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2011年2月16日 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 第11回議事録

医政局看護課看護サービス推進室

○日時

平成23年2月16日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省18階専用第22会議室


○出席者

秋山 正子 (ケアーズ白十字訪問看護ステーション 統括所長)
有賀 徹 (昭和大学医学部救急医学講座 教授)
井上 智子 (東京医科歯科大学大学院 教授)
大滝 純司 (東京医科大学医学教育学講座 教授)
川上 純一 (浜松医科大学附属病院 教授・薬剤部長)
神野 正博 (社会医療法人財団董仙会 理事長)
小松 浩子 (慶應義塾大学看護医療学部 教授)
竹股喜代子 (医療法人鉄蕉会 医療管理本部 看護管理部長)
英 裕雄 (医療法人社団 三育会 理事長)
星 北斗 (財団法人星総合病院 理事長)
前原 正明 (防衛医科大学校外科学講座 教授)
山本 隆司 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)

○議題

1)ヒアリング
2)試行事業について
3)その他

○議事

○島田看護課長補佐 
 それでは、定刻を少し過ぎましたけれども、ただいまより第11回「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多用中のところワーキンググループの会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員の出席状況でございますけれども、本日は真田委員より御欠席という御連絡をいただいております。また、星委員と秋山委員はまだ御到着ではございませんけれども、間もなくお着きかと思っております。
 本日は日本理学療法士協会が行われました理学療法業務に関する実態調査について御説明いただきますために、日本理学療法士協会の半田一登会長にお越しいただいております。
 また、医療現場での看護師と他職種との連携について話題提供をいただくために、長崎リハビリテーション病院の栗原正紀院長にもお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 お手元に議事次第と座席表をお配りしております。その下からが資料となっております。
 資料1「日本理学療法士協会 資料」でございます。
 資料2「長崎リハビリテーション病院 栗原院長 資料」でございます。
 資料3「特定看護師(仮称)養成 調査試行事業(案)について」でございます。
 資料4「特定看護師(仮称)業務試行事業(案)について」でございます。
 資料5「特定看護師(仮称)養成 調査試行事業 実施状況報告について(案)」でございます。
 足りないものなどがございましたら、途中でも結構でございますので、事務局にお申し付けください。
 ここでカメラの方がいらっしゃいましたら、退室をしていただきたいと思います。
 それでは、座長、以降の進行をよろしくお願いいたします。
○有賀座長 
 委員の先生方、おはようございます。ちょうど今から全員が出席されましたので、出発したいと思います。
 本日の議題は、そこにありますように「(1)ヒアリング」と(2)(3)とございますので、(1)からいきたいと思います。
 この順番でいきますと、資料1からとなりますので、最初のヒアリングは半田会長どうぞよろしくお願いいたします。
○半田参考人 
 半田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は昭和46年に理学療法士になりまして、就職した先が九州労災病院というところで、日本で最古にリハビリテーションをチーム化して始めたところで、昭和24年から始まったところです。ですから、昭和46年から37年間、私は1つの病院に勤務していましたけれども、脳卒中、難病、脊髄損傷、頸椎損傷、切断、あらゆる疾患の方々、あるいはそういう方々の人生とお付き合いしてきた。そういう中でのチーム医療に対する考え方と本会の調査について、今日は10分ということですので、取り急ぎ説明させていただきたいと思います。
(PP)
 2枚目になりますけれども、私は最近臨床を離れるまでの37年間の中で、このようなことをつくづく感じておりました。医療が高度化したあるいは高齢患者がすごく増えてきて、チーム医療が本当に必要だということを感じました。あるいは医療が社会化した、社会が医療化したというこの現象をどうするのか。それから、パターナリズムへ警鐘がいろいろなところで鳴らされているという感じを受けました。エビデンス、医療安全、医師、看護師さんが本当に疲弊している。これは1つの病院に勤めてきまして、疲弊感あるいは仕事の量、質、これには大変な問題があると私も実感しております。そういう意味で、今回は本当の意味でのチーム医療の論議が大切だと思ってまいりました。
(PP)
 3枚目にいきます。私が37年間の中でチームを見てきたときに、チームリーダーとチームマネージャーというのが本当に必要だと思います。
 マネージャーの大切さをいいますと、どちらかというと、今、余り使われないかもわかりませんけれども、チームコーディネーター、コーディネート、COというのはともにということでありまして、だれがこのチームをコーディネートするのか、チームがどこまでいけるかという非常に大きなことだろうと認識しております。そして、それを実践してまいりました。そういう意味におきまして、チームマネージャーあるいはチームコーディネーターといっていいかと思うんですけれども、これは看護職が最適あるいは最適な業務であると認識しております。
(PP)
 スライド4にいきますけれども、チームリーダーの条件です。これはリハビリテーションの世界では知らない人がいないという澤村先生の本からですけれども、チームリーダーはこういうことが必要だ。
 常にチームメンバーに共通する未来へのビジョンを語れ。
 ビジョンを達成した成果を患者さんに活用しろ。
 チームメンバーの生きがいのあるライフワークを創出しろ。
 そのためにはチームリーダーのあるべき姿として、専門的知識・技術、問題解決能力、対人関係能力等々について必要だと述べられております。
(PP)
 スライド5にいかせていただきます。私ども理学療法士が学校で学ぶことですけれども、全人間的復権ということで、分業して業務に当たります。その中で分業した後の統合が非常に大事になってまいります。分業のままだと船頭多くして船山に上るみたいなことになってしまいますので、分業だけで終わるのではリハビリとは言えない。それをだれが統合するのか。個々のチームの中でも非常に大事な要素があると思っております。
 リハビリ的「みる」ということをわざわざ書いてみたんですけれども、見学の「見」、観察の「観」、診察の「診」、看護の「看」あるいは視力の「視」、いろんな「みる」という字がありますが、私は専門的集団としてすべての「みる」が本当に必要なチームとしての力だろうと思っております。
(PP)
 時間がありませんので、6ページ、7ページは併せて申し上げたいと思うんですけれども、リハビリテーションというのは全人間的復権を理念とするということで、どうしてもチームの力が必要です。1人の医師の力で1人の人間あるいは複数の人間すべてを把握することはまず不可能でしょうし、またそれに対して対応することも私は不可能だと思っております。
(PP)
 続きまして、8ページにいきたいと思います。これは大体リハビリ分野でやられているチームアプローチだと思います。
 医師の診察によってリハビリの必要性の判断が行われて、その後カンファレンスにかけられます。初期カンファレンスの中で治療方針の決定、分業が行われます。そういったさまざまな中で統合した上で、他医療機関、ケアマネージャー等との連携に当たっていく。この統合がないから、今は個々の連携がうまくいっていない。統合がないまま退院等が行われますと、最後の連携がうまくいかないと感じてきました。
(PP)
 それから、チーム医療のリハビリ的手段としてカンファレンスが用いられます。あるいは治療方針の決定が行われます。カンファレンスというのが手段であることはどなたも御存じだと思いますけれども、37年間、カンファレンスを治療方針の中で決定してきた中で私が感じたことは、生命的能力予後予測あるいは機能的な予後予測、生活能力の予後予測が必要です。これがない限りリハビリチームとしての治療方針は定まっていかない。そう考えたときに、私はこれは医師が責任を持って当たるべきことであろうと感じております。
 これ以降は今回の調査について説明をさせていただきます。
(PP)
 スライド10になりますけれども、理学療法士の現状として、一番上の学位がないという方々が2000年には80%おられました。現在では47.7%に減ってきている。あるいはそのほかの数字もだんだんと高学歴化が進んでいっていることを示しております。
(PP)
 スライド11は理学療法士が働いている職場で、どのような人とチームメンバーになっておりますかということで見たところ、このように医師と看護師、作業療法士、言語聴覚士、ここは当たり前です。ソーシャルワーカーも53.8%チームに入ってきている。かなり日本のリハビリテーションも人的な成熟な方向にあると感じております。
(PP)
 理学療法士の現状として、どの科に属して、どのような処方をいただいていますか、指示をいただいていますかということを表してみました。リハビリテーション科に所属しているスタッフが多くありますけれども、指示に関してはリハビリテーション科の医師だけではなくて、あらゆるところから指示がきている。リハビリテーション診療科がかなり拡充してきて72.7%という数字になっておりますけれども、指示というところとは乖離が見られると感じました。
(PP)
 スライド13にいきます。カンファレンスの参加というところを1990年からずっと追ってみますと、0分、全くカンファレンスに参加していないというのが1990年は16.5%あったのが、現状においては9%、徐々に下がってきている、右肩下がりになってきている。逆に30分未満であってもカンファレンスに参加しているのがどんどん増えてきている、34.2%です。1時間以上とか2時間以上というのは大体大差のないところで収まっていると感じます。そういう意味におきまして、リハビリテーションにおけますカンファレンスというのがかなり定着しつつあると感じました。
(PP)
 クリニカルパスについての使用状況ですけれども、使用している、使用していないというのが、5年前と比べると下降現象になっております。一時期かなりパスということで、私の働いていた病院でも強くありましたけれども、最近は減少傾向になっている。
(PP)
 その詳細につきましてはスライド15になりますけれども、脳血管障害と大腿骨頸部骨折のパスの運用はかなり増えております。ところが、その他THA、TKA等々につきましては、大きく下げております。特にTHA、TKAなどはパスに非常に適した疾患であるにもかかわらず減っていっている。この結果からある意味では政策誘導が行われている光と影的なところを感じました。
(PP)
 続きまして、包括的指示に対する調査です。16ページについて飛ばせていただきます。
(PP)
 17ページ、我々が行った調査について御説明をさせていただきます。理学療法士が勤務しているすべての病院の理学療法士のトップの人間にアンケートを行いました。トータルした施設数は8,580施設、人数としても8,580人です。
(PP)
 それを昨年10月15日から1週間の間、たった1週間の間でインターネットを使った調査をやりまして、1週間で45.5%の回答を得ることができました。非常に関心が高いという印象を受けております。
(PP)
 スライド19になりますけれども、現在リハビリテーションの必要性を看護師が判断・依頼していますかということにつきまして、急性期病院においては15.2%がそうである。84.8%が違いますという回答であります。
 回復期におきましては11.1%が看護師がその業務に当たっている。88.9%がそうではございませんという回答です。
 維持期においては、見てのとおり21%と79%という割合になっております。
(PP)
 続きまして、理学療法士・健康運動指導士への運動指導依頼を看護師が実施していますかということにつきまして、急性期、回復期、維持期に分けて調査しておりますけれども、急性期においては8%、回復期においては5.9%、維持期においては15.3%でした。実は調査する前に私は維持期はもっと多いと予測して調査したんですけれども、やや多い傾向は表われておりますけれども、予測よりもやや低かったという印象を持っております。
