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2010年12月10日 第11回審査支払機関の在り方に関する検討会議事録

○日時

平成22年12月10(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省内 低層棟2階 講堂


○出席者

飯山委員、岩田委員、遠藤委員、小木津委員、齋藤委員、高田委員、
高橋委員、田中委員、長谷川委員、村岡委員、森田委員(座長)、山本委員
横倉委員、渡辺委員、高智オブザーバー
(事務局)
外口保険局長、唐澤審議官、武田総務課長、吉田保険課長、伊藤国民健康保険課長
鈴木医療課長、佐原保険システム高度化推進室長

○議事

○森田座長 皆様、おはようございます。ただいまから「第11回審査支払機関の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 本日の委員の出席状況につきまして、事務局からお願いいたします。
○吉田保険課長 本日の委員の出席状況についてでございますが、粟生田委員から御欠席の連絡をいただいております。それから、高橋委員は若干遅れるという話でございますので、おっつけお見えになるかと存じます。
○森田座長 ありがとうございました。
 資料の確認は終わっておりますので、それでは、早速、本日の議題に入りたいと思います。
 冒頭、本日の位置づけを含めまして、本検討会の今後の進め方について、まずお諮りしたいと思います。
 審査支払機関の在り方につきまして、これまで11回にわたって議論を進めてまいりました。その間の一連の議論におきまして、各分野のゲストスピーカーからヒアリングをするとともに、各委員がそれぞれの立場を離れて、国民が等しく質の高い医療を受けるために何が必要であるかという観点から率直な意見交換を行ってまいりました。それによりまして、現状における課題、その具体的な解決方法を明らかにするとともに、特に11月以降は「そもそも論」を意識して、統合・競争促進を含め、総括的に御議論いただいたところでございます。したがいまして、当初予定しておりました「年内に議論を一巡」するという目標は、ある程度クリアできたものと認識しております。
 他方、そうは言いましても、私、座長といたしましては、この検討会として引き続き議論を続けていくべき事項も残っていると考えております。例えば「組織の統合と競争促進」の議論につきましては、定量的な試算も示されたわけでございますが、あるべき姿について十分に議論がされたかというと、そうではなく、更に検討を深める必要があろうと思っております。
 また、これまでの議論を中間的に整理してみますと「厚生労働省・審査支払機関において具体化、検討すべきもの」と位置づけた事項につきましても、その進捗状況をこの検討会としてフォローし、課題解決に向けた議論を行うことが必要であり、残っている課題ではないかと思っております。
 そのため、座長としての私から御提案をさせていただきたいのでございますが、本在り方検討会としましては、本日までの「年内で議論を一巡」するということに引き続いて、年明け以降も議論を深めてまいりたいと、かように考えております。
 勿論、委員の皆様、それぞれお忙しい中で時間を割いて御参集いただいておりますので、会議の開催頻度などにつきましては、皆様方の御都合であるとか、準備状況、そうしたものに応じて事務局に調整してもらいたいと思っております。
 こうした形で、一応「年内に議論を一巡」ということで、一区切りではございますけれども、残された課題について更に議論を深めていくという、この点について、いかがでございましょうか。何か御意見はございますでしょうか。
では、御異論ないと思いますので、それでは、今後の本検討会の持ち方につきましては、先ほどのように整理をさせていただきたいと思います。
 その上で、本日は「年内に議論を一巡」という最後の場でございますので、当検討会としての「議論の中間的な整理」について議論をし、共通の認識を持っておきたいと、かように考えております。
 そのためにも、まず、前段としまして、前回の議論に引き続きまして、まだまだ議論が十分とは申せません「競争促進に関する議論」を深めたいと、かように考えているところでございます。
 前回「相互乗り入れ」ということについての議論がなされたわけでございますけれども、そもそも「審査支払機関の間の競争」を行うということは一体どういうことなのか。何を競争するのか。2つの公的な組織と、参入が議論される民間機関の関係をどのように考えるのか。問題の整理も含めまして、さまざまな可能性が考えられるものですから、少し整理をすることが必要ではないかと考えております。
 それでは、まず「競争促進に関する議論」のために事務局に幾つか資料を用意してもらっておりますので、それについての説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○吉田保険課長 事務局の保険課長でございます。
 本日、まず、競争促進に関する議論としまして用意させていただいた資料を簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 まず、資料番号の1番、試算案というもの、前回お示しをした数字でございます。資料1-?Aという形で、その後、改めて数字を精査させていただくなどしました点で、修正が入りました点、御報告を申し上げたいと思います。資料1-?Aに書かせていただいてございますけれども、資料1で申し上げると、「支払基金に統合する場合」として計上しておりました費用の一部、特にシステム切替えの関係につきまして、一部重複計上が精査をしてまいります過程で発見されましたので、その部分の数字を「161億円」から「105億円」に改め、それに伴い、増減欄などに必要な修正をさせていただいております。私どもとしては、前回の資料ではなく、今回改めて提出をさせていただいておりますものを事務局としての試算案という形で御理解いただければと思います。まず、それが1点でございます。
 あと、論点の関係としまして、資料2「競争促進に関する案」という形で用意をさせていただいておりますので、簡単に御報告を申し上げます。
 先ほど座長からもございましたように、1ページ目に4点ほど、私どもとしての論点案を整理させていただいております。?@の下に図がございますけれども、改めて申し上げるまでもなく、医療保険システムにおける審査支払いというものの位置づけにつきましては、その図の左側にございますように、一義的にはまず、保険医療機関と保険者、そして勿論、療養の給付を受け、一方で保険料の支払いをいただく被保険者という三者の構成による関係ができているかと思います。それを現在、審査という形で、保険者の委託を受ける形で、支払機関と国保連という形があり、結果、登場人物としては、右の図のような四者になってございます。その下に、この検討会で当初から申し上げておりますような法律上の整理についても書かせていただいております。
 ?@に書かせていただいておりますけれども、従来の「統合」あるいは「競争促進」という御議論の中で、審査機関を統合して、中立・公正な唯一の組織という形を位置づける場合には、他の民間企業の参入というものについても別途いろんなところで取り上げられておりますけれども、どう整理するかという意味では、並行して参入する仕組みをどのように論理的に考えるのか、保険者が審査し、支払うこととしている現行法との整合性は整理できるのかということでございます。
 若干補足いたしますと、右側の図にございますような四者の関係があるときに、従来、例えば、直接審査というテーマについて、この会で取り上げていただきましたようなものは、この図で言うところの「保険者が行われる直接審査のパートナー」として民間の関係者が参画されるということで、これについて、どのように今後考えていくかというのは、種々、ここでも取り上げられたところでございます。
 一方、論理的に考えますと、この「審査支払基金、国保連という位置づけになっているところ」に、第三者として民間の方が入るというのもあり得るわけでありまして、そういう意味で言うと、審査支払基金と国保連というものが統合したというの話のときに、統合という形と民間参入という形は両立し得るのか、し得ないのかというような論点が幾つかございましたが、その場合の参入される民間の参入先がどこなのか、どこを念頭に置いて議論を進めていくかということについて、少し整理が必要ではないかということから、このような形での図を確認のために整理をさせていただいております。
 ?Aといたしまして、これは再三、この会においても「競争促進」について御発言をいただいているところでございますが、保険者にとって、どのような要素を比較・評価するのか。「統合」の場合との比較で考えますと、審査の質の向上というものがどのような形で「競争促進」によって確保され、実現するのかという点でございます。
 御発言を改めて確認をいたしますと、これまでの中では、例えば、再審査の請求件数が1つの審査支払機関の評価、あるいは比較軸になるのではないか。あるいは迅速性・効率性、手数料というのがメルクマールになるのではないか。あるいはルールに適合するレセプトの提出に対する取組み-そこに幾つか書かせていただきましたけれども-そのようなことが評価として考えられるのではないかということについても、この時点において整理が必要ではないかと思います。
 ?Bといたしまして、複数の審査機関がある場合でも、審査機関の決定で納得が得られない場合の評価、あるいは判定をするという意味での「上級の審査機関」ということを何度かこの会において御議論いただきましたけれども、複数の審査機関の並立を前提とした場合にも、審査の判断基準に差異を生じさせない仕組みというのは要るのではないかというのがこれまでの御発言の中であったのではないかと思っております。
 4つ目に、1つ目にございました「民間参入という場合にどこに入るのか」ということを頭の中で整理をした上で、いずれであっても、民間の審査機関が参入しやすい環境-競争を促進するという場合には、それが必要になろうかと思いますけれども-一方で、請求・支払いの共通のシステム基盤など、参入しやすい環境という面での取組みも必要ではないか。前回までの御議論の中で、審査という機能と、支払いあるいは請求という機能を分けて考えるべきではないかという御発言もあったかと思いますが、そのような御発言も念頭に置いて整理をさせていただいております。
 2ページ目は、前回も試算の関係で整理をしたものに必要な語句の修正を加えて、改めて提示をさせていただいているものでございます。
 3ページ目。標題として「統合と競争促進の議論に関する論点マップ」という形で書かせていただいておりますのは、前回までの御議論を踏まえて、座長から強い御示唆をいただきながら、委員の皆様方の議論の整理をするべく、ロジカルにということになるのかと思いますけれども、論理的な可能性について整理をさせていただいたものでございます。一つひとつについて価値判断をするというよりも、それぞれの議論、あるいは要素がどこにあるかという、いわばマップとしてお使いいただくべく、まだ未定稿ではございますけれども、整理をさせていただいたということでございますので、今後御議論をいただく中で念頭に置いていただければと思っております。
 以上が論点として用意させていただきました資料2でございますが、東京都国保連から、参考資料3でございますけれども、「審査支払機関の統合または競争について」という形で資料の提出をいただいておりますし、参考資料4として、前回までの議論を踏まえてということで、支払機関から提出いただいている資料がございますので、併せて御紹介をさせていただきます。私の方からは以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 参考資料3、4でございますけれども、本日の論点とも密接に関係しております。関係者の方から、何か補足的な御発言はございますでしょうか。
