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2010年8月20日 第67回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

○議事

10/7/29 第67回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

社会保障審議会 第67回介護給付費分科会議事録

1 日時及び場所 平成22年8月20日(金)午前9時00分から午後12時00分ま

  全社協・灘尾ホール
2 出席委員:池田、石川(石田参考人)、井部(斉藤参考人)、大森、勝田、川合、神田(纐纈参考人)、木村、久保田(藤原参考人)、高智、木間、小林、齊藤、篠原、武久、田中(滋)、田中(雅)、池主、中田、馬袋(佐藤参考人)、藤原、三上、村川
池田意見陳述人、井上意見陳述人、岡田意見陳述人、奥沢意見陳述人、狩野意見陳述人、高見澤意見陳述人、立花意見陳述人、内藤意見陳述人、矢野意見陳述人


○宇都宮老人保健課長 それでは、まだお見えでない委員もいらっしゃいますが、定刻になりましたので、「第67回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 本日の委員の出席状況でございますが、大島委員、矢田委員から御欠席の連絡をいただいております。また、本日は石川委員にかわり石田参考人が、井部委員にかわり斉藤参考人が、神田委員にかわり纐纈参考人が、久保委員にかわり藤原参考人が、馬袋委員にかわり佐藤参考人が出席されております。よって、23名の委員に御出席いただいておりますので、定足数である過半数に達し、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告させていただきます。
 また、本日は地方公共団体及び関係有識者からヒアリングを行うため、9名の方に御参加いただいておりますので、事務局より紹介させていただきます。
 東京都福祉保健局高齢社会対策部狩野部長でございます。
 埼玉県福祉部高齢介護課奥沢課長でございます。
 香川県健康福祉部長寿社会対策課岡田課長でございます。
 横浜市健康福祉局立花局長でございます。
 高齢社会をよくする女性の会、高見澤理事でございます。
 社会福祉法人射水万葉苑、矢野施設長でございます。
 医療法人社団青山会、内藤理事長でございます。
 特養をよくする特養の会、池田代表でございます。
 国立保健医療科学院施設環境評価室井上室長でございます。
 また、前回の開催以降、事務局に人事異動がございましたので、御報告申し上げます。
 川又振興課長でございます。
○川又振興課長 よろしくお願いいたします。
○宇都宮老人保健課長 宮崎企画官でございます。
○宮崎企画官 よろしくお願いいたします。
○宇都宮老人保健課長 それでは、以降の進行は大森分科会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○大森分科会長 おはようございます。本日、3時間を予定しています。したがって、12時には終わりにさせていただきます。
 今、事務局から御紹介ございましたように、前回に引き続きまして、一部ユニット施設につきまして検討を行いたいと思いますけれども、今日は今、御紹介ございましたように、9名の方に御参加いただいていますので、その方々から御発言いただく。その後、私どもの間で議論いたしたい、そう思っています。
 それでは、お手元の資料を確認いたします。事務局からお願いします。
○宇都宮老人保健課長 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 まず、座席表がございます。
 それから、議事次第がございます。
 資料1の関係は、本日、ヒアリングをさせていただく関係者、有識者の方々の資料でございますが、資料1-1東京都からの資料、1-2埼玉県からの資料、1-3香川県からの資料、1-4横浜市からの資料、1-5射水万葉会からの資料、1-6全老健からの資料、1-7特養をよくする特養の会からの資料、1-8国立保健医療科学院からの資料。
 続いて、資料2としまして、一部ユニット型施設についてというのがございます。
 そのほか、勝田委員、木間委員、篠原委員、中田委員から資料を御提出いただいております。
 以上でございますが、資料の不足等ございましたら事務局にお申し付けいただきますようお願いいたします。
○大森分科会長 よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○大森分科会長 それでは、始めさせていただきますけれども、ヒアリングに先立ちまして、前回、委員から指摘事項がございましたので、まず、それについて事務局から説明をさせていただきます。お願いします。
○水津高齢者支援課長 お手元の資料の下の方でございますが、資料2といたしまして指摘事項関係というものがございます。これに沿いまして御説明させていただきます。
 大きく内容は2つでございまして、1つ目は、表紙をめくっていただきますとございますように、一部ユニット型施設に係る厚生労働省と自治体のやりとりでございます。
 前回、調査結果を御説明させていただきましたとおり、平成18年からこの一部ユニット型施設、国の解釈通知に沿わない形のものが出ているわけでございますが、まさしく平成18年ごろから、複数の地方公共団体から多床室とユニット型施設の合築施設を整備・指定することが可能かどうかという問い合わせを受けております。
 その際、厚生労働省の側では、国として個室ユニット型の整備を推進しておりますが、施設の指定権限は公共団体が持っておるということ。したがいまして、従来型・ユニット型の合築施設の整備・指定については、最終的には地方公共団体の判断で行うことが可能であるということで回答をしております。ポイントとしましては、その整備・指定について、厚生労働省としてはこういう回答をしたということでございます。
 ただ、その回答を受けまして、公共団体としましては、介護報酬について、新設の従来型・ユニット型の合築の場合、ユニット部分についてはユニット型の介護報酬が支払われるものと理解したということです。ポイントといたしましては、その報酬につきまして、ユニット部分についてはユニットの報酬が支払われると理解したということでございます。
 したがいまして、国と地方のやりとりの中で話が出ましたのは、整備・指定ということでございますが、介護報酬の話は出ていないわけでございますけれども、公共団体としては、その話を受けまして、報酬についてもユニットの報酬が出ると理解したということでございます。この点につきましては、当時、ちょっと古いやりとりですが、記録を見ますと、国側と公共団体側で食い違いというか、その見解の相違というか、行き違いがあったということに端的になると思います。
 その後、今年まで話が飛びますが、今年になりまして、合築の場合の報酬の考え方につきまして一部の公共団体から照会を受けましたので、厚生労働省としまして基準の解釈通知、これは平成15年当時の通知ですけれども、その内容に変わりなしという事務連絡を本年3月に発出をしたということでございます。複数の公共団体とのやりとりがございましたが、大筋としてこういうやりとりであったということでございます。
 次に、「建築中」「改築」等の定義ということでございます。
 前回御説明しましたとおり、新設の場合については、合築について一部ユニット型の指定はできないと。それから、改築等については、それができるということになってございますが、例えば改築等の定義については、通知上も限定しておりません。合理的な解釈を前提に当該施設の指定権限を有する公共団体の判断によるということになっております。
 わかりやすいように少し具体的に申し上げますと、移転改築と我々は言っているのですけれども、既に事業者が特養を経営している。場所的には、そこと全然違うところに新たに特養をつくる。それは通常、例えば建築の概念でいえば新築に当たるわけですが、この指定の関係では移転改築ということで、改築に当たるという判断をしている。これは国・公共団体の考え方が合致して、そうなっているという取り扱いでございます。
 それから、今日も御議論が出るかと思いますが、昨年5月に16万床を整備するという緊急基盤整備、経済対策の実施に当たりまして、各都道府県の担当課長会議に提出した国側の資料として、そこにございますように、ユニット型施設以外の施設も含めて整備するという判断もあるものと考えているということをペーパーとして提出し、説明しているという経緯がございます。
 次のページでございますが、2つ目の内容でございます。ユニット型と従来型の差異についてということです。報酬について差異がございますので、その点をまとめたものでございます。
 左側がサービス費でございまして、要介護度別にその単位が決まっているわけですが、その表にございますように、従来型個室とユニット型を比較しますと、その差として80ないし70単位の差がある。ユニット型の方が高いということでございます。
 右側がいわゆる補足給付と言われるものの中の居住費部分でございます。やはりユニット型個室と従来型個室で差がございまして、薄い水色の部分が補足給付でございますが、この部分についてユニット型の方が従来型個室よりも手厚い、高い給付がなされているという制度になっております。その考え方でございますが、ユニット型と従来型のケアの内容の差を反映しているということでございます。
 一番下の参考に介護保険法の規定が抜粋してございますが、基本的に給付の額、サービス費の額というものは、そのサービス等に要する平均的な費用を勘案して決めるということになっております。サービスの相当部分は、どれだけ人手をかけるかということでございまして、中ほどちょっと下になりますけれども、実際上の人員配置を見ましても、ユニット型が大体2対1に対して、従来型2.4対1といった人員配置、人件費なりを反映して、実際上のコスト、それに見合うサービス費ということで、こういう差が設けられているということでございます。
 資料の説明は以上でございます。
○大森分科会長 ありがとうございました。どうせ後でまた、これに関係して御意見等がいろいろ出てまいりますので、早速ヒアリングに入りたいと思います。
 ヒアリングにつきまして、恐縮でございますけれども、短い時間でお願いしてございます。お手元に資料がございますので、委員の皆さん方は、後刻その資料を見ていただければと思います。
 まず最初に、東京都と埼玉県、引き続いて認識及び御意見を述べていただく。まず一くくりにさせていただきます。その後、順次お願い申し上げたいと思います。
 それでは、早速東京都からお願いいたします。
○狩野意見陳述人 首都圏の自治体の立場として、東京都と埼玉県から、表題にありますように、所得の低い高齢者も低廉な居住費負担で利用できる特養の整備の必要性という観点で申し述べたいと思います。
 2ページをお開きください。
 昨年3月に群馬県渋川の無届けの有料老人ホームで火災事故が発生して、都内の利用者18名のうち7名が死亡いたしました。そのうち生活保護受給者は16名で、6名が死亡してございます。都内の施設の不足とか貧困ビジネスの存在が指摘されました。
 3ページ、こういった施設がほかにどれぐらいあるかという資料でございます。
 生活保護受給者でこうした無届けの施設を利用している方は、全部で781名おります。都外の施設を利用している方は477人に及んでおります。こういった施設の利用がいつから始まったかといいますと、平成17年以前にもあったわけですけれども、激増しているのは平成19年度以降でございます。これは後ほど御説明しますけれども、東京都がユニット型個室の整備だけを推進し始めた年と、全く重なっております。
 4ページをお開きください。
 事故の背景については、東京には親族の援助が得られない単身の高齢者が非常に多いということと、施設の不足が大きな課題でございます。家族や地域との関係が希薄な低所得の要介護高齢者の住まいの確保が課題であると認識しております。
 5ページには、都の緊急の取組みとして、?Cにありますけれども、低所得の要介護高齢者の住まい確保のため、副知事を座長とするPTを立ち上げました。
 6ページには、その検討の結果、国と協議の上、新たな都市型の軽費老人ホームを創設していただき、低所得で身寄りがなく、ひとり暮らしが困難な高齢者へ対応できる施設の整備について検討していただいたところでございます。
 都市の実情を踏まえた新たな施設基準が必要であるということで、7ページにありますように、定員を20人以下、居室面積を7.43平米以上と施設基準を緩和した、新たな施設類型を創設していただきました。都としては、これに基づきまして3年間で2,400人分の都市型軽費老人ホームを整備することとしております。
 その数字の根拠ですけれども、先ほど申し上げました無届けの施設に入居している方が約800人、それから、無料低額宿泊所に入所している65歳以上高齢者が1,600人いるという数字を踏まえて整備数を出してございます。ただ、課題がありまして、おおむね要介護3以上の重度要介護者の受け入れは、こうした軽費老人ホームでは困難であるということでございます。
 8ページですけれども、こうした低所得高齢者の存在は例外なのかということでございます。
 東京都における全世帯高齢者のみ世帯の所得額の割合ですけれども、収入が200万円以下の高齢者のみ世帯は全体の4割を占めております。100万円未満の世帯が15%を超えているということに着目していただきたいと思います。
 9ページは、年齢別の被保護人員の状況でございます。
 東京の65歳以上被保護人員の推移は、平成12年の5万人が、平成21年度では1.9倍の9万人を超えております。都市部での保護率の上昇も際立っておりまして、東京都は20年度、16.1ですけれども、21年度では既に17.0になっております。都市部でも保護率が急上昇しているという数字でございます。
 10ページは、高齢者の住まいの現状です。
 高齢者はストックをたくさん持っているという議論をする方がいらっしゃいますけれども、65歳以上の単身者で見ますと、49万世帯のうち、持ち家に住んでいる方は26万世帯しかおりません。したがいまして、高齢者すべてがストックを所有しているという議論は、事実を間違えている議論だと思います。
 11ページは、東京都におけるこれまでのユニット型個室の整備状況でございます。
 15年度、国の方針が示されて以降の数字を載せておりますけれども、この7年間で64か所、1年間で平均9か所の施設整備をしてきました。定員で見ますと、この7年間で5,464人、毎年大体780人程度の施設整備をしてきております。
 17年度以降は、基本的にはすべてユニット型で整備するということで進めてきております。それが先ほど言いました、無届けの有料老人ホームに生活保護受給者が入所し始めた時期とぴったり重なっております。
 12ページをごらんください。これはユニット化率です。
 残念ながら、ユニット型個室以外の整備を認めないという方針でやってきても、東京はようやく今14.8%、老健では3.8%という状況でございます。
 13ページは、東京都の施設整備費の補助制度でございます。
 平成20年度の欄にありますように、最大で定員1人当たり645万円の補助金を支出しております。御案内のように、平成18年度からは国の補助金は一切入っておりません。東京都の単独の補助でございます。
 14ページをごらんください。特養の入所者の所得段階別・要介護度別の人数でございます。
 上段の表がユニット型、下段が従来型特養でございます。第1段階の列を見ていただきますと、ユニット型に入所している第1段階の方は、4,059人中、わずか33人しかおりません。従来型については、2万6,282人中、3,624人、約13%が第1段階の方ですから、ユニット型には第1段階の方はほとんど入っていないということでございます。
 33人の中で生保受給者はごくわずかおりますけれども、ほとんとが老齢福祉年金受給者や境界層該当者でございます。
