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2010年11月11日 第9回審査支払機関の在り方に関する検討会議事録

○日時

平成22年11月11日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

粟生田委員、飯山委員、岩田委員、遠藤委員、小木津委員、齋藤委員、高田委員、
田中委員(加藤代理)、長谷川委員、村岡委員、森田委員(座長)、横倉委員
(事務局)
外口保険局長、武田総務課長、吉田保険課長、伊藤国民健康保険課長
鈴木医療課長、佐原保険システム高度化推進室長

○議事

○森田座長 皆様おはようございます。ただいまから「第9回審査支払機関の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
 本日の委員の出席状況について、事務局よりお願いいたします。
○吉田保険課長 本日の委員の皆様の出席状況でございますが、田中委員、山本委員、渡辺委員、高智オブザーバーから御欠席の連絡をいただき、また、急遽、高橋委員も御欠席という御連絡をいただきました。
 なお、本日御欠席の田中委員の代理として国民健康保険中央会企画部長の加藤さん、また、山本委員の代理出席として日本薬剤師会常務理事の森さんの御出席希望をいただいております。
○森田座長 ありがとうございました。
 代理出席について、今、事務局より報告がありましたが、田中委員の代理として加藤さん、山本委員の代理として森さんの出席ですが、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、代理の方には、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速本日の議題に入ります。
 前回、第8回の会議では、事務局から示されました「総括的議論に向けたこれまでの議論の整理について」をたたき台に、検討会における議論の構造について御議論いただきました。そして、まず、都道府県単位の審査体制の在り方について御議論をいただいたところでございます。
 本日は、前回に引き続き、保険者の直接審査における紛争処理の在り方、審査委員会の体制、審査支払機関の競争環境の整備について議論を進めたいと思います。その後、懸案である組織の統合、競争についての定量的な検証について、事務局が用意したフレーム案を取り上げたいと考えております。
 それでは、まず、前回の再審査についての追加の論点について事務局で整理してもらいましたので、これについて事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○吉田保険課長 おはようございます。保険課長でございます。
 まず、資料の山の中から、第9回資料3-1と書いてございます横表、「審査体制の在り方についての論点」というものと、第9回資料3-2「前回(11月4日)の議論を踏まえた再審査についての追加の論点」という2つのパワポを御確認いただければと思います。
 資料3-1、在り方についての論点のページで申し上げますと6ページ目からでございます。前回、このペーパーに沿って御議論いただきました幾つかの論点の中、6ページ目にございますように、再審査につきましては、いわゆる「上級の審査組織」というものを設けることについて事務局として問題提起をさせていただき、また、6ページ目の?@、?Aにございますように、具体的なイメージあるいは制度設計に当たっての留意点についても取り上げていただいたところでございます。
 7ページにわたっては、上級の紛争処理組織をどこに置くかという場合に、具体的な注意点、あるいは従来の支払審査委員会が三者構成であったことを踏まえての記述もさせていただき、御議論いただいたところでございます。
 まず、私ども、それを踏まえて資料3-2「追加の論点」を用意させていただいたところでございますが、冒頭、前回の議論を振り返ってみますと、事務局としてちょっと言葉を足さなければいけないかなということだけ一言申し上げたいと思います。
 「上級の審査組織」という書き方をさせていただいております中で、前回の御議論でも「基準の統一化」の議論がその前段に強くございましたので、いわば各都道府県あるいは国保と支払基金の間で審査基準が分かれているのではないか、ローカルルールの存在があるのではないか。また、そもそも診療報酬の算定基準ルール自体に非常に幅がありまして-これは審査支払機関の方々からもかねてより御指摘いただいているところでございますが-幅のあるルールを適用するに当たって、結果的にそこにいろいろな判断が入るということから、結果、審査査定率などのばらつきがあるのではないかという議論もこの場であったかと思います。そのような御議論を踏まえて、この場合で言う「上級の審査組織」に何を期待するかいう意味では、?@ルールの基準そのものをどうやって統一するかというような部分と、?A個別のレセプト一つひとつを、結果が保険者あるいは医療機関の方から見たときに納得いかない場合に再審査を請求して、その再審査が堂々めぐりになるような現状が一部見られることに対する決着の場としての上級の審査組織。どうも2つの点が議論の中では受け止められているかのように私ども拝察いたしました。
 事務局として言葉が足りない点、おわび申し上げたいと思いますが、ここで取り上げさせていただいたのは後者の方、あくまでも個別のケースについて、当該関係者が納得しない場合に、最後どういう形でその紛争といいましょうか、未調の部分を処理していくかということの「上級審査組織」を念頭に置いて整理しておりまして、そもそもの基準をどのように統一化するかというような議論については、別途いろいろ御議論いただいておりますような取り組み、あるいは今後の方向性について、私ども整理をしてまいりたいとまず冒頭申し上げたいと思います。
 そういう意味では、あくまでも個別のケースについてなかなか納得が得られない場合を前提にした場合、資料3-2でございますが、前回のこの場におけるコンセンサスは、やはり何らかの上級審査組織を設けるべきではないかということであったかと思います。
 また、2つ目に-ここは若干さし掛けになっておるかと思いますが-上級審査組織の構成、三者構成ということについては、利害関係から中立で公正な立場による再審査の仕組みであれば、三者構成ということにこだわらなくてもいいのではないかという趣旨の御発言もあり、また、やはり三者構成というこの構造自身も意味があるのではないかという御議論、両方あったかと私ども受け止めております。
 そのような前回の御議論を踏まえて、追加の論点としましたものは、?@でございます。納得の得られないレセプトについて、すべて上級の審査組織が再審査するということになりますと、欄外※1にありますように、現実の支払基金もしくは国保連が、1回目の判断に対して再審査がどれぐらい出ているかという物量を示しましたところ、保険者さんからいただきますのが、基金で言えば465万件、国保連で言えば892万件、医療機関側からいただくものが24万件、29万件とそれぞれ出ておりまして、これだけのものを上級の審査組織というものを設けた場合に全部受け止めるのは、現実的にはなかなか難しいのではないか。
 また、?@の矢印の下に書かせていただいておりますが、原審査をした審査委員会の方が、もう一度、保険者側あるいは医療機関側からの声がけに基づいて案件を取り上げることを通じて、当該審査委員会における問題点の把握・検証ということも効果としてはあるのではないかということを考えますと、「例えば」でございますが、原審査を行った審査委員会が、再審査という言葉で言えば、1回目はそれぞれ受け付けるにしても、何度もなるという一定のところになれば、上級という形で持っていくような考え方の方ができるのではないかというのが1点目でございます。
 ?Aにつきましては、まさに三者構成議論でございますけれども、中立で独立した立場のものであれば、では「三者構成でない形」でどのように選べるかという点については、例えば事務局として考えましたものは、保険者及び診療担当者の推薦ではなくて、大臣あるいは知事という行政機関が選定するという仕組みが考えられるかと思います。その場合に、その組織が効率的かつ迅速な請求支払いの確定機能を発揮することができるだろうかということを私どもとしてはお諮りしたいと思います。
 ?Bとして、場所がどこかということにつきましては、前回も御議論ございましたけれども、引き続き、実際に整理していくには、そもそも支払基金と国保連という大きな組織のあり方の議論を当然念頭に置きながらも、この上級の審査組織についてのポジショニングについて、また御議論を深めていただければと思います。
 まず、再審査につきましては以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま前回に引き続き更に追加的な説明がございましたけれども、これについての御意見、御質問等がございましたら御発言願いたいと思います。横倉委員どうぞ。
○横倉委員 ちょっと質問させていただきたいのですけれども、再審査の件数、これは、保険者の場合と医療機関の場合でけたが違って20倍ぐらいあるわけでありますが、保険者の再審査請求の中で、いわゆる保険者番号の違いとか、被保険者を確認してだめだったとか、そういう事務処理で再審査に上がっているものがどれぐらいあるでしょうか。これはすべて医療内容にかかわる再審査なのかどうかということの質問であります。
○森田座長 お答え願います。
○吉田保険課長 必要に応じて審査支払機関の方から補足いただければと思いますが、資料をまとめました事務局としましては、今、横倉委員の御指摘のような事務的なものにつきましては、今、ASPなど事務的にはじく、あるいは返戻という形で行われていると承知しておりますので、私どもとしては、全くそういうものが入っていないかどうかというところはありますが、ここに掲げております資料は、いわば「内容にわたっての審査」という形で取りまとめておるところでございます。
○横倉委員 医療内容にかかわる再審査ですね。
○吉田保険課長 はい。
○横倉委員 ありがとうございました。
○森田座長 この点について、基審、国保連の方から補足がございますか。
○小木津委員 今の内容についてということで、再審査請求の中身についてですが、私どもも、医療的な判断にわたる内容だと、基本的にそういうものだと理解しております。
○森田座長 国保連のほうはよろしいですか。
○飯山委員 ちょっと全国の数字はわからないですけれども、私ども東京都の国保連では、再審査は医療内容のものに限っています。事務的なものは、過誤ということで別の処理になっております。
○森田座長 そういうことです。
○横倉委員 わかりました。
○森田座長 ほかにいかがでしょうか。高田委員。
○高田委員 今の再審査の件数絡みで、追加論点の?Aのところ「例えば」以下のところですけれども、そもそも個々の納得が得られない場合に再審査するということが、前回からの中で、私ども保険者としては、上級の審査体制というかそれを、上級ということが裁判で言う3審制というイメージをしているのではなくて、この間の高橋委員の御発言、それから支払基金の過去のレセプトを交換してやったときのあれを見たように、要はそれだけばらつきがあるので、そこで同じところに出しても、要は、結局、基本的には同じ答えしか返ってこないということで、こういう方法がどうかということで大きい方向については御理解いただいたと思っています。
 そうなると、?Aの「例えば」以下のところは、結局、もう一回同じところで審査させてということになると、今までの保険者として納得を得られないところは正直、意味があるのかなというところがあって、結局2回繰り返すだけで、要はコストも手間もかかるだけではないかというところがあります。
 それで、ちょっと前になりますけれども、支払基金から、まだ確定ではないですが、第6回のときにサービス向上計画とかをいろいろ提案いただいていますが、その中に、やはり審査委員会が、建前上合議ですが、ゲストスピーカーの方もおっしゃられたように、合議ではなかなか難しいということもありますから、そういう提案の中に、担当の審査員が原審査を単独で審査を決定する仕組みとか、定型的なレセプトに係る審査の決定は職員の審査事務にゆだねるとか、そういう今の審査委員会の中で事務職員がかかわっているところの役割というか機能をもっときっちり分けて、そういうところがレセプトの審査の、先ほどありました審査基準のところも絡めていけば、この数字がそのまま上がってくるとは考えにくいんですね。そういうところも効率化しながら、お互いに納得が得られるような仕組みを考えていくべきだと思いますので、そのときに、サービス向上計画に支払基金からも御提案いただいています、少なくとも私ども健保組合の方のイメージとしては、ブロック中核支部に設置された審査委員会が再審査をとか、本部の特別再審査委員会が再々審査をやるとか、正直、この間のお話で、私ども保険者としてはそういうイメージなので、余り上級とか、形式的に格上げしたようなイメージを持つのではなくて、見る目を変えて見ていただいて、それを収れんさせていただきたいということですので、この支払基金ですと465万件あるというものが、そのまま行くのかどうかという、その再審査のかけ方についても、やはり議論していただきたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 では、齋藤委員お願いいたします。