(PP)
 スライド21でございますけれども、整形外科領域の補装具の決定、注文を看護師が実施していますかということにつきましては、急性期では1.4%、回復期で2.9%、維持期で2.7%という非常に低い数字が出ております。妥当なところだと思っております。
(PP)
 この後は色が青になりますけれども、これは今後のことについてです。リハビリの必要性の判断についてだれがやったらいいのかということで、圧倒的に医師がやるべきであろうという結果が理学療法士の中から寄せられております。
(PP)
 続きまして、健康運動指導士、理学療法士への運動指導の依頼につきましても急性期、回復期、維持期に分けて調査しましたけれども、やや維持期が高いとは思われますが、似たような結果だと思います。
(PP)
 整形外科領域の補装具の決定はスライド21にもありましたように、補装具の決定というのは非常に難しいです。例えば足関節の補装具を決めるにしても、解剖から骨、関節、人体、さまざまなことを周知した上でないとできないということでありますので、非常に難しい分野です。ですから、私ども理学療法士からすると妥当な結果が出たと思っております。
(PP)
 スライド25になりますが、これは3つの調査です。研究班が行った調査と医師会が行った調査、本調査がありますけれども、私はどの調査が正しいとかどれがどうだという気は全くありません。それぞれにそれぞれのバイアスがかかっているだろうと思っております。ただ、我々の調査は3,902施設、人数ではなくて3,902施設からのデータ収集をやったということはちょっとほかとは違うことだと思っております。
(PP)
 その後は3つの調査を比較したグラフにしてみました。チーム医療に関する調査として、理学療法士への依頼等々についてこのような結果になっていまして、3つの調査の間にかなりの乖離があるということがこれでおわかりになるかと思います。
(PP)
 スライド27におきましても、このように調査によって大きな差が生じている。1つはタイムラグの問題もあるんだろう。先行した調査、それに続いた調査、後になればなるほどいろんなバイアスが当然かかってくるだろう。あるいは施設対象者によるバイアス等々がありますので、どれが正しいということは全く考えておりません。ただ、違いがあるという現実については御認識願いたいと思っております。
(PP)
 最後になりますけれども、私どもの基本的なチーム医療に対する考え方あるいはいろんなことについて述べさせていただきました。
 時間がありませんので、ここで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○有賀座長 
 どうもありがとうございます。
 半田先生はしばらくここにいていただけますね。
○半田参考人 
 はい。
○有賀座長 
 それでは、栗原先生のお話をお聞きして、一緒にディスカッションということでよろしゅうございますか。そのように進めたいと思います。多分栗原先生の病院の形式と半田先生がおっしゃったこと等が部分的にオーバーラップするかと思います。勿論違う発表ですから内容は違うとは思いますが、質問などは重複するといけませんので、一緒にと思います。
 それでは、栗原先生お願いします。
○栗原参考人 
 こちらの方で済みません。ちょっとだけ動画を入れましたので、スライドさせていただきます。
(PP)
 従来からいろんな現場で地域医療連携が診療報酬改定にのっとった形で施行されながら、いろいろ違和感を感じておったこともありまして、少し整理しましたが、今、半田会長が言われたとおりだと私も思っています。相当な技術の進歩と知識の膨大さでより多くの職種がチームを組むことが重要であろうと思う次第で、チーム医療というのは地域医療連携等々がある前に、もっと早く議論がなされるべきではなかったのかと思っている次第です。
 基本的に技術も相当進歩いたしましたから、高齢者が病気を随分乗り越えるようになってまいりました。しかし、一方では寝たきりになってしまうという生活につながらない現場の問題点があります。ここに基本的には機能分化と連携という課題があるのだろうと思っています。そういった意味では、チーム医療を具体的にどう発展させるかということであって、ある意味で職種がいろいろいないと医療は成り立たないのではないかというのが私の問題意識でございます。
(PP)
 そういった意味でチームというのはあえて多職種の医療専門家集団だということ、目標と情報を共有して協働するのであって、いつまでも専門職種間のことに連携という言葉を使っていてはチームにならないというのを現場で議論しています。壁があった人たちが連携をしようという話になってしまうと思うのです。ただし、これはそれぞれの専門職が質の向上を図るということが大前提でありますから、自己研鑽の下でクオリティーをあるいはそれぞれの組織の方向性として知識、技術を高めるということが前提になってくるのではないかと思っています。
(PP)
 現在のチームの在り方を模式的に書いたのですが、先ほど半田会長が言われましたように、現在の一般的な組織構造ではリハビリテーション部からセラピスト(PT、OT、ST)が出てくるような、同じように看護は看護部あるいはドクターは医局とかそれぞれの部署から出て行って現場に従事するわけです。
 もう一方で、私はもともと脳神経外科医ですけれども、臓器別の専門的な治療学というのは進歩し、必死で習得をしてまいりましたが、基本的に生活というファクターをドクターはほとんど習ってきていないと私は思っています。そういった意味で臓器別専門家チームというチームのありようと、もう一つはやはりそれを生活につなげていくためのサポーターとしてのチームのありようというのがあるのだろうと思いますが、現実は1つのやり方として栄養サポートチームとか、あるいはそれぞれの特殊課題に対するチームが関わっている格好になっています。この実情における問題点をピックアップしたのですが、第一に医師の処方がなければ関与できない。ですから、本当にニーズにかなっているかどうか、サポーターは動けない現状があります。またNSTあるいは感染防御チーム等々に関しまして非常にアクティブに動いているところもありますけれども、そこの部分のマネージメントあるいは臓器別専門家チームとの関係づくりも乗り越える1つの課題になっています。
 更には医科と歯科の関係づくりにおいても、我々医科のレベルでは口の中なんてほとんど見てこなかったという歴史がございますが、そのことによって誤嚥性の肺炎というのが現場では大きな問題になっているということもありますから、何とかそこに医科、歯科の連携というものを強化して、チームの一員になってもらいたいという願いもあります。いずれにしましても、いろんな部署から出てきて病棟で従事しているというのが現状だというのは、御共有いただけるものと思っています。
(PP)
 私自身が提案しているのは、これだけ高齢者が増えた状況の中で適切に臓器別の専門家治療を行いながら、それを生活につなげていくという命題を克服するためには、必要に応じてでしょうけれども、特に高齢者の多いような病棟においては周りを取り囲むリハビリテーション・ケアチームという格好の病棟専従体制が必要ではないかと思っております。
(PP)
 もう一歩進めてまいりますと、その次の段階です。つまり臓器別の治療を乗り越えた後、生活につなげながら、なおかついろんな慢性疾患をコントロールしていくという、いわゆる回復期リハビリテーション病棟と私どもは認識しておりますけれども、そのステージにおいては真ん中の臓器別専門家チームが抜けた格好ではないかというのが私のイメージです。そのためには病棟専従制というのは当たり前という格好で、私どもの病院は平成20年に新たにオープンいたしましたけれども、徹底した格好で運営をしております。
(PP)
 これが在宅のチームです。それぞれの専門職を乗り越えた形でやらざるを得ないということで、卒業1年目のセラピストあるいは看護師さんが真っすぐ在宅で従事するというのは非常に難しい。それは経験が必要であるということもあります。
(PP)
 ちなみに、急性期病院から我々の病院に来られた患者さんの現状、昨年1年間のデータを見てみますと、先ほどお示ししましたように、左側のグラフですけれども、入院患者さんの約50%以上は口腔内に問題があります。口腔衛生が非常に悪い。50%以上です。
 栄養に関しては、昨年1年間で入院患者さんの37%が我々でいう徹底した栄養サポートが要るという現状があります。これは7対1看護の病院からの患者さんで尚且、NSTも動いている急性期病院の実情です。
(PP)
 ちなみに、この患者さんは3週間検査入院で我々の病院から転院された患者さんですけれども、3週間飲まず食わずの状態で口腔内はもう破綻してしまっています。新たな褥瘡までもできて帰ってきている。これそのものが大きな問題ではなくて、恐らく今の急性期病院はてんやわんやの状態になっているのでしょう。
 ちなみに、救急搬送される患者さんで一番多いのは脳卒中、その次は肺炎でして、ほとんど高齢者です。ですから、高齢者医療提供体制として、やはり多職種の専門家チームが関わる以外にないのだろうというのが私の論点でございます。
(PP)
 急性期医療の問題点としては、基礎疾患の治療が中途半端にならざるを得ない。平均在院日数を余りにも気にした格好で動いている状況。
 それから、私どものところで年間に5人ぐらいはがんが見つかります。脳卒中患者さんにがんが見つかります。そういった意味で、潜在疾患をフィルターにかけることができない環境が急性期病院では設定されています。
 更に先ほどの口腔ケアの話も含めてですけれども、リハケアというのが消えていくのではないかと心配いたします。
 栄養管理が不十分で、また特に公的病院の急性期リハではセラピストが雇用されることは非常に少ないですから、脳卒中患者さんのDPCデータで見てみると、全国の脳卒中患者さんの半分にセラピストが関わっていますけれども、関わっている時間は約20分という現状です。ですから、急性期リハビリテーションと言われますけれども、成熟も何もあったものではないという現状があるということを問題視しています。
 そういった意味では、繰り返しますけれども、高齢者の多い病棟ではやはり専従チームが必要であるということです。
(PP)
 私どもは3年前に立ち上げて、典型的な1つのモデルとして表現しようという徹底した体制を組みました。
 皆さんのお手元の一番最後のページ、一番裏になりますが、昨年1年間の実績を載せております。看護必要度10点以上が平均で41%です。それと経管栄養で来られた患者さんの経口摂取率が53%、更にその人たちの在宅復帰率は51%でございます。病院全体の在宅復帰率、例えば急性期病院に行ってまた戻ってきた人も全部含めますと、最終的に80%近くになります。これを達成するためにはマンパワーが必要になります。私どもの役割は障害を改善して生活に向かうという橋渡しでありまして、なおかつリスク管理が重要になってまいります。
(PP)
 当院は脳卒中患者さんを中心とした回復期リハ専門の病院です。3つの回復期リハ病棟を持っております。全体で143床、療養型の病床です。
(PP)
 回復期リハ病棟をつくるためのチームとしての問題点を挙げました。1つは先ほどちらっと言いましたけれども、各専門職の縦割り組織というのがいろんな意味でチームをつくりにくい構造がございますので、私どもの病院では縦割り組織をなくしました。これは最初からだからできたということもありまして、チームを徹底して意識した組織構造をつくりました。
 更には電子カルテ、また日常の生活にのっとった支援という視点が重要ですので、やはりそこには看護の基盤というものを体制づくりに挙げました。365日、オープン当初からやっております。
 先ほど半田会長が言われましたように、マネージメントというのは非常に重要だと意識しています。
(PP)
 これが組織でございます。臨床部というものにすべての職種を統括いたしましたので、看護部長はいません。看護部というのはないわけですから、看護部長はいない。勿論リハ部長もありません。ドクターも臨床部の中に集約いたしました。ここでそれぞれの専門職の教育がいかに重要かということが逆に見えてまいりました。それはあくまでも縦割りの中でやらざるを得ないということです。それが現在大きな課題として整理している最中です。
(PP)
 回復期リハビリテーション病棟は、従来の診療報酬上は専任のドクター1名、看護師15対1、看護助手30対1と書いてあります。それから、PT2名、OT1名というのが専従になっております。
 全国の回復期リハビリテーション連絡協議会のデータを見てみますと、約48%がこの体制で登録されていますが、現実は一般病床の急性期等に従事しているセラピストが応援を行っている体制があります。そういった意味では、専任という格好の応援体制があるのですが、残念ながらドクターも含めまして、専任の足の置き場はやはり一般病床にありますので、チームが成り立つことが非常に難しいという現状があります。