 飯山委員、お願いします。
○飯山委員 これまで国保連合会といたしましては、本会の検討対象であるという立場に置かれていることから、まとまった発言をしてまいりませんでしたが、本会の議論もいよいよまとめの段階に入ってまいりましたので、国保連合会のスタンス、統合に関する懸念、競争に関する国へのお願いなど、多少お時間をいただいて申し述べたいと存じます。競争の議論のところに統合の件まで踏み込んだ発言になることをお許しいただきたいと思います。
 まず、国保連の、この在り方検討に係るスタンスでございますが、初めに、これまでの議論で大きな問題とされました審査の差異について申し上げます。47国保連の間にあるものについて、それぞれの地域の疾病構造の特性などにより、どうしても必要なローカルルールに基づくものを除き、基本的には解消するよう最大限の努力をしてまいります。そのローカルルールも、一度決めたら不変ということではなく、地域の実情を常に把握し、実情に基づいて適宜見直しを行っていくようにいたします。また、支払基金との差異につきましては、これは後ほど国へのお願いで申し上げますが、いわゆるダブルスタンダードの解消に向けた検討を行うことをお願いしたいと存じます。
 次に、国保連の運営につきましては、IT化の一層の推進を図りながら、事務の合理化・効率化、組織のスリム化を進めるとともに、保険者の事業運営に役立つ情報を提供し、保険者の皆様の御納得をいただけるよう、サービス内容とのバランスを考慮しつつ、できるだけ審査支払手数料を低く抑えるよう努力してまいります。
 また、国保連は、保険者が会員となって設立されている団体ですから、事業計画と予算、事業年度終了後の事業報告と決算は会員の代表者で構成する理事会、全会員で構成する総会で審議・決定しておりますので、その内容は常に保険者にオープンになっております。このような国保連として今後どうあるべきかについて、今年の春から秋にかけて検討を行い、10月に「国保連合会の将来構想 中間報告」をまとめましたので、本検討会の第7回目に資料として御提出しております。改めてお目を通していただければと存じます。
 次に、本日御提出した資料に基づきまして、統合、競争に関する私どもの考えを申し上げます。この問題に対する国保連の基本的な考えは、今申し上げましたように、「国保連合会の将来構想 中間報告」に記載してございますように現実問題として統合は困難であろうから、互いに切磋琢磨できる関係を保つ方が効率化につながりやすいというものですが、もとより統合を否定しているわけではございません。本検討会の結論を尊重するものでございます。
 それでは、参考資料3の2ページをごらんいただきたいと存じます。ただいま申し上げたことを踏まえた上でのことでございますが、まず、統合について申し上げます。先般、事務局から示されました統合の2つのパターンのうち、国保連を審査支払部門と保険者業務部門に分割し、審査支払部門を支払基金に統合する案につきましては、国保連にとって望ましい、望ましくないといったこと以前に、国保のみならず、現状の後期高齢者医療及び介護保険の事業運営上、大きな問題があります。すなわち国保連の審査支払事務は保険者共同事務と表裏一体の関係にありますので、これを分断すれば、国保保険者・現状の後期高齢者医療広域連合・介護保険者の事務効率を大きく損なう恐れがございます。
 国保の保険者共同処理事業及び現状の後期高齢者医療広域連合の保険者事務につきましては、(1)の給付資格確認処理、(2)の各種業務帳票作成・高額療養費計算処理は、そこに記載しましたとおり、国保連にレセプトがあってこそできる仕事でございます。レセプトの審査支払い、事務点検を行う中で、被保険者資格のチェックを行っておりますし、支払額確定後は、そのデータにより被保険者ごとの高額療養費の計算や、医療費通知の作成を行っております。これが国保連で行われなくなれば、保険者広域連合が個別に行うこととなり、その事務量が相当増加すると考えられます。
 3ページには、その他の事業についても記載してございますが、これらの事務につきましても、保険者が個々に行うよりも、国保連に集約して共同処理していることにより、保険者の事業運営の事務負担を相当程度軽減できているものと考えております。
 次に、国保の広域共同事業でございます。国保連の事業として、市町村保険者を対象に「保険財政共同安定化事業」及び「高額医療費共同事業」を実施していることは前にもちょっと申し上げました。ここでは事業内容は省略いたしますが、いずれも国保連が審査支払データを基に拠出金・交付金を算出し、その拠出交付を行っております。したがいまして、国保連が審査支払いを行わなくなれば、この広域共同事業はできなくなり、市町村国保の財政運営を広域化して国保の運営を安定化させ、県内保険料の平準化も図ろうという国保運営の大方針に反することとなります。
 また、資料の3ページに戻りまして、3と4でございますが、国保連が介護報酬の審査支払事業を行っていることから、国保、後期高齢者医療、介護保険を通じた高額医療・高額介護合算処理事業、あるいは医療と介護の給付内容の突合審査を行うことが可能となっております。国保、後期高齢者医療の審査支払いを行わなくなれば、これらの事務は実施できませんので、保険者、広域連合、介護保険者が自ら実施するとすれば、市町村広域連合の事務負担が増大するのは明らかでございます。
 国保連の審査支払部門と保険者業務部門を分割して、審査支払部門を支払基金に統合するだけであれば、ただいま申し上げましたように、現在、国保連が共同事務として実施しているものの中でも重要なものが実施できなくなり、保険者の負担が増大いたしますので、残る保険者業務を担う国保連にこのような事務を引き続き担わせるとすれば、レセプトデータ、審査支払データを国保連に還流させる仕組みが必要となります。この仕組みを実現するシステムを構築するとすれば、恐らく相当膨大なものとなるでしょうし、共同事務の実施時期も、手元に各種データがある場合に比べて遅くなる懸念がございます。今、素直にできていることを、あえて難しくするのはいかがなものかと考える次第でございます。
 次に、競争を行う場合につきまして、公正な競争と無駄が出ないようにするための国へのお願いでございます。本日の「議論の中間的整理」、事前にいただきました資料においても取り上げていることと重なるところがございますが、私どもなりの考え方に基づく要望内容を申し上げます。
 資料の4ページから5ページに5項目を記載してございますが、突き詰めれば、公正な競争を行うための環境を国において責任を持って整備していただきたいということでございます。すなわち、審査基準のスタンダード、電子点数表、業務システム等の審査支払機関の業務に必須のものは国から御提供いただき、勿論、費用分担が必要なものは国にお納めするという前提のことでありますが、審査支払機関は、その環境の上で、それぞれの特徴を生かして競争することが望ましいと考えます。何となれば、診療報酬の審査支払いは、最大の利益を獲得しようという民間企業の活動とは異なり、国民皆保険体制の下、医療を必要とする国民と、その医療を提供する医療機関とをつなぐ極めて公的な性格の事業ですから、しっかりした公的基盤の上に立って事業を行う必要があると思うのでございます。
 具体的内容につきましては、1~3の各項目をお読みいただければと思いますが、ここで一言だけ、同じようなシステムをそれぞれが開発・改修するという二重投資は避けなければならないということを申し添えたいと思います。
 5ページの4、比較条件の規格化ですが、要は、競争を行った結果を比較するには、データをきちんとそろえないとできませんので、データの形、内容の規格を国において決め、御指導いただきたいということでございます。
 最後の5は、競争する以上、事業対象を自由化していただきたいということでございます。
 競争に関する国へのお願いは以上でございますので、是非よろしくお願い申し上げます。いずれにいたしましても、国保連は、保険者が共同して目的を達成するために設立された団体であり、会員保険者のための事業を行っております。したがいまして、保険者による直接審査に「委託する場合」も含まれるのであれば、国保の診療報酬審査支払いは保険者が設立した団体が受託しているわけですから、国保連の審査は直接審査そのものだと言えます。ただし、審査につきましては、診療側、支払側双方が納得できるよう公平を期すため、知事が三者構成による審査委員を委嘱しているわけです。私ども国保連は、このような特質を踏まえ、今後とも医療保険、介護保険の運営に貢献してまいりたいと存じております。どうぞよろしくお願いいたします。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、支払機関の方はございますか。どうぞ。
○小木津委員 私どもからは参考資料4を提出させていただいております。これまでの議論の中で、支払基金のコストの構造についての御指摘がございました。この資料は、支払基金のコスト削減についての努力というのは怠らずやっておるということと、そのことによってコストが決して高止まりしていないということを御理解いただくということでつくったものでございます。既にさまざまな観点でコスト削減の努力をしておりまして、人件費、物件費、両面にわたってしております。また、既に御紹介いたしました新しい計画におきましても、更に徹底した総コストの削減を実施したいと考えておりまして、これによりましてコストの削減、更には手数料の引下げへ結びつけていきたいと思っております。こういった努力について御理解いただければと思います。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの国保連、支払基金からの補足的な御発言も含めまして、この論点についての御発言をいただきたいと思います。では、その前にどうぞ。
○吉田保険課長 済みません、事務局でございます。御議論いただく前に、本日の議論が「競争、統合促進」ということでございますので、前回、この場でお諮りをいたしました相互乗り入れの関係について、2点ほど簡単な補足をさせていただきたいと思います。
 競争環境の整備ということで、先日、相互乗り入れを年内通知を目指して具体的に動かさせていただきたいということを申し上げたときに、実務の問題ではございますが、保険者番号を変更するという形での交通整理という手法を提案させていただきました。これにつきましては、会議の場、あるいはそれ以降、実務的な検討をする際に、高田委員、あるいは健康保険組合関係者の方々からもいろいろな御意見をいただき、率直に意見交換をさせていただきました。
 その過程では、保険者番号の変更以外にも、例えば、健保組合の立場から見ると紙レセは引き続き支払基金だけれども、電子レセだけは国保連に行くというような、保険者のお立場から見ても、いろいろな選択肢を広げる、あるいは審査支払機関間における、それぞれの競争促進というんでしょうか、使い勝手の比較ができるような手法も考え得るのではないかという御提案を新たな形でいただいたところでございます。そうすれば、保険者番号の変更に比べて、いろいろな面で事務負担が改善ができるのではないかということでございました。
私どもとしては、そもそも相互乗り入れの仕組み全体につきましては、実務的な問題を関係者の間で詰めさせていただいて進めさせていただくという形で前回、御了解をいただいておりますので、その過程の一環として行わせていただきたいと思います。その中では、今、御紹介しましたような提案を含めて、関係者の方の御意見を一つひとつ取り入れながら進めたいと思いますが、前回御提案した保険者番号の変更と同じぐらいのスピードで実務がついてくるというわけではございません。既に「保険者番号の変更による相互乗り入れ」ということに御理解をいただいている保険者もあるやに伺っておりますので、年内に予定をしております関係通知につきましては、保険者番号の変更ということを前提にさせていただくということで関係者の御理解をいただきながら進めさせていただきたいというのが1点でございます。
