ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 老健局が実施する検討会等> 訪問看護支援事業に係る検討会> 第4回訪問看護支援事業に係る検討会議事録




2010年8月9日 第4回訪問看護支援事業に係る検討会議事録

○日時

平成22年8月9日(月)13:30~15:00


○場所

厚生労働省 共用第7会議室(5階)


○議題

(1)訪問看護サービスの安定的供給のための方策等について
(2)訪問看護支援事業に係る検討会の中間とりまとめについて

○議事

○川村座長 それでは、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、第4回「訪問看護支援事業に係る検討会」を開催させていただきます。
 初めに、事務局より委員の出欠状況についてお願いをいたします。
○八田看護専門官 本日は、茨城県の大高委員、野中委員より御欠席の連絡をいただいております。
 そして、前回より、明石三重県健康福祉部長寿社会室室長に委員の就任をお願いしておりましたが、前回御欠席でしたので、ごあいさつをお願いいたします。
○明石構成員 三重県の明石です。よろしくお願いいたします。
○八田看護専門官 また、本日は、参考人として東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野の村嶋教授にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
○村嶋参考人 村嶋です。よろしくお願いいたします。
○八田看護専門官 そして、事務局の交代についてお知らせいたします。7月27日付で、老健局審議官に金谷審議官が着任しております。
○金谷審議官 金谷でございます。よろしくどうぞお願いします。
○八田看護専門官 また、本日付で老人保健課長補佐に大竹が就任しております。
○大竹老人保健課課長補佐 大竹です。よろしくお願いします。
○八田看護専門官 以上でございます。
○川村座長 ありがとうございました。それでは、議事に移らせていただきますが、まず、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○八田看護専門官 資料について、御確認させていただきます。
 まず、議事次第、座席表に続きまして、資料1、こちらはほぼ前回と同じ内容になりますが「訪問看護サービスの安定的供給のための方策等について(論点)」ということです。
 資料2になりますが、こちらは「訪問看護振興のために」という木村委員の提出資料でございます。
 資料3でございますが「訪問看護需給に関する研究と課題」ということで、村嶋参考人に資料を提出いただいております。
 卓上のみになりますが、カラー刷りの資料が追加となっております。
 資料4でございますけれども、本日、野中委員は御欠席になっておられますが、訪問看護支援事業及び今後の訪問看護の安定的供給に向けての意見ということで、御意見をいただいております。
 以上でございます。
○川村座長 ありがとうございました。それでは、まず、資料1をごらんいただきたいと思います。
 前回、事務局から提出された論点と同じものになっておりますけれども、前回の検討会で、余り討論の時間がありませんでしたので、本日、その継続をさせていただきたいと思います。御意見があれば、いただきたいと思います。
 先ほど事務局からもお話がありましたけれども、欠席の野中委員からは、資料4として御意見をいただいておりますので、それも御参照いただきたいと思います。
 明石委員におかれましては、前回御欠席でしたので、何か前回の分も併せまして、本日、御意見があれば、どうぞ、お先にお話しください。
○明石構成員 それでは、三重県の状況などを報告させていただければと思います。口頭で申し訳ございませんが、三重県の高齢者は、大体約44万2,000人、訪問看護ステーションが86事業所ございます。サテライトが2か所。
 それから、看護職員は353人です。前回、茨城県さんの方から資料が提出されておりましたので、それと同じような感じで、高齢者人口1万人当たりどうだろうかということで、ちょっと計算しましたところ、高齢者人口1万人当たりの事業者数は1.93か所、それから看護職員は8.0人ということです。
 三重県は、医療圏域が4つに分かれているんですけれども、それほど4つ大きな差はないという状況ですけれども、ただ、前回、30分くらいでどうかというようなお話もありましたと思うんですけれども、三重県の場合ですと、山間部の方で、一部30分はどうだろうかというような地域もあるかなという状況です。
 先ほど1.93か所、8人というようなことを報告しましたが、これは全国の数値に比べると、事業所数は大体平均的なんですけれども、看護職員の数は少ないという状況になっていまして、私どもの県は、どちらかというと、規模の小さいところが多いのかなというように思っています。
 それで、現場の声なんですけれども、特にステーションが少ないというか、不足しているという声は聞いていない状況でございます。
 今後、どうしていくべきかというようなところなんですけれども、現状は特に不足していないという話なんですけれども、当然、今後高齢者が増加する、それから在宅療養を進めていくということについて、やはり訪問看護を伸ばしていくことが大事だと思っておりまして、三重県の場合は規模を大きくしていくというのも1つの課題ですし、目標といいますか、どの程度ということであれば、やはり一定のエリアを考えて、そのエリアの中で、どのくらいのサービスの量が必要なのかなと、介護保険施設の整備とか、そういうようなものも踏まえまして、考えていったらどうかというように思っております。
 とりあえず、以上でございます。
○川村座長 ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
○上野構成員 目標値設定のところで、9,900か所と書いてありますが、先回の資料の中に、看護の需給予測の報告の資料がありまして、次年度の23年の訪問看護ステーションの看護職員は2万8,400人の需給、27年には3万3,100人と今より5,000増になるわけです。そのような数値が示されているものを今の三重県さんのように、県できちんと需給見通しを立てながらやられているところはいいのですが、いろんなところを伺いますと、都道府県ごとに訪問看護担当者が非常に不明確というところがあって、どこで人員予測をしてくれているかがわからないというところとか、それから訪問看護というくくり、ステーションと病院の訪問看護も1つにまとめてしまって訪問看護というくくりで見ているところもあり、非常にわかりにくいというのが現状になっています。どんなふうにこの目標値に合わせて人材の確保をしていくかということも併せて検討する必要があるのではないかと思います。
○川村座長 指標をどう考えるかということに加えて、担当課をはっきりさせてほしいということなんですね。ありがとうございました。
 ほかには、よろしいでしょうか。どうぞ。
