている資料です。
 続きまして資料1-6です。「平成23年度臓器移植対策関係予算(案)について」です。いま国会で平成23年度政府予算(案)について審議いただいていますので、正式にはこれらが可決、成立してから施行ということになるわけです。
 まず平成23年度の予算ですが、前年度と比べて1億円ほど減額という状況になっています。これは平成22年度(今年度)の予算におきまして、改正法を踏まえた臓器移植が適切に実施されるようなコーディネーター等のあっせん業務の従事者の増員とか、レシピエント検索システム、臓器提供意思登録システムの改修等の体制整備を行っています。また改正内容の普及啓発に取り組むというような事業で予算措置を行い、3億2,000万円程増額を図っているところです。
 そういった中で、平成23年度につきましては、レシピエント検索システム(平成22年度限り)など制度改正に伴う必要な事業への措置が完了した、そういった経費の減額が求められる中、必要なコーディネーター等の増員分はそのまま確保しつつ、意思表示の環境整備の促進として1,100万円の増額、臓器移植コーディネーター等の研修の充実として800万円の増額、更に、臓器提供施設の院内体制の整備に対する支援として700万円の事業を計上しているというところです。以上です。
○永井委員長 ありがとうございました。ただいまの説明に関して、ご意見、ご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
○宮坂委員 臓器移植対策事業費が全体としては減っているのですが、その中でコーディネーターについては前年度同様分の員数を確保し減っていない、そういう理解でいいのか、それとも増えているのか。
○秋本補佐 はい、増えてはおりませんが、平成22年度の32人分の人件費相当分については、平成23年度においても同員数、同じ額を計上しています。
○相川(厚)委員 全体としては予算が減額されているということですが、実際脳死下の臓器提供は去年と比べて半年で約7倍増えている。そうなると年度数にすれば7月からの脳死下の臓器提供分が非常に多かったので、今回そうなると、1年度分、12ヶ月分の脳死下の臓器提供がそのまま約2倍になると予想されますので、その分の予算についてはどのようにお考えでしょうか。
○辺見室長 平成22年度予算におきまして、従来22名のコーディネーターを32名に増員しています。その時点での考え方が脳死下での提供について7~80例対応するといったことで考えた積算になっています。従いまして、昨年の実績、半期ですからそのままでは推測できませんけれども、半期で30例程度という状況で、平成23年度がどういう状況になっていくのかというのは、よく状況をみる必要はあるかと思います。一応、予算上の人数はそういうことになっています。実態として、32名の枠組みに対応するコーディネーターを実数として確保していくこと。いま、ちょっと30名欠ける人数ですので、実数として確保していくということがまず当面の課題であり、そうした人たちに対してしっかりと研修を行っていく、こういったことがまずもっての課題であると認識しております。
○奥山委員 このことだけではなくて全体のことですけど、やはり我々も準備しているわけですけれども、かなりいろいろな面でお金がかかるというのが実情だと思うのですね。あまりお金がかかりすぎると、我々のように比較的国から少しお金が入っているような病院はいいのですけど、そうでない病院はなかなかやりきれないということになると思います。特に虐待の問題なども、そういう委員会を立上げるということでお金がかかっているのに、何も診療報酬上の手当もないということですので、今度新しくなって脳死がこれだけ増えた場合に、全体としてどのぐらいのお金がかかり、全体としてどういう適切な資源の配分が必要になるのかという辺りを、少し研究でも何でもいいのですけれども、是非いずれお示しいただければと思うのです。
○辺見室長 移植医療は、非常に関連する分野が広うございまして、例えば虐待への対応ということをとってみても、移植に関連するというところもあるかもしれませんけれども、院内全体として虐待の対応を強化していくために、どういったことが必要になるのかといったことから、おそらくいろいろあるのだと思います。そうした中で移植ということに着目して、全体として提供施設にせよ、移植施設にせよ、どういった負担があるのかについては、どのような研究班みたいなものがいいのかどうかというのはわからないのですけど、私どもとしても、できるかぎり把握したいと考えております。もし何か提案等があるようであれば、またこの場でなくても結構ですので、お聞かせいただければと思います。
○大久保委員 今年度はもともと、脳死からの臓器提供80人程度ということで予算を立てたと思うのですね。実際のところ、8月からしかほとんど起こってないので、いまのところ、おそらく年度末で50人とか60人ぐらいが精一杯だということになりますと、コーディネーターの活動の費用の配分については、おそらく今年はお金が余ってしまうと思います。来年度については今年度と同じような金額は当てられているのでしょうか。同じだけ。
○秋本補佐 はい。
○大久保委員 人件費以外の活動費についても同じだけの金額。はい、ありがとうございます。
○永井委員長 他によろしいでしょうか。
○町野委員 今回の改正で、小児臓器移植というのはまだ実現していないということですが、いろいろなところから話を聞きますと、何かやったとき虐待ではないかという、それが出てきたときは怖いので、1例目になることはできるだけ避けたいという雰囲気が現場にあると。おそらくこの委員会で作ったガイドラインというのはそういう趣旨ではなかったはずで、中のほうで虐待の発見をまず異論無きようにする。そのために体制を確立する。そこで疑いが生じたときには、基本的に児童相談所あるいは警察に通報する。そして、その段階では、もう既に移植の対象から外すというようなものだったのですが、少しでも疑いがあったときはやらないかのような運用に、どうも現場はなっているかのように見えますけれども、その点についてやはりこの委員会、あるいは厚生労働省としてもきちんとすべきことはあるのではないかと思います。
○辺見室長 実際に提供事例があるかどうかというのは、いろいろな要因があると思いますので、先生がご指摘のような側面があるということかもしれません。そうかといって、それがそうだともいまの時点では言い切れないかとは思います。先生方はもうご存じのとおり、平成9年臓器移植法施行後、1例目が出るまで2年ぐらい経過したということもありまして、新しい制度の後、現実に移行していくまで、おそらくいろいろなことがあり得るのかとは思いますので、一つ一つの話を全部否定するのではなくお話を受け止めて、何か改善すべきところがあれば、私共としてできる限り改善するような努力をしていきたいと思っております。直球で答えられなくて申し訳ないのですけれども、いろいろな問題点があると思いますので、把握に努めてまいりたいと思っております。
○大久保委員 小児の場合で、いま出てきた児童相談所ですけど、いま、ほとんどの都道府県には3つか4つぐらいありますが、ほとんど対応ができていないと伺っているのです。こちらから問い合わせしても全く対応しないところがほとんどだと聞いているのですが、その辺りの児童相談所の今後の問題点、どう解消されるのかをお聞きしたいのです。
○辺見室長 虐待の恐れがあった場合の児童相談所への照会というのは、基本的に被虐待児に対しての対応というものの中でどのように考えるのかという、もうちょっと大きい枠の中での議論もあるのだと思います。町野先生の先程のご指摘の中には、そういったものを移植の場合と移植の場合以外とで違えるのではないような進め方が必要なのだろうというご指摘がたぶんあるのだと思います。非常にいろいろな角度からの対応が必要ですので、大久保委員のご指摘について、即答できることはいま持ち合わせていないのですけれども、問題点の1つだとは思っていますので、関係部局とも相談しながらできる限りの対応をしていきたいと考えております。
○町野委員 まさにいまのお答えのとおりだろうと思うのですけれども、本来的には児童虐待の防止というのは、児童福祉法及び児童虐待防止法で対応すべき問題であるにもかかわらず、臓器移植法で対応したというところに、そもそもスタートの問題があるわけで、これを正常に戻していく必要がやはりあるだろうと私は思うのですよね。そのためには、児童虐待の問題というのは厚労省の担当の範囲ですから、是非、緊密な連絡を取りながら正常な方向に戻していっていただきたいと思います。
○永井委員長 よろしいでしょうか。はい、ありがとうございました。それでは次の議題にまいります。
各臓器別の作業班におきまして検討されてまいりました臓器提供者、ドナーの適応基準、そして移植希望者、レシピエントの選択基準についてご議論いただきます。本日は、腎臓と肝臓の基準につきまして、ご議論をお願いいたします。まず腎臓の作業班の検討状況につきまして、「腎臓移植の基準等に関する作業班」班長の大島委員より報告をお願いいたします。
○大島委員 それでは、腎臓移植についての選択基準について報告させていただきます。いままでの選択基準は、いわゆる腎臓を摘出してから植えるまでの時間、阻血時間と言いますが、この阻血時間を短くすることが、より良い成績につながるということ。そして、公平を期するということで、登録してからどれだけ待っているかという、この待機時間。それから、もう1つは、ドナーとレシピエントとの適合の問題で、適合度が良ければ良いほど成績が良いということで、この3つの要素について、重み付けを、1:1:1として選択基準を決めてきました。そして、小児については特殊な状況があるということで、ボーナス点を付けてきました。これがいままでの点数の基準です。その結果、搬送時間、あるいは待機期間等については、最初の予測どおり、そして、小児についても予測どおりの結果につながっています。
