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2010年11月25日 第21回高度医療評価会議 議事録

医政局

○日時

平成22年11月25日(木)10:30〜12:30


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

猿田座長、山口座長代理、金子構成員、柴田構成員、
関原構成員、竹内構成員、田島構成員、葉梨構成員、
藤原構成員、村上構成員、山中構成員、山本構成員、
本田技術委員
(事務局)
医政局研究開発振興課長、医政局研究開発振興課再生医療推進室長、
医政局研究開発振興課高度医療専門官・治験推進室長補佐、
医政局研究開発振興課ヒト幹細胞臨床研究対策専門官
医政局研究開発振興課高度医療係長、
保険局医療課企画官、保険局医療課課長補佐

○議題

1.申請技術の評価結果等について
2.協力医療機関の追加について
3.その他

○議事

○猿田座長
 定刻になりましたので、第21回「高度医療評価会議」を始めます。朝早くから、またお寒い中を委員の皆様にはお集まりいただきましてどうもありがとうございます。本日は、伊藤構成員、川上構成員、佐藤構成員、永井構成員、堀田構成員、林構成員から欠席のご連絡をいただいております。技術委員として、九州から本田先生においでいただいております。今回は欠席ですが、新しい技術委員として、日本医科大学大学院医学研究科長脳神経外科主任教授の寺本明先生に加わっていただくことになりました。本日は意見書をいただいております。
 配付資料について、また本日の案件の確認状況などについて、事務局からお願いいたします。
○事務局
 配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、開催要綱、構成員及び技術委員名簿です。新規申請技術についての資料1-1から資料1-4です。協力医療機関の追加として資料2です。参考資料1から参考資料8までを付けております。本日の資料は以上です。
 次に、利益相反について確認させていただきます。対象となる医薬品及び医療機器の企業等について、資料1に記載しております医薬品・医療機器情報をご覧ください。対象となる企業又は競合企業に関して事前に確認をさせていただいております。事前の届出以外に、特別に関与するような事例はございませんでしょうか。
(特になし)
○事務局
 該当なしということです。以上です。
○猿田座長
 議題に従い、1.「新規申請技術の評価結果」について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
 6頁の資料1-1です。新規申請技術の評価結果として、整理番号030、高度医療名は、脳放射線壊死に対する核医学的診断とベバシズマブの静脈内投与による治療です。適応症は、原発性及び転移性脳腫瘍もしくは隣接臓器に対する脳放射線治療後に生じた脳放射線壊死が対象となっております。申請医療機関は、大阪医科大学附属病院です。協力医療機関として、千葉県がんセンター、大阪市立大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院、社会医療法人厚生会木沢記念病院の4機関が申請しております。審査担当構成員として、主担当に柴田構成員、副担当として村上構成員と田島構成員、技術委員として本田技術委員と寺本技術委員に審議に加わっていただいております。また、寺本技術委員からは意見書を提出していただいております。以上です。
○猿田座長
 030の案件について説明していただきました。7頁からになりますが、この主担当として面倒を見ていただきました柴田先生から説明をお願いいたします。
○柴田構成員
 今回主担当を担当いたしました、国立がん研究センターの柴田です。資料1-2に沿って説明させていただきます。本件は事務局から説明がありましたとおり、村上先生、田島先生、本田先生、寺本先生にも評価していただき、私が主担当として取りまとめました。各先生方の評価を簡単に説明した上で、それぞれの先生方から追加のコメントをいただきます。
 実施体制の評価については村上先生にいただきました。実施責任医師等の体制及び医療技術の有用性等について「不適」の印を付けていただいております。こちらのコメントについては、それぞれ既存の情報が十分であるのか否か。その有用性に関して、自験例に関して科学的に解析・評価した上で、それを踏まえた研究計画書にする必要があるのではないか。本田先生からは、実施責任医師の体制から医療技術の有用性等についてすべて「適」の評価をいただいております。寺本先生についても、同じようにすべて「適」の評価をいただいております。田島先生からは、コメント欄に、同意説明文書に関していくつかの疑義を記載していただいておりますが、こちらについては適切に修正がなされたとのことですので、すべて「適」の評価を付けていただいております。
 プロトコールの評価は私が担当いたしましたが、8.被験者の適格基準及び選定方法、10.有効性及び安全性の評価方法、11.モニタリング体制及び実施方法、13.試験に係る記録の取扱い及び管理・保存の方法のところに「不適」の評価を付けさせていただきました。コメントについては後で申し上げます。
 11頁の総評です。総合評価としては「継続審議」と評価を付けております。実施条件としては、プロトコールの内容並びに実施体制が適切に修正・変更されることが必要であろうと考えております。概略については以上なのですが、各委員の先生方から追加のコメントをいただきます。
○猿田座長
 総括的に柴田先生からお話をいただきましたが、早速、各先生のご意見ということで、まず村上先生から実施体制の評価についてお願いいたします。
○村上構成員
 私は、実施責任医師等の体制と実施医療機関の体制、並びに医療技術の有用性等について評価させていただきました。順を追って説明させていただきます。
 実施責任医師等の体制については、申請医療機関を除くと、実施責任医師等の当該療養経験はゼロか、あるいはあっても1例で、かつ同症例の経過観察も6カ月前後程度しかないということがあります。それ以上に、投与後の管理ではなくて、脳放射線壊死の予防及び管理について協力機関でどのようにされているのか、という質問をさせていただいたところ、資料1-4、25頁の6.に質問の回答をいただいておりますが、「抗凝固療法による予防や治療を積極的に行っているのは申請医療機関のみと思われ、本試験を通じてベバシズマブ以外の治療の周知、普及させたい」という回答をいただいております。このことから、協力医療機関においての脳放射線壊死の管理方法が、いまだ標準化されていない状況だと想定されます。今回、高度医療として臨床試験を実施するのであれば、まず申請医療機関だけで始めていただくのがいいのではないかと考えた次第です。
 以上から「不適」としておりますが、申請医療機関で始めていただいた後、そういう治療方法等の標準化がなされれば、順次入っていただくというのも1つのやり方だと考えます。また、医療機関内でベバシズマブの使用経験が豊富な医師の協力を得ることも必要ではないかということでコメントさせていただいております。
 2.実施医療機関の体制については特に問題ないと考えております。
 3.医療技術の有用性等については、代替治療法がない状況になった脳放射線壊死に対して、ベバシズマブの適応外使用で症状が改善された例が経験されていることから、大変期待がもてる医療技術であると考えております。適応拡大の薬ですから、安全性に関する情報もある程度集積されていることから、是非高度医療のトラックに乗せてエビデンスを早く作り、薬事承認、保険収載に持っていってもらいたいと考えているところです。
 しかしながら、いままでの自験例の経験に基づくと、数少ない自験例でも脳内出血の発症例や血栓症の疑いの死亡例が認められているということについては、やはり慎重に評価する必要があるのではないかと考えております。脳放射線壊死の経過中にも同等の副作用は起こっているという記載もありますが、各症例をしっかりと評価した上で、研究計画を立てる必要があるのではないかと思っております。
 また、有効性に関してですが、自験例についての情報を見せていただきました。資料1-4にその詳細が記載されております。確かに、いろいろ示唆に富む情報がありますが、いまの状況は症例報告の積み上げであり、臨床評価をしっかりと議論するためにも、もう少し情報を整理していただく必要があるのではないかと考えております。まずこれらの自験例を、申請医療機関及び協力医療機関も含め、科学的にきっちりと解析・評価をしていただき、それを踏まえて研究計画を作成する必要があるのではないかという思いから「不適」としております。いま言ったことを踏まえて、研究計画をより良いものにしていただくならば、「不適」を「適」にさせていただいて構わないと考えております。以上です。