 15ページをごらんください。これは表題が間違っています。平成21年度竣工分の特養の負担段階別の入所者数でございます。
 この春にオープンしました10施設を私、すべて調査してまいりましたけれども、第1段階で入所している方は、東京でわずか1人でございます。この方も生活保護受給者ではございません。約800名の方がこの春に入所しましたけれども、1段階の方はこれしかいないという資料でございます。
 16ページは、生活保護受給者がユニット型個室を利用するのは極めて限定されているという資料については、もう御案内のように、社会・援護局の保護課長通知で、保護費で対応しなくても入所可能な場合には、限定して認めるという通知が出ておりますので、それ以外は実際には利用できないということになります。
 17ページをごらんください。ユニット型個室の東京23区内の平均居住費と食費でございます。
 平均居住費は7万4,245円、基準費用額が6万1,070円ですので、1万3,175円の法人の超過負担が生じているという資料でございます。
 次の18ページをごらんください。生活保護受給者が仮に保護課長通知の言うように、保護費で対応しなくても入所可能な場合、つまり介護報酬による低所得者負担軽減をすべてやった場合に利用できるということですので、東京の例を当てはめますと、生活保護受給者の特養への入所は約1割ですので、7万4,245円掛ける月数で計算しますと、年間で約32億円の費用負担が生じることになります。
 19ページです。
 今、生活保護受給者のことを申し上げましたけれども、入所者の半数を占める第2段階の方の所得は年金等収入が80万円以下ですので、ユニット型個室の行の一番右から2番目の列をごらんいただきたいと思いますけれども、年間利用料が75万円ですから、80万円以下の収入で75万円の利用料負担をするというのは、理論的には可能ですけれども、当然介護保険料、医療保険料、医療費、被服費、理容・美容費といった、日常生活を行う上で必要な費用を賄う必要がありますので、現実的に利用できないということになります。
 4段階の人についても約170万円の費用がかかりますけれども、この辺についても費用負担の面で利用が非常に困難だという声も多く聞いております。
 20ページをごらんください。
 その場合の費用負担の積算については、ごらんいただきたいと思います。2段階、3段階の方も、東京の平均居住費用額まで補足給付等で見ると、新たな費用負担がそれだけ生じるということでございます。
 それから、利用者の方がどう考えているのか、私ども東京で資料がございませんでしたので、最近の月刊誌に横浜市が入所申込者の調査を行った調査の例が出ておりましたので、引用させていただいておりますけれども、従来型の特養に入所したいというのが横浜市においても47.5%。その理由は、費用の支払いが難しいというのが50%を超えているという資料でございます。
 22ページは、東京都における施設整備費用と居住費への影響ということで、都や区は補助金等で利用者負担の軽減を図るため、手厚い補助を行っているという資料でございます。
 上の方がコスト計算ですけれども、1人当たり月額居住費は、本来徴収すべき居住費は、平均で言いますと、一番下の行、Iの欄のように、補助金がなければ10万円以上の居住費を取らなければ事業として成り立ちません。都の補助金、区市の補助金、利子補給等で7万8,471円まで引き下げているという例でございます。
 具体的な例として、23ページをごらんいただきたいと思います。
 これは東京都が社会福祉法人に都有地を減額して貸し付けている事例でございますけれども、補助金がなければ、都心部では本来約14万円の居住費を徴収しなければ事業として成り立ちませんけれども、東京都と新宿区で定員1人当たり1,000万円以上の補助をすることによって利用者負担の軽減を図った結果、軽減後の居住費が約6万9,000円になっているという例でございます。都心部で施設整備をするには、これだけの費用がかかるということでございます。
 24ページでございます。
 現在、地域包括ケアのモデルとして小規模特養とか小規模多機能を国交付金で整備するというのが、今進められておりますけれども、このモデル事業に沿ってユニット型の小規模特養と小規模多機能を国交付金のみで整備した場合の例でございますけれども、多摩地区においてすら、国交付金だけでやると、居住費は14万3,000円を超えるということでございます。いかに東京都と特別区が施設整備費補助を行っているかということがわかるかと思います。
 25ページをごらんください。
 居室面積の緩和が前回の給付費分科会で議論されましたけれども、居室面積の緩和によって一定のコスト減になるのはたしかでございますけれども、一番下の行にありますように、東京都の例で言うと3.98%、居住費は減少しますけれども、その結果としても居住費は7万1,298円ですので、基準費用額を1万1,000円以上超過しているということで、事業者の超過負担には変わりはありません。
 それから、細かい話ですけれども、廊下の長さが削減されるというデータが前回の給付費分科会で出ておりますけれども、これ以上、ウナギの寝床の居室をつくるのかと私は思います。もうちょっと現場を見て議論していただきたいなと思います。
 次のページでございます。
 居住費の負担限度額と基準費用額については、大都市部と地方の用地取得費、建設費、それから自治体の施設整備費補助額の差を反映して、地域ごとに設定していただきたいと思います。今回の居室面積の基準緩和に伴って基準費用額を引き下げるということが行われるのであれば、東京都としては絶対反対いたします。
 地価について、そこにありますように東京を100とした場合に、大都市部だけを見てもこれだけの差がありますし、建設費についても、後ほど意見陳述をされる井上先生の資料でも、関東と地方の建設費単価にはこれだけ大きな違いがあります。施設整備費の補助額についても、都市部の例を東京都と横浜市の例で挙げましたけれども、国は地方と都市部のこうした施設整備費の補助額の差にきちんと着目して基準費用額を決めていただきたいと思います。
 都の整備方針については、27ページでございますけれども、基本的にユニット型で進めてまいりましたけれども、21年度に増改築に限り、従来型の整備を認めてきました。これについては、利用者の負担能力に配慮する必要があるという理由でございます。22年度から創設の場合、3割を上限に従来型多床室を認めるという考え方で事業者に説明しているところでございます。
 28ページは、そうした多床室におけるプライバシー確保をどう進めるかということで、都としてはユニット型個室を基本として、従来型多床室は定員の3割以内に抑えるということと、居室については、将来個室に転換可能な設計とすること。それから、多床室であっても個室的な空間確保に努力すること。それから、少人数単位でのケア型のように、15人前後を単位に食堂を設けるといった基準を設けてございます。
 29ページは、これまでの一部ユニット型特養の取り扱いについての経緯でございます。
 東京都も平成18年3月に、厚生労働省に一部ユニット型老健の整備について照会をしましたけれども、地域の実情において整備されて差し支えないとの回答を得ております。整備・指定、報酬の算定は当然一体のものと考えるのが妥当だと思います。整備・指定と、あたかも介護報酬の算定が別々であるかのような議論は、へ理屈にすぎないのではないかと思います。
 30ページは、これまでの9都県市、関東地方知事会、全国知事会の厚生労働省に対する要望でございます。
 具体的に都内の一部ユニット型老健の状況でございますけれども、都内には国が言うところの平成17年10月2日以降に開設した、一部ユニット型施設に該当しない一部ユニット型の老健が3施設ございまして、うち1施設はまだオープンしたばかりですので、ユニット部分についてはまだ開設しておりませんけれども、2施設については、黄色い網かけの欄にありますように、職員配置は1対1.4とか1対1.7というように、先ほど厚生労働省から報告がありました、全国のユニット型施設の職員配置の2対1をはるかに上回る人員配置をしております。
 最後に結論でございます。32ページをごらんください。
 まず、基本的に国と地方の役割について、改めて申すまでもなく、介護保険に関する事務は法定受託事務ではありません。自治事務でございますので、自治事務の場合、国の関与は限定的なものだと理解しております。介護保険における国の主たる役割は、制度全体の枠組みの設定、基盤の整備、財政の負担等を担うことでありまして、施設の指定基準等については、地方の実情に応じて、自治体の裁量と責任において定められるようにすべきでございます。
 現在、地域主権改革推進一括法が国会で審議されておりますけれども、居室面積が依然として従うべき基準とされるなど、全国一律の基準がいまだ残っております。国は、人権に直結する運営基準以外は、すべて地方の判断で定めるようにすべきであり、例えば居室定員については、参酌すべき基準として取り扱うことが適当だと考えております。
 33ページ、一部ユニット型施設の取り扱いについてでございますけれども、混乱の原因はいろいろありますけれども、15年4月2日以降に新設された合築型の施設が一部ユニット型に該当しないということについては、基準省令上の規定がなくて解釈通知が示されているにすぎません。このことが最大の混乱の原因でございます。
 したがいまして、ユニット型と従来の合築施設については、ユニット型施設と従来型施設、それぞれ別々の施設と指定し、それに見合う介護報酬を設定すべきであると提案させていただきます。その別個の施設として指定するに当たりましては、入所者の直接のケアに従事する職員以外の施設長、生活相談員等については、2施設での兼務を可能にすることと、施設設備につきましても、医務室等については共用が可能になるような措置を講じられたいと考えております。
 老健・療養型についても同様でございます。
 介護報酬については、さまざま議論があるところですけれども、先ほど申し上げましたように、15年4月2日以降に新設された合築型の施設で、国の解釈通知と異なる指定を都道府県で行った場合ですけれども、ユニット型指定施設の基準に基づいて施設の整備運営が行われているだけでなく、先ほども申し上げましたように、人員については、他のユニット型施設と同様に、介護報酬に見合った手厚い配置がなされているわけです。
 この事実をきちんと踏まえていただきまして、国の解釈通知に照らして一部ユニット型施設には該当しないのだという機械的な判断によって、ユニット型部分の介護報酬を返還しろということが生じないように取り扱われたいと考えております。
 最後に、私どもはユニット型の施設整備を促進したいという立場から幾つか提案しておりますけれども、時間がありませんので簡単に説明します。
 1番目は、基本的に低所得者もユニット型施設を低廉な居住費負担で利用できる仕組みを、国の責任において構築されたいということでございます。
 2番目、3番目は、東京都内で施設整備を図るためには、用地の確保が課題でございますので、東京都は今、都有地を社会福祉法人に地代減額の上、貸し付ける制度を設けておりますので、ユニット型特養や老健を進めたいのであれば、都内の国有地を地代減額の上、貸し付ける制度を是非創設されたいと思います。
 4番目は、先ほども申し上げましたように、基準費用額の見直しに当たっては、用地取得費、建設費、施設整備費の補助額の差を適正に反映して、地域ごとに設定されたいと考えております。
 細かい点は省略して、引き続き埼玉県の方から説明があると思います。
○大森分科会長 恐縮です。1人10分でお願いしてございますので、その時間でお願い申し上げます。
○奥沢意見陳述人 それでは、資料1-2に基づきまして、一部ユニット型特別養護老人ホーム等について説明をさせていただきます。
 埼玉県には、検討の対象となっている一部ユニット、特養が6、介護老人保健施設が9施設ございます。そこで、一部ユニットが多数存在するという立場から考え方を述べさせていただきます。
 2ページでございますが、これは埼玉県の高齢化の現状でございますが、スピードが速いとか、高齢者の絶対数が多いということでまとめてございます。
 3ページをごらんいただきたいと思います。
 国が一部ユニットの創設は認めていないとする、平成15年以降の特養の整備状況と申込者の推移でございます。下の表にあるとおり、この7年間でユニット型を約7,000人分、それから従来型を2,000人分整備しており、ユニット化率は34%となっております。これを施設数にしますと、ユニット型施設を70施設、従来型施設を15施設、または従来型のうち12施設は、この15年より前に着工している部分でございます。そして、一部ユニットが6施設という数になっております。
 入所申込者の推移ですが、平成17~19と減少していましたが、昨年度は増加しております。
 次に、4ページをお開きください。
 埼玉県における特養の整備方針ですが、上の枠にあるとおり、ユニット型の整備を基本としつつ、地域の実情に応じて柔軟に対応していくとしております。
 なぜこのような考え方なのかの主な前提事実でございますが、まず最初の黒丸で、現在は原則として生活保護を受給されている方は、ユニット型の特養の利用が国の通知により認められていないということでございます。また加えて、従来型の整備ももし認められないとすると、生活保護の方は一体どこに行ったらいいのかということになります。
 また、2つ目の黒丸でございますけれども、ユニット型は所得の低い方にとって割高で、利用しにくいという意見を聞きます。
 これらのことから、ユニット型と従来型を併設した一部ユニットの整備も必要であると考えているところでございます。なお、一番下の枠の中でございますけれども、先ほど課長のお話がありました、介護基盤の緊急整備については、ユニット型以外の施設も含めて整備するという判断もあると説明がされているところでございます。
 5ページをごらんいただきたいと思います。
 平成15年以降に創設された一部ユニット型特養の6施設のうち、今年4月にオープンしたものを除いた5施設の一部ユニットの特養を、どのような利用者負担の段階の方が利用しているか。先ほど東京都も同じようなものがありましたが、これを整理したものでございます。上が従来型、下がユニット型でございますけれども、利用者負担が一番低い第1段階を見てみますと、従来型は24人、うち22人は生保。これに対してユニット型はゼロでございます。
 次のページをごらんいただきたいと思います。
 先ほどの5施設に、国の定義に合う一部ユニット22施設を加えた27施設、2,453人について同じように分析したものでございますが、従来型は第1段階134人、うち生保81人、ユニット型は第1段階1、生保ゼロ。
 7ページは、県内の全特養の利用者について比較したものでございますけれども、従来型につきましては、第1段階は1,179人、うち生保が861人、ユニット型は第1段階76人、生保12人となっております。また、第2、第3段階はほぼ同じ比率で、第4段階はユニットが若干上回っている状況でございます。
 このようにユニット型が第1段階などの低所得者の利用施設として十分対応できていない状況では、 当面、一部ユニットの整備が必要であると考えるところでございます。
 8ページをお開きください。
 次に、一部ユニット型特養の6施設及び老健9施設の人員、設備、運営がどのように行われているのかについてでございます。人員、設備、運営につきまして、我々も内容について調査しておりますが、それぞれ基準を満たしていると理解しております。
 9ページでございますが、個々の15施設について、そのケアの状況を要約したものでございます。
 ユニットの職員を固定している。あるいはユニットリーダーの配置は勿論でございますけれども、5つ目の丸、家庭的な雰囲気の中で食事の提供等が行われているというものでございます。
 次に、恐れ入りますが、13ページをお開きいただきたいと思います。
