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2010年11月26日 第29回中央社会保険医療協議会調査実施小委員会議事録

○日時

平成22年11月26日(金)9:30~10:35


○場所

厚生労働省講堂(2F)


○出席者

遠藤久夫小委員会長 牛丸聡委員 小林麻理委員 白石小百合委員
小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員 北村光一委員 田中伸一委員
安達秀樹委員 西澤寛敏委員 邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員

  事務局

外口保険局長 唐澤審議官 鈴木医療課長 屋敷保険医療企画調査室長 
村山調査課長 下島数理企画官

○議題

第18回医療経済実態調査について

○議事

○遠藤小委員長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第29回調査実施小委員会を開催したいと思います。
 まず、委員の出欠状況でございますが、本日は全員の委員が御出席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は、10月27日の総会におきまして次回の医療経済実態調査につきましては、今後、当小委員会において検討することとされましたので、検討を始めたいと思います。よろしくお願いいたします。
 第1回目の検討ということですので、事務局に、これまでの医療経済実態調査の実施の経緯、それから前回調査のスケジュール及び調査内容並びに次回調査の調査設計に向けた主要な論点を整理してもらっております。これらを叩き台にして審議を進めたいと思います。
 それでは、まずこれらの資料につきまして、事務局より説明をお願いしたいと思います。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 保険医療企画調査室長でございます。よろしくお願いいたします。
 資料はお手元に、実-1から実-3までございます。私のほうからは、実-1及びに実-2について御説明を申し上げます。
 実-1でございますが、論点案ということでございます。本日の御議論の中心となる資料と考えております。実-2の過去の経緯等をまとめた資料がございますので、そちらにつきまして簡単に御説明申し上げた後に、実-1のほうの資料に移ってまいります。
 資料実-2をお開きいただきまして、1ページ目、過去の経緯をまとめたものでございますが、医療経済実態調査は、医療機関等調査及び保険者調査から構成されておりまして、医業経営等の実態、あるいは保険者の財政状況の実態を把握し、共に社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的としているというものでございます。
 頻度につきましては、昭和63年の申し合わせ以降、次ページにございますが、それ以降は2年に1度で実施することとなっております。
 あと統計法上の位置付けがございまして、一般統計調査というものに該当するものでございます。したがいまして、手続としてはあらかじめ総務大臣の承認を得るということが必要になってまいります。
 3ページ目で、こちらのほうは前回17回の実績というものでございます。前回につきましては年度決算データを採用するかどうかにつきまして御議論が中心となったということでございますので、ワーキンググループを3回ほど開催している状況でございました。21年3月に調査実施小委員会で調査内容の決定を経た後、3月25日、中医協総会で了承をいただき、直ちに総務省協議に入るという手続を踏んでおります。調査月は6月でありまして、回答期限は7月末、その後、調査票の不備補正、照会、集計、分析を経まして、10月末に中医協総会におきまして御報告をしておるという時間的経過で進んでいたものでございます。
 4ページ目以降ですが、調査の目的につきましては先ほどお話ししたとおりですので省略いたします。3番目の調査の対象でございますが、社会保険による診療・調剤を行っている全国の病院、一般診療所、歯科診療所及び1カ月間の調剤報酬明細書の取扱件数が300件以上の保険薬局を対象としている。というものでございます。
 一部、1カ月間の診療時間が100時間未満であると推定された医療機関は調査対象から除外する。というものでございます。
 4ページ、5ページ目のところは、調査の客体、抽出方法を書いてございますが、病院につきましては7層の層化の抽出しております。一般診療所につきましては6層でございます。6ページの歯科診療所については4層。保険薬局については3層。それぞれ病院であれば5分の1等の抽出率をかけているというものでございます。
 調査の時期につきましては、21年6月の1カ月間と21年3月末までに終了する直近の事業年度の1年間について実施するということでございます。調査の方法につきましては、郵送方式に加えまして、ホームページを利用した電子調査方式により行うというものでございます。
 これらの調査内容等につきましては、8ページ目を御覧いただきたいと思いますが、それぞれ層化の区分及び抽出率を記載しております。
 続きまして、9ページ目、調査内容そのものでございます。基本データ、開設者、病床の状況等をお聞きするという内容になっております。右の上に利用有りが「○」、未利用が「×」、設問無しが「-」という形になっておりますが、17回目の調査におきましては年度決算データを導入するということも踏まえまして、調査項目の簡略化を行ったという経緯がございます。その中で、「-」のところは設問無しでありましたが、一部「×」というところは、調査票の中ではデータをいただいていますが、お手元に配付させていただいております結果報告におきましてはそこには掲載をしていないという取扱いになっております。
 10ページ目が損益について、ここは調査のメインになる部分でございますが、医業収益、介護収益、その他の収益、また費用面におきましては、医業費用、介護費用、その他の費用、また特別損益、補助金、負担金等の集計を行っているということでございます。