(PP)
 私どもの病院は1病棟48床でございます。病床対人員で示しますが、1対1.6です。まだ看護が足りませんが、現状でも看護体制は11対1(昔の言い方では2.2対1)ぐらいになっていると思います。春に近づくに従ってまた人が異動してしまいますので、少ない状況がでてきます。
 それから、診療報酬で設定されていないものを赤で示しますが、STの他、ソーシャルワーカーを1病棟48床に2人置いています。管理栄養士を1人、歯科衛生士を1人各病棟に専従で置いています。
 病棟をマネージメントする、あるいはチームをマネージメントするという意味で、マネージャー制をとっています。少なくとも教育のありようから見てみますと、看護師長クラスにやっていただくということで、今は看護師長のクラスです。これをサポートするという意味でアシスタントマネージャーを置いていますが、これは主任クラスの看護とセラピストが任に当たっています。
(PP)
 我々の目指すチームのありようというのは、専従制を前提といたしまして、カンファレンスが非常に重要です。情報交換は基本的には電子カルテでやるという前提に立っています。カンファレンスは議論、そしてまたチームの目標を整理して統一させるという場になります。
 先ほど申しましたように、看護との関係づくりは非常に重要ですが、24時間体制で従事している看護あるいは介護福祉士を入れていますが、これらの人たちが生活の基盤をつくっていくわけですから、やはりそこののっとった生活を軸にしたセラピーの提供という意味では、やはり看護が基盤になるように頑張っていただくということにしております。
 それから、歯科医師が外から自由に出入りできるような体制づくりとして、歯科診療オープンシステムを構築しています。
(PP)
 先ほどからくどいようですけれども、急性期病院とのありようの違いはここにあるのではないかと思います。回復期では患者の日常生活に沿った支援が基本である。急性期病院ではどうしても1つの疾患を治療するという前提に立っていますから、大きな違いだろうと思っています。
(PP)
 変な絵で恐縮ですけれども、例えば日常生活、朝起きて夜寝るというサイクルの中で看護、またそれを補強する形での歯科衛生士、管理栄養士等が周りを取り囲んでいくという構造になります。ソーシャルワーカーは非常に重要な役割を演じます。
 更にはそれぞれの時間帯においてミーティング、合同評価、カンファレンス等々が入ってきます。
(PP)
 よりよいチームをつくるためにはルールが必要です。つくづく思うのはやはり経験年数が高い、例えば看護あるいはPTが経験年数の低い作業療法士などと議論をいたしますと、どうしても低い人間はつぶされてしまいます。そういった意味では、前提として他職種をつぶさない。つまり他の職種を尊重するということを前提としたチームづくりがつくづく重要だということを認識しております。
(PP)
 これは1日の業務の中での流れです。先ほど申しました日常の生活を軸とした業務の流れで、セラピストが一緒に関わるという構造です。
(PP)
 これは参考資料の中に入れております。
(PP)
 セラピストとはPT、OT、STのことですが、やはり日常の生活の中で患者さんのニーズを抽出して問題提示をするという能力は看護師に強く求められます。リスク管理も当然ですけれども、ここは非常に重要です。
 それに対してセラピストは、即応した問題解決というものを現場サイドで努力するということを常に意識するように伝えております。基本的にはセラピストも看護も同じ思考過程、同じ頭の使い方をするんだということがこれでおわかりだと思います。
(PP)
 現在、当院では看護助手のほとんどは4年制大学出の介護福祉士です。この中で問題点として見えてきたのは、医療の中で働く介護福祉士の役割とは何だということです。今、議論をしている最中で、いかに医療専門職として育てるかということを意識しています。いずれにしましても、看護師、介護福祉士に対してセラピストが個別の対応で技術を提供した部分を、より日常の生活の中に応用していくという関係づくりが重要です。
(PP)
 そういった意味で、チームの構築のための重要な取組みごととしてあえてここに出させていただきましたが、よく現場でもあります。指導する、指示をするという言葉がちらほら最初のころは聞かれましたが、先ほど申しました他職種を尊重するという意味では、指導も何もない話です。そういった意味では問題提起という言葉に切り替えさせて、指導、指示というのは医師のみが行うことにしています。
 更によく聞こえることとして、セラピストが現場の看護の方々に病棟さんという言葉を使うのです。これはある意味でリハビリ専門病院だからそういうことがあるのかもしれませんが、これもなくしています。更にナースステーション、ナースコールも消しました。スタッフステーション、スタッフコールということです。
 もう一つ、特に患者さんや御家族がセラピストのことを先生と言うことがありますが、同じ専門職で従事している病棟のスタッフであれば、そこには看護に対しても先生と言うべきだということで、一緒になって先生をやめようという努力をしています。学会などではこれがときに困ることがございますが。
(PP)
 これは病棟の風景です。
(PP)
 カンファレンスは非常に重要だということ強く意識しています。ただ、議論を集約させるという意味でのファシリテーションの教育は基本的に医者も習っておりませんので、教育研修の中には盛り込むべき課題となっています。
(PP)
 こういう場面です。
(PP)
 現在、病棟の業務量調査をやろうとしていますが、研究の段階でちょっとしたトライアルのデータをごらんに入れたいと思います。ある日の昼の1時から5時までの間の職種の動きを示しています。これは専門職の4人に発信器を付けさせまして、全部追いかけたということでございます。
 真ん中がスタッフステーション、ここがカンファレンスルームでございます。非常に中心部で動いている。ときにはこういうこともあります。それから、これも似たような動きがあります。それに対して黄色は非常に満遍なくいろんな動きをしています。これは病室を重点的に動いています。
 それぞれの職種がどういう職種かと申しますと、これはドクターです。これは看護師、これは介護福祉士、これはセラピストです。
(PP)
 こういう1つの表現ができるのですが、例えばこれを追いかけていきますと、4時間を凝縮いたしますと、こういうふうに動きがあります。これは見にくいですので、ある部分を抽出いたしますと、ここでセラピストと介護福祉士、センサーを付けているのがこの2人だけでしたけれども、常に合流して何かをやっているということがおわかりだと思います。
 それから、ここはドクターと看護、スタッフステーションの中で動きを議論している部分があるように見えます。
 これはカンファレンスです。非常に長くドクターがカンファレンスルームにおります。実はこのとき3例のカンファレンスが行われています。1例30分です。出入りをするスタッフもございます。
 これは何をしているかというと、見守りと歩行の補助介助をやっている部分です。セラピストが本当は横にくっ付いているんですが、こういう業務があるということがわかります。
 これを分析いたしまして、チームのありようというものを側面からデータに収集できないか。もう一つは、看護の業務量調査というものを何とかしたいということでやっている絵でございます。
(PP)
 退院前には、このように介護保険領域のケアマネージャーを含めて来ていただいての退院前のカンファレンスがございます。
(PP)
 実は私どものところでは肺炎予防を重視しています。誤嚥性肺炎というのを非常に気にしております。脳卒中の合併症あるいは救急搬送でも肺炎患者は多いからです。そういった意味では、口から食べるということをいかに構築しているかということで、いわゆる診療報酬上で設定以外の言語、聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士などの職種を病棟専従にし、更には医科、歯科の連携として市の歯科医師会と共有をいたしまして、オープンシステムを構築しています。
(PP)
 そのことによって現在病棟内に歯科衛生士がおりますが、患者さんの口の中は全くもってきれいです。
 それから、先ほどのデータでお示しした経口摂取率も高い。
 更には経管栄養の患者さんは鼻から常時管を入れることはいたしておりません。経口経管栄養法で流動食を入れたら、その後は抜いてしまうということで、3食間欠的経口経管栄養法をやっております。
 朝から夕方まで患者さんは寝巻を着ておりません。たとえ重度な患者さんであってもです。
 こういうことをすることによって体幹機能、あるいは日常生活に沿った形の支援というのができると思っています。
(PP)
 これはもう飛ばします。
(PP)
 オープンシステムが必要な患者さんに対しては、登録の歯科医師のドクターが来て、一緒になって口腔機能を向上させるということでやっています。
(PP)
 最後の方になりましたけれども、チームを運営するためには最低条件としてあえてこの3つを挙げさせていただきます。
 コミュニケーションというのは非常によく言われる話ですが、若いスタッフが多いものですから、コミュニケーション障害が問題になります。おわかりだと思いますが、ただ単に物を言うことさえできない子たちも増えております。そういった意味で、自分の考え方をしっかり伝えるということに関するコミュニケーションの教育というのは重要になります。
 それから、電子カルテを中心とした情報の共有化。専門職であればどの職種でも電子カルテに同一のレベルでレポートをするという格好にしています。
 チームのマネージメントに関しましては、日本看護協会が歴史的にマネージメントということをずっと教育されていると思いますが、医者を含めましてそのほかの職種はマネージメントに対する教育というのはなかったのではないかと思っています。今後、我々医療界では、ある意味ではここが必要な教育の課題だろうと思う次第でございます。
 済みません。以上でございます。
○有賀座長 
 どうもありがとうございました。
 栗原先生もいていただけますね。
○栗原参考人 
 はい。
○有賀座長 
 そういうことで、今お二人のプレゼンテーションを賜りました。ヒアリングというのはこちらの立場ですが、お話を賜ったところです。
 委員の方々は適宜挙手をして質問等をよろしくお願いいたします。
○神野委員 
 質問の前に、ここは看護業務検討ワーキンググループなので、余りリハビリテーションについて言及するのはいかがなものかと思いながらも話させていただきます。
 まず各論的にいうと、例えば栗原先生もおっしゃったように、今、地方では急性期病院も高齢者ばかりであるということで、いろいろ手がかかるというのは事実であろうと思います。
 私の本職はがんの外科医ですので、昨日も回診してまいりましたけれども、7対1の急性期病棟で、私どもは病棟担当のPT、OTを1人ずつつけて外科回診を行っています。その中でPT、OTから、彼らは彼らで別に患者さんを見ていて、前もっての指示がなくても、外科医に対してこの方はリハビリの対象、がんリハビリの対象でいかがでしょうかということを回診のときに言ってもらっています。
 あるいは私どもの経営しているところで、一昨年、国の施策に先走って療養病床をやめてしまいまして、転換型老健140床にしたものがあります。そこもPTさん、OTさんが2名ずつおりますけれども、そこは医者のマンパワーがすごく少ない状態になっていますので、そういった意味では自分たちで入所者の方々のリハビリ計画を立てていくということを行っています。
 そこで半田会長に質問です。今回の理学療法士協会の調査ですけれども、現状にしましても、看護師が指示しているかどうか、今後についてもだれが指示すべきか、医師なのか、特定看護師なのか、看護師なのかという質問の仕方をしていらっしゃいますけれども、本来は理学療法士あるいは作業療法士が指示すべきであるという考え方はないものなのでしょうか。看護師はおっしゃるようにコーディネーター力とかマネージメント力というものを学んでいらっしゃると思いますけれども、私は自分たちの職場の理学療法士、作業療法士を見ていると、彼らもコーディネーター力が非常にまさっているし、あるいは総合リハビリの計画を立てていく上で一生懸命患者さんのADLから日常すべてを見ている。とするならば、看護師に任せろとか医師に任せろではなくて、療法士さんたちが、私たちが指示するのだという主張はないものなのでしょうか。
○半田参考人 
 あります。ただ、現在、教育から責任体制まで総合的にいったときに、それを一つひとつ積み上げていくという過程が必要だと思っています。例えば医療事故のときの問題、あるいはそれに対する保険体制の問題等を含めて総合的に考えていかないと、現状のままではちょっと難しいところがあります。
