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2010年10月15日 第12回社会保障審議会医療部会議事録

医政局総務課

○日時

平成22年10月15日(金) 13:30〜16:00



○場所

厚生労働省議室(中央合同庁舎第5号館9階)



○議事

○企画官 ただいまから「第12回社会保障審議会医療部会」を開会します。委員の皆様方におかれましては、非常にご多忙の中ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。はじめに、新しく委員におなりの方々を紹介申し上げます。社団法人日本病院会副会長の相澤孝夫委員、全国町村会常任理事の小野精一委員、社団法人日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革部会長補佐の光山由一委員、社団法人日本精神科病院協会会長の山崎學委員です。本日ご欠席ですが、社団法人日本医師会副会長の横倉義武委員も新たな委員にご就任されておられますので、紹介します。
 本日のご出欠について報告を申し上げます。本日、代理の方にご出席いただいていますが、小島茂委員がご欠席です。また、上田清司委員、大西秀人委員、尾形裕也委員、樋口範雄委員、邉見公雄委員、横倉義武委員からご欠席との連絡を頂戴しています。西澤委員は若干遅れてお見えになられます。
 事務局に異動がありましたので、紹介をします。医政局長の大谷、医政局政策医療課長の池永、医政局医事課長の村田、医政局歯科保健課長の上條、医政局経済課長の福本、医政局研究開発振興課長の椎葉です。いま紹介しましたように医政局長の異動がありましたので、はじめに医政局長の大谷からご挨拶を申し上げます。
○医政局長 医政局長の大谷でございます。この7月30日に就任いたしました。平成13年度、14年度に医政局総務課長をしてこの席にいましたので、その節もお世話になった先生方はおいでですが、また舞い戻ってきましたので、どうぞよろしくお願いいたします。本日、本来ならば政務三役が参ってご挨拶すべきところでありましたが、国会の予算委員会と用務が重なりまして、出席がかないませんでした。僭越でありますが、私からこの再開に先立ちましてご挨拶を申し上げたいと思います。
 本日は、ご多忙のところを社会保障審議会医療部会にご出席いただきまして、ありがとうございます。医療部会の開催目的は、改めて申し上げるまでもありませんが、医療を提供する体制の確保に関する重要事項の調査審議でございます。昨年の医療部会におきましては、このような見地から平成22年度の診療報酬改定に先立って、その基本方針を取りまとめていただきました。これを踏まえまして、今年4月の診療報酬改定におきまして、10年ぶりにネットでプラス改定を行い、病院勤務医の負担軽減等を図ったところでございます。今回、これからの部会につきましては、医療提供体制のあり方についてご議論をお願いするというものでございます。
 本年6月に閣議決定されました新成長戦略におきましては、医療サービスの基盤強化が重要なテーマの1つとして掲げられております。医療機関の機能分化・連携をより一層推進し、地域で必要な医療が提供できる体制の構築に向けまして、医療についての高い識見を有しておられる委員の先生方から幅広いご意見を頂戴したく、医療部会を再開するものでございます。
 当面の予定といたしましては、年末までに数回にわたってお集まり願うということを予定しておりますので、引き続きご協力とご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○企画官 もし報道の方で、冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。以後、カメラ撮り等はご遠慮いただければと思います。
 議事に入ります前に、お手元に配布しています資料の確認をします。表紙からいきますと、議事次第、1枚紙で座席表、委員の先生方の名簿、これはそれぞれ1枚ずつです。以下、基本的に右肩上に資料番号を付していますが、資料1「医療提供体制について」、資料2「予算関係資料」、資料3「病院等における必要医師数実態調査の概要」、この3点。参考資料は1から4まで、各種検討会の報告書等参考資料1、2、3、4とそれぞれまたばらで付けています。さらに、委員提供資料ということで、中川委員からご提出をいただいています資料が?@?Aということで2点あります。もし、ご確認いただいて不足があれば、事務局にお知らせいただければと思います。また、審議の最中で配布漏れ、落丁等お気づきの点がありますれば、ご請求いただければと思います。
 以降の議事進行について、齋藤部会長、よろしくお願いします。
○部会長(齋藤(英)) 議事を続けます。最初に、委員欠席の際に代わりに出席する方の扱いについては、事前に事務局を通じて部会長の了解を得ること及び当日の部会において承認を得ることにより、参考人として参加し、発言をいただくことを認めることとしています。本日の会議については、小島茂委員の代理として日本労働組合連合会生活福祉局次長伊藤彰久参考人のご出席をお認めいただけますか。よろしいですか。
                  (承認)
○部会長 ありがとうございました。早速、議題に移りたいと思います。本日は、ただいまお話のありましたように医療提供体制のあり方について、意見交換をしたいと思います。最初に、最近の医療に関する状況について、事務局から資料として「医療提供体制について」「予算関係資料」「病院等における必要医師数実態調査について」が示されていますので、説明を受けたいと思います。これらの資料は、あらかじめ事務局から各委員の手元に送られています。目を通していただいていると思いますし、また、意見交換に時間を十分かけたいので、説明は簡潔にお願いします。事務局から説明をお願いします。
○総務課長 部会長から簡潔にというご指示がありましたので、なるべく短いご紹介にとどめたいと思います。資料1「医療提供体制について」ということでまとめた資料です。1頁からは「高齢化等の動向」、1頁は我が国の人口の推移です。2頁は人口ピラミッドの変化、高齢者を何人で支えるかということがビジョンにより分かれるという資料です。
 3頁、65歳以上の高齢者のいる世帯数及び構成割合で、単独世帯、夫婦のみの世帯の割合が非常に高くなっているデータです。4頁、死亡数の年次推移。5頁は主な死因別にみた死亡率の年次推移。6頁は死亡場所の推移ということで、自宅と病院の割合の推移などを示しているものです。7頁、年齢階級別の受療率、上が外来の受療率、下が入院の受療率、色分けしているのが疾患の種類です。
 次からは「医療提供体制について」の基本的な資料です。8頁、医療提供体制は、医療法による施設等の規定、医師法、保健師助産師看護師法等の資格関係の法律を柱として成り立っているわけです。基本データとして、医療施設・病床数、医療関係者数の直近の状況です。9頁、医療施設数及び病床数の推移です。左側は医療施設ですが、一般診療所が増加して10万弱、無床診療所が増え、有床診療所が減っているという傾向です。また、病院は徐々に減ってきており、8,739という数字です。歯科診療所は6万8,097。病院病床数については、全体として微減の傾向が続いているということです。10頁、人口10万人当たり病院病床数、病院平均在院日数を都道府県別に示したものです。棒グラフが病床数、折線グラフになっているのが平均在院日数です。
 11頁、人口10万人対医師数の年次推移で、一貫して増えていると。現在医師数は、毎年3,500〜4,500人ぐらいのペースで増加を続けているところです。12頁は、人口10万人当たりの医師数の都道府県別の分布です。赤い色が人口10万人当たり医師数が240以上ということで、医師のたくさんいる所、濃い青い色が180人未満ということで、医師の数が薄い所ということになりますが、ご覧いただきますと、全般として西日本は赤い色があり、人口当たりの医師数は多いということがわかります。また、東日本は概して少ないわけですが、東京は非常に多い。いちばん青い所がいちばん薄いわけですが、埼玉、千葉、茨城という所がいちばん薄いということです。北海道は若干多いと、このような傾向です。
 13頁、いまは都道府県別に申し上げたわけですが、二次医療圏別人口10万人当たり従事医師数で、都道府県内においても人口当たりの指数が多い地域と、郡部など少ない地域がみられるということで、どのぐらいの差があるかということを比較したデータです。
 14頁は、診療科別の医師数の推移です。平成10年を1.0とした場合の変化を示しています。医師総数は、上3分の1の所にあります薄い青色の部分です。このような形で総数は伸びてきているのですが、診療科別に増減があります。いちばん下、大変減っているということで、外科がいちばん下の紫色のグラフ、その上の緑色は産婦人科ですが、直近の動きとして平成20年度はいずれも増加に転じたというところです。
 15頁は、本年実施しました病院等における必要医師数実態調査の概要です。これについては別冊で資料を用意していますので、後ほどまた説明をします。
 16頁は、人口1,000人当たりの臨床医数の国際比較です。OECD単純平均がちょうど真ん中ですが、1,000人当たり3.24です。我が国は2.15と下から4番目にあるということです。
 17頁は、医療提供体制の各国比較、「OECD Health Data 2010」から取ったデータですが、病床のあり方などは国によって大変異なりますので、これは単純な比較になります。病床の種別等については注を付けていますが、日本の場合は左側にありますように平均在院日数が長い、人口当たりの病床数が非常に多いということ。したがいまして、病床当たりの医師数が少ない、このような傾向が数字に出ているわけです。右側は看護職員数ですが、看護職員数はそれほどほかの国と違うわけではないのですが、病床当たりは少ないということになっているわけです。
 18頁、こちらは救急出動件数及び搬送人員の推移、過去10年間の救急搬送人員の変化です。ここ数年間、若干出動件数は落ち着いているという傾向が出ています。やはり軽症者が増えているということです。19頁、現場到着時間及び病院収容時間の推移で、いずれも少しずつ遅延しているという傾向があります。
 20頁、小児科医師数と救急自動車による7歳未満の搬送人員で、小児科医師数は増加傾向です。搬送人員数は、近年、若干減少傾向にあるということです。
 21頁、分娩取扱い施設及び婦人科・産科医の推移で、婦人科・産科医数は若干増えてきていますが、施設数は減少しているということです。22頁、母体及び新生児の搬送受入れということで、これはNICUの利用率が90%超であるということ、満床で受入れができないなどの結果が示されています。
 23頁、これは平成22年度予算の取組みについて紹介したものです。詳細は避けますが、医師の診療科偏在対策等で救急、分娩、新生児医療を担う勤務医の手当等を実施している、女性医師等の離職防止・復職支援などを拡充している、平成21年度から地域医療再生基金を設置して都道府県の取組みを支援している、チーム医療の推進、24頁に入りますと周産期医療体制の充実・強化で、NICUの整備に重点的に予算を付けている、救急医療体制の充実等々の内容となっています。
 25頁は、医療法改正の主な経緯です。昭和23年の制定当時は、量的な整備が急務とされた中では、施設の衛生基準中心の法律であったわけですが、その後、医療計画制度ができたり、理念や患者への説明と理解など、ソフト面の規定も加わってきており、直近の改正では、例えば医療情報提供制度の創設なども入っているという経緯です。26頁からは、前回改正の概要資料です。
 その次に「最近の動き」ということで付けていますのは、28頁では平成20年の安心と希望の医療確保ビジョン、29頁は社会保障国民会議最終報告の該当部分の記述、30頁が今年のものになりますが、規制改革等の主な動きです。事項が2つあり、上で「臨床修練」と書いてあります。これは、外国の医師免許を持っておられる方で日本では免許をまだ持ってない方が日本で日本の医師の指導のもとに医行為をするということについて臨床修練という制度が現在あるわけです。この制度について、外国の方が教授目的で見る場合などにも拡充すべきということが指摘されており、検討中です。
 下の部分には、「死体解剖保存法」があります。現在、死体は解剖できるわけですが、ここでは医療技術研修等のための死体の利用について検討すべしということで、いま検討しているところです。
