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2010年12月9日 第1回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録

健康局総務課

○日時

平成22年12月9日(木) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省省議室(9階)


○議題

1.開会

2.厚生労働大臣挨拶

3.委員紹介

4.議事
 (1)被爆者対策の概要・現状について
 (2)その他

5.閉会

○議事

○和田室長 それでは、定刻になりましたので、第1回「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。皆様方におかれましては御多忙にもかかわらず、当検討会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 開会に当たりまして、細川厚生労働大臣よりごあいさつを申し上げます。
○細川大臣 おはようございます。本日は大変お忙しい中お集まりをいただきましてありがとうございます。
 日本に世界で初めて核兵器が投下され、大変多くの被害者を出しました広島、長崎のあの事件から、もう65年経つわけでございます。今、世界は核兵器の廃絶に向けていろいろな動きが加速しておりますけれども、唯一の被爆国としての日本というのは、世界から核兵器をなくす先頭に立たなければいけないと思っております。
 そういう中で広島、長崎での原爆投下による被害者はいまだ23万人の方々が苦しんでおられます。国としては被爆者の皆さん方に保健、医療あるいは福祉の面でいろいろと援助をいたしておりますけれども、しかし、そのことが十分かどうか。これをまた考えていかなければいけないことだと思っております。
 今年8月、総理が原爆祈念日に広島へ行かれまして、原爆症認定の制度について見直しに言及されました。そういうことでこれから原爆症の認定についての見直しについて、皆様方に御検討をいただくということで、お声をかけさせていただいたところでございます。いろいろ方にお声をかけさせていただきました。この件でいろいろと大変深い見識をお持ちの知識人の皆様や、あるいは被害者の代表の方、そして自治体の皆様にも声をかけさせていただいて、今日お集まりをいただいたところでございます。大変難しい問題であろうかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いをする次第でございます。
 この会の座長には森亘先生にお願いをし、座長代理には神野直彦先生にお願いをいたしているところでございます。日本が唯一の被爆国として、被害者の皆さんに対するどのような救済ができていくのか。このことは先ほど申し上げました世界から核兵器を廃絶する、なくしていくという、日本において大変大事なことだと思っております。そういう意味で皆様方には大変な御苦労をおかけいたしますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。
○和田室長 大臣は所用がございますので、ここで退席をさせていただきます。写真撮影もここまででお願いをいたします。
(細川大臣退室)
○和田室長 それでは、続きまして今回の検討会の参集者の皆様につきまして、事務局から五十音順に紹介をさせていただきたいと思います。お手元の名簿に沿いましてお名前を読み上げさせていただきます。恐縮ではございますけれども、お名前を呼ばれた参集者の方は一言ずつ自己紹介をお願いできればと思っております。どうぞよろしくお願いします。
 弁護士の荒井史男委員でございます。
○荒井委員 荒井史男でございます。弁護士ということではございますけれども、約40年間民事を中心に裁判官を務めていまして、平成14年に退官いたしました後に弁護士登録をしております。民事の裁判経験は地裁・高裁で結構長くございましたが、原爆症関係の裁判は未経験でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○和田室長 放送大学学長の石弘光委員でございます。
○石委員 石でございます。現在放送大学で生涯学習、遠隔教育で今、特に高齢者の方々が一生懸命向学心に燃えておりますので、そういうところに適切な教育支援をしたいと思っています。
原爆が落ちたのはまだ子ども心なりも覚えておりまして、私が8歳のとき、小学校1年生のときでありまして、それを踏まえましてこういうお話をいただいたときに、我々の世代にやはり何かしらの責任があるのかなと思いまして、お受けすることにしました。経済学であり財政学でありまして、原爆症とは全く関係のない分野でこれまでやってまいりましたけれども、いろいろ学ばせていただきたいと思います。
○和田室長 大分県立看護科学大学学長の草間朋子委員でございます。
○草間委員 草間です。現在は大分県立看護科学大学の学長として、看護職の教育に当たっております。それと東京医療保健大学というところでも看護職の教育に当たらせていただいているところです。
私は現在は看護ですけれども、昭和40年に大学を卒業して以来、放射線影響、放射線防護の研究あるいは教育に当たってまいりまして、原爆とは審査会に長いこと関わってまいりました。そういったことで先ほど厚労大臣からもありましたように、23万人の被爆者の方たちが是非満足のいくような検討会の結果が出ればと思いまして、参集させいただいております。よろしくお願いいたします。
○和田室長 長崎国際大学学長の潮谷義子委員です。
○潮谷委員 長崎国際大学の潮谷でございます。前に熊本県の方で知事をしておりまして、その折に水俣病との関わりがございました。このたび原爆症に関わる在り方に関して委員を務めさせていただくということでは、私にとっては大変重いものもございますが、委員の皆様方の御意見、そしてこれまでの歴史を踏まえて原爆症認定制度がどのようにあることが大事なのか、このことを心を尽くし、思いを尽くして考えてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○和田室長 東京大学名誉教授の神野直彦委員です。
○神野委員 御紹介に預かりました神野でございます。私は東京大学の方を一昨年に退官いたしまして、現在は地方財政審議会に勤務をいたしております。
私はこの問題に関しまして全くの門外漢でございます。先ほど石先生から生まれていなかったのではないかと言われたんですが、昭和21年、既に年老いてしまったのですけれども、それでもまだ昭和21年生まれで戦後の生まれでございますので、原爆が落ちたときの記憶すらない世代でございます。石先生と同じように財政学を専攻しておりますが、専門外にもかかわらずお引き受けいたしましたのは、私が東大の学部長をしておりますときに森先生に一方ならぬお世話をいただきました。森先生を助けるようにという依頼でございましたので、幾ばくかの御恩返しができればという思いで引き受けさていただきました。よろしくお願いいたします。
○和田室長 一橋大学大学院法学研究科教授の高橋滋委員です。
○高橋滋委員 高橋でございます。専門は行政法ということで行政法一般をやって研究をしておりますが、厚生労働関係では感染症予防法の改正でありますとか、結核予防の問題について参画してまいりました。あとは所管が違いますが、環境省関係で水俣病の新たな救済策についても、専門的な立場から意見を述べることを行っております。更に原子力安全委員会の専門委員として、新しく放射線の被害に遭われる方を出さないといった観点からの規制の問題にも、関与させていただいております。今回は訴訟の問題をめぐる問題もたくさんあるとお聞きしておりますので、荒井先生と御一緒の法律の立場から関与させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○和田室長 株式会社日本総合研究所副理事長の高橋進委員です。
○高橋進委員 御紹介いただきました日本総研の高橋でございます。私は民間の研究所でございまして、経済が専門でございます。かつ、生まれも戦後が終わったと言われた昭和28年でございまして、原爆のことはよく存じ上げません。ただ、個人的には実は学生時代から随分広島には通いまして、お世話になっていることもございます。そういうこともございまして、今回は精いっぱい考えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○和田室長 日本原水爆被害者団体協議会事務局長の田中煕巳委員です。
○田中委員 御紹介いただきました田中煕巳でございます。私は13歳のとき、中学1年生だったんですが、長崎で被爆いたしました。爆心地から3.5kmでしたので、こうやって生きていることができるんですが、実は叔母、祖父、いとこだとかという5人の命を一遍に奪われてしまいました。その後いろいろ苦労がありましたけれども、東北大学で長い間、工学部で仕事をしてまいりまして、1970年ぐらいから大変つらい思いをしておる被爆者がいるものですから、何か私がお手伝いできればということで被爆者の運動に参加してまいりました。
被爆者は御承知のように速やかに核廃絶しなければいけないという思いと、自分たちの被害が戦争によって引き起こされた被害なので、これは国がきちんと責任をとって見てもらいたいという思いを持っております。その実現のために努力してまいりました。事務局長には2000年に就きましたのでちょうど10年になりますが、これからよろしくお願いいたします。
○和田室長 長崎市副市長の智多正信委員です。
○智多委員 皆さんおはようございます。長崎市副市長の智多と申します。私は長崎市で行政に携わっているわけでございますけれども、被爆2世の1人でございまして、長崎ではまだ被爆者というのが近い存在にたくさんいらっしゃいまして、現場の声というのが非常に近く聞こえております。長崎市としましては被爆者の援護と、もう一つは先ほどからお話があります平和の発信という、2つの大きなテーマを抱えながら使命を持ってやらせていただいております。この検討会に参集の機会を得ましたことを大変嬉しく思っております。皆様のさまざまな御意見を聴きながら行政にも生かさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○和田室長 日本原水爆被害者団体協議会代表委員の坪井直委員です。
○坪井委員 皆さんおはようございます。被爆者は自分の体験を語らないのがその昔あった。その一人でありますが、今日は少しだけ話をさせていただきたいと思います。