 もう一つは、急性期、回復期、維持期とあったときに、維持期において医師の指示がすべて必要だ、やれと言われると、医師がいないという現場も相当数あるわけです。そうすると、ひとくくりでだれがということはなかなか言えないと思います。そこはちょっと区分した上で、この論議をしないと乱暴になってしまうと思います。
 今おっしゃられた中では、特に維持期においては、話が先行する必要もある。あるいはその方が利用者にとってかえっていいとは思っています。
○神野委員 
 ありがとうございます。そういった意味では、恐らく訪問リハも同じような議論があると思いますし。また、今後はこれからここでの議論になると思うんですけれども、現状では看護師が指示しても責任体制は全く同じというか、医師でなくて看護師の指示の場合も責任体制は担保されていない状態です。それが前提の質問ということです。ありがとうございます。
○有賀座長 
 栗原先生、今の御質問がもし先生に来たとすると、どんなふうにお答えですか。
○栗原参考人 
 在宅に関していえば、確かに同時に全職種が集まるということは非常に困難な状況ですので、そこはいかに連絡網をつけながら、ケアカンファレンスとよく言うのですけれども、そういうものもうまく運用しながら、どの職種が提案して、実行をみんなで合意するというような形成の仕方もあると思います。ただし、山奥に訪問に行ったときに、例えばプログラムを変えるとか、それは難しいと思います。そういった意味では裁量権というのはあってもしかるべきだと思います。
 先ほどのことを繰り返しますが、いわゆる回復期のリハビリテーションの専門病棟で、病棟専従でやればどの職種がだれに指示をするなんてことはほとんど問題意識にならない。カンファレンスが中心ですから、必要に応じてするということです。半田会長の先ほどの看護が指示しているという回答のデータの本当の意味はどういう意味かよくわからないのです。医者のかわりに指示書を代筆しているのも指示と言えば、それはいっぱいあると思うのですが、そこら辺の真意がよくわかりません。
 急性期でも同じことで、病棟専従で動けばそこには議論が出てまいりますから、先生が言われましたように、回診のときに提案が出てきておるわけです。そこを合意して実行に移すという形であれば、やはり在宅の次元ではかなりその必要度は高いのではないでしょうか。
○有賀座長 
 ほかにございますか。どうぞ。
○竹股委員 
 ありがとうございました。大変興味深く聞かせていただきました。
 今のお話にちょっと連なるんですが、半田先生にお伺いしたいのは、先ほどの看護師がリハビリテーションの必要性を判断、依頼しているかということと、リハビリ、セラピストの皆様方が実際は医師がやるべきだということとは乖離がありますね。今、栗原先生がおっしゃったことは私も思っていたんですが、看護師が判断、依頼しているというのが15%あるいは20%という内容がどういう判断で、どういう依頼なのかということがあると思います。
 もう一つは、リハビリといってもいろいろなリハビリがございます。例えば廃用性症候群のように、ナースが普段の中でこの人はこれ以上そのまま置いておいたら関節が固まってしまうという判断もあるし、あとお食事介助等はナースが中心になって支援をしていますから、非常にむせっぽくなっていて、嚥下機能が悪くなっているのではないかとかという判断はナースがいわゆる観察から行うことができますし、そういうリハビリの必要性の判断というのはいろんな局面があるので、その辺がこれは一括しておりますので見えづらいんですが、先生としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
○半田参考人 
 調査方法は全く研究会が行った調査と同じやり方でしました。ただ、分析をちょっと変えただけです。
 今おっしゃられたように、この調査が非常に難しいのは、臨床現場では看護師さんと理学療法士、作業療法士がかなり一体化して動いているんです。それぞれの場で看護師さんからこれはどうだろうか、こうしたらとかいろんなことをやっているんです。それを看護師の判断で依頼ととるのか、とらないのかという、そこら辺のことは全くわからないままの調査なんです。ですから、いろんなものが含まっている結果だろう。先ほど申し上げたように、どれが正しいとも、どれが間違えとも言えないような結果が出てしまったというのは、医師会のデータも含めてそのように私は思っています。ですから、看護師さんが依頼するあるいは看護師さんが判断するというのは、何を判断するのかというところの判断の対象が何なのか、何を依頼するのかによってデータはこんなに変わるんだろうという予測が成り立ちます。おっしゃったとおりだと思います。治療を始めるとき、入院してきたときのスタートをどうするかという論議と、継続中の中での変化というものがありますので、どこを調査したのかということは、答えた側も釈然としないまま答えられているのではないか。それは我々のデータもそうだと思います。
○有賀座長 
 どうぞ。
○英委員 
 やはり半田先生に伺いたいんですけれども、今回、維持期の中で、今いろいろ御指摘になった在宅の中で、私どもも在宅の訪問リハビリをやっているんですが、院内のドクターからの依頼が大体10%から20%ぐらいなんです。80%は地域のケアマネからの依頼で動いているという実情があって、ケアマネの指示によって動いているというところは、診療所のデータであったり、訪問看護ステーションのデータは非常に多いんですけれども、今回の調査ではそれは項目としてなかったわけですか。
○半田参考人 
 今回の調査の仕方は一番最初に先行した研究会と同じ聞き方をしたものですから、そこまで出ていないという感じです。
○英委員 
 わかりました。
○星委員 
 お二方にお尋ねしたいといいますか、印象をお話いただきたいんですけれども、この議論が出てくる背景にあるのは、やはりリハビリならリハビリの病棟における、あるいは訪問看護なら訪問看護の現場における医師の介入の薄さがもしかしたらあって、本来であればリハビリをする人あるいは看護師さんたちがその状況を見て、これはこういう状況ですから、こういうことをしていきましょうという話し合いが十分に行われて、これでいこうかということに最終的には医師が判断をして、それでみんながそれぞれの役割を果たすというのが普通に考えれば最もノーマルな形だと思います。ところが、先ほど専従の医師なりリハビリの十分な知識を持っていないという場面があった場合、先ほどのお話にあるようなPTさんが主導的な役割をとって、こういうふうにしたらどうかということを提案して、そして決めていく。そうすると、形からすると、主体的な役割が医師ではなくてPTであったり、あるいは看護師であったりというのがあり得ると思います。
 この話は看護師さん、特定看護師さんに何か特別な判断をさせるとか、何か特別な能力を求めて医師のかわりをさせるというイメージではなくて、本来医師はみんなの意見を聞いて方針を決めていくということにありながら、現実にはそういうことが十分に行われていないので、現実に患者さんの傍ら、非常にそばにいるPTさんなり看護師さんたちがもっと早く変えられればいいのに、もう少しこういうふうにできればうまくいくのにという思いがあって、この議論になっていると私は感じているし、多くの人がそういうふうに思っているんだろうと思うんです。現場で先生方がお感じになられているところで、医師が大変だから放っておいて自分たちで決めようという雰囲気なのか、あるいはやはりそういうことではなくて、医師がきちんとした責任を持つあるいは勉強する、その上でそれぞれの職種がそれぞれの基本的な役割をきちんと果たすようなチームであるべきだと考えるのか、どちらに見え、そしてどちらに向かうとお感じなのか。場面によって違うと思いますので、一般化はできないかもしれませんが、先生方の印象を一言ずついただければありがたいと思います。
○半田参考人 
 医師は放っておいてという論議、あるいはそのような風潮というのは私は感じません。
 ただ、実は私どもに対する法律的な規制で、医師の指示とはという文言があって、医師の診察に従って施術の量、方法を具体的に命ずるものであると書かれているわけです。これが医師の指示なんです。ところが、医師の指示の中にリハビリをお願いしますという指示もあるわけです。リハビリお願いしますは包括的指示なのか何なのかということが現場はわからないんです。そこら辺をはっきりしてもらうと、非常に仕事がしやすいんです。リハビリというのは日々患者さんの状態に変化がありますので、具体的な指示をいただいても、相当な判断を働かせてやらないと、同じことをやっていても患者さんは全然変わりませんので、そういうところでは理学療法士、作業療法士、あらゆるリハ専門職の方々はその中での専門的な判断に従ってプログラムの変更はやっていっていると思います。
 ただ、目的が変わるとか、カンファレンスで確認したことが変わるとか、これはまた別問題です。ただ、そういう中で、医師は放っておいてという論議は余り聞かないし、そのような考え方は私は違うと思っています。
○有賀座長 
 栗原先生、お願いします。
○栗原参考人 
 チームを何とかしなければいかぬという論議の基本に医者が足らない、医者が忙しいという話を持ってくると、私は本質がおかしくなってくると思います。申しましたように、医者の知識、技術もオーバーフローしている。1人では無理だ。それから、看護も同じです。非常に質を問われていきます。ただ、一方では細かいケアというのは抜けていくという状況の中で、これだけの国家資格を持った専門職が生まれたわけですから、いかに効率よく補完していくかという体制をつくらない限り、患者さんは生活に向かえないという状況がある。生活に向かわない医療は何かというのと、私はあり得ないと思います。
 そこはある意味で振り返ってくると、医者の問題なのです。臓器別にしか習っていないのです。ここをトータルで支えていく医療体制という意味では、私はリハビリテーションというのは特別な世界では全くないと思います。ですから、リハビリの世界の話を私はしに来たつもりはさらさらなくて、医療そのもののありようとして、生活に向かう構造はリハビリテーションしかないと私は思っているのです。その中でいけば、ある意味で過渡期の現状ですから、ドクターにいろんな提案、啓発を含めてやりながらいけば、ある見方をすれば、じわじわとチームの一員にドクターもなっていくわけです。どの職種の権域がここまであってということをいうと、チームは成り立たないと思います。必要に応じて臨機応変な対応ができる専門職の集団ということを前提にした場合には、線引きというのは難しいと思います。
 私が救急病院におったころは、看護師はそこは看護ではないと言い、PTはそこは看護ですと言う。これで論議までやらかすのです。要するにこれは連携の時代なのです。協働という場合には必要に応じて動けばいいわけですが、つい最近までリハビリの専門病院でも患者さんがトイレに行きたいと言ったら看護を呼んでいたのです。そういう時代がつい最近までです。生活を中心としたセラピーをやるということになれば、トイレ動作も重要ですから、セラピストがトイレ介助をするということも当たり前になってまいりますので、やはり身近にお互いに患者さんに寄り添うという構造をつくらない限り、ここはいつまでも議論が尽きないという気がいたします。そういった意味で、私どもは病棟専従で構築しない限り、特に高齢者は医療が成り立たないのではないかということを言っている次第でございます。
 回答になったかどうか心配ですが、以上です。
○星委員 
 ということは、端的にお伺いしますけれども、チームでやられている、協働でやられている仕事の中で、看護師さんたちの中に特定看護師さんという、今、議論されているような職種をつくり、新たな国家資格になるかどうかは別として、そして、リハビリの判断や指示をこの方々ができる、あるいはこの方々にしかできない状況をつくるということに関してどういうふうにお考えか、端的に教えてください。
○栗原参考人 
 ICUとか救命センターの最先端の真っただ中の状況では即応した判断と実行というのがありましょうから、その部分ではクオリティーをお互いに高めていこうという前提の下でそういう分野があり、資格というかそういう人が生まれても私はおかしくないと思います。少なくとも私のところにそういう技術を持った人を雇えと言われても、雇い切れません。これが現実だと思いますので、要所要所、適材適所ということになってくるのではないでしょうか。
 もう一方で、セラピストもより技術を高めていくという前提に立てば、特定とは言わぬまでも何らかの認定やさらなる資格となってくるわけです。急性期では特に心臓リハビリ、あるいは呼吸器リハビリとして特化しておりますので、そういった意味ではセラピストもあるいは管理栄養士も含めてそれぞれが技術を高めていくという方向性で特定看護の意識があれば、私はあってもおかしくはないと思います。私の病院では無理です。
