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2010年12月7日 第55回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

職業能力開発局

○日時

平成22年12月7日(火)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 共用第7会議室(5階)


○議題

○今野分科会長 時間になりましたので、「第55回労働政策審議会職業能力開発分科会」を開催します。本日は浅井委員、大久保委員、水町委員、澤田委員、荒委員、浦元委員、大野委員が欠席です。高橋委員は遅れていらっしゃいます。
 まず、職業能力開発分科会に所属されます委員の交替がありましたので、報告をします。交替後の名簿は、お手元の資料の参考1にあります。瀧澤委員に替わりまして、日本基幹産業労働組合連合会の澤田委員が就任をされました。よろしくお願いをいたします。さらに、本分科会の下に設置している若年労働部会について委員の交替がありました。部会に属する臨時委員等については、参考3に労働政策審議会令第7条第2項がありますが、これによって分科会長である私が指名することになっています。それで、参考2にあるように武山委員に替わりまして坂委員に、花井委員に替わりまして市川委員にお願いをしていますので、ご報告をいたします。
 それでは議題に入りたいと思います。お手元に議事次第がありますが、それに沿っていきたいと思います。まず1番目、「職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令案要綱」等についてです。これは、厚生労働大臣より労働政策審議会会長宛に諮問がなされたところで、これを受けて本分科会において審議を行うものです。まず、事務局から説明をお願いします。

○星能力評価課長 お手元の資料1に従いまして、ご説明いたします。今般諮問申し上げるのは、技能検定職種に新たにピアノ調律、ハウスクリーニングを追加するとともに、ファインセラミックス製品製造、漆器製造の廃止を行うこととしまして、その職種を規定している政令と、これら職種について技能検定を実施する際の等級や試験科目等を規定している省令について、所要の整理を行うというものです。具体的な内容をご説明申し上げますと、資料1の4頁です。技能検定制度は9頁に136職種を入れていますが、これが実施されていまして、そのほとんどは都道府県を実施主体として試験業務を実施しています。ただ、アンダーラインを引いている12職種については民間の指定試験機関において技能検定を現在実施しています。これは、民間機関の活力を活用して技能検定制度の整備を進めるということで、平成13年10月から指定試験機関制度というものを導入し、さらには平成17年12月には行政改革の重要方針ということで、新規職種の新設に当たっては民間の指定試験機関において、これを行うことを原則とする旨、閣議決定がなされています。こうしたことを受けまして、今般の改正にかかる職種の新設については、ピアノの音階を作る調律、あるいは鍵盤タッチの調整等を行うピアノ調律と、家屋あるいはその設備機器等の清掃を行うハウスクリーニングの職種を、民間の指定試験機関により行われる職種として追加することとしているものです。なお、等級については5頁にありますが、その技能の内容等からピアノ調律職種については1級、2級、3級に、ハウスクリーニングについては単一等級とすることとしています。
 7頁には、新規職種にかかる技能に対する需要等を記載していますが、ピアノ調律の職種については、ピアノの販売台数あるいは大多数がピアノを保有していると考えられる学校等の数、音楽大学等を卒業されて、ピアノ調律師になられる方の動向、こうした当該技能を有する人材に対する一定の需要が見込まれるものと考えております。また、ハウスクリーニングの職種についても、共働きの世帯の増加や生活スタイルの変化等を背景に、ハウスクリーニング業を営む事業所も相当数増えてきているということで、当該技能を有する人材に対する需要の増加が見込まれることから、これらの職種を新たに技能検定職種として追加するものです。
 次に、廃止職種についてです。8頁のファインセラミックス製品製造の職種については、機械化の進行あるいは、これまで技能検定の対象となっていたセラミックス加工法の選択や、加工の条件の判定という技能に対する需要が低下してきている。これを受けて近年、検定も休止状態になっていたものです。また、漆器製造の職種についても機械化、化学染料等の使用、輸入品の台頭から、当該技能を有する人材に対する需要が減少しまして、近年こちらのほうも検定を休止していたものです。これらの職種については、今後とも需要が見込めない状況にあることから、検定職種としては廃止をすることとしたものです。なお、これらの政省令の交付日については5頁にございますが12月17日を予定しており、同日付での施行を予定しております。私からは以上です。

○今野分科会長 ご質問、ご意見をお願いします。

○新谷委員 職種の廃止関係で1点意見を申し上げたいと思っています。今回は2つの職種の廃止をご提起いただいていますが、そのうちの漆器の製造職種について申し上げます。漆器は、まさしく日本を代表するような日本ならではの製品で、匠の技的なものだと思っています。匠の技については伝統工芸として、また別の検定の仕組みがあるとお聞きしていますが、今回廃止の理由として当該技能を有する人材に対する需要が減少している等々の記載があるわけですが、今回の廃止に伴って国内の漆器製造に携わっておられた方々が、自分たちの産業が衰退産業であるかのような印象を持たれないように配慮をお願いしたいということが1点と、これの廃止に伴って、産業に対してどのような影響があるのか、ないのかを含めて、ここについてはわかる範囲でお聞かせをいただきたいと思っています。以上です。

○今野分科会長 お願いします。

○星能力評価課長 いま、新谷委員ご指摘のとおり、我々も日本の代表するこういった匠の技というのは、ある意味継承していく必要がある部分だろうと思いますが、労働行政として国費を投入し、検定制度ということで、その技を維持するのか、一定の費用対効果を考えたときに整理をして行かざるを得ないということだと考えております。ただ、その一方でお話にありましたように、例えば経産省でも伝統工芸師ということで、そういった技能について一定の支援をしていく制度もありますし、あるいは我々も卓越技能者に対する表彰ということで、検討職種に限らず表彰の対象としても取り扱っていくということで、技能検定とは別の観点からそういった技、日本ならではの伝統というものは何らかの形で保存、支援していくことが必要だろうと考えています。また、これによってどういった形で今後産業に影響してくるかというのは、我々も十分に計り知れない部分があるわけですが、そういったことにも今後とも注視していきたいと思っています。

○新谷委員 是非、衰退産業というイメージを抱かせないような形で、運営をお願いしたいと思います。

○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。当分科会としては、「職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令案要綱」等については、「おおむね妥当」である、認める旨の報告を私から労働政策審議会会長宛に行うということにしたいと思いますが、よろしいですか。

                 (異議なし)

○今野分科会長 ありがとうございました。事務局から報告文(案)の配付をお願いします。

               (報告文(案)配付)

○今野分科会長 目を通していただけたでしょうか。それでは、お手元にお配りした案でいきたいと思います。よろしいですか。

                 (異議なし)

○今野分科会長 ありがとうございました。そのように報告をさせていただきます。
 次の議題にいきます。「第9次職業能力開発基本計画について」です。事務局から、まず説明をお願いします。

