ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 審査支払機関の在り方に関する検討会> 第8回審査支払機関の在り方に関する検討会議事録




2010年11月4日 第8回審査支払機関の在り方に関する検討会議事録

○日時

平成22年11月4日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室


○出席者

粟生田委員、飯山委員、岩田委員、遠藤委員、小木津委員、齋藤委員、高田委員、
高橋委員、田中委員(加藤代理)、長谷川委員、村岡委員、森田委員(座長)、山本委員、
横倉委員、渡辺委員
(事務局)
外口保険局長、唐澤審議官、武田総務課長、吉田保険課長、伊藤国民健康保険課長
鈴木医療課長、佐原保険システム高度化推進室長

○議事

○森田座長 それでは、ただいまから「第8回審査支払機関の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。まだお見えになっていない委員の方もいらっしゃいますけれども、時刻になりましたので始めさせていただきます。
 本日は、まず、今回新たに委員になられました方を御紹介いたします。
 前回まで社会保険診療報酬支払基金から出席されておられました足利委員の交代として、同じく社会保険診療報酬支払基金の小木津委員でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。
○小木津委員 支払基金の小木津でございます。よろしくお願いします。
○森田座長 続いて、本日の委員の出席状況について、事務局からお願いいたします。
○吉田保険課長 本日の委員の出席状況でございますが、田中委員、高智オブザーバーが御欠席という御連絡をいただいております。なお、御欠席の田中委員の代理として、国民健康保険中央会の加藤企画部長の出席希望をいただいております。
○森田座長 ありがとうございました。
 代理出席について事務局より報告がございましたが、本日欠席の田中委員の代理として、国保中央会の加藤さんに出席していただきたいということですが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○森田座長 それでは、代理の方にはよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局からの資料の確認は一応、終わりましたので、早速、本日の議題に入りたいと思います。
 さて、前回、第7回までで一通り審査支払機関である支払基金、国保連合会双方から、また、審査支払に関係しておられる関係者の方々をゲストスピーカーとしてお招きして、実情や課題などについて、議論をいたしました。
 本日からは、前回の会議の最後に事務局から示されました資料2「総括的議論に向けたこれまでの議論の整理について(素案)」をたたき台に、更にご議論をいただきたいものについて、これまでの議論を踏まえて、本日を含めて11月に3回御議論をお願いしたいと考えております。
 また「厚労省・審査支払機関において具体化、検討すべきもの」につきましては、実務的に検討・見直しを進めていただき、適宜報告いただくことにしたいと、このように考えております。
 そこで、まず、前回、事務局から素案として提示があったペーパーについて御議論いただきたいと思います。基本的に素案の問題意識については委員の方々からは特段の異論がなかったと認識しておりますが、座長といたしまして、検討会での議論を基に、改革が必要な主要事項を構造化してみたのが、資料3にございますポンチ絵でございます。
 委員の皆さんの間で、前回の素案も含めてですけれども、資料2、資料3の問題構造といいましょうか、考え方につきまして、何か特段の御意見があれば、お話をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
 高橋委員。
○高橋委員 資料3で、これまでの検討会における議論の構造ということで整理がされていますが、左側の「目指すべき姿」の一番上に「審査の判断基準の統一化」と書いてあります。これは、私どもの立場、あるいは支払側全体がそうなのかもしれませんが、被用者保険のサイドから言ってどうかということですけれども、最初の御提案は、全体の審査支払機関が統一、審査と支払を分けてもいいんですけれども、今、限定を審査機関にすれば、審査機関は統一されたものであるべきか、そういう問題の設定と、一方で規制改革会議からの提案はむしろ分権化の方向で、直接審査もあるし、しかも自由参入を認めていいんではないかと、こういう相対立する提案があったわけで、その提案のままでずっときているはずなんですけれども、なぜここで突然「目指すべき姿」という格好で価値観を伴って「審査の判断基準の統一化」という話が出てくるのか、私は理解できません。
 あと、もう一つ、何度も繰り返して申し上げていますが、いろんな姿を検討するに際しても、現実の今の2つの機関といいますか、2つの仕組み、支払基金と47の国保連、その間には査定率にかなり差があるわけで、その差を無視して統一という話を急に言われても、支払側としてはなかなかすんなり乗れないので、この統一化という話が前提として入ってくるのは、私どもとしてはとても納得しがたいということを申し上げたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 これについて、事務局の方からお願いいたします。
○吉田保険課長 十分な御説明をしないままに資料として御議論いただく形になりまして申し訳ございません。今の高橋委員の御指摘について、座長と御相談をさせていただきながらポンチ絵をつくらせていただいてた務局の認識としては、おっしゃっていただきましたように、この検討会に最初からお願いをしております審査支払機関の組織として統合か競争促進か、あるいは統合志向か競争促進志向かという議論はまだ引き続き御議論をいただくべきことだと思っておりまして、「目指すべき姿」の中で言えば「審査の標準化」をはじめとする部分に私どもとしてはその思いを込めたところでございます。
 ただ「審査の判断基準の統一化」という言葉を使わせていただいたものは-もし不都合であれば、御議論をいただいて幾らでも修正をさせていただければと思いますけれども-かねて議論になっておりましたそれぞれの審査の都道府県間におけるばらつきの背景に、ローカルルールの存在をはじめとする判断基準-座長の言葉を敢えてお借りすれば、ストライクゾーンの問題と、そのストライクを判断するアンパイアの問題という御発言がこれまであったかと思いますが、その部分で言うストライクゾーンについては-やはり組織、あるいはそれぞれの組織の中における都道府県支部間においても統一化を志向すべきではないか。あるいはそこが違っているということは、国民の間からはなかなか御納得いただきにくいのではないかというご意見を踏まえて「審査の判断基準の統一化」というものを書かせていただきました。一方で、個々の審査結果、審査支払機関が行っている審査の結果については、当然、一定の競争条件の下で審査支払機関が腕を競うにしても、それなりの標準化というものが必要、あるいは求められているのではないかという問題意識として、2つ目の箱に「審査の標準化」と書いたというのが、このペーパーを作成したときの思いでございます。そういう、いわば提案理由を踏まえて、委員の皆様から御意見いただければ、それに沿って、今後またこの資料についてもバージョンアップをさせていただきたいと思っております。
○森田座長 どうぞ、高橋委員。
○高橋委員 かねてから私どもとして申し上げているのは、支払基金の中で47の審査委員会の判断基準がばらばらで、こう言ってはあれですけれども、協会けんぽの立場から言えば、47都道府県全部に被保険者がいますから、その中で47の審査委員会がばらばら、かなりのポイントのところで審査基準がばらついているのはどうかということは申し上げてきました。
 ただ、被用者保険の中の話と、全然別の保険者である国保との間で統一化をするかどうかは全然別の話です。もし査定率が下がるというようなコストを支払った場合に、それが一方のゲインとバランスが取れるかどうか、そこは全然別の話なので、そこは私どもがかねてから申し上げる話と問題が変わっているんではないかと申し上げたいと思います。
 それから、もう一つは、判断基準の統一化というのは1つの組織体の中では議論になりますけれども、もともと審査機関の自由化、自由参入、それから、直接審査を提案になったということは、判断基準を統一化するという思想があったのだろうかという、疑問があります。みんなが同じ判断基準だったら自由化も何もないわけで、ある程度の幅があるんだったら、そこの中で査定率を競うような側面はあるかと思いますけれども、ここが全部同じだったら、サービスは全部同じですと言われたら、何かの違いをもって選ぶということは何もなくなるわけです。その場合、判断基準の統一化は何のためにやるんだという疑念がある。自由化を前提とする議論であるならば、この前提は合わないということを1つ申し上げたいと思います。
○森田座長 どうぞ、横倉委員。
○横倉委員 今の委員の御発言の中に、査定率とコストと連動するというような考えがあるんですが、そのように聞こえたけれども、査定率が下がるからコスト見合いができないというような考えがあるなら、それは本来の審査コストのあるべき姿と違うんではないかという思いがあります。
○森田座長 高橋委員。
○高橋委員 私が申し上げたのは、例えば、前回出ましたけれども、国民健康保険と支払基金を比べた場合に、手数料のコストの問題があります。これは、今のところ出ている資料では、国保連の方が安そうだと。そうすると、もし被用者保険サイドから国保連に委託をした場合に、そのコストの差のゲインはあるかもしれません。けれども、逆に査定率が低くなるというリスクを負います。リスクといっても、実際に低いですから、そこはロスになります。そうすると、私どもは、国保連との関係で、もし乗り出していくか、あるいはこういうように判断基準を統一化する場合には、事務的に統一した場合のゲインと、もしかしたら査定率が下がるかもしれないロスを十分比べなければいけないということを申し上げているわけです。
○森田座長 どうぞ、渡辺委員。
○渡辺委員 高橋委員がおっしゃっていることは一部理解できないんだけれども、私が前回言ったように、この検討会の目的は、現在の審査支払体制で問題があるから検討しろということで恐らく我々は集まっていると思うんです。最初は仕分けとか規制改革会議で統合であるとか自由競争という相矛盾したことを言ってきたことは確かなんだけれども、我々としてはあくまでも今の審査支払でおかしなところがあれば改善する、その結果として統合、あるいは一部統合なり共同作業なり、いろんな形態があり得ると思うんです。それを我々は検討すべきだと思うのに、今、高橋さんがおっしゃるのは、まず判断基準の統一化そのものがおかしいとおっしゃっているのか。私は、そういったことも一部あり得ていいし、先ほど来言っているとおり、現状の問題を解決するのはいろんな形があっていいと思うし、自由競争、新規参入もあっていいと思うし、そういう発想ではだめなんですか。前提の問題にかかわるから、改めて伺います。
○森田座長 どうぞ、高橋委員。
○高橋委員 最初に言いましたように、今までの議論の中で「目指すべき姿」として、ここの場で一致した意見としてこれが出た記憶は私にはありません。多分、被用者保険サイドは、国保も全部含めて統一された姿ということは、別にそこまでの話はしていないわけで、最初に事務局サイドから2つの提案がありますと言って、全国一本のものと、これは去年の仕分けですか、それから、もう一つは、かねてから言われている規制改革会議で直接審査、自由競争と言われていますから、そこは統一判断基準という話とどういう関係になってくるか。多分、矛盾するはずですから、判断基準を統一化したら、何で競争するのかという話になります。そこの話が前提として出てくるのはちょっと早いんではないかということを申し上げているわけです。こういう意見があって悪いとは言いませんけれども、この議論の前提としてこれが入ってくるのはおかしいと申し上げているんです。
○森田座長 どうぞ、渡辺委員。
○渡辺委員 少なくとも判断基準がばらばらであったり、例えば、手数料にしても、査定率にしても、そういったことがばらばらであっていいんだろうかという議論は当然ここでしたわけですね。だから、それを完璧に統一するのがいいかどうかというのはまた別の問題としても、今の審査支払、特に審査の問題点として判断基準がばらばらでいいんだろうか。ある程度いいんだという意見も当然あったし、地域によって違って当然だという意見もあった。でも、余りばらばらであると国民も納得しないから、ある程度のわかりやすい姿で、それが「統一化」という言葉かどうかは別としても、そういった発想は、我々の1つの方向としてあってもいいんではないかと私は思うんだけれども、それがいけないということをおっしゃっているんだったら、あくまでも競争に基づいて新規参入に障害になるからだめなんだというふうに受け取れるんだけれども。
