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2010年10月1日 平成22年10月1日薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録

医薬食品局

○日時

平成22年10月1日(金)14時~


○場所

厚生労働省 専用第22会議室


○出席者

出席委員(13名):五十音順 敬省略

赤 堀 文 昭、 笠 貫   宏、  神 山 美智子、 木 津 純 子、

宗 林 さおり、 高 橋 孝 喜、  土 屋 文 人、 中 川 俊 男、

早 川 堯 夫、 本 田 佳 子、  松 井   陽、 松 本 和 則、

◎望 月 正 隆

(注)◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理

欠席委員(10名):五十音順 敬省略

飯 島 正 文、  井 部 俊 子、  大 野 泰 雄、 黒 木 由美子、

永 井 良 三、 西 島 正 弘、 藤 田 利 治、 溝 口 昌 子、

○山 口   徹、 吉 田 茂 昭

行政機関出席者

 間 杉   純 (医薬食品局長)

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 中 垣 英 明  (総務課長)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 関 野 秀 人 (医療機器審査管理室長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 長谷部 和久 (化学物質安全対策室長)

 池 田 一 樹 (農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長)

○議事

○総務課長 定刻となりましたので、ただ今から「薬事・食品衛生審議会薬事分科会」を
開催いたします。当分科会委員数23名のうち13名の委員に御出席いただいておりますの
で、定足数に達しておりますことを報告いたします。始めに7月30日付けで医薬食品局
幹部の人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。医薬食品局長の間杉で
ございます。
○医薬食品局長 間杉でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○総務課長 平山大臣官房審議官でございます。
○審議官 平山でございます。よろしくお願いいたします。
○総務課長 安全対策課長の俵木でございます。
○安全対策課長 俵木でございます。よろしくお願いいたします。
○総務課長 血液対策企画官の安田でございます。
○血液対策企画官 安田です。よろしくお願いいたします。
○総務課長 申し遅れましたが、総務課長の中垣でございます。では、望月分科会長、以
後の進行をよろしくお願いいたします。
○望月分科会長 それでは始めます。最初に事務局から配付資料の確認をお願いします。
○事務局 資料の確認をお願いいたします。机の左側に資料4のみ置いておりますが、そ
のほかの資料は右側に置いています。審議事項につきましては、資料1~4、報告事項に
つきましては、資料8~20です。なお、本日その他事項として、1議題が追加となって
おります。その為、議事次第の下に当日配付資料21ということで配付しております。そ
の他の当日配付資料ですが、その下に資料22、競合品目・競合企業リスト、議事次第、
座席表、委員名簿をお配りしております。又、文書報告の資料は既に先生方に送付してお
ります。そして、お手元には参考までに「薬事・食品衛生審議会薬事分科会の文書報告一
覧表」を配布しております。
 続きまして審議参加に関する報告をいたします。申請資料作成に関与した委員ですが、
該当委員はいらっしゃいません。又、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業につい
て、資料22として配付しておりますが、その選定理由等を説明させていただきます。い
ずれも関係部会で報告した内容となっております。
 資料22を御覧ください。1ページのレボレード錠12.5mg及び同錠25mgです。本品目
の申請会社はグラクソ・スミスクライン株式会社です。本品目は慢性突発性血小板減少性
紫斑病を効能・効果としており、同様の作用機序により血小板数を増加させる開発中の品
目を競合品目として選定しております。
 次のページは、共立製薬株式会社から申請されているマストラックです。本剤について
は効能・効果、薬理作用、組成及び化学構造式等の類似性等の観点から、本剤と競合する
品目はありません。
 3ページは、ノバルティスアニマルヘルス株式会社から申請されているオンシオール2
%注射液です。本品目につきましては、申請品目と同種の非ステロイド性抗炎症剤のうち、
犬又は猫において同一あるいは類似の効能・効果を有する品目の売上高上位三品目を選定
いたしました。競合品目に関する説明は以上です。
○望月分科会長 今の事務局からの説明について、特段の御意見はございますか。よろし
いですか。
 それでは本分科会における審議の際の申し合せ事項については、競合品目・競合企業の
妥当性も含め、了解を得たものとします。
 続いて委員からの申出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況について報告させていただきます。
 議題1「医薬品レボレード錠12.5mg及び同錠の25mgの生物由来製品及び特定生物由来
製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の
要否について」は、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は木津委員、
高橋委員です。
 議題2「動物用医薬品マストラックの製造販売承認の可否、再審査期間の指定及び毒劇
薬の指定の要否について」は、退室委員、議決に参加しない委員、共にいらっしゃいませ
ん。
 議題3「動物用医薬品オンシオール2%注射液の製造販売承認の可否、再審査期間の指
定及び毒劇薬の指定の要否について」は、退室委員、議決に参加しない委員、共にいらっ
しゃいません。以上でございます。
○望月分科会長 ありがとうございます。それでは議題1、資料1「医薬品レボレード錠
12.5mg及び同錠25mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認
の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。本品目は、
既承認の類似薬が無い新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、「薬事分科会に
おける確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえて薬事分科会に
て審議を行うこととなっております。始めに部会での審議結果等を御報告いただいた後、
当分科会で審議をいたしたいと思います。それでは、医薬品第一部会長の松井委員から御
説明をいただきたいと思います。
○松井委員 資料1「医薬品レボレード錠12.5mg及び同錠25mgの生物由来製品及び特定
生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬
の指定の要否について」(エルトロンボパグ オラミン)の概要を説明いたします。本剤は、
トロンボポエチン受容体アゴニストです。トロンボポエチンのシグナル伝達経路の一部を
活性化することにより、骨髄前駆細胞から巨核球に至る過程における細胞の増殖及び分化
を促進します。その結果として、本症における血小板数を増加させる新規作用機序の薬剤
でございます。
 本剤は、特発性血小板減少性紫斑病(以下、ITPと略)を予定効能及び効果として申請
されたものです。ITPは明らかな原因が無く、自己抗体による血小板の破壊亢進及び血
小板産生の抑制により、血小板数減少を来たす後天性の自己免疫疾患です。又、抗血小板
抗体の対応抗原は血小板のみならず、骨髄巨核球にも発現することから、抗血小板抗体が
巨核球の成熟障害や細胞障害を誘発し、血小板産生も抑制することがあります。厚生労働
省における平成17年度臨床個人調査票による解析では、本邦でのITPの年間発病率は、
10万人当たり2.43人となっております。本薬は、2007年3月に希少疾病用医薬品に指定
されています。
 ITPは経過により、6か月以内に自然治癒する急性型と、6か月以上遷延する慢性型
に分類されています。本邦では、出血傾向が強い急性ITPや慢性ITPの経過中に重篤
な出血症状が認められた場合には、免疫グロブリン大量療法、血小板輸血又はステロイド
パルス療法による緊急治療が行われております。しかし、その他の慢性ITPでは、
H.pylori陽性に対し除菌療法を優先し、H.pylori陰性例又は、除菌無効例等に対し血小
板数が20,000μL以下、又は血小板数に関係なく出血症状が認められる場合には、副腎皮
質ステロイド投与、脾臓摘出等を行う治療プロトコールが提案されております。本剤は、
既存のこれらの治療法とは異なる作用機序を有しており、国内外で主に副腎皮質ステロイ
ド、脾臓摘出で効果が不十分な慢性ITP患者を対象に臨床試験が実施され、有効性及び
安全性が確認されてきました。
 海外においては2008年11月に米国で、「副腎皮質ステロイド、免疫グロブリンまたは
脾臓摘出では十分な効果が得られない慢性ITP」の効能・効果で本剤が承認されて以降、
2010年6月現在、39の国と地域で承認されている現状です。
