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2010年11月24日 平成22年度第3回血液事業部会運営委員会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成22年11月24日(水)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省 専用第12会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2


○出席者

出席委員:(5名)五十音順、敬省略、◎委員長、○委員長代理

○大平 勝美、岡田 義昭、◎佐川 公矯
花井 十伍、半田 誠

欠席委員:(1名)敬称略

山口 照英

参考人

倉恒 弘彦 (関西福祉科学大学教授)
日本赤十字社

○議事

○難波江課長補佐 まだお見えにならない委員もいらっしゃいますが、定刻になりましたので、「平成22年度第3回血液事業部会運営委員会」を開催したいと思います。なお、本日は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いします。
 委員の出欠状況ですが、山口委員からは今日遅れて出席されるという連絡をいただいております。
 それから本日は参考人として、関西福祉科学大学教授の倉恒弘彦先生にお越しいただいております。後ほど「XМRVと慢性疲労症候群」の議題にて、御発表をいただきます。
 また、本日は採血事業者等、血液事業の担い手として、日本赤十字社血液事業本部経営会議委員の田所憲治さん、副本部長、日野学さん、臨床開発課長、五十嵐滋さんにお越しいただいておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 カメラの頭撮りがございましたら、ここまででお願いいたします。
 また、議事に入らせていただく前に、本日の運営委員会においては、個別品目の承認の可否や個別品目の安全対策措置の要否の審議はございませんが、血液事業の運営において、日本赤十字社が調達する技術の提供企業との利益相反を確認しておく観点から、「平成20年3月24日薬事・食品衛生審議会薬事分科会申し合わせ、審議参加に関する遵守事項」に基づいて、利益相反の確認を行いましたところ、審議及び議決への参加については、退室委員及び議決に参加しない委員は、ともになしとなっております。
 本日の審議におきましては、御発言いただくとき、記録の関係上マイクのお手元のボタンを押して御発言いただき、御発言が終わりましたら、マイクを改めて押していただくよう、よろしくお願いします。
 それでは、佐川委員長、以降の進行をよろしくお願いいたします。
○佐川委員長 ありがとうございました。佐川公矯でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○難波江課長補佐 お手元の資料の確認をさせていただきます。
 一番上、議事次第、2枚目が座席表、3枚目が委員名簿となっております。
 資料1が前回議事要旨案でございます。
 資料2、分厚い資料が「感染症定期報告について」。
 資料3-1「供血者からの遡及状況の進捗状況について」。
 資料3-2「血液製剤に関する報告事項について」。
 資料3-3「献血件数及びHIV抗体・NAT陽性件数」でございます。
 資料4-1「XМRVに関する文献報告」。
 資料4-2「諸外国における慢性疲労症候群罹患者に対する献血制限について」。
 資料4-3「日本における慢性疲労症候群について」。
 資料5「研究開発等における血液製剤の使用に関する指針の策定について」。
 資料6-1「血小板製剤に対する感染性因子低減化不活化技術の導入準備状況について」。
 資料6-2「血小板製剤に対する感染症因子低減化血小板の臨床試験の概要」。
 資料6-3「感染因子低減化技術導入に係る費用対効果分析の報告」。
 資料6-4「FDAプレゼンテーション」。
 資料7「改定問診票」。
 資料8-1「フィブリノゲン製剤納入医療機関の調査について」。
 資料8-2「C型肝炎訴訟の和解について」。これは一式となっております。
 資料8-3「フィブリノゲン製剤の納入先医療機関訪問調査について」になっております。
 以上でございます。不足がございましたら、お申しつけください。
○佐川委員長 それでは議題1「議事要旨の確認」です。
 資料1としてお配りしました議事要旨について、御意見がありましたら、事務局まで御連絡ください。
 次に議題2「感染症定期報告について」、審議を行います。まず事務局から、資料の説明をお願いいたします。
○難波江課長補佐 お手元の資料2「感染症定期報告」に関してでございますが、分厚い資料の5ページから、今回の新規報告案件がございます。全部で12件ございます。順に御説明させていただきます。
 1番目、B型肝炎で、出典がFDA/CEBERの今年の5月に出ましたガイダンスでございます。
 これは以前にHBc抗体の結果、供血延期となった供血者の再登録に関するガイダンスでございます。以前にHBc抗体陽性の方、false positiveの可能性があるということでその方々がリエントリーするためにはどのような手続きを踏めばいいかというものを示したガイダンスでございます。
 具体的には、最短で前回の陽性検査から8週間以降の追跡検体において、FDA承認の検査でHBs抗原、コア抗体及びNATが陰性である場合、及び当該供血者の献血前の検査検体において、FDA承認検査でHBs抗原コア抗体、NATが陰性であって、当該供血者が全血及び血液製剤の供血者として適合基準にすべて適合している場合、再登録できるというガイダンスでございます。
 2つ目と3つ目につきましてはXМRV関連でございまして、これは後ほど岡田委員より、そのほかの文献も合わせたレビューの報告をいただく予定となっておりますので、割愛させていただきます。
 続きまして6ページ目、文献番号4番デング熱でございます。CDCのTraveler’s Healthでございまして、2009年初頭以降、アフリカ、南太平洋、中央/南アメリカ、カリブ海、中東においてデング熱がはやっているので注意してくださいといったようなアドバイスでございます。
 文献番号5番目、パルボウイルスでございます。これまでパルボウイルスB19のモデルウイルスとして、動物のパルボウイルスを使用してバリデーション試験をしておりましたが、CSLベーリング社によって、細胞培養感性試験によりB19が試験できるという報告がなされまして、この系であれば、動物パルボウイルスに比較して、pasteurizationに比較的高い感受性を示すことがわかったとなっております。
 6つ目もパルボでございまして、パルボウイルス4に似たウイルスが、豚の血漿試料から検出された。保有率は低かったけれども、豚血漿由来の第8因子の製造中に濃縮されることで検出されたという報告があったというものでございます。
 ここまでで、御意見いただければと存じます。
○佐川委員長 委員の先生方、今までのところで何か御意見はございませんか。
 どうぞ、岡田先生。
○岡田委員 5番のパルボウイルスの件ですけれど、これはほかの研究施設からもヒトパルボB19は、液状加熱で不活化しやすいという報告が出ています。ただし、不活化を評価する場合に、安定化剤とかタンパク濃度の影響を非常に受けますので、そういう意味でこれはベーリング社の製法でやると、ちゃんと不活化されたということが確認されたという報告でありまして、例えば違うメーカーの製品だとこうはならないかもしれないので、それは各社で確認しなくてはいけないということだと思います。
 ただし、この培養細胞を使った系は、比較的系としてしっかりしていますので、評価はできます。ほとんどのところは、動物由来のパルボは非常に強いけれども、ヒト由来のパルボは弱い。そういうことは大体同じようなデータを出しています。
 以上です。
○佐川委員長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 ないようです。それでは、引き続きお願いします。
○難波江課長補佐 続きまして7ページから、文献番号7番新型インフルエンザ、昨年発生しましたH1N1についての報告でございます。
 Haemagglutinin遺伝子D222Gが、アミノ酸がアスパラギン酸からグリシンへ変異しているものがありまして、これであれば死亡例が、その他の例に比べて高目であるといったような報告でございます。
 文献8番でございますが、これはFDAが出しました2009年度、アメリカの会計年度ですので、2008年10月1日から2009年9月30日までの1年間で、FDAが報告を受けた供血者及び受血者の死亡例の年次報告の概要でございます。
 全80死亡例のうち74例が、受血者、6例が供血者に関する報告であった。
 前者につき44例が輸血に関連した死亡、22例が輸血を死因から除くことができない死亡、8例は輸血との因果関係がない死亡と結論がなされ、輸血に関連した死亡の第一原因はTRALI、13例、30%であったという報告です。ただ、過去5年間では、減少し続けているというものでございます。
 2009年度では、HTR溶血反応及びTACOが第2の原因であるが、溶血反応については2008年度より減少を示した。なお、ABO不適合による溶血死亡4例は、人為的ミスによるものであった。
 また、細菌感染による死亡5例中2例は黄色ブドウ球菌(過去5年間の累積ではバベシアに次いで2位)が原因であったというものでございます。
 なお、2008年の5例というのは、すべてバベシアであったというものでございます。
 Apheresis血小板に関連した感染は、微増を示したが、2001年度以降、減少傾向にあるというものでございます。
 続きまして9番、Q熱について、AABB Weeklyからの報告でございます。オランダでの血液バンクはオランダ国内で予想されるQ熱の2010年アウトブレイク対策の準備を行っているというものでございます。11月25日現在、2009年オランダでは、6死亡例を含む2,293症例が確認され、オランダ国内で血液バンク業務を担当しているSanquinはQ熱の流行期間、高リスク地域からの供血血液を、スクリーニングするNAT検査を実施する予定であるというものでございます。
 10番、マラリアでございます。ハイチ、地震がございましたが、今、熱帯熱マラリアがハイチで流行しているという報告でございます。
 11番、Creutzfeldt-Jakob病に関する報告でございます。Prion protein geneのコドン118番目の転移変異のあるCJDの死亡例の報告でございます。
 77歳女性は不安定な歩行、続いて認知症・手足/体幹の運動失調となり、発病から26か月後に肺炎で亡くなった。剖検の結果、大脳皮質には顕著な海綿状態神経細胞消失・星状細胞のグリオーシスを認め、多くの老人班及び神経原線維変化を認めた。Prion proteinの免疫染色の結果、大脳皮質、特に海馬に粒状及び斑点状のprion proteinが検出され、ほとんどの斑点状prion protein沈着はアミロイドβプラークと一緒に存在し、本症例では比較的強いprion protein沈着とアルツハイマー型変異の同時発現が顕著であった。アミロイドβプラークがprion protein沈着を促進する要因として作用しているかもしれないという報告でございます。
 続きまして、文献番号12番、異形のCreutzfeldt-Jakob病に関する報告でございます。
