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2010年12月21日 第10回 院内感染対策中央会議 議事録

医政局指導課

○日時

平成22年12月21日(火)13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第23会議室(19階) (東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

構成員

小林座長
荒川構成員
一山構成員
岡部構成員
大久保構成員
賀来構成員
木村構成員
切替構成員
倉田構成員
洪構成員
高野構成員

○議題

1.院内感染対策に関する提言について
2.その他

○配布資料

資料1一山構成員提出資料
資料2賀来構成員提出資料
資料3大久保構成員提出資料
資料4院内感染対策中央会議提言(案)
資料5平成22年度補正予算関連資料

○議事

○医療放射線管理専門官 ただいまから「第10回院内感染対策中央会議」を開催します。私は、
厚生労働省医政局指導課医療放射線管理専門官の馬場でございます。構成員の皆様方には、
本日は師走のお忙しい中、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。今後の進行を小林
座長、よろしくお願いします。

○小林座長 座長の小林です。皆さん、どうぞよろしくお願いします。構成員の皆様方のご協力を
いただきまして、当検討会の円滑な運営に努めてまいりたいと思います。今回の会議ですが、前
回での議論を受けまして、皆様方のご意見を頂戴して1つの提言としてまとめていきたいと考えて
いますので、活発なご議論をいただきまして進行してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い
します。最初に、事務局より資料の確認をお願いします。

○医療放射線管理専門官 写真撮影等はこれまでとしますので、ご協力をお願いします。それで
は資料の確認をいたします。議事次第の頁があり、資料1は一山構成員の提出資料です。資料2
は賀来構成員の提出資料です。資料3は大久保構成員の提出資料です。資料4は院内感染対
策中央会議の提言(案)です。資料5は平成22年度補正予算関連資料として付けています。マイ
クは、特にスイッチ等はなく、そのままお話いただいてかまいませんので、よろしくお願いします。

○小林座長 議事に入ります。本日の議題は、院内感染対策に関する提言についてです。前回
の議論や会議後の委員の皆様方からいただきましたご意見を基に、事務局で会議としての提言
案を作っていただきましたので、構成員の皆様のご意見、ご質問を伺ってまいりたいと思いますが、
それに先立ちまして、地域での医療機関等のネットワークについて、いま資料でもありましたが、
一山構成員、賀来構成員、大久保構成員、それぞれの資料をご提出いただいていますので、そ
の説明をお願いしたいと思います。一山先生から、国立大学病院感染対策協議会での取り組み
についてお話いただけますか。

○一山構成員 国立大学病院の感染管理の取り組みと、この秋に、将来、私立大学、公立大学を
含めた取り組みの議論がされまして、私はそのときにまとめてまいりましたので、連携という意味
では参考になろうかと思いまして紹介します。
 10年の歴史があり、病院長会議の下に感染対策協議会があり、いま私が会長を務めています。
常任会議は各地区の指導的立場にある先生方にお集まりいただきまして、そこでいろいろ活動計
画を練っているわけですが、その中でも特に本日関係するであろう、1番に、「事業」というところ
にある改善支援調査、特にはアウトブレイクがあったときに相互に調査、並びに指導するというこ
とです。2番目には、定期的に相互チェックを行っていると、連携という意味ではこれらのことにつ
いてお話をします。
 その前に大学病院、特に国立大学病院では感染管理にかかわる医師・看護師の数がどれぐら
いかと、これは毎年名簿を作成しており、その名簿の中に登録されている数をこのように示しまし
た。その中で特に専ら自分は大学病院において感染管理に役割を担っていると、ご自身あるいは
事務局でそう判断した人の数ですが、42大学、43病院ありますが、看護師、これは専任はほとん
ど41ですので、ほぼ1人は少なくとも専任がいるという状況です。医師に関しては数はこうですが、
専任として存在するのか。23大学ですので、それにしてもまだ半分を少し超えたばかりということ
です。1年前のデータは17でしたので、少しずつでありますが医師の専任が増えていると思いま
す。
 さて、アウトブレイクが起きたときの改善支援をこの10年間で16事例行ってまいりました。多く
は国立大学関連のことですが、中には札幌医科大学に調査支援を行ったケースもありますし、つ
い最近では藤田保健で私学の大学病院にもアシネトバクターの事例で改善支援調査を行ったこと
はあります。
 今日、このうち2例について、これは私の病院で緑膿菌のアウトブレイクが起き、調査を依頼し
た事例と、札幌医科大学は、私が調査の1人として大阪大学の朝野先生、国立感染研の森兼先
生にも加わっていただいて、3名で行った事例について簡単に紹介します。ご参考になればと思
います。
 これはこのときの新聞でして、2004年9月、随分前になりますが、私は医療安全感染の、病院
の責任者をやって、記者会見を行った事例です。いろいろな質問があり、これは本当に私が感じ
た印象ですが、社会はこう反応しているのだと思いました。病気を治すために、この場合は白血病
を治すために入院したのに、どうしてこんなわけのわからん菌で感染して死ぬのだと、そういう残
念な気持ですし、過誤があったのではないかという質問もありましたし、発見・公表、その後の対
応が遅れたのではないかと、こういう3点を、社会は非常に聞きたがっているなと私は感じまし
た。
 調査を受け、我々も一緒になって改善を目指して、どこが汚染されている、あるいはどういうリス
クがあるのだということで、できるだけ感染症「発症」を抑えようと、こういう提言をいただきまして、
その後それに基づいて改善を行って、現在、緑膿菌のアウトブレイクはこれ以降収まったと、うまく
いったケースです。
 1つ今日の話題にもなるかもしれませんが、この事例を受け、アウトブレイクの疑い基準を病院
なりに作りました。これは検査室のデータから、MRSA、その他の耐性菌はこれぐらいの割合で新
規発生すると、これはアウトブレイクの疑いがあるので、ICTが介入し、場合によっては外部の人
に入っていただくという1つの基準を病院で決めており、こういうことをすることで遅れをなるべく少
なくしようと、これは急性期病院あるいは慢性期病院、それぞれ病院ごとによってこの値は変わろ
うかと思いますが、一定の何か数があるとやりやすいと思っています。
 一方、これは国立大学病院の協議会から札幌医科大学へ調査に行ったわけですが、赤いグラ
フは救命救急センターでのMDRPの排菌者で、青いのが病院全体で、大きな山のうちの多くが、
ベッド数のただ10程度の救命センターで占められているということでいきました。
 報告書を提出し、札幌医科大学の病院長および感染制御部の部長のご意見をいただき、ある
意味、改善支援がいい意味での外圧になっているかと感じました。すなわち、ICT、感染制御部の
役割が病院の職員に認識され、その役割も明確になったと。病院全体でリンクドクター、リンクナ
ースという体制も整ったし、今回の救命救急センターとICTの連携も進み、施設も改善され、大変
よかったと感じたと、こういうご意見をいただきました。
 相互チェックですが、これは毎年やっており、これは年間データを取っているのですが、組織の
整備、マニュアル、サーベイランス、介入の達成度はいずれも右肩上がりですが、職員全体の啓
発活動は難しいですので、これはたぶんそのとおりだと思います。
 これは国立大学の病院長会議の提言を参考に公表する、私案ですが、院内感染はたぶん社会
的・教育的見地から公表が必要と判断した場合は公表するのかと。ただ、一例一例、事例によっ
てたぶん大きく悩むと思いますが、1つの案としてはこういうものがあろうかと。アウトブレイクもな
かなか過失の有無が明らかではありませんし、どちらかというとここに入るのかと思います。
 これが最後ですが、現在下にありますように名古屋大学が事務局になっており、国立大学の協
議会があります。今度、公立大学もこの中に一緒になって、来年以降活動することになります。つ
い先日、私立大学が、これは分院を含めて40病院ぐらいありましたか、慈恵医科大学で、全国的
な組織としてレベルアップを図ろうという第1回協議会が開かれました。我々のやり方を取り入れ
ていただき、システムをできるだけ共通化する、連携を図ろう、相互チェック等改善支援も乗り入
れようということから、いずれこういう大学病院感染対策協議会という大きな組織に発展してはど
うかと、こういう今後の展望です。以上が、大学病院での相互チェック並びに改善支援の取り組み
と今後の展望についてです。

○小林座長 ご質問やご意見はおありでしょうが、お三方のお話が終わってからまとめてしたいと
思います。次に、賀来構成員から東北大学を中心にした取り組みについてご紹介いただきたいと
思います。