 広島で被爆しましたが、爆心地から約1kmぐらい。しかも建物の外を歩いていたので通学途中にばんと飛ばされるわけです。勿論気絶します。その関係で体中は全部やけどですから、耳なんかもちぎれておりましたし、そのような状況ですけれども、私がいろいろなことを話したいとしましても、そのときに歳は既に20歳でした。それから65年経っておりますので相当な歳にはなっておるわけです。しかし、その当時は勿論もう生きているか死んでいるかわかりません。仮治療所で意識不明になってから終戦も知りません。記憶に一切ないわけです。40日ぐらい意識不明で、シャツが焼けながら逃げましたから1時間ぐらい経ったときには上半分裸ですし、下は破れ半ズボンです。
そういうような状況で1週間ぐらいの広島の事情はわかっておりますけれども、その後のことでは、1年経ってやっと畳の上を這うようになれたんです。それまでに医者から毎日のように死の宣告をされるわけです。だから急性症状の話どころではないわけで、そういう状況であります。その後、運が強かったのでしょう、生き残っておりますが、今までに12回の入退院を繰り返し、そのうち3回は原爆投下後から10年、18年、23年経っているのに危篤状態になりまして、市民病院でも大学病院でもそうだったんですが、もうだめだ、親戚を全部集めなさいと言われたのが10年、18年、23年経っていてもそういうことが起こるのが原爆なんです。
それから後、今の状況をちょっと話しておきます。2つのがんで明日もまた大学病院へ行って検査をやらなければいけない。それに心臓病を持っておりますのでニトロを持ち歩いているわけです。再生不良の貧血症は受けて2年目にはそう宣告されました。慢性再生不良貧血症です。だからいつも貧血で造血剤をもらったり、あるいは2週間に一度今でも点滴を打っているわけです。そのようなことがあっても、私たちはどこへ出ても発言時に核兵器を廃絶し、恒久平和を求める訴えにいささかもたじろぐことはないということで頑張っております。
ちょっと長くなりましたが、被爆体験の一部を話させていただきました。なおあきらめず、あきらめることは嫌いですので、私はどこへ行ってもネバーギブアップというのを最後には押さえとして話をしております。どうも失礼しました。
○和田室長 財団法人放射線影響研究所元理事長の長瀧重信委員です。
○長瀧委員 長瀧でございます。30年前に長崎大学に内科の教授として赴任しまして、退官後は御紹介いただきました放射線影響研究所に勤めました。原爆の被爆者は当然でありますけれども、チェルノブイリの原発事故の調査にもからり力を入れまして、JCOの事故のときにも関与をさせていただきました。
 私自身の軸足は科学的、医学的な調査で、しかも国際的に発信できるレベルということでありまして、正確な情報を発信することによって核廃絶の目標に向かっていければいいと思っております。
 被爆者援護につきましても、やはり国際的に発信できる科学的な根拠に基づいて、しかも人間愛に基づいた温かい被爆者援護であり、世界の被爆者に対しても被爆国の日本でこのような援護があるということを、誇れるような援護ができればいいなと思っております。
 この機会を通じましていろいろと勉強させて、あるいは検討させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○和田室長 東京大学名誉教授の森亘委員です。
○森委員 森亘でございます。私は一応免許を与えられた医師でございますが、たまたま私が選んだ専門と申しますか、領域が病理学と申しまして、病気の理屈をいろいろと考える部門でございました。一般の医師は診察室で患者さんを拝見したり、処方箋を書いたり、手術室でメスをふるうようなことをしておりますが、私の場合には日常業務が病理解剖と呼ばれ、病院で不幸にして亡くなった方を解剖させていただくのが仕事で、それを天職と心得て現役時代を過ごして参りました。
 原子爆弾との縁ということになりますと、大学院生の時代に一夏、長崎の当時のABCCに伺って仕事をしたことがございます。その他、例えば久保山愛吉さんが亡くなったときの病理解剖を当時の私の師匠の三宅教授が担当いたしましたので、そのお供について解剖室の中に入れていただいた。その後も原子爆弾に関係する線量の測定でありますとか、また長崎と広島に祈念館をつくるときにも若干のお手伝いをさせていただきました、そのような細々とした御縁が今日まで50年ほど続いて、そして今日に至っております。何分よろしくお願いいたします。
○和田室長 最後に、神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授の山崎泰彦委員です。
○山崎委員 山崎でございます。よろしくお願いいたします。私は社会保障が専門でございますので、原爆に関しては公費負担の医療だとか手当というのが関係するのかなと思いますが、年金、医療、介護から子どもの問題までいろいろ関心を持っております。最近では介護保険部会の意見書のとりまとめをさせていただきまして、先ほど大臣にもくれぐれもよろしくお願いしますとお願いしたところでございます。
 類似の問題として中国残留邦人の問題がありまして、一昨年にその検討会に参加させていただきました。やはり同様に全国各地で集団訴訟がありました。戦争被害者としての中国残留邦人に対して国の損害賠償を求める訴訟でございました。一応検討会としては一般の戦争被害者とは異なる特殊な状況に着目して、解決策を提案させていただき、ほぼそのまま国がそれを受け入れてくれました。訴訟団の方たちも取り下げということでございまして、最近その後の状況について中国残留邦人の方々にアンケート調査をしたところ、詳しくは見ておりませんが、たしか新聞の見出しでは8割の方が日本に帰ってよかったというアンケートに対する回答をしておられます。同じような解決策が考えられないかどうかということなんでございますが、どうなりますか私も全くどうしていいかわかりません。
 戦争被害に対する国家補償的な側面もありつつ、しかし一般の戦争被害者とは異なる特殊な状況、その辺のバランスをどうとるのかなという感じがいたしております。よろしくお願いいたします。
○和田室長 本日、広島市副市長の三宅吉彦委員は御欠席でございます。
 続きまして、厚生労働省側の出席者を御紹介申し上げます。
 健康局長の外山でございます。
 大臣官房審議官の篠田でございます。
 私は健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室長の和田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 この会議の座長につきましては、あらかじめ大臣から森委員にお引き受けいただくようにお願いをしております。また、神野委員に座長代理をお願いすることといたしました。よろしくお願いいたします。
 それでは、これより先は森座長に議事進行をお願い申し上げます。
○森座長 それでは、再び簡単なごあいさつをさせていただくのがよろしいかと存じますが、先ほど大臣もおっしゃったように、このたびこの検討会の座長を仰せつかりました。このような御下命は大変光栄とは存じますが、正直申しまして、いささか私には荷が過ぎるような気持ちであります。
 先ほど申し上げましたように、私はこの50年ほどの間、極めて細々と原子爆弾あるいは被爆者の方々との御縁が続いておりましたけれども、ただ私は決して原爆被爆、放射線障害に関する専門家ではございません。どちらかというと一般的な医学を心がけてまいった人間でございますので、そういった一般的な医学常識という観点から、できれば全体を進めさせていただきたいと存じます。果たしてお役に立つかどうか大変自分自身疑問に感じているところでございます。
 そうは申しましても実際にこの検討会の結果と申しますか、いい成果が得られるかどうかということは、これは一にかかって委員の方々皆様方の英知におすがりすることでございまして、どうか皆様方できるだけ御自由に、どんなことでも御発言をいただき、そして何とか私ども全員の知恵を絞って、最終的にはいい結果を当局に御報告できればよろしいと考えております。
 どうか委員の先生方には御理解と御協力をいただきますよう、心から、改めてお願い申し上げます。
 それでは、座りまして進行を務めさせていただきますが、実質的な審議に入ります前に、やや一般的なことではございますけれども、一つお計りしたいことがあります。厚生労働省でいろいろな会議を開かれるとき、原則として「会議は公開する」という方針をとっておられるようでありますので、この会議についても、議事録あるいは資料といったものは、原則公開ということで進めさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。委員の方々、御異論ございませんね。
(「異議なし」と声あり)
○森座長 ただ、これは私の半ば個人的な考えでございますが、一般に議事録など正式なものとして、例えば印刷物にして外部にも公開するときには、必ず一応は発言された内容を各自お目通しいただき、御了解をちょうだいするのが世の中の慣例かと思います。人間のことでございますから話し言葉というのはそのまま文章にすると、意味不明といったこともないではありませんし、ホウソウの世界 —これは決して法律での「法曹」ではございませんで、テレビ・ラジオの「放送」の世界— では使ってはならないとされているような言葉も、つい私どもがうっかり使ってしまうことがないとは言えません。時にはこのようないろいろの言い間違いもあることと存じますので、ここでの録音あるいは速記録そのままに関しては、一言一句までその発言者の責任を問うものではないという、その辺りの御了解も、これは事務局の方に併せてお願いできればと思いますが、いかがでございますか。よろしゅうございますか。
○和田室長 今、森座長からもお話がございましたけれども、議事録は原則公開とさせていただきますが、公表に当たりましては委員の方々に御確認をいただいた上で公表させていただくということで、そのようにさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○森座長 それでよろしゅうございますね。原則として公開ということで、今後会議を進めてまいります。
 御承知のように本日は第1回でございまして、「顔合わせ」といった要素も1つあろうかと思いますが、その点に関しては今それぞれ短時間ではありますが、各委員から簡単な自己紹介を賜りました。何よりもこうして直接お目にかかってお顔を拝見できたということが、少なくとも私にとって、あるいは我々にとって大きな収穫であろうと存じます。皆様方から御協力をいただいたおかげで、まだ予定した時間にはかなりのゆとりがございます。これからの進行といたしましては第1回でありますから、どちらかというとこの制度、この決まりの過去に関して、あるいは現在に関して、歴史なり現状といったことを中心に事務局から御説明いただき、恐らく資料についてもいろいろ御説明があると思います。その後、委員の方々から自由に御質問いただく、あるいは御発言をいただく。まずは今日の仕事として、そういうことを考えておりますが、よろしゅうございますでしょうか。何か事前に御注意いただくことがあれば喜んで承りますが、よろしゅうございますか。
