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2010年12月24日 第2回管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会

厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室

○日時

平成22年12月24日(金) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省共用第7会議室(5階)


○議事

○河野栄養・食育指導官 それでは、定刻となりましたので、第2回「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会」を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、御多忙中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。本日の出席状況でございますが、委員の先生方全員に御出席いただいております。
これ以降の進行につきましては、座長の川久保先生にお願いいたします。
○川久保座長 皆さん、おはようございます。年末のお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。それでは、座らせていただいて、議事を進行させていただきます。
これから議事に入らせていただきますが、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○河野栄養・食育指導官 お手元の配付資料をごらんいただけますでしょうか。
議事次第をおめくりいただきまして、委員名簿。
資料1といたしまして「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)の見直しについて」。
資料2といたしまして「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会報告書(案)」。
以上が本日の資料となります。よろしくお願いいたします。
○川久保座長 それでは、議事を進めたいと思います。
まず議事「(1)管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会報告書(案)について」ですが、出題基準について御確認をいただいた上で、報告書(案)全体について御審議いただくことになります。
最初に、配付資料1「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)の見直しについて」に沿いまして、今回のガイドラインの改定方針を簡単に説明させていだたきたいと思います。
今回の改定では、平成14年以降の法律等の改正に準じた修正を行うことを主眼といたしまして、それとともに管理栄養士として第一歩を踏み出す際の基本的知識及び技能について的確に評価するという観点から再整理を行わせていただきました。また、平成24年3月の国家試験から新しいガイドラインが適用されることになるわけですが、現在、養成校で学んでいる学生の方が既に学んでいる内容に影響しないように大幅な項目の追加等は行わないという方針で改定を行いました。並べ替えとか科目間の重複を排除することを中心に改定を行いまして、今の学生さんが平成24年3月の新しいガイドラインに沿って出題されるときに影響しないように配慮を行いました。
なお、例えば科目を超えた並べ替えを行った例としましては、「日本人の食事摂取基準」があり、応用栄養学で基礎を出題しまして、公衆栄養学、給食経営管理論で食事摂取基準の応用を出題するというように並べ替えを行いましたのが、1つの例でございます。
それでは、次に資料2「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会報告書(案)」に沿いまして、議論をさせていただきたいと思います。まず資料2の5ページ以降、出題基準につきまして、各科目の担当者から出題のねらいとそれぞれの科目の改定のポイントについて順を追って説明いただきたいと思います。
ガイドラインの順に従って「社会・環境と健康」から説明させていただきたいと思います。
「社会・環境と健康」は私が担当でしたので、私から説明させていただきます。
「出題のねらい」は、3点ございます。
○健康とは何か、そして、人間の健康を規定する要因としての社会・環境に関する基礎的知識を問う。
○人々の健康状態とその規定要因を測定・評価し、健康の維持・増進や疾病予防に役立てる基本的な考え方とその取組についての理解を問う。
○保健・医療・福祉制度や関係法規の概要についての基礎的知識を問う。
次に、改定のポイントを説明させていただきます。
大項目「2 環境と健康」に関しては、中項目「C 環境衛生」の小項目が現行ガイドラインでは14項目ありましたが、それらを6項目に減らしました。
大項目「3 健康、疾病、行動に関わる統計資料」においては、現行ガイドイランには中項目「F その他の保健統計」がありましたが、それは他の科目との重複があるため削除いたしました。
大項目「4 健康状態・疾病の測定と評価」に関しましては、中項目「B 疫学指標とバイアスの制御」となっておりますけれども、これは現行の中項目「B 疫学指標」と「D バイアスと交絡」を1つの中項目に統合したものであります。
また、現行ガイドラインにあります中項目「G 安全性の確保(リスクアナリシス)」に関しましては、他の科目との重複を避けるために削除いたしました。
現行ガイドラインでは大項目4の後に、大項目「5 行動科学」「6 情報化社会におけるコミュニケーション」がありましたが、こちらも削除いたしました。
大項目「5 生活習慣(ライフスタイル)の現状と対策」に関しましては、現行では中項目「B 食生活、食環境」がありましたが、これは公衆栄養学との重複を避ける目的で中項目を削除いたしました。中項目として「F 歯科保健行動」の後に「H 疾患に関する行動特性」、「I その他のリスク行動」、「J 健康日本21」がありましたが、これらについても重複を避ける意味で削除させていただきました。
大項目「6 主要疾患の疫学と予防対策」に関しましては、現行はこの中に中項目「F 歯科・口腔疾患」がありましたが、これは、大項目「5 生活習慣(ライフスタイル)の現状と対策」の中項目「F 歯科保健行動」と統合するという意味で、削除させていただきました。
最後の大項目「7 保健・医療・福祉の制度」に関しましては、中項目「B 保健・医療・福祉における行政のしくみ」が新たに加わった中項目でございます。現行ガイドラインでは大項目「10 保健・医療・福祉・介護関連法規」がありましたが、それをこちらの中項目Bとして移動したものであります。
また、大項目7の中項目ではいくつか内容を組み替えました。中項目「D 福祉制度」というのは、現行ガイドラインでは中項目「C 福祉・介護制度」でしたが、それを2つ独立した形で分けまして、福祉は中項目「D 福祉制度」としまして、介護制度は中項目「H 高齢者保健・介護」として新しい中項目を立てました。
また、中項目「G 成人保健」が新たに加わっております。これは特定健診・保健指導が始まり、老人保健制度が高齢者医療の確保に関する法律に変わったということを受けて新しく中項目「G 成人保健」を立てたものです。
以上が「社会・環境と健康」の変更点についての説明でございます。
それでは、同様に各委員の先生からそれぞれの専門の分野について出題のねらいと改定のポイントについて御説明をいただきたいと思います。各委員3分程度でお願いをしたいと思います。
「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」について、田中委員よろしくお願い申し上げます。
○田中委員 「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」は、資料2の10ページとなります。
「出題のねらい」は、以下の2つです。
○人体の構造や機能についての系統的な理解を問う。
○主要疾患の成因、病態、診断及び治療についての基礎的知識を問う。