○井上総務課長 第9次職業能力開発基本計画について、資料のご説明を申し上げます。資料2をご覧ください。複数の資料から構成していますので、その一覧を1頁に付けています。資料2-1は、職業能力開発についての検討の視点ということで、前回?@?Aまでご議論をいただきました。本日も、ご議論いただく際のたたき台として、ご活用いただければと考えています。資料2-2は、前回の分科会における主なご指摘をまとめています。資料2-3、資料2-4は、前回お話に出ました新成長戦略あるいは産業構造ビジョン2010の概要を資料としています。資料2-5は、前回私ども事務局から触れました、今年の4月から5月に雇用能力開発機構の総合大を中心に行った人材育成に関するニーズ調査結果についてということです。資料2-6、資料2-7は、前回までに宿題としていただいていたものについての資料です。
 1頁の資料2-1をご覧ください。職業能力開発についての検討の視点です。1は前回ご議論をいただきましたが、その際のご議論を踏まえまして赤字の部分を修正しています。1と2については、その修正部分を中心にご説明申し上げます。
 (1)の1つ目の○の下の注です。新成長戦略について、その中で需要創造、雇用創造に触れている部分は、関係の部分を抽出して書いています。その内容は、2020年までに名目成長率3%、実質成長率2%を上回って成長することを目指す中で、環境分野、健康分野などについて、そこに掲げられているような数字で需要創造、雇用創造、すなわち需要の増加、雇用の増加を目指す、目標を掲げているという性格のものです。
 2頁の2つ目の○の下の注です。ここは新成長戦略において、関係の目標などの数字が記載されているものについて掲げているものです。以下、同様です。ここでは、2020年までに公共職業訓練、そのうちの委託訓練について就職率を65%とする目標を書いています。そこから2つ目の○です。「さらにグローバル化が進展し」以下ですが、これはグローバル化の進展に対応した人材育成が必要なのではないかというご指摘を踏まえてのものです。
 3頁の1つ目の○の下の注です。これは、新成長戦略に掲げられました公共職業訓練、施設内訓練の就職率は80%という目標を書いています。その下の○は、国と都道府県の役割分担について書く必要があるというご意見を踏まえてのものです。2つ下りまして、「また、ものづくり分野には」というくだりです。ものづくり分野、製造業については従来の分野のみならず、新しい分野が出てきているのではないか。そのことに触れる必要があるのではないかというご指摘を踏まえてのものです。
 4、5頁をご覧ください。ここでは、赤字の形での修正の部分はありません。ただ、2点ご説明をしたいと思います。1つ目は、(2)「第2のセーフティネットの創設」です。これは現在、当分科会でご議論をいただいている求職者支援制度に関する部分で、求職者支援制度について今後ご議論をお取りまとめいただいた内容に応じて、この内容をリバイズしたいと考えています。(3)「ジョブ・カード制度の普及促進」です。この記述については、前回10月22日の分科会にお出しした内容を記載しています。また、議題の4つ目で今般の事業仕分けについてご説明、ご報告を申し上げますが、10月27日に労働保険特別会計の事業仕分けの一環として、ジョブ・カード制度について仕分けが行われ、そこで評決結果が出されました。現在それを踏まえまして、その見直しについて検討中です。そういったことから、この記述についてとりあえず10月22日現在のものとさせていただいて、今後の検討内容に応じてリバイズさせていただきたいと考えています。
 6頁をご覧ください。「3 教育訓練と連携した職業能力の評価システムの整備について」です。上から3つ目の○は、職業能力を評価する能力評価制度の必要性あるいは現在の環境変化の中における必要性について整理をしています。4つ目の○は、能力評価制度として設定・運用している職業能力評価基準について整理をしています。次の2つの○は、内閣府において検討がされている「実践キャリア・アップ制度」、いわゆるキャリア段位の関係について整理をしています。ただ、この実践キャリア・アップ制度については、内閣府においても検討の途上ということで、今後の議論の進展に応じて内容をリバイズしたいと考えています。
 7頁の下の注です。ここで新成長戦略においては、「雇用・人材戦略」として能力評価制度、その実践キャリア・アップ制度について、このような記述がされています。その下の○は、技能検定制度の関係を整理しています。技能検定制度については、技能検定職種の統廃合の推進あるいは指定試験機関方式への移行など、不断の見直しを行っていく必要があるのではないかというものです。その下の○は、社内検定です。社内検定は、一定の水準以上のものについては厚生労働大臣が認定を行う仕組みとなっていますが、そういった仕組みの活用促進を図る必要があるのではないかということです。
 8頁をご覧ください。「4 職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進について」です。1つ目の○は、職業生涯の長期化等に対応して、個々人に合った職業生涯を通じたキャリア形成支援が重要であるという考え方を整理しています。そのあと、3つに分けています。1つ目は、個人の主体的な能力開発の支援です。その中心として2つ目の○の「また、産業・就業構造云々」ですが、そこでアンダーラインを引いているそれぞれの方が必要なときに、キャリア・コンサルティングを受けられる環境を整備していくことが重要ではないかというものです。2つ目は、企業による労働者の能力開発の支援です。これはキャリア形成促進助成金などの政策資源を活用して、事業主、企業による能力開発の取組みを支援していく必要があるのではないか。それと同時に、企業内で実施困難な職業訓練などについては、そのオーダーメイドによる在職者訓練の実施等により、公共職業能力開発施設が支援を行っていく必要があるのではないかということです。
 9頁の注です。新成長戦略において、自己啓発を行っている労働者の割合を2020年までの目標として正社員70%、非正社員50%としていることを記載しています。3つ目は、キャリア教育の推進です。学校教育の早期の段階から、本格的な進路決定段階までにおける計画的なキャリア教育の推進が必要ではないかというものです。
 10頁をご覧ください。「5 技能の振興について」です。1つ目の○は、技能の振興の必要性、重要性です。2つ目の○は、技能振興施策として現在行っているもの、技能検定制度の実施や各種技能競技大会といったものを通じて、技能についての啓発を図る必要があるのではないかというものです。3つ目、4つ目の○は若年者あるいは児童・生徒やその親に対して、その技能あるいはものづくりについての啓発を進めていく必要があるのではないかというものです。最後の○は、地域や業界の特性に応じた技能振興への取組みについて支援を行っていく必要があるのではないかということです。
 11頁をご覧ください。「6 特別な支援を必要とする者に対する職業能力開発の推進について」です。2の(2)に、第2のセーフティネットの創設、求職者支援制度の関係を記述していますが、そこと若干重複してくるところはありますが、長期失業者、ニート等の若年者等々、特別な支援を必要とする方について、それぞれの類型ごとに支援策を整理しているというものです。
 1つ目は、長期失業者等に対する能力開発。2つ目は、ニート等の若年者に対する能力開発。これは、地域若者サポートステーションを中心とした施策の展開を図っていくというものです。その次は、母子家庭の母等に対する能力開発です。ここで託児サービスの提供とともに、準備講習付き職業訓練が行われているというくだりについては、都道府県を主体としてこのような施策が実施されています。続いて障害者に対する能力開発ということで、12頁にわたってまいります。障害者の職業能力開発については、1つ目の○にありますように、障害者職業能力開発校における訓練の実施、多様な主体を活用した委託訓練の実施、一般の職業能力開発校における訓練の実施、その次に新しい取組みとして、障害者向けの日本版デュアルシステムの導入について触れています。
 13頁をご覧ください。「7 職業能力開発分野の国際協力の推進について」です。上2つの○で、職業能力開発分野の国際協力の必要性、重要性を整理しています。以下、具体的な施策について書いています。専門家あるいは指導員の派遣、日本における技能評価システム、技能検定などの移転を図っていく技能評価システム移転促進事業の展開、国際機関等を通じた協力、開発途上国の職業訓練指導員の我が国の訓練機関への受入れといったことを整理しています。
 14頁をご覧ください。本年7月から改正入管法が施行されましたが、その下で技能実習制度の適切な実施を図っていく必要があるということを整理しています。資料2-1については以上です。資料2-2は、前回分科会における主なご指摘ということです。
 16頁は、新成長戦略の概要を付けています。内容については、先ほどご説明申し上げたとおりです。17頁以下は産業構造ビジョン2010の骨子ということで、19頁をご覧ください。左上に、このビジョンにおいては2007年から2020年において、生産額として全体で310兆円の増を目標としています。そのうち、下の表に出ているインフラ関連、環境・エネルギー課題解決産業等々の戦略五分野で、全体の生産額の伸びの310兆円のうちの約半分を確保していくという目標です。その内訳については、下の表にあるとおりです。その上で、右の上に雇用の増の目標が掲げられていますが、これはこの戦略五分野で2007年から2020年に83.2兆円、関連を入れて149.0兆円、生産額を増加させた場合に、雇用としてどの程度の増加を見込むことができるかということで、過去労働生産性が最も高かった時点の労働生産性の数字を用いて、見込みを立てているということです。
 20頁をご覧ください。前回触れた本年4月から5月にかけて総合大を中心に行いました、人材ニーズについての調査です。3に調査対象数ということで、ものづくり分野、非ものづくり分野、それぞれ約700の事業所を対象にヒアリングによる調査を行ったものです。その内容について、26頁をご覧ください。まず、経営戦略上重視する項目です。この中では?B?Cということで、優秀な人材確保、人材育成といったことが挙がっています。28、29頁をご覧ください。人材確保に関して聞いていまして、今後の採用予定や新卒採用に当たって重視する教育訓練機関ということです。30、31頁をご覧ください。中途採用に当たって、よく用いる求人手段。中途採用に当たって、人材として特に重視する事項ということです。
 32、33頁をご覧ください。人材育成に関して聞いていまして、人材育成に関する課題、具体的な人材育成の計画の作成状況です。34頁をご覧ください。人材育成に関する項目の1つとして、人材育成の目標について聞いています。35頁以下は、職務、職種ごとに採用の際に求める職業能力などについて調査した内容を整理しています。表をご覧いただきますと、採用の際に求める職業能力として、若年者の場合と40歳以上の場合に分けています。さらに右側の欄ですが、従業員の育成にとって必要であるが、自社内でのOJTでは養成しがたい職業能力ということで、これは社外で育成することが必要な能力。中途採用という手段による場合もあると思いますし、社外の能力開発施設、教育訓練機関において訓練がされることを期待しているものという部分もあろうかと思います。この調査の関係について、そのあとも資料を付けていますが、概略は以上です。
 88頁をご覧ください。これは前回までに宿題としていただいていた我が国の人材育成の全体像を整理したものです。人材の性格に応じて大きく3つに分けています。赤の点線で囲っているところでは、離職者訓練、在職者訓練、学卒訓練等を通じて、技能者の育成を図っている部分です。青の部分は、大学などを中心として囲っています。実習を重視し、ものづくり産業界における研究者・技術者を育成するということです。さらに緑色の部分は、グローバル人材の育成、高度人材等の受入れ拡大、優秀な研究者の育成ということで整理をしています。
 89頁をご覧ください。これはITスキルスタンダードと比べて、職業能力評価基準が普及しないのはなぜかということについての資料です。2に、「職業能力評価基準」のこれまでの活用状況を整理しています。(1)にありますように、職業能力評価基準は、比較的職業能力評価への取組みが遅れていた業界で活用されているという傾向があります。一方で(2)にありますように、業種・分野によっては活用が進んでいない、職業能力評価制度が確立している業界では、活用されていない状況があります。3の「職業能力評価基準」の活用方策の中で、なぜITスキルスタンダードが普及したのかということと絡めた形で、職業能力評価基準の今後の活用方策を整理しています。?@は、ITスキルスタンダードは知識・技術だけではなくて、ビジネスでの成果、実績を評価する指標として達成度指標を定めているという内容から、利用が進んでいる面があると聞いています。職業能力評価基準についても、これを参考として取組みをしていきたいと考えています。?Aは、ITスキルスタンダードは情報処理技術者試験とリンクしていることが利用が進んでいる一因であるということで、職業能力評価基準においても「業種別キャリア形成支援モデル事業」などを通じて、ITスキルスタンダードをを参考とした取組みをしていきたいと考えています。
 90頁は、「職業能力評価基準」の活用例について取りまとめています。91頁は、先ほど触れました業種別キャリア形成支援モデル事業の概要です。93頁をご覧ください。ITスキルスタンダードについて概略をまとめています。以上です。

