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2010年12月2日 第14回社会保障審議会医療部会議事録

医政局総務課

○日時

平成22年12月2日(木)10:00~12:30


○場所

厚生労働省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○議題

○医療提供体制のあり方について
 ・医療施設体系について   など
○その他

○議事

○企画官 ただいまから第14回社会保障審議会医療部会を開会します。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、朝からご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 最初に本日の出欠についてご報告します。本日代理人の方にご出席をいただいていますが、小島委員がご欠席です。また、上田委員、水田委員、辻本委員、邉見委員からご欠席との連絡をいただいています。
 資料の確認をします。議事次第、座席表、委員名簿があります。A4の横置きで「資料」という表紙の分厚い資料、関連資料とあります。そして、本日は辻本委員、山崎委員からご提出の資料を1種類ずついただいています。さらに横倉委員から2種類の資料をご提供いただいています。いずれも右肩にそれぞれご提出された委員のお名前を入れています。ご確認いただければと思います。不足等がありましたら、事務局にお知らせください。事務局からは以上です。
○部会長(齋藤) 議事に入ります。最初に、委員欠席の際に代わりに出席される方の扱いについて、事前に事務局を通じて部会長の了解を得ること及び当日の委員会において承認を得ることにより、参考人として参加し発言をいただくことを認めることとしています。本日の会議については小島委員の代理として、日本労働組合連合会生活福祉局次長の伊藤彰久参考人のご出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○部会長 ありがとうございました。
 議題に移ります。本日は医療提供体制のあり方のうちのハード面というか、医療施設体系についての意見交換をします。事務局から資料として、「社会保障審議会医療部会12月2日資料」が示されています。また、本年6月に閣議決定された地域主権戦略大綱の中で、医療法に関しても見直しを行うこととされていますが、その対応についても、併せて事務局からご説明いただきます。これらの資料は予め各委員のお手元に送られていますし、また意見交換に時間をかけたいので、事務局の説明は簡潔にお願いします。
○企画官 お手元の「社会保障審議会医療部会(12/2)資料」という資料に基づいて、ご説明します。3頁です。医療施設体系ということで、どういった施設があるのかということで、ここでは、病院、診療所、助産所、薬局と定義して、それぞれの法律に書いてあるものを、若干体言止め等の修正をして書いています。病院については、20人以上の患者を入院させるための施設を有するものであって、適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、運営されるものとしています。診療所については、医師又は歯科医師が公衆又は特定多数人のための医業又は歯科医業を行う場所であり、入院させるための施設を有していないもの、又は19人以下の入院させるための施設を有するものとしています。
 介護老人保健施設についても、医療法の中で介護保険法の規定による施設であるという定義が置かれています。詳細には介護保険のほうで、医療的ケア、介護などを提供する施設であるという定義が置かれています。
 助産所は、助産師の方が助産の業務を行う場所と定義され、薬局は薬剤師の方が販売・授与の目的で調剤の業務を行う場所と定義されています。
 こうした病院あるいは診療所に置かれている病床については、4頁にあるように精神疾患を有する方のための精神病床、感染症法に基づく感染症にかかられた方のための感染症病床、長期療養する方のための療養病床という形で対象となる患者像とセットで規定されていまして、そのいずれにも属さないものとして、一般病床という形で規定されています。
 5頁です。こういった病床それぞれについて、どういった構造設備上の基準、人員配置上の基準が求められているのかをまとめたものです。それぞれ病床種別ごとに入院患者数に応じた医師、薬剤師、看護師の配置が定められています。さらに各病床共通で、歯科医師に対しては16対1、栄養師は100以上の病院に1人であると定められ、外来患者についても、医師、歯科医師、薬剤師、看護師の基準がそれぞれ定められています。
 6頁は施設、設備関係です。それぞれ施設の種別に応じて必置の施設が決まっているということで、一般病床を有する病院にあっては、診察室、手術室、処置室等々です。療養病床は療養環境というか、生活環境への配慮というものもあって、食堂、浴室の設置の義務づけ、機能訓練室の設置の規定をされています。さらに病床面積についても規定がされていて、6.4平米以上となっています。
 7頁です。介護施設等とどういったところが違うのかです。介護施設、福祉施設について、網羅はしておりませんが、代表的な2つを取り上げて比較表を付けています。介護老健施設、特別養護老人ホームと比較すると、医師、看護師の配置で差が付いていて、医療の濃さに応じて配置が違ってきています。一方で、OT、PTについては、療養病床を有する病院においては、病院の状況に応じた適当数となっていますが、介護老健施設は100人に1人という配置になっています。
 8頁は、医療法上の病床区分の遍遷経緯です。かつては、その他の病床、精神病床、伝染病床、結核病床という形で区分がされて、この「その他の病床」を一般病床と呼び慣わしてきましたが、その後高齢化の進展に伴い、高齢者の方々へのケアの対応ということで、診療報酬の仕組みと連動して特例許可老人病院制度が取り入れられ、後に療養型病床群が制度化され、さらにそれが現在の療養病床の形に改正されるという形で、歴史的には長期療養対応の体系化が行われてきたところです。
 9、10頁です。それぞれ病床の中で配置を求められている専門人材について、どういった改正の経緯等があったのかについてです。こうした医療法上の施設分類あるいは施設の中に設置されている病床の分類を踏まえて、そこをさらに支払面で対応するということで、診療報酬ではより細かな体系化が行われています。
 続いて、統計的なものとして施設の動向をご紹介します。13頁は第1回目にお出しした資料と基本的に同じです。それぞれどのような数の状況になっているかの遍遷のグラフです。14、15、16頁は、それぞれ病院、診療所、薬局について、人口当たりで都道府県単位で並べて、比較をしています。都道府県ごとに、施設というか拠点といったものの設置状況にばらつきが出ています。14頁の人口当たりの病院数を見ていただくと、高知県は10万人当たりで18病院となっています。その一方でいちばん少ない神奈川になると、10万人当たりに3.9病院となっています。これを県内にある病床数で割り戻しをする、つまり1病院当たりの平均的な病床数でみたのが、この折れ線グラフになりますが、かなり地域によってばらつきがあります。
 15頁は診療所で、黄緑が有床、濃い緑が無床、オレンジが歯科診療所ということで、積上げの棒グラフになっています。数は上の四角の中にありますが、県によってかなりばらつきがありまして、無床、有床のいずれも見てみますと、東京都、大阪といった都市部では、人口当たりの数が多いことが見て取れます。16頁は薬局です。診療所ほど東京、大阪が目立つわけではありませんが、これも地域によって人口当たりの数に差が出ています。17頁は都道府県別の人口当たりの病床数で、第1回目にもお示ししたものです。
 18、19頁です。こういった状況を国際比較してみると、人口当たりの病床数については、OECD加盟の他国に比べて我が国は多くなっています。19頁にあるように、各国によって定義は異なっていますが、OECDで採っているもので、急性期あるいは長期療養の病床数を抜き出して比較をしてみても、日本は他国に比べて人口当たりの病床数は多くなっています。
 20頁です。その一方で、人口当たりの人材はどうなっているかです。これは人口当たりの医師数が少ないということは、前回、前々回とご覧いただき、ご議論いただきました。看護師を足すと、OECDの中での順位は若干上がるものの、多い状態ではないということです。これだけ多くの人口当たりの病床を、この人材数でカバーしているという状態です。
 21、22頁は、病床利用率の状況ということで、平均在院日数です。入院患者数については、130万人ぐらいということです。21頁の赤い一般病床の線が下がってきていまして、ここは1つには療養病床の制度が始まって以来、一般病床から療養病床に転換をされるということで、そちらに移行している部分もあるのかと思います。あるいは、次の頁にある平均在院日数の短縮等々の効果もあって、こういった1日当たりの入院患者数あるいは病床利用率が下がる状態が見られるのかなと思われます。
 23頁で、病院の規模やスケールがどうなっているのかということです。詳細な説明は割愛させていただきますが、病院の数の中では200床未満の病院が非常に多くなっています。25頁で開設主体別に見てみると、我が国の病院の7割近くは医療法人立ということで、医療法人が中心となって病院体制を支えていると言えるのではないかと思います。さらに一般病院、精神科病院ということで類型分けをしていくと、一般病院、精神科病院は、さらに医療法人の率が高くなっています。診療所になると、医療法人立もかなり多いのですが、一方で個人立の形態の診療所も多くなっています。
 28頁からで、人材と機器等々の状況についてご報告します。29頁では、病床100床当たりの従事者数を都道府県単位で比較をしてみたものです。統計上はもうちょっと細かく資格職種の統計はあるのですが、グラフが見づらくなるので大きく3つに括らせていただきました。100床当たりの全病院の従事者数を見てみると、人口当たり医師数などで見たときほどの大きな開きはないのですが、それなりの差が出ている状態です。人口当たりの医師数と組み合わせたグラフを30頁に記載しました。棒グラフは人口当たりの医師数です。働いている場所が病院、大学病院、診療所、その他なのかということで積み上げた棒グラフです。赤線は人口1,000人当たりの病床数です。橙色の線が100床当たりの医師数です。
 これをご覧いただくと、人口当たりの医師数というのは、中国、四国、九州では多いものの、これらの地域は人口当たりの病床数も全国平均を上回る状態ですので、結果として100床当たりに配置されている医師数も、全国平均と比べて高いというわけではない状態になっています。
 31頁です。こうした人員配置の状況と相関するものはないかということです。対平均在院日数と過去の経過を取ってみると、スタッフが厚くなると平均在院日数が短くなる、逆に言えば診療報酬施策などもありまして、平均在院日数を短縮するためにはそれなりに労働投入、スタッフがかかわっていくことが必要で、手厚い人員配置が必要になるという相関が見られると思います。
 これらをいくつかの諸外国と比較してみたのが、32頁です。基本的に人の配置の手厚さと在院日数は逆相関になる、さらに言えば、これらアメリカ、フランス、ドイツ、イギリスといった国は、これだけ手厚い配置をしている分、国民経済の中での医療への財源投入の幅も大きくなっていますが、いずれにしても人を投入しているという状況です。
33、34頁が、ICUの設備と病院の規模の相関を見たものです。
 35から38頁で、機器についてです。病院の規模別に見て、特殊な機器の設置状況について有意な変化があるのかをグラフで表したものと、県別の人口当たりで見たらどうなっているかということです。37頁が都道府県ごとのもので、マルチスライスCTを見てみると、病床や病院数ですと高知などが多かったのですが、こちらを見ると徳島あるいは大分が、人口当たりの数で見ると目立っている状態です。38頁はOECDの主な国と比較してみると、人口当たりの台数は、CT、MRIともかなり多い状況となっています。