 それでは、くどいようでありますが、今日のこれからの主な仕事は先ず事務局から原子爆弾被爆者対策の概要、若干の歴史、現状といったことについて御説明をいただく。そして委員の方々から御自由な御発言いただくということで進めさせていただきましょう。
 事務局からの説明に入ります前に資料の確認なり簡単な説明をお願いしてよろしいですか。
○和田室長 まず、お手元の資料について御確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第、委員名簿、座席表に続きまして、資料1「原爆症認定制度の在り方に関する検討会開催要綱」。
 資料2「原子爆弾被爆者対策について」。
 資料3-1「被爆者対策に関するデータ」。
 資料3-2「平成17年度原子爆弾被爆者実態調査 調査結果の概要」。
 資料3-3「『平成17年度原子爆弾被爆者実態調査』の解析等報告書」。
 資料3-4「手当状況別被爆者の状態」。
 資料4、田中委員提出資料。
 参考資料1「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」。
 参考資料2「原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律」。
 参考資料3「新しい審査の方針」。
 参考資料4「原爆被爆者対策の基本理念及び基本的在り方について」でございます。
 資料に不足、落丁がございましたら事務局までお願いをいたします。
○森座長 ありがとうございました。突然の、しかも大量の資料でありますが、少なくともお手元に全部行きわたっておりますでしょうか。もし欠落がありますればおっしゃっていただければ、事務局から補ってくれると思いますが、よろしゅうございますね。
 それでは、資料の確認を終えたとし、次に事務局から一般的な御注意と資料の説明に入っていただいていいでしょうか。
○和田室長 それでは、少しまとまったお時間をいただいて、資料について説明をさせていただきたいと思います。
 資料1は検討会の開催要綱でございます。目的のところだけ簡単に説明させていただきます。平成21年12月に法律、ここでは「原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律」ということで、法律が成立いたしました。この法律の附則において、原爆症認定制度の在り方について検討するという旨が規定されました。そして、今年8月に総理から原爆症認定制度の見直しの検討を進めるということが表明されたところでございます。こうしたことを踏まえまして、今回厚生労働大臣の主催によりまして、この検討会を開催することにしているものでございます。
 構成員、運営方法等につきましては説明を省略させていただきます。
 資料2が原子爆弾被爆者対策についてでございます。こちらを少しお時間をいただいて御説明をさせていただきたいと思います。
 「1 被爆者援護施策の沿革及び概要」でございます。2ページが原子爆弾の被害及び被爆者対策の沿革ということで、現在の被爆者対策につきましては一番下の方にありますけれども、平成6年12月に制定されました被爆者援護法という法律に基づきまして行われているところでございます。この被爆者援護法につきましては平成6年に制定されたものですが、それ以前の経緯について若干申し上げさせていただきますと、昭和32年3月に原爆医療法という法律が制定をされまして、そこで健康診断、認定疾病に対する医療の給付といったことが行われました。
 昭和43年5月に原爆特別措置法という法律が制定されまして、これは手当の支給等について定めた法律でございます。
 それ以降の動きでございますが、昭和55年12月に被爆者援護法制定の源となる報告でございますけれども、原爆被爆者対策基本問題懇談会の報告が出されております。この報告書の中身につきましては全体は参考資料4でお付けさせていただいておりますが、そちらは時間がないので省略させていただくとして、この内容を抜粋して申しますと、被爆者の受けた放射能による健康障害は、一般の戦争損害とは一線を画すべき「特別の犠牲」であり、広い意味における国家補償の見地(被害に相応する「相当の補償」)に立って、被害の実態に即応した対策を講ずべきという形で、これは原爆被爆者対策の基本理念、基本的な在り方について、この報告書で報告がされているところでございます。
 昭和56年6月に特別措置法が改正されまして、医療特別手当、こちらは今、原爆症の認定を受けた方に支給されている手当でございますが、この手当が創設されております。
 平成6年12月に先ほど申し上げたとおり被爆者援護法が制定されましたが、そこで原爆医療法と原爆特別措置法を統合するような形で、法律が制定されております。以後、この法律に基づいて援護施策が講じられているところでございます。
 3ページ、原子爆弾被爆者に対する援護の仕組みでございます。上の囲みにございますが、基本的な考え方といたしましては、被爆者の方が受けた放射能による健康被害という他の戦争犠牲者には見られない「特別の犠牲」に着目して、国の責任において医療の給付、各種手当の支給等、総合的な保健・医療・福祉施策を講じているものでございます。
 被爆者の方につきましては被爆者の範囲ということで、その下の囲みでございます。現在被爆者ということで被爆者健康手帳の交付を受けていらっしゃる方、手帳をお持ちの方が約22万8,000人いらっしゃいます。被爆者の方でございますが、1のように原爆投下の際に被爆地域にあった方、2のように入市された被爆者、3の救護被爆者。このほかに胎児被爆者の方もいらっしゃいますが、こうしたカテゴリに入る方について被爆者ということで被爆者健康手帳の交付を受けた方ということでございます。
 この被爆者の方につきましては、一番下の方に援護措置ということで書かれておりますけれども、医療費の無料化であるとか、一定の要件を満たした方につきましては各種手当の支給、健康診断の実施、福祉事業の実施といったことで援護措置が行われているところでございます。
 真ん中の囲みでございますけれども、被爆者の中でも原爆症の認定を受けた方は現在医療特別手当(月額137,430円)を支給されておりまして、支給対象者は約6,400人となっております。原爆症認定の詳細につきましては、またこの後の資料で説明をさせていただきたいと思います。
 4ページ以降が「2 原爆症認定制度の概要」でございます。
 5ページが現行の原爆症認定制度の概要でございます。少し説明が重なりますが、一番下が先ほど申し上げたとおり被爆者の方、被爆者健康手帳の保持者で約22万8,000人ということでございます。この被爆者の中で健康管理手当という手当、月額33,800円の手当を受けていらっしゃる方が約19万6,000人いらっしゃいます。健康管理手当につきましては造血機能障害であるとか、肝臓機能障害といった一定の疾病にかかった場合に支給されるものでございます。この中で更に原爆症の認定ということで認定をされた方については、医療特別手当(月額137,430円)ということで支給をされております。
 原爆症の認定の要件につきましては、1として疾病が原爆放射線に起因すること(放射線起因性)、2として現に医療を要する状態にあること(要医療性)ということについて、厚生労働大臣が認定をしております。放射線起因性につきましては平成12年に松谷訴訟という訴訟がございまして、そこで最高裁の判決が示されております。その中で高度の蓋然性が必要であるという考え方が示されているところでございます。
 6ページは原爆症認定の要件についてでございます。上の方は法律上の条文ですので説明を省略させていただきます。下の要約したもので説明をさせていただきますが、真ん中の○、原爆症認定、医療特別手当を受けられる方につきましては、放射線起因性と要医療性の2つの要件が必要であると解されております。一方、下の○ですが、健康管理手当につきましてはこのような因果関係があることを要件とするわけではなくて、放射線の影響によるものでないことが明らかでないことを要件として定めているものでございます。
 7ページは原爆症認定手続の概要でございます。厚生労働大臣が原爆症認定を行っておりますが、認定を行うに当たりまして疾病・障害認定審査会(原子爆弾被爆者医療分科会)の意見を聴かなければならないということが、法律上定められております。我々は医療分科会と呼んでおりますけれども、医療分科会の分科会長につきましては谷口先生にお願いをしておりまして、分科会の委員の方は今33名、放射線あるいは法律等の専門家などによって構成をされております。分科会は月1回のペースで開催しておりますが、分科会の下に更に6つの部会を設置して審査を行っていただいているところでございます。
 原爆症の認定審査につきまして、審査の方針というものを目安として審査をしていただいておりますが、この内容につきましては後ほど説明をさせていただきたいと思います。
 8ページは被爆者対策全体ということで、手当等の一覧ということでお示しをさせていただいております。1は医療等の給付ということで、こちらは医療費の支給でございます。2は諸手当の支給ということでございます。1で411億円、2で1,024億円という予算額となっております。
 さまざまな諸手当が支給されておりますが、マーカーで引いたところが先ほど申し上げた医療特別手当、健康管理手当でございます。そのほかにさまざまな手当、施策が講じられているところでございます。
 9ページは健康管理手当の趣旨についての資料でございます。健康管理手当につきましては昭和43年から支給を開始したところでございます。当時は月額3,000円でスタートいたしまして、支給対象も限定をした形で支給をしておりました。現在は月額33,800円ということで、被爆者で一定の疾病を持つ方について、ここで支給期間につきましても疾病により3年から無期限ということで、所得制限なしで支給しているものでございます。
趣旨につきましては上の方の囲みでございますけれども、出費の内容につきまして、これは創設当時の説明でございますが、栄養補給費、保健薬費等の出費ということでございまして、一般の生活の安定まで期そうとするものではないという説明となっております。
10ページは健康管理手当ということで、これは対象疾病についての資料でございます。この下にある11の障害を伴う疾病にかかった場合に、月額33,800円の健康管理手当が支給されているところでございます。
11ページは原爆症と認定された方に支給されております医療特別手当についての資料でございます。こちらは昭和56年から創設されたものでございまして、当時98,000円でスタートして、現在は月額137,430円となっております。支給対象につきましては当時から原爆症の認定を受けた方ということで支給をされているものでございます。
