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2010年9月14日 第13回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成22年9月14日(火)
17時~19時


○場所

厚生労働省省議室


○議事

第13回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 議事録

【日時】平成22年9月14日(火) 17:00~19:00
【場所】厚生労働省 省議室
【出席委員】(50音順)
飯沼委員、池田委員、今村委員、岩本委員、岡部委員、加藤部会長、北澤委員、
倉田委員、澁谷委員、廣田委員、古木委員、保坂委員、宮崎委員、山川委員、
【参考人】
薗部参考人、手塚参考人
【行政関係出席者】
≪健康局≫
外山局長、篠田大臣官房審議官、松岡総務課長、
亀井結核感染症課長、神ノ田新型インフルエンザ対策室長、
藤井新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長、駒木健康対策調整官、
≪医薬食品局≫
間杉局長、平山大臣官房審議官、中垣総務課長、


○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 それでは、第13回厚生科学審議会感染症
分科会予防接種部会を開催いたします。まずは事務局より、本日の委員の出欠状況について
ご報告申し上げます。本日は木田委員、黒岩委員、坂谷委員、櫻井委員からご欠席の連絡を
いただいております。委員19名中15名の委員にご出席をいただいておりますので、本会
議は成立いたしますことをご報告申し上げます。それでは加藤部会長、進行をよろしくお願
いいたします。
○加藤部会長 どうも皆様、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。ただいま
より部会を開催いたします。まず事務局より、資料の確認をお願いいたします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 まず、机上に座席表と部会の委員の一覧を
置いております。それから議事次第、配付資料、1枚紙で資料1が本日のプレゼンテーショ
ンについて、資料2-1として薗部先生からのご提出資料が11頁まであります。資料2-2と
して、手塚先生からのご提出資料が4頁まであります。資料3が1枚紙、資料4-1が1枚紙、
資料4-2が4頁までのカラーのもの、資料5-1が1枚紙、資料5-2が6頁までのカラーのも
の、資料5-3が3頁までのカラーのものです。また、参考資料1として3頁までのもの、参
考資料2として、委員の皆様から事前にご提出いただいた資料が11頁まであり、前半が廣
田先生からのご提出資料、最後の11頁が北澤先生からのご提出資料です。
 それから机上だけの配付にさせていただいておりますが、2つ厚い資料、「予防接種制度
の見直しに向けたご意見の募集」の集計結果があります。これは4月、5月にかけてインタ
ーネット等でご意見を伺った内容について、第9回の資料として全部をお配りしており、厚
労省のホームページにも掲載しておりますが、本日の議論にかかわる部分のみ抜粋して置か
せていただきました。これは事前に委員の先生方にお送りしているものと同じです。以上、
不足や不明な点がありましたら、事務局までお申しつけください。
○加藤部会長 よろしいですか。
○廣田委員 私は2編の論文を参考資料2として提出しております。本日、予防接種行政の
変遷という発表があるということで、インフルエンザ予防接種プログラムの歴史を書いたも
のを提出しております。日本ではインフルエンザワクチンが効かないと言われていて、海外
の人が非常に不思議がり、いちいち説明するのが大変だということでまとめたものです。2
編目は、20年前に行われた前橋医師会の前橋スタディーについての論文です。多くの方が
本来の研究報告書を読まずに、前橋スタディーがインフルエンザワクチンは無効であること
を証明したという感じで誤解されております。これは有効性を控え目に解釈されたスタディ
ーで、決して無効の根拠ではないということを示したものです。これらを提出させていただ
きました。
○加藤部会長 それでは議事に入ります。本日の第1の議題である「予防接種に対する考え
方について」は、有識者の先生方からヒアリングを行った後に議論を進める予定でしたが、
プレゼンテーションをいただく手塚参考人が遅れて参加と伺っておりますので、先に議題2
の「予防接種に関する評価・検討組織のあり方について」ということで、議論を行っていた
だきます。それについて事務局の藤井次長より、資料のご説明をお願いいたします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 資料番号と説明の順番が変わりますが、資
料のご説明を申し上げます。まず資料3の1枚紙をご覧ください。こちらに予防接種制度、
予防接種法に記載されている制度の全体像についてのポンチ絵を描いております。上下2
段になっておりますが、上、第1条に掲げられている予防接種法の目的は、「伝染のおそれ
がある疾病の発生及びまん延を防止するために、予防接種を行い、公衆衛生の向上及び増進
に寄与するとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的とする」とさ
れております。その上で第2条には、予防接種を行う疾病とはということで、「一類疾病」、
「二類疾病」があります。これは事務局のミスですが、一類疾病の中から結核が抜けており
ました。申し訳ございません。「その他、政令で定める疾患」というのが一類疾病にあり、
ただいま痘瘡が定められております。二類疾病についてはインフルエンザで、こちらには政
令で定めるという規定はありません。また、定期接種、臨時接種の別があります。
 その上で実施体制があり、市町村、都道府県等々の役割があります。実施においては健康
被害等の報告が、市町村、都道府県、国という形で上がってまいりまして、予防接種健康被
害調査委員会、あるいは疾病・障害認定審査会という所で審議がされております。その上で
すが、知識の普及というのが19条に規定されており、研修あるいは調査研究等々がなされ
ております。これが制度の主な全体像です。
 下のほうをご覧いただきますと、「第一次提言」においては6つの検討すべき事項が挙げ
られております。1から6までありますが、本日は赤字で示している丸1の「予防接種法の
対象となる疾病・ワクチン」についてです。各論については小委員会でご議論いただいてお
りますので、その他の総論的な部分と、?Dの「予防接種に関する評価・検討組織」について
のご議論をいただきたいと思っております。
 評価・検討組織の議論を先にしていただきますので、資料5-3をご覧ください。資料5-3
は「各国における予防接種に係る評価・検討組織」ということで、一覧を付けております。
これまでACIP、米国における仕組みについてはヒアリング等でもご説明を受けております
が、フランス、ドイツ、英国についても、各国のホームページ等により情報収集をして整理
したものです。そのホームページの基は、3頁の下に掲げております。
 1頁をご覧ください。まず、名称はこのようになっております。米国については「機能」
の所に書いてありますように、「全米ワクチン計画」の策定・実施ということで、NVACが
担当しております。接種スケジュール等についてはDHHSという、米国の厚生省に相当す
る組織というように認識しておりますが、そこの疾病管理・予防センター(CDC)に対して助
言を行うこととなっております。
 この関係については3頁をご覧ください。政府機関として、DHHSの中のワクチン・プ
ログラム室(NVPO)というのがあり、下に解説がありますように、そのもとにNVACが「全
米ワクチン計画」を策定しております。DHHSの1つの部署であるCDCがACIPとつなが
っております。こちらの作業はCDCの国立予防接種・呼吸器疾患センターが事務局という
か、サポートを行っているという体制のようです。
 また1頁に戻ってください。ここでは勧告等の影響力について整理しております。ACIP
においてはVFC(Vaccine for Children計画)に採用されると書いており、このVaccine for
Children計画でカバーされるお子様の割合は、55%ぐらいと聞いております。フランス、
ドイツ、英国については、最終的な内容は保健大臣が判断いたします。ドイツにおいては各
州ごとに判断、英国においては保健大臣が受諾し実行できるようにしなければならないとな
っております。詳細はその下に書いておりますのでご覧ください。フランスでは全国一律に
適用され、ドイツでは州が定める等々の内容を記載しております。
 2頁です。委員の構成ですが、NVACについてはワクチンの調査・製造、あるいは予防接
種に関係する保護者団体が位置づけられております。ACIP以降右のほうは専門家の集団で、
私が認識するに、当部会の構成と非常によく似ているのではないかと考えております。3と
して開催頻度等があります。それぞれ定期的な開催が行われているようです。利益相反関係
については不明の所もありますが、ほかはすべての所で「あり」と書いてあります。事務局
はそれぞれ厚生労働省のような政府機関が事務局となっている所や、ドイツではロバート・
コッホ研究所が事務局になっているようです。「各国における予防接種に係る評価・検討組
織」の状況は以上です。
 資料5-2をご覧ください。ここでは日本ではどうなっているかという資料を作成いたしま
した。2頁以降は第9回の資料2-1でお示ししたものを一部抜粋していますが、1頁の下の
ほうはその全体の位置関係について新たに作っております。黒線で結んでいる所が常設のも
のというか、制度に基づいて位置づけられているものです。線がつながっていないものはそ
れ以外のものというように書いております。
 4頁をご覧ください。下のほうの、予防接種後副反応・健康状況調査検討会については、
局長の私的検討会という位置づけになっております。また、6頁の上の、ワクチン産業ビジ
ョン推進委員会についても、医薬食品局長の私的検討会という位置づけになっており、1頁
の下のほうにありますように、そういった位置づけにあるものが、それぞれ線でつないでい
ないものです。その他のものとしては予防接種後副反応報告・健康状況調査検討会、麻しん
対策推進会議、ワクチン産業ビジョン推進委員会、インフルエンザワクチン需要検討会等が
あります。
 予防接種部会は、いちばん上の厚生科学審議会にあります。これには2つの分科会と9
つの部会があり、その分科会の1つである感染症分科会のもとに、部会として昨年の12月
に設置されたものです。現在、ワクチン評価に関する小委員会、日本脳炎に関する小委員会
等が設置されております。そのほかに関係する機関として右側に、国立感染症研究所があり
ます。これは品質確保、検定等について検討していただいている組織と考えております。そ
れから医薬品医療機器総合機構等があります。まだ漏れがあるかもしれませんが、予防接種
に関しての議論、検討を行っていただいている組織というのは、部局を跨いでこのような構
成になっているという図をお示ししました。以降の説明は以前の資料を準用しておりますの
で割愛いたします。
○加藤部会長 ただ今、資料3と資料5についてご説明いただきました。とりあえず資料3
について、各委員の皆様からご意見やご質問がありましたら承りたいと思います。いかがで
しょうか。
○宮崎委員 予防接種の体制の中で一類疾病、二類疾病ができているわけですが、私の理解
では、二類というのは、一類、二類をつくって、その中で二類に適当な高齢者のインフルエ
ンザが当てはまるので入れたというよりは、高齢者のインフルエンザをやるために二類をつ
くったのが平成13年度だったかなと思うのです。そういう意味では一類、二類がきちんと
整理されたことはなかったのではないかと思っています。一方で一類と二類と言うときに、
一類は努力義務を課すけれども二類には課さない、それをもって補償の高い低いを決めてい
るというような説明を従来されているように思います。これからいろいろなワクチンをどう
いう所に位置づけていくかは、いろいろ議論があると思うけれども、国がきちんと認可した
ものを広く国民、特に子どもたちが受けていくとすれば、一類であっても二類であってもき
ちんと補償していくという考えもあるのではないかと思うのです。これまでの経緯とこれか
らについて、国の考えがあったらお聞きしたいと思います。
○加藤部会長 いかがでしょうか。事務局から何かご意見はありますか。これについては後