○猿田座長
 後ほど皆様方のご意見を伺うことにさせていただきます。資料の8頁に入りまして、本田先生から実施体制のご意見等をいただきます。
○本田技術委員
 全体的に評価し、実施責任医師、医療機関、医療技術、いずれも「適」といたしました。村上先生がおっしゃられたような問題点もあるとは思いますが、総体的に見て「適」と判断いたしました。申請者も記載しているように、放射線壊死に対する治療法がほかにないということが大きなポイントです。
 現在の治療法には、壊死部の除去術、あるいはステロイド剤がありますが、壊死部を除去しても十分に効果がない場合も多々ありますし、ステロイドを使うと急性期にはかなりの投与量になりますし、急性期以降もステロイド剤の使用を継続しなくてはなりません。患者さんを診ておりますと、ステロイドに伴う感染症であるとか骨粗鬆症であるとか様々な合併症が起こってまいりますので、なんとか良い治療法がないかと常々考えているところです。
 本申請内容を確認した上での2点の問題点を申し上げます。1点はその診断で、脳壊死なのか、腫瘍なのか、この残存をどう否定するのかということです。もう1点は、原発性の脳腫瘍だけに限るのか、あるいは転移性脳腫瘍も含めるのかという、この2点が大きな問題ではないかと考えました。後者から申し上げますと、臨床的には転移性脳腫瘍の患者さんの方がかなり多く、原発性腫瘍患者の約1.5倍ほどあります。ですから、転移性脳腫瘍をなんとか適応疾患に入れていただけたら、患者さんも助かるのではないかと思います。私が記載しておりますように、添付文書に転移性脳腫瘍に対する“警告”がありますが、臨床的には転移性脳腫瘍も含めていただければと思っております。
 前者の診断に関して申します。核医学の検査を中心として、壊死と原発性腫瘍を区別すると記載してあります。現状では、核医学検査としてののメチオニンを使っても、FBPAを使ってもなかなか診断は難しいと思いますので、ある一定の基準を設ける必要があると思います。申請者らが報告しているデータが基本にはなっておりますけれども、一定の基準を設けるという点では妥当な診断基準ではないかと考えております。
 さらに申請者へ対して、何点か質問いたしました。私の質問内容を申し上げますと、2年間で40例という症例数がかなり多いのではないかと思いました。脳壊死が約5%発生するとして、申請者らの症例数から考えると、通常発生している脳壊死の頻度よりもかなり高い頻度を期待しているよう思いました。それから、回答にBNCTのことが記載してありましたが、BNCTをしているから脳壊死が増えるということでもないだろうと思います。仮に40例に満たなかったときにどうするかを明確にしておく必要があるのではないかと思います。
 さらにPETの検査のトレーサーとしてのアミノ酸の問題です。私が質問をしたことへの回答の中に、メチオニンの合成装置が薬事未承認機器であるという記載がありました。未承認機器で合成したメチオニンを使用するのはいかがなものか。この点が気になりました。ただし、総体的には認めてもよろしいのではないかと判断いたしました。以上です。
○猿田座長
 本田先生からご意見をいただきました。続けて脳外科のほうとして、本日ご欠席の寺本先生のご意見をいただいておりまして、そのコメントが12頁に意見書という形で載っていますので、簡単に紹介させていただきます。
 「脳放射線壊死、正確には晩発性脳放射線壊死(以下、本症)は、脳腫瘍、(悪性、良性を問わず)やその他の頭頚部疾患に対して脳に放射線治療を行った後、6か月から3年(多くは1-2年)で照射の内に生ずる非可逆的な正常脳組織の壊死とされている。一般的には線量60Gy/30回を超えると発生率が高いとされるが、それは以下の線量でも生じる。
 問題の第1は、原疾患の悪性腫瘍の場合、腫瘍の再発なのか本症なのかの診断が困難な事例が多いことである。通常のCTやMRIでは鑑別が難しく、本申請にある通り、PET(やSPECT)を種種工夫して診断を行っている。特に、メチオニンPETは既に多くの施設で実施されている。
 問題の第2は、本症が発生すると、ある段階までは病態が進行してしまい、これを防止する決定的な手段を欠くことである。一般的には、ステロイドの投与を行うが、その効果は普遍的ではない。一方、申請者は内科的治療の奏効率を20%と述べているが、それよりは高いと考えられる。減圧を目的とした手術を行う場合もあるが、脳の機能により壊死自体を来している部分を切除できない場合も多く、術後も壊死を中心とした浮腫が進行することが知られている。
 最近、本症に伴う高度な浮腫が、壊死部の血管新生とそこに過剰発現するVEGFが原因であるとする説が有力になってきた。VEGFに対するモノクローナル抗体であるベバシズマブは、論理的に本症にも有効であることは推論でき、実際探索的な臨床研究では効果を呈しているようである。
 本治療法の対象を1か月以上の保存的加療を行っても効果がなく、かつ手術適応もない重症例としている点は、適応条件として適正だと思われる。しかし、ベバシズマブ血管性イベントが副作用として数多く報告されており、特に転移性脳腫瘍では、症候性の脳出血を来している。申請者は、転移性脳腫瘍例でも厳重な監視下に治療すれば良いとしているが、添付文書にも“警告”として取り上げられている事項であるので、少なくとも今回の高度医療の対象としては、転移性脳腫瘍例を除いておいたほうが適切であると判断する」。
 これが寺本先生からのご意見で、よろしいけれども転移性の脳腫瘍例をどうしようかというところが問題であるというご意見をいただいております。後ほど、皆様方にご議論いただくことにいたしまして、次に田島先生からご意見をいただきます。
○田島構成員
 同意説明文書で、15.その他特記事項の具体的内容が書かれておりませんでしたので、これを補充していただきました。7.の患者さんが負担される費用について、体重40?sの方の例が書かれているのみで、患者さんの体重ごとに使用する薬剤の量が異なるので費用が変わってくるということが書かれながら、具体的に体重ごとの患者さんが負担される費用額が不明確でしたので、これも明らかにしていただきました。13.利益相反の欄については、倫理審査委員会で、被験者に不利益が及ぶ恐れはないと判断されたという記述になっておりましたが、条件付であるところで、その条件の二つ目で提出を求められた資料がありませんでしたのでこれをお出しいただきましたところ、本件ではベバシズマブを製造販売している中外製薬株式会社が、大学に対して奨学寄付金2,000万円を提供しており、その費用の流れを明確にする資料の提出を求められたことが明白になりました。利益相反の関係については、具体的に説明文書にも書き込まれておりますので問題はないと判断いたしました。
 以上の訂正を経て、説明する項目についてはすべて網羅されましたし、患者さんの相談の対応も整備されておりますので、最終的には同意に係る手続、同意文書について「適」と判断させていただきました。また、補償内容についても、記述内容は「適」と評価しております。以上です。
○猿田座長
 それでは、柴田先生からプロトコールを含め、もう1回総括的なご意見をいただいて、それから皆様方のご意見を伺います。
○柴田構成員
 プロトコールの評価について、私が記しましたものを簡単にご説明させていただきます。私個人としては、本技術を臨床試験の下で評価していただくこと、科学的に評価していただくこと自体を否定するものではないと考えております。しかし、臨床試験を実施する前に、臨床試験実施計画であるとか、体制の変更・修正が必要であると考えております。3点ほど大きな論点があるかと思います。
 1点目は、対象をどこまで絞り込むか。2点目は、有効性及び安全性の評価方法、その他のデータ管理の方法について、臨床試験の方法論上、訂正していただく必要がある。もう少し突っ込んで考えていただくべきものがある。3点目は、この臨床試験が終わった後、どのような解釈をし得るのか。
