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2011年2月10日 第21回社会保障審議会議事録

政策統括官付社会保障担当参事官室

○日時

平成23年2月10日(木)17:01~18:16


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省省議室(9階)


○出席者

委員

岩瀬達哉委員 遠藤久夫委員
逢見直人委員 大日向雅美委員
大森 彌会長 加藤達夫委員
河村小百合委員 木間昭子委員
駒村康平委員 西郷 浩委員
斎藤勝利委員 榊原智子委員
櫻井敬子委員 庄司洋子委員
白波瀬佐和子委員 津谷典子委員
寺谷隆子委員 本田勝彦委員
山崎泰彦委員 横倉義武委員
吉川 洋委員 米澤康博委員

事務局

細川厚生労働大臣 大塚厚生労働副大臣
香取政策統括官(社会保障担当) 外口保険局長
榮畑年金局長 清水社会・援護局長
高井雇用均等・児童家庭局長 鈴木会計課長
伊奈川参事官(社会保障担当) 木下参事官(総務担当)
岩崎統計情報部企画課長 岩渕医政局総務課長
大澤老健局総務課長 亀井健康局結核感染症課長

○議題

1.会長の選出について
2.生活保護基準部会(仮称)の設置について
3.平成23年度厚生労働省関係予算案の概要について
4.通常国会提出(予定)法案の概要について
5.社会保障改革の動向について
6.その他

○配布資料

資料1生活保護基準部会(仮称)の設置
資料2平成23年度厚生労働省関係予算案
資料3第177回国会提出(予定)法案
資料4社会保障改革の動向
資料国民生活・経済・社会保障に関する調査会 厚生労働省補足資料

○議事

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 それでは、第21回社会保障審議会を開催したいと思います。
 本日は、お忙しい中、ご出席を賜りまして大変ありがとうございます。
 私、社会保障担当参事官伊奈川でございます。本日は、新しい任期のもとでの第1回の会合となりますので、後ほど会長を選出いただくということで、それまでの間、便宜、私のほうから司会進行をさせていただきたいと思います。
 本日、細川厚生労働大臣にご出席を賜っておりますので、まず冒頭、大臣のほうからご挨拶をお願いいたします。

○細川厚生労働大臣
 皆さん、こんにちは。
 大変お忙しいところお集まりをいただいておりましてありがとうございます。
 今、ちょうど閣議が行われておりまして駆けつけてきたところでございます。
 日本の社会保障、世界で類を見ないかって経験をしないほどの少子高齢社会がどんどん進んでいる。その中で、社会保障がこの充実したサービスがいかにできるか、また、社会保障制度が維持できるかどうか、大変難しい、解決しなければならない、そんな事態が今来ております。
 そういう中で、委員の皆様方には日本の社会保障について、いろいろとご議論をいただく、またご提案をいただくということで本当に心からよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 政府のほうでも、社会保障と税の一体改革ということで、4月には政府の社会保障改革案をまとめまして、そして6月に税と社会保障一体の改革案をつくり上げると、こういう方向で進んでおります。その間、他党との話し合いなども、あるいはまた国民の皆さんともいろいろ話をしながらそれを進めていくと、こういうことになっております。
 4月に社会保障改革案を一度提起するということで、その案につきまして厚生労働省のほうでまとめろと、こういうことになっておりまして、今、その検討本部を省内に設置をいたしまして、それを進めているところでございます。
 この検討会議の中では、もちろんこれまでこの審議会のほうでご審議いただいた内容とかいろいろなものが積み重なってきた、それをこの改革案の中に入れさせていただくということはもちろんあろうかと思いますけれども、また先生方にもいろいろとご協力もいただきたいなというふうに思っているところでございます。
 こういう改革がうまくいくかどうか、これが日本の国民の皆さんにとって安心した生活ができるかどうかと、これがもう本当にこの改革にかかっているだろうというふうに思います。そういう意味でも、先生方にいろいろとご議論もいただいて、ひとつよろしくお願いをする次第でございます。
 まとまった話にはなりませんでしたけれども、どうぞ日本の社会保障、国民の皆さんの安心した生活のために今後ともよろしくお願いを申し上げまして、一言ご挨拶といたします。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 大臣、ありがとうございました。
 そういたしましたら、初めに前回の総会以降、新たに委員にご就任いただいた方がいらっしゃいますので、私のほうから一人一人ご紹介いたしますので、簡単に一言ずつご挨拶を賜ればと思います。
 まず、平成22年6月1日にご就任いただき、本年1月29日付で再任され、引き続きご就任いただくことになりました日本医師会副会長の横倉義武委員でございます。

○横倉委員
 ご紹介いただきました横倉でございます。初めての参画でございますがよろしくお願いいたします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 続きまして、本年1月29日付で新たにご就任いただくことになりました先生、何人かご紹介をさせていただきます。
 まず、学習院大学経済学部教授の遠藤久夫委員でございます。

○遠藤委員
 遠藤でございます。よろしくお願いいたします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 引き続きまして、日本総合研究所調査部主任研究員の河村小百合委員でございます。

○河村委員
 河村と申します。よろしくお願いいたします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 続きまして、慶應義塾大学経済学部教授の駒村康平委員でございます。

○駒村委員
 駒村でございます。よろしくお願いします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 続きまして、早稲田大学政治経済学術院教授の西郷浩委員でございます。

○西郷委員
 西郷でございます。よろしくお願いいたします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 次に、日本経済団体連合会少子化対策委員会共同委員長の斎藤勝利委員でございます。

○斎藤(勝)委員
 斎藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 次に、学習院大学法学部教授の櫻井敬子委員でございます。

○櫻井委員
 櫻井でございます。よろしくお願いいたします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 次に、慶應義塾大学経済学部教授の津谷典子委員でございます。

○津谷委員
 津谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 次に、東京大学大学院経済学研究科長・経済学部長の吉川洋委員でございます。