 それから、2点目につきましては、先ほど飯山委員から御提案のありました中にも、参考資料3の5ページ目に「比較条件の規格化」ということで「国の関与が必要な留意点」という形での御提示をいただいております。査定率の比較、あるいは財務内容についての比較についても、競争促進という意味から、基盤として必要であるという旨は、この会議でも、再三委員の皆様からいただいております。
 いろいろな課題を抱えておったわけでございますが、この検討会を運営させていただく過程で、例えば、査定率については、この会において両方を比べてみるという取組みをさせていただきましたので、あのような形でのデータを今後とも両機関が御提出いただけるような形になれば、そして公表していけるようなことになれば比較可能かと思います。財務内容につきましても、先ほど御紹介ありました将来構想の検討会の中には、実務的に-例えば、簿記の仕方について、まだまだ課題があるようなところも拝見してはおりますけれども-できる限り関係者の方々に御努力をいただき、また、逆にこういう形で私どもの方に御要望いただけるということは、非常に前向きに取り組んでいただけるということでございますので、できるだけ早くに関係者の方々の御努力をいただき-例えば、審査手数料について、国保連においては、もし外から審査委託が来たときに会員価格と非会員価格を明示するというようなことも課題になってこようかと思いますので-そのような取組みについてもできるだけ早急に関係者の方々にお取り組みいただきながら事務的に進めたい。この2点を思っておりますので、御議論いただく前の補足として御報告申し上げます。
○森田座長 ありがとうございました。
 ただいまの補足の発言を含めてですけれども、いかがでしょうか。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 この資料1にお示しいただいておりますように、競争の促進というところでは、どのような要素を評価、比較するのか、これが1つ、大変重要なポイントになると思うのですが、評価する場合には、必ず評価者というのがあるわけなんですね。だれが、どういう視点で評価するのか、あるいは国民の皆保険制度における審査支払いの在り方を考える上で、指標は決まっても、指標をどう読むかという、今度は評価者のスタンドポイントというのが必須なんです。
 例えば、査定率であれば、しっかり査定してくれた方がいいと保険者はお考えになるかもしれないし、被保険者や保険機関は問題が多いとするかもしれません。それから、支払いについては、比較する場合に、医療機関側からすれば、どんどん支払ってほしいという迅速性が求められますけれども、保険者の側からすれば、より精密に、そう迅速性ばかりを優先させるわけにはいかない。そういうことになりますので、指標を決めるのはとても大事なのですが、最終的な評価者はだれなのか、あるいは評価の視点はどうなのかと、これも常に考えながら議論しないと、物事がひとり歩きしてしまうと、かえって別の視点からすれば、それはよくない方向へのシフトであると、そういう見方も危惧されますので、競争の議論のときに是非留意していただきたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。大変重要な御指摘だと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。
 高田委員、どうぞ。
○高田委員 私ども保険者といたしましては、統合、競争という論議の中で、この審査支払業務を適切なコストで適正にやっていただく、これが一番大事であると考えております。私ども健保組合の中では、この辺について意見を聞いたところ、少なくとも7割が競争させるべきという意見でございます。そういったことから、健保組合といたしましては、適正な競争を進めていただくことが一番大事であると考えております。
 また、そういう場合に、私ども保険者が審査支払機関を相互乗り入れというか、競争させて選択する場合には、コストと業務品質、そのバランスを見ていくことになろうかと思います。そのためには、先ほど東京都国保連の資料にもありましたけれども、同じ条件の下で保険者が選択を比較検討できる資料の作成をお願いしたいと思います。
 例えば、審査支払いの事務手数料でも、国保連と支払基金とでは、手数料の算定といいますか、積算に当たっての根拠の対象が異なっているので、そこが単純に比較できません。今、できないと言うんであれば、やはりそこは今後できるような取組み、それこそコストの見える化だと思いますので、始めていただきたい。
 また、査定率とか、査定金額につきましても、査定金額だけではなくて、保険者から再審査請求して増てんされる場合があるので、査定金額から増てん金額を差し引いた額を記載した資料の作成とかをお願いしたい。
 また、保険者としては、先ほどのコストのことになるんですが、審査支払業務を委託する上では、手数料の高い、安い以外に、査定金額から増てん金額を差し引いた委託効果額も重要な条件になると思っております。
 そういう意味で、いずれにいたしましても、審査支払業務を容易に委託することが可能となるような環境の整備を要請したいと思います。ただ、その環境整備に当たって、環境整備をしたから、委託するに当たってプラスでまた何億ものコストがかかるということであれば、その環境整備は絵に描いたもちになってしまうんではないかと思います。
 それと、先ほど東京都国保連に国の関与が必要な留意点を挙げていただきましたけれども、私どもといたしましても、審査基準のスタンダード、いわゆる統一の部分は是非国が主導的な立場で行っていただきたいし、今の電子点数表では、お互いまだレセプトデータが使えないという部分もありますので、その辺もきちっと変えていただきたいし、前回も申しましたが、電算機システムの二重投資はどこにとってもいいことはありませんので、そこは解決していただくという方向で進めていただきたいと思います。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 資料2で図が2つ書いてありますが、前から議論の進め方に若干違和感を持っているんですが、最初の問題の提起はたしか支払基金と国保連を一本化する、これは別に、支払基金、国保連という今あるものを1つにするという意味ではなくて、全く新しい1つの組織をつくるという話が仕分けで出たんだと私は理解しています。一方、以前の規制緩和委員会で自由化のことが出された。そうすると、これは既存の審査支払機関だけではなくて、通常の民間の審査機関と言うべきなのか、審査会社と言うべきなのかあれですけれども、その参入をもっと自由化していいんではないかと、その2つの流れがあったと理解していますが、今日の資料2の問題提起の仕方は、その両端がいつの間にか抜けてしまって、真ん中の今ある支払基金と国保連をどう競争させますかと、正直言って、問題が非常に矮小化されているんではないか。
 5~6年前の法改正で、現存の審査支払機関について、支払基金は被用者保険側について1つの独占体になっている。それから、国保連は、国保について独占体になっている。そこをクロスの参入を認めたということですけれども、ここで使われている競争の促進とか参入という言葉は非常にミスリーディングで、本来、参入の自由とか、競争というのは、参入と脱退が自由なはずで、あるいはその企業がつぶれてもいいという了解の下で議論しなくてはいけないのに、この2つの機関はつぶれては困る機関のはずです。もともと株式会社で設立されているわけではありませんから。
 あるいは国保連が47あって、この前、申し上げましたけれども、どこかがどっと審査委託を受けて、やっぱりやめたとどっと抜かれたときに、経営的にもつのか。そのとき、国保連が他に持っている機能を一体どうするつもりなのか、そこの議論がすぽんと抜けたまま、審査の部分だけ、いかにも自由化できるようにして、しかも、脱退まで本当に自由なのかどうかの議論ははっきりしないままに議論しているので、私はこの議論の進め方は間違っているんではないかと思います。
 本当に参入の自由というのは、支払基金や国保連をどうしますかではなくて、民間機関の参入をどうしますか、その場合、今ある審査期間は、審査をやりつつ裁定者の立場をどうするのか、あるいは審査の機能をやめてしまって、裁定者、仲裁機能だけに特化するのか、そこの議論になるはずなので、こういう格好での議論は進めようがないと思うんですけれども。
○森田座長 横倉委員、どうぞ。
○横倉委員 今の御意見を聞いていて、国民皆保険制度のものの中においての審査の在り方、支払いの在り方という視点は、高橋さんはどう考えられていますか。すべて自由参入ということで、国民皆保険制度が維持できていくのかどうかということについて。
○森田座長 どうぞ。
○高橋委員 私は、その議論をしているつもりはありません。ただ、在り方について、いろんな議論はあると思います。私はそれについて今、コメントするんではなくて、そういった議論はいろいろあるでしょうけれども、今、ここで提起されている問題は、最初のテーマとは全然違う議論の設定の仕方になっているんで、間違って進んでいるんではないかということを申し上げているわけです。
○森田座長 どうぞ。
○横倉委員 前回、事務局にお願いしたと思うんですが、評価の比較の指標として何を持つべきかということについて、今、齋藤先生にいろいろと御意見を述べていただきましたが、そのときに、もし査定の金額をベースとする場合、それにかかるコスト、いわゆる固定費用と変動費用といいますか、査定の額が大きいためにかかるコストと、査定の変動に関係なく固定した費用がどれだけかかるかということについて、何か資料がありましたでしょうか。
○吉田保険課長 今、御質問のありましたような、きちっとした形で、本日までに整理としてはいたせておりません。ただ、これまでの議論の中において、査定に至る審査支払機関のコスト構造というものがどうなっているかという、マクロにおけるコスト構造については御議論があり-もっと詳細なる分析が必要ではないかという御意見もあったやに記憶はしておりますが-全体としての数字が出ておると承知をしております。
○森田座長 どうぞ。
○渡辺委員 高田委員に御質問したいんですが、先ほど7割が競争すべきと。これは健保組合幾つかの調査結果、高智委員もいらっしゃいますが、あるいは健保連全体なのか。要するに、健保組合として7割が競争すべきだというのは、今、高橋委員からも指摘あったけれども、どういう競争をすべきだという意味でのこの経過か、もしわかれば教えてください。
○高智オブザーバー これは健保連の事務局からアンケートしたものでございます。1,400数十の組合がございますが、返ってきた総数は約1,200組合分でございます。それに対する具体的、個別、今、おっしゃったような、どういうシフトで聞き取ったのかと、そこまではまだ明確には申し上げられないところがありますが、適切な競争、有意な競争を求めるという意向が反映されたアンケート調査結果と理解しております。
○渡辺委員 ちょっと追加で。個人的にはというか、競争させるべきかと言われれば、私も健保組合の組合員として言えば、それはさせるべきだということになると思うんですが、問題は、ここでの議論というのは、何をどのように競争させるかという具体的な姿を求めなければいけないかなというんで、別に健保連を責めているんではないんだけれども、せっかく調査なさったならば、もしその辺もわかれば、今でなくても結構なんですが、お教えいただければと思います。
○高智オブザーバー 承知いたしました。この検討会の場に御提出させていただくことといたします。
○森田座長 何か関連して御発言ございますか。
 先ほどの高橋委員の御発言ですが、問題設定が少しおかしいのではないかという御趣旨かと思いますけれども、今回、このアジェンダを出した背景には、そもそもの出発点といたしまして、国保連と支払基金が、すべてではありませんけれども、その2つがそれぞれいわば独占的な形で二重に審査をしている。両方の基準が違いますし、査定率も違う、その形自体が問題ではないかというのがそもそも指摘されていたところだと思います。