若干経緯を申し上げさせていただきますと、この医療特別手当につきましては上の方の趣旨に書いてありますとおり、特別手当と医療手当を統合して、認定被爆者の特別の事由を満たすという趣旨でございます。医療手当というのは下の方に、昭和32年からでございますけれども、医療に関連して慰安の手段を与えることにより精神的安定を図り、幾分でも治療効果の向上を図ることを期待するものという、当時の説明がされておりますが、こうした医療手当というものが支給されておりました。
特別手当ということで昭和43年から、認定被爆者を対象とした手当ということで手当が支給されておりまして、こちらは医療面における措置を図ると同時に生活面の安定を期するということで、総合的に被爆者の福祉を図るということで支給されたものでございます。これを統合した形で昭和56年に医療特別手当が創設されたという経緯となっております。
少し説明を端折らせていただきますが、12ページ以降は「3 原爆症認定に関するこれまでの経緯」ということでございます。
13ページがこれまでの原爆症認定に関する経緯ということでございます。少し年表的に書かれておりますけれども、一番左の方、先ほど少し申し上げましたが、平成12年7月に松谷訴訟という訴訟がございまして、そちらで最高裁判決が示されております。放射線起因性につきましては高度の蓋然性が必要であるという基本的考え方が、この判決の中で示されております。その後、この判決を踏まえまして平成13年5月に原爆症認定に関しまして審査の方針を策定いたしました。その後、平成15年4月以降、原爆症認定を求める集団訴訟が提起をされておりまして、平成18年5月以降、下級審で認定を認める判決が相次いだところでございます。
こうした動きを受けまして、平成19年8月でございますけれども、当時の安倍総理が原爆症認定について専門家の判断の下に見直すという指示をいたしまして、これを受けまして厚労省の検討会、また、当時の与党PTで検討が行われてきたところでございます。最終的には平成20年3月に新しい審査の方針を決定いたしまして、平成20年4月からそれによって審査を開始しているところでございます。
新しい審査の方針につきましては平成21年6月に若干改定を行っております。平成21年8月、集団訴訟につきましては長期に訴訟が及んだということ、また、被爆者の方々が高齢化をされているという原告の方々の状況も考慮いたしまして、集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書に署名がされたところでございます。その後、この確認書に基づきまして昨年12月に基金に関する法律が成立いたしまして、今年1月には被団協・原告団・弁護団と厚生労働大臣との定期協議が開催されているところでございます。
14ページが今、申し上げました平成20年4月から審査を行っております、新しい審査の方針による原爆症認定の仕組みでございます。この認定に当たりまして法律上の要件であります放射線起因性、要医療性について判断をするに当たっての基準ということでございます。上の放射線起因性の判断に当たりましては、積極的に認定する範囲ということを定めております。これにつきましては被爆地点が爆心地より3.5km以内であるとか、あるいは100時間以内に爆心地から2km以内に入市したとかいった要件に加えまして、ここにあります以下の7疾病に罹患した場合に、積極的に認定するという仕組みになっております。右の方になりますけれども、これ以外の申請の場合についても起因性を総合的に判断するとなっております。
下の方に要医療性とございますが、これにつきましては疾病の状況に基づきまして個別に判断をしていくということでございます。
15ページは新旧審査の方針の比較ということで、以前の審査の方針、これは平成13年5月に策定されたものでございます。こちらの考え方を若干申し上げさせていただきますと、基本的考え方として当時は原因確率といったものを目安としておりました。原因確率というのは疾病の発生が原爆放射線の影響を受けている蓋然性があると考えられる確率ということでございます。これは性別、被爆時の年齢、被爆線量といったことによって疾病ごとに算出をしておりまして、原因確率50%以上であれば一定の健康影響を推定して認定する。10%未満であれば可能性が低いものと推定するという形で、原因確率という概念を用いておりました。
そうした形で旧審査の方針は構成されていたわけですけれども、その後、先ほど申し上げましたとおり、専門家の御意見などもいただきまして、原爆症の認定基準につきましては緩和をされたということでございまして、その方針が新しい審査の方針ということで、平成20年4月から運用を開始されているということでございます。
この新しい審査の方針によりまして、原爆症の認定につきましては認定件数が大幅に増加したところでございます。これが16ページでございます。原爆症の認定件数でございますけれども、20年度以降、飛躍的に増加をしているという数字を挙げさせていただいております。
17ページは近年の原爆症の認定件数、却下件数につきましても挙げさせていただいております。認定件数、却下件数とも20年度以降大幅に増えているところでございます。特に20年度につきましては認定が急増した。その後21年度以降、却下件数につきましても急増している状況になっております。これは先ほど申し上げましたとおり平成20年4月から新しい審査の方針ということで、審査がスタートしたということ、それから、申請件数そのものも大幅に増加したという状況、そうしたこともあってこのような状況になっているということでございます。
平成20年4月から新しい審査の方針の下で認定できるものを1人でも多く、1日でも早くという姿勢で進めてまいりましたけれども、最近の状況を申し上げますと、認定、却下で申しますと、むしろ却下件数の方が多くなっているという状況でございます。審査の方針そのものを変えているわけではございませんが、認定できるものについては1日でも多く、1人でも早くということで進めてまいりましたけれども、結果として却下となっている案件につきましては、申請につきまして慎重な審査が必要であったとか、あるいは申請の資料がなかなか整わなかったとか、そういった事情があったこともございます。そういう中で時間の経過に伴って却下になる件数が増加している状況でございます。
18ページ以降は「4 原爆症認定における行政認定と司法判断の乖離」の資料でございます。
19ページは原爆症認定における行政認定と司法判断の乖離ということでございます。こちらはいわゆる行政の認定、これは先ほど申し上げましたとおり審査の方針に基づきまして審査をしていただき、最終的には厚生労働大臣が認定するというものでございます。こちらにつきましては医療分科会において最新の科学的知見に基づきまして、科学的合理性に基づいて審査をしていただいているところでございます。
一方で司法判断ということで裁判にかかっている事例がございます。こうしたものにつきましては各事案の個別事情を重視して、また、個別事案の救済ということを旨にして司法判断が行われてございます。この判断との間に隔たりが生じているということでございます。
具体的に申し上げますと、行政の認定で被曝線量であるとか、あるいは疾病の特性に照らしまして放射線起因性が認められないとされたケースにつきまして、裁判では認定を認める判決を相次いで示しているというようなことでございます。これにつきましては囲みを左と右で少し対比させておりますが、一言で申し上げますと先ほど申し上げましたとおり、科学的な知見に基づく客観的な認定というところと、個別事案についての判断をしていただいている司法判断との論理の間に、隔たりが生じているのかなということがあるかと思います。少し科学的な目で申しますと、なかなか科学的には積極的に放射線による影響が証明できないという案件につきまして、また、疾病についてなかなか難しいというものにつきましても、司法判断においては行政では認定できないものが訴えを認められているようなケースが出ているということでございます。
20ページ、こちらはやや図式化したものでございますけれども、放射線の線量と影響についてということで示させていただきました。3.25kmのところで線が引いてあるかと思いますが、こちらが一般公衆の線量限界ということで1.0ミリシーベルトで、これが大体3.25km付近の被曝線量に相当するという状況でございます。
下の方に胃のX線の集団検診ということで、これが1回で大体0.6ミリシーベルトということで3.4km付近の被曝線量といった形になっています。当然爆心地からの距離が遠くなればなるほど被爆線量が逓減的に下がっていくということで、これはあくまでも初期の線量と影響についてということで示したものでございます。
21ページは行政認定と司法判断ということで、若干比較をさせていただいたものでございます。左側が行政認定の仕組みで先ほど申し上げたものです。右側が司法判断ということで、こちらにつきましては個別の事情に基づき救済を旨にしております。判決の相互間でも矛盾する判断が示されているものでございます。判旨を見ますと、放射線起因性について否定できなければ起因性ありという判断でされている場合というのが、かなり出ているかと思います。具体的に申しますと下の方に距離が3.5kmを超えているものについても、司法判断では認定されているものもございますし、なかなか科学的な知見といった見地から言うと、放射線起因性が積極的に証明できないのではないかと考えられるものについても、裁判の中では認められているという結果が出ているということでございます。
22ページは個別の事情に基づく裁判の判断ということを模式化したものです。これは勿論非常に単純化して疾病と距離ということで示したものでございますので、当然個々の事情をそれぞれ判断していかなければならない部分があるかと思いますけれども、単純化して端的に言うと国が勝っている例と、国が敗訴の例ということで、裁判の中には様々な判決結果が出ております。
23ページ以降は「5 『確認書』の署名とこれを受けた対応」ということで、最近の状況でございます。
24ページが昨年8月6日に締結されました確認書でございます。これは日本原水爆被害者団体協議会の代表の方と、当時の麻生総理との間で締結された、署名されたものでございます。内容につきましては1にありますとおり1審判決を尊重するということで、1審で勝訴した原告については国は控訴しないということで確定させる。既に控訴しているもの、1審で勝訴した原告に係る控訴については取り下げるということが1の内容です。
2として、係争中の原告については1審判決を待つことになっております。
3として、議員立法により基金を設ける。
4として、厚生労働大臣と被団協・原告団・弁護団は定期協議の場を設けるということで、今後、訴訟の場で争う必要のないよう、この定期協議の場を通じて解決を図るといった内容となっております。
この内容につきしては25ページをお開きいただきたいと思いますが、確認書を受けまして右の方に対応状況を挙げさせていただいておりますけれども、これにつきましても控訴の取下げといった措置については既に進められているところでございます。また、基金につきましても基金の法律が成立し、施行されているところでございます。4番の定期協議につきましても、今年1月に第1回の定期協議を開催したといった状況になっております。