○吉川委員
 吉川でございます。よろしくお願いします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 なお、東京大学大学院人文社会系研究科教授の白波瀬佐和子委員でございますけれども、到着が遅れております。後ほど到着されると聞いております。
 また、前回総会以降、ご就任いただいた委員のうち千葉大学大学院医学研究院教授の伊豫雅臣委員及び全国町村会会長の藤原忠彦委員につきましては、本日、ご都合によりご欠席でございます。
 続きまして、本日の出席状況でございますけれども、ただ今ご紹介いたしました伊豫委員、藤原委員ほか見城委員、齋藤英彦委員、森委員が欠席、そして白波瀬委員が後ほどご到着ということでございます。現状で委員総数の3分の1を超えておりますので、会議は有効に成立しております。
 続きまして、議事の1番目でございます。会長の選出ということで、これから会長の選出を行っていただきたいと存じます。
 社会保障審議会令第4条に定めるところによりますと、審議会に会長を置き、委員の互選により選任するとなっております。
 選出方法については、委員の互選となっておりますので、ご出席の委員の皆様にお諮りしたいと存じますけれども、いかがでございましょうか。
 大日向委員、お願いいたします。

○大日向委員
 日本の社会保障や財政に大変造詣が深く、これまでも様々な分野で活躍をしていらっしゃいました大森彌委員に会長をお願いしてはどうかと思いますが、皆様、いかがでしょうか。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 ただ今、大日向委員から大森委員に会長をお願いしたらどうかとご発言がございましたけれども、いかがでございましょうか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 異議がないようでございますので、大森委員に本審議会の会長をお願いしたいと存じます。
 大森委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速で恐縮でございますけれども、大森委員には会長席のほうに移っていただきまして、以後の進行については大森委員のほうからお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

〔大森委員、会長席に移動〕

○大森会長
 一言ご挨拶させていただきます。
 何かシナリオが決まっているような運びでございまして恐縮でございますけれども、先ほど大臣からお話がございましたように、我が国の社会保障の制度と政策は非常に重要かつ重大な局面を迎えていると、そういうふうに考えます。何と申しましても、社会保障の在り方というのは国民だれもが安心して元気で暮らし得る基盤でございますし、かつ国、地方通ずる政府活動に対して国民がどういう支持を寄せるかということの基盤でございますので、そういう重要な審議事項を私どもが承るということでございますので、私としては非力でございますけれども、皆さん方のお知恵、ご協力をいただきまして、この会議を円滑に運営をさせていただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 事務的な話で恐縮でございます。カメラの取材のほうはここまでとなっておりますので、カメラの方は退室願いたいと思います。
 なお、細川厚生労働大臣におかれましては、政務の都合により、ここで退席をさせていただきたいと思います。

〔細川厚生労働大臣、退室〕

○大森会長
 それでは、お手元の議事次第に即しまして運びたいと思います。
 議事2は部会の設置でございまして、これは生活保護基準部会(仮称)でございますけれども、この設置についてお諮り申し上げる点でございます。
 この点について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○清水社会・援護局長
 社会・援護局長で生活保護制度を所管してございます清水と申します。よろしくお願い申し上げます。座って説明をさせていただきます。
 お手元の資料1、3枚組みのホチキスでとめてあるものでございますけれども、ご覧いただきたいと思います。
 趣旨は、めくっていただいた1ページが説明の本体でございますけれども、2ページをお開けいただきまして、生活保護制度ですが、昭和20年代につくられたもので、ここの箱に書いてあるように、最低生活の保障、それから自立の助長、これを目的にするものでございます。細かい説明は省略しますが、現時点でのデータを若干ご披露申し上げますと、一番右下のほうにあるように、平成22年11月、昨年の11月時点で保護人員が198万人という量に達しているものでございまして、また金額的に言いますならば事業費ベースとして一口で言いまして3兆円というものでございます。
 次の3ページをご覧ください。
 生活保護と一口で言いましても様々な扶助がございます。いわゆる保護費と言われております一番上の生活扶助を初め様々な扶助もございますし、また、勤労控除も生活保護の基準の一つの範疇というふうに言えるかと思います。このような様々な種類のものがございます。具体的には、その水準は4ページにございますように、例えば東京都の区部の標準3人世帯で言いますと、22年4月からとなっておりますが23年の予算も同様でございますが17万5,170円といったような形での水準。ただしもちろん収入はこれから差し引くわけでございますけれども、そのような額の基準ということになっておるわけでございます。これが現行の生活保護制度の概要でございます。それで1ページにお戻りいただきたいと思います。
 このような生活保護の基準につきましては、例年では毎年の予算編成期に民間最終消費支出の伸びなどを勘案して決めておるわけでございますが、その伸ばし方で一般低所得世帯の消費実態と均衡を図られているかどうか、これを時点時点において検証するという考え方になってございます。
 具体的には1ページ目の一番下にございますように、これは16年の12月のある委員会での報告書でございますけれども、下から3行目にございますように、生活扶助の基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国消費実態調査、これは5年に一遍行われる調査でございますが、この調査を基に5年に一遍の頻度で検証を行う必要がある、このような考え方になっておるところでございます。そこでこのペーパーの一番上でございますけれども、この考え方に基づきまして、5年に一度行われるこの調査のデータを用いて専門的かつ客観的に評価・検証というのを行っていきたい。そのためにはこの審議会の下にこの生活保護基準の定期的な評価、検証を行うという任務をもって部会を設置していただきたいというのがお願いでございます。
 スケジュールといたしましては、この場でのご了解がいただけるものであるならば、月1回程度の開催ということが考えられるのではないかと思っております。
 そこで具体的に5年に一遍、平成21年に行った調査でございますが、そのデータが使えるようになるのが今年の秋でございます。そのデータが使えるようになるのに向けてじゃあどういうふうなやり方、スケジュールで検討していったらいいのかというのを準備的な検討を重ねていって、今年の秋にデータが得られ次第、様々な具体的分析に入ってその後1年間程度、今から言えば2年弱程度、いろいろとご検討を賜れないかなというのが私どものご依頼申し上げたい趣旨でございます。
 なお、参考の1つ目に書いてございますように、部会の設置はこの社会保障審議会にお諮り申し上げまして、設置するという規則になっているわけでございますので、この社会保障審議会運営規則の第2条に則ってのお願いという形式になるわけでございます。
 以上、簡単でございますけれども、事務局から生活保護基準部会の設置についてのお願いとその趣旨の説明でございます。