 39頁からは、特定機能病院と地域医療支援病院で、いちばん最初に病院、診療所等々といった施設の定義をご覧いただきましたが、その中でのある役割付けとして位置づけられている2つの類型です。まず特定機能病院は、高度な医療の提供、開発・評価及び研修を役割として期待されています。現在83病院が承認されていまして、こちらは厚生労働大臣が承認することになっています。平成4年の医療法改正で創設された制度で、平成5年から施行されています。その後病院規模、例えば病床数を500床から400床に下げる等の見直しがされたりしてきました。43頁ですが、3年ほど前に行われていた検討会の中でも、高度医療の内容についての明確化を考えるべきではないか、あるいは規模、スケール、総合性、診療科をかなり揃えることが要件になっていますが、そのようなことについてどう考えるかについては、さらに整理が必要ではないかというご指摘がありました。あるいは急性期病院に求められる事項ということで、難治性疾患への対応、標榜科目の充実、退院時支援機能の充実といったことと絡めて、検討が要るのではないかとご指摘をいただいています。
 特定機能病院から毎年報告をいただいていまして、そのデータをまとめたものが43、44頁です。5、6年前のデータと比較をさせいただきました。事前にお送りしたものは、青と赤が逆に注釈が付いていまして、申し訳ありませんでした。青が平成21年度、赤が平成15年度です。
 1日当たりの平均外来患者数は、数百人というところもあれば、一方で2,000人を超えるようなところもあります。高度な医療技術の開発・評価の実績は、研究費の補助などを受けて研究している件数です。これも100件を超えるところから、数十件のところまで、いろいろ分布をしている状況です。
 45頁からは地域医療支援病院についてです。こちらは紹介患者に対する医療の提供、あるいは救急医療、さらには地域の医療従事者に対する研修といったことをテーマとして掲げている病院です。今月の月初で318病院が県知事の承認を得ています。こちらも制度創設以来、紹介率の見直しなど若干の見直しをしていますが、平成19年の施設体系検討会の中でも、地域医療へどういった貢献をすべきなのかといった観点からもう少し考えたほうがいいのではないかといったご指摘をいただいています。
 48頁は患者の受診状況と組み合わせてのデータです。特定機能病院、地域医療支援病院とも、紹介患者さんは1つのメルクマールになっているのですが、紹介なしで来られる方もそれなりにいらっしゃって、調査日の患者さんの数で比較をしてみると、右のグラフですが、特定機能病院、地域医療支援病院とも、外来の患者さんはそれなりの数がかかっておられる状態です。
 51頁から、患者さんの大きな意味での受療率等の動向です。生活習慣病系の患者数が高止まりをしている状況が見て取れます。
 56頁からは入院機能の状況です。58頁の療養、精神の病床ですと、6カ月以上入院の患者が3分の2、4分の3となっていますが、一般病床でも9%近くが6カ月以上入院している状態です。59頁になりますが、これは一昔前の療養病床が制度化される前は、基本的には一般病院の中の特例許可老人病床ないしは介護療養許可病棟にいらっしゃいましたので、そういったところが療養病床に機能としては分かれていくので、昔に比べれば、一般病床ないし一般病院といわれる中での長期入院の方は、パーセンテージでは減っているのが外形上現われています。
 これらはある調査日に入院している患者の入院期間の分布ですが、実際に退院された方の在院期間はどうだったのかというのが61頁です。一般病床を退院してこられる方の7割近くが、2週間以内での退院となっています。
 62頁は、退院された患者の中の3分の1ぐらいが手術を受けていて、それ以外の方はほかの内科的処置等で退院されています。
 手術内容によってデータを整理しているのが、63、64頁です。63頁は、病院、診療所を手術を受けて退院された患者の術前、術後の在院日数です。64頁は病院だけを抜き出して、術前、術後の期間はどうなっているのかです。年々短くなってきている状態です。先ほどデータで、在院日数の短縮とスタッフの増加の相関関係についてご覧いただきましたが、こういった短縮の動きに加えて、インフォームド・コンセントの普及、そういった中で説明を求められる医療技術、使う機器の高度化が出てくる。その分、安全への配慮も必要になってくると。これらが、スタッフが増えて在院日数が短くなっていることプラスアルファで、さらに業務としては勤務医の負担感が増す状況が起こっていることが伺えます。
 66頁はリハビリの関係ですが、今回はリハビリを受けた方の統計などはありませんので、提供基盤のほうのデータで代替させていただきます。県によって、人口当たりのリハビリ病棟の数にかなりの差が出ています。それと、67頁ですが、療養病床で長期の療養をする患者にどのようなケアが日常提供されているのかについては、経鼻経管、胃ろうという方が3割前後、また医療保険の療養病床か介護の療養病床かで比率は違っておりますが、気管切開の方が一定の数おられる状態になっています。
 69頁からは外来受診の状況です。70頁、総数としては700万人ぐらいの方が外来に来ています。診療所で400万弱、病院で170万人ぐらい、歯科診療所が130万ぐらいで、合計で大体690万人となっています。
 次の頁が再来患者の平均診療間隔の年次推移です。かつては病院と診療所の間で差があったのですが、診療所のほうが再診間隔が延びてきて、大体似たような間隔になってきています。
 72、73頁は、次回に医療計画等と併せて在宅医療の関係はご議論いただこうと思っていますが、どのくらいの方が在宅医療を利用しておられるのか、あるいは訪問診療等を提供している病院や診療所はどのくらいあるのかをまとめたものです。
 74頁です。こうしたいろいろなデータの状況がありまして、一般病床にもいろいろな患者がいらっしゃるとか、それなりに機能分化をして、このような配置になっているとか、実際のデータの動きをご紹介しましたが、大きく分けていけば、人口構造、世帯構造、高齢化が進み、1人、2人暮らしが増えているといった中、あるいは生活習慣病も増えていることを受けて、こういった医療施設、医療関係施設が、患者のニーズ、例えば、急性期の治療、早期からのリハビリ、生活の場に向けてのリハビリ、生活の場の中でのリハビリなどいろいろあると思いますし、さらには、長期間の療養をする方への療養のニーズ、在宅での医療といったニーズという観点から見たときに、医療機能の切口はどういった役割が期待されるのか。
 さらに、従来は一般病床、療養病床といった病床区分、介護関係のサービスという形で、いろいろと機能分化されてきましたが、こういった現状をどう考えて、さらに今後に向けて、それぞれが担う入院の機能、外来の機能といった部分について、どのような方向性が考えられて、どのような機能強化、例えば人の投入、ものの投入、さらにそれに必要な財源はどうするのかと言った話になる。そういった機能強化の方向性なり対策をどう考えるか。それと、高度の医療を担う特定機能病院、地域医療を支える地域医療支援病院、地域医療の確保の支援を行う地域医療支援病院について、どういった方向性、役割がさらに求められるのか。このような辺りが考えなければいけない点なのかと思っています。
 最後に、地域主権大綱の状況についてご説明します。平成22年6月に閣議決定された地域主権戦略大綱ですが、地方自治体に行っていただく自治事務について、その実施基準、つまり何か承認、許可などを行う際の基準などについて、省令に基づいて許可をするというのではなく、極力条例に根拠を置いて許認可、判断をする形にしていこうというのが、基本方針になっています。
 その中で、医療法の関係は閣議決定の中で2つ示されています。1つ目が人員配置基準等です。病院あるいは療養病床を有する診療所の従業者の配置基準と施設の基準について、一定程度条例に委任すべきであると。具体的には、薬剤師、看護師、助産師、歯科医師等々の配置に関する基準については、従うべき基準、つまり省令で書いたとおりに条例で規定していただくということです。
 その他の従業者の配置、つまり省令上、その他病院の従業者数は適当数となっているもので、これはそういった省令の書きぶりを見て、条例のほうでそのまま書くもよし、合理的な判断があれば何か書くもよしという形の整理をされています。
 もう1つ基準病床数制度の関係でも指摘があります。医療計画の中での病床数の算定に当たっての補正について、条例に委任してはどうか。その際に、条例と国が定める定めとの間の関係を検討することが宿題となっています。
 基準病床数制度については、次の77頁です。医療計画は、基準病床数を算定式で計算して、その基準病床数を超える地域では病床の増設、新設を基本的にお断りをするという仕組みになっています。そうした中でも、救急など特定の理由があって、基準を超えてでもさらに整備が必要だというものについては、特例で設置ができるということがあります。さらに、一般住民の方を必ずしも対象としていないような病床というのは、カウントから外すという仕組みがあります。これが病床数の補正の仕組みです。例えば自衛隊病院のように対象者が限定されているものということです。
 最後の頁です。こういう病床数としてカウントしない範囲についてどうするかということです。基本的な考え方として、基本的な基準を引き続き大臣告示等で定めるわけですが、この範囲を県の判断によっては狭めることができると。例えば国が1、2、3、4、5、6、7という種類をカウントしないと告示しても、県の判断で1から5までは算定除外で、6と7はカウントすると。そのような形で整理をしたいと思っています。
 その理由としては、補正の範囲縮小によって、ある程度県の中での都市部と地域との病床整備状況というか、不均衡の是正に一定の効果があるのではないか。あと他の都道府県から医師、看護師を引き抜いて新たに病院をつくるといった動きに影響が生じるようなことも起こらないのではないか、この辺りもあるので、そういった方向で整理をしてはどうかということです。
 この地域主権大綱関係は、いま一括法という形で、政府の中で作業を進めているところで、次の通常国会提出を目指しての作業が進められている状態です。以上です。
○部会長 以上の説明、資料を踏まえつつ、委員の皆様のご意見を伺いたいと思います。なお、資料を提出いただいている委員もございますが、ご指名は特にしませんので、補足等の説明の必要な方があれば、併せてご発言いただければと思います。委員間の活発の意見交換をお願いできればと思いますので、お一人当たりのご発言はできる限り簡潔にお願いします。
○横倉委員 2つの資料を出させていただいておりますが、そのうちの2つ目の資料の「医療提供体制の中での有床診療所の活用について」について、補足説明させていただきます。
 先ほどの厚生労働省から出された資料の説明の中にもありましたように、入院医療機能の一部を有床診療所が担っているということですが、資料の1頁をご覧ください。有床診療所についての現在までの経緯は、4つのポツで示したとおりです。第五次医療法改正で、医療法第13条の48時間入院制限が撤廃されて基準病床の対象となったこと、また、昨年から一般病床をショートステイとして利用できるようになっているということです。
 2頁です。有床診療所の現状を見てみると、診療科別に見ると内科系が36.6%、外科系が9.9%、整形外科が10.4%です。特にご注目いただきたいのが、産婦人科系が24.3%あることです。
 3頁は現状です。有床診療所は徐々に減少してきていることについては、ご承知だと思います。その理由については、看護職員の雇用と人件費の負担が大きいということです。また、開設者の高齢化があって、世代交替がなかなか難しいということがあろうかと思います。継承医師がなかなかいない、もしくは新規参入することが難しいということで、徐々に減っているということです。