のほうの予防接種のあり方というところで検討する予定になっておりますが、その時でよろ
しいでしょうか。
○宮崎委員 いいですよ。
○加藤部会長 とりあえず資料3について、何かご意見がありましたらどうぞ。よろしいで
すか。それでは資料5についてご意見をいただきます。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 1つ説明し忘れておりました。先ほど資料
3と資料5-2、5-3を説明申し上げましたが、資料5-1のご説明を失念しておりました。資
料5-1は1枚紙で、先ほどご説明申し上げた内容等を踏まえて、本日、「委員の皆様にご議
論いただきたい事項」ということで、いくつかまとめております。前回の資料において、こ
れまでの部会で参考人や委員の先生方にご発言いただいたものを、少しまとめてご提出申し
上げましたが、その中で少し骨太のご議論をいただけたらと思って作った資料です。
 丸1が「組織についての考え方」です。先ほどお示ししたように、我が国では各論として
はそれぞれの会議でご検討いただく場がありますが、常設あるいは設置根拠に基づいて、い
まご検討いただいている組織がないというのが現状です。そういったものの役割について、
どのように考えたらよいかということ、その期待される役割を踏まえて、この組織の実施体
制や運営上の留意点について、どのようなことが考えられるかということ、位置づけやメン
バー構成等々についてご意見をいただければ幸いと考えております。ウですが、評価・検討
組織において議論をサポートする体制についてです。先ほど事務局体制等について、各国の
状況を申し上げました。行政府が行うべきか云々ということについても、ご議論いただけれ
ばと思っております。
 丸2は「評価に対する考え方」です。丸1のアとも関係いたしますが、評価・検討組織に
おいて役割を果たしていく上で必要な情報、あるいは評価をするために必要な情報というの
は何なのかということについて、ご意見を賜れれば幸いです。これまでもサーベイランス、
予防接種の健康被害、副反応等々についてのご意見が出ていたと思いますが、また追加して
ご議論をいただければと思っております。イではこれらの情報を収集するための体制という
ことで、誰がどのように何に基づいてということについて、少しご意見をいただいて今後、
事務局でまとめていく参考にさせていただければ幸いです。ウでも感染研、PMDA、その
他の機関の役割について、PMDAは薬事法に基づく健康被害やワクチンの承認に当たって
の審査機関ですが、そういった機関との連携体制、あるいは関係について、ご議論を深めて
いただければと思っております。
○加藤部会長 ただ今ありましたように、資料5に関しては、組織についての考え方と、2
番として、評価に対する考え方ということで、ア、イ、ウが関連しているわけです。この資
料5について、各委員のご意見またはご質問がありましたら伺いたいと思います。よろしく
お願いいたします。それをお聞きして、今後の取りまとめの参考とさせていただきたいと思
いますので、ご意見がおありの委員の方はどうぞお願いいたします。北澤委員、何かご意見
はありますか。
○北澤委員 自分の意見は、廣田先生の参考資料の末尾に付けました。具体的な組織をどう
すべきという意見というよりは、むしろその組織でこういうことをやってほしいという意見
ですので、組織そのものについては、ほかの方の意見を先にお聞きしたいと思います。
○加藤部会長 組織のあり方等について、保坂委員はいかがでしょうか。
○保坂委員 特別な意見はありません。とにかく早くつくったほうがいいということのみで
す。
○加藤部会長 組織をということですか。
○保坂委員 早くきちんとした組織をつくることに全力を挙げていただきたいと思います。
○加藤部会長 倉田委員、組織についてはいかがですか。 
○倉田委員 こういう委員会は数限りなく、いろいろな分野にあるわけです。もしACIP的
なものを目指すとしたら、これは完全に行政ですから、行政と連携したような、あるいは、
そのまま意思決定ができるものを。この委員会はいろいろなことを述べますが、意思決定を
最終的にこの委員会がするわけではないのです。要するに2段目、3段目のところを飛ばし
てきちんと決められるようなものにするかしないかということです。日本のいまの行政に、
そういうものはないですよね。委員会で最終決定をしたことが、そのまま行政として動くと
いうことはほとんどないと思うのです。要するに、やるならそこまでやるようなものにしな
いと、ACIPなどをいくら真似してもしょうがないのです。
 ACIPはそのまま行政の組織ですから、そもそもそういうことが1つの重要なテーマとし
て、予防接種部会は始まっていると思うのです。そうだとしたら、そういう意思決定ができ
るような構造にしていく。どういうことかというと、CDCの場合は法律家も倫理関係も全
部入っていますから、そういう人たちがやる格好になっているのです。何かのワクチンの専
門家だけがやっているわけでは全然ないのです。そのようなものをやるならば、そういう組
織を考えた上でやるべきだと私は思っています。
○加藤部会長 意思決定ができるような組織という意味ですか。
○倉田委員 やるならそれでやってほしい。
○加藤部会長 岩本委員は。
○岩本委員 全く頭が整理できておりません。先ほどのご説明の中で、おそらくワクチンな
どの薬品の承認の機構としてPMDAがあると思いますが、それは薬事法に基づいてつくら
れているという話がありました。資料5-2の下の図で、認められたワクチンの予防接種後の
副反応とか健康状況調査の検討会というのは、基本的に厚生労働省の中にあります。その上
で、薬事法でPMDAが決められているのであれば、予防接種による副反応や健康状況調査
が、どういう法律で規定されているのかがわかりにくいということと、感染症に関しては、
感染症法というのがあると思うのですが、今回、もしこういう組織をつくるのであれば、そ
れはどういう法律に基づいてつくられていくのか。例えば、予防接種法を改正してその中の
組織として位置づけるのか、先ほどありましたように、厚生労働省の健康局長、他の局長の
私的検討会のような役割をするのか、その辺が非常にわかりにくいので考えもまとまらない
のです。
○加藤部会長 そうすると、もう少し責任があるような制度をつくるべきだろうというご意
見ですか。
○岩本委員 いや、基本的にはワクチンと感染症に関して、感染症法と予防接種法と薬事法
の3つで整理して考えていいのかという質問が第1です。ほかにもう少し絡む法律があるの
か。それであれば、いま言っている組織はどこにはまるのかという質問です。
○加藤部会長 先生のご意見はいかがですか。
○岩本委員 それが私にはよく見えないのです。いろいろな歴史があったり事情があったり
するのは分かるのですが、医薬品を承認すればその副反応や健康状況調査も、なるべく統一
的に考えるとか、できないのでしょうか。感染症の発生などに対応して、感染症研究所があ
ると思いますので、国の感染症対策の中で、ワクチンに関する組織を別途予防接種法の中に
位置づけるのが適当かどうか、私は頭が整理できないのです。法律の中にちゃんと位置づけ
るのか、それともある諮問機関としてやるのか。この私的検討会というのがちょっと。国の
中の私的検討委員会とは何だろうかという気もするのです。その辺の位置づけがわかりにく
いので、もしその辺がはっきりするのであれば、その上でどういう組織をつくるのか、考え
ようもあると思います。
○加藤部会長 山川委員、どうぞ。
○山川委員 いまの岩本先生のご意見にも関連するのですが、今回「予防接種に関する評
価・検討組織のあり方について」という議題を立てられた行政側、事務局側の問題意識がど
ういうところにあるのかということを伺いたいと思います。確かに資料5-2を拝見しますと、
予防接種に関する審議会、検討会等というのは、いま勘定すると7つぐらいの組織が並行し
て走っています。テーマは微妙に違うのかもしれませんが、それぞれの組織、部会、委員会
などは法令に基づいて設けられているものもあれば、岩本先生がおっしゃったように、局長
の私的検討会、あるいは私的勉強会ということで設けられているものもあります。また、「麻
しんに関する特定感染症予防指針」という厚生労働省の告示に基づいてできているものもあ
ります。確かにこの設置の根拠というのが非常にバラバラで、しかも多数の組織が並行して
走っています。これは私の感じなので、事務局から今回、改めてこの問題を議論しようとい
うことで取り上げられた問題意識を伺いたいと思うのです。
 それからもう1つ。先ほど倉田委員が言われたのは、アメリカのACIPのような組織をつ
くるべきではないか、執行権限がないのは意味がないのではないかというご趣旨だったかと
思うのです。資料5-3を拝見しますと、米国のACIPについても、基本的には諮問委員会で
あって、助言や勧告、DHHSがこれを審査した後、公式に取り上げるような感じになって
います。ですからACIPというのも、決定したことが直ちに行政部門の決定という感じでは
なさそうに見受けられるのです。いずれにしろ厚生労働省当局の問題意識として、どういう
形の組織をつくり、審議会をつくっていくのがいいと思っておられるのか、現在の問題点に
ついてのご意見を伺いたいと思います。
○加藤部会長 おそらく資料5-2にあるような組織になっているので、各委員から今後、こ
れでよろしいかどうかというご意見を、広く承りたいというご趣旨で提案されたと思います。
1つは倉田委員がお答えになったようなことです。私はそういうように感じましたが、事務
局としてはいかがですか。
○総務課長(健康局) 今回、「評価・検討組織のあり方」ということで問題を提示してい
るのは、第一次提言などをまとめる際にも、局長の私的検討会という、一時的にあるような
検討会はありますが、常設で予防接種について評価・検討する組織がないのではないか、そ
れがワクチンについていろいろな評価をしたり、追加をしたりといったことができていない
ことになっているのではないかというご議論がありました。そういう常設的なものが、外国
を見ますと、各国にありますので、そういったものが1つ考えられないかということで、こ
れまでの議論を踏まえて、問題意識として出させていただいたものです。
○加藤部会長 山川先生、趣旨としてはよろしいですか。
○山川委員 一応わかりましたが、常設のものとしては、公衆衛生審議会の感染症部会の予
防接種問題小委員会というのがあるわけですか。
○総務課長(健康局) 予防接種の専門のものとしては、予防接種部会についても、今回、
予防接種法の改正をするということで昨年ご議論いただいて、今年の3月に法案提出をして
おります。そういった議論をするということと、抜本改正を視野に置いてこの部会を設けた
ので、こういう予防接種制度の見直しということで、新しくつくられた組織、審議会です。
ですから必ずしも予防接種の評価・検討という形での常設のものではありませんので、今後
を考えたときにどうしていくのかということを、ご議論いただければということです。
○保坂委員 倉田先生がおっしゃるように、決まったことが、国の政策に対して、必ずしも
そのとおりでなくてもある程度は活かされるということが非常に大事だと思います。それか
ら予防接種について起きてくるさまざまな問題について検討できる組織が、いま5つか6
つ走っている組織の上に、常設で常時、必要ではないかと考えています。
 決めたことが、ある程度国の政策に活かされるということを考えますと、もしかすると本
当は厚生労働省を超えた所になければいけないのかとも思います。ただ、ここは厚生労働省
の部会ですので、そういうことを提案したり議論をしても、なかなかうまくいかないという
ことでしたら、少なくとも新しくつくる予防接種についてきちんと検討していくところの結
論に、厚生労働省が責任を持つような形を。健康局だけでなく、もちろんここでは医薬食品
局も絡んでいるわけですので、大臣が参加して一緒に話をするような会というのがあるのか
どうかは分かりませんが、結論に対して厚生労働省全体として責任を持つような会を、是非
つくっていただきたいと思います。そうでないと結局、皆さんがここで議論されたことが活
きていくことにならないのではないかと考えております。よろしくお願いします。
○加藤部会長 ほかにご意見はありますか。
○岡部委員 この会はすでに13回を重ねているわけですが、ほかの国に比べると、短期間
での回数はやたらに多くなっていると思います。先ほど常設という話がありましたが、ACIP
が年に3回というのは、定期的に重要なテーマはあらかじめ決めてあっていて、ステップを
踏んで話していく。日本の場合はそういう機関がなくて、資料5-2にありますように、いず