 本剤については、去る8月26日に開催された医薬品第一部会において審議した結果、
承認して差し支えないとの判断に至りました。事務局から更に詳しい内容の説明をお願い
いたします。
○望月分科会長 ありがとうございました。では、事務局の方から補足等の説明をお願い
いたします。
○事務局 資料1「医薬品レボレード錠12.5mg及び同錠25mgの生物由来製品及び特定生
物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の
指定の要否について」の審査の概略を臨床試験成績を中心に説明します。副腎皮質ステロ
イド、脾臓摘出で効果が不十分な慢性ITP患者23例を対象とした国内臨床試験では、
本薬の有効性として短期効果と長期効果が検討されました。審査報告書57ページの下半
分を御覧ください。有効性の主要評価項目とされた短期評価について、投与開始第43日
目の血小板数が50,000/μL以上、400,000/μL以下に推移した被験者の割合(以下、「有
効率」)は、本薬群で60.0%、プラセボ群で0%でした。又、この治療期6週間に「出血
症状」が見られた被験者の割合は、本薬群で7~29%であり、ベースラインの33%に比
べて減少し、プラセボ群の38~75%よりも低い割合で推移していました。短期評価終了
後は、プラセボ群にも本薬が投与され、26週間の長期評価に移行しました。有効性の長
期評価について全評価時期の血小板数の推移は、審査報告書58ページにグラフで示して
います。短期評価された本薬投与6週目以降の6ポイントの評価時期のうち、75%以上の
評価時期で有効であった被験者の割合は、43.5%でした。「出血症状」が見られた被験者
の割合は、治療期26週間を通してベースラインに比べて低値で推移しました。なお、26
週の投与終了後には血小板数は低下し、「出血症状」が見られた被験者の割合は上昇しま
した。
 次に、本試験で確認された本薬の安全性についてです。審査報告書58ページの下1/4
に記載があります。治療期6週間における有害事象の発現割合は、本薬群73%、プラセ
ボ群25%でしたが、すべて軽度又は中等度でした。本薬投与開始後26週間及び後観察期
における有害事象の発現割合は96%であり、後観察期に発現した血小板減少症1例以外
は、すべて軽度又は中等度でした。治験薬との関連性が否定されないと判断された重篤な
有害事象として、一過性脳虚血発作1例が認められました。又、本試験に組み入れられた
被験者を対象とし、本薬承認までの予定で継続されている国内第III相試験で、「治験薬
との関連性あり」とされた有害事象のうち、2例以上で発現した事象は白内障のみでした。
この白内障につきましては、非臨床試験でも見られ、製造販売後に注意し観察すべき事象
であると判断しております。国内臨床試験で確認されたこれらの本薬の有効性及び安全性
は、海外の臨床試験の成績と齟齬の無いものでした。
 以上の成績より、本薬の効能・効果は慢性ITPとし、効能・効果に関連する使用上の
注意で、他の治療により十分な効果が得られない場合と他の治療で、忍容性に問題がある
場合に使用するよう注意喚起することが妥当と判断いたしました。又、国内外における本
薬の臨床試験での本薬の用量は、例えば審査報告書57ページの上半分にあるような血小
板数を確認しながら調節されましたが、血小板数の正常値ではなく、出血の予防に主眼を
置いた実臨床での血小板数の目標値と比較すると、過量となる懸念がありました。その為、
臨床試験の規定より早い段階で減量や中止を考慮する用法・用量が適切であると判断いた
しました。
 開始用量は、曝露量の国内外差と国内臨床試験で安全に一定の有効率が得られた成績を
踏まえ、国内臨床試験の設定に合わせて海外の1/4の12.5mgといたしました。さらに本
薬の曝露量は、食事や多価金属カチオンの同時摂取により著しく低下することから、用法
・用量に食事の前後2時間空けて空腹時に投与するよう規定しました。さらに、海外添付
文書に倣い、多価金属カチオン含有品は食事の前後4時間空けるように注意喚起いたしま
した。
 製造販売後の調査計画等につきましては、85ページ後半を御覧ください。承認申請前
に得られていた本薬の有効性及び安全性が極めて限られていたことを踏まえ、全例調査を
承認条件としました。製造販売後調査では、使用実態下での確認が必要な血栓塞栓症、副
作用、患者背景、本薬の投与量、投与期間、増量又は減量の実態、併用ITP治療薬等を
確実に収集するよう配慮するとしました。現時点では、最長2年の調査期間が設定されて
おりますが、更なる長期使用に係る問題点等が見出された場合には、必要に応じて調査期
間の延長を検討する計画となっております。
 以上、機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、承認条件として製造販売後に全
投与症例を対象とした使用成績調査を実施することを付した上で、本薬を承認して差し支
えないと判断し、薬事分科会で審議されることが適当と判断いたしました。本薬は希少疾
病用医薬品であり、再審査期間は10年とするとされ、又原体及び製剤は劇薬に該当し、
生物由来製品及び特定生物由来医薬品には該当しないと判断されました。なお、事前に神
山委員から、「脾臓摘出者に対する使用上の注意は無いか。現在では脾臓摘出などは行わ
れていないのか」との御質問をいただきました。慢性ITPの治療としては、ピロリ菌の
保菌例では除菌療法を試した上で、副腎皮質ステロイドを投与、脾臓を摘出することが第
一選択の治療とされており、おおむね副腎皮質ステロイドによる出血傾向のコントロール
が困難な患者で、脾臓摘出が行われているようです。本剤の対象は、これらの一次治療で
効果が得られなかった慢性ITP患者とされており、国内臨床試験においても副腎皮質ス
テロイド、脾臓摘出による治療で十分な効果が得られなかった患者で、有効性及び安全性
が示されています。提出されたデータより、本薬の使用に際し脾臓摘出の有無にかかわら
ず、注意すべきことに特段相違は無いと判断しております。説明は以上となります。御審
議、よろしくお願いいたします。
○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、御質問は
ございませんか。神山委員は、先ほどの説明でよろしいですか。いかかですか。
○木津委員 今、PTPを試しに出してみましたが、とても出しにくいです。子供の開封
防止であるチャイルド・レジスト・シートが貼ってあり、それを剥がしました。このPT
Pは、とても固いです。これは実際の製品ですか。
○事務局 実際の製品になります。
○木津委員 裏のPTPのアルミがとても固いです。病気の方がこれを出すのは、かなり
大変です。このように曲がらないと出てきません。
○望月分科会長 何か特別の理由があって固いと思いますが。
○事務局 ここに説明書があります。
○木津委員 ありますね。
○事務局 このとおりになっておりまして、これはチャイルド・レジスト・シートと申し
ます。ヨーロッパの方では、意外と昔から使われています。これには試験があり、例えば
「子供が何分で開けて、どの程度取り出せないのか」といった基準をクリアしているもの
で、このような形になっております。さらに、この会社につきましては、国内でもヨーロ
ッパに倣い、今後様々な製剤をこのような形にしていくということです。「安全な方向に
向かう」ということなので、我々はこれについて特に良いとも悪いとも言っている状況で
はありません。
○木津委員 結構馴染みません。薬局等々も、扱う方達に向けて情報提供する必要がある
と思います。「必ずこれを入れてください」と表現しなければ、開かないといったクレー
ムがあるかもしれません。
○望月分科会長 取出し方のパンフレットは、必ず薬と一緒に入れるということですね。
○事務局 販売する際には、情報提供するように伝えようと思います。
○望月分科会長 お願いします。ほかに、御意見はありませんか。特段の御異議が無けれ
ば、議決に入りたいと思います。木津委員、高橋委員におかれましては、寄附金等に関す
る申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたしますので、後ろに用
意してあります席に、一時お移りいただければと思います。
 それでは、部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、
再審査期間は10年、原体、製剤共に劇薬に指定、生物由来製品及び特定生物由来製品の
指定は不要とすることが適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいでし
ょうか。ありがとうございます。御異議無しと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議
会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労
働大臣に答申することといたします。答申書の文案その他の取り扱いについては、私に御
一任いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それではそのようにさせて
いただきます。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。
 議題2、資料2「動物用医薬品マストラックの製造販売承認の可否、再審査期間の指定
及び毒劇薬の指定の要否について」です。
 本品目は、既承認の類似薬が無い新有効成分を含有する動物用医薬品に係る事項ですの
で、「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、動物用医薬品等部会での審議結果