○星委員 
 半田先生、いかがですか。
○半田参考人 
 私はリハビリテーションの中だけで37年間生きてきて、ちょっと話が長くなるかもわかりませんけれども、当時、昭和40年代にリハビリを始めた医者たちはすごい蔑視と差別の中でチーム医療としてリハビリをつくり始めたんです。自分で何もできないからチームをつくるんだ、手術もできないからリハだと医師たちに言われたんです。我々もとんでもないことを言われてようやくチームとしてここまで来たんです。それは1つの形が歴史的にでき上がっているんです。その形を今あえて変える必要がありますかという質問だと置き換えると、私はその必要は全く感じない。
○星委員 
 ありがとうございます。
○有賀座長 
 ほかにございますか。
 せっかくなので、栗原先生、カンファレンスが出発点とおっしゃっていますので、多分その部分に触れると思うんですけれども、包括的指示という言葉がありますね。先生御自身は先生の臨床実践の中から、包括的指示というのはどういうものだと思われますか。日々それが連続して続いていると思えばそれでいいとは思うんですが、言葉として何かありますか。
○栗原委員 
 全くのイメージのお話で恐縮ですけれども、最後は医者が責任を持つ。これが意味だという気がいたします。
○有賀座長 
 リハビリテーションで目的を共有化して、かつ情報を共有する。そういう中でそれぞれの職種がそれぞれいろんなことをされるわけですね。今トイレの介助のことをおっしゃいましたけれども、その部分におけるそれぞれの職種の作業そのものは、そういう意味では包括的な指示の中に入っているということになるんでしょうか。それとも看護の世界でいうと、診療の方ではなくて療養上の世話というのがあるわけで、そういう観点からすると、その部分に関してほかの職種がトイレの介助をしている。そういうふうになるんでしょうか。そこら辺は言葉遊びみたいになって申し訳ないんですけれども、包括的な指示というところを少し深めていこうと思うと、先生に指南いただきたいというのが本音であります。
○栗原参考人 
 私どものところでは、先ほど言いましたように完全に病棟専従制をとっておりますので、病棟の運営、患者さんの最終的な目標に向かっているかどうかのコントロールを含めて、どうしてもドクターがリーダーシップをとることになります。リーダーシップということを考えていきますと、勿論リスク管理も含めての話になりますので、基本的に病棟で行われていることに関しては、すべてのことに関してドクターが情報を集約するということが大前提になります。そういった意味では、そこの範疇の中には包括的指示という部分は全部含まれるのではないかという気がいたします。
 ただし、ドクターの年齢、経験等々によって、きめの細かい患者さんの家族の対応等々を含めると、そこに補完的な役割が必要ですから、看護のトップのマネージャーという役割で動いてもらっています。ここの部分は基本的にドクター、マネージャーのペアが病棟の運営、トータルをやっております。
 究極、突き詰めていくと、やはりドクターの包括的指示というのがどうしても表に出てこざるを得ないでしょうけれども、現実そういう意識でだれも動いていないのです。どこからどこまでが包括的指示かなんてことはだれも考えていないのが現実だと思います。
○有賀座長 
 どうもありがとうございました。
 どうぞ。
○半田参考人 
 実は、今、医師の指示を臨床現場で理学療法士、作業療法士、リハスタッフはどうしているかというと、指示書を10年間保存しているんです。それぐらい医師の指示というのは高いレベルに置いているというか、証拠を10年間残しています。当然それに対するカンファレンス等々のものもちゃんと10年間保存して、それを廃棄する。それぐらい医師の指示というのは保険局医療課はかなり厳しく指導してきた事実がありますので、それに従ってやってきた。
 今後、包括的指示ということになってきたときに、今、指示を受ける側とされている我々はそのものに対してどう対処するのかということ、臨床の場での想像が全然できないんです。ただ、先ほど申し上げましたように、リハお願いしますというのが包括的指示なのか何なのか。法律上具体的な方法と量を医師が示すのが指示だと言われているわけです。それがないお願いしますは包括的指示と呼んでいいのかどうか。あるいは包括的指示はどうやって証拠を残すのか。ドクターから口頭でいただいたものを指示という形にすると、何らかの形、バーバルオーダーという形で、文章か何かで残すのか残さないのか。ここら辺をちゃんとしておかないと、臨床現場にとんでもない混乱が起きてくると思います。指示はだれがもらったのか、わからない、証拠が何もないということになってしまう。
 ただ、この問題と先ほど質問があったような看護師さんと理学療法士とかいろんな人が現場でいろんなことをやっていくということはまた別問題ですけれども、包括的指示の証拠をどう残すのかというところを明らかにしておく必要を私は強く感じています。
○有賀座長 
 日々包括的指示が行われているのは、救急救命士と指示をするドクターとの間です。そういう意味では包括的指示が記録として残っている。これは間違いありません。
 それはそれとして、とりあえずお二方にはしばらくいていただくということで、よろしくお願いします。
 ここから先の議題に進みたいと思います。
 どうぞ。
○小松委員 
 1つだけ済みません。この機会ですから、栗原先生にもう一回確認させていただきたいということが1つあります。先ほどリハビリの先生たちが行っているような協働ができているところでは、今、言われている特定看護師に関しては必要ない、役割としては余りイメージできないということでした。
 一方で、急性期のリハのところでは、それぞれ技術を高めていくということにおいては必要なのではないかとお話されたんですが、先生が今お考えになっている特定看護師の定義はかっちりとはされていないんですが、役割の先生が持っていらっしゃるイメージというか、それをお話していただければ、その違いが私の中では理解できると思います。
○栗原参考人 
 今ちょっと誤解があったみたいですけれども、急性期リハビリで特定看護が要るとは言っていないです。ICUとか救命センターの最先端の状況の中では、そういう資格といいますか、そういうものがあった方がいいのかもしれないと言ったわけで、急性期リハビリのところで、例えばセラピストも心臓リハビリとか呼吸器リハビリとか特化した部分がございますので、より技術を高めるという方向性が1つのラインであれば、その中に特定看護というイメージはわかります。
 現実、回復期リハビリテーション病棟の中では、全国回復期リハビリテーション連絡協議会で認定看護制度を内部でつくっていて、研修もやっております。セラピストも認定になります。
 看護協会がされている認定看護、専門看護というものがありますが、現状、民間病院の中で専門ナース等々をどういうふうに対処していったらいいかという問題は、現場で看護師が足らない状況がある中でなかなか難しい現状が今はあります。ただし、将来これが5年、10年先の話としては、それぞれの専門職の細分化というものの中の範疇として理解できるということです。
 御理解いただけますか。
○有賀座長 
 大丈夫ですか。
○小松委員 
 すごく重要なことを提議されたと思いました。
○有賀座長 
 もともとチームとして多職種が合作すればするほど、それぞれの専門性は高いものが求められていくだろうという話で栗原先生いいんですね。
○栗原参考人 
 そういうことです。たらたら言ったからこんがらがって申し訳ありません。
○有賀座長 
 どうぞ。
○井上委員 
 心臓リハとか呼吸リハを各セラピストの人たちが更に積み重ねていってやるとなると、ICUにいる特定看護師というのは具体的に何をするんでしょうか。どういうイメージをお持ちですか。というのは、絶対看護がすると言っているわけではないんですが、今、専門看護師とか、特に急性期で働く専門看護師たちはかなり心臓リハとか呼吸リハなどもトータルにケアしている部分があって、そこを特化して切り離すようなイメージをお持ちなのかどうかということです。
○栗原参考人 
 ICUとか救命センターの最先端のレベルにおいて、看護が呼吸器リハを集中的に、例えば1時間、2時間やるということは現実問題として無理でしょう。ケアの中に知識、技術を投入しているというのは理解しますけれども、それよりも何よりも例えばIVHの補充とか、側管からルートを入れたり、あるいはモニターを監視して適切に対応するという状況に追いかけ回されるのではないかというのが私が心配しているところです。ですから、リハケアチームという設定は今まで言われた療養の支援というか、看護の中のケアをより質を高めた体制にするという意味で言っているつもりです。
 臓器別の部分では、先ほど申しましたように、例えば心臓リハの専門のセラピストがそれに集中してやるという部分であってもおかしくないということを言っているわけで、専門ナースがどういう立場をとられるかということは、少なくとも診療上の補助を強化すると設定されていると私は理解しておりましたので、そういうことです。
○井上委員 
 わかりました。
○有賀座長 
 栗原先生のお話やその他もろもろのお話はそれぞれ現場を背負ってのお話なので、奥は幾らでも深くなる。どんどんいけば幾らでも議論できますけれども、とりあえず議事進行をしなければいけませんので、お二人にはここにいていただいて、場合によっては意見を言っていただくなり、委員の1人みたいな感じでよろしくお願いしたいと思います。
 それでは「(2)試行事業について」ということで、資料3と資料4を御説明ください。資料3が養成調査、資料4が業務の試行ということで、卵と鶏でいくと前者が卵の話で、後者が鶏という話なんでしょうか。これは事務局からお願いします。
○島田看護課長補佐 
 それでは、資料3、資料4、資料5まで説明をひととおりさせていただきたいと思います。
 まず資料3「特定看護師(仮称)養成 調査試行事業(案)について」でございます。前回のワーキンググループでもこの試行事業(案)についてお示しをしておりますけれども、その際いただきました御議論を踏まえまして、一部修正をさせていただいて、本日資料としております。
 おめくりいただきまして、3ページの部分でございますけれども「(4)報告書類」と書かれているところがございます。ここの部分について前回少し御意見をいただいておりまして、インシデント・アクシデントについてどのような報告体制をし、今、実際にインシデント・アクシデントが起きてすぐに報告するようになっているかといったようなところを議論いただいたところでございますけれども、こちらの2行目以降にありますように、本事業の実施状況、例えば安全面の課題、実習時のインシデント・アクシデントなども含めまして、本事業の中間時及び終了時に事業報告書を提出していただくとしております。
 2つ目でございますが、インシデント・アクシデントが発生した場合には、当該インシデント・アクシデントの内容、発生後の対応、発生の要因等について、別添の様式に記載の上、速やかに提出をしていただくとしております。別添の様式としましては、4ページ、5ページにお付けしておりますけれども、こういった報告様式で直ちに御報告をいただくといったことをお願いしたいと思っております。
 この報告様式でございますけれども、今年度の養成調査試行事業の実施過程に対しましても、インシデント・アクシデントが発生した際にはこの様式で御報告いただきたいという形で既にお示しをしているところでございますけれども、来年度もこの様式で御報告をいただくことにしたいと思っております。
 3ページにお戻りいただきまして「4.その他」を追加しております。これは後ほど御説明いたします資料4にございます業務試行事業との関係でここに記載しているものでございますけれども、業務試行事業の対象となる看護師を養成した課程においては、当該看護師を雇用する業務試行事業実施施設から提供された情報を踏まえまして、自らの課程の内容について自己評価を行っていただきたいといったところを記載しているところでございます。
 続きまして、資料4でございます。こちらも同じように前回お示しをいたしまして、御議論いただいた内容を反映させております。
 2ページと3ページのところですが、2ページに「(3)指定基準」とございますけれども、前回お示しした中で指定基準に盛り込まれていた一部の内容を3ページの「(4)実施基準」という形で別立てで今回はお示しをしたいと思っております。