○今野分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明についてご質問、ご意見をお願いします。

○中村委員 6頁の教育訓練と連携した職業能力の評価システムの整備について、関連して2つほど意見を申し上げたいと思います。
 1つ目は、6頁のいちばん上の○に書いてありますように、習得した職業能力を客観的に評価する、いわば、ものさしについての評価制度が必要ではないかという視点は非常に重要で、そのとおりであると考えています。ただ、このものさしは特定の分野についてのものさしとしてだけではなくて、複数の分野を跨ぐような横断的なものさしとしても機能するように制度を構築する必要があるのではないかと考えていまして、具体的な制度設計に際しては横断的な評価制度となるように留意をすべきではないかと考えています。
 2つ目は、7頁の真ん中の○の技能検定制度についてです。ここにも書いてありますようにアンダーラインになっていますが、「技能検定制度が社会的ニーズに合ったものとなるよう、不断の見直しを行う必要があるのではないか」と記載をされています。この不断の見直しについてですが、具体的な見直し基準を策定すべきだと思っていますし、また不断の見直しというのではなくて、定期的な見直しを行っていく必要があるのではないかと考えていますので、意見として申し上げておきたいと思います。以上です。

○今野分科会長 井上さん、何かありますか。

○井上総務課長 1つ目のご指摘、能力評価制度を制度として構築する際には、分野横断的な制度設計とすべきだということについては同感です。例えば、技能検定では1級、2級というような級で、職業能力評価基準ではレベル1、レベル2というレベルで、その能力のレベルを表現することにしていますが、分野、職種が異なっても、技能検定の2級はその仕事について一人前であるというふうに横断的に評価されるということが、そういった評価制度の信頼性にもつながってくると考えています。
 2つ目のご指摘の技能検定制度について、不断の見直しというだけではなく、見直しの基準、方法を明確にしながら、また定期的にその見直しをしていくことについてはご指摘のとおりだと思います。ここでは、5年間の計画ということで具体的に書けなかったということがありますが、表現を工夫したいと思います。現在も技能検定の職種等について見直しを行っておりますが、具体的な内容は、評価課長からご説明申し上げます。

○星能力評価課長 職種の見直しについては先ほども申し上げましたが、時代とともに世の中のニーズが変わってくる中で、受験者の増減をにらみながらやっていく。もう1つは、当然職種の見直しまで至らない中でも、技術革新等の進展によって作業の内容というのは変わってきています。これについても従来、大体現在136職種、700作業から及ぶ中で、7、8年に1回ということで見直していますが、作業の中にそれぞれ技術革新の進展の違いもあるのも事実です。我々こういった見直しに当たっては、それぞれの分野に識見も持った学識経験者あるいは業界団体の専門家の意見も聞いていますので、そういった専門調査委員会の場で先生方の意見を踏まえて、時代の流れに乗り遅れないような見直しをしていきたいと考えています。

○今野分科会長 ほかにいかがですか。

○高倉委員 10頁の技能の振興についてですが、ここにいろいろ書いてあるとおり、教育機関や地方自治体との調整が必要になってくると思いますから、まずは役割と責任を明確にする必要があるだろうと思いますし、省庁を跨がるような調整も必要になってくると思います。ですから、縦割行政や二重行政の弊害ということが言われないように、是非連携をしっかり取っていただいて、実効性を高める運営をしていただきたいと思います。

○今野分科会長 そういうご要望ですが、何かありますか。

○井上総務課長 ご指摘の点は、大変重要であると考えていまして、こういった技能の振興あるいはものづくりに親しむ環境の整備ということになりますと、厚生労働省だけでは片面的になってまいりますので、従来から、教育を所管している文部科学省、産業政策を所管している経済産業省と連携を取りながら進めています。今後ともそのような点を大切にしていきたいと思います。

○今野分科会長 私からいいですか。ここで言う技能は、別にものづくりに限定されないのですよね。非ものづくりを含めた広い意味での技能。

○井上総務課長 2つあります。1つ目は、ものづくりだけに限られる話ではないと考えています。2つ目は、ただ同時に現実には、これまでものづくりの関係が中心になってきたということがあります。

○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○黒澤委員 ここで盛り込める内容なのかどうかはわかりませんが、お願いとしてここで申し上げておいたほうがいいかなと思ったことが1点あります。それは、国と県との役割分担ということで新たに3頁に赤字で明記されていますが、私のところでいま修論の学生さんが、全国の都道府県と機構のプログラムごとの受講者の特性や科目といったものの情報、そして修了後の就職率のデータを用いて、国と都道府県で就職率がどう違うのかを調べています。同じ時に、委託と施設内とでどう違うのかなとか、デュアルとデュアルではないのではどう違うかというのも見ていますが、そちらと比べて、機構と都道府県との違いが特に明確に出ています。年齢構成や女性比率、その地域の雇用情勢といったものや大都市であるかどうかとか、訓練の期間といったものをすべて統計的にコントロールし、一般事務、金属加工と、かなり狭めた形で比較していますが、それでも施設内ですと、かなり顕著に機構の優位性というのが統計的に出てきます。面白いことに、いちばん優位性が高いのは建設や金属加工ですが、一般事務でも有意に出てきます。
 これは施設内訓練同士の比較ですが、委託で見ても委託デュアルですと、同じ県が委託してやっているデュアルと機構が委託してやっているデュアルとでは、機構のほうが明確に就職率が高いということが出てきています。この背後に何があるのかというのはこの分析だけではわかりませんし、こういった役割分担論というのは行革でしょうがない面もあるかもしれませんが、これまで蓄積されてきた機構でのいろいろなカリキュラム内容や委託の選定方法や管理方法といったもののノウハウに、非常に優れたものがあるということの現れだと思いますので、県に移行するのであれば、そこへのそうしたノウハウのトランスファーというものは是非やっていただきたい。それなしに、どんどん分業が進められてしまうのは、国民にとって大きな損失だと思いますので。結局は行革ありきではなくて、誰を助けるのか。最終的な目的は離職者の方々の就職率を高めるということですから、そのあたりの観点というのも切にお願いしたいと思います。以上です。