 31頁からは、新成長戦略・基本方針の抜粋です。医療・介護・健康関連産業を成長牽引産業へ、日本発の革新的な医薬品、医療・介護技術の研究開発の推進などです。
 32頁にまいりますと、不安の解消、生涯を楽しむための医療・介護サービスの基盤強化です。下の部分に「具体的には」ということで、医師養成数の増加、勤務環境や処遇の改善による勤務医や医療・介護従事者の確保とともに、医療・介護従事者間の役割分担を見直す。また、医療機関の機能分化と高度・専門的医療の集約化等々を加速させ、質の高い医療・介護サービスを安定的に提供できる体制を整備する、ということが書かれています。次に、地域における高齢者の安心な暮らしの実現ということです。
 33頁からは、新成長戦略に付いている「工程表」ということで、具体的には、この事項はいついつまでに実施すべしということが書かれています。工程表のいちばん左上に、「医療提供体制に関するグラインドデザインの策定」ということも書かれているところです。36頁からは、内容は同じですが、新成長戦略の厚生労働省関係部分をまとめた説明資料です。
 40頁には、医療部会の今後の開催予定の案を付けています。年内に4回の開催を予定しているところです。昨日、日程調整の結果を連絡していますが、今回に続いて、次回、医療を支える基盤(ソフト面)、その次には施設体系等のハード面、4回目には地域における医療体制で医療計画等ということで、テーマを設定してご議論いただくことを考えているところです。
 41頁、医療計画の見直しに関する検討会についてです。次期医療計画は平成25年度からということになりますが、その策定準備に向けて、これまでも検討会において、技術的事項を含めて検討をしてきたわけですが、今回も並行して検討会を設けて検討を始めたいと考えています。
 資料2は予算関係資料ですが、表紙を見ていただきますと3つ並べています。1は「平成23年度概算要求の概要等」ということです。2は「経済危機対応・地域活性化予備費の活用」です。これは平成22年度予算の中で予備費として計上していた予算を使用するということです。3は「円高・デフレの対応のための緊急総合経済対策」ということで、これも平成22年度の話ですが、10月8日に閣議決定があり、これに基づく補正予算の編成をいま作業中ということです。
 2頁、1番目の「平成23年度概算要求の概要」ですが、医政局関係要求額が約1,886億円ということで、大変厳しい財政状況の中での要求段階で前年度約97%ということです。また、その内訳として「元気な日本復活特別枠」、政策コンテストなどと言われていると思いますが、その特別枠の要望として、ここに掲げている事業180億円ほどが含まれています。
 1本目の柱は、地域医療の確保事業でして、1つは地域医療支援センターの運営経費、これは後ほど説明します。次に臨床研修指導医の確保事業、チーム医療の実証事業があります。また、健康長寿のためのライフ・イノベーションプロジェクトは121億円で、世界に先駆けた革新的新薬・医療機器創出のための臨床試験拠点の整備事業、先端医療技術等の開発・研究の推進事業を計上しています。
 3頁以降は項目別の内容、主要施策が出ていますが、説明は省略します。
 8頁、地域医療支援センターのイメージです。9頁は今年度の予備費の使用です。総額9,179億円を使用するということが9月に閣議決定されたのですが、そのうち項目4(1)で「病院等の耐震化等対策」が書かれています。災害拠点病院等の耐震化の促進ということで、360億円の使用が決定され、現在、都道府県への交付の手続に入っているところです。
 10頁からが「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」で、この中で関係部分、19頁になりますが、左側に「医療」とあり、地域医療の再生と医療機関の機能強化ということであります。都道府県に設置されている地域医療再生基金の拡充、これが含まれるということ、また、院内感染対策でサーベイランスの強化が掲げられています。
 資料3について、指導課長から説明します。
○指導課長 資料3をご覧ください。「病院等における必要医師数実態調査の概要」について、ポイントだけ説明します。1頁の下のほうをご覧ください。調査の目的ですが、本調査は、全国統一的な方法により各医療機関が必要と考えている医師数の調査を行うことで、地域別あるいは診療科別の必要医師数の実態等を把握して、医師確保対策を一層効果的に推進していくための基礎資料を得ることを目的としています。なお、この調査の結果は、医療機関から提出された人数をそのまま集計したものです。調査の期日は今年6月1日、対象は全国の病院と分娩取扱い診療所でして、1万施設余りとなっています。回収率は、病院については88.5%、分娩取扱い診療所は64%の合計で84.8%です。
 調査結果のポイントは上に書いていますが、必要求人医師数、実際に求人活動を行っている必要な医師数は1万8,288人となっており、現員医師数と必要求人医師数の合計数は、現員医師数の1.11倍、すなわち今より11%必要となっています。また、求人はしていないけれども必要だという医師を合わせました必要医師数は2万4,033人で、現員医師数の1.14倍となっています。
 現員医師数に対する倍率が高い都道府県は、求人とするか非求人と合計にするかによって違いますが、こちらに書いてありますとおり島根県、岩手県、森青県、山梨県といった順番に高い倍率になっています。また、診療科別に見ますと、リハビリ科、救急科、呼吸器内科、産科などか高い倍率になっていまして、分娩取及い医師のほうは1.11倍 ないし1.15倍となっています。
 4頁をご覧ください。正規雇用、短時間正規雇用、非常勤と区分をして現員医師数を調査しており、正規雇用は13万2,000人余り、短時間正規雇用は3,500人余り、非常勤は3万500人余りとなっています。これらのカテゴリー別に必要求人医師数あるいは必要医師数の倍率を見ますと、右側のほうに棒グラフがありますように、正規雇用は1.12〜1.16倍、短時間正規雇用は少し高くて1.17〜1.23倍、非常勤は低くて1.04〜1.05倍となっています。分娩取扱い医師数については、下のほうに再掲で出ています。
 都道府県別ですが、5頁にあります。倍率の高い県は先ほど紹介したとおりですが、低いほうを見ますと、東京都、大阪府といった所が低くなっていますが、東京都でも必要求人医師数1.05倍程度ですので、5%以上は必要という結果になっています。
 診療科別は6頁にありますが、こちらも倍率の高い、より必要医師数の多い診療科は先ほど紹介したとおりですが、逆に倍率の低い所はアレルギー科、肛門外科、形成外科、美容外科などとなっていますが、こちらも充足しているというわけではなくて、求人医師数であれば数パーセント以上、求人していないものを含めますと5%ないし10%は必要だという結果が出ています。
 こういったことで今回の調査で医師不足の状況、地域偏在、診療科偏在ということがある程度確認されたわけですが、地域偏在については、都道府県間の偏在だけではなくて県内の偏在もあることが確認されています。
 そこで、その対策について1つだけ紹介したいと思います。先ほどの資料2の8頁です。先ほど少し紹介がありましたが、特別枠で来年度要求している中に地域医療支援センター(仮称)があります。実態調査の結果でも出ていますが、求人しても医師が充足されない背景として、求人している診療科の医師の絶対数が県内に少ないというのが38%回答がありますし、大学の医師派遣機能が低下しているという回答も20%ありました。このために各県内で必要とされる医師については、各都道府県も自らその確保に努力する必要があると。また、大学の医師派遣機能によらない医師確保システムも構築していく必要があるのではないかと考えられます。
 こうしたことから地域医療支援センターについて要求しているわけですが、イメージにありますように、県内の大学はもちろんのこと、中核病院など関係団体とも協力し、地域枠医師のキャリア形成支援によりまして、地域医療に従事する医師を確保し、定着を図るほか、医師不足病院へ医師をあっせんしたり、学会や研修活動の際には地域医療に従事する医師を代替医師の派遣により支援するといったことも考えています。
 なお、地域枠の医師については、右下の医学部定員における地域枠の推移にありますが、数年後からはその人数が1,000人前後にまで達するということで、卒業後約9年間の義務年限の間、地域医療に従事することになりますので、各都道府県はその地域枠医師の育成と活用を本格的に検討しなければいけないという時期にもきています。
 地域医療支援センターの役割としては、下の図の6本の柱を考えています。地域枠医師のキャリア形成支援ですが、対象となる医師に県内で初期研修、後期研修を受けていただきながら、学界の認定医、専門医の取得なども含めて、しっかりとしたキャリア形成支援を行っていただきたいと思っています。
 また、地域医療に従事するためには、研修医1人だけで地域の病院に行っていただくわけにいきませんので、研修体制の整備にありますが、指導医も養成して、研修医とセットで地域の病院に行っていただいて、研修医を指導医が指導しながら地域の病院で診療することをお願いしたいと考えています。また、地域に行かれた医師が学会に出たり、研修を受けたりという場合の代替医師の派遣などによって、出た医師の支援も行っていきたいと考えています。
 右側にありますが、総合相談窓口と情報発信にありますように、センターができました暁には、県内外の医師、医学生あるいは高校生も含めまして、さまざまな情報発信を行うことを考えています。医師のあっせんですが、地域医療に関心を持つ医師を確保して、個別に面談などを行って、医師側の希望も調査し、医師不足の医療機関の実態なども調査して、その調整を十分に行ってあっせんを行うことが必要かと考えています。地域医療関係者との意見調整ということで、当然のことですが、これらの具体的な事業を動かすためには、大学、中核病院、地域の医師会など、地域医療関係者と調整を十分に行っていく必要があると考えています。
 このような地域医療支援センターを各都道府県1カ所、例えば県立病院がある所であればそこに置く、あるいは大学との関係で大学病院に置くことが適当な場合に大学病院に置くなど、各県の実情に応じて最も適当な場所を選定して設置し、各都道府県における医師の確保、地域偏在の是正を図っていきたいと考えているところです。以上でございます。
○部会長 ありがとうございました。以上の説明や資料を踏まえつつ、医療提供体制のあり方について、委員の皆さまからご意見を伺いたいと思います。本日は医療提供体制のあり方に関する第1回目の意見交換会でありますので、委員の方々の率直なご意見を中心にお願いしたいと思います。いまから4時までですから、約2時間近くありますので、時間は十分あると思います。なお、資料提出をしていただいている委員もいらっしゃいますが、ご指名は特にしませんので、補足等説明の必要な方があれば併せてご発言をいただければと思います。委員間の活発な意見交換をお願いできればと思いますので、お一人当たりのご発言はできる限り簡潔にお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○加藤委員 それでは短時間で恐縮ですが、医療の提供体制につきまして、周産期医療体制の充実・強化というところの、22、23頁のところでちょっとコメントを申し上げます。
 資料1の22頁にありますように、母体及び新生児が搬送できなかった理由として、NICUの満床のためであるということがわかっております。しかし、この満床の原因はどこにあるかと申しますと、NICUに長期入院している患者が多いことも一因です。この長期入院の多くは、人工呼吸器等の医療的ケアは必要とするものの、病状は安定しておりまして、そのすべてが高度医療を受け持つ病院に入院・加療しなくてはならないものではなく、一定の時期が過ぎたときには、地域や家庭で生活できるような受け皿作りが必要であると考えております。このポストNICUすなわち急性期を過ぎたNICUに限らず、小児の難病そして障害を持つ子どもたちの後方病床、ないし中間施設、これは昨年も申しましたが、私のイメージとしては、例えば国立病院機構のうちの以前の国立療養所などが政策的には考えに浮かぶのですけれども、そのような中間施設等も必要とは考えますが、なるべくならば親子が分離せずに暮らせるような、在宅医療・在宅看護をより積極的に推進する必要があると存じます。