現行ガイドラインと比較いただきましたらわかると思いますが、大項目の数が大幅に整理されて統合されております。
この分野では、特に疾病の成り立ちのところで新しい概念などが出てきますので、その部分が入ってくるのは当然の話であります。例えば消化器系のNASH、慢性腎臓病(CKD)やサルコペニアなど、このように個別のことは今後も改定の際に変わっていかざるを得ないと思うところです。
まず、大項目順に確認をしていきますと、大項目「1 人体の構造」はこのとおりでよろしいです。
その次が大項目「2 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質・核酸の構造と機能」という形で随分と大きなくくりになっております。現行ガイドラインでは、大項目「2 蛋白質・酵素の構造と機能」「3 糖質と脂質」のように栄養素ごとに大項目が別に設定されていました。
今回の資料の大項目「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」となっていますが、こちらも現行ガイドラインでは大項目「6 糖質の代謝」「7 脂質の代謝」「8 蛋白質・アミノ酸の代謝」のように大項目が別になっていたものを整理・統合しています。
大項目「5 個体の恒常性(ホメオスタシス)とその調節機構」のところはこの通りです。
その次に大項目「6 加齢・疾患に伴う変化」も、現行では大項目「12 加齢(老化)、死」「13 疾患による細胞・組織の変化」として別々になっていた項目を統合しております。
大項目「9 栄養障害と代謝疾患」は、項目名を変更しました。
大項目「14神経系」は、現行ガイドラインでは大項目「21 神経・精神系」となっていました。この項目は見直しが多数ございます。中項目「A 神経系の構造と機能」の小項目を整理したことと、中項目「B 神経疾患の成因・病態・診断・治療の概要」についても「パーキンソン病・症候群」をはじめとした神経系に近いものを中心に整理し、神経性食欲不振症やアルコール依存症などは他の科目との重複により整理をいたしました。
最後に、この分野のまとめを述べておきますと、先ほど申しましたように、NASHやCKDといった新しい項目が入っているところは多数ありますが、根本的に大項目、中項目、小項目が大きく入れ替わったところはないと考えております。
○川久保座長 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして「食べ物と健康」に関しまして、辻委員よろしくお願い申し上げます。
○辻委員 「食べ物と健康」のセクションでは、食の専門家である管理栄養士はまず食品の素材の成り立ちから始まってその性質をよく理解して、その上で食品素材から実際に加工、調理して食べるところまでを体系的に理解することが求められていると思います。
そこで、「出題のねらい」としては、以下の3つを挙げました。
○食品の分類及び成分を理解し、人体や健康への影響に関する基礎的知識を問う。
○食品素材の成り立ちを理解し、食品の生産から加工、流通、貯蔵、調理を経て人に摂取されるまでの過程における安全性の確保、栄養や嗜好性の変化についての理解を問う。
○食べ物の特性を踏まえた食事設計及び調理の役割の理解を問う。
これらを実際に問うための出題基準としまして、大項目を7つ設定しています。基本的には大きな変化はありませんが、中身が大きく変わりました。
大項目「1 人間と食品(食べ物)」はいいとしまして、大項目「2 食品の分類と食品の成分」ですが、現行のガイドラインでは食品成分についての性質を重点的に取り上げていましたが、今回の改定におきましては、食品の分類として、全体像をとらえ、それぞれの性質、成分の特徴を一体的に取り上げるということで、このような項目を設定しました。
また、大項目2の中に、中項目「F 食品成分表の理解」があります。現行では、食品成分表はかなり後ろに位置づけられていましたが、やはり食品成分が管理栄養士にとって一番重要なことですので、ここをしっかりするということで、大項目2に移動いたしました。
また、食品成分の性質などを理解することはとても重要なのですが、たんぱく質、脂質、ビタミンなどについては他の分野にも取扱いがありますので、現行のガイドイランでは、それらと重複しているということがありました。そこで、今回の改定では食品の働きに重点を置きまして、中項目「A 一次機能」「B 二次機能」「C 三次機能」という視点から再整理いたしました。
大項目「4 食品の安全性」は、現行ガイドラインでは一番後ろに位置づけられていましたが、前へ移動しました。今日の食品の安全は、皆さんもお考えのように、やはり管理栄養士が食品の安全性を担うべきだと思うところです。ここの教育が必ずしも十分でないように思うので、食品の安全性を重要視して前方へ移動したということでございます。
その他はここに示したとおりで、それほど大きな変化はしておりません。
食品学という分野は、これまでは家政系の延長として扱われてきましたが、今回の改定によって管理栄養士養成課程の独自の食品学の教育カリキュラムが見直されて、今後はさらに進展していくことと期待しております。
以上です。
○川久保座長 ありがとうございました。
続きまして「基礎栄養学」と「応用栄養学」に関しましては、木戸委員と中坊委員からお願いしたいとい思います。木戸委員からよろしくお願いいたします。
○木戸委員 「基礎栄養学」と「応用栄養学」は中坊先生と私が担当しております。まず初めに、私から報告させていただきます。
「基礎栄養学」の「出題のねらい」は以下のとおりです。
○栄養の基本的概念及びその意義についての理解を問う。
○エネルギー、栄養素の代謝とその生理的意義についての基礎的な理解を問う。
現行のガイドラインで課題になっていた項目は、大項目「2 食物の摂取」のところです。ここのところではヒトの問題として出題が難しいという視点から見直しを行いまして、中項目にありますように中項目「A 空腹感と食欲」「B 食事のリズムとタイミング」というように、欠食やリズムの項目をここに移動しました。現行ガイドラインでは、リズムと栄養補給については応用栄養学の特殊栄養学に属するところで取り扱っていたものですが、それをこちらに移したところであります。
もう一つ課題になっていましたのは、現行ガイドラインの大項目「13 遺伝子発現と栄養」のところであります。ここも見直しをしまして、大項目「1 栄養の概念」の中項目「C 遺伝形質と栄養の相互作用」として、大項目「1 栄養の概念」のところに移動いたしました。
そのほか現行ガイドラインの大項目2「蛋白質・酵素・糖質・核酸の構造と機能」と3「生体エネルギー学、中間代謝の概要、糖質・脂質・蛋白質の代謝」については、「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」で扱うということで削除させていただきました。
そのほか大きな変更点はございません。
続けて「応用栄養学」についても説明させていただきます。
「応用栄養学」の「出題のねらい」は以下の3つです。
○栄養状態や心身機能に応じた栄養管理(栄養ケア・マネジメント)の基本的な考え方についての理解を問う。
○食事摂取基準策定の考え方や科学的根拠についての理解を問う。
○各ライフステージにおける栄養状態や心身機能の特徴に基づいた栄養管理についての基礎的な理解を問う。
全体的に、応用栄養学は改定にあたり4つポイントがございます。
1つ目は、栄養管理や栄養ケア・マネジメントの基本的な考え方を応用栄養学で扱うということで、各論についてはそれぞれの科目で扱っていただくということです。基本的な大項目「1 栄養ケア・マネジメント」にあたるところですが中項目「A 栄養ケア・マネジメントの概念」「B 栄養スクリーニング」「C 栄養アセスメント」「D 栄養ケア計画の実施、モニタリング、評価、フィードバック」という概念については、応用栄養学で扱うということに整理させていただきました。
2つ目は、食事摂取基準の取扱いであります。これも整理させていただきまして、応用栄養学では食事摂取基準の基本的な理解を問うということで、大項目「2 食事摂取基準の基礎的理解」の中項目「A 食事摂取基準の意義」「B 食事摂取基準の策定の基礎理論」「C 食事摂取基準活用の基礎理論」「D エネルギー・栄養素別食事摂取基準」として科学的根拠などを取り扱うという形にいたしました。