れもプロブレムオリエンテッドで、何かあると召集がかかるという形で、あらかじめスコー
プを持ってやっていくところが、あまりないのではないかと思います。ですから、そういう
機関の常設が必要だろうと思うのです。
 ただ、いま議論がありましたように、意思決定については、たぶんその機関は意思決定力
は持てないのではないかと思います。というのは、やはり公衆衛生行政に密着しているので、
そこはどうしても全体のバランス、お金の問題、その他の総合的判断ということがあります
から。海外の場合ACIPがよく比較になりますが、ACIPで決定されたことのほとんどは実
施されているということ、もし実施されないならばどうして実施できなかったのかというこ
とが議論になっています。先日、台湾のCDCに類する機関(台湾CDC)に行ったのです
が、そこにもACIPという機関がありました。そこの発表を聞いて学ぶべきであると思った
のは、2012年から2015年までに、どういうことをステップで何をやっていくかというス
ケジュールが一覧表として出されていたのです。それが実行されるかどうかは議論によると
思うのですが、そういう先の話が出きるという組織がわが国にも必要だろうと思います。
 先ほど検討ということを言いましたが、それがうまく機能しているのか、あるいは現在の
現状に合っているのか、そういうことが評価できる部門が併設されていないと動かないだろ
うと思います。しかし、毎回申し上げているように、その組織をサポートする部門をきちん
としておかないと、形式だけ作ってもなかなかうまくいかないでしょう。卑近な例ですが、
今回の12回の会議の中で各ワクチンに関するファクトシートを作り、現在、小委員会をつ
くってさらにその評価に関する議論をしています。しかし、わずか数カ月の間で10種類に
近いものを一遍に全部出せというのは、実は無理です。今回はやりましたが、その間、ほか
のやるべきことはかなりほったらかしになってしまうわけです。そこをもっと集中して、計
画的にできるような組織を念頭に置いておかないと駄目だろうと思います。
 最後に、いずれにしろ例えば新型インフルエンザの問題でも、必ずや政治的な問題と絡む
のは当然です。しかしテクニカルな部分については、きちんとそういうことが尊重されるよ
うにしておく必要があります。政治家の発言によってたとえば「0.1」と言ったら0.1にな
ってしまうようなことではなくて、きちんとしたサイエンスに基づいた議論でこうであると
いうことが、そこが信頼される機関をつくらなくてはいけないと思うのです。そういうこと
を期待して、必要であると思います。
○廣田委員 いま岡部先生がおっしゃったことと全く同意見です。以前、米国のACIPのイ
ンフルエンザに対する勧告の和訳を、参考資料として提出したことがありました。あの中に
引用されている文献の量といい、ああいった勧告を毎年出しているわけです。きちんとああ
いったものを作り上げるための作業をする人たちがちゃんといる。そこら辺をしっかり組み
立てるというのも、上部組織を組み立てる以上に大事だということをお願いしたいと思いま
す。
○加藤部会長 いま岡部先生がおっしゃったように、いままではプロブレムオリエンテッド
で行われてきた委員会が多いのです。また、その他の先生もおっしゃいましたように、そこ
の組織はいろいろな意味合いのある組織であるということは、今後決めていくことかと思い
ますが、そういうことでもう少し全方位視野的に常設的な、いままでと異なった組織づくり
もする必要があるのではないかというご意見かと思います。ほかにご意見はありますか。事
務局としては先ほどどういうことでご提案になったのですか。いま総務課長がお答えになっ
たことでよろしいですか。
○岩本委員 資料5-2でいくと、予防接種のワクチンそのものは医薬品の1つなので、基本
的に薬とワクチンは同じような組織で承認を受けるのはいいと思うのです。ただ、いままで
ワクチンというのは感染症用のものだけなので、この図では当然、感染症の下に入っている
ように見えるのですが、要するに、下だ上だという議論をしているのではなく、予防接種部
会に当たるものがACIPの構成になっているということは、予防接種部会に替えて、ACIP
のような組織にするという図になるのでしょうか。
○加藤部会長 それをひっくるめて、そういうことを考えましょうというのがこの部会の役
割だと考えています。ほかにご意見はいかがでしょうか。
○倉田委員 私はACIPが最終目的だとは全く思っていません。要するに、問題をきちんと
考えるところがあって、そこで一定の方向性が出せる。それに対して予防接種となれば、も
ちろんお金の部分も絡むでしょうし、それは考えなければいけないことでしょうけれども、
そういうことについてやることを、もっとはっきり議論する機会があれば、それがACIPに
相当するでしょうし、それは考え方だと思うのです。ですから何か別のものが必要だという
ことは、私は全く夢にも思っていません。
 ACIPというのは丸ごと行政ですから、そこを勘違いしてはいけないと思うのです。そこ
のところをきちんと押さえておく。そのサポートというか、丸ごとCDCの中の人がやって
いるわけで、昔のワクチンをやっていた人、リサーチをやっていた人、副作用情報を集めて
いた人たち全部が1つのグループで、それを見ればわかるとおり、いまは多少の変動がある
と思いますが、1月の段階で327人です。そういう人たちが毎日、データを作っているわけ
です。ですから、そこを考えなければいけないので、研究者だけがいればいいかというと、
そういう話では全然ありません。
 もし、そのようなものが必要ならば、同じ所にいろいろな人がいてやるという発想です。
日本はもっと賢くやるというのなら、それはそれでまたいろいろなやり方がある。日本はフ
レキシビリティーが比較的ないと思うので、やるならばもっとガチッとしたものをつくれば
いいと思います。米国はこれが駄目だと思ったら、パッとその日のうちに組織を変えてしま
いますが、日本はなかなかそういうようにはいかないですよね。ですから、そこはやり方を
少し利口に考えたらいいと思うのです。
○加藤部会長 そのほかに何かご意見はありますか。
○宮崎委員 資料5-2の2頁の上にいろいろある中で、私もいくつか参加してきたのですが、
先ほどから出ているように、例えば予防接種法の改正をすると、いままで国は基本的に5
年間は動かさない、逆に言うと4年目ぐらいから、「次は何かしないといけない」と言って
委員会がつくられて、中間報告を作る。中間報告を作って、その中から都合のいいものを取
ったり取らなかったりして終わる。
 いちばん上の厚生審議会の予防接種問題小委員会もそうですよね。これは平成10年に中
間まとめがされています。かなり包括的な議論がされていますが、それが次につながらない。
その後で平成13年に高齢者インフルエンザのい二類を決めた。加藤先生が座長を務められ
た予防接種に関する検討会でも、平成17年に中間報告を作りました。そこでも今議論して
いることのほとんどの問題が、すでに出ているわけです。しかし、これが結核感染症課長の
私的諮問委員会であったため、なかなかすぐには法律に結びつかなそうだと国が判断した事
項は、そのまま留め置かれていて上に上がらない、政策にならないということが続いてきて
いるわけです。ですから、そういう場当たり的なものではなくて、ちゃんと常設的できちん
とした包括的な議論をしないといけない、という皆さんの議論になったと私は思いますし、
基本的には国もそう考えておられるから、今回、問題提起をされたと信じています。
 それまで局の壁は非常に厚くて、同じワクチンの話題をしているのにワクチンそのものと、
それをどう使うかが全く連動していないという状況が続いてきました。最近、ワクチン産業
ビジョン推進委員会辺りから、メンバーとしては両方の局が一緒に出てこられるようになっ
たので、「じゃあ、一緒にやったらいいじゃないですか」と何回も言ったけれども、なかな
かそれが出来なかった。それで今やっと予防接種部会が出来ているのです。それでもこれか
ら本当にワクチンそのものから承認へ、それをどう使うか、そしてその後に起こってくる被
害認定までを全部ひっくるめて、きちんとシステムの中に位置づけるには、やはりこの委員
会そのものが何かのまとまりになるのか、もうちょっと大きなものが必要かはわかりません
が、少なくとも常設的で包括的な組織がないと、もう世界の動きには付いていけないわけで
す。
 「5年間変えない」と言ったら、5年間法律がストップするわけですから、そういうこと
も含めて、もっと柔軟に。日本は法治国家ですから、法と省令、政令、通知も含めていろい
ろなレベルをやっておられますが、やはり見動きが非常に悪い。ここも含めて、組織プラス
世界的な感染予防の流れに柔軟に対応できるようなシステムも、同時並行的に議論をやって
いかないといけないのではないかと思っています。
○加藤部会長 だいぶご意見が出たようですが、ほかによろしいでしょうか。総じて各委員
の先生方のご意見は、右左に分かれたご意見ではないと承りました。したがって「予防接種
に関する評価・検討組織のあり方について」ということで、ただ今いただいたご意見を事務
局において十分整理して、その上で今後これを取りまとめる際に、今いただいた各委員のご
意見、ご趣旨を十分取り込んで取りまとめを行っていきたいと考えます。よろしくお願いい
たします。
 それでは議題の1、「予防接種に対する考え方について」に戻ります。まず「予防接種に
対する考え方について」をテーマに、有識者の方々からヒアリングをしていただきます。本
日は二名の方々に参考人としてご出席いただいております。薗部参考人、手塚参考人の順に
プレゼンテーションを行っていただき、その後にお二方へのご質問等をまとめていただきた
いと考えております。その考え方についても事務局より、「委員の皆様にご議論いただきた
い事項」としてご議論いただきます。まず参考人のお一人目である、日本赤十字医療センタ
ー小児科顧問、「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会の代表、薗部参考人よりヒアリン
グをいただきたいと存じます。
○薗部参考人 「良い予防接種制度」ということでお話させていただきます。予防接種の目
的は、子ども、その他の国民の命と健康をVPD(ワクチンで防げる病気)から守ることで
す。現在の進んだ医学でもVPDにかかってしまうと、根本的な治療法はありません。不治
の病いと言われた小児がんでも約80%が治る時代に、いまも多くの子どもがVPDによって
命と健康を損ねています。本当にこれほどもったいないものはなく、社会による虐待、ネグ
レクト(保護しないもの)として考えるべきと思っております。
 この左側の写真は、「細菌性髄膜炎から子供を守る会」の田中代表から提供していただき
ましたが、右側は私の言葉です。日本の子どもは、このように保護柵のない公園で遊んでい
るようなものです。もしヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンが、欧米と3年遅れで導入
されていれば、そして定期接種になっていれば、いちばんかかりたくない病気の細菌性髄膜
炎に、1万人以上の子どもがかからずに済んだと私は思っております。
 では、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。これはワクチンを接種しなかった
保護者の責任ではありません。ワクチンがあっても、その必要性の啓発がなければ、麻しん
が今までずっと流行ってきたように、多くの被害が出ます。任意接種ワクチンに関しては啓
発が行われませんし、接種したくても費用が高いので接種率は低いわけです。また、ワクチ
ンギャップのように、接種したくても国内にワクチンがなければ接種できません。
 良い予防接種制度とは、非常に簡単です。VPDの被害を最大限に減らすことです。この
達成のためには良いワクチンを早期に取り揃えて、ワクチンの接種率を最大限に高める方策
を取り揃えることだと思っております。なぜ、このことが日本で行われてこなかったかとい
うことなどについては、複雑で多くの要素がありますので、短時間でご説明することは難し
いことです。ですが、多少は努力いたします。今回はほかの方があまり触れない点について
も述べさせていただきます。
 予防接種制度改革の根本とは何かというと、やはり国の責任者や各党や国会議員の方々な
どに、国民を守ることが大切だと再認識していただいて、危機管理体制の見直しをすること
だと思っております。予防接種制度は危機管理体制の一環で、基本的な人権を守ることです
ので、超党派でぶれのない長期の戦略を立てる必要があります。日本版のACIPは、形だけ
