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2010年10月22日 第5回死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会議事録

医政局総務課医療安全推進室

○日時

平成22年10月22日(金) 14時00分〜16時05分


○場所

省議室


○出席者

検討会メンバー(五十音順)

相田典子 (神奈川県立こども医療センター放射線部長)
池田典昭 (九州大学大学院医学研究院法医学分野教授)
今井裕 (東海大学教授)
今村聡 (日本医師会常任理事)
北村善明 (日本放射線技師会理事)
木ノ元直樹 (弁護士)
隈本邦彦 (江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授)
塩谷清司 (筑波メディカルセンター病院放射線科科長)
菅野健太郎 (自治医科大学消化器内科教授)
宮崎耕治 (佐賀大学医学部附属病院長)
門田守人 (日本医学会副会長)
山本正二 (Ai学会理事長)

参考人

小山信彌 (日本病院団体協議会・日本私立医科大学協会病院担当理事)
佐々木孝子 (医療過誤を考える会会長)
高橋純 (医療過誤原告の会副会長)
倉木豊史 (警察庁刑事捜査第一課検死指導室長)

オブザーバー

文部科学省高等教育局医学教育課
日本医療安全調査機構
放射線総合医学研究所重粒子医科学センター病院Ai情報研究推進室

事務局

大谷泰夫 (医政局長)
岩渕豊 (医政局総務課長)
村田善則 (医政局医事課長)
木村博承 (大臣官房総務課参事官(医療安全担当))
渡辺真俊 (医政局総務課医療安全推進室長)
山本博之 (医政局医事課課長補佐)

○議題

1 関係学会等おける死亡時画像診断の活用等の検討状況について
2 その他

○議事

○医政局総務課医療安全推進室長 定刻になりましたので、第5回「死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会」を開催します。本日はお集まりの皆様方におかれましては、ご多用のところ本当にありがとうございます。本日は、和田先生からご欠席との連絡をいただいています。
なお、本日お話いただく方々をご紹介させていただきます。日本病院団体協議会・日本私立医科大学協会病院担当理事(東邦大学医学部外科学講座心臓血管外科教授)小山信彌先生、医療過誤を考える会代表佐々木孝子さん、医療過誤原告の会副会長高橋純さんです。それと、警察庁刑事局捜査第一課から倉木豊史室長にもご出席いただいておりまして、後ほど資料の説明を行っていただく予定です。
続きまして、9月21日付で厚生労働大臣政務官が交代して、岡本充功さんが就任しましたが、本日は、大変申し訳ないですが、現在国会開会中で、国会対応のため欠席とさせていただきます。大変恐縮でございます。
 以降の進行について、門田座長、よろしくお願いします。

○門田座長 本日も、どうぞよろしくお願いします。非常に限られた時間内ですので、是非ご協力をよろしくお願いいたしたいと思います。いつもですと、ここで政務官にご挨拶いただくのですが、先ほどご案内がありましたように、国会のほうで対応ということで、本日は政務官に来ていただいていません。いつものように進めさせていただきたいと思います。事務局から、資料の確認をお願いします。

○医政局総務課医療安全推進室長 本日のお手元の配付資料について確認します。1枚目は本日の議事次第、資料1は「第4回検討会議事録」、資料2は「死亡時画像診断(Ai)に関する意見書」で、小山先生からお話いただく予定のもの、資料3は「Ai診断制度の導入に向け医療過誤遺族として望むこと」で、高橋さんからお話いただく予定のもの、資料4は「犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会中間とりまとめの概要」で、警察庁からお話いただくもの、資料5は「イギリスの死後画像診断の現状」で、塩谷先生からお話いただくもの、資料6は「死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会報告書事項立て(案)等」を用意しています。以上です。

○門田座長 ありがとうございました。皆様、資料に問題はありませんか。特に問題がありませんようでしたら、早速議事に入ります。
前回の検討会では、副座長の今井先生からは日本医学放射線学会のご意見、鈴木先生からは日本救急医学会のご意見、隈本先生からは、国民目線での死亡時画像診断に対するご意見、ということでお話をいただいています。今回は先ほどもご紹介にありましたが、日本病院団体協議会を代表して小山先生から、病院団体協議会ですのでいろいろな医療機関としてのご意見を聞かせていただきます。それから医療過誤を考える会からご出席いただきました佐々木代表から、そして医療過誤の被害者の立場から医療過誤原告の会の高橋副会長からも同様に、今回の死亡時画像診断に対するご意見等をお聞きし、前回話題になりましたが、警察庁で死因究明のことについて検討されているということで、公開できる範囲内のものを我々にも聞かせていただこうではないかというふうになったことをご記憶されていると思いますが、そういうことで倉木室長にお願いしています。また最後には、塩谷先生からイギリスの現状について、わずかな時間ですがご報告していただこうと思っています。
資料1について、事務局から説明をお願いします。

○医政局総務課医療安全推進室長 資料1は、第4回の議事録です。既に皆様方には内容をご確認いただき、厚生労働省のホームページにも掲載しているものですが、何かありましたら事務局までお申し出いただければと思っています。以上です。

○門田座長 ありがとうございました。ここでは、いま直接どうこうはできませんので、もしお目通しして何かありましたらご連絡いただけたらと思います。
それでは早速ですが、資料2に基づいて小山先生からご説明をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○小山先生 ご報告させていただきます。ただいまご紹介ありましたとおり、いま、日本病院団体協議会のほうで代表者会議をやっていまして、そこに日本私立医科大学協会の代表としてこの会に参加しています東邦大学の小山と申します。よろしくお願いします。
日本病院団体協議会というのは、11の団体が集まった協議会です。国立大学附属病院長会議、日本私立医科大学協会、独立行政法人国立病院機構、全国自治体病院協議会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、日本病院会、全国公私病院連盟、日本慢性期医療協会、独立行政法人労働者健康福祉機構という11の全国組織の各団体が集まりまして、いろいろなことの検討をしています。実は今日も、いま現在進行中で進んでいます。この各団体にメールで、今回このような話をいただきましたので、各病院からのご意見を聞かせていただきたいという形で、アンケート調査を行いました。それを全部メールで集計しまして私の所に集めまして、ここに列挙しています。性質上、ニュアンスにいろいろ異なることがありますが、できるだけご意見をそのまま尊重するような形で載せましたので、いくつか重複しているところもあると思います。微妙にニュアンスが違うところがありますので、そのままいくつかの意見を述べさせていただきます。
まず最初に、死亡画像診断の導入については反対する病院団体はありませんでした。どこも、これはやる方向でいいのではないでしょうかというコンセンサスでした。ただ、体制整備については問題があるという意見が出ていました。これは大学病院から出ていましたが、教育や研究という観点からは画像診断が病理解剖法の代わりをなしたり、司法解剖の代わりをなしたりするものではない。両者がなされることが望ましいのではないかというご意見をいただきました。それから、このAiを行うときに、患者側の条件、例えば、CPAに限るとか、死亡診断書が書けない場合に限るという、どういう患者に対してこれをするのかというのは、ある程度位置づけをはっきりさせる必要があるでしょうというご意見でした。
それから病院団体からは、次の3つの項目に留意をしながら、積極的に検討すべきだというご意見をいただきました。1つ目、いまもお話したとおり、解剖に取って代わるものではないということを頭の中に入れておく必要があるだろう。2つ目、Aiの特性や限界について、引き続き検討を行うこと。時々刻々変化をしますので、そういうことについての学問的な取扱いには十分注意する必要があるだろうということです。3つ目、ここがいちばん大きな問題かもしれませんが、現状の医療資源、人や機器や資金を流用するのではなく、Aiを進めるための予算を別途確保することが必要ではないかというご意見をいただきました。これは繰り返しこのあとも出てまいります。
それから、地方の病院から出てきたのですが、監察医制度が運用されていない県がまだ多数ありますが、こういうところでは非常に重要な意味を持ってくるだろうというご意見でした。すべての異状死において完全な死因究明ができるとは思えないけれども、司法解剖をするか否かのscreeningには非常に有用なのではないかというご意見をいただきました。やはり監察医務院のないすべての自治体で運用されることを切に願うという要望が出てまいりました。
これは少し病院側のエゴと言ってもいいかもしれませんが、画像の取扱いについてはきちんとした取り決めをしていただきたい。その画像を遺族へ渡すのかどうか。死亡と関係のない異状が見つかった場合に、無用なトラブルの原因になりかねないのではないかという意見。あるいは、Aiの結果を医療訴訟や医療責任に結び付けないように工夫できないか。医療訴訟の材料にしないようにしてほしい。ちょっとネガティブな意見かもしれませんが、現実にやり出すと、こういうことも少し考慮してほしいということでした。
最も大きなところは費用に関する意見で、診療報酬上の扱いをどうするかというご意見です。Aiの費用は、保険診療とは別に保証されたほうがよいと書いてありますが、多くの病院の意見は、少なくとも保険診療とは扱えないだろうという考え方が中心でした。いちばん最後に書いてありますとおり、Aiの費用を保険診療とは別に支払われるとすると、今度は逆に、いま剖検しているものに対してもその費用が支払われることになるのではないか、というような意見も出てまいりまして、この辺は非常に微妙な意見があるのかなと感じました。費用に関して続きますが、死亡後なので当然ながら診療報酬の対象とはならないと考えている医療機関も多ございました。そのときに、それに代わる費用、体制(人員、設備)の確保が必要である。医療施設で実施した場合の経費は、国に補填していただくのがいちばんいいのではないかというご意見でした。これも、そのまま載せています。Aiが選択される場合の費用、体制が保証される必要がある。費用、体制(人員、設備)については、これは再三出てまいります。
それから、これは1つとても大きな位置づけになると思いますが、病理解剖、司法解剖、行政解剖とAiの位置づけをきちんとしていただきたいという意見が結構ありました。先ほども監察医務院制度がないというお話をしましたが、二次医療圏ごとにやるのかというと、これは無理だろうなというご意見が多くありました。地域によっては、専門の放射線科医師そのものの確保が困難であったりする地域もあること。あるいは、このAi読影に長けた放射線科の医師による遠隔画像診断も考慮していったらどうでしょうかというご意見をいただきました。
総じてですが、CTの撮影は「医療」の枠組みで行うのかに対しては、枠組みではちょっと違うのかなというご意見が多かったです。「検死・死体検案」の枠組みで行うのかというところも少しクエスチョンマークで、いくつかの病院団体から質問が出ていました。もう1個問題があるのは、医療機関内のCT装置で行うのかということで、ここのところは実はいま議論をしてきたところですが、このあとでまた述べさせていただきます。院外あるいは自施設以外の医療機関や医学部、監察医務院等に遺体を搬送して行うのか。救急の場合は対応できるのかというお話をいただきました。
大体まとめますと、死因究明の一手段としての導入に対しては反対する医療機関は全くなくて、どちらかというと積極的にやりましょうというご意見でした。ただ、解剖に取って代わるものではないので、その位置づけは重要である。どういう患者に対して、Aiを行うのかという適応基準を少し明確にする必要があるのかなと思いました。こちらの会の意見の中で小児の虐待ということが出ていましたが、そこら辺はいい適応なのかなという感じもしました。そういった意味で病理解剖、司法解剖、行政解剖との位置づけが非常に重要である。読影の専門家の養成、専用の機械の設置が必要なのではないかという意見が出ていました。
費用に関しては、保険診療で賄うのは否定的でした。費用の負担は患者が行うのか、病院が持ち出すのか、行政で行うのかということは、その内容によっても変わってくるでしょうというご意見でした。別枠の予算を組んでいくのかという考え方に、どちらかというと、国家的な予算の中でやるというような意見が多かったですが、内容によっては患者の自己負担ということもあり得るのではないかというようなご意見でした。
最後に私見も含めていますが、基本的な考え方として再三申しているとおり、導入には賛成できる方向で動いています。ただ、病理解剖とは取って代わるものではないという認識は持っている必要があるだろう。使用する機器は専用機器を使用というところで、非常に議論がありました。どういうことかといいますと、おそらく使用する機器を専用機器にすると、各医療施設に置くことはできないし、かといって二次医療圏に置くことも難しいということを考えてみますと、ある場所まで運ぶということになると、救急医療ではとてもではないけれども対応できないが、どうするのか。逆に、いまの患者を普通に使っているCTでこれを造影することに対して、果たして患者のコンセンサスが得られるのかどうかというジレンマの意見が出ていました。それで、技師や読影医の育成が必要であろう。
設置場所としては大学病院あたりがいいのではないかと思いましたが、意見を聞きましたら、それは適切ではないのではないか。理由は、いまお話したみたいに、それほど時間が取れないような状況の中では、わざわざ大学病院まで運んでやるようなことはできないのではないか。この辺になってきますと、どういう患者をAiに入れるかによっては、こういう考え方もあるかと思いますが、各病院団体の代表者は、必ずしも大学病院という必要はないのではないかというご意見もありました。もしも大学病院だとしても、病理解剖か法理解剖かの位置づけは必要であろう。それから、費用の負担はどこにするのかをきちんと明確にしていく必要があるだろうということでした。そうして最後に出てきた意見は、この死因究明制度がいま頓挫していますので、是非この死因究明制度をきちんと立法化して、その上でこのAiの議論をすべきではないかというご意見もいくつかいただきました。
以上、雑駁ではありますが、ご報告させていただきました。どうもありがとうございました。