 ユニットリーダー研修の実地研修施設調査の際の、ユニットケアの着眼点を参考とさせていただきまして、特養6、老健9につきまして、それぞれの項目について自己評価をしていただいたものでございます。自己評価でございますので、客観的な数字かどうかというのはありますけれども、おおむねそれぞれの項目についてクリアーしているという結果が出ております。
 次に、14ページをお開きいただきたいと思います。
 14、15、16の3施設は老健でございますけれども、前回の分科会に配付した資料の中で、職員の配置の状況が2.4を超えていた3施設でございます。14ページの下の方にございますが、再度調査したところ、ユニットリーダーを含まず報告した施設が1つ。その結果、人員配置は1.8対1に修正になります。
 次の15ページにつきましても、人員配置が1.9対1。
 3つ目の16ページも1.8対1という形で、恐縮でございますが、前回の資料が修正になります。
 再び10ページにお戻りいただきたいと思います。
 私どもの方では既に15の施設について運営しておりますので、介護報酬の返還についての考え方でございます。
 まず1番目としましては、一部ユニットの規定でございますけれども、介護保険法に基づく基準省令には、15年度以降、新たに一部ユニット型の創設を規制するといった規定がないという現実がございます。あくまで解釈通知により規制をかけているわけでありまして、その有効性に疑問が生じるところであります。
 2番目といたしまして、この疑問を解決するため、埼玉県としても平成18年に厚労省と協議をさせていただきました。その結果、整備は可能である旨の見解を受けましたので、以後整備を行ってきたところでございます。なお、介護報酬の区分の適用については、施設の整備と一体のものであることから、整備が認められるのであれば、15年当時の既存施設が一部ユニットで整備したと同じように、介護報酬が適用されるものと考えているところでございます。
 更に、3.現実に一部ユニットのユニット部分では、ユニット施設が整備され、職員が張り付き、ユニットケアが行われている現実がございます。
 以上のことから、矢印の先ですが、一部ユニット型特養のユニット部分についてはユニットの介護報酬を、また従来型の部分については従来型の介護報酬が適用されるべきと考えております。
 最後に、今後の方向性でございますが、11ページでございます。
 まず1の一部ユニット特養の必要性でございます。先ほども述べましたとおり、ユニット型については、生活保護受給者の利用が原則として認められていないことや、低所得者の負担感が大きいこと等から、当面、一部ユニットの整備は必要と考えます。もし一部ユニット型の創設あるいは従来型の整備も規制するということであれば、速やかに生活保護受給者の利用を認めるとともに、低所得者に対する補足給付等の充実を検討されたいと考えております。
 次に、2、介護報酬についてでございます。先ほど述べましたとおり、過去に国と協議し、整備可能との回答を受けた経緯があること。また、一部ユニットの特養・老健については、人員、設備、運営面について基準等を満たしております。つきましては、ユニット部分についてはユニットの、また従来部分については従来型の介護報酬を適用することについて、委員の皆様の御理解をいただきたいと思います。
 以上です。
○大森分科会長 御苦労さまでございました。
 それでは、引き続き香川県の方からお願いいたします。
○岡田意見陳述人 それでは、香川県から一部ユニット型施設の取り扱いについて意見を申し上げたいと思います。
 まず、香川県配付資料の2ページをごらんいただきたいと思います。
 今回問題になっている混合施設、香川県内で3施設あります。整備済みの施設として、介護老人保健施設が1施設。この施設は町立施設でありまして、21年4月にユニット型30床、多床型30床の混合施設として開設され、既に1年と4か月が経過しております。
 22年度、本年度整備着手予定の施設といたしましては、特別養護老人ホームが民間施設で2施設あります。1つは、17年4月にユニット型50床として開設し、別棟で多床型20床を増床しようとしておりましたが、工事契約の関係で結論が出るまで待つことができず、現在、ユニット型に変更して設計をやり直しているところであります。
 もう一つの施設も、19年4月にユニット型30床として開設し、同じく別棟で多床型20床を増床しようとしておりましたが、今回の問題により着工を延期して結論を待っている状態にあります。
 特に、特養2施設からは、県の指導に従って整備を進めようとしてきたものであり、県の方針が変わったのであれば損害賠償を請求するとまで、強い抗議を受けているところであります。このほかにも、23年度以降に整備を予定している施設から混合施設での整備の協議を受けておりますが、今回の結論を待って方向決定することとしております。
 なお、15年4月以前に多床型を整備し、その後ユニット型を増床した混合施設、正規の一部ユニット型施設ですけれども、この形も香川県内で特養で3施設あります。
 次に、3ページをごらんください。
 香川県内の特養のユニット化の状況ですが、21年度末で4,452床のうち820床、18.4%がユニット型となっています。21年度は第4期高齢者保健福祉計画の初年度で、余り施設整備が本格化しておりませんが、23年度末では287床増加して、全体で4,739床、うちユニット型が207床増加して、全体で1,027床、ユニット化率は21.7%となる予定です。先ほど申し上げました計画変更を含めると、ユニット化率は22%を超える見込みであります。
 次に、4ページをごらんください。
 老健・特養の利用料金を、問題になっております老健A施設、特養B・Cの施設で調査したものであります。高額介護サービス費と特定入所者介護サービス費、いわゆる補足給付の支給前の料金が?@の表でありますが、老健Aはユニット型で約15万円、多床型は約10万円となっています。特養はBとCで、ユニット型で約13万円から15万円、多床型は現在ありませんけれども、できたと仮定して計算してみると約8万円から9万円となります。
 高額介護サービス費と補足給付の支給後で、洗濯代、日用品費、教養・娯楽費利用代等も含めた実際に負担している利用料金は、老健Aで表の?Aになりますが、一月当たりユニット型では、第4段階で約14万2,000円、第3段階で10万2,000円、第2段階で6万1,000円になっております。同じく多床型では、第4段階で9万5,000円、第3段階で6万5,000円、第2段階で約4万6,000円になります。
 差額が第4段階で4万7,000円、第3段階で3万7,000円、第2段階で1万4,000円になりまして、年額に直すと約56万から17万円の差額になります。
 特養Cは、表の?Bになりますが、一月あたりユニット型は、第4段階で約16万1,000円、第3段階で9万9,000円、第2段階で6万円程度になります。このように、ユニット型に入所すると、高額介護サービス費と補足給付を受けても、利用料金は大きな負担になってきます。
 これを簡単にまとめたものが11ページの資料3です。
 収入と利用料金を比較した持ち出しを計算してみました。第2段階では持ち出しはありませんが、第3段階の最低水準で年間で約40万円の持ち出し。収入が増加すれば徐々に持ち出しは減ってきますが、第4段階に入りますと、最低水準でまた約33万円の持ち出しが発生します。
 160万円の収入があっても、利用料金全額を支払えないということになります。この上に国民健康保険料あるいは介護保険料の支払いもあれば、残された自宅の維持修繕とか、あるいは田舎であれば親戚や近所付き合いの冠婚葬祭の経費もかかってきます。ユニット型に入所すると、年金だけでは足りずに、これまでの貯蓄を切り崩して生活せざるを得ないわけであります。逆に言うと、蓄えがないと入所できないということにもなります。
 続きまして、12ページの資料4もあわせてごらんいただきたいと思いますが、このような状況から、入所希望者の状況を聞いてみると、老健A、この表では4番になりますが、9割近くが多床型を希望しております。また、一部ユニット型の3施設、1から3になりますが、そこでも4割から7割が多床型を希望しています。
 更に、下の表になりますが、同じ法人が同じ町内で多床型の特養とユニット型の特養、2施設を経営しているケースがありますが、その場合でも5割以上が多床型を希望しております。実際、施設が入所者や家族から聞いた多床型を希望する理由としても、やはり経済的な面が第1に挙げられるようであります。
 特に、入所に当たってユニット型と多床型の利用料金を説明すると、そんなに違うのかと言われ、多床型を選択する方が多いということのようです。ほかに多床型を選択する理由としては、ほかの入所者と話がしやすいとか、何かあったときにほかの入所者が気付いてくれることなども挙げられております。
 更に、全館ユニットを推進しますと、特に補足給付が巨額になってきます。ただでさえ厳しい市町の介護保険財政は、破綻しかねないと思います。特に、第4期高齢者保健福祉計画の保険料改定の際には、市町の議会や住民からは、これ以上の介護保険料の増額は到底容認できないという強い声が寄せられております。香川県では、第5期計画の準備作業として、既に市町担当課長会議を立ち上げておりますが、市町からはこれ以上の負担はできない。あるいは、国の負担を増やしてもらいたい。補足給付は保険体制から切り離してもらいたいとの強い要望が出ております。
 次に、5ページをごらんください。
 このようなことから、本県では居住環境の向上やプライバシー確保のためにユニット型を基本としつつも、地域の実態、つまり地域のユニット化率や整備する施設の定員、市町の要望などに応じて対応しております。香川県の特養は、大まかに申し上げれば、合併前の旧町、つまり中学校区単位で1か所設置されている場合が多くなっております。そして、人口が多い地区で2か所目の整備が進んでいるところであります。
 そこで、できる限り地元の特養でユニット型か多床型かを選択できるよう、ユニット型が増床する場合は多床型、多床型が増床するときはユニット型、建てかえのときはもとの施設が多床型ですので、混合施設に変更する。そして、旧町単位で2つ目の施設ができるときは、1つ目が通常は多床型ですので、2つ目はユニット型にと指導しているところであります。
 したがって、本年度中に既に整備中あるいは着手予定の特養についても、創設の2施設は町内で2つ目の施設であります。1つ目が多床型であるということから、ユニット型にしております。また、ユニット型の施設が増床しようとしている場合には、多床型にしました。ただし、先ほど申し上げたように、1つは計画変更して、今、ユニット型の設計をやり直しているところであります。
 一方、老健は旧町単位で1つ目の施設の整備が完了しかかっている段階であり、全館ユニット、または混合施設での整備を進めてきたところであります。香川県としては、今後ともこの方針で市町や住民の理解を得ながら、徐々にユニット化率を高めていきたいと考えておりますので、地域の実態に応じた施設整備が認められるようお願いしたいと思います。
 特に、今後は昭和40年代後半から50年代に建てられた施設が更新時期を迎えてきます。定員が多いことから所得状況もさまざまであり、入所者や家族の意見も聞かずに、あるいは利用料金の増額分の手当てもしないまま全館ユニット型で整備すると、大きな混乱が発生することは確実です。多床型への移動の補償を認める方も出てくると思います。これらの点も考慮に入れていただければと思います。
 次に、6ページをごらんください。
 介護報酬の返還問題についてであります。老健Aでは、ユニット型の介護報酬が適用されずに、従来型個室の介護報酬が適用されれば、1日1人当たり820円の差額が発生し、21年4月に開設して以来、今年の5月までで、開設当初ということもあり、入所者が少なかったということですが、概算で700万円程度の差額が発生いたします。
 ユニット型介護報酬を混合施設にどう適用するかを規定しているのは、15年3月19日付の、当時の厚労省老人保健福祉局企画課長通知であります。しかし、施設の介護報酬を解釈通知である課長通知で規定するというのは、法的根拠として弱いと考えておりますし、県の顧問弁護士に相談してもそのような回答も得ております。したがって、課長通知を根拠に介護報酬の返還を求めるのには無理があると考えております。
 また、香川県が混合施設の整備を進め、更にユニット型の介護報酬を適用したのには、それなりの経緯があります。国が14年度以降、原則ユニット型の方針を決めたものの、その後数年経過すると混合の施設整備が実際に行われ、ユニット型部分にはユニット型の介護報酬の適用が行われておりました。更に、21年5月の全国課長会議の席においても、ユニット型施設以外の施設も含めて整備するという判断もあるものと考えているという考えも示されたわけであります。
 このような経緯から、香川県としては、混合の施設整備が認められ、更には公式に認められたと。また、ユニット型介護報酬が適用されないと混合施設の運営は不可能なことから、当然ユニット型介護報酬の適用も認められたものと考えたわけであります。
 次に、7ページをごらんください。
 老健A施設は、町が同じ敷地内に地方包括センター、病院、訪問看護ステーション、デイケアなどの施設を併設して地域包括ケアの拠点として整備したものであります。老健Aの建物は、1階に事務室とデイケア、2階がユニット型居室、3階が多床型居室になっており、職員配置は、ユニット型と多床型で区別して固定しております。同じ職員が日によってユニット型のローテーションに入ったり、あるいは多床型のローテーションに入ったりということはありません。
 配置基準もクリアーしており、ユニット型では各ユニットごとに看護1名、介護4名の計5名を配置し、昼間は各ユニット2名、夜間は3ユニットで2名の職員を配置しております。また、ケアの内容も、ユニット型の特色である職員と入所者のなじみの関係を生かして、個々人の生活の習慣や趣味など情報を細かく収集・分析し、きめ細やかなケアの実現を目指しております。
 ユニット型の介護報酬が適用されないと、30床で年間900万円程度の減収になり、この施設の運営を大きく左右することになります。
 もう一度、6ページに戻ってください。
 このようなことから、介護報酬の返還は難しいもの、また今後とも基準日の制限ではなく、ケアの実態を見てユニットケアが実施できていれば、ユニット型の介護報酬を適用すべきものと考えております。
 以上で香川県の説明を終わります。地域のことは地域の実態に応じて地域で判断できるよう、是非御検討賜りますようお願い申し上げます。
○大森分科会長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして横浜市、お願いいたします。
○立花意見陳述人 横浜市の健康福祉局長の立花でございます。横浜市は個室ユニット整備促進という立場で意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、横浜市の基本的な考え方ですが、囲みの中にありますように、特養ホームは、よく言われる人生のついの住みかだということで、長期にわたる生活の場となるわけでありまして、ここが病院とか老健と違うところだと、それがまず基本にございます。特に、病院をモデルにした多床室には多くの課題があると考えております。
 特養の整備は、既に量的整備から質的整備への転換期にあると思っております。20年以上前から個室化を進めるという流れがありまして、平成15年にようやく国が個室化の方針を示したところでありまして、これはいわば居住環境の向上という文化の問題でもあると考えております。したがって、この流れを揺り戻すようなことがあってはいけない、これが基本的な考え方でございます。
 個室で生活するということは、普通の人が暮らす生活様式として、今や当たり前のことだと思いますし、特養の整備についても、この当たり前というのを基本に考えるべきと考えております。ただ、個室ユニットというのは居住費が高い、低所得者が入所できないという意見があるということも事実でございます。だからといって、多床室をつくるということではなくて、補足給付の拡充とか居住費の補助といったもので対応すべきものであると考えております。ですから、この辺は努力すべき方向を間違ってはいけないのではないかと考えております。