を真似るのではなくて、この戦略に沿った実効性のあるものにすべきと思っております。
 具体的な予防接種制度のあるべき姿としては、たくさんありますが、多くの先進国が実施
しているワクチンを、国が無料の定期接種とすべきと思っております。これにより経済的な
格差なく接種できて、地方自治体でも啓発を積極的に行うことが可能です。場合によっては
地方分権の問題、予防接種事業の国の直轄事業化も見直す必要があると思います。費用対効
果というのがよく言われますが、こういうことだけではなく、次世代育成、国民の命と健康
を守るという視点で制度を決めていただきたいと思います。法律の目的に沿って関連法を整
備し、予防接種を受けやすい環境を整えます。基本は、やはり予防接種法の根本的改正が必
要だと思っております。
 次に、私どもが行っている「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会について、簡単にご
説明いたします。2008年に設立して、現在は会員数が増えて約410名になっておりますが、
主に小児科医です。この会の活動の基本は、日本において情報が少ないVPDの被害(真実)、
ワクチンの必要性と安全性、外国との違いなどをホームページでわかりやすく説明しており
ます。普通、医師の言葉はわかりにくいので2段階踏んで、普通の方にもわかりやすくとい
う努力もしております。ワクチンスケジュールも、お手元の資料の最後に出ておりますが、
医学的な必要性を考えて、任意と定期の区別なく提案しております。この会の活動に関して
は、だんだんとご理解が深まり、多い月は約7万人の方がホームページを訪れております。
すなわち、いかに皆が子どもの健康に関心を持って、正しい情報に飢えていたかが、これで
おわかりいただけると思います。これがどういうものかというのは、インターネットで
「VPD」と検索していただければ簡単にわかりますので、ご批判も含めて何かありました
らお申し出ください。
 さて、日本において予防接種制度がいろいろ問題になってきたのは、副反応・副作用問題
が大きく影響していると私は考えています。副作用問題を20年前の科学の目ではなく、現
在の科学の目で正しく捉えて評価する必要があります。まず、日本では「副作用」という言
葉が世界とは違って使用されていることが問題と思っております。接種後に起こった良くな
いこと(untoward event)は、世界では有害事象(adverse event)と言い、この中には「真の
副作用」と「偶発的な紛れ込みの事故」の両者が含まれますが、日本ではすべてが真の副作
用と誤解される傾向があります。厚生労働省自身がお出しになっている「副作用報告書」も、
よく読みますと、偶発的な紛れ込み事故も含んでいるということが書いておりますが、表題
の「副作用報告」というのが新聞記事に出ますと、すべて真の副作用ばかりであると誤解さ
れます。本来は厚生省副作用報告書も有害事象報告書ですので、有害事象報告と直したほう
が誤解が減ると思います。
 科学者として間違っているかもしれませんが、私どもが考える「真の副作用」と言うため
の条件をここに挙げました。これは自然発生疫学調査やプラセボ(偽薬)との比較調査で、
ワクチン接種群に優位に多いことがあれば、それは副作用として十分捉えられます。接種群
だけに見られたり、受けるたびに同じことが再現するというのも同じです。また、もし何か
起こったとすれば、発症時期、症状、検査値などに一定の傾向があって医学的に説明可能と
いうことも大切です。それから、いまはウイルス学も進んでおりますので、通常無菌の部位
からワクチン病原体の検出も可能になっております。こういうことがあれば、真の副作用と
して捉えるべきと思っておりますが、これらの条件を備える事象は大変少ないと感じており
ます。
 ここで副作用の実態を述べます。ワクチンによって脳炎が起こるとよく言われます。しか
し「ワクチン」と言っても、中身はみんな違います。成分が違いますので、共通成分ではあ
りません。それにもかかわらず同じ副作用が起こるということは、やはりおかしいと捉える
べきだと思います。もしくは2番目にありますように、成分はなくても引き金になりやすい
ことがあるにしても、脳炎などの疫学調査を行うと、予防接種のリサーチセンターの予防接
種必携にも、ちゃんと明記されておりますように、ワクチン接種後の脳炎の発生率は自然の
脳炎発生率よりも大変低いものです。
 いま、日本の子供の自然発生脳炎というのは人口は大体1,800万人で、毎年1,000人ぐら
い起こるとされておりますが、定期接種の普通のワクチンでは4人台とされております。
WHOも旧型マウス脳由来日本脳炎ワクチンとアデムの発生には関係がないと、2006年に
専門家会議で発表しております。また、積極的にウイルス分離などを行いますと、脳炎の方
に対してワクチン株以外のウイルスが見つかることもよくあります。それでプラセボとの比
較調査をすれば、もう少し軽い症状についてもワクチンの安全性がわかります。
 近い将来導入されることを望んでおりますが、これが経口ロタウイルスワクチンの有害事
象の比較図です。出典は下に書いております。左側の青い部分がロタウイルスワクチンを飲
んだ人、右側が偽薬(プラセボ)を飲んだ人です。1番左を見ていただくだけで、もう簡単
におわかりだと思います。「発熱」という項目を見ても、青よりも茶色に近いほうが高い。
右側にありますように、2回目の接種でも同じです。そのほかに「鼻咳」「下痢」「嘔吐」「不
機嫌など」「食欲不振」を見ていただいても、ほとんど差がない。これだけではありません、
ほかのプラセボを使った検査を行うとワクチンの安全性がわかっております。
 そこで、世界で認められたワクチンの冤罪というのがあります。ワクチンの副作用として
SIDS(乳幼児突然死症候群)、喘息、自閉症、チメロサールの問題、子どもの免疫システム
の障害、自己免疫疾患等々が大きく提起されて、大きく取り上げられてきました。しかし、
ここに書いているようなもののすべては、その後の多くのしっかりした大規模研究で否定さ
れております。詳しいことは下に書いてあります『Do vaccines cause that?!』という本)
に、非常に多くの文献とともに、お母さん向けにもやさしく書いております。これはAmazon
でも入手可能ですので、是非、一度ご覧いただければありがたいと思います。
 現在のワクチンで認められる真の副作用というのも、当然あります。局所反応があります
し、軽いものもありますが、中等度、例えばおたふく風邪ワクチンによって無菌性髄膜炎が
起こる、これを中等度に取るか、もっと大きく取るかは考え方次第ですが、そういうものが
あります。やはり多くの方がいちばん心配なさる、重い真の副作用がどうかということを分
析しますと、以下のものなどが挙げられます。アナフィラキシーショックというのが起こる
ことがあります。免疫不全患者では、生ワクチンの病原体の発症というのがあります。これ
以外に、ポリオの生ワクチンによるポリオの発症もあります。
 しかし、こういう重症の先天性免疫不全症候群の患者さんはたくさんおられるのに、その
中でも出る方が少ないということは、ワクチンの安全性の1つの証拠でもあります。スライ
ドの中に、☆がありますように、現在では、いちばん重い先天性の重症複合型の免疫不全は、
赤ちゃんが生まれたときに、踵から血を採るガスリー検査で簡単に早期診断が可能で、アメ
リカの一部の州では行っています。)防衛医大の野々山先生たちが(追加:研究を行っており
ますが、こういうのを取り入れれば、患者さんにとってだけではなく、ワクチンにとっても
真の副作用を減らすために非常に有用だと思います。
 さて、予防接種事故の問題ですが、これは原因は何であれ、不幸なことには変わりありま
せん。しかし、いままで述べてきたような現在の科学の目で世界中で見直しますと、アナフ
ィラキシーショックや免疫不全以外の重大事故は、「紛れ込み事故」の可能性が大変高いと
考えられるようになってまいりました。(しかし、)ここは大切なところですが、科学的判定
と補償制度は、現時点ではあくまでも別に考える必要があると思っています。
 無過失補償制度と免責制度の導入が必須ということですが、これは日本の予防接種事故裁
判においては、多くは弱者救済を目的として判決が出ております。救済するためには誰かの
過失が必要な過失補償制度ですので、前の説明の見方からしますと、多くの冤罪を生み出し
てきたと考えられます。
 原告救済の判決が出れば、「国(大臣)に過失あり」となりますので、過失を避けるため
には、国は新たな予防接種行政を行わなくなります。その結果、必要な予防接種を受けられ
ない子どもたちが犠牲になってきました。いわゆるワクチンの供給者側の不幸は、ワクチン
を受ける側の不幸につながってきたわけです。
 今後はこういうことに関して、国民すべてが責任を共有する体制も必要だと思っています。
国だけに責任を負わせるのではなく、国民すべてが責任を共有する体制導入も必須だと思い
ます。先ほどから出ている日本版ACIPもその一環として関係多分野の専門家を集めたもの
ですので、これの設立は急務だと思っております。
 世界中で、この予防接種事故の補償問題をどうするかというのは、非常に論議のあるとこ
ろで、こういう会議でも検討していただきたいと思います。最終的には、子どもと国民を
VPDから守ることを目的として、現在の科学の最新知見も取り入れた総合的な調整が必要
だと思います。メリット、デメリットというときに、有害事象とメリットを比較しては議論
にならないわけで、真の副作用と比較する必要があります。
 最後のスライドは、VPDから子ども、国民を守ろうと。繰り返しになりますが、VPDは
軽い病気ではなくて、いくら医学が進歩しても、かかってからでは良い治療法はありません。
20世紀は治療の時代、21世紀は予防の時代、VPDはワクチンで防ぐべき病気です。低開
発国を含めて、ワクチンほど世界中で多く使用されているものはありません。安全性も極め
て細かく調査されて、現在では成り立っているのです。アメリカでは義務接種ですし、WHO
では、日本で使用されていないワクチンも含めて、どんどん推進しているわけです。
 最終的に申せば、ワクチンの接種は絶対デメリットがないとは申しません、デメリットは
あるのですが、メリットがデメリットをはるかに上回りますので、ワクチンを推進して、
VPDから子どもや国民を守って、我々は続けていきたいと思いますし、先生方にも是非ご
理解をいただきたいと思います。以上です。
○加藤部会長 引き続きまして、参考人のお二人目の東京大学先端科学技術研究センター情
報文化社会分野の手塚参考人からご説明をお願いします。
○手塚参考人 ただいまご紹介に与りました東京大学先端科学技術研究センターの手塚で
す。先端研と言いましても、私は理科系ではなく、純粋に文科系の人間です。中でも政治学、
そして政治学の中でも行政の研究をする行政学を専攻しております。戦後の予防接種行政を
事例に博士論文を書いて、それを基にした著書を今年出しました。そういうこともあって、
その本で書いたことですが、主に行政の過誤という問題から、予防接種行政の変遷を分析す
るというものですが、その内容の概略を簡単にご説明したいと思います。
 予防接種に限りませんが、さまざまな不確実性のあるものを対象にする行政活動には、2
つの過誤があります。それは結果を100%見通すことができないがゆえに、どうしても間違
える可能性が出てきます。これは何も過失があるとか、故意であるとかそういうものではな
く、結果として間違える可能性があるということです。
 ここには2つの過誤の類型があって、1つは、するべきではないこと。これはあらかじめ、
するべきかするべきではないかというのは、よくわからないわけですが、結果として、する
べきではないのにしてしまったようなものを「作為過誤」ということができると思います。
反対に、結果として、するべきなのにしなかったものを「不作為過誤」ということで、この
2つは潜在的に可能性があるものです。非常に重要なのは、この2つの過誤の発生を同時に
回避をすることができないというディレンマが、ここには存在しているということです。
 このことは何を意味しているかというと、何をやろうがやるまいが、結果として非難を受
ける可能性から逃れられないということです。作為過誤と不作為過誤は、両方ともの過誤の
可能性があるわけですが、多くの制度はどちらかの過誤をより重視して回避をする傾向があ
ります。
 厚労省関連で1例を挙げますと、典型的に作為過誤を回避しようという制度は、医薬品の
承認の仕組みであり、副作用の発生という作為過誤と、結果として必要な医薬品が供給され
ないという不作為過誤が潜在的にはあり得るわけですが、このうち作為過誤のほうを重視し