○賀来構成員 東北大学の賀来です。ただいま一山先生が、大学病院での連携ということでお話
をされました。私は平成11年当時から東北地域で、あるいは宮城県・東北地域でネットワークの
構築を少し試みていますので、今回の提言の中で地域連携も大きなキーワードになるということ
で、これから約10分いただいて地域での取り組みの説明をしたいと思います。
 実は平成11年8月に、宮城感染コントロール研究会という形でネットワークが発足をしました。
当時の病院長、その後東北大学総長になられた吉本先生のご協力をいただいて、この年ちょうど
感染症法が新たに設けられて、いろいろなサーベイランスも含めてやっていこうということだった
のですが、地域レベルでの取り組みが重要だということで、一応18病院が集まり、病院長に呼び
かけて、地域全体の取り組みが重要であるということを認識していただいた上でこの会が始まりま
した。
 8月から始まったのですが、18病院から始まったものが、その後31、53、67というようにだんだ
ん、これは大体4~5カ月に1回程度の講習会を開いてきました。徐々にこういうふうに集まってま
いりまして、2001年11月からは私たちのスタッフが地域の病院に出向いてラウンドすることも始ま
りました。また、2002年3月はKIDSセミナー、2003年には宮城県の中で使う抗菌薬のガイドライ
ン、これは切替先生にもご指導いただきました多剤耐性緑膿菌サーベイランスなどが経過とともに
開催されています。また、2004年になりまして、117施設と非常に多くなったということと、大体1
会場が400~500名を超えるものになってきたということで、なかなか難しい、宮城県だけで行う
には少し制限があるということ、他県からもかなり参加したいという要望がありましたので、平成17
年に入り6県でネットワークを組みましょうということで、2005年から東北全域に拡大して、384施
設が参加するネットワークになってまいりました。
 実際にはいろいろなワーキンググループがそれぞれの活動をネットワークの中で行っていくとい
うことで、アクションプランを設け、情報の共有化、連携・協力、支援、人材育成という4つのアクシ
ョンプランに基づいてこれから始めることになりました。
 実際にアクションプランの内訳を少しずつ説明しますが、情報の共有化では、感染対策講習会の
定期的な開催を行っていたのですが、年に1回フォーラムという形で大きく行う。Websiteを活用し
ていこうということで、いろいろな資料のダウンロードをホームページを通じて行っていくということ
です。
 これは実際に昨年開かれたフォーラムですが、8月に2日間利用し、約900名が参加しています。
今年で3年目、2008年から毎年開催で、新型インフルエンザ、今回問題になりました薬剤耐性菌
制御のワークショップといったもの、これは感染症診療ケースカンファレンス、これはドクター、ベス
トプラクティスシンポジウム、これはナース、薬剤師のためのICワークショップ、検査技師の方のと
いう意味で、それぞれの専門別のもののワークショップも同時開催するということ、できれば市民
の方にも参加していただいて、市民の方が微生物を見る機会、手洗いを実践することも併せて行
っています。
 これは私たちのホームページですが、こういったダウンロードをするということで、Webを使ってい
ろいろなDVDをダウンロードしたり、私たちのいろいろな感染制御に関するPDFの資料をダウン
ロードできるということも取り組んでいます。
 次に、協力・連携については、ここに書きましたように、お手元の資料にもありますが、ガイドライ
ンをみんなで共同のものを作ろう、ポスターを作ろう、そして配布する、サそしてサーベイランス、
啓発・教育セミナーと、こういったアクションプランを作りました。これが実際に私たちが作ったマニ
ュアルですが、これは東北厚生局と共同で作った介護施設あるいは高齢者施設でのマニュアル、
抗生物質のガイドライン、消毒薬のガイドラインといったものです。これは東北地域で使っているも
ので、地域の中で使っているものです。これは厚生労働省と厚生局と共同でこのようなポスターを
作り、いろいろな病院に貼っているということで、東北地区の病院に行かれますと、このようなポス
ターを利用している所も多いということになります。
 また、これも先ほど申し上げました切替先生にご指導いただいた多剤耐性菌の、緑膿菌の共同
サーベイランスを行って、これは宮城県の中だけですが、地域特性が出てきていることもはっきり
してまいりました。
 また、キッズ感染セミナーということで、子どもたち向けあるいは親御さん向けのセミナーを開催
しています。子どもたちは菌の実態を見ているのですが、手洗い講習会もするのですが、菌という
のは非常に身近な存在で特別なものではない、ですから、常に感染は起こり得る。これは子ども
たちが自分の鼻や口、お母さんの鼻や口をグラム染色しているところですが、そういったメディア
の方にも参加をしていただいて、決して、感染というのは常にあり得るのだということを理解しても
らうということで、こういったセミナーも併せて行っています。
 また、これはオシタニ先生ですが、宮城県の中でMedical&Mediaワークショップを開催して、新型
インフルエンザ対策の難しさやノロの難しさというものも、メディアの方々と情報を共有化するという
ことで、そのようなことも理解をいただいているところです。
 次に、対策の支援については、いくつかの取り組みをやっているのですが、相談窓口をつくって、
あるいは先ほど申し上げました施設に出向いて院内感染対策のラウンドを実施する。また、東北
厚生局と院内感染対策研修会の共同開催ということで、これは保健所の担当者の方と拠点病院
の職員の方、近隣の医療施設の医療従事者も参加するというスタイルで行っています。
 これは実際の相談窓口で、電話やファックス、これは青森県医師会からインターネットを通じて
のご質問を受けて、そういったものに対応しているというものです。
 また、これは実際に私たちのスタッフが各施設を訪問していろいろな、先ほど一山先生が言われ
た相互チェックのような、相互ではないのですが、外部第三者による客観的な視点でのチェックを
行うということで、医療監視ではないネットワークとしての立場ということで、こういった活動を行っ
ています。現在100施設を超える数になっています。これは実際にアウトブレイクが起こった病院
から支援をしてほしいということで、これは心臓血管外科でMRSA感染症のアウトブレイクが起こり、
こういったICUと一般病棟を経由していたということで、私どもが岡部先生の所で、FETP情報セン
ターで疫学を学んだスタッフもいましたので、2チーム派遣して支援をしました。そういったところで
終息を見たということです。
 また、インフルエンザについてもさまざまな地域で、実際に出向いてどうトリアージをしたらいいの
か、ゾーニングをしたらいいのかということもやっています。
 これが先ほど厚生局と共同で院内感染対策で共通認識ということで、医療監視員と拠点病院と
近隣の施設が集まってやっている共同の研修会ですが、平成17年はこのような拠点病院を場に
して行いました。現在まで約36病院がこれに参加してこういった研修会を行っているということで
す。
 最後に人材支援ですが、地域は東京のようにいろいろなものになかなか恵まれていないという
ことがあるので、地域で感染症危機管理の人材育成のシステムを作れないかということで、この
ように少し文部科学省からの支援がありましたので、感染症対策の専門家を育成できないかとい
うことで、クライシスマネジメント人材育成プログラムを3年計画で行いました。これは医師、看護
師、薬剤師、検査技師の方が集まって、いろいろなカリキュラムを作って、初期導入コースによる
研修ということです。
 いろいろな切り口があるのですが、ここに参加している方は、県職員の方、保健所職員の方、医
療従事者もおられるのですが、メディアの方との協力という部分も含めて日経新聞の高坂さんに
来ていただいてリスクコミュニケーション、微生物学の実習も行うという取り組みを行っています。
 こういったネットワークによってどういうアウトカムが出てきたのかというこれが1つの例ですが、
MDRPが非常に地域全体で多かったのですが、そういったものがどんどんこういう形で減少してき
たというアウトカムも出ています。こういったものが実際には非常にユニークな取り組みだというこ
とで、ヨーロッパの“Clinical Microbiology and Infection”という雑誌にも紹介があったということで
す。
 最後になりましたが、こういった活動を受け、今年4月から感染症診療地域連携寄附講座という
ことで、宮城県からの寄附講座として、さらにこのような地域連携をより充実させていく講座が開
設されましたので、これからもこのような取り組みに寄与していきたいと思っています。以上です。

○小林座長 3番目に移りたいと思います。大久保構成員から、日本環境感染学会における取り
組みについてご紹介いただきたいと思います。

○大久保構成員 紹介します。私はお手元の資料を見ていただきながらお話したいと思います。
日本環境感染学会では資料3のごとく教育施設認定制度をつくっており、この教育施設が中心と
なった地域支援ネットワーク構想を広げていこうという立場でいま動いています。
 最初の頁のいちばん上「総則」というところの中に、これは教育施設認定施設がどういう役割を
果たすかというところが書いてあるのです。その4行目を見ていただきますと、「認定された教育
施設は、感染制御専門職等の教育研修」、そのあとに「地域の病院および診療所等の感染制御
に関する相談への対応」と、これを大きく掲げて、これを中心にQ&A等を含めて地域支援をしてい
こうという仕組みです。
 教育認定施設の認定の資格要件ですが、その下に書いてある第7条、かなり厳しいといいます
か、ハードルも高く、審査も厳しくしていますので、現在38病院が認定されています。主な資格要
件は、まずICDがいること。インフェクションコントロール担当看護師、ICN、これは看護協会の感
染管理認定看護師を指しているのではありません。その病院ごとの指名でもいいわけですが、そ
ういうICNがおられること。病棟ラウンドを週1回以上行っていること。サーベイランスをJHAIS、こ
れは環境感染学会が行っているサーベイランスですが、その対象限定サーベイランスを行って、
診断基準等は微生物検査室情報に基づく病棟ラウンドで感染かどうかをチームが判定するという
形の内容になっているかどうか。それから微生物検査室があって、いろいろな情報が1週間に1
度程度報告されているかどうか。それらの情報がきちんと、適宜全職員にフィードバックされてい
るか。そういうところを証明することによってこの認定を受けることができます。
 次の頁、これが教育認定施設の一覧です。これはかつてこの会でもお示しした資料ですが、現
在38病院が掲載されていますが、病院名の下に担当者の名前、電話、ファックスが書いてある病
院が、Q&Aに対応していただいている病院およびその担当者になります。現在37病院が登録さ
れています。これはご参考までにということです。
 1枚めくっていただきますと、質問用紙がありますが、これは各施設で医療関連感染に関する質
問事項が生じた場合に、この用紙に記入をして、それぞれの近隣の教育認定病院と日本環境感
染学会事務局にこの用紙を使って質問を送っていただくと、そういう立場でこの用紙を作成してい
ます。
 その頁の裏を見ていただきますと、これはホームページに掲載されている内容をここに印刷して
いただきましたが、会員にはこのシステムをこの形で紹介しています。主な事業として、これは一
昨年よりこれを掲載していますが、1.感染制御に対する相談窓口、2..主に中小の病院を対象とし
ていますので、病棟ラウンドそのものがどういうものかをご経験できない病院に、教育認定施設に
お願いをして、病棟ラウンドとはこういうものであると、そういう経験をしていただくためのシステム
をつくっています。3.病院感染症のアウトブレイクを迅速に特定するための手引として、これは次の
資料に印刷してあるものですが、これをダウンロードして見ていただくということです。4.中小病院・
診療所を対象にした医療関連感染制御の一種のガイドラインというものを会員に提供しています。
 次の右の頁を見ていただきますと、これは以前にも提案しましたが、本中央会議の先生方にも
広くご意見をいただきまして、このような中小病院における主な病院感染症、アウトブレイクの迅
速特定として、10菌種、それについて疑うべき状況、まずどういう対応をすべきかと、そういう形で
簡単にまとめてあります。
 いま、このように日本環境感染学会では、300床未満の中小病院を一応念頭に置いた活動で進
めています。先ほど一山先生からのご報告がありました、300床以上の大病院と協定することによ
って、全国のいろいろな種類の病院に対する感染制御のネットワークを構築できるのではないか
と思います。以上です。