 しかし一方、在宅医療を選択することは、その家庭の社会的・経済的負担が大きくなり、小さな子どもを持つ若い世帯の家庭ではなかなか難しいところであります。これらの問題の解決策の1つとして、平成22年度より地域療育支援施設を設置するための補助が開始されたということは非常に評価できると思います。この支援施設の目的としては、1つには在宅医療へ移行する家族の準備の支援。もう1つは移行した多くの家族の不安となっている急変時に受け入れてくれる体制の整備ということですけれども、しかしながら現在、これらの概念は、在宅と言えばほとんどが高齢者向けに多くの人材や財源が注がれていることです。少なくとも、今後長く生活の続く子ども、病児に高齢者と同水準の在宅医療・訪問看護を受けられる。そしてこうした子どもの診断から治療・延命、そして地域生活というプロセスを担う医療機関や、またこれに伴うコメディカルや介護、福祉職を含めた人材育成と、これを担う医療機関への支援を進めるべきであると、そのように考えます。以上でございます。
○渡辺委員 ちょっと質問したいのですが、先ほどの資料で、いわゆる新成長戦略で、医療提供体制に対するグランドデザインを策定するとなっていますね。まず、これは2013年度にその進捗評価云々となっていますが、このグランドデザインをいつごろまで政府としては作るのかということが1点です。
 医療提供体制グランドデザインに我々の医療部会が意見を反映するのか、さらに言うなれば、ほかにいろいろ専門医あるいはチーム医療等の各専門の検討会かありますが、それの関係がよくわからないので、各検討会の役割、あるいはこの医療部会の役割がどのようになってグランドデザインに反映されていくのかを教えてください。
○医政局総務課長 ただいまご指摘いただきましたグランドデザインですが、資料1の33頁、新成長戦略の工程表です。一番左側の列が早期実施事項で、2010年度に実施する事項ということで、そこの第1に「医療提供体制に関する今後の需要予測を踏まえたグランドデザインの策定」が掲げられているわけです。したがいまして、政府としましては、今年度、来年3月までとなりますけれども、このグランドデザインの策定をしていくということです。閣議決定にしたがって対応してまいります。ただ、具体的にどんな形でこれを策定していくかということは、まだ現段階では決まっておりませんので、今後政府内で検討していくということです。
 また、この医療部会、それから検討会との関係ということですが、冒頭、局長から今回の開催の趣旨をご説明いたしましたけれども、医療提供体制の確保に関する重要事項の調査審議というのがこの医療部会の本務でございまして、医療体制のグランドデザインを描いていくに当たり、この医療部会に是非ご意見を賜って、それを踏まえ策定の作業を進めていきたいということがあり、冒頭の新成長戦略での医療サービスの基盤強化、これを重要なテーマとして、今般先生方のご意見を頂戴したいということでご説明を申し上げた次第でございます。
 それから検討会については、チーム医療の推進会議、その下のワーキング、それから新たに医療計画の検討会を作りたいということで、先ほどご説明しました。それぞれの専門的・技術的事項に応じて、検討会を設けさせていただいておりますが、スケジュール的に、必ずしもこのグランドデザインの策定のスケジュールと一致しておりませんので、どういう形でそこでのご議論を反映していけるかということは、その内容に応じ、また検討状況に応じということになりますけれども、いただいたご意見を十分配慮し、政府として作業をしていきたいと考えているところです。
○小島委員(伊藤参考人) 参考人に発言させていただきましてありがとうございます。いまのグランドデザインのことにつきまして、私のほうでも問題意識をもっておりましたので、いま確認できましたが、その上で意見を言わせていただきたいと思います。
 この医療部会の場もひとつのグランドデザインの策定に当たっての意見反映の場だと思いますけれども、ここはやはり医療提供体制に関わる人々、医師や看護師等、提供側の方が中心になって検討しているということがありますので、今後医療と介護のほうも同時にグランドデザインを作るようになっておりますので、こういった患者、あるいは利用者本位の提供体制のあり方が重要になっていると思います。是非そういったことを尊重した検討を、そのためには患者の意見も十分に尊重されるような検討の場、体制を求めたいと思います。
 このグランドデザインが、おそらく提供体制のあり方、そして現実面で言えば財政制約の中の資源配分のあり方をも決めていくというようなことに反映されていく重要なものだと思いますので、是非そういった検討をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○山崎委員 資料1の12頁に「人口10万人当たり医師数の分布」とあるのですが、医師と言っても70歳、80歳、90歳という高齢の医師がいま非常に多くなってきています。そういう高齢者の医師を全部含めて計算をしているようですけれども、同じ資料の16頁に、OECDのほうから引いたデータが入っています。外国では70歳以上は医師としてカウントをしないという国もありますもので、一概にこのような数では比較ができないと思います。また、分布図を作るのでしたらば、北海道ならば北海道の70歳以上のドクターを省いた分布とか、あるいは北海道の場合は札幌と旭川に集中しており、周りは非常に過疎的になっているわけですから、したがってこの紫色で220から240というような数で北海道はある程度充足していると説明されるのは、なんとなく納得がいかないような気がします。
○部会長 この現医師数の中における高齢の医師の数とか、あるいはインアクティブな医師の数というのはわかりますか。
○医政局総務課長 この下に出典にあります「医師・歯科医師・薬剤師調査」の平成20年の調査結果に基づいて作成した資料で、このデータは医師法6条等に基づいて届け出た医師のデータを集計したものです。したがって、いま部会長からご指摘がありましたように、実際には調査回答結果の中で、無職と届けられた方もおられて、その数も含まれているというデータです。無職の人の数は総数28万余りの中で2,143人という数字です。それから70歳以上の方については、病院・診療所の合計を申し上げますと、70歳以上は、平成20年の医・歯・薬調査で2万7,087人でございます。内訳は病院が6,574、診療所が2万513でございます。
○山崎委員 そうするとこの数というのは、実際にその地域で診療を担当しているドクターと考えていいわけですか。というのは同じドクターであっても厚生労働省に勤務したり、保健所に勤務したり、大学の研究機関にいる先生もいるわけですね。そういう先生というのは、日常地域の医療を担当しているという数には入らないと思うのですけれども。
○医政局総務課長 いまおっしゃったようなお医者さんも入った数字です。例えば大きな分類でいきますと、医療施設の従事者以外に介護老人保健施設の従事者、それ以外の従事者として医育機関の臨床系以外の勤務者、大学院生、それ以外の教育機関研究機関の勤務者、そして行政機関の従事者なども含めた数字となっております。
○山崎委員 となれば、この数というのは地域の診療機能を支えているという実数にはならないと思います。
 それと女性の医師の問題で、出産、育児中のカウントというのはどのようになっていますか。
○医政局総務課長 28万6,699分の27万1,897が病院・診療所ということです。
 それから育児休業取得中の方は、これは届出に基づいていますので、ちょっとそこまでは除かれていないかと思います。
○中川委員 資料を提出させていただきましたので、発言させていただきます。まず、いま話題が出ましたので?@のほうをお願いします。「医師数増加に関する日本医師会の見解」という資料です。2枚お開きいただいて、まず1頁がこれまで日本医師会が述べてきた見解です。次に2頁の人口1,000人当たり医師数の国際比較は、もう先生方はご承知だとは思いますが、真ん中辺の段を、3頁の表をご覧いただきながらお願いします。人口1,000人当たりの医師数は、日本では2008年2.2人、OECD加盟国平均は3.1人です。日本の人口1,000人当たりの医師数は、2006年2.1人でしたが、医師数の増加、これは医師の養成数の増加によるものではなく、従事医師数の増加によるもの、および人口減により、2006年から2008年にかけて0.1人増加しました。また、一番最後の段落のG7の人口1,000人当たりの医師数は2.9人です。仮に日本の人口1,000人当たりの医師数をG7平均並みに引き上げるとすると、現状の人口を前提に医師数を1.3倍に増加させる必要があります。
 4頁の医学部の入学定員を見てみますと、日本では図3.1にありますように、1960年ごろから80年ごろまで医学部入学定員が大幅に増加していました。しかし82年に過剰を招かないようにということで、政府部内において検討を進めることが決定されまして、医師数が抑制されることになりました。しかし、2008年9月には「『安心と希望の医療確保ビジョン』具体化に関する検討会」により、将来的には50%程度医師養成数を増加することを目指すとの報告書がまとめられました。それで5頁の表3.1ですが、医学部の入学定員は2007年度を基準としますと、2008年度には168人、2009年度には861人、2010年度には1,221人増えています。新設医学部の定員数を仮に100人とすると、2010年度までに既存医学部で増員した定員数1,221人は約12大学分に相当します。
 6頁、一方で医師数の推移を見てみますと、医療施設・介護老人保健施設の従事医師数は1998年23.9万人、2008年27.5万人であり、10年間で3.6万人増加しています。
 7頁、医師数の推移を年齢階級別に見ますと、1998年から2008年にかけて39歳以下の医師数は減少していますが、50歳代(10年前は40歳代)、60歳代の医師数が増加しいます。これは医師数抑制が決まるまでに養成された世代の医師数です。8頁には70歳以上の医師の比率、9頁には女性医師の比率を示しております。
 10頁は、今後の医師数の見通しです。一番最後の段落の、すでに決まっている医学部定員増加分の医師数を卒業年次以降、上乗せします。さらに今後10年間、医学部定員が現状(8,846人)と同水準であるとしますと、その結果として、2025年度には医師数は33.9万人になると推定されます。11頁の図です。
 12頁、一方、日本では2007年をピークに人口が減少しています。2007年の人口は1億2,777万人で、2025年の人口は1億1,927万人と見込まれています。13頁、2025年に医師数が33.9万人になったとき、日本の人口1,000人当たりの医師数は2.8人になると見込まれます。これは現在のG7平均の2.9に近い水準です。16頁ですが、ただし現在の医師不足は、医師養成数の増員だけでは地域の医師偏在は解消しません。現在医学部増員は、主として地域枠の拡大によって行われていますが、既存医学部の定員を増やすべきだというふうに考えています。また、医師の偏在の解消策として、一定の制約をもたせた仕組みも新たに考える必要があるのではないかというのが見解です。したがって、医学部を新設するというのは問題があると、反対だということを申し上げたいと思います。以上です。
○部会長 ありがとうございました。どれだけの医師が必要なのか、あるいはその地域、診療科による偏在も含めて、いま医師数のことが話題になっておりますが、これに関連して何かご意見はありますか。
○海辺委員 医師数が少ないということは、グラフのOECDのデータなどを見れば明らかであると思うのですが、その中で、やはり国民が、私どもの患者会のようながんの患者が増えたりしますと、非常に高度な治療を求める患者数が増えますので、そういう病院などにたくさん医師を配置できるようになっていかなくてはいけないと思うのですが、そういった中でチーム医療の検討会などが走り始めた中では、要するにアメリカなどは医師数が少ないので、医師の業務を補う職種がたくさん誕生するというケースを作り上げたわけです。