 1点目については、既に評価担当の先生方から出てきましたが、転移性脳腫瘍を入れるべきか否かという点はかなり大きな問題だろうと思います。それについては、本技術の開発ロードマップに照らしながら、最初から転移性まで入れた上で開発を進めるのか、まずは絞ったところから始めて、有効性・安全性を確認しながら漸次広げていくべきなのかが論点になろうかと思います。それは、基本的には対象とされる患者さんの集団ごとのリスク・ベネフィットの比較考量をした上で、現在の開発の段階と、それぞれの患者さんの置かれた状況等を勘案しながら進めていただくべきだろうと考えております。
 2点目の、臨床試験の方法論に係るところについては、特にプロトコールの本体についてはある程度丁寧に書かれておりますが、CRFと、プロトコールと、申請書の間に不整合がありますとか、このCRFであるとか、このデータ管理の方法をそのまま臨床試験のときに行われてしまうと、たぶん追跡にまた2年かかるということがありますので、数年にわたってこの臨床試験を行うと混乱が生じることがかなり懸念されますので、そこは事前に詰めていただく必要があると思います。
 既に出されている自験例の情報などについては、基本的には観察研究としてやられているとか実際に診られた患者さんのデータを集めているということで、ある程度できた部分もあると思います。「長期」にわたる臨床試験を行うとか、「前向きの研究」であるとか、あるいは「多施設」で行う研究である場合には、通常の診療の中での常識とはちょっとかけ離れたことが起こってしまいますので、そこの部分はきちんと詰めた手続を定めていただいて、なおかつデータ管理の体制を整備していただいた上で進めていただく必要があると思います。
 3点目については、その結果の解釈です。資料1-4と資料2の間に挟まっている44頁の「脳放射線壊死に対するベバシズマブ治療の解説」を見ますと、脳放射線壊死を起こした患者さんに対して、既存の治療法であるステロイドとか、抗凝固薬などと、本技術とが並置されておりますが、実際に今回行われる臨床試験は、既存の内科的治療で十分な効果が得られなかった方を対象としていますので、ここはちょっと言いすぎであって、まずこの試験の結果からわかることは、ステロイドであるとか、既存の治療では十分でなかった患者さんに治療したときにどのぐらいの効果があるかがわかることになります。
 この辺のところをきちんと詰めておかないと、45頁の「薬事承認申請までのロードマップ(公知申請)」が十分見込みのあるものであるのか、あるいは最終的にエビデンスが蓄積されて、教科書であるとかガイドラインが書き換わって公知申請するにしても、そこのところで一体この臨床試験で何が言えたのかという解釈のところで、ちょっとつまずいてしまうことがあると思いますので、そこは丁寧に整理しておく必要があると思います。私が担当したプロトコールの評価については以上です。
 総合評価のところに戻ります。村上先生のコメントにもありましたが、慎重に研究計画書を見直していただく必要があろうと思います。対象であるとか、単施設でやるか、多施設であるかについては大きな変更点でもあることから、それらを反映させる。申請者の先生方のご見解もあろうかと思いますが、反映させた上で、改めてその内容の妥当性をこの場で継続審議していただくことがよいのではないかと考えました。以上です。
○猿田座長
 いま、問題のところをご指摘いただきました。転移性のものまで含めていいかどうかという問題、プロトコールの問題もありますが、いくつかの問題がありましたのでご意見をお願いいたします。
○山口座長代理
 本田先生にお伺いします。これは診断がなかなか難しいということなのですけれども、具体的には脳壊死と再発とどのぐらいの頻度で鑑別できるのでしょうか、何パーセントぐらいとか。つまり、こういうやり方でやったときに、どのぐらいが混ざり込んでくるのかということです。
○本田技術委員
 何パーセントで鑑別できるかはよくわかりません。脳壊死の中に、残存腫瘍があるかどうかという鑑別が難しいのだと思います。おそらく理論的にはアミノ酸の結果に、MRIやFDGの結果を加味すると診断率は高まると思います。ところが、これらを加味した報告はないのです。ですから、現時点ではこの申請者のものを基準とするしかないと判断いたしました。
○山口座長代理
 もう1つは、標準的な保存的な治療で20%効くとか、それ以上効くのだというご意見があるようですが、有効というのはどういうことを有効としているのでしょうか。
○本田技術委員
 浮腫が軽減される、浮腫に伴う臨床症状が緩和される、あるいは縮小し、うまくいけば消失するということを効果があると判断しています。
○山口座長代理
 それはどのぐらいの期間とか、例えば1週間でも効けば有効とするのか。
○本田技術委員
 難しいですね。急性期であれば1ヶ月から数か月だろうと思います。脳壊死は発症までに半年から3年ぐらいかかりますので、それで徐々に大きくなってきたものに対して長期投与、ステロイドを長期使ってそれ以上進行しないようにする、あるいは若干でも緩和するようにするということだと思います。
○山口座長代理
 これは格段の効果が期待されるのであれば、普通の保存的な治療に比べて相当いいというところがある程度具体的に出てきていなくてはいけないと思うのですが、その辺りについて専門家の先生方のご意見はいかがですか。
○本田技術委員
 私には使用経験はありませんので、どれぐらいの格段の差があるのかよくわからないです。理論的にはVEGFをはじめ、浮腫を抑えるのだろうと考えましたが、私としては推論です。
○山口座長代理
 消化管のがんでも使いますけれども、結構副作用があって、そのために亡くなる方もいることは事実なので、これは投与には慎重でなければいけないと思うのです。体制の中で、放射線科の先生とか外科医はたくさん入っていますけれども、この中にこういう薬剤の使用経験のある方が本当にいるのかどうかということがちょっと気になったのですが、その辺りはいかがでしたか。
○村上構成員
 そのことも気になりましたので質問させていただきました。資料1-4の28頁に、実際にどれぐらいベバシズマブの使用経験があるかということの数字もいただいております。これは、当該診療科ではない診療科も含めた数字であります。使用経験のある先生方の協力も得られるという回答もいただいております。その医療機関としては、ベバシズマブの厳格な使用ができるのではないかと思います。
○猿田座長
 山口先生がおっしゃられた、大阪医科大学から出ている資料で症例を見ると非常によく効いていて、特に効いた症例で、しかしその後亡くなっている症例がありますので、そういうのをどう読むのかです。
○山口座長代理
 いただいた資料はあまり十分ではなくて、いつ、どういうものが、どれだけ投与されて、どうなったかということが具体的にわからなくて、言ってみればいいところだけが書いてあるので、これだけではなかなか判断が難しいかと思います。いま伺っていると大変難しい病態の病気で、しかもある程度専門家の先生が期待できるのではないかというご意見であれば、患者さんに有害な事象が出たときにすぐ対応できるという体制さえきちんと担保されていれば、前向きに検討してもいいのではないでしょうか。
○藤原構成員
 臨床試験自体は、回答を見ても非常に真摯に回答されていていいかなと思ったのですが、実際にこれが将来公知申請とかに向けて、本題とちょっと外れるのですけれども腫瘍の診断のところで、11C-メチオニンPETとか、PETトレーサーはいま日本で使われているものはほとんどすべてが未承認です。それが非常にファジーに運用されていて、院内製剤として診療の中でたくさん使われています。
 片や、真面目にアバスチンで高度医療評価をやっていて、第三者の目に触れるのに対して、こういうPETトレーサーは院内製剤ですからというので、いろいろな所で広く使われているけれども、情報は核医学の先生以外の所には共有されていないという実態は将来的にどう整理するのかを事務局に聞いておきます。回答はいますぐでなくてもいいです。アバスチンがこの効能で承認を取って世に出ても、メチオニンPETは未承認のままでは困ります。
○事務局
 藤原構成員のおっしゃるとおりで、今回も各医療機関で、いわゆる合成装置も同一の機器ではありませんし、実際薬事承認に向けてどのように取り扱うかというのは、学会の先生からもご意見がありましたが、大変難しい問題と伺っております。
 ただ、いずれにしても申請者のほうからは、薬事承認申請を考えている企業もあるということですので、そこは医薬食品局ともよく連携をしながら、具体的なことをいま申し上げるのは難しいのですけれども、適切な方向を考えてまいりたいと思っております。
○山本構成員