 しかしこのやり方による問題が2つ出てきました。1つは、新しく登録しても、10年以上待たなければ、全く移植のチャンスがない。これをどう考えるのかというのが1点です。もう1つは、小児にボーナス点を付けたのですが、16歳までが小児という規定であったために、16歳未満で登録していた子が16歳以上になったとたんにボーナス点が消えてしまうということで、その後は全く移植のチャンスがなくなってしまうという点です。小児をフォローしてみますと、20歳を越えても全くチャンスがなく、ほとんどチャンスがなくなってしまいます。この問題をどう考えたらいいのかというのが今度の作業班の役割です。
 そこでいろいろなシミュレーションをしました。大幅な変更をするということについては、また違った問題が出てくるだろうということで、マイナーチェンジでいこうというのが全体の意向です。いくつかのシミュレーションをした結果、資料2-1を御覧いただきますと、この赤字で書いてあるところが変更点です。特にHLAの適合度の×1.15点というのは、実際に行われたいままでの症例を全部洗い出してみますと、1:1:1と言いながら、HLAについては、実はほかのものに比べて1.15倍小さかったのです。小さいということで、本来1:1:1ということを目指した状態がもともとの選択基準であったわけですから、今度の新しい選択基準で1.15をHLAに掛けたら、一体どういうことになるのかというようなシミュレーションも行いました。
 その結果、参考資料3を見ていただきますと、シミュレーションの方法ということで、真ん中あたりに、「A:現行基準」と「B:待機期間の配点は現行基準:HLA×1.15、16歳未満:14点、16歳~20歳未満:12点」のボーナス点を付けると、そしてCとして、ここに記載されているような形でのシミュレーションを行いまして、その結果がいちばん下の3の表のところに載っています。このような議論の過程を経まして、Bの案でどうかというのが腎臓の選択基準に関する部会の提案です。以上です。
○永井委員長 ありがとうございました。ただいまのご説明に、ご質問、ご意見はいかがでしょうか。Bの案というのは、HLA×1.15、これはどう扱われるのですか。これと16歳未満:14点、16歳~20歳未満:12点、これとの関係は。HLA×1.15というのは20歳以上の場合ということですか。
○大島委員 これは全体にかかります。
○永井委員長 そして、16歳未満の場合にはさらに加点。
○大島委員 そうです、16歳~20歳まで。
○永井委員長 それぞれに加点をするということですね。
○大島委員 はい。
○永井委員長 これによってどういう効果、あるいは影響が出るのかというのがこのシミュレーションですね。
○大島委員 そうです。シミュレーション結果表に出ているものです。
○大久保委員 ちょっとお尋ねしていいですか。待機日数の最大ポイントという頭はあるのですか。
○佐藤補佐 いままでどおりです。いままでは、大体11年をピークに、あとはプラトーになるようにlog計算ということです。それに関しては変わりはありません。
○大久保委員 それは変わらない。
○佐藤補佐 はい。
○大久保委員 そうすると、20年でどのぐらいになるのかな、これ。
○佐藤補佐 ちょっとすぐにはお答えできないのですが。
○大久保委員 だから、待機日数と搬送時間とHLAの適合度、小児とかを抜けばその3つが一応平均的になるようにということで、要するに、HLAでいうとフルマッチは14点ですね。だからなかなか14点はいないですよね。それはすごく少ないですね、13点とか12点ぐらいなので。それで、おそらく1.15を掛けると、そのぐらいの人がHLAのいまの同じような14点ぐらいにいくということでなったのですかね、先生。
○大島委員 そういう要素もたぶんあるだろうと思いますが、実際に選ばれる人は、必ずしも一番いい人が選ばれていないと、という状況も。
○大久保委員 HLAのね。
○大島委員 HLAの。
○大久保委員 はい。
○大島委員 断ってくるという。
○佐藤補佐 委員長、すみません。先程の、待機期間が20年ぐらいになるとどのくらいかというポイントですが、大体14点くらいになります。
○大久保委員 なるほど。だから、そのぐらいで大体同じになるということですね。ありがとうございます。
○永井委員長 何かほかにご意見ございますか。よろしいでしょうか。もしよろしければ、ただいまの腎臓のレシピエント選択基準につきましては、作業班からの報告のとおり改正するということでよろしいでしょうか。
(了承)
○永井委員長 ありがとうございました。それでは、この委員会としては了承ということにいたします。
 続きまして、肝臓の作業班の検討状況につきまして、「肝臓移植の基準等に関する作業班」班長、有井先生からご報告をお願いします。
○有井参考人 それでは、よろしくお願いします。肝臓移植の基準等に関する作業班では、肝臓の臓器提供者適応基準、肝臓移植希望者(レシピエント)の選択基準の検討を行っていまして、作業班長として説明させていただきます。
 まず、資料2-2を御覧いただきたいと思います。3点改正する案としていまして、1つが、2歳以下の血液型の取扱い、2が、小児ドナーからの提供があった場合の対応、3が、肝小腸同時移植の場合の対応ということです。
 まず1点目です。資料の中の1.「適合条件」の(1)及び2.「優先順位」の(2)ABO血液型の部分をご覧いただきたいと思います。小児、特に2歳未満で、医学的緊急性が高いレシピエントの血液型について、一致・適合・不一致に関係なく取り扱うということです。この学術的根拠としましては、参考資料4に拠っています。通常血液型不一致移植では、術前に血漿交換などの処置が必要ですが、2歳未満の場合には、こうした術前の処置がなくても拒絶反応は起こり難く、長期の移植成績にも影響しないということがわかっています。また、実際の臨床の場においても、2歳未満のレシピエントにつきましては、血漿交換等の術前処置を行うことなく血液型不適合移植が行われていまして、問題ないということになっています。このことから、医学的緊急性が高い場合については、2歳未満のレシピエントに関しては血液型の区別を設けないということにしました。
 次の頁の(3)の記載です。小児ドナーからの提供があった場合の優先順位についてです。この学術的根拠は参考資料の5と6にあります。参考資料5では、小児レシピエントが小児ドナーから提供を受けた場合と成人ドナーから提供を受けた場合を比較すると、小児ドナーから提供を受けた方が生命予後が良いということが示されています。
また、参考資料6ですが、小児ドナーから成人に提供した場合、成人レシピエントに高率に肝動脈血栓が起こることが示されています。以上のことから、18歳未満の小児ドナーから提供があった場合には、医学的緊急性に逆転を生じない範囲で、18歳未満の移植希望者に1点を加点し、優先するということとしました。具体的な順位を参考資料7に示していますが、端的に申し上げれば、医学的緊急性の高い、劇症肝炎の成人が移植希望者にいた場合には、医学的緊急度の低い小児が優先されることのないようになっています。
 最後に、3.「具体的選択方法」の(5)と(6)ですが、ここでは、肝小腸同時移植の位置付けについて記載を行っています。腸管不全の患者さんは、中心静脈からの点滴にて栄養管理をしています。それが長期になりますと、肝機能障害が起こり、重度の肝不全の状態に陥ることもあり、肝小腸同時移植が必要となる場合があります。そこで、小腸移植の作業班の先生方のご意見も伺いながら、肝小腸同時移植を希望される患者は、肝臓の選択基準に則った選択で優先順位が1位になった場合、小腸の選択では1位でなくても肝臓と同時に小腸を移植することを優先するということとしました。レシピエントは以上です。
 次に、資料2-3をご覧ください。これはドナーの適応基準についてです。2.のほうの「慎重に適応を決定する」という項目について、最近の情報を踏まえて若干変更しました。まずHBc抗体陽性のドナーについてです。参考資料8、9にありますように、HBグロブリン製剤、あるいは最近では、ラミブジンも含まれますが、こういった薬剤により予防を行えば生着が可能であると言いますか、十分にコントロールできるというふうに進歩してきました。従いまして、禁忌ではないと、慎重に適応を検討するとしました。もう1つは、「先天性の代謝性肝疾患の保有の可能性がある者」ということも加えました。以上です。
○永井委員長 ありがとうございます。それでは、ご質問、ご意見をお願いします。
○相川(直)委員 最後の資料2-3のところです。HBc抗体陽性の患者さんですが、慎重に適応を決定するということで基本的にはよろしいと思うのですが、特にHBc抗体陽性の患者さんの場合には、レシピエントにもそのことを情報提供するのでしょうか。
○有井参考人 基本的には、そうするということになります。
○相川(直)委員 いままで、HCV抗体陽性については。
○有井参考人 HCV抗体陽性はもう。
○相川(直)委員 いや、いままでそうだったのですが、そのときも特にレシピエントには提供していたのでしょうか。
○有井参考人 HB抗体はやっていません。
○相川(直)委員 HCVではやっていない。
○有井参考人 HCVではやっていません。
○相川(直)委員 はい。それで、HBc抗体の陽性に限って、限ってというかほかのものもドナーの状況についてレシピエントに情報を提供するのでしょうが、特に、このドナーはHBc抗体陽性の者ですよということをレシピエントに前もって言うのですか。
○有井参考人 はい、そうです。
○相川(直)委員 それが慎重にという言葉の中にも入っていますか。
○有井参考人 はい。HCV抗体もそれと同列です。
○相川(直)委員 それを聞いたのです、さっきは。ですから、いままではそう言っていた。
○有井参考人 そうです。
○相川(直)委員 HBc抗体についても。