○大森会長
 ということだそうでございます。
 何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。
 この設置につきましては異議なしというご了解でよろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大森会長
 それでは、私どもとしては異議なしということで設置していただくというふうにさせていただきます。
 次は、議事3、4、5を一括して事務方のほうから説明していただきまして、その後、皆さん方のご自由な議論を交わさせていただければと思っています。
 それでは、お願いします。

○鈴木会計課長
 会計課長の鈴木でございます。座って資料を説明させていただきます。
 まず、お手元の資料2に基づきまして、平成23年度の政府予算案のうち厚生労働省関係につきましてご説明申し上げたいと思います。
 1枚おめくりをいただきまして、まず、23年度の国の一般歳出と社会保障関係費の状況でございます。
 左側の円グラフに歳出の状況を示してございますけれども、政府全体で歳出が92兆4,116億ということでございます。この中で国債費とかあるいは地方交付税の交付金を除きます一般の歳出、政策経費でございますけれども、それが右側の黒く塗った部分、全体で54兆780億円ございます。その中で社会保障関係費が一番上の28兆7,079億円ということで、全体に占める割合がこの一般歳出のうちの53%ということで、少子高齢化に伴いましてこの割合が非常に高くなっております。
 その推移でございますけれども、一番下の表をご覧いただきますと分かりますように、最近の平成15年から取ってみましても、一番右側の欄にございますように非常に一般歳出に占める割合が高くなっているということはご覧いただけるかと思います。
 続きまして、1枚おめくりいただきまして2ページでございます。
 その中で厚生労働省予算全体がどういう状況かということでございますけれども、これもまた左側の円グラフでございますけれども、厚生労働省予算23年度全体で28兆9,638億円、約29兆円でございます。この中で主なものを申しますと、年金が約10兆、医療が約9兆8,000億、介護が約2兆2,000億、雇用が2,259億、子ども手当を含みます福祉等が5兆余りということになっております。
 こうした経費の性格でございますけれども、年金医療等を中心といたしますいわば義務的経費がほとんどでございまして、この義務的経費が占める割合は厚生労働省予算全体の中の98%に上ってございます。
 義務的経費につきましては、少子高齢化に伴いましていわば自然に増えていく、よく言われる自然増というものでございまして、その自然増の額も年々増加している状況でございます。右側の表をご覧いただきますと、23年度に自然増が1兆2,400億ということで、政府の予算編成に当たりまして、この社会保障の自然増の財源をどうやって工面するかということが従来から非常に課題になってきたわけでございまして、旧政権下では例えば毎年これを2,200億円カットするということで非常に苦慮しておったわけでございますけれども、平成23年度におきましては、この年金医療等の経費以外の経費につきまして一律1割をカットいたしまして、それを財源としてこの社会保障の自然増自体はきちんと確保するということで予算編成をしてまいったところでございます。
 そうしたことで、次の3ページでございますけれども、結果といたしまして、先ほどご紹介申し上げましたように、厚生労働省の平成23年度の予算が約29兆円ということでございますが、これは平成22年度と比べまして1兆4,000億円余りの増ということで、政府全体の経費がマイナスになる中で全体5.1%の増、その中でもその次の欄の社会保障関係費だけ見ますと5.3%の増というような状況にございます。
 また、以上が一般会計でございますけれども、厚生労働省の関係、次の4ページでございますが、特別会計も所管をいたしております。当省の所管の特別会計は2つございまして、雇用保険等のいわゆる労働保険の特別会計、それから年金特別会計でございます。
 労働保険特別会計は、ご案内のように、昨今の雇用情勢の変動を反映いたしまして、歳出自体は19.8%の減ということになっております。一方で年金特別会計は0.8%の増といった状況でございます。
 最後に、5ページでございますけれども、そうした自然増の確保ということ以外に夏の概算要求時点で未解決の課題が大きく3つございました。ここに並んでおります左の課題でございますけれども、1つが子ども手当1.3万円、現行でございますが、この上積みをどういうふうにするのか。これにつきましては、矢印の右側をご覧いただきますと分かりますように、年末の5大臣の合意、関係大臣の合意で3歳未満のお子さん1人について月額2万円に増額、プラス7,000円ということでございます。このほか現金給付だけではなくて現物サービスを拡充するための新たな500億円の交付金の創設、そういったことをやりまして、これに伴います経費につきましては、所得税の増収分とかあるいは厚生労働省予算の見直しなどなどによりまして確保したということでございます。
 この23年度の子ども手当の組み立てを行いますための所要の法律案につきまして、現在、国会に既に提出をしておるという状況でございます。
 大きく2つ目の論点となっておりましたのが雇用関係でございますが、1つは求職者支援制度の創設、もう一つが雇用保険の国庫負担を本則に戻す。本則と申しますのは、米印に書いてございますように、法律本則では4分の1国庫負担ということになってございますけれども、国の財政状況等々もございまして、それに55%乗じた割合が現実に支出をされているということでございます。
 これについては、右側をご覧いただきますと、求職者支援制度につきましては、雇用保険の付帯事業として恒久化をする。そのために今年の10月から実施するための所要の法案を国会に提出するということで準備中でございます。
 一方で、雇用保険の国庫負担本則戻しにつきましては、昨今の雇用情勢等々にもかんがみまして、23年度においては実施しないで引き続き検討をするということになりました。
 それから3点目の大きな課題が、基礎年金の国庫負担割合の2分の1の維持ということでございます。ご案内のように、歳出予算では2分の1部分を確保するように歳出を組んだわけでございますけれども、これに見合う歳入の確保ということが問題になってございまして、この21年度、22年度は財投特会の剰余金を当てておったわけでございますけれども、23年度以降については特に決まりがございませんでした。そこでこれも政府全体として検討いたしました結果、右側にございますように、まず、23年度に限っては臨時の財源を確保して2分の1を維持しようということでございます。これも既に報道等でございますように、臨時の財源といたしましては、いわゆる鉄建機構の利益の剰余金あるいは財投特会の積立剰余金、それから外為特会の剰余金と、こういったものを、いわば埋蔵金と言われておりますけれども充てて2分の1を維持するということでございます。
 それからそれ以降、24年度以降どうするかということでございますけれども、基本的には税制の抜本改革、これが既に税法で決められておりますので、それによる安定財源を確保していくべきであるということでございますけれども、この抜本改革による財源確保を実施するまでの間も国庫が負担することによって2分の1を維持していこうということで、そのための法制上、財政上の措置をとるべきであるということも併せて政府の方針として決めたところでございます。
 以上が主要な課題でございましたけれども、このほか予算の具体的な中身につきましては、先生方のお手元に横長の23年度予算案概要というペーパーがございます。これの5ページ以降にそれぞれの分野別の主要施策を書いてございますのでご覧おきいただきたいと思います。
 また、それ以外の詳細にわたりますものにつきましても、お手元の黄緑色の冊子にまとめてございますので、これもお時間がございましたらご覧おき賜れば幸いでございます。23年度予算につきましては、以上でございます。