○上野構成員 もう一つよろしいですか。この地域包括ケア研究会の報告で、24時間の看護と介護が連携して巡回をするという導入をしてはどうかという報告書が出ています。看護と介護の連携は非常に大事だと思います。ただ、本当に夜中に看護師が必ず巡回しなければいけないかというと、そういう状況ではありません。
 村嶋先生と御一緒に24時間ケアの中で、看護と介護が一緒に巡回型の訪問看護サービスのモデル事業を、私も実際に行ったことがありますが、そのときの利用者さんや、それから家族、それと訪問看護ステーションが実際行ったことから見ていくと、夜間22時から23時くらいまでにきちんとケアに入っていれば、真夜中に看護職が行く必要はないという事です。むしろ緊急時にきちんと対応できるかという事が問題になります。介護の方がおむつ交換等々で入っていて、そこで異常に気付いた場合、看護師に連絡をして、連絡をもらった看護師が、すぐ行けるような体制というシステムができているかどうかの問題であると思います。常時一緒に巡回型で看護に行かなければならないかというと、そうではなく看護と介護が連携して行うことが大事であり、それらを踏まえて検討する必要があると思っています。
○川村座長 夜間では定例的な対応というのは少ないけれども、緊急時の対応があるのですね。
○上野構成員 ありです。そのときのアンケート調査を見たときには、やはり一番はたんの吸引の問題がありましたが、それ以外のところは、ほとんど必要がないと。たんの吸引に関しましても、23時にきちんと排たんケアをして吸引を行うと、非常にたんの量が少ないということもあり、多分認可されたと思いますが、自動吸引機の装置もありますので、そういうものを使っていくということも1つの方法だと思います。
○川村座長 ありがとうございました。あくまでも患者さんの病状が安定しているときということで、その条件で今の御発言はよろしいんですね。急に夜中に熱が出たとか、嘔吐したとかというような場合には、緊急としての扱いになりますね。
○上野構成員 それは、緊急でいつでも対応いたします。
○川村座長 ほかにいかがでしょうか。
 もしなければ、関連して、前回に木村委員が居宅支援事業所で、平成21年度の介護報酬の改定で、特定事業所加算ができたことによって、従業員数が3人以上の事業所が増加していくという傾向が見られたということ。そして、それが経営の安定化にもつながってきたという御意見があり、今回、資料を提出していただきました。関係もあると思いますので、どうぞ、御説明いただきたいと思います。資料の2になりますね。
○木村構成員 では、資料の2を使いまして、前回の口頭で話したところを資料で補足しながら説明をさせていただきます。
 今ほど、座長の方から話がありました、1ページめくっていただきますと、居宅介護支援事業所のそれぞれの加算の中の人員が増えて安心していつでもサービスを受けられるということの評価で、特定事業所加算というものが昨年の4月から算定可能となりました。
 この算定の要件は、最後のページに書いていますので、後で御確認いただければと思いますが、特定の?Uのところをごらんいただきたいと思います。
 この数字を昨年の4月分からずっと今年の1月までフォローしたものでありまして、一番右側をごらんいただきたいと思いますが、これをどういうふうに見るかといいますと、上から3段目のところに、32.18%というのがあります。これは、在宅側の全利用者数の32%ということで理解していただければ結構だと思います。
 それから、今、居宅介護支援事業所は、全国に3万件ほどあります。その下に(15.87)と書いてありますが、15.87%の事業所が加算事業所であると見ていただければ結構です。
 つまり、昨年の4月1日からこのような人員を強化して、サービスの利用を安定的にできるように、それから質の向上等々のことを考えてやったときに、流れとして、事業所は人員を増やし、そして、結果的にですが、全体の3割の利用者さんが、その加算事業でケアマネジメントを受けているという形で見ていただければ結構だと思います。
 それから、資料説明が後ろに行ったり来たりはちょっと不便ですので、今、ここの数字だけで医療連携加算と退院・退所加算のところも説明をさせていただきます。
 医療連携加算というのは、ケアマネージャーが利用者さんが入院するときに、基本情報等々を提供した場合に加算できるものであります。
 また、退院・退所の場合は、?Tは30日以下の場合、それから?Uが30日を超える入院期間があった場合に、退院してくるときに医療機関側から情報をいただいて算定するものでありますが、ここはまだまだ算定率が低いと感じているところです。
 しかしながら、今年の4月から診療報酬側で、医療機関側にケアマネージャーとの情報のやりとりに対しての評価が付きまして、全国回っていますと、ケアマネージャーが病院に呼ばれる機会が多くなったということを聞いています。そのことを次に説明させていただきます。
 1ページめくっていただきますと、ポンチ絵をつくってまいりました。時間軸で話をしますと、この上のグレーで囲んでいる上の右のところに医療連携加算と退院・退所加算等々を記載しています。これが昨年の4月1日から介護報酬で評価されたものであります。今ほど説明した居宅介護支援事業者に対する加算であります。
 今度は、左側にあるのが、介護支援連携指導料、これは今年の4月1日から医療機関側に対する診療報酬での評価になります。ここを説明しますと、介護支援連携指導料は、左のポンチ絵にあります医師を始め、看護師、社会福祉士、PT、OT、ST、薬剤師たちが、真ん中にいます患者さんの退院のめどがついたときに、要介護度の区分変更とか、それから在宅に戻った後のサービスをどのように利用するかなどなど、いろんな打ち合わせを入院中に打ち合わせをすると、2回目まではこれだけの指導料が算定できるという形になっているものであります。
 ですので、入院期間中にケアマネージャーが医療機関に呼ばれて行っているということが加速してきているということであります。
 更に、これは入院中の話でございますが、退院時に、しっかりしたカンファレンスをしたときの診療報酬の評価が次のページにあるものでございます。
 この高齢者の退院時共同指導のイメージというのは、後期高齢者医療制度が始まったときに、この仕組みが導入されたわけでありますが、次に説明する内容で、なかなか入院中の担当医が出席しなければいけないということで、このカンファレンスがなかなかできなかったということを聞いています。
 しかしながら、ここまでしっかりやらなくても、先ほど介護支援連携指導ということで、十分連携が取れていけるだろうということで、先ほどの介護支援連携指導料と、更に退院時、このことを行った場合に、退院時共同指導料ということで、2万3,000円医療機関が算定できるという形になっています。
 これは、退院するときに、上に書いてあります在宅側の、ここに記載されている専門職が3者以上集まった場合、そして、入院中の担当医が主宰した場合という条件が付いていまして、ここでもケアマネージャーが呼ばれて、しっかり連携を取るということが更に確認できると思います。
 このように、診療報酬側と介護報酬側でいろいろ連携することに対しての評価ということで、入退院を繰り返すときに患者さんが安心して移動できるという形のことに、今、有機的な連携、実績が上がってきているところであります。