26ページが集団訴訟の確認書までの経過と状況について挙げた資料です。かいつまんで申し上げますと、右側の円グラフをごらんいただければと思いますが、原告の方は306名いらっしゃいますけれども、このうち行政の方で認定できる方について認定済みの方が197名、裁判で争われて判決確定によって認定をしたという方が67名いらっしゃいます。残りの方、未認定の方が43名ということで、その内訳としては係争中の方が22名、基金で救済されている方が21名となっております。
27ページが基金法の概要でございます。こちらの法律につきましては昨年12月に成立いたしまして、今年4月に既に施行されているものでございます。内容につきましては政府の方で3億円でございますけれども、予算を計上して、支援事業の実施法人に基金を設けていただきまして、その基金に対する補助を行うものでございます。3億円ということで平成22年度予算で国の方で措置をしております。
この法律自体は基金の設置に関する法律でございますけれども、この法律の附則の2項で、法律第11条というのは原爆症の認定ですが、原爆症認定制度の在り方について検討を加えまして、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。このような形で検討規定が設けられているといったところでございます。
以上、資料2です。
お時間の関係もありますので、資料3をざっと説明をさせていただきたいと思います。
資料3-1は被爆者対策に関するデータということで、これは各種のデータを挙げさせていただいておりますけれども、時間の都合もございますので説明は割愛させていただきます。
資料3-2以降が原子爆弾被爆者実態調査の結果ということで、これは平成17年に実態調査を実施いたしまして、この結果について今回この検討会に合わせて公表させていただいております。資料3-2が概要で資料3-3が報告書となります。膨大な量ですので資料3-2をごくコンパクトに説明をさせていただきたいと思います。
資料3-2をお開きいただきたいと思います。飛び飛びの説明になりますが、2ページで主な調査項目、該当ページということで示しております。この調査につきましては被爆の状況、世帯等の状況、就業及び所得の状況、手当等の受給状況、健康の状況、介護、寝たきりの状況、苦労・心配していることの状況ということで挙げているものでございます。
このほかに国外調査も行っております。今回は国内を中心に説明させていただきたいと思います。
3ページで主な調査結果ということで書かせていただいております。こちらの方を若干説明させていただきます。これは平成17年当時の調査になりますので、そういう意味では時点が古い部分もございますので、その点は御留意いただければと思いますけれども、まず国内調査の概要というところの欄でございます。
性別・年齢構成ということで男女比、平均年齢でございます。平均年齢は当時で73.5歳ということでございます。
被爆の状況でございますが、被爆地については広島、長崎ということで挙げております。パーセンテージはこのようになっております。
世帯の状況、こちらも割合が高い順に2人世帯、1人世帯、3人世帯という状況になっております。
収入を伴う仕事の状況ということで、収入を伴う仕事をしている方は総数で20%ほどとなっております。
受療の状況ですけれども、これは特定の1か月間で入院した方の割合が7.6%、在宅医療2.2%、通院76.8%、入院も通院もしなかった方7.9%となっております。
被爆者のうち、在宅で日常生活を営む上で、手助けや見守りが必要な方の割合が33.4%ということで、内訳として下の方の割合となっております。Aが軽い方で、Dが重い方でございます。
少し関心の高い部分だけ御説明をさせていただいて、全体の説明を省略させていただきますが、9ページが所得の状況ということで、所得の状況につきましては1年間の税込所得額につきまして、一番多いところが100~300万円の世帯ということで36.4%、次いで300~500万、100万未満という順になっております。これにつきましては下の方に平成17年度の国民生活基礎調査ということで、60歳以上の方のいる世帯の所得の状況と比較をしております。一般の高齢者の方との比較ということでございますけれども、今回の調査につきましては、500万以上の収入のある方の割合が少なくなっているといった状況になっております。
13ページは介護の状況でございます。図13で在宅の被爆者の方のうち、日常生活を営む上で手助けや見守りを必要とする方の割合ということで、33.4%となっております。下の方の図14がその内訳ということで、一番自立度の高い方が44.6%となっていて、自立度の低い下の方の2つの項目は何らかの介助を要するとか、1日中ベッドで過ごすといった方が、割合で言うとその内訳としてはその中で14.5%という形になっております。
一般との比較ということで、これは15ページをごらんいただきたいと思います。図18で一般との比較ということで、65歳以上で年齢を合わせて比較をしております。こちらは図のとおりでして、被爆者全体で言うと39.8%、一般で言うと11.8%でございますけれども、その中で自立度ごとに見ると比較的自立度の高い項目が、被爆者の方が多くなっているという状況かと思います。自立度の低い方の2項目で見ますと、被爆者で6.0、一般で3.4となっております。
16ページは要介護認定を受けている割合ということで、こちらは17.3%となっております。
17ページは介護度別の内訳でございます。要介護1が30.6%と一番多くなっております。要支援が27.5%ということで、両方合わせると58.1%となります。
18ページは65歳以上で一般の高齢者の方と年齢を併せて比較をしております。こちらは図のとおりになっておりまして、割合としては要支援あるいは要介護1で被爆者が若干高い傾向になっております。
20ページは苦労・心配していることの状況ということで、こちらは被爆者であることから苦労をしたり、心配があるといった回答をした方につきまして69.1%となっております。内訳につきましては自分や家族の健康、老後の生活といった項目が高くなってございます。
説明を大分割愛させていただきますが、資料3-4を若干触れさせていただきます。こちらは今、実態調査について御紹介させていただきましたけれども、今回は原爆症認定制度の検討会ですので、原爆症の認定を受けている被爆者の方、そうでない被爆者の方、実態がわかることが望ましいだろうと考えまして、この調査の中では実は原爆症認定を受けているかどうかということは聞いておりませんけれども、手当種別の状況を聞いております。したがって、医療特別手当を受けている方というのが原爆症認定を受けている方とイコールでありますので、手当種別に集計を試みております。
1ページで手当種別の状況ということで紹介しております。手当を受けている方、当時の調査時点ですけれども、91%の方が何らかの手当を受給しています。このうちの88%が健康管理手当受給、医療特別手当が3%ということです。これについては先ほど申し上げましたが、平成20年4月から新しい審査の方針によりまして認定審査を開始しておりますので、現在ではこの割合というのが異なる可能性がございます。
3ページは手当の状況別の受診状況を示したものでございます。右側のグラフを見ていただくと、オレンジが医療特別手当、黒が健康管理手当でございます。入院につきましては医療特別手当が高くなっている。医科通院で言うと健康管理手当が高くなっている状況となっております。
5ページは日常生活の状況ということで挙げたものでございます。左の表を見ていただくとオレンジが見守りが必要な方ですけれども、医療特別手当の方が高くなっているということでございます。右の表は自立度別の構成割合ということで、こちらも医療特別手当の方が自立度が低い傾向となっております。
7ページは要介護認定の状況です。こちらは種別の要介護認定の状況ということで示しております。左側は認定ありの方の割合を示したもの、右側は要介護度を示したものです。全体として要介護認定を受けている割合、重い区分に該当する方の割合につきまして、医療特別手当の方がやや高くなる傾向となっております。
非常にざっとで恐縮ですけれども、そのような形でございます。
参考資料等も付けさせていただいておりますけれども、こちらの説明は割愛させていただきたいと思います。
長い説明になりましたが、以上でございます。
○森座長 どうもありがとうございました。大変たくさんの資料でございまして、ということはかなり膨大な中身がこれらの中に含まれていると思います。ある意味では突然の御説明でありましたけれども、委員の方々、何なりと御質問なり、あるいは御意見をいただくのがよろしいかと思います。幸いにして時間はまだ十分ございますので、どうぞ何なりと御発言いただけますでしょうか。
○荒井委員 荒井でございます。いろいろ詳しい説明をいただいてありがとうございました。今日の御説明あるいは先ほど来の各委員の自己紹介の中でお触れになりました、原爆との関わりをお聞きしていて、非常に責任重い仕事だなという気持ちが強く出てきたわけですけれども、この検討会で今後どういう方向といいますか、どういうスタンスで取り組んでいけばいいのかということが、私自身まだよくつかめておりません。
今日いただいた資料なり御説明の中の原爆症認定制度の在り方についての検討を行うということが、私どもの課題だろうと思うんですが、全く新しくあるべき姿を求めていくということでは多分ないだろうと思いますので、昭和20年代、30年代からのずっと長い間この原爆症問題に対しての制度の仕組みができて、それが運用されてきた。そこにどういう問題があるのかということが、まず確かめていく第一歩ではないのだろうかという気がするわけです。
新しい制度をこれからまっさらでつくっていくのではなくて、現在まで行われてきている制度がどういうものであるか、この説明を今日一通りしていただいたかと思うんですが、そこに今どういう問題があるのだろうか。恐らく司法と行政とのギャップの御説明もありましたように、その問題がクローズアップされて以降、現在の認定基準そのものがこれでいいのかという問題、あるいは救済というものが実現するまでに、裁判まで含めると大変な時間がかかっているという問題、いろいろその辺に委員の方々それぞれお感じになっている問題、あるいは行政なら行政の立場で抱えている問題というのがあるだろうと思いますので、その辺の検証といいますか、吟味というのをまず出発点でやっていただいた上で、さてこのままではまずいのではないかとか、あるべき姿に近づける方策があるだろうかということを議論していくという順番になるのではないかと私は先ほど来考えたのですが、そういう考え方なり進め方なりということでよろしいのかどうか。