 またその中で、給与費という欄がございますけれども、そちらにつきましては、11ページ目の(3)の部分におきまして常勤の職員につきましては、職種別、非常勤の職員につきましては総額といった形のデータを調査票の中に記載しているということでございます。あわせて賞与、退職給付費用、あと法定福利費等のデータも調査票の中に掲載しているということでございます。
 12ページ目、こちらのほうは資産、負債につきまして、調査票に掲げているところでございます。税引き後の実際の収益というものを測定するために、租税公課、損害保険料、寄付金とそれ以外のもの、税金、法人税、住民税、事業税等を調査票に掲げておるものでございます。
 次の13ページ目、横表のほうでございますが、こちらのほうは直近3回の推移でございます。こちらのほうで御覧いただきたいのは、調査施設数の部分でございます。17回ですと、病院は1,619という調査客体数となっておりますが、カッコの中が917、有効回答の割合というものが56.6%。一般診療所でありますと44%というような状況になっているということでございます。
 14ページ目、これは1回目からの経緯でございます。平成元年第7回調査から2年に1度ずつということでございます。それで平成に入りましてからはほぼ6月の調査になっているということでございますが、1回目からさかのぼりますと11月、5月、あるいは9月といったような調査月もあったという状況でございます。
 15ページから18ページにつきましては、前回のワーキンググループでの議論の取りまとめであります。17回目からは結果として年度決算データの採用がなされたわけでありますが、年度決算データを把握する場合のメリット、16ページ目では、大きな支障はないと思われるが、一部技術的な課題の指摘がありました。
 あとはその論点でも後ほどお話をいたしますが、17ページ目の(3)2年分のデータ取得という点でありますと、例えば改定前後の1年ずつ、すなわち2年分のデータを取得することが望ましいのではないかという意見がある一方で、データの転記ができるとは言え、回収率が下がるのではないか。あるいはリードタイム、これは17ページ目の上のほうにありますが、改正された診療報酬の対応が不十分な時期、リードタイムの影響を排除するために、改定前後の1年ということではなくて、前回の改定直後の1年と今回の改定直後の1年のデータを取得すべきではないかという議論もされているところでございます。
 次に参考資料1を御覧いただきたいと思います。
 こちらのほうは、御紹介でございますが、昨年11月11日に実施されました行政刷新会議の事業仕分けにおきまして、勤務医対策として診療報酬の配分が取り上げられた際の議事概要でございます。取りまとめコメントの中では客観的な情報データを揃える。議事概要を見ますと年齢経験、診療科ごとの違いといったようなもの、あるいは退職金の取扱い、将来の設備投資といったもののデータが要るのではないかという議論がされておりますので紹介させていただきます。
 参考資料の2でございますが、こちらは今年に入りましての厚生労働省内での事業仕分けが進んでいるという御紹介でございます。現時点におきまして、具体的に医療経済実態調査がどういうふうにするという議論になっておりませんが、今後の推移を見守る必要があると考えております。
 資料の実-1に戻っていただければと思います。
 この資料の項目でございますが、これは今までの中医協の御議論の中で、医療経済実態調査につきまして御指摘いただいておりますポイントについてまとめさせていただいているものでございます。
 大きく分けまして5点ほどの項目でまとめさせていただいております。1点目は、前回の御議論でもありましたが、回答率の改善についてでございます。回答できない理由を書いて提出していただく。あるいは回収のところでバイアスがかかっているのではないかということ。経理処理を公認会計士に委任しているかどうかという欄を設けてはどうかという御意見。あるいは有効回答率が低かったことを踏まえた調査手法の検討といったものは昨年の総会でも白川委員の提出資料の中で御指摘がされているということでございます。また、どういう点で回答が出しにくいのかが分かる仕組みというものも今後のために有効ではないかというで、知恵を出していくことが必要ではないかということでございます。
 2ページ目、2年分の年間決算データの把握についてでございます。
 改定直後、その次の年度について差があるのではないかということを考えますと調査を毎年行うことが必要ではないか。あるいはやはり究極の形と考えますと、全医療機関で改定の前後年を含む年間データが必要ではないかといったことが御指摘されているところでございます。
 3番目は定点調査でございます。これは2年分の年度決算データの把握と関連してくるものでございますが、仮に2年分の年度決算データの把握をしますと定点調査というものは必然的に定点的な推移が見られるということでございますが、定点調査の議論の中では診療報酬の低いところ、真ん中あたり、高いところといったような適正な配分をとって定点を比べていくべきではないか。あるいは定点自体が偶然の定点しか発生しておらない状況ですので、なかなか実質的な変動というものがとれないのではないかという御議論でございます。
 4番目が、抽出率についてでございます。現在、病院につきましては、5分の1、一般診療所につきましては、25分の1といった抽出率でございますが、要するにサンプル数が少ないといったこと、また月によって診療科によっては多い少ないといった患者数の特性があるということの中で議論がされているので、その改善が必要ではないかといったこと。あるいは、先ほどの所得についての配分だと思いますが、全体の配分が平均調査されて結果として、より実態に近い結果を出すような工夫というものができないだろうかという御指摘が御議論の中ではございました。
 5番目で、新たな集計方法として現在は平均データでございますけれども、分布を見る必要があって、例えば最頻値といったものを集計するべきではないか。あるいは標準偏差、区間設定、ヒストグラム等々たくさんの手法があるので、そのようなものを採用してはどうかといった御議論があったところでございます。
 私のほうからの医療機関調査につきましての説明は簡単でございますが、以上でございます。