 一方、私は今朝イタリアから帰ってきたのですが、イタリアの病院の先生とちょっとコミュニケーションをさせていただいた感じでは、イタリアは日本と同じように医師がいろいろな処方をしたりということの権限を全部もっていて、看護職の方が何かそういった権限をもっているという形にはなっていなかったようでした。ただ、その場合イタリアは数年前に医師余りが社会問題化したようなことが記憶に新しいかと思いますけれども、そういう具合に医師数が多いからこそ、そういう権限を単に移譲していないというところがあるので、日本はそういった方策をいろいろと、もっと本格的にやる必要があると思うのです。ただ、やはりその中で医療を受ける国民の側としては、絶対的に質をきちんとしておいていただきたいということをすごく思います。それで、若い医師が安心して地域でキャリアを重ねられるという方針はすごくいいと思いますけれども、子どもにお手伝いをさせるのもそうですが、育成するというのは自分がやる以上に大変で手間がかかる部分があるかと思うのです。医師が不足していて疲弊しているような地域で、たくさんの若手の医師をきちんと質を確保し、医療を支えながら育成していくことが、具体的にいま可能なのかどうかを、医療を受ける側としては不安に感じたこともあります。
 ほかに質問したかったことは、いまの中川先生のお話で、16頁の「一定の制約をもたせた仕組みについても検討していきたい」というのは、具体的に言うとどのようなイメージなのかということも伺いたいと思いました。
○中川委員 いま海辺委員がおっしゃったのは、偏在が非常に不安だということだと思います。それから、がんの治療の例を挙げましたが、病気の種類によって、これから患者さんが急増するところにどうなのだと。それにきちんと見合った医師が養成されるのかについてです。
 簡単に結論から申しますと、いまのままで手を拱いていては心配だというのは、そのとおりだと思います。私の資料の16頁に一定の制約をもった仕組みとあるのですが、これは日本医師会としては検討中です。例えば医学部を卒業した若い医師は、設備のいい、症例の多い、できれば都会、条件のいいというところに行きがちなのです。例えば全国の都道府県に医学部がありますから、地域で医師を育てるという仕組みを考えたらどうかと思うのです。医学部に入れば、最低6年はそこにいます。さらに臨床研修をして、その上のいわゆる後期研修もして、その県で、関係者だけではなく、行政も住民も含めて、医師を育てていくのだと。そして、例えば東京からほかの県の医学部に行った方でも、その県に愛着をもって、ずっとその県の医療に携わると。そのような仕組みを何か考えられないかなと思っているのです。1例を挙げればそういうことです。
○部会長 海辺委員のもう1つの質問で、医師の質の点ですが、それはいかがですか。
○中川委員 私の今日の資料の趣旨は、例えばイタリアの例を挙げられましたが、医師免許を持っていても、3割も4割も失業している、タクシーの運転手などをやっているというのは有名な話ですが、そうなると、どうしても医師の質は下がってしまうと思います。
 なぜかというと、頑張って医学部に入って医師免許を取っても、どうせ就職はできずに失業してしまうとなれば、熱意のある若い学生の意欲、医師を目指すのだという意欲は低下します。それはどうしても医師の質の低下につながるのではないかと思います。
○山崎委員 タクシーの運転手の話は神話の如くになっているのですが、実際にそうなのかを1回検証していただきたいと思うのです。3割が失業して、運転手になっているということも、ずっと検討会やマスコミが言うのですが、実際にイタリアでそんなにドクターが余っているのかどうかは誰も知らないわけです。そう言われて、そうなのかとなってしまっていると思います。
 それと、地域医療が崩壊しているというのは、診療所機能が崩壊しているのと、病院機能が崩壊しているのと、2つあると思います。地域医療がどうして崩壊したかというと、いわゆる9時から5時までしか診療しない開業医の先生が増えてしまった、往診しない、準夜、深夜の患者さんに対応してくれない診療所の先生が増えたことがあります。それと病院の場合は、大学や地域中核病院できちんと研修をしろというのですが、大学側の医局の中堅の先生は、疲れてどんどん開業してしまっているのです。地域中核病院もそうなのです。
 そうすると、大学に残っている先生というのは、教授、助教授、講師を含めたグループと、新人がいて、中堅がほとんど抜けてしまっているような状態なのです。したがって、そこで地域何とかセンターで機能をつくるという話をしても、実際に教育をきちんと地域で担当するような人材がいなくなっている現実があるような気がします。
○加藤委員 海辺先生のご意見とほとんど同じなのですが、医師の量と質の両方が満足しない限りは、十分な医療ができないと考えます。そこで、年次的に医師の数が徐々に増えてきているからいいではないかという意見、だんだん増えてきているという意見がありますが、なぜいまこのような問題が起きているかというと、私の意見は医療の質だと思うのです。
 すなわち、私がフレッシュマンの時代と全く時代が変わってきていまして、例えば私が先ほどお話をしたNICUについても、がんについても同じです。臓器移植も行われるようになってきました。免疫不全の病気、白血病というのは、小児の場合は早くに亡くなっていたのですが、いまの場合は生きる病気になりました。がんも同じです。したがって、質が上がってきているのです。それから、検査がすごく進歩したのです。検査の技術も進歩したために、医療が非常に細分化されてきているのです。
 細分化された中で、その中で質が問われているので、良質な質を保ちながら、すべての地域に同じような医療を施すためには、過去の人数で徐々に増えているから、今後も安心でしょうというわけにはいきません。医療の質自身が変わってきていると私は思います。
○部会長 いまの海辺委員の医師の質については、国としての仕組みがあります。6年前から、医学部卒業後2年間の初期の臨床研修制度というものが全国で一斉に行われていまして、それはそれである程度の成果を上げていると思います。それから先に後期の研修とか、専門医などをどうするかというのは、今後の課題だと思うのですが、少なくとも国の仕組みとしては、すでに動き出しています。
○中川委員 加藤先生のご発言に関して意見を言います。加藤先生に言うのは釈迦に説法で恐縮ですが、必要医師数というのは時代とともに変わります。15年前、20年前に、これだけ医師の仕事が増えると思ったでしょうか。思わないから、医学部削減という事態になったわけです。ですから、必要医師数というのは、いま決めたらずっとそうだというのではなくて、毎年見直していくのです。
 いま私が申し上げたのは、仮にOECDの平均と比べて、人口1,000人当たりどうだというマクロの位置づけを申し上げただけで、実際の現場の必要医師数はきめ細かく調査しながら、常に見直していかなければならない。医学部に入って6年、1人前になるには少なくとも10年以上はかかるわけですから、早め早めに手を打つべきだということで申し上げたのです。
○加藤委員 私は別に中川先生に反対の意見を申し上げたのではなくて、海辺先生のおっしゃるように、医療にとっては量だけではなくて質が大切だと。質と量の両方を掛け合わせるために、医師数が必要だということで、中川委員の意見に反対したわけではありません。
○小野委員 私は山村過疎地域の自治体病院を持つという立場で、発言させていただきます。いまたまたま医師の数の問題が議論されていますが、それとは別に苦労話を含めて申し上げます。資料1の12頁の表によれば、私は山形県の小国町長ですが、山形県は人口10万人当たりの医師数が210.4ということで、200をやや上回っている程度です。これを私の町に当てはめますと、64.9にしかなりません。人口9,300人ぐらいの小さな町ですが、その町も地理的な条件がありまして、陸の孤島と言っていいぐらい、地理的に他の地域、他の中核都市と非常に離れていて、隔絶されたような生活圏を持っていまして、どうしても自治体病院を持たなければならない現在の事情があります。
 そういうことで、あえて自治体病院を経営させていただいているわけですが、10年前と随分と医師の環境が違っていると感じています。平成12年には常勤医師が5名おりましたが、現在はようやく3名を確保しています。診療科は、内科、外科、整形外科、産婦人科、小児科と、一通り科目は持っていますが、常勤医師は内科だけです。外科、整形外科、産婦人科、小児科においては、週1回あるいは週2.5日、小児科はいろいろと工夫と努力をさせていただいて、5日間の診療日を確保していますが、そういった状況にあります。
 私どもの例を挙げて恐縮ですが、この医師の確保も、山形大学医学部の大変なご理解と、以前からの歴史的な結び付きを尊重いただいて、確保しているという状況です。婦人科については、2年前からお産ができないということで、週5日の診療日を確保できません。週1回です。
 いま小児科、産婦人科がないと。お産が町内でできないことに対して、非常に町民の不安が多くなっています。これも、あえてやむを得ない、理解のできる部分もありますが、町民感情としては、町内でお産をしたいという要望は、非常に強いわけです。
 そういうことで、中核病院との周産期医療システムなどをご検討いただいていますが、事程左様に、山村過疎地域においては、未だ医師の確保が非常に大変です。新しく立った町長は医師の確保を約束して町長になるというような、そういった自治体も出ているわけで、本当に重要な仕事になっていますので、一言だけご理解をいただければありがたいと思います。
○辻本委員 いまの地域偏在、診療科目の偏在ということは、ずっと議論されているわけですが、そのためにということで、いま中川委員からもご提案がありました。地域医療枠の拡大について、患者として一抹の不安を感じていることを、ここで聞いていただきたいと思います。
 地方の国立大学の医学部の学生さんたちと膝を交じえてというか、本音の議論ということで、いろいろとお話を聞いた経験があります。その中で、地域枠の学生さんたちが、ある意味のプレッシャーを感じていらっしゃるという本音が出てきたのです。地域医療枠が作られて、そこに選ばれたということで、学んでいる学生さんたちに対して、地域行政がその人たちを一生懸命支えていこう、守っていこうということで、例えば知事が年に1、2回懇談会を催してくれたり、毎月とは言わないけれども、励ましの手紙が来たりというような、きめ細かな支援が実施されているようなのです。
 ところが、ほかの学生さんと違う扱い、特別扱いというか、特別が良いほうなのか悪いほうなのかはわからないのですが、そういったことをある種のプレッシャーに感じているのです。だから、将来その地域の中でしか仕事ができないこと、夢と希望が大きく持てないというような悩みを打ち明けてくれた学生さんがいたのです。
 そのことを教員の立場の方とお話をしたときに、教員の方もそのことを一抹の不安として受け止めている向きがあるようで、元気がない、何か鬱々と悩んでいるようだという傾向が、すでに現れています。
 その人たちが10年先、20年先に、先ほど来の質の問題になってくると私は思っているのですが、そういった意識の中で、どのように育まれていくのか。もちろん中には郷土愛ということで、地域のために一生懸命頑張りたいという人もいました。だけれども、一方で、そのようなある意味のプレッシャーに押し潰されそうになっていて、退学まで考えているという学生さんの声を聞いたときに、これは国、周りの大人たちが、そこを理解した上で、これからの対策を考えていかなければいけない1つだと教えられたので、是非地域医療枠拡大ということの中に、そのような表に出にくい状況が、問題として積み重なっていかないような対策をお考えいただきたいと、患者の立場から申し上げたいと思います。
○水田委員 いまのご意見を伺いますと、学生さんもそれは自分のデューティーとして納得して受験したわけです。確かに問題は出てきていると思いますし、プレッシャーは感じるかもしれないけれども、そこはわからなくてはいけないです。それから、教える人のほうは、地域医療がどんなに楽しいかを教えていかないと、あなたはここにいないといけないと言って、知事さんが来て、頑張ってねというだけでは、無理ではないかと思います。それはプログラムの中に入れていかないといけないと思います。
 ただ、私は地域医療再生の委員を厚生労働省のほうでさせていただいているのですが、去年から始まったことで、今年はフォローアップということでいくつかの県に来ていただいて、どのような状況なのかを聞いてみますと、医師会をはじめ、県、大学が一体になって、ものすごく一生懸命やっていらっしゃるのが見えるのです。だから、これがずっといけばと思いますが、お金がなくなったときに県がどう出てくるかの問題は残っているのですが、この制度は是非続けていただいて、全体的な地域医療を住民全部が支えるとしていかないと、これは続かないものではないかと思っております。
 また、学生を増やすということが中川先生の貴重なデータでございますが、医学生を増やさなくていいという医者がいるということですね。ただ、私も医学生をどんどん増やしていっても、その人たちが必ず地域医療の医者になるのかというと、そうはいかないのではないかと思うのです。ですから、同じ状況がまた起こるのではないか。