 それに対して、仕分けの方では、これを統合しろという御意見があったわけですし、他方で、規制改革の方では、もっと競争原理を入れろということですけれども、そもそも現実に、主として大きな2つが独占しているわけですけれども、それ以外に直接審査もないわけではない。制度の原点に返れば、先ほどの図で、上の方の左側になりますけれども、三者構成でもって、保険者が審査をして支払う。しかし、実質的にはそれがなかなか難しいということもございまして、支払基金、国保連がそれをやっている。しかし、原則に戻った形もないわけではない。
 そのような状況の中で、その課題をどのように整理していくかということです。統合するといいましても、それぞれ経緯がございますし、形態が違いますので、そう簡単にはいかないという話は先ほどから出ておりました。それでも、どちらかに統合する場合にはどういうことになるかという試算につきましては、前回資料を出していただいたわけです。
 ただ、あの資料、今日も出ましたけれども、ごらんなっておわかりになると思いますけれども、競争の部分については空白でございまして、これはなぜかといいますと、どことどこが何でもって競争するかということは、余りにも多様な可能性があって、そう簡単に試算ができないということです。
 その意味で、前回もそうですけれども、御議論を聞いていて思いましたのは、皆さんが競争というときに頭の中に何を想定されているかということについて、いろいろなものがあるのではないか。今回はそれを少し整理してくださいということで、この問題設定をしたわけです。したがいまして、統合の話がここでどこかへ行ってしまっているわけではなくて、それはある意味で、前回、一応、御議論いただいたところであります。勿論、残っておりますけれども。しかし、競争のところにつきましては、かなり混乱をしていたのではないか。それを整理するために、今日はこういうアジェンダを立てたわけでございます。
 特に参考として、私の方でお願いしたわけですけれども、競争の論理的な可能性、統合の方もそうですけれども、それについて見取図を出していただいた。これですべてカバーできるというわけではございませんけれども、例えば、a、b、cのところでありますけれども、審査機関を統一する場合であっても、1つの機関にするか、民間の参入を認めるか、認めないかとか、あるいは唯一の機関に民間も参加するとか、そうした形で、さまざまな可能性を考えてみたわけでございます。それぞれ御発言になる委員の方は、多分、どれかに近いものを想定して御発言されているのではないかと思っております。
 この部分の整理はそう簡単にできるわけではないと思いますけれども、ここでも1つ×がついているのがありますけれども、議論の進め方としては、例えば、可能性としてないものは排除していくとか、今、これについて、どの部分をどう議論しているのかということについて、もう少し共通するようなベースをつくりたいと思ってこれを提示したわけですので、できれば、それを参照しながら御発言いただきたいと思っております。
 したがいまして、高橋委員の御発言は御発言として、そういうふうに御理解されたということは認識いたしますけれども、一応、私としましては、今日の議論は、事務局にお願いして、こういう形で土俵を設定していただいたと思っておりますので、この辺も含めて御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○高橋委員 その四角の中に書いてある、中立・公正な唯一の組織として位置づけると。私は、統合する場合は、支払基金に寄せるとか、国保連に寄せるということではなくて、物的な資産の承継は別にして、別物、新しいものをつくるんだということでしかやれないんではないかと。その場合に一体職員はどうするのかという一番難しい問題はあるのかもしれませんけれども、新しい組織をつくるという前提で話をすれば、その組織が唯一のもので、最初のころに言いましたけれども、他の参入を許さない、独占的にやるんだということになれば、本当にそこがきちっとやれるという確実な保証があれば皆さん賛成できるでしょう。けれども、やはり何かチェックをするか、あるいは別途、通常の審査の手段を残す、独自審査の道を残していくことでないと、なかなかうまくまとまらないんではないかと思います。
 その場合に、唯一の審査機関というのは、機能としては今の直接審査のやり方と同じように、裁定者としての役割があると思いますので、独自審査で保険者と医療機関の当事者同士が話が合わなければ、裁定して決めると、そういう機能になるんだと思います。
 それと、もう一つ、それに対して、図の方で、私がさっきから言っているのは、問題設定が間違っているというのは、支払基金と国保連が競争関係というのは、そこが何かおかしいと申し上げているんで、はっきり言えば、現行法自体に私は疑問を感じているわけです。つまり、この2つの公的機関で競争させましょうと言えば、さっき言ったように、参入と脱退が自由だと、あるいは破綻してもいいんだという覚悟の上で議論しないといけないんで、そんな腹積もりは全然ないはずなんです。破綻していいなんて考えている人はだれもいないはずですから、そんなところで競争条件をどんどんやってやりましょうという議論が本当に成り立つんですかということを私は申し上げているわけです。
○森田座長 ありがとうございました。
 今の御発言である程度はっきりしましたけれども、少なくともこれまでの統合についての認識というのは、言うなれば、どちらかに吸収をして統合するというイメージだったかもしれませんけれども、そうではなくて、両方の審査部門を切り離して、新しい部門をつくるという考え方も可能性としてはあり得るのではないかということだと思います。
 ここからは個人的な発言になりますけれども、おっしゃるように、本当に競争を純粋な形で考えれば、どちらかが負けてしまう、撤退してしまうという可能性も論理的にはあり得ると思いますけれども、現実には、そうではなくて、ある意味、経営努力なり何なりの形で競争がうまく働いて共存するというのも、この世の中にはかなりあるのではないかと思います。ですから、そこのところをどうコントロールするかというのはまた次の問題になるかと思います。そういう意味で言いますと、競争原理を入れると片方が破綻してしまうという前提で考えるというのは、少し可能性を絞り過ぎているのではないかという気もします。これはコメントです。
 課長、どうぞ。
○吉田保険課長 事務局としては、価値判断をすることなく、先ほどの資料説明ではしょったところを補足させていただきたいと思います。
 「資料2」の3ページ目、論点マップを、今回、座長からの御示唆をいただいてまとめました。統合と競争促進という大きな方向性の中で、審査機関の唯一性、あるいは民間の審査機関の位置づけに関する整理等をどうするかということで、具体的には、先ほど高橋委員からお話ございました言葉、選択肢の中にございましたような、基金と国保連を統合した「新組織」-これはどちらかに片寄せするということに限らず「新組織」という表現をさせていただきたいと思いますが-唯一の審査機関として残り、民間機関の参入は認めない、統一して唯一無二の存在とするというのがaのパターンというふうに整理をしております。
 そのような形にしても、統合した公的機関と同じレベルで-1ページ目の四者の図の「審査」と書いてあるところに、同じ位置づけで民間の機関に参入される。そういう意味では、唯一ではなくなるわけですけれども、この地位に立つというのがパターンb。その際には、先ほど高橋委員からお話ございましたように、従来からの公的な判定というものがどう整理されるかという論点は残ってくるかと思います。
 それから、パターンcとしては、2つを1つにした新組織ができながらも、保険者の直接審査としての民間機関の参入という形は残る。1ページ目の四者図で言うと、保険者のパートナーとしての部分が残るということかと思いますので、先ほど高橋委員がおっしゃった言葉を私なりに伺えば「a、b、cというものについての整理が必要ではないか」という問題提起と受け止めさせていただいております。
 その後は、確かに今ある2つの組織についての統合という意味で、dとeはどちらに寄せるかという、前回の試算のときにもお示ししたような選択肢になってございますし、あるいは審査と請求・支払いは分けるべきではないかという、この会での御発言を踏まえて、f、g、hというのを書かせていただきました。審査を統合して請求・支払いを二分するというのは、現実的にも、これまでの考え方としてもあり得ないだろうということで、hは書かせていただいた上で×をつけました。
 一方、競争促進については、新請求システムを共通した上で行うのか、全体を複数のところで競争するのかというのがiとjの違いであり、現在の支払基金あるいは国保連の体系を念頭に置いた場合に、各県ごとの、いわば2系列を競争させ、かつ保険者が直接審査として行われる部分をどうするかという意味でのkと、一部-これまでの会議での御発言にありましたように、東京都にある保険者が、例えば、沖縄県の支払基金もしくは国保連がいいんではないかということで、スワップするというようなことまで認めるのかということをkとの違いとしてlを選択肢として書かせていただきました。
 これですべて尽きているのか、あるいはこの切り口以外の切り口があるかという点を御指摘いただきながら、私ども事務方としては、委員の皆様方の議論を整理すべく資料を作成させていただきたいと思っております。
○森田座長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 議論がなかなか核心に触れなくて、靴の上から足をかいているような感じが否定できないのですが、そもそも問題の出発が規制改革会議、あるいは事業仕分けから提示されたとしても、今の制度のどこが一体問題なのかということがいまいち見えないんです。漠然と公的な2つのものがあるのは非効率だ、競争させればもっといいものができるだろうという、一種の幻想みたいなものから物事がスタートしているように思うんです。そういう中での実態が、どういう部分が非効率であり、どういう部分が競争なしに安住しているのかという具体的な指摘がないと、今まで10回、いろんな現場からの御意見とか、参考人の御意見なども伺ってきたんだけれども、そういう現場に絞れたディスカッションがないと、ただ2つを競争させた方がもっとよくなるだろうという一種の幻想なんですが、もっとよくというのは一体どういう状態を指しているのか。それは、今、吉田課長がまとめてくださった審査機関が競争といっても、何について競争するのか、どういう指標で競争するのか、競争した結果、どういうふうになれば、よりよい状態と言えるのかということをもっと具体的に絞らないと、これは総論の空回りに終わりそうな気がするのでコメントさせていただきました。
○森田座長 ありがとうございました。
 高田委員。
○高田委員 この検討会の中で、先般、長谷川委員からもお話があったと思うんですけれども、いわゆる審査支払機関が高コストである、それから、審査がまだ不十分ではないかという話と、レセプトデータの活用、これが大きい論点だったと思うんですが、今、齋藤委員のお話もあったので、個別の、コストの方につきまして、私は支払基金の監事も2年4か月ぐらいやっていましたので、それを踏まえてお話をさせていただきます。
 国保連の手数料の関係はよくわかりませんけれども、今の手数料体系というものでは、いわゆる審査支払機関についてのインセンティブは働きません。支払基金は、件数×手数料ですから、言い方は余りよくないですが、入ってくる収入はもう担保されているわけです。今までの説明の中にもありましたが、重点審査をやっている。要は、全部は見られないから重点審査をやっている。これは前の理事長も健保連に来られたときにお話しされていましたけれども、今は全件を審査していないということで、そういうことであれば、審査していない部分の手数料を返していただけるのなら、まだ契約的にも納得できますけれども、今は事務手数料は全額保険者が、いわゆる国民の保険料を基に払っている。