 「(4)実施基準」でございますけれども、前回、管理責任者はどういったことを実施するのかといった御質問などがございましたが、実施基準といたしまして、管理責任者はどういったことをしていただくかということをお示ししております。管理責任者は本事業が安全かつ円滑に実施されるよう、安全管理に係る組織の会議を定期的に開催するとともに、事業の実施状況について担当医及び本事業の対象となる看護師から随時聴取し、確認することとするとしております。
 そして、安全管理に係る組織はどういったことをしていただくのかといったことを実施基準にお示ししておりますが、2つ目の○といたしまして、安全管理に係る組織は試行の対象とする業務・行為を実施する前に、あらかじめマル1緊急時の対応に係る手順、マル2患者またはその家族に対する説明・相談に係るルール、マル3本事業において試行の対象とする業務・行為に係るプロトコールを定めることとするという基準を設けております。
 3つ目ですが、担当医及び本事業の対象となる看護師につきまして、定期的に開催される安全管理に係る組織において、本事業の実施状況を報告いただくということとしております。
 それから、担当ですけれども、担当医は試行の対象とする業務・行為が安全に実施されるよう、定期的に本事業の対象とする看護師の習得度を確認するとともに、必要に応じて指導を行うと明確にお示しをしております。
 その下でございますが、この事業の対象となる看護師は、医師の指示の下、試行の対象とする業務・行為に係るプロトコールに従って、業務・行為を実施するといった実施基準をお示ししております。
 「(5)報告書類」のところでございますけれども、評価をだれからするのかといったところで、前回は今「担当医」とお示ししておりますところを「指導者」としておりましたけれども「担当医」と明示しております。担当医や他職種からの評価としているところでございます。
 その下でございますが、業務時にインシデント・アクシデントが発生した場合でございますけれども、発生状況などについて別添の様式ということで、5ページ、6ページでございます。別添の様式に記載の上、発生後速やかに提出していただきたいということで報告様式を5ページ、6ページにお示ししております。
 4ページの「4.その他」を追加しておりまして、チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ、このワーキンググループは、特定看護師(仮称)の業務範囲や要件等を検討するため、指定施設と連携する特定看護師(仮称)養成調査試行事業実施課程に対して、指定施設から提供された情報を踏まえ、自課程の内容について自己評価を行うよう依頼するといったことを明記しております。
 続きまして、資料5でございますけれども、こちらの方は今年度実施をしていただいております特定看護師(仮称)養成調査試行事業からの実施状況の報告内容についての案をお示ししております。
 今回御報告いただく目的といたしましては、1つ目に書いてございますが、養成調査試行事業の実施状況等について実施状況を把握いたしまして、今後の検討材料とするために御報告いただくこととしております。
 報告の時期でございますが、平成23年3月に御報告をいただくと予定しております。
 報告いただく内容を3でお示ししておりますけれども、まず演習・実習についてですが、指導体制がどうであったかということ、指導方法、評価の方法、安全性担保の方法について御報告いただくこととしております。学生の習得の状況、実習時のインシデント・アクシデントの発生状況、総合評価といたしまして学生による評価、次年度に向けての改善やカリキュラム変更等の評価について報告いただきたいと思っております。
 更に報告の方法でございますが、所定の様式により御報告をいただいて、必要に応じてヒアリングといったことも予定をしてはどうかと考えております。
 以上でございます。
○有賀座長 
 ありがとうございます。
 さっと見て、そのままさっと理解できたかどうかは分かりませんが、資料3と資料4は相互補完的な関係にあるところがありましたね。相互補完的な関係であるのか、ないのかはよくわからないんですが、資料4の4ページの「4.その他」のチーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループはというのは、ここのことですね。ここのグループは云々の情報を踏まえ、自課程の内容についてとありますが、自らの課程というと、この場合の自らは何を示すことになるんですか。先ほどの自課程とここの自課程は同じ自課程だけれども、どこがどうなのかということになると、少し国語が違ってきているのではないかと思います。
○島田看護課長補佐 
 済みません。資料4の「4.その他」でお示しをしております「自課程の内容について」の自課程でございますけれども、これはこの事業で対象となる看護師を養成した養成調査試行事業の養成課程のことでございまして、養成した課程が実際に既に養成されて働いておられる看護師、ここで事業の対象とする看護師の業務実施内容等を検討するために、自らの課程での養成がどうであったかということを評価していただくようにワーキンググループとして依頼するということを「4.その他」で書かせていただいております。
○有賀座長 
 養成課程に対して養成された、つまり養成課程に対して指定施設から提供された情報というのは、働いている場所ということですか。卵をつくっているところは鶏さんが働いているところから提供された情報を踏まえて、卵のプロセスについて自己評価をしろという話ですね。
○島田看護課長補佐 
 はい。
○有賀座長 
 わかりました。
 そういうことで、わからないところはわかるように質疑をしてくださった方がいいのではないかと思います。
 どうぞ。
○星委員 
 言葉の問題なのでちょっと聞きたいんですけれども、やはり資料3と資料4の違いがあって、資料3の2ページの上から2つ目の○です。指定基準云々で、順次、指定基準に照らして書面によって内容を確認するとともに、特段の問題がない限り指定するとあります。
 同じような書き方が資料4にあって、2ページです。同じように書いてあります。実施施設の指定申請があった施設については、順次、指定基準に照らし、なぜかここで「特段の問題がない限り」が抜けていまして、指定することとすると書いてあります。これは何か違いがあるんですか。特段の問題があっても指定するんですか。これはどう読むんですか。お願いします。
○有賀座長 
 特段の問題とは何かということですね。
○岩澤看護サービス推進室長 
 指定基準に照らし、その基準を満たしていれば指定をするということで、特段の問題というのは指定基準を満たしていない場合を指しています。「特段の問題がない限り」ということを業務試行事業のところに書いておりませんが、意味は同じです。
○星委員 
 そういうことを行政の担当者がおっしゃるのは私は信用ができないんですけれども、単純に忘れて落としたのか、意図を持って書いたか、落としたかというのは、後になって書いてあったでしょうという話がよくあるので、あえてここは突っ込みます。
 というのは、私は「特段の問題がない限り」というのが問題だと思っているからです。要は実習施設にいろんな仕事、やっていいかどうかわからないものをさせますといって実習をして、それで認定を受けた人、認定といいますかいいですといって卒業した人が鶏の訓練所に行って鶏訓練をするわけです。そのときにその実践施設がその実践に向いている施設かどうかや、本当にそういう安全性が確保できているということについて、だれがどうやって確認をし、責任を持つんですかというのが前回の議論にあったと思うんですが、ここでいうと特段の問題がないというのをだれが判断し、どう責任を取るのかということについてやはり明確ではないんです。ですから、それぞれの施設が責任を取るのであって、国はただお墨付きを乱発するんだと私は読めるんです。これは乱発されたら困る話でありまして、別に反対だから乱発するのを嫌がっているわけではなくて、本当にこういう試行事業なり養成をやろうとしたときに、その施設あるいは実践や実習を行う施設の安全管理や患者さんへの説明やその他のことについて、やはり十分な議論と確認が行われて、その上で行われないと、私は本当の意味での試行事業になり得ないのではないか。勝手にやらせてみました、それぞれの面持ちと価値観でやりました、そして、こういう行為をさせました、結果はこうでした、こんな事故が起きましたということだけで本当にいいのかというのが私の問題意識ですので、これは前回に引き続き同じことですが、これに対する答えは一部実践の場合においては書かれているようですけれども、それが十分でないように私はまだ思いますので、その基になっているのがここなんです。認定の基準です。これが基準に沿っていれば特段の問題がない限り認定する、指定するというような、こういうあいまいな形で我々が認知して、そういうお墨付きを与えていいのかどうかという議論は、私はしっかりとしておくべきだと思いますので、その辺の議論は座長によろしくお願いしたいと思います。
 それともう一つ言わせていただくと、何かよくわからないは、資料3と資料4の1ページの下のところに同じことが書いてあるんです。云々といって、一番下のところに「『診療の補助』の範囲に含まれているかどうか不明確な行為について実施して差し支えない」と書いてあって、次のページにいくとその言葉がなくなって、専門的な臨床実践能力という言葉にこれは置き換わっているんですか。この辺の位置関係も私には理解できないので、現実には特定の医行為について列挙して、こういう医行為を習得させるんですということをカリキュラムの中あるいはシラバスの中に書いているのかもしれませんが、それは少なくとも資料3と資料4の中において、1ページの一番下のところの不明確な行為という話と専門的な臨床実践能力というのはどういう位置関係にあるのか具体的に教えてくれませんか。
 これは私には何となく理解できないので、その2点をお願いします。
○有賀座長 
 事務局ですね。
○星委員 
 事務局にお願いします。
○岩澤看護サービス推進室長 
 1点目でございます。業務試行事業において「(3)指定基準」に照らして内容を確認して指定をする際の手続ですけれども、これにつきましては養成調査試行事業のときと同様に、この中のワーキンググループの先生、そして座長に見ていただきます。その前に事務局で確認をいたしますが、事務局確認の後、ワーキンググループの何人かの先生と座長に確認いただいて指定するということを考えております。
 その後のことですけれども、実施基準が示されておりますので、実施基準に沿って実施いただき、その状況については「(5)報告書類」のところに書いてありますが、3回、定期的には中間時2回と終了時に報告をいただき、その途中でインシデント・アクシデントが発生した場合はその都度報告いただくということで、実施、進行の把握をするということをここに書かせていただいているものです。
 2点目ですけれども、先生が今おっしゃったことはあれでしょうか。
○有賀座長 
 2点目をもう一回言っていただけますか。
○星委員 
 同じことが同じように起こっているので言いますと、資料3の1ページの一番下について、云々においては「十分な安全管理体制を整備していること等を条件に『診療補助』の範囲に含まれているかどうか不明確な行為について実施して差し支えない」とあります。診療補助の範囲に含まれているかどうか不明確な行為という言葉はその後絶対に出てこなくて、専門的な臨床実践能力を習得できるという言葉に置き換わっているんです。この位置関係がわからない。
 同じように資料4の1ページの一番下にも同じことが書いてあって、3ページに「(4)実施基準」の2番目の○に「試行の対象とする業務・行為」というのが出てきて、(5)の上に「本事業の対象となる看護師は、医師の指示の下、試行の対象とする業務・行為」と書いてあるんです。
 その下にいくと「指定施設は、本事業の実施状況(例えば、業務・行為の実施状況)」云々と続いて、今度は試行の対象とするというのが抜けてしまっているんです。これは単なる時間がなくてミスプリントをしたのか、よくわからないんです。
 この言葉はすごく重要で、我々がここで特定看護師に何かさせようといって、とにかくつくってみようではないかといって始めて、その指定をしましょう、あるいは実際に病院の中でそれを実践してもらいましょうということをやろうというのに、こういうざくっとして、かつ何となく理解できない言葉が順番に出てきて、定義も定かでないというのは、
言葉は悪いですけれども、つけ焼き刃っぽく感じて、そんなに焦らなくてもいいのではないかという私の自論に戻ってしまうんですけれども、そこを少なくとも私にわかるように説明してください。
○有賀座長 
 どうぞ。
○岩澤看護サービス推進室長 