○井上総務課長 施設内訓練についてはものづくり関係ということになりますと、施設、設備にしても高額なものが必要となりますし、それを教える人材についても高度な指導員訓練を受けた人材ということが必要になってまいりますので、これまでの整理の中でも、雇用能力開発機構がそうしたものを必要とするものづくり分野の訓練を、それから都道府県においてはその地域の人材ニーズに合った訓練をということで役割分担をしながら進めてきたということがあります。
 そして、委員ご指摘の雇用能力開発機構が培い、蓄積してきたノウハウなどがきちんと都道府県に移転、トランスファーされるようにということですが、平成23年度から民間教育訓練機関に委託して行う離職者の委託訓練については、基本的に都道府県に移管して、都道府県にお願いすることを予定しています。ただ、委託訓練と申しましても、民間教育訓練機関にそのまま委託すれば済むというものではなくて、委託訓練の受け皿として適切な教育訓練機関を開拓し、またそういった教育訓練機関において訓練カリキュラムの作成などをされる際には、支援をしていくことが必要になってまいります。雇用能力開発機構が、蓄積したノウハウについては都道府県に適切に移転、トランスファーしていきたいと考えています。

○今野分科会長 いまの点に関連して、国がものづくり訓練の実施機能を一部果たすということはありますが、それと同時に全国の職業訓練のヘッドクォーターとしての役割を果たすことがどこかに入っていますね。そうすると、いま黒澤さんがおっしゃられたのは、結局そのことだと思います。だから、ヘッドクォーターで開発したいろいろなノウハウや作品をトランスファーして、民間でも都道府県でもいいですが、全体が良くなりますようにしてくださいということだと思います。それはどこかで触れているような気がしますが、どうですか。

○井上総務課長 今日お出ししている資料は施策の各論についてまずご議論いただくのものでありまして、座長からお話のありました国としてのプロデュース機能といった部分を整理して、次回にご議論いただきたいと考えています。そのイメージとしては、国がプロデュース機能として行うものは、この能開基本計画自体がそうですが、能力開発についてのビジョンの策定が1つあると思いますし、労働市場のインフラの構築ということがあろうかと思います。労働市場のインフラの構築としては、例えば民間の教育訓練機関等において、訓練が円滑に実施できるように訓練カリキュラムを整備していくとか、そこで教える人材である指導員を育成していくということがありますが、その労働市場のインフラの中の1つに、分野によって国自らが訓練を実施することが適切なものについては、国自らが訓練の実施をすることが含まれてくることになろうかと思います。

○今野分科会長 ほかにありますか。

○新谷委員 3頁のの国と県の役割分担についてですが、今日の朝、たまたま飯田橋にある東京都立中央・城北職業能力開発センターを視察させてもらいました。私も知らなかったのですが、千代田区というのは印刷業が地場産業で、地場の産業に見合った人材育成をするということで、今日見せてもらった所は印刷関係の職業訓練のコースが何コースかあって、本当に想像していなかったぐらい大きな機械が入っています。この分科会で使っている机が4本ぐらい並んだ印刷機で、何トンもある印刷機らしいのですが、最近1億1,000万円もする機械を買ったということです。たまたま見たということもありますが、3頁の国と都道府県の役割分担という書き振りを見たときに、「国は充実した施設・設備や指導員等により」と書いてあって、地方は「主に基礎的な技術・技能を修得させる」という役割分担が書いてありますが、今日見たところでいくと必ずしもそうではないなと思っています。東京都の場合は、もともと能開機構の訓練施設がないので、都が全部やっているということかもしれませんので、やや特殊なケースだと思いますが、3頁の国が充実しているという書き振りが気になりまして、工夫をされたほうがいいような気がしますので、ご指摘を申し上げておきたいというのが1点です。
 あと2つあります。もう1点は、1頁の下の○に、訓練指導員の訓練のあり方について、ハイレベル訓練とスキルアップ訓練の論述がされています。これは、今年の春先からこの分科会でかなり論議をしてきた内容だと思いますが、その一方で総合大学校の養成訓練のあり方についても、一定の方向を示したと思っています。その部分の記述はどこかに入っているのかもしれませんが、入っていなければ今年の7月28日の分科会で確認した内容の、特に高卒の新卒者を対象にした訓練指導員の訓練のあり方についても分科会で確認した内容に入っていたと思いますので、どこかに触れておいていただいたほうがいいのではないかということを指摘申し上げたいと思います。
 もう1点は、14頁の外国人の技能実習制度で、実習生の保護の強化を図る点です。これは、是非ここに記述されている内容で、現実の展開も取組みを強化していただきたいと思っています。今年の7月から入管法が改正されて、新しい法制度の下で外国人の研修生、実習生の受入れをすることになっていますが、改正以前についてはかなりひどい状態が続いていました。この制度はご承知のとおり、1993年にできた制度で、もともと日本の進んだ技術・技能を修得してもらって本国に持ち帰ってもらって本国の産業発展を担う人材を育成することが本来の趣旨であったはずです。ところが実際は、例えば中国の山奥の農村の農民工を、中国に帰ってきても、絶対に海になんか行かないような人を青森のホタテの養殖に連れて来るとか、あるいは労働者の保護という面でも、去年の9月に過労死で亡くなった茨城の事件が、労災認定されたということもありました。また、技能実習生に対する労働基準監督署の指導も、2008年で労働条件について2,600件の指導がなされているということで、本当に法改正後の労働者保護というのがきちんとされると期待はしていますが、本来の目的に沿った形でこの制度が運用されるように、きちんとした対応をしていただきたいということを改めてご要望申し上げたいと思っています。以上です。

○井上総務課長 まず、ご指摘の1つ目ですが、3頁です。確かに都道府県といっても、県によって能力開発についての取組み姿勢や、それを実施できるだけの財政状況等々によって取組みに差が見られることは事実です。ご指摘を踏まえまして、ここの表現については工夫、整理したいと思います。
 1頁の指導員の養成訓練に関しては、分科会報告あるいはその後のご議論を踏まえた形で、記述内容を修正したいと思います。
 14頁の技能実習の関係です。委員ご指摘のように、本年7月に施行されました改正入管法は、それまでの技能実習制度の問題点を改善、是正していこうとする趣旨で改正が行われたものです。例えば、実習開始当初から労働関係法令を適用する、不正行為があった場合、それまでは不正行為を行った団体等について、最長3年間の不正行為認定、技能実習制度ができない期間ということでしたが、これが5年に延長されています。制度上では、かなり抜本的な見直しがされていますので、今後は研修生の保護といった点を含め、制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えています。

○上原委員 この第8次のを見ると、現場力ということでキーワードが明確で伝わりやすいと思います。9次のは、これから前文とか狙いをまとめると思いますが、?@から?Fまでが必ずしも並列ではないと思うので、例えば成長が見込まれる分野への雇用シフトを促すとか、あとは新卒者に代表されるように就職困難者がいるとか、そういうキーワードがいくつかあるわけです。そういうものを少し整理したほうが、読む者なり聞く者がわかりやすい。それに、いずれ政策が出てくるときの政策予算が重点配分されれば、なおさらいいのかなと思いますので、いずれそういうふうになるのでしょうけれども、蛇足ながら申し上げたい。

○今野分科会長 なるそうです。

○井上総務課長 そのように整理させていただきたいと思います。

○高橋委員 ちょっと細かい表現ですが、6頁の教育訓練と連携した職業能力の評価システムの整備についての上から4つ目の○で2段落目の文章です。「この職業能力評価基準については」ということで、「導入が進んでいない業種もある」、ここまでは事実関係として正しいと思いますが、その後、「導入が遅れている業種については、普及・促進を図る必要があるのではないか」ということで、私が読みますと、導入していないのがいけない、導入が遅れているのはおかしいと読めるのです。導入が進んでいないと言っても、自社に最も適した評価基準を、労使で話し合って作っている会社がいっぱいありますから、こういう表現は違和感があります。要するに、なかなかいい基準が作れないと悩んでいる会社が、こういう基準を活用して作っていく手助けをする。そういうニュアンスになるような方向性で、できれば文章を修正いただきたいということです。

○今野分科会長 そうしましょう。

○井上総務課長 ここで意図していたのは、職業能力評価基準が業界団体等のご協力を得て策定された後に、なかなか活用が進まない場合があり、活用が進まないのは工夫が不足していた点がありますので、そういったことを踏まえながら今後は進めていきたいということでこの部分については修正をさせていただきます。