○門田座長 ありがとうございました。非常に大きな病院団体協議会のご意見として、アンケート調査の結果をご報告いただきました。全般的には賛成であること。そして、以前から問題になっている対象をどうするかという問題、設置の場所、費用の問題を、現場の病院単位でも同じようなことを考えられているということでしたが、委員の皆さんにご質問、コメントをお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○池田先生 質問です。聞き漏らしたのかもしれませんが、この11団体の先生方のアンケートですが、アンケートの対象はどういう方ですか。先生なのか病院の責任者なのか、どういう方がアンケートにお答えになったのかを教えていただきたいです。

○小山先生 アンケートを取ったのは、いまお話したとおり、各病院団体の理事長あるいは副理事長レベルの方の集まる会です。この団体に対して、団体としての意見をお聞かせくださいという形で取りました。ですので、ほとんどすべては医師です。しかも、管理者的な立場にある医師の意見とお考えいただいてよろしいかと思います。

○門田座長 そのほか、いかがでしょうか。いまの件についても、それぞれの病院協会の皆さん方、ここに挙がっている11の所は、この件についてはそれぞれの組織の中でのディスカッションは進んでいるのでしょうか。

○小山先生 どの程度ディスカッションが進んでいるかに関してはわかりません。各病院団体ではそういうことを積極的にやっている団体もあります。そこの議論をした全体のコンセンサスであるというところもありますし、そうではなくて、こういうことに長けている方、あるいは実際にこれをやっている病院もありますので、そういう所の先生方のご意見を聞いてきて、集約して持ってきたということです。これは、決して11団体が全員こぞって、これでよいと言った意見ではありません。同じようなことを何回かダブらせていただいたのは、それぞれの意見にはこういう意見があるということだけでもって、集約化はしていません。ただ、つい1時間ほど前にこの資料をもって、いま代表者会議をやっていますが、代表者、理事長あるいは副理事長レベルの先生方にお集まりいただいた会議の中でこれを説明して、そういう方向性でいいでしょうというような一応のコンセンサスを得たというレベルです。

○門田座長 ありがとうございます。今村先生お願いします。

○今村先生 医療機関内のCT装置で行うのかとか、専用の機器でというご意見が結構たくさんあったかと思います。二次のアンケートでも、救急の現場ではかなり医療機関の中で通常のCTで撮影しているという結果があったわけですが、特にわざわざ外部のものでなければいけないというようなご意見がある。いま先生のご指摘にあったように、いろいろな集約が必ずしもされているわけではないと思いますが、もちろん院外で亡くなった方について、その方をわざわざ病院の中に運び込んで、院内の機械でというのは問題だと思います。そうではなくて、もともと病院の中にいらっしゃった患者あるいは救急の患者といった場合でも、院内では具合が悪いという意見が多いのでしょうか。

○小山先生 先ほど説明したとおり、ジレンマというお話をしましたが、現実を考えると先生のおっしゃるとおり、院内のそれでやるのがいちばん早くて、いちばん良い情報がすぐに得られると思います。ただ、これが一般の患者にご遺体のCTも、あなたの撮っているCTも同じですよといったときに、患者側がコンセンサスを得られるかどうかが1つ。もう1つは、ある病気で亡くなられたらまだいいですが、未知の感染症や何かを持った患者がいる可能性はあります。結局、死因がわからない患者が入ってくるわけですから、この方の検査と普通のCTと通常使っているCTを同時に使っていいかということに対しても、少し懸念が出ていましたので、どちらが多いかというのをなかなか集約できないのですが、どういう患者をここに持ってくるかによって変わってくるかと思います。先生の言うように救急の現場だということになりますと、おそらく院内の中でなんとかやり繰りをしなければならないだろうというご意見が強かったですし、そうではなくて、死因究明の度に時間をかけてということであれば、それは専用機器のほうがいいでしょうというような話の内容でした。

○門田座長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。最初に返りますが、非常に大きな団体から出てきた意見として、積極的な意見のほうが多いことはいいことだと思いますが、実際に具体的に行ったときに、個々の病院レベルの話になってきたときに、病院の皆さんが全体ではそうかもしれないけれどもという感じの病院が、どの程度あるのか、そのあたりはどうしたら調査できるというか、もう少し病院レベルでわかるようになるのでしょうか。

○小山先生 それに関しては、あまりにも決められていることが少なすぎて、意見が言えないというのがありました。Aiの検査にどういう類の患者を持ってくるのかの規定も決まってない中では、なかなか意見を述べにくい。救急を主にやっていて、救急の中でどうしてもやりたいという所は、ここでやるのは当然でしょうという考え方をしますし、そうでない所では、死因究明で、いまのモデル事業のような考え方が頭にある場合には、いまはわざわざ解剖できる所に移動していますよね。それをCTのできる所へ移動するイメージの中で話をしているので、そこら辺のニュアンスはもう少しこちらのほうで集約して、こういうものをというような形のものを絞り込んでいただくか、逆にどういうのがいいですかというような質問をしていただければ、それなりの意見は出てくると思います。

○門田座長 確かにそうですね。漠然と聞いてもなかなか簡単には答えにくいというのが正直なところですよね。そのほかはいかがでしょうか。木ノ元先生どうぞ。

○木ノ元先生 いまのお話と関連しますが、11団体というと、病院の規模や大学病院、市中の小さな病院と、団体によっても規模や人員体制も違う病院がさまざまあると思いますが、その中で、大病院はこうだけれども、小病院はこうだとかと、全体的な傾向みたいなものがある程度出てきている所は、アンケートの結果から読み取れるのでしょうか。

○小山先生 病院の規模は読み取れません。小さい所は有床診療所も入っていますし、大型のほうでは、大学病院は基本的には全部。特定機能病院と国立病院、公私連盟という病院は全部入っていますが、あとは日本病院会や小さな有償診療所を含めたベッドもありますので、それを細かく分けて、それぞれの意見という形ではありますが、あくまでもざっくりとした意見です。

○門田座長 そのほか、いかがですか。今井先生どうぞ。

○今井副座長 1つお伺いします。意見の中で、Ai診断は監察医制度が運用されていない地域では非常に重要だと、これは私たちも本当にそう思っています。監察医制度がない所こそ、こういったところが必要だと思っています。逆に監察医制度が行われている地域では、こういったAiを大いに取り込めるという意見があったのでしょうか。

○小山先生 ない所には、どうしても必要だという意見は出ていましたが、要らないという意見は出ていませんでした。ただ、監察医制度はおそらくこういうことになっていますと、監察医の所にはそれ専用のCTを置いてあるのは当然だよねという裏返しもあるかと感じています。

○門田座長 そうしますと先ほどから出ていますが、この大きな団体全体の意見を集約できるようにするためには、もう少し具体的な作業内容をこちらが出すのか、あるいはやるとした場合に、個々の病院だとどう考えるか。もう一歩具体化したようなところまでいかないと、これ以上のことはなかなか煮詰まっていかないかなということですね。