 そのあと、カラー刷りのところは、算定要件等々ですのでごらんいただいて、右下に書いてあります6ページのところをごらんいただきたいと思います。
 では、退院してくるときに、または退所してくるときに、ケアマネージャーはどのような情報をとらまえなければいけないかということで、退院・退所加算のときの最低これくらいの項目を押さえて、ケアプランをつくるということが老健局振興課さんの方から、このようなモデル様式が示されているわけであります。
 ここで見ていただければわかりますが、一番上にあります疾病の状態から始まって、服薬の状況、それから食事の内容、口腔ケア、移動、入浴、排泄、夜間の状態、療養上の留意する事項等々が、すべて押さえる形になっています。
 そうなりますと、今回、ここでのテーマであります訪問看護が適用になるか、ならないかということは、当然見えてくるわけでありますので、退院時、退所時に訪問看護が適用になるか、ならないかというところは、こういう情報をしっかり見て、また、訪問看護師さん等々と連携を取ってどうすればいいかということをやっていくべきと思います。
 次のページのカラーは、厚生労働省さんの方から示された、今、私が説明した介護支援連携指導料と、退院時共同指導料の取組みの一例でありますので、ここは後ほどごらんいただければと思います。
 いずれにしても、先ほどの論点のところにありましたけれども、24時間365日安定な訪問看護サービス提供には、ある程度規模を考えなければいけないと思います。
 また、それらに対して、このような加算がいいのかどうかわかりませんが、しっかり地域を支えている訪問看護ステーションに対する介護報酬及び診療報酬の評価を考えていくことも必要なのではないかと思います。
 以上であります。
○川村座長 ありがとうございました。何か木村委員の御発言に御意見、御質問はないでしょうか。
 木村委員が、今、ご説明くださったことは、入退院時の連携を促進するということのためには、ケアマネージャーの経験では介護保険、医療保険でそれを評価するということが1つのいい策ではないかということを根拠をもってお示しいただいたと思います。
 もう一つは、退院時の情報を入手すると、それにフォーマットを付けるということで、訪問看護の導入に対して糸口を広げられるのではないかというようなことだと思います。大変重要な点について具体的に解決策の御提案をいただいてよかったと思っておりますが、どうぞ。
○上野構成員 ありがとうございました。本当におっしゃるとおりだと思います。このフォーマットを、私は初めて拝見をしたのですが、もう少し情報がないと、多分訪問看護が入らないのかなという感じがします。
 例えば療養上に留意すべき事項、留置カテーテルとは書いてありますが、それ以外に、身体的な疾病から来るので、どうしても看護が入らなければいけないというようなところが、これでは余り読み取れないので、もし、こういったものを使うとすれば、もう少し具体なものの方がケアマネージャーには非常に助かるのではないかと思います。
 やはりケアマネージャーが一番困っているのは、訪問看護をどんなときに入れていいかわからなく、導入の判断ができないといわれています。多分、後で村嶋委員の方からも御意見があるかもしれませんが、村嶋先生が前に研究されたようなフォーマットもまた1つの方法かと思うところです。
○川村座長 どうぞ。
○木村構成員 あくまでも、これは最低この項目を押さえてほしいということでありまして、ですから、今日、明石委員がおいでになっていますけれども、例えば三重県の中でも情報が入っていますが、入院のときと、それから退院のときのフォーマットを、そのエリアで介護支援専門委員側と、それから病院側と医師会さんが間に入って、そのフォーマットとかをうまく使って連携を取ってやっているという例もあります。全国でも、そういうことがどんどん広まっていますので、これはあくまでも居宅介護支援の退院・退所加算の算定のときに最低必要な項目ということで御理解をいただきたいと思いますので、これで全部やっているということではありません。最低こういう項目を確認することで、これ以上のことをその地域で連携を取ってやっているという現状もありますので、そういうことで御理解いただければと思います。
○川村座長 必要があれば、手続の上で、多少の変更も可能だということです。何か明石委員に御意見はおありでしょうか。
○明石構成員 本当にいろんな手法で連携を取っていただくといいかなと思っています。
 ちょっと私どもの聞いたところですと、やはり訪問看護という仕事自体のPRというか、そういうことが大事かなと担当の方からも聞いていまして、特にケアマネージャーさんとか医師とか、勿論利用者の方もそうですけれども、そういうところへ、もっとこういうものだということでPRしていくということも大事かなと思いました。
○川村座長 ありがとうございました。ほかに特に、よろしいようでしたら、次のテーマでありますけれども、前回、訪問看護サービスの目標値、これが従来では9,900事業所というような事業所数で提案されておりますけれども、訪問看護ステーションの数は指標としては適切ではないのではないかというような御意見を幾つかいただいております。
 そこで、本日は訪問看護の需給について、それから24時間の看護と介護の連携といったことについて御研究されている東京大学の村嶋先生においでいただきましたので、御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○村嶋参考人 村嶋でございます。発表の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 御説明する資料は、資料3と、それから追加で配らせていただきましたカラー刷りのものでございます。
 まず、資料3に沿って御説明を申し上げます。私どもは、平成20、21年度に老人保健事業推進費等補助金をいただきまして、訪問看護の需給に関する調査研究事業を行いました。
 この研究の目的は、潜在ニーズを含めた訪問看護を必要とする患者、要介護者推計指標を検討し、全国推計を行い、今後の訪問看護サービス整備の一助とすることでございます。
 訪問看護ニーズを3つに分割し、それを合算して全体のニーズとして推計いたしました。
 1つ目が介護保険による顕在ニーズ、今、既に受けていらっしゃる利用者の数でございます。
 それから、医療保険による顕在ニーズ。
 3つ目が、介護保険、医療保険の中の潜在ニーズを考えました。
 顕在ニーズは、既存統計及び介護保険事業所を対象とした調査から算出をいたしました。
 潜在ニーズは、介護保険事業所及び病院を対象とした調査から算出し、両者を合算し、そして、2025年に向けて将来推計を実施いたしました。調査対象は8件でございます。
 潜在ニーズとは、訪問看護の必要性はあるが、利用のない人といたしました。訪問看護の必要性の判断は、各事業所や施設の担当職員。看護職の配置がある場合には看護職に回答を依頼しました。
 その際、利用者の経済的な事情や地域の訪問看護サービスが供給可能かなどの体制は考慮せずに、必要性で回答していただきました。
 推計結果のまとめでございます。2の1)におきまして、2008年時点で訪問看護の顕在ニーズは、介護保険と医療保険を合わせて31万8,000人でございました。高齢化に伴い、要介護の推計も変わってきますので、2025年には、この顕在ニーズが52万8,000人。それから、潜在ニーズが44.4万人と見込まれ、合わせて97.3万人になると推計されました。