○有井参考人 HBc抗体についてもそういうことです。
○相川(直)委員 そのことを前もって話すということですね。
○有井参考人 はい、そういうことです。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○相川(厚)委員 ドナーの肝臓を、特に大人の肝臓の場合は、スプリットして子どもに1つ、そして大人に1つと。実際、先週そういうことが行われていますから。この適応についてはどういうことで判断するのでしょうか。
○有井参考人 それについて、大分議論したのですが、ただ、ルーチンにスプリットするということに対して、なかなか困難なテクニカルなところがあって、小児が待機している場合に、例えば、必ず一部を分割してそれを小児に常にスプリットしなさいということは、オブリゲーションとしては少し行き過ぎだろうと。やはり、ホールリバーのほうが非常に手技が安定していますし、成績も安定しているということで、だから、いわば二兎追って肝心要の大人の、大人と言いますか、どちらもうまくいかないというケースもやはりあり得るだろうということで、一応の原則としては、敢えて強制しないと。必ずスプリットして小児に3分の1をあげなさいと強制するのはまずいだろうと。ただ、そのときの移植医を含めた、その移植する側の判断で、これはスプリットしましょうという場合は、申し出る。非常に大きな場合があるのです、リバーが。ドナーの肝臓がすごく大きくて、大人同士でもサイズに大分差がありますので、その場合はむしろスプリットして、ちょっと小柄なドナーの人にあげて、ということで対応できる。だから、やはり臨機応変にそのときの対応ということでやっていこうとなっています。
○相川(厚)委員 普通、これはなかなか難しいことだと思うのですが、先週の提供の場合にはうまくそれが行われていますね。だから、私も非常に感心して、やはり日本人のテクニックはすごいなと思っていたのです。子どもの肝臓に関しては非常に有り難いお話で、できればそういう、一般的にはなかなか難しいのでしょうが、やっていただければと思っています。
○有井参考人 必ずスプリットしなさいというのは、ちょっと現時点では難しいだろうというのが1つの結論になったのです。
○相川(直)委員 また先程のドナーの適応基準に戻って恐縮ですが、今回改正されていないところの1.の(2)のところです。「HIV抗体、HTLV-1抗体、HBs抗原などが陽性」の、この「など」のことなのですが、今回の改正で2.の(8)に「HBc抗体陽性」が追加されましたね。こちらは、「慎重に適応を決定する」ということで移植可能の場合もあると。これを含めて、上の移植してはいけないというところの1.の(2)の「HBs抗原など」の「など」については、いままでこのHBc抗体陽性は、この「など」に入っていたのでしょうか。
○有井参考人 これはどうでしたかね。「など」に入っていたのですかね。
○相川(直)委員 「など」は大変曖昧なのですね。
○有井参考人 そうですよね。
○相川(直)委員 特に禁止事項ですから、禁止事項で「など」となると、どうなのですか。
○有井参考人 そうですね、ちょっと曖昧。HCVに関しては、もうレシピエントが既にHCVというのが大前提なのです。だから、全くHCVフリーの人にレシピエントをやるということはまず現場では行えないのです。この「など」というのが、やはり特定できない、私の解釈ですが、必ずしも特定できないウイルスとかが今後出てきた場合の1つの文言のやり方だと思うのです。この3つに限定するというのもいかがなものかという形で。だから、具体的にこの「など」に何が含まれているのかというのは、決定していないので、ここは多少こういう言い方のほうが運用しやすいだろうと。
○相川(直)委員 曖昧なところがありますと。それは了解しました。よろしいですか。
○有井参考人 はい。
○相川(直)委員 それは了解しましたが、今回その(8)に下りてきた「HBc抗体陽性」というのは、私の質問では、上の「など」に含まれていたのでしょうか。
○有井参考人 違います。
○相川(直)委員 違いますね。
○有井参考人 はい。これはもう生体肝移植でHBc抗体、いわば、どんどんと言うと語弊があるのですが、やっている。
○相川(直)委員 それは了解しました。
○有井参考人 その場合は、やはり残念ながら高率にウイルスがトランスファーされるということが生体肝移植のデータでわかってきたのです。ただ現実には、それはいまはHBのコアに関しては、ラミブジンとか、ハイタイターのガンマブログリンで確実に対応できるということで、生体肝移植のそういう実績を踏まえて、いまのドナーの少ない状況下で相対的には認めていいのではないかということになりました。
○相川(直)委員 了解しました。将来的には、この1.(2)の「など」についても、ある程度はっきりしていただかないと現場では困るので、将来的には是非その辺のところも検討していただきたいと思います。
○永井委員長 ほかにご意見ありますか。
○宮坂委員 今回改定のことではないのですが、長期の低酸素状態とか、高度の高血圧または長期の低血圧、例えば、高血圧と低血圧は、血圧という意味では全く同じですが、病態は違うことを表わすので、まず1つは、その長期というのが低酸素というよりは低酸素血症状態とか、血液が実際、低酸素と定義したほうがいいかなと思うことと、それから、高血圧と低血圧は分けたほうがいいかなと思います。
○有井参考人 最初の(5)のほうがちょっと聞こえ難かったのですが。(5)の長期の。
○宮坂委員 低酸素血症。血を入れるのです、血症。低酸素状態ではなくて。
○有井参考人 ああ、低酸素血症状態。
○宮坂委員 はい。
○有井参考人 はい、承知しました。それと、高血圧と低血圧を分けたほうにするという。
○宮坂委員 そうしたらどうでしょうかということです。
○有井参考人 いいですね。では、そのようにさせていただきます。
○永井委員長 よろしいでしょうか。ほかにご意見はございませんでしょうか。もしご意見がございませんでしたら、ただいまのご提案をこの委員会としては了解したということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
(了承)
○永井委員長 はい、ありがとうございます。では次の課題にまいります。
前回に引き続きまして、脳死下における臓器提供事例に係る検証についてです。本日は、「脳死下における臓器提供事例に係る検証会議」の藤原座長にお出でいただいています。事務局と藤原座長から検討の経緯、検証会議における議論の状況につきましてご報告をいただきたいと思います。その上で、各委員のご意見をお伺いすることにします。では、事務局からまず、検討の経緯等についてご説明をお願いします。
○辺見室長 それでは皆さん、まずお手元の資料3-1と書いてある資料を、裏にめくっていただきますと、参考資料1というのが出てきます。「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議」についてご説明させていただいた資料です。念のため、どういった会議なのかということについて、改めてご説明させていただきたいと思います。1.「開催趣旨」のところにありますように、臓器移植が一般の医療として国民の間に定着するまでの暫定的な措置としてということで、検証作業を行うという趣旨の会議です。
 この会議におきましては、医学的検証、救命治療の状況や脳死判定に関すること、また、(社)日本臓器移植ネットワークのあっせん業務、この2つの観点から検証を行っているというものです。開催状況がそこの下に書いてあります。参考資料1のいちばん後ろ、15頁目です。参考資料4と書いてあるところです。進捗状況が書いてあります。脳死下での臓器提供事例117例に対しまして、平成23年1月19日の今日現在で61例の検証が行われているということです。ちなみに、前回のこちらの会議、昨年9月の段階では、平成23年の3例とかしか入っていませんでしたので、順次進んでいるということではありますが、まだ差がこれぐらい、御覧になられている程度はあるという状況です。
 参考資料1にちょっと戻りまして、2頁目のところに、「現行の検証作業」ということをポンチ絵で示していますが、先程お話したように、検証作業は医学的な面とあっせん業務とに分かれています。この検証会議の下で、医学的検証作業グループの先生方による検証と、あっせん業務については、臓器移植ネットワークの中央評価委員会における検証の結果、これを基にして、検証会議において最終的な検証が行われているということです。なお、医学的検証につきましては、この検証グループで関係学会の先生方にお願いして、非常に多くの先生方にご協力いただくためのこのグループのメンバーのリストができています。現状においては、救急・脳外・脳波の各専門家1名ずつに参加いただきまして、実地訪問をして、各提供施設において検証作業を行って、それを基に検証作業グループの会議に1回かけて、その会議の結果を基に検証会議にかけると、こういったような流れで検証作業をやっていただいているというところです。
 それでは、資料のほうに説明を戻します。資料3-1です。前回の臓器移植委員会ですが、改正法施行後の委員会におきまして、検証の状況についてもご意見をいただきました。もう少し迅速に、現実に即した検証法をということなどのご意見をいただいたところです。前回のご意見の概要を私どものほうでまとめをさせていただいたのがこの参考資料3-1です。先程申し上げましたように、1つ目のパートでは、迅速化・効率化を図るべきだというご意見、また、過去の経緯に係る主な意見ということで、30例目ぐらいを目途に、それを目指してというような考えもあったけれども、というようなお話ですとか、この先どう続けるのか。また、ここには書いていないですが、10例目の時点で見直ししたわけですが、その以降、委員会での議論がなかったといったようなお話もありました。また、検証結果に係る主な意見ということで、データの蓄積等が必要ではないかといったようなご意見があったところです。