○今野分科会長 ほかにいかがですか。

○三村委員 学校教育の視点から二つお願いします。ひとつは、88頁に我が国の人材育成の全体像という図があり、これを見ると、いわゆる人材育成の大きな部分は学校教育が担っているというのは一目瞭然で、それが小学校から始まっているというのが、この図から確認できるかと思います。いわゆる職業能力開発というノウハウが、学校教育にどう伝わっていくかが非常に重要な視点かと思います。その受け皿として、いまキャリア教育が学校教育の中で浸透し始め、拡大しているわけですが、そこをどう受け皿として職業能力開発を伝えていくか、踏み込んでいくかというところが非常に重要な視点かと思います。
 例えば9頁のキャリア教育の推進というところですが、学校教育でのキャリア教育の推進の中で、どう能力開発という視点がここから入り込めるか。例えばキャリア・コンサルタントの有効活用やジョブ・カードの導入を、もう少し踏み込んで書けていければいいのではないかと思います。教育施策と密接に連携してということが書いてあるのですが、その連携の具体的なバックアップがどうなっているのかを伺いたいのと、もう少し強いトーンで書いていただければと思います。
 二つ目は11頁で、3番目の○のところに高校中退者の問題があります。高校を中退した人間を、中退した後に若者サポートステーションが拾い上げるのは、とても大変なことなのです。中退する時点で、事前に学校教育と連携して拾い上げる形にしていかないと、中退者との接点をもつことは非常に難しいからです。中退時点で通知をしてもらうなど、学校教育との密な連携で情報を把握する必要があると思われます。たとえば、パーソナルアドバイザー的な役割として、能力開発の視点から中退者をどう拾っていくかといった制度の導入もあるでしょう。職業能力開発の視点で学校教育にどう連携するか、今少し強いトーンで書いていただくように要望したいと思います。

○伊藤キャリア形成支援室長 いま、三村委員から学校教育との関わりでご指摘、ご意見を頂戴しました。最初のキャリア教育の推進に関してですが、日ごろから文科省各部局とも連携しつつ、現在、中教審で進められている議論の方向性も踏まえながら、労働行政の視点を持って、このキャリア教育に積極的に取り組んでいきたいということを、ここの部分では表現しようとしているわけですが、具体的な視点がいくつかあります。例えば、これまで労働行政として取り組んできた、若者雇用対策の言わば川上対策という視点もあるでしょうし、この間、学校、企業、需給調整機関、さまざまな領域で活躍が期待されるキャリア・コンサルタントの計画的な養成を進めてきました。そういったキャリア・コンサルタント等の人的資源を、この学校教育、キャリア教育の中でどのように活用していくかという視点、それから既にこの中でも書いている、あるいはいま委員からも指摘があった能力開発といった視点、あるいは実社会、職業の世界、それに係る情報をどのようにインスパイアしていくか。いろいろな視点があり得るかと思っています。
 いま現在の取組みとしては、当面、高校をターゲットとしてキャリア・コンサルタント、あるいは教員の方を対象とした、キャリア教育に携わる方の養成のためのプログラムについて、別途、三村委員からいろいろご指導もいただいていますが、そういったものに着手し、先ほど小学校からという話がありましたけれども、こういった研修事業について高校にとどまらず、さらに川上の中学、場合によっては今後、小学校といった早期の取組みに、労働行政の立場でどのように関わっていけるのかも、重要な課題だと思っています。いま申し上げたような問題意識について、よりポイントが極立つような形での記述を、是非工夫してみたいと思っています。
 地域若者サポートステーション事業との関わりでも、高校との連携の重要性についてご指摘いただきました。今年度から本格的に着手している、13頁に書いている高校中退者等アウトリーチ事業と私どもは申し上げていますが、この事業の狙い、意図するところとしては、まさに未然防止対策ということで、中退してからということではなく隙間なく自立支援を行っていく。すなわち意図するところとしては、中退前から高校と連携して中退の予防をして、中退を余儀なくされる場合であっても円滑に次の進路という形で、その場合には別の学校での学び直しといったことも、選択肢には含まれるわけです。
 そういった問題意識のもとで、昨年末、私どもから文科省にも各学校への協力依頼文書を発出し、それを踏まえ、文科省から教育委員会、各学校にも、こうした労働行政の取組みに情報提供も含め、積極的に協力するように既に通知をしていただいているところです。まだ緒に就いたばかりですけれども、こういった学校との連携のもとでの人材育成について、先ほどお話があった大きな基盤である学校と連携した、よりダイナミックで有効性のある施策展開に努め、またこちらの9次計画の記述にも可能な範囲内で、できるだけ反映していきたいと思っています。

○今野分科会長 よろしいですか。改善の文案が出てくると思いますので、また見ていただいて不十分でしたら、また言っていただくことにしたいと思います。ほかにございますか。

○井上委員 資料の20頁で、企業の求める職業能力・人材に関するニーズの調査結果ということで、大変貴重な調査をしていただいたのではないかと思いますが、今後、求職者支援制度が法律制定されれば、このデータも大変有効に活用できるのではないかと思います。この調査結果ですが、どういう形で発表を行ったのかを教えていただければと思います。というのは、これだけの調査を実施したのであれば、その結果を有効活用する上で、発表についても力を入れてやるべきではないかと思います。その辺の確認をお願いします。

○井上総務課長 この調査についての発表は、厚生労働省の記者クラブに対する資料の提供という形で行いました。ご指摘のように、この調査の内容などについて対外的に発信していく上では、もう少し工夫をしたほうがよかったのではないかと思っています。
 それから、この調査結果についてどのように活用していくかですが、今後、求職者支援制度の訓練などについて、地域における訓練協議会には労使関係者、都道府県労働局、ハローワーク等の関係機関に参加いただき、訓練協議会を運営していきたいと考えています。その中での訓練計画の策定場面等で、こういった調査結果を活かしていきたいと考えています。

○今野分科会長 この調査結果は、例えばホームページにも載っていたということはあるのですか。新聞発表したということはわかりましたけど。

○田畑能力開発課長 ホームページにも掲載をさせていただいているところです。

○新谷委員 1点だけ気がついた点があります。先ほど三村先生からご指摘いただいた88頁の全体像で、よく見ると、右下にある総合大学校が工業高校と並列のところにあって、上の能力開発校の下にあるのが、場所的に正しくないのではないか。養成課程は学士の資格が取れるはずですから、大学と並列でないとおかしいのではないかと思いますので、修正したほうがいいと思います。

○井上総務課長 ご指摘のとおりです。修正いたします。

○田畑能力開発課長 別の調査発表と取り違えて誤って申し上げました。実はこの調査結果はホームページに載せていないということですので、今後、掲載する方向で手続を取りたいと考えています。先ほど誤ったことを申し上げ大変失礼しました。お詫び申し上げます。

○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。この件については次回以降も引き続き議論することになりますので、一応、ここで切らせていただいて、今日の資料はお帰りになったらゆっくり読んでいただいて、次回にでもまた何かあったら御質問いただくことにさせていただきます。それでは3番目の議題に入ります。3番目は「求職者支援制度における新たな職業訓練の在り方について」です。事務局から説明をお願いします。