 これは、2008年現在の顕在ニーズが31.8万人でございますので、その約3倍になると見込まれました。
 なお、この下にございますように、要介護者のみの訪問看護のニーズの将来推計は、下のサービス種別にございますように、顕在ニーズが今の要介護者の増加に伴って増えていきますので、大体1.7~1.8倍の伸び率だと考えられました。
 2ページ目でございます。今後の課題ですが、潜在ニーズを顕在化させるために必要な方策で、訪問看護の必要性を判定するアセスメントツールを開発いたしました。
 平成20年度に居宅介護支援事業所の利用者について、介護支援専門員を対象に行った調査で、訪問看護を利用していない利用者のうち、大体10%、9.3%、1割弱が実際には訪問看護は必要と考えられました。
 訪問看護10か年戦略にも普及啓発の重要性は指摘されておりますが、訪問看護の利用の伸び悩みの一因として、介護支援専門員さんによる必要性の判断が今一つなために、ケアプランに組み込まれないことが指摘をされております。
 その要因の1つとして、ケアマネージャーさんの職種により利用されるサービスに違いがあることが挙げられておりまして、それは職種によって医療的ケアに関する感度が違うことなどに基づくと考えられます。
 そこで、訪問看護の必要性を判定するアセスメントシートを少しずつ開発してまいりました。後でお示ししますが、難点といたしまして、感度は高いものの特異度が低い。つまり、必要性は把握するのですが、必要ではない人をなかなか峻別しにくいということがございます。それから、項目が多いことなどの課題がありまして、今、改良中でございます。
 2)として、今年、需給でさせていただきましたものとして、地域特性に応じた訪問看護の需給計画策定が必要だと考えております。
 20~21年度の調査では、全国や都道府県単位の訪問看護の需給を見積もるための基礎データを作成しました。
 しかし、訪問看護ステーションの経営が成り立つか否かは、高齢者人口等に依存しますので、都道府県や市町村が需給計画を立案する際には、地域の人口密度、現存するサービスの種類、サービスの供給量等、地域特性を考慮する必要があります。
 今年度は、そういうことを考慮して研究を進めたいと思っております。
 次のページをお開けいただきますと、資料1が私どもが考えました訪問看護の必要性を判定するアセスメントシートでございます。
 左と右からなっておりますが、左の一番上、チェックの?T-1が医学的管理、医療処置が必要かどうかということです。
 すぐ右側にありますチェック?T-2が御本人と御家族の状況で、御自分でできるかどうかということを判定しております。
 特にチェックの2が、現代、過去の疾患のうち、特に注意すべき疾患として、訪問看護が必要になることの多い疾患を挙げさせていただきました。
 チェックの3は、現在の状態及びハイリスクの状態で、ハイリスクの状態は、断続的な発熱や転倒による傷害、著しい筋力低下、脱水等、それからターミナル等のハイリスクの状態でございます。
 それを合わせまして、いずれかに1つでも○があれば、訪問看護の必要性があると考えまして、チェックの5として考えます。
 その後に、夜間、早朝の訪問看護の必要性と、介護者のことを考慮いたしまして、夜間、早朝に鎮痛剤、眠剤、向精神薬を利用しているだとか、医療施設が必要であるような項目がございましたら、それは夜間、早朝の訪問看護は必要ありと考えております。
 これがアセスメントシートでございます。
 次のページに開発の経緯が書いておりますが、なかなか3番の現在のアセスメントシート(Ver.8)の課題に書いてありますように、感度は高いものの特異度が低くて、なかなかまだ改善を要するということがございまして、Ver.9の作成に向けて、今、鋭意努力しているところでございます。
 以上がアセスメントシートでございますが、追加資料を用意しましたので、そのことについてもお話をさせていただいてよろしいでしょうか。
○川村座長 どうぞ。
○村嶋参考人 追加資料の方は、潜在ニーズはあることがわかりましたが、その人が訪問看護の利用に結び付くには何が必要かということを考え、かつ、私が今やっている仕事のことから少し紹介をさせていただこうと考えました。
 訪問看護ステーションの、左の上でございますが、利用候補者はどこにいるんだろうか、自宅、病院、診療所、居宅、有料老人ホームやグループホーム等がございます。
 グループホームは、実際に老健事業で研究をさせていただきましたときに、訪問看護が入れば、スムーズにグループホームに帰れるので、グループホームにとってもいいということが出ました。
 このいろいろなところに候補者がいて、情報を持っている人は、介護支援専門員、開業医、それから病院の医師、看護師、地域医療連携部、市町村の保健師、保健所の保健師、地域包括支援センターの保健師等がございます。
 右側に行きまして、このような情報がきちんと結び付いていくためには、やはりその地域の関係者が一堂に会して、その情報を交換しなければいけないということで、2か月に1回程度、これは滋賀県の湖南地域でございますが、全12か所の訪問看護ステーションの管理者と保健所の保健師と地域包括支援センターの保健師、研究者らが集いまして、この地域の看護の課題と解決方策を考えております。
 そのような中で、やはり病院との結び付きや、もっと介護支援専門員さんとの結び付きが必要ではないかということが出てきまして、1年に1回なんですが、病院と地域との意見交換の場をもう3、4年もっております。
 その中で、病院の地域医療連携室の方が、こういう会に参加したいということをおっしゃいまして、上の会に入っていらっしゃいまして、病院のナースと保健所、4市の保健師、ケアマネ等が合同で会をやっております。
 この訪問看護ステーションの所長さん方は、それぞれ大変優秀なんですが、私がこの地域での会を催して気が付きましたことは、ステーションの所長さん方は、自分の担当の患者さんについては非常によくやっていらっしゃる。それは当然ですが、でも、自分のところのステーションの方しか御存じないですね。当然と言えば、当然なんですが、保健所の保健師は、例えば難病のケースに関しては、Aのステーションにかかっている人もBのステーションにかかっている人も、Cのステーションにかかっている人もみんな知っているんだなということがありました。
 逆に言えば、保健所の保健師は、この地域の難病の患者さんが、どこでどれだけのケアを受けているかというマップを描くことができる。そして、必要量を推測することができる。それは、保健所の調査研究機能としてもやらなければいけないと思いました。
 また、地域包括の方は、結構病院からの退院患者さんを直接抱えて困っているということがございます。実際に世田谷区では、そういう事例集をおつくりになりましたし、東京都も地域ケアを推進する会として地域包括に看護師や保健師をプラスで雇って、医療機関とのつなぎに看護師を活用すると、その地域包括支援センターでも医療情報がよく取れるようになるということがわかってまいりました。