 なお、本市では、そういう考え方に沿って、今年10月から、ささやかではありますけれども、自慢できるような額ではないのですが、第3段階については独自の補助制度を実施する予定であります。
 それから、これからの時代を考えますと、団塊世代の人々が高齢者になる時代で、そういった方々が多く入所するようになるだろうと考えております。こうした方々は今まで人生経験をいろいろ積んで、高度経済成長を支え、またある程度豊かな社会を生きてきた人たちであるわけでして、そうした人達も満足して入ることのできる特養にすべきだろうと考えております。
 勿論、今ある多床室を批判したり、あるいは軽視したりするものでは決してありません。経営者も、あるいは介護従事者も今の多床室で一生懸命努力しておりますし、頑張ってくれているということは、私も現場の責任者として十分承知しておりますし、そのことには敬意を払いたいと思っております。ただ、施設というのは、建設すれば30年以上は使うということになるわけですから、将来を見据えた対応が必要だろうと考えております。
 基本的な考え方は以上ですけれども、以下、多床室の問題点、挙げればたくさんございますけれども、会話が筒抜けになるとか、他人のおむつ交換時の臭気があるとか、テレビもイヤホンで見なければいけないとか、家族が面会に来ても気兼ねしてしまうような状況。
 あるいはインフルエンザのような感染症の対応が十分できない。去年も新型インフルエンザの件で、施設内で発生した場合に苦慮したという施設長の話もいろいろ聞いております。この場合に、ベッドの間隔を2メートル以上開けなければいけないということになると、4人部屋は個室になってしまうという状況でございます。
 一方、個室ユニットの問題点も勿論ございまして、先ほど申し上げたように、個室ユニットというのは居住費の自己負担額が高い。このために低所得者が入りにくい。これが最大の問題点であろうと思います。ですから、ここをどうしていくかということを一生懸命考えることが大事だろうと思っております。
 それから、横浜市の特養の申込者に調査をしたときの状況がここに書いてあります。先ほど東京都に引用されてしまいましたけれども、19年10月に実施したアンケート結果ですが、図1にありますように、多床室を希望している人は47.5%、個室ユニットの希望者より多いのですね。ただ、この結果だけで多床室の希望が多いとは言えないと思いまして、多床室を希望する人に理由を聞きましたところ、個室ユニットは費用が高いと答えた人が半分以上いる。したがって、多床室で暮らしたいから多床室を選んでいるというわけではないと思います。
 また、このアンケートにはないのですけれども、恐らく個室ということで病院の個室をイメージしてしまったのではないか。そのために、ぜいたくだというイメージがもしかすると出てきているのではないかと考えておりますが、この辺はPR不足といいますか、説明不足もあったのではないかと考えております。
 横浜市が個室ユニットの居住費の助成を始めた経緯を説明させていただきたいと思いますが、3ページの下の図です。第1段階、第2段階は3万5,000円の補足給付があるために、自己負担が2万5,000円にとどまっておりますが、第3段階になると自己負担が5万円と急に高くなって2倍になるわけです。この格差を少なくする必要があります。
 横浜市では、先ほど言いましたように、この10月から個室ユニットに入居している第3段階で一定の要件を満たす方に、月1万円ですけれども、独自に助成をすることといたしました。
 それから、飛ばしまして7番目、生活保護者が個室ユニットに入れないから多床室もつくりたい。先ほど来の東京都、埼玉県の主たる主張もそこにあったように思いますけれども、これはちょっと違うのではないかと私どもは思っております。一般の人の生活水準を基準にこれからは考えていくべきだろう。その次に、そこに入れない低所得者あるいは生保の人たちに対しては、どういう手だてがあるのだろうかと考えていくのが筋ではないかと考えております。
 そのほか、個室ユニットの普及率は、今はまだ全国平均では2割程度です。横浜市は4割になっているのですけれども。ですから、一遍に変わるわけではない。何か一遍に多床室がなくなるような状況ではないわけです。国は、26年度に70%を目標と言っておりますが、正直、これは私は無理があると思います。その目標は達成できないだろう。全部個室になるまでには、多分何十年もかかる話だろうと思っております。
 それから、国の方にも私はちょっと問題があるのではないかと思いますが、先ほども説明がありましたけれども、生活保護受給者は通知では簡単に入所できない。これは、厚生労働省の中で一方で個室ユニットを推進していながら、一方、生活保護の担当では、これはちょっとぜいたくなのではないかみたいな解釈があるというのは、縦割りではないかと思います。この辺は先々考えていただきたいところだと思っております。
 それから、一部ユニットについて、平成15年に個室ユニットが本格的に導入されて、新設する特養は全部個室ユニットで整備してきました。それと同時に、15年に存在する特養の一部を増築または改築して個室ユニットに整備した場合に、一部ユニットとして認めて、多床室部分には多床室の報酬を、個室ユニットの部分にはユニットの報酬を認めてきました。
 これは、15年に存在した施設は、ケアの質の向上のために、一部でも多床室から個室ユニットに展開してほしいという趣旨であったろうと思っております。したがいまして、一部ユニットの施設は、いわば暫定的な形態であろう。これから建設する施設は、あくまで全部個室ユニットというのが原則であるべきだろうと思っております。
 しかし、その後も新規の施設を多床室と個室ユニットの合築で整備する自治体があるということで、新規の施設は全部個室ユニットで整備するという趣旨が徹底されていない。これは、国の少しぶれたような通知の問題もあったと思いますけれども、それは非常に残念だと思っております。
 最後に、個室ユニットを進めるための幾つかの提案ですけれども、まず居住費の助成、補足給付の拡大です。これは世帯の収入・資産要件を加味して、個室ユニット入居者に対して公費による居住費の助成を行う、あるいは補足給付を拡大していくべきだろうと思いますし、また個室ユニットの面積基準を横浜市も主張させていただきましたが、10.65平米に基準を下げていただく。その場合には、居住費の基準額を5,000円というのではなくて、せめて1万円ぐらいは引き下げてほしいと考えております。
 また、第3段階の補足給付を1万円から2万5,000円までに拡大して、居住費の自己負担額を2万5,000円から3万5,000円ぐらいに抑える。これによって多床室との負担額の格差を縮小するという方向で努力していただきたい。
 あるいは、以下、特例減額措置の要件の緩和とか、課税世帯の居住費の引き下げとか、個室ユニットの介護報酬の引き上げ等々、幾つか提案が考えられるのですけれども、逆に保険料との関係もありますので、慎重に検討しなければいけない部分もあると思いますが、いずれそういうことを検討する方向で個室ユニットを全面的に進めていくという方向で御判断いただきたいと考えております。
 以上でございます。
○大森分科会長 どうもありがとうございました。
 では、高見澤さん、お願いします。
○高見澤意見陳述人 私は、あくまで利用者の立場でお話をさせていただくのですけれども、今、この日本の社会を覆っている棄老の風潮と申しますか、最近では100歳以上の方々が多数行方がわからないとか、介護保険がスタートすれば、介護地獄がなくなるのだということを私たちは信じてやってまいりましたけれども、やはり介護心中、介護殺人は増える一方。また、65歳以上の高齢者の犯罪も増えております。そして、繰り返されるグループホームの惨事。
 そういう、いわば高齢者というのは社会のお荷物であって、これはある程度の線で見限ってもいいのだ。こう増え続けたら、とても負担にたえられないのだという認識が広がっているとしたら、これは日本は一体どういう国だろうということになるのではないかと思うのです。ですから、自治体の方々の苦しい経済的な負担とか、介護労働の大変さを伺うと、すべてなるほどと納得はいたします。
 しかし、利用者の立場としては、個室化を逆行させるわけにはまいりません。はっと気付かされたのは、今、立花さんは20年前から個室化の流れとおっしゃいましたけれども、もう1985~1986年のころに川崎市の特養に入所されていました70歳近い男性が、憲法25条をベースに国を告訴された事件がございました。
 それを私、取材に参りましたけれども、今から20数年前のことですから、勿論特養ホームの部屋の整備はされていません。畳敷きの8畳ぐらいの部屋に押し入れがあって、そこに4人の男性が生活されていました。押し入れに布団を入れる順序も決まっていて、プライバシーという点では全く無視されていました。
 その方がなぜ国を訴えたかといいますと、その方は障害を持っていらして、勿論家族もいないので施設で生活されていましたわけですけれども、生きがいとしては、何か研究をされていて、図書室に毎日通って、書き物をするのが唯一の楽しみでした。
 ところが、同室の方々がいじめですね。彼が大事に書きためていた原稿をどこかに隠してしまったのです。それから、日常的に掃除の仕方が悪いとか、布団の入れ方がどうだという干渉がある。その方は、8畳ぐらいのスペースだったら、自分は2畳でいい。2畳のスペースの個室を与えてもらえないかということで、国に対して裁判を起こしたわけです。
 そのとき私は、こうやって年をとって、身寄りもなくて、障害も持って、その上プライバシーのない生活を強いられるというのは本当に人格無視というか、これは地方自治体、国の責任というのはどうなっているのだという気持ちを抱きました。
 それから、こんどは自分のおばの終のすみかである特養ホームを訪ねたときも大きな衝撃を受けました。子どものないおばは神田に住んでおりましたけれども、ちょっと遠い青梅の特養に入りました。勿論、多床室でございます。大変しっかりした人だったのですけれども、ひとり暮らしの安全を考えると、区の方でも勧めてくださって青梅の施設に入ったわけです。
 いとこ達とお菓子を持って訪ねました。さて、みんなでお菓子を食べましょうと言いましたら、そのお菓子が消えているのです。「おばちゃん、お菓子どうしたの?」と言いましたら、そばにあったティッシュペーパーの箱にお菓子を隠すのです。「これ、みんなおばちゃんが食べていいのだから、どうしてお菓子を隠すの?」と言いましたら、「ここは知らない人がいて、こういうところに入れられたら刑務所みたいなものだから、油断はならない」と言うのです。しっかりした人でしたが、認知症が始まったといえばそれまでですけれども、非常に緊張感というか、不安感というか、そういうものを彼女は抱いたわけです。
 それから福祉施設に行きましたときに認知症が始まっていらっしゃる方がかなり多いわけですけれども、今まで家庭で暮らしていて、いきなり知らない人たちと寝起きを一緒にするというのは、認知症そのものの進行も早まると思うのです。認知症のケアはとにかく安心させることだと。
その人なりの残っている能力を認めてあげて、優しくその人なりの暮らし方というものをできるだけ維持してあげるということ。そんなことは申し上げるまでもないのですけれども、やはり施設に入ったとたんに、おばが恐怖感というか、不安感を抱いて、毎日緊張して暮らしているということは、認知症が進んだ方などは、これはいかがなものか。
 それから、特養でどれぐらいの期間利用者の方が生活なさるかということで調べましたら、大体4.5年、平均5年未満の滞在日数と資料に出ておりました。今まで長い間生きてきて、最後の4年か5年です。これをいろいろな事情はあるにしても、憲法13条には幸福権を追求する権利というものがございます。幸福権の追求を更に敷衍して考えますと、情報プライバシーだけではなくて、生活権としてのプライバシーの権利があります。国あるいは地方自治体が、それを守ってあげられないというのは、非常につらい話でございます。
 今、神奈川県の御発言にありましたように、これから国民負担は今のままではいられないなということは、みんな感じております。しかし、国民に負担を求めるなら、国が1人たりとも置き去りにはしない、最後まであなたを見捨てないよということを示していただかないと、これはまさに今、進行しつつある世の中の棄老の風潮と同時進行で、若い人たちも、ああ、年をとったら社会のごみなのだということで、日本はもうめちゃくちゃな国になるのではないかという危機感を私は抱いております。
 では、負担はどうするのだ、お金がないのにどうするのだということをよく言われますけれども、大事なものは何か。それは、一人ひとり、今まで一生懸命生きてきた人たちの最期の4年か5年の安心感を保障してくださいということなのだと思います。
 国が理想を捨てたら、国民の側としては将来の見通し、めちゃくちゃでございます。憲法の精神に是非のっとっていかなることがあろうとも、国民の一人ひとりの老後というもの、そのついの住みかのたった4年か5年の間の保障というものを是非お願いしたいと思います。
 以上です。
○大森分科会長 ありがとうございました。
 では、矢野施設長。
○矢野意見陳述人 射水万葉会の矢野と申します。特養の立場からお話させていただきたいと思います。
 まず、申し上げておきますが、個人的には個室ユニット、大いに結構だと思います。ただし、これには条件がありまして、お金とか人員配置がきちっとなればいいのですけれども、今の国の財政状況を見ますと、かえって危険な面もあるのではないかと感じております。一部ユニット型施設、是か非かと言われれば、是だと言わざるを得ないと思います。
 現状の新型特養の個室ユニット型、先ほどからも出ておりますように、生活保護者は入れない、利用できない。実は、第2段階、第3段階の人も、実質的には利用できないのです。勿論、第3段階の一部ですけれども、そうすればはなから利用できない事実がありながら、これはどう考えても介護保険法の精神、経済状況に関わらず、介護が必要になった場合に社会で支えていこうという基本的な理念に反するのではないか。
 また、今、隣から出ました憲法25条に照らしても、不作為かわかりませんけれども、明らかに差別的制度と言われざるを得ないのではないかと感じております。
 そこで、経済的理由、皆さんそれぞれあるのですね。今の入所の状況を見ますと、ほとんど4、5です。5の入る方の当事者能力はほとんどございません。家族が決めます。そうしますと、家族の状況によって、子どもがまだ学校でお金がかかるとなると、お金のことが決めるべき優先順位になります。そういう面では、経済的な理由により選択肢の幅を広げるのは正しいのではないかと感じております。
 2番目に、利用者の状態です。今、重度優先なので、ほとんどの方は、先ほど団塊の世代の方はそうではないだろう、確かにそうだとは思いますが、実際入所する段階では介護度4、5と、ほとんど認知症ですので、最後は家族が決めます。そういう面では、数は非常に少ないのですが、私どももよく聞きます。本人よりも家族の娘さんなり子どもさんが心配で、個室よりも人の気配のあるところがありがたいという声も聞きます。これはわずかであります。
 ですから、状態によっても、完全個室がいいのか、はたまた人の気配がある。私ども、4人個室と言っているのですけれども、そういう部屋がいいのか。これは一部ではありますけれども、状態によって、何が何でも完全個室というわけではないような気がいたします。
 あと、介護者、介護職員の立場から言いますと、ユニットの要請があるのですが、私ども、いろいろやってみますと、かなり精神的な負担がかかりまして、個別ユニットよりも、ある程度大きな枠の中の方が精神的にも介護がしやすいという声を聞いております。