 特定看護師(仮称)は、特定の医行為を含んだ看護を提供するということで養成をされているわけですが、現時点で特定の医行為はまだ決まっていない状況です。ですので、それぞれの養成課程が診療の補助に含まれているかどうか不明確な行為を含めて、それが特定医行為になるだろうということを考えて習得する内容として、実際養成課程申請のときに挙げていらっしゃいます。それを学んだ修了生に医療現場で実施していただくわけですけれども、それが業務試行事業で習得した業務・行為になります。ですので、業務試行事業を申請いただくに当たって、修了生が養成課程で学んだ業務・行為は何なのか、そして、業務試行事業において実施予定のものは何なのかというのは申請書の中で書いていただくことになり、その行為を対象として安全性等のデータをいただくということです。
○有賀座長 
 私たち全体からすると、ヒアリングなどを通じてそれぞれイメージをある意味では共有してきたわけです。ですから、その部分についてはみ出るようなことが書かれているとはとても思えない。星先生がもしそういう観点で御質問になったとすれば、当初に書かれている診療補助の範囲に含まれているかどうか不明確な行為というところが恐らく当分の間不明確ということになるでしょうから、そういう意味では、先生がこういう言葉に置き換えるべきだということがあれば、そういうふうにしていただいた方が議論としては先へいくのではないかと思います。
○星委員 
 私が申し上げたいのは、申請書の中に確かに特定の医行為について列挙されているんだと思います。しかし、私たちはまず議論しましたね。心嚢穿刺それはないだろうという話があって、少なくとも何人かの代表の方がそれをごらんになっていいでしょうということをすることにはなっていますが、やはり一番大事なことはどんな課程でどんな内容のことをされるのかということでありまして、課程のシラバスの中身がどうかという話、習得できるようなプロセスなのかどうかというのは細かに見ていただければいいと思うんですが、対象としている不明確な行為、これを仮に特定の医行為になりそうなものとすれば、特定の医行為になりそうなものについては申請の時点で少なくとも私たちの目に触れる形で見せていただきたいというのが1点です。
 したがいまして、明確に言うのであれば、指定申請書の中には特定何とかの申請書と、少なくとも我々の目に触れる範囲でどういう特定の医行為になりそうなものが含まれている課程なのかということを私は知りたいと思いますので、そのことを追加していただきたいし、この事業(案)についてというものの中での言葉の使い方と言葉の定義はきちんとしてほしいと思います。申請書に記載された、あるいはそこで明示された特定の医行為になりそうなものについてこういうことですとしてもらわないと、違うものが何となく混じってくるような、あるいは違うものもやるんです、関連すればそれもありですということになると、何を我々がどう見ているのかがわからなくなりますので、基本的には我々が養成課程で今回挑戦する行為の中身はこれとこれですということをきちんと明示し、その行為について云々ということをちゃんと書いてほしいというのが私の意見であります。
 ですから、明確な定義をしていただき、そして、その中でこの文章を読んだときに、なるほど、こういうことをし、私たちはこういうことをお願いするんだということがわかるようにしていただきたいのが1点です。
 余り時間もないのでもう一つ申し上げたいんですけれども、なぜか養成試行事業には具体的な患者さんへの同意の仕方や云々ということが抜けていて、実践の場面だけがなぜか安全管理のところにこれも書け、あれも書けと書いてあるんです。
 私は前から言っているとおり、やはり実習施設においても、つまり養成課程の実習施設においてこそ、私は患者さんへの同意のプロセスやさまざまな安全管理体制というのが必要だと思います。要はまだ半人前ですから、卒業しても一人前かどうかわかりませんけれども、そのことについても私はきちんと書くべきだろうと思うし、その審査も、つまり実習病院が何という病院かではなくて、実習病院の中でのこの養成課程のこの実習に関わる安全管理や患者さんへの説明や、あるいは問題があったときの対応の仕方について、やはり私はきちんと理解をした上で養成課程として認定すべきだと思っているので、こちらのレベルが実践の方と養成のところがずれているのは、私としては看過できないので、この辺りは前回言っていなかったことかもしれませんが、今後2年目に入れば実習はどんどん進むはずです。ですから、ここで「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」でありまして、きちんと実習施設についても、単にどこの実習所を使うんですかではなくて、そこでのさまざまなプロセスについてきちんと申請書の中に書いていただいて、どなたかが御判断をされるというプロセスは私はなくてはならないと思います。
○有賀座長 
 もし昭和大学でそういう卵を養成するプロセスを持つという課程があったときに、以前、東京医療センターの例がございましたけれども、例えばリハのスタッフにしても、ナーシングスタッフにしても、育てるプロセスがある。あそこと違うのは、私らのところには医学部の学生がいますね。だから、医学部の学生にこんなことをしてもらいますという話を説明する、そういう体系を私らとしては持っているわけです。その一環として、そういう方たちがまたプラスαで入っているということを患者さんたちに説明できる。先生はそれをおっしゃっているんですね。
○星委員 
 はい。
○有賀座長 
 だから、そういう意味では特殊なことを求めているのではなくて、医療職として後輩が育っていくプロセスをここではこんなふうにしています、だから、患者さんの安全管理に関して言えば、例えば研修医とか若い人に注射をされて、その後、痛いんだけれども、主治医とかチームに相談しようと思うとちょっと齟齬が出ると嫌なので、別のところで相談できますということで相談の窓口を開いている。それもこれに含まれるわけです。ですから、そういう意味では、安全といえば安全ですけれども、病院医療の教育の部分に焦点を当てたような形での病院の在り方をわかるような形で表現しておけという話でいいんですね。
○星委員 
 おっしゃったとおりが1つです。これがベースになると思います。ですから、医学部の学部教育をしていない病院にとってみると1つの大きなハードルになってしまう可能性はあります。
 それに加えて、特定看護師(仮称)養成試行事業にせよ、あるいは特定看護師(仮称)何とか業務試行事業によせよ、要は1ページの一番下に書いてある現在の法律の枠組みでは診療の補助、つまり看護師さんの業務として認められているかどうか不明確なものが含まれているんですということを私は患者さんにきちんと説明するべきだと思います。
 私たちが医師の養成の課程の中で、この人が医師になるときの資格にできる行為でないことが含まれているかもしれませんといって、今、教育の現場で実習をお願いしているわけではないです。医師になったらできることを、今こういう形で実習させていただきますというんですから、それにプラスして看護師さんがしていいかどうか法律上はわからない領域で、ただ、厚労省からこういう形でいいですというお手紙が来ていますので、やらせていただくという意味では、患者さんへの説明などは単純に医学部の学部教育での学生に対するさまざまな実習をさせるときの患者さんへの説明を超えて、問題が起きた後のクレーム窓口とかチームの中での話では一緒かもしれませんけれども、患者への説明という時点で、そこは外していけないことで、現にやっているのではないかと言われればそうかもしれませんが、今回あえてそこに入るかどうかわからないものについて、差し支えないものとすると言っている以上、そのこと、このこと、入るかどうかわからないけれども、差し支えないと言われている医行為、特定の行為について看護師さんが実習で、あるいは看護師さんが業務ですることになります、よろしいですねと患者さんたちに同意を取っていただくという特段のプロセスが私は追加されるべきだと思っています。
 だからといって、するなといっているわけでもできないわけでもなくて、そのことを言って患者さんの同意を取っていただいてやるのであれば、ここまで来ているんですから、それをやるなとは言いませんけれども、私が患者の立場だったら、それについては嫌だ、医者にやってほしいと言うかもしれないと思っているので、そういう患者さんに対してはいつでもリフューズできるということを含めて、一般的な実習に対する協力についての説明に加えて、そういったことをしていただきたい。そのプロセスをきちんと病院の中で位置づけていただきたい。そのことがわかるような申請書であってほしいというのが私の意見です。
○有賀座長 
 例えば昭和大学でやるときには、こういう医行為についてナーシングスタッフが勉強しています。その勉強の対象として救命救急センターにおいてはこのようですので、御家族としてわかっていてください。御本人は意識がないのでわからないけれども、御家族はわかってくださいということが、はたから見てやっていることがわかればいいわけです。やるさまそのものは病院長なり救命センター長なりに任されていいわけですね。
○星委員 
 勿論そうです。
○有賀座長 
 どうぞ。
○神野委員 
 今の星先生からお話があったようなエクスキューズがあるのは私も賛成というか、あるべきだと思います。その上で特に今回の試行事業に関しては臨床の現場を出ていただきたい。そのときの責任と保障体制、これは山本先生にも伺わなければいけないのですが、これは厚労省がお願いして、今の法律の業務範囲を超えているかもしれないことを試行事業という臨床の現場でやらなければいけないときの責任というのは、管理責任者と担当医がすべて責任が負わされるのか、それともこれは厚労省が言う試行事業なので厚労省が責任を持ってくれるのかというのは明確にする必要はないのでしょうか。
○有賀座長 
 山本先生、どうぞ。
○山本委員 
 法的な責任といってもいろいろございます。
 刑事責任に関していえば、恐らくここで厚労省がこのような見解を示し、それに従って行動したのであれば、医師法・保助看法違反を理由に刑事責任を負うことはなかなか考えにくいのではないか。
 民事責任の方は個別のケースごとの判断になりますので、例えば現在、診療の補助であることがはっきりしている行為についても、ケースによって責任がある場合、ない場合が当然分かれてくるわけです。
 ですから、この試行事業に関しても、恐らく個別のケースごとに考えられることではないかと思います。一概にその場合に責任が生じるか、生じないかと言うことはなかなか難しいと思います。
○神野委員 
 医療事故を想定しているわけです。
○有賀座長 
 先生は院長先生ですね。私は副院長ですけれども、院長に事故が遭ったときは私が院長みたいなことをやらなければいけないということを考えますと、少なくとも事業全体がどうのこうのという話ではなくて、患者さんに対しての作業そのものはやはり院長の責任だと私は思っています。ただ、この事業全体がどうかという話になってくると、星先生にしろ、私にしろ、今の議論のように事業全体の一部を担うという話なので、そういう意味での責任といったときには何の責任かという話が結構出てきて、今のような答えになってしまうのではないかと思います。
○神野委員 
 勿論臨床研修病院ですから、研修医が何かやったときは病院側がきちんと責任を持つというのは当然だと思います。でも、それは臨床研修制度という既にでき上がった制度の中で動いているわけです。これがまだできていない制度の下で動くので、ちょっと伺いました。
○有賀座長 
 竹股先生、どうぞ。
○竹股委員 
 今の星先生のお話は本当にもっともなことで、やはり現場としては質の担保と法的にまだあいまいなところであるレベルのことをしてもらうことについて、患者様や御家族にどのような説明をするのかということは非常に重要なことだと思います。
 当院は現在感染の領域に関する養成調査試行のスタートがかかっています。これは感染ということなので、直接患者様への侵襲性というのはないのでまた違うのかもしれませんけれども、もしダイレクトに患者様に侵襲性のある医行為を行う内容のものであれば、自分の中で想定すると、これは当然病院として、例えば当院は特定看護師(仮称)の事業試行施設でありますから、責任を持って指導医の下で養成しておりますということは個別にその段階でその方に言うチャンスもあるかもしれませんけれども、そうできない場合もありますので、そういうことは当然するだろうと、今、思いながら、星先生の御意見を聞いていました。確かに文言としてあった方が、ないよりはいいと思いますし、臨床現場でそのままただやらせてしまうということはないだろうと思います。
○有賀座長 
 亀田総合病院が普段おやりになっていることのプラスαとして、本件をどういうふうに扱うかというのは病院の中での議論で恐らくなされるんだと思いますし、全く外から見てわからない形でOKを取っていますという話には多分なりませんね。それはどこの病院もみんなそうだとは思います。