 地域特性によって、こういうケアシステムのつくり方は随分違うということもわかってまいりました。
 左の下でございますが、これは福岡県が平成20年、21年として、4つの保健所でモデルでやっていらっしゃるものでございますが、Aの地域からDの地域、それぞれ地域には強みがございます。
 Aの地域は、緩和ケアチームを持つ病院だと。Bの地域は、在宅看取りに熱心な診療所やステーションがあり、難病のネットワークがある。Dの地域は、住民組織活動が非常に活発であるというようなことがございまして、福岡県の事業として、県庁が主導して、それぞれの保健所管内の特徴に応じたケアシステムをつくっていらっしゃいます。こういうことが行政責任としてやられることが大事かなと思っております。
 右側のへき地の訪問看護の研究からというのは、やはり厚生科研でさせていただいたものでございますが、実際にへき地に訪問看護がございますと、地域の老夫婦がそこで住んでいくことができる。もし、訪問看護がないと、老夫婦の片一方、おじいさんが入院したときには、おばあさんは、山を下りて、バスに乗って病院まで半日かかって行って、また半日かかって帰って来なければいけなくて、早々と御主人は退院してきていらっしゃったんですが、そうすると、その土地で高齢者が生きていくことを支える活動になる。つまり、憲法でいっている、健康で文化的な生活の保障になるんだなというのを感じました。
 そういう意味からしますと、山梨県では、看護協会と話をして、訪問看護ステーションの誘致を町長さん方がなさり、いろいろな便宜も図っていらっしゃると、かなりのところまで訪問看護が受けられるということを感じました。北海道でも、町の保健師がステーションを誘致しておりました。
 そのように考えますと、訪問看護ステーションをやはり行政責任として、この地域の人たちがどういう看護を受けることができるか、それは病院の誘致がかなり行政の責任としてなされておりますが、そういうことと同じレベルで考える必要があるのではないかと思いました。
 それから、やはり山間地で、ステーションの所長になっている人に、どうやってステーションの所長さんになられたんですかと聞きました。「自分は遠くからこの町にお嫁に来た。4か月検診のときに、初めて保健師さんに会って、以前は何をしていたかと聞かれ、病院の看護師をしていたというと、その保健師さんがにこっと笑って、1年目の今年は慣れましょうね。次の年になると、保健師さんから呼び出されて、ちょっと研修を手伝ってほしいと頼まれた。そのうちにステーションの仕事があるので手伝ってほしい。それで、気が付いたら所長になっていました。」ということです。
 そういう人材発掘も、やはり行政、町の保健師だとできる部分もございます。訪問看護ステーションがきちんと位置づいていくためには、市町村や保健所、それから県を挙げての何か仕組みづくりが必要だなと感じました。これは、私の今までの経験からでございます。
 以上でございます。
○川村座長 ありがとうございました。大変具体的で面白い内容のお話をいただいたと思います。保健所の保健師さんが地域で働いておられて、その地域の潜在ニーズも具体的に把握しているし、それに対しての需要を供給ができるように、自治体として訪問看護事業所を誘致するということも働きかけて、資源も増やしておられる。 そこで働く訪問看護師の人材発掘もやっておられる。こういう全体を通して伺いますと、幅広い地域資源としての訪問看護の伸ばし方というものがあるんだなということを理解できました。ありがとうございました。
 何か、村嶋先生に対して御意見または御質問があるでしょうか。
 どうぞ。
○木村構成員 特にアセスメントのVer.8のところで大変参考になりましたが、感度と特異度のところで、今、我々介護支援専門員側も、このようなチェックシートのようなものをつくって、まずは、必要性があるかないかというところの判断にうまく使っていこうということを考えているんですが、この特異度のところは、今日、お話を伺っていて、シートですべてやる必要はないと、私は感じました。最終的には、やはりカンファレンスで決定していけば、必要な人にしっかり入ってくるという形になると思うので、このシートだけで最後までやっていこうとされているのか、それともケアマネジメントというPDCAサイクルの中で、最終的にやっていこうとしているのか、その辺のところをもう少し教えていただけないかと思うんですが、よろしくお願いします。
○村嶋参考人 御質問ありがとうございます。確かにおっしゃることは一理あると思います。こうやってみたときに、必要だと判定された人を、とにかく全部片っ端から訪問をして、本当にその人は必要かどうかということを、やはりきちんと精査していく、そういう研究が本当は必要なんではないかと思っております。やりたいと思いながら、なかなかそこまで着手できないのが現状なんですが、ある程度幅広いので、まずはスクリーニングをして、きちんとそこから仕訳をしていくという、科学的にやっていくことが必要だと、考えております。
○川村座長 どうぞ。
○木村構成員 そのように、一緒に逆にやっていかないといけないかなと思っています。別の研究会で、例えばVer.8のアセスメントシートを見たときに、医学的管理というのが1番~18番まであるんですが、例えばわかりやすい話で、6番のレスピレーター、4番のストーマ等が付くと、デイサービスを使えないというか、断られたと。その断られた人たちがどこに行っているか、どのようなサービスでサポートされているか、そういうところを追いかけていくことがまだ足りなかったと、私ども感じておりまして、ですから、こういう医学的管理が必要なことで、逆に医療ニーズが高いことで介護側のサービスでは無理だということで、ある意味拒否されて、多分別の形でサポートされていると思うんですが、そうなりますと、多分私の感なんですけれども、御家族に物すごく負担がかかっているんではないかという気がするんです。
 ですから、やはり野中委員の意見の中にもあるんですけれども、そういう必要な訪問看護という、必要なサービスというか、こういうものからずっとひも解いていって、最終的にはカンファレンス等で合議して、うまく入っていく仕組みを早くつくりたいなと感じました。
 以上です。
○川村座長 今日は積極的なお話がたくさん出てうれしいと思いますが、そのほかに、何かあるでしょうか。
 どうぞ。 
○上野構成員 村嶋先生、参考までに、滋賀県の場合は、先生方が主導権を取りながら会議を開催していますか、それとも保健所保健師さんが主導的にやっていらっしゃるのでしょうか。
○村嶋参考人 最初は、私どもが研究で入りましたので、平成17年3月、18年から今のを続けております。1年ほど経ちますと、保健所の方が入られ、そして今年からは病院の地域医療連携部の方が入られています。しかし、主体は12か所の訪問看護ステーションの所長さんたち、その地域のステーション連絡協議会でございます。共同でやっているということです。ですから、主体は訪問看護の方たちです。
○上野構成員 訪問看護ステーションが主体ですね。ありがとうございました。
○川村座長 どうぞ。
○宮島老健局長 介護保険と医療保険の顕在ニーズですけれども、この介護保険と医療保険で、訪問看護の患者に違いがあるのか、あるいは介護保険と医療保険の方の現場的な住み分けみたいのがあるのか、その辺、どのようになっているかをちょっと教えてもらえればと思います。