 そういう面で、結論から先に申し上げますけれども、全室個室ユニット型施設でなく、後ほど説明しますが、私どもは二上万葉苑で混合型ということをやっているのですが、一部ユニット型も、これだけ本当に多様化しております。また、地域の実情がございます。私どもの特養は、負担が1、2、3の方で約7割という現状を考えますと、全室個室型にこだわるのではなく、費用負担が軽い、後ほど説明しますけれども、従来型の施設も必要かと思っております。
 あと、皆さんにどうしてもお願いしたいのは、従来型・多床室という旧来からのイメージではなく、私どもは4人個室という考え方をしております。委員の皆さんに写真があるかと思いますが、これについて説明させていただきます。
 実は私どもも完全個室がいいのか、はたまたそうではないのかということでいろいろ議論したときに、今も介護上あるのですが、完全個室の場合、寂しがる人、いろいろな方がおられるのではないかということで、日本家屋をイメージしました。廊下があって、障子戸でふさげ、欄間で、姿は見えないけれども、人の気配が感じられる。
 こうなれば、痴呆の方や寂しがり屋の方も、多少なりとも落ち着くのではないかということで、写真に載せてございますように、障子戸で仕切りながら、上は開けて、従来の日本の部屋をイメージしまして、4人部屋で、私どもは4人個室と呼んでおります。多少問題はあるのですけれども、完全個室のプラスとマイナス。
 ですから、今後、一部ユニット、また従来型と言いつつも、今までのように雑居型ではなく、仕切って、100%ではないのですが、プライバシーをある程度守れる部屋づくりをすればいいのではないかと考えております。
 そういう面で、大変厳しい財政の中で、国も県も、また私ども市町村もそうでございます。そういう面で、いろいろな選択肢をつくり、当然お金のある方は大いに個室ユニットをやっていただければいいので、お金のない方も排除するのではなく、利用できる政策にしていただきたいと思っております。
 そこで、言葉はちょっときつくなるのですが、2枚目の特養の現状からです。個室は大いに賛成なのですが、ユニット型、特に10人以下というのは、私どもの現状からしますと非常に疑問に思っております。大変厳しい書き方をしました。間違いなく、今、重度者優先入所を指導されております。ですから、4、ほとんど5の方しか特養へは入ってこられません。
 しかも、先々を見ますと、終末ケア、みとりケアを我々特養に要請されて頑張っているところでございます。その中で、今の全室個室、新型ユニットの前提をいろいろな研修で聞くのですけれども、利用者とともに御飯を炊いたり、盛り付けたり、後片付けをしたりということをイメージされて、これが利用者にはいいのだということで、施設整備やいろいろなことをされていると思いますが、私どもの現実を申しますと、ほとんど4、5の人しか入ってきません。一緒に御飯を盛り付けたり、片付けたり、これは夢物語でございます。事実でございます。
 そういうことを考えますと、個室は大いに結構なのですが、ユニットにこだわる。そこから来る場所や設備やお金、このむだを省くべきでありまして、どうか完全個室、もしそれが不可能であれば準個室化して柔軟な対応をすべきだなと考えております。
 私どもも徹底的にやってみましたが、ユニットはユニットのよさがあるのですけれども、あくまで人員配置が完璧にそろったらいいのですけれども、それがない中で考えてみますと、2人で8人に対応するよりも、4人で16人の方がはるかに利用者も介護者も負担がなく、非常にスムーズに行くことは、私どもやってみましてわかりました。
 ですから、ユニットというイメージが、10人以下で流しをつくったり、余裕があればそういうもので結構なのですけれども、現実、平均介護度が4を超えた今の特養の現状では、大変申し訳ないのですけれども、それなりのよさはあると思いますが、我々の現実からするとそこまでこだわる必要が果たしてあるのかどうか。先ほども出ましたように、地域によっていろいろな特徴がございますので、国の方ではもう少し柔軟な政策を打っていただければありがたいなと思っております。
 そういう面では、国の政策がハードや設備の方と、片方では重度優先、みとりというソフトの面がちぐはぐになっているのではないかという気がしてなりません。何が何でも個室ユニットというのではなくて、それぞれの地域の実情、市町村にお任せいただければ非常にありがたいのではないかと思っております。
 従来型を認めるというので、昔のように多床室の雑居型というイメージでは決してございませんので、従来型といえども、準個室化といいますか、そういう形にして少しでも費用負担を少なくして、たとえ生活保護の方であろうとも、そういう状態になったら遠慮なく利用できるようにしていただければありがたいなと思います。
 私の方からは以上でございます。ありがとうございました。
○大森分科会長 ありがとうございました。
 では、内藤さん。
○内藤意見陳述人 全老健の内藤と申します。こういう時間をいただくことに心から感謝申し上げたいと思います。
 私どもの資料を御説明申し上げます。私どもは、全室個室とユニットケアと表現しております。
 全室個室というのは、あくまで施設整備の問題、ユニットケアというのは少人数処遇による個別ケアの展開、ケアの質の向上を目指したものではないかと私どもは理解しております。この間の歴史を振り返りましても、平成13年から15年ぐらい、全老健でもユニットケアに関する研修会あるいはシンポジウムをやりますと、大変に盛況で人が集まっておりました。
 ところが、平成16年から17年ぐらい、ユニットケアというシンポジウムを開催しても人が集まらない。理由は、全室個室ユニットケアという格好で、ユニットケアに対して全室個室という定冠詞が付いてしまったということが大きな要因だったろうと考えております。
 2ページになりますけれども、私どもの考えでいくと、全室個室の推進は私どもも非常に大切なことだろう。個室化を進めていきたいと考えております。ただ、施設整備のための財源確保。現在の介護報酬、我々の事業所の経営状態からは、全室個室化を進めることがなかなかに厳しい。ただ、そういう中で個室化へ向けた努力は続けていきたいと考えております。
 もう一方で、いわゆる全室個室があって、パブリックスペースがあって、人員配置されていれば、それはユニットケアだと評価する。そうではなくて、ユニットケアをマネジメントの質を高めるための技法だということで、それは介護報酬上でケアの質の向上と評価する必要があるのではないか。
 そういう意味で、私たちの厳しい経営的な現状の中で、老健施設が混合型施設に取組んでいるところがあるというのは、むしろ少しでも個室化を進めたい、あるいはユニットケアというマネジメント技法を、質の向上を図りたいという施設が出てきたものとして、私たちは評価しているというのが現状であります。
 3ページにまとめておきましたけれども、いわゆる住まいとしての機能である特別養護老人ホームについては、全室個室推進の流れがあることは十分に理解できます。ただ、生活介護ではなくて療養介護として老健は位置付けられておりますので、在宅施設という役割から、必ずしも全室個室の必要性があるのだろうかということが、会員の中からも指摘があるところであります。レスパイトとしての短期入所は多床室でも可能ではないかと考えています。
 また、現にそういったことも、この間の開設許可は都道府県知事によっておりますので、当然厚労省も把握していたはずであると考えております。したがって、私どもは混合型ユニットケアについては、個室化を推進、あるいはユニットケアに質の向上として取組んでいる施設として評価している。
 4ページ、老健施設について、第二特養化という批判をよく耳にいたします。単に入所者が長期化しているということではなくて、急性期医療の変貌ということもありますし、利用者の高齢化という問題もありますし、介護力の変容もあります。そういう問題があっても、なおかつ確かに老健施設の中に第二特養化という批判を受けざるを得ない面はあるかと思っております。
 そういう意味で、全老健としては、今3つの大きな事業を柱に掲げております。
 1つは、R4システムというケアマネジメントシステムの構築であります。これは、今、現実に動き出しておりますけれども、標準的なケアを、地域において、あるいは施設において提供しよう。
 2つ目は、今の介護認定でどうしても評価し切れないBPSDとか、高齢者の目まぐるしく変わる、時系列的に状態像が変化したりすることをきちっととらえていこうというコーディング研究班。
 それから、全老健の各種研修・教育事業ということは、介護職等人材確保のための取組みとして、この間も高く評価していただいておりますけれども、そういった現在の介護認定も含めて、あるいは老健施設のケアの質の向上ということを目指しております。
 5ページで、個室化というのは、やはり着実に老健としても推進すべき課題でありますけれども、経営基盤が脆弱であるということは、これもまた残念ながら事実であります。ただ同時に、個室化ができないからユニットケアもあきらめるということではなくて、さまざまな工夫をしながらユニットケア、少人数処遇による個別ケアに取組んでいるのが老健の現状でございます。
 6ページ、ちょっと細かい数字になりますけれども、医療法人立が老健会員施設の72%を占めております。そういう意味で言いますと、補助金とかが非常に限られておりまして、経営的には年間の元金返済という有利子負債が非常に大きなウエートを占めております。減価償却を繰り入れても返済金のお金を返すのに精いっぱいだという現状であります。
 時間も押しておりますので、7ページに行きたいと思います。昔は認知症の専門棟は、処遇するためには回廊スペースが必要だと言われていました。ところが、途中からユニットケア。だけれども、もうできてしまった建物を取り壊すわけにはいかないので、こういう格好で回廊型のスペースを利用しながら、パブリックスペースをつくって多床室ユニットケアに取組んでいます。これを全室個室ユニットケアとして評価してほしいということではありません。
 確かに理想ではありません。プライバシーの面からも問題はあると思いますが、今できる範囲での努力とは何なのかという格好で、こういう改修型のユニットケアも存在する。こういう環境要因の変更によって、多くのBPSDの方も2~3週間から1か月ぐらいでおおむねおさまってきますし、在宅復帰も可能になる。環境因子として、勿論内科・精神科の医師も関わりながらサービスを提供していくスタイルをとっております。
 最後のページになりますけれども、そういう中にあって、まず人員配置としては2対1なのだけれども、何が必要かというと、スタッフの情報の共有化、ケアマネジメントシステム。先ほど全老健でR4と言いましたけれども、そういった情報の共有化ということを積極的に進めていくこと。職員の教育・研修ということが非常に大切だということ。
 それから、例えば3つのフロアがありますけれども、かなり機能分化してきています。3階フロアは、認知症専門棟、BPSDの激しい人たち。2階フロアは、認知症があるけれども、繰り返して在宅復帰ができている人たち。1階フロアは、認知症が進んで、特に嚥下機能が落ちる、あるいはADLが落ちて、中にはみとりの方もいらっしゃる。そういうフロアごと、ユニットごとに機能分化も進んできております。
 ただ、長期化している利用者の方もいらっしゃって、どういう方が長期化しているかというと、1つは勿論介護力の問題です。もう一つは、BPSDです。2~3週間でおさまるBPSDの方は確かに多いです。でも、若年性型とか前頭・側頭葉型とか@アルツハイマー型の中でも2年3年とBPSDが続く方がいらっしゃる。精神科の医者が関わっても続く方がどうしてもいらっしゃる。
 あるいは、アルツハイマー型でも終末期に近くなりますと大変嚥下機能が悪くなる。あるいは、レビー小体認知症も嚥下機能が悪くなる。食事を安易に胃瘻をつくらないで口から食べていただくためには、プロとしての介護職の力が非常に必要になってまいります。そういう方は、在宅復帰はなかなか難しいのが現状だということ。そういった努力を続けて、ユニットケアというのは私は成り立つものではないかと思って、私からの御報告とさせていただきます。
○大森分科会長 長時間にわたっていますけれども、あとお二人おいでになりますので、辛抱していただければ。池田さんと井上さん、お二人で20分程度でお願い申し上げます。では、よろしくお願いします。
○池田意見陳述人 私、特養をよくする特養の会という、利用者を主体に考えたときに特養はどうあるべきかということを考える特養経営者の団体の代表として、個室ユニット化を進めていくべきだという立場から5つの論点でお話をさせていただきます。
 まず第1点は、特養の個室ユニット化は、人権の問題であるということです。居室の定員が1人か、あるいは2人以上かということは、2人部屋、4人部屋、8人部屋ということと、個室というのが全く次元が異なるということ。赤の他人が平均4年強、長い人は10年以上暮らす居室が、複数の人によって暮らすということはあり得ないことだ。2003年度以降の国の方針は、高齢者の人権と尊厳を守るためには個室ユニットが必要という理念に基づいたものだと私は理解しております。
 また、そのユニットのことなのですが、個室ユニットと、それ以前から行われてきた大人数のケアとは考え方が根本的に違う。単にハードが異なるだけではなくて、それまでのケアというのは、病院をモデルにして、見守りやすさや介護のしやすさ、あるいは管理のしやすさなどを優先してきた。その範囲で利用者のQOLを高めるということに腐心してきた。
 しかし、ユニットケアというのはその発想を転換して、利用者のQOLを優先した場合に、ケアはそれにどう合わせるかと、180度発想を転換したのだということ。例えば、死角をつくるということがユニットケアで言われます。死角をつくるということは、従来特養ではあり得ないこと。いかにして死角をつくらないかと考えたわけですけれども、死角をつくるというのは、利用者にとって快適な空間をどうつくるかということが優先されているのです。
 その意味で、例えば一部ユニット型施設をつくるということは、果たしてそのケア感、ケアの技術が根本的に違うものを併存させられるかという疑問が大変あります。実際、今、重度の方が入居しているグループホームと特養というのは、状態像はほとんど変わりません。では、グループホームも4人部屋がいいのでしょうか。グループホームは、個室が前提になっています。なぜ特養だけが一定の状態になったら、あるいは一定の低所得の人であったら、4人部屋がいい、あるいは4人部屋でもいいと考えられるのか、ここは大変疑問な点だと思っています。
 2番目の論点は、報酬の返納問題です。先ほどからも、この点について、特に自治体からありましたけれども、私は通知によって、この間、介護保険の詳細な基準が設定されてきたことは、決していいことだとは思っておりません。通知行政という意味では、介護保険というのは非常に問題があったと思います。
 しかし、一方で自治体は、何らかの問題が起きたときに、常に厚生労働省に判断を求め、そして解釈通知を求めてきたのも事実であります。それが国と自治体とのこれまでの基本的な関係だったと思います。それで言うと、この一部ユニットに関しては明確な通知が行われていて、その通知に関してはいわば誤解が生じる余地がない。そういうことがあったにもかかわらず、なぜこのことに関してだけは返納を免除することがあり得るのか。私は、これは非常に不可解な話だと思います。
 誤支給に関しては、自治体が何らかの救済をする必要がありますけれども、一たんは返納するということか筋ではないでしょうか。そして、解釈通知などで行われる行政のあり方は、今後は変えていくべきと思います。
 3番目、この一部ユニットあるいは多床室特養が必要だと言われてきた理由には、大きく言うと2つあると思います。
 1つは、42万人に上ると言われる待機者の問題。個室ユニットでは、面積的にも多くかかる。多床室の方が、同じ床面積の中で部屋数が、あるいは定員が増やせるということだったと思います。その1つの理由である面積のことに関しては、今回10.65平米に居室面積が緩和されたこと。それから、全室多床室というよりは、一部ユニットの施設をつくるという現実の方が多いということを考えると、私どもの試算では、80人定員で40人、40人という半々で多床室とユニット型をつくった場合には、定員数は6人しか変わらない。80人と86人にしかならない。こういう点で考えますと、ほとんど差がない。しかも多くの自治体は、多床室の比率が低い。2割3割の定員を多床室でつくる。そう考えると、まず面積的なことに関してはほとんど差がない。少なくともこの観点で、多床室をつくるという根拠はなくなっているのではないかと考えられます。