 それから、もっと言えば、再審査の場合は、保険料、それから、診療側からも再審査を出しますが、診療側の再審査に係る事務部分につきましても、すべて保険者が事務手数料で払っておる。
 そういうこともありますので、コストの構造も見えないし、そのコストが本当に適切かどうかもわからない。それから、今ごろ、健保組合では、よく事業主から、なぜ支払基金がもっとコストを下げられないのか、なぜ変えられないのかということで、結構突き上げを食っているところもいろいろあります。競争という話でイメージされているのは、非常に行き過ぎた競争というイメージをすごいされているんではないかと思いますけれども、少なくとも私どもの普通の業界、民間の業界であれば、コストを下げながら品質を上げていくというのは当たり前ですし、それをしないと生き残れない世界でやってきておりますから、今の組織の中で見ると、まだまだそこはやっていく部分があると思っております。
 そういった意味では、厚労省の今年の4月の省内事業仕分けとか、基金の方の新サービス向上計画で給与水準の引下げとか、そういう話も出ておりますけれども、委託元である我々の方がわからないのは、委託元である我々保険者の平均の給与は、国家公務員のラスパイレスで見ても、多分、70前後だと思いますけれども、何で支払基金は国家公務員よりも高いような106であるのか、それはどういう理屈でそういうことになるのかということもやはり疑問でありますし、そこを下げていくということであれば、給与というのは労使の問題というのは原則は承知しておりますけれども、国民の保険料で運営を賄っているということを考えましたら、当然、最低でもライスパイレスを国家公務員並みの100にするぐらいはやってもらわないと、正直、事業主側も納得していないんです。個別、ミクロの話ですけれども、そういうことはあります。また、国家公務員並みにするぐらいであれば、よくある労働者の不利益変更などになるとは思えませんので、まず見えているところだけでもきちっとやっていただければ、審査の中身の話ではない、コストの部分は、少しでも納得がつくと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 長谷川委員。
○長谷川委員 3点ほど申し上げたいと思うんですが、最初に東京都国保連の御意見ということであったんですが、統合というスキームで行きますと、韓国は89年に審査支払基金は統合、保険も統合したんです。だから、審査支払機能だけの統合というのは、やることは可能であるし、国保の方で、レセがないとその他のサービスが迅速にできないというのは、不可分ではないと。工夫は多少要るんでしょうが、そこはちょっと気になった部分だと思います。勿論、迅速にできることは、今の仕組みの中で、ある種の最適な状況になっているということは私も全く反対する気はございません。
 2つ目で、競争をどう考えるかなんです。支払基金的な競争というのは、例えば、迅速だとか、効率がいいとか、支払サイトが短いとか、あるいはクレームが少ない。ただ、保険者からしますと、ちょっと違いまして、「保険者機能」という言葉があるんですが、要するに、自分たち被保険者に対して、どういう付加価値をもたらすかなんです。
 例えば、ちょっと古いですけれども、健康増進法という法律で、スチュワードシップという、いろんな力を持った方々がちゃんとした健康情報を提供して、健康的な生活習慣を確立するのをサポートしましょうという非常にいい法律だと思うんです。ただ、保険者はそれだけでは難しい。今度、特定健診できるようになりまして、しかも、それは保険者の義務ということになった。今まで、会社の情報と、例えば、健保の情報は区別して扱わなくてはいけなかった。今は、保険者が健保組合に治療の情報と健康時の健診の情報を突合できるんです。そうすると、自分たちの社員の方がどういう健康状態で、どんな健康上の問題があるのかということをリアルタイムで認識して、何かアクションを取るということが制度的にできるようになったんです。大きな進歩なんです。
 それを考えると、多分、審査支払機関のサービスの1つの競争の軸というのは、それに対するソリューションビジネスなんです。おたくの被保険者はこういう状態だから、こういったことをやったらどうですかと。競争という中に、そういった軸をより強化していくような仕組みは絶対に必要だと思うんです。
 3つ目は、高橋委員から、どうも構造がおかしいんではないかということで御指摘をいただいて、私も内閣府で規制改革の専門委員をやっているときにかなり議論させていただいたんですが、これは正式な見解というんではなくて、議論でいろんな指摘があったということで御紹介したいんですが、例えば、プレーヤーとして基金と国保連しかない。何でないのかというと、審査会が三者構成ということを考えると、ほかの民間の組織ではほとんど参入不可能なんです。そうすると、恐らく47の国保連の審査機能と今の基金しか、プレーヤーとして競争相手がないんです。
 勿論、競争というのは、どの軸を持ってくるかというのはさっき申し上げたんですが、競争していただくからには、これは退出ルールをつくらないといけない。退出ルールというのは、恐らく審査機能について縮小、あるいは、もう自分のところは審査はしない、よそに全部委託というような退出ルールだと思います。これを進めるかどうかということについて、前回、これはどっちの考え方を取るかということだと申し上げました。
 ただ、現在の健康保険法では、保険者は審査支払機関に委託することができると書いてあるわけで、これを素直に読むと、委託してもしなくても、保険者が有する権利なんです。選択するという権利が保障されている。そうであれば、自分で審査してもいいし、どこか民間に委託してもいい。これは自分の中で抱えるかどうかというアウトソースの問題なんです。それを全く別なところに、対外的にどこかへ委託するとなると、三者構成の問題からすると、先ほど申し上げたプレーヤーしか存在しない。
 ただ、前回までの議論で、三者構成がなぜ必要なのかと。これは審査の基準を決めるということと、苦情処理のいわゆる上級審機能を三者構成を持っている組織に委ねる。それに基づいて粛々と現場での業務を行うということであれば、逆に三者構成を前提としない組織でも審査を実務的にやることは可能なんです。だから、その部分で1つ、可能性は開けたかなと思います。
 ただ、それでもなおかつ大きな問題というのは、保険医療機関の事前の承認だと。これがクリアできないと、実質的にはなかなか難しいというのは、前回、私が御指摘させていただいたとおりです。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 齋藤委員。
○齋藤委員 この前までの議論で、例えば、審査、特に査定するかどうかとか、そういったような問題は上部機構を設けて、そこで公平な立場から第三者的に評価するというのはどうでしょうかという提案があったわけですけれども、国保と社保という2つの機構についても、今、高田委員から御意見あったように、人件費のコストなど、非常に多くかかり過ぎているのではないかとか、一方、アウトカムとしての迅速性とか、サービスとか、いろんな機能を2つの団体がそれぞれ抱えておられるわけです。そういうものが妥当、適切な形で機能しているのかどうかということを判定する第三者組織とか、そういうものがあれば、かなりリーズナブルな形に決着できるのかなと。とにかくどんどん人を減らせ、コンピュータも減らせということでやっていけば、公的機関としてのサービスの質はどんどん下がってきてしまって、被保険者にも、医療機関にも不満な形、そして保険者にも不満な形になりかねません。
 公的な組織が妥当な形で動いているかどうか、必要なものと、そのプロダクト、アウトカムが妥当なものとして提供されているかということを評価する第三者的な判定組織みたいなものがやはり必要で、そういう中で、ここの部分はどうしても無駄が避けられない形で介在するとか、そういう問題になったときに、競争とか、統合とか、いろんな議論があるんで、国の組織の中でも会計検査院というのが常にお金の使い方とその効果を見張っているわけですけれども、そこまで厳密なものではないとしても、上部の、あるいは第三者の評価組織みたいなものが、2つのものについてあってもよいのかなと、そういうアイデアみたいなものを出します。
○森田座長 ありがとうございました。
 高智オブザーバー、どうぞ。
○高智オブザーバー 本日、定量的な試算という資料をお出しいただいているわけでございますけれども、健保組合の代表者との懇談等を通じまして、最近、とみに声が大きくなっておりますのは、先ほど高田委員からも申し上げましたけれども、歴史的な経緯があることは存じ上げておりますけれども、審査支払いに要する手数料というのは、挙げて保険者が払っている、まさしく事業主と被保険者、両者が支払っている、そういう構造の中にあるわけでございますが、その積極的合理性はどこに見出すことができるのか、そういうような声が今まで余りなかったわけでございますけれども、明確に挙がってきているということを御紹介しておきたいと思います。
 その意味では、資料3の9ページから10ページにかけたお取り組みを着実に実行していただきたい。これは全部納得しているわけではございませんけれども、くくりとしては、是非着実な実行が期待されるということがございます。この計画の年次スパンなどを見ますと、スピード感に欠けているところもございまして、挙げて賛成というわけではございませんけれども、基本的には実施するしかない。そして、厚生労働省にも、その進捗状況の確認を是非していただく必要があろうかと思います。
 また、支払基金支部をブロック別に統合した場合の定量的な試算と、国保連をブロック化した場合の計量的な試算、これを併せて横並びで、十分な比較検討ができるような形でお出しいただくと大変ありがたい。これは従前からお願いしていることの1つであります。
 加えまして、再確認といいますか、余り言いたくはないんですけれども、ものの見方で、効率化とか重点化とか、そういう言い方をいたしますが、これを複眼的に見ますと、極めて理不尽な構造が出ていることも事実だと思っております。
 具体的に申し上げますと、初めのころの検討会で申し上げた覚えがございますけれども、支払基金で審査しておられるレセプトの総体を100といたしますと、30はいわゆる「効率化分」としてそのまま落としていると。見ていない。ですから、下品な比喩を使いましたけれども、3割増しのタクシーに四六時中乗っているが如くということを申し上げました。今もこういう状況が続いておるわけでございますが、23年4月からIT化を駆使した新たな世界が切り開けてくるわけでございます。こういった状況も、多くの保険者が重大な関心を持って見ているということを是非御理解いただきたい。
 それから、支払基金、国保連、両方に角を出してというだけではなくて、(関係者それぞれが対応すべき)環境の整備も是非必要だと思っております。これは厚生労働省にもたびたび申し上げておりますけれども、レセプト様式の本格的な見直し、例えば、各種加算の組合わせが何百通りにもなるという、果たしてこれはどういう意味があるのか、また、どのような有効活用の手段があるのか、そういったところに着目いたしますと、こういうわけのわからないようなものはどんどん廃止、整理していく必要があろうかと思っております。
 更に言いますと、レセプト病名とか、傷病名コード、そういったものを整合性ある形でレセプト上のあるべき姿に持っていっていただきたい。そうすることによりまして、コンシューマである患者、加入者が、自分の受ける医療というものの情報の非対称性というところからの乖離が進むものと思っております。これも保険者機能の一環として取り組みたい1つの事業の方向性でございます。