 4頁です。一方、国民が入院病床に対してどのような意識をお持ちであるかの調査です。国民が考えている医療における最重点課題は、高齢者などが長期入院するための入院施設であると言われているということです。先ほどお話がありましたように、急性期病院等からの早期退院が促進される状況の中で、その後の受け皿として、どのようなところに自分たちが入って、急性期のあとの療養をしていくのかに対する、国民の不安があるということが述べられるかと思っています。
 5頁です。実際に、有床診療所をどのように利用しているかということです。1つには、いまお話しましたように、急性期病院から退院させられ、地域に戻られる方が、自分の住居の近くの有床診療所で、療養もしくはリハビリを受けられるという機能があることが述べられるかと思います。また、有床診療所の中には先ほど申しましたように、産婦人科系が多いのです。実は全国の分娩の47.2%は有床診療所で行われているという現実があります。やはり身近なところで出産したいという、今後の少子化を解決するためにも、このような機能の維持をしていかなければならないと考えているところです。
 6番目の問題ですが、そういう意味で、在宅医療と在宅介護の地域連携の中で、有床診療所の機能がまだ十分に尊重されるべきではなかろうかということが、述べられるかと思っています。いまさまざまな在宅での医療及び介護のサービス形態があるわけですが、その中で、どうしても医療を伴う介護の1つの拠点として、有床診療所を利用することによって、地域での介護力アップにつながるのではないかと考えています。
 7番目です。現状で有床診療所の病床が果たしている5つの機能は、1つは専門性の高い医療ができること、緊急時に身近な診療所で治療が受けられることです。2つ目は、病院と在宅、病院と介護施設のつなぎを行う受け皿としての機能です。3つ目は在宅医療の後方支援となる病床もあることです。そして、終末期医療が今後高齢化の進展に伴い重要になってきますが、終末期医療にかかわる機能ということも言えるかと思います。そして、特に地方、へき地や離島においては、病院開設が難しい、もしくは従来病院として機能を維持していたけれども病院が維持できなくなったという地域では、唯一の入院施設としての有床診療所の機能があるのではないかと考えるところです。
 8頁です。現在有床診療所は14万所ぐらいあるわけですが、この14万所を利用することができれば、急速に進んでいる高齢化で要医療、要介護の方のある程度の解決策に利用できるのではないかと思います。
 9頁です。そういうことで、地域で切れ目のない医療・介護の提供が必要とされていますが、その1つの役割を有床診療所に負わせることができるのではないか。また、地域住民の身近にある病床としても社会的に大きいわけですので、そういう意味でこの有床診療所の機能についても、この医療部会でもお認めいただいて、今後力付けをさせていただければという希望を込めて、意見陳述をさせていただきました。
○部会長 ありがとうございました。
○渡辺委員 いま横倉委員から有床診の意義・機能についてご意見をいただきました。私も昨年の医療部会で有床診の果たす機能、その重要性をかなり主張した1人として、改めて意見を申し上げます。
 私自身も実際にいろいろな地域医療を見てくると、確かに地域では有床診が果たしている役割は大変大きいです。へき地、離島というご説明がありましたが、それこそ鹿児島県甑島の診療所に代表されるように、へき地、離島では唯一の医療機関が有床診療所であるところも多いです。へき地、離島に限らず都市部でも、いまお話があったように、退院後の受け皿としての機能、産婦人科、内科、外科等について、首都圏でもそういった実例が相当多くあります。さらに、医療と介護の連携を図っている有床診も多いということです。
 私はこの有床診というのは、今度新たに構築しようとしている各地域での医療提供体制に欠かせない存在だと、認識しています。ただ、いまお話があったように有床診が減っている最大の理由は、経済的な理由です。さらには継承者がいないことです。そういった意味では、是非有床診が魅力あるものになるような、私としてもこれ以上数を減らすことは地域医療にとってマイナスだと認識していますので、魅力ある環境づくり、環境整備をすることを求めたいと思いますし、有床診の機能を地域医療計画あるいは地域医療提供体制の構築の中で、きちんと位置づけていただきたいと思っています。
○加藤委員 有床の件です。いつも同じようなことを申し上げるようで恐縮ですが、受け皿として高齢者が出てくるのみなのですが、成育医療センターとしてというよりも日本全体を考えて、受け皿として、小児期で、急性期が終わったけれども、住居の都合、保護者の働いている関係で、残念ながら在宅不可能、また保育園不可能という方もたくさんおられます。そういう方も視野に入れて、是非有床診療所は高齢者だけではなく、少子化ですから子どもを大事にしていただかなければならない。いつも私は思いますが、いつも大人の話にばかりになってしまうので、是非子どものことも頭に入れていただけたらということです。
○横倉委員 先生がおっしゃるように、小児についても、十分に有床診療所の先生方にもお願いしていきたいと思います。
○部会長 ほかのことでも、ご意見がありましたらお願いします。
○山崎委員 本日資料を提出しておりますが、「諸外国における精神科病床、居住施設入所者数と我が国の比較」です。先ほどお話があったように、日本の精神科病床は、諸外国に比べて非常に多いという現実があります。この表は2004年に調査したものですが、我が国の精神病床と居住施設の合計は、米国、カナダ、欧米諸国と比べて、ほとんど同じなのです。病床の数が多くて、居住施設が極端に少ない、95%が病床で5%が居住施設が実態です。
 外国の精神病床は、発達遅滞、薬物依存、認知症の病床は、精神病床のカウントには入っていません。したがって、この27万8,000床という数のうち6万人ぐらいの病床は、外国では精神病床としてカウントされない病床です。それが日本ではカウントされているという現実があります。
 その次の頁ですが、精神科病院の会員数と病床の変化です。このようなカーブで精神病床が増えてきたのですが、昭和39年に、ライシャワー駐日大使がアメリカ大使館の中で、精神障害者に刺されて重傷を負ったといった事件がありました。この当時、精神病床は8万床しかありませんでした。8万床では少なすぎるのではないか、精神障害者を地域に出しておいていいのかという世論が沸騰して、精神病床をどんどん整備していったという経緯があります。
 昭和42年に「クラーク勧告」が出されています。これは、3頁にあるように、1967年11月から1968年2月まで、WHOに日本政府が要請して、デービド・H・クラーク博士が来日して、地域の精神衛生について、今後どのように政策を進めたら良いかという勧告をしています。
 その勧告の中身は4頁です。精神病院は患者の生活条件が寒々としており、超満員のように思われたが数人の患者の家庭訪問をしたあとになって、患者が住み慣れた家庭の生活条件に比べて、病院のほうがはるかに良好であった。給食は良好であるように思えたし、患者たちも身体的に健康に思えた。老人はごくわずかしかいなかった。60歳以上は4%しかいなかったと書いています。
 5頁です。日本と西洋の精神病院の顕著な差は、日本では老人の患者が少ないことであり、精神病院のたった4%が60歳以上であるのに対し、英国では50%である。しかし、現在のように慢性患者が累積し続け現代医療で生かされていれば、1980年から1990年代においては、日本の精神病院でも、老人患者の数は非常に増加するだろう、この事は遠い先の問題に見えるだろうが、すぐに何らかの対策を講じなければ大変な事になるであろうと、彼は言っています。
 クラーク勧告があった頃の精神病床は、18万床でした。ライシャワー大使が刺されてから、急速に病床の整備が進み、18万床に増加しました。クラーク博士は、これ以上病床をつくるのではなくて、地域にきちんとした社会復帰ツールをつくれという提言をしたのですが、当時の我が国の政策に反映されなかったという歴史があります。
 現在、精神病床の高齢化は、6枚目にあるように、平成17年のデータで65歳以上の高齢者が43%ですが、平成20年のデータだと、48%が65歳以上の高齢者です。つまり、精神科病院に入院している患者さんの半分は65歳以上の高齢者なのです。この患者さんをどうやって地域に出していくのか考えたときに、地域に高齢者の精神障害者施設を展開していかなければ、この精神病床の多さは解決していけないと思います。
 一方では、特養が42万床あって、42万人が待っているよう、高齢者の政策が後手後手に回ってしまって、とても精神障害者を地域に出して、受け皿をつくるような体力が国にはないのです。したがって、現在あるハードを上手に転換して、これらの方々の受け皿整備を急速にしていかないと、この精神病床の多さは解決しないと思っています。
 また、本日の資料の22頁をご覧ください。精神病床の平均在院日数が312日となっています。この平均在院日数の計算方法は非常に複雑なのですが、この計算方式を取っているのは日本だけです。外国はこの計算方式ではないものでやっています。
 この計算方式でいくと、312日ですが、日精協で平成20年に外国の計算方式に当てはめて計算してみました。日本方式で計算すると373日なのですが、外国の計算方式でやると64.9日なのです。したがって、この平均在院日数の比較をこのような審議会でするのでしたら、一般病床、精神病床を含めて、外国の計算方式にすべて統一して計算をして、平均在院日数の比較をしなければなりません。日本固有の計算方式で出した数字を外国の数字と比較をするというのは、非常に矛盾しています。
○部会長 いまの2つの数字は随分違うように思いますが、事務局から何か答えられますか。山崎委員、計算方式を簡単に説明できますか。
○山崎委員 資料を持って来なかったのですが、簡単に言いますと、外国の計算方式というのは、今日退院した人がどれぐらい入院していたかという計算で、急性期の患者さんの計算をしているのです。したがって、長期療養の患者さんのカウントはしないで計算をしたり、長期療養と一般病床と平均する場合は、長期の患者さんの数を補正するような計算方式を付けているのです。
 ところが、日本の場合は長期入院患者の補正をすることは入っていないので、例えば精神科で統合失調症の長期入院の患者が30年も入っていると、その患者だけで平均在院日数がポーンと上がってしまうような仕組みになってしまっています。
○中川委員 いままで平均在院日数の国際比較をずっとやってきたかと思いますが、事務局から何か見解はないのですか。どのような意図でやっていたのですか。
○企画官 今日お示ししています平均在院日数ですが、22頁のものは病院報告ということで、毎月病院からご報告いただいたものを、年度を通して計算したものということで出しています。外国の計算方式について存じ上げないのですが、ここでいう平均在院日数というのは、総診療日数が基になります。ですから、退院されなかった方も含めての総診療日数を割るわけですが、分数でいう分母にくるのは、新規の入院患者数と退院患者数を足して、それを2で割った数です。つまり、月間ないし年間どのくらいの患者さんが出たり入ったりしたのかで総診療日数を割ったものです。
 一方、先ほどおっしゃったような補正というのは加わっていないのですが、61頁でいきますと、これは患者調査ですが、退院患者の平均在院期間で、患者調査ですのでサンプリング調査ではあるのですが、平成20年の調査月である9月の間に退院をされた方がどのぐらいの期間在院しておられたか。つまり、9月の何日かに退院したのだけれども、7日入院していたのか1年入院していたのかということの平均をしたものという形でお出ししています。
 実際退院された方の在院日数の平均という意味では、どちらかというと61頁が実際に退院された方の日数です。逆に9月中に退院しなかった方の数は、ここには反映されていないということです。そういう2つの数字が我が国の統計では出てきていますので、そちらをご紹介させていただいています。