 4つ目の論点が低所得者の問題です。
 確かに、現在第1、第2、第3段階の人は入りにくい、また生保の人は入居が基本的には認められていないという問題があります。私どもの資料として付けていただいた提言書の3によりますと、まず6万円の基準である居住費は5万円まで下げることが可能であると思います。
 現に今年から、福祉医療機構の返済期間は、個室ユニットに関しては20年から25年に延ばすとなっています。これによっても個室料金は下がるはずです。ということは、これを30年まで延ばせば更に下がる。居室面積が10.65になったことによって約3,000円下がっているわけですけれども、更にこれも返済期間を延ばすことによって5万円まで下げることは可能であると考えます。
 それから、第3段階が非常に所得の幅が広いので、第3段階前半の人にとっては多分一番苦しいと思われますので、ここに関しては何らかの財政的な措置が必要ではないかと考えます。
 また、5番目の論点と関連するのですけれども、実は今後多床室特養をつくった場合に、果たして事業者は経営できるのだろうかということです。これについては大変疑問があります。というのは、これまで措置時代につくった多床室特養というのは、国や県から多額の補助金があって、それによってつくっておりますので、実質水光熱費1万円の負担で経営ができるわけですけれども、今後つくるものに関しては、どの自治体もほとんど多床室と個室ユニットはほぼ同額の補助金設定をしております。
 そうしますと、実際にホテルコストとしては、例えば個室ユニットに5万円かかるとしたときに、多床室でも4万円かかっています。建設費はそれぐらいの差しかありません。ということは、差は1万円しかないわけです。個室ユニットは、その分を補足給付を含めて利用者からいただく、あるいは補足給付でもらえるということになるわけですけれども、多床室に関しては、従来どおりであれば1万円の水光熱費しか取れないとなるわけです。
 その差は3万円程度になります。例えば80人特養で40人の多床室をつくれば、年間1,400万円近い自己負担が必要になってくる。この負担をするためにどうするかと考えますと、これは人件費をぎりぎり3対1まで切り詰めるとか、そういう経費節減をするしか、このコストを生み出すことができないだろうと思います。それは、間違いなく入居者の方のケアの質にはね返ってくると考えられます。
 その点でも、ここについて、では自治体が低所得者対策として上乗せの補助をするのか。もしも上乗せの補助をするのであれば、その財源があるのであれば、当然それは個室ユニットの上乗せの家賃補助などに回せばいいわけですから、その点での多床室の経営問題をどう考えるということについては疑問があるということです。以上のことから、待機者対策や低所得者対策として多床室を整備することは、非常に合理的ではない。
 最後に、国は例えばたまゆらなどの問題があって、低所得者対策として都市型ケアハウス制度を設けました。都はそれを積極的に進めると言っています。低所得の人が住む都市型ケアハウスは、7.43平米の個室です。なぜこれが4人部屋にならないのでしょうか。元気な人は、低所得であっても、狭くても個室が当たり前というのは、皆さんの中でもごく普通の感覚だと思うのです。ところが、特養だけはなぜ4人部屋でいいのか。どこかに我々の感覚の中に、病院と同じような感覚があると思います。
 そうではないのです。特養というのは生活をする場なのです。その意味では、10.65を7.43にまで緩和しろという議論はあり得ると思います。しかし、4人部屋にするという議論はあり得ない。是非そのように考えていただきたいと思います。終わります。
○井上意見陳述人 保健医療科学院の井上と申します。お手元の資料の1-8をごらんください。時間も限られていますので、早速説明をさせていただきます。
 私の方からは、建築の立場から建物整備と法人経営がどう関わるかというお話をさせていただきます。大きくお話しする内容は5つの視点です。
 まず、建設費と居住費の関係が、ユニット型と従来型で違っている。
 それに基づいて、従来型は現在の交付金下では経営が成立しないというのが2点目です。
 一方、ユニット型のキャッシュフローは比較的良好というのが3つ目。
 4番目、それらを考えれば、社福減免制度の積極的活用が可能ではないか。
 そして、5番目、先ほど東京都の狩野部長もおっしゃっていましたが、東京や大阪の土地費用は別途検討が必要であるということをお話ししたいと考えています
 1枚目の下のところですが、まず量的整備がどれぐらい違うのかということがよく話題になりますが、いろいろな調査をしていますと、ユニット型と従来型の面積の差は約10平米ということがわかっています。これらの試算に基づいて計算しますと、同じ延べ床面積の中での整備床数の違いは約1.15倍ということがわかっています。この点からも、4人部屋だからたくさん床数が確保できるということは、現状ではなくなっているということがまず1点ございます。
 1枚めくっていただけますでしょうか。次に、建設費と居住費の関係をお話ししたいと考えています。
 ここにお示ししましたように、ユニット型と従来型では約10平米の差があります。坪単価は、ユニット型の95%掛けが従来型の値になっていますので、このほか設備の費用、設計監理料などを入れていきますと、ユニット型は1床1,284万円という計算になってきます。一方、従来型は1床997万円ということで、1,300万円と1,000万円、約300万円の差があります。これに対して居住費は6万円と1万円ということで、従来型を新たに建てるときに、この1万円の居住費でやっていけるのかという問題があると考えています。
 その下の事業活動収支をごらんください。実際には、建物を建てて介護保険事業をやっていきますので、その両方を合わせた事業活動収支を見ていく必要があると考えて、それの試算をしたものになっています。いろいろな値は、その後の資料2から4のところに根拠が書いてあるので、そちらをごらんください。
 今、開設3年目ということで比較していますが、開設3年目というのは、実は従来型とユニット型の収支の差が比較的小さいところの差になっています。元金返済後の一番下の計を見ていただきたいのですが、ユニット型は定員80床の場合、大体800万円の収支が最終的に元金返済した後に出てくる。これに対して従来型は約350万円ということが試算上、わかってきます。両者では、一番差が少ないときでも450万円の差があるということをまず御理解いただきたいと思います。
 次のページを見ていただきたいと思います。
 この試算が妥当なのかという検証が必要と考えまして、今、日本にはユニットケア実習研修施設が47か所あるのですが、そのうちの5か所からデータをいただききました。事例の1から5がそれになっていて、試算が私がした試算になっています。ここの下から3番目の「一床収支差額:減価償却前」というものを見ていただきたいと思います。減価償却の値を組み込んでよく出すのですが、建物の費用が建っている時代によって大きく違っているので、減価償却前で見るのが正しいと理解しています。
 この一床収支差額を見ると、私の試算は1床約55万7,000円と出てくるのですが、事例1から事例5のところは、それよりももう少しいい値が出てくるということで、質の高いサービスと経営というのは両立していると考えてよろしいと思っています。
 その下を見てください。同じような形で事例1から5が、どんな要介護度からどんな平均給与でなっているのかを出しています。真ん中辺りに職員配置がありますけれども、試算では1.78対1でしていますが、事例の1から5はそれを上回るような職員配置をしていますし、平均給与も300万円から380万円ぐらいですから、今の介護職の給与から言うと極めて高い値になっていると理解しています。
 一方で、下の2段に書いてありますが、それぞれ比較的、制度ができる直前に建ったり、制度ができてすぐ建っていますので、建設交付金もかなり入っているということで、この辺りも少し検討する必要があると思っています。
 1枚めくっていただけますでしょうか。ここに建物を建ててから39年間のキャッシュフローを出しています。いろいろな条件は、ここに書いてあるとおりになっています。これを見ていただくとわかるのですけれども、赤い方が従来型、青い方がユニット型となっていて、途中、山が3回出てきていますが、これは設備更新を3回しているからということになっています。
 これを見ていただくと、真ん中に黒いラインがありますけれども、これが収支差額ゼロのところになります。赤い方は、経営が非常に厳しいということがおわかりになるかと思います。39年後に試算しても1.57億円の内部留保しか残らない。これは、経営としては成立しないと考えてよろしいと考えます。
 一方、ユニット型の方も、10何年後に1回目の設備更新のところは非常に厳しい状況にあるのですが、元金返済が終わった後は非常に良好な状態に動いていくこになっていまして、積み上がっていく内部留保を何に使うのか、どういうふうにして社会還元するのかというのが社会福祉法人には大きく求められていると考えています。
 下の表を見てください。39年間のキャッシュフロー、20年目と39年後がそれぞれどうなっているのかというのを、ユニット型と従来型で額を書いています。先ほど池田さんからもお話がありましたけれども、従来型の経営が成立するためには更なる交付金が必要であると考えています。実際、ある市町村は上乗せで500万円近い独自の交付金を追加で出す予定にしていると伺っていますが、それがどれぐらいになるのかというのを見たものです。
 20年目の額がユニット型と従来型がイコールになるようにするためには、1床120万円の交付金が追加で必要になります。これは20年間ですから、1年当たり480万円、自治体は追加で出すということになります。一方、39年目で同額にしようと考えると、もっと多くの額が必要になってくると考えられます。
 1枚めくっていただけますでしょうか。5番目に社会福祉法人による減免制度というものを書いています。
 いろいろな方がおっしゃいましたけれども、従来型とユニット型の所得段階というのは、2段階はほぼ双方ともに60%弱を占めることがわかっているのですが、2段階の所得階層には非常に幅があると考えられています。大企業退職者の専業主婦で世帯分離をした方もいらっしゃいますし、国民年金に満たない収入で家族による支援がない方もいます。この両方が双方とも2段階で、同じ負担でいるということがそもそも問題の一つになっていると考えています。
 では、どういうふうにしたらいいのかというお話ですけれども、世帯分離だったり補足給付の見直しをきちんと行った上で、真の低所得者に家賃補助を更にするべきだろうと考えています。仮に定員80名の60%が第2段階、それの半数が真の低所得者と考えたときに、1万円の居住費の更なる負担をすると年間288万円となって、これを法人と行政で半分ずつ負担するというのが社福減免制度になっています。
 この144万円という額を考えると、先ほど従来型とユニット型では、収支の差が一番少ないときでも450万円の差があるというお話をしました。また、更なる追加の交付金で自治体が建てるとなると、20年間の場合でも約480万円かかるとお話をしました。この額と、この288万円を比べれば、どんな手だてがあるのかということを考えていただきたいと思っています。
 というのが私の主張で、この中でもまだ幾つか解決ができていないことがあります。大きくそれは2つと考えています。
 1つは、補足給付の負担が従来型とユニット型で違っているわけですけれども、それに対して自治体がどう考えているのかというのが、自治体によって考え方が違っているというのが、今回、お話を聞いていて私も思いました。
 横浜市の方は、それは負担ではないという主張のようでしたし、東京都も別の機会にお話を聞いたときには、補足給付のことは余り気にしていませんというお話でしたけれども、今日、埼玉県や香川県の方はまた別の主張をされたということで、従来型とユニット型での補足給付をどう考えているのか、私は1つ知りたいと思っています。
 もう一つは、これは東京や大阪だけだと思いますが、土地の価格は実はここには反映されていません。土地の価格を含めると、東京では1床3,000万円ぐらいかかるのが現実でして、これは先ほど狩野部長がおっしゃったように、公有地の提供などが必要だと考えています。
 以上です。ありがとうございます。
○大森分科会長 恐縮です。ただいまから10分ほど休憩させていただいて、その後議論いたしたいと思います。
 暫時休憩させていただきます。

(休  憩)

○大森分科会長 それでは、再開させていただきます。
 9人の皆さん方、ありがとうございました。お聞き取りいただきましたように、現状についての認識、考え方、今後についても御意見が相当程度異なっていますし、離れているものですから、それは私どもの給付費分科会の方で次回に検討させていただくことにいたしまして、今日せっかくお見えくださっているものですから、こちらの分科会の皆さん方から、この点はどういうことでしょうかとか、この点についてもう少し、今日来ていただいた方々にまず御質問等をしていただきまして、理解を深めてみたらどうかと思っています。
 それから、今日提出していただいた資料を前提にしまして、今までの議論なども参考にしまして、次回にこういうことが論点として検討されなければいけないのではないかということを、事務方の方に用意してもらっていますけれども、それは最後の段階で皆様方にお届けして次回に備えたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 どなたからでも結構ですし。どうぞ。
○中田委員 今日お見えになった皆さん方ではなくて、国が示した資料についてちょっと御質問させていただきたいと思います。これからの議論の前提になる資料2の3ページ、ユニット型と従来型の差異についてという資料でございますけれども、その中間辺りに集団ケアと個別ケアの相違点。従来型は集団ケア、ユニット型は個別ケアと明示してございます。
 従来型といえども、いろいろな工夫をしながら、例えば個室化もどんどん進んでいるわけですよ。それから、夫婦のための2人部屋だとか、先ほど矢野さんからもお話があったように、4人個室とか、そういうハード面での工夫も今どんどん行われている。
 それから、ケアについても、例えば食事は個別ケアは当たり前ではないですか。一人ひとりの咀嚼力に合わせたソフト食とか、いろいろな提供をしているわけです。入浴もそうですね。個浴とか、もう機械浴をやめて一生懸命頑張っている。
 それから、排泄も、全国老施協はこの7年間、介護力向上研修をやっていまして、おむつゼロにしようということで取組んでいます。この排泄ケア1つとっても、個別ケアでなかったらこんなことできませんよ。こういう現場の汗を流している職員に対して、国はこういう認識なのですか。こんな資料が出たら、我々は会員の皆さん方に本当に申し訳ないと思います。何を根拠に集団ケアなのか、きちんと示してください。
 以上です。
○大森分科会長 お怒りでございます。一般的によくこういうふうに言われますけれども、今のような現実を見てどうお考えになっているかということでございます。これは、事務方の方から一言。
○水津高齢者支援課長 ユニットケアを導入したときに基本的な考え方を踏襲して、こういうふうに書いております。今日、ヒアリングということでお話いただきました中にも、従来型でも個別ケアをやっている、あるいは4人部屋でも準個室としての対応をしている、事業者の方でもいろいろ工夫をされているというお話があったかと思います。
 また、3回以降、議論があろうかと思いますので、そういう議論も踏まえながら、国としてもいろいろ検討していきたいと思っております。