○小林座長 どうもありがとうございました。これで3人の構成員の方々のネットワークに関する、
それぞれのお立場でのご説明が終わりましたので、お三方の全てに関して何か、これらの取組に
関するご質問があれば、お受けしたいと思いますがいかがでしょうか。

○倉田構成員 一山先生の病院の従事者の、専任か、あるいは兼任かはわかりませんが、病院
によって1から多いほうは8人とか9人とか、医者の数がずいぶん違いますね。これはベッドの数
に比例しているのか、あるいはそこの病院の熱意に比例しているのか、何なのでしょうか。

○一山構成員 事務局に感染管理に関わっている人ということを、自発的に名前を挙げていただ
いているのです。したがって、それぞれの個人個人の濃度差はばらばらです。ただ、たくさん挙げ
てくれている施設は、熱心にやっていることと比例するかなという感じはします。やはりベッド数に
応じて多いというのも、それは関係があるかなというふうに思います。ただ、その中でも専任という
ことは、医師は23ということですので、その辺の数はそういうところです。

○小林座長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

○荒川構成員 7頁の賀来先生のスライドで教えていただきたいのです。7頁の左の真ん中の所
に、2003年~2006年までの推移が棒グラフで出ています。この青い色と真ん中の緑ぽい色と水
色の3本ありますが、これはそれぞれ何を。

○賀来構成員 これはそれぞれの病院なのです。

○荒川構成員 青い病院と、要するに3つの病院についてのデータということですか。

○賀来構成員 そうですね。特にこの3つの病院がかなり患者さんの、これは感染症を起こしてい
る患者さんということだけではなくて、保菌の数も含めてということで、そういう意味で非常に多く
の患者さんが、1年間で見られた病院があったということで、これはそれぞれの病院です。

○小林座長 ベッド数はどのくらいですか。

○賀来構成員 ベッド数はばらばらなのですが、大体200からと、100~300くらいの比較的中小
の病院です。

○小林座長 それは、それぞれの色が200、100、300ということですか。

○賀来構成員 はい、ベッド数がいま明確に250というのが、私が記憶がはっきりしていないので
すが、大体100~300ぐらいの規模の病院です。

○小林座長 その間の割合に中小の。

○荒川構成員 例えば青い病院が2004年から2005年にかけて、劇的に改善していますが、こ
れ具体的に例えば、こういうようなことをすることが効果があったとか、そういうような分析はされ
ていますか。

○賀来構成員 汚物処理室での対応ですとか、特に尿路カテーテル管理ですとか、特に汚物処
理室。先生もご存じのような多剤耐性緑膿菌、かなり水廻りも含めて、あるいは尿などの検体から
多く出るということで、このような管理、汚物処理室での対応、尿路カテーテル管理。もちろん標準
予防施策の徹底みたいなものも含めてですが、そういったことがかなり改善をしていただいたこと
で、いわゆる横々の水平伝播が抑えられてきたということだと思います。

○岡部構成員 教えていただきたいのですが、一山先生のスライドの2頁の左の上のほうの、感
染アウトブレイク疑い基準、これは既存のものはよくわかるのですが、新しいものとかそういうもの
が出た場合は、どのように考えられるのですか。

○一山構成員 それは例えば今回のアシネトバクターがそうですね。これはたぶんこのメタロ陽性
菌であるとか、多剤耐性緑膿菌とか、こういったところに近い対応で行われたわけです。

○岡部構成員 ただ、それはバックグラウンドを知った上で。

○一山構成員 そうですね。だから同一病棟ということで行っております。これはたぶん大学病院、
それから病院の規模、あるいはその性質によっては、この数値はやはり異なるのではないかなと
は思います。

○洪構成員 大久保先生のご発表で、質問用紙で相談を受け付けるというようなことがあるよう
ですが、実際にどのくらいアクティブに活用されているのですか。

○大久保構成員 それはまだ現実的に動いているというところまでいかずに、現在この教育認定
施設が地域に偏りがかなりありますので、質問が発生した場合には、日本環境感染学会の事務
局でその回答をしていただく人を選んで回答をお願いしている状況ですので、まだ近隣の教育認
定施設に質問を出してというところまで、進んでいるわけではありません。かなり地域的な偏りが
あります。、例えば北海道は1病院しかない。東北地方も1病院。北陸、山陰等はゼロという状況
です。四国は2病院あるのですが、九州も1病院ということで、もう少し認定病院が増えてこないと、
これのシステムは順調に回らないのではないか、という気がしております。

○木村構成員 賀来先生のやられたように、地域でそういうネットワークを組んでいくのは非常に
大切ですし、この会議でも度々話題にはなってきていて、そういうものが立ち上がっていく過程に
おいては、国立大学の協議会であるとか、環境感染学会の認定病院とかが中心になって、いろい
ろやっていくことになると思うのですが、こういうネットワークを立ち上げるとき、行政の協力がある
とすごくやりやすいのではないかなと思うのです。こういうものを立ち上げていくのに非常に苦労し
た点とか、こういう面が助かったというような経験がありましたら、お話しいただきたいのです。

○賀来構成員 東北地域では東北厚生局の方々と、平成17年度からああいうように地域でラウ
ンドを含めた拠点病院を中心にやっているのですが、その後、やはり東北厚生局からのバックアッ
プというのはすごく大きくて、いわゆる保健所の方々などのネットワーク、いわゆる行政側のネット
ワークと、病院側のネットワークがすごく連動してきたという意味では、平成17年度からは地域全
体での取り組みが、非常にやりやすくなりました。ただ、その前は宮城県という1つの県単位でし
たので、県のほうも宮城県それから仙台市が比較的積極的に。
 今日は事例を挙げなかったのですが、いろいろな病院からノロのアウトブレイクがあって、その
ご相談ですとか、B型肝炎の少し集団感染があって、そのご相談みたいなものを保健所で受けて、
そしてその保健所から私たちのところに、こういった問題があるのですけどということで、比較的保
健所と私たちと、その当事者の病院が協力してやっていくような形がとれていましたので、そうい
う意味では行政からの支援といいますか、役割というのは大きいと感じています。

○小林座長 またあとでの議論の中にも出てくる問題かと思います。一山先生お待たせしました。

○一山構成員 大久保先生の認定番号というのは、2001からずっとあるのは、その年の認定さ
れたという意味ですか。

○大久保構成員 ……ではないと思います。

○一山構成員 これは2001年、わりと初期段階が多くて、それから年を追うごとに登録施設が減
っているのですね。

○大久保構成員 初回はかなり多かったのです。それから更新制をとっていますので、それが更
新できなかったとか、いま審査中という病院が抜けていることもあります。

○一山構成員 今後もし、先ほどの木村先生のような話がいくのであれば、これがもう少し増えて
いくことが望ましいわけですね。

○小林座長 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。もしよろしければ少し話を先に進
めたいと思います。次に事務局から資料4の院内感染対策中央会議提言(案)と、資料5、平成
22年度補正予算関連資料についての、ご説明をいただきたいと思います。