○部会長 ほかにございますか。
○西澤委員 76頁の地域主権戦略大綱への対応ということで、この大綱は6月22日に閣議決定されたということですが、どこまでが閣議決定で、今後の検討事項がどうなのかというのが、この頁だけだとわからないので説明いただきたいと思います。例えば病院等の人員配置、構造設備関係とありまして、次に挙げる基準は条例で委任するということで説明がありました。あるいは「条例制定に関する国の基準については、次のとおりとする」ということで、断定的に書いています。これはもう大綱の中で決められたと判断していいのでしょうか。
○企画官 そのとおりです。
○西澤委員 それでは、さらにここで検討するということは、その基準の中身をもう少し細かくしたものを検討するということでしょうか。
○企画官 地域主権戦略大綱への対応としては、省令に基づいて従うべき基準として、条例を書いてもらうということですので、地域主権という切り口ではなく、医療提供体制として省令で書く中身をどうするかというのは、今後ご議論いただければと思います。とりあえず従うべき基準たる省令に基づいて条例を定めてくださいというような、条例への委任の根拠規定を置くような改正をしなくてはいけないと。具体的に基準をどうするかというのは、引き続き医療部会でのご議論を踏まえての見直しがあれば、それを反映していくものと思っています。
○西澤委員 これは非常に大事なことなので、その過程、過程において情報をいただいたり、私たちからの意見を聞いていただきたいと思っております。もう1つは、81頁の病床数の補正についてということで現在このようになっているのですが、先ほどの説明で、例えば介護老人保健施設の入所定員数についても、場合によっては今後病床数にカウントすることも可能なような説明があったと思います。片方ではこれは医療法上の病床の考え方ですが、片方で介護保険のほうでは、介護保険施設としての整備計画があると思うのです。その辺の整合性はどのようにしていくのかを教えてください。
○企画官 介護保険の事業計画も、平成24年度に向けて策定作業がこれから進んでいきます。具体的にこの補正の範囲を条例で、国が候補として挙げているものの中から若干狭めてもいいというような形で、条例委任したとしても、介護保険事業計画との整合・調和を医療計画策定上保たなければならないというのは、お互いの法律にそのような趣旨が書いてあります。
 そういう意味では、都道府県の介護計画のほうで老人保健施設の病床数というか、入所定員数をどうするのかということと、その方向に沿って当該都道府県でどのように医療計画上扱えばいいのかというのを勘案された上で、条例の範囲で、国が基準に示すとおり既存病床数としては算定をしないという、今の取扱いのままで条例を制定される場合もあれば、あるいは違う扱いをされる所があってもおかしくないと思います。
○西澤委員 私たちは、片方で医療法上での話で、医療提供体制をしているのですが、片方では介護保険の議論を別な所でしています。都道府県に行っても、おそらく今後地域医療計画とか、こちらの話はある部会ができると思います。片方では、介護保険整備計画の検討会ができます。それが全部縦割りで、私たちはそれぞれを見ていてもよくわからなくて、後で出てきて見てびっくりすることがあります。
 前回の同時改定の時期にも似たようなことが行われていたのではないかと思います。今後そういうことのないように、厚労省の中で各局がもうちょっと整合性を持って、例えばその議論もそれぞれの部会同時開催とか、あるいは情報を常に出し合うとか、そういう中で議論していっていただきたいという要望です。
○医政局総務課長 いまの点に関して申し上げます。1つは省内での連携体制ということです。ご指摘のような趣旨で、特に今後は医療・介護同時改定を控えておりますので、医政局と老健局、それで保険局も含めて3局連携の体制を強化する必要があるということで省内の組織をつくり、定期的に、例えばこの審議会での検討状況などを含めて情報交換、意見交換を行うことはしております。
 審議会の合同開催などについては、今後もし必要になればそういうことも検討したいと思いますが、そのような形で従来に増して、各施策が個別にバラバラにならないようにということで連携もしていきたいと思います。
○山本委員 いまのお話に関連するところなのですが、資料の7頁で、今回は医療提供体制で特段にということではありませんけれども、ここにあるのは病院あるいは診療所等、介護老人保健施設、特別養護老人ホームという2つの体系をつくっていて、表の見方なのでしょうけれども、医療機関から右のほうへ人が移っていくケースが1つ想定されていて、反対に医療機関から在宅へ移って、在宅から施設へ移るといういくつかのケースが考えられます。
 医療機関から在宅へ一旦移って、その後施設へ行くケースと、真っ直ぐ施設へ行くケースとでかなり差があるのは、一旦在宅へ戻ると、少なくとも薬剤も含めたサービスを一旦受けられた後、現在の仕組みですと特養なり、あるいは老健なりは仕組みが違いますのでなかなか容易ではないのだろうと思うのです。特養であれば、300人に1人で薬剤師の配置が基準としてありますけれども、300人に1人ですから、割算すると0.01ぐらいになってしまって数字になりません。
 そんなこともあると、実際には患者さんの移動の結果によって、同じ患者さんが置かれている環境で必要なサービスが受けられなくなるケースがたぶん起きてくるだろう。先ほど西澤委員がおっしゃったように、今後介護と医療保険の同時改定を考えてみれば、その隙間に落ちた方なら、とりわけ医療に関しては比較的この部会の中では議論が出るのですが、薬剤はどうするのかという意味でいくと、先ほど課長がおっしゃったように局内で整理しますというときに、薬はどこで見るのか。医政局でもない、保険局でもないということになりますので、是非その辺りも含めて必要なサービスが受けられないような体制がないように是非していただきたい。
 一方地域でいえば、先ほど横倉先生がおっしゃった、有床診を使ってというのは私も大賛成でありますので、その中で協力したいと思っております。国が薬局の位置づけをしっかりしていただけないものですから、医師会の先生がお作りになった資料の中からも、やはり薬が抜けて、在宅にはいるのだけれども、薬はどうするのだろうという、多少ひがんでしまう話になります。
 国のほうでも、今後薬は誰が扱うのだという視点だけは、この計画の中でしっかりとつかまえていただきたい。そうしないと、薬から発生するQOLはどうするのだと。介護保険部会のほうでは、認知症の薬に対する影響もさまざま議論されていますので、是非お願いしたいと思います。この先、省令を決めて点数を決めるということであれば、そのことも含めた議論がありませんと、結局その薬を使いながら、患者さんは大変辛いめにあうことになりますので、そこをお願いしたいということです。
 もう1点は31頁で病院の中の問題になります。資料が載っていて、医療スタッフの数と質の問題が議論されています。ここは看護の方と医師の方という形でいちばんわかりやすくて、パラレルに動くものが指標になっています。そもそも、そういう形ですれば、定常的に置いておく人はどうするのだと。確かに薬剤師が3人増えても5人増えても、あるいは他の医療職が増えても、見かけ上の影響はあまりないのだろうと思いますが、ただ、いないことといることの違いは大きいですので、今後一定の数を確保して、病棟に必要な人を配置するというチームを組むのであれば、そういう観点からの議論が行われないと意味がない。それが、いちばん最後の頁の大綱の中でも、今後医療提供者数等の中での人を決めていくという方針を出しています。今後の議論になるのだろうとは思うのですが、その資料の中にも単に1対1で動く一次曲線のものではなしに、定常的に置いておくスタッフについても、是非こういう所に出していただいて、それがいることがどれほど影響があるのかということも、今後の医療の質の向上のためには必要だと思っておりますので、その辺りも是非ここでご議論いただきたいのと、事務局のほうでも是非そうした資料を作成していただきたいと思います。
○横倉委員 人員配置のお話が出たので、私の資料?@の「医療法上の病院医師の配置標準について」を簡単に説明させていただきます。ご案内のように、日本医師会と四病院団体の間で協議会をつくって、いろいろ議論しています。その議論の中で、資料の右下のスライド番号2にあるように、2005年に社会保障審議会医療部会で一度議論が行われて、その後医療施設体系のあり方に関する検討会で、医師の配置基準についていろいろ議論がされたという経緯があります。
 四病院団体との話の中で問題になったのは、医師の配置基準について、外来患者数でいまは40人に1人という定数が決められていますが、その是非について一度ご議論いただけないかという提案ですので、そういうことも踏まえてご議論をする機会を与えていただければと思っております。
 ご案内のように、現在地域による医師の偏在が出ているということ、そして疾病の中では昨年のインフルエンザのように、感染症で急激な外来患者が増加するという場合に、どうしてもこの配置基準に満たなくなる医療機関が出ていることからのお話ですので、そのうちにいずれ機会をつくっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○部会長 いまの話題に関連してご意見等がありましたらお願いいたします。
○高智委員 いま横倉先生がご指摘になりました課題については、私どもも非常に大きな関心を持ってまいりました。既に少し考え方をまとめておりますのでご披露させていただきます。ご指摘の点は、医療法に基づく医療機関における医師・歯科医師あるいは看護師等の人員配置標準について、診療報酬上の施設基準との二重規制になっていること、先生の資料にもお書きいただいておりますが、制定以来ほとんど変更が加えられないまま現在に至っているために、実情に合わない等の理由で、これを緩和・撤廃すべきとのご意見だと思います。
 しかしよくよく見ていきますと、都道府県が行う立入検査の結果等によると、いまだに標準人員を充足していない医療機関が存在することから、医療の安全の確保等、患者の視点に立脚すれば、一概に撤廃すべきとは言い切れない。これは保険者あるいは患者・加入者の意見です。
 そして、手薄な人員配置の主な原因としては、とりわけ過剰病床数にあると思っています。実質的に病床の削減が進まなければ、人員配置の撤廃が根本的な解決策にはならないのではないかということです。医療のアウトカム情報の提供の充実やDPCなど、医療の内容がわかる方法のさらなる普及、人員配置に代わる指標が整備・充実するのであれば、これは将来的には横倉先生ご指摘のような方向で撤廃することがある意味望ましいとも考えられます。
 しかし、いま申し上げましたような背景事情等を総合的に見ると、現状では緩和、もしくは撤廃することは時期尚早ではないかと考えております。何よりも病院外来の人員配置標準の40対1の根拠がわからないというのは、私もそう思うところがあります。またGHQ時代からの背景、歴史も引きずっているところがありますので、ここは改めて先生ご指摘のように議論を再燃させていただければありがたいと思っております。以上です。
○横倉委員 高智委員のおっしゃるとおりです。医療安全上と、へき地における医療機関の人員配置基準との兼ね合わせをどう考えていくか、これは診療科も含めてですが、一度そういう議論をしていただければと思います。医療法上というのは、最低基準という考え方でよかろうかと思うので、そういうところのあり方についても、やはり医療安全というのが我々もいちばん大事だと思っておりますので、ご議論いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○高智委員 言い忘れましたが、この議論をするときには外来にピンポイントで焦点を当てるのではなくて、入院医療でもなくて、病院医療という括りで外周をきちんと見据える必要があろうかと思います。