○木下参事官(総務担当)
 総務課参事官の木下でございます。
 資料3に基づきまして、今通常国会提出の法案につきましてご説明を申し上げます。
 まず、1ページ目のところをお開けいただきますと、今国会に提出する予定法案は、まず6件新しいものがございます。それからその次の次の3ページ目に4件、前国会からの継続をした法案が4件ございます。
 まず、1ページ目の通常国会提出予定法案でありますけれども、既に提出をいたしておりますが、まず23年度における子ども手当の支給に関する法律案でございます。これは22年度に単年度限りとして、まず子ども手当1万3,000円で中学生までのところでスタートしたわけでありますけれども、これを3歳未満、さらに7,000円上積みをして支給をするというものでございまして、1年間の臨時措置ということでございます。
 この法案におきましては、22年度現在の子ども手当法におきます幾つかの課題について、例えば外国人の子どもの問題、国内要件を課すという改善あるいは養護施設におられる子ども様にもこの子ども手当を出すといったような改善措置を講じるところでございます。
 それから2つ目でございますが、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案ということでございます。これは10年に1回戦傷病者等の妻の方々に特別給付金というものを支給されておりますけれども、前回、18年でございました。中間年の5年目にさらにその間に新たに対象となった方々に対しても支給するというものでございまして、そのための法案でございます。
 3つ目でございますが、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案でございます。先ほど会計課長からご説明しました国庫負担2分の1までのところの36.5%と差分につきまして、今回、財源措置を講じたというものでございまして、24年度以降につきましては、税制の抜本改革等を踏まえて対応していくというものでございます。
 それから次に、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案でございます。これは雇用保険の失業給付等を受給できない求職者に対しまして必要な職業訓練等につきましての支給をする法律でございます。これは補正予算等におきまして緊急人材、いわゆる基金訓練事業というものを既に実施しておりますけれども、これを恒久措置として今年の10月から実施をするというものでございます。
 それからページをめくって2ページ目でございますけれども、雇用保険及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案ということでございます。これは失業給付等につきまして保険料率等の引き下げ等の改正を行うものでございます。
 それから最後に、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案ということでございます。これは24年度に介護報酬改定、診療報酬改定の同時改定がなされますけれども、その前に幾つかサービスの関連におきまして24時間巡回型サービスを法律上に位置づけたり、あるいは介護療養病床に係る措置につきまして停止措置を延長するですとかそういった内容についての対応と、それから財政安定化基金というものを保険料の上昇を抑えるために使えるようにするといったような措置を盛り込んだところでございます。
 さらに、介護職員の医療行為の一部につきまして、研修等によってたんの吸引の実施ができるような法的整備をするものでございます。
 そのほか、3ページ目には、独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止をする法律案、継続でございます。それから国民年金法等の関係の法律案、それから予防接種、新型インフルエンザ対応の法律案、それから労働者派遣事業の法律案、これらが継続として提出をされております。
 以上でございます。