て、承認するかしないかということでは、怪しいものについてはできるだけ承認しないとい
う仕組みをとっています。逆に不作為過誤を回避するというのがあって、典型的なものは児
童虐待防止のようなものですが、これは介入するかしないか迷ったときには、とりあえず介
入するという傾向があります。
 このように制度を過誤というものから見るときに、作為過誤を回避するという仕組みか、
あるいは不作為過誤を回避するような仕組みか、どちらかを何らかの形で決断をしていかな
ければいけないということです。また、そのときに重視しないほうの過誤というのが潜在的
にあるわけですが、これがいちいち問題になると、制度は安定的には回りません。
 例えば医薬品承認であれば、必要な医薬品が結果として供給されないということは、ある
程度は社会的なコストとして受容されます。また、児童虐待防止に関していうと、結果とし
て不必要な介入をして、健全な親子が離反をしてしまうことがあるかもしれませんが、社会
的なコストとして受容していく。そのようなものがあると、ある程度、制度としては安定的
に回るという構造があります。
 予防接種は、典型的に過誤回避の問題が出てくる分野で、これまでもご議論されていると
思います。作為過誤というのは副作用の問題で、結果としてはですが、接種するべきではな
い子どもに対して接種してしまうということで副作用が発生する。逆に接種するべき、対象
でもいいですし、ワクチンを接種しないということであれば、本来でいうと予防できる感染
症に罹患してしまうという不作為過誤があります。
 この2つの過誤を、どちらをどう回避するのか。片方の過誤を回避しようとすると、潜在
的にはもう片方の過誤の可能性が高まってしまうという構造にあって、公的な予防接種を実
施するということは、こうした過誤がゼロにできないということを、行政が引き受けること
を意味します。ですから、結果としてその非難にどのように対応するのかというのは、非常
に重要な問題になるし、戦後のこれまでの予防接種行政を見ると、制度が変わっていくとき
にはそれが非常に重要な役割を果たしていると考えることができます。
 さて、1948年に予防接種法ができて以来、作為過誤、不作為過誤の両方に対して、行政
がどのように対応してきたのかという話です。ご存じのとおり、1948年の制定当初は、極
めて強い不作為過誤回避の指向があったと考えられます。一つには、強制の仕組みもありま
すし、集団接種で、法定ワクチンもかなり多いという仕組みから始まりました。これも必ず
しも科学的根拠があるものだけではなくて、GHQに言われて、かなり見切り発車で始めた
ものが含まれていました。したがって、そこでは不作為過誤をできるだけ減らすという仕組
みですから、結果として作為過誤が潜在的には問題になり得たわけです。しかし、そのまま
問題になると、制度としてはうまく回らないので、こうした作為過誤にどう対応してきたの
かというのが、実際に制度を運用していく上で、非常に重要な課題になったということです。
 作為過誤を回避するか、あるいは不作為過誤を回避するかというのは、戦後のこれまでの
予防接種では、いろいろな局面で対立がありました。その典型的な例が、予防接種の成功例
として紹介されることの多いポリオの経口生ワクチンが1961年に導入されていく過程で
す。これも紆余曲折があるわけですが、こうした経口生ワクチンの導入に、みんなが必ずし
も賛成して導入が決まったというわけではなくて、実際には副作用発生をかなり懸念する薬
務局と当時の公衆衛生局とで、ポリオで幼い子どもがバタバタ倒れていくというのは、まさ
しく不作為過誤ですが、どちらを重視するのかという問題は、極めて対立があったわけです。
行政、あるいは審議会では、全くこれに結論がつかずに、厚生大臣が政治判断をするという
形で収拾をして、不作為過誤回避的ではありますが、生ワクチンの使用が開始されて、結果
として、非常に顕著な実績を上げたという経緯がありました。
 戦後の予防接種行政を、こうした過誤、とりわけ作為過誤の問題をどう処理するのかとい
うことに着目をしてみますと、大体3つの時期に分かれると考えられます。ご案内のとおり、
予防接種法自体は1948年にできて、1976年に1度改正され、1994年にもう一度改正され、
大きくは2回改正があります。法改正で世の中が変わることは全くなくて、世の中が変わっ
た結果というか、さまざまな問題が出てきて、それに対してかなり脱法的な面も含めて処理
をした結果、法律を実態に合わせるという形で改正がされてきたのが1976年であり、1994
年だと考えらます。およそ5年から10年ぐらい前から予防接種を巡る大きな社会情勢の変
化が起きていたということです。
 まず、第1の時期は1948年から1967年ぐらいの最初の20年間と言ってもいいのですが、
先ほど申し上げた副作用の問題は、このときにはほとんど世の中には知られていませんでし
た。行政の担当者であったり、専門家の中ではこうした認識がありましたが、普通の医師、
国民の大多数はこうした問題があることは知らなかったわけです。こうした作為過誤はない
とするのが、当時の主な政策対応だったわけです。これを「不可視化」と呼んでいます。一
つには、だからといって副作用の事例というのが当然あったわけですが、それに関しては予
防接種が悪いのではない、その子どもが特異体質だったからしょうがないと医者が判断をし
て、そのまま泣き寝入りのような形になるというのが1つです。もう1つは、副作用情報に
関しては門外不出で、厚生省の課長の机から全く出さないという記述が、当時の回顧録にあ
りますが、こうした政策対応を専らやっていたわけです。
 しかし、1967年ぐらいに副作用が社会問題になってきます。これは被害者の方々がお互
いに連携をとって問題化していくというのもありますし、その結果、実際に接種を行ってい
る現場の医師が「これでは自分たちが責任を被るので免責しろ、行政の責任にしろ」という
要求をしていきます。
 結果として、それまで作為過誤が潜在的だった時期には何も手当てしなくてもよい問題に
手当てをしなければいけなくなった厚生省を含めて、関係アクターは、作為過誤の問題とい
うのは不可避である、しょうがない、どうしても起きてしまう、したがって、誰の責任でも
ない。だから無過失で補償をする。実際に副作用の被害に遭われた方は、社会防衛のための
尊い犠牲である、というように対応を変えていくわけです。ここでは作為過誤の問題を非常
に「希釈化」していくという政策対応をやっていったわけです。
 しかし、これは作為過誤という副作用の問題が不可避であるという中で通用する仕組みで
して、1987年ごろになると、これは不可避ではないのではないかと。1つには1992年に訴
訟で負けて、過失があったと判断されるというのがありますし、そのもともとの予防接種の
効果自体に対して疑念が出てきます。典型的にはインフルエンザの学童集団接種に対するさ
まざまな社会的な疑念が出てきます。審議会がいろいろ言うが、それは本当に正しいのだろ
うかという声が出てきた結果、当時は強制接種であるにもかかわらず、保護者の同意を求め
るという形をとっていきます。これは法改正の前の段階からとっていきます。結果として、
それぞれの決定と責任という専ら国が持っていたものを保護者に一部委譲していく。これは
保護者の同意が必要になるということもそうですし、新しいものについては任意接種で対応
する。これが現在までつながる、3つ目の「分散化」するというものの傾向です。
 ここに見られますように、ある問題が起きたときに、公的責任を拡大する形で収拾を図る
ということもあるわけですが、いまは公的責任をむしろ縮小する形で収拾を図るという形に
なったということです。これは過誤回避のディレンマに直面した行政活動の必然的な動きで
あったと見ることができるわけです。
 1つには過誤回避のディレンマがある以上、過誤をゼロにはできない。ゼロにできない過
誤をどうやって自らの非難と切り離すことができるのかというときに、先ほどの不可視化と
希釈化のように、作為過誤という重視しないほうの過誤については、できるだけ政治的な問
題にしない、見えなくする、賠償制度を作って薄めていくというやり方も1つありました。
戦後の最初の40年ぐらいは、こういうやり方で制度を維持したわけです。
 しかし、それではなかなか維持ができないとなったときに、逆に公的責任範囲を縮小して
それぞれの親に分散していく。行政のやることを縮小することによって、両方の過誤の可能
性を相対的には減らすことができるために、そうして制度の安定を図る。これは予防接種に
限らない今日の行政にある1つの傾向だと捉えておりますが、戦後の予防接種を見ると、こ
うした流れがあって、現在の問題の一端になっていると考えられます。非常に雑駁な説明で
したが、以上で終わらせていただきます。
○加藤部会長 お二人の参考人からヒアリングを受けましたが、各委員からご意見、ご質問
がありましたらお願いします。
○岩本委員 どうもありがとうございました。薗部先生に3つ伺いたいと思います。まず
VPDと努力義務という規定の仕方について、先生のお考えを伺いたいと思います。
○薗部参考人 努力義務ということが良いか悪いかは、国全体の考え方によると思います。
いままでの流れからいえば、努力義務というのが、いままでで言えば合っていると思います。
それを強制接種にするのかです。ただ、アメリカでも強制接種となっていますが、いわゆる
例外規定がありますので、この辺りはこういう所で検討していただくのがいいかと思います。
○岩本委員 2つ目と3つ目は、先生の資料の8頁目の下のスライドと9頁目の上のスライ
ドに関連することで、まず予防接種の事故裁判の件です。現在のシステムで、例えば予防接
種で被害が出たときに、厚生労働省の中で不服申請ができて、それが再審査されて、ご家族、
ご本人が納得がいかないときに、司法制度に回ることになると思います。裁判を受けるのは
国民の基本的な権利だと思いますが、その制度自体は、例えば免責制度の関連のその辺の関
係をどのように考えたらいいのかが非常に難しいので、先生のお考えを伺えればと思います。
○薗部参考人 こういう医療訴訟そのものに対してもそうですが、一部の国では、そういう
ものに対して制限も行われていると聞いております。補償制度をとるのだったら裁判はしな
いとか、補償もするが裁判を起こしていいとか、それはその国の考え方によって一長一短だ
と思います。
 いずれにしろ、最終的に国民が幸せになってくれればいいのです。ただし、そのときにあ
る者が非常に不幸になるということが問題で、それによってその不幸が最終的に子どもたち、
国民のためにならないということであれば良くない。VPDの被害を減らすことを最終目的
として、いろいろな制度を考えていくことは可能だと思っております。
○岩本委員 3つ目は、8頁目のスライドの2番目の項と、9頁目のスライドのいちばん上
に関係しますが、いまの司法制度の中で、原告救済というのが目標としてかなり出てきた場
合に、救済するためには税金を発動して救済することになると、国を巻き込まざるを得ませ
ん。その場合に、それは国民すべてが責任を共有している体制だと思いますが、これ以外に
どのような体制をイメージすればいいのですか。私は決して今がいいと思っているわけでは
ないのですが、どういう体制が可能かというところのお考えを伺えればと思います。
○薗部参考人 そこに書いてあるように、共有するかということですが、非常に難しいのは、
いままで裁判が行われてきましたが、先ほどのご質問の補足にもなりますが、基本的に重大
な事故が起これば救済委員会で科学的に審査するわけです。そこで認められたようなものは
そのままフリーパスになるわけです。
 問題は、そこで認められないような、いわゆるグレーゾーンのものが問題になるわけです。
私の知っている限りでは、そういうグレーゾーンに関しても、ある程度重ければ、日本はど
んどん認めてきました。アメリカにおいても、良い悪いは別として、こういう傾向はありま
す。
 そこで認められなかった方は、グレーゾーンでも極めて白に近い方、もしくは白の方だと
思いますが、そういうことが裁判に回りますと、日本のいままでの裁判においては、例えば
禁忌者の問題があります。そういうときの裁判を見ても、接種後に脳障害が起こったのだか
ら、この人は禁忌者であった、それを見落としたからいけないという判例が出されてきたと
私は聞いております。
 いま禁忌者という考え方は、ごく特殊なアナフィラキシーとか、そういうもの以外では無
い、ということで変わってきておりますが、その辺が非常にデリケートな問題で、そういう
のを踏まえてどうするかという、先ほどのスライドにしか答えようがないのです。まず事実
をよく知っていただいた上で、どのようにしていったら、最終的に本当に国民が幸せになれ