○部会長 9頁のいまのテーマのことなのですが、入院が16対1とか、外来が40対1というのは、昭和23年以来変わっていないわけで、その当時と比べると現在のほうが1人当たりの患者さんに時間も取ります。それが医療従事者の過労の原因にもなり、同じ基準ではとてもやっていけないと思います。
○相澤委員 8頁をご覧ください。我々一般病院というのは、いつも「その他病床」という継子扱いでずっと来てしまいました。正直そうなのです。その他病床ということで、全部一括りにされて、我々は苦渋をなめてきました。そういう中で、その他病床を一般病床と名前を変えただけで、このままでいいのかということと、人員配置をどうするかということすごい相関関係があると思います。
 11頁を見ていただきたいのですが、療養病床以外の左側のほうは全部一般病床なのです。一般病床というように、全部1つの括りになっています。でも、この中にはものすごいさまざまな機能を持った病院が、その他ということで一緒くたに分けられています。この一般病床を、こういう基準でやろうとしたときに、これは全く整合性が取れないことなのです。例えば、平均在院日数を見ても、データはいつも一般病床なのです。一般病床というのがものすごく幅広い範囲にあるにもかかわらず、そこのデータを持ってこられて、こういう実態だと言われても、私たち医療をやっている現場の人間としては違うのではないかという気がするのです。
 本日データを提出しようと思っていたのですがちょっと遅れてしまいました。例えばDPCの病院のデータを調べますと、平均在院日数はそんなに変わりないです。ところが、一般病床からDPCを除いた一般病床の平均在院日数は、いちばん長い県は38.3日です。これが急性期病床をやっているのかというと、ちょっと違うのではないかと思います。短い県は18日ぐらいです。こういう病床数を全部一緒くたにすることは問題があるのではないか。そこで前に全日病が提案していた、地域一般病床というか、一般病床というものが全く消えてなくなっていいわけではないので、そこと急性期の病床を区分していく必要性があって、そこの人員配置は自ずから違うと思うのです。それを、データに基づいて議論すべきではないかという気がいたします。以上です。
○海辺委員 本日のご議論は、医療を提供する専門性の高いお話なので、私のような受ける立場の者にはわかりづらいお話だというところがあります。ただ、いまの相澤先生のお話を伺っていると、平たく似たような総合病院が多すぎなのではないかという印象が国民の側にはあります。例えば、健康な人が何かこのごろずっと体調がおかしいと思ってアクセスした場合に、大きな慢性疾患だったり、がんだったりという病気の初期症状ではないかと思ってアクセスしたら、そういう病院は確かな診断ができる病院であってほしいというところがあります。
 本当にがんになってしまった場合には、きっちりと先進的な医療をしていただきたい。一旦治療が終わったら、また近所の病院で定期的に経過観察していただきたいとか、いろいろな機能があると思うのです。そういう棲み分けをきっちりしていただけたほうが、国民にとってもありがたいのではないかと思いました。
 私どものような患者の立場では、一般的に臨床の先生と触れ合う機会が多いので、臨床の先生方がこのごろ私たちに嘆くのは、平均在院日数が短くなったせいで、現場は非常にきつくなったのだという感じなのだそうです。やっとこの患者さんは楽な時期に入ったなと思っているのに、もう退院させてしまって、次に入ってきた人はまたすごく濃い治療をしなければいけないということで、いまはヘトヘトなのだとおっしゃっていました。それはそうだろうなと思いますので、そういう所には人の手当て等が急務だろうと思うのです。
 でも、先ほどの有床診のお話を伺っていて、そういう所も本当に必要だとは思うのですが、いまはどこにも人が余っていないといいますか、大きい病院でも人手不足だ人手不足だとおっしゃっている中では、どこにも人が余っていない中で、跡継ぎもいないような所をどうやって対応していくのか。全体的なプランとしてはどういうビジョンで描いているのかをもうちょっと伺ってみたいという気がしています。
 横倉先生がご説明してくださいました資料?Aの4頁で、いちばん不安に思うのは大病になったときの医療費なのです。本当に大きい病気になったときに、いまは非常に生活に困るとか、ちゃんとした医療を受けたいのに、そこの待合室は3時間待ちであふれ返っていたりということがあると思います。砂漠に水を撒くような感じではなく、どこに集中的にやるのかというのを、国民の目にもちゃんとわかるようにしていただかないと、国民としても応援する気はたくさんあるのですけれども、応援のしようがないというのが現状かと思いますので、そういう議論をきっちりしていただけたらと思いました。
○横倉委員 海辺委員のご意見は非常に貴重なご意見だと思います。本日の資料の中にも出ていますが、特定機能病院のあり方とか、地域医療支援病院のあり方、特定機能病院もスタートしたときにはその機能がかなり明確に示されていました。地域医療支援病院も同様でした。それが、この数年の間にだんだん曖昧になってきました。
 そういうことが、いま海辺委員がおっしゃるような、住民に見えない医療になりつつありますので、これはもう一遍この医療部会の中でもしっかり議論をして、いまおっしゃられたように急性期の病院のあり方、特にいまはがんの治療が国民の間で非常に希望されています。がん基本法の下で、がん拠点病院がつくられていきました。その中の機能と、人員配置のあり方、そして落ち着いたら地域の医療機関で十分なわけですから、そういう人がいま特定機能病院や、地域医療支援病院、がん拠点病院に集まりすぎているのです。外来の患者さんが1日3,000~4,000人来るような病院があるわけですので、そういうところの見直しを、もう一遍ここでしっかりと定義づけをしていただきたいという思いがあります。
 そういう中で、いろいろな穴埋めをする役割としての有床診療所とか、中小病院の、いま全日病が提案しているような一般地域病床というもののあり方をしっかり議論していただければという希望を述べさせていただきます。
○中川委員 いまの横倉先生の意見に追加します。先ほど相澤先生がおっしゃった、11頁の療養病床の左側にいろいろな形態の病院がたくさんあるというご指摘はそのとおりです。特に私が強く違和感を感じるのは、この中に特定機能病院が入っていることなのです。
 44頁を見ますと、100床当たりの医師数と看護職員数が出ています。全国で医師不足、偏在、看護職員の不足、偏在と言われています。地域間格差と診療科間格差で言われますが、病院形態の格差もすごいのです。特に、100床当たり指数を見ますと、特定機能病院ではすごく増えていて、看護職員もすごく増えています。
 こういう実態があって、かつ教育・研究という使命を持っていること。さらに医療費の動向を見ますと、前年同期比の医療費の伸びが突出しています。こういう現実がありますから、例えば医療提供体制の面と、診療報酬の両面から、特定機能病院のあり方を検討する場を別途設けるべきではないかと思うのです。この医療部会で、その一部で時間を割いて議論するのは限界があると思いますので、是非早急に事務局に検討していただけないかというお願いです。
○尾形委員 資料の74頁に、医療施設体系に関する論点ということでお示しいただいておりますので、これに関して一般的なコメントを2点お話させていただきます。1点目は、3つ目の○で既にいまもお話が出ていました特定機能病院、あるいは地域医療支援病院について、今後の動向をどう考えるかということになっています。この2つについては、第5次医療法改正の積み残し事項というか、先ほど事務局からお話がありました、医療施設体系のあり方に関する検討会で、ある程度議論の整理が行われてきているものだと理解しています。
 本日の資料の42頁とか47頁で、これまでの議論を踏まえた整理という形で示されています。そういう意味では、一応の整理が行われているのかと思います。問題は、これを受け止めるべき政府側にあるのではないか。つまり、ここでの議論の整理のフォローアップというのは、ここ3年以上行われていないことが問題ではないかと思います。むしろ、こうした議論や検討を踏まえ、フォローアップとか改革を実行するという、政府としての明確な意思は非常に重要だろうと思います。それなしには、単に意見を述べ、議論を整理したということに終わりかねないので、今回の検討では是非その点を十分留意していただきたいと思います。
 2点目は、74頁の全体を通して、医療施設体系に関して、こういう問題があるのではないかということが示されております。医療提供体制、あるいは医療施設体系の全体的なあり方について、やはりこの部会として中長期的な展望やビジョンといったことを十分議論する必要があるのだろうと思います。
 昨年の2月だったと思いますが、当部会に社会保障国民会議の最終報告、特に医療・介護費用シミュレーションが示されて説明が行われました。このシミュレーションについては、いろいろ評価が分かれるところですけれども、最大の特徴は将来の医療提供体制について、一定のあり方を展望して、費用負担のあり方まで言及しているところだろうと思うのです。そのときにも申し上げたのですけれども、こういう提供体制に関する中長期的なビジョンというのは、まさにこの部会で考えるべき問題だろうと思います。
 そういう意味で、個別の事項も踏まえつつ、先ほど11頁の図が議論に出ていましたが、これはあくまでも診療報酬による分類ということであります。これはこれでいいのですけれども、これも含めて医療提供体制のあり方全体的な中長期的なビジョンというのを、やはりこの部会でしっかり議論をして、一定のビジョンを示していくべきだと考えます。以上です。
○部会長 まさにおっしゃるとおりで、この論点に沿って皆さんの議論を伺って、それを事務局のほうで各回ごとにまとめておりますので、またしばらく経ったらそれを出させていただきます。
○山崎委員 横倉先生が提出された資料の配置標準のことですが、これは昭和23年に決められたままで60年以上同じ計算方式でやってきたということがあります。外来の、この計算式を撤廃した場合に、その代わりの計算方式について検討する場をつくっていただきたいと思います。
 精神科の場合は、半分ぐらいの病床が、特定入院料という、診療報酬上の扱いになっています。その特定入院料の病床というのは、ドクターが0.1%少なくなると、即ち99.9%に医師の数がなると、特別入院料といって、診療報酬が半分に落ちてしまう仕組みになっています。
 一方では、精神科のドクターが非常に高齢化してきていて、数が少なくなり、一方ではクリニックで開業するドクターが多くなるということで、危機的な状況にあります。
 新しい方法として、医師が、病棟に勤務している時間と外来に勤務している時間とをきちんと分けて、計算するような方法にして、外来患者さん40人に1人という現在の方法でない方法を、この検討会の下の部会等で、検討して頂きたいと思います。
○小島委員代理(伊藤参考人) いま尾形先生から、医療提供体制について中長期的なビジョンを、まさにこの場で検討して作っていくべきだというご意見がありました。数回前にこの場で、何人かの委員から確認がありました、政府の新成長戦略でしたか、医療のビジョンを作るのはどこでやるのかという話がありましたが、いまのところ決まっていないという回答だったと思います。ここに皆さんが集まっているわけですから、ここの場で議論をしていただければと私からも希望いたします。
 併せて、中では介護のビジョンも今年度中に作ることになっておりますので、それは先ほどもありましたけれども、医療と介護は一体的に議論をしていくべき、同時開催をと先ほど意見がありました。この間ずっと見ていて、2年後の同時改定はどうなるのかな全く見えないのでかなり不安になっています。同時開催なり、それぞれ連携した形で進めていく必要があるのだと思っております。療養病床の再編について、今回の資料にはあまり出ていませんけれども、横断調査で、医療療養病床がほとんど実態としては一般病床のほうに転換していて、介護療養病床は、医療療養病床に転換しています。ほとんど介護保険施設に転換できていないようなことはありますけれども、この点について介護の社会化という、もともとの基本的な理念は是非進めていかないといけないと思います。