○医療放射線管理専門官 まず資料4のご説明からさせていただきます。資料4は院内感染対
策中央会議提言(案)としまして、前回の会議での皆様のご意見を集めさせていただいたもので
す。
 はじめに1から4のパラグラフに分かれていまして、1の「はじめに」のところでは、まず院内感染
について全体的な総論的なことが書かれています。次に2の「通常時の対応」ですが、まず医療
機関内の組織体制のところで、1)医療機関内の組織体制について、情報の風通しの良い院内感
染対策委員会であるとか、その下にと言う表現がいいかはわかりませんが、感染制御チームの明
確な位置づけ、その感染制御チームの具体的な活動について1)、2)のところで書いています。こ
の感染制御チームは頁をめくりますと、リンクナースの活動であるとか、ここは300床を目安として
書いていますが、大規模の医療機関と中小規模の医療機関のラウンドごとについても書いていま
す。また、最後の段に抗生剤の使用状況等々についても、指導を行うことが必要ということが書か
れています。
 2)ですが、「医療機関間の連携について」です。先ほどお三方にご発表していただきましたように、
医療機関相互のネットワークを構築して、協力関係を築くことが非常に重要であるということがま
ず書かれています。
 次の行政の関わりですが、1)「地方自治体の役割」ですが、JANISのデータを活用した、管轄す
る医療機関の情報提供、または先ほどご議論にもありましたが、医療機関間のネットワーク作りを、
ある意味で支援をしていくことが3頁の上のところにありますが、重要ではないか。ICDとかICNの
専門家のリストアップを行うことや、先ほどの議論に含めたこともあるかもしれませんが、そういっ
たことが重要であるということが書かれています。
 次に「国の役割」についてです。前回も荒川先生からもいろいろご発表がございましたが、JANIS
データの活用です。各自治体や一般の医療機関と、参加医療機関への情報の還元の仕方とかを、
わかりやすい情報提供と申しますか、そういったことをどのようにできるか。前回も2DCMとかいろ
いろなシステムがあるということをお話しいただきましたが、そういった内容を含ませております。
また、院内感染対策の費用的な問題も付け加えています。
 3番の「院内感染発生時の対応」としまして、こちらも先ほどと同じように、「医療機関内での対応」
から医療機関間の連携、「行政の関わり」というところに、3つの視点で書いていますが、医療機
関内での対応の点では、まずアウトブレイクについて、これもまだご議論のあるところかも知れま
せんが、アウトブレイクが4週間以内に同一病棟や、新規同一菌種による感染症例3例以上特定
された場合等々がアウトブレイク、そういうような概念を持った場合は、1週間以内にまずはこの感
染対策をとりましょうということを書いていまして、その後に2段階目にそれが増えた場合は、先ほ
どのネットワーク等々に相談をする、支援を行っていく、相互関係を築いていくというところが非常
に重要です。
 (3)「行政の関わり」、そこでは通算して例えば10名以上とか、多数に上る場合とか因果関係が
否定できない死亡者が発生した場合はすみやかに報告する必要があるけれども、それに至らな
い時点でも、先ほど連絡・相談という話がありましたが、そういうことが望ましいということを書いて
います。
 その後のフォローについては、保健所はJANISのデータを利用するなど、定期的に行っていくこ
とが非常に重要ではないかということを、最後に書いています。
 最後、4番、「その他」のところでは、いままでの議論にもありましたが、全てをなくすことは不可
能でして、救急患者の受け入れを積極的に行う医療機関ほど、発生の確率が高くなるということ
なので、そういう社会的非難を恐れて、かえって院内感染の発生が報告されずに後手に回ってし
まうことのないように、国民的な理解を進めることが求められるということで、最後結ばせていただ
いています。これが院内感染対策中央会議の(案)の説明です。
 資料5ですが、こちらは補正予算の説明でして、本年度の補正予算、10月26日に閣議決定が
ありまして、4,850万円の院内感染対策サーベイランス機能強化についていただいています。こち
らは事業の目的としても、世界的にも多剤耐性菌の院内感染の広がりがあるということで、※にも
ありますようにWHOは今後、各国政府に重点的に実施するように警告しているというバックグラウ
ンドもあります。
 具体的には裏にありますが、院内感染サーベイランスの効果ということで、丸が3つありまして、
薬剤耐性菌の解析機能強化ということで、それぞれの機器等々を購入させていただいて、これ自
体は荒川先生の国立感染症研究所のJANISの強化ということですが、各医療機関からどういっ
た菌があるかという、その内容を医療機関の中では解析が不可能であるものなどを、解析の機能
を強化するというものを入れています。
 次の「集約したデータ精度の向上」の点では、JANISの医療機関は、前回、いま850の医療機
関ということでしたが、これが今回も11月に参加医療機関の募集をさせていただきまして1,000近
くの医療機関になるものと思いますが、そういう医療機関からデータが集まってくるものは、かなり
誤ったデータ等がいろいろありまして、それをデータクリーニングするということが後々、一般の医
療機関へデータの還元をするときに、非常に重要になってくることがありますので、集約したデータ
制度の向上のために、機器も入れております。
 最後ですが、院内感染発生状況の解析の高度化という点では、先ほどの2DCMという言葉があ
りましたが、参加医療機関はそのデータを送って、そのあと、それぞれの医療機関に対して、全国
状況と比べたりとかして、そのデータが帰ってくるのですが、院内の状況もどのような状況になっ
ているかも、一目でわかるというものを入れさせていただきました。このようなものを、今回、院内
感染サーベイランスシステム、JANISの強化を全面にさせていただいたというのが、今回の資料5
の補正予算の説明です。簡単ですが、資料4、資料5の説明です。
○小林座長 どうもありがとうございました。この1から4、5も含めまして、項目にしたがってご議
論をいただきたいと思いますが、できれば今日ご意見をいただいて修正すべきところがあれば修
正することにして、提言としてまとめていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、1の「はじめに」に関して、何かご意見ございますか。また何かあれば戻ってくださっても結
構です。よろしければ2の本文の中の「通常時の対応」ということで、(1)「医療機関内における対
応」。1)「医療機関における院内感染対策の組織体制について」、これに関してはいかがですか。
事前にご覧いただいているかと思います。
 2)「感染制御チームについて」、これは300床を1つの目安にして、それ以上の大きな病院と、
300床未満の中小の施設に分けて書かれています。よろしいですか。

○岡部構成員 最初気がつかなかったのですが、2)の2頁の最後から2行目、抗生剤という使い
方をしていますが、これは抗生剤でよろしいのですか。

○小林座長 抗生剤ではなく抗菌薬ですね。ここは抗菌薬としてください。ほかにいかがですか。

○木村構成員 あと可能な限り1週間に一度以上のラウンドですね。これはもうそのほうがいい
のですが、この1週間に一度というのは、病院全体が1週間に一度は回ってくるという意味での。

○小林座長 あまりそこを細かく規定してしまうと、原則的にはそういうことだと思うのですが。

○木村構成員 厳密には1週間1回ラウンドはしているけれども、部分的にやっていって、例えば
1カ月で1巡するみたいな病院が多いのかなと思うのですね。

○小林座長 しかし、それはあまり好ましいことではないわけですね。いかがですか。

○木村構成員 可能な限りとなっているので、それでいいかと。

○小林座長 これはいちばん、ある意味で議論のあったところで、あまり厳しくしても困られる所も
出てくるのではないか、というようなことで、少し遠回しな言い方になっていますがいかがでしょう
か。実際にラウンドされている高野構成員、いかがですか。

○高野構成員 全病棟を1週間に一度回るのは大変理想的なのですが、やはり現実的ではない
状況があります。ですので、全ての病棟は回らなくても、順番に必ず毎日どこかしら行くという努力
はしてはいるので、やはりここは曖昧に解釈してもらうという前提で書かれているのであれば、そ
のほうがいいのかなと思います。

○小林座長 あとで出てくるアウトブレイクの特定ということを考えますと、やはり、かなりきめ細か
いラウンドが必要になるでしょうし、慶應と規模の同じような東大病院においては、木村先生の時
代は毎週全部回っておられると思いますので、一山先生の所もおそらくそうだろうと思いますので、
そういう意味ではもう少し強く書きたいところではあるのですが、一山先生いかがなものでしょう
か。

○一山構成員 その感染対策チームのマンパワーに拠るところが多いので、目安としてこういうよ
うな数字を示すということは、ある意味努力目標になることもありますし、私はこれでいいのかなと
いうように思いますが。

○小林座長 切替先生いかがですか。

○切替構成員 私のところというか、大学病院でない所は一山先生がおっしゃられるとおり、マン
パワーの問題があって、必ず全部回るというのは、かなりきつい作業だと思います。ただ、もう1つ
ファンクションとして、感染制御の担当の看護師さん、それからリンクナースというのがおりまして、
特に問題になるような病棟ではかなり頻繁に、例えばいまインフルエンザが流行っているなという
と、その病棟に毎日のように出掛けて行きますので、そういう意味ではいろいろなエクスキューズ
が可能な文章で、この程度でよろしいのではないかと思います。

○小林座長 大久保先生、毎週回っておられるのでしょうけれども。

○大久保構成員 現在、在院日数が10日前後の病院もあるわけですから、2週間に一度になっ
てしまうと、報告がきた段階で見に行っても既に退院されている場合が出てきます。例え1人回診
でもいいですから、1週間のうちに全病棟に顔を出す。私たちはそれを実行して、例えば感染とあ
まり関わりのないような精神科とか、そういう所にも行っているとやはり見つかるのです。ですから、
基本路線として少なくとも週1回は、チームの誰かが全ての所を回る。もちろん問題のある人の場
合は、複数の人が行って感染かどうかを診断する必要があると思います。私はそのように考えて
います。

○賀来構成員 小林先生、私たちもいま耐性菌が検出されたら、もう毎日というか、その検出され
た日に、報告があったときに必ず行って、そこでは横広がりにないかということを確認しているの
です。もちろんそういうふうに一山先生も、大久保先生も、木村先生、切替先生も言われましたが、
確かに規模の大きな病院は結構そういう対応が、ある程度リアルタイムにできるのですが、なか
なかできない所もあります。ですから、そういう意味では少なくとも1週間に1回はという表現でで
きたら。
 先生これはあとの文章とも繋がるのかもしれませんが特に耐性菌が、例えばここで書くことなの
か、最後のほうで書いてあるのでいいのかもしれないのですが、常にリアルタイムに行くという必
要もあるのだということも少し。これは後ろのほうで書いているからいいのかもしれませんが。

○小林座長 ここは定期的なということですから、そういう特殊なことはまた別に。どこかでもしあ
れならば触れる。またはここで括弧でそういうことに付言するのかどうかですけれども。最近の傾
向としてドクターとICNと、それぞれ分担を分けて賀来先生の所などはそうですね。

○賀来構成員 はい、分担しています。

○小林座長 インフェクション・コントロール・ドクターは感染症を中心に回られて、ICNは環境とか
そういうことを中心に、そういう回り方をしている所が結構大きな病院では出てきておられますね。

○一山構成員 そうですね。感染診療のほうはいろいろな検査室のデータから、あるいはコンサ
ルトがあって掴んで医師が行くのですが、いわゆるそういう環境整備のようなことに関するナース
のラウンドというのは、全病棟に1週間行っているかというと、我々もちょっと疑問はありますね。
ただ、細菌検査のデータから耐性菌が出ている、あるいは血液培養が陽性だというときは必ず行
くので、行くことはたぶん行っているのですが、ナースのラウンドという意味では、週1回全病棟に
行っているかというと、ちょっと答は難しいかもしれません。

○小林座長 いかがでしょうか。ここはかなり議論があるところだとは思いますが、例えば定期的
な、ただラウンドではなくて、ここに病棟ラウンドという、病棟を1つ加えて、ちょっとそういうニュア
ンスをここに入れることでどうでしょうか。病棟というと外来に行かなくていいのかという話になって
しまうと困りますが。英語でもward liaisonという言葉を使うわけですから。