○齋藤委員 上級という言葉が適切かどうかはわからないのですが、機能的に、やはりいろいろなレベルで国保とか、社保とか、地域とか、いろいろなところでの判断基準がまちまちだと、これは延々たる局所での悪循環の連続になるわけですね。ですから、その判定基準というものは、少し第三者的な、上級という言葉がいいかどうかは別としても、第三者的な立場で全国に通ずるようなオフィシャルスタンダードができれば、ここの判断はこういうふうになっているから、これからは我々のところでもこれでやりましょうねということが全国で敷衍してくるのではないかと思います。
 そういう機能がないと、これは、てんでんばらばらで、ただ、前に申し上げましたように、局所の地域の事情とか個別の事情というのは、医療ですから常に重視しなければならないので、その上級審と言われているものは、それも勘案して、例えば生活習慣病が非常に多くて食塩摂取量が多いところについては、利尿薬の使用は幅広く認めるとか、そういうきめの細かい立ち入った指導が隅々まで行くとすれば、この数はかなり減ってくるのではないかと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 小木津さん、手を挙げていらっしゃいましたね。どうぞ。
○小木津委員 ただいま私どものサービス向上計画の話も出ましたので、私の方から御提出させていただいております意見、参考資料として出させていただいているものについて、今、御議論になっております論点につきまして若干御説明させていただきたいと思います。
 お手元の参考資料2でございます。
○森田座長 参考資料2で、左上に「小木津委員提出資料」と書いてあるものでございます。
○小木津委員 これの3ページが、今、御議論になっている論点に関するものでございます。
 私ども支払基金の中でいろいろ検討させていただいたものを踏まえながら御意見を申し上げたいと思うのですけれども、まず、上級の審査組織を設けて判断を統一化するという方向性については大変有意義だと私ども考えております。ただ、1つは、再審査請求、先ほど数字が出ましたように、非常に数が多いということもありますので、それをすべて上級の審査組織にゆだねるというのは、なかなか現実的ではないのではないかということと、もう一つ、実際に都道府県単位に置かれております審査委員会におきましても、特別に再審査部会等を設けて、実際に原審査を担当した委員以外の委員に担当させるという取扱いで、一たん別な目で見るというような取扱いを原則としておりますので、こういった活用もできるということで、まずは、都道府県単位の審査委員会が、まず1回目の再審査は実施した上で、例えばそれ以降、再々審査に上がってくるようなケースについて、上級の審査組織が対応するというような仕組みを考えた方が適当ではないかと考えております。
 また、もう一つ、上級の審査組織を設けるに当たりましても、それが基準の統一化に資するという意味合いも非常に強いと思いますので、そういった意味では、上級の審査組織の判断を下級の原審査を担当する都道府県単位の審査委員会の判断に的確に反映させる必要があるということと、また、新たに別途に組織をつくるというのは追加的な費用とか労力がかかるということを考えますと、審査支払機関におけます既存の組織を活用することが効率的ではないかと考えております。これが第1点目の論点でございます。
 第2点目の論点を事務局から先ほどお話がありましたが、これにつきましては、私どもブロック単位での再審査ということについても活用の余地が大きいのではないかと考えておりまして、これらにつきましては、4ページにありますけれども、各審査支払機関の判断にゆだねていただいて、実情に応じた取組みをすることによって実効性が上がってくるものではないかと考えております。
 ま、3点目につきまして、ちょっと先走ってしまって申し訳ないですが、公正な組織を担保するための三者構成、これは、関係者の信頼性を確保するという意味では意味があるのではないかと考えておりまして、これを上回るようなものがあれば別なのですが、ある程度、この意味を考えてはどうかと思っております。例えば韓国のヒラの例で言いますと、保険者から独立してできたという関係上、どうしても医療機関との間の緊張関係がまだ存在していて、それで訴訟が起こっているという実例を承知しております。私どもの支払基金等の場合とは、そこは大分違っておりまして、それは三者構成というものが一定の意味合いを持っていて、信頼性の確保に資しているのではないかと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。多少論点を広げていただいたような気がしますけれども、いかがでございましょうか。遠藤委員どうぞ。
○遠藤委員 再審査のところに戻りますけれども、先ほど再審査の申出のあったものは別のところで、改めて別の視点でということがあったのですが、審査会の中で、特に保険者側から上がってくる場合には、審査会を通過したものに疑義がついて上がるわけですよね。そうすると、通ったものに対しては、一次審査では理由は当然ないわけで、ないというか、審査委員にはありますけれども、記録としてはないわけで、再審査で初めて、その通した理由とか査定する理由がつくことになりますよね。そうすると、再審査の1回目を原審査した委員会に通さないということになると、その理由がないままに審査会から外れてしまうということで、原審査をした審査会の意義がないのではないかと感じるんですね。1回目はやはり通ったものに、疑義があれば、その審査会に戻したときに、その審査会は、それが、保険者の意向が正しいとなればそれで査定になるわけですけれども、それを、原審ということになる場合には、保険者にとって理由が不十分だということはたびたびお伺いしますが、理由をつけなければいけない。再審査で初めて審査の理由が、審査会の意見として出るわけですね。そうすると、それがないままに、最初から再審査は別のところということだと審査会の意味がどうなのかなと思うので、1回目の再審査については、やはり原審査委員会へ戻すべきではないかと僕は思います。
○森田座長 齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 ここに再審査の数が400万とか、そういうふうに出ると膨大な数で、どうアプローチしていいかわからないという感じもしなくはないのですが、この中のかなりの部分は重複だとか、1つの基準があれば、大体みんなそれに沿って理解するとか、そういう中身が非常に多いのではないかと思うんですね。そのときに、基準が余りはっきりしなかったり、地域や人によってまちまちであるがために、ある人は非常にそれを不満に思い、ある人は納得する、そういうばらつきが起こっているんだと思うんですね。
 そういう点で、中央の上級的な立場で、例えば、今よく問題になるのは、アルブミンというたんぱく質の製剤を悪性腫瘍の患者に使ってよいかどうかということが、地域によっていろいろな理解があるわけですね。これは、こういう場合には使ってもよいけれども、こういう場合には不適切だとか、そういう明確なビジョンを個別の診療行為について出していけば、そんなに診療行為って膨大なものではないと思うんですよね。問題が発生するような診療行為というのは。だから、そういうものを整理して、そういうときこそITを利用して、例えば高齢化で全身の衰弱がひどくて低たんぱく血症がある人についてはアルブミンの使用は認めているとか、いわゆる上級審の凡例のようなものが、きちんとIT化で表示されてくれば、各支部でもそれを見て、全国的なコンセンサスはこれだなということがわかるわけですね。ところが、今は全国的なコンセンサスが何なのかも、やはり個別の事案については非常に掌握しにくい状態で、いろいろなところで水かけ論や悪循環が起こっているような気がするんですね。その辺のシステムの調整ということが、全体の整合性を取るという点では言えるのではないかと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 では、長谷川委員お願いいたします。
○長谷川委員 もういろいろな委員の方々から随分整理していただいたと思うのですが、現在の再審査の件数を前提として仕組みを考えるというのは、恐らく実際的ではないし、工夫いかんで大幅に減らすことができるだろうという御意見が多かったと思いますが、私もそれに賛成です。
 まず一つは、審査基準を公開することによってかなり減らすことはできるだろうと私も考えます。あともう一つは、現在の原審査と再審査の体制について、組織を統一するのか、あるいは、ある種、競争関係を維持するのか、まだここの議論はなされていないと思うのですが、どちらにしても、審査支払機関の中で一度ある種の判断をする。それに対しての再審査請求というは、これは一つのクレーム処理ですね。そうすると、内部の体制として原審査を行った方々がもう一回見るのか、あるいは別のチームが見るのかという、これは内部体制の話であって、そこは余りこちらの方でこうあるべきだというのが、どこまで明確に要求するのかどうかというのは、これはちょっと考えどころだと思います。
 恐らく賛否両論があると思います。原審査を担当した人間が、その案件については一番よく掌握しているであろうし、ある種のクレームが出た場合に、それが学習につながるということから考えると、原審査を担当した人間がまずは見るべきだろうというのは一つの考え方です。逆に、自分の過ちを認めることを躊躇するということで公平性が維持できないとなれば、これはまた別な仕組みで担保すればいいと思います。
 あと、上級審については2つの機能がある。ルールの統一・標準化を図るという機能が一つと、もう一つは、実際の紛争処理ですね。そうしますと、紛争処理の仕組みというのは一定程度必要です。母体を何にするかというのは、これはまた議論していただくにしろ、紛争処理の仕組みがないと、紛争案件は全部裁判所にという話では実際には難しい話ですからできない。考えないといけないのは、上級審に対して持っていくような案件をいかにして減らす仕組みをつくっていくかということで、実際、原審査を担当した組織の中で減らす仕組みを考えていただく。あともう一つは、例えば審査機関の間での競争環境を考えるとすると、上級審に持っていく件数も評価の基準にする、ある種の料金をチャージするなど、こういった仕組みを考えることによって上級審が実質的に機能するような仕組みというのを考えることは十分可能だろうと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 では、横倉委員。
○横倉委員 今、長谷川先生や齋藤先生がおっしゃったとおりだと思うんですね。原審査をして、やはり1回目、800万件と出てくることについて、一次審査を担当した組織でまた解決する内部の方策を考えていただきたいということ。それと、さっき遠藤先生がおっしゃった、いわゆる審査の内容をフィードバックすると。だから、もし上級審をつくられても、その内容がフィードバックできるような方法を必ず考えていただきたいと思うんですね。と申しますのが、医療機関で何度も、どうしても解釈が違ってやった場合に、最終的に審査会では、当該医療機関の先生と面接懇談ということをやって、こういうところが問題があるのではないかという指摘をして、医療機関の方にも理解を進めてもらうという働きを随分しております。ですから、そういうどこに問題があるか、解釈がどう違うかということを診療サイドに理解してもらう方策というのは、残しておいていただきたいと思います。
○森田座長 ありがとうございます。
 では、飯山委員どうぞ。
○飯山委員 内部のお話なのですけれども、実際、再審査請求がありましたら、それは、国保連の場合には、再審査部会をつくることが省令で決まっておりますから、そちらの方で検討するということで、原審とは別の組織ということで、客観的な目で見て検討することになろうかと思います。
 それともう一つ、先ほど遠藤先生がおっしゃった件ですけれども、再審査に関する情報というのは本当に貴重な情報でございますので、この情報を原審査の方に活かすようにいろいろ手を打っております。そういったことがありますので、再審査の情報が原審査を行っている機関に全くないということになりますと、相当能率が下がるという心配がございます。そういったこともありますので、1回目の再審査は、やはり原審査機関でというのがいいのではないかと思っています。