○松本総務課企画官 資料3を御覧ください。1頁から8頁までは前回の分科会において、今年度実施中の未就職卒業者向け訓練コースの状況を把握すべきではないか、との御指摘を受けて調査した結果です。1頁に全体の概要をまとめています。調査の内容ですが、11月時点で開講中の138コースから15コースを抽出して、訓練機関と受講者から回答を得ました。その結果、真ん中ですが、受講者の構成が新卒者のみであったのは3コース、新卒者以外の方を含むのが12コースでした。それぞれ受講者の構成ごとに属性によった違いがあるかどうか質問したわけですが、最後の回答概要にありますように、総じて定員の充足状況に問題があると、そういった改善すべき事項はありますが、ほぼ適正に実施されているものと今のところ受け止めています。また受講者の構成による特段の問題はないものと受け止めています。例えば、この資料の5頁を御覧いただきたいのですが、定員の充足状況について訓練機関に問うたものです。どちらの構成であっても問題あり、周知期間が短い、また情報の伝達がうまくいかなかったといったことから、定員が充足できないといった意見がありましたので、これは次回以降の要改善点として受け止めています。
 戻って2頁をご覧ください。2頁の中段あたりです。問題があると思われる点として訓練機関から、これは新卒者とそれ以外の方が混ざっているコースですが、新卒者とそれ以外の方ではレベルなどが異なり、歩幅をそろえるのが難しいといった御意見も、4機関からいただいています。一方、3頁で良いと思われる点として、年齢構成が多様なコースでは、対人関係を学ぶ良い機会になっていると、積極評価をしていることもあり、一概に受講生の構成によって問題があるということではないと受け止めています。また右半分で受講者側からは、受講者の構成が問題だという意見は見当たらなかったところです。残りの123コースについても調査中です。全コースの調査結果、また就職率の結果が判明するのは今年度末になる見通しです。以上が学卒未就職者訓練コースの調査結果です。
 次に9頁をご覧ください。これも前回の分科会において訓練の評価基準について御議論がありました。それを踏まえて欧米の4か国の状況を整理したものです。訓練情報の公開、また訓練機関に対する行政からの監査に用いられている指標として多いのは、雇用関連に対する効果です。具体的には就職率、定着状況、賃金などでした。雇用に関係する以外のものとしては、例えばイギリス、ドイツのそれぞれ一番下の欄にありますが、訓練の質や訓練による能力向上度といったものを問うものもあります。ただ、真ん中にありますように、例えばドイツは評価手法を開発中ですし、フランスは整備されていないので、現時点では職業訓練に関しての共通的な基準はまだなく、各国が模索中であると受け止めています。私どもとしてもいろいろ検討しますし、こういった各国の状況の情報収集に努めて、より良い評価指標の策定に努めてまいりたいと考えています。
 次は10頁です。求職者支援制度の在り方に関して、取りまとめに向けての議論に資するよう、夏にいただいた中間的整理を修正する形で示しています。赤字部分の主な修正点について御説明申し上げます。10頁の下ですが、「第2 対象者の範囲」において、対象外とするものとして雇用保険の被保険者を追加しています。これは現に週20時間以上働いている等の被保険者ですが、既にそのような就業をされている方については、対象外とすることが適当ではないかという観点から追加しています。また対象者の属性について「原則として」という表現を入れています。これは対象外、また対象とする方それぞれについて、事情によっては受講することが適当である場合があることから、「原則として」という表現を入れたものです。
 次に11頁です。「第3 新訓練の内容と実施機関の確保」の3つ目の○で「実績」と入れています。これは例えば訓練を行った実績があること、また訓練の結果が一定水準であることを設定基準とすることが、適当ではないかという観点から案として入れています。同じく11頁の最後の段落「(訓練実施機関の属性について)」について、公的施設・機関の活用も検討すべきであるというのが、夏の時点での中間的整理でした。今回、民間教育訓練機関が、これらを活用して新訓練を実施することも可能であることを明確化する趣旨から修正しています。
 次に12頁から13頁にかけての、「(より効果的な訓練実施のための方策について)」です。訓練の途中段階について、到達度を実感できる工夫を促すことも重要であるとの整理をいただいていましたが、今回は途中段階だけでなく終了段階でも、到達度評価を行わせることが適当ではないかと考え、その旨、案として修正しています。
 次に13頁の真ん中です。「(受講生による適正な訓練受講のための方策について)」、1つ目の○に「原則として」というのが入っていますが、これは中間的整理の内容を何ら変更するものではなく、一定期間、新たな訓練をあっせんしないルールと、同種の訓練の連続受講はさせないというルールの観点を整理するために入れたものです。内容に変更はありません。
 次に14頁の「第7 その他」ですが、これまでの分科会の議論を踏まえ、新たに2点起こしています。1つ目の○ですが、現行の基金事業から求職者支援制度に円滑に移行できるように、制度の在り方、運用において配慮すべきであること。2点目として、訓練修了後の状況を把握して訓練及び就職支援の効果を分析し、その結果を、例えば今後の制度改善の充実、またハローワークにおける相談など、制度の在り方や運用に反映させることが重要である。この2点を書き起こしています。
 次に15頁です。これは求職者支援制度における新訓練の位置づけを、イメージとして示したものです。現行の公共職業訓練は、第1のセーフティネットとして実践的能力の習得のための訓練を行っているところですが、新訓練については、基礎的能力の習得を丁寧に行う新訓練1と、基礎的能力から実践的能力までの習得を一括して行う新訓練2の2つのタイプを想定しています。このような整理の下では、先ほどのように連続受講について、同種の訓練は連続受講させないということですと、新訓練1から公共職業訓練への連続受講はあり得る。それ以外の連続受講は基本的にないという整理になると存じます。
 最後に16頁です。これは上半分が、国レベルの中央レベルの中央訓練協議会で訓練実施計画をとりまとめるサイクル、下半分は、各地域における地方訓練協議会で地域単位の訓練実施計画をとりまとめるまでのサイクルで、1年間、どのようなことをやっていくのかをイメージとして示したものです。以上が資料の説明です。18頁以降は、これまでお出ししてきた資料のデータの更新です。

○今野分科会長 ありがとうございました。それではご意見、ご質問をお願いします。

○新谷委員 10頁の対象者の範囲のところが、今回改訂された部分ですけれども、ここで「原則として」というのが入ってきて、2つの除外の方々を入れるということで、雇用保険の被保険者と65歳以上の求職者については、対象外とすることが適当であるとなっています。その前振りで「原則として」と書いていますので、原則ではない人というのは、どういう方々を例外としてお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思っています。

○松本総務課企画官 現時点で想定しているものとしては、まず雇用保険の受給資格がない方を対象とするのが原則ですが、これについての例外が受給資格がある方や雇用保険を受給されている方も、新訓練を受講することがあっていいのではないかという意味の例外です。65歳以上の求職者については、個別の事情により訓練受講の必要性、緊急性が高い方もおられると思います。そういった方も、一律に新訓練を受講できないというのは少々酷ではないかという観点から、個別の状況をきちんと判断して必要な方は、65歳以上でも受講できてもいいのではないかというのが例外です。日雇特例被保険者等でない、普通の雇用保険の被保険者の方については、現時点では例外としては特に想定していないところです。

○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○阿部委員 11頁の訓練コースの内容・設定についてですが、取りまとめ案には就職に必要な基礎的能力から、実践的能力の付与まで行うと記されていますけれども、現行の基金訓練の受講生には学校教育の機会に恵まれなかったなどの理由で、企業で仕事をする上で基礎学力が十分でない方もいると聞いています。資料3の15頁で提案いただいたように訓練コース内容の設定について、新訓練では基礎から実践までの能力習得を一括して行う訓練とは別に、基礎的能力習得のための訓練に重点を置いたコースを設定することは重要ではないかと思います。意見です。

○松本総務課企画官 第2のセーフティネットの対象者の方には、いろいろな方がいらっしゃると思います。基礎的能力を手厚くやらなければいけない方もいらっしゃれば、言わば公共職業訓練のレベルに近い方もいらっしゃると思いますので、そういったいろいろな方に対応できるように、多様な訓練を多く設定することができるようにと考えたものです。御指摘は受け止めさせていただきたいと思っています。

○上原委員 予算との関連になってくるのですが、財政厳しき折、小さく立ち上げて大きく膨らませていく方が良いのだと思います。大きく広げて仕分けで叩かれて小さくするよりは、その方があるべき姿なのかなと思います。この軸として、今出た能力の問題もあるし対象者の年齢なんかは少し整理されてきましたけれども、年齢の軸や対象者の軸、それから弱者に対する軸などいろいろあると思います。その辺のメリハリとか、先ほどの地域とも絡むのですが、どこにウエイトを置くのかを明確にしないと、予算が無限に増える可能性があると思います。したがって、例えば能力の件で言うと、大体6割ぐらいが就職するということは、4割ぐらいは落ちるわけです。落ちた4割は引き続き1年なら1年経ってから、またチャンスがあるよという仕組みになっているようですが、そういうのを例えば3回までいいとするのか。言葉は悪いですが、そういう弱者を永遠に救済していくようなスタンスなのか、逆に上のほうを中心に安定させていくようなことにするのか。その辺の考え方というか、軸を置いていかないと予算が尽きない気がします。是非そこをもう少し、整理されてきた部分もあるのですが、基本的な姿勢、スタンスをしっかりしたらいいのではないか。余計な話ですみませんでした。

○松本総務課企画官 現時点では、15頁のように新訓練?@?Aと並列で示す形になっていますが、何らかの形でウエイト付けといったことも、思想として必要ではないかという御指摘は、受け止めて検討させていただきたいと思います。また就職できない方についても、訓練をしっぱなしということではなく、その後、ハローワークでの就職支援も含めて、いろいろな支援を考えて制度全体として対応したいと思いますので、そういった点も御指摘ありがとうございます。

○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○高橋委員 質問というか、13頁の真ん中に「受講生による適正な訓練受講のための方策について」とあり、これは確認でもう1回説明いただきたいのですが、同種の訓練の連続受講は認めないとした上で、さらに訓練修了後、一定期間は原則として新たな訓練はあっせんしないと。この書いてある文章の内容をもう一度具体的に御説明いただけますか。