○高野構成員 いまのままでもいいかなと思うのですが、1頁の終わりから2頁目にかけて、ラウ
ンドの内容がいろいろと書かれているので、いま一山先生がおっしゃったように、感染症の治療に
関するラウンドだったり、環境整備に関するラウンドだったり、いろいろな意味で週に1回以上行き
なさいという解釈であれば、問題ないのかなと思います。いま小林先生が病棟ラウンドとおっしゃ
ったのですが、外来は外来とか、検査室などのようなところは、そういうところで問題があるので、
そこに行かないということになってしまうと困るのかなと思います。

○小林座長 検査室はもっとまめに連絡を取らなければいけないところであって、検査室は非常
に問題だと思うのです。特に中小の施設などは検査室を持たないようなところもありますし、これ
はICNなりICDが常に連絡を取ると。電子的に取れるところもできてきていますが、頻度としては、
もっと厳重なことを要求しないと情報が入ってこないのではないでしょうか。

○高野構成員 内視鏡センターとか、透析室とか、特殊検査室のようなところですね。

○小林座長 そこまで全部毎週ということになると、いかがなものでしょうか。もちろんラウンドする
必要はありますけれども、アウトブレイクとか、そういうことを考えても、特別な場合は別でしょうが、
リエイゾンは病棟が中心になるのではないかと思いますが。
 後半に、ここに中小規模300床未満ということで、ここには少し緩いような表現になっております
が、300床未満、300床前後でもそうですが、最近検査室を持たずに外注システムを採っていると
ころがかなりあるわけですから、どうしても情報量が足りないとか、予算的なことであまり細かい情
報が入ってこないというところが現実的にはありますので、今後の中小の施設に対する対応として
は、その辺が問題になってくることだと思います。

○大久保構成員 中小の部分です。中小の、病院というよりもクリニック等の19床以下のところを
想定すると思うのですが、以前の厚生労働省からの通知の一部に、中小の病院では医者の回診
をこのラウンドに充てることができるという解釈が示されています。

○小林座長 診療所のことですね。

○大久保構成員 はい。有床診療所です。

○小林座長 あれは有床診療所等を含めてというところで、そのような表現があったと思うのです
が。

○医療放射線管理専門官 平成17年の通知でございますか。

○小林座長 無床診療所を含めての指針の中に。それに関連したところではないかと思うのです
が。

○医療放射線管理専門官 お調べいたします。

○一山構成員 病院の職員の院内感染に関わる教育、啓発というところが、通常の仕事として、
2)に含まれるといいと思います。2)の1段落目に、「リンクナースや病棟の責任者、診療科責任者
は」とありまして、リンクナースがその部門で感染対策情報を伝えなさいということが書いてあるの
ですが、職員全体の教育を担うことが必要ではないでしょうか。
 直接的には関係ないのですが、保険の診療報酬が100点の加算の中に、そういうことが書かれ
ていると思うのですが、ありませんでしたか。

○小林座長 2回程度のというものでしょうか。

○一山構成員 年2回程度の講習会を開催しとか、教育とか、そういうことですね。

○小林座長 この中に、教育、啓発という言葉を加えさせていただくということで、これはあとで調
整していただいて、そのような言葉を入れさせていただくということでよろしいでしょうか。
 先に進ませていただきます。(2)「医療機関間の連携について」です。これは、いまいろいろとご
報告もいただきましたし、前回からの議論の継続線上にあることですし、この辺が妥当な線かと思
います。よろしければ(3)「行政の関わり」の1)「地方自治体の役割」にいきます。いかがでしょう
か。

○大久保構成員 荒川委員にお伺いしたいのですが、JANISの院内感染対策サーベイランスの
中に、「薬剤耐性菌の検出状況や特定の薬剤耐性菌等による云々」とありますが、JANISの場合
には臨床培養ではなくて、サーベイランスカルチャーの菌も入っているのではないですか。

○荒川構成員 そうですね。検査部門のサーベイランスについては、検査室で調べた結果がすべ
て入っていますので、サーベイランスカルチャーのものも入っています。

○大久保構成員 そうしますとその辺の評価が難しいと思います。4行目辺りの文章との関係で
評価が変わってくる可能性があるのではないでしょうか。

○荒川構成員 そうなのですが、実際にはサーベイランスカルチャーは日常的な検査の中に占め
る割合は、それほど全般的には。

○小林座長 どこの文章でしょうか。

○大久保構成員 (3)の1)の3行目から4行目にかけてです。JANISのデータを参考にしてという
ニュアンスですので、あのデータが臨床培養だけではなく、一般的な、検出されたサーベイランス
カルチャーも含めて、病院で出てきた菌株が分母に入っているので、その辺の解釈が難しいと思
います。

○小林座長 ただ、どうでしょうか。菌によっては保菌者であっても問題になるようなものもありま
すし、そういう情報は早くフィードバックしていただいて、特に最近は保菌者も問題にしなければな
らないようなケースもありますから、その区別は付かないだろうとは思うのですが、どうですか。

○木村構成員 環境のサーベイランスなども含めているのではないかという意味ではないのです
か。

○荒川構成員 患者さんの検体由来のデータを集めていますので、患者さんのIDが付いたデータ
を集めていますので、拭き取り検査などはJANISには入ってきません。

○木村構成員 例えばMRSAのスクリーニングで陽性になれば、それは入ってきているということ
ですね。

○荒川構成員 ただ患者さんの場合は、特定の患者さんが何回も検査をした場合には、患者さん
にはIDがありますので、それで重複排除をして、年報のレベルでは、1人の患者さんから一定期
間内に何回か出た場合は1と数えるなど補正はしていますので。

○小林座長 それは前回の会議での。

○荒川構成員 そうです。

○小林座長 感染症のサーベイランスとなれば、いま大久保構成員が言われたような話で、我々
もそういうデータは知りたいところではありますが、分離菌情報ということであればやむを得ない
と。

○荒川構成員 はい。

○賀来構成員 先生がおっしゃったように、本当は感染症情報を知りたいのですが、トレンドを見
ることも含めて現段階ではこのような形での表現ということでよろしいのではないかと思います。

○小林座長 将来に向けては、是非感染症等、特定された疾患のそういう情報が区別されて出
てくれば、現場としては大変助かると思いますので、それは今後、CDCやコリンデルのデータのよ
うなものが出てくれば、非常に役に立つと思います。この件はよろしゅうございますか。

○切替構成員 そのあとの1)ですが、地方自治体の役割として、ネットワーク作りを支援する必要
があるとあります。賀来先生がよくご存じだと思うのですが、院内感染の地方での支援ネットワー
クをどのように作っていったらいいのか、誰が作ったらいいのか。支援ですから、誰が作ったらい
いのかというところが抜けているような気がしたのですが、何かアイディアがあればと思うのです
が。

○小林座長 いかがでしょうか。この会議がつくられて10回、数年以上を経過しているわけです
が、当初は行政中心に作るということでスタートして、それは全部駄目になったのです。それで、ド
クターが中心になって作っておられる賀来先生のところと、九州のグループと、それとは別の意味
で国立大学などの施設があるわけで、その辺は先生はどう考えられますか。

○切替構成員 私は、国が最初に支援をして始めた事業が全部駄目になったというわけではない
と思うのですが、基本的にはドクターが非常によく参加しているところ、看護師のネットワークがき
ちんとあるところは、地方自治体のネットワークの中ですごく活発に活動されていると思います。
 そういう意味で、そういうネットワークをどうやって必然的に作っていかなければいけないかとい
う、むしろ提言に踏み込んで、ネットワークを作ったほうがいいことを強くアピールできないかなと
考えて発言させていただきました。

○小林座長 実は私も少しそれを考えていたのですが、地域の行政と連携を取りながらいろいろ
やっていくシステムを作っていくことは大事なことだと思いますので、行政的な情報はそちらのほう
が持っておられますし、ネットワークの病院とそういうところが、賀来先生がやっておられるところ
のように、共同で現場へ行くとか、今後そういうことができればいいのかなということを、実はこの
何日かで考えていたことなので、まさにおっしゃるとおりだと思います。

○木村構成員 仕掛けがないと動き出さないと思うのです。きっかけを作らないと。それは行政に
やっていただきたいことかなと思います。先ほどの補正予算の説明でも、このようなネットワーク
作りのためのお金は入っていないので、その辺がもの足りないと感じたところでした。積極的に各
地のネットワークを作っていくことを立ち上げないと動かないと思います。

○小林座長 予算的には今年は間に合わないのかもしれませんが、前回駄目になったというの
は、まさに予算が付かなくなって、みんな元気がなくなってしまったという経緯があるので、木村構
成員がおっしゃったことは、まさにそういうことだと思います。将来に向けて連携を作っていくという
ような、何かうまい表現はありませんでしょうか。

○一山構成員 木村先生がおっしゃるように、やはり何か仕掛けがあればと思います。あるいはこ
この提言の中に、それを積極的にやろうという、意志が前面にぐっと出ているような提言があれば、
もう少し地方自治体もそこの地域のリーダー的な医師も認識するのではないかと思います。
 ちなみに私の京都も、何かきっかけがあったのです。VREというきっかけがあって、それで京都
府、京都市が一緒になってという、そういうものがあれば不幸中の幸いでいいのですが、平時に
それをやろうとすると、よほど強い後押しの表現が必要でしょうね。