るのかということこそ、こういう場で皆さんで検討していただいて、出していただく。私の
ような医師だけの者では、いろいろ足りない点も出るかと思います。特に法曹界の方が今後
どのようにこういうことを考えるか。はっきり言えば、法曹界が、いまの制度を変えない限
り、この問題は解決しないと私は思っておりますので、そういう意味で最終的な目的を十分
考慮した上の対話が必要だと考えております。
○加藤部会長 ほかにいかがですか。
○北澤委員 薗部先生に2つ、手塚先生に1つ質問したいと思います。私自身は医療者では
ないので、教えていただきたいところがあります。現在の予防接種法の目的としては「伝染
のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防するために、予防接種を行い、公衆衛生の向上
及び増進に寄与する」と書いてありますが、そういう文言と今日の先生のお話にあったVPD
の被害から国民を守るという、被害を最小にするということはイコールだと言っていいので
しょうか。
○薗部参考人 その点に関しては、例えば破傷風という問題があります。破傷風は伝染しま
せん。それから、日本脳炎に関しても蚊からヒトには行きますが、ヒトからヒトには行きま
せん。そういうことから言えば、昭和23年の予防接種法というのは、いまのようなワクチ
ンの進んだ状況を考えずに作った法律だと思いますので、この辺も含めて、世界の情勢を合
わせて、現状に合わせて良い法律を作ることが大切だと思います。
 それから、将来はがんワクチンも含めて、そういうのも出てくるので、そういうのをどう
扱うかというのも難しいところですが、いずれにしろ、立法の精神というか目的を、より明
確にしていただいたほうが行政及び我々としてもやりやすいと思っています。
○北澤委員 2番目の質問は、現在の予防接種法では、一類疾病と二類疾病というように2
つに分かれていて、一類は集団予防に重点を置き、二類は個人予防に重点を置いているとな
っていますが、この考え方は、先生の今日のお話のVPDの被害を最小にするということか
らすると、どうなのでしょうか。
○薗部参考人 難しいご質問です。まず基本的に、病気に関しては優劣はつけられない。い
ま我々がこの会で取り上げているようなものは、どちらが重要で、どちらが重要ではないと
いうことはないと考えています。あとは集団でやるか、個別で接種という意味ですか、それ
とも。
○北澤委員 一類と二類を分けるというコンセプトそのものについてです。
○薗部参考人 私はそれよりも1つにまとめたほうがいいと。個人防衛を集めれば、それが
最終的に集団防衛にもつながります。ですから、例えば子ども用の肺炎球菌ワクチンを打て
ば、子どもの肺炎球菌感染症も減りますが、それによって高齢者の肺炎球菌感染症も減りま
す。そのように自分のものと、社会全体のものが表裏というか、両方一緒に得られますから、
その辺りは特に分ける必要はないのではないか。というか、両方のメリットがあるというこ
とを書いていただくことが必要だと思います。いまの回答でよろしいですか。
○北澤委員 はい、お聞きしたかったことです。それから、手塚先生のご本も読ませていた
だいて、私にとっては非常に勉強になることが多かったのですが、では、先生自身はどうし
たらいいと考えておられますか。
○手塚参考人 それは非常につらい質問でして、この本の中では、そこに踏み込まないとい
う形で書いています。本を出したあと、いろいろな人から「どうすればいいのだ」と聞かれ
て、それは確かに非常に重要な問題だと痛感しています。過誤をなくせないというこの現実
はあるわけです。
 それに対して行政がどのように対応するのか。私の言い方では、作為過誤もゼロにして不
作為過誤もゼロにしなさいと国民から突きつけられてしまえば、何もできないというのが現
実です。したがって、何らかの過誤はやむを得ないものである、社会的なコストだと腑分け
していく必要があるのではないかと思います。
 では誰が、やむを得ないものと、やむを得なくないものを線引きできるのかということが
非常に難しいところです。専門家が専門性という権威で決めることができるものなのか、そ
れとも大臣とかそういう民主的な後押しを受けた人が、政治的に決めるものなのかどうかと
いうのは、いろいろなケースがあると思いますが、そこを腑分けしていかないと、もう一回
ある程度の責任を国が負って行政を進めていくのは、非常に難しいのではないかという印象
を持っています。
○山川委員 薗部先生の今日のレクチャーに対して、質問というよりは、先生の現在の事故
が起こった場合の救済の法的な仕組みはどうなっているかについて、本当は事務局からご説
明していただいたほうがいいのかもしれませんが、私は一応法律家の端くれですので、申し
上げさせていただきますと、2つのルートがあると思います。
 1つは、国が作っている1994年以降、かなりいい制度ができていると思いますが、救済
制度があります。これはどちらかというと、裁判に訴えないで行政的な救済を先行させて、
できればそれで終わるようにしようということですが、被害を受けた、あるいは事故に遭っ
た方は、自治体の窓口を通じて救済の申し出をして、最終的には、自治体は国の厚生科学審
議会、予防接種の認定部会の専門家の意見を聞かなければいけないわけです。因果関係があ
るということさえ認められれば、相当充実した救済措置を受けられることになっています。
 因果関係がないとされた方は、それに対して、その結論が不服だった場合には、「いや、
因果関係があるのだ。したがって、この救済制度に乗っかった補償措置をちゃんととってく
れ」という裁判を起こすことができるのです。ここでは過失があったか、厚生大臣に過失が
あったとか、接種の現場に過失があったかどうかということは全く問題にならなくて、接種
と起こった事故あるいは症状との間の因果関係だけが問題になってきます。したがって、こ
こでは冤罪であるとか、過失であるとかということは全然問題になりません。
 もう1つは、この救済制度に乗らないで、日本では憲法によって国民が裁判を起こす権利
がありますので、最初から国家賠償法という法律に従って、自治体なり国なりに対して、予
防接種を勧奨して行わせしめたのであるから、起こった事故について責任をとってください、
賠償してくださいと言うわけです。この国家賠償法でいく場合には、因果関係があったとい
うことのほかに、接種の現場あるいは厚生大臣、厚生大臣が過失があったというのは、例外
的なことでしかあり得ないと思いますが、現在では接種の現場で過失があったことを、被害
を受けた国民のほうが立証しなければいけません。
 接種の現場ということは、国が決めた禁忌というのがありますが、釈迦に説法ですが、接
種を担当した医師が、問診をきちんとやらないがために禁忌を見逃してしまったと。そして
禁忌該当者に接種をして事故が起こった場合には、最高裁判所にいくつかの判例があって、
問診をきちんと行っていない場合で事故が起こった場合には、禁忌があったと推定して、こ
れを見逃したことによる責任を国家賠償法によって負うという仕組みになっています。この
場合には、接種現場の過失があったかどうかは問題になりますが、第1の場合にはそういう
ことは問題になりません。
 先生のお言葉ですが、多くの冤罪を生み出してきたというような表現は、そういう意味で
は、法律家的に申し上げると、ちょっと不正確なのかなという感じがしましたので、釈迦に
説法を申し上げるみたいで恐縮ですが、申し上げました。
○薗部参考人 貴重なご指摘ありがとうございます。法律家ではないもので、いろいろ至ら
ない点がありますが、逆にいえば医学的なほうから申し上げました。まず禁忌かどうか。禁
忌者に打ったから、このようなことが起こった、実際問題は何かが起こったから、禁忌者で
あろうという考え方は、科学的には、基本的には全く通じないことと私は思っております。
 ですから、先ほど申し上げたように、猛烈な強いアレルギーがあるのにそれを問診で聞か
ないでなったということであれば別ですが、その他脳炎が起こったとか、そういうことに関
して禁忌者という概念が、いまの予防接種法では、予防接種を不適当な者及び注意すべき者
と分かれているぐらいで、そこがいちばん法曹界と議論をしたいところです。
 それから定期接種の場合に、そういうのが原告勝訴となりますと、医師側は賠償責任は免
れます。しかし、私の知っている法律家に伺いますと、これは過失を犯したから補償すると
いうことになるわけですから、結局、医師の過失があったということで、金銭的には何も負
担がなくても、その罪は一生消えないわけで、そういうことも含めて、冤罪が存在し得ます。
多いか少ないかは考え方次第ですが、その辺の現在の医療の考え方、科学の考え方を十分ご
理解いただいて、こういうためのディスカッションというのは、今後どんどん行うべきだと
思っておりますので、そういう場所で機会がありましたら、討論させていただければありが
たいと思います。
○廣田委員 ちょっと意見を述べますので、薗部先生、手塚先生にコメントをいただければ
と思います。薗部先生がおっしゃった有害事象ですが、そろそろ有害事象という言葉を国民
に理解してもらってもいい、使用していい時期ではないかと思います。
 以前も発言しましたが、副反応の報告が、主として医療機関からあるわけですが、米国の
有害事象報告システム(VAERS)のように、一般の人も報告をする。ただし、この場合は
補償とは切り離した一方的な報告です。VAERSの場合は年間3万件報告されているという
事実があります。こういったもう少し積極的な副反応あるいは有害事象に対する対応をする
ことによって、予防接種を推進する際に国民も安心すると思うのです。それと副作用との関
連を考えるときの参考資料になると思います。
 米国で妊婦にインフルエンザワクチンを接種し始めましたが、その後、有害事象報告シス
テムの妊娠関連の有害事象の報告数が、妊婦へ接種を勧告して以降も増えていないというこ
とがつかめて、接種推進に障害を来さなかったということがあります。
 もう1つは、今後は副作用を未然に察知して、むしろ先手をとって予見して調査するとい
うこともあってもいいのではないかと思います。そういうときに有害事象の報告システムと
いうのは、非常に貴重なものになると思います。そうしますと、先ほどの作為過誤に対抗し
て、非政治化と公的責任範囲の縮小という対応がありましたが、3つ目に、もう少し積極的
な対応もあるのではないかと思います。
○薗部参考人 同意見で、追加する点に関しては、私はございません。
○手塚参考人 確かにこれ以外に、そうしたディレンマにどう対抗するのかというのは、も
しかしたら、いろいろな策があるかもしれないし、ほかの分野ではいろいろやられているか
もしれないので、私自身の課題としては、もう少しいろいろな行政分野で見ていきたいと思
っています。
○加藤部会長 それでは、先に進みたいと思います。参考人のお二方、どうもありがとうご
ざいました。
○宮崎委員 手塚先生が話されたことは実感としては非常にわかります。基本的には1994
年の法改正のときの公的責任の縮小が、その後さらに進んで、不作為過誤が広がってきてし
まっています。そこでギャップが出てきてしまっているというところがあります。だから、
いまは予防接種法という法の下で主な予防接種をやっているので、国が引いてくると全体が
引いてしまうということになってしまうので、国の責任を分散しつつ、かつ不作為が減らな
いためには、国だけがいろいろ決めるのではなく、こういう所できちんと議論をして、その
決定も含めて共有化していくと、国の責任を少し狭めても、逆に言えば不作為過誤は増えて
いかないというシステムが可能なのではないかというのが、今日の最初の議論に戻るのでは
ないかと思います。
○澁谷委員 いま手塚参考人のお話を聞かせていただいて、先ほど北澤先生もご質問された
のですが、分散化の次の段階に我々は関与していくことになるかと思います。その時のこと
として手塚先生に伺いたいのですが、国民に予防接種の仕組みが、まだまだ本当は見えにく
いのではないか。そこでリスクコミュニケーションとか国民の参画などがまだ足りないので
はないかということで、もう少し国民が参加してくれば、あるいはリスクコミュニケーショ
ンがもう少し進めば、いい方向に持っていかれるのではないかという気がしたのですが、も
し先生のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○手塚参考人 いろいろとご質問のあるところは、いまは不作為過誤の回避を等閑視してい
て、専ら作為過誤にばかり注目しているではないかということです。それを不作為過誤の回
避にもう一回戻るためには、どうすればいいのかということなのだろうと思います。やや抽