 プリオン除去フィルターを用いた赤血球からのプリオン感染性評価に、新しい高感度細胞培養を用いた研究報告である。1-2日培養のABO適合性ヒト赤血球にスクレイピー感染マウスの脳ホモジネートが添加され、標準の白血球除去フィルターもしくはプリオン除去フィルターにより濾過を行った。フィルター除去前後におけるプリオン感染性レベルが、細胞培養を用いたSSCAによって測定された。その結果、すべての22層プリオン除去フィルターは、検出限界を下回り、10層の改良型では濾過後に感染性が残存していたという報告でございます。以上でございます。
○佐川委員長 ただいまの御報告に対して委員の先生方、何か御意見、御質問いかがでしょうか。
 ございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局としてはただいまの御意見等を十分念頭に置いて、引き続き、感染症の定期報告の収集等をお願いいたします。
 続きまして、議題3番「血液製剤に関する報告事項について」を審議いたします。
 遡及調査の進捗状況とか副作用感染症報告の状況、これまで報告された事例のその後の対応状況について、報告をいただきます。事務局から説明をお願いします。
○難波江課長補佐 お手元の資料3-1「供血者からの遡及調査の進捗状況について」を御説明させていただきます。
 4ページ目に遡及調査の実施状況をまとめたテーブルがございます。
 左側が昨年度平成21年度の1年間でございまして、右側が22年度の上半期のデータでございます。今年度の上半期には、遡及調査の対象とした個別NAT実施件数は、全部で866件ございました。下の方に行っていただきまして、うち個別NAT陽性となったケースは52例でございます。すべてHBVであったというものでございます。
 医療機関の方にさかのぼって調査をしたところ、下の方でございますが、陽転事例が3例あったというものでございます。なお、この3例については、献血者と塩基配列の相同性を確認したところ、一致したというものでございます。
 以上でございます。
○佐川委員長 ただいまの御報告に対して、何か御意見、御質問ございませんでしょうか。
○岡田委員 遡及調査で感染が明らかになった3例について、これは発症したんでしょうか。それとも一過性のs抗原なりが陽性になっただけで、発症しないで抗体陽性になったのでしょうか。
○佐川委員長 はい。赤十字社の方、お答えください。
○日野副本部長 これはいずれも遡及調査ですので、日赤の方から情報を提供したという形になります。そうしますと、3例のうちの1例だけが輸血後、半年後にALT値が580程度まで上がったときがあるみたいです。あとの2例に関しては、ALTの値は上がっていません。
○佐川委員長 よろしいでしょうか。赤十字社から、今の報告に対してほかに追加するようなことはございませんか。
○日野副本部長 特にありません。
○佐川委員長 委員の先生方、よろしいでしょうか。
 ないようです。
 それでは、続いて資料3-2について、事務局から御説明をお願いします。
○難波江課長補佐 資料3-2、これは医療機関からの報告をまとめたものでございます。
 前回の委員会で御指摘がありました個票について、劇症例とかHIV症例とかそういったものは、これまで1ページごとにまとめていたんですが、かなり量が多くなってきましたので、2ページ以降、表の形でまとめさせていただきました。
 今回は新規報告事例はございません。幾つかの症例で献血者の再来というものがございました。3ページの下の2例が、その後再来があったというものでございます。
 5ページにまとめた全体、劇症化以外の報告をまとめたものを記載しております。平成22年7月20日の報告分から22年10月25日までの報告で、輸血用血液製剤で28件の報告があったというものでございます。
 内訳は、B型肝炎事例が9例、C型肝炎報告が7例、HIV感染報告例が0、その他の感染症報告が12例というものでございます。
 B型肝炎事例でございますが、9例のうち保管検体の献血者の個別NAT陽性事例が2例ございました。うち1例は、前回報告させていただいたものです。
 C型肝炎報告事例、陽転事例が4例ございましたが、個別NATの陽性事例というのは0でございます。
 HIVは0でございまして、その他の感染症事例として、B、C以外の肝障害事例は0例。
 細菌感染での保管検体の無菌試験陽性事例は、0でございました。
 以上でございます。
○佐川委員長 ありがとうございました。委員の先生方、あるいは日赤、御意見、御質問いかがでしょうか。
○花井委員 感染報告事例の件ですけれども、BはともかくCでNAT陽性事例が0件で、感染事例について再来するまで確定しないにせよ、どこかで感染しているということで、院内なのかということが疑われるんですが、Cの院内というのも結構どういう状況かというのも、かなり特殊な感じがするんですけれども、どういうところで感染しているというふうな認識でいたらいいでしょうか。
○佐川委員長 いかがでしょうか、ただいまの御質問に対して。
○難波江課長補佐 NATを導入してからこれまで、最近においては個別NATが陰性で、因果関係が確認されたというのは、Bについては幾つかあったかと記憶していますが、Cについてはこれまでなかったと記憶しております。そのため、個別NATがCが陰性で輸血が原因というのは、非常に考えにくいかなと思っております。
 それ以外について、さまざまな感染ルートがあるかと思いますので、そこはもうケース・バイ・ケースで考えるしかないかと思っております。
○佐川委員長 今の段階では情報が少な過ぎて、同定は難しいということですね。
○難波江課長補佐 ええ。こちらではそこまで一つ一つのケースを見ているわけではないということです。
○佐川委員長 花井委員、よろしいでしょうか。
○花井委員 ここの分野ではないと思いますが、本来なくて当たり前というような院内感染があるということ自体は、血液事業部会的にも、そういう対策をちゃんとしてほしいぐらいのことは、それなりのセクションに言ってもいいかなと思います。
○佐川委員長 どうぞ。
○岡田委員 血液の体制がしっかりしてきたので、逆に血液以外の原因じゃないかという症例が増えてきたということで、次はそういう医療機関等の方の対策ということが必要かと思います。
○佐川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、資料3-3について、事務局より説明をお願いします。
○難波江課長補佐 資料3-3「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」でございます。
 2010年、今年の1月から9月までの速報値を一番下に記載してございます。10万件当たりで1.525ということで、ここ数年では最も低い値となっております。これは1月から3月までが非常に低かったわけですが、この7月から9月の3か月においても1.650と低目の値が出ております。
 3ページでございますが、都道府県別の陽性数でございます。東京が20ということで、一番多ございます。若干昨年を上回るペースだというところです。
 一方で大阪は19年、20年と多目だったんですが、昨年減りまして、今年もそれぐらいのペースというところでございます。
 島根について、前回の運営委員会の方で過去20年間で2例しか出なかった島根が、半年で3例出ているというのは、しっかり確認すべきではないかという御意見が出されました。その後、エイズ動向委員会にもこのことを報告させていただきました。御審議をいただいた結果、地域的な検査体制の状況を確認する必要がある。保健所などで検査体制がどうなっているかというのを確認する必要があるという御指摘が出されまして、現在、健康局の方で調べております。
 と申しますのは、この献血だけでなくて前回のエイズ動向委員会においては、保健所などで検査を受ける方が減る一方、エイズを発症して感染がわかったという方が、過去最高であったといった状況がございますので、そこはしっかり検査体制を調べるべきという御指摘がなされたところでございます。
 島根につきましては、この結果を島根にお伝えしまして、そうしましたら、島根の方で検査体制を、これまで迅速を月2回でやっていたところを4回に上げていただいたりとか、さまざまな広報誌を用いて呼びかけをしたところ、8月で前月比150%となった。9月、10月も検査件数は伸びていて、更に周知をしっかりやっていくという対応をいただいたところでございます。この3か月においては、島根で献血では陽性は報告されていないという状況でございます。
 以上でございます。
○佐川委員長 ありがとうございました。
 ということは、島根においては、広報活動、検査体制が充実したと、そういうことが大きな原因であろうという解釈をしましたが、よろしいですか。
○難波江課長補佐 充実しつつあるというところです。
○佐川委員長 先生方、いかがでしょうか。
○花井委員 この件は繰り返し述べているんですけれども、結果的に何かあったから充実したということは、そもそもベースラインの検査体制が、各都道府県でこぼこで脆弱なところがあるということが、やはりこういうところに影響してくるということは、繰り返し述べて述べ過ぎることはないので、島根が何かあったからということではなくて、やはりベースラインとしての検査体制を、各自治体はきっちりやると。島根のことだ、他の県のことだというふうに思わないでほしいということを、また周知徹底をお願いしたいというふうに思います。
○大平委員 東京の方で、関東では東京の20というのが、ちょっと数字的には今後また最終的には増えていくのかなというところで、すごく気になるところですけれど。今、検査体制の問題で花井委員が指摘されたように、検査体制がそれなりにきちんと時代に即応した形でとれているのかどうかというところは、献血の検査として動いてきているというところが、ある面反映されているのではないかなと思うんです。
 東京も、例えば南新宿の検査所が手いっぱいとか、そういうところとか言われていますけれども、もう少し同じような検査機関が人口的にはあってもいいのではないかなと思うのと。
 あと、今エイズ学会が開かれているんですけれども、そこでMSSの方たちからのお話ですと、東京はかなり感染率というのが歩留まりというか、コントロールされるようになってきている。そこは啓発の問題とかそういうのが、ほかの府県でいろいろと徹底していけば、もう少しMSS対策が充実していけば、献血の方にも影響が少なくなってくるのではないかというふうに思うんです。
 ですから、そういった面で、ここは血液の方でやっているセクションですけれども、やはり割と連携が深まっていないと、そこはうまく検査体制としてはできていかないのではないかと思いますので、健康局の方にも十分働きかけていただいて、そしてなるべくリスクを減らしていくということでは、献血の方に流れないというんですか。献血の理解というものを一般の人たちに広く訴えかけて、献血からの感染のリスクを本当に減らしていく、そういう試みを続けていただきたいというふうに思います。
○佐川委員長 ありがとうございました。よろしいですね。
○難波江課長補佐 ありがとうございます。来週の月曜日にエイズ動向委員会が開催されますので、またその場でいただいた御意見を紹介して、御審議いただければと思っております。
○佐川委員長 よろしいでしょうか。それでは、事務局、日赤におかれましては、ただいまの御意見を念頭に置きつつ、血液製剤の安全性に関する情報を引き続き収集していただくように、お願いいたします。
 それでは、次に移ります。順番を変更いたしまして、議題5番「その他」を審議いたします。