 この研究の話ではないのですけれども、核医学の件です。私は、一時期、脳の核医学の研究を少ししていたときがあります。それから、PMDAの前身の審査センターで審査をしていたことがあるのですが、どうしても核医学の場合に、その病態を診断するのが主になっていて、その診断はできるのです。ところが、それを申請に上げたときは、その診断をしたからどうなるのというところがありました。おそらくこのメチオニンのPETも、アバスチンなどの治療法が出てきて、初めてこの治療法とセットになっておそらく効果がというか、有効性というか、これをすることの有用性が出てくるということなのです。
 どちらもない所では、全くどちらも動かないだろうと思いますから、そういう意味ではこれを使って何か治療ができる。その診断の役に立つという有用性が出て、初めてメチオニンPETに保険が適用される意義が出てくるのだろうとは思います。
○山中構成員
 このプロトコールに関しては適応外使用なのですけれども、使われ方としては世界初の使われ方である、しかしハイリスクである、あとは良い代替治療がないというポイントはあります。高度医療のもとで実施してほしい治療法、臨床試験だと思います。ただし、山口先生がおっしゃったように、緊急の場合の体制の担保は必要です。
 科学的に評価できるかということがあくまで重要ですので、是非プロトコールの内容は科学的にきっちり詰めて、結果が得られたときにしっかり良い評価ができるようにしていただきたいと思います。
○猿田座長
 山中先生のご意見をいただきました。プロトコールを少し直していただいてやるとして、私がちょっと気になりますのは、こういうものを早く進めていくために、いちばん多い転移性の症例を受け入れるかどうか、その辺りはどうでしょうか。やはり“警告”という形で出ていますが、転移性のものも世界的にはかなり認めているようです。その辺りのところで、特に出血、その他の問題を考えたときにどうかということ。
 もう1つは、先ほど村上先生からお話がありましたけれども、各施設に経験を聞いていただきました。寺本先生がおっしゃるように、まずは大阪医科大学だけでやっていくのか、広げたほうがいいのか、その辺りのところはどうでしょうか、ご意見をいただければと思います。
○山中構成員
 単施設で経験されたのち、順次エクスパンドしていくのがいいのではないかと思いますが、ほかの先生方はいかがですか。
○山本構成員
 エクスパンドするのはいいと思うのですが、それであればそのエクスパンドする条件というか、どういうふうにしていくかという方法をある程度決めて。
○山中構成員
 それはそうだと思います。第?T/?U相的なイメージで、このぐらいの条件を満たしたら、何例目から多施設にエクスパンドするという条件がもちろん必要だと思います。
○山口座長代理
 転移性に関しては、寺本先生はやや否定的なコメントが書いてあります。遅発性は、そもそも転移性のものはそんなにたくさんはないわけです。転移性のものは予後が非常に悪いので、そういうことが起きる前に亡くなってしまいます。それでは、実際に転移性のもののうち、何パーセントぐらいがそういう病態になり得るのかがわかったら教えていただきたいのです。
○本田技術委員
 転移性も、いまは手動修正ができるようになって、数が少ないものは予後がかなりよくなってきています。原発性であろうと転移性であろうと照射線量に依存するわけですので、大体50グレーで5%、60グレーで10%ぐらいでネクローシスが発生します。ですから、それぐらいを基準に考えていただいたらいいのではないかと思います。
○藤原構成員
 海外のアバスチンの添付文書では、別に転移性脳腫瘍は禁忌だとは書いていなかったような気がします。去年の11月号ぐらいの『ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー』に、非小細胞肺がんで、そういう転移例でアバスチンを使っても心配ないですというのも出ています。今年の1月の『クリニカル・キャンサー・リサーチ』にも、脳転移症例でも問題ないのではないかという論文も出ています。症例数の確保の観点から考えれば、IC文書にきちんとリスクが書いてあるのであれば、転移性脳腫瘍を入れてもいいと思います。
○猿田座長
 藤原先生、その場合には、いままで症例数をかなり積んできた大阪に絞ってやるべきか、それともそこはどうですか。
○藤原構成員
 最初は大阪医大の先生に頑張っていただいて、ほかの施設も、要件をいろいろ見ましたけれども、わりとしっかりしている所が多かったです。木沢病院だけは、IRBの議事概要が公開されているのかどうか見てこなかったのでわからないのですけれど、ほかのいろいろな所は、体制はしっかりしている病院だと思います。木沢病院も、あれだけ脳外科の先生がたくさんいらっしゃるのであれば、将来的にはいい施設になると思いますので、最初は医科大で、その後で広げるということでいいのではないですか。
○猿田座長
 わかりました。その辺りは施設基準をしっかり考えてということですね。
○本田技術委員
 いまおっしゃられたように、海外では承認されているのが1点。それから現実問題として、大腸がんの患者さんで転移性脳腫瘍があった場合にはアバスチンが使えないということで、先に脳腫瘍の手術をするとか、先に脳転移に放射線治療を行い、その後にアバスチンを使用するということが現実問題として起こっています。
 これで完全に腫瘍が消失している証拠がないまま、アバスチンが使用されているということです。完全に消失した証拠がないと使用してはいけないということは記載されておりませんので、転移性脳腫瘍に対して一旦治療をすれば、その後はアバスチンが使用できるということなのです。ですから、ここで転移性脳腫瘍に対してアバスチンを使ってはいけないというのは、整合性が取れないのではないかという印象を持っております。
○猿田座長
 要するに、安全性をしっかりやっていけばということですね。その方向をしっかり踏まえてということですね。
○本田技術委員
 そうです。
○柴田構成員
 今の海外の状況について補足させていただきます。米国では“警告”されています。日本においては原則禁忌になっていた。欧州においては、当初中枢神経系にメタがある患者さんは禁忌になっていたのですが、去年の段階で市販後のデータなどを確認して、そこは外れている状況にあるようです。
 方法論の観点からコメントさせていただきますと、先ほど山中先生からもご意見をいただきましたように、まずは狭い所で始めて、その施設だけにするか、あるいは原発・メタと両方考えるかそこはあり得ると思うのですが、まず始めていただいて、一定の条件を満たしたときにそれを段階的に広げるという方法は取り得ると思います。一方で、そのような複雑なデザインにしてしまいますと、臨床試験のロジスティックスが難しくなりますので、そこはちょっと割り切って、小さな試験をまず短期間でサッとやって、結果が出てきたら次のプロトコールを立てて、改めて新しくやっていただくという手もあると思います。方法論としては、いろいろ対応の余地はありますので、患者さんにとっていいような形、なおかつ開発がスムーズに進むような方法で進めることが可能なオプションはあると思います。
○猿田座長
 非常に貴重なご意見で、そこが大切なところだと思います。その形が取れれば、安全性の確保をして早く進めたいということと、いい治療であれば患者さんに早く届けたいということがあります。いまのご意見について事務局から何かありますか。これから詰めていただくことで、少しでも前進できる形で施設のほうにお願いしてという形になると思います。
○山口座長代理
 なるべく早く広げたほうがいいと思います。特にこれは症例が少ないので、もたもたしていると時間が経ってしまうので、早くいい評価をしてあげることが大事だと思います。先ほど要件を見たら専門家もおられますので、なるべく広くやったほうがいいと思います。
○猿田座長
 そうしたら、いま柴田先生にまとめていただいたような形で事務局に詰めていただいて、当該施設と早急にその辺りのプロトコールを詰めていただく形でよろしいでしょうか。委員の方々からほかにご意見はございますか。
(特に発言なし)
○猿田座長
 それでは、この案件はいまの形で、柴田先生は大変ですけれども、その辺りを最終的に詰めていただいて、施設のほうとのやり取りをお願いいたします。一応「継続審議」という形にさせていただきますけれども、できるだけ早く前向きでいくという形にさせていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして、議題2.「協力医療機関の追加について」、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