 横倉先生の資料?Aの4頁にありますように、長期入院するための入院施設がなくなってしまうことは不安だという声は実態なのだと思います。行き先がなくなるようなことは避けなければいけないことだと思います。生活環境という意味からも、介護の社会化ということは引き続き堅持して続けていくべきだと考えております。以上です。
○部会長 まだご発言のない方もいらっしゃいますが、ほかにはいかがでしょうか。
○近藤委員 本日の資料の4頁、5頁をご覧いただきますと、医療法上の施設基準の内容が出ています。今回の議論の中で、歯科のかかわりはどういうものか。歯科は大部分が個人の診療所という状況の中で、病院における歯科のかかわりについて意見を述べさせていただきます。
 9,000弱ある病院の中で、1,800ほどの病院に歯科があることについては、前回もお話をさせていただきました。医療施設調査の中では、一般病院で歯科がある所は28%、歯科のない所が72%、精神科病院では歯科のない所が80%以上という状況です。病院の中における歯科医療、歯科医師としての、あるいは歯科衛生士も含めた歯科関連職種の役割については、前回も前々回もお話をさせていただいております。専門的な口腔ケアを提供することで、例えば口臭の問題も解決に力を尽くせます。もちろん口腔を原因とするような感染症の問題にも、「専門的口腔ケア」を歯科医師、あるいは歯科医師の指導の下で歯科衛生士が実施することで、十分その役割は果たせるということは申し上げてきました。
 実際上8割近い病院に歯科がないという状況にあります。どちらかというと、現在病院における歯科は減る傾向にあります。東京のいくつかの病院でも、移転あるいは建て替えるようなときには歯科がなくなっている病院も出てきています。ますます、病院における歯科の役割は小さくなっていってしまいます。
 病院の中における歯科的な連携、チーム医療ということでいま検討されているようですが、現状では近隣の歯科診療所との連携ということが中心になっているのだと思います。しかし、病院の中に歯科医師、歯科衛生士を置くことで連携が十分にできる、すなわちチーム医療が発揮できると我々は考えております。これは病棟に歯科医師を置くような施設基準の問題と、また診療報酬体系が若干違いますので、診療報酬によるインセンティブというようなものもお考えいただければと思っております。
 前々回のこの部会で、海辺委員から、高齢者の施設等で、食べることによって人の表情まで変わった。あるいは義歯を入れることで、その人の生きがいへとつなげることもできるというご発言をいただきました。病院に入院されている方に歯科医師、歯科衛生士をはじめとする歯科関連職種が果たせる役割というものを、これから訴えていこうということで、いまお話をさせていただいております。国立がん研究センターとの間の医療連携も進んでおりますので、是非そういうことも今後ご議論いただければと思います。以上です。
○齋藤(訓)委員 これからの医療提供体制を長期的に、中期的に見ていったときにどうするのかという議論は当然進めていくべきだろうと思います。その議論の中で、病院の果たす役割、診療所の果たす役割を見直していくことは必要だろうと思います。
 その議論の中でされればいいかと思いますけれども、日本の病床数が非常に多いという現実をこれからどうするのか、これからの提供体制を考えるときにどうするのかということは、やはり真正面から向き合って考えていかないと、いま以上にマンパワーがこれから増えていくかというとそういうわけでもない。諸外国に比べれば、人数はそこそこ変わらないのだけれども、病床が多いので広く、薄くそのマンパワーが配置されている状況なので、どこに行っても医師も、ナースもみんな疲労困憊の状況は変わっていかないのです。これからの提供体制を、いまの現状を大いに俯瞰しながら長期的にどうするのか、その際に日本のベッドをどう考えていくのかということは、当然議論していかなければいけないことであろうと思います。
 その中で、いままでの医療提供体制の政策では、機能分化を図っていこうということで、特定機能病院や、地域医療支援病院ができました。今回の資料の35頁に、とにかくいろいろな機械が、いろいろな病院に入っている現実があります。地域医療支援病院の機能の中に、ここの病院でしかできない検査を、いろいろな地域の病院が共有していこうという趣旨だったり、あるいは地域の医療従事者へのいろいろな教育や研修も、基幹病院で担っていこうということで出てきたと思います。これだけいろいろな診断装置が、いろいろな所に配置されていると、結局その地域医療支援病院のそもそもの理念がどうなっているのだということになっているかと思うのです。
 そういう意味においても、平成19年の医療施設体系のあり方に関する検討会から3年経って、現状どうなっているのかというのは今回のペーパーで出てきました。これを踏まえて、機能分化をもっと進めていくためにはどうあらねばならないのかということを、これからの医療提供体制をしっかり考えていくことと合わせて検討はしていくべきだろうと考えています。以上です。
○部会長 いまの点は確かに重要な点です。病床数が非常に多い、医療機器も諸外国と比べて過剰にある。一方、社会の側といいますか、医療を受ける立場の側から言うと、すぐ身近に病院があって、良い機械があるというのは便利なのですけれども、もしその数を減らすとか、集約化すると国民の理解というか、患者さんの理解をまず得ないと難しいです。
○高智委員 ただいまのご意見に関連しますけれども、38頁の医療機器の配置状況についての国際比較の図を見ますと、日本の突出した状況は一目瞭然です。どのぐらい異質なのか、突出しているのかを比較するには、同じインシュアランスシステムで、経済規模や人口など国勢レベルが近似している国のドイツがいいのではないかと思います。ドイツの16.4と、日本の97.3の連関性、有意なEBMは出てくるわけがないと思っております。
 こういう大型で高額な医療機器を配置した側からすれば、減価償却といいますか、供給が需要を喚起する、保険経済では当然のことですが、そういう意識に向くことは当たり前だと思います。一方、このような高額な医療機器は、多くの保険医療機関が配置しています。例えば、資料35頁のその他のCT(16列未満)の診療所に設置されている台数は、病院に設置されている2,671を優位に上回って3,369ということで、まさしく異常です。これは、国際比較をする必要もないぐらいだと思います。
 部会長もおっしゃいましたけれども、これは国民の理解をもちろん得なければいけないけれども、保険経済からすると適切な検査が行われること、有意な検査でなければいけないこと、納得のいくインフォームド・コンセントにも及ぶことだと思っております。この辺の整理、方向性についてじっくりとしたご議論をお願したいと思います。以上です。
○大西委員 高松市の大西です。医療提供体制についてのご議論を興味深く聞かせていただきました。特に、我々としては76頁の地域主権戦略大綱への対応ということで、ある程度都道府県に対する調整の権限が委任されるということです。これは、いままで国が決めていたのをそのまま決めて、若干の微調整を都道府県に与えるということですので、これ自体は問題ないとしても、やはり地方分権改革、あるいは地域主権改革ということであれば、もう少し抜本的な権限移譲、あるいはもう少し実質的な調整権限というものを、地方公共団体、都道府県レベルへ下ろせないものかと思っております。
 一方で地方公共団体といいましても、我々市町村と、それと都道府県というのがあります。例えば高齢者医療制度の廃止に伴う、その後継制度等も議論しておりますけれども、これについては基本的に県単位でということで方向が打ち出されております。国保の中に溶け込ませて、将来的には国保も含めた形で県単位にすべきではないかということです。
 私自身も、住民にできるだけ身近なサービスは、基礎自治体が受けるべきという考え方を持っておりますけれども、特に保健所の保健サービスであるとか福祉サービスというものは人的サービスが中心になりますので、これは基礎自治体が中心となってやるべきです。国保みたいな保険制度、スケールメリットが働くものについては、地方公共団体がやるとしても、やはりより大きな広域的自治体である都道府県がやるべきであろうということで、市長会もそちらのほうで要求しています。
 そういう中で医療というのはどういう位置づけにされるかということです。やはり医療制度の枠組み自体は、国がきちんと骨格を定めていただかなければならないと思います。その上で広域的自治体、都道府県よりはむしろ将来は道州制ということになれば、道州みたいな単位が望ましいのだと思います。そこで全医療機関、あるいはいろいろな需要と供給をすべて調整できる権限が、道州なりに与えられていくという姿が望ましいのではないかと考えております。そういう大きな流れもにらんで、是非ご検討いただきたいと思います。
○海辺委員 話が戻ってしまうのですけれども、患者や国民の納得というお話が出てきたときのことなのですが、私ががん対策推進協議会の委員だったときに、こういう機器の無駄があるのではないかということを指摘させていただきました。患者団体の方々も、適正な設備の配置は必要ではないかということを、このごろは訴えるようになってきております。そういう国民的な議論はいま熟しつつあるのではないかと思います。国民の側は負担をしているので、無駄なく理にかなってやり方にしてほしいという願いがすごくあるので、そういう議論をいまできる環境ではないかと思っております。
 あとは、医療を受ける側からすると、いろいろな所に平たくあるものですから、まず最初にアクセスした病院で、とりあえず胃カメラをしてみましょうかなどと言って、どうやら怪しいと言って紹介状をいただいた病院でまた胃カメラを飲まされて、最終的に手術を受けるのにまた飲まされてというと、同じ検査を3回もするのは無駄ではないのだろうかという感じもしております。何回も同じ検査を受けるのは本当にしんどいわけです。
 そういうことなので、この人は疑わしいとなったら、ここの確かな施設できっちり診断してもらいなさいということで、そのデータを持って、あそこでこれだけきっちり診ていただいたのなら、ここで手術するときにはこれに則ってというふうになればいいだけではないかと思います。いろいろな機能分化とか、施設の基準についてはしっかりしたビジョンでやっていただけたらと思います。
○相澤委員 厚生労働省の方にお伺いしたいのですけれども、医療提供体制は医療計画で二次医療圏ごとにつくれという話になっていますよね。ですから、この医療提供体制のあり方というのは、医療圏をどうするか。医療を提供すべき、地理的範囲をどうするかという問題と大きくかかわります。いま、なぜいろいろな齟齬が起こっているかというと、二次医療圏ごとにやれということ自体に間違いがあると思っています。
 昭和60年に決められた二次医療圏は正しいものとみんなが錯覚して、いやいや正しく認識しているとは思うのですが、それごとに医療計画を作るがために非常に無駄がいっぱい起こっています。もっと変なことは、二次医療圏が1つの市町村であればいいのですけれども、いくつかの市町村であったり、ここにも医師会の先生方がいらっしゃいますけれども、医師会は市町村とはまた別の所があって、そこが一定の形になっていないのです。
 その中で医療提供に対して連携しろなどと言っても、これは全く難しい話であります。ですから、そこをどうしていくのかという議論をしなければいけないのです。医療計画の話はこの次だということになっているので私は黙っていたのですが、医療圏の問題と医療提供体制の話はどうしても切って切れないのです。厚生労働省が今後どう政策をしていくのかという点も含めて、もうちょっと議論しないといけないと思っています。