○事務局(下島調査課数理企画官)
 調査課数理企画官でございます。私のほうから、実-3の保険者調査について御説明させていただきます。
 実-3の資料は、前回の保険者調査の調査要綱でございます。調査の目的としましては、先ほど実-2の資料でも御説明があったとおりでございます。調査の対象につきましては、公的医療保険制度の全制度の各保険者を対象としております。それから、内容につきましては、項目5番をちょっと御覧になっていただきます。2つで構成されておりまして、1つは(1)ですけれども、決済事業状況に関する調査ということでございまして、6番を御覧になっていただきたいんですけれども、(1)全保険者の事業報告とかあるいは決算報告、財務諸表、そういった基礎的な事業データから各制度の被保険者数、5番の(1)に戻りますと、被保険者数、あるいは保険給付状況、そういった基礎的な事業状況に関すること。あるいは決算の収支状況、財産の状況、こういった項目について、全制度分について調査いたしまして、制度ごとで横断的に比較できるように整理しているということをやっております。
 それから、(2)でございますけれども、もう1つのほうですけれども、土地及び直営保養所、保健会館に関する調査ということでございまして、こちらは項目6の(2)のほうを御覧になっていただきますが、健保組合、それから共済組合の全保険者に御協力を要請いたしまして、調査票をお配りいたしまして報告いただきまして、こちらを集計するということで、5番のほうに戻らせていただきますと、そういった土地に関する施設の種類、面積、帳簿価格、あるいは直営保養所、保健会館に関する施設の種類、建物の状況、利用状況等について調査しております。
 こちらにつきましても次回も同様に調査することについて御審議のほどよろしくお願いいたします。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 事務局からの説明はそれでよろしゅうございますか。
 それでは、ただいま御説明がありましたけれども、前回の調査の経緯、内容説明、それからこれまで議論になっている論点の整理ということが明らかにされたわけですけれども、何か御意見、御質問はございますか。
 ちょっとだけ補足いたしますと前回は前々回と比べて変わった点というのは先ほどお話ありましたけれども、年度単位の財務データを入れたということで、これを入れるに際しまして、いろいろな議論がありましたので、ワーキンググループをつくりまして、入れることによるメリット、あるいは問題点、いろいろと検討して、結果的には入れてもよいのではないかということであったために、1年間ベースのものを入れたという経緯があったわけでございます。
 ただそのときにどうしても調査内容が増えるということで、予算上の制約がありましたので聞いてはいるけれども、あまり使っていないような項目を除くという形で処理したという経緯がございます。
 また予算上の制約というのは恐らく今回の調査につきましても同じような状況にあるかと思いますので、聞くべき内容を増やしていくということになりますと、何かを減らしていくというようなことになり兼ねない。まだ予算のところがはっきりしておりませんけれども、類似の傾向があるのではないかと考えられます。
 それから、前回調査でちょっとこれまでと違うという点から言いますと、医師の所得についての議論が随分ありまして、診療所と病院勤務医を単純に比較することができないということが随分をあったものですから、前回調査では、診療所の中の医療法人だけを単独で取り出して所得を調べる。そうすることによって同じ会計基準で勤務医と診療所を比較できるのではないかということで、そのような対応をしたという点があります。前回の調査、前々回と違う点を若干補足させていただきました。
 それでは、いかがでしょうか。御意見、御質問はございますか。

○北村(光)委員
 ここに参考資料1として、事業仕分けのこの資料が出ておりますので、ちょっと素朴な質問をさせていただきたいと思います。勤務医、開業医の配分、診療科ごとの配分を検証するということで、客観的な情報とかデータという要請が出ております。これは法的な強制力というのはないでしょうが、去年の6月の開催ですから、今回の調査にも影響があるのでしょうか。事務局として、何か調査内容に折り込もうとされているのか。また、それが可能なのか。お考えがあれば教えていただきたいと思います。

○遠藤小委員長 
 それでは、事務局、お願いします。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 参考資料1の中で、御紹介させていただいたところでありますが、これはどのような工夫が記載できるのかというところを調査票の上で検討していくべきであると思います。
 例えば、退職金がないとかというところがございますが、現在の調査票の上ではそれぞれの年度において支払いをしました退職金についてのデータはいただいているということでございますが、こちらの議論の趣旨を考えますと、恐らく退職の引当金に繰り入れる額といったものをデータとして取ったほうがより正確な実態があらわれるのではないかという内容を含んでいるものだというふうに思います。
 現在、病院会計準則の中では退職引当金の繰入れという項目があるわけですが、この医療経済実態調査の中では、引当金の項目がない、これは病院、診療所、それぞれ回答可能かという実現可能性というところもございますので。ただ、ここのところはまた専門の方と相談して、工夫の余地がある部分ではないかと考えております。

○北村(光)委員
 方向性としては、取り組んでみようということですか。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 調査票の中で工夫をしてみたいと考えております。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 そういうことで、これまでの調査の中でとっているものもありますし、ただいまのように退職金は支払いベースでしか把握していない。繰入金ベースでは入れていないというものもありますので、その辺の修正ということは考えられるだろうということです。ほかにも年齢、診療科ごとにということも書いてありますが、それはどこまでできるのかという問題もありましょうけれども、今後の議論の中では1つのポイントになるかなと考えられます。
 ほかには何かございますか。
 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員
 今の関連ですけれども、この行政刷新会議のこの資料が出ていて、今の質問と答えを聞きますと、要するに、これに私たちは縛られるということでしょうか。