象的な言い方をすれば、そのためには作為過誤を過誤でないというようにしていくしかない
わけです。副作用の発生というのは絶えず責任があるのだという仕組み、国民がそういう意
識を持っている以上はなかなか進まなくて、それをどのように、それは過誤ではないのだと
いうようにしていくのかというのは難しいところですが、それが1つの答えといえば答えで
す。ではそれをどうすればいいのかと言われると、現時点では答えは持ち合わせていないと
いうところです。
 ただ、先ほども申し上げましたが、やむを得ない過誤と、やむを得なくないものを、どう
線引きをして、誰が言えば国民が納得するのかというある種のレピュテーションを確立して
いくことが、とても重要なのではないかと思っています。
○加藤部会長 よろしいですか。どうもありがとうございます。それでは続きまして、資料
4の、対象となる疾病・ワクチンのあり方について、及び、予防接種に対する考え方につい
て、藤井次長よりご説明をお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 資料4-1と資料4-2について、時間も迫ま
っておりますので、ごく簡単にご説明します。
 資料4-2は、当部会の昨年12月25日の第1回の資料の中から、今回の話題に関係した
ものを抜粋したものの最後に、スライドを1枚を付け加えたものです。1頁は、先ほどご説
明しました。2頁、3頁についても、先ほどの手塚先生のお話の中に出てまいりましたので、
少し端折って割愛させていただければと思います。
 3頁の昭和51年の健康被害救済制度の導入については、そのとおりですが、四角部の下
の4つ目の-で、ここでもう1つの改正の中で、必要に応じて対象疾病を政令で定められる
こととしたということが、いまご説明のあった以外の事象として、メモをしておいていただ
ければと思います。
 4頁の上が、先ほど宮崎先生からもお話があった、区分を創設したというところです。対
象疾病を一類疾病と二類疾病に区分しております。これの考え方ですが、ここの議論の中で
は、現行の一類、二類の区分というのは、予防接種に対する公的関与として、一律に国民に
接種を義務づけるもの、すなわち努力義務ありと、こうした義務のないものということで、
二類を分類したという議論になっております。
 その下の部分は、予防接種の体系図で、右下の「新たな臨時接種(案)」については、い
ま審議をしていただいております予防接種法に基づく案です。この組合せとしては、「努力
義務」「勧奨」という2つのキーワードがあります。「あり、あり」、「なし、なし」が一類と
二類の違いです。新たなものについては「なし、あり」という形になっており、これ以外の
組合せはないのではないかと思いますが、そのような形になっております。
 その上で、いまヒアリングをしていただいた内容も含めて資料4-1ですが、これについて
の質疑もあったと思いますので、細かい説明は端折らせていただきます。皆様にご議論いた
だきたい事項として、丸1「予防接種に対する考え方」として、アの、公的関与による予防
接種の実施の意味や副反応等の一定のリスクがある中で、重点的に公的関与を行うべき予防
接種の範囲についてということ。イの、公的に予防接種を推進する手法。先ほど申し上げた
努力義務・勧奨、あるいは費用負担の話もあろうかと思います。先ほどの議論の中に出てい
ましたが、健康被害への対応をきちんととるということもあろうかと思います。そのほか、
以前の議論の中では、教育機関との連携等々の話もあったと思います。これらの手法につい
て、どのようなものがあるか。対象疾病・ワクチンによって組合せをどのように考えるかと
いうことです。
 ウは、前半の評価・検討組織のところでも、基本的な指針は定めるべきというご意見もあ
りました。どのようなプロセスで、どのような事項を定めるか。先ほどは議論のオープン化
という話も質疑の中でありましたので、ご議論いただければと思います。
 丸2です。アは、法律に基づく疾病・ワクチンの追加あるいは削除についてのプロセス、
評価視点についてです。イは、現在、法改正を行うことによって、基本的には対象疾病の追
加等を行っておりますが、これらのワクチン・疾病の変更等に当たって、柔軟性や機動性を
持たせることについてどのように考えたらいいか。これらについて、ご議論いただければと
思い、ペーパーを1枚用意しました。よろしくお願いいたします。
○加藤部会長 先ほどの質疑と少し重なるところもあると思いますが、今後の参考の意見と
させていただきますので、なるべく広く委員の方々から簡略なご質問、ご意見をいただきた
いと思います。
○澁谷委員 ただいまの説明では、資料4-1の丸2のイで、柔軟性や機動性を持たせるとい
うことと、前回の改正のときに、法律改正をしなくても政令で定められるような形にという
ことがありましたが、これは具体的には二類を設けておくということが、これに当たるので
しょうか、というのが事務局への質問です。
 つまり、いまはインフルエンザということですが、二類という枠を作っておくことが、そ
の柔軟性ということなのでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 先ほどご説明しましたように、現在は二類
については政令で定める規定がないということも念頭に入れた上でのご議論をいただきた
いと思っております。
○加藤部会長 ほかにいかがですか。
○今村委員 今日は何も申しておりません。皆さんとほぼ一緒ですが、私の意見として申し
上げたいと思います。丸1を包括して言いますと、私も社会的防衛と個人防衛というのは同
等に考えるべきで、すべて公的関与がある意味で必要という考えです。だから、個人防衛と
か社会的防衛という枠で予防接種法を改正するに当たり、そこの部分は同等ではないかと思
います。
 公的関与に関して、先ほどから出ているVPDに関しては、積極的に関与すべきだという
意見です。ただ、予防接種法のみで改正していいのか、第1回目から申し上げていますが、
ヒトパピローマウイルス等は、もしかしたら、がん対策基本法等にも位置づけた中での改正
が必要ではないか、そのほかの法律の問題はいろいろあると思いますが、予防接種法だけの
改正かどうかを1度検討していただけたらと思います。
 それから、特に(イ)に関しては、いつも話していますが、混合ワクチンとか、集団接種、
同時接種などに対する手法によって、随分変わってくると思いますし、事務局も説明された
財政負担は、当然ここできちんと論じないと(イ)はいかないと思います。
 いちばん大切なものの1つが、分かりやすい広報です。これは先ほどからずっと話されて
いるもので、結局国民が理解できる、そして国民はきっと理解できるであろうという、この
気持でものをしていくべきだと思います。専門性ということと、基本的に相反するものでは
ないと思っております。特に(ウ)に関しては、とにかく公的関与が、ある程度明確に整頓
されない限り進まないのではないかと思っています。そして、先ほどのACIP等の評価組織
の検討についてのところにも関与するのですが、組織はやはり公平性、専門性、迅速性の3
つを必ず持ったものとした場合、専門性についてはたくさん議論されているとおりです。公
平性に関しては、どういう人たちを入れて、どういう所で、どういう責任でするかという意
味で、この公平性を保つためのメンバーが評価・検討組織の中に非常に必要なものという視
点で、よく議論をしたほうがいいのではないかと思います。
 迅速性に関しては先ほど澁谷委員もおっしゃったように、私は二類という考え方を最初か
らあまり好んでおりませんので、二類は別としても、少なくともすべて法律で動かしていく
ような形では、予防接種のこれからのプランニングをするときには少し無理があるのではな
いでしょうか。先ほどの政府の関与がどういうふうにするかによって、また違ってくるのか
も分からないのですが、少なくとも、少しそういう迅速性において、法律だけではない工夫
が必要なのではないかと思います。以上です。
○岩本委員 2点です。1点目は、いまの国民の感覚としては、一類疾患は「発生・まん延
を予防」と書いてあるのですが、日本ではこの中の多くの病気が蔓延していないではないか
というのが国民感情だと思うのです。しかも、予防接種法の中には、いわゆるVPDの中で
任意接種対象疾患は入っていません。そもそも、私はVPDというものを法律にある程度位
置付けて、定期接種という言葉がいいのかどうかは分かりませんが、その中で現在の財政と
かを考えて、予防接種は国なり公的に補助する予防接種対象疾患はこれです、というような
発想に変えたほうがいいと思います。要するに、いまの議論だと一類疾患、二類疾患に疾病
を出し入れをするような議論になっていくので、これは非常に国民に分かりにくいのではな
いかと思います。
 2点目は、今日のタイミングでこの部会が提言をできるのかどうかは知りませんが、本当
にVPDに対する、特に子どもたちへのワクチンを強化するのであれば、私は内科医なので
大人が中心ですが、やはりこの部会として子どもへの定期ワクチンの予算化が必要であると
いうのを、今日言うべきだと思います。子ども手当として、現物支給に組み込むべきものが
ワクチンだという提言を今日すべきだと思います。
○岡部委員 いま蔓延していない病気のことが出てきましたが、例えばはしかのエリミネー
ションなどはむしろ蔓延ではなくてどんどん縮小にあるわけですが、ある目的をもってやっ
ていかなくてはいけない病気、あるいはハードイミュニティ、全体の人が免疫を持って初め
て広がりが防げる病気、これはかなりある意思を持って「やってください」と相当言わない
と接種率は上がってこないと思うので、その強弱は出てくると思います。ですから、いまで
言う任意接種の場合は、かなり保護者の方の選択によって個人の病気が防げるということで
は、蔓延防止とはちょっとニュアンスが違うと思うのですが、ただ、そこに予防接種の責任
問題と費用の問題が重なってくるから、非常に複雑というか分かりにくくなってくる。
 私はいまの日本の健康保険制度というのは、確かに組織で制度上のはありますが、日本中
どこでも、少なくとも保険に加入している人はどこに行ってもかなり良いレベルの医療が受
けられる。でも、ワクチンの場合は、やりたいと思っても所得の関係で「さてどうしようか」
と考えることがあちこちに実際に出てきているわけです。その辺は、子どもであれば、我々
の子どもをみんなで育てるのだという意味で等しく税金を使う、つまり、負担は個人の所得
差によらないという考え方はやはり必要ではないかと思います。ですから山本先生と同じで、
VPD、ワクチンで防げる病気については等しく防ぐ、ただし、その進め方には強弱があっ
て当然だと思います。
○廣田委員 進め方の強弱のところで勧奨が有り無しという、この「勧奨」というキーワー
ドはできればもう外していただきたい。みんなに勧奨するということではないでしょうか。
○岡部委員 失礼しました。追加ですが、勧奨ではなくて是非やれと、それが強い意味の部
分だと思います。そのほかのが勧奨だと思うのですね。
○宮崎委員 公的な関与からすれば、どういう形をとるにしろ、先進国でスタンダードにな
っているものは、日本でも早急にスタンダードにしていくと、この1点をとにかく早期に突
破するということに集中したいと思います。そのためには、それこそ今日、提言が予算的に
必要であればという話にもなりますけれども。これからいろいろファクトシートを基に、一
つひとつのワクチンの話題にはなっていきますが、先ほど出ましたように、一つひとつが本
当に比べられるというものでもないのですね。科学的にいくらやっても、それはそれなりの
重要性があるわけですから、そして、医療経済性の問題にしても微妙な問題はありますが、
少なくとも日本がここ15年、20年、いろいろな先ほどの不作為も含めて起こってきたギャ
ップ、ラグに関して、そこのところは国の責任で埋めていくという強い姿勢をとっていただ
きたい。局長も代わられましたが、最初のこの会で「不退転の決意でやる」と前局長が言わ
れましたので、今回の局長もそういうふうに対応していただきたいと強く思います。以上で
す。
○加藤部会長 古木委員いかがですか。
○古木委員 やはり日本も諸外国に予防接種のことについても劣ってはいけないと思いま
す。先ほど子どもさんの話も出ましたが、やはり大事なことであろうと思います。
 前回の会議のときに150億円の概算要求をされたというお話が出たわけですが、子宮頸
癌のワクチン接種について、あの町はやるがこの町はやらないとか、そこには費用負担が非
常に大きなウエイトを占めているのではないかと思います。私たち行政の立場から言えば、
できることなら全てのワクチンを全ての方が受けやすい形といいますか、誰でも受けられる