を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。始めに部会での審議結果等
を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。
 それでは、動物用医薬品等部会長の赤堀委員から御説明をいただきたいと思います。
○赤堀委員 資料2を御覧ください。マストラックは共立製薬株式会社から、製造販売承
認申請されたラクトフェリンを有効成分とする牛の乳房注入剤です。これは、分娩直後の
乳房炎発生率の低減を効能とする製剤となっています。このラクトフェリンとは、乳汁中
に含まれるグリコプロテインで乾乳期に必要な成分です。乾乳期とは、泌乳の終了から次
の分娩までの間を指しています。この期間は、乳腺組織やルーメンの機能回復期にもなっ
ているのです。この乾乳期に適切な飼養管理をすると、次期の泌乳期において乳量の増加、
あるいは乳質が高まるということで極めて重要な期間と位置付けられています。
 乳房炎の発症は、乾乳期に不顕性感染している細菌が乳腺に存在していて、分娩によっ
て母牛の栄養状態が悪化したり、ストレスがかかったりして、乳房炎が誘発されることが
原因となっております。現在、獣医学領域での乳房炎治療においては、急性期での治療も
ありますが、この乾乳期における「ドライピリオドセラピー」と呼ばれる治療が一般的に
行われています。このラクトフェリン製剤は、これまでの治療法と同じように乾乳期に投
与することで、ラクトフェリンの抗菌活性作用や自然免疫の活性化作用等が関与して、分
娩直後の乳房炎発生率の低減効果が期待されています。本剤は、マストラック乾燥品をマ
ストラック用溶解用液、又は日局「注射用水」を用いて溶解し、乾乳期に入った7日目か
ら14日の間に乳房内に1分房当たり10mL(ラクトフェリンとして200mg)を注入します。
投与は、1回とされています。そして、このラクトフェリン製剤は、我が国で初めての新
有効成分を含有する動物用医薬品として、動物用医薬品等部会の審議を経て、本日御審議
いただくものです。ちなみに本剤は、EU連合及び米国では承認の取得並びに、使用の実
績はありません。詳細につきましては事務局から説明があります。
○望月分科会長 ありがとうございました。では、事務局の方から補足等の説明をお願い
いたします。
○事務局 お手元の資料の「概要」と書かれたタブの1ページを御覧ください。ここに、
開発の経緯が記載されています。本剤は、人の食品等に用いられているラクトフェリンの
諸作用に着目し、酪農の現場で長く問題とされてきている乳房炎に対し、抗菌剤などによ
る既存の治療とは異なる着眼点から効果を得る目的で開発されました。
 9ページからは、本剤の物理的、化学的試験についてまとめています。こちらの詳細な
説明は、割愛します。
 39ページを御覧いただくと、本剤の安定性試験の概要を記載しています。本剤は、摂
氏4℃における長期保存試験で18か月の安定性が示されており、6か月の加速試験及び
苛酷条件の諸条件下におきましても、安定性が示されました。このことにより、本剤は摂
氏2℃~6℃の保存条件において、18か月の有効期間を設定しています。なお、長期保
存試験につきましては、現在も継続中です。
 62ページを御覧ください。ここからは、本薬の毒性試験について記載されています。
試験の結果、ラットを用いた経口急性毒性試験における致死量は2000mg/kg以上、4週間
及び13週間の反復経口毒性試験においても、無作用量はいずれも2000mg/kg/日以上とさ
れています。又、復帰突然変異原性について調べた結果、否定されています。
 対象動物を用いた安全性試験につきましては、72ページから記載しております。72ペ
ージをお開きください。臨床用量及び、その3倍量を対象動物である乳牛に投与した結果、
一般状態、投与局所の臨床所見など、すべての項目において被験物質投与に起因すると思
われる変化は見られませんでした。77ページからは、薬理試験及び薬物動態に関するデ
ータをまとめております。これについては今回、詳細な説明は割愛いたします。
 111ページを御覧ください。臨床試験結果についてまとめています。国内2農場を用い
て、対照群は無投薬対象動物とし、臨床徴候、投与部位の観察及び乳房炎の検査結果をそ
れぞれスコア化した上で比較しました。その結果、スコアに基づく乳房炎の発生率は、投
薬群は無投薬群と比較して乳房炎の発生率の低減が見られました。しかし、審査の過程に
おいて、農場によって発生率低減効果に差が見られたことなどから、本試験結果について
は再解析を行いました。その結果から、本剤は乳房炎発生率の低減効果があるものと考え
られました。本剤は、提出されたデータから一定の効能・効果が認められることから、こ
れまでの審査において承認は差し支えないと判断されました。
 最後に、本剤の毒劇薬の指定に関する件ですが、本薬の毒性試験結果は先に説明したよ
うに、特段問題となる結果は見られず、製剤についても特段の配慮を要するものとは考え
られないことから、毒劇薬の指定は不要であると考えております。
○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、御質問は
ございませんか。
○神山委員 147ページの乳汁残留試験以下で、「休薬期間の定めの必要が無い」という
ところまでを教えていただけますか。そして、この乳汁残留試験をどのように見るのか等、
詳しく御説明いただきたいと思います。結局、投与量がゼロというのは対照群のように思
えば良いのでしょうか。牛の乳房が右前、左前、左後ということも、どのようになってい
るのか分かりません。
○望月分科会長 御説明を、お願いいたします。
○赤堀委員 牛の乳房は、前後左右に4房あるので、分房ごとはそのような呼び方をして
います。さらに、この製剤のラクトフェリンは、そもそも乳成分です。それなので、乳成
分を乳房内に注入して「免疫力を高める」、「抗菌活性を示す」ということから、残留性
は特に検討する必要はありません。さらに、注入していない箇所でもラクトフェリンを検
出すれば、微量出てくるということになります。
○神山委員 つまり、乳房に直接注入するので、例え全身を回って投与量がゼロでも、そ
こへ行ってしまうことは無いのでしょうか。
○赤堀委員 乳房炎治療薬は大体が全身ではなく、局所に投与するのが一般的です。さら
に、抗菌製剤も含めてほとんど全身に回らずに、乳房内に注入すると局所に留まるという
ことです。問題になるのは、その注入した乳房内とミルク中への排泄です。ラクトフェリ
ンについても、全身への分布ということについては無視して良いだろうと考えられていま
す。
○望月分科会長 事務局からの発言は、ございますか。特にありませんか。ほかには何か
御意見、御質問はございますか。
 特段の異議が無いということですので、議決に入りたいと思います。
 部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を可、再審査期
間は6年、毒薬及び劇薬の指定は不要とすることが、適当であると認める旨、議決したい
と思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
御異議無しと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基
づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたし
ます。答申書の文案その他の取り扱いについては、私に御一任いただいてよろしいでしょ
うか。
 それではそのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 次の議題に入りたいと思います。議題3、資料3「動物用医薬品オンシオール2%注射
液の製造販売承認の可否、再審査期間の指定及び毒劇薬の指定の要否について」です。 
本品目は、既承認の類似薬が無い新有効成分を含有する動物用医薬品に係る事項ですの
で、「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、動物用医薬品等部会での審議結果
を踏まえて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。始めに部会での審議結果等
を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。
 それでは、動物用医薬品等部会長の赤堀委員から御説明いただきたいと思います。
○赤堀委員 資料3のオンシオール2%注射液は、ノバルティスアニマルヘルス株式会社
から製造販売承認申請された「ロベナコキシブ」を有効成分とする犬及び猫の鎮痛剤です。
整形外科及び軟部組織疾患に関わる手術において、術後の疼痛の緩和を効能とする製剤で
す。ロベナコキシブは、コキシブ系と呼ばれる非ステロイド抗炎症薬でありCOX-2を
選択的に阻害することにより、抗炎症作用や鎮痛作用、解熱作用を示すものです。本剤は、
術前に体重1kg当たりロベナコキシブとして2mg、製剤としては0.1mLを1回皮下投与
します。本剤は欧州で2008年に承認され、現在では米国及びオーストラリアにて審査中
です。我が国では、初めての新有効成分を含有する動物用医薬品として動物用医薬品等部
会の審議を経て、本日、御審議いただくものです。詳細につきましては事務局から説明が
ございます。よろしくお願いいたします。
○望月分科会長 ありがとうございました。では、事務局の方から補足等の説明をお願い
いたします。
○事務局 お手元の概要書と書かれている資料の目次の後、「起源又は開発の経緯」をお
開きください。今、御説明をいただきましたが、本剤有効成分であるロベナコキシブは、
シクロオキシゲナーゼを阻害することにより効果を発揮する非ステロイド性抗炎症薬に