 それよりも、なぜ勤務医がやめて、くたびれ果てているのかを考えるべきではないかと思うのです。本当にくたびれています。大学の医師でさえくたびれていますから、地方の病院の方々は、もっといろいろな人が直接言ってくるから大変だろうと思います。やはり、そういう待遇を少し考えていくべきだと思います。
 これは厚生労働省関係の病院は医師手当というのは出ていると思うのですが、国立大学病院は医師手当がありませんので、あれはひどいと思うのです。全部教官です。教官というのは文部教官のお給料ですから、撤夜しようと何をしようと、大学によっては院長の裁量で少しできるところはあるのですが、まず医師手当をきちんと出さないから、診療の費用は出ていないわけです。そうしますと生活できないから、アルバイトに行かなければなりません。そうすると、またくたびれ果てると。悪いサークル、玉葱サークルがどんどん悪いほうへいっている状態です。医師としての処遇をきちんとすることは、私は大事だと思います。
 それから、アメリカは若い人は何十時間も働かせてはいけないと法律でなっていますが、チェックをしている人たちが電話をしてきて、もし研修医が電話に出たら、仕事が終わっているはずなのに何をしているのだと、病院が叱られます。それぐらい厳しくやっているということです。それに対しては、昔の人たちは、私たちも48時間ぶっ通しで働いた時代ですが、いまは手術の途中でも時間がくると手を下ろす研修医がいますが、そういうことをしていたら勉強はできませんので、勉強するためにはそういうことも大事ではないかと思うので、もう少し処遇を考えると。数などだけではなくて、処遇をきちんとして、どのようにしていくかを考えればいいのではないかと思います。
 もう1つあるのですが、加藤先生のご意見ですが、私も新生児外科をやっていたのですが、新生児は大変だと思います。いま医療全体のことで、医療がどんどん進んで、どんどん小さな子も助かるようになっていますが、私がいちばん不満なのは、そういう妊婦さんがたくさん増えているということです。赤ちゃんを生むお母さんたちの年齢が上がっていることも非常に大事になってくるのです。高くなってきているので、未熟児が生まれると。昔は、若い元気な体のときに生んでいたら、そういうことはなかったので、あまり未熟児も生まれなかったのですが、そのような予防医療的な面でも力を入れるべきではないかと思うのです。医学の限界に挑戦するのは医学者としての夢はあるのですが、そうではなくて、健康な赤ちゃんを生むということも、社会に言っていくべきではないかと思います。
○部会長 ほかにいかがでしょうか。
○山本(信)委員 いま人が不足しているという議論の中で、唯一薬剤師はこれからも計算上は余るということで、多少気恥ずかしいのですが、この検討会の冒頭にご意見がありましたように、医療提供体制のあり方を議論する、そのための体制をどう確保するかという議論だと認識していますので、そういった意味では、いま不足している医師は大変大きな問題ですし、医師なくしては医療も進みません。かといって、医師だけでは進まないという議論も、一方にはあります。
 これまでの経緯を考えてみても、今日出されている資料も、大半が医師が不足していることに論点が置かれていて、それはやむを得ないと思うのですが、そもそも関連する職種等が協働しながら働くというのは、これからの方針で、地域医療を含めた体制を組むとすれば、もう少し資料の出し方を事務局もお考えいただけないかという気がします。
 偏在も含めて、医師が少ないというのは十分に認識していますが、その中で、今後どのような体制を組めばいいか、ただ少ないからというのではなく、患者さんからすれば医師がいないこと、私の分野でいえば医薬品が安全に提供されないことは極めて大きな問題でしょうし、とりわけ小児の世界でも、外科の世界でも、ある一定の処置が終われば、当然そこに医薬品が登場するわけですから、そういったものが十分に提供される体制も、医療提供体制を確立するとか、国民・患者にとって安心な医療提供体制を組むという意味では、大きな問題だという気がします。
 そういった意味では、我々薬剤師はいつも「等」にまとめられてしまって、等の中に入っているわけですが、それをあえて出せとは申しませんが、少なくとも新しい医療を進める上で、医薬品なり医薬品の提供が重要だということがほとんど見えてこない資料の中で、薬物治療を誰が担当するのだということも含めて、今後のグランドデザインの中に、議論をする上では、資料提供をする際にそうした視点もお忘れなく書き込んでいただきたいと思います。
 今日いただいた資料を拝見しましても、これまで以上に薬剤師あるいは薬という言葉は出てくるのですが、では一体何を期待するのか、どのような認識を持っているのかはほとんど見えていない中で、なかなか議論が進めにくいと思うので、私どもは人は十分に供給できますので、その体制をどう組むかをご議論いただきたいと思います。
 併せて、今日の資料1の最後のほうですが、これから医療計画についての見直しの検討会を作られると聞いているので、その中にも、具体的な医療計画の中では、当然人の問題、物の問題は関係するので、そうした現場、特に地域での医療提供体制、医薬品の供給あるいは医薬品の安全、これは医療機関でも同様ですので、そうしたものが明確になるような資料をもって、あるいはそこに議論が出せるような検討会の立ち上げ方をしていただきたいと思います。
○相澤委員 新しい委員なので、いろいろ言ってはいけないと思っていたのですが、いまの視点で抜けているのは、高齢者が増えているということです。私は地方で病院をやっていると、75歳以上の後期高齢者の方がたくさん入院して来られるのです。そうすると、若いやる気のある医師は何を言うかというと、また年寄りか、また肺炎だ、また腎盂炎だ、また廃用性症候群の年寄りが来た、このようなことを言うのです。ちゃんと病気はありますが、いくら治してもその人は帰れないのです。病院にいればいるほど、どんどん廃用性症候群に陥っている。帰す場所もない。では、どうするのか。そこに働いている若い医師はだんだんやる気を失っていきます。
 もらっているお金が多いかどうかではなくて、自分がやりたいと思った医療をやって、患者さんがパンと治って帰る。これは急性期をやっている医師にとっては、最大の喜びなのです。ところが、病気を治しても帰れないのです。ここで医師はまいってしまうのです。
 そうすると、先ほどの大変な状態にある子どもをどうするかという問題と同時に、そういうような状況になった高齢者の方をどうするのかも、もう一方で考えておかないと、医療提供体制を考えていく上で重要な問題だと思うのです。おそらく、これからどんどん15歳から65歳の働き手の人は減っていきますから、病院に入って来る患者さんの疾病構造、そしてその人が退院できるかどうかも大きく変わってくると思います。これをなくして、医療提供体制は考えられないということです。
 そして、もう1つは3頁ですが、昔は田舎でも退院する先は家だったのです。家で、息子や娘が看ていたのです。場合によっては孫が看ていたのです。ところが、この図を見ていただくと、ほとんど家に帰っても看る人がいないわけです。その人はどうするのか。
 これは十分に考えていかないと、いまのままの医療提供体制で、医師の数などを考えていくのではなくて、こういう人口の変化というのは、少なくともこれから15年ぐらいでしょうか、予想が付いているわけですから、その中でどうするかをもう一度議論する必要があるのではないか。いまの視点で抜けているのは、慢性期や高齢者の医療、福祉、介護をどうしていくのかを、もう1つの視点を持っていないと、私は駄目なのではないかということを1つ言いたいと思います。
 もう1つは、マクロの視点とミクロの視点を持たなければいけないと思います。日本全体で、マクロとしてどのような全体としての医療提供体制をとるのか。それは一昨年でしたか、国民社会保障会議か何かで検討されて、おそらく4案くらい出されたものがあったと思います。そのような方向でいくのか、それとももっと違う、日本全体として違う体制をとっていくのかという議論と、それをどうやって地方に当てはめていくのかという、マクロの議論とミクロの議論をうまく噛み合わせていかないと、初めに人数の問題などが入ってしまうと、なかなか議論が噛み合わなくなってしまうのではないかと思うので、いちばん最初の日本全体の骨格をどうするのかを決めておくことも重要なことではないかと思います。
 もう1つは、先ほどからチーム医療と挙がっていますが、チーム医療は医者の数が少ないからやるわけではありません。病院医療の質を高くするためにチーム医療は必要なのです。医師1人ではなくて、看護師、薬剤師、PT、OTが一緒になって、患者さんを診るから、医療の質が上がるのです。そのためのチーム医療であって、医師が足りないためのチーム医療なんて言うようなら、この国は怪しいと私は思います。
○齋藤(訓)委員 いま相澤委員のご意見で、そういった意味では在宅をこれからどうするのかを本当に考えなければいけません。在宅を重視することについては、随分前から取組みは行われていましたが、なかなか整備が進まないのが現状です。それですので、ここは一歩踏み込んで、どうしてそれが進まないのかの原因と分析しながら、これからどうやって一人ぼっちのお年寄りや病院に逆戻りしない仕組みを作るのかを、きっちり考えていかないと、救急医療が、いわゆる介護施設、高齢者施設からの肺炎、あるいは骨折といったことで、夜間の搬送で運ばれて出てこられない状況になるので、是非在宅を重視していく、そしてなるべくご自宅で看取れることをやっていくために、いま何で阻害されているのかをご検討いただきたいといった考えます。
 それから、先ほどから医療従事者の話は出ていますが、勤務医がほとんど開業していってしまうというのは、処遇の悪さもありますし、就労環境を整えていくことは大前提にあるのだと思います。これは看護職にも同じようなことが言われていまして、なかなかナースの離職率、それから離職後にどこへ行っているのかは調べる方法がないので、ほとんど推測でしかないのですが、それでも私どもの調査では、大体11.9%が一旦病院はやめて、それから転職するか、潜在化するかというデータは出ています。おおよそ夜勤が多い、3交替なのに超過勤務をする、休暇が取れないといった理由で、主にそれが退職理由に挙がっています。
 医療部会は労働環境のことを語る場ではありませんが、EUでは勤務と勤務の間は必ず11時間あるいは12時間開けるのだ、それはどんな労働者にも適用されています。それですので、医師、特に女性医師の問題もありますし、薬剤師も女性がほとんど働いている中で、女性が働く場として医療の場は広がってきているので、命を預かる職種が長く働けるような環境を、是非考えていただきたいということを、労働のほうに医療部会から検討してくれということを是非提案していただければなと考えています。
 それから、これから少子化が急速に進みますので、どの職種においても、十分なマンパワーをいままでのように確保できるかというのは、非常に難しい問題です。となれば、少ない人数で、どのように多様な国民のニーズに応えていくか。そして、安全で適切な医療を提供するかということは、チーム医療あるいは役割分担、そしてそれぞれの専門性を上げるといった方法にしか私はないと思っているので、役割分担とチーム医療は、医師不足云々という理由は確かにあろうかと思いますが、それでも、少ない人数で最大の効果を上げるのだということには変わりはないと思いますので、これは進めていくべきと考えます。
○西澤委員 いまいろいろな委員の方が言ったことは、すべてがもっともだと思いますが、まず医師の数だけで言えば、足りないことは事実だと思っています。中川先生が医師会のデータを出しましたが、中川先生がおっしゃったように、この推計が15年後、20年後に当てはまるかといったら、決してそうではないと思います。そういうことでは、その都度変えていかなければなりません。
 いまの推計というのは、現在の医療の提供体制の中で、どのようなところにどのような医師が必要か、どれだけ数が必要かということの推計でしかあり得ないと思うのです。ですから、そういうことでは、将来の見通しをできるだけ明らかにして、進めていくべきだと思っています。
 それと、いま若い医師の話が出ましたが、私たちの時代は、嫌だと思いながら田舎に行っても、何とか田舎で暮らせました。ただ、私も後輩と話をしますが、本当にいまの若い医者は、田舎で医者として働けるかではなくて、この若い人が田舎で暮らせるだろうかと思います。まず医者としてより、田舎で暮らせないのではないかということです。