○小山先生 確かに、あまりにも漠然としているので、結局こちらの意見も漠然とした意見になってしまいます。ただ最後に述べましたが、いま死因究明の立法化が止まってしまっていることに対して、病院は非常に危機感を持っています。特に今回の帝京大学の事件もありましたが、すぐに警察が入ってきて調べが始まることに対して、医療機関は大変危機感を持っています。それはある程度立法化されて、それからの1つの手段としてAiがあるのではないかというような位置づけの意見を持っている団体もありました。

○門田座長 いままで話題になっていた医療関連死の大綱案云々が止まっているということですね。

○小山先生 そうです。

○門田座長 これは医療現場では非常に重要な問題で、日常の医療はいまも続いているにもかかわらず、そこが置いてきぼりになっているということは、現場とすれば大変なことであるという意見があったのは、本当にそのとおりだと思います。そういう所はこことは直接は関係ないのですが、そこが止まっていることが大きな問題であるということで、事務局は是非心しておいていただきたいことだと思います。
そのほか、小山先生のご報告に対して何かありますか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、小山先生のご説明についてはここまでとさせていただきます。後ほどでもありましたら、またおっしゃっていただいてお答えいただきたいと思いますが、予定されているものが本日たくさんありますので、次に進みたいと思います。
続きまして、佐々木さんからお願いします。

○佐々木代表(医療過誤を考える会) 佐々木と申します。今日は、このAi検討会に参加させていただきます。よろしくお願いします。
私は、このAiという言葉で死後の画像診断をCT、MRIなどで死因を究明するということを知りまして、そこで画像診断ということに大変何かを感じました。画像診断というのは、的確に読影ができることが重要です。そして、またAiを導入するにしても、読影できる体制、すべてにできる能力のある体制というのが重要ではないかと思います。と申しますのは、私事で恐縮ですが、レントゲンを写したのを、描出されたのを見落とされまして息子をなくしています。当時、高校2年生の17歳の若い命でした。端緒はバイクによる自損事故ではありましたが、救急病院に運ばれました。夜でしたから脳外科の先生がおられて、レントゲンで全身を見たわけです。骨折もない。脳も異状ない。意識レベルも清明であるということで、そこで1日経過観察として入院したわけです。
ところが、その夜に大変な急性腹症を呈しまして、横になって寝られないぐらいにすごかったのですが、診に来られたのは脳外科の先生であって、どうすることもできない。夜中中、そういう状態であった。それは私が見ていました。朝になりまして、子どもは「お母さん気持悪い」ということで吐血したのです。そのときに、初めて主治医となる外科の先生が来られた。このときに、「先生、これ内臓破裂と違いますか」と聞きましたら、鼻のところをちょっと切っていました。「これは鼻血を飲み込んだものだ。大丈夫」と言われたのです。何を根拠にしておっしゃられたのか。それを聞いて、専門家の先生がそうおっしゃってくれるならと思ってホッとしたのです。それで、胃の洗浄をするからと。そのあとは、子どもは本当にケロッとして、歩いてトイレに行ける状態でありました。
ところが、痛みが消えない。明くる日から食事が出た。しかし、食事は食べられないという状態で、聞けば打撲だから大丈夫。打撲という診断が出たのです。だんだんおかしくなる。腹部膨満、圧痛、高熱、白血球の上昇といったもので、これはおかしいということで、そこで初めてバリウムによる造影剤検査をしたのです。本当は、ガストログラフィンというのでしなければいけないのに、バリウムでされた。それで漏れを発見し、緊急手術となりました。ところが9日目で手遅れ状態で、なす術もなく縫合手術の失敗。そして転院しましたが、4日後に亡くなりました。死因はそこの病院では敗血症でした。
私は医療過誤裁判をしています。そして、裁判のときに普通のレントゲンではシャウカステンがないので、これをメディカルフィルムのところで焼きつけてもらったわけですが、ここに既に出ているわけです。先生が見られたら一目瞭然でわかりますが、これを見落としていたということです。これは裁判中に、1年間ぐらい証拠保全したフィルムを持っていましたが、それはどこに焦点があるのかがわからなかったわけです。医師に聞きに行っても、「それは難しかった。初めての症例であった」ということで逃げられるわけです。でも、裁判で、当時沖縄の病院長をなさっている先生が、すぐにこれを見て「これは十二指腸後腹膜破裂である」、交通事故ですから。ここにすごいエアが出ているわけですから、これは十二指腸後腹膜破裂で、医学生のときに習うものである。これがわからない医療者がいるのかというぐらいの画像である。これは教科書にできるのでほしいと言われたぐらいの画像です。それで裁判をしまして、証人尋問も私がしましたら、「初めての症例でわからなかった。しかし、いまならわかる」という答えでした。本当にそういうことで亡くしていますので、この読影というのが大切ではないかと思っています。
このAiは、解剖診断とは別次元の検査であって、独立した診断方法であるということを知りましたが、変死体や異状死といった場合は、必ず医学的な検索をなさるわけです。そこに司法解剖や病理解剖が入るわけですが、それはそれで大変大切なことだと思います。解剖しないとわからない事件性のものなどは、刃物であれば入り込みの長さとか、それは大変必要だと思います。しかし、解剖となりますと、切り刻むということで受け入れ難いところがあるわけですが、Aiとなりますと、ただ単に放射線を当てるに過ぎないので、遺族の方には理解してもらえる。そこで死因の大体のことがわかる可能性はあるかと思いますので、良い影響を及ぼすのではないでしょうか。
しかし、医療関連死というのがあります。私たちはほとんど医療で遭遇するわけですが、その医療関連死においてはそこに診療期間がありますよね。そこでCTやMRIと、たぶんいろいろと検査をされて病歴や治療歴といったものがありますので、急死されたとしても、その病気が悪化したか急変したかということで判断がつくと思います。だから、特例を除いてはあまりAiはないのではないかなとは感じます。しかし、遺族としての真相を究明したい気持というのがありますね。それをしっかりと見ていただける。死因がわからない場合には病理解剖があります。また、Aiというのがもしあればそういう選択肢があるので、それで死因究明ができるのではないかと思います。そこで財政的にも診療でないので、Aiを取り入れる場合においても負担の少ないものであれば、私たちはそれを受けることがいいのではないかと思います。そして、Aiも要らない、ただ単に大体の死因がわかればいいという方もいらっしゃいます。Aiは別に要らない、そっとしておいてほしいという人もいらっしゃいますが、そういう人にはその人の尊重というのがあると思いますので、それはそれでいいかと思います。
私は新聞の死亡欄をよく見るのですが、そこには心不全とか肺炎とか心筋梗塞とか多臓器不全とか、がんであればその部位の名前で何々がんと載っていますが、死因というのは大体のことで私たちはそれでも納得できるのではないかと思います。特例の場合はCTとかMRIを撮れば、それだけ医療機関においてはその結果、次なる医療に活かされるということもありますので、いいかと思います。それで、Aiを取る場合でも、死因究明には全体像がわからないといけないと思います。そのCTの画像だけを見て、全貌がわかるということはないと思います。その人の生きてきた歴史や背景といったものがあり、また、合併症を持っておられたというように、複合的にその病気が悪化して急死なさる場合がある。そういったことがあるということで判断するわけです。
私は医療過誤を考える会をしていまして、電話がかかってきた例があります。アレルギーの人が診療機関にかかられた。そこでCT室に入れられた。付き添いの人が待っても待っても出てこない。いったい、どうなっているのだろうかと聞きましたら、結局そこで亡くなっていたのです。その方が言うには、注射か何かで造影検査をされて亡くなっていた。こういった急死された場合には、CTでどのように出るのかなということを感じますが、CTの画像ですべての死因が画像によって描出するかというと、そうでもない。また隠れてわからない場合もあることもあるのではないか。これも限界があるのではないかなと思います。感染症にしてもそうだと思います。それで、Aiにもわかるところの限界というのがある。司法解剖にしても病理解剖にしても限界というのがありますが、本当に真相究明しようとするのであれば、その解剖とAiといったものを同等に考えて、一応一体化されて調べるというのが必要ではないかと感じています。いずれにしても、それは限界があっても、それをすることに意義があると思います。
いちばん大切なことは、結果を踏まえて、いかに被害者遺族に対して説明をするかが大切だと思います。誠意ある対応、誠意ある説明が問題だと思います。Aiを導入するにしても、本当に検査結果を踏まえて、どこがわかって、どこがわからなかったかという結果を遺族に説明するのを大切にしていただきたいなと思います。そして医療機関から頼まれた場合でも、医療機関に公表することによりますと、次なる医療にもこれは活かされるということで、Aiも画像診断だけでわかるところと、わからないところがあるというのを踏まえて見ていただきたいなと思います。以上です。

○門田座長 ありがとうございました。つらい体験談からAiというか死因究明に対するお考えを聞かせていただきました。おっしゃっていただくように、必ずどんなものをやっても限界は限界としてある。しかし、その手前にはそれをしたことによって明らかになるものもある。そこもお認めになっていただいていますし、いちばん大事なことは遺族に対する思いやりというか、どんな説明をするにしても相手の気持を労る思いやりとともに、正しい科学的なものの説明までいかに持っていくかということが重要ではないのかなというお話をいただきました。最後には、これがその次の医療の新たな展開にも応用されるという意味において重要だというふうに、全体を通してポジティブなお考えを聞かせていただいたと思いますが、ご質問はありますか。

○佐々木代表 もう1つ、この画像は情報を与えていましたので、十二指腸後腹膜破裂という診断が出ています。私は裁判が終わりまして医療センターで、情報を言わないでこれを見てもらいました。そしたら、これは腸に潰瘍ができて、その潰瘍が穿孔して消化管から空気が入って、ここにエアが映し出された。普通、エアが絶対入らないところに、その消化管からエアが入ったということです。これは腎臓を浮かせていることになりますが、普通はこれは出てこないのに出てきている。クリアにこのエアが出ている。それで情報を与えたことによって、十二指腸後腹膜破裂。情報がなければ、これは内科的な穿孔であるということが出ていましたので、画像でも情報を言うということは、大変大事だと思います。見るにしても、それだけの画像をモニターに映して見るのと、たくさんの情報があるのとではだいぶ違うのではないかと思います。