○村嶋参考人 この調査に関してですか。
○宮島老健局長 一般論でも調査でも結構です。
○村嶋参考人 介護保険の方は、それぞれの施設を単位にやりましたので、それぞれのところで活用できる保険を使ったというところですが、介護保険にプラスして医療保険を使っていらっしゃる方もいらっしゃいますね。済みません、御質問の趣旨がちょっと、両方に違いがあるかということでしょうか。
○宮島老健局長 そうです。完全に違いがあるのか、要するに訪問看護ステーションは介護保険だし、病院や診療所から出ているのが医療保険だということでしょう。そこのところの違いが何かと。介護保険の人ががんになれば医療保険になるというのは、これはその状態のときに起こりますけれども、そこの違いで、医療保険と介護保険の顕在ニーズの差を出しているのか、どういう住み分けになっているのかということです。
○村嶋参考人 今、どの保険を使っているかということで顕在ニーズを算出いたしました。私が介護保険と医療保険で非常に問題だと思っておりますのは、介護保険にプラスして医療保険を使っていらっしゃる方がいらっしゃいますが、それを使うときに、必ずしも使い勝手がよくないというようなことがありまして、例えば訪問看護ステーション、私は24時間ケアをやっておりますので、滋賀県などで夜の訪問をやるんですが、そのときに、そういう夜の訪問を持てるような基幹型のステーションはそんなに地域には多くないと、この12か所ステーションがある中で1か所だけなんですが、基幹型の大きなステーションは、本当は、その地域をまとめて面倒を見たいのです。しかし、地域の他の小さなステーションの人たちが、患者さんをそちらの基幹型のステーションに頼もうとしたときに、1日に1か所の訪問看護ステーションしか請求ができないというような問題があります。本当は、2つのステーションで1日に行くような報酬が付けば、大変スムーズに行くんですが、それができないというところが、今、大変ネックになっております。
○宮島老健局長 医療保険から出てくるというのは、では、訪問看護ステーションが大きくなってしまったり、医療保険から一切出なくても構わないということですか。訪問看護ステーションの方を大きくしていけば、別に医療保険の方から出なくても、医療保険の分も介護保険の方にやってもらうみたいな、医療保険で出ているというのは、医療ニーズが高いときだけではないでしょう。がんのときだけではないでしょう。このニーズ調査は、ニーズ調査でいいんですけれども、今、おっしゃるような意味で言うのならば、では、医療保険の方は逆にどうすればいいんですかということで、お聞きしたんです。
○村嶋参考人 今は、訪問看護ステーションは介護保険がベースになっておりますので、介護保険は当然のことながら上限があるので、一定量しか入らない。訪問看護は、大変そこでは苦戦をしております。
 それで、介護保険をベースにしながら、がんだとか、ALSだとか、医療保険が使える方がいらっしゃいますが、必ずしもそのときに医療保険の制約が大変大きいというのが、私が感じているところでございます。それでお答えになっていますでしょうか。
○宮島老健局長 ちょっとわかりませんが。
○上野構成員 済みません、ちょっと違ったかもしれませんが、医療機関の訪問看護も訪問看護ステーションも対象者は同じなんです。医療保険と介護保険に分けたときに要介護認定をされている人は介護保険、要介護認定をされていない方はすべてが医療保険という分け方です。その中で更に介護認定をされていても、厚生労働大臣が定める疾患や特別指示書が発行されている場合は医療保険に変わるという、制度上の仕組みになっていますが、多分、村嶋先生が先ほどお話なさったのは、例えば介護保険の方は、頻回に行くというのも、限度額があり、なかなかできない。介護保険の方はいいのですが、医療保険の方では、同日に訪問してはいけない。とか、それから限度額をいっぱいに使っていた場合など巡回型で行っても請求ができないというような不合理さができてくるということが1つはあると思います。
 これは、制度上の仕組みの問題なので、多分、滋賀県の地域では、そこを行政か何かが負担しながらやっているのかもしれないのですが、現状的に24時間を考えていったときに、いつも引っかかってみんなが困るというところは、そこなんです。医療保険で頻回に行かなければいけない人がいて、例えば訪問看護ステーションが幾つかペアを組んで行きましょうといったときに、同日訪問ができない。そうすると、片方が、今日はAさんが行き、夜間はBさんが行くといったときに、Bさんは夜間訪問をカウントできない仕組みになっているんです。そうすると、サービスが滞ってしまうというのが、今の現状の問題になっています。お答えになったかどうかわかりませんが。
○宮島老健局長 ありがとうございます。
○川村座長 よろしいでしょうか。それ以外に何か御意見、御質問はございますか。よろしいですか。
 それでは、参考人の村嶋先生、そちらの方の傍聴席の方にお移りをいただきたいと思います。本当にありがとうございました。
○村嶋参考人 ありがとうございました。
○川村座長 本当にありがとうございました。それでは、事務局の方から中間まとめの案についてお配りをいただきたいと思います。
 配られてすぐということではありますけれども、事務局の方から御説明をいただきたいと思います。お願いいたします。
○八田看護専門官 それでは、前回までの検討会での御意見並びに本日御欠席の野中委員からあらかじめ御意見をいただいておりましたので、そちらを踏まえまして、事務局と座長の川村先生の方で、中間まとめの案を作成いたしましたので、御説明させていただきます。
 これまで訪問看護支援事業に係る検討会においては、訪問看護支援事業の一層の推進及び充実、訪問看護の安定的供給を図るための追加的支援方策を含めて4回にわたって検討をしてまいりました。
 まず、訪問看護支援事業の推進についてということに関しまして、訪問看護支援事業は、平成21年度は11道県において実施され、事業実施により、事務の効率化、業務負担の軽減、訪問看護事業所間あるいは訪問看護事業所と医療機関、ケアマネージャー等との連携の強化、利用者数の増加などの効果が確認されました。
 訪問看護支援事業を実施している自治体においては、今後、引き続き行政と在宅医療、看護、介護を行っている看護師、医師、薬剤師、介護支援専門員等の関係団体、関係者間の密接な連携の下に、本事業が推進され、要介護高齢者の在宅療養環境の充実が図られるべきである。
 また、国庫補助事業終了後も、各自治体において継続的に事業が実施されるよう関係各者の合意形成を早期に行うことが望まれる。
 なお、未実施の都道府県においても次の点に考慮の上、来年度から本事業を実施することが望まれる。
 訪問看護支援事業の企画立案に当たっては、各地域における訪問看護、医師、薬剤師、介護支援専門員等の関係団体、関係者が協議会のメンバーとして参加し、調整しながら検討を進めること。
 実施する事業の内容の検討に当たっては、各圏域における訪問看護に関する問題点や課題について、訪問看護事業所等を対象としたアンケートやヒアリング調査を実施することにより把握すること。