○森田座長 ありがとうございます。
 齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 この検討会の課題の一つである国保と社保の支払機関を将来どういう相互関係にするかというので、単純的な統合というのはいろいろな問題があることは、これまでの議論で重々理解できますけれども、例えば、今日議論の出た上級審の判断に従って、いかなる審査機関も同じ基準で判断していくというような相互の共通基盤をしっかりしたものにするというのは、かなり現実的な達成可能な手技ではないかということがございますので、2つの組織において、例えば、従来ですと、前も山口虎の門病院長が、国保はこうで、社保はこうだといつも大体決まっているんだよというような話をしておりましたが、そういうことをなくして総合的な共通基盤を構築するというのは、国民にとって最大の理解を深める理由ではないかと思います。
○森田座長 ありがとうございます。
 ここで論点を整理させていただきます。私自身は、法学部に所属している人間ですので、その観点から言いますと、最初に保険課長がおっしゃった、ルールの統一、ルールメーキングの話とルールの個別的適用の話というのは一応分けて考えるべきだと思います。長谷川委員も触れられたことですけれども、これは、そういう制度をつくるときにはかなり重要な話ではないかと思っておりまして、ローカルルールをどうつくるかということについては、いろいろな関係者がしっかりとした議論をしなければいけないと思いますが、一たびルールができた場合には、それを適用する。勿論ここは裁量の幅がありますから、きちっと再審査なり何なりの仕組みは必要ですが、ローカルルールがきちんとできていれば、そしてできるだけ、先ほどございましたように、非常に塩分摂取量が多いところはそれなりのルールというのが客観的に固まっておりますと、その適用の幅のブレというのはかなり少なくなってくると思われます。冒頭、吉田課長がそのことを、紙にないことをあえて触れられたことについて、何かお考えがあればもう少し聴きたいと思いますし、この仕組みについては岩田委員が御専門と思いますので、要するにどうすべきか、ルールメーキングの話とルール適用の話というのは、法律の世界ではかなり一般的なことだと思うのですが、今までの仕組みといいますのは、個別適用とローカルルールの決定の仕組みが必ずしも分離されていなかったというところが問題かなと思いまして、今の齋藤委員の発言もそうですが、分けて考えた場合にどういう仕組みが考えられるのかという発想もあってもいいのではないかと思います。
○吉田保険課長 すみません。冒頭説明で紙にないことを申し上げたのは、前回議事録の未定稿版を一通り読ませていただいたときに、私自身、ちょっと頭の整理をしなければいけないかなと思ったので余分なことを申し上げたかと思います。事務局-というか私個人の思いが入るのかもしれませんが-今、座長が整理されたようなことは、現実には非常にオーバーラップして起こっていることかとは思うんです。まさに判例の例が出ましたように、個別事例に一定の判断を下すこと自身が事後の事例に対する一定の規範性を持つということは出てくるのだと思いますが、それにしても、やはり「個別の事案に白黒つけることを優先する」のか、先ほど来お話があり、これまでの会議でもありましたように、ITを活用して「一定の症例数を集めたものに対しての一定の指針を出していく」のかというのは、重なりながらもちょっと違うかなと思います。現実に落としたときに、先ほど来話題になっております個別のケースの場合に、高田委員がおっしゃっておられたように、どういう形で当該案件処理の中で回すのかという議論と、もうちょっと大きな構図を考えるのかという議論を事務局としては少し整理させていただきたいという趣旨で発言申し上げました。かえって混乱させたとすると申し訳ございません。
○森田座長 いや、非常に重要な御指摘だと思っております。要するに、個別ケースで適用してうまくいかない場合にフィードバックしてルールを見直す。そして、それによってルールを洗練させていくという仕組みだと思いますし、そうした客観的なローカルルールなり何なりをつくることの持つ意義といいますのは、それが事前にはっきりしていますと、再審査等の抑制に随分かかわってくるわけです。中途半端な知識で申し上げましたが、きちんとしたものを岩田委員に補足をお願いいたします。
○岩田委員 ありがとうございます。座長が期待されるようなことは申し上げられないのですが、私自身も法学部にいて、裁判のこととかを見ていると、裁判所の構成と、この医療保険の審査のあり方を比較してみると、裁判所も、確かに3審制になって、地方裁判所、高等裁判所、最高裁という形で、審査機関にハイアラーキーをつけて、最終的には、最高裁が決めたものを下の組織が守っていくという形になっていると思うんですね。
 ただ、それをちょっと、裁判所の中でルールが、そういうハイアラーキーで決められるという話と、それが実際に守られるという話は、ただ単にハイアラーキーがあるから守られるという話ではなくて、実は裁判所の中はきちんとしたある意味、官僚制になっていて、そこの中での人事評価みたいなものも勘案されているので、ある意味では、上級審が決めたことを守るというようなシステムになっていると思うんですね。だから、単に組織として構造を決めていくだけでは、多分ルールは必ずしも守られないだろうと。だからといって、保険の審査支払いのときの審査体制をどうすればいいかというのは、私も具体的ないい案があるわけではないのですが、先ほどから先生方から出ている議論で、1つはルールの明確化とそれを公表するというやり方があるとは思うのですが、ただ、他方、それをやると、これは審査支払機関の基金の方の検討会に出させていただいたときにも出てきたのですが、ルールを明確化して公表すると、それを潜脱しようとする機関もあるという話が出てきて、それをどうするかという問題はあるので、だから、どこまで公表して、どこまで公表しないかということもきちんと念頭に置かなければいけないと思うんですね。
 私、自分自身でまとまりませんが、先ほどから出ている先生方の議論を聴くと、やはり現実を見ながら、こういう審査機関の在り方とか再審査の在り方を考えるか、将来像みたいな、あるべき論みたいなものを考えて、何か統一的なルールができて、その後の形として再審査がどうあるべきかというものを考えるかで全然感じが違うと思うんですね。保険者側から出ている議論は、やはりこれだけ大きなばらつきがあるところで、理想論としては原審査をしたところで再審査してもいいかもしれないけれども、今の状況でそれを投げてしまうと、すぐにルールの統一化みたいなものはできないので、それではとても納得できませんねという話が出ているんだと思うんです。だから、そこが交錯し合っているので、あるべき論としては、私もどちらでもあり得るとは思うのですが、やはり現実を見ながらというと、車輪の両輪のような形でルールを統一化していくということも努力していくし、再審査について、何か保険者側も含めて納得でき得るような何らかの、具体論をどこまで言うかは別ですけれども、こういう指標については、少なくとも再審査の中で守らなければいけませんねというようなことを明示することが、この検討会の議論としても出していいのかなというようなことを、すみません、全然まとまりませんが。
○森田座長 では、齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 保険審査において、10年ぐらい前、僕なんかが前にやっていたころに比べて、環境が今、非常に変わってきているはずだなと思うのは、平成16年からDPCが全国で行われているわけですね。それに関連したEFファイルに基づく膨大な保険診療の資料というのは、全部今、厚生労働省に集約されているんですね。今、診断群分類や何かもそれに準拠して点数や何かを決めているわけですから。だから、例えば急性肺炎において、どういう抗生物質をどのぐらいの量使っているのがほとんどなのかという最大公約数的なパターンというのは、DPCの制度の根幹を支えているものですから全部集積されている。そういうものを活用すれば、こういう状況でどういう医療のあり方が適切なのかというのは、おのずとわかってくるはずだと思うんですね。
 そういうものを活用するためには、上級審査機関といったものがあって、そこで全国の、例えば急性肺炎5万人のデータを見ると、それはいろいろなばらつきがあるけれども、ほとんどの人は、こういう時期にこういう薬剤を使っているということがわかるような構造になっていると私は理解しているんですけれどもね。そんなことを、是非これからの保険審査では活用していくべきではないかと思っております。
○森田座長 ありがとうございます。今のは、どちらかというと、まさにルールメーキングの話。それをエビデンスに基づく形でやるという方法ですね。それについての御指摘だと思います。
 では、高田委員どうぞ。
○高田委員 齋藤先生、それから長谷川先生等々の意見に私も基本的に賛成でございまして、やはり2つの、ルールメーキングと、もう一個の適用の話というのは別と考えるのですが、やはりさっき吉田課長がおっしゃられたように、オーバーラップするところもありますので、保険者サイドの今の実務の話から申し上げますと、要は、私どもに基金から返ってくる請求とかレセプトにつきましては、原審査の段階で、要は、これが何で査定されたのか、何でこれが査定されなかったのか。要は、原審査で健保組合だったら約1,500ありますから、それぞれの保険者について、幾ら原審査で査定されたかということすら今はわからないんですね。再審査はこちらから出しますからそれについて幾ら査定されたというか原審どおりのものはわかりますけれども、今の仕組みでは、原審査で幾ら査定されているか、それぞれ個々の、私ども自分のところの健保でもわかりません。請求書の中でもそこはわかりませんから。
 そういった意味でも、さっきの元の審査委員会で2審査するということであるのであれば、原審査のところで何でこうだったかということをわかるようにしてもらえば、やはり再審査に出すケース、保険者の方も理解できますから、やはりその審査基準の公表というところは、診療側、それから保険者サイド、両方にわかるようにしていただけましたら、当然、先ほどの数字がベースになるのではなくて、そこでお互いに納得がまず進むと思います。
 そういった意味で、やはり私どももデータに基づくエビデンスがあるものがあれば、当然、何でも、今はそこがわからない、それから、前回も言いましたが、今の電子レセプトの限界があるので、先ほど齋藤委員がおっしゃられたひもづけなんかは全然わかりませんから、そういう意味で、やはり幅広な再審査で出している部分もありますから、そういう部分も改善していかないといけないと思いますので、そういった意味で、やはり基準の公開が必要かなと。
 それから、基金の中の在り方の検討会で出ています、基準を公開すると、ある意味、また目いっぱい請求するところが出てくるのではないかという懸念があると聞いているので、保険者サイドから言いますと、本当にそんなことをされるところがあるのかなと思いまして、ここまで請求できるのだったらそこまで請求するということをするのだったら、それは、医療保険ということで、適正な保険給付ということから考えると非常に由々しき問題ですから、そこは引っかける仕組みが必要なのかなと思います。実際これは、すみませんちょっとだけ、話がそれますけれども、先進的な愛知の健保組合なんかですと、領収書とレセプトの突き合わせをやっています。例えば、医療費がトータル1万円かかった場合、3割の自己負担だったら3,000円の領収書が出ています。医療費が1万円ですから、1,000点のレセプトが来ていれば合うわけですね。それを加入者から協力いただき、領収書を出してもらって、レセプトと突合したら、かなり大きい健保さんですが、大体4%強、1回や2回ならミスということもありますけれども、継続して過剰に請求されている医療機関がある。これはかなり大きいです。35兆円という今の医療費総額の中で、それがそのまま4%を掛けるわけではないですが、かなり大きい。
 私ども広島の健保でも今年からやっていますけれども、やはり5%ぐらいそういう請求があるのが、事実、データとしてはあります。ですから、そういう部分も、レセプトの審査以外にも、やはり医療費の請求の部分については、何らかの対策を打たないといけない部分はあると思っております。
 すみません、ちょっと話がそれましたけれども。
○森田座長 ありがとうございました。