 資料2、46頁です。協力医療機関の追加として3件あります。整理番号017、高度医療名は、経胎盤的抗不整脈薬投与療法です。申請医療機関は、国立循環器病研究センターです。今回追加を予定している医療機関は筑波大学附属病院です。
 整理番号020、高度医療名は、パクリタキセル静脈内投与、カルボプラチン静脈内投与及びベバシズマブ静脈内投与の併用療法、並びにベバシズマブ静脈投与による維持療法です。申請医療機関は、埼玉医科大学国際医療センターです。今回追加を予定している医療機関は、国立がん研究センター中央病院、北海道大学病院の2施設です。
 整理番号021、高度医療名はパクリタキセル静脈内投与及びカルボプラチン腹腔内投与の併用療法です。申請医療機関は、埼玉医科大学国際医療センターです。今回追加を予定している医療機関は、自治医科大学附属病院、新潟県立がんセンター新潟病院、東北大学病院、国立病院機構四国がんセンター、鳥取市立病院の5施設となっております。
 事務局にて倫理審査委員会の構成、医療機関の実施体制等を事前に確認しております。特にご意見がなければ、追加の手続を進めたいと思っております。以上です。
○猿田座長
 いま説明がありましたように、既に高度医療で認められております017の経胎盤的抗不整脈薬投与と、020と021はパクリタキセルの静脈投与、あるいはカルボプラチン腹腔内投与のいずれも、先生方に議論していただいて高度医療として認められたものですが、追加施設として、いま説明がありましたようにいずれも追加の協力機関はしっかりした所です。017は筑波大学。020は国立がん研究センター中央病院、北海道大学病院。021は自治医科大学、新潟県立がんセンター新潟病院、東北大学病院、国立病院機構四国がんセンター、鳥取市立病院ということですが、ご意見がありましたらお願いいたします。
(特に発言なし)
○猿田座長
 それでは、このすべてを認めていただいたことにさせていただきます。議題3.「その他」について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
 本日はお時間をいただきまして、議事次第の参考資料5〜8までを説明させていただきます。参考資料5〜7は医政局より、参考資料8は保険局より説明させていただきます。
 参考資料5、67頁です。67頁は新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定)の資料です。この中の「ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」を受け、その前の頁の「健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト」ということで、「元気な日本復活特別枠要望額」として、厚生労働省としては現在233億円を要望しています。これについては、前回の会議で、この中の「革新的新薬・医療機器の臨床試験拠点の整備」について説明させていただきました。これについてはいわゆる政策コンテストの評価会議もございましたが、その前に多数のパブリックコメントをいただきましてありがとうございました。現在、予算については調整中であり、厳しい財源ではありますが、十分な予算を確保できるように努めてまいりたいと考えております。
 参考資料6、71頁です。これは「平成23年度厚生労働科学研究費補助金公募要項」についての資料です。その中の44頁、通し番号の118頁です。3.「臨床応用基盤研究事業」の中の(1)医療技術実用化総合研究事業のア.臨床研究推進研究において、45頁の?B高度医療(第3項先進医療)として実施が認められた医療技術を用いた臨床研究という項目を今回新たに立てさせていただきましたので、これについてご報告させていただきます。これについての課題件数は4課題程度、額は基本的に1年当たり3,000万〜5,000万円程度ということで、すべての第3項先進医療の技術の臨床研究のすべてに付くわけではありませんが、まずはこのような形でスタートしたいということです。本年12月14日が締切りになりますのでよろしくお願い申し上げます。
 参考資料7は、再生医療推進室よりご説明させていただきます。
○事務局
 本日、再生医療推進室長の谷は公務のため遅れておりますので、ヒト幹細胞臨床研究対策専門官から簡単にご説明させていただきます。参考資料7、195頁です。「「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の改正等について」という通知がございます。199頁にその指針の本文があります。もともとは、平成18年7月3日に作成された指針ですが、この度、本年11月1日をもって全部改正をいたしまして、同日施行しております。改正の内容等については、通知等を参照していただきたいと思います。なお、関係各位には周知のほど、是非よろしくお願い申し上げます。以上です。
○事務局
 ここまでが医政局の説明となりますが、ここで一旦区切らせていただきまして、ご意見等がありましたらお願いいたします。
○猿田座長
 いままでのところでご質問がありましたらお願いいたします。先ほどの高度医療に対する4件ぐらいのお金というのはちゃんと付くのでしょうね。また、すぐに何かで潰されるのでは困るのです。なぜかというと、こういうのを選ぶときに、私もどこかで委員をやってくれと言われているのですが、せっかく選んでおいて、またパッと潰されると何の意味もなくなってしまうということなのです。
 いま4件ぐらいということで、どういう形で取るかです。この間から高度医療で議論させていただきましたが、かなりお金がかかるものもありました。そういうところで、どこに焦点を絞っていくのかということもうまく考えていただきたいと思います。
○藤原構成員
 私も同じようなことを思っていました。高度医療プラス、昔は医師主導治験の研究費も厚生科学研究費にあったのですが、最近は見てもどこにもなくて、私どもが真面目にやっていてもお金がなくて大変なのです。薬事法で医師主導治験の制度を導入しておきながら、お金は出さずにやれという姿勢は永遠に変わらないのでしょうか。
○事務局
 なかなか厳しいご指摘ですけれども、基本的には医師主導治験に関して、研究開発振興課としては、日本医師会治験促進センターにお願いし、そちらのほうでカバーしたいと思っております。各種疾病については、また健康局の各種個別の疾病についてはそのような研究費もあろうかと思いますので、そちらのほうもご活用いただければと思っております。
○猿田座長
 申し上げたいのは、現場は一生懸命やっているので、それにちゃんと応えていただきたいということかと思います。
○金子構成員
 厚労科研は、既に高度医療として認められているものに対してお金が付くということでしょうか。
○事務局
 そのとおりです。
○金子構成員
 毎年新しいのが選定されると考えてよろしいのでしょうか。常に4件だけなのですか、それともだんだん増えてくるのですか。
○事務局
 その課題数については、なんとか増やせるように努力してまいりたいと考えております。
○猿田座長
 できるだけ効率よく、しかも本当に必要とされる所に持っていけるのがいちばんいいと思います。
○関原構成員
 いま先生方がおっしゃった話というのは、本質的な問題だと思うのです。とにかく日本は予算の半分は借金でやっているわけだから、全体としてはもう増やせないのです。そうすると、従来通り各局に分かれて、医政局はこれをがん対策は別の局でやっています、基礎研究は文科省ということで、ばらばらやっていたら絶対にこの研究予算問題は解決しないです。
 せっかくこういうのをやるのだから、医療の戦略を誰かが一元的にまとめて、プライオリティを付けて、省庁あるいは局の枠を超えてちゃんとやらないと、砂漠に水を撒くようなことになってしまいます。残念だけれども研究予算は増やせない財政状況下で戦略を策定するのだったら、各論として3,000万円だとか2,000万円を査定して削るというのではなくて、全体の枠や配分の仕方のところをしっかりやっていただきたいと思うのです。それでないと、研究している人は「もうやっていられないですよ」ということになると思うのです。
○医政局研究開発振興課長
 いまのご意見ですが、厚生労働科学研究費については、大臣官房の厚生科学課のほうで、これまでは各局がばらばらでやっていたものをひとまとめにして、省としてやっていこうという意気込みです。あとは、政府全体に関しては、まさにライフ・イノベーションのほうで、健康大国戦略に基づいて、これからは関係省庁がばらばらではなくて、連携して一生懸命やっていこうという動きになっておりますので、いま出た意見も踏まえまして、我々も努力していきたいと考えております。