 これはいまの若い人を見ればわかると思います。いまの若い人の、そのような人の中から医者が生まれていることをもう少し考えなければならない。そうすると、あまりプレッシャーをかけると、いまの若い人と同じで当然うつ病になるのです。
 どうするかというと、その人たちが暮らせるような、また医者として働けるような環境づくりだと思います。出張などのときには、留守番が行くとか、教育の場があるとか、いろいろなことで、そこに住める、医者をできる環境づくりではないかと思っています。そういうことで、システムを考える。
 そうだとすれば、昔は各自治体ごとに自治体立病院があって当然でしたが、そうすると規模の小さな100床未満の病院で、すべて必要な医師数を集められるかというと、もうそうではない時代がきたということも、片方で認識する必要があると思います。
 ですから、ある町の中で、その医療圏の中で最低しなければならないことはどのような医療か。もうちょっと広くしたらどうかということを考えて、きちんとした医療提供体制をこれから構築していく。単に人口比、医者が何人いるかだけでは、これからは駄目ではないかと思っています。
 もう1つ大事なのは、今回サラッといきましたが、女性医師です。おそらくもう少ししたら、卒業生の過半数が女性になる時代がくると思っています。そうすると、女医さんの場合は、当然結婚をして出産もします。いままでのデータですと、女医さんはお子さんをかなり多く生むということなので、そうすると、その方が医師として働けない時間がかなりあります。ある程度空白が長くなると、さらにそこからの再教育が必要になります。
 そうなると、男性と比べて、どの程度働けるかも計算して、医者の数を推計しなければなりません。そうすると、いまとは医者の推計の方法も変わってくると思います。そのような、きめ細かいことをこれから議論していければと思っています。
 システムを考える場合には、医療提供体制ということであっても医療だけで見るのではなくて、いままでも出ましたが高齢者も増えているわけですから、介護、福祉を併せて議論したいと思います。
 ここは医療部会ですが、片方では介護保険部会、介護給付費分科会など、いろいろなところでやっています。医療のほうも、医療保険部会もあります。いろいろなところで、別々に議論が行われているような印象を持つので、横断的な議論が必要だと思っています。そういう中で作っていただければと思っています。
○光山委員 ここまで、医師確保や提供体制そのものの話がありましたが、別の観点から申し上げます。いまお話の出たとおり、これまで二次医療圏における医療提供体制をどのように構築していくか、つまり、二次医療圏全体で1セットのチームという考え方で、地域における医療機関の分化、役割の分化、連携の推進をする形で施策を展開してきたと、私は理解しています。そのために、事業別に具体的な医療連携体制を医療計画上で位置づけていくほか、これまでの診療報酬の改定でも、地域連携に着目した加算も新設されてきたと思っています。先ほど来お話の出ている地域医療再生基金についても、新たに追加で予算投入されるという動きもあり、全体としては、財政投入が大きくなされてきていると認識をするところです。
 私の思いとしては、本部会としてはこれらの連携のための施策について、実施状況や効果をきちんと検証していくべきだろうと思いますし、それが任務だと考えていますので、是非そのような観点での論議をしたいと考えております。
 それと、率直に利用者、患者の立場で申し上げますと、地域連携が本当に進んできているのだろうかとの疑問があります。お医者さんの立場のご意見もあるとは思いますが、全体に変わってきたと実感できるに至っていないのではないかという思いも、正直言うとございます。
 お伺いしたいのは、実際の医療現場の先生方としては、地域の医療連携が、思うとおりに着実に進んでいると評価されているのか、それとも何らかの形でいろいろな弊害があって、なかなか思うように進まないとお考えなのか、そこを伺いたいと思います。
○水田委員 私が申し上げた地域医療再生の部分は、平成21年度からやっと始まったのです。目に見える成果はまだないのですが、少なくとも1つの県の中において、県、医師会、大学、地域の病院とが、一緒に考えようというところまでは進んでいます。それが尻切れトンボになるかもしれませんが、是非続けてほしいし、厚生労働省の委員会でもどうなっているかもフォローしながら、全国がそうなるかどうかはわかりませんが、非常にいい案を持っているところと、ものすごく熱心にやっているところと、それほどではないところもあるとは思いますが。ですから、もう少し待ったら、よくなるのではないかと思います。
 それから、大学にお願いして寄付講座などをつくっていると。そこは、それほど人がいるかは少し心配なのですが、そのような動きが出てきている、動き始めたというのは事実です。
○高智委員 医療保険者の感触ですが、この医療提供体制をきちんと議論していく上には、まず車の両輪であるスキームとの関係です。日本の場合は、国民皆保険制度ですので、インシュアランスのシステムの上に、さらにこれらをファイナンスする診療報酬ということで、トライアングルの構図をきちんと維持していく必要があろうかと思っています。
 今日のご議論ですが、まず国民・患者の目線、保険者の視点とあるわけですが、安全、安心、良質な医療が間断なく提供されていくことが、最も重要なことだと思っています。ですから、診療科目別の話も出ましたが、いわゆる一般医、私どもでは総合診療医という名前を付けていますが、「臓器を診て人を診ず」という非常に辛い比喩もあるわけですが、全身像、心の病まできちんと診られるような総合診療医を通じて、診療科のたらい回し等の防止を心掛けていく必要があろうかと思っています。
 それから、ほとんどのお医者さんが、国民皆保険制度の下で従事しているので、そこにもう少し着目した配置計画、養成計画も、リンクしていかなければいけないと思っています。
 先ほどイタリアの話もありましたが、例えばドイツでは、一般医という名の専門医がいます。ドイツ(連邦政府=保健省)の医療統計は非常にきちんとしていてよくわかるのですが、一般医の下に専門医群があって、その中に一般医という専門医職があります。国民の多くが、この一般医という名の専門医に非常に多くの期待と信頼を持っています。こういったことも、国際比較検討の上では、非常に役に立つのではないかと思います。
 もう1つは、医師以外の医療従事者の医療現場での活用について、積極的にご検討をいただければと思います。
 それから、資料1の14頁に、診療科別の医師数の推移があります。これはトレンドが全部出ていて、先ほどの事務局からのご説明によりますと、平成18年度から平成20年度は、多少安心できるラインになってきていますが、これは指数ですので実数ではありません。いままで、麻酔科の医師が不足していると度々耳にしており、ときには歯科医師の活用ということまで言われていました。麻酔科医は母数が少なく、少し増えただけでも右上がりになるので、是非資料提出の際には、実数も横に入れた形のものを出していただきたいと思います。
○近藤委員 歯科の立場でいうと、医師不足についての意見は差し控えなくてはいけないかと思っていましたが、先ほど医療提供体制の中でのチーム医療のあり方に関して、医師、薬剤師、看護師という発言がありました。我々は、チーム医療の中で、歯科医師、歯科衛生士の果たす役割は非常に大きいと考えています。
 前年度の医療部会の中で、加藤委員から、乳幼児においても口腔ケアは重要だというご発言がありました。もちろん高齢者等の口腔内の状況を改善するために、我々は「専門的口腔ケア」という言葉を使おうとしているのですが、専門職である歯科医師、歯科衛生士が、医師、薬剤師、看護師等と連携を取りながら、医療の場でチーム医療に参画することで、誤嚥性肺炎、口腔内を原因とする感染症の予防に、重要な役割を果たせると考えています。
 先日、日本歯科医師会は国立がん研究センターとの医科・歯科医療連携事業をスタートさせました。がん患者さんに、歯科医師、歯科衛生士が、専門的な口腔ケアを行うことで、十分にその役割を発揮し得るということが明確になってきているので、これからそれを進めていかなければいけません。是非チーム医療の考え方の中、チーム医療という大きな医療提供体制の中核をなす部分に、歯科医師をお忘れないようにいただきたいと思います。
 次に、医師不足の問題ですが、皆さんご承知のように、歯科の大きな課題の1つは、歯科医師過剰問題です。これはいろいろな歴史的な経緯もあります。現在、歯科大学・大学歯学部は、私立が17、公立1、国立は11校です。もともと歯科医師を養成する大学は私立が当初担ってきました。虫歯の洪水という状況の中で、国民皆保険体制が整えられ、その時期に歯科大学がたくさんつくられました。結果として、いまは歯科医師過剰という問題が非常に大きな課題となっています。
 歯科は医科のような診療科の偏在は少ないです。口腔外科、矯正のような診療科もありますが、大部分が開業医になるため診療科の偏在は少ない。一方、病院歯科は閉鎖する機関が増加し、ある意味で地域における医療提供体制は厳しい環境にあります。また、歯科医師にも地域偏在は今でも多少ございます。
平成22年度の診療報酬改定の喫緊の課題として、救急、産科、小児、外科等の再建が、インセンティブとして行われましたが、そのようなものと、長期的に見て、医師を増やすことで歯科のようなことにならないように、是非お考えいただく必要があるのではないか。医師の養成数の増員について、中川委員の資料提出がありましたが、疾病構造の変化は少ないかもしれませんが、人口構造の変化は間違いなくありますので、そういう中で、医師不足の問題が歯科のような問題にならないかということを申し上げておきたいと思います。
○水田委員 いまお話をされたのは歯科医師会の先生だと思うのですが、私自身もいま歯科に関係していますので、少しお話をさせていただきたいと思います。チーム医療の中に是非歯科を入れてほしいということなのです。というのは、昔は歯科医師というのは虫歯の治療だけだったのですが、いまは全然ニーズが変わってきているのです。全身管理のことを口腔医学という面からも考えて、歯科医療は大事になってきているわけです。
 それで、いま歯科医師が多いと言われましたが、それは、口腔ケア、在宅などを一緒にやって、することをものすごく増やしていけば、私は決して多いとは思わなくなると思います。する仕事がものすごくたくさんありまして、在宅ケアとか、病院に必ず歯科医師、歯科衛生師を常勤としておけば、在宅のときに一緒に行って治療もできます。そういうことで、こちらのほうに入っていただけたらいいのではないかと思っています。是非チーム医療の中で、一緒にやってもらえたらいいなと思います。
○近藤委員 水田委員には前回、前年度の医療部会でも同じ主旨のご発言をいただいたと思います。我々としては歯科医師の絶対数は増えていると認識しており、歯科医師の数が増えることで、歯科医療の質との関係が生まれてきている。大学の数が増えるということは、今日の議論にもあったことが起こりうる。
 病院等でも現在、口腔ケアが日常的に行われていると我々も聞いております。ただ、専門職である歯科医師、歯科医師の下で働く歯科衛生士が関与していないケースもある。これは特に高齢の方、在宅の方、介護を必要とするような人の場合には、歯牙が残っていても、口の中の環境が非常に悪いという状況では、全身の状態がうまくいかない。そもそも歯科は何もしないで改善されていく部位ではありません。したがって、歯科治療的なものを一つ、それからもう一つは歯科医師あるいは歯科衛生士が行えるような歯科保健指導、そして専門的口腔清掃、この3つを色々なチーム医療連携の中で行っていきたい。そのためには、医師、薬剤師、看護師の方々とキチンとした連携を作っていく必要があります。今、水田委員がご発言されたような関係を我々も進めてまいりたいと思っております。
○中川委員 話題を変えてしまいますが、提出資料の?Aをご覧ください。最近、医療を日本の経済成長、景気浮揚の1つの有力な産業として捉えようという動きが、政府内で急速に出てきています。そこで、この?Aの資料を提出させていただきました。
 参考資料4に関連してということですが、まず1頁です。昨年12月30日に新成長戦略が閣議決定されました。「医療・介護・健康関連サービスの需要に見合った産業育成と雇用の創出、新規市場約45兆円、新規雇用約280万人」となっています。