3つ目は、ライフステージの大項目で整理いたしました。まずは大項目「4 妊娠期、授乳期」です。現行ガイドラインでは妊娠期と授乳期が別々の大項目としていましたが、それらを整理・統合させていただきました。22ページ大項目6のところでは、幼児期、学童期、思春期を成長期として整理させていただきました。そして、大項目4から8のライフステージ別の大項目においては、それぞれのライフステージの生理的特徴を中項目のA、それぞれのライフステージの栄養アセスメントと栄養ケアを中項目のB、という形に整理させていただきました。
最後に特殊栄養学に属するところです。大項目「9 運動・スポーツと栄養」「10 環境と栄養」ということで、現行ガイドラインにありましたリズムのところは基礎栄養学に移動させた関係で削除しております。
以上です。
中坊先生、補足をお願いいたします。
○中坊委員 今、木戸先生に説明していただいたとおりです。現行のガイドラインを見直して、出題しにくいとかあるいは数年間にわたって出題がないものは思い切って整理したり、あるいは省いたりしました。
もう一点、今、説明があった中で用語の使い方については、出題基準のところで今後変えていこうということで、例えば基礎栄養学の大項目「4 たんぱく質の栄養」の中項目「C 摂取するたんぱく質の量と質の評価」の小項目「c 不可欠(必須)アミノ酸」ですが、必須アミノ酸という表現を括弧内に入れて、今後は不可欠アミノ酸と可決アミノ酸にすることなど、いくつかの用語の使い方について明確にしたというところもございます。
以上です。
○川久保座長 ありがとうございました。
なお、用語に関して私からも補足説明させていただきますと、人体の構造と機能や基礎栄養学の分野において栄養素の項目が並ぶときの取り上げる順番は、たんぱく質、糖質、脂質、ビタミンという順番で統一させていただいております。
それでは、次に「栄養教育論」(23ページ)になります。丸山委員よろしくお願い申し上げます。
○丸山委員 「栄養教育論」について御説明申し上げます。
平成14年の改定時にそれ以前のものから大幅に変更した事項として、栄養指導から栄養教育へ変更する、すなわち栄養教育の概念を明確にして、行動科学あるいは心理学、社会科学、教育学の視点を加えた点が特徴でした。要するに科学的な根拠に基づいた教育を展開できるようにしようという視点を含めており、具体的には、マネジメントと行動科学あるいはカウンセリングを強調して前回の改定が行われました。それらの教育がほぼ定着してきましたので、今回は、更にそれを整理・統合して、よりスマートな形にしたいとの観点で検討いたしました。
その結果、「出題のねらい」を以下のように整理いたしました。
○栄養教育の意義及び目的に応じた理論と技法についての理解を問う。
○社会・生活環境や健康・栄養状態の特徴に基づいた栄養教育の展開についての基礎的な理解を問う。
このように、2つのポイントに絞って出題のねらいを定めましたが、その方針に伴いまして、大項目、中項目、小項目ともにかなり大きな変更をしております。現行ガイドラインの大項目は11項目定めていたのに対して、今回は4項目に整理し、中項目、小項目間の移動等を行っています。
具体的に、大項目「1 栄養教育の概念」を据えました。これは現行ガイドラインと同様ですが、現行では中項目が7項目あったものを、「A 栄養教育の目的・目標」と「B 栄養教育の対象と機会」の2項目にし、中項目に細かく規定しておりましたものを小項目におろして項目立てをするという方法で整理いたしました。
次に、「2 栄養教育のための理論的基礎」という新規名称項目を2番目の大項目に据えました。現行ガイドラインの大項目2と、現行の大項目「6 栄養教育の方法」の中項目であるカウンセリングの項目、現行の大項目「7 栄養教育の実施」の中項目「A 連携」、「B 栄養教育実施者」、「C 実施」としていたものを改訂案では理論的基礎の中に含め、更に現行の大項目「10 食環境づくりにおける栄養教育」を理論的基礎の中項目「F 食環境づくりとの関連」として含めました。
その結果、大項目「2 栄養教育のための理論的基礎」として、まず行動科学理論についての理解を深めるために、Aで理論と栄養教育の全体を概観し、次にBで個別の理論とモデルを理解し、更にCでそれらを実際に展開していくために最低限必要な行動変容技法と概念の理解を問うものとしました。Cの小項目はa~kまでの個別項目として新たに設けました。これらの項目につきましては、現行ガイドラインでは示していませんでしたが、これらの内容についてはこれまでの間にほぼ情報が浸透し、かつ教育もなされているという判断からこれらを入れております。  それから、現行「6 栄養教育の方法」の中項目「D 栄養カウンセリング」は大項目「2 栄養教育のための理論的基礎」の中に移して小項目も絞り込んで3項目にしています。
新中項目「E 組織づくり・地域づくりへの展開」では、小項目の中に「e ソーシャルキャピタル」という項が新たに入っております。特に行動技法や社会科学的な分野ではさまざまな新しい研究や成果などが報告されておりまして、それら多くの内容についての項目を入れるべきであろうという議論もありました。例えば大項目2の中項目「B 行動科学の理論とモデル」の中では、特に「ソーシャルマーケティング」などについて小項目の中に含めてもいいだろうという議論もありましたが、先ほど座長から説明がありましたように、平成24年の国試からの適用ということになりますと、まだ教科書などへの記載がないものも多いということで、今回はそれを見合わせるという判断をしております。
次に大項目「3 栄養教育マネジメント」ですが、マネジメントは現行ガイドラインでは応用栄養学の項目として定められておりました。先ほど御説明がありましたように、応用栄養学で栄養ケア・マネジメントの概念や基本的な考え方について出題範囲にしていただいております。栄養教育論では栄養教育のマネジメントの一連の流れを中項目A、B、C、D、Eで把握し、それぞれについて必要な内容を理解したかを出題するという内容にしております。
大項目「4 ライフステージ・ライフスタイル別栄養教育の展開」については、中項目は基本的に変わりません。小項目で最低限必要な視点を挙げることによって、個別のキーワード等をかなり整理しました。また、社会の状況等に対応できるようにという視点で、中項目F「傷病者及び障がい者の栄養教育」の中に、小項目「c 医療と保健・福祉の連携による栄養教育」を入れました。栄養教育がそれぞれの場だけでは行われずに、社会全体との連携で展開されるべきであるという視点を新たに加えております。
それから、現行ガイドラインでは、「栄養教育の国際的動向」という項目を大項目として入れておりましたけれども、この項目につきましては、出題をする根拠を求めるのがなかなか難しいということで、今回はこれを全面的に削除いたしました。
以上です。
○川久保座長 ありがとうございました。
続きまして、「臨床栄養学」(25ページ)について、中村委員よろしくお願い申し上げます。
○中村委員 「出題のねらい」は、以下の2つです。
○傷病者や要介護者の栄養管理についての基礎的な理解を問う。
○疾病の治療や栄養・食事支援を目的として、個別の疾患・病態や心身機能の特徴に基づいた適切な栄養管理の方法について基礎的な理解を問う。
一般的には臨床栄養学1、2としてこれが表現され、また、ある本によりましては総論とか各論という表現になっております。
1つ目のねらいですが、傷病者や要介護者としてありますので、医療、福祉に対応する臨床栄養学の実践ということになろうと思っております。
そして、2番目に重要なキーワードは栄養管理でございまして、先ほどからお話がありますように、臨床栄養の分野においても栄養ケア・マネジメントのシステムに則った実践活動ができるように言葉の整理をいたしました。特に小項目に関してはかなり整理整頓されまして、現行ガイドラインよりもすっきりした形になったことで、ガイドライン改正の目的に沿った形に整理されてきたと思っております。特にこの領域においては科学的なエビデンスを理解すると同時に、医療や福祉には特別な法・制度や職業倫理が問われる領域がありますので、そのあたりは明確にさせていただきました。