 資料をめくりまして2頁目、資料3-2です。こちらの資料は、これまでの検証につきまして、私共事務局の方でまとめさせていただいたものです。まず、1.「これまでの検証結果」ということです。61例までの検証が終了したわけですが、初期救急という観点からは、医学的に特に指摘を要するような例はなかった一方、脳死判定に関しては、マニュアルが遵守されてないですとか、法令に定める記録の保存年限に反するものとか、こういったものが過去見られているところです。ただ、いずれの場合であっても、医学的な観点から脳死と判断されたことに特に問題はないということでした。また、あっせん業務につきましても、一部、これは最終的に法改正にもつながっている話ですが、親族提供に係る問題ですとか、また、レシピエント選択の手順の誤り、これは平成14年の例ですが、こういったものが過去見られたところですが、24例目の提供の後は、特にあっせんという観点から指摘された事項はありません。
 いま申し上げたようなことを、2.のところでもう少し具体的に書いてあります。まず(1)が「医学的な検証」ということで、○の1は、10例目までの指摘事項です。1例目ですが、無呼吸テストが脳波特定に先立って行われたと。また、エア・カロリック・テストをカロリックテストとして行ったというのが3例目です。また、ウ)は、5例目ですが、脳波測定において、双極導出で行わなかったといったと。こういった事例に関しては、その後の「法的脳死判定マニュアル」の作成などによって対応しています。
 先程、参考資料の2枚目までをご説明しましたが、3枚目以降にいろいろ通知類を付けています。これが個別事例の指摘を基に、マニュアルを出したり、通知を出したりしたものを参考資料の2のところで順に付けています。説明は省略させていただきますが、ご参照いただければと思います。
 ○の2のところです。第11例目以降ですが、一部の事例において、法的脳死の前の段階で脳死と思われる判断をする段階、当時の時点で臨床的脳死という判断をする段階で、CTによる診断がなされていなかったという、これは30例目の事例です。あと、イ)は、脳死判定において、脳波記録を紛失したと、46例目です。こういった事例もありまして、その都度、諸々の形で注意喚起をしてきたというところです。ただ、その後、最近の事例に関してはこういった事例は見られていないわけですが、ただ、マニュアルで望ましいとされている範囲を外れるといった事例はいくつか散見されているというところです。いずれにしても、医学的な妥当性というのは保たれているということです。
 あっせん業務に関しましては、先程総括的なところで2つほど述べましたが、基本的にはそういった事例があって、その都度日本臓器移植ネットワークに対して指摘しているものですとか、親族優先の話については、当時の審議会においてかなり詰めた議論をしていただいて、ガイドライン上、親族への優先提供はしないという位置づけにして、今回の法改正につながった、このような経緯があるところです。先程申し上げたように、平成14年12月の提供の事例の後は、特に問題はないということです。
 3.ですが、検証作業の見直しをこれまでどのように行ってきたかということを簡単にまとめています。参考資料の13頁を御覧いただきますと、平成13年の臓器移植委員会の資料が出てきます。1例目から4例目までは、当時の公衆衛生審議会の臓器移植専門委員会において、5例目から10例目までは、現在の検証会議において検証を行ってきたわけです。10例目までについては、提供施設の関係者が出席して、直接その会議の場でヒアリングする形で進めてきた。その10例が終わった時点で、その後どうしようかと検討されたのが、参考資料3の平成13年の資料です。当時、効果的・効率的、機動的なシステムにする必要があるということで議論がされたわけです。
 下の<個別見直し事項の考え方>の1.「医学的検証について」の2つ目のポツの2行目、「例えば提供施設でグループメンバーを交えた検証を行うなど、提供施設をグループの双方の負担を軽減する」といったようなことが書かれております。そうした上で、資料の上になりますが、<基本的なスタンス>の2つ目のポツの最後の括弧ですが、(より具体的な検証作業については検証会議において議論)するということになっています。実際、検証作業は現在に至るまで、グループメンバーを交えた検証施設で行うということで、実地訪問を行って検証を行うという形でした。いわゆる「など」に係る部分というのは、いまのところ事例はないといったようなところが、これまでの状況です。
 こうした状況を踏まえて、本年1月14日に検証会議が開かれまして、その場で検証会議の先生方にご議論いただきましたので、藤原先生からご紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○藤原参考人 全体の流れについては、辺見室長からお話があったとおりです。検証結果というものが、マニュアルの作成であるとか、現場に通知として還元されているということです。その結果、重大な誤りというのはほとんどなくなって、脳死判定の手順についても、標準化がなされたという理解です。本年1月14日の検証会議においても、そのような話で大体同意されております。
 問題なのは、法律の改正後の事例がかなり増えているということから、いまお話があったのですが、どのように変えていくかということが何点か。資料3-3を御覧ください。検証会議と医学的検証作業グループにおいて、今後、迅速・適切、かつ効率的に行っていく方法を見直そうという議論がかなり出ておりました。見直しの方法については、これまでは全ての事例について実地訪問を行っていたのですが、日程調整等にかなり長い時間を要しているということで、そういう点を視野に入れているということです。それから、かなり問題なく進められてきたということで、今後は3種類に分けてみようという意見で、ほぼ一致されたということです。
 まず、法の改正前から、要件である本人の書面による意思表示がある場合、もちろん家族も反対しない、これについては、事前に臓器提供施設から提供を受けた検証資料フォーマットをもとに、医学的検証作業グループ会議において、実地訪問する必要性があるかどうかを検討すると。必要がないと判断した事例については、実際は訪問しない、提供資料だけで検証しましょうと。もちろん、必要とされる事例はこれまでどおりであるということです。もう1つは、法改正により新たに可能となった家族承諾だけの事例です。これらについては、当面は従来どおりに実地訪問を行って、これも10例程度検証した時点で改めてどうするかを検討しましょうということです。小児15歳未満についての提供事例は、まだ発生していないということもありますが、当分の間は従来どおり、実地訪問を行った上で検討しましょうということです。
 次のあっせん業務につきましては、(社)日本臓器移植ネットワークの中央評価委員会で評価された後のものを検証しているという実情です。特に作業の遅れなどもないということで、方法を変える必要はないということになりました。
 さらに、今後の問題として、1年に1回程度を目途にして、検証会議で定期的に検証状況と結果のとりまとめをして、臓器移植委員会に報告をし、適宜検証方法について見直しを行って、こちらのご意見を踏まえながらやっていってはどうだろうかということになりました。検証結果のとりまとめについては、臓器移植の関係者に周知するために、関連学会に情報提供をもっときちんとすることが望ましいという意見も出ております。
 これは従来どおりですが、個別事例に関して、特定されない必要のあるものについては、総合的な形でとりまとめを行うほうがよいだろうと考えております。以上です。
○永井委員長 ただいまのご説明に関しまして、ご質問やご意見をお願いいたします。
○奥山委員 ありがとうございました。1つ小児の件で伺いたいのですが、小児に関しましては、大人と若干違いがあります。例えば、障害児の除外にしても、大人のような形ではわからない。例えば、本当に3歳までだったら、3歳児健診で母子手帳を見ると、ある程度発達の遅れがないのがわかるのです。あるいは小学校へ入っていれば、どのぐらいの成績とか、普通学級とかいろいろなことでわかるのですが、ちょうどその間がわからないとか、いろいろな問題があるのです。そういうことも含めて、小児の専門の先生の作業グループというのをお作りになる予定があるのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
○藤原参考人 これは非常に難しい問題でして、検証会議のメンバーの中に、できたら小児の専門家も入れてはどうだろうかという話は出ておりましたが。
○辺見室長 検証会議は、厚生労働大臣が招集する会議という位置づけですが、今後に関しては、小児分野の専門家について、検証会議や医学的検証作業グループのメンバーといったようなところに、専門の先生方にご参画いただくような形を検討しているところです。
○大島委員 検証の問題は、実際に移植を行っている側から見ていますと、実際に行っている内容、いままで行った検証の結果などから、移植が健全に行われてきているということが明らかになってきていると総合的に判断できると思います。一方、このままの体制で検証を続けていくことには、相当難しい部分もあることから、見直すか、あるいはどうするかということが検討されてもよいのではないかという提案について、よくわかるのですが、そもそも厚生労働大臣が有識者に参集を求めてということの意味も含めて、この検証を、どこまでやればよいのか、変更するときには何を基準に、誰がどういう判断で変更するとか、やめるとかということについては、何か規定のようなものがあるのですか。