 初めにXМRVに関する報告について審議を行いたいと思います。本件については、本年の5月に運営委員会において、一度御審議をいただきました。その時点では緊急措置はとらない。引き続き研究動向に注視するという結論が得られたところです。
 その後、新たな論文による報告などがございましたので、本日改めて審議を行いたいと思います。
 資料4-1「XМRVに関する文献報告について」、岡田委員から。
 資料4-2「諸外国における慢性症候群罹患患者に対する献血制限について」、事務局から。
 続けて資料4-3「日本における慢性疲労症候群について」、倉恒参考人から、説明をお願いいたします。それでは、どうぞ。
○岡田委員 前回から6つの論文が新たに報告されましたので、それについて精査しました。
 まず、前立腺がん関係で、文献13番と14番が出ました。
 13番の方は米国のBaylor大学が保有していた前立腺がんの組織を使ってXМRVの遺伝子を検出したという報告です。144例を検討してうち32例、22.2%の前立腺がんからXМRVの遺伝子が見つかったという報告です。
 これまで言われていて、RNASELの変異があるかどうかというのは関係ないという結果でした。あとは組織学的に悪性度とも関係がないという報告です。
 14番は全くこれを否定するような報告です。これは報告国の国が抜けていますけれども米国です。米国において800例の前立腺がんを検討しました。組織を採取した地域は、複数に分かれています。それをPCR法と特異的なXМRVに対する抗体を用いて染色して検討したところ、陽性コントロールは陽性に出ましたけれど、検体は1例も陽性所見はなかったということで、800例あってXМRVは0だという報告でした。
 次に、慢性疲労症候群の新たに4つのペーパーが出ました。9番目はCDCから発表された論文ですけれども、慢性疲労症候群の方51例からDNAですけれども1例も出なかったということです。コントロールの健康人からも56例検討したけれど、検出できなかったということです。
 慢性疲労症候群の方に関しては、TセルもXМRVの抗原に対する反応性も検討しましたけれども、陽性の反応が認められた例はなかったというふうなことを報告しています。
 10番目はFDAからの報告なんですけれども、37例の慢性疲労症候群の末梢血を解析したところ、32例、86.5%の患者さんからXМRV陽性例があった。陽性のバンドの塩基配列を解析したところ、XМRVではなく、マウスレトロに属しますけれども、違う種類に属す、多種指向性polytropicマウスレトロの方により近いウイルスが見つかったということを報告しています。これが本当であれば、CFSの患者さんは、XМRVのほかに更に異なった種類のウイルスに感染しているという可能性も出てきたわけです。
 一方、健常人からも、44例中3例、6.8%が陽性だったということを報告しています。
 11番目は、英国及び西ヨーロッパからの報告なんですけれど、HIVの感染者163名、C型肝炎の感染者67名をそれぞれ検査をしましたけれども、151例のDNAレベルで解析しましたけれども、1例も陽性例はなかった。血漿からのウイルスRNAを検出しましたけれども、これも79例あって1例でも陽性はいなかったということで、比較的ハイリスクと考えられていますMSMの方やIVDU薬物乱用者の方で、比較的いろんなウイルスに感染しやすいリスクをもつような人を見ましたけれども、XМRVは1例もなかったということです。
 12番目が、これはボストン周囲にあるアメリカの北部にある大学病院の例なんですけれども、慢性疲労症候群32例、HIVの感染者43例、臓器移植とか肝細胞移植とかをやった方が26例、リウマチの患者さんが97例、リウマチの患者さんのコントロールとして使われている患者さんというか、医療を受けている95人の230名の方の末梢血からDNAを抽出してPCRを行ったところ、いずれの方もXМRVの遺伝子は検出されなかったということで0ということです。
 今回6つの報告でうち2例、2つのレポートが陽性、それ以外はすべて陰性だということで、陽性となるところは非常に高く陽性だというレポートをするし、陰性だというところは全く症例数を増やしても0だというふうに、両極端の結果が出ているということです。
 この議論というかどこに原因があるかということで、同じ検体を測定して白黒をつけようという、そういう研究が始まるという情報が来ています。
 以上です。
○佐川委員長 引き続きまして、事務局からお願いします。
○難波江課長補佐 資料4-2、「諸外国における慢性疲労症候群罹患者に対する献血制限について」という紙について、御説明をさせていただきます。
 昨年10月サイエンスのペーパーが出た後、諸外国が献血制限をするかどうか検討し、一部の国で実施しているという状況でございます。それをまとめたものでございます。
 1番目のグループとして、現時点でXМRV感染リスクに対する予防的措置として、既往歴も含めて、慢性疲労症候群罹患者に対する献血制限の実施が確認されている国というのは、ケベック州を除くカナダ、カナディアンブラッドサービスです。それからオーストラリア、ニュージーランド、この3か国は4月から5月にかけ、既往歴も含めて献血制限を実施いたしております。
 イギリスが今月に入りまして慢性疲労症候群とXМRVとの関係を示す疫学的エビデンスはないとした上で、ドナーの健康保護の観点から、既往歴も含めた献血制限を実施しております。
 2つ目のグループとしては、献血をするときは健康であるということで大前提であるとした上で、既往歴までさかのぼっての献血制限の実施は勧告・実施、そこまではしていないという国でございます。これはアメリカのFDAがガイダンス。先ほど岡田先生からFDAの報告というのがございましたが、FDAに属する研究者の報告があったものの、規制当局としてのFDAとしてはそこまでのガイダンスは出していないというものでございます。
 同じくカナダでございますが、ケベック州については、献血時に健康であるということをまず確認しているので、既往歴までさかのぼったものはやらないということを決定しております。議論がなされてそういう結果になっております。
 日本も、前回御審議いただいて、同じような対応をしております。
 アメリカについては、AABBの方が、自主的に既往のある方からの辞退を促すよう会員に勧告しているというものがございます。
 その他の欧州諸国については、現在調査中でございます。
 出典を後ろにつけておりますので、御参照いただければと思います。
 4-2は以上でございます。
○佐川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、倉恒先生お願いします。
○倉恒参考人 関西福祉科学大学の倉恒です。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料4-3を見ていただきまして、慢性疲労症候群とは、健康に生活していた人が風邪などに罹患したことがきっかけとなり、それ以後、原因不明の激しい全身倦怠感とともに、微熱、頭痛、筋肉痛、思考力の低下、抑うつ、不安などの症状が長期に続いて、健全な生活が送れなくなるという病態であり、CDCによって1988年に提唱された比較的新しい疾病概念である。
 昔から、よくわからない不定愁訴を訴える疲れというのは報告されていたんですけれども、1984年にネバダ州インクラインという2万人の村で、200人の集団発生の原因不明の微熱を訴える患者さんがありました。CDCが調査した結果、ウイルスのさまざまな抗体の上昇は認められるんですけれども、原因と特定できるものはない。この病気がこれ以上もし広がっていったら大変なので、そういう病気の特徴をまとめて、1つのworking case definitionというのを発表した。それが現在使われているCDCの診断基準です。
 その基準を満たす患者さんがどの程度日本にいるのかというのは、1999年に厚生労働省の慢性疲労症候群の研究班が、名古屋地区の一般地区地域住民4,000名を対象に、アンケート調査を行っています。住民台帳から無作為に抽出した方で3,015名、7割5分の回答を得ておりまして、0.3%の方がこの病気に該当しているという結果が出ています。
 また、5年後の2004年、大阪で一般地域住民の調査を行いまして、2,742名から回答を得て、やはり0.3%の方が該当している。
 したがいまして、15~65歳の就労可能年齢人口は約8,000万人と、総理府から発表されていますので、これを単純に掛け合わせますと約24万人の方が、この病気の診断基準を満たしているだろうと思われます。ただ、この診断基準を満たしていなくても、小基準を満たしていなくても、大基準という原因がよくわからない疲労で、日常生活、社会生活に支障を来している方は、この10倍程度、3~4%おられるということもわかっています。
 その原因ですけれど、特定のウイルスが、原因だということが決まっているわけではありません。今、私たちが思っていますのは、種々の生活環境ストレスによって、神経、内分泌免疫系のバランスが崩れ、特に免疫系の変調、免疫力が低下することによって、さまざまな体の中に潜伏していたウイルスが元気になってくる。これは例えばヒトヘルペス6型ウイルスなどの再活性化というのがわかっていますけれども、こういう特定のウイルスである必要はないです。これがマイコプラズマであってもいいですし、さまざまな潜伏感染ウイルス、何でもいいです。例えば唇の横にしっしんが出る口唇ヘルペス、単純ヘルペスウイルスの再活性化が原因だったという人もおられます。
 こういうウイルスが再活性化すると、それを抑えようとしてさまざまな免疫物質、特にインターフェロンのようなものがつくられる。これが脳の中でもつくられていることがわかっていまして、これが特に前頭葉を中心とした脳の機能に変調を与えて、これが取れない疲れとともに、痛みであるとか情動系のうつであるとか不安であるとか、さまざまな臨床症状を引き起こしているんだということが、ポジトロンCTを用いた検査でわかってきています。
 まず、慢性疲労症候群については、そういう病態であるということを御理解いただいて、次のページに、ではこの慢性疲労症候群は、XМRVと関係があるのかないのかということが、昨年ミコビッツからサイエンスに報告されましたので、このときにまず私たちが考えましたのは、1施設で検討したのではやはり施設の検査方法、そして施設によって特異性が違ってはいけないということで、京都大学のウイルス研究所の宮沢先生を初めとして別々の2施設。それから大阪の赤十字の研究所の古田先生のところに同じ検体を送りまして、3施設で検討を行いました。
 100名の慢性疲労症候群のCDCの診断基準を満たす方に対して、1つはXМRVのウイルス粒子、これはウイルスの粒子すべてタンパクを抗原として、イムノブロッティング法で抗体があるのかないのかという検査。もう一つは抹消血単核球からDNAを抽出しまして、XМRVのDNAをgenomic-PCR法により解析をする。これはアメリカで行われています解析と全く同じでして、4種類のプライマーを使っていまして、Gag領域とEnv領域をすべてカバーすると、一応アメリカで引っかかっているものは、これに必ず引っかかるという系を組んでいただいています。
 その解析というのを、宮沢先生と小柳先生、それから大阪赤十字の古田先生のところで行っていただきました。
 結果ですけれど、まずXМRVのDNAは1例も見つからなかった。抗体は2例が陽性が見つかってきました。この抗体の陽性は何かというのを更に調べていただいて、Gagのカプシドタンパクに対する抗体だということも確認されています。