○中田委員 この資料を訂正することはできませんか。これはおかしくありませんか。こういう認識で国がいるということは、私は絶対おかしいと思いますよ。この10数年間、要するに個別ケアに取組んでいるのですよ。従来型といえども、集団ケアでなくてグループケアだとか、そういういろいろな形で一生懸命汗を流している。
 にもかかわらず、この資料が今日出てきたということは、これは全部会員の方に知れ渡るわけでしょう。これは一体どういうことなのかということが必ず出ますよ。これを是非検討していただきたいと思います。次回の資料を出すときにどういう形にするか、私はこれはちょっとおかしいのではないかと思いますから、是非検討方、よろしくお願いいたします。
○水津高齢者支援課長 資料の取り扱いは検討いたしますが、1つ大事な点、あえて申し上げさせていただきますと、今、一部ユニットということで、従来型と個室ユニットを合築・混合するものの取り扱いをしておりますので、その差異があると、導入したときの経過があるという点は、きちんと本分科会で議論するときにも認識しておくことが必要だと考えております。
○大森分科会長 それでよろしいでしょうか。若干お怒りが静まりましたか。現場の実情などについて、少し文言上も記載するということになるのではないかと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
○中田委員 はい。
○大森分科会長 それでは、せっかくの機会でございますので、お願いします。篠原さん、よろしくどうぞ。
○篠原委員 本当に今日はありがとうございました。非常に参考になりました。感謝申し上げたいと思います。更に、それぞれの立場で御苦労されている現場の状況というのを今日は知ることができました。感謝申し上げたいと思います。
 先ほど分科会長の方からは、連合として資料提起をさせていただいたわけですけれども、今日はそういう場ではないということで御質問になるわけですけれども、基本的には連合の考え方は今日お示しさせていただいたとおりですし、住まいとしての個人の尊厳とプライバシーが尊重されるべきだと考えておりまして、原則個室化と考えているということです。今日、皆様方の方から御報告をいただいて、改めて原則個室ということが守られるべきではないかと確信したということです。
 今日お話がありましたQOL、生活の質ということを向上させていくためには、個室ユニットの内容を後退させてはいけないのではないかと思うわけですけれども、特に初めの方にお話をいただきました東京の方とか埼玉の方、あとは香川の方々に対して、その点について、生活の質ということを考えたときに、どのようなことを思われているのかということをまずお聞きしたいという点。
 あと、ちょっと個別になりますけれども、東京の方から説明資料をいただきました17ページに東京都の特養整備方針、3割を上限と書いてありますが、具体的にこの3割にした経緯がもしおわかりになれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
○大森分科会長 今の御質問、最初のことを狩野さんから。
○狩野意見陳述人 私は逆に連合に聞きたいのは、日本の労働者の老齢厚生年金の平均受給額は一体幾らなのか、その分布はどうなっているのかということをきちんと資料として提出すべきだと思います。日本の平均的な労働者が退職をして、ユニット型個室を利用できるだけの厚生年金を受給できているのかどうか、労働者の平均受給額はどうなっているのかというのが、私は前提としてまずあるのではないか。そういう実際の経済的条件をきちんと吟味しないで、あるべき論だけを語るというのは、私は無責任だと思っております。
 それから、東京が従来型の多床室を整備するのを3割に制限しているのは、基本的に私どもは被保険者の第1段階から第4段階以上の人たちの分布率を想定して、最低3割ぐらいは低所得者対策として必要だろうと、被保険者数で考えています。大体75%は4段階以上ですので、最低25から30%ぐらいは1段階から3段階の人たちが利用できる施設が必要だろうと、一応私どもは根拠のある数字でやっております。是非根拠を示してください。
○篠原委員 よろしいですか。
○大森分科会長 とりあえず御質問して終わりましょうか。お二人からもお願いします。奥沢さんと岡田さんから。
○奥沢意見陳述人 生活の質をどう思うかということですけれども、先ほど御説明しましたように、私ども、原則ユニットということで基本として整備している。ただ、現実にはそれが使えない方が、繰り返しになりますけれども、いるわけです。そういった方の行き先がなくなる、あるいは使えないということを考えれば、それが制度として改正されて、すべて低所得者が使える、あるいは生保の方も使えるようになればベストですけれども、いつそういった状態になるかわからない。
 行政は、今困っている、あるいは対応しなければならないということもありますので、そういった面から一部ユニットもあわせて進めているということでございます。
○大森分科会長 岡田さん。
○岡田意見陳述人 香川県も同様です。基本的にはユニット型がいいとは思っていますけれども、現在の年金の状況等を考えあわせると、それは現実的な選択ではない。いろいろな所得階層の人が選択できるように、ユニット型も必要であれば、多床型あるいは一部ユニット型も必要だと考えております。
○大森分科会長 次の方、行きましょうか。勝田さん、どうぞ。なるべく短めにお願いします。
○勝田委員 わかりました。横浜の立花局長と国立保健医療科学院の井上先生に再度お尋ねしたいのですが、特に横浜市の取組みにつきましては、私たち認知症の家族の会としましては、利用者の立場として、自治体として、このように取組んでくださることについてはすごいなと思っております。そういう中で、認知症があっても普通の人が暮らせるということを前提としたユニットということでお考えくださっていることはありがたいと思います。
 ただ、ちょっと気になるのは、ここはお話されなかったのですが、6ページの特に個室ユニットの広さの問題です。居住費の基準額を1万円下げるためにと書いてあるのですけれども、広さについて、私たちは8畳を6畳にするということについても、本来生活環境を整えるという立場からは、どちらを優先させるかということについて局長はどのようにお考えなのか、まずお願いしたい。
 次に、井上先生につきましては、こういうのを初めて見ました。このような研究をしてくださる方がいらっしゃるというのは、頼もしいなと思いましたし、多床室よりもユニット型の方が経営的にも将来的に大丈夫なのだということを話されましたが、今後もう少しわかりやすくしていただきたいなと思うのです。もし私たち利用者の介護家族にとってこうなのですよという御助言があれば、追加してお願いしたいと思います。
 以上です。
○大森分科会長 それでは、立花さん。
○立花意見陳述人 基本的には、個室ユニットを整備していくということを最優先に考えて、先ほどから言っていますように、居住費負担に無理があるという声も大分ありますので、6畳という広さであれば、今までの居室の広さの推移から考えても、ここがぎりぎりのところで許容されるところであろうと考えました。個室ユニットの整備ということを優先に考えました。
○勝田委員 済みません。逆に言うと、これから30年後を見据えてこういうふうにおっしゃっているのですが、広さ的には、8畳を6畳にしたからといって、全体として個室が増えるというのは、80床の場合6床だというデータが先ほど示されておりましたが、30年後を見据えて、今後計画に入れていただけたら、広さの問題もお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○大森分科会長 井上さん、十分わかりやすいと思いますけれども、もうちょっとわかりやすく。
○井上意見陳述人 申し訳ありません。個別に後で御説明に上がりますので、お許しください。
○勝田委員 済みません。
○大森分科会長 池田さん、お願いします。
○池田委員 東京都と埼玉県と矢野さんにお伺いいたしたいと思います。
 まず東京なのですが、最初の資料にたまゆらの事件が出ていますが、たまゆらはたしか全室個室でしたね。たまゆらが全室個室であるにもかかわらず、特養で雑居を認めるというのはどういう発想なのか、よく理解できないのと、生活保護の方のための住居をこれから用意する場合、雑居もあり得ると理解していいのか、これが1つでございます。
 次、埼玉県の資料の7ページを見ていただきたいのですけれども、今、特別養護老人ホームは大体45万人ぐらいの方が入所されておりまして、うち3割程度は要介護3以下なのです。いま、要介護4、5の人で在宅で待機している人は6.7万人ですから、すごくバランスが崩れているという発想が私はあります。
 ところが、従来の多床室型の特養は従来の経過を引きずっておりますから、3以下の人が一定程度存在するのはやむを得ないのかもしれませんが、ユニット型は新しいですよね。新しいにもかかわらず、埼玉の場合、全部で6,531人の方が入っていて、そのうち3,034人が要介護3以下なのです。これはすごく変に感じるのです。要介護4、5の方が優先順位が高いというのは、一般的に当たり前の話であって、恐らく埼玉で要介護4、5で在宅で待っている人はいっぱいいるはずなのですよ。何で1、2、3がこんなに入るのですか。
 これは、実は東京への質問ではありませんので、聞き流しておいていただきたいのですけれども、埼玉、東京、千葉というのは特別養護老人ホームのベッド数が物すごく足りないところでありますので、これからの状況を考えるといろいろと大変だということはわかるのですけれども、東京都ですら、特別養護老人ホームに入所している方の32%は要介護3以下です。
 ケア施設として特養が使われているのか、福祉的な住居政策として使われているのか、どうも区分がはっきりされていないのではないかという疑問を感じますが、そこはいかがでしょうか。
 3番目、これは矢野さんにお伺いしても、ちょっと違うのかなという気もするのですけれども、社会福祉法人ですね。株式会社でもなければ、有限会社でもないわけです。社会福祉法人というのは、社会福祉という名前が付いているので、低所得者への減免措置、その他もやられていると思うわけです。
 そこで、私、非常に興味深い資料を発見いたしました。やや古いのですけれども、昨年の資料で、平成21年3月26日。これは自民党の介護福祉議連に前老施協の会長である中村事務局長が出されたパワーポイントです。
 そこに何が書いてあるかというと、国が1兆円出して、事業者が内部留保等の財源を1兆円出して、それで20万床、特別養護老人ホームを増設しましょうということです。ということは、特別養護老人ホーム全体で、1兆円の内部留保があるのですね。
 実は、特別養護老人ホームの年間の介護報酬収入額というのは大体1.3兆円です。にもかかわらず、1兆円の内部留保があるのかどうなのかを確認したい。した上で、その内部留保はなぜ利用者のために使われなかったのか。なぜ職員の賃金、処遇改善のために使われなかったのか、非常に疑問に思うのですが、いかがお考えでしょうか。
 以上です。
○大森分科会長 御質問、狩野さんから。
○狩野意見陳述人 たまゆらは個室で、なぜ特養は多床室を整備するのかということですけれども、我々の基本的スタンスは結論のところの34ページに明記してありますけれども、私どもはユニット型特養の整備を促進するという基本的な立場は全く変わっておりません。
 ただし、何度も申し上げているように、低所得者のユニット型の施設を低廉な居住費負担で利用できる仕組みを、これはまさに国家の政策の問題ですね。所得補償の問題だと思います。そこをきちんと構築されたいということを申し上げているのであって、現に生活保護受給者は事実上、ユニット型施設を利用できなくしているという保護課長通知の問題もありますし、2段階や3段階の人が現実に家族の経済的支援、仕送りを得られなければ、あるいはこれまで蓄積した貯金を取り崩すのでなければ利用できないという実態をきちんと踏まえてもらいたい。
 我々は、ユニット型個室を基本として整備していくという方針については、これまで変えてきていませんし、今回も緊急避難的に3割程度、多床室を整備するのはやむを得ないと考えているだけですので、誤解のないようにしていただきたい。
 ただ、先ほど中田先生もおっしゃいましたけれども、私は居住空間の問題とケアの問題をどうもごっちゃにした議論をされているのではないかと思います。居住空間とケアの問題というのは、やはりきちんと分けて検討すべき問題ではないかと思います。厚生労働省の主張でも、あたかも多床室ではとんでもないケアが行われているかのようなキャンペーンを張っている団体もありますし、そういう資料をここで配付するというのは、私は非常にミスリードを国がやっていると言わざるを得ません。
 それから、福祉的な要素があるのではないかという御指摘ですけれども、私は改めて今回、詳細に調査をして、ユニット型はここ6~7年で整備したものですので、当然、5、4が中心になってきているわけですが、かなりの割合で要介護3以下の方が入っているというのは、まさにたまゆらの事件で明らかになりましたけれども、4ページに書いておきました。家族の援助を得られない単身高齢者で、いろいろな認知症とか精神疾患を併発しているような軽度の要介護者がいるのは確かでございます。
 たまゆらは、そういう方のうち生活保護受給者が利用していたわけですけれども、生活保護受給者以外にも、こういう属性を持った方がいるわけですので、そういった方が一部入っている。そういう意味では、私は介護老人福祉施設は、介護保険法に定める介護保険施設であると同時に、まだ依然として老人福祉法に定める老人福祉施設でもあるのだと理解しております。これから少しずつ変わっていくのだろうと思いますけれども、現実としてそうなっているというのが私の理解です。
○大森分科会長 池田さん。
○池田委員 追加で聞いておきたいのです。32ページで、「国は『人権に直結する運営基準』以外は地方の判断で定めるようにすべきであり、居室定員についても『参酌すべき基準』として取り扱うことが適当である」と書かれていますね。ということは、個室を保障されるということは人権のレベルの問題ではないということですね。
○狩野意見陳述人 人権に直結する基準なのかどうかということについては、私は違うのではないかと思います。
○池田委員 雑居は人権に直結しない問題である、そのお答えさえいただければ結構です。
○狩野意見陳述人 多床室が雑居だという根拠はどこにあるのですか。それを示してくださいよ。雑居という定義をちゃんと説明してから用語を使ってください。
○池田委員 では、多床室はと言いかえましょう。
○狩野意見陳述人 ちゃんと自己批判しなさいよ。何が雑居なのですか。今やっている日本の特養の7割8割は、雑居部屋で処遇しているのですか。
○池田委員 これは時間をかけてやっていいのですか。
○大森分科会長 いえ、多床室はと言いかえましたから、それでおさめてください。
○狩野意見陳述人 では、議事録から削除してください。
○大森分科会長 では、奥沢さん、お願いします。
○奥沢意見陳述人 要介護度4、5より軽い介護区分の入所者が多いのではないかとのお尋ねについてでございます。今日、3つの資料を示しておりますけれども、県全体では過去の積み上げでこういった数字が出ておりましたが、基本的には優先入居指針で重度の4、5等を点数も高くやっているところでございますけれども、例えば5ページの最近できた一部ユニットで見ますと、従来型で4、5が76人。3のところがちょっと膨らんでおりますけれども、要介護4、5でユニット型で160人。
 流れとしては、そういった重度を中心に優先的に入所は指導しておりますけれども、埼玉県はかなりの数、この7年間で70ぐらいの施設をオープンしています。オープンと同時に、すべてを4、5で埋めるというのは、ケアの面でなかなか難しい面もあると聞いております。徐々にバランスをとって入れるということだと思います。ただ、方向性としては、4、5、重度の方の入所を中心に施設は御利用いただくという形でこれからも進んでいくと思います。