○倉田構成員 提言というのはいろいろなところで出るのですが、これは誰に出すのか、病院、行
政、不特定多数に対して、このようなことを考えなさいということなのか。それが1つです。
 もう1つは、2頁の下ですが、これは実際に地方へ行くと病院でできる範囲のこと以外のは全部
地方衛生研究所でしますね。そこで、この薬剤耐性にしろ、検査体制は普通に感染症の場合は
行政検査が付きますが、さらに問題になるようなことをやるやらないというのは、県なり市なり、衛
生研のある77カ所の自治体がどう考えるかで、余計なことをやるところも出てくるし、できるところ
に回すと、そちらの自治体が違うと。違う自治体に回すと、そんなところのことをなぜやるのかとい
う話になるのです。行政の方はどなたもおっしゃいますが、検査をする人はそのような馬鹿なこと
は言いません。
 書かれていることは非常にまともなことで、荒川さんが衛生研究所でも少し機能強化ということで、
このような問題に非常に熱心にやってくれて、多くの実務をしている人が加わって、いろいろなこ
とに手を染めているのですが、それが具体的に院内感染、薬剤耐性となってきたときに、行政が、
どうしてという話が必ず出てくるのです。それは県によって随分ニュアンスも違うし、それに対する
取り組みの姿勢も違います。
 私は富山ですが、富山は非常に積極的に何でもやりますし、行政の皆さんもいくらでも金を出す
という姿勢でいますから、富山のことを言っているわけではないのですが、いろいろな県の人との
話の中では、そういうことはいくらでも出てくるわけです。
 ですから、国としてやれという言い方は私は嫌いなのですが、これは国として何か方針を出さな
いと、地方行政は動かないです。書かれていることは非常にまともなのですが、動かそうとなった
ときに、色の濃い薄いができすぎてしまってということがあると思います。
 それから、もちろんいま国立大学の人もたくさんいて、お金のあるところはそれなりに対応できる
でしょうけれども、中小の病院になると、それはおそらくほとんどできないと思います。そうすると、
地域の衛生研究所なり、そういう能力のある病院が中心になります。そうすると、全部カバーする
ことは不可能です。
 ですから、地方行政に問題のところは調整金が付くとか、そのような枠がはめられると、きちんと
した強化につながると思うのです。そこで、私はこの提言がどこにいくのだろうと。
 この提言が、具体的に考えよということで、1つは国にもいき、地方の行政にもいくということであ
れば、それなりの動きがあるでしょうが、実際には誰がタクトを振るかで、これは動かなかったり動
いたりすることになります。お金が関わりますので。私は当然やるべきだと思うのですが、それを
ある程度と。指導課長、いかがですか。

○新村指導課長 まず、先ほど補正予算についてご質問がありましたが、これは予算は成立して
いますので、現に執行する段階に入っていますが、確かにおっしゃるとおりで、感染研の機能強化
を通じて、JANISに参加している医療機関はもちろんですが、一般の医療機関にも情報を還元し
て、利用していただきたいという趣旨ですが、ネットワークについては補正予算には入っていない
ということです。
 一方、当初予算というか、毎年執行している予算の中で、地域ネットワークの支援の予算があり
ます。ただ、これが必ずしも当初想定していたような全国的な広がりになっておらずに、7、8県に
留まっているということなので、それがどんどん増えて、全国的にカバーをされれば、当初の予定
どおり、それが望ましい姿だったのかもしれませんが、ご指摘にもあるように、県あるいは自治体
によって温度差もありまして、熱心なところもあるのだと思いますが、そうでもないところもありま
す。
 今後につきましては、次年度の予算は従来の延長線上で、動かし難いのですが、その次の予算
要求の中で考えていくことはできると思います。
 そういう中で、今日すでにいろいろなご発表があったような自発的なネットワークもありますし、
学会の活動などもありますので、そういうところと連携をしながら支援をするとか、国としてはでき
ることはやっていきたいと思いますが、現場では病院あるいは医療関係者と地域の行政との関係
で、そういうネットワーク作りを具体的に動かすことも大事だと思いますので、そういう意味で地方
自治体の役割も、単に支援ではなくて、もう少し能動的にやるように書くほうがいいのかもしれま
せん。国としてもそれを支援していきたいと思います。
 なお、この提言案がまとまった段階では、当然国に求めていることは国に向けて求めることとな
り、地方自治体向けのところは地方自治体に通知をして、周知を図ることになります。また、現場
向けの部分もありますので、それは都道府県あるいは場合によっては学会を通じて周知していき
たいと思っています。

○岡部構成員 関連してです。私たちもアウトブレイクの調査などに出ていったりするときに、院内
感染や感染症法に基づくものもあります。保健所、地方衛生研究所と明記されていますが、保健
所も衛生研も、その法的な根拠は何だということをよく活動するときの根拠にするのです。感染症
法に基づいているときは感染症法に基づいたことで、これとこれの検査をやってくださいと言える
のですが、院内感染対策というものが出た場合に、衛生研はどのような根拠に基づいてやればい
いのか。感染症法に規定されている菌ならいいのですが、そうではない場合はどのような対応を
地方衛生研究所は取れるのですか。それがないと、地方衛生研究所にやってくださいといっても、
担当者はやりたいと思っても、動けなくなってしまいます。私は決してネガティブに言っているので
はなくて、自治体をサポートするのであれば、きちんとしたことを出したほうがいいと思います。

○新村指導課長 通知の中で、中小病院が支援を求めることを示した部分もありますので、その
支援を求める対象として、地方の衛生研究所も想定されるかどうかということを確認します。

○指導課長補佐 そこの通知の部分ですが、平成19年に配付されている通知の中では、前回の
会議でも抜粋してご説明した部分ですが、「重大な院内感染等が発生し、院内のみでの対応が困
難な事態が発生した場合などには、地域の専門家等に相談が行われる体制を確保することが望
ましいものであること」ということで、明示的に保健所、地衛研という言葉は入っておりませんが、
概念的にはそういったところも想定しての記述だと思っております。
 組織の義務として書きにくい部分はありますが、是非そこは地方自治体のほうでそういう分野に
おける活動も重要であると認識していただいて、それこそ地衛研の業務の範囲としてしっかりと位
置づけていただくことが大事かなと思っております。

○岡部構成員 その場合は院内感染のアウトブレイクがあったときのことであって、この場合はど
ちらかというとネットワークも含めて通常状態のことを言っているのです。そうだとすると、地方自
治体、地方衛生研究所は、通常の状態のときに院内感染の起因菌に対する調査発生動向という
のはできないと思います。そこに何か根拠を与えてあげないといけないのではないですか。

○倉田構成員 それは衛生研究所によって随分温度差があって、県の行政も徹底的に調べてく
れというところと、費用を払うというところと、何で書いていないことをやるのだというところと、見事
に2つに分かれます。ですから、国として書いてあろうとなかろうと起因菌もやるべきだ、ということ
がどこかにあれば、それは非常にいいことだと思います。

○新村指導課長 この文書はまさに地方向けにも出す文書ですから、そういうメッセージをもうち
ょっと強化したい部分があれば、書き加えるようにしていただければと思います。

○小林座長 非常に難しいところだと思います。倉田構成員も二面性があるということをおっしゃい
ましたが、要は現場が前向きに取り組めるような体制にしなければいけませんし、現場が困ってし
まって、縮まってしまうような結果になってはいけないと思いますので、表現が非常に難しいと思
います。

○岡部構成員 私は決してネガティブに言うつもりはないのですが、あまり強化しすぎてしまうと逆
効果になってくると思います。
 ここでの議論ではないのですが、地方衛生研究所そのものにきちんとした法的根拠がないとい
うことはいつも言われていることなので、地方衛生研究所に求めるためには、そこは国全体として
考えていく必要があると思います。

○大久保構成員 いまの意見に対してです。地方衛生研究所というのはない県もあるぐらいのも
のです。それを国から、一律にこのようにしなさいということは、おそらく全国の知事会が地方分権
ということを盛んに言っている中で、漠然と書いておかないと問題となるところではないでしょう
か。

○倉田構成員 それは違います。47都道府県すべてにあります。それから、政令指定都市、100
万人以上の都市に17カ所、人口にかかわらず中核都市には17カ所、いま77カ所あります。

○大久保構成員 それは最近保健センターと名前が変わってきたのではないですか。

○倉田構成員 いや、でもそのファンクションは全部あります。

○大久保構成員 それが地方分権的に地方当局に任せろという態度になってきたようなことを聞
きますが、そういうことはないですか。

○倉田構成員 それは県によって色彩は少しずつ違います。

○大久保構成員 ここでどこまで文書として書くかというのは、難しいような気がします。

○小林座長 この問題は議論が尽きないところかと思うのですが、岡部構成員も言われたように、
前向きに捉えていかなければいけないことですし、先ほど来倉田構成員が申されているように、
いろいろな格差があるということで、そういう意味で例えば日本環境感染学会のネットワークとい
うのは、ある程度学会として予算を取って、予算的なことも含めてバックアップできるように、大久
保構成員が理事長の頃にそのようなシステムを作り分けたわけです。岡部先生が先ほどおっしゃ
ったように、アウトブレイクになってしまえば別でしょうけれども、その前の段階での対策というの
がいちばん大事で、アウトブレイクを起こさないようにするためにどうするか。これは、現状では地
域のネットワークを活用する以外にない、その上で地方行政が積極的に取り組んでくれるようなも
の、そういうものを将来の目標としていくということは、木村先生も先ほどご指摘くださいましたよう
に、何らかの形で文章として盛り込めればいいでしょうけれども、現状はとにかくできるところから
やって、現場を助けていかなければいけません。特に、中小の施設に対しては、そのようなことが
必要だと私は思います。この辺は事務局で整理していただいて、もう一度メールで皆さんの意見
を伺うということで、先に進めたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○一山構成員 小林座長のご意見はそのとおりで、補足させていただきますと、昨年のインフルエ
ンザの騒ぎで地方自治体が土台のようなものを各都道府県に作ったのではないかという気がしま
す。それをこの期に、小林座長がおっしゃるような表現で後押しするようなものができればいいの
ではないでしょうか。