次に第2の出題のねらいに対応した項目として、個別の疾患に対する栄養管理があります。これは27ページ、28ページをごらんになっていただきたいと思いますが、現行ガイドラインでは疾患ごとの食事療法が存在しないということで、それらは「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」の項目として扱うこととしまして、食事療法に関してはあえて触れる必要はないという形にしてありました。ところが、この領域におきましては、疾患の食事療法、栄養療法を進めていくと同時に、それぞれの疾患には栄養障害を伴うことがございます。したがって、栄養管理には病気を治療すると同時に栄養状態をよくするという目的がありますので、積極的な治療効果がないとしても栄養管理をしなければいけないということで、すべての疾患に関して項目を削除することなく、栄養管理の方法を学習していただこうということにいたしました。これは大きな改正になると思います。
以上でございます。
○川久保座長 ありがとうございました。
引き続きまして、「公衆栄養学」(29ページ)に関しまして、伊達委員よろしくお願い申し上げます。
○伊達委員 「公衆栄養学」の「出題のねらい」は、以下の2つです。
○我が国や諸外国の健康・栄養に関する動向とそれらに対応した主要な栄養政策についての理解を問う。
○集団や地域における人々の健康・栄養状態や社会・生活環境の特徴に基づいた公衆栄養活動についての基礎的な理解を問う。
公衆栄養学では出題のねらいの順番のとおりに、大項目の順番が入れ替わりました。現行ガイドラインでは、大項目が12ございましたが、今回は大項目が6ということで半分になりました。また、食事摂取基準の部分が応用栄養学に移動しましたので、公衆栄養学の中では集団での活用という部分のみを取り上げております。
大項目「1 公衆栄養の概念」はそのままでございます。現行ガイドラインでは続いて公衆栄養マネジメントが入っておりましたが、今回のガイドライン改定では、先に我が国や諸外国の健康問題、栄養問題の動向を知るという形で、2番目の大項目に大項目「2 健康・栄養問題の現状と課題」、続いて大項目「3 栄養政策」としています。
また、以前と同様に「栄養疫学」を4番目の大項目に入れております。
5つ目の大項目を「5 公衆栄養マネジメント」としまして、応用栄養学で取り扱う以外の公衆栄養に特化したマネジメントについての出題という形になっております。現行ガイドラインでは公衆栄養マネジメントの中項目にあるものが1つずつ大項目として入っておりまして、また中項目の「D 公衆栄養プログラムの計画、実施、評価」の部分もそれぞれが大項目で示されておりました。それらをすべて中項目という形で一括しております。
大項目「6 公衆栄養プログラムの展開」につきましては、現行ガイドラインでは展開ということ自体も公衆栄養マネジメントの中に入っていましたが、今回は、マネジメントサイクルとは別の「展開」という形として大項目を分けております。
先ほど、食事摂取基準がほとんど応用栄養学に移動したという話を申し上げましたが、公衆栄養で残りましたのは大項目「5 公衆栄養マネジメント」の中項目「B 公衆栄養アセスメント」の小項目「b 食事摂取基準の地域集団への活用」という形で、ここに入れております。
全体の順序に関しましては、出題基準とカリキュラムというのは独立しているべきだと思いますが、今までの形では、最初にマネジメントから入るということが学生にとって理解しにくかったのではないかということを考えまして、今回の改定では、先に現状を把握した上で公衆栄養マネジメントを学ぶように順序を変更いたしました。
また、新しい項目としましては、食育基本法などが現行ガイドラインに入っておりませんでしたので、大項目「3 栄養政策」に食育基本法や食事バランスガイドなどが追加されています。
以上でございます。
○川久保座長 ありがとうございました。
引き続きまして、「給食経営管理論」(31ページ)に関しまして、石田委員よろしくお願い申し上げます。
○石田委員 「給食経営管理論」に関しましては「出題のねらい」が3つ明確になりました。
○給食の意義及び給食経営管理の概要についての理解を問う。
○特定多数人に食事を提供する給食施設における利用者の身体の状況、栄養状態、生活習慣などに基づいた食事の提供に関わる栄養・食事管理についての基礎的な理解を問う。
○給食の運営方法とそのマネジメントについての基礎的な理解を問う。
「出題のねらい」の1に関しては、大項目の1のところに集約されていると思います。特に大項目「1 給食の概念」の中項目「C 給食を提供する施設と関連法規」は、以前は大項目として給食施設の種類別の特徴として独立していたものを、「1 給食の概念」のところに入れ、給食経営管理の全体像を理解しているかどうかを問える形にいたしました。根拠法になる代表的なものは法律の名称も示しています。
大項目「2 給食経営管理の概念」に関しても、出題のねらいにある「給食経営管理の概要を問う」というところを中心に整理しました。
2つ目の「出題のねらい」に大きく関わる大項目「3 栄養・食事管理」では、アセスメント、プランニング、実施、評価ということで、PDCAサイクルに基づき再整理いたしました。特に、「食べ物と健康」の分野の調理に関する出題のねらいとして、食べ物の特性を踏まえた食事設計や調理の役割ということで、食べ物側から問うということでしたので、給食経営管理論では、特定多数人を対象とした人を中心とした食事設計についての理解を問えるように明確になりました。
そして、給食の運営方法とそのマネジメントに関しましては、大項目「4 給食の品質」以降、大項目「8 給食の人事・事務」まで、物の流れや品質、何をつくるのかということを理解した上で、それをどう作っていくのかという運営に関わる項目として整理されています。
給食管理から給食経営管理論に変わった現行ガイドラインでは、会計管理などのいわゆる経営資源のマネジメントに関する項目が入ってきた点が新しかったと思いますが、今回の改定では、4年間の学習を終えて、これから管理栄養士として新しく世の中に出ていく者たちに問うものとして何が適切かという観点に立ち絞り込んだ経緯もあり、削られています。
以上です。
○川久保座長 ありがとうございました。
これで説明が終わりました。どうもありがとうございました。
既にこのガイドラインの内容に関しましては、先生方には事前に御了承いただいておりますけれども、本日の時点で特に修正が必要なところがございましたら、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、続きまして、「改定検討会報告書(案)」について議論を進めさせていただきたいと思います。この報告書(案)につきましては、事務局から御説明をお願い申し上げます。
○河野栄養・食育指導官 それでは、検討会報告書(案)を1枚おめくりいただきまして、1ページ目をごらんいただけますでしょうか。「1.はじめに」から「5.おわりに」までの構成になってございます。
「1.はじめに
管理栄養士国家試験は、管理栄養士として必要な基本的知識及び技能について的確に評価するために行われるものであり、昭和62年度に第1回の国家試験が実施されて以来、毎年継続的に実施されており、管理栄養士の資質の確保に重要な役割を担ってきたところである。
現行の管理栄養士国家試験出題基準は、平成14年に施行された管理栄養士養成課程の新たなカリキュラムの教育内容を踏まえ平成14年8月にとりまとめられ、平成18年(第20回)以降、国家試験の適切な範囲及び水準を明確に示すために活用されてきた。
近年、保健・医療・福祉・教育をはじめとした多様な領域で専門職としての管理栄養士への期待はますます高まっている。その役割を発揮するためには、卒前教育において基本的な知識及び技能を修得する必要があり、平成21年5月には、平成15年以降日本栄養改善学会において検討されてきた『管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラム』が公表されたところである。