 以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○渡辺委員 先ほど齋藤委員がおっしゃったことは、私も前から何度か申し上げて、何が一体問題なのかということが本当に隔靴掻痒みたいなあれで、高田委員が応じておっしゃったわけですが、率直に言うと、私のこれまでの経験でも、被用者保険の中でも、支払基金に対する不満というのは非常に強い。特に手数料、あるいは人件費、もっと言えば支払基金の、民主党も指摘しているような天下りが非常に多いといったことも、支払基金に対する問題点として、これは割とクリアなんです。
 ところが、国保連の場合には、言うまでもなく、保険者たる市町村が今、全国に1,800余りしかなくなってしまったけれども、保険者が国保連といったものをある意味構成し、各都道府県の国保連の理事長には必ず市町村長が就任しという格好で、全く形態が違うし、村岡委員もいらっしゃいますけれども、保険者たる市町村が審査支払機関である国保連に対してどのような要望を持っているか。いろいろあるし、先ほどあったように、第7回の資料にもあるけれども、そういった意味では、全く当たり前と言っては当たり前なんだけれども、かなり置かれている環境が違うわけです。これを統合とか競争という一言で言おうとしてもなかなか進まないのは、そこに最大の原因があるからではないか。まず、そこを整理しないと。
 逆に言うと、国保連の場合、一体何が問題なんだということ。先ほどの飯山委員の御説明でも、中に一部入っているけれども、そしてコストの削減も入っているけれども、私の勝手な解釈で言えば、国保連にはそれほど問題ないから、こういうことをやるんだぞということにも聞こえるわけで、国保連が悪いという意味ではなくて、一生懸命やっているんだと、そういう相当大きなニュアンスの違いを、ある意味では同じレベルに置きながらやっていると、なかなか議論が進まないなという気がします。
○森田座長 もう一度、議論の土俵そのものを整理する必要もあるような気がいたしますけれども、関連して、ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ、田中委員。
○田中委員 私どもの飯山委員から、例の両審査機関を比較するのに比較要件の規格化をお願いしたいということを政府にお願いして、そういった比較要件が規格化された後の評価に対して、一定の評価機関をというお話があったわけですけれども、そのことに関連して、だれが両審査機関を比較したいかというところも1つありまして、私はひとえに比較する者が規格化された比較資料を持って判断すれば事足りるんではないかと、一面思っております。
 そこはそこなんですが、もしも評価者を決めるということであれば、両機関とも公的な性格を帯びる団体でございまして、やはり政府の指導を受けている立場にあるわけです。基金が昭和23年、国保連合会が昭和34年から審査の専門機関として存在してきている中にあって、過去の歴史をひもといても、政府が審査問題について、審査機関に対して、踏み込んで指導してきたという印象が非常に希薄なんです。そういった意味で、今回は非常にいい機会だと思っておるんです。そういったことで、公的な両機関に対する比較ということであれば、評価者は、役所で言えば、国保は国保課、それから、基金は保険課があるわけでございますから、その者がそこできちっとした評価をするということの方が、第三者の評価機関を設定するよりも妥当ではなかろうかという感じがしております。
○森田座長 どうぞ。
○齋藤委員 評価者がどこにあっても、全体の制度に合致すればよろしいのですが、保険局の保険課とか、国保課とか、そういうところに評価しろと下駄を預けられても、厚労省も困るんではないか。実態を踏まえて、ソフトに、広範に考えながらやっていく、そういうことの中で、役所がなさっても、うまくいけば、指導とか、いろんなことがあるわけですから、一向に構わないのですが、かなり広範な問題になりますので、役所の意を受けた第三者的な組織が一番自然かなという気はするんですが、あくまで役所がやるべきだという意見が役所の内外に多ければ、私はその設置の場所については特に申しません。
○森田座長 どうぞ。
○田中委員 基本的に私は評価機関が必要ないという考え方に立っているわけです。両機関を比較する者はそれぞれありまして、それぞれの者が自分のところの価値、評価基準に基づいて評価されればいいわけであって、その根っこになる比較要件というものが不徹底だから、いわゆる適正な両機関の比較がなされていないという反省の上に立っての発言ですね。基本的にはそういうことであります。
○森田座長 どうぞ。
○齋藤委員 評価というのは、評価の指標がはっきりしていることと、だれを評価者にするということで、1つは自己評価、これが非常に重要なことは間違いないですね。自分のいろんなことを見直して、ここを直しましょうとか、ほかと比べてという自己評価。そして、一般的に言えば、評価というのは、他者評価、第三者による評価というのもなければ、ほとんど成立しないだろう。試験だって、自分で問題解いて、自分で点をつけて、はい、合格というところはどこもありませんので、その辺は第三者的な評価者があってもよいのかなという気がしております。
○森田座長 ありがとうございました。
 この議論は「そもそも論」の域をなかなか出ないところがあると思いますので、冒頭申し上げましたように、ここで何らかの方向を絞るというより、もう少し御議論いただきたいと思います。
 ただ、先ほどから出ている論点もありまして、私の個人的な見解になりますけれども、整理させていただきますと、渡辺委員から、そもそもの問題は何なのかということもございましたけれども、先ほど高田委員も触れられましたが、要するに、2つの機関があって、それぞれが独占的な形になっている。そして、それぞれのところと、保険者の側は、いわば強いられた契約関係にあるわけでして、その結果、手数料その他についても不合理ではないかという思いをお持ちなったとしても、改善を要求する以外の方法はない。
 それに対して、規制改革の主張がそうだと思いますけれども、別なところが安いということになると、そちらの方にシフトすることができる。そうしますと、そこで競争が働きますから、言うなれば、保険者が移ることを望まない機関は経営努力をするであろう。そのメカニズムが働くことによって、コストが下がってくる可能性があるのではないか。勿論、そうした、ある意味で言いますと教科書的な市場メカニズムが働く前提としては、それぞれの競争が適正な形で行われるということで、いわゆる業務の質、品質がきちんと担保される必要があるということは言うまでもないと思います。
 そのためにはどうするかということが今、議論されているわけですけれども、そこのところが、競争で何を評価するのかということを混乱をしているところがあって、いわば質を下げて安ければいいというわけではない。質が必ずしも審査だけではなくて、ほかの業務との関連であるとか、組織の在り方であるとか、そういうこととも絡んでいて、そこのところの整理はきちっとできなければいけないんではないかというところが、私の理解したところによりますと、1つの議論のポイントになるのかなと思います。
 ただ、この制度そのものが、保険者と診療機関、医療機関との関係を前提にしているわけですから、それが原則で、直接審査が原則のところを、法律によって審査機関に委託することができるということになっている。したがって、そこに直接審査の余地というものがまだあるわけでして、統合といいながら、競争がそこにも入ってくるというのが少し問題を複雑にしているところではないかと思います。
 先ほど、現実の問題として、それだけの審査能力を必要とするところに民間の参入というのは考えられないのではないかという御意見もございましたけれども、実際、調剤では一部あるわけですし、むしろそちらを進めるべきであるというお考え、競争を進めるためには、そうしたところが、例えば、飛行機で言いますと、ロー・コスト・キャリアのようなところが出てくれば、それもそれとして1つ、仕組みとしてはいいのではないかという御意見もあろうかと思います。
 ただ、今日も「そもそも論」にどうしても戻ってしまうのですが、もう少し論点を整理する。1つは、現実的な可能性として、どこまで考えるか。あるいは、現実をかなり大きく変えることを前提にして、理想論で議論をするのか。両方とも射程に置く必要があろうかと思いますけれども、そこを混同しないようにすることが必要であろうと思いますし、当然のことながら、理想的に望ましい形態が幾つか考えられるとしましても、それを実現するためには相当時間がかかるということもあると思いますし、外部の環境要件がどう変わってくるかということもかかわってくるのではないかと思います。先ほども、診療報酬の加算が非常に複雑であるというお話がございましたけれども、これは審査支払いだけで決められる話ではないと思います。
 その意味で言いますと、もう少し根本的なところから制度を考えていかなければいけないと思いますし、先ほど国保連からの参考診療3にレセプトが来なくなればという表現がございましたけれども、今、私もちょっとかかわっておりますけれども、政府のIT本部では相当大規模な社会保障とか番号制度の話が進んでおりまして、いわゆるIT化によるバックオフィス連携のようなものが可能になれば、この点の問題はかなり様相を変えてくるのではないかと思います。そうした長期的な射程というものを少し考えていかなければいけないと思っております。
 ただ、本日も限られた時間の中で、この議論をこれ以上続けるのはなかなか難しいと思いますので、先ほど申し上げましたように、これにつきましては、更に御検討いただくということで、一応、この辺りで区切りにしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。御意見等ございましたら、事務局にお寄せいただければ、更にそれを次の審議のときに生かしていきたいと思っております。
 それでは、そういうことで御了承いただきまして、続いて、次の議論の内容でございます中間的な整理について、議論を進めていきたいと思います。これにつきまして、資料に基づいて事務局から御説明をお願いいたします。
○吉田保険課長 資料3を御確認いただければと思います。本日を入れて11回の議論を整理をさせていただきました。資料3の全体構成を申し上げれば、前2枚がいわば全体像、3ページ目からが個別論点。前回、前々回もお示ししましたような、個別の、先ほど来の御議論から言えば「今の審査支払機関において何が不都合なのか、どんな問題があるのか」という点において、いろいろいただきました御議論や、この場におけるコンセンサスを整理したものを、少し時間軸要素を入れて整理をさせていただいた資料でございます。
 なお、この資料3を作成するに当たりましては、本日の参考資料1としてお配りしております前回のこの場における御議論の未定稿版、あるいは、それをも溶け込ませました参考資料2、第1回からこれまでにいただきました-重ねてまいりますと非常に大部になりましたけれども-全体の御議論を整理したものを御参照いただければと思います。
 資料3でございますが、1ページ目に、まず「前提」として、患者の個別性・地域の医療体制等の尊重、国民が受ける医療に差が生じない共通の判断基準、あるいは迅速で効率的な審査支払いというものがこれまでの御議論の中であったかと思います。
 前回までの資料の一部に載せてございましたが、「目指すべき姿」としては、審査の判断基準の統一化、あるいは審査の標準化、レセプトの電子化に対応した制度、システム、審査機能の強化、効率的な制度システムというような形での姿についても、これまで御意見があったかと思います。
 「前提」あるいは「目指すべき姿」というものを整理をさせていただいた際に、3つの柱、審査の質の向上、審査・支払業務の効率化、そして統合、競争促進の観点からの組織の在り方をこれまで御議論いただいたかと思います。
 「審査の質の向上」につきましては、均一性の確保のための取組み、あるいは判断基準の差を縮小するためのITの活用、また、特別審査の対象レセプトの範囲の拡大、専門診療科に属するレセプトの審査の集約化、いわゆる上級の審査組織が一定回数以降の再審査を行う仕組みの導入などが、これまでの御議論の中で、ある程度の方向性をお示しいただけたかと思います。また、支払基金ではありますけれども、調剤レセプトの審査機能の強化という観点からの具体的なお話もあったと承知をしております。