○猿田座長
 よろしいでしょうか、いい方向には行っているけれども、しっかりやっていただきたいということかと思うのです。ほかによろしければ、次に保険局からお願いいたします。
○保険局医療課企画官
 保険局からは、参考資料の232頁以降の資料を説明させていただきます。ただいまの関原構成員のご指摘は、我々としても大変重く受け止めているつもりです。説明者は保険局の担当に替わりますが、日常的に研発課とは、始終、膝詰めで侃々諤々の議論をしていまして、所管は違いますが、イノベーションあるいは臨床研究を推進するために何ができるかという観点で説明をしたいと思っています。
 参考資料8以降の資料は、中医協に提出をしてご議論をいただいている内容です。先ほどから説明しております内容は、保険局サイドとしてどういった形で支援できるのかを検討していくという観点で、いくつか積み上げているものです。通しでいくと232頁以降に、これまで3回、中医協でご議論いただきましたものをまとめてお示ししていますが、要点だけを説明します。
 232頁からお示しした一連の資料の冒頭にありますが、今回、医療保険で、タイトルにありますように革新的な医療技術をどう取り扱っていくのかと。早期に保険適用するという観点もそうでしょうし、臨床研究・治験を推進するために何ができるのかということです。
 事の発端といいますか、バックグラウンドの関係が232頁から233頁にかけて説明してあります。232頁の問題提起のところで、1.「現状」とあります。保険局サイド、中医協でこの議論の1つの契機になったのは、現状の実態として、ドラッグラグというものが厳然としてあると。それについて、政府、あるいは省としてどう取り組んでいくべきかという議論はさまざまありますが、保険局サイドとして考えていることは、事実関係として、232頁ようなドラッグラグがあって、233頁でいただいた中医協のご意見としては、薬事の審査、安全性、有効性を確保したものを保険に導入するのは当然ではあるが、適応外、未承認であっても、海外の使用実績等、エビデンスのあるものについて弾力的な取扱いができないのかという問題提起をいただいています。
 その下に書いてあります(3)ですが、先ほど説明のあった、閣議決定された新成長戦略・制度改革に係る対処方針において、これは各省合わせて、各省の中には当然厚生労働省も含まれるわけで、全省を挙げて取り組んでいく内容の中に、こういった取組みを考えるということが明記されています。ここはキックオフでして、こういう問題意識でどういったことができるのかを検討しましょうということです。
 それ以降の説明は省略しまして、初回はキックオフで事実関係の説明をしています。例えば238頁辺りから、今日、ご審議されています高度医療評価会議を含めまして、評価療養の枠組みをどう考えるのかも紹介しつつ、議論の俎上に載せています。
 次に243頁、2回目の資料提出をしています。先ほど説明しましたように、問題意識の中のドラッグラグの多くの問題が、抗がん剤を念頭に置いたご議論、問題提起がありました。そこで、具体例でもっていろいろな制度の見直しや取組みを進めていくことが必要であろうということで、2回目の議論では、抗がん剤について具体的に考えていこうではないかという契機となったバックグラウンドのデータです。この辺りは、大体ご案内のことだと思いますので、がん治療の問題、特に抗がん剤の取扱い、これは243頁から244頁にかけて紹介しています。
 併せて、抗がん剤を1つの例に、先進医療、評価療養の枠組みをどういう形で活用していくことができるのかを、事実関係として説明しているのが244、245頁からの資料です。
 また、いろいろな課題を一通り整理したのが246、247頁です。第2回の説明資料において、どのような論点があるのか、どういう改善の方向が必要なのかを説明しました。246頁の4.「論点と改善の方向性」を少し紹介します。
 (1)は先ほどお話をしたとおりです。抗がん剤について医療保険でどういったことが考えられるのか検討しましょうと。
 (2)ですが、先進医療と保険外併用療養費を活用して、評価療養の枠組みを活用して、どういったことができるのかを考えるということです。現在の先進医療制度は、評価療養の1つの枠組みを示しているのですが、ご案内のとおり第2項、第3項とあります。本日の高度医療評価会議は、この第3項に該当するものですが、現にこの会議でもご指摘いただきましたし、先進医療専門家会議でも何度もご指摘いただいていますが、枠組みとしては、例えば薬事法上未承認の技術を使っているか使ってないかというのは、ある意味画一的な枠組みになっていると。この辺りはもう少し運用の改善ができないのかというご指摘をいただいていまして、それを考えていこうではないかということです。
 視点の中には、冒頭から何度かお話していますように、海外では一定程使用されているものについては、もう少し別の考え方の対応ができるのではないかと。それをひとまとめにして、例えば包括的に技術の評価ができないのか。あるいは費用負担の問題は、先ほど厳しいご指摘の中には、まさにそういった問題意識を持ってご提議いただいているのだと思いますが、臨床研究を進める上で費用負担の問題もさまざまあると、あるいはそれを最終的に保険導入にした場合の評価の問題もあると、こういったこともきちんと考えなくてはいけないのではないかということが(2)です。
 (3)ですが、これは運用の改善の具体的な視点ですが、評価の体制について考えていこうと。具体的な視点の1つ目の○は、2つの会議自体は適切に運営されていると私どもは思いますが、2つの合議体を別々に開催していますので、先生方にも大変ご負担をかけているのが実態で、その辺りをどう考えていくのかということです。その際、審査の観点で考えますと、高度に専門的な内容を多分に含んでいますので、一定の範囲の中で専門性を有する外部機関にご参画いただくことができないのかという問題提起もいただいていますので、それも考えたらどうかということです。
 (4)は、最終的には薬事の承認も含めて、保険導入を目指すということですが、当然、データの活用を効率的に行うべきだということで、審査の迅速化等を図っていきたいということですが、質の高いデータをどう確保して担保していくのか、あるいは情報公開をどう考えるのかということです。(4)の最後の○ですが、評価療養ですので、一定の期限の間に評価を行うことが非常に重要ですので、その辺りの問題意識をしっかり書いています。ここまでが、いま進捗しつつある具体的な問題提起を踏まえた検討です。
 247頁の(5)(6)についてです。これは何かといいますと、ここまでは主に抗がん剤、医薬品を念頭に置いた具体的な取組みの検討を進めていこうということですが、当然それだけではないということですので、これだけでは解決できない課題の明記がなされています。
 (5)は、医療機器、医療材料の特殊性を踏まえるべきではないのか。それは、先ほど院内製剤、あるいは機器を活用した議論がありましたが、本来想定しています技術評価には、薬剤に係るものだけではなくて、一連の技術の中には、薬事未承認の機材を活用する技術、あるいは評価が必要な場合が現実にあります。ですから、先ほど研発課の事務局から説明がありましたが、そのことは当然医薬食品局と連携して議論し、検討するのですが、保険局サイドとしては、そういった議論を踏まえる形できちんと受け皿も用意する必要があるという認識があります、ということをここに明記しています。
 (6)ですが、最終的にここまでの議論は、海外である程度活用されている技術を念頭に置いていますが、そもそもイノベーションは、日本発の技術をどう育てていくのかも当然念頭に置かなければいけませんので、保険局サイドとして、こういう論点整理をしているところです。ここまでが第2回の論点整理です。
 254頁、直近の中医協の開催、平成22年11月10日ですが、これまでの論点を踏まえて、もう少し具体的に考えられる対応を提案しつつあるということです。最終的に255頁の横表でいま提案しています内容を簡単に紹介します。これは高度医療評価会議あるいは高度医療制度を今後どう改善していくのかというイメージを持っていただきたくて用意した紙です。