 2番目といたしまして、訪問看護の安定的供給と、サービスの充実のために求められる方策ということに関しまして、訪問看護の安定的な供給を確保するとともに、訪問看護サービスの一層の充実を図るため、以下のような方策を進めることが必要であるということで、まず、1つ目として、訪問看護事業所の規模拡大について、訪問看護ステーションの人員基準については、常勤換算で2.5人以上の看護職員等を配置することとされているが、スケールメリットを生かした経営の安定化、効率化が図れるよう、事業所規模の拡大が望まれる。
 更に、事業所の規模拡大により、夜間や早朝を含めた定期や緊急時の訪問の安定的な実施、各種研修への従業者の参加機会の確保、従業者にとって、十分な休暇の取得等が可能になることから、サービスの質の維持向上を図るという観点からも地域の関係団体と自治体が連携し、事業所の規模拡大に取り組む必要がある。
 なお、業務の効率化等を図るという観点から、地域によっては、いわゆるサテライト、出張所等を設置することが有用である。
 サテライトについては、過疎地域やへき地に限らず設置が可能である。実施する業務についても要件を満たせば、特に制限はない。
 各自治体は、サテライトの活用について配慮すべきである。
 2番目といたしまして、適切な訪問看護サービスの整備目標の設定。
 訪問看護サービスの整備目標として、ゴールドプラン21においては、平成16年度の訪問看護ステーションの設置目標を9,900か所、参考値と定めていたところですが、しかしながら、訪問看護事業所によって従事する看護師数は異なっており、事業所の数は、供給可能な訪問看護サービス量の直接的な指標にはなり得ないこと。
 仮に現時点における訪問看護に従事する看護師数を前提として、9,900か所の訪問看護ステーションの整備を進めた場合、1事業者当たりの看護師数は2.4人となり、事業所の規模縮小に帰結すること。
 ですから、訪問看護事業所の数を訪問看護サービスの整備目標の指標として用いるのは適当ではなく、今後は、地域における利用者数、利用回数等に加えて、潜在ニーズも需要面での指標として用いた上で、供給面では訪問看護に従事する看護師数を供給目標の指標として用いることが適当であると考えられる。
 介護保険の事業計画作成に当たっては、各市町村における病院、診療所等の医療資源や介護に関する資源の存在状況等も踏まえて、在宅要介護者がどの程度増加するかを予測した上で、各圏域において必要な訪問看護サービスの提供が可能となるように、訪問看護サービスに係る適切な供給目標を設定することか望まれる。
 3番目、訪問看護の意義等についての理解を得るための取組みということに関しまして、訪問看護は、居宅において療養上の世話及び必要な診療の補助を行うこととされているが、医療機関の医師や看護師、介護支援専門員、介護従事者等の理解不足、要介護高齢者や家族等の理解不足双方の要因により、訪問看護サービスの提供が望ましいと考えられる要介護高齢者に対し、訪問看護サービスが提供されていない場合が見受けられるという指摘があった。
 必要なものに対し、必要な訪問看護が提供されるように、訪問看護に従事する看護師と、医療機関の医師や看護師、介護支援専門員、介護従事者等の連携を強化するとともに、ケアカンファレンスの場などを利用して、訪問看護の意義等について関係者の理解を深めることが必要である。
 4番目といたしまして、医療定期ケアが必要な要介護者等への支援体制の構築。
 医療ケアを必要とする要介護高齢者が増加している中、訪問看護サービスの充実のみならず、介護職員等が医師、看護職員との連携、協力の下に、サービスを提供できるような体制を整備することが望まれている。
 利用者にとって、安心・安全なケアが提供されるよう、介護職員等に対する研修、指導等に看護職員が積極的に取り組むと同時に、看護職員と介護職員が同一事業所でサービス提供を行うような事業所形態についても検討し、看護職員と介護職員との連携強化を図るべきである。
 更に訪問看護の安定的な供給と、地域包括ケアシステムの構築を推進する上での1の事業所において医療的ケアが必要な要介護高齢者にも対応可能な通所、宿泊等のサービスを訪問看護と同時に提供する事業形態の創設等について検討が必要である。
 以上、若干省略をした部分もございますが、発表させていただきました。
○川村座長 とりあえず、第1案として、このようなものが提出されておりますけれども、いかがでしょうか。急にと言われても困るかもしれませんが、何か、今、気が付いたということがあれば、お教えいただきたいと思います。
○川村座長 どうぞ。
○上野構成員 今、御説明いただいて、そんなに深く考えることはできないですが、2番の整備目標の設定のところに、都道府県の事業計画を都道府県が立てるわけですね。是非そこに、今の支援事業のことも一言いただければいいのかなと思います。そのような形で中間とりまとめをしていただければいいかなということ。
 もう一つ、訪問看護は、必要なものに対して必要な訪問看護を提供されるべきであると言われていますが、実際、先ほどから言われているように、必要なだけの訪問看護は必ずしも提供されているわけではないということがあります。1つは、利用回数は伸びていますが、利用時間は非常に短くなっています。
 診療報酬のデータでずっと見ていきますと、介護保険の場合は30分、60分未満と60分か90分と、理学療法士・作業療法士の訪問と分けられるわけですが、平成13年度のときには、30分の訪問看護は10.5%でした。平成19年度には26%、非常に30分訪問が多くなっています。
 それから、30分から60分に関しては、13年度は62.2%、19年度は52.8%、それから90分未満に関しては、13年度は18.6%で、19年度は7.6%という形で、非常に訪問時間が短くなってきています。
 したがって、訪問回数は増えていますが、これは必ずしも本当に利用者のためになっているかというと、利用者のためにはなっていなくて、訪問看護師は急いで来て、急いで帰ってしまうというような印象づけをされているということもあります。ただ、ケアマネージャーに関しては、ケアマネージャーはそうせざるを得ないのは、限度額の中にいるからで、どうしても限度額を考えると、訪問看護を入れることに躊躇してしまい、できれば、安い30分を入れるという形で、必要な人に必要なだけの量を、必要だと思ってもなかなかケアマネージャーも入れかねるというところが現状ではないかと思いますので、その限度額管理も含めて少し考えていただければいいかなというふうに思っています。
 以上です。
○川村座長 どうぞ。
○八田看護専門官 上野委員に御質問なんですけれども、先ほど2番のところに、訪問看護支援事業のことについても触れてほしいということで、御意見をいただきましたが、支援事業に関しては、まとめて1番のところに記載しているわけですが、具体的には2番のところに、訪問看護支援事業のところをどういった形で取り入れればいいかということに。
○上野構成員 今、2年間ですね。それで事業が終わってしまいます。ですから、2年後も何らかの形で継続できていくようなことで記入していただけないかということです。やはり、今、一生懸命やっていますが、2年後は、自力で本当にできるかというと、そこのところが非常に懸念される部分があります。そこのところを何らかの形で、今度は都道府県ですので、都道府県が支援する形のものを目標値に入れていただけないかと思うわけです。