○森田座長 どうぞ、高橋委員。
○高橋委員 最初に言いましたように、「目指すべき姿」として議論の前提で入っていることがおかしいと申し上げているんです。いろんな意見があるということは認めます。本当にきれいな格好で統一化できるとしたら、それはいいかもしれません。最後の議論として、全国一本の組織でちゃんとやるんだと、その場合には統一基準になるだろうし、それだったらいいんですけれども、組織論としてはばらばらなままで、判断基準だけ統一化しますと、そこが前提として入ってくるのはおかしいんではないか。私は議論の仕方の問題としておかしいと申し上げているんです。
○森田座長 ほかにいかがですか。
 齋藤委員。
○齋藤委員 いろんな立場の方が集まったときの意見のまとめ方としては、例えば、この問題について考えましょうというときに、問題設定はある程度取捨選択しなければ一歩も進まないと思うんです。そういう点で、事務局であるとか、座長が何と言っても全体を見渡しておられるわけなんで、それを踏まえて、このテーマについて話しましょうと、そういうことで、それぞれのお立場の委員が、これについてはこういう観点から反対ですとか、両論併記とか、いろんな格好があり得ると思うんですが、テーマそのものについては、言葉遣いや何か、前提みたいでおかしいとか、それはいろいろあるでしょうけれども、議論の入口のテーマについて、問題設定を余り深く追求しても、建設的な議論は出にくいのかなと私は思いますけれども、いかがでしょう。テーマについて、必ずいろんな意見があり得るわけです。これについて、こういう立場から反対ですとか、そういう意見を率直に出していただくのはいいんだけれども、問題設定そのものがけしからんというふうになると、今後のことがいろいろあるわけですけれども、物事は一歩も進まないということになりかねないので、ここは私は議長一任、事務局一任で進めるのが、そういう格好で出てきた委員会ですから、それをせざるを得ないと思います。
○森田座長 高田委員、どうぞ。
○高田委員 高橋委員がおっしゃりたいのは、前提がけしからんというわけではなくて、議論のほかとの絡みの中で、ここだけポンと出るのが、私は審査基準のところは、まず、今の制度の中で、私ども被用者保険の場合、法律上は別として支払基金にお願いするしかないわけです。その中の、まず、それぞれの支部ごとに基準に差異がある。その部分の話から広げていって、トータルで、最後の最後に目指すというのはわかるんですけれども、その辺の話と競争、統合の話が、今回いただいたポンチ絵を見ましても、いろんな意味で、工程表というか、スケジュールと、いろんな議論の項目が相関するというか、かかわってくるところが見えないので、これをこうしたら、こうなっていくから、こうなっていくという道筋がないと、項目だけばっと並べても、ITならITをまずここまで進めてやって、次にここをこうするとかになればいいんですけれども、議論が並列的に進む中で大きい話がポンと出ているんで、わかりにくいというところもあるし、その意味で、けしからんと言われているんではないと思うんです。
○森田座長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 高橋委員の御指摘も大変重要な中身を含んでいるのですが、入口のところで問題設定がどうとか、こうとか、そういうことになると、議論が空回りして、まさしくウェストオブタイムです。そのことを当然座長もお含みの上、今後の議論を、こういう議論もあるけれどもということで先に進めていくのがプロダクティブな委員会の在り方ではないかと思います。
○森田座長 岩田委員。
○岩田委員 余り大した意見は申し上げられないんですけれども、多分、最初の「審査の判断基準の統一化」というのは、確かに明確にここで議論がされたかどうか、私もあいまいですけれども、そもそもここを疑うことは難しいような気がするんです。国保であれ、基金であれ、ルールは基本的には同じはずなので、ただ実際上は差があるという話なので、そこのところでルールの基準の統一化を否定することは多分できないんだと思うんです。前提としてはこれは動かせない。
 ただ、高橋委員が言われているのは、ここの議論はそもそもの現状を前提としないで、あるべき制度論を考えるというのが前提だけれども、最終的には、今ある2つの大きな組織でどっちかを統一するという話になると、足して2で割ったということが起こりがちなので、そうすると基準がどっちかにとっては下がったり上がったりすることが気に入らないということだと思うんです。でも、もしかすると、今、厳しい基準の方に統一化する可能性だってあり得るので、そうすれば高橋委員もそんなに批判されないんではないかと思うんです。
 もう一つ、競争と統合という話だと、ここでルール自体が違って、組織が幾つか参入してきてやるということは、法律上難しいような気が私はするんです。そもそも報酬についての基準は統一であるはずです。それに基づいてそれぞれの機関がやるので、競争するのは、その中での効率性とか、いかにスピードよくやるかというようなところで競争するという話があり得るはずなので、基準が複数ないと競争できないという話には、私は個人的にはならないような気がいたします。済みません、まとまりませんが。
○森田座長 長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 私も、この「審査の判断基準の統一化」については、たとえ明示的ではなくても、合意していたという理解をしてございます。組織体として単一にするか、あるいは複数を認めるか、それと、ある医療行為が保険の審査に際して保険で賄われるかどうかという判断基準はやはり分けて考えるべきであろうと考えます。もし異なる判断基準を認めるとすれば、例えば、保険によって、地域によって、ある病気に対する治療行為が認められる、要するに、保険で賄われる場合と、そうでない場合がある。医療機関からすると、それに対応するためには、患者さんを診て、保険証の確認をして、あなたにはこの治療はいいけれども、あなたにはだめだということをむしろ正当化する行為であって、帰結を考えれば明らかに弊害の方が大きいわけで、「審査の判断基準の統一化」というのは「目指すべき姿」の1つとして取り上げることに疑問の余地はないと考えます。
○森田座長 高橋委員、何かございますか。
○高橋委員 別に絶対に私の意見を通せと言うつもりはありません。要は、抽象論としてはいいんですけれども、現実にいろんな査定の細かい話を見ていますと、どこまで統一するのかによっては本当にいろんな影響が出ると思いますので、そこは私も保険者として留保をつけざるを得ないということは申し上げておきます。いずれにしても、私ども、多分、健保連もそうだと思いますが、金科玉条のごとく、最後までこれで行くんだということは異論があるということは申し上げておきたいと思います。
○森田座長 課長、どうぞ。
○吉田保険課長 齋藤委員から座長と並んで「事務局にも一任」ということでしたが、私ども、一任をいただくにはちょっと荷が重過ぎまして、御議論をいただくための整理を準備させていただいていると思っております。少し申し上げれば、私ども、座長からいろいろな御示唆をいただいて本日の資料を整えましたときに-こう書いてあるからということを申し上げるつもりはございませんが-前回、この場で最後にお示ししまして、本日もまた今、お取り上げいただいております全体の議論の整理としての資料2の3ページ目から、審査の判断基準の統一化、ITの活用というものは、私どもの認識は、金科玉条かどうかは別にして、一定の方向性についてはコンセンサスがあったけれども、技術的にそれをどうするかというところでは幾つかの課題があるんではないかという話。
 それから、同じような資料で、ちょっと先走って恐縮ですが、本日用意させていただいています資料4-2という、左右見開きの、ポンチ絵が後ろの方に出てこようかと思いますが、この後、それぞれ御議論をいただきます、まさに組織論としてどうあるべきかというときに、国民健康保険団体連合会ルート、あるいは支払基金ルートの両方を考える際に、組織が統合する、あるいは競争促進的になるに限らず、判断基準という意味では一定の方向を目指すべきではないか。結果、それが、今の高橋委員のお言葉を借りれば、いかに適用した結果として適切なものになるか、あるいはそれをより効率性の面でどのように成し遂げるかという意味での一定の複数機関における比較、あるいは競争性というものは担保できるのではないかという頭の整理でつくってはございます。言葉遣いですとか、あるいはその辺についての議論を深めていただければ、事務局としては、その上でまたこのペーパーについては、言葉遣いを含めて直させていただきたいと思います。
 私どもとしては、そういう意味では、判断基準というものの統一化志向というものと、その結果、適用した個々の審査についてというお話は、観念的には2つあるのではないか。ただ、高橋委員からお話ありましたように、保険者のお立場から、実際上は、それが現実に動いていくときにどうなるかという御議論があれば、それを踏まえて私どもも対応したいと思っています。
○森田座長 ありがとうございました。
 このペーパーにつきましては、私の方から、これまでの議論、論点がかなり個別的な論点ですので、全体像を見る必要があるのではないかということで作成をお願いしたものです。「審査の判断基準の統一化」ということにつきましては、今、吉田課長から説明があったような理由でこういう項目を挙げてもらいましたけれども、基本的にこの会議で、最終的にどちらの方向に向かっているのか。そこまで到達することはなかなか現状では難しいのは十分認識しております。ただ、個別的な議論をして迷走してしまっても困るということで、こちらの方向に向かっていくべきではないか、まさに目指すべき方向性を示すということで、こういう1つの考え方が、これまでの議論の中からは、先ほどもお話ございましたけれども、にじみ出ているのではないかと思って書いたわけです。
 今日、かなり活発に御議論いただきまして、そういう位置づけであるということで理解をしていただければ、更にこれを修正することも可能だと思いますし、この下の部分についてもこれから御議論あろうかと思いますけれども、ある程度これをベースにして、1つの方向性、そのためにどこまで議論を進めて近づけていくことができるか、そのような認識でこれからも御議論いただければと思っております。
 ここからは個人的な意見になりますけれども、統一化について申し上げますと、規制改革会議、あるいは事業仕分けで指摘されたことは、現在は2つの仕組みがあって、それぞれが競争しているというよりも、むしろうまく棲み分けて共存しているような形になっていて、それが、独占の弊害と二重性の弊害と両方持っているというのが、両方の指摘から出てくる問題点ではないかと思います。
 それを解決するためには、一元化をしてしまうという効率化の方法もあれば、むしろ積極的な競争を促すという方向での改革もある。どちらかを取るかというのはなかなか難しいところですけれども、それが今、課長がおっしゃったように、どういう形で実際の審査をしていくかという、審査機関と仕組みの方の話ではないかと思います。
 完全に競争ということになりますと、保険の原点に返れば当然のことですけれども、保険者の側が保険でどこまでカバーするかという保険サービスと、反対側におきましては、保険料を幾らにするかということが論点になり、そこでバランスを取るのが保険の原理になっているわけです。我が国の健康保険制度の場合には、そうした意味での保険制度が必ずしもきちんと貫かれていない。それが皆保険制度の1つの理由でもあるわけです。
 そうした形になっている中で一番何が望ましいのかというときに、今、申し上げましたような2つの系統がそれぞれ寡占化をしているという、その仕組みはこれからの在り方として説得力を持てないのではないか。その意味で、判断基準の統一化というのは、二元的な仕組みそのものがこのままでいいということについて、どれくらい合理性を持っているか。まさにこのことが問いかけられているところではないかと、そう認識した次第です。
 この点は、あくまでも未定稿の素案のようなものですので、これから出る御意見も含めまして、事務局と相談してリファインしていきたいと思います。予定した時間も過ぎておりますので、この議論はよろしいですね。
 それでは、更に幾つか御議論いただきたい内容がございますので、それにつきまして、本日、事務局の方で論点案を用意していただいております。そこで、その項目に従って順次議論したいと思います。今、この図でお示ししたところは全体の見取り図のようなものとして頭の片隅に置いていただければと思います。
 それでは、まず事務局にお願いしますが、資料4のうちの都道府県単位の審査体制の在り方の部分につきまして、そして、それに関連いたしまして、支払基金の方から提出資料が出ておりますので、それについての御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○吉田保険課長 それでは、お手元の「資料4-1」と、それを横に置いての「4-2」というイメージ図と、両方ごらんいただきながら御説明させていただきたいと思います。