○門田座長 木ノ元先生どうぞ。

○木ノ元先生 大変貴重なお話を伺ったと思っています。ありがとうございました。いまの最後の情報の話ですが、具体的にお子さんは交通事故で受診されているわけですよね。その交通事故という情報自体も話さなかった場合には、こうだというお話ですか。

○佐々木代表 はい。

○木ノ元先生 でも、実際の診療では交通事故で受診しているのは承知してますよね。

○佐々木代表 そうです。だから、それはこの画像だけでAiでもしその人を診る場合、交通事故というのでないのと、普通どう診断されるかといったときの対比ですね。

○木ノ元先生 交通事故という情報があれば。

○佐々木代表 あれば、これは十二指腸後腹膜破裂、なければ、その人は全然情報はないのだから、これは穿孔してエアが入ったという感じで言われたわけです。

○木ノ元先生 よくわかりました。

○門田座長 そのほか、いかがでしょうか。今村先生。

○今村先生 どうもありがとうございました。私が聞き漏らしてしまったのかもしれませんが、2点あります。1つは、こういった診療に関連してお亡くなりになった方で、Aiを撮像するときに、遺族の希望で断る権利も当然あるべきだというご意見。もう1つ、撮影に関するご負担については、診療ではないので、ご遺族が出されてもそれは。

○佐々木代表 だけど、希望してする場合にも、もう亡くなっていますから診療ではない。生きるための診療はいくらでも払いますが、亡くなった後ですから、そんなに負担がない程度でお願いしますということです。

○今村先生 負担は、ご遺族がしない形でという意味ですね。

○佐々木代表 しないことはないですが、そんなに多くないという感じで。

○今村先生 了解です。それから、ご子息の場合は本当に不幸なことにお遭いになられて、交通事故だったということで、医療費とかそういうものは、いわゆる事故の賠償責任というか、自賠責みたいなもので出されたのでしょうか。それとも、通常の診療。

○佐々木代表 ちゃんと保険で出ました。

○今村先生 事故の自賠責ですか。

○佐々木代表 はい。

○門田座長 ほかはいかがですか。よろしいですか。特にないようでしたら、次に進みたいと思います。また何かありましたら、小山先生の件についても佐々木さんの件についても、途中でもおっしゃっていただきたいと思います。
 引き続きまして、高橋さんよろしくお願いします。

○高橋副会長(医療過誤原告の会) 医療過誤原告の会の副会長をやっています高橋と申します。今日は遺族の立場から、Aiの画像診断の導入について意見を述べさせていただきます。
 私は、基本的にAiの導入には賛成です。遺族としては、病気で亡くなる、医療過誤で亡くなるといった場合に、なぜ亡くなったのかということについては非常に知りたい。それが納得できるものであれば、我々としても、これはしょうがなかったのだと諦めもつくでしょう。死因については非常に知りたいわけです。それの大きな手段の1つではないかと思います。基本的に賛成です。また、これが医療の安全、いい加減な医療というものがより少なくなるでしょうし、医学あるいは医療の全体の進歩のためにも役に立つということで、積極的な意味があると思います。
Aiの導入に当たっては、まず遺族の立場から求めたいのは、まず遺族はAiの何たるかについては全く知らないわけですから、Aiの意味、意義をよく丁寧に説明していただきたい。それから、遺族のほうでOKとなって診断が行われたあとは、懇切丁寧に説明していただきたいということです。それが当然の前提となるわけです。
ただ、私としては、Aiの診断には危うい面が非常にあると思います。まずは4頁に書きましたが、医療側の一方的な説明に終わってしまって、都合の悪い事実や症状を隠したり説明しなかったりということもあるでしょうし、あるいはミスを隠すためのいい加減な嘘の説明をするかもしれない。遺族がなんとなくそれで納得させられてしまう危険もあると思います。それから佐々木さんもおっしゃっていましたが、Aiの診断というのは決して万能ではないことも併せて説明していただきたいということです。
こういう危うい側面を防止するためには何が必要かということを考えてみますと、診断した結果、それの文書及び画像そのものが遺族にきちんと手渡され、第三者による検証の道を設けておくこと、認めてもらいたいということです。第三者といいますと、ある遺族にとっては、まだ発足していませんが、安全調査機関にそれを持っていく場合もあるでしょうし、別の医師に見てもらおう、別の専門家に見てもらおうということもあろうかと思いますし、場合によってはこれを警察に持っていって、刑事事件にせざるを得ないことになるかもしれません。少なくとも、第三者による検討というものを最初からないとするのはまずいということだと思います。
もう1つは、せっかくこうして得られたデータですから、全国の医療関係者の方が必要に応じて、こういう画像を検索する機会を与えられて然るべきではないかと思います。裁判でいいますと、最高裁や高裁ごとに判決の内容というものを一般の人もある程度見られるようになっていますが、Aiの診断についてもそれと同じようなことが行われて然るべきではないかということです。これによって、いい加減な画像診断というものもより少なくなるでしょうし、遺族が「ごまかされてしまった」と後悔することもなくなるのではないかと思います。
私がこういう危うい側面を指摘せざるを得ないのは、私の体験したことからです。私の娘も医療過誤で死にまして、裁判をやりました。裁判は結局最高裁までいったのですが、裁判所はどこも認めてくれませんでした。しかし、裁判について述べてみますが、実は娘が死んだ直後に、死因の説明を担当医師3人でやってくれました。最後に第1手術のときの第1助手を務めた医師が、「我々もこの死は納得できないから、解剖させてほしい」とおっしゃいました。しかし、私どもはそれは耐えられないからやめてほしいということで、お断りしました。
ところが2年半経ってから、その医師から「実は手術のときに、主治医が針金を脳内に刺入する事故を起こしてしまった。何の手当もしないまま放っておいた。主治医が刺入はさせていない、脳の中に刺してはいないと言ったものですから、結局そのままになってしまって何の手当もしなかった。」という話がありました。しかし、2日後には敗血症及びDICという病気でもって、急死同然で死んでしまいました。2年半が経ってからその医師が言うので、いろいろな医師あるいは弁護士に相談した結果、これは医療過誤だと。これは大学病院だったのですが、大学病院に調査するように申し入れたのですが、きちんと対応してくれない。結局は裁判になりました。
裁判の過程で、私が作りました資料にA、B、C、Dとあります。AとBがレントゲン写真、CはCT画像です。レントゲンは手術中に撮ったもので、キルシュナー鋼線という針金が刺さったままになっています。CTは当日の朝、死亡の10時間ぐらい前に撮ったものです。これだけのものがあって、脳に針金が刺さったかどうかについて、裁判での大学側の主張は全く納得できないものでした。Aのレントゲン写真は少し斜めになっていますが、斜め前方からではあるけれども、一応側面像です。上から撮ったわけでもない、下から撮ったわけでもない、ほぼ水平方向から撮ったことが、すぐにおわかりいただけると思います。虫歯の治療痕が5カ所残っていますが、それが白く浮き出ていまして、ほぼ水平にきちんと写っています。水平から撮影したものでなければ、こういうふうに写るはずがない。ところが、その大学側は「下から撮ったから、本当は顎関節にとどまっている鋼線の先端が、その後ろにある錐体上縁の上にあるように写ったのだ」と。私どもの実験では、30度ほど下から撮らなければ、先端が錐体の上縁の上に行ったように写りません。しかし、これはどう見ても、下方から撮った写真ではありません。錐体上縁と顎のすぐ上の中頭蓋底の位置はすぐそばですし、高さにして1?p以上違います。それが横から撮った場合に、どうしてこんなに上に行くのか。脳内に入っているから、こんなに上に映るのではないかということです。
レントゲンBは、正面のやや上から撮っています。したがって、錐体上縁と鋼線先端の関係は側面像と違って、少し錐体上縁が下がっています。しかし、1?p下がっているわけではありません。せいぜい3?oぐらい下がっているわけです。錐体上縁というのは、頭蓋骨の中頭蓋底よりも1?p以上上にあるわけですから、それではこの正面像からいっても先端は1?pぐらいは脳内に入っていることは明かです。それを上から撮ったということは非常に簡単にわかる。頭蓋骨の模型を手に取って検討してもらえば簡単にわかります。したがって、我々としては30度ということはわかったのですが、大学側に「下からと言うけど、何度から撮影した写真ですか」と質問しました。答えはない。私どもは頭蓋骨の標本とか模型を使って何度も実験しました。結局いま申し上げたような結論で、大学側でも同じような実験をやってほしいと言ったのですが、それもやらない。こんな単純なことがどうしてできないのかということです。
こういう大学側の回答でしたが、CT画像についても1枚目と2枚目の、1枚目は省略しましたが、実は1枚目のCTに写っている像から9枚にわたって、不鮮明ですが、脳の右側に白い点が写っています。いちばん上の右側に、三日月のような形をした小さな出血痕が残っていますが、この上とこの下には点々と出血痕が残っているのです。それを結んでいきますと、ほぼ直線状になります。直線はどこに向かっていくかというと、まさに手術をした、右顎の顎関節に行き当たります。そうすると、これはどう見ても鋼線がずっと上のほうに入っていって、血管を損傷して出血を起こしたためにこういうものが残ったということになる。私どもはそういうことを主張したのですが、大学側は「そんなことはない、これはけがをしたときに衝撃で梗塞が起き、梗塞のあと出血したためであろう。」という説明です。
スライドの8枚目にありますが、私どもは裁判の過程で4つの大学の5人の先生に、レントゲンやCTを見せて検討してもらいました。先生方はこれは間違いなく刺入している、これは医療ミスであるとおっしゃいました。それを意見書に書いていただいて裁判所に出しました。しかし、裁判は地裁でも負けましたし、高裁に係属したのですが、帝京大学の放射線の先生と慶應大学の脳外科の先生ですが、地裁の結論を見て、「こんなばかなことはない、この判決はおかしい。」ということで、全国の脳神経外科、放射線科の先生55人にCTとレントゲン写真を送って見てもらいました。36人の方から回答がありました。回答は資料Dに載せています。それを見ていただければわかりますが、「大場所見」というのは帝京大学の助教授の方の所見ですが、これを55人の方に示して、レントゲン写真とCTを見てその辺の見解を問うたのですが、ほとんどすべてと言ってもいいぐらいの方が、刺入している、あるいは刺入している可能性が大きいと言っていらっしゃいます。
大学病院のほうは放射線科の主任教授が意見書を書きました。それに基づいて、いま申し上げたことをすべて、裁判で大学側が主張しました。だから、放射線の専門家がこんなにいい加減なことを言うものであろうか。5mm厚のCTスライドであったのですが、主任教授たちはその情報を基に顎関節の、頭蓋骨の天井に小さな穴があるとか、MPR手法という分析をやったら頭蓋底に穴があいていないことがわかったということまで、その主任教授はおっしゃいました。ところが、私どものほうで見てくれた先生は、5mm厚のものでわかるはずがないと、1mmだとか0.5mmぐらいのものであればわかるかもしれないけど、5mm厚の雑の情報で、そんな精密な、細かい正確なことがわかるはずがないではないかと、一笑に付しておりました。
Aiの導入にあたっても、先ほども佐々木さんがおっしゃいましたが、正確な読影は本当に必要です。しかも、学問的にも誰が見てもわかるような説明でなければ、あるいはそういうものでなければ駄目だということです。この主任教授は、あろうことか医療放射線学会の理事をやり、また、ある学会の年度の大会の総会の会長をおやりになっているのです。放射線医療のリーダーの1人の方です。その方がこういう雑なことを平気で意見書として出してこられるのです。大学側はそれを、そうだ、そうだ、絶対間違いないと、これ以上のものはないぐらいの証拠であると言う。そういうことが実際に起こったわけです。だから、私としてはAiの導入には大いに賛成ですが、もちろんAi診断は放射線科の方が診断の中心になるわけです。その方たちがいい加減な診断を出すことによって、どれだけの人が迷惑を被ることか。私だけではなくて、何十人という方が迷惑を被るのです。
大学側は、事もあろうに、私に内部告発として教えてくれた先生を、「大学の名誉を毀損した。」ということで裁判に訴えたのです。そこで裁判になって、また大学は同じように主任教授の意見書を出す。それは最高裁までいったけれど、医者のほうが負けました。そういう間違ったいい加減な意見書に基づいて裁判所もいい加減な判断を出したわけです。最高裁、高裁、地方裁判所と、2つの裁判で6つの裁判所の方が一生懸命書類を読んで判決を書いてくれたのでしょうけれど、解剖していれば一目瞭然でわかったのだろうと思うのです。それを大学側はいかにいい加減な診断で、ごまかそうとしたのではないかと。私はあえて言いますが、いい加減な診断でどれだけ多くの人が迷惑を被るかということをわかっていただいて、画像診断、Ai診断に当たられる方々には、本当に正確で誠実な診断を行ってほしいと申し上げて、私の陳述を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