○川村座長 どうぞ。
○八田看護専門官 訪問看護支援事業の継続ということに関しましては、1番の訪問看護支援事業の推進についてというところの3段落目になりますか、訪問看護支援事業を実施している自治体においてはというところの最後のところに、各自治体において継続的に事業が実施されるよう関係者の合意を早期に行うことが望まれるということで記載しているんですが、数値目標に関して、今後の訪問看護に従事する看護師の確保ですとか、利用回数の確保について、支援事業について少しここで触れるということになるんでしょうか。
○上野構成員 もし、できたら、そこにも触れていただいた方がいいのかなと思います。
○川村座長 3ページの上の介護保険事業計画作成に当たってはということで、この介護保険事業計画には、今、数値目標が入っているんですか。各都道府県全部を私は拝見していないので。
○八田看護専門官 一応、利用者数等の目標値を設定するようにということにはなっております。
○川村座長 そうすると、それをきちんと評価していただくと、今の支援事業が、その地域で有効であれば、何らかの形で効果がでるということなんですね。ここに入れることはできるんでしょうか。それは後で検討させていただくとして。
○上野構成員 明石委員、どうですか、そういうのは入るのでしょうか。
○明石構成員 県で言うと、介護保険支援計画ですけれども、そちらには、今、言われたように、必要なサービス量というか、そういうようなものを入れておるところなんですけれども、今回の支援事業の結果、効果ですか、それを加えてはどうかということですけれども、ちょっとどういうふうにしたら入るのかどうか、今すぐにどうしたらいいのかなと、今、感じているところです。
○川村座長 では、その趣旨を踏まえて、どういう記載の仕方をするかはお任せいただけるでしょうか。
 木村委員、何かございますか。
○木村構成員 1ページの方で、この支援事業の推進ということで、私が最初にこの会でプレゼンテーションをした中で、医療材料等の供給支援のことを申し上げました。
 この支援事業を推進するに当たっては、医療材料や衛生材料の供給で、いわゆる薬剤師とか、もっと言うならば、薬局が関係するということがあるんですけれども、後ろの方に行きますと、そのものの文言がないので、これは提案なんですが、3ページの(3)の訪問看護の意味等の理解を深めるということの中にも、その文字を入れていただけないかなということで提案します。
 ?@-2の3行目下に、必要なものに対して、必要な訪問看護が提供されるように云々とありますけれども、この介護従事者などの中に入っていると思うんですけれども、薬局の薬剤師が結局、衛生材料とか、そういうものを提供していくということ等を考えれば、ここに、例えば医師や看護師の後ろに、薬局薬剤師というのが入って、そことも連携を取って、こういう訪問看護の意義等々を連携してやっていくということを入れていただければなと思いました。今後のことという意味です。
○川村座長 ありがとうございました。急にということなので、すぐご意見がでないかもしれません。後で読み返してみたら、ご意見があるかもしれません。御意見をいただく時間というのは取れるのでしょうか。大高委員とか、野中委員とかは、今回、ご欠席ですし。
○八田看護専門官 本日、御欠席の方も含めて、一たん皆様にお考えいただく時間を取って、その後、座長と、私どもの方で意見を集約させていただいて、最終的なものを再度見ていただいてという形を取らせていただいても構いませんでしょうか。
○川村座長 そうすると、その期日は今、決まるのでしょうか。
○八田看護専門官 1週間くらいの期間で大丈夫でしょうか。では、修正等の御意見を1週間程度でいただきまして、その後、再度、御確認をいただく。
○川村座長 そうしますと、8月16日、15日。
○八田看護専門官 お盆にかかってしまいますけれども。
○川村座長 日にちで決めた方がいいですね。1週間程度というよりは。
○八田看護専門官 メールなので大丈夫だという御意見もありますが、大丈夫でしょうか。では、16日くらいをめどにお返しいただければということで。
○川村座長 では、今週いっぱいという御提案ですので、そうしますと、14日までにメールで専門官の方に御連絡をいただきたいと思います。
 では、その後は、本日、いただいた御意見と、それからその後でいただく御意見等を含めて、それを検討した上でまとめ上げて、そして皆様方に配信をして確認をしていただくという手続でとりまとめを行いたいと思っておりますが、そういう最終的なとりまとめのところを御一任いただくというようなことでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○川村座長 では、そのようにさせていただきたいと思います。本日の議事につきましては、これで終了と、どうぞ。
○木村構成員 今日の中間とりまとめは、こういう方向で、また提案させていただきますけれども、別にこのまとめの中には記載していただかなくて結構なんですけれども、過去3回検討した中で、衛生材料、医療材料の供給のことに関して、たしか野中委員もおっしゃったと思うんですが、医師がやっている在宅療養指導管理料の中に、材料費は含んでいるということで、そこからしっかり現行の制度として提供していただきたいということを、別に保険局医療課さんの方との関係が出てくると思うんですが、そのことと先だって中医協で話題になったと伺いましたけれども、医療材料・衛生材料等の包装が大きくて、やはり医療機関側の負担感がすごく大きいということを聞いています。
 ですから、できれば、厚生労働省さんの方から、医療材料、衛生材料の小包装化のことをメーカーの方に進めるように後押ししていただくようなことを一方でやっていただければ、このまとめた後の現場での仕事がやりやすくなると思います。これはまた別の話だと思うので、ここでとりまとめることと、別に診療報酬とか医療材料の価格のこととかになると思いますので、その辺のことを申し上げております。
 以上です。
○川村座長 ありがとうございました。それでは、これでよろしいでしょうか。委員の皆様には、大変お暑い中、貴重な時間をいただいてありがとうございました。
 事務局から何か御連絡はあるでしょうか。
○八田看護専門官 先ほど座長の先生からも既にお話がありましたので、本日、いただきました御意見については、早急にまたこちらの方で修正をいたしまして、皆様に御連絡させていただきたいと思いますので、御協力、よろしくお願いいたします。
○川村座長 よろしいですか。何かまだありますか。
 どうぞ。
○宇都宮老人保健課長 補足しますが、今週いっぱいということで、皆さんから御意見をいただいて、その上でということでございます。
○川村座長 では、期日を守って御提言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、本日は、ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 老健局が実施する検討会等> 訪問看護支援事業に係る検討会> 第4回訪問看護支援事業に係る検討会議事録

ページの先頭へ戻る