 ただ、古田先生のところで、500例の健常者に対する抗体陽性の検査が既に行われていまして、やはり同じく1.6%に見つかっているということで、特に慢性疲労症候群の人で、特別高いということではないということがわかりました。
 一応、結論ですけれども、現時点では日本では慢性疲労症候群の患者さんにおいて、XМRVの感染症との関連を示唆するような成績は得られませんでした。
 しかし、まだまだ感度、特異度というような問題が残っているということも言われていますので、引き続き調査を行う必要はあると思います。
 以上です。
○佐川委員長 どうもありがとうございました。
 3名の方からそれぞれの立場から報告をいただきました。ただいまの報告について、御意見、御質問等ございましたらいかがでしょうか。岡田先生、どうぞ
○岡田委員 100名の方を調べたということですけれど、発症してからの時間というのは、大分差があるのでしょうか。
○倉恒参考人 慢性疲労症候群と診断されるためには、半年以上、慢性的な疲労が持続していることというのが、まず定義の1番にありますので、発症後6か月以上は必ず経っています。多くの大体1~10年ぐらいの方を今回は調査していますけれども、中には20年近くこの病気で苦しんでいたという方も入っております。
○半田委員 倉恒先生にお聞きしたいのですが、抗原、Gagのカプシドタンパクに対する抗体が2例にあったということで、このときに選ばれた健常者500名も1.6%あったということなんですが、1名ですよね。
○倉恒参考人 これは古田先生が行われた成績でして、500例の健常者を対象にして行われて1.6%が陽性だったというのが、古田先生からの報告です。
○半田委員 どういう健常者が選ばれたかというのも、ちょっとあると思うんですが、この辺は、既往歴も含めてCFSではないという、どの程度までその確証があるんでしょうか。
○倉恒参考人 今回健常者は私たちの施設で検体ではありませんで、日赤の方で多分ドナーとしてとられた検体が何か、ちょっと僕の方ではわからないです。古田先生から健常者500名を見た結果が1.6%ですという報告をいただいていまして、それとの比較をしたというのが現状です。何かそれに関して情報はありますか。
○日野副本部長 少なくとも大阪センターの方で採血された、通常の献血者の中からランダムに抽出して、それを抗体検査したということだったと思います。
○半田委員 多分一般のポピュレーションの方でも潜在的なCFS患者もいらっしゃる可能性もありますね。ですから、コントロールというのは、かなり慎重にやられるべきで、むしろ抗体陽性だったというのは、何かある可能性があるのではないかというふうにちょっと考えますので、その辺は今後検討すべき1つの課題ではないかと思います。
○倉恒参考人 先生が言われるのはまさにそのとおりで、慢性疲労症候群の診断基準というのは、半年以上疲労がずっと持続している人は勿論そうなんですけれど、繰り返している人というのが入っているんです。というのは例えば1か月疲労があって、3か月疲労がなくて健康のように見えていて、また疲労があるという人たちも入ってきます。したがって、例えば過去3か月ほど疲労がなくて健康に生活していたから、慢性疲労症候群ではないかというと決してそうではなくて、繰り返し疲労があったりなかったりする。その中で慢性疲労症候群の診断基準を満たしてくる人がいるんだということは、知っておく必要があると思います。
○岡田委員 ここで、XМRVに対する抗体が見つかったという表現をされてしまうと、日本にもあるかというふうに思われてしまうんですけれども、これはあくまでも、XМRVのGagに反応する物質があったということで、まだ解釈は慎重にする必要があると思うんです。というのは、人間というのはいろんな抗原に暴露されていますので、これに反応したから、すぐにXМRVとは、ちょっと結論が早過ぎます。
 HIVとかHIV-1でも、ウエスタンブロットで解析するときには、幾つかのパターンがあって、そのパターンを満たした場合に陽性とか陰性、場合によっては保留という、そういう判断基準がありますので、今この時点ではまだわかりません。
 例えばこれが、今の時点で確実な検出法は、遺伝子を見つけることです。それが見つけられれば日本にも存在するということが言えると思うんですけれども、またGagに反応するタンパクということだけでは、まだ不十分だと思います。
 以上です。
○佐川委員長 ほかにいかがでしょうか。
○大平委員 CDCの診断基準というのがあるんですけれども、CDCの方で現時点で感染症として認識というのは、どの程度のような何かあるんでしょうか。それとも、CDCは倉恒先生がおっしゃったような、診断基準としてそういうある程度感染症というのではなくて、免疫的な問題とか、それの複合体みたいな形でひとつとらえられているのか。その辺の疾病概念がよくわからないものですから、お尋ねしたいと思います。
○倉恒参考人 2003年にCDCがアトランタで、世界中の慢性疲労症候群を診ている人を集め、委員会を開いたとき、私は日本の代表の委員として行って、みんなどういう概念を持っているのかというのを聞いたんですけれども、一番CDCが恐れているのは、感染症としてこれが存在している可能性です。それはやはりネバダ州インクラインという2万人の村で200人の集団発生が存在したと。この集団発生を起こしているということは、何か原因となる感染症があるのではないかという考えです。
 ただ、いろんな先生の話を聞いていますと、原因不明の疲労を集めて慢性疲労症候群としてとらえていますので、その中には感染症らしい症例も入っていますし、そうでない例えば膠原病的なタイプの症例も入っています。いろんな人がいますので、それぞれの特徴を層別に解析していって、最終的に結論を出す必要がある。
 ただ、感染症の可能性を否定するものではないので、この研究は続ける必要があるということで、2010年において現在500万ドルの予算を組んで、きちんと解析をするというような形が、今行われています。
○佐川委員長 どうぞ。
○岡田委員 ネバダ州の集団発生というのは、ペーパーか何かに出ていましたか。
○倉恒参考人 はい。ペーパーになっています。
○岡田委員 今のCFSの概念からいうと、集団発生というよりも、スポラディックにぽつんぽつんというふうに発生する…。
○倉恒参考人 スポラディックのも非常にたくさんあります。ネバダ州インクラインの場合はどちらかというと集団発生的なタイプのものですけれども、スポラディックに発生している症例の方が、世界的には多いんじゃないか。日本の症例はほとんどそうです。1回秋田九州のところで、病院に関係している従事者の100名のうち、十数名がなったという報告が1回だけありましたけれども、日本ではそれ以外、集団発生を示唆するような報告はありません。
○岡田委員 御夫婦間、2人ともなったというそういう例もないですか。
○倉恒参考人 大阪大学で来られている患者さんで、5人家族で4人、慢性疲労症候群に罹患されたという家族があります。
○半田委員 資料4-2についてお伺いしたいのですが、現時点では予防措置も含めて既往歴も含めて、CFSの患者さんに対しては献血制限の実施が確認されている国として、イギリスのことに先ほど触れられたんですけれど、別添の4を見ますと、英語が書いてありまして3段目ですか。In the past,donors with a history of ME/CFS could give bloodと書いてありますね。次の段落には結局、献血をすることによって、患者さんのコンディションがまた再発に向かうとか、こういうふうなことが英語で書かれていますね。それで基本的にそういうことがあるのか。
 それから、この本当の真意というのは、実は疑わしきものはなるべくそこでデフェラルをしてしまうという真意なのかというところですね。その辺イギリスの決定というのは、多分我が国でもし何らかの決定をするとして、参考になると思うんですが、この辺はどういうふうにお考えですか。
○倉恒参考人 慢性疲労に陥る要因の生活環境ストレスの中には、精神的なストレスだけではなくて、物理的ストレス、身体的ストレス、生物学的ストレス、科学的ストレス、いろんなストレスが要因になるわけです。例えばその中で400ccの献血というのも、1つの大きな身体的ストレスになります。例えば慢性疲労症候群の患者さんが、軽い虫垂炎の手術をしたことがきっかけで、症状が悪化するとか、耳鼻科的な領域の手術をすることが、症状の悪化の原因になったということもありますので、そういう意味では、決してこれは誤りでなくて、そういう身体的ストレスが誘因になる可能性は、否定できません。
 ただし、それが本当に輸血をしたから悪くなったという患者さんがいるかと言われますと、私たちの中では余り経験はありません。
 勿論輸血というのは、病気の間はすることはないわけです。ただし、先ほどお話ししたように、非常によくなったり悪くなったりします。よくなっている時期が長いときに、輸血していいかとよく聞かれるんですが、社会的貢献をしたいので、先生、今ちょうど調子がいいから献血していいですかと言われるんですけれど、やはり波がある中ではあえて献血をされる必要はないんじゃないですかというふうに、患者さんには私は説明をしています。
○佐川委員長 先生方の100名の経験の中から、献血をしたことがきっかけになって、そういう症候を起こされたという方は、いらっしゃるんですか。
○倉恒参考人 1人もおりません。
○佐川委員長 この審議のテーマとしましては、この疾患あるいはこの症候群を呈している方を献血のドナーから除外すべきかどうかということが、大きなテーマでありますけれども、それに関して何か御意見はございませんか。
○大平委員 多分、病院にきちんとかかられている患者さんというのは、少ないんだろうなと思うんですけれども、24万人いらっしゃるということの背景の中で、もし献血を何か制限するとかそういうことを考えるときに、既往歴の問題として、既往歴の判断というんですか、そこがとても難しいのではないかと、私は素人なりに思うんですけれど、実際に診断もついていない人もいっぱいいらっしゃると思うんです。ですからそういう方たちと、それから病名がついているとしても、その後状態がずっとよくなっていて、それが診断がきちんとついていて、それで自分で遠慮されるということはいいのかもしれないんですけれど、もうよくなっちゃったから、余り関係ないというような判断をされることもあるのかもしれない。
 既往歴をどういうふうに、病気とまた輸血の場合、ドナーとして献血にいらっしゃることのインセンティブというんですか、意思としてどういうふうに整理したらいいのかというところは、大変悩むところだと思うんですが。
○佐川委員長 何か御意見はございますか。
○岡田委員 現時点では、CFSが感染症もしくはXМRVと関係があるというエビデンスは全くといっていいほどないわけですね。
○倉恒参考人 XМRVと関係があるというエビデンスは日本においてはない。
○岡田委員 一方、供血者の健康のために制限をするといっても、やはり感染症と結びつけられてしまうと、あらぬ差別が生じてそちらのデメリットが余りにも大き過ぎるのかなと思って、この判断はちょっと慎重というか、今のところ制限というのは、そこまでは必要ないのではないかというふうに思います。ただし、今世界でいろんな研究が進んでいるし、我が国においても研究班が動いていますので、それでポジティブな所見、もしかしたら違う疾患の原因かもしれませんので、そういうのが明らかになったときに、速やかに対応ができるような検査体制の準備とか、検出法の確立等への研究は準備しておく必要があるかと思います。