○横倉委員 ちょっといいですか。いわゆる不正請求がその中に入っているということを保険者としては言いたいということでしょうけれども、基本的に、医療機関側から言わせていただければ、そういう不正請求をするような医療機関については厳しく対応しなければいけないと私どもは思っています。そして、そういう事実があった場合には、当然、監査が行われて、その医療機関は、保険医療機関の指定を停止される。保険医は、当然、保険医の登録も末梢される。そして、医療審議会へかかって、医師の場合は医師免許の停止までつながるという物すごい大きなリスクがあるということを、今、私どもは常に会員の先生方には御理解いただいているということだけつけ加えて、不正請求は絶対許すべきではないということは、お伝えしておきたいと思います。
○高田委員 私も、社会保険医療協議会委員をやっておりますものですから、その実態も知っておりますけれども、残念ながら、今それでやっているのは、ある程度ある中の氷山の一角ぐらいしかなく、監査自体も、手間がかかりますからできていないので、そういったことをお互いにできないような仕組みを今後、この審査とは別に、要は、レセプトがきれいであっても、それ以外のところで、1回や2回ミスがあるのは、人間ですからヒューマンエラーがあるのはわかりますけれども、恒常的に出てくるところは、今の愛知の健保なんかでも行政の方に情報提供していますし、私どもも、そういう事例があれば情報提供しています。けれども、それがそのまま個別指導とか監査が行われているわけではないという事実もあるので、そこだけは、言わせていただきます。
○森田座長 どうぞ、齋藤委員。
○齋藤委員 不正請求の話が出たのですが、先ほど私が申しましたDPCのデータをつぶさに見ますと、不正と断定するのはいかがかと思われますが、不審に思われる医療機関というのは非常に的確にはじき出されるんですね。今日、医療課長も出席しておられるので御理解だと思いますけれども、私たちが属しているDPC評価分科会でも、不審な医療機関、例えば小児の肺血症というのが異常に多い医療機関があったんですね。普通の医療機関では考えられない。そうすると、そういうのは全部、EFファイルやDPCのデータを見ると、もうどんどんはじき出されてくるので、保険審査のあり方、それから不正請求のあり方のチェックにも、是非、保険局医療課が持っておられるEFファイルやDPCのデータを将来活用していくような道があれば、審査のあり方というのも随分変わってくるのではないかと思っています。
○森田座長 ありがとうございました。予定された時間を少し過ぎておりますので、特に御発言がなければ、この論点を整理させていただきたいと思います。今、齋藤委員の御発言にもありましたが、さまざまな、これは多分、ITの技術を使うということだと思いますが、それを使って、できるだけ情報を活用するということですね。これまでは、それぞれのところに情報が閉じこめられていたために、横に比較してみると大きなばらつきが出るとか、そういう問題があったと思いますので、今の不正の問題もそうかもしれませんが、そうした情報を出していて、その情報を、今まさにそのエビデンスに基づく形でルールメーキングを行っていく、基準をきちんとつくっていくことについては、それほど御異論がなかったと思っております。
 問題は、ルールメーキングと、そのルールの適用ないし、そこでルールそのものに問題がある場合は、ルールの見直しの方にフィードバックしなければいけませんけれども、その仕組みをどうするかということです。一つの論点に出ておりますのは、次にもかかわるかもしれませんが、いわゆる三者構成にするのか、あるいは単純なルールの適用であるならば、これは理由がはっきりする限りは、三者構成にしなくても、1人の判断でもできるということだと思います。更に言いますと、上級の審査組織と括弧書きで書いてありますから、深く意味をお考えになった方もいらっしゃるようですが、こうした組織の位置づけをどうするか。この位置づけも、上下関係の位置づけもありますし、あとは、再審査の件数に応じて、処理能力の観点からどこに置くかという論点もあるかと思っております。
 これについては、多分、次の論点もかかわってくるかと思いますので、一応そういう論点があるということを整理させていただきまして、また後で、関連する形で、例えば構成はこういう理由でこの方が望ましいというようなことがあれば御発言いただきたいと思います。それでよろしゅうございますか。
 それでは、次に、保険者の直接審査における紛争処理機関について、この論点について事務局より御説明いただきたいと思います。一応、最終的に整理するまでに幾つか出ております論点を御審議いただいて、洗っておきたいと思いますので、次に進ませていただきます。よろしくお願いします。
○吉田保険課長 それでは、お手元の資料3-1に戻りまして、8ページでございます。「保険者の直接審査における紛争処理の在り方について」というテーマで、まず、先に9ページ目をごらんいただければと思います。これは、この検討会第3回のときに提示をさせていただきました直接審査支払いについての現状を数字も含めて御確認いただければと思います。これまでゲストスピーカーの方からのお話の中にも、これに関するものが幾つかあったかと承知しております。
 その上で8ページ目でございますが、これまでの御議論といたしましては、現在、調剤レセプトで認められている紛争処理の仕組み。直接審査をまず前提にした上で、紛争処理という意味では、支払基金が適正な審査に関する意見を受ける契約という仕組みをもってして行われているところでございますが、これを医科・歯科のレセプトにも活用することがあるのではないかという御発言もあったかと思います。もっと大きく、医科・歯科の直接審査の拡大ということについての御発言もあったかと思います。
 このような御指摘を踏まえて御議論いただければと思っておりますものは4つ。1つ目は、保険者が行います直接審査-これを民間の方に委託されている場合も含むと思いますけれども-、この仕組みには、もしそこで医療機関との間に意見の違いがあった場合には、最後は民事裁判ということかと思いますが、そこに至るまでの効率的かつ迅速な紛争処理機関というものが必要ではないかというのが1つ目。
 2つ目といたしまして、その場合に、紛争処理の仕組みというのは、現在の支払基金及び国保連の審査委員会と同様に三者構成ということが一つ考えられるのではないか。
 3つ目は、その紛争処理機関というは、保険者が自ら行われた直接審査にかかわる紛争を処理するという意味からすれば、保険者から独立した中立機関ということなのではないか。
 また、4つ目に、その効率的かつ迅速なシステムを確保する意味で、その構成員の確保あるいは推薦の仕組みを含め、どのような単位でこの紛争処理機関というものを設けることが考えられるかということについて、委員の方々の御議論を深めていただければということで用意をしております。
○森田座長 これは、これから考えられる、可能性とは言いませんけれども、既にあるわけですが、これを更に拡大する形でこういう仕組みというものも検討すべきではないかということでございますが、いかがでしょうか。どうぞ。
○遠藤委員 現在、直接審査が実施されているのは調剤レセプトの一部だと思うのですけれども、1つは、先ほどの再審査の件数の中で保険者と医療機関の数が出ていたのですが、例えば調剤レセについての再審査の数とか、また直接審査を行っている中での、そういった紛争になる件数というのは実際どのくらいあるのか、ちょっとお知らせいただきたいのですけれども。
○森田座長 これは、事務局お願いできますか。
○吉田保険課長 今、2つ御質問をいただきました。再審査となっている部分のうち調剤は幾らかについて、ちょっと今、手元にすぐ出ませんので、並行して整理をさせていただいて、あるいは審査支払機関の方からアシストいただいて整理したいと思います。
 後段の、現在この直接審査を調剤で行っている仕組みを前提に、どれぐらいが紛争処理として支払基金に持ち込まれているかということについてでございます。まず、前提として、これは、この資料の9ページ目をごらんいただきますと、9ページ目の資料の上の箱の(4)に、今、11の健保組合で調剤に関しての直接審査を行っていただいております。物量感として、各健保組合が月当たり約200~1,700という幅のある請求件数。私どもが個別に伺いましたところ、11の健保組合全体を合わせると、1カ月で直接審査の方に回されている請求件数が大体1万6,000件。これは、今年、平成22年3月の診療分についてちょっとお尋ねしたところ、そのような数字をいただきました。「約」ということで御理解ください。それぐらいが直接審査に当たっているという一方で、支払基金の方にこれまで、この調剤の直接審査絡みで意見を求められた件数が、実績として、過去の18カ月ぐらいのところで200件前後。単純に割り戻しますと、月に10数件、11件とか12件とかというぐらいだということが機械的には試算できますので、単純に考えれば、毎月1万6,000件ぐらい直接審査の請求が行われている中で、紛争処理といいましょうか、支払基金に持ち込まれているのは10件程度ということが、非常にざっくりしたイメージかと思います。
○森田座長 今の点に、基金の方で補足いただけますか。
○小木津委員 事務局の御説明は基本的にそのとおりなのですが、もう少し詳細に申し上げますと、平成21年3月から平成22年9月まででございますが、この間、私どもが意見を求める申し出を受けたのが207件でございます。期間は18カ月になりますので、先ほど御説明のあったとおり、月に10件余りというようなことでございます。
○森田座長 よろしいでしょうか。
○遠藤委員 はい。
○森田座長 横倉委員。
○横倉委員 いわゆる直接審査支払いの場合ですが、調剤薬局の場合は、保険者と契約をして直接審査に当たるという方式をとられているわけですね。直接契約をして保険審査に当たるということになってくると、その対象の保険組合の被保険者の方は、その地域の契約した調剤薬局しか行けないということになるわけですか。
○森田座長 今の御質問に対して答えはどうですか。
○吉田保険課長 まず、仕組みとしましては、フリーアクセスといいましょうか、受診先についての何らかの制約がかかるものではございません。直接審査をとられた健保組合と被保険者の方との関係で何が起こるかという点をあえて申し上げれば、規約を含めて、一定のここの薬局については直接審査をするということを被保険者の方々に明らかにしていただくということは健保組合に対してお願いする仕組みになっておりますが、それ以上に、受診先あるいは調剤先を何らかの形で強要する、あるいは決められるという仕組みにはなってございません。
○横倉委員 ちょっとそこのところの不安があるのですが、いわゆる国民皆保険制度の中においては、1つには、国民にフリーアクセスを担保しているわけですが、そのフリーアクセスを抑制するような仕組みにこの直接審査というのが作用するのかどうかということについては、今は調剤薬局だけだからそういうことはないというお話でありますが、本当にフリーアクセスは制限していないと断定できるわけですか。
○吉田保険課長 私どもとして、アクセスについて、直接審査が何らかの形で影響を及ぼしているとは思っておりません。制度的には、そのような形でつながっておりません。
○森田座長 山本委員の代理の方。
○山本委員(森代理) 代理の日薬の森です。この直接審査が導入されるときに、日本薬剤師会としては、決してそういうことがないように、また、結果として契約を結んだところに行くような誘導もないようにということは、きちんと申し入れをして、国民が医療機関を選べる、薬局を選べるという体制に関しては意見を申してあります。
○横倉委員 それは担保されているのですか。今、18カ月経過している中で。
○山本委員(森代理) 現状では、担保されていると思います。
○森田座長 よろしいですか。
○横倉委員 はい。
○森田座長 この議論をするためには、例えば、被保険者の方がどういう理由で選択をするのか、そのメカニズムがどういうことかということもかかわってくると思います。ただ、皆さん完全に合理的に行動されるとは限らないとしますと、むしろ医療機関の方はフリーアクセスですが、保険者の方の選択はかなり制限されているところがあるわけです。競争原理が働くとしたらそちらの方なのかなという気がしますけれども。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○横倉委員 それともう一つ、ちょっと戻って恐縮ですが、さっきの不正請求の話で、実は、領収書を確認することによって4%から5%ぐらいあるという話ですが、それは、医療機関のいわゆる一部負担金の未払いの方々も金額的には相当大きなものがあるということなんですね。その場合、領収書がないからすべてそれが不正請求だという受け取り方をすると、ちょっとそこに幾つかの問題があるかと思うので、そこのところは、表現にはちょっと注意しておいていただきたい。