 「4-1」は、前回までの議論の中で、更に深めていただくべき資料について、トータル10ページまで、大きく3つの柱、もうちょっと細かく言うと4つの柱での整理を事務局なりにさせていただいたものでございます。
 まず、その前提として、今もまさに御議論いただきましたように、4-2の左側の図、「審査の判断基準の統一化」については、今、支払基金と国保中央会、国保連合会という2系列の中においても、本部レベルで、あるいは都道府県レベルで一定の連絡協議会などを開催することによって、適用すべきルールについての一定の統一化というものが求められているのではないか。今後これがどのような競争促進、あるいは統合志向であろうとも必要ではないかという問題意識を、まず、私どもとしては1つ立てさせていただいた上で、次に、都道府県単位の審査体制としてどう考えるかについての論点を整理させていただいております。資料4-2につきましては右側をイメージしていただく、あるいは資料4-2の裏側の左側という形で2ページにわたっておりますが、その辺りを意識してごらんいただければと思います。
 資料4-1、都道府県単位の審査体制に関するこれまでの御議論といたしましては、現状として、それぞれが都道府県単位で原審査、再審査を行っていることに対して、そこにポツで4つほど書かせていただいておりますような問題がこれまでの御発言の中にあったかと思います。参考までに、その下、※1と書いてございますが、現在、支払基金及び国保中央会につきましては、特別審査委員会が設けられていることもこれまでの議論の中で御紹介したかと思います。
 更に、私ども事務局として、これまでの御議論を深めていただきたい点について、2つ柱を立てました。1つは「高度・専門性を有するレセプトの審査の在り方」。これについては、例えば、中央、ブロック単位という形で集約化して審査することの適否、あるいはそれが実務的に可能かどうか。2つ目の○として、仮に集約化の方向を目指した場合に、それぞれの組織の中での集約化よりも、審査基準の平準化、あるいは運営コストの効率化という点から、統一して機能するような考え方についてどう考えるかというのが、高度・専門性を有するレセプトの在り方についてでございます。
 4-2は、それをポンチ絵にしたものでございますが、例えば、支払基金の中においては、高度・専門性を有するレセプトについて、今後の取組みとして、本部がそれぞれの支部に対して一定のコンサルティングをする、あるいはそれぞれの支部のブロック単位での会議を通じて一定の専門分野の審査機能の強化を図ることが取組みとして始められていると承知をしております。それを踏まえた上で、更にどのような方向を目指すべきかということを念頭に置いております。
 4-1の2ページ目でございますが、今のような問題意識の下で「高度・専門性を有するレセプト」という切り口から考えた場合に、例えば、中央やブロック単位で集約化するという方向性について、1つ目のポツとして、そもそもレセプトの審査が中央やブロック単位に集約することが適当なのか、あるいは県単位に分散化することが適当なのかというものを、私どもの論理の順番として1つ置かせていただいております。
 私どもとしては、これまでの御議論を踏まえると、一定の高度・専門性を有するレセプトについては集約化という方向が考えられるのではないか。理由として、1つ目は、やはり請求内容が複雑多岐なもの、あるいは県単位では必要な審査委員の方々が確保できないようなものは集約化というニーズ、あるいは必要性がこれまでの御議論の中で示されているのではないか。
 ?Aとしまして、逆に請求額の小さいもの、ある意味で一般的なレセプトと申し上げていいのかもしれませんが、そういうものについては、適正な審査を確保する、あるいは審査コストというものを考えた場合に、集約化ということが現実的ではないのではないか。そういう意味では、今も国保連、あるいは支払基金は県レベルの中で審査対象を重点化しているというお話をこれまで御報告いただいておりますけれども、都道府県単位でありながら、ある程度重点化するということで、管理コストの節減、あるいは効果的な選別や、これまでの議論にありましたように、単にレセプトの審査だけではなくて、審査支払機関における取組みを通じて、医療機関側から適切なレセプトを出していただくことにもつながっている。そのフィードバック機能などを考えること。そして、現実に審査を行うに当たりまして、一般レセプトまで視野を広げますと、相当数の審査委員の方々、現に今、御活躍をいただいておりますものをどのようにまとめたところで確保できるのかということを考えると、ある程度、県単位という形での効果的、効率的な審査というものがあるのではないかと、私どもとしては問題提起をさせていただいております。
 具体的に、2ページ目の※1に、先ほど御紹介いたしました特別審査という、支払基金本部もしくは国保中央会における現状は、一定の金額の高いレセプトについて、それぞれ5万分の1、あるいは4.6万分の1ぐらいの抽出率によって審査が行われているという現状がございます。
 また、支払基金におきましては、これまでの御報告の中で、紙レセプトについては今、申し上げたような、都道府県支部レベルでの重点審査という形で推し進められているかと思いますが、今後、電子レセプト化をすることによって、この辺りの業務フローが効率化できるよう、必ずしも一定のものということではなく、全レセプトの審査という形も実現できるという方向で取り組まれていることも御報告があったかと思います。
 資料4-1の3ページ目でございますが、そのような形で、ある程度、高度・専門性を有するレセプトについて集約ということを考える場合に、2つ目のサブクエッションとして、どうやって高度・専門性というものを切り取るかということが課題になろうかと思います。これからいろいろ御議論をいただきたいと思いますが、事務局の提案としては、請求額というものをいわば擬制して、代替的にそこで区分するという方向が合理的ではないかと思っております。
 箱の下に?@、?Aと書いてございますが、例えば、?Aにございますように、請求額以外に医療の内容に関する要件を考えた場合に、診療内容の選択に影響が出るのではないか。あるいは請求側であります医療機関側の皆さん方に、請求誤り、あるいは混乱というものが生じる恐れがないかということも事務的には心配しておりますが、この辺り、委員の皆様方から、これは可能かどうかについて御議論を深めていただければと思います。
 3つ目の話として、仮にそれを集約化という方向にした場合に、どの単位で集約化するか。ブロック単位なのか、中央レベルなのかということについては、私どもの提案としては、先ほど高田委員のお話がございましたように、工程表のような形で物事の時間軸というのを入れなければいけないかと思いますが、将来的な方向としては、中央の審査機関の集約ということが考えられるのではないか。
 具体的には、その下、?@、?A、?Bという考え方を、私どもの頭の整理を書かせていただいておりますが、ブロック単位という場合に、ブロックごとの判断の差というものをどういうふうに考えるか。あるいは支払基金においては、ブロックという概念、組織運営上もいろんな形で管理業務などの集約化をはじめとする先行取組みから見れば現実的かと思いますが、国保連の場合は県単位でございますので、ブロックというものをどう考えるか。そして3つ目に、高度・専門的な分野の審査委員の方々の確保というものを考えた場合に、どういうふうに見えるかということを挙げさせていただいております。
 なお、4ページ目につきましては、逆に中央に審査を集約した場合の留意点という意味では、1つ目の○にございますが、審査の質の向上と必要な審査コストというものの費用対効果をどういうふうに考えるか。また、現実問題として、今の特別審査委員会という形で行われております支払基金本部、あるいは国保中央会というのは、先ほど申しましたような抽出率でありますけれども、更にそれを拡充するということになれば、審査委員の体制の確保など、どのような形でどこまでできるかということも実務的には問題かと思っております。
 5ページ目でございますが、このような形である程度集約を志向していた場合に、次の課題として、基金と国保連という2系列あります今の仕組みの中で、どのように位置づけるかということについては、中長期的な条件を幾つか議論をし、整えなければならないかと思いますが、それをした上で、特別審査委員会の合同審査のような形が目指されるべきではないかというふうに事務局としては問題提起をさせていただいております。
 いずれにいたしましても、その下には、合同審査というところに行き着く前においても、審査基準を統一化するための定期的な連絡協議のようなものがあるのではないか、必要ではないかというのがこれまでいただいた御議論かと私どもは受け止めております。この辺りも深めていただければと思います。
 なお、5ページ目の下の?@、?Aは、現在の特別審査委員会の運営の在り方を踏まえて、もしこのような形を志向した場合に、今後、運営コストの負担の問題など、あるいはシステムの改修などの問題もある。そういう意味ではコストが発生するということを書かせていただいております。
 全体として、まず都道府県単位の審査の在り方ということで、少し長くなりましたが、私どもの頭の整理を御紹介いたしましたので、御議論いただければと思います。
 続けて、これに関連しまして、かねてよりこの会議で都道府県別の査定率の問題についてということで、私ども事務局から支払基金の方にもお願いをして、基金の方での御議論のとりまとめができたという御報告をいただきましたので、御紹介をいただくようにお願いしてございます。
○森田座長 それでは、お願いいたします。
○小木津委員 支払基金の小木津でございます。
 それでは、参考資料2-1に基づきましてポイントを御説明させていただきたいと思います。
 参考資料2-1の表紙をめくっていただきまして、1ページになりますが、既に第4回検討会で報告した調査結果でございますが、復習の意味でお話しさせていただきます。山口支部と福岡支部において、同一のレセプトを相互に交換して審査をするとともに、第三者的立場として千葉支部においても当該レセプトを審査し、その結果をまとめたというものでございました。
 山口の医療機関のレセプト、福岡の医療機関のレセプト、どちらについても、3支部間で査定状況及び返戻状況に三者三様の差異が見られたという結果でございました。
 続きまして、これを詳細に見るということで、追加調査をいたしました。その観点は、3支部の審査結果が異なる原因を明らかにするために、個々のレセプトについて、支部審査委員会が同一個所について「査定」とした理由、逆に「請求どおり」とした理由について、それぞれ確認し、審査結果の相違について検証を行いました。
 続きまして、2ページでございますが、全体的な査定の状況でございます。この中で、今回追加調査で特につけ加えましたのが、査定箇所数でございます。査定箇所数で見ましても、全体の査定の箇所に対しまして、複数支部で査定したものが右側に書いてありますが、逆に1支部でのみ査定したものが6,911か所のうち5,994か所、86.7%ということで、1支部のみの非常に査定が多いということで、一致していることが逆に少ないということでございました。
 続きまして、3ページでございます。これは、山口の医療機関のレセプトについて3支部で審査した結果、福岡の医療機関のレセプトについて3支部で審査した結果をまとめたものでございます。ここで見ていただきますように、山口の医療機関のレセプトを対象とした場合は、山口の支部の8倍という率で福岡の査定が多かったということでございます。逆に福岡の医療機関のレセプトで見ますと、1~2倍ぐらいの範囲で、件数、箇所数ともに大きな開きはなかった、比較的格差が少なかったということでございまして、この結果から見ますと、山口の医療機関のレセプトにおいて、特に大きな格差が見られたということでございます。
 続きまして、4ページでございます。今までは全体の状況でございましたが、次に、査定理由に着目して更に調査をしております。その前提として、まず、理由を大別しております。ルール等ということで、判断基準が明確なもの、または一定の判断が形成されているもの。その中身としましては、算定ルールの解釈によるもの、支部取り決め事項によるもの、これは明文化されたものでございます。申し合わせは必ずしも明文化されていないが、支部の中で合意されたもの。通常の審査。これは、過去の審査の積み重ねの中で、こういったものについてはこういった判断をするという暗黙の形成されたルールがあるものということでございます。
 続きまして、レセプト個別。これは、多種多様な請求内容を個別に判断するもので、病名から判断するもの、あるいは他の診療行為から要否を判断するもの、あるいはコメント、症状詳記から判断するもの、その他いろいろな医学的判断がございます。
 それと、大きなその他ということで、3つに大別して整理いたしました。
 次に、5ページにまいります。「ルール等」あるいは「レセプト個別」という大きな区分で見た場合に言えることは、1つとして、「ルール等」による「査定」について調べましたところ、「ルール等」の中でも支部間で整合性が取れていない。これが多数存在したということでございます。