 ですので、献血制限までは、今の時点ではやる必要はないんじゃないかというふうに考えます。
○佐川委員長 ありがとうございました。
 ただいま岡田先生が今までの議論をまとめていただいたように思いますが、いろんな方面から多角的に検討していただきました。
 現時点としては、1つはXМRVとこの慢性疲労症候群との関連性については、論文的にも肯定する論文、否定する論文と2つあるということで、まだはっきりしていない、不明であるということですね。
 2番目として、倉恒先生が我が国で100例の研究をされましたけれども、ウイルスのDNAは証明されていないということでございます。
 3番目として、献血のドナーというのは、いろんな問診等、検査等もありますので、健康でなければできないという状態でありますから、現在、こういう症候の方々が実際には、現実的には現場では、献血制限がもう既にかかっているというふうに考えられると思います。
 4番目として、既往歴まで含めた献血制限を実施した場合、患者及び家族への社会的な影響が及ぶ。非常に差別的な行動に移る可能性も十分にあり得ますので、より慎重な対応が必要であると思います。
 以上私が述べた4点からしまして、現在の時点では、献血者一人一人で既往歴までさかのぼって、献血制限を行うということは難しいかと思います。
 しかしながら、今、岡田先生が言われましたように、引き続き、研究の動向等を注視して情報収集をするということは、必要かと思います。それが今の時点でまとめられた、皆さんが言われたことのコンセンサスではないかと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(うなずきあり)
○佐川委員長 それではそういうことといたしますので、事務局におかれましては、引き続き情報収集に努めていただきまして、新たな知見が得られました場合には、この委員会の報告していただくようにお願いいたします。
 倉恒先生におかれましては、貴重な研究成果を御発表いただきまして、どうもありがとうございました。また、新しい知見が得られましたら、是非我々にお知らせいただきますようお願いいたします。ありがとうございました。
 続きまして資料5「研究開発等における血液製剤の使用に関する指針の策定について」、事務局から説明をお願いいたします。
○難波江課長補佐 お手元資料5「研究開発等における血液製剤の使用に関する指針の策定について」について、御説明させていただきます。
 背景といたしましては、昨年度の血液事業部会、親部会におきまして、血液型判定に用いられる試薬が輸入血を用いてつくられているので、日本人特有の不規則抗体等を測定することには不十分である。また、血液安全の観点からも、国内血を用いた検査試薬の開発等を進めるべきという御意見をいただいたところでございます。
 また、血液法のもとに平成20年に策定された基本指針においても、研究開発等において人の血液を使用せざるを得ない場合もあるため、国は研究開発等における血液製剤の使用に関する基準を策定するということが定められております。
 こういった状況を踏まえまして、今後、研究開発に係る血液製剤の使用に関する指針づくりを開始したいと思いまして、このようなペーパーを用意させていただきました。
 現状でございますが、現在、検査落ち、期限切れ、検体残余血液などを、こういったものが品質管理や研究開発に用いられております。本数で申しますと、平成21年度で約10万2,000本、次のページでございますが、リットル換算で2万7000リットルが現在使われている。これらの血液が日赤や大学や企業などにおいて、有効活用されているといったところでございます。
 このほかにも、不規則抗体等で用いる研究試薬など、一部規格に適合した血液が用いられております。
 今後別紙にお示ししました骨格案、2枚目の表紙、これと本日いただきます御意見をもとに血液対策課において関係部局とも調整しつつ、指針案を作成したいと考えております。作成後に本運営委員会で御審議いただきまして、最終的に血液事業部会で御審議いただけるかと思っております。
 骨格案を説明させていただきますと、1つ目として基本的な考え方を示しまして、2つ目として使用の目的として主に3つに分けております。1つが輸血の有効性、安全性の向上を目的とした使用について。内訳としては研究開発であったり品質管理試験、検査試薬、疫学調査、その他というもの示しております。
 bとして広く国民の公衆衛生の向上、直接的には輸血にはつながらないけれども、広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用として、研究開発、検査試薬、製薬、疫学調査、その他の項目を記載しております。
 また、その他の目的のための使用についてというのを、cで加えております。
 ?V、使用する血液でございますが、検査等により不適合となった血液、期限切れ血液、検査用検体残余血液、白血球除去フィルター内残余血液、11年の保管年限を超えた保管検体、規格に適合する血液、研究開発等を目的として採血された血液を掲げております。
 ?W.使用者として日赤、公的機関、国立の研究機関、それから大学等の非営利機関、民間企業、その他を掲げております。
 ?X、献血者への説明と同意についてを掲げております。
 ?Y、血液の譲渡手続きについて、譲渡量に応じた手続きについて、有償・無償のあり方、費用負担等について。
 ?Z、需給との関係をどうするかということを記載しております。
 ?[、その他として個人情報の扱い、疫学調査を実施する場合の指針を別添のような形でつけられればと思っております。
 以上でございます。
○佐川委員長 ただいま御報告に対して何かいかがでしょうか。御質問、御意見ございますか。
○花井委員 骨格案の論点がたくさんあると思うんですけれども、例えば譲渡の手続きや疫学のための利用というのも全部含めての話ですよね。これはいつごろ、どのくらいの議論をして確定するんでしょうか。
○難波江課長補佐 具体的なタイムスパンはまだ定めておりませんが、可能であれば、次回または次々回の運営委員会に、最初の案を出せればと思っています。
○花井委員 そういうことであれば、ちょっと論点先取りで、気になるところだけを発言しておきたいのですが。
 やはり、期限内の血液を民間企業が研究開発のために使うということになると、今までの供血、献血者が献血する動機づけの中に全くなかった新しい世界ですよね。そうなると、献血の枠組みにそのものに抵触する話なので、かなり議論が必要な部分ではないかと思います。
 勿論有効活用のためにいろいろ不適合とか、期限切れは本来あってはいけないんですが、患者さんに届けようと思ったけれども、期限が切れてしまったのを有効に使っていますというのは、献血者に十分説明がつくんですけれど、今言ったことに関して言えば、今までの献血者に対する説明と全く違う話になるので、そこは是非十分検討して進めていただきたいと思います。
○半田委員 日本赤十字社の方でセンターの方で使う研究試薬については、本年度より試薬製造メーカーへ原料血液を提供して製造委託をしているという項目がありますけれども、基本的にこの話が持ち上がったのは、安定供給の法律上の問題とそれから今我々が民間で使っているというか、医療機関で使っている血球試薬は、全部輸入品なわけです。それはやはりいろんな面で問題であろうと。それを国内で自給することが必要なのではないかと、多分そういう議論から来ているわけです。
 現実問題、我が国で、花井委員のお話もあるんですが、いわゆる検査落ちとかそういうものだけで本当に血球試薬がつくれるのかどうか。あるいはやはり規格に合った、適合した血液を拝借するしかないかどうかという、そういう問題が根本的に出てくるんですね。
 私の頭の中で考えた限りでは、やはり特定のドナーの方がいらっしゃって、その方から常にとっていかないと、なかなか血球試薬というのはできないのではないか。
 ですから今の日本の法律の枠組みからいきますと、売血との関係が非常に微妙になってくると。そこで血球試薬が本当に我が国でつくれるのかどうか、ちょっとそういう問題も出てくるんです。
 その辺の今後の見通しというんですか、今は多分日赤の中だけで使われている血球試薬に関しては、何とか供給できたとしても、例えば輸入品をすべて国内製品に移すというか、ある程度は国内の製造能力もつくっていくということになると、なかなか難しい問題ではないかと思います。その辺に関しては何か御意見というか、現状で日本赤十字社の方はどういうふうに見られているのか。お答えいただければと思うのですが。
○田所経営会議委員 御指摘があったように、現状ではABO血球を今年からメーカーに委託してつくっているんですけれども、勿論その原料となる、検査に適した血液の選択は、センターの方で行っていまして、実はその作業が一番大変な作業だと思っています。ですから、そういう中で今メーカーの方に標準化した試薬を最終的につくっていただいているわけですけれども、このシステムがうまくいくのかどうかをまず評価していかなければいけない。そういう上で次のステップが見えてくるという具合に思います。
 その際、今、理念的な考え方を1つ整理する必要があるのと、あと実際どのくらいの病院にお配りすることを考えたらいいのか。それは先ほど言った選択するという大変な作業と併せて考えていかなければいけないので、確かに幾つか、今後1~2年の経験を製造上あるいは選択上の問題を踏まえて、その間どう理念的な整理をするのかというのも含めて考えていく必要があるだろうと思います。
○佐川委員長 大平委員、どうぞ。
○大平委員 今日いろいろと情報を、半田先生からもお話を伺ったりして、理念的な問題というのは、1つはもう少し検討しながらも国内自給の問題ですとか、また公衆衛生の向上のために、どういうふうに献血血液を使っていくかということについての議論というのは、ひとつテーマとしてきちんと掲げて、そして献血者の方たちに、これは十分説明することによって、ある程度理解していただけるのではないかというふうな、楽観的な希望を私は持っています。
 あと、国内献血でかなり試薬とかそういうのを賄っていこうという基本方針を持つとしたら、きちんと数%の献血血液を試薬をつくるために確保できるような、1つの指針みたいな枠組みをつくることも、今後の方針としては大切なのではないかなと思います。
 片や国内自給で海外の売血とかそういうのを反対している中で、そういった試薬の方にかなり海外の売血の血液を使っているとなると、そこはバランスとしては余りよろしくないのではないかなと思いますし、時代に流れに応じての、情報をきちんと献血者の方に伝えることによって、そういった血液の有効利用とまた病気を治していく上での貢献という形ではあり得るのではないかと考えています。
 そこはきちんと議論をして、それを進めていくことによって、また違った見解も出てくるだろうと思いますけれども、そこは理解していただけるのではないかというふうに思います。
○佐川委員長 いかがですか。
○花井委員 今、大平委員が言った話なんですけれど、血球試薬については、国内自給、献血の精神。それから以前議論したまれ血やワクチネーションの特殊免疫グロブリン自給の問題、こういった議論と整合的だと思うんです。だから今、大平委員が言ったように、ちゃんと献血者に説明をして、献血の今までの理念とこれまでの議論と整合した形で理解は得られるというふうに思います。
 先ほど私が指摘したのは、民間メーカーの研究開発です。これについては、かなり違うというところを指摘させていただきます。
○岡田委員 研究開発も、例えば血液のスクリーニングのための試薬をつくるという感染症関係は、これもはもろに関係しますから、そういう面ではすべてがそうではないと思います。逆にそういうのを細かく挙げていくことによって、大体枠ができていくのかなという気がします。