分類されます。その中でも目的とするCOX-2に比較的選択性が高いとされているコキ
シブ系の薬剤でございます。
 次の緑の紙の後、2-1ページからは物理的、化学的性質について、その次の3-1ページ
からは製造方法に関するデータをまとめております。これに関して今回、詳細な説明は割
愛させていただきます。
 5-1ページからは、安定性試験についてまとめております。5-1ページをお開きくださ
い。原薬においては、通常の保存条件において36か月安定であるとのデータが提出され
ております。しかし、5-8ページをお開きいただくと、製剤については9か月で不純物の
含量が規格値を超えます。そのことから、冷蔵条件である摂氏5℃の安定性試験を行った
結果、当該条件下において36か月の安定性を確保したということになります。このこと
から、本剤の保存条件を摂氏2℃~8℃とし、そのほか原薬を有機溶媒中に溶解すると光
に対して分解が認められるとの情報から、遮光というようにされております。
 次に、急性毒性試験の結果について説明いたします。6-1ページをお開きください。本
試験結果からは、ラットにおける単回経口投与でのLD50は、500~2000mg/kgの間にあ
ると考えられ、次のページのラットにおける単回腹腔内投与毒性試験では、LD50は200
~500mg/kgの間にあると考えられております。なお6-3ページでは、本薬の主たる代謝
物について急性毒性試験を行っており、経口投与によるLD50は2000mg/kg以上であると
の結論を得ております。
 反復投与毒性試験については、7-1ページからになります。いずれもラットを用いて4
週及び13週で行っており、無毒性量はそれぞれ20mg/kg/day、60mg/kg/dayという結果を
得ております。又、特殊毒性については8-1ページからになりますが、変異原性、染色体
異常、催奇形性について、いずれも否定されております。
 次に対象動物を用いた安全性試験ですが、9-1ページをお開きください。犬については
臨床投与量及びその5倍量、猫については臨床投与量の5倍量で試験を行っており、臨床
投与量から、局所的に一過性かつ軽微な筋壊死及び炎症が見られた以外は、特に問題とな
る徴候は見られませんでした。次に10-1ページからは、薬理試験及び薬物動態試験の成
績ですが、これについては今回詳細な説明は割愛させていただきます。
 14-1ページからは、臨床試験の結果についてまとめております。14-1ページをお開き
ください。犬、猫共に対照薬を同種同効薬であるメロキシカムとし、試験設計は無作為割
付による並行群間比較試験です。盲検は、治験薬を投与する担当者と検査・観察を行う担
当者を別の者とし、検査・観察者にはどちらが投薬された分からないようにしています。
その結果、主要評価項目である創傷部位に触った場合の反応や、起き上がる、歩く等の様
子などの項目をスコア化したスコア法による、麻酔覚醒後24時間までの疼痛評価では、
犬、猫共に評価項目により一部対照薬が勝る項目があるものの、全体としては被験薬が対
照薬に対して同等以上のスコアを示しているとされました。よって、これは副次的評価項
目であるVAS法による評価、及び評価者の総合評価においても同様の結果が得られたの
です。さらに、安全性については、被験薬及び対照薬ともに本剤の有用性を否定すると考
えられる事象は見られませんでした。
 最後に本剤の毒劇薬の指定についてですが、先に説明した本薬の急性毒性試験の結果か
らは、毒劇薬の指定の目安には該当しませんが、「安全性試験の局所の筋壊死及び炎症の
発現、又臨床試験においては白血球数の変動などが見られていること」、加えて「本剤の
薬理学的特徴を踏まえた類薬での対応」などから、本剤については劇薬に指定することと
考えております。説明は以上です。よろしく御審議をお願いいたします。
○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の御説明につきまして、御意見、御質
問はございますか。
○木津委員 私自身、動物用医薬品を実際に扱う経験が無いので分からないのですが、医
療用医薬品ですと添付文書という形で、それを初めて扱う医師でも、いろいろな情報が分
かるようになっていると思います。使用者に対して使用上の注意という文面は分かるので
すが、例えば用法・用量というのは、どういう形で情報が届くものなのでしょうか。文書
が見当たりません。
○事務局 用法・用量のような項目に関しては、黄色の申請書写というタブをお開きくだ
さい。ここに製造販売承認申請書がありますが、それを1枚めくっていただき、7番のと
ころに用法及び用量として本剤の用法・用量が記載されています。さらに、8番に効能又
は効果が記載されております。この文面は人の医薬品と多少フォーマットは異なります
が、同じような形でそのまま使用者に提示されることになっています。
○望月分科会長 このまま説明書として付いてくるということですか。
○木津委員 使用する方に、どのような形でどのような文書が出ているのでしょうかとい
う質問です。
○事務局 申し訳ございません。添付文書そのもののフォーマットに関しては、動物薬の
審議の場合、審議までに実物に当たるものは求めておらず、このような項目が書いてあれ
ば可というようになっております。
○赤堀委員 実は動物用医薬品の添付文書は、人の添付文書と比べて極めて不親切という
のが実態です。ただ、これまでこのような形で済んできて、いつも調査会や部会では、も
う少し親切な書き方をする必要があるという意見が出ています。それは急にはできないの
で、追い追い事務局としては対応していきたいということで進めてきています。
○木津委員 できれば新しく認めるものについては、少なくとも間違った使用がされない
ようにするべきです。そのように考えると、是非説明書はきちんと整備するという方向で
お願いします。
○望月分科会長 事務局、よろしいでしょうか。
○事務局 フォーマットに関しては、現在、事務局と申請者の方で検討しております。そ
の中で薬理学的なものを含めて、十分検討させていただくつもりです。
○望月分科会長 よろしいですか。ほかに御意見はございますか。
○早川委員 当たり前なのですが、今話題になったのは8番「効能又は効果」というとこ
ろについてです。ここは、要するに手術における術後の疼痛の緩和ということですから、
理解としては「手術をすれば、動物が必ず痛いということなので、打つ」という意味です
ね。だから手術にリンクしている話であり、打って処置をするという理解でよろしいので
すか。
○赤堀委員 そのとおりです。
○早川委員 添付文書というのも、恐らく手術という行為に連動している話なので、余り
詳しく書いていないのかと思いました。
○望月分科会長 手術なさる方には、分かるような書類ということですね。ほかにどなた
か意見はございますか。それでは特段の御異議が無いということですので、議決に入りた
いと思います。部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造販売承認を
可、再審査期間は6年、劇薬に指定することが適当であると認める旨、議決したいと思い
ますがよろしいでしょうか。
 御異議無しと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基
づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたし
ます。答申書の文案その他の取り扱いについては、私に御一任いただいてよろしいでしょ
うか。ありがとうございます。
 それではそのようにさせていただきます。
 次の議題に入りたいと思います。議題4、資料4「第十六改正日本薬局方(案)について」
です。
 今般の改正は日本薬局方の全面改正に係る事項ですので、「薬事分科会における確認事
項」第4項に基づき、日本薬局方部会及び薬事分科会にて審議を行うこととなっておりま
す。始めに部会での審議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思
います。それでは、日本薬局方部会長の早川委員から御説明をいただきたいと思います。
○早川委員 本件は資料4ですが、この表紙に記載されていますように平成22年9月10
日付、厚生労働省発薬食0910第59号にて厚生労働大臣から諮問されたものです。去る9
月28日に日本薬局方部会を開催し、第十六改正日本薬局方原案について審議を行いまし
た。これは、先ほど御紹介があったように、5年ごとの大改正版に当たるものです。
 この第十六改正日本薬局方につきましては、平成18年8月に作成基本方針が出されて
います。この作成基本方針は資料4の7ページを御覧ください。上の方に記載されている
「第十六改正日本薬局方作成の5本の柱」から成っています。今回の改正作業は、この5
本の柱に沿って行ってきました。
 第1の柱の「保健医療上重要な医薬品の全面的収載」については、7ページの中ほど以
降から具体的な方策が書かれております。内容は、優先審査がなされた画期的な医薬品、
代替薬が無い医薬品、USP(米国薬局方)、EP(欧州薬局方)に収載されており、諸外
国でも使用されている医薬品等です。こうしたクライテリアに該当する医薬品等を優先的
に収載する方針の下に、第十五大改正以降の第一追捕では90品目、第二追補では106品
目、一部改正で1品目、さらに今回の第十六改正に至る過程で更に106品目が新規に収載
されます。第十五大改正版から数えると第十六大改正版までに合計303品目が追加される
ことになります。つまり医薬品収載品目数が大幅に増加する予定であるということです。
 第2の柱の「最新の学問・技術の積極的導入による質的向上」につきましては、8ペー
ジです。通則、製剤総則、一般試験法、医薬品各条、標準品、これらの質を向上すべく、