○辺見室長 規定はございませんが、検証会議で検証を始める契機は、1例目から4例目までは、まず臓器移植委員会の前身である臓器移植専門委員会において検証作業を行って、その結果を踏まえて、こういったものは別途第三者的な会議を設けて、そこで行うべきだという、臓器移植委員会のお立場からのご提言をいただきまして、厚生労働省として検証会議の先生方にご参集いただき、今日に至っているというところです。この検証の進め方についても、随時、お集まりの臓器移植委員会の先生方のご意見をいただきながら、決めていく必要があると考えております。
○藤原参考人 こういう問題を、これが未来像であると、ここできちんと決めて、それに向けてどうという内容より、もっともっと奥行もあるし、複雑であるということを考えますと、少なくとも検証会議が立ち上がって10例目以降、いくつか問題がある事例もあって、やっとここまできているということも含めて、しかも、法律が改正になって、全くいままでなかったような事例が増えるわけです。そういうものをやってみながら、ある程度は走りながら考える部分があっても、私はおかしくないと思います。先程申しましたように、新しい事例に関しては、10例程度やったところで、もう1回考え直してみましょうというところもありますから。ただし、小児の問題は先程申したように、極めて難しいということで、しばらくは従来どおりにやってみましょうということですが、それではご理解いただけませんか。
○大島委員 非常に割り切った言い方をすると、ここで決めてしまっていいのかということを確認したかったのです。私は、検証委員会の考え方や状況というのを、非常に尊重しなければいけないと思います。61例の全体の状況を見ていけば、この辺りで何か改めて考え直す1つの時期ではないかなということを、個人的にも思っていますが、ただここで決めていいのかどうかということが、何か公式にあれば非常にいいのですが。先程の室長の意見で、大体私なりに判断はできました。
○大久保委員 いま、藤原先生から医学的検証について、改正前からの要件では、本人の書面による意思表示がある事例については、要するに簡略化して、資料は検討するということを伺いました。ということは、いま61例ですから、実際的には法律ができるまでのものは81例ですので、まだ20例ぐらい残っています。これもその状態でずっと続けるということですか。
○辺見室長 定義からいきますと、法改正前からの要件である書面による意思表示があったものというのは、62例目からあとは全部その対象になると思いますので、それについては全部この考え方でということだと了解しております。それをご確認ということですね。
○大久保委員 ということは、今年はまだ20数例ありますよね。それに加えて、8月から行っている新しい改正法下での意思表示のない方については、10例程度であると。そうすると、もちろん現地に行くのは10例ですが、少なくとも書類で全部見るものも、20数例をやらなければいけない。それをできれば早い時期にやっていただきたいので、それをどの程度の目途でやる予定とされているのか。すでに事例として終わっていることなのですが。
○辺見室長 順番のお話かなと思うのですが、61例から順番に87例までですが、改正前に終えて、そのあと着手するということではなくて、これは前回の審議会のときにもいただいておりましたが、並行する形でいただいております。先生方の日程も調整しながら、実際には改正後の事例も並行する形で進めていくと考えております。
○大久保委員 ということは、少なくとも本人意思がある分については書類の分だけですが、実際現地に行ってやるのも10例あるという話になっています。ここで見ますと、大体年間で検証できている数というのは、本当に5例もいかない。たまに11例あった所もありますが。少なくともすでに既に10例終わっているわけですから、この検証自体をどの程度で終わらせるような目途で、検証会議を開いて検証する予定をされているのか伺いたいと思います。
○辺見室長 基本的に実地訪問は、実地訪問にご参画いただける先生一人一人に当たって、日程調整させていただくことになりますので、私が行ってというわけにはいかないので、事前にいつまでとは言い切れませんが、年間10例以上やっている年もあります。さらにご協力をいただける先生も少しずつではありますが増えていますので、そうした中で、できるだけ遅れが生じないように進めていきたいと思います。いつまでという答えになっていなくて申し訳ないですが、そういうことです。
○町野委員 参考資料1の2.「検証事項」については、変更はないということでよろしいですか。医学的検証について2項目、あっせん業務については1つの項目が挙げられていますが。例えば、今度問題になったのは虐待です。虐待の有無とか、虐待を見過ごしたことはなかったかとか、あるいは知的障害者等については、提供を見合わせるというのは、法律ではなくてガイドラインですが、このことは検証事項の中にこれから入ってこないと。もう1つは、親族優先提供について。もし入るとしたら、おそらくあっせん業務の検証事項だと思うのですが、それについてもやらないという話でしょうか。
○辺見室長 基本的には、先程の親族の話や、知的障害等というのは、以前のガイドラインにも入っておりましたが、それぞれあっせん業務における関わりの観点から、また医学における関わりの観点から、検証のポイントとしては入っておりました。ですから、今後もそういった新しい事項についてもあっせんの観点から、医学的検証の観点から、入れるべき事項は入れて確認していくことになると思います。
 親族優先の話については、先程私が申し上げましたように、親族に優先的に提供したいというご意思を表示された方に対しての、ネットワークのあっせん業務についての取扱いについて、10年ぐらい前に結構集中的にご議論いただいて、結論を出したことだと思います。あのときは、検証会議での議論と臓器移植委員会での議論と並行してご議論いただいたと存じております。
○町野委員 つまり、前のところの案といいますか、資料3-3の「小児(15歳未満)」と書かれておりますが、これは虐待死とは違う概念ですよね。従いまして、これだけ見ますと、おそらく小児についての脳死判定が非常に難しいので、これだけ特別扱いにしてやるのかと読めますから、そちらは射程に入っていないのかと。何をお伺いしようかと思ったのは、検証会議のやり方というのは、基本的にこれは廃止してもいいということは1つあり得る考えだと思うのです。しかし、いまそれができる状態かということを次に考えなければいけないので、小児の脳死判定は難しいという議論があったり、虐待の問題が出てきたり、そのことについて新しい問題が出てきているということからすると、廃止はまだ早いのかなという感じは、私はするということを申し上げたかったのです。
○辺見室長 脳死判定の基準が年齢の区分で分かれているのは、6歳のところですが、基準上6歳のところ、15歳のところ、18歳のところと、おそらくそれぞれあるのだと思いますので、事例に応じて医学的検証グループでご審議いただいて、そのあとの取扱いをどうしていくのかというのは、いずれにしろあり得るのかなとは思いますが。
○永井委員長 この案もこれで決まったわけではなくて、問題が出てきたら、さらにこのフレーム自体も見直しが必要になりますね。先程の書類だけで問題があれば、実地検証をされるわけですが、実地検証が多ければ、それはそれで非常に問題で、そういうこともお考えの上でのご提案ということでよろしいのでしょうか。
○藤原参考人 いまのご質問を先程から伺っていますと、虐待問題と言葉では言いますが、何も虐待は小児だけではなくて、大人だって虐待されている人はいくらでもいますから。従来でもきっとそれに近いものはあっただろうけれども、それまで全部をこと細かにやろうということになると、精神科の領域も超えて、むしろ人類学ではないが、社会学とか、そういう観点からも入っていかなければいけない。まず、これは脳死臓器提供という個人の善意を困った人に活用するという視点に立って、これは100%を満たすことはあり得ないことだと私は理解します。7、80%でも、少しでも幸せのために役に立つ医療を構築するのだと。そして、それを我々のレベルで検証できるものだけはきちんとやりましょうという理解でいるのですが。
○奥山委員 いまのご意見で1つ気が付いたのですが、15歳ではなくて、18歳で1つ切ったほうがいいのかもしれないと思うのです。もう1つは、検証というのを非常にご苦労されてやってこられて、大変な議論がある中で、きちんとできているかどうかの検証をいままでされてきて、これを続けることは、まだまだ必要だろうと思います。同時に、本当にいまのやり方でいいのかという検証です。検証と言っていいのかどうかわからないのですが、そういうデータを溜めていくということ。例えば、先程の脳死判定のことを見ても、6歳のところで、6時間と24時間とでは相当な違いがあるのです。これは4倍の違いがあって、6歳を1日過ぎれば、6時間で済むのですが、1日前だと24時間待たなければならないという大変な状況があるので、本当に24時間というのが適切なのかとか、そういうことも含めて、データだけでわかるわけではないですが、いろいろなご意見を聞くという意味でも、単にちゃんとできていたかではなくて、少しデータを溜めていくと。
 先程、前回も、レスポンシビリティではなくて、アナライシスのほうもと書いているようなところにも、少し目を向けていただいてもいいのかなと思いました。これは、ただ意見です。
○永井委員長 ほかにご意見はありますか。先程の15歳未満ではなくて、18歳未満の小児ということでしょうか。
○奥山委員 これは「書面での」ということになると、15歳のところで切られる問題はあるのですが、虐待の問題になると18歳になるので、取りあえず18歳のほうがいいのかなと思ったので、そういう意見を出しました。