○松本総務課企画官 連続受講を認めないことと、一定期間、新たな訓練をあっせんしないことは、措置としてほぼ同様です。前半で言っている同種の訓練の連続受講は認めないということは、裏から言いますと、同種でない訓練の連続受講はあり得るということです。具体的には先ほど少しだけ触れたのですが、15頁の絵を御覧ください。新訓練1と新訓練2がありますが、新訓練12を連続受講というのは×です。新訓練2から公共職業訓練も×です。しかし、新訓練1と公共職業訓練の連続受講は、求職者の必要性によってはあり得るのではないかということで、小さく矢印が書いてあります。ここは連続受講が可能です。つまり同種の訓練でない、連続受講が妨げられないケースだと考えています。このように連続受講があり得るのが例外ですので、一定期間、新たな訓練をあっせんしないことについて、制度全体の整合性を保つために「原則として」というのを入れたわけです。同種の訓練を連続受講させないという点については、変更していないつもりです。

○高橋委員 私が分からなかったのは、同種の訓練という意味が分からなかったのです。同種の訓練というのは一体何なのか、もう一度教えていただけますか。

○松本総務課企画官 端的に申し上げれば、基礎的な訓練を連続で受けるのは不適切であると。また公共職業訓練も、今1年間は連続受講させないとなっているように、実践的能力の訓練を複数受けるのも同種の訓練です。つまりレベルの問題ですが、基礎的能力を複数、実践的能力を複数というのは、同種の訓練を連続受講することに該当すると整理しています。

○高橋委員 そうすると15頁の図でいくと、1は新訓練1の繰り返し受講は駄目と。

○松本総務課企画官 はい、それも駄目です。

○高橋委員 新訓練2も繰り返し受講は駄目と。

○松本総務課企画官 はい。2と2の連続受講も駄目です。

○今野分科会長 多分分かりにくいというのは、例えば新訓練?Aでも分野がA分野、B分野、C分野、D分野とあったときに、A分野を受けてからB分野というのは、これは違う種類の訓練ではないかと思われることがあると思います。だから、多分想定されている類型の定義がはっきりしていないので、分かりにくいということだと思います。

○松本総務課企画官 分かりました。表現も含めて再検討します。実現したい内容は、連続受講が可能なのは、新訓練?@から公共職業訓練のケースのみであるということです。ただ、表現ぶりとして不適切なところを再検討します。

○今野分科会長 ほかにございますか。

○三村委員 二点あります。一点目、12頁の誘導・就職支援のところですが、新訓練に参加した求職者をいかに効果的、効率的に育てていくかは非常に重要な課題だと思います。キャリア・コンサルタントの機能として2種類あって、誘導する部分と修了した後の部分ですが、第4の3番目の○で、「真剣に訓練を受講することを継続することが重要であり」ということですけれども、継続を維持するためにも訓練中のキャリア・コンサルタントが非常に重要なことかと思います。意欲、モチベーションを維持し、訓練を受けるとキャリア形成は促進されますが、同時に不安感も伴うのです。そういった意味で、それをどうフォローしていくかということでは、キャリア・コンサルタントの機能は非常に重要だと思います。
 2点目として、先ほどのアンケートにありましたように、異年齢集団、同年齢集団それぞれで良い点と悪い点が出てくるわけですが、それはプログラムの在り方だと思います。職業訓練をどうプログラム化していくか今後重要な課題となると思われます。異年齢集団を非常に効果的に使うか、あるいは同年齢集団の慣れ合いをどう防いでいくかもプログラムの在り方によって大きく左右されるからです。これまでも指摘させていただいているように職業訓練学を高めていく必要があると思います。総合大学校あたりがそういう研究を重ね、プログラムを開発していき、効果的な職業訓練が実現する方策も必要ではないかと思います。

○今野分科会長 今の特に前半ですね。

○松本総務課企画官 新訓練においては、キャリア・コンサルタントによるカウンセリングを、どの範囲というのはまだ検討中ですが、訓練中または訓練修了時にも何らかの相談ができるような設定を、どうすればいいのか検討しています。また訓練修了後も必要に応じてハローワークによる相談なども実施されますので、いずれにせよ先生の御指摘は受け止める方向で検討してまいります。

○三村委員 訓練している過程の中で、キャリア・コンサルタントがどう関わるかということですね。

○松本総務課企画官 訓練機関においてはキャリア・コンサルタントを配置して、カウンセリングの時間を確保するようなことを現時点で考えています。2点目の学卒未就職者についての御指摘は、まさにそのとおりですので、実績を踏まえ、改善すべきところは改善していきたいと思います。

○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○新谷委員 社会的事業者等訓練コースについて、何点か申し上げたいと思います。11頁に「(訓練コースの内容・設定について)」と書いてあり、最初の○に訓練コースについての記述があって、「基礎的能力から実践的能力の付与までを行う」と書いています。これは多分基礎コースや実践コースをイメージしているものだと思いますが、社会的事業者等訓練コースについての記述はどこかに書いてあるのか。要するに社会的事業者等訓練コースは、この求職者支援法の中ではどういう扱いになるのかをどこかに論述しておかないと、取りまとめ案においては見えにくいというのが1つです。
 もう1つは、その2つ下の○に、訓練コースの設定基準について「実績」というのが入り、それはそれでいいですが、その下に「過渡に詳細で硬直的な運用とならないよう」と書いています。実は社会的事業者等訓練コースの申請に当たっては、かなり硬直的な運用がなされていると聞いていて、もともとNPOの方々なのであまり資産をお持ちでない。要するに教える教室をお持ちでないときに、貸ビルや貸会議室を借りてコースを開設する。そのときに貸ビル、貸会議室の例えばA会議室であれば、半年間、そのA会議室でないと駄目と、それがB会議室になったら駄目だという運用をしていると聞いています。もちろん貸会議室ですから、Aが空いている、Bが空いている、Cが空いているという時があるのですが、半年間固定でAを貸し切らないと、申請を受け付けないことがなされているようで、この辺もどうなっているかというところがあります。
 それに関連して13頁に、これもこれで別に異論はないのですが、「第6 訓練の事業運営体制の確保について」に、「独立行政法人雇用・能力開発機構を活用することが適当である。」と書いてあります。確かに全国的に、こういうノウハウを持っているのは能開機構しかないのですが、能開機構は、ものづくり訓練については素晴らしいノウハウをお持ちだと思いますけれども、NPOのような社会的事業者に対する知見が、どうも不足しているのではないかというクレームが来ています。事業内容をよく分かっていなくて、都道府県センターに持ち込んだ案件でも、あるセンターでは「駄目だ」と言うし、あるセンターでは「良し」と言う。まさしく訓練コーディネート等のノウハウを有する団体ということで、今は基金訓練の企画競争で競り勝ったのが能開機構となっているのでしょうが、今後、この案文にあるように能開機構を活用することが適当であるというのであれば、社会的事業者の扱いを含めて、きちんとコーディネートできる体制を作らないといけない。その辺の扱いについても御留意いただければと思っています。以上です。

○松本総務課企画官 まず現在の基金訓練での社会的事業者等訓練コースがあるわけで、その運用の中で、御指摘のような事情があるのだとすると、それは改善すべきところはまさに改善すべきと考えるところです。新訓練においてどうするかという点ですが、新訓練は基本的に就職に資する観点の訓練を実施するということですから、類型としては、15頁にありますように新訓練?@と新訓練?Aを想定しています。基金訓練では、いろいろな切り口からいろいろなコースを設定しているわけですが、今のところ考えているのは、この2類型の範囲で実施できるところは実施していただくことを想定しています。つまり社会的事業者を排除するということではなく、新訓練?@又は新訓練?Aとして実施できるところは、引き続き実施していただくことになると考えています。これがコースについての取扱いです。

○戸ヶ崎主任職業能力開発指導官 現行の基金訓練の運用の関係ですが、社会的事業者等訓練コースというのは、基金訓練で新たに設けられたコースであるということで、今ノウハウを溜めているところだというのが、正直なところなのかなと考えています。社会的事業者については委員御存じのとおり、第2種新規設定奨励金の方の関係もあって、施設整備の補助もあるということで、その辺をかなり細かく見ることで対応していると推測できるわけです。ただ、御指摘のような効率的でない指導がなされているということであれば、それはそれで問題ですので、そこについては実態を調べた上で雇用・能力開発機構に対して必要な指導をしていきたいと思います。また、ちょうど社会的事業者、NPO法人等に対するカリキュラムのコーディネートということで、機構自身も、今ノウハウを溜めているところですので、基金でそういうノウハウを溜めて、それを求職者支援訓練の方に活かしていただければと考えています。

○今野分科会長 よろしいですか。まだ御意見はあるかと思いますが、もう1つ議題がありますので、この件については次回も引き続き議論しますから、またそのときに御質問をいただければと思います。それでは4番目の議題の事業仕分けの結果について、事務局からお願いします。