 これは、二次医療圏をどうするのかということとリンクする話であって、切り離してするのはおかしいと思います。先ほどの基準病床数も県ごとに出していましたけれども、あれは二次医療圏ごとに作っています。足し算をすると、県ごとに人口の基準病床の数はものすごい差があります。それはなぜ起こっているかというと、二次医療圏ごとに作ったのをただ足しているからだけなのです。だから、この基本的な考え方をどうするかを議論しないと、本当に日本に合った医療提供体制は作れないのではないかと思っています。
○光山委員 資料の76頁の「地域主権戦略大綱への対応」にもございますが、基準病床数制度の導入までは、病床数は昭和30年以降どんどん増えていました。昭和61年の制度導入後は、病床数がむやみに増えていかず、なんとか全体を抑制できたという意味では評価できる仕組みだと考えます。
 一方で、いまの相澤先生の話にも関連するのですが、17頁のような、実際には地域のアンバランスというのでしょうか、10万人当たりの病床数がすべてだとは思いませんし、いろいろな施設があってということはもちろん理解した上でですけれども、地域差をどう見るのかという問題があります。さきほどのお話のとおり、地域によって、例えば高知県と千葉県と比べてみると極端な差があるということでいいのかどうか。基準病床数が、平均在院日数をベースに計算されたり、二次医療圏の積み上げをベースに定められている限り、是正できるはずがないのです。
 先ほど相澤先生もおっしゃったように、ある所では在院日数がとても長かったり、ある所では短かったりということがベースになって、基準病床数が計算されたりすれば、いつまで経ってもこの差は是正されないのだろうと思います。この資料をどう見ていくのか、分析していくのかというところも必要ですし、やはり基準病床のルール、都道府県にどこまで任せるかという議論ももちろん大事で、慎重にやらなければいけないのですけれども、それ以前の話として、基準病床のルールそのものが今のままでいいのか、という点は是非リソースの平準化、有効活用という意味でもそうですし、あるいは地域偏在の解消という意味でもそうですし、考えるべきだろうと思います。
 もう1点はICTの活用についてです。先ほどから高額機器の話も出ておりますけれども、、現在、いろいろな局面でICTといいますか、情報通信、あるいは情報機器を使った遠隔の医療等々いろいろな実証実験を各企業で、メーカー等を含めてやっております。ICTを活用し、リソースを共同で利用することについても、各施設のお医者様にも協力いただきたいと考えております。同じエリアで同じ質の医療をみんなが利用できる環境を整えていくことが必要です。都道府県によるところも大きいと思いますけれども、法制度面での手当てに加えて、物理的な意味でも連携基盤を考えていくべきです。以上です。
○横倉委員 地域医療計画について相澤先生からご指摘がありました。昭和60年に作られたときから、いわゆる義務的な記載事項と任意的記載事項を分けて、ここ数回任意的記載事項の、いわゆる医療連携とか、それぞれの医療機能のあり方について非常に重点が置かれてきました。ただ、その医療圏自体は、昭和60年に決めて、いくつかの手直しが行われてきたけれども、本来の地域医療とかけ離れた医療圏の設定が行われてきたのも事実だろうと思います。最近、私は出身が福岡ですから、福岡でいろいろ議論をしたり、データをとってくると、大体機能的には大きく分けて3つから4つの医療圏で十分ではないかと。これは、昭和60年の時代に、実は医師会は4医療圏を福岡で主張したのですが、行政の側のいろいろな事情から13医療圏になったという歴史があるわけです。そういうことで、次回ご議論されるなら、もう一遍医療圏のあり方というのをそのときにじっくりと議論をして、その中でどういう地域医療の機能が必要か、また、連携という問題が今後の日本の医療の根幹になってくると思いますので、その連携のあり方について、しっかりとした議論をさせていただければと思っております。
○西澤委員 いままでのいろいろな議論の中で、機能分化とか集約化というのはある意味では賛成です。しかし、例えば38頁のCT・MRIの配置ですが、ドイツと比べて圧倒的に多いのですが、しかしながら多いから悪いのかと。正直言いますと、医療費はどうかというと、これだけ医療機器が何倍もあっても、日本の医療費自体はいちばん安いのです。ですから、そういう辺りをどう考えるのかということもあると思います。
 片方では、アクセスという問題もあるのではないかと思います。例えば外国の病院に行ってまず耳にするのが、「ウエイティングリスト」という言葉です。必ず出るのです。要するに、入院の待ち時間ということです。私たちは何のことか最初はわからなかったのです。向こうは、病床数が限られていて、入院するまでにかなり待たされるのです。日本では、ほとんどウエイティングリストがないのです。その辺りは日本の国民の方も知らないのではないかと思っています。それから、もう1つ、外国のある町へ行って、そこの大きな病院に行くと、必ず自慢げにCTあるいはMRIを見せられるのです。「うちにはこんな機械がある」と。聞いてみますと、「うちの市には2台、うちの病院とほかにあります」と。「それでは、これはいつでも利用できるのですか」と聞くと、必ず紹介で、何日待ちとかという話なのです。いま日本は、ほとんど即日でできてしまうのです。そういう面でも国民は恩恵を被っている。そういう面と、こういう台数が多いという面、その辺りを日本の良さを生かした中でどう効率化を図っていくか、そのような議論に是非していただきたいと思います。
○山崎委員 病床の人員配置基準の話ですが、必ずこの話になると看護師配置になります。看護師配置3対1と言った場合、60床の病床では看護師さんは20人いなければいけませんが、一方で、いま盛んにチーム医療と言っていますから、20人が全て看護師でなければいけないのかといった疑問を私は前から持っていました。例えば栄養士、薬剤師、精神科だったらPSWが入るし、臨床心理士が入るし、ADLが落ちてくればOTが入ってもいいし、PTが入ってもいいし、介護福祉士が入ってもいいというように、診療報酬が看護師中心で組まれているのに、一方では多職種チーム医療という言葉だけが独り歩きしている事に違和感を感じています。
 人員配置については、そこの病院の院長の考え方によって、うちは退院を中心にしたいのでもっとPSWを配置するとか、ADLが落ちているのだからOT、PTを配置するとか、薬剤情報を提供したいのであれば薬剤師を専任で入れるとかと、決まりきった配置基準ではなく柔軟性があっても良いような気がしています。
○小野委員 全国の多くの町村というのは二次医療機関を持たない。その遠隔地にあるということになるわけです。そこで、私どもは、二次医療機関との情報ネットワークの形成が非常に大事だと思っていまして、電子カルテ等々の整備を急ぎたいと思うのです。二次医療機関同士の情報ネットワークの整備に対しては、それなりの手立てが今なされているようですが、それから外れた町立病院とか民間の医療機関までは、いまの段階では支援がないという状況ですので、是非その辺も厚労省のほうでご配慮いただければ、私どもも是非情報ネットワークというものをきちんと構築したいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○中川委員 部会長にお願いがあります。いまの議論を聞いていて思うのですが、話題が変わるときに変わるとおっしゃっていただきたいのです。意見が続かないのです。また蒸し返しの発言になるので、これは事務局がいちばん都合よくなるかなと、皮肉を込めて申し上げたいのです。何の結論も返事も出ないうちに次に移ってしまうと、これはガス抜きになってしまいます。是非その辺のご配慮をお願いしたいと思います。
○部会長 それをやろうとするのですが、結局またあとから出てくるものですから。
○中川委員 あとから追加は仕方ないのですが。その上で申し上げたいのですが、個人の発言に私もちょっと異論があります。まず、議論の進め方として、医療機器が多すぎる、病床数が多すぎる、平均在院日数が長すぎる、これが問題点だと決め付けた議論になってしまっているのです。ところが、そうでない面がすごくあって、だからこそ日本の医療は世界一だと評価されてきたわけですから、そういう柔軟な議論をしていただきたいと思います。
 2点目、医療部会であるから医療提供体制を中心に議論すべきだということで、診療報酬は違うのだ、医療保険部会だということにはこだわらないで議論しないと、議論が窮屈になります。この辺をもうちょっと柔軟にやっていただきたいと思います。
 42頁に尾形委員のご意見がありましたが、この特定機能病院の議論についても、平成19年7月のときで止まっています。検討が必要、検討が必要、引き続き検討が必要、と、ずっとこれで終わっているのです。これは踏み込んだ議論を医療部会でもやるべきですし、そのときにテーマとして、次回は特定機能病院のあり方について一定の時間をとってやるとかと議題をある程度限定して、大きな議論でなくやっていただきたいと思います。お願いです。以上です。
○部会長 今日も、先ほどの74頁の論点の3点の中の3点目に、特定機能病院、地域医療支援病院という論点整理はしているのですが、この部会は非常にいろいろな立場の方がおられるので、これを順番にやろうと思っても、非常に難しいのです。
○中川委員 それで、是非お願いしたいのです。
○加藤委員 意見なのですが、先ほどの医療機器の問題にしても、病床数とか、高知が多いとかいう話が出ましたが、数値だけが出ているために、そういう議論になってしまうと思うのです。高額な医療機器がこれだけたくさん入っているので、それでどうなのかという資料を出していただきたい。高知県で非常に病床数は多い。同じ四国のほかの県に比べて病院も多い。それは実数が出てくるのはわかりますが、それが医療において結果としてアウトカムは何が出ているのかという資料をいただきたい。そうすると、もう少し議論が進むのではないか。ただ数値だけを見ていると、機器を買いすぎですよということで、一方においては西澤委員のようなご意見も出てくる。高知などは確かに病床数も多いし、病院も多い。それならどうなのか。それで医療が進んでいないなら、おかしいでしょう。そこではいろいろな病気が少ない、死亡率も低い、県民がハッピーだというような、国民目線で見たような資料を、何とか工夫して出せないものか。そうすると、もう少し議論が噛み合うのではないかという気がします。
○部会長代理(田中) 私も、医療施設体系検討会の報告以降フォローアップがないことを、変だなと思います。先ほど尾形委員が言われたように、論点整理はある意味すんでいるというか、大体出来上がっているのです。論点に対して検討課題を提示したところで終わっていて、その後のフォローアップがないし、その後、特定機能病院にしても、DPCの進展とともに中身が変わってきているにもかかわらず、もとの制度のままである。何人かの委員がおっしゃったように、医療施設体系のあり方全体の中、とりわけ特定機能病院とか地域医療支援病院について、論点整理を超えてもう一度取り上げることについては、私も賛同します。
 もう1つ、今後の地域主権戦略大綱と合わせての基準病床制度も考える時期だと思っています。基準病床は、1986年、病床数が大変な勢いで増えていた時代には、医療費が高くなりすぎないために制限した側面が大変強いですよね。しかし、その後、いろいろなグラフ、例えば53頁のグラフを見ていただきますと、入院受療率は近年下がってきています。それから、21頁、22頁を見ると、病床利用率も低下しています。これは一般病床のことです。療養病床のほうは、老人を預けたいという気持が人々に強いので、つくればそれだけ客が入ってしまうため、医療費には影響がありますが、一般病床については、すでにそういう時期を越えていると思うのです。病院をつくると直ちに患者が続々と出る時代ではありません。むしろ、経済学の観点からすると、基準病床は、先ほどの病床数の話からすると、今ある病床を守っているのではないかと思うのです。そういう逆の側面も現代では発生している可能性があります。この基準病床を、だからすぐ廃止しろという乱暴な議論をするつもりはありませんが、一般病床、もう少し言えば急性期病床の基準病床の考え方についても、今後取り上げていく時期であると考えます。