○高田委員 私どもがチェックしたのは、あくまで加入者が自分で、任意で同意を得て出していただいたものだけを見ていますので、それに限ってみたときに、だから、これはかなり莫大な手間がかかりますから、本来は何かシステムでチェックできるようにすれば、そういうところが非常にすっきりするのですが、あくまで任意で、御理解いただいた方からもらったものをチェックしたときのものなので、全部ができているわけではないです。要は、領収書の紙とレセプトの突き合わせですから、それは、実際全部をやるのはまず無理です。加入者から全部出していただけませんから。それは、やっている中で、実際、恒常的にそれぐらいの量があるというのは事実であります。
○横倉委員 何らかの形で一部負担を支払わないで、一回受診して、それでもう終わってしまって支払っていないケースも相当あるものだから、そういうものを一緒にしないでほしいということです。
○高田委員 それは受診者の方が悪い話なので、そこは了解しております。
○森田座長 本来の議論に戻っていただいておりますが、この点はいかがでしょうか。どうぞ。
○横倉委員 直接審査される場合に、調剤レセプトには、いわゆる病名も何も出てこないわけですが、これは保険者の方で、医療機関のレセプトと全部突き合わせをやられているのでしょうか。それとも、調剤の内容に関する審査基準ということだけで判断されているのか。いわゆる重複投与がないかとか、そういうことだけでの審査なのでしょうか。
○森田座長 この点については、以前、山本委員から御説明の御発言があったように記憶しているのですけれども、正確に何と言われたかはちょっとわかりませんが。事務局では把握しておられますか。
○吉田保険課長 すみません、私どもとして直接審査という形で保険者が、場合によっては民間の方に委託されて行われている審査内容については、特段、全体としてこうだということを申し上げるものを持っておりません。ちょっと今、探してみますけれども、過去、ゲストスピーカーとしてお越しいただいた方の御発言の中にあったかという程度でありまして、それ以上につきましては、各保険者がそれぞれの観点から行っておられると承知しております。
○森田座長 よろしいでしょうか。
 この件については、特段御意見はございませんでしょうか。この8ページでいいますと、直接審査の紛争処理の仕組みは、医科・歯科レセプトの直接審査にも活用するという適用拡大についての提言といいましょうか論点が書かれているわけでございまして、その下に、それに伴う問題点といいましょうか論点が上げられているわけでございますが。高田委員どうぞ。
○高田委員 さっきの調剤のところでちょっとだけ。最新のデータでいきますと、今、私が聞いている限りでは、月2万件ぐらい直接審査をやっておりまして、それで支払基金さんに意見を求めるようなものがさっきの件数ぐらいですが、その中で、あと訴訟とかそういうものに至ったものはない、まだゼロと聞いていますので、そういう意味では、支払基金さんが紛争処理機関として非常に有効に今機能していると保険者側は理解しております。
○森田座長 遠藤委員。
○遠藤委員 先ほど横倉委員からもお話があった件ですけれども、医療機関としては非常に心配があるのは、先ほど調剤に関して、今のところ小規模でやっていますし誘導はないというお話ですが、保険課長から、健保組合はどこと契約しているかを公表できるというお話もありました。それは、どこと契約しているという意味が、紙に出ますと、ここに行きなさいという意味にかなりつながりやすいというのは、日常感覚として、「ああ、うちの会社の契約している医療機関だ」というようなイメージも出やすいのではないかということです。
 もう一つは、健保組合においても、1部負担というのは3割とかありますが、企業によっては後から還付というようなこともあるかと思います。一部負担金を福利厚生で処理するというような形もあるのではないかと思うのですが、あと、健診その他のかかわりで、例えば直接審査の場合には、受託委任というような形もあり得るのでしょうか。例えば、一部負担を、今はやっていないと思いますが、例えば、後で領収書を持ってきて、その患者さんには保険者として補助しますよといったようなことがあったとすると、受託委任というか、そういった形も直接審査だと契約しているところではオーケーですよという話も出かねないのではないかという、いろいろちょっと心配があるのですけれども、その辺の点、直接審査で何を目指すのかということも、医療機関にとってはかなり気にしているところなので、よろしくお願いします。
○森田座長 直接審査の仕組みそのものが、私もそうですが、まだよく理解できないところがございますので、お願いいたします。高田委員。
○高田委員 実は、私のところもちょうど今、導入しようか検討しているところで、いろいろ情報を集めていますし、今は11健保組合ではなくて12健保組合がやっているのですが、その中で、先ほどのフリーアクセスの部分でいろいろ先生方、御心配されているところがありますが、逆にそこは、今までやっているところにもいろいろ聴いてみたのですが、患者さんというか、加入者というか、受診者が薬局を選ぶのは、やはり利便性が一番だと思うんですね。だから、たまたま行ったところの薬局が直接審査に参加していたかどうかということが一番大きいというか、そうなっていることが一番ですので、私どもも、勿論誘導はないようにということで薬剤師会さんからも御依頼いただいています。勿論そういうつもりもありませんから。そういう意味で、何かを選別するとか、そういうことはありません。
 それと、さっきの3割の分はどこでも基本的には全部同じなので、違うのは、直接審査を契約している調剤薬局について、支払いを早期に、1カ月ぐらい早くできているところの違いがありまして、その後にいろいろ疑義が、先に払いをして、それから疑義があれば、それぞれに意見を出させていただいて、それでも納得がいかなかったら、今の紛争処理機関である支払基金に意見を聴いているという形でございますので、それぞれの医療機関からすると、要は早目に、お金が先に払われるというメリットはあるということは聴いております。特に誘導とか、勿論ほかの場合であってもしてはいけないですから、そこは勿論現在しておりませんので、そこは御理解いただきたいと思います。
○森田座長 ちょっと確認させていただきたいのですけれども、この直接審査という場合には、主として、これは調剤薬局と保険者との関係であって、少なくとも被保険者、患者さんと薬局との関係は、それによって何か変化があるのか。私はないのではないかと思っていまして、張り紙がしてあるというぐらいだと思いますが、実質的にはそこで差別化が起こると、今御心配になっているような問題が出てくると思いますが、基本的に保険者と薬局との関係であって、もし被保険者に多少なりとも影響が出るとすれば、保険料に変化が出るときだと思いますが、現実にはそういうことは直接はあり得ないということだとしますと、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○高田委員 私もそう理解しております。
○森田座長 どうぞ。
○山本委員(森代理) 確かにそうなのですけれども、ただ、例えば組合員からすれば、自分の会社が直接契約しているところのリストがあれば、間接的には、やはり気持ちが働くのではないかと思うんですね。そこは若干懸念していて。先ほど誘導はないということでお話ししまして、誘導はないと私も思っていますけれども、間接的にそういうもので気持ちが動いている部分に関しては、お話が出ていることは事実でございますので、そこだけはちょっとお伝えさせていただきます。
○森田座長 気持ちの問題としてあるのはわからないでもないですけれども、そこは、仕組みをどう理解していただくかということにもかかわってくるかと思いますが、御指摘ありがとうございました。
 では、どうぞ。
○吉田保険課長 1つだけ補足します。先ほどきちんとお答えできなかった分ですが、ゲストスピーカーでお見えになりましたMHIの-これも委員の皆様に当時お配りした資料でございますが、改めて確認させていただきますと、あくまでもここで行われている例ということで御紹介申し上げれば-直接審査のレセプトについて資格をチェックする。その上で、健保組合から医科レセをもらって突合するということがここでは行われているということでございますが、先ほど申しましたように、あくまでも直接審査の場合は、保険者が保険者としての審査を自分で、もしくは委託先と契約して行われるということでございますので、あくまでも提出いただいた例だということで御報告申し上げます。
○横倉委員 もう一ついいですか。直接契約のフリーアクセスへの懸念をなかなかぬぐい切れないのですが、なぜかというと、歴史的に、皆保険の場合に、組合健保の場合は、昔、割と医療機関を契約されていた歴史があります。大きな組合でね。そこで、やはり被保険者の方が非常に誘導されるわけですね。それで、相当にいろいろな軋轢が地域、地域で起きたという歴史があるので、なかなかこの直接契約について、フリーアクセスに対する危惧がぬぐい去れないというのが私どもの意見でございます。そういう危惧があるということだけは御承知おきの上。というのは、直接契約がだんだん広がってきますと、どうしてもこの問題が避けて通れなくなる。特に、今は保険薬局だけでありますが、これがもし医療機関までそういう話になってくれば、これはやはりフリーアクセスをどう担保するかということにつながってくると思いますので、そういうことの懸念だけ申し上げておきます。
○森田座長 長谷川委員どうぞ。
○長谷川委員 まず、保険者が直接審査した場合の紛争処理ということがテーマだと思うのですが、やはりこの機能というのは何らかの形で担保されないといけないということについて、私も痛感してございます。
 あと、フリーアクセスに関しては、そもそも被保険者に、例えばどこの審査支払機関に依頼しているかとか、保険者が自ら審査を行っているかということは、果たしてこれを知らせる必要があるのかどうかということは、個人的には若干疑問に思っています。
 あと、3つ目としまして、調剤の審査がモデルになっているのですが、調剤の審査と、例えば医療の本体では、複雑性等かなり違います。ここでは基金さんが受けていただいているという話を伺って、本当にスムースに受けていただけるかどうかというのは、費用負担等も含めて、関係者の意向を伺わないといけない話だと思います。
 調剤について、もし機会があれば一回議論していただくといいと思うのですが、どこの調剤薬局に処方せんを持って行ってもいいのですが、医療の内容についての情報が全く医療機関と調剤薬局で情報共有されていません。事務的に医師の指示どおりに出したかどうかが実際の調剤のレセでの審査ということになるわけですが、医療の中で非常に重要な位置を占める薬剤部門からすると、医療のデータや情報なしに薬を出すというのは、極めて危険な行為でもあります。だから、情報が共有できる仕組みをどういうふうに確保するのかというのが、実は大きな論点ではないかと思います。
 1つお聴きしたいのですが、薬剤について、直接審査についての紛争処理を基金さんがお受けになるときに、料金はチャージしておいでなのでしょうか。
○小木津委員 507円という設定をして、特別にいただいております。
○長谷川委員 それは1件当たりですか。
○小木津委員 はい。
○長谷川委員 ありがとうございました。
○森田座長 どうぞ。
○吉田保険課長 すみません、事務局がいろいろ口を出しまして申し訳ございません。横倉委員の御発言で、事務局が説明不足であるかなという懸念のために一言申し上げます。
 お手元の資料の9ページ、先ほどからごらんいただいております過去にも出した、今のレセプトの直接審査-これは「直接契約」という言葉については、過去、いろいろな関係者の間では別の論点についての御議論もありましたので、あえて私どもとしては「直接審査」という形で議論いただく対象を明確にしていただければと思いますが-直接審査については、9ページの(1)にございますように、法律上はそもそもできる形になっているものを、従来から、そこに書いてございます公法上の契約であるという点などを踏まえて、実際には委託という形で行われているものを、9ページ目の横の下の箱にございますように、?@、?A、?B、?C、つまり当該対象の医療機関、調剤レセの場合は保険薬局さんにきちんと同意をいただいている。そして、公正な審査体制の確保ができている。個人情報の保護が徹底している。そして、紛争処理ルールについて明確化、あらかじめ具体的な取決めが文書で取り交わされているというこの4条件が行われる場合に、保険者さん、あるいはその対象の医療機関・調剤薬局の間の合意をもって直接審査という取扱いができるということになっております。