○門田座長 ありがとうございました。医師として、放射線に限らず、すべてそういうことはないのでしょうけれど、そのような事例が発生したということをお話いただきました。Aiということで、放射線の診断ということからのお話かと思いますが、放射線関係の方がたくさんいらっしゃいますが、何かコメントはありますか。

○今井副座長 ただいま高橋様がおっしゃったことはまさにそのとおりで、Aiに関しては、生きているときの画像診断はかなり学問になっています。ただ、Aiに関してはごく一部の人にしか知られていません。安易にAiを広げてしまうと、いま高橋様がおっしゃったような、いい加減な報告書が出てくる可能性があると思って危惧しています。ですので、高橋様がおっしゃったように、きちんとした誰が見ても納得できるような診断をすることが重要だということで、私たちの学会としても、教育も含めて是非充実していきたいと考えております。今日はありがとうございました。

○北村先生 Aiについての考え方として、第三者の検証ができるようにする。また、画像の一元的管理という形で進める。いつでも公開できる形にすることも含めて検討する必要があります。Aiはあとで見ても、要するに画像はなくなるものではないという意味で、。さらにガイドラインというか、撮影方法の標準化も進めていかなければならないと思っております。ありがとうございました。

○隈本先生 高橋さんのご意見の中に、家族あるいは遺族が入手できるような体制にしてほしいという提言がありましたが、患者が入院中にやった医療行為の記録とか画像も含めて、基本的にご遺族が求めれば、それはお渡しするというのが厚労省のガイドラインでも決まっているはずなので、仮にAiが死後の診断であるとしても、これに入るのではないかと思います。厚労省の出している診療情報の提供等に関する指針では、ご遺族にも渡しましょうという内容になっているはずなのです。事務方もいらっしゃるので、そこは確認していただいたほうがいいのではないでしょうか。死後画像についても同じガイドラインが適用されると思うのですが。

○医政局総務課医療安全推進室長 いまそちらの元にあるほうのことは即答できませんので、確認いたします。また、死後画像に適用がされるかどうかについても、まさにここで幅広くご議論していただいた上で今後の方向性を決めていく話かと思っております。

○隅本先生 基本的に、生前というかご本人からの要望に関しては、個人情報保護法第25条で、民間病院も含めてご本人が請求した場合、業務に特定の支障がない限りは速やかにお渡しするということになっていると思います。本人でない場合、ご遺族の場合についてはまだ法的には決まっていないと思いますが、考え方としてはご本人と同じ考え方であるべしということで、それに関連して厚生労働省のガイドラインで、ご遺族にもということになっていると思います。

○門田座長 いつか話題になったと思いますが、Aiという形で客観的なデータを残すということの重要性は、先ほども出ておりましたが、あとからそれを検証できることが大前提だという話が出ていたと思います。これから先もその発想、考え方はたぶん変わらないと私は信じますし、これから制度設計していく上で、当然そういう形になっていくだろうと思います。前に宮?ア先生は、先生の所ではすべて資料を提供するとおっしゃっていましたね。

○宮崎先生 私どもの所では、現在までご遺族の方の要望によって撮ったAiばかりですので、要望があればすべて資料はご遺族の方に渡すという方針です。

○門田座長 もしそれ以外の理由で始まったとしたら、同じ考え方になりますかね。

○宮崎先生 もう1つの可能性としては、司法が要望するという可能性のときにどうするか。これは例えばドメスティック・バイオレンスの問題とかいろいろなことがありますので、その辺については少し慎重に考えないといけないかと思います。

○門田座長 ありがとうございました。そのほかにご意見はございますか。

○山本先生 高橋先生、どうもありがとうございました。私も読影をする側の意見で、すごく重要なことをおっしゃっていただいたのですが、いちばんのポイントはきちんとした読影をする、そのための報告書を作るというところだと思います。それは、同じ院内ですと証拠採用されないことがあるので、第三者の意見をきちんと反映した形での報告書を作るところまでがAiの最終的な目標だと思いますので、まず制度を作るときに、それができる体制を整えることを中心に議論していただければと思います。

○門田座長 高橋さんのお話を伺っていて、医療そのものが古い医療と言うと当たらないかもわかりませんが、どちらかというと医療そのものが透明性が乏しいということで、実際、不信というか、本当にどうなっているのかという遺族サイドのことが十分理解されていないというか、いままでその辺りがなおざりになってきたことに対して、「危うい側面」という表現をされたのかなと思いました。確かに、これから先時代が変わってきているわけですし、先ほども申しましたが、特にAiで、できるだけ物事のデータその他いろいろなものの透明性を出すためにはどうするかというのが、たぶん基本的に流れているのだろうと思いますので、これから先は変わらなければならないという方向性でAiを考えていくべきだろうし、そういう方面において高橋さんも基本的には賛成であるというお話をしていただいているものと思います。そのほかにご意見はございませんか。

○隈本先生 高橋さんに質問なのですが、最初の段階では解剖をお断りになっているのですよね。そのときのお気持ちというか、あとで解剖しておけばよかったというニュアンスのご発表だったと思うのですが、お断りになった感じはどういうことだったのでしょうか。

○高橋副会長 死ぬ何時間か前に、娘が「家に帰ろうよ。帰りたいよ」と言って母親に泣きついたりしていましたし、そういうことがあって、家内が「もういいから連れて帰りましょう」と言いまして、私も「じゃあ連れて帰ろう」ということでお断りしたわけです。「解剖させてほしい」と言ったその先生は、あとからそのことで、もっと強く言わなかったことを非常に悔やんでおられたと同時に、私も驚いたのですが、これは病院に対する批判ということになりますが、解剖させてほしいと言ったのはその医者なのです。ところが、裁判が始まってみると、主治医本人が、「解剖の要請を彼が言うはずがない。言ったのは私である」と、そういうことまで言うのです。だから、本当に惨憺たる病院だと思うのです。結局、裁判が始まりまして、その医者も訴えられましたが、あるとき彼がこうおっしゃったのです。「高橋さん、お墓を暴いてみませんか」と。私も考えてみなかったことですが、まだ下顎骨のこの部分が残っていて、穴があいているのがそのまま残っているかもしれない、だから見させてほしいということで墓地へ行きました。もちろん許可を取ったわけですが、墓石をずらして、きれいな布の上に骨壺を全部あけて、ピンセットで一つひとつ、これは違う、これは違うと、弁護士とその医者と私と3人でやりました。だけど、亡くなってから7、8年経っていますし、焼いているわけですから、骨は粉々に近い状態で、結局何も出てきませんでした。手術のときに、最後にミニプレートというプレートで止めたのですが、そのプレートが出てきました。医者が「高橋さん、これは私が一生記念に取っておかなくてはいけないから、このミニプレートをください」とおっしゃって、持って帰りました。
それほど、あのとき解剖していたらという思いがその医者は強かったのです。解剖していたら、こんなにたくさんの人を巻き込んだ大騒ぎになるのではなくて、すぐに単純なミスであったことがわかったであろうにと思うのです。Ai診断では、どのぐらいの厚さのスライドをお作りになるのかわかりませんが、1mmとか0.5mmでやればはっきりしたことが分かると思います。そういう点では、解剖をやらなかったことは非常に残念です。したがって、こういう思いをする人がないように、Aiでも解剖でもやるべきであろうなと思った次第です。