 星先生がああいうふうに真正面から、お前らわかっているだろうという言い方をされますと、恐いことをしなければいけなくなっていますけれども、自分たちの世界に戻ると、それはそうだよねという程度です。程度と言っては失礼ですけれども、そういうことができている病院でこそこれはやられるべきで、そうでなければやはりやってはいかぬという話なんだと思います。
 どうぞ。
○川上委員 
 資料4の業務試行事業がスムーズに実施されるためには、申し上げた方がいいと思うことがありますので発言いたします。
 2ページに「(3)指定基準」、3ページに「(4)実施基準」という項目があります。「(4)実施基準」というのは前回の資料にはないため、今回書き起こした項目かと思います。特定看護師(仮称)の方々が将来どういった医行為を担うのか、どういった業務範囲を実施できるのかということは、やはり本ワーキンググループの一番重要な根幹の部分だと思いますので「(4)実施基準」の5つ目の○にある「プロトコール」や「業務・行為の範囲」といった内容が「実施基準」の中だけにあるのではなくて、最初に指定する際に検討する「(3)指定基準」にも書いてあり、どんな医行為を実際に行おうとしているのかを検討した上で、業務試行事業を実施する施設が指定されるべきではないか。要するに、指定する際にどんなことがなされるのかを見ないまま、あとは各施設で実施基準の中で検討してくださいというのでは行き届いていないと思います。
 それから、加えて申し上げますと、1ページ目の「1.事業の目的」の3つ目の○、これは「ただし書き」のような項目だと思いますが、1行目には特定看護師(仮称)の業務範囲と要件を検討する際の必要情報を収集することが事業の目的だとありますが、その後が大事だと思います。「本事業の対象となる看護師については、今後、特定看護師(仮称)として認められることを保証するものではない」とあるけれども、「本事業で行った医行為が、そのまま特定看護師(仮称)の実施可能な業務範囲になるわけではない」というただし書きが抜けています。すなわち「人」に着目するだけではなくて、「医行為の範囲」は本ワーキンググループで議論すべき重要な内容なので、そこはもう少し丁寧に資料をつくられたり、指定の仕方を決めていただいた方が、業務試行事業が世の中にスムーズに受け入れられるのではないかと思います。
○有賀座長 
 今の話は、例えば東京医療センターのクリティカルケアの話がありましたね。あそこで行われているようなことが1つ目、2つ目、3つ目、4つ目といったときに、例えば9つ目ぐらいのときに、やはりこれは危ないという話があれば、その項目でピックアップして、それについては勘弁ねという判断をすることもこの仕事として大事だという意味でいいんですね。
○川上委員 
 その通りです。業務範囲を超える何かがあったときにチェックがかかるチェックシステムが、指定の段階でも事業実施の中でもないと、その点に関して危ないと受け止める人もいるということを申し上げたいのです。
○有賀座長 
 これは仮定の話ですが、先ほどの心嚢穿刺が出たので、救命救急センターで特定看護師さんをもしつくる話があったとして、心嚢穿刺が入っていたと仮定します。エコーガイドでやればかなりいけるとは思うんですけれども、それでも9つ目か10つ目でかなり危ない話が起こったということであれば、これはしばらくペンディングねという話でいいんですね。先生のおっしゃっているのは、そういうことですね。
○川上委員 
 はい。
○有賀座長 
 どうぞ。
○小松委員 
 今までの論議を聞いていると、資料4の業務試行事業に関しては、業務範囲の要件についての検討とかそういうことが書いてあるんですが、特定看護師の特定の医行為に係る業務にかなり焦点化された事業だと認識していいわけですね。
○有賀座長 
 もともとそうでした。
○小松委員 
 先ほど岩澤さんがおっしゃったように、特定看護師の業務に関しては特定の医行為を含んだ看護を提供するという大枠でおっしゃったので、この業務というのはたくさんあると思うんですけれども、業務試行事業に関しては、特定の医行為に係る安全性を中心に焦点化したようなものだという認識でいるということが1つは重要だと思っています。
 というのは、鶏が業務試行事業をしながら役割をとっていく中で、それは大事な核にはなるんだけれども、全体像をそれが表しているかどうかというのは、今後考えていかなくてはいけない、論議していかなければいけない部分だということがあると思います。
○有賀座長 
 私が言うことではないかもしれないけれども、ナーシングスタッフの1人として入りこんでくるということになりましょうから、その部分だけでもって鶏さんがばたばたしているという話ではなくて、それこそ栗原先生がおっしゃったような観点での仕事も恐らくしながら、この手の話が進行していくんだろうと私は思っています。
 今、救急看護認定看護師さんの人たちで特定看護師さんになろうかという方たちについての勉強のプロセスで、昭和大の救命救急センターに見えていますけれども、その方たちはとりあえず今お話の部分に特化した仕事の勉強で来てはいますけれども、その方たちがいずれ現場に行けば、やはりナースの仕事をするんだと私は思っていますので、それでいいのではないかと思います。
 ほかにございますか。
 今、電気が消えたので、時計を見ろということですかね。
 どうぞ。
○山本委員 
 先ほどの法的な責任の問題について、若干説明が不十分だったかと思いますので、一言で補足しますと、責任についての基本的な考え方は、現在行われている医療行為と変わらないだろう。ただ、こういう特別な事業なので、医療関係者が特に注意を払わなくてはいけない度合いが高くなる。つまり注意義務の程度が高くなるということではないかと思います。
○有賀座長 
 どうぞ。
○星委員 
 時間がないのであれですが、アクシデント、インシデントの提出について様式を決めてもらうというのは、これはこれでいいんだろうと思うんですけれども、この間、座長もおっしゃっていたように、この手のものは抑制的に働くものだと思います。ですから、インシデント・アクシデントというのが上がってくるような具体的な方策を練っていただかないと、多分出てこないのではないか。
 今、注意義務が高まっているということがありますので、一般的な医療行為、普通に行われている一般的な行為に比べてより観察や問題の発掘、インシデント・アクシデントの発掘というのは一般的に行われている院内での問題発掘よりもよりセンシティブに行われるべきだと思って、本当のことを言えば院内での検討を経て出てくるのではなくて、ピックアップされた時点でどんどん入ってくるぐらいの仕組みにしていただかないと、入ってこないのではないかという危惧をしています。その上で何かトラブルがあって、個別のところに入ってみて記録をのぞいてみたら、実はこういうインシデント・アクシデントがありましたということでは、せっかく何かしようと思って、いい制度をつくろうといったときの冷や水にもなりかねないので、ここについていえば、むしろより積極的に提示をしていただくような何か仕掛けをみんなで知恵を出して考えるべきだと思いますので、これは引き続き議論をしたいと思います。
○有賀座長 
 たたみかけるわけではございませんが、臨床研修医からのインシデントレポート、アクシデントレポートがどれだけ上がってくるかというのは、実は指導医たち、つまり先輩たちがどれぐらい上げているかということとほとんど比例しているといっていいぐらいなんです。そういう意味では、どこの病院もナースからの報告はほかの職種に比べると極めて多いということがありますので、本件について上がりにくいという病院は多分ないんだとは思いますけれども、例えば医療安全に関する月に1回のトップの会議については、この件に関して今月はどうだったということを上げてもらうということは、先生の言うような意味では、これに関しては特段に注意してねという1つの方法にはなると思います。だからといって、インシデントレポートがばかばか上がってくるかどうかはわかりませんけれども、若い人たちを教育するというところで頑張っている病院に関していうと、会議の中にそういうことを必ず議題として1点入れておいてくれというだけで、敷居が少し高くなるのではないかという気がします。
 だから、それはそれで、そういうことも考えてくださいということをメッセージとして、この会から出せば、恐らくそういう病院、例えば昭和大学病院でそれをやろう、たまたま来ている救急看護の分野での特定看護師(仮称)の卵の方たちは特別な、いわゆる医行為のようなことに今のところなっていませんので、いいんですけれども、比較的難しいことになってくれば、是非そういうふうなことについての議題を必ず1つ入れておいて、それで報告する。何もなければ何もないという報告でよい。正にカルテと同じです。変化なしということを書いておけということと同じようにしておく。そういうことを病院にお願いするというのがいいのではないかと思います。
 先生のおっしゃったことを私の病院に照らして言えばそういうことですが、多分先生のところもそうでしょうね。
○星委員 
 当然だと思います。
 こんなことはないと思いますけれども、病院の中で人出が足りないからといってこの養成事業をやって、適当にということは多分ないんだろうと思います。ただ、病院の中で注意義務を高めていくという努力をこれまで以上にしていただける、そして、ベースにきちんとした仕組みと実績のある病院でやってもらうことが、成功か失敗かはよくわかりませんが、この試行事業をよいものにする一助になるんだろうと信じています。
 以上であります。
○有賀座長 
 ほかにございますか。
 資料5についてはアジェンダみたいなものなので、これはこれでよろしいですね。
 資料3と資料4についてはいろいろ御意見があったので、書き直したり、書き加えたりということがこれから必要だと思います。
 「(3)その他」とありますが、事務局は何か特別なことを考えておられますでしょうか。
 栗原先生、聞いていて御感想を一言お願いします。
○栗原参考人 
 大変ですね。
○有賀座長 
 半田先生、いかがですか。御感想をお願いします。
○半田参考人 
 特定の医行為を看護師さんがやられてどう評価するかというときに、リスク的ファクターから見ればそうだと思います。ただし、これはチーム医療推進のためのということで、チーム医療にどういう影響を与えたのかという視点を絶対に織り込んでいっていただきたいんです。
 というのは、判断するというのはリスクがないんです。具体的なリスクで出てこないと思います。ただ、外科的なリスクだけをファクターとしてとらえて、これがいい、悪いといことになってしまうと、多分ほかの専門職のところに関わる問題が全部OKになっていくと思います。チーム医療を本当に推進したのか、していないのかという評価基準を是非お願いしたいと思います。
○有賀座長 
 その他の職種からの評価が入っていたんです。私は半田先生と同じような感性でそこは読みました。ただ、書き手がそこまで思っているかどうかはわかりませんので、そういう意味では、今の御意見を反映した形で現場へフィードバックしていかなければいけないのではないかと思います。
 栗原先生、それでいいんですね。
○栗原参考人 
 是非そういう視点で検討していただいて、何回も言いますけれども、目標は質の高い医療サービスを効率よく提供して安心した生活ができる。これを大前提とした場合、お願いですから、視野の狭い技術屋あるいは専門ばか的なものをつくるのではないということだけは、言わずもがなのことでしょうけれども、看護の視野の広い土台というものを消さないで、ということをお願いしたいというのが正直なところです。
○有賀座長 
 というわけでした。
 今日はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございます。
 何かありますか。
○島田看護課長補佐 
 済みません。その他ではございません。今後の資料などの取扱いについて申し上げます。
 資料3と資料4は、ただいま座長からおまとめがございましたけれども、いろいろ御議論がございましたので、文言の修正を座長と御相談させていただいてしていきたいと思っております。
 その上で、2月25日に開催されますチーム医療推進会議でこれを御報告させていただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○有賀座長 
 ということですので、引き続き、先生方はよろしくお願いいたします。
 以上で終わります。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局看護課看護サービス推進室

専門官 藤田: 03-5253-1111(代表)(内線4171)
03-3595-2206(直通)

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