○辺見室長 個別の事例をどういうやり方で検証していくのかという話は、たぶん出てくるかと思います。基本的には、3つの分け方の3つ目というのは、いままで15歳未満の方というのは、脳死から臓器提供の対象にはなっていなかったところで、対象になったということも踏まえて、ここに1つ線が入ったのです。それ以外の事例については、対象外なのかというと、必要な場合には実地訪問をするという形のやり方もあるのかなと思っております。実際は、個別の内容を見ていただいて、どういった形で検証するのかということを決めていただくのかなと考えております。
○町野委員 これで決まったという話ではないと思いますが、検証事項が決まらない以上は、もし児童虐待死のことを当然検証すべきだとするならば、15歳というのは中途半端です。15歳は本人の書面による意思表示がなくても構わないという年齢とするならば、これは全部について同じ話ですから、15歳で切る話に全然必然性がないです。小児の脳死判定について問題があるから、それを特に検証しろということであるならば、もう少し年齢を下げるという話になりますから、とにかく適当にやれという話ではないように思います。やはり、何を検証しなければいけないかということのミッションがはっきりしてなければ問題は起こるだろうと思います。
 と言いますのは、前に、検証会議のときに、家族のグリーフケアみたいなことまでやった時期が確かあったと聞いています。それはミッションがはっきりしていないところで、そういう問題が出てきたのではないかと思います。したがって、何を検証するかということについて話が固まっていない以上、ある程度方針が決まらない以上は、これは先に進めないのではないかと思いますが。
○藤原参考人 場当たり的に思えますが、そのようにやったのではなくて、それぞれに脳神経の専門の学会で十分に検討して、非常にたくさんの時間をかけてやっているのです。ですから、年齢の問題についても、むしろ町野委員のほうが専門だと思うのですが、遺産相続問題とか、いろいろなものを絡めて、取りあえずこれでやろうということでやったという裏話も報道関係から耳にしたことがありますが、いろいろな要因があって、現在ここまできたと。過去から現在に至って、どこにどういう問題がまだあるのだったら、それはどうするかというふうに積み上げていかないと、なかなかクリアカットにいかない。少なくとも、いまのこの時点で、検証会議としては、こういうようなことをこちらの委員会に上げて、皆さんのご意見をいただき、それがもし合意されるものがあれば、行政のほうで決めていくというプロセスになるだろうと思って申し上げたのですが、何か辺見室長から追加することがあれば。
○大島委員 参考資料1の2.「検証事項」に(1)(2)とありますが、これが検証会議に求められている検証内容です。ただ、これだけでは不足であるということであれば、いまここでこういった問題もやるべきであるという提案があってもいいとは思います。しかし、いまこれはすでに決まっていることではないですか。もし新たな提案があるのであれば、検証会議のメンバーとか、それも含めてこれは改めて考えなければいけない問題だろうと思います。
○辺見室長 新たな事項の切り口の問題があるとは思っております。まず、先程町野先生から出た心のケアの話は、参考資料の14頁、検証会議立ち上げ時は「医学的検証」、「臓器あっせん業務の検証」、「ドナー家族の心理的ケア」の3つがありました。3つ目のドナーの心理的ケアに関しては、別途に「ドナー家族の心情把握班」を立ち上げて、こちらで検討していくということで、検討は行われたということです。そういう意味では、当時は3つあったという意味でのミッションは明確であり、平成13年の見直しの時点で、3つ目の分野について切り離した点においても、過去の例に関して言えばこれは明確だと思います。
 虐待等の観点について、先程私が申し上げたように、例えば、知的障害の問題に関しても、従来から医学的観点とあっせん業務の観点の両面から検証してきたということです。虐待等の面に関しても、それぞれ医学的検証の中とあっせん業務の検証の中に割り込んで、それぞれの観点に入れていくのだと思うのですが、そういう形で対応することになるのかなと私どもとしては考えております。それでいいのか、それとも別立てで何か設けるべき話なのかというと、実際のやり方として別立てというのは難しい。実際には医療機関が関わる所が医学的検証で、ネットワークが関わる所があっせん業務ということですので、結局、誰がどういう形で関わったかという観点からすれば、この2つで結局割り切れていくのかなと考えております。そういう形でミッションを考えていけば、どちらかに落とし込めるとは考えております。
 あとは、個別例の組み方の15歳と18歳のところであるのですが、現状、事例が出てきていなくて、かつ新しい10例については、従来どおりで見直ししましょうという中です。平成13年のときも、具体的な検証作業について検証会議に委ねるというところもありましたが、ギリッと決めた形で進めていくのか、それともこういったご意見があったということを検証会議にご紹介しながら進めていくのか、どちらかとは考えておりますが、いかがでしょうか。
○永井委員長 いずれにしても、法改正後の症例については10例までいくわけです。そこで検討が必要になりますので、その時点でさらに問題点を洗い出して、今日のような議論を深めるということでいかがでしょうか。
 法改正前の症例につきましては、基本的には書面審査で問題があれば実地検証ということでしょうが、それもあまり問題が多ければ、こちらに上げていただいて、あり方について検証するということです。基本的には、藤原座長からの報告で、しばらく進めていただくというのが現実的なような気がいたしますが、いかがでしょうか。しかし、必ず10例で見直しのときには一緒に議論させていただくということにしたいと思います。
○藤原参考人 おかしかったら、3例だって4例だってやります。
○永井委員長 ということで、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(了承)
○永井委員長 そのような形で進めさせていただきたいと思います。藤原先生、また参考人の先生方、ありがとうございました。
 続きまして、日本脳神経外科学会の専門医訓練施設につきまして、ご議論をお願いしたいと思います。まず事務局からご説明をお願いします。
○荒木補佐 日本脳神経外科学会の専門医訓練施設について、本日は永廣先生にもお越しいただいておりますが、まず事務局から簡単にご説明を申し上げます。
 資料4に基づいてご説明いたします。1.「臓器提供施設について」は、一番最初にご説明申し上げましたが、臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)におきまして、施設要件、いわゆる5類型と呼ばれるものがあります。その中に、大学附属病院、日本救急医学会の指導医施設、あるいは昨年の7月17日以降追加された日本小児総合医療施設協議会等、全体でこれは重複もありますが、延べで492ありますが、そのうち日本脳神経外科学会の専門医訓練施設(A項)という類型があります。実は、2.にあります日本脳神経外科学会の専門医研修に係る施設類型が変更されると。これまで脳神経外科学会の専門医制度の見直しに伴いまして、専門医訓練施設として、A項及びC項という分類がありました。
 資料4の次の頁、これはホームページに書いておりますが、「指定の基準」というのがあります。例えば、A項はA、Bを満たす施設です。簡単に言いますと、年間脳神経外科手術100例以上、及び専門医が2名以上いるという基準を満たす所をA項。C項につきましては、専門医が1名以上で、手術が30例以上というものがあります。その中でA項につきましては、臓器提供施設という形で、ガイドライン上規定しておりました。
 しかしながら、今後、この分類から、基幹施設、研修施設及び関連施設の3つの分類に改められて、平成23年4月以降適用することとなったということで、新たなA項としての認定がなくなるという状況になっております。
 新しい基幹施設、研修施設、関連施設という定義が3頁目にあります。例えば、基幹施設は年間手術件数が200以上、1名のプログラム責任者及び3名以上の指導医がいるというような形で、これまでのA項の基準に比べて、若干違うものになっているということです。
 そういうことですので、最初の1頁目に戻って、3.「暫定措置について」ということで、日本脳神経外科学会の専門医研修に係る施設類型の変更というのがありました。今後は、臓器提供施設に係るガイドラインの規定ぶりを変更するまでの間、暫定的な措置として、以下のように取り扱ってはどうかということを事務局としてご説明申し上げます。即ち「平成23年3月31日現在において日本脳神経外科学会の専門医訓練施設(A項)と認定されている施設については、当面の間、「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)における取扱いは、なお従前の例によることとする」ということで、ご理解をいただこうと思います。説明は手短ですが、以上です。
○永井委員長 ありがとうございます。脳神経外科学会の専門医訓練施設が変更となるが、旧A項という扱いは残るということです。臓器移植法のガイドラインも当分の間は変更せず、暫定的に旧A項の形で運用するということです。いかがでしょうか。
○永廣参考人 脳外科の永廣です。ただいま説明があったとおりですが、もう少し補足します。A項というのは、これまで手術例数が多いという、充実した施設ということで、400近くあったのですが、今度新しく専門医を養成するのに、本当に重要な施設ということで基幹施設。これは大学病院が中心です。基幹施設を中心としたプログラムと一緒にやるのが研修施設と関連施設ということで、少し従来の考え方と違いますので、これまでのA項という考え方が4月からなくなっていくわけです。しばらくは、専門医も4年、取るまでかかりますので、A項というのは残ります。暫定処置として提供施設についても、A項は残していこうと考えております。