 今回御議論いただいておりましたのは、?Cにございますように、紛争処理について、従来、調剤については一定の御議論として形ができておりましたものを、医科あるいは歯科についても、調剤ルールとして行われている先行例を同じように適用することについての是非でございまして、ここは、そういう意味では、この下に書いてございます平成19年1月通知について、本日の御議論においてコンセンサスをいただけるならば調剤以外に拡大するということになります。その上で、実際に医科・歯科についての直接審査が行われるかどうかということにつきましては、保険者のお考え、あるいは対象医療機関との間の同意という、まず当事者間の一定の判断があって、その上に?Aから?Cに書いております客観的事実ができているかどうかということを判断した上で4条件が成就するという仕組みである。この点を改めて補足説明させていただきます。
○森田座長 今の点はここでできれば確認していただいた方がよろしいわけですか。いかがでしょうか。
○長谷川委員 ?@、?A、?B、?Cの条件を資料9ページの左下でお書きいただいています。?Cについて、今までどこかがお受けになっていただけるかどうかということが定かでなかったのが、基金を想定してお受けいただくような仕組みを考えていただいたことは、大きな進歩だと思います。恐らく保険者からしますと、?@、対象保険医療機関の事前の同意を一個一個の医療機関から個別にとるというのは、ほとんど不可能に近い話です。これが恐らく最大の障壁にはなっていると考えていいと思うのですが、これについては事務局の方では何かお考えはございますか。
○森田座長 どうぞ。
○吉田保険課長 よろしゅうございましょうか、あえて事務局へのお尋ねでございますので。私どもとしては、これまで、この4条件に至るまで、関係者の間の御議論あるいは政府全体の規制改革の流れなどの御議論も踏まえた上で積み上げてきたものだと思っております。その上で「対象保険医療機関あるいは保険薬局の方の同意」の問題という点につきましては-その上の箱1つ目にありますように-法律上の構成として、審査というものは保険者の方が行うもの、そして、それを委託することができるという形になっているもの。その下の2つ目にございますように、保険医療機関は公法上の契約という形であり、一方で保険者を区別せずに医療への給付を行っていただいている点、あるいはそのもとで一定の療養の担当方針に従って行っていただいているという意味では双務契約であると私どもとしては考えておりまして、このような構造の中において、この審査を直接審査という形で保険者が扱われたいという場合において、関係者の間の同意というものは、一定程度必要ではないかというのが、私どものこれまでの考え方でございます。
 これについて、ここで御議論いただきましたように、審査のあり方、あるいは審査の構造、審査の組織というものがいろいろと変わっていく、あるいは進化していく中で、関係者の間の方々で、まさに双務契約としてもう少しここを見直すことができるというような御発言があれば、私どもとしては、真摯にそれも踏まえて対応してまいりたいと思っております。
○森田座長 どうぞ。
○長谷川委員 例えば基金さんに審査をお願いすると、これは一括契約です。片や、自分でやろうとすると個別に事前同意をとる必要があります。そうすると実質的に後者は不可能に近い。だから、著しく公平性を欠いているのではないかというのが、内閣府規制改革会議での議論です。法律上は保険者は自分で審査支払いする権限を有します。ただ、実質的にはそれができていない。できていないのは、いろいろ考えると、さまざまな仕組み、受け皿がないとか、あるいは手続が非常に煩雑であるなどが障害となっている。それをむしろ改善というか修正することによって、保険者の直接審査を促進するようなことを、これは制度として考えていくかどうかということです。これについては、委員の先生方がいろいろな御意見をお持ちだと思いますので、もしよろしかったら、ここで意見をお伺いするとよろしいかと思いますが。
○森田座長 この議論についての審議の時間はもう大分過ぎているのですけれども、重要なことですのできちんと議論させていただきたいと思いますが、先ほど課長からの御提言がありましたのは、原則としては直接審査が法律上の制度であるけれども、実質的には、この支払基金の方に委託することができるという仕組みになっている。しかし、直接審査する場合についてはさまざまな制限がかかっているわけでして、その制限を緩和していくという趣旨。これは、制度的にそれが可能になるということで、現実にそれがすぐ進むかどうか、これはまた次の問題だと思いますし、長谷川委員御指摘のように、実質的に個別的な契約が進むかどうかは、これは更に現実的な制約があるのではないかと思いますが、少なくともいろいろ、規制改革の会議もそうですが、現在のところ、この審査支払いについてもう少し効率化すべきではないかという考え方に沿った場合、そこのところに可能性というものを開くということはどうでしょうかという問題提起であると認識しています。
 高田委員どうぞ。
○高田委員 保険者サイドから言わせていただきますと、本来、もともと保険者でやるべき。過去は、過去の経緯というか、いろいろその環境も含めて紙でするどうこうという話もありましたし、いろいろありましたのでできなかったということはありますが、ようやくそこが少し見えてきたかなというところでございますし、言い方を変えれば、今の審査支払機関が個別に20万ある医療機関から全部同意書をいただいているわけでもないですよね。要は追認しているようなわけですから、そこで規制改革という立場の観点に立てば、普通どの業界でも新規に道をある程度開くというか、やるかどうかは別として、道を開くのであれば、基本的には参入の障壁となるものはなるべく穏やかなものにしていただくことがやはり必要だと思います。保険医療機関を新規に開設するときは、私も出ているような委員会の中で、要は医師免許とか、施設基準とか、その辺を全部満たしておれば、基本的にはもうそれで通るわけですから、それで、保険者側としては、ここが新規にあるのはだめだということはできないわけですから、そういったことも考えると、例えば?Aから?Cのところの条件をきちんとつくっているということを例えば、行政の方で御判断いただくとかしてやることができれば、その部分は、やはり少しかもしれませんが、道も開けてくるし、本来の保険者機能としても、保険者としては本来やるべきだなと思っていますが、今の個別どうというのではもう現実的にはできないというところは、どの保険者でも一緒だと思います。
○森田座長 森さん。
○山本委員(森代理) 先ほど調剤の直接審査が始まっていて、2万件のうち200件ぐらいですか支払基金に上がるということですけれども、もし直接審査が今後いろいろなところで行われるとなると、今、この中で審査基準というお話をしていますが、また審査基準が1つ増えることには確かになるのではないか、そういう懸念はあるのと、もう一つ、それから何か紛争が起きたときに、では、今検討して、上級機関との関係をどうするのか、少しいろいろな問題が出てくるので、そこら辺もきちんと踏まえながら議論をしていったらどうかと思っています。
○森田座長 その紛争処理ルールの明確化も含めて、おっしゃったような論点はあろうかと思いますが、それは、ある意味ではこれから詰めていく課題ではないかと思いますが、基本的に、先ほど課長がおっしゃったような方向での検討ということについてはよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○吉田保険課長 先ほど私が申し上げさせていただきましたのは、先ほどまでの御議論の中で、?@から?Cの要件の中の?Cについて、この会としての一定のコンセンサスをいただけないかという御議論。その次に、長谷川委員から提起いただきましたのは、?@についても、もう一歩詰めて御議論をこの場において提起されたと受け止めております。
 私どもとしては、まず?Cについてのコンセンサスをいただいた中で、?@については引き続き御議論を伺わせていただいて、その上で事務局としての必要な対応を考えるということで進めさせていければと思います。
 また、ちょっと補足させていただきます。先ほど直接審査をとっていることに対して、被保険者の方にどういう影響があるかという論点になりましたときに、私は「あえて言えば」ということで、直接審査となっている対象について被保険者の方にお知らせいただくと申しました。結果的にという言葉を抜かしておりましたけれども、従来、規約において定めておりましたものですから、規約において定めるということは、被保険者の方々にも認知していただくという意味もあってということで申し上げました。これまでのここでの議論を踏まえまして、特に、調剤の直接審査についても対象薬局を増やす際の手続について簡素化させていただいたところでございまして、ホームページでも、要するに広く対象関係者の方々に御了知いただけるような仕組みで了とするという形に改めました。ちょっと被保険者の方に直にということではありませんが、ある程度公知をするという効果を期待しているという意味で、若干先ほどの言葉に「結果的に」と補足させていただいて、説明させていただきたいと思います。申し訳ございません。
○森田座長 すみません、ちょっと私も十分理解できないところかと思いますので確認させていただきますけれども、ここで御議論いただいて、どこまで御了解いただければよろしいのでしょうか。
○吉田保険課長 「よろしいか」と言われると事務局も困るのですが、私ども事務局としては、?Cについてのお話はコンセンサスが得られたと承った。?@については、問題提起がなされて、引き続き御議論いただくような状況かと承知しております。
○森田座長 わかりました。失礼いたしました。
 岩田委員どうぞ。
○岩田委員 私が言う必要はないけれども、多分、今、最後に言われたのは、?Aもかかってくるだろうというような、もし保険者が直接審査をすることになると、審査体制みたいなこと自体も、ここでまさにやっている基準の統一化という話がかかってくるので、それも検討せざるを得ないという話かと思います。それも問題提起ということだと思いますけれども。
○森田座長 どうぞ。
○横倉委員 今まで直接審査をされた健康保険組合もしくは健保というのは、歴史の中では幾つぐらいありましたか。
○森田座長 どうぞ。
○吉田保険課長 お手元の9ページにございますように、平成22年3月現在ということで11の健保組合。
○横倉委員 これは調剤だけね。
○吉田保険課長 はい、そうです。
○横倉委員 全部の医科・歯科合わせて。
○吉田保険課長 今、医科・歯科において直接審査という形で行われている健保組合はございません。
○横倉委員 現在は。過去は。
○吉田保険課長 過去というのは、きっと委員がおっしゃっておられるのは、直接契約当時に行われたものかと思いますけれども、ちょっとそこは、歴史的なものも含めて精査をして、次回以降、御報告申し上げたいと思います。
○横倉委員 1点、それを調べていただいて。
 それともう一つは、今、直接契約をする調剤薬局は、これは、保険薬局であればどこでも手を上げられるのですか。いわゆる契約のルールみたいなものはどういうふうになっていますか。
○吉田保険課長 仕組みとして、保険薬局側がこの保険者からの提案に基づいて同意されるかどうかは、保険薬局の側の任意でございまして、勿論保険薬局であるという前提ではございますが、それに対しての一定の縛りはございません。
○森田座長 では、この件は何かを決めるというか了解いただくというより、むしろ今言った明確化という方向で、これから事務局も含めて検討していただくということでよろしいですね。失礼いたしました。
 それでは、次の論点に移りたいと思います。次は、その審査委員会の体制ということでございまして、これについて事務局からお願いいたします。
○吉田保険課長 お手元の資料3-1、続きまして10ページ目でございます。審査委員会の体制といたしましては、これまで検討会における御議論として2つあったかと思います。1つは、もう既に何度か御議論いただいております三者構成ということございますけれども、現在の仕組みが、審査委員のお一人お一人からすれば、どちら側か必ずしも意識されておらないということ、また、結果的に一種の独任官的に審査決定がなされているということから、この三者構成という仕組みが機能しているかどうかについて検証する必要があるのではないかという御意見。あるいは、三者構成であっても、それぞれの審査委員の方々は、よりよい医療が提供されるように過剰な請求には厳しく対応しており、ここでは対立軸はないのではないかという御意見。
 また、2つ目として、調剤レセプトの審査体制について、現在の調剤レセプトの審査について、今後、突合・縦覧審査を導入するのであれば-支払基金を念頭に置かれての御発言でありますけれども-審査委員会に薬剤師を明確に位置づけるべきではないかという御意見があったかと思います。