○花井委員 そう思いますね。今すぐには判断できないんですけれど、思い浮かぶのは人工血液の研究をする段で、かなりヘモグロビンが大量に必要だとか、そうような感じだとちょっとニュアンスが違うかなと、そんなことです。
○佐川委員長 確認しておきますけれど、今回の指針を策定するというのは、日本の献血の血液を使って試薬等ができるかどうかを、その研究開発をしていく、そのために指針を策定したい、そういうことでございますね。直ちにコマーシャルベースで大量に試薬をつくりますから、これでどうですかということではないわけですね。
○難波江課長補佐 そういうことでございます。
○佐川委員長 将来的には、そういうことを目指しているけれど、ともかく日本人の献血の血液を使って、それが試薬としてなり得るのかどうかをこれからやると。そのために指針を策定しておきたいということが基本だと思いますが、よろしいでしょうか。
○岡田委員 あと疫学調査というふうに、使用目的の中のaのところにありますが、例えば今日話題になりましたXМRVですけれども、日本の献血者の中にどの程度いるのかということとか、今の状態では検査できないです。そういう面では、リスクを評価するための資料づくりとして、どうしても献血率というのが必要なんです。
 その場合、いちいち輸血の安全性、有効性ということでひとからげで了解を得られればいいんですけれども、いろんな新しい病原体が次々に出てくると、そのために献血者の了解をとるとことは不可能なので、そういう面ではリスク評価のための疫学調査というのは、血液の安全性向上のためということで、毎回了解を得なくてもできるようなシステムをつくらないと、急を要するときは、手遅れになってしまう可能性もありますので、そういうことも入れてくれると助かるなと思います。
○難波江課長補佐 1点だけ、どのように献血者の合意をとるかというのは重要な課題で、この指針の中に書き込んでいきたいと思っていますが、現時点においては、輸血の有効性、安全性のために用いることがあるということは、既に献血のときに了解をいただいているという状況です。
 今回その対象をどこまで広げるか。直接的なものとあと広く公衆衛生。直接的に輸血には関わらないけれど、広く公衆衛生に関わり得るものについて、どういう形で同意がとれればいいかということをこの中で書き込めればと思っています
○佐川委員長 ありがとうございました。時間も少なくなってまいりましたので、このあたりでとどめたいと思いますが、事務局におかれましては、ただいま出た意見を十分参考にしていただいて、新しい理論をもとにした指針の肉付けをしたものを、次回までに出していただけたらと思います。それをまたもう一度この場で審議をしたいと考えています。よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、議題4「日本赤十字社からの報告事項」について、審議を行います。
 資料6-1「血小板製剤に対する感染性因子低減化技術の導入準備について」。
 資料6-2「血小板製剤に対する感染性因子低減化血小板の臨床試験の概要」。
 資料6-3「感染性因子低減化技術導入にかかわる費用対効果」。
 資料6-4「FDAプレゼンテーション」。
 以上について日赤及び事務局から御説明お願いします。まず日赤からお願いします。
○五十嵐臨床開発課長 それでは、資料6-1をごらんください。「血小板製剤に対する感染性因子低減化技術の導入準備について」、?@10単位血小板製剤の品質について検討いたしました。
 目的ですけれども、前回本年3月、リボフラビン法で処理した血小板の活性化による品質の低下について報告いたしましたが、我が国においては血小板製剤の出荷本数の8割以上を10単位製剤が占めています。したがいまして、感染性低減化血小板製剤を実用化するためには、低減化処理した10単位製剤の品質低下をできる限り抑制する必要があります。
 そこで、リボフラビン法処理に最適な10単位製剤の条件について、確認試験を実施しました。
 実験方法としましては、製剤の容量あるいは血小板濃度、血小板総数を10単位製剤の規格の範囲内でさまざまに変化させた検体を調整しまして、その検体についてリボフラビン法で処理したということです。ただし、下限の容量は、リボフラビン法が170ミリとなっておりますので、その容量までにいたしました。
 リボフラビン法処理は、実際の製造を考慮しまして採血の翌日に実施しております。
 測定項目につきましては、3に記載したとおりです。
 結果及び考察ですけれども、図1及び図2に結果を示してございます。図1を見ていただきますと、処理後3日目、すなわち採血の4日目までが、今の血小板の期限ですけれど、採血後4日目までは多くの測定項目で良好な値を示していました。ただし、それ以降、処理後4日目、5日目になりますと、品質が低下する傾向を示しましたけれども、例えばpHを見ていただきますと、血小板保存の指標とされております6.4という値よりは高い値が保持されておりました。
 一方、低減化した図2の方ですけれども、低減化した血小板製剤の容量、血小板濃度、血小板総数を指標としてグラフにしてみました。それが図2に代表としてpHとMPV(平均血小板容積)のグラフをつけておりますけれども、例えばpHで見ますと、一番左が容量、真ん中が濃度、3つ目が総数ですけれども、容量を見ていただきますと、PCの容量が大きいほど、pHの低下が少ないというような結果が得られています。ただし、濃度のあるいは総数で見たときにはそういう傾向は見られなかった。
 MPVについても同様の傾向でございました。
 これらの結果から考えますと、リボフラビン法を10単位製剤に導入する際には、血漿量を多少多目に設定することにより、品質の低下が抑制され、現状の製剤と同じ有効期限を十分に確保できるのではないかと考えております。
 検討の2番目として、4ページ目になりますけれども、「リボフラビン法処理後の白血球の増殖」について、再度検討いたしました。これは前回報告したときに、前回行ったPHAや抗CD抗体を用いたものではなくて、混合リンパ球培養反応いうものでも検討してほしいというお話がございましたので、それについても検討いたしました。
 実験方法等につきましては、前回報告したとおりになります。
 結果ですけれど図3-1にPHA刺激、図3-2に抗CD抗体、図3-3にMLRの結果を示しておりますけれども、いずれの結果もリボフラビン法で処理した検体につきましては、コントロールといたしましたX線照射と同等以上に白血球の増殖が抑制されておりますので、基本的にはX線照射あるいはガンマ線照射に代わり得るものだろうと考えております。
 検討結果は以上です。品質等の検討を説明させていただきましたけれども、我々といたしましては、今後も感染性因子低減化血小板製剤の臨床試験実施に向けた準備として、海外における治験あるいは市販後調査並びに技術運用等に対する情報収集と、インビトロにおける品質の評価試験を継続する予定でございます。
 また、本年4月に製剤の開発業務を遅滞なく進行させるために、血液事業本部内に臨床開発課を設置いたしました。それとともに、GCP症例に基づきます治験業務手順書作成の作業を現在進めていることを申し添えさせていただきます。
 続きまして、低減化血小板製剤の臨床試験成績についてですけれども、資料ナンバー6-2をお願いいたします。
 ここにリボフラビン法並びにアモトサレン法の主要な臨床試験の成績を、4つほど抽出してまとめてございます。一番左がリボフラビン法でMIRACLEという名前の試験。次の3つがアモトサレン法でeuro SPRITE、SPRINT、HOVON 82という名前をつけられた試験になります。これらの臨床試験のうち、euro SPRITEを除きますと、ほかの3つの試験につきましては、コントロールの無処理の血小板と比較して、感染性低減化処理をした血小板が劣勢ではないということを証明するための臨床試験になっています。Euro SPRITEのみが同等性を検討するという試験でございます。
 被験者数につきましては、中段の二重線の下に書いてあるとおりです。100例から一番多いもので、コントロールと合わせて650例ぐらいとなっております。
 もう一つ注目すべきは、PCの保存条件でございます。リボフラビン法につきましては、すべて対照も低減化も100%血漿になっています。
 アモトサレン法については、euro SPRITEのみ対照群の一部が、いわゆる置換血小板、血漿部分の一部を添加液で置き換えた置換血小板ということになっています。
 低減化の方はすべてこれはアモトサレン法の規定ですけれども、すべて置換血小板となっております。
 投与後の臨床結果につきましては、低減化処理PCのCCIというところがございますけれども、CCIというのは、血小板の増加数と輸血した総血小板数に対する血小板増加数の割合を体表面積で補正した値ですけれども、これにつきましてすべて4つの試験で値が出ておりましたので、横並びで表示しております。
 前に書いてある数字が低減化した血小板のCCI、VSの後がコントロールのCCIになります。例えば一番左のMIRACLEでいきますと、1時間後のCCIというのは、不活化群、感染性を低減化した群で1万1,000。未処理の血漿100%に保存した血小板につきましては、1万6,600ということで、その割合を単純に平均いたしますと66%の回収率ということになります。
 同様に単純に平均いたしますと、euro SPRITEが87.9、米国のSPRINTが69.4、オランダのHOVONが66.7%ということになっています。
 各試験の結論といたしましては、MIRACLEでございますと、CCI1時間、24時間とも非劣性であることは確認できなかったということで、CCIについてはコントロールよりも劣っているという結論です。血小板及び赤血球の使用量に有意な群間差は見られなかったということが書いてあります。
 Euro SPRITEは、保存5日以内に輸血した場合、血小板減少患者における支持療法の効果は従来の血小板製剤と同等であったと記載されています。Euro SPRITEのみ先ほど申しましたように、対照として一部置換血小板を使用しておりますけれども、その影響かどうかはわかりませんけれども、これのみほかの試験と比べてCCIの比は高くなっているという状況がございます。
 SPRINTにつきましては、PRT群では対照群と比較して輸血後の血小板増加数が少なく、輸血間隔が短かったが、グレード2の出血発生率は等しかった。
 最後のHOVONですけれども、PC血漿と比較するとき、PC-PR低減化の血小板は、輸血効果に関連する全エンドポイントで劣勢を示したということで、このHOVONにつきましては、前回お話しさせていただいたように、低減化血小板の臨床試験を途中で打ち切ったというような試験になっています。
 各4つの試験の結果を横並びで見てみますと、多少の差があるように思われますけれども、この資料の作成と相前後いたしまして、これらの臨床試験に関するメタアナリシスに関する論文がTransfusionのEarly Viewに今月に入って掲載されましたので、そのアブストラクトの仮訳と本文を添付してございます。
 1枚めくっていただいて、そのアブストを読ませていただくと、「背景:最近の独自の」資金というのは、製造業者の資金ではなくて、臨床の独自の資金という意味のようです。「資金による無作為化対照臨床試験」は、HOVON試験のことを指しています。「感染性因子低減化血小板の止血能力に関して、広く受け入れられている意見に疑問を呈した。利用可能なすべてのデータに基づき、感染性因子低減化が及ぼす血小板の止血効果と能力への影響を評価し、論文間で結果が変動する要因について検討するため、メタアナリシスにより分析した」ということです。