今後なるべく早く結論が見出せれば、それに越したことはないわけですが、どの辺から入っていくのかということについて、少し委員の皆様方の御意見をお聞きしながら考えていきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○森座長 ありがとうございました。ただいまの御指摘はこの検討会全体としての方向性にも関わる、かなり重要な点でございます。多くの委員の方々も同じようなお気持ちをお持ちかと思いますが、事務局から、何か今の時点でお考えになっている事柄について御説明いただけますでしょうか。
○和田室長 私の方から少し事務局としての立場で申し上げさせていただきます。進め方等、当然事務局として予断を持って申し上げることが適当なのかということはございますけれども、やはり今日も御説明をいたしましたが、制度の現状、いろいろな議論をしていく中で課題なり問題点というのが挙がってくるのかなと思います。こうしたものをきちんと踏まえて整理した上で議論を進めていく必要があるのかなと考えております。
 具体的な進め方につきましては、座長とも御相談が必要ですけれども、事務局の思いだけ申し上げさせていただくと、当然これは委員の方の御意見ということもそうですし、委員以外の方の有識者の方、関係者の方々からもヒアリングといったことも行っていく必要があるのではないか。そこはこの検討会の中でも今回も幅広い分野の皆様にお集まりいただきましたが、幅広い観点からさまざまな御意見を踏まえた形での議論を十分に進めていくことが必要なのではないかと考えておりますので、事務局としてはそういう形でできればと思っております。
○森座長 今のお答えでありがたいと思いますが、私の認識に誤りがあるかもしれませんけれども、今の日本では何か不都合が起こりますとすぐ「規則が悪いんだ、規則を改正せよ」といった方向に短絡的に進みがちでございます。この検討会としては、何も一挙に法律改正とか、それに類することに向かってまっしぐらに進むのではなく、やはり荒井委員がおっしゃったようにまず現状をよく分析して、現状の問題点をよく噛みしめて、ということから始めましょうという理解でよろしいですね。
○和田室長 まさに森座長がおっしゃったとおりで、今ここで被爆者援護施策、原爆症認定についても、今、申し上げましたけれども、経緯がある制度でございます。そこを今回は幅広い委員の皆さんにお集まりいただきましたので、いろんな御意見を伺う中で課題、問題点というのも挙がってくると思いますので、そうしたものを踏まえる形で議論を進めていくというところが、まずスタートかと事務局としては思っているところでございます。
○森座長 そんなことでよろしゅうございますか。どうもありがとうございました。
○潮谷委員 長崎国際大学の潮谷です。福祉を専門としておりますので、ただいまの事務局側の説明をお伺いした中で要介護、健康状態あるいは平均年齢といったことを見てまいりましたときに、私ども委員の側で認識をしておかなければならないのは、丁寧な論議とともに高齢という状況、かつ、ある程度スピード感を持って私どもが今後の方向性を出していくという、この認識は非常に大事ではないかと思います。
 ただいままで出されました荒井委員、森委員あるいは事務局側の御説明に異を唱えるということではなくて、認識としてそういう方向が非常に大事になってくるのではないかと思います。
 以上です。
○森座長 どうもありがとうございました。草間委員、どうぞ。
○草間委員 先ほど荒井委員、森先生、潮谷先生の御発言と関係するかもしれませんけれども、この検討会の設置がもともと今年、基金の補助に関する法律に基づいて検討会がつくられたということで、検討会のミッションとしては法律第11条の認定等に関する制度の在り方と限っているわけです。確かに広く議論することも大変重要だと思うのですが、大変スピーディーにやりたい、あるいは被爆者が高齢化していることを考えると、早い時期に結論を出さなければいけないといったときに、余りミッションを広くしてしまうとなかなか議論が収束しないのではないかと思います。
 したがいまして、もともとこの検討会ができた趣旨、ミッションが第11条に関連した認定等に関することを検討するというように限定的に考えておりました。もし認定に関係することだとしますと、先ほどから御説明がありますように、例えば健康管理手当とか医療費、現物給付の場合は被爆手帳を持っていれば比較的容易に認定されるわけでして、先ほどから御説明がありましたように、大変問題なところは医療特別手当の認定がどうかということで、特に分科会と法曹界との乖離が大きいということなんだろうと思います。議論は広くしてもいいんですけれども、結論、アウトカムをどうするかというところをある程度絞っておかないと、短期間で結論を出すというのはすごく難しいような気がするんです。
法律第11条の認定等に関するところを私どものミッションにすればいいのか、あるいは行政の方はもう少し広く考えているのかどうか。その辺をきっちりしておいていただいた方がいいのではないかと思いますので、いかがでしょうか。
○森座長 ありがとうございました。確かに余り幅を広げ過ぎると際限もなく広がっていく可能性もないではございません。何か事務局からお答えをいただけますか。
○和田室長 まさに草間先生がおっしゃったように、今回は開催要綱ということでお示しをさせていただきましたけれども、そこの中にも基金法の附則の条項、その後、今年8月の総理の発言を挙げさせていただいて、これを踏まえた形での検討会というところが、この検討会のスタートラインでございます。
 我々事務局としては、是非この原爆症認定制度の在り方、検討会の表題に凝縮されているわけでございますけれども、そこを基本に御議論をいただいて、最終的には何らかの方向性を出していただければと考えております。勿論さまざまな議論が出てくると思いますので、それはいろんな議論が出てくるということを受け止めながら、最終的にミッションとして中心議題として考えていただくのは、まさに原爆症認定制度の在り方についての検討というところでお願いできればという思いを持っております。
○森座長 よろしゅうございますか。では石委員、お願いします。
○石委員 これまでこの問題に関わっていない非専門者としての感想ですが、今まで膨大な資料を御説明いただきましたけれども、過去ずっとそれなりに着々といろんなことを関係者の間でやってきたのではないか。更にこれからやらなければいけないかということは、まさに荒井さんがおっしゃったように、過去の問題点をさらってもらうというのは大事ですが、今までの説明で1つわかりにくいのは、菅首相が8月に発言されたことをきっかけになって、この検討会が新たにできたような印象を大臣もおっしゃっていましたけれども、菅さんが言った内容、あるいは菅さんが新たにこういうことをやれというような背景は具体的にあるんですか。思いつきで言われたのかどうか、そうではないと思いますが、長いいろんな意味での経緯を踏まえての御発言だと思います。
それがもしわかれば我々のミッションも、今、私なんかはうまくやってきているなと思うのに、更にこれから何かやるかということになりますと、身構えなければいけないかなという気がしないでもないので、そこを1点お聞きしたいことと、委員の方々はみんなお忙しいと思いますが、今後どのぐらいの頻度で、どのぐらいのタイムスパンで、一体どんな手法でやるんですか。毎回膨大な資料を更に深めたような資料を提供されるのか、あるいは関係者の間のいろんな御意見を聞くのか、大体の目安があれば、1年ぐらいで話を持っていくんだとか、月1回ぐらい集まるんだとか、その辺のことがわかるといいなという、以上2点です。
○森座長 ありがとうございました。最後におっしゃったように2つの事柄に関する御質問です。前半の方はややお答えにくい点もあろうかと思いますが、とにかく2点について事務局から御意見を伺えますか。
○和田室長 今日ちょっと申し上げましたとおり、原爆症認定の問題は過去いろいろ経緯のある話でございます。平成15年に原爆症認定について集団訴訟が提起された。それにつきまして裁判でずっと争われてきた中で、原告勝訴、国敗訴の判決も数多く出されてきたところでございます。こういう中で集団訴訟そのもの、訴訟を提起した方は306名いらっしゃいますけれども、306名の方につきましては昨年8月に確認書ということで締結されまして、そういう形で救済、そして訴訟の終結の方向に向かっているといった状況でございます。
 そのときに訴訟を提起された方はそういう形で救済をされているわけですけれども、被爆者全体、原爆症認定を求める方、申請されている方から見ますと、平成20年4月から審査の方針ということで認定基準を緩和いたしまして、それに基づいて行っているところでございますが、これにつきましては現に当然認定される方、一定の審査の基準の中で却下される方、いろんな方が出てきている状況でございます。そこについてさまざまな評価があるかと思いますけれども、いずれにしましても集団訴訟は解決に向かっているわけですが、原爆症認定の制度の在り方そのもの、申請をされている方に対する審査、これに関連する制度の在り方につきましては、これから更に検討していかなければならないといった状況でございまして、そういう中で今回この検討会の中で原爆症認定の在り方ということで御検討をお願いするといった経緯がございます。
それは今、私が申し上げたことに加えまして、当然開催要綱にもございますけれども、基金法ができて附則で検討を求めているものもございますし、菅総理の発言も踏まえましてきちんと幅広い分野の専門家の方に議論をしていただいて、そういう中で認定の在り方について考えていくことが必要ではないかということで、今回この検討会を設けさせていただいたという次第でございます。
○石委員 菅首相の話そのものを聞きたいんです。今まで一般的なバックグラウンドが出ましたね。それを全部受け止めて菅さんが改めて問題提起をしたということでいいんですか。
○和田室長 菅総理の発言は若干背景というか、今年8月6日、9日に毎年広島、長崎で原爆の式典がございます。そのときの菅総理のごあいさつの中で原爆症認定制度について見直しを検討するという発言がありました。これは当然これまでの経緯を踏まえた形で制度の見直しを進めるべきではないかということで、見直しの検討ということで発言があったものでございます。
 それとスケジュールでございます。今後タイムスパンということで申しますと、我々の思いといたしましては1か月に1回、場合によっては開催できない月もあるかもしれませんので、そういう意味では2か月に1回になることもあるかもしれませんが、1か月1回程度のペースでの開催を考えております。先ほど申し上げましたとおり現状について、または課題についてきちんと整理をしていくプロセスが必要かと思いますし、その過程の中で、これは事務局の思いですけれども、当然委員の方の御意見もそうでございますが、委員以外の方、有識者の方、関係者の方のヒアリングを行うことも必要だと思います。