 大きな2つ目の「審査・支払の業務の効率化」という点につきましては、コスト削減に対応した手数料の更なる引下げ、あるいは業務の効率化、保有資産の整理合理化という観点からの幾つかの御指摘。そしてシステムの共同開発、共同利用の一層の促進や、支払いの早期化ということが実務的な課題として、これまで取り上げていただいたかと思います。
 「統合、競争促進の観点からの組織の在り方」につきましては、先ほどの御議論にもありましたように、引き続き検討すべき点、あるいは「そもそも論」に臨んで、事務局としても本日までの御議論を座長の御指示をいただきながら整理をし直して、今後の御議論に供したいと思っておりますが、引き続きの検討課題であろうかと思います。
 この資料3、1ページ目においても-資料を作成させていただいた事務局として、あえてコメントをさせていただきたいと思いますのは-一番上の前提のところに「患者の個別性、地域の医療体制等の尊重」という書き方をさせていただきました。「地域の医療体制を尊重する」という点につきましては、幾つか、この会議においても御発言があり、また、いわゆる地域差というものをどう考えるか、それを審査支払機関のサービス品質というものにどのようにつなげて考えるのか、あるいは、時に審査結果を地域医療の特殊性、あるいは体制の違いに帰着されるとすれば、現実の今の審査結果の差異は必ずしもそれだけで説明されるべきものではないのではないか、などの御発言もあったと承知をしております。このような形で、この中間的整理(案)として、ある意味でこれまでの議論のまとめに「地域の医療体制等」という言葉を使わせていただくこと、あるいはこれをどのように考えるかについても、委員の皆様方で御議論いただければと私どもとしては思っております。
 2ページ目は、組織の在り方。引き続き検討ということではございますが、これまでいただきました点を整理をさせていただき、少し荒っぽく図示をさせていただいております。上の方に請求・支払いの共通のシステム基盤の構築、下の方に2つの公的審査支払機関、支払基金と国保連の相互に審査の委託が可能な環境整備というものを考えながら、それぞれ国保連、国保中央会の系統、あるいは支払基金という組織の中で、それぞれの2系統が中央レベル、あるいは県レベルで審査基準の統一化のための取組みが必要ではないか。あるいは支払基金においては、基金の1組織の中においてもネットワークを活用した取組みが必要ではないか。また、両組織系統に共通する話として、高度専門性を有するレセプトの集約化、いわゆる上級の審査組織の在り方について、これまで御議論があったことを図示させていただいております。
 3ページ目からは、個別論点ということでございます。審査の質の向上、あるいは業務の効率化、そして組織の在り方という、1ページ目において掲げさせていただきました3つの柱立ての中で、これまでの検討会の御議論と、既に動き始めている-検討会の御議論と並行して着手をしております事項もございますので-検討会設置以降、23年度、来年度というところまでを視野に、具体的なこととして考えているもの、あるいは着手されているものを事項化し整理をしてみました。大きく次の塊といたしましては、24年度以降という時間軸を置いたときに何ができるか。これにつきましては、これまでいただきました一定のコンセンサス事項においては、法令改正などが必要なもの、あるいは実務的に一定の準備期間が必要なものもございますので、そのようなことも考慮し、前回までに整理させていただいたものを見やすく再編成させていただいております。
 3ページ目で言えば、審査の質の向上について、議論の結論としましては、国民が受ける医療に差が生じない仕組み、あるいは均一性の確保のための取組みの推進、その際には、均一性に影響を与えている要因に対する目配せということがこれまでの検討会の御議論かと思います。
飛ばして5ページについて言えば、検討会の1つのテーマとして、審査におけるIT活用、そのためには、ITを活用したときの審査体制を具体的に確保していくというような御議論もあったかと思います。この中には、6ページ目にございますけれども、先ほども御指摘ございました「電子レセプトの記録条件仕様や記載要領のうち、コンピュータチェックに支障のあるものの見直し」という項目についても、今後、実務的な課題として掲げさせていただいているところでございます。
 7ページ目においては、同じく審査の質の向上という大きな柱立ての中、審査委員会の機能の強化という点について書かせていただいておりますし、8ページ目につきましては、再審査の仕組み、あるいは三者構成という点についても、これまで御議論をいただいた点の整理として掲げております。ただし、この辺りにつきましては、再審査の仕組みの改善については一定の方向をこれまで御議論としていただいたかと思いますが、三者構成の仕組みにつきましては一定の議論集約に至っておりませんので、引き続き御検討いただくことが必要かと思っております。
 9ページ目からは、2つ目の柱。審査・業務の効率化という意味では、効率的な業務運営の推進、支払いの早期化、法人運営の合理化、審査手数料の引下げ、そして審査手数料と査定率の連動という、行政刷新会議などから明示的に指摘されております項目についても挙げております。最後の点につきまして、これまでのこの会議における御議論としては、審査手数料と査定率の連動というものは査定のインセンティブにならないのではないかという御議論であったかと思いますので、そのような形で、このペーパーには整理をさせていただいております。このような観点からは、9ページ目の下の箱の1つ目の○には、運営コストの効率化、あるいはコンピュータチェックの均質化等の観点から、システムの共同開発・共同利用という議論もこれまであったかと思いますので、これについて、実務的な検討を進めさせていただきたいと思っておりますし、関係審査支払機関の方々の御協力もいただきたいと思っております。
 11ページ目からは、大きな柱の3つ目、統合、競争促進の観点からの組織の在り方ということでございます。11ページ、12ページにおいては、統合、あるいは競争促進について引き続き検討ということにしてございますけれども、統合志向という意味では、支払基金と国保連の業務の共同処理という問題、あるいは12ページ目の競争促進志向という観点からは、保険者の直接審査という課題についても引き続き御議論いただくこともありましょうし、これまでいただきましたコンセンサスを実務に落とす部分もあろうかと思っております。
 なお、先ほど、飯山委員からの参考資料3の中にもございましたが、12ページ最後、競争促進の観点からは、一番下に、24年度以降に業務制限の撤廃という書き方をさせていただいております。現在、両方の審査支払機関について、支払基金からは出産育児一時金の正常分娩分、あるいは柔道整復療養費についての審査支払業務という点について、従来から、より競争条件を広げ、イーブンにし、そして審査の質を上げるという意味では貢献できるという御提案をいただいておりますし、国保連の方からは、医療扶助の問題、あるいは柔道整復療養費の審査支払いについてということで、競争条件の均質化と審査の質を上げるという意味での御提案をいただいております。この辺り、実際に行う場合には法令的な手当てが必要という事項ではございますけれども、事務方として、この会議において、本日も含めて御議論いただければと思っております。
 少し長くなりましたけれども、これまでの11回の議論の中間的な整理(案)ということで、事務局が整理したものを御報告申し上げました。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、いかがでしょうか。一応、これまで11回にわたって御議論いただいたことについて、整理をしたということです。この検討会の場合には、全部審議して、答えを出し、それから変えていくのではなしに、逐次合意を得られたところについては改革を促していくということですし、将来的にもすべきであるということについて御意見が出た部分についても書き込んでございます。
 村岡委員、どうぞ。
○村岡委員 1点だけお願いをしておきたいと思いますが、2ページの審査の質の向上のところで、22年度から、連合会、基金の支部の方で、判断基準の統一のための県レベルの連絡協議会をということで記載をいただいておりますが、高知県の場合も、ちょうど12月の地元の医師会の会報が配付をされてきまして、それを見ますと、査定率の報道があって、これは非常に遺憾だという記載もあるんですけれども、高知県においては、既に国保連と基金の委員の皆さんの、医師会を中心として連絡会というのを立ち上げて、そこで情報交換をしながら、双方のルールを統一化をしていくという取組みもされて、そこには四国厚生支局の高知県事務所の方にも参画をいただいているということが記載をされておりました。
 そういった意味で、県レベルでの統一化というのはなされているかとは思うんですけれども、もう一方で、先日の支払基金の調査によります都道府県関連、支部間の格差という問題が、病名だけでも全く判断基準が違うといった事態がありましたから、そこのところの県レベルでの調整ということと、全国的な、今、現実にある差異をどう埋めていくかといったところの調整はどうしても早急にやらなくてはならないんではないかと思いますので、その辺りを今後の取組みの中で具体的にどうしていくのかといったところを事務局側に御検討いただいて、具体的な対策を進めていっていただきたいというお願いでございます。
 以上です。
○森田座長 それは要望ということで承っておいてよろしいですね。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 今、吉田課長から、今までの議論の中間整理をしていただいて、大変重要な項目を網羅的に示していただいたんですが、例えば、取組みの推進とか、更なる引下げとか、いろんな言葉が出ておりますけれども、それがうまくそのとおりになったかどうかということを、だれが、どのようにしてチェックするのか。さっき私が「第三者機関」という言葉を持ち出したのもそれなんですけれども、本当に推進されているのかとか、妥当な引下げが行われたのかとか、だれがどういうふうにしてそれを判定し、その結果を何にフィードバックするのか。
 つまり、妥当な引下げが行われていなかったということになったときに、だれがどのような形でそれぞれの機構に助言したり、指導したり、場合によると、それなりの強い指導を加えるとか、いろんなことが考えられるわけなんですが、今の体制の中で、こういういろんなことが挙がってきているんだけれども、本当にそういったかどうか評価する人、そして、それが達成できなかったときに、どういうことになるのかとか、そういうことがないと、単なる言葉の羅列になってしまうなというのが私の印象なんですが、いかがなものなんでしょうか。
○森田座長 その点ですけれども、冒頭に私が御了解いただいたことの中に、残された課題としまして、1つは、先ほどの組織の統合、競争の話がございますし、もう一つは、まさに今、おっしゃったところだと思いますけれども、厚生労働省審査支払機関において具体化、検討すべきものとした事項について、その進捗状況をフォローすることが必要である。それもこの検討会の当面の任務であるのではないか。したがって、これも引き続き行うべき事項として、一応、御了承いただいたと思っています。齋藤委員おっしゃるように、もし恒久的な監視組織のようなものを考えていきますと、これはまた別途議論が必要かと思いますけれども、当面、ここでこういうふうに改革していただきたいということを申し上げて、それぞれのところにお願いしているわけですので、それがなされたかどうかということについては、当分の間はここできちっとモニターしていくということでございます。
 どうぞ。