○遠藤小委員長 
 分かりました。これの位置付けですね。つまり今後審議していく上での参考とすればいいのか。あるいは本当にかなりの制約条件としてとらえるべきなのか。この位置付けを明確にしていただきたいと思います。
 調査室長、どうぞ。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 位置付けにつきましては、先ほど北村委員がお話のとおり、法的な位置付けがあり、それに完全に制約されるかととられますと、そういう性格のものではないであろうと考えております。しかし、一方で同じく政府の中の会議体としての議論でもあるということでありますので、全くこれから制約を離れてということにもならないのではないかなという中で、実際の医療経済実態調査の中で工夫ができることについては例えば先ほどの退職引当金の繰入金等の工夫はしていく余地があるのではないかと考えているところでございます。法的な位置付けというものではございません。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 重要な御指摘ととらえ、それを踏まえながらの今後の議論だという理解でよろしいかと思います。
 邉見委員、どうぞ。

○邉見委員
 実-2の16ページでございますけれども、(2)の公立病院におけるデータ提出の可能性ですが、これはここに書かれているとおり夏の議会、あるいは秋の議会の前に出すことは可能ですけれども、経営が悪いところはできるだけ遅く出したい、あまり公表したくないということで、なかなか出さないんです。
 我々の会がやっているものですら今年の経営実態調査、診療報酬改定によって良くなったか、悪くなったかと聞くといいところだけは出てくるんですが、回収率が非常に悪いんです。強制的ではないということなので、回収率を上げるためには、やはり総務省のほうに少しプッシュするか、何か回収率を上げるような、ある程度の義務ではないですけれども、大事な資料なので、ぜひ協力をということをしていただきたいということが1つです。
 もう1つは、退職積立金のことが出ましたけれども、公立病院、今度会計規則を変えようとしていますが、今までそういうのがなかったんです。だから、その辺のところがいつもほかの病院会計準則の統一といいながらも、少し一般病院と違うところがございますので、その2点を申し上げておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○遠藤小委員長 
 そういう実態があるということを踏まえて、今後の検討の参考にしてほしいということですね。ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 安達委員、どうぞ。

○安達委員 
ちょっと相前後して申し訳ないのですが、参考資料1の事業仕分けでございますが、ここに挙げていただいた内容は、かなりある意味建設的な御意見の部分が並んでおります。実際、昨年も議論させていただいた記憶がございますけれども、この診療報酬にかかる事業仕分けについては、非常にある意味我々からすると乱暴な、あるいは検討はずれのという議論も多々行われたという意味で、いまだに強い抗議の意思を私自身は持っておりますということをまず申し上げます。
 もっと踏み込んで言えば、診療報酬というものが全体の中で国税の負担が4分の1ということで、それで事業仕分けの対象であるのかどうかということも問題だと思います。ということも申し上げておきたいと思います。
 特に、建設的と思われるものを取り上げていただいた事業仕分けの御指摘の中でも一番最後のところの勤務医と開業医の所得収益がフェアなのか、あるいは診療科ごとの所得収益がフェアなのか公平なのかというところは、大変重要な問題でありますけれども、恐らく事業仕分けを担当された仕分人の方々が御理解になられるようなレベル、あるいは切り口のところでは、何の結論も恐らく出しようがない。
 そういうものを求められたのが、今回の事業仕分けだったというのが我々の印象でございます。これは本当にやらなければいけないことだと思いますけれども、どうやったらやれるかということは事業仕分けの指摘が云々ということではなくて、本来の医療経済実態調査の在り方ということの議論の中で、しっかりと我々自身が定めるべきことだろうと理解しております。ということを申し上げたいと思います。
 それでもう1点、本文の中医協実-2の資料の5ページ、一番下の(2)の一般診療所の層化、抽出の方法が書かれておりますが、私は統計学的に詳しくないのですが、この層化でやるということは、例えば調剤薬局は300枚以下のところを対象にはしないわけです。診療所の場合、いわゆる前にもちょっといろいろ御議論させていただきましたが、年間の総請求額による層化というものは、この層化というところで可能なのでしょうか。それは難しいのでしょうか。

○遠藤小委員長 
 安達委員が、以前よりおっしゃっておられますように、サンプルとなるところ、あるいは回答されたところが比較的収益のいいところに偏っているのではないかという御意見もありましたので、それとの関連だと思います。この層化の方法を修正するということが技術的に可能かどうかということについて、これは事務局にお聞きしたい。いかがでしょうか。
 調査室長、どうぞ。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 ただいまの層化の方法でございますが、7層ないし6層等でしているところでございます。考え方としては、可能かなというふうに思いますが、例えば今の御指摘がありました収入別ということになりますと技術的には今のこの層化のサンプリング自体は統計情報部のほうの履歴間のコード等で行っている中のデータでは収入がなかったと記憶しておりますので、その点につきましては難しいのではないかと考えております。