○井上総務課長 事業仕分けの結果について、ご報告を申し上げます。資料4をご覧ください。資料の説明に入る前に、この秋に行われた事業仕分けの背景などについて、ご説明をさせていただきたいと思います。この秋に行われた事業仕分けは第3弾と称されています。第1弾は昨年の秋に行われた事業仕分けです。第2弾は今年の春に行われた事業仕分けです。第3弾がこの秋に行われたものということで、この第3弾についてはさらに大きく2つに分かれます。1つは特別会計の仕分けで、後ほど労働保険特別会計、雇用保険二事業について行われた仕分けについて、ご報告申し上げます。
 もう1つは、第1弾あるいは第2弾の仕分けにおいて指摘された結果、評決結果に従っていないのではないかという場合に行われる再仕分けです。再仕分けについては更に2つに分かれます。1つは公開のヒアリングを伴う公開の仕分けの形で行われるものです。もう1つは、そういった公開の仕分けを伴わない勧告という形で行われるものです。勧告はどういうものかと言うと、第1弾あるいは第2弾の仕分けの指摘に従って、適切に対応すべしという勧告が所管省庁になされるものです。これらを前提として資料の説明を申し上げます。
 1頁ですが、特別会計の仕分けの1つとして、労働保険特別会計、雇用保険二事業の仕分けとして行われたものです。?Aと書いているのは、1頁にある(1)~(7)までの施策が1つの枠の中で議論されたという意味です。さらにこの評決については(1)(2)の括りと、(4)~(7)までの括りで、それぞれ評決結果がされており、そのように整理しています。
 (1)と(2)の部分ですが、(1)はジョブ・カード制度の普及促進事業です。(2)はジョブ・カード制度において雇用型訓練を行う場合に、キャリア形成促進助成金を活用して行っている支援に関するものです。いずれもジョブ・カード制度の関連事業ということです。この評決結果は赤で書いていますように事業廃止ということで、括弧書きの同様の政策目的を持った類似事業との整理統合を図り云々ということが、一体として評価結果になっています。
 (4)~(7)ですが、このうち職業能力開発局関連の施策は(6)と(7)です。(6)は職業能力開発校施設整備費等補助金で、これは都道府県が都道府県職業能力開発校の施設の整備等を行う場合に国が補助する仕組みです。(7)は離職者等の再就職に資する総合的な職業能力開発プログラムの展開で、これは離職者訓練の委託訓練です。これらについての評価結果は、見直しを行うと、予算要求については実績をベースに真のニーズに対応したものに限定ということです。
 2頁は、これらの議論のとりまとめ内容ということで、行政刷新会議サイドでとりまとめた内容を記載しています。3~9頁は、この仕分けに際して私どもからその場に提出した資料です。
 10頁をご覧ください。労働保険特別会計、雇用保険二事業?Bで、別の枠で行われた仕分けの評決結果です。その対象の施策は財団法人介護労働安定センター(交付金)について、交付金の廃止という評決結果です。11頁、12頁は、その際に私どもから提出した資料です。
 13頁ですが、これは第3の仕分けのうち、あとのほうの類型で申し上げた勧告によるものです。第1弾、第2弾の事業仕分けにおいてされた指摘を適切に履行すべしというものです。14頁をご覧ください。キャリア形成促進助成金が対象の1つになっています。これが公開プロセスの結論としては、一定期間経過後に事業の廃止とされているもので、これを踏まえて対応すべしというのが勧告の内容です。
 16頁をご覧ください。勧告の対象となったもう1つの施策が技能向上対策費補助事業で、技能検定を実施するにあたっての補助金です。これについては第1弾の事業仕分けにおいて、評価結果にありますように予算要求の縮減(半額)という指摘がなされていて、それを踏まえた対応をすべしというものです。以上です。

○今野分科会長 ありがとうございました。ご質問はございますか。

○新谷委員 教えてほしいのですが、今回、労働保険特会が事業仕分けの対象になっていますけれども、この雇用保険二事業において能開局関係事業の数というのは、総数でいくつぐらいあるか教えていただけますか。

○今野分科会長 どうですか。たぶんいろいろなレベルで、どう数えるかによって違う。

○井上総務課長 数え方にもよりますが、例えば雇用保険二事業について、雇用保険事業主懇談会で評価を行っていただく際の施策メニューの数え方では、50強ぐらいだったと思います。

○新谷委員 PDCAサイクルで、この事業の見直しをすることが非常に大事だと思っていて、そのときに、いまどんな事業が、どのように行われて、どのような施策効果を上げているかというのを、この分科会でもきちっと見ておく必要があると思います。今回は仕分け人によってこういう仕分けをされたわけですが、職業能力開発について審議するこの能開分科会において、50いくつも一遍に見られるかどうかわかりませんが、一体どんな事業があって、どんな効果があるかというところは仕分け人の指摘を受ける前に、この分科会でやっておくべきではないか。初めて見るような事業もあったりして、こんな事業をやっていたのかと思うところもありますので、今後の運営の中で工夫をしていただければと思っています。
 そうは言いながらも、この仕分け人による事業仕分けについては、特に個別の事業の仕分けはもちろんですが、制度の在り方の仕分けもやっていて、雇用保険二事業についても雇調金を除く必要性の低い事業は、特別会計では行わないという判定が下っていますが、これは非常に乱暴な仕分け結果だなと思っています。特別会計で行わないとなると一般会計で行うということになるのでしょうが、ご承知のような財政状況の中で、どこからお金を捻り出すか。それができないとなれば大幅な雇用労働行政の後退につながることを懸念するわけです。
 また、こういう重要な政策の変更については、もちろん仕分け人から指摘をいただくのはいいですが、やはりそれは労働政策審議会において公労使三者のきちっとした論議を踏まえて、決定するべきだと思っていますので、厚労省サイドは十分ご留意いただいていると思いますが、政府全体として、労働政策審議会はほかの審議会とは違うということを是非政府の中でも主張して、この場においてきちっとした論議を尽くすべきだと思っています。それがないと、国際的な標準になっているILOの三者構成主義にも抵触する可能性がありますので、是非ご留意をいただきたいと思っています。以上です。

○今野分科会長 何かありますか。

○小野職業能力開発局長 いま、ご指摘いただいたことは大事なことだと思いますので、これは労働政策審議会本体のこの間の会議でも、それぞれ労使等の皆さんから同じようなご意見をいただいています。我々もこの雇用保険、あるいは労災保険も議論になったのですが、非常に重要な事業であると思っていますので、そういう機能がきちっと維持されるように、もちろん個々の事業で執行率の低いものとか、いろいろ問題もあることは事実なので、そういう必要な見直しはやっていきたいと思っていますが、いま申し上げたようなスタンスで、この分科会での議論の重要性を踏まえて対応していきたいと思います。

○今野分科会長 ほかにございますか。よろしいですか。それではこの議題は終わりにします。最後に事務局から報告が1件ありますので、お願いします。

○井上総務課長 本年3月23日に諮問させていただき、答申をいただきました雇用能力開発機構法を廃止する法律案についてです。先の臨時国会に提出させていただき、11月15日に衆議院で可決されたところです。その後、参議院に送付されましたが、先の臨時国会においては審議されるに至らず、継続審査という扱いになったところです。以上、ご報告申し上げます。

○今野分科会長 ご質問、ございますか。

○井上委員 これにつきましては現場が大変混乱していますので、ここで意見を申し上げたいと思います。現場というのは、まずは利用者の皆さんから大変不安だと問合せが来ているということです。既に閣議決定では来年3月31日をもって能開機構は廃止し、新しい法人に移管することになっています。そういう意味では、現在の能開機構のサービスを提供されている利用者の皆さん、一方、移管されて新法人となる予定の高障機構、こちらは特に障害者に関連する事業をしているわけですが、事業主の皆さんから、来年4月からきちっと事業が行われるのかという問合せも来ています。そういう意味では、あと残された時間が大変短い中で本当に新しい組織ができるのか。私たちとしては利用者に対するサービスの低下がいちばん心配ですので、そこは厚生労働省として、きちっと配慮いただきながら進めていただきたいと思います。

○井上総務課長 ご指摘を受け止め、対処していきたいと思います。

○今野分科会長 ほかにございますか。よろしいですか。それでは時間もオーバーしたのですが、この辺で終わりにさせていただきます。次回の日程については事務局からまた連絡を差し上げます。最後に議事録の署名ですが、労働者側は大江委員に、使用者側は阿部委員にお願いします。それでは終了します。ありがとうございました。

(了)

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