第十五大改正以降の追補、一部改正、及び第十六改正を合わせ、通則では11項目の一部
改正を行いました。なかでも、製剤総則については大幅に見直しを行い、さらに全般的な
改正を行うこととしています。又、一般試験法については27の試験法が改正され、二つ
の試験法が新規に収載されました。そして、医薬品各条については、先に述べた新規303
品目とは別に、既収載品目の内容の質的向上を図るべく、改正が628品目に及ぶ予定です。
標準品の整備ですが、49品目が新たに追加される予定です。
 第3の柱の「国際化の推進」につきましては、10ページです。こちらは、日米欧の三
薬局方の国際調和が達成された事項のうち、第十五大改正以降の追補、一部改正、及び第
十六大改正を合わせ、9つの試験法と添加剤13品目を局方に反映することとなっており
ます。
 第4の柱の「必要に応じた速やかな部分改正及び行政によるその円滑な運用」について
です。こちらは、従来の大改正や追補以外にも部分改正を実施しております。そして、第
十五大改正から第十六大改正までの間に通常2回行う追補のほかに、緊急な安全対策、国
際調和に関する部分改正を4回実施しています。
 第5の柱「日本薬局方改正過程における透明性の確保及び日本薬局方の普及」につきま
しては、機構のホームページ上で局方原案審議過程における意見募集、原案審議の進捗状
況等を公開しています。さらに、平成15年より厚生労働省においても、ホームページ上
で日本薬局方を公開しています。先般の日本薬局方部会においては、本原案によって日本
薬局方を改正することが適当であるという結論に至りました。そこで、本分科会にその旨
を報告いたします。なお、詳細につきましては事務局より説明があります。御審議お願い
いたします。
○望月分科会長 ありがとうございました。事務局の方から補足等の説明をお願いいたし
ます。
○事務局 第十六改正日本薬局方の原案は、資料4と、資料4-1から4-9の10分冊でご
ざいます。改正概要については、部会長も用いられた資料4で説明いたします。
 1ページの1.「日本薬局方は、薬事法(昭和35年法律第145号)第41条第1項の規定
に基づき、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議
会の意見を聴いて定める医薬品の規格基準書である」ものとされております。
 2.「日本薬局方の改正歴等」ですが、第一版が明治19年に公示されて以降、度重なる
改正を経て、今般、来年3月末に第十六改正の公示を予定しております。昭和51年の第
九改正からは5年ごとの全面改正、昭和63年から追補を出すようになりまして、第十二
改正から現在のような二度の追補を出す形となっております。
 2ページの3.「第十六改正日本薬局方の作成基本方針等」につきましては、先ほど分
科会長から御説明のありましたとおりです。
 4.「日本薬局方の審議体制」ですが、原案作成審議は平成16年の機構設立に伴いまし
て、機構が行うこととなっております。機構におきましては、次ページにあるように、総
合委員会の下に必要な委員会を設置し、検討がなされました。
 4ページの5.「第十六改正日本薬局方の審議経過」ですが、平成21年4月から機構に
おいて原案の審議を行いました。既に、本年8月末に機構より原案の報告を受けておりま
す。9月28日に局方部会で審議しまして、本日分科会で御審議いただくものです。
 6.「今後の予定」ですが、厚生労働省で意見募集及びWTO通報を行った後、来年3
月に告示し4月より施行という流れでございます。
 次に改正案の概要について説明させていただきます。
 12ページの1.「通則」についてです。製剤総則の改正に伴う対応のほか、収載実態に
合わせた一部変更、原子量表を最新版に改める、使用頻度の高い単位を追加するなどの改
正を行っております。
 2.「生薬総則」では、生薬の新規収載に伴い、生薬総則などを適用する4品目を追加
しております。
 3.「製剤総則」では、剤形の分類を投与経路別に、大、中、小分類に区分するなど、
全面的に改正をしております。
 4.「一般試験法」につきましては、液体クロマトグラフィーなど15の試験法を改正し
ております。13ページの(2)には、試験法の名称の変更、(3)には追加する標準品を示
しています。
 5.「医薬品各条」につきましては、13~15ページにかけて示した106品目を新規収載
しております。15ページの(2)からは、改正する330品目について示しています。そし
て20ページの(3)に、削除される15品目を示しております。(4)については、名称変更
ですが、7品目について改正を予定しています。なお、吸水軟膏と親水軟膏については、
別名として、従前の名称を併記することとしています。その他(5)には含量に関する規定
の改正、22ページの(6)に製法の項の改正、23ページの(7)には粒度の項の削除、(8)
に水各条の改正に伴う製法の項の改正、(9)におきましては、成分含量測定法の項を定量
法に改正するものを示しております。以上です。よろしくお願いいたします。
○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、御質問等
はございませんか。
○神山委員 一点目は、11ページ又は6ページです。11ページに「インターネットを利
用した日本薬局方の公開」とあります。これは、現在インターネットでは公開していない
という意味ですか。
 もう一点は些末なことですが、資料4は厳重管理と書いてあります。しかし、具体的な
内容の案は厳重管理となっていません。どうして資料4が厳重管理なのでしょうか。目次
だけもらった方が良いと思います。内容が厳重管理ではないのに、目次が厳重管理という
意味が分かりません。教えてください。 
○望月分科会長 ただ今の二点について、説明をお願いします。
○事務局 まず、インターネットの公開についてですが、現在もインターネットにおいて
公開されています。
 そして資料についてですが、実は具体的な中身は、既に何度かパブリックコメントにか
けられおります。その為、実際には内容が既にほぼ公になっているのです。さらに、今回
資料4は最終版として作ったものです。これは、厳重管理という扱いにさせていただきま
した。
○望月分科会長 ほかには何か御質問はございますか。
 私から教えていただきたいのですが、3ページの「日本薬局方作成審議組織」です。厚
生労働省の日本薬局方部会と医薬品医療機器総合機構とありますが、国立医薬品食品衛生
研究所というのは、ここのどこの箇所に入るのでしょうか。
○事務局 特に国立医薬品食品衛生研究所は、この中には示しておりません。総合委員会
も含めて、この多くの委員会の委員として、国立医薬品食品衛生研究所の先生方にも御参
画いただき、意見を拝聴しています。
○望月分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問等はございませんか。よろしい
でしょうか。
 特段の御異議が無いということですので、議決に入りたいと思います。
 部会の報告を踏まえ、当分科会としても日本薬局方改正案について適当であると認める
旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。御異議無しと認めます。それでは、
薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会
の議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。答申案の文案その他の取り扱い
については私に御一任いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。 それで
は、そのようにさせていただきます。
 これより報告事項に入らせていただきます。御担当の部会ごとに区切って報告をいただ
くこととしますので、まずは副作用・感染等被害判定第一部会及び副作用・感染等被害判
定第二部会の関係の議題5から、簡単に説明をお願いします。
○事務局 議題5の「副作用・感染等被害判定結果について」報告します。資料5を御覧
ください。平成22年6月~平成22年8月までに開催されました副作用・感染等被害判定
判定第一部会及び、副作用・感染等被害判定第二部会の結果についての報告です。資料は
3回分をまとめたものを示し、その後ろに各部会の判定結果を示しています。
 資料1ページ、判定結果(まとめ)に沿って報告します。副作用被害判定については、新
規237件、継続17件、現況59件、改正1件の計314件について御審議いただきました。
結果は「支給決定することが適当と考えられるもの」が280件ありました。その内訳は「請
求どおり支給決定するもの」が155件等でした。又、「不支給決定することが適当と考え
られるもの」は26件ありました。さらに、その内訳は「疾病、障害又は死亡が医薬品の
副作用により発現したと認められないため、不支給とすることが適当である」11件等で
した。なお、感染等被害判定については、御審議いただいておりません。以上です。
○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御質問はございませんか。
 それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、医薬品第一部会、医
薬品第二部会の関係の議題6~16について、説明をお願いします。
○事務局 医薬品第一部会及び医薬品第二部会の議題6~16について報告いたします。
 議題6、資料6「ネバナック懸濁性点眼液0.1%」です。本品目は非ステロイド性抗炎
症薬の点眼剤であり、内眼部手術における術後炎症の効能・効果となっています。本剤に
つきまして、本年7月30日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認