○遠藤小委員長 
 安達委員。

○安達委員
 事務的な取扱いがどういう順序でやっていらっしゃるかということは私必ずしも全て把握しているわけではなくて、今、この話をしておりますので、少し的が外れるのかもしれませんが、あえて申し上げれば基本的には一部を除きまして電子化請求を一般診療所に義務化しました。
 そのデータがあっても、それに基づく収入と今おっしゃいましたが、収入ではなしに診療報酬量の総請求額、それによる把握と層化ということは無理ですかということを私はお尋ねしたつもりでございまして、これは一般抽出しますと、バラバラになるので、何度も例に出して申し訳ありませんが、前回の社会医療行為別調査のようなことが起こるわけであります。
 だから、ある程度の大括りで、総請求額を3分割、あるいは4分割する中でそれぞれの群から無作為抽出をしてトータルで一定の数にする。そういう作業は不可能なのかどうかということをお伺いしたいんです。

○遠藤小委員長 
 事務局に後でお答えいただきますけれども、かつて抽出にバイアスがかかっているのかどうかという疑問があったものですから、私が立ち会う形で統計情報部の抽出の作業を見たわけですけれども、基本的には財務データが個々の医療機関と連結した形のデータセットではないんです。だから、いいところだけを選ぶということができないというのは、まさにそこのところがあるわけです。
 逆に言いますと、今のような収益の大きさで分けようというと、データ的にちょっと難しくなっているかなという感じがするんですけれども、事務局、正確な補足をお願いしたいと思います。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 補足をさせていただきますと、抽出の段階のデータと収入のデータがリンクしてないというのはそのとおりでございまして、抽出の段階では御指摘のような方法というのは難しいのではないかなと考えておりますが、御指摘のような内容、収入に関する面に着目してということにあります分析というものは抽出の層化をするという段階ではなくて、分析の段階で工夫できるのではないかと考えております。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。そういう対応はもちろん可能なわけで、従来は診療所を売上のグレードで分けていませんので、それは分けることは可能だということです。
 安達委員、いかがでしょうか。

○安達委員
 ありがとうございます。
 会長も御理解いただいていると思いますので、あえて申し上げませんけれども、私は別にバイアスがかかるという、高いほうだけ選ぶバイアスがかかるという疑念を申し上げたわけではございませんので、結果としてそうなる、あるいは回答のところでバイアスがかかるということは以前から申し上げているわけです。
 ということはある程度、低所得層のほうをしっかり入れておいて、回答率を上げる努力、前回から御指摘をいただいておりますいろいろな方法でしなければならないと思います。入れておかないと本当の平均値が出ないのではないかと危惧しているわけです。
 回答を得られてから、それを仕分けるということだけで、果たして十分な結果が出るかなということを私は若干危惧しておりますけれども、今のお話で、限界があるというならそれはしようがないなと思います。
 もう1つだけ、お伺いしますが、調剤枚数300枚以下は対象にしないということは対象調剤薬局については調剤枚数というのは把握した上での抽出される、そういうことですか。

○遠藤小委員長 
 事務局、お願いします。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 そのようなことで結構でございます。

○安達委員 であれば、例えば総請求額ではなくても、医療機関のレセプト枚数というのは同じように把握できないですか。請求レセプト枚数。

○遠藤小委員長 
 いかがですか。調査室長、どうぞ。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 レセプト枚数とはリンクしてないデータの母体から抽出していると記憶しております。

○遠藤小委員長 
 抽出をするときのデータには確かに財務データやレセプトの枚数が入っていないと現状はなっていますけれども、そのような形に修正することは可能なのでしょうか。いかがでしょうか。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 ここは、確認をさせていただきたい点でございますけれども、統計情報部でそれらが可能かどうかというところは確認させていただかなければいけない点でございます。ちょっとすぐさまお答えはできません。

○遠藤小委員長 
 別な部署でやっているということもあるものですから、一応そういう御意見があったということを踏まえて、ちょっと調べていただきたいと思います。

○安達委員
 ありがとうございます。要望として、それは前から一貫して申し上げていることの、私の一連の意見の流れでございますので、御検討いただいて、可能か不可能かということはぜひ近いうちに教えていただければありがたいと思います。

○遠藤小委員長 
 事務局、そのような御対応でよろしいですか。お願いします。
 渡辺委員、どうぞ。

○渡辺委員
 1つちょっと戻るんですけれども、この参考資料の1ですが、ここで中段に記載されている開業医と勤務医との収入の差について述べられていますが、先ほどこれに関して退職引当金等を明記できるような調査等を考えているようにも聞こえているんですが、それは法人のほうであって、個人にはないと。逆にここで指摘していることは、そうした退職引当金に相当するようなものが収支差額の中に個人の場合は全部入っています。それから、また厚生年金などの福利厚生費、そうしたものも法人の場合にはきちんと別口で2分の1法人が支払う。ところが、個人の場合には、収支差額の中に、全部そういうものが入っていますよねということです。そういう差を分かるようにちゃんとしているんですかという指摘ではないかと思いますので、そういうところを踏まえて、調査の分析のときにそうしたものが分かるような分析ができるか検討をぜひお願いしたいと思います。

○遠藤小委員長 
 調査室長、何かございますか。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 今の点につきましては、個人開業の場合ですと退職金相当の積立て、そもそもサラリーマンのような退職金がないわけでございますから、引当金というものを入れたとしてもデータがとれるかどうかというところにつきましては、問題意識として持っているところでございます。