○木ノ元先生 貴重なお話をどうもありがとうございました。私はどちらかというと病院側で裁判を担当する立場なものですから、今日のお話は非常に勉強させていただいたと思っております。裁判では残念ながら敗訴という結果が出たというお話でした。高橋さんとしては、裁判でなぜそういう結果が出てしまったのかについては、どこがいちばんのポイントだとお考えでしょうか。参考までに聞かせていただければと思います。

○高橋副会長 1つ申し上げたいのは、私が裁判を先に起こしたのですが、内部告発した医者が訴えられたのがほぼ半年後です。その裁判においては、入ったか入らないかが唯一と言っていいぐらいの争点です。ほかにもいくつか争点はあるのですが、最大の争点は入ったか入らないかです。裁判はどんどん進み、私の一審の判決の前に一審の判決が出ました。私が一審で負けたあと、高裁に係属している間に高裁の判決、最高裁の棄却決定が出て、医師側の敗訴が確定したのです。
私がいま思いますに、内部告発した医師の裁判の高裁の判決は極めて杜撰でした。それで「入っていないと。したがって医者が言っていることは嘘だと、名誉毀損だと、何百万払え。」という判決になったわけです。なぜそういうことを言うのか。先ほど言いましたが、あの側面像が最大の根拠でした。このレントゲン写真に2つの眼窩が写っています。右と左の眼窩の上縁というか、丸い上のところを結ぶと、右下がりになっているではないかと。右下がりになっているということは、これは下から写したものである、大学側の言うとおり下から写したものであることは間違いないと。しかし、ちょっと考えていただければわかるように、カメラとレントゲンの原理は同じです。カメラを覗いて水平に構えた場合は、写真は水平に写ります。しかし、少しカメラが傾いていたらどう写るか。写真にはこれが傾いて写るわけです。これは新潟大学の神経放射線の先生がおっしゃったのですが、「裁判官はこんな単純なことがわからないのか」と。眼窩と2つの下顎角が、参考の資料ではなかなか見えませんが、ちゃんと写っています。それもこっち側から撮ったわけですから、こちら側が手前に写っていて、左側の下顎角が、下顎骨の下縁というそうですが、これよりも上に写っています。よくご覧になっていただければ、顎の線がこうありますが、向こう側の顎はこの辺にこう写っているわけです。下から撮ったらこういうふうに写るはずがない。これは写真を撮るときに、手術台の上で撮ったわけですから、きちんと正座して撮った規格写真と違う撮り方をせざるを得なかったわけです。それでレントゲンのカメラが少しずれていたと。そういうことでこのように写っているだけであって、少し角度を変えてみればそんなことはないと。もちろん、斜め前の水平方向から撮ったわけですから、ここにあるフィルムには右側のものが大きく写り、左側のものが小さく写る。したがって、上と下を結んだこれでは下がります。
それから、放射線の中心は眼窩でもない、顎でもない中間のところを横から撮っているわけですから、顎の線は、本来であれば顎を2つ結べば右肩上がりになるわけです。眼窩については右肩下がり、下顎角については右肩上がり。これは遠くからものを見た場合に、手前側が上で、遠くのものは消失点という、遠近法ですね、あれと同じことですから、確かに右肩下がりにはなるけれど、それよりも何よりもこれはカメラが傾いているからだと、新潟大学の神経放射線の先生がおっしゃっていました。だから、何でこんなことを真面目に主張するのか、判決で取り上げるのかと。これは高裁の判決でした。
最高裁に持っていきましたが、最高裁はご存じのとおり事実審査をやらないということで棄却、高裁判決が確定してしまったわけです。そうすると、私の裁判の高裁の担当の判事たちはどう思いますか。同じ争点について片や最高裁でもう決定してしまったと。それに対して、やはりこれは刺さっているという判決を我々に書けと言うのか、と裁判官が思うのは当然です。高裁の最終段階で裁判長から、和解しませんかということで和解の交渉に入りました。裁判長がその席で言ったのは、「高橋さんは今後、刺さった刺さったということは外部には言わないということを和解調書に盛りたい」と。担当の裁判官は、「刺さったかどうかについては、私どもは高橋さんとは違う判断を持っています」と。それで私はピンときました。片方の裁判の最高裁決定が動かせないことがわかっているから、それを否定するような判決は私たちには書けませんという意味だとわかったのです。だから、裁判所に対しては「もし刺さっていないということを本当に判決でお書きになるのだったら、その根拠を十分書いてください」ということを強く申し上げたのですが、そういうことはありませんでした。
だから、私は、その大学病院はいい加減だと申し上げましたが、裁判もいい加減なものであると。まさに杜撰、怠慢、それが典型的に出たのが私の裁判ではないのかと思います。本当に残念です。

○門田座長 ありがとうございました。裁判の内容については、ここではこれ以上お話はできませんので、Aiということですので、Aiについてのお考えとして先ほどまとめましたが、そのように取り扱わせていただきたいと思います。

○池田先生 先ほど来お話になっている解剖しておけばよかったということですが、いつも医療事故裁判のときに、解剖しておけばよかったという話が必ず出てくるのです。佐々木さんのときにもありましたが、ご遺族としては一刻も早くご遺体を連れて帰りたいと、そういう気持ちも十分わかります。
我々のように日々解剖していて、私自身は、いろいろな解剖の種類がありますが、ご遺族の希望に沿って承諾で解剖するという制度をいろいろな施設やオンブズマンと組んでやっていますが、Aiを入れるにあたっても、例えばもし解剖してほしいということになっても、病院側が必要ないと言うと、結局司法解剖になる場合にはたぶん情報が開示されないので、裁判中には解剖情報が使えないということになり兼ねないと思うのです。そういう面では、先ほど佐々木さんのときにもありましたが、小腸の後腹膜方向への穿孔などというのは、我々法医学者ではかなり常識的なことで、ときどき経験します。腹を叩かれたとか、そういうことも経験があります。頭蓋底の穿通も、私自身も2例ほど解剖して、最近もありましたが、それはCTも撮られていますが、それでも見落としている。
これについては、Aiを導入するのは大変いいことだと思うのですが、その際もう少し死因究明制度全体として、ご遺族の希望に沿う沿わないは別として、もっと解剖自身が簡単にできるようなシステム作りをして、かつその情報がご遺族に限らず一般に公表されるようなシステムを作る。そうしないと、もう1つの最大の目的である再発防止に全く役に立たないということになるのではないかと思いますので、Aiを導入するにあたっては、死因究明制度の中で考える中で解剖制度についてもできたら少し考えていただきたいと思います。