○大森会長
 ただ今、白波瀬佐和子さんがご到着でございますので、一言どうぞ。

○白波瀬委員
 すみません、遅れまして。東京大学の白波瀬でございます。よろしくお願いいたします。

○大森会長
 それでは続けてお願いしましょう。

○伊奈川参事官(社会保障担当)
 引き続きまして、社会保障担当参事官伊奈川のほうから、資料4、社会保障改革の動向について説明をさせていただきます。
 2枚めくっていただきますと、ページが1ということでついております人口関係のデータでございます。これから申し上げます社会保障改革にとって人口の影響というのは非常に大きなものがございます。ここにございますように2055年には1人の高齢者を1.2人で支える、こういった中での社会保障改革ということでございます。
 両面コピーになっておりますのでめくっていただきますと2ページ目、社会保障給付費の推移ということで1970年から2010年の予算ベースのデータまでつけております。直近2010年で見ていただきますと100兆円を超え105.5兆円ということでございます。内訳といたしましては、近年、大体年金が半分、そして医療が3割、そして福祉その他が2割ということでございますけれども、福祉その他のところが少し増えてきているといったようなことがお分かりになるかと思います。
 3ページ目でございます。
 社会保障の給付と負担の関係をもう少し予算との関係で見たものでございます。左側のものは先ほどのものと同じでございますけれども、その財源がどうなっているかということで、特に網掛けをしておりますのは国庫負担が27.8兆円ということでございます。こういった国庫負担は国の一般会計の社会保障関係費等によって賄われているわけでございますけれども、歳入のほうは92.3兆、そのうちの消費税について見ますと9.6兆といったような規模になっているということでございます。法人税、所得税といったような基幹的な税を合わせましてこういった規模になっているというのがお分かりいただけるかと思います。
 次の4ページ目でございます。
 国際的に見た場合、どうだろうかということでございます。全体の規模感で申しますとアメリカやあるいはイギリスといったところに近いところがございます。それに比べますと、ドイツ、スウェーデン、フランスといったヨーロッパ諸国は日本よりは規模が大きいということでございます。個別のものについて見ますと、年金についてはアメリカ、イギリスを上回りますけれどもほかのヨーロッパ諸国と比べますと少し下回る程度といったようなそれぞれ特徴がございますけれども、一番の特徴といたしましては、その他の給付、福祉その他と書いてありますところでございますけれども、ここがヨーロッパ諸国と比べると特に下回るといったようなことでございます。この辺りが子どもの関係にも影響してくるわけであります。
 次でございます。5ページ、社会保障改革の動向を述べるに当たりまして、現在の状況をどう認識するかということが書いてございます。ご承知のように、国民皆保険、これができましたのが1961年、ちょうど今年が50周年という年に当たりますけれども、この間に経済、社会においてかなり大きな変動があったということで代表的なものとしての雇用形態の変化あるいは右肩上がりの経済成長から今のリーマンショック以降の状況に変わってきているといった点、あるいは社会保障が前提としましたような核家族モデルといったようなものも変わっていますし、地域との関係も変わってきているというようなことが書いてございます。
 次の6ページでございます。
 こういった社会経済状況の変化という中で、今後の社会保障を考えるに当たってどういった点がポイントとなるかということが下半分のところに書いてございます。特に昨今、言われておりますのは、一人一人の能力を引き出す社会保障、ポジティブ・ウェルフェアといったような視点、そしてまた社会保障について必要な効率化と併せて社会保障の機能強化を図っていくといったような点でございます。そしてそのために必要な財源をどのように確保できるか、これらを一体的、総合的に議論する必要ということが書かれております。
 次の7ページ以降でございます。
 現在の政府・与党における社会保障改革の検討の枠組みでございます。一番ヘッドにありますのが、政府・与党社会保障改革検討本部ということで、総理を本部長としまして関係閣僚及び与党の関係幹部といったような構成でございます。この本部につきましては、昨年の10月に設置をされて28日に第1回が開かれております。そしてこの本部の下に有識者検討会、そして特に社会保障と税の共通番号につきましては、実務検討会というものが設けられているところでございます。
 8ページでございます。
 昨年から今年にかけての動きでございます。今、申しました本部が10月の末に設置されまして以降、ほぼ1カ月ぐらいの期間でございますけれども、有識者検討会を経まして取りまとめがされているということでございます。昨年の暮れの段階では、後ほどご説明いたしますけれども、税と社会保障の党の抜本改革調査会の中間整理及び社会保障に関する有識者検討会の報告を踏まえた本部決定が12月10日になされております。それと同じものが12月14日に閣議決定をされております。年が明けて以降につきましては、ここに書いておりますような本部が何回か開かれております。
 次に、9ページでございます。昨年の12月14日に決定されました社会保障改革の推進についてでございます。特にポイントとなる点について申しますと、1.の社会保障改革に係る基本方針といたしましては、3つ目の○でございます。今後、どのように検討していくかということでございます。政府・与党においては、それらの内容というのは、その上にございます党の中間整理及び有識者検討会の報告を尊重し、そして社会保障の安定強化のための具体的な制度改革案とその必要財源を明らかにするとともに必要財源の安定確保と財政健全化を同時達成するための税制改革について一体的に検討を進めるということでございます。いつまでにという点に関しましては、23年半ばまでに成案を得るということで、国民的な合意を得た上で実現を図っていくということになっております。
 また、番号制度につきましては、2.の一番下の○でございますけれども、昨年の中間整理、これをさらに深め、ことしの1月を目途に基本方針を取りまとめということで、1月末に基本方針が取りまとめられております。今後、さらに国民的な議論を経て今年の秋以降、可能な限り早期に関連法案を提出するといったようなことが書かれております。
 10ページでございます。有識者検討会の報告ということでございます。時間の関係もございますので、本当にポイントになりそうなところだけかいつまんでご説明をさせていただきます。
 まず10ページ、現行社会保障制度の改革の課題ということで、先ほど申しましたこの50年間の変化という中で、今後、どのように考えていくのかということで(2)にありますように、参加と包摂の日本といったような点が書かれております。
 また、重要な点としましては、(3)にありますように、これまで社会保障に関しましては社会保障国民会議、さらに安心社会実現会議といった検討が前政権においてなされているわけでございますけれども、そういった議論の蓄積も尊重していくといったことが触れられております。
 次の11ページでございます。
 3つの理念と5つの原則ということで、1つは参加保障、もう一つは普遍主義、そして3つ目として安心に基づく活力ということで5つの原則ということでマル1としまして、全世代型の社会保障といった点あるいは2番目として社会保障が未来の投資であるといった点、そして3番目として地方自治体が担う支援型のサービス給付とその分権的・多元的な供給体制という点が書かれております。そしてマル4としまして、ワンストップサービスに代表されるような国民一人一人の事情に即したような包括的な支援、そしてマル5において財源の確保といった点が書かれております。
 12ページのほうに移りたいと思います。
 社会保障改革の枠組みということで、今後の負担をどう考えていくのかといった点が書かれております。特にマル2にありますような負担と給付のゆがみを是正をしていく、あるいは次にありますような将来世代の先送りといった点についてどう考えていくかということでございます。そういった場合の税の問題といったようなことがここから出てくるわけでございますけれども、この12ページにおいては(3)にありますように社会保障の強化と財政健全化の同時達成、これを実現をしていくといったような視点が触れられております。
 13ページでございます。
 税制の在り方ということで、現在の税制の抱える課題といったような点あるいはその中でも(2)にありますような消費税の基幹性というような点、そして(3)にあります消費税の使途明確化といった点で、特に平成21年度の税制改正附則104条というものについても触れているところでございます。この104条の中では、消費税の社会保障目的税化区分経理といったような点が触れられております。
 いずれにいたしましても、(4)にございますように、現在の財政状況からいいますと、消費税を充てるというふうになっております高齢者3経費、それと消費税収との間には9.8兆円程度の差があると、すき間があるといったようなことが触れられております。
 次のページのほうに移りたいと思います。14ページでございます。
 最後、持続可能な希望の持てる日本へということで、機能強化に向けて特に優先すべき課題として子ども・子育て、雇用、そして与野党の国会議員も入ったような社会保障諮問会議といった点が触れられております。
 また、中規模の高機能な社会保障体制ということで高福祉高負担かあるいは中福祉中負担かといった点に関連いたしますけれども、一番最後にありますように、中規模の高機能な社会保障体制といった点が書いてございます。
 15ページのほうは、税と社会保障の共通番号ということでございます。先日、1月末にまとめられました基本方針の概要でございます。特にこの番号につきましては、番号をどうつけるかという付番といったような点以外に、情報連携あるいは本人確認といったような点も併せて検討していく必要があるということでございます。
 特に付番について触れますと、まず、左側のところにございますように、番号について何を使うかという点については、個人については住基のネットワーク、そして法人については会社等の番号を活用したというようなことが書かれてございます。
 また、社会保障との関係で、番号を利用できる分野という点について言いますと、年金、医療、福祉、介護、労働保険の各社会保障分野、国税及び地方税の各税務分野といったようなことが書かれております。
 以下、ちょっと省略をさせていただきますけれども、今後のスケジュールといたしましては、先ほど申しましたように、この秋以降、可能な限りに早期に法案提出ということで、それに向けまして3月から4月にかけまして要綱、そして6月に大綱といったようなスケジュールが出ております。
 また、この番号をいつ導入するかに関しましては、一番最後にありますように、2015年1月以降、税務分野等のうち可能な範囲で利用開始ということで、段階的に利用範囲を拡大するということでございます。
 16ページは省略をさせていただきます。
 17ページに、昨年の社会保障改革に関します閣議決定を受けまして、厚生労働省としまして12月27日に検討本部を設置をしているところでございます。大臣をヘッドといたしまして3役、そして事務局におきましてはチームを編成をして検討を進めていくということでございます。
 18ページ以降に、それぞれのチームの検討事項というものを挙げております。
 まず、18ページでございますけれども、医療・介護、そして医療イノベーションということで、特にここでは次にまいります診療報酬・介護報酬同時改定をにらんで基本方針をまとめていくということで、政策課題にありますように医療・介護の機能分化あるいは地域における連携といったような点、あるいは予防に関する点、そして医療・介護の効率化という点が触れられております。
 また、こういった改革につきまして費用推計を行うこと、そしてあとサブチームとしまして、新成長戦略の柱にもなっておりますイノベーションの具体化を図るといった点も検討課題となっております。
 19ページでございます。
 年金に関しましては、既に昨年出ております7つの基本原則に沿った超党派の議論を行うための論点整理、そして2つ目にもありますように、現行の制度課題についての検討ということで年金の2分の1の国庫負担、そして働き方、ライフコースに中立的な制度設計、最低保障機能の強化、年金記録問題、そして改革に関する費用推計ということが書かれております。
 20ページでございます。
 就労促進チームでございます。雇用の関係につきましては、特に若年者、女性、高齢者、この雇用、就労をどうしていくかといったような課題、そしてまた雇用の質の向上といった点で非正規にかかわるような問題あるいは有期労働契約といったような点、そういった中での均等・均衡待遇をどう推進していくかといったような点が触れられております。
 次の21ページでございます。
 貧困・格差、低所得者対策といった点でございますけれども、一番のコンセプトといたしましては、トランポリン型の社会の形成に向けたセーフティネットの強化ということでの2つ目の○にありますような住宅関係も含めました第2のセーフティネット対策、そして地域でのいろいろな取組等がここに書かれております。
 また、サブチームにおきましては、これは医療とか福祉の各種自己負担というものがございますけれども、それらについて総合的な自己負担軽減策の検討といったような課題が書かれております。
 次の22ページでございます。
 子ども・子育てに関しましては、新システムの実現、そしてまたそういったことに関連する費用推計といった点が触れられております。
 最後、23ページでございます。
 一番直近の動きといたしましては、社会保障改革に関する集中検討会議というものをこの政府・与党の検討の枠組みの中で設けるということで、2月5日に第1回の会合が開催をされております。ここにありますような幹事委員及び委員によって構成をされておりまして、今後、関係者からのヒアリング等々のことが予定をされているところでございます。
 説明は以上でございます。