 日本医師会も、医療自体は経済波及効果が高いもので、国民経済への波及効果の高い力強い産業として、位置づけられるべきだということは言ってきました。さらに、2009年10月には、雇用誘発者数を推計して、医療、介護に、それぞれ税金を1兆円投入すれば、約45万人の雇用を創出できるものとの試算も示しました。
 その上で申し上げますが、医療、介護は、他の産業に比べて大きな雇用誘発力を持つ。雇用拡大のための財政出動は、将来の経済成長をもたらす可能性も高い。経済成長はまた、税収増をもたらし、国民に充実した社会保障給付として還元される。日本医師会は、医療費、介護費は、成長社会実現のための投資であると考えています。
 しかし、最近、市場原理的な考え方が政府内で急速に出てきて、私的医療費支出を拡大しようとする考えが出てきています。日本医師会は、国民皆保険の下、公的医療保険の範囲を拡充すべきと考えています。私的医療費を拡大して、公的医療支出を抑制するようなことになれば、所得によって受けられる医療に格差が生じます。医療、介護は市場原理主義の下での成長産業として位置づけられるべきではないと思います。
 3頁をご覧ください。今年4月、第1回のライフイノベーションWGというものが行政刷新会議の下で開催されました。ここにはいわゆる「混合診療」の原則解禁と、?Fの医療ツーリズムということが出てきました。混合診療については、小泉政権時代の全面解禁に関する大論争の決着として、保険外併用療養という、絶妙な着地点と私は思っているのですが、決着がついているはずです。この期に及んで、またこういうものが出てきたと実は驚いていました。
 4頁、これに対して我々は猛反発をしています。表1.2.3をご覧ください。最終的に6月7日「規制・制度改革に関する分科会」の報告書からの抜粋ですが、保険外併用療養の範囲拡大というようにトーンダウンしました。?Hですが、医療ツーリズムは国際医療交流と表現が変わりました。ただ、これ自体、内容は最初のものと全く変わっておりません。
 5頁です。6月1日、経済産業省が部会から「産業構造ビジョン2010」を発表しました。ここにおいて、医療は成長戦略5分野の1つと位置づけられています。そして、公的保険外の健康関連産業の創出、医療ツーリズムの受入れ拡大などが挙げられています。最近では、事務局のいる前で何ですが、医療に関して経済産業省がほとんど厚生労働省の意見を聞かないという感じで、どんどん発言をしているということが非常に気になります。
 混合診療の全面解禁ということが経済産業省を中心にした、国会議員もそうですが、本音は本腰の全面解禁というのが根底にあるのですが、7頁の保険外併用療療、特に評価療療のシステムの機動性を高めるということでほとんどの問題は解決されるのです。そのことを確信犯的に無視しながら議論が進められていると思います。
 そこで、20頁をお願いします。医療ツーリズムは2009年度、医療機関9施設で経済産業省のもと、すでに調査事業を行っています。ここにはJTBや野村総研も参画しています。2010年6月1日、経済産業省から、先ほど申し上げました「産業構造ビジョン2010」が発表されました。ここでは、21頁の?B)にありますように、医療の国外需要を喚起するため「医療滞在ビザ」を創設すべきとされています。
 24頁、日本医師会の考え方を申し上げます。「産業構造ビジョン2010」、規制・制度改革に関する分科会はともに、医療を成長産業として捉えている。日本医師会も、これまで経済波及効果や雇用誘発数を推計して医療が産業として重要な位置づけにあると認識してきたところですが、医療への投資は、将来の経済成長をもたらすものと考えています。しかし、現在は委員の皆様もおっしゃっているように、地域医療崩壊の危機にあります。医療を成長産業として捉えるのは良いが、まずは地域医療の再生が最優先で、その道筋を示すべきだと思います。
 「産業構造ビジョン2010」は、日本国内の医療再生への道筋とは関係なしに、官民一体となった外国人患者の受入れを支援する組織の立ち上げ、国による外国人受入れ医療機関の認証が必要であるとしていますが、それは順序が違うのではないでしょうか。その上で、日本医師会は、日本人であれ、外国人であれ、患者を診察、治療することは医師の当然の責務でありますから、人道的見地からも不合理な規制は緩和すべきだとも考えています。
 現在も外国人患者を診察、治療している医師も少なくありません。良心的に診療報酬並みの治療費で診察して、医療機関が持出しをして対応しているところもあります。医療機関には、日本人、外国人を問わず十分な診察、治療を行うことができるような経営体力が必要でありますし、そのためには、診療報酬を全体的に引き上げて、医業経営を支える必要があります。
 ただし、日本人の保険診療患者が締め出されていたり、日本人の自由診療患者も含めて膨大な治療費が請求されていたりすれば問題です。日本医師会としては実態把握に努めますが、日本の医療を混乱させないためのガイドラインも不可欠だと思います。
 そこで次の25頁、日本医師会は、営利企業が関与する組織的な医療ツーリズムには反対です。営利企業は、診療報酬に縛られず、自由価格の医療市場が拡大することを期待します。医療の質が担保できなくなるだけでなく、混合診療の全面解禁が後押しされ、公的医療保険の保険給付範囲を縮小させるおそれがあります。
 医療ツーリズムで日本を訪れる富裕層の外国人は、全額自己負担で診療を受け、現金やカードで支払うでしょう。医療機関からすればレセプトの請求をする必要がなく、かつ現金収入にもなります。診療報酬上の点数よりもはるかに高い金額を設定することもあるでしょう。そして、全額自己負担で、高い診療費を払う外国人患者は優先的に扱われることになるでしょう。
 現在、医療ツーリズムの外国人患者を受け入れたいとしている医療機関は、例を挙げるとPETやMRIなどによる健診が空いているところかもしれません。しかし、それらの医療機関が、外国人患者に対して自由価格を設定して収益をあげ、いままで経営が苦しかった病院の経営状況が好転するようになれば、最新の画像診断機器を装備した近隣も医療機関も、それにならうことは容易に想定できます。そうなると、画像診断などの公的医療保険診療による検診が混んでいる医療機関も、外国人患者の受入れを始めるでしょう。そして、保険診療で受診している多くの日本人の患者は、これまでよりも後回しにされる可能性が出てきます。
 そうなると「全額自己負担でもいいから優先的に検査、治療をしてほしい」という日本人患者が出てくることになり、全額自己負担できない日本人との格差が生じます。また、既に病気で通院中のある程度の高所得者は、検査については全額自己負担するので優先的に受けたいと思うようになります。このことが混合診療の全面解禁を後押しすることになると思うのです。
 また、MRIなど最新の医療機器による診断は、全額自己負担ということが一般化しますと、最新の医療機器による診断を公的医療保険に組み入れるインセンティブが働きにくくなります。そのほうが医療費、特に公費支出が抑制されるからであります。その結果、多くの患者は最新設備の整った日本にいながら、適切な検診を受けられないという事態になります。
 さらに、日本人及び外国人患者を自由価格のみで診療するようになった医療機関は、診療報酬とは関係なくなります。これらの医療機関は診療報酬を引き上げる動きに同調する必要がありませんので、公的医療保険を拡充しようという働きが全体的に弱まり、診療報酬はますます抑制されていきます。その結果、都市部などで、外国人患者や富裕層の日本人患者が見込める地域と、そうではない地方との格差がさらに拡大します。地方の医療機関では、診療報酬が伸びない中で苦戦を強いられ、最悪の場合には地域医療が完全に崩壊します。
 もちろん、現在、個別に外国人患者を受け入れている医療機関、医師がそうであるように、医療ツーリズムを受け入れる多くの医療機関は、健診や治療に良心的な価格で対応すると考えられます。しかし、ここに株主への配当を至上命令とする株式会社が関係してくれば、どうしても経営効率の重視をせざるを得ないということになります。
 株式会社の問題点は27頁の図3.4.1です。医療法人は、利益を上げると医療の再投資に当てます。株式会社は、利益の中から配当ということを考えなければなりません。これが大問題だということです。28頁以下は株式会社の問題点について書きました。以上です。ありがとうございました。
○部会長 ありがとうございました。この問題も非常に大きい問題だと思います。まず渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 いまの問題と関係ないかもしれません。先ほど来伺っていて、特に相澤委員と西澤委員のご意見に関連して、医療提供体制を議論する上でマクロとミクロの視点が必要だというのは全く同感でございます。特に、各地域の医療の提供体制の姿というものを考えないと、マクロだけで議論していても全然進まないと思います。
 やはり、北海道から九州、沖縄までの各地域における医療提供体制、そこには当然高齢者が多いわけですから、西澤委員もおっしゃったように介護の分野も含めた具体的な提供体制のあり方といったものを示さないと、いくら中央で、マクロで議論していてもなかなか現実に進まないというのがまず1点です。そうなると、今度2013年から始まる新たな都道府県の医療計画というのは大変重要な意味合いを持っていると思います。ここで議論するのか、また別途検討会を作るという話だったので、それについてはまた伺ってみたいと思います。
 そうなると、もう1点だけ、いまの二次医療圏の考え方が果して妥当なのかどうかという気がします。特に市町村合併が大変盛んに行われて、先ほども資料にあったように、同じ二次医療圏同士の中でも言わば相当な格差がある。それも含めて考えると、二次医療圏ごとの地域医療体制のあり方といったもので、果していまのままでいいのかどうか。つまり、二次医療圏を見直す必要があるのではないか。以上です。
○小島委員(伊藤参考人) 先ほど、看護協会の齋藤委員がおっしゃられましたが、提供体制の議論の中ではやはり勤務医と看護師等、医療従事者の労働条件の是正というものについて直視しないといけないと思っています。労働基準法を守ると医療現場が崩壊してしまうというのは、やはり異常なことだと思います。それをここで出来るのかどうかというのは、齋藤委員がおっしゃったとおりなので、そういう認識を持っているということを発言させていただきます。
 そのような中で非常に心配しているのが、保険医療から医師が離脱しているという問題について、いま中川委員から皆保険に対する問題点を指摘していただきました。関連する問題として、医師自体が保険医療から離脱していく。医療ツーリズムなどで、医療自体が空洞化することと合わせて非常に心配しています。
 今回も医師数の調査がありました。これも調査対象は全国の病院、分娩取扱い診療所対象となっていて、保険医療機関だけではないのかなという気もしています。やはり、地域医療を担う保険医療機関にきちんと人が配置されることが重要だと思っていますので、そのような認識を示しました。
○部会長代理 医療部会で、少し中期の視点から医療提供体制を話せるのは大変いいことだと思います。このところ、診療報酬改定の事前の打合せ会のようなものしかできていなかったので、それに比べると大変良かったと思います。
 私は同じ社保審の「介護給付費分科会」の委員を兼ねる立場から、相澤委員や西澤委員、あるいは何人かの方がおっしゃった医療提供体制と介護提供体制とのリンクの大切さを指摘させていただきたいと思います。資料1に医療のグランドデザイン、33頁でしたか、医療提供体制のグランドデザイン、介護提供体制のグランドデザインの両方が策定されている。大変素晴らしいことです。全く関係ないグランドデザインにならないように、是非、厚生労働省としては頑張っていただきたいと思います。両グランドデザインのリンケージを忘れてはなりません。
 渡辺委員などは覚えていらっしゃると思います。いまから5年ぐらい前、保険局は「療養病床は全部介護保険に入れろ」と言って、同じ日に、同じ場所で、同じ建物の中でやっていた老健局の会合では「療養病床は全部医療に持っていけ」と、同じ厚生労働省の2つの局で違う議論をしていた日がありました。非常に印象的でした。それから5年も経っていますから、今回そのようなことは決してあってはならないと考えます。
 先ほど、相澤委員がおっしゃったように、確かに医療保険は別だし介護保険は別、保険局と老健局、医政局は別だけれども、提供体制はかなり一緒になっていますし、まして利用者は両方を使っている方がたくさんおられるわけです。ここの部分のリンクを考えながら提供体制論、特にグランドデザインを齟齬のないようにどころか、かなり重なった形で作っていくことが欠かせないと感じます。