○門田座長 次回以降、そういう意味でのディスカッションを煮詰めていかなければならないということですので、議事録にきちんと残してディスカッションを進めたいと思います。少し予定も遅れてきていますので、高橋さんのご説明についてはここで終えたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、警察庁の倉木室長からご説明をお願いします。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) ただいまご紹介をいただきました、警察庁捜査一課の検視指導室長をしております倉木と申します。本日は警察庁からということで、現在警察庁において「犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会」を開催しております。その中で、7月に中間取りまとめが当面5年間を目標として出されました。その中でCT検査の位置づけについても若干触れられておりますので、それを中心に、また警察の死体取扱いの仕組み全般を、なかなかご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、最初にそれに触れつつ中間取りまとめの内容を簡単にご説明します。
最初に、日本警察における死体取扱いの流れを簡単にフローチャートにしたものをご説明します。時間の関係もありますので、簡単に申し上げますと、警察で死体を取り扱うことの目的は、もちろん中心の目的は犯罪死の見逃し防止です。当然、殺人事件の死体等を見過ごしていては、そもそも捜査が始まりません。中にはいろいろ偽装殺人があります。そういったものを決して見逃さない。こういう目的で、警察がいわゆる「異状死体」について届出を受けた死体について、警察官、刑事が臨場し、この死体についていろいろな各種調査を行い、また、この際には医師の皆様の立会を得て、その助言等々をいただきながら判断をし、必要があれば解剖して、先ほど申し上げましたが、犯罪性があるかないかを判断するという仕組みになっております。
ここにありますようにスクリーニング・分類をすることになっておりますが、いろいろな調査をしながら、犯罪死体であるか、あるいは変死体、これはわかりやすく言えば犯罪の疑いを否定できない死体ということになろうかと思いますが、それから非犯罪死体、犯罪によるものではないと判断される死体、そのようなものに分類し、その中で各種調査を進めて解剖等々、それがすべて終えたのちに遺族へのご遺体の引渡しということになります。この過程で解剖等も行われます。のちほど出てきますが、現在CT検査については警察が公費として手当している。この中の検視、犯罪性の疑いのあるものについて、国費でCT検査の費用を支弁することとしております。ただ、以前にも発言しましたが、事業官庁として予算規模が大きくないということもあり、現在、決して十分な予算が取れているわけではないかと思いますが、できる限り予算を確保してCT検査を実施しているところです。
これに関連して、警察の死体取扱いの状況を簡単にご説明します。これをご覧いただければすぐおわかりかと思いますが、死体取扱数は非常に急増しております。平成11年に11万4,000体であったものが、平成21年には16万体、およそ1.5倍になっております。したがって、それだけ警察官が現場に臨場し、いろいろな捜査をするという負担が増加していることも事実です。
これに伴って、これは警察内の話ですが、死体を取り扱う、死体を調べることについては、当然ながら、たとえ警察官といえども一定の死体所見、そういったものについての知識が必要です。最近ドラマ等でご案内かと思いますが、検視官という者が警察には存在しており、一定程度、数カ月間法医に関する専門的な研修を受けた者がおります。これは各都道府県に2、3名、多い所では10名、20名おりますが、こういった者が現場に臨場して、その犯罪性の有無の判断、現場を仕切ることとなっております。この臨場が決して高い率ではないということを、このグラフで説明しました。実際には、昨年の現場では警察の中のそういう専門家は20%しか臨場できておりません。残りは一線署の刑事が担当することになります。
解剖率の推移について簡単にご説明します。基本的には横ばいのような形になりますが、先ほど申し上げた死体取扱数が増加している中で考えますと、法医の先生方に非常にお世話になりながら解剖数そのものが増加することによって、率としては微増になっています。現在、警察が取り扱っている異状死体の解剖率は10.1%です。これはいわゆる司法解剖と、監察医等の行う行政解剖の両方を合わせて10%ということになります。なお、これについて諸外国と比較しますと、異状死体に対する解剖率は、高い国では70〜80%に達しております。それに比べると極めて低い数字ということになります。
こういった問題の背景として、いま現状として警察においても問題であると考えているのが、大きくはこの3点ということになります。警察の中の問題として、検視に従事する者の専門性が決して十分ではないと。また、先ほど申し上げましたが、いかに警察官が法医的な研修を受けたとしても、専門の医師の立会は重要です。ただ、立会をしていただく医師についても、必ずしも法医学的な知見を有する方ばかりではないという問題もあります。そして、最後に先ほど申し上げた解剖率が低いということです。現状においては、死因究明の世界では、世界標準で言えば最も効果的な手段とされておりますが、この解剖率が低いということ、こういったことが問題点とされております。もちろん、この過程の中でいろいろな判断をする上で、CT検査もありますし、あるいは薬物検査等についても充実が望まれるというところが現在の問題です。
こういったことを背景として、具体的にはご案内のとおり犯罪死の見逃し事案、いくつか社会的反響の大きいものがありました。いちばん有名なところでは、愛知県で発生した時津風部屋事件です。これは大相撲の若手の力士の方が暴行を受けて亡くなられたと。これを警察において判断した時点で犯罪を見逃してしまったということがありました。このような事件をきっかけとして、警察として犯罪死を決して見逃してはならない。そのために死因究明制度全体について何か検討していく必要があるのではないかということから、この研究会が設置されることとなったものです。
これは、位置づけとしては刑事局長の下に有識者の研究会として置かれております。構成メンバーは法医学者、法医中毒学者、法歯学者、刑事法学者、法務省の刑事課長、当庁の局長も参加しております。また、厚生労働省からも、7月から幹事として医事課長にご参加いただいております。本年1月に第1回が開催され、先ほど申し上げましたとおり、7月に、当面5年間の目標、研究会の今後の検討課題も含め中間取りまとめを公表したところです。現在の研究会の状況ですが、中間取りまとめは当面の目標ということで、本年度末までに制度設計に係る最終取りまとめをしたいということで議論が行われているところです。
中間取りまとめの概要ですが、一応全体像を簡単にご説明します。「検視・死体見分の高度化」ですが、これは私どものエリアの話になりますので、ここが当面の目標としていちばん重点的になるということから、いろいろな項目が並べられております。(1)(2)は、警察の部内における能力の向上ということになります。(3)は警察も関係しますが、医師の方等のご協力をいただいて行う部分で、この中に「CT検査の積極的実施」という項目を入れております。(4)(5)は関連するもので、特に犯罪死を見逃してはならないということですので、いちばん重要な要素は、私どもはよく死体3、現場7と言います。要するに、死体を見るのが3割で現場が7割、要は現場をしっかりと見て捜査をし、周辺の状況を明らかにしなければ犯罪性の有無は判断できない。これが私どもの基本ですので、そういったところも強化していかなければいけないということで項目に挙げております。
2、3は警察庁の所管ではありませんが、研究会での検討課題として先ほど申し上げた検案です。「検案」となっておりますが、私どもとしては検視・死体見分のときに立会していただく医師の問題ということになろうと思いますが、それについての高度化、あるいは解剖率の向上といったものを大きな柱として、中間取りまとめを研究会においてまとめたところです。
それでは、具体的にその中でどのようにCT検査が位置づけられているかについてご説明します。研究会の有識者の議論ですので、私があまり解説をするような内容ではありません。私どもはあくまでも事務局ですので。したがって、お手元の資料も読みにくいかもしれませんので、私から読み上げさせていただきます。「CT検査の積極的実施。外表所見、病歴等から、死因が特定できない死体のCT検査を積極的に実施する。CT検査については、外表に明確な痕跡が認められず、死因が判然としない死体について脳出血、くも膜下出血、大動脈解離、大動脈瘤破裂等の出血性病変や骨折等が明らかとなり、解剖を行うことなく死因が解明される事例が一定程度存在する上、解剖の要否判断においても外表検査以上の役割を果たすことが認められる」。このような文章で盛り込んでおります。
もう1カ所CT検査に触れている部分がありまして、これと位置づけ的にはほとんど一緒です。先ほど申し上げた最後の解剖率の向上の部分です。前段のところを全く抜いては意味が不明になるかと思いまして、一応入れましたが、この取りまとめでは、もちろんこれは数字としてではありますが、最終的に50%の解剖率が必要ではないかということを提言しつつ、現在10%ですので、当面20%に解剖率を上げていくことが望ましいという書きぶりをしております。その上で、いまご案内のとおり、20%であれば80%の死体は解剖できないわけですので、最後のところにある「なお、解剖を実施しない場合であっても、CT検査の積極的実施により、外表のみで死因を判断することを極力減らすことが必要である」と、このような文章が研究会の提言の中に盛り込まれているということです。以上が、警察庁の研究会の中間取りまとめにおけるCT検査の位置づけです。
これを踏まえて、先ほど申し上げましたように、私どものスタンスは総合的な捜査、あるいは解剖もそうですし、すべてを尽くして最後に犯罪性の有無を判断する。犯罪死を絶対に見逃してはならない。そのために、あらゆるツールを効果的に活用していく、総合的に運用していくということを目標にしております。そのような中で、1つの要素としてCT検査は重要であるというようにここでは位置づけておりますが、予算要求等においても全体として検視官の増員等、前回予算要求のところでその他の装備資機材の話なども多少出ておりますが、そういったものを充実させていくことによって、最終的な目標を達成していきたいというのが私どものスタンスです。
最後に参考ですが、これは前回の議論の最後に、委員の方から、国民の皆さんは死因を知りたいと思っていらっしゃるのだろうかというご質問がありました。そのとき私は、具体的な数字が手元になかったので、手を挙げて発言しませんでしたが、実は内閣府と警察庁とで連携して、今年の7月に「犯罪死の見逃し防止に関する特別世論調査」を実施しております。この内容について冒頭のところだけご説明します。「具体的な死因を知ることへの関心」、質問は「ご家族の誰かが亡くなられたときに、死因を具体的に知りたいと思いますか」です。これに対して、もう少し細かい分類で言うと「知りたいと思う」が88%、「どちらかというと知りたいと思う」が8.7%でした。したがって、トータルでは96.7%の方が死因については知りたいという回答を、この世論調査においてされているということだけ参考に付け加えて、私からの説明を終えさせていただきます。

○門田座長 ありがとうございました。前回急にお願いして、今回はご報告いただきましたが、いかがでしょうか。

○今村先生 2点お伺いしたいことがあります。1つは、警察が取り扱うご遺体、変死体あるいは非犯罪死体を含めて、在宅で直近に医療を受けられていないような高齢者の独居、あるいは家族がいらっしゃってもお亡くなりになるような方は、私の身近にも結構増えている印象があるのですが、いま警察のデータの中にもそういった傾向があるのかどうか。
もう1点は、研究会を設置されておりますが、先ほどのご説明の中でも立会の医師、いわゆる検案医の資質に問題があるというお話ですが、監察医制度のない所では通常の診療の医師などが立会に行っているケースが非常に多いと思います。この研究会の中にそういう立場の人間がいるのか、意見を言える場所があるのかどうか、その2点を教えていただければと思います。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) 1点目ですが、私どもの取り扱っているデータの中で、残念ながらそこまで詳細に統計が取れている状況ではありません。今後の課題になるのかもしれませんが、現時点では私どもは犯罪性の有無という観点で死体を拝見し、捜査を尽くすことが目的のすべてですので、それについての統計は残念ながら持ち合わせておりません。
2点目ですが、立会の医師のお話ですね。研究会の委員の中には、先ほど申し上げましたように、法医学者の方は含まれております。法医学者の方で検案をされる方も当然おられますが、そういう意味で普通の開業医の方は委員の中には含まれておりません。

○今村先生 いまの2点目のお返事なのですが、実際法医学の先生の立会ということはあるかもしれないけれど、絶対数としては少ないのではないかと私個人は思っております。その辺の実際の割合は、警察ではお持ちになっているのでしょうか。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) 法医学の具体的な割合までは把握しておりませんが、確かにご指摘のように、法医学の知見を有する方で、例えば法医学教室のOBの方などが実際に検案・立会をされているケースが決して多くないということは承知しております。

○今村先生 これはお願いなのですが、警察医制度みたいなものを持っておられる所もたくさんありますし、現在警察医の検案をするような医師の組織化を全国的に我々もしていかなければと思っておりますので、是非現場の声が反映される形で研究会等を続けていただければありがたいと思います。

○菅野先生 大変興味深いお話をいただきましてありがとうございました。変死体でAiを実施されていて、予算化もされているというお話ですが、どこでそれを実施し、誰が読影されているのか、また、装置はどのようなものをお使いなのか、具体的に教えていただきたいと思います。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) 基本的にはご協力をいただいている、要するに死亡時画像診断をしていただくことについてご理解をいただいている病院において実施していると承知しております。読影についてはさまざまなケースがあるようですが、放射線科医の方に読影していただいているケースもあるようですし、法医学者の方に読影していただいていることもあるようです。もう1点ご質問がありましたでしょうか。

○菅野先生 どのぐらいの予算をつけていらっしゃるのでしょうか。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) 予算としましては、決して多くありません。現状でおよそ2,500万ぐらいです。