そういう中では幅広い観点から御議論いただくということですので、委員の皆様方には勿論それぞれ精力的に御議論していただくことも必要ですけれども、一定の時間しっかりと御議論いただいて、十分に御議論いただいて、何らかのとりまとめをしていただければと考えております。
○森座長 ありがとうございました。石先生、この程度でよろしいですね。
○石委員 そうすると1年ぐらいですかね。よくわからないけれども。結構です。
○森座長 私の漠然とした印象として、石先生は今まで官民を問わず、いろいろな審議会とか委員会とかにタッチしてこられたと思うのです。ごく一般論として、ここでどういうことを注意しなさいとか、特に座長に対してこういうことを注意しろということでもありましたら、どうぞおっしゃっていただけますか。
○石委員 ございません。座長のまさに独断と偏見でお進めいただいて構わないと思います。そういうリーダーシップが実は必要なものですから、是非森先生のいろんな提案に期待をしております。余り広げ過ぎるとだめだと草間さんがおっしゃっていましたし、毎回議論を踏まえてきちんと集約することが必要だと思います。2時間ぐらいやるわけですから、次どうやりましょうというのはステップ・バイ・ステップでいろんな整理をしていくことが重要で、どんどん拡散してしまって話があちこち転がってしまうとだめなので、そこは先生よろしくお願いします。
○森座長 ありがとうございました。ちょっとこれは、若干藪蛇でもありましたね。
 ほかに何か御質問はありますか。山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 社会保障をやっている側から見ますと、原爆症の認定を受けているかどうかの違いは、医療については認定を受ければ全額国費で医療費が支払われる。一般の疾病につきましては基本的に保険が優先されて、7割なり高齢者で9割の保険給付がされて、残る3割なり1割の自己負担分が公費で支給されるということで、国の予算的にはかなり大きな違いがありますが、被爆者にとっては認定されるかどうかの違いは事実上ないと理解していいのかどうかというのが1点です。
 もう一点、手当ですが、認定を受ければ医療特別手当が137,430円支給されて、認定が受けられない、大半の方が受けておられるわけですけれども、健康管理手当になると33,800円という違いが主な違いでありまして、したがって認定を受けるかどうかによって手当に大きな違いがあるのが現実で、もしこの手当に仮に違いがなければ、事実上問題は解消されると考えていいのかどうかということでございます。
○森座長 ありがとうございました。では事務局からお答えいただけますか。
○和田室長 まず1点目でございます。これは資料の説明を飛ばさせていただいたんですが、資料2の8ページに医療等の給付ということで、少し挙げさせていただいているものがございます。医療等の給付といたしまして、認定疾病医療というのと一般疾病医療ということで2つ種類がございます。認定疾病医療というのは原爆症という形での医療を給付するということで、こちらにつきましては原爆の傷害作用に起因する疾病について、医療費を全額国費で給付をしております。
 一般疾病医療につきましては認定疾病以外についてということで、こちらは一般の被爆者の方が対象になりますけれども、医療保険の自己負担分について国費で支給するという形になっています。いずれにいたしましても被爆者の方につきましては、医療給付という形で医療費の無料化がされてございます。
 手当につきましては今日も説明を申し上げましたけれども、医療特別手当、健康管理手当ともそれぞれ経緯なり趣旨も異なっているものでございます。そういう中で健康管理手当という部分につきましては、まさに名前のとおり健康管理というところで、そういう意味で33,800円ということで支給額を定めて、これはさまざまな経緯があった中ですけれども、現在はそのような数字になっています。
 医療特別手当につきましては先ほど申し上げましたけれども、もともと医療手当と特別手当というところからスタートしているもので、特別手当の中には生活面の安定を期するといった趣旨も含めて当時設定していたもので、これも経緯があって徐々に支給額が増額されてきたというものでございます。それぞれ手当の経緯、趣旨それぞれ違いますので、額の差というのはそれぞれ出てきているわけでございます。そういう意味でこれも被爆者対策の経緯がある中で今のような形になっているということで、その結果として137,000円と33,800円といった数字になっているということでございます。
○森座長 そんなことでよろしゅうございますか。
○山崎委員 はい、結構でございます。
○森座長 長瀧委員、どうぞ。
○長瀧委員 先ほども科学的、医学的な立場からと申し上げました。ただ、科学的には確実な根拠もあるし、不確実、不明というところもあります。例えば目の前にいる1人の肺がんの患者さんの原因が放射線なのか「たばこ」なのかということは、現在のどんな医学的な方法をもってしても、確実に「たばこ」のせいであるとか、放射線のせいであるとは言えません。ところが、裁判などでは特定の個人を放射線に起因する病気だと言っておられますが、それは科学的には確実に言えない範囲になります。
私の立場から言いますと、科学的に不明不確実なところまで科学的に認められるということを科学者以外の方がおっしゃっているのは、どうも納得できないという感じであります。もし科学的に不明不確実なところについて意思を決定されるのであれば、司法なら司法、行政なら行政、その他政治的にも、立場をはっきりさせて論点をはっきりさせて、自分はこういう理由で意思を決定したと言っていただきたい。そのときに科学的に不確実不明なところを科学的に認められるというような言い方をしていただきたくないということであります。そういう意味で認定について司法の方、行政の方でお考えが違うところもありますので、その辺をこの検討会で伺えれば非常にありがたいと思っております。立場について一言だけ申し上げました。
○森座長 ありがとうございました。それは特に事務局に対する御質問ではないですね。
○長瀧委員 質問ではありません。質問としては一体どれぐらいの頻度でどれぐらいの期間をお考えかということは事務局に聞きたかったんですが、先ほどお話がありましたので。
○森座長 今、御指摘のあったところは国際的な評価とか、国際的な信用にも関わってくる問題だと思います。これは恐らくこの検討会で今後議論が進むにつれて当然話題になることだと思いますから、ご質問に対するお答えはそのときでよろしいですね。
○長瀧委員 勿論結構です。国際的に被爆の状況を発信するときには、それなりの根拠を持って発信すべきである。被爆国として国際的に信用されることが大切であるという気持ちを申し上げました。

○森座長 ありがとうございます。大変重大な問題点を御指摘していただいたと思います。智多委員、どうぞ。
○智多委員 私は長崎の方から参っておりますので、その立場で質問としましては今の御質問と同じでタイムスケジュールを聞きたかったんですけれども、そういう話は済みましたので、いずれにしてもなぜかと申し上げますと、私どもも国の方に広島、長崎の議会も含めましてずっと要望しておりますことが、現実問題として被爆者の方が高齢化されているということで、高齢化されている被爆者の救済という立場を外さないということで、その在り方を検討されたいということで、早急に結論がここでは必要ではないかということを、地元の意見として私がまとめてお話させていただきたいと思っております。これは答弁をいただきたいとかいう問題ではございませんが、1つの検討のスタンスとして、そういうところを外さないでいただきたい。
 もう一つ、審査の問題が非常に厳しいということで、改善策を今、立てていただいているんですけれども、速やかな審査というのが現地では非常に重大な問題な問題になっておりまして、そういう面も含めましていろいろ御意見をいただければ大変ありがたいと思っております。
○森座長 ありがとうございました。これもどちらかと言うと、こういう点を大事にしてほしいという御要望ですね。事務局どうぞこういう御発言があったということをテイクノートというのか、とにかくメモをしておいてください。
 ほかにいかがですか。田中委員、どうぞ。
○田中委員 私からもいろいろな要望を申し上げたいと思っているんですけれども、石委員からの質問に事務局はちゃんと答えていらっしゃらなかったようですので、私が申し上げますと、菅総理が発言される前に、この1月に厚生労働大臣が私どもとの定期協議というのを開いているんですが、その定期協議で原爆症認定制度は法律を変えることも含めて抜本的に検討しなければ、解決ができないという発言をされたんです。それが根拠になっていて、政府として抜本的な改善をするという方針を総理が8月に出されたという背景だということでございます。
 山崎委員からも御質問がございましたけれども、手当が医療特別手当と健康保険手当の差がうんとある。それがなくなれば認定制度の問題はなくなるのかという御質問でございましたが、なかなか難しい質問です。私ども被爆者の立場からしますと、自分の病気を政府が原爆による病気だと言ってほしいという気持ちがあるんです。勿論手当があればいいんですけれども、それだけではなくて、そのことを言ってほしいという気持ちがありますので、それを重く見ていかないといけないかなと私どもは思っております。
 今日は私が最初なものですから、これから討議を進めるに当たって皆さんに御意見を申し上げたいと思っていたんですが、時間的に大丈夫ですか。お配りしてありますので読んでいただいてもいいんですけれども、そんなに長くないのでちょっと読み上げさせていただきます。その上で私どもは提案もさせていただきたいと思っております。
 「原爆症認定制度の在り方に関する検討会の論議に当たって」。
 人類史上未曽有の原爆の被害は戦争によってもたらされたものです。地球上でこの世の地獄を現出した原爆被害は、原爆が放出した放射線、熱線、衝撃波・爆風によってもたらされた複合的かつ総合的被害です。原爆の被害と人間の苦しみは「その時」にとどまらず「被爆者の一生」「次々世代にわたって」続いています。私たちはその被害に対して国が補償すべきものと考えております。
 日本被団協は結成以来、国家補償に基づく援護法の制定を求めてきました。国家補償の対象とすべき被害はいのち(生命)、からだ(身体)、こころ、くらし(財産、家族、社会、職場)のすべてにわたります。
 しかし、政府は原爆被害に対する国の保障を拒み続けてきました。この姿勢は被爆者対策基本問題懇談会の意見によって理念化されて現在に至っております。
 原爆症認定制度の在り方を検討するに当たって、改めて原爆の被害は何だったのか、とりわけ原爆は人間に何をなしたのかを問いただしながら、原爆被害に対する国の対策の在り方の一環として検討されるよう求めたいと思います。