 具体的に申し上げますと、大きく2種類に分けて提案しようとしています。それは赤い点々とブルーの点々で囲った内容です。この表の見方ですが、現行の高度医療評価会議あるいは現行の高度医療制度があり、それは青い点々のところに書いてありますが、制度の運用の改善をしていこうと。その下3つで、先ほど何度か紹介しました審査体制の問題、これを効率化していこうではないかと。先行して高度医療制度、先進医療制度もそうですが、一定の先行実施事例を求めていますが、その多くの症例が確保できる場合はもちろん問題ないのですが、少数の事例しか確保できない、あるいは研究費の問題等で現行での実施がなかなか難しいというご指摘もありますので、そのあたりの弾力化ができるのか、できないのかを議論しましょうと。3番目は、先ほど申し上げましたとおり、一定の期間に結論を出すのだということを明確にしていこうという動きです。これを少なくともいまの枠組みに適用して、改善していこうという話です。これが青い点々のところです。
 それにプラスして、赤とオレンジのところに書いてありますが、新しい枠組みを提案しまして、イノベーションの評価、あるいは薬剤等に関するアクセス向上のための取組みができないかということです。これは何かと申しますと、スタート地点の矢印の手前のところに書いてありますが、海外で一定程度使用実績のある薬剤、特に抗がん剤等を念頭に置いていますが、これらについてはある程度の有効性、安全性が期待できるということです。
 その上で、医療上の必要性の一定程度あるものが、現在、さらにこの検討会等で吟味されたものがありますので、これらについては、そもそも期待できる薬剤、期待される適応症等が明記されている関係で、あらかじめこういった薬剤、技術と実施できる医療機関を特定できるのではないかという考え方です。それを特定しておけば、そのあとは高度医療評価会議で、今日もご議論ありましたようなプロトコールとか、さまざまな技術的ディテールの審査は必要ですが、それに直ちに着手できるということですので、オレンジの点々のところの1つ目の○は、あらかじめこういった対象の技術、実施機関群の特定をしておくのがポイントの1番目です。2番目は、プロトコールの審査等については、むしろ高度な専門性を有する施設なり組織なり、外部にそういったものがあれば、そういった審査を一定程度お任せできるのではないかということです。3番目は、もし一定のクオリティーの高いデータがこの枠組みで取れるのであれば、これは医薬食品局との調整はもちろん必要ですが、一定程度の効率化を図ることができるのではないかと。この3つの改善を含む新しいスキームを提案しようということです。
 最後、256頁ですが、簡単にイメージを掴んでいただくためのポンチ絵ですが、これで何が変わるのかということです。点々と書いてあります左側が現行のやり方で、右側が新しい枠組み、オレンジの点々の提案です。これは一見してわかっていただけると思います。通常ですと、申請というところで横に引いてある点々からスタートするのですが、この技術、具体的にいうとこの薬剤、こういった適応症を考えている、こういった施設群なら可能だということを、あらかじめ個別に審査していただいているものを、まとめてある程度セットしておけば、以降、該当する施設群と該当する薬剤について手を挙げるのであれば、いきなりプロトコールなり技術的審査に入れます。したがいまして、当然ですが、実施に至る期間が短くなると、こういうイメージで提案しているということです。
 これまで3回こういった形でご議論していただいていまして、明日、また4回目の中医協が予定されています。こういった内容の議論を進めています。少し長くなりましたがご紹介をしました。
○猿田座長
 いま、お話がありましたように、医政局、保険局、両方力を合わせて、最先端医療をいかに早く実用化させるかということで、委員会を開き、かなり努力していただいております。こういうことは、今まであまりなかったのです。ですから、本当に私どもが希望したことがだいぶ前進してきたということだと思います。事務局としては、大変努力していただいているということです。せっかくの機会ですので、どなたかご意見はありませんか。
 私が、昔から高度先進医療をやるときには、確かに施設の基準、技術の基準ということで両方の委員を分けて検討していただいてやったのですが、随分時間がかかり過ぎて、大体1年から1年半かかっていたのです。それをもっと早くしようということで、先進医療の形が出来上がって、先進医療をやってみると、適応外の薬をどうしようか、また未承認機器をどうしようかという問題が起こって、高度医療制度がスタートしました。その後、両方をやってみると高度医療と先進医療の進め方がもう1つうまくいかなかったということでした。ご存じのとおり、高度医療のほうで通ったものを、また先進医療に掛けて、そこで審査してといろいろなことがありました。それをもっと早くできないかと事務局にお願いしていたということで、急速にこういった形で改革していただいているということです。非常にいい方向に行っていると思うのです。こういう機会ですから、是非どなたかご意見をいただければと思います。
○山口座長代理
 大変よく整理されてきて、基本的には問題ない。大変賛成です。ただ、こういうことが実現するためには、もう1つ。いま、たくさん出てきていますが、これがどんどん増えてくると、その評価が本当にきちんとリアルタイムにできているかどうかが非常に問題になってきます。審査のときに、評価が常にわかる形でどんどん出てくるということを、特に慎重にやらないと駄目ではないかということを実感しました。件数がどんどん増えてくると、みんな何だかわけがわからなくなってきます。前の高度医療のときもそうですが、高度のはずが、10年前から数年間しかやってないのが実情というものがありました。そうならないようにしないと、こういう体制には対応できないのではないかということを感じました。
○猿田座長
 いまお話がありましたように、私が拝見していても、委員の先生方が非常に細かく検討していただいているのです。ですから、それがどんどん増えてきているときに、本当に大変だと思うのです。私から、委員の先生方に本当に感謝申し上げます。非常に細かくよく見ていただいているので、この委員会として効果は着実にでてきています。あとはもう少しはやく進めて、保険適応の許可がとれるようにすることで、そこをどうやっていくかがこれからの重要な点かと思います。
○山本構成員
 今日の課題もそうだったのですが、高度医療会議の性格が、半分は倫理委員会、半分はCROという感じになっており、実際にその2つの機能をやっていると。特に倫理委員会は本来各施設でやっているはずですが、それでもこちらに上がってくると、いろいろ細部に問題が出てきたりしますし、倫理の関係の先生からもご指摘が上がるというところがあります。
 1つは、各施設の倫理委員会がうまく機能していない場合が多いと思うこと。もう1つは、今回、特に柴田先生がすごくCRFのところを非常に細かく見てくださっていて、かなり不整合などがありました。こういうところは、コマーシャルのCROであれば最初からお金が要りますから事前相談は難しいと思うのですが、例えば地域の中に、ある程度アカデミックなCROというか、そういうデータベースを作成してCRFをつくることができる、しかも料金が非常に低額か、その時点では取らないというところがあって、そこできれいになって、こういう高度医療会議では、これを進めるべきかどうかという本来の本質的な議論ができるという形がないといけない。あるいはここで本質的な議論をしたあとに、あとのCRF等の整合については、そういうアカデミックなデータベースを作成できるところできちんと見てもらって、つくってくださいというふうに下ろせるような、下支えの組織が本来あるべきなのが何もなくて、ここの高度医療会議だけで全部やっているので非常に効率が悪いと。
 健康大国の戦略でも、いろいろ政策コンテストでそういうところをつくろうということを、いま厚生労働省でやっていただいていると思いますが、ここの中央の審査の効率化は、もう少し下のレベルでのインフラの整備があって初めてできることだと思いますので、是非その点をよろしくお願いしたいと思います。
○猿田座長
 いま山本先生がおっしゃったのは非常に大切で、実は私は、全国の各アカデミアを回ってみましたが、いま開発や臨床試験がわかっている人が少ないのです。例えば、本当にしっかりしたプロトコールをどれだけつくれるのか。それこそ倫理委員会もそうですし、特許の問題もそうです。各アカデミアに本当に人が足りないのです。そういった点でどうしても不十分な議論のままここに出てきてしまうということで、先生方に負担がかかっているのだということを痛切に感じます。いまやっていますトランスレーショナルリサーチなどというのは、日本の各地域にそういった所をしっかりつくって、まずそこでかなり検討されたものが出てくるようにしなくてはいけないということです。おっしゃるとおりだと思うのです。