○小林座長 構成員の皆様方も、何かいい表現があれば、事務局に送っていただいて、将来に
向けていい方向に動くようにと思います。いかがでしょうか。

○賀来構成員 先ほど先生がおっしゃったように、切替先生の言うとおり、「医療機関との調整に
より、地域における」と2頁のいちばん下にありますが、こういった文章をもうちょっと強めというか、
「調整により」というより、いま小林座長のおっしゃったような、「ネットワークを是非支援することが
必要である」という表現がありますが、切替先生が言われたように、この辺りについて何か訴える
ことができればと思います。

○小林座長 すぐには言葉が出てこないかもしれませんので、構成員の皆様方もご意見をお送り
いただければと思います。
 次の2)「国の役割」に移ります。ここについてはいかがでしょうか。

○荒川構成員 ここは主に厚生労働省としての役割が書かれているところですが、医療関連感染
症対策というのは、医系学生の卒前教育、卒後教育あるいは卒業したあとの生涯教育の中で、プ
ログラム化して体系的にやっていく必要があると思います。
 ですから、厚生労働省の文書で文科省のことについて提言するのは難しいかもしれませんが、
文科省的な役割も少しと。やはり医学教育の中で感染症対策あるいはそれに向けての予防対策
についての教育の充実は、何か盛り込めるといいかなという気がするのです。

○洪構成員 いまの関連です。医療安全対策に関しては、今年いろいろな検討会の中で、医系
の教育の中にしっかりと入れるようにということが盛り込まれて、そこは看護、医系のカリキュラム
に含まれるような検討はされているところだと思います。その中に感染症対策も含めて議論がさ
れている検討会もあったように記憶しています。さらにそこのところはお願いしたいと思います。

○小林座長 先ほど病院内の教育ということも話題になりましたが、もうちょっと広い意味での各
職種に対する教育というような言葉がうまく入れば、この辺に入れていただければということで、こ
れも調整をお願いいたします。
 次に、3「院内感染発生時の対応」です。「多剤耐性菌による院内感染事例を想定している。他
の起因微生物に対しては、それぞれ微生物の性質に鑑み、必要に応じて以下の基準を参考に対
策を立てることが適当である」ということで、(1)「医療機関内での対応」です。これもいろいろと議
論のあったところではありますが、一山先生のお話にもありましたように、菌の種類によっても違
いますし、あまり細かく決めていくと動きが取れなくなりますでしょうし、ある程度大まかな表現でお
認めいただくことになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。どのような表現をしても、
議論は必ず出てくると思いますが、構成員の皆様方のご意見をいただきながら、中庸を取る形で
この案をまとめていただきましたので、とりあえずこういうことでお認めいただければと思いますが、
いかがでしょうか。

(異議なし)

○小林座長 次に、(2)「医療機関間の連携と支援」です。

○荒川構成員 この(2)の下から2行目に、地方衛生研究所や感染症研究所の名前がありますが、
ここは医療機関から直接お問合せいただくと、こちらも対応しきれませんので、保健所や自治体を
通じてご相談いただくほうが、対応しやすいと思います。ですから、直接ではなく行政のルートに
則って相談していただければと思います。

○小林座長 それは先生から前回も、その前にも出たお話で、そのためにネットワークを作るとい
うことで学会が動いたり、賀来先生のところのようなネットワークを使おうとなったわけで、直接的
に全部先生のところにいったら大変だと思いますし、それはよくわかりますので、どのように。

○荒川構成員 要は地方衛生研究所の前に保健所等を通じてと、あるいは地域の専門家の。

○小林座長 時間の問題とか、保健所にわかる方がおられるのか。そうでないと、すぐにマスコミ
に出てしまって大事になって、現場が困るという事例がいままでにもいくつかございますが、その
辺はどのようにしたらよろしいでしょうか。

○倉田構成員 いま荒川さんが言ったように、通常は行政の担当者から病院等の話があって、そ
のまま保健所を通して全部入ってきます。保健所を通さないものは一切こないです。ですから、そ
のほうが行政としてはやりやすいと思うのです。

○小林座長 そういうことがおわかりいただけるドクターというのは、保健所にはどの程度いるの
ですか。

○倉田構成員 よその県は知りませんが、富山の場合はきちんと把握されています。水面下の話
は病院から直接くることはありますが、必ず保健所を通して、その間に県の担当の課も入りますが。
ですから、それが変にこじれてしまったということは1つもないです。保健所と口を利かない地方衛
生研究所もあるようですから、県によって違うのでわかりません。そこまで考えるわけにはいかな
いので、これは保健所とか。どのように書くかは別ですよね。

○小林座長 こじれて困るのは現場ですから、できるだけそれがないような体制を考えて、要望し
ていかなければいけないと思うのです。だから、公式論だけを作るのは簡単ですが、それで困る
のは現場の担当者、現場の中小の施設で、ひいては患者様に撥ね返ってくることになるので、ど
のように整理していったらよろしいでしょうか。

○洪構成員 (3)に、医療機関は必要に応じて保健所に連絡・相談するということが書いてあるの
で、できればこの(3)の下から3行目に「保健所は」とあるのですが、ここの「必要に応じて対応し
ていく」というところに、しっかりと地方衛生研究所や国立感染研への連絡を含めて対応していく、
という一文もあっていいのかなと思います。

○倉田構成員 いまおっしゃられたところの上から4行目にも、「管轄する保健所にすみやかに報
告する必要がある」とありまして、これは全くそのとおりで、そこを無視してはならないと思います
が。

○小林座長 あとは下に、「保健所」という名称を入れる必要はありますか。「なお、保健所は」と
なっていますね。

○倉田構成員 私はあったほうがいいと思います。

○小林座長 これでよろしいですね。

○倉田構成員 いいと思います。

○小林座長 よろしゅうございますか。

○岡部構成員 荒川先生のところもそうだと思うのですが、実情は相談は受けるわけです。しかし、
我々が本当の調査にまで結び付けていこうとすると、自治体にも関与していただかないとなりませ
ん。例えばA病院と我々との話合いだけでは動けないので、そういう実情が前提にあることが理
解していただければと思います。

○倉田構成員 上のほうも下のほうも十分に書かれていると思います。

○小林座長 その辺は事務局でもいろいろ検討して、まとめてくださった文書だと思います。

○岡部構成員 ここは「相談」となっていますが、相談はむしろフランクにしていただいたほうが本
来的な目的になっていくと思います。アクションは別であると。

○小林座長 よろしゅうございますか。4「その他」です。読ませていただきます。「現在の医療にお
いて、院内感染の発生そのものを全て無くすことは不可能であり、救急患者の受け入れ等を積極
的に行う医療機関ほど発生の確率が高くなると考えられる。的確な院内感染対策を実施している
医療機関においても、院内感染は一定頻度起こり得るものであるため、そのような際にも医療機
関の院内感染対策について冷静に判断することが重要であり、社会的非難を恐れてかえって院
内感染の発生が報告されず対応が後手に回ってしまうことのないよう、国民的な理解を進めるこ
とが求められる」と、まさにこのとおりだとは思うのですが、いかがでしょうか。

○洪構成員 2行目の「救急患者の受け入れ等を積極的に行う」というところが引っ掛かります。
救急患者の受け入れではなく、むしろ高度医療だとか、そういったことなのではないかと思いま
す。

○小林座長 重症患者を積極的に受け入れている病院とか、重症患者が多い施設とか、そのよう
な表現ですかね。「重症患者の多い医療施設ほど発生の確率が高く」ですか、それでは舌足らず
でしょうか。

○岡部構成員 高度の介護を求められるというのは、重症の中に入ります。院内感染は病的に高
度。

○小林座長 急性医療というような言葉を入れないといけないのかもしれません。その表現は区
別する言葉にしていただくということでよろしいでしょうか。

○医療放射線管理専門官 またご意見をいただければと思います。

○小林座長 高度急性医療を行う医療施設。何か行政的な言葉があれば、それを使うと。

○賀来構成員 「強く求められる」という表現はあまりよくないのですか。「国民的な理解を進める
ことが求められる」ということで、是非この辺りは理解していただきたいという思いがあって、「強く」
という言葉を入れていいかどうかわかりませんが、是非。

○小林座長 「強く」が入ったほうがいいですかね、いかがですか。ここには「理解を進めることが
強く求められる」と。重要なところだと思います。ありがとうございます。
 全体を通して、何かございますか。

○大久保構成員 前の頁の(2)「医療機関間の連携と支援」の辺りで、自由に相談し合えるように、
の辺りに、いわゆる守秘義務の必要性を述べられたらどうかと思うのです。

○小林座長 医療機関ですか。

○大久保構成員 医療機関同士あるいは専門家と。

○小林座長 それは患者情報であれば、前提にないですか。

○大久保構成員 それをあえて述べておく必要はないかということです。

○小林座長 すべてこの辺の相談事に共通になってくることだと思いますが、患者情報、医療情
報の秘守義務ということで、いかがでしょうか。

○荒川構成員 守秘義務は医師法と刑法の中に盛り込まれていますので、そういうことに従事す
る人は法律で義務づけられていると。

○小林座長 個人情報も入りますね。

○指導課長補佐 医師法の守秘義務の範囲というのは、わりと限定的に判例上は解釈されたりし
ていますので、いま大久保先生からおっしゃっていただきましたが、入念的にということになるかも
しれませんし、あるいは法律外の話になるかもしれないのですが、相談しやすいようにそのような
観点を書き加えることは可能かと思います。

○一山構成員 よくマスコミから電話がきて、このようなことを聞いたのだけれども、先生は調査
員だけれどもどうなのかと。こういうことがあるということを言うことは、補佐からあったように、患者
情報ではないです。ある病院でこういうことを調査しているということを、リークされると大変困ると
いう意味なのかなと思ったのですが。

○大久保構成員 患者さん個人のデータという意味ではなくて、やり取りしている中で、現実的に
こういう問題があそこで起きているとかですね。その範囲は難しいと思うのですが。