○部会長 いまの地域主権戦略大綱の基準病床数に関しましては、今日いろいろなご意見を伺いましたが、これを完全に自由にしてしまうと周りの地域への影響もあって、やはり慎重に考えていく必要があるという点では、皆さんご意見が一致していると思います。これは医療部会への諮問事項ではありませんが、今日のご意見も参考にして、厚生労働省においては今後の法案化の作業を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。それから、医師の配置基準につきましても、今日いろいろなご意見をいただきましたので、事務局においては、課題全体を整理する中で、どう取り扱っていくのかということについて検討していただきたいと思っています。そのほか、ご意見ございませんか。まだご発言のない委員、樋口委員、いかがでしょうか。
○樋口委員 折角の機会ですので、1点だけ。74頁に、今日の主たる資料についてのまとめといいますか、いままでも何人もの先生がこれに言及して発言をされていたと思いますが、いまの日本の医療提供体制というのがどういう基準なのか。施設についての基準、人員についての基準、機器についての基準はないようですが、機器がどのような形で入っているかということも含めて資料を提供された上で、今後いままでのような区分をそのまま続けていいのだろうかとか、その中でとりわけ特定機能病院はどうなのかというような論点を整理しておられる。その上で、次の75頁の地域主権戦略というのは、本当は違った話ですよね。74頁までは、国全体としてどういう形の医療を国民に提供すればいいかという話で、しかし、そういう国レベルの話だけではなくて、国レベルで全員で動こうとするから日本の場合はなかなか大変なので、地域主権というのはそれはまた立派な考え方なので、地域主権戦略大綱というものも政府は一応こういう形で宣言をしていますよと。
 しかし、今日伺った中で、これは確認する必要はなくて、先ほど大西委員もおっしゃっていたことなのだろうと思いますが、もう1つ関連資料があって、その中に、この地域主権戦略大綱についてはもう少し詳しく出ているのです。例えば関連資料の25頁で、「地域主権改革が目指す国のかたち」というのは「国と地方が対等なパートナーシップの関係にある」と。そうであってもらいたいとは思いますが、「国が一方的に決めて地方に押し付けるのではなく」とあって、そのパラグラフの最後には「地方公共団体の自由度を拡大し、自主性および自立性を高めていく」と。これが実は大変な作業であることは地方自治の現場で働いておられる方はいちばんよく知っておられると思うのですが、そのあと、(3)で「住民による選択と責任」というのは「地域主権改革が進展すれば、おのずと地方公共団体間で行政サービスに差異が生じてくるものであり」と。それは当たり前のことなのです。それを当たり前と思えるかどうか。特に医療のところでそう思えるかどうかというのは本当に大変なことで、そのあと、とりあえず今年度の大綱の策定に当たって厚生労働省関係ではどうなっているかというと、というので、先ほど説明がありましたが、とにかくいくつかの事例について、自治委任事務については条例に委任するのだと。しかし、大半は、従うべき基準というものが定められて、誰が決めるかというと、それは国が内容は決めておいて、ただ形だけ条例にするということですね。自由度を認めるのは、診療放射線技師の配置や理学療法士あるいは事務員の配置で、それは参酌すべき基準であっていいかもしれないという方針で、一方で、これは簡単に地方自治、地方自治と言っていいかどうか。
 日本のどこにおいても一定の医療水準は保障してもらいたいということも、やはり実感としてあるので、医療は地方で実際には差があるわけで、それをそのまま地方主権という名前で追認していくような話になるのは、きっと誰も望んでいない。その点をどう解決するかというのは、誰がどうやってルールを作っていくかということに結び付くので、ある意味では、今日の中身の話と同様に、非常に難しいことかもしれない。そのときに、先ほど山崎委員がおっしゃったように、基準というものの考え方なのですが、日本は本当に真面目で、基準というのは守らなければいけないという話になるのです。例外も認めるような基準ということも考えられないだろうか。
 いきなり地域に全部任すと言っても、地域もそれを支えることができないのであれば、国で基準は定めます。しかし、特定の要件について持ってきた場合には、先ほどの看護師の基準は適用しないで、別の医療従事者がいるようなところできちんとやりますというのだったら、その病院だけは認めてあげるような、基準の定め方というのですか、少し例外を認める。柔軟性を持つような話をしてあげたほうが、日本全体として少し肩の力が抜けるといいますか、この基準を変更するにせよ何にせよ、一律で変更するという話になると大変なことなので、そういうルールの定め方のあり方についても、地域性を入れたような、あるいは病院の特殊性を入れたようなことを、もう少しきめ細かに考えていくようなルールの作り方というのがあってもいいのかなと感じました。
○齋藤(訓)委員 とかく看護師の人員基準が取り上げられますので、ちょっと申し上げておきます。いま医療法で定められている基準というのは、必要最低基準という認識で私どもはいるのです。その必要最低基準というのは、いまはフリーアクセスですから、患者さんが具合が悪くなって入院した時、必要最低限のサービスをするための人員基準はこれですよと定めていると私は認識しています。ですから、議論は当然あってもよろしいかと思いますが、国民の皆様も、それから提供サイドも、いまの基準は必要最低基準なのだという認識は、きちんと共有すべきだと考えています。
○日野委員 意見を述べさせていただきます。地域主権戦略大綱というのが出てきまして、現場でやっておりまして、これでいちばん心配しますのは、地域に主権を移しますとダブルスタンダードがよく起こるということなのです。それで厳しいほうを適用されて、地域は国よりも厳しいスタンダードを我々に課します。中央と同じだろうということでいろいろクレームをつけても、ガンとして動かない。我々医療を提供する側にとりましては、いろいろなスタンダードでがんじがらめに縛られておりまして、その上に地域主権となりますと、言い方はちょっと角が立つかもしれませんが、地域の担当官というのはあまり事態をよく理解できないといいますか、そういう能力に乏しい人が担当になりますと、その人1人出ただけで混乱が現場に起きますので、地域主権ということを見たときに、今日随分いろいろな話が出ましたが、医療提供体制が混乱していますよね。この混乱しているのを地域へ投げるようなことのないようにしていただきたいといいますか、国は、樋口委員のおっしゃられているとおり、本当に緩やかなスタンダードを作ってもらって、それをあまりきつくしないようにしていただければ楽になるかなと思います。
 それから、ちょっと話は違いますが、医療機器のことです。現場で見ているとよくわかるのですが、診療所に非常に多いというご指摘がありましたが、これは理由があります。先ほど西澤委員がおっしゃられた、大病院に行っても待ち時間がないということの裏にある事実です。大病院は、9時~5時の勤務でレントゲン技師は帰ります。そうしますと待ち時間が生じて、クレームが出るのです。その大病院の近隣に CT専門のクリニックができます。ですから、数字は決して歪んでなくて、ああ、こんな実態かなと我々は納得するのですが、その結果、患者サービスというのはそれで向上するわけで、何となくそれでバランスがとれているのかなという気はします。
 いろいろな話になって申し訳ないのですが、高知県が突出して医療が多いですが、これは調べてほしいと思うのですが、日本がこれから目指そうとする社会保障制度に乗った国づくりを、高知県は先にやっているのではないかと思います。あそこは医療産業以外何も産業がないですから、実態はどうなっているのかよく調べてもらいたい。そうすると、これから目指すべき国の実態が明らかになるかもしれないという気がします。
○山本委員 あまり個別の員数の議論というのはまだここでは馴染まないのかもしれませんが、看護の方がおっしゃっていたように、薬剤師も同様で、70対1、150対1という、例えば老健で言えば300対1ですから、必要最低限すらないのではないかという感じがしております。かつての基準はそれでいいと思うのですが、いま、薬の安全というのは医療機関の中でかなり問題になっていますし、そうしたところを管理する者が誰なのかということになれば、同様の議論が出てきますので、今後、医療安全、あるいはチーム医療ということを考えれば、人数の見直しのときには、実際に仕事をする必要性とか、その目的とかを考えた上で人員配置についてもご検討いただきたいと思いますし、数字が具体的にどうなるか、いま調査中ですが、過剰な部分という意味では、薬剤師も同様にかなりの超勤がかかっていますので、そうしたことも踏まえて言えば、必要な人員を確保するということも踏まえた、診療報酬上ここで議論すべき問題ではありませんが、診療報酬上の評価も視野に入れた議論が、たぶん要るのではないか。そんな方向でも議論を進めていただければありがたいと思います。
○海辺委員 先ほどの地域主権のお話のときに思ったのですが、地域主権という話になってくるのなら、この関連資料の25頁の(3)の「住民による選択と責任」というところは外せないことになってくるだろうと思います。がんの協議会などがそうなってきているように、地域の医療を話す場には、地域の住民の方も参加していただいて議論するという形式も必要だと思います。ただ、そのためには、素人である住民がその中に参加できるように、わかりやすい情報提供もないといけないですし、公平なデータの公開などいろいろなことが付いてくると思うのです。そのための情報収集などには人手が要るとか、いろいろなことがあると思うのですが、そういうことを全体的に考えていくようでないと、片手落ちというか、何かおかしいことになってしまうのではないかと感じました。
○部会長 今日は、医療施設体系についてということで、いろいろな側面のデータをもとに、いろいろなご意見を伺いました。それから、いまの地域主権戦略大綱への対応ということでご意見をいただきました。全体を通じて是非これだけは言いたいということがなければ、そろそろ時間となりましたので終わろうと思います。いかがでしょうか。それでは、事務局から次回の日程についてお願いします。
○企画官 次回の医療部会は、12月22日の10時から12時30分を目処に行いたいと思います。次回のテーマとしては、医療計画、救急医療、在宅医療などを現時点で予定しております。なお、前回、前々回とも委員の先生方の中から資料のご提出をいただいています。次回につきましても、医療計画等々の議題に関して関連の資料提出のご希望、ご要望がおありの場合には、あらかじめ事務局にご連絡いただければ幸いです。また、23日以降の予定の詳細については、部会長ともご相談の上、決まり次第ご連絡申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○部会長 それから、事務局にお願いがあります。回を重ねるごとにいろいろなご意見が飛び交っています。やや整理は難しいかもしれませんが、そのうちに整理したものを作って、それを土台にして議論したいと思いますので、よろしくお願いします。本日はこれで終わります。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局総務課

企画法令係: 2519

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