○菅野先生 それは当然裁判等で証拠書類として提出する、場合によっては専門家として鑑定書として証拠採用されるという了解でお願いしていらっしゃって、受ける側もそれを承知されているのかどうかという点はいかがですか。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) いまのご質問については、私も正直把握していない部分もありますが、一般的に申し上げますと、実際の、要するに法廷にのちのち犯罪なり何なりということですね。これについては司法解剖されるのが通常ですので、死因に関する鑑定については司法解剖の鑑定書が通常は使われることになろうかと思います。個別のCTの検査の際に、そういう鑑定という意味合いを含めて実施されているかどうかについては、そこまでは私も把握はしておりませんが、一般的には、先ほど申し上げたように検視の段階は犯罪捜査ではありません。捜査の端緒になり得る事実としてやっておりますので、必ずしも鑑定が前提とはなっていないと理解しております。

○菅野先生 すなわち、解剖ができない状態でのAiというお話でしたので、具体的にそういった事例が出てきた場合、当然解剖に代わる証拠書類、あるいは証拠物件としてAiの画像、あるいは鑑定が使われることになり得るという理解だろうと思うのですが、その場合に読影側に、そのような可能性について十分インフォームされた上で了解をされていて、それに対して支払っていらっしゃるのか、まだそこまでの段階ではないと理解してよろしいのでしょうか。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) それにつきましては、いま申し上げましたように、実際に鑑定書が必要になる場合には司法解剖が行われることが通常ですので、そこまでの確たるものとして制度化されているものではありません。

○今村先生 いまの点で確認なのですが、県警が中心になってシステムを作られているのか、警察庁が作られているのかがわからないのです。奈良県とか石川県では、そういうシステムとして、いま先生からご質問があったようなことを制度としてやっておられるように私は理解しているのですが、それは県警ごとにそういうことは自分でやってくださいという話になっているのでしょうか。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) 警察庁として予算を含めて手当しているものは、基本的に司法検視の世界となります。ただ、いまのお話は、CT検査を実施したあとにそのデータを先生にご覧いただくシステムということですか。

○今村先生 いや、すべてその後にどういう司法に使われるということも含めて、費用とか、どういう形でどの医療機関が撮影して、誰が読影するかというのは、その地域内のシステム自体を県警単位で作っておられるように私は理解していたので、ある県はあるけれど、県警はやっておられるけれど、そうでない所はやっておられないという温度差が日本にあるのかどうかということです。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) それにつきましては、ご指摘のとおりです。そういう意味で、CT検査も実際に警察の中で予算がついたのが平成19年度です。それから、ある面で一歩一歩いろいろな積重ねをしながら現在進んでいると。その中で、このCT検査の位置づけという中間取りまとめも出されていると理解しております。

○菅野先生 もう1つ、どの程度の質のCT検査を使っていらっしゃるかということは、おそらく把握されていないのではないかと思うのですが。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) それにつきましては、先ほどほかの方のお話でもいろいろな質があるというお話がありましたので、私どもとしても、現場にも最大限効果的にやっていただくように指示をするのみで、なかなか質の把握までは至っていないのが現状です。

○山本先生 これだけ警察でも検討していらっしゃるので、CT検査の実施だけではなくて、検査にはそのあと読影も必ず必要で、それには読影の報告書まで作るということを是非入れていただきたいということと、この会に、CTに関して専門家は放射線科医、あるいは放射線科の技師ですので、その方をメンバーに入れることも是非検討してくださると助かります。

○長谷川先生 警察の方が犯罪死の見逃しに非常に力を入れて、画像検査も含めてやっておられる取組みには非常に熱意が感じられたのですが、最後に述べられた「犯罪死の見逃し防止に対する特別世論調査」が実施されているということで、これは私自身よく知らないのですが、例えば同じような異状死というか診療関連死に関する国民の特別世論調査が実施されているのかどうか、もしあれば教えていただきたいと思います。

○門田座長 医療関連死ですか。

○長谷川先生 こういうものに対する国民の世論調査があるのかどうかということです。

○門田座長 ないですよね。聞いたことないですよね。

○警察庁刑事局捜査第一課(倉木) 頭には浮かびませんが。

○長谷川先生 それはやっていただいたほうがいいかなと、私自身は思います。

○門田座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、最後に塩谷先生に、英国の情報について少しお話をしていただきたいと思います。

○塩谷先生 簡単に報告だけさせていただきます。前回の検討会において、イギリスの現状について少しだけ言及しましたが、ここに詳しく書きました。背景としましては、イギリスでは2000年前後の臓器スキャンダルによって、大勢の人たちが解剖をいやがるようになりました。一方、ロンドン大学病院では1996年に、死後のMRIが小児の解剖の代替になり得る可能性を発表しております。そこで、2005年にイギリスの保健省で、これは日本の厚生労働省に当たりますが、死後MRIが本当に解剖の代替となり得るかどうかをちゃんと確認しなさいと勧告して、そのために保健省は研究費を出して、ここに記載してある研究をやっています。いまはほとんど調査が終わっているようですが、計600人の小児に対してCT、MRIを使った画像診断と解剖との正診率を比較して、中間報告としてすでに『Lancet』といった雑誌に報告されています。
もう1つ、イギリスにおいては小児だけではなく、2008年にはグレーターマンチェスター行政区で、ここではユダヤ教やイスラム教の方が多いわけですが、宗教上の理由から解剖は是非避けたいということで、解剖の代わりにMRI装置を利用することを試みています。新しい検死法案がもう通過したらしいのですが、2010年中にこの制度をイギリス全土で施行すると司法省が発表しています。
次の頁は、グレーターマンチェスターで行われている「死後のMRI、もう1つの選択肢」というパンフレットです。死後のMRIの案内となるパンフレットで、このように印刷されております。
最後の英文ですが、これは南アラバマ大学付属医療センターの放射線科の名誉教授で、ブロードン先生という方がいらっしゃいます。この方は、約10年前に法医法射線学部の教科書を英文で世界で初めて発表された方ですが、今度、北米放射線学会、これは放射線科領域では最大の学会であるだけでなく、世界最大の学会でもありますが、ここで1時間の講演をするから、日本の現状を教えてほしいということでメールをいただきました。特に興味を持っておられるのは、日本ではどのぐらいの死後画像が撮影されて診断されているかということです。その他の質問として、死後CTによる死因究明を全国展開するという話がありましたが、いまはどのようになっていますか、費用はどのようにされていますか、そして、その画像は慣れた認定技師が撮影されていますかと。このような質問を受けましたので、現在原稿を書いて発表までにお渡しする予定です。以上です。

○門田座長 ありがとうございました。外国では確実に進んでいるということのご紹介かと思います。詳細はこの段階ではこれ以上の議論は無理ですが、とにかく前向きに進んでいるということを参考に、今後の検討会の中で、我々がどうしていくかというときには参考にさせていただきたいと思います。委員の皆様から、いまのご発表について何かコメント、質問はございますか。

○今井副座長 いま塩谷先生からイギリスの情報を教えていただいたのですが、MRIということでお話になっていらっしゃいますが、イギリスではCTの位置づけというか、Aiに対する位置づけはどのように考えているのでしょうか。

○塩谷先生 基本は、解剖の代わりになるのはMRIと考えていらっしゃいます。もともと日本の異状死の解剖率は10%であるのに対して、イギリスでは50%以上である。だから、日本のような死後画像の位置づけ、すなわち死因のスクリーニングということではなくて、いままで解剖前のガイドと相補的役割を果たすために施行していたわけです。特に小児から始まっていますので、小児の死因には奇形が多く、MRIが非常に役に立つことから、解剖の代わりになるのはMRIであると認識されているようです。

○今井副座長 先生のお考えでは、将来日本ではCTとMRIはどのように普及させたほうがいいとお考えですか。

○塩谷先生 救急医療に関しては、現在のように死後CTによるスクリーニングが非常に有用で、現在でも外国から非常に安く効率的な方法であるということで注目されています。日本の解剖率が低い中で生まれたこういった効率的な方法は進めていかなければいけないと思います。一方で、MRIに関してももっと研究を進めて、同じような状態にしていかなければいけないかなと思います。CTもMRIも両方利点、欠点がありますので。

○門田座長 そのほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 終わりの時間に近づいてきましたが、もう1つ資料6が配られております。この件について、渡辺室長からご説明していただきたいと思います。

○医政局総務課医療安全推進室長 資料6についてご説明します。これまでの先生方からのご意見やご議論を踏まえて、報告書の事項立て項目(案)ということで1枚にまとめております。この事項に沿って、次回以降、論点整理を進めていただければと考えております。その際のご参考として、これまで先生方から出していただいた貴重なご意見を論点項目に沿った形で置いております。この報告書の事項立て項目や論点項目に何か追加やご意見等がある場合には、11月5日(金)までに事務局にご連絡をお願いします。次回以降協議を効率的に進めるために、できましたら先生方から事前にご意見をいただければと思います。

○門田座長 ありがとうございました。これから先の作業として非常に重要なお話ですが、本日は時間の関係で資料6をお配りして、この内容について、皆さん記憶をたどって内容を含めて考えていただく。特に1頁目にあるこういう項目立てでどうだろう、何か忘れているものはないか、あるいは流れとしてどうかということを見ていただきつつ、そのあとには、いままでディスカッションをしていただいて話題になったことをピックアップしていただいておりますので、一度目を通していただいて、あまり時間はありませんが、是非ご意見を11月5日までに事務局までお届けいただきたいと思います。
今後の作業ですが、何とか年内に報告書を作成し、政務官にお返ししたいと思っておりますので、可能性として11月、12月を含めて3回検討会を開かせていただけたらと思います。最終的にはそれで報告書の最終原稿ができるような形に持っていきたいと思っておりますので、よろしくご協力のほどお願いします。この件について何かご質問はございますか。
それでは、そういう予定で進めたいと思いますので、よろしくお願いします。最後に、事務局からご発言をお願いします。

○医政局総務課医療安全推進室長 次回第6回ですが、すでにご案内しておりますように、11月16日(火)14時から16時で予定しております。また、いま座長からありましたように、これ以外にもう2回ということで、12月3日、12月17日を予定しております。繰り返しますが、次回が11月16日、次が12月3日、その次が12月17日ということで、いずれも2時から4時で予定しております。以上です。

○門田座長 時間が5分超過しましたが、終わりたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、これで終わります。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局総務課医療安全推進室

室長 渡辺真俊: 内線2570
室長補佐 今川正三: 内線4105

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