○小林座長 それは縛ることができるのですか。

○一山構成員 それは難しいです。自分の病院の医療事故などについては、電話を掛けてきたら
事実どおりに、そうですと言いますが、それはどうですかね。

○指導課長補佐 提言としては、軽はずみに外に言うと相談しにくくなるという観点で、記載させて
いただくことはよろしいかと思います。

○岡部構成員 それは方法論だと思うのですが、相談される段階は決定していることではないの
で、相談される側としては、決定していないことについてあやふやなことは言えないという姿勢で
ないといけません。

○一山構成員 それはノーということですね。知らない、という。

○小林座長 何かいいニュアンスの表現はございますか。

○指導課長補佐 言いぶりについては検討させていただきたいと思います。こういう場面に限って
の、本当に法律上の守秘義務をかけたりするのは相当テクニカルにも難しいのかなと思いますが、
国としてもそういうことを求めていくというレベルであれば、書き様はあるのかなと思います。

○小林座長 よろしいですか、大久保先生。

○大久保構成員 わかりました。

○小林座長 ほかに全体的にどうでしょうか。

○洪構成員 1頁の「医療機関内における対応」の1)「医療機関における院内感染対策の組織体
制について」の下から4行目の、「各医療機関の管理者は、感染制御チームが」というところに、
施設外の専門家を活用する前に、施設の専門家を活用するというニュアンスを入れていただけれ
ばと思います。当然なのですが、それが一言入っているといいかなと思います。

○小林座長 例えばどのような表現になりますか。

○洪構成員 「各医療機関の管理者は、施設内の専門家を活用して」、次にどうつなぐかですが、
「感染制御チームが円滑に活動できるよう」と。感染制御チームにしっかり専門家を活用してという
ことが入ると。

○小林座長 例えばどのような専門家でしょうか。チーム以外の専門家でしょうか。

○洪構成員 チームの中には、医師、看護師、検査技師、薬剤師といったことしか位置づけていま
せんので、そういった各職種で、いろいろな専門性を有する方たちも多数いらっしゃるので。

○小林座長 いや、具体的にはどうですか。

○洪構成員 具体的には、ICDとか認定看護師だとか、そういった。

○小林座長 それはチームの中に入っていませんか。

○洪構成員 いや、チームの中に入っていないところが多いので、あえてと思っているのです。

○小林座長 ICNなどで資格は持っているのに、ローテーションの中に入って。

○木村構成員 57%の話ですね。

○洪構成員 そうですね。さらに活用されるようになるのではないかなと思います。提言の中に入
らなくても、議事録として入れておいていただきたいと思います。

○倉田構成員 有資格者を有効に使う。

○洪構成員 そうですね。施設内のそういう有効な資源を、有効活用していただくというだけの話
です。

○小林座長 そこまで立ち入ると、いろいろ施設のご事情も。

○一山構成員 洪先生のおっしゃる内容は、そこの文章で含んでいるのではないですかね。あえ
て入れなくても。

○洪構成員 そうであれば、議事録として残ればいいかと思います。
 それと、1頁のいちばん最後に「検査室の病棟別のデータ等」とありまして、「等」の中には、部位
別感染サーベイランスデータなども含まれると考えてよろしいでしょうか。確認だけです。

○小林座長 これは検査室情報というか、微生物分離情報等を中心にしたというニュアンスでは
ないでしょうか。感染症のサーベイランス結果をここに含んでいるのでしょうか。

○医療放射線管理専門官 ラウンドに必要なデータという点ではですね、そこのところは。

○小林座長 基本的には臨床検査の情報を基にラウンドをやって、そこで本当に感染症なのかコ
ンタミなのか保菌者なのかを検討していく、その基のデータの意味ですね。

○医療放射線管理専門官 そうです。その基のデータをしっかりと利用していただいて。

○小林座長 いま洪先生のおっしゃったのは、サーベイランスの結果がここに含まれていると。

○洪構成員 いえ、日常的なラウンドの中にサーベイランスラウンドというのが、日常的には行わ
れているので、そういったことも「等」の中に入っているのかどうか。

○小林座長 そのデータはここにもちろん含まれるわけですね。

○医療放射線管理専門官 ええ。例えばJANISの2DCMのデータもそこに入るかもしれませんし、
例えば参加医療機関であったり、そういった幅広い意味でも使えると思います。

○小林座長 ほかに何かございますか。

○木村構成員 4頁に、何か起こったときに、協力関係にある地域のネットワークに参加する医療
機関等の専門家に相談あるいは支援を受けると。相談を受けた医療機関の専門家は助言すると
なっていまして、ネットワークが出来上がっていることを前提としたような文章になっているのです
が、現実にはそれがないところがほとんどなので、それを補完するようなことを考える必要がある
のかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○小林座長 どこに。

○木村構成員 4頁の(2)の2行上に「ネットワークに参加する医療機関等の専門家に感染拡大
の防止に向けた支援を依頼することが必要である」とあって、(2)の1、2行目には「地域のネットワ
ークに参加する医療機関等の専門家は」という表現になっていて、何か起こったときにネットワー
クに相談あるいは支援をお願いするという文章になっているのですが、現実にはそれが動かない
のではないかと思うのです。

○小林座長 依頼することが必要であり、そのようなシステムを構築することが云々という表現で
しょうか。

○木村構成員 そうですね。そういうネットワーク作りを推進しなければならないと。あるいはそれ
がなかなかできないのであれば、それを補完するような相談できる受け皿を用意すべきかなと思
います。

○切替構成員 木村先生と全く同じ意見なのですが、3の「院内感染発生時の対応」の文章、
(1)(2)(3)はすべてネットワークがあることが前提で話が進められているので、もちろん必要である
という目標なのですが、先ほど言ったように、行政の関わり、地方自治体の関わりのところでもい
いと思うのですが、ネットワークを誰が主体になって作るかを、積極的に作るのだという提言の文
章を入れる必要があると思います。

○一山構成員 都道府県によって、どなたがリーダーシップを取ってどうすればいいかというのは
異なると思います。例えば行政のこの課がやるのだとか、大学病院の感染症の専門家がやるの
だと言われても、やはり現実は異なると思います。だから、提言の中に固有名詞を入れるのはか
なり難しいと思います。

○切替構成員 基本は地方自治体がネットワークを作るのだと。地方自治体がその地方に応じて、
このような機関を中心にまとめようというのであればいいのですが。

○小林座長 積極的にそういう方向で進めばいいですけれども、その辺が進んでこないからこの
ような問題が起こってきているのです。だから、そこにばかり任せていていいのか、学会も動かな
ければいけない、個人的に動かなければいけないところもある。それを妨害するような表現にして
しまうといけないのではないかと思います。
 だから、一山先生がおっしゃったように、いろいろな事情があって、いろいろな形でそのようなネ
ットワークができてくると思うのですが、そういうネットワークを作る必要があるということは、木村
先生がおっしゃるように大事なことなので、それをこの表現に加えるということでよろしいでしょう
かね。何かいい表現があればおっしゃってください。

○倉田構成員 非常にずるい言い方で言えば、「地域の事情に応じたネットワークを作り、それを
動かす」とすれば、確かに一山先生がおっしゃったとおりで、大学がいいところと大学がよくないと
ころもありますから、それはその地域の事情でおやりになるべきです。そうしておけば、特別何か。
ただ、地域にそういう人がいない場合に、よそから臨時に来てもらうときに、行政的にどうしても費
用が絡むことがありますので、そういうときには「行政も参加して」という言葉を入れておけば、非
常にいいことだと思います。

○小林座長 ありがとうございます。予定の時間も迫ってきましたので、どうしてもこれだけは言い
たいということがあれば、おっしゃっていただいて。

○荒川構成員 4頁の上から7行目に「新たな感染者または保菌者」とありまして、「感染者」とな
っていますが、感染者というのは、発症した人、発症しない人も含めて感染者ですので、「感染症
患者または保菌者」のほうがいいと思います。

○小林座長 上に「感染症例」という言葉が使われていますが、それと同じでいいですか。

○荒川構成員 そうですね、「感染症例」でよろしいです。

○小林座長 保菌者も「保菌症例」としたほうがよろしいですか。

○荒川構成員 文言の統一は事務局にお願いします。

○小林座長 ほかによろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは事務局にお返しいたし
ます。

○大久保構成員 提言を作ったわけですが、この提言をどのように活かしていくかは、どこがどう
するのですか。

○新村指導課長 今日のご意見を踏まえて、年明けに最終版をご確認いただいて、まず公表いた
します。都道府県、保健所、地衛研にも伝えるものとしますし、医療現場には学会経由ということも
あるかもしれませんが、伝わるようにします。それから、国として予算要求も含めて考えていきた
いと思います。

○大久保構成員 学会が動くといっても、いまは学会の予算でやっているとかなり厳しい状況が
ありますから、システムを維持するような場合に、どのような裏づけが出てくるかは知りたいと思っ
ています。

○新村指導課長 先ほど申し上げたように、既存の予算がありますので、それをどう発展させてい
くかは考えたいと思います。

○小林座長 よろしゅうございますか。

○医療放射線管理専門官 これをもちまして、第10回院内感染対策中央会議を終了いたします。
本日いただきましたご意見を踏まえまして、必要に応じて各構成員の皆様方に連絡を取らせてい
ただきまして、また小林座長にご相談の上確定いたしたく存じます。また、先ほど課長からもありま
したが、年が明けてから確定したものを出させていただけたらと思います。補足等がございました
ら、メール等でご連絡いただけたらと思います。次回については、予定が固まりました段階でご案
内いたします。よろしくお願いいたします。本日は貴重なご議論をいただきまして、誠にありがとう
ございました。
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(了)
<照会先>

医政局指導課

医療放射線管理専門官: 03(5253)1111(内4134)

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