○山中構成員
 高度医療での審査は、この間もいろいろレクチャーありましたが、リスクベースで考えるべきだと思います。たとえば、医療上の必要性が高い、未承認薬・適応外薬、検討会議で安全性、有効性が一定以上見込めるということであれば、各施設のIRBの承認をもって、高度医療としてすぐ通すということを考えていいと思うのです。ただし、どの施設でも、というのではなくて、いくつか実施機関を選定すると。しっかりした施設のIRBでしっかり審査してもらって、特にここに書いてあるように外部機関などを設けるのも一案だとは思うのですが、それよりも、各選定施設のIRBに経験を積んでもらうために、きっちり審査してもらって、それを条件に低リスクのものに関しては高度医療としてすぐ通す。将来的にも先進医療と高度医療の統合の話が出ていますが、もし統合されればもっと短縮されますので、数か月、本当に1、2か月ぐらいで実施まで持っていけるのではないかと思うのです。リスクベースで考えるのがひとつ重要だと思います。
 またすこし話がずれるのですが、しっかりした臨床試験グループで承認されたプロトコールに関しては、適応外薬を使う試験に関しては、いま日本の制度では高度医療を使うしかないと思うのですが、例えばJCOGなど、そういった試験グループのプロトコールは高度医療としてすぐ通す。しっかり審査されている、それが担保されているわけですから、そういったことを検討していただきたいと。どの試験グループかは選定しなければいけないですが、将来的にそれを検討していただきたいと思っています。
○藤原構成員
 3点ほどあります。保険局のご説明でこの仕組みが前向きにいければ非常にいいかと思うのですが、1点は、この仕組みを大々的に導入すると、評価療養の中で患者の自己負担が著増することを懸念します。実態として、例えば脳腫瘍とか、眼科領域のがんとか、婦人科がんなどの診療では、広く保険病名とか、病名はそのままだけれども査定せずに通されている抗がん剤の品目が結構あります。私は医薬食品局の方の未承認薬関連の検討会の委員もやっていますが、そういう品目は、エビデンスレベルだけで判断したら有用性が高いという判定はできないけれども、日本で慣行的に10年も20年も前からその組合せでやっていますというのが山とあるのです。
 例えば脳腫瘍で、カルボプラチン、エトポシドの併用などというのは広く使われていますが、たぶん永遠に薬事法の承認は得られないのです。それを評価療養に乗せますと言った途端に、その抗がん剤については、これまで保険診療の中で隠れていたものが、全部患者負担になってしまうことを懸念します。ですから、評価療養でこの仕組みを動かすだけではなくて、もう1ランク少し下がったところで、55年通知がいま再審査期間での縛りがありますが、それを外して、そこそこのエビデンスがあるものに関して、評価療養ではなくて、保険診療の枠内でみてあげるという仕組みもつくっておかないと、いま実態として広く日本で行われている医療が崩壊する可能性の有ることを懸念します。
 もう1つは細かいところですが、例えば先進医療の2項で、LAK療法みたいな免疫療法が相変わらずきっちりと科学的な外部評価が入らず、薬事承認という出口も見えないまま漫然と続いています。今回の仕組みをオーバーホールするときには、きちんとここの委員会にプロトコールを掛けるなり、もう少し科学的に進捗状況を評価して再検討していただきたいと思います。
 最後にひとつ。いま医師主導治験の保険外併用療養費の運用で、抗がん剤併用療法においては、未承認の抗がん剤に加えて併用する既承認の抗がん剤についても研究者がその経費を持てということになっているのです。これは中医協マターなので私たちはこれまで触れずにきたのですが、今回、こういうオーバーホールを考えるのであれば、保険外併用領域の中で抗がん剤を2つとか3つとか使って、1つだけ未承認でほかのものは承認されている場合には、既承認分は保険診療内でみますということにしていただくと、非常に助かります。以上の3点がお願いしたいところです。
○猿田座長
 いずれも非常に貴重なご意見ですが、事務局はそういう点も考慮して検討していただければと思います。
○柴田構成員
 追加になるのですが、255頁のスキームで赤く塗りつぶされているところは、基本的には臨床試験として実施するものを想定されているという理解でよろしいのでしょうか。ここのところは、はっきりさせておかないと、コンパッショネートユース、例えばどのような臨床試験のプロトコールにも参加できない状態の患者に対するコンパショネートユースの話と、こういうところとは基本的に分けて議論しなければまずいのではないかと思います。
 例えば、具体的な薬の名前は挙げませんが、臨床試験の下で使うという形で登録されているけれども、その結果がなかなかサイエンティフィックに評価できないまま、長きにわたって放置されているものも、実際にありますよね。そうなってしまっては本末転倒ですし、なおかつ、これは保険外併用療養として一定の保険の財源を使ってカバーしていただくことになる以上、漫然と使用するものではなくて、そこで保険の財源を使って評価した結果が保険診療の中に入れるべきである、入れるべきでないであるとか、薬事承認する、しないという意思決定につながるというところがあるからこそ、そういうお金を使わせてもらえるという整理もあるのかと個人的には思うのです。一定の評価ができる、結論が下せるものであると。ただし、それに含まれない患者についてどうするのかという話はまた別途議論が必要であって、そこをごちゃ混ぜにしたまま、これによってどのような患者もある特定の医療機関に行きさえすれば、こういうものが使えると誤解されてしまうと、たぶん臨床現場の先生方が余計な書類を書くだけになってしまう人も出てくる可能性があるので、少し切り分けて議論していただきたいと思います。
○葉梨構成員
 日本医師会の葉梨ですが、専門的な討議で、危険度とか、どういうふうに実用化するかは、これは非常に大事な会議だと思って聞いています。社会保障審議会や中医協の場で出てくる討議の内容が、医療機関の先生方、特に大学の先生方からすると何とか早く通せということで、それに対する支払い側の健保連の代表の方とか、そういう方たちが患者の負担にならない、あるいはそういう支払い側の負担にならないように何とか安く通してくれということが主体になりまして、危険度や何かの審査は討論の中に出てこないのです。
 社会保障審議会などを聞いていましても、がん患者の代表や家族の代表などの発言は、とにかくすぐにでも使えるようにしてくれということが主体になりますので、そういう声だけでやって、危険性がおろそかにならないかということ。それから、国家戦略で経済産業省などがかかわっているわけですが、そういう成長分野で国の収入を上げるという方向だけが追求されても困ると、そう感じます。
 ですから、なるだけ早く、安く患者に行き渡るようにというのは、大事なことですが、いまここでやっていることをなるべくスピードアップさせることでしょうが、内容は押さえないといけないと思うのです。その辺だけ気になります。
○猿田座長
 おっしゃるとおりで、特に高度医療の場合、最先端の医療なものですから、安全性の面を特にいままでも重視してきました。貴重なご意見をありがとうございました。ほかにご意見はよろしいですか。全面的に医政局、保険局で頑張っていただいていて、いい方向に進んでいますので、どうか、できるだけ早く、いい体制をつくっていただきたいと思います。そうすると、各委員の先生方もいままで何となくどうしたらいいかと考えていただいていたところですので、是非頑張って前へ進めていただければと思います。ほかにどなたかご意見はありませんか。なければ、あと事務局の方で何かございますか。
○事務局
 次回の日程ですが、現在調整中です。詳細等が決まりましたら、追って連絡申し上げます。また、本日の議事録についてですが、作成次第、先生方にご確認をお願いし、そのあと公開しますので、併せてよろしくお願いします。
○猿田座長
 時間は早いですが、これで高度医療評価会議を終わります。委員の先生方、皆さま方、どうもご協力ありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課
TEL 03−5253−1111
高度医療係 松本 内線2589

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