○大森会長
 ご苦労さまでした。
 3つご説明ございましたので、この後、ご質問なりご意見なりを寄せていただければと思っています。どなたからでも結構でございます。
 どうぞ、お願いします。
 ちょっと細かい点ですけれども、私から。従来、税制改正法の中では少子化対策と言っていたと思うんですけれども、今回の文書の中では少子化対策というのは正面からは余り出てこないで子ども・子育てという言い方になっているんですけれども、特段に何か変えたんでしょうか。少子化対策は使わないんでしょうか。前のときは少子化対策と一生懸命言っていたんですけれども、今回は正面から出てきていないので。

○香取政策統括官(社会保障担当)
 法律上の用語では、少子化という言葉は使われております。それからいろいろな政府の文書の中でも少子化対策基本法とか少子化対策基本方針といった表現がありますが、この間、いろいろ議論していく中で、少子化というのは子どもが少ないことが問題だという、どちらかというと社会にとって少子化が問題なのだ、もちろん社会にとって問題なんですが、だから対策がいる、そういう切り口の印象を非常に受けるということで、むしろそういうことよりは実際に子どもを産み、育てる人たちの視点に立ってそれを支援すると、現政権の施策はそういう方向性で組み立てられておりますので、物事の言い方としては子どもや子育て、子どもの自立あるいは子どもの育ちを支援するという言い方に変えるということで、変えられない法律用語等はそのまま残しておりますが、それ以外のいろいろな政府の文書や国会答弁等では子ども・子育てという言い方をするようにしております。

○大塚厚生労働副大臣
 今、香取政策統括官からお話しさせていただきましたが、私からもちょっと認識を申し述べさせていただきますと、概ね香取さんがおっしゃったとおりなんですが、少子化対策というと、お子さんが少ないことによって財源負担をしてくれる世代の人口割合が減るために、高い世代の皆さんの給付をどうしていくか的な受けとめ方がその語感の中に若干あるような気もいたします。したがって、その誤解がなければいいんですが、今、香取さんがおっしゃったように、少子化というのはもちろん今私が申し上げたような意味もあるんですけれども、もし少子化ということが今後の日本にとって非常に中長期的に大きな課題だということであれば、やはりお子さんが増えるようにするためにはどうしたらいいかという観点に立てば、子ども・子育てというふうにワーディングをしたほうがより正確に伝わるというような面があるのではないかなと思います。ただ、繰り返しになって恐縮ですが、政権を担う政党は変わっても我が国の政権というのは継続をしておりますので、そういう意味では自民党さんの時代におつくりになった先ほど来話に出ました税法の104条というのはまだ附則の104条は生きておりまして、その中には少子化という言葉で出ておりますが、その言葉の意味がより正確に伝わるように今後はしっかり敷衍してワーディングにも工夫をしていただきたいということでありますが、そういうことも含めてぜひ審議会の先生方のご指導を仰ぎたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