 もう一つ「レセプト個別」という区分の中で見た場合には、福岡の支部の査定に対しまして、山口支部は「ルール等」の区分の理由で請求どおりとしているものが多いということであります。
 以下、時間の関係で、山口の医療機関のレセプトの査定状況について焦点を当てて御説明をさせていただきます。それぞれ、ここに書いてございます福岡支部の査定理由の「ルール等」でこれを詳細に見たもの、そして、福岡支部の「レセプト個別」という査定理由について詳細に見たものを以下、見ていただきます。
 続きまして、6ページでございますが、「ルール等」の中身を見ているものでございまして、福岡支部が「ルール等」で査定したものについて、その中身を詳細に見たところ、「申し合わせ」という理由で査定した部分が目立ちますが、これについて、山口支部は請求どおりとしているが、その理由は何だろうかということで見てみますと、その真下にございますが、そのうちの83.0%、215か所は「支部取り決め事項」で請求どおりとしたということがわかりました。また「通常審査」とされている福岡支部の査定理由の280か所に対しまして、山口支部はどういう理由で請求どおりとしていたかということでございますが、「ルール等」に属します「通常審査」という判断基準によりまして請求どおりとしたものが21.1%、個別の判断の「病名から判断」してということで請求どおりとしたものが64.6%でございました。
 続きまして、7ページにまいります。こちらは福岡支部がレセプトの個別判断によって査定したものにつきまして、山口支部がどのような理由で請求どおりとしたのかを見たものでございます。福岡支部の場合、一番多いのが「病名から判断」ということで、80.7%が査定されております。これに対しまして、その真下を見ていただきますと、いろいろな理由があるんですが、山口支部が請求どおりとした理由として、まず「ルール等」に属するものとしては「支部取り決め事項」で11.1%請求どおりとしていますし、「通常審査」ということで32.6%が請求どおりとしている。また、同じ病名という分類でありますが、「病名から判断」して46.2%が請求どおりと、このようにしているという結果でございます。
 以上、調査結果をとりまとめてみますと、両支部における「支部取り決め事項」や「申し合わせ」という明示されたルールにおいても、また「通常審査」という審査委員会において形成された判断基準においても、更には「病名により判断」という例にありますような医学的判断においても、隔たりが多数あったということでございます。
 続きまして、8ページでございますが、これらを踏まえまして、今後、支部間差異解消に向けて機能強化をしていくということの考え方でございます。これまでの解消のための検討委員会に加えまして、更に新しい方策として、既に御紹介しておりますけれども、審査に関する苦情等相談窓口を本部に設置する、あるいは専門分野別ワーキンググループを編制する、あるいはブロック別の審査委員長会議を開催する、あるいはコンサルティングを実施する、医療顧問を配置する、こういった新たな方策で解消を加速させていきたいと考えております。
 続きまして、9ページでございます。今後、IT化が進んでいく中で、電子レセプトのチェックが開始されます。これによりますと、全国一律の条件で電子的なチェックを実施することになりますので、今回のような手作業でレセプト交換調査を実施するまでもなく、全国の支部の審査上の取扱いの差異が把握できるということになります。
 今後、これらのデータを分析、評価することによって、支部間差異の解消に努めていきたいと考えておりますが、それを少しわかりやすくしたものが10ページでございます。電子レセプトのチェックにおきましては、イメージ図でございますが、医薬品をチェックした場合に、ある支部についてチェック対象項目がどのくらい出現しているかというのを見てみますと、例えば、一番左の図のような出現率だったとします。その医薬品について、コンピュータによるチェックで疑義付せんが付された率を見てみますと、少し変わってくるということで、このようなことが見られる。
 ここまではそれぞれの支部におけるレセプトの内容の違いによるものでございますが、更にそれを職員の目で点検して、疑義として審査委員に上げるものとして残すところ、職員の審査事務によって差が出てくるということで、次の図のような差が仮にあったとします。更に、それを受けて、審査委員会で審査した査定率は最終的に右のようになるということでございまして、このようなことを各チェック項目ごとにやりますと、今回実施していたような機能が果たせる、こんなことでございます。
 以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの報告と、支払基金からの資料の説明につきまして、どうぞ御意見、御発言いただきたいと思います。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 地域差とか、支部間差については、総論的、あるいは開始時点での私の考えとしては、国民皆保険制度において国から多くの支援が行っているものであるから、ダブルスタンダードがあったり、地域によってかなり支援の差が出てくるのは問題があるのではないかという一般論は確かにあったのですが、過去7回、特にいろいろな地域における医師会の先生方のお話とか、地域での審査の実態をいろいろ伺うと、それなりにもっともな納得できる理由が地域間差にあることがだんだんわかってまいりました。
 確かに医療というのは非常に動的で、かつ柔軟なものでありますから、全国画一の基準で押し通すのがよいのかどうかというのはかなり疑問で、まず、地域によって疾病構造が非常に違っておりますし、年齢構造も違っておりますし、生活習慣病の発症状況なども全く違うし、県民1人当たりの医療費の格差というのも県によって非常に違うわけです。それから、医師その他医療従事者の供給体制も違います。そういうものを全く無視して、一律に押しつけることが地域住民の幸せを担保するのかというと、これはかなり疑問なしとしないということです。そういうことで、リーズナブルな理由によって発生した地域間格差はむしろ是認して、それは認めていくというのが妥当な、血の通った保険審査体制の在り方ではないかなと、そういうふうに思っております。
 そういう点で、地域間格差であるとか、支部間格差がなぜ発生しているのか、そして発生した中身の由来が、疾病構造であるとか、だれが見てもこれは無理からぬことだなということで発生するのであれば、それを何もかも一律にやるような在り方は大変好ましくない。中央が果たすべき機能は、方々でいろいろな地域間格差が発生したときに、それの中身と、理由と、いわゆる妥当性、リーズナブルな格差なのかどうかと、それを住民医療の立場でジャッジする機能がとても重要ではないかと、私はそういうふうに思っております。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 山本委員。
○山本委員 私も同様に思います。いつも齋藤先生のお話には反対だと言う方なんですが、今日は大変賛成でありまして、今の議論は審査と支払という2つの側面から議論されていて、審査という意味で言えば、先ほど高橋委員もおっしゃったように「統一性」という言葉の使い方が難しゅうございますので整理が要ると思うんですが、少なくとも保険医療で一定の医療を供給する枠組みという意味では、統一されたものが要るんだろう。それをどう評価するかについては、先生おっしゃったように、地域によって差が出てまいりますので、患者さんそのものに医療が提供できなくなるような形での審査を縛り込むというのが本来の目的ではないだろう。
 その一方で、支払をするという観点からすると、ここにも載っていますけれども、どのようなものを中央に上げるかという議論の中で、金額が高いものだけまず上げようではないかというのは確かに一定の合理性があるのかもしれませんけれども、例えば、調剤で言えば、薬が大変高うございますので、その部分はどうなのか。たまたま4,000点という枠で切られていますが、これからたくさん高い薬が出てまいりますと、嫌でも治療の必要性がある、その結果、費用が上がる。それは調剤が悪いのか。むしろ治療の考え方からすれば当然あってしかるべき話ですから、そうしたことが起こらないような審査と支払を明確に分けた議論をしませんと、せっかくここで統一するか、しないか、先ほどの話でありましょうけれども、議論が少し混乱をしますので、その辺りも踏まえた議論が必要だなと考えます。
○森田座長 ありがとうございます。
 ほかに。
 渡辺委員。
○渡辺委員 私もお二方のおっしゃっていることは賛成なんですが、そこで基金の方に伺いたいのは、今、お話あったけれども、この都道府県格差というのがどこから出てきているかという分析はなさっているんですか。もしなさっていれば、それを伺いたい。まず、それをとりあえず伺います。
○小木津委員 原因となるものの大本は、多種多様な原因があると考えられますので、こういった調査結果の中である程度、この辺りにあるんではないかという当たりをつけたり、あるいは先ほど御紹介いたしましたけれども、IT化によって、電子チェックによりまして、その原因がどの辺りにあるんだろうかと当たりをつけるということからまず入っていって、実際には、それぞれ審査委員会の先生方が相互に支部間の枠を離れて議論していただき、情報交換をしていただく中で見つけていくという地道な作業がどうしても必要になってくると考えております。そういったことのきっかけになる、あるいはそのためのツールになるように、先ほど申しました新しい方策を活用していきたいと考えております。
○森田座長 どうぞ。
○渡辺委員 もう一点だけ。例えば、私のわずかな経験で言うと、離島に行きますと、そこに医療機関は1軒しかなくて、そこでは、今、齋藤先生おっしゃったように、ある意味で別なと言うとオーバーですが、文化的にも違うわけです。あるいは都市部でも違うし、そういったところを反映しないで一律にやってしまったら、かえってマイナスが大きいということも現実です。あるいは過疎の村もそうであります。なぜ格差が出ているかという本当の原因を追求しないと、基準の統一化はある意味では必要かもしれないけれども、基準の統一化プラス、簡単に言ってしまえば、地域の医療でどうしたって不採算が出てくる病院があるわけです。ちょっと話が違うようですが、赤字はすべてけしからんと言ってしまったら医療はできなくなってしまうのと同じように、地域によっての差というものをどう認めるかということは原因の究明が必要ではないかと思います。
○森田座長 どうぞ、横倉委員。
○横倉委員 私も福岡県で10数年審査員をやっておりましたので。結局、どうして山口と福岡でこれだけ差が出るかと言いますと、「ルール等」で「支部の取り決め事項」については明文化をされている。この明文化をされているということは、ある程度、医療機関にも周知がされているんです。しかしながら「申し合わせ事項」というのは、申し合わせでありますから、明文化がされていない。医療機関もまだ理解できていない。それで査定されることによって、再審査請求をする中で理解をしていくという部分だと思います。
 実際に査定といいますか、審査の中で、一番大きいのは、薬剤については適用かどうかという問題、それと用法用量のところでありますが、これについては薬効による医師の裁量権というのがどうしてもありますから、その解釈が違ってくる。あとは、検査の回数の問題とか、最近ではリハビリの適用の問題、回数の問題、これは診療報酬のある程度のルールづくりの中でやられてきましたので、今後はそう大きくないと思いますけれども、保険者から相当そういうものが再審査に上がってくる。今、査定にこれだけ差が出るのは、山口と福岡のところの解釈の違いが一番大きいのではないかと思っておるところであります。
 それと、今、渡辺委員が言われた、いわゆる離島や僻地と言われる農村部での問題でありますが、実は、診療報酬の中でも、投薬の薬剤数がある一定数を超しますと、薬剤費を何%かダウンしなさいというようなルールがあるわけです。地方に行きますと、1つの医療機関で4つ5つの診療科の薬を出さざるを得ない。各専門医がいるわけではないですから。そうすると、それが査定をされるという、非常に不適切な事例があるんです。私は10年ぐらい前に中医協にも出させていただいていたんで、そのときもこの点は指摘をしたのであります。そういうこともあるということを審査の中でも御理解をいただきたいと思います。
 齋藤先生がおっしゃった、地域、地域で医療の在り方が少しずつ変わるよというのはそのとおりです。福岡は御案内のとおり、1人当たりの老人医療費は日本一高うございますので、そういう中で、ある程度のルールをしっかりつくっていこうという審査委員の中での合意があるというのも事実だろうと思っておりますので、そういうことをつけ加えさせていただきます。
○森田座長 ありがとうございました。
 遠藤委員。