この間の管理栄養士を取り巻く状況や学術の進歩にあわせ、出題基準を改定することとした。平成22年3月より、管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会を設置し、出題基準改定について検討を重ね、とりまとめたのでここに報告する。」。
このような形で、今回改定を行いました背景を記述しております。
「2.見直しに当たっての基本的な考え方
現行出題基準が公表された平成14年8月以降の学術の進歩やこの間に改正・公表された法・制度などの変化に対応できる内容とした。
また、管理栄養士としての第一歩を踏み出し、その職務を果たすのに必要な基本的知識及び技能について的確に評価するという観点から、出題のねらいについては、国家試験で問うべき主要なものとし、そのねらいに沿って内容を精査し、見直した。」。
このように、基本的な考え方につきましては、平成14年8月以降、現行のガイドライン策定以降の学術の進歩、この間に改正、公表された法制度の変化に対応できる内容とともに現行のガイドラインにつきましては、平成14年の大幅なカリキュラム改正を踏まえたものということで、教育目標から出題のねらいが作成されるという構成になってございましたが、その部分につきましては「また」以降に記述してございますとおり、管理栄養士としての第一歩を踏み出し、その職務を果たすのに必要な基本的知識及び技能について的確に評価するという観点から出題のねらいについては簡潔に整理を行い、その観点から内容を精査していただいたことになります。
「3.管理栄養士国家試験出題基準について」は、ただいま御審議いただきました別添のとおりでございます。
「4.管理栄養士国家試験問題について
○管理栄養士養成の教育との関係について
管理栄養士国家試験出題基準は、管理栄養士養成課程の教育で扱われるすべての内容を網羅するものではなく、また、これらの教育のあり方を拘束するものではない。」。
2ページに移りまして「○出題数及び出題数の配分、出題形式について」、またその次の事項であります「○合格基準について」は、現行のガイドライン、出題基準の内容を引き続き継続するという形になっております。
一番下の○の「○今後の出題基準の見直し」につきましては、「急速な少子高齢化の進展や疾病構造の変化、栄養関連の学術の進歩、保健・医療・福祉・教育などに関連した法・制度の改正に速やかに対応するため、概ね4年に一度改定を行い、内容の充実を図ることが望ましい」ということで、おおむね4年に一度の改定といった形の目安が記述されているところが今回の新たな点でございます。
3ページに移りまして「○試験問題のプールについて」は、試験問題のプール制について継続的に検討していくことが望ましいということで、引き続き検討に取り組んでいくとともに、「また、過去に出題された良質な試験問題の活用にあたっては、単純な正答の暗記による解答が行われないよう、問題の趣旨が変わらない範囲で設問及び解答肢などを工夫することが適当である」ということになっております。
「○今回改定した出題基準の適用について」は、冒頭に座長からの御説明にありましたように、第26回国家試験、平成24年3月実施予定のものから適用することとなっております。
「5.おわりに
管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会では、近年の管理栄養士を取り巻く状況に鑑み、管理栄養士として必要な基本的知識及び技能について的確に評価するため、国家試験出題基準の見直しについて検討を行ってきたところである。
管理栄養士の活躍する領域は、保健・医療・福祉・教育など多方面にわたり、それぞれの領域で高い専門性が求められていることから、管理栄養士国家試験が、管理栄養士としての第一歩を踏み出す際の基本的知識及び技能について的確に評価する役割を果たすとともに、管理栄養士免許取得後の教育体制の整備が着実に進められ、管理栄養士のより一層の資質向上が図られるべきである。
現在、管理栄養士養成課程はそれぞれの特徴に応じたカリキュラムの充実に取り組んでいるところである。卒前教育の実質的な質の向上のためには、モデルコアカリキュラムの議論がさらに深まり、定期的に改正が行われるとともに、各養成課程において独自性を生かしたカリキュラムの改善・充実が図られる必要がある。また、生涯教育の充実と、管理栄養士自らの研鑽により、高い専門性を発揮することができるよう、卒前・卒後教育を含めた一元的な教育の質の向上を目指すべきである。
さらには、管理栄養士の養成や育成における各段階の到達目標が明確にされ、それらが一連の整合性を保つように検証が行われることにより、管理栄養士国家試験の果たすべき役割を十分に発揮できるようにすべきである。」。
このように、管理栄養士国家試験とともに卒前・卒後教育も含めた幅広い内容についてとりまとめさせていただいております。
以上でございます。
○川久保座長 ありがとうございました。
この報告書(案)の内容に関しましては、先生方には既に御了解をいただいておりますところでございますけれども、本日の時点におきまして、この報告書(案)につきまして修正が必要なところがございましたら、今、御発言をお願いしたいと思います。先生方いかがでしょうか。
中坊先生、どうぞ。
○中坊委員 確認ですが、3ページの一番上にあります「○試験問題のプールについて」は、以前からもそういうことを考えてずっとやってきたわけですが、最後の3行はすごく具体的ですね。例えばこれは改定後のどこかの時点で、採用しますということを宣言するのでしょうか。試験問題のプールについては将来に向けて継続的に検討していくことが望ましい、としてあるのですが、最後の3行のところですごく具体的な文言が書かれています。
○川久保座長 最後の3行はプール制とはまた別の意味で書いておるところでございますけれども、これは私の意見として述べさせていただいてもよろしいですか。今まで管理栄養士の国家試験を出題する際に過去問と違う問題を出そうという傾向がありまして、過去に出なかった問題ということになると、どうしても非常に細かいところにいって難しい問題になっていくという弊害がございましたので、今後は少し過去問を活用して出題していくという方向を出題の際に考えてもらったらいいのではないかという意味です。
○中坊委員 理解できました。
もう一点、この報告書(案)については前もって検討しましたのでこの場で異論はないのですが、試験期日はここでは議論するようなことではないのでしょうか。試験日です。
○河野栄養・食育指導官 具体的にいいますと、どういうところでしょうか。
○中坊委員 例えば、今、行われている3月末が適当であるのか、合格発表の時期が連休明けというのはもう少し早くならないのかなど、そのような試験の制度に関してはここでは扱わないということですね。
○川久保座長 この報告書(案)の後で、先生方からそういう自由な発言をいただいてみたいと思っております。
○中坊委員 わかりました。
それでは、これについて異議はありません。
○川久保座長 辻先生、よろしくお願い申し上げます。
○辻委員 1ページの3つ目の段落のところですけれども「基本的な知識及び技能を習得する必要があり」とあります。例えば出題試験科目を見ると、応用力の試験というものがあります。ですから、知識と技術を習得しただけでいいのかというところが気になります。やはりここに応用ということを入れたらどうかと気になるのですが、いかがなものでしょうか。応用力などを習得していることは重要であると思います。
○川久保座長 今回のガイドラインの改定に当たって非常に強調したところが「基本的な知識及び技能」というところに集約されておりまして、管理栄養士の人が卒後いろんな場で活躍されるわけでございますけれども、その場が非常に幅広いということで、いろんな場での応用面まで細かく出題することは、幅の広さ等も考えて困難であるので、今回は「基本的な知識及び技能」というところに趣旨を集約したという内容でございます。
それでよろしいですか。事務局で何か意見がございましたら、お願いします。
○河野栄養・食育指導官 今、辻委員から御指摘あった内容、もう少し具体的にこういった形の文言をここに加えるということが提示いただけるのであれば、加えることの是非についてはこの場で御議論いただければと思います。
○辻委員 加えるとすれば、知識及び技能及びその活用力というか応用力です。