○大森会長
 ありがとうございました。
 どうぞ、どなたからでも結構でございます。

○大塚厚生労働副大臣
 もしどなたからもご意見がないということであれば、ちょっと私からご説明をさせていただいてよろしゅうございますか。

○大森会長
 はい、どうぞ。

○大塚厚生労働副大臣
 では、ちょっと昨日の資料を配ってください。

〔資料配布〕

○大塚厚生労働副大臣
 昨日、参議院の社会保障に関する調査会というのに私と文部科学省の副大臣と経済産業省の副大臣が呼ばれまして、それぞれ各省の立場で報告を求められましたので、私も報告をいたしました。そのときに事務方からお配りをさせていただいた資料と、今、私、お配りさせていただいているのは私自身で作成をして配らせていただいたものでございます。既に事務方から今日、ご説明させていただいた内容と重複する部分もありますが、より端的にご理解いただくために少しこの一部をお話しさせていただきます。
 例えば3ページをご覧いただきますと、社会保障給付と国民負担という表がございます。これは上段の半分は社会保障給付の数字でありまして、これは今日の資料の中にもあったものであります。日本はトータルで言いますと19.3、これは対GDP比でこうなっておりますが、アメリカよりは高くてヨーロッパよりは低いと、こういうポジションであります。年金、医療、その他で見ますと、イギリスやアメリカに比べると、つまり最も近接している両国に比べると、年金のウエートがかなり高いということは数字上読み取っていただけると思います。
 一方、下半分の国民負担というのは、マル1は、これは税と保険料から構成される通常の国民負担率です。マル2はそれに財政赤字を加えたものでありますが、この国民負担のマル1というのもご覧いただくと、アメリカよりは高くてヨーロッパよりは低いという、ちょうど同じようなポジションに入っているということであります。したがって、もし上段の給付の側を充実させる形で社会保障を強化していくということになりますと、下段の国民負担のほうも並行して推移させるというのがこの表から一般的には言えることでありますが、昨日の調査会でも申し上げたんですが、その一方で負担の割に給付や社会保障のサービスが充実していないというお声もありますので、しからばその社会保障給付のほうだけを充実させようという選択もあるわけなんですが、そのときに制約になるのが前のページのグラフでございます。
 今日、ご専門の吉川先生などもおられますので、恐縮でございますが、このグラフはデータ自身は日本銀行から徴求しておりますので正確なグラフでございますが、我が国の政府債務の対GDP比でございます。これはちょうど真ん中は1945年でございますけれども、こういう形状をしているということが、今、私が申し上げましたような選択、つまり社会保障のサービスのほうを充実させて負担のほうは変えないという選択をしようと思うときの大きな制約になっているということでございます。
 昨日は30分ほどにわたって参議院の委員会で意見陳述をいたしましたけれども、今日、ご参考までに申し上げたほうがいいと思いました点は、要旨は以上のとおりでございますので、そのことも踏まえてこの後、いろいろとご指導賜ればというふうに思います。

○大森会長
 それでは、どうぞ皆さん。
 吉川先生、お名前が出ましたので一言。

○吉川委員
 私は経済学が専門ですが、今、副大臣から資料も配られて説明がありましたので発言させて戴きます。いただいた資料の2ページでしょうか、財政赤字の実情ということで既にご説明がありました。幾つかの指標がありますけれども、ご存じのとおり、国と地方の債務、公債残高の対GDP比が日本の場合には概ね180%くらいの水準にある。
 ここにいらっしゃる委員の皆様方ご存じの方も多いと思いますが、EUは新規加盟の場合、マーストリヒトの条約でこの比率が60%以下でないと入れないという、そういう基準を設けている。08年9月15日のリーマンショック以降、世界中で財政を拡張したことはご存じのとおりですが、それでもヨーロッパの主要国、アメリカは70から90%ぐらいの水準だろうと思う。ギリシャが財政危機に陥っていることは皆さんよくご存じだと思いますが、ギリシャのデットGDP比も120%だと思います。日本の国債は日本人が持っているから大丈夫だとかいろいろな議論があるわけですが、しかし、180%という水準を楽観視してはいけない。やはり非常に危険水域だということは認識するべきだと思う。
 先ほど事務方から予算の説明もありました。日本の予算は既に今年度一般歳出54兆のうち27兆超が社会保障関係だ。翌年度の予算についても先ほどご紹介があったかと思いますが、一般歳出の53%くらいまで社会保障関係が増えるというご説明があったかと思う。このように財政赤字の問題と社会保障のファイナンスというのは同じコインの裏表だ。そういう中で、私もこの審議会の委員に新しく加えていただきましたけれども、やはり社会保障は大切だと考えています。数年前の社会保障国民会議でも機能強化をしなくてはいけないと主張したがそれは間違いないと思っている。しかし、社会保障の機能強化と合わせてもう一方で現在の制度で見直すべきところは大胆に見直す必要があるのではないでしょうか。負担増も必要だと思います。現在の私たちの社会保障制度を持続的なものにするのに十分な負担を日本人はしていないと私は思います。ハウマッチというのはいろいろな議論があると思いますが。一方で機能強化をしなくてはいけないところがあるが、他方、現在の給付のシステムについても急速な少子高齢化あるいはそもそも社会保障、私たちの安心というものを確保するためにどういう給付サービスが本当に必要なのか、いずれにしても自助と組み合わせなければいけないわけですから、自助と共助をどう組み合わせるのがいいのかというのもこの審議会の大きなテーマなのではないかと思います。
 先ほど部会を設けた生活保護についても、基礎年金、特に最低保障年金を全額税でファイナンスするというような年金制度を考えるとすれば、生活保護との関係を私たちはどうそもそもの考え方として整理するのかという、そういう課題もあると思います。長くなりましたけれども、給付の内容も含めて制度そのものについてもよく考えて制度を持続的なものにする。もう一方で安心をしっかりしたものにする。そういう2つの課題があると考えております。