 本検討会の主題となる原爆症認定制度は、被爆者たちを12年間も放置した後、初めて国が立法措置によって開始した被爆者援護対策の1つでした。しかし、このときの対策はわずかに2つに過ぎませんでした。つまり、原爆の放射線の影響を受けたと推定される者への健康診断と、厚生大臣が認定する疾病に対する医療費の全額負担でありました。
 このときから50余年を経た今日の生存被爆者に対する援護対策は、被爆者と被爆者を支援する人々の血のにじむような闘いで実現されたものです。また、このたびの原爆症認定審査基準の一定の改善も、7年にわたる集団訴訟によってかちとられたものです。
 医療給付を目的とした原爆症認定制度は、その後、認定被爆者に生活保障的性格を持つ「医療特別手当」が支給されるようになったこともあり、認定の在り方そのものは対象疾病の放射線起因性や、その疾病の医療を実際に行っているかが厳しく問われるようになりました。こうして集団訴訟が提起されるまでの数十年間の認定被爆者は、手帳所持者の1%にも及びませんでした。
 もともと現行法の原爆症認定制度には重大な欠陥があります。それは原爆被害が放射線、熱線、衝撃波・爆風による複合的かつ総合的被害の実態から目をそらせ、放射線被害にだけ矮小化していることです。しかも、原爆による放射線被害の正しい理解を欠いています。つまり、原爆症認定に当たって放射線被害を原爆炸裂時の初期放射線による被曝線量推定方式と、それに基づくABCCや放影研の疫学調査結果あるいは医療や研究などに用いる放射線の影響に関する知見を偏重し、しかも原爆症認定に当たってはこれらを機械的に適用しているからです。
 原爆症の放射線被害の実態は数%しか明らかになっていないと言われています。しかも、放射性降下物からの残留放射線の体外被曝、体内被曝の人体に与える影響の深刻さが次第に明らかになっており、原爆症認定集団訴訟のすべての裁判所が、判決でその事実の重要性を指摘しています。しかし、原爆症認定に当たってこれら残留放射線による被害は、ほとんど考慮されていません。
 7年間にわたる原爆症認定制度の改善を目指す集団訴訟で、司法によって原爆の放射線被害は総合的な判断を行うべきであることが明確に示されました。しかし、原爆被害を軽く、狭く、小さく見せようとする行政や医療分科会は、この司法の指摘すら全く受け入れていません。
 私たち原爆被害者は、核兵器が実際に使用された戦争の生き証人として、人類が語り継いでいくべき原爆被害の実態から政府、厚労省が目をそむけないことを強く願っています。
 私たちは原爆症認定制度は抜本的に改善すべきだと考えています。私たちは制度の改善を考える場合、直面する現実だけをみて困難をあげつらうのではなく、あるべき姿(理想)から出発して、現実的に解決する姿勢を貫かれることを望みます。
 最後になりますが、本検討会がこれまで述べてきました被爆者の実情や思いを尊重し、自主的に、かつ民主的に運営されることを願ってやみません。
○森座長 どうもありがとうございました。実はまだ発言を遠慮しておられる方が数名おれますので、もう時間がぎりぎりでございます。御趣旨はよくわかりましたから、質疑応答はよろしゅうございますね。
○田中委員 もう一つ要望ですけれども、次の運営について是非ヒアリングをやっていただいて、そのヒアリングは原爆被害全体に対する私どもからの御説明と、現在の制度の欠陥といいましょうか、こういう状態になったことについての私どもからのヒアリングを是非やっていただきたいと思っております。
 以上です。
○森座長 ありがとうございました。神野委員、何か御発言はありませんか。
○神野委員 私は専門家ではないのでとんちんかんになるかもしれませんが、今までの議論を聞いておりまして、制度を見直すというときには2つの見直しの仕方があると思います。
 1つは問題解決的見直しです。もう一つはデザイン的と言うんでしょうか、先ほどの言葉を使えば白地に絵を描くような形で、田中委員が考えておられるような抜本的な見直しと2つあるように思います。
 現実に行われるのはどうしても私たちは状況を部分的にしか否定できませんので、結果は部分的な否定になるけれども、問題解決的な対応をしようと、ビジョン的な対応をしようと、これは有機的に関連づけられなければならなくて、制度を見直す場合には一体私たちはどういう方向に進むのかという方向性を、いつも念頭に置きながら見直していくという作業をせざるを得ないかと思います。
 問題解決的な対応の際にも、ちょっと私がここに出席させていただいて戸惑うのは、解決すべき問題が何かということが明らかにならないと、私は専門家ではありませんけれども、例えば立法的に何かをやって、改正によって対応できる問題なのか、そうでない問題を含んでいるのか、あるいは判断の問題なのか。それから、山崎先生がおっしゃったような我々の考え方から言うと、可能な限り悉無律というか、オール・オア・ナッシングで大きな差ができないように、全体のユニバーサルな水準を上げていくことによって解決していくという方向をどうしても目指しますので、解決すべき問題が一体何かということを、ある程度共通の認識を形成する必要があるかなと思います。
 いずれにしても急ぐ解決であろうとなかろうと、方向性、理念をきちんと決める必要はありませんが、ある程度の方向性というものは指し示した上で、部分的に手をつけていくというステップを踏んでいくということをせざるを得ないかなと思います。ここの委員のメンバーを見てみると、私のような全く門外漢から全部含まれているということは、そういうアプローチをする場合に重要なのは部分的に、ジグソーパズルの一片だけ議論していては何も進まないので、先ほど潮谷委員がおっしゃったようなさまざまな福祉の問題とか財政の問題とか、隣接するパズルを見ながら全体像というのはなかなか描きにくいので、関連する領域を有機的に結び付けながらこの問題を考えていくという手法を、とっていくということをやらざるを得ないと思います。
したがって我々の作業というか、私なんかは少しここで勉強しなければいけないのは、何が問題なのか。解決すべき問題は何かということをまず明確にすること。その上で私たちは今さまざまな社会全体が大きな不幸に瀕しておりますので、そういう全体の中でどういう理念でもってこの問題に対応していったらいいのかという、2つのことのせめぎ合いの中から生まれてくるかなと考えています。
 以上でございます。
○森座長 ありがとうございました。これも非常に大事なところで、事務局でよくお使いになる言葉として「行政と司法の乖離」といったような、そんな簡単な一言ではなかなか説明し切れないと思います。おいおい事務局にもお願いをして、そういう問題点の洗い出しなり、あるいは進むべき方向を教えていただくことにしましょう。我々も考えます。そんなことでよろしいですね。高橋委員、どうぞ。
○高橋滋委員 先ほどから司法と行政の乖離という話が出ておりますが、その所在を明らかにするためには、現行の新しい審査の方針がどういう形で運用されているのかということを明らかにするというのが、1つ重要なことだろうと思います。
 その意味では、認定の基準は行政手続法上の審査基準としてパブリックコメントを経て策定されたんだろうと思いますが、それは後で教えていただければと思いますけれども、その中身で参考資料3です。そこに、1と2がありまして、2について1以外に申請についてもある種総合判断して決めるというところがございます。その総合判断で決めるというところの役割がどのぐらい与えられているのかというところを、私は是非知りたいと思います。そういう意味で新しい認定の際に2のところがどのぐらい使われているのか。その判断例なども是非今後教えていただければありがたいなというのが第1点です。
 それと判例との齟齬でございますので、最近の判例がこの審査基準をどう扱っているのか。要するに1そのものがおかしいと言っているのか、それとも1が難しいというのではなくて2の方で救っているのか。この辺をきちんと分析するのが司法と行政の齟齬が本当にあるのかどうか。その齟齬が広いか狭いかということは明らかにする上では重要な資料でございますので、直ちに出していただかなくても結構でございますが、ある段階でそういう資料は是非出していただきたいというのが私のお願いでございます。
 以上でございます。
○森座長 ありがとうございました。ご質問の内容を事務局は理解されましたね。
 それではもう一方の高橋委員、どうぞ。
○高橋進委員 いろいろお伺いしまして、やはり見直しの方向性、解決すべき問題点については皆さんの御意見がまだ一緒ではないことがよくわかりました。これから先ですけれども、先ほどの事務局の説明では行政と司法との乖離というところが問題だということがわかりましたが、乖離の中身については単純な問題ではなくて、極めて複合的な問題がこの中にあるということなので、これからの検討会の中で、その差が何なのか、事務局だけの説明で多分真に受けてはいけないんだと思いますから、いろんな方の話を聞きながら、その差を詰めていくことが解決につながるのかなという気がいたします。
 解決するときの落し方といいますか、そのときの考え方ですが、やはり私は真に救済すべき方を最優先に、時間と闘いながらいかに認定していくかという、そこのところを基準に据えながら答えを出していくのかなということを、今日感じた次第でございます。
 以上でございます。
○森座長 どうもありがとうございました。これも御提言ということでよろしいですね。
そうすると最後に坪井委員、お願いします。
○坪井委員 私は受ける方が強いわけですが、時間がありませんので私の思いは次回に譲ります。
○森座長 御協力いただきまして、どうもありがとうございました。
 そんなことで若干時間を超過いたしましたけれども、一応今日のスケジュールはこれで終わりでございますが、何か更にどうしても一言とお考えの方がおられましたら承ります。よろしいでしょうか。
 そういたしますと、次回以降のことはまだ事務局ともはっきり詰めているわけではございませんけれども、ここでの私の個人的な考えとしては被爆者の方々も含めて、やはり何名かの当事者の方々からいろいろと御意見を承ることに次回、場合によっては次々回ぐらいを充ててもよかろうかと考えておりますが、それについては事務局と後ほど相談しましょう。
 そのほかに事務局からアナウンスメントはありますか。
○和田室長 次回の日程だけですが、年明け1月ということで調整をさせていただきたいと思います。調整中のところもありますので日程が確定しましたら連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○森座長 どうもありがとうございました。それでは、こんなことで第1回を閉じてよろしゅうございまでしょうか。
 では、皆様方どうもありがとうございました。とにかく今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


(了)
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