 いまプログラムが大体揃ったのですが、研修施設というのが大体700ぐらいあります。この700の中には、従来のA項とC項が混じっております。この研修施設というのは、脳外科の指導医が2名以上と決まっておりますので、ある程度は充実した施設です。今後はこの施設の中から臓器提供施設になるというところが、状況によっては出てくると思いますが、どういう認定基準にするかは、もう少し検討してから考えないといけないと思っております。
 と申しますのは、脳外科の施設は臓器提供が非常に多いわけですが、臓器提供そのものに負担が多い。人的な負担、経済的な負担がありますので、一挙に増やすということについては、非常に不安もあります。学会としては、いろいろな支援の組織を構築しながら、この問題を考えていきたいと思っております。
○永井委員長 ご質問はいかがでしょうか。
○小中委員 確認させていただきたいのですが、平成23年3月31日現在、今後変更するまで、A項施設として脳死臓器提供の可能な施設として存在すると。
○辺見室長 暫定措置の提案をさせていただいている事務局の立場からご説明させていただきますと、小中委員のご指摘のとおりです。どのぐらいなのかというのは、ガイドラインについての議論を、どのぐらいのタイミングでするかということかと思います。
 いま、2つの視点があるかと思います。認定という観点からすると、4年間ぐらいはここで研修を受けられた方について認定の有効性はあるということですが、一方で、これまで施設認定は大体年に1回ぐらい行われてきたということからすると、この先1年ぐらいの間に、関係学会、おそらく脳外科学会と、ほかに範囲があり得るとしたら、救急医学会の施設の話ももしかするとあるかもしれませんので、先生方からそういったご意見をお伺いする機会を設けるなどして、ご検討いただくようにしたいと考えております。
○永廣参考人 補足しますと、旧A項という形で、臓器提供施設はそのまま残ります。今後、増えていく可能性を残しながら検討していこうと。その研修施設の中から、従来、A項でなかった所が、臓器提供施設になることもあり得るのでないかと私どもは思うのです。それをどういうふうに認定していくのか問題がありますので、そこを検討していきたいと思います。
○永井委員長 それは学会のほうでさらに検討されるということでよろしいのでしょうか。
○永廣参考人 学会でも検討していきますし、こちらの議論をまたフィードバックしていってもよろしいと思います。
○相川(直)委員 先程の議論で脳神経学会のほうはわかったのですが、例えば、救急施設にどうかという話も出てきましたが、基本的な考え方としては、日本救急医学会の指導医指定施設も、あるいは救命救急センターという名称を持っている施設においても、機能としては、時々刻々変化しているわけです。救急医学会においても、施設の基準のときには変わりますが、指導医指定施設を認定するときには、必ずしも臓器移植の観点から認定しているのではない。また救命センターも増えてきていますが、そのときに臓器移植は可能であるかどうかという観点を、主として見て認定しているわけでは必ずしもないのです。ですから、そういう点では、現時点ではこのような5類型という形で、認定されているそれぞれのものがあればいいということですが、これはそれぞれ見直していく必要は必ず出てくると思います。現時点ではこれでよろしいと思います。
○大島委員 外形基準というのは、決めていく上ではある部分やむを得ないということはわかるのですが、一番基本的なことは、正しく間違いなく脳死の判定ができる施設であるということを、学会がきちんと認定するということだと思うのです。学会がきっちりと担保しているので心配いりませんよということを、どうやるかということですので、A項とか基幹施設とかいろいろな決め方をやらざるを得ない状況が出てくるのはよくわかるのですが、基本的なところをきちんと抑えた基準というのか、社会に対する表明というようなものをきちんと出していただければと思います。
○永廣参考人 おっしゃるとおりだと思います。脳外科学会でも、いま脳死検討委員会というのが全国に7支部あるのですが、各支部に脳死判定がきちんとできる施設を認定していくということも必要だろうと思っています。
○永井委員長 よろしいでしょうか。そうしましたら、暫定的ではありますが、旧A項の形で運用するということで了解したということにしたいと思います。今後のガイドラインの規定ぶりにつきましては、次回以降改めて議論することにしたいと思います。
 次に、改正法の施行を踏まえた今後の検討課題につきまして、ご議論いただきたいと思います。本日は、事務局において検討項目を列挙した資料、ドナー家族に対する心のケアに関する資料を用意していただいております。これに関してのご説明を室長からお願いいたします。
○辺見室長 資料5と資料6-1があります。資料6-2以下は、小中委員からご説明をお願いしたいと思います。私のほうからは、資料5と資料6-1までご説明させていただきます。
 資料5は「今後の検討課題について(案)」ということで、前回の委員会にも、少し違う形で提出したものを、最近の動きを少し書き足した形で整理したものです。「臓器提供施設に対する支援について」ということで、体制整備に関する支援ということです。「脳死判定マニュアル、提供施設マニュアルの整備」と書いてありますが、先程の検証の中でもマニュアルという言葉が出てきましたが、平成11年度の厚生労働科学研究で整備されたマニュアルがいま施設に配付されてお使いいただいているところです。今回の法改正を踏まえて、平成22年度の厚生労働科学研究で、今日ご出席の永廣先生などにもご協力をいただきながらマニュアルの改訂を進めているところですので、これが整い次第、新しいガイドラインを踏まえた改正後のマニュアルを配付するようにしていきたいと考えております。
 日本臓器移植ネットワーク等による支援については、従来から提供施設における研修や院内マニュアルの整備、シミュレーションの支援を行ってきているところです。先程予算の中でご説明がありましたが、少しずつ工夫をしながらこういったものをしっかり進めていきたいということです。
 (2)「臓器提供に係る手続きの負担軽減」については、学会専門医によるコンサルタント体制と1つだけ書いてあります。救急医学会や脳神経外科学会で、すでにこういった体制作りについて取り組んでいただいているところです。さらに、最近小児科学会においても、こういった取組みを進めたいとお考えになっているとお伺いしております。私共としても非常に有り難いお話だと考えておりますので、関係学会の先生方ときちんと連携を取りながら、今後は進めていきたいと考えております。
 2「ドナー家族の心のケアについて」はネットワークにおける体制の強化等があります。資料6-1、これは、あくまでも厚生労働省の立場から整理した「ドナー家族の心のケア」ということです。これまでの取組み状況として、臓器移植ネットワークのコーディネーターによる対応ということで、臓器提供を担当したコーディネーターによる訪問などの対応を行っている。またそのコーディネーターについては、年1回の研修を行って能力向上を図っていると。また厚生労働省自身の対応として、ドナー家族に対しての厚生労働大臣名での感謝状や、ドナー家族の集いにおける大臣からのご挨拶、検証会議の中でドナー家族へのケアを対象として、あっせん業務の検証を行う。こういったような取組みがありました。
 また最近の取組みとしては、平成22年度の予算として、日本臓器移植ネットワークの医療専門職としてメンタルヘルスケアや、患者・家族のケアを専門とする精神科医1名を配置する。これはあとでご説明はあるかと思いますが、これに加えてドナー家族のケアを担当するコーディネーターを置くことと、またドナー家族に直接向き合うコーディネーターを増員するということです。今後の対応としては、研修の充実を考えております。
 資料5の3は、このほかの検討課題として、コーディネーターの教育等ということ。4の普及啓発については、資料1で説明させていただきましたが、今年度は特に改正法の施行ということで、政府広報の協力をかなり得られて、御覧いただくだけでも相当ありました。今後もこれを機に政府広報の協力を得るように、私どもとしても頑張っていきたいと思います。新聞やインターネットを通じた広報というのは効果的ですので、頑張っていきたいと思っております。そのほか基準に関することで、レシピエント選択基準等の定期的な見直しといったものが課題と考えているところです。以上です。
○永井委員長 ありがとうございました。いまのご説明に関係して、小中委員からもドナー家族に対する支援についての資料をいただいておりますので、ご説明をお願いいたします。
○小中委員 資料6-2を見ていただきたいと思います。日本臓器移植ネットワークにおけるドナー家族対応や支援について、実際行っていることをご報告させていただきます。
 1つ目には、あっせんを担当するコーディネーターによるご家族への対応支援ということを、3つの○で分けて書いております。「臓器提供の承諾時の家族対応・支援」につきましては、ご家族が自由な意思決定ができるように担保し、意思確認を行うということを中心にしながら行っております。また「臓器提供承諾後から臓器摘出終了・退院までの家族対応・支援」につきましては、実際進んでいくあっせん手続きの説明。例えば、脳死判定の開始や摘出の医師の診察といったような手続きの説明を行う、ということは1つ大きなことですが、さらに最後の死別の時間といいますか、時期を十分にご家族が取れるように配慮するなど、また臓器の提供に関する気持の変化がないかどうかの把握などを、この期間に行うように気を付けております。