○遠藤小委員長 
 それでは、そのような御指摘も踏まえた形の分析の枠組みで進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員
 予算の問題もあるということで、全数調査ではなくて抽出するということなんですが、その抽出もこれだけの数を抽出すれば大体全体像をあらわすという前提でやっていると思うんですが、前回、診療所の調査で異常値が出て、前回調査と比較してちょっとおかしな数字が出た。原因としては透析をしている医療機関が非常に多く入ったためということで、後で調整したという経緯があります。たしかそういうことで、次回のときにやはり宿題として残っていたと思うんですが、その後は現段階でどのように考えているのでしょうか。

○遠藤小委員長 
 あれは社会医療行為別調査の話だったと思いますけれども、それでもその御質問はよろしいですか。直接、医療経済実態調査の話ではないのですけれども、一応、社会医療行為別調査については、その問題が明らかになりましたので、透析が適切な医療機関から出てくるような形の仕組みに変えたというのがそのときの結論だったわけです。
 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員 
 失礼いたしました。私の頭の中で混乱しておりました。ただ、ランダムに拾うということは、先ほど言ったように客体の数に制限あるがために似たような問題が今後も本調査でも起こり得るので、できるだけ、全数調査の方向で検討していただければと思います。

○遠藤小委員長 
 従来から出ている意見だと思いますので、承りました。
 ほかに何かございますか。
 特段ないようであれば、特に問題なのはこの主な論点というところですが、この中の全てをやるのかどうかが当然あるわけですけれども、予算の制約もありましょうし、あるいはこの中身について十分な議論がされていないものもあるわけですが、例えば予算の制約があった場合、やはり優先順位的なものはやはり小委員会として持っておくべきではないかと思います。この辺はかなり重点的にやるべきだという、そのような御指摘はございますか。
 安達委員、どうぞ。

○安達委員
 今、確かにここに主な論点をいただいていますが、バイアスがかかったりすることの調査のやり方については、今、御要望は申し上げさせていただきました。我々の立場から言うと、論点の中で最大のものは、前回から特に1号側の皆様方からも御指摘をいただいている回収率をどうやって上げるか。これは一番大事なのかなというふうに理解しております。
 我々もさまざまな努力をいたしますが、前に申し上げましたように、医療機関は個々の、特に診療所は一人でやっておりますが、実質マイナス改定が続いてきた中で、非常に反発が強くて、それでなおかつこの調査かというようなプリミティブなというか、最初の実感としての意識が働くということは我々も否定できない事実でございますが、ここで改めて議事録に残していただきたいという意味で申し上げるのですが、やはり医療機関はこの調査をきちんと回答して、回収率を上げないとちゃんとした改定議論ができない。プラスになるにしろマイナスになるにしろ、それはそのときのいろいろな状況がございます。それのもとになる非常に大切なデータであって、プラスになってもマイナスになっても納得できる改定でなければならないわけです。その基礎データであるという認識できちんと回答するべきだと改めて我々は思っているところでございます。
 今日だけでこの審議が終わるのかどうか、ちょっと私は理解しておりませんが、調査の依頼文書の中に、もう少しそういうことを書き込んでいただいて、注意喚起をした上で、多くの医療機関がより多く従来よりもきちんと回答を出すようにというインセンティブをつける方向の依頼文書というものも書き方によってはあり得るのではないか。そういう理解でいるということを申し上げたいと思います。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 審議のプロセスですけれども、当然今日だけで終わるということはございませんので、今日が第1回目ということでありますから、何回かやるということは当然考えております。回収率を上げろという御意見は常に共通した御意見として出ております。その具体的な方策としてどうするのかというところが今後の課題になりますけれども、何かいいアイデアはございますか。
 ただいまの安達委員の話では、依頼書の中で趣旨を明確にするべきではないかと理解しましたけれども、ほかに何かございますか。
 安達委員、どうぞ。

○安達委員
 回答しないからペナルティというわけにも、ルール上、行政の手法上はなかなかいきにくいと思うのと、回答したから御褒美というのもあり得ない話ですから、やはりその趣旨をしっかり説明して、きちんと理解を、それぞれ受け取った医療機関にしていただくということが私は前提だということで今のようなことを申し上げました。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 検証部会のほうでもさまざまな調査をしているわけですけれども、かつて白石委員がお話しされましたけれども、何かフリーアンサーを、つまり診療報酬制度なり何なりに対して、フリーアンサーを書いてもらうというのは、一言厚労省に言いたいという気持ちがあると、そこに書くということで、意外と回収率は高まるというようなことをおっしゃっていて、私はそうだろうなと思うわけです。
 問題は、フリーアンサーを仮に書いた場合、それをタイプで打ち込むとかという話になると多分予算上の問題が引っかかってくるので、コピーをするレベルになると思いますけれども、そういうようなこともあり得るのかなと思った次第です。これは思いつきのレベルの話ですが。
 そのようなことは調査のテクニックとして使ったりするので、御参考までに申し上げました。
 安達委員、どうぞ。