して差し支えない旨の結論をいただいております。
 議題7、資料7「ザイザル錠5mg」です。本剤はヒスタミンH1受容体拮抗薬であり、
アレルギー性鼻炎等の効能・効果となっています。本剤につきまして、本年7月30日に
開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論をい
ただいているところです。
 議題8、資料8「サムスカ錠15mg」です。本剤はバソプレシンV2-受容体拮抗薬であ
り、ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留の効能・効果と
なっています。本剤については、本年7月30日に開催された医薬品第一部会において御
審議いただきました。承認して差し支えない旨の結論をいただいているところです。
 議題9、資料9「インヴェガ錠3mg、同錠6mg、同錠9mg」です。本剤はドパミンD2
受容体及びセロトニン5-HT2A受容体遮断薬です。統合失調症の効能・効果となっていま
す。本剤につきまして、本年8月26日に開催された医薬品第一部会において御審議いた
だき、承認して差し支えない旨の結論をいただいているところです。
 議題10、資料10「バイエッタ皮下注5μgペン300、バイエッタ皮下注10μgペン300、
バイエッタ皮下注10μgペン600」です。本剤はグルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニ
ストであり、2型糖尿病の効能・効果となっています。本剤につきまして、本年8月26
日に開催された医薬品第一部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論
をいただいているところです。
 議題11、資料11「ラディオガルダーゼカプセル500mg」です。本剤は放射性セシウム
による体内汚染の軽減の効能・効果となっています。本剤につきまして、本年8月26日
に開催された医薬品第一部会において御審議いただきました。こちらは、全例の使用成績
調査を承認条件として付すことにより、承認して差し支えない旨の結論をいただいていま
す。
 議題12、資料12「沈降インフルエンザワクチンH5N1『化血研』」です。本剤は新
型インフルエンザH5N1の予防の効能・効果となっています。本剤につきまして、本年
7月29日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、承認して差し支えない
旨の結論をいただいています。
 議題13、資料13「イナビル吸入粉末剤20mg」です。本剤はノイラミニダーゼ阻害薬で
す。A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療の効能・効果となっています。本
剤につきまして、本年7月29日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、
承認して差し支えない旨の結論をいただいています。なお、本剤につきましては分科会委
員の先生方に、事前に資料を送付し御確認いただき、本年9月10日に承認したところで
す。
 議題14、資料14「トレアキシン点滴静注用100mg」です。本剤は再発又は難治性の低
悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の効能・効果となっていま
す。本剤につきまして、本年8月30日に開催された医薬品第二部会において御審議いた
だき、全例の使用成績調査を承認条件として付すことにより、承認して差し支えない旨の
結論をいただいています。
 議題15、資料15「ナシビンMスプレー」の劇薬指定からの除外についてです。こちら
は、資料15の1ページに概要を掲載しています。本剤は8月23日に開催された、一般用
医薬品部会において、一般用医薬品として承認して差し支えないとされました。現在、オ
キシメタゾリン塩酸塩0.05%以下を含有する外用剤は、劇薬に指定されています。しか
しながら、本剤は製剤におけるLD50値が、劇薬指定基準を上回ります。そのことから、
本年8月26日開催の医薬品第一部会において御審議いただき、本剤を劇薬の指定から除
外することが適当である旨の結論をいただいたものです。
 議題16、資料16「希少疾病用医薬品の指定について」ですが、資料16を1ページめく
りますと一覧を掲載しています。医薬品の名称は三つあります。「Canakinumab」、
「KW-0761」、及び「5-アミノレブリン酸塩酸塩(5-ALA)」です。予定される効能・効果
は、それぞれ2歳以上でこの概要に示すクリオピリン関連周期性症候群、CCR4陽性の
成人T細胞白血病リンパ腫、及び悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の視覚化
となっています。さらに、これらの品目につきまして、本年7月又は8月に開催された医
薬品第一部会又は医薬品第二部会で御審議いただきました。その際、希少疾病用医薬品と
して指定することとして差し支えないとの答申をいただきましたので、2ページの一覧に
記載した日付にて、希少疾病用医薬品としての指定を行ったところです。
 続きまして文書報告について、二点説明します。まず一点目は、文書報告品目の中で承
認条件を付したものです。お手元に文書報告の資料一覧があります。
 一点目です。最初に、資料102の「ボトックス注用100単位、ボトックス注用50単位」
について、本剤は上肢痙縮及び下肢痙縮の効能追加に関する一部変更承認です。これらに
ついては「十分な知識、経験のある医師の下で用いられるよう措置を講ずること」、「失
活・廃棄に関して所要の措置を講ずること」を承認条件として付すこととされています。
 資料104「ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL」です。本剤は強直性脊髄炎の効能追加
に関する一部変更承認ですが、こちらについては承認に当たり、全例調査を承認条件とし
て付すこととされています。
 資料105「献血ヴェノグロブリンIH5%静注2.5g/50mL」です。本剤につきましては、
多発性筋炎、皮膚筋炎における筋力底下の改善の効能追加に関する一部変更承認ですが、
こちらについても承認に当たり、全例調査を承認条件として付すこととされています。
 資料108「ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL」です。こちらはクローン病の効能追加
に関する一部変更承認ですが、これにつきましても、承認に当たり全例調査を承認条件と
して付すこととされています。
 資料112「ラピアクタ点滴用バッグ300mg、ラピアクタ点滴用バイアル150mg」です。
本剤は小児用量の追加に関する一部変更承認です。承認に当たり、適切な製造販売後調査
を行うこと、インフルエンザウイルスの本薬に対する耐性化に関する国内外の調査結果・
情報を規制当局に報告することを条件として付すこととされています。
 二点目の説明ですが、土屋委員より事前に御指摘いただいています。文書報告の資料
101「アクレフ口腔粘膜吸収剤200μg、アクレフ口腔粘膜吸収剤400μg、アクレフ口腔粘
膜吸収剤600μg、アクレフ口腔粘膜吸収剤800μg」についてです。その御回答と共に、
説明します。まず、委員の方からは、「本剤の添付文書の有効成分欄には、基本単位とし
て『本』が使用されています。剤形欄にはバッカル錠『持ち手(ホルダー)』となっており、
薬価基準に収載する場合の単位が『錠』となってしまうことを危惧します。本剤について
は『錠』の概念とはほど遠いことから、本剤を処方する場合には、添付文書の包装欄に記
載してある『本』とすべきである」との御指摘をいただいています。こちらについては、
関係部署及び企業に対して、このような御意見があった旨を伝えさせていただきます。
○望月分科会長 医薬品第一部会長の松井委員から、追加の御発言はございませんか。
○松井委員 特にありません。
○望月分科会長 それでは、委員の方々からの意見、質問はございますでしょうか。
○土屋委員 資料15についてです。「ナシビンMスプレー」が、劇薬から外れるという
のはひとまず置き、ここの説明が「劇薬の指定基準以上の値を示していて、副作用も認め
られなかったことから劇薬の指定から除外する」と書いてあります。しかし、かつて劇薬
に指定した時は、この値はどうだったのでしょうか。恐らく長い間使っていて、「その安
全性が確認されているので、劇薬からは外す」ということなのだと思います。このような
解釈でよろしいでしょうか。この意味を履き違えますと、「一般用医薬品にする為に劇薬
から外した」というように読めてしまうこともあります。そのような意味で読まれるのは、
余り良くないことだと思います。その為、「今まで使い続け、その副作用など危惧された
ことが無く、安全性が確認されているので劇薬から外す」という考え方であると理解して
よろしいのでしょうか。
○望月分科会長 事務局から御説明ください。  
○事務局 まずこの薬はかなり古い承認です。当時は原体の毒性換算を利用し、それで指
定されたものです。しかし、実際に製剤換算で計算し直しますと、今回のような結果であ
ったということです。さらに、副作用につきましては、土屋委員御指摘のとおり、「使用
経験を積み、重篤な副作用の発現が少ないということが確認された」ということも合わせ、
今回のような判断となっています。
○望月分科会長 土屋委員、よろしいでしょうか。
○土屋委員 通常、一般用医薬品の時、入れ目を半分にするなど、そのような形がとられ
ます。今回の件では製剤換算という話ですが、以前ロキソニンで「一般用と医療用が全く