○齋藤委員 この機構でフォローしていくというのはいいのですが、物事の評価というのはフォローだけではいけなくて、例えば、極端な場合、いろいろな試験で、合格とか、不合格とか、そういうアウトカムが評価されるものに向けられなければならないわけです。だから、フォローの質が今度は問われることになるかなと思います。
○森田座長 それはおっしゃるとおりだと思います。ここでフォローしながら、そういう仕組みも考えていくということかと思います。例えば、引下げがされたかどうか、引き下げられた額が妥当であるかどうかというのは、まさにおっしゃるように評価の問題になると思います。それをどういう形でやるかというのは確かに重要なことですけれども、とりあえずはきちっと下げられるかどうか、その努力がされているかということをウォッチしていく必要があるのではないかと思っております。
 どうぞ、村岡委員。
○村岡委員 関連してですけれども、今回、こういう検討会を設置をして、いろんな議論を行って、それぞれの団体から情報が開示をされたということは非常に重要なことではないかと思います。特に公的な団体、あるいは公的な外郭団体等の情報開示というのがなかなか表に出てこない、運営の実態がわからないというところが、国民から見れば、非常に大きな問題ではないかと思います。直接的な行政機関に対しては、いろいろ情報の開示だとかが求められる、そういったルールが1点設けられておりますけれども、それ以外のところの団体に十分そういうのがないんではないかなというところが印象としてありますので、今後、チェックをするかどうかということは別にして、情報自体を解除して、比較検証ができる、そういう状況をつくり出していくことが重要ではないかと思いますので、その辺りをまたこれからの議論の中でも、皆さんの意見も踏まえて検討していく必要があるんではないかと考えております。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 どうぞ、飯山委員。
○飯山委員 現状ということで申し上げますと、国保連は先ほど申し上げましたように理事会・総会がございますので、例えば、手数料の問題にしても、そこで審議、決定されております。したがいまして、会員の各市町村保険者、あるいは組合保険者の方から、手数料をもっと引き下げられないのかという圧力は、圧力と言ったら語弊があるんですけれども、常に受けておりまして、それに応えるように一生懸命予算を編成して決算を行っているという状況でございます。
 それとは別に、もう一つ、都道府県が監督官庁でございますので、こちらから毎年指導検査を受けております。これは所管課の方ですね。それから、もう一つ、財政運営に関しても、私ども、東京の場合には、補助金を受けている関係から、東京都の監査委員からの監査も受けるというような状況で、二重、三重のチェックを受けておりまして、国保連合会としては、保険者の皆様方に開示した情報が国民の皆さんにストレートに行くかどうかは別にいたしまして、会員であります保険者の皆さんには私どもの事業内容も財務内容もすべて公開しているというような状況だと思います。
 それから、まだ数は限られておりますけれども、独自に情報公開制度を持っている国保連合会もございまして、私のところもございますけれども、実際、決算書を全部公開してくれというような請求があって公開していると、そういう事例もございますので、なるべく情報は明らかにしていくという姿勢を国保連合会としては持つということで、努力している最中でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ、遠藤委員。
○遠藤委員 中間のとりまとめということで、前提としていろいろ挙がっております。今回の議論の中で、審査の適正化とコストの削減の2つが求められるものなのかなということで言えば、その前提となっている1番目の患者の個別性とか、地域の医療体制というのがありますが、先ほどペーパーの中でも、IT化に備えてということで、レセプト様式の変更とか、いろいろ、案として挙がっていたわけですけれども、審査そのものは、重点審査ではなく、全数審査が求められているということであれば、当然それはIT化によるスクリーニングをしないと、実際にはできないと思います。IT化の中でスクリーニングされたレセプトについて審査するという形でないと、多分、電算化レセプト全数の審査を審査会の中ではできないのではないかと思います。そういったものを可能とするためにも、レセプト様式ということだけではなくて、診療報酬のルール自体をIT化に耐えられるような形でつくっていただく必要がある。
 というのは、前提として挙がっている患者の個別性とか、地域の医療体制、ここは支部間格差とか、社保と国保の差というのが出てくると思いますが、それぞれの差の中には、当然理由があってなっている部分があると思うんです。そういったものをピックアップしながら、正当な理由であれば、それはルールの中で1つの流れをつくって、それがIT化のスクリーニングなりでうまく効率的にチェックできるのであれば、もうちょっと差が少なく、かつ全数をやっても、疑義の出たものをチェックするというような形の審査でかなり効率的に行くのではないかと思います。そういったものは審査支払機関の対応だけではなくて、診療報酬のルール自体がそういったものを勘案した形で、うまく流れるような形でやっていく必要があるのではないかと思うので、診療報酬の改定ともリンクした形で審査機関の在り方を検討していただきたいと考えます。
○森田座長 確かにおっしゃるとおりだと思うのですが、どこへどのようにお伝えするのか、一応、私も中医協の公益委員をやっているんですけれども、わかりましたと言うほど簡単なことではないと思います。けれども、御要望は御要望として、厚労省を通して、しかるべきところにきちんと伝えていただければと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。
 齋藤委員。
○齋藤委員 ちょっと追加みたいなものですけれども、いろんな指標を今、お示しいただいて、それを評価していこうと。一般に評価というのは、評価しっ放しはかえって評価しないよりよくない場合もあるんですね。評価した結果を何にどうフィードバックするのかと、それをはっきり明示した上で評価に取りかかっていただかないと、あれも調べました、これも調べましたと言いながら、調べた結果がどうあろうと、それは検討事項として棚上げしましょうというようなことだと逆効果です。そういう点で、評価は、その評価の結果を何にフィードバックするかということと表裏一体、連動しているということを是非念頭に置いていただきたいと思います。
○森田座長 よく言われるところの、いわゆるPDCAサイクルをきちんと回すような仕組みが必要であるということですね。
 ほかにいかがでしょうか。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 中身ではないんですけれども、言葉の問題で、最初の前提のところに四角が2つあって、その下の方ですが、「国民が受ける医療に差が生じない共通の判断基準」、それから、3ページの四角の中の一番上ですが、「国民が受ける医療に差が生じない仕組みの確保」、ずっと行くと、最初の○の最後ですが、「医療に合理的な根拠がな格差が生じてはならない。」と。気持ちはよくわかるんですけれども、ちょっと筆がすべっているんではないかと思うんです。格差というと、査定率が高いと悪い医療を受けているという意味になってしまうんで、ここは直していただきたいと思います。「合理的な根拠がない違い」とか、「医療」ではなくて「保険診療」にしろとは言いませんけれども、これは「根拠がない違い」ぐらいにして、少し客観的なニュアンス、格差というと、査定率が高いのは悪い、そうすると何なのという話になってしまいますので、そこはニュートラルな言葉にしていただきたいと思います。
○森田座長 御注意ありがとうございました。それは訂正していただきます。
 ほかにいかがでしょうか。ほかに御意見がないようですので、本件については、本日までの議論の中間的整理といたしまして、この検討会のコンセンサスとさせていただきたいと思います。今後、厚生労働省、両審査支払機関におかれましては、適宜関係者との実務的な相談、調整を行っていただいて、着実に書かれている事項の実現を図っていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、また後でフォローをするということで、残された課題としたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、予定された時間より少し早いですが、本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。
 なお、冒頭お諮りいたしましたように、この検討会は年明け後も引き続き議論を深めてまいりたいと思いますが、委員の皆さんから、特にその方法について御意見、御注文等ございますでしょうか。
 どうぞ。
○高田委員 方法等ではないんですけれども、1つ、前も事務局にお願いしたんですが、資料はもう少し早くいただきたい。私は大体前の日に出ていますので、前々日の夜ぐらいに家でパソコンを打って、ようやく出している。当日配付というのも結構あるので、議論を深めるためには、もう少し、日程を決めておられるのは事務局なので、1週間とは言いませんけれども、4~5日前にはいただきたいなというのが本音でございますので、そこは是非お願いしたい。多分、ほかの委員の方も、早くいただいた方がいいと思うんです。よろしくお願いしたいです。
○森田座長 その思いを持っていらっしゃる方は大勢いらっしゃると思いますけれども、一言、私の方から事務局の弁護をさせていただきますと、やはりこれはなかなか大変な作業でございまして、ぎりぎりまでいろいろなところ、たとえば省内の調整とかございますし、また、割と近づいた時点で、最初の資料について、私がいろんな注文をつけたりして、それでまた混乱をさせているところもあろうかと思っております。
 そういうこともありますが、そこで、私の方から提案ではありませんけれども、お諮りさせていただきたいのは、今日の統合、競争促進の問題ですが、いずれにしましても、業務の合理化であるとか、コンピュータシステムをどうするかという話とか、かなり技術的な話が絡んでいる問題だと思います。そうした話につきまして、こういう会合を頻繁に開いて議論をしていただいてもいいのですが、皆さま、お忙しいのと、なかなか議論が収れんをしにくいところがあろうかと思います。事務局にそれをお願いするというのも、今も申し上げましたような理由でなかなか難しいものですから、皆さん方の御賛同が、あるいは審査機関の御協力が得られるならば、この検討会と並行する形で、事務局において、できれば外部の専門家にも御協力いただいて、審査を含むシステムについて、もう少し詰めた議論をといいましょうか、検討をしていただいて、それをベースにして、より効率的な形で次の議論ができるようにしてはいかがかと思っております。特に御異論がなければ、事務局に具体的な形について検討していただきたいと思いますけれども、そうした形でよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、本日の検討会はこれで閉会とさせていただきます。次回の日程は調整の上、事務局から追って連絡いただくことになるかと思いますけれども、今、申し上げましたように、そういうテクニカルな検討をしていただくということで、少し間が空くのかもしれません。それはまた事務局の方で調整をお願いしたいと思います。
 それでは、今年1年間、御協力、大変ありがとうございました。どうぞ皆さん、来年、よいお年をお迎えください。これで終わりにさせていただきます。


(了)
厚生労働省保険局保険課: 03-5253-1111(内線3249)
厚生労働省保険局国民健康保険課: 03-5253-1111(内線3265)

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