○遠藤委員 今のことにも関連するんですけれども、審査の際に一律で切れるかどうかというのは制度によるところが大きいと思うんです。いろんな国で皆保険をやられていると思うんですけれども、日本の場合、皆保険で、かつ皆給付なんです。混合診療は禁止している。基本的なところがあれば、審査で査定された医療は提供できないということになります。例えば、介護保険のように、4回まではいいけれども、5回からは自分で払えということであれば、費用の問題は出るけれども、医療の提供ということに関しては余り問題ないかもしれないけれども、日本の場合は、原則として必要な医療は保険で給付する。保険証を持ってくれば、医療機関は義務として保険医療を提供する。保険者は支払う義務があるということです。そこである行為を止めてしまう、査定してしまうと、その医療行為は提供できないことになります。
 では、必要だから一律認めるかというと、それはそれでまた非効率な話になると思うんです。ある患者さんにとっては必要だったけれども、一般には必要でない、そういうことは結構多いと思うんです。それをどう判断するかというのは診断行為になっていると思うんです。だから、日本の審査は、ある意味で診断行為である。だから事務的にはできない。だから医師、歯科医師、薬剤師の方も入っていますけれども、診断行為を伴う審査をやっているというのが日本の特徴だと思っているんです。
 ですから、それをなくす、一律コンピュータとか、事務でやるということになったらば、皆保険皆給付というのは無理ではないか。どちらを選択するかは国民の選択だと思うんですけれども、そういうことを前提にやっていただかないと、査定率を上げると言われましても、査定率を上げればその医療は提供できない。勿論、不適切な医療はだめでしょうけれども。
 ですから、競争するということであれば、事務経費の問題とか、見逃しとか、それは当然適切に競争しなければいけないところであるけれども、査定する内容は、それが適切かどうかは、医師、歯科医師、また薬剤師の診断、それは地域を把握していなければいけないし、現場を見ていなければいけない、そういったものが必要になるんで、その辺を考えてやっていただかないといけないんではないかと思います。
○森田座長 高田委員、どうぞ。
○高田委員 保険者の方から言わせていただきますと、私どもは前から申し上げているように、1か0か、デジタルでどうこうするつもりもありませんから、当然いろんな裕度がある中で、さっきの地域的なものとかも考慮して審査をすべきだということは基本的に同じだと思うんです。さはさりながら、医療も科学の1つだと思っていますので、そんなに極端に違うことがあるのか。地域的なもの、いろんなことがある中で、ある程度収れんしていく。グレーというか、その中の幅がある、ほかの業界でもそういうことはいろいろありますから、何もITで全部をやってくれとか、最初からばさっと切れとか、そう言うつもりもありません。
 要は、審査基準というお話が今日いろいろ出ていますけれども、その基準で全部切るんではなくて、ある程度基準でまず引っかける、チェックをする、その中で個別の事情を見て判断して、必要なものは当然払いますし、そこが今の体制では、審査委員会に本当の意味で私ども保険者の代表はなかなかいないものですから、そこがわからない。そういったところを申し上げているわけなので、そこがもっときちっと示されれば、保険者と診療側、その間に入っていただくところの審査機関の信頼性も増すと思いますので、そういう体制を考えていかないといけないというのが1点。
 それと、事務局におまとめいただいている都道府県単位の審査体制の在り方を先ほど御説明いただいたんですが、この資料は、やはり今のままのやり方でいくというのが議論の前提だと思うんです。ですから、この中で考えるのは、今のままでやるとこういう方向性もあるのかなとは理解しますが、ITをもっと徹底的に活用して、審査委員の方々のノウハウをもっとIT化して追い込んでいって、かつ今の電子レセプトの様式は見直していかないと。これは審査支払機関も私ども保険者も出していますけれども、今のレセプトでは、何月何日にこの人はどの病気で治療を受けたとか、そういうことは出ません。1か月に何日受診し、いろんな傷病名が記載されています。ですから、この人はどの傷病で受診したのか、さっぱりわかりません。これは24年から見直すことになっていますけれども、それも見ていると、今の見直しの議論の中では、そこもなかなか明確になるようになっていないので、そこはきちっとしていただかないと、これだけお金をかけてやるんであれば、私どもも加入者に対する説明責任もあります。
 ですから、私どもは何でもかんでもITでやるわけではありません。かつて金融業界などですと、ITで全部やって、順位づけをしてやって失敗した事例もあります。今はそういう業界でも、ITで追い込んでから、あとは人間の目で見るというやり方をやっていますから、この部分につきましても、もっとITで、例えば、1年か2年の間にノウハウをもっと吸収して追い込んだ後に、必要なところは当然人間の目で見ていく。そうすれば、ブロック化とか、中央でやるとかいうときに、審査委員をどんどん増やすとか、そういうことにはならないと思うんです。ですから、議論の項目の前提が、今のままで移行するのか、もっとこの部分を強化して、その後に開けていく、どういうふうに展開するのか、そこを考えないと、大分方向性が変わってくると思うんで、そこは一番注意していただきたいと思いますので、あえて申し上げます。
○森田座長 ありがとうございました。
 手を挙げている順番で、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 地域性の話が随分出ていますが、これは恐らく特別審査をどこかにまとめてということの対比で御議論しておいでだと思います。遠藤委員がおっしゃったように、審査の一番重要な部分はピアレビューだと私も理解してございます。IT技術のアシストを借りながらも、根本的なところはピアレビュー、ある種専門的な知識を持った人間が最終的に判断する。そういった観点から、高度・専門性の高い審査について、どこかに集約する。その基準として、吉田課長からは、今は金額を用いているとの説明をいただきました。
 考えられる基準としては、金額という切り口が1つ。非常にまれな疾患で専門家が限定されるというのが2つ目です。3つ目は、エビデンスがまだ確立していない。4つ目は、特にまれではないのですが、地域で、特定の疾患の患者さんを集中的に集めて、当該地域でのシェアが非常に高くて、ほかにその地域でピアとして診られる人がいないために事実上ピアレビューが困難である。こういった4つの判断基準を考慮すべきだと思います。
 金額に関して申し上げますと、高額レセプトには複雑な病態が含まれている可能性が高いので一定の合理性があります。しかし、処置名や病名で見ると、白血病に対する骨髄移植、臓器移植など、疾患・処置によりほぼ自動的に高額レセプトに分類されるものが出てきます。効率を考えると若干疑問もありますので、疾患ごとに一定の金額についての目安を設けられるというのがいいんではないかと思います。
 まれな疾患に関しては、今の日本の医療の中では恐らく専門家のもとに集約されます。後で専門性の高い部分で議論させていただきますが、そこで議論が集約できると思います。
 エビデンスが確立しているかどうかわからない治療法については、これは学会等のガイドラインを見ながら、保険でお払いするかどうかを、運営上決めるしか実際ありません。ここはむしろ以前に議論があったガイドライン等の適用により、最新のエビデンスに常に柔軟に対応できるようにするというところでおまとめいただくといいと思います。
 専門性が高い部分は、地域でピアが確保できないことに問題があります。これについては、やはり別途、例えば、地域シェア、あるいはその他の事項等を含めて判断基準を示して、中央、あるいはブロックでの特別審査の対象にするということは、1つ考え方としてあり得ると思います。
 以上です。
○森田座長 では、横倉委員。
○横倉委員 今のITの審査への利用ですけれども、最近、事務共助の形でITを利用されているということでありますし、全体のレセプトの2~3%のレセプトが問題で、それ以外はほとんど問題ないという状況でもあるわけです。ですから、ITをこれに付与することで、そして最終的に人が判断をするということで、相当に改善は期待できるんではないかと思います。
 それと、先ほどの保険者がなかなか目に見えないというようなお話だったですけれども、あくまでも3者構成で、保険者の推薦で3分の1の審査員がおられるわけだから、そこのところは保険者の御努力をお願いしたいと思うんです。ちゃんと情報が入るようにしていただければ、そういう御不満がだんだん解消できるんではないかという思いもいたします。
 それと、私ども医療機関で一番困っているのは、いわゆる保険の資格が終わったのに、まだ前の保険証をお使いになって受診されて、それが審査事務のレベルでの返戻になるというのは相当数あるわけです。ですから、そういうことについては、このITを利用することは非常に有効だと考えておりますので、そういうことも含めて、支払基金や審査支払機関が保険者が目に見えないということがないように、日ごろから我々も努力をしていくべきではないかと思います。
○森田座長 では、村岡委員、どうぞ。
○村岡委員 支払基金からいただいた資料の中で、基本的に審査の判断基準の統一化というか、一定のルールを決めていくことは必要性があると思いますし、ローカルルールはローカルルールとして認めていくことも必要だと思うんですが、山口と福岡で比較をした場合に、病名によって、山口ではOKで、福岡ではだめだという基準もあるだろうと思いますし、支部間で取り決めた内容で違いもあると。そういうところで、本質的には病名だけ見たときに違いが出る、そこが何によって出ているのか、その辺りをきちっと評価をして、それが本当に適切なのかどうかといったところは判断をしていく必要があるんではないかと思います。症状詳記等で判断をしているところであれば、当然ローカル的に地域によって診療内容に違いがあるといったところもあるかと思うんですが、その辺りを各支部、また全国的にも比較し、どちらが適切なのかというところを評価することは、特にこれからIT化を進めていって、前段の段階でそこに対して判断をしていく、仕組みを設けていく上でも重要ではないかと思いますので、その辺りを強化をする仕組みが必要ではないかと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 この支払基金からの結果で、こういうことかなということで確認させていただきたいんですが、参考資料2-3を拝見していますと、まず、一番のポイントは3ページだと思いますけれども、山口の医療機関のレセプトの査定状況について、3支部でもう一回見たというのは、山口の医療機関の同一のレセプトを3支部で見たということですね。
○小木津委員 はい。
○高橋委員 そうすると、4ページに行きますが、それぞれ査定したところがみんなほとんどばらばらだった。山口が査定した箇所の集合を丸で書いて、福岡が査定した集合を丸で書いて、千葉で査定した集合を丸で書くと、3支部が一致して査定している箇所が一番大きければ、ばらついていてもおおむね同一だと言えるんだけれども、3支部がそろって査定したところはほとんどなくて、3支部がそろって、あるいは2支部が査定したという箇所が全体の1割ちょっとですか、16.7%で、ばらばら。山口だけしか査定しなかった、福岡しか査定しなかった、千葉しか査定しなかった、それが箇所数で言うと86.7%になると、こういうことですか。
○小木津委員 そうです。
○高橋委員 そういうことですね。そうすると、例えば、査定率は山口が一番低くて、ずっと前にいただいた資料で言うと、山口県の医科の査定率は0.12%ですけれども、9割方はほかの支部で査定になっているということは、逆に言うと、もしかすると、山口支部は本当は1.9倍になっていると、こういうことですね。要は、山口が査定している部分というのは、本当は全体の、みんなが査定している1割、ほんのちょっとしかない、こういうことになりますね。
○小木津委員 はい。
○高橋委員 その結果見ると、5ページ、6ページになりますが、特に6ページですが、これは私もこの前見て驚いたんですが、山口が査定している部分、これはシェアで示していますが、重要なのは箇所数だと思うんですが、山口は254か所の査定だと。福岡は2,139か所の査定だと。これは勿論、共通部分もありますけれども、9割方はお互いにダブっていないわけです。例えば、検査で言うと、山口は151か所の査定だけれども、福岡は1,428か所査定している。同じレセプトで、同じ医療行為で、こういうことですね。
○小木津委員 はい。
○高橋委員 注射だったら、山口は33か所の査定だけれども、福岡は285か所も査定していると、こういうことですね。
○小木津委員 はい。
○高橋委員 結論として、24ページの記述を見ると、真ん中に?Tとあって、更に1とありますが、「自支部では『請求どおり』とした山口の医療機関のレセプト」、これをずっと追っていきまして、その第2段落ですけれども、「更に、詳細について相違を調べると、福岡支部が『申し合わせ』を理由として査定した259箇所について、山口支部では『支部取決事項』を理由として『請求どおり』としているものが215箇所」。つまり、この259のうちの215については、福岡と山口はルールが正反対だったと、こういうことなんですね。