同じ用量」という件がありました。その時に現場では、昨日まで劇薬だったものが、なぜ
今日から普通薬になるのだという違和感がありました。そのようなこともあり、説明をき
ちんとしておかないといけないと思いました。そういった意味で確認をさせていただきま
した。
○望月分科会長 ありがとうございます。事務局から、何か御発言はございませんか。
○事務局 特にございません。
○望月分科会長 ほかには、ございませんか。赤堀委員お願いいたします。
○赤堀委員 資料109を拝見しますと、プラセボ群が7.1%有効であったということです。
投与群で35.6%で有効性が確認されたということで、統計学的には有意差があるという
ことで出てきています。これは治療薬ならともかく、検査の前に投与する前投薬として用
いるものです。極端なことを言えば、投与した結果「3人に2人は蠕動を抑制しなかった」、
あるいは「1人しか抑制しなかった」という時に、臨床医学的に有意義と言えるかどうか
が疑問です。あらかじめ投与される方が、何らかの基準で「効果のある人」と「効果の無
い人」に区別できて「効果のみられる人に」投与するということであれば、それなりに意
義があると思います。しかし、投与し、「3人のうち2人は効果が無い」という薬剤を検
査の為に使うことの有意義性を少し御説明いただけますか。
○望月分科会長 事務局から、御回答をお願いします。
○新薬第一部長 この医薬品につきましては、注射剤が同様の目的で従来より使われてき
ました。これは、内視鏡検査の前に注射をしなければいけません。この品目については、
内視鏡を入れた後、内視鏡の側腔から注入することができます。その為、「利便性がかな
り上がっているだろう」ということ、さらに「有効性が万一認められなかった場合には、
後から注射を別製剤で投与することで対応もできるだろう」ということも含めて、一つの
選択肢として意義があるのではないかと判断しました。
○赤堀委員 そのようにすると検査をする前には何の処置もせず、検査を始めて蠕動運動
があったので、検査時に投与することで効果を得ようということでしょうか。
○新薬第一部長 そのような使い方も可能だと思います。
○赤堀委員 現在は、ほぼ無条件に注射によって前投与し、蠕動抑制をするという処置を
していますね。
○新薬第一部長 もう一つ付け加えますと、現在使われていますブチルスコポラミン等に
ついては、禁忌等のこともあり、本剤については、ほとんど副作用が認められません。安
全性については特段の懸念が無いということもありますので、そのような場合にも本剤を
使えるだろうということから、有用性を認めています。
○赤堀委員 最近は、抗コリン剤に代わってグルカゴンを使っています。推奨されて使わ
れていますが、本製剤はより副作用が無いということでしょうか。
○新薬第一部長 グルカゴンにつきましても、いくつか慎重投与等の規定があります。そ
れを勘案して選択肢の一つとして、これが使えるのではないかということです。
○赤堀委員 少し分かりませんが。
○松本委員 例えそのグルカゴンなり、ブチルスコポラミンを注射しても、実際上内視鏡
で見ていると、胃腸が動くことがあります。それに投与して、もし止まるのであれば、か
なり有用性があると思います。先ほどの先生の御発言で、有効性が余り無いということだ
と少し微妙ではありますが。確かに途中で動きだすことがあります。それに、もし噴霧し
て動きが止まり、観察が非常に簡単にできるようになるのであれば、かなり有効性がある
とは思うのですが。先ほどの先生の御発言からいくと、有効性はどうでしょうか。それだ
けですね。有効性はあると思います。注射を打とうと打つまいと、実際胃腸が動く人は動
きます。
○赤堀委員 使い方としては従来、既存の薬物を使って、そして蠕動運動が抑制されてい
ない場合に限って投与するということですね。
○松本委員 それは分かりません。そのようになっているわけではないと思います。
○新薬第一部長 そのような制限をしているわけではありません。付け加えさせていただ
きますが、審査報告書の27ページを御覧ください。先ほどの委員御指摘の23ページの数
値が、蠕動運動が全く無しとなった患者の割合です。27ページでは「検査しやすい」及び「非
常に検査しやすい」を割合として見ますと、ここに示されたような、50~60%から80%程
度の比率となります。その為、検査を行う上でこの程度の比率になっているということで
す。検査をやる上である程度意義があるということは認められると考えています。
○望月分科会長 よろしいですか。ほかにはどなたか御意見はございますか。
○笠貫委員 資料8「サムスカ錠」ですが、これは重要な薬剤で、臨床的には大変意義が
あると思います。使い方の添付文書の警告の箇所にもありますが、「急激なナトリウム濃
度の上昇」が大きな安全性の問題です。効能・効果には、ナトリウムを流出する他の利尿
剤と併用して使うのだと書いてあるので加えればこれで分かります。しかし、警告の箇所
で非常に大事なことなので、頻回にナトリウム濃度を測定するだけではなく、こういった
利尿剤との併用が必要だということを警告の中に入れた方が良いのではないかと思いま
す。そのような意味で、サムスカ錠の血中濃度を上げるCYP3A4については、阻害作用を
十分に気をつけるということが併用注意に書いてありますがこれも警告のところに載せ
た方が、安全性はより高まるのではないかと思います。
 二点目ですが、資料10-1です。これもバイエッタの臨床的意義は十分理解できますが、
効能・効果の書き方の意味が少し理解できません。その原因は、ここに破線での効能・効
果に関連する使用上の注意という箇所が、「本剤の単独療法に関する有効性及び安全性は
確立していない」ということです。そして、まず他剤が無効だということが、効能の中に
うたわれています。いわゆるスルホニルウレア剤が無効で、十分な効果が得られない場合
に使うということですね。この破線の中では単独で有効性、さらに安全性も確認されてい
ないということは、これは「併用で使いなさい」ということを意味しているのでしょうか。
この効能・効果の箇所と用法・用量の箇所には、そこは触れられていなくて、破線の中で
この一文が入っているという位置付けですが、これをもう少し分かりやすく説明していた
だけたらと思いました。
○望月分科会長 資料8から御説明をお願いします。
○新薬第一部長 サムスカ錠の件ですが、先生がおっしゃるように「この薬の急激なナト
リウム上昇が心配される」ということについては、警告に記しています。利尿薬と併用す
る位置付けについては、確かに警告の欄には書いてはいませんが、「効能・効果」と「効
能・効果に関連する使用上の注意」を書きます。まずはそこを使い方として打ち出し、あ
えてそのことについて警告にまで二重記載をしなくても良いのではと審査の中で判断し
ました。
 もう一点、CYP3A4の阻害薬に関しても「実際に相互作用の試験をされているもの」と
「その試験結果から類推されるもの」ということで、二つの観点から書いています。これ
についても、相互作用のところに書けば、警告にまで書く必要が無いと審査の中では考え
ました。ただし、先生がおっしゃるとおり、この薬の作用のこともあります。その為、ほ
かの薬との危なさの並びなども、改めて検討させていただきます。そして、警告に書くほ
どかというところについて、検討をさせていただきたいと思います。
○笠貫委員 他の利尿剤と併用して使わなくてはいけないというほどの効能・効果は、非
常に特殊な薬です。やはり、これは警告欄に入れるべきであると思うのですが、御検討く
ださい。
○望月分科会長 警告する方向で御検討いただきたいということです。ほかには御意見は
ございますか。何か追加ですか。
○新薬第一部長 資料10-1「バイエッタ皮下注5μgペン300等」の件です。こちらは、
委員御指摘のとおり、この品目については、スルホニルウレア剤を中心とした経口剤によ
る治療を行った上、効果不十分な患者に限り臨床試験が行われています。したがいまして、
効能・効果に関連する使用上の注意の中で記載したように、本剤のみの単独療法について
は、臨床試験成績が無いということでございます。
○笠貫委員 サムスカ錠の場合には「副作用を予防する為」ということで、ほかの利尿剤
と併用しなさいと効能・効果に書いてあります。これは、ほかのスルホニルウレア剤が無
効な場合に、この薬を併用して使うと有効性、安全性は確認されているということですね。
単剤の場合は、確認されていないのであれば、それを明確に書いた方が良いと思います。
要するに、十分な効果が掲げられていない場合に、併用で使うということですね。単独に
ついては有効性・安全性が確認されていないとすると、今は併用されたものだけが確認さ
れているということです。それは効能・効果にきちんと書くべきです。そうしなければ、
非常に分かりにくいです。この薬の有効性・安全性が立証・検証されているのは、「併用
した場合だけ」ということを効能・効果にきちんと書いた方が良いというのが私の意見で
す。
○望月分科会長 ただ今のコメントにつきまして、いかがでしょうか。
○新薬第一部長 他の糖尿病治療薬での効能・効果、あるいは関連する使用上の注意の記
載も踏まえまして、検討いたします。
○望月分科会長 よろしくお願いします。ほかに何か御意見はございますか。よろしいで
すか。委員の方からの御指摘を検討するということで、本件について御確認いただいたも
のとします。
 続いて医療機器・体外診断薬部会の関係の議題17、18について、説明をお願いします。
○事務局 議題の17、資料17「ウシ心膜パッチの高度管理医療機器、管理医療機器又は
一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」です。まず審議結
果の報告書ですが、このウシ心膜パッチは、平成22年8月19日に開催された医療機器・