 結果としては、「各報告の結果はすべての統計的には一様の結果であった。感染性因子低減化血小板の輸血後1時間及び24時間の」CCIというのは、後ろの括弧にありますように3,260、あるいは3,315程度減少するということと、全てのあるいは臨床的に意味のある軽というのは、軽~中等度ということだと思いますけれども、出血性合併症も有意に増加したという結果だそうです。
 ただし、「重篤な出血性合併症の頻度に差は見られなかったと」いうのが結果でした。
 結論といたしましては、「最近のランダム化臨床試験の結果は」、最近というのはHOVON 82の結果は、「以前の研究のものと矛盾していない。現在発展段階にある低減化技術の導入は、軽度及び中等度(重篤ではないが)の出血性合併症の増加をもたらすため、輸血医療コミュニティは低減化からの恩恵を享受するためには、このことを容認しなければならない」というのが結論として書かれております。
 続きまして、その後ろに2枚別の表を添付してございます。これらはリボフラビン法及びアモトサレン法で、現在実施中あるいは過去に実施された市販後調査等をまとめたものでございます。
 現在計画中のものといたしましては、イタリア、オランダ、デンマークという3つのものを記載してございます。こちらの方はリボフラビン法とアモトサレン法を同時に試験するものもございますし、オランダ、デンマークではリボフラビン法単独の試験が実施されるということです。
 過去に実施されて論文となっているものについて、もう1枚の紙にまとめてございます。こちらにつきましては、すべてアモトサレン法になっております。リボフラビン法の市販後調査につきましては、メーカーの方から数千件の症例についてはデータを収集しているという話を聞いておりますけれども、論文になっているものはございませんでした。
 臨床試験成績については、以上です。
 次に、費用対効果についてです。資料ナンバー6-3をお願いいたします。
 費用対効果につきましては、前回大平委員から御指摘がございました。それもございまして、現在までに出ている費用対効果に関する論文、それと今回医科歯科大学の河原先生にまとめていただいたものについて、紹介させていただきます。
 まず、「感染性因子低減化技術導入に係る費用対効果分析の報告」、A4横の表になりますけれども、それをごらんください。これにつきましては、日本、オランダ、ベルギー、カナダを対象として費用対効果を分析した論文になります。
 最初の3つがアモトサレン法、最後の1つがリボフラビン法に関するものです。
 方法の欄にはおのおの前提としている、例えばどういう費用が削減できるとか、低減化にはこれぐらいの金額がかかるということがまとめてございます。
 結果といたしましては、多くの論文でQALYという指標を用いております。これにつきましては、欄外の略号の説明の中で、QALYが3番目にございます。完全な健康状態で生存する1年を1QALYということにしまして、それを獲得するために必要な費用が幾らになるかというような計算の仕方になっています。
 QALYで計算しているのが1番目の日本、3番目のベルギー、4番目のカナダになります。オランダのみはLYGという指標で計算していますけれども、LYGというのは、やはり欄外にありますように、1年の余命を延長させるのに必要な費用ということで計算をされた費用になります。
 結果ですけれど、まず日本のアモトサレンの結果ですけれども、前提条件として例えば細菌検査をやらなくて済む費用、実際我々はスクリーニングとして細菌検査はやっていないんですが、その費用を見込んであったりとかして、かかる費用が正確でないというのがありますけれども、結果としてはALLの10歳児に低減化血小板を導入した場合には、1QALY当たりの金額というのは9,900万円になりますという結果です。
 同様に、オランダの結果でも、ここはLYGですけれども6,000万円必要である。ベルギー、カナダにおきましても同様な結果となっております。
 QALY当たりの金額が幾らぐらいなら導入を考えるべきかということですけれども、血液の場合は、一般にQALYが高くても導入をされてきたという現状がございます。ただし、一般の製剤とか医療機器あたりで指標となる金額としては500~1000万円ということが言われています。
 ここでQALYという指標で計算をしておりますけれども、QALYですと疾患ごとに当然違ってきますし、健康度あるいはその判断に主観も入ってしまうというようなことがございますので、そのままこれらの金額を横並びで比較したりとか、あるいはそれをこのまま日本に当てはめるということは、困難でございます。
 私どもの経営委員でもありますけれども、東京医科歯科大学の河原教授に、別の観点から日本の現状について分析をしていただきました。それが資料6-3の一番後ろについてございます。便益という考え方で検討していただきました。河原先生に要約もつくっていただきまして、その要約が最後の一番上に載っておりますので、それについて朗読させていただきます。
 「我が国における感染性因子低減化技術による生じる便益について(要約)河原和夫
 方法 輸血用血液製剤に感染性因子低減化工程を加えたときにいかなる費用便益を生じるかについて、感染性因子低減化技術が確立している血小板製剤を含むすべての輸血用血液製剤による感染を想定した。
 経済計算は疾病や傷害を有する者の生存期間を無価値的にとらえたり結果が感覚として分かりにくいQALYではなく、具体的な金額により便益を算定した。
 保管検体で陽性が確認された過去約10年間の感染性因子の件数から1年当たりの予想される感染事例を算定し、感染が成立した場合の予後の推移等をもとに『直接医療費』『休業損失』及び『早世による遺失利益』を求めることにより便益を算定した。HBV、HCV、HIV、細菌感染、ヒトパルボウイルスB19、HEVが対象感染性因子である。
 結果 平均的勤労者(平均年齢41.4歳、年収294.5万円)をモデルとすると、感染性因子低減化技術の導入により削減できる年間の直接医療費は2,430万円、休業損失は420万円となった。加えて早世による遺失利益は108万円となり、合計2,585万円が便益となる。
 考察 我が国ではHBV感染者が多いが、これは直接医療費と休業損失の大半がHBVを原因としていることにも表れている。成人のHBV感染の場合、慢性化しにくいことから1年目の医療費等の出費が増大するが、以後ほとんど影響を及ぼさない。HCVについては、慢性化する割合が高いものの、HBVに比べると絶対数が少ないことにより、同様に経済的影響は少ないものとなった。HIVについても同様である。他の感染性因子による感染が考えられる事例についても数が少なく慢性化しないものが多いことから便益は少額になったものと考えられる。
 まとめ 本稿では新興・再興感染症の流行の問題を考慮していない。いかなる感染症まで対象を広げて経済計算を行うべきか、そして血液の検査や製造工程にどの程度の経済資源を投入すべきかについても議論が必要であろう」ということでございました。
 今、算出された2,585万円という費用は、最初にもありましたとおり、血小板製剤のみではございませんで、すべての輸血用製剤に低減化技術を導入した際に、年間に節減可能となる費用という計算になります。
 この費用を評価する際には、次の点に留意する必要があろうかと思います。血小板製剤の供給本数ですけれども、全製剤のうちの約15%になります。細菌感染の確率は血小板製剤でも高いということがございます。
 輸血用血液中に感染性因子が存在すれば、必ず感染が成立するとして計算されています。
 低減化技術では完全に不活化できない感染性因子につきましても、完全に不活化されるものとして計算をしているということです。
 感染時の年齢を標準的勤労者の41.1歳として遺失利益等を算出されていますけれども、実際に輸血をされる患者さんの平均年齢は、64.6歳ということでございますので、大分違ってくるということでございます。
 これらを考慮しますと、血小板製剤のみに低減化技術を導入した場合の便益というのは、ここにある2,585万円よりもかなり少ない金額になろうかと思います。
 なお、すべての血小板製剤に低減化技術を導入するコストにつきましては、前回も報告させていただきましたけれども、概算でランニングコストのみですけれども、1年当たり55~85億円が必要になるだろうと予想しております。
 以上です。
○佐川委員長 続きまして、事務局からお願いします。
○難波江課長補佐 続きまして、お手元の資料6-4について御説明させていただきます。この資料は今年の9月にフランスにございます欧州評議会Council of Europeで開催されました不活化技術のシンポジウムの際に、FDAが用いた資料になります。
 この資料はFDAが臨床試験の結果をどのように見ているかということを、大変わかりやすくまとめられておりますので、今回FDAの了解を得まして配布させていただくことにしました。
 5ページに、先ほど日赤より報告のありました認証試験のうち、3つの試験の結果がまとめられております。下の表でございますが、3つの試験SPRINTとHOVONというのがアモトサレン法、MIRASOLというのがリボフラビン法でございます。各試験の1時間のCCIの値を示しています。いずれもコントロール群と比べて31%有意に低下するという値が示されております。
 6ページですが、出血のデータになります。一番上のSPRINT studyではグレード2の出血がコントロール群と不活化群の有意な差はないと。約58%、57%となっているものの、グレード2の出血期間を見ると、不活化群の方で有意に長く、またグレード2~4の出血の割合で見ると、不活化群の方が有意に多いという結果になっています。
 次にHOVON studyにおいては、グレード1~3の出血が不活化群で有意に多いというふうになっております。
 下のスライドがMIRASOL studyでの出血ですが、グレード2~4の出血が不活化群の方が多い割合になっていますが、有意な結果としては出ていない。ただ、この結果につきましては、論文上データ不足であるため結論づけられないということが記載されておりました。
 7ページが副作用の比較でございます。7ページの下のグラフでprospectiveに見ると、不活化群でARDSが有意に多いと。また、retrospectiveで見ると、P値が0.09であったが、不活群の方がARDSが多い傾向にあるという結果が得られたということが示されております。
 8ページは、フランスやベルギーで行われておりますHemovigilanceの結果について、FDAの見方を示しております。フランスやベルギーでは、Hemovigilance制度でパッシブに報告を集めておりますが、下の表にございますとおり、報告数というものがSPRINT studyの臨床試験で積極的に得られた副作用のデータの数とかなり乖離があるのではないかということが示されています。
 9ページがまとめでございます。FDAとしては、やはりまだ血小板の有効性の低下、それから副作用に関する懸念が払拭されていないので、更に臨床試験を実施する必要があるというふうに結論づけております。
 なお、この欧州評議会でのシンポジウムにおいては、世界で行われている臨床試験の比較がいろいろございましたが、デザインについて、エンドポイント、コントロール群のとり方、非劣性、noninferiorityをどこでどのカットオフラインで決めるのかといったものが、かなりスタディによってばらばらであるので、今後、ガイドラインを作成するという意見が出されておりました。