○小木津委員 そういうことになります。
○高橋委員 こういう実態だということで、ですから、先ほどいろんなお話出ていましたけれども、医療行為が違うとか、地域性が違うとか、そういう話ではないんではないかと私は見ています。
○森田座長 だから基準の統一化という議論も出てくるというふうに御理解いただければと思います。
○高橋委員 もう一ついいですか。
○森田座長 どうぞ。失礼しました。
○高橋委員 最初に問題提起した話と結局同じことになってしまうんですが、全体に4-1の資料の流れは、支払基金と国保連の今の体制を前提とした場合の論点なんですか。その流れの中でわからないのは、2つを別にするんだけれども、お金で切ってはどうか、点数で切ってはどうかという話が出てきますけれども、5ページに行くと、特に難しいようなもの、専門化した場合のもの、けれども、結局はなかなか線引きが難しいから、点数みたいな感じかなというふうに読めます。そうすると、5ページの4番目で、集約化した審査組織は、支払基金と国保連で統一して機能する。中長期は合同審査だと、こういう話が出てきます。組織は分かれるけれども、難しい判断を要する、あるいは点数で一定以上のものについては合同審査を目指すべきではないかと、こういう御提案だと理解していいんですか。
○森田座長 吉田課長、お願いします。
○吉田保険課長 あくまでも事務局が整理をしたということで申し上げれば、結論的に今のような整理が可能かと思います。
 ただ、先ほど来お話ございましたように、資料4-1については、現行の仕組みを前提とするのか、しないのかという御指摘がございました。私どもとして、現行の仕組みというのも、あえて申し上げれば、現行の両審査支払機関における業務品質、もしくは業務フロー、仕事の仕方という部分での「現行」という意味と、現在の組織体制という意味での「現行」という意味と2つあるんではないか。もとより、今後の仕事の仕方、業務品質という面については、これまでも幾つかの御指摘をいただき、今後も直すべきだということは、この会としては方向性がある程度見えていると思います。その中で、高田委員のお言葉を借りれば、時間軸をどういうふうに置くかという議論は残るにしても、それを前提に物事は考えるべきではないか。
 2つ目の問題として、組織についてどう考えるかというのは、まさにそれがここの御議論になろうかと思いますので、私どもとしては現行どおりを前提にして4-1をつくっているつもりはございません。その中で、4~5ページにかけて、私どもの頭の中をあえて言葉にすれば、将来的な方向と現実的にできる方向というのをこの案では提案させていただいている。
 ただ、それが委員の皆様方として、将来的な方向も含めて正しい、あるいはこの会としてコンセンサスをいただけるのか、あるいは違う方向なのか。あるいは、将来的な方向を前提とした中でも、当座の動きとして、すぐにやるべきこととしてどうあるかというところは2段議論があろうかと私どもは思っておりますが、その辺りについて、まさに議論を深めていただきたいと思っております。
○森田座長 高田委員、どうぞ。
○高田委員 今の事務局の御説明で、要は2つある中の、業務のやり方、仕組み、業務品質、その部分であれば、今のを前提、それから、新しいやり方も前提とか、そういう両論併記をしていただかないと、議論が深まりにくい。今のだけですと、今のやり方を前提にしているなと。組織の話は理解しましたので、できれば、こういう方向性が2つあると私どもは思っている部分もありますので、その辺もまとめていただきたいと思うんです。
○森田座長 どうぞ。
○吉田保険課長 御指摘でございますので、これから引き続き座長とも御相談して、資料のブラッシュアップ、あるこの御議論でのコンセンサスを反映したいと思います。ただ、あえて申し上げれば、私どもとすれば、現行のサービス品質なり仕事の仕方を当然の前提として問題提案をさせていただいているつもりはございませんで、一定のこれまでの取組方向としてコンセンサスをいただき、支払基金や国保連がやっていること、やろうとしていること、あるいはやるべきことまでを織り込んだ上で整理はさせていただいています。それが十分か不十分か、そこはまた御議論いただければと思います。
○森田座長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 現実の2つの、審査、あるいは支払基金がどういうふうに活動しているかとか、それはとても重要なことなのですが、その話と、我が国のあるべき保険の審査、あるいは支払のそもそもの姿はどうあるべきなのかと、それが絶えずこんがらがっていると、議論がなかなかまとまらないんですね。私の考えでは、2つの審査支払機関がどう活動しているかということは、かなり今まで時間を割いてきたので、そもそも我が国の支払、あるいは審査の在り方というのはどういう姿が望ましいのか。その中で、例えば、先ほど長谷川委員が言われたように、ジャッジの基準としてエビデンスがあるかどうかとか、金額の全体が妥当かどうかとか、専門性がどのぐらい必要かとか、そういうような点から全国的な基準を見直すような仕組みが望ましいとか、そういう仕組み論を少ししていただくのがわかりやすいかなという気がいたします。
○森田座長 ありがとうございました。
 大分時間が過ぎておりますけれども、事務局にお願いしてこの資料をつくっていただきましたけれども、これは過去の経緯もございますので、改革をするにしましても相当時間もかかりますし、いろいろな調整が必要です。ただ、当面何ができるかという微調整的なことばかり考えますと、大きなところの改革をできないと思いました。しかし、大それた目標を掲げて、そこに一気に邁進すると言っても、これは挫折する可能性が高い。その意味で、資料3では、目指すべき方向といいましょうか、そういう大きな方向を示して、資料4では、具体的に現状から、どういう形で一歩先に進めることができるか、そのような位置づけになるかと思います。ただ、今、伺った御意見によりますと、もっと進めてもいいのではないかという御意見もあったように思いますので、それはまた事務局と相談して資料を変えていきたいと思っております。
 あとは、私の個人的な意見になりますけれども、今日の支払基金から出た資料を見まして、法学部に籍を置いている者の観点からしますと、ルールといいますのは、適用される人にとって予見可能性というのがかなり重要でして、要するに、この行為はしていいのか、いけないのか、これは義務なのかどうかというのがあらかじめわかっていることが行動を規律するうえで、大変重要な意味を持ってくると思います。
 そういう観点からしますと、これを見た場合には、ローカルルールであると言えばそうなのかもしれませんけれども、同じルールでもっていいと悪いとが分かれるとか、その辺は、その地域で開業していらっしゃる、あるいは診療されている先生方は問題ないのかもしれませんけれども、普通は何が査定かというのがなかなか読めないような状況ではないかと思っております。それが仮にローカルルールとして定着しているとしますと、保険そのものは全国的に基本的に一元的なものですから、国保にしても調整されていますので、そうした場合に、中での資源の移動が起こっていることになり、被保険者の観点から言いますと、その辺は是非明確にしていただきたい。保険の論理から言うと、そういうことになるのではないかと思っております。
 その意味で、齋藤先生おっしゃいましたように、まさにリーズナブルな格差というのは、違いというのは説明できるかと思いますけれども、何がリーズナブルな理由なのかというのはもっと究明する必要があると思います。そのためには、前々回ですか、ゲストスピーカーで来ていただきました秋山先生がおっしゃいましたミッシングリンクをどうやって見つけていくかということになると思います。そのためには、もう少しITを使って分析するということも進めていく必要があるのではないか。最後の点は私の個人的な思いですけれども、そのように思いました。
 今日はかなり充実した議論が進んでおりまして、予定がかなり狂ってきたんですけれども、回数も取ってありますので、重要なことですから、しっかりと議論をしていただきたいと思います。今の資料4-1の前半の部分についてはよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○山本委員 1点だけお願いしたいんですが、ITを使って一定化のものをつくるということは、先ほどの横倉委員と同じように、私も決して反対するものではありません。ただ、先ほど長谷川先生が御提案なさったように、幾つかの切り口があって、例えば、病名とか、金額とか、そうしたリンクするものがありますので、そういった意味からすると、標準化をする中で、一体何をパラメータに我々は標準化したものを考えなければいけないかということになりますと、これは先の話なので、ここでの議論ではないと思うんですが、先ほど遠藤先生が、審査はある意味では診断だとおっしゃったと思うんです。医科と歯科の先生方からすれば確かに診断なんですけれども、調剤レセにつきましては、診断する根拠がどこにもないんです。
 そういった意味で、私ども、いわゆる医行為としての診断に踏み込むつもりは全くございませんけれども、医療を提供した結果としての明細書の中でもし判断なり診断が必要なのであれば、一体、何のために出された薬なんだということがどこかでわかりませんと、調剤をする段階ではチェックができない。かつ金額が上がってしまったというだけのことになりますので、先ほどの病気によってはもう決まっているものもあるだろうということも含めて、この議論が進む中では、片方でそうした処方せんなり、あるいは診療情報といいましょうか、疾病情報というものが薬剤師、調剤する側に提供されない状態での議論というのは、いささか判断が付きにくくなりますので、もしその議論であるならば、その先にはそうしたものがあるということをここで是非念頭に置いた上での御議論を願いたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。今の論点と関連しておりますが、再審査の審査体制についてです。これにつきましても事務局から御説明をお願いいたします。
○吉田保険課長 資料4-1の6ページ目と、先ほどの4-2の裏側でございます。
 なお、先ほど座長からも御指摘ありましたので、資料3も御参考いただければと思います。
 再審査につきましては、これまでのこの会の御議論の中で、何度も何度も審査が行われることになっている、堂々めぐりのような事態があるのではないかという趣旨の御発言もあったと記憶をしております。6ページ目にございますように、頭の整理として問題提起をさせていただきましたのは、県単位の決定で納得が得られない場合の上級の審査組織のようなものをブロックもしくは中央にという考え方、論点でございます。
 前提として、現在の審査支払基金の在り方として、6ページの?@にございますように、所在地の審査委員会が再審査も含めて審査をするという仕組みになっております。(イ)(ロ)(ハ)と3点書かせていただきましたが、これまでこの会でも御確認いただいておりますように、行っている審査は、保険診療ルールに沿っているかどうかの確認と、請求支払額を迅速に決定するための紛争処理機能というものが併せて行われているのではないか。そういう意味では、後に出てまいります保険者の直接審査の仕組みとはちょっと違うというのが一般の審査ではないか。
 (ロ)としまして、このような2つの機能を持つ中で、それぞれの3者の構成という形になっており、これもまた次に議論としてはありましょうが、それぞれの審査員と言われている方々については、所属団体の推薦という仕組みが制度上担保されている。
 (ハ)として、医療機関のお立場から見れば、それは逆に自分たちの代表もしくは推薦者がいる審査委員会の審査結果ということをもってして、保険者側もそうなんですけれども、全体として効率、迅速な紛争処理につながっているのではないかということでございます。
 このように考え方を整理をさせていただくと、再審査というのも、1回決めたものに対する紛争処理といいましょうか、改めての問題提起ということであるとすれば、現在の3者構成の審査委員会の関係、あるいは紛争処理の仕組みを現在の審査支払の機能から区分して独立させることが、片一方で迅速ということも含めた、支払の要請に対してどのように考えるか。
 7ページ目でございますが、「上級の紛争処理」というのを置いた場合に「効率的で迅速な請求・支払額の確定」という意味では、どのような構成に上級の紛争処理組織をするか、あるいはその際、どこの単位に置くか。県単位か、ブロック単位か、中央かということも併せて御議論いただく必要があるのではないかと思っております。
 最後には、これまで何度もこの場でも御議論がございました「保険者代表の審査委員」に対しての関係者からの御指摘については、この在り方、あるいは実行上どういうふうに考えるかということも、この議論の中では併せて念頭に置く必要があるんではないかという形での整理をさせていただきました。