体外診断薬部会で御審議いただきました。その結果としまして、ウシ心膜パッチを高度管
理医療機器として指定しました。又、特定保守管理医療機器への指定は、不要とすること
が適切であるという内容です。裏を御覧ください。今回、御審議いただきましたウシ心膜
パッチですが、こちらはウシの心のう膜をグルタルアルデヒド溶液で処理をしたもので
す。そして、心中隔欠損若しくは心筋の組織損傷などの閉鎖・修復に用いられるものです。
 1.「高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定について」です。この
ウシ心膜パッチというものは、不具合又はその機能の障害が生じた場合に、人の生命及び
健康に重大な影響を与える恐れがあるということで、その適切な管理が必要なものとし
て、高度管理医療機器として新たに指定をさせていただいています。又、特定保守管理医
療機器の指定につきましては、保守点検等は必要ないということで、指定はしないという
ことで、結果としてクラス分類はIV、特定保守管理医療機器としては非該当という御審
議の結果です。
 議題18、資料18「ウシ血清アルブミンの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の
要否について」です。前回8月19日の議題17と同日の部会で御審議いただいた結果「ウ
シ血清アルブミン」は生物由来製品として指定することが適切であるとされました。概要
の裏を御覧ください。ウシ血清アルブミンの生物由来製品の指定ですが、ウシ血清アルブ
ミンを含有する医療機器(外科用接着剤)の指定についての御審議をいただきました。外科
用接着剤ですが、ウシ血清アルブミンとグルタルアルデヒドを混和する接着剤です。大動
脈の解離口や大動脈解離口の閉鎖術の際に、人工血管の縫合部位の接着・止血に用いるも
のです。この製品に使われているウシ血清アルブミンは、生物由来原料基準、反芻動物由
来原料基準、動物由来原料基準に適合します。しかし、人獣共通感染症に関するリスクを
完全には否定できないということから、部会において生物由来製品に該当するということ
で、御審議いただきました。
○望月分科会長 ありがとうございます。医療機器・体外診断薬部会長の笠貫部会長から
追加の御発言はございますか。 
○笠貫委員 特にございません。
○望月分科会長 それでは本件について、委員の先生方から御意見がございますでしょう
か。特に無いようですので、本件についても御確認をいただいたといたします。続いて指
定薬物部会の関係の議題19について、説明をお願いします。
○事務局 資料19、「指定薬物の指定について」ですが、麻薬に類似をした違法ドラッ
グは、脱法ドラッグというように称されて販売されている実態がございます。そのことか
ら、違法ドラッグの乱用が社会問題化し、これに対応する為に平成18年の薬事法改正に
より、指定薬物の制度を設けています。指定薬物とは、薬事法第2条第14項におきまし
て、中枢神経系の興奮、若しくは抑制、又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ人の
身体に使用された場合に、保健衛生上の危害が発生する恐れがあるものとして、厚生労働
大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、指定をするものとされています。法律上は、
このような乱用の恐れがある物質について、指定薬物に指定します。このことから、製造、
輸入、販売、授与、及び販売の用に供するための貯蔵、陳列といった行為は禁止されてい
ます。
 本年6月30日に、第1回指定薬物部会が開催され、資料19に記載されている5つの物
質について、指定薬物に指定することの可否について御審議をいただいたところです。審
議の結果、中枢神経系への作用を有する蓋然性が高く、又新たに国内において流通が認め
られ乱用された場合、保健衛生上の危害が発生するおそれがあるものとして、指定薬物と
して指定することが適当であるとの御意見をいただいています。
 また、本件5物質の指定薬物への指定につきましては、8月25日に指定薬物に指定す
る旨の官報告示を経まして、9月24日から規制が行われました。
○望月分科会長 ありがとうございました。部会長である私からは、特に補足する点はご
ざいません。委員の先生方から何か御意見がございますか。よろしいですか。
 それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、化学物質安全対策部
会の関係の議題20について、説明をお願いします。
○事務局 議題20、資料20「1、2、5、6、9、10-ヘキサブロモシクロドデカンに関
する有害性調査指示について」です。本物質はHBCDと省略され、樹脂用難燃剤、繊維
用難燃剤として使用されている物質です。本物質の性状については、2枚後に参考資料を
付けておりますので御覧ください。
 本物質、HBCDは難分解性かつ高蓄積性であり、毒性が不明であったことから、化学
物質の審査及び製造等の規制に関する法律、通常「化審法」と省略されている法律ですが、
これに基づき、平成16年9月に第一種監視化学物質に指定されています。第一種監視化
学物質については、人もしくは環境に対する長期毒性があり、さらに、環境の汚染のおそ
れがある場合、第一種特定化学物質に指定されることになります。そして、製造・輸入が
厳しく規制されることになります。
 HBCDの人に対する長期毒性に関しては、齧歯類を用いた二世代繁殖試験を実施して
います。その結果を基に平成20年に化学物質調査会において、「現時点で収集された情
報からは、第一種特定化学物質に該当するとは判断されない」という審議結果をいただい
ています。他方、環境影響については、鳥類に対する長期毒性について環境省が行いまし
た予備的検討において、毒性を疑わせる結果が得られたことから、審議会でHBCDのさ
らなる有害性について、調査を指示すべきか御検討いただところです。
 先ほど申し上げた環境省の行った毒性試験を基に、先月開催された化学物質安全対策部
会及び、その下の化学物質調査会で検討が行われた結果、表紙から1枚めくった所にある
ような結論となりました。有害性調査指示の詳細については、鳥類の繁殖に及ぼす影響に
ついての調査を行うこと、報告期限を指示後18か月とすべきことなどとされています。
なお、これらの会議については、化審法を共管する経済産業省及び環境省の審議会と合同
で開催されています。
 そして、表紙の一番下の2.今後の予定として、9月中を目処に調査の指示を行う予定
である旨の記載をしていましたが、昨日の9月30日付で有害性調査の指示を発出したこ
とを併せて報告いたします。調査の報告が提出されましたら、その結果を基に、第一種特
定化学物質への該当性について、再度審議会の方で御審議いただく予定としています。
○望月分科会長 ただ今の説明に御意見・御質問等はございますか。よろしいですか。そ
れでは、本件について御確認いただいたものといたします。続いて、その他事項の議題
21、資料21、「医薬品第一部会及び医薬品第二部会の所掌の見直しについて」の説明を
お願いします。
○審査管理課長 当日配布資料21を御覧ください。「医薬品第一部会及び医薬品第二部
会の所掌の見直しについて」です。前回の薬事分科会で、新薬の審議をお願いしています
医薬品第一部会、医薬品第二部会におきます品目について偏りが見られることから、事務
局で案を作成させていただく旨を説明させていただいたものです。改正案の内容ですが、
2.を御覧ください。現行は、医薬品第二部会については、抗菌性物質製剤、化学療法剤、
抗悪性腫瘍剤、血液製剤、生物学的製剤を御審議いただいており、それ以外のものについ
ては、医薬品第一部会で御審議をお願いするという所掌です。
 移行後については、呼吸器官用剤、アレルギー用剤、感覚器官用剤を医薬品第一部会か
ら医薬品第二部会に移行するという変更をさせていただくことで、案を作成させていただ
いています。この案でいきますと、参考の方にある、移行前の昨年度の品目数は医薬品第
一部会が71、医薬品第二部会が29に対して、移行後は医薬品第一部会が56、医薬品第二
部会が44となります。施行についての予定ですが、本日御了解いただければ、薬事分科
会規程を改正させていただきます。そして、10月に開催予定の新医薬品の医薬品第一部
会、医薬品第二部会から適用させていただきたいと思っています。
 次ページ、薬事分科会規程の一部改正に関する規程の改正案でございます。その後ろの
方は、新旧対照表となっています。
○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして、委員の方々から
御意見・御質問はございませんか。
○松井委員 医薬品第一部会の部会長ですが、私どもの前任者が、大変忍耐強かったのだ
と思います。御配慮いただき、どうもありがとうございました。
○望月分科会長 ほかには、どなたか御意見はありますか。医薬品第二部会の方からは、
特に御意見は無いのでしょうか。ほかは、よろしいでしょうか。それでは本件について薬
事・食品衛生審議会規程第5条に基づき御了承していただいたものとします。よろしいで
しょうか。それでは本日の議題は全て終了いたしました。
 次の薬事分科会は、12月24日(金)14時からを予定しておりますので、よろしくお願い
いたします。
 それでは、これで薬事分科会を閉会させていただきます。本日は、長い時間どうもあり
がとうございました。


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 総務課 課長補佐 高林(内線2714)

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