 深めていただきたいと思いますのは、まず、1つ目の三者構成の仕組みについて、先ほど来、御議論いただいております保険ルールの確認だけではなくて、紛争処理の役割を果たすためのものとしてどのように考えるか。もう既に幾つか出ておりますけれども、ここについて引き続きの整理が必要か。2点目の支払基金における調剤レセプトの審査体制につきましては、平成23年度から突合・縦覧審査が導入されますので、これに伴う従来にはない審査の必要性ということが出てくる中で、審査委員会に薬剤師を位置づけることについて、必要な審査コストの確保も含めてどのように整理をさせていただければよいかということについてでございます。
○森田座長 ありがとうございました。これ、論点の一つは、三者構成の仕組みの是非の問題と、もう一つは、審査委員の中に薬剤師の方に入っていただくかどうかというところだと思いますけれども、これを一緒にやると混乱しますので、前者の方の三者構成のあり方についてから御議論いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤委員 三者構成の仕組みというのは、当然、審査会の中では現在あるわけで、私は必要だと思っているのですが、これは直接審査と並べて考えていくと、直接審査の場合は三者構成がないわけですよね。直接審査は保険者の中で行われますので、その点で言うと、審査会と並ぶとすると、直接審査の場合は、紛争処理を含めて三者構成と対等という認識でよろしいでしょうか。
○森田座長 ちょっとアジェンダセッティングの方とかかわるので、課長お願いします。
○吉田保険課長 直接審査というものと並べて論点になったものですから、若干、混乱を招いてしまったのかもしれません。そもそも今の支払基金もしくは国保連における審査委員会の三者構成議論、それが、実際には再審査あるいは-上級という言葉が適切か不適切かという御議論がありましたがもう一度やり直す場合の場としての位置づけ、そして、直接審査という保険者がまずおやりになったときの紛争処理機関としての扱い、いろいろなところに三者構成というものが出てまいります。それぞれにおいて、その三者構成の意味は議論としては分けるべきかと思いますが、従来、この仕組み全体を通じてこの会議で御議論いただいた中にもありましたように、三者構成という構成そのものが、お一人お一人の委員の認識もしくは-あえてここで出たお言葉をかりれば、審査会の部屋に入れば何の立場は忘れているぞという御発言もかつてあったかと思います。審査で行われている内容とは別に、構造的に三者構成であるということが、中立性、あるいはあえて言えば公平性を担保しているというこの全体の仕組みの前提について-幾つか分ければ、審査会のそもそもについて、あるいは再審査というもう一回行うという場合について、あるいは直接審査ということを行った場合の紛争処理機関として、それぞれを一気通貫にそれぞれ「三者構成」というものを求めておりますが、それについて御議論が出ておりましたので、改めてここで論点に整理させていただきました。決して直接審査の問題だけを取り上げて物事を私どもとしては御議論いただくようにお願いしているつもりではございません。
○森田座長 この点についていかがですか。齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 この審査委員会の構成について、ここに「医療に携わる立場から、より良い医療が提供されるように」、「対立軸はない」ものと思うと。そういう視点が出発点で大事だと思うんですね。既に保険診療のルールというのは、もう膨大な資料が中医協の審議を経て立派な冊子としてでき上がっているわけで、そんなに逸脱して独善的なものがひとり歩きすることはまずあり得ないとは思うんですね。そうすると、ここの段階では、例えば利益代表のような支払い側であるとか、診療側であるとか、そういう対立軸を前提としたような構成というのは、私はなじみにくいと思っております。
 裁判所における検事と弁護とも違って、もっと中立的な、しかも医学・医療のことが国民の立場でしっかり考えられる人たちで構成されればよいのであって、夢々対立軸をあおるような、利益代表のようなものは避けていただきたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 私、一委員の立場で今の発言について伺いたいのですけれども、もし医療に携わる立場からそれほど意見の対立軸がないとすると、あえて三者構成にする必要もないのではないかという気がしまして。もともと三者構成、これも岩田委員に御説明いただければと思いますけれども、例えばアメリカで言いますと独立規制委員会のような、利害対立する両当事者と中立的な第三者がいて、その間で主張して、そして妥当な結論を見つけるという仕組みですので、三者が、利害に限りませんが、いろいろな意味での見解の対立がそもそもないとしますと、三者を置くというのは、例えばさまざまな観点から意見を述べるという意味で三者構成という仕組みがあり得るのかもしれませんが、あえて三者と役割を分ける必要がないのではないかというのが、私たちといいますか、行政の制度を研究している者から言いますと気になるところでございます。それならば、客観的なルールがある程度あれば、独任制の方がはるかに効率的ではないかという議論もできるかと思うのですけれども、座長に戻りますが、岩田委員いかがでしょうか。
○岩田委員 ありがとうございます。私もよく自分の頭の中をまとめられませんが、多分齋藤委員がおっしゃったのは、三者構成を維持するにしても、三者からそれぞれ利害を代表するような人たちを選ぶべきではないというようなことを趣旨としておっしゃっているので、少なくとも2つの側面があると思うんですね。だから、自分の出身母体から来るという話と、外から見たときに、ある程度公正さが保たれるという見た目の問題という2つの論点があって、少なくとも今までは、出身母体を代表するような利害を主張するような利益代表みたいな形での主張が実際上なされていなかったので、そこの部分は維持すべきだ。だからといって、三者にするにせよ、四者にするにせよですけれども、それ以外のやり方でうまくいくかというと、ちょっと何か難しいような感じがするので、やはり何らかの形で、見た目の問題も含めて、こういう委員の公正さみたいなものを維持することは必要なのかなと。
 勿論、独任制でも、そういうことを国民というか外から見たときに、何の腹も探られないような形でできるならばそれでもいいと思うのですけれども、それはなかなか難しいのかなというのが私の個人的な印象です。
 すみません、まとまりませんが。
○森田座長 いいえ、ちょっと私の言い方が悪かったかもしれませんけれども、この三者構成の合議体と独任制の間には、もう少し幅広く意見を集める委員会制というものもあるわけでして、三者構成というのは、労働関係の会議もそうですが、あくまでも一定の利害ないし立場というものを明確にして、当然のことながら、委員の選任もそれの立場を代表した方がそこで選出されるというイメージで私どもとらえるものですから、そういう趣旨ではなくて、たまたまプレーヤーに3つのタイプがあるというので委員が構成されるというのであれば、今おっしゃったような形で直接独任制に行くものではないと思いますけれども。
 制度的な原理といいますか原則から言うと、最初は、多分保険者側と診療機関側の利害というものが必ずしも一致しないという前提でこの仕組みがつくられているのではないかと思いますし、海外でも、そうした前提の制度が多いように思います。我が国の場合には、必ずしもその必要がないということなのかもしれませんが、私の専門の観点から、そういう論点を指摘させていただきます。
 どうぞ、長谷川委員。
○長谷川委員 これは業務のレベルで分けてお考えになるとよろしいと思います。例えばルールメーキングは、考え方とかお立場で意見が分かれる部分があるので三者構成がよろしいと思いますし、非常に難しい事例の紛争処理の最終決定等も、やはり三者構成というのはメリットが大きいと思います。
 ただ、日々の審査業務をどう考えるか。これはルールが明確にされていて、それに基づいて判断がされていることを検証する仕組みがその組織内にあれば、別に判断者の出身母体がどうであるかというのは、これは議論してもほとんど意味がないことです。三者構成によって公正性を担保するという仕組みですが、どこの部分で確保するかのみを議論して、日々の業務で云々というのは、実質的には、もうここにお書きになったとおり、出身母体は考慮する必要は全くないと思います。
○森田座長 建設的な御意見をどうもありがとうございました。
 高田委員どうぞ。
○高田委員 今の三者構成の関係は、規制改革会議でも結構議論されていまして、要は、ちょっと今までも利害どうこうという話もありますが、さっき長谷川委員が言われたように、この審査委員会の部分は利害ということではないと思うんですよね。利益相反するわけではないですし、もともと基準があって、それをきちんと当てはめてチェックしているかというのが、審査委員会の日々の業務の機能だと思いますので、そういった中で、本来、保険者がやるところを委託してやっていると。委託契約でやっていることになると、本来は、委託元が委託業務を管理する義務があるのですけれども、そこが今、保険者の立場で言うと、審査委員会につきましては、もうブラックボックスで、何をどういうふうに行われているか、その部分も含めて、医師・歯科医師だけではなくて、ある程度、韓国のような形にするとか、少しその機関がきちんとやっているかというチェックも入れるような、だから、三者構成というものではないのですけれども、きちんと組織として運営されているかということも含めて見られるような構成にしていただきたいということをお願いしたいと思います。
○森田座長 ありがとうございます。
 では、齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 中医協の場合には、診療側、支払い側、公立側と3つあって、これは、例えば初診料を幾らにするかとか、そういうことで支払い側の懐にももろに影響するような大きな要素が多々あるわけですね。ですから、それなりの利益というか、それなりの立場を代表して物事を決めていくのが大事だと思うのですが、この上部機構の委員会については、既にもうかなりのルールができているわけですね。ルールが、先ほど言ったようにDPCの制度を利用すれば、更にコンセンサスとして浮かび上がってくるものがあるので、これは支払機関を圧迫するから切ってしまえとか、そういうような議論になったら、非常に保険制度そのものをゆがめることになると思いますので、そこのところは是非、それはいろいろな領域の方がお入りになるとしても、夢々出身母体の推薦による出身母体の利益代表みたいな色彩は、極力排除していただきたいと思っております。
○森田座長 どうぞ、横倉委員。
○横倉委員 多分、審査委員会がブラックボックスだという保険者の受け取り方が非常に違和感があるというか、今、齋藤先生がおっしゃったように、審査委員会は本当に皆、公平にされているということを理解していただくのがまず第一だと思います。
 それと、保険医療機関が手を上げれば全部契約しなければいけないというジレンマがあるというお話でありますが、そこのところについては、保険者としてはいろいろなデータを把握できると思いますので、そういう問題があるところについては、どんどん指摘をしていただければという思いはあります。
○森田座長 では、高田委員どうぞ。
○高田委員 勿論、利益代表ということではなくて、前の前ぐらいのときに申し上げましたけれども、今の制度でやっていただいたときに、ただアウトプットしたとして出てくるものの中に、やはりなかなかルールだけでなく、仕上がりも含めて私ども保険者サイドから見ると、審査差異の話もありますし、その辺のところもあるので、ブラックボックスという言い方はちょっと不適切かもしれませんが、要は、どのようにそれがきちんとなされているかというのを検証させていただくという意味で、そういうチェックする機関なのだから、それが正しく運営されていることを、私ども委託元なので、本来、業務管理をするところなので、そこが見えるような仕組みにしていただきたい。ですから、別に委員でなくても、オブザーバーでずっと見させていただくとか、そういうこともあり得るのかなと思っての発言です。
○森田座長 ありがとうございました。
 いろいろ御意見が出ましたけれども、もう少し、まだもう一回チャンスがございますね。私もちょっと余計なことを申し上げましたけれども、この委員会のあり方について、それなりに共有されている部分と少しずつずれているところがあるかなという気がしますので、できれば事務局の方でまた論点をもう少し整理していただくということもあり得るかと思います。
 次の、薬剤師の方が参加ということについて、これはいかがでしょうか。森さんどうぞ。
○山本委員(森代理) 多分、以前もあったと思うのですけれども、現行で言えば、調剤レセプトに関して、いわゆる専門家がいない中で審査が行われているということで問題だと思っております。是非、審査の充実という視点からも、明確に薬剤師を位置づけていただければと思っております。