 我々の側で言えば、医療計画と介護保険事業計画も、地域単位である程度つながっていないと、両方全然別に療養病床を扱ったりしたら本当にみっともない計画になると思いますので、これを私たちも指摘すべきだと思います。
 33頁の図、グランドデザインの策定のところに、両方とも「需要予測を踏まえた」と書いてあります。これは経済学者からすると間違いだと思っています。閣議決定されてしまったからいまさら言葉づかいを変えろと言えないのですが、要するに「需要」というのは欲しいという気持なのです。本来あるべき設計の原理は「ニーズ」に基づく、ニーズというのは客観的必要性に応じて作らないといけない。需要に応じて作ると、患者はみんなナショナルセンターに行きたいし、大学病院に行きたいかもしれない。しかし、それに応えたグランドデザインを作ってしまっては地域医療は成り立ちません。どこで受け止めるかというのは本人の需要とは違うのです。
 ここで言っている「需要」は、たぶん「ニーズ」の意味で、言葉づかいの間違いに過ぎないと思うのですが、私たちはそこを理解しておかないといけない。本来、医療や介護というのは、お客様の望みのままにという体制を作ってしまっては地域は持ちません。それを合わせて申し上げておきます。以上です。
○海辺委員 この流れの中では全然出てこなかったのですが、予算の頁のところで、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの解消というところがありました。ただ、具体的に予算を見ていると、研究費のほうは多いのですが「質の高い臨床研究・治験の実施体制の強化」と言っているわりに、900万円で何ができるのかなという疑問をちょっと感じました。
 資料2の6頁のところに治験のことがいろいろ載っていたのですが、ここのいちばん上の行、「グローバル臨床研究拠点等の整備の拡充」というのは、これから非常に大事なことだと思います。今回、私がヨーロッパの臨床腫瘍学会をちょっと勉強してきたのですが、その中で今回のいろいろな発表は分子標的薬というものが非常に主流になってきている。ただ、分子標的薬が主流になってくると、効果が明らかな対象患者があらかじめ絞られてきてしまう。そうすると、対象患者数が非常に少ない中で治験をしなければいけないので、オーファンドラッグ化するというか、難病の治験と同じような課題を抱えるようになるということが将来見えてくる。
 日本は日本国内の治験ということに非常にこだわっている。そのせいで、今後、対象患者がわかっていて、効果的な薬を投与できるというのは医療費の無駄もある意味省けるので良いことだと思うのです。しかし、折角そういう良い薬があっても、なかなか使えるようにならないということがむしろ拡大する方向になるのではないか。是非、もうちょっと真剣に臨床試験のことについては予算づけをしてほしいと思いました。
 あと、もう2つ言いたかったのが、療養病床での歯科というのは非常に大切だと思っています。やはり、最後まで自分の口で食べるというのは国民にとって大切なことだと思います。山口県の療養病床の方々の勉強会に呼んでいただいたときに、非常に面白いなと思ったのが、一律に刻み食を提供していたけれども、調べてみると実は入れ歯が合っていない患者が非常に多く、そこを調整してあげることでもうちょっとちゃんとした物が食べられるようになるのではないかという研究がありました。先ほど、水田先生がおっしゃっていたように、歯科はいろいろなところにもっと進出していけば、いろいろなニーズがあるのではないかと感じました。
 あと、いろいろな高齢者にしても、小児にしても後方支援の受け皿がないという、在宅の充実ということがあります。でも、医療ばかりではなくて、本当は家事支援のような、医療とは全く違うところが整わない限り、家に帰るというのは非常に難しいのではないかと思います。こういうように厚生労働省の縦割りのものを見ていると、どこでそういう事が片づいていって、本当に患者が家に帰れるようになるのかなというと、いつまで経ってもこれは片づかないのかなという印象を持ちました。
○部会長 残りあと僅かですが、全般を通してありますか。
○辻本委員 グランドデザインということの中で1点申し上げます。デザインということになると、どうしても形を整えるというような、そういう方向になりがちな問題があると思います。例えばがん対策基本法ができたあと、各地に拠点病院ができた。ここにも「病院機能の見える化」強化ということが書いてあるのですが、なかなかがん患者にはその拠点病院の機能というものが実感ができない、何をやってくれるのだろう。病院は要件を満たすことに汲々として、まだ中身、ソフトということが充足されていない。そういう状況が現にございます。
 あるいは、セカンドオピニオンということが患者の権利になりました。病院は患者から要求されれば書類を整え、そして笑顔で「いってらっしゃい」と送ることが義務になりました。でも、その形はできたのですけれども、中身、例えば患者が妙に大きな期待を抱き過ぎて、セカンドオピニオン難民になっているというご相談が私たちのところにも届いてきます。受け皿のセカンドオピニオン外来のところも意見は言う、でも「前の病院に戻りなさい」と何やら冷たい対応でしかできないというような、そういった中身、ソフトという問題、課題がまだまだ山積だと思います。
 グランドデザインということで形から入っていただくことは大事ですが、一方でやはり中身づくり、ここに「見える化」ということをわざわざ書いていただいているので、患者は素人、医療に素人の私たちが本当に見えるようなことをこの提供体制の中で実現していただきたいということを心からお願い申し上げたいと思います。
○中川委員 いまお話に出たグランドデザインですが、資料1の33頁にあります。今年度に実施する事項の中にありますけれども、グランドデザインの議論と策定をどこでするのかを事務局にお聞きしたい。あと、医療部会との関係あるのかないのかという、この2点についてお願いできますか。
○部会長 これは、たしか最初のころも同じような質問がありましたね。
○中川委員 もう少し具体的に言ってほしいのですが。
○医政局総務課長 グランドデザインの策定を政府内でどのような形でするか、ということはまだ決まっておりません。先ほど申し上げたのですが、具体的な手順や手続などは未定でございます。いずれにしても、本日からのご議論を踏まえて、私どもとしては検討していきたいと思います。
○中川委員 もうちょっと具体的にというのは、これを作る役所はどこなのですか。
○医政局総務課長 基本的には、厚生労働省で作るという理解をしております。
○中川委員 局はどこですか。重要な問題です。
○医政局総務課長 医療と介護の関係もございますので、1局で作るということではないかと思いますけれども、医政局を中心に考えていきたいと思っています。
○中川委員 検討会その他は立ち上げるのでしょうか。
○医政局総務課長 現在のところ、そういう予定はございません。
○中川委員 ないのですか。
○医政局総務課長 はい。
○山本(信)委員 先ほど田中先生がおっしゃったように、局はそれぞれあるだろうと思います。ただ、医療を受けるのは国民・患者ですので、それぞれの方々が医政局はどうで、どれが保険局で、どこが医薬食品局ということはたぶんわからないでしょう。そういった意味では、先ほどの繰返しになりますけれども、昔、グランドデザインを「遠大な計画」と訳した人がいました。それはたぶん達成できないのだろうという意味で言ったわけで、そうではなしに、これはかなり近いうちに具体的な計画にしなくてはいけないわけです。それぞれの局で縦割りにせず、国民・患者の方々がきちんとわかるような形にすべきではないかと思います。私どもはいつも部外者的だったので、ひがんで言うわけではありませんが、少なくとも医療に関係するあらゆる局が、きちんと同じ場に乗って議論をしませんと、たぶん良い計画はできなくて、一部分の計画、またその繰返しとなってしまう。厚生労働省がきちんとおやりになるのであれば、縄張りではなく、それぞれの局の中の課が縄張り争いをするのではなく、患者、国民のための計画を作っていただきたいと思います。
○医政局長 検討の場や形にはいろいろな考え方があると思います。まず、今日ここで医療をコアとした検討はもちろんされるわけですが、それぞれの局は局でまずベースを検討していただく。一方、省内で保険局、それから私どもと、老健局合同で検討をしようということで、省内の体制は進めてきている。おそらく、完成物を作るときには関係局というか、省全体で整えて物をまとめることになると思います。それがどういう姿で出るかということになると、例えばこういう審議会にしてみても親審議会があるわけですから、部会が独立していてもまたお諮りする場面もあるかと思います。その辺の省内検討、それをご検討いただく場、それから発表する形、これについてはもう一遍省内でよく検討してまたご相談したいと思います。
○山崎委員 話は全然違うのですが、医学部の地域枠の話、中川委員の資料?@の17頁に国公立大学医学部の地域枠の表があります。一方で本日の資料3に医師数が不足しているのは島根県、岩手県、青森県、山梨県と書いてあるものがあります。弘前大学や山梨大学、島根大学がどれだけ地域枠をとっているかというと、125人中5名、110人中5名というように非常に少ないのです。地域枠というのは必ずしも県の人ではないのです。東京の人でも群馬大学なら群馬大学に入って、群馬県の公立病院に6年間勤務したら奨学金をあげますという制度なのです。その生徒の生活の拠点というのがその県になければ、結局地域枠で大学に入って、6年間県で働いたとしても、年季奉公が終われば帰ってしまう。
 したがって、「地域枠」という表現があまり良くないと思います。これをむしろ「県民枠」とか、群馬県にきちんと生活の基盤がある人について、30人とるとか40人とるとかいうようにしていきませんと、地域の医師の定着というのはしていかないと思います。地域枠という考え方自体を変えてほしいということと、こういう話を大学の先生に話すと、地域枠を増やすと医師の質が下がるということを盛んに教授会の先生がおっしゃる。それほど、全国をとっても、地域でとっても、医師の質が下がるとは思えないのです。その辺、やはり今後の検討の課題になるのかなという気がしています。
○中川委員 いまのお話は、私の資料の17頁の表のご指摘だと思います。この地域枠の数字は2010年度に増やした分だけです。それ以前に増やした分はここに書いていないわけで、実際にはもっといるわけです。
 それと、地域枠の問題ですが、質の低下は心配ないのではないかとおっしゃいました。
実際、いろいろ医学部の先生方に聞いてみると結構あるのです。なかなか難しいところもある。いま、日本医師会で検討を進め始めているのは地域枠ではなく、地域枠というのはその県の学生が受けるわけですが、ほかの県の学生がそこの地域医療、仮に名前を付けるとすれば「地域医療貢献枠」、例えば東京の人が何々県に行って医学部を卒業して、そこで頑張ってみようかという人の枠だとか、いろいろな考え方ができると思います。いや、例えばですよ。そういうことを含めて、新たな、いままでどおりの地域枠だとこれは限界があるなと思っています。
○部会長 もうほとんど時間がありません。まだまだご発言はあると思いますが、予定の時間になりました。本日はこれまでとさせていただきます。次回の日程について事務局からお願いします。
○企画官 次回の部会の日程でございます。11月11日(木)午前10時から、いつもどおりの2時間半で12時半の開催を予定しています。
 その後の日程ですが、先生方がなかなかお忙しく、日程が合わないという経験則もあり、部会長のご指示をいただいて年内の日程をかなり幅広くお聞かせいただきました。その後、年内としては12月2日(木)、12月22日(水)、いずれもご出席いただける方の数が多いのは午前中だったと思いますので、午前中の方向で調整させていただければと思っています。いずれにしても、この12月の2つについては、また正式に決定し次第ご連絡を差し上げたいと思います。
 ということで、次回は11月11日(木)の10時から、場所等はご連絡を差し上げたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○部会長 本日は長時間、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局総務課

企画法令係: (内線)2519

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