○川久保座長 卒前教育において基本的な知識及び技能及びその活用方法ですね。
○河野栄養・食育指導官 そのときに、卒前教育でそこまでを目標ということで記述して適切かどうかということになるかと思います。
多様な領域で専門職としての管理栄養士への期待が高まっていることと、その役割を発揮するためにということでの卒前教育と整理をされておりますので、当然基本的な知識、技能を習得して、更にいろいろな領域で展開することを加味した上での知識及び技能ということで、ここには記述されていることになります。ここの部分については、管理栄養士養成過程におけるモデルコアカリキュラムの部分がそういった構成になっているということも踏まえて記述してございますので、その点で御了解いただければと思いますが、いかがでしょうか。
○辻委員 わかりました。結構です。
○中村委員 それにプラスしてよろしいですか。
○川久保座長 中村先生、どうぞ。
○中村委員 私もあえてこの文章の中のどこかを修正する必要はないと思っています。といいますのは、臨床栄養の領域において応用問題を出していますが、実際に存在する患者さんにこんな単純な患者さんは実はいないわけでありまして、実際の活用の場面にはもっと複雑な知識や技術が必要なわけです。だから、応用問題といいながら基礎的な知識、技術をどうやって応用すればいいかというレベルの応用問題であろうと思っていますから、やはり基礎的な知識、技術を問うということで、これでいいのではないかと思います。
○川久保座長 ほかにございますか。木戸先生、よろしくお願い申し上げます。
○木戸委員 これは後で多分議論になるだろうと思いますが、「5.おわりに」の下から2つ目のパラグラフの最後のところに「卒前・卒後教育を含めた一元的な教育の質の向上を目指すべきである」というくくりになっています。ここがすごく重要なところで、応用、活用方法については卒前教育より、むしろ現場での卒後教育時の橋渡しをどうするかという議論を少し進めた上で検討した方がいいと思っています。ですから「1.はじめに」のところの書き方は、最低限必要なものを保障するというニュアンスの書き方でいいと思っています。
○川久保座長 今の卒前・卒後教育に関しては、後でまた御意見をいただきたいと思っております。
先生方からほかに御意見ないでしょうか。
それでは、報告書につきましては、このような形でとりまとめとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
まだ時間が少しございます。
今日で最後の検討会となりますので、先ほど来いろいろ御意見が出ていますような点、今回のガイドライン改定検討のとりまとめに当たりまして、先生方から例えば今後の管理栄養士国家試験の在り方、ガイドラインの方向性、更に管理栄養士養成過程における教育の充実、生涯学習をはじめとする卒後教育などによる管理栄養士の質の向上について自由な意見をいただきたいと思います。
先ほどの続きで、国家試験の在り方について、中坊先生から御意見をいただきたいと思います。
○中坊委員 きっかけはいろいろあると思います。栄養士という免許が基礎資格になって受験資格ができてくるのですが、実際に受験勉強といいますか、受験の準備をさせていく中で、他の医療関係の職種の国家試験に比べますと時期がかなりずれていまして、苦労する面もあります。
2点目は、採用に関することです。実際には仮採用という形で、合格した後で本採用にするという形もありますし、その間、1か月なり2か月というのは給料の面から少し不利な状況に置かれてしまいます。試験期日をずらすというのはかなりいろんな問題、課題が出てくると思いますが、せめて合格発表を連休前ぐらいになるように採点を短縮することができるかどうかというところがあります。
○河野栄養・食育指導官 今、御発言いただきました試験期日というよりは合格発表の期日の問題になるかと思いますが、採点の期間を短くするという作業的なことがネックになっているのではなく、実務経験で受験をされる方の4月1日現在での実務経験の状況を確認しなければ合否を出すことができないという、そこから事務的な確認作業を行うためには今の期間が必要最低限であるということが現状でございますので、その件につきましては、試験の在り方というよりも管理栄養士の制度そのものをどうするかというところと連動した議論が必要となる問題になってまいります。
○中坊委員 わかりました。
○川久保座長 木戸先生、先ほどの続きで結構ですので、お願いいたします。
○木戸委員 今、制度の話が出ましたが、実務経験の確認などの事務的ないろんなことがあって今の合格発表になっているわけです。
それから、試験日についても栄養士というものがあって、それで初めて管理栄養士の受験資格があるという制度になっていますので、そこの辺りも含めて本当に栄養士という資格を持って管理栄養士の受験資格を求めるのか否かも含めて検討することが、将来あればいいのではないかと追加で発言させていただきます。
○川久保座長 木戸先生、先ほどの卒前・卒後教育などに関して何か御意見をいただければと思います。
○木戸委員 これは中村先生が御専門だと思いますが、活用のことを考えますとやはり臨地実習をいかに充実させるかということ、それから、国際的な標準で考えますと500時間ぐらいを必要とすると言われております。それを卒前教育の中に入れることができるかというと、それは非常に難しいと思います。入れたとしてもまだ資格がない状態での臨地実習になりますから、本当の意味の活用にならないのではないでしょうか。そういう意味で卒後教育の在り方について活用方法を含めてこれから検討していかなければいけないのと考えております。是非そういう検討の機会をつくっていただければと思います。これもまたお願いになります。
○川久保座長 中村先生も卒後教育ということに関しては御意見があると思いますが、今後の方向性などについて御意見をいただけますか。
○中村委員 私は長く管理栄養士の国家試験に携わらせていただいていますが、ずっと思っている疑問点が1つございます。それは現在の仕組みというのは何十人かの先生方が自分の領域で管理栄養士にはこのぐらいの知識や技術が必要だということを想像されて問題をつくられて、受験して、機械的と言ったら言葉は悪いですが、客観的に60点というボーダーラインを切って合格者を出しているのです。この仕組みで出ている合格者の知識や技術が本当に現場で機能しているのかどうかということを常に意識しなければいけないと思っています。いわゆる社会に役に立っている管理栄養士がこの仕組みで本当に出ているのかどうかということを意識しながら私たちは関わらなければいけないのです。しかし、役に立っているかいないかということを管理栄養士の試験制度にフィードバックできる仕組みが現在ないのではないでしょうか。非常に激しい言葉になってしまいますが、一方通行で社会に出しているのではないかと以前から思っています。したがって、私どもが出した管理栄養士が社会に本当に役に立っていますか、機能していますか、それを問いながら前進させるような仕組みをこれからつくっていかなければいけないのではないかと思っています。
○伊達委員 今の中村先生の御質問ですけれども、ちょうど厚生労働科学研究費の指定研究で、先週各養成施設に管理栄養士としてのコンピテンシーがどの程度達成されているかという調査を111施設に依頼させていただきました。回答していただければ卒業時点でという形で大体8,500人の4年生の調査を皆様方にお願いしたいところです。これは、私たちが開発した管理栄養士のコンピテンシーの指標というものをどれだけ達成できているかということを今回初めて調査するという形でして、授業で出てきたことが、技能というところにどれだけ結び付いているか、4年生の学生自身がどのように考えているかということを調査するという形で、今のカリキュラムでどの程度達成できたかということを今回初めて調査させていただくというものです。
もう一方は、卒後です。これはまだ調査に入っておりませんが、卒後5年以内の初任者の方についても同じように調査をして、5年経てばどれぐらいのコンピテンシーの達成度があるかという形で、卒前・卒後というところでつないでいきたいと思っています。本当に基礎調査ではありますが、そういうことで卒後5年のときには日本栄養士会の組織をお借りして調査させていただきたいと考えているところです。