 以上でございます。
○佐川委員長 ありがとうございました。
 ただいま、膨大な資料の提示があったのですが、これを踏まえて御意見等を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。半田先生。
○半田委員 具体的なデータの質問なんですが、資料6-1です。日本赤十字社での検討なんですけれど、図1のところです。先ほどお話しされたほとんどの指標に関しては、3日までは大丈夫であろうと。ただし、day5では落ちるだろうと。ひとつ気になるのが、パック1のあれがすごく多いんです。これに関してはかなり問題かなと思うんですが、処理して1日目で血小板の活性化マーカーが陽性になっている。これに関してはどういうふうに見られているんでしょうか。
○五十嵐臨床開発課長 パック1が高い理由ですが、血小板の活性化マーカーの中で最も鋭敏なものだろうと思っています。極めて弱い刺激でも上昇してしまうということがあります。しばらくそっとしておくと、また正常に戻ってくるというような傾向がございますので、実際このグラフでも、不活化低減化処理で上昇したものが3日目には若干下がってきているというような状況になっているんだろうと思います。
 ただ、これが臨床に使用したときに、この指標と臨床の成績がどう関連するかというようなことについては、わかりません。
○半田委員 あと、今までの欧米でのデータで、勿論これは基本的にはCCIが下がると。いわゆる機能としては下がるということが明らかである。日本の場合3日まで、4日間72時間です。5日では明らかにこのデータでも、機能自体の全体の指標が下がっているということですね。
 そうすると、今までまとめられた欧米の臨床データというのは、大体平均するとどのくらいの年齢の血小板を使ったデータなのかというのがちょっとはっきりしなかったんですね。それが今、日本でのデータとの整合性というんですか。これは3日までのデータであれば大丈夫だろうというお話ですけれども、その辺に関しては何かコメントというか、解析結果はおありでしょうか。
○五十嵐臨床開発課長 臨床成績のMeta-analysisの論文の中に何日目の血小板を使って臨床試験をしたかというようなデータが入っていたかと思います。ちょっとお待ちください。資料ナンバー6-2のMeta-analysis of the randomized controlled云々というTransfusionの論文のテーブル2です。6ページのテーブル2の真ん中辺に、保存日数というものがございます
○難波江課長補佐 クリップをとっていただきますと、論文がばらばらになります。そこで右肩にMeta-analysis 文献と書いたものが、後半の方にあるかと思います。
○五十嵐臨床開発課長 6ページのテーブル2の上から3つ目に、保存日数の平均値が書かれております。例えばEuro SPRITEでは3.5±1.1という結果でございます。
○佐川委員長 半田先生、それでよろしいですか。
○半田委員 わかりました。ありがとうございます。
○佐川委員長 いかがでしょうか。
 非常に膨大なデータが蓄積しつつあるというふうに理解いたしました。ほかにございませんか。
○花井委員 いろんなデータを検討してということだと思うんですけれども、1つだけ、これも難しいんですけれど、年間にいわゆる細菌感染で大体何人の患者さんが、感染してその予後はどれだけかと。つまりその患者さんが救えるかどうかというのが、ベネフィットだと思うんですけれども、わかりやすいのでそれがわかれば教えていただきたいです。
○田所経営会議委員 私の記憶では、10年間で9例の細菌感染がありまして、たしか6例が血小板だったと思います。そのうち2名の死亡例があった。現状お話しできるのはそこまでですが、10年で死亡例は2例。血小板によるものを全体でいうと3例、赤血球によるものが6例というふうに記憶しています。
○花井委員 記憶があれですが、細菌との因果関係が確定したのが2例ということですね。
○田所経営会議委員 そうですね。肺炎球菌とブドウ球菌です。
○佐川委員長 これを日本全体に取り入れたら、年間55~80億円はかかるだろうと、このシステムを維持するために、そういう計算だそうです。それでどれだけ救えるか、費用対効果の論文もたくさん出ておりましたけれども、日本においては、そういうことだそうです。河原先生の試算が示されたとおりでございます。
 御意見はございませんでしょうか。
 大分時間も過ぎておりますけれども、日赤におかれましては、今の御意見を十分踏まえまして、引き続き海外の臨床試験等の情報を収集していただくとともに、国内での臨床試験の準備を行っていただくようにお願いいたします。
 この臨床試験を行うに際しては、ただいま難波江課長補佐から報告がありましたように、今ヨーロッパで臨床試験のデザインに関するガイドラインが策定されようとしているようでありますので、これを参考にしていただいて、日本における臨床試験のガイドラインを準備していただくよう、お願いいたします。
 続きまして、資料7「改定問診票」につきまして、日赤から説明をお願いたします。
○日野副本部長 資料ナンバー7番、問診票の改定については、本委員会で以前資料7番にありますように、現行の14項目から23項目に変更するということで、特に質問事項に関しましては、4番、5番にありますような、薬剤の投与に係るものを具体的に薬剤の名前を入れていったということと、現在の渡航歴関連に関しては、非常に複雑だというのがあるので、14~18番にあるような形で、今は問診項目7番1つで聞いているんですけれども、それを5つに分離したというような状況です。
 それで、この問診票は来年の4月から使用するわけですけれども、実際には次のページのお願いというものも見ていただきたいのですけれど、その問診票が改定されることに伴って、「お願い」を改定したいと思っております。
 今、御説明しましたように、「お願い」の枠で囲んでいる部分ですけれど、一番初めに渡航歴の部分を少し変更し、?Cのヒト由来のプラセンタ注射薬を使用したことがあるというようなところの文言等について、改定問診票に合わせて直すというようなところが1点。
 次に裏のページを見ていただいて、左側に「献血前にお読みください」という四角で囲んだ部分があります。その中で、上から2つ目の段落になりますけれども、「献血時は」ということで、来年の4月以降、今は比重でも見ておりますけれども、4月以降はヘモグロビン値に統一していくようなところが2点目。
 真ん中辺の採血副作用に関してですが、こちらの方はいろいろ御指摘があって、もう少し詳細を示した方がいいだろうということで、詳細に書かせていただいたというのが3点目です。
 それと同じ項目の■の一番下になりますけれども、献血者健康被害救済制度というものの説明を若干加えさせていただいたというのがあります。
 最後になりますけれど、献血していただいた血液は、先ほど研究のところで少し議論されておりますけれども、現在も献血していただいた血液の輸血以外のものについての使用については書かせていただいているところですけれども、それを整理したというようなところです。
 血液型や輸血副作用の検査や研究で、遺伝子検査を実施する場合があるということと、品質管理や輸血用の検査試薬、これは当然日赤が使うものですけれども、それに使用することがありますというようなことを、1つの文章に書かれていたのを、3分けてわかりやすく説明したというようなところが、大きな改正点でございます。
 簡単ではございますが、以上、報告です。
○佐川委員長 ありがとうございました。ただいまの御報告に対して何か御意見等ございますか。このような改定を行いたいということでございます。よろしいでしょうか。
 (うなずきあり)
○佐川委員長 では、今後ともしっかりとこのような改定を進めていただくようにお願いいたします。ありがとうございました。
 最後に、「フィブリノゲン製剤にかかわる報告事項について」、事務局から報告をお願いします。
○安田企画官 資料8-1~8-3に基づいて、中身を御説明させていただきます。
 まず資料8-1をごらんください。こちらの方は今現在行われておりますフィブリノゲン製剤納入先医療機関の調査につきまして、2週間ごとに出させていただいておりますプレスリリースの最新版でございます。
 この1(2)に記載させていただいたとおり、追加調査対象施設としては、6,610施設のうち現在まで累積で、まず5,397施設、平成16年の公表時点で存続していたもののうち、5,291施設から回答をいただいております。
 2ページを開いていただきたいと思います。こちらは医療機関の方から報告をいただいたもののうち、2番、投与の月日について回答があった医療機関数と元患者ということで累計として、医療機関数として925施設から元患者が見つかったということで、報告を受けたのが、1万3,738。
 (2)として、記録としては残っているんですが、投与の月日が特定できないとする回答があった医療機関数と元患者数が95施設312人となっており、合計で今現在の累積数といたしましては、医療機関数として1,001施設、元患者数として1万4,050人の報告をいただいています。
 このうち(4)投与の事実関係といたしましては、個々人にお知らせをしたという類型が8,116名でございまして、お知らせをしていないというのが、5,934人になっています。
 この理由といたしましては、下の方に書かせていただいていますとおり、投与後に死亡、または連絡先が不明または連絡がつかないというところが、多い原因となっています。
 3ページ目を開いていただきたいのですが、この調査におきましては同時に、診療録等の保管状況も調査しております。平成6年以前の診療録等が保管されている施設数としての累計は、2,041施設ということになっています。
 厚生労働省としては、今後とも、こちらの方を更に調査を深く進めるように努力したいと思っております。
 次の5ページ目を開いていただきたいと思います。資料番号8-2でございます。こちらは「C型肝炎訴訟の和解」ということでございまして、平成22年10月25日にプレスリリースされたものです。こちらの方は10月25日の段階で名古屋地裁において和解が成立しましたということで、プレス発表したものでございます。
 その結果、和解等が成立した人数というのは、全部で1,606人というふうになっているところでございます。
 最後に6ページを開いていただきたいと思います。資料番号8-3でございます。こちらの方は、平成22年度に厚生労働省で実施いたしますフィブリノゲン製剤納入先の医療機関に対する訪問調査の実施ということでございまして、今年度におきましては、後ろの別添に記載しております34施設について実施する予定となっております。
 調査については年度内に、34施設について調査を行い、そしてその後、公表を行う予定となっております。
 以上でございます。
○佐川委員長 ただいまの御報告に対して先生方から御意見、御質問いかがでしょうか。
 ないようです。その他、何かございませんでしょうか。
 特にないようでしたら、本日の議題は以上でございます。次回の日程等につきましては、後日事務局から連絡いたします。
 本日は御多忙のところ、誠にありがとうございました。


(了)

連絡先:医薬食品局血液対策課 課長補佐 難波江(内線2905)

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