 以上です。
○森田座長 再審査の審査体制ですけれども、これにつきまして、いかがでございましょうか。
 高橋委員。
○高橋委員 今日、資料についていろいろ言って申し訳ないですけれども、議論の前に、6ページの一番下に「紛争処理の仕組みを、現行の審査支払機関の機能から区分して独立させることが、迅速かつ円滑な審査支払」と。その話はまた次のページに出てくるんですけれども、現在のシステムは、審査支払機関が一回審査して、その結果は保険者に回してきますけれども、支払は一旦は行われていますから、ある意味未確定の段階での支払いですけれども、迅速な支払で問題が起きるなどということはあり得ない話です。ただ、一応、支払はしたけれども、本当にそれでいいかどうかについて再審査をしているんで、その後に精算はありますけれども、精算は非常に限定的な部分ですから、支払の確保で問題が生じるということはほとんどあり得ない話だと思います。
 あと、本題に戻りますが、まず、そういった処理機能について、これまでの3者構成の仕組みで、これを利用してはどうかという話が再度出てきますけれども、実際、制度発足して60年たったんでしょうか。60年間やってきて、この3者構成の意味合いがよくわからないというのは何ですけれども、意味合いがかなり難しいものではないのかなと思います。実際に審査委員になられた方は、おれは保険者の立場だから厳しくやるとか、おれは診療側の立場からできるだけそっちで考えるとか、そういうことはないわけで、それこそもともと審査行為は確認ということですから、何かの立場から確認するということは普通、論理的にはあり得ないわけで、立場の話とはちょっと違うんではないか。立場ということを離れて、しかも現実に審査はかなり独任でやられていますから、審査をやって、その結果をどう処理するかということをもうちょっとよく考えていったらいいんで、3者構成を持ってきて、これでやったらどうですかというのはどうかなという気がいたします。この辺は白地に絵を描ける話ですから、処理機構について、上級の方できちっとした機関を設けるということで何の問題もないんではないかと考えます。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 高田委員。
○高田委員 再審査につきまして、今回整理いただいたように、上級の方を設けると。これは先ほどの基金のいろいろな、ほかの支部とのあれで見たときに、ある部分は正反対になるということになると、そこにもう一回、再審査で出しても、基本的には同じように返ってしまうということがありますから、そうなると別のところで見ていただくというのは私どもも賛成でありますので、そこは多分、議論の余地はないのかなと。
 3者構成につきましては、前も申しましたが、3者構成だから中立、公平かどうかは、少なくとも私ども健保組合としては、だからそうだとは正直思っていないところはあります。だから、3者構成にこだわるわけではないんですけれども、それだからいいという話ではないということを申し上げます。
○森田座長 横倉委員、どうぞ。
○横倉委員 3者構成の件ですけれども、基本的に、おっしゃるように、自分は診療側だから診療に甘くするとか、自分は保険者側だから厳しくするということはないんです。しかしながら、審査委員という立場は非常に公的な立場という認識はものすごくありますから、医学上、エビデンスに基づいた治療が請求されているかどうかということでは、非常に公平な目で見ているというのは事実だと思います。ですから、保険者が推薦だからどうのこうのということではなくて、審査委員会というもの自体が非常に中立性を持った委員で構成されているという認識だけはしておかないと、審査自体が、おまえたち何しているんだという話につながりかねないと私は思いますので、そこの認識だけはしっかりと持っていただきたいとお願いをしておきます。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 飯山委員。
○飯山委員 今の横倉先生のお話につけ加えさせていただきたいんですけれども、私も自分のところの審査委員の先生方に、3者構成のことでこういう議論がありましたというお話をいたしました。そうしましたら、先生方は口をそろえて、我々は審査会場に入れば審査委員なんだと、そのときに出身母体がどうのこうのなんて意識は全くありませんよと、これは強く言われました。審査というのは、今、横倉先生がおっしゃったように、基本的にその医療行為について妥当かどうかということの判断をしているんだということは強く話してくれと言われていますので、一言つけ加えさせていただきたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 保険者側として申し上げたのは、まさにそのことなんで、ですから、3者構成と言っても、中立でおやりになっているんだから、逆に今の事務局からの、3者構成でもう一回紛争処理機能を考えたらどうですかという提案は、それは意味がないと申し上げているわけです。3者構成でもう一回いろいろな制度を組み立てるというのは無理があるんで、そういった意味で上級の紛争処理機関をつくってくれと申し上げているわけです。
○森田座長 ありがとうございました。
 どうぞ、横倉委員。
○横倉委員 そうなると、何を基準に判断しろということになるんですか。医学的なエビデンスに基づいてちゃんと治療して、それを請求しているということで出す。それを審査委員会がこれはだめだということではねる。そうしたら、医療機関は再審査を出す。2回目の審査でやはりだめだということであれば、ほとんどの医療機関はそれで納得します。しかし、保険者の方は、繰り返し繰り返し出されるということになってくれば、その判断の基は、経済的な理由での審査を望んでいるのかということに帰結する可能性もある。そこら辺はどうなのか。あくまでも仮定の話だけで悪いですけれども。
○森田座長 高橋委員。
○高橋委員 ですから、さっきの支払基金の資料をちょっと強調させていただきましたが、2つの支部の間で審査委員会のルールが正反対なんです。それはいずれも医学的に、多分、これは保険の診療として妥当だという判断を、どういう行為かはわかりませんが、両方ともルールとしてお持ちなんです。それが実際には、さっき言った259例のうちの215例で、こっちはだめだと言い、こっちはいいと言っているわけです。それはルールが統一されていないんです。そういうことがあるから、そこは上級の方に持っていって、全体として保険診療はどこまでかということをよく考えてほしいと、そういうことを申し上げているわけです。
○横倉委員 それは、それぞれのルールをある意味で明文化できるところが共通であれば問題ないわけですね。
○高橋委員 明文化できるかどうか、それはわかりません。明文化できるものはルールとか申し合わせになっているんでしょうし、これはどうかなというのは、レセプト固有のものを見て、この場合はどうかなと、そういう御判断をなされると思います。その判断のやり方について、我々は別に異議を唱えているわけではない。ただ、余りにも違い過ぎることについて、もう少し全体で、支払基金だったら、本部とか、その辺で処理委員会をつくってもらって、統一判断をしてもらったらどうか、そういう提案をしているわけです。
○森田座長 山本委員、どうぞ。
○山本委員 冒頭の議論もそうでしたけれども、高橋委員のおっしゃるように、審査基準というか、どういう給付をするかという基準をつくるということと、今の3者構成に対して信用がないというお話はいささか違うのではないかと私も思います。確かに医科、歯科、調剤も含めて、同じ仲間が来ているんだろうという御指摘はよく受けますけれども、少なくとも審査基準がきちんとしていれば、そこは問題がないんだろう。ただ、審査基準が甘くなったり、あるいはばらつくことに問題があるので、つくっている構成員の問題という目でこの議論をされるのは、私も現役の審査委員ですけれども、何と答えていいのか、非常に誤解が生じているのではないか。それこそ支払基金に人がいないことの方が私は問題だと思っていますので、そういった意味で言えば、いないところといるところを比べる前に、その中のことを議論するのは、いささか論点がずれているような気がするんです。
○森田座長 岩田委員、お願いします。
○岩田委員 私にはまとめる能力がないと思いますけれども、もしかすると間違えているかもしれませんけれども、高橋委員とか高田委員が言われたのは、3者構成は今の状態でも3者構成になっているので、その人たちが決して党派的に行動しているということを言っているわけではなくて、それだけでは解決できない問題が、先ほど出たように、地域差の問題とかいうことがあるんだと。だとすると、今の県単位ではなくて、上に別の仕組みを考えないとできませんねと。だから、3者構成だけですべてがうまくいくというふうな前提が問題なんではないかとおっしゃっているんだろうと思うんです。
 私は、その部分はそうだなと思うんですけれども、他方、今度、実際に上級機関をつくるときに、どういう形で委員を出してくるかという話になると、やはり見た目の話、つまり、外からどういうふうに見えるかという話もあると、今のとおりの3者構成になるかどうかは別ですけれども、ある程度、社会から見て公平な人たちが仮定の問題としても選ばれているということは担保する必要があるんだろうと思います。それだけではきっと終わらなくて、先ほどのルールをもう少し統一化するとかいうところがまず背景にあってということだと思います。だから、ここで議論しているような大きな差があるようには私自身には余り思えなかったんです。
○森田座長 ありがとうございました。
 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 3者構成だからいいということではないとは思うんですけれども、選ばれれば当然、審査委員として医療の常識に従ってやるわけです。ただ、3者構成で選ばれる、その選任され方が恣意的ではないということは当然必要になると思うんです。だれが選ぶのかということが問題になるんで、一応、3者構成でそれぞれ、実際には選べなかったかもしれないけれども、そういう形で選ばれてくる人たちだという前提は絶対必要だと思うんです。上級処理というのを設けるとしても、そこに出てくる審査する立場の人というのは、周りから見て妥当と判断される必要があるので、同じような担保が必要になると私は思っています。
○森田座長 ありがとうございました。
 これはまさに、先ほど白地でとおっしゃいましたけれども、いろいろと原理的な問題を含んでいる論点ではないかと思っております。簡単に申しますと、3者構成というのは、今まではいわゆる交渉事で2者でやっている場合に、なかなか2者の交渉で解決できない場合に、中立的な第三者を入れて、そこで決定をするという仕組みです。決定内容については、まさに交渉の結果だと思います。ただ、保険の審査の場合には、両者が合意すればいいという話ではなくて、客観的な、医学としての、医療としての適切性の評価になってきます。これは3者構成で合意という話ではなくて、むしろ専門家も含めた専門的なきちっとした判断ができるかどうか、その判断がどれくらい権威を持ち得るか、そういう仕組みになっているかどうかというのがポイントではないかと思います。
 そのために、先ほどの話ではありませんけれども、ルールが明確で事前に明らかになっているということ、裁量の余地が少ないルールをつくるというのがまず前提になると思います。けれども、それでもどうしても裁量の余地が伴う場合には、判断をする専門家が中立、第三者的な立場できちっと判断できるような仕組みになっているか。今、遠藤委員がおっしゃいましたように、そうした人たちをどうやって選ぶのか。裁判もそういう仕組みになっていると思いますけれども、その人たちが、逆に言いますと、判断の対象になるような人と利害関係を持っていないとか、そうした公平さ、公正さ、第三者性、中立性をどうやって担保するかというのが仕組みの話になると思います。
 伺っておりますと、そういう要素の方が保険の審査の場合には強いのではないかと思いますが、さかのぼって原則的なことを申し上げますと、今回の審査支払の審査の方に関して申し上げますと、2つの原理が入り交じっているような気がします。それは何かと言いますと、一つは、医療として何が適切なのかということと、もう一つは被保険者が払った保険料で保険がどこまでカバーすべきかという話であって、これはそもそも別な原理になるわけですけれども、これを別な原理として制度を組むということになりますと、先ほどどなたかちらっとおっしゃいましたけれども、日本で言いますと混合診療の議論になってまいります。現在では適切な医療に関しては、すべて保険でカバーすべきということになっていますから、保険の原理が非常に効きにくくなってきている。潤沢に財源がある場合には、その問題がそれほど表面化しなかったのかもしれませんけれども、こういう状況になってきた場合に、そこのところが問われることになるのかもしれません。