○川久保座長 ありがとうございました。
中坊先生、どうぞ。
○中坊委員 中村先生の言われた、役に立つといいますか、学んできたことをどれだけ発揮できるかということに関することですが、そこの部分の議論をいたしますと、少なくとも免許を与えるための試験ということですから、先ほどから出ていますように到達度を判定するための試験であって、あとはそれぞれの分野での自己研鑽、更には職能団体が分野ごとに磨きをかけていくことになるのだと思います。ですから、中村先生の言われたところは理解できているのですが、国家試験でその部分まで要求するというのはちょっときついという気がします。
○中村委員 栄養士というのはそもそもアメリカから誕生しまして、アメリカ栄養士会は世界中の栄養士養成のモデルになっていますが、実はアメリカ栄養士会も何年かごとに何回もカリキュラムを改正して、社会のニーズに合うような栄養士を養成するということに努力してきています。現在ADAには日本で議論しているような大学とか養成校の具体的なカリキュラムがあるかというと、ないのです。
何を彼たちは定めているかというと、目標です。ですから、ADAが要求しているのは卒業する時点でこの領域で何々ができるようになっている、何々が解釈できるようになっているという目標を定めて、その目標値を達成する教育の内容は各大学で自由に考えることとして、目標にどのぐらい到達しているかは国家試験で決めますという仕組みをつくっているわけです。日本の制度がすぐにそこにいくべきか、やるべきか、私はよくわかりませんが、それも1つの案ではないかと思っております。
○川久保座長 先ほど伊達先生から調査のお話もありましたけれども、管理栄養士は卒業後、非常に多様な分野に広がるという特徴があると思いますが、そういう中でどのようにコンピテンシーを評価するかということですが、今回つくられた調査票というのはどのような仕組みになっているのでしょうか。
○伊達委員 作るのは非常に難しかったです。それぞれの専門家が集まると、それぞれの分野でここまできてほしいという達成度を出してしまうのです。その結果、非常に項目数が多過ぎて、それを削減するのが大変でした。結局、4年生の時点を考えますと、国家試験のところにも書いていますように、どこの分野に就職するにしても、最低限必要なところがあります。どうしても私たちは業務に必要なことはこれだとそれぞれの分野に必要な業務に対応できるようにと考えてしまいましたが、そうではなくて、業務をする前のスタートのところでどれだけ必要かという考え方でどんどん絞り込んでいきましたので、約40項目という形になりました。初めは膨大な希望的なものが出てきましたが、それがいいのかどうかというのは今回初めてですのでわかりませんが、そういう方法で選びました。
○川久保座長 今、伊達先生が言われたような形で、今回の国家試験の出題基準もつくられたと思います。
また、今回の出題基準はいずれまた改定しなければならない。あるいは今回と違ってもう少し抜本的な改定をしなければいけないと思いますが、出題基準に関して先生方から何か御意見ございませんでしょうか。
木戸先生、どうぞ。
○木戸委員 この報告書にもありますように、モデルコアカリキュラムを含めたカリキュラムと国家試験というのは必ずしも一致する必要はないのですが、少なくとも国家試験で問うことができることは、ほとんどの教育機関で学んでいることを問う必要があると思います。
今後のことですが、やはりカリキュラムをいかに考えていくかということは各養成施設の教員が真剣に考えないといけないことでもあると思います。その中から本当に必要な項目などはこれから積極的に国家試験の出題基準にも入れていくことが可能になるのではないかと思います。ですから、国家試験の出題基準の項目だけを教えて、合格して基準を満たしているということよりも、もっと進んだ考え方をこれからはしていかないといけないのではないかと思います。それが恐らく4年後の見直しのときに新たに加わる項目であったり、削られる項目であったりするようになるのではないかと思います。そういう意味で、私も一教員として精進していきたいと思っています。
○伊達委員 今回の出題のときに栄養改善学会が7年かかりで作成した管理栄養士の教育のためのモデルコアカリキュラムを参考にしていただいたということは、栄養改善学会としては非常にありがたいことでございますが、これにつきましても栄養改善学会は管理栄養士がメンバーの大部分を占めているという学会ですので、管理栄養士自身がどのように学生を教育していったらいいかということは、それぞれの個々の施設で考えていだたくものですけれども、そのままコアになるものについて初めて提案させていただいたということです。
ただし、これは計算上では現在の必要単位数の70%を占めるという形で計算されているのですが、それを実際に運用しようと思ったらすごく膨大になります。1EU(Education Unit)というのが15分という形で計算されていますが、組み合わせによってなかなか難しいとは思っています。
これを公表する前に皆様方の養成施設でどのような御意見があるかという形でパブリック・コメントもいただきまして、できる限りそれらを入れてつくりましたが、まだまだ問題は集積していると思います。あの中でも実習と演習については充実していなかったということで、現在、実習と演習のカリキュラムについての検討を進行させておりますが、モデルコアカリキュラムについてでき上がったものはすべての養成施設のところに送付させていただいております。現場の教員の方々がその中から更にコアというものを選んでいただいて、あれを基にして活用していただいて、管理栄養士の教育に使っていただくと非常にありがたいと思います。
○川久保座長 丸山委員、どうぞ。
○丸山委員 国家試験のガイドライン等からそれるかもしれません。今回の国家試験のガイドラインを改定するに当たり留意したことは、管理栄養士が栄養に関する専門家として認められるために国家試験が定められているわけであるから、専門職として最低限4年間の教育カリキュラムの中で教えるべき内容もしくは習得するべき技能等について、このガイドラインの中に示すことだったと思います。
そうだとすると、例えば実際の実務に現実的に役に立つだけの実力を備えているかどうかが評価できるかということについて、個人的には他職種と比べて十分に栄養に関する専門家という意味での内容がガイドラインで網羅されていると思っております。しかも、かなり広範な範囲で示されているがゆえに4年間のカリキュラムの中では500時間の臨地実習が担保できない状況です。
国家試験の合格者がこれだけの数毎年出ているということは、基礎的な能力を習得したと認められる人たちが毎年資格を持って出ているということです。しかし、実社会でそれなりの専門の職種に就いてその力を発揮することができない現実があります。この状況自体を変えていただかないと、試験は形だけのものになってしまいます。言い方は悪いかもしれませんが、ペーパー管理栄養士を育てることに私たちは努力をしていることになっていること自体が根本的な問題だと思っています。管理栄養士が管理栄養士として力を発揮すれば、日本の国民の健康も守れ、よりよい社会がつくれるということを広く理解していただきたいと思います。国家試験をやるからには、今、勉強している人たちが希望を持ちながら努力をしてこれから先の人生を過ごしていけるような道筋というものをつけていく必要があるだろうと思います。非常にあいまいな希望ですけれども、その方向性に向けての確実な道筋を立てるための方法を考えていかなければならないと思います。
伊達先生に今回していただいた調査は、今、管理栄養士を送り出す側では最低限これだけのことをしているということを示す非常によい調査だと思います。また現場とのギャップというものもよく見えてくると思います。世界にはよいモデルもあるわけですから、そういうところにできるだけ近づき、日本の管理栄養士が世界で一番レベルが高いというような状況になるといいと思います。これは単に希望ですけれども、強く希望してお願いをしたいと思います。
○川久保座長 ほかに御意見はないでしょうか。どうぞ。
○田中委員 別の話題になってもよろしいでしょうか。
○川久保座長 はい。