○安達委員
 会長、思いつきとおっしゃいましたけれども、経費がかからないなら有効そうなことは何でもやったほうがいいだろうと思いますので、フリーアンサーの欄をつくっていただければいいだけでございます。
 私は反対でないというかやったらいいと思う理由は、私どもは地方の医師会で会員の皆さんと、京都府医師会というのは執行部が京都府内の全地区医師会を1年かけてぐるっと回って、その現場でそれぞれの地区で協議をするということを何年も続けてきているわけですが、そういうところで出てくる医師の皆さんの御意見というのは、都道府県の医師会のレベルすら、その認識の度合いや意識の在り方については本当に多種多様で、階層分けをもしするとすれば、その認識においても御意見においてもそのレベルはピンからキリまであるわけです。
 ですから、こういう調査を受け取ったとき、あるいはこの調査そのものに対して持っている意識というものも、ですから、全部をしっかり書こうということも申し上げたのですが、それでもなおかつ受け止め方としては、何だよ、これはとか。いろいろなレベルでの反発の意見もあると思います。それが書けるということになると、ほかの数字を満たしてでも言いたい人は書くわけです。それは1つの方法だなということで賛成だということを申し上げた、そういうことでございます。

○遠藤小委員長 
 また、具体的な議論のところでお諮りして、皆さま方の御意見を承りたいと思います。ほかにもいろいろとアイデアはあるかと思いますけれども、具体的に論点がまとまっておりますので、2番目の2年分のデータの把握、現在は1年だけやっているわけですけれども、2年やるかどうか、その辺についてはどういうお考えですか。
 この問題は、3番目の定点調査と多少オーバーラップするところが出てくるわけですけれども、2年分やるかどうか。前回はともかく試行的という意味もあって、1年でやめておこうという話だったわけです。
 安達委員、どうぞ。

○安達委員
 幾つか、ワーキングチームの中で2年分やるときのメリット、それから技術的な問題を御指摘いただいておりますが、全体を見せていただくとやってやれなくはないよという結論、検討結果なのかなと思います。
 であれば当然改定の影響を見ることも大きな目的なわけですから、はさんで2年というのは従来からの、私も日医の会員として申し上げれば、御要望してきたことで、これが一番フェアで客観性の高いデータになるのではないか、重ねて言えば、会長が御指摘のように、2年をやるんですから、その分について自動的に定点になるという点も含めて、必要な調査の在り方ではないかなということで、ぜひやるべきだという意見を申し上げさせていただきたいと思います。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 これも予算見合いということがあるわけですけれども、いずれにしても具体的な話をするときにまた皆さんの御意見をお聞きしたいと思いますが、2年分の年間データにつきまして、何かこの場でお話ししたいという方はいらっしゃいますか。
 小林委員、どうぞ。

○小林(麻)委員
 このワーキンググループのときに、今までの医療経済実態調査のやり方から決算データをとるということで、変わってしまうというデータの一貫性ということが議論になりました。
 それで、この前の調査のときに、決算データを入れるということになりましたので、この決算データが非常にデータの信頼性、非常にいいデータが得られると思います。今の安達委員の御指摘も踏まえて、2年間とって、つまり診療報酬改定が起こった年には、それに対する経営行動が起こりますから、それを受けた、その次の年度の変化を見ていくということが非常に重要なことになるだろうと思います。
 それから、もう1つ、私は分析のときに考えていただきたいのが、今までは2年間の変動というのをターゲットにして見ているんですけれども、やはり医療が医療提供の安定的に効率的に行われているということを確認するためには、やはり前の調査との比較だけではなくて、やはり経年でとっていく、経年で分析していくという視点も非常に重要なのではないかと思います。
 ですから、そういったことを含めて、いろいろ総合的に分析していただきたいと思います。

○遠藤小委員長 
 1つ、最後のところが理解不十分だったのですが、経年でとっていくということは、事実上の定点観測をしていくという、そういう意味合いで理解してよろしいですか。

○小林(麻)委員
 それはちょっと検討していただきたいと思うんですけれども、やはり医療提供側がどういう状態になっているのか。診療報酬改定の影響を受けて、どういうふうになっているのかということについては、やはり継続的な、と言いますか、中長期スパンの視点が必要なのではないかと思うんです。前に、医師会のほうで出していただいた、損益分岐点比率のデータとかありましたけれども、あれも多分、平成18年度、16年度と非常に改定率が下がったとき、それ以前のときの損益分岐点比率がどうだったかということを見ると、医療提供側に対するダメージ、打撃の大きさ、インパクトが分かると思います。ですから、データを中長期的にとって分析していくという、趨勢を見ていくという視点が必要なのではないかと思います。
 定点で見るかどうかというのは、またさらに検討していただきたいと思います。