 その意味で言いますと、ここで判断するのはあくまでも医療としての適切性なのか、あるいは適切な医療とは別に、保険で償還すべき範囲なのか。これはここだけで議論する話ではありませんけれども、今の御議論を聞いていた中では、そうした2つの流れというものがどちらから来るか、それが両方が混ざっているような気がいたしまして、これをどうここで整理するのか、なかなか厄介なことですけれども、そうした争点といいましょうか、源流においてそういう論点があるということは、できれば認識していただければと思っております。
 余計なことを申し上げましたけれども、ほかにいかがでございましょうか。
 どうぞ。
○渡辺委員 今のに関連しますが、さっきから言っていることの繰り返しになるかもしれませんが、要するに、私たちはここで、結論は結局、患者、国民のための医療が中心であって、それに加えて適正な審査支払、あるいは組織の在り方というのを当然すべて答えを出さなければいけないと私は思っております。そういった意味で、一例を挙げると、さっきから言っているように、山口、福岡ではないけれども、明らかなものは当然何らかのルールは求めなければいけないけれども、そうでない地域性とか、妥当な理由、地域における理由等々があるものについては、そこは参酌しなければいけないのは当然であって、それらを含めて私たちは答えを出す。
 もう一点だけ言えば、そのためには何が必要かとなったら、医療は言うまでもなく地域性の高いものでありますから、そこの部分のある程度の根拠というか、ものをこの会議の場で出さないと、具体的な、今、申し上げたような目的が達成できないと私は思っています。
 とりあえず以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 齋藤委員。
○齋藤委員 今、座長がまとめられたことが非常に重要な今回の原点だと思うんです。つまり、現場の医療をいかに住民のために育てるかということと、もう一つは、社会保険診療という1つの枠組み、土俵の中でやらなければならないことなんだと。その折り合いをどうやってつけていくかということがまさにこれからの議論の中心で、その場合に、私がさっき言ったことをつけ加えれば、リーズナブルな基準というのは、地域の医療供給体制であるとか、あるいは疾病構造とか、そういうものを踏まえて、土俵の形とかサイズというものが柔軟に判断されてもよいのではないかなと、そんなイメージでおります。
○森田座長 ありがとうございました。
 今の齋藤委員の御発言にもかかわりますけれども、冒頭の議論でありました判断基準の統一化ということですけれども、多分、法律関係をやっている人間にとっては当たり前かと思いますけれども、例えば、全国の道路は一律最高速度40キロにしろと、そういう話ではなくて、見通しのいいところはもっと制限速度を上げてもいいけれども、危険な道路はそれに応じた制限速度を設ける。ただ、同じ危険度であるならば、同じ制限速度でなければならない。それは基準の統一化の意味の中に含まれているという意味で私は申し上げましたので、御理解いただきたいと思います。したがいまして、これから、どこがどういう理由で制限速度が違うのかということを明確にする必要があるだろうというのが齋藤委員の御発言の趣旨だと思います。
 どうぞ。
○吉田保険課長 済みません。時間がなくなる中、事務局としては、できるだけ議論を深めていただきたいと思いますので....。今日出した資料は、再審査問題については、これまでの御議論の中で、どこかで堂々めぐりにけりをつけるような上級の審査機関が必要ではないかということをいただいたことを踏まえて、では、どうつくる、どう考えるというような形になっております。そもそも当事者が何度も同じことをやるという現在の仕組み、期間とか何かはあるにしても、基本的には保険者側と診療側が納得するまでやれる。いよいよ納得しなければ民事訴訟に行くというのが今の仕組みです。ぎりぎり審査をした人がお互いに最後まで見るという仕組みに代えて、第三者が判断をするという仕組みを入れ込む-入れ込み方が問題だと思うんですが-ということについて、委員の皆様方の間では、方向としては一定の御理解をいただいているというふうに受け止め、次に議論をさせていただけばよろしいのか。そこのところはいかがなものか、確認をさせていただけるとありがたいんです。
○森田座長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 吉田課長の言われるとおりでいいと思います。いろんな立場の人が集まって議論するというような形が上級機関では大事だと思いますけれども、中医協がまさにそれで、いろんな立場の人がいて、だけれども、最終的にはジャッジが行われて、翌年の診療報酬の形が決まるわけです。それに近い形での上級審査の在り方が非常に自然なのではないでしょうか。
○森田座長 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○渡辺委員 やや余談のような話になるかもしれませんが、私自身の取材の経験で言うと、さっきの山口、福岡を聞いていて、我々の中ではそういうルールだったんだというケースは私自身は随分取材で経験したんで、そういった意味で、第一次的な審査体制が簡単にできる、非常に悪いことが行われていて、そのために上級云々というような筋書きではなくて、上級をつくるにしても、そういった意味が基準の統一化ということだと思うんで、ざっくばらんに平たく言ってしまうと、言えばわかるみたいな部分が相当あると思うんです。それもやってこなかったことも私は事実だと思います。
○森田座長 横倉委員。
○横倉委員 特に支払基金の委員の方に聞くんですが、支払基金の場合は支部ですよね。47都道府県。だから、支部の委員長はときどきお集まりいただいて、いろいろな情報交換や、審査基準のある程度のレベルを保っていただいているという理解をしていますが、それでよろしゅうございますか。
○小木津委員 年に数回集まってそういう議論をしております。
○横倉委員 そこの中でも、今、紛争で大変な例というのは取り上げられて、一応、こういう形で考えていこうよという話はできるわけですね。
○小木津委員 はい。
○横倉委員 国保中央会はいかがですか。同じような質問になってしまうんですが。
○森田座長 どうぞ。
○田中委員(加藤代理) 連合会におきましては、審査委員は各都道府県知事が委嘱をされております。ただ、私どもの方でも、全国の審査委員会の会長の皆様方にお集まりをいただく連絡協議会、それから、常務処理の先生方にお集まりをいただき会議等をやっておりますので、各県レベルでの情報交換等ができる、そういう場は構えておるつもりでございます。
○横倉委員 そうなると、紛争例というのはそうたくさんあるわけではないでしょうから、ある程度まとめられて、一定の方向性を委員長たちで御協議いただくということもできるわけですね。
○森田座長 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 やり方の話になるんでしょうけれども、支払基金の支部間格差の委員会とか、厚労省も入っておられる情報提供委員会に参加させていただいていますけれども、かなりのボリュームで違いがあるわけですから、それに比べると、処理は、年に2回集まって、違うケースについて、8~10ぐらいのケースの検討ですから、正直言って、とても追いつかないような感じですから、それでいいだろうと言われると、今の現実ではとても間に合わない。それと、もう一つ、それはあくまでもそういうふうにやりましょうかという1つの呼びかけで、しかもブロック単位でも扱いが違っていると、そこで議論がストップするケースもあるんで、それぞれの問題についてはけりをつけてほしいというのが保険者側の意見です。ただ、個別ケースによって、先ほど言われましたように、地域性があるというようなことは当然あると思います。私は別にそういうことを否定しているわけではありません。
○森田座長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 簡単に言いますが、さっき私は中医協と言いましたけれども、中医協では2年に一遍の改定を踏まえて、2年間非常にエネルギッシュな議論をして、診療報酬の改定の在り方、保険点数をお決めになるわけなんですが、それが実際どう運用されているかとか、どう実施されているかということの検証が必ずしもそれほどのエネルギーと丁寧さをもって行われているかどうかは疑念たなという感じがいたします。勿論、厚労省は厚労省のお立場で、指導官とか、いろんなことをやっておられるし、各支部でもいろいろやっておられるけれども、統一された中医協的な立場での検証というのはほとんどされていないと言っていいと思います。そういう点から言えば、上部機関という意見を先ほどから幾つか伺っておりますけれども、中医協ほど大規模なものではなかったとしても、何かちょっと、そういう節目になる判断組織というものが将来的にはあってもいいのかなという気はいたします。
○森田座長 ありがとうございました。
 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 結局、医療制度という大きな制度ですから、ルールと医療行為というものの中で結構矛盾があると思うんです。現状として、その矛盾を監視をしているのが審査会だと思うんです。ルールもがっちりしたものがありますし、医療としても提供しなければいけないものがある。ぶつかったときにどうするかという、そこの部分の監視を実際には審査の中で行われている。その解消の仕方が地域によって大分違う。そういうところが出ているんではないかと思うんです。例えば、病名の問題でも大分違いがあると言いますけれども、それはある意味でレセプト病名というか、どういう病名でこれを処理するかというようなことで、その地区ではこの病名という形で出ているから差が出るんであって、もし、この範囲はこの病名という形が出れば、病名の部分はほとんどは解消されてしまうんではないかと思うんです。ですから、上級でそういった矛盾を解決するような形でやっていただければ、各地の審査会もそれほど差が出ない可能性はあると思うんで、審査会というのは緩衝材になっているという点をちょっと考えていただきたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 行政の制度などを研究している人間から言いますと、今の審査会の仕組みといいますのは、基本的に行政不服審査といいますか、不服申立ての制度であって、一度判断した人に再考してもらうという仕組みだと思います。その場合には、当然のことですけれども、見直してもらって、なるほど、言い分を聞いたら、最初の原判断が間違っていたという結論が出る。これは簡便で、双方にとっても非常に合理的だということが言えるわけですけれども、当然のことながら、原判断をひっくり返すということは、当局といいますか、当事者にとっては大変やりにくいところです。そうしますと、また繰り返される。それが堂々めぐりの1つの原因になっていて、それを避けるためには、独立した第三者にきちっと判断させてはどうかという話になろうかと思います。
 ただ、その場合には、先ほどもございましたように、ローカルルールを熟知している人が審査するかどうか、判断するかで違ってくるわけでして、全く違う人が第三者として判断した場合には、地域には不適切な判断結果が出てくる可能性がある。その兼ね合いをどうするかというのがここの1つのポイントになってくるのではないかという気がいたします。
 ただ、現状では、先ほど指摘がありましたけれども、審査そのもののコストがどれぐらい問題なのかということもありますが、不必要な堂々めぐりと言いましょうか、そういうことは極力避けるという仕組みにどうやって持っていったらいいのかということで、これは深く考えますとなかなか難しい問題だと思います。幾つかの御指摘を踏まえた上で、事務局とも相談させていただいて整理をさせていただきたいと思っております。1つとは限りませんけれども。
 本当はあと2つ、8ページ以下の論点について御議論いただく予定でしたけれども、時間がなくなりましたので、今日はこれでよろしいですか。積み残しの御審議の時間を取ってございますので、そちらの方で御議論いただきたいと思います。今日は、非常に充実した議論が展開されたと思いますし、これまでのヒアリングその他の御議論を踏まえて、一歩前に前進をしたと思いますので、これからもどうぞこの調子でよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 事務局から最後に。
○吉田保険課長 ありがとうございました。
 事務局からは、既に御案内申し上げておりますように、次回が11月11日、来週でございますが、午前10時から、省内の会議室という予定でございますので、正式に決まれば御案内申し上げますが、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○森田座長 では、どうもありがとうございました。


(了)
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