○田中委員 漠然とした話で恐縮でありますが、今回の最初の会議のときに各科目の関係はどうなのでしょうかということを申し上げました。それは疾病の成り立ちと臨床栄養学の関係のことで申し上げたのですが、その後考えていますと、それらの科目間の問題だけではなくて、ガイドライン、カリキュラムを全部含めて相互の関係というのがとても気になってきました。
例えば、現行のカリキュラムでは管理栄養士の教員が中心になって教育を行い、農学系や医学系の教員がそれをサポートするというのが基本的な考え方だと思います。この委員会も大半の委員が管理栄養士の方で、一部農学と医学が入っていて象徴的です。このような環境でそれぞれがカバーする範囲がうまく連携がとれているのだろうかということがいつも気になっております。
糖尿病対策などで患者さん中心に医師とか管理栄養士とか看護師が肩を組んでいるようなチーム医療がよく載っていますけれども、学生や院生には管理栄養士教育もチーム教育であるといつも言っています。学生を真ん中において、管理栄養士教員を中心に、医学系とか農学系などの教員がそれを囲むというイメージで、栄養学の研究もそうだと思っています。いつも学生たちには、食事調査がきちんとできるのは管理栄養士だけなのだから、その得意技を生かした上で医師と組みなさいと伝えています。このガイドラインから離れた話で恐縮なのですが、全国にたくさんの養成校がありまして最低1人ずつ医師がいるわけですが、本当にそれらの先生方が管理栄養士の先生方とうまく連携して、それで教育の実が上がっているのだろうか、ということをいつも考えております。
先ほど伊達先生が栄養改善学会の会員の大半は管理栄養士だとおっしゃいましたけれども、それはそれでいいことなのですが、逆にいいますと、医師がほとんど入っていないことが問題でして、実践栄養系の学会で医師の会員がほとんどという学会もありますので、何かの形で今後管理栄養士中心に各職種が協力した形でカリキュラムをつくっていくとか、ガイドラインを進めていくとか、漠然とした話ですが、そのようなことができないのかと考えております。
○川久保座長 出題基準の科目や科目間の関連という意味でも、今後は今の御意見を参考にして改定した方がいいという点は十分あると思っております。
ほかに先生方から御意見はございますか。石田委員、よろしくお願い申し上げます。
○石田委員 今回の作業をしまして、先生方から御意見が出ていたとおりで、私も改めて4年間でどこまで到達できるのか、管理栄養士の専門性とは一体何だろうかということを考え直す機会でもありました。保健・医療・福祉・教育という本当に多様な領域で活躍しているのですが、栄養士法を改定した後、高度化した管理栄養士の専門性を見つめつつ教育をしてきたと思います。その中で逆に土台のところが少し薄くなり、先を見過ぎた教育になってしまっていたと思います。4年間で最低限教育すべき管理栄養士ならこれがきちっとわかっているといったことが何なのか、そのことを改めて考え直す機会であったと思います。
ですので、そのことをそれぞれの大学でもう一度考え直し、それが今後教育としてどうあるべきか。これはあくまでも試験なので、国家試験のガイドラインに縛られて教育をせず、内容を最低限わからせるためにはどのようにカリキュラムを考えていくのかということをもっと議論していかなければいけない。これは学会やいろんな機会を含めて議論し、なおかつそれぞれの養成校がきちんと責任を持って議論しなければいけないことなのだろうと思いました。とかくこのガイドラインが出てしまうと、そのことだけに集約されていくような教育になりがちなので、そうならないように一教員としても改めて考え直したところでございます。
○川久保座長 報告書の中にも出題基準というものは教育の在り方を拘束するものではないという文言が入っておりますけれども、今その点を石田先生から強調していただきました。
ほかに先生方から御意見はございませんでしょうか。どうぞ。
○辻委員 先ほど木戸先生が臨地実習は500時間と言われておりましたが、これも必要、あれも必要ということで教育時間は足し算のやり方で増やしていっているようです。私は基礎系の分野に属しておりまして、4年生に対して、例えば、たんぱく質やアミノ酸について聞いたら、明確に答える人は1割いるかどうかです。そういう状態でも国家試験は何とか合格する。そして社会に出ていく。そうすると、確かな知識を身につけていない状態で社会に出て一体何を根拠にやっていくのでしょうか。勿論卒後の本人の研鑽があればそれなりにリカバーできるかもしれませんけれども、限られた時間の中で何を教えるのか、ということが重要であると思います。
今、私は食べ物と健康の担当で、食品学を担当しておりますが、食品学では総論から各論という形で、各論の場合、材料について隅から隅まできちっと教えていく。そうすると、はっきり申しまして、学生にとってみたらキャパシティーオーバーなのです。また、そんなことをたくさん教えても学生側がオーバーフローしたら結局何も身につかず意味がないのではないかと思います。最低限これだけのものを身につけていることが求められているのではないでしょうか。つまり家政系の食品学ではなくて、管理栄養士でこれだけの範囲の内容を学べばよいという食品学をこれからつくっていく必要があると感じているわけです。多分ほかの分野でもそうではないかと思います。栄養学は複合領域ですから、そこをうまくコーディネートし、体系的にすることが必要ではないかと感じています。現在、そこのところは各大学で悩んでいることだと思いますけれども、是非それがうまい形でいってほしいと思っております。
○川久保座長 管理栄養士の出題基準というものの内容がそういう内容になっていればいいということですね。
○辻委員 出題基準に関連してですね。
○川久保座長 ほかに先生方から御意見はないでしょうか。
先生方にはいろいろ御意見をいただきまして、今後、管理栄養士養成制度自体がどのように変わっていくかはよくわかりませんけれども、そういう場合の参考にしていきたいと思っております。
最後に事務局から一言お願い申し上げます。
○宮嵜室長 一言御礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。
本年3月の第1回の検討会以降、座長をお務めいただきました川久保先生始め検討委員の先生方におかれましては多大な御尽力をいただきまして、また本日、検討会の報告書をとりまとめいただきまして、誠にありがとうございました。
健康局長の外山からも皆様によろしくお伝えくださいということでございます。本当にありがとうございました。
今回改定されましたガイドラインで、改めまして管理栄養士としての第一歩を踏み出し、その職務を果たすのに必要な基本的知識及び技能について的確に評価するという観点から再整理を行っていただきまして、管理栄養士国家試験の本来の趣旨に基づいた内容に改定していただいたものと考えております。
今後はおおむね4年一度このガイドラインの改定を目指していくことにもなりますが、管理栄養士の資質の向上のためには、今も御議論がありましたが、国家試験とともに卒前あるいは卒後の教育も重要になってくるかと思いますので、先生方におかれましては、今後とも引き続き御指導、御助言を賜りますように、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
終わりになりますが、今回の改定に当たりまして、検討会の委員の先生方とともに各科目3名ずつの先生にも御協力いただきました。御協力いただきました先生方にもこの場をおかりして感謝の意を表しまして、簡単ではございますけれども、御礼のごあいさつとさせていただきます。
本当にどうもありがとうございました。
○川久保座長 それでは、これにて第2回の「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会」を終わりにしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。


(了)
<厚生労働省健康局>

総務課生活習慣病対策室

栄養・食育指導官: 河野
栄養管理係: 野口、増田(2972、2344)
電話(代表): 03-5253-1111

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