 「臓器提供後の家族対応・支援」について、具体的なものにつきましては、2.に書いてあります。時期としては、実際に臓器を提供されてから1ヶ月から2ヶ月ぐらいの間、日本の仏式の場合は、四十九日とよく言われておりますので、可能な限り四十九日までには移植の経過などについてきっちりとご報告させていただいたりしております。3ヶ月から6ヶ月、1年ぐらいという形で、3回と書いてありますが、移植後、臓器の提供直後につきましては、提供いただいた移植が無事に行われたかどうかということもご報告していますので、大体4回ぐらいの関わりになります。2年目以降については、継続するか、しないかというのは、そのご家族に応じて、お話しながら進めております。
担当するのは、実際にあっせんを担当した支部のコーディネーター、都道府県のコーディネーターで対応しております。方法については、ここに書いてある方法で行い、内容につきましては、ドナーの方のお参り、ご家族に近況やドナーの方のお元気だった頃のご様子などを伺うということ。移植を受けられた方の経過報告。厚生労働大臣の感謝状や移植を受けられた方からの感謝のお手紙、サンクスレターを届けるということを行っております。
 さらに臓器移植ネットワークでは個別の対応以外に、ドナーのご家族の集いを開催しております。地域ごとに2、3年に1回ですが、今年度は大阪の地域で11月に、名古屋の地域で2月に開催予定です。
 簡単に述べましたが、以上がドナー家族対応・支援についてです。添付の参考資料については、もう少し詳細にまとめてありますので、参考にしていただけたらと思います。
 それから次の頁に、今後の対応をまとめたものがあります。先程申しましたのは、現在の状況です。3頁の今後の対応としまして、1.「平成22年度」は、すでに医療専門職の方を設置しておりまして、その医療専門職の方の専門的な意見を基にしながら、ドナー家族への関わり方、体制の作り方などについて検討していく、進めていく予定です。
 2.「平成23年度以降」につきましては、ドナー家族対応担当のコーディネーターを設置して、全国で行われている家族対応の把握や、2年目以降などにつきましては、どうしてもあっせんを担当するコーディネーターは非常に多くの家族を持っておりますので、そのばらつきが生じないように行っていくことも考えております。さらに、医療専門職の方とドナー家族対応コーディネーターによるワーキングを設置して、支援体制を構築。この部分につきましては、地域や社会を巻き込んだ、心理や福祉などを専門にした方々などとの連携が取れるように構築していきたいと思っております。ドナー家族専用ダイヤル(ホットライン)の設置も、平成23年度以降、できるだけ早い時期に行っていきたいと思っております。以上です。
○永井委員長 ありがとうございました。ただいまのご説明にご意見はありますか。
○大久保委員 私は、以前からネットワークとは別に、もう少しドナーのケアをするような組織を作るべきだとずっと提案しているのですが、このお話だと、ネットワークとして2年後以後もすべての臓器提供者の家族についてケアをするということですか。
○小中委員 実際の臓器提供に関するあっせん手続を担っているコーディネーターですので、そのコーディネーターはやはりご家族への関わりを行っていく必要はあると思っております。ただ、どこまで深く、どこまで幅を広げるかというのは、社会との連携の中で、私たちが行う部分は自ずと決まっていくのではないかと思っております。
○大久保委員 それはわかるのですが、別の組織を作るということについてはどういうふうにお考えですか。
○小中委員 いまの段階で、別の組織を作るということに対して的確に意見するのは私の中では難しいです。現在、別の組織を作るということは、人とお金という問題がありますので、いまの段階のお話では難しいということが1点です。
 もう1つは、実際にあっせんの手続を担ったのは、あっせん機関であるネットワークですので、そこにある個人情報をどのようにお持ちするかということなども今後出てきます。その部分も考えたほうがいいというふうに思います。ただ、臓器を提供なさった方への対応、あるいは支援というものにつきましては、あっせん機関だけでは決してできるものではなく、例えば、大久保さんがどのようにお考えかわからないのですが、ほかに対応する施設ができるということを否定するものでは決してありません。私たちあっせん機関のコーディネーターは、承諾をいただいて臓器提供のところまでつないだ人間としては、私たちは関係ないというような言い方はできないと思っております。その範囲などについては、例えば、大久保さんがおっしゃるような施設ができたり、社会心理などを基本とした施設がすでにあると思いますが、そちらとの連携を行うことなどによって、少しずつ分担していくことが可能ではないかと考えているところです。
○大久保委員 北海道ではすでに動き出していますよね。ドナー家族のケアをするということで、NPOを立ち上げようと動き出しています。全国で1つのものがあってもいいし、また各地区にあってもいいと思うのですが、おそらく、ネットワーク自体では支え切れないだろうと思うのです。私は、そういうものがもう少し自然発生的でもいいし、我々は今度別のものを作るべきだと思うし、その中には当然ドナー家族の方に入っていただかなければいけない。我々はいつも家族の会の方たちと一緒にさせていただいていて、臓器を提供されたご家族同士が癒されるということはすごくあると思うので、そういう方たちも入れた組織を作って、支えていくことがこれから大事だと思っています。
○永廣参考人 先程の質問に関連したことですが、いま小中さんが言われたことは非常に重要だろうと思います。ただ、増えてくれば、それだけでは十分に対応できない部分も多いと思うので、提供施設でいろいろ検討したときに、院内のコーディネーターといったものをできるだけ作っていったほうがいいのではないかという意見が結構ありました。そういうシステムができるように少し考えていっていただきたいと思います。ネットワークが主導をとってもいいと思うのですが、それ以外にです。というのは、臓器移植に至らないまでに、オプション提示をしなければいけないのです。たくさんそういう事例があって、それぞれにグリーフケアも必要ですし、大変なのです。ですから、各施設にこういう組織がないと、おそらく疲弊していってしまうと考えますので、そういうシステムを何らかの形で、予算的なこともあるでしょうし、考えていただきたいと思います。
○奥山委員 1つは関連したところで、もう1つは全体なところで意見を述べさせていただきます。おっしゃるとおり、特に小児の場合には、オプション提示のやり方からして、ケアがスタートしていると考えたほうがいいと思いますので、やはり、そういうチームの中に心理士なり何なり、ケアができる人を入れていくような方向性をできるだけ作っていただきたいと思います。
 その話とは別に、今後の検討課題を挙げていただいていますが、先程来、辺見室長からも虐待の問題に関しては、通常の虐待の対応とか、そういったお話が町野委員からも虐待の対応について出ているのですが、ガイドラインで出ているように、虐待対応チームがないというのは論外ですので、そこで経験を積んでなければ何も言えないのですが、実際に、虐待対応チームをやってきた私たちの仲間で話し合っても、臓器移植に際して虐待がなかったことを言うということは、相当にそれ以上に難しいことです。ですから、そこをどうやるのかということに関しては、通常のがあればいいという考え方では無理だと思いますので、是非そこは検討課題の中に、いずれ入れていただきたいと思います。
○木下委員 話の視点がずれるかもしれませんが、ここは臓器移植委員会ですので、基本的には脳死に関わることをここで議論しておられると思います。ただ心臓死のこともありまして、特に角膜移植ですと、アメリカでは年間10万件のドナー提供があるのですが、日本は2,000件弱です。しかもそれはずっとフラットに達していて、過去20年ぐらい、あまり変化していないのです。
例えば、日本アイバンク協会は、日本臓器移植ネットワークのコーディネーターではないのですが、アイバンクコーディネーターをかなり充実させて頑張っているのです。そういったものを、よりオーソライズしていただけるような形とか、また心臓死、これは腎臓移植にも関係するかもわかりませんが、さらにそこも増えるような形のことも、今後検討課題の中に入れていただけるとありがたいと思います。コーディネーターの教育云々のところも、是非アイバンクのコーディネーターのことも含めて検討していただけるとありがたいと思います。
○永井委員長 よろしいでしょうか。大体時間になりましたので、事務局及びネットワークにおかれましては、ただいまのご意見を踏まえながら、さらにドナー家族への心のケアを含めたあっせん業務の充実に向けて、取組みをお願いしたいと思います。今後の検討課題につきましては、次回以降も議論してまいりますので、よろしくお願いいたします。本日の議題はすべて終了しましたので、最後に事務局より連絡事項をお願いいたします。
○長岡補佐 本日は活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。今後の検証方法の見直しの部分につきましては、本日のご意見も踏まえた上で、検証会議において具体的な事項や変更の具体的な時期などについても議論した上で、実行に移していく形にしたいと思います。また、今後の検討課題については、ただいまご指摘もありましたので、それを踏まえた上で事務局においても検討を進めていきたいと思います。次回以降の日程につきましては、委員長ともご相談の上で、皆様に日程調整をお願いすることになるかと思いますので、その際にはよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
○永井委員長 それではこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室

代表 : 03(5253)1111

内線 : 2366 ・ 2365

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