○森田座長 齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 かなり専門的な判断が出てくると思うので、医師も当然必要でしょうし、薬剤師の方も、配合禁忌であるとか過剰投与だとか、いろいろな問題が出てまいりますので、御専門の立場から服薬指導なども積極的にやっておられますので、そういうようないろいろな職種がイーブンな立場で科学的に検証する、そういう集まりがよいのかなと思います。
○森田座長 どうぞ。
○横倉委員 実は、今、医療機関で処方せんを出しますと、薬局で今、同効種の後発品に変えられるという仕組みがあります。その場合に、同じ成分でも適用症が異なる場合がある、もしくは容量・用法が少し違う場合があるというようなことがあるので、是非、薬剤師の方もそこに入って頂いて、きちんとそのチェックをしていただくことは重要だと思います。
 実は、その中で悩ましい話が、もしそこで薬剤を査定した場合、これは処方した医療機関が当然その支払いの額の返還を命じられるわけでありますが、当然、同効同種であるにもかかわらず、適応症が違うということになった場合の、いわゆる薬局サイドで医薬品を変えた場合の返金の問題等々についても、ちょっと検討が必要になるような話かなという思いがあります。そういうことも発言だけはしておきたいと思います。
○森田座長 ということは、薬剤師の方が参加することについては、御異論はないということでございますね。
○横倉委員 はい。
○森田座長 このことについては特に御異論がないということですが。
○村岡委員 特に異論ということではなくて、審査コストというところが言われておりましたので、以前のこれまでの説明の中で、それぞれ国保連合会と、それから支払基金さんの審査体制の人数の違いであったり、それから任命形態が違うということによって報酬のコストが違うという御説明もあったかと思いますので、任命のあり方の中で、そこで格差が出てくるということになれば、後の競争性の議論とも関連してくるかと思うのですが、なかなかそこの競争性を確保することが難しいという問題も出るかと思います。そういう意味では、任命のあり方によって差が出るのであれば、そこら辺を解消するような仕組みを設けて、コストの違いについての競争性を解消していく仕組みづくりが必要ではないかと思います。
○森田座長 御指摘ありがとうございます。ただ、これは全体としての組織の統合・再編も含めて見直しているところでございますので、当然、その場合にはそうした要素は考慮されることになるというか、すべきではないかと思います。
 それでは、薬剤師の方に入っていただくということについては、特段御異論がないということですので、この議題はこれにさせていただきます。
 実は、今日も遅れておりまして、あとは審査の資料3-4でございますが、競争環境の整備ということについて御議論いただく予定でございましたが、時間がありませんので次回に送りまして、最後の論点でございますけれども、競争組織の統合、競争促進についての定量的な検証の前提ということについて、これは一応早い段階でお諮りしておきたいと思いますので、それにつきまして事務局から御説明いただきまして、御議論いただければと思います。よろしくお願いします。
○吉田保険課長 それでは、資料4を御説明申し上げます。
 「組織の統合」あるいは「競争促進」を御議論いただく際の定量的な分析が必要ではないかという、かねてからの御指摘を踏まえて現在作業をしておりますが、数字を計算する前提によってはいろいろなことが変わってまいりますので、その前提のたたき台という形で今日お諮りし、ここでの御議論、あるいは今日に限らず個別にまた御示唆いただければ、それを織り込んで数字を整理し作業を進めたいということで御提案申し上げるものでございます。
 まず、定量的な検証のフレームとして「組織統合」という場合であっては、新たな審査支払機関を設立するという案と、国保連か支払基金、既存のもののいずれか一方に統合するというのが、いろいろ考える場合にはバリエーションとしてはあり得るだろう。この場合、もともと法的な位置づけとか、実務的にはいろいろな問題がございますが、この試算の際には割り切らせていただいて、そこはどちらかのパターンであるだろうと仮定する。
 仮にその後者の「一方に統合する」場合には、論理的にパターン1として、支払基金をまず分割して国保連に統合する。このパターンの場合は、審査支払機関の審査支払い以外の業務、例えば後期高齢者医療に絡めての支援金の徴収などなど、単なる審査以外の業務-支払業務として支払基金が今、現に行っておりますが-これは別に移管するというようなことを考えて、そういうものも含めたコスト効果というものを考えなければいけない。
 パターン2として、逆に国保連を審査支払部門と保険者業務等部門にまず分割して、審査支払部門を支払基金に統合する。こういう形になろうと思いますが、この場合には、保険者業務等部門は事務所も含めて存在する。
 この2つのパターンを前提に、種々の仮定を置いた試算をさせていただくことかなと。その場合、特に一方に統合する際には、既存の資源、例えばシステムをはじめとした業務処理面ですとか、あるいは事業所をはじめとする資産などについては、基本的には活用する。なるべく全体の見直しコストを安くすることを考えた試算をするということかと思っております。
 大きな2つ目として「競争促進」の場合。これは、実は前回も御指摘いただきましたが、作業的になかなか難しゅうございまして難渋しておりますが、その前提としては、例えば支払基金と国保連の間、たとえ2つ残った上で競争するにしても、集約化するとか、委託とか、共同処理という、2つ並んだ上でも省力化する部分があるのではないかと抽象的には思います。これについて、また、こういうことが考えられるのではないかという御意見もいただければ-その是非もありましょうが-織り込んだ試算ということができるかどうかチャレンジしたいと思っております。そういう意味で、競争促進の場合の試算の大前提として、集約化、委託あるいは共同処理ということ自身は、試算の前提の前の論点として私どもとしてはあるのかなと思っております。
 2つ目に、組織統合ということを考えた場合には、大きく削減要因としては、人件費の削減。この場合でも、審査の質を上げるということについては、別途いろいろ御議論がありますけれども、この試算に当たりましては、審査部門というものは現状維持ということを仮に置かせていただいてはどうか。あるいはシステムの一本化による経費の節減というのは考えられるのではないか。この場合には、開発経費あるいはシステムの更新、開発の更改経費というものも考えなければいけません。それから、事務所については、整理・処分するためのコストを下げることができるだろう。そこに書いてございますように、基金について言えば、全国の46支部、国保連については21カ所のものが、現在この手のものを自己所有していると。ただし、これは一時的な支出ということかと思います。
 一方で増加要因としましては、人件費の削減の裏腹でございますが、当然、退職金の払いみたいなものもある程度織り込まなければなりませんし、システムが一本化して将来的に効率化できるという場合には、その切り替え経費というものが発生する。あるいは、片寄せすることにより、事務所の整理ができる反面、片寄せした先が不足している場合には、借り上げということも必要になるかもしれないというプラス・マイナスの要素を一定の前提を置いて考えさせていただくのかなと。
 競争促進の場合には、基本的にそれぞれの審査支払機関が、これまでここにも御報告いただきましたように、今後、業務効率化を行ってコスト削減をするということを織り込んだ上でどうなるかということですので、その部分については効果として見込めるのかなと思います。
 また、この検討会で単なる金目だけではなくて、サービスの質の向上、例えば査定率の違いとか、審査格差の解消というような定性的な効果も織り込まれないと比較にならないという御指摘をいただきました。これもなかなか難しいのですけれども、例えばでありますが、このサービスの質の向上については、統合する場合には、多くの組織において平均化されるというような形になるのかなと。あるいは、競争の場合は、低い方は高い方を目指して上がっていくけれども、高い方は、そこで高止まりしているのではなく、更に上がるということをある程度念頭に置いた形で、どういう形で計量的に反映できるかというところはまた悩んだ上でお諮りしたいと思います。このようなフレームを今の時点ではつくっておりますが、これについて御議論いただきながら、またその上での作業の結果を次回以降お諮りして、また御意見をいただく、あるいは最終的な統合あるいは競争促進という今後の骨太の御議論をいただく際の参考にしていただくということを考えております。
 事務局からは以上です。
○森田座長 という提案ですけれども、いかがでございましょうか。齋藤委員どうぞ。
○齋藤委員 これも大変大きな問題ですが、競争促進という場合には、何かと何かが競争するというのは、同じ基盤で、同じ指標で比較するからこそ、こちらがすぐれているとか、こちらが劣っているということが言えるわけで、全く指標も違うような、例えば1グラムと1センチとどっちが大きいかというような議論をすることは非常に難しいですね。
 例えば査定率ということを言っても、査定率の高いのがいいのか、低いのが質のいいものなのか、その辺もわからないので、競争というものがそもそも成立し得る土俵に物事が立っているのかと。そこのところは是非きちんと解明していただいたらどうかなと。一般的に言うと、物事が2つ、事業体などがあるときは、競争させた方が質が上がるという一般論は成立しますけれども、競争の指標と競争の土壌が妥当なものかどうか、それは不可欠な視点だろうと思っています。
○森田座長 ありがとうございます。おっしゃるとおりかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。今回は、こういう前提で、更に定量的な検証を進めていいかどうかということの御確認だと思いますので、特にこの論点は不要ではないかとか、更にここも入れるべきではないかというような御意見があれば御発言いただきたいと思います。
 私の個人的な意見ですけれども、今、齋藤委員の御指摘にもございましたが、競争促進という場合に、今日はもう少しそちらの議論もした方がよかったのかもしれませんが、どういう形で競争するかというのは非常にバリエーションがあると思いますので、それはある程度特定しないと、なかなか定量的な評価も難しいのかなという気がします。
 ほかにいかがでしょうか。なかなかこれで、すべてについても大変な作業になるかと思いますけれども。
 それと、もう1点ですけれども、一応、この一番上の定量的な検証フレームのところで、現状を前提にして、例えばパターン1の場合は、都道府県単位に統合するということを前提に考えているということですね。前のところでちょっと議論が出ましたけれども、ブロック化するとか、そういう話はまだここでは出ていないということで、これを前提に。
○吉田保険課長 今後のこの会の御議論として、ブロック単位にある程度業務あるいは体制を集約すること自身の是非について、事務局は価値判断をいたしませんが、今回の試算をさせていただくときには、そこまで織り込むことが難しゅうございますので、お許しいただければと思います。
○森田座長 失礼いたしました。そういうことですので。
 それでは、これもこういう形で進めさせていただくということでよろしいでしょうか。
 それでは、また御意見があれば事務局にお寄せいただきたいと思いますけれども、本件につきましては、本日の御意見を踏まえまして、引き続き作業し、事務局から次回に報告をしていただくということにしたいと思います。
 本日は、私の不手際もございまして論点を1つ議論できなかったというところもありますけれども、予定された時間が参りましたので、本日の議論はこれくらいにさせていただきたいと思います。
 次回開催等につきまして事務局からお願いいたします。
○吉田保険課長 ありがとうございました。
 事務局より、次回は第10回、11月25日木曜日午前10時から、省内の会議室を予定してございます。
 また、次々回につきましては、先日来、御予定をいただきまして、12月10日金曜日の10時。12月10日金曜日の10時から開催を予定させていただいています。場所等につきまして、また決まれば、追って正式に御案内申し上げたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○森田座長 それでは、次回は11月25日、午前10時からということですので、またお集まりいただきますようよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。これで終了させていただきます。


(了)
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