ような形にもっていくにはどうしたらいいかと、このような点が重要ではないかという気が
しております。
 それには経済的な問題も多分あるのではなかろうかと思いますが、結論的に言えばいま申
し上げたように、世界に劣らない、むしろナンバーワンになるぐらいの予防接種のレベルで
あって、そしてなおかつ経済負担もしっかり、いいものは国の責任でやっていくと、こうい
う基本的な考えに立っていただいたら思います。
とにかく町によって行政の手法が、この町はできるがこの町はできないというのは、同じ日
本人で国内に住んでいても、そういうことはあってはいけないと思います。
○加藤部会長 ありがとうございました。池田委員いかがでしょうか。
○池田委員 先ほどから費用負担の問題あるいは医療経済性の議論がありますが、実は我が
国でこれらのワクチンの経済性がどうだということを、共通の評価の軸といいますか、共通
のルールで計算したものがないわけなのです。予防をすれば何となく将来お金が節約になる
という漠然としたイメージはあっても、実際にワクチン以外のほかの予防技術でいろいろ計
算したものを見ますと、予防にかけるお金のほうが大きくて、将来の節減額に比べますと、
予防対策にかけるお金のほうが高くなってくるというものは、ワクチン以外のほかのもので
はかなりあるわけで、このワクチンに関しましてもその辺りの数字も踏まえて議論していく
ことが必要ではないかと感じております。もちろん費用対効果が悪いからただちに駄目とい
うことではなく、ただ、そういう数字を定量的な数字に基づいて議論をしていくことが必要
だと思います。外国の組織の中でも、私の知るかぎり、ほとんどの国の組織では、そうした
医療経済性のデータに基づいて最終的な判断をしていると認識しております。
○飯沼委員 皆さんのおっしゃることにすべて賛成ですが、予算編成の時期でありますので、
請願書か何かは知りませんが、この委員会から何かを出すというのは意味があるような気が
していまして、先ほど数名の先生方からそういうお話もあったのでいかがでしょうか。座長
にお任せしますので、要望書みたいのを出していただきたいと思います。
○加藤部会長 予算編成について何か要望書を出せということですが、この件に関しまして
は、事務局と十分相談の上、考えさせていただくことにいたします。総務課長どうぞ。
○総務課長(健康局) 概算要求という意味で8月末に出させていただいておりまして、あ
る意味で予算要求までということで申しますと、年末に予算の決定もございますので、そう
いったところも一つ念頭に置きながら、もちろんこの提言をまとめていただくべくご議論を
いただくのが、一つ方法としてあるのかなと思われます。したがって、制度改正のご議論と
か、諸々を含めまして、これからまた議論の時間がございますし、それから、そういったこ
とも踏まえて、また、このご意見を踏まえまして、我々、政務三役ともよくご相談させてい
ただきながら対応させていただきますので、それを踏まえてご議論をしていただければと思
います。
○加藤部会長 局長どうぞ。
○健康局長 今日は医薬局長も来ていますが、先進国から見て我が国の予防接種制度が遅れ
ているということは、よく言われているわけなのです。したがって、それを何とかしようと
いうことで、厚生科学審議会のご議論を伺っているものですから、厚生労働省全体で何とか
しようという気持でいるわけです。
 いま予算編成の時期だからというご指摘がありましたが、それを全否定するわけではあり
ませんが、まさにいまご議論をいただいているような予防接種制度全体をどうするか、いろ
いろな対象疾患のみならず、目的規定にかかわるような範囲の問題もいろいろ出てきていま
すから、社会防衛から個人の健康づくりまで範囲を広げるかとかのいろいろな話や、評価組
織の問題、それから財源の問題もいろいろ出てきていますので、そういったまず基本的なも
のの考え方について、この審議会でまとめていただきまして、これから事務局から段取りの
話も出るかと思いますが、その上で有効な予算要求といいますか、それに向けてご提言をい
ただきたいと思っております。まずは全体の提言のほうを優先していただこうと思っていま
す。だからといって、直ちにこういうふうな予算要求のご意見を封じるとかいうことではご
ざいませんが、できればそういうステップを踏んでいただいたほうが、我がほうとしてはあ
りがたいと思っています。
○加藤部会長 ありがとうございました。局長がいまおっしゃいましたように、先ほどどな
たかの委員から稀に見る回数をたくさんやっているというご意見が出ましたが、まさに稀に
見る回数をやらないとここまでこない、ということも現実でして、いま局長がおっしゃいま
したように、なるべく早く皆さんのご意見をいただいて、早く提言を出していきたいという
のが、私の考え方でもありますし事務局の考え方でもあるというふうに考えています。ほか
に何か、岡部委員どうぞ。
○岡部委員 途中で似たようなことも申し上げたのですが、いままでの委員会・検討会など
で提言を出すと、それに基づいて行政的に施策に入れるか入れないか、とそこまではいくの
ですが、そこで10項目ぐらいのことがあって1項目だけ生きると、あとの9項目がその後
は議論から消えてしまうというのが、いままでの現状ではないかと思うのです。また、その
審議会でゼロからスタートということなので、継続性をもってやっていくことは、この委員
会の中で是非とも必要なことではないかと思います。
 いまはワクチンとしては8項目ないし、かなりの項目のことを個別にやっているのですが、
一気に全部8項目が来年度から通るなんていうことは、残念ながらおそらく現在の予算規模
からないと思うのです。しかしそのうちの2項目だけ今回ピックアップしておいて、また以
降はしばらくいつになるかわからないということがないように、継続性をもってお願いした
い。
 先ほど私は台湾の例を出しましたが、多くの医療機関あるいは予防接種に関する人が、わ
けがわからなくなっているのは、いつになったらどうなるんだ、というところの見通しがま
ったく立っていないための批判であり、あるいはイライラ感ではないかと思うのです。です
から、例えば3年先にはできそうであると、2年先にはデーターを揃えるとか、そういうよ
うなプランニングが必要ではないかと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。それは前半の議論にもありましたが、そういうこと
を踏まえて、常設的・包括的な制度、仕組みというものを作っていきましょうということで、
前半に議論がなされたところではなかろうかと私は考えていますが、それでよろしいのでし
ょうか。ほかにご意見がございますか。
○岩本委員 健康局長のおっしゃったことに反対ではないのですが、私が先ほど言いたかっ
たことは、現物支給の最たるものがワクチンであるということをはっきりしておいて、それ
から粛々と対象疾患全体を議論すればいいということです。
○加藤部会長 ほかにご意見はございませんか。事務局、何か紙上のコメントが入っていま
すか。 
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 黒岩先生が今日は欠席でいらっしゃるの
ですが、先ほどメールをいただきました。その中で次回以降に発言させていただきたいとい
うことですが、今日の議論に関連しますところで4つ挙げていただいていますので、そのま
ま読み上げさせていただきます。
 1番目、予防接種とは健康安全保障である。国家として国民の命を守るために作り上げる
ウイルスへの防態勢である。個人の選択に任される世界ではない。法定接種に決めたワクチ
ンを打つのは国民の義務であるべき。費用はすべて公費負担であるべき。ワクチンも国産・
海外産の区別なく、平時より緊急時に備え、確保できる態勢を整備しておくべき。
 2番目、予防接種法は「シンプル」に。ワクチンの対象を細分化して規定すべきではない。
法定接種か否かだけの区分でいい。
 3番目、副反応事故に対しては「被害者救済最優先の態勢」を。副反応事故を最小限に抑
えるための態勢作りは大前提。無過失補償・免責制度を導入することにより、責任追及より
被害者救済を優先する態勢を整備する。
 4番目、メディアの過剰反応を抑えるために、「徹底的な情報公開・透明性」を。副反応
事故へのメディアの過剰反応により、ワクチン後進国になってしまったという反省の下、メ
ディア・研究者らが常日頃から正しく情報を把握できるように、徹底した情報公開・透明性
を実現すべき。
 この4点につきましてメールをいただいています。
○加藤部会長 ありがとうございます。ほかの欠席者からのコメントはありますか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 ございませんでした。
○加藤部会長 委員の方々、何かご意見がございますか。よろしいでしょうか。ありがとう
ございました。いろいろとご意見をいただきました。予防接種に対する考え方につきまして
のご意見は、事務局において十分整理をしていただきまして、その上で今後取りまとめを行
う際に、各委員のご意見・ご趣旨を十分に踏まえて取りまとめを行っていきたいと存じます。
 その他の件です。前回、「その他」の議題となりました「利益相反」につきまして、前回
の部会での委員からのご意見に関しまして、再度、事務局で調整いたしまして、各委員のご
意見をお聞きするようにお願いしておいたところですので、事務局からご説明がありました
らお願いいたします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 ご説明申し上げます。前回の部会において
利益相反の申告につきまして、額について500万円という額はちょっと高すぎるのではな
いかというご議論をいただきました。もう1点、作業チームについても利益相反を申告すべ
きではないか、というご意見をいただいております。
 これにつきまして、ご意見をいただいた委員に対して、その500万円の根拠につきまし
て、これは米国及び欧州のガイダンス、それぞれ5万ドルあるいは5万ユーロという形のよ
うなのですが、それを並びとして参考にいたしまして、厚生労働省として薬事分科会におい
て検討された事項ですと。厚生労働省の中におきましても、そのほかの会議でこの横並びで
やらせていただいています等の説明を申し上げました。そのことにつきまして、やはり前額
と同じような形の申し合わせ事項500万円という形でやらせていただけないでしょうかと
いうことで。これは9月6日付けで委員の皆さんに、もう1回意見照会をいたしました。特
段のご意見があればということだったのですが、特段のご意見をいただいていませんので、
額につきましては前回の案のとおり、500万円等々も含めた申し合わせでいかせていただけ
ればと思っております。
 なお、作業チームにつきましては、部会で出ましたご意見も含めまして、作業チームの打
ち合わせ時に、チームのすべての方が参加していたわけではないのですが、ご相談を申し上
げましたところ、特にこれは部会に対するものなので、これによって議論に参加できるでき
ないということではない、ということを申し上げた上でご説明申し上げたところ、基本的に
は申告すべきということで皆さんのご意見が一致するのではないかとのことで、いま調整中
ですが、そちらの方向でご相談をさせていただいています。この部会におきまして、申し合
わせ事項が決定しました段階で、再度、作業チームの方につきましても申告のお願いをさせ
ていただこうと考えています。以上です。
○加藤部会長 ただいま事務局からご説明がございましたとおりで、申し合わせをいたした
いと存じますが、よろしいでしょうか。
                 (異議なし)
○加藤部会長 ありがとうございました。それでは、部会の先生方には利益相反の取り扱い
に関しましては、必要な事務手続等につきまして、改めて事務局よりご連絡をお願い申し上
げます。時間もまいりましたので、本日は以上で閉会とさせていただきますが、事務局から
次回の予定等につきましてお願いいたします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 次回につきましては10月になると思いま
すが、正式に日程が決まりましたら、速やかに皆様にお伝えしたいと思っております。あり
がとうございました。
○加藤部会長 本日は長い間どうもありがとうございました。これにて閉会させていただき
ます。

(紹介先)
厚生労働省健康局結核感染症課
TEL:03-5253-1111(内線2077)



(了)

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