○大森会長
 ありがとうございました。
 ほかにどなたかご発言。どうぞ。

○横倉委員
 社会保障と税の一体改革を今回ご検討いただいているということ、非常に私ども社会保障の一部を担当する者としてはありがたいなと思っております。
 それと今、吉川先生から、機能強化の必要な点と見直すべき点もあるんだということ、これは実際、我々、医療を担当させていただいていても同様の考えを持っております。どのような部分を効率化していくか、またどのような部分に重点化していくかというやっぱりめり張りのきいたいろいろな財政運営が必要であろうと思いますし、提供側のサービスとしてもめり張りのきいたサービスが必要かと思っているところでございます。
 そういう中で、現在、規制改革会議のイノベーションのところで様々なご提案があっておるわけでございますけれども、その中でかなり社会保障といいますか医療制度等々にかわるものもあろうかと思っております。いわゆるドラッグラグとかディバイスラグというような薬とかいろいろな医療機器の開発をぜひ促進をしていただきたいという思いを私どもは強く持っているわけでございますが、医療制度の本体の中でも相当に市場原理を入れたらどうかというご議論もあろうかと思っておりますが、そういう議論とこの社会保障審議会での議論というものの関係、そこら辺をどのように考えておけばよろしいかということについてお教えいただければと思うんですが。

○大塚厚生労働副大臣
 どうもありがとうございます。
 まず、ご指摘いただいたドラッグラグ、ディバイスラグの問題、これは大変長年にわたる課題でございますが、私も着任して3週間でございますが、その件に関する報告も聞きました。
 従前に比べるとかなりラグは短縮されつつありますけれども、しかし、根本的に日本のPMDAの体制が今のままでいいのかというようなことも含めてまだまだ改善すべき点はあると思いますので、今後、事務方の皆さんとしっかり対応してまいりたいと思っております。
 その上で、今、ご指摘のあった例えば規制改革分科会、自民党さんの時代は規制改革会議というふうに言いましたが、今は規制改革分科会というふうに言っておりますけれども、その分科会の中からいろいろな改革の提案がございます。これは制度とか規制についてですね。それから医療のイノベーションのほうからもご提案がございます。この検討とこの審議会の検討内容は若干は接点はあろうかとは思いますけれども、でき得れば規制改革のほうでも広く有識者の皆さんのご意見を伺う機会は設けておりますので、この審議会においては少し違う視点からご議論をいただければというふうには思います。
 さりながら、今日の事務方の皆さんからご説明いただいた資料の中でも大体社会保障給付費105兆のうち5割が年金で3割が医療で2割がその他という中で、医療というのは3割を占めておりまして、いかにこの医療の給付を抑制するか、あるいは増えてもいいんだけれどもそれをどうやって捻出をするかということと医療技術というのは密接に関係していると思いますので、その社会保障全体あるいは社会保障財政を考える上で必要な範囲においては、この審議会でも先生ご指摘のようなことも取り上げていただければというふうには思います。

○大森会長
 よろしゅうございますか。

○横倉委員
 どうもありがとうございました。
 今年が日本の国民皆保険50年という非常に記念すべき年なんですね。この50年、我々国民は本当に困ったときのインシュアランスということで、しっかりと公助、共助、自助という形でバランスのとれた制度づくりが何とか今まで来れた。しかしながら、今後を考えると、これをまた少しずつ変えていかなきゃ今の人口動態では難しいだろうと。その中でぜひいい知恵をいろいろと出していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○大森会長
 ありがとうございました。
 ほかに、どうぞ。

○斎藤(勝)委員
 斎藤でございます。
 せっかくの機会でございますので、経団連の考え方をポイントのみ申し上げたいと思います。
 1つは、先ほどもご意見がございましたが、社会保障と税の一体改革という考え方につきましては全面的に賛同するものでございますし、今後の検討に積極的に参画させていただきたいと思っております。
 検討の中心になりますのは、当然財源問題ということになるかと思いますけれども、今後、増え続ける社会保障給付費について、その財源として保険料の引き上げということが含まれるといたしますと、やはり経済の活力というものを削ぐことになりますし、とりわけ企業経営者の雇用インセンティブを大きく損なうことになりかねないと考えております。
 もう一つ、番号制度につきましては、一体改革に不可欠なインフラというふうに考えますし、関係者のご努力でなるべく早く実現をしていただければ大変ありがたく思います。
 以上でございます。

○大森会長
 どうもありがとうございました。
 どうぞ、ほかにご自由にご発言いただければと思いますけれども。
 規制改革のほうが突然わっと出てこられると困るんです、あちらのほうから。全然違うスタンスで議論されていまして、今日も余りその資料が出ていないんですけれども、どこかで、私どもこれ相当の人数で頻繁にこの会議を開けるわけではありませんので、どこかでそれを接合していただくような工夫が欲しいなと思っておりますし、この中でもいろいろ横断的なことを議論しなきゃいけないんですけれども、部会に分かれて議論しているものですから、どこかでうまく調整して全体がいつも見渡せるような、そういう何か工夫がほしいなと、従来からも私もそう思ってきたんですけれども、その点はよろしくお願いしたいなと思っています。
 ほかによろしゅうございましょうか。
 余り私からご発言を強要してはいけないので、よろしければ、ちょっと早うございますけれども、しめたいと思いますけれどもよろしゅうございましょうか。
 それでは、最後に大塚副大臣からご挨拶を。

○大塚厚生労働副大臣
 改めまして、本日は大変お忙しいところをお集まりをいただきましてありがとうございました。
 私からも先ほど幾つか意見を申し上げさせていただきましたが、大変重要かつ重大という、先ほどどなたかのご発言がございましたが、そういう局面でございますので、審議会の委員の先生方には我が国の社会保障制度が安定的で持続可能なものとなるよう、積極的にご指導をいただきまして、我々としても政策の実現にしっかり反映をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○大森会長
 終了ということでよろしいでしょうか。
 次回については、また事務方のほうからご連絡差し上げます。
 ありがとうございました。


(了)
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