○遠藤小委員長 
 安達委員、どうぞ。

○安達委員
 今、小林(麻)委員の御意見を伺っていて、一番最初に会長の御質問と同じ質問をさせていただこうかと思いました。経年的にやるというと定点を置かなければいけないと思います。ただ、そうしますと多くの定点はなかなか得にくいので、定点の数がそう多くならないだろうということで、仮にこれを2年間の調査でやっていただけるならば、改定前年と改定後の1年ということですから、次のときの改定前年というのは前の改定の2年目になるわけで、ある意味経年的な変化になるわけです。
 それが、少ない数の定点を置いてずっと定点でいくのがいいのか。この医療経済実態調査による抽出が回答率にもよりますが、だからこそ回答率をやはり上げなければいけないということは事実なんですが、それだけで全体を代表性があるものにできている、抽出をする結果、というのであれば定点でなくても経年、継続の観察になるのかなと思うということでございます。
 今、御指摘のありました日医のデータは、確かに損益分岐点等々のデータをプラス改定のときとマイナス改定のときと比較するということは大変大切だと思いますが、残念ながら我々の持っている基礎データから言うと、私の理解からいくと日医ではできないんです。なぜかと言いますと、もうほんのちょっと前に、7、8年前ですか、マイナス改定のときに、日医のほうからデータをお出ししたときに、この中医協で御指摘を受けました。客体数が非常に少なくて代表性に乏しいという御指摘だったと思います。
 そういうことの御指摘を受けながら、我々が何とかデータを出そうとして、TKCの全国会の皆さんの御協力を得る形で、全国のデータを集めるようになった。つまり中医協の皆さんの御批判に耐えるようなデータにするようにしたというのが実態なので、それ以前のものが同じレベルのデータでないものですから、なかなか出しにくいということだと思います。
 今後、プラス改定をしていただいて、損益分岐点が改善するのかどうかということの比較はぜひやりたいなという希望でございます。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 現状においても平均値だけをとらえれば、医療機関のタイプ別に経年変化を追うことができまして、私の理解では前回改定のときにはたしか少し医業収支率は上がっているけれども、それまではずっと右肩下がりで下がり続けていたのではないかと思います。
 ただ、国立病院機構だけは右肩上がりをずっと続けているという状況であった。ということで、経年変化は既存のデータからでも平均値だけで見ればできるということだと思います。
 それでは、抽出につきましての議論がありますが、これはもう先ほど来、大分出ておりますのでよろしいかと思います。
 最後、集計方法ということですが、これは実は最終報告書には載っていませんけれども、中央値か何かを出す形をかつてしておりますので、それはやろうと思えばできるということだと思います。平均値ですと大きいところに引っ張られるという問題があるということです。
 今回、新しいのは地域別損益ということで、例の地域特性を考慮した診療報酬の議論がありましたけれども、これも実は議論しなければいけない案件ではありますが、それの1つの基礎データということで地域別に損益状況をとらえる。これは先ほどの話では分析におきまして、やろうと思えばできるということです。地域別でとろうと思えば、データとしては把握しているということになっているわけですが、この辺については、事務局で何か御説明をいただけますか。
 調査室長、どうぞ。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 資料2の7ページ目を御覧いただきたいと思います。
 こちらのほうで国家公務員の地域手当に係る級地区分、1級から6級まで、あとその他というのがありますが、計7段階になっているんですけれども、これは抽出をする際の層化のところで行っておりますので、それぞれの地域にそれぞれの1級地とか、そういう地域区分に該当した医療機関のデータという形では集計をすることはできるのではないかなと考えております。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。つまり現状においてもこの級地というレベルでの分類は可能だということですので、あえて調査票には手を加えなくても分析の段階で地域差の把握は、このレベルではできるということです。この級地というのは物価水準ということなんでしょうか。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 これは国家公務員の給与の手当ということでございますので、生活する上で必要な物価水準というものを概ね代表する指標として見ていただければと考えます。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員
 この級地が1から6級地まで、これは国家公務員のいる地域だけで、例えば北海道でいえば札幌が6級地に入っているだけですが、北海道の中では札幌は都会でありまして、それ以外のへき地は、というと全く分からない。一部の都会だけを分けているだけではないか。その意味では、我々の言っている地域というものとちょっとかけ離れているのではないかと思います。

○遠藤小委員長 
 調査室長、どうぞ。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 こちらのほうの7ページ目では、1級地から6級地まででありますが、地域手当なしというか、その他というのがありまして、区分としては粗いという御指摘があるかもしれませんが、北海道でいきますと札幌市は6級地、札幌市以外のところはその他という地域区分、計7区分になっているということです。

○遠藤小委員長 
 西澤委員、どうぞ。

○西澤委員
 北海道の札幌以外は全部含めてその他ですね。
 要するに言いたいのは、札幌というのは北海道の中で大都市ですが、それ以外の北海道の中で言えば、例えば旭川だとか、函館というところと例えば根室、稚内というところでは全く違う。そこを十把一絡げでデータを出されても、あまり地域差というデータにはならないのではないか。そういうことでございます。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 中島委員、どうぞ。

○中島委員
 私も関連して、これは1つの級地のモデルだと思いますけれども、例えば生活保護の級地ということもありますし、幾つかのモデルがあると思いますので、もし今後検討していくのであれば、客観的なモデルを幾つか示していただいたほうがいいと思います。

○遠藤小委員長 
 ありがとうございます。
 この地域差を出すそもそもの目的というのは、診療報酬上にそれをどう反映させるかということでありますので、問題になるような地域がうまくクローズアップされないといけないということですので、今、両側からの御意見では、この級地ではちょっと不適切なのではないかということでありますので、少し検討したいと思います。
 時間もありませんので、重要な御指摘として今は承っておきたいと思います。
 ほかに何かございますか。
 重要な議論はお話しされたと思いますので、それではただいまの御意見を踏まえまして、さらにまた調査の内容を検討していきたいと思います。
 本日につきましては、これにて終了したいと思います。
 事務局から何かございますか。

○事務局(屋敷保険医療企画調査室長)
 調査実施小委員会につきましては、年明けに政府予算案の決定の状況とあわせまして、御議論をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○遠藤小委員長 
 よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議論はこれにて終了いたします。
 ありがとうございました。


(了)
<【照会先】>

厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室

代表: 03-5253-1111(内線3287)

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