 ちなみに、今、特養を申し込まれている方が約1万4,600いらっしゃいますけれども、在宅の方がうち6,415人。そのうち4、5が約2,000人ということでございます。今後、そういった重度を見据えて御利用いただくような形で引き続き進めていきたいと考えております。
○大森分科会長 では、矢野さん。
○矢野意見陳述人 私、細かい数字はわかりませんが、私ども、4月までに各税務署へ決算書を必ず提出することになっておりますので、多分財務省が集計した数字が1兆何がしだとは聞いております。ただ、経営者の立場からしますと、介護保険法が2か月後の収入でございますので、最低でも3~4か月のキャッシュフローを持たないと安定経営できないと思います。精神的にも非常によくありません。
 まして、それが従業員に、この施設は余り金がないというのでは職員が来ません。そういう面で、どのレベルがいいかはわかりませんけれども、全国の数からして、富山県だけで言いますと、大体皆さん2~3億円の準備金、キャッシュフローを持っております。それぐらいないと、安心して経営ができないという。ですから、これが多いか少ないかは別なのですが、私どもはそれぐらいあっても何ら不思議ではないという気がいたします。
 ただ御指摘のように、本来、社会福祉法人は減免されているので、利用者に使うべきだ、再投資すべきだろうと。これはそのとおりだと思うのですが、ここで言っていいのかどうか。もしあれだったら議事録から外していただきたいのですが、社会福祉法人は3種類の系列がございます。天下りの方がほとんど采配しているところは、あの人たちに決定権がございません。
 生意気言いますと、オーナー型は自分の決定権で、借金してでもこれはやるべきだとできるのですが、天下り型の施設はなかなかその決定権がないので、安心のために大体2~3億円から、多いところでは5億円を持ちながら経営。それが集計すると1兆円幾らあると感じております。
 細かい資料はわかりませんので、何とも言えませんけれども、御指摘のとおり、社会福祉法人は利用者のために再投資することが、我々が非課税であり、そういうものが社会的要請かと思っておりますので、今後事業に対して、私ども社会福祉法人が、中村顧問が言いましたように、世のため人のためにこの資金を使って、組織を挙げてますます必要なる整備をしていこうというのが、そこでの資料かと感じております。
 以上であります。
○大森分科会長 新鮮な事実が明らかになったのではないかと。
 では、村川さん。
○村川委員 矢野先生と内藤先生に補足説明をお願いしたいと思います。
 私は、このユニットケアは推進すべきであるという立場でありますが、率直にユニット型ケアの短所ということを矢野先生のペーパー、16ページで御指摘いただいております。若手の介護職員が継続的にこの種の仕事をしていくために、どこに問題点があるのか、もう少し補足説明をしていただければ。
 あわせて、ユニット型ケアに求められる職員配置ですね。国のペーパーでも事実上2対1程度ということでありますが、介護・看護の職員配置基準等も含めて、矢野先生、内藤先生から補足的な御意見をいただければと思います。
 以上です。
○大森分科会長 では、矢野さんから。
○矢野意見陳述人 ユニットケアは大変すばらしいのですが、これを完璧にやろうとしたら1.5対1以上になります。片方では、今の労働基準局の厳しいものがございますので、私ども、2年半、徹底的に1.5対1でやりましたけれども、これは経営的に今の介護報酬ではまず不可能。倒産するしかございません。それがまず1点。
 それから、ユニットケアのマイナス面といいますか、チームケアと違いまして、ベテランから新人に技術がなかなか伝わりにくい、これが1点です。
 それから、ユニットで完結しますので、職員のレベルによってユニットのサービスの質の差が極端に出てきます。これはいい悪いを言われても仕方ないのですけれども、これは事実としてございます。そういう面で、介護者の立場からしますとチームケアをした方が非常によろしいのではないか。
 よくわかりませんが、ユニットケアの職員の方が離職率というか、変わりたいというのがどうもいろいろなデータを見ますと出ております。非常によくわかります。ユニットケアの場合、そこにおいて余りにも職員に精神的な負担がかかり、すべてをそこで決定しなければいかぬ。これがベテランがいて、中堅がいて、新人がいると非常にやりやすいのですけれども、新人がそこに2人3人で張り付けられた場合、とてもではないが精神的にはもたないということで、結果としてチームケアの方がいいのではないかということで、離職率が高いのではないかと思います。
 あと、うちは8人でやったのですが、相性のいいときはいいのですけれども、相性が悪くなった場合に逃げ場がないです。逆に物すごいストレスを利用者も職員も持ちます。その面では、どの人数がいいとは言いませんけれども、少なくとも12~13人いれば、逃げ道があって、お互い長続きするのではないかというのが、私どもがやった経験からそういうふうに書かせていただきました。
 あと、寄り添う介護、ユニットケアはいいのですけれども、逆に言うと、甘えの人がいると過剰介護になって、介護保険の目的が本来自立支援のためだったのに、結果としてハードや職員配置が自立支援を大きく損なっている事実も、はっきり言いましてございます。ですから、やり方だとは思うのですが、これが一概にいい悪いはないのですけれども、結論からいいますと、今の職員配置、資金からしますと、ユニットケアの10人以下というのは非常に私は疑問に思っております。
 以上であります。
○大森分科会長 それでは、内藤さん。
○内藤意見陳述人 今、御指摘がありましたように、ユニットケアにおいては、入所者・利用者の方の情報の共有化がなかなか難しいということはありますけれども、逆に、そのことは私たちは大切なことだろうと考えております。ですから、施設の中で情報の共有化をどうするのか、あるいは職員同士の教育を、ユニットごとの力の格差をどうなくしていくのか。
 そういうことに地道に取組んでいかないと、地域の中での情報提供ということも当然できませんので、そういうユニットケアにおける職員同士の情報の共有化あるいはケアスタッフ、リハスタッフ、看護職といった専門職同士の情報の共有化ということが、逆に私は非常に磨かれる場としてユニットケアというのはあるのではないかと思っていますし、そこに事業者としてのやりがいもまた見えてくるとは思っております。
○大森分科会長 木間さん。
○木間委員 東京都、埼玉県、香川県にお尋ねします。それから、別の質問を横浜市にお尋ねします。
 地域主権一括法が成立しましたら、特養やグループホームの居室定員を条例で定めるというお考えはありますでしょうか。また、グループホームのユニットの数と利用定員についても、条例で定めるお考えはありますでしょうか。
 それから、横浜市にお伺いいたします。グループホームには補足給付がありませんが、横浜市としてはその点はどのようにお考えでしょうか。
 以上です。
○大森分科会長 御質問。
○狩野意見陳述人 地域主権改革推進一括法案がまだ通っていませんので、成立して厚生労働省の方から省令の基準案が示されませんと、どういう取り扱いになるのか、今判明しませんけれども、今までの考え方でいえば、当然条例で基準については定めるということになるのだろうと思いますけれども、私どもは詳細を承知しておりません。
○奥沢意見陳述人 状況は同じですので、答えは同じです。
○岡田意見陳述人 香川県も同じです。
○大森分科会長 それぞれに応じて3つ基準が国の方からございまして、それぞれについて。この問題について言うと、さんしゃくすべき基準を国が示して、それに即して自治体が条例を定めるということが想定されていますので、多分そうなるのではないか。条例委任ということになりますので、したがって自治体がどういう考え方でやるかということは、、国の方の基準の示し方との関係もございますけれども、自治体が今後どう考えるかによっているのではないでしょうか。ということで。
 ちょっと横浜への御質問がありました。
○立花意見陳述人 グループホームの件ですけれども本市独自に、所得が低くて資産もないという方に対しては、認知症対応型のグループホームサービスの利用料の5%を助成するというのを去年10月から開始しております。軽減後も自己負担額が一定以上になる方に対しては、その超えた額の助成をするという策をとっております。
○大森分科会長 武久さん、お願いします。
○武久委員 お伺いしていると、皆さん方、個室というのは別に反対していないということはよくわかりました。ただ、生活保護第1段階の方が入れないということは問題だということもあると思います。これは私は、確かに皆さんおっしゃるように、生活保護の方も入れるようにしたらいいと思うのですけれども、何しろ国の予算も、地方公共団体の予算も限られている。
 実は前回のこの会で10.65を答申するという話が出たときに、条件として私は会長に、これは個室ユニットを前提での話ですねということはお伺いしたのですけれども、基本的に狩野さんも個室ユニットがいいということはおっしゃっていますし、一番わかりやすかったのは、横浜の立花さんが全体的なバランスとして非常にいい御意見を言われたと思います。
 私は、予算を伴わないでできるような措置を考えたらどうかと思うので、ちょっと御質問したいのですけれども、例えばリバースモーゲージをどうするかということ。もう一つ、建築基準ですね。特に都会の場合は、特養に関しては、1床当たりの土地の値段が異常に高い。ここを安くするためには、建ぺい率と容積率を一部について緩和する気があるかどうか。
 それから、標準単価の建築費は今かなり下がっております。井上さんがお示しいただいたのですけれども、東京とか横浜の標準でやると、坪当たり大体坪80何万円になりますけれども、70万円を切って入札が実績として出ていますから、景気によって建築費は非常に上下しますけれども、せっかく前回のときに10.65になったのだから、4人部屋と同じようになったのだから、ここはそのように個室ユニットを進めていただきたいと思うのです。
 この3つの件について、特に狩野さんや横浜の方や埼玉県の方にお伺いして、自分の行政の範囲内でできることを優先的にする意思があるかどうか、ちょっとお聞きしたいです。
○大森分科会長 お願いします。
○狩野意見陳述人 予算を伴わない措置がどれぐらいできるかという話なのですけれども、私ども先ほど、都市型軽費老人ホームという新しい施設の仕組みを創設していただいて、今、整備を進めているのですけれども、これは老人福祉法の軽費老人ホームだけれども、20人以下ですから、限りなく小さな、いわば普通のグループホームと同じようなものをつくりたいということで、今、進めています。
 ネックになるのは、これは社会福祉施設ですので、老人福祉法の施設ですので、例えば建築確認なり消防の検査で施設扱いをされると、例えば業務用のエレベーターを付けなければいけないとか、いろいろな規制がありまして、そういうところを建築基準法なり消防法である程度緩和する方策を、厚労省が消防庁や国土交通省と是非調整していただければ基準の緩和は可能だと思います。
 ですから、わずか20人以下の小さな施設でもエレベーターを付けなければいけない。しかも、それも家庭用エレベーターではだめである。業務用のエレベーターでなければだめだという規制がかかっているのが今の実態でございます。その辺は我々も問題意識をずっと持っていまして、建築主管の部局等にも相談しているところです。一方で、バリアフリー法や自治体の条例もありますので、それも調整が必要だと思っています。
 それから、建築費の単価の問題については、井上先生の資料と私の資料を突き合わせてみるとわかるのですけれども、やはり自治体間格差は非常に大きい。これは労務管理費の違いに起因するわけです。確かに世間相場でいえば、今、建築費単価が少しずつ下がってきていますので、まだ下げられる余地はあるのではないかと思っていますけれども、東京の場合、平均で坪80万円を超えていますので、ここら辺は我々も課題です。
 基本的に入札でやって、できるだけ単価を引き下げる努力はしているところですけれども、引き続き単価が引き下げられるような取組みをしていきたいと思っています。
○大森分科会長 横浜市からもお答えいただきましょうか。
○武久委員 横浜市も。
○立花意見陳述人 いろいろ考えられることは考えていくべきだと思います。リバースモーゲージは、生活保護受給の中では今までも活用していますけれども、今後それが今回の問題全体でそういう考え方が導入できれば、それはいいと思います。なかなか難しい面もあるかもしれないですけれども、検討には値すると思います。
 建ぺい率とか容積率の問題は、考え方としてはあるのではないかと思います。ただ、それで利用者負担が減るのか、あるいは建設費の負担が減るのか、それはわかりませんけれども、考え方としてはあるかなと思います。
○武久委員 1床当たりの土地代が下がると、トータルとして建築費の全体費用は減るかということ。
○大森分科会長 今日は外からお呼びしておりますので、12時で終わりにいたします。終わりです。恐縮です。私どもの間の議論はまたいたしますので、今日はこれで御質問等を終わりにさせていただいて、次回に備えてペーパーを配ってもらえますか。
 それでは、事務方の方から簡単に説明していただけますか。
○水津高齢者支援課長 本日のヒアリングに先立ちまして、資料を提出いただいております。その資料に基づきまして、事務局の方で整理したものでございます。
 ?@国と地方の役割、?A一部ユニット型施設の取り扱い、?Bケアのあり方、?C低所得者の方への対応、?Dユニット型施設の推進ということで、1枚の中に若干窮屈ですが、整理させていただきました。
 勿論、複数の方の資料にまたがることをかなり大くくりにまとめたり、あるいは力点を置いているところを中心に書いておりますので、今日の御発言などで力点を置くべきところはそこは違うのだということで、若干食い違いはあるかと思いますが、そこは御容赦いただきたいと思います。
 これらの点に共通いたしまして、右側にございますように、第1回の分科会で御提示しました2つの課題、1つは、既に指定している施設についての問題、なかんずく介護報酬の取り扱い。もう一つは、今後の施設の取り扱い。この点について課題を解決すべく議論していく必要があると考えております。
 なお、もう一点だけ付言させていただきます。事前に資料をいただくということで整理させていただきましたが、高見澤様の方から資料はなしということで御報告いただきました。今日の御発言にございましたように、特に最後に強調されておりました、長い人生の最期の4年5年を幸福に暮らしていく。そういうことを守れという姿勢・方針を国としては示す、堅持してほしいというところで御主張があったことを付け加えさせていただきます。
 以上です。
○大森分科会長 これを見ていただくとわかりますけれども、別に事務局がある方針で書いたわけではありませんで、今日出たこともダブりますけれども、いろいろな論点がありますので、私どもとしてはきちっと議論しなければいけない項目が並んでいるとお考えいただければと思っています。次回に備えたいと思います。
 それから、今日はわざわざ9人の方がおいでくださいまして、私どもの質問にもお答えいただきまして御礼申し上げます。ありがとうございました。なお、短い時間だったものですから、後刻、もうちょっとこういうことを主張したいということがおありになれば、事務方の方へ文書等でもお寄せいただければ大変助かります。
 本日はありがとうございました。御苦労さまでございました。
 それでは、次回についてアナウンスメント。
○宇都宮老人保健課長 次回の日程でございますが、9月6日13時から、場所はこちら、同じ場所で予定してございます。
 以上でございます。
○大森分科会長 次回は、今の論点に即して、少し具体的な案のようなものを事務方から用意していただいて検討に入りたいと思っています。
 本日は以上でございます。ありがとうございました。


(了)

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